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1978-06-23 第84回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月二十三日(金曜日)    午前十時十四分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      川村 清一君     村田 秀三君  六月十七日     辞任         補欠選任      増田  盛君    久次米健太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 村田 秀三君                 相沢 武彦君     委 員                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        農林政務次官   初村滝一郎君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林水産技術会        議事務局長    堀川 春彦君        食糧庁次長    戸塚 金郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十三年産麦価等に関する件)     ―――――――――――――
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、川村清一君が委員辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事村田秀三君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に政務次官にお伺いいたしますが、政府から審議会に麦の買い入れ価格諮問が出されました。私、その中でどうもよくわからないので、これはどういうことなのか。たとえば諮問案を見ますと、「食糧管理法四条ノ二第二項の規定により、」、こういうふうな諮問説明が冒頭についております。したがって、われわれは、この法で規定されたパリティ価格を下回らないということが基準であろうと、そのことはもう法定されているというふうに理解をしておったんですが、昨日の審議会意見によりますと、やむを得ないから承認したというふうな新聞発表がなされております。法律事項についてやむを得ず承認するということは一体どういう意味を持つのか、どうも何度新聞を読み直してみても理解ができないので、ひとつその点を教えていただきたいと思います。
  7. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) きのう政府から諮問をして、そしてゆうべ遅く私は答申内容を自宅に届けていただいて、その内容をつぶさに見てみたわけですけれども、各委員の中には賛成もあれば、もう少し上げるべきではないかというような議論もあったというふうに記されているようであります。したがって、委員会としては、諮問算定方式によって決定することはやむを得ないであろうというような答申になっておるようであります。  なお、本年度麦作拡大傾向が今後定着をするように麦作生産奨励とか、あるいは生産性向上とか、技術改善対策等を一層充実するように努力してもらいたいというようなことが付されております。  したがって、ただいま申し上げた第何項のことの事務的な問題は事務局の方から述べさせますが、そういうことで、それを踏まえていい線に何とか政府は考えるのじゃなかろうかと、そういう打ち合わせ等はまだ聞いておりませんけれども、率直に私が聞いた感じを御答弁申し上げたいと思います。
  8. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) ただいま先生のお尋ねの件でございますが、四条ノ二の二項に定めてございますのは、昭和二十五年、二十六年産の麦の政府買い入れ価格を平均して得た額に農業パリティ指数を乗じて得た額を下らざるものとしてということで、ここは下ってはいかぬということでございまして、「其ノ額ヲ基準トシテ麦生産事情其ノ他ノ経済事情参酌シ云々ということでございまして、米審の御意見もございまして、五十二年産麦価からこの基準の額にさらに当時の生産奨励金を乗せまして、五十一年産買い入れ価格に二千三百円を、生産奨励金の額を考慮いたしまして上乗せをして決めるということに五十二年産麦価からいたしたわけでございまして、その決定した方式で五十三年産麦価諮問いたしておりますので、その諮問仕方自体については、あるいはしんしゃくする要因については、もうやむを得ないという大多数の先生方の御意見であったということでございます。
  9. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の質問が要を得たいのであろうかと思いますが、食管法四条ノ二の二項ですか、「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ」云々とあります。ここに、「やむを得ない」というふうな答申の文言が入るということがどういうことなのかと。  それともう一つ食糧庁にお願いしますが、すでに新聞等には審議会答申の概要が報道されております。きょうわれわれが審議するときに、一番大事な審議会答申がわれわれの手元に来ていないというのはこれもどういうわけか、ちょっとわからないんですが、一体それで審議できるのかどうか。
  10. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 答申そのものにつきましては、至急取り寄せて配付させていただきます。まことに手続がおくれまして申しわけございません。  「やむを得ない」という事柄は、先ほども申し上げましたように、「生産事情其ノ他ノ経済事情参酌シ、」という、その参酌の仕方の問題だというふうに考えるわけでございまして、昨年決めた生産奨励金上乗せをするという方式で今年も引き続いてやるということが、ことしの生産事情その他から見て「やむを得ない」という判断に、審議会委員の多数の方がそうなられたものだと考えております。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと釈然としないんですが、こういう法律に基づいて決める価格が非常に形容詞的な答申の中で処理されていくということには、これはやっぱり麦価決め方自体にもいろいろ問題があろうかと思います。しかし、そのことも問題でございますが、とにかくいま私が指摘いたしましたように、新聞に報道される、それも全文でございませんから、われわれは出てきた報道の範囲内よりも理解のしようがございません、けさの段階で。これが、この委員会がきょう十時から行われることがわかっている。そうすると、新聞にあれだけ報道するんだから、審議会答申案というのは昨日のうちに農林省手元に届いているはずです。少なくともそれをきょうの十時までにここに出せないというのは、どういうわけなんです。
  12. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先生おっしゃられますように、十時までに事務的にお届けできないという理由はございませんので、まことに申しわけないと思います。至急取り寄せまして配付いたします。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは委員長、やっぱり参議院を軽視していると思うんです。ひとつ委員長の方からも、資料を至急出すように厳重に御注意いただきたいと思います。
  14. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 承知いたしました。  すぐ提出できますね。
  15. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 大至急準備をいたします。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 今後このようなことがないように、厳重注意をお願いいたします。
  17. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 承知いたしました。注意をいたします。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから、届けられた資料パリティ価格決め方、この方程式をずっと拝見いたしまして、これはわれわれ不勉強でわからない点があるのですが、ここまではずっと年次ごと計算をしてきておりますが、P1、それからP3、それからもう一つp’4のところでもって、年次ががたんがたんがたんとあいております。これらはどういうことなんでしょうか。ちょっとわれわれによく理解できないものですから、御説明をいただきたいと思います。どういうことでこういうことになるのか、多分理由があると思いますが。
  19. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 農業パリティは、御承知のように農家経営あるいは家計に関して購入いたします物資について、品目別物価動向調査をいたしましてパリティ指数調整しているわけでございますが、農家経営なり家計なりに購入する物の種類なり、あるいはウエートなりというものは、時代の流れとともに変わってまいりますので、五年ごとに物について調整をいたし、あるいはウエートとり方についても調整をしているわけでございます。  したがいまして、五年ごと調整をいたしますので、その調整した指数を五年ごとに追ってつないできているわけでございまして、そのとり方その他につきましては、その都度米審その他にもお諮りをして、ウエートとり方なり物のとり方なりについてお諮りをしているということでございまして、現在の諸状況先生お手持ちの資料の八ページに、五十年のウエートとり方が出ておりますが、四百十二品目、約一万のウエートということでございまして、経営が二千七百三十八、家計が七千二百六十二という指数で取り扱っているということでございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 その点についての、そうすると指数とり方五年ごとと言うのですが、五年ごとにもなっていないですよね。そのときによって格差が違うので、結局鋏状格差がどこまでいったときにとるというとり方をしているのか、きちんと五年ごとにやっているのか、どちらのとり方なのか。
  21. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 三十二年に新しく直しまして、それから三十五年に直しております。三十五年以降、五年ごとにきちんと検討して直すということで続けてきております。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、三十五年から以降は五年ごとで、その前はそうはなっていないというのは、結局あれですか、五年ごとというのをその前はもっと間隔が縮まっていたというのは、当時における物価上昇率その他の製品との格差の幅がうんと強過ぎるときには、指数とり方年次を縮めることもあり得るというふうに解釈していいんですか。
  23. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) この二十五年、二十六年の麦価基準にという食管法四条二項の規定によりまして二十七年からスタートしたわけでございますが、三十二年にちょうど五年目でございましたので見直したと。三十二年から三十五年でございますが、三十五年のときにCPI、いまの消費者物価指数なり、あるいは卸売物価指数とり方がそっちの方でいろいろ訂正をされましたので、それに合わせて三十五年に品目なり何なりの調整をしたということでございます。それ以降は、五年ごとにきちんととっております。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 わかりました。  そうしますと、今後はあれですか、たとえば麦の価格一般物価の間の鋏状格差がどんなふうに出てきても、五年ごとにとっていくというふうに政令では規定されていると、こういうことでございますか。政令か規則か何か。
  25. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 五十年に直したわけでございますから、この次は五十五年に直すというふうに予定をしております。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 その点は、それで一応計算基礎としてはわかりました。これは非常に重要な意味を持つので後段で御質問申し上げますが、新しい品種の開発や、あるいは平均反収とり方というのが、これがきちっと確定している、いないによってずいぶん違ってくるパリティ指数が出てくるだろうと、こう思いますので、この点をまず確認をしておきたかったということでございます。よろしゅうございますね。
  27. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先ほども申し上げましたように、農業パリティ指数農家が購入する経営なり家計にかかわる物資物価にスライドするという考え方でございますので、先生のいまおっしゃられましたような麦の品種とか反収とか、そういう生産事情とは結びつかないということでございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういうことには結びつかないと理解してよろしゅうございますか。よろしいですね。
  29. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 良家の購入する物資物価にスライドするということでございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変基本的な大事なところだと思うんですが、たとえば価格を決めるパリティ指数とり方は、もう一つ基準で決められていくということになりますと、反収が非常に伸びてきた場合に価格はそんなに上げないでもいいんでないか古いうふうな理論は、どこにこの方程式で入っておりますか。
  31. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先ほど繰り返し申し上げておりますように、パリティ指数農家経営家計の両面にわたる購入品価格動向にスライドするという方式でございますので、反収変化等とは無関係でございます。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと質問が悪かったかと思うんですが、パリティ指数は無関係ですが、麦の価格を算定する場合に、反収変化というのはこの諮問方程式のどこに入っておるのですかということなんです。
  33. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 現在の麦価算定方式には、反収変化というのは入っておりません。パリティ方式によりはじいたものが基準でございまして、五十二年からは、先ほど申し上げましたように、一定調整係数を掛けると、その調整係数というのは生産奨励金の二千三百円、五十一年に出ておりましたものを基礎にいたしました調整係数を掛けていくということでございまして、反収変化というものとは関係がございません。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、生産費補償方式といういまの麦価決め方の中で、農民努力によって反収が上がってきたというのは、麦価にははね返らないというふうに理解してよろしゅうございますね。
  35. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 麦価パリティ方式によってはじいておりますので、生産費所得補償方式という米価方式とは別の価格体系によっておりますので、おっしゃられましたように、農家努力していただきました反収のたとえば増収とかその他のことは一応無関係で、パリティ方式によっておるということでございます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 生産費所得補償方式じゃなくして、パリティ指数というのは生産費計算ですわね。だから、生産費を補償するという考え方ではないんですか。
  37. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 法律四条ノ二の二項でございますが、二十五年、二十六年の麦価パリティ指数を掛けた額を基準にするということでございますので、生産費とはたてまえ上無関係でございます。生産費所得補償方式という考え方とはなじみません。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 重ねて、くどいようですが、そこのところを確認しておきたいんですが、要するに、パリティ方式基準年度を中心にしてパリティ指数というふうなものが麦価計算方式に明定されておるので、農民努力によって、たとえばいま六俵のものを十俵とるようになったとしても、たくさんとれるんだから価格は据え置きでもいいじゃないかという理論にはならないというふうに理解してよろしゅうございますね。
  39. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 四条ノ二の二項に二十五年、二十六年の麦価農業パリティ指数を乗じて得た額を下らないようにということが明記されておりますので、この考え方は変わりませんが、ただその条項の中に「麦ノ生産事情共ノ他ノ経済事情参酌シ」てということがございますので、そのしんしゃくの諸状況は、生産事情その他の経済事情しんしゃくして弾力的に扱われることはございましょうが、パリティ価格を下らざるというところは法律に明記をされておりますので、生産費その他の諸状況によってこれを下るというような考え方は一切とっておりません。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 パリティ指数には影響されないけれど、法文のその他の経済事情しんしゃくという中ではしんしゃくされるということですか。
  41. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 麦価決め方についてはいろんな議論がございまして、かつ最近までの麦の減産傾向ということが非常に問題になったわけでございまして、五十一年産麦価決定後五十二年産麦価決定までの間に、米価審議会の中に小委員会を設けて麦価に関します御研究を願い、その御結論を得て、五十二年産麦価からはしんしゃくの仕方として一定係数を掛ける、その一定係数というのは、五十一年産麦価のときまでありました生産奨励金の二千三百円分を基本麦価の中に取り込むということで調整をするのが適当であるというふうに結論をいただいたわけでございまして、当分の間、こういう方式で進むということでございます。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、「昭和五十三年産主要農作物作付動向調べ」という北海道農務部が発表した調査によりますと、小麦北海道空知上川などの稲作地帯で大幅に増加した。それから、十勝でかなり増加し、全体的に大幅増加と、こういう表現が行われております。しかし実態は、空知上川で大きく伸びたというのは、七万五千円の奨励金をもらう稲転段階で大きく伸びております。それで、十勝でも大きく伸びたというので、私の方でもこれを調べてみました。ところが、やはり実態は、確かに伸びてはいるんですけれど、五十二年が一万三千六百七十九ヘクタールで、五十三年の推定が一万四千八百六十一ヘクタール。しかし、これは逆に今度水稲の方が五十二年が二千五百八十八ヘクタールで、五十三年が千七百九十五ヘクタールというふうに下がっております。  だから、畑作振興の中で伸びたというよりも、最近の北海道の麦の反別が伸びてきている大きな原因は稲転であって、畑作振興というふうなこと、当時国が予測した畑作の中における麦の作付面積を大幅に伸ばしていくということとは、いささか数字は別な傾向をあらわしていると思います。この点について、食糧庁はどういうふうにこれを理解をしておりましょうか。
  43. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 五十二年の小麦政府買い入れ価格は六十キロで九千四百九十五円ということでございますので、すでに対米価比でも五五・七%という水準に達しておりますし、この水準は、麦の生産が一番多かった昭和二十九年代におきます対米価比から見ましても上回っておりますので、小麦につきましては一応の水準まで到達しているのではないか。先生おっしゃいましたように、さらに水田裏作の場合、あるいは水田転作の場合ということになりますると、米価水準等とも比較をいたしまして小麦価格というものは、あるいは小麦に関する農家手取りというのは相当な水準まで達しているのではないか。  ことし麦の面積相当増大をされておる、二割程度増大をされておるというふうに考えられるのでございますが、おっしゃいましたように、その相当部分転作麦ではないかというふうに考えられるわけでございまして、畑麦につきましては一応下げどまった、下げどまりで一応もち合いになってきたという感じでございますが、畑につきましては、先生承知のように、経済性ということが非常に追求をされる場でもございますので、いろんなものの輪作関係その他で麦作が考えられるというふうに理解をしているわけでございます。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、その輪作関係の問題なんです。  これは政務次官にお伺いいたしますが、農林省北海道畑作振興の柱として麦のほかにビート、それから大豆を挙げております。大豆ビート奨励が非常に進んできておりますが、これらが麦の輪作体系と上手にかみ合うというふうにお考えになって、これの三本の柱として畑作振興の中にそれぞれの振興を計画なさっているのかどうか、もし次官でなくても農林省としてお答えいただければ、どなたでも結構でございます。
  45. 野崎博之

    説明員野崎博之君) いま先生おっしゃいましたように、北海道におきましては、てん菜大豆それから麦、そういうものを大きな柱として北海道畑作輪作体系の確立、そういうことに努力いたしておるわけでございます。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 御承知のように、稲転による小麦、それから本州方面における裏作によるところの小麦作付、それから非常に大きく北海道畑作地帯小麦面積小麦増産奨励十カ年計画の中で盛られております。大豆やそれからビート、これは輪作の形態としてはまことにいいローテーションが組めます。本気でそういうことを農林省考えているんですか、これらのローテーションが組めるように。
  47. 野崎博之

    説明員野崎博之君) われわれとしては、いま、先ほど申し上げましたてん菜大豆、麦、そういうもので輪作体系が組めると、そういうふうな指導をいたしておるわけでございます。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 農蚕園芸局長にお伺いいたしますが、秋まき小麦播種期はいつですか。
  49. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 大体十一月ごろだと考えております。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっとこれは問題なんですがね。局長がかりそめにもその程度の認識で、あわ食って後ろから紙をもらって訂正しなきゃならない。これは全くあなた、小麦を知らないということですよ、それじゃ。
  51. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 失礼しました。十一月は内地でございまして、北海道は九月の下旬でございます。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 ビート大豆は一体どこでまいているんです。
  53. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 北海道では十勝帯広地帯でございます。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 ビート大豆は、北海道以外で一体どれだけあります。十勝、北見ということだけでなくて。
  55. 野崎博之

    説明員野崎博之君) ビート北海道だけでございますが、大豆につきましてはちょっといま手元資料がございませんので、後で調べて御報告いたします。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 大豆は、昔はよく水田あぜ等本州方面でもつくっておりました。しかし、いまも一つ産地形成として大豆ビートをつくっておるのは、ほとんど北海道だけというふうに考えてもよろしいんじゃないですか。あとはもう本州方面にあったとしても、それは百分の何ぼというくらいなものじゃないんですか。これは正確な数字じゃなくて、常識的にひとつお答え願って結構だと思います。
  57. 野崎博之

    説明員野崎博之君) おっしゃるとおり、大部分大豆につきましても北海道だと思いますが、大豆等についても稲転で今回の調査によりますと相当ふえておりますので、内地等の総体の面積がどれだけになるか、ちょっといま正確な数字がございませんので、後でまた調べて御報告いたします。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 このことは、私がいま質問しようとしている趣旨を御理解いただいた方が答弁しやすいんじゃないかと思いますが、私は、輪作の中で大豆、麦あるいはビートというものがローテーションを組んでやられるのは、北海道以外ではほとんど考えられないんではないか、こういうことを実は答弁として引き出したかったんです。だから、そういう意味で、内地にも大豆があるから後でという答弁ではちょっと困るんで、おおよそそういうことでしょう、輪作を考える場合に。
  59. 野崎博之

    説明員野崎博之君) てん菜それから大豆、麦という、そういう典型的な輪作体系を組めるのは、確かに北海道が中心だろうというふうに考えております。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、先ほど答弁が実は生きてくるんで、北海道での秋まき小麦播種期は九月でございますわね、御訂正なさったように。そして、ビート大豆の収穫期は、一体北海道で何月だというふうに御理解しておりますか。
  61. 野崎博之

    説明員野崎博之君) てん菜につきましては十月でございますし、大豆につきましては十月ないし十一月ということでございます。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、九月に播種期であるところの秋まき小麦が、大豆ビート輪作をどうやって組みますか。小麦をまくときは、まだ大豆ビートの畑には作物あるんですよ。
  63. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 早掘りバレイショとかインゲン等との輪作でやっておりまして、まあ三年ないし四年いろいろのものを組み入れて、輪作体系を確立していくということでございます。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、小麦の場合にはバレイショが、もうインゲンなんていうのは反別から言えばそれほど大きなものでございませんので、一番大きなものとしてはバレイショでございますね。バレイショの後にしか秋まきはやれないということになりませんか、どうなんでしょう。輪作を組むといっても、大豆ビートとは組めないんだと。早取りのバレイショ跡地というのは組めると。大きな反別中心に考えてください。インゲンもあれば小豆もいろいろありますけれども、それはもう農林省が特に奨励しているものじゃないんですから。
  65. 野崎博之

    説明員野崎博之君) いろんな形で輪作体系をやっておりまして、麦につきましても、五十三年度北海道見ますと、畑で約一九%ふえているわけでございます。先ほど転作のお話出ましたが、確かに田の方は転作が大部分だろうと思いますが、畑の方でも北海道につきましては従来ずっとふえ続けておりまして、やはり五十三年度でも一九%もふえているという数字が出ておりますし、そういうようなことで、いろんな他の作物との輪作体系を考えながらやっていくというふうに考えております。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 輪作関係、それはいろいろ考えるといっても、農林省畑作振興奨励しているビート大豆の後作としての小麦はだめなんで、大きな反別で大きく輪作の中に入れるということになれば、バレイショだということについてはお認めになりますか。
  67. 野崎博之

    説明員野崎博之君) おっしゃるとおりでございます。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 秋まき小麦をバレイショの後にまく場合に、バレイショの収穫はいつぐらいまでに終わらなきゃなりませんか。
  69. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 九月の終わりにまくわけでございますから、やはり九月の中ごろまでに収穫はしなけりゃいかぬというふうに考えております。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 小麦は九月の終わりですか。
  71. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 大体九月の二十日以降ということでございますので、九月下旬と申し上げたわけでございます。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは局長には御無理かと思いますが、北海道の特に畑作小麦の主産地である十勝、北見は、九月の二十日から九月の末というのは非常に雨の多い時期です。統計的に。農民がそんな雨の多い時期を選んでまくと思いますか。それはどこの統計です。
  73. 野崎博之

    説明員野崎博之君) いま講じております高度麦とか、それから畑麦作集団という事業がございまして、その中でいろいろ機械施設を入れて作業期間を短縮すると、そういうようなことをやっておりますので、できるだけそういう機械等を使いまして短期間にそういう播種ができる、あるいはほかの転作物の採取が早くできると、そういうようなことで、できるだけ短期間にまけるような努力をいたしておるわけでございます。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 大体、バレイショの跡地にまく場合に、バレイショの早掘りをして、少なくとも八月中くらいにバレイショを掘ってしまって、跡地の整理もございます。それから起こしてまくまでの間に肥料の散布もありますし、お天気の悪い日もあるというふうなことで、おおよそ種をまくという時期と種をまくための小麦の畑の整地にかかるという時期とじゃ十日くらいは必要なんです。十日か十五日です。それはおわかりになりますわね。きょうまいたという日が播種期じゃないんです。そういう観点から、ひとつもう一度御答弁願いたいと思います。
  75. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 十勝の例を見ますと、一年目にはまずインゲンをまいて二年目に小麦、それから三年目に大豆、それから四年目にバレイショ、五年目にてん菜と、そういうような形態が一般的な形態になっているわけでございます。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 ここのところをしつこく聞いておりますが、これは大変重要な問題を含んでおりますので、もう少し明らかにしておきたいと思うんですが、ことしの十勝の麦の面積は、これは先ほど申し上げましたが一万四千八百ヘクタールですよ。インゲンの面積はどれだけあると思います。
  77. 野崎博之

    説明員野崎博之君) ただいま十勝だけのインゲンの面積を聞かれたわけでございますが、ちょっと手元にございませんので、これもまた後でお答えいたしたいと思います。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 豆類のこれは統計がございます。インゲンだけこのうちから特に出しておりませんが、大豆と小豆で、豆類の統計数字で一万五千ヘクタールあるんです。一万五千七百三、五十三年度実施見込み面積、いいですか、そのうち大・小豆で一万五千ヘクタールあるんです。そうしたら、インゲンの数字がいま後でと言うけれど、もうこれでわかるじゃないですか。あとどれだけあると思います。十勝の。いいですか、豆類が一万五千七百三、そのうち大・小豆で一万五千十二ヘクタールです。残り全部インゲンなんということないんですよ、大正キントキだとかいろいろありますからね。残り全部インゲンだと仮定したって、その数字は七百ヘクタールないでしょう。残り全部インゲンということはないんですよ。いいですか。それで、どうしてインゲンの後に小麦という輪作形態が十勝でもって定着しているんです、あなたの言うように。  そうして私が追及したら、こんな程度数字も後で知らせますじゃ、審議進められないじゃないですか。どうですか、委員長、こんなわかり切った話でしょう。推定といったって、ほとんど違わない数字ですよ。そういうその場限りの答弁で、あとは資料でと言って、資料がないから答弁できないで、そういうばかな答弁ありますか。農林水産委員会を何だと思っているんです。インゲンは何ぼあるか調べさしてください。進められないでしょう、これじゃ。そんな程度のことすぐにわかるはずだから、電話かければ三分でわかるでしょう、農林統計で。十勝にインゲン何ぼあるか、いますぐ返事しなさい。
  79. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記をとめて。   〔午前十時五十九分速記中止〕   〔午前十一時十分速記開始〕
  80. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記を起こして。
  81. 野崎博之

    説明員野崎博之君) インゲン豆全体といたしまして帯広管内で二万四千五百ヘクタール、それから手亡五千三百九十ヘクタール、ウズラが二千ヘクタール、それからキントキが一万七千百ヘクタール、その他が三十五ヘクタールということになっておりまして、十勝だけでどれだけかというのはちょっと現在のところはわかりません。そういう状態でございます。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 すると、先ほど局長答弁は、インゲンの後に輪作として小麦をまいているというのでなくて、菜豆類の後に小麦をまいていると、ちょっともう一回言い直しなさいよ。
  83. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 菜豆類の後に小麦をまいているということでございます。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、インゲンと菜豆類ではうんと違うんです。なぜなら、インゲンというのは反当の収入の多い作物なんです。しかし、大正キントキだとかその他のものというのは非常にいま値下がりして、余り外圧を受けるものですから、有利な作物でないんですよ。そして、国の、農林省の転作奨励作物の中にも入ってないんです。その菜豆類が。転作奨励作物の中に入っていない菜豆類をそこに入れて、そしてその後に秋まき小麦をやらなきゃならない理由はなぜか。それをインゲンにすりかえられたんでは、これから全然違ってくるんです。大正キントキはこれはもうほとんど十勝が中心で、一俵もういま一万円台も割って非常に困っているんです。  しかも、なおかつそういうものを入れなきゃ小麦輪作ができないんですよ。農林省が言っているビートだとかバレイショだとか、あるいは大豆だとか小豆、こういうふうな輪作奨励作物と小麦輪作がかみ合わないということを私は申し上げたかったんです。そうして、損を承知の安いものをつくらなきゃならぬ。あるいはもう一つ、バレイショの場合も出ていました。バレイショの場合も早出しバレイショ、これは十勝や北見のような畑作の主産地では、でん原や何かとしては九月の末まで置いた方がずっとでん粉率や何かよくなって高く売れるんです。小麦をつくるためには早く収穫して損をしているんです。輪作小麦を入れるために。このことを理解していただきたいと思う。わかりましたね、私の質問しようとしている意味が。インゲンにすりかえられたんでは、御理解いただけないんです。  そこで、そういう輪作の形の中に、ひとつ第一点としては輪作奨励金というふうなものを考える必要があるんでないか。小麦輪作に入れていくということが、そのローテーションを組んでいく中で小麦の前に入れる作物というのは、八月中にできるだけ収穫を終わるものでなきゃならない。そうすると、それは収入が減るんです。小麦を入れるために。こういう問題についてのひとつ考え方を聞かせていただきたい。こういう実態、わかりましたですね、その上でひとつ御答弁を願いたいと思います。
  85. 野崎博之

