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1978-06-13 第84回国会 参議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月十三日(火曜日)    午後二時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 粕谷 照美君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩上 二郎君                 山東 昭子君                 高橋 誉冨君                 二木 謙吾君                 増田  盛君                 久保  亘君                 松前 達郎君                 柏原 ヤス君                 白木義一郎君                 有田 一寿君    国務大臣        文 部 大 臣  砂田 重民君    政府委員        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省学術国際        局長       井内慶次郎君        文部省管理局長  三角 哲生君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    宮脇 磊介君        国税庁直税部法        人税課長     北村 恭二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (国士館大学内の諸問題に関する件)  (留学生問題に関する件)     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、六月八日の文教委員会に引き続きまして、国士舘大学の問題を質疑いたします。  最初に、六月十日の毎日あるいは朝日、いろいろな新聞を、あるいはニュースを見ますと、国士舘大学柴田総長が、博士学位取得に対して疑問を持つという記事が載っておりました。九日の夜など私十二時半ごろ起こされまして、その感想を求められたわけですけれども、非常にショックを受けているわけです。国士舘大学柴田総長博士学位取得に当たって、論文代作で済ませて、二人の方に対して謝礼金を払った、こういう記事について文部省は前々から話を知っていたのではないかと思うのですが、大学局長はいつごろからこのようなうわさ、あるいはこの話を聞いておられましたでしょうか。
  4. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 本委員会での御質疑で、そのようなうわさがあるという御指摘がございました。それによって、そういう問題が学内において言われているということは、その時点承知をしたわけでございます。
  5. 粕谷照美

    粕谷照美君 承知をしていましたけれども、そのことについては別に特段の対策というものはとられなかったわけですか。御調査をなさるとか、疑義がやっぱりあるなあということをお感じにはなりませんでしたでしょうか。
  6. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大学博士課程研究科が、厳正に博士学位授与について審査会を設けて会合するというのは、これはいかなる大学を通じても当然のことでございますし、いわばそれは教授会運営がいかに行われるかということと同じように、それぞれの大学の、まさに大学自治の本質をなす部分でございます。このような事柄について、逐一文部省個々具体の事例にわたって、大学側に物を言うというようなことは基本的に本来あってはならないことでございます。この国士舘大学の問題につきましては、もちろん新聞に事実が報道されました時点で、私ども大学側に対して事情は伺っておりますけれども、これもどういう形でこの大学研究科運営というのが行われているのかということに主眼を置いて伺っているわけでございます。
  7. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、どのような形で運営が行われているのかということに主眼を置かれたということと、この学位を取るに当たって、論文を他人に一切任せて、本人は一字も書かないでというような学位の取り方、論文の出し方というものはどういうふうにお考えでしょうか。
  8. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 国士舘大学に限らずに、学位授与審査手続につきましては、それぞれの大学学則、あるいは学位規則において詳細に定められているわけでございます。論文提出をされればそれについて審査委員定められて、そこにおいて論文審査も行われ、さらにその論文にかかわる専門分野については、審査委員による諮問も行われ、あるいは外国語能力につきましても検定が行われるというような、厳正な手続が本来踏まれるべきものでございます。私たち学位論文代作で出されるなどということは、本来夢にも考えたことがない事柄でございます。
  9. 粕谷照美

    粕谷照美君 夢にも考えてないということが事実あったということはこれ信じられますか。いまでも絶対にないとお考えですか。
  10. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 事実が存在したか存在しないかについては、私たちはそれを現時点においても掌握をいたしておりません。いずれにしましても、学位授与について伝えられるような事実があったとすれば、それはきわめて重大な問題でございます。大学において研究科委員会責任において、早急に事実を明らかにする必要があると考えます。早急に事実を明らかにして、これに対処をするようにということは、大学に対しましても私の方から要請をしてございます。
  11. 粕谷照美

    粕谷照美君 大学に対して要請をされたといいますけれども、問題のある大学であるだけに、一体そのことについてはだれがその事実を確認するんだろうかという心配が一つにはあります。私はただいま政経学部大西教授会の方ですね、この方々がいままでの交渉の中で、確かに朝日新聞に書いてあったとおりだと、こう答えているということについて報告を受けました。それは竹内謙二氏のところには教授会の代表の方々が聞きにいきまして、朝日のとおりだと、こう答えておられますし、森武夫さんはこの教授会出席をされまして、事実であったということを発言されているわけです。事実なんですね。それでは竹内さんはどのようなことで事実だということを言っていらっしゃるかというと、「私が総長のために学位を取ってあげた。学位論文の作り方は色々な方法があります。ご当人は何事もせずに、ただ同僚や弟子のなすにまかせます」さらに、「総長論文で一字一句も書かなかったのですか」という問いには、「何もしない」と、これを認めて総長執筆をきっぱりと否定している。「総長は、代作をした当人に、二百万円の礼金を支払ったという風評」について、「私が指導してやった人に」「礼金払った」と、明確に答えた。」、その筆談が写真入りで載っているわけですね。ここまでやられて、いままで文部省が何も調べていないということについては、私は非常に残念に思います。  ところで、文部大臣にお伺いするわけですけれども文部大臣は一体この事実をどのように受け取っていらっしゃるかということです。私の手元に学生処分一覧表があります。政経学部あるいは法学部、いろいろあるわけですけれどもね。その中にいろんな事故内容がありますけれども替え玉受験及びカンニング、これは無期停学ですね。それからカンニング、これで無期停学になっているのが五人ほどあるわけです。カンニングをしても停学になる、それから替え玉受験をしても停学になる。この論文自分で書かないで出していて、そして博士号を取ったということなんですが、こういう事実について大臣は、一般的な問題としてでも結構ですが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
  12. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 文部省といたしましては、総長学位のことについて、この委員会の場で粕谷委員から御指摘がありましたときに、初めて承知をしたわけでございます。そして、前回もお答えをいたしましたけれども上申書に基づいての調査をいたしまして、文部省として当然指導助言をいたさなければならない問題点については、その改善を要請をいたしました。引き続いでの調査をやっておりましたので、その段階で、この委員会承知をいたしましたことにつきましても、大学側にこれの真相を明確にしていただき、事実を明らかにするように強く要請をいたしたわけでございます。  粕谷委員が、自分がこういうふうに調べて、こういう事実をつかんでいるということでございましたけれども大学当局からその後の明確な御返事をまだいただいてない段階でございますので、一般的な問題としてお答えをいたしたいと思いますが、学生カンニング等に対する処分というものが決まっているということは、私はそれはそれなりに間違ったことではないと思います。同時に学位授与する、学位を得るときの手続というものが、学則学位規則で明確になっているわけでございますから、そのとおりに運ばれて学位取得が行われたのかどうなのか、そしてまた粕谷委員がお取り調べになりまして、事実をつかんでいるとおっしゃるような事態が事実とすれば、それは学位を返上なさるなり、そういうことの措置もまた決められているけでございますから、当然大学側でその態度を明らかになさらなければいけないことでございます。この問題はやはり私といたしましては、大学大学院における学位授与というような問題は、まさにそこに学問の自由があり、大学自治がある。率直に申し上げますと、国士舘大学存立の基盤の問題であると認識をしております。それほど重要問題でありますだけに、文部省といたしましては、事実を明確になさるべきだという指導助言を当然しなければならない責任もありますし、行っているわけでありますけれども、これは、こういう措置をとるべきだ、こういうふうにしなければいけないという指揮、監督、命令の権限があるわけではありません。そしてまた、やはり大学自治学問の自由、これを侵すことを一般論としては、私どもは許されてもおりませんし、あってはならないことだと考えます。また大学自治学問の自由というものが尊重されなければならない、そのうらはらには、それなり大学責任があるわけでございますから、事実を明確になさって、明確になった事実に基づいて、それをどう処置するかを大学のまさに自治として大学態度を鮮明になさらなければならないことだと、かように考えまして、そういう方向での指導助言はこれからも続けてまいる、かように考えておるところでございます。
  13. 粕谷照美

    粕谷照美君 大学局ではどなたかこの論文をお読みになりましたでしょうか。問題になって、時間がありませんから、いろいろと対策に追われて大変だったと思いますけれども、どうでしょう。
  14. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 学位論文を読んではおりません。
  15. 粕谷照美

    粕谷照美君 この学位論文がまた問題があるんですね、ちょっとこれ見てください。   〔資料を手渡す〕  新聞の中にも、ほとんど丸写しではないかということが書いてありますけれども、私自身も先生方からこの資料をいただきまして、エンゲルス著「イギリスにおける労働者階級の状態」、大月書店版マルクス・エンゲルス全集第二巻(一八四五年)というこの訳文と、それから柴田梵天著「「共産党宣言」以後百二十五年」という、いまお渡ししたのは最初部分ですけれども、まだまだずっと続きますが、ここのところ、まず柴田梵天氏のお書きになりました論文を見ていただいて、私が原文を読みますから、どんな状況にあるのかということを見ていただきたいと思います。     序  説   イギリスにおける労働者階級の歴史は、前世  紀の後半、すなわち蒸気機関と、綿花を加工す  るための機械発明とともにはじまる。これら  の発明は、周知のように、産業革命にたいして  原動力をあたえたのであって、この革命は、同  時に全ブルジョア社会変革し、その世界史的  意義は、いまようやく認識されはじめたばかり  である。イギリスはこの変革の古典的な土地で  あって、その変革は静かにおこなわれただけ、  「それだけいっそう力強いものであった。そして  このためにイギリスはまた、この変革のもっと  も重要な結果であるプロレタリアートの発達に  とっても、古典的な土地なのである。  これが一の部分ですね。二の部分については原文はこういうふうになっているわけです。  「機械が採用されるまえは、原料を紡いだり織っ  たりする仕事は、労働者の家のなかでおこなわ  れた。妻や娘たちが糸を紡ぎ、夫がこれを織っ  たが、もしその家の主人が自分で織らないとき  は、彼らはその糸を売った。これらの織布工の  家族は、たいてい都市の近郊の田舎に住み、そ  の賃金でりっぱに生計をたてることができた。  それというのも、織物の需要にとっては、国内  市場がなお決定的な地位を占めていただけでな  く、」そしてその次ずっと抜かしておりまして、すぐ、  「また外国市場の獲得や商業の拡大にともなっ  て、のちに急激にはいりこんできた競争という  優勢な力が、まだ労賃にたいしてそれほどはっ  きりとした圧迫をくわえていなかったからであ  る。そのうえ、国内市場における需要は、人口  の緩慢な増大と歩調をあわせて」云々と、こうなっていて、ほとんどと言っていいくらい丸写しという現状があるわけですね。  私はこういうことを見ますと、大変残念な論文ではないだろうかということを考えないわけにはまいりません。そして、どのようなところから引用したかということについても、論文の出し方のイロハのイの字もわきまえないような論文提出であったということについて、指摘がされているわけです。それで、いま大学局長がいろいろとお話しになりました、そして大臣お話しになりました学位規則について、私は話を進めていきたいと思っております。  この学位規則は、学校教育法第六十八条第一項の規定から成っているわけですけれども博士学位授与要件は、学位細則五条の二項にこう書いてあります。「博士学位授与要件」、「前項に定めるもののほか、博士学位は、大学定めるところにより、大学院の行う博士論文審査に合格し、かつ、大学院博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認された者にも授与することができる。」。この中には「大学定めるところにより、」と、こうありますが、国士舘にはその定めがありますでしょうか。
  16. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 国士舘大学におきましても、学則並びに国士舘大学学位規則をもって、博士号授与に関する審査手続等規定をされております。
  17. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、その国士舘大学定めの第何条によって審査を行うことになっておりますでしょうか。
  18. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 国士舘大学学位規則は、他の大学の場合も同様でございますけれども、いわゆる課程を経た者の博士学位論文審査、いわゆる課程博士でございます、それと課程を経ない者の博士学位論文審査についての規定がそれぞれ設けられております。課程を経ない者の博士学位論文審査につきましては、第七条において論文提出規定が設けられ、八条においてその受理、十条において審査の区分、十三条から十七条までにおいて資格検定、十八条において論文審査、二十五条において学位取り消し、そのような規定が設けられております。
  19. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま私が読みました第五条の二項の後半の部分になりますが、「大学院の行う博士論文審査に合格し、かつ、大学院博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認された者にも授与することができる。」、こうなっていますが、「かつ」ということは、論文審査にも合格し、その上にさらにこれだけの条件が要求されるということで読んでよろしいでしょうか。
  20. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のとおりでございます。
  21. 粕谷照美

