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1978-05-09 第84回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月九日(火曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      吉田忠三郎君     丸谷 金保君  四月二十八日     辞任         補欠選任      園田 清充君     降矢 敬雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 片山 正英君                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君    政府委員        農林政務次官   初村滝一郎君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林大臣官房技        術審議官     川田 則雄君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        農林大臣官房審        議官       小島 和義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員  共済組合からの年金の額の改定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十七日、吉田忠三郎君が委員辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。  また、翌二十八日、園田清充君が委員辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  まず、政府から両案の趣旨説明を聴取いたします。中川農林大臣
  4. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  農業者年金制度は、御承知のように、農業者経営移譲及び老齢について必要な年金給付を行うことによって、農業経営近代化及び農地保有合理化に寄与するとともに、農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的として昭和四十六年一月に発足したものであります。  本制度につきましては、昭和四十九年度及び昭和五十一年度におきまして、その改善充実が図られるとともに、昭和五十二年度におきましては、年金額物価の変動に応じて改定するいわゆる物価スライド制実施時期の繰り上げ措置が講ぜられたところであります。  しかしながら、その後における社会経済情勢変化国民年金等の関連諸制度における制度改善状況等にかんがみ、本制度におきましても、改善充実のための措置を講ずることが必要となっておりますので、今回、改正を行うことといたした次第であります。  本法律案内容は、次のとおりであります。  第一は、昭和五十三年度における物価スライド制実施時期の繰り上げでありますが、昭和五十四年一月から昭和五十三年七月に繰り上げて実施することといたしております。  第二は、保険料特例納付措置であります。保険料納付期限が過ぎて時効が完成したため、所定の期間に見合う保険料を納めることができず、年金を受給できなくなっている者等を救済するため、これらの者について、昭和五十三年七月一日から昭和五十四年十二月三十一日までの間に限り、保険料を納めていない過去の被保険者期間について一月につき三千六百円の保険料を納付することができるようにいたしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合制度は、農林漁業団体職員福利厚生向上を図り、農林漁業団体の円滑な運営に資するための制度として実施され、その給付内容も逐年改善を見てまいりました。  今回の改正は、その給付に関しまして、恩給制度国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度改善に準じて、既裁定年金の額の引き上げ最低保障額引き上げ等により給付水準引き上げを行おうとするものであります。  今回の主要な改正点は、次の四点でございます。  改正の第一点は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等年金額算定基礎となった平均標準給与を、昭和五十三年四月分以後、昨年度の国家公務員給与上昇率基準として引き上げることにより年金額引き上げを行おうとするものであります。  改正の第二点は、退職年金等についてのいわゆる絶対最低保障額引き上げであります。これは、恩給制度改善に準じ退職年金等の絶対最低保障額昭和五十三年四月分から引き上げるほか、六十歳以上の者等に係る遺族年金については、その絶対最低保障額を同年六月分からさらに引き上げようとするものであります。  改正の第三点は、遺族年金についての寡婦加算の額の引き上げであります。これは、六十歳以上の寡婦または子がいる寡婦遺族年金に加算されるいわゆる寡婦加算の額を昭和五十三年六月分から引き上げようとするものであります。  改正の第四点は、掛金及び給付の額の算定基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。  以上であります。  なお、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正趣旨につきまして、便宜政府側から説明申し上げます。  修正内容は、本案の施行期日である昭和五十三年四月一日がすでに経過していることにかんがみ、これを公布の日に改めるとともに、本年四月一日から適用することとしている年金額改定等について、これを本年四月一日に遡及して適用しようとするものであります。  以上が衆議院における修正趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  5. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  6. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 先日の委員会に引き続いて質問を申し上げるわけであります。  園芸施設共済対象から除外をされることになっております簡易なトンネル、それからフレーム等施設面積あるいはその施設内作物収穫量が占める全体に対する割合の問題につきまして、前回最後に御質問を申し上げたわけでありますが、それによりますと、面積で全体が五万四千九百ヘクタールのうち五八%に相当いたします三万一千九百ヘクタール、それから収積量では全体が二百十九万五千トン、このうち四八%に当たります百六万二千トン、こういう御答弁をいただきました。これは、大変比率からいきましても大きなウエートを占めておるわけでありますが、今後こういう簡易なトンネルあるいはフレームの占めるいわゆる流れと申しますか、傾向について、数字的な動向等を含めまして、想定をされるその変化について、おわかりがあればひとつ御説明をいただきたい。
  8. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 今後の動向につきましては、私たち必ずしもつまびらかにいたしておらないわけでございますが、全体として達観的に見ますれば、従来のような比率動向をたどっていくのではないかと思いますが、この点につきましては、生産部局であります農産園芸局とも今後十分相談しながら検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
  9. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 今日のこの提案をされております制度から申し上げて、稲転関係等もありまして、相当数簡易な形での栽培方法というのは増加をしていく傾向というのが想定をされるんではないのか。そうなってまいりますと、むしろ畑作との関係もありますが、これらの占める形からいって、当然そこに目を向けた一つの制度充実というものが考えられていくべきであろうというふうに思うのですが、その辺はいかがなものでしょうか。
  10. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) トンネル栽培の簡易な施設共済対象から除外することにいたしましたのは、いわゆるトンネルは短期間消耗資材を主体とするものでございますことから、園芸施設共済において対象といたします特定園芸施設に比較をいたしまして、その資材の価格はきわめて安くて資産的価値に乏しいというようなことから、資産共済対象であります施設園芸共済対象とすることはいかがであろうか。それからまた、トンネルによります農作物栽培期間作物の生育の初期だけでございまして、特定園芸施設におきます栽培のように、播種期から収獲期まで通して施設内で栽培するものと違いまして、トンネルによります農作物栽培は、むしろ露地栽培の一種ではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、トンネルによります野菜栽培共済制度につきましては、露地野菜共済制度の問題として今後検討していくことが必要であり、また適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  11. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 結局、今回の園芸施設共済制度そのものが、言うならばいま御説明がありましたような、資産保険に類するものと、いわゆる収穫保険に類するものと、その二つのものが施設内の農作物を含むことによって、本来性格の異なるものが合同で今度共済制度の中に包含をされるということになりますね。そうなりますと、これは将来の展望の問題から言って、当然分離されて整理をし、いま御説明がありましたような畑作物共済なり、あるいは果樹共済なり、それぞれの性格を同じにするものに整理をされていって初めて私は完成をしていくんだろうというふうに考えるわけですが、その辺の整理の見通しの上に立って、これからの資料等については、あるいは研究等については中心が向けられていくんだろうかどうだろうか、この辺を心配をするんですが、その辺はいかがですか。
  12. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 園芸施設共済におきます施設内農作物、これを取り入れて一緒にやるということにつきましてはなかなか問題もあるわけでございますが、外側だけでなしに、中の農作物対象とできるようにしてもらいたいという要望も非常に強うございまして、私たち試験実施過程を通じまして、これらの問題をいろいろ検討をいたしてまいったわけでございますが、その強い要望にこたえますために、ある程度の割り切り方をしながらこれを対象としてまいったわけでございます。したがいまして、御指摘のように将来の方向といたしましては、畑作共済充実されそれが拡大されるに従いまして、施設内の農作物畑作共済対象としてこれを取り上げていくという方向をたどる必要があるし、またそれが適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。  したがいまして、御趣旨のように、将来の方向としてはそういう方向をたどると思いますが、こういうことも含めまして、今後さらに畑作物共済内容充実過程におきまして、十分その問題を検討し処理してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 おおむね、私が考えて御質問申し上げた趣旨に沿って今後進められるというふうに理解をするわけでありますが、当面の形をながめてみましたときに、この法律自体がすべてのものについて平等だという、こういうたてまえからいきますと、今回の制度自体がそういう意味合いで、一面では大変そこに不平等な要素というのが、園芸施設共済畑作物完成をしてないという立場の中で発生をするという、こういう状況になると思います。したがって、その時期について、なるべくやはり早期にその体制を整えていくための最善の努力というのが私は望まれるというふうに思うわけです。したがって、ただいまの局長答弁、さらにこれをひとつ大臣の方からも、明確にその方の方向づけを明らかにしていただく意味で御答弁を願いたい。
  14. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御指摘趣旨に沿って、今後政令指定等を通じまして趣旨に沿いたいと存じます。発足時期早々でございますから万全ではありませんが、時期を経てよりよいものにしていきたいと、こう思います。
  15. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、第百二十条の二十三の二号に言っております園芸施設異常事故の問題でありますが、異常事故適用範囲について具体的にその線引きの計画があれば、ひとつその辺について説明をいただきたいというふうに思います。特に、参考資料の十六ページに「超異常大災害」と、こういう注釈づきで図示されておるわけです。「超異常大災害」という言葉遣いと、この条文に言ういわゆる「園芸施設異常事故」、これとのかかわりというのは内容的に相違をするのか、その辺はいかがですか。
  16. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) お話の「園芸施設異常事故」というのと「超異常大災害」というのは、同じことでございます。  そこで、御質問の第二点の、園芸施設共済のそれじゃ「異常事故」とはどのようなものかど、こういうことでございますが、園芸施設共済におきます異常事故方式は、考え方といたしましては、広範囲に非常に甚大な被害をもたらす超異常の大災害を「異常事故」として特定をいたしまして、それによる被害については共済団体等責任全額国が再保険をいたしまして、事業の安定的な運営を確保しようとするものでございます。したがって、「異常事故」は、これが一度発生をいたしましたときは連合会区域では危険分散機能の働く余地がないと、そのために共済団体等に回復しがたい事業不足金が生じまして、その事業が継続不能の状態に入るおそれがあると、そういう災害であろうかと思います。したがいまして、省令一定基準以上の地震暴風雨等による災害をこれを定めるつもりでございます。  で、これらの「異常事故」の具体的基準につきましては、農業共済団体事業運営安全性を確保することを旨といたしまして、また、全額保険方式のもとで、適正、円滑な損害評価実施できますようなそういう発生頻度、あるいは発生した場合に予想される災害状況、それから共済団体事業収支に及ぼす影響、それから損害方法等を十分検討して決定する考えでございます。
  17. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうすると、今日現在では、大体どういうものなのかという枠組みが決められてないということですか。
  18. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 具体的基準につきましては、ただいま申し上げました諸要素を十分勘案して決定をいたしたいと思いますが、地震について申し上げますならば、相当程度大きな地震であり、また暴風雨などにつきましては、これにつきましても相当程度いま申し上げました要素に該当するような、そういう暴風雨等を考えておるところでございます。
  19. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 相当程度というのは大変くせ者でありまして、さっぱりわかったようでわからぬわけですわ。気持ちの上では一致をしましても、具体的適用になるとその辺がどうもむずかしくなる。しかし、この条文で言っていますように、明らかにこれは省令で定めるわけでありますから、省令では具体的な基準数字によって私は出てくるだろうと思うんですね。それが、いま説明のありましたように、数字数字であるけれども、その被害実態に合わせてその辺の情状酌量余地がある形になるのかどうか。そこが大変微妙な形であると思うのです。しかも、ある程度運用上の問題としての仮に幅ができたにしましても、一定基準となる数値が明らかにされますと、やっぱりそれにこだわらざるを得ない。それでは、これからのそういう「異常事故」等について想定をしたときに、具体的に適用になるのかならないのか。たとえば関東大震災のような形ということになれば、何年先かわからぬ。せっかく規定としてはいいものをつくりましても、そのことが現実的な形として当てはまらないようなものになったんでは、これはやはり何にもならないわけですね。  したがって、法案提案の私は趣旨からいきまして、いまここで言えないのかどうかという問題はあるでしょうけれども、一応大体どれぐらいのものなんだろうかということは想定をされて私は提案をされているというふうに思うんですが、いかがでしょう。
  20. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) この省令につきましては、今後、私が申し上げましたような要素に基づきまして、どういう基準を設けるかにつきましては、関係団体意見も十分徴しまして決めたいと思っておりますが、現段階において、たとえば例示的に言ってみようということでございますならば、地震につきましては、たとえば関東大震災のような地震であるとか、あるいは福井におきますような地震例示として挙げられる。また、暴風雨について申し上げますならば、枕崎台風でございますとか、あるいは室戸台風でございますとか、そういう暴風雨例示として挙げられるかと思います。
  21. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、大体いま挙げられました特殊な例からいきましても、地震なんかは一体具体的に当てはまるケースとしては、いま例として挙げられましたケースからいきますと、これはほとんどないということになる。それから台風暴風雨等問題等につきましても、これは五年に一回か六年に一回かというような話になってくるんじゃないか、こういうふうな気がするんですが、そうなりますと、せっかく決めた趣旨自体が生きてこないのじゃないのかという気がするわけです。ただ、いま説明がありました中で、関係団体意見を十分に聞くというわけですね。聞く場合に、ただ省考え方はこうなんですと言って説明をするのが大体通例になっておりまして、余りそれに対して意見を取り入れるという話になりませんので、相談するということは十分に意見を取り入れるということなのかどうか。これはだめを押すようで申しわけないんですが、きちっと確認をしておきたいと思います。
  22. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) この法設定趣旨は、先ほど申し上げましたように、こういう災害発生をいたしましたときには連合会区域では危険分散ができないと。しかも、そういうことで共済金を支払っていくということになりますと、連合会事業運営ができないようになるおそれがあるという状況想定をいたしておるわけでございますから、そういうふうな異常事故をとらえますと、そうしょっちゅう起こるような「異常事故」ではないことは御理解をいただけると思いますが、その基準を設定いたします場合には農業団体と十分協議するだけではなくて、その意見も十分聞いて私たちは処理をいたしたいと思っております。
  23. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 違った観点から、少し私意見も含めて申し上げておきたいと思うんですが、結局「異常事故」に関して国が一〇〇%分担をするという思想的な発想の根拠ですね。国が一〇〇%やっていこう、しかもその適用についてはいわゆる地域的に広範囲に及んで、しかもそれが危険分散がしたがって連合会等でできない、こういう状況になりますから、当然それを国が一〇〇%見ていくというのは、いわゆる保険的な要素中心にした物の考え方よりも、むしろその意味ではいわゆる最低の保証制度的な物の考え方というのが発想の根源になっているというふうな気がするわけです。そうなりますと、最低保証というものについての物の考え方から申し上げて、これは私はもう少し前進的にとらえていくべきではないんだろうか、こう基本的に考えるわけですが、そういう意味では内容的に被害実態に十分対応できるものになならなければならない、こう思うんです。  で、例示として挙げられております地震あるいは暴風雨、この二つがいままで出てきた課題でございますね。「異常事故」というのは、たとえばそのほかに地域的な伝染被害、こうしたものも中にはやっぱり出てくるんじゃないのか。これはむしろ家畜共済等ではいままであったことでありますが、やはり農作物あるいは園芸施設、そうしたものについて、中の問題を考えていけば、そこでの作物中心にして考えていけば大変だと。施設中心にして考えていけば、それは先ほどと要素が違いますから、対象物として施設の問題を考えていけば、外圧的な形の中で地域的に、全体的にこれの問題が発生をする。この整理の仕方が大変変化をしてくると思います。その辺の整理問題等も含めて、もう少しこれについての考え方等を詳しく、成案に至るまでの経過等もあればお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  24. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) この場合におきます適用基準といいますか、どういう考え方でこの規定を置いたかと申しますと、通常の場合でございますと、連合会段階で私は大体危険分散ができると思うわけでございます。もちろん、連合会の一部地域に非常に激甚な被害発生をしたということになりますと、農家の方そのものにつきましての被害はこれは非常に厳しいわけでございますが、その厳しい被害をカバーするのは連合会全体の地域としてはこれをカバーし得るものであろうと思います。連合会段階でカバーし得ないものは何かと言いますと、それは非常に広範囲にわたる災害でありまして、しかもそれが非常に激甚であるという、そういう災害をとらえることになると思うわけでございます。  したがいまして、そういう災害というのはそうめったに起こるものではないわけでございまして、常に起こりますような災害は、これは連合会段階においてここまでにおいてカバーする。もちろん、国もその共済金支払い責任を持つことは当然でございますが、全部国が持つということではないのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、やはり考え方としましては、連合会段階においてカバーできないようなそういう広範囲な激甚な事故発生であり、それが連合会責任に帰しますと事業運営が困難になるおそれがあるという、そういう災害をとらえてこの規定適用するというふうに考えておるわけでございます。
  25. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私は、制度的に見ますと、大変これは前進した分野だというふうに評価をしております、基本的には。前進をしておるというふうに評価をするんですが、具体的にそれが適用されなければこれは何にもならないわけですね。そこが問題点だと思います。いま答弁を聞いておりますと、余りそこについて今日確たるものがどうも発表されないような論議がされてきたというふうに思いますが、それは今日までの試験実施段階でのデータ等も、この種に関してはほとんどないというふうに考えられるわけでございます。そうした問題から、この確定をしていくまでの、確定をするということは政令で具体的に定める段階でありますから、ぜひこの制度が具体的にやはり農家の人々、あるいはそれぞれの団体がなるほどと言ってその分について納得のできる一つの基準を明確にしてもらうように、ぜひひとつこれからも相談を密にまとめ上げていただきたいということを要望をしておきたいと思います。  大臣、どうでしょうかね、これは。このいま申し上げておりまする「異常事故」の、いわゆる省令で決めるに当たっての、態度表明としては関係団体と相談をするということが表明をされておりますから、それはそれでいいんですが、やはり今日までの統計上からながめてみましても、どこの線をとるかというのは大変微妙な形に結果的にはなるだろうと思います。それが絵にかいたもちにならないように、具体的にそのことが当てはまるように、大蔵省との関係等もあるでしょうけれども、ぜひ農家の立場に立ちながらこの問題が制定をされるようにぜひお願いをしたいと思うのですが、その辺ひとつ。
  26. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 大事な御指摘でございますし、これは農家のためにつくる保険でございますから、十分農業団体とも話し合って、先ほど御意見ありましたが、こちらが決めて押しつけるという姿勢ではなく、やはり団体の意向、農家の皆さんの考え方も十分聞いて、しかるべき省令といいますか、内容を盛り込みたいと、こう思います。
  27. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、施設内の農作物関係について少しお尋ねをしたいのですが、この施設内の農作物の生産費ですね、これの算出のいわゆる根拠といいますか、これは何に置かれるんでしょうか。これは大変抽象的な質問になりますけれども、具体的には一つの基準が出てまいりますので、明確にしておきたいと思います。
  28. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 園芸施設共済施設内の農作物の生産費の調査につきましては、昭和五十年から全国主要十二県に委託をいたしまして、二十二の作物につきまして調査をいたしておるところでございます。二十二作物内容は省略をいたしますが、大体主要な農作物を盛り込みまして調査をしてきたわけでございます。
  29. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 調査はいいんですが、具体的にじゃその調査をされた形の中で、評価の仕方としてこれを具体的に当てはめていくことになりますわね。その辺は何が根拠になるんだろうか。いわゆる委託試験の結果から見た生産費のこれも算出の根拠がある、だから生産に要する費用というものは一体どういうふうに計算をされてきたのか、これから生産費の積算経過というのは一体どうなるのか、これが生産費ですよというこの基準の問題について、明らかにしてもらいたいと思います。
