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1978-06-06 第84回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月六日(火曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 俊夫君     理 事                 小澤 太郎君                 西村 尚治君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 長田 裕二君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 菅野 儀作君                 高橋 圭三君                 大木 正吾君                 大森  昭君                 中野  明君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        郵 政 大 臣  服部 安司君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       渡辺 喜一君        大蔵省理財局次        長        副島 有年君        郵政政務次官   宮崎 茂一君        郵政大臣官房長  河野  弘君        郵政省貯金局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        総理府統計局調        査部消費統計課        長事務代理    北山 直樹君        大蔵省銀行局総        務課長      石川  周君        大蔵省銀行局特        別金融課長    藤田 恒郎君        文部大臣官房調        査統計課長    十文字孝夫君        文部省大学局学        生課長      石井 久夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。郵便貯金法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 矢原秀男

    矢原秀男君 郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。  数多くの質疑が重ねられておりますので、重複する面もあろうかと思いますけれども、その点は御容赦をお願いしたいと思います。まず、郵貯金利引き下げによる影響等々の面から質問をしてみたいと思います。  今回の郵便貯金金利引き下げに先立ちまして、国民は目減りを少しでも防ごうと、預けがえや駆け込み預金が相当なものになったと話題になっております。まず、四月の郵貯増加額幾らであったのか、また、対前年同月比は何%になっておるのか、伺いたいと思います。
  4. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 本年四月の郵便貯金の純増加額は五千七百四十三億円でございまして、前年四月の純増額三千四百六十六億円に対しまして二千二百七十七億円、比率にいたしまして一六六%という形に相なっております。
  5. 矢原秀男

    矢原秀男君 五千七百四十三億円、一六六%、こういう大きな増加になっております。そうしますと、五十一年度と五十二年度の四月度における対前年同月比は、大体お手元では幾らになっておりますか。
  6. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 恐れ入ります、お尋ねは五十一年に対して五十二年の伸びでございますか、ちょっといま手元数字を持っておらないのでございますが、比率はわかっております。五十一年四月に対して五十二年四月は一一四%の伸びでございます。
  7. 矢原秀男

    矢原秀男君 五十一年度が一二八%。で、いま御報告をいただきました五十二年度が一一四%ですね。先ほど伺いましたのが一六六%ですね。非常に今回の伸びが明らかに大きいと、こういう数字が如実に出ているわけでございます。  そこで、別な面から伺うわけでございますが、貯金種類ごと貯金額の変動ですけれども、四月じゅうにはどのような増減があったのか、伺いたいと思います。
  8. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 五十三年四月におきます通常貯金伸びでございますが、これは伸びておりませんで、二百六十四億円の減少と相なっております。この内訳を御説明申し上げますと、預入は七千九百三十六億円で、前年度に比べて一〇九%となっておるんでございますが、払い戻しが八千二百億円で、対前年一一四%の増加、すなわち払い戻しが多いために減少となったと理解いたしております。一方定額貯金の方でございますが、これは預入は一兆九百三億円で一三三%、払い戻しの方は四千八百七十八億円で一〇二%、ほとんど伸びておらないということで、差し引き六千二十五億円の増、対前年同月一七六%となっております。これを合計いたしまして、先ほど申し上げました一六六%と相なるわけでございまして、金利選好が非常に強くあらわれておるのではないかという感じがいたしております。
  9. 矢原秀男

    矢原秀男君 では大臣伺いますけれども市中銀行預金金利引き下げは四月の十七日に行われました。郵便貯金は二十五日でありますけれども、その間、郵貯増加額は過去二カ年間の前年同月比をはるかにしのいで、先ほど質疑の中で出ておりますように一六六%の増加を見ております。加えるに通常貯金の減、定額貯金大幅増というものが先ほども御答弁であったわけでございます。このことが何を物語っているのか、改めて大臣の見解をまずお伺いしたいと思います。
  10. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘の問題は、いつも当委員会でも御意見がございますとおりに、私もみずから申し上げておりますとおりに、ささやかな金利を目的とする預金者の心理のあらわれであろうと、かように私は理解をいたしている次第でございます。
  11. 矢原秀男

    矢原秀男君 重ねて大臣にお伺いをしたいわけですけれども、この進学ローンを利用しようとする人たちは、生活の苦しい方、そしてまたある程度余裕のある人、さまざまであろうかと思います。この面について簡単に、大臣に、どちらに比重を置いていらっしやるのか感想で結構でございますので伺いたいと思います。
  12. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 矢原先生、ぼくは先生質問される真意、気持ちはもう十分理解できているんですが、ここでどちらにウエートを置くかと、こう指摘されても、この制度の中ではちょっと私は、こちらの方にウエートをかけたいということは、ちょっと言いがたい点があると感ずるわけであります。私は、できれば双方の方々にうまくこれが御利用いただいて、役立つことができるならばせめてもの喜びではなかろうかと、かように考えている次第でございます。
  13. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃあ次に移りますけれども総理府伺いたいと思いますが、五十二年度貯蓄動向調査について、五十二年度の対前年増加率は、五十一年度の対前年の増加率に比べて、貯蓄の面と負債の面でどういう変化をしているのか、全世帯平均で結構ですからお伺いをしたいと思います。
  14. 北山直樹

    説明員北山直樹君) 貯蓄動向調査の結果によりますと、農林漁家世帯単身者世帯は除いておりますが、全国の全世帯の五十一年の末の現在の平均貯蓄の現在高は、前年に比べて一八・九%の増加となっております。五十二年末現在でありますと、これが一三・三%の増加となっております。それから勤労者世帯だけをとりますと、五十一年が一九・五%の増加、それから五十二年が一〇・六%の増加となっておりまして、いずれも五十二年の方が減少しております。  それから負債につきましては、負債を持っている世帯世帯あたり平均で見ますと、全世帯で五十一年が七・六%の増、五十二年が一三・〇%の増、こういうかっこうになっております。したがいまして、負債につきましては、現在高が五十一年よりも五十二年の方が増加率が高くなっております。  以上でございます。
  15. 矢原秀男

    矢原秀男君 この結果は、金額は別としましても、貯蓄動向で見る限り、貯蓄は減り負債はふえていることを示しております。ちなみに勤労世帯、それも高校進学大学進学者を抱えているであろう四十歳から四十九歳までの平均を見ておりましても、現在高の五十一年と五十二年の比較、そしてまた五十一年と五十二年の対前年増加率、もしおわかりであればこれもちょっと数字的にお伺いをしたいと思います。
  16. 北山直樹

    説明員北山直樹君) 同じく貯蓄動向調査の結果によりますと、勤労者世帯で、世帯主の年齢が四十歳から四十四歳までの貯蓄の現在高は、五十一年が三百五万三千円、それから五十二年が三百二万三千円でございまして、したがいまして五十二年は一%の減と、こういうかっこうになっております。五十一年につきましては、これが対前年比で一一・二%の増加でございます。  それから、四十五歳から四十九歳までにつきましては、同じく貯蓄の現在高が平均で三百八十四万七千円。それから五十二年が四百二十一万八千円でございまして、九・六%の増と、こういうかっこうになっております。したがいまして、五十一年は同じ比率が一六・六%の増でございました。この比率は三十歳代あるいは五十歳代の世帯に比べますと若干増加率が低いと、こういうかっこうになっております。  以上でございます。
  17. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま御報告をいただいたとおりでございますが、勤労者世帯平均の五十二年度対前年比は一〇・六%の増加であり、この増加率より低いのは四十から四十四歳、四十五歳から四十九歳までのところであります。高校進学者大学進学者を持つ勤労世帯では、いかにこの進学大変家計を圧迫するであろうことが、いまの数字の御報告を聞いてわかるのでございます。この点については、郵政大臣、また文部省についても、この現状をどういうふうに考えていらっしゃるのか。そうしてこの進学をするということの重要性の非常に厳しさというものを、どういう面から認識されているのか、これは何回も答弁があったろうと思いますけれども、重ねてこの点を伺いたいと思います。
  18. 石井久夫

    説明員石井久夫君) 私のところは大学局でございますので、主として大学につきまして御説明申し上げたいと思います。  現在、大学の昼間部につきまして、私どもの方で、五十一年度学生生活調査というのを実施しておりますが、それによりますと、学生生活費国立自宅年間四十二万五千円余り、それから自宅外で七十万七千円余り。それから私立大学につきましては、自宅が六十三万四千円余り、それから自宅外が九十四万九千円余りというふうに学生生活費が必要になっているわけでございます。  これに対しまして、大学生を有する家庭年間平均収入額というのを見てみますと、国立大学で、これは平均でございますので、国立学生を有する家庭が三百七十六万余り、それから私立が五百万余りということになっておりまして、先ほど個別に申し上げたわけでございますが、家庭からの仕送り割合というのを見てみますと、大体国立の場合で、学生仕送りを受けているのが七割ぐらい、それから私立が八割ぐらいでございますが、そういう経費に対する家庭からの支出といいますものは、国立で一一%程度私立で一二%程度というふうに五十一年度の調査からは理解しております。
  19. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 学資、特に入学関係経費が近年大変増高してきておるという事実がございます。また、これが家計を圧迫する。むしろ普段は平常に暮らせておる家庭であっても、一時の出資というものを工面するのに大変難渋しているという事実が発生していることも、実は当然承知しておるわけでございます。こうした点を幾ばくでも軽減いたしたいという考え方に基づきまして、この進学ローンという制度を考えたわけでございまして、これはローンでございますから、一定の制約がございますものの、家計に一時的に与える強い影響、インパクトを救済するという効果はあるものと考えて、いささか自負いたしておる次第でございます。
  20. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ、教育関係ちょっと伺いたいと思いますが、進学対象者を持った世帯家計が苦しいことは明らかでありますけれども、では、その中で進学をさせるのに、いま文部省からも御報告をいただいたわけでございますが、一体どの程度の費用が要るのかという問題が出てくるわけです。公立高等学校の初年度の学校教育費はどれぐらいであるのか。最新の統計では五十年度が一番新しいと思うわけですけれども、直接の支出金間接支出金について伺いたいと思います。
  21. 十文字孝夫

    説明員十文字孝夫君) 私どもが、昭和五十年度におきまして父兄支出した教育費調査を実施いたしました結果によりますれば、全日制の公立高等学校の生徒一人当たり、父兄支出いたしました学校教育費は、先生おっしゃいました直接支出金間接支出金合わせまして十万二百六十二円というのが平均でございます。約十万円ということでございます。
  22. 矢原秀男

    矢原秀男君 直接の支出金が八万二千三百七十九円だと思うんです。間接支出金が四万四百六十七円ですか。こういう形の数字が出ているわけですけれども、こういう観点から見ておりますと、全日制の公立高校、現在月に一万円を超す教育費支出状況、もちろん間接的な克明になってまいりますと、もっとかかることは周知のとおりでございます。また大学を見ると、五十二年八月、文部省大学局でまとめられた、先ほど報告ありましたけれども、「学生生活調査結果」こういうふうなもの等々が出ております。  ここで具体的に伺いたいわけでございますが、大学一部の自宅生、それから下宿生生活費、これはどれくらいなのか、まずその点伺います。
  23. 石井久夫

    説明員石井久夫君) 先ほどちょっと申し上げましたけれど、学生生活費調査によりますと、国立自宅学費が十七万一千六百円、生活費が二十五万四千円ということで、合わせまして学生生活費が四十二万五千円余り。それから自宅外が、自宅外と申しますのは、間借りとか下宿とか、そういうものを含めましてでございますが、学費が十三万一千二百円、それから生活費が五十七万五千九百円、合わせまして七十万七千円余り。それから私立自宅学費が三十五万三百円、生活費が二十八万四千三百円、合計いたしまして六十三万四千円余り。それから自宅外が三十二万八千九百円、これは学費でございます。それから生活費が六十二万九百円、合わせまして九十四万九千円余りという数字でございます。
  24. 矢原秀男

    矢原秀男君 それから、どの程度学生生活費を親もしくは家庭に頼っているか、こういう問題点が出てくるわけですけれども大学一部の国立私立別家庭からの仕送り比率、こういうふうな問題については、国立が六八・七、私立で七八・九、こういうふうな数字にもなっておりますけれども大学へ進出させるためにはどれぐらいの収入家庭になければならないのか。  また所得階層別学生数はどれぐらいになるのか、伺いたいと思います。  それから大学一部の国立公立私立へ通う学生家庭平均収入、これは大体幾らぐらいか、お願いいたします。
  25. 石井久夫

    説明員石井久夫君) まず、家庭平均収入の方から申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げましたけど、国立が三百七十六万円、私立が五百四万一千円というふうに、私どもの五十一年度の調査によれば、なっております。  それから階層別分布状況でございますが、所得階層別学生分布状況を見ますと、国立の場合、総理府世帯主の五段階区分というのによって分類しておりますが、これによりますと、国立の場合には第一分類、これは一番所得が低い階層で二百十四万九千円以下、それから第二分類が二百十四万九千円から三百万円、第三分類が三百万円から三百八十一万一千円、第四分類が三百八十一万一千円から四百九十四万六千円、第五分類が四百九十四万六千円以上というふうになっておりますが、国立大学の場合には各階層にほぼ均等に分布しているわけでございます。ほぼ二割ずつ分布しております。したがいまして学生は、所得階層について見ますと、ほぼ各階層家庭から出ている。出身階層を見ますと、そういうことになるわけでございます。  私立の方は、いま申し上げました所得区分に応じて見ますと、第一区分が九・五%で、それから第二区分が一二・二%、第三区分が二〇・七%、第四区分が二二・六%、第五区分が三四%ということで、私立大学の場合にはいささか所得の高い方に偏りが見られるというのが現実でございます。  その世帯主平均所得額でございますが、これは私どもの方で単純に、階層別にごく単純に見たものでございまして、必ずしもこういう数字について自信が持てるわけではございませんけれども、いま申し上げました所得区分に対応して見ますと、平均で言いますと、第一区分が百七十二万円余り、それから第二区分が二百五十七万円、第三区分が三百三十八万円、第四区分が四百三十万円、第五区分が六百六十万円というふうに、私どもの方の調査に基づく推計によりますと、そういうふうになっております。
  26. 矢原秀男

    矢原秀男君 こういういまの実態から見ておりましても、私立学生家庭平均年収が五百万を超える、そういうところは非常に全国世帯で多いわけですね。そういう比率を見ておりましても、全世帯の一八・五%になろうかなと思っているわけでございます。その点、これ、たしか五十三年二月現在だと思うんですが、総理府の方、間違いないでしょうか。
  27. 北山直樹

    説明員北山直樹君) 間違いございません。
  28. 矢原秀男

    矢原秀男君 こういう実態を見ておりますと、年間収入の五分位階級で言えば、全世帯の第四階級の平均収入が約四百二十万円ですから、第五階級が約七百三十万円。第四階級の一部と第五階級でなければ私立大学一部へは進学をさせることができないというふうな結果も数字の中から出てくるわけです。これだけを見ておりましても、教育機会均等、これが経済的地位にまで及んで、差別という形の面の方にも影響してきているんではないか、こういうふうに一面考えられるわけでございます。そういうふうになりますと、教育基本法第三条にやや背いてくる面も出てくるなと、こういうふうに私は感じております。  こういう点について、文部省郵政省大蔵省最高首脳陣においては、どういうふうにお考えになっていらっしゃるんだろうかと、私も常々思っているわけですけれども、この点については、郵政大臣、いかがでございますか。
  29. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほど申し上げましたように、教育費、特に入学関係経費の高騰というものは相当大きくなって、家計を圧迫しているということは承知いたしております。そうした点から、私どもといたしましては、入学金のいわば月賦払いができるのと同じような形をつくって、入学のための経費家計を著しく圧迫するのを少しでも楽にしようという点から、この進学ローンということを考えた次第でございます。もちろんそのもとにございますのは、昨年におきます本院の附帯決議の問題あるいは郵政審議会からの答申というものもございます。これを踏んまえまして、広い意味での預金者に対するサービスの向上という点から、進学ローン制度を考えたものでございます。
  30. 矢原秀男

  31. 石井久夫

    説明員石井久夫君) ただいま先生指摘のとおり、私学につきましては、出身家庭階層が第五分位に偏っておりますのは事実でございますが、また、第一区分それから第二区分からも、一〇%内外出身者が出ていることも事実でございます。それで、私どもといたしましては、特に大学生を持ちます家庭といいますのは、大体四十五歳から五十四歳前後が、そういう階層が一番多いというふうに考えているわけでございますが、ただいま申し上げました数字は、そういう階層数字でございます。  それで文部省といたしましては、まずこういう私立大学等就学をする者につきまして、教育機会均等を保障するために、御案内のとおり一つ大学拡充整備に当たりまして、地方における大学進学者教育機会を与えるということで、現在では、地方における大学拡充整備ということに重点を置いて、大学整備が行われているわけでございます。  それからもう一つは、私立大学に対する経常費補助金拡充を通じまして、私立大学における教育研究条件の安定、それから、こういう通助金を通じまして私学経営安定化を図ることによりまして、私学に学ぶ者の負担軽減を図るというようなことを行っているわけでございます。  それから日本育英会を通じまして、成績優秀な学生であって経済的に困難な者に対して、就学機会を与えるということで、最近では、主として私立大学を中心にして、育英奨学対象拡充を図ってきているわけでございます。それからまた御案内のとおり、四十九年度から、学校法人において奨学事業を行っている私立大学に対しまして、四十九年度から、日本私学振興財団を通じまして、私大奨学事業というのを実施しておりますし、また五十二年度からは、入学時における多額の経費負担軽減を図るために、分納制度を実施しております私学に対しまして、同じく私学振興財団を通じまして長期低利の融資を行っているところでございます。  私どもといたしましては、こういうもろもろの施策の拡充を図りまして、教育機会均等の理念あるいは精神の実現というものに努力してまいりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  32. 矢原秀男

    矢原秀男君 これを違った方向から、別な角度から見ますと、たとえば国立大学学生割合を五分位階級別に見ると、第一分位一九・五%、第五分位二〇%と、余り違いはないわけです。まあしかし、これが私立大学となりますと、大きな違いとなっております。第一分位では九・五%、第五分位では三四%、こういう形になっているわけでございます。こういうふうな数字をそれぞれ比較をしておりますと、四倍近い差が生じております。言いかえれば、第五分位の世帯では四人同時に大学へ行かせる、こういうふうな数字的な面も解釈できるわけですけれども、第一分位では一人しかやれない、数字的な比較だけでございますけれども。  では今度は、家庭からの給付、こういう面で、大学の一部に限って、ちょっと質疑をやりたいと思います。  自宅通学といわゆる下宿からの通学者国公私立別家庭からの給付額、こういう問題もまた論じてみないといけないと思いますけれども私立大学一部の学生は、年間家庭から七十九万六千百円の仕送り、これを、総理府の五十二年度貯蓄動向調査にある第一分位階級平均所得百五十九万七千円と比べますと、第一分位の平均年間所得の四九・八五%を仕送りしているという数字になるわけでございます。これでは第一分位階級からは、ほとんど私立大学一部にはやれないということになるのではないか、こういうふうに思うわけですけれども現実には、アルバイト等で必死になって、こういうもろもろ状況というものを穴埋めをしていこうとしているのではないか、こういうふうな結果も見えるわけでございます。  こういう形の中で、先般読売新聞社で行った調査によりますと、進学をあきらめさせる理由に、男子の場合は、経済的余裕がないというのがトップで、三八・八%を占めております。この庶民の声を聞き流すことのないように、やはりこの面等についても、私たちは、私たちの立場で努力をしていかなくちゃいけないなと、こういうふうに感じておるわけでございます。これらについて、大臣伺いたいんでございますけれども進学しようとする人たちが、家庭を含めて非常に大変な様相である、そういう中で郵政大臣は、それなりの一生懸命努力をされたと思うわけでございますけれども、この経済的余裕がないというのでストップをしている三八・八%、こういう実態に対して、どういう御見解か、改めて伺いたいと思います。
  33. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 大変学問をしたいが、経済的理由のためになかなかその機会が与えられない方々の立場に立っての温かい思いやりには、私も先ほど来、感激をしながら拝聴いたしておりました。数字を挙げて、三八・八%という高率のあきらめた若人について、どのように考えるかという御指摘でありまするが、私は端的に申し上げて、たびたびおしかりを受けるというのは、このたびの進学ローン制度では、一時的な出費をやわらげる効果は上がっても、そういった方々が真に安心して進学し、学問に励むということはおおよそ困難であると私は判断をいたします。  しからば、なぜそういったものにこのような制度を設けるのかという疑問があろうかと思いますが、これも、かねて御指摘申し上げたとおりに、このたびは、政府系金融という体系の中では、なかなか矢原先生の御指摘のように沿うことは困難である。だから、かつて私は、これはこれでひとつ御理解をいただいて、われわれ国会が一丸となってそういった気の毒な方々のために、いわゆる社会保障から、社会福祉から出発した進学ローン制度を考えるべきだと思いますと申し上げたとおりに、率直に申し上げて、現在の政府系金融機関のあり方といたしましては、若干の金利の上下があっても、余り大して御指摘の問題の解決につながらない、私はこのように理解いたしております。  私も、先ほど矢原先生の、われわれの責任において考えねばならないということに全く同感であって、私も与えられた機会があれば、そういった方々のために、いわゆる低金利、できれば無利子でしかも長期で、安心して利用できるような制度を考えねばならないのではなかろうかと、かように考えているわけでありまして、率直に申し上げて、そういった面には全く効果はないというわけではございませんけれども、このたびの制度は十分効果を果たすことは困難であろう、まことに残念だと考えております。
  34. 矢原秀男

