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1978-04-18 第84回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十八日     辞任         補欠選任      丸谷 金保君     竹田 四郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 片山 正英君                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 村沢  牧君                 原田  立者                 藤原 房雄君                 下田 京子君    国務大臣        農林大臣臨時代        理        安倍晋太郎君    政府委員        農林政務次官   初村滝一郎君        農林大臣官房長  松本 作衛君        林野庁長官    藍原 義邦君        林野庁林政部長  石川  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        社会保険庁医療        保険部健康保険        課長       坂本 龍彦君        林野庁指導部長  須藤 徹男君        通商産業省貿易        局農水課長   篠浦  光君        労働省労働基準        局労災管理課長  増田 雅一君        労働省労働基準        局安全衛生部労        働衛生課長    林部  弘君        建設省計画局宅        地企画室長    木内 啓介君        建設省住宅局住        宅計画課長    鴨沢 康夫君        建設省住宅局民        間住宅対策室長  伊藤 茂史君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○森林組合法案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  森林組合法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る十四日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 村沢牧

    村沢牧君 安倍農林大臣臨時代理は、去る十四日の閣議で五十二年度の林業白書について報告をし、了承を得たということが報道されております。この白書はやがて国会提出されるでありましょうけれども、現在私どもの手元に届いておりません。したがって、この白書に基づいて、林業情勢とその問題点について総括的に説明してください。
  4. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 林業白書については、閣議提出をいたしまして国会に提案をいたしておるわけでありますが、この林業全般に対する基本的な考えといたしましては、わが国の気候、風土から見まして森林の生態というものが育成林業に適しておるわけでありまして、これまでの森林資源改良充実、あるいはまた、木材生産増大政府としても積極的に取り組んできたわけでありますが、その結果としては、今日では人工林率は目標の約七割にまで達する等、森林資源状況は着実に改善をしておる、こういうふうに判断をいたしております。  しかしながら、わが国森林林業をめぐる諸情勢につきましては、まず第一には、伐期に適しない若齢林が圧倒的に多い等の資源的な制約。第二番目としては、林道等生産基盤整備のおくれ。三番目としては、経営規模の零細、分散性等に加えて、特に最近の経済基調を反映して住宅建設等木材需要の伸び悩みがあります。また、木材価格低迷をしていることも御承知のとおりであります。さらにまた、木材関連産業長期に及ぶ業界不振等、非常にきわめて厳しい情勢にあるわけでございまして、国内林業活動停滞ぎみになっておるというのが、今日の偽らない実態というふうに判断をいたしておるわけであります。  こうした情勢に対処して林業振興を図っていかなきゃならないという立場から、木材安定的需要確保外材秩序ある輸入指導等によりまして、木材需要及び価格の安定に努めるとともに、造林林道等林業生産基盤整備あるいは林業構造改善担い手対策強化木材流通消費改善対策強化等の各般の施策を今後一段と強力に推進をしてまいりたい。  これが、今日の林業を取り巻く諸情勢、これからの林業振興に対する政府の基本的な考え方でございます。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 森林組合制度の抜本的な改正が長い間要望されてきたわけでありますけれども、率直に言って、政府の態度は消極的であったということを指摘せざるを得ないというように思うんです。これは農協との競合等を懸念をして農林省の内部でも意見相違があったということ、さらにはまた、森林組合制度改正をしても、林業そのもの飛躍的発展にはつながらないというような意見もあったということは私も承知をいたしております。  農林省が今回森林組合法単独立法に踏み切ったということは、そのことは一応評価するにいたしましても、その中身は森林法に規定をされておった森林組合制度と余り大した違いはないわけでありまして、抜本的改正なんて言えるものではありませんけれども森林組合に対して何を期待をしていくかということであります。  この法案によれば、森林組合森林所有者の社会的、経済的な地位向上を図る協同組合的な目的と同時に、森林の保続培養生産力増進を図るという公益的な目的の二つの目的を持っているというふうに明らかにされているわけであります。協同組合的な目的、公益的な目的、言葉は非常にいいわけでありますけれども、しかし抽象的であります。  率直にお伺いいたしますけれども森林組合は、造林やあるいは素材生産を担うその担い手としての組織として期待をするんですか、それとも森林組合地域協同組合的な機能を与えて、森林組合が広範な仕事をすることによって山村振興役割り森林組合にも果たさしていく、このように森林組合発展期待をしているのかということであります。その性格森林組合あり方について、まずお伺いしたいんです。
  6. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林組合につきましては、いま先生が御指摘されましたように、森林法から抜き出しまして、ただいま御審議いただいております単独立法として森林組合制度を明定しようということでございまして、その性格とすれば、いま先生もおっしゃいましたけれども、やはり森林組合というものは森林所有者社会的地位向上という意味からの協同組合的な性格と、それから森林生産力維持増進あるいは資源培養という意味からの公益的な性格、この両面を持つというのが、森林組合のきわめて大きな特徴であろうというふうに考えております。また、御存じのように、森林というものが地域にそれぞれ固定した山を持っておりまして、それぞれの地域にそれぞれの山を持った形で森林というものが存在しておりまして、それを森林組合というものが森林所有者中心にして今後維持管理をしていこうという形でございます。  したがいまして、森林組合としては、この法律にも明定してございますように、この両者の性格を持ちながら森林の持ちます公益的機能を発揮するという意味での大きな使命と、あわせて組合員地位向上という、いわゆる協同組合的な性格とをあわせ持つということは、その地域におきます林業振興中心にいたしました地域振興に寄与することは当然でございますし、あわせまして、いま先生もおっしゃいましたような林業生産あるいは造林というものにも、その中核的担い手として今後その位置づけをされる。さらにはまた、生産から流通までの一貫したこれからの林業のやはり中核的な存在として、今後の森林組合発展すべきであろうというふうにわれわれも考えておりますし、そういう性格を持った森林組合を今後とも育てていきたいというふうに考えております。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 単独立法をつくって、森林組合組織をどのように整備をし発展をしていこうとするのか、お聞きしたいんです。  私は、先日合併助成法審議の際、かなり詳細に森林組合現状について質問をし、また皆さんから御答弁もあったわけでありますけれども、五十二年度に森林組合組合数は約二千七十、そのうちの三分の一の約七百組合不振組合である、こういういまの現状の中から、林野庁合併促進をしたりさらに指導をすることによって、千五百程度活動組合をつくりたいということを盛んに強調されておったわけなんです。  そこで、この単独立法審議するに当たって重ねて質問いたしますけれども、現在の森林組合の置かれている現状の中から、その執行体制なり資本整備なりを、どのような規模森林組合皆さん期待をする森林組合であるか、またどのような規模森林組合をつくろうとされるのか、重ねて質問いたしたいというふうに思います。
  8. 石川弘

    政府委員石川弘君) 現在私ども考えております森林組合の望ましい姿と申しますか、合併の場合にいま一つ規模の根拠といたしておりますのは、面積で申しますと大体一万ヘクタールぐらいの森林規模になってほしいということ。それから払い込み済み出資、これは合併後の姿で合併後の最初の事業計画の終わりのときまでにということではございますが、約一千万ぐらいの払い込み済み出資を持っていただきたい。それから役職員でございますが、一名の常勤の役員を含みまして七名程度役職員規模を持っていただきたい。大体そういうことを一つの要件としまして、これは組合地域だとか、あるいはそこの森林の熟成の度合い等によっていろいろ違うとは思いますが、一つ基準としましては、いま申し上げた程度のものを想定いたしているわけでございます。
  9. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、若干基本的な問題について質問してまいります。  森林組合が、地域における林業のその中核的な担い手としてみずからを強めるとともに、公益的な機能役割りを果たさせるためには、林業そのもの発展と同時に、国、地方公共団体林業施策推進がなくては森林組合発展もないというふうに思うんであります。先ほど臨時農林大臣から、林業白書に基づいて林業を取り巻く情勢について説明があったわけでありますけども、お話がありましたように、景気低迷する中で木材需要価格低迷をしており、さらに外材が相変わらずふえ続けて国内林業を圧迫し、生産意欲が減退をして、このままでは林業の衰退だけではなくて国土の荒廃を招く、こういう私は憂慮すべき事態であるというふうに思うんです。きょうは安倍長官臨時農林大臣として出席をしていただいたことは大変に幸いでありますけれども、ひとつ長官政府首脳としてこの林業を取り堆く情勢をどのように判断をし、さらにそれを脱皮していくための基本的な考え方を、この際臨時農林大臣にお伺いしたいんです。
  10. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、現在のわが国林業を取り巻く情勢が非常に厳しいものであるという判断のもとに、今後ともいかに林業振興を図っていくかということにつきまして、林業白書におきましてもこれを述べ、そして国会で御批判をいただくことになっておるわけでありますが、政府としても林業、あるいはまた、森林の持つところの基本的なわが国における位置づけというものは十分に認識しておるわけでございまして、そういう意味で、これまで林業振興に対しては種々の施策を講じてきたわけでございますが、現在の実態は容易でないという判断でございますわけでありますし、今後ともわれわれとしては、基本的にこの林業振興を図るためにはいろいろの面で具体的な措置を積極的にとっていかなきゃならないと、こういうふうに考えておるわけでありまして、たとえばいま木材が非常に価格低迷しているというふうなことにつきましても、やはりこれは安定的な需給関係というものが確保できないというところにあるわけでございますから、その一環としては、外材輸入が非常に無制限に行われているという点も大きな要因になっておりますので、そうした外材輸入に当たっても、秩序のある輸入ということをこれは行政指導中心にして図ってまいる、これが需給の安定、そして価格の安定につながっていくのじゃないかというふうに考えております。  したがって、そうした秩序のある輸入ということを大きな柱に需給関係の安定を図っていきたいと思いますし、あるいはまた、造林林道等林業生産基盤整備といったものにつきましても、これまで予算措置充実してまいってきておるわけでありますが、さらにこの予算的な措置に対しては強化を図っていくということが政府の基本的な考え方でありますし、また、森林組合法の成立によりまして森林組合そのものの体質を強化をいたしまして、その森林組合一つ役割りであるところの担い手対策につきましてもこれを充実をしてまいりたいと思うわけでございますし、その他流通消費改善対策等いろいろと問題があるわけでございますから、こうした問題等も、やはりこれは前向きに行政面で対処してまいるのは当然でありますから、そうしたもろもろの林業振興対策というものを総合的に推進をしてまいると、こういう基本的な考えでございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 政府は四十八年の二月に、「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」、これを閣議決定をし、昭和五十六年、六十六年、さらには九十六年までの見通しを立てております。その見通しによりますと、四十八年から五十六年までは木材需要壁はかなり増加をする、国内供給量もわずかに増加をする、輸入増大というような傾向を示しておるところであります。ところが、その後の推移を見ますると、政府見通しと異なって需要量供給量見通しよりも非常に下回っている。ただ、外材だけは見通しのような比率で伸びているわけなんです。  そこでお伺いしたいことは、五十二年度までのこの見通し実績について、農林省はどのように判断をしておられますか。
  12. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 林産物に関します需給長期見通し、あるいは森林資源基本計画、これが昭和四十八年の二月に閣議決定を見たわけでございまして、ただいま先生指摘になりましたように、この後の日本全体の経済の動き、あるいは外材輸入状況等々ございまして、現時点ではこの計画長期見通し現実の姿というものは、必ずしもこの見通しの路線に乗って動いておらないのは事実でございます。  この見通しは、林産物需給を十年後、さらに二十年後について一応見通しております。そういう見通しの仕方で、四十八年に基本法に基づいてこの見通しをつくったわけでございますけれども、これを昭和五十一年について比較してみますと、用材の需要量実績につきましては、その時点に対応いたします長期見通し推計値に対しまして約一三%落ち込んでおります。それから、国産材供給量につきましても、実績は約二五%の落ち込みとなっております。  こういう落ち込みになりました原因でございますけれども、冒頭申し上げましたように、日本経済が非常に方向変換と申しますか、経済成長あり方が変わってきたという非常に大きな原因がございます。ちょうどこの基本計画を立てました四十八年というのは大体そういうピークになっておりまして、それ以後停滞ぎみであるということ、これがやはり一番大きく私どもは影響しているというふうに考えております。それから、供給量が下回っております。これが、特に国産材供給量が下回っております原因は、いま申し上げましたような日本経済に伴いまして、木材価格も非常に低迷してきたということ、そういうことで出材意欲と申しますか、森林所有者が伐採して木材を出すという意欲が非常に低下してきたというようなこと、それから木材需要の大宗をなします住宅建築、これが非常に変動がございましたし、また、非常にそれが最近ダウンしておるというようなこと、こういうことから需要の不振ということ、こういうことによります木材業界の不況という問題、これに一方外材が、ある意味で時期的には短期的に見ますと過剰に入荷してきたという事態もございます。  そういういろいろな問題がございまして、私どもが四十八年に立てました見通しに対しまして、いま申しましたようなずれと申しますか、少々ダウンの傾向現時点状況でございます。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 政府は、この見通しを立て閣議決定をする際、こういうことを強調しておるんです。この見通しによる国内供給量は、「森林資源に関する基本計画」に基づいて森林資源充実されていく場合の供給可能量であるから、見通しどおり国内供給量確保するためにはこれに必要な各種の施策を講ずることが必要である、このように言って見通しを立てたわけです。ところが、見通しをつくって五年もたたないうちに、いま長官から答弁があったように、かなりの相違が生じてきておるんです。いま長官は、この原因経済成長率の問題だとか、あるいは生産意欲を失ったからだと、外材も若干あるというようなことを言っておったのですが、政府自身が、ここに書いてあるような必要な施策を講じてこなかったからこういうことになったんじゃないですか。その辺はどういうふうに反省していらっしゃるか。
  14. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先ほど大臣の方からお答えいただきましたように、この基本計画並びに需給見通しを立てまして、林野庁といたしましても造林事業あるいは林道事業、さらには構造改善事業等々、林業の今後の推進に必要なための施策というものは、その年その年に十分私どもとしても対応してきたつもりではございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、やはりきわめて大きな経済変動があったということ、これが何よりも私は大きな影響だろうというふうに考えておりますし、そういう意味から、やはり林業振興することがこれからの日本国土を守るという意味からも、それから国民に必要な木材供給するという意味からも非常に大事なことでございますので、さらに今後積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  15. 村沢牧

