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1978-05-09 第84回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月九日(火曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員の異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      金丸 三郎君     竹内  潔君  五月九日     辞任         補欠選任      井上  計君     中村 利次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         塚田十一郎君     理 事                 林  ゆう君                 原 文兵衛君                 片岡 勝治君                 井上  計君     委 員                 源田  実君                 斎藤栄三郎君                 竹内  潔君                 林  寛子君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 村田 秀三君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 黒柳  明君                 山中 郁子君                 森田 重郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        運 輸 大 臣  福永 健司君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君    政府委員        内閣法制局第二        部長       味村  治君        行政管理庁長官        官房審議官    加地 夏雄君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        大蔵省主計局次        長        禿河 徹映君        文部大臣官房長  宮地 貫一君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        自治省行政局長  近藤 隆之君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        内閣官房内閣参        事官       角田 達郎君        内閣総理大臣官        房参事官     赤松 良子君        内閣総理大臣官        房参事官     文田 久雄君        環境庁長官官房        総務課長     山崎  衛君        国土庁長官官房        防災企画課長   柳   晃君        大蔵省主計局主        計企画官     公文  宏君        大蔵省理財局特        別財産課長    松岡  宏君        厚生省社会局更        生課長      板山 賢治君        厚生省保険局企        画課長      小林 功典君        通商産業省産業        政策局産業構造        課長       日下部光昭君        通商産業省立地        公害局保安課長  水野  哲君        運輸大臣官房文        書課長      西村 康雄君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部財        務課長      土坂 泰敏君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君    参考人        日本開発銀行総        裁        吉岡 英一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法に規定する共済組合が支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○審議会等整理等に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○許可認可等整理に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  許可認可等整理に関する法律案審査のため、本日、日本開発銀行総裁吉岡英一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。村山大蔵大臣
  5. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、その額を引き上げることとするほか、最低保障額引き上げ老齢者等に対する年金額算出率特例改善寡婦加算額引き上げ等所要措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、国家公務員共済組合等からの年金の額を改定することであります。すなわち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、旧国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法に基づく年金のうち、昭和五十二年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、このたび、別途、本国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する法律による恩給の額の改定措置にならい、昭和五十二年度の国家公務員給与改善内容に準じ、年金額算定基礎となっている俸給増額することにより、本年四月分以後、年金額引き上げることといたしております。  第二に、公務関係年金及び長期在職者等の受ける退職年金等最低保障額を、恩給における措置にならい改善することといたしております。  第三に、恩給公務員期間等を有する者に対する特例措置改善といたしまして、長期在職した七十歳以上の老齢者等に対する年金額割り増し措置改善を図ることといたしておりますが、これも恩給における措置にならうものであります。  第四に、遺族年金に加算される寡婦加算及び遺族加算の額をそれぞれ年額一万二千円引き上げることといたしております。  以上のほか、掛金及び給付額算定基礎となる俸給最高限度額を、公務員給与改定状況等を考慮して、現行の三十六万円から三十八万円に引き上げることとする等、所要措置を講ずることといたしております。  なお、この法律案施行期日は、昭和五十三年四月一日といたしておりましたが、衆議院におきまして公布の日と修正されております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 塚田十一郎

  7. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体共済組合が支給しております退職年金等につきまして、このたび別途本国会で御審議いただいております恩給法等の一部を改正する法律による恩給の額の改定措置に準じて年金額引き上げるとともに、寡婦加算の額の引き上げ等措置を講ずるため、所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、公共企業体共済組合が支給しております退職年金等のうち、昭和五十二年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給等改善措置に準じ、その年金額算定基礎となっている俸給昭和五十二年度の国家公務員給与改善内容に準じて引き上げることにより、昭和五十三年四月分から年金額引き上げることといたしております。  第二に、旧国家公務員共済組合法等に基づく退職年金等最低保障額につきまして、恩給等改善措置に準じ、昭和五十三年四月分から引き上げるほか、六十歳以上の者等に支給する遺族年金最低保障額につきまして、昭和五十三年六月分から、その額をさらに引き上げることといたしております。  また、旧国家公務員共済組合法に基づく殉職年金等につきまして、恩給等改善措置に準じ、その扶養加給年額及び最低保障額昭和五十三年四月分から引き上げるほか、最低保障額につきまして、昭和五十三年六月分から、その額をさらに引き上げることといたしております。  第三に、長期在職した七十歳以上の老齢者等に対する年金額割り増し措置改善することとし、恩給等改善措置に準じ、昭和五十三年六月分から、その年金の額を引き上げることといたしております。  このほか、遺族年金等に加算される寡婦加算及び遺族加算の額につきまして、昭和五十三年六月分から、その額を年額一万二千円引き上げることとする等所要措置を講ずることといたしております。  なお、この法律案施行期日は、昭和五十三年四月一日といたしておりましたが、衆議院におきまして公布の日と修正されております。  以上が、この法律案提出する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  8. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 以上で両案の説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  9. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 審議会等整理等に関する法律案及び許可認可等整理に関する法律案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 野田哲

    野田哲君 まず、行政管理庁長官に基本的な点について伺いたいと思うんですが、今回の法案は、福田内閣が昨年来取り上げてきた行政機構改革、この一環としての許認可事務整理審議会整理、この法案提出をされているわけでありますが、政府の決定した方針によると、行政機構改革という問題については、国の行政機構とあわせて地方自治体の行政機構あり方についても触れられておりますから、そういう点から、私は国の行政機構と、それから地方公共団体行政機構にまたがって非常なむだ遣い、国費の非常なむだ遣いをやっている団体存在をしている、そして、このような以下私が指摘をするような団体存在をすることについて、今日まで政府行政機構改革検討課題の中で一回も触れられて話題になったこともない、こういう点から、今回この問題を提起をして政府の見解を承っておきたいと思うんです。  まず、行政管理庁長官は、各都道府県河川協会道路協会都市計画協会砂防協会、こういうような団体存在をしている。これらの団体は、さらに全国的な規模砂防協会あるいは道路協会河川協会都市計画協会、こういう全国的な規模団体を組織がされている。こういう団体があることについてどの程度の認識をお持ちになっておられますか、実態承知されておりますか。
  11. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えをいたします。  ただいま御指摘団体のあることは承知しております。ただし、この団体活動が十分であるかないかというような問題については、研究がまだ私としては足りない点がございます。大いに勉強いたしましてしっかりやってみたいと思っております。
  12. 野田哲

    野田哲君 自治省の方では、各都道府県に、いま私が申し上げたような形の河川協会砂防協会道路協会都市計画協会、こういう団体が構成をされている、そして、この団体は小さい県ではそれらを統合した形で土木協会、そして土木協会の中に砂防部会とか河川部会とか、道路部会とか都市計画部会とか、こういう形で運営をされているわけですが、自治省はそういう実態についてはどの程度把握されておりますか。
  13. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 私も県に勤務したことがございますので、そういった団体があるということは存じておりますが、それらの団体はほとんどが任意団体ではないかと承知いたしております。したがいまして、自治省といたしましてその実態は把握いたしておりません。
  14. 野田哲

    野田哲君 行政局長は、この団体があることは知っているけれども、任意団体であるから中身のことまでは十分承知していないと、こういうふうにおっしゃっておられますが、確かに任意団体ではあろうと思うんですけれども、その経費ですね、その団体を維持していく経費、この経費がそれぞれの市町村公費から負担をされている。しかも、これは全国共通して、私の調査したところでは、いわゆる一般会費という形でこれは市町村規模別負担がされている。しかし、この占める割合というのはごく一部であって、大部分の経費というのは特別会費という形で、それぞれの事業費に応じて負担をする、こういう形で各市町村予算の中に負担金として組まれている。こういう実態は、いかに任意団体であろうとも、これは自治省としては全く無関係とは言えないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  15. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 分担金の割り振りの仕方がどうであるかというようなことについては私どもよくわかりませんけれども、ただ、その分担金公費で出されておるということについては、私ども、当然のことでございますけれども強い関心は持っておるわけでございます。こういった、いま御指摘協会のみならずいろいろな団体がございまして、地方団体は、公益上必要と認める場合には補助金寄付金分担金といったような形で支出することができるわけでございますが、その内容が適当かどうか、その問題につきましては、当然のことながら、公益上必要があると認めて長が予算提案し、それぞれの議会が議決するということでございますけれども、ここ数年来の非常に厳しい地方財政状況にかんがみまして、補助金負担金の洗い直しと同様に、特にこういう各種団体に対する分担金等についてもこの際洗い直して、本当にそれが有効に使われておるかどうかということを十分審査の上で出すようにというようなことで、昨年の財政運営通達でも特にこの点を明記したところでございますが、今後ともそういった方針自治省としてはやっていきたいと思っております。
  16. 野田哲

    野田哲君 先ほどの自治省の答弁では任意団体だということでありますけれども、一応各都道府県にあるこれらの協会が共通をして公費の中で負担金を計上している、その負担金の計上の仕方というのは、率はばらつきはありますけれども、共通していることは、普通会費というような言い方で、市町村規模別あるいは人口割、こういう形での負担と、一番大きな割合を占めているのは、特別会費という形で、建設省からそれぞれの市町村におりてくる補助事業等事業費割合分担をしていく、こういう負担割合というのは共通しているわけですね。ということは、つまりこれは自治省としてこれらの協会に対する負担金を、そういう形で負担をしていくことについて何か一定の基準でも示されて指導されたのか、あるいはこれは財政局所管事項ということになるんでしょうが、自治省としてはこれらの負担を各市町村が行っていくことについては、まあどう言うのでしょうか、財政措置の上でこれは容認をしてきたわけですか、その点いかがですか。
  17. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 御承知のとおりに、財政措置といたしましては、別にこういったものにつきまして地方交付税基準財政需要額算定するというようなことはもちろんいたしておりません。したがいまして、それぞれの行政を遂行する上におきまして、こういった形をとることが適当だという市町村自主的判断に基づいて、そういった分担金負担金あるいは補助金といったような形で支出しておるのだと思っております。したがいまして、自治省といたしまして、もちろんそういった基準などを示してこうしろといったようなことはございません。
  18. 野田哲

    野田哲君 建設省の方では、建設省所管事項に関して各都道府県に、先ほど私が名前を挙げたような団体存在をしていろいろかかわり合っていることについて承知をされておりますか。
  19. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 先ほど先生から御指摘ございました、全国的な団体でございます日本道路協会日本河川協会都市計画協会治水砂防協会につきましては、これは建設大臣許可公益法人でございまして建設大臣監督権限を有しておりますので、事業内容等詳細に承知をいたしております。ただ、都道府県に置かれておりますところの類似都道府県単位団体につきましては、任意団体でございますので、その存在については承知をいたしておりますけれども、具体的詳細な活動内容あるいは支出内容等については承知をいたしておりません。
  20. 野田哲

    野田哲君 これらの各都道府県に置かれている任意団体経費負担について、私が先ほど言いましたように、建設省事業費割合に応じて負担をしていく、こういう制度がとられていることについてはどの程度のことを御承知ですか。
  21. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) そういう例があるということは聞いてはおりますが、すべての団体個々にどういうふうな会費負担をしておるかということにつきましては、いまのところ私承知をいたしておりません。
  22. 野田哲

    野田哲君 十分承知されていないようなお答えなんですけれども、この事業費に応じた分担制度、これは共通的に各都道府県の各協会でとられているわけです。で、問題は、そういう形で分担をして、河川協会とか道路協会とか、そういうところへ集められた金が一体どう使われているか、これが実は非常に問題があるわけなんです。  それからもう一つは、事業費によって負担をしていくと、こういう形になっておりますから、そこに非常に奇妙な現象があらわれている。どういう現象があらわれているかといいますと、私はここで数字を具体的に申し上げるわけですけれども、五十二年度の場合を例にとってみますと、島根県とか、それから岐阜県とかいうところの先ほど申し上げたような四つ協会予算額というのが非常にふえているわけです。岐阜県の場合で言いますと三千二百万円、これは、たとえば新潟県が当時一千百九十万円とか、福岡県が一千七十五万円とか、これに比べて岐阜県の場合三千二百万円というのは非常に県の規模からいっても大きな金額になっているわけです。それから島根県の場合ですが、島根県が昭和五十二年度のこの四協会予算書を見ると千百五十万円という金額になっているわけです。類似の県の鳥取県、これが約六十万円、あるいは奈良県が六十八万円、こういう金額に比べて、島根県が一千百五十万というんですからこれは非常に多いわけです。なぜこういうことになるかといいますと、五十二年度にこういうふうになっているというのは、岐阜県、それから島根県それぞれ災害があったわけです。長良川の決壊とか、あるいは島根県に集中豪雨によって非常な河川はんらんが起こった。つまり、これらの協会経費というのは、集中的に災害が起こればそれに応じて建設省災害復旧事業などが増額をされる、それに応じて負担割合がかかってくるものだから、つまり災害の起きた県は、そういう形でその翌年度はこの土木協会とか道路協会河川協会、こういうところの予算といいますか、経費が極端に膨張する、こういう仕組みになっているんです。つまり、事業に一番金がかかる県で自動的にこの協会予算も水ぶくれ状態にふくれていく、こういうあり方が一体いいのかどうか。こういう点で私は、一体こういう協会が主に何をやっているのか、こういう点で幾つかの具体的な例を指摘していきたいと思うんです。  私は九つの県の具体的な資料をここに持っておりますが、それによって調査したわけです。県の名前を言いますと、福岡岐阜新潟、兵庫、栃木、奈良島根鳥取、高知。大体全国的に見て規模の大きい県、中規模、それから小さい県、地域的にも各地域からピックアップして資料を取り寄せてみたわけです。そうすると、大体この九つの県というのは、先ほど申し上げましたように非常な規模の大きい県と一番小さい県、中規模の県、こういう形でそれぞれ三つずつ選んでおりますから、大体まあ平均値が私は出てくるんだと思うんです。これによって見ると、私がさきに挙げたような四つ協会、あるいは島根県などは土木協会という形でその中に四つ部会を置いてやっているわけですが、大体共通しているわけですが、大体、平均いたしますと一つの県で二千五百万ぐらいの経費を一年に使っているわけです。全部これは市町村からの、先ほど言ったような分担金によって充てているわけです。約二千五百万円ぐらいの金が平均いたしまして集められているわけですが、支出の項を見ると、事務費とか、あるいは会議費、こういう事務的な経費を除いた約半額、一千万円ぐらいが各県共通して、予算項目等も全く各県共通しているんですが、事業促進費、こういう形で計上されているわけです。この事業促進費というのが、ここにある各協会事業報告によりますと、つまりこれは大蔵省、あるいは主に建設省でありますけれども、建設省への陳情経費に充てたと、こうなっているわけなんです。私の手元にある九つの県の各協会事業促進費だけで約九千万円ぐらいをこの陳情の費用に充てたと、こうなっているわけでありますから、恐らくこれは全国の規模で四十八都道府県合わせると、私の推定では大体五億円ぐらいがこの事業促進費という名目の陳情費に充てられている、消費をされている、こういうふうに推定をされるわけなんです。この金は、先ほど言いましたようにすべて市町村からの分担金という形で賄われている。つまり国民の税金で賄われているわけです。しかもその額については、先ほど言いましたように、建設省で決定をした各市町村に対する事業費割合に応じて分担をするということになっているわけでありますから、建設省事業費増額をすれば、自動的にこの事業促進費というものが増額をする。岐阜県のように長良川が決壊すると、そこのこれらの協会予算が急膨張して必然的に事業促進費というものも水ぶくれ状態に膨張する。島根県で集中豪雨があって河川はんらんをすれば、そこで事業費に応じて分担をしていくわけでありますから、この事業促進費というのが急膨張していく、こういう仕組みになっているわけです。つまり、あなた方のところで、建設省公共事業費が決められれば、それによって自動的にこの事業促進費が決められる、こういう仕組みになっているんです。それが結局また建設省に対する陳情費に使われている。こういうあり方について、官房長としてはこれは妥当なあり方だというふうにお考えになりますか、いかがですか。
  23. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) いまお話ございました建設省関係事業費がふえればそれにつれて自動的に市町村分担金がふえ、したがって必然的に協会予算がふえるという仕組みについて、実は初めてきょう拝聴いたしたわけでございまして、個々の段階においてどういうような負担方法をやっておられるか、はっきり承知いたしませんので明確な見解を申し上げがたいわけでございますけれども、そういう公益的な団体の費用の分担方法につきまして、事業費割でやるということにつきましては、一般論からいたしますと必ずしも適切ではないというふうな考えを持っております。
  24. 野田哲

    野田哲君 これらの協会予算書を見ると、これは荒舩行政管理庁長官も聞いておいていただかぬといけないのです、後でまた見解を承るのですがね。問題は事業促進費なんです。つまり陳情費説明に書いてある。これは陳情に来る人たちの旅費とか宿泊費とかいうのじゃないんです。旅費とか宿泊費というのはまた別に計上されているんです。それから、陳情に来る人たちというのは、この協会に勤務している職員というのはもう事務的な職員しかいないわけですから、陳情に来る人たちというのは、この中に全部いついつだれが陳情に行ったということはそれぞれ書いてあるわけですけれども、大体、市町村長とか、市町村の土本関係の職員、あるいは地方議員が来ているわけです。その費用というのは、それぞれの自治体で正規の自治体からの出張旅費として出されているわけですから、ここにある事業促進費というのは、つまりこれは陳情に来るときの旅費や宿泊費ではないということになるわけです。それから、建設省の方から、この事業報告によりますと、機会あるごとに来県を願って現地視察を行ってもらって事業促進方について陳情したと、こうなっているわけです。つまり、それぞれの地域に来てもらって説明をし、現場を見てもらって陳情したと、こうなっているわけです。そうすると、恐らく建設省としては、ここにこういう事業が必要だからぜひ来て見てもらいたい、こういうことがあって係官が地建なりあるいは本省の方から現地へ行かれる場合、これは公務の出張でありますから、来いというんだったら旅費、宿泊料はおまえさんの方で持てと、おれの方は身柄だけやるということではないと思うのです。これは必要が認められて派遣をされる場合には、やはり国家公務員の旅費規定に基づいた正規の旅費、宿泊費等払っておられると思うのですが、この点は官房長いかがですか。
  25. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 先ほど協会事業内容に、建設省から来県を願って調査をしてもらったということでございますが、建設省といたしましては、そういう協会の要請によって出張することはございません。都道府県なり市町村、公共団体と協議の上、事業施行個所の調査のために出張はすることはございます。その際は、もちろん公務の出張でございますので国家公務員旅費法の規定に従いまして支給をいたしております。
  26. 野田哲

    野田哲君 この事業促進費がどういう形で使われているかということについて、各県の何々協会というところのこの議案書から拾い出して、実例を挙げてその上でまた見解を聞きたいと思うんですが、たとえば岐阜県の道路協会、そこの事業報告を見ると、五十二年の一月十日、五十二年の五月二十六日、五十二年の七月十九日、この三回、建設省岐阜県における道路事業の促進方について陳情した、こうなっているわけです。これは記録によりますと、全国的な道路問題等についての会議がありますね、会議と並行した形で、会議出席をして、その機会に三回建設省陳情した、こういうふうになっているわけです。それ以外に、記録によりますと、機会あるごとに建設省に出向いていき、あるいは建設省からできるだけ来県を願って事業の促進を陳情した、こういうふうに事業報告では報告が行われているわけです。そこで、これらの行動について、この陳情経費として岐阜県の道路協会では九百九十五万円を支出をした、事業促進費として九百九十五万円を支出したと、こうなっているわけです。旅費が払われ、宿泊費が支払われ、あるいは建設省から岐阜県に出向いていく者については建設省として国家公務員の旅費法に基づいて旅費、宿泊費が支払われ、それで現場を視察をし陳情を受ける。出向いたのは三回出向いて、それ以外に機会があるごとに建設省へ出向いていった。これも旅費は別に支出をされているわけです。それ以外に、この道路協会として陳情のために九百九十五万円を支出した、こうなっているわけです。どうしても私どもは納得いかないんですが、どうお考えになりますか。
  27. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) どういうふうな人員構成で何名陳情され、その陳情された方の行動がどうかということを私ども全然承知をいたしませんので、どういうふうにその経費が使われたかということも、ちょっと私としてはわかりかねる次第でございます。
  28. 野田哲

    野田哲君 じゃもう一つ例を挙げますけれども、新潟県の例を挙げますと、新潟県の道路協会、これは記録によりますと、建設省の本省と北陸地建に、五十一年の四月一日から五十二年の三月三十一日までの間、一年間に五回陳情に行った、こうなっているわけです。そして、このときの経費として四百万円が支出されている、こういうふうになっているわけです。新潟県の河川協会、これも五十一年の四月一日から五十二年三月三十一日まで、建設省と北陸地建、これに五回陳情に行った、その経費として六百五十万円を支出した、こうなっているわけです。新潟県の場合を調べてみるとこういうふうになっているわけですよ。新潟県の各四つ協会の記録によると、これらの陳情については四つ団体、道路、河川、都市計画、それから砂防、この四つ団体がそれぞれ同一行動をとった、こういうことになっているわけです。つまり行った人間は同じ人間なんです。行った先も同じなんです。つまり、何人かの人たちが北陸地建へ行って、そこで道路課へ行き、砂防課へ行き、河川課へ行きして帰ったわけなんです。あるいは同じ人間が建設省に来て、何人かの者が一緒に来て、そして建設省で道路局へ行き、河川局へ行き都市計画局へ行き、こういう行動をとっているわけです。それの費用として道路協会は四百万円使った、河川協会は六百五十万円使った、こういうふうになって、結局その五回の陳情行動で大体千五百万円ぐらいを使っているわけなんです。つまり、単純に割りますと一回陳情に来るごとに三百万使っていると、こういうような報告になっているわけなんです。  こういうふうに、まだほかにも例を挙げれば切りがないんですが、それぞれの地方公共団体の関係者が、陳情に来るごとに多額の金が、旅費とか宿泊費とか、これ以外に何十万とか何百万とかいう金がきわめて簡単に支出をされているわけです。旅費や宿泊料は、これは自治体の予算から別に出ているということになると、結局、一体これらの金は何に使われたのか、こういう疑惑を持たざるを得ないんです。ある県でこの点に疑問を持って、議会から選出をされている、自治体のある市の会計監査の人が、負担金を自治体で出しているんだからぜひこの協会の経理内容について監査をしたい、こういうことで申し出たところ、事務費とか会議費等については非常に明細な資料提出をされたそうですが、私はこの県、市の名前は挙げませんけれども、この事業促進費だけについてはがんとして内容説明を断られたと、こういうふうなことを聞いているわけなんです。つまり、端的に言ってしまえば、これはいわゆる宴会の費用とか、あるいは贈答品の費用として使われているとしかもう考えられない、こういうふうに私は思うわけですし、幾つか私は具体的な事例も承知をしておりますけれども、そのことをここであげつらうのが本意でありませんから名前は伏せますけれども、つまり、これらの団体の果たしている役割りというのはどういう意味かといいますと、各地方公共団体事業費に応じて経費分担をして、そして地方公共団体支出しがたい費用をここにプールをして、つまり、言うならばダミーをつくってそこから支出をしている、こういう仕組みになっているわけです。しかも、こういう協会の事務所はどこに置いてあるかといいますと、大体各県の土木部の中に置いてあるわけです。実際の事務処理はほとんど土木部の中でやられているわけなんです。こういうふうないわゆるトンネル機関があって、そこで非常な多額の経費が国民の前に明らかにされない形で使われている。こういう仕組みについて、特に記録によれば全部建設省陳情のためにこういう金が要ったんだという形がここにこれだけあるわけです。これは官房長としてどういう認識をお持ちですか。
  29. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) いま先生の御指摘の中に、それらの事業促進費がすべて宴会のために使われたんではないかという御疑念が表明をされたわけでございますが、私どもこの経費支出につきましては、それぞれの各都道府県単位協会の仕事でございますのでそこまで承知をいたしておりませんが、ただ、予算編成時期等には多数の市町村長なりあるいは議会議員の方が東京においでになりまして、地元の切なる要望を陳情されるわけでございまして、相当多人数の方が見えるわけでございます。旅費や宿泊費がどこから出ているかということも、これまた私も実情を存じませんので、正確なことは申し上げられませんけれども、それらの方の活動に要する費用というものも入っているのではないか、全部が全部宴会費であるというのもどうかというような感じはいたしております。ただ、いずれにいたしましても、そういう公費で賄われておりますそれらの協会の金でございますので、これらが建設省等の懇談会の費用等に回されているとするならば、これは問題があるというふうに考えております。
  30. 野田哲

