○山中郁子君 私は日本共産党を代表し、国公法及び地公法の一部を改正する
法律案並びに
職員団体等に対する
法人格の
付与に関する
法律案の両案に対し、反対の討論を行います。
初めに、国公法及び地公法の一部改正案についてであります。
本案は、管理
職員の範囲についての現行規定を労組法第二条の規定に準じて整備するとともに、登録
職員団体の登録取り消しの効力発生につき裁判所へ出訴または訴訟係属中はその効力が生じないことに改めようとするものでありますが、登録取り消しの効力発生時期の改定については、現状を一定程度改善しようとするものであり、本改定
部分には反対するものではありません。しかし、管理職範囲の規定の整備は、第一に、現行の登録制度の存続と
公務員労働者の反対意見を無視して一方的に制定された人事院規則一七-〇の基本的な骨格を変更しないことを前提としており、現状を改善するという点ではほとんど
意味がなく、第二に、重要な行政上の決定に参画するとか、当局の立場に立って遂行すべき職務を担当する
職員というような拡大解釈の根拠にもなりかねない想定が依然として残されています。さらに第三に、憲法やILO八十七号条約の規定に沿って現状を改善するという点ではほとんど
意味がなく、ILOのドライヤー
委員会や条約勧告適用専門
委員会の
指摘に対してさえまともにこたえるものになっていないのであります。
本案は、
公務労働関係の現状の
固定化を目指した公制審最終答申具体化の第一弾であり、世界の
公務労働関係の趨勢に逆行し、憲法違反のわが国の
公務労働関係の現状をより巧妙に
固定化するために役立つものでしかないと言わざるを得ないのであります。
次に、
法人格付与法案についてであります。
本案は、公制審の最終答申に基づいて、現行の登録制度とは別に、非登録
団体に対して新たに
法人格を
付与しようとするものでありますが、本案は、第一に、認証の要件として
職員団体の規約の中身を規制したり、認証の取り消しを事由として
職員団体の
活動に二重三重にわたる行き過ぎた規制を加えたり、さらには認証
団体に対し関係当局が報告または資料の提出を求めることができるというような、
職員団体に対する不当介入の根拠にもなりかねない条項を設けるなど、第二の登録制度とも言うべきものになっています。
第二に、本案は、現行の登録制度と
法人格取得手続に問題があるとしてその改善を求めた一九七三年のILO条約勧告適用専門
委員会の意見や、全国的な労働組合が結社の自由、団結権保護を前提として
法人格を取得できるような立法措置を講ずることを
指摘したドライヤー
委員会の報告に対してさえまともにこたえるものになっていないという問題があります。
第三に、本案は、関係当局の不当な支配介入に反対し、
法人格取得を拒否する
職員団体に法外組合の烙印を押す口実として悪用されかねない危険をはらんでいます。
本案は、国公法、地公法改正案と同様、世界の
公務労働関係の趨勢に逆行した憲法違反のわが国の
公務労働関係の現状をより巧妙に
固定化し、その基本的な改善を将来に引き延ばすために役立つものでしかないと言わざるを得ません。
以上の理由をもって、国公法、地公法改正案並びに
法人格付与法案の両案に反対するものであることを明らかにし、私の反対討論を終わります。