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案納勝君
郵政審議会が要望を出した内容というのはもう繰り返しません。ただ、
郵政審議会も、今日の
郵便貯金の膨大な三十七兆に上るこの資金が、国家の第二予算と言われるように、財投のきわめて主要な財源となり、しかも国の大きな政策遂行の柱になっていることは、これは認めているのであります。その上に立って、
先ほど報告をされましたように、公定歩合の引き上げに伴う景気変動の、そしてその中における不況、そういう対策に伴っての
金利引き下げに伴う庶民の
貯金の目減りというものについて、今日のように単純に連動させるだけでは国民の福祉を守れない。本来的にある
郵便貯金事業の性格からいって、国民への還元の措置を考えるべきだ、こういう発想の中で、速やかに
郵便貯金には直接融資方式を検討すべきだと、こうなっている。しかも、当
委員会においても
附帯決議の中で、これらの問題の融資
制度というものの検討について要請をしました。去年の九月のこれまた利下げの際においても、ここで初めて
進学ローンというのが、
郵政審議会の固有の名前が使われて実は提起をされてきたんです。この経過は御
案内と思うのであります。
五十三年度の概算要求の中で
大蔵省は、
先ほどの御
答弁の要約をしますと、
大蔵省の言われている点は私は四つばかり、いままでの
質疑の中を通じてあると思います。
その第一は、政府の今日の政策金融の中における政府資金の一元運用という原則を崩したくない、これが
一つ。二点目は、これは本来
教育問題であるから、育英資金
制度その他のそういうところでやるべきである。そして民間でやる。いまもあなた言われた。民間であることが必要だ。そのことが先じゃないか。あるいは当然そのことが中心にならなくちゃならない。三点目は、郵便局がやることは
貯蓄機関としての性格を逸脱する。四点目は、郵便局の融資については審査能力や債権管理能力がないというようなことが実は
大蔵省の主たる反対の理由だった。そういう経過を経て、五十三年度の概算要求の中で、最終的に
大臣同士の政治折衝ということになって今日のああいうものが生まれた、私はこういうふうに理解をするんです。
先ほど言われました、
郵便貯金をしない人にも
教育ローンをやる、これは確かに当然そういう発想があってしかるべきでありましょう。しかし、本来、今日生まれてきた
教育ローン制度の発想の中では、どうやって庶民の
生活を安定をさせ、福祉を増進させるという目的の
郵便貯金の目減りに対して還元をしていくかというところに、実は中心発想がある。これを発展をして、
郵便貯金をしない人に
教育ローンをやるというのは、これは政策の問題として私は当然付随してくる問題であります。しかし、そのことが私はこの
進学ローンそのものについての中身が変質してくるものの理由にはならない、こういうふうに理解をするのであります。この辺について、私はもう一段とお聞きをいたしたいと思います。
今日、私がいまこのことを明らかにしたいと思うのは、この一連の審議の過程で、何か
教育ローン制度についての意識が混乱をしているように私は思いますので、再度明らかにしたいと思っているところであります。
本来、
先ほどから申し上げましたように、この
制度というのは、行政上組織論の上で生まれてきた問題ではないんです。このことが第一であります。いまの金融
制度の中で、その枠内でということで生まれてきたものではないのであります。今日激しいスタグフレーションの中で、
貯金の目減りが進行をしている。市中
金利全体の引き下げに連動して、
郵便貯金の九九・二%までが零細な庶民の
貯蓄である
郵便貯金について利子の引き下げが要求をされる。庶民の
生活安定と福祉の増進を図るべき
郵便貯金、庶民の随一の零細な財産保全を大義名分としている
郵便貯金そのものの存在が、根本的に問い直されてきたんです。その対応として、一方的目減りだけでなくして、カウンターパートとしての債務者の利得を得る
機会を設定をすべきではないか、こういうところに国民の要望が集約をされてきた、これが第一点であります。
また、第二点で言うならば、これはまあ私は
大蔵省に後ほど申し上げたい、大蔵
大臣来たとき。国民の財政一般に対する見識が高まって、財投のあり方について、その主要原資としての
郵便貯金の運用、今日現在のやり方について、強い疑問が持たれてきたのであります。これは第二点の問題であります。
第三点は、今日の高度成長の結果、国民の意識が大きく変化をしてきている。後ほどお尋ねしますが、パーソナル・ファイナンスというそういう
重要性がきわめて高まってきた、
郵便貯金も、
貯蓄だけでなくて
生活安定のための消費者金融、これへの需要が存在をしている。市中銀行は既存の金融機関の企業優位といいますか、そういう中で、国民のニーズや変化にこたえてくれないという現状があります。御
案内のように企業には安くして貸し、しかし、国民の個人金融については全く冷たいというのが今日の市中銀行の状態であります。これが国民の要求する政策の中で、福祉政策として広く受け入れられるところに、実はこの
進学ローンというのが生まれてきたんです。したがって、受けとめ側としては、今日の金融
制度、
大蔵省の所管のその枠の中で解決しようとするからこんなものしか出てこないんです。ここに根本的に私は違いがあると思う。
ここのことをはっきり理解をしなければ、私は、今後このことについて、仮にこれが満場一致通ったにしても、私
どもこれについては大変迷っています。果たして、国民のそういう意味での、
郵政審議会で今日まで慎重に審議をし、あるいは
逓信委員会で審議をしてきたその筋道からの
進学ローンというのは、全く青島さんが言うとおり、こんなものだったら国民の期待にこたえられるものじゃないというぐらいに断定したってこれはおかしくない内容になってしまった。私は、
大蔵省が、今日のこれらの変化や国民の要求、こういうものをキャッチできずに、
郵政審議会を初めとする
郵政省、これがまあある意味では現場を預かっているわけですから。三十万の職員が一生懸命
貯金を集めているわけです。国の要望に基づいて三十七兆という金を集めてきている。その
人たちを敏感に感じている
郵政省、あるいは全体の
郵政審議会や
逓信委員会等の空気を踏まえて、このニーズをキャッチをして積極的に進めたという違いがあるんですよ。
私は、今回の一連の五十三年概計要求をめぐる、あるいは
進学ローンをめくる
大蔵省と——ここに資料が、当時の新聞記事ですから、私はよくそれが正確にはわかりません。その中で出されてきている
大蔵省の態度、全く国民のニーズをキャッチできない、
一つの枠の中で、考えの枠の中で解決しようとするこの態度については、私は醜態と言わざるを得ないんじゃないかと思っているんです。したがって、似ても似つかぬものが出てきた。発想が転換をした、大蔵
大臣が言うように。こういうものがこの
進学ローンの今日出された内容だというふうに受けとめてます。
これについて、私は
郵政大臣及び
大蔵省はどういうふうに御理解になっているのか、私の申し上げたことについて。私はそういう立場でいまこの問題、この法案を受けとめて、いま主要な問題について
質問をしたいと思います。お答えをいただきたい。