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1978-06-01 第84回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月一日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     加藤 武徳君      藤井 恒男君     井上  計君  六月一日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         塚田十一郎君     理 事                 林  ゆう君                 原 文兵衛君                 片岡 勝治君                 井上  計君     委 員                 岡田  広君                 竹内  潔君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 村田 秀三君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 山中 郁子君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君    政府委員        行政管理庁長官        官房審議官    加地 夏雄君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        農林大臣官房経        理課長      江上 幸夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山地  進君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        大蔵大臣官房地        方課長      宮原  翠君        農林省農蚕園芸        局繭糸課長    池田  澄君        食糧庁総務部総        務課長      宮崎 武幸君        運輸省自動車局        総務課長     桜井  勇君        郵政大臣官房文        書課長      塩谷  稔君        郵政省人事局人        事課長      陣野 龍志君        自治省行政局行        政課長      中村 瑞夫君        日本国有鉄道常        務理事      橘高 弘昌君        日本電信電話公        社職員局長    坂部 政夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、北海道管区行政監察局分室設置に関し  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月三十日、井上計君が委員辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。また昨日、藤井恒男君及び山本富雄君が委員辞任され、その補欠として井上計君及び加藤武徳君が選任されました。     —————————————
  3. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指命に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事井上計君を指名いたします。     —————————————
  5. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 行政管理庁設置法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、北海道管区行政監察局分室設置に関し承認を求めるの件を便宜一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 野田哲

    野田哲君 まず行政機構改革の問題について、行政管理庁が所管をしておられる行政機構改革全体にかかわる問題について伺いたいと思うんですが、運輸省見えておりますか。——道路運送車両法改正案がごく最近提出をされたというふうに聞いているわけですが、その内容はどういう内容になっていますか。
  7. 桜井勇

    説明員桜井勇君) 昨年十二月の閣議決定におきまして、陸運関係地方事務官制度の廃止に関する基本方針決定されております。これを実現すべく鋭意検討を進めてまいりましたが、当面十二月に決定をされました閣議決定方針段階的に実施するということで、いま先生御指摘のございました道路運送車両法等の一部を改正する法律案提出をいたしております。  法律案内容につきましては、いま申し上げました閣議決定段階的に実施をするということで、自動車の検査、登録関係事務を国が直接処理するということで、道路運送車両法特例でございます道路交通に関する条約の実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律改正と、国が車検登録事務を直接処理するというために国の地方行政機関といたしまして陸運局支局等を設けるということを内容にいたしました運輸省設置法の一部改正をいたしまして、それに関連をいたします関係法律、七本ほどございますけれども、それにつきましても所要の改正を行いたいという内容でございます。
  8. 野田哲

    野田哲君 つまり、陸運事務所に勤務をしている地方事務官の一部を国家公務員にする、こういう内容法律の必要な部分改正をする、こういうふうになっているようですが、これはいつ国会提出をされたわけですか。
  9. 桜井勇

    説明員桜井勇君) 五月の十七日に国会提出をいたしております。
  10. 野田哲

    野田哲君 まあ五月の十七日と言えば、これは延長に現在はなっているわけですけれども通常国会の普通であれば一番最終日ということになるわけです。こういう提案の仕方には非常に問題を感じるわけですが、これは別として、自治省は、これは協議を受けられましたか。
  11. 中村瑞夫

    説明員中村瑞夫君) 運輸省の方から十分御相談をいただきまして、私どもといたしましても、法案内容につきましては、これを了解いたしまして法案提出の運びになったものというふうに存じております。
  12. 野田哲

    野田哲君 荒舩長官に、ちょっとこれは別の角度から伺いたいと思うんですが、地方自治法附則の第八条によりますと、「政令で定める事務に従事する都道府県職員は、第百七十二条、第百七十三条及び第百七十五条の規定にかかわらず、当分の間、なお、これを官吏とする。」、こういう条文があるわけですが、法律でこういうふうに規定をされている「当分の間」、あるいは行政機関などでいろいろ公文書で使う「当分の間」というのは、常識的に見て大体どのぐらいの判断をされるのが妥当なことだとお考えになっておりますか。
  13. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) ただいまお示しのございましたように、地方事務官根拠規定地方自治法附則八条にあるわけでございます。したがいまして、この制度がたてまえとして暫定的な措置である、制度であるということは御指摘のとおりでございますが、「当分の間」という表現になっております制度で、御承知のように相当な期間が続いておるものもございますし、いろいろ実態はさまざまでございますけれども、私どもといたしましては、この制度がたてまえとして暫定的な制度であるということにつきましては十分に了解をいたしているわけでございます。
  14. 野田哲

    野田哲君 私、長官は率直に物を判断をし、言ってもらえると思ったんですが、「当分の間」とは常識的にはどのぐらいかということに対して長官自身お答えがなかったんですが、荒舩長官は「二、三日」ということを、あなた自身がことしの予算委員会で言われているんですが、あなたの「二、三日」というものもかなり長いです。ちょっと読んでみましょうか。ことしの三月十四日の参議院予算委員会で、これは同僚志苫議員質問に対して長官はこういうふうに答えているんです。「地方事務官制度は長い間の懸案でございまして、大変困難な事情もございます。行政改革をやるについても、地方の問題、中央の問題、なかなかいろいろなむずかしい問題がありますが、昨年末の閣議で、まず運輸省陸運局関係地方事務官を根本的に解決しよう、そうして厚生省及び労働省地方事務官も二年間のうちにはこれを廃止する、こういう方針決定したわけでございます。この閣議の線に沿いまして、まず運輸省陸運関係の取り扱いを、ただいま運輸省自治省行政管理庁協議をいたしまして、可及的速やか、まず二、三日のうちにこの問題を解決することにいたしました。どうかひとつ、法律案を出しますから御協力をお願いいたします。」と、こうなっておるわけです。私は三月十四日から二、三日ということであれば、まあ三月十五日か、十六日か、十七日か、三月の中旬以内が、これが二、三日だと思うんですが、荒舩長官の二、三日というのは大体三カ月たっているんです。一体長官が二、三日と言ったのが、行政管理庁運輸省自治省協議をするのに、この二、三日がどうして五月十七日に法案提出に至るまでの二カ月もかかったんですか。
  15. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 確かにそういう答弁をいたしたことは間違いございません。そのとおりでございますが、ことほどさように、なかなか地方事務官制度の問題は、とにかく三十年間もむずかしい問題としてくすぶっておったわけでございます。私は運輸省自治省及び自民党の両調査会等で二、三日のうちには解決するものだという、そういうつもりで折衝いたしました。しかし大変めんどうな問題でございまして、二、三日というのが二月、三月かかりましたことはまことに不明のいたすところでございまして、そう考えております。まあ今後さようなことのないように、二、三日というのは一週間以内に解決するようにいたしますから、慎んで前言に対しておわびを申し上げます。
  16. 野田哲

    野田哲君 「当分の間」が三十二年も経過をしたり、荒舩長官の「二、三日」が二カ月も三カ月も、こういう経過になっているんですが、行政管理庁、それから運輸省自治省、それぞれ伺いたいんですが、昭和四十九年五月十七日、衆議院地方行政委員会、それから同じく昭和四十九年五月二十八日、参議院地方行政委員会で、それぞれ地方事務官問題について附帯決議が行われていることを御承知ですか、それぞれお答えいただきたいんです。これは地方行政委員会の問題ですから、まず自治省からお答え願いたいと思います。
  17. 中村瑞夫

    説明員中村瑞夫君) ただいま御指摘がございましたように、昭和四十九年五月十七日の衆議院地方行政委員会におきまして、また昭和四十九年五月二十八日に参議院地方行政委員会におきまして、地方事務官に関する附帯決議がなされておることにつきましてはよく承知をいたしております。
  18. 桜井勇

    説明員桜井勇君) いま御指摘のございました衆参両院地方行政委員会におきます決議につきましては承知をいたしております。
  19. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) ただいま御指摘地方行政委員会におきます御決議のございました事実、それからその内容につきましては十分承知をいたしております。
  20. 野田哲

    野田哲君 この附帯決議、まず五月十七日の衆議院地方行政委員会における附帯決議は、「地方自治法附則第八条の職員については、昨年十月、行管運輸厚生労働自治の五大臣間において合意に達した「速やかに結着をつける」との内容基づき、昭和五十一年三月三十一日を目途として地方公務員とするよう努めること。」、こういうふうになっておりますし、参議院地方行政委員会附帯決議は、四十九年五月二十八日に同様趣旨で行われておりまして、「地方自治法附則第八条の職員については、関係省庁間で積極的に協議を進め、昭和五十一年三月三十一日を目途として地方公務員とするよう努めること。」、こういうふうになっていると思うんです。つまり、五十一年三月三十一日を目途として地方公務員にするように努めること、こういうふうに私の承知しておるところではなっているんですが、これは自治省間違いありませんか。
  21. 中村瑞夫

    説明員中村瑞夫君) ただいま御発言のありましたとおりでございます。
  22. 野田哲

    野田哲君 この件につきましては、翌年の昭和五十年の三月の参議院予算委員会において、同僚の和田静夫議員が当時の三木総理大臣質問を行っております。和田議員質問は、昨年の、つまり昭和四十九年の五月十七日の衆議院地方行政委員会、それから五月二十八日の参議院地方行政委員会でこの問題について決議を行っている、これを尊重されるということを確認してよろしいですか、こういう三木総理に対する質問に対して、三木総理は「五十一年の三月までにこの問題に対して結論を出せる措置をとれというような趣旨であったと思いますが、尊重をむろんいたすべきだと考えております。」、つまり五十一年三月三十一日を目途にして地方公務員とするように努めると、こういう決議を尊重するというふうに総理は答えているわけでありますけれども、これがどうして、どういう経緯を経てこれとは異なるような形の決定が昨年行われたんですか、その経緯はどうなっているんですか、これをまず聞かしていただきたいと思います。
  23. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 地方行政委員会決議をしばしば行われたことも存じております。また、両院質問があり、それに政府が答えておることも承知しております。しかし、やっぱりなるべく行政簡素化をしたり、また新しいことも取り入れなくちゃならないし、複雑な機構簡素化していかなくちゃならないというような意味からいたしまして、昨年の十二月に閣議で御承知のように運輸省陸運局の問題、また厚生省社会保険関係労働省職安関係の、この三つを二年間以内に簡素合理化するということを決めたわけでございます。もちろん両院決議は尊重しなければなりませんけれども、やっぱり行政改革というものはなるべく新しい方向に、しかもそのときの状態に応ずるように改組、簡素合理化していかなくちゃならないと、こういう立場で閣議決定したわけでございます。したがいまして、なかなかむずかしい問題であると思いますが、まあそういう趣旨でございまして、二年間以内にこの三つ関係を合理化するということを決定した以上はそれで努力してみたいと考えております。
  24. 野田哲

    野田哲君 長官の言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、簡素化をするためにこういうふうにしたと、こういうふうにおっしゃるんですけれども、これは私はちょっとこだわるんです。裏返して言えば、簡素化するためにこういうふうにしたということは、つまり都道府県業務としてやっていったのはこれは適切でないと、こういうふうにおっしゃるんですか。いままで三十年以上、当分の間というのが三十年以上続いていたわけですが、この形というのはよくないと、こうおっしゃるわけですか。
  25. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) まあよくないというか、いいというか、そこのところの判断考え方で違いますが、やはり複雑な機構簡素化していかなくちゃならないと。今度の改革案も私はベストではないと思います。しかしベターではあると考えまして、自治省あるいはまた運輸省とも相談いたしましてこういう案をつくったわけでございます。
  26. 野田哲

    野田哲君 地方事務官問題全体のとらえ方としては、都道府県機構の中に地方事務官という身分の職員が存在をしていることが、これが一番行政機構を複雑にしておることなんです。だから、それは都道府県機構の中にある、たとえば社会保険関係業務であるとか、年金関係業務であるとか、これは都道府県機構の中にそれぞれ置かれているわけです。そこで勤務している職員だけが地方事務官、こういう形になっているところに一番複雑さがあるわけですから、したがって、この問題のとらえ方というのは、知事会においてもしばしば要望されているように、そういう変則的な形、もともとこれは当分の間ということで、速やかにこれはあるべき姿に正常にするという趣旨で当分の間というのがついていたんです。これが今日まで三十何年間も放置をされてきた、そこに一番の問題があるわけですから、陸運の問題がいま一つ法律として出ておりますけれども、基本的な地方事務官問題のとらえ方というのは、これはやはり地方公務員移管をしていくんだ、こういうとらえ方でなくてはいけないと思うんです。ことしの予算委員会審議の中でもこの問題が議論になっております。これについて加藤自治大臣は「基本的には両院委員会で議決をされておりますことを」——先ほど私が読み上げた附帯決議ですが、これを「尊重し、これを踏まえながら関係省庁と緊密な連携をとってまいりたいと考えているところであります。」、この趣旨は私はそれなりに評価をするわけですけれども、これについて福田総理の引き続いてのお答えの中に、「衆参両院の御意向どおりに全部が全部動くというわけにはいかないだろう、こういうふうに申し上げるんで、全体として一部御意向に沿わないと、」こういう点のあることを申し上げておりますと、こういうふうに、つまり加藤自治大臣は、衆参両院地方行政委員会決議、つまり地方事務官地方公務員移管をする、こういう趣旨決議を尊重して取り扱っていきたい、こういうふうに言っておられるその同じ席で、総理は、一部御意向に沿わない点がある、こういうふうに答えているわけですが、この一部御意向に沿わないというこの一部というのが、つまり五月十七日に提案をされた陸運関係についてこれを国家公務員にすると、これがその一部だと、こういうふうに理解をしていいわけですか。
  27. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) そのとおりだと思います。
  28. 野田哲

    野田哲君 そうすると、あとはもう次にまた一部というようなことは出てこない、残ったものは全部これは地方公務員だと、こういうふうに受けとめていいんですか。
  29. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 先ほど野田委員の御発言のように、私ども地方事務官制度が当分の間の措置でございまして、暫定的、経過的な制度である、したがってこれを廃止する、この問題を解決するという方向でやるべきであるという点については全くそのとおりに考えておるわけでございまして、先ほどから大臣も申し上げましたような閣議決定でもそういう趣旨になっているわけでございます。その次にどういう方向解決するかという問題でございますが、野田委員のおっしゃいましたような御議論がございますことは十分に承知をいたしております。それから、先ほどお答え申し上げましたように地方行政委員会で御決議がありましたことも十分に承知をしているわけでございます。しかし、ただいま御引用になりました総理答弁にもございますように、私どもはすべての地方事務官を一律に地方公務員にするということは、必ずしも現実的でない面もあるし適切でない面もあるのではないか、それぞれ運輸厚生労働と、行政事務行政目的も違うわけでございますので、どのような形で解決したならばそれぞれの行政目的の達成のために最もよいかという観点から、事務性格等に応じまして個別的に解決を図るべきであるというふうに考えているわけでございます。そこで、まず運輸厚生労働と分けまして、さしあたり運輸省について御提案申し上げているわけでございます。そして、運輸省事務につきましても、御承知のように車検登録輸送行政事務三つあるわけでございます。本来ならば一挙に解決することがあるいは望ましいかと存ずるわけでございますけれども輸送行政事務をどういうふうに国と地方の間で配分するかということにつきましては、政府の内部でも調整がつかなかったわけでございますので、さしあたり調整がついております車検登録について制度改正をいたしたい、こういうことにしたわけでございます。そのように運輸省についても段階実施をいたしまして、残りの分につきましては、厚生労働とあわせて適正なまた適切な解決を見出すように今後とも努力いたしてまいりたいと考えているわけでございます。  先ほど引用になりました総理の御答弁につきましては、そういうような一般的な考え方を示されたものと、かように私どもは考えているわけでございます。
  30. 野田哲

    野田哲君 そうするとあれですか、この総理が答えている衆参両院地方行政委員会附帯決議趣旨に沿わない面が一部あるという、この一部というのは、今回陸運関係法改正提案されておるが、それ以外にも、これからまだ個々に個別的にやっていけばこの附帯決議趣旨に反する部分が出てくる、こういうことなんですか。
  31. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 何分にもこの問題は三十年来の懸案でございまして、いろいろな御意見、御議論が各方面にあるわけでございます。そこで、今後厚生労働をどのような方向解決していくかということにつきましては、そういうような各方面の御議論なり御意見なり、また従来の経過というようなものを十分に考慮に入れまして、慎重に検討してまいりまして、適切な結論を出したいと考えておるわけでございます。したがいまして、私どもは、ただいまから、予断と申しましょうか、あるいは固定的な考え方と申しましょうか、そういう考え方をまず持っておりまして、それで割り切ってしまうというようなことを考えているわけでは全くないわけでございます。今後慎重に検討いたしまして、あくまでも適切な結論を出したいと考えておりますので、それがどういう方向になりますかは、いまの段階ではお答え申し上げられないわけでございます。
  32. 野田哲

    野田哲君 自治省はどういうふうに考えておりますか。
  33. 中村瑞夫

    説明員中村瑞夫君) ただいま行政管理庁の方から御答弁がございましたように、将来の問題につきましてはこれから関係省庁協議をしていくということでございますので、まさにその現在の段階予断を持って申し上げることができない状況でございますけれども、私どもといたしましては、基本的にはどのような事情であれ、ともかくも地方住民の生活に密着したような事務地方自治の場で処理をする、そういう地方自治の本旨が損なわれないような形で、そして地域の問題につきましては地域住民意向が十分反映されるような形で事務処理がされる、そういうことで解決が図られることを望んでおりますし、今後ともそういう基本的な考え方努力をいたしてまいりたいというふうに存じております。
  34. 野田哲

    野田哲君 二年間でということが昨年の閣議決定でされているわけですね。陸運についてはいま法案が出ている。これも五月十七日という会期の一番最後の日に出すという提案の仕方というのは、私はこれは妥当な提案の仕方ではないと思うんです。内容には意見がありますが、そのことは触れませんが、これから二年間で決着をつけるという、この二年間ということになると、私の理解としては、少なくとも次の通常国会、つまりことしの十二月に召集される通常国会には法案として提出されなければ、私は二年間で結論を出すと、こういうことにはならないんじゃないかと思うんですが、今後二年間という期限でこの問題を処理していこうとする手順についてどういうふうな目安を持っておられますか。
  35. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 厚生労働地方事務官制度解決、あるいはまた運輸省の残りました輸送行政事務に従事しております地方事務官の問題の解決というのは、率直に申しまして大変困難な課題であるわけでございます。何度も申し上げるようでございますが、三十年来努力はいたしましたけれども結論が出ていない問題でございますので、非常にむずかしいとは考えております。しかしながら、閣議決定をいたしたわけでございまして、二年間以内に廃止するという方針が示されているわけでございますので、私どもといたしましては、困難な課題ではございますけれども、各省と鋭意調整を進めまして、適正な結論を出すように全力を挙げたいと考えております。
  36. 野田哲