    矢原秀男君 別な面からもう一つ述べるわけでございますが、すでに皆さんが御承知のように、郵便貯金をする目的につきましても、世論調査の結果で国民の皆さんから出ておりますのは、やはり一位が、不時の出費に備えるというのが四六・五%、二番目には、子弟の教育費にというのが二二・八%です。この郵貯の目的の第二位を占める教育費のためのこの郵貯金利を引き下げた、それも去年から三度も四度もやっている。利用者は文句も言わずに、ただ預け替えと駆け込み預金に走ることしかできない。このことを私は政府の皆さんに本当に訴えたいわけでございますが、特に郵政省並びに郵政大臣が、非常に孤軍奮闘をされた、そして片や大蔵省は、銀行の立場に立って非常な力をまた加えてきた、結論的にはきょうのような実態になっている、こういうことであろうかと思います。  きょう、昼から大蔵大臣が見えるそうでございますが、皆さんからもいろんな質疑が出てくると思いますけれども、いずれにいたしましても、教育費のためにという目的が二二・八%もあったということは、国民の方々が、特に親御さんたちが、教育費の捻出のために貯蓄を進めているということが明らかになっているわけでございます。そういう意味から見ると、今回実施されるこの進学ローンなるものが本当に重要視されてくるわけでございますが、ここで一つ伺いたいのは、このような貯蓄さえできない家庭への融資というものは、今後どういう形で計画されるのであろうかということなんでございますが、もし郵政大臣、お考えがありましたら、一段ちょっと飛躍した話になりますけれども、その点をお伺いをしたいと思います。
  35. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 教育機会均等というお立場からの御質疑であろうかと存じます。  教育機会均等というものは、非常に大事な問題であろうと思います。そのためには、先生おっしゃいますように、各般の学資補助といったような施策が行われないと、なかなか困難ではなかろうかと考えておるのでございますが、郵政省の立場としてということでございますと、郵政省といたしましては、これは先ほど申し上げました本委員会の決議あるいは郵政審議会の答申等から見ましても、融資の制度ということでお話がございますし、私どもといたしましても、おのずから一定の限界があるものではなかろうかと考えております。  たとえば、奨学資金については、先ほど文部省側から答弁がございましたように、文部省として力を入れていらっしゃるようでございます。また、私立大学に対する補助であるとか、私立大学の奨学制度であるとか、私立大学入学金の分納の場合の措置とか、これは文部省がそのお立場でお考えになるのが私どもとして考えました場合は当然であろう、私どもとしてできる部分というものはおのずから限界があるのではなかろうかという点から、私どもといたしましては、進学積立郵便貯金という制度を創設して、入学時の一時のインパクトの救済という面から、この問題にいささかなりとも貢献いたしたいと考えておった次第でございますし、また、そのようにやっていきたいと考えておる次第でございます。
  36. 矢原秀男

    矢原秀男君 この進学ローンについて、そういう家庭を取り巻く教育に対する費用の実態等々、いろんな角度から若干質問したわけでございますけれども進学ローンの具体的な面を二、三伺いたいと思います。  この進学ローンが、大蔵省郵政省との間で、その制度と運営上、なかなか結論が出なかった。で、一時は流産かと思われましたが、今日の運びになったわけです。時間もございませんので、そして、もう郵政大臣委員会の席上で同僚議員に何回も御答弁をされておりますので、大蔵大臣に対しては私も憤りはありますけれども郵政大臣にはいままでよく伺っておりますので、この点は省きたいと思います。  いずれにいたしましても、二二・八%の人がすでに教育費のために貯金をしておる、こういうことでございます。こういう形の中でまず伺いたいことは、返済期間でございますけれども、お金が要るからローンを借りるわけです、これは当然のことですけれども。それを在学中に返済しろというのは、教育実態について、その家庭について、いわゆる大蔵、郵政両省とも十分な認識があるのだろうか、こういうふうに感じるわけですけれども大蔵省、となたかお見えですか。——大臣にかわって、あなたは本当に厳しく認識されていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  37. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) 返済期間の問題につきましては、この委員会でも何回もわれわれの考え方を申し上げましたけれども、これは借入者の立場に立ちますと、できるだけ長い方がいいということはもう御指摘のとおりでございます。  しかしこの制度、一体どういう趣旨ででき上がったかということは、貯金局長の方からも御説明ございましたように、進学の際の一時的な負担、これを在学中に平準化しようではないかと、こういう考え方でこの制度そのものができ上がっているわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、そういう趣旨からすれば在学中に返済をしていただくという制度、期間についての考え方も、この制度の前提のもとではやむを得ないのではないか、やむを得ないと申しますか、当然なのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかも、貸付額も大体五十万円程度という、そう大きな金額でもございませんし、ボーナスの返済だとかそういったものを考えますと、月々の返済額というのも必ずしもそう家計に大きな負担をもたらすものではない。  さらにまた、郵便貯金対象とします貸し付けにつきましては、積立貯金をされる方も、二年ないし三年の間の積立貯金をおやりになる。したが  いまして、そういった方にお貸しする場合には、大体二年ないし三年の返済期間であっても、特に大きな負担になるのではないのではないかというふうに考えております。もちろんこの制度が、特別な社会福祉政策とかそういったものを内容といたしますようなものといたしますれば、当然返済期間、そういったものは長くならざるを得ないと思いますけれども、われわれとしては、この制度を、入学の際の一時的な負担の平準化というふうに考えておりますので、返済期間を在学中というふうに設定しているわけでございます。  御指摘のような、厳しさを認識しておるかという点につきましては、われわれも十分認識しておりますけれども、この制度の前提のもとで、そういうふうに考えているわけでございます。
  38. 矢原秀男

    矢原秀男君 返済期間はやはりぐっと延ばしていく方法を検討されなくちゃいけないと思います。  それから利子についてですけれども、どういう理由で七・一%に決定をされたのか。それからまた七・一%で貸し付けをした場合に運用利益というものが生じると、こういうふうに考えていらっしゃるのか、こういうふうな点をお伺いをしたいと思います。
  39. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) 金利の点、七・一%をどういう理由で設定したのかというお尋ねでございますが、この金利をどういうふうに決めるかという点につきましても、先ほど申し上げましたようなこの制度の趣旨というものから、まず一つきているわけでございます。  この制度は、われわれとしてはなるべく広く進学する子弟を持つ親族に対して融資をするということを考えておりますので、たとえば国民公庫の一般の貸し付け、これは郵便貯金をなされない方についてお貸しする制度でございますが、これも一応所得制限をつけておりますけれども進学する層の六〇%程度、六〇ないし七〇%程度をカバーするという、わりあいと広いカバー率を考えておりますし、また郵便貯金をなさった方につきましては、郵便貯金をされれば当然のように、当然のようにというのはちょっと行き過ぎでございましょうが、郵便貯金をなさった方は当然貸し付けの資格対象者となるという意味で、なるべく広い国民大衆を相手に融資をするという制度を考えているわけでございます。  かつまた、この進学する学校につきましても、いわゆる義務教育ではない大学、高校、さらにまた現在では、われわれとしてはこれから検討するつもりでございますが、専修学校とかそういったものを含めてくれというような御要望もございますので、そういう意味で、進学する学校も義務教育ではないと、義務教育ではない学校をまず考えているわけでございます。  そういった趣旨から考えますと、これは事業金融と比較するようで大変申しわけないんでございますが、中小企業を国民公庫が相手に融資しておりますが、その場合でも一般の非常に零細な中小企業、これに融資をいたします金利というのは、大体公庫の基準金利でございます七・一%という金利でございます。したがいまして、われわれとしてはこういう広い国民大衆を相手に融資をする、進学のための資金を融資をするというものであれば、大体こういう金利水準でよろしいのではないかと。しかも、この金利水準というのは、公庫の借り入れコースでございます運用部の金利あるいは公庫の事務コスト、こういったものを考えますと、できる限り低い金利と、こういうことになるわけでございます。  一方また、この七・一%の金利でも、民間の進学資金の金利に比べますとかなり低い金利でございますし、先生御承知のように、今年度から、勤労者財産形成制度に基づきます進学資金貸し付けも始まるわけでございますけれども、この場合には、勤労者財産形成制度に基づきます貯金をした貯金者を相手に進学資金を貸すこの制度におきましても、金利は現在のところ大体八・四%台ぐらいということを考えられているようでございますが、そういったものに比べても、この七・一%という金利はかなり低い金利ではないか、こういう意味で、われわれは、この金利水準は一応妥当なのではないかというふうに考えております。  二番目に、この金利で運用益を上げるのではないかという点でございますが、先ほども申し上げましたように、現在、国民公庫の資金コストは運用部からの借入金利でございますので六・〇五%でございます。その他、国民公庫のもろもろの事務経費、こういったものが一%強かかっておりますので、われわれとしては七・一%の金利は運用益を生ずるほどの金利ではないというふうに考えております。
  40. 矢原秀男

    矢原秀男君 文部省伺いますか、育英資金の金利幾らですか。
  41. 石井久夫

    説明員石井久夫君) 日本育英会の奨学金につきましては無利子でございます。  ただし、日本私学振興財団を通じまして四十九年度から私立大学に対する奨学事業というのを実施しておりますが、これは卒業後十年間において返還することになっておりまして、この場合には、卒業後前期五年間が三・六%、後期五年間が五・五%以内ということになっております。
  42. 矢原秀男

    矢原秀男君 時間が来ましたので、郵政大臣伺いますけれども、本来は総理大臣と文部大臣伺いたいわけです。財政という面からは大蔵大臣にもそうでございますが、いま大蔵省からのお話では、国民金融公庫の基準貸付金利が七・一、その標準によったというふうなお話で七・一になっております。  私は、やはり教育は国が責任を持って、日本の国の将来、世界の国どこでもそうでございますけれども、そういう立場で貴重な投資をしていく教育、それと、企業のそういう形のものと同格な考え方で、これは政府と言ったらいいのでしょうか、大蔵省と言ったらいいのか、とにかく政府が、福田総理が代表であるとすれば、総理大臣に私、文句を言いたいわけですけれども教育と企業というものを、利子の面から見て全く一緒にしている。こういうことで日本の将来が、子供さんの大事な教育を大きく将来育てていくのに、これが国家の教育に対する事業の一面の協力体制を家庭に与えたというのかと言うんです。家庭がお金を持って預金をしていく、その中から教育が出ていく、考えてみれば御家庭の人が一人でお相撲とって苦労している。  私はこの利子の面を考えてみても、いま育英資金のお話ございましたが、片や無利子、日本私学の方については三・六%、それから五・五%ですね。それから見ても、企業並みに今回の制度というものが性格づけられている。これでは、私は家庭の方たち実態がわからないから、ああ苦しいからよかった、わらをもつかむ思いで世論調査にはもろ手を挙げて賛成、これに対しては出ております、制度に対して賛成。しかし、こういう利子の実態から見たら、これで本当に政府が真剣に教育のことを考えて、親御さんに、お子さんの教育家庭も責任を持ってください、しかし日本の国としても一生懸命教育には力を入れましょうと、そういう形は一つも出ていないんです、これだったら。これだったら、企業には力を入れよう、国民の一人一人、おまえたちでやれ、そういう形がこの利子の形にきちんと出ています。  もう時間ございませんので、これで終わりますけれども郵政大臣、この利子の面から見て、本当に、私は今度の制度に心から、郵政大臣が非常に孤軍奮闘されたと思いますけれども、総理や大蔵大臣、そのほかの政府の要職の人たちが寄ってたかってあなたを抑えつけたのかどうかわかりませんけれども、この数字一つだけを見ても、事業並みに扱われている。これでは家庭は浮かばれません。育英資金が家庭からお金を入れているんだったら、そうして七・一であれば、私たちは文句は言いませんが、育英資金はそのようにして国が一生懸命やっているでしょう。今度の制度が、育英資金並みでなくても、この国民金融公庫の企業対象金利と同格ではなしに、なぜもっと育英資金寄りの方に判断、結論が出なかったのか、この点を伺って終わりたいと思います。
  43. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 確かに教育という面から見た場合、いわゆる国家の将来を背負って立つ有為な人材を育成するという立場から考えてみますると、私は国が思い切った投資をし、またそういった機会を与えるべきであるということは全く同感であります。もちろんこういった制度を考えたわれわれも政府系金融のあり方とはいえ、少しでも安い金利で預貯金者の協力に報いたいという気持ちでいっぱいであったことは、矢原先生、事実であります。  しかし、先ほど大蔵当局の御説明のあったとおりに、財産形成法による貯蓄からも今度は貸し付けできます、一般市中銀行もやります、いろいろと対案が出まして、この進学ローンに端を発してほとんどの金融機関が早々と、法律を伴わないもんですから、スタートをしたことも御承知のとおりであります。こうなりますると、やっぱり金利体系というものは、郵政省だけがうんと下げようとしても、われわれの当初の予想どおりになかなか諸般の情勢が許してくれない。  そこで、私は全く矢原先生の御指摘にはもう異論はありませんが、現行制度ではとうてい望めないことでありまするので、そういった面から、すなわち社会福祉から出発したいわゆる制度をわれわれは考えねばならない。現在の文部省所管の育英資金制度、これは無利子だ、私学振興から借りると三・何ぼであります。これが本当の私はいわゆる教育に重点を置く政治の姿だと思うわけでありまするが、残念ながら先ほど来申し上げておりますとおりに、今回の進学ローンは政府系金融であり、またいろんな関係が生じて意に沿うような結果にはならなかったわけでありますけれども、十二分に、せめて今後は皆様方の御理解で通過させていただいて、後の方は、努力を積み重ねて、少しでも御要望に近い線に到達するよう最善の努力を払いたい、さように考えている次第でございます。
  44. 案納勝

    案納勝君 最後になりましたが、私は、いままで多くの同僚議員が質問をしてきましたので、重複をできるだけ避けていきますが、実は、教育ローンの構想が発表されると、国民やあるいは多くの人々がこれに共鳴をし、一日も早く実現するように期待を当初はしたんです。ところが、現実にでき上がったものを見ますと、まさに中身は似て似つかぬものであります。  先日も、青島先生質疑をする過程を通じて、これは当初期待をしていたようなそういうものじゃない、多くの迷いを感ずるという発言がありました。私どもも、いままで論議を聞いている過程で、この進学ローンの構想というのが、何か教育問題にすりかえられてきてやしないか、本当に当初のスタートをした発想というのがいつの間にか変わってしまった、中身が形骸化されてしまった、形だけ進学ローン、こういうように私は受け取らざるを得ない。  そこで、きょうは私は最後ですから、重要な点だけをひとつ、時間の関係もありますから、一つずつお聞きをしていきたいんです。  まず最初に、大蔵省にお尋ねしますが、三月十六日に公定歩合の引き下げが行われまして、郵便貯金の預金金利は、四月二十五日から〇・七五%引き下げになりました。昨年四月からそして今日まで、三回にわたって金利が引き下げられてきたわけです。大体二・二五%引き下げられた。戦後最低の金利時代になった。こういったことがあります。この一年間の企業の有利子負担、これはどのくらい軽減をされたのか。そして、預金の目減りはどのくらいになるのか、この一年間。その点をまずお答えをいただき、郵政当局からは、郵便貯金の目減りは幾らになるのか、まずその点を。
  45. 石川周

    説明員(石川周君) 過去一年間金利引き下げによりまして、企業の金利負担がどの程度軽減されたかという問題でございますが、非常に計算がむずかしゅうございまして、非常に大胆な仮定を置いての、感じをつかむための計算、試算という前提で日本銀行から出された推計がございます。その数字で申しますと、企業の利子負担軽減額は、この一年間の利下げの効果といたしまして、約一兆五千億円の軽減効果という試算が出されております。  それから、預金につきましては、昨年の同じような大胆な前提を置いての、仮定を置きましての試算でございますが、昨年二回の引き下げ分、五十二年度中の引き下げ効果といたしまして約四千億円ということが、同じく日本銀行から公表されたことがございます。また本年四月の引き下げ分につきましては、五十三年中の利子所得軽減効果といたしまして約二千億円という試算が出ております。
  46. 案納勝

    案納勝君 そうすると六千億ということですね、合わせて。
  47. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便貯金のいわゆる目減りでございますが、五十二年五月以降三回の利下げがございましたが、五十二年五月利下げの、五十二年度中のいわゆる目減り分、つまり通常貯金と新規預入の定額定期積立貯金にかかる利下げの分でございますが、これは五月利下げ分が四百十三億二千万円、九月利下げによる分が百六十六億四千万円、合わせて五十二年五月利下げ、九月利下げの五十二年度中のいわゆる目減りと称するものが五百七十九億六千万円と相なります。  さらに五十三年度について見ますと、本年四月の利下げによります分と、つまり四月以降新規に預入される分と通常貯金の分でございますが、五百七億円となりますが、五十二年五月、九月の利下げに伴うその効果がそのまま五十三年度も続くわけでございまして、五月利下げによる分が五十三年度中には千五億円、九月利下げによる分が五十三年度中に六百四十億円と相なりますので、五十三年度中の利子の減少額が二千百五十二億円と相なるものと計算いたしております。
  48. 案納勝

    案納勝君 これはまあ膨大な国民の、庶民の個人預金というのが、企業の金利負担の肩がわりをしてるわけですね。  そこで、私がお尋ねをしますのは、進学ローンが今回設立をされた、そして発想が出されまして、今日こう提案をされ審議をしておりますが、今日までのこの進学ローンの背景と経緯について、提案をされた郵政当局からお伺いしたいと思います。
  49. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便貯金は、その現在高三十七兆円に達しておりまして、国民生活の向上に大変寄与をしておるわけでございますが、郵政省といたしましては、その預金者に対して何らかのいわゆる還元方策があるのかないのか、こうした問題について検討をしてきたところでございます。この間、さきの八十回国会におきましても、郵便貯金による新たな融資制度についても検討することという附帯決議をいただいておりますし、また昨年五月及び九月の利率改定に関する郵政審議会の答申の中におきましても、郵便貯金による直接的な融資制度の検討、その一環としてのいわゆる進学ローン制度の実現が大変強く要望された次第でございます。  この間、最近におきます進学に必要な資金というものは年々増高いたしておりまして、進学者を有する家計を大変圧迫しておることは事実でございます。しかしながら、入学後の対策という点につきましては、文部当局等におかれて、進学制度であるとか、従来いろいろ考えられておったわけでございますが、私どもこの問題を考えました時点におきましては、民間におきましても進学ローンというものは名前だけはございましたが、ほとんども数字的には微々たるものでございました。  奨学資金の制度におきましても、入学時にかかる経費についての何らかの救済策というものは考えられておらなかった。いわばこの部分が、家計を圧迫する各般の問題の中でいわゆる一つの欠落した部分であったということに着目いたしまして、この点から——これは私とも考えておりますのは、教育機会均等云々ということを、直接考えたのではございません。間接的にはそうなりますが、預金者家計を楽にするという発想、いわゆる預金者に対する利益の還元と申しますか、便宜の提供といった形からこの問題を考えた次第でございます。  こうした考えに基づきまして、昨年の夏におきまして、五十三年度予算編成に当たって、郵政省の要求としてこの問題を提起したわけでございます。その後の経緯につきましては、いままでいろいろ御答弁申し上げておりますように、政府系金融機関全体のあり方あるいは財投資金運用のあり方等、各般の検討を加えました結果、現在御審議いただいております郵便貯金法の一部を改正する法律案の内容のとおりと相なった次第でございます。
  50. 案納勝

