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1978-03-23 第84回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十三日(木曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      吉田 正雄君     久保  亘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 片山 正英君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 久保  亘君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 下田 京子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君    政府委員        農林政務次官   初村滝一郎君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省食品流通        局長       犬伏 孝治君        食糧庁長官    澤邊  守君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        大蔵省銀行局特        別金融課長    藤田 恒郎君        農林大臣官房審        議官       佐野 宏哉君        農林大臣官房審        議官       佐々木富二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の  一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十二日、吉田正雄君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 久保亘

    久保亘君 今回、さらに五ヵ年の延長を提案されておりますいわゆるマル寒マル南資金制度は、私はこれは農家金融としてとらえるよりは、むしろ農業振興政策そのものとしてとらえなければならない問題であると考えております。したがって、延長に当たっては、わが国農業の置かれている現状の厳しい認識の上に立って、真に両地域農業振興に役立つ法の改善と運用に努めなければならないと同時に、農業基本政策の確立がきわめて重要であるというふうに考えますので、そのような立場から、私は主としてマル南資金中心に質問をいたしたいと思います。  最初に、マル南資金が四十八年度に延長されてから今日までの融資実績達成率並びにその効果について、御報告をいただきたいと思います。
  5. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) まず、四十八年から五十二年の間の実績で、一つ貸付戸数の点からの実績と、それからもう一つ貸付決定額、その金額と二つの点から御説明申し上げます。  まず戸数では、南九州ということで申し上げますと、四十八年 五十二年の計画が一万二千戸というものに対しまして、実績が、これは見込みも入りますが、九千三百三十五戸ということでございまして、七七・八%という達成率でございます。  それから次に、貸付計画額貸付決定額対比でございますが、南九州——マル南では、四十八年から五十二年の計画額が百五十三億ということを見通しておったわけでありますが、それに対しまして貸付実績は五十二年見込みを含めまして約百四十五億でございまして、九四・八%、こういった実績計画との対比になっております。  それから効果ということでございますが、効果判定はいろいろなメルクマールでできるわけでありますけれども南九州一つ指標として、代表的な畜産としての肉用牛飼養頭数を見ますと、もちろんこれは効果というものはいろいろ農業の総合的な施策が総合されて効果が発現するわけでありまして、この資金だけの効果というものを別途分離して抽出するということはこれは技術的にもできないし、また実態にも合わないわけでありますが、肉用牛飼養頭数という指標を仮にとってみますると、これは資料の関係上最近五年、つまり四十六年から五十一年という数字で申し上げますが、戸当たり飼養頭数は、四十六年当時は二・七頭というものに対しまして五十一年には四・二頭、対比一五六%というような規模拡大は、決してスピードはそう速くはないにしても、着々と進んでいるということが評価できるのじゃないかと思うわけであります。  それから、同じく南九州のその他の一般の畑作物生産量を比較いたしますと、たとえば茶という高収益作物は、四十六年当時は九千トンでありましたのが、一万二、三千トンというところに上っておりまして、一四〇%。たばこは、同じく四十六年一万六千トンが、二万トン弱ということに五十一年度なっておりまして、これは一二三%。みかんが、十二万五千トンが十二万七千トンで、これが一〇二%。キュウリは、たとえば五万五千八百トンが六万トン以上ということで一〇九%、そういったことになっております。一方、これは対照的な消長を示すわけでありますが、カンショにつきましては、四十六年当時九十六万五千トンでありましたものが、五十一年には五十万九千トンということで約半分にも減っておると、こういった状況であります。  それから、もう一つメルクマールとして、借り入れ農業者がどのような形で目標達成したか。資金を貸し付けるに当たりましては営農類型というものを設定いたしまして、それに到達するということがこの資金の直接の目的になっているわけでありますが、四十三年から四十五年に借りました者がちょうど現在時点でどうなっているかという判定をするわけでありますが、それに対しまして南九州の場合には、大体宮崎県の場合では九二%という借り入れ農家が、目標類型ごとにつくられました営農目標というものを達成しておりますし、それから鹿児島県の場合におきましては九五・七%、こういった農家目標達成していると、こういったように私ども効果を認定しております。
  6. 久保亘

    久保亘君 いま実績について戸数で見た場合に、九千三百三十五戸に対して融資を行い、それが大体七七・八%ということを御説明になりましたが、金額の方は、これは見込み額でありますから、この金額における達成率というのは余り問題にならないと言ってはいけないのかもしれませんけれども判断基準としては問題があると考えております。要するに、その実績戸数が今回の五ヵ年間でも八割弱である、四十三年から五十二年度の場合には五割にも達しない、こういう状況が出てきているわけでありまして、しかもこの融資金額実績戸数で割りますと、平均ではこの五年間に二戸当たり融資額はわずかに百六十万程度にしかなっておらないわけであります。そういう意味から、この計画戸数に対して実績が非常に低い率になっている理由は大体どういうところにあるのか、農林省としてどういう把握をされているか、御報告をいただきたいと思います。
  7. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 確かに金額ではかなりのラインまで行っているわけでありますが、計画戸数では残念ながらそこまでは達していないということは御指摘のとおりでございますけれども、しかし、これもまた先生御指摘になりましたが、四十三年から四十七年、その前のときにおきましては、戸数でも一四五%というような達成率が非常に低位にとどまったということに対しましては、かなり改善効果は出てきているのじゃないかというふうに思っております。しかしながら、まだ一〇〇%というところにはある程度の距離があるということは事実でございますが、これはやはり両地域において、これはマル南においてもそうでありますけれども、災害の頻発がやっぱり四十八年以降あったということ、それからもう一つは、予期しないやっぱり経済変動があったのじゃないか。  御存じのとおり、オイルショックというような世界的なパニック状態があって、それに伴っていろいろ資材費高騰とか、あるいはその他の物価の上昇といったような経営圧迫要因というものが予期しないような条件経営を圧迫した。そういったことが重なりまして、農家経営改善意欲というものにかなり影響を与えたということがあって、本資金貸付認定を受けないまま残留したという農家が残念ながらあったということも事実であります。しかし、決して言いわけではございませんが、過去の四五%ということに対しまして七七・八%というところに達してきたということはやっぱり一つ進歩だと思うわけで、私どもこの傾向をまあ経験というか、そういった反省に立ちまして、さらに充実さしていきたいというふうに思っているわけであります。
  8. 久保亘

    久保亘君 いま経済変動とかいろいろな要件を述べられましたけれども、私どもはこの未達成の大きな理由は、やはりこの制度について農民の側に自信を持たせるような指導が必ずしも徹底していないということ、それから価格政策中心にして農業政策が非常に不安定である。そのことによって、農民は借りたいけれども、先行き不安のためにこれになかなか思い切りがつかないというような点もあると考えているのであります。結局、農民日本農政に対する不信や不安が非常に強く残っているということだけではなくて、マル南資金ということではありませんけれども、現に農業制度資金を借りた者がその資金の返済に窮して自殺をするというような事例も出てきているわけであります。そういう意味では、農業政策が確立されていないところに金融面農家に対して何とか営農改善をやれと言っても、なかなか実績が上がらないという問題が出てくるのではないかと思うんであります。  それでお尋ねしたいのは、この融資制度を本当に実効あるものとしていくためには、どうしても農業振興基本となるべき土地改良事業とか農地保全事業とか、あるいは畜産の場合には草地造成事業などがもっと強力に進められなければならないと思います。それらの問題が一方側にあって、初めてこれらの制度資金融資効果も上がっていくわけでありますが、今日土地改良事業などについて著しい立ちおくれがあると考えておりますが、これらの点について大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) わが国農業は、御承知のように土地条件が非常に厳しいと。面積において、また地形において、あるいは気象条件において、諸外国に比べますと非常に恵まれておらないわけでございます。そういう中での農業でございますから、世界各国に比べても農産物価格が非常に高いという一方の批判があるごとく、生産性においても厳しいものがあるわけでございます。そういう中で、今日まで国の食糧の七〇%という自給率を確保し、かなり進歩をしてきたとは思いますが、しかし、農家個々経営としてはそれほど安定したものでないことも御指摘のとおりでございます。  しかしながら、土地改良その他政府としてもやるべきことはやってまいりましたし、今後もさらにやらなければなりませんが、最近御批判をいただきますのが、土地改良進度が遅いと、場所によっては十年、十五年、三十年もかかるではないかというので、こういう批判のあることも事実でございます。これは御承知のように、数年前景気を抑えるという、例の列島改造以来のああいった異常な物価高を抑えるために、公共事業費を数年間、約三年か四年でございましたが、前年据え置きという時代もございまして、それもまた、土地改良公共事業の中に入っておったばかりに適用されまして、数年間前年同額ということになり、そうなると物価高、諸資材高騰がありますから、むしろ進度率は下がるというような異常なことから、若干というか相当厳しい状態でございましたが、去年、特にことし、そして来年度予算においては、かなり草地改良にいたしましても土地改良にいたしましても進度を伸ばしておりますので、今後はこれを解消することができると思いますが、今日、特に最近四、五年の状況は御指摘のとおりであったと存じます。
  10. 久保亘

    久保亘君 やっぱりマル寒資金にせよマル南資金にせよ、こういう資金制度を有効に効果あらしめるようにしていくためには、いま大臣が言われましたように、土地改良事業の強力な推進ということがその背景になければならぬと思いますので、その点については特に要望を申し上げておきたいと思うんであります。  これは南九州の場合を例にとりましても、五十一年度まででは圃場整備などでもわずかに進捗率は四〇%、総体で四〇%しかいっていないのでありまして、特におくれております畑地灌漑などの場合には、進捗率が五十一年度まででわずかに七%という例もあるわけであります。こういう状況の中で、この資金農家に対して金融面役割りを果たそうといたしましても、農業としては役割りをなかなか果たせない、こういう点があろうかと思うのであります。  それからもう一つ、これらのものが効果を上げ得ない理由として、一つ外圧的な問題、牛肉や果汁、オレンジなどの輸入拡大による価格の不安定につながる外圧の問題、それから内圧的な問題としては、米の生産調整による転作奨励がきわめて強力に行われているということが、この地域畑作振興に対してはかなり重大な影響を及ぼすのではないかと思うんであります。この輸入拡大による外圧と米の生産調整による内圧という立場で、このマル南資金対象となります南九州地域畑作振興にどのような影響が出てくると考えておられるのか、この効果を非常に減殺していくような影響を及ぼすことはないと判断されているのか、この点について御見解を承っておきたいと思います。
  11. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御指摘のように、わが国農業が当面する問題としては外圧があるのではないかと、外圧によって先々不安ではないかという御心配もあり、また内圧としては米の生産調整によって畑作影響を与えるのではないかという批判のあることは御指摘のとおりだと存じます。しかし、外圧の面につきましては、私はいつも申し上げますように、国内の農業には影響を与えない範囲内での外圧調整を行う。たとえば牛肉にいたしましても総枠を特にふやすということではなくして、アメリカの関心の深い高級牛肉について配慮をするということであって、畜産振興事業団による買い入れによって価格調整も行うということでございますので、むしろ私は、大変だ、大変だというムードそのものが農村に被害を与えるのではないか、農林省、われわれとしては、外圧によって実質被害のないように対処してまいらなければならない。今回の調整も、そのような配慮のもとにやったわけでございます。  また、オレンジについても、九州方面ではミカン農家が非常に不安がっておるようでございますが、これも季節を限って、しかも六月から八月という全くミカン関係のない時期に輸入枠をふやすということで調整をしたつもりでございまして、外圧影響のないようにしていきたい、こう思っております。  また、内圧でございまする米の生産調整でございますが、これもいかに転作がされても影響のない、すなわち価格政策できちっと決まっております麦、飼料作物あるいは大豆、甘味資源作物、こういうものはすべて価格政策できちんとできております。飼料作物は間接的で、肉とか牛乳で価格政策があるわけでございますが、それ以外は直接値段が決まっておりますので、生産調整が幾ら行われても価格影響はないと、こういったものをうんとふやしていただくということで、一万五千円でございますか、特に奨励金の額を積み増しし、農家影響を与えない配慮を加えております。  また、そういった転作によって困るというミカンのようなものは転作作物対象としない。ミカンがこれ以上転作によってできますと現在のミカン農家がまいってしまうということで、ミカン転作をいたしましても一奨励金は一切差し上げない、こういう対象作物としないという厳しい措置を講じて守っていく。それ以外の野菜等は一番普通作物として扱っておりますが、これが転作によって野菜農家価格の面で供給過剰ということから御迷惑をかけてはというので、この点を心配いたしまして、地域地域で需要と供給の関係を見ながら作付面積を決めていく、過剰にならない配慮をするという仕組み、そしてまた、これに徹底した農林省指導を行って、水田からの転作によって周りの畑作畜産農家影響を与えないようにということについては十分配慮してまいりたいと思いますが、御指摘の点のあることは御指摘のとおりでございまして、われわれも十分今後配慮をさらに一層していかなければならない、こう思っておる次第でございます。
  12. 久保亘

    久保亘君 生産調整の問題や輸入拡大の問題につきましては、いずれまた、いろいろ私どもの意見を申し上げる機会もあろうかと思いますが、農民の受けとめ方としては、こういう内圧外圧がのしかかっている状況の中でせっかく融資を受けて営農改善に努力をしても、将来はきわめて不安であるという心情が非常に強く働いていることも事実であります。で、これらの点については、農業政策上は農民のそういった不安を解消することを第一に考えながら資金の効用を期すべきではなかろうかと思いますので、最大の御配慮を特にお願いしたいのであります。  それから、なおもう一つの問題は、海外からの輸入の圧力の問題はもちろんでありますが、今度はわが国畜産物自体価格が非常に高いということが問題となってくるんであります。この問題は、確かに生産規模の問題とか、わが国農業の持っております宿命的な一つ生産性の上からの問題があるとしましても、しかし、流通の面でずいぶんまだ改善の余地が残っているのではないか、こう思うんであります。特に、南九州地域の場合には、消費地が非常に遠いという面でハンディを背負っているわけであります。これについては、先般、この制度延長されますときにも両院において決議がなされている問題でもあります。流通面合理化とか、高速輸送の強化とかによって運搬コストの低下を図るためにもつと積極的な施策が講ぜられるべきであると、こう考えるのでありますが、現在、流通合理化による農家——生産者所得を高めていくという面での対策はどういうふうに進められているのか、今後の方針を含めて御説明をいただきたいと思います。
  13. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) お答えいたします。  畜産物流通改善につきましては、特に牛肉を初めとする食肉流通改善が問題になっておるわけでございますが、これまで産地におきます食肉センター整備とか、消費地における食肉卸売市場整備、あるいは小売店における適正表示販売推進等を通じてその合理化近代化に努めてまいっているところでございますが、しかしながら、まだ立ちおくれた面がいろいろあることも事実でございますので、今後流通合理化近代化を進め、私どもといたしましては、卸売価格小売価格連動性を確保するということが特に重要であると考えておりますので、五十三年度におきましては、部分肉の取引の拠点となります部分肉センター新設とか、あるいは産地における食肉流通の基幹となります食肉センター整備の促進といった措置を強力に推進をすることにいたしております。また小売の段階におきましても、本年一月から東京都におきまして、生産者団体からの小売店共同仕入れによる値下げルート新設、あるいは国産大衆牛肉値引き販売というふうな事業を実施いたしております。  以上申し上げましたようなことで、私どもといたしましても、畜産物流通にはせっかく改善に努めておるつもりでございます。
  14. 久保亘

    久保亘君 私は、いままで申し上げましたように、土地改良の立ちおくれ、それから輸入拡大による外圧、米の生産調整による内圧流通合理化の不徹底というようなことが、農民の側にいたしますと、ただでさえも条件的に非常に悪い条件にあるからこういう制度をつくろうということでやったにもかかわらず、そういう問題で農民はなお農業の将来について非常に強い不安を持っているわけであります。これらの点が、一方においてかなり思い切った農民の将来の展望を開くという立場対策が講ぜられない限り、私はこの制度延長しなければならないけれども延長することによって思うような目的達成できない、こういうことを考えておりますので、これらの点については、特に農林省の今後の対策をお願いをしておきたいと思うのであります。  なお、この際、今回延長になります制度そのものについて数点お尋ねをしておきたいと思いますが、今回この制度を再延長される根拠は、なおこの資金を借りたいという農家かなりあるということであると思うのでありますが、この制度そのものを五ヵ年として仕切られる理由はどこにあるのでしょうか。
  15. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 先ほど直前の五ヵ年に、南九州の場合には七八%の農家認定戸数にとどまった、まだ残余の農家が、この資金借り入れを継続したいということの御希望農家が多いということが、直接的な理由であります。  私ども考え方といたしましては、戸数をこれから五年の間に、南九州の場合には約一万二千戸というものを想定しているわけでありますが、それを五年に限ったということの理由は、過去最近数ヵ年の実績を見ますと、大体それが五年間というものの年数と合う、ちょうど五年ぐらいでそういった農家戸数が、認定戸数が果たし得るだろう、消化し得るだろう、こういうような考え方で五年という年限を切った。直前五年であったということも一つの参考ではありますけれども、一応直接の基礎といたしましては、五年あれば大体残存農家戸数の御要望にこたえられるだろう、こういう判断で五年ということをお願いしておるわけであります。
  16. 久保亘

    久保亘君 それでは、今回延長されました場合の対象農家農業所得基準ですね。それから、この制度を使うことによって、営農改善が行われた後の農業所得目標をどの辺に定めてこの制度を使おうとされるのか、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  17. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) ムル南資金で申し上げますと、これは宮崎県、鹿児島県、やや数字は異なりますが、宮崎県の例で申し上げますと、営農類型によって違うわけでありますけれども、たとえば肉用牛主畜経営というもの、それから野菜主作経営というものは、現在の中庸の水準がおおむね所得水準で言いますと二百万円以下と、こういったことであります。それから肉用牛主畜経営飼養規模が二十頭、野菜の場合には百三十アールと、こういったことになっているわけでありますが、それを目標といたしましては、おおむね所得水準といたしましては二百五十万円以上にこれを持っていこうと。それから飼養規模といたしましては肉用牛主畜の場合には二十頭、それから野菜の耕作規模といたしましては百三十アールというような規模に持っていこうということが当面の目標であります。  それから鹿児島県でございますが、肉用牛主畜野菜肉用牛複合経営という類型を例にとりますと、おおむね中庸の水準が百五十万円以下ということになっておりますし、それから飼養規模といたしましては十七頭、それから野菜肉用牛複合経営におきます経営規模といたしましては、作付が百十アール、家畜が四頭と、こういったことになっているのでありますが、これを目標所得水準二百五十万円以上に持っていこう。それから飼養規模といたしましては、肉用牛主畜につきましては十八頭まで高めようと。それから野菜肉用牛複合経営につきましての経営規模といたしましては、百十アールを百五十アールにし、それから四頭という飼養規模を十頭に高めたい。こういったことが、当面のこの資金を運用いたしまして、鹿児島宮崎におきます、ただいま申し上げました営農類型農家をそこまで高めていこうという当面の目標でございます。
  18. 久保亘

    久保亘君 そうすると、これは五十二年度の価格において二百五十万円以上を目指すということであれば、この制度が一応また完結いたします五年後には、当然その時点の価格における農業所得目標とされなければならぬと思うのでありますが、それは大体いまの経済情勢を見ながらどの辺に押さえて考えられますか。これから五十七年度を終わるときに、この制度を利用した農家農業所得というのをどの辺まで上げたいと考えておられますか。
  19. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 五年先あるいは十年先の目標所得をどれだけにするかということのとり方でありますが、これはまあ当然その間に御指摘のありましたように物価変動というものがありますが、それはちょっと予測ができませんので、私どもの申し上げました数字は、五十二年現在における物価水準でつまり申し上げている。その倍率で今後の所得規模あるいは経営規模を拡大していくと、こういうふうに見ております。当然その間に物価変動がありますれば、それを加味した形でスライドしていくと、こういうふうに御理解願っていいと思います。
  20. 久保亘

    久保亘君 時間がありませんので、それじゃ次に貸付条件改善について、今回の法の延長に当たって、貸付条件改善についてはどのような検討が行われてどういうふうに考えておられるのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
  21. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 今回お願いしておりますのは、認定申請期限を五年延長していただくということのほかに、一つは貸付対象範囲を現行のもののほか、種豚を購入する資金をつけ加える。これは北海道でありますけれども、果樹の植栽、育成資金をつけ加える。こういった貸付対象範囲の拡大ということが一つでございます。  それからもう一つは、貸付限度額、これは南九州の例で申し上げますと、酪農・肉用牛につきましては、従来六百万円という戸当たりでございましたのを五割増しの九百万円、その他五百万円でありますものを八百万円に拡大をする、こういったことであります。  なお、そのほかの貸付利率あるいは据え置き期間、償還期間等につきましては、これは今回の改正では改正は考えておりません。  その理由は、現在の償還期間とか、あるいは据え置き期間だとか、あるいは利率、そういったものはこの制度目的だとか、あるいは他の諸種の農業金融制度があるわけでありますが、そういったものの融資条件というもののバランスというものを十分考えながら決定してきているということでございますし、まあ過去、北海道の場合には四回改正をお願いいたしましたし、あるいはマル南の場合にも第一回改正が四十八年にあったわけでありますが、その都度必要に応じて借り入れ条件改善はしてきている、こういったことでございますので、今回は先ほど申し上げました対象範囲の拡大と賃付限度を一・五倍とするということに改正をしたということでございます。  ただ、現実の問題といたしまして、いろいろ償還期間だとか据え置き期間だとかいうことがありますが、これは個々のケースに応じまして必要な形で弾力的に、もちろんこれはいま定められておりまする償還期限あるいは据え置き期間、そういった範囲内であることは当然でありますけれども、個々のケースに応じて、できるだけ弾力的に運用していきたいということは当然であります。
  22. 久保亘

    久保亘君 限度額については、前回の法延長後中間において施行通達によって一遍改正されております。だから、当然今回肉用牛・酪農について九百万、その他の経営について八百万に改正をされるということでありますが、状況を見ながらこれは大臣の権限でおやりになれることでありますから、その貸付限度額については途中必要があれば改正をされるものと理解をしてよろしゅうございますか。
  23. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 今回の改正は五十一年四月に決まりましたものに五割増しでございますから、まあかなり思い切った貸付限度額の拡大となっております。しかし、今後とも経済状況その他で改正した額で足りないというようなことになれば、また検討はしてみたい。しかし当面は、この額でいけばまずまず満足できる金額ではないかと、こう思っておる次第でございます。
  24. 久保亘

    久保亘君 それから、この据え置き期間については、四十八年に延長されますときに参議院のこの委員会においていろいろと質疑がありまして、それに当時の櫻内農林大臣局長がお答えになっております。そのお答えによりますと、同じ農林公庫の制度資金であります総合施設資金が二十五年返済、十年据え置きとなっていることとも関連をしながら、前向きに据え置き期間の延長についてはぜひ検討したい、こういうことを答えられておるのでありまして、それだけではなくて当時の小沼局長、この方は「実行上は借り入れ内容によりまして差がございますが、実質上十年にいたしたいというふうに考えているところでございます。」、こういう答弁をされておるのであります。農林大臣も何回も繰り返し、この据え置き期間を十年に総合施設資金と同じような扱いにするということについては、ごもっともな意見であるから、そのことについては前向きに検討いたしましてできるだけそういう方向でやりたいということを、五年前にお答えになっておるのでありますが、今回の改正に当たって、農業を取り巻く状況はなお厳しくなっているにもかかわらず、据え置き期間が依然として改善されないまま八年で据え置かれているということについては、私どもは非常に理解しかねるところなんでありますが、この点については、据え置き期間を十年に延長するということはお考えにならなかったんでしょうか。
  25. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) いま御指摘のありました点の一つは、総合資金との関係もあったわけでありますけれども、総合資金は十年でこのマル南資金は据え置き期間八年だ、こういうことで確かに二年の差はあるわけでありますが、御存じのとおり、総合資金かなりある程度の規模まで貸付農家が達してきている、それをさらに一歩上の段階に自立経営志向農家という形でそこの規模拡大まで持っていこう、言うなれば中庸規模以上にも到達している農家をさらに高度の目標に持っていこうということで、それが資金の設定の目的であります。そういう意味資金額もかなり多い、こういったことであります。一方、マル南資金は、これはいま言うなれば、適当な表現であるかどうかは別といたしまして、中庸規模にも達していない、いろいろ自然条件その他経営状態が劣悪なためにまだまだ引き上げてやらなければいけない、まあ谷間のところにいる経営農家を中庸のところまでとりあえず引き上げる、その後に次の展開を期待する、こういったための資金でありますから、おのずからその資金の性格、規模というものも異なってきている、こういったことだろうと思うわけであります。そういう意味で、このマル南資金と総合資金と一件当たりの貸付金額も異なってきておりますし、償還期間だとかあるいは据え置き期間、そういった条件が異なっている、総合資金よりも据え置き期間が短くなっているというものは、これは金利体系からしてある程度やむを得ないものじゃないか、かように思っておるわけであります。  ただ、現実の問題といたしましては、総合資金据え置き期間十年、あるいはマル南資金八年ということになってはおりますが、それぞれの資金を運用するに当たりましては、結局その範囲内で具体的な貸付案件ごとに何年とするかということは、貸付対象農家の営農の条件がどうなっているかとか、つまり償還能力とか、あるいは貸付対象のいろいろ施設の規模だとか性質だとか、そういったことに応じましてケース・バイ・ケースで決めていくということでございますから、その範囲内でできるだけ、もちろんその八年ということは超えるわけにいきませんが、実情を考えながら弾力的に対処していきたい。総合資金もたしか十年ということにはなっておりますが、必ずしも十年まるまるということで据え置き期間を決めているわけではございません。ケース・バイ・ケースで、個々のケースによりましてその据え置き期間の長短を決めているということでございますから、マル南資金におきましても、個々のケースに応じてその償還能力というものを考えながら弾力的にこの据え置き期間を具体的には決定していきたい。具体的に決定していく場合には、これは公庫支店というものよりも、あるいはマル寒の場合には道庁、マル南の場合にはむしろ県庁という方方の御裁量というものもありますので、そういった方々への連絡もよく密にして、弾力的な運営をしていきたいというふうに思っております。
  26. 久保亘

    久保亘君 営農改善計画や作目などによって、必ずしも据え置き期間が一律でないということはこれは当然でありますが、据え置き期間の上限をどこへ定めておくかということは、借りる側にとっては非常に重要なことなんであります。この点について、前回の延長のときには同じ農林省から局長は、実質上十年になるようにしますということを言っているんですよ。これは私は、制度上そんなことができるのかなと思いながら、この前回の議事録を見せてもらったんでありますがね。それから「実質上十年にいたしたいというふうに考えているところでございます。いずれにしましても、できるだけこの融資条件改善して、農家が借りやすくする、また負担が軽減されるというふうにいたしたいということで努力をしているところでございます。」、大臣もこれを全面的に支持されておるわけであります。そういうことになりますと、当然八割にも満たなかった、なお一万二千戸の農家がこの資金を利用したいと考えているという状況からいたしますと、据え置き期間の限度は十年に引き上げるということが当然検討されてよかったのではないか。  その実行上の据え置き期間というのは、個々の計画によって違うことは当然であります。しかし、十年の限度を持っているものと八年の限度を持っているものとでは、総合資金の場合はやっぱり十年という据え置きの限度があるために、実行上の判断もそれに従ってやっぱり上へ行っているんであります。だから、そのほかにも、農業制度資金は十年の据え置きをやっているものが果樹園の改善資金についてもありますし、ほかにも十年の据え置きが幾つかあります。だから、この制度については、前回のそういうような農林省の答弁からしても、当然私は今回は据え置き期間を十年にするという考え方が示されてよかったのではないかと思うんであります。で、この点については、積極的に農民の負担が軽くなり借りやすくなるという方向で、据え置き期間については目いっぱい農民立場に立って実行上の据え置きについても考慮をするという立場をおとりになるのかどうか。  それから、大臣お時間がないようですからお聞きしておきたいと思うんでありますが、政府の政策責任とか、あるいは経済情勢の激しい変動などによって農家が深刻な影響を受ける場合、農民の直接の責任に帰しがたいそういう状況が生まれた場合には、今日円高による不況産業等に対しても政府が積極的な対策を考えているわけでありますけれども、当然償還の猶予とか減免などについてそういう事態に相応して救済措置が検討されなければならない、特に農業の将来の展望が決して明るくない状況下においては、そういう配慮大臣考え方としては根底にあってしかるべきだと思うんでありますが、いまの据え置き期間の十年の問題と、償還の猶予や免除について経済情勢の非常に過激な変動が生じた場合などに検討されるというようなことについてどうであるか、お考えをお聞きしておきたいと思うんであります。
  27. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 据え置き期間の問題でありますが、かつて農林省の担当局長が、十年と八年という比較で総合資金とこのマル南資金との御答弁を申し上げた経緯は、私もいま速記録をちょっとちらっと見たわけでありますけれども、まあマル南資金の据え置き期間の八年を総合資金並みの十年にそこまで実質上延ばすと、そういうことを必ずしもお答え申し上げているというのじゃないのじゃなかろうか、確かに据え置き期間八年と十年と違いはあるけれども、具体的な据え置き期間というものは融資案件によってその場その場によって決まってくるわけで、そのときに極端の差がないような形で、実質的にその落差が起きないような形で運用していきたいというのが、どうも当時の担当局長の趣旨ではなかったか、まあ表現が適切であったかどうかは別でありますが、そういうふうに理解するわけであります。  私どもといたしましては、やはり確かに八年と十年というものの差は制度的には限度の問題としてはありますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、総合施設資金におきましても実は個々の案件によって決まるわけで、平均といたしましては確かに八年、十年というものもございますけれども、四年、五年というものもかなり、三分の一近いものはそういう四年、五年というものが総合施設資金にもあるわけであります、償還能力とかそれは施設の貸付内容によって決まってくるわけでありますから。そういう意味で、このマル南資金と総合施設資金、先ほど申し上げました資金の内容、性質が異なるという点は当然として要因として考えながらも、実質的な運営におきましては極端な差が起きないような形で農家の便宜を図っていきたい、弾力的に対処していきたいと、かように思っているわけでありまして、限度を八年を十年にするということは現在の時点では考えていないわけであります。ただ、今後どうしてもその点が桎梏になって営農の改善上非常にそれがじゃまになるということがあれば再検討しなければなりませんが、過去五年の実績判断におきましてはそういった考え方は私どもは現在持っていない、こういったことであります。  それから、いろいろ予期しないような変動、事故によりまして経営の圧迫要因というものが出てきたと、そのためにどうも当初予期したように経営改善が進まない、償還能力も不足してきておる、こういったことがありますれば、これは災害が典型的な例でありますが、その他そういった例が、いろいろ先生御指摘になったような例がおありになろうと思います。そういう場合には、当然やはり償還の延期とか、そういった軽減措置というものは考えなきゃならない。それは具体的なケースに応じて、いろいろ御相談に応じていきたいというふうに思っております。
  28. 久保亘

