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山中郁子君 前回の
委員会でも私は指摘したんですけれ
ども、いま大臣も言われましたが、こうしたことによって大変大きな被害を受けるというケースが出てくるわけです。この高津の問題でも、具体的に私は話を聞きましてね、本当にお気の毒だと思うし、何とかしなきゃならないと思って、それはぜひとも
法務省にも計らってもいただきたいと思うんですがね。この前の
委員会のときに、たしか香川
局長だったと思いますが、登記所に来られれば間違った取引がされることが防げるということで、そういった
資料を提供するところまでが登記所の仕事だという趣旨の御答弁をなさっていました。それで、しかし私がいま実際の一つの例を申し上げますと、これは不動産業をしていらっしゃる小林清さんという方なんですが、きょうもお見えになっていらっしゃるんですけれ
ども、この方が四十七年の五月に——ちょっと入り組みますけれ
ども聞いておいてください。月本金次という人から八百十六平方メートルを売りたいという話を持ち込まれて、そして、この土地は実質的には月本金次という人の土地であったので、これを三進商事というところにあっせんをすることになすったと、不動産業の方ですから。そして横浜地方法務局の溝口出張所で謄本の交付も受け、所有者の
確認を行い、現地
調査を行った。さらに、溝口出張所において公図の交付を申請したところ、高津区役所に行けと言われたため、区役所で公図の交付を受け、そして物件
説明書を作成して
調査結果を記載して、謄本、公図、実測図を添付して、仲介あっせんの労をとって五月の三十日に溝口出張所前の司法
事務所で売買契約を行ったと、これが
経過なんです。ですから、ちゃんと登記所へ行ってすべての手順を尽くしているわけですね。それで売買契約を行って、その三進商事という、つまり小林さんによってあっせんされた人がこの代金を一千八百万支払ったわけです。で、その三進商事が買った土地に三進商事が建物を建てようとした。そしたらそこが
自分の土地だという人があらわれて、結局公図と違っていたわけですね、それで建物を建てられなくなった、こういうことが起こったわけです。だから、一種の詐欺みたいなもの、詐欺が実現しちゃったわけですね、そういうことから。それで結局三進商事は小林さんにお金返してくれと、こういうことになって、で、小林さんはやむを得ず一千八百万弁償なすったわけですよ。一千八百万といったら大変なお金ですよね、もうおわかりいただけると思いますけれ
ども。こういうことがこの混乱が原因で起こっている。私はいま具体的な例として一つ申し上げていますけれ
ども、時間がないのでその他いろいろ申し上げる条件がありませんから。で、仕方がなくて小林さんは月本金次という人を告訴したわけですね、詐欺ということで。そうしたら、検察庁ではこれを起訴するどころか、小林さんの話を伺いますと、川崎支部の検事が、月本金次という人は何も知らずに売ったので起訴はできない、その上名誉棄損になるおそれがあるので告訴を取り下げるようにというふうに言われた。で、仕方がなく小林さんは言われるままに告訴を取り下げたという
経過になっているんです。結局その小林さんが一千八百万を弁償される、そうすると、もう不動産業をこれから続けていくためのお金のやりくりもつかないという、本当に窮地に追い詰められていらっしゃる。大変お気の毒なことだと思うし、そのもとはこの公図と現況の混乱、これが原因になってきている。こういう被害が、その人にとってみれば、つまり小林さんにとってみればもう
決定的な被害ですよね、一千八百万の弁償をしなきゃいけないということですから。こういうことを生み出してきているという問題なんです。それで、先日も私は道路の問題やなんかで、たとえば水道の補修がきかないとか、したがって水圧が低くなっていざ火災のときには消火栓の水が上がらないとか、そういうようないろんな困難が出てきているし、また道路整備が結局それでできないために、高津区域なんて大変ですよ、がたがた道路で。そういう状態ですが、もっと言っていまのケースのような形のものが出てきているわけですね。私は何とかしてこういう問題を解決していかなければ、やはり国の法というもの、それこそまさに
法治国家というものの
国民を守る立場というものが全くできていないということで、
国民から不信を買っても仕方がないと思います。一つは、基本的にこういう問題について、こうした
事態まで生み出して、だからこれからもその混乱地域たくさんあるわけですからこういう
事態が起こる。もうすでにほかにもたくさん起こっていますけれ
ども、これからも起こる可能性がいっぱいあるわけですね、ということについてどのような手を打たれるのか。
それからもう一つは、
現実にいま私は例として挙げましたけれ
ども、何とかしてその小林さんの受けた被害、これを解決する道はないものか、そういうものはやはり
法務省としての登記所の問題から起こった
事件ですから、そのことを少し誠意を持って打開をしていただきたいと思うんですが、お考えを聞かせていただきたい。