    説明員野崎博之君) いまおっしゃいました輪作奨励金の問題、これも前々からいろいろ出ておるわけでございますが、麦の観点からいたしますと、先ほど申し上げました高度麦作集団の育成事業あるいは土地利用型の育成事業、そういうような事業の中で合理的な輪作体系を確立するというようなことをやってまいりましたし、五十三年度からまた畑麦作集団特別対策事業というようなことで、畑麦作の定着のためのいろんな事業をやってまいったわけでございます。  御指摘のその輪作奨励金につきましては、これは前からいろいろ議論があったわけでございますが、やはりその畑作農家によって経営規模なり耕地条件が変わる、そのために輪作奨励金の対象とするかどうかの判断基準をつくることが非常にむずかしい。それから、適正な輪作体系でいける地域とそれが非常に困難な地域と、地域別に非常に差が出てくる。それから仮に輪作奨励金を交付しましても、規模の大きい農家は比較的輪作はしやすいが、小規模農家が非常に不利になってくる。さらには、奨励金を交付することにいたしましても、これは水田の転作の奨励金にしましても、実際にどういうふうに転作されてどういうものが植わっているかということを市町村が一々調べて、それによって奨励金を支払っているわけでございますので、輪作奨励金みたいなかっこうのものにいたしましても、これは四、五年かかるわけでございますので、毎年何が植わってそれから毎年どういうふうな面積になるか、そういうことを詳しく調べなきゃいかぬわけでございますので、そういうことからしますと、市町村の事務だけでも大変なものになる、そういうようなことでこれは非常にむずかしいということも、前々からそういうことが言われておったわけでございます。  農林省の中でも、かつて北海道畑作普及会というものがございまして、その中の結論といたしましても、輪作奨励金についてもいろいろ意見はあったけれども、やはりいろいろな諸事情があって困難な問題でもあるので、当面てん菜作付奨励金、そういうことで輪作体系の確立を図る方が好ましいであろうというような結論もそのとき出ておるわけでございます。したがいまして、輪作奨励金というかっこうで出すというのは、なかなかむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは、いま審議中断して正確な答弁をいただいた上で、実態だけは御理解いただけたと思います。ただ、制度的に大変むずかしいという趣旨はわかりますが、制度的にむずかしいことを解決していくのが政治だと思います。この問題は、大臣が来てから大臣にひとつ御答弁を願いたい。それでなければ、せっかく審議ストップまでして正確な答弁さしたことの意味が、いまの答弁だけじゃちょっといただけません。  それからもう一つ輪作に絡む問題として、結局これを克服する道というのは春まき小麦、これをふやしていかなきゃならないんです。そうすると、どんなものとでも輪作が組めます。もし輪作が制度的に非常になじむのがむずかしい、あるいは事務ベースで事務的に非常に繁雑になるというふうなことになりますと、どうしてもいま実態がおわかりになったように、春まき小麦というふうなものを入れていかないと、畑作地帯における小麦農林省の計画したように増産体制ができていかないということにつながっていくんです。春まき小麦の問題につきましては、農林省はどのようにこの奨励策を考えておりますか。
  87. 野崎博之

    説明員野崎博之君) まあ春まき小麦は、御承知のように非常に小さいし、それから栄養性に非常に乏しいと、成長期も非常に短いというようなことで収量が非常に不安定でございますので、できるだけ秋まき小麦を中心に麦の増産をするように指導いたしておりまして、どうしても秋まきができないというような地域に限ってだけ、春まきをしたらどうかというようなふうに考えているわけでございます。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 秋まきができないというのでなくて、秋まき小麦の場合には、輪作ローテーションの中で他の作物に非常にマイナスになる要因をがまんして農民がつくっているんだということは御理解いただけましたですわね。ですから、それを改善していくためには、春まき小麦というのは当然考えられたきゃならないと思うんです。しかし、農林省はいま春まき小麦については余り奨励していないと。なぜなんです。
  89. 野崎博之

    説明員野崎博之君) やはり秋まき小麦に比べて非常に収量が少ないし、不安定性を持っているという点で、秋まきの方に中心を置いているわけであります。
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は農業技術会議の関係で、春まき小麦奨励品種ございますわね。それをちょっと……。
  91. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 春まき小麦につきましては、北海道だけでございますが、ハルヒカリというのとハルミノリというのがございます。
  92. 丸谷金保

    丸谷金保君 ハルヒカリの実績は、どんなようなもんなんですか。
  93. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これは、ことしの状況等はわからないわけでございますが、昨年の状況で申し上げますと、五十二年産で春まき小麦が全体で千五百ヘクタール程度北海道作付をされております。その大部分がハルヒカリでございます。
  94. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは、北見農試でもって奨励品種としてやっておりますね。ところが、この奨励品種、大体四俵はとれるだろうというふうなことが言われておるんです。しかし、実際にまいてみますと二俵半くらいしかとれないんです。それで私たちの知っている農民が、これは二俵半しかとれなかったと言っていったところが、いやそれは、ことしは作が悪かったんだろうと。もう一年つくったら、次の年は二俵しかとれなかった。実態はこういうことなんです。しかも、一体これが奨励品種として出てから何年になります。
  95. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) ハルヒカリが登録をされましたのは昭和四十年でございます。
  96. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう十数年たっていますわね。で、その後、春まき小麦品種改良はどうなっているんです。
  97. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 確かに春まき小麦は、作期の関係で、輪作体系を組む上で利点がございますので、私ども道の北見農試、北見の試験地を使いまして、春まきにつきましても研究を続けておるわけでございます。  問題は、やはり先生も御指摘でございますが、反収が秋まきに比べて低いと。で、年による変動はございますが、私ども大体大方の反収は秋まきに比べまして、北海道の場合でございますが、六、七割程度の間で振れておるのじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。ただ、ところによりましては、もちろんさっき先生のおっしゃったように、低い場合もございます。私どもが掌握しておる限りでは、五十二年産は、これはハルヒカリが大部分と存じますが、春まき小麦反収は百七十二キロということに相なっております。そこで、私どもこの反収をできるだけ上げながら、しかもよい品質の春まき小麦ができないかということに研究の焦点を当てまして、取り組んでおるところでございます。
  98. 丸谷金保

    丸谷金保君 百七十二キロということは、三俵ないですね。秋まきは大体平均反収を何ぼに見ているんですか。
  99. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 五十二年の場合に、北海道小麦全体では二百八十三だったと存じます。去年は反収が災害のために非常に少なかったと存じますが、まあそういうことから見ますと、おおむね六割強でございましょうか。
  100. 丸谷金保

    丸谷金保君 春まきは二百八十くらいに見ているんですか。間違いございませんね。
  101. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 春まき小麦ではございません。
  102. 丸谷金保

    丸谷金保君 春まきではない、秋まき。
  103. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 五十二年の反収が二百八十三キロ。これはほとんどが大部分秋まきでございますので、大体秋まきの反収もその程度というふうに考えますると、それとさっきの百七十二キロでございますから、六割強程度であろうかと存じます。
  104. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは主産地だけでなくて、北海道全体の数字でございますね。
  105. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 北海道全体の数字でございます。
  106. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、ハルヒカリをつくっているのはこれまた北海道全体でないんですよ。どうもそこら辺に、統計上の非常にこう微妙な農村の実態との違いが出てくると思います。私も今度東京で、そういう統計数字だけを扱っていくこととの実態がよくわかってきましたが、実際に主産地で、しかもやむなくハルヒカリをつくるようなそういう麦作の地帯ですと、平均反収が二百八十キロなんていうことは秋まきではあるはずがないんです。だから、割るときには北海道全体で割るから、そういう六割くらいだろうとおっしゃるんですが、現地のやっぱり農村の実態から言うと、五割以下なんですよ。大体五俵半ないし六俵秋まきならとるんです。ですから、ハルヒカリをまいておるような地域においては、秋まきは三百キロ以上普通にとっているんです。そのことを御理解いただかないと、統計数字だけで北海道全体に薄めちゃってそういう議論になるんじゃないかと思います。この点は、まあそういう点でひとつ十分お考えをいただきたいということにしておきます。  ただ、私が問題にしたいのは、ハルヒカリが出てからすでにもう十数年、その間農業試験場というのは、農業技術会議というのは小麦の新種を育成するために努力をしているんだと思いますが、一体どういうふうにやっております。
  107. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 小麦品種改良につきましては、北海道の問題だけでなしに全国的に重要な作物でございますから、私どもそれぞれの適地における適品種をつくるということを考えまして、そして全国的な試験研究機関の機能分担を適切に行って、そして育種の体制というものを立てまして、そしてまず育種の目標といたしましては、総体的に申し上げれば、まず第一に収穫期の雨害という問題が非常に大きな問題でございますから、これを回避するという趣旨でわせ化を図るということが第一でございます。それから、小麦は非常に機械化によりまして省力的な栽培ができる特質を持っておりますので、できるだけそれにたえ得るような機械化適性を持つと、短稈で強い、そういった品質の特性を備えるというようなこと、それからそのほか赤さび病でございますとか雪腐れ病、あるいは西の方へ参りますと赤カビ病、こういった病害に対する抵抗性の強い品種をつくるというようなこと、それからもちろんのことでございますが、適地適産ということで、寒冷地向けあるいは暖地向けあるいは温暖地向けということで、それぞれの気象特性に合ったような品種を育成する、こういう考え方で取り組んでおるところでございます。
  108. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはもうほとんど秋まきの関係でございますね。春まきについてはどうなんですか。
  109. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 春まきにつきましては、国立では北海道の農試の畑作部分、それから道立の北見農試、こういうところを中心にいたしまして、提携をしながら、育種試験地も設けて育種の研究、試験をやっておるわけでございます。
  110. 丸谷金保

    丸谷金保君 十数年さらに続けてきたけれど、四十年に登録した奨励品種から後には、まだ春まきの奨励品種というふうなものはできないというように理解してよろしゅうございますね。
  111. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これは私ども、育種は先生も御承知のとおり大変時間がかかる困難な仕事でございまして、しかしその中で努力をいたしますと、全国ベースで見ますれば過去五年間で麦全体といたしまして命名登録をやりました優良品種は二十一品種できておるわけでございます。ただ、春まき小麦につきましては、ハルヒカリが四十年にでき、その後ハルミノリができました以後は、目下一生懸命やっておるわけでございまして、命名登録をするに至るようなものがまだ得られておりません。
  112. 丸谷金保

    丸谷金保君 農林省奨励品種だと言って品種登録をしたこの種の種類が、必ずしも農民に喜ばれてないという一つの実例がここにもあると思うんです。ただ、これは不思議なことに、業者には大変喜ばれていますわね。そこまでは農業技術会議の方は関知しないんですか。
  113. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 私ども品種改良を進めていく上におきまして、穀物なら穀物が最終的にどういう用途に向けられるかということを考えまして、その用途向きの、まあたとえば加工に回すものであれば加工適性が優良であるものということを当然考えて育種をするわけでございます。たとえば醸造用のビール麦でございますれば醸造用に適するものであるかどうか、麦芽としての発芽率がいいかどうかということも、当然のことながら醸造用麦の育種の目標の中には掲げておるわけでございます。そういう意味で、利用向きに好適に使えるということは、当然育種の目標の中には入っておって当然でございます。ただしかし、利用向きには非常に好適であるけれども、きわめて病害に弱いとか、つくりにくいとか、手間がかかるとか、こういうことではいかぬので、そういう生産面でつくりやすく安定多収であるということは、当然のことながら私ども育種の基本的な大前提、目標として掲げておるわけでございます。
  114. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは勘ぐる向きでは、ハルヒカリというのは農民はつくって余りもうからない反収の少ない品種だけれど、製粉歩どまりがよくて業者が喜ぶからあんまりこれよりも別なのつくることないと思っているんじゃないかと、こういう陰の声があるんです。これはまあ勘ぐりであって、私は農林省の技術屋さんたちがそんなことはあり得ないと思います。  ただ、もっと私問題なのは、一体農業技術会議の年間の技術改良に使うところの予算というのは幾らくらいなんです。その方が問題だと思うんですが。
  115. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 育種の関係総体といたしまして、いろいろの予算が計上されておるわけでございますが、人件費とか施設費を除きまして、研究予算といたしましては十三億弱のものが育種のために上積みになっている経費でございます。
  116. 丸谷金保

    丸谷金保君 その予算で研究している育種というのは、どれくらいの種類あるんですか、育苗の方は入らないんでしょう。そんなにありますか。
  117. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 育苗と申す意味がちょっとはっきりいたしませんでしたが、私ども試験研究の内容といたしましては、優良な形質を持ちかつ普及するに足るもとをつくるというところまでで研究は一応終わる。それから後の種をとりまして普及を図るというのは、これは一般の生産奨励行政の方で担当するという仕組みにしておりまして、そこへ適切にバトンタッチができるようにやっておるわけでございます。
  118. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっといまの十三億というのは、一体純粋にそういう新しい農産品種の改良ということに向けられているのかどうか、もう一遍ひとつ。
  119. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これはそのとおりでございまして、先般種苗法の改正の御審議をいただきます際に、それらの予算につきましては項目別に御提出をしてあるわけでございます。  そのほかに、一般の育種に携わる方の人件費あるいは育種関係の施設費というものも当然あるわけでございます。人件費、施設費を除きまして、いわゆる研究に使えますような金としておおむね十三億弱のものがあるということ、これは資料をごらんいただければおわかりと存じます。
  120. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで試みにお聞きいたしますが、その中で戦後果物類で国の試験機関が優良品種奨励品種として品種登録をしたものは何件ございます。
  121. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 私どもの四十三年につくりました命名登録制度におきまして、果物の関係で登録をしております品種は二十八品種でございます。
  122. 丸谷金保

    丸谷金保君 園芸局長にもお伺いいたしますが、その二十八品種が、実際にこれは優秀だということで農民の間に普及いたしましたかどうか、それらの追跡調査はいたしておりませんか。
  123. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これはもうたとえばの例でございますが、ナシにつきましてはいわゆる三水というのがございます。豊水、幸水、そういったものでございますが、これにつきましては、育成後かなり急速に普及をいたしておるところでございます。
  124. 丸谷金保

    丸谷金保君 麦の方だけでも、二十種類以上のここ十数年で種については新しい品種の改良、それから果物との関係については全部くるめて二十数種類ですね。そのうち一例を挙げられましたけれど、実際に農業試験場でもっていいこれは品種だといって登録をして、農民の間に普及しているというのは、これはごくわずかしかないと。
  125. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 小麦の例でございますが、ホロシリコムギというのが四十九年に登録されております。これは北海道向けの品種ということになっておりまして、ことしの状況はわかりませんが、昨年までの状況では、北海道作付をされております小麦の中のおおむね七割くらいまでホロシリコムギと存じておりまして、これなどは品質、収量がいいということで、急速に伸びた一つの例であろうと存じます。
  126. 丸谷金保

    丸谷金保君 いつも無性繁殖の果樹類の質問をすると、必ず有性繁殖の種類の答弁がくる。いま私が言ったのは、小麦のことはよくわかったけれど、同じ試験機関で果物についてはごくわずかしか優良品種として農民の間に利用されているのはございませんねということなんです。
  127. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 果物の中で特に先生ブドウに御関心がおありかと存じますが、ブドウにつきましては、登録されておりますのは二品種ございます。
  128. 丸谷金保

    丸谷金保君 無性繁殖の果物については、農林省はここ十数年の間にまず二つしかこれはという種類はつくっていない。種の方にどちらかというと農林省は専念して、果物などは農民自身の育成者に任せてきたというのが、いまの御答弁でも明らかだと思うんです。  そこで、大臣がおいでになりましたので、早速ひとつ大臣に質問を申し上げたいと思います。いま大臣がおられない間の答弁の中で、特に大臣の見解をお聞きしたいということで留保しておった問題から入らしていただきたいと思います。  御承知のように、畑作振興の立場で小麦の増産が図られるのは、北海道でも十勝、北見でございます。統計の数字を見ても上川空知でふえてきているのは稲転でございまして、畑作の純粋な形で大きな反別を持っているのは十勝と北見、そして農林省秋まき小麦大豆ビートその他輪作奨励品種の中に設定しております。しかし、先ほどの論議で、これはもう大臣はよく御存じのことと思いますが、小麦播種期が九月の中旬だと、作業はもう九月の十日過ぎたらかからなければならないというふうな実態が明らかになってきました。しかし、大豆やあるいはビート等は十月以降に収穫をするので、小豆にしてもそうですが、その後に小麦輪作として入れることは不可能だと。そうしますと、残されているのは菜豆だけです。先ほど答弁で、実はインゲンの後に小麦をまくんだという答弁がございましたんで、大臣がいればそんな答弁しないはずだと、こういうことで資料をさらに精査していただいた結果、菜豆の後に小麦をまくということに訂正されました。  そうすると、御承知のように、いま大正キントキでも手亡でも非常に外圧に押されて値段が下がっております。そういうふうに非常に下がっていることがわかりながら、小麦との輪作の中ではどうしてもそういったものを十勝、北見の農民がつくらなきゃならぬと、損を承知で。だから、小麦小麦だけで見たのでは困るんで、あるいはバレイショの後にまこうとすれば、バレイショの早掘りをしなきゃなりません。男爵とか紅丸というふうなものででん原が中心の十勝や北見では、バレイショの早掘りをするということはそれだけ収穫が少ないということなんです。こういう実態だけは先ほど明らかにいたしましたが、大分時間がかかったんですが、それでそういう実態を踏まえて、畑作地帯秋まき小麦に対する輪作奨励金を考えられないかと。たとえば、裏作奨励金というふうなことで本州方面水田には出ておりますし、それからまた、稲転関係については多額の稲転の補償がありますし、それらと比べて輪作をきちんと大豆、小豆あるいはバレイショ、ビート、菜豆というふうなものと組み合わせて小麦をつくらなきゃならない畑作専業地帯における秋まき小麦というのは、そのもの自体をまくために、前にまくものをどうしても経済的に非常にマイナスになってもやむを得ずつくらなきやならない。  さらにまた、いま農業技術会議の方へ春まき小麦の問題を質問いたしましたが、これはもう反収が全く少ない、十勝や北見では秋まきの半分もないというのが実情でございます。そうしまして、しかも品種改良についても、春まきのハルヒカリ後において十数年間、まだこれという春まきのいい品種が農業技術会議の方からは提示されておりません。こういう状態でございますから、何らかの形でこれをひとつお考えいただかなきゃならないという立場で、輪作奨励金というふうな問題を御検討いただけないかということをまず大臣に、これは事務ベースではなかなかむずかしい問題だということでございますから、これはやはり政治的な、大臣としての温かいひとつ御配慮ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
  129. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 価格政策が輪作をおかしくし、その結果地力を低めていると、たとえばジャガイモでん粉が非常に値がいいという場合にはジャガイモでん粉が非常にできると、その結果いい輪作にならない、したがって、地力が落ちるというような例がございます。また、北海道では、特にもう一つ地力をおかしくしている問題に、トラクターの問題がございます。これが固い層をつくって地力を悪くしていると。ですから、私はトラクターとこの価格政策が、北海道を長期的に見て土地を悪くする要因になっているのではないだろうかと心配をいたしておった一人でございます。  そこで、価格政策というものを、トラクターはトラクターでまた対策を講じなければなりませんが、価格政策はこれを一切やめて、いい輪作――価格政策は神ならぬ身の、高かった低かったいろいろ問題がありますから、輪作奨励金というものですべてを包含して、価格政策で国がめんどうを見ておったであろう期待される金ぐらいのものはしっかり輪作をやった人には奨励金をあげると、こういうことで統一した方がむしろ長期的にいいのではないかと、そのかわり値段の方はひとつ市況に合わして努力をしてもらうと、そしてむしろ輪作というものを大事にしていくという仕組みをとったらどうかという考えを持って価格政策に取り組んだことも私自身ございます。  しかし、いまの価格政策がある中で、その上に麦だけということになりますと、丸谷さんも御承知のように、輪作というのは、戦略作物としては大豆なんというのはこれは根瘤菌によって地力をよくすると、これは価格そのものではないという非常に位置づけもあると。ビートも、これまた砂糖がとれるというだけじゃなくて、飼料作物としても、また輪作作物としても非常に貴重なものであると、こういう意義があるわけでございます。  したがって、麦に仮に単独価格政策をいまにしてやるならば、ビートに対しても、大豆に対しても、それなりのまた要求が出てくるであろうということでございますので、麦だけを現下の価格対策の中で切り離してこれだけに奨励金をあげると、単独で処理できるものではないと。したがいまして、ほかの作物との関係、さかのぼりまして価格体系とのあり方と、全体の中で輪作奨励金というものを考えるべきだと。もちろん、政務次官その他から御答弁のありました技術的な問題等々はありますけれども、基本的には非常にいい御指摘ではありますけれども、これだけ単独で切り離してやるべき政策ではないのではないかと、もっと根っこの議論をした上で、どう取り組むべきか判断すべきものと考えておる次第でございます。
  130. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣がおいでになると非常に論議が進むので、大変……。  輪作奨励金の問題については、私の方はいまの制度そのものの中で秋まき小麦品種改良、あるいは春まき小麦品種改良を進めなければ矛盾があるということを特にお考えをいただいておきたいと思う。その点につきましては、衆議院の農水で瀬野委員さんが規格外麦の問題を質問しております。これについて澤邊食糧庁長官が、非常にむずかしい問題であるが慎重に検討したいという前向きの答弁をいたしております。そこで、その慎重に検討するということの意味議論をここから前の方に進めてみたいと、かように考える次第でございます。  御承知のように、百粒のうちに三粒穂発芽があるとこれは等外品だというふうなことになっております。しかし、この等外品が一体それじゃどういうふうに処理されていっているんだと。昨年も一万三千四百七トンがホクレンだけで集荷しております。この八〇%が特A、三千三百円。まあ外国から入ってくるのとの絡みもあろうかと思いますが、これが集荷業者から一般商社に渡って、その後の追跡調査についてほとんどのりというふうなものに回っているんじゃないか、こういう御答弁食糧庁の方からなされております。本当にそうなのかどうか、もう一遍確認の意味で、ひとつ食糧庁の方にお聞きしたいと思います。
  131. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 昨年の規格外でございますが、集荷業者からの報告によりますれば、総体で約一万四千六百三十七トン規格外麦が集荷をされまして、えさ用に約一万二千トン、みそ、しょうゆ用に百十トン、麦茶に四百トン、その他に二千百八十トンというふうに報告を受けております。
  132. 丸谷金保

    丸谷金保君 これが私はどうも、一体本当に製粉会社や商社がそんな下手な商売をするだろうかと思うんですがね。たとえばこの規格外の場合には、低アミノ酸の問題があるので製パンとしてはなかなかむずかしいと、こういうことが大きな理由でございますね、そうでしょう。
  133. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 発芽の規格外につきましてはアミノ数値が低いということでございますので、たとえばうどんなどにいたしますときの粘りが出てこないというようなことでございます。そういうことでございますので、一般の製粉用には向かないということで、製粉会社で購入いたしました場合も全粒粉等にいたしまして、えさ用に主として回しておるというふうに理解をしております。
  134. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは製粉会社へ回る分と、それからその他に回る分とはどういうふうな比率ですか。たとえばストレートにみそ、しょうゆとか、そういうところへいくのと、等外品がそして飼料用に回されるというのと。
  135. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先ほども申し上げましたように、えさ用、みそ、しょうゆ用というのは数字を申し上げたわけでございますが、えさ用に一万二千トン、みそ、しょうゆ用百十四トンということでございまして、それから麦茶用に四百四ト、ンというふうに聞いております。
  136. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのえさ用というのは、やっぱり製粉会社を通していくんですか。
  137. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 大部分が、製粉会社で全粒粉に加工されているというふうに理解をしております。
  138. 丸谷金保

    丸谷金保君 低アミノ酸の部分というのは、一粒の中でどの部分が特に強いんですか。
  139. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 規格上は、先生おっしゃいましたように百粒の中で二粒までが限度でございます。発芽粒が百粒の中で二粒を超えておる場合には規格外という扱いにしておるのでございますが、実際は二粒程度が発芽をしておる状態のときには、残りの九十八粒も発芽に近い状態ということになるわけでございまして、全体的にそういう意味で言うと問題になる小麦であると、つまり百粒の中で九十八粒が全く健全で二粒だけが悪いのだということでなくて、全体に発芽もやいというのでしょうか、そういうかっこうになりますのであれでございます。  それから、そういう粉を全体にまぜましてつきますると、中にあります酵素等の作用によりまして、全体に今度まぜられる方まで含めて品質を低下するということでございまして、このアミノの問題は、私ども相当の外麦の輸入もしておるのでございますが、アメリカ、カナダ等でも時にこういう問題が起きてまいりまして、非常に困難をするということでございます。
  140. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまの日本のきわめて優秀な製粉技術の中で、いいですか、等外、これは低アミノ酸の部分というのは確かにおっしゃるように三粒以上あればほかにも影響していると、それはもうごくわずかですね。表面だけなんですよ。そうすると、ざっと表面だけ製粉してこれは別にする。中の方は何でもないんですから、そうでしょう。あと別にして、残りをパンに使えるじゃないですか。そういうことを現にやっているところありませんか。
  141. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 外の部分だけがというふうに先生おっしゃられるわけでございますが、いま申し上げましたように、発芽をしかけたときには酵素等の活力で小麦粒全体のでん粉に影響が出てまいりますので、製粉の品質というものは相当悪くなってまいります。それを承知の上で非常に下級パン、パンといいますか、たとえば中華まんじゅうみたいなたぐいのものにまぜられることはあると思いますが、普通のパンには、とうていこのものではパンにはなりにくいというふうに考えます。
  142. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の言っているのは、それを全部製粉に一遍にするということでなくて、低アミノ酸になっていく状況というのは、湿度その他で外側からいくわけですよ。そうしますと、その低い、特にひどい部分というのを先に製粉を一遍かけて、中に残ったのだけはちゃんとした製粉にするという分離を、そうして最初に、言うなればお米のあの酒米なんかもそうですが、削りまして、少しきれいに精白して取ってしまえば、中はそんなに湿度でもって冒されているということでない、三粒やそこらの状態ですと全体がそれほどひどくなっていない、そういうふうなことをお考えになったことはありませんか、そういう状態だということを。商売人たら、すぐこれは考えることなんですけれどね。
  143. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先生のおっしゃいましたように、外側の外皮の部分だけが特に傷んでいるということでございませんので、発芽ということになりますると、胚の部分がつまり芽を出すための準備をするわけでございまして、小麦粒全体が、あるいはその中のでん粉の形質が全面的に変化をしてくるということでございます。したがって、取り分けということはむずかしいということでございます。
  144. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは、穂発芽した三粒はそういうことが言えるかもしれません。しかし、発芽前の残りの九十七粒については、発芽してある状態のように全部が細胞が変わってしまっているというわけではないでしょう。そういう状態になりつつあるという、表面から起こってきているということであって、そうじゃないんですか。
  145. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 酵素の作用でございますので、粒全体が、先ほど申し上げましたような三粒以外のものにつきましても、酵素の作用で小麦粒の中のでん粉の形質その他は相当大きく変化をしてくるというわけでございます。
  146. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は、酵素の作用だから一遍にはいってないと思うんです。これは技術的なことなので、きょうは時間もありませんからやめますが、この点については、さらに検討をしてもらう必要があると思います。酵素というのは、でん粉質を食っていく場合には一遍に中まで通すんじゃないんですから。外回りから冒していくんです。これは日本酒の酒屋さんに聞けばおわかりになると思いますが、一遍に同じような性質で全部中まで浸透するわけじゃないんです。だけれども、このことはちょっといまはもうあれですから、やめておきます。  しかし、それで最後にもう一つ問題点としてあるのは、先ほどから指摘しております品種改良の関係で、いろいろ農業技術会議の方で話がございました。しかし、にもかかわらず、いま秋まき小麦をつくっている多くの農民は、集中的な収穫の問題で非常に苦労しております。特に北海道十勝、北見という畑作秋まき小麦の地域においては、八月の二十日過ぎると、どうしても湿度が多くなって水分が戻るんです。収穫期に。ですから、もう少し早く収穫するような品種をつくってもらわないと、この種の等外品の問題というのは非常にいつまでも問題が残っていく。こういう点について、農業技術会議としての品種改良の進め方のぐあいはどうなんですか。
  147. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 収穫期におきます雨害を回避するため、できるだけ収穫期を前に進める、早めるという研究が非常に重要だと存じております。そういう線に沿って研究をしておりまして、現在日本の国内で、たとえば小麦で言えば農林六十一号が半分近くつくられておりますが、それよりも一週間程度収穫期の早いサキガケコムギとかゴガツコムギ、こういったものを育成をしておるのは、その趣旨によるものでございます。それと同時に、やはり収穫乾燥を適切にスピードアップしてやる必要があるということも大変重要な課題でございまして、私ども高水分麦の収穫乾燥をできるだけ迅速に、能率よく適切に行うということの研究にも取り組んでおるわけでございます。おっしゃるような御趣旨に沿いまして、ますますこの系統の研究を強化をしてまいりたいと思っております。
  148. 丸谷金保