    久保亘君 ひとつ大臣から。
  29. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) われわれもできるだけ実態に合うようにしたいとは思いますが、いま局長から答弁申し上げましたように、何分にも総合資金金額というのは非常に大きいと、この大きいものと、わりあい小さな谷間にあるものを救い上げるものとの金額の差からいって、償還期限というものが二十五年と二十年になっております。これを合わせるのはどうかなあと、そうなってくれば、やはり据え置き期間も八年と十年ぐらい差があってもまあまあバランスはとれているのかなあとは思いますが、運営面でできるだけということでもありますし、今後ひとつまた償還が厳しくて大変だという、八年たっても返せないというような積極的な御意見でもまたありますれば、そのときには弾力的に運営するとか、あるいはまたどうしても全体的に弾力的に運営をしなければこの制度が成り立たぬというようなことでも実態としてありますれば、根っこを直すというようなことも工夫してみたいと思いますが、現行としては、この程度でスタートしてもこの資金の運用にはそう支障がないのではないかと思いますが、今後また検討課題として研究さしていただきたいと存じます。  また、国際情勢によって農村が厳しいときに何らかの応急措置を講ずるべきではないかという御意見でございますが、私どもはまず第一義的には国際情勢によって影響を与えないようにということで、自由化品目についても非常に厳しく諸外国が言ってきておりますけれども、これはもう絶対守り抜いて農村に不安を与えないと。先般も若干の調整を加えることにはいたしましたが、少なくとも農家経済に影響を与えるものは自由化をしておらないと。言ってみれば、農産品によって加工しておる、たとえば味の素の調製品、こういったようなたぐいのものは自由化にしてもいいだろうということでやっておりますが、落花生だとかコンニャクというようなもの、北海道のイロマメといったような農産物、もちろん米麦、肉等について自由化はしないと、あるいは輸入枠の拡大においても実質上影響を与えるようなことはしないということで、まず第一義的には国際的な影響を農村に持ち込まないようにするということで対処をしてまいりたい。同時に、国際競争力にも勝てるように常日ごろから体質の改善ということで、土地改良なり、先ほど御指摘もございましたが、金融措置なり万般の措置を講じて、体質、足腰を強くしていくということにしていきたいと、こう思っておりまして、いま外圧があったからこう、金利をどうということではない。むしろ、今度の公定歩合の引き下げに基づく金利のあり方等については、物によっては検討しなければならないかなあということでございます。  それから、償還期限は先ほど私二十年と二十五年と言いましたが、両方とも二十五年ということになっておるようでございます。これは訂正しておきます。
  30. 久保亘

    久保亘君 それじゃ時間が参りましたので、最後に、いま大臣が申されました公定歩合の数次にわたる引き下げに対応して制度資金の金利については検討しなければならぬものもあるだろう、こういうお話でございましたが、すでにわれわれ国民大衆の側が預金をいたします金利は、近く普通預金の場合は一%になるのであります。定期預金でも一年物で四・五%になるのでありまして、しかもこの四・五%に三五%の税金がかかるということでありますから、実質的な金利というのは、もう一年物の定期でも三%台に落ちるのであります。そういう状況の中で、制度資金の金利だけが発足当時から全く変わらない、これは大変不合理なことだと思うのであります。当然この金利の引き下げについては検討せらるべきものであろうかと思うのであります。住宅ローンなどについても、金利はすでに切り下げられていっているわけであります。農業政策基本とも言えるべきこれらの金融制度について、当然金利の再検討が行わるべきであると思うのでありますが、この点について今回は御検討にならなかったのはどういうわけか、それから金利引き下げについては積極的にこの農業制度資金については今後御検討になる御意思がおありになるのか、この点を承っておきたいと思います。
  31. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御承知のように、こういう公庫資金等の資金は金利が上がったときにも動かさない、それから下がったときにも動かさないという仕組みになっております。特に、五%金利といいますと、あるいは四・五%というと、公定歩合が上がり市中金利が若干動きましても、かなり動いてもまだまだ相当幅のある金利でありますから、これは市中金利が上下したことによって操作をしなければならない範囲内にはないのではないかということで、五%を変えるまでには踏み切れなかった、こういうことでございます。ただ、そういったものではない、たとえば卸売市場近代化資金といったようなもの、すなわち財投金利の変動を勘案してその金利の改定を行われてきたものについては、今度の〇・七五%の変動による市中金利等の実態を見た上で対処したいかなあと、こう思っておるところでございます。
  32. 久保亘

    久保亘君 私は、金利の問題につきましては、特に日本の中枢的な大企業に対する標準金利、プライムレートは、いまこれらの制度資金の金利よりもはるかに安いものになっていると思うのであります。だから、そういう点では、零細な農民が自分の生活をかけてそれを借りるこれらの資金について、そういう全体的な金利がずっと下がっていっているときには当然に再検討せらるべきものだと考えます。これは単に農業制度資金だけではないと思いますけれども、しかし、特に農業が今日置かれている状況を考えますと、まず農林大臣がこれらの制度資金の金利の改善について、この先頭に立ってひとつ政府間の意見の調整をされるように、強くお願いをしたいと思うのであります。その点について、農林大臣がこの制度を生かすという立場はもちろんでありますが、そういう日本の農業全体、特に零細な農業者の営農改善について努力するという立場で、金利の問題について今後再検討について農林大臣として意思をお持ちになっていただけるかどうか、最後に再度お伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  33. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 先ほども申し上げましたように、金利の変動を勘案してその金利の改定を行うもの、たとえば卸売市場近代化資金等につきましては積極的に他省庁とも連絡をとってその改善合理化に努めてみたい、こう思っております。
  34. 久保亘

