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1978-06-01 第84回国会 参議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月一日(木曜日)    午後二時三十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 俊夫君     理 事                 小澤 太郎君                 西村 尚治君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 長田 裕二君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 菅野 儀作君                 高橋 圭三君                 大木 正吾君                 大森  昭君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  服部 安司君    政府委員        郵政政務次官   宮崎 茂一君        郵政大臣官房長  河野  弘君        郵政省貯金局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        経済企画庁国民        生活局国民生活        政策課長     吉岡 博之君        大蔵省理財局資        金第一課長    森  卓也君        大蔵省銀行局総        務課長      石川  周君        大蔵省銀行局特        別金融課長    藤田 恒郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  郵便貯金法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)を議題といたします。  去る五月三十日における本委員会の決定によりまして、これより本案の質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、若干の時間をちょうだいいたしまして、前回委員会に引き続きましてお伺いをしたいと思います。  前回委員会におきまして、私、郵便貯金法の第二条におきましては、「郵便貯金は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」と明記をされておりますが、「管理」とは一体何をするのかということについての御質疑を申し上げまして、御答弁を実は預けておるわけでございますので、その点を最初にお伺いをいたしたいと思います。
  4. 高仲優

    政府委員(高仲優君) お尋ねの件でございますが、郵便貯金法は、郵便貯金に関する基本的な法律といたしまして、主として郵便貯金サービス具体的内容規定しておるものでございます。  同法二条におきましては、この事業国営にすること、それと同時に、その管理責任者郵政大臣としておる規定でございます。ここで言う管理とは、国営事業たる郵便貯金事業郵便貯金法の定めるところに従い責任を持って処理することを意味するものでございまして、類似の規定郵便法等にも置かれております。なお郵便貯金として受け入れた資金につきましては、郵便貯金特別会計法及び資金運用部資金法によりまして、日常の払い戻しゃ預金者貸し付けに必要なものを除きまして、資金運用部に預託することになっております。その資金運用につきましては別に法律をもって定められておるところでございます。  管理という点につきまして申し上げますと、大略以上のようになろうかと思います。
  5. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは大臣答弁を預けたので、本来大臣から御答弁をいただかなければならない筋合いなので、まあ事務的な御答弁局長からお伺いしたと了承いたします。  大臣ね、もっと割って申し上げますとどういうことになるかというと、私もたまたま申し上げた以上、それなりに調査もしてみたわけですけれども、そうしますと、郵政省設置法には三条に、「郵政省の任務」というところで「郵政省は、左に掲げる国の事業及び行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」というふうに書かれているわけです。その行政事務の中の第一が郵便事業、それから第二が郵便貯金事業郵便為替事業及び郵便振替事業と、こうなっておるのでございます。  そうなってまいりますと、いま局長お話にございましたように、郵便貯金法というのは、「郵政大臣が、これを管理する。」という中身というのは、その郵便貯金法の二章から七章までの貯金事業の種類、それから貸付事業のゆうゆうローン、それらの事業のその事務ですね、いわゆる行政事務というのは、それらの事業窓口行政事務ということになるのでしょうか。ちょっと郵便貯金という性格から言いまして、窓口中心にした事務事業と、それから集まった金の扱いとが別個に法律で定められているというぐあいになっているんですね。そうすると、郵便貯金法の第二条の「郵政大臣が、これを管理する。」という「管理」というのは、その前段のいわゆる窓口業務中心にした事務事業だということで御理解を申し上げてよろしいんですか。これは大臣ちょっと端的におっしゃってください。
  6. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ちょっとぼくも法律学者じゃないので的確なお答えになるかどうか疑問ですが、先ほど局長説明いたしましたとおりに、なるほど郵政大臣管理すると。大臣だから管理するのは当然なことなんで、ところがやはり金集める役と、集まった金を大蔵省へ持っていって、今度は別途の資金運用部資金法とかまた別の法律で、その法律を読んでいませんが、今度は大蔵大臣これを管理すると書いてあるかもしれませんから。非常に日本法律ってふくそうしておりまして、私は、御指摘のとおりにいわゆる私に郵便貯金法で定められた法律範囲管理権が与えられているものなりと、このように理解をいたしております。
  7. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その辺をやっぱりはっきりしておきませんとね、私どもあと質問前回に申し上げましたけれども、御要望等含めての質疑というのが大臣に申し上げていいのかどうなのか、本来その性格を持っているのかいないのかという点の判断というのが、一つの判断をしていく上での基準になるわけですね。で、窓口業務中心としてのいわゆる事務事業管理するということであれば、これはそれとして理解ができるわけです。しかし、大臣ね、郵便貯金法の一部改正というような法律案を提案をなさっているんですから、その法律の総則の基本ぐらいはちょっと、そない書いてありますなあではなくて、やっぱりきちんと御理解を賜っておらないとぐあいが悪いもんではなかったかと思うんですが、その点どうですかね。
  8. 服部安司