    粕谷照美君 となりますと、いままで新聞紙上で言われたような審査方法ですね、わずか数十分で終わったとか、全然その前にコピーも渡されなかったとかということが事実であるとするならば、この審査というものは正しく行われたと理解してよろしいでしょうか。
  22. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) この大学博士論文審査、いわゆる博士課程を経ない者についての学位授与についての審査方法としましては、論文審査と、いま御指摘博士候補者資格検定というものが並行して行われまして、両方を総合して、最終的に研究科委員会が判定を下すたてまえになっているわけでございます。これは他の大学の場合においても同様の手続規定をされているわけでございます。私どももその審査会運営状況について、大学側説明を求めたわけでございますが、大学側におきましては、この学位論文提出されたのが四十八年の十二月十九日、論文が受理されたのが十二月二十日、そして学位授与が行われたのが一月二十六日、その点は明らかになっておりますし、また審査委員として主査、副主査三名の者が研究科委員会によって選定をされているということは承知をすることができましたけれども、いわゆる資格検定、これは専門分野についての学力試問でございますが、これであるとか、あるいは外国語試問、これらがどのように行われたのかという点については、大学側から現在の段階では明確な回答をちょうだいできません。
  23. 粕谷照美

    粕谷照美君 新聞社の方ってすごいんですね、審査をやった方から直接聞いているわけでしょう。大学側からといいましても、大学のどういう方から伺ったわけですか。直接にその審査をやられた方から伺ったんでしょうか。
  24. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 文部省が直接に特定大学に、特定学位論文審査個々にわたりまして、事情を聴取をするというようなことは、事の性質上私たちは差し控えなければならないことだと思います。  この大学研究科委員会が、どのように運営をされているかという点については、私たちは一般的に指導助言を行わなければならない点があれば、指導助言をいたします。この問題につきましても、審査会運営がどのように行われたのかという点について、大学側責任者から話を聞いているわけでございます。これを聞いたのは常務理事と、それから政経学部長から伺っております。
  25. 粕谷照美

    粕谷照美君 文部省のとるべき態度文部省なりの解釈はそれでわかるのですけれども、国民としては、ここまでもう公器である新聞によって、いろいろな問題点指摘をされているときに、何も柴田総長だけが博士学位を取っているわけではありませんから、ほかの人たちももらっているわけですから、その人たちも同じようなことをやったんではないだろうか、それを持っている人は、おまえも同じようなことで通っているのじゃないか、権威のない博士課程ではないか、こういうことを思われたのでは大変気の毒だ、私はそういうふうに思うから、きちんとしていただきたいということを言っているのであって、大変その答弁については不満です。  いま資料を見ますと、「昭和五十一年度博士修士学位授与状況」という一覧表があります。その中で国士舘の部を見てみました。甲乙になっておりますが、甲というのは、御存じだと思いますけれども博士課程を卒業された方々がいただくわけですけれども、甲の部分について経済学で二人、それから乙の部分については経済学で五人ですね。そして、政治学では甲が一人、乙が二人、合わせて十人の方々が五十一年度に学位を取っているわけです。これは文部省からいただいた資料ですから間違いがないはずです。だからこそ、私は、きちんと博士号を取った方々に対しても、やっぱり世の中の人々の信頼、尊敬を得るような条件というものをつくっていただきたいからこそ、いまこのことについて質問をしているわけです。文部省からも姿勢を正していただきたい、指導をきちっとやっていただきたいということについての意見を言っているわけです。  ところで、この博士の定義についてお伺いいたします。学位規則第三条は博士についてこう言っています。「博士学位は、専攻分野について研究者として自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を有する者に授与するものとする。」、こうありまして、博士というのは、研究者としての能力、豊かな学識を有する者という規定になっておりますが、旧制度博士学位は、「末は博士大臣か」、こう言われて、立身出世の到達点、こういうふうにされておりました。帝国大学令によりますと、「学術技芸ノ蘊奥ヲ攻究シ定規ノ試験ヲ経タル者ニハ学位授与ス」、こうありましたし、また、栄誉的な意味も非常に強く旧制度博士は持っておりました。しかるがゆえに、「学位ヲ有スル者其ノ栄誉ヲ汚辱スル行為アルトキ」は云々と、勅令によって取り消し規定が入っていたはずです。今回のこの学位規則にはそれが見当たりません。なぜ見当たらないのでしょうか。取り消し規定がなぜ入っていないのでしょうか。
  26. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、旧制度における学位というものは、すぐれた学問的業績を積み重ねた者に対する栄典的な称号という色彩がかなり強くあったから、したがって学位に関する規定の中に、文部大臣の許可を得て、学位授与を取り消すことができるという旨の規定が設けられていたものと考えられます。戦後、新しい大学院制度の発足によりまして、学位大学院を置く大学授与するものとされました。文部省令学位規則定め、これに基づいて学位具体的審査方法等は各大学定めるものとされております。学位取り消しについては、法令では触れておりません。しかし、各大学学内規定におきましては、授与された学位授与取り消しにつきましても定めているものが通例でございます。
  27. 粕谷照美

    粕谷照美君 おっしゃるとおりだと思います。  それともう一つ私が考えるのは、大学というところは、特に博士号を取ろうというような方々は、そのようなおかしな行為をするところではない、審査委員会というのは、きちんとした非常に見識のある審査方法でもって、博士をあるいは修士を決定するんだという、この大前提があるからだどいうように思いますけれども、この点は間違いでしょうか。
  28. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 当然大学院の設置それ自体についても、厳しい審査があるわけでございますし、大学院が設置された場合においては、その研究科委員会において、いわばその大学院なり、大学存立をかけて厳正な審査が行われる、そういうことであろうと思います。
  29. 粕谷照美

    粕谷照美君 それほど厳しいものであるだけに、私は今回の問題は大変遺憾だと考えるわけですが、国士舘大学には取り消し規定がありますね。どんな内容で書いてありますでしょうか。
  30. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 国士舘大学の場合には、この大学学位規則の二十五条と、それから学則の二十九条に関係の規定がございます。具体的に書いておりますのは、学則の二十九条におきまして、「本大学において修士又は博士学位授与された者に、左の事実があったときは、当該研究科委員会の議を経て、その学位を取消すことができる。一 不正の方法により学位授与を受けた事実が判明したとき 二 名誉を汚辱する行為があったとき」、以上でございます。
  31. 粕谷照美

    粕谷照美君 国士舘においては明確に該当しているわけです。したがって、文部省からの指導を私は素直に受け入れて、素直に教授会でもって御検討いただくのであれば、この柴田梵天総長博士号の取り方は、一の「不正の方法により学位授与を受けた事実が判明した」という部分に該当するのか、「名誉を汚辱する行為があったとき」という項目に該当するのかということについて、真剣な討議がなされるべきであると、こう考えるわけですけれども、この辺のところの大学側との話し合いというものはありましたでしょうか、いままでの間に。
  32. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほどお答えいたしましたように、現在の学位制度におきましては、学位大学院を置く大学が適正な審査を経て授与するものでございます。不正な事実に基づいて授与されたことが判明した場合には、その大学が適切な措置をとらなければならないところでございます。私どもが非常に心配をいたしておりますのは、具体的にこれについて責任を持って対処をすべき機関はこの大学研究科委員会でございます。しかし、先般の委員会においても御質問ございましたように、政経学部教授会の機能が現在は正常に機能をいたしておりません。そのことは研究科委員会の機能もまた正常に機能をしていないというおそれが十分にございます。私どもはまず学部の教授会、ひいては研究科委員会の機能を正常化することによって、早急に大学として伝えられている事実というものについて、それを究明をする措置をとるべきであると考えております。
  33. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、やっぱり根源は教授会が正常に機能するというところに待たなければならないということになろうかと思いますが、どうでしょう、その見通しなどというのは、動きが出ておりますでしょうか。
  34. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先般柴田総長においでをいただきまして、政経学部教授会を早急に正常化をするように、大学としてできる限りの努力をしてほしいということを要請をいたしております。その後具体的にどのような措置大学側によってとられているかについては報告に接しておりませんけれども、さまざまに現在指摘されている問題の多くが教授会の機能が正常でないということに起因するものが多いわけでございますので、大学側に、全力を挙げてこの基本の組織の正常化について取り組んでいただくように願っているわけでございます。
  35. 粕谷照美

    粕谷照美君 これは国士舘大学に限りませんけれども、私がこの問題を取り上げましたら、いろいろなところから電話がかかってきたり、手紙が来ましたり、お話が直接あるわけですけれども、ある県に行きましたときには、あだ名が博士という高等学校の先生がいらっしゃるわけですね。高校の先生でなぜ博士というふうなあだ名がつくかといいますと、もっぱら博士論文の原稿を書かれるという、そういう仕事をしているので、みんながやゆしてそう言っているんだという、そんなことが公然と言われているわけですね。私はそういうことを聞くたびに、博士論文、この代筆屋のうわさが公然となっているときに、非常に日本の大学教育というもの、あるいは博士というものに対する価値というものを下げている状況ができているんではないだろうか。このことについての大学人の私は姿勢を問いたい。審査委員会の姿勢も問うていきたい。逆に言えば、そういううわさが行われているということは、大学院設置基準によって、大学院を認めたこと自体が間違いじゃないか、こう考えますけれども、そのことが事実であるとすれば、間違いではないでしょうか、どうでしょう。
  36. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大学院運営というものが、厳正に行われなければならないということは、これは御指摘を待つまでもなく当然のことであり、私は多くの大学において、大学院は適正に機能をしていると考えております。ただ、わが国の大学院の場合には、修士博士を通じまして、専門分野によってその社会的に機能する態様が異なるというようなこともございまして、十分に博士課程が機能をしていない、たとえば在学生が非常に少ないというような状況が見られる、そういった例はございます。本来これらについては、大学が自主的に対処をされるべきことであり、もちろんそれぞれの大学修士博士大学院の充実については御努力をいただいていると考えます。  大学設置審議会における大学院の設置についての審査のあり方につきましても、たとえば現地に赴いて審査をするということを、博士課程の専攻の増設についても行うということまで進める、いろいろな形で逐年改善をされ、厳正の度を加えてきているわけでございます。今後とも大学院が安易に設置をされることがないということはあたりまえでございますけれども、設置をされた後においても、十分にそれが大学院として機能をするように、大学側要請をしてまいりたいと考えております。
  37. 粕谷照美