  30. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 先ほど申し上げましたような県及び作物につきまして、試験実施期間調査を委託してきたわけでございます。それを取りまとめまして、実は私たち特定園芸施設ごとの平均的な再建築価額と、それから当該地域内に栽培されております施設内農作物の平均的な生産費を出しまして、その間に相関関係がどういうふうにあるかということに着目をいたしまして、その両者の関係から共済金額、共済価額をどういうふうに設定するかというふうに考えていったわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました作物につきましての生産費の調査結果を踏まえまして、施設の再建築価額との関連というものを見ていって、そうしまして施設内農作物共済価額をどういうふうに設定したらいいかというふうに考えたわけでございます。  そこで、たとえば一例を申し上げますと、特定園芸施設の種類、たとえばパイプであるといたしますと、それの十アール当たりの再建築価額はたとえば幾らであるかと。四十五万円であるというふうにいたしますと、施設内農作物の第二次生産費、先ほど申し上げましたようなものは全体をつかまえまして再生産費というものを幾らかと、こうしてみますと、その施設内農作物の第二次生産費はたとえば三十六万円であると、こういうふうに押さえますと、施設内農作物の価額算定率というものは八〇%である、そういうふうに考えていったわけでございます。
  31. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 質問をする方もしにくいし、答える方も答えにくいところだろうと思うんですがね、具体的に一つのこれはといって当てはめない限りは。大変むずかしいところではあると思うんですが、結果的には百二十条の二十二の三項に想定していますですね。いまありましたようないわゆる共済価額を主務大臣が準則で定めていこうと、こうしているわけですから、それともかかわって一つ一つのポイントになる部分がきちっと農業者なりあるいは評価員なりにわかるようになっていかないと、私はやっぱり問題点が多過ぎるのじゃないんだろうか。この辺はある程度整理ができないんだろうかどうか。いわゆるざっくばらんに言えば、方程式的に評価の仕方あるいは生産費のとり方、こうしたものが出てこないんだろうかと、こういうふうに思うんですが、その辺の検討はされておるんでしょうか。
  32. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) お話しのように、たとえばいまの二十二作物につきましての生産費は幾らかということは、これは何も結果として出ましたものをお知らせしないということの必要はないのでございまして、連合会なり県なり、そういう関係方面にはこういうことのそれぞれの作物についての生産費はこうであり、したがって、その結果を踏まえて施設との比率はこういうふうに決めていくということは、これは実施段階において私たちは明らかにしていく必要があると思っております。  ただ、いままでの試験実施過程におきましては現金支出分だけを見ておったものでございますから、必ずしもマッチしたようなことではございません。そこで、いま申し上げましたパイプにつきましての八〇%というのは、一つの試算でございます。したがいまして、今後本格実施に際しましては、五十二年の結果も入れまして、いろいろ再計算をしてまいりたいと思います。その計算過程につきましては、こういうわけ合いでこういうふうになっておるのだということはこれは関係者には明らかにしていって、そして、なるほどそういう組み立てになっているのだなということは、これはよく納得を得るようにしたいと思っております。
  33. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 前回も申し上げましたですけれども、省令として出す予測の内容がどうも今回全然明らかにされてないということですね。こうした関係の中で法案を十分に私ども腹へ入れて、これはこうなるんだという感覚がなかなか出てこないんですね。肝心のポイントになりますと、全部これからの課題になっておる。いま答弁されていますように、これからも関係団体等とも相談をして大体その辺が納得のいくようにと、こういう立場に、逃げになっているわけですね。そこに、大変審議のしにくい問題点がある。審議がしにくいけれども、その辺を明らかにしていきませんと、私はこれの審議をしていった保証にならないと思うんですがね。私はそういう意味合いでは、これは大変残念だと思うんです。ここまでは詰め切っているけれどもこれからここまでが問題点として残っておるから、その残っておる問題については関係団体と十分に打ち合わせをしましょうという態度になってくれば、私はまだすっきりすると思うんですよね。その辺が、急所急所がどうもまだ固め切ってない。もちろんこの範囲が広いわけですし、適用のこれからの課題についても幾つかの問題があることは百も承知をしておる。承知をしていますが、ある程度頭に描いて、なるほどこうなんだというような形になるように、ぜひこれはこれからのこともありますし、御留意をいただきたいんですけれども。  それからもう一つは、これも前回申し上げましたけれども、それらの相談によって共通すべきものが大体それぞれの連合会あるいはそれぞれの組合と同じようにされていくといいんですけれども、この種の関係のものは、一つの線引きがありましても具体的適用になってまいりますとそれぞれやっぱり違った形というのが出てきて、そこに、あそこはうまいことしたけれどもおれのところは少し損をしたとか、こういう形になりかねないわけですね。ここが取扱者の人たちにも苦労をかける問題点にもなってこようというふうに思いますので、不均衡を生じないような形でなるべく整理のできるものはやっぱり整理をしていく。そのためには、なるべく具体的に細かく適用のできるような一つの内容で指導をしていくなり、省令で定めるなりということが当然必要になってくるだろうと思う。私はそういう意味合いで、いまの生産費の算出の根拠の問題もありますし、それから共済価額についで主務大臣が定めるいわゆる準則の問題もあるだろうし、できればそれらを少し明確にしたいなということで御質問を申し上げておるわけですが、どうもこれもすっきりしません。  そこで、聞き方を変えてもう一度確認をしておきたいんですが、たとえばいま言います主務大臣が定める準則の問題については、一つは金額算出の方程式的なものとして出されることになるのか、あるいは施設構造のそれぞれのポイントについて標準評価金額とでも申しますか、いままでの試験実施の際にも採用されておりましたですね、これはこういうふうに金額を見るのだというような例示型になるのか、その辺の対応はいかがなものでしょうか。
  34. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 共済価額につきましての大臣の定める準則の内容はどういうふうなものかというお尋ねでございますが、共済施設共済価額は、法律の百二十条の二十二第三項によって、「主務大臣が定める準則に従い、当該園芸施設共済共済関係に係る特定園芸施設及び附帯施設共済責任期間開始の時における価額を基礎とし、当該園芸施設共済共済関係に係る施設内農作物の生産費を勘案して、組合等が定める金額とする。」と、こういうことに相なっておるわけでございます。そこで、準則でございますが、園芸施設共済共済価額につきましては特定園芸施設等、これはあわせて付帯施設農作物共済目的にされます場合はそれも含むわけでございますが、そういう特定園芸施設等ごとに、たとえばガラス室であれば一棟ごとに定めると、こういうことでございまして、それは特定園芸施設、付帯施設施設内農作物の価額の合計額とする考え方でございます。したがいまして、一棟ごとに中身も一緒にやっております場合には、その中身もあわせて一本で共済価額を決めると、こういうふうに考えております。  そこで、特定園芸施設と付帯施設の価額でございますが、それは当該施設責任期間の開始のときにおきます再建築価額あるいは再取得価額でございます。付帯施設につきましては、再取得価額でございます。外側につきましては再建築価額でございますが、この価額は、その施設を引き受ける時点におきまして新たに建築または設置するとした場合に算定される価額でございます。そういう価額にその施設にかかわります時価現有率を乗じて得た価額に相当する価額ということで、その時点においてつくるとすれば幾らかかるか、そして期間がどれだけ経過をしておるかということで、したがって、古くなったものは、時価現有率を掛けますからそれだけ下がっていくということに相なります。その価額の決定は、特定園芸施設の再建築価額については引受対象となった施設の骨格材でありますとか、被覆材等の建築の状況を見まして、その施設を建築するに要する価額を把握しまして、その額を基礎として定めることにいたしたいと思います。その施設の建築メーカーが明らかになりますような場合には、さらにメーカー価額が把握できればそのメーカー価額をとるというふうに考えておるわけでございます。  なおまた、農林省としましては、毎年特定園芸施設等の価額の調査を行いまして、価額設定の際の参考としまして、標準の建築価額を定めることを予定をいたしております。これはあくまでも参考でございまして、農林省が調べましたその価額を押しつけるということではございません。また、付帯施設等の再取得価額につきましては、売買価額あるいは設置価額を基礎として定めることにいたしたいと思います。  次は、時価現有率でございますが、特定園芸施設施設区分あるいはまた付帯施設ごとに施設の耐用年数に応じて算定されました経過年数別の減価償却率を勘案いたしまして、特定施設の区分ごとに経過年数別に施設価額の残存割合に相当する率として、実態を十分踏まえて定めたいと思っております。  施設内の農作物につきましては、栽培されております特定園芸施設の再建築価額に施設内農作物価額算定率というものを掛けまして、先ほど申し上げましたようなことで算定率を乗じて得た価額に相当する価額を決めたいと、かように考えておるわけでございます。
  35. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大体わかりました。特に、金額的に評価をする場合に、大量仕入れとそれから個々のやはり農家が選択をして決めていく場合、往々にして現実的に引いた価額の評価の相違が出てくる場合がありますので、ぜひその辺は配慮をしながら、この金額に対する一つの額の問題についてはぜひ勘案をしながら決めていただくように、特段の要望を申し上げておきたいと思います。  それから、園芸施設共済、この制度をいままで試験実施をしてまいったわけですが、この試験実施をしてきたそれぞれの結果から来る農業者当事者あるいは関係団体制度に対するところの意見要望、こうしたものはこの制度の中に相当取り入れられたというふうには思うのですが、今日まで、たとえばそういう取り入れ方の経過というものを、ひとつ御説明をいただいておきたいと思います。
  36. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 畑作物共済及び園芸施設共済につきまして、農業災害補償法とは別の臨時措置法によりまして試験実施を行ってまいりましたのは、私たちとしましては、農業災害補償制度として本格的に仕組むには、畑作等農業の経営形態は地域によって異なっておりますので、最初から一つの方式に割り切って適用することは適当ではないので、農業者共済制度に対します意向を十分把握する必要があるということ、あるいはまた災害率等の基礎調査を行ってきましたけれども、現在の金銭の授与を伴わないために、直ちに全面的に利用するには十分でないということもございました。  あるいはまた、共済金額の設定、損害評価方法の確立等の技術的な面について、さらに試験実施による現実を踏まえて検討する必要があるということから、本格実施に先立ちまして試験的に共済事業実施しまして、その過程を通じて畑作農業者の意向、制度運用上の問題点等を確かめて本格実施の確立に資するという、そういう趣旨で行ってきたわけでございますが、その試験実施過程を通じまして、あらゆる機会をとらえて農業者関係団体等の本格実施に対する意見を把握してきたことはもちろんでございますが、特に関係農業者意見の重要性にかんがみまして、畑作物共済園芸施設共済に関します中央会議でありますとか、あるいはブロック会議等においては都道府県や共済団体から本格実施の仕組みに関する意見、メモの提出を求めまして、同時に会議等において常に都道府県の意見発表を受けてきたところでございます。  また、本格制度化のための学識経験者によります現地調査も行いまして、試験実施加入農業者でありますとか、試験実施の元請組合等の意見を直接委員さん方からも聴取をいただいたところでございます。これらの農業者のいろいろな御意見につきましては、今回の提出いたしております法案につきましてはほぼこれを盛り込むことができておるというふうに思っておりますが、さらに法律事項以外の事項につきましては、その運用面においてできるだけその意見を取り入れたいと思っております。  農業者関係団体の主要意見というのは、私の方におきましても加入方式、加入資格、共済金額、損害補てん、共済掛金の基礎年次、それから園芸施設につきましても同様に共済事故でありますとか加入資格、共済掛金、国庫負担、それから事業責任分担等につきまして、農業者意見はいままで出ましたことを全部整理をいたしておりますが、私たちはその御意見の中でこれを採用しなかったのは、加入方式につきまして、意見としましては義務加入制、または当然加入制を導入することという意見がございますが、義務加入制をとりまして当然加入制を採用しなかったというところが大きいところでございまして、ほかは大体提出されました意見を盛り込んで法案を提出することができたというふうに考えておるところでございます。
  37. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 制度的には相当取り入れたということについては、私も大体納得のいくところです。ただ、その意見の収集の仕方ですが、これからも試験実施の項目等がたくさんあるわけでございます。今日までの動きの中で、省として問題点がある程度こう整理されているわけですね。そうしますと、その問題点について具体的にどうなのかという、たとえばアンケート等で定期的にそれらについての照会をしてみるとか、そうしたことを末端までやはり意見を吸い上げるという努力を、さらに一歩深めていただく必要があるのじゃないんだろうかという私は気がするわけです。この辺はひとつ、これからの試験実施等あるいは調査を行っていくに当たって、十分御配慮をいただきたいというふうに御指摘を申し上げておきたいというふうに思います。たとえば国庫負担限度額の引き上げ等の問題については、制度は別としまして、そうした関係等意見は具体的にはどういうふうに処理をされているのですか。
  38. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 共済掛金の国庫負担につきましては、御存じのように、試験実施のときは非常に低うございましたから、農業者意見等を徴しますれば、これは大幅に引き上げるべしという意見が出てくるわけでございます。そうい小ごとも踏まえまして、私たちとしましては畑作共済については六割、園芸施設共済については五割というふうに、試験実施のときとは比較にならないというと比較にならないぐらい引き上げたと、こういうことでございます。  それから、先ほど先生が御指摘になりましたように、ただ県等を通ずるところだけじゃなくて、直接に農業者意見をくみ取るようないろいろな工夫をすべきではないかということの御指摘は、まことにそのとおりだと思います。したがいまして、方法はいろいろあろうかと思いますが、直接農業者の意向もくみ取るようなそういうやり方につきましては、御趣旨方向に即して、私たちとしましても十分心がけてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  39. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いま出ました国庫負担限度額の引き上げ等の問題について、一定の努力をされた経過としては私は見ます。ただ、今日の各制度の国庫負担の割合は、前回指摘をしましたようにいろいろ差があります。そうした立場の中で、もっとやはり要求としては強いものが出ておるはずでありまして、ぜひこの要求にも誠意をもってこたえられるような努力経過を、今後の形の中でも私はとってもらいたいというふうに思うんです。一点、その辺は聞いておきましょうか。
  40. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 共済制度につきましてのいろいろ農家の意向といいますのは、私たち県あるいは農業団体を通じ、あるいはまた研究会等の直接的な現地調査を通じましていろいろ承っておりますが、農家のお気持ちといたしますと掛金はできるだけ安い方がいいと、したがって国庫負担はできるだけ大幅に引き上げよという御意見は、これはごもっともな御意見だと思います。それから同時に、足切りはやめろということ、あるいはまた、災害があったときには損害評価を適正に行って迅速に共済金を支払うべきであると、こういう御意見が圧倒的に多いと思います。  災害を受けましたときに、迅速に損害評価を行って共済金を支払うというようなことにつきましては、これは私たちとしましては、御存じのように、一昨年の冷害等につきましても年内支払いを目指しまして最善の努力をいたしたところでございまして、農家の方々にもそのときは非常に喜ばれたと思っておりますが、同時に損害評価の適正化につきましても、これは私たちとしましても、今後さらに努力を重ねていくべきものであると思います。  ただ問題は、国庫負担と足切り問題でございますが、これは私たちとしましても、従来営々として努力をしてきたわけでございまして、外から見ますと、まだまだ努力が足りないという御指摘はもっともかと思いますが、できる限りの努力を重ねてまいりましたし、今後またその努力を重ねていくべきものだと思いますが、ただ農家の方々にも御理解をいただきたいと思っておりますことは、共済の掛金とそれから足切り問題というのは、これは一つの調和点をどこに見出すかという問題でございまして、仮に足切り割合を一割少なくするということになりますと、国庫負担ももちろん非常にふえますが、農家の掛金も一・七倍ぐらいふえるという、そういう計算に相なります。  したがいまして、農家の負担をそのままにして内容充実するということは、これはなかなかむずかしいことでございまして、内容充実していけば農家の負担もある程度ふえていくと、もちろんそれを上回って国庫の負担もふえていくわけでございますから、そこら辺のことは十分御理解をいただきまして、そうしてさらに内容充実を図っていくという、そういう方向で物を考えていただくことをお願いをしたいと。もちろん、農家の負担を上げて政府が負担を軽くしようとか、そういう考え方は毛頭ございませんで、政府ももちろん負担をすると、農家も相応の負担をしていただいてこの制度内容をさらに充実さしていくと、そういう方向で努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  41. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 制度的に申し上げれば、国のこうした制度の中で、いわゆる国の資金が個々のいわゆる農家まで入っていくというのはほかにはないですね。だから、その制度のいい面をどう拡大をしていくのか、その効果をどう上げていくのか、この辺はさらに検討をいただく中で、いま申し上げましたような要望等の形も、いま局長からも説明がありましたけれども、関連的にきちっとやっぱり私は生かしていくべきだというふうに思うわけです。特に農作物共済等につきましても、具体的に足切り問題あるいはてん補方式の問題、両面あるわけでありまして、これらもぜひこれからの課題としても取り組んでもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、施設内の農作物の中で、たとえば果肉類、しかも高級の物ですね。たとえばメロンなどでありますが、こうした栽培農家では、具体的に当たってまいりますと、私どもの方も問題が多いわけですが、いわゆる盗難の関係がある。その盗難の問題はお聞きになっているかどうなのか、あるいはこの盗難というものについて、共済制度とは私はぴったりしないとは思いますが、具体的にこの一番いい時期に、あすはちょうどいいなあと思っているときに前夜にやられてしまうというふうな形での被害というものは、これは大変な痛手なんですね。こういう実態が出てくるわけですが、これらについてのお考え方はないでしょうか。もちろん、盗難予防措置といいますか、それらの課題とのかかわりもありますが、もしお考え方があればひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  42. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御指摘施設内農作物の盗難被害でございますが、私たちは県を通じ、あるいは共済団体を通じ、あるいは研究会の現地調査等も通じていろいろ意見を農家から聴取いたしました過程で、農家の方からも、あるいはまたその関係団体の方からも実は御要望がなかった事故でございますが、私たちとしましては、共済事故は農災法による補てんの対象となる損害範囲を決定する要素になりますので、従来から自然災害あるいはこれに準ずる災害であるということでございますが、できる限り広範に共済事故とするような方向で努力をしてきたところでございます。  そういう観点から、施設園芸共済につきましても、本格実施に当たりましては、御存じのように、共済事故に航空機の墜落でありますとか、接触でありますとか、航空機からの物体の落下でございますとか、車両あるいはその搭載物の追突でありますとか、接触でありますとかいう事故をずっと追加をいたしまして、共済金額の対象となる施設内農作物の損害を特定園芸施設につきまして生じました事故に伴わないものにも拡大をする等の措置を図ってまいったわけでありますが、ただ盗難につきまして申し上げますと、管理方法によってある程度防止できるということがございまして、不可抗性という問題をどう考えるかという問題がございます。  たとえば、民間の盗難事故でございますと、普通能力のある十五歳以上の者を建物内に留守させなかった場合に生じた損害は原則として免責するというふうな規定がございますが、こういう規定施設内農作物について置きますと、これは全然実質的な意味がなくなりますから、そういうことを考えますと、不可抗性という問題の観点からいかがであろうか。  それからもう一つは、これはちょっと別な観点でございますが、盗難によります被害と出荷によるものとの区別をどういうふうにするかと、こういう問題がございまして、そうなりますと、適正な損害評価がむずかしくなるというようなことがございまして、共済事故に含めないことにいたしたわけでございます。
  43. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 含めないのは、まさに条文にないんですから含まってないとは思うんですけれど、現実問題としてはこの盗難に備える対策というのは大変なことなんですよね。しかも、この園芸施設そのものが、たとえば人家のそばにあるという形にありません。相当遠隔地に持っておる。で、共同的にその張り番といいますか、留守番をやっている。こういう状況の中でなおかつ具体的には盗難が発生をする、こういう事態で来ているわけでございまして、これは農家の人もこれがこの共済制度対象になるのかならないのかという点については、農家の人自身が何といいますか、問題意識としてそこまで進んで持ってない、こういう状況なんですね。  ですから、いま局長から説明があったように、関係団体あるいはその他からも意見要望という形になってあらわれなかった分野だというふうに思う。しかし、回っていきますと、現実にそれで大変真っ青になっているという状況のところが、特にこれからの季節になると出てくるわけでございまして、これは一つの対策上の問題としては、ぜひ検討課題といいますか、これはこの制度の中に入れるか入れないかは別として、この辺についてやはり検討していく問題点ではあるのじゃないんだろうかというふうに思うわけでございます。あえていまそれをこうあるべきだという私も確たるものがありませんので強くは申し上げませんが、問題点として受けとめをいただいて、関係者とも相談をしながら私も整理をしてまいりたいというふうに思いますが、ぜひ省の方でも御検討をいただいておきたいと思います。  次に、家畜共済関係について入っていきたいと思いますが、馬あるいは肉豚についてこれは掛金の国庫負担割合が逐次こう改善をされてきたわけでありまして、これは一定評価をするところなんですが、まだ相当びっこを引いておるような形になっているわけですが、今後さらに改善方についてお考え方があれば、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  44. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御存じのように、家畜につきましての国庫負担割合は、牛と馬と豚ではそれぞれ負担割合が違っております。牛につきましては五割でございますが、馬につきましてはこの前引き上げましたけれども、一般の馬につきましては五分の二であると、それから御存じのように種豚につきましては五分の二であり、肉豚については三分の一であるというような関係にございます。前回制度改正におきまして、実は種豚につきましては三分の一から五分の二にし、肉豚につきましては新たに三分の一ということを導入いたしたわけでございますが、一般の馬は五分の二を据え置いてきたという経緯もございます。ただしかし、馬につきましても、前回の法律改正におきます国会審議の経緯を踏まえまして、馬の飼養農家の掛金負担の軽減を図ります見地から、五十三年度においてはとりあえず掛金国庫負担対象共済金額の限度額を特に馬については大幅に引き上げまして、この四月から八割に引き上げてこれを実施しておるところでございます。  したがいまして、馬につきましては、今後その重要性を十分考慮検討いたしまして、できるところから改善を加えていきたいと考えておりますが、国庫負担の問題につきましては、先般改正をして実施をされたばかりでございますので、今後関係方面と十分連絡をとって、引き続き真剣に検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  45. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、肥育過程に入ったものは、その現行の制度の中でこの対象になっておるわけですが、ちょうど昭和四十一年あたりまで存在をしておりましたたとえば流産あるいは死産、奇形等に対する制度、いわゆるこの生産共済ですか、これについてはいまどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  46. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御指摘のように、農業災害補償法の施行の後、牛馬の胎児あるいは生後六ヵ月未満の子牛、それから当歳の馬を対象とする生産共済実施しておったのでございますが、年々加入は減少をしてまいりましたし、また非常にそれが局地的になりまして政策的意味も乏しくなったということで、昭和四十一年度をもって廃止をいたしたわけでございます。その後の状況を見てみましても、それをさらに対象として取り上げる必要性は少ないのではないかというふうに考えられておるわけでございますが、しかし昭和四十七年以降多発いたしました牛の異常なお産を契機といたしまして牛の流・死産、それから子牛の事故を家畜共済対象とするような要望がございましたので、昭和五十一年度からその保険需要と危険率算定基礎資料を得る目的で調査を行っております。  一方、農業共済団体におきましても、牛の生産事故共済制度の仕組みについて検討いたしておりますので、その調査結果に団体の方の事故制度の仕組み等も勘案いたしまして、この制度化につきましては慎重に検討してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  47. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 調査中といいますか、検討を行っていただいておることは非常に結構だと思うんですけれども、問題は、前の制度の中でいわゆる国庫負担は全然この中に入っていなかったんでしょう、いかがですか。