    国務大臣服部安司君) だから、私は先ほどは御指摘前段の、いわゆる金を集めて管理する責任を負わされていると理解をしてくださいと、あと資金運用部に回るわけですから、これは法律ではっきり言ってわれわれは集め役、集まった金を大蔵省へ持っていって、大蔵省運用する。資金運用部資金法大蔵大臣管理すると書いてあるかもしれません。しかし、私の所管するいわゆる管理というのはそういうふうに御理解を願いたいと申し上げたとおりで、的確なお答えだと私は考えております。
  9. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その部分でさらに論議を重ねようというつもりはございません。ただ、私ども全く法律の素人から理解をいたしておりましたのは、これは郵便貯金というのは当然窓口中心とする業務と同時に、郵便貯金というのは当然金が伴うものですから、預かれば預かった金というのはついて回るという理解をしていたわけでございますが、法律をしさいに調べてみますと、どうやらそこは切り離されていると、法律によってね、ということになっておるということが非常に明確になっております。そこで、そういう状況だから、それでは今度新たに郵便貯金進学ローン設置というのは、これは大臣あっせん権を持つ事業として設定をされるということにすぎないんだと、もっと軽く考えればよかったという、まあ私、ども気がついた——気がついたと言ったらおかしいですがね、そういう程度のものなんだと、こういうふうに理解をさせていただいたらよろしいんでしょうか。
  10. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 現在御審議をいただいております郵便貯金進学ローン関係貸し付け部分につきましては、これは国民金融公庫法に定めるものでございまして、郵便貯金進学積立貯金という新たな貯金制度を設け、所定積み立てを了し、融資を希望する方については郵政大臣国民金融公庫あっせんする、国民金融公庫の方で、これは国民金融公庫法の一部改正法律案審議されておりますが、その定めるところにより融資を行うということになっておりまして、仰せのとおり、融資郵便貯金法に定めて行うということにはなっておらないのでございます。
  11. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、前回ども、これは他の同僚委員からもいろいろと御意見が出ましたけれども、今回の、郵便貯金進学ローンですからつまり積立貯金ですね、これについての、これに伴う大臣あっせんをなさる進学ローンについて、国民の置かれている生活実態から見て、せめて進学ローンについてのもろもろの点の改善方を考えていただきたいということを、私も幾つかの点を挙げて実は御要望を兼ねての質疑を申し上げました。  ですから、そういう点では、たとえば郵便貯金利率の引き上げを考えるべきではないのかという点ですね。それから貸付利率の引き下げをもっとやるべきではないか、せめて住宅金融公庫並み政策利息というような形を考えるべきではないのかという意味ですね。それから据え置き期間を在学中に延長するべきではないのか、支払い期間をもっと延長するべきではないのか、せめてそういうことぐらいは考えるべきではないのかという点を御指摘を申し上げましたけれども、こういう点の御指摘要望というものは、郵政大臣権限でできるのかできないのか、その点だけはっきりしておいていただきたい。
  12. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 御指摘の点につきましては、先般の当委員会におきまして大臣から御説明申し上げましたように、これら各般の御要望のございますことは十分承知いたしておりまして、利用実態を勘案しながらこれの改善を図っていくということで大臣から御説明申し上げたわけでございます。  少し細かく申し上げますと、まず第一の積立貯金利率でございますが、これは郵政審議会に諮問いたしました上で、政令をもつで定めることになっております。政令でございますので、これは郵政省限りの問題ではございません。しかしながら、郵政大臣としては、その点についての意見というものはその都度これは当然主張できる事項でございます。貸付利率据え置き期間等の問題は、これは公庫融資条件にかかわる部分のものでございますが、これは大臣が先般の御説明でも申し上げましたように、閣僚としての立場から、こうした点についても十分利用実態を考えて、より利便制度となるように今後とも努めるという答弁を申し上げておる次第でございます。
  13. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私はもうたてまえと本音と変えるのはきらいなんでして、率直に言いますから、ひとつおしかりにならないようにお聞き願いたいと思います。  これは共管ですから、私が最終的に大臣大臣で折衝したわけなんです。当時の原案は、皆さん方原案の後退だ、いろいろと御批判を受けましたが、私は決してそうだとは思っておりません。なるほど直接貸し付けはできなくなりましたけれども内容原案よりはいいはずなんです。私はやっぱり素直に批判は受けますが、内容のいいものはいいもので、私だからと言うんじゃないですよ、だれがやってもやはり現実というものは謙虚に素直に認めてやるところに日本の発展もあり、国会の権威も高まるものであると私は確信を持っていろわけであります。  だから、いま局長がいろいろと答えましたが、前回も私が申し上げるのは、いわゆる社会保障から出発した進学ローンというのと、いわゆる金融制度の中から出発した進学ローンは、おのずから相違点がありますと、これは理解いただけると思うんです。だから、これではどうもと言ったことがおしかりを受けたわけですが、私の真意は、本当はもっと余裕を持って当座のいわゆる苦渋を取り除くだけでなく、真に向学心に燃える子供が、家族が、安心して勉学に励めるような制度をつくりたいといこれは社会保障から出発——先ほどおっしゃったとおり、政策金利という名がつかない限りは、日本現行法では、金融制度の中ではとうてい望めないことなんです。ところが、原案貸付金利原案貯金預金金利、また期間もかなり——お調べください、私が縮め、延ばしてまいったつもりでございます。  しかし、これでもわれわれは国民のサイドに立ってよりよい内容に変えていかねばならない義務、責任があるわけですから、私は決して大臣には全然権限がないとは言いません。私は相談して決めたんですから、いま局長答弁いたしましたとおりに内容を実施し、実施の状況を見きわめながら、御指摘のいわゆる保証人の廃止問題も、やはり初めての事業でありまするから、実行に移して、その状況を見ながら、適宜皆様方のお力添え、御協力で改善を加えてまいりたい。だから、全く郵政大臣は無関係ではない。今後も御指摘の問題を深く認識し、努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  14. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣真意のあるところは私ども理解申し上げておるつもりですけれども、私、もっとドライに、御要望申し上げている幾つかの点の中で、郵政大臣限りの権限解決のできる項目は何と何かということをちょっと知りたかったんです。少なくともいまの局長お話のように、積立貯金金利というのは、これも郵政大臣だけではできないわけですね。そうなりますと、私ども要望申し上げたり、改善策をぜひとっていただきたいと申し上げております内容というのは、法律事項ではありませんので、何とかして政令事項等の中でそういった要望を実現できるように改善をせめてしてもらいたいという熱意を持っておりますので、繰り返し申し上げておるというのはそういう点でございます。  法律事項を簡単に修正するというようなことはそう簡単にはできなかろうというふうには思いますけれども、しかし政省令範囲での裁量というのは、大臣権限を持っておやりになるということになれば、これは少々のいわゆる伸縮性というのはなし得るのではないかという点を考えておりましたから、実は管理権等の問題も含めて、そういう絡みで実はお伺いをしていたという点、私ども質問真意もひとつしっかりと御理解をいただいて対処していただきたいと、そう思っているわけでございます。そうでありませんと、実に慎重審議でまともに審議を申し上げているんですけれども、そんなこと言うてもらったってどうにもならぬのだということであれば、私ども何をしておったのかわからぬと、結果としてね。そういうことでは大変心もとないと思いまして、その点は明確にしておきたいと思った次第でございます。こもごも申し上げておりますように、今日の国民生活実態から見ましても、ぜひ幾つかの要望点、これはできるだけ早く改善をされるように強く要求をしておきたいと思います。  最後に、一点だけお伺いをしておきたいと思います点は、これは従来から御答弁の中で出ておりますけれども所得制限というもの等は一切ございませんというお話でございましたね、運用上。所得制限というのは上限下限もないという意味でありましょうか。実は、たとえば母子世帯だとか生活保護世帯だとかという方々の中でこそ進学というのは一番大変な問題になるわけです。特に進学時のまとまったお金を捻出するということが一番苦しいことになるわけでございますが、そういった点も、所得下限ですね、そういう所得制限も一切考えていないという点が言明できるのかどうか、その点はっきりしといてください。
  15. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 従来の御答弁所得制限、これは国民金融公庫の直接融資部分について話が出ておりましたのは、これは最高限所得制限でございます。したがいまして、最低限の所得制限という話は出ていないのでございますけれども、やはりこれはいずれにいたしましても一定の条件を付した貸し付けということに相なっておりますので、当然のことながら、やはり返済の計画あるいは返済ができるということが貸し付け前提になるものと考えておる次第でございます。これはいわゆる無償供与という形ではございませんので、所得制限ということを直接法律の上では言っておりませんが、返済していただくことが前提になっておるということを申し上げておきたいと存じておる次第でございます。
  16. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、大蔵省がおやりになる分はこれは確かに返済——だから所得制限というのは四百七十六万円という上限をつけておる。下限も持っておられるわけですよ。これは運用上、いま局長がおっしゃったように、所得支払いとの関係で、支払い能力が乏しいと判断ができるという場合には貸せないということを運用上やろうとしているということが明らかにされております。  そうしますと、大臣あっせんをなさるという場合に、本人の所得の状態というのは、そういう場合にこれは無制限に、郵便貯金進学積立金をした場合のあっせんというのは無条件だということが繰り返し言われておりますが、大臣のごあっせんさった分についてはその点は除外されるのかどうかということですよ。そこははっきりしておいていただきたい。
  17. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 大臣あっせんというものにつきましては、これを十分尊重するということは、またそれを所定積み立てを了した者についてはいわば半自動的と言っていいように貸し付けをするものだということは、大蔵側からの答弁にも出ております。また、この貸し付けそのものは、先ほど来申し上げておりますように、郵政官署がこれを行うものではございません。この点に関しまして、先ほど先生からお話がございました、たとえば保証人の話であるとか、いろいろの問題がこれからまた出てこようと思います。こうした点につきましては、大臣からも御説明申し上げましたように、利用実態というものをよく見ながら、より利便な、簡易な制度になるよう今後努めていきたいということを考えておるのでございます。  当然返すのが前提ということも、これはいわば貸す方の国民金融公庫立場に立っての答えということになるわけでございますが、私ども理解しておるところでは、これは供与ではない、あくまで返していただくことが前提となっておりますので、積み立てをそもそもやっていただくときにも、これは積み立てた額と同額以内の貸し付けをこれこれの条件が整えばやるという中に、当然これは返済期間等もあるわけでございますから、その点を御運解いただいて進学積立貯金積み立てていただき、また貸し付けの申し込みをしていただくということが法のたてまえになっておるものと理解しておるところでございます。
  18. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あんまり詳しく言ってもらうと結論がわからぬのですが、どっちなんですか。大蔵はそういう運用上、制限を、支払い能力という点で低所得者、一番底辺の低所得者、たとえば母子世帯とか生活保護世帯というところは対象外だということにするんだそうですよ。大臣あっせんさった分については、無条件にそういう方々も恩恵を受けられるのか受けられないのかという、もう簡単な、簡潔な御答弁いただきたい。
  19. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 率直に申し上げて、ぼくの一番悩んでいる問題なんです。やっぱりこれは金融制度から出た進学ローンですから、借りたものは返さねばならないという大原則。しかし仰せのとおりに実態は、母子家庭でどうにもならない、こういう問題が必ず起きてくる。私は、政治的に大蔵省に絶えず言っていることは、大臣あっせんするものを拒否することはまかりならない。じゃなかったらおれは妥協できない、了解できないと、こういった交渉を詰めてきて、やっと国会でもああいう答弁をし、大臣あっせんはたとえ原資が切れても、予備費をもってでも充てますと言っておりながら、今度は金融公庫庶民金融には絶対そういう条件がつくって、こう言ったんで、私自身は、人間というのはあさましいもので、自分の都合のいいことに納得したいものなんですね。私もそういう一面があるかもしれませんが、そういうふうに聞きながら受けとめておりますがね。至って性格の激しい男で、これ、いよいよ実行段階になって、私が先生方にお願い申し上げて法案を通してもらった当時の大臣として、結果的にここの答弁と間違った答えが出たならばというとね、これはやっぱり大変深刻な悩みなんですね。だから、私はほんとに皆さん自分真意を言っているつもりなんです、後でわかることですから。  だから、この問題についても、私は先般も申し上げたとおりに、現在ではどうにもならない立場でありますということは、制度が初めての出発でありまするから、実態がつかめない。もしここで何十万件という利用者があらわれたら、私は当然保証機関的なものをつくって、そういう方々にもあの答弁議事録を引用して、これに合わせて持っていきたいというのが真意であるという点で御理解願いたい。非常に杞憂し、神経を使っています。しかし、そういう対応策解決をつけて、そういった方々の御要望にこたえる努力を払いたい。この辺でひとつ御理解を願っておきたいと思います。
  20. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、進学のための郵便貯金積立金、これをなさって、それはその積み立てをなさるのは、低所得の方は決して楽じゃない。大変苦しい思いをして積み立てをなさる。そして子供進学に資そうとして、いざ借りようと思ったらだめだということになったら、これは一番利用を切望している方々の希望を摘み取ることになると思うんです。これは大蔵省で、国金ではできない、制限があってできないといたしましても、せっかく郵政大臣がごあっせんになり、積立金範囲内でその金融保証をするという制度を発足させる以上は、その一番切望する層の期待にこたえるように改善する、これがなければ、これはせめてここがなければ、せっかく制度発足の意義というのは半減してしまうと思うんですよ。  その点で詳しくお伺いをして、それはいまの段階ではできないそうですから、非常に残念だと思いますけれども、ぜひこれは改善のできるように御努力を賜るように強く要望しておきます。で、私の質問を終わります。
  21. 木島則夫