    丸谷金保君 目下研究中であればやむを得ないんですが、私、ここに「穀類共同乾燥調製施設操業状況集録」というのを、これは北海道のホクレンでまとめた資料でございます。これらの中を見ますと、集中的に収穫しなきゃならないという問題と、それをその期間内でどうしても乾燥をやっていけないという問題にぶつかっておるんです。至るところでそういう問題が出てきております。そのためにどうしても予乾施設、こういうものをつくらないと、小麦生産増強というふうなことのかけ声が何ぼあっても、それから麦乾施設をこれだけ北海道じゅうにたくさんつくっても、そこのところでふん詰まりしちゃうというような状況が起きてきております。この点について、その予乾施設に助成するというふうな麦の生産の進め方ということについて、農林省のお考えをひとつ伺いたいんですが。
  149. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 五十年度から北海道だけにつきまして大規模な畑麦乾燥調製施設事業、これはサイロから予乾施設からみんな入る事業でございますが、そういう事業を行っておりますし、五十二年度から高度麦作集団事業、この中でも予乾施設といいますか、びんといいますか、そういうものが入るようになっております。それからまた、土地利用型集団営農推進特別事業、それから五十三年度からの畑麦作集団育成事業、この中でも予乾施設だけを補助の対象にするというようなことで、確かに先生のおっしゃるように予乾施設の必要性というものは年々ふえておりますので、われわれも十分その点配慮したがら、今後もその助成の方法、拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。
  150. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ時間がございませんので、これで質問を中止せざるを得ません。まことに残念ですが、大臣の来るのが遅かったので、もっとひとつ麦の政策全体、ECその他でも逆ざやでやっております。日本だけでないのでございまして、そういう点を踏まえて、いまの答申された価格、これは審議会の方でも、やむを得ないというようなきわめて歯切れの悪い答申でございます。これらの問題、あるいは円高差益の問題等、それから等級外のいま穂発芽の問題をあれしましたが、これについての、もう一つ等外に中位のランクをつくるべきであるというふうな問題が残っておりますが、時間の関係で、これで、問題を残しながらも質問な中止いたします。
  151. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それじゃ大臣にお聞きをいたしたいと思うんですが、きのうからけさにかけましてのテレビや新聞報道で、大臣も御承知のように、ソ連が去る四月の北洋サケ・マス漁業をめぐる中川農相とイシコフソ連漁業相のモスクワでの話し合いに基づく日ソ漁業共同事業計画の推進と、北方四島の一部である貝殻島のコンブ漁をことし再開しようという日ソ間の話し合いをすべて拒否するとの方針を決めて、外交ルートを通じて日本政府に通告をしてきたということが報道されているわけですね。この問題については、大臣みずからが交渉の衝に当たって話をまとめられた最高の責任者であるわけですね。ところが、今回、一方的にこのような通達が、しかもソ連側の意図としては、日中交渉そのものに対するソ連側の対日的な報復という言い方はどうか、これは別問題といたしまして、一定の外交的措置と言ったらいいんでしょうか、そういうふうなことで、このような措置をとるということを通告されてきているということが報道されているわけですね。  これが事実であるかどうかということと、もしそのような措置が事実行われるとしたならば、これは大変な問題だと思うんですね。そういう点で、直接の最高責任者である農林大臣としては、そのような事態にどのように対処されるのか。日ソあるいは日中間の関係を損ねることなく、これをどのように一体円満に解決をされようとしておるのか。そういう点でお考えがあれば、お聞かせを願いたいと思うんです。
  152. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 私が先般ソビエトに参りました際、サケ・マス交渉で行ったわけですから、サケ・マスの話をしておりまする途中で、イシコフ漁業相から共同事業について発言がありまして、わが国としても関心を持って知る、ただし、このことが八十五万トンの日ソ、ソ日協定に基づく漁獲に影響しては困るということ、それからわが国の業者並びに団体がストレートでソビエトと話し合いをして決めていくということになれば公平の原則を欠くという二つの問題がありますから、その問題がうまく妥結されるならば前向きでやりたいと思っておりますと。  それに対してイシコフ漁業相から、この話は決して八十五万トン、日ソの漁獲とは全然関係のないことで、特にクォータと関係のないエビとかカニ、そういったものを対象にしたい。それから、確かに個別にやられては困るだろうから、大日本水産会が窓口になってコントロールをする、民間折衝の窓口は大日本水産会とする、こういう話し合いで非常にムードのいい中に亀長水産会長がその後民間代表として交渉に当たってまいりまして、五つの問題について前向きで話し合おうということで、わが国でも調整ができまして折衝に入っておったところでございます。ところがこれが難航して、特に北海道におけるコシブ漁業というのも、高碕・イシコフさんの間でできた歴史的な日ソ関係のかけ橋であるということで、零細漁民対策としてできた事業も切れておりましたので、これも再開すべしということで前向きであったのでありますが、もう漁期が始まったにもかかわらず、この仕事の話し合いが、ソビエトの方から返事が来ないということは現実でございます。  そこで、来ない理由はということで、けさ新聞に日中があるからだということが出ておるようでございますが、けさ外務大臣も閣議において答弁しておりますが、遅くなっておるのは、ソビエトが、漁業省は一生懸命やっておるようだが、財政当局関係の人との話し合い――イシコフさんがいまは外国に行っておる、七月一日に帰るというようなことで一時中断のような形にはなっておるが、日中とは関係なしに話し合いが継続、再開されるものと思う、こういう話でございまして、それが真相であろうと存じます。日中だからということであるとは考えられませんが、非常におくれておるというのはその辺にあるのではないかなあという節々の話も伝えられる現状でもありまして、真相がそうであったとしたならばこれは大変なことであって、日中は日中、日ソは日ソということでございます。  ただ、外交交渉をやるに当たりましては、日中は促進されるべきものではありますけれども、わが国の基本方針である、いずれの国とも仲よくしていく、いずれの国かを敵視するような外交はあってはならないということは、閣僚の一人としても、また政治家の一人としても、日本人の一人としても、そういう気持ちを持っております。したがいまして、日中は日中であり、日ソは日ソであるが、日中交渉に臨むに当たってはそういった点を慎重に配慮して、ただムードに流れて、締結、締結ということであってはならない。しかしまた、ソビエトが関係のないことでクレームをつけることに対しても、あってはならない、こういう姿勢で臨むべきだろう、こう思っております。
  153. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いまの大臣答弁ですと、そうすると、ソ連側からは正式に外交ルートを通じてそのような通告というか、申し入れがなされたということではないわけですね。間違いないわけですね。
  154. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) ありません。
  155. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、この新聞報道によると政府筋が明言をしたというふうに報道されているわけですね、そのこと。これは新聞の一方的な推測報道になるわけですか、どういうことですか、それ。
  156. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 政府筋というのはどこであるかわかりませんけれども、正式にあったわけではないということだけははっきりいたしております。ただ、そういう声が流れておることが原因ではないかという情報のあることも事実でございます。
  157. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 確かに微妙な外交問題ですから、大臣がいろんな点を配慮をされて、いまそのような答弁をなさっておると思うのです。しかし、事が外交問題であるだけに、もし大臣答弁が事実であるとして、正式にソ連側からそのような通告がないとするならば、いま大臣は、政府筋がどこを指すのかまあよくわからぬけれどもというふうなあいまいな言い方をされていますが、きわめて不見識と言わなきゃならぬし、これは大変な事態だと思うんですよね。むしろ、そういう事実がないものを、事実があたかもあるように新聞報道されるというこの責任は、一体これはどういうことになるんですか。もし、なかったとしたらこれは大変な問題ですし、もし事実だとすると、大臣答弁がこれはまたうそだという話になるわけですしね。きょうは外務委員会ではありませんから、そこまでやっておる時間もありません。ありませんが、しかし、その事実だけはここで明らかにしておいていただきたいと思うんですが、どちらが本当なんですか、それ。
  158. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 正式に、日中があるからだめだということはないものと思っております。
  159. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、すでに漁期が迫っているわけですよね、コンブ漁から。そうすると、既定の方針に沿って、政府としてはどんどん進められていくというふうに理解をしてよろしいわけですか。
  160. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 漁期に若干おくれて、漁民の皆さんに申しわけない結果にもなっておりますが、何とかこれを促進したいと思って鋭意努力いたしておりますが、これは政府交渉でありませんで民間交渉でありますから、側面的な御協力をすると、こういうことで促進をしたいと思っております。
  161. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 時間がないですし、これ以上もう――私の時間はあと五分しか残っていないですから、そういうことで、米の問題についてもお聞きをしたいと思うのです。ですから、この問題はまた改めてどこかの機会に取り上げて、来月に入ってからもありますから、そこで取り上げていきたいと思うんで、この程度にしたいと思うのです。  そこで、大臣、麦価はいつ決定をされますか。政府案はいつ決定をされるんでしょうか。
  162. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 昨日答申をいただきまして、やむを得ないということではありますが、賛成の方も多く、やむを得ないという人もあり、反対する人も一、二ございましたが、大多数はあれでよかろうと、表現はやむを得ないではありますけれども、あの趣旨に沿ってきょうじゅうには決定したいなと、こう思っております。
  163. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、きょうのこの委員会の審議でいろんなまた意見が出ると思うんですけれども、政府としてはこの委員会でのいろんな出された意見というものを、取り上げるべき意見についてはやっぱり尊重されるという基本的な考え方をお持ちですか。それとも、もう答申が出、政府の原案どおり決定したんだから、それで何がなんでもやっていくという考え方なのかどうか、そこをお聞かせ願いたいと思います。
  164. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 決定する瞬間まではあらゆる人の意見を聞いて適正に決めたいと思っておりますし、特に権威ある当委員会意見は十分聞きたいと思ってやってまいった次第でございます。
  165. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 まさに誠意ある大臣の答弁だと思いますので、以下次の点について、具体的な内容については後ほど事務当局にお聞きをいたします。  大臣には、基本的な点で若干お尋ねをいたしたいと思うんですが、御承知のように、確かに第二次大戦後世界農業というものも飛躍的に発展をして、人口増加以上に穀物生産高が伸びておるということが言われておりますし、農林省から出された世界の穀物需給状況とか生産状況等でも、比較的楽観的なことが述べられておるんですね。しかし、実態はどうかといいますと、今日世界的には五億人もの人間が慢性的な栄養不良に悩まされておりますし、二億人もの人間が常に飢餓の恐怖にさらされておるわけですね。しかも、世界の人口増加というものが爆発的であることは御承知のとおりです。一八三〇年に十億人であったものが、その後わずか百年の間に二十億人、倍になり、その後三十年、つまり一九六〇年には三十億人となっておりますし、さらにその後十五年、つまり一九七五年の後半についに四十億人を超えたわけですね。この割合でまいりますというと、十三年間で、つまり一九八八年には五十億人に達しますし、それから十年後の一九九八年には実に六十億人というふうに人口が急増をしていくわけですね。  もし、そのとおりの数字でいったとするならば、これは大変な事態が出てくるということは、これは想像にかたくないわけですね。今日でも十億人に上ると言われる人たちが、一部国家の繁栄とはうらはらに非常に悲惨な状況に追いやられて、飢餓の状況に追いやられておるという側面が、とかく忘れられがちなんですね。そういう点で、私は、食糧問題というのは単なる通常の経済活動と違って、まさに民族の存亡、国家の存立というもののかかった根底的な問題だと思うんですね。国家の根幹だと思うんです。そういう点で、食管法はまさにそういう見地から私は制定をされたと思うんですね。したがって、私は、ますますこの食管制度というものを堅持をしていくべきであろうと思いますし、いやしくもそこに悪徳商法のようなものが一部であれまかり通るというふうなことがあってはならないと思うのです。  そこで、大臣に、基本的に食管制度についてはもちろん堅持をすべきだと思うんですが、単なる堅持ではなくて、不備な点があるならばさらにそれを強化拡充をしていくべきではないかというふうに思うわけです。そういう点で、基本的な大臣の考えを当初にお聞かせ願いたいと思います。
  166. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 吉田委員御指摘のとおり、食糧問題は非常に国際的に重要な課題でございます。将来にわたって自給率のない国がいかに不安定なものであるか、国際的に見てこれはまさしく言えることでございます。であればこそ、わが国でも消費者の間には、国際的に高い牛肉は輸入してもらいたいという声もございます。四倍、五倍の牛肉をどうして私たちは食べなければならないのだ、米も五倍、六倍と高いではないかというようないろんな批判はありますけれども、やはりそれは経済を超えて食糧の自給率というのは国家の民族生存の起源であると。  こういう観点と、もう一つは、農業を土台とする農村というものは健全な民族の発祥の地である大事なものである、こういうところから少々経済効果、少々というか、かなり悪いものであってもやっていかなければならないということで食管も堅持してまいりたい。そして、主食だけはどんなことがあっても確保できるという仕組みをつくっていきたい、守っていきたい。しかし、食管を守るためにはいろいろやらなければならないことがありますからやってまいりましたし、特に配給方面では親方日の丸的な配給商法というものはいかがかと。やはりここには少し自由競争原理を入れて、米の消費拡大が図られるように、そういうような仕組みの改善を加える等々のことはしてまいりますけれども、食管そのものは断じて守り抜いていきたい、こう思っております。
  167. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 ちょっと、いろんな条件的なことも述べられたのですが、それらについては後ほどの質問でいろいろ事務当局にもお聞きをしてまいりたいと思います。とにかく大臣が、いま食管制度はあくまでも堅持をされるとおっしゃっておりますので、ぜひそういうことでやっていただきたいと思うわけです。  次に、実はきのうの麦価審議会あるいは十九、二十日に開かれましたいわゆる前広米審と称するものを、私も二日間ずっと見ておったんです。見ておりまして、かつての米価審議会が、まさに審議会の本来の性格なり任務というものに沿ってきわめて民主的に運営をされてきた、それが逐次、率直に言うならば、食糧庁長官というような肩書きを持った方たちがこの審議の中に入っていくというふうな中で遂には非公開、秘密だというふうな審議に変わっていっているわけですね。したがって、審議内容も十分明らかにされない。本来私は、この米審というのは生産者やあるいは消費者や政府の間に立って、たとえて言うならば中央労働委員会のような、そういうまさに中立的な公正な立場に立って私は米価というものを決定をする、そういう審議の任務を負っていると思うのですね。ところが、最近の傾向は必ずしもそうでない、いろんな批判が出されているわけです。  時間もありませんから、いまここで具体的に一々どの問題がどうだというふうなことを指摘をして大臣の考えを聞くまでには至りませんが、いろんな批判があるということは事実ですから、もし大臣がそれらの批判が当たっておるということになるならば、審議会の運営や、さらには今後の審議委員の人選等についても謙虚に私は耳を傾けられ、改善をされるべきではないかと思うのですが、その基本的なそういう要請に対してはどのようにお考えになりますか。
  168. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 審議会のあり方については、いろいろと御意見のあることも承知をいたしておりますが、私が今回農林大臣に就任いたしまして、昨日一日、さらには十九日、二十日でございましたか、前広論議、それ以前にも若干あったかと思います。私の見るところでは非常に民主的に――きのうもあいさつを申し上げた中に、根気よく御協力を願うというぐらいもう多くの人の意見を民主的に十分出してもらって、そして皆さんがしんぼう強く、夜遅くまで協力している米審というものは、私は世の人が批判するようなものではない、非常にまじめによくやっておるということでございますので、私は高く評価をいたしているわけでございます。  しかし、多くの人の意見がありまして、改善すべきことは改善することにやぶさかではありませんが、米価審議会に対する評価は、私は高く高くいたしているところであります。
  169. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 時間がありませんので、具体的にいろいろ問題の提起をして、この点はどうかということをお聞きをしたいのです。しかし、それは急ぐ問題でもありませんから、次のまた委員会の機会に、他の委員からもその点についてはお尋ねしていくことになろうかと思いますので、その点はこれで打ち切ります。  大臣、持ち時間が参りましたので、これから大事なことをお聞きしようと思ったんですが、またの機会に譲ることにします。どうもありがとうございました。
  170. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大臣に対する質問の時間はきわめて短いので、端的に三項目お聞きいたします。  いま吉田委員が取り上げられましたけさの新聞報道によります日ソ漁業共同事業計画の推進と、貝殻島のコンブ漁の再開の日ソ間の話し合いがすべて拒否されるのではないか、こういう外交ルートでの通告があるやに報道されていますが、ただいま大臣はまだ正式には受けていないのだ、こういうお話でありましたが、いまお聞きしますと、一時に正式にソ連大使館の方から農林大臣の方へ通告しに来るのだというような話を聞いているんですが、事実ですか。
  171. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、この問題は民間交渉によっておりますので、直接交渉に当たる場にはございません。したがって、正式にこれがだめだ、いいのだという話はないことは、もう当然のことだと思います。  きょう漁業関係の大使館員が一時に参ることは事実でございますが、それはそういったことを言いに来るのでは私はないと、ソビエトへ八月に帰られるというので、帰るに当たって表敬をしたい、こういうことでございますので、それではということになっておるわけで、まさかそんなことを言いに来るはずはない、こう思います。それは外交上から言って日ソは日ソ、日中は日中である、こういうところから正式にそのような話があろうはずはないと、こう思っておるわけでございます。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕、
  172. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま大臣のお話のとおり、けさの新聞に報道された点が杞憂にすぎないことに終わってほしいと思うのですが、すでに日ソ漁業共同事業計画ではエビ、カニ漁は具体化されるように進んでおりますし、また、貝殻島のコンブ漁にしても、七月の北洋サケ・マス漁の交渉の後大日本水産会の亀長さんが残られて、大変御苦労しながら入漁料等の問題で交渉を続けまして、入漁料の金額いかんでは六月中旬、すでに漁期に入っておりまして、中旬ぐらいには操業が再開できるのではないかと、このように期待をしているさなかであります。  もし、これが正式に日中条約交渉に対する反発といいますか、そういうことを正式な申し入れがないとしても、いろいろな事情でこれが再開ができないとなりますと、現地の漁民のショックというものは非常に大きいものがあると思いますが、もし、いろいろな諸般の事情でことし再開を目前にしてこれはまた来年まで延びなきゃならぬと、こういう場合に、もし地元の関係者からいろいろ対応策なり、あるいは救済策なり、あるいは融資その他の政府に対する要請があった場合に、これを前向きに積極的に大臣としては受けとめる御用意があるかどうか、承りたいと思います。
  173. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) この共同事業は、いままでにないものをと言ったら少し言い過ぎかもしれません。かつてあったところもあるわけでございますが、そのとれなくなったことに対する補償はすべて終わって、今度は新しい仕事としてやるわけでございます。ぜひともこれが成功するようにしたい、今後とも努力をしていくつもりでございます。ただ、これができなくなったから融資、補償というような性格は、今度の場合はない。新しいものとして期待をしておるものがとれなくなるということでございます。新しいものではありましても、ぜひとも漁民のためにも、日本の資源の上から言っても実現されるように、粘り強く、直接ではありませんけれども、協力していきたいと思っております。
  174. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、麦に関してお尋ねしますが、関係農民の皆さん方から米並みの生産費所得補償方式をぜひことしはとってほしいという強い要請がありましたが、残念ながらことしもパリティ方式で、大臣はあと四、五年は続けるんだということでございますが、これはあと四、五年も続けている間に、政府としてはこれで麦づくり減退に歯どめがかかったんだと、今回二・一%の諮問をされたそうでありますが、しかし私考えるに、このままではやはり麦づくりに対する魅力を失って、やはりだんだん安薬死の道をたどってしまうんではないか、こういう心配をどうしても持ちます。  政府の場合は、昭和六十年までに百四十四万三千トン、現在の二四倍にふやすんだと言いますけれども、これを信じている農民の方たちは一人もいないわけでありまして、本当に政府がここでどういうような麦の生産に対して本腰を入れて取り組むのかどうかを厳しく見ているわけでありまして、大臣、本当にいまのこのままの状態で長期見通し、六十年までにこの目標の増産ができるとお考えですか。
  175. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 昭和六十年までに百四十四万トン、二百三十数%、二・四倍近くふやしたいということで今日までもやってまいりました。幸い、ことしは二七%の麦の作付増でございます。今後毎年一一%程度ふやしていけば、四十三万町歩になるわけでございます。もちろん、中での小麦あるいは裸麦、大麦、六条大麦、十条大麦とそれぞれ高低はございますが、全体としてはそういうふうになっております。  そこで、今後一一%程度の増産を図ることによってやりたいというふうに思っていることは事実でございます。ただ、ことしの価格がパリティの関係で余り伸びておりませんので、若干私も当初三%ぐらいになるのかなあという、三月パリティの当時はそういうことでありましたが、五月パリティが結果的には二・一になったわけでございます。私としては、三月に戻って二・九ぐらいにやれるものならならぬかなあと思って工夫したのでございますが、制度、仕組みが三月に戻りますと、昭和二十五、六年ごろのベースに対するパリティが三月に戻っただけ低くなってしまう。昨年が三月に決めてことし三月に決めれば正直のところ二・九になったのですが、昨年の五月に比べことしの五月のパリティをとると、駆け引きなしに二・一になってしまう。  そこで、昨年からの約束でもありますから、価格は従来決めたとおりとするとしても、生産対策ないしは奨励金等々で配慮をして、何とか収入の面でも意欲が持たれる工夫はないかなあと、総合的な政策の遂行によりまして六十年見通しを達成したい、こう思っております。
  176. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大臣、去年に比べて二二・二%麦の作付がふえてきているわけですけれども、この大部分が結局一番有利な米の転作によるものですね。米からの鞍作の場合は米並みの収益補償ということで、一般の麦作より二・六倍も収益性がよいわけですけれども、そのために、これまで粘り強く麦づくりを進めてきた特に北海道それから関東の地域は、この価格差の不公平ということに非常に不満も出ているわけです。そこで、今後この既存の麦づくりと転作の麦の不公平をなくしていく、こういう方向で取り組まなきゃならないと思うんですね。  特に大臣に強く要請したいんですが、今後農林省が言われています価格政策で農政を処理する時代じゃなくて構造政策で取り組む時代なんだと、こういうお考えもあるようですから、特に田畑輪作、あるいは畑作物の輪作の柱になっている麦そしてビート大豆、この三種目ですね、これをいわゆる農政の柱として十分に生産農家の人たちが将来目標を持って取り込んでいけるように、価格の面についてももう一度見直しをすべきでないか、このように思いますが、その点についての御見解を承っておきたいと存じます。
  177. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 実は、価格問題というのは前々から議論のあったところでございます。そこで、基本的には毎年決めます価格がいろいろあると。大蔵省の考え方もあれば、団体の考え方もあると。団体の考え方の中でも二つ、三つあるような場合があるぐらい、価格というものは人の見方によって差のあるものである。その価格がどれもだめかというと、どれもだめではない。考えようによってはいずれも正しいものである。しかしまた、全部が全部要求を満たせるものではない。どっかに決める。そのことごとに対立関係にあって、価格政策が常に農村で混乱を起こす、これは避けなければならぬのではないか。だれが見てもまあまあという仕組みはないか。それはパリティだろう。パリティならば農村物価をあらわす象徴であるから、それを素直に入れていくということならばだれが考えてもそう差がないところだ。  ただし、根っこが狂っているところヘパリティを掛けたのではこれはいかぬというので、昨年、奨励金をこの際価格に取り込んで、これは麦も大豆ビート等においてもそうですが、全部奨励金を取り込んで、そしてそれにパリティを掛けていくということをしばらく続けようと、そしてやってみてまた不合理性があったらその段階で改定をしようという位置づけをして、昨年そういう結論を得まして、昨年の麦価あるいは大豆価格ビート価格もそういうふうに決めて、そしてしばらく――しばらくとは四、五年ぐらいかなあと、決めたわけではありませんけれども、その段階で一回見直してみようという価格については新しいルールを、昨年革命的と言われる、農業団体の皆さんとも相談したが、それはよかろうということで麦からスタートをして今日に至っております。  したがいまして、一、二年、三年、四年ぐらいのところはそれでやってみて、また新しいものを加えなければとか、あるいはまたそうではないというような要素が入ってきた段階で考えるべきであって、いまのところは昨年講じたあのやり方をしばらくやり、そして生産対策というものをそれに加味して、そして健全な発展を図ってみたい、こういう基本方針で対処しておるところでありまして、大豆、麦、飼料作物といったものは、自給率から言っても、また北海道においてはきわめて適した作物であるという意味からも尊重してまいりますし、伸ばしてまいりたいと思いますが、以上のような方針で進みたいと思っております。
  178. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ぜひ輪作奨励金価格体制を早急に検討して、がんばってくださいよ。  それから次、三項目目、米の消費拡大策でお尋ねしておきますが、きょうも隣で、災害委員会をやっていて、宮城県沖の地震対策を講じていますが、この被害を一番受けた仙台の方たちの体験を通してみますと、あの災害時にお米はどうしても炊かなければならぬということで非常に扱いづらい、災害時にはパンで急場をしのいだという、そういう点考えまして、実は食品流通システム協会というところからの提案が出ているんですが、学校給食施設それから民間給食施設を地域指定して、耐震性の炊き出しセンターとするようにすべきではないかと、こういう提案が出ていますが、これについて早急に御検討をされるお考えはないかどうか、まず承ります。
  179. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 仙台の事例を考えますと、ガスも電気も水道も皆とまっておるという中でございますので、ガスも電気も水道も全部耐震性を持ち問題がないというライスセンターをあちこちに準備をしておくということにつきましては、相当検討しなきゃならぬ問題があると思います。それからなお、そこへ原料をどういうふうに持ってくるか、あるいは製品をどういうふうに配送するかといういろんな研究をしなきゃならぬ問題もございますし、それから平常時それが一体採算のある経営ができるかという問題もございますので、今後検討さしていただきたい事項だと考えます。
  180. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それからもう一点、余剰米の消費なんですけれども、今回は特にひどかったのは仙台だけで、その周りの方からパンなんかを運んできたわけで、こういったときの交通の便、それからそういった食糧の支給、こういったことがスムーズに行われたからよかったんですけれども、これが災害の規模が大きくなって、なかなか被災者に対して食糧が供給されない、こういうことになりますと、大変なまたパニック状態になる。そういうことで、災害時にはやはり各自が家庭で食糧を備蓄している、備えているということも非常に大事になってくるのじゃないかと思うんですが、昔からお米は干しいにしたり、いり米にしたりして災害のときに備えた過去に例がございますけれども、いつ大きな地震がくるかもしれないというこの日本列島の場合、今後即席でお米を食べれるようにするということをもっと取り入れて、災害用に干しい、いり米にして各家庭、個人ごとにお米を用意をしておくというようなことを農林省として積極的にPRし、また関係省庁と協議をする、こういうふうに一歩踏み出すべきじゃないかと思いますが、これについてひとつ大臣、御見解を承りたいと思います。
  181. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 非常に適切な御意見でございまして、そうあるべきだと思いますが、ただこれが政府から、上から押しつけるものか、民間から盛り上がってやるべきものか、そのことによる損失ができたから、また国家で補償しろなんという話も出かねない問題でもあり、ひとつ研究はしてみたいと思いますが、私の考え方としては、民間がみずからそういう気持ちを起こす、災害はみずから自分が受けるものですから、みずからの気持ちでやりませんと実効が上がらない、政府が制度、仕組みによって押しつけたのでは実効が上がらぬのではなかろうかなと、こう思う次第でございます。
  182. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、麦価について、麦価をめぐる情勢と麦価そのものについてお尋ねしたいわけですけれども、先ほどからの答弁の中にもありましたが、大臣は今度の政府諮問に当たりまして、約二・一%のアップというふうなことで、三%まで何とかいかないものかなと考えたけれども、いかなかったというお話がございまして、一方、増産の問題については、今後六十年見通しを立てて一一%程度は増産をしていきたいというふうなお話なんですけれども、実際いまの二・一%というこの麦価で、ことしのような状況の中でパリティをとっていった場合に、月々によっても違うというような状況で、果たして増産というものは先ほどお話しになりましたように可能なんでしょうか。
  183. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) パリティというのは、前年に比べて比較する仕組みには麦の場合なっておりません。昭和二十六年ですかの当時から累積したパリティを下回らないように、生産事情を勘案して決めなさいということになっております。そこで、三月でとれば、確かに前年に比べては約三%近くなるわけですが、根っこに比べますと、たしか一・三%ぐらい五月より安くなるわけでございます。  何で一ヵ月でそんなに違うのかと調べてみたところが、四月にあらゆるものの価格改定がありますから、去年の五月とことしの五月で年間では二・一しか上がらないんですが、ところが三月、四月、五月の間に一・三も違ってしまう。それは、四月にあらゆる価格改定があるものですから、そこで相当上がってしまう。やはり価格の上では一・三だけプラスになるわけですから、五月をとった方がいい。五月を比較したら、昨年に比べて二・一だった。三月時点で三ぐらいあるだろうということだったものですから、私も何か三になる方法はないのかということで研究してみたのですが、三にするためには三月に戻らなければいかぬ、三月に戻れば根っこの分をベースにするから下がってしまうというので、これはしようがないな、困ったな、しかしパリティでやるという以上は、二・一正直に出すより仕方ないと、こういうことでやったのであって、月によって変わるものではないので、根っこに比べてだんだん上がっていく、こういう仕組みであります。
  184. 下田京子