    久保亘君 終わります。
  35. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法並びに南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の改正につきまして、これは俗にマル寒資金マル南資金と言われて大変期待をされてきたところでございますが、過去数次にわたって延長改正をされてまいりました点から見ましても、これは当初の計画どおり、期待どおりには進捗をしないで今日に至っておるということになりましょう。いろいろ問題は多々あるように思っておりますけれども、それはそれとして、この両資金は両地域の営農にそれなりの効果をもたらしている点で評価できますし、さらに当初の計画に向かって、今回、延長改正されることは賛成でございまして、意見を差しはさむ余地はこのこと自体はございません。今後この改正延長によりましていろいろ馬力をかけて運営をされていかれるわけでありますけれども、そのことに関連をいたしまして大変心配になる点が多々ございますので、以下、これらにつきましていろいろ御意見を伺いたいと思います。  まず第一でございますが、先ほど久保委員からも御質疑がございましたように、貸付条件のうちのこれは金利についてでございます。マル寒制度資金につきましては昭和四十八年改正のとき、法定金利五%、土地改良四・五%をそのまま改定をざれずに継続をいたしてきております。今回もそのまま据え置かれるようです。先ほど大臣の御答弁の中で、上がったときも上げなかった、下がったときも動かさなかった、こういうような御答弁でございましたけれども、四十八年以降は特にこの公定歩合等を含めまして金利体系が大変激変をいたしてまいりました。もう目の先に今回の〇・七五の公定歩合の引き下げに伴いまして、いわゆる日銀のガイドラインと言ってもいいんでしょう、けさほどの報道にはすでに預貯金金利の改定につきましては報道をされております。これは当然公債関係の金利も改定をされなければなりませんし、ある新聞によりますと、政府関係金融機関の基準金利も〇・五%引き下げられまして七・一%になるというふうな報道をされております。で、このまま今回の改定でも金利が据え置かれますと、これはもう十数年にわたって全然改定が行われないということになります。  言いかえますと、当初この法定金利五%のころと、今回おおむね〇・五の改定を見ますと、当初受けておりました金利差の利益、これが完全に失われてまいりますし、今後五ヵ年間そのまま置かれるということになりますと、なおさらそういう心配が出てきておりまして、大変りっぱな制度もそのことだけによってその意義がこれは削減をされるという心配があるわけであります。したがいまして、今回の金利改定がもうすでに現実なものになってきておる際に、この法定金利、土地改良金利がそのままでいいのかどうか。私は改定をされるべきであろうというふうに思いますけれども、その点いかがでございましょうか。  さらにあわせて、先ほど申し上げましたように、政府機関の基準金利も下げられます。当然これは下げられると思います。そうなりますと、同様に公庫資金農業制度基準金利につきましてもこれは当然手直しをされなければならない時期にあるというふうに思いますけれども、この点についてのお考えもあわせてお伺いをいたします。
  36. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) ただいま御指摘がございましたように、四十八年以降確かに金利情勢、大幅に激変してまいりました。四十八年以降金利が上昇過程にありますときに、農林漁業金融公庫の一部資金については金利の引き上げも行われたわけでございます。先ほど大臣が申し上げましたように、卸売市場近代化資金等一部の資金につきましては、他の政府関係金融機関の基準金利、財投の金利、そういったものを勘案しまして、四十八年以降逐次上昇してまいっておるわけでございます。こういった一群の金利につきましては、やはり金利の下降局面におきましても、先ほど大臣から答弁がありましたように、検討をする必要があろうかというふうに考えますけれども、ただいま問題になっておりますマル寒マル南資金につきましては、過去の金利上昇局面におきましても据え置いてきたと、こういう経緯がございまして、今回そこまで引き下げるということは必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  37. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 基準金利はいかがですか。
  38. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 基準金利と申しますか、他の政府関係機関、中小企業金融公庫あるいは医療公庫でありますとか、そういうところの金利が長期プライムレートに連動をすると、それが農林漁業金融公庫の類似の資金影響を与えるというふうな関係はございます。そういう関係で動きますものが先ほど申し上げましたような卸売市場近代化資金等でございます。
  39. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 どうも基準金利につきましてちょっとうまく理解がいかないわけでありますけれども、これは時間もありませんので、この基準金利につきましてはプライムレートとか何とかいうふうなこともありましょうけれども、やはり農業制度資金として当然これは吸収コストも下がってくるわけであります。基準金利につきましても、ひとつぜひ検討をいただきたいと思います。  第二に、貸し付けの対象範囲でございますが、種豚が今回入りましたけれども、育成豚は入らなくてもいいんですか、この点の考え方はいかがですか。
  40. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 種豚を対象にして、なぜ肥育豚を対象にしないかというお尋ねでございますが、公庫資金はこれは御存じのとおり、長期低利のかなり固定化するというようなそういう資金というものを対象にした制度融資でありますから、そういう意味では種豚というのはかなり固定化すると。これは当然肥育豚と違いまして固定化するということで、対象にしたわけであります。もう一つ積極的な意味といたしましては、これはマル寒地帯にせよ、あるいはマル南地帯にせよ、地力の衰えということが最近非常に問題になっているわけでございます。連作障害、そういったことも批判されているわけでございますが、そういうことも複合経営の利点というものをこの地域にさらに導入するという意味からも入れたということが、積極的な理由としてはもう一つあるわけでありますが、そういうわけであります。  肥育豚の問題でありますけれども、これは御存じのとおり、子豚を買ってきて肥育して成豚として出荷するせいぜい三、四ヵ月、三ヵ月程度のものでありますから、非常に短期の資金である。その間に要する資金としてはいわばえさ代等の運転資金であるということから、いわゆる長期にわたって固定化するといったようなそういった資本投下ではないという意味で公庫の資金制度にはなじむものではないのではないのか、これは、むしろ系統資金の方になじむということで系統資金の方に依存する、そういった交通整理のものじゃないか、こういうふうに私どもは考えて種豚に限定したというような経緯であります。
  41. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 いわゆる資金にも一貫性というものがあろうかと思いますし、やはり一応種豚を入れまして育生の場合には他の資金ということになりますと、なかなか農家もちょっと混迷するというようなこともございますので、さらに御検討をいただきたいと思います。  さらに、先ほども御質問がございましたけれども、この両制度資金、大変これは時宜を得てなかなか優秀な制度であるというように私は本質的に考えております。今後もこれが意欲的に行われて、酪農、畜産、果樹の経営について充実振興が図られてまいりますが、どうしてもひっかかります点は、農産物の輸入拡大が一方において行われる、さらに稲転が強力に実施をされていく、こういう二重奏が、どうしてもやっぱりこういう積極的な面と、逆にこれらに水をぶっかけていくような状態をこれは憂慮せざるを得ないわけであります。ですから、これはまた改めて重ねてお伺いをいたしますが、これらの問題とあわせてこの両制度の将来の需給関係、さらには価格に及ぼす影響、そういうものをどのように御判断をされておられますか、お伺いいたします。
  42. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 私どもこの制度延長する今日的な意味といたしましては、北海道、それから南九州の大畑作地帯、日本の畑作を担う政策地帯でありますが、それを今後大いに振興していく必要があるだろう。日本農政の課題の一つとして自給力あるいは自給率の向上ということが言われておりますが、その最たるものはやはり畑作物であろうと思うわけであります。ことに大豆だとか、あるいは麦だとか、あるいは飼料作物、そういったところに生産力の向上、自給力のアップということが今日的な課題になっているわけであります。そういう意味で、そういったものの生産を担うマル南地帯、あるいはマル寒地帯というものの振興をこの制度もひとつお手伝いしようという意味で、御延長をお願いしているということであります。  そこで、いま御指摘になりました生産調整という関連、あるいは外国との関連、こういったこと、先ほど大臣がお答えいたしましたが、私、構造改善局長でやや分が過ぎるような物の言い方になって恐縮でありますけれども畜産にいたしましても、あるいはオレンジその他の果樹にいたしましても、やはりできるだけ国内で必要なものは国内で賄うのだというのは、これは農林省基本であります。ただ、足りないところを外国から輸入する。肉にいたしましてもそういうような形で、まあ私、前任は畜産局長であったわけで、肉を例にとって申し上げますが、そういった基本方針で貫いてきたつもりであります。今回の日米の処理もそういった原則を踏み外してはいないというふうに、当時の担当者としては理解しておるわけであります。そういう意味で、国内でできるだけ賄うという基本ラインに沿って、その中でいま申し上げました両地域畜産が大きな分野を占めるわけでありますが、振興を図っていく。  それからもう一つは、米の生産調整という形で、これは非常にむずかしい、苦しいインパクトを両地帯にも受けていただかなければならない非常に苦しい環境ではありますけれども、やはり具体的な作物の選定に当たっては温州ミカンだとか、あるいは茶だとか、そういった需給が非常に心配されるものにつきましては、これは転作作物から一応外したかっこうで対応していただく。そのかわりに、いま申し上げました飼料作物というようなものあるいは大豆だとか麦だとか、これから大いに日本の自給力等を高めていかなければならないところにこれからの生産の方向を傾斜していただく、こういった形で対応していく必要があるのじゃないか。  蔬菜等につきましては、これはむやみやたらにやりますと非常に問題が起きるし混乱が起きますから、やはり具体的な蔬菜の種類なりを考え、また、地域の需給状況ということもあわせ考えて慎重に対応していく。もちろん伸ばしていく必要はあるわけでありますが、よく考え、需給事情というものをよくにらみ合わせながら伸ばしていく、こういった対応をしていく必要があるのじゃないか、かように思っているわけであります。
  43. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 御答弁の中で、国内で賄えるものは国内で鋭意賄っていく、この基本的な考え方を信頼をいたしまして以下御質問申し上げたいと思いますが、この二つの制度で今後ますます営農改善が図られていくわけでありますけれども、もう一つやっぱりどうしてもいま当面心配になる点は、乳価の保証価格、それから指定食肉基準価格の問題でございます。この決められよういかんによっては、せっかくいい融資制度がございましても生産意欲を全く喪失しかねない結果を招来する。さらにはまた、返済に大変事欠くというような事態をも招きかねないわけであります。農林省も審議会に諮る直前でございますし、いろいろ答弁にも問題があろうかと思いますけれども、これらの安定価格の決定のもう直前でございますから、基礎的な考え方について、ひとつ心配になります点を御質問を申し上げたいと思います。  大変素朴な意見でございますが、えて、農家はもう本当に素朴に物事を理解をいたしてまいりますから、これはぜひお考えを聞かしていただきたいと思いますが、私どももそう思うのですが、保証価格基準価格の基礎資料、基礎のとり方、これは大変どうも複雑に、私はあえて過ぎるというふうに実は思うのです。これはいろいろ不満が出てきますと、農家もわかりませんから、理解ができませんから、大変これに対して不満を持ち批判を持つということになります。これは、やっぱり農家が誇りを持って生産にいそしむということをこれも阻害をいたしてまいります。そういう意味で、価格決定方式はできるだけもう単純化の方向が好ましい。けれども、長い期間いろいろ農林省も積み上げてそれぞれの基礎があって今日の方式が生まれておるわけでありますから、一概にというわけにはいきませんけれども、私どもが検討いたしましても単純化される方法は幾つかある、こう思うのですが、まず一定の方式を確立をして、できるだけ単純化していくという考え方についてはいかがでございますか。
  44. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) お答えいたします。  三月末に決定をいたします畜産物の行政価格の算定方式につきましては、確かに先生御指摘のとおり、物によっていろいろな算定方式を採用しておりますが、大別いたしますと、牛肉と豚肉とは算定方式としてはほとんど違いはございませんで、基本的には同じ骨格の算定方式でございます。それに比べますと、加工原料乳の保証価格の方はやや趣を異にする算定方式をとっていることは、先生御指摘のとおりでございますけれども、しかしながら私ども考えますのに、実はこういう算定方式の違いが由来するものは、実は役人が好き勝手に考えていろいろな算定方式をとっておるということではなくて、肉なり乳なりのそれぞれの商品の特性あるいはそれぞれの商品の特性に適した価格支持の仕組み、そういうものに規定されて、やむを得ずこういう異なった算定方式をとっておるというのが実態であると、私どもはそう考えておりますので、価格支持のやり方にまでさかのぼってという話になればまた別かもしれませんが、少なくとも現在の価格支持制度を前提にする限りは、たとえば乳と肉の価格算定方式を同じようなものにするということは、ちょっと無理なのではないかというふうに考えております。
  45. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 御答弁の中にやむを得ずというような言葉がございましたけれども、どうも結果的にはやむを得ずではないように聞こえますんですが、以下、ひとつ考え方についてお伺いをいたしたいと思います。  原料乳の保証価格でございますが、この調査対象地域、言いかえますと資料をとる対象地域は四十一年からずっと変遷をいたしてきております。五十一年度以降は北海道と岩手県で調査をされたと。五十三年度はどういうふうに変えられますか。
  46. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) 加工原料乳の保証価格の算定の基礎になる生産費をどの範囲でとるかということは、これは加工原料乳の不足払い制度ができまして以来、ずっと主として加工原料乳の生産に依存しておる地域の生産費をもとにして計算をするということにいたしておりまして、そのメルクマールといたしましては、直近五年間の市乳化率の平均が五〇%未満であるということを尺度としてまいりました。この尺度を当てはめますと、五十三年度の保証価格につきましては、北海道の生産費をもとにして保証価格を算定するということになります。そうする予定でおります。
  47. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 北海道一道で調査を決めていくと、こういうことでございますが、確かに調べてみますと、農林省の資料によりますと、北海道の加工原料乳の認定数量につきましてはおおむね八五%ぐらい、もっとも大半を占めておられますから、一応御意見はわからぬわけではございません。けれども、その他の県も一五%実はあるわけであります。前回の委員会で、北海道の丸谷委員恐縮でありますが、ワイン検討会で、一県だけではこれは聞きずてならぬと、こういうようなお話でございまして、私もそれは理解ができるわけでございますが、やはり一五%の地域を切り捨てるということについては、これは一考も二考も要する問題であるというふうに私は考える。しかも、これは北海道だけの保証価格ではなくて、これは全国の酪農家の保証価格を決めるわけでありますから、ひとつ決定まで一五%切り捨てではなくて、また、いろいろ経済関係も違うところでありますから、比較的小規模の酪農家につきましても切り捨てというような批判、不満を与えませんように、最後までひとつ御検討を願いたいと期待をいたします。  次に、適用労働賃金のとり方でございますが、どうもこれも、私も理解ができませんし、まして農家も大変これは理解ができない。実は原料乳の生産費に占める労賃についても、これは五十年度の決定米価の労賃、それからこの原料乳の飼育家族労働賃、さらには自給飼料生産家族労賃、全く違うわけですね。同時にまた、これから決定をされます蚕繭価格の労賃につきましても、これは全く違うわけです。そうなのではないかというようなふうに、善意に、前向きに理解をして理解ができそうな気もいたしますけれども、やはりこの辺は単純明快にできないことはない。それぞれの内容によってその労賃のとり方が違う。絶えずこの数値も違ってくる。中では調整係数なんというのを掛けることもあります。この点に関するお考え方いかがですか。
  48. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) 実は加工原料乳の保証価格を算定する場合に、家畜の飼育管理の労働と飼料作物を生産する労働とで、確かに家族労働費の評価の方法を異にしておるわけでございますが、これは私どもが何か非常に小ざかしい論理をもてあそんで区別するようにお耳ざわりに聞こえておるのかもしれませんが、実は加工原料乳の保証価格の計算方法というのは、元来は統計情報部が生産費調査をなさるときの生産費のとり方を基本的には踏襲をするということでやってまいったわけでございますが、ただ飼育管理労働につきましては、その労働の終年拘束的な性格でございますとか、そういう特殊事情に着目をいたしまして、何とかその統計情報部がおやりになっている労賃評価のやり方よりも有利な労賃評価のやり方ができないかという御意見が非常に強うございましたので、そういうやり方を伝統的にとっておるということでございます。  それで、いきさつ的にはそういうことでございますが、私どもといたしましては、現在の保証価格の算定方式、その家族労働費の評価の問題も含めまして、現在の保証価格の算定方式のもとで酪農の再生産が順調に進んでおるというふうに考えておりますので、まあごく微細な点はともかくといたしまして、基本的には現在の保証価格の算定方式というのは踏襲していってしかるべきものではないかというふうに考えております。  それから調整係数のお話がございましたが、調整係数は、豚肉につきまして需給調整係数というのを用いておりますが、これは豚肉が牛肉の場合と異なりまして、必ずしも恒常的に不足分を輸入するという、そういう前提で価格算定を行っているというわけではないという事情によるものでありまして、ただ経緯的には先生御高承のとおり、豚肉の場合の調整係数というのは、決して生産者の皆さんに不利になるようなときに働かせたことはございませんので、その点は御心配に及ばないというふうに思っております。
  49. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 大変好意的にやっているんだというような御意見でございますけれども、さらにまた、順調に生乳の生産が行われているからいいんだということでありますけれども、理論的にどうもその点いろいろ論議を呼ぶところでございまして、まあ好意的ということがあながちいいのかどうかということにもこれは出てまいります。  特に私が指摘をいたしたい点は、飼育家族労賃、これは通例のものをとっておりますけれども、自給飼料生産家族労賃については、これは農村雇用賃金をとっております。これは私は、どうしてもここで分けることがおかしいと。ことに自給飼料でございますから、飼育労働投下の上にこれは自給生産の労働投下を行うわけです。あえて言うならば、これは付加労働的な要素を持っておりますし、一連のものでございます。自給飼料生産家族労賃が低きに抑えられていくということは、どうもそれで生産が十分順調に伸長しているからいいんだとか、大変好意的な労賃のとり方であるというふうにはこれは理解ができない。これはまあここまで来て審議会にかける直前でございますし、いろいろ農林省部内においても検討されてきておるところでありましょうし、やはりこれらは単純明快な方向で、もうこれ以上追及いたしませんが、さらに御検討をひとついただく一つの課題ではなかろうかというふうに思います。お願いをいたしておきます。  それから乳脂率の問題につきましても、どうも考え方の問題がいろいろございまして、私もどうも理解ができない。これは五十二年度の政府決定を例にとってみましても、一頭当たり搾乳量四千六百五十一キログラム、乳脂率は三・五五%でございます。これを基準乳脂量の三・二%で逆算をいたしまてまいりますと、乳量は五千百六十キログラムに相なるわけであります。そうすると、この生産費、生産コストというのに大変な影響をこれが与えてくるわけでございますけれども、この辺のお考えはいかがでございますか。
  50. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) 乳脂率の問題につきましては、これはざっくばらんにお話ししますと、別に何も三・二%でなければいかぬということはないわけでございまして、要するにある特定のパーセントにリンクして決めておかなければいかぬというだけのことでございます。それじゃ、いかなるパーセンテージを起算点としてとるのがいいかということでございますが、これは従来から生乳の取引におきましては慣行的に三・二%ということが取引慣行として定着をいたしておりますので、役所がことさら異を立てて別のパーセントを起算点にとるということもいかがなものかという、そういうことで三・二%というふうにしております。
  51. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 それでは希望意見を述べておきます。  実は補給金につきまして、三・二%を基準として〇・一%上がりますと一円の加算をされる。けれども、これを実際の数値からいたしてみますと、一円では生産費に対する影響、コストに対する影響はこれは補えません。したがって三・二%、これは結構でございます。まことに結構です。したがって、この加算につきまして検討をいただきたい。同時にあわせて、三・二%の基準率でありますからこれは当然のことですけれども一つにおいては三・二%で換算をした乳量に対して補給金を支給するとか、やはりこの二つをどのように、いわゆる生産者に不利にならないような、先ほど好意的なということもございましたけれども、これらを基準にひとつこれをぜひさらに検討をいただきたいと思います。希望をいたしておきます。
  52. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) 行き違いがあってはいけませんのでちょっとお断りをしておきたいと思いますが、実は私どもが定めております基準取引価格は三・二%を基準にして定めておりますけれども、実は基準取引価格というものの性格は、御高承のとおり、基準取引価格を下回る水準で取引が行われれば農林大臣は勧告をすることはございますけれども基準取引価格以上で取引される分には当方としては一切介入しない。それからまた脂肪率の格差につきましても、農林省としては生産者と乳業者との間の当事者間の契約で決められるということを期待して、私どもとしては脂肪率格差について特に役所が決めるということはいたしておりませんので、その点行き違いがあってはいけませんので確認をしておきます。
  53. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 いろいろ指導の面もございますから、さらにまた検討をひとつ願いたいと思います。  次に、豚肉の基準価格の計算方式でございますけれども、これは畜産農家の売買価格の平均をとっておられます。ですから、この面からいけば売買実勢方式というふうに言われるかもしれません。また逆に、需給実勢等もこれは加味をされる需給実勢方式だというのですが、どうもこの辺もうまく理解できない、もっと単純にできないのだろうかという気持ちがしますが、まあこれもいろいろ積み上げでございますが、ただその中で一点、上位価格を上回った額はカットをされておるわけですが、この理由についてお伺いします。時間もあれでございますから端的にひとつ。
  54. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) 上位価格を突破しております場合にいわゆる頭切りということを行っておりますが、これは元来、価格安定帯の制度から見てあってはいけないことが起こった、あってはいけないことが起こったときの価格を翌年度の行政価格の算定に反映するのはおかしい、そういう理由でございます。
  55. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 実は、あってはおかしいというのがあった方がいいんです、結果的に。実は私は、この畜安法第三条第四項に明確に、この安定価格は、原料乳、指定肉類については再生産を確保することを旨としてと、こういうふうにうたってございます。したがって、生産方式でおおむね農林省の数値をもととして計算をいたした数値と、それから売買価格実勢方式でカットされた分をカットしないでやってみますと、ちょうどほぼとんとんになってくるわけです。カットされた分だけ引き下がるわけなんです。何かが起こったんじゃなくて、結果的には大変おもしろい数値が出てくるわけでございます。けれども、これはさておきまして、やはり時間がございませんのでこれも希望を付しておきますが、需給実勢方式にしても売買実勢方式にいたしましても、やはり再生産が確保されなければ順調に生産というものは伸びていかないわけであります。ですから、特に売買価格実勢方式では、これは理論上からも、えて、再生産の確保からこれはもう外れる結果が出ることは否定ができません。そういう意味で、ぜひひとつ生産費というものを重視をしていろいろ価格につきましても検討をいただきたいし、過去五年間の平均というのは、私は激動期においても問題はあるし、経済の平静な場合においてはその必要がないし、やっぱりこの五年間というのも検討をさるべきではないかというふうに思いますので、これも希望をいたしておきます。  次に、豚肉の安定基準価格中心に上位、下位それぞれ一〇%差を持っております。牛肉の場合はこの差が一四%、これはどういう理由でこの一〇%と決めておるわけですか。
  56. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) 牛肉の場合の一四・一%というのは、過去の時系列データから計算をいたしました標準偏差によるものでございますが、豚肉の方は、昔はいま牛肉について申し上げたのと同様の考え方でやっておったのでございますけれども、途中から何となしにその安定帯の幅を定めろという御要請がございまして、何と申しますか、やや理屈に合わない数字になっておるという感じはいたしますが、まあそういうことでございます。
  57. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 何とはなしに、どうも私もそんなふうに理解しておるわけですが、実はこの問題はやっぱり何とはなしにでは済まされない問題を大変含んできております。特に昨今、そういうふうに私は思うんです。というのは、安定帯の上位を超えますと、当然輸入牛肉等の関税にこれは関連をいたしてまいります。したがって、この安定帯のあり方につきましては、輸入を正当づけるために故意に農林省がしておるのではないかという不満から、批判がこれは現に生まれつつございます。したがって、何とはなしにということで済まされない多くの問題を抱えております。特に輸入外圧等の多いときでございますので、これらの一〇%、一四・一%の安定帯の決め方につきましても、恐らく従来から来てそういう意味があるわけではないと私は理解をいたしておりますけれども、ひとつ十分畜産農家政府農林省を信じて生産にいそしめるように、これらにつきましてもさらに御検討をひとつちょうだいをいたしたいと思います。
  58. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) いまの問題で、ちょっと私がやや不謹慎な発言をしたために誤解を招いたかもしれませんが、上位一〇%が決まりましたのは現在の豚肉の関税減免制度ができるよりはるか前でございます。でございますから、関税減免制度を発動しやすくするために一〇%にしたというようなことは毛頭ございません。ありていに申し上げますと、畜産振興事業団にできるだけ早く買い出動をさせたいという生産者団体のたっての御要求がございましたので、パーセントを縮めたのでございます。
  59. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 私が申し上げているのは、当初から本質的に申し上げているように、大変どうも複雑な計算方式ですからなかなか理解ができない。そうすると、この方が早く生まれておるわけですけれども、いま外圧を受けておって、大変これは一〇%、一四・一%を理解ができないから、あえてそういう不満から批判が出ておる点もひとつ考慮に入れて、当面の問題として御検討をこれもいただきたいというふうに申し上げておるわけであります。  そこで私は、時間もいろいろでございますので、最後に流通体系の問題でございますけれども、これは肉類の流通体系に政治家がメスを入れるとどうも首が危ないとか命が危ないなんというようなことも、過去において言われてまいりました。今日はそんなことはないと思いますけれども、そういう形態なしといたしません。けれども、これはやはり政治、行政が勇気を持ってこの流通体系には取り組みませんと生産者には不満が出る、消費者にも高い物を買うという不満が出る。これはやっぱり大臣もしばしば言明をされておられますように、流通体系はこれは勇気を持って政治も行政もひとつ取り組んでいかなければならない大きな課題だというふうに考えております。これの一つの方向として生産団体直販方式がこれは各県において行われておりますし、政府もお考えのようでありますが、これらの助長につきましては、さらに意欲と勇気を持ってひとつこれはお願いをいたしておきます。  で、もとへ戻りますけれども、この融通制度で、特に極端なこれは農業保護政策のものでありますし、大変私どもは評価をいたしておりますが、申し上げましたように、一方においては別な要素で圧迫材料も大変ふえております。これは総理大臣も農林大臣も所信表明で表明をされておりますように、やっぱり畜産農家、酪農農家農業従事者が誇りと自信を持って生産にいそしめること、このことが大変重大でありますし、今回決められます基準価格その他につきましてもこれを大きく左右するものでございますから、どうか誇りが持てますようにそれぞれ検討をされて、万全の態勢でひとつ審議会にかけられますように期待を、お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  60. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  61. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 本日当委員会にかかっておりますこの臨時措置法、三月末で期限切れになるということで、それの延長と同時にあわせて果樹及び種豚、それからまた政令の方におきましても、枠の拡大というふうなことも一・五倍程度行うという趣旨説明もございまして、われわれもこのことにつきましては多年要望してきたことでもございますし、前向きに法律の改正案が出されたことに対しては高く評価をし、この点についての大臣以下関係部局の御努力、そういうものも評価いたしまして、この法案そのものには賛成をする立場で、ただし、この機会に二、三関連する問題について御質問をいたしたいと存ずる次第でございます。  大臣委員当時の中川言行録、特に委員会において発言された中で、酪農振興について欠けておるのは融資制度であると、したがってこれにメスを入れて、農地管理事業団については九十年くらいの償還期限でやったらどうだろうかという画期的な意見もあったのです。これは畜産ばかりではありませんが、わが国の農政はもう少し金融制席にメスを入れる必要がある、こういうことを、昭和四十年の四月の二十六日の委員会で委員として質問をなさっております。質問というか、最後にということですから、これは一番最後に結論としてこういうことをやったらどうだと。きょう出されてきましたこの改正案は、そういう中川委員が当時から持っております農業振興に対する金融制度に画期的なメスを入れるという路線に沿って、大臣になったので勇躍御提案なされたものと信じますが、そういうふうに理解してよろしいんでございましょうか。
  63. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 昭和四十年といいますと私が代議士になった翌々年、実質的には翌年ぐらいの時期だったと思います。当時、速記録にもあろうかと思いますが、金融について、当時の北海道の農務部長でございました安田貴六さん、いま代議士になり、休んでおりますけれども、その人に金融の話を聞いたところが、非常に複雑多岐でしかもめんどうなことが多過ぎる、やはりこれはもう少しわかりやすい農業金融というものをやって農民に対応しなければならないという気持ちを持ったのは、その当時確かでございます。現在もそういう気持ちで、その後政府部内ではありませんでしたが、総合金融制度という画期的な弾力的な制度もできたのも、そういった声が皆さんの共感を得たものだと高く評価をいたしておるわけでございます。この仕組みもだんだん融資枠等も大きくなり、かなり画期的なものになったと、こう思っております。そのほか全体的にもまだ整理統合して、よりよいものに、もう少しわかりやすいものに、しかも単純なものにしたいという気持ちはいまも持っておるところでございます。  今回のマル寒マル南資金当たりましても、融資枠が当時はたしか五十万円ぐらいではなかったかなあという感じを持っております。今日これが千何百万というところまでまいった、千四百万でございますか、北海道におきましては。特に酪農が中心でございますから、かなり伸びたなあという感じを持っております。この仕組みは、そういった総合資金のようなもので対処できないもっと低位にある、先ほど局長説明申し上げましたように、谷間にある方々を中庸まで持っていくという仕組みでございまして、これが金融のすべてではありませんが、谷間を救うのにはいい仕組みであり、効果もあり、最後の仕上げとしてあと五年間これを延長してやることが、非常に今日の北海道あるいは南九州の皆さんのために役立つことであろうと、こう思って、当初思っておった気持ちも加えながら、今度の改正に積極的に乗り出して御提案申し上げておるということでございます。  今後とも金融については、さらに一段とよりよいものに仕上げていきたいなあと、こう思っておることも申し添える次第でございます。
  64. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、そういう大変高道な理想を持っておられる大臣が就任したので、金融制度というふうなものはこの十年間に相当よくなっているかと思ったんですが、複雑なことにおいては依然として、これは土地基盤整備事業における資金制度の便覧だけでもこんなにあるんです。とても覚え切れるものではない。これが農業金融全体になると大変なんですよ。その中で三十年というのが一つあります。電気導入、これらはもうほとんど終わっちゃっているようなもんで、あとはせいぜい二十五年が手一ぱい、こういうことでは、長期のやはり農業の展望というふうなものには、依然として昭和四十年当時と制度的には変わってないんではないかという気がいたします。この点について大臣いかがですか。  当時とは確かに枠は、金額はふえました。しかし、金額はふえたといっても、これは物価の上昇もございますし、狂乱物価もございます。きょう御提案のマル寒資金などはその点では大変いい方に改正の前進を見ておりますが、農業金融全体から見ますと、まだまだ大臣が当時考えられたようなところとはほど遠いというのが現況だと思いますが、これらひとつ積極的に、複雑な現在の農業金融をもう少しわかりやすいものにすると同時に、何といっても三十年で三十回しか勝負できない農業でございますので、御承知のように他の業界と違う非常にサイクルが長い業種でございますので、これらの各種の融資制度、もう三年とか五年とかというのはたくさんでございます。こういうのをひとつ取りまとめて、もう少しわかりやすく単純なものに変えていくというお考えがあるかどうか、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。
  65. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) ただいま、公庫資金の償還期間につきまして二十五年というのが短過ぎると、こういう御趣旨のようでございますけれども、現在公庫資金の平均償還期間というものを実績でとりますと、四十九年度には十六・八年、五十年度十六・六年、五十一年度十四・九年というようなことになっておりまして、現在の二十五年という償還期間は必ずしもそう短いものではないというふうに考えておるわけでございます。
  66. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 確かに農業金融は複雑でございますし、けさも皆さんと相談してもう少し簡単なものにならないのかなと——整理をいたしますと、そうむずかしくはないようなんです。言ってみれば、三分五厘の資金というような非常に安いものを中心にして、これは土地取得という、これは諸外国でも、ヨーロッパなどでも土地取得資金というのは非常に安い優遇された措置になっております。それから土地改良資金というようなもの。その次には五分資金というので個別経営改善マル寒マル南総合資金というようなもの。それから六分五厘の補助残というようなもの、あるいは中小企業に近い共同利用近代化資金というふうなものが七分五厘ということになっておりまして、よくよく見てみるとそう複雑にはなっておらないようでございますけれども、何とかこれはもう少しだれが見てもわかりやすい仕組みというものに少し工夫をしてみたいなという気持ちは十分持っております。  これは、党においてもそういった声が非常に強うございますので、長い間にできた仕組みでございますから急にはなかなか大変ではございますけれども、長期的に工夫をしてみたいという気持ちを持っておることを申し添える次第でございます。
  67. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いま審議官は、二十五年でだんだんよくなってきたというふうなこと、それは事故的にはそうでございましょうけれども、私がいま大臣に質問しているのは、大臣自身が少なくとも九十年くらいの償還期限のものをやりたいなと言っているんで、審議官に質問しているのじゃないんです、これは。こういう中川言行録に対して、これは委員会で言っているのですから、あなたがいま二十五年、だんだん長くなったと、そういうものと次元が違うんです、いま私の質問しているのは。そういう点について、勇気を持って政治的に大臣ががんばるという、ひとつ決意のほどをお聞きいたしたいと思います。
  68. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 当時九十年と言ったことは確かでしょう、速記録にも載っておることでございますから。ただ九十年と言いますと、親子三代ぐらいかかるのじゃないかなという感じもいたします。そこで、まあ九十年は気持ちであって、やはり長い方がようございますし、単純化されたことがいいことでございますから、九十年はいざ知らず、金融についてはもっとわかりやすく、しかも条件のいいものに改めていきたいという気持ちは変わっておりません。
  69. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、大変制度としてもわかりやすくなってきたというお話でございます。実はマル寒のこの関係について、私、一つ実例を持っているんです、ここに。貸付適格認定申請書というのがございます。これは北海道の中川郡池田町の友重さんという方が出した申請書です。これは私の隣組でございまして、私が農協の保証人をいつもやっておりますので、こういうことの貸し付けの条件のときによく相談にあずかるんです。このとき大変非常にむずかしい、こんなむずかしいものをとてもこれは友重さんには書けないので、われわれも知恵をしぼって営農計画というふうなものを実は書き上げました。しかし、結局それは作文です。こういう作文がずっと重なってきたやつを、御丁寧にたくさんの人が判こを押して、貸し付けが決定するまでにはややしばらく時間がかかるんですがね。  これは担当の方にお聞きしたいのですけれども、いままでこういう資金計画が出て、営農計画がそのように進んでいるというふうな実例があったら、ひとつ教えていただきたいんです。われわれの知る範囲では、大体つくるときからこんなふうには無理だと思いながら出している申請書が多いので、ところが実際に担当の方では、いや、なるほどこの資金を貸して計画どおりにうまくいったというふうな実例がございましたら、そういうのをお知らせしていただいて、これからのひとつ研究にさせていただきたいと思います。
  70. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 一つは、効果の問題ということとの関係があるのじゃないかと思うわけでありますが、もう一つは、資金借り入れ手続がいま御指摘のありましたように非常に繁雑ではないかという御指摘もあるいはおありだろうと思うわけであります。後者の借り入れ手続が繁雑ではないかという御議論については、特に私どもそういう議論は聞いておりません。聞いておりませんが、しかし審査の合理化だとか、あるいは申請書の様式等の簡素化については、これは従来も努力はしておりますが、できるだけこれは大臣の御趣旨にもありましたし、簡素化のための努力はしていきたいと思っております。  ただ、この営農計画をいろいろ詳しく詳細に立てるということでございますが、これは御存じのとおり、単に金を貸すということだけが目的ではございませんで、実は金を貸すというような手続と並行して、むしろ営農指導員あるいは改良普及員というものがそういった農家というものを発掘して、そうして農家を拾い上げて指導しながらそれへ金を貸す。金を貸した後もそこで切れるということではなしに、その後の営農についてアフターケアをするというところに、事前事後にわたる営農指導というところにむしろ制度の大きな意味がある、半分はあるというふうに私ども理解しております。そういう意味で、営農計画をきちっと作成する、それを達成するというところにいろいろ努力が、精力が注がれているということは事実であります。これはそういう詳しい営農計画でありますから、個々の農家の方々には手に負えないという場面もあるいはあろうかと思います。そういう場合にはやはり改良普及員、営農指導員が実際は計画作成の段階において、手取り足取りしたかっこうでいろいろ指導するというようなことはこれは必要じゃないかと、かように思っておるわけであります。  それから効果、営農面がうまくいっているかどうか、計画がうまくいっているかどうか、こういったことでございますが、目標達成農家というものを見ますと、かなり農家において営農類型ごとにこれは目標をつくって、それを達成するための御努力をお願いしているわけでありますけれども、その達成状況は必ずしも悪くはない。北海道の例をとってみますと、四十三年から四十五年にこの資金借り入れ農家がちょうど五年ないし十年にその目標達成期限が到来するということでありますから、五十年時点でそれをレビューして判断してみたわけでありますが、これは道の調査であります。道の調査でありますが、酪農それから畑地帯、畑と酪農を両方やる人、あるいは肉牛、いろいろ営農類型を立て目標を設計しているわけでありますが、そういった目標について達成した農家戸数の割合を見ますと、全体割合で北海道の場合には九三・二%、こういったことになっておりますので、決して目標達成状況は悪くはない、かように思っております。
  71. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それは悪くない、九〇何%という達成率だというのですが、計画書に対してそういう達成率になっていますか。たとえば町村ごととって見ましても、確かにこの計画ですと何年度までにちゃんと借金なくなることになっている計画なんです、ほとんどが。しかし、実際にこれらのマル寒資金をいままで借りた農家が、この計画書のように、牛はふえたかもしれません、あるいは施設はやったでしょう、トラクターを入れたでしょう。しかし、そういう点では計画どおりにいっているかしらぬけれども、これには償還計画が一緒についているんです、こういうふうに償還していきますというやつが。大体十年なら十年でどういうふうに、これは必ずしもマル寒資金だけではなくて、この計画を出すときには農機具の購入のほかに、自作農資金であるとか天災資金だとか、全部をこういうふうに返して、何年度には借金がなくなりますというふうな計画なんです。トラクターが入り牛は入ったかもしれませんが、この計画どおりに借金が本当になくなっていますか、九〇何%も。こういう計画を出しているんですよ。
  72. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 個別の農家の例をとってみますれば、その個別農家が何年か先に達成すべき経営内容というものと現実の到達した経営内容というものには当然いろいろ差があるということは、これはあり得ると思うのです。全部が全部描いた設計どおりになったということになるのは、逆にある意味においては不自然なことかもしれません。ただ私が申し上げましたのは、各経営類型別に到達すべき所得水準だとか、あるいは経営規模だとかというものを設定しているわけです。それが何年か先に到達した戸数が大体こういうことになっているということで、おおむね所期の目的達成しているというふうに評価していいのではないかということを申し上げたわけであります。  それから、借金がかなりあるということも御指摘になりました。それは、確かに北海道農業の場合には一つの問題点であります。これは酪農にいたしましても、あるいはその他の畑作経営にいたしましても、かなりの設備投資を機械なりあるいは畜舎なりあるいは家畜なり土地基盤なりというかっこうで投資しておりますから、これは債務というものがふえてきているということは、これは事実だろうと思います。これは否定申し上げません。ただ、債務がふえたということだからといって、経営内容がプアになったということでは決してございませんで、それに見合う資産というものが当然あるわけでありますから、それとの関係経営内容がどうなっているかということをやっぱり判断する必要がある。  ただ、一般論から言いますれば、非常に経営規模拡大した農家がそれだけのかなりの資本投下をした、それをフルに回転し切っているかどうかという点については、いろいろやっぱり問題があり反省をしなきゃならない点があるということは事実だろうと思います。
  73. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっとかみ合わないんですが、農林当局の方では計画どおりうまくいっていると、私たちは現場からの報告によると計画どおりにいっていない。これはここで水かけ論でございますが、いずれまた改めてこの問題は、ひとつ双方の資料を突き合わせてやらせていただきたい。農林省に上がってきているこのマル寒資金計画のように、帳じりがきちんと合う農家なんというのはほとんどないんですよ。あなた、いまそこで何ぼうまくいくっていると、うまくいっているったって、それは報告を受けているということでしょう。うまくいっているかいっていないかということは、あなたが足で農村に入って農家の人に聞いたわけじゃないですわね。そういう報告を受けているということなので、これはもう水かけ論になります。  それから、この場合は私がいろいろ保証しているので、具体的な数字を出しても差し支えないと思うんです。一般的な貸し付けの問題と違いますので、私自身が相談にあずかっているんですが、このときはトラクターを入れるのに実はマル寒資金を借りたと。トラクターがファーガソンで二百四十万なんです、五十二年の十月現在で。もう相当に価格差益とかいろんなものが出てきているし円高になってきている、それからそういういろんなことからかみ合わして、どうもトラクターの値段が高いのでないかというふうな実は私感じを受けるんです。正確な——ファーガソンじゃなくてフォードです。フォードFの三六〇〇、一体これがアメリカから入ってくるときの横浜の港着の値段というのは幾らぐらいなんです。
  74. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) ただいま突然の御質問でございますので……
  75. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 関税込みで。
  76. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 後でまた調査して御報告いたします。
  77. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この点については質問を留保さしていただきます、どうも少し高いんじゃないかというふうに私は感じますので。  それで、ただこれを例として私持ち出したのは、この農業は牛も何も飼ってないんです。で、きわめて負債が少ないんです。面積は九ヘクタールで牛も飼ってないので、ほとんどこの現況の中で借金らしい借金というのは幾らもございません。そうして所得は北海道の平均よりやや少ないですが、二百万程度なんです。今度初めてこのトラクターを入れるわけなんですが、これは九ヘクタールでトラクターを入れさせるということにも、いろいろ各経由機関がたくさんありますが、これも私問題があるだろうというふうに思いますが、それにしても、牛を飼ってないからまだこれはこういう状態なんです。しかし、マル寒資金の大半というのは、酪農家なり肉用雄子牛を扱っているところの方が多いわけです。しかし、そういうところで、いまあなたうまくいっているとおっしゃいましたけど、実際には全然そんなにうまくはいってないんです。  たとえば、大臣のお隣の村の大樹町、ここの肉牛生産組合、二十戸くらいでやっておりますが、ここの陳情をこの間受けました。相談も受けました。二月平均二千万の借金をしています。もちろんいろんな資金を借りているんです、マル寒も。それから中春別、ここでは中春別農協の酪農家、平均乳牛が五十三頭で、しかもそのうち搾乳牛が大体三十五頭以上、平均乳量は五千キロといいますから、まあよくがんばっている方です、農家としてですね。非常に搾乳量も平均よりも多い。こういう酪農地帯は平均の借金が三千百五十万もある。そうして年々大体百八十万ないし二百万ずつ借金がふえていく。これは確かにマル寒だけ見ていくと減っていくことになりますけれど、プロパーな金だとか組勘だとか、いろんなことの借金が今度ふえていくわけなんです。これで局長、うまくいっているというふうにそれでもおっしゃいますか、そういう実態で。
  78. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) これはマル寒だけの問題ではございませんで、北海道の大規模経営、ことに酪農経営が多いわけでありますが、そういった経営における負債の存在をどう評価するかと、かなり大きくなるということであろうと思います。  平均的に見まして、北海道で借入金の状況を見ますと、四十六年と五十一年の間にどういう推移をしているかと見ますと、これは平均でありますから、もちろんこれより大きいものもありますし小さいのもあるわけでありますが、いわゆる買掛金、未払い金を含まないものが一農家当たり四十六年で百八十二万あった。それが五十一年には四百六十万ぐらい、約二・五倍ぐらいになっている、こういった実績があるわけであります。これは平均でありますから、ことに経営規模が大きいところ、それから酪農家というようなところは、これよりはるかに負債の額が大きいということは事実だろうと思うわけであります。  ただ、負債の額が大きいということによって、直ちに経営がうまくいっていないとかいうような断定をするのは、私はちょっと問題があるのじゃないか。やはりその経営規模を拡大する過程において、あるいは自己の経営を体質改善する過程で、借入金によって農業投資を行っているという場合が多いわけであります。多いのですけれども、そういった農家は、農業経営が順調に回っているという限りは、投資に見合う収益があってそれを償還しているということで問題がないと、かように考えているわけであります。  ですから、先ほども御答弁いたしましたように、酪農家なんかの場合には経営規模を拡大する過程において、やはり畜舎だとか、あるいはサイロだとか、草地基盤の問題だとか、あるいは家畜を導入すると、そういったことに伴うやはり資本が固定化すると、結果として債務がふえているというようなことはこれはよくあるということで、そのこと自身私は経営がうまく回っていないということにはならないのじゃないか。ただ、それが災害だとか、あるいは経営がどうもうまく回らないで回り方が鈍くなったというときに、その経営に債務の圧力が加わっているということは事実でありますけれども、単に債務があるということだけで、それはむしろ反対の資産があるわけでありますから、そのこと自身で経営の悪化を指摘するのは、必ずしも私は当を得てないというふうに思います。
  79. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  80. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。    午後一時四十六分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会
  81. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  82. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ただいまの局長の答弁を聞いていますと、営農形態がそれぞれ違うんで借金がふえているから必ずしもうまくいってないとは言えないと。確かにそういう面はあると思います。これは財産がどんどんふえていって借金がふえた場合にはいいんですが、しかし、この中春別や大樹の状態というのは、財産がふえて借金がふえているのじゃないんです。いいですか。一定の設備投資をした、この段階では国の指導に基づいて、多頭飼育という方針に基づいてやっておるわけなんです。そうして、その結果一定の負債と一定の財産ができた。それから負債がふえ始めているという現状なんです。そういう場合があっても当然だということになりますか。
  83. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 北海道の畑作農家、酪農家中心とした経営規模拡大の過程においていろいろな投資をした、そのために負債がふえた。それが経営規模拡大の過程でありますから資本が十分に回転し切ってない、そういう意味で収益が十分に上がり切っていない。そのために債務が経営圧迫要因になる。それから、あるいは災害等そういった思わざる事故によって経営がうまくいかなくなるというために経営の圧迫要因になっているということは、これは間々あるし、それは一つの私ども北海道農業の大きな問題点だというふうに認識しております。決して北海道農業が債務の問題はないということを申し上げているわけじゃないので、大いにそれはあるというふうに私どもは認識しております。
  84. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あなた、最初九十何%はうまくいっていると言ったじゃないですか。そう思っているんですか、本当に。
  85. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 先ほど私が戸数で比率を出しましたのは、各営農類型を立てる、目標を立てるわけであります。その場合の所得水準がどうだとか、到達すべき経営規模はどのぐらいになるだろうか、耕地面積とか、頭数とか、そういったものを立てて、それへの接近を試みるために金を借りるわけであります。そういった目標達成した農家の割合が九三%ということを、道庁の調べでありますが、そう聞いておるということをお答えしたわけであります。  ただ、現実の問題として、これはマル寒資金を借りた農家だけではなくて、むしろ債務が大きいというのはマル寒農家よりも——マル寒資金というのは、むしろ中庸より下のところの農家を中くらいのところへ引き上げると、こういう目的を持った制度資金でありますから、むしろそれより上の、中庸以上の経営規模拡大をしている農家の方に債務というものは大きく累積しているという実態があるのじゃないかというふうに思っているわけであります。
  86. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あなた、やっぱり実態を知らないんですよ。大体自創資金マル寒資金、天災融資と、農家はいろんなのをほとんどみんな借りているんですよ、大体においてこういうふうな負債の多い農家というのは。そういう実態をもう少しよく調べてください。そうすればいまのような答弁にならないと思うんです。非常に深刻な負債の重圧にあえぎつつあるというのが、現在の特に北海道における酪農の実態です。牛を飼ってない、余り設備投資をしていないところは、ただいま私が例に挙げましたように余り大した負債なくやっている。大臣、それで、こういうふうに莫大な負債を抱えている農家が特に酪農関係に多い。それを局長はいま、設備投資や財産、土地取得というふうなことでふえた負債ならやむを得ない。それはもちろんそうでしょう。しかし実態は、それ以上にどんどんとむしろ負債がふえていく原因が金利の重圧になっているというのが実態です。これらをこのままにしておいていいのかというのが一点。  それからもう一つ、ちょうどいま乳価の季節です。こういう実態を踏まえて、限度数量の問題や乳価の問題を大臣として勇断を持ってやっていただかないと大変なことになる。これらの点についての御所見を伺いたいと思います。
  87. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 北海道農業、わけても酪農家が負債の重圧で苦しんでいるという実態は、私も認識をいたしております。その基本をなすものは何といっても建設段階である。先ほど局長が言いましたように、施設資金等が主なものではありますが、それだけであるかというと、それだけではない。やはり運転資金等もあるいは借りかえ資金等でかなり高い金利の系統資金があるということに着目をいたしまして、数年来、私は負債整理というものをやらなければ北海道の酪農家はよくならぬと主張いたしまして、乳価決定のたびに、乳価もさることながら借金の電圧は大変ではないか、借金の実態を持ってきなさいと言ったのですが、なかなか持ってこない。なぜ持ってこないのかと聞いたら、農協の人が来て、いや農家はやはり利口ですからそんな借金はありません、という話が農協の責任者からございました。ところが、農家の人が怒って、そんなばかなことがあるかという対立になりまして、聞いてみたところが、これを整理されたのでは農協の金利収入がなくなるというので、農協の人が負債はないというようなことを言ったとか言わないとかというような実態があるぐらいの経緯を経まして、二度にわたって負債整理をいたしたわけでございます。  特に昨年でございましたか、まず北海道の酪農経営で——今年度でございましたか、昨年の乳価決定のときに決めまして、全体の枠約一千億、これは肉その他も含めておりますけれども、系統資金の金利の高いものについてはこの際一切整理しようではないかと、実態調査をいたしまして対処いたし、いま酪農家を初めとして、あの負債整理は非常に助かったと喜ばれておると思っております。しかし、また今後出てきたり、あるいは将来またいろんな事情で出てくるようなことがありますれば、そういった措置は講じて、少なくとも金利の下敷きで農家の皆さんが苦しむということには万全を期してまいりたいと、こう思っておるわけでございます。  なお、それに関連をいたしまして、乳価並びに限度数量をどう取り扱うかというお尋ねでございますが、乳価につきましてはしかるべき計算方法もございますし、審議会等もございますので、各方面の皆さんの意見を聞きながら再生産を確保するという法律の趣旨に基づいて適正な価格を決定いたしたい、こう思います。限度数量につきましては、昨年もかなりオーバーをいたしまして、限度数量の改定はできませんでしたが、これに準じた措置ということで措置を講じました。ことしもできるだけのことはしたいと思いますが、昨年よりはまた事情が、脱脂粉乳を事業団が買い上げると——生乳にして九万トンから現実過剰ぎみであるというむずかしい問題もありますが、できるだけのことはしたい、財政当局その他とも関係がありますので、できるだけのことはしたいと申し上げる程度でございますが、いまこれは全部どうするという段階にはまだございません。今後また皆さんの御意見を聞きながら最終案を得たいと、こう思う次第でございます。
  88. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 融資関係については、大臣から前向きにそういう実態をさらに調べて考慮するということでございますが、ぜひひとつそれらはもう少し実態を踏まえてやっていただきたいと。なお、設備その他に多額の投資をかけたと言っておりますが、たとえば大樹の平均二千万、何にも設備なんかにかけてないでできた借金なんですよ。肉牛の値段が下がって、一遍あれ整理資金で出たけれども、またふえてきているんです。ですから、そういう実態を、ただ単に設備投資をしたからふえたんだというふうな短絡的なことでとらえると大変なことになりますので、その点はひとつ十分注意をしていただきたいと思う次第でございます。  それから、ただいま限度数量の問題についても、昨年も何らかの措置をとったし、ことしも大臣としてもできるだけのことをしたいと思って心配していると、こういうことでございますが、実はいま粉乳の問題が出ましたが、五十二年の大蔵省の関税局の発表によりますと、五十二年の一月から十二月です。学校給食用の脱脂粉乳が、ただいま大臣の言われた額と同じくらい生乳換算で九万三千六百二十二トンも入ってきているんです。まだ学校給食にこんな粉乳を使わなきゃならないんですか。これ一体どうなんです。事業団で買ったと言いますけれども、何にも買わないでもそれを回せば、これはこれだけ輸入しなくたって済むんじゃないですか。もう学校給食なんていうものに粉乳を使う時代じゃないと思うんですが、まだこういうことが行われているんですか。
  89. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) お答えいたします。  飲用向け、要するに学童に飲ませるものにつきましては、ごく極端な離島のようなところを除きまして生乳に切りかえが完了しております。いま丸谷先生御指摘のございました学校給食用の脱脂粉乳が輸入をされておるというのは、学校給食のパンに添加をいたします脱脂粉乳あるいは調理用に利用する脱脂粉乳が輸入をされておるわけでございます。それで、これに国産の脱脂粉乳を充当すれば一遍にけりがつくではないかという御指摘でございますが、学校給食会の方は、父兄の負担を軽減するためにできるだけ安いものがほしいということでございまして、国産の脱脂粉乳につきましては、御高承のとおり、安定指標価格基準としてその近傍で取引をされておると、そういう実態でございますので、まあ安いものをほしいということでやむを得ず輸入をしておるということでございます。
  90. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣輸入貿易管理令という法律があります。この第三条の第二項で、外国から入れるいろいろなそういう製品については主務大臣の同意を必要とする条項があるんです。乳製品はこれには該当しないんですか。
  91. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) ちょっと条文はいま私手元に持っておりませんのであれでございますが、学校給食用の脱脂粉乳の輸入につきましては農林省も協議を受けております。
  92. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、この管理令によりますと、主務大臣といえば農林大臣ですね。農林大臣が同意をしなければ入ってこないことになっておるんです。片一方でそれだけ余ったのを畜産事業団に買わせたと、こう言って、そんなことしないだって、これ同意しないと一言言えばそれで済むじゃないですか。限度数量の問題も約半分はこれで解決するでしょう。決断、大臣できませんか。
  93. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) そういうことをやってやれないことはないと思いますが、余りにも国内の値段と外国からの値段が違いまして、これに対して父兄や消費者の皆さんがどういった反応を示すかということも考えなければならないところでございます。  まさにこれも理解と協力で、父兄の皆さんがいや高くても結構ですと、やっぱり国産品を理解してあげましょうと、こういう合意が得られれば結構でありますが、いままで安い物で、これは相当値段の開きがあるだろうと思いますが、数字はどれぐらい開くか、後で事務当局から御説明させますが、かなりの開きがございます。こういったことに、文部省を通じ、父兄その他が御理解いただくならば早速やりたいと思いますが、これからまた研究はしてみますけれども、いままでの大臣が踏み切れないで来たのは、あるいは農林省が踏み切れなかったのは、まさに消費者であります父兄、特に学校へ通っておられる子供を持つ親というのは、血の出るような苦労をしながら学校に通わしておるわけですから、今度は高い物になりましたということで御納得がいくならばぜひやりたいと思いますし、納得がいけるかどうか、これはひとつ私も工夫をしてみたいと存じます。
  94. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 必ずしも消費者に高くしない方法があるのじゃないですか。畜産事業団が原資で九万トン抱いているというんでしょう。それの原資、畜産事業団にあるんでしょう。これらの活用は大臣の権限でできるんじゃないですか。畜産事業団が抱いているんですから、金あるんでしょう。
  95. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) でありますから、それに莫大な財政負担をして、そして安売りすればできないことはありませんけれども、抱きます理由は、いずれ市況が——市況といいますか、需給のバランスがよくなったときに放出するという仕組みであって、これを安売りするために事業団が抱えているものではない。仕組みがそういうことでできておりません。
  96. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 その仕組みは、大臣が決意すれば変えることはできるんじゃないですか。  それから、実はそれに関連してこの不足払いの方式ができて、限度数量の問題で大臣はこういうことを発言されておるんです。「加工原料乳として使われる限りは、買い上げにならないような事態が生ずることはないという話でございましたので、まず安心しておるわけですが、もう一回その点確認をしておきたいと存じます。」、これも四十年の四月の農林水産委員会において中川農林水産委員が不足払い問題について、限度数量がもしも将来多くなって買い上げにならなかったときどうだという質問に対する桧垣政府委員の答弁を聞いて、中川委員はこういうふうに申されました。ただ、ここはちょっと微妙なところがあります。というのは、さらにそうした再質問に対して桧垣政府委員は、「非常に微妙なところでございますが、微妙なという意味は、限度数量を定めますが、それはないのと同じであるというわけにはまいらぬ」と、大変微妙な答弁をしております。  しかし、当時はどちらかというと、生産を刺激して限度数量が努力目標だというふうな形の中で論議が展開されております。そのことは私はこれを読んで率直に認めますが、しかし中川大臣のこのときの質問の意図は、むしろ将来余ったときを予見して心配した質問をされております。そしてそういう場合も買ってくれるんだろうなと、そういうことで安心して答弁を終わるということで終わっておりますんですが、当時そういうことを予見されて余った場合どうするんだと、余った場合もこの制度からいって当然買うんだろうというふうに強く主張されていた大臣が、現在その立場に立ったんですから、よもや限度数量の問題を、たとえば粉乳、外国の安いのが入ってきたら、消費者が云々というようなこととすりかえて、国内の牛乳生産農家が困るようなそういうことをすることは万々あるまいと信じますけれども、御所見をひとつ伺いたいと思ます。
  97. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 確かにこの不足払い法案ができますときに私が質問に立って、限度数量を決めるとそれをオーバーした場合はどうなるのですかという質問をいたしました。当時の情勢はまだまだ増産をしなきゃならぬと、そして市乳地帯にも近づけるようなしっかりした酪農家をつくらなければいかぬというときでございましたから、設定した限度数量よりオーバーすることもあり得ると、その場合はどうなるのかということの質問でございました。それに対してまあまああの当時は、一応数字は決めるけれども対処したいなあという答弁であったろうと存じます。しかるがゆえに、私はここ数年来、限度数量をオーバーしてもこれは何とか不足払いと同じ仕組みで農家に支払われるようにと、私は政治家として努力をしてきたつもりであり、実現もしてきたと存じます。  ただ、ことしの事情が違いますのは、限度数量が単にオーバーしただけじゃなくて、九万トンというものを政府が買わなければならない、全体として需要を上回るという異常な事態にまで達しても、その当時限度数量をオーバーするしないという議論はしてなかったのではないかと、その事態に対しては新たなまた考え方を持つべきである。ちょうど食管も同じでございまして、米がないときにつくった仕組みでございますから、これも予約限度数量というのをお渡ししてうまくやっておったのですが、最近は予約限度数量をオーバーした米は一体どうなるのかと、ちょうど不足払いと同じ仕組みがございます。この場合でも、政府が必要とする米以外は買い上げないということで決めております。食管というものは必要な米を対象とするものであると。限度数量も同じように、必要とするものを対象とするという思想でやっぱり一貫しなければならないのではないかと。特に生産調整をやってなおかつ過剰になった場合でもと、いわゆる限度数量というものは米でも守っておりますし、やはり必要なものを対象とする限度数量というのは、それだけの意味があるものだろうと存じます。  しかし、ただ理屈だけではなくして、せっかくできた牛乳オーバー分についても何とかこれに準ずる措置を講じたいという気持ちは持っておりますが、理屈で言えばそういうことになる。必ずしもやらなきゃならぬというものではない。当時は、国内の必要なものが全体として非常に低いところにあったと。そこでオーバーした分はどうなるかと。これは何とか考えなけりゃならぬでしょうということでしたが、すでに国では、必要とするものをオーバーした分も何でもいいから全部買うのだという理屈には相ならないのではないかと、こう思います。理屈と実態とその辺をどう調和するかが、これは政治の場であろうと、こう思う次第でございます。
  98. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いま大変大臣は重要な御答弁をなさっておるのでございますが、確かに米の場合も国内の消費の減退、生産のオーバーというふうな問題、生産調整に入っておりますし、そうすると、牛乳の場合も限度数量をオーバーしたものを必ずしも買わなければならないという法的な責任はないと。しかし、どんどんと牛乳をふやせというふうに指導奨励してきた政府が、それじゃいまこれから生産調整をまた米のようにやるんですか。  いまの御答弁聞いていると、いかにもそのように聞こえますが、まさかそんなことないだろうと思うのです。つくらしておいてわれわれ責任ないんだ、しかも加工原料乳というのは一定のところに売らなきゃならないように法的に決めているんでしょう。その場合でなかったら補償の、不足払いの対象になりませんわね。そうしておいてできたやつを、ふえた分必ずしもわれわれがそれに対して責任を負わなきゃならないということはないんだということになれば、それじゃ牛乳生産はもっと国内で減らせということになるんじゃないですか。一方では、しかも外国から粉乳をまだ買っている、同じくらいのものを。しかも、畜産事業団の金でそれを抱いている。これくらいの操作が、政治的な責任においてできないんですか。
  99. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) お答えいたします。  まず、政府が増産を指導しておったにもかかわらずというお話でございますが、現在の生乳生産の水準は、五十二年度で約五百七十万トン強でございますが、これは私どもが定めました第三次酪農近代化基本方針が想定しております速度よりも相当速い速度で増産が行われておるわけでありまして、私どもが第三次酪農近代化基本方針で申し上げていた水準よりは相当上をいっているということを、まず御理解をいただきたいと思います。  それで、第二点でございますが、私どもといたしましては、不足払いの対象にするためには、指定生産者団体を通じて生乳を販売していただかなければいけないというシステムにいたしておりますが、指定生乳生産者団体がどこへ売るかということにつきましては私どもは決して介入はしておらないわけでありまして、私どもとしては、それを加工原料乳に回すようにということを慫慂するということは決してやっておりません。むしろ、できるだけ飲用向けの方に優先的に充当をしていただきたい、まあどうしても飲み切れなくて加工に回ったものについて不足払いで処理をするという、そういうことにいたしておりますので、加工原料乳の方へ仕向けるように役所がやっておきながらという、その点はちょっと私どもの考えておりますところと相違いたしますので、お答えをさしていただきます。
  100. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういたしますと、生乳としてはどこへどのように売ることについても差し支えないということでございますね。ちょっと声が大きくなりましたが、どうも少し大きな声で言わないと、またそっちがいなくなるもんですからあしからず。
  101. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) 指定生産者団体を通じてということでございまして、それ以上特段のことは私どもは申しておりません。それで、差し出がましいことは申しておりませんが、できるだけ飲用に優先的に回していただきたいというふうには申し上げております。
  102. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 非常に問題の多い限度数量あるいは乳価の価格をいま控えております。大変前向きのマル寒資金の限度を広げていただいて、勇躍してこれからさらに酪農を広げようということに水を差すようなことのないように、ひとつ政治的にこれらの問題についても限度数量その他やってやれないことはないと。大変むずかしいとは言いましたけれども、現行の制度の中で、あるいは畜産事業団その他の原資の中でも必ずしも予算的な措置をとれないはずもないと思いますので、これらについては早急に酪農民が安心するように、ひとつお手配のほどを大臣にお願いいたす次第でございます。御所見をひとつ最後に。
  103. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 酪農は、北海道の何といいますか、奨励といいますか、適した作目でございますのでこれは伸ばしたい、こういう気持ちでございます。  ただ、いま佐野議官からもお話申し上げたように、ここ一、二年でございますが、生産の伸びが非常に第三次酪近よりもふえておるということでございますので、今後一体これがどういう方向になっていくのか、もしこのような傾向、目的よりはどんどんふえていくというようなことになれば、将来米と同じような苦しみを、これは政府がということじゃなくて、農民みずからが負わなければならないのではないかと、こういう点で過剰生産にならないような仕組みというものも一方ではやっていかなきゃいかぬ。やはり消費が拡大されませんと過剰生産にもなってまいりますから、市乳がたくさん消化されるように、それにはまたそれなりの努力もしなければなりませんし、そういった消費の拡大、それから農業経営の安定、ただ価格にだけ頼って、そして新たに生産しようという人がどんどん加わって、従来やっておりましたまじめな人にまでも、先ほどちょっと出ましたように、生産調整をしなければならないような事態を迎えないように——ECあたりではすでに牛一頭殺した人には十万円差し上げるというような仕組みも、ここ十年ほど前、私ヨーロッパへ行ったときにございます。ああいった苦しみが酪農家に来ないように、価格なり、あるいは酪農政策というものを総合的ににらみながら長期的に安定したものに持っていきたい、こういう考え方のもとに、乳価なり限度数量に対処してまいりたいと、こう思う次第でございます。
  104. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、いまECの話も出ましたけれど、あの当時のECは、牛肉はECの域内で足りないけれど牛乳はうんと余ると、こういう状態だったんです。いまの日本の国内と違うんですよ。牛肉も足りないし、牛乳だって、乳製品を外からどんどん買わなければ、決して国内だけでもって需給調整できているわけでないんですから、乳製品もほかにどんどん、いまの粉乳だけではなくてたくさん買っております。これ、全部細かくありますけれど、一々申し上げません。しかし、相当膨大な数量をまだ輸入しているんですから、ECのあのときとは全く違うんです。そのことをひとつ大臣よく認識してください。当時、私もヨーロッパに行っていますから、よく知っています。  その問題はそれで、もう時間ありませんので、同じくブドウの問題を今度はちょっと聞きたいと思います。  果樹が入りました。園芸局長御出席と思うんですが、実はもう時間があと三分か四分しかありません。それで大変失礼ですが、今度のブドウの枠の中に、池田町は一体適用範囲に入るのかというふうに私が質問しますと、それに対する答えは、基準によってやっているので池田のブドウは適用できないと答弁することになっておりますね、これ。それからさらに私がもう一回、基準を変えればよいではないかという質問したら、北海道庁とのコンセンサスを得て道庁から上がってくれば検討したいということになると。時間がありませんので、局長の答弁と私の質問を一緒に申し上げました。そうして先に進みます。問題はこれから先なんです。この果振法の基準は、年間積算温度でやっていますね。それだけ簡単に。
  105. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 平均温度でやっておるわけでございます。
  106. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 平均温度というのは、大体いま果振法では七度以上ということでございますね。それはいいです、わかっていますから。問題はそこにあるんです。どうして生育期間積算温度をとらないのかということが一つ。  それから、たとえばカナダあたりでは、北緯五十度ぐらいのところでもブドウの産地があります。それから池田町、これを入れていない大きな原因の一つは、果振法で年間積算温度でなくて年平均温度という、そういう数字をとるから入らないんだということを十数年言われてきているんです。しかし、実際には年平均温度でなくて、こういったものを冬の期間とることないんですから、生育期間積算温度に政令を切りかえれば問題ないはずなんです。それをずっと農林省やってないんで、これは道庁から上がってきたらなんという問題じゃございませんから、ひとつ園芸局長、メンツを捨てて、技術的にそういう問題を掘り下げて、次回また質問する機会があると思いますから、御答弁願います。
  107. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) いまの自然条件に関する基準につきましては、御承知のように、果樹農林振興審議会で、その道の専門家にお集まりいただきまして、そこで十分審議をいただいた結論でございますので、単に作物として生産できるかどうかという観点だけでなくて、農林生産や品質の安定等、そういうこと全体をひっくるめまして考慮に入れて定めたものでございますので、これは軽々しく変えるというわけにはなかなかまいらないというふうに考えておるわけでございます。
  108. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっと専門的になりますから、質問はこれでやめまずけれど、この専門家の会議で、果振法でもって年間平均温度ということで取り決めたことについては、その審議会に集まった学者の中にも、もうその考え方は間違っていると言う人が何人もいるのをあなた御存じでしょう。十何年も前に決めた、われわれはそれを事実でそれに対しては反論をしてきているはずです。学問的にも、年平均温度というふうなことがこれは無理だと、生育期間積算温度というものが中心になるべきだということは、もう学界でも大体通説になってきているんです。いいですか、当時池田などにブドウはできないと言った、そうして平均温度が七度以上のところでないとブドウはできないと言った、それで学位を取った先生いるんです。この先生が、自分の言っていることは間違っているとはっきり物の本にも書いているんですよ。なぜ農林省だけがそういうことを改めようとしないんですか。そのこと一つだけひとつ。
  109. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) やはり先ほど申し上げましたように、果樹農業振興審議会ではいろいろ専門家の先生が多数お集まりでございまして、その結果、そういうふうに多数の御意見を集約して決められたわけでございますので、これは尊重をしてまいりたいというふうに考えております。  ちょっと、先ほど丸谷先生から言われました機械の価格の問題でございますが、これは輸入メーカーそれから全農につきましても問い合わせたのですが、これは企業秘密に属しているのでなかなか教えられないということでございますが、通関統計を見ますと、これは五十馬力以上の全機種の平均でございますが、大体CIF価格が二百十万円ということになっております。その上に輸入税それから輸入金利、通関の手数料等が加わりますし、実際に販売するに当たりましては、国内の組み立て料、それから部品の追加に要する費用、それから流通費用と、そういうものがこの上に乗っかって加わってくるということでございます。
  110. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いまのその機種の問題では、平均では全然参考になりません。それはおわかりだろうと思います。私の質問に答えていることにはならないんで、そういうふうに受けとめて、また後日に譲りたいと思います。
  111. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 北海道寒令地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、これにつきまして若干の質問を申し上げたいと思います。  最初に、過日大臣の提案理由説明の中に、この法律を延長したいと、その必要があるんだということの理由としまして、「両畑作振興地域内には、度重なる災害の発生等により未だ安定経営に達しない農業者が数多く存在し、また最近における農業をめぐる情勢の変化にかんがみ我が国主要畑作地帯である北海道及び南九州畑作振興地域における農業経営を安定させる必要性が高まっていること等今後とも本資金制度を継続する必要が」あると、このように述べておるわけでありますが、ここでまず大臣の「最近における農業をめぐる情勢の変化にかんがみ」という、大臣は、具体的にこのことについてはどういう認識でこのようにお話しになられたのか、最初にお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕
  112. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 災害が九州方面あるいは北海道でも起きておることは御承知のとおりでございますし、また「農業をめぐる情勢」と申しますのは、何といっても農家所得が他産業に働く人に比べてまだ低いのではないかという情勢が一つあろうかと存じます。さらに、外国からも輸入したいという声もありますが、それよりはむしろ国内の消費者から、もっと安い物を供給してほしいという要請も一方ございます。したがいまして、これらにもこたえ得るような農業に持っていかなきゃいかぬということも一つの諸情勢であろうと存じます。  こういった諸情勢に対処して、北海道や南九州の特殊な地域においては経営にあえいでおる非常に厳しい農家がまだ残っておりますので、それらに対応する措置としてこの法案の延期をお願いした、こういうことであろうと存じます。
  113. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 また、この地域の「畑作振興地域における農業経営を安定させる必要性が高まっている」という、これは私ども同じような認識に立つわけでありますが、「農業経営を安定させる」ということは、まあいろんな総合政策というのが必要だろうと思うんでありますけれども、その中の一つとしてこの制度も非常に重要な意義があると、このように思うわけでありますが、大臣どうでしょう。
  114. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 全くそのとおりでございます。  経営を安定して、誇りと生きがいのある農業をつくろうということでございます。まあ誇りと生きがい——誇りと言えば、農業に携わってよかったなあ、国民の皆さんから喜んでもらえる食糧というものを安定的に供給するとうとい仕事についておるという誇りであり、また人間らしい生活ができる生きがいと、これらがともに成立する安定した農家への一助として——これだけではもちろんできません。土地改良農業基盤の整備、構造改善価格政策、いろいろありますが、その大きな柱としてこの法案は重要な内容を持つものと考えておる次第でございます。
  115. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この制度は、ほかのいろいろ似通った制度があるわけでありますが、中庸以下の方々をレベルアップしようということで、また非常に自然条件の悪い中での畑作に携わっている方々ということで、これはこれなりの意義があるだろうと思うわけであります。私どももこの制度延長というか、さらにこれを安定させるということには賛成するわけでありますが、いま大臣農業をめぐる情勢がどうこうというところに、自分の都合のいいような二項目か三項目ちょっと挙げただけですけれども、これはもう内外ともに非常に厳しい情勢にある。特に畑作につきましては、まあいままでにない、かつて日本の農業の中で味わったことのない大変な厳しい情勢の中年あるだろうと思います。特に、自然条件に恵まれない北海道、南九州、こういうところにおきましては、相当な苦難の道を歩まなければならない。そのために農業経営を安定させるということになりますと、相当な手だてをしなきゃならぬ、このように思うわけであります。  で、今回この制度を五年延長するということと、また各限度額を引き上げるという、こういうことを中心としましてこの法案が出されたわけでありますが、四十八年に改正になりました一部改正のときには、この四十八年のときには乳牛と肉牛、これが入ったわけです。そういうことで、四十八年からこの五年間、この制度が先ほど午前中九州の方の実績等について御報告があったようでありますが、北海道にとりましてこの制度が改正後、四十八年から五年間どれだけの実績といいますか、効果をもたらしたかという、これについて御報告をいただきたいと思います。
  116. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 四十八年から五十二年の北海道におきまするマル寒資金の認定計画戸数とその実績と、それから貸付見込額と実際の貸付決定額というものを対比して御説明申し上げます。  四十八年から五十二年のわれわれが予定いたしました認定戸数は五千戸であったわけであります。それに対しまして、これは一部見込みが入りますが、四十八年から五十二年の実績認定戸数というものは四千百三十二戸ということで、パーセンテージは八二・六%であります。  それから次に、貸付決定額計画額との対比でありますが、四十八年から五十二年にかけてわれわれが見込みました北海道の資金計画は、百四十四億ということに対しまして実績は百二十二億強でありまして、八五・一%、こういった状況であります。  それから効果、これはどういう指標効果を測定するか、それからこの資金だけの効果はどうなんだというような技術的な問題がありまして、非常に分離抽出することはむずかしいということは前提にいたしまして、ある指標で御説明申し上げますと、北海道の乳用牛の飼養状況は、これは当然のことではありますが、四十六年の十四頭戸当たり飼養頭数から五十一年の二十五頭というふうに、着実に規模拡大というものの道を歩んでいるということに言えるわけであります。それからもちろんその過程で、いろいろ債務が経営圧迫要因になっているというような問題も同時に出ているということはありますけれども経営規模拡大というものは着実に進んでいるということは言えるのじゃないかと思うわけです。  それから主要畑作物につきまして申し上げますと、生産量は、小麦の例で申し上げますと、四十六年には一万六千八百トンでありましたものが、五十一年には七万四千トンというぐあいに、四・四倍ぐらいにふえている。バレイショの例で申し上げますと、十八万六千トンでありましたものが二十六万トンにふえて、これも四割以上ふえている。大豆は、一万二千トンが三万トンということで、これも二・四倍にふえている。あとまあいろいろ小豆、インゲンマメとかてん菜とかありますが、それぞれ着実な歩みを歩んでいるというふうに評価していいのではないかと考えておるわけであります。  まだほかに効果測定の指標というものがございますが、さらに御必要があればまた重ねて御説明申し上げたいと存じます。
  117. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いま御報告がありました統計数字ですが、個々の農家にとりましては、このとおりぴったりいかない農家も数多くあることは御理解いただけると思うんでありますが、やはり今日までの国の政策また北海道におきまする畑作というものにつきましても、そしてまた今度国がつくりました三全総または北海道の開発発展計画、こういうものを見ましても、北海道のこの畑作、特に酪農に対しても非常に大きなウエートを置いておると、こういうことは随所にそれは明文化されておるわけであります。しかし「新北海道総合開発計画」を見ましても「根釧・天北等の土地資源に恵まれた酪農地帯においては、大型酪農経営を中核とする」という、こういうことで北海道の根釧、天北についての大型、大規模の酪農経営というものに大きな期待を寄せておるということは、やはりこの酪農経営は多頭化を今日までずっと続けてまいって農家も意欲的にそれに取り組んできたわけでありますが、規模拡大、多頭飼育ということで、大きくなればなったでやっぱり問題をはらんでくる、別な問題が出てくる。いままで小さい問題がまた大きな問題になってくるということで、いつになってもとの経営の安定化ということは、非常にむずかしいことであるということは、私どもよくわかるわけであります。  国の施策としてこうであるということと、また農業全体の中で水田の稲作の再編、こういうものも考え合わせますと、稲転とそれから畑作の競合ということで、畑作農家というのは非常に脅威にさらされておるというのが現状です。それだけに、畑作農家の方々が、しっかりした基盤を築かなければならないということで意欲を持っておるわけでありますが、そういうことで中庸以下といいますか、一番何とかしなきゃならぬという方々からいたしますと、やっぱりこの制度について、マル寒制度につきましては、限度額というものが今度は一千四百万になったわけでありますけれども、ほかの資金もあわせて借りれば足りるという、そういうことになるのかもしれませんが、やっぱり中庸のところというのは、それ相応にほかの資金も潤沢に借り得る条件にないということが当然言えるだろうと思うんです。  それだけに、限度額という問題は、今度は一千四百万になったわけでありますが、当初、去年ですか、北海道から農業団体の方が一千八百万ぐらい個人ではひとつしてもらいたいという要望があったかと思うんですけれども、これが個人一千四百万ということになった。また、法人の場合も当初の要求が大分低くなったようでありますが、これは金をかければいいということでは決してないかもしれませんけれども、非常に意欲的に取り組もうという、こういう畑作をめぐる厳しい環境の中で意欲を燃やしておる方々の現状というものをどこまでくみ取って、そしてまた、どういう算定のもとに今日のこの貸付限度額というものを決められたのか。私は、やっぱり何も要求額をそのままのむということがいいことだとは思いませんけれども、しかし、それは地元で相当な角度から検討した上に立って要求しているわけでありますから、そういうものを参酌し、そしてまた、その意欲にこたえるというのが本当は農林省立場ではないかと思うんですけれども、どうでしょう。
  118. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 限度額については、北海道の場合は、先生が御指摘になりましたように、酪農を五割増しの九百万円から一千四百万円にふやしたわけであります。この限度がこれで十分であるかどうかと、こういったところについては、実はいろいろな御議論があるいはおありだろうと思うのです。それは生産者の方々からすれば、もう少し限度を広げてほしいという御要望は聞いておりますが、私ども現在は、これで当面の資金需要は賄えるのではないかという判断をしております。ただ、決してこれは固定的に考える必要はないので、この五年間であっても現実にもっとさらに経営規模拡大というもののテンポが進んだり、あるいは資本の装備というものの高度化もわれわれが予想したものよりも進むということになりますれば、これは限度額を拡大するために努力はやっぱりしなければいけないと思います。現に五十一年度におきましても、五年間の期間の途中で起きましたものは限度額はふやしたという経緯もありますし、過去四回改正しておりますが、そのたびに機会を利用いたしまして限度額を逐次アップしてきている。こういったこともありますので、限度額につきましては、必要が出た場合には実態を考えて改定の努力は決して惜しむつもりではございません。  ただ、同時にまた、これも先生御指摘になりましたように、このマル寒資金と並んでいろいろ自創資金あるいは未墾地取得資金、そういったものの並行融資ということもありますので、そういった措置もあわせて御利用くだされば、限度額の問題につきましては、ある程度というよりもかなり改善のメリットというものは出てくるのじゃないかというふうに思っているわけであります。
  119. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは貸付限度額というものは一応のこれは限度額になっておるわけで、何も限度額いっぱい皆さんがお借りになるわけでは決してないわけでありますから、自分の営農計画に沿って、それぞれの立場で定めるわけですから、ある農家によってはやっぱりここまではという、先ほど自創資金とかなんとかいろいろ仰せになりますけれども、こういう系統資金や何か借りるときの手続というのはこれは大変ですね。簡素化せよというお話もあります。ここでやりとりするときには、ああこういう制度もあります、ああいう制度もありますと言うけれども制度はあるかもしれませんが、それを一つ一つ借りるのには大変な手間がかかる。手間だけではなくて、またそれに伴ういろんな条件もある。そういうことから言いまして、この制度が本当にいま大臣がおっしゃったような立場から、その農家の非常に意欲のある人たちにとって、本当に意欲を具体的に営農に生かすような道があるならばこれは一番いいわけですが、総合施設資金とこの制度とは非常に似通った面があるわけですけれども、地元に行っていろいろ聞きますと、やっぱりマル寒というのは地元である程度の細工ができるというこういう点でそれなりのメリットがある。そうでないと、非常に手続や何かで手数がかかる、期間がかかる。  そういう点で地元の現状、もちろんそのためには営農計画や何かいろいろなことをしなきゃならぬわけですけれども、地元の実態の上に立ってこれは決定されるということで、それなりのメリットがあるということも言われておるわけですけれども、ですから何も限度いっぱいのことを絶えず頭に置くことはないのでありまして、さっき局長がそういう必要があればというお話もございましたけれども、実態をぜひひとつ把握していただいて、これは団体の方々もいろいろな角度から検討の上、一千八百万という要求を去年出されておるわけであります。また、いま土地取得につきましてもほかの制度もあるというような言い方をなさるかもしれませんけれども、これらのものもあわせて考えるときに限度額というものはもう少し高めるべきであった、こう思うんです。これはきょうもうこの法案が来ているわけですからどうこうと言うことはあれですけれども、今後の課題としてひとつ御検討いただきたい。大臣、どうでしょうか。この限度額の問題について、いま局長もお話しあったんですけれども、ぜひひとつこういう認識の上に立って御努力いただきたい。
  120. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) これは午前にも議論がありましたが、現行の枠は五十一年四月に改正をしてまだ三年でございますから、三年で五割ふやしたというのはかなり努力をした。しかし、まだ農家の皆さんの御期待にはこたえられない実態があるとすれば、御指摘のように今後前向きで改定をするというふうにしていきたいと、こう思う次第でございます。   〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
  121. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣は官僚出身ではないんですね。五〇%伸びたからというそのパーセントじゃなくて、やっぱり必要性に応じてということで物を考えていただきたいと思うんで、ぜひひとつ積極的に今後御検討いただきたいと思います。  さらにまた、これは午前中も同僚委員からお話ございましたけれども、償還の期間ということにつきましても、大臣は十年前に九十年とおっしゃった話もありますが、私も九十年とは言いませんけれども、地元の団体の方々から申しますと、やっぱり三十五年くらいはという——諸外国の例を見ましても、二世代、三世代——やっぱり酪農を中心といたします畑作なんというのは非常に生産性が低い、先ほど大臣も言っておりましたけれども。こういうことで、非常に最近の著しい経済変動、そういうものにはなかなか乗り得ない、こういう条件がありますから、償還の期間というものにつきましても、これはある規模の、中庸以下の方々をそこまで持っていこうというそういう趣旨からいたしますと、これは大変な努力が要ることだろうと思いますし、それなりのまた施策もしなければならないだろう。  それからもう一つ、利率にしましても、ほかのいろんな制度等にらみ合わせてみて決して高いとは思いませんが、これも午前中いろいろ質疑がございましたけれども、やはりこの法の趣旨から言いましても、まあできるだけ利率の低いそういう条件でレベルアップができるように見守っていくということが、自然条件の悪い中での畑作農家ということでありますから、これは当然のことじゃないかと思うんであります。さらに、これは最近の著しい公定歩合の引き下げ等考え合わせますと、ほかの制度との兼ね合わせもありますからこれだけをというわけにはこれはいかないだろうということは、私ども一十分にわかるんですけれども、農地取得資金とか、また未墾地取得資金、こういう三・五%の制度があるわけであります。このマル寒の、一つの法律としてこういう制度が設けられておるわけでありますが、金利の面につきましても、やはりこういう特殊事情ということも勘案して、これはまた今日のこういう諸情勢の中でやっぱり考えるべきことじゃないでしょうか。  乳価のことを先ほどお話ございましたが、きょうは時間もありませんので長いお話できませんけれども農家の粗収入、聞くところによりますと、活字になっているところによりますと、乳価を大幅に上げる要素は、要因はないではないかということがささやかれておるようでございます。乳価はいろんな算定方式があって算定されるわけであります。その算定方式というものが、いつの時代でもそれが本当に適合するものであるかどうかということもこれは一つは問題だろうと思うんでありますが、こういう非常に厳しい情勢の中で、先ほど大臣農業に誇りを持てとか、生きがいをどうだとおっしゃいますけれども、実際は、みずからお住まいになっている十勝を見ましても、酪農なさっている方々というのは決して裕福ではないわけでありまして、なかなか粗収入が上がらないということであるならば、それに見合う支出面を何とか調整をする、こういうことが本当に思いやりのある農政ということになるんではないでしょうか。  そのためには、金利ということもありましょう。また、期間を延長するということもあるでしょう。いずれにしましても、年間の収入に対する支出という、こういう面から、先ほど来お話ございましたように、平均的な北海道の酪農家は大体二千万ぐらい借金をしておることになっておるわけですけれども、返済金額というものも非常な金額になっている。こういう点で、やっぱり総体的に畑作、そして酪農家が安定経営のできるような施策というのは総合的に考えなきゃいかぬ、こう思うんですけれども、今度の乳価決定に当たりまして、今後また、後日機会があったらその問題についてはいろいろ論議したいと思うんですけれども、総合的に考えねばならぬ。そういうことから言いますと、利率のことや償還期間のこと等、これは真剣に御検討いただかなきゃならないことだと私は考えるんですけれども、どうでしょう。
  122. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 利率、それから償還期間、これは御存じのとおり五分と、もちろん土地改良の中の非補助事業につきましては三分五厘という低利融資を規定しておりますし、それから償還期限は八年据え置きの二十五年、こういうことでございますから、いろいろ先ほど御批判がございまして、非常に複雑多岐に分かれているという農林漁業の金融制度の中でもまあかなり長期の部類に入るということで、金利もやはり低廉な部類に入るだろうと私どもは思っております。そういうことを決めましたのは、結局この制度目的——制度融資でありますからその目的、それから他のいろいろな諸制度とのバランスというものを考えて決めたわけでありまして、これが直ちに改定する必要があるかどうか、なお検討する余地があろうかと思いますけれども、ただいま現在におきましては、現在の五分という金利それから二十五年という償還期間は、決してそう無理のあるような金利ないしは償還期間というようなものではないというふうに思っております。  実際の償還期間等を見ましても、あるいは据え置き期間等を見ましても、ここの限度いっぱい必ずしも使っているわけじゃありませんで、その枠内でむしろ処理しているという例が多うございますので、よっぽどの無理が出てくればまた別でありますけれども、現在の制度を有効に限度いっぱい現実の中で活用していただくというような対応で当面は進んでいきたいと思っているわけであります。
  123. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これはきのうきょう出た話じゃございませんで、もう毎回この法改正のときに附帯決議に出ておるわけであります。  それじゃお聞きしますけれども、四十八年の附帯決議ですね、四項目にわたって附帯決議が出ているんですけど、これはどういうこの五年の間御努力をなさってどういう結論を出されたか、ちょっと御説明ください。
  124. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 四十八年の当委員会での附帯御決議は、いま御指摘になります四項目でございまして、第一項目は、畑作の振興の基礎となる土地改良事業を積極的に進めろと、こういう御意見でございました。それにつきましては、累年土地改良事業の増強ということに農林省が精力を注いでおるわけでありますが、中でも最近時点におきましては、その中では特に畑地帯の改良に直接結びつくような土地改良事業というところに事業を重点をしぼって、かなりそういった予算項目につきまして傾斜的な計上をしているつもりであります。いろいろ新規事業等も計上いたしましたし、あるいは補助率、あるいは採択基準、そういったものの改善につきましてはそれ相応の努力を私どもしてきたつもりであります。  それから第二点は、本法に基づく資金の金利、償還期間、貸付限度額の融資条件についてできるだけ改善措置を講ずるよう努力しろと、こういう御指摘でございますが、貸付限度額につきましては、御説明申し上げているように、大体五割ぐらいふやすことに措置をしたわけであります。それから、貸付限度額のアップのほかの融資条件等につきましては、融資対象を、つまり北海道の場合で申し上げますれば種豚を新たに対象にすること、それから果樹の植栽、育成資金を新たに対象にしたいというような改善措置を講じているわけでございます。  それから第三項目の、果樹等の植栽、肉牛、乳牛等の導入に当たっては、将来の需給を十分考慮し計画的に行えと、こういう御指摘でありまして、これは当然のことでございまして、果樹の植栽あるいは畜産の振興等におきましては、やはり需要に見合った形で——これはもちろん基本的には今後成長部門として伸ばしていかなきゃならないことは当然でありますけれども、そのときそのときの需要と見合った形で、バランスをとった形でこれを伸ばしていくと、拡大していくと、こういった対応が必要であるわけで、私どもそういった形での政策の展開はしているつもりでございます。  それから第四点の問題につきましては、農産物の流通合理化ということが特にマル南とかあるいはマル寒に必要である。そういう意味で、カーフェリーとかコンテナ輸送等に対応した集出荷の円滑な実施をしろと、そのための輸出の助成援助を行え、こういうような御指摘であったわけであります。これにつきましては、野菜等につきましては、たとえば南の方等からする野菜の出荷につきましてはカーフェリーに結びつけるような産地における予冷、それから予冷施設、そうして消費地に着いた場合のさらにそれから先の予冷のコールドチェーンに乗ったような形での流通機構の整備、そういったものについて助成をしておるわけであります。  それから、たとえば畜産の施設につきましても、生乳の長距離輸送の問題につきましては、いろいろバルククーラーあるいはコンテナ、そういったものに対する助成措置を講じておりますし、濃縮乳等の輸送についてもいろいろ改善を図っておるわけであります。食肉等につきましては、産地において生体で消費地に出すよりは、だんだんこれを枝肉にし、枝肉からさらに部分肉にして消費地に直結して送ると、こういったことのセンターになるような食肉センター、そういったものの整備をこの数年の間に図ってきている。  こういった形で十分であるかというふうに御指摘になられますれば、いろいろわれわれ今後努力しなきゃならない点は確かにあろうかと思いますが、御趣旨の線に沿っていろいろ努力しているつもりでございます。
  125. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、この貸付条件の中に営農計画を立てることになっておりまして、そこで問題になるのは、衆議院の附帯決議にもございますが、指導体制ですね、これを強化しなきゃならぬ。その計画時点、そしてまたその後の営農指導、こういうことで衆議院の方では附帯決議が付されておるわけでありますけれども、これについてはこの五年間どうですか。
  126. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) いままさに御指摘になりましたように、このマル寒資金あるいはマル南資金意味は、単に融資をするとそれで終わりということではなくて、本当は融資する以前からの普及員の活動、農家に対する営農指導という日常活動というところから、融資をした後のアフターケア、そういった一連の指導というものが一番大事だと、そういう意味で国会でもそういう御決議をいただいたというふうに私ども思っておるわけであります。  具体的にどうやっているかということでございますが、対象農家経営診断を実施したり、あるいは営農改善計画をつくったりということ、あるいは資金融通後における営農指導という問題、各段階に分かれるわけでありますけれどもマル寒である北海道を例にとってみますと、営農指導対策協議会、これは道だとか支庁あるいは市町村長、農業試験場、国の出先機関、農協、こういった多面の方々に参加していただいた指導対策協議会というものをつくっているわけであります。これを道の段階あるいは支庁、市町村の段階、それぞれの段階別に設置して濃密指導をしている。宮崎鹿児島におきましても同様な組織をつくって、一般の水準以上にこのマル寒マル南資金対象農家につきましては制度の趣旨に照らして濃密指導をしている、こういうふうに私ども理解しているわけであります。
  127. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今度は水田再編対策が講じられておるわけでありますが、私ども安易にこれは容認するものじゃないんですけれども、過剰米を出したということはこれは事実でございまして、この数年の推移を見ましても、畑作が衰退の一途をたどってきたというのは否めない事実だろうと思います。それは当然、価格面で米には価格保障がある。ところが畑作にはそれがない。一部はありますけれども、はっきりしたものは確立されていない。また、共済制度につきましても今度の国会で提出するようでありますけれども、こういう共済の制度制度的に見ましても欠陥がある。  こういうことで、やはり限られた土地の中からどれだけの農業所得を得るかという、こういうことを考えますと、農家として収入の多いものに傾斜するのは当然のことで、いままで農林省も手をこまねいて見ていたわけじゃ決してないだろうと思うんですけれども、現在までの施策というのは農家の心を動かすものはなかった。そういうことで、畑作がどんどん水田に切りかえられていく。こういうことから、やっぱり価格政策というもの、それからもう一つは、反当を見ましても、反当たりの収量、米ですと品種改良や技術的な向上があって収量が非常に多くなった。それに比べて麦にしましても大豆にしましても、非常に改良がおくれておる。おくれるというより、米ほどではないということか、相対的にどういうふうになるか、そういうことで技術的に非常におくれておる。それから、稲作の場合には機械化でこれは非常に進んでおる。そういうことで、条件がどちらかというと非常に米作の方に傾斜してきたというのは、もう私がくどくど申し上げるまでもないことだろうと思うんです。  また、畑作の中でも、北海道の場合には御存じのとおり、普通の畑の面積というのはだんだん減少をしまして草地飼料作目というものがだんだん多くなっておる、こういう傾向にあることはもう御存じのとおりです。今日まで酪農に対して農政のてこ入れが非常に厚かったという、これは政府施策の手厚いところに流れていくのは当然だろうと思うんです。こういうことで、いまこの畑作を見直し、そしてまた、北見地方におきましては相当な水田面積を畑地にしなけりゃならぬということで、いま農家の方々が大変な窮地に立たされておる。いままで水田面積で五町もつくっておると大変な大きな農家であったかもしれませんが、畑で五町ということになるとこれは収入はどういうことになるか。現実問題として、価格保障のはっきりしない畑作に転換するということは大変なことです。また、水田農家畑作物をつくるということによりまして、畑作農家が今後どういう影響を受けるかということにつきましても非常な危惧を持っておる。  こういうことを考えるにつけまして、農林省として、共済制度につきましては今度法案出すわけでありますけれども、この共済は別にいたしましても、今後の研究開発、そしてまた畑作の——米作まではいかないかもしれませんけれども、今後のいろんな総合施策農民が安心して営農できるような形に持っていく、こういうものについて三全総とか新北海道発展計画とか、そういうもので大きなやつをやるんだやるんだというだけではだめなんで、もっときめ細かな施策が必要だろう。特にマル寒制度というのは、中庸以下の方々に対して眼を当てて、自然条件の悪い中で営農する方方を救っていこうというわけでありますから、ここまでせっかく政策をつくりながら途中で挫折することのないやっぱり総体的な対策が必要だろうと思うんですけれども、こういう問題についてはどうお考えですか。
  128. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 非常に概括的なお話を先生なさったわけで、私どももそのとおりだろうと思います。  北海道の畑作を考える場合に問題点としては、これも言うまでもないことでありますけれども、非常に積寒地帯である、非常に寒冷な気象条件である。また同時に、土壌自身が火山灰土壌あるいは重粘土とか、そういった特殊土壌のところをかなりのものが占めているということで、地力の問題もある。それから土地基盤整備というものは、これも先生御指摘になりましたように、水田等に比べてはなはだしく立ちおくれているということも事実でありますし、それから合理的なやっぱり輪作体系、まあ十勝農業あたりは非常に進んできて、最近は一ころとは変わってはきておりますけれども、まだまだやはりところによっては合理的な作付体系という点について欠けるところがある。いろんな問題、地力が非常に最近やっぱり衰えてきている、こういった問題もあるわけで、そういった問題を裏返しにしてそういった問題を解決していくということが、今後の北海道の畑作を解決する基本的な方向じゃないかと思うわけであります。  もう一つは、低収益生というものがありますし、これにつきましては、土地の生産性の問題だとか、あるいは価格制度の充実、そういったものは当然付随していかなければならない、かように思っております。  それから、酪農等につきましても、これは一部にはかなり先進的な、本当に西欧諸国に匹敵するような高度の発達した経営群がある一方、やはり中核の酪農家というものが下手をすると崩れていくという危険性もあるわけであります。そういった点のてこ入れというものを同時に今後していかなきゃならない。そのためには、基盤整備を初めとしていろんな技術対策、それからマーケットが遠いのだというデメリットもあるわけでありますから、流通対策価格対策、そういったもろもろの事業を総合して畑作地帯に集中していく必要があるのじゃないか。マル寒対策マル寒資金も、その一つとして私どもは位置づけてお願いしている次第であります。
  129. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そういう中で、先ほど大臣からもいろんなお話がございましたが、今度の乳価決定に当たりまして、乳価をめぐる諸問題としても限度数量、これをぜひひとつ拡大をしてもらいたいということと、また五十二年度相当な量が出るようでありますけれども、それに対しての十分な施策要望する声、こういうことをきちっといたしませんと、やっぱり先ほど大臣が誇りある生きがいをと、こう何ぼ言いましても、価格面で一生懸命働いた者が報いられないということではやっぱり将来に希望を持ち得ない、これはいろんな国策の中で酪農のことだけすべてをうまくというわけにはいかない諸情勢のあることはわれわれも十分わかるわけでありますが、今日までこの悪条件の中を営農に努力してきた方々のそういう意思というものを、踏みにじるようなことがあってはならないだろうと思うわけであります。  しかも、マル寒のようなこういう制度をつくって一生懸命畑作に、そして酪農に力を入れてきたわけでありますから、いま問題になっております乳価をめぐります諸問題につきましても、大臣も地元のことでありますから精力的に取り組んでいただいて、農民の納得のいくこういう方向性をひとつきちっと定めていただきたい、こう要望するわけでありますが、大臣どうでしょうか。
  130. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 確かに御指摘のように、水田に比べまして、あるいは稲作に比べて、畑作、酪農の実態ないしはまた政策を反省してみて大分落ちているのではないか。これは私はもう十数年前から言い続けておることでございまして、結果として減反をしなきゃならぬ、そしてほかの作物に移行をしなきゃならぬ、こういうことになった面もあろうと思います。減反の問題は、そういった面以外に消費が伸びない、むしろ停滞というよりも減退をするという面がさらに加わって、非常事態に陥ったと言えると存じます。  そこで、先ほど来マル寒資金延長、内容の改善あるいは共済制度の確立、価格対策についてもいままで奨励金としてつけておったものを価格として取り込む等々、かなり幅広く畑作あるいは酪農については措置をしてきておるところでございますし、今後もそういった総合的なバランスのとれる方向で処してまいりたいと思う次第であります。その中にありまして、今回の乳価決定あるいは限度数量に対応する姿勢としては、やはり酪農家が再生産ができるのだという価格でなければなりませんし、また限度数量も愛情ある対処をしなければなりません。しかし、将来に向かって、これが余りにも過剰傾向になるという仕組みについても十分配慮してまいりませんと、先々また大きな問題になってはなりませんので、しっかりした、しかも国民に対応できる酪農というもののあり方について、全知全能を振りしぼって措置をしてまいりたい、こう思う次第でございます。  特に乳価については、法律の定めるところ、再生産が確保されるというものを根底に置いて決めてまいりたいし、限度数量も先ほど来議論がありましたように、過剰傾向であるということをどう理解をしてこの限度数量に対応するか、非常にむずかしいところではありますが、誠心誠意やってみたいと、こう思っております。
  131. 原田立