    村沢牧君 参議院は、四十六年の五月に「林業振興に関する決議」を行ったわけであります。  この決議は、森林資源に関する基本計画、あるいは造林拡大林道網整備から外材輸入調整措置、さらにまた林業労働者対策公益的機能充実などを政府決議をもって要求、要望しておるわけなんです。ところが、現状を見ますると、造林にいたしましても外材輸入調整にいたしましても、さらに林業労働者現状にいたしましても、昭和四十六年当時よりもむしろ後退をしておるわけなんです。いまお話しがありましたように、主要林産物長期見通しも大きく狂っております。特に、この決議にあります民有林の分収造林だとか、あるいは外材輸入調整林業労働者労働条件改善などはほとんど見るべきものがないんです。政府は、この決議を尊重してその実現のためにどのようにいままで取り組んできたか、明らかにしてください。
  16. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 四十六年に国会決議をいただきました趣旨を踏まえまして、いま先生がいろいろ御指摘になりましたけれども林野庁といたしましてはこの決議を踏まえ、造林なり林道なり資源見通しなりそれぞれ対応してきたわけでございますが、具体的に申し上げますと、まず「「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」」、これは四十八年にその改定を行いまして、ただいま御説明申し上げましたような見通しを立てたわけでございます。その見通しの結果につきましては、いま申し上げましたような現実にはなっておりますけれども、その時点におきましてはそういう見通しを立てて、私どもとしては四十八年以降、林業林政推進に努力してまいったわけでございます。  さらに、造林事業につきましていまいろいろ御指摘もございました。絶対的な拡大造林面積が年々確かに少しずつ落ちておるということは事実でございますけれども、さらに私どもといたしましても助成対象範囲拡大すること、あるいは実質的な補助率を引き上げること、あるいは金融措置拡充強化、こういうことを年々行ってきておりまして、造林事業の積極的な推進には努力してまいったつもりでございます。  それから、林道事業につきましては補助体系を抜本的に改定いたしまして、補助率の是正を行うということをやっております。そして、林道網計画的整備を現在促進している次第でございます。  それから、木材需給に関します情報機能強化でございますけれども、これは関係業界に対する指導強化いたしまして、外材輸入適正化を図るように現在努力をしている次第でございます。  それから、林業労務改善促進事業を実施いたしまして、林業従事者実態に見合った対象共済事業整備を五十三年度から進めることにいたしておりますし、また、担い手対策充実も年々図ってきております。  それから、森林計画制度あるいは保安林制度の適正な運営によりまして、公益的機能を配慮いたしました適正な施業の確保も図ってきております。  また、国有林野基幹労働者に対しての処遇でございますけれども、五十二年度の末に基幹作業職員制度というものを発足させまして処遇改善を図ってまいりました。また、国有林野事業特別会計について五十三年度から約四十億の一般会計の繰り入れを行うことにいたしまして、その法案を現在国会提出し、御審議を願うことにいたしております。  そのほかの問題といたしまして、輸入課徴金制度の問題、それからいま先生もちょっとおっしゃいましたけれども、国が行う民有林野の分収造林等に関する制度措置の問題、この問題については、私ども従前から検討は進めておりますけれども、なお慎重な検討を要するものというふうに現時点考えております。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 いまいろいろ例を挙げて言われましたが、その内容についてはこれからだんだん質問してまいります。  そこで、この際大臣にちょっとお伺いしておきますけれども経済成長率が低ければ木材需要量も伸びないということは一般的なこれは傾向であります。昨年来政府は、景気を回復するための最重点施策として公共事業住宅事業重点を置いた大型予算を計上しておるわけなんです。これらの政策的目的政府の意図するように成果を上げたとするならば、大変無理だというふうに思いますけれども、七%の経済成長ができたならば林産物の利用も大変伸びてしかるべきだというふうに思うんです。最近におけるこの公共事業、特に住宅を初めとする建築事業あるいは土木事業木材需要供給との関係はどうなっているか。  それから、本年度はこういう公共事業をやるから、住宅事業をたくさんやるから木材需要もうんと伸びるというふうにお考えになっていますか。大臣の見解をこの際聞いておきたいと思います。
  18. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まず、長期見通しが相当変わったではないかと、見通しどおりいってないじゃないかという御指摘でございますが、この点につきましては林野庁長官が申し述べましたように、四十八年以降の日本経済情勢というものが非常に大きく変化をしたと。これは質的な変化とも言うべく変化をしたと。そういう中にあって、これは単なる木材関係長期見通しだけじゃなくて、国の経済政策あるいは経済基本計画そのものが大きく変化をしていったわけでございまして、これはひとり木材長期見通し変化しただけではないということを御理解をいただきたいわけでございます。  そういう中にあって、政府が参議院で四十六年に議決されました林業振興決議を着実に実行しておればこういう事態にはならなかったのではないかという御意見もあったわけでありますけれども政府としては、いま林野庁長官もおっしゃいましたように、この決議等ででき得る限りのことはやっておるわけでございまして、先ほどからるる申し上げましたが、その中におきましても分収造林の問題もお述べになりましたが、公団、公社等によるところの民有林の分収造林等推進をしていることは事実でありますし、あるいは基幹労働者に対する改善措置ということも、これは私が農林大臣在任中に手がけまして、これが改善を思い切って行ってきたことも御承知であると思いますが、さらに予算僭越、その他毎年毎年林業対策としては推進をしておることば、予算の計数の上においてはっきり出ておるわけでございます。  そういう状況で、しかし大きな経済変動の中にあって需給関係のバランスが崩れて木材需要というものが非常に低下をしたと。そして価格低迷をしておるという実態の中で、何とかこれに対して対策を講じなければならぬという一環として、特に公共事業の中でのこれは景気対策というものが中心になるわけでありますが、住宅投資を促進するという方針でこれまでずっとやっておるわけで、五十一年、五十二年、そして五十三年度予算等におきまして思い切った住宅予算を拡大をしてまいったわけでございまして、われわれとしては、この住宅投資によりまして相当な木材需要が総需要として拡大をされるのではないかと、こういうふうに判断をいたしておるわけでありまして、現段階における五十三年の木材の総需要としては、前年実績を一・三%上回る一億三百九十万立方メートルというように見通しを立てておるわけであります。こうしたことでございますので、私たちは一面においては外材等の輸入について秩序ある行政指導等も行っていけば、これらに対しては全体的には今後漸次安定していく方向に進んでいくのじゃないか、こういうふうに断判をいたしております。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 いま大臣説明の中で、木材需要量も本年度一三%じゃないですね、一・三%ですね、公共事業住宅事業の予算の伸び率と比較をして木材需要が一・三%伸びる。大変皆様方は何か自信を持ったような言い方ですけれども、この関連はどんなふうにお考えになりますか。  同時に、林野庁長官、そういうふうに若干にしても伸びると。しかし、先ほど答弁があったように、供給量見通しよりも二五%も下がっている。木材の自給率はまさに過去最低の自給率なんですね。木材需要が仮に一%伸びたとするならば、自給率もやはり伸びるのかどうか。その辺はどうなんですか。
  20. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま大臣から御説明いただいたわけでございますが、住宅の伸びと私どもが現在想定いたしました五十三年度の木材需要の伸びとある意味で開きがございますけれども、これはやはりただいま木材というものは非常に緩和基調にございまして、そのために価格が非常に低迷いたしております。木材というものは御存じのとおり、ある意味で短期的な変動というのが非常に多うございますし、それから必要だからと言って直ちに購入できるものでもございません。使用可能な状況でもございませんし、国産材の場合であれば山から切って出してくるのに相当時間がかかる、外材であれば輸入してくるのに時間がかかる、そういう時間的な差が非常にございます。そういう観点から、木材需要というものをある意味で余り高目に見ておきますと、その辺の価格問題等に、あるいは思惑買いというようないろいろな問題にも関連してくる問題もございます。  さらにまた、最近の住宅建築が、単位当たりの木材の使用量と申しますか、そういうものも必ずしも昔に比べて伸びておりません。木造建築がある意味でその他の代替物資によります構造内容という形で単位の消費量、使用量も減っておりますし、そういう観点、いろいろのことを加味いたしまして、総合的にいま大臣から御説明いただきましたような一・三%の伸びという形で押さえたわけでございまして、これにつきましては、ただ今後のいろいろな見通し、推移等を考えまして、そのあり方については適宜その辺の修正なり対応なりは考えていくつもりでございますし、そういうことによりまして、やはり一年間の見通しの中で最近の変動というものは非常に短期間にいろいろ振れますので、そういうものを考えながらわれわれといたしましても一応こういう見通しを立てましたけれども、この一年間のいろいろな需給あり方については、さらに慎重に検討し対応してまいるというつもりでございます。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 御答弁願ったわけですが、住宅需要も土木建築需要も伸びる、思い切って伸ばすということですが、それに比較して木材需要量は一・三%の伸び、非常に問題もあるというふうに思いますが、私がさらに質問いたしましたように、自給率は伸びるかどうか。国内の自給率ですね、それはどうなっていますか。
  22. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 失礼いたしました。  国内の自給率でございますけれども、大体国内供給量は去年、前年に対しまして一・一%ぐらい伸びるだろうというふうに考えておりまして、外材の方は一・三%ぐらい伸びるだろうというふうな見通しをいたしております。絶対量が外材は多うございますので、大体自給率については前年とほぼ同じであるというふうに考えております。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 自給率や外材の問題については後ほどまた質問いたします。  そこで、政府は本年三月、全国森林計画というのを発表いたしました。これは森林法の第四条第一項の規定に基づき、林業基本法第十条第一項の基本計画及び長期見通しに即して昭和五十三年四月一日から昭和六十八年三月三十一日までの十五年間の見通しであります。そこで、この見通しは法に基づくものでありますから、都道府県の森林計画を誘導するものでありますし、ある面においては、都道府県の計画森林所有者を拘束するものであります。したがって、この内容は的確でなければならないと私は思いますが、以下一、二お伺いします。  まず、民有林についての伐採材積ですね、資料によれば民有林は七億六千万立米、これを伐採するというふうになっているんです。これを十五年で割ってみますると、五千六十六万立米ということになるわけですね。それからさらに造林について申し上げます。造林は、十五年間に三百四十二万六千平米するということです。十五年間で割れば、二十二万八千平米ということになるわけですけれども、この最近の実績ですね、五十二年度の実績と対比してみてください。五十二年の実績についてまずお伺いします。
  24. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 五十二年度の民有林の伐採実績は、二千九百三十万立方という見込みでございます。計画童に対しまして六七%でございます。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 造林は。
  26. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 失礼しました。  造林につきましては、民有林の人工造林は十六万三千ヘクタールの見込みでございまして、計画量に対しまして七一%でございます。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 伐採がこの森林計画によると、一年間に単純平均すれば五千六十六万立来計画は立っているけれども実績は二千九百三十万立米。この計画の六七%というのは、ことしのと比較したんじゃないですね。前の計画と比較したと思うんですけれども、前年の、前のこの森林計画に対しても六七%しか達成しておらない。造林については二十二万八千平米です。これから一年間にやっていこうとするに十六万三千平米くらいなものですね。これも前の計画に対して七〇%。このように、すでにこの森林計画をつくったときからもう現実と合っていないんですよ。これは当初の年度だからこういう数字だ、あるいは単年度ではこういうように違うけれども――じゃお伺いしますけれども、十五年間にこの森林計画どおりに、伐採にしても造林でも進むような見通しを持っておるんですか。
  28. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) この全国森林計画は、先ほど先生から御指摘ございましたように、森林資源に関する基本計画に即してこれを立てるということに相なっておりまして、先ほどの御議論にございましたように、現在の伐採、造林状況は、この森林資源に関する基本計画に比較いたしましても停滞ぎみにございます。したがいまして、今回の全国森林計画は、森林資源に関する基本計画がいわゆる修正されない限りできるだけ即して立てるということに相なっておりますので、私どもといたしましては今回立てました全国森林計画につきましても、できるだけ実現できるように努力をしていかなくちゃならぬというふうに考えておるのでございます。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 重ねてお聞きをしますが、できるだけ努力をするという意欲は結構です。これは法に基づく計画ですね、それと現実実績が余りに違っておるんです。これがいま努力はするけれどもあなたたちは実際できるという見通しをとっているんですか、いまの情勢の中から。計画を立てる当初年度からこれは違っておるんじゃないですか。
  30. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) もちろん、これは今後の林道整備なり、あるいはいわゆる基盤整備が進んでまいりませんとなかなか実現が困難でございますが、この点につきましても今後鋭意努力をしていくという姿勢でございます。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 計画を立てれば努力することは当然のことですよ。そんなことを聞く必要はないと思うんですね、皆さんが努力をしないような計画なんかありっこないんだから。それはまた続いて聞いてまいります。  それで、いま私が指摘をいたしましたように、政府長期見通しも、それからこの全国森林計画に基づいて立てた計画も、きわめて甘い見通しだというふうに私は思うんです。いま林業白書で分析しているように、林業の置かれている厳しい情勢とそれから危機的な意識も、この計画の中にあらわれておらないんです。ただ、願望的な数字を並べたにすぎないと私は指摘をせざるを得ないんです。  この際お聞きをしておくんですけれども、現在の国内供給量から推移をいたしまして、将来の木材需要供給はどうなりますか。特に国土の三分の二は森林であるというわが国におきまして、森林資源は今後長い年月かかっても需要を満たすことができないのかどうか、その点についてこの際聞いておきたいんです。
  32. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) この四十八年に立案いたしました林産物長期需給見通しによりましても、昭和九十六年度のいわゆる輸入量の比率が三八・三%ということに相なっておりまして、四十八年に立てましたこの見通しによりましても、国内だけで需要を賄うというわけにはまいらない資源状態にあるということでございます。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 四十八年に閣議決定した長期見通しが、五年を経ずしてこのように狂っておるんです。そしてまた、こうした見通しに基づいて作成した森林計画も、あえて言えば誤りであります。したがって、こうした現在置かれている厳しい情勢を認識して、正しい将来展望に立った長期見通しを私は立てるべきだというふうに思うんです。そして、その正しい見通しの上に立って政府が積極的な施策を講ずるべきであります。  この際、基本的に伺っておきたいんですが、この林産物需要及び供給に関する長期見通し、これを私は見直すべきだと思うんです。訂正すべきだと思うんです。現にこの見通し昭和四十一年に立てた。ところが、その後いろいろ推移があって、見通しどおりいかないので四十八年度に見直しした見通しなんです。これが狂ってきたというのは、必ずしも林肝庁長官ばかり責めているわけじゃない。いろいろ経済情勢もあった。それで狂ってきたんですから、ですからこの見通しをやっぱり見直して、そして正しいものに基づいて森林計画なりこれからの施業を進めるべきだと、私はそのように判断しますが、どうですか。
  34. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 長期見通しなりそれに対する全国森林計画なり、ただいま指導部長の方から御説明申し上げましたとおり、必ずしも現在の実態には合っていないということは私どもも認識いたしておりますし、さらに計画なりに沿うべく今後努力することは非常にまた困難であるということも、われわれ認識いたしております。しかしながら、私どもといたしましても、全力をふるって今後の林業振興のためにその計画に沿うような努力はしていかなければいけないというふうに考えておりますが、いま御指摘になりましたこの見通しでございますけれども、これは先生は重重御存じのとおり、木材見通しというものは、必ずしも短期的な変動等々ですぐにどうこうするという問題ではなかろうと。やはりある意味長期的な見通しでございますので、短期的な変動というのは、それぞれの時期においてそれぞれの変動があるのじゃなかろうかというふうに考えております。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、非常に経済の基調も変わってまいりました。そういういろいろな問題もございます。したがいまして、今後関係方面の方々、広くいろいろな御意見を伺いまして、今後この見通しにつきましてどういう対応をしていったらいいかということを含めまして、所要の検討は進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 関連。  いまの長期計画関係ですが、これは森林法の第四条それからさらには林業基本法の第十条、この条項からいきますと、当然計画に狂いが生じたそういう場合についてはこれの見直しをしなきゃならぬ。私は、これは法律に基づいた義務だと思うんですよ。その関係については、一体どう認識をされているんですか。
  36. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいまも御説明いたしましたように、林業というのは非常に息の長い仕事でございますし、それだけにまた、長期見通しを立てて林業というものは推進しなければいけないというふうに考えております。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 したがいまして、長期間、四十年なり五十年のその途中におきましてはそれぞれ大きな、あるいは場合によれば、ある意味での大きな経済に対しての変動というものがあり得るかもしれません。しかし、これを長期見通した場合にはどうなるかということになりますと、これはまた一つのその方向に合うという事態もあるわけでございますし、そういう観点から、私どもこの見通しについては長期的に果たしてどうなんだろうかということをやはり十分詰めまして、現在の短期的に見た場合の変動なり推移というものにどう対応すべきかということは、やはりはっきりつかまえて今後対応すべきだろうというふうに考えております。したがって、先ほど御説明申し上げましたように、そういう問題をやはり広く関係方面の方々の御意見を聞いて、どう対応すべきかということを私どもも真剣に今後検討してまいるという考え方でございます。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 くどいようですが、この見通しに基づいて立てる森林計画は、都道府県なりまた森林所有者を拘束するものです。したがって、単なる見通しではないわけです。お話があったように、見通しも狂っている、それからこの見通しに将来近づけようとしてもなかなか困難であるということが答弁されておる。いま大臣がおりませんから大臣が来てからまた私は再度質問しますから、その前に皆さんの統一見解をまとめておいてください。  次に、林業白書は、木材需要供給の面から危機感を強調しているわけですけれども森林はもう一つの面として、生活環境と国土保全の面からもこれは見直さなければならないわけであります。たとえば水資源の滋養あるいは環境保全、災害防止、こういう面から林業を評価して、さらにこの林業生産の停滞というのは山村を崩壊させるだけでなくて、都市にとってもこれは死活問題なんです。木材は、あえて言うまでもありませんけれども、食糧と同じように人間生活にとって不可欠な資源であります。一本の木を育てるには五十年という歳月がかかるわけですから、木材が不足になったからといって気がついたでは遅過ぎるのです。したがって、森林は国民生活にこれだけ必要なんだというこういうやっぱり資料なり、国民にアピールすることも必要だと思うのです。  かつて農林省は、昭和四十七年の十月に、「森林公益的機能計量化調査 みどりの効用調査」というのを発表したわけですね。この内容を見ると、森林はこうした経済的な面のほかに、十二兆八千二百億円のこれを一般的には効用しているんだということを内外に明らかにしているんですね。その後もこういう調査をしているんですか。私は、国民にやっぱり理解をしてもらって林業を見直していくためには、こういうことも必要であると思います。その後こういう調査はやっているのかどうか。現在でこういう機能調査をしたなら、一体どのくらい森林が効用を果たしているか、それを明らかにしてください。
  38. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生が、現在もこの調査をしておるかということでございますが、この調査は、私どもやはり森林公益的機能を一応持っておるということを具体的に数字であらわしたらどうなるであろうかということで、概算検討いたしましてはじいたものでございます。  この計算につきましては、林野庁としてはその後はやっておりません。しかしながら、これを現在の価格に換算いたしますと二十兆ぐらいにはなるであろうというふうには想定いたしておりますけれども、具体的な計算はいたしておりません。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 森林公益的機能は、いま林野庁長官は現在で推定すれば二十兆円ぐらいになるだろうと。ある人やある組織の見方においては、三十兆円にもなるという人もあるわけなんです。このように多くの公益的機能を持っているわけですね。そうするならば、やっぱり林野庁のこの施策、予算等も、かなり私は思い切ったものを組まなければならないというふうに思うのです。  これは大臣に質問した方がいいというふうに思いますが、おりませんから後ほど質問しますが、政務次官おりますから政務次官にお聞きしますけれども、ことしの林野庁の予算は御承知のとおり一般会計で二千八百六十五億六千余万円ですね、特別会計で四千五十三億円、合わせて七千億円足らずの予算です。林業現状やその発展に対する期待、さらに森林機能に比べてこの林業の基盤整備、環境整備、こういう国の予算はきわめて少ない。先ほど林野庁長官はいろいろやってまいりましたと言っておるけれども森林の公益機能だって二十兆円、三十兆円というこれだけの機能を持っているのです。これに対して政務次官はどのように感じますか。
  40. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) 国の予算の伸び率からして林業に対する予算が小さいじゃないか、この反面、林業というものは国民に公的にいろいろと寄与しておる、将来こういうことでいいのかというような意味の質問でありますが、私どもはやはり林業の将来の国民に与える影響、そういうものを考えまして、公的機能の維持とか増進を図るように努め、さらに予算増額に努めていかなければならない、こういうふうな考え方をいたしております。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 この際、林野庁長官に、こうした公益的機能を持っている森林をさらに維持発展をするための基盤整備事業、特に林道、治山の計画ですね、第三次林業構造改善事業があるかどうか、あればその構想について伺っておきたい。
  42. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま政務次官からお答えいただきましたけれども、私ども公益機能を発揮させるためにいろいろ努力はいたしておりますが、公益機能と申しますものの発揮は、やはり適正な森林維持管理、経営をすることによって発揮できるであろうというふうに考えております。そういう意味から、造林事業等につきましては五年間で大体一・九倍、林道については二・二四倍、治山事業については一・九九倍、約二倍の伸びを示すような予算を現在組んでおりまして、必ずしもこれが十分とは申しませんし、いま政務次官からお答えいただきましたように、今後とも努力してまいらなければいけないというふうに考えておりますが、いま御指摘がございましたように、林業構造改善事業の第三次と申しますか、次の問題につきましては、私どもやはり二年間ぐらい調査をいたしまして、今後の林業構造改善事業はどうあるべきかということを十分踏まえた上で対応してまいりたいというふうに考えております。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 私は、大体一時間ぐらいかけていままでいろいろ基本的な問題について伺ってきたんですけれども、いろいろやっていることは事実なんですけれどもその成果が期待どおりには上がっておらない、このことを指摘をしたいというふうに思うんです。  そこで、木材の自給率は三四・九%、過去最低ですね。したがって、森林所有者林業に対する意欲を失って、国土の保全をするという面から見ても非常に憂慮をされるような事態になっているわけなんです。こういう事態に対して、農林省が将来展望を持った対策を打ち出すことができないのが現状ではないかというふうに思うんです。林業振興を図るためには抜本的な策がいまこそ強く求められておるわけでございますけれども林業の将来展望と関連をして、当面をする林業重点課題は何であるか、お聞かせください。
  44. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先ほど来大臣等から御説明申し上げましたとおり、林業は非常な現在ある意味で危機に来ておることは私ども十分認識いたしております。それに対応するために基盤の整備、あるいは担い手確保、さらには需給の安定等々いろいろな問題があろうと思います。しかし、現時点で一番やはり問題になっておりますのは、これだけ林業が停滞したということは、日本経済全体の基調の変化というものもございますけれども、やはり需給が非常に緩和基調にあるということ、そのために価格が非常に低迷しておること、これがある意味では一つの大きなポイントかと思います。したがいまして、私どももこれからの日本木材需要供給というもののあり方をはっきりつかまえて、的確な需給というものを把握し、それを指導して輸入の安定的な計画的な輸入あるいは国産材生産というものをとらえ、林業意欲が盛り上がるようなやはり需給計画をつくり上げること、これがまず第一に必要ではなかろうかと思います。  さらに、国産材を今後安定的、計画的に生産していただくためには、現在非常に基盤の整備もおくれております。したがいまして、そのための林道整備あるいは構造改善によります体質の改善等々を含め、それに関連いたしまして担い手確保という問題もございます。こういう国産材をいかにしてやはり計画的、安定的に生産していただいて、林業意欲を盛り立てるかということの基盤整備中心にいたしました対策というものは一方では講じていかなければいけない。この両々相まつことが非常に大事ではなかろうかというふうに考えております。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 国産材を安定的に供給を図ることは必要であります。したがって、そのための一つ一つというか、施策について以下伺ってまいりたいというふうに思うんです。  まず、林業の安定的供給を図るためには、造林事業から見直さなければならぬというふうに思うんです。造林事業は年々減少を続けて、四十二年度に比べればまさに六割弱になっているんですよ。これは、いまの経済状況林業の将来に希望が持てないから、森林所有者造林に投資をするという意欲がわいてこない、そこに最大の原因があるというふうに思うんです。しかし、森林所有者は必ずしも造林をしたくないというのじゃないんです。造林はしなければならない、しようと思ってもいまはできないというのが実情なんです。したがって、造林ができないという原因をなくして、進んで造林ができるようにすることこそ、まさに林政の課題ではないかというふうに思うんです。  そこでお伺いしますけれども、人工造林の目標面積、それから森林計画による計画と現在の実情の中からその計画は達成できるというふうに思いますか。また、計画を達成するための施策、以上答えてください。
  46. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) ただいまも御質問の中で目標造林面積は幾らかということがございましたが、先ほど来話が出ております森林資源に関する基本計画におきましては、民有林の人工林目標は千三十一万ヘクタールでございます。この最近の造林実績は、先ほど五十二年度につきましては申し上げましたけれども、たまたま全国森林計画の五年分と、つまり四十八年から五十二年度までの造林実績を比較いたしますと、七一%でございます。この造林が停滞しております要因につきましては、先ほど来の御議論の中でいろいろ出ておるわけでございますが、私どもが分析いたしておりますのは次のようなことでございます。  この千三十一万ヘクタールの目標造林面積に対しまして、全国的には実は五十一年度末ですでに七二%を達成しておりますので、いわゆる造林先進地域につきましてはほとんど拡大造林の余地がないというのが現況でございます。また、拡大造林が非常に進んでいない地域につきましては大部分が旧薪炭林でございまして、これらのいわゆる造林対象地の立地条件も非常に悪くなってきておるわけでございます。つまり、拡大造林が進められた結果、これらの薪炭林も奥地化あるいは零細化、分散化をいたしておりまして、非常に立地条件が悪くなってきておるというのが一つの大きな要因でございますし、また入会林野等がございまして、権利関係が非常に複雑化しておるという地域が残されておるということでございますし、また非常に最近悪い条件といたしましては、いわゆるチップ材の需要不振という問題がございまして、このようなことでいわゆるそういう地域がなかなか切りにくいという状況にあるわけでございます。つまり、造林対象地の薪炭林が切りにくい条件にあるということがございます。  それからまた、先ほどお話しございましたいわゆる自然保護でございますとか、国土保全あるいは広葉樹に対する見直しというようなこともございまして、全体の広葉樹林がそのあり方について見直されるというような時期にも立ち至っておりますし、また特用林産物の原木としての供給源としても見直されつつあるというような、いろいろな条件下にございまして、拡大造林計画どおり進まないというのが現状でございます。また、再造林につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、木材需要及び価格低迷等によりまして、森林所有者によりましては伐期を長期化しようという傾向があらわれつつあるのでございまして、そのためにいわゆる人工林で伐採すべき林分が、伐採されずに残っておるというような現状があるのでございます。  これらの現状に対しまして今後どうやって目標を達成するかという問題でございますけれども、これもいわゆる林道あるいは作業道等の生産基盤整備促進ということが第一でございますし、先ほど申し上げました入会林野等の権利関係の近代化の促進を図るということによりまして、権利の複雑な地域を解消していくということも必要でございます。  また、先生承知のとおり、現在の森林計画制度の中にはいわゆる施業計画制度というものがございまして、個別施業計画も相当進んできておりますが、さらには零細な森林所有者の団地共同施業計画というのも四十八年から取り上げておりまして、このカバー率もだんだん進行いたしておるわけでございまして、いずれにいたしましても、計画的に地業していただくという意味で、これらの施業計画あるいは団地共同施業計画の一層の編成の促進ということを図っていく必要があるというふうに考えるのでございます。  また、現行の造林補助制度を十分活用していただくということも必要でございますし、また制度の内容の改善もさらに進めていく必要があるというふうに考えておるのでございます。  また、農林漁業金融公庫造林資金の貸付計画枠の確保とか、あるいは先ほど申し上げました林分改良事業、いわゆる低質広葉樹林の改良等も進めていくということが必要でございます。  また、いろいろそういうようなたとえば森林組合の労務班組織をさらに育成拡充していくとか、あるいはチップ業界の組織化あるいは木材チップの取引の共同化を促進するということによりまして、国産材チップの活用を図っていくというようなもろもろの施策を今後強化していく必要があるということでございまして、それらによりまして目標計画を達成していく努力をする必要があるというふうに考えるのであります。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 造林事業の進捗について、森林組合の果たすべき役割りについてお聞きをしたいんです。  造林は、個人あるいは協業体、会社、さらには公社、公団あるいは国、公有林、いろいろあるわけですけれども、施行者の形態別に見て、森林組合はいかなる役割りを果たしていこうとするんですか。さらに、今後造林について森林組合はどのような担い手になっていくことを期待をしているんですか。森林組合造林との関係について説明してください。
  48. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林組合につきましては、従前から森林組合の必須事業として、森林の経営あるいは施業の受託ということをやってきておりますけれども、特に最近では、個人で造林するということが、労働力の確保なりあるいは資金の問題等々反映いたしまして、ある意味で非常に困難になってきている面もございます。そして、そういう意味から、森林組合造林を委託するという傾向が強くなってきているというふうにわれわれ理解いたしております。そういう意味で、森林組合造林事業に果たします役割りというのは、これからもますます私どもは強くなってくるであろうということを考えておりますし、またそういうことを通じまして、森林組合自身が強くなってくるということも考えられると思います。  現在、五十二年度におきまして、森林組合が実施いたしました造林面積でございますけれども、大体七万二千ヘクタールほどございます。そのうち、民有林分は約七万ヘクタールでございまして、これは民有林が新植いたしました面積の四一%に及んでおります。この傾向は、今後ともだんだんこの割合が高くなってくるだろうとわれわれ考えております。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 こういう意味で、森林組合がこれからの国全体の造林推進に果たします役割りというものは、ますます強くなってくるものというふうにわれわれ考えております。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど指導部長の方から、造林補助金の話も出ました。その造林補助金は、システムや計算事務がむずかしい。極端なことを言うと、県や森林組合の担当者すら完全に理解するようなことが容易でないと私は思うんです。たとえば、カラマツ千本を新植した場合に幾ら補助金くれますかと言われて、率直に答えられる人は私はないと思うんです。きわめてあの制度はむずかし過ぎる。それから、造林促進を図るためには、造林補助金制度の補助要件の緩和を図ることが必要であると同時に、補助率も上げなければならないというふうに思うんです。  そこで、造林補助金について次のことを聞きますから、率直に答えてください。  一つは、造林補助金の算定基礎になっている標準単価は、実際の単価に比べて妥当なものであるかどうか。  次に、都道府県知事の補助金申請については、林野庁が大幅な査定をするようなことなくこれを認めているかどうか。  三つ目に、昭和四十九年の森林法改正に基づいて、特に公益的機能の高い森林については造林及び保育の補助要件を拡大し、また緩和すべきであるというふうに思いますが、こういう考え方はないのかどうか。  四つ目に、造林補助金制度の手続を簡素化する必要があるというふうに思われるんですが、どうですか。  そして最後に、補助率を高める考え方はないかどうか。  以上、五点について簡潔に答えてください。
  50. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 第一番の、造林補助単価が現実に即しておるかどうかという御質問でございますが、五十二年度につきまして都道府県の標準単価決定状況を見てみますと、造林の条件いろいろございますが、千差万別でございまして、一律に比較することは困難でございますけれども、一般的な状況といたしましては、県が定めております補助金の決定状況は、国の予算単価を上回っておるというのが現状でございます。  したがいまして、第二の御質問でございました、県の要請に対して林野庁が厳しく査定をしておるのじゃないかというお話でございますが、できるだけ現地に適合したような補助単価を採用するというたてまえでございますので、一概に厳しく査定をするというようなことで臨んでいるわけではございません。  それから、いわゆる保安林等の公益的な機能の高い森林につきまして補助条件をよくするということはどうかというお話でございますが、公益的機能を発揮させるような森林についての造林につきましては、いままでも拡充をしてきておるわけでございまして、特に保安林等につきましては、昭和四十八年度からいわゆる下刈り、雪起こし、また四十九年度からは除間伐等の森林整備を補助対象といたしまして、いわゆる植栽から保育に至る一貫した助成制度を確立しておるのでございます。  それから四番目は、いわゆる先ほど御指摘ございました、非常に補助金のシステムや計算事務が複雑だと、これを簡素化する気はないかという御質問でございますが、確かに複雑な面がございます。しかしながら、この造林補助金というのは、先生承知のとおり、森林所有者等が造林を行った結果、申請をして、それに対して補助をするという方式をとっておりますので、造林実態は非常に千差万別でございます。したがって、交付にかかる事務量が非常に多くなるということはこれは避けられないわけでございまして、今後とも実情に即しました適正な補助体系確保しながら、それらについて簡素化できる部分がございますれば簡素化するように、十分検討していきたいというふうに考えております。  それから五番目の、補助率を高める必要があるのじゃないかという御質問だったと思いますが、これにつきましては毎年、五十三年度につきましても、たとえば寒冷地の造林でございますとかというものに対する査定係数を高くするというようなことで、いろいろな特殊な必要性に基づきまして従来からも努力しておるわけでございまして、今後もそういう特殊なものにつきましては、十分配慮をしていきたいというふうに考えておるのでございます。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 造林事業促進するために、私は以下数点の提案をして、皆さんの見解を聞きたいというふうに思います。  まず、今国会で社会党が提案をした民有林に関する特別措置法案であります。この法案は、速やかに造林を行う必要があると認められる民有林について、国が分収造林を行うということを基本とするものでありまして、分収割合はそれぞれ十分の五とすることを基本にしております。いままで指摘をしてまいりましたように、森林の持つ公益的機能及び林業現状を見るならば、政府造林に対して積極的な役割りを果たすことは当然であり、そのために政府森林所有者との分収造林を行うということこそ、最も私は時宜に適した措置であるというふうに思うのです。昭和四十六年の衆議院、参議院両院の林業振興の特別決議の際においても、重点要求としてこの分収造林を挙げているんです。これは議員立法でなくて、政府みずからが率先をしてこんなことをやるべきだというふうに思うのですけれども、現在衆議院に提案されております法律案について、林野庁長官としてはいかなる理解をしまた評価をしているか、長官の見解を聞きたい。
  52. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 分収造林推進につきましては、先生十分御存じだと思いますけれども、水源林については森林開発公団、それからその他の民有林につきましては、府県にございます林業公社等々でそれぞれ推進いたしておりまして、この分収造林計画も、私ども判断ではある意味計画どおり進んでいるというふうに考えております。  いま御指摘がございました、ただいま社会党で提案しておられます国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法の問題でございますが、これはただいま衆議院の方に提案されておりますし審議が行われることになっておりますので、この段階での私どもの見解につきましては、意見を申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 私どもも一緒にこの法案の作成については加わったんですが、ここの段階で、どうして林野庁長官として言えないんですか。この法律知っているでしょう。どんな考え方を持っているか、理解をしているか。理解してないんですか。
  54. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、いま先生指摘になりました法案については、衆議院で提案され現在衆議院で御検討いただくことになっておりますので、意見は差し控えるというふうに考えておりますけれども民有林造林推進するために、今後やはり私どもといたしましても分収造林という方法というものは、ある意味で今後一つの大きな柱であるというふうには考えております。  そのあり方については、先ほど御説明申し上げましたように、森林開発公団なりあるいはそれぞれの府県にございます公社なり等々が、それぞれのあり方推進しておりまして、いまございます分収造林法の法律に基づいて私ども計画いたしましたものに対しましては、ある程度計画的に進んでいるというふうにわれわれ理解しておるわけでございますけれども、そういう観点から見まして、現在、これからの林業推進するために、私どもといたしましてはいま申し上げましたような形、それからまた、これからの林業推進するためには、それぞれやはり林業者及びその組織いたします団体が自主的な努力によって造林というものを推進するという基本的な考え方、こういうものを中心にいたしまして林業推進することが、今後の林業推進一つの大きな柱になろうというふうに考えております。こういうものの施策強化することが、これからの造林推進には非常に適切であろうというふうには考えておる次第でございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 長官、いま国の方では公社、公団造林と分収造林をやっているというお話があったですが、こういうことをやってもうまく促進をしないからこういう法律を出そうということになったんですよ。しかもこの法律は、こういう法律をつくりなさいということはいま始まったことじゃない。四十六年の衆参両院の附帯決議にもなっているんです。私がお聞きをしたことは、いま出された法律に対して、いいか悪いかというようなことじゃないんですよ。四十六年以降皆さんがそういうことを検討したかどうか、国が本当に分収造林を行う必要性があるのかないのか、検討したかどうか。それはどうですか。
  56. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先ほども申し上げましたけれども、私ども振興決議等をいただきまして、それに基づいてそれぞれの項目について検討を進めてまいりました。いまお話しの、国営分収造林の問題につきましても検討を進めてまいりましたし、そういう過程で、先ほど申し上げましたような現在日本における分収造林あり方、また進め方がこういう形で進んでおりまして、それが私ども判断では一応計画的に進行しておるという判断もございます。そういう意味から、さらになお慎重に検討する問題だろうというふうに考えておる次第でございます。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 長官がそんな意識ですから、造林事業も進捗しないんですよ。皆さんが積極的に造林事業を進捗しようという、そういう意識がないというように受け取らざるを得ないんです。その問題は、論議しても時間がかかりますから、次に進みましょう。  次に、市町村の行う造林事業、市町村の行政との関連を持った造林事業、現行の造林補助制度には市町村の行政機関が関与しておらないわけなんです。林業が、申すまでもなく森林所有者経済的な地位、社会的な地位を高める、しかも国土の保全を図るという、こういう目的を持つならば、末端の行政組織である市町村が地区内の造林に対しても関与することは、私はあってしかるべきことだと思うんです。特に、里山地域においては荒廃した山林が非常に多いわけですけれども、こうした地区の市町村においては林務担当の職員すら置いてないところもあるわけなんですね。したがって、造林についても市町村の自覚とその施策を促して、たとえば国の補助金にプラスをして市町村が補助金を出す、そうした場合においては県もまたそれに対して援助する、県がそうした措置を行った場合においては国が助成をする、こうしたことが考えられないかどうか、見解をお聞きしたいと思います。
  58. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま先生指摘になりましたように、これからの林業推進する上で市町村がやはり十分その林業振興に認識を持ってもらう必要があるということは、私どもも全くそのとおりでございます。そういう観点も踏まえまして、現在、中核林業振興地域育成特別対策事業というものを進めております。これは、市町村が中心になりまして、市町村長に造林事業等を中心にいたします計画内容で整備計画というものをつくっていただきまして、その整備計画に基づきます造林その他の事業の実施を確保するために、市町村が中心になりましてその推進指導を行おうという措置でございます。こういうことによりまして、市町村が今後さらにそれぞれの地域造林振興林業振興に認識をしていただく、そうして意欲を持って指導していただくという姿勢を林野庁としても今後とっていただこうということで、この施策推進しておるわけでございまして、先生指摘になりましたように、今後市町村が造林推進中心的な役割りとして今後とも努力していただくということについては、私どもも積極的な対応をしてまいりたいというふうに考えております。  一方、民有林造林の全体の中での市町村の役割りというものを見てみますと、総造林面積の約六%程度で、必ずしも割合としては高くございません。ただ、この市町村が行う造林につきましては、農林漁業金融公庫の資金の融資枠の確保などを行うこと、これは起債許可方針におきます融資率の引き上げをやっておりますけれども、そういう措置をいたしまして、今後市町村がさらに積極的に自分の山についても造林推進していけるような対応をしてまいりたいというふうに考えておりますが、これからの造林推進する上で市町村が中心であるということについては、私どももそのとおりだろうというふうに考えておりますが、一方、造林の補助のあり方につきましては、現在、国側とそれから都道府県がやはり補助をいたしておりまして、こういうものを中心にして今後とも推進していくことがいいのではなかろうかというふうに考えております。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 森林がだんだん崩壊してくるんですけれども森林の崩壊は、先ほど私が申しましたように、山村の疲弊だけでなくて都市の崩壊にもつながってくるわけです。何回も言っておりますけれども森林の持つ公益的機能維持増進をするために、地方公共団体の治山治水対策あるいはまた発電を行う電力会社の水資源確保するための造林対策、こうしたことももっと積極的に林野庁推進をさせるべきだというふうに思うわけです。  たとえば、愛知県の行っております水資源確保の基金制度、こういう基金制度を設けて、その利子によって造林なりあるいは保育を行っている。かつて長野県は、電力会社に協力を求めて水源涵養のための電源造林なんてこともやったことがあるんですね。このような地方公共団体造林あるいはまた育林に対するあり方について、林野庁はどのようにこれを評価をして、さらにこれを推進をされていくような指導を持つかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  60. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林が持ちます公益的機能の中に水資源の涵養という公益的機能、これは非常に大きなものであろうと考えておりますし、先生の御指摘のとおり、そういう意味造林も非常に意義があるというふうに考えております。そういう観点から、数県におきましてはそういう考え方で、俗に言いますと受益者負担と申しますか、そういうもので対応しているところも私どもも認識いたしております。また、一般的に、森林の造成あるいは維持に対します費用について、一部その受益者が負担すべきであるという声が近年高まっておるということもわれわれ認識いたしております。  そういう観点から、昭和四十九年度から二県以上にまたがります重要流域につきまして、森林造成維持費費用分担推進調査というものを実施いたしております。こういう調査を実施いたしまして、森林の有します諸機能あるいはその費用負担の実情、受益者の実態等につきましていろいろと調査を行っておりまして、この調査結果を利用いたしまして森林の造成維持、これの負担のあり方等を今後検討して打ち合わせ会等も進めておる次第でございます。こういう調査結果を踏まえまして、五十二年度から水需要の逼迫が見込まれております重要水系におきまして、上下流の都道府県等が共同して費用を分担して計画的に水源林の造成整備を行う場合には、特別の助成措置を行います共同水源林造成特別対策事業というものを実施しております。こういうことによりまして、私どももやはり今後この問題については、さらに検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 いま長官説明のあったいろいろな施策ですね、さらにこれを発展さしてください。そのことを要望しておきます。  それから次は、造林に必要な苗木の問題でありますけれども、私はこの苗木は無償交付したらどうかという考え方を持っているのです。大規模山林所有者の行う大きな造林は別としても、小規模造林の一定面積に対しては苗木の無償交付、つまり苗木代の全額補助制度をとったらどうかということなんです。なるほど現行の補助金は、大体苗木代に見合う程度の補助金にはなっておりますけれども、しかし苗木代については全額補助、労務費その他の諸経費については四割以上の補助をする、これくらいの思い切った措置、予算にしたらそんなに大きな金じゃないと思うんだけれども皆さん考えられたらどうかと、考え方について提案をし、要求をするのです。
  62. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 先生承知のとおり、造林事業公共事業として、森林の造成を目的といたしまして人工造林を行った場合に補助をするということにいたしておりまして、苗木代はもとより、地ごしらえ、植えつけ等にかかる労賃等を含めました全体の造林費用を補助対象としておるのでございまして、苗木代のみを切り離して無償交付するという形をとることは、いま言いました公共事業という観点から言いましても非常に困難であるというふうに考えておるのでございます。したがって、今後とも苗木代、地ごしらえ費あるいは植えつけ費等の造林経費及び保育経費に対する助成の拡充を図る中でその造林事業推進に努めまして、先生がおっしゃるような御趣旨に合うようにやっていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 指導部長、そういう制度上苗木代だけ取り出して無償交付にするのは困難であると。私は、そういう意図を持った、苗木代が無償交付になったと同じようなやっぱり補助全体が率が上がってくると、そういうことについては今後検討するということはいいですね。やりますか、補助金を上げると。
  64. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) これは先ほどの御質問にもございましたように、いまの造林補助制度というのはいろいろな査定係数というのを使ってやっておりまして、現在標準補助率は確かに国が三、県が一と、いわゆる四割補助ということになっておりますが、たとえば保安林造林でありますとか計画造林でありますとか、いろいろそういうようなものにつきましては、査定係数をもちまして六八%ぐらいまで補助率が上がっておる現状でございまして、先ほどの御指摘ございましたように、苗木代しかないということは、四割補助という場合にはあるいは地域によってはそういうところがあるかもしれませんが、必ずしもそういう実態ではないというふうに私ども認識いたしております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、やはり査定係数で十分とれるものにつきましては今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、最近年度における造林補助金の予算額と決算状況はどういうふうになっておりますか。
  66. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 五十二年度予算は全国計で二百五十五億九千九百万ということになっておりまして、五十三年度予算が三百十八億七千八百万、一二四・五%の伸びということに相なっております。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 決算――五十二年度予算をもって幾ら補助金を出したんですか。
  68. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 五十二年度の決算はまだできておりません。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 五十年、五十一年は。最近年度で言ってください。
  70. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) ただいま資料をここに持ってきておりませんので、後ほど御報告いたします。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 資料は後ほどいただくにしても、造林補助金は本年度これだけ必要としますという予算を持っている。その結果、決算ではその点予算いっぱい使っていますか。正確な数字は別として、五十一年、五十年、四十九年。
  72. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 五十一年度までは使っておりますが、五十二年度は一部の地域におきまして造林が進まないということで使っていない実態がございます。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 私の調査によれば、造林補助金の予算は農林省予算で計上しますけれども、いつも大体補助金の予算を課した額まで使っておらない。これは無理に使えと言うんじゃないですよ、造林しなきゃ使えないんですけれども。こういう予算を組むんだから、そうだったらもっと補助率等を高めて予算も処理すべきだし、あるいはまた造林促進するようにすべきじゃないですか。
  74. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) ただいま申し上げましたように、地域的に非常に差がございまして、本州各県ではむしろ予算が足りないという状況でございますが、北海道におきましては、計画どおりの造林が進まないということでいわゆる補助金を余すという結果になっておりまして、全体的にプーるするというわけにはまいりませんので、残念ながらそういう結果になっておるわけであります。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 次は、間伐対策について伺います。  育林の面から見ても、あるいは国産材需要供給という面から見ても、今後重点を置かなければならないのは間伐対策であるというように思います。間伐をしなければ、せっかく補助金を出して造林をした森林もだめになってしまうわけですね。戦後、拡大造林をした山林は、逐次間伐時期になってきておるわけですけれども、この間伐材の価格需要が非常に伴わない。したがって、間伐はきわめておくれているというふうに私は思う。最近年度における間伐をしなければならない人工造林に対して、どの程度の間伐が行われておるのか。それから、今後における間伐の必要性について同時に答えてください。
  76. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 御指摘のように、森林を造成いたします過程におきまして、間伐というのは一つ森林育成のための大きな手段でございます。したがって、やはり間伐を的確に行うことが将来に向かって期待できる森林を形成するということでございますので、間伐については、私どもとしても積極的に推進できるような対応はしていかなければならないというふうに考えております。  御存じのように、人工造林面積が五十一年三月末で約九百三十八万ヘクタールでき上がっておりますけれども、こういう中で間伐を必要といたします人工林が、昭和五十一年度から六十年度までの十年間におきまして、大体約二百七十六万ヘクタールぐらいに達するものというふうに見込まれております。  こういう森林の構造内容でございますけれども実態といたしまして、いま申し上げましたような間伐必要林分が、非常に小面積で分散的な存在をいたしておりますし、それからいま先生も御指摘になりましたけれども、かつては間伐材というものが足場丸太その他いろいろ利用面がございまして、そういう意味で比較的利用の面では積極的に利用されておったわけでございますが、最近では代替材が出まして、その間伐の利用面というものが非常に狭くなっております。あわせまして、間伐材を搬出するための作業道なり、あるいは林道というものがいまだにまだ生産基盤のおくれということから立ちおくれておりまして、間伐の需要の面からの狭隘化あるいは生産の面からの基盤整備の手おくれというような点から、間伐がおくれていることは事実でございます。そういう観点から、昭和四十六年から五十年度までの過去五年間を平均してみますと、年の平均が約九万ヘクタール程度の間伐が行われておる実態でございます。  私どもは、こういう間伐のおくれを何とか取り戻し、今後いい造林地を造成していただくために種々いろいろな対応を考えておるわけでございますけれども実態としてはいま申し上げたような実態でございます。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 いま九万ヘクタールという答弁があったんですが、それだけでは正確に私もわかりません。間伐を必要とする林分に対して九万ヘクタールは何%という率なんですか。間伐率ですね。
  78. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 約三〇%でございます。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 間伐の必要のあることは、いまお話しがあったとおりだれしも認めております。しかし、現在間伐率が三〇%、これも非常に大きな問題だと思いますね。この間伐を促進するために林野庁は、昭和五十一年から五十二年度にかけてお話があったような林業改善資金だとか間伐林道あるいは間伐パイロット事業なんかを行ってきたわけですけれども、最近の円高不況等の影響によって間伐はますますもうできなくなってしまったんですよ。したがって、いままでの施策であっては不十分です。森林組合法単独立法をつくったんですから、森林組合が行う間伐の促進について必要な施設に対するたとえば助成あるいは需要拡大のための試験研究、流通対策をもっと積極的に立てるべきだというふうに思いますけれども、その点はどうですか。
  80. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 間伐を推進するためにまず何よりも大事なことは、間伐材の利用面の拡張、これが私は大事ではなかろうかと思います。  先ほども申し上げましたように、かつていろいろな面で利用されておりました間伐材が、最近では非常に利用面が狭められたということ。しかし、これもやはりこれからの間伐材の利用の仕方の技術開発等々、あるいは普及というものを考えて対応していけば、その対応は図り得るのではなかろうかということで、御存じのように、五十二年度から木材技術センターというものを設置いたしまして、そこでただいま間伐材の需要の開発なりを検討いたしておりますけれども、こういう利用の面のこれからの開発を図るということとあわせまして、先ほど申し上げましたいろいろな対応をしていく必要があろうというふうにわれわれも考えております。そういうものを通じまして、私どもも今後間伐が推進できるような方途につきましては積極的な対応をしていきたいというふうに考えております。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 次に、外材の問題についてお伺いします。  不況によって木材需要が非常に低迷をしている、加えて円高ドル安によって外材が過剰輸入になって外材供給がだぶついておる、まさにこうしたことが国内木材市況を圧迫して需給の均衡を破ったことが、林業に対する魅力を失い、山離れになっておる大きな原因にもなっておるわけなんです。木材の自給率は、先ほど指摘をいたしましたように過去最低になっておる。これに比例をいたしまして外材供給は六五・一%、過去最大になってなるんです。このことが、国内木材の自給率が伸びない、これは外材輸入に大きな原因があるということは申すまでもないというふう思うんです。  そこで、通産省、最近の外材輸入状況、それから国内における需要供給関係、これは通産省にも林野庁にも両方関連してくるというふうに思いますけれども、まず通産省の方から答弁してください。
  82. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 外材輸入動向でございますが、初めにここ数年の外材輸入動向を見ますと、景気低迷とか住宅着工戸数の停滞という事情を反映しまして、昭和四十八年をピークにしまして減少あるいは停滞という傾向を示しております。  若干数字で申し上げますと、これは丸太と製材を単純に足し合わせた数字でございますが、四十八年に五千二百万立方ということでございましたが、四十九年には四千七百六十万立方、それから五十年が底でございまして三千八百万立方というふうに減りまして、五十一年には四千四百九十万立方、それから五十二年には四千五百四十万立方ということで、五十一年、五十二年は五十年の底よりはふえましたけれども、五十二年もほぼ五十一年と同様の数字になったということでございます。  それから、若干最近の数字を月別に申し上げますと、五十二年の前半には景気が大分底をついて先行き明るくなるだろうということで、その前年五十一年の同月を上回るという水準で推移したわけでございますが、その後無気の回復が思わしくないということで需要も停滞したということで、五十二年、昨年の八月以降ごろは実数の面でも、それから前年同月比にしましても外材輸入は減少して現在に至っておるということでございます。
  83. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま通産省の方から御説明ありましたけれども、さらにそれを地域別に見ますと、たとえば米材、南洋材、ソ連材というふうに分けてみますと……
  84. 村沢牧