    木島則夫君 まず、郵政省にお伺いいたします。  郵便貯金として集められた資金は、これは預金者に直接還元されることが当然だと考えている国民は非常に多いし、また独立採算制のもとで懸命な努力をしている郵便局に働く労働者立場から考えた場合、みずからの手によってその資金運用を図りたいと願うのは当然であると考えますけれど、いかがでございましょうか。
  22. 高仲優

    政府委員(高仲優君) まず第一点の直接還元ということでございますが、直接の利益の還元という意味に解しますと、現時点におきましては、御承知のとおり資金運用部資金として財投原資に使われておるわけでございますが、財投使い方そのものを見てまいりましても、いわゆる一−六分数と申しますか、国民生活に直接関係の深い部門に非常に大きい部分が使われておるという意味におきましては、一種の還元ということも申せようかと思います。また直接に貸し付けるという意味でございますと、これは、これまた先生承知のとおり、現在におきましては預金担保貸し付けのいわゆるゆうゆうローン、それから預金積み立てと関連があるという意味におきましては住宅積立貯金制度、現在御審議をいただいておる進学積立貯金、これに限られるわけでございます。  この問題につきましては、本委員会からも以前附帯決議をいただいておりますし、直接運用の幅を広げるという点でございますが、また郵政審議会からも同様の御趣旨の答申をいただいておるわけでございます。全般的に見まして、個人の金融活動におきましては、貯蓄面とともに融資面の見直しということも、現在特に一般に考えられておる問題でございますので、現在の制度におきましては、先ほど申し上げたように大変局限された形には相なっておりますが、郵便貯金といたしましてもより充実したサービスをしていく。また、大方の利用者の御要望にこたえるのはどういう道がよろしいのであるかといったような点につきましては、十分今後検討を進めなければならないと考えております。  しかしながら、これも先生よく御存じのとおり、郵貯の資金の使われ方につきましては、国家資金の統合運用の要請であるとか、歴史的な沿革とか、いろいろむずかしい問題がございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、この点十分の検討は進めていかなければならないと考えておる次第でございます。
  23. 木島則夫

    木島則夫君 参考までにお聞きをするんですけれど、日本国有鉄道に対するこれまでの融資の累計額及び五十三年度の計画額はどのくらいかということですね。構成比もわかったら聞かしていただきたい。
  24. 森卓也

    説明員(森卓也君) お答えをいたします。  資金運用部につきまして、国鉄に対する融資残高でございますが、五十二年三月末、国鉄に対しまして五兆四千七百七億円の融資残高がございます。運用資金全体の五十二年三月末総資産は、六十二兆八千五百二十四億円でございますので、国鉄に対します融資残高のシェアは八・七%になっております。それから五十三年度の財政投融資計画でございますが、財政投融資計画全体のうち、運用部が全体で十二兆二百八十四億円を見込んでおりますが、それに対しまして、国鉄に対します資金運用部の貸付予定は九千三十五億円でございまして、そのシェアは七・五%ということでございます。
  25. 木島則夫