    ○原田立君 いまいろいろと同僚委員から質問がありましたので、大枠の話はまた後、時間があればお聞きするとして、このマル寒あるいはマル南の法律をつくったのには、中庸のクラスの農家の人たちをもっとより所得向上を進めようと、そういうようなところでつくったというふうに法律にはあるわけなんですけれども、さて、その中庸的な立場ということは、現状においてはどういうようなふうに、とらえられているんですか。
  132. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) まあ中庸、何が中庸かということは非常に議論の分かれるところですが、私ども考え方といたしましては、当然農家に階層規模別にいろいろな分布があるわけでありますが、それをある一定の期間を時系列的に見ますれば、一つの階層分岐点というものがある。ある一定のところを分岐点にして、より上層階層へ進むと、あるいはそれから下へ規模縮小あるいは脱落していく、こういった点があるわけでありまして、そういった点をつかまえまして、一つメルクマールとして中庸というような言葉を使っているわけであります。  そこで、宮崎県、鹿児島県——マル南の方で申し上げますが、大体現在の中庸の水準というものは、所得水準で言いますれば、肉用牛主畜あるいは野菜主作、まあこのほかいろいろな類型があるわけでありますけれども、その例で申し上げますと、二百万円以下ぐらいのところが大体現在中庸、二百万円前後というところが大体中庸の規模じゃなかろうか。それから家畜の飼養規模で申し上げますと、肉用牛主畜で二十頭、それから野菜主作の農家で百三十アールというようなところではないかと、かように判断をしたわけであります。  鹿児島県の例で申し上げますと、肉用牛主畜野菜肉用牛複合経営という類型で申し上げますと、おおむね百五十万円以下、それから飼養規模ないしは耕作規模で言いますと、肉用牛主畜で言いますと十七頭程度、それから野菜肉用牛複合の経営で言いますと四頭牛を飼う、それから野菜も作付が百十アール、大体このようなものを一つ指標として考えているというような実態があります。
  133. 原田立