    野田哲君 具体的にどういうふうな手順で進めていかれるかということを聞いているんで、二年間ということになれば、次の通常国会には少なくとも提案がなければ二年間ということにならないんじゃないかというふうに私は聞いているわけです。そうすると、少なくともことしの秋ぐらいまでには、これは政府部内では結論が出されなければいけないんじゃないかと思うんですが、そういう手順についてどう考えておられますか。
  37. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) ただいま野田委員の御指摘になりましたような方向でもって全力を尽くしたいと考えております。ただ、率直に申しますと、何分にも運輸省車検登録事務に従事しております地方事務官問題の解決、それに全力を集中していた段階でございまして、まず一つこの御提案申し上げている法律案を速やかに成立さしていただきたいと考えております。また、その法案審議の過程等も十分に考えまして、厚生労働の問題につきましては、厚生省労働省あるいはまた自治省と十分に調整をいたしまして、しかるべき結論を出したいと考えている次第でございます。
  38. 野田哲

    野田哲君 だんだんこの問題が、いま聞いておりますとあいまいになってきているんじゃないか、こういうふうに思うんです。つまり昭和四十九年五月の衆参両院地方行政委員会決議というのは、五十一年三月三十一日までに「地方公務員とするよう努めること。」、こういう決議になっているわけです。そして、政府を代表して自治大臣は、決議趣旨を尊重いたしますと、こういうふうに答えているわけなんです。そしてこの翌年の三木総理予算委員会における見解としては、衆参両院委員会決議趣旨を踏まえてやりますと、こういうふうに答えておられる。ことしの予算委員会でのこの問題での審議については、加藤自治大臣の方は、基本的に両院委員会決議を尊重いたします、こういうふうに言っておられる。福田総理は同じ席で、一部決議趣旨に沿わない点がある、こういうふうに答えておられる。ここで、いまいろいろその点についての方針、目安等を聞いてまいりますと、行政管理庁の辻局長の方では、個別にいろいろこれから関係各省庁と協議をしてやっていくんだと。じゃいつごろどうされるんですか、こう聞いても、二年間という期限はあるんだけれどもその手順については明確に示されない。これではだんだん後退をしているというか、あいまいになってきているわけです。なぜ、この衆参両院地方行政委員会決議を尊重いたしますという総理大臣答弁が、作業を進めていくにつれてあいまいになっている、この原因はどこにあるんですか、これは。
  39. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 先ほどからお答え申し上げておりますように、私どもはこの問題の経緯経過というものにつきましては十分に承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げたことを繰り返すようでございますけれども、私どもは全員の地方事務官を一律に地方公務員にするということにつきましては、必ずしも適切でなくて現実的でない面があるのではないか、したがいまして、それぞれの事務の性格に応じまして、ひとつ個別的に検討してみようという考え方で対処してまいりたいと思っているわけでございます。今回御提案申し上げました案は、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、必ずしもベストの案ではないかとも思うわけでございますけれども、とにかく三十年来の懸案を一歩でも二歩でも前進させようということで御提案を申し上げた次第でございますので、その私ども趣旨についてはぜひとも御了承いただきたいと、かように考えておるわけでございます。
  40. 野田哲

    野田哲君 いや私が聞いているのは、衆参両院の、地方行政の問題を審議をしている地方行政委員会決議をされて、自治大臣総理大臣決議趣旨を踏まえてやりますと、こういうふうに答えている、行政の責任者が予算委員会という最も国会の中でも権威のある場で答えているのが、総理大臣が答えたことがですよ、作業を政府の部内で進めていくにつれてだんだんあいまいになっていくその原因、あるいは時期もだんだん遷延していくその原因はどこにあるんですかということを聞いているんです。
  41. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 国会委員会の御決議でございますから当然尊重いたすべきところであるわけでございます。私ども、もとよりこの地方事務官を全部本来の国家公務員と申しますか、運輸事務官あるいは厚生事務官に切りかえることが適当であるというようなことを考えておるわけではないわけでございます。先ほど申し上げましたように、そういうような固定した考え方と申しますか、そういう考え方を持って処理をいたしたいというふうに思っているわけでは全くございません。ただ、いろいろ各方面にも御意見、御議論がございます。政府部内におきましても、率直に申しまして関係省庁間で意見が違っておる点が多々あるわけでございます。したがいまして、事務の性格に応じてどのようにいたしましたならば本来の行政事務なり、行政目的の実現が一番よいようにいくかという点に重点を置いて個々に検討すべきではないか、厚生省の場合で申しますと、社会保障制度なり社会保険制度なり、そういうもののあり方と申しますか、年金制度あるいは医療保険制度、そういうようなものの事務の一つのあり方とも深く関係する問題でもございます。もちろん職員の身分、処遇の問題とも密接に関係があるわけでございますので、そういうようなところを総合的に検討し判断をいたしまして適切な結論を出したいと考えているわけでございます。
  42. 野田哲

    野田哲君 つまり、結論から言えば、実際的にこの地方事務官問題を扱っていくに当たって、行政管理庁、それから厚生省労働省運輸省自治省、こういうところで作業を進めていく、協議をしていく中で、あなた方の方での取り扱いは、自治大臣総理大臣国会で答えているようにはいかないんだと、つまり自治大臣総理大臣国会で答えたことはできないことを答えているんだと、こういうことになるんですか、この点いかがですか。
  43. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 先ほど野田委員も御引用になりました福田総理大臣の御答弁でございますけれども、これは私どもは、先ほど来私が申し上げておりますような、そういう一般的な考え方答弁されたものだというふうに思っているわけでございます。全体として、一部地方行政委員会の御決議趣旨に沿わない点が出てくる、全部沿うというわけにはまいらぬと言われました趣旨は、そういうところではないかと私どもは考えております。
  44. 野田哲

    野田哲君 いや、福田総理は一部趣旨に沿わない点があると、こう言っているんですがね。三木総理はそうではないわけですね、三木総理が五十年の三月の予算委員会で答えているのは、衆参両院地方行政委員会決議、この趣旨を尊重すべきだと、こう考えていると、こういうふうに答えているわけです。だから、内閣の継承という責任からいっても、三木総理福田総理の答え方にニュアンスのかなり違いがある点、一部はこの趣旨に沿わないんだという点が出てきておるところにも問題があるんですが、そこで私は、非常にこれをしつこいようですけれども、いまの辻局長とのやりとりの中で感じることは、福田総理が一部と言われているのは、これは今回五月十七日に提案をされた陸運関係、これでこの一部というのが、あとはもうないんですかというふうに聞くと、必ずしもそうではないように思えるわけです。個別にそれぞれ協議をしていって、国の業務として適当と認めるものはそういう扱いをしていく、移管することが適当なものと認める業務については地方公務員にしていく、こういうふうにこれから個々に選別をしていくと、こういうふうに聞くわけです。そうすると、重ねて聞くようですけれども、いままで国会の場で自治大臣やあるいは総理大臣が答えている趣旨は、実際扱っていく中ではそのとおりにいかない、つまりそれぞれの関係大臣総理大臣はできないことを国会で答えたんだと、その場しのぎの答え方をしたんだと、こういうふうなことなんですか、その点重ねて伺いたいと思います。
  45. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 私ども先ほどお答え申し上げましたように、国会委員会の御決議を尊重しないとか尊重しなくていいとかいうことを申し上げているわけでは全くございません。そういう経過も十分に踏まえながら、しかし、どのようにいたしましたならば事務の機能、効率が一番発揮できるかという観点もあわせ考慮に入れて調整を図りたいと申し上げているわけでございます。したがいまして、いま厚生労働あるいは運輸の残りの問題につきまして、どのような結論になるかお答え申し上げる段階ではないわけでございます。
  46. 野田哲

    野田哲君 これは非常に政治的な問題ですから、これは長官ぜひ答えていただきたいと思うんですが、いまのやりとりをお聞きになって、行政管理庁辻局長のお答えは、つまり、必ずしも大臣国会で答えているようにはいかないんだと、こういうふうに私は理解をせざるを得ないわけなんです。端的に国会関係大臣が答えるとおりにやるのか、あるいはもう全然そうではなくて、これから個々に協議をして独自の判断でやっていくのか、どういう措置をとられるのか、これを伺いたいと思うんです。
  47. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 御質問趣旨、よくわかります。しかし、福田総理閣議でも主宰して決定をしたわけでございまして、運輸省陸運局あるいは厚生省の問題、労働省の問題、そういうものも一部は地方行政決議に沿わない点もあるということを申し上げているのでございます。同時に、なかなかこれ一遍できてしまったものは、三十年も改革をしなくちゃならないと思いましても、一遍でき上がっているものを改革するということは非常にむずかしいことでありまして、その間に国会決議をされているというようなことも尊重しながら改革をすべきものは改革する、そういう意味で、福田総理が一部は決議趣旨に沿わない点がある、こう申し上げたのは、いまの二年間のうちに運輸省ばかりじゃなく、労働省厚生省もひとつ地方事務官については改革するんだという意味を含んでいると私は解釈しております。私もそう考えております。
  48. 野田哲

    野田哲君 荒舩長官は、一遍形ができているものを改革するのはそうなまやさしいものではないんだというふうに言われたんですが、確かにそういう点はあると思うんです。しかし、今度の行政機構改革全体の問題について私は考えてみると、結局行政機構改革の問題が一つずつそれぞれの法案になって、運輸委員会へ付託をされたり、あるいは文教委員会へ付託をされたりするから、この前も私は意見を述べたように、行政機構改革という形での総合的な審議ができない、そういう扱いにいま法案の出し方はなっているわけです。しかし、そういう状態の中でも、今度の行政機構改革を見ると、たとえばこれから本委員会審議する農林省設置法の一部改正を見ても、長年北海道で旭川営林局、帯広営林局、北見営林局、函館営林局、こういう形で存続をし、住民にも非常になじんでこられて、地域自治体、住民、関係者がぜひ営林局として存置をしてもらいたいという強い要望が北海道から出ている問題についても、これは政府はやはり法案として提出をしてきておるわけです、廃止という形で。これは各党協議の上で一応一定の合意に達しておりますからそれ以上私は申し上げませんけれども、あるいはまた法律事項ではありませんけれども、小樽の大蔵省関係で言えば財務部、これもやはり管内の十九の市町村の市町村長あるいは議会から、あるいは管内の関係金融機関から挙げて存続を要望する決議や陳情、要請がされているわけです。そういうふうに、政府はやろうとしたことについてはかなりごり押しにやってきておる面があるんですよ。ところが、この地方事務官問題は三十年以上も当分の間というのが続いているわけです。政府の方でやられるのは、地域の住民がぜひ存続をしてほしいとか、あるいはこうあってほしいという地域の住民から大きな声が上がっている問題については余り耳を傾けようとしていない、かなりごり押しをしている。地方事務官問題で言えば、これは三十何年間もこういう状態になってきたというのは、しょせんはもう一言で結論を言えば、各省庁のなわ張りがこれは邪魔になっているんです。各都道府県は、知事会でも何回も決議をされているように、地方公務員移管をすべきである、こういう意向が前からずっと続いていたんです。それが三十何年間も結論を出せずにきているというのは、つまり、各省庁のなわ張りからこういう状態になっているんです。つまり、政府の方の行政機構改革の問題の処理の仕方というのは、関係住民からこうあってほしいということに対しては余り耳を傾けていない、各省庁のなわ張り争いについてはもう手をやいている、こういう状態なんですよ。これは私は行政機構改革の取り扱いとしては本末転倒だと思うんです。各省庁のなわ張りがネックになっているような問題については、これはやはり荒舩行政管理庁長官ともあろう大物大臣で、決断の早い、かつて予算委員長として国民から拍手喝采を受けた荒舩長官でありますから、私はこれはやはり決断をすべきことだと思うんです。あなた方の扱いというのは、国民の声の方よりも各省庁のなわ張り争いの方に一番手をやいている、こういうことであってはいけないと思うんです。  そこで、もう一回長官に聞きますけれども、つまり、私は福田総理の言った一部というのは、もう陸運関係のいま出ているので打ちどめですか、ほかはもう一部に該当するようなものはないんですかというふうに聞くと、どうもそうでもないように、これから個々に業務によってセレクトしていくんだ、こういうふうな方向で作業が進められようとしている。そうすると、いままで国会で、自治大臣行政管理庁長官総理大臣が、国会で行われた決議の線に沿ってということを何回か答えておられる、福田総理だけがその中で一部は意向に沿わない点がある、こう答えているんですが、これからやっていく作業でまだまだこの一部という範囲が拡大をするということになれば、これは国会決議、それに対して答えている自治大臣総理大臣答弁というのは、一体これは架空のものなのかどうなのか、できないことを総理大臣が答えているんだったら、私どもも問題の受けとめ方をまた別の角度でしなければならないと思うんです。その点を端的に答えていただきたいと思います。
  49. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) おっしゃられることはよくわかりますが、福田総理が言った一部決議に沿わない点があるというような答弁趣旨は、私が考えておりますことは、いまの陸運局運輸省の問題、また厚生省労働省の問題、こういうものを含めて一部ということであると判断をしております。またそういうふうに私も考えております。
  50. 野田哲

    野田哲君 この福田総理の答えた一部というのが、このいま出ておる陸連の問題だけではなくて、残りの陸運、それから厚生労働にまで及ぶということになれば、これはもういままでの決議方向とか、国会での関係大臣答弁とは全く逆の方向で取り扱われるということになるわけです。福田総理の一部意向に沿わない点があるというのが労働厚生にまで及ぶということになると、これは地方事務官というのはそれすべてなんですから、陸運関係とあとは労働厚生しかないわけですから、そこにも及ぶということになれば、方向としてはこれは国家公務員移管をするのがほとんどなんだと、こうなってくるわけですが、いまの長官お答え労働にも厚生にもその一部というのはあるんだということになると、これは逆の方向に向いていると思うんですが、そういうことなんですか。
  51. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 別段逆というわけじゃございませんが、去年の十二月に閣議決定をしたのでございまして、まあそれ以上拡大するという意味じゃなくて厚生労働ということを踏まえてという意味になることでございます。そういう方針でやりますが、しかしいまの陸運局の問題につきましても、私がさっき遺憾の意を表したとおりでございまして、おっしゃるとおり、各省間のなわ張りという言い方がいいか悪いかわかりませんが、そういう点でなかなか困難であった。したがって、今度厚生労働の問題につきましてもよくひとつ各省の意見もお聞きいたしまして、また各方面意見もお聞きいたしまして遺憾のないようにやっていきたい。思ったよりもなかなか大変であったというその事実を踏まえまして慎重にやろうと、こう考えております。
  52. 野田哲

    野田哲君 だから、ここでのやりとりを私が考えますと、つまり、いままでの扱いというのは、たてまえとしては地方公務員移管をするんだと、こういう趣旨がずっと国会での附帯決議でも、あるいは三木内閣当時の三木総理お答えでも一つの流れとしてあったと思うんですね。福田総理がことしの予算委員会で一部と言われた。ところが、いま聞いてみるとその福田総理の言う一部というのは厚生にもあり労働にもあり、こういうことであれば、これはいままでの取り扱い、国会審議した趣旨と私はこれはかなり方向が違う、こういうふうに受けとめ、ざるを得ないわけで、これは行政管理庁あるいは行政管理庁長官だけでやりとりしてもこれ以上審議が進まないと私は思うんで、これは総理並びに関係大臣一堂に出てもらったところでないとこれ以上の議論ができないと思うので、私はこの問題はきょうはもう終わります。  最後に荒舩長官に一つだけ、これは政府委員の方から予告はいってないと思うんですが、あなた自身の問題ですから端的にお答えをいただきたいと思うんですが、四月二十一日に荒舩長官は靖国神社へ行かれたわけですね、いかがですか。
  53. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 参りました。
  54. 野田哲

    野田哲君 どういう資格でどなたと行かれたわけですか。
  55. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えいたします。  私も遺家族の一人でありまして、弟が大東亜戦争中戦病死しております。したがいまして、なおまた私は九段の衆議院の宿舎に住まっております。で、幾日ということは覚えておりませんけれども、毎日議会に出てくるときには必ず靖国神社で自動車からおりて、拝殿までは行かないでもお参りしております。そういう趣旨でございます。
  56. 野田哲

    野田哲君 四月二十一日にはどなたかとお会いになったですか、お会いというよりも一緒だったですね、これは福田総理、それから服部郵政大臣藤井労働大臣、こういう閣僚の方々と御一緒だったようですね。
  57. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 総理はおりました。あとはよく覚えておりませんが、十四、五人おられたと思っております。絶えず参拝をしておりますから別に他意はございません。
  58. 野田哲

    野田哲君 写真載っていますね、総理の後ろに荒舩長官がモーニングに威儀を正して。
  59. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) いや、モーニング着ておりません。普通のです。
  60. 野田哲

    野田哲君 服部郵政大臣藤井労働大臣福田総理、こういう方々とはどこで合流されたんですか。
  61. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えします。  社務所と思っております。総理は宮中に参内した帰りだというのでモーニングを着られておったと思います。ほかの人は服装覚えておりません。私もこのままふだんのかっこうでございました。
  62. 野田哲

    野田哲君 これは、社務所で合流されたのは、時間、場所等打ち合わせをして合流されたんですか、それとも偶然そこで一緒になったんですか。
  63. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えします。  私も遺族会の会員の一人ですから、二十一日はひとつお参りをするようにどうでしょうというから、時間があればお参りをいたしますと、こういうつもりでお答えしました。ちょうど総理は宮中からお帰りだというので一緒に参拝いたしました。
  64. 野田哲

    野田哲君 そうすると、総理長官と郵政大臣労働大臣というのは、偶然にそこでばったり出会われたんですか、それとも社務所で時間を打ち合わせをしてお会いになったわけですか。
  65. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 別段打ち合わせをしたわけではございません。二十一日になるべく大ぜいでお参りしようということを日本遺族会から話がありました。富んで参画いたしたわけでございます。そのとき総理が宮中からの帰りだというのでモーニング着ておいででございまして、なるほど総理大臣は偉いものだなあ、モーニングちゃんと着てきているがわれわれはこういうかっこうでちょっとまずかったかなあ、こういうような気もいたしました。それは事実でございます。
  66. 野田哲

    野田哲君 遺族会から大ぜい参ってくれということで案内があったということですが、あなたが四月二十一日に靖国神社へ行かれた、これは資格はどういう資格になっているんですか。
  67. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 別段資格はありません。荒舩清十郎で参りました。ちょうど私も九段の宿舎往復しておりますから、別に資格も何も靖国神社へ年じゅう拝みに行きますから、別段資格をどうということはありません。一個人でございます。
  68. 野田哲

    野田哲君 長官は、自民党のこの何か英霊にこたえる何とかという会の何か役を、副会長か何かなさっているんじゃないんですか。
  69. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 何も役はないと思いますが、以前は党内の靖国神社国家護持の委員や何かしておりましたが、いまは何もしておりません。
  70. 野田哲