    粕谷照美君 あわせて、学位規則の第十一条には、「学位授与の報告」として文部省提出することになっておりますけれども、ただ安易に、受け取りました、登録をしましたということであっては、空文化に等しいと考えます。何のために報告するのかといえば、きちんとしたものですよということを認めてもらいたいから出すわけで、文部省手はないと思いますけれども、その辺の指導はきちんとやっていただきたいということとあわせて、第九条には、一年以内に印刷公表しなければならない、こうありますけれども、聞くところによりますと、印刷公表が行われていないという例があるということですが、この辺のところはいかがですか。
  38. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘の九条一項で、「論文を印刷公表する」という規定がございますが、二項において、やむを得ない事情があれば、当該大学の承認を受けて、その論文の全文にかえて内容を要約した物を印刷公表することができるという規定がございます。この規定によって、要約の印刷公表をもってかえている例はかなり多いと思います。
  39. 粕谷照美

    粕谷照美君 要約であっても構わないのです。それは学位規則そのものに違反をしていないからです。だから法律どおりに要約であろうと、全文であろうと、公表されていれば問題はないわけですが、その要約すら出されていないということを耳にするのですが、そのようなことは大学局長としては全然お知りになりませんかと質問しているわけです。
  40. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 要約の公表が行われていないというようなことがかなり広くあるということは私は承知をしておりません。
  41. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は耳にいたしておりますので、その辺のところも御調査をいただきたい、法律をきちっと守っていただきたいと、こう考えます。あわせて、この「やむを得ない事由がある」というその「やむを得ない」というのは、一体何がやむを得ないんですか。
  42. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) やはり論文の量の問題が最も大きな理由であると考えます。
  43. 粕谷照美

    粕谷照美君 それはちょっとおかしいんではないですかね。論文の量がよけいだから印刷公表できないなんてことにはならないと思います。明確にこのやむを得ない理由というものを示していただきたい。
  44. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) かつては論文内容がいわゆる機密に属するというようなことで、公表が全文できなかったり、あるいは学問的な論文内容と、それからその公表に伴ういわば社会的な影響と申しますか、そういったことの関係で、全文を公表しないという例がまさにやむを得ない事由としてあったようでございます。現在は軍の機密というようなことはもちろんございませんし、なお論文内容と、他の刑法等の、それを公表することが現行法令の他の規定に抵触をするかどうかという問題は、事柄によっては残るのかもしれませんけれども、それはあってもきわめてレアなことだと思います。やはり実際問題として、全文を印刷公表をするということが、その研究論文の量であるとか、あるいはその公表の機会であるとか、そういったものを通じてなかなか全体にそれを求めることが無理だと。そこで、研究科委員会の判断を経て、その要旨を印刷をして学内のしかるべき発表の機関を通じて公表する措置をとる、そのようなことが行われておると考えております。
  45. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はいまの局長の答弁はわかりません。「やむを得ない」というのは、法制局に伺うところによれば、お金がなくて、このような論文は売れないから、だから、お金がなくて印刷がとても大部でできないというような場合にはあり得るとしても、原則としてはやっぱり全文を公表すべきである、こう読んだ方が正しいと言われておりますので、この「やむを得ない」については、あの大学ではこうだ、あるいはこの大学ではこうだということではなしに、きちんと基準のようなものをつくっていただきたい、こう思います。  いまいろいろ質問してきただけでも、この学位規則について不備の面もありますので、私は学位規則についての見直しをひとつお願いをしたい、こう考えております。  時間がありませんので次に移ります。  先ほどから教授会が正常に動いていないのでいろいろ問題がある、とにかく正常に動かさなきゃならない、こういう努力を文部省もやられておりますし、大学側の代表も来て、いろいろと文部省と話もされているようです。そして、自主教授会の方もまた一生懸命に努力をされているようでありますが、その努力のさなか、六月の九日の日に、大西さんに対して突如として退職金が届けられたというんです。これは、労働基準法の立場からいくと、このように全然予告もなしに、ある日突如としてお金が出ていくなんというようなことは、どういうことになるんですか。
  46. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私もそのことは聞きました。かねて大西教授については、それを非常勤の講師にするということで決定が行われていた、それが延び延びになっていたものを、六月一日付で実施をして、それに伴う措置をとったのだという御説明でございますけれども、学長が七日においでになって、学部教授会の正常化のために、積極的に努力をするということをお約束になって帰っている。果たして十分に総長の方針のもとでそのような措置が行われているのかどうか、既定の方針というものがあったにせよ、総長考えによって、さらに学内においてどのような措置をとるかを慎重に検討すべき時期にあったわけでございます。大学側に対しては、そのような趣旨を伝えて、十分に総長と連絡をして、学部教授会を正常化するために、どのような措置をとることが最も適当であるかという観点から、もう一度再検討してほしいということは要請をしてございます。
  47. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま手元にありますのが、五十二年四月の九日の第一回特別運営委員会議事録というのです。それでこの議事録の内容最初のところに、いままで「異常な運用であったことについての経緯を総長から説明あり。これが正常化については昭和五十二年度は学則第三十九条を適用した性格の特別運営委員会を発足させ教授会に代える機関とする」こういうことが確認をされております。この内容についてのいい悪いではなくて、私はわからないので質問をするわけですけれども文部省自体は、特別運営委員会というのは、違法ではないけれども、好ましい状態ではない。それから、長期にわたってこのようなことで適用されることについては、やっぱり問題があると、こういう態度で確認をしてよろしいでしょうか。
  48. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のとおりでございます。
  49. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、その学則の第三十九条を読んでみますと、いろいろありまして、最後に「教授会に報告するものとする。」となっているわけですから、この特別運営委員会は、教授会にかわるものですか。教授会に報告をしなければならないというものですから、かわることはできないと理解してよろしいですか。
  50. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 正常な教授会がいわば機能していない、正常な教授会がない、そういう学内の緊急の状態に対処するために、この特別運営委員会が置かれているわけでございます。大学側としては、これを設置した趣旨は、この運営委員会をもって、緊急に教授会の機能を代行させる、教授会にかわる機能をこの運営委員会をもって行わせるということを考えているのでございます。そのことは緊急の場合にはあり得ることだと思います。そういう事態の場合に、教授会に報告をするということはもちろんできません。それでもやらなければならない場合はあり得るということはわかりますが、先ほども指摘のありましたように、そういった性質の委員会が長期間にわたって教授会と同様な機能をとり行うということは、本来学則はそのような長期なものを予定したものとは読めませんので、早急に正常な教授会を発足をさせなければおかしいと考えているわけでございます。
  51. 粕谷照美

    粕谷照美君 私もこれ読んでみましてね、法律に疎いものですから、ちょっとわからなかったんですけれどもね。「この場合においては、遅滞なく、当該教授会に報告するものとする。」と、こう書いてあるものですからね、不思議な学則だなと、こう思っているわけです。それで、この第三十九条は、昭和四十九年の改正だというように理解をいたしますけれども、この改正になる前提として、ちょうどそのころ国士舘に、日本刀のさやを抜いて抜刀した右翼が来て、ロックアウトをしたような事態の中から、大変だということで、この三十九条をつくったんだということを聞いていますが、局長はこれを御存じですか。
  52. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) いま御指摘のような具体の事実に基づいて、これがつくられたということまでは承知をいたしておりませんけれども、本来この三十九条の規定というのは、そういう学内に緊急の措置ができた場合に、それに対して対処をしなければならない、そのことを考えて設けられたものであるということは、容易に想像ができます。
  53. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は局長の答弁のとおりだと思うんですね。右翼が抜刀してロックアウトしたときに、警察を導入するための決定として議事録が残されているわけですから、学園紛争ということを想定してつくられた規定だと、こう考えるわけです。そうしますと、いま特別運営委員会が生きているということは、国士舘大学は紛争校であると、こう理解をしてよろしいわけですね。
  54. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 三十九条に基づく特別運営委員会が置かれているからということでもって、国士舘大学がいわゆる大学紛争のもとにある大学であるというわけにはまいらないと思います。しかし学部の教授会が正常に機能をしていないというのが、きわめて異常な事態であるということは間違いございません。
  55. 粕谷照美

    粕谷照美君 そこのところで、先日の委員会におきます久保議員の質問が生きてくるんだと思いますけれども、やっぱりこの私学助成の問題と絡んでくるわけですね。国士舘にいままで一体どのくらいの金額の私学助成金が支給されていましたでしょうか、最初からずっと教えていただきたいと思います。
  56. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 学校法人国士舘大学は、国士舘大学とそれから国士舘短期大学とをあわせ設置しておりますが、この両方を含めまして、昭和四十五年から五十二年までの私立大学等経常費補助金の交付の金額を順に申し上げますと、四十五年が六千九百六十万円、次いで九千五百八十万八千円、一億四千六百四十五万八千円、二億三千百三十七万円、三億五千七百六十六万円、五億八千七万七千円、六億一千八十万八千円、最近年度の五十二年度におきまして七億六千百八十五万五千円というふうになっております。
  57. 粕谷照美

    粕谷照美君 この問題は非常に重大な問題であると私ども考えますので、今後についてもいろいろと調査をし、文部省についても要望をしていきたいと思います。  時間がありませんので、私の質問はこれで終わります。
  58. 久保亘

    ○久保亘君 私は、すでに昭和四十八年以来、特にこの国士舘大学学内暴力事件の頻発をめぐって、再三国会でも取り上げられ、また文部省としても必要な措置をとってこられたのでありますが、今日なおこの暴力事件が相次いでいるというよりは、拡大しているような状況について、先般の当委員会質疑に引き続いてお尋ねをしたいと考えております。  最初に、警察庁お見えになっておりますから、国士舘大学の先般取り上げられました拳法部の事件は、警察においてその後どう処理されておるのか、その事情について御報告をいただきたいと思います。
  59. 宮脇磊介

    説明員(宮脇磊介君) ただいま御指摘の事件は、本年五月に発生いたしました国士舘大学内の暴力事件でございまして、現在警視庁の町田警察署で捜査中のものでございます。関係者の取り調べが全部済んでおりませんので、いまだ全貌を把握しているわけではございませんけれども事情聴取を行った関係者の話によりますれば、本年の五月十日午後四時ごろ、町田市内にある国士舘大学鶴川分校におきまして、同大学の日本拳法部員が一年生ら五人を集めて入部の勧誘をしましたところ、そのうちの一年生一名が拒絶をしたことに憤慨して、足をけるなどの暴行を加えたという事案でございます。  町田警察署で被害者関係の事情聴取のために連絡をとっておりましたが、被害者が他所に旅行中とのことで、調べが若干残っておりました状況にございました。しかし、本日の段階では、被害者の診断書のコピーを入手もいたしまして、その中身は、足の、下腿部でございますが、全治一週間の挫傷であるというようなことでございます。したがいまして、来週早々にも傷害罪で書類送致をいたすというふうに、かように聞いております。
  60. 久保亘

    ○久保亘君 次に、昨日夕刊に報道されました国士舘大学学生が関係していると思われる小田急電車内暴力事件について、警察側はどのように事情を把握されているのか、また文部省はこの問題について、大学側事情聴取を求めているのかどうかお答えいただきたいと思います。
  61. 宮脇磊介