    ○原田立君 一応ぼくも、現地の宮崎県と鹿児島県へ行っていろいろの関係者にお聞きしてまいりましたけれども、何か話によると中庸的な基準農業所得ですね、それを宮崎県で約二百万、それから鹿児島県では約百八十万というようなふうに言われておるやに聞いてまいりました。また、このおたくの方でもらった資料によりますと、北海道にあっては中庸的なものの農業所得が約三百万と、こういうふうになっている。というと、非常にアンバランスではないのかと、こう思うのですが、どうですか。
  134. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) いま御指摘のありましたように、北海道では酪農、畑作という営農類型で三百万円以下と、規模で酪農の場合には十五頭から十九頭、中間、中庸値をとれば十七、八頭というところでございますし、畑作の場合には十へタタールから十五ヘクタール、十二、三ヘクタールというところが中庸ではなかろうかというふうに思っておるわけであります。これは、その地帯その地帯に応じて当然営農の形というものは違いがあるわけで、北海道の場合には当然広大な土地というものの存在があるわけでありますから、宮崎鹿児島に比べて経営規模拡大の可能性はあるし、現在もそういう優位性を大いに利用しているということで、そういう現実を踏まえて中庸規模というものを北海道ではこの程度じゃなかろうか。宮崎鹿児島では、先ほど申し上げましたところは、現実の差があるのはこういうところじゃなかろうかということでやっておるわけであります。  差別をつける意識は毛頭ないので、現実の農家の中庸の規模というものを把握すればこういうもので、それより下のものを少なくとも第一目標としてはこれまで接近させ、さらにその上をその次の転換としては考える。ここで押さえるという意味じゃ毛頭ございませんので、具体的な現実的な接近の目標としてそういうものを、宮崎県は宮崎県の中ぐらいのところに少なくとも接近する、鹿児島鹿児島の中ぐらいのところに少なくともそれ以下のものは接近するということを第一目標としてとらえるのが、現実的な考え方じゃなかろうかという意味で、それ以上もちろん望むということは今回の大きな目標であります。
  135. 原田立

    ○原田立君 要するに、私が言いたいのは、聞きますと鹿児島県は百八十万、宮崎県二百万です。同じ南九州で、シラス地帯で、同じような状況でありながら、二十万の差をつけた見方を当局はなさっているわけです。これはまずいんじゃないかと、こう私は思うんです。  もう一つ意見として言いたいのは、この農業所得を、事業対象農家所得、これをもっとレベルアップするような考えはないのかどうか。
  136. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 鹿児島県と宮崎県、二百万と百八十万と先生はおっしゃいましたが、そういう所得水準の差はあるわけでありますが、これは決して差別するというつもりは毛頭ございませんので、上の方がいいのか、下の方がいいのかということになると、いろいろ見方が出てくるわけであります。たとえば、この資金を貸す対象としては、中庸以上にすでに達したものは原則として貸さない、それより下のものをそこに引き上げるために貸すと、こういうことでありますから、ある意味においては、中庸の数字を低く押さえておいた方が貸す恩恵を受ける農家の数は多くなるという意味では決して不公平な扱いにはならないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけで、ただやっぱり、そのときの判断としては、その県の現実の中くらいのところということに一応線を引いたという意味で、それ以上の積極的な意味というものはないわけであります。ですから逆に、ここで押えるなんというつもりは毛頭ありませんし、少なくともそこに達していないものは全部できるだけ拾い上げようという、こういう意味であります。  それからもう一つ、二番目のお尋ねの、目標というものは当然あるわけで、この中庸程度でいいということじゃございませんので、それをさらに今後五年とか、あるいはそれ以上の期間ふやしていこうということでございまして、たとえば宮崎県の場合には、野菜主産の場合、所得水準はおおむね二百五十万以上に持っていこうというようなことが一つ目標であります。鹿児島県の場合におきましては、肉用牛主蓄、野菜肉用牛複合おおむね二百五十万円以上に持っていきたいし、それから、たとえば野菜の作付にいたしましても、野菜肉用牛複合経営の場合には、中庸が百十アール、四頭ということを先ほど申し上げましたが、それを、目標といたしましては百五十アール、十頭にまで規模拡大をしていく必要があるだろう、かように考えて、そのためのいろいろな施策を投入していきたいというふうに思っております。
  137. 原田立

    ○原田立君 大臣、いまもいろいろと申し上げたわけですけれども、現在のわが国農業を取り巻く諸情勢は非常に厳しい状態にあるのでありますが、米の過剰傾向のため、今年度より始まる大規模な第二次生産調整の実施、あるいはまた貿易収支の黒字幅拡大から、その不均衡是正のための外国農産物の輸入枠拡大等々いろいろあって、日本農業の将来の展望は、もう非常に暗雲が漂っているような、そういう不安感を実は持つわけであります。  去年の十一月、農業生産の地域指標の試案が提出され、六十年における主要作物の地域別生産の姿が描かれているわけでありますけれども南九州畑作農業は、わが国農業の中にあってどのような位置づけをなさっておられるのか。なぜこんなことを言うかと言えば、やっぱり北海道あるいは宮崎県、鹿児島県、いわゆるマル寒マル南の方面は、シラス、コラ、ボラなんかの、要するに悪質な、不良な土壌地帯でありますから、そうすると、そういうところにあってはどうしても畑作営農しかない、あるいは畜産というふうな限られたような状態でしかないと思うんです。こういうようなところに対して、やっぱりもっと内容を充実したような線が出されてこなければならないのじゃないかと思うんです。  いろいろとあっちこっちの話を申し上げたわけでありますけれども、要するに、こういう不況な状態にある十年後の日本の農業マル南の方面の農業における位置づけはどういうふうにお考えになっておられるか。
  138. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農業について非常に厳しいという御意見も確かだと思いますが、私は余りそう心配しなくていいのじゃないかと思っておるのです。と申しますのは、これからますます食肉自給率というものは大事になっていき、他産業がそれじゃいい状態にあるかということになると、かつてのように、だれもが大学に入れてだれもが就職できるという時代とは違って、中小企業を初めとして、あらゆる業界がいま苦しみの中にある。むしろ最近は、Uターン現象すら起こしかねないということぐらいでございます。ただやり方を、言われるように自由化してしまったり、無制限に輸入枠を拡大するというようなことをやれば大変でございますが、私どもといたしましては、国内の農業に悪影響を与えるような対処はしないという基本方針を持っております。  ただ、作付転換ということで、それが大きな方向の転換ですから、これも誤ると大変でございますので、第一番目には、やっぱり自給力の低い、しかも作付転換をしても他の農作物に影響を与えないというような麦、飼料作物あるいは大豆、甘味資源作物といったようなものを重点的に伸ばす、こういう仕組みで、しかも奨励金かなり上積みをてやっておりますし、これからしっかりやっていくならば、そう暗いとばかり言えないのであって、必ずや希望の持てる農業になり得るものだし、どうしてもやっていきたいと、こう思っております。  なお、その中にあって南九州農業でございますが、この地帯が、まず気象条件、台風の常襲コースである、あるいはまたシラスを中心とする特殊土壌地帯であるということで、厳しい状態にあることも事実でございます。しかし最近は、畜産あるいは野菜、果樹、お茶、たばこといったような作物に重点を置いて、特に宮崎県などは非常に近代化合理化をして最近相当よくなってきておると、知事さんなんかも非常に御熱心に、特に東京方面の野菜の大事な供給地として発展しつつあるということでございます。  これからも、こういったマル寒資金の活用なり、あるいは畑作土地改良なり、あるいは今度できます共済制度等々総合的にやっていくならば、必ずやいい地帯になり得るものだと、またそういうことに頭を十分使って、われわれは一番最北の条件の悪い北海道、そしてまた南の条件の悪いこの両地域が、日本の食糧基地として大きな位置づけを持つ大事な地域になるであろうと、そういうふうに政策誘導してまいりたい、こう思う次第でございます。
  139. 原田立