    野田哲君 自治省に伺いますが、明らかにこれは一〇〇%地方公共団体負担金によってこういう形の運営がされているわけですが、あなたは任意団体だから直接はかかわっていないんだと、こういうふうな意味のことを言われましたけれども、地方公共団体の一〇〇%負担金によってこういう団体が維持され運営されているわけですし、構成員というのは、これは一〇〇%県下の市町村長が構成員になっているわけです。市町村長というよりも地方公共団体が構成員になっているわけです。当然そこで集められる金、使われる金、これについては、それぞれ加盟している地方公共団体から監査の申し出があれば当然それに応じるべきではないんですか、いかがですか。
  31. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) そういうような分担金支出しております場合に、それぞれの地方公共団体における監査委員が、必要に応じ、あるいは長の命令によりましてその団体を監査することができるという規定がございます。したがいまして、問題があるようでございますならば、それぞれの市町村の監査委員がその監査を行うということになるであろうと思います。
  32. 野田哲

    野田哲君 その団体がそういう形で公費を集めて、いろいろ事業促進費という名目で多額の支出を行っているんですが、これの使途については、全くこれはもう任意団体だからそこの協会の手続さえ得られれば、法律的には何に使ってもいいということになるんですか、事業促進とは全くかかわりのないことに使われている。具体的な例を挙げますけれども、これは名前を出すことははばかりますが、この協会でゴルフの会員権を事業促進費の中で買って、そして加盟団体関係職員がその会員権を使ってゴルフをやっている。こういうようなあり方、これはいかがですか、これはどうお考えになりますか。
  33. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 内容がよくわかりませんので的確な批判はできませんけれども、常識的に申しますならば、ゴルフの会員権というのをこういうところで買うような必然性というのはないんじゃないかというような気がいたします。
  34. 野田哲

    野田哲君 公費がそういう形で集められて、一つ団体経費に充てられていく、そしてそこで、いま内容承知の上ではないが、たとえばそこでゴルフの会員権を買っている、こういうようなのは適当ではないというお話があったわけですが、そういうあり方について自治省として規制の措置は、これは具体的に言えば取り得ないんですか、どうですか。
  35. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 戦後の自治法の精神というのが、地方自治というものを非常に尊重し、地方団体はその自治に基づいてみずからの責任で運営するという基本になっておることは御承知のとおりでございます。自治省は必要な助言ということはもちろんできるわけでございます。  そこで、この問題につきましては、実は私どもは地方団体が出します補助金以上に問題が大きいんじゃないかと思います。補助金の場合には、こういう仕事をやるからこれだけの補助金を出すということですが、こういう分担金という場合は、みんなで決めてこれだけの負担割合でということで出すわけでございます。したがいまして、従来なかなかその分担金で行われる仕事の内容について、それぞれの地方団体十分審査の上この分担金を納めているかどうかということについては問題があるわけでございますので、そこで先ほども申しましたように、ここ一、二年、特に地方財政が厳しい折でもございますので、こういう分担金については特に注意してその内容を洗えというような指導をしておるところでございます。
  36. 野田哲

    野田哲君 行政局長は、地方自治についてはさも尊重するというような説明があったわけですけれども、私は余りあなたのところで尊重しているとは思っていないんですよ。だから、都合のいいときだけ、尊重するんだから余り干渉がましいことは言えないんだとおっしゃっても、それは私は納得ができないんです。あなたのような説明によりますと、つまり県下の市町村で、自治体で直接支出ができないような、多少後ろ暗いような気持ちの持たれるような経費については、しかもこれが各市町村共通の問題だということであれば、あなたのおっしゃるような趣旨から言えば、何か県下の市町村団体をつくって、そこへ分担金出して、トンネルを通して、そうしてその団体から使っていけば全くだれからの干渉も受けないし、自治省のとがめも受けないと、こういう仕組みになってくるし、これはかなりそういう性格をいま申し上げたような団体は持っていると思うんですが、自治のたてまえだから、もうそれ以上のことは何にもやりようがないんだということであれば、これからもそういうやり方が全く規制できないということになるんですが、やはり分担金あり方、あるいは各地方公共団体がどういう団体を構成をしているのか、こういう点については、私はきょうはこれは建設省官房長にはお気の毒ですが、建設省の問題を指摘したわけですが、建設省の関係だけじゃないですよ、これは。農林関係もある、そのほかにもいろいろ各省庁別の類似団体はまだほかにもたくさんありますよ。そこへみんなそういう形でトンネルをしていくと、あとはだれの干渉も受けずに金が集められて使われていくということでは、これは行政あり方として、私は国民に対して公明正大なあり方ではないと思うんです。これはやはり洗い直しをすべきではないですか、いかがですか。
  37. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 本日御指摘のいろいろな団体が、そういった地方団体が表向き出せないような金を保持するための、それだけの目的の団体であるかどうかという点はいろいろ問題があるところだと思いますし、それぞれの行政について、そういう協会にやらせる方がベターであるということで地方公共団体が恐らく予算支出しておるんだと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、この分担金の場合、ともすれば、それがどういうふうに使われるかという内容についての審査が不十分なまま地方団体が議決をして出すということが間々ありがちでございますので、特にそういうことがないように、ここ一年、二年地方公共団体に強く指導しておるところでございますが、今後もそういった問題については特に注意を喚起していきたいと思っております。
  38. 野田哲

    野田哲君 もう一つは、やはりこの団体の人事の構成ですね、大体私の調べたところでは、こういう団体の事務局は県庁の中に置かれている。そして役員はこの自治体の長がそれぞれ就任をされているんですが、各県の土木部の管理職の立場にあった人が退職をしてこれらの団体の役についている、専務理事とか事務局長とかいうような形で役についている、つまり一家でやっているわけですよ、建設関係一家で。で、先ほど官房長が言われた全国治水砂防協会、これは建設大臣の監督下にある公益法人ということであります。ここの会長はいわゆる建設省のOBの西村英一さん、それから日本道路協会の高野さん、これも建設省のれっきとしたOBですね、それから河川協会の山本三郎さん、都市計画協会の財津吉文さん、みんな建設省のれっきとしたOBでやっておられるわけです。そして、これらの協会には各県の砂防協会あるいは道路協会河川協会都市計画協会、そういうところからそれぞれ分に応じた分担金が集められておるわけですね。つまり、各県に河川協会砂防協会等いろいろ協会をつくって、そして全国的に言えば建設省の監督下にある公益法人としていわゆる各県にある協会の上部機関といいますか、全国的な組織として砂防協会道路協会河川協会都市計画協会、こういう形の協会があって、そこに各県から分担金が納められて維持されている。つまり、この仕組みというのは建設省公共事業費予算増額になれば、これに応じて、先ほど私が申し上げたように各県の事業費別の分担金がふえてくる、この各県の協会予算がそういう形でふえてくると、今度はそれが全国の建設省のOBが会長でやっておられる河川協会とか砂防協会道路協会都市計画協会、そういうところの上がりがふえてくる、こういう仕組みになっているわけです。まさにこれは、建設省官房長には矢面で私は気の毒だと思う、ほかにも農林とかいろいろあるんですよ、あるんだけれども、この例をとって言えば、まさに建設一家によってこういう仕組み運営をされ、操作されている、こういう状況なんです。建設省のOBはそれぞれ建設行政についての有識の方でありますから、私はなっちゃいけないと、こういうことを申し上げているんではないんですが、建設省と各県のこの土木部、そういう形のいわゆる建設一家でそういう金が大きく動かされている。大体全国でこの協会経費というものを全部合わせると恐らく約十億ぐらいになると思うんです、私の推定では。そういう金が公費の中から集められて建設一家によって動かされている。これはやはり今日の経済状態のもとでは私はやはり考え直していかなければいけないんじゃないかと思うんです。特にこの五十三年度予算状況から見ると、五十四年度の経費というのはまさに水ぶくれのような状態増額、もう自然増で増額してくると思うんですよ。恐らくこれは十五億円ぐらいになるんじゃないかと思うんです。しかもその約半額くらいは事業促進費という形で、監査をしたいということでれっきとした監査委員という資格を持ってこの監査に行っても、事業促進費のところだけはどうしても具体的な説明を拒否をされるという形で、国民に明らかにできないような状態でこれが運営をされている、これは私はやはり任意団体だからということで済まされる問題ではないと思うんです。行政機構改革ということを考える場合には、管理庁長官、こういう形の金が集められて、そして年に何億という金が陳情のために使われている、ここに私は日本の行政機構のメスを入れなければならないポイントがあるんじゃないか、これが今度の行政機構改革の中でも、何ら——これは知らなかったと言えばそうかもわかりませんが、私がいま具体的な例を挙げたわけですが、メスを入れるべきではないか、こういうふうに考えるんですが、行政管理庁長官、いままでのやりとりを聞いていかがですか、どうお考えになりますか。
  39. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 委員長
  40. 野田哲

    野田哲君 これはしかし大臣に答えてもらうべきことではないのか。
  41. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) その前にちょっと。  ただいまいろいろ御指摘のございました都道府県協会のいろいろな経理、支出状況について、たとえば私どもの方で行政監察をやるかどうかというような点をちょっと考えてみますと、御存じのとおり、行政監察というのは国の行政機関の業務の改善を目指していろいろ監察を行うわけでございまして、直ちに都道府県に置かれている任意団体である協会の経理状況等を拝見していくということは若干問題があろうかと思います。ただ、先生御指摘のとおり、それが全体の国の団体あるいは各省との関係、そういうものがあると考えられる部分もありますので、その辺は十分研究して検討していきたいというふうに考えております。
  42. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) ただいま野田さんから御指摘のありました点、よく承りました。確かに行政上の盲点を上手に使っているように思います。これはいま直ちにどうするかといってもなかなか方法はないと思いますが、しかし、これはこのままにしておくということは、まあ役所の盲点をついたようなことでありまして、一つの民間の会社であればこれは詐欺行為であり、犯罪を構成するような問題であります。こういう、任意団体でありますから何をやってもいいということじゃございません。したがいまして、いまお聞きしておりますと、これは全国の組織になっておりまして、しかも分担金が各市町村に割り当てを食っている。ですから、逃げ口上の答弁ではいけないので、これはもちろん建設省もありましょうし農林省もありましょうし、その他の省にもそういう問題等があります、と想像できます。特に、分担金を集めてきてゴルフ権を買っちまったと、そしてゴルフに飛んで歩いていると、もうとんでもないことだと私は思います。これはひとつ各省に対しまして、どうしたらこういうものが改善されるかということを私の方から勧告をしてみたいと思っております。いま直ちにどうするかということはできませんが、これはほうっておくわけにはいかない。予算が大きくなりゃどんどんふえていきますから、ことし十億むだをしている、来年は十五億、再来年は二十億と、こういうことになる。まあ一種の犯罪行為ですから、これはほうっておくわけにはいきませんから、直ちにひとつ各省と相談をしまして厳重な処置をするように考えております。  以上でございます。
  43. 野田哲

    野田哲君 長官がそういうふうにおっしゃったわけですから、私はその点を了といたしますが、私はゴルフの例を出したわけですが、これはどこそこのゴルフ場とは言いませんが、これは一つや二つの例ではないんです。ゴルフの会員権を持っているんです、こういう協会が。これは関係の職員がゴルフをすることのため持っているんじゃないんです。視察に来られた人たちの案内をするためにこういう協会がゴルフの会員権を持っているんです。そのことを私は指摘をしておきます。  それから、長官の御答弁で私は了といたしますが、自治省行政局長行政管理庁の監察局長も、あなた方の立場から言えば、これはなかなか立ち入ることはむずかしいということでお答えがあったわけですけれども、任意団体というのはこれはまさにそのとおりなんだけれども、任意団体であれば立ち入ることができない、指導監督はできないということで、いつまでもそういう態度でやっておれば、これは後ろ暗い経費支出はみんな任意団体つくりますよ。長官そうでしょう。これが経費が全く私的な経費から出ておるんであれば私はこんなことは言いませんよ。全部公金で賜われているわけです。構成団体も全部地方公共団体が構成団体になっているんです。余り言いたくはなかったんですが、あなた方がそういう態度をとるから、長官の答えは了といたしますが、もっと端的に言いますと、これはわれわれの同僚にかかわることですから私は言いたくないんですが、○○議員がお見えになってそのためにこれだけというようなこともあるんですよ、この中には。書きとめないものをつい事務局員が筆を滑らして書いたんだと思うんですよ。その時期を見ると、まさにこれは陳情を受けるような状態の時期じゃないんです。去年の六月ですよ。何々議員がお見えになったからこういうふうにした、こうなっているわけです。あるいは国政選挙が行われた時期の状態を見ると、この中に幾つかあるんです。別途会計へ繰り出しと、こうなっている。別途会計の方は議案書の中に書いてないんですよ。そこを指摘をすると、そこのところはひとつお察しください、勘弁してくださいと、こういうことまであるんです。ですから、私はいま長官のお答えになったように、きょうは建設省の例を引き合いに出したわけでありますけれども、ほかの省もこれに類似するケースを幾つか私は承知をしておりますが、少なくとも公費経費負担をされ、構成団体も公的立場にある人が構成団体になっている。しかも、そこから分担金を納めている全国の協会というのは、これは公益法人として建設省の管理監督下にある。で、その団体には建設省もかなり委託費とか補助金を出していますね、そういう状態にあるわけでありますから、これは具体的な方法をよく検討してもらって、こういうあり方が改まるように、少なくともこの金の使い方については国民の前に明らかにできないような金の使い方がされないように、そしてまた、これだけの金を使って陳情を行わなければならないような行政あり方、そこに私は一番の問題があると思うんですよ。建設省官房長の方から言えば、来ぬでもいいのに来るんだと、こういうふうにあるいはおっしゃるかもわかりませんが、こういう仕組み、そしてこの陳情行政、ここに私は問題の根源があると思うんです。行政管理庁の長官は、かつて予算委員長としてむずかしい問題に国民にも非常に共感を呼ぶような采配を振るわれた荒舩行政管理庁長官でありますから、ぜひこういうあり方について検討を加えて、どういうやり方をとって国民の疑惑を晴らすか、具体的な措置をぜひ検討していただきたい、このことをお願いを申し上げたいと思うんですが、いかがですか。
  44. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えしますが、大変適切ないいお話をきょう承りました。任意団体だから何をしてもいいんだというような考え方、それから、陳情に来るんならまだ——まあいいとは言いませんけれども、それがゴルフ場で使われちまって、ゴルフの会員権も買っておいたり飲んだり食ったりしちまうんだということになると、これは分担金が各市町村から出ているんですから、一種の詐欺行為というんですか何というんですか、大変なことだと私は思います。したがいまして、これはひとつ各省に私の方から厳重な注意もするし、勧告をいたします、これはだんだんふえていくことですから。  それから、いまちょうど御意見がありましたから一つつけ加えて私の考え方を申し上げますが、四月の七日に行政監理委員会から私にこういうことをやれという勧告を受けました。その要旨は、各地方の補助金についてもっと簡素で手間のかからない合理化をしろと、こういう趣旨でございます。至急調べてまいりますと、これはまあ大変な手数がかかって、同じ書類を何通も何通も書き上げてそうして時間がかかる。それから、まあ北海道から九州、沖繩の先まで、東京まで陳情に来なくてもいいのが陳情に押しかけてくるような状態が起こっております。したがいまして、これを簡素にしてもっと簡単に補助金の同じことなら出せるようにする、そのためにはもうこんなに複雑な、明治始まって以来複雑になる一方ですから、これを合理化いたしますと大体五千億ぐらいは節約ができると思うんです、国家全体で五千億は。そして調べてみますと、その人員が各町村から始めてずっと県庁の役人から各省に出す書類に大体十二、三万人はこれにかかりっ切りで、補助金をもらうためにかかりっ切りでやっているんです。こういうばかげたことはもう徹底して簡素化しなくちゃならない。補助金をもらうために人間をふやさなくちゃならないようなそんな行政はあり得ないと思うんです、私は。したがって、これは断行することに閣議でも決めまして八月までには各省がどうしたら合理化できるかということを閣議で報告する、決定を見たわけでございます。まあちょうど同じようなことです。そして、任意団体だから何してもいいんだという考え方は、その考え方自身私はまずいと思っていますから、御趣旨に沿って各省に勧告をいたしまして、そして徹底的に透明化するようにやりますから、どうぞ御期待をいただきたいと思います。
  45. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後は一時三十分から再開することにいたします。  休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会
  46. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、審議会等整理等に関する法律案及び許可認可等整理に関する法律案議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  47. 野田哲

    野田哲君 行政機構改革の問題について、全体的なことを私どもはこれから審議をしていくわけでありますが、そこで問題は、行政機構改革法律の出し方によって一元的、統一的に私どもが審議できないという問題点を幾つか感じているわけなんです。  そこで、文部省見えておりますか。−今度の行政機構改革の閣議決定された内容の中に文部省の所管事項があったと思うんですが、どういう内容のものがありましたか。
  48. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) オリンピック記念青少年総合センターを廃止し、文部省の直轄の社会教育施設とするという内容でございます。
  49. 野田哲

    野田哲君 それは、法案としてはどういう形の法案になっておりますか。
  50. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 法案といたしましては、オリンピック記念青少年総合センターの解散に関する法律案として国会提出さしていただいております。
  51. 野田哲

    野田哲君 文部省設置法はどういう扱いになっておりますか。
  52. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 文部省設置法につきましては、ただいま申し上げました法案の附則第四項におきまして、文部省設置法の一部改正をいたしておりまして、「「国立青年の家」を「国立オリンピック記念青少年総合センター、国立青年の家」に改める。」という内容のものを出しております。  なお、文部省設置法の一部改正におきましては、第二十四条の二といたしまして、国立オリンピック記念青少年総合センターを本省に置くというような内容のものを附則で提出いたしております。
  53. 野田哲

    野田哲君 昨年であったと思うんですが、文部省は国立大学の法案に関連をして総定員法の特例を設ける法案提出をして、これは成立をしておると思うんですが、これは概略どういう内容法案であったか御説明いただきたいと思います。
  54. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) ただいま御指摘の国立学校設置法の中身におきまして、定員についての特例措置を規定した、総定員法の枠外というということで規定をいたした内容についてのお尋ねであろうかと思いますが、昭和四十八年度以降におきます国立医科大学等の創設については、いわゆる無医大県解消計画やあるいは大学改革の推進ということで国の文教政策上の重要施策として推進されているものでございまして、総定員法成立当時には予想されておりませんでした大規模なプロジェクトを推進するというような観点から、総定員法の最高限度の枠内では、既定の定員の再配置によってすべて対処するたてまえをとること等必ずしも適当でないという考え方に立ちまして、特例措置を国立学校設置法に規定することとしたものでございます。
  55. 野田哲

    野田哲君 これは長官もよく聞いておいていただきたいと思うんですが、いま二件について文部省の方から説明があったわけですが、今回、今国会にオリンピック記念センター、この廃止に関連をして文部省設置法の改正が附則という扱いで提出をされているわけです。私どもはここの内閣委員会、私自身もずっとここにおりますから、文部省設置法で、高知県に国立の青年の家を設けるとかというふうな、青年の家の設置についての法案審議、文部省設置法の審議をここでやってきた経過があるんです。今度は全く同じようなケースの文部省設置法の改正がオリンピック青少年総合記念センターの廃止に伴う附則のところに書かれている、これは別の場で審議をされる、こういう扱いになっているんです。  それからもう一つは、内閣委員会は今日までずっと公務員の定数管理の問題について審議を続けてきているわけなんです。公務員の定数管理という問題は、これは行政機構改革の中でもかなり重要なウエートを持つものなんです。それが先ほど説明があったように、文部省が別の国立大学の法案の改正の附則のところに総定員法の特例を設けるような形の出し方を法案として出されると、これが内閣委員会で今日まで一貫して定数管理の問題を審議をしている、それが全然別の委員会で、全く内閣委員会でのこれまでの定数管理の審議とは無関係に審議されてしまう、こういう状態になっているわけなんです。だから、いまの文部省のような法案の出し方をされると、内閣委員会行政管理庁の方で扱われる行政機構改革全体の問題を総合的に審議をしていこうとしても、これが総合的な審議ができないような状態になってきているんです、現状は。これは私は審議あり方としてもいい状態ではないと思うんです。  問題は、なぜそういうことになるかといいますと、設置法とか、それから総定員法という問題が別の法律の附則で扱われているところに問題があるんです。また、いま衆議院審議をされている大規模地震の問題にしてもそうなんです。地震対策の法案の一番後ろの方にちょこっと自衛隊法の改正が行われている。こういうような扱いをやられると、内閣委員会で何のために設置法の審議とかあるいは定数管理の問題の審議をやってきたかということになってくるわけです。もっと法案の出し方としても系統的な出し方を私はしてもらいたいと思うんです。  そこで、法制局に伺いたいと思うんですが、設置法がなぜ別の法律の附則のところでやられなければいけないのか、どうしてそういう扱いになるのか。大体、法案としては、附則というのは経過措置施行期日、こういう問題が附則事項としては常識的な考え方だと思うんです。そういう附則のところへ設置法あるいは自衛隊法とかいうような、こういう法案が附則のところで扱われるというのは、法案の扱い方としては一体妥当な扱い方と言えるんですかどうなんですか。法理論じゃないですよ、これは。法理論ではなくて、問題の扱いとして、各省の設置法という問題がほかの法律の附則で扱われるというあり方が一体いいあり方なのかどうか、そこの見解を伺いたいと思うんです。
  56. 味村治

    政府委員(味村治君) 一つ法律をつくりましたりあるいは法律を改正するという場合には、それに関連いたしますいろいろな法律の改正を伴うわけでございます。あるいは一つの政策目的を遂行する、そのための立法をするという場合には、一つ法律だけではなくってそれに伴います従たる法律と申しますか、の改正を伴うという場合がしばしばあるわけでございます。そういったように、一つ法律の改正なり制定なりに伴いまして他の法律を改正しなければならないというような場合には、従来からこれは附則という形で御提案を申し上げているわけでございまして、今回ただいま御指摘にございました三つの法案も、いずれもその線に沿って御提案を申し上げた次第でございます。
  57. 野田哲

