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説明員(
藤井貞夫君) 去る十一日に、
人事院におきましては、本
年度の
給与に関する
勧告を国会並びに
内閣に対して提出をいたしたのでありますが、早速われわれの
給与に関する
勧告の
内容を
説明をいたす機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。以下、時間的な制約もございますので、ごくかいつまみまして、本
年度の
勧告の
内容につきまして
概略の御
説明を申し上げたいと存じます。
本年の
勧告の基礎になります
較差の問題でございますが、これは予想せられましたように、
民間における非常に厳しい
状況を反映をいたしまして、非常に
低位の
較差ということに相なったわけであります。これは
昭和三十五年に、現在の
勧告制度というものが
制度的に定着をすることになった、その発足の年でございますが、それ以来の最低の率ということに相なったのであります。すなわちこの
較差は
遡及改定分を含めまして三・八四ということに相なりました。昨年が六・九二、一昨年が六・九四ということでございますので、非常に
低位の
較差ということに相なったということは明らかであるように思われます。したがいまして、この
配分をいたしまする
重点は、どうしてもその
俸給表の
改定と、もう
一つは、やはり
生活関連の
手当に向けざるを得ないということに相なったわけでありまして、本
年度におきましては、特にそのような点に
配慮をして
改定をいたしたということでございます。
俸給表の
改定に関しましては、本年は
初任給程度のところが非常に低くなっております。これは
考え方によっては安定した
方向に来ているという見方も成り立つわけでありまして、一時非常に
求人難というようなことで
初任給のところが大変上がってまいりまして、これに対応する
措置を講じていかなきゃならぬということがございました。そのために、もっと重視しなければならない
世帯構成関係の
方々であるとか、あるいは
中間階層の
方々というようなところに対して、
重点の置き方がどちらかと言えば物足りなかったという点がございます。そういう点につきましては、いままでも十分な
配慮は加えてきたつもりでございましたが、しかしながら、物足りない点もあったことは事実でございますが、
初任給関係が安定をしてまいりましたことから、今後こういう
方向に漸次軌道が敷かれてまいるのではないかという
考え方を持っております。したがいまして、
俸給表配分をするに際しましては、
世帯形成時、それからその後は
中間の
階層ということに
重点を置いて、全体の
較差がわずかでございますけれ
ども、その中でも特別の
配慮をしたつもりでございます。しかし、全体としては大体率が一定である、
定率というようなことの
傾向が顕著に出ているように考えております。
指定職俸給表につきましては、今年のいろいろな
情勢を勘案をいたしまして
据え置きをせざるを得ないということで、今年は
据え置きということで
指定職俸給表の
改定は見送ることにいたしました。
その他の各種の
俸給表については、
行政職俸給表を中心といたしまして、それの見合いで、
教員、それから
研究職あるいは
税務職、
公安職等については、それぞれ従来の
均衡等も考慮しながら
改定をいたしたつもりでございます。
それから、
高齢職員の
給与につきましては、いままでも非常に注意していろいろ見守ってきております。具体的に申しましても、
民間と比較いたしました場合に、
公務員の場合、
高齢職員の
給与の
較差というのがむしろ逆
較差ということに相なっておりまして、
俸給表を作成するに当たりましては、それらを全部組み込んで
改定をいたさなければならぬということから、むしろ四十歳未満の
階層に対して非常に厳しい
配分をせざるを得なかったというような
情勢がございます。
高齢職員の
給与については、四十六年にこの点を
配慮をいたしまして、
昇給延伸の
措置等について
制度化をいたしたわけでございますが、この点はやはりもう少し
強化をするという
方向で事柄を考えていかざるを得ないのではないかという
考え方をいたしておりまして、この方面の
研究というものと、
制度の
強化策というものについて早急に
検討いたしたいという姿勢を打ち出しております。
それから、
手当につきましては、
生活関連に
重点を置きますが、なかんずく
扶養手当について
重点を置きました。これは
配偶者について現在の八千円を九千円にいたしまするとともに、子供さんについては、二人までの
方々について現行の二千三百円を二千七百円というように
かなりの
重点をもって
配分をいたしたつもりでございます。
通勤手当につきましても、国鉄、私鉄、バス、その他について値上がりがございます。
料金改定がございましたので、それに見合う
改定を
交通機関利用者あるいは
交通用具の
使用者等にわたりまして行うことにいたしました。
それから、
上級試験の
採用者等の
初任給調整手当でございますが、これは現在までに、御
承知のように
理工科系統については二千五百円、それから
法文系統については千円ということで
調整手当を支給してまいりました。これは
民間の方の
初任給の上がりぐあいが非常に顕著でありましたために、一時
公務員の場において、優秀な人材を確保するための
給与上の
配慮として何らかのことをやらなければ目的が達成できないということでこういうことをやってきたわけでございますが、ここ数年の
状況を見てまいりますと、特に本
年度あたりにつきましては、
上級試験の
採用者、その前提となる
上級試験の
応募者、
受験者というものが非常に数が多くなりまして、物によりましては四十何倍というような非常に高率を示すようなことに相なってまいりました。
民間の
初任給をなるべく
低位に据え置こうというそういう
傾向等も
配慮いたしまして、この際、
上級試験採用者等に対する
初任給調整手当は再
検討を要する時期になったのではないかということで、原則的にはこれを廃止することにいたしたいと思っております。ただ、
理工系と
法文系には現在千五百円の差があるということもございますので、余りにも急激な変更をいたしますることもいかがかという点と、なお
理工系については、職種の中で、非常に特定されたものでございますけれ