    説明員(宮脇磊介君) 小田急電車内の暴力事件につきましては、私の方ではまだ掌握をいたしておりません。
  62. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 六月十二日に大学側から事情を聴取をいたしておりますが、大学側は、国士舘大学学生があのような事件を起こしたことはほぼ事実に相違ないと考えている。しかし、現在事実関係を調査中であるので、詳細については不明である。なお詳細明らかになった場合には報告をするということでございます。
  63. 久保亘

    ○久保亘君 この小田急電車内の暴力事件については、学生間の問題にとどまらず、一般の乗客、市民に対しても迷惑を及ぼすような事件であると考えております。この種の事件について、当時そこへ居合わせた人たちの立場からすると、警察の対応についてもどうも釈然としないものがあるようでありますし、また大学側はきわめて自然に、これはうちの学生がやったことに間違いないとすぐ認めておる。このようなことは、この種の事件が相次いでおると考えなければならぬのでありますが、学校側の暴力排除のためにとられてきた措置の中に、中山総長代理を世話役とする——総長代理というのはどういう役職かよくわかりませんけれども、中山総長代理を世話役とする学内諸問題対策委員会が設置をされ、この学内諸問題対策委員会において暴力排除のための学校側の自主的な措置が検討されていると聞くのでありますが、この点については大学局側は、この対策委員会が有効にこの役割りを果たしているとお考えになっておりますか。
  64. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 六月六日の学部長会で、学内問題対策委員会を設置することを決めている、そして各学部長に対して委員の推薦を依頼をしているということは、私ども承知をしております。委員の構成は各学部の教員二名、教職員一名、本部から七名、計三十名程度をもって構成をするという考えであると聞いておりますが、この学内問題対策委員会が十分に機能をするためには、まさに各学部の十分な協力によって、学内全体で、学内の正常化なり、あるいは暴力問題に当たるという体制がとれないとぐあいが悪いわけであります。これはこの学内問題対策委員会の設置ということと、現在大学が抱えている学部における教授会の不正常な状況というふうなもの等を、あわせて解決をしていくということを考えませんと、この対策委員会を設置をしたから、それによって円滑に暴力対策ができるというようには、単純にはまいらぬと思います。
  65. 久保亘

    ○久保亘君 いま大学局長が言われたその三十名からなる学内問題対策委員会というのは、大学側が五日に改革案を発表した、その改革案を検討したと言われる学内諸問題対策委員会とはまた別のものですか。
  66. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私はいまの御質問は、この学内問題対策委員会をお指しのことと考えお答えをしたわけでございます。二つの委員会があるということは承知をしておりません。
  67. 久保亘

    ○久保亘君 いや、正式に新聞に発表された中に、五日に学内諸問題対策委員会というのが大学の改革案を発表をしておるんです。この代表者が中山茂国士舘大学総長代理となっております。この存在は御承知ありませんか。
  68. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私どもは聞いておりません。
  69. 久保亘

    ○久保亘君 それじゃあなた方は、かなり新聞に大きく報道されたような問題を、総長をお呼びになったり、大学の関係者をお呼びになったりしたときに、全然お知りにならなかったんですか。聞いておりませんということですが、そうすると、余り国士舘の問題については、新聞もお読みになっておらぬのじゃないですか。相当大きな記事で、中山さんの堂々たる写真入りで出されておる問題ですよ。
  70. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、学内問題対策委員会の設置ということと、私どもはその御指摘委員会とを同じものと考えていたわけでございます。
  71. 久保亘

    ○久保亘君 私が聞きますところでは、学校側は学風刷新のため、学内諸問題対策委員会、世話役・中山総長代理、教授など十五人で構成——三十人じゃないんです、十五人で構成——を設立して、そして五日に改革案を決定、発表。ところが、この学内諸問題対策委員会は、マスコミ対策を終了すると同時に、六日に解散をしたと聞いておるんでありますが、その後にそれじゃ何かまた文部省説明を受けておられる対策委員会が設置されたのでしょうか。先ほど大学局長は六日に対策委員会がつくられたというお話がありましたですね。ところが、五日の日に大学側学内諸問題対策委員会を設立して、その対策委員会で決定したという改革案を発表しているんです。これはどういう関係になっているんでしょう。
  72. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 七日に柴田総長の来省を求めた際に、柴田総長からもいわゆる学部長だけで対策を協議をしているということでは不十分であるから、学部の教員を加え、あるいは事務職員も加えて、より全学的な立場で検討ができるような対策考えているという御説明がございました。その後の事情聴取で、六月六日の学部長会で、学内問題対策委員会を設置することを決めたということを伺ったわけでございます。ただ、この対策委員会については、先ほどお答えしましたように、各学部長に対して、委員の推薦方を依頼しているということでございますから、まだこの対策委員会が今日の時点で十分に活動する態勢になっているとは考えておりません。御指摘の五日に解散をした対策委員会というものとは、これは御質問の趣旨からしましても別途のものであろうと思います。
  73. 久保亘

    ○久保亘君 それならば、七日にお呼びになりました際に、当然学内諸問題対策委員会がどういうことをやっているのか、そういうことについては、文部省としてはただされなければならない問題であります。  この対策委員会が校風刷新のための改革案を決定して、発表しておるんであります。その改革案は、新聞によれば、警察官OBなど五人の専従校外指導員を発足させて、何と言うのか私は言ったことがありませんからよく言えませんけれども、かたかなで見ると「オッス」となっておりますが、これの連呼や、フロックコートまがいの服装など、世間常識から外れる行動を、学内外でパトロールし、チェックする。それから、この中で重要だと思われるのは、この暴力事件を起こしてきたその根源とこの対策委員会も見られたのでしょう、学校の非公認のクラブ、同好会を学校公認に改めるよう指導云々という改革案がある。大学側がいままで非公認としてきたクラブや同好会を、学校の公認に改めて指導監督すると、こう言われておるんですが、非公認のクラブというものがどんなものか文部省は御存じでしょうか。
  74. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私は承知しておりません。
  75. 久保亘

    ○久保亘君 だから、文部省はこの種の学生の暴力問題について、私は事実を究明したり、指導することが不熱心でいいかげんだと言われると思う。なぜ私はそういうことを言うか。昭和五十二年四月の十三日、一年以上前になります。国士舘大学正常化協議会の坂本力代表から、海部文部大臣あてに、暴力事件について、文部省として適切な御指導、強力な勧告を仰ぎ、学園正常化のため御助力をいただきたいという文書が提出されておりますが、これは御承知でしょうか。
  76. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大臣あてに提出された文書であれば、もちろんしかるべき手続をもって処理をされておるものと承知いたします。
  77. 久保亘

    ○久保亘君 それは大変私は責任のない発言だと思うんです。  この中に非公認クラブとはいかなるものか、そうしてそのクラブがどういうことをやってきたかという「暴力事件の真相」と題するかなり詳細な内容が記述されております。そして、その暴力を排除できない理由は何かということまで、この正常化協議会は克明に記述して海部文部大臣あてに提出しているのであります。これらの問題が一年以上前に出ているんですから、もしこのときに御検討になっておれば、この国士舘大学が今日やっぱり公認にしておかにゃいかぬと言っている非公認クラブとは一体何であるか、見ればはっきり書いてあるのであります。それをいま文部省側がこの学内問題対策委員会が発表した非公認クラブというものについて、文部省としては承知しておりませんと、こう言われると、一体この学校の暴力問題についてどれだけ真剣に取り組まれておるのか、私は疑わざるを得ないのであります。この中にはこういうことが出てまいります。これが出されます根源になりましたのは、ただ何事もない段階で、どうにもならぬからというので出た文書じゃなくて、この四月十三日に文書が提出される約一月前に、読売新聞国士舘大学のクラブ国士拳による——国士拳というのは空手同好会だそうでありますが、国士舘大学のクラブ国士拳による強制労働集団リンチ事件が報道された。「実はこの種の事件は、本大学ではしばしば行なわれており、報道の件は正に氷山の一角に過ぎません」、こういうことでこの文書が提出されております。当時その事件の報道は、文部省にもかなり大きな関心を持たれる事件であったと私は考える。国士拳だけではなくて、その直後にも中国拳クラブ、また国防部の幹部交替披露においてはキャバレーで乱闘、新宿警察署員五十名、パトカー七台の出動まで招いております、こういうことが書かれておるんであります。国防部の幹部交替披露、括弧してやくざの親分の襲名のようなものと書いてあります。これがこの幹部交替披露の席で、キャバレーで乱闘をやって、警察が出動したというものであります。こういう事件は、処分の対象となった事件だけでも、強盗殺人を含め、昨年及び一昨年、ですから五十年と五十一年で六十六件に上っております。こういう書き出しで文部省に出されたこの文書が、今日まで大学局長の何らの関心も誘っていないということは、私は非常に重要である、こう思います。そしてこの三月十五日に報道された「下級生二十人に強制労働」、国士拳の「統制長、幹事長、主将ら四人逮捕」、統制長、幹事長、主将と書いてあるから、もう一人は何だろうかと思って中をずっと調べてみましたら、これは国士拳の学外の何かつながりのある団体の国士会というのがまたありましてね、その国士会顧問稲沢某というのが一緒に逮捕されている。この文書を読んでいきますとこういうことになります。「被害を受けた学生は授業を放棄し、アルバイトを強制されるため出席不良となり留年せざるを得ません。また暴力を恐れ登校しない学生に対しては下宿に押しかけ強制呼出しを行ないます。」。新聞の報道は、今度は強制呼び出しだけではなくて、木刀をもって追い出しと書いてある。「そのため下宿にも帰れず田舎へ帰るわけにもゆかず、住所不明のまま退校して行きます。こうした暴力団まがいの組織は学内に十五団体ほどあります。」、これが非公認クラブなんであります。その十五団体は「武士道研究会、琉球拳法部、中国拳法部、国士連合会、皇国研究会、大日本昭和維新会、国士拳友会、国士舘精神研究会、国士拳、国友会、国防部等」であると書かれております。「また、これに所属する学生は二百数十名おります。こうした学生学内を濶歩している光景は正に異様な雰囲気であり、真面目な一般学生は落付いて勉強もしていられない状態です。また、こうした学内の組織を統括し、操作しているのが学外にある国士会(本学の退学者、稲沢)だと言われております。聞くところによりますと、国士会は幸平一家(本学の退学者、加藤秀幸)と関係があり、それは住吉連合の一派とも聞いております。従って国士舘大学における暴力機構は根の深いものであり、金銭の結び付きを通して複雑に絡み合っているものと言えましょう。」、こういう文書が海部文部大臣あてにも提出されているのであります。だから、こういう文書が提出されたときに、もっと当時社会の問題ともなっているんでありますから、強制労働リンチ事件というのは。文部省の方でこの内容を受けとめて、これに対応する措置をおとりになっておれば、私は今日までこの暴力事件を頻発させてこなくてもよかったのではないか、こう考えるんであります。この文書がいまだに大学局長も全然御承知になっておらないということは、私にとっては大変な驚きの一つであります。仮にその当時御承知なくても、当時この文書が出されておるのであれば、今日のような事件が相次いでくれば当然これらのものは、当時の重要な文部省に対する訴えとして、今日もこれは検討されるべき問題だと私は思うんであります。この非公認クラブを公認のものにしようということは、暴力の根源となってきた団体を、今度は学校が正式に認知しようと、こういうことになってくるのでありますが、私はここでぜひ警察で御承知であればお聞きしたいんでありますが、いま私が読み上げました正常化協議会の提出されました「暴力事件の真相」の中にあります住吉連合というのは、これは警察ではどういう団体として御承知になっておるのでありましょうか。
  78. 宮脇磊介