    野田哲君 今回の文部省から出してきている法案は幾つもの法律を改正しなければならないという問題ではないんです。この前の同じように総定員法の特例を設ける問題についても幾つもの法律に関係をしている法案ではないんです。今回の場合は、オリンピック記念青少年総合センターの廃止と、それから文部省の設置法の改正と二つしかないんです。ほかには関係ないんですよ。どっちの法律が主でどっちの法律が従という、法律に主と従というのをことさら私は言いたくはないんだけれども、国の行政機構という問題を扱う設置法が、いわゆる特殊法人を廃止する法律の附則で扱われるというのは、私は行政機構を総合的に審議できないんじゃないですかと、こういうことなんです。これは逆に、文部省設置法の改正を前に出して、そしてオリンピック記念センターの廃止を附則でうたうという方法だって当然あり得るわけでしょう。その点いかがなんですか。
  58. 味村治

    政府委員(味村治君) 先生の御意見も、確かにそのような御意見も十分成り立ち得るとは存じます。しかし、オリンピックセンターのことに関して申し上げますと、オリンピックセンター法には、この法人の解散については「別に法律で定める。」ということになっております。そして、主眼はやはりオリンピックセンターを解散するということがその法案の主眼であるというふうに考えられますので、したがいましてオリンピックセンター法の解散に関する法律という形で出さしていただきました。解散をいたしますというと、それに伴います仕事を文部省の方で引き受けるということになりますので、その点につきまして文部省設置法を附則で手当てをしたということでございます。
  59. 野田哲

    野田哲君 これは長官、よく聞いておいてほしいんですけれども、今度の文部省にかかわる問題については、さっきも言ったように、私たちはここで、この内閣委員会で国立青年の家とかいうような社会教育施設の設置について何回も審議してきているんです。今度の場合も全く同じ性格のものなんですよ。それが設置法で出てくればここで審議する、別の法案の方で出てきて設置法の方が附則に書かれておれば別のところで審議される、こういうような形になってくると、これから先々政府が出してくる法案が、内閣委員会はうるさいからいつも仲よしクラブでやっておる所管委員会の方へ、各省と一番密接なところにある委員会で審議をしていこうというような形のなれ合いになって、みんな設置法を別の法律の附則のところへくっつけて出してくるというような傾向になってきたときには、これは行政機構改革審議はもうばらばらになってしまうんですよ。系統的な審議はできないし、定数管理の問題だってそうなんですよ。内閣委員会で定数管理のあり方について何回も議論をしてきているんです。それが事もあろうにその特例を設ける措置が別のところで別の法案の附則について出るということであったのでは、これはまともな審議はできないですよ、これは。  そういうことから考えて、私は法制局にもう一回伺いたいんですが、どっちが主でどっちが従ということは私は言うべきではないと思うんですが、少なくとも設置法については独立した法案として、今度の文部省の場合もそうなんです、独立した法案として出すという方法をとれないことはないでしょう。記念センターの方の廃止の法案を出すのなら出すとして、文部省設置法については少なくとも独立した法案として出す、あるいは他の法案に関係をして総定員法の改正を行わなければならないという場合、総定員法は独立した法案として提出をする、そういう扱いは、これはできないことはないでしょう。どうですか。
  60. 味村治

    政府委員(味村治君) 論理的にできないかどうかということはともかくといたしまして、一つの政策目的を実現いたしますために法律案を御提案申し上げる際には、やはりその政策目的が完全に満足されるような形で法律案をお出しするというのが一番、何と申しますか、時宜に適した方法であろうかと存ずるわけでございます。その点では設置法の改正でございましても同様でございまして、たとえば、これは何らかの事業法をつくるというような場合に、その事業に関します事務を主管大臣のどの部局でやるかというようなことは設置法で決めなければなりませんが、そういう場合にはやはり附則で御提案を申し上げておるのが従前からの例でございまして、今回のもそのような例にならったわけでございます。万一別々に御提案申し上げまして、片一方は成立したが片一方が成立しない、そのようなことは国会のお取り扱いの面からないとは存じますが、仮に万が一理論的にはそういうことがあり得るわけでございますので、そういうことが起こりますというとやはり法律の不一致と申しますか、不整合という問題が生じますので、そのように独立関連した法律案の改正を別々の法律案という形で御提案申し上げるということは適当ではないんじゃないかというように考えております。
  61. 野田哲

    野田哲君 適当か不適当かということになるといろいろ判断の違いがあると思うんですが、これは長官に伺いたいと思うんですが、政府の方では、今回の行政機構改革については昨年の十二月でしたか、全体を一まとめにして、各項目に分けて特殊法人の問題とか、あるいは地方管区の問題とか、一連の行政機構改革の案件として閣議決定をされているわけなんです。ところが、それが部分的にそれぞれ法律としては別々の法案にならざるを得ない、これはわかるんです。しかし、設置法にかかわる問題が別の法律の附則につけて出されるという形で、行政機構改革全体を審議をしている私ども内閣委員会とは別のところに付託をされる、法案の出し方によってそういう扱いになっているわけなんです。先ほど来繰り返して言っているように、定数管理の問題にしてもそうなんですよ。内閣委員会行政管理庁あるいは総理府、人事院、こういうところの大臣や政府委員の人たちと私ども何回も定数管理のあり方について審議をしてきているわけなんです。それが法律の書き方によって、全然いままで定数管理の議論をしたことのないような委員会へ別の法律の附則として持っていかれて処理されてしまう、こういう扱いに現に昨年もなっているわけなんです。国立青年の家だってここで何回も議論をしているんです。国立青年の家のあり方がどうあるべきかということをここで何回も議論しているんです。それが法律の出し方によってはここでの今日までの議論とは全然別のところで、無縁とは言わないが切り離された形で別のところで審議をされる、こういうあり方は、これは国会における審議あり方としても私は系統的ではないし、総合的な判断ができないと思うんです。これはやはり政府法律の出し方によってそういうことになっているんです。少なくとも私は定数管理にかかわる問題、総定員法にかかわる問題とか、あるいは各省設置法というような問題については、これはやはりそれを所管をしている内閣委員会で系統的に審議ができ得るような法案の出し方をすべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、行政管理の問題を担当されている長官としてこの点はどういうふうにお考えになりますか。
  62. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) ただいま野田さんからおっしゃるとおりでございます。ただ、出した以上はどの委員会で審議をなさるべきかということは国会自体が決めることでございます。ただし、出し方についてはいまおっしゃるとおりだと思うんです。したがいまして、これは閣議のところでひとつ官房長官とも、あるいはまた総務長官ともよく話をいたしまして、今後、いまおっしゃるようなことで、全くここで関連しているものがほかの委員会でやられるとばらばらになってしまって系統的な審議ができない、こういう点はひとつ官房長官、各省ともひとつ話し合いをして、今後は系統的に審議のできるような方法を講じたいと思っております。いま、出た以上は、どうもこれは議会で決めることですから、出し方を系統的に出すというような方法でやるように私からも発言をしておきます。
  63. 野田哲

    野田哲君 出す以上は、どこに付託をしてどこで審議をするかというのは国会の問題で、それはもう長官のおっしゃるとおりです。それはそうなんで、だからこそこの法案の扱いについては、政府提出をしたときに衆議院の議院運営委員会の中でもかなり問題になったわけです。問題になったんだけれども、結局は法案の出し方が文教委員会で審議するような法案の出し方になっているがためにこれはいま文教委員会の方に付託をされているわけなんです。だから問題は、出した以上は国会が付託する場所を決めることはそれは当然なんですけれども、出し方に問題があるわけなんです、出し方に。ですから、少なくともそういう点から、出し方についてよく検討をしてもらいたい、こういうふうに考えますし、特に設置法については、これは本委員会で長く私どもと一緒に審議に当たってきました公明党の峯山議員から、設置法については少なくとも一年ぐらい前に審議ができるようにしてもらいたいということを何回も指摘をされて、これはそういうふうに考えましょうというような政府側の答弁も私はたしか行われていると思うんです。今回の場合は、建物はすでにあって、ただその所管が特殊法人か文部省かということなんですけれども、往々にして設置法の出し方については、いままで設置法の審議で何回も私もあるいは峯山議員も指摘をしているんですが、設置法を審議するときは、もうその前の年の予算で建物の新設の場合は建物ができ上がっちゃって、設置法を審議するときはもう建物はできてしまって、場合によっては、参議院で審議をするときはもうその建物へ新しい機構が前もって入ってしまっている、こういう形の中で後追いの審議をやった経過が何回もあるんです。あるいは、極端に言いますと、部局の改廃等の場合には、あるいは新設等の場合には、もう人事の局長なり部長の内示まで出ている、そして会期切れになってくると、もうすでに局長も部長も内示をしておりますから、これはもう何としても通してもらわなければ部内の人事ががたがたになってしまいますと、こういうことを各省から私どものところへ持ち込んでくるような例もあるんです。そういう議論をしてきた経過から考えまして、私は設置法が軽々に附則で扱われるということでは困ると思うので、これは防衛の問題はまた別な機会があると思うんですが、大規模地震の問題の扱いにしてもそうなんですよ。これは国務大臣として聞いておいてもらいたいと思うんですが、自衛隊法の改正というような制服の行動を規定をする法律が、地震対策の法案の後ろの方にめくってみたら一行書いてあったというようなそういう扱いでは困ると思うんです。  そこで、もうこれで終わりますけれども、先ほど長官は、官房長官や関係閣僚とよく相談をするということですから相談をしてもらいたいと思うんですが、これは委員長にもお願いしたいと思うんですよ、先ほど来申し上げたように、いまの文部省の関係の法律のようなああいう出し方をされている、そして前年の総定員法の特例を設ける問題のときは、私はかなりこの問題について指摘をしたわけなんですが、当時の海部文部大臣は、もうこういうずるいこそくなやり方はしませんから、どうかひとつ勘弁してくださいと、こういう一幕もあったわけなんです。だから、設置法とか総定員法とかいうような問題の審議は、これは内閣委員会で系統的な審議ができるように、そういう法案の出し方を政府に対して要望するということで、これは内閣委員会としても理事会で協議をお願いをしたい、こういうふうに思うんです。これを要望して私の質疑は終わります。
  64. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は審議会等整理法案について、まず行政管理庁長官にお伺いをいたします。  審議会等の統廃合については、昭和二十四年以来、これまでにも数次にわたって行われてきたところでございますが、その整理方針はおおむね責任体制の明確化、事務の簡素能率化、経費の節減等が挙げられております。また整理基準としては、公務員のみを委員とするものは原則として廃止する、民間の意見聴取程度のものは原則として廃止する、類似する性格のものは原則として統合する、任務の終了したものは即時廃止する、閣議決定によるものは廃止するかまたは必要な法律基礎を与える、委員国会議員を充てないこととする等が示されてきたところでございます。特に三十四回国会では、行政管理庁設置法改正に関連して「不用又は類似審議会等整理、統合を速かに断行」されたい旨の附帯決議が行われております。しかし、これらの事項はいずれも余り効果を上げ得ず、整理のたびごとに一たんは減少する審議会等の数もやがてはもとに戻って、さらに大勢としては漸増の傾向をたどってきたのが実情でございます。  その間、当委員会においても、審議会等整理に関する論議はしばしば行われてきておりますが、こうした経緯を踏まえたときに、政府が従来とってきた審議会等の統廃合に対する施策について、どのような評価と反省をされるか、まず長官にお伺いをいたします。
  65. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会整理の経過につきましては、ただいま御指摘のあったとおりでございまして、四十年度には二百七十七という数であったわけでございますが、四十一年度に一括整理法による整理をいたしました。それから四十三、四年にかけまして第二次行政改革計画による整理を行いまして、それ以後おおむね横ばいの形で推移をしてきているわけでございます。  今回、全体の行政改革の一環といたしまして、審議会二百四十六ございますのを全般的に見直すことにいたしたわけでございます。その結果、社会経済情勢の変化に伴って必要性の低下したものでございますとか、あるいは活動実績の不活発なもの等につきましてはこれを廃止をする、それから目的等が類似のものにつきましてはこれを統合するということにいたしまして、二百四十六のうち四十八審議会、約二割に当たりますが、これを対象にいたしたわけでございます。その結果、ネット減りますものが三十六、これが全体の審議会の一五%に当たるわけでございますが、そういう整理計画を立てまして、ただいま法律案の御審議をお願いしておる次第でございます。
  66. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 その経過、よくわかるんでございますが、昭和四十一年は三十一審議会減になっておるようでございますが、それから少しずつ減になって、四十七年からまたふえ出して、そして四十九年まで漸増をして五十、五十一、五十二年度というのは全然減になっていない。こういうような経過をたどっておることに対して、この数年間どうして審議会の縮減ということをおやりにならなかったのか、その辺の理由をちょっとお知らせ願います。
  67. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 経過から申し上げますと、四十一年に一括整理法を成立をさしていただきましたときには三十四審議会整理いたしたわけでございます。四十四年の第二次計画の際には二十六の審議会を対象にいたしまして、逐次その実現を図ってまいったわけでございます。この四十四年のときのやり方は一括整理法ではございませんで、設置法改正等のございます都度整理をしていくという方式によったわけでございます。そういうことでございまして漸次減ってまいりまして、四十六年には二百三十五という数だったわけでございますが、その後まあ行政需要の変化等もございまして若干ふえる傾向にあったことはただいま御指摘のとおりでございます。それを今般全体にわたりまして見直しをいたしまして、行政改革の一環として整理統合を行うことにした次第でございます。
  68. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回行おうとする審議会等の統廃合は、福田内閣の発足した際に行政改革の必要性を挙げられて、さらに昨年の九月二日の七項目からなる行政改革についての閣議了解、その中で審議会については、社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの及び活動の不活発なものの廃止、類似のものの統合等、約五十審議会を対象に整理統合を行い、また委員構成の改善を行うと、このようにされております。その整理の対象を当初は約二割と、このようにしておられたようでございますけれども、結果は三十六という先ほど御答弁があったとおり、審議会の総数二百四十六の約一五%とダウンをしたわけでございますが、そこらあたりの理由はどういうところにあるんでしょうか。
  69. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 今回審議会整理統合を行うに当たりまして、事前に何と申しますか、いわばノルマのようなものを別に設けて作業にかかったわけではないのでございます。もちろん政府部内でいろいろ調整をいたしますわけでございますので、その途中の段階におきましては、若干の議論なり検討があったことは事実でございますが、その結果、先ほど申し上げましたように、整理統合対象といたしまして四十八、全体の約二割、正確に申しますと一九・五%ぐらいでございますが、そして純減のものが三十六、全体の一五%ということになったわけでございまして、私どもといたしましては、当初のねらいとするものから別段大幅に後退したというような感じは持っておりません。
  70. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ次は、現在総理府が所管しております、そして統合の対象となっている国土総合開発審議会ほか十三の審議会は、本改正案によると新たな組織として国土審議会が設けられることになっております。そして、その委員の定数、特別委員会の設置などを法文で明示しておられるところでございますが、このほかの航空・電子等技術審議会以下、統合しようとするその他の審議会の新しい委員構成等については明文化はされておりません。そして政令にゆだねておりますが、これらの審議会の構成等についても国土審議会のように法文上明示しておいた方が適切であろうかと思うのでございますが、なぜ明示をせられなかったのか、その理由をお聞かせ願います。
  71. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会委員構成の規定についてはいろいろな形があるわけでございます。たとえば委員の数でございますけれども、ただいま御指摘になりましたように法律で規定しているのもございますけれども、その規定の仕方の大部分は何人以内というようなことでございまして、具体的なやり方はいわば行政部内にお任せをいただいているような形が多いわけでございます。また政令以下で決めさしていただいているのもあるわけでございます。したがいまして、こういうような委員の数というような問題は、通常は行政上の必要に応じまして機動的にあるいはまた弾力的に定めさしていただけるというようなことでやっているわけでございますので、今回も特殊な例外を除きましては、原則として委員の数等につきましては政令以下で規定さしていただくように措置をいたしました次第でございます。
  72. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 国土審議会と同じようななぜ取り扱いができなかったのか、法文上明確化した方がいいんじゃないか、こういうような私の質疑でございますので、なぜ統一的にそういうふうにできなかったのか、格差をつけたのか、そこらあたりをはっきりお答えください。
  73. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 委員の数の規定につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、現行法上も法律で定めてあるものももちろんございますけれども、政令以下で定めさしていただいているものも相当の数に上っているわけでございます。国土審議会の場合には国会議員の先生方が委員になられるという規定もございますので、そういう規定との関連上法律委員の数を明示するということになっているわけでございますけれども、その他の審議会につきましては、できる限り行政上の必要性に応じまして機動的、弾力的にやらしていただきたい、そういう意味で政令以下で規定さしていただいているわけでございます。
  74. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ、審議会はそれぞれ関係省庁の中に設置されておるわけでございますが、行政管理庁としては、二百四十六、この審議会のすべての事項を掌握することは相当困難だろうと思いますが、各審議会活動状況、たとえば委員の定数とか、委員の選任方法、開催状況、諮問及び答申の状況等のうち、どの程度行政管理庁では掌握していらっしゃるんでしょうか。
  75. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいまお話のございましたように、二百四十六もある審議会でございますし、その活動のすべてを把握いたしますということは、私どもにとっても非常にむずかしいわけでございます。ただ、もちろん重要な項目でございます委員の定数のようなものは当然把握いたしております。現在六千二百四十五というような数字になっております。また年間の開催回数等につきましても、各省庁からデータを徴しまして把握をいたしておりますけれども、活動状況の非常な細かい細目ということになりますと、必ずしも十分把握していないのが実情でございます。
  76. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、統合の具体的問題についてお尋ねをいたしますが、二つの審議会の所掌事務が類似しており、どちらの審議会に吸収しても支障がないもの、たとえて言いますと、電子技術審議会と航空技術審議会、石油可燃性ガス審議会と石油審議会の統合等は本法案で行おうとされておるところでございますが、しかしこれらのほかに、たとえば運輸審議会と運輸政策審議会、社会保険審議会と中央社会保険医療協議会、鉱山保安試験審査会と中央鉱山保安協議会は類似のそういうような感じを持たれるわけでございますが、統合の対象にはなっておらないようでございますが、これらの統合などについては、担当の省庁あるいは行政管理庁では検討されたことがあるのかどうか、その辺の経緯についてお尋ねをいたします。
  77. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会の統合につきましては、私ども三つの基準をもちまして検討いたしたわけでございます。一つは、設置の目的なり審議事項類似しているものということでございます。それから第二の基準といたしましては、沿革等は別個でございましても、この際統合することによりましてより広い視野に立った審議をしていただく、そうして行政の総合性を確保していただくという観点から統合することが望ましいと思われるものでございます。第三番目といたしましては、活動状況等から見まして、独立の審議会として存置しなくても、ほかの審議会に統合して部会としてやっていただいた方がいいんではないかと思われるものでございます。この三つの基準をもちましていろいろと検討をしたわけでございますが、ただいまお示しのございました三つのケースにつきましては、検討はいたしましたけれども、それぞれ設置の目的でございますとか、所掌事務でございますとか、あるいはまた委員構成でございますとか、そういうものが相当違っておりまして、統合いたしますことが必ずしも適当でないと判断したわけでございます。
  78. 小林功典

    説明員(小林功典君) ただいま御指摘の社会保険審議会と中央社会保険医療協議会の関係でございますが、いま管理局長から御答弁になりましたとおりでございまして、さらに詳細に申し上げますと、まずこの社会保険審議会でございますが、この審議会は、政府が管掌いたします健康保険、いわゆる政管健保と申しておりますが、でありますとか、あるいは政府が管掌する厚生年金、船員保険、日雇い健康保険、こういった政府が管掌しますいろいろな社会保険制度運営面のいろいろな企画、立案、実施の大綱について審議をいたしまして、答申をいたしましたりあるいは意見書を出すと、こういう機能を果たしておる審議会でございます。それでその構成でございますが、社会保険審議会の構成は、被保険者を代表する者、事業主を代表する者、公益と、その三者構成になっております。片や中央社会保険医療協議会、俗に言う中医協でございますが、これは実は医療保険におきます診療報酬、俗に言うところの医療費でございますが、これの決めをするというようなことでございます。それでこの構成は支払い側と診療側と公益と、こういう三者構成になっておりまして、その所掌事務につきましても、構成メンバーにつきましてもその質の全く異なるものであるという点が第一点でございます。それからさらに、この両審議会は非常に活発な活動をしておりまして、ちなみに社会保険審議会の方は、五十年度が四十九回、五十一年度が四十七回、五十二年度が五十五回という開催をしております。それから中医協の方は、五十年度が十八回、五十一年度が十五回、五十二年度が十回と、こういうことで、活動状況も非常に活発であるということで、従来から統合についての御指摘がなかったということでございます。
  79. 水野哲