    ○原田立君 農業所得の、先ほど申し上げるように、宮崎は二百万、鹿児島は百八十万ということだけれども、こういうようなことをやっていると、鹿児島県はいつまでも零細貧乏な農家がずっと続く、こういう心配があるわけです。これをもっと、たとえば二百万、百八十万を超す、いわゆる農業収入が二百万あるいは二百二十万ぐらいあったとしてもこのマル南融資対象にするとか、そういうようなことはできないのかどうか。  それからまた、この説明書には、一律に九州マル南関係においては農家所得を二百五十万ぐらいにするんだと、それを目標にするんだと、こういうふうにぽっと言って書いてありますけれども、この二百五十万というのは宮崎県も鹿児島県も同じように考えていいのかどうか。その点はどうですか。もし両県ともそうだと言うのなら、鹿児島を大いにレベルアップすることになるので、私はそれなりに評価するわけなんですけれども、またそこで宮崎県と鹿児島県が差がついちゃって、いつまでたっても鹿児島が貧乏県のままで終わったのでは相ならない。この点の実態はいかがですか。
  140. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) まあ百八十万とか二百万、それは絶対的な問題ではございませんので、あくまで一つの参考ということでありますから、そこは県ともよく相談して弾力的な運用というものはしていきたい。決してこういうその辺の近辺でおられる農家が、そのために機械的に融資規模枠から排除されるということのないようにはよく気をつけていきたいと思います。決して鹿児島県を低いレベルに置いておくというような意識は毛頭ございませんで、私どもの意識としては、実は南九州の中でも鹿児島所得水準が低いということは非常に問題である。これを早くおくれたところを取り戻すということが一番必要なことじゃないかというふうに認識しているわけであります。  それから、それよりかなり上、まあ幾らという設定はしておりませんが、中庸以上に達してそれより上をさらに志向するということになりますれば、これは別途マル南資金とは別に総合施設資金という、いわゆる自立農家経営を志向するような農家対象とした制度資金を、別途、これは資金枠ももっとよけいありますし、ございますから、そっちの方へ乗り移って規模拡大をしていただく、こういった点で、両方の資金をあわせ活用してくださると、段階的にまず中庸以上のところに到達して、それから先にさらに経営規模拡大ということを志向していただく、こういったことをしていただくことが大事じゃないかと思います。
  141. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 現状は、中庸以下を対象とするけれども数字的には百八十万、二百万の差はありますが、実際運用面ではそこのところはそう差のないようにやっていきたいということが一つと、それから目標としては二百五十万以上にするということで、宮崎県と鹿児島県を差をつけて二十万開いたところに農家の位置づけをするということではなく、持っていく目標としては同じ扱いをしておると、こういうことでございます。
  142. 原田立

    ○原田立君 それでは中庸問題はそのぐらいにして、ああいう非常に土地の不良な状態のところ、これはやっぱり土地改良事業の促進ということが非常に重要な課題だろうと思うんです。鹿児島県でも宮崎県でも畑作灌漑の国営の事業をあちこちでやっておって、それはかなりの評価がされているようですけれども、このいわゆるマル南資金の中で、政府からもらったこの表によりますと、四十八年、四十九年、五十年、五十一年、この間で貸付額が百十五億三千七百万円。だけど、このうち土地改良で使ったのはわずかに一億五千七百万と、こういうふうに非常に少ない。こういうふうなことが、いはゆるマル南資金というのは土地改良ではなくて、その以外のいわゆる指定施設、家畜導入、果樹植栽、そういう方面にしっかり使っていくんだ、こういうふうなことがこの数字ではあらわれているわけです。となれば、国営の土地改良事業というものはもっともっと強化されていかなければいけないんじゃないか、こう思うんでありますけれども宮崎県、鹿児島県、そこら辺の実態はいかがですか。
  143. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) マル南資金はもちろん土地改良事業でも使えるわけでありますけれども、現実の対応といたしましては、宮崎県にいたしましても、鹿児島県にいたしましても、土地改良事業はやはり国なりあるいは県の助成というものを受けてやっているというのが実態であります。  そこで、宮崎県、鹿児島県、そういったマル南地帯の一つの営農上の問題は、非常に土地基盤整備が立ちおくれているというところにあるわけで、特にそれがシラスとかそういった特殊土壌地帯であるところに問題があるわけでありますから、私どもはそういった水田に比べ立ちおくれている畑地帯の基盤整備を重点的に促進する必要があるということで、いろいろ一般土地改良事業推進するだけではなくて、そういった畑地帯に適応するような融資事業費目というものも仕組みながら、あるいは採択基準とか、あるいは補助率とかにつきましても優遇措置を講じて要望に応じてきているつもりであります。  たとえば、マル南地帯の土地改良事業というもので非常に大きな問題になりますのは、水源の供給、畑灌ということが問題になるわけでありますが、そういったところにつきましては、五十三年度から新たに水源の造成を図る地区を対象といたしまして畑地帯の水源整備事業ということで、これはかなり注目すべき事業であるというふうに考え、活用していただきたいと思っているわけでありますが、あるいはそういった事業新設するとか、都道府県営農地開発事業の採択基準の緩和とか、そういった畑作振興のための各種事業を積極的に推進する措置をとっているつもりであります。もちろん、これは今後そういった努力をさらに一層傾注しなければならないというふうに思っているわけでありまして、特に宮崎鹿児島、そういったマル南地帯につきましては、そういう特殊土壌、その地域の特殊性というものも考えて、畑地帯の改良ということには意を用いなければならないというふうに思います。
  144. 原田立

    ○原田立君 マル南地方の土地改良事業ですね、それは一体何年計画目標は幾らで、現実はどのぐらいまでいっているか。その点はどうですか。
  145. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 全部の数字はただいま持ってきておりませんが、たとえば代表的な例といたしまして、国営事業で南薩地区というものをやっております。それからそれとあわせまして県営事業で南薩地区、あるいはもう一つは指宿地区、こういったものを、これは畑灌でありますけれども、灌漑事業をやっておりますが、そういった事業を達観してみますと、詳しいことは御必要があれば御説明申し上げますが、われわれが当初予定しておりますよりは、現実には事業進度というものはやっぱり残念ながらややおくれている。これはここだけではございません。日本全国全体がその地区の進度というものはやっぱりおくれているということは残念ながら実態でございまして、そのためにその立ちおくれというものをいまわれわれ一生懸命取り戻すという努力をしているわけでありますが、南九州のところにつきましても、やっぱりそういった畑灌事業というものは当初の予定よりは進度がおくれているというのが実態であります。これにつきましては、ことにそういったところに重点を置いてその取り戻しを早く回復して、できるだけ早く完成させたいということをする必要があるというふうに考えております。
  146. 原田立

    ○原田立君 全国平均では何%の進捗率で、それに比べて南九州においては現状はどうなっているか、数字的にもしわかっていれば教えてください。わからなければ結構です。
  147. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) ちょっと恐縮ですが、全体の進捗率は、いま手元に持っておりませんのであれでありますけれどもマル南地区のただいま申し上げました国営灌排の南薩地区というものは、これは四十五年から始めて現在五十三年度を含めまして六一%程度、これは、あとまだかなりございますが、できるだけ従来のおくれを取り戻したいということであります。  それから、県営の方が、残念ながら付帯県営の方はおくれておりまして、これは五十三年度まだ配分がされておりませんので五十二年度までの進度で申し上げますが、二六%。これは南薩地区であります。それから指宿地区の方は二五%ということで、これはやはりかなりおくれていると。まだ若干、あと数年あるいはそれより若干越すかもしれませんが、年度というものは残されておりますので、できるだけ……。全国に比べてこれがおくれているかどうかというハンディは、ちょっといま数字を持っていないので、恐縮ですが後で御報告さしていただきますが、おくれを取り戻したいと思います。
  148. 原田立

    ○原田立君 大臣、の局長説明のように、非常におくれているということを仰せになったわけなんです。このおくれを取り戻すように努力をしてもらいたい。これが一つ。  それから、なお県営の方は国営に比べて非常におくれていると。これは所轄——県は県知事がやるんだろうけれども、もう少しこれは厳重に注意して指導して、もっと大いに促進できるようにしてもらわなきゃならぬと思いますが、この二点についてお考えをお聞きしたい。
  149. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 土地改良につきましては、農業基盤でございますが、ここ数年前、しばらく前年同額という厳しい時代が二、三年続いたものですから、全体的に進度がおくれていると。こういうことは非常にわれわれ困ったことだなあと思っておりましたが、幸いここ一、二年、特に来年度予算ではかなり農業基盤が伸びておると。中でも畑地帯関係のものについては、多いもので一四七%、五割に近い伸び率、少ないものでも四割前後ということで、相当前向きに伸ばしております。これは来年度だけじゃなくて、何とか相当の期間続けてこのおくれを取り戻したいと真剣に考えておるところでございます。中でも南九州やあるいは北海道のように、マル寒あるいはマル南で処置をしなければならない地域についての配慮はもっとしなければならぬなあと。いま御指摘をいただきまして、おくれている面もある、せっかく資金面での援助だけじゃなくて、やっぱり一体となって実行することによって効果が上がるのだろうと感じますので、今後ともさらに畑地帯全体はもとよりのこと、これは農業基盤全体もそうでございますが、中でもマル南マル寒地帯について、ひとつ十分の配慮をしていきたいと、こう思う次第でございます。
  150. 原田立

    ○原田立君 その点はひとつよろしくお願いしたいと思うのであります。  それから次に、貸付限度額の引き上げでありますけれども南九州におきましては酪農・肉用牛六百万円を九百万円に、その他五百万円を八百万円にというようでございますけれども、この貸付限度額九百万ないし八百万という計算はどういうところでお決めになったんですか。
  151. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 特に積み上げてこうだというような、きちっとした積算の基礎というものはございません。ただ、従来の貸し付けの実績あるいは貸付額ですね、それを大体五割ふやしたということであるわけでありますが、その考え方といたしましては、一ころに比べてやはり経営規模というものも非常に拡大してきているし、資本装備そのものが高度化してきている。あるいは物価上昇、そういったことも考えて、達観してと言って申し上げたら正確になるのかもしれませんが、五割程度拡大したと、こういうことであります。もちろん、いろいろ御答弁申し上げておりますが、これは必ずしも絶対変えないというふうに固定的に考える必要はないので、それは当面この資金需要で御要望にはこたえ得るのではないかというふうに思っておりますが、どうしても足りないということでありますれば、その増額についてはいろいろ必要に応じて努力する必要はあろうかと思います。
  152. 原田立

    ○原田立君 この貸付額に対して利息でありますけれども、据え置き期間中は利息は五分ですか。それから償還が始まると四分五厘ですか。これは逆ですかな、逆ですね。今回のように公定歩合の引き下げだなんというようなそういう問題があって、郵便預金なんかも連動して、いま引き下げられるようなことが言われているわけなんですけれども、先ほどたしか午前中にもちょっとこの問題に触れられたと思うのですが、かなり低利な状態にあることはこれは間違いないのでありますけれども、何らかここで手を加えるようなことが考えられるかどうか。この点は大臣の方がいいでしょうね、御答弁をいただきたいと思います。
  153. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 午前中も御答弁を申し上げたところでございますが、こういった金融は、相当金利が上がったときも据え置く、下がったときもそう動かさない、安定的に低いところで処置するという仕組みになっておりますので、五分の金利のこういったものまで今度の公定歩合でいじくることはいかがかなあと、こう思っております。ただ、市中金利が変わった場合、貸出金利が変わった場合に見直すべき仕組みになっておりますから、卸売市場整備に対する金融といったようなものは、これはかなり接近してまいりますから、見直さなければならないかなあと、この点は他省庁とも相談をして積極的に取り組みたいと御答弁申し上げたところであり、そういうふうにいたしたいと、こう思っておるわけでございます。
  154. 原田立

    ○原田立君 積極的な姿勢を崩さないようにしてもらいたいと思います。  今度行きましていろいろと聞いてきた中に、下手すると一般資金の方を借りたらそっちの方がいいんじゃないかというような、それは冗談事ですよ。八年据え置きの二十五年の返済なんて、そんなの一般にはありゃしませんけれども、だけれども、冗談にもちょろっと出てくるようなそういうことは、やっぱり政府として甘んじて受けるようなことじゃなくって、マル南資金、これはいいんだと、こういうふうにもつとさせなければいけないと思う。だからいま大臣が言われたように、利息の低減についても積極的姿勢は崩さないというふうに言われたので了とするわけでありますけれども、なお改めてお伺いしますけれども、それでよろしいですね。
  155. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、改善すべきは積極的に取り組みたいと思っております。
  156. 原田立

    ○原田立君 マル南法あるいはマル寒法の期限延長についてお伺いするわけでありますが、一部に本制度を時限立法から恒久法案にせよとの声があるんでありますが、五十八年以降の考え方とあわせて、今後どの程度延長すれば所期の目的を達することができると考えられておるのか、御見解をお伺いしたい。
  157. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) あと幾ら結局対象農家があるかということと関係するわけでありますが、私ども判断では、マル寒の方で五千戸、それからマル南の方で両県合わせまして一万二千戸という農家がやはり貸付希望として存在すると、こういうふうに思っております。その五千戸ないしは一万二千戸というのは、四十八年から五十二年度までの五年間に貸付決定といいますか、貸付決定の計画を立てたものとほぼ同じ数字でありまして、実績とも似通っております。この四十八−五十二年の各年の貸付認定実績というものも、大体考えれば、そういった数字は大体五年分ということになりますので、五年の期限の延長というものをお願いしておるわけであります。今後よほどのことがない限り、われわれが努力すれば五千戸あるいは一万二千戸というものの残っております農家の御要望にこたえれば、使命は一応終わるというふうに思っております。その後情勢の変化によりまして、また別の事態が出てくれば、その時点においてはまた判断させていただきますが、現在時点においては、五年の認定期限を延長していただけば事足りる、こういうふうに思っております。
  158. 下田京子

    ○下田京子君 ただいま議題となっております北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案の、特にマル寒に関する分野でお尋ねしたいわけですけれども、それに当たりまして先ほども先輩委員から、大臣が十年前委員であったころのお話がございました。  実は私も、大臣いまいろいろ御答弁ありますけれども、当時こうした法案の審議にどういうお話をしているかと見てみましたら、昭和四十一年三月三日の委員会でございますけれども、このようなことを申し上げております。お読み申しますと、「特に畑作農業というものの現状が非常に憂慮される事態にあるのではないか。と申しますのは、最近とみに外国との貿易の自由化によって、農産物価格が非常に頭打ちをされておる。」「また、このベースをなす農業基盤の整備ということにも大きな問題があり、」というふうな展開から、さらに「北海道農業にしろ、畑作農業等は、貿易自由化が来ても、ほかの物価が上がってもだいじょうぶなんだ、いまのような価格政策でだいじょうぶなんだ、」というふうなことが言えるようになっているかというふうな形で御質問あるわけなんです。  私がお聞きしたいのは、大臣のこの当時の指摘ですけれども、いまから十二年前でございますけれども、いまも私全くそうじゃないかと思うわけなんです。特にいままでもいろいろ御答弁がございましたけれども大臣畑作地帯の御出身でもありますから、非常に畑作農家、酪農家の苦しみというものは御存じだと思うんです。そして、お米の問題の審議のときにも出ましたけれども、米価に比べたら畑作、酪農の価格は非常に大変だというお話やら、あるいは外圧の問題やら、あるいは基盤づくりの問題やら御指摘があったと思うんです。私、この御指摘は非常に大事だし、この教訓をしっかり受けていくということが今度の審議に対しても重要じゃないかと思うわけなんです。この大臣の御認識、いまもお変わりなく、その改善のためにこの審議を通じましても当たっていただけるかどうか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  159. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 過去を振り返ってみて、私が代議士になったころの畑作農業というものは、それはそれは大変なものであったわけなんです。価格政策があったもの、ないものもありましたが、価格制度はあったけれども値上がりはしない、むしろ増産になったというので値下がりをするというような事態もありまして、私は離党届けを出して対処したこともございます。そして、農産物価格安定法を改正したり、その後相当の値上がりをいたしまして、たとえば大豆についても、当時五千円であったものがいま一万五千円になっている。あるいはビートについても、六千二、三百円であったものが現在は二万円にもなっておる。麦なども、当時は三千円か四千円であったものがいまや一万一千円が確保されている。私は、もう相当畑作農産物の価格政策というものはよくなってきている。そのほかに金融対策も相当講じておりますし、さらには自由化に対しても最近はいかなる外圧があろうとも自由化はしない、こう私が責任を持って対処しておりますので、私は十年間に畑作農業というものは相当変わったという自信を持っております。  ただ、問題なしとするかというと、まだまだ問題がありますから、今後ともあのときの気持ちで対処をしなければなりませんし、やっていきたいと思いますが、事情はこの十二年間で私どもの北海道の農家一つ一つ見ましても、住宅の状況から、自動車の保有台数から、あるいは労働時間等等を見ますと、十数年間で打って変わったようによくなったという一面もあると。私は言ったことは必ずやる男でございますから、今後とも過去の実績を踏まえて処してまいりたい、こう思う次第でございます。
  160. 下田京子

    ○下田京子君 まあ十年前に比べまして、確かに大豆が五千円から一万数千円台に上がったとかいうのは、もう諸物価の変動等々でございますし、それは全くおっしゃるとおりですけれども、いつも大臣が言われているように、価格一つとれば、お米と比較してどうなのかとか、あるいは大変北海道の畑作、酪農地帯も変わってまいりましたと、これは変わるわけです。変わるその中身の中で、まあゴールなき規模拡大なんと言われるぐらいにどんどん規模は拡大するけれども、一方でまたいろんな、先ほども先輩委員から御質問ありましたけれども、多額の負債を抱えている問題だとか、あるいは連作障害のことだとか、新たな課題を抱えていると思うわけですね。そのことは大臣もお認めだと思うわけなんです。だからこそ、ここにあって今回のこのマル寒の一部改正に当たって、貸付対象の範囲を種豚の購入だとか、果樹の植栽、育成なんかも加えたということにもなるでしょうし、また貸付限度額も引き上げていったということに私はなるんだと思うんですよ。  そういう御認識から、具体的に融資の問題なんですけれども、今回融資条件改善に当たっていま言ったようなことが織り込まれたわけなんですが、特に御承知だと思いますけれども、北海道庁からも要望の強いその中に、今回の対象範囲の拡大とかいろいろございますが、そのうち特に据え置き期間の延長問題というのが大きく取り上げられております。これは、八年から十年の据え置きにしてほしいということにつきまして、午前中の質疑の中では、これは総合施設資金と比べれば片や十年だけれども、片や資金の額が大きいんだから、マル寒は小さいんだから、そういうところからいってこれまでまあまあがまんしてほしいというふうな話があったけれども、私は問題が逆じゃないかというふうに思うわけなんです。というのは、本当に立ちおくれている農家の皆さん方を中庸程度に引き上げていくわけでしょう。そういう点での御認識というのが、現地の御認識と逆になっているんじゃないかということを、私は問いただしたいわけです。いかがでしょうか。
  161. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 確かに、総合資金の十年に対してこのマル南あるいはマル寒資金八年というのは二年の差はありますけれども、しかし、これは一件当たり融資金額かなり実際問題として違うし、それから融資対象となる施設等も、その規模あるいは内容等においてもかなり違っているわけで、その間にしたがって償還上据え置き期間というものが二年の差があると。まあ二年がいいか一年がいいか、そこのところの議論はいろいろあろうかと思いますけれども、必ずもう同じでなきゃいけないということではないので、差があるというのはやっぱりそれはそれなりに、これは元来制度資金でありますから、制度目的とかいろいろなバランスを考えて差があってもいいのじゃないかと。  それから、これはあくまで限度の話でありますから、現実の運営といたしましては、その限度一っぱいまで借りるかどうかということよりも、本当は個々の農家の償還条件とか、経営の問題だとか、あるいは貸し付けの対象になるその事業内容とか、そういったことから判断して、これは償還期間も同様でありますけれども、据え置き期間というものは具体的に決まってくるわけでありますから、その十年という期限の問題と八年という期限の問題というものとは別に、具体的に個々の案件について据え置き期間というものを設定する場合には、そう極端な差はないような形で弾力的に運営していったらどうだろうかと、こういう考え方を申し上げている次第であります。
  162. 下田京子

    ○下田京子君 私は、いま御説明のと午前中の答弁との関係から言って、御認識が逆だと、考え方を改めてほしいということなんですよね。それは大臣も、実態として償還を延ばしてほしいという特段に強い要望があれば検討いたしますと午前中お答えをしております。北海道の農務部農業経済課で調査した資料、五十二年の八月でございます。もちろんこれはお手元に届いているはずです。この資料の二十六ページに具体的に総合資金との関係fこのマル寒資金制度の問題等で要望がまとめられているんですよ。現地の皆さん方は、マル寒資金とこの総合資金関係については、午前中答弁あったのと逆ですよね。いわゆるどういうふうに逆かと言うと、総合資金というのは中核的な担い手である自立農家中心としてやっていますよね、私が説明するまでもなく、これは御存じだと思います。年齢だとか、意欲だとか、能力だとか、技術だとか、そういうものを総合的に判断しておりますから、だれでもが借りられる資金じゃございません。そういうものに比較してこのマル寒というのは、マル寒資金の貸付条件を総合資金よりも有利なものに改善して、その活用によってまず経営安定のための基礎づくりを行わせることが必要だと、こう言っているわけなんです。まさにマル寒資金が必要なのはここだと思うわけなんです。ですから考え方がまるで逆だ。その御認識を改めてほしい。この御要望に沿った線でもって運用を図られたいということを、まずお願いしたいわけです。
  163. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 認識の問題ですが、総合施設資金はある一定の規模に達しておるという農家がさらに上層に伸びたいと、いわゆるプロ農家として自立経営の域に達したいと、こういう政策目的でありますから、当然資金の内容というものは異なってきています。それから、資本装備とか投資の形も異なってきているわけです。金額も当然異なってくる。そういうことから、据え置き期間というものが長くなるというのはこれは当然だろうと思うのです。  それから、確かにマル南資金あるいはマル寒資金というものは、中庸以下のものをとりあえずその中庸のところまで少なくとも第一段階として引き上げてくる、そういったことがねらいなわけですから、そういう意味で総合施設資金とはやっぱり資金の形、内容というものは違うわけで、限度という意味での据え置き期間においては差があるというのも、これはやっぱり自然じゃないかと思うのであります。
  164. 下田京子

    ○下田京子君 いまの事務的な答弁だけじゃなくって、御認識として、経営の規模を安定的にしていくという意味からいったらば、総合資金並みのせめて据え置き期間十年まで持っていく上での検討が必要じゃないか、そういう立場で物事を考えていただかないと、こうした実態にこたえられないでしょうということなんですよ。大臣、その点いかがでしょうか。
  165. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 局長から答弁申し上げましたように、装備の内容も違いますし、この辺なら喜んでおるのだろうなと私は思っておるのですが、いいにはこしたことありませんから、資金量も違いますし、八年据え置いて二十五年の間五分の金利、八年間は四分五厘と、あれに比べこれに比べ、いろいろ言えば議論がありますが、これだけいい金融はない。しかも、五年間で終わるはずだったのを五回も延長して、しかも今度は貸出枠を大きくする。ここに今度の目玉商品を置いたので、一つ目玉じゃなくて、しかも種豚あるいは果樹等にも、二つの目玉を持っておりますから、そこへ三つの目玉をつければもっとよかったのですが、二つの目玉でひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  166. 下田京子

    ○下田京子君 二つ目玉入れてくださったのはいいんですよ。とすれば、なおのこと改善が必要だと思うのです。といいますのは、大臣のいまの御答弁の中にありました種豚の購入でしょう、それから果樹の植栽、育成でしょう。そうすると、果樹の植栽、育成ということについて他の金融関係を見てみますと、これは果樹植栽資金というのがございます。これは十年以内というふうになっています。それから果樹経営改善資金、これも十年以内となっています。それから農業構造改善事業推進資金の中でも、特に果樹の植栽に関しては十年以内というふうになっているのです。ですから、この二つの目玉を入れたその一つの果樹の植栽、育成というそのことから見ても、やはりこれは他の制度資金との兼ね合いも見て、十年に据え置き期間延長ということが妥当な線ではないでしょうか。検討の大きな課題になるんではないでしょうか。そこをぜひ大臣、よく現地の声御承知なんですから、その実態に即して他の制度金融との兼ね合いも考えて検討いただきたいというふうに思うわけです。いかがですか。
  167. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 私はむしろ逆でして、償還は早くできるような農家をつくる。八年間も償還ができないような後ろ向きの農家ではいけないのではないか。五年なり三年たったら償還できますよという農業政策を講ずべきものであって、一緒にするとしたら、むしろ総合施設資金の方をこちらに合わせるべきではないか。その辺のところ議論すればいろいろありますが、むしろ農家の方が利口であって、八年の枠というものがあっても早く返したいということで、実態は八年以内で処理をしているということでございますので、これをやればいいのかもしれませんが、農政の方向としては私は償還が早くできる、二十五年もかからぬでやれるという方向に、農業基盤なり、あるいは価格政策なりあらゆるものを総合的にやっていくべきで、この辺のところを余り緩くすることが農家のためにいいことであるかどうかということは慎重を要すると、こう思う次第でございます。
  168. 下田京子

    ○下田京子君 いま大臣の御答弁の中で、価格だとか基盤整備だとか含めまして、もう八年も二十五年もかけないで返済できるようなそういう営業の中味にしたいという、私そこは賛成なんです。農家の人たちもそこを望んでいると思うのですよ。でも、現実はどうかと言えば、こうして道庁や皆さん方からも要望が強いわけですね。そうしまして、負債もだんだんふえてきているわけですね。ですから、そういうところから見て、やっぱり改善の検討というものが改めてまた必要なんじゃないか、ぜひその検討課題の中に入れてほしいというお願いを言っているわけですね。  あわせてもう一つなんですけれども、このマル寒資金というのは、説明の中にもございましたけれども、非常に自然的な気象条件だとか、土地条件だとか、災害問題とか含めて厳しいわけですね。ですから、五年に一度ぐらいの大きな災害なんかも来るときが多いわけです。そういう自然条件との兼ね合いから見て、まだ借りている途中でまた災害が来るということなんかもあると思うのですよ。そういうことも考えて、やっぱりその災害に遭ったときには、八年だけれども、それじゃその災害に遭った期間の猶予期間を設けるとか、そういったことというのは私は検討すべきじゃないかと思うわけなんです。この辺いかがでしょうか。
  169. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) そういう話でありますれば、これは当然だと思うのです。災害があって返そうと思ったけれども返せなかったから、猶予しようというような措置は、これはもう前向きに検討しなければなりません。しかし、当初の問題だけはこれは余り目くじら立てずに、むしろ早く返せる農家、しかも借りる額が平均で六分の一ぐらいなのです。それぐらいの金を借りて二十五年かかって十年も返せないというような仕組みよりは、むしろ災害等があって不慮の場合には災害それ自身で融資をする、同時に、借りておりますそういった、この資金だけじゃなくて、多くの資金について延長するというようなきめの細かい涙のある政策は、これは前向きでやっていくべきだと、こう思います。
  170. 下田京子