    案納勝君 この育英資金の問題は、五十二年の四月の利下げの問題に絡みまして、当時の、いや今日の総理である福田総理に対しても、多くの郵便貯金利下げ反対という国民の意向が陳情をされております。国民の金融機関である郵便貯金の利下げを、民間の利下げ、公定歩合に連動させなくちゃならぬということについての多くの批判がなされた。それを受けて四月の二十三日、二十六日に小宮山郵政大臣が、国民の預貯金の目減りに対して、これに対する還元として、あるいは目減りに対する郵便貯金の施策の一つとして、実は教育融資制度というのを打ち出された。以来去年の十二月まで、大蔵省と郵政当局の間に、この問題をめぐって多くの意見の違いが報道せられています。大蔵省が、この教育ローンについて今日までとってきた態度、これについて明らかにしていただきたいと思います。
  51. 石川周

    説明員(石川周君) 大蔵省といたしましては、金融面におきます個人消費者に対する資金供給、もちろんそれには教育資金需要というものも入るわけでございますけれども、広い意味で、個人消費ローンというものについては拡充していかなければならないという基本的な考え方を持って、かねてから取り組んできたところでございます。数年前から、今後予想される経済社会のあり方といたしまして、個人部門に対する資金供給というものが非常に大事になってくるという認識でございます。その一番のはしりが、住宅資金需要に対するものでございました。次の一つの大きな波が教育ローンの問題というふうに認識することができるかと思いますが、実はそうした波のはしりといたしまして、各民間金融機関におきましては、独自の教育ローンを開発し実行し始めておりました。  そういう体制のところに、郵政省からのいま御指摘のような御提案がございました。また総理からも、教育ローン全般についての勉強をするようにという御指示もございました。そうしたことを受けまして、大蔵省といたしましても、いろいろな角度から検討したわけでございますが、政策金融としての教育ローンのあり方というものがどうあるべきかということを、これは予算編成の過程におきまして関係各省、特に郵政省と十分御議論をさせていただきまして、現在のような姿にまとめさせていただいたわけでございます。  その場合、私どもは、郵便貯金をしない人にももちろん教育ローンを実施していかなければいけないと思いますし、また郵政省の御要望のような意味も十分わかりますので、そうしたものを一つのものにまとめて、現在の政策金融のあり方として一番乗りやすい、ふさわしいものとして現在の仕組みを考えさせていただいたわけでございます。
  52. 案納勝

    案納勝君 私は、この一連の大蔵省とそして郵政省教育ローンが発想が生まれてからの経過を注意深く見守ってきたわけであります。私が先ほど冒頭に、似て似つかぬものができてしまった、名前だけが同じ、こう言ったのも実はそこにあるんですが、郵政審議会が昨年の四月、金利引き下げに伴う四項目の答申をされた内容は、大蔵省もすでに御存じですね。
  53. 石川周

    説明員(石川周君) 郵政審議会の御要望として出されました中身は承知いたしております。
  54. 案納勝

    案納勝君 郵政審議会が要望を出した内容というのはもう繰り返しません。ただ、郵政審議会も、今日の郵便貯金の膨大な三十七兆に上るこの資金が、国家の第二予算と言われるように、財投のきわめて主要な財源となり、しかも国の大きな政策遂行の柱になっていることは、これは認めているのであります。その上に立って、先ほど報告をされましたように、公定歩合の引き上げに伴う景気変動の、そしてその中における不況、そういう対策に伴っての金利引き下げに伴う庶民の貯金の目減りというものについて、今日のように単純に連動させるだけでは国民の福祉を守れない。本来的にある郵便貯金事業の性格からいって、国民への還元の措置を考えるべきだ、こういう発想の中で、速やかに郵便貯金には直接融資方式を検討すべきだと、こうなっている。しかも、当委員会においても附帯決議の中で、これらの問題の融資制度というものの検討について要請をしました。去年の九月のこれまた利下げの際においても、ここで初めて進学ローンというのが、郵政審議会の固有の名前が使われて実は提起をされてきたんです。この経過は御案内と思うのであります。  五十三年度の概算要求の中で大蔵省は、先ほどの御答弁の要約をしますと、大蔵省の言われている点は私は四つばかり、いままでの質疑の中を通じてあると思います。  その第一は、政府の今日の政策金融の中における政府資金の一元運用という原則を崩したくない、これが一つ。二点目は、これは本来教育問題であるから、育英資金制度その他のそういうところでやるべきである。そして民間でやる。いまもあなた言われた。民間であることが必要だ。そのことが先じゃないか。あるいは当然そのことが中心にならなくちゃならない。三点目は、郵便局がやることは貯蓄機関としての性格を逸脱する。四点目は、郵便局の融資については審査能力や債権管理能力がないというようなことが実は大蔵省の主たる反対の理由だった。そういう経過を経て、五十三年度の概算要求の中で、最終的に大臣同士の政治折衝ということになって今日のああいうものが生まれた、私はこういうふうに理解をするんです。  先ほど言われました、郵便貯金をしない人にも教育ローンをやる、これは確かに当然そういう発想があってしかるべきでありましょう。しかし、本来、今日生まれてきた教育ローン制度の発想の中では、どうやって庶民の生活を安定をさせ、福祉を増進させるという目的の郵便貯金の目減りに対して還元をしていくかというところに、実は中心発想がある。これを発展をして、郵便貯金をしない人に教育ローンをやるというのは、これは政策の問題として私は当然付随してくる問題であります。しかし、そのことが私はこの進学ローンそのものについての中身が変質してくるものの理由にはならない、こういうふうに理解をするのであります。この辺について、私はもう一段とお聞きをいたしたいと思います。  今日、私がいまこのことを明らかにしたいと思うのは、この一連の審議の過程で、何か教育ローン制度についての意識が混乱をしているように私は思いますので、再度明らかにしたいと思っているところであります。  本来、先ほどから申し上げましたように、この制度というのは、行政上組織論の上で生まれてきた問題ではないんです。このことが第一であります。いまの金融制度の中で、その枠内でということで生まれてきたものではないのであります。今日激しいスタグフレーションの中で、貯金の目減りが進行をしている。市中金利全体の引き下げに連動して、郵便貯金の九九・二%までが零細な庶民の貯蓄である郵便貯金について利子の引き下げが要求をされる。庶民の生活安定と福祉の増進を図るべき郵便貯金、庶民の随一の零細な財産保全を大義名分としている郵便貯金そのものの存在が、根本的に問い直されてきたんです。その対応として、一方的目減りだけでなくして、カウンターパートとしての債務者の利得を得る機会を設定をすべきではないか、こういうところに国民の要望が集約をされてきた、これが第一点であります。  また、第二点で言うならば、これはまあ私は大蔵省に後ほど申し上げたい、大蔵大臣来たとき。国民の財政一般に対する見識が高まって、財投のあり方について、その主要原資としての郵便貯金の運用、今日現在のやり方について、強い疑問が持たれてきたのであります。これは第二点の問題であります。  第三点は、今日の高度成長の結果、国民の意識が大きく変化をしてきている。後ほどお尋ねしますが、パーソナル・ファイナンスというそういう重要性がきわめて高まってきた、郵便貯金も、貯蓄だけでなくて生活安定のための消費者金融、これへの需要が存在をしている。市中銀行は既存の金融機関の企業優位といいますか、そういう中で、国民のニーズや変化にこたえてくれないという現状があります。御案内のように企業には安くして貸し、しかし、国民の個人金融については全く冷たいというのが今日の市中銀行の状態であります。これが国民の要求する政策の中で、福祉政策として広く受け入れられるところに、実はこの進学ローンというのが生まれてきたんです。したがって、受けとめ側としては、今日の金融制度大蔵省の所管のその枠の中で解決しようとするからこんなものしか出てこないんです。ここに根本的に私は違いがあると思う。  ここのことをはっきり理解をしなければ、私は、今後このことについて、仮にこれが満場一致通ったにしても、私どもこれについては大変迷っています。果たして、国民のそういう意味での、郵政審議会で今日まで慎重に審議をし、あるいは逓信委員会で審議をしてきたその筋道からの進学ローンというのは、全く青島さんが言うとおり、こんなものだったら国民の期待にこたえられるものじゃないというぐらいに断定したってこれはおかしくない内容になってしまった。私は、大蔵省が、今日のこれらの変化や国民の要求、こういうものをキャッチできずに、郵政審議会を初めとする郵政省、これがまあある意味では現場を預かっているわけですから。三十万の職員が一生懸命貯金を集めているわけです。国の要望に基づいて三十七兆という金を集めてきている。その人たちを敏感に感じている郵政省、あるいは全体の郵政審議会逓信委員会等の空気を踏まえて、このニーズをキャッチをして積極的に進めたという違いがあるんですよ。  私は、今回の一連の五十三年概計要求をめぐる、あるいは進学ローンをめくる大蔵省と——ここに資料が、当時の新聞記事ですから、私はよくそれが正確にはわかりません。その中で出されてきている大蔵省の態度、全く国民のニーズをキャッチできない、一つの枠の中で、考えの枠の中で解決しようとするこの態度については、私は醜態と言わざるを得ないんじゃないかと思っているんです。したがって、似ても似つかぬものが出てきた。発想が転換をした、大蔵大臣が言うように。こういうものがこの進学ローンの今日出された内容だというふうに受けとめてます。  これについて、私は郵政大臣及び大蔵省はどういうふうに御理解になっているのか、私の申し上げたことについて。私はそういう立場でいまこの問題、この法案を受けとめて、いま主要な問題について質問をしたいと思います。お答えをいただきたい。
  55. 石川周

    説明員(石川周君) 先生のお話、お考えといたしましてはいろいろ承っているところでございます。ただ、私どもの立場といたしましては、やはり目減り対策というのは、基本的には経済を順調な回復過程に導いて、失業とか倒産とか、そういう心配のない経済に持っていく、それによって個人の所得もふえて雇用もふえていくと、そうしたことの方が全体としては国民のプラスになるのではないかと。確かに金利引き下げによりまして、その分によりまして利子所得減少するというマイナス、その目減りということはかなりの負担であることは御指摘のとおりだと思います。私どもも、できればそういうことをしないで経済を回復過程に持っていきたいということは念じておりますけれども、現在の状況では、預金金利を下げないと、どうしても経済全体としてうまく運行できないという判断が政府としてとられたところでございます。私どもは、預金金利の引き下げを含む経済政策全体の運行によりまして、結局は、個人所得が総体としてはプラスになるということの道を選択したというふうに考えております。  また、そうした中で、進学ローンの問題につきまして郵政省の立場、郵政審議会のお立場から御議論が出たことも存じております。そこで、先ほどるる申し上げましたように、私どもの個人消費者ローン一般の問題と総合させていただきまして、そして郵政省郵政審議会の方のお考えの線をできるだけ尊重さしていただいて、広い意味での政府の中の仕組みは、いろいろお願いを申し上げましたところでございますけれども、郵便局も政府の窓口でございますが、その政府の窓口と郵便貯金者との関係におきましては、郵政省の御提案の線と同じように、つまり一定期間積立貯金を継続した人は、その郵便局の窓口で進学ローンを受けられる、そういう仕組みはそのまま組み込んだつもりでございまして、国民の立場、貯金者の立場からすれば、郵便局の窓口におきます効果といたしましては、郵政省の御提案のとほぼ同じ仕組みになったというふうに考えております。  ただ、広い意味での政府の中の仕組みといたしましては、財政金融全体のいろいろな考え方もございますので、そこのやり方に合わせていただいたというのが経過であり、現在御提案いただいている仕組みでございます。
  56. 服部安司

    国務大臣服部安司君) このたびの郵便貯金による進学ローン制度について、いろいろ御指摘を受けました。私がこの制度の引き継ぎを受けたのは十二月の上旬でありました。この制度のあり方で、正直申し上げて一つぼくには気にかかる問題がございますのは、直接郵便局、すなわち郵政省で利用者に貸し付けのできなくなった点であります。これは当委員会でもかつて私は御答弁申し上げたとおりに、いろいろと深刻に苦しみ悩みましたが、まあ利用者の立場から考えてという点でこの制度を私は受け入れましたと、全く次官以下各局長ではなく、服部郵政大臣の責任でありますと言ったことも記憶をいたしておりまするが、それを除いて原案から後退したということは私には納得はいかないわけでございます。  案納先生も十二分に御検討をしていただいたと思いまするが、この貸し付けのいわゆる直接か国民金融公庫のあっせんかという点においては、先ほどおわび申し上げたとおりでありまするが、それ以外はすべて原案以上のものに仕上げたつもりでございます。私はそのように理解いたしておりまするが、しかし、だからと言って、私は今日までこれで十分だと言った記憶は一度もございません。決して完全なものではありませんと、あえて申し上げておしかりを受けたこともこれ事実であります。これは私ども真実でありまするが、しかし、せっかくの皆様方のお知恵をかりてここまで持ち上げてまいりましたので、これを御承認いただいて、今後この肉づけにわれわれがまた先生方の御理解と御協力を得てひとつ努力を積み上げてまいりたい、理想に近いものに仕上げたいというのが私の考え方でございます。
  57. 案納勝

    案納勝君 時間がありませんから、私は、たとえば郵便貯金に関する調査研究会の発表の中のあるいは信用供与の問題についてお尋ねをしたいんですが、時間の関係上、これは後ほど時間があれば大蔵大臣にお尋ねをするとして、具体的にそれでは中に入ります。  すでに、同僚委員が多くの指摘をしています。その中で、ここでもう一回重ねてお尋ねをしたいのですが、国民金融公庫の一般貸し付けと進学ローン郵便貯金預金者貸し付けの相違、そして、先ほど申し上げました進学ローンの発想の経過からきて、国民の郵便貯金を、零細な個人預金をしているこれらの人々に一定の還元をするというその中で、金利の引き下げその他の問題について、国民の協力を求めていくという意味での進学ローン、そういう面から見て、郵便貯金の積み立てをして、預金を積み立てする預金者貸し付けとの間に、国民金融公庫との間に、どういう相違と、要するに預金者の側のメリットというのはどこにあるのか、この辺をひとつはっきり聞かしてください。
  58. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 国民金融公庫を介在させることによるメリット、デメリットというお尋ねであろうかと思います。  先生おっしゃいますように、いわゆる預金者に対する直接還元という点から申しますと、確かに系図をたどってみますと、郵便貯金が資金運用部に預け入れられ、資金運用部から国民金融公庫に回り、国民金融公庫からまた郵便局の窓口を通って貸し付けを行うということに相なりますので、間接の形には相なるわけでございますが、これはあくまでも系図書きの上の話でございまして、積み立てをするその郵便局において、実際の貸し付けの手続、それから貸付金の受け渡しということが行われる意味におきましては、実質的な差異は余り実際問題としては感ぜられないと考えます。  郵便貯金そのものの現在の運用と申しますか、あり方から考えましても、これは政府全体として考えました場合には、これは預金を集めるところ、運用をするところ、政府という次元におきましてはこれは全く一致しておるわけでございまして、その分担するところが違っておるということでございます。直接的な利益還元という言葉を字義どおり解釈すれば、間接になるということはおっしゃるとおりでございます。しかしながら、利用者にとって考えてみますれば、実質内容においては相隔たるところが余りないと私は考えております。
  59. 案納勝

    案納勝君 今日郵便貯金が、貯蓄銀行あるいは貯蓄だけの機関であることは私も知っています。そして、いま郵便貯金の三十七兆の大部分が財投の六〇%の資金になり、しかも、今日の段階で公共部門の資金不足の中で、国の国民福祉指向への政治情勢、要するに経済政策の中で重要な役割りを果たしてきていることも百も承知だ。しかし、郵便貯金を窓口として進学ローンの問題をする場合に、国民金融公庫との貸し出しのやり方比較をした場合に、郵政省としては、預金者に対する保護、零細な庶民の利益の増進につながるという、そういう意味での私はこれらの運用についての責任があると思うのです。金集めるだけだ、使うのは大蔵省だ。そこで、国民金融公庫から貸し出すのと、郵便局の積み立てをしてもらって、合わせて百八万円貸し出すメリットは全く同じです。何ら貯金預金者に対する保護やあるいは零細な庶民の利益の増進にはつながらない。全く、それならば郵便貯金やめちゃって、国民金融公庫一本でやればかえっていいんじゃないですか。わざわざこちらは積み立てしなくちゃならぬ、郵便貯金は。この辺について、じゃ積み立てした人たちに対する保護や利益の増進はどういう措置をとろうとするのか、どういうところにそのメリットがあるのか、このことが私は明らかにされなきゃ、何のための進学ローンなんですか、当初の発想から考えた場合に。先ほど大臣は、いや直接運用以外には原案よりいい、こう言われました。私は、それはそういう理解も成り立つかもしれませんが、少し違うと思うのです。  それじゃ、もう一回それにあわせてお聞きしますが、進学積立金の利率を二年超えるものは二・八八%、一応予想としてね、これは省令事項ですから。二年以下は二・六四%と普通積み立て貯金より低率になっていますね。こういう問題について、せめてわずかな金額しかならないのですから、積立貯金並みの利率というふうに直すべきではないでしょうか。これは先ほど言うように省令で決まるわけですから、ここの審議を通じて、郵政大臣の決意でできるんじゃないんですか。こういう点について、もっと突っ込んだ、郵政大臣として、利益者、要するに預金者貸し付け、預金者に対する保護やあるいは郵便貯金の持つ庶民の利益の増進というものを考えるべきじゃないでしょうか。  これは大臣は、先だってから、実行の過程で検討しますと言いますけれども、私は実行の過程じゃなくて、いまできるんじゃないですか、ここで。各委員の先生方が皆同じことを言っている。特に、私はここで指摘したいのは、住宅積立貯金があります。このやり方と全く逆じゃないですか。この利率の帰り扱い方が全く逆になっている。これは詳しく言わなくても御存じだと思う。こういう点について、大臣、どういうふうに、いや事務局としてどういうふうにお考えになっているのか。私はこれは最終的決断は大臣しかないと思いますが、大臣はどういうふうにお考えになるのか、ここのところ明らかにしてください。
  60. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 進学積立貯金の利率でございますが、積立貯金と非常に類似しておるから、同じであるべきではないかというお話でございますが、実は積立貯金というのは、まず第一に、二年という確定の期間がついておるわけでございます。進学積立貯金につきましては、満期のときは入学のときであらねばならないという特質からいたしまして、積立期間を一年から三年までと非常に弾力を持って考えた次第でございまして、この点につきましても、一般の積立貯金の確定期限つきのものとは若干性質を異にしておる次第でございます。これが第一点です。  また、第二点といたしましては、これを実施した場合におきまして、何分初めてのことでございますから、どういう期間のところに一体、一番集中してくるのかという問題についても、実施の段階に入りまして、しばらく状況を見ないとわからないという点がございます。これが第二点。  それから、第三点として申し上げるということになりますと、住宅積立貯金のお話がございましたが、住宅積立貯金をした場合においては、必ず借りられるということ、一般の借り入れにつきましては、最近におきましては、非常に枠を広げているようでございますが、しかしながら、現在の姿におきましても、先着順何日で打ち切りといったような形でございます。融資を受ける確実性の度合いという点は、この進学積立貯金についても、当然同様のことが言えようかと思います。そうした一つの期待を満足させるという点、これらの点をあわせまして、一般の定額貯金に対して若干の格差をつけた次第でございます。  なお、住宅積立貯金につきましての利率の考え方と逆ではないかというお尋ねでございますが、住宅積立貯金につきましては、まず第一に、拘束期間が非常に長いという点、これがあろうかと思います。そのほかの点もあろうかと思いますが、主なところにつきまして、私どもの考えを申し上げますと、以上のとおりでございます。
  61. 案納勝