    村沢牧君 長官、時間がございませんから、そういう問題いいですよ。  いま外材は停滞をしておるというお話があったんですが、こういう停滞をしておる外材国内における需要供給関係はどうか。なるほど輸入は停滞をしている。しかし自給率は最低でしょう、国内木材は。その関係について答弁してください。
  85. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 輸入材の依存率でございますが、四十八年、先ほどピークと申し上げましたときが六四・一%外材に依存しておった、四十九年六五・一%ということでございますが、五十一年、五十二年――五十二年はまだでございますが、五十一年は六五・一%ということで、四十八年以降外材の依存率というのはそれほど大きく動いていないというふうに言えようかと思います。
  86. 村沢牧

    村沢牧君 長官にお聞きをしますが、白書一つの項目の中に、外材輸入等の影響も大きいということが報告されておるようですけれども、それじゃ自給率が余り関係ないとすれば、外材が入ってきて国内生産に影響しているというのは何ですか。価格ですか。国内木材の自給率が三五・九%ですか、最低になったということは、これは外材関係ではないですか。
  87. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 自給率が一番低くなったということは、全体の需要供給関係から見れば、先生指摘のとおり外材が入ったからそういう形になったわけでございます。ただ全体として見まして、先ほど申し上げましたけれども木材全体が緩和基調にあるということ、昔は木材というのはやはりある意味で不足物資でございました。そういう意味で、外国から材を入れていただいてそれを国内需要に見合わしたということでございますが、現時点におきましては、全体の需給関係が非常に緩和基調にあるということで価格が非常に低迷しておるというのが実態、そういう意味で、非常に日本林業界が不振であるということでございます。
  88. 村沢牧

    村沢牧君 この外材を扱う輸入商社ですね、これは商社のあり方にも私は大きな問題があるというふうに思うんです。たとえば、商社は好況のときにはあの南洋材に見られますように、大規模な機械化乱伐によって自然を破壊して相手国から非常な非難を受けたんですね。それからまた、相手国の木材価格を高騰さして相手の国から輸入を削減をされる、あるいは従来丸太で輸入していたものが製品に変わってくる、いろいろ強い施策を出されておるわけですね。  この輸入商社のあり方、このことを一つお伺いいたしますとともに、もう一点お伺いしますけれども木材はなるほど自由化品目であります。商社の思惑やあるいは円高によって無計画にこれを取り扱うならば、先ほどから申し上げておりますように、外材によって国内林業生産は成り立たくなってしまうわけです。したがって、国産材供給に見合うような安定的な輸入をすることは当然でありますけれども需給の調整と木材価格の安定について基本的に聞いておきたいというように思うんです。そのために、政府国産材をベースとした的確な木材需給計画を立てること、それから木材の一元輸入機関を設けること、さらには、商社の自主的規制に任せるんじゃなくて、関係機関を網羅した調整機関をつくることが必要であろうというふうに思います。  そこで、需給計画、一元輸入、調整機関についてはどのような考え方を持ち今日まで対処をされておられますか、通産省と林野庁両方にお聞きをしたい。
  89. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 初めに、商社活動についてのお話がございましたので、若干御理解を得たいと思うのですが、わが国木材につきましては、国内資源の制約ということがございまして、相当程度外材に依存せざるを得ない、輸入せざるを得ないという事情にあることは御存じのとおりでございます。そういったことで、一つ商社活動というものが必要とされておる。  それからもう一つ、特に南洋材についていろいろ問題の御指摘があったわけですけれども、これは現地の、東南アジアでございますが、生産なり輸送なりの体制が不十分だ、未確立だということで、道路をつけるとか機械を入れるとかいう多額の先行投資が必要だというのが現状でございます。そういったことで、ある程度需要を予測して、先行きを予測して見込み輸入せざるを得ないという事情もございまして、そういったことを商社が担当してやっておるというような事情があるわけでございます。  まあ、それにいたしましても、商社の役割り、それからその活動が、相手国なりあるいはわが国林業にも大きな影響を及ぼすという事情はございますので、四十八年の五月でございますが、これは木材だけではございませんで、商社といった貿易関係者をメンバーとしております日本貿易会というのがございますが、そこで商社みずからの行動基準ということで、総合商社行動基準というのをつくっております。ここでは、国際協調あるいは国際信義、そういったものを重んじ、それから国内関係企業あるいは関係産業、そういったものとの協調を図りながら活動をしていくということをうたっておりまして、通産省といたしましても、そういった線に沿って商社がさらに自主的に適正な行動をとるということを期待しておるわけでございます。  それから、南洋材の関係でもう一点補足しますと、四十九年に東南アジア――フィリピン、マレーシア、インドネシア、それからパプア・ニューギニアという国の木材生産者でSEALPAというのをつくりまして、そこでいろいろ内部的にも活動しておるわけでございますが、日本の商社、木材輸入業者の団体であります木材輸入協会、これがそのSEALPAとも定期的に会合を持って、日本需要見通し、あるいは現地の生産状況、そういったものをいろいろ協議して、外材輸入が円滑にいくようにということで活動をいたしておりますので、そのあたりの活動も期待しておるということでございます。
  90. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 木材需要を見通す場合に国産材をまず中心にすべきではないかという点の御指摘でございますが、私どももそのとおりに考えておりまして、現在、先ほど御説明いたしました五十三年度の見通しにつきましても、需要量全体を見通しまして需要量がどのくらいあるかという見通しをまず立てます。それに対しまして、供給の方につきましては、国産材供給をまず踏まえまして、この国産材供給需要との差を外材輸入で賄うという考え方に立っております。  この国産材供給見通しでございますが、これにつきましては、都道府県が現在、素材需給動向観測調査というのをやっております。これをもとにいたしまして国産材供給量というものを私ども把握し、さらに国有林につきましては、国有林の伐採計画がございますから、そういうものを両方加えましてその見通しを立て、需要から差し引いたものを外材で対応していこうということで、需給計画は立てておるわけでございます。  それから、一元輸入をすべきではないかという御指摘ございましたけれども、御存じのとおり木材というものは現在ソ連材、米材あるいは南洋材等々、いろいろな地方から入っておりますけれども、基本的にはます自由化されておるという問題がございます。また、ガット等、国際的な場におきましても貿易の拡大という要請もございます。そういう状況と、また一方、産地国では丸太輸出の規制というような動きも見られておりまして、こういう国際的な状況全体を判断いたしますと、先生ただいま御指摘になりましたような一元化というような方向でやることは、私どもとしては適切ではないのじゃなかろうかというふうに考えております。  そういう観点から、逆にそれでは野放しでいいのかということになりますが、私どもとしてはやはり安定的、計画的に外材輸入されることがこれからの日本木材需給を安定することでもあるし、ひいては林業振興することにもなるという考え方から、やはり木材は非常に短期的に変動がございます。そういう短期的な変動を的確にとらえるような需給見通しといいますか需給計画の策定、それから在庫等をさらに的確に把握するというような問題、こういう問題を中心にいたしまして情報の拡充を図っていくこと、こういうことによりまして適切な行政指導をしていくということ、これが現時点で私どもとしては非常に適切なのではなかろうかというふうに考えておりますし、こういうものに今後とも的確な努力をし対応をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 村沢牧

    村沢牧君 外材輸入について、行政指導長官が言われるように簡単にできるものだったら、今日こんなに苦しんでおらないんですよ。できないところに問題がある。私は時間がないから、それ以上この問題について突っ込んできょうはやりませんけれども、調整機関なりあるいは需給計画、さらに積極的な姿勢を林野庁出してください。要望しておきます。  次に、林業労務者についてお聞きをいたします。森林組合の二大事業であります林産生産事業と造林造成事業、いずれも作業班の活動が最大の課題になっているわけであります。林業白書によっても、現在林業労働者は二十二万人前後で前年と余り変わりがない。あるいはまた農林省の資料によれば、森林組合の作業班の人数は五万七千人前後であるというふうに言われているわけです。別の資料の、これも林野庁の資料でありますけれども林業労働力の将来展望、これによれば、林業労働者は年々減少することが予想されるというふうに言っているわけです。私もそういうふうに思います。数の減少も問題でありますけれども、それ以上に問題なのは質の落ち込みであります。つまり、若い労働者が少なくなって老齢化していることであります。このことにはいろいろ原因があります。一々私は申し上げませんけれども、しかしこのまま放置することはできないわけですね。つまり、林業労働者を失うということは森林の守り手を失うということなんです。  そこで、具体的に二、三の問題についてお聞きをいたしますけれども、まずこの林業労働者の社会保障、雇用の安定、こういう労働条件は他の職種に比べてきわめておくれておるわけです。林野庁もなるほど林業労働者の退職金制度なんかもつくっておりますけれども、これも完全なものではない。私はここで指摘をし要求をしたいことは、この退職金共済制度を中小企業退職金共済法による制度に当てはめていく、そこまで発展をさしていくべきではないか、そのように思いますが、どのように考えておられるか。  それから次に社会保障の関係で、社会保険も労災保険も適用があるわけですけれども、御承知のように特に労災保険に至っては掛金が非常に率も高いわけです。したがって、事業主である森林組合の負担もなかなか大変であります。森林という特殊な業種でありますから率の高いことはわかっていますけれど、他の業種に比べて高い率の、いわゆる一口に言うならば上積み保険料といいますか、こういう高いものに対して県なり地方公共団体林業労働者を育成するために補助をしていく、森林組合に対して、そういうことをやった場合においては国も何らか積極的な施策を出せますか。そのことが二点。  それから三点目には、林業労働者の福利厚生施設、福利関係はほとんどないわけですね。したがって、作業班も含めて、あるいは林業後継者も含めて、林業従事者の福利施設あるいはグループ活動の拠点施設、こうしたものに対して国が積極的な施策を出せないだろうか。  当面、この三点について答弁して下さい。
  92. 石川弘

    政府委員石川弘君) 林業従事者の方々の社会保障制度でございますが、雇用保険等で一応失業問題等に対する制度も強制適用になりましたので、残りましたものがいま御指摘の退職金問題でございます。  御承知のように、非常に断続的な雇用をするとかということがございまして、なかなか普通の退職制度に乗りがたいということがあったわけでございますが、いま御指摘になりましたように、中小企業の退職金共済制度の中で、建設業とかあるいは清酒の製造業につきましてこういう断続的雇用も含めました特定業種の退職金共済制度というのがございます。私どもこれの適用を図ろうと考えておりまして、五十三年度の予算に措置をいたしておりますが、五十三年度から五十五年にかけまして三カ年間、この特定業極の退職金共済制度へ移行することを前提といたしまして、掛金に対する国庫補助を考えております。最初の五十三年度では二万五千人程度から始めますが、五十五年度には四万五千人ぐらいがこの制度に乗れるようにということで予算措置もいたしておりますので、これにつきまして、今後とも多くの方々が加入されるように行政指導もしていきたいと思っております。  それからその次に、労災につきましての掛金につきまして、市町村とか県が何らかの援助をしているのを国が肩がわれないかという御指摘でございますが、これは御承知のように、その業種によりましてある種の危険率を算定しまして、それによってそれだけの掛金がかかるという制度になっております。それを国自身が、一応援助措置が中に入っているわけでございますから、国がもしそれにさらに上乗せをするというのであれば、そういう掛金の率そのものを動かしたらいいじゃないかという論法につながりまして、まことに申しわけないのですが、国がその上に県、市町村というようなものに肩がわるという手法はとりにくいと思います。  したがいまして、私どもとしましては、実質的にそういう事業者の負担がなるべく下がるような方法といいますか、まあたとえば一つの例ではございますが、いろんな公的機関がそういう事業体に発注いたしますときに、そういう負担部分にわたりますものを公的な計算上の単価に織り込む、そのことは実質的にそういう事業体が支払うべき原資を見たということになりますので、極力そういう形で、実質的に事業者が払いにくいということがないようにという、そういう手法で接近をしていきたいと思っております。  それから、もう一つ指摘の、各種のそういう林業労働者の方々や、あるいは後継者の方々が利用できますような福利厚生施設みたいなものを整備したらという御提案でございますが、これにつきましては、いわゆる二次林構の事業の中に協業活動の拠点施設、協業センターというようなもので呼ばれておりますが、こういうものも助成対象にいたしておりまして、こういうものの中でいま御指摘のような福利厚生的な事業内容のこともこの中に含まれるというような姿で、今後とも援助を続けていきたいと思います。過去におきましてもそういうものを使いまして、ある程度集会施設とか、あるいは宿泊の施設だとか、あるいは各種の地域の相互交歓とか情報とか、そういう活動をするような場を整備いたしておりますので、今後もこういう形で進めていきたいと考えております。
  93. 村沢牧

    村沢牧君 労働省いますか。――林業労働者対策として重要な問題の一つに安全御生があるわけです。近年、林業労働者に対して白ろう病患者が大変に多くなってきておるわけですけれども民有林の労働者の中で白ろう病の実態について現状説明してください。  同時に、国有林については、林野庁になるというふうに思いますけれども、国有林の方も数だけでいいですから報告してください。
  94. 増田雅一

    説明員(増田雅一君) まず、民有林の患者数から申し上げます。  民有林における振動障害の業務上の認定者数は、昭和五十一年度末で千四百四十八人でございます。  なお、年度別に最近の新規の認定者数を申し上げますと、昭和四十九年度では二百四十一人、昭和五十年度では五百五十六人、昭和五十一年度では八百九十九人となっております。
  95. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 国有林は、五十一年度末現在で三千百四十三人になっております。
  96. 村沢牧

    村沢牧君 労働省、千四百四十八名、年々数が多くなってきているわけですけれども、これは労災保険の認定をした数ですね。それはまあ資料を読めば、あなたに聞かなくても資料を要求すれば出ていると思いますけれども、認定に至らないのがずいぶんおるわけですね。これは一体労働省として、労働者の安全衛生を担当する省としてどんな数がおるのか、それを把握していますか。
  97. 林部弘

    説明員(林部弘君) お尋ねの、まだ発見されていない患者の問題になるのかと思うのでございますが、この振動病というのはなかなか診断がむずかしい問題がございますので、結局患者として把握するためには最終的には医師の診断というものが必要となるということで、先ほど労災課長から御説明いたしました数字は、私どもがいわゆる振動病として診断の確定した数字としてとらえているものでございまして、したがいまして、現実に発見されていない患者の問題につきましては、どのようにして健診の実施率を上げていくかということによって現実にはその実態がとらえられるというふうに考えておるわけでございまして、私どもの現在のとらまえ方としては、いわゆる健診というものをどうしてその実施率を上げていくかということによって、いま先生の御指摘のございました潜在患者というものをまさに的確にとらえていくということになっていくのじゃないか、こういうふうに考えております。
  98. 村沢牧

    村沢牧君 認定をした数はわかりますが、まだ発見をされておらないという答弁があったんですけれども、白ろう病の場合には、御承知のとおりり健康診断してもA、B、Cなんてランクをつけますね。Cの場合においてはしびれや痛みやこわばりが明らかであって、これは労災として認定をする。この数がそうでしょう。BやあるいはAに該当するものだって、ましてやBに該当するものだって振動病のおそれないし現実振動病である、そういう健診の結果、労災の認定にはならないけれども、そういうのはたくさんおるわけですね。発見をされておるんですよ。その実態をどういうふうにつかんでいるんですか。
  99. 林部弘

    説明員(林部弘君) ただいまの御質問に対して健診サイドから申し上げますというと、私どもが健診サイドからつかまえております状況からいきますと、現実に巡回健診、これは委託方式の健診でございますが、林業労働災害防止協会に委託をいたしまして実施をいたしました巡回健診の結果によりますと、いわゆるこれはBということには必ずしも該当しないのでございますが、何らかの所見があり、精密健診を通じて医師の精密な診断を要するのではないかというところにつながる方々が、健診を実施した対象の中の約四〇%を占めているということが……
  100. 村沢牧

    村沢牧君 数は。
  101. 林部弘

    説明員(林部弘君) 数的には、直近の林業災害防止協会委託の昭和五十一年度分の結果でございますが、健診を実施いたしました一万六百七十六名中いわゆる精密健診回しと言われている者が四千四百五十一名でございまして、その率は四一%になるということでございます。
  102. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、いま答弁がありましたように四一%、四千人以上の人が白ろう病ではないかと、ほぼ白ろう病に近いということがわかっているわけですね。ですから、これに対して、特に民間の林業労働者にあっては作業が出来高給が多いです。どうしても長時間無理をして働きますから、そして同時に雇用形態もいろいろまちまちでありますから、なかなか把握もできがたいしまた放任をすることができないというふうに思うんです。国有林は、まだ何といってもそれは把握する方法はあると思います。したがって、労働省としてもこの健診の充実、それから把握、予防、このことをもっと積極的にすべきだというふうに思いますが、いまのようなあり方でもっては私は怠慢であると言わざるを得ないんですが、どうですか、その辺は。
  103. 林部弘

    説明員(林部弘君) 私どもといたしましては、それぞれの職域における労働舌の健康を守るということは事業主の責任であるというふうに原則としてはとらまえているわけでございますが、ただいま先生の御指摘がございましたように、この林業労働の場合にはいろいろな不利な条件その他いろいろな背景がございますので、できるだけ私が先ほど申しました健診の実施率を上げるという目的から、事業主に対しまして健診に要します費用の二分の一程度助成をしていくということによって、健診全体の実施率を引き上げていきたいというようなことを四十八年以来実施してきているわけでございまして、実施当初先ほど申しました委託巡回健診の実施者がわずか五千数有名程度だったものが、五十二年度では恐らく一万四千名ぐらいまでになるのではないかというふうに見込んでおるわけでございますが、そういうことで、そういう何と申しますか、健診が少しでも円滑に実施されるような誘導策を講じてきたということでございます。
  104. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、白ろう病の認定と医療補償についてお聞きをしたいんです。  率直に申し上げて、私は白ろう病の労災の認定になるまで、この認定に至るまでがなかなかめんどうですね。手続もなかなか大変だし、また何回も健診を受けなければならないという非常にめんどうくささがあると思うんですね。もう少しやっぱりこんなことを簡素化できないかどうか。これだけ心配になるような人たちがたくさんおるんだから、もっと認定をして、早く治療なりいろいろと保険の適用等をすべきだというふうに思いますが、そのことは要請しておくにいたしましても、特に問題なのは、いわゆる認定に至らない白ろう病にかかっている人ですね。いまお話しがありましたように四千何人の中にはAという人もあるでしょう、多くの人はBだと思うんですね。この人たちは保険の対象にならないわけですね。認定になれば労災保険の対象になると。つまり厚生省は、白ろう病は職業病だという、健康保険には業務上の疾病は健康保険の対象にならないわけですね。ところが労働省の方は、これは労災の認定の基準まで、Cまでいかなければ認定できませんよと。そうすると、これらの人たちはどの保険の対象にもならないわけですね。しかし、この人たちも現に病院に行って治療を受け、休養もしているんですよ。その負担は全部事業主であり、森林組合なり、あるいは雇用者が全部負担をしているんですね。この矛盾を労働省、厚生省両名はどういうふうに考えますか。
  105. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 厚生省の考え方を申し上げます。  健康保険は、ただいま御指摘ございましたように、業務外の原因による疾病に対する給付を行うということになっておりますので、業務上ということになれば、これは健康保険からは給付が行われないわけでございますが、業務上であるか業務外であるか、この判断というのは非常にケースによってはむずかしい面もございます。しかし、いずれの制度からも給付がないということは、実際そういう問題があるということは避けなければならないということでございますけれども、私どもの方では、たとえば一応白ろう病というような形で病院に行き、あるいは休養のために補償が必要であるというようなケースが出てまいりました場合には業務上に該当するのではないかということで、請求のあった方なり、あるいは労働災害補償保険の関係の部局なりに御連絡をとって、そうして業務上の認定ができないものかどうか、こういうことは連絡をいたしております。  しかしながら、専門的な判断をされてどうしてもこれは業務上ではないと、こういうような認定がはっきりすれば、その限りにおいて業務外という判断をいたしまして健康保険の給付をすると、こういう措置も実際は個々の調整をいたしながらとっておるわけでございます。今後ともそういう観点から十分関係のところと調整をとりながら、どちらからも給付がないというようなことはないようにいたしたいというふうに考えております。
  106. 村沢牧

    村沢牧君 厚生省はどちらからも給付が受けられないことのないようにやると言っていますが、現実にあるんですよ。なるほどこの白ろう病は業務上である。しかし、治療しなければならない、休養もしなければならない。しかし、労働省の言う労災の認定基準まで達しておらない。そうすると、労災保険の対象にならないでしょう。皆さんの方は業務上だからだめだと言う。どっちも対象にならない人がずいぶんおるのですよ。それじゃ皆さんが労働省に話して、職業病であるからたとえBであるけれどもこれを労災保険の対象にしなさいと言えますか。労働省やりますか、それを。
  107. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 労働災害の認定の方は、直接私どもがするというわけではございませんけれども、業務上の傷病であるということになりますと健康保険の対象外になりますけれども、これは健康保険として業務上であるということがはっきりいたしますと給付はいたしかねると。しかし、労災保険で業務上でありながら給付が行われないというようなケースがあるかどうか。これは私どもはその辺まではよくわかりませんが、業務上であってしかも給付が行われないという問題は、私どもの方から見るとちょっと理解がしにくい、こういうことになります。
  108. 村沢牧

    村沢牧君 労働省いますね。白ろう病は、ほとんどのものが業務上ですね。だけれども、あなたたちが言う一定の基準に達しなければ労災の対象にしませんね。しますか、業務上なら全部。
  109. 増田雅一