    ○下田京子君 確認の意味なんですけれども、私、目くじら立てているわけじゃございませんで、本当に実態を見るにつけ聞くにつけ、大臣と同じように、その農家の皆さんの気持ちが痛いほどわかるから、涙のあるそれこそ行政をと願っているからなんでして、その点から確認なんですが、災害があったとき、そういったときはマル寒資金に八年という据え置き期間はあるけれども、猶予期間というものについては考えますというふうに御理解してよろしいでしょうか。
  171. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 災害が起きた等の場合には、実態を調査して、返還ができないというよう場合には猶予する等の措置は講じたいと思います。
  172. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひその猶予というケース・バイ・ケースの特殊なことも含めて、それから総合的な償還のことも、営農の内容も含めてまた検討をお願いしたいというふうに思います。  それから次にですが、このマル寒資金でいろいろ御要望がある中で、もう一つ大変大きいのが金利の引き下げなんですね。このことにつきましても、先ほど来からいろいろ御質問ございました。これに対して大臣は、今回はマル寒はむずかしいと、だけれども、何ですか、農業関係資金では一部検討もしているというお話でございました。具体的に名前が挙がったのは卸売市場近代化資金だったかと思うんですが、その他の資金については、具体的に言うとどうした制度資金が検討の中に入っているでしょうか。
  173. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 金利、公定歩合が下がりました場合に、同時に、その下がる状況にもよりますが、財投資金の金利をどうするかという問題が出てきます。財投資金が下がりましたときに、それと歩調を合わせて公庫資金の金利をどうするかと、こういう問題がございますが、私たちの従来の扱いといたしましては、要するに基盤整備関係の公庫の金利ですね、土地改良、それから造林、林道、漁港、そういう基盤整備関係の金利はこれは長期低利の金でございますから、そういう金利の変動に連動して動かすべきものではないという扱いをいたしております。したがいまして、下がったときにも下げないし、もちろん上がったときにも上げないという、基盤整備関係は原則としてそういう扱いをいたしておりますが、その他の資金につきましては、財投金利が下がりましたときにはこれを下げ、上がりましたときには上げるという扱いにいたしております。その典型的な例が、大臣が申し上げました市場関係資金でありますとか、あるいは漁船関係資金でありますとか、そういう資金は財投の金利と連動さして上げ下げをいたしておるわけでございます。
  174. 下田京子

    ○下田京子君 もうちょっと具体的に聞きたいんですが、そうすると、検討の中に入っているのは八分資金の乳業施設資金であるとか、あるいは共同利用施設資金であるとか、そういった具体的なもの数点が検討に入っているのかどうか。
  175. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 財投金利との連動で変動するものと申し上げますと、卸売市場近代化資金でございます。それから主務大臣指定の施設資金、それから共同利用施設資金、それから塩業新規用途、乳業、そういうふうなものは財投の金利と連動して変動をさしております。
  176. 下田京子

    ○下田京子君 いまお話しになったものについては、連動を検討しているということだと思うんですが、この検討の中にどうして大臣マル寒資金の方は入っていないのか、大変しつこいようですが、再度私もお尋ねしたいわけです。
  177. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) いま申し上げましたような考え方でございますから、したがいまして基盤の整備とか、あるいは総合資金でありますとか、あるいはそれと並びますマル寒マル南資金等につきましては、そういう私は財投資金と連動さして変動させるべきではなくて、むしろそういう政策色彩の非常に強い金利につきましては、これは上がった場合にも上げないし、同時に下がった場合にも下げないで置いておくことが政策的にベターではないかというふうに考えております。したがいまして、マル寒マル南資金も、今回の金利引き下げの対象には入っていないわけでございます。
  178. 下田京子

    ○下田京子君 マル寒マル南資金が入っていないということですが、いまの答弁の中で、それからまた先ほど大臣も答弁しておりましたが、農業資金等については低利で安定的に長期に借りられるものというふうなお話だったと思います。私もその点から見て、その五%という金利がどうかという点では再度このような情勢の中で検討するに値するんじゃないか、必要じゃないかというふうに思うわけなんです。なぜならば、基本的に私どもは公定歩合の引き下げで景気をよくするというんじゃなくって、本来的にはやっぱり農家経営をよくしたり、労働者のふところをよくしたりして購買力を高めていくというのが、私は経済の再建の基本だと思うわけですね。しかしそういう中で、今回の公定歩合の引き下げで一体どのような効果が出るかと言いますと、これは新聞報道なんですが、大臣ちょっと読んでみますと、これは三月十六日の日経新聞なんですけれども、東京証券取引所第一部上場企業、会社、これが向こう一年間で支払う金利が今度の公定歩合の引き下げによって、金融と保険を除く八百三十一社の中で、支払い金利年間で一千百億円も減るという報道になっておるわけです。これは御承知だと思います。しかも、この金利軽減のトップが三井物産です。そして、その金額が大変なものになっているわけですね。  こういうふうな状況の中で、今度の公定歩合で一番恩恵を受けるのが商社、鉄鋼、電力というこういう状況になっているわけなんです。とすれば、私は農家というものは長いそれこそ年月を経て、特に酪農なんというのは長期的な見通しの上で成り立っているものだと思うわけです。そういうことから考えて、やはり今回の公定歩合の引き下げとの関係からして、農林関係の、特にマル寒マル南の金利引き下げというものも検討の中に入れるべきじゃないのかというふうに思うわけなんです。大臣、その辺いかがでしょうか。
  179. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 計算をすればそのとおりにまさになるのだろうと思いますが、逆にまた、公定歩合引き上げのときには、そういった商社、大企業は大変な利子負担をするという半面もあるわけなんです。そのときに、農家の人も皆さん少しは金利を負担してくださいという仕組みではないと。千百億になりますか、二百億になりますか、そういう振れに左右されないで、五分という金利でもって二十五年もうどんなことがあっても動かさないと——動かさないというのじゃなくて、安定的に低いところでやっていこうというのがこの仕組みでございまして、今回、千百億向こうが——向こうといいますか、商社あるいは鉄鋼、電力等がメリットを得たから農家にも返せというのは、直結しないのではないかと。  もし、それを直結させるとするならば、それじゃ今度は鉄鋼、電力業界もたくさんの負担をするようになったことだから農家の皆さんも負担してください、そのときは負担しますと、こういう一面があるならば御指摘のとおりだと思いますが、そういう振れには影響なくきちっと決めたものであるわけでございますので、せっかくの御指摘ではございますけれども、これをここでわかりましたと言うわけにはまいらないわけでございます。
  180. 下田京子

    ○下田京子君 道庁の、マル寒資金マル南資金というのは政策金融だということですから、こういう経済情勢の中で公定歩合の引き下げということになれば、一定の恩典ということでこういう状況の中で考えるべきではないかと、そういうことで検討をぜひというふうに私は申し上げた次第なんです。  そこで、ちょっと大蔵省の方にお尋ねしたいんですけれども、今回の公定歩合の引き下げで、新聞報道等では、住宅公庫の引き下げなんかも具体的にお出しになっているようですけれども、その点どうでしょうか。
  181. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) 政府系の金融機関の金利を公定歩合の引き下げに関連してどうするかというお尋ねでございますが、御承知のように、政府系の金融機関の貸し付けは長期の金利でございますので、民間の長期の金利がどうなるか、それから先ほど経済局長からもおっしゃいましたように、運用部からの借り入れ、すなわち政府系金融機関のコストでございますが、これがどういうふうになるか、そういったところを見きわめながらこれから検討をするつもりでございます。しかし、現在のところは、まだ民間の金融機関の長期の金利がどういうふうに下がるかということも決まっておりませんし、いわんやコストがどういうふうに下がっていくかということも決まっておりませんので、まだ具体的に検討には着手いたしておりません。
  182. 下田京子

    ○下田京子君 この新聞の報道は、そうすると誤報ですか。これはやはり日経の三月十六日ですけれども、「大蔵省は十五日、公定歩合、長期金利の引き下げを決めたことに伴い、政府系金融機関の貸出金利も一斉に引き下げる方針を固めた。この中で戦後ほぼ一貫して年五・五%に固定してきた住宅公庫の個人向け融資金利も引き下げる方針で、〇・五%前後引き下げて年五%程度になる見通しである。」というふうな記事があるわけですが、いままだ決まってないということですが、検討はいましているわけでしょう。
  183. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) こういう問題につきましては、運用部のコストがどういうふうに変わるかということを見きわめながら検討するわけでございますので、まだ郵政審も開かれて郵便貯金の金利引き下げも決まっておらない段階で、何%引き下げるか、それとも引き下げるかどうかという問題を検討する時期ではまだないとわれわれは考えております。われわれとしては、新聞報道その他について全く関知しておりません。
  184. 下田京子

    ○下田京子君 いまの答弁はおかしいと思いますよね。検討しているのか、してないのかということを、私は聞いているわけですよ。
  185. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) そういう意味ですと、まだ検討しておりません。
  186. 下田京子

    ○下田京子君 全然話題になってないんですか。検討の話題に上ってないんですか。
  187. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) まだ全然検討しておりません。
  188. 下田京子

    ○下田京子君 それはおかしいわね。実際に公定歩合引き下げ云々ということで、これだけ問題になっているわけでしょう。逆に言ったら、怠慢でしょう。
  189. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) 繰り返して申し上げるようでございますけれども、運用部のコストが何%下がる、その何%下がったということを受けてわれわれとしては検討を始めるわけでございます。したがいまして、運用部のコストがまだ何%下がるか、いわんや、下がるか下がらないかもはっきりしておらない段階でございますので、そういう御質問につきましては、私どもとしてはまだ検討に着手しておらないというふうに申し上げる以外にないわけでございます。
  190. 下田京子

    ○下田京子君 まあ、言葉のやりとりになりますから、大蔵省よろしいです。  とにかく、具体的に何%のパーセンテージを提示されたらば始まるということですから、腹づもりがあるということを逆にいまおっしゃっているんじゃないかと思うんです。いずれにしましても、先ほども申しましたが、公定歩合の引き下げというふうなことでもって景気を回復するということじゃなくて、本来政策資金はどうあるべきなのか、それからマル寒資金にしても、一体五%がどうなのかというふうなことで、現在の経済情勢、そしてその中での農業情勢というものを見る中で、やはり非常に希望の多い金利引き下げ問題についてもこれからぜひ検討の課題の一つに入れて、先ほど午前中も答弁ございましたけれども、いろいろとお考えをいただきたい。お考えはいただけるでしょうね、大臣、そこはいかがでしょう。
  191. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) まさにこのマル寒マル南は政策金融でございます。金融でございますけれども、普通市中金融から政策でないもので借りますと、一割とか一割二分とか、しかも三年とか二年とか一年という短期の非常に高利なものでございますから、五分の八年以内の据え置き、そして二十五年というまさに政策金融でございます。それも市中金利が上がった、市中金利が下がったということで振れがなく、安定的に安心して金利の移動がない、下がることがあるならば上がることのある不安も必ず出てくるわけですから、そういう不安のないことに仕組んでおることもまさに政策金融である、こう理解をいただきまして、今回の措置は景気浮揚ということからやった政策金融でございますが、農村について特にこの金融を通じて景気浮揚をしなければならぬのではなくして、この資金によって農業をしっかりしたものにする、こういう仕組み、政策の目的達成されるわけですから、気持ちはわかりますけれども、むしろここで変えた場合には、やがてまた引き上げというような不安も来るのではないかと思いますので、これを変えない方がこの政策金融の目的を遂行する上においてはベターである、こう思いますので、どうぞひとつ御納得をいただきたいと存じます。
  192. 下田京子

    ○下田京子君 確認の意味で、公定歩合との関係で引き下げというふうなことはやらない方がいいだろうと、しかし、農家経営安定ということでもって、畑作、酪農農家経営を中規模程度に引き上げていくという方向からはひとつ検討に値することだろうというふうに理解してよろしいですね。
  193. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) そういう意味であれば、また別の考え方があるわけでございます。公定歩合との関連ではなくして政策金融としてもっと金利を下げられないものかなあと、こういう議論であれば議論をしなければなりません。しかし、過去の実績を踏まえ、ほかの金融との関連において、やはり農家の皆さんが希望しておるのは貸出枠をふやすことと、もう一つ対象を広げることということの強い要望があり、安くしたにすぎたことはありません。安くした方がむしろいいのかもしれませんけれども、ほかの金融等々と横並びで見まして、むしろ金利の引き下げよりは枠の拡大と対象の拡大ということの二つの目玉を、今回の改正に当たって政策的に採用し国会の審議をお願いしていると、こういうわけでございます。
  194. 下田京子

    ○下田京子君 まあ政策金融としての金利の引き下げということは、これからもいろんな角度から検討してみるという姿勢はあるというふうに理解をして次に移りますけれども、今回のマル寒資金の中で約六割に相当しますでしょうか、酪農家経営状況でございます。  これは先輩の委員さんからもお話しございましたが、非常にその負債が大きくなってきていて、この負債に対するいい解決策がないかということで金利の問題等も私はお尋ねしたわけなんですけれども、いずれにしても、負債やそのほかのことも含めて改善していく上で大事なことは、何といっても酪農家の場合には乳価になるんじゃないかと思うわけなんですね。  その乳価の問題なんですけれども、最近、この前もちょっと大臣にも政務次官にもお願いしたところなんですが、まだ審議会も開いてないから決定は見てないわけですけれども、生乳生産量がふえてきているんだから、逆に経営は安定してきているんじゃないかというふうに言われている、あるいは御認識されているように受け取れるところが多いわけなんですよ。そして、乳価の引き上げ等についても、引き上げる要素があるのかなあと大臣がいつも言われることですが、そんなふうなお話ございました。私、このことについて算定方式と算定要素の取り方ですね、この改善を検討する必要がいまあるのじゃないかと思うわけなんですけれども、この算定方式、要素の取り方についての検討をしているかどうかですね、今回。具体的に五十二年度の場合ですと、一時間当たり米価の場合には九百十一円四十二銭でしょう。飼育管理の方は七百二十九円三十銭、格差がございます。それからまた、同じ牛乳の生産において飼育管理の労働と飼料生産労働と分けておりまして、飼料生産労働では一時間六百三十円九銭というふうなことで、ここにもまた格差がございます。この格差是正ということでの検討は今回なされておるでしょうか。
  195. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 乳価につきましての算定について研究しておるかということでございますが、研究はいたしております。これは従来からいろいろ議論のあったところで、今年もどう対処するかなということでございます。私はいつも考えるのですが、価格というものは見ようによってはどうでも計算できるものだと、高く計算すれば幾らでも高く計算のしようもございます。安く計算しようと思えばいろいろあると。  しかし、そこで一番適正なものは何かということで議論が伯仲するわけですが、第一番目にいまの労働費の問題ですね。米については御承知のように食管法、国が管理をして、できたものはみんな私のところへ持ってきなさいと、お願いした限度数量の範囲内はよそへ売っちゃいけませんよと、言ってみれば委託をしてお願いしているようなものなんですよ。ですから、所得を補償いたしますという仕組みになっておるわけでございます。それに対して、それ以外の農作物は最低生産費を補償いたしますと、こういうことで仕組まれておるわけでございます。したがって、最低生産費の労働費のとり方と所得補償方式は違うと。ところが、畜産物に限りまして何とか値上げの方法はないかと、一時状況が生産が伸びないという厳しい時代がありましたから、そこで飼育管理は一般の農作物とは違うと、やはり高度の技術が必要であるというので、この面だけを工場労賃の米に近い、全く一致はしておりませんけれども、場合によっては米よりむしろ有利だと思われるぐらいの工場労賃をとると、こういうことにいたしたわけでございます。その結果、七百二十九円になっております。若干数字違っておれば……、大体それぐらいだと思うのです。  なぜ差があるかと言うと、米は全国を平均した労賃をとると。それから不足払いの労賃は、加工原料乳地帯の、すなわち五〇%以上が加工原料として持ってきた地域の労賃をとるという仕組みで差ができておると。それからもう一つは、同じ労賃を同じ農家の人が飼育した場合には高くて、飼料をつくったのは六百三十円で安いではないかと、これは不思議だというのでございますが、これを工場労賃にいたしますと、労賃の部門をとりますと、同じようにサツマイモも、あるいは大豆もすべてこれを貫かなきゃいかぬということになりまして、飼料作物だけはほかの米麦以外の農産物と同じ考え方であると、こういうことで差をつけております。  もし、これを一本化しろというならば、むしろ飼育管理費を飼料管理費に持っていくのが筋合いのものであろうと。われわれ長い間やってきて無理をしてというか、いろいろ乳価を上げなければならないという結果として、飼育管理費を高く見積もるようにしたと。じゃ、相対的にこれでもうだめだ、いいの議論がありますが、先ほど言ったように、再生産が確保される値段としては全体としてどうかと。昨年のやり方によっても生産意欲がついて、再生産どころではなくて再々生産がしたいというぐらいの意欲を持った値段であると。したがって、計算の方法を変えて、これを意欲的にまた生産を確保するという方に持っていくことはいかがかなという感じがいたします。  そこで、昨年並みの意欲を持つ程度の計算、すなわち昨年並みの計算をすると、むしろえさ代が下がっておるとか、これは十五%も下がっておりますから生産費は非常に安くついておる、あるいは合理化によって、合理化というのは多頭化の問題もありますし、一頭当たりの搾乳量もふえておるというようなことを勘案すれば、むしろ計算としてはふやすということはできないのかなという、先ほど御指摘ありましたが、そういう感じでございます。しかし、いずれにしても結果はどうなりますか、再生産が確保される値段というものはいかにあるべきかという法の精神に照らしまして、全体としてまた中身として最終結論を得たい、こういうわけでございます。
  196. 下田京子

    ○下田京子君 お米の方は所得補償方式だけれども、酪農については所得まで見られない、再生産を最低限度補償するようなお話があったかに受けましたが、いろいろ要素はないとおっしゃいますが、労働費のとり方、やはり最低米並みに上げるように、大臣がよく言われておりますように、酪農畑作地帯の北海道の皆さん方の期待にもこたえると同時に、また安心して国内の牛乳を国内でうんと飲んで消費を拡大していくというふうなことも含めて、私は検討していただきたいと思うわけなんです。  最後に、まとめて幾つかお尋ねいたしますけれども価格の問題についてはいま言ったことで、私の方からですが、生産費の所得補償方式の方でぜひがんばってほしいということ。  それから昨年ですね、三月二十四日ですけれども、参議院の農林水産委員会で小笠原議員が質問しまして、前大臣がお約束している件がございます。それは、ココアの調製品の問題なんです。御承知だと思うんですけれども、ココア調製品というのは、ココアをちょっと入れただけで、実際には生乳換算にしますと二十万トンからの牛乳が入ってくるということですね。このことについては、農林省や皆さんの方でも手をやいていることの一つじゃないか。何よりも農家の皆さんも困っているし、消費者にとってもえらい迷惑だと思うわけですね。この点で一つは、当時大臣が調査いたしますと、こう約束しているのです。何を調査なさったかということと、それから、このココア調製品の輸入によって実際には事業団で一元輸入している機能ももう果たさなくなってきて、その網の目をくぐってさらに生乳換算二十万トンも入ってきているというふうなことが、ちょうど国内の限度数量オーバー分にも匹敵するようなかっこうにもなってくると。もうすべてに対して問題を投げかけているところじゃないかと思うのです。この辺、どのような改善を、また調査をしているかということ。  それから、安定的に生産し、また消費を伸ばしていく上で続けて改善をお願いしたいのですけれども、現在学校給食に対して五円八十銭の補助を出しておりますね、これは昭和四十五年から変わらなかったと思うのですけれども。これは一年間の消費量約六十五万トンと計算しておるようですが、実際には学校で年間の給食日数、実施日数が二百日を割る百八十日、百九十日なんという中で、十一万トン前後余っていると思うわけなんです。とすれば、その分を補助金のかさ上げにするとか、あるいは施設や保育所の方に回すとか、あるいはとても希望の多かった幼稚園にまで補助金を拡大することですね。このことについては大蔵省段階で削られましたが、農林省は来年また要求して実施の方向までがんばるのかどうかというふうなこと。  さらには、日本に合ったチーズを加工品としてつくっていくというふうなことも一含めた技術改良ですか、研究を進めていくだとか、またおとり廉売で非常に問題になっておりますが、どうも牛乳は安売りされる。片や百円で片や宅配が二百円でとなると、百円の価値しかないものかなというふうに見ちゃうわけでしょう。実際の正当な価格は二百円だとすれば、そういうふうな大スーパーでやっているおとり廉売なんかはきちっと規制をして、そうして安定的に消費を拡大していく宅配の方向をきちんと援助をしていくだとか、指導するだとか、こういうことが必要じゃないかというふうに思うわけなんですが、時間になりましたのでまとめて、そういう方向でぜひ国内の酪農生産者、そしてこのマル寒資金を受けている北海道の農家の皆さんの経営安定と同時に、消費者の安心した消費の拡大ということを兼ね合わせた形での検討をお願いしたいと思うわけなんですが、その点、大臣よろしくお願いします。
  197. 佐野宏哉

    説明員佐野宏哉君) お尋ねのございました最初のココア調製品の問題でございますが、これは御指摘のございましたように、確かに粉乳にほんのわずか変な物がまざっておってココア調製品と称して入ってくると、そういう心配がございましたので、当委員会の御議論もございまして、私どもの方で税関でどういうチェックをやっておるかということを税関の方へ照会をいたしました。関税局の方から伺っておりますところでは、ココアの混入割合が一〇%未満の物というのは税関でチェックをして、これは調製品とは認めがたいということで、リジェクトをしていただいておるということでございます。  それから輸入数量につきましては、前から申し上げておりますように、チョコレート業界からココア調製品の輸入水準を四十七年水準でとどめるという自粛をしてもらうという一札をとっておりまして、年により若干の変動はございますが、おおむねその水準で推移をしておるというふうに認識をしております。もちろん、これは御指摘もございましたように、なかなか扱いにくいしろものでございますが、よく実情を見守りながら慎重に対処をしてまいりたいというふうに思っております。  それから学校給食のお話がございましたが、確かに学校給食は、計画どおりの数量を全量こなされておらないということは御指摘のとおりでございますが、これは主として土曜日に学校給食を実施することが困難であるという事情によって、計画との対比において若干の欠減が生じておるものでございまして、これを補助金の単価の引き上げに回せば土曜日の学校給食がスムーズにいくというわけのものでもないだろうと思いますが、私どもとしては、せっかく土曜日の給食もきちんとやってもらえるように、学校給食の担当の方にお願いをしておるところでございます。  それから、国産チーズの問題がございましたが、国産チーズの問題については、私どももせっかくできた加工原料乳が脱脂粉乳にばかり回るのがいいことだとは思っておりませんので、現在、関税割り当て制度を利用して、できるだけ国産のナチュラルチーズをプロセス原料として使ってもらうようにという仕組みをやっておるところでございます。  それから、スーパーの不当廉売の問題でございますが、これは小売業者の団体の方から、独禁法上の問題として公正取引委員会でこの問題を処理してもらいたいということで公取の方へ話を持っていかれておりますので、私どもとしては、公取がどういう結論をお出しになるか見守ってまいりたいというふうに考えております。
  198. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) もう一つ残っておりましたのは、乳価決定に当たっては所得補償方式をとってくださいということでございますが、これは法律の仕組みその他からいって、にわかにオーケーというわけにはまいりません。しかし、法の精神に従いまして再生産が確保されるということを原則として、しかるべき、農家もまた納得のいただけるよう乳価を決定して、長期的に見て、また短期的に見ても酪農が希望の持てるものである、暗いことにならないように、消費の拡大や生産コストの引き下げ、適正な価格ということで酪農に処してまいりたいと思います。
  199. 三治重信

    ○三治重信君 提案理由説明を見ますと、両者の地域内の農業者で営農改善計画を立てと。この営農改善計画なんですが、説明資料やいろいろ拝見いたしておって、経営規模のどの程度以上が大体営農改善計画が実際上立てられる、また適格者として認めている経営規模であるか。
  200. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 貸付対象農家基準、それから営農改善目標ということでございますが、これは当然マル寒とそれからマル南マル南の中でも県によって違いがあるわけであります。  まず、マル寒の方から申し上げますと、畑作経営といたしましては大体三百五十万程度、それから酪農経営としては二百数十万程度、平均いたしまして三百万円程度のものを目標として、貸付農家基準として考えているということであります。それから南九州は、宮崎県、これは大体所得水準としては二百万円見当、あるいは鹿児島の場合には百五十万円見当、こういうようなものを、これは絶対の基準じゃございませんが、一応貸付農家基準というような形で考えております。それから目標といたしましては、それを南九州の場合には大体二百五十万円程度、それからマル寒、北海道の場合には所得水準として三百五十万円程度、そういうような現在の貸付基準並びに目標というものを設定しております。
  201. 三治重信

    ○三治重信君 両地域で、ことに北海道から申し上げますと、経営規模は、これはいまは金額で言われたわけなんですが、これはそういう経営計画金額農業所得金額でそういうことをやっていられると思うんですけれども農林省のこちらへ出される資料は、みんな経営規模のやつはいわゆる土地の段階で出している。だから、段階の答えがあるかと思っていま聞いたんだけれども、それがないと。そして実際の推移を見ますというと、私は経営規模が逐次、この特別法をやることによってばかりではないかもわかりませんけれども経営規模の拡大がされていると思うんです、三十五年から見ると五十年は。それでもなお北海道でいわゆる七・五ヘクタール以下、一ヘクタールから七・五ヘクタールがもうほとんどで八八・五%、こういうのから見ると、何か経営改善にしても何にしてももう少し、これは土地なんですけれども、酪農ならば必ずしも土地が余りないかもわかりませんけれども、いわゆる農地の経営規模の拡大というものが、相当こういう制度金融なり振興をやる場合には考慮の中に入ってしかるべきだと思うんですけれども、そういう配慮はほとんどないわけですか。
  202. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) どうも失礼いたしました。  北海道の場合には、経営規模で申し上げますと、酪農の場合は十五頭から十九頭のものを一応農家水準として考えている。これ以下のものを対象として、より上のところに持っていこうというのがねらいであります。畑作の場合には十ヘクタールないし十五ヘクタール。目標といたしましては、酪農の十五頭ないし十九頭を二十四頭に持っていきたい。それから畑作の場合には、十ないし十五ヘクタールのものを少なくとも十一ヘクタール以上のところに持っていきたいというようなところであります。それから宮崎につきましては、肉用牛主畜では二十頭でありますが、これは大体二十頭という形でなく、内容を充実する形で目標を考えている。野菜主作につきましては、大体百三十アールというものを横並びで目標は考えているわけでございます。ただし所得水準は、先ほど申し上げましたように、経営中身をかっちりしたものとして上げていくということで、所得水準は上げております。  鹿児島の場合でありますが、肉用牛主畜はおおむね十七頭を十八頭程度、それから野菜肉用牛複合経営は百十アールという野菜の作付、それから肉用牛飼養頭数四頭を、百五十アールの野菜の作付、それから十頭の肉用牛の飼養、こういう形で現実の経営目標というものを考えて、それに資するような形で資金の融通をしていこうというように考えております。
  203. 三治重信

    ○三治重信君 そういうふうな、何というんですか、制度金融をやる場合の目標が設定されるべきだと思います。したがって、そうならそのようなことで判断できる資料を今後とも出してもらわぬと、一般的な農林統計でやると、この参考資料というものが何を目標にして、どういう制度金融をやった結果どういう数字になってきているのか、こういうことを——私ちょっと見ても、経営規模の拡大だけは若干出ている。それから、やはり両地域でわりあいに経営規模の大きいところの農業所得、北海道、南九州でも、いわゆる農業所得の比率の多いところ、一般の農家所得の中で農業所得の比率の多いところをねらっているやに資料があるものだから、それをお聞きしたわけなんです。それで、一般的に申しますと、これは特別沖なんですけれども、この制度金融というものについては、私はそういうふうな自立経営をできるような農家を、主体的に制度金融の援助によって自立経営ができるような体制というものを農林省としては考えるべきだと思うんですが、そういう問題についてはその制度金融の考え方というものについては、いや、そうじゃなくて、ただ全体の農業生産がふえればいいんだ、家畜頭数がふえればいいんだと、こういうことでは——やはり特別国の税金なり制度金融を使ってやる、こういうことに何か戦略目標がなければならぬと、こう思うわけですが。
  204. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) おっしゃるとおりだと思います。いろいろ制度資金は種類があるわけでありますが、自立経営との関係で申し上げますと、このマル南資金は、もちろん究極目標は自立経営ということにあるわけでありますが、第一次接近目標として宮崎県あるいは鹿児島県あるいは北海道、そういった畑作地帯の中庸規模のところまで以下のものを第一目標として引き上げる、そのお手伝いをこの資金を使ってやろう、一つの手段としてやろうというのがねらいであります。それから、それ以上にすでに現実に達成している農家というものについては、これをさらにより高度の段階に自立経営目標に接近していただく、こういう意味で、それにつきましては、もっと資全量の多い、平均で申しますと、マル寒資金が一件当たり大体二百万ぐらいの貸付実績でありますけれども、千二百万ぐらいの貸付実績を持つ総合施設資金があるわけでありますが、そういった資金量の多いような総合施設資金を、中庸規模に達した以上の農家についてはそれへ手当てして、自立経営に到達するようなお手伝いをする、大体こういうような考え方で整理をしているつもりであります。
  205. 三治重信