    説明員(水野哲君) 御説明申し上げます。  私どものところは、鉱山保安試験審査会と中央鉱山保安協議会とこの二つの関係でございますが、昨年審議会整理合等検討いたしました際にいろいろ検討をいたしました。しかしながら、次の幾つかの理由で統合は不適当であろうと、こういう考えに相至ったのでございます。  まず第一に、この鉱山保安試験審査会と申しますものは、これは鉱山保安に関連いたしまするところの保安技術職員になろうとする者の筆記試験を中心といたしましたところの試験を実施いたします機関でございます。したがいまして、この試験を実施するほか、保安技術職員の認定とか資格の停止、取り消し、そういったことの事務を行っておりまして、いわば全く中立的な機関という性格を有しております。そういうことで、現在の委員構成も学識経験者のみにより構成される機関でございます。これに対しまして、一方その中央鉱山保安協議会と申しますのは、労使双方の意見というものを、鉱山保安法令の改正とか、あるいは鉱山保安対策あるいは行政と、そういったものに反映させるために、学識経験者のほかに鉱業権者及び鉱山労働者といった三者の構成により民主的に運営をするという組織になっておりまして、したがいまして両者の性格が基本的に相当異なっております。それが第一点でございますが、第二点に、鉱山保安試験審査会、これは昭和二十四年に設置されまして、それ以来鉱山における、先ほど申し上げましたような保安技術職員に関する試験等の準備を適正円滑にやってきておりまして、いわばすでに定着いたしました制度として鉱山関係者各位から信頼を受けております。そんなことで、私どもとしては両者の統合は困難である、こう判断いたしました。  以上でございます。
  80. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 先ほど御指摘のございました運輸審議会と運輸政策審議会との統合のことでございますが、二つの審議会は非常に名称が似ておりますが、その審議目的、審議事項は全く異なっておりまして、運輸審議会の方は、運輸大臣が免許、認可等行政処分をいたします場合に、その公正さを担保するため、いわゆる行政手続のうちでの事前手続として利害関係人等を呼びまして公聴会を行い、免許関係者の意見を聞いて公正な判断をし、これを運輸大臣に答申するという形で免許の公正さを担保する審議会でございます。したがいまして、運輸省のほとんどの免許等の重要な処分はこれにかかるという形で、審議会の形も常設の審議会委員七人で、その委員は両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命するということになっております。これに対しまして運輸政策審議会の方は、運輸省の基本的な政策を方向づけ論議するということでございまして、各部会に分かれておりますが、委員法律上の定数は五十人ということで、陸海空各般の問題について議論する、そして、たとえば総合運輸体系はどうあるべきかというようなことを中心に検討するということでございまして、運輸省の基本政策はすべてここで総合的に検討する、いわば行政指針を得るための、あるいは立法政策の資料を得るような、そういう意味での審議会でございます。したがいまして、両方の審議会は全く性質が違うために、審議の仕方、開催状況、あるいは委員構成等その性格を異にしておりまして、両審議会を統合するということはかえって混乱があり非能率なことになるということで統合の対象にいたさなかったわけであります。
  81. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今度の法案の中で、これは衆議院の方でも相当論議されたわけでございますが、廃止の中に国民金融審議会というのが入っておりますが、いろいろ調べたところによりますと、五十一年度は総会等も活発に七回ぐらいやっておるとの審議会でございますが、廃止をするということになりますと、必要性が低下したのではないかというようなふうにも思われるわけですけれども、いまのこの不況下に、中小零細企業の方々の唯一の金融機関である国民金融公庫に対して、設立の目的としても、国民大衆のための公庫として、国民金融審議会は国民金融公庫に対して国民各層の意見を反映さして、公庫の運営について民主的なコントロールを図ることが目的であるというふうにされておるわけですが、いまこういう不況下で一番大事な機能を発揮せなければならないのになぜ廃止をされたのか、そこらあたりについてまず行管の方からひとつお答え願いたいと思います。
  82. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 国民金融審議会につきましては、現在では、国民金融公庫の事業運営が軌道に乗ってまいって制度として定着をしてきているわけでございますので、このような審議会を存置してまいりました目的と申しますか意義と申しますか、そういうものはおおむね達成されたのではないかと考えられることが第一点でございます。それから、他の公庫について見ますと、国民金融審議会のような運営に関する審議会というものは置かれていないということもございます。そこで、その二点を勘案いたしまして、今回行政機構の簡素化の趣旨からこれを廃止をすることにいたしたわけでございます。
  83. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 必要性が低下したということになると、私は先ほど申し上げた、いまこそそういう民間のいろんな要望を反映をして、公庫の民主的な運営ができるようにするためにこれは存続をさるべきだというような感じがするんでございますが、総会も五十一年から七回ぐらいやっておるんですが、この総会は、必要性がないのに七回もやらんならぬということになると、そこらあたりの理解はどうしたらいいんでしょうかね。
  84. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) もちろん、審議会を廃止いたしましても、いろいろな方面からの御意見を承るとか、あるいは関係方面との連絡を緊密化してまいるとかいう努力は当然いたすわけのものでございまして、この点に関しましては、大蔵省所管部局におきまして十分配慮するところであろうと考えておるわけでございます。廃止をいたしました趣旨と申しますのは、先ほど申し上げましたように、他の公庫とのバランスでございますとか、国民金融公庫の事業が軌道に乗って定着してきたということを考えて行ったわけでございます。
  85. 公文宏

    説明員(公文宏君) いまのお尋ねの件でございますが、実は私は主計局の方でございまして所管外でございますので、大変失礼でございますが答弁は差し控えさしていただきたいと思います。ただ、いま行政管理局長からお話があったような線で大蔵省も考えているということで御理解いただければと思います。
  86. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 どうも私はこの審議会の方は、そういうような必要が非常に高いということからすると、機能強化をして存続をさせるという、そういうことに行政指導をされるのが適切ではなかったかと思うのでございますが、その辺のところはどういうふうにお考えでしょうか。
  87. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 考え方としてはいろいろあると存じますけれども、私どもの考えておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、廃止につきましてもあるいは統合につきましても、幾つかの基準を設けまして個々に検討したわけでございます。繰り返すようでございますが、国民金融審議会の場合には、必ずしも審議会のような形でなくても、いろいろ民間の方々の御意見であるとか、各方面の連絡であるとかいうようなことにつきましては十分やっていけるんではないかと考えまして、ほかの公庫との制度の均衡等を考えて廃止に踏み切った次第でございます。
  88. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は総理府にお尋ねをいたしますが、今回廃止の対象になっている台風常襲地帯対策審議会の開催状況というのは、昭和三十八年七月九日に開かれて以降十五年間一回も開催をされていないと、このように聞いておりますが、今回やっと整理の俎上に上ってきたわけでありますが、それにしても、十五年間一回も開会をしていないこの審議会が放置されておったという、その理由についてお聞かせ願いたいと思います。
  89. 文田久雄

    説明員(文田久雄君) 御説明申し上げます。  ただいま先生お示しの台風常襲地帯対策審議会は、総理府設置法第十五条に掲げられているものでございまして、その設置庁は総理府本府でございます。が、その庶務は、台風常襲地帯対策審議会令第四条の規定によりまして、国土庁長官官房防災企画課とされておるところでございまして、申しますならばその主務省庁は国土庁とされているところのものでございます。  ところで、ただいま御指摘のございました当該審議会の廃止につきましては、去る四十四年の行政改革の折にも検討された経緯がございますが、最終的には実現を見ずに現在に至っております。それで、今般主務省庁でございます国土庁におきましてこれが廃止につきまして決意されまして、最終的には昨年十二月二十三日の閣議決定によりまして政府としての最終決定を見た、したがいまして、設置庁たる総理府本府といたしましては、今回の行政改革の趣旨に照らし、また主務省庁でございます国土庁の意見をそんたくいたしまして、これを了といたしているところのものでございます。
  90. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いま御答弁によりますと、昭和四十四年に一遍出したけれどもそのときはうまくいかなくて、といってももう九年たっていますよね。  そこで、国土庁いらっしゃいますか。——じゃ九年間もなぜ放置をされておったのか。
  91. 柳晃

    説明員(柳晃君) 御説明申し上げます。  先ほど総理府の方から御答弁ございましたように、四十四年の際にも一度検討をされたものでございますが、その後、当時はまだ国土庁が発足しておりませんで経済企画庁の方がこの審議会を所掌されておりましたが、当時の企画庁の方々、あるいは国土庁に対する引き継ぎ資料等から考えますと、いろいろとございますが、台風常襲地帯の法律そのものが一つの地域立法でございますので、そういうものの存続の問題と、あるいは行政改革のときに関係方面との了解等がなかなかつかなかった等の経緯を総合的に考えまして、そのまま存置したものというふうに理解しております。
  92. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 長官、ちょっと聞いてもらいたいんですが、あなたが不在中にいろいろやりとりをやっておりましたが、台風常襲地帯の対策審議会が、十五年間一遍もやってなくてそのままずっと存続されて、今度長官の英断でこういうふうに上程されてきたんですが、それについても、昭和四十四年に一遍出てそれがだめであって、そして九年間もまたそのまま存続されておったということ、こういう審議会がまだ——先ほどは二割程度の目標からダウンをして一割五分というふうになっておりますが、まだ相当あるんじゃないかと思いますが、そこらあたりをもう一遍検討をするという、そういうようなお考えはありませんか。
  93. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 御質問ごもっともでございます。これはよく考えてみると、まあ委員長も私の先輩行政管理庁長官ですが、戦後、戦争直後の昭和二十一年以来、これはアメリカが進駐してきたと、それからまあ日本のいろいろの状態からして、やたらに雨後のタケノコのごとくいろんなものをつくったんですよ。これはもう審議会ばかりじゃありません、特殊法人にいたしましても何にいたしましても、まあふやす一方なんです。これはいまおっしゃるように、何年も審議をしないなんていうものは必要ありませんよ、実際のこと言えば。まあいまおっしゃった部分だけを言うんではない、全体から見て、そしてそういう点からいたしますと何としても税金のむだ遣い、国費のむだ遣い、そういうものをしちゃならぬという気持ちでいっぱいでございます。がしかし、一遍つくっちゃったものはなかなかこれを廃止するということについては大変な容易でない仕事でございます。それはまあ総論になりますと、いや何党でもどなたでも、これは切ってしまえ、これはやめてしまえ、これは国費のむだ遣いである、これもやめろという御意見は各党とも同じでございます。しかし、各論になりますと、これはおれの方も切っちゃっては困るよと、おれのこういうのも切っちゃ困る、こういうので、各論になるとこれはなかなか大変なんですよ。それで、まあ本当に私の思ったようにやれば内閣がつぶれちまうようなことをやらなけりゃどうもならぬ。これは大騒動になります。まあいま一番政治のうちで大切なことは、いかにして景気を浮揚させるか、いまどういうことで直すかと、こういうことです。それから雇用問題、失業対策、みんな大変なことなんですよ。そういうことになるべく摩擦の起こらないように、これも大ベテランの皆さんおそろいで賛成であると思うんです。これはなかなか摩擦を起こしてはならない、いろいろそういうことを総合いたしまして、それで一生懸命荒舩清十郎やっているんですから。しかし、いまのおっしゃることはまことに賛成でございまして、要らないものはばたばた切ってしまう方針で努力をするということに間違いがございません。  以上です。
  94. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 荒舩長官が就任されたときに今度はやられるぞと非常に期待を持ったわけですよ。だから、各論にも負けないで、景気浮揚のそういうことも大事かもしれませんが、政府自体が冗費を節約すると、そういうことの大目的にひとつ目をちゃんとつけて、いま御演説を賜ったその趣旨を私も十分理解をしておりますが、ひとつ前向きでやっていただきたい。  そこで、過去五年間に二回ぐらいしか開催する必要のない審議会もあります。そのほかにも、公務員制度審議会もそうでありますけれども、制度との絡みで存置しておくことに意義があるという審議会等も調べればまだ相当たくさんあるんじゃないかと、存置することに意義がある、こうした活動の不活発な審議会等を存続させておくことは本来行政改革の趣旨に反するということはもう御承知と思いますが、そこで、今回整理の対象となっている労働基準監督官分限審議会のように、常設しておく必要はなくて、必要の都度設置できるようにしておけば足りるという、そういうような審議会も洗ってみれば相当出てくると思います。そういうことで、今後はこういうような審議会は必要の都度設置するということで廃止をする、こういう方向で進むべきだと思いますが、御所見はいかがでしょう。
  95. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) その部分についてはよくわかりません。政府委員から答弁をすることにいたしますが、まあ大局から見てさっき申し上げたとおりでございます。要らないものがうんとありますよ。だから思い切って、なに荒舩はやるんだと言っていてやらないじゃないかと、やるのはこれからですからひとつ御期待を願います。
  96. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会活動が不活発なものの中でも、たとえば不服審査のための審議会等もあるわけでございまして、これはたまたま案件がないからといってそういう仕組み自体やめるというわけにはまいらぬわけでございます。そこで、今回の整理統合に当たりましては、将来におきますそういう審議案件の発生に対しまして迅速的確に対処する必要があるだろうということで、原則といたしましてそういうものを存置することにいたしたわけでございますが、ただいまの御指摘のように、必要の都度設置するというやり方も一つのやり方であるわけでございますので、今後の研究課題とさしていただきたいと存じます。
  97. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 局長にお尋ねをしますが、現在審議会は二百四十六ございますが、これらの審議会の中で、過去五年の間に年間ゼロから年間三回ぐらいまで開催していた、ゼロ、一、二、三ですね、その区分について審議会の数をお知らせください。
  98. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 過去三カ年の資料は手元にございますが、過去三カ年、五十年度から五十二年度でございますけれども、開催実績がないものが十五審議会でございます。そのうち今回六審議会整理統合の対象にいたしております。それから一回しか実績のないものが六審議会でございまして、そのうち二審議会を対象にいたしております。それから二回が四審議会、そのうち今回対象にいたしておりますものが一つでございます。それから三回が六審議会、そのうち今回対象にいたしておりますものが四審議会、かようなことになっております。
  99. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ行管庁にお尋ねしますが、五十一年度と五十二年度のこの審議会の年間関係予算というのは幾らぐらいになっておるんでしょうか。
  100. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会運営に要します経費でございますが、総額五十二年度におきましては十七億九百万円でございます。五十三年度予算では十七億二千二百万円ということになっております。
  101. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 五十一年度は。
  102. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 五十一年度の資料、ちょっと手持ちいたしておりません。
  103. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今度の整理統合によって、政策上の合理性やセクショナリズムの解消が促進されたことは、これは理解できます。それと同時に、その経済効果がどうなっているかということも非常な関心でございます。そこで、審議会の統廃合による経費の削減というのは幾らぐらいの額になったんでしょうか。
  104. 公文宏

    説明員(公文宏君) お尋ねの審議会の節減合理化額でございますけれども、今回の措置では、審議会整理をやることによって浮いてきた部分と、それから委員数を縮減いたしましたので、それによって浮いてきた部分と両方あろうかと思います。ただ、これにつきましてはなかなか集計がむずかしゅうございまして、私ども一応のめどをつけるという意味で作業いたしてみましたけれども、それによりますと、両方合わせまして約千三百万ぐらいということでございます。
  105. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いまお答えの千三百万が削減によって浮き上がってきた経費であると。ところが逆に、今回法律の施行によって整理統廃合の審議会等に要する費用ということになりますと、八千九十六万七千円が五十三年度の一般会計予算として計上されておるんですが、削減をしたのが千三百万で、削減をしたことによってかえって経費が相当な額が要るようになったというこの事実ですね、非常に私は矛盾したような感じを受けるのですが、ここらあたりはどういうふうに理解すればいいんですか。
  106. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま御指摘のございました八千万円という金額は、統合いたしました後の新しい十二審議会に要します予算の総額をお示しになったんだと存じます。したがいまして、これだけがネットふえるという問題ではないわけでございます。統合した後の十二審議会経費の総額を八千万ということでお示しになったんだと考えております。
  107. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ大蔵省の方はあなたですね。  審議会委員が当該の審議会出席をするに当たっては、委員手当のほかに旅費及び日当が支給されております。そこで委員手当についてでございますけれども、手当は各審議会委員としては一律ではないようで、会長と委員出席日数等によって手当は異なっておるようでございますが、手当の基準単価は現在どれぐらいの額で、五十二年度及び改正後の審議会委員の手当及び委員会関係予算額についてはどのようになるんでしょうか。
  108. 公文宏

    説明員(公文宏君) 審議会委員の手当の件でございますが、委員の手当につきましては、まず常勤であるか非常勤であるかによって違いますし、それから、非常勤でございましても一般職であるか特別職かによって違うといういろいろな問題はございます。ただ、予算上で見てまいりますと、非常勤の委員がこれは大部分でございますが、非常勤の委員の手当を見てまいりますと、いろいろランクがございますけれども、現行では日額一万百円から一万六千四百円の間で決まっておるという形になっております。  なお、お尋ねのこの手当の部分につきましての予算額につきましては、ちょっと確かな数字をいま持ち合わしておりませんので、お許しいただきたいと思います。
  109. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ行政管理庁にお尋ねをしますが、各省庁の下に懇談会というのがございますが、この懇談会から審議会に格上げしてほしいと、このような要求が出されておるようにも聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。また、こういう要求に対して、行政管理庁としてはどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  110. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) いわゆる私的懇談会についてのお尋ねであろうと思うわけでございますが、私ども、最近私的懇談会を審議会に格上げしてくれというような要求については承知いたしておりません。
  111. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 各審議会がいろいろ審議をし、問題事項を諮問し答申をするわけでございますが、その得た答申の内容が各省庁においてどれぐらいの比率で実現をされているか、そこらあたりは行管庁としては把握していらっしゃると思うのですが、何%ぐらい実現をしておるんでしょうか。
  112. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会、いろいろ答申がなされるわけでございまして、政府といたしましては、その答申を当然尊重して行政の上に反映さしていくべき筋のものでございます。ただし、答申などの実現状況の詳細につきましては、各省庁におきます行政運営自体の問題でございますので、私どもその詳細を承知しておりませんので、たとえば答申の実現率と申しますか、それが何%であるというような数字は把握いたしておりません。
  113. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 やはり廃止したり統合したりするという、そういうようなことをおやりになるところですから、それぐらいのことは把握をしていただいた方が公正を期するのじゃないかと思います。  次は、私的諮問機関、これの昭和五十一年度以降の数。さっき私が懇談会と申し上げましたら、私的と、そういうことでお答えがありましたが、そうでなくて私的諮問機関、各省庁にございます、この五十一年度の数と、それから私的諮問機関の開催状況と、これについて御存じであったらお答え願います。
  114. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) いわゆる私的諮問機関と申しますか、あるいは私的懇談会と申しますか、その数でございますが、現在私ども省庁レベルの私的懇談会につきましては数を把握いたしております。現在の数が三十八でございます。それから開催回数につきましては、五十二年度百六十三回でございます。
  115. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この私的諮問機関の整理についてお尋ねをいたしますが、かつて亡くなった池田総理の答弁もあって、また従来から当委員会においても相当論議をされ、国家行政組織法第八条で言うところの機関ではないので、八条機関としてきちっと設置すべきである旨の質問が行われてきたところでございますが、特に七十七国会、当委員会において当時の井出官房長官は、ただいま行政管理庁において各省庁の私的懇談会のあり方について見直しを行っているところであり、その結果、改めるべきものは逐次改めていかねばならないし、審議会等といわゆる懇談会との区別が不明確にならないように、この際けじめをつけたい、このように答弁をされているところでございます。また、前行政管理局長も、取りまとめが終わり次第これについての何らかの措置をとりたいと、前向きの答弁をしているところでございますが、この私的諮問機関に対して現在までどのような措置をおとりになっておるのか、また今後どのように対処していかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  116. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) いわゆる私的諮問機関と申しますのは、御承知のように審議会と違いまして、諮問機関としての機関意思を決定するものではないわけでございます。参集者の自由な意見の表明、交換ということを目的とするものであるわけでございます。しかし、ただいまお示しのございましたように、当委員会等におきまして本来の審議会と紛らわしいんではないかという御指摘をちょうだいいたしたわけでございます。そこで、私ども五十一年にこの見直しをいたしたわけでございます。その際、五十のいわゆる私的諮問機関につきまして見直しを行いまして、当面の措置といたしまして、開催を打ち切りましたものが十一、それから終期を設定いたしましたものが十、運営の是正を図りましたものが七、そういうような措置を講じたわけでございます。その後、終期が参りまして終わりになったものもございますし、また別の行政上の必要から新たに設けられたものもあるわけでございますが、その結果、先ほど申し上げましたように、ただいまの時点では三十八という数になっているわけでございます。
  117. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、審議会等委員の構成についてお尋ねをいたしますが、宇宙開発委員会というのは定数が五人のようであります。こうした小人数のものから、中央公害対策審議会の九十人、教科書図書検定調査審議会の百二十人、産業構造審議会の百三十人など定員はいろいろさまざまのようでございます。四十四年の閣議決定の中でも、「審議会等の設置および運営について」の中で、「委員の数は、原則として二〇人以内とする。」と、このように明確に委員の数を示しておられるところでございますが、これは一般的な基準であろうと思いますが、それにしても百二十人とか百三十人の委員定数というものは余りにもかけ離れて多過ぎるような気がするわけでございますが、この数をやはり二十名以下というこの基準に、原点として見直すべきではないかと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。
  118. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会委員の数についてのお尋ねであるわけでございますが、ただいまおっしゃいましたように、確かにいろいろの差異があるわけでございます。十人以内の審議会もございますれば、百人以上の審議会もあるわけでございますが、申し上げるまでもなくそれぞれの審議会の目的なり任務が違っておりますし、あるいはまた運営の方法といたしまして部会方式をとっているものととっていないものとの違いもございます。そこで必ずしも画一的、一律な基準をつくるのはむずかしいと思っております。ただし、先ほども御指摘のございましたように、四十四年の閣議決定で、原則として二十人以内とするということを決めたわけでございますが、これも原則的な指針でございまして、画一的に二十人以内にするということではないわけでございます。今回の委員構成の改善に当たりましても、おおむね二十人を超えます審議会につきましては、二十人を超える部分の三割をめどにして委員の数を減らそうという考え方で委員の数の縮減を図っているわけでございますが、その場合でも必ずしも画一的にはやっておりません。
  119. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 なるほどいまおっしゃったとおり、委員定数の削減についてはいろいろ専門分野とか所管事務とか、あるいはいまおっしゃった部会における審議等について一様ではないと思いますけれども、大体いま申し上げて一通り見てみても、審議会の定員、定数というのは非常に多過ぎるような感がしますので、これは見直すべきではないかと申し上げておきますが、通産省、環境庁では、たとえば産業構造審議会や中央公害対策審議会の定数の縮減ということについて、今回議題に上げ、検討をされたことがあるかどうか、そこらあたりをもう一遍お聞かせ願いたいと思います。
  120. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) お答え申し上げます。  御指摘の産業構造審議会は、御承知のとおり通商産業政策全般にわたる、全体をカバーした審議会でございます。私ども非常に広い通商産業、あるいは公害とか消費者とか、いろんな分野を担当しておるわけでございますので、それを今度分けてやっていくと、非常にむしろ何というのか、審議会の数も多くなってしまうし、委員の数も多くなってしまう。その辺をできるだけうまく合理化をしながら、各それぞれの何といいますか、ポジションといいますか、そういうものがうまく連携をとりながらやっていけるような構成を考えようということで、通商産業政策全体をカバーするような産業構造審議会というのをつくっていただいたわけでございます。したがって、審議機能というものが非常に広いものですから人数は当然多くなる。それから、それに加えて最近御承知のような経済情勢でございまして、私どもに課せられておる課題というのは非常にふえてきておるということがあるわけでございます。そういう点で人数が多くなっておるわけでございますが、今度の行政改革の精神というものをわれわれも体しまして、やることは非常に多くて審議の、何というのか延べの時間なり人数というのも多くなるのだけれども、それをできるだけ縮減の方向で検討さしていただいたつもりでございます。
  121. 山崎衛

    説明員山崎衛君) 中央公害対策審議会、たしか委員数が現行九十人であります。ただ、先生御承知のとおり、公害対策と申しましても、大気、水、土壌、それから騒音、振動、非常に多岐にわたっておりまして、現在十二の部会におきましていろいろ専門的に活動しておるわけでございます。ただ、委員数につきましては、昨年の閣議決定の趣旨にのっとりまして、現行九十人以内を八十人以内にしたいということで現在進めております。
  122. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 厚生省の方にお尋ねをしますが、身体障害者福祉審議会、この審議会委員定数は三十人以内と、このように定められておりますけれども、実際に任命されている委員の数は二十五名のようでございますが、二十五名が適当なのか、定数を三十人と見れば欠員が五名いらっしゃるということになりますが、二十五名でこの審議会審議には影響ないのか、そこらあたりはいかがでしょう。
  123. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) まきに御指摘のとおり、身体障害者福祉法によりまして三十名以内という定員数になっておりますが、実は先般の閣議決定の御趣旨を体しまして、私ども関係行政庁の委員の任命を控えておりまして、その数がちょうど五人になっておったのでございます。なお身体障害者福祉行政の大変に多様化しております現状でございますので、御指摘のとおりこれからの情勢の推移の中で新しい委員の先生をお願いをするということも現在検討をいたしておる最中でございます。
  124. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 行管庁にお聞きいたしますが、いまおっしゃったとおり、二十五名でもまあ何とかやっていけるのだと、そしてその二十名以内というその基準に近づけるために努力しておるという意味の御答弁がございましたが、審議会をいろいろ見てみますと、この種の審議会は数多く存在しておるようでございます。そういうことで、政府関係機関の職員の除外のほかにもこうした定数は実数に合わしてもっと削減できるんではないかと、こういうように思うわけでございますが、この辺の御決意をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  125. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会委員の数につきましては、先ほど申し上げましたように、一つ行政機関の職員をできる限り除外するということと、もう一つは二十人を超える分につきまして原則として三割をめどにして委員数の縮減を図るということ、二つを考えまして御提案を申し上げておるわけでございます。  そこで、委員構成の改善に伴います減が約三百人でございまして、三割縮減等によります減が約五百四十名、合わせまして八百四十人縮減になるわけでございます。このほかに審議会自体が廃止されまして減る分がございますので、およそ千名の委員数の縮減になるものと考えております。全体の委員の定数が六千二百程度でございますので約六分の一の縮減ということを考えておるわけでございます。
  126. 山中郁子