    案納勝君 大臣ね、私は、いま局長の御答弁聞いていると、先ほど私、冒頭に進学ローンの生まれた背景その他申し上げました。今度は、大臣が千五百万の退職金の問題を提起されていると。これは金利引き下げに伴って、審議会その他の中で、国民へ何らかの還元の措置を、あるいは庶民の利益の増進のためにと、こう考えられた。同じようなやっぱり発想の一つですね。  要するに、いま言うように、局長の言い分を聞いていますと、現在の積立金の制度があるからそれにと、こういうことなんですね。私は、進学ローンというのは、先ほど私が申し上げたように、大臣が、千五百万退職金の問題を提起したような筋道から生まれてきて、国民もろ手を挙げて賛成をしてきた。しかし、ある意味では福祉政策的な色彩が入ったものです、目減り対策という点で。しかも二年積み立てていく。だとするならば、これはやはり他の積立貯金等よりも低いという利率になるということについては、私はわからないのです。積立貯金よりもなおかつ利子はつけてやるぞというぐらいの、目減り対策なんだから。そして、しかもコスト的に言うと、これは資金運用部資金にかなり行くわけですから、仮に一%のコストを見たにしても、私はこの利率の引き上げはできると思う。おまけに、これは集金しないわけですよ、積み立てみたいに。人手は要らないんです。窓口へ持ってきてもらえばいいんです。  そういう面から見ても、私は、これはやっぱり金利を二・八八というような、貸し出しは七・一%、預金金利は二・八八ですというような、そういうことに私はなってくること自体がおかしいのじゃないのか。ここのところに、発想がまだ依然として、官僚的発想と言ったら悪いですが、そういうものがこの進学ローンの中で、郵政省自身の中に私は散見をされるのが残念なんです。  大臣、いかがでしょう、この際、思い切ってこの辺について、同僚委員も同じようなことを言ってきているわけでありますから、私は逓信委員会総体の意見だと思います。この際、大臣のはっきりしたところをお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 御質問の御趣旨そのものは私もよくわかるわけでございますが、一般の積立貯金と同等あるいは上回るという積立貯金ということになりますと、貸し付けの要望の少ない一般の積立貯金の需要と混淆してしまって、各般の資金計画等に影響を及ぼすおそれがあるのかないのか、この辺の問題につきましてもある程度実施をして、その実績を見た上で検討させていただくことが妥当ではなかろうか。いま現在ある制度と全く重なってしまうような形でございますと、混乱を生じる可能性もある。またさらに、有利ということになれば、皆さん金利選好が進んでおるという点から、一般の積立貯金じゃなくて、単に一般の積立貯金進学積立貯金と名前を変えたのと同じようになるのかならないのか。初めての問題でございますので、こうした点も考え、また先ほど申し上げましたように、融資を受けることができるといういわばメリットがついておる貯金であるということから、現在のような姿を考えておる次第でございます。
  63. 案納勝

    案納勝君 積立貯金制度というのは従来もある。これはいいんですよ、それで。それで年率三%ですか、二年ものでね。進学ローンというものを新設をする。その進学ローン新設した理由は、背景はこういうことなんだから、これについては、せめて積立金並みの金利をしたって、私は決して混同するようなことにならぬと思いますよ。  しかも、これは目減り対策として国民に還元をし、郵便貯金の持つ国民の生活、福祉増進をするのにつながっていく。しかも、六・〇五ですか、いま預託金利が。六・〇五だったら、集金もしないというんなら、私は当然そのことを考えてしかるべきじゃないでしょうか。いや、メリットがあるんです、金を借りるメリットが。そんなの、国民金融公庫へ行けば幾らでも貸してくれるんじゃないですか。なぜわざわざ郵便局で貯金を積み立てをしなくちゃならぬか。ここのところ、まだ逆にデメリットがあるんですよ、ほかの一般の人から比べたら。積み立てをしなければ貸してくれない郵便局。国民金融公庫へ行ったら、四百五十万ですか、七十万ですか。いま郵政省の職員の平均賃金は年収三百万ちょぼちょぼですよ。みんな低所得者です。そうしたら、積み立てしないで貸してくれるんです。  たとえば、いやそれは違うんだと、金融公庫へ行ったら、予算の枠があるから、貸し出しの枠があるから借りられない場合もあるかもしれない、郵便貯金の場合は、大臣があっせんをすれば簡単に借りられる。しかし、この間から大蔵省の皆さんが答弁をされているのを聞きますと、これは衆議院の大蔵委員会の議事録もありますが、ほとんどこれは市中銀行で借りられないという人だって貸すことができると、こう答弁している、徳田銀行局長が。余り大して変わりはしないじゃないですか。片方は貯金をしなくちゃならぬデメリット、貯金金利は大変安い、積立貯金にも及ばない。何というか、たとえ二年に足らなくても、一年でも積立貯金金利をつけてやるぐらいのことがあって本当じゃないでしょうか、政治の姿勢として。私はここが政治であり、大臣のやっぱり責任のあるところだと思いますが、これに対していかがでございましょうか。大した金額じゃないんです。
  64. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御提案申し上げて、いろいろと御審議をいただいておる郵便貯金進学資金貸付制度については、私も御無理は申し上げておりまするが、真剣に、内容についても、皆様方の期待にこたえられるような案ができなかった責任は痛感をいたしております。  この交渉過程で、これは御承知のとおり政府系ですから、郵政省独自で走るわけにもまいりませんし、大蔵省当局とも折衝を続けるわけで、こういったことはまことに恥ずかしいのですが、最終的には大臣が局長と会って、この点はこうあるべきではないかというところまで詰めた記憶もあるわけでして、御満足いただける内容でないことは十分反省いたしておりまするが、私なりに最善の努力を払ったつもりでございます。  ただ、ただいま御指摘貯金の利率の年二・八八%はおかしいじゃないかという御意見、私はこの時点の交渉で少し錯覚を起こしました。これはもう率直に認めます。というのは、私も案納先生同様、これは預貯金協力者、いわゆる国家財投原資に御協力くださる国民に郵政省が報いる一つの手段だと、こういう考え方で推し進めてまいったわけであります。決して胸を張って、郵政省貯金を集めるんだからこの制度をつくるんだよなんてゆめゆめ考えたことはございません。私なりに郵便貯金制度のあり方ということも少しひもといて読んでもみましたから。  しかしながら、先ほど申し上げたとおりに、報いたいという気持ちであったんですが、ここで私のいわゆる誤算というのは、いま局長が御説明申し上げたとおり、いわゆるすべての預貯金者にこういった貸付制度ができるのではない。進学積み立てをされた方だけに限定をし貸し付けをするわけでありまするからと言われたときに、私はぴっと早く受け取り過ぎたんですね。やあ、わかった、じゃあ原案どおりに——これだってはっきり申し上げて、当初郵政省が出した案が年二・八八%ですから……。
  65. 案納勝

    案納勝君 そうそう、そこのところが問題だ。
  66. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私は素人大臣で、これは就任と同時にこの折衝なんですね。まあ省が出した案だからよかろうという錯覚も、これは率直に私は認めざるを得ない。そういう経緯がありまして、皆様方に私がつい本音を吐いて、時にはおしかりを受けたわけでありまするが、まあこの問題も、郵政省郵政大臣の独自で決定できるものならば、あした責任を問われても、私は、きょう決めて皆様方の御期待にこたえますという答弁もしたい気持ちでいっぱいでありまするし、それぐらいの勇気は持っているつもりですが、やっぱり法制上、大蔵当局と折衝せねばならないという事情がありまするので、私はこの委員会を通じて、十二分に意のあるところを理解できたつもりでございますので、五十四年度からこれを実施しますが、それまで最善の努力を払いたい。  どういう結果が出るか、これはここではっきり申し上げられませんが、私は自分のおろかさを認めたんですから、少しでも回復するために必死の努力を払いたい、かように考えている次第でございます。
  67. 案納勝

    案納勝君 私は大臣が、貯金法二条でいう「管理する。」ここのところは関係をすると思っているんですよ。  そこで、次に進みます。時間がありませんので取り急ぎ。そこで、ここのところが大臣ね、最初の原案と違うところなんですがね。積み立ての預金金利がいま言う二・八八%ですね。そうすると、貸出金利七・一%です。先ほど矢原先生質問大蔵省から答弁された。わかったようなわからないような答弁でありますが、基準金利でございますと、こう言われるのですね。これは私は先ほどの説明聞いても全くわからぬ。余りにも私は高過ぎると思うんですよ。郵便貯金の最高金利、定額三年以上は四・七五%です、貯金した人の利率は。これに比して全く七・一%基準金利だと言っても余りにも高いのじゃないか、この進学ローンの生まれた経過から言っても。  たとえば、ここのところが大臣ね、郵政省の最初の原案は七%ないし七・五%と。ところが、実際に金利の引き下げがあって〇・七五引き下げられているわけですよ。それでいったら六%台になるわけですよ、これは。だから、私はここで、ひとつ時間もありませんから、取り急ぎもう一回大蔵省にお聞きしますが、金融公庫の基準金利で六・〇五%の預託金利プラス一%程度の国民金融公庫の手数料といいますか、コストといいますか、諸経費、大体これで七・一%は妥当なところだと、こういうふうに言われましたが、現在の国民金融公庫の貸出金利、どうなっていますか。俗にいうマル経と言われるもの、あるいは政策がらみの、政策的に問題になっている産業関係の融資。私の方の調べではマル経関係の方が六・八%から六・五%、政策関係の産業関係の融資は大体五%台となっている。間違いないかどうか。時間がないから簡潔に。
  68. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) 国民公庫の貸付金利でございますけれども、国民公庫の貸し付けの大体九割ぐらいが、先ほど私が申し上げました基準金利である七・一%でございます。先生指摘のように六・〇五%とか、六・五五%とかという金利はございますが、その金利を適用しておりますのは、たとえば消防法に基づいて必要に義務づけられた防災施設に対する貸し付けとか、あるいはまた中小企業近代化促進法という法律に基づきまして、中小企業庁が中小企業の近代化計画をつくる。その計画にのっとって中小企業は近代化を図ると。いわゆるその法律で義務づけられた、または法律に根拠を持つ制度を実施するという場合には特利を適用しております。  それから御指摘のマル経の金利でございますが、これは現在六・六%、六月一日から六・六%に引き下げておりますが、これも御承知のように一般の金融機関が全く相手にしないようなきわめて零細な、従業員が一人、二人というような中小企業、しかも保証も担保もなくて、民間の金融機関からは借り入れを行えないことが明らかであるというふうなものにつきまして、これは商工会議所の経営指導、指導員が六カ月以上その中小企業の経営指導を行いまして、この保証、回収責任、回収と申しますか、返済能力その他の点について、経営がうまくいきそうなので十分返済能力があると、こういう推薦を付して回してきたもの、こういったものにつきまして融資をする制度でございます。  したがいまして、ごく零細な中小企業、一般の中小企業と違いまして、きわめて零細な中小企業にこういった経営指導を行わせて、経営の安定徹底を図ると、こういう趣旨からできている制度でございますが、これにつきまして六・六%という制度を設けております。
  69. 案納勝

    案納勝君 また大臣ね、私の調べた中で、第一勧業銀行の実際に短期貸出金利、これは手形の割引貸し付けで年三・七五%、その他、手形の割引貸し付け年五・五%、信用度により〇・五%高、これは企業向けで。それで都市銀行の貸し出しの約定平金利がいま六・一〇二%、企業向けです、これは。個人向けはきわめて高くなっています、確かに。しかし、私は、この進学ローンというのは、国が、先ほどから申し上げます昨年の郵政審議会金利の引き下げ、さらにはもう一歩進んで福祉的性格がある国民の教育均等化、こういう問題を踏まえてのきわめて福祉政策的な施策であります。  それを、大蔵省の資金運用の枠の中で考えようとするからこういう状態になってくるんです。私はここに根本的に間違いがあるという指摘をしているんであって、郵政省が全体に資金運用部資金に影響を与えないで独自で窓口で貸し出し、これらの目的を達することが私はできると思うんです。当初指摘をされたように、特枠の二%程度の金を使うならば、資金運用部資金の金に影響を与えなくてもできる。たとえばいうところの郵便局から、郵政省から資金運用部資金に行って、そして国民金融公庫へ行って、郵便局へ行って、国民に貸し出される。こういうめんどうな手順をなぜ経なくちゃならないのか。私は、これ自体がもうまさに大蔵官僚じゃないけれども、いずれにしても発想自体きわめて私はこれはきずものだと、こういうふうに理解せざるを得ないんです。  国民を何と考えているのか。庶民の一生懸命貯蓄をしている人たち、吸い上げちゃってこれを全部財投に金を突っ込む。おまえら金利が下がるのはあたりまえだと、それは財投で何とかうまくやるからと言うだけじゃ、もはや国民は言うこと聞かなくなってきてるんです。  大臣、私はこの七・一%の問題について、いま言うように、なぜこういう複雑な資金経路が必要なのか。これを政策として改善をしていくならば、六%台の貸出金利、こういうものが実現できるんじゃないか、こういうふうに私は思います。これもまた関係委員の皆さん、先生方の御指摘をされた点であります。大臣は実行の過程を見てと、こう言われますが、実行の過程を見なくてもはっきりしてくるわけですね。先ほど、マル経でも六・六%ですか、産業向けには五%台なんという、せめて進学ローンは五%台ぐらいにしてやったって、郵便局の金利二・八八から比較するとコストも見られるじゃないですか、そこの中で。私はこれが本当の進学ローンとして、大臣がしょってとって立たれるなら、与野党挙げて大臣を押し上げてがんばれる問題だと思いますよ。  私は、そのくらいの決意でこの問題についてやっていただけなければ、いままで郵政審議会でいろいろ繰り返し論議をし、国民の立場で論議をしてきた。あるいは国民が三十七兆も金を郵便局に預けてきている。後生大事に零細な預金を預けてこれを国が使っているわけだ。こういう面について、私はもう少し温かい政策というものが、現在の機構や組織の枠の中から、もう一歩出ていいんじゃないか、こういうふうに考えますが、大臣いかがですか。
  70. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御案内のとおりに、われわれは国民から集めた貯金をそのまま運用できる状態であれば、新しく立てる事業計画も大変スムーズにいくわけだが、資金運用部資金法という法律にしばられて、なかなか意のごとくにまいらないことも御理解いただけると思います。しかし、そういう中にあっても、何とかこの制度を起こして、一般零細預貯金者の御期待にこたえたいという意欲で来たわけですが、結果的にはこういう方式をとらざるを得ない立場に相なったわけでして、われわれはだからと言って、もうこれですべてをあきらめているわけではございません。まあ、まことに消極的な発言かもしれませんが、一歩一歩積み上げ方式で、近い将来に所期の目的を達成するために、今後も努力を積み重ねてまいりたい。  さて、勧銀の、いわゆる民間銀行の金利の御説明がありましたが、私は財政金融家でございませんので、答えに当を得ているかどうかわかりませんが、これは恐らくどう考えても短期融資の金利ではなかろうかと私は理解するわけであります。案納先生は、民間金融機関でもこのとおりにやっているのに、いかに社会政策上の発想でない進学ローンであっても、事教育ではないかという点、いろいろ御指摘がありました。私はごもっともだと思います。言わんとするところは、それよりも高いとは何事かという御意見だろうと思うわけでありまするが、先ほど来大蔵当局から、特別金融課長から御説明があったとおりに、やっぱり片や財投の運用益、また堅実ないろいろ国民から預かった貯金の保管管理、いろいろと兼ね合わせ、しかもこれが長期になると。大体、私が原案から倍にしたわけですから、期間を。そうなりますると、やはり長期金利というのはこれは常識的にある程度高くなるわけでございまして、そういう点もひとつあわせて御理解いただきたい。  ただ、私は、先ほども申し上げましたとおりに、十二分に御指摘の御趣旨は理解できますので、この進学ローンの実施は、御承知のとおりに来年の四月でございます。そこまで私は、運用を始めてからと申し上げているのではございません。いわゆる運用開始までひとつ最善の努力を払いますと、しかしいまここで、相手のあることでありますので、必ずこれを実行いたしますという約束は、おおよそこれは申し上げることは、かえって国会軽視につながる言葉だと私は信じますので、ひとつ関係機関と緊密な連携をとりつつ、この当委員会において御指摘の問題を、御意見を、十二分に踏まえて努力を払いたい、かように考えている次第でございます。
  71. 案納勝

    案納勝君 これ以上大臣答弁を求めましても無理だと思います。  そこで、大臣ね、もう一回私は繰り返して言っておきますが、先ほど私が第一勧銀で言ったやつは、これは短期、長期入れて平均金利が六・一二%、企業貸し出しです。私はね、いつものことながら、金利の引き下げについて、大企業は、切り下げのために先ほど言われたように大変金利負担が安くなり、割引手形やあるいは有利子の負担というのが少なくなる。軽減されてくるわけです。その分を庶民の零細な郵便貯金や、その他個人預金から全部吸い上げられるわけですね。そして、国民は借りようと思っても借りられないんですよ。預けるばかり。吸い上げられて預けるばかり。そして、大企業は金利負担が安くなって、いま言うように、企業向けの金利は五%から六%。今度は郵便貯金をしている人が、何とか、メリットじゃないけれども、わしらの気持ちをくんで進学ローンをつくってくれたそうな、さあ行ったら貯金をしなさいと、あなたは。その貯金の利子はたった二・八八%ですよと。借りたら、今度は七・一%ですよと。金は吸い上げられる、金利は引き下げられるわ、大企業は安くやられるわと言ったら、これほど世の中矛盾はありませんよ。  ここのことが、やはり政治的問題になっているわけですよ。進学ローンの発想が全く逆転をしているというのは、発想が変わったというのは、そこにあるわけです。私は、大蔵大臣が来たら、まずそこのところを少し申し上げようと思ってるんです。  時間もありませんからね、もう簡単に、あと、実は保証人の場合は、先ほど理事会でも問題になりましたが、例の母子家庭、あるいは交通遺児家庭、これは進学に当たって一番困っているわけであります。それで、私は、これは衆議院の大蔵委員会質疑の経過、あるいは当委員会の経過をずっと振り返ってみまして、郵便貯金の場合は、要するに積み立てをした人は、大臣のあっせんによって借りられるわけですね。このあっせんというのは大変大きな意味を持っているというふうに、徳田銀行局長は言っています。これは証明書なんだと、何年間問題なく金が積み立てられたという、それに基づいて大臣があっせんをしたという、これは証明書であって、これは貸しますと、こういうこと。  そこで、それでは今度は、貯金もできない、そういう人たちに対してどうするのかと、こういう質問に対して、金融公庫で低所得者に貸します。銀行で貸さないという人であっても、これは国民金融公庫で貸します。こういう答弁が行われているんです。ということは、申し込みをし、そして申し込んだ場合には、その審査ということが行われることになっていますが、いまも言ったように、一番困っている母子家庭や交通遺児家庭については、これらの人々も借りられる措置、こういう措置が私はこの進学ローンの中に明確にできるのかどうか。ここでお約束できるかどうか。これは、後ほど大蔵大臣もお見えになると思いますが、いや、大蔵省も来ていますから、この辺についてはっきりひとつお約束をいただきたい。これは第一点であります。  第二点は、保証人の問題なんですね。これで終わりますが、いまも申し上げた関連です、保証人つけなくちゃならぬと。私は、いま申し上げた母子家庭にしても交通遺児家庭にしても、ましてや貯金を積み立てている人について、先ほど私、申し上げましたように、大蔵委員会での徳田銀行局長の答弁をかりるならば、大臣のあっせんは証明なんだから、重要な意味を持っていますと。したがって、これについては国民金融公庫は書面審査になりますが、貸しますと、こういう言い方につながっている。だとするならば、保証人は要らないんじゃないか。二年間問題なく積み立てをやってきたという人ならば、あるいはそれで大臣があっせんができるならば、あっせんが重要な意味を持つというならば、保証人なんて要らないんじゃないか、こういうふうに私は思います。  この保証人問題については、先ほど金利の問題で大臣から答弁ありましたように、再度御検討いただいて、実行までの間に、いよいよ貸し出しが始まるまでの間に、この問題についてもう一回、この改善措置についてとっていただくことができるかどうか、あわせてこの二点について、御答弁をいただきたい。第一点目については、大蔵省の方からもあわせて御答弁いただきたいと思います。
  72. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) まず、第一点の母子家庭、あるいは交通遺児家庭の問題でございますが、私どもは、この進学ローン対象として、当然母子家庭とか交通遺児家庭が、入るとか入らないとかという問題として議論しているわけではございません。やはり財政資金を預かって融資をするというたてまえをつくっております以上、返済能力というところは、まず一つの問題であろうかと思います。そういう意味では、母子家庭であっても交通遺児家庭であっても、返済能力があると認められる場合には、国民公庫は融資をするというのが原則でございます。  それから第二番目の、郵便貯金をした交通遺児あるいは母子家庭についてどうかという問題でございますが、これは……
  73. 案納勝