    説明員(増田雅一君) 先生承知のように、私ども労災保険の対象となりますのは業務上の疾病でございますが、業務上の認定をいたしますのにつきましては、いろいろ業務と疾病との因果関係を調査しなければならないわけでございます。管理Bの方につきましてもいろいろ自訴があるかと思いますけれども、私ども労災補償の対象とするということに至りますのには、先生承知のような管理Cの段階になってはっきりと白ろう病であると、業務と因果関係のある白ろう病であると認定いたしました際に労災補償の対象にするわけでございまして、それに至りません段階におきまして患者からいろいろの自訴がありました場合には、これはまだ私どもの認定の対象とするには至らないというふうに考えておるわけでございます。
  110. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁長官でもだれでもいいですが、これは林業労務者に対しては矛盾があるんですね。いまお聞きをしておっても、たとえばCであってもAであっても、白ろう病であると業務上の疾病なんですよ。これが、あるCという段階に至らなければ、労働省の方では労災の適用にしない。厚生省の方では、職業病上の疾病であるから健康保険の対象にしない。したがって、多くの労働者が苦しんでいるものがあるんですよ。森林組合が、雇用主が莫大な負担をしょっているのがあるんです、現実。このことをやっぱり農林省としても、きょう答弁要りませんから、これから両省に働きかけて何らかの措置が講じられるかどうか、しっかり検討してください。  それから厚生省にお聞きしますが、じん肺の患者については特例法を設けて、じん肺もやっぱりある面においては職業病、業務上から発生する問題、これは健康保険の対象にしておりますね。そういうことが振動病にできませんか。
  111. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) じん肺法の関係につきましては、昭和三十七年に厚生省、労働省の関係局の通達をもって、じん肺の法律上の別表による程度に応じまして、程度の管理四に該当すると認められるものは業務上の疾病として労災補償、それから上記以外のもので療養または休養を必要とするものは健康保険の対象とするということにいたしております。これは、その当時のことは私も余り詳しくは存じませんけれども、一応管理四に該当するものは業務上の疾病であるというはっきりした双方の理解がございまして、その他のものは業務上ではないと、こういうように解釈されるということによるものだろうと思います。  現在の白ろう病につきましてここまで明確な解釈がとれるかどうか、その点が現在まだはっきりしておりませんので、こういったような扱いがなされていないと思われるわけでございまして、白ろう病そのものがこうしたはっきりした線が引けるものかどうか、この辺は私も余り詳しくは存じませんので、さらにそういった問題については検討をする必要があるのではないかと考えております。
  112. 村沢牧

    村沢牧君 いま答弁がありましたように、じん肺も職業上から発生する疾病だと、管理区分によって。しかし、健康保険の対象に一部はしている。振動病についてはできないかどうか、これを今後さらに積極的に厚生省も林野庁検討してください。要望しておきます。  それから次に、今度は法律の内容に入りますけれども、今度単独立法をつくったわけです。いままで森林法の中に森林組合制度があった。今度単独立法にしたわけですね。昭和四十九年度の森林法改正のときにも、森林組合は協同組合的な性格を四十九年度ですでに鮮明にしたわけですね。ところが今度単独立法をつくったんですから、よりやっぱり森林組合というのは協同組合的な性格を強めなければならないというふうに思いますが、その辺はどういうつもりでこれをつくったんですか。
  113. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御承知のように、四十九年の改正時点で、組合目的のところに協同組合性格をはっきりさせたわけでございます。今度の新しい組合法でも目的の段階で、どちらかと言いますと、森林所有者の共同の利益の確保というようなものを目的の上でも前に出しておりますので、そういう意味では協同組合的と申しますか、組合性格を明確にしたつもりでございます。ただ、協同組合という言葉の中には、やはりどちらかと申しますと中小企業者、中小業者と申しますか、そういうものの協同組織というイメージが非常に強うございますけれども森林組合は御承知のように市町村有林とか、あるいは法人森林所有者といったようなものも含めました協同組織でございまして、したがいまして、その後には事業として御承知の必須事業にございますような森林公益的機能確保という面も、やはりどうしても担っていただかなければならない任務と考えております。したがいまして、他の農業協同組合あるいは水産業協同組合におきますような協同組合に完全に純化するということではございませんで、組合員あるいは構成員の共同の利益の確保ということを目的といたします観点では協同組合的ではございますか、若干農協、漁協とは一線を画した制度としてつくってあるわけでございます。
  114. 村沢牧

    村沢牧君 大臣いらっしゃったからお聞きしますが、いま林政部長も答弁がありましたように、四十九年に森林法改正のときには協同組合的な性格を鮮明にしたわけですね。今度単独立法をつくったんだからより私は協同組合的な性格を強めるべきだというように思いますが、そのことを確認をするならば、なぜこれを森林協同組合と言わないんでしょうか。森林組合法でなくて森林協同組合法、これじゃいけないですか。農業には農業協同組合があり、あるいは水産関係には漁業協同組合があるんですね。なぜ森林組合だけ協同組合と言わないんですか。
  115. 石川弘

    政府委員石川弘君) 森林協同組合と言うか、あるいは林業と言うかということでございます。まあ林業という言葉を使っておりませんのは、御承知のように農協、水協等は農民とか漁民が構成員、要するにそういう職業といいますか、そういう業を行う者が構成員でございますが、森林組合の場合は森林の所有者が構成員だという意味で、林業というような言葉が使いにくいという感じでございます。  それからもう一つ、協同組合と言わなかったかという御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、協同組合という場合はやはりそういう中小規模の方々の協同組織という言葉になじむわけでございますが、森林組合の場合は、たとえば市町村、それからかなりの法人、森林所有者といったような、いわゆる中小規模というような形ではなかなか統一しがたい方々を相当多く構成員にしております。これはなかなかボリュームとしてもばかにならない数が入っていらっしゃるわけでございますが、そういう意味で、いわゆる協同組合という用語を使いませんで組合という形にしたわけでございます。
  116. 村沢牧

    村沢牧君 まあよくわかりませんけれども、この件でやっていくと長くなりますから、法案全部変えなければいけませんから次に移りますが、四十九年度の森林法改正の問題で主要な要望事項は、今後単独立法をつくりなさい、あるいは共済事業を明文化しなさい、信用事業を検討しろと、この三つであったわけです。このうち単独立法と共済事業は今度実現したわけですけれども、信用事業は今回も見送られたわけであります。森林組合制度検討会の報告によれば、「森林組合が信用事業を行うことができることとするかどうかの問題については、なお、詳細に検討を行う必要があり、今後林野庁において調査検討を進めることが適当である。」、こう報告をしておるわけですけれども、こうした報告に基づいて林野庁単独立法の中で信用事業はのせなかったと、見送ったというふうに思いますけれども、そこで二、三項目的に伺いますけれども、現段階において信用事業を森林組合に与えることのできない理由、これは何か。  次は、信用事業を行うことができる体制を備えている組合もあり、そうした組合は信用事業をやれるようにしてもらいたいという要望も強いわけであります。したがって、信用事業の規定を整備し、法制上やはり明確にしておくべきではなかったか。二点です。  三番目に、今後林野庁は信用事業については検討をするでありましょうけれども、いつごろをめどとしてこの信用事業に対する方針を出すのか。  四つ目に、林野庁森林組合強化して信用事業を行うようなことができるような組合にして、そして近い将来において信用事業をやっぱり森林組合にも認める、こういう方針を持っているのかどうか。それともやっぱり森林組合には信用事業を与えてはいけない、基本的にそういう考え方を打っているのかどうか。  以上、四点について、率直に答えてください。
  117. 石川弘

    政府委員石川弘君) いろいろ検討したところでございますが、まず今回認められなかったという理由でございますが、たとえば漁協等は御承知のように水揚げ代金が毎日入るというようなことで収入が非常に間断なく入ってまいりますが、林業の場合どうしても零細、分散的な組合の場合、それに若干いわゆる販売事業等に対します依存度が必ずしも十分じゃないということもございまして、なかなかその資金が間断なく流入するということが期待しにくいのが現況でございます。そういう意味で、弧金を経常的に集めるということにはまだまだ不十分な場合が多いというのが一つ基本的にございます。それから経営基盤が比較的弱いものかまだ多うございますので、信用事業を行いますにはそれなりの要員を確保するとか、あるいは施設整備をするという必要がございますが、これにもまだまだちょっと無理があるのじゃなかろうかというようなこと。  それから、これは二番目の御質問に対するお答えになりますけれども、確かにりっぱなものもあるわけでございます。ただ、信用事業はやはり御承知のようにある程度のネットワークを組みませんとそれなりの効率が上がってまいりませんが、そういうものが相当数あるという現況にはまだ若干遠いのではないかというようなことが林業の中にあるわけでございます。それから、それ以外の外部的要因といたしましては、現在非常に金融卒業がやりにくい環境にありまして、なかなか新規にそういうことをやることについては困難な事態にあるとか、あるいはこれも御承知のように、森林組合組合員の約九割は農協の組合員に重複しておりますので、その間の調整にある程度配慮をしなきゃいかぬというようなことがございまして、今回は見送らざるを得ないということになったわけでございます。  二番目のことは先ほどのことでお答えさしていただきまして、三番目の、それではいつごろこの次の検討の結果が出せるかということでございますが、実は何年と申し上げるのはちょっといまの私どもの段階では申しにくい段階でございまして、決して検討を怠るわけではございませんので、ここ数年のそういう検討を重ねていかなければならないのじゃないかと思っております。  それから最後に、認める気はないのではないかということでございますが、今回の議論の中でも、一定の要件が整いますればそういうことを、特にみずからの木材の代金等をみずからが貯金として受け入れるというようなことにつきましては、組合の活動としてこれを拒む必要はないことでございますので、私どもとすれば、一定の要件が整うということをどうやって早くつくり上げていくかということが検討の主題でございまして、制度として信用事業を認める気がないということは全くございません。
  118. 村沢牧

    村沢牧君 共済制度は今回の法改正の主要な点であります。林業関係の共済制度森林災害共済、森林国営保険、民営保険、この三つの種類であることは承知をいたしておりますが、現在森林組合が事業主体になっているのは森林災害共済保険であります。今回この共済の規定が明文化されたことは、共済制度の法的根拠を強めるだけでなくて、私は共済制度充実をも期待したものであろうというふうに思うんですけれども、いま行っている共済制度以外に今後森林組合の行う共済事業としては何か考えているか、どんなものがありますか。
  119. 石川弘

    政府委員石川弘君) 現在は、いまの御承知の火災、気象災の森林共済でございますが、制度として今後期待できるものの一つとしましては、林業種苗に関する共済等も考え得るのではなかろうかと考えております。
  120. 村沢牧

    村沢牧君 そこでこの森林災害保険ですね、これは全森連が担当し、国営保険は政府が事業者となっている。ところが、適用範囲は、森連がやっているのは主として成木ですね。国営は幼齢林になっております。しかし、この対象範囲――森林の範囲だとか、てん補対象災害の種類、制度の内容はほとんど同一であって、末端事務は森林組合で取り扱われておるわけですね。かつて行政管理庁は、この国営保険と全森連の共済事業を統合したらどうかというような、こういう勧告をしたということも私は聞いておるんですけれども、この二つの保険を調整するような気持ちがあるのか、将来にわたってこういう形を続けていかれようとするのか、その辺についてお聞きをしておきます。
  121. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘のございました行管の勧告がございまして、その後四十九年に森林法改正をする機会がございました。その時点におきましても、実は国営の保険と、当時福利厚生事業でやっておりましたけれども、全森連の共済事業をある程度調整をするという考え方がございまして、内部的にいろいろと検討をしたことがございます。  その段階では、実はこれは金森連の行います共済の場合に、御承知のようにこれは農協等で言いますればいわゆる農協共済の形、要するに組合が自由にみずからの組合員に対して行っている共済でございますので、いわゆる農業保険等に類しますような一定の災害に対しましていわば一種の強制加入方式をとりましたような保険方式、そういうものとの利害得失その他いろいろな議論がございまして、実は全森連共済としましては、やはりいま行っておりますような自由な共済の姿を前提といたしまして、それに何らかの援助をすべきではないかというような形での御要請があったように思います。どうもこういう任意の共済の姿で出発しますと、なかなかそれに対して国がすぐさま援助するという手法が非常にむずかしゅうございまして、そのときそういう案ともう一つ、それでは国営の保険を第一線から外しまして、むしろ森林組合が行います共済を若干強制保険的ニュアンスを持たせながら、国営は異常危険に対応します再保険に下げたらどうかというようなことで調整も試みたのですが、実はその段階ではうまく調整ができなかったということがございます。  それから、今回の立法の際にも、御承知のように検討会の中でも齢級別区分をして国営保険は一、二齢級、それから三齢級以上を森林組合が行うという形での齢級区分で両者の共済を分けたらどうだというような調整案がございまして、これも実は内部的にかなり詰めてみたわけでございますが、これは実はそういう齢級区分をしまして、たとえば一、二齢級の比較的事故率が高いところだけを国営が持って、それに対して何らかの援助をして料率がなるべく上がらないようにという形にしまして、実は三齢級以上を自主保険でという調停案であったわけでございますが、これも実は森林所有者等がまず第一義的に共済責任を持って、その異常危険部分を国がさらに援助をしていくというようないまの農災その他の制度に比べますと、非常に異常な姿と申しますか、比較的軽いところだけを持ちまして重いところは国がみんなしょえという、そういう手法が果たして保険的にうまくいくのかどうかということ、これはなかなか議論のあるところでございまして、これも調整半ばにして実は現段階で調整することが困難であったという、二つの調整がなかなかできなかったという過去の経緯がございます。  私どもやはりよくよく考えてみますと、どちらかというと、いままでの調整が、二つの共済の事業体の事業間調整というようなことで実はやってはうまくいかなかったわけでございますが、これはやはり森林所有者森林を持っている方がどういうことを真に共済に求めているかという原点に立ち返りまして、もう一度基本的に検討して見直す必要があると考えておりまして、たまたま今回のこの法制度改正によりまして、共済事業につきましては法的に確固たる何と申しますか根拠を得ました制度になりますので、片一方でこの森林組合の共済を助長させながら、もう一度、過去の二つの調整方式があったわけですが、いずれも実は成功しておりませんので、さらにもう少し別の角度で、まあ方向としましてはこの二つの方向のいずれかということだと思うのですが、さらに内容を詳細に詰めまして、できるだけ早い機会に両者の調整を図りたいというのが基本的な考え方でございます。
  122. 村沢牧

    村沢牧君 農業関係には県の共済連があり、それから全国共済連がありますね。水産関係では全水共という共済事業団体があるわけですが、林業については全森連の強いて言えば兼業事務であるわけです。なるほど現在は事業規模が小さい森林火災保険であるから新しい共済団体を設けるということは直ちに困難である、このことは私はわかりますけれども、今後共済の加入拡大を図って、いま部長が言われましたような、いろいろこの制度改善を図って共済運営団体をさらに強化をしていくというような考え方があるかどうか。
  123. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま申されましたのは、まさしくいわゆる自主的な共済のほかに、若干強制力も伴ったような共済団体をつくってまいりますと、いわゆる森林組合とは別の団体というようなことに近づくような立法の考え方もあり得るわけでございますが、実は森林組合がやっております共済事業を別途独立させる必要があるかどうか、また別途独立させました場合に、森林組合の持ちます、若干先ほどから申し上げていますように、協同組合と若干違った森林の保続培養という公的使命も持っているというようなことに絡ませまして、そこまで独立させなくてもやれるかどうかというのが、実はこれからのこの共済問題の検討一つの課題だと思っておりますので、私ども強化をしていけば必ず森林組合のいわゆる自主的事業から分離せざるを得ないのだとは割り切っておりませんので、その辺はいまからの検討の重要な課題だと考えております。
  124. 村沢牧

    村沢牧君 森林保険の保険事故についてですけれども、保険事故は火災と気象災害に限定されておるわけです。最近火山法の改正によって火山現象、いわゆる降灰も国営保険の対象になる、こういうふうに加えられたわけですけれども、欠けているのは病虫・獣ですね、この害は除かれておるわけなんです。この点、他の農業関係や漁業関係に比べて不備であるというふうに私は思うんです。特に最近は虫害や獣害が多くなって、たとえばマツクイムシあるいはカモシカ、野兎、野鼠、こういう被害が多くなっているんですけれども、これも事故対象にすべきではないかというふうに私は思うんです。今回の特に法の改正によって、森林組合の行う事業として病虫害の防除や森林の保護の事業が必須事項として今度新しく加えられたわけです。これらにかんがみましても、この森林保護ということをやっぱり保険の面からもさらに拡充する必要があるんじゃないか。これは森林国土の保全のために、あるいは公益的使命を果たすために大きな貢献をしているんですから、国が金を出したって当然のことだと思うんですけれども、そのような森林保険の事故対象について充実していく考え方はないですか。
  125. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘の中で、野兎、野鼠の被害というのは相当ございます。野兎、野鼠につきましては、これは野兎、野鼠を駆除するというかっこうの防除のこともあるのですが、比較的一般的に全国的に分布いたしておりますし、被害も、何と申しますか、保険設計上もある程度考えられるようなものでございまして、実は昨年からことしにかけまして検討しました際にも、野兎、野鼠については森林保険の対象に加えるというような方向で検討すべきではないかという結論を一応得ているところでございますので、先ほど申し上げました検討の経過の中で考えていきたいと思っております。ただ、カモシカにつきましては、これは被害が出ますところが非常に特定いたしておりまして、そういう意味では危険分散をしにくいという、要するに保険設計が困難な、もし掛けますと、猛烈高い保険料をあるところだけが掛けるということになりますので、カモシカはちょっと保険対象という形ではなくて、むしろカモシカの被害をどう防除するかという方で接近すべきじゃなかろうかと考えております。  マツクイムシにつきましても、これも発生が比較的特定しておりますということとかそういうことで、保険設計をやりますと非常に高いものになりそうでございます。それからもう一つ決定的なのは、いまは無審査でぱっと入れることをやっておりますが、マツクイムシなんかにつきましては、そういうことをもしやりますと、枯れそうになってから駆け込んでくるというようなこともありまして、これもなかなか保険設計上むずかしいということで、むしろマツクイムシの防除という姿で今後もやっていきたいと思います。したがいまして、いま御指摘の中で、野兎、野鼠が保険上何らかの手を打ち得る対象ではなかろうかと考えております。
  126. 村沢牧

    村沢牧君 その事故対象の拡大については、さらに積極的な考え方を要請しておきたいと思うのです。私はいまこの法の改正でたとえば第九条には新しく「病害虫の防除その他組合員森林の保護に関する施設」と一項加えられたわけですね。これはいままで林野庁なり森林組合がやってきた共済関係は、火災、気象災害が主だったんです。なぜこの火災だとか、あるいは天災、こうしたことを、この法の中でもまあ「その他」と入っていますけれども、明らかにしておかなかったのか。つまり私は、第九条の二項は病虫害の防除だけでなくて、防火、防災ですね、病虫害の防除その他森林の保護に関する事業、こうすべきであるというふうに私は思いますけれども、こう出された現状でありますけれども、その考え方についてお聞きをしておきたい。
  127. 石川弘

    政府委員石川弘君) 新法制定の際でございますので、過去の条文をずっと一応洗い直してみまして、まあ比較的事業のボリュームとして少ないようなもの、たとえばこの防火線の設置という言葉が実は防火線をつくるということ自身は最近は比較的少ないことでございましたので、例示としていきなり挙げますよりも、どちらかというと一般的になされております病害虫の防除をその例示として挙げる方が、非常に何と申しますか、わかりやすいと申しますか、そういうつもりでこういう表示をいたしましたのですが、御指摘のように、何かそういう防火、防災をないがしろにするというようにとられては大変まずいと考えておりますので、私どもこの法を施行します段階で、その点ははっきり法律の趣旨を述べまして、これは防火線の設置というたまたま例示が比較的例の少ないものを書いておりましたので落としておりますけれども、内容的には当然そういう防火、防災を含んだ、しかもこれは御承知のように、二項にありました事業から必須事業に上げておりますから、要するに仕事としては重視しているわけでございますから、その視点の趣旨を誤りなく伝えるようにしたいと思っております。
  128. 村沢牧

    村沢牧君 次は、受託事業であります。  今回の法の改正で、員外利用の制限を緩和をして、組合への未加盟の組合員森林組合の利用の範囲を拡大をしたわけであります。このことは、ある面では森林組合の事業としてやりやすい、成果を挙げる面がありますけれども、逆にこうしたことによって組合員のための組合組合員に対するサービス、協同組合という面では問題になるんではないかというように思うんです。現在の森林組合加入率は、先日の質問でも明らかになっておりますように六〇%という現状。それを員外の利用を含めるのじゃなくて、むしろ林野庁の姿勢としては、積極的に森林組合に加盟をさして、組合員として森林組合を利用していくんだ、そのことがやっぱり協同組合であるし、森林組合の運営をやっていく上にも役立ってくると思います。ただ員外利用の枠だけ広める、こういう形であってはいけないというふうに思いますが、その辺はどういうふうに考えていますか。
  129. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今回の改正でこういうことをいたしておりますのは、一つにはやはり不在村と申しますか、約一〇%ぐらいの方々はその村にいらっしゃらない。かつては森林組合というのは、その地域の方が余り動きませんものですからほとんど在村の方だったわけですが、やはりいろんな移動の関係がありまして、一〇%ぐらいの不在の方がいらっしゃるとか、あるいは非常に零細な、五五%ぐらいの方が一ヘクタール未満の零細な所有なものですから、森林組合の活動に、まあ植林なら植林にある時期かかわり合いがありましても、なかなか直接のかかわりがなくて関心が薄いというような面で、そういう方々の森林を放置されますとやはり森林の管理がうまくいかないという面で、そういう場合に、員外の場合でも利用してもらえるようにという趣旨で直したわけでございますが、御指摘のように、最も望ましいのは員内に入って利用していただくことでございます。  したがいまして、私どももこれはそういう森林のある程度生産力とか、あるいは公益機能確保の面で組合がやむを得ずこういうことをやる場合もあるということでございまして、決して員外に出てやっていいということではなくて、むしろ御趣旨のように、極力森林組合にかかわり合いを持たせまして、たとえばそういう員外で利用するということで実質的な利益を受けることによって、さらに員内に入っていただくような契機にしたいということでございますので、決してこの条文が員外へ人を押しやることじゃないように、むしろ員内に連れ込んでくる動機と申しますか、そういうことになれるようにしていきたいと思っております。
  130. 村沢牧

    村沢牧君 次は、教育、指導事業ですね。この林業生産というのは大体五十年サイクルですから、一回造林をし伐採してしまうと、組合員はなかなか森林組合を利用しなくなるんですね。機会がない。そこでやっぱり大切なのは、教育、指導事業であろうというように思います。森林組合の専業としても法的にも列記をしてありますし、森林組合の定款を見れば、まず教育、指導事業を重点に出しているわけですね。ところが現状森林組合を見ると、組合自体の運営に追われておって、組合員のための教育、指導に手が団っておらない。したがって、これらについても林野庁として指導方針を高めるべきだというふうに思います。  そこで具体的にお伺いいたしますが、森林機能を発揮するために教育、指導に当たっている森林組合の職員の中に林業技術員があります。そのための専門的な職員がございます。他の組織の商工会あるいは商工会議所なんかを見ますと、それぞれ経営指導員があって、これは会員のためのいろいろ教育、指導をやっているわけですけれども、それには国と公共団体がほとんど人件費を見ているわけなんですね。ですから、森林組合の使命の重要性、教育、指導、公益機能を高めていくとするならば、弱体な組合であっても森林組分の技術員も置いておるんです。この技術員の行う指導に対して――人件費とは申しません。指導に対して国がもっと積極的な助成というか、あるいは振興対策を立てるべきではないかというふうに思いますが、その辺はどうですか。
  131. 石川弘

    政府委員石川弘君) 現在約四千人の技術職員がおられます。そういう方々と、それから県に配置をしております改良普及員あたりが中心となりまして、こういう組合員に対する各種の指導、教育に当たっているのが実情であろうと思います。  先生いま御指摘のように、いろんな他のそういう組織の中で、たとえば人件費を持つというような形でそういうことをやる部門もあるわけでございますが、林業の場合は、典型的には改良普及員、四十数億の金を入れております改良普及員は国が助成しておるわけでございますが、実は組合の各種の活動に対します援助につきましては、先生いま御指摘のように人件費という接近ではございませんけれども、事業活動に接地をしていく。たとえば、これは造林をやります場合に団地共同施業をやります。そういう場合の各種の経費が要るわけでございますが、そういう経費を結果的にはそういう組合の技術職員の活動費という形で援助をするというのが一つの姿でございます。  それから、各種の改良普及関係の事業が相当ございますけれども、この改良普及関係の事業の中でも森林組合の職員を相当括用いたしておりまして、そういうものの中でも森林組合のある種の活動費が見られているのではなかろうか。  それからもう一つは、役職員に対する研修活動をやっておりますが、これについての経費につきまして、役職員の研修の諸活動を、本省段階とか、あるいは県段階の経費を通じてある程度見ております。  それからもう一つは、今回の改正でお願いをいたしております監査士でございますが、監査士の活動経費としまして千数百万円を五十三年度予算に入れておりまして、こういう事業活動を通じて組合の活動が円滑にできるように、今後とも予算その他の面で努力をしていきたいと思っております。
  132. 村沢牧

    村沢牧君 健全な森林組合をつくっていくためには、現状から見るに、やはり人的機構の確立が必要であるというふうに思います。特に、いま部長からもお話があった技術職員もさることながら、常勤役員、一般職員に人材を養成するような機会を与えなければならないというふうに思います。森林組合の監査士をつくった。監査士をつくる前に、監査士の監査の対象になる人間がまずしっかりしなきゃだめなんですよ。そのことを忘れて監査士だけつくったって、うまくいかないんですからね。これはなるほど連合会等でもいろいろやっていますけれども、国としてももっと積極的な養成、指導関係考えるべきではないかと思いますが、どうですか。
  133. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御指摘のとおりでございまして、みずからの組合がある程度の活動がりっぱにできまして、それを上部団体が諸活動を監査するということでございますから、まずみずからの組合活動が適正にできるような人材確保ということが何よりも必要でございます。そういうことで組合の基礎がある程度固まりませんと、それなりの人件費を払うという形での人材を内部に保留できないわけでございますので、組合の各種の活動、たとえば構造改善事業その他のいろんな援助を通じまして組合が健全な活動ができるようにやっておりますし、それからそういうところに働きます役職員につきましては、先ほども申し上げましたように、いわゆる研修についての援助措置もございます。そういうものを通じまして適切な人材が組合にとどまることができますように、また、そういう人たちのために、たとえば例の各種の農林漁業団体の職員共済とかその種の制度もございますので、そういう各種の制度等も通じまして組合の役員がりっぱに活動ができるようなことを今後とも考えていきたいと思っております。
  134. 村沢牧

    村沢牧君 次は、連合会についてお伺いします。  森林組合連合会は、単位組合の経営管理について指導、教育を行うということを私は主たる目的としているというふうに思いますけれども、しかし現状は、単位組の賦課金だけではとうていこの連合会の経営が成り立ちませんから、購買事業、販売事業、いろいろな仕事を行っているわけでございますけれども、最近年度における県森連の決算状況はどんな状況になっているか、これは林野庁指導下にあるというふうに思いますから。  そのことと、それから連合会の執行体制ですね、特に単位組合指導体制は充実をしているのかどうか。  さらに、四十六年連合会あるわけですけれども、私の承知する範囲においては、この連合会は組織力や経済力において相当な開きが、格差があるわけですね。いわゆる弱小連合会があるわけです。この弱小連合会に対して林野庁指導方針はどのように持っているか、また今日までどういう指導をされておりますか。まず、お伺いしたい。
  135. 石川弘

    政府委員石川弘君) 都道府県に置かれております森林組合連合会の決算につきまして見ますと、これは五十一年度でございますか、四十六連合会のうち黒字計上が四十でございます。それから、赤字になっております連合会が六つでございます。四十六の連行会全部突っ込みの合計で申しますと、当期の剰余金が二億二千万、前年度に比べまして二倍ぐらいにふえております。当期欠損金が五千三百万でございまして、前年度に比べまして三分の一ぐらいに減少いたしまして、差し引きしてみますと一億七千万ぐらいの利益になっているかと思います。  赤字の連合会について見ますと、大半が施設整備とか施設を拡張いたしておりまして、それに伴います借入金利急の支払い増といったような事由が大半でございまして、しかし中には、やはり最近材価が低迷しておりまして、そういうことによる事業が不振であるいは不良債権が固定化しているというような、ある種の不健全な事例も全くないわけではございません。これらのものにつきましては、個別の連合会につきまして、販・購買をいたします受託の販・購買のボリュームをふやすとか、あるいは経費を削減させるとか、あるいは自己出資をふやさせるといったようなことをやっておりまして、改善計画をつくりまして立ち直りができるようにというような個別指導もいたしております。  しかしながら、ここ数年の動きを見ますと、やはりこの不況下の材価低迷というようなことが大変問題でございますし、そのことが連合会収支ということにやはり相当響くと思っておりますので、私どもいまやっております構造改善とか、あるいは間伐対策とか、そういういろんな事業をこういう組合あるいは連合会を通じてこういう事業を整備してまいりまして、それによりまして健全な、材価がこういう状況の中でも成り立っていくような形へひとつ引っ張っていきたいということを考えております。  それから、そういう特に弱小のものに対する指導でございますが、弱小連合会というのは、端的に申しますと、下部の森林組合自身が余り強くないということが第一義的でございますので、何と申しましても、森林組合の段階から、さらに言いますと、その下にあります組合員森林経営活動から活発にさせなきゃいかぬということでございます。そういう意味で、かなり時間がかかることではございますけれども、やはりそういう地域における林業振興に努めまして、組合にそれなりの活動をしてもらう、また、その上部段階としての森林組合がその単位組合と連携いたしまして、極力そういう経済活動を活発にできるようなことをこれはじみちにやっていく必要があると思いますし、特にそういう弱小なものにつきましては、常例検査とか、そういうものも励行いたしまして、経営改善が行われますような端緒をつかんでいきたいと思っております。
  136. 村沢牧