    ○山中郁子君 審議会整理法案に関しまして初めにお尋ねをいたします。内容は、まず基本的な審議会の問題に関する考え方、それから幾つかの具体的な問題についてお尋ねをすることになります。  初めに行管庁長官にお尋ねをいたしますが、もともと日本における戦後の審議会制度は、行政民主化の中で官僚主義的な行政を打破する観点から行政運営に国民各層の意見や関係各方面の専門的知識を導入して国民全体に奉仕する、そういう立場で公正民主的で効率的な行政運営を確保する行政委員制度とともに広く採用された、その趣旨に基づいております。で、行政機構内部の民主的な要素の一つをなすものであると私は考えておりますけれども、まずこの点について基本的にどのように考えていらっしゃるかお尋ねをいたします。
  127. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会制度の趣旨は、ただいまお話のございましたように、行政の民主化と申しますか、民間の有識者の意見をできるだけ取り入れていく、あるいはまた専門的知識を導入していくということにあるわけでございまして、今回の審議会整理統合、あるいは委員構成の改善合理化ということを進めるに当たりましても、そういう審議会制度の本来の趣旨に適合するように考えまして改正案を御提案申し上げた次第でございます。
  128. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は必ずしもそうなっていないということで問題にしているわけですけれども、初めに各種審議会委員構成とその運営実態、これは御承知だと思いますが、これはたしか昨年の三月四日の衆議院予算委員会で、わが党の山原議員が具体的な事実に基づいてかなり総合的に指摘をいたしました。そして、それに対して政府関係者それぞれさまざまなお約束をなさったわけですけれども、大きな問題の一つは、大企業の役員や財界代表が政府関係者らとともに重要な地位と比重を占めている。   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 国会や国民の目の届かないところでこうした審議会を密室的に運営して、事実上は大企業に奉仕する行政やあるいは官僚的行政の隠れみのの役割りを果たしているということがかねてから指摘をされているところです。たくさんの事実を挙げて論証することができるわけですけれども、この点について当時西村行管庁長官、それから当時の園田官再長官も率直に認められて是正を約束をされました。しかし、これは去る一月二十三日だったと思いますが、弁護士会や学界などの強い反対を押し切って、いま問題になっている弁護人の援助を受ける権利を一方的に奪う刑訴法改正要綱ですね、これを可決答申したのが法制審議会ですけれども、これは委員二十四名中、内閣法制局長官や法務事務次官などの政府関係者が八名も入っている、そして会長に法務大臣がおさまっている。結局自問自答式ですね、まきに隠れみのというよりも余りにも露骨で隠れみのにもなっていないんじゃないかと私は思うんですけれども、そういうのが現実に問題の答申をしております。  それからまた、大企業の要求に沿って庶民に一方的な犠牲を強いる、これも問題になっております預貯金の金利の引き下げ、これも金利調整審議会が答申をしているわけですけれども、委員十五名中金融界と財界関係者が九名います。大蔵省銀行局長など政府関係者が四名も占めている。しかも会長には金利を決める日銀の副総裁がおさまっている。私は大変念入りな大企業奉仕、そして官僚行政の隠れみのだというふうに思いますけれども、私は今日における審議会制度の問題というのがこういうところに大きな問題の一つがあると考えています。ここに根本的なメスを入れて、そして委員構成や運営あり方を国民本位に改めて、審議会制度それ自体を本来の趣旨に沿った形で国民に奉仕する、そういう役割りを果たさせるものにしていかなければいけないと。ここに一番の基本的な問題があると考えておりますけれども、この点についてはぜひ長官から御答弁、お考えをいただきたいと思います。
  129. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えをいたしますが、そんなに偏したやり方ではないように思いますが、しかしそういう御意見があることも踏まえて、ひとつ公正妥当な委員の構成をしていくようにいたします。
  130. 山中郁子

    ○山中郁子君 でも、いま私が申し上げましたでしょう。たとえば法制審議会ですね、大臣が会長になっているとかね。それで政府でもって諮問しておいて、それで自分で答弁するわけだわ。それとか、金利調整審議会、これだって元締めの日銀の副総裁が会長になっている。十五名中金融界と財界関係者が九名いるんですよ。それから大蔵省銀行局長など政府関係者が四名いるんです。そういうのはそれほどでもないと思うということにはならないんじゃないですか。
  131. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会運営の問題につきまして、いろいろ御意見、御議論のあることは私どもも十分承知をいたしております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今回の行政改革の一環として、委員構成の改善の問題を取り上げまして、本来の審議会の趣旨にできる限り適合させますように考えたわけでございます。具体的に申しますと、審議会の構成を極力学識経験者中心に改めていく、そのために、第一といたしましては行政機関の職員を委員に任命する制度をできる限りやめていく。それから、ただいまも御指摘ございましたが、大臣会長制、行政機関職員会長制、これはいろいろと問題がございますけれども、可能なものはやめていくということを考えたわけでございます。ただし、先ほど長官からも御答弁申し上げましたように、具体的な人選という問題になりますと、これは各省大臣の任命権の問題でございますので、私どもといたしましてそこまで詳細にタッチはいたしてないわけでございますが、全体としては適正に行われているものであろうというふうに考えておるわけでございます。
  132. 山中郁子

    ○山中郁子君 でも、大臣なんかが会長になっていたりなんかすることはよくないわけでしょう。そういうのは改善しますと約束されていますよね。いま確かに御答弁ありましたように、委員構成については今回の整理で一定の改善部分は確かにあります。全然ないと私は言うつもりはないのですけれども、しかし大臣会長制の問題にしましても、改善後も八審議会残りますね、ちょっと私、数を大体見たところによりますと。それから行政職員会長制のものがやはり二つ審議会が残るはずです。行政職員委員制をとるものは四十六審議会残る。で、こういう事態は、今後やはり改革をしていくものとして考えておられると思いますけれども、その点の見通しというか、お考えはいかがですか。
  133. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 確かに大臣会長制、現在十四審議会がございますが、今回廃止をいたしますものが全体として六でございますので八残るわけでございます。行政機関職員会長制につきましても、ただいま御指摘のございましたように二つは残るわけでございます。しかし、この問題につきましては、いろいろ議論のあるところでございまして、行政におきます政策形成上の意思決定、そういうものに関与いたします度合いが濃厚であるものもあるわけでございます。あるいはまた、行政上の重要な政策事項、なかんずく各省庁にまたがるような事項を取り扱っているもの、そういうものにつきましては、むしろ閣僚レベルの責任者が審議に関与をいたしまして、直接閣議レベルに反映させることの方が適当であるという判断もできるわけでございますので、そういう個別の事情をいろいろ考えた結果、今回としてはそういう措置をとった次第でございます。
  134. 山中郁子

    ○山中郁子君 三者構成の審議会や何かで、行政職員制が当然残るというふうな場合も中にはあるということは私も承知しておりますけれども、全体はやはり今後改革をしていくという方向のものとして認識されているというふうに思っておりますけれども、この点についての今後の改革の展望をぜひ長官からお答えをいただいておきたいと思います。
  135. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 行政機関職員が構成員となっているものの問題でございますが、現在審議会の半数でございます百二十三あるわけでございます。それを今回整理をいたしました結果、先ほども御議論ございましたが、約四十残るわけでございますけれども、これにはいろいろな特殊な理由があるわけでございまして、第一には所属職員の人事分限を取り扱います審議会、こういうような場合にはやはり行政機関の職員が参加する必要があると考えております。それから第二には、事業経営の当事者として、たとえば共済組合運営審議会のようなものに参加いたします場合、それから第三番目は、関係行政機関の連絡調整を行います審議会に参加をする場合、それから四番目は、三者構成の審議会、あるいはまた不服審査のような審議会に参加をいたします場合、このような場合につきましては、むしろ行政機関の職員が参加をした方が適切であると判断をいたしたわけでございまして、残りの四十余りの審議会につきましては、どれかに該当して、むしろ行政機関職員が参加する方が適当であると判断した審議会でございます。
  136. 山中郁子

    ○山中郁子君 長官に、大臣の会長制がまだ八つですか残るわけですよね、そういうようなことについての改革の展望をさっきから重ねてお尋ねしているんですが、当然今後の課題として取り組まれるんでしょうね。
  137. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 先ほど申し上げましたように、大臣会長制あるいは行政機関の職員会長制につきまして、可能なものは廃止をいたすということで今回も取り組んだわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、各省にまたがります重要事項審議をされる審議会というような場合には、むしろ大臣がその審議に当たられまして、直接閣議レベルに反映することの方が適当であると考えられるものもございますので、そういうものにつきましては今回存置をいたしたわけでございます。
  138. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、ちょっとはっきりさせていただきたいんですけれども、残ったものは全部積極的な意義が、意義というか意味があって、必要があって残したとおっしゃるわけでしたら、ぜひとも、いまはないかもしれませんが、一つ一つ審議会についてどういう理由でこれは大臣が会長になっているのか、行政機関が会長になっているのか、全部それを後で資料いただきたいんです、どういう合理的な理由によってか。
  139. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 後ほど適当な方法によりまして御説明を申し上げます。
  140. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、それをいただいてまたさらに問題にいたします。  で、それとあわせて、内閣官房の所管になるかもしれませんが、今回の審議会整理合理化計画では、大企業役員や財界代表が重要な位置と比重を占めているという現状ですね、この現状を是正するための具体的な計画はないし、それだけじゃなくて、もちろんその方向すら示されていないということは事実だと思うんですけれども、こうした比重のアンバランスというものについては、先ほども申し上げましたように、西村さんのときにも、また、官房長官園田さんのときにも是正するというお約束がありましたけれども、これは今後どういうふうになさるおつもりか、お伺いいたします。
  141. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 各種審議会委員等の人選につきましては、先ほども申し上げましたように、各省大臣あるいは内閣官房の所管であるわけでございますが、御承知のように昭和三十八年に閣議の口頭了解をいたしまして、適任者本位であることはもちろんでございますけれども、広い範囲から清新な人材を起用するとか、あるいはまた、高齢者、兼職者を制限するとか、任期についても長期留任を行わないとか、いろいろな基準をつくっているわけでございまして、私どもは、各省におきましてこの閣議口頭了解の線に沿って適切なる人選が行われているものと承知をいたしているわけでございます。
  142. 山中郁子

    ○山中郁子君 官房は来ていらっしゃいますか。
  143. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) 審議会等委員の人選につきまして、ただいま行政管理庁の辻管理局長の方から御答弁ございましたように、昭和三十八年九月二十日の閣議口頭了解がございます。そこで、私どもが各省で行っております各種審議会委員の人選につきまして関与していますのは、この三十八年九月二十日の閣議口頭了解を担保するという趣旨に基づきまして、特にこの中で兼職の制限、それから長期留任の制限、この二つでございまして、兼職につきましては三十八年九月二十日の閣議口頭了解では、委員の各種審議会の兼職の数は最高四とすると、こういう取り決めになっておりますので、この最高四というのを厳守していただくよう、昨年の四月の通常国会で、予算委員会でいろいろ御意見等もございましたので、それを契機にいたしまして最高四を厳守するよう各省を指導しております。  それから、長期留任でございますが、これは任期三年のものは三期まで、それから任期四、五年のものは二期までを原則とするということで、これは閣議口頭了解の趣旨そのものが原則の例外を許さないという趣旨でございませんので、個別に事情を聞きまして、なるべく長期留任を避けるように各省を指導している、こういう状況でございます。
  144. 山中郁子

    ○山中郁子君 いま私が、それもまた後で問題にしますけれども、いま問題にしているのは、大企業の役員や財界代表がかなり高いウエートを占めているということを申し上げて、これはいままでもいろいろなところで問題になっているんですよ。逓信委員会でも郵政審議会のメンバーなんかがどうなっているかということもいろいろ議論になって問題になっていますし、私先ほども二、三事例を申し上げました。ここで、これは昨年のその予算委員会で先ほど申し上げた山原委員の質問のときに調べたんですけれども、産業構造審議会では、七十七名の委員のうち、財界企業代表者が四十四人も入っていて、もう六〇%ですよ。それから政府関係者がそのうちにまたさらに七名入っている、ほぼ一〇%、そのほかというのがわずか三三%で二十六人ですね、こういう比率です。で、もういっぱい審議会ありますから、その論証のために時間を余り使うわけにもいかないんですけど、こういう現状を、やはり審議会をつくった、一番最初に確認をされたんですが、あなた方の方も。そういう趣旨に照らして改善をしていく、是正をしていくことが必要で、それについて一つも方向が出ていないことが問題だと、まずそこが問題だということを私は今回の審議会整理法案について申し上げているわけで、このところはぜひ今後の考え方として是正をしていくという検討ぐらいは長官からお約束をいただいておきたいと思います。
  145. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えいたします。  これは各省で決めるのでございまして私どもが権限が少ないんですが、おっしゃるとおりの状況もございますので検討いたします。
  146. 山中郁子

    ○山中郁子君 各省だということで、内閣官房だというふうになるんですけど、内閣官房の方に御答弁いただくと、先ほどの局長がおっしゃったような答弁だと、こういう堂々めぐりになるので、あえて長官の御答弁をいただいたわけです。  それから、先ほど委員構成の問題に関連しまして兼職制限ですね、このことで衆議院予算委員会での山原議員の質問でも、兼職の最高を四とするという閣議了解に違反して、五つ以上の委員ポストを占めている者が数十名もいるという事実を指摘いたしました。これも当時の園田官房長官が是正すると約束されていましたけれども、先ほど若干触れられたようなんですが、重ねて改善状況と今後の方針ですね、これを伺っておきたいと思います。で、あわせて各省庁の事務次官の兼職違反の是正の状況と今後の方針も伺っておきたいと思います。
  147. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) 学職経験者の委員の前職状況につきまして、私どもの担当でございますので御説明いたしますが、先ほど申し上げましたように、昨年の四月山原議員からの御質問のありました時点では、閣議口頭了解兼職四を最高とするという線に沿っていなかった状況でございまして、五十二年三月現在の数字では、兼職五以上の数が二十七の方々がおりましたわけでございます。実態は、現状はそういう状況でございましたが、四月以降こういうことでは適当でないということで、園田官房長官からの御指示もございまして、いかなる例外も認めないということで、昨年の四月以来各省庁にお願いをいたしまして、現在は兼職の最高が五以上の委員は二、三の例を残して解消されておると、こういう状況でございます。
  148. 山中郁子

    ○山中郁子君 各省庁の事務次官の兼職違反の是正の状況と今後の対策ですね、あわせてお伺いしておきましたけど、先ほど。
  149. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 事務次官の兼職状況資料はただいまちょっと手元にございませんけれども、先ほど来御説明いたしておりますように、今回行政機関の職員をできる限り審議会委員から除外をするという措置をとったわけでございまして、百二十三構成員になっておりましたものが七十余りなくなりまして、約四十余り残るという状況でございますから、ただいまお尋ねの件も大幅に減っているというふうに考えております。
  150. 山中郁子

    ○山中郁子君 園田官房長官は、例外なしに全部解決しなさいという指示をされたといういま御答弁がありましたけれども、二、三の例外があるような御答弁でした。また、いま局長からも大幅に減るということの御答弁ですが、今後の問題としては、そうすると早い時期に趣旨のとおり解決をするということで理解をしてよろしいですか。
  151. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) 学識経験者の委員につきまして、ただいま二、三の例外が残っておるという御説明を申し上げましたが、兼職五以上の方は正確に申し上げますとお二人いらっしゃいます。この無職五を解消していただくための調整はすでに済んでおりまして、来年の三月末までには四以下にしていただくという手はずを整えております。
  152. 山中郁子

    ○山中郁子君 委員構成の問題に関連しましてもう一つお尋ねをしたいのですが、これも昨年の参議院の予算委員会ですが、私が質問をいたしまして、女性の地位向上、具体的には政策決定分野への女性の進出、審議会での婦人の登用の問題についてお尋ねをいたしました。そのときに当時の藤田総務長官が、五年間で婦人の比率を一割までに高めるようにしたいという答弁をされて、その後婦人問題企画推進本部の決定としても明文化されたと理解をしております。私が質問した当時の資料によりますと、全体として二・六形という大変少ない数だったのを、一割までに高める、大体四倍にするという御答弁だったわけで、一割になればいいかという問題ではありませんけれども、これの推進状況ですか、現在はどの程度までそれではふえているのかということについてお尋ねをいたします。
  153. 赤松良子

    説明員(赤松良子君) ただいまお尋ねの点でございますが、先生の御指摘のように五十一年の六月三十日現在で二・六%でございました。五十三年三月十日の調査いたしましたところによりますと、その当時の百四十六名が百七十七名にふえておりまして、パーセントで申しますと三・二%に増加いたしております。しかしなお一〇%にはほど遠いものでございますので、今後ますます推進をいたしたいと、このように考えております。
  154. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうですね。もう一年たっていて三・二%ですか、本当に遅々とした状況だと思うのですが、私は大まかにいま申し上げていますから、数だけふえればいいということでないということはもう御承知だと思いますのでそれは一々は申し上げません。だけれども、指標としてもちろん総理府としても、企画推進本部としても、そうしたものを出されておりましたのでしょうし、私もそういう意味で問題にしております。それで、この調子でいったら五年間で一〇%ということにはなかなか算術計算してもいかないと思いますので、一つは私は、具体的に推進していくというふうにおっしゃるけれども、各省庁でと、またこうなるわけでしょう。そうするとやはりなかなか推進できない。そこを少し総括的に政府の施策として、当然婦人の十年の国内行動計画もつくられて、また前期の重点目標も立てられて、そしてこの問題についても独立して明文化されて課題にされているわけですから、具体的な推進のめど、たとえば中間目標をお立てになるとか、あるいは各省庁にどういう観点で婦人問題推進本部として取り組まれるかということを、もう一つ積極的な見通しとそれから立場、お考えをお伺いしたいと思います。
  155. 赤松良子

    説明員(赤松良子君) 先ほども申し上げましたように、ただいまの進捗状況は決して満足すべきものであるとは考えておりませんので、間もなく六月十四日で昨年婦人の政策決定参加を促進する特別活動推進要綱が発表されましてから一年たつわけでございますので、私どもといたしましては、この一年の間にどの程度各省でこれが推進されたかということをぜひ御報告をいただいて、その実情を踏まえまして、さらに次の年に向かいまして、新しい、より進んだ方向で推進をしたい、このように考えております。
  156. 山中郁子

    ○山中郁子君 ぜひ、そうですね、一年たった上で、いまお答えがありましたような点を踏まえて、次の一年ではそれじゃせめてここまでというような、五年間の計画を確実に実現できるそういう具体的な施策をお進めいただきたいと、これは私は要望を申し上げておきますが、その点についてはよろしいですね。  では、次には統廃合の問題についてお伺いをいたします。  審議会整理法案では、四十五審議会を対象にして統廃合を行い三十五審議会を削減する、こういうことになっています。私どもは、私が先ほどから申し上げていますように、審議会はただ減らせばいいというものではないと、どういう運営でどういう組織で、本当に基本的な目的に沿った方向に改善できるかが主要な問題なんだということを繰り返しておりますけれども、この廃止されるのが、一つ一つ吟味してみますと、予算規模は大変小さなもので、予算もそのまま従前のを合算するということで、委員数の削減については予算手当のつかない行政職員がほとんどだと、経費節減対策としては意味がないような実情ではないかと私は思っていますけれども、経費節減という問題も行政改革の一つ大きな柱でありますし、審議会整理についてもそれは無関係のものではないと考えておりますが、今回の審議会の削減によってどれだけの経費の節減ができるのか、五十二年度予算と五十三年度予算との対比でお示しをいただきたいと思います。
  157. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 五十三年度の予算におきまして一千三百万円でございます。
  158. 山中郁子

    ○山中郁子君 五十二年度に比較して一千三百万円削減ということですね。この点については余り、まあ経費一千数百万というお金はそれは大きなお金ですけれども、その点ではそう実効が上がらないと思いますけれども、この点はどういうふうに理解をしていらっしゃいますか。
  159. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会に要します経費というのはそれほど大きなものではございませんで、先ほども御報告いたしましたように、五十三年度予算で総額十七億二千二百万円でございます。したがいまして、審議会整理統廃合あるいは委員の数の縮減によります直接の節約効果というのは大きくないわけでございます。ただいま御説明いたしましたように千三百万円でございます。しかし、申すまでもございませんけれども、審議会整理統廃合は単に経費の節減だけを目的とするものではございませんで、行政全体の合理化、簡素化、能率化ということを主眼としているわけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思っております。
  160. 山中郁子