    野田哲君 この問題についていろいろ国民の間にも賛否の意見があるわけですけれども、いろいろこの問題について報道されているもの、情報に接すると、この四月二十一日に長官が、まあ荒舩清十郎個人だということですが、いずれにいたしましても荒舩さん、それから藤井勝志さん、それから服部さん、それぞれ閣僚ですけれども、この方々が靖国神社へ行かれたのは、いま長官が言われた自民党の靖国神社国家護持の問題を審議をしている会の会長か副会長か、そういう役職にあるということで報道されているわけですが、憲法二十条では国家機関と宗教とはかかわってはいけない、こういう規定があるわけです。したがって閣僚の役職についておられる方々は、少なくともそういう靖国神社をどうしようかというような目的を持った組織といいますか、団体といいますか、自民党の役職、これからは外れるべきだと思うんだし、長官はいま何にもやっていないと、こういうことであれば、私はそれなりにそれで了解をしておきたいと思うんですが、閣僚の地位にある方々は、そういうある政治目的を持った役職にはつくべきでないと、こういうふうに考えるんですが、この点いかがですか。
  71. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 私はそういう役職につくことはよくないと思っております。だからいまそういう役職にはなっておりません。ただし、私は戦争中私の郷里で村長をしておりました。戦争が始まる前及び戦争中、そうして毎朝のように出征する軍人を送り出しました。後のことは心配するなと、村のことは。あなたの家族も村じゅうも後顧の憂えのないようにやりますから、しっかり国のために働いてきてもらいたいということを毎朝兵隊が出るたびに送り出しまして、その出征した人たちの多数が戦死をしております。そういう意味もありまして、私は靖国神社の英霊に対しましては、代議士であるとか大臣であるとかということを離れまして、神社の前を通るときには自動車をとめて毎日あそこでお参りをしてくる、これが私の日課でございます。したがいまして、遺族の問題あるいは靖国神社国家護持の問題等は現在何も役員ではございませんけれども、英霊に対しましては、村長をしていて送り出した兵士多数戦死をしているということについて責任感を持っております。また、戦争中私の兄弟が全部出征をいたしました。六人、陸軍、海軍に出征いたしました。出征軍人の家族というものがいかに悲惨なものかという非常に悲しい経験を持っております。そのうちで一番下の弟が戦死をしております。そういうようなことで、靖国神社には毎朝出てくるときは必ずお参りをしてくることが日課でございまして、たまたま、幾日になるかわかりませんけれども総理と一緒に参拝したこと、靖国神社へ参拝したことが悪いことだとも何とも、そういう感じは持っておりません。当然の国民としての義務のような気持ちでおります。しかし、まあ行政管理庁長官という立場ですから、遺族会の役員だとかなんとかそういうことはやっておりません。それは慎んでおります。  以上でございます。
  72. 野田哲

    野田哲君 閣僚については、かつて稻葉法務大臣がある会合に出席をしたことが非常に大きな問題になった経過があって、そのときに、閣僚という地位の重みからして公私の区別はつけられない、こういう釈明を総理大臣が本院で行って了解をされている、こういう経緯もあるわけでありますから、いまの長官の説明で私はこの場のこの問題については了解をいたしますが、先ほど来の行政機構改革の一項目としての地方事務官問題、これはいままでのやりとりからして、私は政府の扱い方には非常に一貫性を欠いている、実際にこれから二年間ということで実務を進めていこうとする政府委員の方々の説明を聞くと、国会での総理関係大臣答弁されていることとはかなり姿が変わってくるんじゃないか、こういう印象を受けるわけでありますが、また機会を改めて、関係大臣のいらっしゃるところでこの扱いについてはただしてまいりたいと思うんですが、少なくとも、これは三十三年間経過をした中で、国会でも何回も議論をされ、決議もされていることでありますから、これからの二年の間に取り扱っていくについては、国会議論され、総理を初め関係大臣が答えておられる、それから踏み外すことのないような措置をとるべきではないか、ぜひそうあるべきだということを要望して、きょうはこれ以上の質問はできませんので私は終わります。
  73. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 午前の、質疑はこの程度にとどめます。  午後は一時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  74. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再会いたします。  午前に引き続き、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、北海道管区行政監察局分室設置に関し承認を求めるの件を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 井上計

    井上計君 まず最初に、行政管理庁にお尋ねをいたしますけれども、本日の議題でありますが、事実上は北海道管区の行政監察局の縮小計画であろう、このように理解をしておりますが、特にいま行政改革を強力に進めていく中で、そのような縮小計画をされても、今後の行政監察業務に特に支障はないんでしょうかどうでしょうか、お伺いいたします。
  76. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 私ども行政監察局地方支分部局、地方局は北海道を除きまして都道府県単位に置かれているわけでございます。それで、国の行政機関及びその国の事務をやっております都道府県等調査いたしますが、行政は大体行政機関、この場合都道府県でございますけれども、これに国から委託されて行っておりまして、県内は大体一つにまとまって行政が行われることが非常に多いわけでございます。それで北海道の場合、非常に地域が広いというようなことで従来地方局を三つ置いていたわけでございますけれども、北海道は道という一つの機関でございますので、そこに地方局がなくても、行政監察のやり方等を合理化するなり、あるいは行政相談、これは非常に住民と密着した仕事でございますので、そこには分室を置いて従来どおり行うといったような合理化を行うことによって、管区監察局一本で支障なく行えるというふうに考えております。
  77. 井上計

    井上計君 支障がないということでありますから了解をいたしましたが、ただ、行政改革は人を減らすことだというふうなのが余りにも強く出過ぎておりまして、したがって、そのためには各省庁とも一律削減というふうな、いわば形式に大変こだわっている点が多いんではなかろうか、こういうふうな感じがするわけです。特に二十年前あるいは十年前と比べますとすべてのものがずいぶんさま変わりをしました。仕事量が非常に十年前と比べて多い部門、あるいはまた減った部門、同じ減った部門としても減り方がずいぶんと差があるということになります。それらを考えてまいりますと、現在のような行政改革の進め方では、やはりそこにどうしてもでこぼこがさらに一層激しくなるんではなかろうか、こういう実は感じが私どもいたしてならぬわけであります。午前の答弁でも荒舩長官がおっしゃっておられましたが、行政簡素化、合理化というふうなものを特に主張をしておられます。合理化というのは、言いかえますと、もちろん人を減らすとか、あるいは行政のそれぞれの重複した部門、それらのものを整理統合はもちろんあたりまえでありますけれども、逆に必要なところにはやはり人もふやす、いわば適量を適宜適所に配置をするいうふうなこと、これがやはり合理化だと私はそういうふうに理解をしておりますが、そこで考えますと、ただ部門を減らすとか人を減らすとかということ、もちろんこういう面の整理簡素化、大切でありますが、もう一つ私はぜひこの際取り上げていただきたい、検討しなくてはいけないという問題は、精神面の行政改革というものを取り上げていかなくてはいけないというふうに強く最近感じておるわけです。  精神面の行政改革といいますと大変理屈っぽくなりますけれども、言いかえますと、古くから言われておりますが、公務員の綱紀粛正というふうなことであろうというふうに思うんですが、そこで、公務員たる責任だとか、あるいは義務感、使命感というふうな、そういうことが現在公務員の方、全部だとはもちろん言いません、ごく一部であるかしれませんけれども、かなりそういうふうなものが欠如しておる、使命感や義務感や責任感というふうなものを全く忘れておる公務員が、どの程度の率かは別としてあるということは、これはもう事実だと思うんですね。そういうことについて、いま一度やはり掘り下げて、そういうふうな矯正あるいは指導ということをぜひ行っていかなければ、行政改革をこれから進めていく上においてやはりまた一層矛盾が出てくるんではなかろうか、このように実は強く私は感じております。  そこで、国家公務員法の第一条、「この法律の目的及び効力」という中にもはっきりうたってありますが、「職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」と、こうありますし、それから「服務の根本基準」で、九十六条ですが、「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」、それから九十七条には、「職員は、政令の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。」、それから「職務に専念する義務」として、百一条でありますが、「職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。」、いろいろあるわけでありますが、これらから考えてみましても、果たしてそのような、いわば法律によってそのような使命感、責任感、義務感を全部の人が持っているとはなかなか思えない現状だというふうに考えます。そこで、そのような点から荒舩長官のひとつ御所見をお伺いをいたしたいというふうに思います。
  78. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 全く御意見のとおりでございます。行政管理庁といえば簡素合理化するという名前で、ややもすると整理縮小という方ばかり走っておりますが、しかし、必要とあればやっぱり増員せざるを得ない部門もあります。  それからなお、おっしゃるとおり精神面の問題、心の持ち方の問題、そういう点につきましては、特に最近においていろんな問題があるたびにその感を深くするものでありますが、公務員はいかにあるべきかという気構え、こういう点はおっしゃるとおりでございまして、鋭意精神の面でもひとつ注意をいたしまして、国家のために努力していかなければならない、こう考えております。
  79. 井上計

    井上計君 いま、荒舩長官から御所見を承りました。全くそのとおりだというふうに、私もさらに一層強い感じを持っております。  そこで、公共企業体等労働関係法におきましても、やはり「目的及び関係者の義務」として第一条に明瞭にうたってありますが、「この法律は、公共企業体及び国の経営する企業の職員労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ」という部分でありますけれども、そこにやはり「公共企業体及び国の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」、このように書いてあります。  そこでお伺いをいたしたいと思いますけれども先ほどちょっと読み上げました宣誓書の問題であります。この宣誓書はすべて公企体も共通であろうと思いますけれども、」宣誓書 私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。」、こういう宣誓書の様式が政令に記載をされております。このような宣誓書を各省庁ともおとりになっておると思いますけれども、きょう御出席をいただいております農林省、郵政省、それから国鉄、電電公社等から、このような宣誓書をおとりになっておるかどうか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。順次お願いをいたします。
  80. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) 食糧庁におきましては、いま先生おっしゃいましたように、新規採用いたしますと、その宣誓書を私どもの前で読ませまして、それをとっております。
  81. 陣野龍志

    説明員陣野龍志君) 私どものところも宣誓書は採用の際にとってございます。しかし、この服務の宣誓をさせましても、その後やはり形を整えてまいる必要がございますから、そういう自覚を持って職務に精励するように、採用後におきましても十分指導してまいっております。
  82. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 出る間際に確認はしてまいりませんでしたが、私の記憶ではとっておったと思います。
  83. 坂部政夫

    説明員(坂部政夫君) 入社の際に宣誓書と同様な誓約書をとっておりまして、これには「法令その他公社の定める諸規定を守り誠実に職務を遂行することを固く誓います。」という誓約書をとっております。
  84. 井上計

    井上計君 当然のことだと思いますが、すべて入社の際、あるいは入省の際におとりいただいておるということでございます。当然であろうというふうに思います。  さてそこで、じゃ、この「誓います。」というこの宣誓書、これらのものを出して、そして国鉄あるいは電電等に入社し、あるいはまた、きょう農林省がまだお見えになっていないようですが、食糧庁も同じでありますけれども、郵政省にしても、入省した人がこの宣誓書どおりに服務していない場合の処置、これらの処置等についてはどのようにお取り扱いになっておられますか、もしおわかりなら、ひとつお答えをいただきたいというふうに思います。各省ひとつ順次お願いいたします。
  85. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) 食糧庁の中におきましては、いまおっしゃいましたようないろいろな非違行為的なことが起こりました場合には、一応内部で処分といいますか、懲戒のための審査委員会のようなものを設けておりまして、そこで、その職員の起こしましたような状況、事実等を審査しまして、それに応じまして処分が必要なものは処分をいたす、こういうやり方をとっております。
  86. 陣野龍志

    説明員陣野龍志君) 私どものところも、法令の遵守義務違反でありますとか、いろいろな態様に即しまして、それぞれの非違行為に対しましては厳正に懲戒処分その他の措置を護じてまいっているところでございます。
  87. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 国鉄におきましては、まず第一に日本国有鉄道法に分限に関する法規がございますし、また内部的には就業規則等で事細かにこういう場合にはこうしますというようなことが規定してございますし、また労働組合との間にも懲戒に関する協約というのを結んでおりまして、これらの諸法令に基づきまして対処いたしてまいるわけであります。
  88. 坂部政夫

    説明員(坂部政夫君) 電電公社も国鉄と大体同様でございまして、基本的には日本電信電話公社法、また細かくは就業規則を持っております。それに照らしまして非違行為に対しては厳正にいわゆる処分を行うことになっております。
  89. 井上計

    井上計君 各省庁ともとっておられるし、またそれに基づいて指導し、またそれらに違背する事項があったとき等については規定基づいてそれぞれ処理いたしておると、こういうお答えであります。まあ型どおりのお答えでありますが、ただ率直に申し上げまして、この宣誓書どおりに処理をしておられる、あるいは宣誓書に違背した者についてどのような処理をしておられるかについてははなはだ実は疑問を持っております。率直に申し上げて、この宣誓書に違背をした人を法律等に基づいて処理されれば、私は公企体の職員も公務員も、相当数が直ちに降任なり免職なりに実は持っていかなきゃいけないような人が相当現在いるんではなかろうかと、こういう感じがいたしておりますが、これ以上深く追及いたしませんけれども、余りにもこの宣誓書が形式的に流れ過ぎておって、もう宣誓書をとっておるんだからということで形式的な宣誓書になっておるきらいが非常に最近強くなっておるんではなかろうかと、こう思いますから、特にこの点については荒舩長官もひとつ大いに御留意いただきまして、各省庁に対して、いま一度宣誓書の見直しといいますか、形式的に流れないように服務規程等についても十分ひとつ指導、勧告をしていただくこと、これを要望しておきます。  そこで、実は先般三月の二十五日でありましたが、予算委員会で私が農林省の食糧事務所、それから食糧事務所の米穀検査並びに生糸検査所等の問題等につきまして、荒舩長官と、それから農林大臣にいろいろと質疑を行いました。ところがその後いろんな方から、——新聞に出たからだと思います。かなり新聞に報道されましたし、またコラムにも大きく取り上げられ、あるいはテレビでも何かそのようなことを話題として供したようでありますけれども、そのせいだと思いますが、私にいろんな電話が実はかかってまいりました。ほとんどが激励の電話でありました。さらに、こういうむだがある、こういうことがあると、だからもっとやれと、こういうふうな電話がほとんどでありましたが、その中の一人から実はこういう電話がかかったんですね。もとより議論だとか抗議ということではありませんでしたが、私と見解が違いますと、公務員というのは消防士と同じです、だからピーク時に合わして人員を確保しておるんであって、したがって、暇なときに仕事がない、遊んでおるといってもそれはむだということにはならないと、こういう実は御意見の電話があったわけです。もちろん名前は言われませんし、どこのだれかわかりません。ただ私は公務員だがと、こういうことでありました。それを聞きまして、私はそういう考え方がやはり公務員の方、どの程度か知りませんけれども、多くの方か少ない方か、あるいは全部かどうか知りませんけれども、そういう考え方があるとするとというまた別な疑問を実は感じておるわけですけれども、こういう考え方について長官どうお考えでしょう。私はおかしいと、こう思いますけれども、公務員はもう消防士と同じだと、警官や消防士と同じように、要するに仕事のピーク時に合わして人員をそろえると、それが国民への奉仕である、だから暇なときには仕事がなくて遊んでおっても別にそれを責めるべきでないと、こういう意見なんですね、考え方なんですが、全く私の考えと違うんですが長官はどうお考えでしょうか、いまの問題について。
  90. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えいたします。  井上さんの御意見と私は同じでございまして、実は生糸検査所、横浜とか神戸とかいうことは言いませんでしたが、いまの井上さんに電話のかかってきたような同じ趣旨の電話がございました。それで、まあ消防と同じだと、こういうことを言いました。だからわれわれはむだじゃないんだと、こういう言い方でございまして、それじゃ君に聞くが、今後生糸の検査をするようなことが実際に行われるかと言ったら、それはわかりませんと、しかしわれわれは必要があればと待機しているんだから差し支えないと思います、公務員はそういうものですと、そういう言い方でございました。しかしこの考え方はとんでもない私は間違いだと思っております。それからまた、そういうことに各省の大臣みんな気がつかなくちゃならない、そうでなければ国民の血の出るような税金をむだ遣いをしていることになりますので、全く同感でございまして、そういうことに心して行政をやっていくつもりでございます。なお、各省に対しましても私の考えを全部伝えることにいたしておきます。
  91. 井上計

    井上計君 いや、長官にまで電話がかかったとは全く知りませんでしたが、私と同じような電話が長官にかかったとすると、かなりこれは組織的な行動ではなかろうかというふうにいま感じましてよけいに驚いておるのでありますが、長官のお考え、私と全く同じお考えだということを承りまして安心をいたしました。いまのこの生糸検査所の問題、食糧事務所の問題等はちょっとまた後でいろいろとお伺いしたいと思います。  そこで、成田事件に関連をいたしまして幾つかお伺いをいたしたいというふうに思います。  三月の二十六日、さらには先日五月の二十日、過激派の、いわば事実上の内乱と思われるようなあのような暴動等に対して当局側は適切な処置をとられました。そこで、かなり多数の逮捕者が出ておりますが、新聞報道等に伝えられているところによりますと、三月二十六日の事件で二十四人の公務員が実は逮捕されておる、それから五月二十日におきましては八人の公務員が逮捕されておる、こういうこと、これはもう御承知のとおりです。新聞にも載っておりますし、かなり各紙いろいろな形で報道しております。いろんな報道を見ますと、やはり多い公務員であるとか、川崎の郵便局員がどうだとか、さらに五人の公務員だとか、いろんな新聞が、いわば過激派の中心は公務員であるというふうなことをすべて報道しておるわけですね。ここにやっぱり大きな問題が生じておるし、これはいまだけの現象面だけでとらえるのでなくて、やっぱりこういうふうなことがなぜ起きたかという遠因を、この際強くまた速やかに探って対処していかなくてはいけないと、このように考えております。時間がありませんから余り新聞等詳しく読みませんけれども、ある新聞では解説にこういうことを書いておるんですね。   高度経済成長期、どの企業も学生運動に比較的寛大だった。しかし、不況となると民間企業は、法律やルールを守れない活動家をきびしくチェック、締め出しを強化するようになった。   そこでねらわれたのが役所や公企業体などである。ここでは「思想信条の自由」を隠れミノに、たとえ学生時代に逮捕歴があったとしても、採用の時、身上調査が行われることはほとんどなく、学生時代に過激な行動をしても自由にもぐり込める。こうした役所の体質がまず第一にあげられる。   職場で政治活動をしやすい環境も彼らを〃培養〃る助けとなっている。親方日の丸の公務員や学校の先生は、仕事を放り出して活動をつづけても、上司から文句を言われることがない。しかも、休暇を自由にとれ、たとえ逮捕されたとしても有罪が確定するまで「休職扱い」となって、月々の給料を受け取れる。成田でつかまった自治職員のほとんどがいまだに懲戒免職処分を受けていないのは、このためである。 こういうことも新聞に書いておる。事実だと思います。この自治体の問題、きょう自治省には特にお越しいただいておりませんから、長官の方からこれらのことについてもひとつ厳しくまた御指導願うといたしまして、そこでお伺いいたしますけれども、まず電電公社にお伺いしたいんですが、例のケーブルの切断事件のその後の調査状況、すなわち、新聞報道等によりますと、内部の者でなけりゃわからぬということが報道されておりますが、したがって内部の通報者が絶対的にいるんだと、こういう新聞報道が多いわけです。これらについてひとつ簡単で結構ですがお伺いをいたしたいし、もし万一そういう内部通報者がいた場合、それが判明した場合にはどういうふうな処分をとることをお考えになっておるか、現段階で結構ですが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  92. 坂部政夫