    村沢牧君 次は、監査士についてお伺いします。  今回の法改正で監査士の制度を設けて、連台会が単位組合の監査を行うことになったわけであります。  そこでお伺いすることは、まずこの監査士の性格についてであります。この監査士の行う業務は内部的な指導監督であって、単位組合には単位組合の監事がいますから、単位組合の監事の行う監査を補助しあるいはこれを指導するものであるのかどうか、それとも行政庁の行う検査を補助する役割りを持つものであるかということが一点。  それから、監査士の資格に省令で定めるということになっていますけれども、どんな資格を必要とするか、現段階において考えておられること。  それから、当面この監査士というのは県森連いわゆる連合会の職員をもって監査士に充てるかどうかということですね。  それから、この監査士制度をつくるために本年度の予算として千三百六十一万円の国庫補助が計上されておるわけです。この補助金の性格ですけれども、これは一県森連当たりだとか、あるいは一監査士当たり幾らというふうに配分をするのか、あるいはそんな使い方をするのでなくて、別な使い方をするのですか。  それから、ことしはこうとしても、ことしつくる監査士は全国で何名ぐらいの監査士をこの予算の中で予定をしておるのか、あるいは将来は監査士というものはどういうふうに拡充をしていこうとするのか。  一括してひとつ質問しますから、答弁してください。
  137. 石川弘

    政府委員石川弘君) 第一の御指摘の監査士の性格でございますが、最初におっしゃいましたように、組合の内部を監事その他が監査するわけでございますが、組合の系統としまして行政庁のいわゆる常例検査を待つまでもなく、組合の系統としましていわゆる組合における不正防止とか、あるいはそういうことを中心にしましたいわゆる内部的なと申しますか、系統内部の監査をやるわけでございます。  それから、その監査士の資格はどうかということでございますが、一応資格試験を予定をいたしておりまして、原則といたしましては資格試験に合格した者ということを考えております。  それから、監査の予算でございますが、千三百六十一万円の予算計上をいたしておりますが、これにつきましては全国連合会で四名、各県の連合会で一名、計五十名程度を置くことを予定をいたしておりまして、費用の中身といたしましては、監査士の養成研修とか資格試験をやること、それからそういうものの指導、運営のための経費でございまして、まだどこに幾らという意味の割り振りはしておりませんが、まず大体、その五十人の人を養成する経費を全国段階と各都道府県段階に分けるとお考えいただければ結構かと思います。
  138. 村沢牧

    村沢牧君 時間が迫っておりますから、最後に大臣に二、三の点をお聞きをしておきたいと思いますが、私は安倍長官が臨時代理大胆という考え方じゃなくて、そのことも含めて官房長官という、政府首脳という立場でもお聞きしたいのですが、林業生産は先ほど来指摘をしておりますように、大変危機的な状況にあると私は判断いたします。日本林業は小規模零細な森林所有者によって営まれている、いわば農民的な林業であります。したがって、この林業発展するかどうかということは、農業が発展をするかどうか、あるいは農家経営が維持発展をするかどうかということにもかかってきておるわけです。最近、農家が減少し兼業が増加する中で、五十年も長期的な展望を持たなければならない林業期待をかけるということも、これはまたなかなか無理なからぬところ等もあるわけなんです。したがって、農業の発展あるいは農家の経営維持があってこそ初めてこの林業の、林政発展もあるというふうに私は考えますけれども大臣としてはどのように考えますかということが一点です。  それから、先ほど私は若干くどく質問いたしましたけれども昭和四十八年度に立てた重要林産物需要供給長期見通しですね、これは現実的にも狂ってきております。これに基づいて立てた全国森林計画も出発の当初からすでに将来が、先がこのとおりいくかどうか心配されるような計画なんです。なるほど、大臣は先ほど、林業だけではない、日本全体がそうだというふうにお話があったわけですけれども森林計画にしても長期計画にしても、そのことが都道府県を拘束し、あるいはまた誘導性を持つものであり、森林所有者に対して拘束性を持つものであります。したがって、正しい認識の上に立って、現状の上に立ってこの長期計画を私は見直すべきであると、そのことを強く要求したんですけれども大臣考え方、そのことをひとつお聞きをしておきたいというふうに思います。  もう一点、それから先ほど私の質問の中で、森林の持つ公益的機能ですね、これを経済換算したらどのくらいかという質問に対して、約二十兆円という経済効果がありますという答弁がありました。また見方によれば三十兆円という人もあります。これだけ大きな公益的機能を持つ森林を育成するのですから、それに比べてはこの林野庁の予算が一般会計、特別会計合わせまして本年度七千億足らず、きわめて低いと思うのです。基盤整備がおくれていると思います。これに対して大臣としてはどのように判断をされますか。最後に大臣の見解をお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  139. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) わが国における林業発展ということは非常に大事なこれは課題であると、国策的なものだと言っても過言ではないと思うわけでありますが、そうした状況の中にありますが、現在の実態というものは、いまお話しのように、非常に困難にあらゆる面で直面をしているというのが偽らざる実情でございます。  そういう中にあって、政府としては、この林業振興発展ということに対してこれまでもできるだけの努力をしてまいりましたが、今後とも長期的な視点に立った総合政策を強化していかなければならぬ、そういう中で、林業と農業というものは一面においては一体不離の関係にあるわけでございますから、農業の振興発展というものが林業発展にも結びつくわけでありますし、また林業振興というものが農業あるいは農家の所得拡大という意味の農村の振興にもつながっていくわけでございますから、林業と農業というものをそうした立場で見ながら、一体的にとらえてこれを進めてまいるのがこれからの基本的な方向じゃないか。今回森林組合法の提案をいたしましたのも、そうした林業振興あるいは農業の振興というものも含めた法制的な体制を強化していく、そういう一環で提案をいたしたわけでございまして、そういう意味でひとつ御審議の上御協力をお願いを申し上げたいと思うわけであります。  それから、長期見通しにつきましては、最近における現実の伐採竜が林産物需給に関する長期見通し等とかなり乖離をしておりますことは、いま御指摘がございましたとおりでありまして、われわれもそれを認めておるわけでございますが、この主な原因というものが四十八年を契機とした経済成長変化、それによって停滞をしたということでございます。これは確かに御指摘の点につきましては、われわれとしても大いにその点についてはいろいろと反省すべきものは反省をして、今後のわが国経済の推移の方向を十分見きわめながら広く各界の意見を聞き、速やかに所要の検討は進めてまいらなければならぬ、こういうふうに存じておるわけであります。  それから、森林公益的機能、これは森林の持つ大きな役割りでございますが、この公益的機能が二十兆から三十兆だと、こういうふうな大きな役割り、ウエートを占めておるわけでございますが、そうした公益的な機能を維持していく上においても、現在の林業関係予算というものが非常に少ないではないかというお話でございます。全体的な予算あるいは農林漁業予算の中における林業予算というものは、農林漁業の予算の伸びに応じて伸びてはきておるものの、全体の子算の制約の中でわれわれが指向する方向へ十分対応できる予算でないことば、私たちも率直に認めざるを得ないわけでございますが、林業の持つ重要性にかんがみまして、林業当局も、あるいは農林省政府としても、この発展のためにはこれまでも力を尽くしておりますが、重要な局面に立っておりますから、さらに一層この予算の充実に対しましては政府としても力を注いでまいりたい。そして、長期見通しの線に沿って林業振興が着実に図られるように、これから努力をしていく決意でございます。     ―――――――――――――
  140. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。  本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時二十分再開することとし、休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ―――――・―――――    午後二時二十九分開会
  141. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  森林組合法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  142. 片山正英

    ○片山正英君 午前中は、村沢先生が大変広範多岐にわたりましてそれぞれ要点を御質問されたわけでございますが、私は、時間が余りありませんから、ごく、三、四点について重点的に御質問をいたしたいと思います。  私も実は林野庁で飯を食った男でございますが、しかし、山村を歩き、そしていろいろな山村の人とお話をしますと、山村民の心からなる願いと願望がわれわれに伝わってきます。そういう意味で大変素朴な質問になるとは思いますが、それこそが林業の本当の真髄のような気がいたします、その質問が。したがって、そういう立場で、そういう角度で御質問をいたしたいと思います。  まず第一でございますが、林業森林、いろいろ取り巻く諸情勢はまことに厳しい。したがって、林業経営というのは、これは問題になるんじゃないか。あるいは山村というものが本当にうまくいくんだろうか。いまだに過疎化現象はとどまりません。そういう中におって、いままさしく厳しい林業情勢、山村諸情勢があるわけですが、その原因は何なんだろう。それから、それに対する振興対策ということを林野が銘打っておりますが、その考え方はどこにポイントがあるんだろう。改めて、まずそこから御質問をいたしたいと思います。
  143. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま、まず、山村がさびれた原因はどこにあるのだろうかという御質問でございましたが、私ども林業関係を担当しておりますので、林業というサイドから見てみますと、やはり山を経営し維持していただくためには、山村には人がいなければいけない。山村に人が住むためには、やはり山村がそれなりに生活環境なりいろいろな、もろもろのものが整備されまして、都市生活と比較いたしまして劣らないようなやはり山村生活ができる環境もなきゃいけない。またそのほか、交通事情その他を考えましても、道路その他が整備される必要もあろうと思いますし、また生活の面では、教育の問題とか医療の問題とか、いろいろあろうかと思います。  そういうもろもろの問題もございますけれども、一応林業的な方面、感覚からこれを見てみますと、やはり戦後の復興あるいは戦後の経済成長のために、私ども一応日本の山林を、できるだけ生産量の高い、活力のある森林にしようということで鋭意造林に取り組んできたわけでございますが、そういう意味から、造林事業が目標の約七割強に達したということ、これはある意味で山村の方々の御努力であったというふうにわれわれ思っております。しかしながら、この山村に目標の約七割に近い造林地ができ上がる過程において、だんだんと山村から担い手である方々が減ってきたという問題、片や、造林地が相当成長いたしまして、これがただいま間伐が必要なような時期になってきておるというような問題、そういう観点をこう見回してみますと、やはりそのときに人がいなくなってきたという、林業的なサイドから見れば、ただいま非常に木材価格低迷しておりまして需給が緩和基調にあるというような形で、林業意欲が非常に盛り上がらないという点、こういうことがやはり林業になかなか従事者あるいは後継者としての人が育ちにくいという因子があるのではなかろうかという気がいたします。  そういう観点から、やはりこれからのこういう問題を取り除くためには、林業の面から基盤整備あるいは造林施策推進、さらには森林組合強化によります中核的林業母体の確立等々いろいろあろうかと思いますが、こういうものを通じて林業推進すると同時に、あわせまして、やはり木材需給が緩和基調から安定的な形で今後伸び得るような方途を見出していくこと、これがまたあわせて必要な問題ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  144. 片山正英

    ○片山正英君 いま長官のお話を伺いまして、四点ばかりに集約されたような気がします。生活の環境整備、これはもちろん、そのほか価格低迷、これを通した木材需給の不安定、伸び悩み、それに基盤整備の立ちおくれ、こういうようにいまお話を伺いますと集約できたような気がいたします。私もそのとおりだと思っておるんですが、そこで、まず木材需給問題からひとつ入ってみたいと思います。  まず農林省の所管の中で、価格の不安定、木材需給の不安定というのをちょっと見ますと、農産物は大体需要というものはそう変わるものじゃない。お米であろうと野菜であろうと、そう急にふえて食ったり、急にことしはやめたりということはない。むしろ過剰生産あるいは不足生産価格変動に非常に影響するところが多い。ところが、事、林業木材については、生産というよりも、むしろ需要面によって振り回されている面が非常に多い、そのために不安定化を来しているものが多い、こう考えざるを得ない。それが農林物資の中で際立って林業が違っている特質であろうと私は思います。  そこで、きょうは建設省の住宅関係の方においでいただいておりますので、簡単にお伺いするわけでございます。木材需要の大半が住宅であります。したがって、その住宅対策というのは、林野庁としても非常に木材需給関係上ゆるがせにできない問題であろうと思います。そこで、建設省が昨年ですか新五カ年計画というものを発表され、たしか五カ年で八百六十万戸建設される、こういうふうに伺っておりますが、現状としてそれがどのように展開されようとしておるのか、どのようにやろうとしておるのか、まずその点お伺いをいたしたいと思います。
  145. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) ただいまお尋ねの第三期の住宅建設五カ年計画は、実は五十一年度から開始をいたしております五十一年度から五十五年度までの計画でございます。で、五カ年間に一応八百六十万戸の住宅を建設する必要があるというふうに推計をいたしております。それで、その進捗につきましては、進捗率で申し上げますと、五十三年度が第三年度に当たるわけでございますが、今年度の予算の当初の数字による建設を含みまして、大体五八%程度の達成率を五十三年度末には達成できるというふうな見込みをいたしております。
  146. 片山正英

    ○片山正英君 いまの五八%の達成率というのはどのように考えるのかわかりませんが、私は、八百六十万戸ですから年平均にしますと百七十二万戸、一応そういうふうに考えられます。ところが、建設省のいままでの実績を見ますと、過去においては百九十万戸ぐらい、大変な住宅建設が行われて、木材界もそのときは大変好景気をうたったわけですが、その次の年不況のどん底に追い込まれまして、百三十万戸という激減を来した。これが木材界の弱さを暴露し、苦しみを持った一つ原因でもあるわけです。したがって、その百三十万戸がいまだんだん伸びてきて、私は、去年、ことしが百五十万戸ぐらいだろうと推定しております。大体そうじゃないかと思います。間違っておったら教えていただきます。そうしますと、百七十二万戸を大体平均つくるべきなのが百五十万戸、ですから二十万戸余つくられておらない、これが実態じゃないだろうか。したがって、この差額というのは建設省がこれから回復するための問題だと、こう解釈しておられるのか、それとも、いや、やっぱり予定どおりはいかなかったと、こういうふうに見ておられるのか、その辺ちょっとお伺いしたいのが第一点。  それから、時間もありませんから続けてちょっと御質問するんですが、この八百六十万戸の中で、鉄筋コンクリート初めいろいろなものがあるでしょうが、木造建築、それはどの程度位置づけをされておるのか、見ておられるのか、それをちょっとあわせてお伺いいたしたいと思います。
  147. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) ちょっと技術的な御説明を申し上げないと御理解願えませんので、ちょっと詳細にわたりますが御勘弁を願いたいと思います。  まず、五十二年度の建設戸数の見通しにつきましては、百五十五万戸弱というふうに考えております。ところで、先ほど御指摘のありました昭和四十七年度が百八十万戸でございます。それから、いまの五十二年度が百五十五万戸弱。これらの数字は、実はいずれも着工統計のベースの数字でございます。それで、着工統計と申しますのは、家をお建てになる場合に確認申請をなさいまして、それで確認をされたときに初めて家に着工ができるわけですが、その場合に着工届けを別に出していただくようにしております。それで、いまの数字は、その着工届けを出されたものを単純に毎月正直に積み上げたと申しますか、そういう数字が着工統計でございます。ところが、別途私どもがいろいろスポット的に調査をいたしますと、確認はとられたけれども着工届けという手続を行っておられない方が毎年相当な率に上っております。そこで、実際に建っております戸数は、たとえば五十二年度については百五十五万というふうな数字ではありませんで、そこに統計上の漏れ等がございます。そこで、私どもはそれを漏れの処理をいたしまして、実際に本当に建っている戸数というものをほぼ想定ができますので、推定ができますので、それに置きかえた形で五カ年計画の総戸数の積み上げ、あるいは達成率の計算というものをいたしております。  ちょっと説明が長くなりまして恐縮でございましたが、そういうベースではじき直しますと、五十二年度の見通しの百五十五万戸弱は、約百六十六万戸弱というふうに推定することができます。したがいまして、現在五カ年計画の進捗率はこういう統計上の誤差を修正したものでやっておるということで、大体先生のおっしゃいました百七十二万戸平均の形にかなり近い形で進んでおるということを、まず御理解願いたいと思います。  それから、木造の比率でございますが、木造の住宅がどのぐらいます現況建っておるかということでございますが、これは着工統計ベースのやはり数字でございますが、木造住宅と非木造住宅との比率を出しております。これを御参考までに過去の五カ年分を申し上げますと、四十八年は木造の戸数の比率は六〇・七%、四十九年が六六・五%、五十年が六六・六%、五十一年が六四・五%、それから五十二年度はいまのところ一月までしか統計が出ておりませんが、その比率では六二・八%ということに相なっております。
  148. 片山正英

    ○片山正英君 そうすると、先ほどの五八%というのは、八百六十万戸の大体五八%が三年目に達成したと、こう解釈していいわけですね。
  149. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) はい。
  150. 片山正英

    ○片山正英君 それから木造の比率の六二、三%から六%の間というのは、今後も恐らくそのような姿で推移するであろうし、建設省としてもそのような見通し指導をすると、こう解釈していいですか。
  151. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) 五カ年計画を立てましたときに、資材がどのぐらい要るだろうかという国民経済全体との関連におけるチェックをいたしております。そのときに、五カ年間に合板を合わせまして木材でどのぐらいの資材が要るだろうかということを推計をいたしておりますが、一億五千万立方メートルの大体需要を見込んでおります。それで実績で申し上げますと、五十一年度は二千九百万立方メートル、五十二年度は三千万立方メートル、五十三年度は三千三百万立方メートルが実際に使用されております。したがいまして、当初立てました一億五千万立方メートルの平均である三千万立方メートルの平均よりも、むしろ上回るのではあるまいかというふうに見通しております。
  152. 片山正英

    ○片山正英君 大変順調に住宅が進んでいるようにちょっとお伺いするわけでございますが、ところでことしの個人住宅――ことしと申しますか、五十三年度予算、個人住宅が約四十万戸公庫融資というふうに聞いております。それは去年と比較しますと、去年は二十四万戸だったと、私、記憶しておりますから、相当の大幅の伸びであると、こう思います。大変幸いであります。その中で、しかしこれは、住宅建設というのは、恐らく融資をしたり補助金を出したりする国の力によってやるのは四割前後じゃないかと思いまして、あとの六割前後というのは純然たる民間の力、こういうふうに思います。ところで、国の力のやつは、いまの二十四万戸から四十万戸という大幅な姿が、おかげさまで皆さんの御努力で達成できましたが、一般民間の住宅建設というのは今後どのように考えられますか、その点ちょっとお伺いをいたします。
  153. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) ただいまの五十三年度予算における公庫の戸数についての御指摘でございましたが、実は昨年度当初予算では二十四万四千戸でございましたが、十月に財投追加をしていただきまして、九万戸それにプラスをいたしております。それで、合計三十三万四千戸実は昨年建っておるわけでございます。で、これと比較をいたしますと、実はことしは四十万戸でございますから、約七万戸、六万数千戸の増ということで、当初同士で比べますと非常にふえておりますけれども、実際に建設されます公庫融資の住宅の数としては二十四万四千とではなくて、三十三万四千との比較でお考えいただきたいというふうに考えております。  それから、民間住宅の建設につきましては、これは非常に景気の動向ないしはそれぞれの家を建てられます方の将来の見通し等がやはり全体として安定をし、希望が持てるということになりませんと、なかなか安定的に推移をするということがむずかしい性質のものではございますが、いままでの過去の、たとえば先ほどお話のありました四十七、八年のいわばブームのような建設の時代、それから落ち込んで現在回復いたしておりますが、この全過程を通じまして実は伸び縮みをいたしております大きな要素は借家でございまして、持ち家需要というのは必ずしも四十七、八年のときもそうひどくは伸びてはおりませんし、また落ち込んだときもそうひどくは落ち込んでおりません。数字は、もし御必要がございましたら後ほどお届けいたしますけれども、持ち家需要をきちっと発掘をするというか、持ち家取得能力を高めるというふうな手段を適切に講じていけば、持ち家の需要に関しましては、かなり安定的な推移が見込まれるのではないかというふうに考えております。
  154. 片山正英

    ○片山正英君 いろいろお話を伺いますと、大変住宅は順調にいっているように見えるんですが、私は別な角度から見ると、必ずしもそうじゃないというふうな気がいたします。もし順調にいっているなら、去年でもこれだけ住宅政策が一つの看板だと言われながら不況回復がなかなかできない、木材需要必ずしもよくない、そういう面があります。そしていろいろ話を聞きますと、その一つに土地問題がどうもあります。住宅のいろいろの手当てはあっても土地がないんだと、土地がなかなか思うように見通されないんだというふうにわれわれ接触の中ではよく聞く問題であります。したがって、この土地問題について現状どのようになっておるのか、それからどこに問題があるのかないのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  155. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) 土地問題に関しましては、実は計画局が所管でございますから、私に交代いたしまして後ほど全体のお話は申し上げますが、住宅金融公庫に関しましては、家を建てられます当該年度に土地を取得される方というのが、借入者の大体一五%であるということが経験的にわかっております。したがいまして、公庫融資のみに関して私は申し上げますけれども、この問題に関しては、そう需要があって家が建ちにくいというふうな現象は起こらない。ただ、土地全体として造成の問題、現在造成が先細りになってきておるというふうな問題は、確かに御指摘のとおりかと思います。この点につきましては、計画局から御答弁申し上げます。
  156. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) お答え申し上げます。  土地の全般の問題でございますけれども先生指摘のように土地は現在減少傾向にございまして、四十七年に一万四千五百ヘクタールくらい年間供給されておりました。しかし、一番最近の統計でございますけれども、五十一年度ではこれが一万二百ヘクタールぐらいまでに落ちております。これは、四十七年のピーク時に比べれば、七割くらいの感じになっております。それで、先ほど住宅五カ年計画の御説明ございましたけれども住宅五カ年計画によりますと、大体その五カ年計画中に六万六千ヘクタールの土地が必要だという推計をしているわけでございます。これを年間に直しますと、大体一万三千二百ヘクタールになります。それに比べますと、最近の情勢が一万二百ヘクタールでございますから、まあかなり落ちているということは事実だと思います。この現象は、地方都市もありますけれども、大都市が特に民間の供給が落ちているという傾向にございます。  ただ、先ほどの問題、住宅の問題と絡みがありますけれども、私どもが宅地の供給と申し上げましたのは、宅地の完成時点をとらえて言っているわけです。したがいまして、宅地を皆さんがお求めになって家を建てる段階までには若干のずれがございます。そういう問題と、それから宅地が完成してから家が建つまでの間の業者、デベロッパー等のストックの問題等もございますから、それがたとえば区画整理の場合なんかはかなりストックがございまして、約三万ヘクタールくらいストックがあると見ているわけでございますけれども、そうしますと、たとえば来年の話あるいはことしの話、ストックの減は起こりますけれども、宅地がにわかになくなってくるという感じは持っておりません。  ただ、御指摘のように、こういう傾向長期間続いてまいりますと、ストックも枯渇してまいりますし、大きな問題が出てくるというように私たちは認識しております。したがいまして、そういうふうなものに対して対策を講じなければいけないわけでございますけれども、この現在供給している現実と申しますのは、大きく分けまして四つほどあるのじゃないかと思っているわけです。  一つは、公的、民間、これを含めてでございますけれども、デベロッパーの事業採算が非常に悪くなっているということで、事業意欲が、事業が停滞しているということでございます。その理由としましては、関公負担、よく言われますけれども関連公共公益施設等の負担が非常に増大している。それから、事業が長期化しましたので金利負担が増大していると、そういった問題が挙げられると思います。  それから二つ目の問題としまして、土地の流通が非常に停滞していると、これは税制の問題その他ありますけれども、かつての狂乱土地の対応策として税制その他許可制度等でかなり締めておりますので、そういった土地の流動化が停滞している問題がございます。  それから三つ目は、公共団体が開発に対する非常に抑制姿勢をとっている、こういう問題もございます。  それから四つ目としましては、市街化区域内の農地の宅地化が余り進んでいない、そういった問題があろうかと思われます。  そこで、建設省としましては、基本的には地価の安定ということがまず第一でございますので、国土利用計画法の的確な運用を前提としまして、地価の安定ということ、地価の高騰抑制を図りながら、いわゆる公的開発、住宅公団とか宅地開発公団の公的開発主体に事業を促進するということと、もう一つは、民間への住宅金融公庫、開銀の政策金融を強化し、充実しましてこれを促進する。もう一つには、先ほど申し上げましたように、関公負担が非常に重くなっておりますので、これに対する地方公共団体負担あるいはデベロッパー負担の軽減を図っていく。それから最後に、必要に応じまして税制の見直しを行いまして、土地の流動化等も検討していくというふうな基本的な姿勢でございます。  なお、五十三年度の施策としましては、先ほどの関連公共公益施設の負担につきまして特枠制度というのを設けまして、道路、河川、下水道の一般の事業費のほかに、別枠で宅地関連の事業費の補助制度を設けております。それから政策金融につきましても、従来三大都市圏で百万都市以上を対象にしていたものを五十万都市まで対象にするというふうなこと、それから税制についても法人重課の若干の手直し、そういったものをやっているわけでございます。それからなお、住宅金融公庫の従来の土地つき住宅融資制度、いわゆる上物の融資がほとんどでございましたけれども、土地の融資というふうな道も拡大したということで、宅地取得を若干容易にするというふうな改正もしております。  こういった政策を総合的に展開しまして、現在の沈滞傾向を若干でも上向きに持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  157. 片山正英

    ○片山正英君 それぞれいろいろ御手配をされておるようでございますが、先ほど前の課長さんのおっしゃった一五%というのは、公庫融資の今年度手配しようとする土地と、こういう意味ですね。簡単でいいです。
  158. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) 過去に借り入れられました方の実際に土地をどういうふうに御手配なすったかという統計を、毎年とっております。それによりますと、安定的に当該年度に土地を新しく手当てなさる方はこれは大体一五%であるということでございます。
  159. 片山正英

    ○片山正英君 それ以外はもうすでに手当てをしているんだ、こういうわけですね。
  160. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) そのとおりでございます。
  161. 片山正英

    ○片山正英君 今後もそういう見通しが立っておるんですか。大体そういう程度の率で見通しも立っておるんですか。
  162. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) これは過去の統計からの話でございますから、将来とも必ずそうなるというふうに保証がでできる問題ではございませんが、いま計画局からもちょっと御説明をいたしましたように、公庫自身の土地融資の道もできるだけ広くするような形で、仮にことし御手配になる方も手配しやすいようにというふうな方策は備えておりながら、しかし予測としては大体従来の傾向等が非常に安定しておりますので、そういうことで推移をするのが蓋然性が悔いのではなかろうかというふうに考えておるということでございます。
  163. 片山正英

    ○片山正英君 どうもこの問題ばかりに余り時間をとっちゃまずいんですが、過去がそういう意味で順調に来たから今後もというふうにお考えのようですが、どうも私は現場の実態を肌に感ずるのはそう感じない。非常に不安に思います。したがって、いまの特別地域、調整区域、市街化区域いろいろあると思います。その問題にいろいろ配慮する必要もあろうと思います。しかし、そういう意味で、もっと土地問題について積極的の位置づけを、たまたま三全総が出ておるんでしょう。その三全総を基礎にした一つ見通しというものをはっきり言える体制がないと、なかなか私は進まないんじゃないかと思います。御答弁は要りません。ぜひそれをお願いしたいと思います。  それからもう一つは、住宅減税の問題。いま公庫融資その他については、確かに国が大きな力を持ってやっておるんですが、一般民間については私は銀行貸し出しのあり方と、それから住宅に対する減税のあり方が、土地問題はさっき話しましたから抜きますが、決め手になるだろう。その点についてどのようなことしの対策をしようとしたのか、それから今後どのようにお考えか、その点だけ、簡単でいいですからお伺いいたします。
  164. 伊藤茂史

    説明員(伊藤茂史君) これは住宅税制につきまして、ことしの五十三年度の税制改正でございますが、租税特別措置法その他関連の政令も出まして、すでに施行になっております。  先生指摘のとおり、民間の住宅金融につきまして新たな減税措置が講ぜられております。住宅ローン減税と、こういうふうに言われておりますけれども制度的には住宅取得控除制度の拡充という形で行っております。現行の住宅取得控除制度は、新築の住宅につきまして最高限度額三万円の所得税の税額控除をするということになっておりますが、それを民間の金融機関等から借り入れてやった場合には、さらに最高限度額プラス三万円という形で、従前の取得控除制度と同じように三年閥所得税から税額控除をするという制度が設けられております。まあ現行の民間金融機関の金利そのものは戦後最低の水準になっておりまして、われわれはその成果に期待しておるわけでございますが、この減税措置を伴いますと、さらに三年間ではございますけれども、従前の三万円、新たな三万円をプラスして六万円の減税効果というのは、ほぼ、約でございますけれども金利の一%を下げるに相当すると、そういうふうに考えておりまして、戦後最低の金利水準がさらに一%下がる効果を持つということで、今後の推移を期待しておるわけでございます。  その他、住宅貯蓄控除制度等々にも期間の延長を中心にしまして改正が若干行われておりますが、これは省略をいたします。  今後どうするかというお話でございますが、まあこれは直接先生の御質問の御意向には答えることにならないかとも思いますけれども、従前の住宅減税そのものが新築中心に行われておりまして、新築であればどんなものでも結構だと、簡単に言いますとそういう体系になっております。しかし、時代の要請はいろいろございまして、中古住宅の問題とか省エネルギーの問題とか、それぞれ時代に適合した新しい要諦が出てまいりますので、減税の体系もそういうことを加えて検討していかなければならぬじゃないかというふうに考えております。
  165. 片山正英