    説明員(宮脇磊介君) 住吉連合は、一都一道十三県に九十六団体、約六千人の構成員を擁する広域暴力団でございます。現在、全国で暴力団は二千五百団体、約十一万人おりますが、その中で、かなり強大な団体の一つでございまして、警察庁といたしましては、昭和四十六年に特に悪質で勢力の大きい団体七団体を指定しましたが、その中の一つの団体として指定されまして、その取り締まりの強化を図っておるものでございます。  主な活動といたしましては、住吉連合はその名の示しますとおり、数多くの団体が連合したといういきさつもございまして、活動の範囲はきわめて幅広いものがございまして、賭博ですとか、覚せい剤、売春、企業恐喝、特に総会屋等への分野の進出が著しいものでございます。さらには、当今では海外に進出をいたしまして、売春、麻薬、覚せい剤、拳銃の密輸なども行っておるものでございます。
  79. 久保亘

    ○久保亘君 住吉連合はわかりました。  それから、この文書に出てまいります幸平一家というのは、これはやはり住吉連合と関係のある団体なのでしょうか。
  80. 宮脇磊介

    説明員(宮脇磊介君) 御指摘のように幸平一家は住吉連合と関係がございまして、住吉連合のいわゆる二次団体と申しますか、住吉連合という大きな全体のかさのその次の段階に位する団体でございます。構成員は約三百人でございまして、この幸平一家はばくちですとか、あるいはパチンコの景品買いですとか、そういったものを主たる資金源といたしております。
  81. 久保亘

    ○久保亘君 この幸平一家で、「(本学の退学者加藤)と関係があり、」と書かれておりますが、私も少し調べさせていただきましたところ、この正常化協議会が提出されました文書にあります住吉連合と関係のある幸平一家の加藤某は、国士舘大学の二年中退であります。そして住吉連合の評議員であり、国士会のメンバーであると私は聞いております。このことは個人のことでありますから別に警察の方から御説明いただかなくても結構であります。  なお、この中に出てまいります国士会というのがありますが、この幸平一家であり、住吉連合の評議員である加藤某をメンバーとするこの国士会は、警察においてはどういう団体として御承知になっておりますか。
  82. 宮脇磊介

    説明員(宮脇磊介君) 警察庁におきましては、この住吉連合と国士会とがどのような関係にあるか報告を受けておりませんので、現在のところでは把握をいたしておりません。
  83. 久保亘

    ○久保亘君 いや、私、国士会が暴力団だと言っているんじゃありませんよ。国士会は団体としてどういう団体かというのは警察は御承知だと思うのであります。なぜかと言うと、去年の三月にこの国士会の顧問が、強制労働リンチ事件に関係して逮捕されているんだから、当然この国士会とはいかなる団体であるかということについては警察は御承知になっていると思う。私事前に国士会とは何かということについてお尋ねいたしておりますから、警察は国士会がどういう性格の団体かについてはお話しいただけるのじゃないかと思うんですが。
  84. 宮脇磊介

    説明員(宮脇磊介君) 国士会につきましては、ただいま先生からいろいろ御指摘があったような会というふうに承っておりますが、暴力団との関係等については承知をいたしておりません。
  85. 久保亘

    ○久保亘君 暴力団との関係については承知していない、しかし、国士会という団体はありますね、警察も関心を持たれる団体として。
  86. 宮脇磊介

    説明員(宮脇磊介君) 事件がございまして、その捜査の過程で関連して出てまいりましたものにつきましては、重大なる関心を持って捜査をいたしております。
  87. 久保亘

    ○久保亘君 私は、この正常化協議会がお出しになりました文書の中に、非公認クラブを、学外からこれらの「組織を統轄し、操作しているのが学外にある国士会だ」、そして、その国士会の顧問が本学の退学者稲沢、国士拳のOB、空手同好会のOBである、こういうことで彼も強制労働事件で逮捕された。そういうことになっておるので、私はこの文書を読ましていただいてから深い関心を持って調べたのであります。そうすると、先ほど申し上げました住吉連合に連なる幸平一家の加藤某が国士会のメンバーである。そして、この国士会のまた参事として池田という人がおります。この人もまた住吉連合の幹部と言われております。そして、幸平一家と関係があると言われているのであります。そして、先ほど申しました加藤と、この国士会参事、住吉連合幹部の池田との間は、非常に深い関係であると、こういうことが言われております。そして、その加藤某は、国士舘大学の二年中退、国士会の顧問稲沢は国士拳OB、こうなってまいりますと、この暴力事件の真相ということで、正常化協議会がお出しになった文書というのは非常に重大な問題なのであります。いま大学側が非公認クラブを今度は公認することによって、何とかよくしていこうと言っている、この非公認クラブというのが、学外の広域暴力組織ともいろいろなつながりを持つこの特殊な団体によって、学内のそういうクラブや同好会が指導され、統轄され、操作をされているということになれば、この国士舘大学における暴力事件というのは、私は単純な学生の若げの至りのけんかとか、そういうもので解決できる問題ではないのではないか、非常に重大な問題だと指摘せざるを得ないのであります。  このような重大な文書が一年以上も前にすでに文部省にも届けられているにもかかわらず、今日までこれらの問題が全く放置されているということについて、関心を持たれていないということについて、私は大変遺憾に思います。文部大臣の御見解を伺いたいんです。
  88. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 御指摘の文書が海部文部大臣あてに提出をされておりましたにもかかわりませず、文書の取り扱い、文部省といたしまして不手際でございましたことを遺憾の意を表明をしたいと思います。私もそれをまだ見ておりません。  しかし、先般、私あてに提出されました上申書は、私あてのものでございましたから、全部私が自分で目を通しました。その上で当委員会の御指摘もあり、大学側、そして上申書提出になられました側、双方の側からの御意見を伺いながら、改善を要すると思われる点を指導助言をしてまいったのでございます。ただいま久保議員の御指摘になりました御発言の中から、学内の非公認クラブというものの背景が、私にもほぼくみ取り得ることができましたので、学生の中にあります暴力を根絶するために、強く大学当局要請をいたさなければなりません。この問題は学問の自由を侵すものではないという気が私はいたします。次元の違う問題であると思いますから、今後の暴力排除のための大学側の努力を、指導助言いたしますにつきまして、いまの御意見、そして一年前に提出をされましたその書類、文書というものを、重要な参考書類として対処をしてまいりたいと考えます。
  89. 久保亘

    ○久保亘君 大臣のお話はよく理解ができます。私はいま御発言のようなお立場で、ひとつこの問題については、やはり大学側が表面を糊塗して、この問題を解決したかのごとくやりましても、根源のところにメスを入れない限り、私はこの暴力事件というのは解決しない。それも国士舘大学の内部の問題だけではなくて、いまや一般の市民にまでそういうものが及んでくるというに至っては、私はこれは放置できない問題だと考えております。そういう意味で、ひとつ大学正常化協議会の方で、いろいろと御意見や、また調査に基づく資料等が出されております問題についても、大きな関心を持って対策を講じていただきたいと思うんであります。  次に、この国士舘大学の問題がだんだん広がる中で、暴力問題ということだけじゃなくて、最近に至って裏口入学や、卒業の問題が出てまいりました。毎日新聞の記者が総長と会見をされたところでは、私は、これは文部省としては見逃すことのできない重要な問題が出てきているんじゃないかと思うんであります。  その一つは、単位が足りていなくても、大学は卒業さしてやってよいんだという総長考えであります。これは自分で書かなくても、学位をとってもいいんだという考えとちょっと似ておるんでありますけれども、就職も決まっているし、留年させるのもかわいそうだし、ちょっとばかし足りなくても、何とかかんとか押し出してやりたい、それで、何も勉強しなくても何とかかんとか、だれに書かせて学位も認めてやりたいというのと、そっくりなんでありますが、ずっと後の方へいきますと、単位が文部省の設置基準の必要単位数を超えていない場合は、卒業後次の年度の前期までに不足分の単位をとることも認められている、こういうことなんですが、文部省はそういうことを認めておられるんでしょうか。足らなかった単位は卒業後次の年度の前期の間に不足分の単位をとればそれでいいんだ、それは認められているというのが柴田総長の記者会見の際の御発言のようでありますが、いまの二つの点ですね、これは大学総長として、また大学の経営者として、そういうようなやり方というのが、これは大学の自主的な判断だから結構ですという種類のものなのかどうか、これは局長どう思われますか。
  90. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 政経学部の特別運営委員会が五十三年の三月九日に、同学部の卒業者二百二十二名、留年二十八名の認定を行っておりますけれども、この際に学則定めております卒業の所要単位が百四十四単位、これに対して百土十四単位という設置基準に決めている単位以上とっている者が十一名いるというので、この十一名を含めて卒業の認定をしているわけでございます。学則定めている百四十四単位を取得していない者を卒業認定した理由として、例年であれば追試験の再試験というようなことをやって救済できるけれども、異常な事態でこの追・再試験の円滑な実施ができる見込みがない、そこで、学生のことを考え措置をしたと言っているわけでございます。しかし、このような大学側措置というのはきわめて問題がございます。詳しい事情についてさらに説明を求めているところでございます。もちろんその学則定めた卒業に必要な単位を取得していない者が卒業するということ自体がおかしなことでございますし、百二十四単位取れなければ卒業してからまた取ればいいだろうということはおよそ考えられないことでございます。
  91. 久保亘

    ○久保亘君 だからこの方は、およそ大学が何たるか、それから大学の設置基準が何であるか、それから大学教育とは何であるかというふうなことについては、全然御承知ないんじゃないでしょうかね、こういうことを平気で言われるわけですから。この考え方が、この人によれば、単位不足の学生に対する単位数の圧縮をしてやることは親心だということだそうであります。そうかと聞かれてそうですと言っておられますね。それでこの考え方が今度は、入学試験の成績が悪くとも、寄付金を出してくれれば入れてやってもいいじゃないかという考え方に通じておるのであります。それで、非常に大きな問題になりました裏口入学で集めた寄付金、三年間で一億数千万円、指定口座に振り込ませる、その使途不明、こういうことになってくるんです。単位なんかどうでもいいさ、まあとにかくおれの大学へ入ってきて、自分の気に入るようにやってくれ、そして非公認クラブなんぞで大いに活動してくれと、こういうことになって、そして今度は卒業するときになって単位が足りませんということになれば、総長の親心で、大体その単位が足らぬのは、この談話によれば、教職員組合ににらまれた証拠だと、こういうことになっているんでありますがね。そういうことで単位を上乗せしてやって出してやる、あるいはあんまり足らぬのはまあひとつ卒業証書をやるから、そのうち来て単位だけ取っておけ、こういう話でいっている。それぐらい簡単に考えられておるから、入るときも出るときも金さえ積めばという話に今度はなってくるんであります。そして寄付金を入れればよろしいと。その寄付金も、大学の会計の中で五十万の者と七十万の者とをつくってやったということになっておるが、実際に入った側からは百五十万口座に入れた、二百万入れたという人が出てきているんであります。それじゃその金はどこへ行ったということになれば、三年間で隠し金が一億数千万どこかへ消えたと、こういうことになっておるんです。この前は四億八千七百万消えた大学がありまして、これは四億八千七百万その大学の学長が、わしが給料としてもらったことにしてくれということで、税金がかけられることになりまして、税金がその給与の倍ぐらい、九億ぐらいかかったんです。九億ぐらい税金がかかりましたら、それも大学の方から払ってくれということで、九億大学が税金を払った、こんな話がありまして大変大きな問題になりましたが、国士舘の場合には、この使途不明の入学、裏口寄付金というのは、どういうことになるのか。国税庁はどんな御関心をお持ちでしょうか。
  92. 北村恭二