    説明員(坂部政夫君) いわゆるケーブル切断事件の犯人が内部であるかどうか、これは目下警察当局が御捜査中でございますし、公社はこれに全面的に御協力いたしておりますので、後日判明すると存じますが、もちろん内部の職員から犯罪者が出るということは思いたくございませんですが、万一出た場合には厳正な処分をいたしたいと存じております。
  93. 井上計

    井上計君 万一出た場合には厳正な処分という、厳正にもいろいろあろうかと思いますが、従来のやはり処分を前例とすると、厳正とおっしゃる意味がよくわかりませんけれども、やはり従来はいろいろなことにずいぶん甘い処分をされておるんです。甘い処分がきれておるからだんだんエスカレートして、この程度やっても平気だ、この程度やっても大したことにならぬ、この程度やってもと、だんだんだんだんエスカレートしてついにあのような大それたというか、大変な犯罪行為を犯すことになるということだと思いますので、これはもう厳しくやっていただく。もちろん警察当局の捜査進展いかんでありますけれども、やはり公社側としても厳しいひとつ態度で臨んでいただきたいというふうにこれは特に要望しておきます。  そこで、国鉄当局にお伺いをいたしますけれども、国鉄の成田線の問題であります。燃料輸送について動労がやはり順法闘争と言っておりますけれども、完全な違法ストである。これは先般橘高常務理事が、順法闘争は違法か合法ですかとお尋ねしたら、違法だと明確にお答えをいただきましたから違法ストということで私は質問をいたしますが、違法ストをやっておる。さらにこの五月二十七日でありますけれども燃料列車が立ち往生した、その原因は制御回線が切られておる。これについてもやはりかなり内部事情に詳しい者でなけりゃわからぬという新聞報道があるわけですね。これはどうなんですか、やはり内部に通報者がいたということで捜査をされておるんですかどうですか、承りたいと思います。
  94. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 私どもの方のケーブルは、先生御存じのように、鉄道線路に沿ってずっと敷設されておりまして、中には地下に埋設されたものもあるし、橋の上などはそのまま地上に出ておるというようなことでございまして、電電さんのケーブルの場合とはかなり様相を異にしておりまして、変な言葉でありますが、だれでも簡単にその辺は手をつけられるという状態でございまして、必ずしも、電電さんの場合はどうこうというわけじゃありませんけれども、比較的手をつけやすい状況にございますので、内部でなくてもその辺の事情に暗くても可能な要素があろうかと思います。
  95. 井上計

    井上計君 内部に必ずしも通報者がいなくても比較的そういうふうな妨害をやりやすいようなということですから、どうもそう伺うとこれはえらい大変なことだなと、これから何が起きるかわからぬなというまた不安がさらに一層強くなるわけですが、やはり内部の問題とあわせてそういう問題も十分対策をお考えいただかないといけないというふうに思います。  そこで、先ほどから公務員の宣誓の問題でも申し上げしたけれども、やはり新聞報道等によりますと、逮捕された公務員等の管理者が逮捕者の素顔を語っておるわけです。その中に、国鉄の東京西鉄道管理局の総務部長が、今度逮捕された平野は「3・26事件で逮捕された佐藤と同じ職場で、ふだんから親しかったというので、日ごろから現場管理者がとくに厳しく目を光らせていた。しかし平野は、今回も一カ月前からきちんと休暇届を出して休んでおり、休みが終わっても出勤しないので調べたら逮捕されていた。勤務時間外の生活については指導に限界はあるが、同じ職場から過激派」云々と、こうなっていますが、一月も前から休暇願をきちっと出しておったから安心しておったという意味にもとれるんですがね、実際に一カ月も休暇願を出して休ますというのは、これはどういう理由で休ましたんでしょう。詳しいこと御存じなければ結構ですけれども、ちょっとお聞かせいただきます。
  96. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 私ども業務は非常に不規則な勤務がございまして、日勤あるいは一昼夜交代、あるいは三交代勤務等々の勤務の組み合わせでやっておりますので、大体前月の二十五日までに翌月分の勤務を一カ月分組んでしまうという仕組みになっておりまして、その中に、まあ自分は結婚式があるからとか、あるいはレクでこういうところに行きだいとかいう個人個人の計画を、駅長のところ、まあ実際には助役でありますが、勤務を担当しておる助役のところへ申し出て、その承認を受けて一カ月分の勤務割りができると、こういうことになっておりますので、一カ月前というのはそういう意味でございまして、勤務割りがそういうふうになっておるということでなかろうかと思います。
  97. 井上計

    井上計君 まあいろいろとこういうふうな現在の国鉄、特に国鉄の勤務の状態等についてメスを入れるとこれは際限ないわけですね。三年ほど前かと思いますけれども、ある会社が仕事量が減ったために遊休人員ができた。そこで、国鉄のある機関区の工場に相当数、何百人かを実は出向といいますかね、出したと。それが二カ月ばかりで帰ってきてこんなことを言ったということを聞いておるんです。われわれは、いままで会社側あるいは労働組合幹部にだまされておったと、要するに生産性を上げるためにわれわれは決められた労働時間、拘束あるいは実働何時間か知りませんが、精いっぱい働くことが労働者として当然の義務でありまた責任だと、こういうふうに言われて働いておったけれども、国鉄の工場へ行って驚いた。国鉄の工場の職員は一日に二時間か三時間働けばわれわれは労働者としての任務を果たしたと、こう言っておるではないかと、こういう実はうそみたいな話が相当有名になった事実があるんですね。事実を申し上げますと、これは浜松の遠州製作所から、浜松の国鉄のあれは機関区工場ですか、そこへの出向の事実なんです。これは三年ほど前になりますがね。そういうふうなことが至るところにあるということを、多くの人がもう大分知ってきました。だから、やはりそういうふうな服務規程等をもう一度見直してもらって、あるいは見直さぬでも服務規程どおりにやってもらえばいいわけでありますから、そういう面について十分ひとつ指導を強くお願いをいたしたいと、さらにもうこれは要望しておきます。どうも何か発言のたびに橘高常務にいろんなことを申し上げて恐縮ですけれども、大切なことでありますから特にきょうまた要望しておきます。  そこでもう一つ、これは国鉄橘高常務からこの前お答えいただいておりますから、運輸省にお伺いをしたいんですが、違法スト等によってこの二十年来大変な損害を、国鉄もさらに国も国民もこうむっておるわけであります。それについて、いろんな民間側から損害の賠償請求訴訟がなされております。これはさておきまして、そこで五十年の十一月二十六日からの長期間のスト権スト、あれによっての民間側が受けた損害の賠償請求訴訟が各地で幾つか行われておる。その一つに御承知だと思いますけれども、愛媛県の青果連の俗に言うミカン訴訟があるわけですね、金額は五千四百八十六万円、これが東京地裁に提訴されておるわけですが、これはもう事実そのとおりですからいいんですが、その提訴に対して、私の記憶ちょっといま定かでありませんが、翌五十一年の四月か五月であったと思いますけれども、動労の四国地本の大会でこういう決議がなされたんです。この細かい点若干字句は違うかもしれません。要するに愛媛県の青果連はけしからぬと、われわれが長いこと犠牲を払って愛媛県のミカンの輸送を担当してやっておったのにかかわらず、今回のこの訴訟はわれわれの労働運動を妨害をするものだ、だから即時この訴訟を取り下げなければ、自今愛媛県のミカンの輸送は一切拒否する。さらに、それでもなおかつ反省をしないならば、愛媛県産のミカン並びにミカン製品等については、総評大会において不買同盟を決議すると、こう動労四国地本の大会において決議をしたということを運輸省御存じでしょうか。実は、橘高常務理事には、この前これは承知をいたしておるという御答弁を先般いただいておりますが、運輸省どうでしょうか。
  98. 山地進

    政府委員(山地進君) 先般の当内閣委員会の席上におきまして、初めて先生からそのお話を承ったところでございます。
  99. 井上計

    井上計君 そのときにも申し上げましたけれども、私はこういうことが、運輸省当局は御存じなかった、御存じなかった理由もあるとは思います。しかし、国鉄当局が、橘高常務理事は当時承知をしておったと、こういうことです。私は、少なくともこの決議に参加した人は、先ほどの宣誓書からいって全員やはり処分すべきだと、こう思うんです。これはいま大変な問題だと思うんですよ。これは民主主義の冒涜、憲法遵守云々と書いてありますけれども、全く憲法無視もはなはだしいわけですね。そういうことが、ただ単に労働組合のいわば決定である、直接業務に支障がないとか、あるいは労使関係をこれ以上険悪化しないとかというふうな遠慮がいろんなことにだんだん高じてくるから、私はやはりこのような公企体の職員、あるいは公務員に、まあいろんないわば反体制といいますか、事実上日本を転覆さそうという過激派の各セクトに入ってこういう行動をするという一因ではなかろうかというふうに考えるんですが、荒舩長官どうお考えでしょう。いま私が言ったこと、またいろいろとお答えありましたけれども、それらについてひとつ突然で恐縮ですけれども、こういう事実があったんです、荒舩長官。恐らく長官も御存じなかったと思いますが、どうお考えでしょうか。こういうものさえ見逃してきたという、やはり従来の何か甘やかした姿勢というものについて、大きないろんな問題をさらに方々に派生をさしておる原因だというふうに私は考えますが、どうでしょうか。
  100. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 私、不勉強でございまして、きょう初めて承ることですが、それが事実といたしますれば大変な問題でございまして、まあどういうふうに処分するかというようなことは私の所管事項でもございませんので言いかねますが、しかし大変な考えの間違いだと思っております。そういうことがあったら、大変な、国はつぶれてしまうと、国家の機関は全部だめになる、そういうふうに考えております。そういうことのないように、まあ政府努力しなくちゃならないと、こう考えております。
  101. 井上計

    井上計君 どうかひとつ長官、これは私が何も動労を目のかたきにしてどうとかとか、あるいはそういう労働組合運動をどうとかというんじゃ全くありません。隣でいま補足発言しようかなんてささやかれておりますけれども、そういう意味じゃなくて、やはり国民全体の立場で考えて、もうこれはいま一つの例ですけれども、大変なことだというふうに当時強く感じましたが、それについて余りどこでも問題が出てこないんですね、だから私全く不思議で仕方がなかったんですが、こういうふうな事実も過去にあったと、過去にあったということは現在もあるかもしらぬし、これからもあり得るということになると思いますので、ぜひそういう面につきまして、これはもう何も荒舩長官お一人じゃありません。政府全体が大いに心していただいて、それについてのひとつ指導、さらにはそういう指導に従わない人等については、この服務規程、宣誓からいっても、当然これについては処分の対象になり得るわけでありますから、今後とも大いにひとつお願いをいたしたいというふうに思います。  あと成田事件の解雇者等について、それらの人たちについてどういうふうな、この際懲戒免職に伴ういろんな処遇といいますか、処分をしたか、いろいろお聞きしたいと思っておりましたが、時間がなくなりましたからこれは省略します。ただ、先日もやはり国鉄の橘高常務理事にも私意見として申し上げましたが、国鉄の共済組合、あるいは電電の共済組合等も同様だと思います。懲戒免職をした者に、退職金はもちろん支給していないということでありますけれども、退職年金をやはり二〇%カットで支給をしておる、二〇%カットはこれは規定であると、こういうことであります。しかし言いかえますと、国に迷惑をかけ、損害をかけて大変な事件を起こして、そうして懲戒免職になった者がわずか二〇%の減額だけで、退職年金をいわば生きている間ずっと受ける、死んだら家族が受けると、この遺族年金ですね、やはり不合理だと。しかもその本人の掛金分は、若干国鉄と電電と違うかもしれませんけれども、国鉄の場合には五十三年度ではわずかに本人の負担分は一六・五%である、国鉄の負担金、追加費用が五十三年度は二千五百九十一億円であると、そういうふうなものでめんどう見ておる共済組合の年金を、懲戒免職した者までそういう多くを支給することについては当然問題があるということを、先般橘高常務理事には申し上げました。電電も若干内容は違うかもしれませんけれども、まあ同じようなことが行われておると思いますし、そういうこと等についても十分ひとつ御配慮いただくように、これはお答え要りませんが要望しておきます。  次に、農林省に一つお伺いをいたします。  最初に生糸検査の問題でありますが、先ほど私のところへも電話がかかった、荒舩長官のところにも実は電話がかかったと承りましてびっくりしたわけですが、しかしそういう考え方がやはりある。そういう考え方をまず是正をしていかなくちゃいかぬと思いますが、それらのことについてひとつ強力に御指導いただくとして、その後の五十四年度計画になりましょうか、その後具体的に生糸検査所の合理化計画あるいは縮減計画等についてはお立てになっておられますか、どうですか、ひとつお伺いをいたします。
  102. 池田澄

    説明員(池田澄君) 国の生糸検査につきましては、従来から蚕糸、繭業をめぐる諸情勢の変化に対応いたしまして、検査の機械化と自動化、それから検査要員の縮小、それから検査項目の簡素化、縮小等の措置を講じてその改善合理化に努めてきたところでございます。今後とも、基本的には昨年十二月に閣議決定されております行政改革方針に沿いまして、検査人員及び組織の縮小、自主検査の推進、検査の機械化等により国の生糸検査所の改善合理化を図っていく考えでございます。  なお、先ほど公務員は必要なときのために構えておればいいというような御発言といいますか、そういう電話があったというお話でございますけれども、私ども、生糸検査所の職員とは生糸検査の合理化につきまして常日ごろ意見を交換してまいっておりますけれども、いま井上先生や荒舩長官からお話のありましたような内容につきましては、いままで聞いたことはございません。そのような者はいないものと私どもは信じておりますけれども、もしそのような考えを持つ者があるとすれば、きわめて遺憾なことであるというふうに私も存じますので、今後ともそのようなことのないように十分指導してまいりたいと思っております。
  103. 井上計

    井上計君 そこでもう一つお伺いいたしますが、生糸検査所の設備の合理化、近代化等を考えておると、こういうことであります。実は先日、十八日だったと思いますが、たまたま神戸に所用がありまして、先般横浜の生糸検査所は私は実は見に行ったわけです。先般、十八日に所用がありまして神戸へ参りましたので、午後の二時過ぎであったかと思いますけれども神戸の生糸検査所を実は訪問をいたしました。突然の訪問でありましたからまあ当然かと思いますけれども、全く仕事がないわけですね。ほとんど仕事をしている方がないわけです。私はそれを見て感じたことは、職員が大変気の毒だと、仕事をしたくても仕事がないわけですよ。そこで、いま言われるように、いろんな合理化をやっておる、考えておる、設備を云々と言われますけれども、幾ら設備を入れても、設備が実は無用の長物になるおそれもありますね。だから、人員を減らすために設備を入れると言われるけれども、実は仕事がないのですから、何も強いて私はこの財政不如意の折から、そういう設備を入れることもないんではないか、こういう実は気がしました。これが一点、これは私の意見ですからどうのこうのいまお答え要りません。もう一つそこで聞いて驚いたんですけれども、設備の稼働状況、稼働率等の把握はどうしていますか、あるいは就業人員の稼働率であるとか、そういうことについてどうですか、部門別の稼働率だとか作業能率、作業時間の測定はと言ったら、そういう資料全くないということなんですね。過去そういう資料とっておりませんと、こういうことなんです。なるほど親方日の丸だなあという感じがして、実はびっくりしたわけですけれども、そういうふうな資料だとか調査ということは従来からやっていない、またやらなくていいということになっておるんですか、それだけちょっとお伺いいたします。
  104. 池田澄

    説明員(池田澄君) 国の生糸検査所におきます検査件数あるいは人員の配置、それから、いま先生の御指摘の設備あるいは機械の設置、その稼働状況につきましては、常にその動きにつきまして報告を得、その動向について把握しております。そのようなものを今後とも十分頭に置いて生糸検査所の合理化には努めてまいりたい、こういうふうに思っております。   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕
  105. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 井上さんの御質問と農林省の答弁と、少し答弁がおかしかないかと思うんだがね、輸出生糸なんです、輸出生糸の検査をするということなんです。国内の生糸の検査じゃない。輸出はもう皆無なんです。それを設備を改良するのどうのって何か一あなた知らないんだよ、これは。それは井上さんのおっしゃるとおり横浜も神戸も全然検査していないんです、もう。それを設備を改良するの何のというのはおかしいんで、私は以前に生糸の商売をしていましたから本職です。それでいま検査しないんですから、ほかへその人たちを転換する以外に方法はないんですよ。それを機械設備をどうのと、機械も何も要らないんだ、人間も要らないんだ、それは。だからひとつこれは農林大臣とよく話をしまして、本当に全然遊んでいて気の毒なんです、仕事がないんですから。ですから私から農林大臣に話をしまして早くいまの御質問のようなことでないようにしっかりやるつもりです。
  106. 井上計

    井上計君 荒舩長官ね、私はもっと言いたいことたくさんあるんですよ。ただ、おっしゃるように輸出生糸が全くなくなったけれども、設備があり、人員がおるからということで実は国内生糸の検査業務をやっており、またそれを拡大しているわけです。だから、言い方は悪いですが、必要ないけれども人員がおるし設備があるから、やむを得ず実は仕事をよそからとってきてふやしておる、そのためにコストが高くなるからというんで検査手数料を今年度から倍に上げたというようなことですから、これは実際もうおっしゃるとおりなんです。ただ、私余り言っているとお気の毒だと思うから実は遠慮して余り詰めた質問をしない、武士の情でおるわけなんですが、長官がそうおっしゃると、これはむしろ私以上にずばりおっしゃっていただくんでもう大いに意を強うしますけれども、ぜひこれは、そこで働いている人のためにも私はやはり考えてあげるべきだ、人間仕事がなくて毎日出勤してというのは、こんな苦痛なことはないと思うんですよね。私は本当に行きましてそういう感じがしました。だから、職員を責めようという気は実は毛頭なくなったんです。むしろこれはこういうものがあるからやむを得ぬ、したがってどうしようかということで存続をし、存続をしておくために新しい仕事をつくる、むしろ行政の監督者、上部の責任だなあと、こういう感じがしましたので、あえてきょうまた提起をした、こういうことでございます。  そこで、生糸検査所についてはこれ以上詰めますとまたいろいろと担当課長お気の毒だと思いますからもう遠慮いたしておきますが、ついでに今度は食糧事務所のことについてひとつ食糧庁にお伺いしたい、これはもう簡単にお伺いします。  先般私も指摘をいたしました。それからまた、その後いろんな資料もいただきました。ある食糧事務所の支所ですけれども、実は私行って直接その支所長等から実は話を聞きました。しかし、聞けば聞くほど、またその後私のところへいろんな資料が実は方々から出てまいりました。いろんな人から、知らぬ人から資料を送ってくるんですね、もっとやれ、こんなのむだだと、それをもう知れば知るほど実は唖然とするというふうな状態がいっぱいあるわけですね、これまた仕事をしたくっても仕事がないんだと。そこでいろんな計画はあります。ここに支所から出した業務の計数、ずっといっぱい書いてありますがね、私ども民間人の常識でみればこんなものを——この支所は五十三人ですね、五十三人の人たちがやっておる支所、しかもこの支所は、これは愛知県の安城というところ、安城というところは日本のデンマークと言われるぐらい総合農政、非常にもうあらゆる農作物、農業の実はモデルケースになっておるところ、そこの支所でさえが実はこの程度の仕事内容しかないということですから、米だけの地域の食糧事務所、あるいは米がほとんどで他の農作物が余りないというふうな地域にありますところの食糧事務所の仕事は私は推して知るべしだという感じがするわけです。  そこで、食糧庁にお伺いしておきますが、現在一万五千何ぼでしたね、検査官の数が。それぞれが各県に配置されておりますけれども、そのほとんどが地元の採用者であるということです。そこで、その中で兼業農家の出身といいますかね、言いかえますと、本人は公務員である、しかし奥さんならあるいは親なりあるいは息子の名義で生産者として米を持ち込んでおるという人が相当いるようですが、それらについては把握をされておりませんか。
  107. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) 農家来業の事務所の職員の数のお尋ねでございますが、はっきり申しまして細かい統計はございません。幾つかの事務所に問い合わせて、細かい資料ではございませんが、大体の感触では約半分ぐらいではないか、こういう感じでございます。
  108. 井上計