    ○下田京子君 二つの問題を一緒に聞いてしまいましたからなんですが、三%にしたいと思ったわけだけれども、パリティをとったので五月時点で二・一アップというふうな状況になったと、こういうわけですよね。大臣、三%まで何とか持っていきたいと、こう思ったとおっしゃっているわけです。そして同時に、増産の問題についてはいろいろと考えて、一一%程度増産をしたいなあというお話ですけれども、したいなあというお話であっても、現実的に昨年比二・一程度のアップで、まあ据え置きと言っても過言でないような状況だと思うんですね。そういう状況の中で、本当に増産が今後可能なのかどうかということをお尋ねしているわけなんです。その増産可能なのかどうかという点で、大臣、昨年に比べて作付面積もふえましたよということなんですけれども、麦作には裏作小麦畑作小麦とそれから水田利用再編のための転作のやっとあると思うんですね。ですから、それぞれが果たして昨年に比べてどの程度作付がふえたのか、その点もまずお教えいただきながら、今後の見通しもお聞きしたいわけです。
  185. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 麦には春、秋、裏作水田利用、いろいろございます。ふえましたのは水田利用で相当伸びたことが伸びた主要な原因である、これは事実でございます。  それから、三%にしたいなあと思ったのは、パリティの仕組みの中で三%というものはないのかなあと思ったので、三%がいいから三%としたわけじゃないので、三月段階で三%と言われたパリティがあるなら、何かうまい方法ないかなと思っただけのことで、よくよくやったらやっぱり二・一でも五月をとった方がプラスになるということで、そこへいったわけでございます。  そこで、百四十四万トンの年率一一%増はできるかということですが、価格の面では、そういうことで若干これは低いかなとは思います。しかし、奨励金で何か穴埋めできないかなあという気持ち、あるいはまた生産対策費でさらに一層力を入れて目的を達成したい、こう思っておるわけであります。
  186. 下田京子

    ○下田京子君 水田利用再編の方でかなり伸びを見たんだと。資料によれば、約四万九千ヘクタールほどたんぼの方で見ていて、畑作の方は五千ヘクタール程度かというふうに思うんですが、そこ間違いないですか。
  187. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 転作での見込みですが、まだ確たることは言えませんが、約四万六千ヘクタールでございまして、これはただ、ことし休耕いたしまして、五十三年の十一月ごろ植える分も含まっておりますので、それを含めまして四万六千ヘクタールの増というふうに概括的に申し上げた次第でございます。
  188. 下田京子

    ○下田京子君 質問したことに答えてくださいよ。たんぼと畑でどうなのかということで質問して、畑の方は、およそ昨年対比ですと五千ヘクタールぐらいしか伸びてないんじゃないですかと言っているわけなんです。そうでしょう、見込み。
  189. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 全体の伸びでございますか。
  190. 下田京子

    ○下田京子君 昨年対比で、ことしの。
  191. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 昨年対比でいきますと、畑はほとんどふえておりません。都道府県、それから北海道、こう入れますと、ほとんど横ばいでございます。  それから、田の方が相当伸びておりますが、いま申し上げましたように、北海道畑作麦は伸びておりますが、都府県で減っているということで、ほとんど横ばいというような数字でございます。
  192. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、やはり大臣が概括的に言われたように、水田利用再編というふうな事態の中で麦だけをつくるというふうな状態だと思うわけですね。大臣、これは今後永久にこういう状況で定着が可能だと見ているでしょうか。本来、お米をつくって裏作小麦というふうな状況であるとか、そういうものが定着していく方が、本当に総合的な食糧の自給あるいは安定という点から見て今後とるべき大事な道だと思うわけなんですが、そういった点と関連していかがですか。
  193. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 確かに、麦はかつて相当あったものがだんだん減ってきたと。しかし、ここ二、三年で若干減り方が変わってきて、横ばいにまでなってきたと。これからひとつ前向きに転じようと、こういうカーブというか、こういうふうにいきたいというところでございますが、今後価格対策だけじゃなくて、先ほど言った生産対策というものを特に集積面積、規模拡大ということが、麦のコストを下げる上で非常に大きいものでございますので、そういった政策を講じながら何とかやっていきたいと、こう思っております。
  194. 下田京子

    ○下田京子君 何とかやりたいという大臣のお気持ち、それは私たちそうあってほしいと思います。ただ、気持ちだけで増産が見込まれるかというと、決してそうではないと思いますし、確たる見通しがないと、皆さん安心してつくるということにもならないと思うんですね。その点では、きのう審議会の経過の報告等にもありますように、いろいろな皆さんの委員から御指摘があったと思うんですけれども、その中で特に注意しなきゃならないのが、いま私が申しました問題と同じなんですが、「五十三年産麦の作付面積は著しい伸びを示しているが、水田利用再編対策との関連もあり、その内容及び今後の動向を注視し、作付拡大傾向の定着との関連を検討する必要がある。」と、こう指摘されているわけですね。ですから、それを具体的に定着化し、そしてまた増産をしていくためには、やはりそれなりの手だて、すなわち価格そのものについてきちっとした見直しということが必要ではないか。  その価格の問題なんですけれども、言ってみれば、パリティ方式というものはいま当分の間と、こう言われていますけれども、それは見直さなければならないということが一方であると思うんですね。で、一方で奨励金の問題もいろいろあるわけで、契約奨励金もある、あるいは裏作奨励金もある、今度のように水田再編利用の方でやった奨励金もある、いろいろあるわけですけれども、奨励金も含めて、逆に言えばそれらを出さなければ麦作農家の皆さんは安定して農業をやれないということを教えているような気がするんですね。ですから、その根本的なところをどういうふうに見直していかれるか、今後の問題なんですが。
  195. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 麦の自給率を上げるというのは、もう国策であり農政の中心ではございますけれども、どちらかというと、やっぱり米が余っている時代には米にかわって麦をふやしていただきたいと、畑作の場合は大豆もつくってもらいたい、ビートもつくってもらいたい、つくってもらいたいものはいっぱいあるわけです。麦もつくってもらいたい。どっちかというと、やっぱり水田でがばっとふえてもらうのがこれが一番ありがたいことなので、水田でふえたということは非常に理想的ないいかっこうになっておる。ただ、一般の畑作でも、いままで減少傾向であったのを漸増でもやっぱりふえる方向に誘導していきたい。そういうことで、水田でつくってもらうことが資源上もいい。  たとえば、裏作なんというのは、かつて日本はもう裏作は大体やっておったのが、いつの間にか消えてしまったということですから、裏作奨励金というものをもっとひとつ前向きでやって、裏作によって麦ができる、休んでいる土地で麦ができるわけですから、資源有効利用上いいことだと、また水田でつくってもらうことがいいことだというので水田では奨励金、特に戦略物資として麦を重点的に支払いをする、高いものを払う、集団でやってくれればなお払いますと、こういう仕組みで、余って余って困る米に麦がかわってもらうことしの傾向は非常にいい傾向であると、ただ畑がもうちょっとふえたらなと、こう思うわけで、その点についてはこれからできるだけ努力をしたいと、こう思うわけでございます。
  196. 下田京子

    ○下田京子君 基本的ないろいろなあれについてはまた譲るとして、いま大臣が出された奨励金の問題で、契約奨励金いままで一俵六百円と、これは見直すと、それから裏作についても十アール当たり六千円、これはことしもまた考えると、それからさらに、きのうも大臣農家の人との交渉の中で出たと思うんですが、特に私も前の委員会質問しましたが、御承知のように、大臣、北海道の場合には畑作小麦が中心でしょう。ここは水田の方で再編利用だということですから、新たな奨励金もつかないわけですね。一方、ジャガイモのシスト線虫なんという問題も起きたというふうなところでは、こういうシスト線虫等々の防虫ですか、そういったことも含めて、小麦一定割合入れたようなある一定輪作体系をつくって、そういう輪作体系確立の上に輪作奨励金というものをお出しいただきたいというお話があったと思うんですが、これら込めて前向きの検討をし対応するということで受けとめてよろしいですか、そうしますと。
  197. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 奨励金たくさんありますが、まず水田の方の奨励金は三年間はあれでいきたいということでございますから、三年後はまた検討いたしますが、そういうことでいきたいと思います。  それから、転作奨励金と契約奨励金は、もう二年以上たっているのじゃないかと思いますから、若干見直してみたいな、特に裏作の方はもっと裏作を伸ばす仕組みがないかなということを考えてみようと思っております。  それから、契約奨励金も、まあ二年たっているからなという感じはいたしますが、これから研究してみたいと思います。  輪作奨励金は、これは根っことして非常に大事な問題ではありますが、いまの価格政策のさらにその上に輪作奨励金というものがなじむのかどうか、麦のときだけに、麦をつくった人だけに輪作奨励金がいくのがどういうことかという問題になります。輪作で一番望ましいのはむしろビートであるとか大豆であると、麦ももちろんそうでございますが、そういったものとの横並びはどうなるのかということで、これだけをここに、せっかくの御指摘でやってみましょうと言いたいところではありますが、言えない苦しみを持っておるわけでございます。
  198. 下田京子

    ○下田京子君 最後のその輪作奨励金のことなんですが、大臣、麦だけということを言っているのじゃないんで、いま言ったように、本当に畑作輪作体系ということをいろいろ考えなきゃならない、そういった際に、逆に言えばそれらの点では考えてみますというふうに受け取ってよろしいですね、そうしますと。
  199. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) そういうことであれば、一つの提案でございますから研究してみますが、その場合は価格政策もあり、その上に輪作価格政策はそのかわりということになるかもしれません。そういうことも含めまして、研究してみたいと存じます。
  200. 下田京子

    ○下田京子君 時間があと一分になりましたんで、それはもう基本的には大臣、これは何といっても増産といっても皆さんそれに見合った価格保障なり、あるいは流通販売、こういうルートが確立できないと安心できないということだけは、これは大臣も変わらないところだと思います。  次に、お米のことなんですが、大臣据え置きしないと、こう言っていますけれども、この据え置きしないということは、再度、これ一点確認です。
  201. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 私は、据え置きしないと言ったことは一回もないのです。据え置きをすると言ったことはありませんと。まだ据え置きにするかどうするか価格については決めておりませんということを言ったので、今後研究した結果どういうことになりますか、皆さんの意見も聞きながら今日に対応する米価はいかにあるべきか、据え置きするとかしないとかということは言っておらないと、こういうことでございますので、いまもなお据え置きにすると決めたわけではない、こういうことだけははっきり申し上げておきます。
  202. 下田京子

    ○下田京子君 皆さんの意見を聞いて考えたいというふうに、理解をさせていただきたいと思います。  終わります。
  203. 山内一郎

    理事(山内一郎君) 午前の調査はこの程度とし、午後二時再開することとし、休憩をいたします。    午後一時休憩      ―――――・―――――    午後二時三分開会
  204. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  205. 原田立

    ○原田立君 政務次官、ひとつ副大臣という立場でお答えを願いたいと思うんでありますが、この諮問が出されたのが二・一%プラスというふうなことでありますけれども、これは非常に上げ幅が少ないんじゃないかと、これでは麦作振興に役立たない、何とかもっと引き上げて、生産者がもっと意欲的に生産に従事できるようにしてあげるべきではないかと思うんですが、いかがですか。
  206. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) ことしの麦の政府買い入れ価格については、きのう米価審議会に対して御承知のとおりの二・一%の額を掛けたものの答申を求めたわけでありますが、大体この方式で決定することは――いままでのしきたりからいたしましても、制度上からいたしましても、答申が低過ぎるということはどうかと私も思います。低過ぎやしないかというふうに解釈しやしないか、考えはしないかというような質問であれば、私はやはり答申答申として慎重に受けるべきであると思います。
  207. 原田立

    ○原田立君 政務次官、よくわかりませんよ、意味が。小表二類二等六十キロが二・〇七%アップで百九十七円プラス、それから大麦が三類二等五十二・五キロで二・〇七アップで百五十五円プラス、これでは上げ幅が少ないんじゃないですか。
  208. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 生産麦価の算定でございますが、五十二年の生産麦価を算定をいたします際に、従来の麦価算定方式に関します米審意見が集約されまして、二千三百円の生産奨励金を込めたそれを調整をしてパリティで麦価を決めるのだということで決めていただいた二年目でございますので、パリティそのものについていろんな主観というのがあると思いますが、二・一%そのものは農業パリティ指数でございまして、農家購入品全体の価格動向を示す一種の総合物価指数ということでございますので、過去ずうっとこれでやってまいりましたので、二・一%自体が最近の諸物価の安定化傾向から見ましても特におかしいということにはならないというふうに考えておるわけでございます。
  209. 原田立

    ○原田立君 あなたはおかしくないと思うかもしれないけれども、こっちはおかしいと言っているんですよ。要するに上げ幅が少ないのではないかと、こういう面で私は意見を述べているのであります。  麦価の決定については、生産費補償方式を採用しろという声が非常に農民の間からも強く言われておりますけれども、これについては政務次官いかがですか。
  210. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 麦価の算定につきまして生産費所得補償方式をとるべきであるという一つの御議論も従来から有力にあるわけでございますが、くどいようでございますけれども、五十二年の米価審議会の検討までの結果でもこの辺についても十分議論が行われました。そしてその際、いま問題になりましたのは麦の生産というのは地域とか田畑の別とか、それから作付規模の大小によって著しく違っているということもございますし、それから農家経営全体の中で米と麦とのウエートが違うという問題もございますし、それから麦作自体、内容的に検討いたしますといろんなやり方で投下労働時間等に著しいバラつきがあるというようなこともございますので、生産費方式を採用するということは問題がある。しかも、食管法四条二項に、二十五年、二十六年の麦価基準にしてパリティではじいたものを下らないようにせいという明文の規定もございますので、二千三百円の奨励金を含めた生産者の手取り水準というものも考えながら、昨年から今日の方式を採用するということになったわけでございます。
  211. 原田立

    ○原田立君 次長は何でも私の言うことを、そんなことはもうとんでもないというふうなその論拠ばっかり並べて、農民の声を聞こうとしないというのはまことに不届き千万だと思う。政務次官、そういう姿勢はぼくはよくないと思うのです。先ほどから政務次官質問しているのに、次長の方から先に答弁が出るというのもこれもちょっとおかしな話なんで、次官からきちっともう一遍答弁を願いたい。
  212. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 生産費所得方式でやれというような声がありますけれども、これはやっぱり食管法法律に基づいてやることでありますから、やはり法律を変えてもらわなければいけない。したがって、私どもは法律に基づいてなるたけ農家のプラスになるように考えていく、特に去年は奨励金二千三百円を麦価の中に入れてやりなさいという要請もあったので、これを価格の中に加えて二・一%というものを掛けて諮問をさしたわけでありますので、これをあなたの言うとおりにやれということであれば、やっぱり法律そのものに基づいて私どもも仕事をするわけでありますから、この点を十分御了解賜りたいと思います。
  213. 原田立

    ○原田立君 次官のいまのお話ですと、法律を変えれば生産費補償方式の方法もあり得る、こういうことのお話でありますが、これはそういうふうに確認してよろしいですね。
  214. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) それはもう何といっても法律に基づいてやることですから、皆さん方がそれでやれという法律をつくっていただけば、それに基づいてやる考えでございます。
  215. 原田立

    ○原田立君 ひとつ自民党の諸先生方も大いに農民の声を十分お聞きとり願いたいと思うんです。法律を変えればやるというんですから。  さて、次に、水田利用再編対策に伴う麦作への転作実態は一体どのように進んでいるのか、報告されたいと思いますが。
  216. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 本年度の転作の実施状況につきましては、現在農家から転作の実施計画が出てまいっておりますので、それを全部見ないとはっきりしたことはわかりかねますが、市町村の担当者等の見込みを五月十五日現在で徴してみましたところ、麦への転作につきましては、本年夏に収穫するものと、それから本年秋に播種する、いわゆる播種年扱いの転作麦と、両方合わせまして全国で四万六千五百ヘクタールという数字になっております。
  217. 原田立

    ○原田立君 私の調べたのでは四十万五千ヘクタールと、こう思ったんですが、違いますか。
  218. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 四万六千五百ヘクタールでございます。
  219. 原田立

    ○原田立君 転作予定は三十九万一千ヘクタールじゃなかったですか。
  220. 野崎博之

    説明員野崎博之君) そのとおりでございます。
  221. 原田立

    ○原田立君 実際には四十万五千ヘクタールぐらいまではいきそうだというふうに私は聞いているんですけれども、局長答弁は四万六千五百ヘクタール、余り少ないと思うんですが。
  222. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 私がお聞きしましたのは、麦でどれだけ転作をされているかというふうに私聞いたものですからそう申し上げたのでございますが、全体でどれだけいきそうかというお話になりますと、いま先生おっしゃいましたように四十万五千ヘクタール程度ということでございます。
  223. 原田立

    ○原田立君 政府の基本的方策として、麦作振興推進に当たり水田振興裏作利用の促進の両面が必要と考えられるわけでありますが、穀物自給率の向上、水田利用再編対策のことなどから考えあわせどのように進めるつもりか、この両面の割合はどうなるのか、お聞きいたします。
  224. 野崎博之

    説明員野崎博之君) ちょっといま御質問の趣旨がわかりかねたのでございますが。
  225. 原田立

    ○原田立君 再度言いますよ。要するに、水田の転作の振興裏作利用の促進の両面が必要と私は考える。穀物自給率の向上、水田利用再編対策等のことなどから考えあわせてどのように進めるのかと、こう聞いているんです。
  226. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 水田利用再編対策は、御承知のように、国内で不足するものを生産しながら余っている米を減らす、そういうようなことで、これの促進ということはこれは当然考えなきゃいかぬわけでございますし、その中で特に麦とか、それから飼料作物、大豆、そういう国内で非常に不足する作物の自給率の向上と、そういうことに重点を置きまして、特定作物として奨励金もアップをいたしておるわけでございます。特に麦につきましては、そういうことで水田対策の転換としても重点といたしておるわけでございますが、片や土地利用率等の問題等も考えまして水田裏の作付麦の増産を図る、そういうようなことで水田裏の奨励金等もつけまして、両々相まって麦の増産に努めるというふうに考えておる次第でございます。
  227. 原田立

    ○原田立君 麦作の推進振興を図るに、価格問題と並行して構造改善技術体系の研究が最も大事であるとされておりますが、構造改善についても従来の稲作中心の土地改良ではなく、麦作に合った排水などの点も特に勘案した対策が必要とされておりますが、これらのことも十分考慮しての麦作振興対策をどう進めるつもりでいるんですか。
  228. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) いま基盤整備の対応の仕方としては、御指摘になりましたように、一つはやはり区画の形状を整備するということと、もう一つはやはり用排水、ことに排水の問題を整備する、そういったことだろうと思います。そういう意味で、私ども土地基盤整備の中でもことに圃場整備事業、それから排水事業というところに重点を置いて予算編成をしているつもりでございます。現に五十三年度予算は、前年度に比べましてそれぞれ四〇%を上回るような予算編成をしている、こういったことであります。  それから同時に、そういった公共事業だけでは手の届かないという部面もあります。ありますから、そういったところについては、たとえば非公共事業で麦作の土地基盤整備事業を、普通の公共事業で言えば二十ヘクタールないしは十ヘクタールぐらいまでしかできないものですから、十ヘクタール、五ヘクタールのところまで最低基準を下げて、そういう小回りのきくような非公共事業をあわせて公共事業とやる、こういった対策を講じているわけでありますが、御趣旨のように非常に麦作の問題は基盤整備から始めなきゃならぬということがありますので、今後そういった面にはなおさら力を入れていきたいと思っております。
  229. 原田立

    ○原田立君 なお力を入れるということでありますので、その点十分含んでやっていただきたいと思うのであります。  麦作の推進に当たって特に強力に行う必要がある問題として、機械化作業に適した区画の整備あるいは暗渠排水などの整備が必要であると思うのです。そうすると、現在行われているもの、今後計画中のものを含めて、現行の土地基盤整備事業を根本的に見直し、麦作振興に可能な事業に変える必要があるのじゃないか、この点どのように対処されますか。
  230. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) これもいま先生が御指摘になったとおりだろうと思います。ですから事業量的、事業の量を拡大するということとあわせてこれからの政策の重点というものは、ことに機械が入りやすいような区画の整備をする、それも水田中心ということではなくて、畑、ことに麦作というところに重点を置いてそういった施策を進める必要があるだろう、それから排水というところに重点を置く必要がある、そういったことで、私どもも従来の施策は力点を置いているつもりでありますけれども、さらにそういった点につきましては、五十四年度予算等も含めまして今後の努力の重点にしたいと思っております。
  231. 原田立

    ○原田立君 事業内容の再検討とあわせて、補助率の引き上げを検討する必要があるのではないか。現行の実態と今後の引き上げに対する見解をお伺いしたい。
  232. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 補助率の問題を含めて農民負担の軽減を図るということは、私どもことに麦作について収益性が低いという点からそれは検討をしなきゃならない事柄だろうと思っております。しかし、直に補助率を上げるということは、かなり率直に申し上げまして財政当局の抵抗も多いということもあります。予算の獲得の手段としてはなかなか困難が伴うということでありますが、これはしかし、即座にじゃあ来年上げますということにいかないので、検討さしていただきたいと思います。  しかし、補助率を上げるということと並んで農民負担の軽減を図るためには、やはり事業量を拡大して、従来長くかかっていた事業を短期間にやってしまう、そういうことで事業費の軽減を図る、農民負担の軽減を図る、こういった対応もありますし、それから、先ほど答弁申し上げましたように、採択基準をぐっと引き下げて、従来補助の対象としていなかったような細かい部分まで補助事業として取り組むということによって農民負担の軽減を図ると、こういった対応もあるわけであります。そういったもろもろの対応の仕方を総合的に考えて、究極は農民負担の軽減になるような方法で対応していきたいと思います。
  233. 原田立

    ○原田立君 実は私、福岡県の柳川市昭代農協というところへ行って調べてきたんでありますけれども、そのときにいろいろこの構造改善事業の話がありまして、七〇%が国で三〇%が自己負担であると、このうち、この三〇%の自己負担のうち県が二・五%しか負担してくれないと、あとのものは全部自己負担になってしまうので、もっと自己負担を軽減するようにしてくれないかと、こういうような要請がありました。いかがですか。
  234. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 圃場整備のことではないかと、いま先生の御指摘になったのは思うわけでありますが、従来国は四五%、それから県の標準的な負担率が二五%、それから農民負担が三〇%と、こうあったわけでありますが、県の負担をさらに増大するような形で県に対応願うと、結果としてその分が農民負担の軽減になるような形につながるということで、現在対応中であります。ですから、農民負担の三〇%が、その県の上乗せした二・五%分だけへこむといいますか、負担軽減につながるということになっておるわけでありまして、そういう努力は今後もしていきたいと思っております。
  235. 原田立

    ○原田立君 局長、だから国の方の負担ですね、補助率、これをもう少し引き上げるように、そういうふうに努力する方向は現在の段階では全然ないのか、それとも少しは考えがあるのか、どうですか。
  236. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 国の補助率を上げるということは、それは私ども毎年できれば大蔵省とかけ合って折衝して補助率をアップすると。結果が、農民負担あるいは地方公共団体の負担を軽減するという努力はしているつもりであります。しかし、これも率直に申しまして、予算折衝上既存の補助率をアップするということはかなり非常に困難を伴う、抵抗が非常に強いということでありますから、そこで抵抗の少ないような形、実質上負担の軽減になるような形で採択基準を引き下げて、従来補助対象となっていなかったものを補助事業にするというかっこうで実質的には補助率を上げると、こういった対応もしておりますし、事業量をふやすことによって早く工事を完了させ、そして農民負担を軽減するというような対応でやっております。ですから、そういったことでやることもありますし、直に補助率そのものに攻め入って、そして国の負担をふやすというようなやり方もありますが、これはそういった努力もする必要があろうと思いますが、しかし、かなり抵抗が多いということであります。  それから、先ほどの私の答弁をちょっと補足さしていただきますと、そういうように国の補助率がわれわれの努力でも財政当局との折衝上一挙にそう実現しにくいということもありまして、先ほど申し上げましたのは県営圃場整備の例でありますが、国が四五%、県が二五%、農民負担が三〇%というような典型的な例でありましたのを、先ほど先生の御指摘になりました福岡県の例では、県の補助率二七・五%にさらにたしか二・五%であったと思いますが上乗せして、結局農民負担が二七・五%からその分だけ減ると、二五%に減ると、こういった対応をお願いして農民負担の軽減を図っておる、こういった経緯になっておるわけであります。
  237. 原田立

    ○原田立君 それは十分承知しているわけなんです。それよりももっと前進せしめることはできないのかということを聞いているんです。
  238. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) これは公共事業、非公共事業通じて、やっぱり補助金の体系といいますか、いろんな各種の事業の間での補助体系というものが一応でき上がっておりまして、バランスということも考えなきゃならぬ、これは財政当局の立場で申すとでありますが。そういう意味で、私どもとしてはできるだけ補助率を上げたいという努力はするつもりであります。するつもりでありますが、財政当局との折衝上非常に困難が伴うということも、あわせて御理解願いたいということで申し上げておるわけであります。
  239. 原田立

    ○原田立君 余り大蔵省に気がねしないで、もっとしっかりやりなさい。政務次官、ひとつ頼みますよ。局長はもう大蔵省の方でびびっちゃって、先出ないだなんというようなことは、もうけしからぬ話だと思います。  それからなお、農業機械の購入をすると、また二、三年するとモデルチェンジがあって、もう機械が故障した場合に使いものにならない、部品がないというようなことで非常に困ったというような声をあちこちで聞いております。これについて手厚い低利なものの融資をぜひやってもらいたいと、こういうふうな強い要請が現地の声として率直に農民の声があったわけでありますけれども、これについてひとつ。
  240. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 機械につきまして、たしかいま先生おっしゃいましたように、最近いろんな新型の機械が出回っておるわけでございます。その中で、一つは安全装置をつけるとか、従来より効率をよくするとか、そういう意味で非常に性能が上がった場合の機械と、それから販売促進型といいますか、販売の売らんがための型式のチェンジと両方ございまして、われわれといたしましては、後者の場合は厳にこれは抑制してもらいたい。そういう通達も通産省と一緒に、機械工業界に対してそういう指導もいたしております。  それらにつきましては、われわれとしましては、そういう機械についてはこれはやむを得ないと思っておりますし、融資等の面につきましても、これはいろんな補助金の場合もございますし、それから公庫融資、近代化資金の融資、そういう点もございますので、機械使用に当たりまして、業界を指導いたしますとともに、やはりそういう単に売らんがための機械を買わないようにというようなことは、融資なり補助に当たりまして県等を指導しているところでございます。
  241. 原田立

    ○原田立君 現在五年据え置きで二十五年年賦ですか、そういうふうな融資のことがたされているということは十分承知しているわけなんだけれども、それでも農民の人たちは現況もっと長期化する償還方法にしてもらえないかという意見が非常に強かった。これについて検討なさいますか。
  242. 野崎博之