    木島則夫君 こういうことを言うと大変素人的な発想で、法律はそうなっているのだよと言われてしまえばこれはもうやむを得ないんですけれど、たとえばこれから私が申し上げることは、率直に言って国民感情なんですね。どういうことかといいますと、非常に財投資金の多くの部分が、たとえばいま国鉄に使われていますよ。その国鉄は、はっきり言って内部努力を余りしてない。ストライキばっかりやっている。こう言うと異論があるかもしれないけれど、問題を起こしていますよ。こういう言い方をしますと、大変短絡をした物の言い方とおしかりを受けるかもしれないけれど、やっぱりこの辺が非常に国民感情として大事なところですよ。  私が申し上げたいことは、要するに財投資金融資計画を立案するに当たりまして、大出資者であるやっぱり郵政省あたりの意見というものがもっともっと大きく取り上げられなければいけないんじゃないだろうか。それが直接いわゆる零細な貯金をしてくださる、頭金をしてくださる方に還元をされるという意味でもつながりを持っていくのではないだろうか。大変単純な素人的な申し上げようでありますけれど、これは大臣伺いたい。
  26. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 木島先生は、国民的感情の立場でというお言葉——私、一年目の新聞の投書欄でこういう記事を拝見いたしました。  一郵政職員が、私は必死で貯金、保険の勧誘に回っている。道中で、この橋を見ても、学校も見ても、われわれが血と汗のいわゆる努力の結果、その金がこうなっているのだと思うと大変誇りを持って仕事に励めたという、いまどきに珍しい尊い、若い年代でしたが、記事を拝見しました。これも国民的感情から考えると、所管の大臣から考えると、当然そうあってほしいと思うわけでありまするが、貯金・為替法でも、もう明治の初年からちゃんと、先ほど沓脱先生と討論しておりますとおり、定められた枠の中で残念ながらいかんともいたしがたい状況であるこどもひとつ御理解を願いたい。お気持ちは全く同感であり、また私も願っているところであります。しかし、今後は大蔵当局ともおもむろによくひざを詰めて話し合って、そういった理解も得るように努力を続けてまいりたい、かように考えている次第であります。
  27. 木島則夫

    木島則夫君 限られた時間でございますから、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  今国会に提出をされております進学積立郵便貯金及びそれに伴う進学資金貸し付けについてお尋ねをいたします。  昨年の四月の二十四日、小宮山前郵政大臣が発表いたしました進学融資制度の構想というものは、その趣旨はもとより、郵貯資金の自主運用という観点からも大いに期待をしておったのでございますけれど、今国会に提出された法案は、当初の構想とは大きく離れてしまっている。その間にいろいろのいきさつがあり、金融政策上という大臣お話もわからないわけではありませんけれど、これまでに至った経過、理由、これ、簡潔にひとつ御説明を願いたいと思います。
  28. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 本年度の予算を要求するに当たりまして、その関連として、郵政省原案としてこの進学ローンについて考えましたのは、先生おっしゃいますように、郵政省が直接貸し付けを行うということでございまして、しかしながらこれはあくまでも概計要求時の基本構想のときでございまして、その後、細部にわたる詰め等については別途考えておったわけでございますが、結論的に申し上げますれば、この問題を行うに当たっては、現在の財政資金の一元運用の問題であるとか、現在の政府関係金融機関のあり方であるとか、非常に基本的な問題が多々ございます。  こうした点から考えまして、またこの進学に対して何がしの援助と申しますか、金融の道を講ずるということ自体については、これは最近における入学金の高騰といったような事態に対して必要があるということは、これも事実でございます。こうした各般のことを考えた結果、結論的には、現在御審議をいただいておる法律改正案の内容のとおりになった次第でございます。
  29. 木島則夫

    木島則夫君 国民金融公庫による進学ローンは、一般貸し付け進学積立貯金預金者向け貸し付けの二本立てで行われるはずでございますけれども、両者の相違点について簡潔に、何回か御説明があったはずでありますけれど、相違点について整理をする意味で承っておきます。
  30. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) 一般貸し付け進学積立郵便貯金頭金者貸し付け、この相違でございますけれども、端的に申し上げますと、まず借り入れの資格につきまして、一般貸し付けの方は、一般的な大学あるいは高校に進学をする者の親族あるいは進学する者自身であって、一定の所得制限、その世帯の所得が一定額以下であるもの、これを対象にいたしております。それから郵便貯金の方の積立者貸し付けにつきましては、これは一定の積み立てを、進学積立郵便貯金を行われた者であって郵政大臣あっせんされた方、これを対象にしておるわけでございます。  そのほか、貸し付け条件につきましては、貸し付け期間あるいは金利、たとえば期間は在学中、最高限四年以内ということは同様でございますし、貸付金利も七・一%、現在の金利水準では七・一%ということを予定しておりますけれども、これも同様の水準にするつもりでございます。  それからまた償還方法、これも原則として均等分割払いにしてもらうつもりでございます。こういった点は全く同じでございますが、もう一つ違う点を申し上げますと、貸付限度、これが一般貸し付けの方は五十万円、積立貯金預金者貸し付けの方につきましては積立領と同額以下といたしますけれども最高限五十四万円までと、こういうことになっております。  それからもう一つは借り入れの手続、これが違いますが、これは一般貸し付けの方は国民公庫の支店あるいは代理店へ借り入れを希望される方が出頭されまして借り入れ申し込みをされる。そしてそこで審査を受けた上で融資を受けるということになるわけでございますが、積立貯金の方につきましては、これは郵便局へ赴かれまして郵便局に申し込みをされると、そして郵便局の方から国民公庫に資料その他が参りまして、国民公庫が審査の上決定通知を郵便局の方へまた御連絡申し上げると、そして借り入れ申込者は、合格通知をもらわれて郵便局へ出頭されれば、直ちにそこで資金交付を受けられる、こういうふうな手続になるわけでございます。  したがいまして、違うのは、借り受け人の資格、それから貸し付けの限度、それからそういったいま申し上げました借り入れの手続、その三点が違う。  それからちょっとこれは細かい点でございますけれども念のためにつけ加えておきますと、一般貸し付けにつきましては一世帯一人限りということにしておりますけれども積立貯金預金者貸し付けにつきましては、預金口数に応じて進学者一人あたりにお貸しする、こういうことになっております。
  31. 木島則夫

    木島則夫君 具体的に伺っていきます。  進学積立貯金利率は二年を超えるものが二・八八%ですね、それから二年以下が二二八四%と予定をされておりまして、現在の郵便貯金金利体系から見まして、これは低過ぎると思うのでありますけれど、進学積立貯金利率の算定根拠ですね、これはどういうふうな根拠でこういう数字をお出しになったか、これも余り長くなるとかえってわからなくなりますから、簡潔にひとつ説明をしていただきたい。
  32. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 主として現在行っております積立貯金利率との関連で考えたものでございます。現在の積立貯金は二年という確定期間がついております。その間、毎月同一額を積み立てるわけでございますが、これが金利が三%ということに相なっておるわけでございます。二年掛ける。それに対しまして進学積立貯金は一年以上三年未満の不定期の形になっております。このバランスを考えまして、それともう一つは、先ほど来申し上げておりますように、これを積み立てることによって融資あっせんができるというメリットを考えて、現在の積立貯金に対して若干の格差を設けたものでございます。
  33. 木島則夫

    木島則夫君 その辺は大いに問題のあるところですけれど、質問を進めます。  普通の積立貯金は、原則として集金によって預け入れをされておりますけれど、この進学積立貯金というものも、集金をするんでしょうか。
  34. 高仲優

    政府委員(高仲優君) これは集金を考えておりません。
  35. 木島則夫

    木島則夫君 集金は考えておいでにならないわけですね。  次に、一般貸し付けに比べて貸付条件についてのメリットも私は少ないように思うし、しかも集金もしないで窓口預け入れをさせるということであるならば、何か私は少なくとも現行の積立貯金利率の三%並みにすべきであると思いますけれど、この辺はどうなんでしょうかね。集金もしない。いかがですか。
  36. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 現在の予定しております利率考えるに当たって考えた点は、先ほど申し上げたとおりでございますが、そうした点から考えまして、貸し付けを受けなかったという場合につきましては、積立貯金とのバランスを考えて不利にならないように考えておりますが、貸し付けを受けるという特典があるという点から格差を設けたというのが事実でございます。
  37. 木島則夫