    案納勝君 それは別だ。それはいいよ、答弁しなくて。
  74. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) それでは第三番目の保証人の問題でございますが、これも、財政資金を使って融資しております以上、保証人を一名出していただくというのは大原則でございます。国民公庫のもろもろの貸し付けにつきましても全部保証人を徴しておりますし、政府系の金融機関で保証人を徴していないのは、先ほどのマル経だけでございます。したがいまして、今回につきましても保証人を徴するということで考えておりますけれども、なかなか進学資金の貸し付けに当たりまして、保証人を探してくるというのは、非常に困難な点も多いということは、われわれも十分承知しておりますので、今後、この保証人にかわる保証機関、そういったものの設立につきましては、十分検討いたしたいと思います。  それから、衆議院の大蔵委員会で、銀行局長が、郵政大臣のあっせんは重要な意味を持っておるという答弁をしておりますが、これは郵政大臣のあっせんが進学資金の貸し付けの前提となる、条件となるという意味で重大だと申し上げておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、国民公庫が審査あるいは回収その他の責任を持っておりますので、郵政大臣のあっせんがございました場合でも、金融審査という面では返済能力が確実かどうかという審査をいたします。しかし、郵政大臣のあっせんは、郵便貯金が瑕疵なく行われた、積立貯金が瑕疵なく行われているということを証明していただく書類でもございますので、そういった、郵便貯金を瑕疵なく積み立てられた方であれば、当然返済能力もあるのではないかというふうに考えられますので、事実上は、こういうあっせんがあったケースにつきましては、融資をしないというようなことはないのではないかというふうに考えております。
  75. 服部安司

    国務大臣服部安司君) この借り入れを受けるについて、保証人一名を必要とするという点で、大蔵委員会で徳田銀行局長が、郵政大臣のあっせんは即証明書であるというふうな御指摘でありまするが、ただ借り入れを受けるための証明であって、返済のための証明ではないと私は理解いたします。はっきり申し上げて、借りたものは返さねばならないという立場からいたしますると、私は、ある程度、御利用された方もそれなりの責任を持つべきである。また一面、しからば私、郵政大臣が証明書にかわるのだから、これでいいじゃないかとなると、今度は、不払いがあったら全部郵政省がけつをふかねばならないということになってくると、これは大変な問題につながります。  そこで、案納先生が保証人不必要論、また先般来ずっと木島先生、青島先生、最上先生、みんなから、この問題指摘を受けたことをはっきり記憶いたしております。その都度私はお答え申し上げておりますことは、やはり利用された方は必ず返さねばならないのである。これが返還がおくれると、後々続いて利用する方に大きな迷惑につながるわけでありまするから、一年だけでいいというなら、また別に考え方がありましょう。そこで私はお答え申し上げていることは、ひとつこれをやらしてみてください。その実行に入って動向を、利用状況を見ながら、何かの制度を大蔵当局と相談しながら決めていきたい。そうして先生指摘の、利用者に大きな苦しみをかけないような施策を推し進めたい。  ただ、新しい出発でありまするから、全くわれわれにもどの程度の利用があるのか、またどのような方法が一番いいのか、やはりこれも利用者の立場に立ってやらねばならないということを考えると、まことに御満足いただける答弁ではないと、私も万々承知いたしておりまするが、このような答弁しかできない立場もひとつ御理解を賜りたいと思います。
  76. 案納勝

    案納勝君 時間がありませんので、用意をしました質問は、大蔵大臣等がお見えになったときに、再度時間を見つけたいと思います。  大臣、この一連の審議を通じまして、問題点は整理をされてきていると思うんです。だから、やはり進学ローンが回ってきた背景、持っている意味、そして郵便貯金をしている零細な国民の利益をどうやって守っていくのかという視点を、大臣、いつでも管理をされる立場ですから、それで私はぜひがんばってもらいたいんです。  特に第一線に働いている人たちが、やっぱり励みになって、そしてその中で国民と接点がつくられていくような、そういう意味での私は制度というものがつくられてくる、単に機構や組織論だけで割り切れない、今日の世の中の変化に合わした政策というものを、ぜひ私は大胆に進めてもらいたい。その限り、与野党上げて私はバックアップできると思うんです。  残念ながら今回のこの進学ローンについて、正直に言ってわが党も大いに悩んだところなんです。いまでも同じなんです。場合によっては審議の途中、審議未了というところまでやむを得ないのかというぐらいな腹を決めたときもありました。しかし、大臣が、少なくとも今後実際に指摘をされた問題点等については、最善の努力をしてもらう。可能ならばスタートをする前に、あるいは問題が残るとするならば速やかな機会に、各委員の先生方の御指摘をされた点について、最善の努力をしてもらうということを私どもは期待しまして、予定の質問を終わりたいと思います。  大臣の最後の御見解をお聞きをしたいと思います。
  77. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 当委員会を通じての御指摘の問題の取り扱いについては、誠意を持って努力を重ねたい、かように考えております。
  78. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  79. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵便貯金法の一部を改正する法律案(閣法第六十一号)を議題といたします。  これより村山大蔵大臣に対する質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 案納勝

    案納勝君 いま進学ローンの最後といいますか、審査をしているわけでありますが、大変御苦労さまですが、関連の大変深いだけに、幾つかの問題について質問いたします。  大臣も御存じのように、進学ローンが、昨年の四月の郵便貯金金利引き下げに伴い、当時の郵政大臣等の提起等もありまして、多くの変遷といいますか、郵政審議会等の議決等もあり、さらには政府内の調整等も通じながら今日提案をされておる、私はこれは郵政事業の特に貯金事業における零細な国民の郵便貯金の目減りを、どういうふうにして守っていくのかといいますか、逆に国民の利益をどう増進をしていくのか、保護し、福祉を増進するという立場で私はこの問題が提起をされてきたと思います。  そこで私はぜひお聞きしたいのは、まず、時間もありませんから要点だけをかいつまんでいきますが、為替貯金事業は国の独占事業でありません。類似の業務を営む金融機関も多数存在をしているわけであります。その環境の中で、なお国が事業としてこの種の業務を取り扱うことに積極的な理由はどこにあるのか、大蔵大臣は、どういうふうにこの問題について御理解をされておるのか、まず、そこからお聞きします。
  81. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私は、郵便貯金の問題につきましては、やはり重大な側面が二つあると思っておるのでございます。一つは、広く国民の大衆に安全にして確実な貯蓄手段を提供するということでございます。二万店舗、全国津々浦々まで張りめぐらされておるわけでございますので、最も貯蓄しやすい情勢にあると思いますし、国民の貯蓄手段としての利便という問題はこれは見逃すことはできないと、かように考えているわけでございます。  もう一つは、御案内のように日本の金融制度でございますが、通常の民間金融機関では融資できないいろんな資金需要があるわけでございます。それを補完する制度といたしまして、財政投融資制度を持っておることは御承知のとおりでございます。郵便貯金が、ことしも六兆数千億でございまして、実に財投原資の半分以上、約半分近くそれによっているわけでございまして、これによりまして、民間の金融機関では果たし得ない補完的な金融制度を実施しておりまして、そのことによりまして、一般会計等と相まちまして大きな役割りを果たしておる、この二点が一番重要ではなかろうかと、かように考えているところでございます。
  82. 案納勝

    案納勝君 これが大臣ね、ここのところが余り長く時間をとりたくはありませんが、国民の貯蓄手段を提供し、零細な貯蓄に利便を与える、これはそのとおりだと思います。  しかし、もう一つ、また大臣指摘をされました今日の財投の主要な財源として大きな役割りを果たしておるというのを、これを否定するものではありません。しかし、貯金法の第一条にありますように、国民生活の安定を図るということについて、これは私は零細な個人貯金、しかも九九・二%、そういう範囲の個人が郵便貯金を通じて貯金をすると同時に、この貯金をしているというのは、将来の不安に備え、そのための貯金というのが実は大きなウエートを占めているのは御存じのとおりです。この国民の生活の安定、こういうものをどういうふうに守っていくのかというのが私は政治の責任だと思う。その点については、大蔵大臣は特段触れられませんでしたが、私はやはり金を集めるだけ集めて、金を使うだけでなくて、このことについてきちんとしたやはり理解を持っていただかなくちゃいかぬ、私はこういうふうに思いますが、大臣いかがですか。
  83. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 政治の最高の問題は、国民生活の安定にあると思っておるのでございます。その意味では、あらゆる問題が、財政も金融もやはりそのことが一番大事だと思っておるのでございます。そのためには、やはり今日的な問題で申しますれば、何よりも景気を振興いたしまして雇用不安をなくすと、あるいはインフレを防止するとか、そういう各般の施策を通じまして経済の発展と安定、それがすなわち私は国民生活の安定の基礎をなすと思っておるのでございます。  先ほど、私は二つの面を強調いたしましたが、やはり国民大衆が郵便貯金をやっておるという、それぞれの預金者の動機はいろいろありましょうけれども、結局におきましてそのことは、その資金の使い方、あるいは利率の決め方、こういうところはやはり国民生活の安定を目指してやっておるわけでございます。したがいまして、物価の問題から景気の問題、そういったものを広く、やはり郵便貯金を使うときにはそういった点に多くの配慮をしなければならぬ、かように思っておるところでございます。
  84. 案納勝

    案納勝君 大臣がそういう答弁をされると、それではいまの経済はどうだと、こう聞きたいんですが、こう聞いてくると時間がかかりますから。  ただ、大臣、あなたの発想でいくと、確かに金を集める、簡易な貯蓄手段を提供する、そしてこの金を使って国民生活の安定を図る、これがある意味では貯金預金者生活の安定というふうにつながるんだと、こういうふうに言われる。私はある面ではそのことは否定をしているわけではない。今日の財投資金の、しかも政治、政策上きわめて重要な第二予算化している財投資金の中心になっていることも否定するわけでない。  ただ、大臣一つ忘れてはいないかと思うのは、国民全体として生活の安定を図り経済の安定を図っていくというのは、これは政治の大道でしょう。しかし実際に零細な貯金をしている貯金預金者の保護、利便というのを抜きにして、私はその人たちに対してどういう利便を、あるいは保護を、利益の増進を図るのかを抜きにして、私は、金だけ集めます、集めた金は政府が勝手に使いますだけでは、私は解決しないと思うんです。いかがでございますか。
  85. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) その問題に即して申し上げますと、何よりも消費者物価の安定ではなかろうか、つまり零細な預金でございますから、それが元本の目減りを来たすことがないように何より配意しなければならぬ、私はそれが第一義的な問題ではないかと思っておるのでございます。幸いにいたしまして、今日物価は、先進国の中で最も安定いたしておるのは御同慶の至りでございますけれども、この問題は忘れてはならぬと思うのでございます。  同時にまた、零細な預金でございますから、それを安全な運用をしなければならない。そしてまた、できれば財投の趣旨に従いまして、国民生活の安定する方向、いまで申しますればやはり日本全体の経済を引っ張る意味で民間金融に頼れないところに持っていく、これも間接的ではありますけれども、やはり郵便貯金というものの趣旨にある程度かなっておるんではないかと、かように思っております。
  86. 案納勝

    案納勝君 余りこれだけやっても意味ありませんが、そこでお尋ねしますが、去る三月に郵便貯金に関する調査研究会というのがありまして、中間報告を、これは郵政大臣になりますか、郵政省に提出をしておる。これは郵便貯金に関する将来の展望ないし今日的な問題について研究してもらう機関だと思います。これによりますと、パーソナル・ファイナンスの重要性、すなわち貯蓄負債、送金、決済などを含む個人の金融活動に奉仕すべきことを指摘をしておるわけであります。これは今日の変化をしてきている国民の新しい意識といいますか、ニーズといいますか、こういうものの中から私は出てきている中身だと思いますが、大蔵大臣はこれは御存じでしょうか。また御存じならばどのように受けとめられておられるのか。現状のままで国民の意識の変化しているこれらのニーズにこたえられるというふうにお考えになっておられるのか、この辺についてお尋ねいたします。
  87. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いまちょっと聞き漏らしたんですが、五十三年四月の答申でございますか。
  88. 案納勝

    案納勝君 五十二年三月です。
  89. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) そのことは、郵政審議会の方の要望事項その他は存じていますが、いまおっしゃったのはそれとは違うわけでございますか。
  90. 案納勝

    案納勝君 違います。
  91. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) それはいま存じておりません。
  92. 案納勝

    案納勝君 これは御存じでなければ、私はまあこれ以上は。ぜひひとつ金融機関といいますか、財政の元締めとして、私はぜひこれは検討していただきたい。要するに、いままで貯金をするだけ、そういう貯蓄銀行的な郵便貯金、それでは国民のニーズにこたえることができないという、そういう面での提言になっています。私はこれは将来の為替貯金事業の方向をある程度示していくものだと理解をします。したがって、大臣が知らないというならば、これはもうこれ以上あれしてもしようがありませんので、これは郵政省にお尋ねをした方がいいかもしれません。  郵政省としてはどういうふうにこれを受けとめておられるか、簡単にお答えください。
  93. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 御指摘のように昨年の三月、郵便貯金に関する調査研究会の中間報告が行われました。パーソナル・ファイナンスというものの重要性ということが言及され、この研究会につきましては、その後議事を進めておりまして、近々と申しますか、来月、再来月までには結論が出るのではないかと思いますが、これは大学先生にお願いいたしてやっております研究会でございます。そうした意味合いでは、いろいろ示唆に富む意見が多々あるものと考えておりまして、この提言を踏まえまして、郵便貯金の今後のあり方等を研究を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  94. 案納勝

    案納勝君 それじゃ次に進みますが、昨年の五月、そして九月、そして今回と、約一年の間に二・二五%金利の引き下げが行われました。大臣も御存じだと思いますが、これに伴って郵政審議会は、三回にわたって金利引き下げに伴う答申の中で、零細な国民の貯蓄の目減りについて、これらについての国民の利益を保護する立場での意見が答申をされている。  私は今回の進学ローンを通じまして、先ほど委員会で、当初の進学ローンの発想、背景というのが変化をしてきたと、こういうふうに申し上げました。いつものことながら、大企業が利下げのたびに借入金や割引手形など、有利子負担といいますか、軽くなって、その分、庶民の預金利息から削られていく、こういうことを繰り返しをしてきているわけです。  大臣先ほどおっしゃいましたが、国民生活の安定が第一義という、国民生活の不況や、国民生活の安定のために、そういう名目で金利は引き下げられますが、しかしながら、さっぱり景気はよくならないという現状です。もし庶民が、これらの銀行やあるいは金融機関から借りやすい形で借りられているならば、金利が下げられてもまだそれは私はいいんじゃないかと思います。しかしながら、今日の日本の社会の中で、悪いところは、庶民には金を貸さない、企業には低利で貸すという一方交通的な、そういう仕組みになっています。いつも預ける側の庶民が一方的に損するという仕組みになっている。その飛ばっちりが常に郵便貯金の利下げに実はかかわってくるわけです。ここに多くの庶民、国民からこの金利引き下げの問題について批判が出され、それで郵政審議会の答申となってあらわれ、進学ローンの最初のスタートの背景になった。  また、今回についても、郵政大臣は千五百万円の退職金の何ですか、そういう案が提起をされている。そういうことが、私は、国民の強い批判や意見の中で今日まで繰り返されてきている。郵便局というのは、昔から、銀行に出入りすることができなかった庶民の人たち、あるいは地方住民の人の貯蓄銀行的な、庶民銀行的な役割りを果たしてきたんですね、歴史的に。それも金を集めるだけ集めて庶民には貸さないという郵便貯金事業というのは、不合理なものなのか。この郵貯が国の財投の中心的役割りを担っているのは、先ほど大臣がおっしゃったとおり、私たちもこれは是認をします。しかし、毎年財投計画に従って政府機関に、そして企業などに低利で貸し付ける、投融資される。長引く今日の不況の中で、さらに税収は落ち込みが激しくて赤字国債という状態になっている。そこで、大量に赤字国債を発行しなくちゃならないと、こういう中で、第二予算として位置づけられるような重大な役割りを果たしていることも、これも私ども十分承知をしている。  こういう中で、郵便貯金というのは、働いている三十万の郵政省の職員がいますが、この中で、実際に第一線になって闘って働いている人たちは、まさに郵貯をふやせ、ふやせの大合唱になってきている。そして民間競合だといって非難を受ける。こういう状態に今日置かれておるわけです。庶民はためるだけで、金は大蔵省が使う。金利は、大企業の犠牲になって引き下げられる。そしてふやせふやせとやられる。今日、郵便貯金事業にまつわる仕組み、情勢というのはこういう状態になっているんです。  これに反して、国民一般がいざ金を貸してくれと言ってもなかなか貸してくれない仕組みになっていますから、今日、民間の金融機関でも、住宅や車には貸します。しかし、大臣も御存じのように、欧米諸国に比べてみて、アメリカでも比較をすればよくわかりますが、民間金融機関の中で消費金融つまり個人融資の総支出に占めるこの割合というのは、五十二年の十二月現在で、個人融資は全国銀行で八・一%しかない、金額で九兆円にしかならない。住宅を除くローンは〇・四%にしかならない。こういうところに庶民が常に犠牲になってきている今日の、私は、是正をし、改善をしていかなくちゃならない金融政策上の問題があるような気がします。アメリカでは三〇%を超している。欧米諸国、ヨーロッパの各国についても、アメリカほどじゃありませんが、ほとんど日本より上回っているという現状です。  そういう中で実はこの進学ローンというのが出てきたわけですね、大臣御存じのように。だから、たとえば先ほど論議をしましたが、郵政省自身、私たち自身主張したのも、これはあるいは郵政審議会も、財投の資金に直接影響を与えるようなことでなくして、たとえば増加額の一%、二%ぐらいならば、直接こういった庶民の人たちの利益を守っていくという立場で、目減りを解消するという意味で、国民のニーズにこたえるという意味で、進学ローンの貸し出しをしたらどうか。せめてそのくらいのことをしていくのが政治ではないかというので、実はそういう提案になってきたと思います。  ところが、今日見ますと、私は、事実上大蔵省制度上の枠の中に、あるいは組織の中で、内容的には全く国民の期待に反した内容になっているというしか理解のとりようがない。金利は、預金をすれば二・八八%、借りれば七・一%。大企業が、今回の金利の引き下げに伴って民間企業に貸し出している金利は、六%強ぐらいである。ここに第一相互銀行の資料がありますが、あるいは国民金融公庫ですらマル経というやつは六・六%、あるいは産業政策的な問題のかかわる問題については五%台。そういう中で国民が借りる、そういう意味での国民の福祉を増進をする、利益を増進をするという進学ローンについては、七・一%の金利しかつけられない。こういうあり方というのは、私は、まさに今日ここで提案されているというのは、国民の期待にこたえられるものではない、こういうふうにしか理解できない。  せめて預金金利を大幅に、積立貯金並みに引き上げてもらって、さらには貸出金利はできるだけ低位に置く。こういうことが、大蔵大臣、さらに一歩進んで進学ローンの創設された趣旨、背景からして、もっと具体的に前に出すことができないのかどうか。政策的に前に出ることができないのかどうか。  私は、このままいきますと、今日の仕組みの中では、とかく悲劇を重ねておりますサラリーローンといいますか、サラリーマン金融、こういうものが出てくる必然性を財政経済政策の中にみずから、政府自身がつくってきた。こういうふうにしか私は受け取れない。郵便貯金というものについて、本当に国民生活を守っていくという意味での制度というものを、貯金からみずからが貸し出しができる。金を集めるだけでなくて国民に一定の還元ができる、こういう道筋を私はこれを契機にして一歩前に出るべきだと思いますが、大蔵大臣、一連私が申し上げましたが、これらについてどのようにお考えになっているか、ひとつ御見解をお聞かせをいただきたい。
  95. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) ただいまの御質問で、三点ぐらいに問題をしぼりましてお答えいたしたいと思います。  言うまでもございませんけれども、オイルショック以降、各国、いま、いわば不況の調整時代に入っているわけでございます。その中で公共部門、それから企業部門、家計部門と大きく分けて、日本の場合、どこが一番まいっているかといいますと、言うまでもございませんが、企業部門とそれから公共部門、これが大変な状況であることは御承知のとおりでございます。自由主義経済でございますので、何と申しましても、所得発生の場であります私企業がやはり力をつけてまいりませんと、結局回り回りまして個人の生活の安定ということは望む得べくもないのでございます。今日実施しております財政金融政策は、その問題に焦点をしぼりまして、それがやがて回りまして個人の生活の安定と繁栄につながると、こういう確信のもとにいま政策を進めているのでございます。  第二点の問題でございますが、ただ預金するだけで借りられないということはどうもぐあいが悪いんじゃないかというお話でございます。しかし、これは日本の郵便貯金制度というものが世界にその比を見ない独特のシステムであるということも御理解いただきたいのでございます。御承知のように預入限度が決まっております。そして、これは官営でやっているわけでございます。すべてこれは免税でございます。金利につきましてはいろいろその都度郵政大臣を煩わして、そして御協調願っているわけでございますけれども、やはり税に対しましては一種の独特の地歩を占めているわけでございます。われわれの願いとするところは、民間の金融も、またその補完的な問題であります財政投融資関係、またその原資であります郵便貯金も、そろってやはり伸びていくことが最も望ましいのでございます。委員も御案内のように、昨年の実績の貯蓄増加率を見ますと、大体郵便貯金は二割四分ぐらい、一般は大体一割二分ぐらいの伸びでございます。だから、こういったことを考えますと、与信業務をやるということにつきましては、やはり多くの問題を含んでいるということをひとつ御理解願いたいのでございます。  第三番目は、さしあたり問題になっております進学ローンの問題でございます。郵政審議会あるいは郵政省の方から、今年度の予算編成に関しまして、一般の民間金融機関からは入学金が借りにくい人たちについて、進学ローンの考え方が出ましたことはわれわれも大いに多としているところでございます。しかし、ただいま申し上げましたような事情からいたしまして、便政省と大蔵省で意見調整いたしまして、そして郵政省あるいは郵政審議会でお考えになりましたこの考えを何とかして生かしたいと、しかし、そのためにはやはり財投の一元化の問題があり、あるいは与信業務をさらに郵便局に負わせることは、行政簡素化の点からもいかがであろうか、こういったことを考えましてやりましたのが今度の制度でございまして、案は御案内のとおり二本立てになっているわけでございます。  利率の問題につきまして、七・一%というのは、ほかの弱者対策の貸し付け利率に対してもちょっと勉強できないのかと、こういうことでございますけれども、これは金融制度としてまず発足させたいという考えでございます。御案内のように財投の方の原資は六・〇五%でございますので、七・一と言いますと、もうぎりぎりの線であるわけでございます。民間は御案内のように八・八八でございますから、約二%の差がある。私たちは二%の差というものは相当大きなメリットであろうと思うのでございます。そういうことを考えまして、今度は一つは金融という制度の枠の中でぎりぎりひとつやろうじゃないかと、こういう発想で、郵政省とも十分お打ち合わせいたしまして御審議を賜っているところでございます。
  96. 案納勝