    井上計君 約半分ぐらいではないかというお話でありましたが、この安城の職員の中で、検査官で、安城でさえが実は兼業農家が五〇%だというんですね。だから、他へ行きますとはなはだしいところは八〇%、九〇%というところがあるようですよ、要するに兼業農家の検査官が。事実かどうかわかりません。これはひとつやはりそれらの点は調査をされる必要があると思います。  で、なぜそれを申し上げるかといいますと、各地で米の減反政策についていろんな問題が起きています。だから、ほかの人から見ると、あそこのうちはおやじさんが公務員で高い給料をもらっておると、そうして暇なもんだから有給休暇を精いっぱいとったり日曜日あるいはふだんも、休みかどうか知らぬがうちに帰ってせっせと女房と一緒に米をつくっている、で、あそことうちと同じように一律的な減反されることはけしからぬと、こういう意見もあるわけですね。だから、やはり公務員の服務規程の中に兼業の禁止もあるわけですからね。しかし、それは兼業とは言いませんけれども、やはり道徳的にそういうことについてもそれらの人たちが自覚をしなくちゃいかぬと思いますが、そういう実態等についてぜひひとつ調査をされまして、今後そういうことについてのやはり指導もしていただくように、この合理化、それから縮減計画、簡素化業務の画一化、それから民間へのさらに委託業務をふやしていくというようなことをぜひひとつされるように強く要望しておきます。  この問題等については、また別の機会にもっと詳しくお聞きをしたいと思いますし、さらにもう一つは、生糸検査所の職員も、あるいは米の検査官等についても、配置転換、それは非常に困難です。地元いろんな問題があります。それはよくわかります。しかし、私はいままでのような考え方で配置転換をしてもそれはなかなか容易にうまくいかぬ。そこで、配置転換については発想の転換が必要だと思うんですね。これはもう突拍子もない意見になりますけど、ひとつ例としてお考えいただきたいんですが、たとえて言うと、神戸にも横浜にも国立の病院があります。あるいは国立の学校があります。そういうところでは、福祉関係のといいますか、仮に看護婦さんの助手であるとか、あるいは付添婦であるとか、そういう人たちが実はいなくて困っているわけです。そういうところに実は出向という形で、配置転換でなくてもいいと思うんですよ、出向という形で少しでもそういう仕事をやってもらうということを私は考えてもいいんではないか。従来の規則からいけばそれはできぬと言われるが、これをどうするかということでやっぱり規則を変えていく、改めていくというふうなことが必要だと思いますが、もう時間がないんで、あとまだ質問が残っているんですが、長官、簡単にひとつこの点について御所見を承りたい。
  109. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えします。  そういうようなことを初めといたしまして、転換が非常にむずかしいんで、むしろ米の検査の方より生糸検査所の方が転換がむずかしいと私考えております。まだうまい考えはございませんが、農林大臣とよく相談しまして転換の方法を考えてみたいと思っております。
  110. 井上計

    井上計君 最後になりましたが、農林省の方に農林弘済会の問題等についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  農林弘済会が財団法人として昭和四十年ですか、設立をされておるということは資料をいただいて承知をいたしております。そこで、農林弘済会の設立の任務また目的は、「農林水産業の振興発展に貢献するとともに農林水産業関係者の福利増進と文化の向上に寄与することを目的とする。」、明確にうたってあります。ところが、農林弘済会が事実上の民業を圧迫するような、そういう事業活動を活発にやっておられる、こういう事実を私は承知をいたしております。時間がありませんから一々お答えをいただくということでなしに、私が申し上げて主な点だけひとつお伺いをしたいと思いますが、ちょうだいをした資料で、農林弘済会の中に印刷部門というものが設置をされております。この印刷部門の所要人員は工場現場従事者が十七名、管理者四名ということを承りました。そこでオフセット印刷機が三台あります。これはどういう機種ですか。
  111. 江上幸夫

    政府委員(江上幸夫君) お答えいたします。  オフセット印刷機の三台は、そのうちハマダA三型というのが一台、それからハマダB四型というのが二台でございます。
  112. 井上計

    井上計君 そのような、言えばごく零細な印刷設備ですね、印刷設備でありますのに、資料でちょうだいをしてわかりましたけれども、この弘済会が年間受注しておられますところの印刷物の合計は四億三千七百万円であると、こういう数字を承りました。それは間違いありませんね。そこで、四億三千七百万円の、農林省本省だけでそれだけのものを受注しておる。そのほかに、関東農政局あるいは林野局等から受注しておって、五十二年度は四億九千五百万円、約五億円の受注をしておると、こういうお話でした。その約五億円の受注がすべて随意契約であると、こういうことですが、それは間違いございませんか。
  113. 江上幸夫

    政府委員(江上幸夫君) 随意契約でございます。
  114. 井上計

    井上計君 ここにやっぱり重要な問題、重大な問題があると思うんです。この五億円という受注、これが全部随意契約である。そうして、そのほかに、この一体と思われるような、すなわち六〇%を農林弘済会が出資しておる農林弘済印刷株式会社というものがある。そこに下請に出しておる、それが約二億円である、残りの約三億円程度のものを自分のところでやっておる。しかし、ほとんどができないので、実はすべて民間の外注に出しておる。言いかえますと、それは農林弘済会が随意契約で農林省からとって、あるいは関東農政局、林野局からとっている、それらのものの中間マージンを、言い方は悪いですが、搾取だということですね、なぜそういうことをする必要があるのかということです。私は、御承知だと思いますけれども、官公需の中小企業の受注確保に関する法律というのがあるわけですね、この法律にも違反しているわけです。こういうふうなことが、これは農林弘済会だけではありません。これは農林弘済会をたまたまやり玉に挙げて気の毒だと思いますけれども、各省庁の弘済会にすべてこういう例があるわけです。これは荒舩長官御存じないかもしれませんけれども、これもひとつ行政改革の一環としてぜひひとつ御留意をいただきたい。これはただ、私が印刷出身のものですから、身近にいろんな資料が手に入りますし、前々から聞いておりましたから印刷の問題として取り上げましたけれども、ほかのいろんな物品調達、購入等、みんなこういうケースが多いんですね。これは私は、やはり当初申し上げましたけれども公務員たる資格、これは弘済会の方は公務員でないかもしれませんけれども、事実上は弘済会の役職員のほとんどが、要するに公務員であった人ですね、公務員OBですから、公務員に準ずるという考え方でまいりましても、こういうことについては十分ひとつ反省を願わなくてはいけないというふうに考えておりますが、これを特にひとつ要望いたしまして、時間がなくなりまして大変質問がしり切れトンボになりましたが、最後にもう一度農林省から、どういうふうに今後これについて考えていくかというお答えと、総合的なひとつ御所感を最後に長官からいま一度承って私の質問を終わりたいと思います。農林省ひとつお願いします。
  115. 江上幸夫

    政府委員(江上幸夫君) 農林省本省の印刷物は、御承知のとおり、原則といたしましては登録印刷業者の見積もり合わせによりまして発注契約しておりますが、そのほか緊急を要するものとか、それから内容の取り扱いにつきまして慎重を要するもの、それから特別の指導を要するもの、それから特定の様式のもの、それから印刷過程において原稿を随時追加したりあるいはその内容を変更することが予測されるもの、こういうものにつきましては、農林省の中で仕事をやっておりますその弘済会に随意契約をして発注しておるわけでございます。それで、その方の一部につきましては、先生のおっしゃるように、納期等の関係もありまして一部を下請に出しておることは事実でございます。ただ、この下請に出すことにつきまして、たとえば大企業がまとめて受注いたしまして、それを中小企業に分けて下請させるというようなことがありました場合には、これは官公需法の趣旨に反するというようなことがあるかと思いますが、弘済会のこの下請の場合には、一般にこういう印刷業務におきましては下請はやっておるような商習慣もございますし、先ほど申しました大企業がまとめて受注して下請に出すというのとちょっとケースが違いまして、官公需法の趣旨に必ずしも違反しているとは思いませんが、今後ともこういう官公需法の趣旨に沿って発注してまいりたいというふうに考えております。
  116. 井上計