    説明員(北村恭二君) お答えいたします。  学校法人の課税関係につきましては、それが収益事業を営んでいる場合は別といたしまして、主として課税の問題は、学校が教職員に支払います給与等に対する源泉徴収というものが的確に行われているかどうかということが中心となるわけでございます。最近学校法人に対しまして、いわゆる入学金等に関連いたしまして支払われます給与の把握というものが的確に行われているかどうかということは、国税当局として関心を持っているところでございまして、必要に応じて調査も行ってきているところでございます。本件につきましても、今後税務当局がどのように対処するかということにつきまして、いまの段階で申し上げることは御容赦いただきたいとは思いますが、伝えられます情報等につきまして、税務当局としても十分関心を持って検討さしていただきたいというふうに考えております。
  93. 久保亘

    ○久保亘君 これは前に問題になりましたね、歯科大学のあの問題とこの問題が区別して扱われることはない、同じ入学寄付金の使途不明ということであれば、これは税法上の取り扱いが差別されることはない、こういうふうに考えていいですね。それは内容が違うかもしれませんよ、調べてみれば。しかし、その結果同じ経過に基づいて使途不明金が出ておるのであれば、これは大学によって区別されることはない、そうしないと非常に不公平でしょう。
  94. 北村恭二

    説明員(北村恭二君) 先生おっしゃるとおりでございまして、税務というのは、当該法人等のいかんにかかわらず、税法に沿って画一的に処理するということでやってきているわけでございます。
  95. 久保亘

    ○久保亘君 わかりました。いまやもうその総長さんの学位の問題だけではなくて、これは私どもとしては教育上の問題、それから暴力事件、これも学内における暴力事件といったようなものを超える大きな問題、そして大学の経営上の問題、もうとにかくいま国士舘の問題は、総合的に今日日本の大学にあるいろいろな諸悪をすべてここに結集した形で持っておるのではないか、こういうことで私は大変心が痛むのであります。こういう状況の中で、まじめに大学教育を受けようとする学生たちが、多額の授業料を払って、ここでその教育を受けているということについて、私はどうしても文部省としてこれを見過ごしてはならぬ、速やかにこれらの問題については必要な文部省としてなすべき措置、私は私学の経営や私学の教育について行政府が介入するということについては極力これを避けなければならないという立場を持っております。しかし、いまこの場合には、文部省文部省の使命としてやらなければならない問題がいっぱいあるのではないか、こう思っております。それらの問題についてひとつ、大臣もいろいろ、たくさんの仕事をお持ちでありますし、大変だと思いますが、勇気をふるって必要な措置をおとりいただきたい、こう思うんでありますが、国士舘の今日起こっております多くの問題について、文部大臣はどうお考えになっておるか、そのことをお聞きしておきたいと思います。
  96. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 当委員会でもたびたび御議論がございますように、国士舘大学が各種各様な問題を抱えている事実が明確になっているわけでございます。上申書を私も受け取りましたので、大学側上申書を出された方々と、双方から意見を聞いて、それに対応してまいってきているところでございます。しかし、私が考えますのに、このような事態で国士舘大学というものが推移をしてまいりますと、やはりその間に国民は自由な冷厳なるチェックを国士舘大学に対してするであろうと思います。せっかく国士舘大学の中にまじめに勉強をしようという気持ちで勉強しておられる学生がたくさんおられるのに、そういう国民のチェックによって、もう入学志望者がいないというようなことになってまいりますと、これはもう大学存立の問題にかかわることでございます。そういうことにはいたしたくないと当然文部大臣としては考えますので、大学というところに対します文部省の行政の限界のありますことを心得ながら、文部省としてしなければなりませんことは、ひとつ十二分の指導助言を続けてまいる、かように決意をいたします。
  97. 白木義一郎

    白木義一郎君 私は大臣に留学生の問題について若干お尋ねをしたいと思いますが、第八十四国会の大臣の所信の中に、学術の振興と教育学術文化の国際交流の推進について「学術研究の振興を図り、知的資源を積極的に開発する必要があります。また、広く教育学術文化の国際交流を促進し、諸国民との心の触れ合いを深めていくことは、国際的な協調と連帯を強めていく上できわめて重要なことであります。」と、またさらに続いて「教育学術文化の国際交流につきましては、特に、わが国と密接な関係にあるアジア諸国との交流に重点を置いて、発展途上国との学術交流の推進、留学生事業の拡充などに意を用いてまいります。」このように所信をお述べになっております。  そこで、私は本日は国費留学生と私費留学生の待遇、あるいは処遇、文部省考え方等について、いろいろと御質問を申し上げるつもりでおりましたが、昨晩の朝日新聞の夕刊の記事によりますと、この見出しが「〃経済大国〃は冷めたかった あるマレーシア留学生の急死」こういう記事が出ております。結論的にはわが国に留学をして来られたマレーシアの留学生が、カンパで遺体のまま帰国をせざるを得なかった、そういう記事を目にいたしました。これは文部大臣の所信とちょっとかけ離れたような問題ではなかろうか、こういう気がいたしますのでお尋ねするわけですが、もう十分、所信をお述べになった以上、文部大臣としては、国際交流、留学生問題について、深く諸施策を考えておられると思いますが、この出来事で、大臣はどのような報告を受けられたか、あるいは、何らかの大臣としての処置をとられたかということを最初にお尋ねをしたいと思います。
  98. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) マレーシア国の留学生ガン・タイピン君、法政大学の工学部の三年生でございました。病気になられて四月十日救急車で西久保病院に入院した後、東京医科歯科大学の助教授の紹介で東京医科歯科大学に四月二十八日に入院いたしまして、大学ではいろいろな事情を勘案をいたしまして、五月一日から医療費のかからない学用患者に指定をして、治療をいたしましたところ、五月二十二日に亡くなった。本来この問題を私は、私も新聞の報道で初めて知りました。本来留学生であると否とを問わず、外国人が亡くなりました場合は、その処置につきましては、当該国政府の領事事務として扱われるべきものと心得ているわけでございます。同君の遺体を本国に移送するに当たりまして、法政大学そしてまた国際親善の会等の努力によりまして、無事遺体は故国に帰国をしたと承っております。この事態につきましては留学生対策として、文部省として特別に財政上の措置等は、これが領事事務でありますだけに行い得ないところでございます。文部省としてはまことに同君の死に対しては、哀悼の意を表しますと同時に、遺体の移送につきまして、努力された方々のボランティア活動に対し、心からの敬意を表しているところでございます。
  99. 白木義一郎

    白木義一郎君 この問題について、新聞記事によりますと、国際親善の会の小松秀子さんという方が、文部省の留学生課に援助をかけ合った。しかし回答はノーであった。こういうように記事にありますが、このときに大臣はこういうことがあったということを御報告を聞かれましたか。
  100. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) その時点で報告を聞いておりません。また、小松さんも私大変懇意にしている方でございますが、小松さんからも御連絡が私には直接ございませんでした。
  101. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで申し上げたいのは、所信で「広く教育学術文化の国際交流を促進し、諸国民との心の触れ合いを深めて」いかなければならない。もうこれは当然のことだろうと思っておりますが、それがまれに見る事件ではありますが、大臣のお耳に入らなかったということが、私としては非常に残念なことであって、恐らく大臣の耳に報告が行ってれば、いまお話があったように、小松秀子さんと大臣は御懇意なようですから、なおさらこの所信に対しても、大臣として当然何らかの遺憾の意を表したのではないかと、こういうように思うんですが、その点いかがですか。
  102. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) もしもその時点で私の耳に入りましたならば、あるいは小松さんから直接御連絡をいただいたとすれば、その時点で私のとりました措置は私はこういうふうにしたと思います。  一つは、マレーシアの大使も懇意な方でございますから、こういう事態が起こったときに、それは留学生事務と違って、行政的な領事事務に変わるのですよ。当然大使館も御承知のことと思いますけれども、その注意を喚起をすることが一つでございます。日本政府もそういう問題が日本人について海外で起こった場合には、日本政府も領事事務として、従来もただいま御説明したようなことで扱ってきているわけでございます。そういう行政的な取り扱いが国際的な通念になっていることの注意を私はマレーシア大使に、恐らく一つ措置としてやったでございましょう。  もう一つは、個人として資金にカンパを当然したと思います。
  103. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで、五十三年度の文部省の留学生に対して前向きの対策、施策をされていることは伺っておりますが、何さままことに残念ながら大臣の所信とはかけ離れたような状態でありまして、まだまだわが国としてはこの問題について力を入れなければならないと思います。そこで、先ほどちょっとお伺いしたんですが、国会が終わった後に、大臣はマレーシアの方へ旅行をされるように伺っておりましたが、この際、やはりわが国の留学生問題の責任者である大臣として、遺族のお見舞い等、あるいはその他の心遣いを当然なされた方がいいんじゃないか、このように思います。私も大臣がお話になったように、われわれの仲間の学生が外国でこのようなことになったときに、やはり温かい取り扱いが、どれほど両国民の心の深いつながりになっていくんじゃないかと、こういうように思いますのでお伺いをする次第でございます。
  104. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) たしか土曜日半日と、日曜日一日だけをクアラルンプールにも立ち寄ることにいたしておりますので、日本人学校等も行くことにいたしておりますから、亡くなったガン・タイピン君もクアラルンプールの方だと伺っておりますから、そのときに弔意を表しに参ろう、そして、マレーシア国の教育担当大臣にもお目にかかることができましたならば、そのことについても十分御懇談をしてまいりたい、かように考えております。
  105. 白木義一郎

    白木義一郎君 この件につきまして最後に、やはり速やかにこのような問題が大臣の耳に入って、そして時を移さず、わが国の外国に対する国際親善の考え方を具体的にあらわすべきじゃないかと、こういうように思いますので、ちょっと気がついたことをお話を申し上げておく次第です。  次には、やはり留学生の問題についてですが、中国の留学生についてお伺いします。四つの近代化の旗を掲げる華国鋒体制は、その基礎となる教育改革、外国との科学技術交流に力こぶを入れていると伺っております。すでにフランス、英国、西独に計百八十人の留学生が派遣されているにもかかわらず、日本に来ているのはわずか二十六人。中国側が日本への留学生派遣を望んでいないのではなく、学ぶべき科学技術は多く、地理的条件が満たされております。そこで中国の教育外事担当者は、もっと多くの留学生を派遣したい、だが過去二年半にわたり、北京の日本大使館と話し合ってきたが、一歩も前進しないのですとこぼしておるようであります。文部省はこの辺の事情についてどのように把握をされておりますか。
  106. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 中華人民共和国からのわが国への留学生につきましては、中華人民共和国政府派遣留学生、わが国の方で申しますと、向こうの経費ですから私費留学生ということに相なりますが、これのただいまの受け入れ状況は、合計二十三名でございまして、東京外国語大学十一人、大阪外国語大学三人、創価大学二人、東京大学七名というのがその内訳と相なっております。ただいま御指摘がございましたように、中華人民共和国からのわが国の国費留学生としての受け入れはまだ行われておりません。わが国の留学生受け入れ制度と、中国側の希望する条件との間に、検討をしなければならない点がございまして、目下在北京大使館を通じまして、積極的な交渉を進めておるというふうに、外務省から報告を受けておるところでございます。
  107. 白木義一郎