    ○山中郁子君 もちろん経費の節減だけでないということは当然のことです。だからこそ私は、何も審議会減らすだけが能じゃないという意味のことも申し上げているわけなんですけれども、具体的に言いますと、たとえば今回廃止または事実上廃止されるものの中に、国民金融公庫の国民金融審議会、それから労働基準監督官の身分保障のための労働基準監督官分限審議会というふうなものが入っています。事実上の廃止ですね。こういうものは、結局、大体こう見ますと、国民生活に密着したもの、そういうものが行政機構から民主的な要素を奪う結果になりかねない廃止統合の問題としてクローズアップされてきているということを指摘をしないわけにはいかないんです。もちろん、国民金融審議会あり方だとか、そういうことについては、国民からも、それから公庫の職員からもいろいろ意見が出ていますから、当然それは民主的にさらに改組されて強化されなければいけないというのが私たちの考えです。それから、分限審、労働基準監督官の分限審議会、これについても、やはり、置いておくことによって労働基準監督官の身分を保障するという積極的な役割りを果たす、そういう内容を持っているにもかかわらず、こうしたものを廃止するかないしは事実上廃止するという形にしていくということは、根本的に、最初から指摘しているような観点で問題があるというふうに考えております。で、こういう方向で、果たして本当に国民のための、国民の要望、意見などが公正に民主的に総合的に反映されるという保証にはならないと私は考えておりますけれども、この点のお考えはいかがですか。
  161. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま御指摘のございました二つの審議会でございますが、まず国民金融審議会につきましては、先ほども和泉委員の御質疑に対しまして御答弁申し上げた次第でございますけれども、国民金融公庫の事業運営も軌道に乗ってまいりましたし、ほかの公庫につきましてはこのような審議会は置かれておりませんので、そういうことを考え合わせまして廃止することといたしたわけでございますが、もちろんこの審議会を廃止いたしましても、国民各層、いろんな方面からの意見を伺うということは当然のことでございまして、主管官庁であります大蔵省あるいは国民金融公庫自体におきましてそのような配慮を今後ともやってまいるわけでございます。  それから、労働基準監督官分限審議会でございますけれども、これは御承知のように、労働基準監督官の罷免事案について審議をする審議会でございます。最近罷免事案もないわけでございますので、常設の審議会としては整理をさせていただいてもいいんではないか、万が一監督官の罷免事案が起こりました場合には、その都度設置をするということで対処させていただきたいと考えて今回整理をすることとした次第でございます。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 たとえば、いまの国民金融審議会の問題についての御答弁でも、結局それをなくしても積極的に関係省庁でもって国民の要望やなんかは聞きますよと、こうおっしゃるわけでしょう。そういうものを聞くために、広く取り入れるために審議会というものをつくったわけでしょう。審議会というのはそういう役割りを持っているわけでしょう。それだったら、いまここへ来てそういうものをなくすということは逆行するではないか、むしろそれをもっと内容的にも充実して民主的に運営することによって、より広範な広い国民の声を聞くと、こういうことが必要なんだということを重ねて指摘をしておきます。  それから、労働基準監督官の分限審議会につきましても、事案がないとおっしゃるけれども、そしてあったらつくればいいんだと、こうおっしゃるけれども、結局そういうものが常設されていることによって、そのことがやはり事案がないという事態を、好ましい事態をつくっているということにも関連してくる、そういう内容を持っているわけでしょう。そういう力を持っているわけでしょう。そういう立場で、こうした国民の生活に密着する審議会整理統合するという対象にするのではなくて、それはやはり方向が違うでしょうということを私は申し上げております。この点はおわかりいただけるはずだと思うんですけれども、局長の御答弁は予想できるんですが、長官どうですか、私の言うことをおわかりになりますでしょう。もっともだとお思いになりますでしょう。
  163. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) よくわかります。よくわかりますが、そういうことは、さっき私の申し上げるように、総論においては切るのが賛成であって、各論に入りますと、こういうものは切っちゃいかぬ、こういうものを切っちゃいかぬという議論になりがちでございます。しかし、ただいまの御意見をよく承りまして善処することにいたします。
  164. 山中郁子

    ○山中郁子君 別に全部切っちゃいかぬと私も言っているわけじゃないんですけれども、基本の流れを再三申し上げて、具体的にこういうものはだからそうでしょうと、こういうものをなくすことによってどんなメリットがあるのかと、逆に国民の声を聞くというせっかくの審議会制度の理念ですか、中身、それを損なうものになってしまうではないかということを申し上げております。  機構の簡素化ということをおっしゃっているわけですけれども、先ほども和泉委員の方から御指摘がありましたが、いわゆる私的諮問機関ですね、そういうふうに私呼びますけれども、その私的諮問機関がかなり法に反してというか脱法的につくられている、これ相当な数があるんですよね。で、環境庁にだけたまたま私どもで調査できたんですけれども、六十近くあるんです。政府の答弁はそんなたくさんないみたいにおっしゃるけれども、決してそうではなくて、大臣だけじゃなくて局長だとか、そうした下の方まで、何とか懇談会だとか何会だとかといっていわゆる私的機関的なものをつくっている。これは一体、全体でどのくらいになるのかと私たちはいろいろ聞くんですけれども、なかなか教えてくれないです、各省ね。推計では、そういうものも全部入れると審議会と称するものは、私的諮問機関も含めてですね、そういうものは一千を超えるんじゃないかというふうに私は推察いたします。資料を出してくれないから正確な数字が申し上げられないんですけれどもね。これも昨年の予算委員会で山原委員の質問で、衆議院で調査をいたしますと、こう答弁をされていらっしゃるわけなので、調査の結果をお伺いいたしたいと思います。
  165. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) いわゆる私的諮問機関についてのお尋ねでございますけれども、申し上げるまでもございませんけれども、私的諮問機関と申しますのは、その機関としての機関意思を決定するものではないわけでございます。集まりました方々の自由な意見の表明、交換ということであるわけでございます。行政を進めてまいります場合に、民間の有識者の方々の意見を聞くということは当然あるわけでございますし、場合によりましては非常に必要なことでございます。その場合に、一人の方の意見を聞くこともございますけれども、数人の方に便宜お集まりいただいて意見を伺うことも間々あるわけでございます。このような私的懇談会が問題になりますのは、本来の審議会と紛らわしいではないかという点であろうかと思うのでございます。本来の審議会は、申すまでもございませんけれども、審議会としての機関意思を決定するという点におきましていわゆる私的諮問機関と違うわけでございます。そこで、本来の審議会と紛らわしいのは、何と申しましても各省の省庁レベルの私的諮問機関であろう、もっと具体的に申しますと大臣レベルの決裁を経た懇談会であろうというふうに考えたわけでございます。そこで、先ほども一部御報告を申し上げましたけれども、そういう大臣レベルのいわゆる私的諮問機関につきましては、私どもといたしましても見直しを行いまして、それぞれ所要措置を講じている次第でございます。しかし、局長レベルというような御指摘でございますが、そういう段階になりますと、これは日常の行政運営そのものの問題でございますので、そこまでは私どもも詳細に承知しておりませんし、タッチもいたしていない次第でございます。
  166. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは大いにタッチをして少なくとも現状は把握するべきだと思うんですよ。そこのところはぜひちゃんとした見解に立っていただかないと、ある意味では、今回の整理法案で機構の簡素化とかそうしたことでおやりになると、だけれども片方でそういうふうにやっておいて、片方で私的諮問機関的なものがどんどんどんどん水増しされていったら、結局総体的にはふくれ上がっていくということは十分考えられるし、現実に私はそうだと思います。それからまた中には、たとえば例を挙げますと、経企庁の物価安定政策会議というのがあるんですけれども、これはまあ私的諮問機関ですけれども、四十三名の構成員を持って四部会、一分科会を組織しているという、そういう大規模なものもあるんですね。私はやはり、こういうものの少なくともまず実態は行管庁が責任を持って把握するべきだと思うんです。  そこで、これは要求ですけれども、設置区分別、中央、地方、各都道府県別というのもありますし、それから設置根拠別、法律に基づいているもの基づいていないものですね、そうした、どういう分類にしてどのように整理されるかは別として、実態が少なくともどうなっているのか、それをまずやはり行管庁として把握されるべきだと思いまして、その点についての調査報告を要求いたします。
  167. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) いわゆる大臣レベルの私的懇談会につきましては、私ども一部、先ほど来御報告申し上げておりますが、数でございますとか開催回数は把握しておりますので、適当な方法によりまして御報告を申し上げます。
  168. 山中郁子

    ○山中郁子君 それが三十九だということは聞いているんですよ。で、そうじゃなくて、次官のところだとか、局長、部長、課長、室長、そうした者のところにもいろんなものが出てきている。そういうことを、全然知りませんと、タッチしてませんし、知りませんし、知ろうともしないということでは、私は問題あると思いますよ。長官どうですか、それはぜひ行管庁で把握してくださいよ。
  169. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) これは、いまの大臣レベルのものでありますればおっしゃるとおりでございますが、あと局長や何かが仕事の能率を上げるために研究会を開くというようなものが私は多いんじゃないかと思うんですが、それを一々調べ上げるというのは、裁判所じゃないんですから、まあ能率を上げて仕事を効率的にやるというようなものまで調べた方がいいでしょうかね。私はそれは余り必要ないんじゃないかと思うんですが、何か弊害がありますか、そういうものは。
  170. 山中郁子

    ○山中郁子君 一つは、先ほどから申し上げていますように、政府でその諮問機関の整理統廃合するという理由があるんでしょう、あるからするんでしょう。そんなものがやたらたくさんふえたら大変だと、こういうことでしょう、余り実効も上げてなくてと、機構の簡素化。だったら、当然のことながら同じような内容を持って、そしてしかも法律に基づかないでそうしたものがあるということは好ましくない、問題があると。当然調べなきゃわからないじゃないですか。それで現に昨年の予算委員会で、とにかく実情調べるということは約束されているんですわ、西村さんも、園田さんも。もう少しちょっと、ちゃんと大体どのくらいか、まず調べてみなければそれが問題があるかないかだってわからないじゃないですか。
  171. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 私どももそのような局長レベル等のいわゆる私的諮問機関につきまして、どうでもいいというふうにお答え申し上げているわけでは決してないのでございまして、万が一そういう研究会のようなものが、研究会として答申でございますとか意見でございますとか、そういうようなことを言うとすれば、それは本来の審議会と紛らわしいということになるわけでございます。そこで、私どもは各省に対しまして、そういうようなことのないように運営の方法でありますとか、あるいはまた名称でございますとか、参集依頼の形式でございますとか、そういうことについて十分注意をしてもらいたいというようなことは各省に依頼をいたしております。しかし、何回も申し上げるようでございますが、その実態は各省の行政運営そのものの問題でございますので、そこまで私どもが立ち至って細かい調査をするということはただいま考えておりません。
  172. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっとこれだけに時間とるわけにいかないんですけれども、それじゃ、いま局長おっしゃったように、どうでもいいと思っているわけじゃないと、こういう御答弁でしたわね。本来の審議会と紛らわしいという観点から見ても、どうでもいいというものではないと。だったら、やっぱり実態がわからなきゃどうでもいいのかよくないのかというのはわからないんじゃないですか、これは常識論です。
  173. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 先ほど申し上げましたように、万が一答申でございますとか意見でございますとか、建議のようなものと紛らわしいというような事態があってはいけないということは、これは御指摘のとおりでございます。したがいまして、そういうことのないように各省に対しましてお願いをし、依頼をしているわけでございますが、それ以上立ち入りましてこちらが事細かい調査をいたしますことは、現在の行政運営から見まして必ずしも適切でないんではないかと考えている次第でございます。
  174. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっとこれだけに時間とるわけにいきませんので、実情を調査といいますか、事細かいことまでというふうなことは申し上げませんけれども、大体どのくらいあってどういう内容で、問題があるのかないのかと、そういうことぐらいはやはり行管庁として責任持って把握をすべきです。それがなきゃできないでしょう、行管庁の仕事できないじゃないですかということだけ重ねて申し上げておきまして、また別な機会に詰めます。これはたしか約束されているはずです、調べるということを。  それから次に、旧軍港市国有財産処理審議会及び旧軍港市転換法の改正に関してなんですけれども、これはいわゆる軍転法と言っているようですね。その軍転法の趣旨に照らして、今度の改正では、いわゆる審議会が大蔵大臣から財務局長というところに格下げですか、みたいな形になるような内容になっております。これは軍転法の「旧軍港市を平和産業港湾都市に転換することにより、平和日本実現の理想達成に寄与することを目的とする。」とうたっている、この趣旨に照らしても後退するという内容になるのではないかと私は理解をいたしておりますけれども、この点はいかがでしょうか。
  175. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 旧軍港市国有財産処理審議会につきましては、最近旧軍用財産の処理も円滑に進んでおります。特に、この所掌業務は財務局長の権限でございますし、財務局長の方が現地の実情をより的確に把握できるという立場にございますので、要するにそういう現地的な性格から考えまして、財務局所管審議会にすることにいたしたわけでございます。ただいま御指摘がございましたけれども、軍転法に基づきます審議会としては存続をいたすわけでございますし、もとより軍転法自体を廃止するわけのものではございませんので、私どもといたしましては軍転法の精神に反するとは考えておりません。
  176. 山中郁子

    ○山中郁子君 変わらないんだったら何も変えなくたっていいだろうと思うんですよ。いままでどおり大蔵省の大臣の諮問機関としてその任務を果たしてもらうというものとして位置づけておいて何ら差し支えないことだと私は思いますけれども、この具体的な中身で、軍転審議会のメンバーの問題として学識経験者選任方法が「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」となっているものが、両院の同意を得てではなくなって、そして大蔵大臣の任命に改正——私は改悪だと思っておりますけれども、そういうことになっていますけれども、これはやはり、審議会の根本的な目的から照らして後退すると思いますが、その点はいかがですか。
  177. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 関東財務局に移管いたします趣旨は、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、この仕事はもともと財務局長の権限でございますし、旧軍港市の実情を財務局長の方がより的確に把握できるのではないか、したがいまして、そういうように移管することによって処理の迅速化と申しますか、行政の簡素化が図られるというふうに判断をいたしたわけでございます。  ただいまの委員の任命の問題につきましては、私どもそれを意図したわけではございませんが、結論的にそうなったわけでございますけれども、全体としてお考えいただけば、先ほど申し上げました処理の迅速化、行政の簡素合理化に資するというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  178. 山中郁子

    ○山中郁子君 意図したわけでないのに結論的にそうなったというのはどうもわからないんだけれども、じゃ何でこうなっちゃったんですか、別にいいんでしょう、両院の承認を得てということで何ら差し支えないわけでしょう、このことを外すことを意図したのでなければ。
  179. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 任命権は大蔵大臣でございますので、従来と同様というわけには法体系上まいらぬとお考えいただきます。
  180. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから結局は後退したんじゃない、ここで、そうでしょう。あなたさっき、内容は何ら後退するものではないと、こうおっしゃったけれども、結局こういうふうに後退しているわけですよ。両院の議を経てと、承認を得てと、その方がより民主的なわけでしょう。それだって問題はあるんですよ、学識経験者は、実際上財界代表みたいな人になっちゃっているんですね、国民金融公庫総裁だとか、日本不動産研究所理事長だとか、日本経済新聞社取締役出版局長だとか、そういう人たちがなっているわけですわ。だから、私はやはりこういうところに、審議会整理というふうにおっしゃるけれども、本当の審議会の当初の趣旨に照らして後退をしている内容があるということを申し上げているわけです。どうして両院の承認を得てというのを、意図しないのに取らなきゃいけないかというのはやっぱりわからないんですね。なぜ、どうして、どういう理由で、しかも後退もさせないということをちゃんとおっしゃるならば、どうしてそういうふうに変わっちゃったんですか、結果的に。
  181. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) その点を後退とおとりになるかどうかはまたこれは一つの考え方の問題だろうと思いますが、私どもの考え方といたしましては、再三申し上げておりますように、この旧軍港市の国有財産の処理という仕事が現地的な事務でございますので、これを財務局の所管に移しました方がむしろ行政の迅速化に役立つんではないか、またあわせまして行政の簡素合理化に役立つんではないか、それから、先ほど申し上げましたように、軍転法自体を云々しているわけではないわけでございますので、軍転法の精神に反するというふうには私ども考えていないのでございます。
  182. 山中郁子

    ○山中郁子君 何ら合理的な御答弁がいただいてないということを私は指摘をしておきたいと思います。意図しないけれども結果的にそうなった、結果的にそうならざるを得ない。どういう理由があるのかということについては何にもちゃんとしと御答弁がないですね。その点を指摘をして引き続き問題にいたしますが、きょうは次の問題に進みます。  この軍転法の問題、軍転審議会に関連して具体的に横須賀にある猿島の問題についてちょっと伺っておきたいんですけれども、これは旧軍用地であったわけですから、これの処理の方法については軍転審議会にかけられると思いますけれども、そうなりますか。これは大蔵省でしょうか。
  183. 松岡宏

    説明員(松岡宏君) 猿島の処理についてのお尋ねでございますが、この件につきまして関係者間での話し合いが進み、いよいよ方針を決定するという段階に至りますれば、旧軍港市国有財産処理審議会にお諮りして答申をいただく、こういう運びとなるわけでございます。
  184. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうして、この猿島の利用計画につきまして、たしか二月十四日付の新聞だったと思うんですが、報道されているんです。この報道によりますと、神奈川県内の米軍基地の横須賀への移転集約が実現する運びとなったために、この見返り条件として猿島を横須賀市へ無償払い下げを行うと、そしてその猿島の利用計画は周囲の浅瀬を埋め立てて横須賀新港の防波堤にするとともに、猿島を観光地にしようというものだと伝えられているんです。しかも、無償払い下げは二年以内に実施できるのではないかと横須賀の市長が述べているんですね、この話は実際はどうなんですか。   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
  185. 松岡宏

    説明員(松岡宏君) 猿島につきましては、地元横須賀市から利用要望が大蔵省に対して出されてはおりますが、その処理につきましては今後の慎重な検討を経て方向づけがなされるべき問題と考えておりまして、ただいま御指摘の新聞報道にありましたような具体的な内容大蔵省との間に話し合いが進行しているものではございません。
  186. 山中郁子

    ○山中郁子君 具体的に新聞報道がそのようにされて、しかも市長が明言をしているというからには何にもないわけじゃないと私は思っています。一定の推測はできますけれども、それはさておきまして、問題はそういう観光地的なものとしてというよりは、この猿島はずっと軍用地ということで一般に使えなかったために、結果的に暖地性植物が繁茂して、天然記念物のウミウと言うんですか、海のウらしいですね、あれも生息をしたり、弥生時代の遺跡もあったりということで、ぜひ自然園的なものとして市民の憩いの場として保存をしたいという要望が多くの市民の人たちから出ているということがあります。それが払い下げによって、しかもそれが観光地的なものとして、せっかくの自然保護が荒らされてしまうということは大変残念だと、こういう市民の方たちの要望などがされていますので、私はぜひこういう観点を尊重して、そして払い下げ後の利用について図っていくべきだと思っておりますけれども、文化財の指定とかということはまたちょっと別な問題、文部省の関係になりましょうし、きょう文部省にお願いしてございませんので、それは別としても、いま申し上げましたような観点で、せっかくの保護された自然の地域ですから、それを守っていくという方向で利用するという点についての国のお考えをお約束をしておいていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  187. 松岡宏

    説明員(松岡宏君) 猿島の利用の方向づけにつきましては、先ほども申し上げましたように、なお今後の問題として十分慎重に検討してまいらなければならないと思いますが、その検討に当たりましては、御指摘の自然保護という観点につきましても十分配慮してまいりたいと存じます。
  188. 山中郁子

    ○山中郁子君 審議会問題の締めくくりになるんですけれども、運営問題についてお伺いをいたします。  運営問題の具体的な改革計画が示されていない。先ほど関連して私も指摘した部分もございましたけれども、私が、むしろ問題は審議会を少なくすればいいというものじゃなくて、運営や組織が問題だと申し上げている内容というのは、審議会の公開原則の確立だとか、それから公聴会の開催主義の原則を導入するとか、そういう本来の審議会の目的を、繰り返し申し上げますけれども、より貫徹するための改善、改革が必要だ。こういうものを抜きにした形での審議会制度改革というものはあり得ないと思っておりますが、この点については何にも提起されていないんですけれども、これはどうなんですか。
  189. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 審議会の議事などの公開の問題でございますけれども、これはただいまのところ個々審議会運営運営方法の問題として個別に決定をされているわけでございます。個別に議事規則を定めたり、あるいはその都度の議事運営において決定をされている問題でございます。したがって私どもは、この議事でございますとか、議事録を公開すべきかどうかというような問題につきましては、それぞれの審議会の目的なり任務、性格に照らしてどのような運営方法が最も適当であるかという見地からケース・バイ・ケースに決定さるべき問題であるというふうに考えているわけでございます。
  190. 山中郁子

    ○山中郁子君 あら、長官どっかへ行っちゃった。ここで長官に聞かなきゃいけない。  局長、そうしたら覚えていらっしゃいますか、衆議院でわが党の柴田議員がこのことについてやはり質問して要望したことに対して、長官は、前向きに検討すると、こう答弁していらっしゃるんですよね。そうすると、いまの局長お答えとは何か違うんですね、要するに、ばらばらじゃなくて、だからそういうことも含めて一般基準について通則を法定するということも必要であろうということも申し上げているわけなんですけれども、そういうことは全然必要ないという御見解ですか、やはり。
  191. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) そのような公開の問題を含めまして通則法というような問題もあるわけでございますが、審議会の設置、運営あり方につきましては、四十四年の閣議決定がございまして、原則的な方針を示しているわけでございます。そのうちの幾つかの項目、たとえば原則として委員の数二十人でございますとか、あるいはまた行政機関の職員をできる限り排除するとかいうようなことは、今回の行政改革にも織り込んで推進をいたしているわけでございます。そのようなことで、そういう閣議決定に沿って適切な運営が行われるように努力しているところでございますので、現在のところ審議会を一律に規制をいたします通則法の制定が必要であるかどうか、その点については私どもといたしましてはいろいろ疑問の点もあるんではないかと考えている次第でございます。
  192. 山中郁子

    ○山中郁子君 この点は、長官が戻られてからもう一度伺うことに——あっ戻られた。  長官にちょっとお尋ねをしたいんですけれども、運営や組織の問題が問題ではないか、ただ審議会を減らすだけが能じゃないでしょうということを私繰り返し申し上げました。で、それについて、たとえば審議会の公開の原則を確立するとか、それから公聴会の開催主義の原則を導入するとか、そういうことも含めて各審議会委員構成や運営に関する一般基準、いわゆる通則を法定することなども必要なのではないかということを申し上げて、これは覚えていらっしゃると思いますが、たしか衆議院でわが党の柴田議員がそうした要望、質問したことに対して、長官は前向きに検討しましょうと、こうおっしゃっていらっしゃったわけですけれども、いま局長は余りそうでもないような御答弁だったんですが、ぜひ検討していただきたいと思います。
  193. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) よく研究をいたします。
  194. 山中郁子

    ○山中郁子君 前向きに検討するとおっしゃっているんで、具体的な見通しや計画を明らかにしていただきたいところなんですが、では早急にぜひお約束を果たしていただくということにしたいと思います。
  195. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) よく研究をします。
  196. 山中郁子

    ○山中郁子君 研究研究と言ってちっとも具体化しないということでは因るので、重ねて申し上げておきます。  次に、許認可整理法案について二、三お伺いをいたしますが、五十三年度末までに、許認可等千二百四十事項整理合理化することを閣議決定されていらっしゃる。だけれど、許認可はいまは毎年約二百事項のテンポでふえていると思います、いただいた資料によりますと。これは、ここでたとえば五十三年度末までに千二百四十減らすとするでしょう。だけれども、毎年二百ぐらいのテンポでふえていったらまたすぐふえちゃうわけですね。こういう点で、総体としてさらに簡素化をしていくという必要があるので、そのために定期的に、できれば毎年一回は不要不急の許認可等整理合理化していくという取り組みが必要ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
  197. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいま先生御指摘の点でございますけれども、確かにいろいろ各省の施策を実現する手段で許認可等毎年新設されるものがあるわけでございます。それで、こういうものを新設を抑制することと、それからいまお話のありましたように、現在あるもので社会の情勢で不要であろうというようなものは廃止するとか、その他の方向でもっていくということで、できるだけ許認可数を減らしていった方がいいんじゃないかということは考えられるわけでございます。それで若干古い話でございますけれども、昭和四十四年ごろからそういうようないろいろなことが決められておりまして、やはり各省庁がまず極力自律的にこれを抑制し、要らないものを排除していくというようなことが必要だろうと考えております。それからなお、要らなくなったものをどうにかしょうという場合にも、いま申し上げましたもののほかに、やはり行政監理委員会の答申その他、第三者機関から指摘をして各省庁に総点検をしていただくというような方法等、私どももいままで交互にそれを用いてやってきているわけでございます。先生の御指摘の点は五十三年度末、ただいまの行政改革計画の千二百四十事項は五十三年度末に極力全部上がるようにする、それ以後も、定期的というのが毎年かどうかということはわかりませんけれども、やはり必要に応じて今回のような各省庁による総点検等を行って、そういう手段を通じて整理合理化を積極的に図っていきたいというふうに考えております。
  198. 山中郁子

