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国務大臣(
瀬戸山三男君) おっしゃるまでもないことでございますが、
裁判は可能な限り速やかに結論を出して法治
国家の実を上げる。言うまでもないことでございますけれ
ども、
法律は、それを実行に移してその結論が出て初めて
法律の効果が上がるわけであります。でありますから、これはよけいなことかもしれませんが、民事にしろ刑事にしろ
裁判ができるだけ速やかになるようにということで政府は行政的
立場でいろいろ御協力をしておると、こういう状況でありますが、特にいま御
指摘のようないわゆる過激派に関連する
刑事事件、これはたとえば昭和四十七年にありました浅間山山荘
事件、その後連続して起こりました爆弾闘争によるいわゆる連続企業爆破
事件、こういう一連の過激派の
裁判は非常におくれております。昭和四十七年に
起訴いたしました浅間山山荘
事件がまだ一審がいつ結論が出るかわからないと、こういう状況で、これはまあ
事件もいろいろ複雑なところもありますが、これはいわゆる法廷闘争という名のもとに審理の妨害、審理の進捗を妨げるということがもう公判期日当初からずっと行われております。
その中で、現在の
憲法あるいは
法律で示されておるところの、どうしてもこれを改めるためには
一つの
法律をつくらなければならないと、こういうことで特例法をすでに三月初旬に国会に提出をして御審議をいただいておるわけでございますが、そのいわれはどういうことかというと、彼らの法廷闘争の主張をかいつまんで簡単に申し上げますと、
国家権力に対して抵抗するのは人民の権利である、こういう
立場でございます。でありますから、
裁判といえ
ども闘ってこれを打ち破るのがわれわれの権利であるという
立場でございます。そこで、これに同調する、これは少数でございますけれ
ども、いわゆる弁護士の弁護人がおられる。御
承知だと思いますが、
憲法三十七条には、必ず被告人は資格のある弁護人を選任する権利があると
規定しております。また、それを受けて、
刑事訴訟法の二百八十九条でございますか、死刑、無期または三年を超えるいわゆる重いと思われる
犯罪の
刑事事件については弁護人を付する権利がある、付さなければならない、かようになっております。これはまあ弁護人といいますか被告人の
立場を擁護し、正当な権利の主張、正当な
裁判を求めるためには当然なことでございます。この
規定を盾にとって、被告人と通じて、あるいは期日に出頭しない、あるいは法廷闘争の名のもとに退席をする、こういうことが繰り返されておりまして、期日が開けない、あるいは開いても審理が進行しない、こういう種類のものにはこれが繰り返されておるという状況がずっと続いております。
そこで、私
どもとしては、さっき申し上げましたように、法治
国家というものは
法律の実効を速やかに上げるというのが
憲法及び
刑事訴訟法のねらいであります。
憲法にも、公正迅速な
裁判を受ける権利があると、こう書いてある。また、
人権を擁護し、公正迅速な
裁判をするための
刑事訴訟法ができておる、こうなっておるわけであります。当然なことであります。でありますから、この
憲法及び
刑事訴訟法の
趣旨に従って、いまのようなことは、特定の条件の場合には、弁護人を排除するというのじゃなくて、そういう戦略のために出てこない場合は、特定の場合には審理が進められると、こういう
措置を講じようという提案をいたしておるわけでございます。私は、率直に申し上げて、これは
国民の大多数の期待であろう、また
憲法、
刑事訴訟法の望むところであると確信をして提案いたしておりますので、ぜひ御協力を願いたいと思います。