    説明員野崎博之君) これは、そういう資金の制度的な面、これは私の方の所管でございませんので直接正確なお答えはできませんが、そういう御要望等については検討させていただきますが、先ほど構造改善局からいろいろ財政当局のお話も出ましたように、そういう面での非常な制約もあるということも、ひとつ御了解をいただきたいというふうに考えるわけであります。
  243. 原田立

    ○原田立君 そうすると、これは、いまのは何局になるのですか。
  244. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 経済局です。
  245. 原田立

    ○原田立君 それから、コンバインを融資してもらって買い入れするようなときには、何か耕作面積の広さによって制限がされるというようなことを聞いておりますけれども、その点はどういうことですか。
  246. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 融資の場合の方はあれでございますが、実はわれわれの方では高性能機械、そういうものをどういう規模のところへ入れていったらいいか、いわゆる機械化貧乏と申しますか、余り機械がはんらんしないようにというような指導方針をとりまして、高性能機械化の導入方針というものをつくっております。その導入方針に基づきまして県がいろいろ導入計画をつくるわけでございますが、その導入方針の中で、こういう機械については下限面積がどれぐらい、それからこういう機械についてはやはりどれぐらいと、機械の馬力数等に応じたようなそういう機械導入の下限面積というものを一応決めておるわけでございます。補助ないし融資事業につきましても、県でそういう地域に合った導入計画をつくる際に、その下限面積等を十分考慮に入れたり、あるいはそういう機械に精通した人が必ずそういう補助事業なり融資事業を受けるところにおるというような条件をつけまして、なるべく機械が有効に使われるようにと、余り機械化貧乏にならないようにという指導は現在やっておるところでございます。
  247. 原田立

    ○原田立君 広さ、耕作面積。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
  248. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 下限面積でございますか――いまちょっと手元資料がございませんが、トラクターにつきましては、たしか二十馬力の場合が下限面積十ヘクタール程度であったと思います。
  249. 原田立

    ○原田立君 現地で私直接聞いてきたのは、コンバインを買うについて四ヘクタール以上ならば融資の対象にするけれども、それ以下については融資の対象にしないと、こういうようなことを言われて、実は自分のところは三ヘクタール持っているんだけれども買えないんだと、困っているんだと。だから、もっとこの耕作面積の、いままで何か四ヘクタール以上というけれども、それを三ヘクタールぐらいでも買えるようにできないものだろうかと、こういうようなことを言っておりました。実際、現在の農家では五ヘクタールないし六ヘクタールぐらいの耕作をしなければ、専業農家としてやっていけないというようなことも言っておりましたけれども、たとえば柳川などはイグサをつくったり、あるいはまた麦をつくったりして、何とかしてやろうとしている。これは、もっと融資の対象の耕作面積を減らすような努力農林省としてもやるべきではないですか。
  250. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 私どもの方でも、先ほども申し上げましたように、各県で導入計画をつくります場合、これは各県でもやはりその地域によって異なりますので、その作物の何をつくっているか、それから圃場条件、そういうようなものを十分加味して、いろいろ地方農政局等とも相談をしながら具体的に決めてもらいたいと、そういうふうに指導しておりますので、ぴしゃっと画一的にどの地域でも必ず何ヘクタールというふうに私どもの方では決めておるわけではございません。したがいまして、やはり県のその実情に応じたそういう取り扱いもあるいは可能かと考えておるわけでございます。
  251. 原田立

    ○原田立君 いまの局長答弁では、切実な農民の方々の意見に対して答えておりません。もう少し十分検討してもらいたいと思うんです。  麦価の問題として、以前は米価の七割程度が麦の価格とされていたわけでありますが、現在では小麦で五五%、裸麦で五七%と、いわゆる五割台にしかすぎないんでありますけれども、政府の基本的見解として、米・麦価価格比率はどの程度が最も望ましいと考えているのか、その点はいかがですか。
  252. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 生産麦価のはじき方につきましては、何回も申し上げているところでございますが、パリティ価格基準にいたしまして、生産振興奨励金を含めた水準を考慮して決めるということにつきまして、昨年決定をいただいたわけでございまして、ことしの麦価もこの新方式ではじかしていただいて、そしてきのうの審議会でやむを得ないという御答申をいただいているわけでございます。対米価比によって麦価を決めるという問題は、その米の米価自体が生産費所得補償方式ということでよっておりますし、生産費所得補償方式基準にいたしまして、米の生産事情とか需給事情を考慮して決めるということになっておるのに対しまして、麦価はパリティをベースということでございますので、直ちに対米価比云々ということは問題があるであろうというふうに、対米価比で決めるということについてはいろいろ問題があるのじゃないかということで、先ほど申し上げましたようなことで五十二年から新しい方式ということに決められた経緯があるわけでございます。  しかし、先生おっしゃいましたように、五十二年産麦価でございますと、すでに対米価比小麦の場合五五%ということでございまして、この五五%でまいりますと、戦後麦生産が最高に達しまして四百万トンを上回る二十九年のときでも、小麦との対米価比は五二・六%ということでございますので、ある程度のすでに水準に達しておる。しかも、各種の奨励金を加えました実質農家手取り水準ということで考えますと、特に水田裏作でございますとか、あるいは転作作物というようなことになりますと、すでに米価自体を上回るような水準にまで到達しかけておるということでございまして、一応のところに手取りとしては来ているのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  253. 原田立

    ○原田立君 以前、麦価米価の七割程度であったことは、これは事実ですね。
  254. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 戦前その他、そういう事例があったことは事実でございます。しかし、いろいろ変動しておりますので、従前、戦前でございましても五割台であったときがございます。たとえば昭和十年の事例でございましても、五九・三%ということに相なっております。
  255. 原田立

    ○原田立君 政務次官、これは柳川でのいわゆる故老ですよね、年老った人の意見として、もう米価麦価は夫婦みたいなもんだと、だから昔麦価米価の七割程度であったと、当然そういうふうに引き上げるべきだと、こういうことを強く言っておりました。また、いまも次長の話では、昔そういうふうに七割程度であったこともあるというふうなこともあります。現在、いまいろいろとやっていること、これはこれで私は承知していますよ。だけれども、麦作をもっと大いに奨励しようと、こうなさるならば、麦価をもっと米価に近づけるように、七割程度に近づけるように政府はもっと努力すべきではないかと、こう思いますけれども、いかがですか。
  256. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 原田委員が言われるとおりに、麦が足らないから麦をうんと増産させるためにも米価に近いものを価格としてすれば増産されるのじゃなかろうか、これはもう理屈はそのとおりであります。やっぱり米と比較した場合に農業生産の位置づけが、国民が米を食べるかあるいは麦を食べるかと、こう比較した場合に、何というてもやっぱり米が主食の第一位であろうかと思います。したがって、いま米が過剰であるから、これを転作して米にかわるものをつくりなさいと、こうしておりますが、やっぱりその実を上げるには、あなたの言うとおりに麦作をしてでも米をつくったときとほとんど変わらないというようなところまで引き上げていくべきである、私もそう考えるわけですが、いろいろやはり政策上むずかしい点もあろうかと思います。しかし、ことしは先ほど説明を申し上げておりますとおりに、奨励金麦価の中に入れてパリティを掛けて諮問したわけでありますが、おいおいそういうふうなことに近寄るように、今後検討する時期に来ておりはしないか。一応ことしの結果を見た上でさらに研究していきたい、かように考えます。
  257. 原田立

    ○原田立君 私も、福岡県内を回り生産農家の皆さんの御意見を伺ってまいりました。その中で特に強い要請の声があったのが、実はいままで指摘してきたところの構造改善と価格問題であります。米の七割以上の価格で買い上げてほしい、あるいはまた、奨励金の割合が多く基本価格が余りにも低く先々が心配でたまらないと、こういうふうなことでありますが、政府の言うとおり、このまま麦作に転換して大丈夫なのか非常に心配だと、こういう声が非常に多かったのであります。この点に関する政府麦作に対する基本姿勢をお伺いしたい。
  258. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 先ほども申し上げましたとおりに、麦というものを米から比較した場合に、どうしても増産させなければならないという場合には、やはり米に対するものと比較してそう劣らないというところまで価格そのものを考えるべきではなかろうかと、これはやはり先ほど答弁したとおりに、ことしの一応の経過を見た上でさらに研究してまいりたいということでございます。
  259. 原田立

    ○原田立君 どうかひとつ、その研究が大いに前向きになることを強く希望する次第であります。  わが国の麦類の作付面積は、昭和二十五年の百七十八万ヘクタールをピークに減少傾向を続け、現在では十分の一に近い状況にまで減少してしまいました。昨年十一月に発表した「農業生産の地域指標の試案」では六十年の作付面積を四十三万ヘクタール、生産量を百四十四万トンと見込んでいるわけでありますが、さらに十アール当たりの収量を平年収量二百八十八キログラムから六十年には三百三十キログラムに引き上げるとしております。これらの数字は、かなり強力に進めないと目標達成はできないのではないか。麦作振興には価格面、構造改善、技術改良のこの三本の柱が大事ではないかと思うんであります。構造改善の件はさきに指摘したとおりでありますが、技術改良の面は一体どのような実態か、北海道内には麦の研究機関は全くないと伝えられておりますけれども、実態はどうか、そこいら辺についてもお答え願いたいと思います。
  260. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) おっしゃるように、麦作振興を図る上におきまして技術的な裏打ちをしっかりしたものにする必要があることはもう先生御指摘のとおりでございます。そこで、これは品種の改良から栽培方法の改善、それから収穫調製の改善に至るまでそれぞれ技術の裏打ちを持ったりっぱな体系をつくり上げて、そのもとで振興を図っていく必要があるというふうに考えております。これらに取り組んでいる試験研究機関は全国に非常に多いわけでございますが、北海道におきましては、国立の北海道農試の畑作部が中心となりまして、これに北海道農業試験場が参画をして、育種その他の栽培体系の話あるいは栽培改善の話、地力の問題、あらゆることに取り組んでおるわけでございます。今後とも国公立のこういった試験研究機関の研究体制の整備充実を図りまして、一層真剣に取り組んでまいるつもりでございます。
  261. 原田立

    ○原田立君 麦作は稲作との作付期間調整、水問題、反収量の増加など品質の改良に関する問題がその大多数を占めているわけでありますが、たとえば昭和三十四年、五年には十アール当たり二百七十三キロの収量があった小麦が五十二年でも二百七十一キロ、平年収量二百八十八キロというのが実態であります。米の場合、四十年の三百九十キロから五十年には四百八十キロにまでふえているわけでありますが、一概に決めつけることは無理かもしれませんが、やはり麦に対する試験研究のおくれ、軽視を指摘されても当然だと思うのであります。このように、最も基本となる技術面の強化にもっと積極的な姿勢で臨む必要があると思う。あわせて予算的措置など具体策をお伺いしたい。
  262. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 試験研究体制といたしまして国立並びに指定試験の関係で国が責任を持つ地方公共団体、都道府県でございますが、これの研究体制につきましては、私ども飼料作物それから水稲等と並んでトップクラスに位置づけまして、重点的にその整備を図りかつ人員の配置を行っておるところでございます。予算におきましても経常研究で行っておりますもののほか、これは通常人件費とかその他それに必要な施設整備を行ってまいるわけでございますが、そのほかに特別の試験研究のための経費も計上しておるわけでございまして、たとえば米麦一貫の合理的な作付体系の確立に関する試験を五十二年度から開始しておりますが、この中で麦の品種の改良あるいは栽培方法の改善、それから麦稈の処理その他、稲ともつながる合理的な作付体系の確立のために、本年度は二億三千万円ばかりの経費も特別に計上しておるわけでございます。そのほか、畑地の新管理方式ということで、栽培体系を全体として地力を落とさずに、そして畑作物が合理的に栽培できるという体系をつくることを目的として、五十三年度から特に別枠の試験研究もスタートをさせておるわけでございます。  そういった中で、特段、麦というふうな名前のついたのは先ほど申したようなことでございますが、そうでないものにおきましても、麦を強く念頭に置きまして畑作改善の中で大きく取り上げて試験研究を推進してまいる、こういう心組みでおるわけでございます。
  263. 原田立

    ○原田立君 五十三年から始めるというのは遅きに失したのじゃないんですか、そう指摘したいのが一つ。いままでにももっと十分手だてを講じておかなければいけなかったのじゃないのか。米の方は反収がぐっと上がっているのに対して麦の方の反収はそんなに伸びていない。これはやっぱり技術研究体制のおくれ、軽視、こういうことにつながるものだと私は思うんです。これから研究するというならば、これ以上追及してもしょうがないんでありますけれども、いままで手をつけなかったのは政府の手落ちであったと、これだけは認めなさい。
  264. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 私が申し上げましたのは、新規の予算として組みました分につきまして特に言及をして申し上げたつもりでございまして、もちろんそれ以外に、午前中の御質問にもお答えしましたように、人件費あるいは施設費のほかに十三億弱の育種の研究費等もございまして、その中で麦につきましても真剣に取り組んでおるということでございます。  なお、最近五カ年間に、麦全体といたしまして二十一種類の麦の新しい普及すべき品種が登録をされておるわけでございます。これは御案内のように、育種につきましては十年あるいはそれ以上成果が出るまでに時間がかかる性格のものなのでございますが、五年間に二十一種類もの麦の推奨すべき新品種ができたということは、かなり私は麦について近年力を入れてきて、ここへきてドライブがかかってそういうものができ上がったというふうに思っておるわけでございます。私どもこれで十分だというふうにはもちろん思っておるわけじゃございませんで、先生の御指摘のとおり、今後とも従来にも増して育種を初め栽培方法その他、私どもとして抱えておる課題がいっぱいございます。こういうものを真剣に一つ一つできるだけ早期に結果が出ますように、ドライブをかけて努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  265. 原田立

    ○原田立君 麦の問題については、北海道に非常に多い。それから九州で言えば佐賀県が日本第一である。それからその次に福岡県も多い。それでいまの答弁の中では技術研究、種苗というのですか、苗の方の研究、これも大いにやっていると言いますけれども、これはどことどこでやっているんですか。南の方でばかりやっていたんじゃ、北の方の寒いところの資料に余り役立たないんではないか、また、北の方でばかりやっていたんでも南の方に余り用はないんじゃないか、こんなふうな心配もするんですが、その点はどうですか。
  266. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 麦の品種の問題につきましても、それぞれの適地がございます。適地に適する品種を育成をして普及を図るということは大事でございますから、小麦について言いますと、たとえば赤カビ病というのは西の方に多く発現をする病気でございます。しかも、非常に一たん発生をしますと被害が甚大になる性格のものでございまして、これにつきましては、たとえば九州農試、中国農試において試験をするというようなことにしておりますし、それからまた、二条大麦等につきましては、ビールの醸造用の適性ということを考えてやっておるわけでございますが、これらはやはり栽培の多い栃木県の農試に、指定試験ということで国の責任において経費も負担をして育種の試験をやっておる、これは一つの例でございますが、各地にそれぞれの地域につくられる麦がどんなものであるかということを考えまして、国と県の役割り分担を決めて、どういう麦についてどういう特性を持った麦の育種をやるべきかということでやっておるわけでございます。先生のおっしゃるような形で進めておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  267. 原田立

    ○原田立君 今度はお米の問題で聞くんでありますが、事前米審の表向きの目的は、本番米審のスムーズな運営のためと言われておりますが、本当のねらいは米価抑制への事前準備にあると言われておりますが、この点どう理解しているか。
  268. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 本年の米審におきまして米の生産あるいは流通あるいは需給の状況につきましてあらかじめ御議論いただいて、前広米審ということでこの十九、二十日と御議論いただいたわけでございますが、これは昨年の米審のとき以来、米審の中で秩序立ててかつ能率よく議事を取り進めていきたい、米価のときには米価に集中して論議を進め、意見を取りまとめることにしたいという委員各位の御発議でございまして、それに基づいて本年前広米審ということで開催させていただきましたわけでございまして、特に特定の目的を持ったものではございません。
  269. 原田立

    ○原田立君 大臣は、十九日の分庁舎での団交で、米価を据え置くなどというようなことは一言も言っていないと、先ほど午前中にもそういう答弁があったわけでありますが、米審で今後話し合ってみないとわからないが、あすから米をつくるのがいやだと言わないような回答をしたいというような趣旨の回答があったと新聞報道されておりますけれども、これは事実ですか。
  270. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 前広米審の場では、あすから稲作はいやだと言わないような米価ということを発言したと新聞にあったようでありますが、そう発言したようであります。これは決して米価水準について触れたものではなくて、まあまあ法律に基づいて米価審議会諮問をして、その答申をもって冷静にやるのだからということで、余り騒がないようにというような一つの牽制、何というか、大臣の言葉もそういう意味で発言したのじゃなかろうかと私は想像しております。
  271. 原田立

    ○原田立君 これは、非常に意外千万な副大臣の返事ですね。私は新聞記事を見て率直に思ったことは、あすから米をつくるのがいやだと言われないような米価引き上げの回答をすると、こう言明したんじゃないか、こう受け取ったんです。いま政務次官のお話によると、何か政治的判断、配慮によってああいうふうな発言をしたというふうに、こう聞き取れるわけでありますけれども、まさかそんなテクニックを大臣がなさったとは私は思わない。それで、あすから米をつくるのがいやだと言わないような、そういう何らかのことをすると、それにはそれ相当の根拠があっての発言だと、こう思うわけでありますけれども、具体的にはどの程度のことを考えておられるのか。
  272. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 決して私は、大臣がそういう発言をして農民を抑えつけるという意味ではない、余りしょっちゅう例年のとおりに、大臣に向かって米を投げたりいろいろなことがあったことは事実なのでありますので、そういうことが過去においてあったことは私もテレビ等で見ておるわけですから、そういうことのないように、冷静に、米価というものは法律に基づいて米審にかけてやるのだから、決して皆さんを不当に圧力で抑えつけるというような意味はないのだよという意味で発言したのじゃなかろうかと、私はかように考えておるわけであります。したがって、このことについて過剰的に皆さん方に満足のいく高い米価を決めてやるのだというような意味もあったとも思わないし、だからというて、皆さん方を抑えつけるという意味でもなかったろうと。だから、先ほど答弁したとおりに、法律に基づいて米審でよく練ってやるのだから、がまんしてくださいよという意味があったのではなかろうかと私は考えております。
  273. 原田立

    ○原田立君 どうも理解しがたいですね。あすから米をつくるのがいやだと言われないようなことを、何らかのことをやりたいと、こう言うんでしょう。いま米価値上げの問題が俎上に上がっている時期なんですから、それはだから何かしらのことをしてあげたいというのが底意にあって、それでこういう発言になったんだと僕は理解する。いまここで何%上げるとかいうようなことは言えないにしても、また内容的なものを言えないにしても、少なくとも生産農家の人たちが、よしこれからまた米づくりに一生懸命がんばろうと、こういう意欲を燃やせられるような施策は今度は講じられるんでしょうな。
  274. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) いま御承知のとおり、米が非常に余っておるのですから、だからそういう米の余っておる事態も考慮して、農家の皆様方にもその点を十分考えていただいて、麦の転作も考慮しておるのだと。したがって、そういうことも総合的に考慮して、前向きに米価というものはしなければいかぬというような考え方が大臣にあったろうと思います。したがって、私どももそういう気持ちで、米価というものは適正に決めなければいけないと考えておるわけであります。
  275. 原田立

    ○原田立君 今度の稲転にしても、もう農家の人たちは、それは次官も御承知のように、本当に泣いていますよ。それは御存じでしょう。それで、政府の方ではそれにかわるものとして指定生産物、それを指定して、その中に麦なんかも指定されて、そして少しは意欲を燃やさせようと、こうしているわけでしょう。それをやっぱり喜んで働けるような状況にしなけりゃいかぬと思うんですよ。全国農協中央会では、昭和三十一年以来戸数累積八〇%バルクライン農家群の生産費基礎生産費及び所得補償方式のもとに要求米価の算定を行ってきましたが、しかし、本年度生産費及び所得補償方式は堅持するものの、生産費とり方を平均生産費を用いることと打ち出してきましたが、この点に対する政府考え方はいかがですか。
  276. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 系統農協の要求米価が本年から平均生産費基礎にするものに改められたことにつきましては、それなりにすでに評価をしておるわけでございますが、私ども、本年の生産米価につきましては、これから具体的な検討に入りますので、系統農協なり、あるいは他団体の要求米価についてとかくの意見を申し述べるのは差し控えさしていただきたいと考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、いま政務次官のおっしゃられましたように、食糧管理法規定に基づいて米価審議会意見を聞き、適正に決定をするように努力をするということでございますが、ただ、米の需給が大幅な過剰でございますし、いま前年に倍する生産調整を実施せざるを得ない事情にあるということも考えなきゃならぬというふうに考えております。
  277. 三治重信

    ○三治重信君 まず最初に、米審にこれは配られた資料の印刷物だと思うんですが、水田利用の再編対策の実施状況についてのやつがこうありまして、これが地域別に北海道から九州まであって、大体本年の五月十五日の調査時点だと、目標の三十九万一千ヘクタールの作付転換が達成されて、一〇四%、こういうふうに出ているんですが、この転換作物の作付別の中で、これは飼料作物が二五%と、こういうふうに出ているんです。その次が野菜、これは一九・五%、約二〇%ですが、野菜は各地に散らばっているんだろうと思うんですが、飼料作物と大豆が非常に地域的に集中しているのじゃないかと思うんですが、この作物別の分布、これをちょっと御説明願います。
  278. 野崎博之

    説明員野崎博之君) いまおっしゃいましたように、飼料作物、それから野菜、先生のおっしゃったとおりの数字でございますが、分布を見ますと、野菜等は関東それから近畿、そのブロックが大体多い、それから飼料作物については関東それから東北、北海道が比較的多いというふうになっております。県別に細かくはございませんが、大体のあれで見れば、大豆は東北それから九州それから関東、中・四国と、そういう順で多くなっております。それから、てん菜はもちろん北海道だけでございますが、そばが九州それから北海道が大体多い。それから野菜は、先ほど申し上げましたように関東それから近畿、九州、麦は北海道それから関東、九州が多くなっておるわけでございます。
  279. 三治重信

    ○三治重信君 この水田利用再編対策というのは、去年まで行っていた転作のやっと今度の転作のやっと非常に違った動向があらわれているか、この中で、大体いままでの転作が半分以上含まれて継続して、今度新しくいまから十年間やるというんだが、これまでも生産調整のために転作対策をやってきたわけでしょう。その転作対策をやってきた水田がこの中でどれぐらい含まれているか。
  280. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 五十二年度で見ますと、面積で飼料作物につきましては五四・七%、五万四千ヘクタール、それから麦が昨年が三千ヘクタール、それから大豆が一万二千ヘクタール、それからてん菜が二千ヘクタール、それからそばが七千ヘクタール、野菜が六万三千ヘクタール、それから永年性作物が九千ヘクタールというような面積になっております。
  281. 三治重信

    ○三治重信君 それでこの中に、前は水田を畑にかえてもう今後水田をつくりませんと、こういうふうな永久転換の施策があったんだけれども、何か最近やまってしまったんだと。そうすると、実際はこの中に永久転換したような――水田、畑両方にいつでも使えるのはいいんだけれども、水田地帯ですか、水田地帯から畑にするためには土を埋めて相当高くしないと転作ができない。  したがって、転作をするときにはたんぼを埋めて畑にする。それがいまずいぶんあるんだけれども、いわゆる水田を廃止したということでなくて、それも転作の中にみんな入っているんだけれども、もしも水田を畑のように、いわゆる水田の湿地地帯のところで、転作のために水田を埋めてしまって、そしていわゆる畑に切りかえちゃう場合、そういういわゆる水田地帯が愛知県なんかでも相当あるんですが、これがみんな水田の転作用に奨励金をもらったりして、これが今後続くということのようなんですけれども、そういう農家にとっては、むしろ水田を埋めてしまって畑にしたんだから、こういうようなのはもう稲作をすることを廃止したということで、今後何か特別な対策をとるということが考えられるかどうかということなんですけれども、そういうことはどうなんですか。もちろんこれを宅地にしてしまえば、水田稲作やめても転換ということにはならぬだろうと思うんですけれども、そういう関係をどういうふうに見ておられるのか。
  282. 野崎博之

    説明員野崎博之君) 先生承知のように、今度の再編対策は緊急避難的なものではなくて、あくまで増産の必要な大豆、飼料とかそういうものへ再編成をしていく、そういうような農業生産構造の確立という目的を持っておるわけでございまして、やはり単に水田を宅地等に転換することに対して奨励補助金の交付等、特別な措置を講ずるというようなことは、ちょっと考えられないわけでございます。  なお、このような水田の壊廃め見込み面積につきましては、今回の転作の目標面積の配分に当たりましてあらかじめそれを織り込んでございますので、壊廃面積を目標の達成の実績に算入するというような方法も、いまのところは困難であろうというふうに考えておるわけでございます。
  283. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、水田をいわゆる市街化区域の中で宅地化にするようなのは、この再編対策の中には入らぬことは当然なんでしょうが、転換対策でたんぼを埋めて畑にしているのも、今後ずっと十年間その畑に対して転換用の奨励金はもらえて、しかも毎年作物別に飼料作物とか麦とか大豆をつくりますと、こういう畑でつくる作物の届けを出せばそうすると転換奨励金がもらえると。こういうふうに今後十年間大体いくんだと。こういうふうに理解していいわけですね。
  284. 野崎博之

    説明員野崎博之君) おっしゃるとおりでございます。
  285. 三治重信

    ○三治重信君 そうしてきょうは、きのう麦価米審答申があって、きょう各委員議論のあったとこなんですが、麦の増産計画というのは何か六十年度までに目標をつくって増産計画をやっておられるようなんですが、これは私の素人的な知識かもしれませんが、日本の麦はいわゆる本当のパンというんですか、いわゆる食糧のパンの原料としては適当でないと。ある程度まぜるにしても、パン用小麦としては非常に不適格だと。むしろこれからパン用ばかりでなくて、うどんとかそうめんとか、いろいろそういうパン類以外に麦の消費が非常にふえて、そういうふうな消費の自給率をやるか、それすらいまは足らなくなっているのじゃないかと思うんですが、そういうことのいわゆる麦の全体の消費量に対するこの増産計画というのは、どれだけの自給率を目標に立てているのか。  それから、日本の麦の生産の質から言って、それはこの増産計画によってどういう消費目的による自給率を、どの程度分類的に自給率として達成しようというふうな生産計画はあるのかどうか。むしろ、うどんとかそうめんとか、いわゆる在来この米の代用食としての麦のやつについては日本の麦が適していて、むしろ輸入麦を原料にするとかえって悪いと、私はそう思っているんですが、その点をひとつ御説明願いたいと思う。
  286. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 六十年度に目標年次といたします需要と生産の長期見通しにおきましては、私どもの需要見込みは、先生御指摘の日本式のうどん、日本式のめんということと、みそ、しょうゆ用というものの需要量の六〇%、それと若干のえさ用を含めて五十五万トンという小麦の総需要量というものを考えているわけでございます。もちろん、この五十五万トン以上に小麦が増産されます場合には、日本めん用に一〇〇%充当するということが最も望ましいものだと考えます。  日本の小麦紛の特徴といたしまして、もちろんパン用にまぜられないということはないわけでございますが、一番うどんにいたしますのが国民の評価も高く、かつ外麦に比しても一番品質的にもいいわけでございますので、めん用というものを主体に考えておる、その六〇%を目途に置いておるということでございます。
  287. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、日本。いまの増産計画の中には、パン用小麦の増産とか、パン用小麦の輸入に対する補充ということは、まだとてもこの増産計画ではそこまではいかぬと、こういうふうに理解していいわけですか。
  288. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 現在日本において使われておりますパン用小麦は、主としてカナダの春小麦あるいはアメリカの春小麦が使われておるわけでございますが、これはある程度その小麦に含まれますプロテインの、つまりたん白の含有量が高いという問題と、そのたん白の質が製パン適性が非常に高いという二つの点でございまして、日本の小麦は残念ながらパン用につきましてはたん白が低いという問題と、そのたん白の質が製パン性に向かないということもございまして、一般的にはパン用にはなじみにくいということでございます。もちろん、フランス式のフランスパンのようなものをやりますときには内麦でもできると思うのでございますが、日本のパンの需要の中では、フランスパンのようなものは、現段階では二%程度ということでございますので、ほとんどパン用にはならないというふうに考えております。
  289. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、素人的に外麦がたくさん入ってくるから米が余るようになるんだというのはこれは事実でしょうが、しかし、こういう消費の実態からいくと、日本の麦を増産すると麦の輸入が減ると、こういうふうな代替的なことには余り期待は持てなくて、そういうパン用の小麦ができないということになると、むしろ何といいますか、米と外国のパンをつくる小麦価格の相関関係をどういうふうにしていくと一番米がよけい消費されるかという経済的な目標を立てた方がいいと、ごう理解していいんですか。麦の増産によって外麦の輸入を少なくするというその戦略は、これはちょっと品質上だめなんで、むしろ輸入外麦も結局パン用原料としての小麦価格と、それから日本のいわゆる米の消費者価格とのバランスで米の消費の拡大を図らなくちゃいかぬと、こういうふうに理解した方が正しいわけですか。
  290. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 現在、政府が外麦輸入しておりますのは、カナダにつきまして大体百四十万トン前後、豪州から百万トン、アメリカからは三百万トンから三百十万トンということで、おおむね五百四十万トンから五百五十万トン程度のものを輸入しておるわけでございますが、その中でパン用を主としてねらっておりますカナダなりアメリカの春小麦というものは、おおむね五〇%前後がそういう種類のパンでございまして、残念ながら内麦で日本の日本式めうどんの量に十分足りないというのがまだ現状でございます。その分につきましても、アメリカなりあるいは豪州から輸入をしているわけでございますので、そういう面につきましては、十分内変で代替ができるということでございます。
  291. 三治重信