  48. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 国庫負担はございませんでした。
  49. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 亡くなってしまう状況は、全国で私は千五百頭ぐらいになったというお話を聞いているわけでして、したがって、制度的に維持のできないような状況になって結果的にこれは打ち切ったと、こういういきさつになっていますから、そのことはよく理解もできるわけです。しかし、今日のたとえば特に肉牛等の問題について国の施策の問題としながら、畜産振興をさらに食肉のいわゆる自給率向上、こういった問題からとらえていきますと、やはりこの制度についてもう少し抜本的に装いを新たにしながら、再出発をさしていくという観点が必要なんではないだろうかというふうに思うわけです。検討中ということでありますから、それらも考慮されておるとは思いますが、私はそういう観点からもぜひもう少し具体的なものにしていっていただきたいなと、こう思うんですが、どうでしょうか。
  50. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 私たちそういう観点から検討をいたしておるわけでございますが、保険需要でありますとか、あるいは先生の御指摘のように今後におきます肉用牛振興というふうな観点も含めまして、十分検討をいたしたいと思っております。
  51. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ぜひお願いをしたいんですが、ただ今日までの検討の仕方その他からいきますと、たとえば需要がどれだけあるかという問題ですね。制度はできたけれども利用はさっぱりだという話じゃ、これはお話になりません。ところが、そういう形で相関関係を考えていきますと、ある程度制度的にはこういうふうな構想がありますよと、そういう構想に対して一体どうなのかというのが、一つはその後の運営にかかわって大きな一つの集約の問題点に私はなるだろうと思う。だから、どうしたらいいんだろうかという観点あるいは実態がどうだろうかという観点、それだけの問題では、私は一たんあったものがつぶれていったいきさつからいきまして、なかなかないだろうというふうに思います。  ですから、先ほども言いましたように、新たな装いということはその辺でありまして、具体的にこれを制度化をするとするならば、畜産農家が魅力のある内容というものが、やっぱり根本にならなきゃならぬというふうに思う。そういう意味で構想を一つ出しながら、関係者とも相談をして、そして制度が十分に活用のできるような、そういう前向きの姿勢をぜひとも私はお願いをしておきたいと思うんです。ただ、検討してみたけれどもこれはやはり無理なんだという形にならないように、ぜひともその辺は少し道筋をあけてもらいたいというふうに思いますが、よろしゅうございますか。
  52. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 当時は、家畜共済につきましては死廃だけに国庫負担がございまして、病傷にもなかったというふうな状態でございました。したがいまして、今回これを取り上げるといたしますならば、当然国庫負担問題が出てきます。そういう状況変化がございますから、御指摘のように、ただ前のような制度を復活するのだというふうなことではいけないと思いますが、一つの構想を示しながら保険需要がどれだけあるかということを調査をすべきであるというお話は、非常にごもっともだと思いますから、私の方としましてもその点検討いたしまして、保険需要調査というのをいたしたいと思いますが、保険需要としてどれだけのものが出てくるか、あるいはそれを設計に取り上げられるかどうかという点についてはなかなかむずかしい問題があると思いますが、御指摘のような観点を含めまして需要調査をしてまいりたいというふうに考えております。
  53. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 結局、四十八年、四十九年にありましたように、ビールス感染によってずっとそういう傾向が大変率的にも高く出てくるというようなおそれは、今日その問題についてはワクチンで制止をした、こういう状況にはなっておりますが、生体であるだけに、いつそういうような新しいまた一つのビールスによって感染をしたり、いろんな予測し得ない一つの傾向というものが生まれる可能性を持っているわけでございますから、いま局長答弁がありましたものを、時期的にもぜひとも早めて御検討いただくようにお願いをしておきたいと思います。  次に、家畜診療施設関係ですが、今回法的に明文化をして位置づけが明らかになると、こういうことになっているわけなんでして、いただきました資料によりますと、現在全国の診療施設は六百六十一ヵ所、ここに一千七百人の獣医師さんが配置をされておる。そのほかに嘱託獣医師あるいは指定獣医師、こうした形の獣医師さんが二千七百二人、こういう数字が明らかになっておるわけですが、今後の施設数あるいは獣医師数、こうしたものについてはどういうふうに想定をされておるんでしょうか。
  54. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 家畜診療施設の設置数は御指摘のように五十二年度で六百六十一で、診療施設の獣医師数が千七百人でございますが、私は現在ある数以上にそうふやす必要もないのではないかと、こういうふうに思っております。獣医師さんの数につきましては、これを開業獣医師その他指定獣医師、それから嘱託獣医師等の活用を図ることによって処理ができるので、それほど獣医師数を増加させなければいけないというふうには思っておりません。
  55. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いま開業獣医師の協力もいただくと、こういうお話のようでありますから、それは大いに結構でありますが、従来診療施設と町の開業医師とのかかわりというのは一体どうなっているんでしょうか。
  56. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 両者の関係につきましては、地域的に一部いろいろあるかもしれませんが、大体全体としてとらえてみますと、私たちはうまくいっておるのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。といいますのは、御承知のように、家畜共済事故におきます指定獣医師の指定でございますが、これは大体開業獣医師さんの九七%は指定をいたしております。それから、団体等の嘱託獣医師は五百九十九人嘱託をいたしておるわけでございます。それからまた、家畜診療所の設置でありますとか、あるいは指定獣医師さんになっていただくというふうな場合におきましては、いずれも指定獣医師さんになっていただきます場合には、必ず連合会長を代理人として獣医師と契約を結ぶということで、いままでその契約を断ったような事例はございません。  それからまた、施設をつくります場合におきましても、これは総会または市町村営の場合は議会の承認を得て設置をいたすわけでございますが、「都道府県は、診療所の設置、移転、廃止等に当たっては、必要に応じて農業共済保険審査会の意見を聞いて」適切な指導をするようにという通達に基づきまして、そのように行われておると考えております。もし問題がございますならば、それは中央あるいは県の段階等におきまして、十分獣医師会の方と相談をして処理をするようにと指導いたしておりますので、私は全体としてはその両者の関係は円滑にいっておると思っております。
  57. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まあ円滑だと思っておられるんですから問題がないと、こういうことなんでしょうが、実は私の手元に、これは私の地元の方であります中部地区連合獣医師会、それから岐阜県の獣医師会、ここから診療施設の明確な位置づけに伴って、実はトラブル的な形での御指摘があります。これは獣医師制度そのものについても中身の問題としてあるわけですが、たとえばこの中部地区連合獣医師会ということになりますと、これは中部地区各県にまたがっての連合獣医師会でございまして、これはうまくいっておればこういう形にはなってこないと思います。中身の問題として、具体的にこういうふうに出されていることについて御理解が、そちらの方へは何も届いていないということなんでしょうか。
  58. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 中部地区におきます御意見は、私たちは十分承知をいたしております。私たちは家畜診療施設の法制化におきましては、日本獣医師会との関係を十分配慮をいたしまして、獣医師会とよく協議をするようにということを全国の農業共済協会にお話をしまして、農業共済協会も日本獣医師会とよく接触をいたしまして、昭和五十年の十二月に日本獣医師会としてはその要望事項の実現に協力する旨を、全国農業共済協会に対して文書で回答をよこしておるところでございます。その後五十二年の十二月になりまして、日本獣医師会としましては三役会議におきまして、家畜診療施設の法制化の実現に賛成する旨の統一的な見解を、さらに理事会におきましても、理事会の議を経まして再確認をしておるという状態でございます。  獣医師会との関係はそのようなことでございますが、開業獣医師さんの一部に反対であるという御意見があることは承知をいたしておりますが、私たちとしましては、今後の法制化に伴いまして、農業共済団体等の家畜診療施設が、他の診療施設との間に無用の混乱を招かないように指導をすることはもとよりでございますが、日本獣医師会とも農業共済協会が十分協議連絡をとりまして、開業獣医師さんの積極的な協力が得られるように、十分心がけて指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  59. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 協力の得られるように積極的にひとつ努力をされるのは結構でして、ぜひそうやってもらいたいと思うのです。これからの国の畜産振興という大きな政策を進めていくためにも、そうした協力関係を結んでいくということが大変重要なことであろうというふうに考えますので、ぜひそうしてもらいたいと思います。  しかし、そうしていただきたいわけでありますが、具体的に中部地区連合獣医師会から問題が提起をされておるということになれば、基本的に矛盾するかしないかということは別といたしまして、日本獣医師会とは協力をいただけるという約束になっているから一部で問題があってもそれはいいんじゃないかという考え方に立たないで、むしろそこに一つの中部地区の意思表明があるとするならば、そこの当事者とでやはりきちっと話をしていくという姿勢を私は堅持をしてもらわないと、問題の解決、さらに協力を求めていくということにはならないのじゃないんだろうかというふうに考えるのですけれどもね。これは承知をされておればおるだけに、私はぜひその努力をしてもらいたい。これはちょっと約束をしていただけませんかね。
  60. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 家畜診療所の設置根拠を法律上明らかにすることにつきまして、一部開業獣医師さんの間に異論がございますのは、どうも一つの不安感をお持ちではないかと思うのです。それはまあその考え、不安感と申しますか異論と申しますか、それを考えてみまするに、設置根拠を明らかにすることを契機にして、農業共済団体等が家畜診療施設の増設を図りまして開業獣医師を圧迫するのではないか。それからもう一つは、農業共済団体等の家畜診療施設の獣医師に対しまして人件費国庫負担の道が開かれることになって、開業獣医師の立場が非常に困難になるのではないか。それから員外利用の規定を設けてございますが、農業共済団体等の家畜診療施設が非加入家畜の診療を積極的に行おうとするものであって、これが開業獣医師の診療対象を侵害するのではないかという、要約をいたしますと私はその三点だと思います。  で、これにつきまして農林省の考え方としましては、これは獣医師会の方にも、それから関係方面にも説明をいたしておりますが、農業共済団体等の家畜診療施設の設置根拠を明らかにするにすぎないのでございまして、その家畜診療施設の設置を、この規定を根拠にして促進しようとするものでは決してございません。それから、人件費に対して国庫補助をするのではないかということがございますが、そのようなことを全然考えておりません。それから、員外利用の規定でございますが、これはその地域に他の診療施設がない場合でございますとか、あるいは急患が発生した場合におきまして、農業共済団体等の家畜診療施設に余力がございますときは、節度を持って、非加入家畜についてもこれを利用されることによりまして農家の便宜を図ろうとするものでございまして、こういう考え方につきましては今後とも機会あるごとに説明をいたしまして、一部獣医師さんの方々の誤解を解くようにいたしたいと考えております。  それから同時に、家畜共済につきましては、獣医師さんの技術に依存する面が非常に多うございますから、事業実施上個人の開業獣医師さん、あるいは団体獣医師を通じまして、獣医師が重要な役割りを果たしてきておるわけでございますから、今後ともこれら開業獣医師さんからさらに広く理解と協力が得られますように、中央、地方の獣医師会と積極的に接触を図ってまいると同時に、農業共済団体等に対しましても、開業獣医師と連携を保ちつつ、家畜診療施設の適正な運営を図るようにきめ細かく指導をいたしまして、無用の摩擦の生ずることのないように十分心がけたいと思っておる次第でございます。
  61. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大体問題点局長説明の中にあったところでありまして、そのほかの問題は、たとえば診療点数の関係だとか、いわゆる獣医師制度そのものに対する抜本的な問題点があると思うんですよね。これは、これからの家畜診療施設そのものについてもやはりかかわってくる問題でありますから、これらも十分に関係のところと整理をしていってもらわなければならぬだろうというふうに思います。  ただ、いま一例だけ申し上げておきますと、たとえば局長が、これからの診療施設は余り増加をさせる必要もないしまたふえないだろうと、こういう見通しを言われましたですね。ところが、現実にながめてみたときに、じゃふえないであろうというのはこれは想定ですけれども、ふやそうと思えばふやしていける道筋がどんと開かれているわけですね。歯どめがないわけです。その辺での問題点が、具体的な立場の中で幾つか問題として提起をされることになるだろうし、特に衆議院の農水委員会の中でも、具体的に町の開業医との摩擦を避けるようにという附帯決議まで付されている状況になるわけですから、ぜひいま局長から種々御説明をいただいておりますように、摩擦を避けるんじゃなくて、明らかにこれは協力を求め、その協力の中でやはり農家の生産に寄与していけるという道筋を確立をしていっていただきたい。そのためには、たとえ一地域であろうと、具体的にそこに問題があればそこに飛んでいって十分に話をし合うという姿勢をひとつ堅持をしていっていただくように、特にお願いをしておきたいというふうに思います。  次に、果樹共済関係についてお尋ねをいたしますが、果樹共済に関しましては、今日残念ながら制度自体が果樹農家の期待に沿ってない、こういうそしりを免れません。これは一つの果樹に対する政策的なかかわりとも重なっておるというふうに私は考えるわけでありますけれども、このいわゆる共済制度上の基本的な問題点、これをやはり整理をしていって、こうした関係の是正を図っていかなければならぬのではないものだろうかというふうに思うわけですが、現在のこの制度の中で実績が上がっていかない、いわゆるこの制度が思うように活用されていかない、こういう問題点というのは省としてどういうふうに把握をされておりますのか、まずその辺からお伺いをしてみたいと思います。
  62. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 果樹共済は、御指摘のように、本格試験実施以後、加入の伸び率としては伸びておるわけでございますが、加入の絶対的な比率といたしましては、収穫共済で二二・四%、果樹共済で八・二%という、非常に低位にとどまっておるわけでございます。そういう共済についての問題点ということを実施面でひとつ考えてみますと、一般的に加入率が低いというのはなぜだろうかということでございますが、いろいろ果樹によって産地間または農家間に栽培形態や栽培技術にかなりの格差があるということが、恐らくこれは果樹については一番地域別に、農家別に格差が大きいのではないかというふうに思われます。同時にまた、果樹共済は収穫共済、樹体共済二つに分かれておりまして、収穫共済は掛けておくけれども、樹体まではそうなかなかやられることはないからやめておこうというふうなかっこうになっておるのではないかという、加入率についてはそういう問題がございます。  それからもう一つは、事業実施体制の問題でございます。現在、果樹共済は九つの果樹を対象としておりますために、個々の農家の基準収穫量の設定等の引受事務でございますとか、損害評価事務に相当の労力、熟練、専門的技術を要するということがございます。それが事業実施体制の整備強化の必要性、一言で言えばそういうことに考えられるのではないかと思います。  それからもう一つは、例年果樹が異常災害に見舞われましたために、組合及び連合会におきまして相当な赤字を生じております。これは再保険収入に見ましても、五十二年産を除きまして百五億円という国の赤字に相なっております。したがいまして、連合会、組合とも弱ったなという感じでこの問題を考えておって、したがって、積極的にさらに赤字をふやす事業を推進するという元気もまた出てこないという、そういうところにひとつまた第三の問題があるのではないかというふうに考えます。  それから、制度的にどういうふうな問題があるのかにつきましては、これは私たちもいろいろと検討をいたしておりますが、ここをこう直せばうまくいくのだというその決め手をまだ発見するに至っておりません。制度的にも、いろいろの問題は私はあろうかと思います。したがいまして、果樹共済につきましてはそういう実態上の問題、それから制度上の問題両方含めまして、本件問題につきましては、十分今後検討していく必要があるというふうに考えております。
  63. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 結局、果樹農家に言わせますと、やっぱり制度そのもの実態にそぐわない形になっているという指摘が非常に強いわけですね。ここが私は基本的な問題点としてあるのじゃないか。これを裏から言いますと、やはりいまの制度ではこれはお話にならぬから、いわゆる抜本的に見直したらどうかということに相なろうと思うのですが、その辺はどうですか。抜本的に見直しというような構想に立てますか、どうでしょうか。これはちょっと大臣からひとつ御答弁いただきたいと思います。
  64. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 確かに、果樹共済の加入率が低いというのはなぜかということを問題にいたしますと、これは共済じゃ魅力がないという御指摘のようなお話が返ってくるわけでございます。それは確かにそうかもしれませんが、同時に、やはりもうちょっとブレークダウンをしていきますと、先ほど申し上げましたように、地域によって、農家によって非常に技術格差があるという問題がございまして、あるいは果樹によりまして農家の考え方が違うということがございます。たとえばリンゴなどにつきましてはわりあい農家が積極的な反応を示しておるわけでございますが、瀬戸内あるいはその方面のミカン農家になりますと、これは余り——ところが、ミカン農家でも、和歌山県などになりますと県も一生懸命やっておると、こういうふうなことに相なりまして、どうも地域により、農家により反応の仕方が違っておるわけでございます。  これはなぜかというところをもう少し分析検討をしていかなければいけないわけでございまして、私は、問題がやはり実態面の問題と、それからそれをもちろん制度は反映するわけでございますから、それを受けた制度の組み立て方というのをどういうふうにするかということは、これは今後十分検討してまいりたいと思っております。その結果として、これを抜本的に改善すべきものなのか、あるいはまたこことこことの改正を行えばある程度これは円滑に進んでいくというふうに考えられるのか、そこら辺につきましても十分今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  65. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 現実的な姿でもう一度やってみなきゃならぬというふうに考えられるのは、やはり人の問題だと思うのです。これは局長が言われましたように、いわゆる専門的技術といいますか、大変これから必要とされることは、これは果樹共済だけじゃなくて全般に言えることなんです。しかし、いずれにしても、それを担当し専門的に十分相談に乗り、しかもそれをやり遂げていくような事業推進の力量のある人員配置というものについてきわめてこれは弱いという、これが現実の姿としてありますから、これを強化をしていく展望があれば大いに結構です。それと同時に、いま言われましたような基本的に問題点がどうなのかということを、早くやはり掌握をしてもらうということはこれは大いに結構なんですが、これは両立するでしょうか、どうでしょうか。
  66. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御指摘のように、制度運営するのは人でございますから、そこに優秀な人材を確保してその制度の的確な運用を図るということにつきましては、まさに御指摘のとおりであろうと思っております。一つは、最近におきまして家畜共済の拡充あるいは果樹共済の本格実施あるいはここへもってきまして畑作施設園芸の本格実施と、こういうふうに事業の整備拡充が行われてまいっております。しかも、果樹と畑作とそれから家畜というふうに、それぞれ専門分野が異なるということもございますので、農業共済の職員の専門的知識の養成あるいは専門的な人材の優遇、それからまたさらには、損害評価員でありますとか損害評価委員の方々の処遇という問題は、総合的、総括的に取り上げて対処をしてまいらなければいけないと思います。  そういう観点から、私たちとしましても、その共済職員の処遇の改善につきましては、これは毎年一号俸のアップを相当これは一生懸命にやってきたつもりでございまして、現に今年度予算におきましても、ほかのたとえば農業委員会の職員等の一号俸アップを行っておりませんにもかかわらず、共済職員につきましては一号俸アップを実現をしておるというふうなことを行っておりますが、さらにまた、そういう待遇改善面の国庫補助等につきましては、これは一段と努力をしていく必要がありますし、あるいは損害評価員、損害評価委員等の手当につきましても、金額は少のうございますが、ここ一両年、昨年は四〇%、ことしは五〇%というふうに拡充をしてきたと、こういうことの経緯もございます。さらにまた、今後専門的知識の養成、研修その他につきましても、これは十分心がけてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、全体的な農業共済団体等に対します事務費国庫負担につきましては逐年増額を図っておるところでございまして、今後ともそういう点については特段の努力をいたしたい。そういうことによりまして、やはり制度運営していきます方々の御努力にこたえたいというのが私たちの考えでございます。
  67. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 果樹共済の対策から大分進んで、人の問題の内容の方に入っていってしまったわけですが、時間の関係もありますから先を急いでいくことにして、私も調子を合わせていきたいと思いますがね。時間があれば、私は農作物共済、先ほど少し出ましたように、補償内容充実という観点からいわゆる足切り問題あるいはてん補方式、これらの問題、あるいはまた損害防止給付関係ですね、これらについて少し説明を求めておきたいなというふうに考えておったんですが、またの機会にしてもいいと思うんです。さらにまた、蚕糸共済ですね、これは最近の傾向から見ていきますと、この制度も少し矛盾が大きく出てきておるようでありますから、これらについてもお聞きをしたいというふうに思っておりましたが、先に人の問題が出てまいりましたから、人の問題に入っていきたいというふうに思います。  ただ今度、いま局長が言われましたように、畑作物さらには施設園芸、部門としては、言うてしまえばこの二つの部門ですが、これの本格実施ということになりますと、相当範囲が拡大をされる、しかも地域的にもこれは大変なことになってくる。しかも、将来の展望から踏まえて、絶対に失敗をすることなしに前進をさしていかなければならぬ、こういう状況にあるわけでありまして、その観点からいくと、大変膨大な事務量というのが想定をされます。言うならば、事業推進の体制の基礎というものについて、明確にこれが整理をされなければならぬわけですね。確かに予算の関係から見ていきますと、金を出してそれに必要な人を雇えばいいじゃないかと、こういう構え方にはなっているわけでありますが、これの内容についてどうなんでしょうか、本当にやれる体制というものは各県、市町村、関係団体協力をしてやり切っていける、こういう確信をお持ちなんでしょうか、どうでしょうか。まず、その辺からお聞きをしたいと思います。
