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吉田正雄君 私は、そういう説明を聞くために
質問したのではないんですよ。
年金が
自分の掛けた金よりも少なくなって戻ってくるなんて言ったら、だれが
年金制度に入りますか。よくなるのがあたりまえの話であって、そんなことをいまあなたから得々と説明をされて、そんな説明で、はいなんというつもりで
質問したんじゃないですよ、それは。そういう言い方をするのなら、いいときだけではないということなんですよ、
年金制度では。かつての恩給
制度の場合どうですか。
たとえば、公務員の恩給
制度だって、これはきょう
質問の予定にはなかったのですが、私も公務員
関係の出身ですから、
年金制度のことはある
程度よくわかっておりますよ。かつてどうでした。三十七年の十二月に公務員の恩給
制度が現在の共済の長期の
年金制度に切りかわったとき、たとえば公務員
関係だけ見た場合、特別会計じゃないんですよ、
一般会計でどんぶり勘定でやってきているんですね。しかし、その
年金制度への移行に伴って、戦後だけですよ、どれだけのいままで
掛金が積まれておるかということについては、当時大蔵省が認めただけでも実は六千億円からあったのです。学者の計算では一兆円を超えておったのじゃないかという人もあったんです。
ところが、その年度の公務員に対する恩給支給総額というものが幾らかというと、二百七十億
程度です。六千億の年七分の長期運用やったって、利息だけで四百二十億円も出てくるんですよ。ところが、実際に支給する恩給額は二百七十億
程度です。しかし、そこには軍人恩給、遺家族恩給等その他の扶助料等が全部入ってくるもんですから、八百五十億とか千億という金になるんですよ。かつての恩給がいかにも公務員に対して恩恵的であるような言い方がされたんですけれ
ども、実は元を取らない。しかも、その当時の受給年数なんというのはわずか三年そこそこだったんですよ。だから、みずからの互助
制度を持っておった方がよほどよかった、こういうことなんですよ。
だから、いまあなたが説明されたように、計算してみればこうなりますなんと言って、そんなのあたりまえの話であって、よくない
年金制度にだれが入りますか。それは後で言いますよ。そういう人もあるでしょう。しかし、逆に言えば損をする人だって出てくるんです、これは後ほどの
質問でしますけれ
ども。だから、そんな説明というのはいまの
質問に対しては回答になりませんよ、それは。そんなの回答になっていませんよ。私が言っているのは、いま言ったわずか二年前に仮に中断しておったという者に対して、一割もの
掛金の増額が果たして妥当であるのかどうか。もっとそれは、本
年金制度の
趣旨からして軽減をすべきではないかということを言っているんですよ。
年金に入ったら得する計算をあなたから聞こうなんて思って
質問したんじゃないんですよ、それは。まあ、それはそれといたしまして、もういいですよ。何もあなたをやり込めるために
質問しているんじゃないですから、それはそれでいいです。
そこでもう
一つ、私はいまのこの
救済制度に絡んで、次のこともあることを忘れてもらっては困ると言うんですよね。それは、現時点でまだ未
加入者があり、また
保険料の納入が中断をし、
時効が完成したため
年金に結びつかなくなった者が発生しているということで今回
救済することになったんですよね。その背景には、
農業者年金の業務を執行する体制、とりわけ
農業者年金基金から業務を委託されている末端の農協や
農業委員会における事務体制が即応し切れないという、そういう不備の面があるんですね。もちろん、中には
加入を勧められても入らないとか、あるいは
保険料の納付を催促されたけれ
どもつい忘れて納めてこなかった、それが
時効にかかってしまったというような
農業者個人の
責任に帰するべきものもあるでしょう。それは幾らかはあると思います。
しかし、私が聞いているところでは、農協や
農業委員会の体制の不備というものを
指摘をする声が非常に強いんですね。たとえば金でも自動振りかえでやるとか、現金を一々納めに行かないでも貯金から回すとか、いろんなことがあるわけです。ところが、皆さんの方からは、県を通じたり市町村を通じたりして農協や
農業委員会に業務を委託しているわけでしょう。専従者がおるわけじゃないんですよ。その委託経費も出されております。しかし、この委託経費がまたきわめて安いんですよね。そういう点で、専従者もない片手間でやる、臨時に人を雇うといってもその委託経費では賄い切れない、いろんな要素が重なって、つい
加入業務というものが停滞をする、あるいはいま言ったような
掛金の納入が何らかの手違いによってつい滞ってしまったというふうなことがあるわけなんですね。そういうところから生じた人もおるんですよ。
その
責任問題だって本来出てくるんですね。
本人の責めに帰すべきでない
理由によって実は二年間知らぬ間に中断されておった、気がついてみたら、実はもうあなた
年金の
資格がありませんと言われているということですからね。その問題は、これは農協と
本人との間の
責任になるのか、あるいは政府との間にその
責任問題が出るのか、私はいまここでその問題を追求しようとは思わないんですけれ
ども、そういう原因もあるということを皆さんは認識しておいてもらいたい。
そこで、こうした点について国として今後どのような体制整備のための指導方針をお持ちなのかどうなのか。もっと端的に言いますと、その仕事を頼んだ農協なり
農業委員会に対する委託業務費というものが非常に安いという批判に対して、これを大幅に上げる
考え方が一体あるのかどうなのか。もしそれがだめだというと、こういう声すら出ているわけです。もうこの事務はお断りだと、そんなのだったら
年金基金の方でひとつ専従者というものを市町村なりに配置をして、直接
農業者と個々にやってもらいたいという、そういうような開き直ったということじゃないでしょうけれ
ども、そういう意見すら私は聞くんですね。そういう点で今後の指導体制をどういうふうにされるのか、あるいはいま
指摘をしたような委託費の増額とか、そういう問題についてはどのようにお
考えになっているのか。
確かに、人を一人ずつ市町村に配置するというのは実際上不可能でしょう。だから、そういう点では委託費をある
程度増額をして協力をしてもらうということは、私は必要だと思うのですね。その点についてどのようにお
考えになっているか、お聞かせください。