    ○片山正英君 時間がありませんから、要望をちょっと二、三申し上げておきます。  まず、いまの住宅減税について、三万円をまたプラスした、こういうことでございます。大変結構なわけでございますが、ただ、私記憶する限りにおいては、この三万円の控除というのは、当時住宅建設費用が坪単価十万円ぐらいのときに定めたものだと思います。したがって、いまは少なくとも二十五万から三十万する時代でありますから、当時の考え方をそのまま伸ばしたとしても、二倍半なり三倍にすべきものであろうと実は思います。一方、諸外国の例を見ますと、大変減税が多いんですね。日本と比べると、はるかに多いんです。アメリカの例を私見ましても、二千万円あるいは住宅建設の五%ですか、それまでどちらか小さい方を所得減税の対象にすると、このような姿の中で相当住宅政策をやっておる。それから、片や市中銀行においても、日本じゃ大変個人に対する融資は少ない、会社に対する融資は多いようですがね。諸外国で言うと、個人融資が相当多い。その個人融資の多いのは、住宅だろうと私は拝察をいたします。  そういう点から見ると、日本住宅が一枚看板だと言いながら、大変私にとってはさびしい。そういう意味で、これは御検討いただきたいんですが、ぜひ建設省としても、もっともっと前向きに検討していただきたい。それが木材の安定につながり、そして日本のほかの産業として、木材だけが一番、あるいは住宅だけが貧弱だと言われる日本産業の立て直しのかなめになると私思いますので、時間もありませんから長々といたしません。その点、ひとつぜひ御検討をいただきたいと、こう思います。  それからもう一点、公営住宅、これはいろいろの関係で鉄筋にする、不燃に持っていく、これは結構です。しかし、本当に農山村の山の中の公営住宅が、火事の心配もない広々としたところに建てる。そうして、その市町村は、場合によっては自分が山を持って常々とりっぱな木を育ててきているわけです。そういう町有林を持っている市町村があるんです。そういうものが、それを切って自分の公営住宅を建てたいというときに、山の中ですよ、いやいや鉄筋でなくちゃいかぬだと、こういうことでは、必ずしも私は妥当じゃないんじゃないか。適地適作という言葉がありますが、適地のやはり住宅政策があってしかるべきだと。何でもかんでも不燃住宅ということ、悪いこともないけれども、場所によりけりじゃないかと、私はそう思います。幸いいろいろな点で御高配はいただいておりますけれども、私も実態をつぶさに陳情することもございますから、御高配はいただいておりますが、制度的にもひとつそういう点もあわせ御検討をいただきたいと。この山村の明るさを取り戻すひとつお力も、建設省も考えていただきたい、こう実は思っております。  そのほか、住宅性能保証制度の問題も聞きたかったんですけれども、時間がありませんから、建設省関係はこのくらいにいたしまして、ぜひひとつよろしくお願い申し上げたいと、こう思います。  それから、戻りまして、林野庁関係に戻ります。ただいま申しましたように、山村の安定のためには、木材需要供給そのものを安定しなくちゃいかぬ。それには、需要についてはいま建設省にお願いし、お聞きのとおりであります。  ところで、そういう問題を通して六団体、具体的の陳情がこれは林野庁にもことし出されたと思います。全国森林組合連合会、全国木材組合連合会、全国市町村林野振興協議会、全国山村振興連盟、それから治山協会、林道協会と、六団体が一つ意見を統一して、いろいろ意見ありますね。ただいま言ったように一元化輸入した方がいい、あるいは課徴金をかけろ、いろいろな意見はあります。それほど山村はいま苦しみの土町場にありますから、そういう言葉があちこちに出ることは私もよくわかります。しかし、それをいまただ単純に言っては物事は解決しません。したがって、こういう六団体が一つ意見を結集して、これだけはひとつお願いしたいと、そして需給安定、山村安定に寄与さしていただきたいという陳情が出ております。これに対してまず林野庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  166. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 林野庁に、いま先生がおっしゃいましたような六団体から陳情も確かに出ております。  私ども、先ほど申し上げましたように、これからの林業振興なり林産業の振興を図る上で非常に大事な一つの部門として、木材需給関係を安定的なものにする、これが一つの大きな私は柱ではなかろうかというふうに考えております。そういう意味から、関係団体の方々が陳情されましたような全般的な林業なり林産業振興のための考え方というものについては、私たちも全く同感に考えておりますが、その方法論といたしましてはいろいろあるであろうというふうに考えております。  林野庁におきましてもただいま中央に、木材需給対策のための中央協議会というのを設けておりまして、そこで木材需給というものを年間を見通しまして計画を立てておるわけでございますけれども、ただいま先生指摘になりましたように、そういう関係方面のいろいろな御要望もございますし、それぞれの立場での御発言もございます。しかし私どもといたしましては、ただいま木材需給というものが緩和基調にあるし、それがいろいろな意味で圧迫原因になっておるということを認識すると同時に、やはり国際的な物の見方をしなければいけないし、その場合にやはり諸外国の方から貿易拡大の要望も出ておりますし、また一方では丸太輸出制限という問題も出ております。当分の間、日本木材需給考えますと、やはり輸入に頼らざるを得ない面が多々ございます。  そういうもろもろのことを考えますと、現在私ども考えておりますのは、短期的な需給の見直し、短期的な需給をさらに的確に見直していくということ、たとえば三カ月ごとぐらいに主要な品目別に需給を見直していくというようなやり方、それから従来余り十分に把握しておりませんでした在庫の情報でございます。こういう在庫というものがどのくらいになっているかということにつきましても、さらに的確な把握をするということ。こういう情報機能強化、また現在対応いたしております需給協議会等につきましても、その協議会の充実というような問題、こういうものを踏まえまして、冒頭申し上げましたような形で需給というものを的確に把握いたしまして、さらにそれを情報機能強化によりまして関係方面に伝達し、業界等の協力を得ながら、私ども指導の徹底を図っていきたいというふうに考えている次第でございます。
  167. 片山正英

    ○片山正英君 いま長官のお答えの中で、少し進めて議論したい点が一点あるわけです。それは、いま木材需給協議会をつくっていろいろ御努力されておる。それはよくわかります。ところが、なぜ、じゃ業界団体が同じような木材安定対策協議会というものを設置してくれということを言ってきておるのか。同じことをなぜそれじゃそういうことを言わざるを得ないのか。そこに私は問題があると思うんです。林野庁ではやっておる。そしてさらに、いま新しい角度で三つの点をやられようとしておる。本当に私はありがたい。そのお答えの中に含んでいるんだろうと思います、協議会の充実というものを。それはどういう充実をしてほしいかというのが、私はこの陳情を通してお願いしたいのは、いまや木材需給というのは、林野庁だけが幾ら精密な需給計画を立ててもそれは不可能です。これは建設省は先ほど言った住宅政策あり、通産省のいろいろな輸入問題もありますが政策あり、大蔵省の金融措置あり、いろいろな問題の関連の中で木材需要というものが決定していくわけでございますから、林野庁がいかにそれを自分でやろうとしても不可能であります。したがって、私は各省網羅したそういう需給協議会、各省を網羅した団体、そういう協議会を権威づけたものにする、これこそが一番のポイントではなかろうかと私は思います。長官の先ほどの充実という言葉は、そういう意味を含んでおると私は解釈するわけでございますが、ぜひそういう方向でやっていただきたい、こう実は思っております。  私は、そういう意味で、閣議決定の了解なんということも考えたこともありますが、そういうことをせぬでもやれるのじゃないか。たとえばの話、いま林政審議会というのがあります。林業基本法に基づいて林政審議会が行われております。委員が各民間それぞれのエキスパートの人がなっております。そしてそこで、木材需給問題等基本法の示すところによってやることになっております。したがって、それを現実にやっておると思います。しかし、それはあくまで民間の人の集まりでありますから、そうしょっちゅう開くわけにはいかない。年に数回ということでしょう。それでは木材実態を必ずしも円滑に進めるような機構にはなりがたい。したがって、もし各省網羅した法的裏づけのあるものにするならば、その需給協議会の下に幹事会というのがあります。これは各省の官房長あるいはそれに関連する局長が幹事になっております。したがって、そういう幹事会というものを通してこういう木材需給というものに真剣に取り組む、これは私の私案ですが、こういうことも考えられるのではないだろうかと思います。  いずれにしましても、いま長官の、協議会を充実するということでありますから、これは業界もそういうことを本当に期待していると思います。私はまずそれをやってみることが、一元化輸入もいいでしょうけれども、まずそういう問題の解決こそ先鞭をつけないといけないのじゃないか、こう思って、いまの長官充実という回答をそのように解釈して、ひとつお願いを申し上げたいと思います。余り時間もありませんから、ここで時間をつぶしたくありません。  それから、その次に在庫状況、私も昔林野庁にいて、これは本当に反省をいたしておるわけでございますが、需給というのは供給需要のバランスだけとって、在庫調査というのはいままで林野庁がなかなかしておりませんでした。これはむずかしいんですね。だからしなかったのでもありましょうが、しかし、需給は在庫の増減によって大きく左右をされるということを、われわれはよくいろいろな物資によって体験をしておるわけでございますから、林野庁もいま長官のお話しのとおり、在庫状況を今後調査してそれによって対処するというお話も伺いましたから、この二点だけは私は新しい問題だと思います。ぜひひとついま御答弁のとおりやっていただきたいと思っております。  それからもう一つは、業界の要求する国内林業の育成強化を基本とする外材の適正輸入対策ということを要望しておきます。これはなかなかむずかしいのですが、自由化のいまの中で外材の適正輸入化対策とは何を意味し何を林野庁としては考えられるか、ひとつその構想なりともお聞かせをいただきたい、こう思います。
  168. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 初めに、先生指摘になりました現在の中央の需給協議会の問題でございますが、ただいまのメンバーにも、先生は十分御存じだと思いますけれども、大蔵省、企画庁、建設省、通産省の方々に入っていただいております。したがいまして、この需給協議会が一番大事なことは、やはり的確な情報をつかむということに問題点がございまして、ああいうメンバーでいまやっておりますけれども、先ほど申し上げましたような考え方、それから先生のただいまお話しになりましたことを十分踏まえながら、私どももこの機構の充実には今後対応してまいりたいというふうに考えております。  それから、いま御指摘になりましたどういう考え方需給の安定を図るのかということでございますが、やはりこれからの日本林業推進するためには、先ほども申し上げましたけれども木材需給というものは安定的に伸びていかなければいけない。ところが、実態を見ますと、国産材が約三五%、外材六五%の現状でございます。そして、その外材を使って製材しておられる方もおられます。したがって、この木材需給の安定という問題は、当然これがひいては日本林業発展、伸展に寄与するような形での需給安定でなければいけないと同時に、林産業の発展考えなければいけない。そういう両々相まったものが、これからの需給安定を計画的に推進させるための基本的な考え方にならなければいけないというふうに考えております。したがいまして、この需給を安定させるということが、林業並びに林産業両面にやはりいい影響を及ぼすような考え方で対応していく必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
  169. 片山正英

    ○片山正英君 それでは、この点も私はちょっと要望を申し上げてみたいと思います。  木材に限らず、日本は貿易立国ですから、貿易の自由化、これは押し寄せてくることは間違いありません。そしてまた、これを否定しては日本も成り立たないでしょう。しかし一方、そういう自由化ばかりどんどんやられては山村というものは成り立たない。山村はゴーストタウンになる。これもまた、日本としては防がなければならない一つの大きな柱と言っても過言ではありません。まさしく二律背反、こういう問題であります。それをどのように調整するかが、やはり最も大事なポイントだと思います。  そこで私は、先ほどの国内における需給協議会、これもぜひお願いしたいのは、需給協議会の中へ全森連、全木連、こういうのも入れていただきたい。そういう意味充実を御検討いただきたい。余り細かいことになりますから省略しますが、一例をいま挙げたのです。そして、対外的には私はひとつ米国対日本、東南アジア対日本、ソ連対日本、これは業者任せの折衝でございますが、日本もいよいよ木材輸入あり方について折衝すべきじゃないか。何も統制というものではありません。話し合いから始めるべきじゃないかという気がいたします。そういう意味一つの御提案を申し上げるわけでございますから、御回答は要りませんが御検討をいただきたい、こう思っております。  時間もありませんから、次に法案の方についてちょっと一、二質問をいたします。  まず第一点は、今度の森林組合法単独立法、大変思い切ってやっていただきましてありがたい次第であります。しかし、単独立法にした本当の理由、これからの方向、それは何なのかというお答えをまずいただきたいと思います。
  170. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林組合制度につきましては、前々から国会でも御意見がございましたし、私どもはそれに基づきまして、林野庁におきまして森林組合制度検討会を二年有余開いてきたわけでございます。そういう中で、ただいま御審議願っております法案として、単独法として根拠づけるということとして、森林組合を今後育成していこうという姿勢をとったわけでございます。  森林組合性格と申しますか、こういうものを考えてみますと、従前の歴史的経過を見ましても、やはり森林資源培養あるいは生産力の増強という資源施策的なものを中心にした森林組合として発展し、そしてそれが戦後、中央協同組合性格がだんだん強くなってきた状態、今後さらにそういう両面を備えていくような森林組合として育てていく必要があるであろうというようなこと、こういうことを考え、協同組合的な性格というものをやはりさらに森林法の中に位置づけられているときよりも強く今後その性格として持ちながら、森林組合としては今後発展していくべきであろうというような考え方から、この森林組合制度というものを単独法としたわけでございますが、そういう考え方に基づいて、やはり森林組合として一番大きな性格でございます森林所有者の団体であるという性格、そして森林そのものがきわめて公益的な機能を持っておるということ、これをやはり管理、維持、経営していく中心的な担い手森林所有者であり、その共同体である森林組合であるということを考えていきますと、やはりこういう制度、いま申し上げました森林組合の特徴を生かしながら、今後の日本森林経営の中核として森林組合発展するような考え方に基づいて、この森林組合制度というものを単独法として国会に御審議を願うことにしたわけでございます。
  171. 片山正英

    ○片山正英君 森林組合単独法を、私はこういうふうにも解釈しておるんです。森林組合は山村の担い手である、その担い手にふさわしい姿を明確にする、こういうふうに私は解釈をしておるんですが、そこで多年言われておるのは、そういう意味における単独法、そういう意味における共済事業の実施、そういう意味における信用事業の実施、これを三つの問題として取り上げてきたんだと、こう私は解釈しておるんですが、最初の二つの問題はここに入っております。多少の議論はあると思いますが入っておりますが、最後の信用業務だけが一つの今後の検討の事項になったということでございます。先ほど村沢委員からも御質問がございまして、林政部長からの御答弁を聞いておりますと、思想的にはこれは当然漁協、農協と同じように与えるべきであろう。しかし、実態が――実態といいますか、力が何さまそこまで届かないから、それを育成してその段階において考えるべきじゃないだろうかという御発言、御回答のように伺いましたが、そのように思ってよろしゅうございますか、まずその点ちょっと伺います。
  172. 石川弘

    政府委員石川弘君) そのとおりでございます。
  173. 片山正英

    ○片山正英君 それでは、ちょっとこの点もう一つお伺いするんですけれども、やれる組合とやれない組合、まあ森林組合の中でも非常に優秀な組合もあれば、これはこう言っちゃ悪いんですけれども、全然町村におんぶしちゃってほとんどできない組合もある。ピンからキリまであります。しかし、県森連という一つ組織体をとればまあまあという一つの姿、これにもやっぱり相当の相違はありますが、一つの形態をなしておると。とするならば、県森連が一つの信用業務の母体となって、そしてひとまずそこから始めていく、そういう何というか体制づくり、こういうものについて、ある人はぜひ願いたいという言葉もありますけれども、その点についてどうお考えであるか、ひとつお伺いいたしたい。  それからもう一点、森林組合関係は農林漁業金融公庫、これが中金のあれを経て、いろいろ事務的な資金貸し等のお手伝いをしております。しかし、その件数というか金額たるや、一件処理すると一千円もらえるとか、多くて四千円もらえるというようなことですから、正直言ってなかなか割り合わぬ、そこに粗雑さが出る、出ざるを得ない面もあるのじゃないかと私思うんですが、そういう点の充実は何とかならぬものだろうか、こう思います。  その点、二点まずお伺いしておきます。
  174. 石川弘

    政府委員石川弘君) 信用事業を連合会に認めて、そこから森林組合関係の信用事業を始めたらという御意見でございますが、まあ要するに貯金の受け入れをやるわけでございますから、それをまず第一義的に言いますと、そういう預ける金があるとしますと、それは森林組合組合員でございますから、それが県に一カ所あります森林組合連合会に、これも形の上から言うと、まあ連合会の会員は組合員でございますから、組合員がいきなり預けることの可否というような法律問題のほかに、その便宜の問題としても、県に一カ所あるようなところに預金をするということを余り前提としたような信用制度というのは、なかなかつくりにくいと思うのでございます。  やはり私ども考えておりますのは、森林組合充実されまして、ある程度規模の仕事ができまして森林組合としてもある程度の資金循環ができるようになっていただく、さらにそういうものの集合体として連合会が上位段階にあるというような形をつくりませんと、いわゆる資金のネットワークと申しますか、単に貯金を受け入れるというだけじゃなくて、その払い出しその他、あるいは為替業務といったことを一体として行いまして、初めて信用事業としての組合としての事業もできますし、組合員に対するサービスもできるわけでございますので、そういうような前提で考えます限り、いまおっしゃいましたようなことから信用事業を始めるというには、いささか問題があるのではなかろうかと。ただ、そういう場合にでも、たとえば組合を連合会の支所的に扱ってやったらどうかとか、いろいろ御意見のあることも存じ上げておりますけれども、まあ余り異例な姿でこういうものを始めるというのは、そのこと自身にやはり信用事業の確実性という問題からいっても問題があるのではなかろうかと思いまして、そういう道から始めることをためらっているわけでございます。  それからもう一つ、公庫等の業務代理の問題でございますが、これは先生よく御承知のように、公庫の業務代理をできますのは金融機関でございます。したがいまして、金融機関でございます農林中金を使いまして、それのいわゆる事務を一部、森林組合連合会等が事務委託の形で行っているのが現状でございます。その場合の一件当たりの手数料の当否につきましては、事務委託でございますから、本来、事務に要する経費を負担していただくというのが考え方でございますから、事務の所要経費がある程度かさめば、そのかさんだだけのものを事務費としてもらう。しかし、これは事務委託でございますから、その業務の扱いに関する責任を分担しているものではございませんので、あくまで事務的にどれくらい手間暇がかかってどれくらいの支払いをすべきかということで、中金等の間で決められる問題だと思います。まあそれが適正かどうかにつきましては、そういう受託金融機関あるいは公庫等も相談の上で、適宜考えていきたいと思っております。
  175. 片山正英

    ○片山正英君 あと二分しかなくなりましたので、最後に要望だけを申し上げます。  ただいまの信用業務の点は、お答えいただきましたとおり、充実した暁においては本当に検討して実施するというお答えでございますから、ぜひそういう御指導を賜りますとともに、それから事務委託の問題でございますが、御検討いただきたいのは、林業改善資金、これについては県から直接の委託を受け、それ相当の対処をしていただいておるわけですが、これと比較しますと余りにも惨めなような気がいたします。したがって、これとの関連によってもっと充実した代理行為というものができないものかどうか、これもあわせ御検討をいただきたいと、こう思います。  最後に、いよいよ森林組合もいろいろの仕事をするための合併等によってどんどん充実してくると思いますが、片や、生産森林組合、これは入会林の整理等によってどんどんまた数がふえてくると思います。片方は減ってくるが、片方はふえてくる。これはひとつ同じ森林組合の大きな一環として相提携してあるべきものだと、こう思います。同じ系統組織の一環としてあるべきだと、こう思います。そのような山村の担い手としての総合力を発揮するような御指導、こういうことを賜りたい、こう思っておるわけでございますが、最後にその点お答えをいただきまして、私の質問を終了いたします。ありがとうございました。
  176. 石川弘