  68. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 予算上のもろもろの対策は、先ほど申し上げましたように、従来もその努力を重ねてきたところでございますが、今後とも私たちとしましては、十分これに留意して努力をさらに積み重ねたいと考えております。  第二には、やはり現在おられます職員の資質の向上をどのように図っていくかということが、非常に重要なことであろうと思います。このためには、私たちといたしまして全国の農業共済協会に委託をいたしまして、中堅幹部の職員の養成講習会あるいは業種別の中央の講習会あるいは地区別の職員の講習会、それから家畜診療の中堅技術者の講習会、それから家畜の診療技術職員の地区別の講習会、それから専門防除技術者の養成の講習会あるいは農業共済のコンサルタントの養成講習会、それから事務機械化要員の養成講習会とか、あるいは広域組合につきましては参事の講習会等々の講習会を実施をいたしておるところでございます。  また一方、日本獣医師会に委託をいたしまして、農業共済団体の指定獣医師等に対しまして、もろもろの事項につきましての講習会におきます実施を通じましての技術の勉強、それから共済診療の経済効果を上げるための講習会というものをいたしておるわけでございます。なおまた、都道府県におきましても、その担当職員につきまして、あるいは農業共済団体の役職員につきましても所要の講習会を行ってもらっておりまして、この経費についても補助金を交付をいたしておるところでございます。  以上のほか、各都道府県の連合会におきましても、それぞれの実態に応じまして諸般の講習会を取り進めておるところでございまして、そういうことを通じまして、現在おります農業団体職員の資質の向上を図ってまいりたいと思っております。  それから、共済組合の定員問題でございますが、これはなかなか御存じのような定員削減の状況のもとでございますから、これをふやすということはきわめて困難な状況にございます。したがいまして、やはり全体、県の職員の方々あるいは獣医師の方々あるいはまた農業共済団体及び連合会の職員の方々の知識あるいは資質の向上を図ることによって、この問題に対処をしていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  69. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大臣、私はこの事業推進は、局長答弁していますように、まさに主役は人だと思うんですよね。その人の問題が、いま局長が言いましたように定員削減でと。ところが、仕事はこれからまだ未知数にふくれ上がってくる課題になっている。この点は、私は大変な、それこそ大きな矛盾じゃないんだろうかと。不必要なものを削減をしていく、仕事がないから当然減らしていくというのは、これはまあ当然な話なんです。ところが、これから強化をしていかなきゃならぬ、しかも具体的に今度は法律的に制度ができ上がっていく、こういう状況の中で削減対策にまだなおかつそれを肯定する立場に立つとするならば、私は大変な問題じゃないんだろうかと。しかも、現場の共済担当の人々は、いわゆる非常に難解な損害評価をどういうふうにするとかいう具体的な作業までこれが専門的になってくるわけですね。  そうしますと、その評価の仕方によって、人がやっぱり評価をすることに、幾らきちんとしたそろばんのめどはあったにしても、最終的な評価というものはあの人がやったと、こういうことになってくるわけです。しかも、隣と自分とを比較をして、常に損か得かという勘定が現実の姿としては生々しく出てくるわけですね。そうなってまいりますと、これを担当する人にとってみると、私はその人がいかに平常から人間的に信頼をされておるのか、この人の言うことならまあ間違いないじゃないかというようなところまで、きちっとした人格形成を含めてこの世話役をしてもらう人々の立場というものが求められてくると思うのですね。そうでないと、私はせっかくの制度が死んでしまうことになるだろうと思う。そうしますと、私はこれはもうそう軽々に割り切って、数字の問題だとか何とかそういう形には私はならない、形式的な問題にならない、相当熱意を持ってその対策に当たっていかなきゃならぬというふうに私は思うのです。  いま局長が幾つか言われました研修の制度、それは大いに結構ですね。同時に、その人がそれの生きがいを感じてやっぱり誠心誠意打ち込んでいけるような体制というものが、やはりこれを処遇していかなきゃならぬと思うのですね。幾つかの要素がかたまって、私はそこに一つの柱になっていただく人が地方の中にでき上がってくるということに相なると思うのです。しかも、法律をながめていきますと、大変法律は難解であります。  いま現にどういう問題が発生しているかということになりますと、この道に突っ込んでいった人、たとえば県や町村へ行きますと、この道に突っ込んでいった人は突っ込んで、中途半端であいつは役に立たぬということになるとすうすうかわる。ところが、この人はということになりますと、今度はかわろうにも、その人が抜けてしまったらまるっきり事務にぽかんと穴があいてしまうというかっこうになって、本来その人の処遇をするのにもっといい地位につけていかなきゃならぬという場合にも、引っこ抜けないような現実の体制が生まれる。ことし担当しているある人が、自分たちの同級がすでに上がってきている、この人の処遇を考えなきゃならぬ、そのためにはどこかのポストに移ってもらわなきゃならぬ。みんなそれについて賛成なんだ、賛成なんですが、その人を持っていってしまうと、その共済の仕事が全然だめになっちゃう。だから、がまんして再度残ってもらいたいというようなかっこうになって、じゃそれに見合うようなたとえば処遇の仕方というのが出てくるのかというと、ただ単にがまんをさせられるというかっこうにしかならない。こういう現実が今日続いているわけですね。これでは、誠心誠意打ち込んでいけるというような体制に私はならぬと思うのですね。  しかも、いま町村あるいは県あたりの共済担当ということになりますと、これは私どものところが悪いのかどうか知りません。まだ全国各地よう回っておりませんから知りませんですが、結果的にはそういう役所の立場からいきますと、一つの即戦的な状況に置かれておることも事実です。しかも、そこに定員削減その他の攻撃が出てくるということになったら一体どうなるんだろうと、果たしてこの制度が完璧にやり通せるという形になるんだろうかということについて、基本的に私は憂慮をせざるを得ないのです。  先ほど、たとえば損害評価員の手当の問題について、局長は四〇%、五〇%上げてきたと言いますけれども、上げてきた結果が一体幾らか、年に千九百円じゃないですか、手当が現行。四〇%上げました、五〇%上げましたと言うけれども、月千九百円でも私は問題だと思うのに、年間千九百円でこれが手当なんですか。今日、そんなものが手当なんて言える名前なんでしょうか。私は、そこに大きな問題点があるんじゃないかというふうに思いますよ。この辺の基本的な姿勢の問題について、これは大蔵省との気がねの問題もあるんでしょうが、私は中川農林大臣から、毅然たる態度でこの辺について明確にこういうふうにして取り組んでいくんだという決意については、ぜひ伺っておかなけりゃ安心ができないと思いますが、どうでしょうか。
  70. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 私からちょっと先に状況の御説明を申し上げますが、先ほど農業共済団体の事務費の増額につきましては、鋭意努力をしまた今後も努力をすると申し上げましたが、これを職員の国庫負担につきまして申し上げますと、国庫負担は事務費につきまして、たとえば職員の月給等の部分につきましての積算の予算上の根拠は、員数掛ける単価でございます。そして総額を出して、これはあたりまえのことですが、ですから総額を毎年毎年ふやしていくということが実際上内容充実に相なるわけでございます。といいますのは、総額をうんとふやしますれば、員数掛ける単価ですからその中の処理はどうでもなると——どうでもなると言うと非常に語弊がありますが、適切な処理ができると、こういうことでございます。  したがいまして、重点は、要するに国庫負担事務費というのをどういうふうにふやしていくかという、そういう問題に帰着をすると思いますが、この増加状況をたとえば申しますと、給与改善分を含みます農業共済団体の事務費負担金につきまして申し上げますと、五十年度におきましては、組合、連合会含めまして増加額につきましては、五十年度におきまして十八億八千万ですか、約十九億ふえたわけでございます。昨年におきましては、対前年で二十三億八千万でございますか、約二十四億増加をいたしました。今年度予算におきましては、三十三億増加をいたしております。三十三億二千九百万の対前年増となっておるわけでございます。したがいまして、そういうふうに団体事務費の負担の総額をふやす努力をいたしますことが、結局人員の確保でありその待遇の改善になると、こういうことでございます。  それから第二点の損害評価員……
  71. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 現実に人がふえているんですか。
  72. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) まあ、それはちょっとおきますが、損害評価員の手当の問題、おっしゃるとおりに絶対額は話にならぬじゃないかということがあるのですが、これはちょっと財政当局といろいろやっておりますと、考え方の違いが出てまいりまして、財政当局に言わせますと、たとえば自分たちの部落なら部落のしかるべき農業精通者等損害評価員になりまして、そして実地の検見を行っていくというそういう経費、手当でございますが、これは国が一千億以上の金を出しておるという現状を踏まえてみれば、やはり共済金をもらうのは農家であるから、農家の共済という精神に立って、ひとつそういう手当は少額であろうとサービスをすべきものではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。  私たちとしましては、さはさりながら、幾ら何でも先生のおっしゃるようなことで損害評価員に働いていただくということは、これはまことに忍びないことでございますから、そこで、一昨年あたりから非常にやかましく強くそういうことを主張いたしまして、伸び率としては画期的な伸び率を示しておるわけでございますけれども、何と申しましても、もとの金額が小さいものですから、なかなか思うに任せない状況でございます。しかしながら、今後ともその問題につきましてもできるだけの努力を払ってまいりたいと、かように考えているわけでございます。
  73. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 近年、農業を取り巻く情勢は、米の生産過剰という問題あるいは外圧等がありまして、新しい方向に向かわなければいけないという段階だろうと存じます。そういう中にあって、農業共済の占める位置というものも非常に大きくなってくる。しかも、今度は畑作あるいは施設共済というものも入ってまいりますと、いよいよ仕事も多く、内容充実しなきゃならぬということは当然のことだと思います。  そこで、定員問題は全般的になかなかむずかしいところもございますけれども、質の向上ということについては今日までも、われわれも外におりましたが、ほかのものに比べては前向きにやってきたつもりでございます。今後とも講習会の強化なり、あるいはまた待遇の改善なり等々は、御承知のように一遍にこういうものは改善できませんで、財政当局とやり合いましても急激な変化というのはなかなかできませんが、年を追うてひとつしっかりしたものにしてこの制度の全きを期すと、こういう方向で努力をしてまいりたいと存じます。
  74. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 現在の常駐役職員の体制からいきまして、きょうは数字は私一切挙げてないんですけれども、相当内容的に強化をしなきゃならぬところの方が圧倒的に多い、こういう状況にあることはもう間違いありません。ですから、関係のところもあるから漸次ということで、それはそれでよくわかるんですけれども、今回本格実施という立場を踏まえて、制度的に、よりそこに重点を置いたひとつ十分な体制をして、そうして要望にこたえていただいて、なおかつ私はこの制度をやはり関係者に十分に理解をしていただかないといけない。  こういう一般に対する説明——自分自身はもちろんの話でありますけれども、一般大衆にそれを十分に制度的に理解をさしていくような、そういう周知徹底も含めてやっていかなきゃならぬ課題でありますから、ぜひひとつ、いま大臣の言われたことを実のあるものにしていただきますように要望を申し上げまして、大体時間が来たようですから、終わらせてもらいたいと思います。
  75. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  76. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案について、若干の質問をいたしたいと思います。  最初に、過日マル寒マル南の法案の審議もございまして、そのときにも畑作の今後のあり方等についてはいろんな議論があったわけでありますが、これはまあきょうは法案の審議でありますから、今後の日本農業の中で畑作というものがいかに重要であり、農林省としてもそれに対するいろんな施策を打ち出しておるわけでありますけれども、これを畑作の重要性にかんがみましての諸施策、そしてまた基本的な考え方等いろいろただしたいところでございますが、これはまた後日詳細については論議するといたしまして、本日は少なくともこの法案を中心にいたしまして、今後の農政の中で畑作というものはどういう位置づけといいますか、農林省としては農政全体の中で畑作というものをどのようにとらまえておるかということと、それに加えて農業災害補償制度、これが重要な一つのまた柱になるだろうと思うのでありますけれども、その間のことについて政府考え方を、まず大臣からひとつその辺のことを御答弁いただきたいと思います。
  78. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) わが国農業が、御承知のように、最近特に米が過剰傾向であるということとうらはらに、畑作物の自給率が悪いと、こういう基本的な問題があろうと存じます。従来とも畑作についてはいろいろやってまいりましたが、やはり米との間に政策的にもバランスがとれない面があったのではないかということも、率直に反省をいたさなければなりません。したがいまして、土地改良等につきましてもかなり前向きに進めるようにしておりますし、あるいは価格政策、金融政策、引き続いて今回の共済制度改正によりまして畑作物対象とする、これは長年の懸案でございまして、特に私ども北海道では十数年来の懸案であったわけでございます。今回、ようやく試験実施を経て、本格実施段階になりました。これは、伸ばさなければならない大切な畑作振興に大きく寄与するものであろうと期待もいたしておるわけでございます。  そういうわけで、外圧いろいろむずかしい中に、畑作農業というものが健全に発展していくことが、総合食糧自給率の向上あるいはまた農家経済の安定という意味から言っても、ぜひともやらなければならない制度でございまして、そういう中にこれができますことは非常に意義深いことである、こう思いまして、積極的に取り組み、一日も早いこれが成立を経まして、来年四月からは実施に踏み切りたい、こう思っておるわけでございます。
  79. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私どもも機会あるたびに畑作共済中心といたしましての共済制度の拡充強化、これを主張してきたところでございます。それで、このたびこのような法案になって提出されたということについては、当局の努力は多とするものでありますが、しかし、現在、日本の農業の置かれております現状というのは、大臣提案理由説明の中にも、「最近における農業事情の変化に対応して、」云々ということがございますように、いろんな急激な、そしてまた大きな変化がございまして、その一番の大きな問題は、水田利用再編対策というこういう大きな問題と取り組まねばならないという、そういう中でこの実施をやはり急がれたということもあるだろうと思うのでありますが、いままでの農林省がとってまいりました食糧政策、農政というものがいろんな制度の面で米作に非常に偏っておった。  そういうことの強いこれは反省の上に立って、やはり今度の政策、共済制度中心といたしましての畑作に対する力強いてこ入れといいますか、推進策というものを考えていきませんと、水田利用再編成のために一時的に共済制度等も整えなければ総合的な対策ができないということで進める、まあ場当たり的な農政ということがよく言われるわけでありますけれども、深いこれは反省の上といいますか、今日までの農林省のとってまいりました農政の反省の上に立って、いまも大臣がおっしゃっておりましたけれども、総合食糧自給ですか、水田に、水稲に偏重したこういう姿勢から、総合的な、今日までも総合農政とかいろんな言葉は使われておったんですけれども、具体的にはそういう施策が実際にはなかったということで、場当たり的ではなくして、今度は本腰を入れてこの問題に取り組む一つの大きな柱として、これだけの農業共済制度実施に踏み切った問題といいますか、根本がそこにあるんだという、そういう強い決意の上に立ってのこのたびの施策だろうと私は思うわけでありますけれども、この間のことについて大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  80. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御指摘のとおりでございまして、振り返ってみますと、わが国の食糧というのは、戦時、戦後まず米がない、主食が国民に満足に配給されない異常な事態があった、長い間続いたわけでございますが、それに対応して米をということで、一生懸命土地改良なりあるいは価格制度なり、共済制度なり、米を中心にした農政であったことは否めない事実でありまして、結果として国民に十分の米が、主食が配給できるというだけじゃなくて、最近は過剰傾向になってまいりまして、この力を今度は畑作に振り向けなきゃならぬ、畜産に向けなけりゃいかぬ、あるいは果樹に向けなきゃいかぬということであろうと存じます。  そういう意味で、畑作に欠けておった共済制度ができたということはまさに時宜を得た政策であって、このことは必ずやこれからの農政の大きな柱の一つとなっていくであろうと、こう期待をいたしておるものであり、そういう意味でこの法案が一日も早く通り、省令その他政令等、これに基づく体制をしっかりしたものにして、来年四月からは来年の生産される畑作あるいは園芸施設も一緒でございますが、実効あるように、そして総合農政の一端を担わしたいものだと、こう思っておるわけでございます。
  81. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは前回の米の過剰であった四十三年、あのときから見ますと、それなりの工夫なり考慮なり、また、このたびのこういう対策が立てられておるというふうに私どもも理解するわけでありますが、それだけに、いままで試験実施をしてきておるわけでありますけれども、少なくとも五年なり、いろんな作物にしましても検討を加えてやろうということであったわけでありますが、こういう時勢になりまして、急遽いままで試験実施したことにもかんがみまして本実施に踏み切ったという、それはそれなりに評価をするわけでありますが、いずれにしましても、長期的に見ますと、いま大臣のお話しのように、総合農政という上から言って、畑作に対するこういう制度ができたということは大きな前進であったと言えるかもしれませんが、当面する現実の問題を見ますと、五十三年以降に水田利用再編対策というものがぶら下がっているわけでありまして、この問題に取り組むためには、これはもう相当農林省としても、国としましても、農民に対しての十分な対応策がなければこれは非常に大変なことになるだろう。去年から当委員会におきましても、いろんな論議がなされたところであります。  季節が参りまして、いまいよいよ田植え時期を迎えまして、それぞれ農家の方々は苦しい思いをし、やるせない気持ちを抱きながら農作業にいそしんでいるという現状でありますが、それでまずお聞きしたいのは、最近の調査で転作目標の現状ですね、去年立てました農林省のこの転作の目標、これはどういうふうに推移しておるかということや、現在つかんでいる範囲内で結構ですから、それから転作作物はどういう割合になっているかという、まずその辺、現在つかんでいる現状をひとつ御報告をいただきたいと思います。
  82. 小島和義

    説明員(小島和義君) 水田利用再編対策の実施状況につきましては、各都道府県とも、その内容についてはかなり厳しいものと受けとめながらも、その必要性については十分御認識をいただいておりまして、各県とも市町村を通じまして農家段階の配分、ただいまの状況では大体九九%農家段階まで達する配分を終わっております。一部おくれておりますのが関東及び近畿の主として都市近郊地帯におきまして、若干配分がまだ完了してないという地域がございます。作物の態様につきましては、現段階でまだ正確なことは申し上げかねるのでございますが、当初私どもが予想いたしましたように、麦類でございますとか、大豆のたぐいというのが比較的多うございますし、野菜につきましては、当初かなり多いのではないかという予想もございましたが、各県とも物別の過剰ということについてかなり警戒心を持っておりまして、思いのほか多くはなるまいというふうな予想でございます。  それから、いわゆる管理転作、農協に預託をいたしまして転作を進めるという方式につきましては、各県とも現在のところは自己転作を第一義的に考えておりまして、それがどうしてもできないという場合に、それを補完するものとして管理転作を行う、こういう考えのようでございまして、思いのほか現在のところは面積が多くはならない、こういうふうな状況でございます。ただいまちょっと数字的なことはまだはっきり申し上げる状況ではございませんが、概要、以上のとおりでございます。
  83. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私どもも去年から各地を回りまして、農民の方々といろんなお話し合いをしました。転作というのは非常にむずかしいといいますか、その土地基盤によりましてはいろんな困難がある。そういう中で、やはり現状の中で実施しなければならぬだろうということで、えらいみんな相談をし合い、県を初め市町村、それからまたそれぞれの部落で努力いたしているわけでありますが、畑作といいましても、その地域によって画一的にいきません。農林省としては全国の集計をいたしまして、麦が非常に多いようだとか、または大豆がどうだというようなことでありますが、各地域を見ますと、なかなかそううまくいかないわけであります。そういうことから言いまして、長期的に見て畑作というものを非常に重要視するということで、農災法というものの成立というのは私どもも非常に前進であると思うわけでありますが、当面する大きな水田利用再編対策というものを抱えておるということで、しかも、実施が明年であるということを考えますと、やはりここに一年のギャップがあるわけでありまして、それにまた統計的に見ますと、麦や大豆の方が非常に多いということが言えるかもしれませんが、各地域ごと農家単位で見ますと非常に苦慮しておる。  こういうことで、畑作共済につきましても限られた六作物ということでございますから、転作奨励作物との間にも一つのギャップがあるという、四十万ヘクタールの生産調整に対しての十分な配慮も今日まではしておるのだということで一生懸命説明はいたしておりますけれども、少なくとも法律の精神から言いましても、転作をしてもことしの気候も決して順調ではないと、こう言われておりますが、それらのものを考え合わせますと、やはりことし一年は共済制度がないわけでありますから、そういう中で畑作に転換させられる、そうしてまた、技術的にも十分でない、また天候不順のために思うような収量が十分でないという、こういうことになりますと、転作なさった方々が非常な苦境に立たされるんじゃないか。こういう問題については農林省としてもいろいろお考えになっていらっしゃるのだろうと思いますけれども、どうでしょうか。
  84. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) まず第一番目に、共済制度がことしから間に合えばよかったなあと思いますが、試験実施という段階もありまして、間に合わなかったことはまことに残念なことだったと思います。しかし、農林省としてはもう一、二年遅くなるのではないかという話もあったのですが、何としてもということで、一年おくれましたが、来年からできるようにいたした、こういうわけでございます。また、転作をされました人が、天候その他で十分の収入が得られないのではないかと心配される向きもありますが、われわれとしても、そういったことのないように、まず奨励金等四万から七万のものを差し上げれば、特殊な人は別としても、全般的にはまずまずそう劣らない収入になるのではないか。ことしは初年度でございますからそれぞれ厳しいとは思いますが、長期的に転作が安定的に行われるように最善の努力を払っていきたい。そうして、しっかりした全体としてバランスのとれた農政を確立したいものだと、こう思っておるわけであります。