    井上計君 いま経理課長、いろいろと弁明されましたが、   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 私はもう実はこれ以上詰めた質問しないつもりだったんですが、いまの弁明を承りますと、全くもってこれはお考えが違う、けしからぬということになりますよ。それはね、農林省内で外部に出したら困るもの、納期の急ぐもの、あるいは直しの多いものだとか秘密を要するもの云々があるから省内でやるというお話ですけれども、それなら直営にするんならともかくも、弘済会という名の印刷物でやる理由と全く違いますよね。それは事実いまおっしゃるようなのは表面の理由であって、現在民間に発注されても何ら支障がないものばかりです、ほとんど。九九%支障がありませんよ。だからといって、そういうふうなただ単に表向きの理由だけでこういうことをやっておる、しかもそれが一括して大企業に出しておるなら官公需法に違反をしておるけれども、そうではない一般の民間の中小企業に出しておるから違反をしていないと言われるのは、全くのこれはやっぱり弁明おかしいと、こう思うんですね。だから、むしろ私が申し上げるのは、一括して年間五億円の随契をなぜ弘済会がとるのか、これは官公需法違反ですよ。ひとつ勉強してください、それは。なぜ農林省が弘済会にどさっと、弘済会に出さぬでもいい、弘済会でなくてもいいものをなぜ一括して随契に出すのか。むしろ、弘済会も民間の中小企業と同じように競争入札に参加されればいいんです。自分のところの能力以上のものを随契で受注して、それを外部に出す、そこでやっぱりトンネルマージンを取るということは、これまたやはりおかしいです。やはり弘済会の私は性格からいって反省をしてもらいたい、こういうことであえて申し上げたんですが、余り強く申し上げるつもりはなかったんですけれども、いまのお答え、弁明を聞いておって、一言やはりこの点だけはいま一度きちっとすべきだと、こう思って発言をしたわけです。もうこれ以上言いませんけれども、十分ひとつ御検討をいただきたいというふうに思います。長官、一言お願いします。
  117. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 大変私どもも知らない部面が多かったんですが、いろいろな御指摘やいただいて、まだまだいろんなことがあると思います、大きい世帯ですから。十分意を体しまして、各省に連絡をいたすことにいたします。ありがとうございました。
  118. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、行政改革の全般的な問題をまず長官にお聞きして、それから後、今回の法案に関連をした質問を展開していきたい、このように思います。  まず、長官にお尋ねをしますが、これはちょっともう過ぎた問題でございますけれども行管の姿勢として行政改革をどのようにお考えかということでお聞きするわけでございますが、福田内閣の行政改革の流れを見ておりますと、総理が昨年東南アジアの歴訪から帰ってこられて、中央省庁の統廃合を中心に据えて行政改革を断行する、これは八月いっぱいと、こういうような言明があったわけでございますが、八月を二日過ぎて九月の二日に行政改革についてその基本方針と要綱が閣議了解をされ、次いで五十二年の十一月二十八日に「行政改革計画(第一次)」というのが行政改革本部決定として発表をされております。その後十二月二十三日に「行政改革の推進について」というのが閣議決定をされたわけでございますが、まあその間に行政管理庁長官の更迭もあったわけでございますが、これらの流れというか、政府閣議決定に至るまでの経緯、その経緯荒舩長官行政改革に対する決意、これをまずお聞かせ願いたいと思います。
  119. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 昨年の九月ですね、総理が、たとえばエネルギー省の問題だとかいろんなアドバルーンが上がりましたが、これはいま考えてみると、まだまだ研究が足りないうちアドバルーンが上がってしまったと思っているんです。そういう点につきまして、各省庁の統合ということは行政の根本的な問題でございます。で、いま一番必要なことは、何といっても景気の回復、雇用の問題、まあ雇用の促進をするというような問題等を早急にやらなけりゃならない、あるいはまた輸出貿易の問題、こういうような問題が急務中の急務であると思うのでございます。したがって、行政改革がこういうことに対して逆モーションになるようなことが起こってはならないということを第一番に考えてみなけりゃならないと思っております。  それから、やらなけりゃならない問題はたくさんあります。まず、手っ取り早くできるものからどんどんやっていくというようなことで、昨年二百海里問題ができて農林省を農林水産省にするというような問題、それから中央省庁の課をもっと急速に減らそうじゃないかというんで五十一を対象に課を減らすことを考えております。それから、地方の出先の支所、出張所等を三、四年の間に千カ所整理をする。国家公務員については御承知のように今後の、まあ去年を起点といたしまして四年間に二万八千人を削減する。それから定年制の導入を決定をいたしました。特殊法人については新たに十四を対象に整理合理化を進める。で、合わせまして、現在やっておるものといたしまして二十一法人を整理統合することでございます。それから役員の退職金、まあ非常にいろいろな各方面から非難がありますので、まあひとつ退職金は二割減額をするということを決定をしました。それから、審議会四十八を整理統合する。それから、補助金については千四百二十二億円という大幅な整理を行う。まあそういうことを初めといたしまして、許可認可というようなものを合理化いたします。まあこれでいいということじゃございませんが、とにかくこれを実行するための法案提案をいたしまして、もうすでに御決定を願ったものもございます。しかし、これでいいということじゃございません。今後ひとつ税金のむだ遣いをしないように鋭意努力していくつもりでございます。ただ、省庁の統廃合という問題、これは行政の根本問題でございますから、慎重にしかも有効に時代に合うような努力をしていく覚悟でございます。
  120. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いまおっしゃったとおり、行政改革ということはもう古くて新しいいろんな問題があることでいろいろな方面からいろいろと要望があると思います。しかし、この行政改革実施するにはもう抵抗がある、困難であるということは、さすがの荒舩長官も真情を吐露されたこともありますとおり、過去の歴史が証明しているところでございますけれども、やはり行政改革には目的があるということは、これはもう当然でございますが、その目的が行政の効率化でもありますし、機構簡素化、そしてまた行政経費の節減にあると、このように思いますが、九月の二日の閣議了解の「行政改革に関する基本方針」を見ても行政経費の軽減ということが一つの目的になっておるようでございます。そこで、今回の政府の一連の行政改革の目的は、この三つ申し上げた中のどれが一番主なのか、そしてまた、これが実施をきれるということで行政経費がどれぐらい節減になる見通しなのか、その見通しについてお答え願いたいと思います。
  121. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 行政改革のねらいと申しますか、目的と申しますか、その中で御指摘のように行政経費の節減が大きな課題であること、そのとおりでございます。そのほかに、新しい時代の変遷に応じましたような行政体制をつくっていくということも大きなねらいであるわけでございます。  そこで、経費の節約の額でございますけれども、御承知のように、単年度ベースで直接大きな経費の節減効果を生じますのは、主に補助金整理と定員削減であろうかと思うわけでございます。補助金の整理につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、五十三年度におきまして千四百二十二億円の節約ということになるわけでございます。そのほか定員削減六千六百人分を削減いたしておりますので、それに見合った経費の節約になるわけでございまして、五十三年度だけで推計できます額を計算してみますと約千六百億円ぐらいになるわけでございます。そのほか、たとえば行政機構簡素化ということにつきましては、直ちに大きな経費の節減にはつながってこないのでございますけれども、まあ将来にわたりまして経費の節約効果があるわけでございますので、そういうものも含めますと、今回の行政改革によりまして相当な規模の行政経費の節減につながる、このように考えております。
  122. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 去年福田総理が提唱されてからの一連の目玉というのは、先ほどもお話があったとおり中央省庁の統廃合、これを目玉に据えたかったということでございますが、しかし、御承知のとおりの経緯を踏まえまして、中央省庁の再編成問題は一連の閣議決定でも引き続き検討すると、このように少し後退したような表現になっておりますが、そういうことで総理のリーダーシップを疑うということが世間でも言われるところは御承知と思います。  かつて行政監理委員会で、行政改革を阻害するものの原因としては、官僚機構の抵抗、これはもう長官がしばしば言明しておられますが、あるいはまた各種利益団体の集団の活動といいますか、それから、行政に対する国民一般の日常の関心不足、この三つを挙げておるようでございますが、これ以外にもいろいろあろうかと思いますが、行政改革を阻害する原因として、先ほど申し上げた中央省庁の統廃合の場合も官僚機構の非常な抵抗ということがあったということは私たちも十分感ずるわけでございますが、官僚出身でない党人出身の荒舩長官としては、こういう抵抗をどのように排除して行政改革の目的完遂のために努力せなければならないかと、このところの見解といいますか、御決意を御披瀝願いたいと思います。
  123. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えをいたします。  なかなかむずかしい問題でございまして、まあ考えていることはいろいろございまするけれども、それは確かに、役人の抵抗ということよりも各省間のいろいろな抵抗がございます。さっきも御質問等がございましたけれども、たとえば地方公務員の問題で、いわゆる運輸省陸運局の問題にいたしましても、なかなかこれはむずかしい抵抗がありました。これはまあ本当にやっとのことで実は法律を出すようにいたしました。なお、これからまあいろいろやらなくちゃなりませんけれども厚生省の問題、労働省の問題、これらについてもなかなか各省間のなわ張りというか、あつれきというか、ありまして、容易でないと考えております。それから、本当に思い切ってやるということになれば、まあ大変ないろいろ摩擦が起こってきて、それが果たして国のためになるかどうかということもやっぱり研究しなくちゃならない。まあ具体的な話でなくて失礼でございますが、そういう問題があります。  それからなお、いつでも申し上げますが、行政整理が皆さん方各党とも賛成でございます。しかし、これは総括すれば賛成だが、各論になってきますと反対が非常に多くなる。おれの方の役所をこう切ってはどうだ、ああ切ってはだめだ、これを整理することはけしからぬということで、決意を持ってやりましてもなかなかむずかしい問題でございます。まあなるべく摩擦の起こらないで実が上がるようなことをやっていこう。そんなことじゃ弱くてだめじゃないか、こういう御意見があるかもしれませんが、しかし、これも政治でございますからどうぞひとつ御理解を願いたいと思う次第でございます。
  124. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 中央省庁の統廃合の問題は、これは資源有限時代ということやら、あるいはこういうような低成長の時代でございますから、国のなるだけ経費を縮減をするということで、どうしてもやらなくてはならぬということで福田総理が提唱されたわけでございますが、いろんな抵抗があって、無難な方からやっていった方がいいんじゃないかという姿勢に行政改革の姿勢が変わったような感じがするわけでございますけれども、やはり民間が非常にこういう不況の中で節減を迫られて、いろいろと合理化も進んでおる中で、国だけが安穏としておるわけにはいかないと思いますが、長官としては、この中央省庁の統廃合は今後どのようなスケジュールで進めていかれるおつもりなのか。まあ今後引き続き検討するという、先ほども時間の長短の問題がございましたけれども、こういう文句だけでそのまま済ませる問題ではないんじゃないか、こういうふうに思いますが、その辺の御見解を。
  125. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 去年アドバルーンが上がりましたのは、エネルギー省、それから住宅省の問題であります。そこで住宅省の問題につきましては、まあ方針は、社宅が必要でございまして、これは急増しなくちゃならないと、こういうことで、そこで建設省と国土庁、これを一人の大臣が行うということでまあ住宅省の問題はこれで解決をしていくようにしたいと考えております。それから、エネルギーというものは大変なことでございまして、まあこれは、やらないかやるかということは、やる方針でひとつ大いに努力をしていかなくちゃならないと思います。それから、いろんな問題等がありますが、なるべく摩擦を起こさないようにしながら大いに前進をしていく覚悟でございます。
  126. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 昨年の十二月二十三日に閣議決定がされた「行政改革の推進について」、これを見ますと「中央省庁、部局等の改革」の中で、「当面、建設、国土両省庁を一国務大臣が所管することとし、また、対外経済政策を機動的に推進するため無任所国務大臣制の積極的活用を図ることとした」と、このようにありますが、この中で、櫻内建設大臣が国土庁長官を兼務をしておられるということは、将来建設省と国土庁を統廃合するという、そういう含みがあるんじゃないかというふうな考えを持つわけでございますが、そこら辺はいかがでしょうか。
  127. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) きょうはっきり答弁をするとまた問題になりますからなかなか申し上げかねますが、そういうふうに御想像をいただけばそれが結構だと思います。私の考えはいまの御発言のようなつもりでございまするけれども、いや、これが実行できるかできないかということ、きょう言明するわけにはいきませんが、そういう方向で進んでみたいと考えております。
  128. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そういうようなことで、審議会の問題等の整理というのも、国土庁の方に総理府の方から移った面も相当多いと思いますので、ひとつそういう方向で前向きで善処していただきたいと思います。  また、同じように十二月の二十三日の閣議決定で「行政改革の推進について」と、このようになっておりますが、その中身を見ますと、行政改革本部が決定した第一次のものに若干追加事項が加わっておるにすぎないような感じがいたしますが、聞くところによりますと第一次の次に第二次という案を決定すべきところを、余りそう追加するところがないのでというようなことで十二月二十三日の閣議決定一本になったと、このように聞いております。この経過ですね、どうして第一次を出して第二次というふうにされないで、ただ「行政改革の推進について」というふうになったのか、そこらあたりの経緯についてお知らせ願います。
  129. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 今回の行政改革計画策定の経緯でございますが、先ほども和泉委員から御指摘のございましたように、まず九月の二日に基本方針と、それから要綱とを決めたわけでございます。そこで、この基本方針にのっとりまして要綱にいわば肉づけをするという作業をやってまいったわけでございます。その途中の段階といたしまして十一月の二十八日に、ただいま御指摘になりましたように行政改革本部の了承ということをいたしたわけでございます。この内容は、それまでに事務的に詰まりましたものを掲げたということになっているわけでございます。その後そのほかの残りの懸案と合わせまして、ただいまも御発言がございましたように十二月二十三日の「行政改革の推進について」という閣議決定をいたしたわけでございます。したがいまして、この十二月二十三日の閣議決定は、事務的に決めました十一月のいわば第一次の分のほかに、さらに第二次を含めまして合わせて閣議決定ということにいたしたつもりでございます。
  130. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次に、この十二月の二十三日の閣議決定した「行政改革の推進について」と、この中身を見ますと、実施のめどを書いたものと実施のめどが全く書いてないもの、この二通りあるようでございますが、たとえば中央省庁の課、室、官等の整理は、五十三年度以降二年間で実施をすることになっておりますし、また函館、旭川、釧路の行政監察局は五十三年度に廃止すると、このようになっておりますけれども地方事務官制度解決については何も書いてないようでございます。そこで、一体この行政改革を全体としていつまでに実現をさせるおつもりなのか、そこらあたりをお答え願いたいと思います。
  131. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 今回の行政改革計画に盛り込みましたいろいろな事項につきまして、その大半の事項につきましてはむしろ私どもは期限がついているんではないかと考えておるわけでございます。ただいま御指摘のございましたように、本省の課、室、官でございますと二年間、それから地方支分部局の整理再編成でございますと、大部分のものにつきましては五十三年度あるいは三年ないし五年というように期限がついているわけでございます。  それから、ただいまお話のございました地方事務官制度につきましては、午前中の御質疑もございましたように、運輸省関係陸運事務所地方事務官につきましては、すでに今国会法律案を御提案申し上げているわけでございますし、厚生省労働省につきましては、大変困難な問題はございますけれども、二年間以内に廃止するということで努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。確かに定年制の問題でございますとか中央省庁の問題でございますとか、こういう問題につきましては期限をつけていないわけでございますが、こういうような問題になりますと、御承知のように現在の行政組織あるいは公務員制度の基本にかかわる問題でございますので、何年内というように期限をつけることは困難でございます。いろいろな要素を十分に検討いたしました上で立案に当たってまいりたいと考えておる次第でございます。
  132. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、この十二月の二十三日の閣議決定で、行政管理庁設置法の一部改正法案が出されまして、行政管理庁関係では函館と旭川、釧路の三つ行政監察局がそれぞれ廃止されることになっております。それにはいろいろと理由があると思いますが、廃止後の措置も考えられておられることとは思いますけれども行政のサービスを濃厚にしようとすれば機構も定員も多くしなければならない、こういう点がございますが、しかし、一方また行政経費の節減ということから言えば、機構簡素化しなければならないし定員も少なくしなければならないと、こういう要請がございますが、このように行政サービスの水準の確保と地方出先機関の整理統廃合には相反することが起こるんじゃないかと思いますが、この辺の点についてはどのようにお考えでしょうか。
  133. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 地方支分部局の整理再編成につきましては、考え方といたしまして、社会経済情勢の変化、あるいはまた交通手段の発達、そういう要素を考え合わせまして整理再編成を推進するということにしているわけでございます。その過程におきまして、ただいま御指摘のように行政サービスの問題があるわけでございますけれども、私どもといたしましては行政サービスの低下になりませんようにできるだけ配慮をいたしたいと、またいたしているつもりでございます。たとえば、ただいま御指摘の私どもの出先の問題につきましても、そのそれぞれございました函館、旭川、釧路に分室を設けるということをいたしておりまして、行政サービスの低下にならないように配慮している次第でございます。
  134. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回のこの提出された法案について細かい点についてお尋ねいたしますが、今回の行政管理庁設置法改正案内容は、函館、旭川、釧路にある行政監察局を廃止をして、北海道管区行政監察局行政相談部を置くと、こういう趣旨のものでございますが、このことは昨年の九月の二日の閣議了解した行政改革に関する基本方針の要綱にも全然ございません。そして、十二月の二十三日に行政改革の推進というところで盛り込まれたわけでございますが、この辺の経緯についてお答え願います。
  135. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 先ほども御説明申し上げましたように、九月二日の「行政改革について」と申します閣議了解は、今回の行政改革に関する基本方針と、それから要綱を定めたわけでございます。要綱と申しますと、改革案の策定の方針を決めたわけでございます。そこで、地方支分部局につきましては、「ブロック機関、府県単位機関については、省庁別に見直し、その整理合理化を行う。」という要綱になっておるわけでございます。その要綱の趣旨に沿いまして検討いたしました結果十二月二十三日の閣議決定で具体的な措置を定めたと、こういうことになっておるわけでございます。
  136. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この二十三日の閣議決定の中には、行管のほかにも大蔵省、農林省、郵政省の関係がございますけれども、県単位の機関で三カ所も一遍に廃止をするというのは行管だけでございますが、これはまずみずからの身を正すという、隗より始めよということでおやりになったのか、その辺の理由といいますか、どういうわけで行管の方が三カ所も廃止をするということに踏み切られたのか。
  137. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 先ほど答弁申し上げましたように、地方支分部局の整理の問題につきましては、社会経済情勢の変化、あるいは交通手段の発達、そういう要素も考え合わせながらケース・バイ・ケースに検討してまいったわけでございます。その結果、ブロック機関につきましては、御承知のように農林省の営林局四局を整理統合するわけでございます。それから漁業調整事務局一局でございます。それから、府県単位機関につきましては、ただいま御指摘がございましたけれども行政管理庁地方行政監察局三局、大蔵省の財務部二部、郵政省の地方郵政監察局支局二局を整理することにいたした次第でございまして、いずれも、それぞれの業務の実態に即しまして、いわばケース・バイ・ケースに検討した結果でございます。
  138. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今度の法案が通過をしますと、七月一日に実施に移されるわけでございますが、現在、函館、旭川、釧路の三つ行政監察局には職員がどの程度いらっしゃるのか、で、これが実施に七月一日から移されるとなりますと、これらの職員の方々の配置転換が行われると思いますが、これはどうなるのか。地元出身の方もいらっしゃるとは思いますが、家庭の都合等でなかなか他へ移るということが困難なそういうこともあろうかと思いますが、こういう本人の御希望の生かし方はどのようなふうにしておられるのか、その辺をお答え願います。
  139. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 御指摘のように、この法案をお認めいただきました上では、承認案件にございますように、三つ地方局の後に行政相談関係を中心にいたしました分室三つ設置することになるわけでございます。これを具体的に人員の配置その他について申し上げますと、現在の三つ地方局に配置されておる職員は四十四名でございます。この四十四名のうちで、この分室に配置されるのはそれぞれ九名ずつでございますから二十七名と、こういう形になるわけでございます。あと行政監察の関係は、御存じのように、札幌にございます管区の監察局に引き上げるわけでございまして、監察関係の要員といたしまして十名は札幌に移るわけでございます。したがいまして、四十四名のうちで三十七名が北海道管区あるいは分室に配属されると、そういう形になります。したがって、今回の三局の整理の結果七名というのが実はその候補として出てまいるわけでございます。そういったそれぞれ北海道に配置がえをするとか、あるいは分室に残る方とか、あるいはそういった残りの七名の方々のこれからの処置の問題でございますが、できるだけそういう職員の方々の御意向も伺いながら摩擦のない形で対処していきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  140. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 業務を大きく分けますと、行政監察と行政相談と、こういうふうに二つに分けられると思いますが、行政監察は本省から流れてくる中央監察と地方独自で行う地方監察に分かれていくんではないかと思いますが、函館、旭川及び釧路の中央監察及び地方監察並びに行政相談の件数の最近の動向、これについてお答え願います。
  141. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいまお尋ねの中央計画監察、地方監察、行政相談でございますけれども、まず中央計画監察等を特別に申し上げます。函館が中央計画監察等四本、旭川が三本、釧路が四本、これは五十一年度でございます。五十二年度は、中央計画監察等函館が五本、旭川が四本、釧路が四本。それから地方監察、これは地方局で独自に計画しましたものでございますが、五十一年度が函館、旭川、釧路の順に五本、五本、四本、それから五十二年度がそれぞれ二本、三本、三本、こうなっております。それから、行政相談の受け付け件数でございますけれども、中身はいろいろございますが、函館、旭川、釧路の順に五十一年度は二千八件、旭川二千二百五十八件、釧路が千七百六十七件。それから五十二年度は、その順に二千百十件、二千二百七十八件、それから千八百九十五件と、こうなっております。  ただいまお尋ねの地方局の業務量でございます。ちなみに管区では、それぞれ中央計画等が北海道関係でございますけれども、五十一年度が十六本、五十二年度が二十本。地方監察はそれぞれ十本、四本。行政相談の受け付け件数は三千六百三十四、三千七百六と、こういうふうになっております。このほかに環境庁の仕事等もやっております。これは北海道の場合には管区だけでございますけれども、それぞれ三百七件と百五十二件、こういう数字が手元にございます。細かな数字を申し上げましたけれども、以上のような数字が出ております。
  142. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回函館、旭川、釧路に、監察局が廃止をされてそこに分室が置かれ、分室には九名の職員の方が配置をされるようでございますが、これはやっぱり、監察と行政相談という仕事の内容について若干説明してください。
  143. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 分室業務を申し上げますと、やはり一つは行政相談関係でございます。これは今回御提案申し上げております承認案件の主たる部分でございますけれども、監察業務については札幌にございます管区に引き上げの形になるわけでございますが、行政相談は御承知のように市町村の住民サービスの問題がございますので、やはり現地で相談関係のサービス業務をやらざるを得ないということで、分室の主力業務はそういった行政相談に置いてございます。ただ、監察の関係で申し上げますと、これはやはり今後は札幌にございます管区が中心になって監察をやっていく、こういう形になるわけでございます。したがいまして、それぞれの分室に配置されている職員の一部は、そういった管区が中心になって行う監察のいわば補完的な役割りとか、あるいは情報の収集を図ると、こういう形でいわば補助的な機能を果たしていくと、こういうふうに考えているわけでございます。
  144. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そこで、監察の方の業務が北海道管区の方に引き上げられてきて補完のということになりますけれども、何となく監察の業務が少しおろそかになるような、そういうような気持ちがするんですが、そこらあたりはいかがでしょうか。
  145. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 御指摘の問題でございますが、この北海道の三局を廃止する場合に、御指摘のような点についてはわれわれも十分検討いたしたわけでございます。もともと北海道の三地方局を廃止をいたしましてこれを管区に吸収する考え方は、北海道の行政監察の実態というものを十分検討いたしまして、管区が中心になって一体的にやっていっても行政監察の効果を減殺するわけにはならない、こういう判断をしたわけでございます。いままでのそういった業務の実績からまいりましても、たとえば中央監察あるいは地方監察をとりましても、管区が中心になりましてそれぞれの地方局と一体的にやっていく、こういう場合があるわけでございまして、その点は心配するような行政監察そのものが弱体化するという形にはなるまい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  146. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回北海道の管区を、行政監察局を三つ減らしてそこに分室を置いてと、こういうことになりますと、地方自治体の体系からいくと一カ所でございますが、   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 九州とか四国は、四国の場合は松山に管区監察局がございます。九州の方は福岡にございまして、各県に一カ所ずつ監察局があるわけでございますが、そうなりますと、将来九州、四国もこの北海道形式にしていくようなそういうような考えがあるんじゃなかろうかと、こういうふうに推測せざるを得ないわけでございますが、そこらあたりはいかがでしょうか。
  147. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 先ほどから申し上げておりますように、この北海道の三局を廃止する考え方の基本となりましたのは、行政監察の実態を十分分析した上でございますが、御承知のように行政監察の仕事というのは、中央から流してまいりますいわゆる大規模の中央監察、それから地方で行います地方監察がございます。それらをそれぞれの局でやってまいるわけでありますけれども、現実の監察の対象と考えますと、これは国の出先機関と、それから地方自治体でございます。ところが、そういった監察の実態からいきますと、むしろ最近は都道府県あるいは市町村といった自治体を対象にする監察業務が非常に多くなっているわけでございます。そこで行政監察の仕事がどうしてもそういう現地の、都道府県なら都道府県の現地にありまして、そういった実情を十分に見ながら、それから国民のサイドの要望というものを十分踏まえながらやっていく必要がある、こういうことでございますので、私どもはこの行政監察の地方局は少なくとも都道府県の所在地には置く必要がある、こういうふうに考えておりますので、御指摘のように今回の措置の後にそういった管区に吸収するようなことは全然考えていないわけでございます。
  148. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 これは、行政管理庁というところは五十二年度末で職員の方々一千四百七十二名、全国組織を持つ官庁としてはきわめて小さな役所であるということは御承知のところでございますが、管区機関である管区行政監察局でも四、五十人、県単位の機関である行政監察局では二十人前後でございます。こういう人員の配置等から、これで一体行政監察が十分できるのだろうかという疑問をはさまざるを得ないことも事実でございますが、かつて行管長官であった人が、県単位の行政監察局を全部やめて管区行政監察局に集中してしまおうという案をお考えになったことがあるやに聞いておるわけでございますが、そこで長官にお尋ねしますが、行管地方支分部局のあり方について、先ほど九州、四国を例にとりましたが、そういうようなお考えについてはどのような御見解をお持ちかお聞かせ願いたいと思います。
  149. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいま先生からお話のありましたように、わが庁の定員、これは沖繩を入れますと千四百九十八人、五十二年度末で。これは沖繩が入らないと千四百七十人、先生のおっしゃる数字になるんでございますが、御指摘地方局は、大体現在少ないところは十四人、多いところで二十三人、こういうふうになっております。管区の場合には四十六名から六十九名、一番多いところと少ないところでございますが、そうなっております。それで、監察業務は各行政機関等の業務実施状況を実地に調査しまして、これによって得た実証的資料を出しまして、それで行政運営の改善を図るものであります。また行政相談は、先生よく御存じのとおり国民の苦情を直接受け付けまして、必要なあっせん、解決を促進するという作業でございますが、確かに幅広くかつ深い専門的知識が必要でございますが、個々の職員の質の向上を図りつつ、業務運営の方法の合理化、こういうものによって、少ない職員で監察業務の遂行に十全を期している次第でございます。それで、国の出先ばかりでなく、国から都道府県あるいは市町村、地方公共団体に委任されている業務及びその補助にかかる業務、こういうものも当然拝見いたします。それで、先ほど官房審議官の方から申し上げましたように、都道府県単位にはやはり地方行政監察局を置くことが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  150. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 長官
  151. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) ただいま局長からお答えしたので答弁になっていると思いますが、どうでしょう、違いましょうか。いまの御質問に対しての佐倉局長から答弁したことでお答えになっておると思いますが、いかがでしょう。
  152. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ次にいきますが、昨年の十二月の二十三日の閣議決定では、このほかに、大蔵省関係では財務部については昭和五十三年度に一部を廃止をする、あるいは郵政省関係では、地方郵政監察局支局二局を昭和五十三年度に廃止をするとかいろいろあったわけでございますが、五十三年度というのはもう来年で、五十四年三月までということになりますが、大体いつごろまでをめどに実施をされるのか、これはいずれも法律改正事項ではないので国会ではわからないわけでございますので、一応御説明を願っておきたいと思います。
  153. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) ただいま御指摘のございましたように、大蔵省財務部のうちの一部、それから郵政省の郵政監察支局二局につきましては、五十三年度に廃止をするわけでございます。私どもといたしましては、できる限り早期に整理をいたしたいと考えておるわけでございますけれども、御承知のように地方支分部局の整理の問題になりますと、関係市町村でございますとか、そのほかの関係者との調整を要するわけでございます。したがいまして、ただいま具体的な時期について明確に申し上げる段階には至っておりません。
  154. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) ただいま行管局長の答弁になりましたように、私ども閣議決定趣旨に沿いまして、五十三年度中に一財務部を整理すべく準備をしております。北海道にあります財務部のうち、小樽財務部を五十三年度中に整理をいたしたいという考えでもっていま準備を進めておるところでございます。
  155. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 郵政省関係について申し上げますが、ただいま行政管理局長も申し上げましたとおり、私ども地方郵政監察支局二局をなくしますと、いままでやっておりました監察支局の業務をどういった形でカバーしていくか、いろいろ検討することが多々ございまして、目下それを一生懸命やっているところでございますので、成案を得次第実施いたしたいと考えております。
  156. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 行管長官にお尋ねをしますが、去る三月七日の日本経済新聞によりますと、住宅省、エネルギー省の実現は困難なところから、その代替として経済企画庁、科学技術庁、国土庁、行政管理庁など総理府の外局となっている官庁の総合調整機能を再検討して、その一環として、総理府の人事局、人事院の実施事務行政管理庁に吸収すると、このような報道がなされておりますが、実際問題として、こういう案が考えられ、実現していくと見ていいのかどうか、この辺のところの長官考え方についてお聞かせ願いたいと思います。
  157. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) ただいまお話のございました三月七日の日本経済新聞の記事でございますが、私どもといたしまして、そのような案をまとめたことはございませんし、まして発表いたしたことはないわけでございます。機構、定員の管理の仕事と人事、給与の管理の仕事、これは密接な関係があるわけでございまして、ただいまの所管でまいりますと、機構、定員は私ども行政管理庁、人事、給与の問題につきましては人事院、人事局、大蔵省等に分かれている、そのことは事実でございますが、ただいま私どもといたしまして特に具体案を持っているということはございません。
  158. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ最後になりましたが、公益法人の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、科技庁の方来ていらっしゃいますね。  最近新聞等で、たしか五月八日に、あなたのところの科学技術庁の関係の指導監督下にあります公益法人海洋開発技術研究所の設立許可を取り消しをした、このような新聞記事がございますが、この新聞に載った記事のとおりなのか、少し詳細に、その点を敷衍して御説明を願いたいと思います。
  159. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生ただいま御質問の社団法人海洋開発技術研究所でございますが、御質問のように、先月五月八日付で設立許可の取り消しをいたした次第でございます。この件につきましては、一昨年でございますか、不渡りを出しまして銀行取引停止といったような醜聞がございました。その後、この法人の自主的な再建の可能性ということにつきまして私どもも見守っておったわけでございますが、再建の見通しがございませんし、いろいろ、最近に至りましては事務所がなくなってしまうというようなこともございますので、この際取り消しに踏み切ったところでございます。
  160. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 行政管理庁長官にお尋ねをしますが、この公益法人が、自体の設立の目的に沿ったそういう活動をしておるかどうかということは、これは行政管理庁の所管事務だと思いますが、そういう立場から、この新聞報道の海洋開発技術研究所の設立許可が取り消しをされたということは御存じでございましょうか。
  161. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 公益法人の監督につきましては、まず第一次的には各省庁、その公益法人を認可をされました各省庁がその監督をしているわけでございますが、私ども監察局の方では、四十六年にその行政監察を実施したことがございます。その結果を踏まえまして四十六年十二月に各省庁に対して勧告をしたこともございます。それで、引き続きまして昭和四十六年の十二月に、各省庁の文書課長会議の申し合わせによって、公益法人監督事務連絡協議会というものがつくられておりますが、これは総理府の管理室の方で世話をしている協議会でございますが、そこで改善案をいろいろと協議し、これを推進しているわけでございます。  以上のように、監察の効果としては、全般的に見てまあ上がっているのではないかと私は考えておりますけれども、当面行政管理庁としましては、各省庁の措置を見守っているわけでございますが、当然こういう公益法人の問題につきましては、いろいろな問題がございますので、いま申し上げましたように、見守りながら、なお検討を加えていきたいというふうに考えております。
  162. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この公益法人の問題については、過去に衆参両院で、予算委員会あるいは決算委員会で相当問題になって、たしか一九七三年に当時の佐藤総理の命によって行政監察局の方でいろいろと総点検をされて、その結果においていろいろ会議をお持ちになって今日に至っておるという経緯は存じ上げておりますけれども、結局この海洋開発の技術研究所、科学技術庁の指導下にある公益法人でございますけれども、四面海に囲まれた日本としては、海洋開発ということはこれは大いに心して発展をさせなければならない、そういうような私は仕事ではないかと思いますが、ところがこの公益法人がとんでもない公益法人であったと。これはもう長官も御存じと思いますけれども、この新聞が、五月の八日で九日の朝新聞が出ましたら、早速私のところに電話がございまして、ぜひ会っていろいろお話をしたいという方がございました。で、いろいろお話を聞いてみたら、まずこの海洋開発技術研究所は科学技術庁の政府機関であると、こういうことを言っておるんですね、そして会長がその当時郵政大臣であると、そして政府機関である。それから、ちょうどその当時、鹿児島県の上甑村というところに潜水学校をつくろうということでプレハブが建てられておったわけでございますが、そこの予想図を写真に撮ってパンフレットをつくっておりました。また、入学案内というのにもそういうのがつくられておって、そういうものを見せられて、こういうふうなやつができるんですよと、会長は郵政大臣ですと、そして政府機関で、船舶振興会から五億円補助、科学技術庁から補助金が十五億円出ますと、こういうようなふれ込みで来たというわけです。だから、まるまる自分の財産約九千五百万を詐欺にかかったような状態で詐取をされたと。非常に、そういうようなことをおやりになるものですから、いろいろなテクニックの中に寄付行為とかいろいろ入られておったらしくて、ことしの初めごろそこの役員の方々は召喚されていろいろ警察当局にも調べられた、そういうようなこともあったようでございますが、そういうようなことがあって、被害は、新聞には一億ないし二億の手形乱発というような見出しでございましたけれども、十億ぐらいあるんじゃなかろうかと。そして不動産の営利行為をしてはならないという公益法人でありながら不動産の売買らしいことを、未遂であってもある不動産会社に行って四十億ぐらいの取引をやろうとして、手形で、それは未遂に終わったというようなこと等もいろいろ聞かされました。そういうことで、公益法人ということでどこどこの省庁の許可を受けて設立をしたということになりますと、そういうようなことで、もう付属機関を通り越して政府機関だというような、そう詐称するような、これはもう悪質な団体かもしれませんが、そういうことでこの問題が起こったわけでございますが、それで中央の関係の省庁の監督指導下にあるそういう公益法人を、もう一回各省庁の責任において総点検をするということを、長官閣議の構成員の一人でございますので、そういう所管事務に非常に関連のあることでございますから、閣議等で総理意見具申をされる、そういうことをおやりになる決意はございませんか。大変に国民が迷惑をしておるわけでございますし、そしてまた、地方公共団体も二カ所ほど大変迷惑をしておるわけでございます。
  163. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいまのお話、先ほど申し上げましたように、総理府の管理室が現在各省庁の連絡及び協議の世話をやっているわけでございます。それで、私ども行政管理庁の立場としましては、ただいま先生御指摘のように、具体的な海洋科学技術研究所につきましては大体そのように承知しておりますし、またこれを科学技術庁が認可を取り消したこと自体も、これは措置としては当然だろうというふうに考えておるわけでございますが、こういうような公益法人を全面的に見直すという必要は、検討をすることは必要であろうと考えております。ただ、いま申し上げましたように、各省庁がまず第一に措置をし、さらにその協議会において総理府の管理室が取り扱っておりますので、そちらとよく協議してどのようにするか研究したいと存じております。
  164. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 行政管理庁の所管事項でございますし、それに関連して国民が大変迷惑を受け、地方自治体も迷惑を受けておるわけでございますので、総理府の関係ではあったとしても、あなたの方も一遍そういうような総点検をおやりになった経緯もあるわけですから、行管長官閣議の席でそういうことをちゃんと各省庁に、総理の方に意見具申されて言ってもらうということも非常に大事じゃないかと思うんですが、その辺のところを御説明願いたいと思います。
  165. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 私は勉強が足りないのかそういうことを聞いたこともないんですが、いまのお話ですと非常ないかがわしいものでありまして、そういうものがあるといたしますれば、閣議発言をいたしまして許可しないようにいたします。
  166. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 これは科学技術庁の局長が、もう一から十まで全部知っておるわけでございますから、事情聴取をされて、許可をするんじゃなくて、もちろん許可をしちゃなりませんけれども、いままである連中がそういうような詐称し、詐欺まがいの行為をしちゃならぬので、総点検を各省庁でいま一遍厳しくやるべきであるという、そういう意味の意見具申をしていただきたいと思うんです。
  167. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 私はまだ不勉強で聞いたこともないんです、それは。不勉強でそういう問題があったということを聞いておりませんが、よく研究いたしまして適当な措置をとることにいたします。
  168. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後に科学技術庁の方にお尋ねをしますが、大変な被害者がおるわけで、あなたの方で設立許可の取り消しをしたということで、後は清算人の選出というようなこと等で裁判所に移行されるかもしれませんけれども、あなたの方の指導監督が不行き届きであったということで、そういうことが起こっておるわけでございますから、債権者の保護はどうしてもあなたの方でも責任を持つべきだと思いますが、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  169. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生御指摘のように、当庁所管の法人がこういったいろいろな問題を起こしまして、ついに取り消しをせざるを得ないという事態になりましたことは、まことに私どもといたしましても遺憾に存じておる次第でございまして、これを今後の教訓といたしまして、先生ただいま御指摘のような公益法人の監督につきまして遺漏のないようにいたしたいと思っております。  また、先生御指摘の債権者の問題につきましても、御質問にございましたように、取り消しを受けまして清算法人になりますと、裁判所の監督のもとに入るわけでございますが、私どもも先生御指摘のように、いままでの指導監督の責任ということもございますので、債権者の方からのお申し出がございますような場合には、この法人の現状でございますとか、あるいは取り消しを受けてその後とり行うべき段取り、手続等につきまして、できる限りの情報を差し上げましてこの清算が円滑にいくように努力したいと、このように考えております。
  170. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そこで、学校用地の問題で現地の農家の方々と村当局が係争中であるということは御承知と思いますが、鹿児島県の上甑村でございますが、そこには、取り消しをしたということと、それから、こういうようなことであるので、取り消しをした時点においてひとつ解決の方策に向かっていろいろ交渉していただきたいというようなアドバイスはされたことはございませんか。
  171. 園山重道