    白木義一郎君 この問題で私が伺ったところで、最大の障害となっているのは、実は指紋をとるというわが国の制度であります。日本で一年以上滞在する外国人は外国人登録法の規定で指紋をとられることになっております。違反すれば一年以下の懲役などの罰を受け、国外強制退去の対象となっております。しかし、中国では指紋をとられるというのは、犯罪者かまたは犯罪を犯すおそれのある者の場合に限られております。そこで、中国の人々は日本の国内法は当然遵守しますが、指紋採取は拒否をしております。こうなると、入国はできますが、一年以内に帰国しなければならないし、旅費がかかり、むだはわかっているけれども、辱めを受けるよりはましだとして、中国からの留学生は、一年に一度は帰国し、新たな入国審査手続を踏んで、入国をしてきているのが実情であります。で、外国人登録法の規定はあるものの、文部省として、外務省と協議を重ねても、打開策を見出せないものかどうか、大臣の御意見を伺いたいんです。
  108. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 外国人登録法で明確になっていることでございまして、日本では犯罪を犯した人とか、そうでなくても、指紋登録をしておくということの理解を中国側に求める、それが私は大事なことではないかと思うんです。どこの国からの留学生も、やはり日本の法律がそうなっておるんだから、それに従おうということで、指紋登録をしていただいているわけでございますから、それは犯罪人を登録しておいて、再犯を防ぐという意味の趣旨とは全く違うことでありますから、またそのことを理解して、中国以外の国からの留学生は指紋登録を外国人登録法によってしてくれているわけでございますので、その点を、その意味をよく中国側に理解をしていただく努力をさらに努力をする、これが必要なことであると考えます。
  109. 白木義一郎