  85. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 昨年、水田利用再編対策というのが発表というか、どうしても思い切った政策をしなければならないという、そういう段階で、私ども公明党としましてもいろいろ協議をいたしまして、現実は現実としてこれは見なければならぬだろう。しかし、これは余りにも大きい農民の犠牲を強いることになるのではないか、そういうことも考え合わせまして、やはりある程度時間を置いて、そしていろいろなものを整備をしなければもう無理ではないか。百七十万トン、四十万ヘクタールというこんな大規模なことをやろうというわけでありますから、私がここで長々申し述べるまでもなく、転作の条件としてはやっぱり共済制度も一つの大きな条件でありましょう。また価格安定対策とか、地域特産物の認定の制度とか、土地基盤整備、排水対策とか、圃場整備とか、こういうことに対する、十分な政策なくして、また農民との対話なくしてこれを強行するということは非常に無理があるのではないか。  精力的にこの半年の間農林省も取り組んで、先ほどの局長のお話ですと現在九九%ですか、そこまでいったということでありますが、しかし、現場へ参りますとやはりいろんな問題を抱えて、結局は農民が大きな苦悩に沈んでおるというのが現実だと思うわけであります。こういうことで、それをまあやむを得ない理由があったにしましても、一年早めてやったということに対しましてはそれだけのやっぱり政府には責任があり、この共済制度は来年からですから、できなかったらことしどうするかということでいま大臣もいろいろお話ございましたが、十分ひとつ配慮をいただきたいということと、さらにまたほかの施策につきましても、土地基盤の整備にしましても、また価格安定対策等につきましても、十分な対策を講じて、冒頭に申し上げましたように、いままでの農政のように水稲一辺倒というこういうのでなくして、総合食糧自給政策というか、こういう総合的な立場の上に立って安定的な食糧の供給ができる体制を着実に進めていくという、こういう大きな眼目の上に立ってこれを進めていかなければならない。  土地基盤整備にしましても、非常にお金のかかることですから、これはなかなか言うはやすくして整備というのはむずかしいことは私どもよくわかるわけでありますが、しかし、これだけの大きな犠牲を農民に強いる以上は、それ相応の政府も最大の努力をしなければならぬ、私はこう思うわけであります。そういう点について共済制度、これはできたわけでありますが、その他の諸施策、こういうものに対しての政府畑作振興という上からの今後の取り組み、大臣初め局長さんでも結構ですが、見解を伺いたいと思うのであります。
  86. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) まさにそのとおりでございまして、これから国民の総合的な食糧自給率を高めるという意味においては畑作は伸ばしていかなければいけないと。特に、米との相対関係において、伸ばしていかなければいかぬという問題がございます。そのためには、共済制度の早期実施ということももちろんでございますが、農業基盤、特に排水施設等がおくれているために畑作にかわれないというような実態が非常に多うございますので、一遍にはもちろんできませんけれども、積極的にこれに対応して転作が容易になるようにすると、あるいは価格についても、すでに価格政策のあります奨励金を価格そのものに取り込むというかなり思い切った政策は講じておりますが、この上ともバランスがとれるように、これまた一遍に急激な変化はできませんけれども、長期的にバランスがとれるように持っていく等々、全般の政策を通じて調和のとれた農業、すなわち米ばかりではないと、全体がよくなったという農政に一層の努力を図っていきたいと、こう思うわけでございます。
  87. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 個々の問題に入る前に、ちょっと二、三お聞きしたいわけでありますが、この三年なり、また過去のいろいろな実績を踏まえまして新しい制度ができるわけでありますけれども、大臣の先ほどお話の中にもありましたように、農業事情の変化というのは非常に急激でもございまして、共済制度の問題にいたしましても、今後取り組まねばならない問題というのは、これはいままでの試験を踏まえてこの制度の成立になったわけでありますから、今後の社会のいろいろな変化に対応しまして十分に対応策を考えなければならぬ。最近の農業は、私がくどくど述べるまでもなく、御承知のとおり非常に地域性の多様化、農業経営の集団化とか、それから地域特産物に対するこういう問題とか、非常に変化いたしておるわけでありまして、こういうものにまた対応する共済制度の取り組みというものも必要ではないか。今度のこの制度ができたということはもちろんいいわけでありますけれども、今後の共済制度のあり方として、農業の大きな変化の中で十分に対応できるような対処を十分に考えながら進めてもらいたいという、このような私どもは意見を持っておるわけでありますが、これについてはどうでしょうか。
  88. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農業共済制度昭和二十二年にできておりますから、すでに三十年の歴史を持ち、今日までもそれぞれの効果を果たし、またその間それぞれ逐次制度充実強化を図ってき、それなりの効果を上げてきたつもりでございます。今後におきましても内容充実改善等を図りまして、農業の大きな柱の政策として補償制度をしっかりしたものにしていきたい、こう考えておる次第でございます。  今回、園芸施設についても共済制度へ取り入れたというのは、そういうことで前向きにこの制度をやりたいという考え方からでございまして、今日までもそれぞれ努力はしてまいりましたが、この上ともさらに努力を払って、農業経営の安定あるいは農家経済の向上ということに資してまいりたいと、こう思う次第でございます。
  89. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ちょっとこの法案に直接は関係いたさないかもしれませんけれども、農業経営の今後のあり方としていろいろなことを考えなければならぬわけでありますが、その中の一つとして、農業経営にとって一番大事なのは労働力であろうと思うわけであります。これは、言を待たないことだと思うのであります。  農業災害補償ということも、この法律にうたわれておりますように重大なことはもちろんでありますが、作物に対する補償はもちろんでありますけれども、農業経営に当たっての労働力、農家の方々が希望を持って農業にいそしめるのでなければならぬわけでありますが、農業者の労災補償制度ですね、きょうはこの問題そんなに深くお尋ねしようという気持ちもないわけでありますけれども、大臣、これはもう述べれば長いこといろいろなことがあるわけで、労働省の方もお呼びしておりませんから概括的にお尋ねするわけでありますけれども、もう御存じのとおり、農業者の労災補償制度、これは非常に問題があって、ぜひひとつ改革をしなければならぬということは、今日までも言われてきておるわけでありますが、近代化によりまして機械化がどんどん進んで、農薬、そのほかハウス病とかいろいろな病気のために農家の方々が倒れるという、こういうことがずいぶん続いておると。いまデータをごらんになればよくおわかりのことだと思うのでありますけれども、この農業者の労災補償という、きょうは時間もありませんし、この問題を討議する場合でもございませんから詳しいことは私は述べませんけれども、ぜひ農業者の労災補償制度の拡充強化という、これに大臣ひとつ取り組んでいただきたいと思うんです。  問題点はいろいろ指摘できますけれども、個々の詳しいことは申し上げてもちょっとどうかと思いますので、概括的でまことに申しわけありませんけれども、まずこれをしっかりしていただかなければ、働く人がいなければ、作物がとれるとれないということの前に、まず一番大事なことだと思いますので申し上げておるわけですけれども、どうでしょう。
  90. 小島和義

    説明員(小島和義君) ただいまお話のございました農業者につきましての労災補償と申しますか、そういう制度についての必要性の問題提起というのは、かねがね私どもも各方面から承っておるところでございます。  ただ、先生も御案内と存じますが、ただいまございます労災制度というのは、基本的には雇い主がその雇っている人間に対する補償責任保険にかけているという制度でございますので、独立自営の農民の場合にはなかなかその制度のたてまえとしては加入しにくい基本的な制度の制約があるわけでございますが、数年以前から、特定の機械を利用して作業をする農業者につきましては、作業の態様が工場などの労働者とよく似ておるという事情に着目をいたしまして、限られた要件のもとではございますが、加入の道が開かれておるわけでございます。また、それはそれなりに農業者災害補償ということについて役割りを演じておるわけでございますが、同時に、農村の現実を見ますと、農協が実施いたしております各種の生命共済または傷害共済というものも広く行き渡っておりまして、これが農家の不測の事故につきまして、実質的な経済的なカバーをしておるという現状もあるわけでございます。  そういう二つ制度の仕組みの中におきまして、農業者独自の労災制度というものが一体仕組み得るのかどうかということにつきましては、私どもも内部的にいろいろ検討いたしておりますし、またその団体等の意向も十分聞きました上で、今後問題として検討を続けてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  91. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 現在の社会保障の推移というのは御存じのとおりでございまして、国民健康保険や国民年金、この農業者に対する年金、きょうも趣旨説明ございましたけれども、こういうものが充実されて、あらゆる団体、あらゆる階層、あらゆる立場の方々がこういう国を中心とする制度のもとに災害補償、その他年金、こういう社会保障が約束されておると。農業者の場合はなぜそういう制度の仕組みの中に入らないのか、これはまあいろんな議論のあるところだろうと思います。しかし、これは現実、答弁なさったあなたは御存じだと思いますけれども、問題点は幾つも指摘されるでしょう。  まず、さっき申し上げたように、雇用主として働く者に対してということですが、そうでありますと、これはもうごく限られた農家の方々のためのものであって、今度は機械に対しまして、機械だってちゃんと制限があるわけで、何でもいいというわけじゃないわけですけれども、こういうことでいろいろな制約があり、そういう掛金率を見ましても、両者の間では大きな差異があるということで、これは農林省としても、いま全体が社会保障ということについて充実しようという、こういうときです。農協を中心にして、団体中心にして進んでいるからということで済まされる問題ではないでしょう。年々また近代化の推進とともに、機械の事故やそのほかの事故がだんだんふえつつあるというのも統計上はっきりしているわけですから、これは単にやっているんで、まあ競合するからちょっと様子を見ておりますなんという、こういう時勢ではないと私は思うんですよ。  単なる説明というなら、私は聞きますけれども、これは大臣、単にこういう制度がございまして——制度があったって、これで実際この適用する農家の方というのはごく限られた範囲内のものであって、社会保障の充実ということが叫ばれる中にあって、農家の方々がだんだん——いままでは確かに機械化も進んでなかったし、またいろいろな面については、他産業から見てそういう災害なんということを真剣になって考えなきゃならぬという状況でなかったかもしれませんけれども、現在はそうじゃないわけでありますから、まあこれは農林省として取り組むべきことなのか、また労働省の範疇に入るのか、それはいろいろなあれがあるかもしれませんけれども、ぜひひとつ、この時代に即応した農業者の労災の問題について、大臣は強い関心を持っていただいてお取り組みをいただきたい、こう思うんですが、どうでしょうか。
  92. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 作物共済ももちろん必要でございますが、農家の労働災害というものも近年頻発をいたしておりますので、これらに対する措置といいますか、これのための特別の災害制度というものをつくるべきかどうか、この点については深い関心を持っておりまして、今後農業団体その他、保険制度の仕組み等いろいろ問題もございますので、十分研究してこの問題に対処してみたいと思っておるわけでございます。
  93. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 じゃ、十分なひとつ検討をお願いしておきます。  それじゃ、この法案の問題に入るわけでありますが、まず最初に、こういう制度ができるとどうしても運営のあり方といいますか、運営上どうなければならないかということが頭に最初に来るわけで、国がやるからといって赤字を出していいなんという——赤字といいますか、十分なこの保険制度の条件が整わないでいいというわけじゃ決してないわけでありますからあれですけれども、   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 危険度を余りにも厳しく見るということで、農業者の立場から見ますと非常に掛金率の高い、それでいざというときになると補償の少ないものになりがちだという、こういう不信感というものは、どうしても払拭し得ないものがあると思うんです。  最初にお伺いしたいのは、今日までの農業共済の組合及び連合会の財務状況はどういうふうに推移しているかということを、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  94. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 農業共済共済事業の収支状況でございますが、農作物共済につきましては、昭和五十一年度末で申し上げますと、組合等は六百三十三億円、連合会は三百七十億円の余剰でございます。政府特別会計は、五百三十二億円の不足になっております。  五十二年度末におきます収支の累計は、五十二年度が豊作であることもございまして、組合等は八百四十五億円、連合会は四百七十五億円の各余剰でございますが、政府特別会計は三百五億円の不足ということでございます。  蚕繭共済につきましては、組合等が十五億円、連合会が百億円、政府特別会計は十八億円の各余剰になっておりまして、最近におきます収支は、毎年大体順調に推移をしておるところでございます。  家畜共済につきましては、五十一年度末におきます収支の累計は、組合等は二億円の余剰、連合会は四億円の不足、政府特別会計は七億円の余剰ということになっております。最近におきます収支は、大体、若干の出入りはございますけれども、全体として見ますれば順調に推移をしていると見られます。  果樹共済は、五十一年度末におきます収支の累計は、組合等は十五億円、連合会は十一億円、政府特別会計は百二十二億円のそれぞれ不足になる見込みでございますが、この数字は、現在昭和五十一年度に引き受けましたナツミカン等の支払い関係は未確定でございますので、数字は若干変動をいたすかと思います。最近におきます収支を見てみますと、組合、連合会政府特別会計ともに、果樹共済の本格実施になりましてから毎年不足を生じておる状況でございます。
  95. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この共済事業を見ましても、非常に財務状況も悪化しているところもあるようでありますが、まず私どもは、この農業共済に当たりましては、第一条のこの法の目的であります「農業災害補償は、農業者が不慮の事故に因って受けることのある損失を補填して農業経営の安定を図り、農業生産力の発展に資する」という、こういう法の精神になっているわけでありますので、やはり財務状況というものも度外視して保険制度ができるわけはないわけでありますけれども、とかく今日まで政府主導といいますか、政府の立場に立ってこの運用というものがなされるという、こういうことじゃなくて、先ほど来冒頭大臣もいろいろ話しておりましたように、今度の畑作振興というのは、単にこういう制度ができたというんじゃなくて、日本のこの総合食糧自給体制の上からいって画期的なことであって、これによって今後の日本の畑作振興、また全体の形態というものを維持していこうというわけでありますから、この法の精神にのっとった運用のあり方、今度のこの法案をつくるに当たりましても、この点は十分に配慮して取り組んだのだろうと私は思うわけですけれども、とかく農業者の立場からしますと、今日までのこういう共済制度というのは政府団体の主導のもとにつくられる、こういう非難がどうしても出るわけです。  それは一つには、いろんな被害に遭ったときに補償するということは、それは自分自身が掛金を掛けておるわけでありますから、それはいざ自分が被害を受けたときに、災害を受けたときに、やっぱり現在までの農家収入に見合うといいますか、それに相当する補てんというものがなければ、この法の精神からいいましても、またこの共済制度のあり方にいたしましても、非常に現実にそぐわないと言わざるを得ない。こういう点で、どっちをどういうふうにバランスをとるかということは非常にむずかしいことだと思うのでありますが、今度のこの畑作共済、また園芸施設共済をつくるに当たりまして、こういう点をどういうふうに勘案してこの法をつくるに当たりまして配慮をしたのか、非常に抽象的な言い方で申しわけないのですけれども、まずそこらからちょっとお聞きしたいと思うんです。
  96. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 今度の本格実施に当たってどういう配慮のもとに制度を組み立てたのかと、こういうお話でございますが、御存じのように、試験実施の場合におきましては共済目的もバレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜、サトウキビの作物でございましたけれども、今回はその試験実施の六作物に加えまして、今後政令で必要なものは追加指定ができるというふうな制度にいたしたわけでございます。共済金額につきましても、従来の付保割合は四割から六割でございましたけれども、本格実施の場合におきましては引受割合は、バレイショ、てん菜、サトウキビ、大豆につきましては八割、小豆、インゲンにつきましては七割、こういうことにいたしたわけでございます。さらにまた、共済掛金の国庫負担につきましても、試験実施の場合の交付金は三割でございましたけれども、畑作物につきましては六割、園芸施設共済につきましては五割というふうに、これを大幅に引き上げたところでございます。  共済金の足切りにつきましても大体二割、三割というふうに、従来の足切りよりさらに引き下げておるところでございます。また、国の再保険につきましても、連合会保険責任のうち異常部分の七〇%を再保険するということでございましたが、今回の本格実施につきましては、連合会保険責任のうち異常部分の九五%は国の再保険に付するというふうに、制度内容につきましては農業関係団体あるいは県さらには農家の方々につきましての御要望を吸い上げて、そういう形で仕組んでおるわけでございます。今後の運営に当たりましては、先生御指摘のような趣旨に従いまして、この制度の適正な運営を図ることによって曲富家の農業経営の安定、農業所得の確保という目的を達成するように努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  97. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まだ試験実施から本格実施に至ります間にいろいろな論議があったろうと思うのでありますが、そこで、現在あります制度に対して、新しくできるものとの対比ということでどうしても比較されるわけでありますけれども、それは農作物共済にあります麦とほかの畑作物、今度六品目、こういうものが比較としてもなるわけで、恐らくいろいろな検討の段階では畑作共済というものをどこまで農作物共済に近づけるか。麦は、これは水稲と違って畑作物と見るべきなんでしょう。そうであれば、当然同じような形態にすべきじゃないかという論議になるわけでありますけれども、特に北海道では輪作体系の中で一番重要な作物として、こういう観点からしまして畑作物共済というものは麦並みにすべきだという、こういう論議はどうしても出てくるのは当然だと思います。こういうことで、今後の畑作共済につきましては、現状についてもいろいろな論議があって今日こういうものができたのだろうと思いますけれども、ここらあたりの畑作共済農作物共済にできるだけ近づけるという努力、またこういう考え方については農林省としてはどういうように考えていらっしゃるかということをひとつお聞きしたいわけであります。  それから農災法全体の中で、農業災害補償法のこの法律の中で、畑作物共済というものはどういう位置づけになるのかという、こういうこと等もこれは十分に論議をしなければならぬことであり、私どももまた承知しなければならぬことだろうと思うのですけれども、農林省としてはこの問題についてはどういう経過をたどり、またお考えの上で今回のこの法律をおつくりになったか、その辺ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  98. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 私たち畑作物共済を仕組みます場合に、これをどういう形で仕組むかということにつきましては、農林省自身におきまして研究会を開きまして、その試験実施のいろいろの検討結果を踏まえて、十分議論をしてまいったところでございます。また、党の方におきましても小委員会を設置されまして、そこでいろいろ議論をいただいたところでございますが、私たちは今回の本格実施におきます内容といたしましては、それらの御要望を大体おおむね満たしておるものであると考えておるわけでございますが、たとえば国庫負担をとってみましても、畑作物につきまして国庫負担の割合を幾らにするかということは、実は財政当局等の折衝において非常に重要なポイントであったわけでございます。  私たちといたしましては、現在の時点においては畑作物共済実施をいたしますことは、先ほど大臣からも申し上げましたように、畑作を今後振興していくという観点から、どうしてもこれは農作物並みの国庫負担をなすべきものであるという考え方で強い主張をいたしたわけでございます。その結果、御存じのように、米と麦と並びます六割の国庫負担ということになったわけでございます。園芸施設共済につきましても、当初園芸施設共済の有利性等を挙げまして、家畜、果樹並みということがなかなか問題であったわけでございますが、資産共済としてこれを同列に置くべきだということで、果樹並みの五割というところに持っていくことができたわけでございまして、先ほど大臣も申し上げましたように、畑作振興はただ単に共済だけでできるものではございませんで、基盤整備の推進なり、あるいは相対価格の問題なり、全体的な問題の施策の推進が必要であると思いますが、その中におきまして畑作物共済は、先ほど先生がおっしゃられましたような農業災害補償法の第一条の目的に沿うように、制度をさらに運用をするように努めてまいる所存でございます。
  99. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほど答弁の中で、六作物が今度はできたわけでありますけれども、今後のことについては政令で指定するんだというお話ございましたけれども、これはいろんな経緯の中で六つになったんだろうと思いますが、その他のものにつきましても非常に農民の声は大きいわけでありまして、ほかのものについてもいろいろ検討していると思うんですが、どうしてもこの法律の実施が来年ということになると、その後に政令でということで、非常におくれるんじゃないかというそういう危惧も一つはあるわけですが、現在農林省としてこの六作物対象のほかに考えているのはどういうものがあるか、それらのものを政令で指定して実施するということになると、どのぐらいの時間的な経過を必要とするのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思いますが。
  100. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 政令指定の問題でございますが、政令でどのような作物を指定するかという問題は、一つは政策的な必要性ということはもちろんでございますが、そのほかに実は保険設計が仕組めるかどうかということの具体的検討が必要でございます。保険設計が仕組めるかどうかということの観点は、一つは全国的な危険分散がどのように図られるであろうかということと、それから共済需要が継続的にといいますか、一定のレベルでといいますか、あるのかどうかという問題、それから料率設定ができるであろうかと、それから引き受け及び損害評価方法をどうするかという、そういう保険設計が仕組めるための要素というものがございます。したがいまして、私たちといたしましては、現在地域特産物の調査の一環としまして茶及びホップ、それからたばこ、イグサにつきましてそれぞれ主産県において調査を行っておるところでございます。また、キャベツ、レタス、白菜の露地野菜につきましては、昭和五十二年から保険設計に必要なデータを収集するための調査を主産県で行っておるところでございます。飼料作物だとか、なたね、ソバ、落花生、カンショ等のその他の畑作物につきましては、昭和五十三年から保険需要等の調査を主要県において行うこととしておるところでございます。  したがいまして、これらの調査をできるだけ急ぐことはもとよりでございますが、先ほど申し上げましたように、料率設定を行いますためには、ある一定期間被害状況をつかまえませんと保険設計ができませんので、一、二年行ったから直ちに政令指定ができるというものではございませんが、茶及びホップ等につきましては相当以前から調査をいたしておりますから、これらの作物についてはできるだけ速やかに結論を得るようにいたしたい。また、その他の作物につきましてもできるだけ調査を急いで、その結論を得次第、政令指定に追加するように取り扱いたいと思っております。
  101. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 わかりました。  このたびの畑作物共済は、どちらかと言うと北海道のような広範な地域畑作をしております品目、まずこういうところから早く決めませんと、これは今度の減反政策ともあわせまして非常に大きな問題になるわけでありますから、急がなければならないというか、いままでの経緯ももちろんありますけれども、こういう大きな面積、日本の畑作全体で見ましても、耕作面積の大きい作物からいままでのデータのあるものについてお取り組みになったのだろうと思いますけれども、そうしますと、ほかの作物にしますと、今回入りました六品目以外のものについてはそれほどの大きな作付面積もない。こういうことで、どうしてもいろんな検討とか調査とかいうことで後々になるのじゃないかという心配もあるわけですけれども、そういうことのないように、先ほど来大臣が何回も繰り返して言っておりますように、畑作に対しましては異常なまでの情熱を燃やして取り組んでいこうというわけでありますから、ひとつ積極的に調査検討の上、早急に他品目につきましても政令で指定をして、共済制度に乗っけるように要望いたしておきたいと思うのであります。  次は、大体バレイショとかインゲンとか今回の六品目、主に北海道を中心にして試験実施をしてきたわけでありますが、バレイショというと、東京から見ますとバレイショということしか頭に浮かびませんが、北海道では一つのバレイショが加工用とか食用とか種子用とかいろんなものに使われる。その数量も非常に大変な数量になるわけでありますし、またインゲンにおきましても、収穫期のことで、収穫期とか価格とか、こういうものとの兼ね合いもありまして、当初北海道でもいろんな論議があったんだろうと思いますけれども、キントキとか手亡とか、こういうふうに分けてもらいたいとか、農林省のコンクリートの壁の中におりますと、インゲン、バレイショと、こうでしょうけれども、北海道に参りますとこれは多種多様で、現実というものはもっと真剣に検討しなければならない問題だろうと私は思うのです。しかし、あれもこれも一遍にはこれはいかない、なかなかこれは容易なことではないと思いますけれども、現在こういう形になって法案が出てきたわけでありますが、こういう北海道の強い要望、こういうものについて十分に検討した上でこのたびのこういう法案になったのか、また今後こういう問題についても十分に検討しなければならない課題という、こういうふうになっているのか。その辺はどうなんでしょう。