    案納勝君 大臣、これ時間が私はないんで、大臣も二時間しかここへおられませんので、それはいまの点については多くの問題がありますから、それを繰り返してやっていきますと時間がありませんので、改めてほかのところでやらせていただきますが、大臣のいまのお答えの中に、零細貯蓄についての優遇策というか、これを大事にしていくという、そういうものが一つも出てきてない。私が聞いておっても、今日庶民が置かれている、国民が置かれている、そして郵便貯金の中における九九・二%という庶民の零細貯蓄、この思いやりというのが全くないというのは残念だと思うんです。  私は、ここでもう一回聞きます。零細貯蓄に対する優遇策というのは、欧米諸国の場合にも、個人貯蓄と企業預金というものについて、切り離していろいろの優遇策がとられております。今日一つの趨勢になっているものです。これは日銀の報告書の中にも明らかになっている。ここで読み返しはいたしませんが、大臣としても御存じだと思います。  確かにいま大臣が言われましたように、郵便貯金及び銀行など、いわゆるマル優に対する非課税制度郵便貯金にはあります。しかしながら、貯蓄の元本が今日のように目減りしている現状においては、余りこれは意味がないんじゃないですか。昨年の経済白書で、減速経済下においてもわが国の高貯蓄性向は依然続いている、こういうふうに指摘をしているが、今日もなお続いている。しかし日銀の貯蓄増強中央委員会から発表されました貯金に関する世論調査では、国民が貯蓄を目的としている主要なものが病気や不時の災害に備えるもの、子供の教育費、結婚資金、老後の生活のため、土地、家屋の買い入れのためと、こういうことで、特に病気や不時の災害に備えるもの七九・六%に上ると報告をされている。  国民は余裕があって貯金をしているのではない。余裕があって貯金をしているんならば、それは目減りをしようとあれしようと、国はどうぞお使いなさいと。社会保障制度が今日の段階でまだ十分でないだけに、国民が先行きの不安を感じて、貧しい中から貯金をしている零細貯金であります。こういう中で私は、この貯蓄を中心にして生活を維持していくというものが不可欠な関係にあることを考えて、政治というのは、そういうものを保護していくということがなければ成り立っていかないんじゃないでしょうか。これらの貯蓄実態からして、これらの生活維持に必要な一定額までの貯蓄、零細貯蓄についての保護政策というもの、私は、目減りからこういうものを保護していくという施策が、今日十分なされなければならないではないか。  この一環として出されてきたのが、中途半端であっても進学ローン。あるいは進学ローンじゃなくして個人貯蓄と事業用の預金との区別をつけて、これについて優遇措置をとっていくという政策のあり方というのは、私はこの際、明確に政策を打ち出してしかるべきでないかと思うんですが、大臣どうお考えになりますか。
  97. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 日本の貯蓄性向が高いことは事実でございます。大体オイルショック前でございます二〇%ぐらいでございましたが、オイルショック以降、いろんな原因が挙げられましょうけれども、大体二五%ぐらいに上がっておりまして、今日は若干下がったと思いますけれども、なお二三、四%に上っておりまして、先進国の中では最も高い方に属しておるのでございます。預金をしている方々のアンケート調査をいたしますと、いま御指摘のように、将来の不時の出費に備えて、あるいは子供の学校のために備える、あるいはまた家屋の建設資金に充てる、あるいは老後の保障、これがほとんどもう例外なく一位から四位まで占めておることはよく承知しているのでございます。  ただ、ほかの国でも同じような需要は私はあると思うのでございますが、日本でどうしてこんなに高いのか。いろんな説がございます。御案内のように今日の年金は、もらっている人から言いますと世界的水準に達しておりまして、大体、厚生年金では十万五千円ぐらいに標準世帯でなっておりますから、私は、もらう人は少ないですけれども、これは老齢化の関係でございまして、給付水準としてはやはり世界に大体比して遜色のないところに来ておると思っております。家屋につきましては、おっしゃるように世界水準から見ますと、私はまだずっと低いと思っておるのでございます。  どうしてもやはり日本人と申しますか、一つの考え方は、よく言われるのでございますが、日本人はラテン民族なんかと違いまして、今日の楽しみよりは将来に備えるという一つの民族性があるんじゃないか。あるいはまた、ある説をなす人は、貯蓄も消費も大体可処分所得に比例するんだ、だから税金が低いとか、あるいは強制的な社会保険料が低いということが、やはり相対的に貯蓄を高くしているゆえんであるという説をなす学者もおるのでございます。  いずれも一面の真理を含んでいると思うのでございますが、いずれにいたしましてもこの問題は、貯蓄をせいとか、あるいは消費をせいということではなくて、それぞれの家計が最も賢明に選択すべき問題である。そしてその選択の結果出てまいりました貯蓄というものを、一体どのように国民経済的に使わしていただくことが最終的にわれわれの、国民の幸せにつながるか、そういう問題として私たちいま考えておるところなのでございます。そういう意味で申しますと、これから消費を勧めるとか、あるいは貯蓄を勧めるということは、これは私は家計の選択の問題だろうと思います。  それから、先ほど案納委員が言われました、まだ消費者ローンというものが非常に少ない。事実でございます。これは私は時代の趨勢によりまして、やはり自然とニーズが出てくるのであろうと思っておるのでございます。そういう意味で去年あたりから、各民間の金融機関も相次いで教育ローンを実施いたしているのでございまして、これも私は強制すべき話ではなくて、自然にそういうニーズが出てきたときに、いかに対応していくかという問題であろうと思います。これから、いまの企業の状況がこのようでございますので、私は消費者金融のウエートはだんだん大きくなってくる。住宅ローンを別にいたしますと、今度の進学ローンもその一つのあらわれである。われわれは民間金融の教育ローンを知っておりますので、それとはかなり格差をつけたところで、そして民間金融ではなかなか得られない人たちに対して、いかに対処すべきか、こういう問題意識で今度取り上げさしていただいている、こういうことでございます。
  98. 案納勝

    案納勝君 大変な問題が答弁の中にあるんだが、時間がありませんので、最後に大蔵大臣にお聞きします。  ゆうゆうローンの限度額ですね、これは郵政大臣が本来は所管でしょうが、これは郵政大臣だけでは決められないでしょうから。貸付限度額が今度五十万に引き上げになりましたね。この制度というのは、大蔵大臣が衆議院の大蔵委員会でも答弁をされていますが、貯金払い戻しにかわる一時的な貸し付けなんですね。そうなりますと、財投原資への影響は全くないと言ってもいいんじゃないでしょうか。この際、この限度額を廃止して、担保するうち預金額の九割以内は貸すという、そういうことにすべきじゃないでしょうか。  これは大臣が、衆議院の五月九日の大蔵委員会でお答えになっています。進学ローンの性質の違いというやつです。私の言うとおりだったら、五十万なんという、三十万、五十万というような制限をつけないで九割までは貸す、これは自分の貯金を払い戻すやり方ですから一時的なものですから。ここに五十万円なんというのは意味はないと思いますが、これについて、大臣、最後ですが、はっきり、ひとつそういうふうに九割以内については制限をつけない、こういう御回答をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  99. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私は、財政金融という問題は、まあ理論問題であると同時に、すぐれて現実問題だと思っておるのでございます。そういう意味で言いますと、実際ゆうゆうローンを借りている人の平均を調べていただきますと、大体八万円ぐらいだという平均が出ておりますので、いまのところその必要はないのではなかろうか、かように考えております。
  100. 案納勝

    案納勝君 それは抑えられているから、八万円ぐらいで。しかし、自分が貯金をしているやつですから、いずれにしても払い戻しにかわる一時的なものですから、私はそういう措置をとってしかるべきだと。しかし、ここで時間がなくなりましてもうまことに残念なんですが、いずれこの問題については、決算あるいは予算委員会等を含めまして、さらに大臣の見解をお聞きしていきたいと思います。  大臣、最後ですから私の方の意見だけ、大臣のお気持ちを聞くためにも申し上げておきたいと思います。中身に入ることはできませんでしたが、いずれにいたしましても貯金会計の赤字の問題もあります。これは、私は郵便貯金事業の中の責任でなくて、大蔵省の責任だと思います。これは単に郵政省だけの責任ではありません。速やかに私は大蔵省の責任でこの累積赤字については解消をしてもらいたいと思います。  あわせて、先ほど私が申し上げましたように、進学ローンが出てきた、国民の新しい変化、そういうものを速やかにキャッチして政策の上へ生かしていく、大蔵省のなわ張りの中で問題を解決しようとしても、今後解決ができないという、そういう意味の一端が実は進学ローンに私はあらわれてきたと思います。金利の引き下げがまともに庶民にかかってくる、こういうことでは、私は今後について、郵便貯金の零細な貯金を預けている国民の利益は守っていくことはできない。郵便貯金事業、そして国民の零細な貯金をどうやって保護していくのか、こういう立場に立っての今後の取り組みを、大胆に、やはり従来の仕組みの中からはみ出してでもそれを取り上げていくのが、国民の新しいニーズにこたえる道だと思う。  大蔵大臣指摘をされています今回の進学ローンについての問題点は、整理をされています。この辺について、郵政大臣その他との御協議もあるでしょうが、前向きで取り組んでいただくことを特段に要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 中野明

    ○中野明君 せっかく大蔵大臣おいででございますので、私、最初に、昨年から本年にかけて、前後三回にわたって郵便貯金金利が引き下げられました。その都度、大蔵大臣郵政大臣金利引き下げの要請をなさったわけでありますが、大蔵大臣として、このような金利引き下げの要請をされた当事者として、御所見を最初にお伺いをしておきたいと思います。
  102. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今日の日本の何よりの急務は、私は、景気を回復し、それを着実な回復軌道に乗せていくことにあろうと思うのでございます。そういう意味で、最近におきます資金需給の現状から見まして、また消費者物価の安定等を考えまして、一般的に金利を、戦後最低の水準に引き下げていただいたのでございます。  この問題は、三十何兆という大きな資金量を持っております郵政省の御協力なくしては、これはできない相談でございます。そういう意味で、郵政省にお願いし、郵政審議会の委員の方々を煩わしまして、そしてぜひひとつ御協力をお願いいたしたいと、かようにお願いしたところでございます。  幸いにして御理解賜りまして、いま金融政策が着々とその実を結びつつあることを、非常に喜んでいるわけでございます。同時に、この機会に、厚く感謝申し上げたいと存じます。
  103. 中野明

    ○中野明君 郵政審議会も理解をしたという意味のお話でございますが、無条件で理解をしてるんではございません。その点はぜひ御認識の中に入れておいていただきたいと思うんでございますが、先ほど来話がありましたように、この郵貯は、財政投融資の原資として非常に政府、財政当局者としてもありがたい原資だと、このように御理解をなさっていると思いますが、この郵便貯金に対して、先ほど来話が出ておりますように、もうそろそろ、一定の制限額を設けて、そして貸付制度をするべきじゃないかという、そういう時期が迫っている。また現実貯金者の気持ちも、そういう方向に進んでいるというふうに私どもは受けとめております。  とにかく、大臣も御承知のように、サラリーローンというのが最近目立ってふえてまいりました。いろいろと悲惨な報道がなされている中に、なおかつサラリーローンに足を運んでいる人が後を絶たないというこの現実、これは非常に小口の融資、これがなかなか手近なところでないと、そういうところからこういうものが発生してきていると私どもは受けとめているわけです。こういう実情から考えまして、郵便貯金の、当初予定したよりはいわゆる職員の皆さんの努力でふえた分の何割かでも、いわゆる限度額を設けて、三万とか五万とか、そういう小口の融資というものを郵政省でやはり取り扱うことが、これがこの預金者の利益を守る、こういうことに通じるんではないかという考えを私持っておりますが、この点、大蔵大臣の御意見をお聞きしたい。
  104. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 先ほどもお話し申し上げましたように、いま民間の金融機関も、こういう不況の際でございますので、公共性の上に立ちまして、預金、貸し金の利ざやはいま都銀はもうマイナスでございます。しかし、それはやはり公共性がありますので、われわれとしては、この際こそ民間の金融機関もやはり社会的な使命を果たすべきだと、こういうことで指導をいたしているのでございます。  郵便貯金につきましては、先ほど申しましたような民間金融機関との競合関係がございます。したがいまして、その問題を解決しないままに郵便局から直接与信業務をやるということは、全体の今日の体制のもとでいかがであろうかと、その点について私たちは疑問を持っておるのでございます、率直に申しまして。しかし、おっしゃるように民間金融ではどうしてもやれない、補完的な金融が必要であることも私は委員と同感でございます。そういう意味で、いわば郵便貯金の原資をいただきまして、そして御案内のようなもろもろのいわば谷間にありますところの金融を、いま埋めている状況でございます。  今度の進学ローンは、いわば消費者ローンの第一歩を今度はこのような形で提案さしていただいてるのでございますが、将来を展望いたしますと、だんだん消費者金融という社会的ニーズが私は高まってくるのではなかろうか、そういう意味では、いま中野さんがおっしゃいましたような点を十分踏まえながら、これで終わることなく、今後のニーズがどうなるか、それに対して、一体、郵便貯金その他を原資とするところの財投というものが、どのような役割りを果たしていくのか、これは真剣に考えてまいらねばならぬ、かように思ってるところでございます。
  105. 中野明

    ○中野明君 特に今回、郵政大臣、過日来の当委員会答弁でも、非常に御苦心をされた跡が私どもありありとわかるわけですが、郵政大臣としては、貯金者の利益保護という郵貯法の精神というもの、これをもう最大限に認識をして、今後とも努力をなさっていくことと私、思うわけです。  こういう点について、郵政省でいろいろと、これからも貯金者の利益保護のために考えていくんですが、大蔵省として、こういう点について、やはり大蔵省も財投の原資を郵貯から賄っておるわけですので、その辺について協力をしていくというんですか、郵政省貯金者の保護をするために考えていく施策について、これは協力の姿勢でおられるかどうかですね、もうその辺がぼくは非常に、今回の進学ローンにつきましても、何かしら、郵政省の方からこの進学ローンののろしが上がってくると、それらやはり現状の中ではちょっとぐあいが悪いということで、厄介な手順を経て国民金融公庫から郵政省に委託をすると、まあこういうような厄介なことになっておるわけです。その辺、今後の大蔵省のお考え方、これをこの際、お聞きしておきたいと思います。
  106. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今度の進学ローンにつきましても、先ほども申しましたように、私は、非常に発想はすばらしいと思ったのでございます。ただ、いろんな制度上の問題がございますので、調整をさしていただきました。私と服部大臣の間では何の隔意もなく、もうフランクに話し合いまして、そして今度のような案にまとまったことは非常にありがたいと思っておるのでございます。  今後、それぞれまあ所管は違いますけれども、今後ともお互いの立場を理解し、そして国民経済のため何をなし得るか、この点について十分な協力体制をとってまいりたい、そしてまた理解をだんだん深めてまいりたいと、かように思っているところでございます。
  107. 中野明