    ○三治重信君 次に、麦の生産対策の報告についてお尋ねいたしますが、本来から言えば、これは農業政策一般の質問の中に入るのだろうと思うんですが、この五十三年度において講じようとする農業施策の中に、麦対策として高度麦作集団育成総合対策事業、畑麦作集団育成特別対策事業、モデル麦作集団の育成と、こういうのが麦対策の中に書いてあるんですが、これはそれぞれ若干ずつニュアンスが違うのだろうと思うんですが、これの各集団の大きさ、いわゆる面積、どれくらいのヘクタール、それにこの一集団として農家の数はどれくらいの農家の数、いわゆる土地の所有者の農家の数はどれくらいか、こういう集団というものに対して何を目標にしているか、こういうことをお尋ねして、何を目標にしているかということは、いわゆる麦をつくるのに労力を最小限というか、生産費を最小限にすることを目標にしてこういうものをやるのか。  農家が麦をつくることによって自立農家をつくるためにやるのか、いわゆるそういう期待する目標、重点を置くところがやはり違うのじゃないかと思うんですが、それをひとつ二、三具体的な例を挙げて、この三つの麦作の予算をつけてやっておられるやつの差を説明していただきたいと思うんですが、それについてこれまた一集団にどれぐらいの補助金がいくのか、またその補助金は国と県、市町村、まあ地元負担、いわゆる農業団体というんですか、農家の負担というようなものが、概略御説明願えればありがたいと思うんですが。
  292. 野崎博之

    説明員野崎博之君) まず、麦全体の話になりますと、やはりわが国の麦の問題点といたしまして非常に面積も規模が小さい、それから水稲等の作期が競合する、あるいは麦の成熟期から収穫期にかけまして湿害、雨害が多いと、そういう問題点がいろいろあるわけでございます。これをどういうふうにして克服していくかということが問題でございまして、特にやはり麦の経営規模を拡大して省力化をしていくということが、麦作振興の一番大きな問題点であろうかと思っておるわけでございます。  先生おっしゃいました、まず高度麦作集団事業でございますが、これもいま申し上げましたように、これは水田それから畑にも使いますが、要するに零細性を克服すると、したがいまして農作業の受委託、期間借地、そういうものをやっていくようにいろいろ指導あっせんするための経費、それから先ほど申し上げましたいろんな麦の作期の重複、それから雨害等の問題もございますので、ここでコンバインとか乾燥機械を入れましてそういう作期の調整を行うと同時に省力化をしていく、あるいは暗渠排水によりまして、そういう雨害による被害をなくしていく。それから、これは先ほどとダブるかもしれませんが、やはりそういう麦作集団をつくって大きい規模で麦作をつくると、そういう目的で高度麦作集団事業というものがあるわけでございます。これは、いま採択規模は五ヘクタールということになっておりますが、一応われわれの目標としましておおむね二十ヘクタール程度のところへ持っていきたいと、それから戸数は採択基準の五ヘクタールの場合は二戸でございますが、われわれ目標といたしましては八戸程度のそういう集団に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、次に畑麦作の話でございますが、これは五十三年度から実はついた新規予算でございまして、これは特に先生も御承知のように、都府県で非常に最近畑麦が減少をいたしてきているわけでございます。それに対して何らかの措置が必要ではないかというようなお話もございますし、各県からもそういう要望があったわけでございます。これも、その中身は先ほど申し上げました高度麦作集団とは中身そのものは余り変わらないわけでございますが、やはり都府県におきましても北海道に比べまして非常に経営規模が小さい、そういうことで経営規模を拡大するために期間借地、そういうものに対するあっせん指導の事業、それから同時にバインダーとか乾燥機、そういうものを入れまして省力化すると同時に、雨害等に備える。それから、さっき申し上げました麦作集団の育成、そういうことを目的にいたしておるわけでございます。これは、採択基準としましてはおおむね一ヘクタール程度、戸数にしまして二戸ぐらいになるわけでございますが、われわれ目標としましてはやはり三ヘクタール、戸数にいたしまして六戸程度まで拡大をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、モデル麦作集団は、これは一番古くから行われた事業でございまして、四十九年から行われておりまして、新規指定の地区は五十一年度で終わっておるわけでございます。三カ年この事業は続いておるわけでございますが、なおモデル地区について高度麦作集団の地区に移行するということも可能でございますが、このモデル麦作集団は全くソフトの経費でございまして、要するに期間借地、それから中核的な担い手に畑を集めるような、いろんなそのための会議の費用あるいは管理記帳手当と、そういうふうな全くソフトだけの経費でございます。これは採択規模がおおむね五ヘクタールということで、戸数にいたしまして二戸、目標といたしましては八ヘクタール、戸数にいたしましては三戸程度を目標にいたしておったわけでございます。  一地区の経費でございますが、補助金額でございますが、高度麦作集団では平均をいたしまして一地区当たり約三十万でございます。それから畑麦作の方は約十万、モデルの方はこれは初年、二年、三年と逓減方式になっておりまして、初年日が二十五万、二年目が十七万五千、三年目が十万、そういうことになっております。
  293. 三治重信

    ○三治重信君 集団というから、ぼくは一つの部落の地域ぐらいが一つになるのかと思ったら、二戸から五戸ぐらい、こういうことなんですが、これはそうすると、別に特別副業農家の田畑をそういう二戸なり三戸の人が借りて麦作の地域を拡大するというようなやつとは、これは中身が違うわけですね。
  294. 野崎博之

    説明員野崎博之君) いま先生おっしゃいましたように、そういう兼業農家から借り入れてやるということもできますし、それから専業農家が集まってまたそれを拡大をしていくと、両方の面があるわけでございまして、どちらでもできるようなかっこうになっておるわけでございます。
  295. 三治重信

    ○三治重信君 もう少し、何かこういう非常に労働が粗放的にできる作物を、外国との競争上、しかも土地面積を非常に必要とする米麦についてそれを経営的に拡大をして機械化する、こういう目的かと思っておったわけなんですけれども、どうも少し規模が小さ過ぎるような気がするわけなんですが、そしてこれに対するどういう効果というのですか、結果として農家にどういう効果を与えていると思っておられますか。
  296. 野崎博之

    説明員野崎博之君) いま申し上げました高度麦作集団、それから畑麦作集団、モデル麦作集団、いろいろございますが、そのほかの土地利用型営農特別対策事業というのがございまして、これは先生おっしゃいましたように、もっと規模の大きいものでございます。  中身としてはいろいろあるわけでございますが、いま高度麦作にしろ畑麦作にしろ、やはりそういう期間借地等を含めまして集団的に経営規模を拡大するという効果がまず一つはあるわけでございます。それから、高能率な機械それから施設の導入もこれは図り得ることになっておりますので、それを集団で共同利用するということによって、個別農家ごとに機械を入れるという機械に対する過剰投資が防げるという効果がまたございますし、それから乾燥調製施設の導入によりまして作物の品質が改善をして、その結果、農家の所得も拡大をするという効果もあるわけでございます。そういうような効果がわれわれはいまのところ出てきているというふうに考えているわけでございます。
  297. 三治重信

    ○三治重信君 私も現実を拝見していないので軽軽しく意見をちょっと申し述べにくいんですが、いわゆる私の考えだと、機械でもそれから乾燥のでも、やはり農家の共同経営というのは、補助金をもらったときにはその当初はいいけれども、これを最後までどういうふうにしてそれを有効に使っていくかとなると、どうもしり切れトンボになる、と私は考えている。また、世界の先進国の農業を見ても、共同的な作業よりか、進歩して機械化すれば機械化するほど、むしろ共同的なよりか、自立農家として使える農機具を自分のものとして使っていくというふうな使える範囲に、農林省がいま言われるような補助をする機械を、一農家が土地を借りるなり、それから経営の委託を受けるなり、そしてその自分で持つ機械を十分利用できるようなだけの農地を、その補助を受けた農民が利用できる耕地面積をあっせんをしてやると、こういうふうに進んでいった方のが独立した生きがいある農業の後継者もできる。  何か、こういういろいろの金をつくり出していくときに共同でないと補助しないと、こういうよりか、やはり自立農家を育てる、しかし農地が妨げになっているから、その農地をそういう機械化していくに適応をするだけの、一つの自立農家に、意欲的な農家にそれを貸し与えるような対策をとっていくのが、こういう麦作にしても何にしても、省力化にしても、機械化にしても、一つの目標がそこに置かれるべきだと思うんですが、その点、やはり農林省考え方は、あくまでちょっとした機械やいろいろやると集団化だ、集団化だというと共同でなければそういう補助は受けられぬと、こういう考え方ですか。むしろ独立で、この麦なんかでも二十町歩ぐらいのものは簡単にいまの技術からいけばぼくはできると思うんですよね。  水田作でも、もう十町歩や二十町歩を簡単に一夫婦で若い夫婦だったらできると思うんですよね、いまの機械なら。それの機械を一人で持てぬというのは、五反百姓や一反や二反、あるいは一町や二町しか耕作できぬからそういう効率のある機械が使えぬ、それを一農家に十町歩なり――まあ十町歩というのは大き過ぎるにしても、五町歩なり七、八町歩までを耕作できるようなチャンスを与えてやるような農政、こういうふうに進んでいくのが、この農業の機械化にしても、省力化にしても、共同化よりか自立の農家のその本人が使えるだけの、農地を有効に使える農機具として補助をしたり、そういうところをやる一つの地域の農地を専業農家が大きく使えるような体制にこういうものは持っていった方がいいんじゃないか。  こう思って特別聞いたわけなんですけれども、そういうなんか私は自立農家をつくるということ、いろいろ考えてみても、そういう一つ農家が一町や二町じゃなくて、水田麦作だと十町歩から二十町歩やれるような対策、ちょっと愛知県のわれわれの方の三河の方で大体五、六十軒ある部落でも、本当に農業を専業とするというのは二、三戸しかない。この米麦をやるということになれば、それで田畑の耕作の貸し借りなり、委託耕作なりしていっても、本当に水田をやる人があれば、それに任した方がいいという効果が出てくる。それを農林省が援助するということにしていただきたいと思うんです。  時間が経過したので意見だけ言っておきますから、またいずれ後でそういうことについてお伺いしたいと思っております。
  298. 下田京子

    ○下田京子君 第一に、生産米価のことについて、先ほど大臣の方から基本的に皆さんの意向を聞いて決めていきたい、生産米価据え置きというふうなことはそういうふうな形で言明はしておりません、こういうお話でございました。ところで、皆さんの意見を聞いてお決めいただくということは大変大事なことなんですけれども、政府農林省としては、基本的にはこの五十三年の生産米価決定にどういう方針で臨まれるのか、その基本的な方針をまずお聞きしたいと思います。
  299. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 本年の生産米価の取り扱いにつきましては、具体的にいま何も決めておりません。決めておりませんが、これから具体的な検討に入るわけでございますけれども、食糧管理法規定に基づきまして、米価審議会意見を聞いて適正に決めるということが基本でございます。  この場合、ただし、いまの需給状況から非常な過剰のもとにあるということもよく考えなければなりませんし、前年に倍する生産調整をことしから十年計画で実施をしなければならぬという諸事情にあるということを考えなければならぬということは、もとよりでございます。
  300. 下田京子

    ○下田京子君 基本的に考えてないというお話ですが、しかし、押さえなければならない点として、いま私の受けとめ方が悪ければまた再度御答弁いただきたいんですが、一つには、需給問題を挙げられたかと思います。それからもう一つは、ことし米過剰という中での水田利用再編計画というふうな形でやられている、そういうことを考えて決めたいというふうなお話に受けたわけですけれども、とすると、お米が過剰だというふうなことが米価決定とどういうふうにかかわるというふうにお考えなんですか。
  301. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) ただいまも申し上げたわけでございますが、食糧管理法規定に基づき米価審議会意見を聞いてということで申し上げたわけでございまして、食糧管理法におきまして「政府ノ買入ノ価格ハ」「生産費物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」ということでございますので、この法の精神に基づいてこれから検討してまいりたい、こういうことでございます。
  302. 下田京子

    ○下田京子君 生産費所得補償方式によってやりたいというふうなお話は言われているわけですが、その際に、お米をめぐる状況としての問題点としていま二点言われたわけですが、それらが基本的な生産費所得補償方式によるいままでの米価算定方式との兼ね合いで、どういうふうにその米需給バランス問題が絡んでくるのかということなんですが。
  303. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 現在、これから検討に入るということは申し上げたわけでございますが、まだ算定の重要な基礎となっておりますいろんな諸調査が全部整っておりませんので、具体的にはまだ検討に入っておりません。これから、具体的に先ほど申し上げたような気持ちと、それからいろいろの諸事情を頭に置いて検討に入るということを申し上げたわけでございます。
  304. 下田京子

    ○下田京子君 新聞等で報道されておりますように、ことしの米価は、お米が過剰なので、だからまた、お米の値段をよくするとさらに過剰を刺激するんではないかというふうな形での報道があるわけなんですが、そういうふうにお考えなんですか。
  305. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先ほども申し上げましたように、昨年に倍する転作目標をことしから十年計画で開始をしておる初年度ということでございますので、その辺の転作目標の推進に支障のあるような米価決め方は、これはできないというふうに考えております。
  306. 下田京子

    ○下田京子君 米価を高くすると生産を刺激するというふうにお考えですか、そうしますと。
  307. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 現在政府の古米の手持ちでございますが、今年十月には適正在庫と一応考えております二百万トンを超えます五百三十万トン程度政府の手持ちがなるというふうに見込んでいるわけでございまして、そういう諸状況をもたらしました遠因を考えますならば、やっぱり生産者の稲作に対する志向が非常に強いと、その基礎には米価水準というものもあるのだろうというふうに基本的には考えているわけでございます。
  308. 下田京子

    ○下田京子君 過去の状況をちょっとお伺いしたいんですけれども、第一次生産調整をやられたときに価格との兼ね合いでどうでした。
  309. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 第一次生産調整を実施せざるを得なくなりました四十二年、四十三年、四十四年の大豊作、その結果によりまして七百二十万トンの古米を持つというところまでいったわけでございますが、その辺につきましては、四十二年までの米価決め方というものも一つの大きな遠因になったのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  310. 下田京子

    ○下田京子君 問題が二つあると思うんですけれども、一つは、お米の価格が高くなったからお米の生産意欲をこう刺激するというんではなくて、お米以外の農産物の価格が余りに低いというふうなことから、一つはお米に集中している傾向ということもあるかと思うんですけれども、同時に、生産調整という形でやると、お米だけじゃない、いわゆる農業生産全体の生産量といいますか、生産指数ですか、落ち込んでいくというふうなことが言えるのじゃないかと思うんですけれども、この点いかがですか。
  311. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 米価と他の農作物の価格との相対関係というものも、これを是正をしなきゃならぬというのは、今年からの米需給均衡化対策の一つの重要な課題であるわけでございまして、そういう意味で、他作物と米価との相対関係というものも一つの重要な問題であるというふうに考えております。  価格の問題が、農家経済全体に重要な問題であるということも十分理解をしております。
  312. 下田京子

    ○下田京子君 もう一点なんですが、減反をするという第一次減反という際に一つの現象として、言ってみれば農業生産指数全体が落ち込んできているんではないかという指摘をしているわけです。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 これは資料を見てみてもわかるわけですが、四十四年にはマイナス一・四、それから四十五年になるとマイナス二・二、四十六年にはマイナス四・一という形でもって三年連続してマイナスになってきている。ですから、第一次減反ということでお米を減反したこと、それがまた農業生産全体の指数を低めてきているというふうに言えるんじゃないか。
  313. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 農家にとって減反あるいは転作ということが大変な御苦労であるという、大変な問題であるということは私どもも心から痛みを感ずるわけでございますが、第一次生産調整の時期には減反につきましても減反奨励金を出したわけでございますし、現時点の転作につきましては転作奨励金、それから転作作物についての収入ということがあるわけでございますので、その辺は転作の対象作物の価格政策を全体としてどういうふうに持っていくかという問題とかかわる問題であろうというふうに考えるわけでございます。
  314. 下田京子

    ○下田京子君 この米価に関する資料に出ているわけですけれど、それをいま私は指摘したんですけれども、とにかく三年連続して農業の生産指数が下がっていますよね、四十四、四十五、四十六と。これは米だけじゃなくって、そのほかの言ってみれば麦だとか大豆だとか、そういうものも減少してきているということだと思うわけです。こういった教訓をどういうふうに受けとめているのかという問題と、それから同時に、お米が過剰だからということで、お米の値段を高くすればまた刺激すると言うけれども、決してそうではないということを逆に裏づけているんじゃないですか。
  315. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 何遍も申し上げるようでございますが、今年の十月末には五百三十万トンからの古米を持たなければならぬような過剰の基調のもとに、これ以上稲作志向を高めるということになりますれば、私どもとしては制度運営の存続ということも危うくするおそれがあるというふうに考えるわけでございまして、そういう意味では、非常に苦しくとも、どのような問題がございましても、関係各方面の御協力と御努力をいただきまして、水田の転作目標の達成ということに努力をしていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  316. 下田京子

    ○下田京子君 いや、そのことが、米価を据え置くとか低く抑えるという理論にはならないでしょうということを言っているわけです。
  317. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 何遍も申し上げているようでございますが、農民の稲作志向という問題が非常に強まったというのが今日の過剰をもたらした一つの大きな原因であるというふうに考えておりますので、それを刺激するような米価決め方というのは、これはどうしてもできないというふうに考えておるわけでございます。
  318. 下田京子

    ○下田京子君 まあ繰り返し押し問答になりますけれども、米が過剰だからここで米価をある一定引き上げするとまた生産意欲を刺激するんじゃないかというそのことは間違っていませんかということなんです。過去の教訓を見ても言えるでしょう。他の農産物の価格が余りにも低いというふうな問題。で、本当にその他の農産物の生産技術だとか、あるいは生産基盤づくりだとか、そういう条件の整備、そういうものがなされていないからお米中心に偏ってきているわけだと。だから、問題は、お米の値段が高かったからではないんです。それを、第一次生産調整のときに教えているんじゃないですかということを言っているわけです。だから問題は、米価据え置きとか米価を低く抑えるんじゃなくって、他の農産物ももっともっと本当に安心してできるような状況に持っていくということが本筋なんだから、だから米が過剰だから米価を据え置くという理論は成り立たないでしょうというふうに思うわけです。
  319. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 繰り返すようでございますが、本年一月二十日に閣議で御了解いただきました「農産物の総合的な自給力の強化と米需給均衡化対策」という中におきまして、一つの大きな柱といたしまして「米と他作物との相対価格関係の是正及び価格安定対策の充実を図る。」ということが大きな柱になっているわけでございまして、それにつきましては、政府としても全力を尽くさなけりゃならぬというふうに考えるわけでございます。その他畑作物の生産振興を図るための畑作の土地基盤整備でございますとか、畑作物の共済の本格実施でございますとか、その他そういう諸施策とあわせて、いま申し上げたようなことの目的を達していきたいというふうに考えております。
  320. 下田京子

    ○下田京子君 ですから、その米志向型にいったということが、即価格が、お米の値段だけがよかったというだけで物事を見ないで、今回の米価決定に当たっても皆さんの意向を聞くと言われていますから、米が過剰だから価格を低く抑えればいいんだというふうには考えないでもらいたいし、考えるべきじゃないということなんです。政務次官、いかがですか。
  321. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 先生のおっしゃるのは、米の値段が高いから米ばかりつくるのじゃなくして、他の農作物の生産に見合うだけのものが与えられないから、そういう施策がないから当然そういうものをつくらずに米をつくるのだというような御趣旨のようであります。そこで、私どもとしは、やっぱし米が過剰に現在あるわけでありますから、他の物が見合うような、生産の引き合うような、米と同等に比較するようなもの、米に追っつくような生産所得が上げ得るような施策を今後やるべきであると、そうならねばならない、かように考えるわけであります。
  322. 下田京子

    ○下田京子君 そこが基本であると思うんです。そして、即、米が余ったからということでストレートに米価据え置きのような形での決定にならないようにということを、強く要望しておきたいと思います。  次に、消費者米・麦価の問題についてお尋ねしたいんですけれども、今回生産米価は据え置きの方向で、消費者米価は引き上げの方向でという、これまた世論づくりがされているというふうに私たちは見るわけなんですけれども、こういう状況は食管制度からいっても、それから現在の経済事情から見てもやはり問題であると思いますし、それから同時に、お米が大変余っているという状況の中で、米の消費拡大をというふうに言われている中でも、大変消費者米価がまた高くなるんじゃないかというふうな問題が一つありますし、それから麦価に比べて相対的に非常に米価が割り高になっているという問題もあると思うんですが、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  323. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 生産米価と消費者米価の間に現在なお大幅な逆ざやがございまして、この逆ざやを放置することは食管制度の健全な運営を図る上でも、また農政上、財政上の大きな問題でございますので、段階的な解消を図るということで、政府・与党で合意をしていただいているわけでございますが、本年の米の政府売り渡し価格をどのように取り扱うかというのは、現段階でまだ決めておりません。消費者家計あるいは物価への影響等、諸般の事情を総合的に考えながらこれから検討してまいりたいというふうに考えております。
  324. 下田京子

    ○下田京子君 細かな問題についてはまた後でお尋ねしたいと思うんですけれども、もう一点いま質問した中で、消費者の米価麦価に比べて割り高になっているのでないかという点ではどうですか。
  325. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 消費者米価を、現在米の消費拡大を大いに運動として私ども推進をしているわけでございますが、その推進をしている、あるいは消費者に御協力をいただいていることから考えましても、米を上げるということが消費拡大にどういう影響があるかというのも一つの重要な問題でございますが、現在まで私ども見ておりますところによりますれば、米の消費が落ち込んでまいりましたことは、直ちに消費者価格水準という問題よりも、国民の食生活全体が多様化してきたということによることが大きいと考えておるわけでございまして、非常に大幅な値上げということでなければ、若干のことは状況によって許される場合もあり得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  326. 下田京子

    ○下田京子君 もちろん、国民の食生活の嗜好問題というのは、それは根底にあるわけです。しかし、消費者米価麦価に比べて非常に割り高であるというのは、具体的な数字を見れば明らかだと思うんですね。これは昭和二十五年の場合ですと、米は小麦の一・二八倍だったと思います。それが三十五年には二・一倍になった、それから四十年になりますと二・九倍になった、四十五年には三・八倍、五十年に四・七倍、五十二年には四・五倍という形でもって、消費者米価の割り高ということが麦価に比べて一目瞭然にわかるわけなんです。ですから、売買逆ざや解消云々と言われますけれども、こういう状況の中でまた消費者米価の引き上げということになれば、ますますこれはお米の消費拡大というのではなくって、国民の食生活の嗜好のことも考えれば、逆な方向に行くではないかということが言えるでしょうと。その点。
  327. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 米麦の相対価格という問題も一つ重要な問題でございまして、米の消費拡大を図る見地から言えば、米と麦との相対関係を是正をして麦の値上げを行うべきであると、そういう有力な御意見もございますが、一方では、外麦の最近におきます比較的価格が安定をしておること、あるいは円高であるというようなこと、そういうことから、そのメリットを消費者にも還元をすべきであるという御意見もございまして、麦価の取り扱い、つまり麦の売り渡し価格の取り扱いについても現在いろいろ考慮をしておる段階でございます。したがいまして、米の政府売り渡し価格、麦の政府売り渡し価格につきましては、米の生産価格を来月上旬に決めていただきました後に、七月下旬に米と麦の政府売り渡し価格については一体で考えて決定をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  328. 下田京子

    ○下田京子君 いまのお話で確認したい点なんですけれども、こういうふうに消費者の米価を引き上げていけば、お米の消費拡大を逆に抑える結果にならないかという点の御認識はお持ちですね。
  329. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 過去にも消費者米価については何遍か是正をしてまいってきているわけでございますが、米の消費の減退と直に値上げという問題が顕著に相関関係があるということは必ずしも考えられないと思います。したがいまして、非常に大幅なことでなければ、消費にそれほど悪影響を与えるということはないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  330. 下田京子

    ○下田京子君 消費者米価の値上げが直に消費拡大とはつながらないと、抑えるというふうにはならないと考えられてはいても、現実としていままでの過去の状況を見れば、麦価米価に対して非常に低いということもあったりして、非常に現実いまお米の消費拡大が伸びないでいるわけでしょう。とすれば、おいしいお米を安く伸ばしていこうということにならなかったら、消費拡大って幾ら宣伝してもならないんじゃないですか。  ですから、そういう点からいって、具体的な手だてとして次にお尋ねしたい点は、輸入小麦の円高差益による活用の問題なんですけれども、ある一定の消費者米価引き上げ、これは売買逆ざや解消という点でやむを得ないということで大分固執しておられるようですが、消費者米価を引き上げないで据え置いて、そして消費をどんどん拡大するという意味で、どうでしょう、この円高差益分を消費者米価の方に回すというふうなことはお考えではありませんか。
  331. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 麦の差益の問題を申し上げたわけでございますが、現在麦の差益が七百数十億発生をするということでございますけれども、それはすでに五十三年度で外麦につきましては七百二十億差益が発生をするということに当初予算で織り込んでおりまして、それを織り込んで食管会計への一般会計の調整資金の繰り入れという額が決まっておるわけでございます。現在七百二十億が外麦で益になるということを前提にして、現在の五十三年度の食管会計に対します調整資金の繰り入れば六千二十億にするということが決まっておるわけでございまして、この七百二十億以上に円高なり何なりで差益が膨大に発生するということになりませんと、おっしゃられたようなことにはできない。  そこで、この七百二十億以上にそれではどうなるのだと、こういうことでございますが、現在の諸状況では、若干為替の方は私ども見込んでおりますよりも円高になっておりますが、外麦の価格自体が比較的堅調になってきておりますので、現在のような諸状況でございますと、それと見合って決して七百二十億を大幅に上回るということには必ずしもならないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  332. 下田京子