    木島則夫君 次に問題になりますのが貸付期間据え置き期間ですね。在学期間内に全額を返済させるということでありますけれど、これでは進学ローンの創設の趣旨から見ましてどうかなあと思うわけですよ。いまの学校というのは非常に金もかかりますしね、在学中に授業料の値上げというようなこと、だってあり得るわけでありますね。といたしますと、この貸付期間据え置き期間を拡大をすべきであると思いますけれど、どうなんでしょうか、大蔵省の考えは。たとえば、卒業してからしかるべきところに、ちゃんと収入のあるところに就職をして、それからというようなことではだめなんですか、これ。在学期間中に返すというのは何かちょっと酷なような気がいたしますがね、どうでしょう。
  38. 藤田恒郎

    説明員(藤田恒郎君) ただいまの御指摘まことにごもっともな点だと私どもも思います。私どももこの条件を決定するに当たりまして、それは借入者のサイドに立ちますと、できるだけ期間は長い方がいいだろう。しかし、一方また限られた財政資金をできるだけ効率的に使うという観点から申しますと、ある程度期間については制限を設けざるを得ない、こういう両方の立場を勘案したわけでございます。この進学ローン制度というのはどういう趣旨で設けられたかという点につきましては、これは進学の際、一時的な負担、入学金あるいは寄付金その他一時的な負担が出生いたしますけれども、この一時負担を在学中にならして両親の負担を軽減しようではないか、こういう趣旨からこの制度は設けられたわけでございます。したがいまして、入学当初一時的な負担の非常に強い一年間は据え置き期間を設けますけれども、その後は在学中に負担を軽減するという趣旨からいたしまして、在学中、すなわち最高四年間以内に返していただくというのが現在のところでは妥当なのではないかというふうにわれわれは考えております。ちなみに一件当たりの貸付金額も、最高五十万と五十四万という金額でございますし、また郵便貯金積立者につきましては、二年ないし三年の間に積み立てた金額と同様の金額をお貸しするというわけでございますので、そういった趣旨から考えますと、在学中の四年以内にお返ししていただくというのも、もちろん長ければ長いにこしたことはないと思いますけれども、そう無理ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  39. 木島則夫

    木島則夫君 私は貸付期間なり据え置き期間なりというものをもう少し考慮をすべきだというふうに思いますよ、これははっきり申し上げて。せっかくこういう趣旨でつくったんですからね。それからいまどき保証人というのも、これもむずかしいですね。郵政大臣がりっぱな保証人だと私は思うんですけれど、とにかく保証人にかわる保証制度の問題については、先日の当委員会での答弁では、進学ローン利用の実績を見てから検討するという消極的なお答えがあったわけでございましたが、五月九日の読売新聞によりますと、大蔵省は民間金融機関の共同出資で保証機関を設立させ、国民金融公庫をこれに便乗させることを計画をしているというような記事があったわけでございますけれど、その経緯について御説明をいただきたい。
  40. 石川周

    説明員(石川周君) 五月九日の記事は、全くの推測記事でございます。しばしば御答弁申し上げておりますように、保証人の問題、それにかわります保証機関の必要の有無につきましては、今後の検討課題といたしまして、融資の実績、実情などを勘案しながら検討させていただきたいと申し上げているそれ以上のことは、具体的には私どもまだ考えておりません。
  41. 木島則夫

    木島則夫君 あくまで推測のことで、推測の記事であるということでございますけれど、それをもう少し説明をいたしますと、新聞によりますと、銀行側では、大蔵省が出資もしないで便乗をしようというのは虫がよ過ぎるといって難色を示している模様でございますが、利用の実績を見るまでもなく、進学ローンを創設するからには保証機関が必要なことはこれはもう明白だと思いますね。どうなんですか、それは推測の記事だといういまのお話ではあるけれど、こういうことを真剣に考えるならば、当然本年度予算にその措置を計上すべきであるということにもなるはずでありますけれど、この辺はどうでしょうか。
  42. 石川周

    説明員(石川周君) 同じ御答弁の繰り返しになりましてまことに恐縮でございますが、やはり来年の二月、三月、そのころの進学ローンの実際の状況を見ました上で、保証機関というような仕組みに乗れるものかどうか、その様子を見させていただいて勉強させていただきたいと思います。その上で、仮にもし保証機関の設立が必要である、望ましい、適切であるということになれば、その前提でのいろいろな予算上の措置が必要になってくる場合もあり得るわけでございますが、しかし何分にも財政問題とも絡んでまいりますし、検討の先の具体的な問題につきましては、いまここで申し上げるのは差し控えさしていただくのが適当ではないかと思います。
  43. 木島則夫

    木島則夫君 ちょっとしつこいようですけれど、今後、補正予算でも編成をする際には、ぜひその保証機関設立のための経費を計上をして、来年の新学期までには保証人にかわる保証制度を発足をさせる。保証人が得られないために進学ローンが借りられないというようなことがないように措置をすべきだと思いますけれど、大蔵省のお考えを聞きたいと思います。
  44. 石川周

    説明員(石川周君) 保証機能といいますのは、やはりある数がそろいまして、そのうちのごく一部がどうしても不可欠な瑕疵となってあらわれたものを、他の全体の若干ずつの負担でカバーし合おうというようなことが保証機関の構想の共通の感じではないかと思います。その場合に、全体の数がどの程度になるのか、ディフォールトを起こすような、返済がうまくいかないようなものはどのくらい出てくるんであろうか、したがってそれぞれの保証料というようなものをどの程度に上乗せしていかなければいけないんだろうか、それは具体的な数を見ませんと、実際を見ませんと、何とも判断しかねるわけでございます。非常にむずかしい問題でございまして、その実際を見ませんと、まだその実績が出ません秋の補正予算の段階で、具体的な構想を打ち出すということはきわめてむずかしいと、このように思っております。
  45. 木島則夫

    木島則夫君 この辺もやはり検討すべき問題だろうと思います。  それから郵政省に、これは要望として申し上げたいのでありますけれど、進学積立郵便貯金及びこれに伴う進学資金貸し付けが実際に行われるようになりますと、郵便局、特にその都市部、都市内の無集配局は非常に忙しくなってくると思いますね。こうした点でも、現場段階にこのためのしわ寄せがかからないように、ひとつ十分に配慮をしていただきたいと思うわけであります。これは要望ということですけれど、大臣、いかがですか。
  46. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 業務量がふえれば当然これは煩雑になることは考えられますので、十二分に配慮をしつつ、過重な労働に陥らないように万全の措置を講じたい、かように考えております。
  47. 木島則夫

