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国務大臣(
宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、四月二十一日に
決定いたしました
対策全体についての
考え方というふうに承りました。
かねて、すでに過去におきましても、いわゆる
緊急輸入等の
対策あるいは予算が成立いたしました場合の重点的な施策について、
経済対策閣僚会議で何度か
決定をいたしてまいりましたが、この四月二十一日に改めて
決定いたしましたことの
意味は、
一つは外為会計が非常にたくさんの
ドルを持っておるわけでございますけれ
ども、これがなかなか
国民経済にすぐ結びついて使われにくい。中には、したがって第二外為会計論というようなものもございまして、何かの形でこの外為会計をすぐ使えるようなことにすべきではないかという
議論も
政府部内にございました。しかし、この外為会計からそれを新しい会計へ移しますためには、そのための財政措置を必要といたします。膨大な財政措置を必要といたしますから、それは当面可能ではないということになりまして、それならば外為会計の金をどうやったら簡便に使い得るかということをいろいろ
考えました結果、それは輸銀を通じて外貨のまま貸し付けるという方法が一番手数も要りませんし、円資金の問題も起こらない、これが一番いいのではないかということになりまして、すでに小さなスケールでその制度を以前から始めたわけでございますが、これをやってまいりますと、もう少し大きなスケールで——と申しますのは、
一つは短期につきましても金利等々の
条件の改善、それから改めて十年というふうな
長期についても
考えるべきではないかということで、新しい制度を発足させたというのが今回の施策の第一点の
意味合いでございます。すなわち、これによりまして、長年問題でありました外為会計の外貨が、緊急の目的とは申しますものの、有利な低利でしかも短期、
長期、利用者の必要に従って直接に利用できる、こういうことにいたしました点が第一点でございます。ただいまの公定歩合等々から
判断いたしまして、いまは金利が低うございますけれ
ども、先々のことは必ずしもわからないという不安要因がございますから、その場合には金利を固定するということもあわせて
決定をいたしたわけでございます。これが
一つでございます。
もう
一つは、
わが国の
経済は市場
経済でございますから、
輸入はほとんどが民間によって行われますけれ
ども、場合によって
政府自身が、ごく例外的ではありますけれ
ども、外貨を使って物を買うということもございますわけで、その点も一、二つけ加えてございます。
それから第三の大きな柱は、従来
経常収支の問題として、ことに昨年の九月以降
日米間では、これはどうも理屈は余り私は感心いたしませんでしたけれ
ども、まあ
経常収支の問題ということで
議論が集中をしてまいったわけですが、もともとから申せば、
わが国はある
程度貿易で
黒字をかせぎまして、そして南北問題等にいわゆる
経済協力の形で対処するというのが本来あるべき姿でございますので、そのような問題として
経済協力の推進を取り上げたわけでございます。すなわち、それは二国間の
経済協力の問題もございますし、多国間あるいは
国際機関を通じての
経済協力の問題もございます。そういう形で、これは
経常収支と申しますよりは資本収支に
関係をいたすわけでありますけれ
ども、この問題はやはり基本の問題として取り上げる必要があると
考えまして、これによりまして、従来とかく消極的になろうとしておりました
わが国の対外
経済協力の姿勢を、
かなり改めるという
意味合いを含んだ
決定でございます。場合によりまして、この方の
関係から将来補正ということを
考え得るかもしれませんが、それは、当面とにかく成立しております予算の執行を急ぐことによりまして
かなりの目的を達し得る。
大体、この
国際収支に伴う
対策は以上の諸点でございますが、さらに、この
円高の問題につきましては、従来から
円高の利益が国民にどのように還元されておるかということにつきまして、私
どもで追跡
調査を二回いたしまして、その結果、自由化が行われ自由競争が行われておる
分野ほど円筒の還元が早いということがわかっております。
政府が直接、間接に関与しております
物資、サービスにつきましては、その関与の理由は別途あるといたしましても、それだけ競争が弱いということは疑いがございませんので、それについてどれだけの
円高還元が可能であるか、可能でないとするならばそれはなぜであるかという点を、これは国民にも知っていただく必要がございますので、その両方の観点からこの
円高に伴う
物価対策を
決定いたしたわけでございます。
なお、市場
経済に
関係いたします
部分につきましては、再度追跡
調査を行うということもあわせて
決定をいたしております。