    ○下田京子君 これは日本経済ですか、新聞報道で言われておりますけれども、当初五十二年の場合には七十八億の赤字を見込んでいたと。ところが実際には八百三十七億の黒字見込みに変わったわけですね。その円高差益の問題なんですが、これは四月当時ですけれども、百七十億ぐらい見込まれるだろうと、こう言っているわけです。としますと、単純に見まして合わせますと九百十五億からの財政軽減になってくると、赤字を見込んでいたのが黒字になったんですからね。黒字になった分とそれを足してみたら、九百十五億円になるでしょう。そういうふうになったらば、これは当然国民への還元という形で具体的に対応すべきではないか。
  333. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 申し上げたつもりだったのでございますが、食管は現在赤字でございますので、一般会計から繰り入れをいただいて帳じりを合わせているということでございますので、外麦の輸入差益はいまおっしゃられたような額になるわけでございますが、その分につきましては、一般会計からの繰り入れがその分だけ減っておるということで御承知おき願いたいと思います。
  334. 下田京子

    ○下田京子君 一般会計からの繰り入れが少なくなった云々ですけれども、何もそれはやらないで特別の会計ならその中で処理するなり、あるいはその差益が生まれているわけですから、当然その中で消費者米価の据え置きというふうな形で回すとかという、これが本来でないかと。  それから、繰り返し申しますけれども、もう本気になって、米過剰だと言いますけれども、米をつくるなという形での御指摘だけでは、過去の生産調整から見てもうこれは解決にならないと、根本的な解決は、繰り返し申しますけれども、一つは米の消費が減ってきた原因をよく考えてみて、そして消費拡大をいかにしていくのかということと、同時に、他の農産物も安心してつくれるような総合的な農業の施策をどう確立していくのかと、こういう立場で考えなきゃならないんじゃないですかと。となれば、消費者米価についても、これは消費拡大といま言う状況の中で重大な問題ですから、当然これはきちっと据え置いていかなければならないことではないかというふうに思うわけです。
  335. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 食管特別会計へ一般会計から繰り入れていただいているといういまの食管の中でございまして、それがたとえば外麦の円高等によりまして変わりますれば、一般会計からの繰入額がその分だけ減るのだと、こういうふうに御説明申し上げたわけでございますが、そのことは、今度逆に農林省全体の予算編成の中では非常なプラスになるわけでございまして、その分を、まあ直に見合うというわけでもございませんが、その分以上に農林省全体としては予算を充実し農業生産の基盤の拡充等々に前向きの予算にしているわけでございまして、ただ単に一般会計からの繰り入れが減ったという意味ではございません。
  336. 下田京子

    ○下田京子君 いや、ですから、その一般会計からの繰り入れがただ単に減った云々じゃなくて、ちゃんと円高により当時赤字だったのが黒字になったんだから、そういうものを見越してきちんと今度は消費者米価据え置きという方向に回すお気持ちありませんかと、検討できませんかと、考える余地ありませんかと、こう聞いているわけです。
  337. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 外麦の差益の問題につきましては、四十八年から三年にわたりまして外麦の非常な高騰によりまして、延べ二千五百億程度の赤字になったこともございます。そういう意味で、そのときには一般会計からその分だけ余分に繰り入れていただいたわけでございまして、そういう意味で、それはそれなりに緩衝的な役割りを果たしているわけでございます。しかも、いま申し上げましたようなことで調整資金から繰り入れが減った分だけ農林予算全体を充実させるわけでございますから、そういうことで農業基盤整備ということで評価をしていただきたいと考えるわけでございます。
  338. 下田京子

    ○下田京子君 これは政務次官に聞きましょう、政治的な問題ですから。外麦の輸入問題についてのいわゆる差益ですね、これはとにかく消費者に還元というふうな立場でもって検討いただきたい。
  339. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) まあ円高によって麦の差益が出たから、それを今度の消費者米価にはね返らして消費者価格をむしろ上げないようにすべきではないかという御意見のようでありますが、結局その利益というものは従来の食管の赤字に埋めてあるのですね。ところが、食管の逆ざやというものは、これは年々解消していかなければならないけれども、米の消費拡大という立場から考えれば、消費者価格を上げるというと米を消費しないようになるというところは、私どもも十分考慮して消費者価格を決めるべきではなかろうかと。現在生産米価についても、あるいはまた消費者米価についてもまだ結論を得ておりませんが、そういう立場から、生産米価よりも消費者米価を上げなければならぬと思うけれども、消費拡大ということを考えればそれをすべきではなかろうというように、いろいろのものを考慮して消費者米価は決めていきたい、かように考えておるので、御了承賜りたいと思います。
  340. 下田京子

    ○下田京子君 消費者米価を上げなきゃならないということについて、上げるか上げないかは別としても、上げなきゃならないみたいなものが気持ちの中にあるみたいな話があったんですが、それはやっぱり問題でして、食管法のたてまえから見ても現在の経済事情から見ても農業をめぐる情勢から見ても問題だと。特にその経済問題の点でいけば、円高という形の中で生まれてきた差益なんですから、当然それは消費者に還元するというような形で処理をしていただきたいということを再度要望しておきます。そういう点で、御検討いただけるというふうに理解してよろしいですね。
  341. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 検討をせよという、検討をするということを私の口からこれは言われません。  そこで、そういうことはすべて配慮して、私がさっき言ったのは、生産米価と消費者米価の逆ざやというものは年数を置いて解消しなければいけないという政府の方針であります。しかしながら、特に米の消費拡大をする時代であるから、そういう刺激をしないように、消費拡大を図るためにおいても消費者価格というものはそう上げるべきではない、非常に政府もいま痛しかゆしであります。さらにまた、円高によった利益というものは、食管の方の赤字に当然埋めていっておると思いますので、そういう点も考慮して、消費者価格を今後締める段階になれば締めていきたいと、かように考えております。
  342. 下田京子

    ○下田京子君 微妙な答弁で矛盾した答弁でございましたけれども、もう生産米価はできるだけ本当に、生産費所得補償方式と言われていますが、生産費の取り方だとか労働費の取り方だとかいろいろ細々したことは次委員会でまたお話ししたいと思うんですけれども、これはもう当然農家の経済をしっかり守る、同時に消費者米価についてはこれまたいまの経済事情、そして農業をめぐる事情、お米の消費拡大という立場から据え置きというふうなことで御検討いただきたい。大臣は皆さんの意見を聞いて決めると言っていますので、強く要望しておきたいというふうに思います。  次に、米価審議会のあり方についてなんですけれども、これは過日いろいろ議論になりましたが、あの米価審議会の会場にあって、会長が農家の皆さんとお会いしないというふうなことをとられたわけです。これは昨年の十月二十四日に大臣に申し入れたというふうなことがあって、そのためにお会いできないんだというふうなお話でございましたけれども、このことについては非常に問題があると思うわけです。というのは、寝議会というものは、本当にいまの農業事情なるものを正しく反映して、できるだけ多くの皆さんの意見を聞いて決定される、答申されるというふうな筋合いの性格の機関ではないかと思うわけなんですが、こうした武田米価審議会会長が申し入れた問題について、いわゆる戸外で会わないとか、屋外で会わないだとかというふうな問題について、農林省としてどういうお考えですか。
  343. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 米審におきます従来のいろいろな経緯にかんがみまして、特に昨年の米審ないし、あるいは米価決定の経緯というようなことから、米価審議会の内部で御議論がございまして、米価審議会委員懇談会という中で米価審議会の運営の問題について御議論が行われて委員の意思統一が行われまして、これが会長から大臣に申し入れがあったということでございます。  申し入れの内容は二つのことでございまして、一つは、「米価審議会が静穏かつ正常な環境の下において審議を尽し得るよう」に会場運営の改善を図るということが一つ意味でございます。それからもう一つは、「米価審議会の役割を十全に果たしつつ、米価審議会の審議の円滑化を図るとの観点から、」議事運営の改善を図れということでございまして、こういう米審からの申し入れで、この前の前広米審、十九、二十日の前広米審も、審議の円滑化を図るという意味で申し入れの趣旨に沿ってやったことでございますし、また会場運営、特に米価審議会の会場が静穏かつ正常な環境のもとで審議が尽くし得るような状態を実現をするということにつきましては、関係団体にも数次にわたって要請をしてきたわけでございまして、私どもとしては、申し入れの趣旨に沿って努力をしていかなきゃならぬというふうに考えております。
  344. 下田京子

    ○下田京子君 いまの会場運営と議事運営について、正常かつ静穏な状況の中でということについてはこれは問題はないわけですが、そのことが即言ってみれば全国の各地域から上京された代表の皆さんとお話しできないということにはならないでしょう。ですから、そういう戸外でお会いできないというふうな項目も含めたこの申し入れについて、農林省としてどう考えるのか。広く皆さんの意見を聞くということだったら、そのことも含めてきちっと、いわゆる会場運営なり、あるいは議事運営なりをお考えになったらいかがですか。
  345. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) その申し入れの中に、「会長は、屋外でのいわゆる大衆会見は行わないこと。」という項目がございます。これは、米価審議会がその任務であります米価等の価格の決定に関しまして、基本事項について十分審議をなし得るようにするために、米価審議会委員の全員懇談会においていろいろ議論をされて、統一された意思のもとに決定をされたものだというふうに理解をしておるわけでございます。米価審議会の会長というものは、米価審議会の議事が円滑に運営をされますように全力を尽くすということでございまして、外で、大衆会見で会長が意見を聞くということはふさわしくないという、そういう全員懇談会の意見の集約ということでこの申し入れが行われたものと理解をしております。
  346. 下田京子

    ○下田京子君 そこに問題があるわけですよ。米価審議会がどういう歴史的な過程で生まれたかということは、御存じだと思います。どなたの要求で生まれたかというと、これは農家の皆さんの代表の方々によって出てきたのが米価審議会でしょう。そして、その農家の皆さんの意向によって生まれた米価審議会が、いま農家の皆さんの意見を聞けないという、そのことについて農林省としてこれは問題じゃないかと、どうなんだというふうに指摘しているわけなんです。御承知だと思いますけれども、昭和二十三年の五月二十五日に全国農民大会が開かれて、その際に、「新米価の決定は、官庁の一方的決定によることなく、公開かつ民主的になすべきであり、この意味で中央に耕作農民および消費者代表をふくむ審議機関を設置すること」、これが要求されたわけです。この要求に基づいて、昭和二十四年の八月一日に、審議会が当時三十二名の委員で構成されたと思うんです。間違いないと思うんですが、いかがですか。
  347. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 申しわけございませんが、その発足の経緯を詳細調べないと、ちょっとお答えできかねます。
  348. 下田京子

    ○下田京子君 これは問題だと思いますよ、現在の審議会がいつできたかわからないとか、どういう経過でできたかわからないとかというのは。それはもう私が言うまでもなく、皆さんの方でつかんでいるお話でもいいですから聞かせていただきたいと思います。  その前に、こうした経過でそのほか詳しいのがありますよ。そして、公開で進められてきたと思うんです。その公開の中で、たとえばこれは昭和三十年当時ですか、当時の東畑精一会長、この当時ですと答申としては、政府提案の買い入れ価格は不適当と認める、こういうふうに指摘もしている。そして具体的には、「バルクライン農家八割の生産費を最低として買入価格を速やかに決定すべきである」というふうな御指摘もある。そういう中から変わってきたと思うんですよね。公開の席上のときには、米価審議会の会長自身がこうして公開の場でもって政府に対して申し入れを行ってきた。ところが、現時点においては農家の皆さんの意見も聞かない。意見を聞くことがあたかも議事運営とか会場運営について混乱を来すような、そういうふうな形で錯覚されていたんでは、やっぱり問題であると思うんです。  時間もございませんから、まとめて聞きますと、問題を指摘しておくだけになると思うんですけれども、こういうふうな歴史的な状況というのをしっかり踏まえて、米価審議会というものが一体だれのために、何のために設置されているのかということをきちっと考え直していただきたい、御認識を新たにしていただきたいというのが一点。  それから二点目には、委員の構成が当時三十二名ということでしたが、現在二十五名、そのうち生産者はわずか五名という状況で、学識経験者の方が多いような状況になっているわけです。もっと生産者の声も聞くべきでしょう。そういう立場から、この二点についてどのようにお考えなのか。さらには、米価審議会そのものを公開にすべきではないかというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
  349. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 米価審議会が過去の経緯で公開であったということも、先生御指摘のとおりだと考えております。ただ、公開でやりました経緯の中でいろいろ問題がございまして、審議会自体が公開でなくなり、あるいは議員の方にも入っていただきましたものが、一応中立委員だけで構成をするというようなことに、学識経験者だけで構成をするというようなことで変わってきたわけでございまして、現在の米審自体、生産者代表五名というふうにおっしゃられたわけでございますが、すべて二十五名全部学識経験者というたてまえで運営をしておるわけでございます。もちろん、その中で生産米価のときにおきましては、生産者を代表されるような方々からの御発言というものは、先ほど大臣も根気よく協議が行われていると言われるほど十分な御意見の御開陳等をいただいているわけでございまして、現在の米審の中の運営というものは、非常に民主的にかつ高度に運営をされているというふうに考えるわけでございます。  ただ、米審会長が直接屋外に出て大衆会見をするということにつきましては、たとえば休憩時間につきましても十分というようなことで会議の運営が行われていますときに、外に出ますると十分じゃなかなか終わらぬ。そうなりますと、会議自体が十分間じゃなくて運営がとまるというようなことになるわけでございまして、そういう意味で、実は米審を構成する各委員の方から、会長はいわゆる大衆会見に応ずべきでないという意見が内部的に非常に強く出まして、全員一致の統一意見ということになったわけでございます。そういう意味でございますので、なお米審のあり方につきましては私ども十分これからも勉強させていただきたいと思いますが、いまのところ、そういうことで申し入れの趣旨に沿いまして私どもとしては正常な米審の運営ができますように、全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  350. 下田京子

    ○下田京子君 時間ですが、最後に一点。  いまの御答弁の中で、米審のあり方については検討したいというお話でした。そのあり方を検討する際に、私繰り返し申しましたけれども、米審が持たれた歴史的経過も踏まえて、会長が屋外で会わないということが、それが本当に会場運営や議事運営について正常な形だと言い切れるのかどうか、そこに問題があるので、そのことも含めて御検討をいただき、広く多くの皆さんの意見を聞くという立場からの米審のあり方、そしてまた、議事運営や会場運営のあり方を検討いただきたいということを申し上げて、終わります。
  351. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 午前中の大臣に対する質疑の中で、食管制は堅持をするというかたい決意が表明をされたんですけれども、   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 私はそれは主観的な、あるいは言葉の上でいかに食管制を堅持をするというふうなことを言われても、具体的な制度上の欠陥や、あるいは政策的な欠陥から食管制度が事実上崩壊する、そういう危険性があるんじゃないかという気がいたしますし、事実もう部分的にはすでに食管制度は崩壊をしておるではないかというふうな実態も見られるわけです。そういう点で私は、以下幾つかの点について質問をいたしたいと思うわけです。  その米の問題に入る前に、ちょっと一点だけ確認をしておきたいんですが、これは麦の問題ですが、先ほどわが党の丸谷委員や、あるいは公明党の原田委員からも質問が出て答弁がなされたんですけれども、どうもはっきりしないんです。それは、小麦の春まき種の品種改良であるとか、いろんな発芽に強い麦の品種改良等、いわゆる麦等の植物品種改良の研究費がどの程度あるのかというふうなものをただしたのに対して、十三億円というふうにさっきたしかお答えがあったと思うんですけれども、この中には家畜の分も入っているのかどうなのか、この点ちょっと確認をしたいんです。――担当者、いませんか。
  352. 山内一郎