  102. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) おっしゃるとおり、バレイショにつきましても用途別の特性がございまして、加工用、食用、種子用というふうに分かれておりまするし、用途ごとに代表される品種もそれぞれあるわけでございます。したがいまして、共済目的の種類の細分につきましては、試験実施の経験を踏まえまして、バレイショにつきましてもおっしゃるように、用途により価格がかなり違いますので、加工用、食用、種子用に区分し、また植えつけ時期によりまして収穫期が異なりますから、春植え、秋植えというふうに区分して行うことを考えておるわけでございます。また、インゲンにつきましては、品種によりまして価格や収穫時期が異なりますから、手亡類、キントキ類というふうに区別をしてそれぞれ共済目的の種類ごとに共済金額その他を決めるように、その点は十分その地方とも打ち合わせをしながら、きめ細かく対応をしていくというふうに考えておるところでございます。
  103. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、現在ございます果樹共済ですね、これも果樹地帯からは大変な要望といいますか、強い要望があってできたわけでありますが、ところが現状を見ますと、先ほどの財務状況を見ましても、果樹共済については非常に苦境にあるといいますか、振るわない、そういう状況がうかがわれるわけでありますが、私どももいろんなデータをいただいておりますから一々数字とか何か申し上げませんけれども、非常に加入率が低い。収穫共済が二二・四%、樹体共済が八・二%ですね。これは私ども現地でいろいろな話は聞いておるんですけれども、農林省としてはこれをどう受けとめて、これに対する対策をお考えでしょうか。やっぱりこういう制度が望まれながら進まないというのは、大きなこの共済の中に欠陥がある、こう見なきゃなりませんし、その取り組みのない限り、どんなに啓蒙宣伝といいましても、いいものならやっぱり月日のたつうちに加入者もふえるわけでありますから、この果樹共済、これをどういうように農林省としてはお考えになって、今後の取り組みについてお考えになっていらっしゃるのか。農家の方々に聞きますと、いろんな現実にそぐわない諸問題を提起をいたしております。いま一々、私、申し上げませんけれども、農林省の考え方をまず聞いておきたいと思いますが。
  104. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 果樹共済の五十二年度の加入率を面積で見ますと、年々上昇をしておりますものの、御指摘のように収穫共済では二二・四%、樹体共済では八・二%というふうに、一般的に低位にとどまっておるわけでございます。まあ樹種によって違いまして、ナシなどは四五・四%と、それからリンゴが三六・八%とわりあい高うございますが、温州ミカンで見ますと一九・五%というふうに低くて、樹種によって加入率に差が見られるわけでございます。しかし、一般的には非常に低位にとどまっておるわけですが、これは一つは制度発足後なお日が浅いということもございまして、制度の仕組みや内容について、果樹関係者や農家に十分理解されていないということにあるのではないかと思いますが、樹種によりまして加入率が相当違うということは、一般的に果樹は御存じのように、産地間あるいは農家間において栽培形態や栽培技術等にかなりの格差がございますために、いろいろと農家の加入意欲ということにも差が見られるのではないかというふうに思われるわけでございます。  私たちの調査をしてみまして、農家一般組合員が一般的にどういうことを問題にしておるのであろうかということを項目だけを申し上げますと、一つは共済掛金率が高い、それから第二は足切り割合が高い、第三は引受単位が園地単位になってない、それから第四番目は共済責任期間が長い、それから第五番目は無事戻しが行われていない、六番目は基準収穫量が低い、七番目は当該年の価格が反映していない、八番目は付保割合の最高限度が低いと、こういうことが農家の側から問題として指摘をされておるわけでございます。もちろんこれにはいろいろな理由がございまして、制度としてもできるものとできないものがありますが、組合の方からの御指摘の事項としてはそういうことでございます。  そこで、私たちはなぜそういうことであろうかということもいろいろ検討をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、制度ができましてからなお日が浅いということを別にいたしまして、一番大きいいろいろな要素は、実態面で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、地域により、あるいは農家により、果樹につきましては栽培形態、栽培技術が相当幅があるということが、一つの大きな要素ではないだろうか。それから第二は、事業実施体制の整備強化問題というのが第二に挙げられると思います。それから第三は、先ほど申し上げましたように連年の異常事故に見舞われましたために、組合、連合会においてそれぞれ赤字を抱えております。国におきましても、昭和五十二年度予算を除きまして百五億という相当な赤字を出しておるわけでございます。そういうふうな赤字を抱えながらなおなぜ農家にそれが喜ばれないのかというところが、一つ非常に大きな問題点であろうかと思います。  したがいまして、私たちといたしましては、先ほど申し上げましたような実態面についての問題点をさらに洗い出しますと同時に、制度的にも問題がどこにあるのかということを、今後十分検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  105. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまお挙げになった諸問題は、私ども地元へ行きまして確かに聞くことでありまして、確かにこの果樹共済は非常に多難なときに発足して、経験も浅いということもあるかもしれませんけれども、しかしそれはそれなりにひとつ対処しなければならぬ。一番農家の方々、掛金の割りにやっぱり足切りのことを言われるわけでありますけれども、これもぜひひとつ実態の把握とともに、今日まで経験を経てきたわけでありますから、先ほどお話あった、それら全部一遍にはいかないかもしれませんけれども、改善の努力はひとつしてもらいたいものだと思うんですね。  それと、現在とられております農単方式、やっぱり農家の方々に規模の大小、いろんな問題点のあるのは十分私どももわかるわけでありますが、あるいは地方を回ってみますと、樹園地単位方式ですね、こういう形でしてもらいたいという声が非常に強いわけですけれども、現在のこういう体制の中で一遍にこういうわけにはいかないかもしれませんが、並行して、並設といいますか、それぞれに長短あるわけでしょうけれども、やっぱり現実に即したもっと制度そのものをやっぱり考えていかなきゃならないんじゃないかという、こういうことも非常に感ずるわけです。確かにPRも、これだけの年数を経過した割りにはよく認識されてないという面もあるようなんで、やっぱり農林省としても、せっかくつくった制度が十分に生かされないということではこれはなりませんし、いままで稲作をやっておった、それを転換して果樹にしたところもたくさんございまして、それだけに果樹共済というものもただ果樹のための果樹共済ということではなくして、先ほど来大臣のお話のありますように、総合的な農業政策の中で重要な柱としてやっぱり果樹共済の根本的な対策、検討、これはぜひひとつ取り組んでいただきたいと思いますが、どうでしょう。
  106. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) まず第一に、果樹共済の足切りの割合の問題でございますが、この足切り割合を現行より引き下げるということは、共済金の支払いチャンスを増すということでございまして、これは農家にとって非常に利益になることでございます。しかしながら他面、足切り割合を下げますということは、国の負担がふえることは、これはもとより当然のことでございますが、農家の負担もある程度はふえていくわけでございます。したがいまして、足切り割合を下げますと共済金額をもらうチャンスはふえますけれども、一方、掛金が上がっていくという一つの農家にとりましては相反する事項がございますので、その辺の調和をどこに求めるかということは、これはなかなかむずかしい問題でございます。現在の農家の負担をそのままにして足切り割合を下げられればこれにこしたことはないのですけれども、なかなかそういうぐあいにもまいらないという要素もございます。  しかしながら、果樹農家の経営の安定を図る観点から補償の充実を一層図るべきではないかという御主張は、まことにそのとおりでございまして、今後農業団体等とも連絡をとりながら、果樹共済問題点の所在につきまして十分究明をいたし、運営改善し得る点は積極的に改善を図ってまいりたいと思っております。また、制度的な問題も含め、さらに検討を続けていきたいと思いますが、御指摘の問題につきましても、今後真剣に検討をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、御指摘の第二点でございます園地単位方式の問題でございますが、私たちは現在の果樹共済は農家単位の全相殺方式を採用しておりまして、これは農家ごとに経営的に見た損害を合理的に補てんするという観点から見れば、最も適当な方式であるというふうに考えております。園地単位方式の場合におきますと、園地ごとの損害について補てんしますから、共済金を受け取る機会は多くなるかもしれませんけれども、農業経営上余り効果のない零細な共済金を受け取る。そうすると、何回も共済金を受け取りますが、こんな小さい共済金では何だというふうな話も片一方また出てまいりますものですから、そこのところが非常に問題ではないかというふうに考えております。ただしかし、一方、大規模の専業農家等の中には、共済金を受領する機会が非常に少ない等のために、園地単位方式について御要望もございますので、この点につきましても農業共済団体等とも連絡をとりつつ、制度の仕組みについて今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  107. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 規模の大きいの、小さいのを全部ひっくるめてここで議論するわけですから、なかなかむずかしいことなんで、そういう段階的といいますか、ある程度どのぐらいの耕作面積についてどうというふうに話しなきゃならないのかもしれませんが、しかし、いま局長のお話のように、これは一つの大きな検討課題でもございますし、樹園地単位方式ということについての希望の声も非常に大きいわけなので、御検討いただきたいと思います。  私は、やっぱりせっかくできた果樹共済、私もずうっと農水委員会災害対策特別委員会におりまして、災害の起きるたびに、何の補償もない果樹農家の方々に対して、このままではならぬということを痛感いたしておりまして、まあ試験段階を経てこういう本実施になった、実施することになったわけでありますが、しかし、いざ発足してみますと非常に加入率が低いという、それにはいろんな問題点の先ほど御指摘もありましたけれども、いずれにしましても、収穫共済で二二%、樹体共済で八・二%ということですから、この数字だけ見ておしなべて判断するわけにはいかないかもしれませんけれども、ただ、足切りを少なくするともらうチャンスは多くなっても負担が大きくなるぞという、そういう論理じゃなくて、やっぱり果樹共済に農家の方がこれはいいもんだということで、入りやすいといいますか、十分に理解して加入者の多くなる——PRも大事ですけれども、実態がやっぱりこれに即してなきゃならぬだろうという、こういうことを痛感しますので、お話を申し上げているわけなんで、その点ひとつ十分に御検討いただきたいと思います。  次は、園芸施設共済ですが、これも私どもあっちこっちいろんなものを見ましても、大きいところ、小さいところ、いろんなところがございますので、短時間の中で総括的に申し上げるというのはなかなかむずかしいことですが、現在、共済に対しましては、国庫負担限度額というものも相当財政当局との交渉の中で、今日のこの制度をつくることになったと思うわけですが、いかんせん、最近は施設園芸というのは、非常に、だんだん大型化し、そしてまた装置化といいますか、新しいものがどんどん取り入れられている、こういうことで、相当国もそういう変化に対応して財政的にめんどうを見ませんと、これはやっぱり実態にそぐわなくなるのではないか、こういうように思うわけです。  損害評価のあり方にしましても、なかなかこれはむずかしい問題だろうと思うんでありますけれども、施設園芸、これは全国各地のいろんな地理的条件の中で行われておるわけでありますから、むずかしい面は私どもも十分にわかりますけれども、せっかくその地域に合った、そしてまた農家としていままで稲作を中心にしておりましたものを、施設園芸、またより反収を多くするということで農家が努力して一生懸命やっているわけでありますから、そういう農家の努力の芽を摘むようなことのないように、国も十分なバックアップをしてあげるべきだというふうに私は思うわけです。この施設園芸につきましてもいろんな問題点はあるんですけれども、総括的にこの今後の運用、こういうものについて農林省としてはどういうふうに考えて、また今後の取り組みについてもいろいろ御検討なさるんだろうと思いますけれども、ちょっとこの施設園芸全般についての総括的なお考えをお聞きしたいと思いますが。
  108. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御指摘のございました第一点の園芸施設共済におきます掛金国庫負担の限度を一千万円では低いので引き上げるべきではないかというふうな趣旨でございますが、園芸施設共済におきます共済掛金国庫負担の対象共済金額の限度をどこまでにするかという問題は、一つは、きわめて企業的な経営になっております非常に経営規模が大きい企業的な経営にまで、通常の施設園芸農業者に対しますと同様に国庫負担をするということは、これは問題ではないかというふうに思いますが、その限度額は試験実施期間中は一千万と決められておったわけでございますが、これをどうするかにつきまして、いろいろ農林省での制度研究会においても論議になりまして、最近の施設の大型化、資材価格の高騰等を考慮しまして、試験実施におけるよりもこれを引き上げる必要があるという指摘がなされております。したがいまして、現在の農家の園芸施設の規模でありますとか、あるいはまた価格等を考慮いたしまして、妥当な金額までこれを引き上げたいというふうに考えております。  それから、共済制度が適正に運営されますためには、現場の損害評価員、共済の連絡員等の方々の任務はきわめて重大なものでございまして、この方々には日ごろ非常な御努力を願っておるところでございます。御承知のように、損害評価員とか、共済連絡員の活動の基礎にはいわゆる共済相互扶助の精神が存するではないか、したがって、通常の手当というふうな考え方をとるべきでないというのが、財政当局の一つの根拠になっておるわけでございますけれども、私たちはそういう方々の非常な御苦労に報いますためにも、その手当をできる限り引き上げたいということで、この一両年努力をしてまいったわけでございますが、なお非常に不十分でございますので、これらの点につきましても、今後十分努力を重ねてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  109. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 園芸施設共済では、非常に画期的といいますか、異常災害発生した場合には全額国庫負担という、こういう制度を今度考えたわけですね。これは園芸施設共済はそれなりの理由があるだろうと思うのですが、畑作物共済についても激甚災の指定といいますか、やはりそういう災害を受けたときには全額国がめんどうを見るという、こういう制度はできなかったのかどうか。これは災害のときには、いままでですと、共済制度のないときには融資を受ける以外にないわけで、現在畑作農家がどれほどの負債を背負ってきゅうきゅうとしておるかという実態は、よく御存じのとおりであります。  災害を受けたとき、共済に入ってそして掛金を掛けておるわけでありますけれども、それだけにこの畑作共済につきましても、この激甚災害適用を受けるというそういう異常なものについては、やっぱり考えるべき問題ではないかというふうに私も思うわけでありますが、こういうこともこの法案作成については十分に御検討あったのかどうか。これは、国の負担が非常に多くなると言えばそれまでのことでありますけれども、考えられないことなのかどうか、その辺、ちょっとお伺いしたいと思うのですが。
  110. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 園芸施設共済におきます異常事故方式と言いますのは、非常に広範囲に甚大な被害をもたらす超異常の大災害異常事故といたしまして、それによる損害については、共済団体等責任全額国が再保険をいたしまして、事業の安定的な運営を確保しようとするものでございます。したがいまして、異常事故というのは、これが一度発生をいたしましたときは、連合会区域では危険分散機能が働かない。このために共済団体等に回復しがたい事業不足金が生じまして、その事業が継続することができないおそれがあるという、そういう損害として省令で定めます一定基準以上の地震暴風雨による災害を定めるということに考えておるわけでございます。  これらの異常事故具体的基準につきましては、先ほど申し上げましたように、共済団体等事業運営の安定性の確保、それから全額保険方式のもとで適正円滑な損害評価実施できるというように、その発生の頻度なり、発生した場合に予想される被害状況なり、それから共済団体事業収支に及ぼす影響なり、それから損害評価等を十分検討して決定をすることにいたしたいと思っておりますが、先生御指摘の激甚災の指定は、これは何と申しますか、これを即ここへ持ってくるというふうには考えておらないわけでございます。御存じのとおり、激甚災の指定を受けましても、全額国庫補助になるわけのものではございませんし、また、天災融資法その他におきましても全部国がめんどうを見るという、そういうたてまえではございません。したがいまして、激甚災とこれを結びつけて運用するということにつきましては、問題があろうかと思います。  この制度としましては、先ほど申し上げましたように、連合会区域では危険分散ができない、それをほうっておいたのでは共済団体等において事業の継続ができないという、そういうことの場合におきまして、これを全額国責任を持つというふうに考えておるところでございます。
  111. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今度のこの園芸施設共済で「気象上の原因(地震及び噴火を含む。)」ということは、去年のあの有珠山の爆発等にかんがみましても時宜を得たものだと思うのでありますが、この「共済事故」というのはいろいろなことが考えられるわけで、今度はお役所としては非常に画期的な「航空機の墜落及び接触」なんということまで入れたということは、よくここまで——いままでこういうことがあったのかどうか知りませんけれども、また「航空機からの物体の落下」という非常にきめ細かにあるわけですが、今度この園芸施設共済につきましては、施設及びその付帯施設や、中の農作物まで見ようということでありますから、当然いろいろな事故想定されると思います。たとえば停電のようなことがありますと、温風機やなんか故障するということになって、これはまた中の畑作物に大きな被害、影響を及ぼすということですから、当然これは共済事故の中に入るのだろうと思いますが、気象上の原因で一番事故が起きやすいのは、東北、関東ですと、やっぱり雪と風、突風というやつだろうと思いますが、風なんかについてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。何メートル以上とか……。
  112. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 共済事故につきましては、私たちは自然災害によって起こります共済事故は大体全部拾ったつもりでございます。したがいまして、先ほどのような風などにつきましては、「風水害、ひよう害その他気象上の原因による災害、」ということで含まれていくわけでございます。停電の場合におきましても、それが災害によって起きました停電でございますれば、当然共済事故というふうに考えております。
  113. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 要するに、風速とかなんかじゃなくて、風のためにその施設が壊れたということであれば対象になるということですね。
  114. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) さようでございます。
  115. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 次は、家畜共済のことにつきまして、いろいろなことがあるんですが、もう時間もございませんから一点だけ申し上げておきますが、家畜診療施設の法的位置づけにつきましては、これはいろいろいままでも問題になったところだと思いますが、今回の改正案で、組合等及び連合会は「定款等の定めるところにより、家畜共済に付した家畜の診療のため必要な施設をすることができる。」ものとするとともに、「その事業に支障がない場合に限り」、家畜共済に付していない牛、馬または豚につきこの施設を利用させることができるというふうに明確化させるものになっていますけれども、まずお伺いしたいんでありますが、この家畜診療所をめぐる問題は従来からいろいろ指摘されているわけですけれども、これを受けて農林省では、昭和五十一年の五月、農業共済団体等に係る家畜診療所の経営問題に関する検討会、これを設置し、その後その検討会においては数回に及ぶ検討がなされて、五十二年の三月二十八日に検討結果の報告書が提出されて、その報告書の中に「家畜診療所の制度的位置付け」というところがあるわけですけれども、その内容は、結論的に言うと、「家畜診療所の制度的位置付けは農業共済制度の運用に関する重要問題でもあるので、畜産振興行政ないし家畜保健衛生行政とも関連づけつつ、引き続き検討することが必要である。」と、このように指摘しているんですね。  具体的には、今回の改正においてこの問題に限って見送ることとして、引き続き検討せよと言っているわけですけれども、これを、急いでというか、こういうふうになっているにもかかわらず、今回こういう法案に盛り込んだという理由、これはどういうことなんですか。
  116. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 五十一年度におきまして、御指摘のように、学識経験者にお集まりをいただきまして、農業共済団体等の家畜診療所の経営問題について総合的に検討いただいたわけでございまして、五十二年三月二十八日に検討結果の取りまとめをいただいたところでございます。その検討結果の中におきまして、産業動物診療のあり方との関連で先生御指摘のようなことの結論を得ておるわけでございますが、その後一年間私たちは畜産局とも協議をいたしまして、その設置につきましての問題を検討いたしたわけでございます。  なお、従来からも日本獣医師会等々につきましては、いろいろそういう問題につきましてお話を申し上げておったところでございまして、その後五十二年十二月におきましては法制化に賛成であるというお話も承ったわけでございまして、一年間の検討の結果、現在のような法制を仕組みますことの結論を得た次第でございます。
  117. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今回の改正案は、九十六条の二の二に、共済の家畜診療所が未加入家畜の診療を法制化しようとしておりまして、この場合、「組合等は、その事業に支障がない場合に限り、」ということで一定の枠をはめて、野放図に診療ができないように配慮しているということは私もわかるわけですが、しかし、それでもなお今回の改正案に対しては、獣医師の中にも強い反対の声があるということは農林省もおわかりだと思いますが、その理由は、現在でも共済の家畜診療所と開業獣医師との間にいろいろなトラブルが発生しているということで、こういうことがなければこんな反対の声が出ないわけであります。  人数が多いとか少ないとかということは別にして、こういう事実については当然農林省も御存じのことと思うんでありますが、私、ここにありますけれども、ある県の農業共済連が公開の席上で発表したことのある「人件費上昇に対処して採った四九年度の収入増額方策および、今後の方策」と題する発表資料があるんですけれども、その中に、「支出の節減による人件費アップ分の確保について」という項目のトップに、「診療補填金、嘱託獣医師の支出軽減を図るためのシェアの拡大」という、こういうことが書かれているわけですね。診療補てん金とか嘱託獣医師費というのは、共済制度に基づいて、開業獣医師の中から指定獣医師とか嘱託獣医師を置くことになっているが、これらの獣医師が、加入家畜を診療した場合に共済の方から支払われる診療費の支出をできるだけ抑えるために、家畜診療所の診療シェアを拡大しようという、こういうことだということになると、これは明らかに家畜診療所とこれら開業獣医師とのトラブルの発生の原因になるということは、これは当然考えられるわけですね。  現在、獣医師は、それぞれ非常に苦境の中にあるものですから、それぞれの立場で自分のシェアを拡大しようとする、一方ではそうされては困るという、そこにトラブルの原因があるようなんですね。あるところでは、こういうことを公の席上で、こういうふうにしようじゃないかということを話し合っておるということです。しかるに、今回のこの改正においては、未加入家畜の診療まで共済の家畜診療所が診療できるように法制化することになっているわけですけれども、これらのトラブルはますます増大し、法制化による効果よりも問題の方が多くなるんじゃないかという、こういう危惧も持たざるを得ない面もあるんですね。  こういうことを考えますと、ただ大多数は賛成してくれたからこういうふうに法制化したんだということでありますけれども、一部といえどもそういう声があるということについて、農林省はどういうふうにこれをお考えになっていらっしゃるか、ちょっとこれをお聞きしたいと思うんですが。