    ○三治重信君 これは小さいことですが、この中で土地改良というのがわずかの金額ですけれども出ておるのですが、こういう制度金融で、特別ほかに補助金でなくて、金融で土地改良というのは、土地改良農家計画して融資してくれと申請して、採算に合う土地改良というのはどういう中身なのか。
  206. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 大規模な各広範囲にわたるような土地改良、これは先生御承知のとおり、国営、県営、団体営という体系があって、それぞれ公共投資をした上で農民負担の軽減をし、また補助残については融資をする、こういう手当てでやっているわけであります。ただ、ごく小規模の、農家が自分の経営の周辺のものを若干手当てする、用水路あるいは灌排、排水と、そういったものを若干の程度補修をする、そういったごく軽微のものにつきましては、いわゆる非補助土地改良事業というものがございます。それは三分五厘という長期低利資金で見るということで、そういうようなごく軽微の、みんなが土地改良区という組織あるいは農協という組織で共同してやるようなものとはやや、もっと小回りのきくような形での土地基盤整備事業というものを、そういう非補助融資で対応しているということでございます。
  207. 三治重信

    ○三治重信君 次に大臣にお聞きしますが、これは臨時措置法になって、マル寒の方はいままで三回、今度で四回ですか、マル南の方は一回で今度は二回目、こういうふうに一たんこういう臨時法ができると、ある程度のそれの目的達成するまでには延長措置がとられるのが過去の例でありますけれども、中身は時間がないから余り議論をしませんけれども、私はこれは農林省の農林の制度金融なり、そういう農業経営指導理念が確立されていけば、それぞれの地域、いわゆる畑作専業地域とか水田専業地域とか、野菜とか酪農とか、またそういう混合の地域によっていろいろ改善目標なりそういうものを立てれば、制度金融のあり方も当然それによってまた考えられるわけなんです。  長いことこういう特別の臨時法というものを存続さすと、かえって全体にそこの地域もそれだけに頼って、新しいことを考えなくなってしまう。もっと弾力的に考えるべき一定のやつをやっていくことも、やはり時限立法は時限立法らしくある程度のところで打ち切って、そしてそれから脱却して全体のその地域農業振興に役立てる制度金融なり何なりの中へ入れていく。一時のスタートのときには刺激的に、特別おくれている地域とか、特別困難なところの地域をスピードアップして経営改善に資するというのには役立ったかもわかりませんけれども、これを余りいつまでもやるというと、これになれて、初めはスピードがよかったけれども、かえってほかの地域から見るとまたおくれをとってくる、こういうふうな惰性になりゃしないかと思うわけですから、こういう特別措置の時限立法についての考え方、また今後の処置の仕方についてお伺いしておきたいと思います。
  208. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) まさに御指摘のように時限立法でございますから、その時限の中に政策効果が上がるように、こう努めなければなりません。それがマル寒では五回目の延長ということでございまして、二十数年にわたるわけでございますので、この辺は率直に反省をし、やはり与えられた年限内でやるということでなければならないと思います。今回が最後として延長をお願いする、ぜひともこの最後の機会に今度の改定によって政策効果が上がり、再び延長というようなことのないようにしっかり取り組んでいきたい、こう思う次第でございます。
  209. 三治重信

    ○三治重信君 それで、特別立法を必要としなくてもいいようないわゆる農林漁業金融の制度金融なり、それから近代化資金なり、その他いろいろ補助金とも兼ね合わして農業近代化に進むことがいいことだと思いますが、二百に言って、この農林漁業金融公庫の資金農業近代化資金との違いと申しますか、考え方なりそういうものがどう一口に言って違っていて、それが農家に、それを借りる者としてその区別をどちらの方が有利、またこういう問題はどちらにしなくちゃならぬということがわかるように、一遍説明してほしい。
  210. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) まず、農林漁業金融公庫資金でございますけれども、これは資金運用部資金、つまり財投資金を原資にしております。それから、農業近代化資金の方は系統資金を原資にしておりまして、これに対して国と都道府県が一定の利子補給を行うというふうな仕組みになっておるわけでございます。農林漁業金融公庫資金はもともと財投資金を原資としております上に、さらに一般会計からの補給金もございまして、非常に低利でかつ長期の資金という特色を持っておるわけでございますが、農業近代化資金の方は資本装備の高度化ということを目的にしておりますが、公庫資金に比べればやや中期的といいますか、期間も若干短く、金利もいま末端の農家向けの金利は五分五厘でございますけれども、公庫資金の方はそれよりも低利に、マル寒マル南資金は五分でございますし、総合施設資金も五分であるというふうな形で設定をされておるわけでございます。
  211. 三治重信

    ○三治重信君 いまの説明は、融資をやる方の側の説明ですよね。先ほど言ったのは、農家が借りる部面の方の立場から言って、何といいますか、長期低利のいわゆる低い金を借りるときのやつは、ここにそれは構造改善のやつだとか基盤整備だとか一般施設その他分けてあるわけなんですが、農家の借りる方の側から言って、長期低利のそういう制度金融を受けるのはどういう、農家の方が自分がある程度何とか金を借りようと思ったときに、農林漁業金融公庫に借りようか、近代化資金を借りようかという判断基準はどちらに、どういうふうな判断基準でやったらいいか。さっきの説明は、おたくの方が、農林省がつくった考え方説明なんで、農家の方がいざここで金を借りようといった場合にどちらでも借りれると。私は、半分以上どちらでもいけるんじゃないかと、こう思うわけなんだけれども、そこの重複と違いが、農業経営者の借りる方の立場にいて、一般的にそれはそういう考え方だというけれども農家から見れば、借りる立場とすれば、これは相当両方の金融のやつはオーバーラップしているんだから、これはどちらでもそのときの事情によって借りられますよというのか、いやそうでなくて、これはもうこういうもので、たとえ一つの例でもいいけれども、非常に厳格な区別があるんだと、こういうことなのか。
  212. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) お答えになるかどうか、ちょっと自信ございませんけれども農業近代化資金の方は一般的に言って機械とか建物、施設、そういったものの購入の資金でございます。農林漁業金融公庫の方は土地取得でありますとか、あるいは基盤整備でありますとか、そういうものが中心でございます。
  213. 三治重信

    ○三治重信君 それからもう一つ、これはいわゆる農林金融という農林省融資の枠に必ずしも考えておられなくても別にどうこうということはないわけなんですが、実際の農家経営資金なんかを、そういう系統資金、いわゆる農協資金を借りているのか、商社資金なり、または普通のそういう農業関係以外の金融機関、いわゆる一般の信用金庫とかそういうもので借りているのか、こういうものについて、何というんですか、この農業金融というのは、いわゆる農家が借りる経営の場合にあって固定費的なものについてだけしかないわけですよね。実際の経営には肥料代や、いろいろのまたいわゆる運転資金が、流動資金が要るわけです。その流動資金の融通というものは、農林省から見てどういうふうな金融体系になっているのか。その資金の供給割合はどうなっているのか。
  214. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 一般の運転資金につきましては、原則として農協系統資金を利用していただくということになっております。制度金融という公庫資金あるいは近代化資金におきましては、これは公庫資金については非常に長期低利で政策性の強い資金であるということから原則として運転資金的なものは見ない、こういうことになっておりますし、それから近代化資金についてもこの原則は同じでございます。ただ、一定の経営規模を拡大するというような場合に、特に増加運転資金が必要になるという場合がございますけれども、そういう場合には例外的に近代化資金で見る場合がございます。原則としては、農協系統資金を利用しておるというのが実態でございます。
  215. 三治重信

    ○三治重信君 何かぼくの質問をちょっと誤解されていると思うんですが、ぼくが言うのは、農林漁業金融公庫の経営資金がどうのこうのとか、近代化資金がどうのこうのと言っているわけじゃなくて、実際の農家がこういう制度、農林漁業金融公庫の制度金融や近代化資金、そういうものから離れて、これはもういわゆる固定費の借り入れ、長期の借り入れ関係だ。しかし毎年の経営を、農作業をやっていく場合には肥料だとか、酪農家だったら飼料が要るわけだ。それは全部自己資金でやっているわけじゃない。そういうのは農協資金が主だと言われるけれども、そう言い切れるものかどうか。実際、農林省は農協でそういうものはみんな供給されていると思っておられるのか。そうじゃなくて、実際の市中金融なり、いわゆる信用金庫なり銀行なり、またそういうもの以外の個人金融なり、そういうものがどういうふうに供給されているのか、利用されているのか、こういうことについての見解を聞いたわけなんで、その経営資金をそういう公庫とか近代化資金で供給できないと、その理由を聞いているわけじゃないんです。
  216. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 五十一年度末の農家の借入金の借入先別構成によってお答えいたしますが、農協系統資金が全体の借入金のうち三七・八%でございます。それから一般金融機関から一一%、それから個人その他から一五・四%、残りが公庫資金近代化資金その他の制度資金、こういう構成になっております。
  217. 三治重信

    ○三治重信君 最後です。  大臣、やはり政府関係というのは、わりあいに制度資金とか、そういう非常にわかりやすいやつだけ金融だと思ってやっていると思うんですけれども、本当に農家の自立経営指導したり、そういうものをもくろんでいく場合には、そういう運転資金なり全体の金融のやつは全部が農林省なり政府がやる必要は絶対ないんだけれども、そういうものがどういうふうに供給されていて、そういうものに農家が、借金の累積じゃなくて、本当の運転資金として正常な運営をされているとかという部面についても、やはり今後いろいろな調査を通じて、または経営改善指導の——経営改善普及員、そういうものを通じてそういういわゆる金の借り方について、私はやはり経営改善の一項目だと思うんですが、そういうものについても今後いろいろ注意を払ってやっていただくのが、自立経営指導の非常に重要なものではないかと思うわけであります。  答弁はいいですけれども、それだけ申し上げまして質問を終わります。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、最初にお尋ねしたいことは、御答弁の中でもちらほら出てまいりましたが、再確認しておきたい一つは、改善資金の貸付対象農家基準となる中庸農家というのはどの程度の農家であるのか、また営農改善目標はどの程度であるのか、その二つの観点から確認をしておきたいと思うんです。
  219. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 北海道の酪農ないしは畑作の例で申し上げますと、中庸の農家所得水準としてはおおむね三百万円以下、それから目標といたしましては、それをおおむね三百五十万から三百九十万円以上に持っていきたいということであります。それから経営規模といたしましては、酪農の例をとりますと、十五頭から十九頭という規模が現在の中庸ではなかろうか。それを二十四頭以上に持っていきたい、こういうような目標であります。次は宮崎肉用牛主畜類型あるいは野菜主作、これはおおむね二百万円以下というものの中庸農家水準を、目標としては二百五十万円以上に持っていきたい、こういうようなことであります。鹿児島県につきましては、たとえば野菜肉用牛複合経営で申し上げますと、野菜の作付百十アールあるいは肉用牛飼養頭数四頭というものを、百五十アールあるいは十頭というところまで規模拡大をしていきたい、こういうようなのが中庸と目標という関係であります。
  220. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、いまお聞きしますと、北海道と南九州所得水準の差がありますね。その差はどういうところに根拠があるんですか。また、差があっていいということなんですか、いけないということなんですか。
  221. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) マル南地帯の農家所得水準というものがいつまでも低位水準にとどまっていいということは、毛頭これはございません。早く規模が大きい農家に接近するのは、これはもう当然のことであります。ただ現実の問題として、残念ながら現在の所得水準が全国レベルよりも低いという現実は現実として見ざるを得ない。それから出発して、当面到達し得る目標というものを現実的に設定して、それをまず解決する。そういうことで、そこでもちろん安住するというつもりは毛頭ありません。それから先をまた越えていかなきゃいけないわけでありますが、第一次現実的な接近の目標としてそういうものをとらえているということであります。
  222. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、あるべき農政の立場からしますと、それは等しくあるべきで、同じ水準、まあ北も南も差がない、国としてこういう水準でなければいかぬと、そういうあり方が正しいんでしょうな。目標なんでしょうな。
  223. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 北海道と南九州とこれは経営形態も違いますし、また土地の広狭ということからする経営規模の大小ということもありますから、機械的にもちろんそれを同一にすることはこれはできないだろうと。しかし、日本の中で地域によって余りにも大きな落差がある、所得水準あるいは経営内容において落差があると。これはやっぱり問題でありますから、もちろん地域の特性というものは前提にしながらも、できるだけ均質化するということはやっぱり望ましいと思います。
  224. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ次に聞きたいんですが、このごろ日本の対外貿易の黒字減らしの一つ牛肉とかオレンジ、果汁等の輸入拡大があって、それで黒字減らしを調節していこうというところから、自由化の問題とか、あるいは枠を拡大するとか、関税を引き下げるとか、こういった形で調整がなされようとしておるわけなんですが、しかし考えてみますと、この黒字の原因は工業生産品の輸出拡大から来た黒字であるはずであります。それを埋め合わせるのに国内農業を犠牲にすると、こういう形でそれが調整されていいものかどうかということ、私はこれじゃいかぬじゃないかと、大臣の御所見をお聞きして、そうしてそれならばそれはどうあるべきだろうか、どうすべきであるか、このことについてお尋ねしたいと思うんです。
  225. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農村の皆さんの間に、素朴な御指摘の御意見があることを十分承知いたしております。対米関係でドルを日本は持ち過ぎだ、アメリカが足りない、それをつじつまを合わせるために今度の農産物の調整を行ったと。そのドルの問題は何から起きたのかと言えば、まず自動車や鉄鋼やあるいはテレビ等の工業製品を売り込んだためにできた黒字ではないのか、それを農産品でやるのはけしからぬでないか、こういうことでございます。確かにそういう一面もありますが、今度ドル調整として仮にやったとしても、農産品では六千万ドル程度しかならないわけでございます。したがって、ドル調整には非常に効果の少ないものである。しかも、農産品ではむしろわが国は買いの方が大きいわけであって、売りが少ない。買いが多いわけですからドルでは非常に貢献しているわけで、そのものにそういった六千万ドルでもやるのはおかしいという議論がございます。  これに対しては、実はそういったところから議論は出ておりますけれども、アメリカ等が言っておりますのは、ドルの問題もさることながら、貿易の姿勢として保護貿易に過ぎないかということがアメリカの議員あるいは農家の皆さんの中から出てきて、何でもっと安い農産物を日本は買わないのか、安い機械を、あるいは電気製品等を日本から買ったためにアメリカの工業がやられてしまったんだから、アメリカに入っているものを保護貿易としてこれを追い出すようなことをしないとするならば、日本もまた農産物について保護貿易をやるべきではないという意見も一つにあるわけなんです。だから、輸入に対する姿勢が悪いと。こういうことが、オレンジ等については特に季節自由化しても農村にそれほど影響を与えないではないか、あるいはもう少しいい肉買ってもいいのじゃないか、日本のいい肉が国際的に非常に高いから、安い肉を食っていただけば消費者も喜ぶのじゃないかというようなところからこの議論が出てまいりました。  そこで、農村を犠牲にするような対処はできないというので、オレンジ等も季節自由化の要求ではございましたが、八、九、十、こういった全くミカンのない時期、さらにタンカンについても影響のない時期、しかも果物の非常に端境期である、こういう時期に主に入れるということの調整をしたのであって、私としては農政に影響を与えるようなことはやりたくない。牛肉についても、確かに高級品についてホテル枠を三千トン、そのほか一万トンの需要の開発を行うということをやりましたが、決してこれまた肉の枠を全体として一万トンふやす、三千トンふやすということじゃなくて、入れなければならない肉の範囲内において高級牛肉について関心を示したという程度でございますので、農村を犠牲にしての調整はしたくないということを貴いたつもりでございます。  もう一つは、工業の犠牲になるということでございますが、実はそういった工業の力があればこそ日本の経済全体が成り立って、恩着せがましく言うわけじゃありませんけれども、三兆円からの農業投資ができますのも、今度の一般会計、来年度予算でございますが、三兆円からの予算が投入できるのも、やはりそういった日本の工業等がしっかり働いてくれておるからだと、こういう面も御理解をいただいて、全体としてともどもに成り立つ、特に農家にドルのたれ流しによる被害がないということの大事な一線だけは守って調整をしたと、こういうわけでございます。
  226. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま大臣がおっしゃることも十分理解をいたしますが、しかし、時に触れていつも矛盾を感じますことは、国内需給を高めるとか、畜産振興だとか、地場産業の育成だとか、こういうことが国内農業の育成という面から強調される。ところが、鹿児島、沖繩——南九州を考えた場合に、特に亜熱帯農業、いわゆる無限の太陽エネルギーを利用して、たとえばミカンにしても草切りを、あるいは本土の端境期をねらってどんどん開発育成し、出荷をしておるんですね。ところが、大臣この前おっしゃったことで私が非常にひっかかったのは、輸入するにしても本土の端境期を利用してアメリカから輸入するんだから心配するなと、そのことが、沖繩——南の立場からしますと、そこをねらって沖繩で、鹿児島で盛んに早物をつくって端境期に国民に提供しようと、こう張り切っておるのに、それをアメリカからごっそり輸入されたんじゃ、また水をぶっかけられることになりますので、そういったところの兼ね合い、調整をしっかり考えてもらわぬというといけないんですが、いかがですか。
  227. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 実は、沖繩に対するオレンジの枠は、駐留軍等もおりまして一定の枠はあったのですが、これは据え置きで沖繩枠はふやさない調整をしたつもりでございます。  喜屋武委員の御指摘は、いや沖繩だけじゃなくて本州に市場を求めようと思ったのだと、こういうことであろうかと思いますが、これも三ヵ月間でわずか二万二千五百トンでございますから、月にすると一万トン足らずであって、月間百万トンから果物を消費する需要があるわけでございますから、現在沖繩でどのようなものを本州に売り込みたい、市場を求めたいとしておるか、きょう初めて聞きますので、そういった点がありますならば、これまた大いに参考にして、その辺のところに支障がないような対策を講じなければいけないと思いますが、少なくとも沖繩だけは、駐留軍等の需要があったために特設の枠があったものでございますが、これをふやすというようなことは一切しておらないわけでございます。季節的にもふやさないと、こういうことになっております。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの御配慮よくわかりました。とにかく意欲を喪失しないような、ますます盛り上げてくださることが大事だと思いますので……。  次に、畑作物の共済制度について、実はこのことについて、私、五十二年の十月三十一日に質問主意書を出しました。そして十一月八日にその答弁書の回答が参っておるわけであります。ところがそれを読んでみましたら、なるほど姿勢としては前向きで、たとえば「改正等について検討を進めている」と前向きを示しておられるが、その内容については一言も触れておられない。そうして、どういう表現をしておられるかというと、各項目に「慎重に定める」という慎重慎重で一貫しまして、その具体的な内容について一言も示されてないんです。それで、私は抽象的な慎重論で回答されたものに非常に不満を持っておるわけなんですが、現時点でその具体的な内容を示してもらいたい。
  229. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 昨年の十月、先生から質問主意書をいただいたわけでございますけれども、当時は五十三年度予算も編成される前でございまして、その具体的な内容についてはまだ決定を見ていない状態であったわけでございます。ただいまお話しのような表現になったわけでございますけれども、御質問に従いまして、質問主意書の各項目についてお答え申し上げます。  まず最初のてん補方式でございますが、てん補方式については二割方式にすること、それから一筆全損耕地に対する補償方式を採用すること、こういう御質問でございました。  まず第一の点については、バレイショ、大豆、てん菜及びサトウキビにつきましては農家単位方式で、いわゆる足切り割合は二割ということで法案に盛り込んでございます。それから第二のサトウキビにつきましては、栽培と被害の実態にかんがみまして、一筆全損耕地に対する給付の特例を設けることにいたしております。  それから第二に、加入の方式でございますけれども、加入方式につきましては、サトウキビ栽培地域農業の実態にかんがみまして、サトウキビについては義務加入制の仕組みについて特例を設けることにいたしました。これは、サトウキビ以外の畑作物につきましては、農作物共済と蚕繭共済の加入者が加入義務を負うという義務加入方式になっておるわけでございますけれども、サトウキビ地帯におきましては農作物共済、蚕繭共済というものが事実上ございませんので、これにかわりまして家畜共済、果樹共済、園芸施設共済の加入者も加入義務を負うと、こういうことで仕組んでございます。  それから三番目に、単位当たりの共済金額でございますが、これにつきましては、収穫物の価格に相当する額を最高として二以上の金額を農林大臣が告示して組合が選択する、こういう方式にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから四番目に、料率算定、事業責任の分担の問題でございますけれども、料率の設定は組合等の区域またはその区域を分けて都道府県知事が定める地域ごとに被害の実態に即して定めるということにしてございます。それからまた事業責任の分担につきましては、移譲部分についての連合会の責任分担を試験実施の場合よりも縮小をいたしまして、これは試験実施の際には連合会は移譲部分の三割の責任を持っておったわけでございますけれども、これを五%にいたしております。その反面、政府の保有責任を拡大をするということにいたしております。  それから第五に、共済掛金の国庫負担でございますけれども、農作物共済並みに引き上げるという御質問でございますけれども、共済掛金の国庫負担割合は六割ということにいたしておりまして、これは農作物共済の全国平均の国庫負担割合とほぼ同程度というものでございます。  以上でございます。
  230. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) ちょっと私から補足申し上げますが、昨年は確かにまだ検討、慎重に検討ではございましたが、いま御報告申し上げましたように、まずまず畑作共済制度としてはそれぞれ非常にむずかしかったのでありますが、でき上がりとしてはいいものになり得たと、そしてすでに国会にも提出をしてございますので、検討だけに終わっておらないで成果は十分上がっておるということを、補足申し上げる次第でございます。
  231. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間が参りましたので最後になりますが、いまの点、いわゆる具体化を確認いたしまして、これならば自信を持って、いま大臣が述べられましたが、まだ反応を聞いておりませんが、農民側としましてもこれで満足という自信はあられるのですね。  それじゃ最後に、実は鹿児島、沖繩と一緒になりまして本土に野菜の安定供給をしよう、こういうことで政府にあっせんをしていただいて、沖繩の農民も非常に安心して、そして意欲的に生産を上げてまいっております。ところが困ったことに、最近の本土の暖冬異変でこれができ過ぎて、沖繩の野菜がこちらへ出荷できない状態に追い込まれて非常に困っておることは御案内のとおりだと思います。この対策、そのままほっておかれるというと、これはもう意欲を喪失する。これをどのように調整して、そして将来に向けても希望を持たして継続さしていくと、こういう方針でなければいかぬと思うのですが、そのことについてお伺いし、農林省のお立場を、具体的なキャベツの契約ですね、これを明確にひとつ時間が参りましたのでお聞きしたい。  そしてもう一つは、これも継続的にやってくださった沖繩のミカンコミバエ、ウリミバエの駆除について、徹底的にいま成果を上げつつあるわけなんですけれども、この沖繩と鹿児島県の特殊病害虫の防除の現状と対策、そして部分的にたとえば久米島あたりはもう一〇〇%成功しておると言われておりますが、その部分的に成功したのは部分的な解除が可能であるのかどうか、あるいは沖繩全体を含めての防除が必要であるのか、この二点について、特に荷出しに困っておりますのは輸送費に、沖繩の場合には生産をしても国鉄の恩恵もない、距離も遠い、この輸送費が高くつくということが非常に隘路になっておりますので、その調整をどのように考えておられるか、それも含めてひとつ御答弁願って、質問を終わりたいと思います。
  232. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) ただいまお尋ねのキャベツの栽培についてでございますが、これは野菜供給安定基金という特別の法人が、沖繩県それから鹿児島県におきまして、キャベツの契約栽培を行う特別の事業として実施をいたしておるものでございます。この事業は、大消費地におきます端境期の野菜価格高騰、非常に高くなるのに備えまして事業を実施をしておるものでございますが、ただいま御指摘のように、昨年から本年にかけまして異常な高温によります暖秋、暖冬で野菜の生育が非常に促進され、また収量も上がったということで、豊富な出回りになったために価格が非常に低落をし続けてまいってきておるところでございまして、このような価格の推移からいたしますと、先ほど申し上げました契約栽培によるキャベツを本土に運んで消費地で放出をするという必要性がなくなったという事態にただいまなっておるのが現状でございます。  そこで、これについての対策をどうするかというお尋ねでございますが、一部につきましてはすでに消費地にこのキャベツを運んでおりますが、契約量の全体の六千トンのうち約五千五百トンがまだ圃場に残っておるということでございまして、これはこの契約栽培の条件といたしまして、消費地に出荷しない場合はその契約に基づきまして農家に対しましてキログラム当たり三十一円の資金を交付することといたしておりまして、農家には御迷惑をかけないということにいたしております。したがいまして、本年の先ほど申し上げました事情にかんがみまして、これは品物を運ぶのではなしに、産地におきまして市場隔離をいたしまして、原則といたしましては圃場で廃棄をせざるを得ないということになるわけですが、そのようなことで処置をするということが現在考えておる内容でございます。  それから輸送費の問題でございますが、野菜産地から消費地への輸送コストの低減についてはいろいろな事業をやっております。ただいま実施をいたしておりますのは野菜の輸送合理化推進事業、それからもう一つは、野菜広域流通加工施設整備事業というのを実施をしております。前者の事業は、集出荷を初め大型のコンテナあるいは予冷、保冷施設等の施設を導入する事業でございまして、五十三年度におきましては十四ヵ所全国で採択をする予定にいたしております。それから後者の事業は、広域にわたる野菜産地に集出荷のキーステーションを設けまして、そのために必要な諸施設の助成をするということで、これにつきましては五十三年度全国で十三ヵ所を予定いたしております。沖繩県につきましては、過去四十九年に沖繩海洋博等野菜流通施設設置事業というものを実施をいたしまして、低温貯蔵庫、冷蔵コンテナ等を二ヵ所設置をいたしておりますが、ただいまのところ、先ほど申し上げました二つの事業についてはまだ御要望がございません。産地からの御要望がございますれば、現地の実情に応じましてこれらの事業を活用することを考えてまいりたい。そのような施設の整備を図って輸送の合理化、それによります輸送コストの低減ということを考えてまいりたい、このように考えております。
  233. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 先ほどお話ございましたミカンコミバエの防除につきましては、先生御承知のように、誘殺ひもを空中から散布をするということで奄美群島でも非常に好成績を得ましたので、同じ方法で沖繩本島でもやるということで、昨年の予算約一億ですが、倍以上にふやしましてその対策に取り組んでいるところでございます。また、ウリミバエの防除につきましては、久米島において、例の放射線照射による人工不妊虫を放つということで、これは成功いたしたわけでございますが、ただいま引き続き慶良間諸島でやっておるわけでございますが、沖繩本島におきましては、いろいろその他の防除方法、誘殺ひもとか、あるいは薬剤の散布ということで、農作物の被害軽減に資したいということでやっておるわけでございます。  ただ、先ほどもちょっと申し上げました例の照射不妊虫による駆除事業は久米島では成功したわけでございますが、沖繩本島に行きますと非常に面積も広いと、三十二倍ぐらいの面積ございますので、非常に大量に放たなければいかぬ。そうしますと、やはりその虫の種類とか虫の性質等にいろいろ問題が出てまいりまして、果たしてその方法で成功するかどうかいまのところわからないわけでございますので、沖繩県の農業試験場で、いろんなそういう病害虫駆除の方法を検討をいたしておるところでございます。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまのは鹿児島も含めておられるでしょうね。
  235. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 奄美群島とそれから沖繩と一体になっての話でございます。
  236. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述へ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  237. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  青井君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。青井政美君。
  238. 青井政美

    ○青井政美君 私は、ただいま可決されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、自然条件等の劣悪な北海道及び南九州畑作振興地域わが国畑作農業に占める地位の重要性にかんがみ、各般の総合的畑作振興対策を更に整備充実するとともに、本法施行にあたり次の事項の実現に努めるべきである。  一、畑作振興の基幹をなす農業基盤の整備については、地域の実態に即応して工期短縮等その促進を図るとともに、地力の維持増進対策推進と合理的な輪作体系の確立に努めること。  二、本法に基づく資金の金利、償還期限等の貸付条件については、今後ともその改善措置を検討すること。  三、北海道及び南九州地域等の長距離輸送農業地帯としての不利益を克服するため、海上輸送及び低温輸送体系の確立について、一層の助成、援助を行うこと。  四、畑作農業振興に果す試験研究の重要性にかんがみ、優良品種の開発、病虫害対策、地力維持技術の確立等、その整備充実に遺憾なきを期すること。   右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  239. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま青井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  240. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、青井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林大臣
  241. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、今後とも北海道及び南九州畑作振興に努力いたしたいと存じます。
  242. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後六時七分散会