○井上計君 私は、
恩給の趣旨、目的いろいろあります。また特に
軍人恩給については、青春を長い間国にささげた、あるいは国に対する
功労、また
公務員等については長い間国に対して
功労がありましたので当然そこについて請求権があるとか、いろんな
意見もありますし、それをすべて私は反対をしたり否定するものではありません。ただしかし、
生活に困っておる方、あるいは本当に老齢の方、あるいは軍隊等あるいは戦争等におきまして不具廃疾になられた方、傷病によって非常に
生活に大変障害のある方、そういう
方々にはできるだけ多くこれは支給するというのは、これはもう大変結構だと思いますけれ
ども、必要がないと言うと大変語弊がありますけれ
ども、それほど
恩給を必要としない人も相当あると思うんですね。そういう
方々に対してもやはり一律にいわば
制度の改正によって上げていく、また上げることが当然だと、また請求することが当然だ、要求は当然の権利だという形がこのまままいりますと容易ならぬ事態が財政的にも来るんではなかろうかというふうに思います。
実は私のことを申し上げて大変恐縮でありますけれ
ども、私も実は実役六年、そのほとんどが戦地勤務でありましたから、加算を入れると何か十五、六年になって
恩給の資格があるということはもちろん早くから
承知をしております。それから、戦争中大陸において、生きていることが奇跡だと言われるような負傷をいたしました。二十八年の
傷病恩給の復活時において、大体四款症ぐらいでありましたから当然
傷病恩給ももらえる資格がありましたけれ
ども、私自身は戦後病院船で復員したときに、焼け野原の内地を見て、この復興のためには、われわれはやはりこれから国に、いろんな自分
たちの犠牲だとか、あるいは
補償だとかというそんなことを求めないで、復興にやっぱりわれわれは努力すべきである、こういう
考え方で、当時十数名のグループで話し合いましたら、今後仮に国からそういうふうな
補償があるという事態が来ても一切辞退をしようではないかという、申し合わせではありませんけれ
ども、そういうふうなことを実は話し合ったことがあります。私は何も自分の
考え方が正しいとか、あるいは自分の
考え方を多くの人に押しつけようという
気持ちは毛頭ありませんけれ
ども、私はそういう
気持ちでおりましたので、
恩給も、また
傷病恩給もすべて実は辞退――まだ手続をしておりませんから現在全くもらっていないわけでありますが、したがって、もらっている人がどうとかというんじゃありません。しかし、われわれの友人、グループの中には、大して欲しくないんだけれ
どもやると言われるからもらうんだ、くれるものはもらうんだという
考え方の人がかなりいることもこれは事実なんですね。ですから、そういうふうな人にまで一律に
恩給という形でいまのような出し方をしておる、そうすると、どうしてもだんだんエスカレートして、やっぱり少ない、だから多くする、多くするとまた不公正が出てくるからこれを是正して上の方にまた右へならえしていく、またこれがというふうな、いつまでたってもイタチごっこのような形でそういう格差が解消できない。だからどんどんふえていく、そうすると最終的には、いま
大蔵省が
お話しになりまして遠慮したようなお答えでありましたけれ
ども、大変な事態が財政上私は到来するんではなかろうか。そのときになってもうだめですということになれば、これはもう容易ならぬ事態になるわけでありますが、だからそれらのことを、やはり
大蔵省だけではなくて、私は
総理府も、各方面がお
考えいただきながら、やはり恒久的に、いわば不公正にならぬように、拠出している方が、将来自分がやっぱりずっと計算上もらえるんだ、こういうふうな形の
恩給あるいは
年金というふうなものをいまから
考え直しをしていくということも必要ではなかろうかというふうに思います。
長官や、また
総理府の御
答弁要りません。私の
意見を申し上げただけでありますし、また御
答弁しにくい点もあろうかと思いますけれ
ども、だから、あえて私は各
委員の
先生方の御
質問とは全く違う見解を述べましたので、あるいは後でおしかりを受けるかもしれませんけれ
ども、やはり多くの
受給者の中には、それほど必要としないんだと、まあしかし、くれるから実はもらうんだという方も相当あるという事実を申し上げます。
それからもう
一つ、軍隊に行っておった人だけが戦争犠牲者あるいは
功労者というだけではないという
意見も相当あるんですね。というのは、この
軍人恩給、できました当時、明治あるいは大正の初めごろは、国内では戦争が全くないと、予測されなかった
時代ですから、戦地あるいは戦地加算という問題で相当いろいろ
考えられておりますけれ
ども、先般の大戦は、いわば戦地もあるいは国内も事実上同じような状態に置かれておった。特に国内で警防団等で大変努力、苦労をされた方、そのためにやはりけがをしたという方も相当あるようでありますし、あるいは警防団活動をしておったために自分の家が実は焼けるに任して焼けたり、爆撃によって焼けたという被害を受けた人も相当あるわけでありますけれ
ども、そういう
方々に言わせますと、われわれも、兵隊として戦地に行っていなかったけれ
ども同じような戦争犠牲者である、われわれに対する
補償は何もないではないか、こういう実は不満があるということも事実でありますから、それらのものをやはり
考えて、今後こういう問題についても、もちろんふやすこと、増額すること、多く支給をすること、あるいは広範囲に支給することもそれは一面では大変結構でありますが、将来のことも
考えていく必要があるんではなかろうかという
気持ちを従来からずっと持っておりましたが、また先日並びにきょうの
委員会の質疑をずっと伺っておりまして改めてそういう感じがいたしますので、大変生意気なことを申し上げましてあるいはお気にさわった向きもあるかと思いますけれ
ども、あえて私の
意見を申し上げて私の
質問を終わります。