    白木義一郎君 大臣のおっしゃることはわかりますけれども、この留学生という問題について、文部省としてもう少し検討すべきじゃないか、こう私は思って、実はお尋ねするわけです。中国と日本が文化の交流というようなことを中心に、お互いに学生を交流するというときに、広く外国人登録法に定められた内容と同じように扱う必要はない、むしろ中国の習慣も取り入れて、何らかの形で、とりあえず留学生という問題について、何らかの考え方ができるんじゃないかと、こう思うんですが、大臣の答弁していただいたことはまことに公式的な登録法に基づいたお答えですが、重ねて大臣の前向きの御答弁を伺えればと思います。
  110. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 外人登録法に基づいての登録の切りかえの時期がございますね。学校の入学や、卒業のシーズンと、登録に必要な手続の期限といいますか、そういうものを学校の卒業、あるいは入学の時期とうまく合うようなことを考えていただくように、外人登録法所管官庁にお願いするようなことは、当然私たちやらなきゃならないことでありますけれども、指紋登録をするというのは、外人登録法の根幹に触れることでございます。これお言葉を返す意味ではないんですけれども、中国の風習も理解してということであれば、日本の風習も理解をしていただきたい。その努力を、やはりよく御説明をして理解をしていただく、こういうことではないかと思うんです。なお前向きな答弁をせいとおっしゃいまして、前向きな答弁すぐできませんけれども、大事なことでございますから、検討さしていただきたいと思います。
  111. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで一つの提案として申し上げておきたいと思いますが、現在御承知のとおり、非常に写真の技術が開発され、目をみはるものがありますが、この高度の写真技術を駆使して、あらゆる分野に効果的に使用されると、その点がとりあえず大臣の関係の留学生という問題について道が開かれるんじゃないか。高度に発達した写真技術を十二分に採用して、身分証明書用の写真、当然指紋の的確性には及ばないかもしれませんが、やはりわれわれも指紋をとられるとか、とるとかいうのは余り感じのいいことではないんでして、成立の時代には非常に不正入国とか、二重、三重の登録をとったりして、非常に問題があったらしいんですが、現在ではこの指紋制度を採用しているのは米国のみで、イギリス、フランス、ドイツ、中国、大韓民国等はこれは採取してないと、こういうように伺っておりますので、先進国のほとんどもやってないようなふうに伺っていますので、ひとつ課題として、日中問題の折かち、やはり大臣一つの所信に対する考え方の問題として御提案を申し上げまして、最後にその点についてお伺いして、私の質問を終わります。
  112. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 外人登録法の所管官庁の文部省じゃないものですから、どうも明確な、歯切れのいい御答弁ができなくて申しわけないんですけれども、写真の技術、それは先生恐らく身分証明書の写真が、違う人間の写真をどうこうということは、いまの写真技術でなら大丈夫だろうとおっしゃる意味だろうと思いますけれども、やはり指紋とは全くこれは違う要件だと思います。いずれにいたしましても、外人登録法所管官庁ではございませんので、明確なことはお答えできませんけれども、検討させていただきたい、かように考えます。
  113. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 時間も短時間ですから、なるべく端的にお答えをいただきたいと思うんですが、昨日文部省の方で安高理事と接触をされて、国士舘大学の内部の事情をいろいろ聴取をされたというふうに聞いておるわけですが、ここで具体的に項目を挙げて言えば、どういう項目について内部の事情と今後の見通しについて、何をお聞きになったのか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  114. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 昨日事情を聴取をいたしました点は、一つは入試の関係でございます。伝えられております補欠合格者からの寄付金の徴収の問題であるとか、あるいは特別合格者の問題であるとか、それらについて事情を聞いております。さらに先ほども御質問がございましたが、政経学部における卒業の認定の関係の事情を聞きました。それと大学の現在の対応の方針、体制の問題について聞いたわけでございます。
  115. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 本日の十二時半ごろ国士舘大学のキャンパスで、学生諸君と思われますが、新聞にも記載されておったような人たちかもしれません、有志の名義によって「学生諸君へ」という訴えが出されておるわけです、八項目からなっておるわけですが、これが二、三十人の学生の手で配布されたというふうに聞いておりますが、そこへ直ちに、何というんですかな、ナチスの服みたいな、あるいは警察の機動隊の服のような黒い服を着た諸君が多数乗り込んで、このビラをすべて奪い取って破棄をするというような行動に出るというところで、部分的には暴行、傷害等も出、中の配布に当たっておった有志学生諸君の一人は、そのとき以来所在がわからないので、所轄の警察署に通告をして保護を求めたというような報道を聞いておるわけであります。その中から一枚の訴えが入手をされて私のところへ届けられましたので、これを読んでみますと、八項目になっておりますが、時間もありませんので、ちょうどいま安高理事に対していろいろ事情聴取された部分とまさに見合うような問題について、学生諸君の中でも問題になっておるという点があるわけです。これにもかかわってお伺いをしたいと思います。  学生諸君も、昭和四十八年の近代化委員会を経て、現在は何とか教授会、教職員組合等も形をなしてきていますと。今後は一層近代化を進めて、学生諸君の表現の自由、自治活動についても前進をさせたいというような趣旨から配布をされた文書でありますが、その中で二、三具体的な内容にも触れておるわけであります。  まず第一に、「政経学部学生は百二十四単位で卒業できるぞ」というのがあるわけです。どうもほかの学部はそうではないらしいですね。これはまことに奇怪なことではないかと思うんです。まさにこの点ずばりお尋ねになった点にかかわりますので、二、三全学の学生諸君の中にも疑問を持たれ、また毎日新聞等で総長も直接に単独会見をやって、国民の中でも問題になっておる点であるので、やや内容にわたって聞きたいと思うんです。「政経学部の人間は五十二年度から百四十四単位なくても卒業できるそうである。」それは特別運営委員会が正式な教授会の賛同も得ずして、勝手に大学設置基準第三十四条にある百二十四単位を採用したためである。その内容のすさまじさは、必修、選択の別を問わないという。過去においては必修の一科目が不足であっても、これは法定の単位数を超えても必修が不足なら卒業はできなかった。これが今回の措置によって、こういう状況になったというふうに学内では把握をされておるわけです。その点はどうなんでしょう。百二十四単位採用は、他の学部も等しく行われておるものなのか、政経学部だけなのか、これはどうなっているんでしょうか。
  116. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 百二十四単位以上百四十四単位未満である者十一名についての卒業の認定をしたというのは、政経学部だけだと私は承知をしております。
  117. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この点につきまして、先ほど久保委員の方からも質問があって、一定の答弁があったわけですが、総長の単独記者会見における見解といいますか、答弁といいますか、これはかなり驚くべきものだと私は思っております。特に、特別に単位認定をして卒業させた学生は、組合からにらまれた学生であって、留年をしてはかわいそうだから、何とかかんとかして押し出してやりたかったと。そうしたら押し出すことができたわけであります。そういうことを公然と、平気で記者会見なんぞで言われるというようなことは、今後改めるべきことなのか、このままやっていっていいことなのか、一体文部省としてはどうお考えになりますか。
  118. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 百二十四単位というのは、大学を卒業する場合に最低必要な単位数として、設置基準で定めているものでございます。各大学はそれぞれ学部、学科を卒業するために必要な履修単位数というものは、学則をもって定めているわけでございますし、その定めに従って、履修をし、卒業所要単位を修得をして卒業してもらわなければ困るわけでございます。
  119. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それは法定最低単位数というものは、これは定められておるけれども、当然大学ごとに卒業認定するのは大学学則によらなければならない。これは当然なことだと思うわけです。もちろん学内学則に照らしても、問題ある違法の手続だということを知っておるから、学長は、普通なら卒業させないんだが、組合からにらまれた学生で、しかも、自分がかわいくてたまらない学生だから、何とかかんとかして押し出してやるので、手だてはあれこれと、こう言っておるわけであります。こういう点についてはまさに是正をされる必要があるんじゃないか。とりわけ必修と選択と突っ込みにして単位数の数を合わせるなんということは、まことに乱脈な扱いだと言わなければならぬと思うのですけれども、いかがですか。
  120. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 必修で何単位、選択で何単位ということは定められているわけでございますから、それに従って履修をしなければいけないことは当然でございます。
  121. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これらの内容については、安高理事からは今後是正をするというような方向の見通しを受け取られたわけですか。
  122. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大学側がこのような異常の措置をとった理由としては、先ほどもお答えを申し上げましたように、例年であれば追試験、あるいは追試験の再試験というようなことで救済ができるけれども、ことしは学部の教授会運営が正常でない、したがって、全教授の協力を得て、そうした追試験なり、再試験なりを実施をするということが、円滑に運ぶ見通しがない、よって、学生のことを考えてこのような措置をとったという説明でございます。しかし、私たち大学側事情事情として理解をいたしますけれども、それがこのような措置をとっていい理由にはならないと思います。大学措置はきわめて問題がありますから、さらに詳しい事情について説明をしてほしいということを求めております。
  123. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 幾つか問題があると思うんですけれども大学にせっかく入った者が、これは親もかなり苦しいのを忍んで送金もしておるでしょうし、留年をしたり、あるいは中退をしたりすることは、これは不幸せなことであります。しかし、それに対してはルールがなければ、学長がかわいそうと思えば、特認で卒業させることができ、それに反対の意見を持つ者は、これは組合からにらまれたんだとか、こういうふうに申しまして、明らかなことは、すでに皆さん方の入手されておる上申書の中でも、これは元応援団の団長をやっておった学生等を含む者であって、すでに卒業する前から、学生課の職員として採用をされておる者だ、だから道のないところへ道をつけて卒業させる。しかも、その学生課は、大学教授会の一種の治外法権のようになっているということが明らかであります。そういったふうな点については、事態を承知しておられ、その点についても理事に対して聞きただされた点はありますか。
  124. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) いま御指摘の、応援団の団長であった学生の問題は、五十二年の三月に生じた事柄でございます。いわゆる大西教授の方の教授会で、単位不足によって卒業を保留されたこの学生について、その後不足単位を修得をし、卒業の要件を満たしたということで、五十二年の七月二十一日の特別運営委員会において卒業を認定をした、そういう事情があるわけでございます。しかし、これもなおはっきりしない点がありますので、大学側に引き続き、より詳細な事情説明を求めております。
  125. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いろいろ事情聴取をされるときは、上申書等もあるわけですから、あらかじめ内容について、すでに世間周知の問題、あるいは事情を知っておられる点については、その問題についてひとつ答弁をとってもらうということができなければ、漠然として知らないことを聞けば、どんな答弁をされても、もうそれでしまいになるわけであります。私どもでもこうして大臣もしくは局長に質問をしようと思えば、それなりになるべく調べてきて、知っておることを聞くわけであります。知らぬことを聞くと何を言われてもわかりませんからね。だから、大体知っておることだと思って答弁をしていただいたらいいわけであります。  すでに現在でもこの一種の不公正を生み出しておる大学体質については、十分な答弁が得られないわけでありますが、さらに他の項目を見ると、「学生部とはなんだ」というようなのもございまして、こういう状況になっております。「学生部は何のためにあり、何をしているのか。五月のクラブ勧誘で諸君は学ラン生から」——学ラン生というのはよくわからないけれども、花の応援団というあの漫画に出てくるような学生のことであろうかと私は理解をしておるわけですが、これから「暴行をうけたことはないか」云々と、こうありまして、学ラン生及びそのクラブについては、一種の特権者として大学の中を横行をする。「学生部、特に鶴川分校の若手職員などは単位さえろくにとれずに留年を宣告されたにも関わらず不正採用された元学ラン生」、こういう者が職員の中にいることは事実であるというふうに、学内でも周知の事実になっており、そして、これが大体在学中の学ラン生に対して「オッス」のあいさつをさせて回っておる。これが指導をする人たちなわけでありますから、こういう指導者を学内に採用するかどうかをめぐって、具体的には教授会と理事会との間で単位認定等の問題が起こっているのだという事実を見て、何を近代化するのかということを明らかにして御指導いただかぬと、問題の焦点に当たらないというふうに思うわけです。大臣、いかがでしょう、そういう点については。
  126. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 小巻委員が御発言のような御趣旨で、私どもは、大学局事情聴取を続けているところでございます。
  127. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いずれ本委員会においても、四十八年のときのように、関係者——柴田学長であるか、あるいは安高理事であるか、御出席をいただいて、そうして事情聴取もしなければならぬと思っておるのでありますが、その点は十分に期待にこたえて、文部省の方でも事情聴取をしていただきたいと思います。  前回の委員会で、この国士舘大学の正常化のポイントは、政経学部の正常化であるということをるる局長から御答弁があったわけです。その際に、大西教授会と森田特別運営委員会とが一本化し、話し合いの上でこの正常化をしていくことによって、ここは正常化が期待できるであろうというふうな趣旨であったかと私は聞き取っておったわけですが、いかがですか。
  128. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 柴田学長に対して、政経学部教授会の正常化ということについて、大学側から大西教授会の側に対して話し合いを求め、協議を経て、教授会を一本化する努力をしなければいけないと、そういう方向でのできるだけの御努力を願いたいということを要請をいたしております。
  129. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まさにそれでは協議に入ろうとする瞬間に、六月七日付で大西教授あて退職金送付をやっておる、四百六十万円。こういうような状況ですね。これは、果たして本当に正常化のために学内一致を目指して、大学当局がやろうとしておるのか、それとも、しばらく新聞記事に出るのがおさまって、国会も閉会となり、危機はされば、またまたもとのもくあみでやろうとしておられるのか。その辺のところは、どうも今日の事態の推移を見ておると、とうてい一致団結のために努力をしようとして進めておられるとは見ることができないわけです。  しかも、その中に私はもう一つ問題があると思うんです。大西藤米治教授という方は、一体学部の中でどういう学科を担当され、大学院の中ではどういう状況学生指導をやっておられるのか、その点はいかがですか。  時間がありませんから、ちょっと続いて質問します。  これは明らかにこの大学では、政経学部ですから、政治学経済学については博士課程を設け、そしてここでは博士を養成すると申しますか、研究をやっておるわけですね。ここでのマル合の教員は大西先生ただ一人なんじゃないかと私は承知をしておるわけです。国立大学の場合にも、あるいは私立の大学の場合にも、大学院を置き、博士課程を置くというときには、ここに学問的な水準の維持のために、マル合の教官が必ずなければならない、認可条件になっておると思うんです。この点で具体的にどうなっておるのか。私は、大西藤米治教授なきこの政治学の教室は、もうマル合の教官を失ってしまうと、こういう状況になると承知しておりますが、そうじやありませんか。
  130. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大学院を設置をいたします場合に、その設置を認可するに当たっては、御指摘のとおり、それぞれの研究科に、所定のマル合の教授がいるかどうかということを審査をして、それに従って認可をするわけでございます。四十年の時点において、マル合と認定された教授が、今日の時点でおいでにならないということは、これは十分にあり得ることでございます。大学院が発足をした後においては、これは、それぞれの研究科委員会において自主的に教官の人事が行われて、内容の充実が図られるわけでございますから、認可当時のマル合の教授が現在退職をされていても、そのことは問題はございません。ただ、現在の研究科委員会の教授のそれぞれの方々について、十分な博士課程なり、修士課程なりの学生の研究指導ができる教授がいるかどうかということが問題になるわけでございます。その点は、すでに認可をされて今日まで運営をされてきている研究科について、私どもがさらに立ち入って、その現在の状況のもとで、教官の資格審査を行うというようなことは、これはあり得ないことでございます。現在の国士舘大学政治学、あるいは経済学研究科について、基礎となる学部教授会が十分に機能していないということに伴う危惧を私たちは持っておりますけれども、教官構成については、これは大学自治に従って、政経学部教授会において、それぞれ教授の資格を十分に審議をされて任用されてきていると。そうでなければならないことであると考えております。
  131. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 もちろん、私立大学自治でありますから、文部省が干渉にわたることを行わないということは、それは法の精神に基づいても、研究の発展のためにも必要なことだと思いますが、これは、大学の内部において教授が研究を行い、教学のために学問の自由があるというところから発して、大学には自治権が生まれておるのであって、当然この大学におきましても、教学の水準を高いレベルに置くために、特にすぐれた指導力を持たれる教官については、これに敬意を払い、それに対して教授会等でも、それ相応の学部長の指名、選出等について、教学の観点から行っておる。これを、文部省はタッチしないけれども、理事の側、経営の側が学問の自由をじゅうりんをして、経営オンリーの観点から、これを抑えつけていくなら、これは学問の自由は死滅するわけです。  これらの点について、柴田梵天総長及びこれに迎合する人たちの手によって、この点がかなり危うくなっているということを、私は見なければならぬと思うんです。同様な退職金送付の問題が教授会の意に反して行われた例は、一月六日の教授会決定による青木茂康教授の定年退官に対して、特任を要請をされた教授会決定に対する総長の処置においてもあらわれておるわけです。  この方は税法専攻の、マスター論文指導で、教授会としては一致して欠くことのできない人として認めておるのでありますけれども、一方的に総長はルールも何もなしに、退職金をいきなり送りつけるという方法をとっておるのです。そのことが、みずからの学位論文の際における処置、学生の単位取得に対する乱脈な態度と、一連一貫のものであるということをよく承知をして、具体的に、それは干渉でなくても、指導助言の立場で、大学側の対応を聞きただし、正しい方向があれば見守り、不十分であれば、これをこの場所で報告をされるというようなことは、私は必要な措置であろうと思うわけであります。  この青木茂康教授の特任拒否問題というのは御承知ですか。
  132. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 承知をいたしております。
  133. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 同様な問題が再度、三度起こってくるということが、この大学一つの特徴であり、これは、せっかく四十八年以来近代化のベルトの上に乗った大学が、再びもとのもくあみ、逆コースで復元をしていくというおそれを物語るものであります。  時間も来ておりますから、私は本日ここで最後に、すでに廃止をされるべきはずの総長訓辞、これは大学の単位にはなっておりませんけれども、いまもなお行われており、これは出欠が厳格にとられておるわけですが、それに、一体どのような訓話がなされておるのか。これは公然と資料学内で配布をして、総長は訓話をやっておられるんですが、学問とも、あるいは大学ともほとんど無縁の見解であります。まあ、大変たくさんありますから一、二申し上げますが、「国士舘標語」と申しまして、「誠意」、「勤労」、「見識」、「気魄」というようなのが書かれておるわけであります。「見識」というのは何かと、「見さかいをつけて自分の意見を立てること。」だと、「常識」というのは、「世の中に通じた道理をわきまえて知っていること。」と、こうありまして、この資料には、「戦後は共産党員が、学校の先生にまでもぐり込んで、小学生にまで平気で嘘を教える。」そういう悪人の腹の中まで一眼で、一目で見破る眼力を養うというのが見識である。これは一体どのように学問的であるのか。そうすると、共産党員を学内にまでもぐり込ました共犯者として文部大臣も登場してくるのではなかろうかと思うわけであります。かようなことはとうていこれは常識であろうとは思えない。  「気魄」というのがございまして、「気魄は度胸ともいう。これを世間では感違いしている。悪いことをしても平気な者のことを度胸者だという。」世間ではこんな勘違いはしておりませんけれども、一体国士舘大学ではそういうことなのでしょうか。気魄は全く反対で、「悪いことをしない」、「どんな人の前に出てもやましい事のない人の事である。」驚くべき私は前近代的な文章だと思うんです。さらにそのあとに獣と人間の違いなどと書きまして、これが総長訓話の資料でありますけれども、「人間と獣の区別」、「反省」と「懺悔」と、こうありまして、獣は掃除をしない、人間は掃除をするなどというのがございます。掃除をするから目に見えない心も掃除もする。これで総長訓話と学内の掃除が四十八年の近代化までは単位認定の対象となり、教授会から切り離された学ラン出身の指導者諸君が、これを監督をしておったと、こういう体質を根本的に前進させるためには、近代化のお約束をしたあの問題ですね。教授会の正常化を中心にする問題はどうしてもなし遂げられなければならない。そのことを本日は時間も参りましたので、文部大臣に申し上げまして私の質問を終わるわけでございます。ひとつ文部大臣、誠意を込めてやっていただきたいと思うんです。
  134. 吉田実

    委員長吉田実君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後四時四十二分散会      —————・—————