    政府委員(園山重道君) この取り消しをいたしますことにつきましては村当局に連絡をしてございます。先生御指摘の、以前からいろいろ係争がございましたけれども、昨年の十一月末でございますか、契約の改定が行われまして、約四分の三ぐらいの土地は返しまして残りはまだこの法人が借りたことになっておるわけでございますが、これにつきまして今後どのような方向解決されるべきかにつきまして、村当局からの御相談があれば十分御相談に応じていきたい、このように考えております。
  172. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 しっかり向こうと連絡をして、あなたたちも目の届かないところもあるかもしれませんけれども、これは本当に大変な法人でございましたので、向こうの地方公共団体の方も大変苦しんでおりますから、できるだけそういうようなアドバイスを積極的にやっていただきたい、このことを要望しておきます。
  173. 秦豊

    ○秦豊君 去年の十二月のいろんなマスコミ報道を振り返ってみると、ちょうど行政改革についての閣議方針が打ち出された直後あたりの報道だと思うのですが、荒舩語録というのがありましてね、あなたの。今度の行革はどうですかという、恐らくそういう質問に対する長官のお言葉だろうと思うのだが、「いい枝ぶりだ。幹もある」、こういうふうなことをあなたはお述べになっている。お忘れかもしれない。ところが、読売新聞はそれを受けた形で五十二年の十二月二十三日のかなり大きな記事の見出しに、行革を評して「小枝払って幹切らず」、こうずばっとうたってるんですよ。あなたはお立場上、枝ぶりもいいし幹もある、両全相まってすばらしい、こういう意味のことを荒舩語録は述べている。読売はもうずばり、払ったのは小枝だけ、大もとには触れていない、こういう意味のことをずばっと表現している。それは皆さんにしてみれば、今度は久々に取り組んでかなり包括的に本格的に方向を打ち出した、高い評価をいただけるでしょうとおっしゃりたいだろうが、やっぱりわれわれ並びにマスコミの目からこれを見ると、かなり突き放した評価をせざるを得ない。評価といっても限定的、たとえば例の地方事務官制度の中では、運輸関係の一部、厚生労働は二年たってゆっくりというふうな、あるいは許認可だって、一万件もあるのに今回わずかに千二百四十事項といえば一割強ではないのか、しかもこれは小枝の部分に当たるいささかの改革ではないのか。特殊法人にしたって、すでに閣議は五十年十二月に決定方針を打ち出しているわけなんだけれども、それをお待たせしました二年半、これからおもむろに手をつけます、こういう感じ。万事がこうなんですよね。補助金についても、年間十三兆円、負担金もあれば交付金もあれば補給金もある、委託費さえ含んで大体十三兆円だと思いますけれども、その中で一体補助金についても、かみそりでどこか端々を切りそろえたかもしれないけれども大なたは振るわれていない、これが私の率直な把握です。読売新聞はまことに簡明直截な見出しだと私は思っている。  そこで、本論はやがて皆さんと交わし合いたいと思いますけれども、最初に細かい問題をちょっと伺っておきたいんですよ。皆さんからいただいた審議会一覧の資料、これ細々していますので全部は引用できませんけれども、この二百数十の審議会を大体行管としては精細にチェックされておりますか。たとえば、これだけ審議会があるのに、年に総会を開いていない、ゼロ回だというのが六十六もあって、申しわけのように一回だけというのが八十二、春秋ちょうど一回ずつで年に二回というのが三十一・そうすると、全然総会も開いていないというのが全審議会中の二六・九%、それから一回だけ、申しわけ、済みませんというのが三三・四%、辛うじて二回、滑り込みセーフというのが一二・六%で、この三つのゼロと一と二を合わせたら七二・九形、ほとんど七割三分が閑古鳥が鳴いて開店休業、看板は上がっていますが知りませんと、こういう感じになっているんですよ。これが審議会なるもののいわゆる内実。しかし、これは行管としてはどうしようもない、各省庁の問題でありましてコーディネーターたる私どもが口をはさむべきいわれも権限もありませんというていたらくなんでしょうか、辻さん。
  174. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 審議会の活動状況につきましては、私どもも把握をいたしているつもりでございます。そこで今回、先般成立さしていただきました法律案におきましては、社会情勢の変化に伴い必要性が低下したものでございますとか、ただいま御指摘のございましたように活動の不活発なものというようなものを廃止いたしますとか、類似なものを統合いたしますとかいう措置をとりまして、全体で四十八を対象に整理統合する。そういたしますと、ネット減りますものが三十六で、全体の二百四十六の審議会の一五多整理になる、かようなことで整理をいたしたわけでございます。ただ、ただいま御指摘の中で活動状況が必ずしも活発でないものの中には、不服審査を目的とする審議会もあるわけでございます。こういうような審議会につきましては、たまたまそういうときに事案はなかった、しかし制度の仕組みといたしましては必要であるというものもあるわけでございますので、活動実績がないから直ちに廃止するというわけにはいかないものも中にございますことは御理解をいただきたいと考えております。
  175. 秦豊

    ○秦豊君 今度のこの法案の中にもありますけれども、離島振興対策審議会ですね、これを一つだけ例を引いてみると、在来は三十名の委員構成で、そのうち十二名が関係各省庁の事務次官で構成しておった。とかくこれは目立ちますわね、幾ら何でも。それで今度はこれが国土審議会に統合されたと、統合ということになっているのだが、そうすると委員の構成その他はどう変わったんですか、また変えるんですか。
  176. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 今回の審議会の整理統廃合以外のもう一つの柱が、御承知のように委員構成の改善合理化ということでございまして、審議会の審議がいわゆる行政の隠れみのになってはいけないわけでございます。極力民間有識者を中心とする体制にいたしたいという趣旨で、まず行政機関職員につきましてはできるだけ排除する。それから、大臣会長制あるいは事務次官や長官が会長になっております制度、そういうものにつきましてもやめられるものはやめていく、こういう措置をとったわけでございます。その中で、ただいま御指摘のございました離島振興対策審議会でございますけれども、これは今般統合をいたしたわけでございます。そこで、統合を行います審議会につきましても、その統合の過程でただいま申し上げたような改善措置をいたしているわけでございます。したがいまして、離島振興対策審議会を統合いたしまして成立をいたします国土審議会におきましては、関係行政機関職員は除外するということにいたしております。
  177. 秦豊

    ○秦豊君 これはかなり皮肉な、日本の専門家、たとえば行政法学者、あるいは憲法学者等々を含めて、そういう専門的な学者とか、あるいは欧米の行政法の泰斗あたりも、よく日本へ研究に来て一様に言っていることは、日本の行政機構審議会の関係というのは、これはもう持ちつ持たれつというか、応援団ね、あるいは支持機関。日本のマスコミは、常套語として、隠れみの、ぼくもニュース時代はさんざんそういう言葉を使ったけれども、いまもその実態は何ら質的な変化を遂げていない、昔のままという印象を変えられないのだけれども、しかしどうですか、これをもって審議会の改廃、再編、統合、これはもう終止符だ、来るべきところへしぼり尽くしたのだというふうな認識はよもや行管さんは持っていないんでしょうね。ならば、これから審議会の再編統合というのはどういう重点でなすっていくのか、方向として。それはお考えにはなっていらっしゃいますか。
  178. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 今回の審議制度改正に当たりましては、現存する審議会二百四十六を全般的に見直しまして、先ほど申し上げましたように、一つは整理統合する、一つは委員構成の中身を改善合理化いたしまして、ただいま秦委員から御指摘ございましたが、行政への民意の反映と申しますか、あるいはまた専門的知識の導入と申しますか、そういう審議会本来の目的にふさわしいようなあり方に改めるということでやったつもりでございます。したがいまして、今後とも必要に応じましてもちろん検討いたしてまいるわけでございますけれども、さしあたり次のステップでこういう検討をするという計画はただいまのところ持っておりません。
  179. 秦豊