    ○山中郁子君 一年に一回ぐらいの頻度は必要じゃないですかと思います。その点を重ねて申し上げておきます。  それで、法案では貸家組合法の廃止をうたっているわけですけれども、次の問題なんですが、この法律の廃止に意見はありますが、それはもう時間が余りありませんのでおくとして、事実上死文化した法律だとか、そういう理由で廃止をするという趣旨がいろいろあると思うんですが、時限が到来しているが廃止手続がとられないために現になお現存している、こういうような法律があるはずです、たくさん。で、貸家組合法はどういう理由で廃止するのかということをちょっとあわせて伺いますけれども、同時に、そういうふうにして死文化した法律だとか、時限が来ているのにかかわらず廃止手続がとられていなくて実際上はある法律ですね、そういうものはいま一体どのくらいあるのか、これは法制局に伺うことになるのでしょうか、実情を教えていただいて、これらの処理をどうなさるのかということを具体的に伺いたいと思います。
  199. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいまの貸家組合法の問題でございますけれども、これはかなり古い法律でございまして、昭和十六年に公布施行されているわけでございます。法の制定当時は、組合に対する建設資材の特別割り当て等の特例がございました。現在はそういう特例はもうございません。今後民間の賃貸住宅供給上機能する余地は余りないのじゃないかというふうに判断されるわけでございます。このために、同法に規定しております許認可等を廃止しますと、許認可等規定の廃止によって法律自体が存続の余地がないというふうに思われますので、今回この許認可整理法で法律を廃止するということにしているわけでございます。  貸家組合法の廃止する理由は以上のようでございますが、後半の法令上の問題は、私からお答えする以外に、内閣法制局の方から御答弁いただきたいと思います。
  200. 山中郁子

    ○山中郁子君 法制局、お願いしてなかったですか。——手違いで法制局お願いしてなかったようですので、その点については結構です。  許認可に関連して、運輸省の許認可の、問題についてお伺いをしたいんですが、これは具体的な問題です。民鉄ですね、いわゆる私鉄の鉄道抵当法で、運輸大臣の認可によって鉄道を抵当に設定して鉄道財団をつくって、開発銀行などから長期低利の金融を受けるというシステムがありますけれども、簡単にどういう手続でもってそうしたことが行われるのか、御説明をいただきたいと思います。
  201. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 鉄道財団でございますが、鉄道事業の全部または一部につきまして、財団を設定いたしまして、この財団を抵当の対象とすることによりまして必要な資金の調達を図る、こういう仕組みでございます。具体的には、鉄道事業公益性にかんがみまして、いま御指摘のように認可性をしいておりまして、認可に当たりましては、鉄道の公益性が損なわれることがないような使途にこれが使われるようにと、そういう点を十分チェックして認可をしておるわけでございます。
  202. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、もちろん安全輸送とか輸送力の増強とか、そういう公共的性格に照らした目的に使われるということを運輸大臣が判断をして認可をする、こういう仕組みになっているということでしょうか。
  203. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) ただいま申し上げましたように、認可に当たりましては、資金の使途についても計画を聞きまして、鉄道の公益性にふさわしい使途に向かうようにということでチェックをしておりまして、具体的には、できる限り鉄道設備の投資あるいは既存の鉄道財団で借り入れた借入金の借りかえ、こういったものに使うように指導しておる、こういうことでございます。
  204. 山中郁子

    ○山中郁子君 開銀の総裁においでいただいていると思いますが、開銀などから融資をされているわけですけれども、そうした場合の金利ですね、これは一般の市中銀行の金利と違うと思いますけれども、どういう比較になりましょうか、実質金利でいいです。
  205. 吉岡英一

    参考人吉岡英一君) 私鉄に対する融資につきましては二種類ございまして、特定工事と称しておりますものについては現在六・〇五%の金利を適用いたしております。それから一般工事につきましては七・一%の金利を適用いたしております。現在長期金利の基準金利が七・一%でございますから、大体私鉄に対する市中銀行の融資の金利は恐らくその前後かと思います。これは市中銀行のことでございますから、われわれ詳細には承知しておりません。大体そういう見当かと思います。
  206. 山中郁子

    ○山中郁子君 工事六・〇五ですね。
  207. 吉岡英一

    参考人吉岡英一君) はい。
  208. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、市中銀行よりも低い金利で融資ができるということになるわけですけれども、鉄道財団を設立して、鉄道に投資する目的で運輸省が推薦し融資をあっせんしたという金額、これは運輸省の方で把握をされていらっしゃると思いますが、私鉄大手十四社の現在高を教えていただきたい。
  209. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 五十一年度の数字で申し上げますと、私鉄の大手十四社合わせまして、鉄道財団を抵当とする借入金につきましては、借入金で四百六十七億円、社債で四百億円、合計八百六十七億円でございます。
  210. 山中郁子

    ○山中郁子君 開銀では、大手私鉄十四社に貸し付けている金額はどのくらいになりますか。
  211. 吉岡英一

    参考人吉岡英一君) 五十二年三月の調べでございますが、十四社の合計で三千二百億になっております。
  212. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、この融資したお金が目的どおりに使用されているかどうかということについてのチェックはどのようにされる仕掛けになっておりますか、で、どのようにされておりますか。
  213. 吉岡英一

    参考人吉岡英一君) 融資先から定期的に状況報告書をいただくことになっておりまして、その報告書に基づきまして、毎年一回定期的に各私鉄に出向きまして、実際に証拠書類等をチェックして、全件について一応チェックいたしております。
  214. 山中郁子

    ○山中郁子君 運輸省からもちょっとその答弁はお伺いしたいです。
  215. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 開銀から融資がありましたものにつきましては、いま総裁からお答え申し上げたとおりでございます。  それから、そのほか鉄道財団抵当で融資を受けました資金、これは先ほど申し上げましたように、できる限り鉄道の投資に使うようにというふうに指導しておるわけでありまして、この点のチェックにつきましては、鉄道財団抵当で融資を受けた資金の使途に見合う工事を行うかどうか、この点につきまして、地方鉄道法で工事の認可というチェックの仕組みがございますので、われわれとしてはそちらの方でもチェックをするようにしておるということでございます。
  216. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が問題にしているのは、そういう目的で運輸省、運輸大臣が認可をして、そして融資推薦——融資のあっせんですわね、そういうことで借りたお金を、私鉄が本当にそれじゃそういう目的に沿って使っているのかと、そうではないのではないかという疑いがある、そのことを問題にしているわけです。  それで、大手私鉄の中で特に東急はそれが顕著なんですけれどもね、これをいろいろ分析してみますと、東急はこの十年間、つまり四十年度から五十年度までの間に、有価証券報告書をもとに資金運用を分析してみますと、十年間に鉄道財団借入金の純増が、ふえた分が九百三十七億円借り入れしているんですね、これは東急全体の資金の源泉の四〇%を占めている。だから、相当な東急を支える大きな柱になっているわけです、資金面のですね。で、一方この資金を使って鉄軌道部分へはどういうふうに投資がされているかというと、すべての投資ですね、すべての固定資産の増価額を見ますと、七百三十二億円しかならないんですよ、全部でですよ。片方ではそういう投資をしますからと、こういう理由で九百三十七億の融資を受けている、そして、実際には鉄軌道部分への投資が七百三十二億円、つまりこの差二百五億円はどこへ行ったのかと。また逆に七百三十二億円の投資は全部が全部そうした借り入れ——鉄道財団抵当ですね、借り入れたお金を全部使うわけじゃないでしょう、自分の自己資本だってあるわけですから。だから、必ずしもそうではないけれども、仮に百歩譲って、算術計算をするために百歩譲って、七百三十二億円は全部それによって鉄道財団抵当で借りたと、それによって借りたと仮定しても、二百五億円のお金はどこへ行ったのかという問題になるんです。どのようにこれはお考えになりますか。
  217. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 先ほど申し上げましたように、鉄道財団で借りた資金の使途でございますが、できる限り鉄道の設備投資に使うようにという指導をしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、鉄道財団ですでに借りたものの借りかえと、これにも使うことはわが方は認めておるわけでございますし、また、やむを得ない事情でそのほかにその使途が向けられることも、これはケースによってはあり得るわけでございます。いま先生の御指摘について、いま私分析した資料は持っておりませんけれども、そういうようなものの積み重ねが御指摘の数字の差となってあらわれたのではないかというふうに思います。
  218. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは何かずいぶん無責任な話ですよね。だって、そうではないかと思うと。それだったら、結局実際にチェックされてないということになるわけでしょう。私は、もう感じられる方はあると思うのですけれども、東急といったら土地の買い占めで大きな問題を起こしているところですよね。土地の買い占めのためにこうしたお金が使われていないなんという保証はどこにもないですよ。七百三十二億と私さっき言いましたけれども、二百五億というのは、仮に七百三十二億を全部鉄道財団抵当によって借りたお金を使ったとしてもというふうに仮定をしましたけど、そういうことは常識的にも理論的にも考えられないのであって、これ以下であることは確実ですわ、七百三十二億より以下であることは。それにもかかわらず九百三十七億借りているのだから、この二百五億以上のお金が、本来そういうことで、公共性の名によって輸送力の増強だとか、安全輸送のためにとかといってお金を借りておいて、しかも国の開銀のお金を借りて、そしてそれを土地の買い占めなどで使っているということだったら一体どうなるんだ、こういう疑惑は私は十分にあると思うんです。これは何らかの形でやはりチェックをしてはっきりさせていく必要があると思っております。いかがでしょうか。
  219. 吉岡英一

    参考人吉岡英一君) ただいまのお話の開銀の融資に関する部分についてだけお答えを申し上げます。  開銀の融資については、先ほど申し上げましたように、全件について融資の目的である特定の工事を実際に行っているかどうかのチェックをいたすたてまえになっており、毎年そのチェックをいたしております。ここ数年来、そのチェックの結果、もしそういう目的に使っておらなければ繰り上げ弁済をさせる仕組みになっておりますが、そういうことが起こった実例はございません。
  220. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 鉄道財団で融資を受けました資金というのは、他の方法で融資を受けました資金と運用上一体となりますので、資金の源泉と資金の使途を個別に対応させてチェックするということは、これは実質問題としてできないわけでございます。ただ私ども、先ほど申し上げましたように、鉄道財団抵当で借りた資金を鉄道の設備投資に使いますと言った部分についてはチェックするようにしておるわけでございまして、それ以外に、既存の鉄道財団で借りたものの借入金の返還であるとか、あるいはやむを得ずほかの使途に向けるということで認可をもらった分であるとか、そういうものが幾らあるかということをチェックいたしませんと、いま御指摘の点が直ちに問題があるということにはならないというふうに考えております。
  221. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、それはチェックできるわけですか、なさるわけですか。
  222. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 鉄道財団で借りたお金を、鉄道の設備投資に使いますということで借りたお金につきましてはチェックすることはできます。その他の部分につきましては、これはもともとそうでないということで借りたお金でありますので、それが不当に使われたというようなことにはならないということでございます。
  223. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、最初にあなたおっしゃった、鉄道財団抵当で運輸大臣が認可をなさるでしょう。そうすると、鉄道の投資ですね、要するに安全輸送だとか輸送力の増強だとか、そういうことで公共性に照らしてそうした認可をするんだと、こうおっしゃるわけでしょう。すると、それ以外のところで認可することはないんでしょう。
  224. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 鉄道財団の公益性ということから考えまして、鉄道財団で借りた資金につきましてはできる限り鉄道の設備投資と既存の鉄道財団の借りかえに使うようにという指導をしておるわけでございまして、その企業の資金の事情であるとか、担保の余力であるとか、諸般の事情によりましてやむを得ず鉄道財団で借りた資金をほかへ使うということは、これはケースによってはあり得ることであるというふうに考えております。
  225. 山中郁子

    ○山中郁子君 だったら、土地買い占めに使っても、やむを得ず使ったならいいんですか。赤字になったと、買い占めてお金が足りないと現に言っているんですよ、東急で。私の方の関係者が問い合わせたんですよ。そうしたら、百六十億ぐらい赤字の穴埋めに、全部使ったわけじゃないけれども使っている、本来の趣旨からは問題かもしれないけれども仕方がないと実際に言っているの、東急の会計の担当者が。そういうのでもいいんですか。
  226. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 具体的な東急の事案につきましては、いま御指摘のようなことがあるのかないのか、これはいま直ちにお答えできませんけれども、ただいま申し上げましたように、鉄道財団で借りて鉄道で使うといったものにつきましては、これは鉄道で使うようにわれわれは指導もし、チェックもするようにしておるわけでございまして、そのほかの使途に使うということで借りたお金がどうなるかということは、これは認可の中身によって決まってきておりますので、そこをちょっと分析してみませんと、それがいま御指摘のようなことであるのかどうか、直ちに私の方ではお答えできないわけでございます。
  227. 山中郁子

    ○山中郁子君 あなたちょっと、だから私は局長に来てもらわなきゃ困ると言ったんだけれども、鉄道財団借入金の純増が九百三十七億だということを私言ったでしょう。その数字で言っているのよ。だったら、鉄道財団で借り入れたものであるかどうかわからないなんて、あなたいまさらおっしゃることないじゃないの。この数字をあなたの方で確かめさせてもらいたいと、こうおっしゃるなら話はわかるけれども、私は何もそのほかの借金のことを言っているわけじゃないですよ。
  228. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) その数字は確かめさしていただきたいと思いますが、いま申し上げました九百三十七億の数字が、これは必ず鉄道設備投資に使うということで借りたものであるかどうかがいまの段階で急にわからないわけでございます。既存の鉄道財団の借入金の借りかえに使っておるかもしれないわけでありまして、そこを分析しないと御指摘の点が問題かどうかわからないということを申し上げたわけでございます。
  229. 山中郁子

    ○山中郁子君 さっきからあなた二通りのことをおっしゃっているんだけれども、まあそれは時間が余りないからいいですけれども、要するにその鉄道財団抵当の認可をするのは、そういう公共性に照らして、そういうことで運輸省は認可をするんでしょう、運輸大臣は。それだったら、そこで借りたお金はそういう形で使うということが前提でしょう。赤字の穴埋めなんかに使っちゃいけないんでしょう。そういうことを私は申し上げている。しかも、この私鉄の問題でいけば、だれだってすぐにぴんとくるのは、あんなにたくさんのお金を使って、そしてどうせお金を借りて買っているんですから、土地を買い占めてね、そのための資金によもやこういうお金が使われていないとは言えないじゃないですか、ちゃんとチェックしなきゃ、ということを私は申し上げている。それしますか。
  230. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) この九百億円を借りるときに、鉄道財団を認可受ける際にどういう目的のために使うということで認可を受けたのかということをチェックしてみた上で、それが認可どおりに使われていないかどうかということを問題にするという順番で考えるべきじゃないかと思うんです。鉄道財団であれば必ず鉄道の設備投資にしか使わないのであるというふうに決まっておるわけではありませんでして、できる限り鉄道の設備投資に使うようにと、あるいは既存の借入金の借りかえに使うようにということを指導しておるわけでございますけれども、諸般の事情によってやむを得ずほかの使途に使うことを認めることもあるわけでございますので、その東急のケースがどういうものであるかということを、いまちょっとわからないものですからすぐお答えはできませんけれども、調べてみる必要があるのではないかということでございます。
  231. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃはっきりしてください。どういう場合にいいんですか、どういう場合、どういう場合、どういう場合にいいんですか、おたくは許可なさるのですか。
  232. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 鉄道財団の公益性ということから、まず鉄道の設備投資に使うということにつきましては使途として適当なものであると考えております。それから次に、既存の鉄道財団の借入金の借りかえも、これも差し支えないというふうに考えております。そのほかの使途につきましては、これはそのときの企業の資金繰りであるとか、担保の余力であるとか、諸般の事情を勘案しまして具体的なケースごとに判断をするということでやっていきたいということでございます。
  233. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一つだけ確かめます。それだったら、たまたま東急が土地を買い占めた、資金繰りが困ったと、それだったらケース・バイ・ケースで検討してその場合でも使っていいというふうにおっしゃるの。
  234. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) いま申し上げましたように、その資金がなぜ必要であるかということのほかに、ほかの担保の状況であるとか、企業全体の資金繰りであるとかといったようなことをよく見てみませんと、ただ御指摘のケースだけでいいか悪いかということを直ちに御返事することはできないのでございます。
  235. 山中郁子

    ○山中郁子君 検査院にお伺いしますけれどもいらしていますか。——いま申し上げたとおりでございます。運輸省もそうですけれども、こういう疑惑があるのです。これは何も私が言っているだけじゃないんです。新聞にもある経済評論家が指摘をしているところです。そういうことを会計検査院で調査をすべきだと、していただきたいと思います。いかがでしょうか。
  236. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 先生御存じのとおり、私どもは検査権限としまして私鉄までは及ばないわけでございますが、開発銀行の検査の際には、その貸付金につきましては工事完成実査報告書等、先ほど開銀の総裁が御答弁なさいましたそういうものを中心に、果たして政策目的どおり使われているか、資金の使途は適正に確認されているかという点を中心に調べておりますが、ただいま先生の御指摘のようなことがございますとすれば、今後の開銀の検査の際に十分関係書類を調査してみたいと、このように思っております。
  237. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう時間がないので細かくは言えないのですけれども、東武でもこういう例があるんです。実際に借りたお金の半分ぐらいしか設備費に入ってないということがあります。ですから、私はいま会計検査院で調査をお約束なさいましたけれども、ぜひとも行管庁長官にも、これは許認可の問題ですよね、こういうことを政府が認可をしておいて、その認可によって政府機関のお金を借りて、それが借りた理由のように使われていないという疑惑、こうしたものについては、少なくとも私は全面的に政府の責任で解明すべきだというふうに考えておりますので、その点について行管庁のお考えを伺いたいと思います。長官としての御見解を伺うんで結構です。
  238. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) これは私の方の監督では、範囲ではございませんで、これは大蔵省でよく調べるということだろうと思いますが、この問題については行管庁の範囲でないと思いますが、承っておきます。
  239. 山中郁子

    ○山中郁子君 許認可制度を疑惑を招かないものとして確立をしていくということが必要で、それは行管庁の所掌範囲であるからこそ法案も出ているわけでしょう、許認可の問題に関して。そのことで私は申し上げていますし、あえて行管庁長官ということでなくても、政府としてそういう観点からの疑惑を残さないという立場を明確にしていただきたいと思います。  それで、最後に運輸省に、いま調べるともおっしゃっておりましたけれども、どういう手順を踏んで調べるのかはあなたの方のお考えで結構ですけれども、いずれにしても私が提起をした問題につきまして、運輸省としての責任の範囲で調査もしていただき、御報告もいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  240. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 東急の問題は具体的に御指摘になりましたので調査の上適当な方法で先生の方へ御報告に上がるようにいたします。
  241. 森田重郎

    ○森田重郎君 私は、行政改革一般の問題につきまして御説明を賜りたいと思うのでございますが、その前に、実は幾つかの資料に基づきまして、今日までなされてまいりました行政改革全般につきましての歴史、そういったようなものを簡単に私なりに検討したわけでございますが、実は終戦直後の混乱期から大体十年ぐらいは別といたしまして、もっともその間に昭和二十四年にはシャウプの税制勧告というような問題もございましたけれども、大体昭和三十六年ぐらいからずっと今日までの行政改革全般をながめてまいりますと、やはり今日非常に問題になっておりますこの行政改革の骨子と申しましょうか、この辺は、昭和三十六年に臨時行政調査会が設置された、そしてまたその調査会が三十九年の九月でございましょうか、十六項目にわたります、言うなれば行政改革に対する意見書、これを政府に結局提出した。この辺がどうも行政改革の骨子になっておる。言うなれば今日の行政改革の基本的な姿勢づくりをつくったというふうに理解をしておるわけでございます。その後に、昭和三十八年の八月の閣議で行政改革本部が内閣に設置をされて、例の各省庁の一局削減の問題、あるいは先ほど来何回かお話の出ております審議会、特殊法人の整理、こういった一連の問題が討議されたり、同時にまた、定員削減計画の審議あるいは決定がなされて今日に至っておるというような経過であるようでございます。また、臨時行政調査会の勧告によりまして、昭和四十年七月に、行政監理委員会設置法によっていわゆる行政監理委員会が発足をしておるというような、そういった一連の歴史の中で、実は今日の行政改革が討議、討論をされておるというふうに理解をしておるわけでございますが、実は荒舩行管理庁長官は、私の郷里郷党の大先輩でございまして、二度目の実はお勤めということになるわけでございますが、長官が昨年ですか、十一月の末に行管長官に御就任になったその当時の一つ行政改革に対する熱意、また姿勢、抱負経綸、そういったものと、現在の行政管理庁長官としての荒舩先生のその辺の心境をひとつお伺い賜りたいと、かように思います。
  242. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えいたします。  昨年の十一月ごろと現在、少しも私の方針は変わっておりません。ただ、たびたび申し上げますが、なかなかいま経済上の非常な厳しいときでございます。そういうような点からいたしまして、なるべく景気浮揚の問題やあるいは雇用問題、また失業対策、そういうようなものに対しましても、ひとつ余り差しさわりのないような行政をしていくことが必要であると考えております。したがいまして、これは簡単に申せば、理想は私の考えも大変ございますが、なかなかこれは思ったようにいかないという点を十分考えております。しかし、行政改革というものは、何といたしましても国民の税金のむだ遣いをしない、そして行政のコストダウンをする、こういうことでございます。それから、変化する社会情勢、また国際的ないろいろの問題に対して、それを早く察知いたしまして、そうしてこれらに対処していかなければならないと、こういうような考えでおります。  以上でございます。
  243. 森田重郎