    ○中野明君 今回のこの進学ローンにつきましては、私どもも非常に不満ではございます。当初われわれが考えておったのと違いますので非常に不満でありますが、郵便局の窓口でとにかく借りられるということになったと、この一点は前向きに私どもも前進だと、こうとらえておる次第でありますが、この中身につきまして、これ、返済期間が非常に短いとか、いろいろ議論が出てるわけですが、この返済期間をお決めになった根拠ですか、これは大蔵大臣、国民金融公庫と両方で貸し出していくわけなんですが、この返済期間をこんなに短くされたその理由は、どこにございますか。
  108. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これは当初いろいろな案がございまして、最初はまあ二年という案もあったようでございますが、やはり金融制度にのっけるわけでございますので、やはり在学期間に延ばして、そして一時の返済負担をできるだけ軽くした方がいいんじゃないか、こういうことで。そうかといって、入学金を借りるんでございますので、据え置き期間まあ一年にいたしたのでございます。実際問題として考えてみますと、まあこれは本人または保護者の方か多分——弁済能力は恐らくそこに、主として私はやはり保護者の方にあるだろうと思うのでございます。五十万といたしまして、あるいは五十四万として、で、三十六カ月で割りますと一万三千円ぐらいでございます、月の返済額。で、今日の国民の生活水準から申しますと、私は、大体やっていけるんじゃなかろうかというふうに見ているわけでございます。  ただ、いろんな委員会の話が出まして、交通遺児であるとかあるいは母子家庭ではどうだろうかと、こういう話がございまして、なるほどそういうところは、お困りのところはあるかもしれぬなと。これは金融制度に乗っかっているのでございますので、その点はひとつ運用面で十分検討さしていただきますと、こういうことをお答え申しておるのでございます。どのような運用面でやっていきますか、郵便局の方もございますし、これから相互に打ち合わせながら、何とかその辺のことについては知恵をしぼってみたいものだと、かように考えているところでございます。
  109. 中野明

    ○中野明君 いま在学中というふうに、二年だったのを大体在学中にまでしたんだと、こういう御返答でございましたが、大蔵大臣のお答えの中に、返済者は主に保護者、そしてまた本人と、こういう言葉も出ましたが、どうも私、この返済期間を在学中にしたというその物の考え方が、子供のめんどうは親が見るのが当然なんだというところから出発しているんじゃないだろうか、こう思うわけです。  しかしながら、現実に大事なことは、こういう制度をつくるに当たりまして、やはり子供が将来学校を卒業して就職をすると、その就職して自分の得た収入の中から親の苦労に対して報いていくと、こういう物の考え方があってしかるべきではないだろうか。もう最近は、大臣は私どもと戦前ですから、よく御存じだろうと思いますけれども、最近は、子供が親にめんどう見てもらうのはあたりまえで、子供が親のめんどうを見なくてもいいんだというような、こういう極端な考え方も一部にあるやに私どもも憂えております。  やはりせっかく制度をつくられるわけですから、そういうことを制度の物の考え方として、返済期間を延ばすということは、子供が学校におるときにアルバイトして払えというのは、これはむごい話でして、やはり学校を卒業してから一部でも親の苦労に報いると、こういう考え方をこういう制度の中から植えつけていくことが、私は国の将来にとっても非常に大事なことじゃないだろうか、このように思いますし、返済期限を延ばせば、いま大臣がおっしゃったような別途考慮するせぬにかかわらず、収入のかなり低い人でも返済期限を延ばせば、それなりに今度は資格者がふえてくるんじゃないだろうか。母子家庭とかあるいは交通遺児家庭も、返済期限が延びれば、収入の面でも条件が整ってくるんじゃないだろうか、こういうふうにも考えるわけですが、この点、この返済期間を延ばすお考えは、郵政大臣と相談なさる余地がないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  110. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 民間の金融機関で借りている実績、いわゆる教育ローンでございますが、やはり五十万程度平均のようでございます。したがいまして、その辺に貸出限度はめどをつけたわけでございます。  それから返済期間、長ければ長いほどよろしいことはよくわかるわけでございますけれども、やはり限りある財投原資を使うわけでございますので、できるだけ多くの人に利用していただく。実は国民金融公庫では、二百億今年度予算では用意してございます。沖繩金融公庫の方では大体二億ぐらい用意してあるのでございまして、七万人ぐらいが大体借りるんじゃなかろうかと、こんな予想を立てておるところでございます。そういう意味で、限りある原資をできるだけ多くの人に使っていただくという意味から申しまして、いわば在学期間ということにさしていただいたのでございます。  別途日本育英会のようなものが、御承知のように、これは卒業後本人が働いて返すというシステムのものが、別に文教政策の方からまた立てられておるのでございます。これはどっちかと申しますと、親に、全然保護者には金融能力はない。本人が、学資を全部出していただいて、そして卒業後かせいで返すと、そこに着目いたしているわけでございますし、今度の場合は、間々やはりアルバイト学生なんかはこういう本人が在学中に返すということもないことはないと思いますけれども、主としては、やはり保護者の方の保証力、それに着目さしていただきまして、とりあえずこのような制度でスタートさしていただきたい。  いろいろな制度があるわけでございますので、文教政策上のこういう制度、あるいは厚生省サイドにおける類似の制度もございます。その中で、どのようにとりあえず発足の形を整えるかと、こういうことで今度のような提案をさしていただいたのでございますが、その辺の問題は全部に絡みますので、将来の検討事項にさしていただきたいと、さように思っているところでございます。
  111. 中野明

    ○中野明君 それからもう一点確認をしておきたいんですが、郵便局に積み立てをしまして、そうして郵政大臣があっせんをした人は、もう例外なく融資が受けられるかと、こういうことについて、少しあいまいな点もあるやに聞いたんですが、その辺はどうなんでしょう。積み立てをした人で大臣があっせんをした人は、例外なく融資が受けられる、こういうことになっているのでしょうか。
  112. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 金融の問題でございますので、返していただくということがどうしても前提にならざるを得ないのでございます。したがいまして、もう一〇〇%間違いありませんということは、残念ながら、金融問題でございますのでお答えできません。しかし実際問題として、五十四万円まで積み立てる能力があるということ自身は、やはりその人の担保能力を事実上物語っておると思うのでございまして、断わられる例なんというものはめったにないんだろうと、私はひそかに思っておるのでございます。しかし、事は金融でございますので、一〇〇%どんな状況になっても一人残らずと、これはなかなか申し上げかねるということはひとつ御理解いただきたいと思います。
  113. 中野明

    ○中野明君 もし断わられるとしたら、どういう場合を想定なさっていますか。
  114. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 余り言わない方がいいと思いますけれども、どんな場合でしょうか。一遍預けたけれども、全部すっかり引き出してしまって、その後破産してしまった。ときに貸してくれぬかと、これはやっぱり金融としてはちょっと考える問題ではなかろうか。別に保証人でもおれば別でございますけれども、そういうことだろうと思います。
  115. 中野明

    ○中野明君 それでは、一応、大臣が積み立てをしたということであっせんをした人は、ほとんどの人が借りられると、このように理解してよろしいかどうか、それをもう一度。
  116. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私は、もう大部分がそうなるだろうと、これは私の想像でございますが、そうなるであろうと思います。
  117. 中野明

    ○中野明君 先ほど案納委員からいろいろお話が出まして、あとは重複いたしますので、これで終わります。
  118. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ関連で、大蔵大臣せっかくお見えでございますので、ただ一点だけ御質問いたします。  午前中も質問いたしておったんですけれども、利子が七・一%ですね。これは国民金融公庫で中小企業者の方々に貸し出す金利と一緒である。で、一面、少しは性質は違うかもわかりませんけれども教育という土俵の上から見れば、育英資金というものは無利子であり、で、私学の場合は三・六、そうしてもう少しなれば五・五%と、こういう形になるんですけれども、私は、教育という名前がつく以上、政府として、子弟に対する教育、こういう点を考えますと、いわゆる経済の、そういう金融のパーセント的な方法とごっちゃにするような利率であってはいけないと、こういうふうに私は考えるわけです。せめて中間ぐらいの、そういういわゆる線というものが討議をされなかったのか。どういう状態になったのかということを大蔵大臣にお伺いしたいと思うわけです。
  119. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これは、最初に申し上げましたように、金融制度として考えておるのでございます。したがいまして、金融制度の原資か六・〇五でございますので、もちろんぎりぎりの線でございまして、事務の手数料を合わせますと、大体七・一%という基準金利がぎりぎりの線だということで、それで出さしていただいたわけでございます。  別途、国民金融公庫につきましては、別にもっと安い金利もたくさんございますけれども、これは、どっちかと申しますと、金融制度というよりも、いわば弱者救済と申しますか、そういう立場に立ってやっているわけでございます。これは、言ってみますれば、市中金利がいま八・八八でございますから、そういう意味では、一般の金融機翼から借りにくいという人たちをねらったものでございますけれども、同時にまた、これを社会保障というような線では実は考えていないのでございます。  その問題は別の制度の方で、いま、日本育英会でありますとか、あるいは私学振興に関連する問題でございますとか、あるいは母子家庭に対する福祉資金もございますので、その方でやりまして、いろいろな角度から入学金の問題を詰めまして、全体のニーズにこたえたい、こういうスタンスで発足さしていただきたいということで、今度の金利は、おっしゃるように、ほかの金利から見れば少し高いんじゃないかという御批判もいただいているのでございますが、考え方がそういうところにあるということを御理解いただきたいと思います。
  120. 矢原秀男

    矢原秀男君 今後の、第二段階の検討課題として、やはりこれはテーブルの上に出さしていただいて検討していただかなくちゃいけない。これは要望をいたしておきます。
  121. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、非常に限られた時間でございますので、二、三点集約してお伺いをしたいと思っております。  せっかく大蔵大臣においでをいただいておりますので、まあそれは、財政金融問題を含めてのお話を伺いたいというふうに思いますけれども、時間の制約がございますから、端的に伺っていきたいと思います。  一つは、今日、私ども日本の国民生活実態の中で、子供たち教育というのは、大変な事態になってきているということでございます。これは、すでに御承知のように、特に私立大学入学一時金というのが、文部省統計によりましても、三十三万から九十五万というのがことしの統計でございます。これは医科歯科系を除いてですよね。さらに、私学学費ですね。学費が、自宅通学とそれから自宅外通学に分かれますし、若干の違いはございますけれども、四十一万から九十五万、年間。それじゃ、そういう学生を持つ家庭の、世帯所得構成というのはどうなっているかといいますと、これは、時間がありませんから簡潔に言いますが、年収三百万以下の御家庭で、私学学生を持つ御家庭というのが、学生の数というのが、二二・七%です。国公立におきましても、ほぼ四〇%はこれは三百万以下の世帯の方々でございます。そういうことで、政府の今日の文教政策のしからしめるわざだとは思いますけれども教育に大変金がかかるという状況になっております。  これに対して文部省の施策としては、大臣もおっしゃったように、育英資金という制度をおつくりになっておられます。ところが、これにいたしましても金額、これは私学が若干高いわけですけれども、その私学でさえも月々一万九千円ないし二万九千円という程度ですね。しかもこれの対象者というのは、私学対象者がわずかに六%です。しかも育英資金の場合は、もう申し上げるまでもなくこれは無利子で、しかも卒業後二十年間に返済をする、金額によって十年ないし十五年というのが一番多いそうですけれども、そういうことになっておるのだそうです。この育英資金の中に入学一時金という制度がない、これはひとつぜひ設けなければならないという提案が、先日、大蔵の審議の中でも、わが党の渡辺議員からも提案がありましたが、これはぜひ創設をされるということが必要だと思うんですね。  先ほどから大臣のお話だと、今度の進学ローンというのは、金融政策としてやっているのだと、貧困者あるいは福祉対策というのは別途やるんだということであれば、当然、この部分は実現が並行して図られるべき性格のものだと思いますが、これはどうですか。
  122. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今度の進学ローンに関連いたしまして、いま委員がおっしゃったような問題が、大蔵委員会でもずいぶん論議されました。これは何よりもまず、その方の専門官庁でございます文部省の問題でございますので、文部省の方もいまおっしゃったような問題については、真剣に検討してまいりたいということでございまして、私たちの方も、文部省の方からいずれ案ができましたら、財政は、おのずからその財源には限度があるわけでございますけれども、一緒になってひとつ真剣に検討してみよう、こういうことを申し上げているわけでございます。  なお、育英資金について、いま沓脱委員がおっしゃったように、大部分国立の方が多いわけでございますが、そのかわり私学の方は、特別の私学の方の振興の一環といたしまして、入学一時金の制度があることも御案内のとおりでございます。両面から検討してまいりたいと、文部省は言っておりました。ですから、その辺は専門家である文部省の方で、十分、何か委員会なんかも設けて検討しているそうでございますので、そういった検討の結果を踏まえまして、私たちもその問題に真剣に取り組んでまいりたい、かように思っておるところでございます。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣、先におっしゃっていただきましたので、私学の方は私学振興財団、それから財投の資金を使ってやっておる入学一時金分納制度という制度と、奨学金事業というのと両方ございます。これは午前中の質疑の中でも出ておりましたから、文部省から改めて御報告をいただかなくてもよろしかろうと思いますけれども、これは、私学自身が学生に貸している制度ですけれども、この制度でも利息は一般会計から補てんをし、しかも在学中は据え置きで十年間返済ですよ。卒業後五年間は三%の利息で、卒後六年以降は五・五%と、こういう制度になっておるようでございます。ところが、これは両方の制度があるんですが、これについて、現在活用されておられる方がどのくらいあるかということですね、その点ちょっと。
  124. 副島有年

    政府委員(副島有年君) 先生のおっしゃいました入学一時金の方の貸付制度は、五十二年度から始まった制度でございます。したがってまだ一年しかたっていないわけでございますが、五十二年度の実績を申し上げますと、これは実は奨学金と入学金とが込みになっておりまして、非常に分けにくいわけでございますが、入学一時金を受けた学生数は、まだ初年度でございますので、全体といたしまして百六十人でございます。それから奨学金の方を受けました学生の総数が二千三百七十二人。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはあれですか、入学一時金を受給されておられるのが百六十人というのは、医科歯科系に限っているんですか、あるいはその他の大学も含めておりますか。
  126. 石井久夫

    説明員石井久夫君) 入学金分納制度につきましては、別に医科歯科大学に限っているわけではございません。ただし実績といたしましては、五十二年度の分につきましては、ただいま御説明いただきましたように、二十五大学百六十人となっておりますが、これは医歯科大学に実績としてはそういう結果になっておるわけでございます。
  127. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、これは大蔵大臣、考えていただかなきゃならないなあと思いますのはね、せっかく制度が発足された、まだ確かに五十二年度発足したんだから百六十人だというわけですけれども、非常に大事な制度が発足されておりますが、いろいろ隘路があるんですね。やっぱり始まったばかりだから、制度が発足しますといろんな問題が出てまいります。  大学の関係者の意見を取りまとめて申し上げますと、こう言っておるんですね。たとえば留年とか休学した場合の返還猶予ですね、これが見込まれていない。それからもう一つは、本人が死亡したとか不具廃疾になった場合、これは免責規定というのがないんですね。育英資金の場合は免責規定があるわけですね。もう一つは、育英会の奨学金を受けている場合には、その金額を差っ引くんですね。大変厳しんですよね。一万九千円ほど育英資金からもらったら、こっちから、私学の振興財団からもらったお金から差っ引くというわけです。それからもう一つは、国からの大学に対する融資、これは大学学生に貸す制度ですから、原資は大学へお貸しするわけのようですが、出すような制度になっているらしいですが、現行九〇%の融資なんですね。ですから一〇%は大学の自前になるという問題。で、大学当局は、やはり育英資金という制度が片方にあるから、私学振興財団としても、せめてこちらの方も、償還期限はともかくとして、これは何とかして無利子にしたいと、学生に対しては。そういう意見等があるようでございます。  この辺のところを、これは一挙に全部というわけにはいかぬかもしれませんけれども一つは枠を拡大して——非常に予算の枠少ないですね、これは何ぼでしたかな。奨学金事業が十六億ですね、それから入学一時金分納制度は九億円、実に微々たる金額だと思いますので、こういった点の枠をひとつ拡大されるという問題、それから危険率を全部大学当局に負担させなくてもよいように、いま申し上げました四点、五点、そういう点の改善がなされるような、これは利子補給がすでにやられているわけですから、そういう点の改善という点を、一つ文部省がどう考えておられるかということを先に聞きましょう。
  128. 石井久夫

    説明員石井久夫君) 先生から御指摘のとおりでございまして、いろいろ改善すべき点があるということは承知しているわけでございますが、何といたしましても私大奨学事業は四十九年度、それからこの入学分納一時金制度は五十二年度創設されただけでございます。私どもそういうことで、まず当面は、この大学に対しましてこういう制度があるということをばPRするということ、普及するということが必要であるということに考えておるわけでございます。  それから、この事業を行うについては貸与業務とか、回収業務とか、非常に事務が繁雑になってくるわけでございまして、そういう点につきましても、私学振興財団から助成しているわけでございまして、そういう事務費の拡充に努めるとかいうような方途を講ずる必要があろうと思いますけど、ただおっしゃいました返還免除の措置がないということは、確かにそのとおりでございますけど、これにつきましては、もう少し成り行きを見させていただきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、ちょっと失礼でございますけど、先ほど大臣がお答えになったことで、ちょっと事実関係が違うところがあったように思いますので、少し説明させていただきたいと思いますが、それは、この私大のいま奨学事業とか、それから分納制度の問題とかいうものは大学に限られているわけでございますけど、先ほどの大蔵委員会だったかと思いますが、におきましても、専修学校とか各種学校に対象拡充したらどうかというお話があったわけでございます。これにつきましては、現在、私どもの方の管理局というセクションがございますが、そこの方でこの各種学校のこと、それから専修学校のことを含めましたそういう制度のあり方を検討している委員会がございます。その委員会の結論等を踏まえて、どうするかということをば研究して申し上げたいということをお答えしているわけでございます。
  129. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、私、大蔵大臣に、ひとつこういう制度について、一挙に充足がなかなかできないんだろうと思いますけれども、わが国ではGNPは世界第二位ということで常に誇っているんですがね。ヨーロッパ諸国などと比べて余りにも遜色があるところは、これは少々一足飛びにでも改善をしなきゃならぬと思うのですよ。その点で、私、ちょっと調べてみて驚いたんだけれども、イギリスの場合ですね、イギリスの場合では、自宅通学自宅外通学の場合ですが、これは一ドル二百二十円で換算をして計算してみたところが、自宅通学で五十三万七千円です。これはロンドンの場合ですね。それからその他の場合には四十九万一千円、ロンドン以外の場合にね。しかもこれは貸与ではなくて給与なんです。学生の九〇%がその給与を受けているイギリスでは、この予算総額、これはポンド、ドルで書かれていたので、それこそ為替レート二百二十円で計算してみても九百十五億ですよ、約一千億ですよ。  それから西ドイツではどうなっているかというと、西ドイツの場合は、自宅通学の場合はこれも六十七万円。それから自宅外通学の場合には八十一万円です。それでこれの受給対象率は三八%、学生全体の。わが国の育英資金というのは一〇%そこそこでしょう。もうずいぶん違うんですね、額にしても対象数にしても。そういう点、しかも西ドイツの場合は、これは給与する場合と貸与する場合とを組み合わせてやっている。この西ドイツの予算総額は、これも円に換算をわざわざしてみたんですけれども、三千三百六十八億円です。余りにもお粗末過ぎるんです。日本の育英資金というのは、年に十三万から多いところで二十七万そこそこでしょう。学生全体の対象率といったら一〇%そこそこ、こういう状況でございます。  そういう点で、これは私、先ほどから申し上げておりますように、育英資金の枠とか金額、枠を広げるということで対象者をふやすという問題。それから一人一人の対象金額を一万九千円そこそこではなくて、うんとやっぱり必要なだけ大きくしていくと、金額を引き上げていくという問題。それから、新たに設置をされております私学振興財団が始めておられる一時金の分納制度、そういったところに、九億とか三億とかという情けない予算ではなしに、その辺はひとつ実情に見合うように改善をされる必要がありはしないかと思いますので、特に進学ローン創設と並行して、こういった点を、ひとつ文部省としても見直していただく。同時に、大蔵省がその気になってもらいませんと、育英資金の問題も前聞いたんですよ、ここの委員会で。そうしたら、年間五百億大蔵省からくれているんだと、それだけでは話にならぬですよ。もう一千億追加したら一遍に枠が三倍になると、少なくとも。そのくらいの英断が必要だと思うんですが、その点について、大蔵大臣のひとつお考えを最初にお聞きをしたい。
  130. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 財政でございますので、おのずから財源には限度があることは御承知だろうと思います。われわれも文部行政あるいは厚生行政、今度は進学ローンというようなことでいろいろやっているわけでございますが、いま金額の話が出ましたけれども、その国によりまして制度の立て方はいろいろございます。  御案内のように、私学振興のための助成金という制度が発足いたしまして、これは、実はもう千九百億になっているわけでございます。それから育英資金の方は、多分ことしは百億ぐらいふえまして、六百何十億だろうと思います。そのほかに、先ほど申しましたような私学の方の新しく五十二年度から発足した制度もあるわけでございまして、これは年度発足早々でございますので、二十数億だという文部省の話でございます。それらを全体考えますと、やはり全体の教育振興のためにかなりやはり金は使っておると思うのでございます。その使い方が果たしてうまい方法にいっているかどうか、そしてどのようにそれを伸ばしていくことができるか、これが私は与えられたテーマではなかろうか、そういうことでございますので、いま委員のお話はよく承っておきますが、それぞれみんなその経緯がございまして、どの側面からやっていくかというのは国によってかなり違うようでございます。私たちもせっかく勉強してまいりたいと、かように考えております。
  131. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう少し時間があれば、もう少し詰めてお伺いをしたいところでございますけれども、時間がありませんので……。  私は、なぜこの問題を持ち出したかと言うと、今回の進学ローンというのは、それに比べると、既設の制度と比べても余りにもお粗末過ぎると。だから、それならいっそ既設の少々ましなところへ原資を注ぎ込んで、その辺で国民の期待にこたえるというところを一つは充足するべきではないかという点で、実はこの問題を、大臣の所見をお伺いをしたわけでございます。  時間がありませんからこの程度にいたしますが、最後に、これはずっといままでも委員が言われましたけれども、大蔵大臣は、いわゆる母子世帯——貧困者ですね、低所得者の問題というのは、郵政大臣があっせんするのはほとんど認められるであろうという、ほとんどという表現を使われているんですがね、これは私は、国金の方はともかくとして、郵政大臣が推薦するという分については、所得制限がありませんというのが唯一のメリットなんですよ、郵政省のこの郵便貯金法の一部改正の中でね。だから、所得制限がないというのは、上限もない、下限もないということにならないと、郵便貯金を三十万、五十万積み立てをして、そうして子供の進学に備えた、ところが、いざ借りようと思ったら、あなたのところは低所得者だから貸せませんと言われたら、一番孜々営々として努力をしてきて、子供の進学のためにという努力をしてきた最も零細な国民の期待を裏切ることになるので、その点は、要件がそろっておれば、郵政大臣のごあっせんの分については、無条件にこれは貸し付けをなさるという点をはっきりしていただきたい。ほとんどとか大部分というのでは、私ども非常に危ないと思いますので、その点だけはっきりしておいていただきたいと思うんです。
  132. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今度の制度は、低所得者をねらっての制度、しかし、金融制度の枠の中でやっているわけでございます。したがいまして、所得が低いから貸さぬとか何とかいうことではございません。先ほども申しましたように、郵政大臣からごあっせんになるのは、積み立ての実績のある方でございますから、それは事実上の審査に当たりましては大きく物を言うであろうということでございます。  ただ、繰り返して申し上げますけれども、一人も残らず、どんな事態になっても貸しますということは、金融制度だから申し上げかねると言っているだけでございまして、事実上は、それだけの保証があればほとんど問題なく貸せられるであろうと、こういうことを申し上げているのでございます。
  133. 木島則夫