ども、やはりある程度の
配慮をしないと人は採りにくいというような
情勢もありますので、それについては暫定的にもうしばらく金額は下げまして存続をするという
措置も講じております。
それから、
俸給の
調整額というものがございまして、これはたとえば
病院勤務のお医者さん、それから
看護婦さんがいらっしゃいますが、その
病院の種類によりまして、
一般の
病院と、そうでなくて非常に職務の
内容が厳しい困難な、また時には危険を伴うというようなそういう
病院勤務とがございます。それを全く同一の
俸給表で取り扱うことにも、実質的なむしろ平等ということ、
均衡という面からいって問題がございますので、
俸給の
調整額というものを創設をいたしましてそれに対処してきたわけであります。四%刻みで現在六種までございまして、最高が二四%まで
俸給の
調整額というものを出しているわけであります。ところが、これがその後
定率でずっと据え置かれてきておるものですから、もとになる本俸が毎年のベースアップで上がってまいりますにつれてその
調整額の額が非常に高くなってきたということがございまして、これに基づいて相互間の
均衡とか、また
調整額を受けられない
方々との問題とかいうように、いろいろな点で問題が起こってまいりました。そういうことで、従来鋭意
検討を加えてまいったわけでありますが、何分にもこれは
一つの既得権化したものでございますので、その取り扱いはきわめてむずかしい面がございます。ただ、これにつきましては、やはり何らか適正な
措置を講ぜざるを得ないという
段階に来ておりますので、この問題についても
具体的措置、方法を早急にひとつ
検討いたしたいという線を打ち出すことにいたしたのであります。
それから、
期末・
勤勉手当については、
さきに五・二カ月でありましたものを〇・二カ月
分削減をせざるを得ないような羽目になりまして、現在は五・〇、五カ月分になっておるわけでありますが、ことし調べました
状況も、やはり大体想像いたしておりましたように非常に厳しいものがございまして、精査いたしました結果は四・九カ月分ということで、どうしても〇・一カ月分は削減せざるを得ないということに相なりましたので、これは私としても不本意ではございますけれ
ども、これに合わせざるを得なかったということで、十二月期の
期末手当を〇・一カ月
分削減をするということにいたすことにいたしました。
そのほかにつきましては、週休二日制の問題については、引き続き
調査をいたしました結果、
民間の
普及率はほぼ大体定着して横ばいになってきて安定しておるという数字が出ておりまして、去年の六九・一%の
普及率がことしは六九・二%ということに相なっております。年間の
休日数も、これに伴いまして八十六・四日ということでありまして、
一般公務員の場合六十八日でございますので、その間
かなりの開きが出てきておるという
状況が如実にあらわれてきておるのであります。いま、御
承知のように、
公務員についてはいろいろな点を考慮いたしました結果、二回目のテストを実施いたしておる最中でございます。この四月から始まりまして来年三月三十一日まで一年間再度の
試行をやるということで現在やっております。その結果が出ました暁において、次の
ステップをどうするかということについて考えなければならない時期に参っております。いろいろ
世界各国の
情勢もございます。
民間の景況もございます。国民のこれに対する
一つの
意見、反応というものもやはり十分に考慮しなければなりません。そういうようなものをあわせ考えながら、この問題について次の
ステップを、再度
試行の結果を見て
検討をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
それから、
寒冷地手当につきましては、その後問題が
かなり煮詰まっており、問題の所在もほぼ確定をしてきておるわけでございますけれ
ども、もう一歩のところでもう少し
調整を要する面が残っております。
定率か定額かの問題とか、あるいは
指定地域の問題でありますとか、そういう点、若干の深刻な問題がそれぞれございますけれ
ども、もうしばらく
調整の余地を残しておりますので、これにつきましては今回は
勧告ができませんでした。しかしこれについても早急に詰めを行いまして、
結論を得次第
勧告を
お願いをするということに相なろうかと思います。
それから、
最後に
定年制の問題でございますが、これにつきましては、昨年の暮れに
閣議決定がございまして、それに基づいて本年の二月になって
総務長官の方から私
どもあてに、本問題は
公務員に関する分限上身分上の重要な問題であるからせっかくひとつ
検討の結果
意見を聞かしてもらいたいという
書簡をいただいております。現在までも、この点は
公務員についての
退職管理に関する重要な事項でございますので、それぞれの見地から鋭意
検討を続けてまいりましたが、そういう
書簡をいただいたということでございますので、本格的にこの問題についての
調査、
検討に入っておる
段階でございます。まだ
結論は無論出ておりませんで、これからきめ細かい
検討を続けてまいりますが、その旨を
さきの
総務長官書簡に対する
中間報告の形をもって御
報告を申し上げることにいたした次第でございます。
それから、
最後でございますが、例のいろいろ御心配をかけました
人確法に基づく
教員給与の
改定の問題は、今回をもって第三次の後半分で、いわば最終的な
措置ということに相なったわけでございますが、最終の
措置でございますので、いままでのやった
制度の
落ちつきぐあい等を見る必要がございましたので、慎重に見守っておったわけでございますが、もはや最終的な
措置ということでやるべき
段階であるということで、今回の
一般職の
給与改定にあわせてこれについても
勧告を出すということにいたしたわけでございます。
内容については、
特別手当の
増額、それから例の
主任手当の若干の範囲の拡大、それから校長、教頭についての相当大規模な学校の
該当者について
特別調整額、
管理職手当を二%ずつ
増額をする等の
措置をあわせ講ずることにいたしたいと存じて
お願いを申し上げておる次第でございます。
以上、ごく
概略で恐縮でございましたが、今回出しました
勧告の
内容の骨子について御
説明を申し上げた次第でございます。