  118. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 農業共済団体等の家畜診療施設の設置根拠を今回明らかにするということをいたしたわけでございますが、これについて一部開業獣医師の間に異論があるということは、私は十分承知をいたしております。  その異論を要約して申し上げますと、一つは、設置根拠を明らかにするということを契機にいたしまして、農業共済団体等が家畜診療施設の増設を推進していくと、それによって開業獣医師を圧迫するのではないかというのが一点かと思います。それから第二は、設置根拠を明らかにすることに伴いまして、農業共済団体等の家畜診療施設の獣医師に対しまして、人件費国庫負担の道が開かれることになるのではないかと。それから第三点は、いわゆる員外利用の規定は、農業共済団体等の家畜診療施設が非加入家畜の診療を積極的に行おうとするものであって、開業獣医師の診療対象を侵害することになるのではないかという、要約をいたしますればその三点に相なるかと思うわけでございます。  これに対しまして農林省といたしましては、今回のこの改正農業共済団体等の家畜診療施設の設置根拠を明らかにするにすぎないので、その家畜診療施設の設置をそれによって推進しようとするものではございません。そういうふうには考えておりません。それから、第二点の農業共済団体等の家畜診療施設の獣医師の人件費について国庫補助をするのではないかということでございますが、そういう国庫補助をすることを考えてはおりません。それから、第三点の員外利用の規定でございますが、これはその地域に他の診療施設がない場合でありますとか、あるいは急患が発生しましたような場合等において、農業共済団体等の家畜診療施設に余力がありますときは、節度を持って非加入の家畜についてもこれを利用するということによって農家の便宜を図ろうとするものでございまして、非加入家畜について、この規定を根拠にして積極的に診療を行おうというふうなことを考えておるわけではございません。したがいまして、機会あるごとにそういう誤解を解くように努めてきたところでございますが、今後ともその努力を続けていきたいと思っておるわけでございます。  家畜共済におきまして、獣医技術に依存する面がきわめて多うございますので、事業実施上、個人の開業獣医師さんでありますとか、あるいは団体の獣医師さんを通じまして、獣医師が重要な役割りを果たしていることは私たちも十分認識をいたしておるところでございまして、農林省としましては、今後とも開業獣医師等からさらに広く理解と協力が得られるように、中央、地方の獣医師会と積極的に接触を図りますと同時に、農業共済団体等に対しましても、開業獣医師と連携を保ちながら、家畜診療施設の適正な運営を図るようにきめ細かく指導をいたしまして、無用の摩擦の生ずることのないようにいたしたいと思っておるわけでございます。  なお、農業共済団体の家畜診療施設の設置につきまして開業獣医師との間で調整の必要が生じたような場合には、市町村におきましてはそれぞれ両団体で協議をしまして、可能な限り現地で解決をしていただくように指導をしますと同時に、そうできない場合にありましては、県におきまして共済連合会、県の獣医師会、それから畜産団体等の意見を聞きながら、必要に応じまして県に付属機関として置いております農業共済保険審査会の審議を経て調整を図る。さらにまた国におきましても国、日本獣医師会、全国農業共済等で調整を図るということで、そこはよく調整を図って無用の摩擦を起こさないばかりでなく、今後とも民間獣医師の方々の積極的な御協力をお願いをしたいと思います。現に、獣医師の九五%は共済団体の指定獣医師になっておるわけでございまして、現在におきましても、ほとんど大部分の獣医師さんは積極的に御協力をいただいておるところでございまして、私たちは今後ともそのような関係を一層増進するように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  119. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまるる御説明ございまして、私どもわからないわけじゃないんです。しかし、数的なことやなんかいろいろお述べになりましたけれども、こういう声のあることも事実なわけでありまして、数の多い少ないではなくして、やっぱりこの問題はいま御答弁のありましたように、ひとつ今後とも取り組んでいただきたい。このような懸念を払拭するためにも運用に当たっては農林省は、共済の家畜診療所は家畜の診療についていたずらに開業獣医師を圧迫してはなりませんし、またいまお話ありましたように、都道府県の獣医師会とも十分に協議をして事業実施する、こういうことについての通達なり、また強力な指導というか、こういうことをしなければならないんじゃないかと思います。  いずれにしましても、こういう問題が起きるというのはやっぱり競合関係にあるということで、とりわけ個々の農村の産業動物にかかわる家畜診療については両者とも経営的に非常に苦しい条件下にある、こういうことだろうと思います。共済の家畜診療所とそれから一般の開業獣医師、さらにこれにかかる畜産農家、こういう三者の立場を十分に考え、そしてまた共存していくような根本的な対策といいますか、農林省としても一片の通達でこれを終わらせることなく、やっぱりトラブルの起きる原因は一体どこにあってどう対処しなければならないか、法制上そんなことを考えておるとか考えてないとかいうことの前に、経営的に苦しい条件下にあって、そういう中からこういう問題もやっぱり出てくるんだろうと思いますし、決して小さい問題として考えるんじゃなくて、これも各委員から取り上げられた問題でもございますから、くどいようでありますけれども、今後の対策として十分にひとついま申し上げた点等も検討の上善処してもらいたい、こう思うんですけれども、大臣どうでしょう。
  120. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 十分検討いたしまして、善処するように努力したいと存じます。
  121. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 今回の農災法の改正につきましては、おおむね四年間試験実施をいたしてまいりまして、その上で改正がされております。言いかえますと、四年間、ちょっとこれは大げさでございますが、道なきところに軌道をつけて今日まで来られましたその努力、これは並み大抵ではなかったというように思いますので、まず敬意を表します。  さらに、中川大臣もたびたび言われておられますように、この本格実施がちょうどいま水田利用再編対策の大転換、大事業のさなかにこの改正が行われるということは、これは農家の生産意欲の面から見ましても大変意義のあることでございます。さらに、同時に私は、畑作物の振興上この共済改正が将来に大きな一ページを開くものであるという意味で特に今後に期待を持ちますし、この意義を高く評価をまず申し上げたい、こう思います。  で、評価を申し上げるわけでありますけれども、私の理解で、まずこれが畑作物振興の一ページであるという意味からいきますと、これは将来に大きな期待があるわけでございます。そういう一つの期待、それから特に試験実施でやっております際にいろいろの問題がございました。で、本実施に入りますにその問題がどう解決されていくのか、内部に入りますといろいろな問題がまだなしといたしません。そういう意味で、以下八項目ほどにつきまして、期待を込めてひとつ御質問を申し上げたいと思います。  私は、まず第一に、足切りの問題をひとつこの際明確にいたしていただきたい、こういうふうに考えております。これはもう言わずもがなでございますけれども、共済目的を十分に達成をするためには、災害によって生じた損害を完全に補てんをすることがこれが理想でなければなりません。これは言わずもがなであります。ところが、共済制度が発足以来、どうも農家の間に完全補償運動というような運動が起こってまいりまして、今日なお根強い底流としてこれはございます。これは農林省でも御承知のとおりであります。ところが、いろいろありますけれども、この完全補償運動の大きな柱として、これは足切りがあるわけであります。たとえば、二割の損害があったけれども二割の足切りですからちっとももらえなかった、どうも掛金が損をしたんではないか、これはもう足切りと掛金とは、先ほども御答弁ございましたように、関連性はむろんございますけれども、掛けている以上は損害に対しては何ぼかの保険金を得たいというのはこれは人情でございます。まあ農家の方からいきますと、どうしてもこの足切りの制度、足切りがあることについて理解ができない。理解ができませんから、これに対して不満が出てくる。ですから、私はこの際、この足切りはなぜなければならないのか、足切りがなければならない理由につきまして、これはまず局長からひとつ端的に御見解をいただきたいと思います。
  122. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 足切り割合と引受割合とは表裏一体でございますから、これは密接不可分のものでございますが、それにつきましてゼロにすることはできないのかというお話でございますが、足切り割合、一つは農家の自家保険能力という問題があると思います。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 やはり災害が起きましたときにはその金額ということではなくて、農家は農家としてある一定災害には耐え得るという状態にあるということが望ましいわけでございます。それからもう一つは、一〇〇%ということになりますと、やっぱり道徳的危険という問題は避けられない問題でございまして、まあ農家の方はそういうことを心配する必要はない、こういうことであれば別でございますが、やはり保険ということから考えますと、道徳的危険ということはどうしても考えなきゃいけない。それからもう一つ、第三番目は、損害評価事務の効率性という問題でございます。そういう三点から考えてみまして、足切り割合をゼロにすることは私はむずかしいというふうに考えているわけでございます。
  123. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 いま局長から御答弁いただきました。これを大臣から、ひとつ政策的な意味も含めまして御見解をいただきたいと思うわけです。  いま局長から、三つに分けて御答弁がございました。私もこれはわからないわけではありませんし、私は、一〇〇%補てんをするという意味合いで運動がありますけれども、私自身一〇〇%すべきであるというふうには考えておりません。特に道徳的という面がございましたけれども、私はこの面を大変重要に思うわけであります。局長の御答弁を私は否定をするわけではありませんけれども、実は現実に足切りに差がございます。一割ないし三割の足切りに差異がございます。これはいろいろの条件があるわけでしょう。この点もなかなか農家にわかりませんから、実は組合側の方から見ますと、どうも逆に農家が災害のいわゆる減収率——収穫量についてもなかなか明確なものと認められない。それから減収率についても、なかなか農家の言う減収率、それから組合などの言う減収率がどこまで信用がしてもらえるのかというような面で、信用されていないのではないかという不信感を逆に訴える。  ですから、こう言うと言い過ぎになるかもしれませんけれども、ある面ではこの足切りの部分に逆に農家や組合側が幽霊足をつけて、何とかこの足切りを現実には埋めていこうというふうな、そういう逆不信行為の可能性、これがどうもなしとしない。せっかくのいい共済制度が、この足切りによってお互いに不信感を助長をし、さらにはこの共済制度の本質に触れるような不道徳な状態さえも醸すような可能性、危険というものを私は残念ながら感じておるわけであります。  そこで現に、先ほど申し上げましたように、農作物共済等、いわゆる一筆単位収量建て制、半相殺農家単位、全相殺農家単位、それぞれ足切りに差がございます。それから、今回の六品目の農作物につきましても差がございます。言いかえれば、差がつくり得るわけであります。ですから、これはそういう申し上げましたような心配を大変私は共済のために心配をいたしておるわけでありますから、これは大臣、ひとつ足切りは極力、いわゆる大臣も言われますように、保険設計に乗り得るもの、またこれは努力をすれば乗るわけです。私は今回これも高く評価をいたしておるわけでありますが、小豆、インゲン等、大変むずかしかったであろうし、またこれはむずかしいだろうと思っておりますが、これをみごとに乗っけておるわけであります。そうすると、乗せようという意欲があればこれは乗っかるわけです。ですから、同じようにひとつこの足切りにつきましても、今後農家の逆不信行為等の余地のないところまでそういうことを実現していくために、ひとつこれは政策的にも足切りを逐次合理的に、しかも簡潔にこれは縮小をしていくというやっぱり努力がなされるべきであろうと考えますが、この点大臣のひとつ御見解をちょうだいをいたして、期待を持ってお願いをしておきます。
  124. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 足切りがない方が、一番農家にとってはいいわけです。というのは、少々被害があっても全部埋めてもらえる、こういうことですから望ましいことではあるには違いありませんが、それだけまた支払い金額が多くなるだけ掛金が、もちろん国もある程度見ますけれども、やはりその分は農家が持たなきゃいかぬということになると、その負担をしながらもそういうところまで見た方が農家のためになるのかどうかという問題が一つ。それからもう一つは、いま局長が話ししましたように、毎年毎年一割とか五%の減収があったからといって、それに保険金を払っておったのでは保険事務というものが非常に大きくなる、これを一体どうするのかという問題。それから、さあ五%の減収があった、ないということで、その辺のところで目くじらを立てるようになったらこれはなかなか整理がつかないということで、やはり根っこの八割ぐらいはめんどうを見るというくらいのところで、あとの二割ぐらいのところはみずからの経営の努力なりあるいは節約なりで危険負担はしていくと。  これが八割がいいのか、七割がいいのか、逆に言えば、二割がいいのか、三割の足切りがいいのか、あるいは一割までしたらいいのか、五%までしたらいいのか、その線の引き方はいろいろあろうとは思いますが、足切りをなくせという論は、ちょっとこの制度仕組みから言って無理があるのではないかという感じがいたしますが、実際問題として農家の皆さんにこの足切りについていろいろと御意見のあるところでございますから、十分検討はしてみたいと思いますけれども、そういった問題があってなかなか踏み切れないところである。なるべくこれは幅が小さい方がいいが、幅を小さくすればするだけ非常に膨大な保険金に、全国的になりますと大きなものになりますから、それだけにまた負担金も大きくなる。よく御説明すれば、農家の皆さんも御納得いただけるのではないかなあと、こういう感じもいたしますが、十分勉強してみます。
  125. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 この足切りにも、たびたび申し上げますとおり、一割から三割までの幅があるわけです。私は全部この足切りをなくなしてしまえと、こういうふうに主張をして申し上げているわけではございません。極力合理性を求めて、足切りの歩合というものは、若干料率が上がりましてもこれは保険金の支払いの機会を与える方が、特に私は果樹共済等につきましても加入率を上げ得る。加入率が上がらなければ意味がございませんので、そういう意味で申し上げておるわけでありまして、大臣も御答弁ございましたように、せっかくこれらの合理化につきましては、御検討をひとつちょうだいをいただきたいと思います。  実は、きのうから、大臣がおいでになる時間がちょっと私の質問時間中に少ないというようなことでございましたから、大臣の御意見を伺うのを先に持ってきて、どうもまちまちでございますが、幸い政務次官がおいででございますから、これは変えずにそのまま、順序がちょっと私の方の質問からいきますと飛び飛びになって恐縮でありますが、お願いをいたしたいと思います。  実は、サトウキビにつきまして、これは試験実施中、特にサトウキビの畑のあり方とか、被害実態とかいう面から見まして、どうも農家単位方式では困るという強い要望があったように記憶をいたしておりますけれども、これは今回の本格実施では局長どのように改善をされるおつもりでございますか。
  126. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) サトウキビにつきましては、当分の間一筆方式を導入いたしまして、その特別な対応を図ることにいたしておるわけでございます。一筆全損方式でございます。
  127. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 大変これは現地は喜ばれるであろうと、こういうふうに思います。  で、私は、これに関連をいたしまして、先ほど藤原委員からも質問がございましたが、果樹共済についてでございますが、かつて果樹共済にも一筆方式を入れることによって加入率は上がると、こういうふうな意味合いで御質問を申し上げたわけでありますけれども、きょう局長の御答弁の中で感じますことは、もう赤字と加入率とは——これは果樹共済は赤字を出しておるわけでありますが、赤字と加入率とはこれはもう不可分の問題でございます。しかもその八項目の農家の意識、要望をまとめておられます。私はその以外に、災害のあり方についてやっぱり違いを十分ひとつ加味をしてほしいと、こう思うわけであります。たとえば北海道が雪に全部覆われるというような被害、それから南の九州等の台風等の被害、ところが私ども山梨県並びに中部地方ではそういうような災害は比較的少のうございまして、突風とかひょう害、これには昔から風道というのがございます。ある場合においては、一筆全損という状態の被害が比較的多い。農家単位方式でいきますと、大変薄められる。保険金の支払われる機会が大変少なくなる。ですから、ある程度掛金は上がっても、やはり保険金の支払いの機会が多い方がより効果的であることについては間違いがありません。  したがって、これは局長からいろいろ御答弁いただいておるわけでありますから、これは政務次官、ひとつサトウキビと同じように、やっぱり果樹共済も今後加入率を私ども現地で一生懸命理解を深める努力をいたしましたが、どうしても一番多いのが農単方式、これは農林省は農単方式の方がいいんだと、足切り割合も少なくていいんだと、こう言われますけれども、やはり災害地域地域のあり方を実態を十分把握をされて、この一筆単位方式も併用をしていかれることが、これはもうある面では果樹共済の赤字を埋め、果樹共済の加入率を上げていく大きな一つの要素になるというふうに私は疑わないわけであります。ひとつ政務次官から、ぜひこの点につきまして御意見をちょうだいをいたしたい。
  128. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) 果樹共済のてん補方式の単位というのは、試験実施の場合に農家単位方式によって実行してきたわけなんです。これをまあ今回本格実施にする場合に、果樹は永年作物というような特性から、被害が相当に著しい場合であっても一筆全損になるというような事例がほとんど見られなかったというのが実情のようであります。しかしながら、いま先生おっしゃるとおりに、そうであってでもまあ考えるべきではないかというようなことでありますので、最近の被害状況から見ると、相当な年数の間にひょう害等によって一筆全損の被害を受けている事例も見られないわけでもないわけなんで、このような実態を十分に調査いたしまして、一筆全損の特例補償の必要性について、政府としては慎重に検討いたしたいということで御了承願いたいと思います。
  129. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 政務次官のお気持ちは慎重ということでございますが、慎重過ぎませんように、これは現実にあるわけでございますので、ひとつ御検討をいただけるということで理解をさしていただきたいと思います。  実は、これも大臣がおいでになる間にと思いまして、後のものを先に持ってきて、これもちょっと唐突になるようございますが、これは政務次官ひとつ、私は今回の改正畑作物のいわゆる生産を上げていくために大きな一ページになるというふうに理解をいたしておるわけでございます。言いかえますと、特にこれは後刻また御質問申し上げるわけですけれども、小豆、インゲンまで大変な努力を願って、今後も価格等の決定には大変な努力が要るのじゃないかと思うんですが、これまで乗っけてきていただいております。言いかえますと、この改正によって、いわゆる全畑作物に向かって災害補償の門戸が開かれた、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。これは間違いがないかどうか。同時に、保険設計に必要な、特に政策的なものから逐次ということになりましょうけれども、保険設計に乗っける努力をされて、今後畑作物についても災害補償の網をかぶせていく、こういうのに強く期待を持っているわけでありますけれども、いかがでございましょう。
  130. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) この農業災害補償制度というものがつくられましてから、対象範囲を拡大するとともに、補償内容等についても充実してきたと、そして農業経営の安定のために非常に貢献してきたということは、これは事実なんですね。したがって、最近においても七十七国会において、補償内容充実等の観点から、米に限らないで広く制度全般にわたる大幅な改正を行ったところであります。さらにまた、今回は畑作振興の重要性等にかんがみまして、畑作共済及び園芸施設共済の本格実施のための改正を行うこととしたわけであります。  農業災害補償制度は、災害対策として農政における重要な柱であることは今後とも変わらないわけであります。したがって、この的確な運用に努めることはむろん政府としても考えていかなければならない、さらにまた、事業実績等を踏まえつつ、農業事情の変化に対応して制度の一層の拡充強化を図っていくと、そういう考えであります。さらにまた、先生いまおっしゃるようないろいろな対象作物の政令追加指定ですね、これも必要かつ準備の整ったものから順次実施していきたいという考え方であります。
  131. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 これも、大臣がおいでになるときと思って早くとっちゃって、どうもちょっと私もやりにくいわけでございますけれども、共済掛金の国庫負担でございますが、これは試験実施中に畑作物で三割、園芸施設で一割、大変これは低廉なものでして、試験実施だからしようがないというようなことだったんでしょうけれども、これには本格実施に大変強い期待が持たれておりましたし、また相当の要望もございました。今回の実施では、おおむね農作物共済とほぼ肩を並べるように、畑作物では五分の三、園芸施設では二分の一、この措置につきましては、これは私もうれしいし評価をいたしておる一人でありますが、畑作物園芸施設と、これ六割と五割の差があるということにつきまして、どうもせっかくやられるならば、やっぱし農作物の六〇%ぐらいまで上げてもらえなかったのかなという、評価をいたしておりますから、残念さがつきまとうわけでありますけれども、政務次官、これは一思いにいかがでございましょうか、五分の三ぐらいまでこれはできないものでございましょうか。
  132. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) 先生がおっしゃるとおりに、試験実施のときには畑作物共済については三割、園芸施設共済については一割ということでありましたけれども、今回は本実施をするに当たりまして、いまおっしゃられたとおりに、畑作物については六割、園芸については五割という国庫負担をやったのでございますけれども、その考え方はどうかと、畑作物とそれから園芸と一緒にすべきではなかろうかというようなことでございますが、畑作物共済農作物共済と最も似ておるわけですね。したがって、その仕組みも農作物共済に準拠したものとすることとしておるので、共済掛金の国庫負担割合についても、農作物共済との均衡を図ることが適当であるというふうに考えておるわけなんです。  それから、畑作物は一般に果樹に比して収益性が低い。したがって、農家の掛金負担も弱いので、共済掛金の国庫負担割合は果樹の共済の五〇%を超えるものでなければならないという考え方をとっておるわけであります。  それから、食糧の総合的自給力の強化の観点から、畑作振興はわが国の農政上の重要な課題であるが、そのためには畑作農家の経営の安定を図ることは不可欠なものであります。したがって、水陸稲並みの内容を持つ共済制度の確立の要望が強いわけであります。こういうものを考えて、共済掛金の国庫負担割合を畑作の場合には六割にした。一方、園芸の方はどうかと言うと、園芸施設共済資産共済であることとともに、施設内の耕作物対象とする点で収穫共済に類似する側面も持っているので、資産共済及び収穫共済の双方を内容とする果樹共済の類似性が強いので、共済掛金の国庫負担についても果樹共済との均衡を図ることが必要ではなかろうか。  それから、施設園芸は労働集約でかつ資本投下額の大きい経営であるために、労働力及び資金の面から制約があるので、経営全体としては他の作物に比して特に掛金負担が強いとは見られない。施設園芸は、野菜の安定的供給において国民の生活に欠くことのできない地位を占めるに至っており、畑作振興の一環としてその振興が必要であるというようなことを考えて、共済掛金の国庫負担を五割としたというような考え方でありまして、将来これを一緒にすべきではなかろうかというような意見もありますので、検討をする必要がありはしないかと、こういうふうに考えたわけなんでございます。