    理事(山内一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  353. 山内一郎

    理事(山内一郎君) 速記を起こして。
  354. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それでは、まず米価についてお聞きをいたしたいと思います。この米価に関連した、まず最初に算定方式とその内容についてお聞きをいたします。  御承知のように、三十年の米価審議会では、八〇%バルクライン方式答申というものが行われ、自来今日まで生産者側は一貫してこの方式による算定を要求をしてきておるわけです。しかし、実際には三十五年以降、基本的に生産費及び所得補償方式で算定をされてきております。そして現在は、御承知のように五俵以上の米飯農家の平均生産費によって算定をされておるということになっているわけです。  そこでまずお聞きをいたしたいと思うんですが、その前提として私は、一体米価はどうあるべきかという点で先ほど来いろいろ論議も行われておりますけれども、食管法三条の第一項では「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ生産シタル米穀ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」、こういうことがあるわけですね。これは昭和十七年にできた法律ですから、非常にいかめしい言い方ですが、私は、単に表現がいかめしいだけでなくて、戦争中や終戦後の食糧難の時代にあっては、まさに国家の名における命令によって、生産した米というものを、農家の自家消費を除いては、全量まさに国権をもって強制的に買い上げたというふうに思っているのですね。そういうふうに実態もそうであったし、したがって、法の精神が変わっておらなければ、食管制度のまず三条第一項の精神というのは、国民の基本的食糧である米というものについては、生産者の自家消費を除いては、まさに全量国の責任において基本的に管理をしていくという考え方が、私はこの第一項において貫かれておると思うんですね。ですから、それらの国の管理統制に反して、悪徳商法というふうなことや、命令に従わない者については、きわめて厳しい罰則も規定をされておるわけですね。そういう点で、ここで言っておる「売渡スベシ」という内容については、いま私が申し上げたように理解をしてよろしいのかどうか、まずお聞きをしたいと思うんです。
  355. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 食糧管理法第三条の一項は、先生いまお読みになったとおりでございますが、第一条の目的で、「本法ハ国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ」ということでございまして、「其ノ需給及価格調整並二配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」ということでございますので、国民の食糧の確保という観点からも、国民のための、消費者に配給をするに足る必要な食糧を管理をするというてとが目的であるというふうに考えるわけでございまして、現在のこの三条から直ちに全量を政府が買う義務があると、必ずしもそういうふうには読めないのではないかというふうに考えます。
  356. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 これを制定された当初はどうだったんですか。農民にこれを政府では一々割り当てましたか、どうでしたか。実際、この食管法が制定をされた当初の農家からの米の買い上げ実態はどうだったでしょうか。
  357. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先生おっしゃられましたように、昭和二十年代、非常に厳しい中では供出制度でございますから、農家の保有米を残したものは全量供出をしてもらうということで、義務供出をかけていた時代があったことは私ども十分承知をしておりまして、昭和三十年以降、いまの予約制度ということに基本的にはなってきたわけでございます。  ただ、逆に麦の方でごらんいただきますと……
  358. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いや、麦は聞いていない。米のことをいま言っている。麦は全然別。
  359. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 麦については、「無制限ニ買入ルルコトヲ要ス」ということが書いてございます。そういう意味で、食管法の三条一項を、直ちに政府が全面的に全量買い入れなきゃならぬという義務規定であるというふうには読めないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  360. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そういう言い方をされますと、この第一項の「売渡スベシ」というのは強制力を持っていますか、持っていませんか。
  361. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 「命令ヲ以テ」――売り渡し命令のかかったものは、強制力がかかっております。
  362. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、その数量といいますか、「命令ヲ以テ」というこの「命令」の中身というのはどうなりますか。
  363. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 略称でございますが、売り渡し政令というものが別途命令の体系でございまして、現在毎年売り渡し政令というものをこしらえているわけでございますが、それは予約の限度というものを基本にいたしておりまして、あらかじめ生産ごとに定められた予約限度の中で予約をしていただく、そして、その限度の中で予約していただいた数字が、この三条一項の「命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」というものに相当する数量になるような、そういう仕組みになっております。
  364. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いまおっしゃったのは、予約制度というものができてからの話でしょう。私は、この法律が制定された当初の趣旨と実態を聞いているんですよ。あなたのいまの説明は、だんだんその後変化をしてきて、特に昭和四十二年以降の米が余り出したときからのことをあなたはおっしゃっているんでしょう。私が聞いているのは、この食管法が制定をされた当初の趣旨と実態は、私が先ほど当初に説明をしたとおりではなかったかと聞いているんですよ。
  365. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 昭和三十年の予約が始まりますまでの間の実態は、先生のおっしゃられたとおりだと思います。
  366. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、ここの第三条については、これが制定された当初から、あるいは三十年、あなたのおっしゃったような予約制度になってから、これは法律そのものが変わりましたか。
  367. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 法律そのものは変わっておりません。
  368. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、いまあなたの説明をされたのは、政府の政策的な立場からそのようなことが行われてきたということでしょう。
  369. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 需給の実態等に合わせまして、私どもの法律の運用の上で変わってきたということでございます。
  370. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 要するに、運用上変わってきたということなんですよね。一応その点は確認しておけばよろしいと思うんです。法律そのものは変わってないということを。法律の制定趣旨や実態等は、当初と今日では非常に皆さんは変わったから運用も変えてきていると、こういうことですね。  そこで、もう一点基本的に押さえておきたいと思いますのは、これも先ほど来るる出ておるんですが、この二項では「買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と、こうなっているわけですね。そこで、ここで言っております経済事情の主たるものは何を指しておりますか。
  371. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 需給事情が重要な要素であろうと考えております。
  372. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 何ですって、もう一回ちょっとはっきり言ってください。
  373. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 需給事情が一つの重要な要素であろうと考えております。
  374. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 需給事情がこの経済事情を指すわけですね。
  375. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) いや、重要な一つの要素ということを申し上げたわけでございまして、それが全部というふうに申し上げたわけではございません。
  376. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いや、全部とは私も聞いていませんよ。全部なんて言ってくれとは言っていませんよ。主たるものは何ですかと言うんです。需給事情ですか。経済事情というのは、需給事情を指すんですか。
  377. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) いろいろな経済事情でございまして、たとえば他の農産物の価格状況でございますとか、あるいは財政事情などもこの中に含めて考えるべきものだと考えます。
  378. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 経済事情と財政事情を混同してもらっちゃ困るんですよね。経済は経済、財政は財政ですよ、これは。明確に区分してもらわぬと困るんであって、あなた、経済事情の中に財政事情が入りますなんて、経済と財政を混同してもらって、そこに私は今日のこの食管制度の混乱というものがあると思うんですよ。これは大蔵省きょう見えておりませんからあれですけれども、財政の面から米価が決定をされていくという、もう全然食管法のこの三条二項というものの精神が生かされていないところに、私は大変な問題があると思うんですよね。そういう点で、私はいまのあなたの経済事情の中に財政事情が何か入っておりますなんという、それも主要な経済事情一つの要因だなどという、われわれは納得できませんよ、それは。そんなんだったら、経済事情、財政事情と書くべきですね、これは。分野が違いますよ、考え方も全然。それはどうなんですか。
  379. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 広い意味で財政事情も経済事情の中に入るというふうに一つの例として申し上げたわけでございまして、財政事情が非常に重要な要素であるというふうに申し上げたわけではございません。
  380. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そういうのは詭弁というのですよ。ここで経済論議をやるあれもないのですけれども、皆さん方がそういう考え方を持っているということだけわかりました。  そこで、具体的な面についてちょっとお尋ねをいたしたいと思うのですが、御承知のように、四十四年から四十六年の生産米価については、過剰を理由にして実質的には据え置かれたわけですね、これは。幾つかの点変わっておるわけです。どこが変わったかは皆さんの方で御承知だろうと思うのですが、これは皆さんの方で発表されておる資料ですから私の方で指摘をいたしますと、たとえば反収とり方についてマイナス-シグマ、四十三年そうだったものが、これが今度四十四年にはマイナス〇・五四シグマというふうになって、さらに四十五年には平均反収というふうに変わっていっているわけですね。  それから、生産性の向上利益についても、減少労働時間の二分の一というものを還元をしておったものが、四十五年にはこれは算入しないということになりましたし、付帯労働費についてもこれが四十三年、四十四年と入っておったものが四十五年には算入せずというぐあいに、算定要素がそういうぐあいに削られたりしておるわけです。そういう点で、この米価決定の「生産費物価其ノ他」となっているわけですね。基本は何といっても「生産費物価」という、こういうものが中心になっていかなきゃいけないわけです。経済事情、財政事情とおっしゃいますが、そういうものを参酌しながら「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」いるのですから、再生産を確保できないような米価というものが、財政事情を理由に押しつけられたらたまったものじゃないですよ、これは。そこで、主客転倒してもらっては困るということを、私はくれぐれも言っているんです。  皆さん方、農民の皆さんから御協力いただいておりますとか、非常に御苦労をおかけいたしておかますとか、その苦衷は十分に察しておりますなんて、口の上ではそういうことを盛んにおっしゃっているんですけれども、最終的には何といったって財政事情が一番優先をしていくというそういう米価の最近の決定のあり方だと、これはもうまさに食管法三条二項に私は違反をしていると思っているのですね。  このときの一体消費者物価がどうであったかと言えば、四十四年が五・三%、四十五年が七・七%、四十六年が六・一%でしょう。それから賃金、これは製造業の場合ですが、これが同じく四十四年が一六・六%、四十五年が一七・五%、四十六年が一四%と上昇しておるんですよ。ところが、「生産費物価」という一番のトップに出ておるこれらの要項というものが完全に無視をされておる、これは据え置かれてしまったわけですね。  ということで、これは一体どういうことなのか。一方的に、単にお米がどうもよけいとれたからということで、米が過剰になったら米は安くしますとか、米の過剰需給状況を考慮してなんていうことはここには何にも書いてないですね。食管法には何も書いてないんです。ところが、書いてないことが最大の決定要素になっておるというところに、私は非常に大きな問題がある。繰り返し言いますが、食管法違反だと言いたいわけですね。このように皆さん方が決めたそういう算定要素ですら、恣意的に一方的に変更されておるということが一体認められるのかどうなのか、この点をお聞きをしたいと思うのです。この点どうですか。
  381. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 米価の算定の方式につきましては、種々長い経過の中で御議論もございますし、いろんな各方面からの御意見もございまして、三十五年からは生産費所得補償方式ということで今日まで来ておるわけでございます。生産費所得補償方式の具体的な適用方につきましては、先生おっしゃいますように、そのときどきの需給状況等によりまして幾つかの変遷を経てきておるわけでございますが、基本的に生産費所得補償方式ということによりまして「再生産ヲ確保スルコトヲ旨ト」するという精神は、基本的に貫いてきておるつもりでございます。
  382. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それじゃ、先ほどの例の研究費の問題ですね、これいかがでしょうか。質問わかっておりますか。――麦等の植物品種改良の研究費が十三億円だというふうな答弁があったのですが、その中には家畜分も入っているのかどうかということなんです。
  383. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これは先ほども御答弁申し上げましたとおり、育種研究全体についての数字でございます。
  384. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 育種全般というのはあれですか、家畜には関係ないんですか。育種というのは植物関係だけですか。
  385. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 作物関係だけでございます。その中に家畜といいますか、畜産に関係しますものとしては牧草それから飼料作物が入っているわけでございます。
  386. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そういう答弁ですとこれはおかしいと思いますのは、きのう農林省の方に北海道農林の代表の皆さん方が陳情に行ったはずですよね。そのときに技術会議の職員の中で、植物品種改良には五億の予算しかなべて研究が思うように進まないということを、代表にはっきりこぼしているんですよ。したがって、研究が進まないということを言っているわけです。どうしてこういう数字の食い違いが出てきているんですか。
  387. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) たぶんそれは国の試験研究機関で直接使う分と、それから国から経費を交付いたしまして、そうして県の試験地ですね、これは指定試験と申しまして、これにつきましては経費を全部国が見るのがたてまえになっておるわけでございます。その分と分けてみますと、これはすでに種苗法の改正のときに資料を御提出してあるわけでございますが、国の試験研究関係で直接使います分が私の計算では合計しますと四億九千五百万円、約五億弱ということに相なります。それから県に委託費としまして、県に頼んでやってもらいますと、国の事業でございますので委託費として交付をします分が七億八千八百万、合計いたしますと約十三億ちょっと欠けるということになるわけでございます。その国の機関分の五億弱の数字が、恐らく問題になったのではなかろうかというふうに思います。
  388. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと関連。  私は、先ほど国の機関で幾ら研究費を使っているかというふうにお聞きしたはずですがね。
  389. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これは委託試験でございまして、指定試験というのは国の事業でございます。したがいまして、実際に使います場所は県の試験地において使うわけでございますが、その経費は国が全部交付をするということで、その育種の企画からやり方に至るまで国が計画を立てまして、それに沿ってやっていただくという研究試験でございますから、まあ指定試験の関係は従来とも国費扱いになっておりますので、そういう意味で厳密に都道府県の指定試験の部分を除いて計算をすれば、これは五億弱ということに相なるわけでございます。その辺、私もちょっと精密に聞き漏らしましたので大変御迷感をかけましたけれども、そういうことでございます。
  390. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでは、その食い違いはわかりましたので、本論の方が大事ですからまたの機会に譲りますが、委託試験をやったりしている中には、都道府県だけでなくて民間もあるんじゃないですか。
  391. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) いまの分には民間の分は含んでございません。
  392. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃいいです。
  393. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 とぎれとぎれになって何かすっきりしない質問になっておりますが、農林省の方で算定をされていく米価内容について、これは次官にまず最初にお聞きをしておきたいんですが、平均生産費を皆さん方が算定をされている際にも、項目がつけ加えられたり、削除したり、内容が変わったりというふうにいろいろ変遷をたどっているわけですね。皆さんの立場ではいろいろ改善というふうなことを言われると思うんですけれども、私は必ずしも従来の変更について妥当な理由があるとは思えないものもあると思うんですね。これはこれから指摘したいと思うんですけれども、しかしいずれにしても、項目について変更があったことは事実です。  そこで、もし今日行われておるそれらの項目や、あるいは内容について改善すべき点があれば、これは当然改善すべきだと思うんですね。で、以下幾つか指摘をしたいと思うんですが、もし私の申し上げる理由が妥当だというふうに思われるならば、これは当然改善をすべきだと思うんですが、その点いかがですか。
  394. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 委員の方から指摘して、当然改善すべきであると、こう農林省側の方で考えれば、やっぱり検討する必要があると思います。
  395. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それでは、まず具体的にお聞きをいたしたいと思うんですが、私が先ほど申し上げました算定要素の変遷の中で幾つか指摘をしたわけですね。じゃ一つずつ聞いてまいります。  まず最初に、必要生産費ということで生産費とり方のところ、わかりますか。それが必要量士いうふうなことになって、変化をしたわけですね。これは、私は妥当ではないというふうに思っておるんです。皆さんの方で妥当だと思われる理由があったら、それをお聞かせ願いたい。どういう理由なのか。
  396. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 先生おっしゃられましたのは、四十六年に、従来五俵以上販売農家ということでとっておった生産費とり方を、四十六年に必要量というふうに改めたのは妥当でないぞと、こういう御指摘だと考えるわけでございますが、私どもはそのときの需給状況から見れば、そういうとり方は需給状況から見てそのときとしては妥当であるというふうに考えるわけでございます。
  397. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 四十六年の米審において、当時の亀長食糧庁長官がこれに対してこのようなことを言っているわけですね。生産費とり方につきましても、過剰なものの生産費まで米価に入れて計算をするということにつきましては、全体の食糧の需給なり、国民経済的な面からもいろいろ御意見があろうかと思います云々と、こういう言い方をしてい石わけですね。だから、これを削ったと、そっちで変えたと、こういう言い方なんですけれどもね。ところが、過剰なものの生産費まで米価に入れてという言い方はおかしいんであって、十アール当たりの平均生産費がどうなるのかということであって、関係ないですよ、これは。そうでしょう、平均生産費ですからね。過剰なものの生産費までこんな中に入るわけないですよ、これはあくまでも。  そういう点で、当時の長官の説明、それからいまあなたがおっしゃったこと、米が余っているからということにはならないんですよ、それは。過剰なものの生産費まで米価に入れる。何も過剰なものの生産費なんか米価のこの中に入っておりませんよ。これは、十アール当たりの平均のあれを出しているわけですからね。この説明というのは、全然なってない説明なんですよ。そしてさらに、四十七年の米審における中野食糧庁長官の答弁というのは、今度は、必要量というものを頭に置いて計算はすべきが原則ではないかというふうに思っておりますということで、全く食管法三条二項の精神というものはどっかへ飛んでいるんですよ。必要量というものを頭に置く、それは皆さん方は、買い入れ数量というのは予約制度でいいでしょうけれども、そのことといまの算定の基礎に入れるか入れないかということは、全然これは異質の問題なんですよね。そこが混同されているんですよ。これは統計学的に全くおかしいやり方なんですね。
  398. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 四十六年産米から、この当時の米の過剰状況の中で買い入れ制限というものを四十六年から始めたわけでございまして、いろいろ御議論もございましょうけれども、そういう制度は四十六年から始まりまして、その制限量に見合う生産農家ということで必要量という考え方が出てきたものだと考えております。
  399. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いまのあなたの答弁答弁になってないですよ。買い入れ必要量というものは皆さん方が設定をされる。買い入れ限度数量というのは、設定されるのはいいですよ。そのことと、積算の単位当たり面積生産費がどれだけかかるのかということとは関係ないんですよ、これは。そこが混同されているんですよ。だから、全量買い入れろと言った場合には、それは限度数量がありますから、それを超えるものについては財政上赤字になりますから、金がありませんから買えない。これなら話はわかる。ところが、米価を算定する基礎の要素としての中に、生産費ですよ、これは。いいですか。十アール当たり、単位面積当たりの生産費というものをずっと積み上げていこうというその要素だというのに、過剰米がありますから、その過剰米の生産費がここへ入ってきては困りますというのは、それは中学生だってそんな数学は成り立ちませんよ。いまの説明は全然なっていないです。
  400. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 米価を決定いたしますときには、生産費所得補償方式ということで三十五年からやっているわけでございますが、その基礎といたします生産費につきましては、統計上の生産費ということとは直ちに一致をいたしませんで、いま申し上げましたような需給状況によっては必要量、販売量に見合う、生産費に見合う低位のものからそこまでの農家をとりまして、平均生産費ということではじいた時代もございます。
  401. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 次官も、いまの答弁を聞いておいでになって、これは全然私の質問には答えてないんですよ。限度数量以外の余分な米を買うか買わぬかという話をしているんじゃないんですよ。いまのは、あくまでも買い入れ米価の積算をしていく場合の幾つかの項目があるわけですよね。   〔理事山内一郎君退席、理事大島友治君着席〕 その項目の中に、余っている米がありますからその分までこの中に入れろなんてだれも言ってないんですよ、そんなこと。そうでしょう。積算というものはそういうものじゃないですよ、米価というのは。だから、あなたのいまの説明というのは、全く米が余っているからという、その説明をここでいま一生懸命やろうとしているわけですよね。全然次元が違う話なんですよね。説明になりませんよ。それにまた、はっきり言うけれど、あなたはよくわからぬらしい。  ここでわからぬあなたとやっておっても、また時間をとるんです。だから、いまの説明では全然説明になっていませんから、これは次官は聞いておっておわかりだろうと思うんです。そこで、これは次の委員会までに明確に答弁できるように、もうちょっと勉強し直してきてください。これは数学だったら零点です。全然なってないですよ、これは。というぐあいに、次官、こういうところで改善すべきなんですよね。外した理由にはなっていないということです。  それからその次に、家族労働の評価ですが、これは三十九年から四十五年までは五人以上でやってきた。ところが、今度は四十八年からは五人以上五百人未満というぐあいになって、四十九年以降は今度は五人以上千人未満というふうになってきておるわけです。こういうぐあいに変わってきておるんですが、私どもとすれば、これは当然五人以上という、三十九年から四十五年までのこの方式を変える必要はないわけです。そういう点で、なぜこれを変えたのか、その理論的根拠というものを示してもらいたいんです。聞かしてください。
  402. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 生産費所得補償方式によりまして、労賃につきまして都市均衡労賃に読みかえますその際に、どのような労賃を基礎にするかということでございますが、その基礎につきましては、その時々の事情によりまして先生おっしゃいましたような変更をしてきた経緯がございます。ただ、現在五人以上千人未満ということでとっておるわけでございますが、千人未満ということでございましても、これは事業所単位のことでございますので、相当な巨大産業を含んだ、巨大企業を含んだ平均労賃のことでございまして、そういう意味で言えば、現在ですでに中小企業規模以上のものを相当含んだ平均労賃であろうというふうに考えておるわけでございます。
  403. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 人事院が、公務員と民間との賃金対比をやりますよね。いいですか。あの考え方からしても、あなたはいま農家一戸の人員を考えて、非常に小さな規模だというふうなお考えじゃないかと思うんですけれども、農業就業人口は幾らですか。事業所単位の一つ一つで対比するのじゃないんですよ、人事院の賃金比較というのは。教員なら教員全体という枠、そういうもので考えていくんですよ。学校だって、山の中の分校の三人や五人の規模でもって比較するのじゃないんですよ。これは全体の教員というものを考えて、それと匹敵する民間のものはどうなのか。ところが、民間にはそれだけの大きなものがないわけですからね、私立の場合には。しかし、考え方としては、そういうふうに考えていくんで、山の分校の五人や三人のところを基準にして考えるのじゃないんですよね。そういう点でも全然おかしいんですよ。  時々の事情とおっしゃったんですが、その時々の事情を聞かしてくれというのは、何にも理論的根拠がないから私聞いているんですよ。もっとはっきり言いましょうか。もっとはっきり言いますと、五十年の米審における三善食糧庁長官の答弁の中で、千人規模に今度このときは引き上げたわけですが、ということ自体もそう理論的根拠があって実はやったわけでありませんと、こう言っているわけですよ。五百人も、理論的根拠なんかないって言うんですよ。だから、理論的根拠を言えるわけないんですよ、これ。だから、その時々の事情というのは、要するに財政事情のことだろうと私は聞いているんですよ。そうじやありませんか。
  404. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 四十二年、四十三年、四十四年の大豊作によりまして、政府の持ち越し古米が七百二十万トンに達すると。したがって、四十六年からは買い入れ制限をやらなきゃいかぬ、そういう時の生産事情、あるいは需給事情を反映してやったことだと考えるわけでございまして、五十年に訂正をいたしましたのは、若干それまでに過剰処理も一応一段落をし、かつ作柄も若干悪かった前年の作柄等を考えて、そういう手当てをしたものだと考えております。
  405. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 先ほどの、例の必要生産量の項目のところを変えたと同じく、私が聞いておるのは生産費を出していく場合、賃金比較をやるというとき、民間の、いわゆる都市均衡と言わず、全国平均ですね、それはいいんですよ。どうでもいいんですが、要するに他の労働者との間の賃金比較をやろうということでやっているわけでしょう。米がよけいとれたとか、買い入れ数量に限度がありますからということには関係がないんですよ、これを対比をするのに。それは数量で制限をするという理由にはなるでしょうけれども、生産米価を決定をする積算基礎の項目そのものを検討する際には、米がよけいとれるとか、とれないということには関係ないんです。どれだけ生産費がかかるのか、賃金はどういうふうに算定をすべきなのかということで、他の労働者との賃金比較をやるんであって、米がよけいとれるからこちらの農家の労働者の賃金は低く見るんだとか、買い入れたくないから低く抑えますということは理由にならないと言っているんですよ。  だから、全く食管法三条二項にいう米価算定になってないし、皆さん方が言っている平均生産費を積算をしていく際の考え方にも合わないのですよ。いまあなたの言っているのは。お米がよけいとれたからといっちゃ全部下げていくという、それは生産米価を算定するときの考え方とは全然関係のないことなんですよ。これだけの生産費がかかりますと、あるいは所得補償方式としてはこれが妥当ですというところから米価が決まって、さてそれではどれだけ買いましょうかというときに、予算がこれしかないから予約限度数量というものを決めて、その予算の範囲内でもってこれだけの米の数量を買い上げますと、こうなるんですよね。ところが、あなたの説明はそうじやないのですよ。米がよけいとれているんだから、今度生産米価の算定基礎までどんどん下げていくという考え方なんですよね。これは全然おかしいということなんです。言ってみてわからぬでしょう、またわからぬからそれでいいんですよ。あなたの言っていることは全然お話にならぬから、次官よく聞いていてください。  次に、今度は企画管理労働についてですね。企画管理労働については、四十二年から四十四年までは認めておったんです。なぜ認めたかといいますと、米が余ったとかどうとかという、数量には関係ないのですよ、これだって。労働としてどう評価をするかということで、時の食糧庁長官はどう言ったかというと、米の生産に必要な費用として評価をいたしましたと、こう言っているのです。米の生産に必要だというのですよ。だから生産費として必要だ、そういうことでこの企画管理労働費というものを認めたわけです。これは他の労働においてもそうです。これは公務員に限らず、民間にしても労働者が研修旅行に出かける、あるいは勤務場所を離れて正規の勤務時間以外に研修をしなきゃならぬ場合だっていろいろ出てくるんですよ。そういうものは皆労働として、研修も労働時間の中に算定をされていくんですね。必要なんですよ。ところが、四十五年からいま言ったように、皆さんで言うとおり米が余ってきたということで、生産費米価積算の基礎であるこれまでをまた削ってしまったんですね。その理由は何ですか。削除をした理由を聞かしてください。
  406. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 四十二年産米価の決定に際しまして、当時の逼迫した需給状況の中で政策的配慮から、非常にコスト性その他について問題があるのでございますが、あえて付帯労働費というものを算入をして米価を算定をしたという経過はございますが、四十五年以降需給状況が過剰になってまいりましたので、これはそのときから、コスト性の価格ということもいろいろ問題がございますので、削除することにしたわけでございます。
  407. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 すべての説明が、米が余ってきたという量の方に結びつけられるのですけれども、量と関係のない、いま聞いておるのは生産米価を決定する積算項目について聞いておるわけなんですよ。何でこの管理労働が要らないのですか。いま民間であれ、官公労であれ、あらゆる職場における労働の中には、いまここで私が指摘をしております企画管理労働というものは全部労働の中に含まれておるんですよ、だって、そのことなくして生産労働はあり得ないからなんですよね。否定する根拠はないんです。あなたがいま説明をされた理由も、また前に説明をされたものと違ってきておるんですよ。説明理由はみんな転々として違ってきているんです。これは次官、ちょっとそういう生産費を算出する場合の基本的な考え方というものが、どうも次長は理解をされておらないようなんです。さっきからの説明でもそうなんです。いまの説明でも皆違っておるんですね。  四十五年のときの米審における今度は渡辺農林政務次官答弁では、こういう言い方をしているんですね。これは生産増強のためにつけてきたんだ、こういう言い方ですよね。それから、今度は同じく四十五年の米審で森本食糧庁長官の答弁は、ここが私は問題だと思うんです。これはいま皆さん方の考えの中にあると思うんですが、この当時の言い方ですから付帯労働という言い方をやっておりますが、付帯労働は生産費という概念からいきますれば、その構成要素になりにくい性質のものであろうと思います。これは今日通用しない概念です。いまの森本食糧庁長官の言い方は。  皆さん方はあれですか、研修出張される、そういう研修というものが皆さん方の労働には関係がないものと思われますか。そうじやないでしょう。民間企業へ行ったって研修で行く、あるいは測定しがたい、決まり切った朝の九時から午後の五時までというふうなそういう正規の勤務時間以外に、いろんなものがあるわけですね。そういうものはやっぱり含まれているわけですよ。そういう点で、私はこれを否定する根拠というのはない。むしろ必要なんです。ますます必要性が増しておりますね。最近はもう農業機械も非常に高度なものになってきておりますし、そういう研修なくして農作業というのはできないんですよ。そのことを否定する根拠はないと思うんですね。そういう点で、この点も私は検討を要する事項だと思うんですが、次官いかがですか。
  408. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 考え方とり方で検討を要する事項ではあると私は思います。  そこで、なぜこれを削除した、なぜ入れないかと、そういう問いに対して、私の段階において非常にむずかしい答弁のように思いますので、私としては一応先生の御指摘を素直に聞き入れて、これを検討する必要があるかどうか、大臣ともよく話し合いたいと思います。
  409. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いきなりですから、次官も事務当局の考えを抜きにして、いまここでこうします。ああしますという答弁はなかなかできがたいと思うんですが、しかしまさに、政策的な面から入れられたり削られたりしているんですから、これは私は単に事務当局の判断にゆだねるべき問題ではなくて、これはまさに次官、大臣がやっぱり大所高所に立って、適切なものについては改善をするという観点でぜひこれは検討してもらいたいと思うんですよ。  次に、たくさんあるんですけれども、時間の関係もありますから、次にそれじゃ幾つか選んで、まず地代の算定についてお聞きをいたしたいと思うんですけれども、五十二年産米の政府の積算の中で、三カ年平均で米価算定に使用した地代は一体幾らというふうに計算されましたか。
  410. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 自作地、小作地合わせて七千四百二円ということになっております。
  411. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それは、原生産費地代の約何%ぐらいになっておりますか。
  412. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 約三〇%でございます。
  413. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 約三〇%、私は三九%ぐらいになるのじゃないかと思うんですが、それはどうですか、三〇%ぐらいですか。
  414. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 三〇%から四〇%、若干四〇%にはならないかもしれませんが、三〇%台だと思います。
  415. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それで、現在の統制小作料が、次官、五十五年九月の三十日で廃止になるわけです。これはしぼって、自作地の小作料について申し上げています。これがこの五十五年十月一日以降は、すべて標準小作料ということになっていくわけですね。この点、間違いないでしょう。
  416. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 現在の統制小作料が昭和五十五年九月末をもって適用期間が終わるということは、先生のおっしゃるとおりでございますが、その場合米価におきまして地代の評価をどうするかという問題は、現在のところまだ方針が立っておりません。そのときまでに検討するということでございます。ただ、米価におきます自作地の地代というものは擬制的に算出をされるものでございますので、どういうふうにこれをとっていくかということは、その時期までに合理的な米価算定をどういうふうにしてはじいていくかということとあわせて、継続検討してまいりたいと考えております。
  417. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 これはおかしな答弁ですね。これも次官よく聞いていてもらいたいと思うんですけれども、四十五年に農地法が改正になりまして、経過措置として十年間は現状どおりの統制小作料でいくということになっているんですけれども、四十五年以降新しく小作地となったところは、農業委員会で定める標準小作料ということになるんですよ。ですから、すでに同じ自作地であっても、四十五年以降のものについては標準小作料が適用されているわけですね。これは統制小作料の大体三・四倍ぐらいですよ。金額にすると、いま現在標準小作料が一万九千二百十円、それから統制小作料が五千六百六十四円ですかね。ところが、実際、笑納小作料というのは二万六千七百六十六円にもなっているんですよ。  だから、いま何の話をしているかというと、いま言ったように、米の生産費を出す場合に、地代が幾らかかるかという積算をする場合の地代を幾らに見るかという話なんですよ。これまた、あなたに聞くと、米がよけいとれますから地代も安くなりますなんという話になりそうなんですけれども、そこで一方で、いま申し上げましたように、統制小作料の五千六百六十四円が適用され、片方では標準小作料の一万九千二百十円が適用されておるということでは、同じ自作地の小作料として非常に矛盾があるわけですよ。ですから、本来ならば、実際納めておる実納小作料の二万六千七百六十六円を私は積算基礎にすべきだと思うんですけれども、そこまではちょっと無理だとしても、標準小作料がすでに部分的には適用されているんですから、しかもいま言ったように、五十五年十月一日以降は当然私は標準小作料になるというふうに思ったら、何かそうでなくて、その段階でまた何か考えるなんという変な話、おかしな言い方をされているんですよね。  これも問題ですが、時間ありませんから、そういう点で私は標準小作料を少なくとも使うべきではないかと思っておるんですが、この点についてはどうなんですか。
  418. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 実際の小作地につきましては、現在標準小作料でなくて笑納小作料を採用しております。それから、自作地については、統制小作料ということでございます。
  419. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 実納小作料を……。そんなことになっていますか、あなた。おかしいじゃないの。五十二年産政府決定の際の自作地については、現行小作料の最高統制額によって小作地及び作付地以外の土地については、昭和五十一年産米の生産費調査の地代により評価し算定をするとして、十アール当たりあなたがさっき言ったように七千四百二円で算定しているんですよ。何が実納小作料で算定していますか、あなた。とんでもない話じゃないですが。全然違うじゃないですか。これは政府のもそうなっていますよ。
  420. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 四十八年以降、実際の小作地につきましては、実納小作料で算定をいたしております。自作地は統制小作料でございます。
  421. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 私は、さっき自作地の小作料についてしぼって言いますよと言ったでしょう。小作地の小作料と言ってもいろいろあるから、自作地の小作料について――わかるんですか、私の言っている意味が。
  422. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 自作地につきましては、地代の収受というのがございませんわけでございますから、これは評価をしているわけでございまして、その評価の基礎は統制小作料によっているということでございます。
  423. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 ですから、これは皆さん公務員であれば、借家の場合に家賃が出ているでしょう、補助が出ていますよ。ところが、自分の持ち家であっても一時はなかったんですよ。本当に借家にしか住宅手当は出なかったわけです。ところが、自分の持ち象であっても、その後借家の場合との均衡を考えて、今度は住宅手当が出てくるようになった。これは自分の土地であっても、当然そういう評価というものが、これは税金であれ何であれちゃんとそういう評価というのはなされるべきなんですよね、これは。ところが、さっき言ったように、この四十五年以降農地法が改正されてからは、一方では標準小作料が適用されて、それ以前のものについては統制小作料が適用されているということを私はいま言っているわけですよね、同じ自作地についても。だから、それは少なくとも標準小作料にすべきではないかということを言っているんですよ。わからないですかね。
  424. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) くどいようでございますが、自作地につきましては、実際の地代の収受を伴っておりませんので、これは擬制的に評価をするわけでございまして、その評価につきましては統制小作料によっておると。それから、実際に小作料の収受を伴います小作地につきましては、実際の笑納小作料を基礎にしておるということを申し上げておるわけでございます。
  425. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 だから、私が言っているのは、自作地についての評価をどうするか、いま積算をどうするかというものについて、標準小作料の算定をしてやるべきではないかと言っているんですよ。言っている意味がわからないんですかね。いや、実際に小作でもってやっている人は実際に金を払っていますよ。自分の土地については、何も小作料を直接払っていませんよ。しかし、生産米価を決定をするに当たっての積算の中に、その土地代というものをどう評価をするかということで、いま統制小作料にするか、標準小作料にするか、われわれにすれば他の本当の小作地と同じ値段で見るべきだという要求なんですが、少なくとも標準小作料並みのそこでは評価をやっていくべきではないかと、こういうことを言っているんですよ。
  426. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 米価につきましては、生産費所得補償方式によっているわけでございまして、農地につきまして都市均衡労賃で評価がえをしておるということとも絡みまして、自作地についてはその統制小作料を基礎にしておると、こういうことでございます。
  427. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 非常に何と言ったらいいのかな、むだな時間がやりとりの中で多いんですよね。いま指摘したように、次官、同じ自分の自作地であっても、四十五年を境にして変わってきているんですよね。変わってきていますから、同じ自作地でありながらそれはおかしいわけですよ。そういう点で、これも抜本的に検討し直す点ですので、これをやっていただきたいと思うんです。――その辺で首を横に振っているけれど、事務当局が次官に向かって、それはいけませんなんて首を振る立場なんかにないですよ、それは。そういうことだから官僚政治と言われて、自民党が党としての機能がないなんて言われてくるんですよ。いけませんよ、そういうことじゃ。  それではもう一つ、細かいことですがこれも大切ですから。地租公課及び諸負担についてですが、この公課負担の中に例の農業共済の掛金を入れるべきなんですね。ところが、実際にはこれが入れてない。この農業共済の掛金ですね、十アール当たり現在どれだけになっておりますか。
  428. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) 約九百円程度だと考えております。
  429. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 あなたたちの出している農林省の農業共済調査によれば、十アール当たり千二百九十四円じゃないですか。あなたたちの出している資料には、千二百九十四円となっているんですよ。九百円と千二百九十四円じゃ、それは四百円の差があるじゃないですか。――いや、いいですわ、それは。とにかくずさんだということはわかるから。  そこで、これも次官よく聞いておいていただきたいんですけれど、災害にかかった場合に二〇%以上の災害だというと救済制度が発動されるということだから、これを公課公租の中に見る必要ないと、それはまた金が戻ってくるんだからと、こういう考え方ですけれども、二〇%以下の農家と全然災害にかからない農家については、これは金は全然戻ってこないで掛け捨てになっていくわけですよ。ですから、当然これは公租公課の中に見るべきなんです。これは他の分野については、たとえばこれは公務員であろうと民間であろうと、こういうものは税金の対象やなんかの場合でもどんどん控除を認められているわけですし、だから当然これは必要経費なんですよ。したがって、いま言った生産費コストの中の一つの要素として入れるべきなんです。ところが、入れない理由というのは、皆さんの場合にはいま言ったように、それは当然災害が起これば救済の対象になるのだからいいんだという考え方だろうと思うんですが、どうなんですか、そこのところは。
  430. 戸塚金郎

    説明員戸塚金郎君) おっしゃるとおりでございます。
  431. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 だから、私の指摘したとおりだと、私がまた前段で言ったものと非常に基本的に矛盾をしてくるわけですよね。矛盾をしますから、これは改善すべきです。――そうだと、こうならなければいけないんです。あなたは全く頭がかたいのか、承知をしておってすっとぼけているのかわかりませんけれど、もしこれが本当にわからぬとしたらこれは大変ですよ。こんなずさんな考え方計算のやり方で、生産米価が積算をされていると言ったら大問題ですよ。あるのは常に米が余っているということと、金がないという財政優先の米価決定でしょう。食管法違反だと言うんですよ。だから、そういう考え方が貫かれている。これは私は、自民党の委員の皆さんも本当に聞いておいてもらいたいと思うんですよね。農民の皆さん、こんな説明では納得されない。  たくさんあるのですけれども、非常に時間がかかってしまったのです。そこで、残った問題については、仕方がありませんから次回また同僚議員の方から質問してもらいたいと思うのですが、これは次官、私は要望しておきたいと思うのですけれども、生産米価はもう政府が一方的にどんどん決めていくのだと、それから米価審議会もこれは形式的なものだという、事務当局の案そのものがそれでまかり通っていくというふうな、しかも積算内容はいま言ったように非常にずさんですし、食管法違反の内容がずいぶんあるわけです。本当にこれからの日本の食糧というものを考えたり、あるいは日本農業の将来を憂える方は、十年後には日本農業は壊滅するだろうと思う、こういうことまで言われているわけですね。そして、再び、あの戦争中や戦後のような悲惨な状況がいつ来るかわからぬですよ。アメリカがいつも常に豊作とは限らぬです。アメリカだって、大凶作の時代を何回か経験をしているわけですから。食糧というものは、五百万トンや七百万トン予備があったってちっともおかしくない。  そういう点で、私は財政優先の、食管法無視の生産米価の決定というものは、ここで抜本的に改めるべきだと思うのです。口先で、農民のためだとか、農民の皆さんには御協力を願っておりますとか、御苦労に報いたいと思いますと言いながら、具体的な生産米価になると踏んだりけったりで、しかも一方において生産調整を押しつけているわけでしょう。生産調整の問題についても幾つかの点で問いただしたいのですけれども、予定の時間が来てしまったものですから、残念ながらきょうはここで打ち切りたいと思うのです。ところが、次の委員会は来月の七日になっちゃうのですよ。そうすると、もうすでに皆さんの方から諮問案が出て、われわれの意見を言う時間的な余裕がないうちに、本委員会はこれでもって開店休業になっちゃうわけでしょう。私は、そういう点で、これは将来この委員会のあり方も検討しなければならぬと思うのです。審議会が始まる直前や、審議会と並行しながらの委員会審議では、本当の意味で国政に責任を負う私は議会の審議のあり方ではないと思うのですね。これは、特に私は与党である自民党の皆さん方にその点を深く考えていただきたいということもお願いをしながら、質問を打ち切りたいと思います。
  432. 大島友治

    理事(大島友治君) 暫時休憩いたします。    午後五時三十二分休憩      ―――――・―――――    午後六時三十四分開会
  433. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十五分散会