    ○木島則夫君 限られた時間でございますので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  景気対策上、金利の引き下げはやむを得ない措置であったとは言いながらも、この一年間に三回も公定歩合の引き下げが行われる、預貯金がこれに連動をして引き下げられるということになりますと、本当に少ない収入の中から、将来の老後に備え、あるいは不時の病に備え、教育上必要があるからといって蓄えた、そういう人たちに、少なからず大きな不安を与えるわけでございます。これはもう絶対に否定できない。  私は、金融政策上金利の変動はやむを得ないということは認めるにいたしましても、大蔵大臣、ある一定限までの零細貯蓄に対する保護政策が伴わなくてはいけないんじゃないだろうかと思うわけでございますけれど、基本的な大蔵大臣のこれに対するお答えを、まずいただきたいと思います。
  134. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私は、やはり消費者物価との関連において、この金利引き下げというものは考えなければならぬと思っているのでございます。そういう意味で、最大の着眼点は、消費者物価と預金金利の関係を考えておるのでございます。それからさらに、いま木島委員が御指摘のようなことがございまして、例の福祉預金につきましては、百万円を限度にいたしまして、いま六・七五ということで半年間延ばしたことは、御案内のとおりでございます。  その辺を考えながら、金利というものはやはりその市場の実勢によって決まってくると、その中でどのような対策を、必要な市場金利にだけ任していないで、どこだけ持っていくか、それから市場金利というものと消費者物価の関連をどのように考えていくか、その辺に私は零細預金の最大のやっぱり保護の問題があるのであろう、こう考えております。
  135. 木島則夫

    ○木島則夫君 諸外国の例を持ち出すまでもございません。たとえばイギリスにおいては、物価スライド貯蓄であるとか、あるいは西ドイツの割り増し金制度など、これはそれぞれの国情によっても違うと思いますけれど、国情に応じての預金者保護政策というものがなされておりますね。いま大臣おっしゃった。しかし、日本において優遇措置がとられているといっても、それは非常に限られた範囲のものであるというふうに見なきゃなりません。また四十九年の十一月に国民生活審議会から出されました「物価上昇下の分配等の歪み是正策」についての中間報告におきましても、零細貯蓄の保護について、特別貯蓄国債の発行であるとか、個人小口預貯金に対する特別利子制度の導入などの提言を行っております。  政府は、やはりわが国の国情に合った、さっきから申し上げている零細貯蓄保護政策を、当然私はもう研究をされておいでのことと思いますし、研究をされているんならば、国情に合ったものを早急に実施をなさることが現在の急務ではなかろうかと思います。で、もし、そういうものを研究をしているんだけれど国情に合わないとか、ほかにこれをやると不都合が起こるというような点がございましたら、ひとつ具体的にきょうはお聞かせをいただきたいと思います。
  136. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま木島委員がおっしゃった中で、私たちが留意しなくちゃならぬ点が二つあるような気がいたします。  一つは、預金金利を消費者物価にスライドさせる、いわゆるインデクセーションの問題でございます。私はこの政策はとるべきではない。つまり、インフレを抑えることが先であって、インフレを追認するような金利政策はとってはならぬと、そう思っておるのでございます。  それから零細預金の問題でございますが、何を零細預金と言うか、これは人によって違いましょう。日本の場合は福祉預金について、一定の人は、これは身分がちゃんとわかっております。そういう人については、特別の保護政策をとっているわけでございます。しかし、もし一般的に低所得者、あるいはそういった人の預金の金利を政策的に資金の市場の実勢とは無関係に保護すべきだということになりますと、これは御案内のように、中小企業金融に分野が決まっておりまして、そこの資金コストが猛烈に高くなるわけでございます。そのことは、やがて中小企業あるいは将来は消費者ローンの問題も出てまいりましょうけれども、それははね返って大変な貸付金利の高騰になるということは、今日の経済のもとでは容易に想像されるわけでございます。  私は、経済の問題でございますので、一時的には決められませんけれども、やはりその国々の実情を見ながら、妥当な、常識的な線で決めていくべきではなかろうかと、こう思っておるところでございます。
  137. 木島則夫

    ○木島則夫君 一年足らずの間に三回の公定歩合の引き下げが行われました。企業の金利負担が大きく軽減をされたことは、いまさら数字を挙げるまでもございません。一般の庶民大衆の預金金利の目減りが、これまた大幅に減ったという事実も、いまさら数字を挙げるまでもないことでございます。こういう現実を、大蔵大臣はやはり大変なことだなあというふうに御認識をいただいているのか、これはもう金融政策上ある意味で仕方がないんだというふうにお考えになっているのか、つまりその辺の認識をどういうふうにお持ちなのかを聞かしていただきたい。
  138. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) われわれは、預金の目減りという場合に、元本の目減りを通常言っているのでございます。四月の全国の消費者物価の対前年同期比は三・九%でございまして、先月発表になりました。一年定期でございますと、御案内のように、いま四・五%でございますので、元本の目減りはしていない。今度の公定歩合を下げましたときも、物価との相関関係を考えまして実施さしていただいたところでございます。
  139. 木島則夫

    ○木島則夫君 短い時間の中で詰めをもう少ししたいのでございますけれど、先にまいります。  当委員会で審議をされてまいりました教育ローン問題に、具体的なお話を移したいと思います。  いま審議をしておりますこの教育、いわゆる進学ローンは、発想としては私も大変結構なものだと思いますが、ここで論議をし、審議を重ねているうちに、その発想のよさとはうらはらに、何か問題点余りにも出てき過ぎて、私も首をかしげるような場面がたびたびあったわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお伺いをしたいのでありますけれど、そもそもこの進学ローンが発想された背景には、さっきから私が申し上げているように、一年間で三回も四回も公定歩合が引き下げられる、それに連動をして預貯金金利も引き下げられ、これがためにこうむった預金者の目減りを、どうやって救っていくか、守るかという点が大きな背景となって発想されたことも、事実だと思います。こういう損害に対して、目減りに対して、どうやって零細的な貯蓄者を守るかという点がなければ意味がないことでございます。  ところが、この進学ローンの発想が持ち上がりましてから、大蔵省当局の御意見をここで伺って、それを概観をいたしますと、たとえば政府資金の一元的金融、財投の一元化、それから、本来教育に対する援助というものは、育英資金など文教政策上で行っていくのが本筋であるというような御意見、また債権の取り立て能力もないような郵便局がここまでやることになりますと、これは、その枠を超えることになりはしないかなど、主として金融政策あるいは組織、制度上の枠の中で論じられてきたわけでございます。  こういう言い方をいたしますと、大臣は、それは感情論だとか、あるいはムード論だとおっしゃるかもしれないけれど、さっきから言っているように、教育ローンの問題は、いわゆる郵便貯金の庶民大衆という利用者の利益を、いかにして守っていくか、守るかということから発想されたもので、この点が、どうもいままでの論議の中で、特に大蔵省当局のお考えの中に脱落してやしないだろうか。大臣も、他の委員の御質問に答えまして、発想としては大変結構だとおっしゃりながら、現在の金融制度の枠あるいは組織論の中で、このことを論じられようとされている。いい発想のものであるならば、その発想に見合うようなやはり制度運営というものを新しく考えていかなければ、結論として、中途半端にならざるを得ないのではないだろうか。したがって、論議を重ねているうちに、何か中途半端なものに落ちつかざるを得なかったというのが、私の率直な印象でございます。  特に貸付利率が非常に高いということ、これはもう先ほどからたびたび論議をされております。貸付期間あるいは据え置き期間が短い、保証人を立てなければならないなど、貸付条件についての不満が、各委員から示されているとおりでございます。  で、発想としてはとてもいいんだというおっしゃり方の中でこの問題をとらえていくそのとらえ方が、片や金融政策上でしかとらえられないということになりますと、何か私は、中途半端なものにならざるを得ない、そのところをひとつ大蔵大臣、篤とお考えをいただいて、政府に改善の御意思さえありますれば、いまからでも改善できるものでございますから、私どものこの場における論議を大いに反映をさしていただきまして、たとえばこの際、貸付条件の改善などを前進をさしていただけないだろうかというのが、私の率直なお願いでございます。いかがでございましょうか。
  140. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 進学ローンの構想が、郵政省あるいは郵政審議会の方から出ました。私は、やはり金融制度としてとらえておられたなと、こう思うのでございます。  それから第二番目は、目減り補償というよりも、やはり郵便貯金をしている人に何らかのメリットを与えろ、それが根本的な発想であっただろうと私は思うのでございます。先ほど申しました数々の理由によりまして、若干調整さしていただきました。しかし私は、やはり郵便の積み立て貯金をやっている方は、片やその郵便局を通じまして約五十四万円を限度にして借りられますし、また一方におきまして、所得制限はあるとはいうものの、普通の国民金融公庫を通じまして五十万借りられるわけでございますから、普通の人の倍は借りられるのでございます。もちろん金融制度の中でございますので、それぞれのある種の信用担保が必要なことは言うまでもございません。  ただいま木島さんがおっしゃいました、いろんな条件について、もっと考究すべきであると、これは大蔵委員会においてもずいぶん出ました。とにかく私が申し上げたことは、そういう構想で出ましたので、一遍発足さしてくださいと。で、どれぐらい一体資金需要があるのか、またどこに隘路があるのか、まあこれはだんだんと試行錯誤的にやっていかなくちゃならぬので、どうぞひとつ、とりあえずこういう制度で政府両当局間で合意を見たので、この制度でひとつ発足させてください。なお、運用面で考えるべきことも二、三あるようでございますので、先ほど申しましたような意味で、それまで十分考えさせていただきます。こういう各委員の貴重な御意見、これも十分生かしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  141. 木島則夫

    ○木島則夫君 結構です。
  142. 青島幸男

    ○青島幸男君 偶然のことながら、私、最後になりますので、なおちょっと疑点として残っております部分を確認いたしまして終わりたいと思うんですが、まず母子家庭、交通遺児等の家庭でも、きちっと積み立てをしていさえすれば、おおむね大丈夫だろうという御答弁をいただきまして、これはそのとおり私も理解いたしました。もともと悪意を持って事を行うような方以外は、あるいはよりより、まあ特別の事故とか、そういうことのない限りは、おおむねあっせんを受ければ借りられるであろうと、これは了解いたしました。  それから貸出利子の七・一%、これは動かないこと、もう再々承りました。  もう一つは、預け入れ金利の問題ですけれども、三年にわたって積み立てをいたしまして、いよいよ進学をする段になりまして、希望いたしました学校に入ることができなかったと、息子さんが、学生さんが。で、それだったらいっそ職業選んだ方がいいんじゃないかということで、断念するようなことがあるかもしれませんね。こういうケースがあった場合に、普通の積立貯金と同じ扱いで、二・八八でなく三%に認めて、この用途変更といいますかね、そういう届け出をすれば三%に認めるというようなことがあるのかどうか、その点、まずお尋ねします。
  143. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) そのようになっておるのでございます。積み立てて実際利用されない場合には普通の金利でやると、三%ということになります。
  144. 青島幸男

    ○青島幸男君 了解いたしました。  それから在学中に返済をする、こういう期間の問題でございますけれども、当然これは何年か留年するということも想定の中には入っているわけでございましょうから。たった四年で卒業する——一年据え置きがありますから、まあ三年で返すはずでございますけれども、不幸にしてか幸いにしてか、二年留年をしたといたしますと、当然その期間は延ばされるということに相なりましょうか。いかがでございましょう。
  145. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 現在、まあ四年限度ということになっておるのでございます。まあ通常の場合の回転期間をいま考えてやらしていただいておるのでございます。
  146. 青島幸男

    ○青島幸男君 保証人の問題でございますけれども、再三、この問題につきましては、郵政当局ともいろいろお話し合いがあったと思うんですけれども郵政省のいままで持っております事務当局の能力とか、それから地元の利用者の方々との歴史的な結びつきの背景から考えまして、しかも特殊なケースでございますね、子供さんを入学させるための積み立てをなさるわけですから。しかも地元の利用者と密着しているわけですね、郵便局の窓口というのは。ですから、これを積み立てておきながら、その返済を渋るとかあるいは逃げてしまうというようなケースは考えられないというような実情も重々お考えの上で、保証人のことも断固として取り外さないということなんでしょうか。それとも、その辺はもう少し考える余地があるというお考えがおありでしょうか。この辺の事情は大蔵大臣も重々御存じだと思います。その辺をひとつお答えいただきたいと思います。
  147. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) まあ金融でございますので、やっぱり保証人は立てていただかなくちゃならない。しかし、いま言われたような事情にございますと、保証人になっていただけるだろうと思うのでございます。
  148. 青島幸男

    ○青島幸男君 当委員会のその質疑を通じまして、私つくづく感じましたが、いま木島委員が言われたように、基本的なそごがあるように私、感ずるのです。  と申しますのは、当初郵政省が考えられましたのは、育英資金的なあるいは利用者保護といいますか、福祉政策的な意味で、その原資について限度は設けますが、自主運営の端緒となるような形にしていって、自主的な運営を図るようなかっこうで考えられないかというのが、そもそもの大変ロマンチックな考え方でしてね。これを大蔵省は冷徹に金融政策として受けとめているわけですね。ですからそのロマンチシズムと冷徹さの間で大変大きなそごが生じておりまして、片っ方では保護的あるいは育英的な考え方で、そのやさしさで接しようとする。片っ方はどうしても政策的に考えなきゃならないということの基本的な見解の相違から、幾つか論点が分かれてきたことも重々わかっておりますし、私どもも、勝手にそういうふうに考えたきらいもあったことも事実でございます。  一方では、そういう考え方を郵政当局が持ったり、われわれが持ったり、決して郵政省に私、肩入れするわけじゃありませんけれどもね、そういうムードを持っても仕方がない実情があったわけです。三度も短時日の間に貯金金利が下げられましてね、これは政策的にはそれで結構だと思います。お説伺いました。しかし、実際に窓口におりましたり、利用者の方々のお宅に上がりましてね、お金を預かったりする立場の人からいいますとね、そこに文句言われるわけですよ、やっぱり。一々大蔵大臣と同じような見解をそこで述べ立てるわけにもまいりませんのでね、どうしても何かこの方々の不満におこたえしなきゃならないというムードをお持ちになるのは当然だと思いますしね。そういうことが、やっぱり郵政当局の職員の方々の職務に対する意欲の根源にも私はつながってくることだと思うのです。そういうことのそごがここまで来ているわけですよ。ですから、るる承りましたし、これが発足した上でいろいろ御検討いただくということは、郵政、大蔵両省が御協力になりまして、より利用者に有利なようにお図りいただくという御決意も再三承っておりますし、このことが発足する、あるいはこういう考え方ができたことで社会的な教育に対するムードも変わってきたこと、これは重々認めますし、評価もいたします。ですから、今後一層そういうふうになってほしいと私、思うんですけれどもね。しかし、いま木島さんも言われましたとおり、先ほど、私申し上げました論点の違いが、私どもに大きな不満を抱かしたまま、これ通過させることになるわけですし、その点を重々お考えいただいて、今後の運営にも御配慮いただきたいと思います。  もし私、この法案このまま反対するといたしますれば、大蔵当局の——郵政省にではなくて、冷徹なあるいはセクト的頑迷さといいますか、無理解さに、私は筋違いかもしれませんけど、反対するとすればそういうことだというふうに御理解いただきたいと思います。  以上でございます。
  149. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  150. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  郵便貯金法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  153. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  案納君から発言を求められておりますので、これを許します。案納勝君。
  154. 案納勝

    案納勝君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び第二院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一、郵便貯金の本旨にかんがみ、零細な預金者に対する保護施策について基本的な検討に努めること。  一、郵便貯金進学ローンの運用に当たつては、制度創設の趣旨にかんがみ預入利率及び貸付条件について特段の考慮をはらうよう努めること。  一、預金者貸付けの限度額をさらに引き上げるよう努めるとともに、国民生活の充実安定に資するため、郵便貯金による直接的融資制度の検討に努めること。  一、国民の堅実な貯蓄性向にかんがみ、郵便貯金預入制限額の引上げを検討すること。  一、郵政審議会の構成に当たつては、一般庶民の意向が十分反映されるよう特段の意をもちいること。   右決議する。  以上でありますが、この決議案は、先日来の本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨については、改めて説明するまでもないと存じますので省略さしていただきます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いをいたします。
  155. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいま案納君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  156. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 全会一致と認めます。よって、案納君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、服部郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。服部郵政大臣
  157. 服部安司

    国務大臣服部安司君) このたびは、慎重な御審議をいただきまして、ただいま郵便貯金法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを、厚く御礼申し上げます。  この委員会の審議を通じて承りました御意見につきましては、今後の事業運営に当たり、十分配意してまいりたいと存じます。  さらに、ただいまの附帯決議につきましては、今後、その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。
  158. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会      —————・—————