    政府委員石川弘君) 生産森林組合は、形の上ではあくまで林業生産者の立場をとるわけでございますから、原財的には地域にございます森林組合に加入すると、で、その森林組合を通じて連合会等に加入するという形で行政指導をしていきたいと思っております。ただ、例外的にその地域森林組合が存在しませんものがまだ実はあるわけでございまして、そのようなものにつきましては、直接連合会加入というようなこともこれはやむを得ないのではないかと思いますが、考え方は、先ほど申しましたような系統組織を形づくる形で指導をしていきたいと考えております。
  177. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 森林組合法審議に当たりまして若干の質問を申し上げたいと思いますが、きょうも午前中からいろいろ論議がございまして、広範にわたりましてのお話がございましたが、一部重複する点もあるかもしれませんが、与えられた時間、御質問を申し上げたいと思います。  最初に、過日林業白書閣議了承になりましたですね。ここでは非常に林業を取り巻く厳しい諸情勢が訴えられておるわけでありますけれども、きょうも午前中からいろんなお話がございましたんで、一々お話しすると大変な時間になろうかと思いますが、この五十二年度の林業白書に盛られている主要項目、そうしてまたそれに対する施策、これをひとつ概略でよろしゅうございますから、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  178. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) それでは、林業白書の概要を申し上げます。  林業白書は、もう御存じのとおり、動向等を中心に書いておるわけでございますが、最近の林業の動向でございますけれども、これはたとえば五十一年をまず分析いたしておりますが、五十一年につきまして、需要量については前年比六%ほどの伸びになっております。それから供給の方を見ますと、国産材が前年に比べまして三%の増加外材も八%の増加、それから自給率は前年度よりも一・〇ポイント低下いたしまして三四・九という形で、最低の四十九年と同じ数値になっております。それから、五十一年の製材、木製品の価格指数でございますけれども、年平均では前年に比べまして約八%の上昇になっております。全体的に価格が横ばいないし下落の形でございますが、そういう関連で木林産業が非常に不況になっておりまして、五十一年、五十二年とも非常に不振を続けておるということでございます。  一方、これに対応いたしまして林業経営の動向でございますけれども、丸太の生産が四十三年以降減少を続けてまいりましたけれども、国産丸太が五十一年には対前年比約三%の増加になっております。こういう中で、特に特用林産につきましては、総生産額は前年度の二七%の増というふうな形になっております。それから、林家の所得につきましては、五十一年には伐採量の増加あるいは諸経費の節減等から、前年に比べまして九%増の三十二万三千円という形になっておりまして、ほぼ四十九年の水準に回復いたしております。それから、林地価格につきましては、四十七年、四十八年と暴騰いたしましたけれども、五十一年には前年度に対比して五%の上昇という形で落ちついております。それから、林業就業者でございますけれども、五十一年は二十二万人という形で、ほぼ前年と同数になっておりますけれども、年齢構成等見ますと、四十歳以上が非常に増大しておるということでございます。それから、国有林野事業につきましては、五十一年度におきましては、資金運用部資金から四百億円の長期借り入れがなされたものの、収支におきましては四十八億円の歳出超過が生じまして、損益でも五百億円の赤字となっております。  それから、木材需給日本林業発展の課題でございますけれども日本林業は、いま申し上げました状況の中で国内林業の収益性はきわめて低下いたしておりまして、林業生産活動は停滞し、またその流通、加工に携わります事業体が弱体化するというような形で、産業的な基盤は弱まっておるというふうに判断いたしております。それから、一方では、森林の持ちます多角的機能発揮という国民の要請が非常に高まっておりまして、豊かな森林を造成していくことが非常に重要であるというふうなとらえ方をいたしております。  こういう中で、木材需給価格の戦後の足取りを見ますと、戦後復興期、発展期におきましては需要が非常に増大いたしまして、これに対してもっぱら国産材が対応してまいりましたけれども需給が逼迫して木材価格が一方では非常に上昇したという問題がございます。それから、高度成長期に入りましては外材が年々輸入量を増大いたしまして、一方、木材価格は鈍化する傾向を示しましたけれども、四十七年、四十八年にかけましては、過剰流動性あるいは石油心機のために、木材需給及び価格は短期的には激しい変動をいたしました。その後、減速経済下にありまして、木材需給は緩和基調の時代を現在迎えておるというのが実態でございます。  木材需要の最近の特徴として特に考えられますのは、やはり近年住宅建設は景気変動や金融事情の影響を受けまして、短期的に著しい変動を示すようになったということ。それから、木材の従来の需要分野が、非木質系の住宅や代替材の進出によりまして次第に狭められておるというのも一つの特徴でございます。それから、需要がパルプ材を含めまして外材に相当傾斜しておりまして、外材中心需要構造が定着しておるということが、この特徴かというふうに考えられます。  そして、これに伴いましてどういう問題が生じておるかということでございますが、これを三点挙げまして、森林所有者林業経営意欲は減退し、生産活動が停滞しておるという問題。それから、国内林業生産活動の主要な場である山村地域社会が停滞しておるという問題。それから、材に係ります流通、加工を担う事業体が弱体化いたしまして、国産材の市場が狭隘化しておるというような問題が生じております。  こういう実態を踏まえまして、当面する重点的な課題として次の数点を挙げておりますが、木材需給の安定を図るために、需要部門の産業活動、特に住宅建設部門の長期安定化を図ることが強く望まれておるという問題。それから二番目に、林業の収益性の悪化に対処いたしまして、林業発展を図るためには、林道その他の生産華盤の整備林業経営の合理化を通じまして、経営コストを軽減して国際競争力を高める必要があるということ。それから、地域の実情に即しました産業の振興を通じまして山村地域振興を図るとともに、伐採、造林を担う事業体その他林業生産活動の担い手を育成する必要があるということ。それから、原料丸太の安定供給、経営の合理化、適正な操業度の維持、これら国産材の特質に応じました木材供給の仕組みを整備していくことを通じまして、国産材に係る木材関連産業の育成を図る必要があるというように見ております。  そして、最終的な結びといたしまして、当面の課題として三点挙げておりますけれども木材需要部門の長期安定化を図ることがまず第一に必要であろう。また、そういう面から供給面でも外材秩序ある適切な輸入を図るとともに、長期的な視点に立ちました国産材の円滑な供給体制を整備することが必要である。二点目といたしまして、林道等生産基盤整備林業担い手確保国産材に係る木材関連産業の育成、山村地域振興等を通じまして林業、林産業に係る事業活動を活発化すること。それから最後に、伐採量の縮減や木材価格低迷、人件費等の諸経費の増大によりまして、国有林野事業の収支が非常に悪化しております。この国有林野事業に課せられました使命を適切に果たしていくために、現在は非常に憂慮される状況にございますけれども、そのために、長期的視点に立ちました事業運営の各般にわたる積極的な改善合理化によって経営の健全化を図る必要がある。以上、三点を最後の重点課題として示しております。  以上でございます。
  179. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いま詳しい御説明がございましたが、これは午前中からいろいろなお話がございました、それらのものも大体その中に含まれ、そしてまたそれが一つの論議の対象になって、今後の林業振興のために具体的にどうするかといういろんな提言があったのだろうと私は思います。  一つ一つ申し上げる時間もございませんしあれですが、やっぱり一つには、木材需給見通しの的確な掌握による秩序ある外材輸入ということが何といっても大事なことだろうと思います。これも午前中いろいろお話ございましたが、それからいまお話ございました、地域ぐるみの国内林業振興の道を確立しなきゃならぬということですが、これはいま不況業種ということで、円高不況の中にありまして、それぞれの業種によりましては非常な打撃を受けているわけであります。それをどうするかということで、相当な施策がいま国・政府としても積極的に取り組んでおるところでございますが、林業はきのうきょうこういうふうになったということじゃございませんで、体質的には弱い。これを相当てこ入れをいたしませんと、安定的な産業としてなかなか育成しにくいという、こういうことで今日までもいろんな対策が請じられてきたわけであります。  私は、そういうことの中で、特に今日までの地域開発というものはどちらかというと、企業の論理の側に立った開発ということが進められて、やっぱり大きな工場誘致、企業が来なければその地域発展がないという、こういう考え方が主たる考えでありました。しかし、それは今日こういう時勢の中ではそうではなくて、やっぱり山村地におきまして、   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 そこの独特の産業をやっぱり振興していくということが大事なことだということの上に立ちまして、今日までも林業振興五カ年計画やまた山村振興法とか、こういういろんな法律のもとに、山村には最大の資源である林業という産業があり、それを育成することが大事なんだという、こういう観点の上に立って、いささかなりともこの法のもとに開発が進められてきたと、こう思うわけです。  しかしながら、何といっても国土の三分の二を占める林野、そしてまた民有林にいたしましても、その三分の二を占めるという広大な面積でありますし、散在する林業というものを一朝一夕に企業ベースといいますか、当初の目的に沿うような形にするということはなかなかこれは大変なことだということで、一生懸命林野庁皆さん方は御努力いただいておると思うのでありますけれども、その実績といいますか、その形というものはなかなか目に見えてはこないんだろうと思います。  私はこういうことからいたしまして、まず山村振興のための努力ということを長期計画のもとにこれは粘り強く進めていかなければ、そのときそのとき起きた問題で一喜一憂しておったんでは、やっぱり基盤の確立また後継者のことを含めて山村地域振興という、そこに定着した林業というものができ得ないのじゃないか、こういうことを痛感するわけです。最近は農業部門におきましては、大都会からUターンということがよく言われるわけでありますけれども林業についてはなかなかそういう話も聞いておりませんし、林業というのはそれほど若い人たちには魅力を持って携わることのできないと言いますか、なかなかむずかしい仕事であるということは言えるだろうと思います。  それだけに、公益性やそういう観点からしますと、この林業の重要性というのは先ほど来いろいろ論じられ語られておるわけですけれども、その重要性の半面では、それに対する施策というのは非常に弱いという、今度の三全総を見ましても定住圏構想その他の中で、森林の持つ意味というものは非常に高く評価をされ、またこうあらねばならないということはいろいろ述べられておるわけですが、それがその地域一つの大きな力を定着させるということのためには、相当なバックアップがなければならぬだろうと。  ただ、この三全総というものは絵にかいたもちではなくして、それを形あるものにするということにしますと、これは実は大変なことでありまして、大きな工場の立ち並ぶ産業の誘致、こういうことはすぐ国の助成なり何なりでできるわけですけれども、山村の振興ということは、人口比から言いましても、また国土面積から言いましても、なかなか言うはやすく実行というのはむずかしい。こういうこと等を考えあわせまして、それできょう大臣もいないし、本当は国土長官なりまたいろいろな立場の方々にこういう問題について少しお話をしなければならぬと、こう思っておるんですけれども大臣は何か四時半でなければ来ないというし、副大臣の政務次官にぜひ山村振興、こういうことで、林業そのものあり方ということももちろんとして、まず日本列島全体の中で林業の今後の振興策という、こういうことのために、ぜひこれは力を入れていただきたい。  ただ精神訓話的な話じゃだめなんで、具体的にいろいろなことをお話ししなければならないかもしれませんけれども、まず政務次官として、この林業白書でいろいろなことを項目的には並べ立てたわけでありますが、今後それを遂行するという上から山村振興、山村に定着した産業として林業をどういう形でこれを今後持っていくという、決意なり何なりひとつ披瀝していただきたいものだと思うのですけれども
  180. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) 林業というのは、非常に年数がかかると思います。したがって、わが国の気候とか風土、そういうものによって左右される点が非常にあると思いますけれども、何はさておいても山村の人口が定着するような政策をやらなければいけない、これが一番大事ではなかろうかと私は考えます。そういう意味において先ほど来いろいろとお話があって、国の予算の伸び率等も非常に林業はおくれているではないかというような午前中の質問があって、私どもも非常にそれを反省して、できるだけその予算獲得をして山村の担い手となるような林業振興すべきである、これが大きなかなめではなかろうかと思います。  したがって、それに付帯しまして、やはりつくったこの林業の何十年もかかるものがスムーズにいけるように育てていく、そうしてそれが国内需要を満たせるように変わっていくような政策をすべきではなかろうかと、かように考えております。したがって、この造林とか、あるいはまた流通面とか、こういう面も大いにそういう改善をして強化をしていけば、どうやら山村としての面目が保てるのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  181. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 山村振興ということは、これらのいままでの法律、そういうものをフルに生かしていただき、さらにまた、それに加えてもっと手厚い施薬をいたしませんと、そこに定着した労働力というものはあり得ない。  そのためにはどうあるべきかと言うと、山村のためにいろんな制度があるわけでありますけれども、いままでの行政上ありますのは、交通網をよりよくするということ、また、過疎地に対しまして過疎対策としていろいろな政策があるとかそういうことなんですけれども、やっぱりそこに働きの場があり、そしてまたそこで収入が得られ、もっと生活の安定がなされるという、そういうものがやっぱり定着いたしませんと、労働力はそこに定着しないわけでありますから、いま午前中からいろいろのお話ございましたけれども、やはり林道をどうするとか、もっと補助を手厚くして林業というものをより振興しなければならぬという、いろんなことに通ずることだと思うんですけれども、今日まで何もしなかったと私言いませんけれども、とにかく大きな時代の変化に即応してかじ取りができるような産業ではないだけに、長期見通しの上に立ってがっちりとした施策をし、そしてまた、年々の予算を見ましても、少しずつ変わりつつあるかもしれませんけれども、先ほど政務次官のお話のように、四十年、五十年に一度しか生産できないようなこういう産業であるだけに、国としましてもそれ相応の、ただ生産性だけを見ているんじゃなくして、公益性といういろんな立場からも林業の重要性が説かれておるわけですけれども、そういうことで、ぜひひとつ政務次官、大臣と力を合わせて、また長官等もこの林業振興、そして山村振興ということについて御努力をいただきたいと思うんです。  これはまた、いずれ時を改めていろいろ申し上げたいと思うのでありますが、それはさておいて、最近のいろいろな状況を見ましても、白書の中にもございますけれども、民有造林面積は最近だんだん落ち込んでおるという、こういうデータが出ておりますね。四十六年に二十五万六千ヘクタールのものが、五十年には十七万ヘクタール、四割近くも落ち込んでおるという、こういうことでだんだん推移すれば、山村はこれは大変な事態になるだろう。  なぜこういうことになるのかということなんですけれども、これはいろんな問題があろうかと思います。一方では、森林の公益的な機能とかいろんなことが説かれているんですけれども現実こういう状況が続きつつある。これはデータの中にもこれがはっきり出ているわけでありますが、こういう点については、林野庁としても当然いろいろな角度から検討していらっしゃると思うんですけれども、どこに一体問題があって、この解決のためには一体どういうことが考えられているのか、ちょっとお尋ねしたいと思うんですが。
  182. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) ただいま先生指摘のように、いろいろな要因がこれはあるわけでございますが、私ども分析いたしております最も身近な要因といたしましては、今後人工林化を進めていく対象林地が、いわゆる旧薪炭林地域であるということでございます。旧薪炭林地域は、御承知のとおり広葉樹林でございますが、広葉樹に対する最近の見方が相当変わってきておるというのが一つございます。たとえば、自然環境保全の観点から広葉樹林の再評価という問題があると同時に、これらの広葉樹の主要な用途でありますチップ材の需要不振というようなことがございますし、加えて輸入チップの影響等がございまして、いわゆる広葉樹の伐採が減少しておるということで、拡大造林が非常におくれておるという問題が一つございます。  また、これらの地域につきましては、大変権利の錯綜いたしました入会林等も相当含んでおるという問題がございまして、従来進められておりますのは、やはりわりあいにそういう問題のないところから拡大造林が進められてきておりますので、残されたところはなかなかむずかしい条件になってきておるということもございます。また、人工林の伐採につきましても、最近の価格低迷状況の中から森林所有者が伐期を長くすると、つまり長伐期化の傾向をたどっておりまして、計画どおりの伐採が進んでいないというようなことがございまして、先ほど御指摘のような造林が停滞してきておるということでございます。何回も出ておりますが、わが国民有林の人工林化目標面積に対しまして、約七〇%余のすでに若い人工林ができておるわけでございますから、いま申し上げましたように、残された対象地についてはいろいろ条件が悪化してきておるということがあるわけでございます。  したがって、今後といたしましては、これらの悪化した条件をいかに克服していくかというところに問題がしぼられてくるわけでございますが、それと同時に、いま申し上げました七〇%余の若い人工林のいわゆる保育ということも非常に大事でございますし、これらを十分にやることによりまして、いわゆる公益機能を十分発揮できる森林に導いていくということが非常に大事でございます。  そこで、私どもといたしましては、造林の植栽から保育に至るまで、できるだけ助成制度を確立するということで従来から進めてきておるわけでございますが、特に公益的な観点から重要な森林でございます保安林等につきましては、そういう一連の助成制度を確立してきておるわけでございますし、また私どもが推奨いたしております、いわゆる森林計画制度に乗りました個別の森林施業計画なり、あるいは団地共同地業計画等の計画的にやるものにつきましても、助成強化というようなことを図ってきておるわけでございますが、たとえば五十三年度予算におきましても、造林補助単価の引き上げでございますとか、あるいは普通林におきます保育対象期の拡大というようなことも図ってきておりますし、また、林業公社でありますとか造林公社あるいは森林組合、協業体が行います造林につきましては、特に重点的に助成強化していくというようなこともやっておるわけでございます。  また、気象条件等におきまして造林推進上非常に悪い環境にあります地域につきましての拡大造林助成強化につきましても、五十三年度から査定係数の加算を行っておるのでございます。また、金融面につきましても、いわゆる計画枠の確保を図るとともに、金融条件の緩和等を実施してきておるわけでございまして、いわゆる造林面におきますそういうようないろいろな手だては打ってきておるわけでございますが、先ほど来御議論にございますように、全般の経済の流れの中で、なかなか困難な状況下に置かれておるというのが実態でございます。
  183. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 経済のいろいろな変動の中で、林業が大きな波をかぶっておることは私どもよくわかるわけでありますが、また、基盤が弱いというだけに大変な状況だろうと思いますが、それはきのうきょうに始まったわけじゃありませんので、やっぱりこれは相当それに対応する施策考えなければならないのじゃないかと思います。息の長い産業であるだけに、どうしても私どももこういう古いデータとかいろいろなものの中から、その方向性といいますか、指向するものを模索するというか、そういうことがどうも多いわけですけれども、人工造林をちょっと見まして、補助造林と融資造林、自力造林という、こういう種類の中で四十年から四十九年の、また四十年から五十一年までの十一年間のデータをちょっと見ましても、四十年に補助造林が二十二万ヘクタール、五十一年が十一万六千ヘクタールというふうに半分ぐらいに減っていますね。それから融資造林が三万六千ヘクタール、これが五十一年には一万九千九百ヘクタール、これも大体半分近く。それから自力造林というのが四十年に五千ヘクタール、これが五十一年に一万六千ヘクタール、相当な伸び率を示しているわけです。  国の補助とか融資による造林、これは一概には比較できないのかもしれませんけれども、これは落ち込んでおって、自力造林がずっとこの十一年間に三倍にも伸びて推移しておるという、これは林野庁としても当然こういう問題についてはいろいろ御検討なさっていると思うんですけれども、これについてはどういう見解をお持ちですか。
  184. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) まず、先生いま御指摘になりました四十年代が自力造林が五千五百ヘクタル、最近では一万六千ヘクタールになっておりますが、実はこの資料の中でちょっと節目がございます。四十五年が七千七百ヘクタールで、四十六年が一万七千九百ヘクタールということになっておりますが、これは、実は造林の補助制度が変わりまして、四十六年からいわゆる再造林の補助が打ち切られたという一段階ございまして、そこで自力造林がふえたということでございますが、御指摘のように、最近融資補助の造林がパーセンテージにいたしますとそれぞれ自力造林よりも落ち込んでおるわけでございますが、いま先生指摘のように、自力造林は全体の一〇%でございまして、傾向としては自力造林も少しずつ落ち込みつつあるということでございます。  この理由は、明確には私ども最近の事情につきましては把握いたしておりませんけれども、どうも地方公共団体あるいは林業経営の規模の大きいというような方々、あるいは自己の資金能力によって山林を育てようとするものの、特に造林に対する意欲の強い篤林家といいますか、そういう方方の熱意によってこういう数字があらわれているというふうに思われるのでございますが、なお、この点については、十分今後その原因等も調査をしてみたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、今後とも各種の助成政策の総合的な推進を図るとともに助成内容の拡充に努めまして、さらに造林が進むように努力をしていきたいというふうに考えております。
  185. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほどの白書説明の中にも、造林意欲の減退といいますか、何かそういうような言葉がちょっとあったようでありますけれども、これはこの数字だけで云々はできないかもしれません。いろんな歴史的な経過もあるでしょうし、また、規模とかそういうものによりましても違うのかもしれませんけれども、いまお話ございましたように、やはり山を持っている方は造林しようという意欲は全然ないということでは決してございませんし、こういうことから見まして、やはりそれ相応の施策、そしてそれ相応の規模なり、また将来の見通しがあればやっていこうという意思が十分にあるんだということは、これだけでやはり示されているんじゃないでしょうか。こういう点で、非常にこういう激しい社会変動の中でなかなかこれを適用するというようなことはむずかしい。そういう大前提の上に立っているわけですけれども、やはりこれは、こういう林業に携わる方方の熱意というか情熱といいますか、こういう意欲というものをひとつもっと盛り上げるような施策、適確な対策、こういうものをひとつぜひしていただきたいものと思うのです。  具体的なことになりますといろいろなことがあるかもしれませんが、いま十分な調査もしていませんのでということでありますが、どういうことでこういう結果になったのか、また今後どういう形にこれを導いていけばいいのかということ等、ひとつぜひ御検討いただきたいと思います。  午前中もいろいろなお話ございましたが、いま国内材は住宅産業、建築、こういうものに大きく使用の用途が開かれているわけでありますが、そのほか紙、パルプ、いろいろなものに使われるわけで、先ほどの白書説明の中にもございましたけれども木材需給見通しの的確な掌握による秩序ある外材輸入ですか、こういうお話があったかと思うのですが、そのために、日本のこの現在の森林資源というものにどんなに手を入れてみましても、やはり限りあるものでありますから、日本の一億一千万の人たちを満足させるだけのものができるとは思いません。文化の程度が進むに従いまして、やはり紙の使用量、そのほかのものもどんどん上がるかもしれません。こういうことで、外材にやはりある程度は依存しなければならない数字というのは当然出てくるだろうと思いますけれども、こういうことで、今後これからの私ども日本の社会での推移の中で、国内で相当うまく施策をしまして生産して、国内材の使用、その足らざるものの外材の比率、これは今後の推移の中でどのぐらいのことまではできるのでしょうか。これは何かデータがあったはずですけれども、ちょっとその辺のことを御説明いただきたいと思います。
  186. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 四十八年に策定をいたしました資源に関する基本計画並びに長期需給見通し需給の推移によってお答え申し上げますと、昭和六十六年には国内供給量が約五千九百万立方でございまして、輸入量の比率が、つまり外材の比率が六〇%ということに相なっておりますが、昭和九十六年度におきましては国内供給量が九千四百万立方でございまして、外材輸入量が三八・三%。昭和九十六年になりましても、依然として外材を入れなければ日本需要にはこたえていけないという状況でございます。
  187. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 日本国土というのは、雨が多い暖かい気候ということで、森林というものには適したところなんでしょう。こういうことで、これからの人工造林の可能な面積というのは大体どのぐらいあるのでしょう。
  188. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) これからの可能面積は、約三百万ヘクタールでございます。
  189. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 法律に基づいての計画はありますけれども、こういう低成長の中にありまして経済の大きな動きがございますと、なかなか計画どおり進まないというこういうことになるんじゃないかと思いますが、この計画自体に対しての見通しといいますか、どういうふうに考えていますか。
  190. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 御指摘のとおり、現在の資源に関する基本計画に即しまして全国森林計画というものを立てておるわけでございますが、五年ごとに十五カ年計画でございまするけれども、その計画と現在の造林なり伐採の推移を見ますと、相当の乖離が出ておるということでございます。  ただ、先生の御質問の御趣旨が、先ほどの御質問に連なりまして、計画どおりいってないのだけれども、将来、昭和九十六年の話を私申し上げたわけでございますが、いわゆる国内需給見通しがどうなるのだろうかという御質問だといたしますと、いまの基本計画そのものが非常に現在の情勢下で計画どおりいってないということでございますから、このまま推移いたしますとすれば、昭和九十六年の年次が若干後へずれると。これは資源に関する基本計画でございますから、いろいろの今後の伐採なり造林計画を進めてまいりますと、資源状態はこういうふうになるという計画でございますので、若干九十六年が後へずれるというふうにお答え申し上げればよろしいのかと、こう思うのでございます。
  191. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この計画昭和九十六年の状態で、これは先ほど建設省の方でいろんなお話もございましたけれども国内住宅産業に対しての需要、こういうものとあわせまして、この計画の九十六年時点では国内材と外材との比率というのは大体どのぐらいになる予定でありますか。
  192. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) この推移表で見ますと、外材の比率が三八・三%でございます。
  193. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最近、山村地域の人口というのは非常な減少を来しておりますけれども、大体昭和三十五年から十年間二二%、これは冒頭申し上げましたように、その山村で十分な生活ができるような産業としての位置づけといいますか、そういうものの確立がない限り、やっぱりなかなか歯どめというものはできないだろうと思うんですけれども、しかし今度の白書、また最近の動向、こういうものの中で山村地域についての人口動態というのは一体どういうふうになっていますか、御説明いただきたいと思います。
  194. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 山村地域の人口動態でございますが、ちょっといま手元に資料がございませんので、調べましてすぐお答えいたしたいと思います。
  195. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農業もこれは大変な事態を迎えているわけでありますけれども林業についてはさらにまた一段と厳しい情勢にあると、このように思うんです。それは即労働力の流出ということにつながるわけでありまして、民有林の保育、こういうことのために手が要る、その手がだんだんなくなるということでありますから、どうしても保育に対する手抜きが出てくるという、こういうことを私どもは憂慮するわけでありますけれども、間伐も五十年代三百八十万ヘクタールしなければならぬというふうにいろいろ言われて、試算されているわけですけれども、こういう山村地域の労働力の流出等という、また若いそこで林業に携わる方、後継者が定着しないということになりますと、ますますこの山村地域に対するなすべき手が抜けるという、こういう心配が出てくるわけですけれども、こういうこと等については、林野庁としてはどういうふうにこれを掌握していらっしゃいますか。
  196. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 先ほどもお答えいたしましたように、現在人工林が目標面積の七〇%を超しておるような若い人工造林が非常に多いわけでございまして、これに対する保育事業の重要性というのは、ただいま先生指摘のとおり大変重要な課題になっておるわけでございます。  そこで、従来は造林の補助といいますと新柏に対する補助しかなかったわけでございますが、最近では、たとえば昭和四十八年からでございますが、一定要件を満たす保育については補助の対象にすると、あるいは農林漁業金融公庫の融資につきましても、五十年度からでございますが、一定要件を満たす森林の保育対象林齢を十二年生であったものを二十年生まで引き上げるというようなことで、拡充を図っておるわけでございます。また、五十三年度におきましても、この保育の促進を図るために、普通林におきます保育の補助の採択条件について、従来の団地共同施業計画対象森林人工林率が五〇%以上という条件であったものを、対象森林の人工林目標面積の達成率が五〇%以上の場合というふうにこの対象面積拡大しておるのでございます。いずれにいたしましても、造林面ではそのような手だてを打っておるわけでございますが、基本的には、山村におきます担い手確保ということが最も重要な課題であるということは、十分認識しておるわけでございます。
  197. 石川弘

