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政府委員(
藤井貞夫君) いま
お話のありましたところに特に異議を申し立てるつもりはございませんですが、私の
承知をいたしておりまするところでは、この定年制の問題と、
公務員の労働
基本権の
取り扱いとは直接の関連はないというふうに考えております。
御
承知のように、わが国の場合におきましては、明治以来から特定の
公務員を除きましては実は定年制がしかれないままで今日まで来たわけでございます。これはその背景といたしましては相当の
理由があるわけでございまして、そこまでやらなくても退職管理のことが何とかうまく処理をされてきたというようなことがその背景にあったのではないかというふうに
承知をいたしております。それはそれといたしまして、いま
お話がございましたように、昨年の暮れに
政府といたしましては、国家
公務員についても定年制を導入するんだという方針が
決定をされたのであります。それに基づきまして、事柄は
公務員の身分保障に関する重要な事柄でございます。分限に関する重要な事柄でございますので、当時から、
人事院の
見解は前提としてひとつ聞きたいんだというようなことが
お話し合いの中に出ておったようでございまして、それを受けて二月三日、いま総務長官からも
お話がございましたように、総務長官から私あてにひとつ
見解を聞きたいんだという書類が参ったのであります。
人事院といたしましては、定年制につきましてはやはり大変な関心を持っておりまして、これは退職管理に関する重要な
制度であるということの認識は持っておるわけでありまして、従来からいろんな角度から検討を加えてきております。また、事実退職
公務員の処遇その他というようなこと等絡め合わせまして、退職
公務員がどういう生活
実態にあるかということを五
年間にわたって詳細に追跡
調査をやるというようなこともやって今日まで来ておるわけでございます。正式に御依頼がございましたので、私たちといたしましては、本格的にこれに対して対処をするという方向で現在いろいろな作業をやり出しておるような
段階でございます。
まず、当面の問題といたしましては、退職勧奨という
制度が、よく言われておりますように各省庁にございます。しかし、これの
実態というものは、大体われわれとしてはつかんでおりますけれ
ども、その具体的な処置あるいは問題点というようなものは、今後本当に施策を講じていくということになりますと、これはきっちりとつかんでいかなきゃならぬというようなこともございまして、各省庁の
実態の
調査を現在始めております。そのほか、やはり外国におけるこの問題の処置の仕方、
民間においても定年制というものは、大体これもわかっておりますけれ
ども、やはり詳細にどういうふにうやっておるのか、問題点はどこにあるのかということを把握をいたしませんと、事柄が重大でありますだけに、そう軽々に
結論を下せる問題ではないというような姿勢から、それらの点を十分に
調査をいたしました上で次の施策というものをいろいろ考えていきたいということで、現在その初歩的な第一
段階の
調査を始めたところでございます。事柄は、いままで日本の場合においては定年制がなかったというような実情もございます。また大変、国家
公務員と一概に言いましても、その職種というものはもう多岐にわたっております。また、退職勧奨ということとの絡み合わせの問題もございます。また、世間一般の問題といたしまして、これからの高年齢者の対策、雇用問題、そういうような点も十分にやはり配慮しながら事柄は処理をしていかなきゃならぬという大変むずかしい問題もございますので、十分それらの点を踏まえながら、慎重にひとつ検討をいたしまして、十分りっぱな意見というものをそのうち総理府にお出しをいたしたいというふうに思っておりますが、いまのところ何分にも事柄は重要でございますし、慎重な
調査検討の必要がございますので、時期的にいつごろどうかというようなことは、現在のところではまだ見通しは立っておりませんが、ひとつ慎重に事柄の重要性にかんがみまして対処をしてまいりたい、かように考えております。