  133. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 政務次官にひとつお願いをいたしたいと思うわけですが、この園芸施設の国庫助成対象共済金額につきまして、試験実施では一千万円とふやしていただいた。前の質問に対する局長のお答えでは、これでは施設の大型化、さらには資材の高騰等の理由によって不十分であるので、ある程度のかさ上げをいたしたいというふうな御答弁でございまして、明確な数字は言われておりません。私は、これが局長には妥当な額まで引き上げる用意があると、こういうような話、妥当な額というのはどの程度なのか、これはいろいろ見方にもよりましょうけれども、どうも二千万円程度では妥当な額だとは私は思いません。相当大型化しておりますと同時に、大変改良を加えまして、大変精巧なハウスをつくるようなふうになってきております。したがって、私はこの妥当な線というふうに言いますと、どうしても五千万ぐらいの対象価格にはなろうと、その辺まではやっぱり対象として救っていかなければなるまいというふうに端的に思うわけであります。  これは農林省がそう思っても、大蔵省あたりのやはり合意とか説得が必要であろうかと思いますが、これはひとつ特に園芸施設の盛んな地域、地方におきましては五千万程度の対象金額に強い期待を抱いておるわけでありますが、これは農家の期待という意味でお受けとめをいただきまして、ひとつせっかく努力をしていただきたいと、こう私はお願いを持つわけでありますが、政務次官の御所見をちょうだいいたしたいと思います。
  134. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) 先ほど藤原さんの質問局長が答えておったようでありますが、いま先生おっしゃるとおりに、二千万程度ではなかなか不満足だと、それでもせっかくの機会であるから十分検討してもらいたいというような意味でありますが、やはり私どもも、なるたけ農民の方々が喜ばれるような政策をするのが一番妥当であろうというふうに考えます。したがって、大蔵当局等のこともこれあり、よく内部で検討して、できるだけ高く上げられるように検討してみたいと思います。
  135. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 初村政務次官の御決意は大変ありがとうございました。せっかく御努力を期待を申し上げておきます。  次に、ちょっとこれは悪口になるようで大変恐縮でありますが、足切りと同じように、農家の大変どうもわかりにくいものに頭切りというやつがございます。頭切りというのは言っているかどうかわかりませんけれども、頭切りと農家では言うわけであります。特に例をとりますと、今回の園芸施設共済につきましても、建築費からいわゆる減価償却をいたしまして、現有価額をこれは共済価額といたしております。比較的これは再保険側、いわゆる国側から見ましても、これは税金等でもこういう措置をとっておるわけでありますから、きわめて客観性の高いものであるというふうに言わざるを得ません。ところが、これは農家の選択に任しているといえども四〇%から八〇%、いわゆる最高八〇%、二〇%の頭切りがあるわけであります。農家側から見ると、どうもこの頭切りも、足を切られて頭を切られるというようなことで理解がしにくいわけです。  私は、これも足切りと同様に一〇〇%でいいかどうかということにつきましては、まあこれは足切りの場合にちょっと誤解を受けましたから申し上げますが、一〇〇%で決していいというふうに私は認めておるわけではありませんけれども、八〇%がいいのか九〇%がいいのか、いずれが妥当なのかというと、これはいろいろ論議の分かれるところでございます。したがって、私はこの頭切りも足切りと同様やはり農家に不満を与えないような、先ほど政務次官は農家の理解のあるところが妥当であるというふうなきわめて御理解のある御答弁をいただいたわけでありますけれども、この八〇%が妥当なのか、九〇%が妥当なのか、なかなかにわかに決められないと思うわけであります。八〇%が正しいとは思えないわけでありますが、局長からひとつこれらの頭切りに対するこの問題、それから将来これらをどういうふうにしていくべきであるかというような面につきまして、ひとつ御見解をちょだいをいたしたいと思います。
  136. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 園芸施設共済の付保割合を最高八割にいたしまして、先生のおっしゃるように頭切りということなんですが、これをなぜやるのかということでございますが、一般的にいいまして、超過保険を避ける必要が一つはあるということと、それから損害の一部を加入者が負担していただいて道徳的危険を防止する必要があるのではないかということと、それから共済掛金の五割を国庫負担いたすわけでございますから、ある程度は農家も自分で保険をする機能を持ってもらう必要があるのではないかということと、それから資産共済であります家畜共済でありますとか、樹体共済の付保割合の最高も八割であるというようなことで、そういうことを総合勘案いたしまして付保割合の最高八割といたしておるわけでございます。  この八割をどの程度引き上げるかということは、なかなか家畜共済等との関連もございましてむずかしい問題でございますけれども、これは私たちは今後の検討課題といたしまして検討してまいりたいというふうに思っております。
  137. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 これは重要な検討課題ではないかと、こういうふうに思います。  もう一回繰り返しますけれども、いわゆる足切りの農家が理解のできるようないわゆる妥当な線というものは、これは一〇%が正しいのか、三〇%が正しいのかということは、明確にこれはなかなか出てこないと思うんです。この頭切りも——頭切りなんて言わせないで、付保割合であるというふうに素直に理解のできるような線というものは、これはやっぱり保険制度の論理の中で大変私は問題のあるところであって、十分追及、突き詰めて、極力農家サイドの——どっちに片寄るかといったらやっぱりこれは農家サイド、生産サイドに片寄る方が妥当だと思うわけでありますけれども、局長言われますように、ひとつこの足切りも頭切りもあえて申し上げたわけですが、足切りとか頭切りとかというようなことの言われないような方向で、十分大きな課題として御検討をぜひちょうだいをいたしたいと思います。  もう一つ、これはついでと言っちゃ悪いんですけれども、今回の制度にこの種切りが出てきたわけであります。これも私にもちょっとどうも理解ができかねるわけでありますが、「畑作物共済共済責任期間は発芽期から収穫」までということであります。で、種がございません。これは私が、どうも種切りじゃないかということで自分でつくった言葉でありますが、やっぱり播種をして発芽をしなかった、あちこちぽつぽつ出たけれども、まあ篤農家にはそんなことはございませんけれども、やっぱり発芽をしてからで、土の中にあるもの、たとえばこれは豪雨等で流されるというような例もこれはございます。ないとは言えません。種が切られるということにつきましては、これは農家にとってどうも理解ができないわけであります。ただ、ここでくせ者は、私にはわからないんですが、「発芽期」の「期」という言葉でございますが、これをどのように理解を、ちょっと幅がある、「発芽」ではなく「発芽期」ということになっておりますので、あわせてこの「期」というのはどのように解釈をすればよろしゅうございますか、お伺いをいたします。
  138. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 通常、共済責任期間と申しますのは、その期間内に共済事故発生した場合に、組合等が損害を補てんする責任を負う期間でございまして、その始期及び終期は引き受け及び損害評価を適正に行い得るかどうかというような見地から決定されるべきものであると思います。畑作物共済についてもそういう考え方から、「共済責任期間は、発芽期(移植をする場合にあっては、移植期)から収穫をするに至るまでの期間」ということにいたしておるわけでございまして、この点は農作物の場合と同様の考え方をとっておるわけでございます。  「発芽期」といいますのは、その地方におきまして、通常の肥培管理が行われるとすれば、通常の収穫量を期待し得る通常の播種期間において播種されましたものが、通常発芽する時期ということでございまして、共済対象作物栽培されていたかどうかを確認することが一般に容易であると、これに対しまして播種期共済責任期間の始期といたしますと、災害によりまして播種が不可能となった耕地が生じたような場合に、果たして当該耕地において共済対象作物栽培されていたかどうかを確認することが一般的に非常に困難でございまして、これをとることは私たちは適当ではないのではないかと思っております。  なお、現実に発芽をしていませんでしても、「発芽期」に入っておれば共済責任は生じておるわけでございまして、適期に播種しました種が「発芽期」において共済事故によって発芽しなかったと、こういう場合には損害補てんの対象となるわけでございます。したがいまして、共済責任期間の始期をめぐりまして現実に問題が起こることは私はまずないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  139. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 重ねてお伺いしますが、そうしますと、播種期に芽が出ておらなくても、現実に種があるということが現認をされれば、これは「発芽期」の「期」に入ると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  140. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) お話のとおりでございます。
  141. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 これもまた恐縮でございますが、どうもここにも一つの不信感が内在をいたしておるようでございます。大変これは、共済制度ではそういう不信感はなくて、やっぱり種からというふうにしてもいいのではないかと。もし播種をしないで、再保険側が持っているような不信感が現実に行われたということになりますと、これは詐欺事件に相なります。これは別の方向で取り締まるべきものであって、共済事業制度からいきますと、加入者も絶対の信頼を置いて、そしてよりよくしていくということが共済の精神に大変これはそぐうものであるし、先ほどの足切りにいたしましても、今回の種切りにいたしましても、どうも不信感が出てくることは共済制度に多く傷をつけるし、また不当に農家に対する不信感を増すものであるというふうに考えますけれども、これは大変厳しい言い方でありますけれども、これは局長、御見解を伺わしていただきたいと思うわけであります。
  142. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 先ほどもお話がございましたように、播種をいたしましたけれども発芽をしなかったというのは、これは対象になるわけでございます。そういう意味合いでは、種なしではないのでございまして、種をまきましたが発芽をしなかったということは、これは対象に相なるわけでございます。しかし、その播種期に播種ができなかったということを対象にするということになりますと、実務的に一体種をまいたのかまかないのかとか、いろいろな問題が出てまいりますので、農作物の場合にもやはりその播種をしたけれども発芽をしなかったということをとらえまして、共済事故にいたしているわけでございます。
  143. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 大変微妙な問題もございますので、どうかこれは運営の中で十分御指導をいただきたいと思います。  次に、これも私は高く評価をいたしておるものでございますが、内容農作物園芸施設の関連につきましてお伺いをいたしたいわけでありますが、一つは、試験実施中に、内容農作物施設事故に伴うものに限るといたしてまいりまして、大変それぞれ試験実施をする現地においても問題があったわけであります。元来、施設内容農産物とは、言わずもがな、これは独立をいたしておるものでございますから、大変これは矛盾がございます。けれども、これらの矛盾を本格実施では克服をいたしておるようでございます。ただ、この施設事故に伴うものということにつきましては、やっぱり保険設計に乗っけるとかいろいろな問題で、当初申し上げましたように、道なきところにレールを敷いていくわけでありますから、大変な御苦心があったろうと思いますけれども、これらを克服をされて本格実施に入られるということにつきましては、高く評価をいたしております。御努力に感謝をいたしております。  また、施設共済につきまして、一部損害で共済金を支払った場合に、やっぱりそれを差し引いた残額が共済金額というふうにいたしてございましたが、これも要望を受けて全額主義にされておられるようでありますから、これにつきましても、御努力につきまして高く評価をいたします。  実は、その中で、内容農作物の付保割合でありますが、これが施設共済価額の二五%と、これも押さえられてきております。前段でも私は評価を申し上げましたと同様に、これは大きな矛盾を含んでおります。これは言わずもがなでございましょうけれども、たとえば同一の内容農作物でありましても、園芸施設のいわゆる構築物建築費等の比較的高額なもの、比較的低額なものによって内容農作物はずっと違ってまいります。これはやっぱり共済制度に乗っけていただく以上、いろいろ苦しい問題がありましょうとも、農家についてはやっぱりこれはがまんができない。矛盾がこれは不満に変わってまいります。これはどうしても改善をされなければならないと思いますけれども、これはいかがでございましょうか。
  144. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御指摘のように、試験実施におきます施設内の農作物共済価額の設定におきましては、特定園芸施設共済価額に一律二五%を乗じて定めておったわけでございますが、本格実施の場合におきましては、施設内農作物の補償の充実とその共済価額をより適正に設定するということで、私たち施設内農作物共済価額の設定は、農林大臣が定めます園芸施設共済共済価額設定準則におきまして、組合等が引き受けようとします特定園芸施設共済責任開始時におきます再建築価額、それから当該施設の価額に対応します施設内農作物算定率を乗じて算定するという方法をとっておるわけでございます。施設内農作物の価額につきましては、当該施設園芸ごとの、というのは、たとえばガラス室ならガラス室一棟ごとの平均的な再建築価額と、それからその施設内に栽培されております農作物の平均的な生産費をとりまして、それを見てみますと、要するに側の価額と中につくられておる農作物の生産費というものの間には相関関係がございますので、この両者の相関からその割合を定めるということを考えておるわけでございます。  したがいまして、特定施設の平均的な再建築価額が決められ、それから生産費をべースにしますその一定の率が決まりますならば、それによりまして施設内農作物の平均的な生産費をカバーするものとしての共済価額を決めるように、割り切りをいたしたわけでございます。
  145. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 そうすると、二五%にはこだわらないということでございますか。
  146. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 従来のような二五%一律というふうな考え方ではございませんで、中身の生産費と外側との相関関係を求めておりますから、たとえばガラス室につくられるものは作物とガラス室との比率、それからビニールならビニールでございますと、ビニールの中につくられる主な作物とそのビニールの比率というふうにいたしておりますから、大体その外側の価額と内側の生産費との相関で決めるということになりますから、一律二五%ということではございません。
  147. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 御答弁のその園芸施設内容農作物との相関性というものは、言われますと、内容分と、いいものについてはいいハウスをつくるというような意味合いで関連性がないというふうに断定はできませんけれども、どうも必然性が余りないようなふうに思いますけれども、二五%にはこだわらずに内容農作物の生産費というものに重きを置いて算定をされるということであるならば、私は理解をいたすわけであります。さらに御検討をいただきたいと思います。  次に、掛金率の区分割合につきまして、これはいささか疑問がございますので御質問を申し上げます。これは当然この法律にもございますように、料率は被害率を基礎とし、いわゆるリスクの度合いによってこれを基礎としてつくられております。ところが、昭和四十八年の二月八日付の告示の料率は、これは三区分にされまして、北から南へ一律に並べて三区分にこれは分断をされております。これは、的確に危険度というものが反映をされておるかどうかについて、若干疑問があるわけであります。これは試験実施ですから、ある程度のあれはやむを得ないと言えばそれまででありますけれども、本格実施につきましてはこれは許されません。特に三区分に分けられますと、大変災害の様相の違う県も入ってまいります。そうすると、ボーダーラインの県が出てまいりまして、どうもこれは料率で損をしているんじゃないかという実は不満が出てまいります。  したがって、この不満を是正するというだけでしたならば、これは全国一律案が最もそういう面ではその不満は解消できる。これも一案であると私は思います。たとえば保険などはこれは全国おおむね一律でありますから、リスクによって一律に掛け算率でやってまいりますから一律であります。けれども、地域実態を的確に反映をするという意味からいきますと、もう一県一区分あたりが最もそれには近づいてくる。これは、われわれ素人が考えましても二案ぐらいあるわけで、どうも三区分ではいささか大まかに過ぎると思いますけれども、本格実施ではどのようにこれは改善されますか、そのままでいかれますか、いかがでございますか。
  148. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 園芸施設共済共済掛金標準率に甲及び乙がございますが、これを園芸施設施設区分ごとに一つの大数の法則を利用し得るような危険集団の構成でありますとか、掛金負担の公平化でありますとか、掛金率水準の安定でありますとか、事業運営の効率化というようなそういう諸点を考慮しまして、原則としましては都道府県の区域、またはその区域を分けた地域ごとに、その地域実態を反映させてきめ細かく算定いたしたいと考えております。  具体的に申しますと、組合等の区域または組合等単位では引受見込み棟数が少なくて十分な危険分散が図れないような場合には、被害発生態様が似ております組合等の地域をグループ化をいたしまして、その引受見込み棟数が一定の規模以上となるような地域ごとにその地域被害率を基礎として掛金率を算定したいと思っております。  ただ、試験実施前に行った委託調査は八県におきまして、また、試験実施は三十県においてしか実施されていないものですから、このような被害率に関する資料の整備状況から見まして、料率算定の単位となる地域は、当面でございますが、当面、被害発生態様の類似する都道府県の区域を集めた範囲とせざるを得ないという状況にございます。しかし、この場合におきましても、試験実施被害率の実績を新たに加味いたしまして料率を算定することはもちろんでございますが、施設区分につきましては、試験実施の五区分よりさらに細かくいたしますと同時に、地域区分につきましても試験実施の全国三区分よりさらに細分して設定をいたしまして、地域実態を十分反映した料率になるように考えていきたい、かように思っておる次第でございます。
  149. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 私は、あえて全国一律案まで出したわけでありますが、逆になるべく地域実態が反映できるように、三区分よりもさらに分類をされていくという方向でありますから、これも大変むずかしい問題を含んでおりますけれども、ひとつなるべく、せっかくやらなければならないのでございますから、より地域実態が反映できます方向で御検討をちょうだいをいたしたいと思います。  私は、またここでひとつ、これも高く評価をいたして御努力に感謝をいたしたいわけでありますが、これは事業責任分担についてでございます。試験実施中のいわゆる連合会が五〇%を起える分については三〇%、再保険側がこれが七〇%というので、いろいろ計算してみますと、これではどうも連合会が立ち行かないと各県の連合会も大変困ったわけだったんですが、今回の改正でこれが五%と、再保険が九五%にこれは改正をされました。なお、その上に、異常事故の場合の全額国責任とする改正は、これは大英断でありまして、これで各県連、連合会もほっとしておるのではないかと思います。心から敬意を表しますし、また高く評価をいたし、御努力に感謝をいたします。  ただ、先ほども御質問がございましたように、この通常事故異常事故との、特に先ほどの料率区分ではございませんけれども、どの程度から異常事故にしていくかということにつきましては、局長明確に御答弁がございませんでした。これもなかなかむずかしい問題ではあろうと思いますし、ただこれは政令できちっと決められる時期があるわけでありましょうけれども、運営上ある程度幅を持たしておいた方がいいというような観念があると、これは逆に政治的な問題を醸すと思います。そんなことはなかろうと思いますけれども、私はこれは明確に線を——たとえば地震の場合は震度五以上とか震度六以上とかというふうに明確に決めますか、決めませんか、その点だけひとつお答えをいただきたいと思います。
  150. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) これは明確に決めませんと、責任分担があやふやになりますから、明確に決めたいと思っております。
  151. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 そうすべきであろうと思います。  それからもう一点、畑作物共済の単位当たり共済金額の決め方でございますが、これは先ほどの御答弁にも、特にバレイショが種子用あり加工用あり生食用ありというようなことでございまして細分される、こういうふうに言っておられますけれども、特に私は行政価格のあるもの、特に大豆につきましては、五十二年度で生産奨励金が基準価格に組み入れられております。したがって、これは当然行政価格のあるものをとられるというふうに思いますが、この点が一点。  それから、特にてん菜、サトウキビ等最低価格と奨励金を入れた農家手取りとございまして、今日約二千円余の差がございますが、当然これは農家手取りをとらえていることになろうと思っておりますけれども、この点の考え方をお聞かせを願いたいと思います。
  152. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 確かに先生おっしゃいますように、畑作物につきましてはいろいろ奨励金等がございまして、この単位当たり共済金額をどう決めるかというのは非常に重要な問題でございます。私たちといたしましては、農家の手取り価格ということを重点に置いて考えておるわけでございますが、なおいろいろ検討すべきことがございますけれども、単位当たり共済金額の最高額は、農家の手取り価格をも勘案して定めるように配慮する必要があると思っておりますので、御指摘の線に沿って努力をいたしたいと思っております。
  153. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 これは明確ですから、ちょっと歯切れが悪いような気がいたしますけれども。  時間がなくなりましたから最後になりますが、特に私は先ほどから申し上げますように、小豆とインゲンをいわゆるこの保険設計にあえて私は乗っけていただいたというように理解をいたしますが、大変これは意義のあることでございます。ただ、問題は、この小豆、インゲンの価格のとり方でございますが、これは大変むずかしかろうと思いますし、相場に左右をされる面も多々これはございます。ただ、これは相場に左右されてもいいわけでありますけれども、場合によって生産費が五万円かかるのに相場から見るとどうも二万円だったというようなことがこれは当然生まれてまいります。したがって、この相場と生産費の関連において、小豆とインゲンはどのようにひとつ決めていかれますか、大変これはむずかしいかと思いますが。
  154. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 小豆、インゲンなどのような自由価格の農産物の価格につきましては、御指摘のように需給事情の変化に伴って変動をいたしますので、年々の変動はかなり大きいものがございます。農家の作付が価格変動に対応して調整されますために、ある程度の期間をとれば平均的な平均値はほぼ安定的な数値なり傾向を示すという、まあ需給事情による価格の変動と、それによります農家の作付対応ということの両方考えてみますと、ある一定期間をとれば、ほぼ安定的な数値なり傾向を示しておるのではないかというふうに思っております。また、これらの作物の粗収益に対します生産費の割合について見てみましても、これもある程度の期間をとりませんといけませんが、ある程度の期間をとれば、その平均値は同様にほぼ安定的な数値を示しておるのではないかというふうに思われます。  そこで、畑作物共済等の収穫共済におきまして、全損の場合にほぼ生産費を補てんすることを目途として損害補てん水準を定めるつもりでおりますが、先ほど申し上げましたような価格あるいは生産比率実態に照らして、特に基準価格を定めることなく、過去の実勢価格の平均値を用いることによりまして適切な損害てん補が可能でございますので、本格実施におきましても、ある程度の期間の平均値を求める方法によりまして単位当たり共済金額を定めることにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  155. 降矢敬雄

    降矢敬雄君 ぜひ生産費を下回りませんような配慮も十分ひとつ加味していただきまして、価格の決定をしていただきたいことを要望いたしておきます。  最後に、私は要望を申し上げたいと思いますが、申し上げましたように、小豆、インゲン等むずかしい農作物共済に、これは保険設計にあえて乗っけていただきました。大変感謝をいたしております。これができるということになりますと、当然全畑作農作物につきましてこれは共済制度に乗っかり得るというふうに私は理解をいたします。これが農作物振興の大きな一ページになりますように、せっかく全農作物につきまして、ひとつなるべく早い時期に共済制度に乗っかるような拡充をこれは政務次官にも特に要望をいたしておきます。  さらにまたもう一点は、サトウキビに一筆全損方式を併用をされておられます。大変時宜を得ていることであると思います。同じように、果樹共済の加入率を上げて赤字をなくすためにも、ひとつ果樹共済にも災害実態を十分調査、把握をされた上で、ひとつ一筆全損方式の併用も強く要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  156. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会      —————・—————