    木島則夫君 それから零細貯蓄保護対策について話題を進めたいと思います。  昨年の五月までは定額貯金の最高利率が年利七%であったわけでありますけれど、その後一年足らずの間に三回の利下げが行われました結果、現在の最高利率は年四・七五%であり、二・二五%も利子が引き下げられたということになったわけです。景気対策上あるいは金利引き下げはやむを得ない措置であったとは言いながら、老後や病気に備え、少ない収入の中から懸命に貯蓄をされている庶民大衆に、非常に大きな不安を与えていることは否めないわけであります。郵政大臣は、この郵貯利率のあり方について、抜本的に再検討をすべき時期に来たと、再三この委員会でも御発言、御答弁をされているわけでございますけれど、どのような方向に向かって再検討をされようとしているのか、この辺をしかと承っておきたいと思います。
  48. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私が大臣就任と同時に、間もなく、この金利引き下げ問題がいろいろうわさされたことは御案内のとおりでございまして、就任当時、私も張り切って郵政大臣だという意識を強めて、自分の職責からいわゆる庶民大衆の零細な貯金を守るという大変な意欲で取り組んだつもりですが、その過程でいろいろの過去の歴史を調べ、いろいろやってみたところが、結果的にここでおわび申し上げたとおりに、やはり民間金融機関の連動引き下げに同調せねばならなかったという羽目に相なったわけです。私は過去の歴史を調べると、ほとんど結果的には、連動はしませんとここで答弁しながら、現実はしているわけなんですね。こういうことは率直に申し上げてそれは国民を欺瞞することだと、郵便貯金法第十二条というのは、これは全く国民を愚弄した条項だと、ここで私は正直申し上げるのは、総務課長さんにも本当に考えるべきではないでしょうかと、こんなことをやったら政治の不信がつのるばかりですと、どういうふうにやるかといまおっしゃっても、木島先生、私は具体的に、このような方法でということはちょっと申し上げる段階ではありませんが、私なりに何案か持っているんですが、その概略申し上げますると、いわゆる結果論的には三十七兆という日本の財政金融に大きな影響力を持つ庶民の零細貯金といえども、集積が力を持つわけなんですね。個々に見れば非常に零細な金ですから、こういった方々に、金利はもう当然一連の流れに持ってくるが、何か有利な条件をつけておく制度を考えたいと、このようにいま考えているわけで、これも先ほど来申し上げているように、私一人では決められないので、大蔵省とよく相談をしなければなりませんが、私は、時間の許す限り、誠意を持って実態を打ち明けて申し上げて御理解を得るように努力をしたい、かように考えておる次第でございます。
  49. 木島則夫

    木島則夫君 ですから、いま私が大臣にお尋ねをしました点は、具体的にいまここで示せというのではなくて、どのような方向に向かって再検討をされようとしているのかということをお尋ねをしたわけであります。そこのところだけもう一回ひとつお答えをいただきたい。どういう方向に向かって再検討をされようとしているのか、これ、大変大事でありますので、もう一度恐れ入ります。
  50. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほどもぼくは少し触れたつもりですが、金利はこれはもうどうにもならない。が、その以前に、たとえば、たとえばですよ、いま最高限度三百万の優遇措置がありますわね。郵貯に限っては三百五十万とか四百万とか、たとえばですよ、これは。理解してくださいね。こういうような制度を根本的につくっていくと、こういうことが一つの手段ではなかろうかと考えております。
  51. 木島則夫

    木島則夫君 で、金融政策上金利の変動はやむを得ないとしても、いま大臣が言われたような方向での零細貯蓄に対する保護政策が伴わなければ、私は国民の不安というものは解消されないと思いますね。それがつまり政治に対する不信感という形ではね返ってくる。これはゆゆしい問題だと思います。  私もいろんな資料を拝見をいたしました。諸外国でも同じ悩みを持っておりますね、こういう問題については。で、諸外国においては、かなりこういう面についての配慮がなされているように私は見受けているわけでございますが、諸外国におけるこういう零細貯蓄保護政策の現状について、これは経済企画庁からお伺いをする点だろうと思いますけれど、これも余り長ったらしくなくて結構ですから、たとえば主なところではこういうことをやっているという現状の御説明ですね、そして、政策上こういうことをやっているのだという実例がありましたら、ひとつお示しをいただきたい。
  52. 吉岡博之

    説明員(吉岡博之君) 御説明をいたします。  私どもの手元にございます一番新しいデーターでございますが、多少古いところもございますので御了解いただきたいと思いますが、欧米諸国にも少額貯蓄優遇制度というものがございまして、日本と同じように一定額まで利子を非課税にするということのほかに、非課税の割り増し金を政府が支給するというようなことをやっているところがございます。  西ドイツの例を申し上げますと、これは貯蓄の割り増し金制度でございますが、比較的低所得者層に対しましての預金に対して割り増しの金利をつけるということでございます。ただ、これは対象貯蓄の限度額が、日本円に換算いたしまして大体一年間に約十万円にも満たないという非常に少額のものでございますし、また、据え置き期間が五年ないし七年という非常に長いものでございます。  イギリスの場合には、物価スライド制的なものが若干加えられております。ただ、これも年金受給者等の場合には、日本円に換算いたしまして貯蓄限度額が大体二十万円ぐらい、また、年金でないその他一般の人にいたしましても、定期預金の限度額が年間に二万円からせいぜい十万円ぐらいということ、また、据え置き期間がいずれも五年間ぐらいということで、かなり長いものになっております。現在の私ども制度といいますか、非課税制度日本にもかなりあるわけでございますが、それと預金額の限度額との絡みを申しますと、少し低いので、わが国の実情に合うかどうか、それは今後検討してみなければいけない話じゃないかというふうに思っております。
  53. 木島則夫

    木島則夫君 四十九年の十一月に、国民生活審議会から経済企画庁長官あてに「物価上昇下の分配等の歪み是正策」についての中間報告がなされておりまして、その中でも、零細貯蓄の保護について、たとえば特別貯蓄国債の発行であるとか、個人小口預貯金に対する特別利子制度の導入などの提言を行っております。これはもう先刻御承知のとおりだと思います。  で、企画庁としましては、こういう中間報告の提言をどういうふうに受けとめて、今日までどのような検討をしてきているのか。つまり、国民生活国民立場に立って考える国民生活局であるという考え方を私は持っておりますので、しかるべき検討が必ずやなされてきているだろうと思います。この中間報告に対して、どういう検討をしてきておりますか。
  54. 吉岡博之

    説明員(吉岡博之君) 四十九年に国民生活審議会からいただきました中間報告の中には、いろいろな提言が書かれているところでございます。当時、物価が二〇%以上も一年間に上がるというような厳しい情勢のもとで、どうするかということでの提言であったわけでございますが、私どもとしても、物価上昇による分配等のひずみを是正するという基本的な対策といたしましては、まず第一に物価を抑制することが一番大事なんだと、物価が上昇することによってひずみが出てくるというところからこういった中間報告が出てきたわけでございますので、ある意味では、最近物価がかなり安定しているということは、そういう政策をとってきたためであろうというふうに思っております。  ただ、その中でいわゆる社会的弱者に対しまして、報告の趣旨に従いまして、社会保障施策の充実あるいは税制の改正等を通じて、ひずみの是正をやってきたところでございます。特に、金融資産につきましては、福祉年金受給者等が通常よりも高い金利預金ができるということで、最初一〇%で五十万円限度、最近は六・七五%で百万円限度というような、そういう福祉預金も実施しているわけでございます。そういう意味で、私どもとしてはいろいろな面で施策を実施しているというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  55. 木島則夫

    木島則夫君 経済企画庁あたりで、国民生活局あたりでこういう問題ひとつ真剣に幅広く取り組んでくださいよ、本当に。大事なことですから。  次に、現在障害福祉年金等の受給者に対するいわゆる福祉定期預金制度というものがございますけれども、この制度内容利用状況について、これは郵政省並びに大蔵省から御説明をいただきたい。
  56. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 福祉定期貯金の概要でございますが、それは双方同じことになろうかと思いますが、郵便貯金ということでございますが……
  57. 木島則夫

