○秦豊君 これ任期三年でしたな、たしか。まだ三年あるじゃなくて三年しかないんだから。今度相当意欲的な
委員もいらっしゃいますからね、早くも資料などとって、こうねじりはち巻きというような方もいらっしゃるから大変結構ですよね。だけれ
ども、行監
委員をやめた方が、しばらくすると日本経済新聞あたりでエッセイでむなしさを訴えたりする、なぜだろうと私もよく考えるのだが、つまり、さいの河原のようなところがある、
行政改革には何か。壮大な徒労だと言う人もある。だから、男荒舩をもってしてももどかしいというところもある。しかし、歴代の
行管庁
長官というのは、大変政界のいわゆる大物がしばしば歴任をきれておる。川島正次郎氏あり、福田赳夫氏あり、いま
荒舩清十郎氏あり、並べてみれば大変けんらんたるキャリアないし実績を持っているんだが、やっぱりぼくは率直に言ってあの
運輸大臣のころの荒舩さん、ロッキードの予算
委員長の荒舩さんといまのあなたを比べた場合に、率直に申し上げてやはりもう少しあなたはオクターブを上げて物もおっしゃりたいのではないか。つまり、各省庁の並び大名のお一人であなたがいらっしゃる。実は
行政監理
委員会をもっと独立性と言ったけれ
ども、同じような視点でかねがね思っておりますのは、内閣直属機関に行監があるんですよ。
総理とあなたはもうまことに近しいところにいて、各省庁にディレクトをするというふうな感じのね、それからコーディネーターとしてあなた方が振る舞うんじゃない、
調整者として。
調整者というのは、各省庁のしかも抵抗の強い官僚群の、そのまた辛うじて出てきた消極的な案のしかも下押しをした、あえて言えば最大公約数なようなものをあなた方が
調整機能としてまとめ上げるんじゃなくて、内閣直属の荒舩機関として全省庁を叱咤激励して、そして大胆な発想で党人派らしい
行政改革の一つの古典のようなものをつくり上げるんじゃないかと私は思っていたんだけれ
ども、最近ちょっとお声がか細いんじゃありませんか。で、きょうはいい機会だから、少しまだ時間があるからあなたと
議論をしたいと思うんですが、どうもいままでいろんな資料を拝見してみましたけれ
ども、やっぱりこの行革のビジョンというのは、臨調のこれが古典ですね、これに始まってこれに終わるんじゃないかとさえ思う。これをなかなか抜きん出るものはない。だから、四十近い答申であろうが
意見具申であろうが、まあとにかく若干の差はあるがこれに尽きると。で、四十三年の一省庁一局削減なんていうのは大蔵主導型で行われたが、しかし後は許認可といい特殊法人といい幾ばくの手直ししかないと。だから、これが
行政改革なんだというぐさりとした世論が圧倒的に拍手を送るようなものはついぞなかった、実現されなかったと言ってもぼくは皆さんから反論は受けないと思いますよ、うなずいていらっしゃるけれ
ども。やっぱり核心をつかない、いやつけない、核心をつけないから枝葉末節に手をつけざるを得ないと。だからあなたは枝ぶりがいいとおっしゃったが、マスコミなどは小枝は払う幹切らずと、こうなるんで、これはいかなあなたでも大変厚い壁の前でもどかしさを感じていらっしゃると思います。しかし、抵抗の少ない道だけを選んで通るんじゃなくて、やはり荒舩さんがせっかく座っていらっしゃる間に、私は実は後ほど提唱も申し上げたいと思いますが、やはりあなたに大きな仕事をしていただきたい。
そこで、辻局長に伺いたいんだけれ
ども、あなたは最近の某専門誌の座談会で、私の読み違いでなければ
行政改革が成功する条件というのを整理していらっしゃる。一つは、トップのリーダーシップである、二つは世論のサポートである、第三には担当官庁、つまり
行管庁、大蔵省等の能力とテクニックであると、こういうふうに解析をされておるんで、ぼくも大体間違いないんじゃないかと。そこでこれに即して伺いますけれ
ども、トップとは何か、
荒舩長官か、そうではない
福田総理である。ではトップのリーダーシップには十全であったのかというと、これが常に不足しているか、はなから全く欠落をしているか、不足ではなくてないという状態ですね、これが歴代の宰相に伴ったシチュエーションですね、これは。ひとり
荒舩長官にのみあるのかないのか、それはまた次の問題であるわけですよ。だから、トップのリーダーシップというのは絶えず不足をしておった。ところが辻さんが解析をされた世論のサポート、これは絶えず熱烈に熱いまなざしで
行管庁の下す
結論を見守ってきた。世論は絶えず温かかった。第三に残るのは、あなた方の能力とテクニックだ。これはどうでしょうね、歴代の
行管庁がどうであったのか、大蔵がどうであったのかよくわからぬが、いまの
行管庁は果たしてどうなのか。私はこれは
長官に
お答えいただきたいんだけれ
ども、やっぱりあなたの熱意、主観的、主体的熱意に比べると福田さんの熱意は及び腰、だから簡単に後退する。トップのリーダーシップ、これがまさに辻さんの分析どおり一番枢要なポイントだと思いますよ。それからあの世論のサポート、これは全く私は温かかったと思う。あと残るはあなた方の能力とテクニックだけ、この
三つ。あなたの部下の辻さん、練達の辻さんがせっかく分析をしていらっしゃるんだから、これを
引用さしていただいて、
長官はいまの分析をどうお思いですか。