    政府委員石川弘君) 先ほどの御指摘の山村の人口の流出の仕方でございますが、昭和三十五年に七百五十八万人でありました山村地域の人口が、四十五年に五百八十九万人と二割以上の大幅な減少をいたしております。しかし、その後減少率は鈍化をいたしておりまして、五十年には五百四十三万人でございました。これは四十五年に比べまして八%減ということで、減少の比率は落ちております。  それから、もう一つ人口構成でございますけれども、全国平均で見ますと、六十歳以上の方が占めます比率が一二%でございますが、山村地域でこの比率を、これは振興山村の地域でございますが、比率を見ますと一六%ということで、いわゆる山村地域における人口構成が一般の地域よりも老齢化しているということがうかがわれるわけでございます。  それから、そういう地域におきましてどうやってこういう人口の減少とかそういう過疎になりますものを防いでいくかということでございますけれども、いま指導部長からお答えしましたように、主力産業であります林業というのを大いに興すということも一つでございますけれども、特に人工林化をしてまいりますと、ある時期にそういう人工林の仕事がなくなるという時期が参るわけでございまして、そういうことがそういう過疎に拍車をかけるということもございますので、ここ数年来の私ども考えでは、そういう地域における林業と農業の結びつきと申しますか、まあ林家と申しますか、農家と申しますか、いずれのこともやっていらっしゃるわけでございますので、そういう山林業、山村における地域の広がりが広いとか、あるいは環境が生産的にすぐれているもの、特にシイタケ生産その他のような日銭が入るといいますか、林業の場合どうしても収入が間断的でございますので、そういう特用林産をやるというようなこと、それから農業との結びつきを強めますために、たとえば入会林野等につきます助成について農業的な投資も認めるというようなことをするとか、あるいは生活環境整備につきましては、五十三年度から林野の予算の中でも道路整備と一緒に山村集落の集落整備を進めるということも予算化をいたしておりまして、そのようなことをいろいろと考えまして、山村での人々がある程度の収入を上げて、しかも環境的にすぐれたところに住めるようにという考え方で仕事を進めていきたいと考えております。
  198. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 環境の整備も私はこれは非常に大事なことだと思いますが、また道路を初めといたしまして、生活環境といっても、公民館とか、過疎債等でいろいろ手厚く見られているわけですけれども、そこで生活できるだけの収入が得られるかどうかということが一番根本になることでして、やっぱり自治省とか中央行政の立場からのいろんな問題は、住みやすさというか、そういうものに対してのいろんな配慮はだんだん変わりつつあるだろうと思いますけれども林業そのものの産業といいますか、仕事としての生活し得る林業という立場になりますと、これはまだまだちょっと時代的ないろんな推移もありますし、また他産業との比較もありますから非常にむずかしいだろうと思いますけれども、そういう点では非常におくれていると思うんです。  ですから、それがやっぱりある程度確立いたしませんと、自分の山がある、自分の農地があるということでそこにやむを得ずいるということであって、それは規模から何からいろんな違いがありますから一概には言えないのかもしれませんけれども、そういう点で、やっぱりこの林業の経営者が安定した生活のできるようなこういう政策というものを、どうしても強力に打ち出さなきゃならないんじゃないかと思います。そういう点で先ほどからいろいろ申し上げているわけですけれども林野庁が手をこまねいて何もしてないということを私は言っているんじゃ決してないんですが、もっと大きな立場に立ちまして、他産業と肩を並べてとまではいかないかもしれませんけれども、非常に現在の窮状というものを知れば知るほどやっぱり強力な施策をやっていただきませんと、こういう傾向というものはもうますます激しくなるんじゃないかと、こういうふうに危惧するわけです。ここ数年、他産業へ行くといっても、流出する先がないからとどまったのかもしれません。こんなことで、そういう後ろ向きじゃなくて、積極的なひとつ施策をぜひお願いしたいと思うんです。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕  話は次に、間伐のことについても先ほどちょっとお話あったようでありますけれども、五十二年に林野庁で間伐総合対策、こういう対策で、緊急に間伐を必要とする林分面積が百六十万ヘクタール、ここ十年間に要する間伐期に達する面積は約二百二十万ヘクタール、五十年代には少なくとも三百八十万ヘクタールという、こういうふうにいろいろ試算なさって計画をお立てのようでありますけれども、これも午前中いろいろお話ございましたけれども、間伐材の有効需要の開発がなければこれは行き先がなかなか進まないだろう。いま農村でいろんな問題がありますけれども、やっぱり国内森林の手入れをよくして、外材をただ抑制するということじゃなくて、外材に対抗する質のいい国内材をつくるということが大事なんだろうと思います。  こちらの方の、国内材の良質なものができて外材に対抗するそういう基盤というものができ得ないにもかかわらず外材を抑えるといっても、これはとうていでき得ないことだろうと思うんですが、そのためには国内材についてはいろんな手を加えなきゃならぬ。その一つがやっぱり間伐だろうと思うんですけれども、そういうことで、息の長い産業でありますから、そうしてまた投資したものがすぐ返ってくるということじゃないのかもしれませんけれども、間伐材に対する諸問題というものも非常に大事なことだと。この五十二年に林野庁で立てられた対策、これはいま実施されているんだろうと思いますけれども、今後の推移、またこれに対する取り組み、ここらあたりちょっと御説明いただきたいと思うんですが。
  199. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま御指摘になりましたように、これからの林業なり森林の管理維持という問題でいま一番中心になりますのは、植えられました造林地の間伐をどうするかというのが確かに大きな問題点でございます。御存じのように、間伐材につきましては、従前は足場丸太だとか、あるいは稲の穂かけだとかいろいろ利用価値があり、また利用されてきたわけでございますが、最近は代替材等ができまして、非常にその利用面がまず狭隘化しておるという問題が一つございます。そういう需要先と申しますか、利用先と申しますか、そういうものをさらに今後積極的に対応していく必要があろうと思います。  間伐材というのは、御存じのとおり非常に径級が細いわけでございまして、そのまま柱材等あるいは板材に使うということはなかなかむずかしい。したがいまして、これを、いろいろな技術を駆使いたしまして加工するなり、あるいは知恵を出して利用方法を開発するなり、それが何よりも必要ではなかろうかということで、林野庁におきましても木材技術センターというものを五十二年に設置いたしまして、建設省とともどもこれからの木材利用というものの中に間伐材の利用というものを重点考えて対応しておるわけでございまして、こういう利用面の開発ということをまず一方では考え、一方では今度は間伐材が、いま先生も御指摘になりましたように、やはり生産性が上がる形の中で出荷されるという形をとらなければいけませんので、間伐林道というものをやはり設けまして、ことしも倍増する延長を考え予算措置をいたしております。  そういう意味から、造林地の中に積極的に間伐のための林道を設けまして、間伐材がコストをできるだけ下げて搬出できるような方途も考えていきたいというふうに考えておりますし、また一方、間伐材の価格について安定的な流通ができますような流通パイロット事業というものも考えております。これにつきましても積極的に対応していきたいというふうに考えておりますが、さらにはいま申し上げましたようなこととあわせまして、五十三年度の特別措置といたしまして、間伐の促進重点を置きました生産基盤整備、資本装備の高度化等を行う特別対策事業というものを、林業構造改善事業が終了した地域において行おうということを五十三年度予算で計上いたしております。こういうもろもろのことを進めまして、これからも間伐につきましては積極的な対応をし、そして残された森林がさらに活力のある森林になるような施策につきまして、私どもも真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  200. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 五十一年の「林業経営意識調査」ですか、これを見ますと、確かにいま長官のおっしゃったように、「この五年間に間伐した」という人は林家全部の五〇・九%という、それから間伐材の処分について「販売した」というの塗三・九%、「販売できなかった」のが一九%というふうに、間伐材の販売が非常に困難だということばこういうデータからもうかがわれるわけでありますが、いま長官のお話の中にもちょっとございましたけれども、「この五年間に間伐していない」という林家が二一・八%のその理由として、「道路が悪く採算があわない」というのが全体の七・六%、「間伐材の買手がない」というのが三・七%、「間伐してくれる人がいない」というのが二・六%、こういうことで、「道路が悪く採算があわない」というのはやっぱり大きなウエートを占めている。これについてはいま長官のお話がございましたが、林道といいましてもなかなかこれはむずかしい問題だと思いますけれども、できるだけこの政策も進めていただきたいと思いますし、その中に、「間伐材の買手がない」、「間伐してくれる人がいない」、こういう声も相当なパーセントになっておることを考え合わせますと、やっぱり総合的な施策が進められなければできないんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。  いまもお話ございましたけれども、ぜひこの道路、林道が十分にないために採算ベースに乗らないという、そのほかのいろいろな声がありますけれども、こういう問題については早急にひとつ――そのまま放置されてせっかくの山が十分なものでないという、りっぱな材ができるべきものができずにしまったということのないように、ひとつ十分な対策をお願いしたいと思うわけであります。何かこのデータ等の中からお気づきになった点がありましたら、御説明いただきたいと思いますが。
  201. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生が御指摘になりましたように、買い手がない、あるいは林道がない等々いろいろございます。私どもも先ほども申し上げましたけれども、間伐林道につきましては、昨年度百キロでございましたのを二百キロにするというような形で、倍増するというような形で林道についても対応をいたしておりますし、利用の問題についても対応しようということで積極的に考えておりますし、まあ今後、いまデータとして出ましたこれらのいろいろな間伐に対する問題点については、それぞれわれわれとしても十分検討いたしまして、それなりの対応を今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
  202. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 次に、優良種苗の確保ということですが、やっぱり林業生産の安定的増大ということや、生産性の向上ということのために優良品種、種苗、この確保が大事であることは論をまたないであろうと思いますが、これも非常に大事なことで、林野庁としてもいろいろな法のもと、今日まで施策が講じられてきておるんだろうと思いますけれども、この優良種苗に対する対策、そしてまた、だんだん種苗の流通圏の広域化というものが進んでおるわけですけれども、経営目的だけではなくて、環境条件に適した種苗というものに対して、どういう配慮を払って今日これが進められているか、この辺のことをちょっとお伺いしたいと思います。
  203. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 優良種苗の確保につきましては、先生の御指摘のとおりでございまして、実は昭和四十五年にこの林業種苗法を改正いたしまして、優良な種子及び穂木の供給源を確保するための採取源の指定ということをまずやっております。それから生産事業者の登録、それから産地系統の明らかな種苗の流通体制を確立するために行う表示の適正化等の措置を講じておるのでございます。  で、これらに対しまして国の助成を実施しておるわけでございますが、その実施状況でございますが、第一番目に申し上げました優良な採取源としての母樹林の指定現況でございますが、昭和五十二年現在で三万四千ヘクタールを指定しております。それから生産業者につきましては、これも昭和五十二年現在で全国で二万七千名を登録いたしております。それから販売する苗木の樹種、種穂の採取場所、生産事業者名等の表示の指導検査を実施いたしておるのでございます。また、優良種苗確保のために国の助成等といたしましては、品種改良事業でございますとか、採取源整備運営事業でございますとか、種苗表示証明制度運営事業とか、あるいは苗木生産流通対策事業及び特別母樹林の保存損失等に対する補助及び補償を行っておるのでございます。また、金融面におきましては、農林漁業金融公庫によります樹苗養成施設資金及び樹苗災害についての林業経営維持資金の融資の措置を講じておるのでございます。  五十三年度につきましてもこれらの事業を引き続き実施することといたしておりますが、例のマツノザイセンチュウの被害の抜本的な対策といたしまして、このザイセンチュウに抵抗性を有する松の新品種の創設を行います抵抗性育種事業を開始するというようなことをいたしております。いろいろこのように優良種苗を確保するための手だてを講じておるのでございます。
  204. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 外材についてもいろいろお話がございましたが、最近の傾向を見ますと、木材輸入量の中で、製材とそれから丸太の比率が、だんだん製材の比率の方が高まっている、そういうふうにデータを見ると思うわけでありますが、製材がだんだんふえていくという、こういう推移がこのままずっとどんどん進みますと、国内にさらにまた深刻な問題を起こすことになるのではないか。いろんなデータを見ますといろいろまあ推移があるようですけれども、やっぱり丸太で輸入されたもの、それによって製材は国内でという、そういうことで今日まで来ておる、それによって山村地域におきましても製材工場が稼働しておるという、こういうところも多いわけですけれども、そういうことからこういう推移を見て、林野庁としてはこれをどういうふうに御認識していらっしゃるか、また、今後の対策等についてどういうふうに考えていらっしゃるか。
  205. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま日本輸入されております外材中心をなしますものは、丸太が中心になっております。ただ、ただいま先生指摘になりましたように、カナダあるいはアメリカの一部から建築用材の製材品が入っておりまして、昨年の上半期等におきましては確かに一部製材がよけい輸入されたという傾向はございました。しかし、全般的に見ますと、昨年度も製材そのものは例年に比してさほど大きくなかったのではなかろうかとわれわれ考えておりますが、ただ、世界的な傾向といたしまして、今後やはり丸太よりも製材で輸出したいという傾向が非常に強いということは事実でございます。  しかしながら、日本にはやはり国産材並びに外材の丸太を製材して生計を立てておられる方もございますし、また、製材工場を今後育成するということが日本の国有林業の進展にもつながりますので、私どもといたしましても、今後外材輸入につきましては、できるだけ丸太が輸入されるような努力はしていきたいと考えておりますが、世界的な傾向として丸太の輸出の規制があるということ、この事実も十分われわれ認識しておかなければいけませんので、その辺を十分踏まえながら、今後できるだけわが国の林産業なり製材業なつが発展し得るような形での外材輸入というものには努力してまいりたいというふうに考えております。
  206. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 木材は自由化品目ということでありますけれども国内経済に大きな影響を持つだけに、この外材輸入というものについてはある程度やっぱりこれを長期的な見通し、また展望、こういうものがあってしかるべきだろうと思うわけでありますが、まあしかしこれは外材輸入調整なんということば、外材のベースだけじゃなくて、内外の経済全般についていろんな関係がありますから非常にむずかしい問題だろうと思いますけれども、しかし、一応のこの見通しなり、また展望なりというものは持ってなきゃならないだろうと思うんです。  農業ですと、これは血管法等がありまして、ある程度需給のバランスというものは見られるわけでありますけれども、林家、山をお持ちの方々については、農業と違ってすぐ腐るとかなんとかということではございませんから、ある程度やっぱり時期の来るまで待つといいますか、こういうことである程度がまんしているというふうな現状だろうと思いますね。そういうことで、均衡ある外材と内地材との需給のバランス、そういう中での外材輸入調整といいますか、こういうことであるとすれば、国内材に対しての対策というものは、需給のバランスをきちっと考えた上での施策というものがなければ、やっぱりこれは林業家というものに対して非常に苦しい思いをいつまでも続けさせるということになって、希望を失ってしまう。  先ほどからいろいろ申し上げておりますように、しんぼう強く今日まで育て、四十年か五十年に一遍しか収入がないという中でやっている特殊な産業であるだけに、そういう希望の持てるような施策といいますか、息の長いそういうものも当然なければならないと私は思うわけですけれども、こういうことで、こういう見通しまたは展望、外材輸入、また森林計画の上からも、外材については長期的にどうあるべきかというこういうものを現在林野庁でお考えになっていらっしゃるのか。そういうものがきちっと――きちっとと言うか、ある程度需給とかいろんなバランスの中での考えについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  207. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 外材輸入見通し等につきましては、先ほど指導部長の方から長期見通しに関連して御説明申し上げましたけれども、やはり現時点におきまして見通し現実が乖離をしておるということは私ども認識いたしております。したがいまして、今後これをどう長期的な物の見方で対応すべきなのかということにつきましては、今後検討を進めるということを申し上げておるわけでございますが、ただ日本の現在の森林の依存状況から見まして、やはりここ当分の間外材に依存せざるを得ない。そうしませんと、国民の必要な需要にこたえ得ないということがこの実態でございます。ましてここ二十年近くは、現在森林の大半が、七〇%以上が林齢が二十年生以下の森林でございます。  したがいまして、ここ二十年ぐらいは相当量の外材に依存ということを考えざるを得ない、そういうふうにわれわれは考えておりますけれども、やはりこれからの日本林業発展維持ということを考えますと、ただいま先生指摘になりましたように、外材輸入についても安定的、計画的に輸入できるような方途をしっかりと見出さなければいけないし、また将来日本森林から生産される木材がどの程度にどうなるかということも十分私ども把握しながら、将来の見通し考える必要があろうというふうに考えております。そういう考え方を踏まえまして、ただいま私ども五十三年度の見通しも一応立てたわけでございますけれども、今後こういう需給見通しにつきましてはきめの細かい在庫量をさらに調査する、さらには情報を強化する等々の手だてを講じまして、短期的な的確な需給が見通せるようなものをつくり上げて、関係方面に指導推進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  208. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ぜひひとつそこは、いま長官のお話ございましたけれども需給のバランスを見て国内材の育成ということを念頭に置いての施策をお願いしたいと思うんです。  林業全体を見ますと、民有林と国有林が国内的に見ますとあるわけでありますが、民有林と国有林の関係といいますか、これもまた非常に重要な問題だと思います。国内材と外材、そういうことをいままで何点かお話ししたわけですが、民有林に対しての問題としまして、いままでですと、たとえば秋田のようなところについては国有林は天然杉、民有林造林杉と、大体こういうことで競合というのが余りなくて来たわけですね。最近は天然杉がもうほとんどなくなって、国有林も民有林も同じ造林杉が主体となって、こういうことで競合する面が出てきている。そういうことから、民有林関係者というのは非常に不安といいますか、こういう状況になっておるわけですね。  国全体の森林政策とかまた需給計画という中で、国有林が民有林に寄与するといいますか、こういう関係性をどういうふうに持っていくかというのはなかなかむずかしいことだろうと思うんですけれども価格形成の上におきましても、国有林は余り民間を圧迫するようなことであってはならぬ。いろんな方々に私どもお会いしてお話ししますと、確かに外材のための価格低迷といいますか、そういうものもあるけれども一つはまた国有林というのも見逃し得ないということをおっしゃる方もおるわけでありまして、そういう点で、林野庁のかじ取りというのは非常にむずかしいだろうと思います。ことしだめだから来年というわけにいかない、こういう産業といいますか、こういう林業分野におきましては、それだけにまたむずかしい問題があるんですけれども、これもまたある程度長期にわたりましての計画といいますか、こういうものがないと、やっぱりだんだん競合というものがひどくなって、国内の中でトラブルがどうしても解決し得ない問題が出てくるのではないかと思うのですけれども、その点どうでしょう。
  209. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林の経営につきましては、全国森林計画という形で全国一本の計画を立て、さらにそれに即しまして民有林につきましては地域森林計画、あるいは国有林につきましては施業計画というものをそれぞれ立てまして、それぞれの地域で十分連絡をとりながら対応して森林経営というのは経営していかなければいけないというふうに考えておりますし、また現在までもそういう姿勢でやってまいりましたけれども、今後もそういう姿勢をとりながら、国有林、民有林がその地域地域実態に合った形で森林経営をしていく必要があろうというふうに考えております。  いま御指摘になりました木材需給関係からいう国有林と民有林との関係の問題でございますが、現在国有林材が日本全体の需要に占めます割合は大体一割、一〇%でございます。そういう関係から、国有林材がかつて三〇%近いシェアを占めておった時代に比べますと、木材価格に対する影響力と申しますか、そういうものはきわめて小さくなっておるというふうにわれわれ考えております。そういう意味から、全国的な視野からこれを見ました場合には、いま先生が御指摘になりましたような、国有林材が民間材を圧迫して価格低迷を来しておるということはないのではなかろうかというふうに考えますけれども、国有林が分布しております地域が必ずしも全国均一でございません。  したがいまして、地域によりましては樹種あるいは材種によりまして、地域的にそういう問題が懸念されるところもあるのではなかろうかという気も私どもいたします。そういう点、これからも関係者に十分御理解、御協力をいただきながら、地域木材業界なり市況というものを乱さないような形で、また、地域に役に立つような形で国有林材というものは販売していく必要があろうというふうに考えておりますし、そういうことによりまして、国有林が地域に存在する以上、やはり地元の方々に御理解いただく、また地元の方々に御認識いただくということが必要であろうというふうに考えておりまして、今後ともそういう姿勢で国有林の経営をしてまいりたいというふうに考えております。
  210. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間も大分たってまいりましたのであれですが、組合のことにつきましては、これは新しく今度独立して組合法というものができたわけでありますから、これは四十七年ですか、改正時点の総意にもあったわけでありますからこれとしまして、やはり森林を取り巻く林業、また山村を取り巻く諸問題、こういうことがやっぱり一つ一つ解決されなければ、なかなか林業の経営というのはむずかしいだろうというところに帰着するわけですけれども、私いろんなことを考えまして、農業、漁業、林業それぞれに特色があって、それだけですべての面について何でも比較してみるというわけにいかないかもしれませんけれども、農業、漁業、林業にそれぞれ携わる人たち、また規模なりその生活環境なり、そういういろんな相違の中でのことですから、何でも比べるわけにはいかないかもしれませんが、概して林業に対する施策というのは非常にほかの産業から見ましておくれているという感じがするわけです。  それはいろんなことで言えることなんですけれども、その一つとしまして、きょう午前中からいろいろのお話ございましたけれども、やっぱりこういう林業なんかはその部落に適当な指導者がいるということが大事なことだろうと思うのですけれども、こういう教育、指導事業ということについて、先ほどもお話ございましたけれども、いろいろ予算を組んでやっているんだということですけれども、それぞれ私ども参りますと、なかなかこれは手が届いていないのが現状ですし、大体林業関係の統計を見ましても、大体四十九年から五十年、そこのぐらいの統計はあっても、農業や漁業みたいにもう去年の統計があるなんていうのはなかなかない。統計のとり方が非常に多岐にわたっているということかもしれませんけれども、それに携わる方々の体制というものは、農業なんかから比べるとずっとおくれているんだろうと思います。  で、これからの林業のために、先ほど申し上げた指導者育成、私ども岩手県、宮城県――東北各県を回っていろいろな方々にお会いしてお話ししますと、やっぱり指導者、後継者、将来そこの中心となっていくこういう方々の教育、指導ということについて非常に危惧を抱いておる。現在、技術員がおりまして技術員が指導なされているんだというお話ございましたけれども、農協や漁協のような指導員なんかから見ますと確かに人数も少ないですし、国土の三分の二を占めるようなこんな広範なところに少ない人数でですから、なかなかこれは指導というのは届いてないのが現状です。そういうことを考えますと、技術員をふやせなんていったってそうはいかないかもしれませんけれども、もっと指導体制の強化というか、こういうことにもっと力を入れなきゃならないんじゃないかということと、現在林業に携わっておる方方の研修、農業ですとそれぞれ農業大学校とかそれからいろんな研修とか、何か農協とかいろんなところでいろんな方々の育成をなされるような形ができておるわけですけれども、農業とストレートで比較するわけにはいかないかもしれませんけれども林業の場合はそういう指導するチャンスというものも非常に少ない。  ですから、林道の設計とか作業道の設計なんかするにも、いまの若い人はもう設計なんかできない。こういうことで、やっぱり年輩の人たちは先行き非常な不安を感じておる。こういうことで、県でやっぱり何人か人を置いてやることにはなっているんですけれども、そういう場当たり的といいますか、それじゃなくって、もう少し抜本的にこれからの林業そのものに対して、またその公益性、いろんなことを考え合わせて重要であるということはもういろんなところにうたわれているわけですけれども、それはそれなりに、やっぱり生産性の基盤の弱い林業に対する国の施策が強力でなければならぬということを私は痛感するんですけれども、どうですか、長官
  211. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先生指摘になるまでもなく、やはり事業を運営する場合には人が中心であることは事実だと思います。そういう意味で、これからの林政あるいは林業推進するために、それぞれの地域にやはり有能な人材がありまして、その方々がその地域林業指導していくということ、これが非常に大事であるということは私どもも十分認識いたしております。  そういう観点から、従前から森林融合等につきましては、まずその連合会の役職員についての研修等を林野庁においてもやっておりますし、それから都道府県が森林組合役職員に対しまして、事務だとか林業技術等の内容を中心にいたしました研修を実施するのに要する経費につきまして、林野庁においてそれに補助をいたしておりますし、また広域合併組合の職員の資質を高めるための森林組合連合会が行います研修等につきましても、その必要な経費を国から助成いたしております。  また、ただいま御審議願っております森林組合法におきましても監査士制度というものを設けまして、これはもっぱら森林組合の幹部の指導養成が図られるような対応という意味でこの制度を設けたわけでございまして、今後とも森林組合等を中心にいたしまして、こういう役職員の研修には私どもも十分な対応をしてまいりたいというふうに考えておりますし、またそういうことを中心にいたしまして、地域林業振興できるような施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  212. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 信用事業は基盤が弱体だからできないということですね。大体この森林組合はどういう状態になったら信用事業がやれる状態だと言えるのか、これはなかなかむずかしいことだと思うのですけれども、午前中のお話から絶対やらないというんじゃない、条件さえ整えばというお話でしたけれども、しかしいま各組合の失態を見ますと、組合員の構成、これはもう組合によっては非常に少人数のところが多いわけですね、一々これはあれしませんけれども。しかも組合の職質の方々の給料、これはもうほかの公務員なんかから見てもずっと低いわけですね。そういう非常に悪い状況の中で、組合役職員が働いておるということです。  それは、本当に林業に対する社会的な公益性云云ということが大義名分としてよく言われるわけですけれども、こういう森林組合に対するあり方というのは、農業組合や漁業組合と同じように見れないということですね。さっきの長官のお話ですと、ずいぶんいろいろな会合を附いたり研修したりするのに補助を出しているとか何か言いますけれども、そうすると、組合の職員に対しまして、また市町村、地方自治体の方が仕事に実際にタッチしているような、それでようやく組合が成り立っているみたいなところも多いわけですね。こういうことから言いまして、ただ基盤が弱いとか弱体だとかということだけじゃなくて、もっとこれを根本的な対策を考えませんと、ほかの農業や漁業と同じような見方で見ていますと、これはやっぱり立ち行かないのではないでしょうか。  そしてまた、信用事業ができないということですけれども状況が整えばというけれども、それは状況が整うなんということはもう何十年、何百年先のことか、いまのようなこういう非常に他産業との大きな相違の中で、これが農協や漁業組合と同じような状況になるなんということは、ちょっと見通しといいますか、それが立たないのじゃないでしょうか。  こういうことから、この森林組合それぞれの規模の違いはありますけれども、もっと抜本的に組合あり方について国としても大幅な助成策を講じてみるような形を考えませんと、これは私どもはいろいろなことが胸の中にあるわけですけれども、いろいろこれは一つ一つ検討しなければならぬことですからいまここでは申し上げませんけれども、とにかく農業組合や漁業組合と同じような制度といいますか、同じ形でこれが厚い基盤ができるようにということをただ手をこまねいて見ているということでは、なかなかこの先健全なあれはできないというように私は思うんですけれども長官どうでしょう。
  213. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘の信用事業が円滑にできる基盤がなかなかできてないのではないかという御指摘でございますが、実は森林組合の中である程度の活発な事業をいたしておりますものの非常に多くの部分は、いわゆる先進林業地域と申しますか、すでに人工林を伐採することが可能になりましたような地域におきましては、一種の伐採収入を得まして仕事が回転をし出しているわけでございますが、御承知のように、戦後の人工林化が三十年代から始まっておりまして、非常に多くの地域がいわゆる若齢林を多く抱えている。そこでは伐採収入を上げる機会がまだ比校的先のところにあるわけでございます。で、私ども期待しておりますのは、そういう若齢人工林がだんだん間伐等を通じまして主伐期に至ります段階で、極力その伐採、販売等を組合を通じてやっていくことによりまして組合強化する可能性が出てまいると思うわけでございまして、そういう時点まで手をこまねいて見ているということではございませんで、たとえば最近、地域で非常に伸びておりますシイタケその他の特用林産とか、各秘のそういう何といいますか、森林等を活用しましたような農業とか、そういうものを中に入れてまいりまして組合の事業活動を活発にしていただくということが、いずれ信用事業ができる基本になるのではないかと思っております。  そういう時期が決してそう遠い将来ということではございませんで、早い人工林はやがてこの十年というような中に主伐の時期に達してまいるわけでございますから、それまでひとつ組合の団結を強めまして、せっかく主伐の時期が来ましても、それを組合を通じないような形で個別に販売するというような形では、また組合の基盤も弱くなるわけでございますので、組合もそういう意味で新しい組合活動のための連動も実はやっているわけでございますので、そういうものの中で信用事業が可能なような基盤をつくっていくように、そのためにはいろいろとそれまでつなぐための事業が要りますので、御承知のような林業構造改善事業等を森林組合を通じて行わしておりまして、そういうものの活動がやがてはそういう事業活動を活発にし、信用事業の基盤にも結びつくのではなかろうかと思っております。
  214. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、時間がないそうですから先にちょっとお伺いしますけれども、お伺いというよりぜひひとつ深刻に考えていただきたいんですが、大臣も前、農林大臣だったから御存じだと思いますけれども日本の農業がだんだん規模が零細化し細分化する、こういうことでいろいろ問題になっているんですが、それは一つは相続税ということ、相続ということでいろいろ問題になっているわけですが、特に林業の場合はこの相続税の評価が非常に場所によっては高い、税率が。収益が四十年、五十年に一遍しかないのに高い税率でやられたんでは、とてもじゃないけれども子供に譲られぬ。だから、子供に相続するときには木をみんな切って丸坊主にしてから譲らなきゃならぬという、これは本当に笑い話じゃない、そういうことになるんですよ。緑豊かなきれいなりっぱな木なんか相続したら、これはえらいことになる。  これは農業でも過去いろいろ論じられたことが、やっぱり林業においても同様なことでして、特にこういう木材価格低迷する中においてはもちろんのこと、税金を払うのにえらいことになると。こういうことを十分検討いたしませんと、このままいきますと、だんだん山の所有者の面積というのは細分化、少なくなってしまう。ぜひひとつこの相続税のことについては、今後の林業というものはどうあるべきかという観点の上から十分にこれは検討いただいて、林業家が喜んで相続できるような形にしていただきませんと――臨時代理というより官房長官という非常に重要な立場にあるわけですから、これはひとつ、ぜがひでも御検討いただきたい一つであります。  もう一つは、農業には農業者年金制度というのがございますけれども、やっぱり林業家にも、非常に先ほど来いろんな話がありまして、だんだん老齢化しておるという実態ははっきりしておるわけですけれども、後継者に譲るとき、後継者に対する資金とそれから林業者に対する年金、これはいろんな実態や何かわれわれもよくわかりますから、あしたやれ、あさってやれなんということじゃないんですけれども、やっぱり林業者にとりましても老後の安定する道をちゃんと開く。それから後継者に対しましては、先ほど来いろんな論蔵があり、また前に大臣をおやりですからよくおわかりだと思いますけれども、非常にこれは四十年、五十年光のための投資が要るわけであります。  ですから、後継者に対しては少なくとも四百万、五百万といいますか、それ相応の長期償還の後継者資金、こういう形のものをいたしませんと、とてもじゃないけれども山はもう保ち得ない、これが実態ですよ。大臣の山口県の方はどうか知りませんけれども、東北の方に行きますとみんな大きなたくさんの山を持っているわけですが、山というのは富裕税みたいな物の考え方、それから財産という、こういう考え方で税やいろんな角度から見ているとこれはもう大変なことでして、そんなのじゃなくて、やっぱりこれは三全総や何かそのほかのものにいろいろ言われておりますように、緑を守るといういろんな上からいって公益性が論じられておるわけですけれども、ところが現実は、それを経営する林家の方々というのはこれはえらい悪条件の中でやっておるわけですから、このまま無策で月日を過ごしておりますと、これはもうだんだん高き水が低きに流れるように安易な方向に流れて、国の施策とはおよそ違う方向に行ってしまう。  それから、先ほどもちょっと大臣のいないときに申し上げたんだけれど、いろんな改良普及活動費だとか、それから役職員に対する研究費を見ているとかという、そんなことじゃだめで、これは農業でもそうでしょう。その部落にりっぱな指導者が一人いれば、見違えるようになるわけです。だから、もっと林業についても後継者育成ということで力を入れていただきませんと、農業や漁業から見ると、林業というのは本当にこういう対策が非常におくれておる。  それから、いまの若い人というか子供たちが、学校植林ですか、こういうところで山に親しむということ。われわれも中学校のころ植林に行ったことがありますけれども、そういうことが最近だんだん少なくなった。山に住みながら山に親しむ、それで山に対する知識、こういうものが非常に薄らいでおる。こういうことで、学校植林というものに対しての生徒の指導、これは文部省とか何かほかの関係もいろいろ出てくるんだろうと思いますけれども、官房長官ですから、文部省であろうが大蔵省であろうが、関係するやつをこの際全部お話ししておくんですけれども、ぜひひとつ林業の窮状、現状認識と、これからどうあらねばならないかということについて、深刻なひとつ御理解をいただいて政策を講じていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  215. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 林業振興は、やはり国策であろうと思います。そうした見地に立ちまして今回森林組合法提出したことも、森林組合の基盤を強化してこれからの林業振興に大きく貢献をさせなきゃならぬ、こういう立場で提案をいたしておるわけでありますが、林業を取り巻く情勢は非常に厳しいことは事実でございます。  そういう中で、政府としてもできるだけのことはしておる。漁業、農業と比べるとずいぶん劣っておるのじゃないかと、こういう御判断もあるわけでありますが、私も農林大臣をやった経験から見まして、決して林業政策が他の産業政策に対しておくれているとは思っておらないわけでございまして、できるだけのことはやっておるわけであります。ただ、等親情勢としては非常に厳しいことは事実であります。  そういう中で、相続税等につきましても、昭和五十年度の税制改正によりましてこれは大幅に課税最低限の引き上げ等が行われておることは御承知のとおりでありまして、一部の大規模の山林所有者を除きまして、大部分の森林所有者はその課税最低限の範囲内におさまるものというふうに考えておるわけであります。  それから、林業経営者に農業者年金と同じように林業者年金というものを創設したらどうかというお考えでありますが、これはこれまでも何度も論議された問題でありますけれど、しかし御承知のように、現在の林業の大半の経営者は農業と兼業でございます。九割までが兼業でありますから、したがって、農業の年金によって大半カバーされておるというのが実態であろうと思うわけでございます。農業者年金につきましては年々改善措置をとっておるわけでありまして、今後ともそういう点には力を尽くしてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。  それから、山林の担い手あるいは後継者対策、これは非常な重要なことであろうと思います。何といいましても、高度成長経済の中にあって山村で林業に従事しておる人たちが非常に少なくなってきたと。これはある意味においては林業が非常に後退をしたと言われてもやむを得ない実態であろうと思うわけでありますが、そういう山村における担い手やあるいは後継者が減少したという点は、そうした経済情勢変化が大きかったわけでありますが、やはり山村振興林業振興というものを考えるときに、この担い手対策あるいは後継者対策というものに重点を置かなきゃならぬわけで、最近の林業白書、農業白書等を見ましても、ようやく経済が落ち着きを取り戻すといいますか、安定成長に移行していくという中にあって定着をしていく面も出てきておるという面から、特にこれは力を入れていかなきゃならぬわけで、後継者対策としては御案内のように林業改善資金等の制度もあるわけでございますが、さらにこの後継者対策等には政府としても力を注いで積極的に取り組んでまいりたいと思いますし、担い手対策等につきましては、この森林組合法の成立によって、さらにその対策が強化できるものと判断をいたしております。  それから山に親しむと、そういう空気を青少年、特に中学生やあるいは小学生の児童に与えることがこれから山を愛すると、あるいは山林資源を大事にすると、それが森林振興林業振興につながっていくのじゃないかという御指摘でございますが、まさにそのとおりでございまして、一応政府としては、青少年の森といったようなものを昭和五十年度から整備造成をいたして、それに対する助成措置を講じておるわけでございますし、さらに五十三年度からばこれらの一層の推進を図るために、農山村の児童生徒を対象に、森林林業に対する啓発のための教材を整備、配付する、あるいはまた地域の青年が行う林業コンテスト等に対して新たに助成することとして施策充実を図っておりまして、相当きめ細かくはやっておるわけでありますが、なおこれからも十分施薬の見直し等も行って、いま申し上げましたような点は充実を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  216. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間がございませんから、最後に一問で終わらしていただきます。  共済制度をひとつ、これも午前中話がございましたけれども、共済制度、それから国営保険、この問題については出ましたからいいんですが、去年のあの有珠山の爆発のときに、火災とまた気象災害ということで地震も国営保険の中に入れようということだったんですが、これは大蔵が通らなかったのかどうか知りませんけれども――ところが、この前の有珠山の爆発で被害二百五十億ですか、そのうちの半分ぐらいは山林被害だったんですものね。これはやっぱりぜひ、山を守るとか緑がどうとかそういうお題目なんかいいですから、そういう山を守られるような政策を着実にひとつ実行してもらいたい。これは政務次官ひとつがっちりお願いしますよ、共済制度。  それから共済制度、国営を一つにせよという行政管理庁のあれもあるんですけれども、現在国営保険は人件費とか事務費とか、これは全部保険の中から見られているんですけれども、実際いまの森林組合というか、林家の実態ということからいって、基盤の確立した段階ならいざしらず、どうかなと私は思うんです。木材引取税、これは地方税になって、市町村民税になっていますけれども、これもこういう非常に価格低迷したというだけじゃなくて、やっぱり非常に林業というものの基盤の弱い中で、こういう税金のあり方とか、共済制度あり方とか、こういうものは他産業というか、農業とか漁業とかほかのものと同じような形ではできないのではないでしょうか。また、大分この共済制度についても、いろんな制度ができてよくなりつつあるんですけれども、一たび起きますとこれは被害が非常に大きいということで、そういう被害のあったときに守られるというこういう形にしなきゃならぬ。保険の加入率も非常に各地域によってまちまちのようですけれども、これはいろんな問題があるようですが、やっぱりもっと指導をしっかりしてもらって、加入させるといったときに、それがお互いに共済制度によって守られるような形にぜひひとつ持っていきたいと、こう思うわけです。  それから、固定資産税の評価につきましても、大きな道路のそばと、それから奥地、大きな格差のあるのはこれは当然だと思うんですけれども、最近地域によっては林道がずいぶんできましてそう違わない状況になっているという、そういうことからしまして、やっぱり林業の育成強化という観点から、これは林野庁に言ってもしようのないことかもしれませんけれども、政務次官、ぜひひとつここらあたりもよく見て、そういうきめ細かな施薬の中から林業が大きく発展するようなふうにしてもらいたい。  昭和四十八年の二月の「「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」の改定について」の答申がありますね。この中に二番目、「費用負担の適正化」というのがありますけれども、「森林の有する国土の保全、水資源のかん養等の公益的機能に対する社会的要請」云々とこうございまして、この「林業者の経済活動のなかで負担しえない公的制約が求められる場合が多いので、森林の造成・維持に関する費用負担のあり方について検討を行なう必要がある。」とありますけれども、これは何でもほかの産業と同じように、これだけの大きな面積のところを所有者に全部覆いかぶせるようなことをしたら、とってもこれはやっていけないのは当然ですね。  この「費用負担の適正化」というこういう答申がありますけれども、確かにこういう点では、林業あり方等について、何でも個人の持ち物にまで国の助成というか、筋の通らない国の金を出すということはこれはもう問題があるかもしれませんけれども、しかしここにもございますように、もっと林業の育成強化という観点の上から、他産業とは違った見方の上に立ってこれは検討しなければならないのじゃないでしょうか。ぜひひとつこれらのことを十分に御検討いただいて、こういう非常な価格低迷の中で、林業がいま危機に瀕しておるわけでありますけれども、現在が一番、一つのてことして、林業発展のためにその一つ一つ施策がひとつ生きるような、そういう対策をぜひ講じてもらいたいと思うんです。政務次官ひとつ最後に御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  217. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) か弱い林業のことにつきまして、大きく見直すべき必要があるではなかろうかというような御意見のようであります。その中に、特に共済制度というものを十分活用してもらいたい、あるいはまた、固定資産税等の見直し等も十分やっていかなければいけないというような御意見が出ましたので、できるだけその趣旨に沿って、関係省庁ともよく連絡をとってできるだけのことはいたしたい、かように考えておる次第であります。
  218. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十九分散会      ―――――・―――――