    木島則夫君 いや福祉定期預金制度
  58. 高仲優

    政府委員(高仲優君) これは対象者のあれでございますか。
  59. 木島則夫

    木島則夫君 そうです。
  60. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 対象者は、老齢福祉年金、老齢特別給付金、障害福祉年金、母子福祉年金、または準母子福祉年金の受給者、それから児童扶養手当、特別児童扶養手当、または福祉手当の受給者、原子爆弾被爆者に対する特別手当、健康管理手当または保健手当の支給者が対象となっております。  貯金内容でございますが、最近の五十三年四月二十五日、利下げのときでございますが、定期貯金の利子は、先生先ほど御指摘のように下がったわけでございますが、福祉定期貯金につきましては、六・七五%のまま期間を五十三年十一月二十日まで延長をいたしております。  それから利用状況でございますが、これは十二月末の数字になりますが、二十一万四千人、件数にしまして四十八万件、金額にいたしまして一千四百六十八億円。すなわち、一件当たりにいたしますと三十一万円の預入をいただいておる次第でございます。  郵便貯金について概要を申し上げますと以上のとおりでございます。
  61. 石川周

    説明員(石川周君) 民間金融機関におきます福祉年金等の受給者に対する特別の定期預金でございますが、対象預金者は、ただいま郵政省から御説明のございました範囲と全く同一でございます。その他利率も六・七五%ということでございますが、違いまするところは、実施の時期が、当初スタートが若干ずれておりました関係で、郵便貯金の方は五十三年十一月二十日まででございますが、民間の預金の方はちょっと五日ほど早く五十三年十一月の十五日までの取り扱いになっております。  それから実績でございますが、五十三年三月末で、金額にいたしまして千七百億円ちょうどでございまして、口数といたしまして四十二万五千件という実績が出ております。
  62. 木島則夫

    木島則夫君 わが国の零細貯蓄保護政策というか、施策としては、少額貯蓄等に対する利子非課税制度とか福祉預金制度のみでございますけれど、これだけでは何か余りにも範囲が狭いし、郵便貯金の大多数が個人の貯金であるというふうに考えた場合に、どうもこれだけではとてもとても不十分であるという考え方を持つわけでございます。  諸外国の現状を見ましても、さっき企画庁の方からも御説明があった西独の割り増し金制度ですか、このほか英国の物価スライド貯蓄、こういうものもあるそうですね。こういった制度など、それぞれの国情に応じて預金者の保護施策というものが行われてきているわけです。で、わが国においても、やはり何らかの方法によって零細貯蓄保護政策の充実がなされなければならないと思うわけでございます。これは各省個々ばらばらにやることじゃなくて、本当はここに総理かどなたかをお呼びして、一括して、これはもう政府を挙げておやんなさいという要望の仕方がいいんでありますけれど、郵政、大蔵、経企の各省庁から、先ほどのお答えとダブるかもしれないけれど、こういう方向を目指すんだという、先ほどの郵政大臣の非常に前向きの御発言もございましたものですから、最後に、この辺を各省庁からひとつお聞きをしておきたいと思います。
  63. 石川周

    説明員(石川周君) 零細預金者保護の観点からいろいろなアイデアが出されておることは承知しておりますが、ただいま先生指摘の、たとえば物価スライド預金あるいは割り増し金の問題、これは大蔵省といたしましては実現は非常にむずかしいのではないかと、そのように考えております。  物価スライド預金につきましては、各国にいろんな例がございます。イギリスにおきまして現在ございますことは事実でございますけれども、しかし、これは逆に物価上昇を是認するというような空気を助長いたしまして、ある場合には、預金以外のもろもろの金利体系、さらには価格転嫁への安易な空気を助長したりといったようなことから、むしろ好ましくないのではないかという反省の空気が諸外国において出始めたことも事実でございまして、ほかにもいろいろな事情があったとは思いますけれども、フィンランドとかフランスなどではむしろ廃止されたというような事実もございます。各国の国情がさまざまだとは思いますけれども日本におきましては、先ほど経済企画庁から御答弁がありましたように、物価を抑制するという大方針がやはり大事だろうと思います。物価スライドという考え方を預金金利に導入するということは、私ども現在のところ考えておりません。  それから少額貯蓄の問題で、割り増し金の御指摘がございましたが、これは西ドイツの場合でもそうでございますが、財政の負担において出さざるを得ない問題でございます、当然のことながら。で、西ドイツの場合でも、それはいわゆる財産形成の問題として広く議論されて、また施策されておる問題でございますし、日本の場合、財産形成の問題として相当な大議論を呼びまして、数年前にほぼ現在の姿に定着したというふうに私は理解しておりますが、日本の場合、考えてみますと、これだけの財政負担、非常に苦しいときに、預金の割り増し金をつけるというところまではなかなかいかないんではないかと思います。私、財政担当ではございませんので、個人的な観測を交えることをお許しいただきたいと思いますが、現在の税制で優遇を考えているということが、日本の現在のいろんな面から考えての措置だというふうに理解しておるところでございます。
  64. 木島則夫

    木島則夫君 郵政省、企画庁に伺う前に、私、大蔵省に基本的なことで確認をしたいことがある。つまり金利の下げ、その運動によって零細貯蓄である郵便貯金まで波及をするというそのことについては、現在の法律制度のもとでは、きっとやむを得ないとおっしゃるかもしれないけれど、それは本当に困ったことですね、大変なことですね、何とかしなければならないことですという根本的なお考えがあってのことなのか。そこのところだけきちっと確かめておきたい。
  65. 石川周

    説明員(石川周君) 所得の非常に少ない方々に対する配慮というものは、いかなる政策をとる場合におきましても常に忘れてはならない問題だと思っております。それをまた、先ほど先生指摘のように、関係各省いろいろな面で関係いたします。広い意味で社会福祉の問題かと存じますが、そうした政策の方向の中におきまして、いろいろな施策を考える場合に当たりまして、そういう視点を常に考えて念頭に置かなければならないということは当然のことと考えております。
  66. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵政の立場からお答え申し上げるわけでございますが、金利問題ないし金利政策というものは、経済活動全般の基本にかかわる問題でございますし、また財政金融政策のいわば根幹に触れる問題であろうと思います。そうした意味合いにおきましては、ひとり郵政省のみをもってこれは決し得る問題ではないと存ずるのでございますが、私どもといたしましては、郵便貯金法第一条及び第十二条の規定があるわけでございますから、この趣旨を体して、預金者の利益にいささかなりとも資するように、今後とも努力を続けていきたいと考えておる次第でございます。
  67. 吉岡博之

    説明員(吉岡博之君) わが国で、零細預金の保護という面では、先生おっしゃいますように、少額預貯金の非課税制度とか、福祉年金の受給者に対する福祉預金とか御説明あったわけでございますが、いろいろそのほかにも勤労者財産形成貯蓄というような話もあろうかと思います。  経済企画庁といたしましても、基本的に零細貯蓄の減価という問題が起きませんように、物価の安定に一層努力をするということが第一と思いますが、と同時に、既存の制度との整備拡充につきましては、関係省庁と十分連絡をとりながら対処してまいりたいと思っております。  なお、諸外国で実施されております先ほどの割り増し金制度であるとか物価スライド制度等の大変小規模なものでございますが、少なくないわけでございまして、まあ社会構造の違い等からそのまま直ちに日本の国に取り入れられるかどうかということは、ちょっと検討してみる必要があるのではないかと。先生、先ほどおっしゃいました四十九年の「「物価上昇下の分配等の歪み是正策」について」という中間報告でも、いろいろと問題点の指摘がしてございますので、私どもは、その辺を踏まえた上で関係省と検討したいと思います。
  68. 木島則夫