    ○森田重郎君 長官が、例の外務省の中南米局の問題等につきまして、大変自分の所信を曲げず、非常に強い信念のもとで一つの改革の基本原則を貫くというような意味で大変な御苦労をなさった、その辺の背景の模様も私なりに承知をいたしておるわけでございます。ただいままた御説明がございましたように、引き続いて基本的な考え方、信念には変わりないというような御発言でございまして、大変私なりに意を強うしておるわけでございますが、私は今回のこの行政改革の行政改革計画と申しましょうか、正式には「行政改革の推進について」でございますが、この計画そのもの自体は、私大変、言うなれば行政改革の基本につながるような目玉の事項はすべて網羅しておるような感じがするわけでございます。第一の問題といたしまして、行政機構の問題、第二が定員管理の問題、また第三が特殊法人、第四が審議会、五番目の問題として補助金問題、六番目はこれは行政事務の問題、七番目が地方事務官制度の問題であり、最後の第八番目が地方公共団体に対する要請というようなことで、言うなれば行政改革の骨子というふうなものは全部包括的に一括して包含されておる、そういう意味で系統的にまとまった行政改革案としましては私は大変りっぱなものじゃなかろうかと、かように思っておるわけでございます。なお、中で特に、たとえば地方事務官制度の問題については、これは陸運事務所部門を廃止する、二年を目途でございますか、二年以内に厚生省、労働省等の事務官をも廃止するというような骨子、そしてまたそういった中で国家公務員の定年制の導入、これは何歳にするか、これはまた別としましても、過去ずいぶん長い間にわたりまして云々されておったような幾つかの改革案件というふうなものがこういう中に盛り込まれておると。そういう意味では、私は大変高い評価をしたいと、かように思っておるわけでございますが、しかし、実はこの改革案の目玉とされておりました中央省庁の統廃合問題というものが、実は引き続き検討をするというような形の中で、何か非常にこう湿りがちな発言、トーンダウンをしてしまったというふうなことを感得するわけでございますが、その辺につきまして再度ひとつ長官の御説明を賜りたいと思います。
  244. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) さっき中南米局の問題がございました。これはこの際でございますから、はっきり私は中南米局をつくることは賛成でございます。何となれば、百万以上の日本人がいる。また、いまの日本の資源の少ないときに、中南米というものは非常に重要な地域でございます。また、中南米の国々と日本の関係は他のいろいろな国よりも密接な度合いでございます。しかし、去年の十二月二十三日に閣議で決めた、新局はふやさない、こういう大方針がございます。したがって、もし新局をつくるということでございますれば、まあ振りかえをすると、そこで外務省と話し合いをいたしまして、外務省にも幾つもの局がございまして、たとえば情報文化局という、これも必要でしょう。しかし、そういうものとかみ合わせてやる方法はないかと、まあこういう主張をいたしました。どうも私の言ったことがなかなか通じませんで、ついああいうような状況になったわけでございます。いまでも皇太子殿下御夫妻が中南米においでになる、またさっき言うように、百万以上の日本人がいる、そういうような、移民からの問題等を考えましても日本とは古い歴史があります。したがって、ぜひ中南米局はつくりたいということですが、遺憾ながら振りかえができなかったということはいまでも遺憾千万でございまして、なるべく早い機会に、どうしてもまあこれをつくるようにしなければならないと、こういう信念には変わりはございません。  それから、昨年の九月でございますが、福田総理がエネルギー省をつくると、あるいは住宅省をつくると、つくるとまあ言い切ったわけでもないんですが、新聞の方はつくるように全部書き上げてあったようでございます。しかし、これは、私も福田内閣の閣僚の一人ですが、少しアドバルーンが早く上がっちまった、もっともっと研究をしなければならないものをアドバルーンを早く上げ過ぎたんだというので、私の考えといたしますれば少しアドバルーンの上げ方がまずかったなあと、こう考えております。御承知のエネルギー、とにかく油にいたしましても大体世界の十分の一は日本が消化しております。それから、一番早く、エネルギーで使いやすいのは原子力発電であると思います。こういうような問題、これをどうしたらもっと国民に理解を求めて合理化できるか、早くこれが使えるかというような問題、電力は恐らく十年間にいまの倍の能力を上げなけりゃ私はならないと思っております。水も倍にしなければならない、十年間には倍にしなければ。電力も十年間、もう十年間は待てない状況でございますが、倍にしなくちゃならぬ。だからといって、それじゃエネルギー省をつくりゃそれができるかといったら、そうでもないのです。もっと根本的にエネルギーの問題はひとつよく研究いたしまして、これをやるべきでありますが、果たしてエネルギー省をつくればそれが解決できるかといったらそうでもないと思う。また住宅省といいましても、これも住宅は必要でございます。しかし、私は政府の一人といたしまして、いまの住宅でもなかなか問題があるんです。よく森田さん知っているとおり、アパートなんぞじゃんじゃんつくっても四万戸もあいているんだ、入り手がない。これは住宅問題は何としても土地問題を解決するということが必要でございます。これはことしの公共事業で大変な仕事ですが、容易ならざる仕事ですよ。といって、それが住宅省をつくったらそれで解決するかといったらそうじゃないと思う。これは根本的によく考えまして、ひとつ何とか能率の上がるようにしてみたい。しかし省庁というものをやたらに統廃合するんだ、どうだというと、これは行政の骨格ですから、骨をやたらにいじくるわけにはいかないということは当然でございます。そういうようなことを考えつつ省庁の統廃合、いわゆるエネルギー省をつくらなかったから、あるいは住宅省をつくらなかったからおまえのやっていることはだめなんだと、こういうことだと私は違うんじゃないかと思う。これを何とか、そういうエネルギー問題、水の問題、住宅の問題をどうしたら解決できるかというようなことの根本を行政管理庁として研究していかなくちゃならない。じゃ研究しないでよすのかというと、大いに研究をしておりまして、私の思ったようなことを総理と話し合っております。いやあそんなにどんどん進まれちゃ、ううなんというようなこともなきにしもあらず。そういうことをいろいろ考えながらいまやっているのでございますが、第一番に農林省、二百海里問題がありまして、これ農林水産省に改組するというような問題、それからまた住宅省というようなことから考えて、まあひとつ建設省と国土庁というものは、まずとりあえず一人の大臣でこれを管理してもらうというようなことも、私が実は行政管理庁を去年の十一月お引き受けするときにそういう発言をいたしました。それから福田総理に私の意見を申し上げたらそれを採用してくれたわけでございます。  それからまた、どうも経済問題でめぐりじゅうから——めぐりじゅうからというのは秩父言葉です。世界じゅうから日本の輸出をどんどん旺盛にやろうとすれば、これはいろんなことを言われて容易ならざる、日本がマイナス面もかせぐ。したがって、いわゆる対外経済ということに専念をできるそういう省を、そういう大臣を任命したらどうかと、これも採用してもらったわけでございます。そういうようなことを考えつつ、森田さんに言わせると、少しおまえのやることは遅いじゃないかと言うが、そうでもない、一生懸命やっているわけでございます。  それからなお、いろいろな経済問題やいろんな問題がありますから、理屈より何よりできるものから実行していくというようなことで、中央の課を五十一減らす、なお地方の出先機関のうち支所、出張所を千カ所整理をいたしました。国家公務員については、決して国家公務員が多過ぎると私は考えているわけではないんです。各国の統計をとりますと、なるほど地方公務員は非常に日本は多いです。多いけれども、国家公務員は比例をいたしまして千人に対して七・八人でございますから、それほど各国と例をとって多過ぎると思っておりません。しかし減らせるものならなるべく減らせるようにというので、今後三年間に二万八千人を削減をする、これは既定方針でやっていきます。それから定年制も導入をいたします。これはなかなかむずかしい問題ですが、定年制を導入いたします。それから、さっきもお話を申し上げましたが、特殊法人というものが多過ぎるんです。これを整理を進めてまいりまして、いま十四法人を整理する対象にしておりますが、私が就任して以来ちょうどこれで二十一法人の整理統合をすることになる。それから特殊法人についてどうも月給が高過ぎるというような問題から、退職金が極端に多いという非難がございまして、これも二割カットする。それから特殊法人が何年も、特殊法人の理事長とか会長とかいろいろな名前がありますが、そういうものも何年も何年もいつまでもやっているということもあれですから、現在は八年まででございましたが、それを六年に切り下げる。いま御審議を願っている審議会も多過ぎますからこれを減らしていこう、四十八整理統合いたします。それから補助金も千四百二十二億円大幅に減ずるようにいたします。それから、許可認可も千二百四十事項廃止をするというようなことを実行して、法律案提出いたしまして御審議を願っているわけでございます。しかしこれで十分だなんということを考えておりませんが、なるべく速やかに、いろいろなことで問題等もございますが、努力をいたしまして御期待に沿うようにやっていきたいと思う次第でございます。しかしこれよく考えてもらって、あなた実業家の出ですからよくおわかりですが、これはなかなか株式会社と違いまして、これはだめだから首切れと、そうはいかないですよ、なかなか。これはいろいろな制度がありまして、やっぱり民間のやる仕事の方がばたばたできて気持ちがいいんですが、こういう役所というものはなかなか人員整理だの、いや統廃合、合理化するなんといったって、これは口じゃ簡単ですが、なかなかこれはむずかしい問題ですが、平身低頭いたしましてなるべく摩擦の起こらないようにやっていくつもりですが、どうぞ御尽力とひとつ御声援をお願いいたします。   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
  245. 森田重郎

    ○森田重郎君 荒舩先生の御意見よくわかりましたが、ただいま先生の御説明の中で、これは御答弁は必要ございませんが、建設大臣が国土庁長官を兼務されるというような問題、同時にまた、対外経済担当相が、これは言うなれば政策を機動的に推進するというふうな意味でこういった担当大臣が生まれたことと思いますけれども、これらの問題につきましては、私は私なりに若干実は荒舩先生の御意見と相入れないものがあるわけでございまして、実はこういった閣僚ポストの人事問題というのが、そもそも行政機構改革の改革案件の中に入るというのは、どうもちょっとその辺が私なりに理解できないのでございますが、これは御答弁は結構でございます。  次に、ちょっと話題を変えまして、行政改革の問題、これはいつものことながら、またいろんな先生方からずいぶんいろいろお話が出ておるように、総論においては賛成、しかし現実問題として行革問題に具体的に取り組むという段階になると、各論においてこれは反対というような経過が、また同時に繰り返されておるのではなかろうかと私なりに想像するわけでございますが、どういうものでございましょうかね、行政管理庁というものが横並びの形で各省庁とお話をする、行革問題についての打ち合わせをする、それは行政管理庁が各省庁を呼びつけるのか、あるいは出向いていってされるのか、その辺のことはよくわかりませんし、そういう問題は別といたしましても、言うなれば各省庁間というのは非常に横並びの関係において内情がよくわかっておるのじゃないかというような私は感じを受けるわけです。言うなれば相手の痛いところがよくわかる、やっぱり人情の常として痛いところにはなるべく触れない、まずできるところからやっていくんだというような感覚の中で考えますと、そういった、言うなればわかり過ぎた者同士の話し合いというのが果たして行革を今後進める上においてよろしいのかどうか、やはり政治というものはどこか肝心なところで行政をチェックする機能というものが必要じゃないか、言うなれば政治の優位性といいましょうか、主導性と申しましょうか、その辺がどうも全般的に欠けておるんじゃないか。ある意味では同じような質問になろうかと思いますけれども、その辺につきまして、たびたび長官に御答弁お願いして申しわけないのですが、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  246. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えをいたします。  おっしゃるとおりでございます。いやしくも行政整理をするということでございますから、これは横に並んでいる、一々これもあれも相談すれば、みんな人間を減らしたり役所を切り詰めたりすることは反対ですよ。だから相談しません。やっぱり総理と相談をして、そしてこういうふうに決めてきたからそれでやろうと思いますが、まあひとつがまんしてくださいと、こういうやり方以外にはないのでございます。そういうつもりでやりますが、こんなものを半年や一年やったのじゃなかなかだめなんで、私は永久にやらせりゃみんな整理してしまいますよ。それから一番問題は、やっぱり発想の転換をしなけりゃ整理つきませんよ、これは。戦後いろいろなものをふやす一方にやってきたんですから、これはもっと言えば、明治始まって、明治憲法始まって以来人間をふやす、いろいろな役所をふやすことだけやってきた。なかなか減らす方のことはやらないのです。吉田さんがワンマンでかなりきついことを言ったができないんです。だから、そのふやしっ放しになっているやつを今度は整理をしていく、口で言うのはやすいけれどもなかなかそう簡単にできません。私は福田総理によく言う。どうもこれもなんだ、これもまあ待ってくれというのではだめで、思い切った発想の転換をしなければだめですよと言う。思い切った考え方を少し方向を変えてやらなければならないのじゃないかということをよく言いますが、私が少し出過ぎるか、あるいは少し福田さんより過激なことを言ったりやったりするからちょっと待てということが多いので、ひとつよく研究してみようということで終わりになってしまうことが多い。こういうことで御了承願います。
  247. 森田重郎

    ○森田重郎君 ただいまの質問に関連するわけでございますけれども、現在行政管理庁は、内閣の結局外局というようなことで先ほど来の横並びというふうなことになっておるわけでございますが、この問題は何回かもうすでに討議された問題であろうかとは思いますが、どうなんでしょうか、たとえば人事院のような形で直轄といいましょうか、もちろん行政改革の問題というのは、ただいま御説明ございましたように幾ら措置をとって対応してみても、あるいはまた部局の削減を図るとかそういった考え方に立ってみましても、やっぱりこれは国民の合意というものと同時に、また行革そのものに対する参加意識というものがどうしても基本になると思うのです。したがいまして、そういう組織の問題は、そういう意味からしますれば基本的な問題じゃないということにもなろうかとは思いますけれども、現在の外局というような形でなしに、直轄というような形で仮に閣内に設置されるというような、そういうお考えは長官としてどう思いましょうか。これは荒舩先生のように、議員歴も非常に長くて、政治経験も豊富であり、同時にまた非常に、何といいますか、いまおっしゃったように思い切った発想の転換ということについても大変英断を持って対応される先生ですからそういうことも言えるのかと思いますけれども、行政管理庁長官という職は、必ずしも荒舩先生のような方ばっかりではございませんし、そういった意味からも、ただいま申し上げたようなことについてどんなお考えでございましょうか、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  248. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えします。  考え方によるものですが、内局というようなことになりますとなおだめなんです。これはもう少し私に思い切ったことをさせなければ実際はだめなんです。行政改革できないんですよ。これはやっぱり、総理が何といってもやるのならやるということで思い切ってやるようにしなければ行政改革は本当は実が上がらない、そう思っております。   〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕  それから、だんだん総理と話して、まるで会社の監査役みたいに思われてはだめですよと、株式会社の監査役のようなことで、あなた方取締役が集まって下手くそなことをやったのを後で整理をしていくのはおれなんだというようなことではだめだ、あなた方の考えることのもう一歩強いことがやれるようにさせてもらうのでなければ、行政改革をやれといったってそれはだめだ、総理と同じ権限でやろうじゃありませんかと言ったら、それはちょっと待てと、こう言いますから、そこまで——私は閣僚の一員でございますが、監査役だと思われては困る、こういう意見を言っておりまして、行政改革というのは大変な役所ですから御同情をお願いいたします。
  249. 森田重郎

    ○森田重郎君 先生の御苦労、御苦心のほどもわかるのでございますが、また、一方から考えますと、これは高度成長時代というものは財政的にも非常に余裕があった。したがって、国にしても地方にしても、非常に結局また新しい意味での財政需要も発生してきたと思うのです。したがいまして、国、地方の仕事の分量というものも非常にふえてくる、事業分野というふうなものも広がってくる。まあ過去十年間国家公務員の数は減らない、あるいは漸減しているというようなことも聞いておりますが、地方公務員にいたしますと六十万人ぐらいふえているわけでございますね。現在はいずれにしても、構造不況業種等、すでに皆さんよく御承知のとおり大変な減量経済といいましょうか、低成長というようなことで、言うなれば民間企業というのは大変な厳しい市場原理の中で毎日毎日もみくちゃになっているといった方を考えてみますと、国家財政は、これは十兆九千八百五十億でしたか、数字ちょっとはっきり覚えておりませんが、国債発行依存度というのが一般会計の中で三七%を占めている。要するに、借金で国が成り立っているということであると思うのです。そういうことを考えますと、そういった財政にゆとりのないときにはそれに応じたような行政改革というものを、機構の問題をも、同時にまた人の問題をも踏まえた上でなされるのが行革のある意味では私は当然性じゃないか、こういう感じがするわけです。ただいまの長官の御説明を伺いますと、なるほど行政改革というものは非常にむずかしい。むずかしさはよくわかるんですけれども、あえてそのむずかしさに挑戦するところに真の行政改革があるような感じを受けるわけでございます。何回か同じような質問になろうかと思いますが、ひとつ重ねての御答弁を賜りたいと思います。
  250. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) いや本当におっしゃるとおりでございまして、森田さんの考えとちっとも違わないんです。ただ、できるかできないかと、こういうこと。私はこう考えて、さっきも申し上げるように、国家公務員がそれほど多いとは思っておらないんです。千人に対して七・七八人です。ただし、地方公務員は二十六・三人、これはとんでもない。地方財政容易でない。また、政府の企業、いわゆる特殊法人等は国家公務員より多いんで八・三人です。そういうことを考えてみると、地方財政なんというものは大変な、これは人件費で全部食っちまっておると言ってもいいようなものです。ですから、これが株式会社なら思い切ったことができて、あなたが西武の社長でやっていると行政管理庁長官と取りかえっこしていいほどでございまして、これ、なかなかやろうと思ってもいろいろな規制があったりなんかで容易でありません。しかし、それをやり抜いていかなければ行政管理庁なんというのは要らなくなりますから、ひとつ鋭意馬力をかけて一生懸命やりますから御支援をお願いいたします。
  251. 森田重郎

    ○森田重郎君 ただいま民間企業のお話が出たのでございますけれども、私は、国家財政の成立の基盤といいましょうか、その背景というものは、どうしても一般企業、民間企業との平衡感覚の中でそれをとらえていくというふうなことが実は本旨じゃなかろうかと思うわけでございます。それは租税負担の原則あるいは租税負担の能力の問題とか、あるいは国債の消化というふうな、そういうふうな問題から考えてみましても、やはり民間企業の置かれておる経済社会的な位置づけというふうなものと、実は国家財政というのはそのうらはらの関係にあるんじゃないかというような感覚が非常に強いものですから、あえてその点を荒舩先生にお伺いしたわけでございますが、現在民間企業というのは、これは先ほどもちょっと触れましたように、市場メカニズムの中で動いている、それに適応した形で生きていかぬことにはもうきょうあすにつぶれてしまうというふうな企業が非常に多いわけです。社長が首になるとか、あるいは役員が半減するとか、給与カットがあるとか、社員の配置転換あるいは出向の問題というふうなことが日常茶飯事のように繰り返されている、ときには労働組合と血のにじむような協議をする、そういうふうな中で、要するに民間企業というものの存在が辛うじてあるという感じが非常に強いものですから、そういう意味から申し上げましても、冒頭申し上げましたように、やはり国の財政というものはそのうらはらとして民間の財政というふうな問題とつながっているんだということを特に申し上げたかったわけでございます。  次に、実は新しい行政需要の問題なんでございますけれども、第二次大戦以降、御承知のとおり高福祉社会、高福祉国家というふうなことがしきりと言われてきておりますが、こういう考え方に立ちますと、先ほどもちょっと触れましたように、どうしても新しい意味での行政需要という問題が出てくる、また出てきて当然である。物価にしても、消費者保護の問題にしても、あるいはまた公害環境問題、こういう意味での新しい行政需要というものが出てくるわけでございます。しかし、おしなべて考えてみますと、総体的に見た場合には、やはり行政コストというものを大幅にダウンするだけの、そういう意味での供給と申しましょうか、行政の供給余力というふうなものがまだまだ潜在的に非常に大きいものがあるような気がするんでございますけれども、その辺についての、多少総体的な数字というふうなものは、今後どうなんでございましょうか、事務的な形で御答弁願ってもいいんですが、行政管理庁としてお持ちになっておるのかどうか。たとえばの話でございますけれども、要するに市民の参加意識と申しましょうか、行政コストというふうなものを、住民がそれをチェックし得るようなその機能と申しましょうか、そういったものについて、若干海外等について御研究でもなさっておられるようなことがございましたらちょっとお聞かせを賜りたいと思います。
  252. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) なかなかむずかしい問題の御指摘でございまして、的確に御答弁申し上げられるかどうか疑問でございますけれども、ただいまお話のございましたように、社会経済情勢が複雑化してくる、福祉国家等の要請もございまして行政の範囲も次第に広がりつつあるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、行政上のいろいろな意味での給付というのは必ずコストを伴うものでございますから、行政の守備範囲の拡大にもおのずから限度があるんではなかろうか、すべて安易に行政に依存されるというようなことでは、これはまた行政のコストがふえまして、機構なり定員なりも拡大する一方でございますので、そこの行政の守備範囲ということの問題につきましては、国民の皆様方のコンセンサスと申しますか、御理解を得て、ひとつ無制限な拡大ということはむずかしいんではないか、そういう意味におきまして、このような時代でございますとなおさらのことでございますが、行政施策を選んでいく場合にも重点的に選択をしていただく必要があるんではないか、このように考えておる次第でございます。
  253. 森田重郎

    ○森田重郎君 よく言われておるんですが、日本で欠けているというのは、これは行政コスト面で、言うなれば住民が行政効率をチェックする機能が機能していないことだというようなことをよく私ども書物あたりで読むわけでございますが、財政活動というのは、これはすべて国民、住民のやっぱり負担によって賄うと、要するにそういう意味からすると、受益者である住民がコストを通じてコントロールし得るような、言うなれば財政責任と申しましょうか、そういうふうな一つの原則というものについて何らかの形で多少お考えになっておられるかどうかという点を実はお尋ねしたわけでございますが、その問題はそれで結構でございます。  これで最後にいたしたいと思いますが、今回の行政改革というものが、大変広範囲にわたってあらゆるテーマを盛り込んで、それを積極果敢に今後推進していくというお話でございますが、先ほども申し上げましたように、そういう姿勢、考え方につきましては大変私は結構だと思うんですが、現在の行政改革の基本的な考え方が、どうしても私は数量的な合理化と申しましょうか、そういう方向に偏っておるんではないかと思うんです。たとえば行政需要がこれだけふえたと、ですから機構が勢いそれに伴ってこれだけふくらんだと、人員がこれだけふえたと。現在のように財政事情が非常に逼迫してきた、したがって今度は逆に、先ほど来討議をされております特殊法人の問題にしても審議会の問題にしても、それが非常に今度はチェックされてくるというような、数量的な面で、要するに行政改革の基本、基盤づくりというふうなものがなされているような私なりに感じを受けるわけでございます。やっぱり行政改革というのを基本的に取り組んで進めていくというからには、行政改革、要するに行政内容からの質的な問題、そういった意味で、言うなれば質的な改革論議というふうなものが、ある程度盛り込まれるような形での行革案というふうなものを考えてみる必要があるんじゃないか。大変抽象的な表現になりますけれども、予算の問題にしても、要するに対前年比でどうなるというふうな例の増分査定主義的なそういう感覚でなしに、一応見直し、全面的に洗い直しをして、現在真に国民の方々が望んでいる行政機構あり方というのはどういう形であるか、またどういう方向を希望、希求しているかという、そういった行政の本質的なもの、内容的なもの、質的なもの、この辺に改革の基盤というふうなものがあってこそ、何か初めて真に行政改革の真髄に触れるような感じがするのでございますけれども、以上私の希望として申し上げまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。終わります。
  254. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 非常に参考になりまして、確かにそのとおりです。ただ、量的に減らしさえすればいいというのでは、それは行政改革の一部であって、もう少し本当に方針を決めて、だから私は日本の行政改革ばかりでなく、政治の上で発想の転換をしなけりゃ大変だと思うんです。行政改革をしようと思うといろいろ法律や何かにしばられてなかなか——減らすだけじゃなくて、行政改革、能率を上げるのにはある部分ではふやしていかなくちゃならない点もあると思うんです。しかし、これは非常に何もかにもがんじがらめに縛られていて、なかなか思うようにならない。だから、私は日本の行政改革ばかりじゃない、内閣のあり方についても、政治のあり方についても発想の転換をしなけりゃならないんじゃないかと、そういう点に立って行政改革もやっていきたいと、こういうように思っておりまして、森田さんの御意見に全面的に賛成でございます。しからば、それをどういうふうに具体的にやれるかと、こういうことでございます。まあ鋭意努力いたしますから、御援助をお願いいたします。
  255. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会      —————・—————