    ○秦豊君 補助金の問題なんだけれども、これは膨大な十三兆円を、事細かにいま辻さんがどの程度、全部一〇〇%というところまでは期待はしないけれども、こういう点についてはいかがですか、たとえば各省の事務次官の会議で、つい先日の話だけれども、この補助金の問題についてはおたくの方からの要請も強かったものだから、総点検をして改めて一定の方向を打ち出したいというところまでは来ておりますよね。これは一体その事務次官会議ではどんなペースでそれに取り組んで、いつごろ大体方向を打ち出すのか、どこまで来ていますか。
  180. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 私どものやりました補助金の事務手続の問題でございますけれども、これについては八月末までに各省から各省なりの総点検の結果をいただくことで措置してあります。
  181. 秦豊

    ○秦豊君 これは民間の専門家の指摘なんですけれども、以下述べることは。この十三兆の中で、たとえば常識的には九割近くが教育に集中したり、社会福祉、これはやむを得ない、いいと思うんですよ。ところが、年間一人当たりにしまして一万円に達しない、一万円未満の言うなれば零細な補助金というものが、たとえば水産とか林業関係だけで、それでもずっと積算をしていくと二兆円近くもあるというふうに言われているんですよね。だから、これはかなり前の時点でそういう査定がなされてその金額になっていると思うんですが、この現在の時点で、そういう補助金というふうなものが一体適応性、妥当性あるいは今日性を持っているのかどうか、見直すおつもりはないのか。一万円未満の補助金を、恐らく数百枚の手続書類をそろえて、振り仰いで、しかも数カ月たっておりてくる、こういうことで一体補助金としての実効性ありますかね。
  182. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 私どもがやりました補助金の事務手続の問題でございますが、確かに先生おっしゃるように、私どもとしましては補助金の額が多いか零細であるかということにかかわらず、非常に手続が煩瑣なので、その点をいろいろ指摘したわけでございますが、おっしゃるように零細補助金につきましては、やはりこれは全体の手間等の効率から見て余り効果がないかもしれませんというふうに考えております。それで五十三年度は、その零細補助金の廃止または統合等を——零細補助金というものはいろいろ定義がございますが、財政当局によりますと、五十三年度の場合には、都道府県、これ政令都市を含めまして三百万円、市町村大体三十万円というような線で切りまして、これについていま申し上げましたように五十三件の零細補助金の廃止または統合を行ってその零細性の解消を図ったというふうに聞いております。こういうことは財政当局がまず考えるべきことでございまして、私どもがやりましたのは先ほど申し上げましたこの事務手続の問題でございますが、確かに先生御指摘のように、事務手続の面から見ましても、余り零細性の強いものは、その事務の煩瑣な割りに効果がないというふうには考えておりますので、今後とも行政管理庁としましては、その零細補助金の整理合理化については必要に応じて推進していきたいと、こういうふうに考えております。
  183. 秦豊

    ○秦豊君 今度発足した行政監理委員会がたしか第五期ですね、市川さんが入られて、稲葉さんと八木さん。それで六人制で六人委員会なんだけれども、これは私、荒舩大臣ね、あなたに前から伺おうと思っておったんだけれども、アメリカにはフーバー委員会というのがありますわね。これは非常に独立性が強いし、もうとにかく相当な権能を与えられて鋭い実績を上げた時期があると。行政監理委員会を考えた場合、あなたが委員長ですよね、今度、だから行政改革を考える場合に、まず隗より始めよで、あなた自身が統括していらっしゃるその行政監理委員会からまず手をつけるべきではないかというのが私の意見なんですが、まず申し上げたいことは、やはり長官が同時に委員長であるというあり方よりは、もっと客観的に、行管とは距離を置いて独立性を高めるということの方が、あなたに対する客観性が強まるし、そこで練られたものが行政管理庁に対するインパクトの度合いも当然強くなる。むしろ、せめて、公正取引委員会がありますよね、あれに類似の距離感、通産や大蔵に対して。こういうことは基本的に長官お考えになっていらっしゃらないですか、どうでしょうか。
  184. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) いまの先生の御指摘のお話は、恐らく国家行政組織法で申し上げますと三条機関的な機能を持たすべきではないか、こういう一つの考え方だと思います。御承知のように、フーバー委員会の関連で申し上げますと、フーバー委員会をモデルにいたしまして昭和三十年代の半ばに第五次の行政審議会が、日本にもフーバー委員会に似たようなものをつくるべきだという答申を得まして、発足いたしましたのが例の臨時行政調査会でございます。その臨時行政調査会が、御承知のような行政全般にわたっての大変な、いろんな御答申をいただく中で、補佐機関としてこの行政監理委員会をつくるべきじゃないかと、こういう御提案もございます。で、行政監理委員会というのはそういう経過で、実は臨時行政調査会の答申の趣旨に沿って設置をされたわけでございます。その場合に、いま御質問行政監理委員会委員長国務大臣をもって充てることについての問題でございますが、私どもが伺っておりますのは、この行政監理委員会が扱う問題は、当然政府全般を通じた行政改革の問題であるとか、そういった問題でございますので、つまり、特定の一省庁の問題じゃなくて政府全体の行政改革の問題を扱うんであるから、そういった問題は、現実にはやはり閣議というベースで議論されることが多いであろうと、さすればやはり国務大臣委員長をやっておられまして、閣議のそういった意向というものを十分踏まえて監理委員会の運営をなさるのが適当じゃなかろうか、逆にまたそういった監理委員会委員の先生方の御意向も、委員長である大臣閣議の場を通じて御紹介いただいたり、あるいは積極的に推進いただくというのがベターではなかろうか、こういうことで実は決まったわけでございます。今回の審議会の整理に当たりまして、先ほど管理局長から申し上げましたように、審議会の委員構成の改善ということで一部大臣が会長をしたり委員長をしている審議会、あるいは委員会の会長制を廃止した例もございますが、今回の基準におきましては、その廃止の基準が、その委員会なり審議会の答申なり意見が一省庁限りで対応できるような問題は、これは廃止していいんじゃないか、こういう基準がございまして、当行政監理委員会におきましては、いま申し上げました性格でございますので大臣の会長制を廃止をしなかったということでございます。しかし、そういった基準とか形式の話は別にいたしまして、実体的な趣旨先ほど申し上げたような趣旨でございまして、私どもはそういう形がよろしいんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  185. 秦豊

    ○秦豊君 これ任期三年でしたな、たしか。まだ三年あるじゃなくて三年しかないんだから。今度相当意欲的な委員もいらっしゃいますからね、早くも資料などとって、こうねじりはち巻きというような方もいらっしゃるから大変結構ですよね。だけれども、行監委員をやめた方が、しばらくすると日本経済新聞あたりでエッセイでむなしさを訴えたりする、なぜだろうと私もよく考えるのだが、つまり、さいの河原のようなところがある、行政改革には何か。壮大な徒労だと言う人もある。だから、男荒舩をもってしてももどかしいというところもある。しかし、歴代の行管長官というのは、大変政界のいわゆる大物がしばしば歴任をきれておる。川島正次郎氏あり、福田赳夫氏あり、いま荒舩清十郎氏あり、並べてみれば大変けんらんたるキャリアないし実績を持っているんだが、やっぱりぼくは率直に言ってあの運輸大臣のころの荒舩さん、ロッキードの予算委員長の荒舩さんといまのあなたを比べた場合に、率直に申し上げてやはりもう少しあなたはオクターブを上げて物もおっしゃりたいのではないか。つまり、各省庁の並び大名のお一人であなたがいらっしゃる。実は行政監理委員会をもっと独立性と言ったけれども、同じような視点でかねがね思っておりますのは、内閣直属機関に行監があるんですよ。総理とあなたはもうまことに近しいところにいて、各省庁にディレクトをするというふうな感じのね、それからコーディネーターとしてあなた方が振る舞うんじゃない、調整者として。調整者というのは、各省庁のしかも抵抗の強い官僚群の、そのまた辛うじて出てきた消極的な案のしかも下押しをした、あえて言えば最大公約数なようなものをあなた方が調整機能としてまとめ上げるんじゃなくて、内閣直属の荒舩機関として全省庁を叱咤激励して、そして大胆な発想で党人派らしい行政改革の一つの古典のようなものをつくり上げるんじゃないかと私は思っていたんだけれども、最近ちょっとお声がか細いんじゃありませんか。で、きょうはいい機会だから、少しまだ時間があるからあなたと議論をしたいと思うんですが、どうもいままでいろんな資料を拝見してみましたけれども、やっぱりこの行革のビジョンというのは、臨調のこれが古典ですね、これに始まってこれに終わるんじゃないかとさえ思う。これをなかなか抜きん出るものはない。だから、四十近い答申であろうが意見具申であろうが、まあとにかく若干の差はあるがこれに尽きると。で、四十三年の一省庁一局削減なんていうのは大蔵主導型で行われたが、しかし後は許認可といい特殊法人といい幾ばくの手直ししかないと。だから、これが行政改革なんだというぐさりとした世論が圧倒的に拍手を送るようなものはついぞなかった、実現されなかったと言ってもぼくは皆さんから反論は受けないと思いますよ、うなずいていらっしゃるけれども。やっぱり核心をつかない、いやつけない、核心をつけないから枝葉末節に手をつけざるを得ないと。だからあなたは枝ぶりがいいとおっしゃったが、マスコミなどは小枝は払う幹切らずと、こうなるんで、これはいかなあなたでも大変厚い壁の前でもどかしさを感じていらっしゃると思います。しかし、抵抗の少ない道だけを選んで通るんじゃなくて、やはり荒舩さんがせっかく座っていらっしゃる間に、私は実は後ほど提唱も申し上げたいと思いますが、やはりあなたに大きな仕事をしていただきたい。  そこで、辻局長に伺いたいんだけれども、あなたは最近の某専門誌の座談会で、私の読み違いでなければ行政改革が成功する条件というのを整理していらっしゃる。一つは、トップのリーダーシップである、二つは世論のサポートである、第三には担当官庁、つまり行管庁、大蔵省等の能力とテクニックであると、こういうふうに解析をされておるんで、ぼくも大体間違いないんじゃないかと。そこでこれに即して伺いますけれども、トップとは何か、荒舩長官か、そうではない福田総理である。ではトップのリーダーシップには十全であったのかというと、これが常に不足しているか、はなから全く欠落をしているか、不足ではなくてないという状態ですね、これが歴代の宰相に伴ったシチュエーションですね、これは。ひとり荒舩長官にのみあるのかないのか、それはまた次の問題であるわけですよ。だから、トップのリーダーシップというのは絶えず不足をしておった。ところが辻さんが解析をされた世論のサポート、これは絶えず熱烈に熱いまなざしで行管庁の下す結論を見守ってきた。世論は絶えず温かかった。第三に残るのは、あなた方の能力とテクニックだ。これはどうでしょうね、歴代の行管庁がどうであったのか、大蔵がどうであったのかよくわからぬが、いまの行管庁は果たしてどうなのか。私はこれは長官お答えいただきたいんだけれども、やっぱりあなたの熱意、主観的、主体的熱意に比べると福田さんの熱意は及び腰、だから簡単に後退する。トップのリーダーシップ、これがまさに辻さんの分析どおり一番枢要なポイントだと思いますよ。それからあの世論のサポート、これは全く私は温かかったと思う。あと残るはあなた方の能力とテクニックだけ、この三つ。あなたの部下の辻さん、練達の辻さんがせっかく分析をしていらっしゃるんだから、これを引用さしていただいて、長官はいまの分析をどうお思いですか。
  186. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 秦さんのおっしゃること、まことに痛いほどよくわかります。私はまあ行管に就任をいたしまして、大変私の考えが後退しているような御意見のようですがそうでもないんです。ないが、いま大変ないろいろの問題が山積しておりまして、その中で一番大切なことは、何としても景気の回復だと思うんです。それから雇用の問題であると思います。それからもう一つは、対外的な問題でございます。何としましても貿易立国といいましょうか、そういうものと行政改革とどういうふうに組み合わしていくかという問題、まあさっきの御指摘のいわゆる最高方針というものは、何といっても総理大臣考え方です。で、そういう点からいたしまして、いろんなふくそうした問題の上に立って、何としても総理の決意がなけりゃなかなか実行できません。現在の立場において、おっしゃるとおりもどかしい、何か空気が抜けているんじゃないかというようなお考えであるかもしれません。しかし、大事なことは、さっき申し上げるようにもう大変いろいろなことが錯綜しておりまして、それじゃ行政改革をその間においてどうしたらいいかということで、大変いろいろむずかしいと思っております。しかし、おっしゃるとおりでございまして、行政改革ということは大変大切なことでございます。まあ御激励を得て思い切ったことをやってみたいと。いろいろやってみましてだんだん事情わかってきました。それから、時によると総理と私の意見が違うところもあります。この間も話をいたしまして、私の考えをこういうことでどうでしょうと言ったら、ちょっと待てという部面がかなりありますんで、まあお察しを願いたいと思う次第でございます。  以上でございます。
  187. 秦豊

    ○秦豊君 昭和四十八年の十一月にあなた方がお出しになったのは、住宅対策や土地行政についての答申、それからもう一つあるのは四十九年の八月にこれがあるんですが、大都市の震災対策に関する勧告、四十九年ですよ。先国会あたりからようやく地震対策についての横割りをどうするか、調整をどうするかと言っているんだが、これはあなた方にお世辞を言うつもりは毛頭ないが、いま言った二つは、たとえば土地なんかは私権の制限とか、地価凍結とか、まるで最近のわれわれ野党が言うようなことについて触れているし、それから大地震対策の問題については、去年あたりの国会から言っていることはすでに先取りされています。恐らくスタッフという点ではちっとも遜色のない人を抱え込んでいると思うんだけれども、問題は凝集する意欲ね、これだと思うんですよ。やっぱりぼくはおたくのような行管庁というふうな官庁は、かなり先見性を持った、時代を予測するような、先取りするような大胆な発想を絶えず世に問い続ける、こういう職責を負うたところだと思いますよ。かつてこういういい仕事をしているのだから、昨今ちょっとまさに声がか細いと私は見ている。  そこで、行政改革を今後一体どう進めていくのかという問題、これで終わったわけじゃないんだから、新しい第五期がスタートする、一体どういう優先順位で——何もかも一挙にはできないんだから、岩盤に穴をうがつような非常にしたたかな対応をしなきゃいけないんだけれども、今後の行政改革をどういう優先順位で、どういう方向で、どういう力点で取り組もうとしているのか。たとえば中央省庁の再編成なんていうのはよく言われていますけれども、やっぱりあえて言えば行政の守備範囲をどうするかというふうな問題がやっぱりあるでしょう。それから、あえて言えば行政組織、機構の柔軟化、現代化、あるいは国と地方の間の機能分担等々、あるいは国と民間、国と個人とさまざまな位相が乱れていますね。だから、事務的な答えはちっとも期待しないが、今後の行政改革の力点をどこに置こうとされるのか、最後に伺っておきたい。
  188. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 大変適切な御意見でございます。これはさっき申し上げるようないろいろな点はありますが、私のやらなくちゃならないということは思い切ったことをやらなくちゃならないと思っています。細かいねらいよりもっと思い切ったことをやらなくちゃならない。そういうことで総理にしばしば私の意見も申し上げておりますが、どうもいまの政治情勢の点からいって、なかなか思い切ったところまで、私の意見の思い切ったようなことは総理がちょっと待てという点が多いと思っております。  それから土地の問題や何か、これはまあ福田総理行政管理庁をやっていたときの意見でございます。それから地震対策についても総理行政管理庁のときに考えた問題等でございます。いろいろやらなくちゃならない点がありますが、第一番に何をするかということは、要は思い切った決断をしていくということを第一に取り上げて、余り細かいことよりも思い切ったことをやらなくちゃいけないと、こんなふうに考えております。
  189. 秦豊

    ○秦豊君 最後に、やっぱり伊藤博文以来ですからね、明治藩閥政権から行政機構があって、いままきにぼく式なとらえ方によると、私の表現によればゲルマンとアングロサクソンがコンバインされて非常に中途半端だと。いま皆さんの行政改革の発想というのは増分主義、予算で言えば。前年度がこうだったから来年度はと、あるいは今年度はと、こういう発想なんですよ。ある既成のものがあって、それをどう削るか、たたき壊すんじゃなくて、どう削るか、なだらかにするか、これがどうしてもあなた方の限界になる。しかし、これからは予算を含めて、一国のやっぱりゼロベースシステムというふうなものは、いまのはやりではなくて、日本の行財政が一番忘れている視点だからあえて言うんだけれども、たとえば行政改革でも増分主義ではなくてゼロベースシステム、あるいはアメリカの上院が先般採択をした、とりあえず決定をした例のサンセットアクトですね、一定の組織は自己目的を持って増殖をする、いかなる組織も現代というものの批判を受けなきゃならない、ならば六年という有限の時期を設定して、それでもう機能を終えたものは遠慮なく廃絶をするというふうな大胆な発想、若々しい発想、ああいうふうなものも、日本の行政当局は視野の中に入れた行革の取り組みをこそなすべきではないかという私の主張が一つ。  それからもう一つは、やはり西ドイツの議会あたりから最近資料がずいぶん来ていますけれども、西ドイツの議会でわれわれと一番違うなと思うのは、行政改革についての議員間討論、各政党がやはり行政改革に取り組んでいる。日本の場合には、どうしても、たてまえも絡みついているし既成事実も絡みついているし、なかなか理想と現実の接点がむずかしくて、日本の国会として、納税者の最高の機関であるはずの国会にしては行政改革に取り組んでいる国会議員の声は、私はあなたの声をか細いと言ったが、そう言った私自身がおのれたちは果たして十全足り得ているのかというじくじたる思いを全然捨象して言っているわけじゃないです。国会が果たして行政改革について現状のようなていたらくでいいとは思っていない。そのことは私も謙虚にあなたに申し上げねばならない。だから、そういういろんなことを参考にして、荒舩長官、少なくとも第五期のスタートに当たってより新たな意欲をふるい出していただきたいということをきょうは申し上げたかったわけです。
  190. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 大変いい御意見でございまして、私は戦後三十年を越しまして、戦後の日本、占領されていた日本のために、いろんなものがむちゃくちゃにふえているんですよ。さっき御指摘のありました特殊法人であるとか、いろんな委員会であるとか、これはもうめちゃくちゃにふやしちゃったんですよ、それはマッカーサー司令部の影響もあるし、日本がかつて経験を経なかった戦後のいろんな経営等について。ですから、いたずらに外国のまねをしたような点があります。したがって、ここにおいて一番、まあこれは行政改革ばかしじゃない、福田内閣においてもかなり発想の転換をしなくちゃならない。これは思い切ったことをやらないと、政党政治に対しても国民からきらわれるというような問題ずいぶんあると思います。したがって発想の転換をひとつ福田内閣はやらなくちゃならない。それに基づいてひとつ行政改革も思い切ったことをしなくちゃならない、そういう決意を持っております。しかし、なかなか、一遍決めちまったことを大改革するということは大変なことでありまして、言うにはやすいがなかなか実行は困難だということを痛切にいま感じております。しかし思い切ったことをやりまして、そして税金のむだ遣いもしないようにしなくちゃならない、こう考えております。
  191. 原文兵衛

    理事(原文兵衛君) 両案に対する本日の、質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会