    木島則夫君 最後に、郵政大臣に一言だけ伺います。  いま、各省の御意見を聞いていると、それはそれなりに私もよくわかる。物価を抑えなきゃならないというのは、これはもう当然のことです。郵政大臣ね、いま、なぜ一生懸命皆さんが貯蓄をするんだろうかということを考えますとね、やっぱり老後のことが不安ですよ。病気になったときにどうしたらいいんだろうか、それから教育費が高過ぎる、もろもろの問題がつまり貯蓄という形でもって集約をされているわけですよ。一気に福祉を充実をせよと言ったって、それは無理です。だからこそここでいろいろ進学ローンの問題も、いま検討をされているわけですよ。  郵政大臣、私はね、非常に零細な、なけなしの、額に汗して貯蓄をする方々が、金融政策土か、制度上か、法律上か、そういう問題で全部一からげに片づけられていいものかどうか。私は感情論で議論をしているんじゃないんですけれど、そういうことに対する郵政大臣の御答弁のあった前向きの施策が、どうしてもこれから必要なんだという、やっぱりその辺に立って、最後にこの進学ローンのことも含めて大臣の御決意を伺って、私の結びにしたいと思います。
  69. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 進学ローンの問題は、私が先ほど来申し上げているとおりに現在も変わりはありません。これはかなり原案よりか前進させたつもり、自信と確信とを持ってお答えしたわけです。原案がなっていなかったとか、そういう意味じゃなくて、ただ、ある程度の欠陥は認めますが、私は、これが発足し、実績を見ながらひとつ十二分な手当てを加えていく努力を払いたい。  あとは零細貯蓄の問題でありますが、非常にむずかしい問題であることも私は認識いたしまするが、政治上の立場からいたしますると、やはり高額所得と低額所得を一律に扱うことは、私はこれは悪平等であるとはっきり言い切れると思うんです。だからといって、そういった方々に十二分に満足していただけるような経済状況下ならいざ知らず、現実問題を踏まえて考えますると、こういった零細預貯金者を守り、優遇するために、厳しい制約を加えながら、私が先ほど来申し上げているような優遇措置をとるために、これまた最善の毎力を払ってまいりたい、かように考えている次第であります。  しかしながら、現実にいま大蔵、経企、郵政と、三つ並んでおのおのの立場答弁いたしましたが、おのおのの内容にも相違点があるわけでございまするから、私が当然、当面のいわゆる主管庁でありまするから、両省によくお願いを申し上げて、十二分な答えが出ないかもしれませんが、それに近い答えが出るように今後も最善の努力を払ってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  70. 青島幸男

    ○青島幸男君 幾つか用意いたしました質問も、先に質問に立たれた方の質疑の中にありまして、了承した部分もございますし、ますます絶望的になった部分もあるんですけれども進学ローンにつきまして、当局からも御説明をいただきましたし、この委員会における質疑内容を拝聴しておりまして、理解が進むに従いましてだんだん絶望的な気分になるんですけれども積立金利のあり方にしても貸出金利のあり方にしても、あるいは返済期間にしても保証人についても、何一つ利用者の希望するようなかっこうにはなかなかならな下ということもかなり明白になってまいりました。  しからばどういうことなのか。私がだんだん絶望的な気分になったというのは、あながちこの法案が内容が充実してないということではなくて、私も含めて一般の国民の間に、この構想が出たときに抱いた期待が大き過ぎたんだという気もいたしております。確かにそもそもは単年度の間に三回も郵便貯金金利の引き下げをして、どうも国民の間から信頼が薄れているんじゃなかろうか、これを何とか糊塗する、あるいは矛先をそらすというような意味で何かかっこうのついたものをつくらなきゃいけないんじゃないかというような考え方があって、で、こういう考え方、悪意と解釈してはこれは失礼なんで、少なくとも国民利用者皆さん方に報いることを考えなきゃいかぬじゃないかということでお考えになったことだろうと思いますし、また発足当時の勢いのいい宣伝がかなり多くの方々に夢と希望を与えたんじゃないか。進学ローンさえできれば、子供が何人いても、順繰りに進学するようなことになっても、住宅ローンと同じように少額ずつ積み立てていけば、学校を卒業して何年かたつうちにはツーペイに採算ができるんだというようなことを仮に夢想しても、現実の問題からしてあれは無理からぬことだとも思いますし、そういうPRのあり方もあったと思うんです。  その現実と、勝手に抱いたとは言い条、描いていたその理想との間がギャップが余りに大きいので、だんだんわかればわかるほど絶望的な気分になってきたというのは私だけじゃないと、こういう感じがするんですけれども、先ほどから再三議論が出ておりましたように、三十七兆からある、たとえ一つ一つは零細とは言い条、これだけの金額になって、国家財政にまで大きな影響を及ぼすほどの金額が集まるということ、これは世界的には余り例のない話でしょうね。少なくとも自分の福祉、自分の老後は自分で考えなければならぬというんで、ある意味では、総理などはやっぱり貯金をするということは好ましいことなんだというようなおっしゃり方をしていましたけれども、より一層好ましいあり方とすれば、個人の零細な貯金などしなくとも、国家が将来を保障してくれるということになればいいわけですけれども、現実の問題そうなりませんのでこうなったんだろうと思うんです。  で、もとはと言えば、郵便貯金金利のあり方から端を発した話だというふうに言っても当たっていると、私、考えますね。ですから、三十八年までの以前は法定化されておった。いま大臣も、何らかのかっこうで一般市中銀行の金利に左右されて上げ下げするようなことがあってはならないんではないかという御発言もありましたけれども、もとどおりに法定化するような方向でお考えになるというようなことは、木島さんの御質問の中にもお答えがありませんでしたけれども、その辺のことはどのようにお考えになっていらっしゃいますか、まず、その点からお尋ねしたいと思うんです。
  71. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 率直にお答えしますから御了解願いたいと思います。まあおおよそ不可能なことだと、現実の問題としてですね。ここで話をする場合は私も力強く、皆様方も御支持くださいますが、いよいよ法律案をつくる段階ではそうなまやさしいものではない。やはり私は、先ほど申し上げたとおりに、就任当時は、正直申し上げて、ひとつこの仕事をやってみるんだ、守り抜くぞという悲壮な決意でこれに取り組んだわけですがね、なかなか周囲の環境が厳しくてそうはさせてくれません。その経験から言ってなかなかむずかしい問題だ、かように考えております。
  72. 青島幸男

    ○青島幸男君 確かに三十八年以前の実情とは変わっていることも事実ですね。少なくとも郵便局をメーンにして商取引を行っているという人は恐らくいませんですね。ですから、そのほか銀行は商取引に使われますかち、銀行の金利郵便局貯金金利は違ってもいいんじゃないかという話は以前にはありましたけれども、最近では、銀行も非常に小口になりましたし、窓口の数からいえば郵便局の方がずっと多いわけですから、銀行側にとっては郵便貯金金利など上がったって下がったってうちのところの営業には大した差はないという考え方で従来はいられたでしょうけれども、いまはなかなかさまざまな工夫もありますし、それは郵政省の御努力もありまして、一般の方々十分利用に供されるような便利な保険だ、何だ、できましたから、一般の市中銀行と競合する点が非常に多くなりましたし、黙ってどうでも好きなように法定化をしておいてもいいよというようなかっこうでほっとかないということも事実かもしれません。  しかし、そういう経済状態が進んできて、そういう事態になればなるほど零細な国民貯金というものがますます保護されなきゃいかぬじゃないかというふうに切実に感じるわけでして、その切実さが、先ほど大臣木島さんに対するお答えの中でも私はうかがえましたので、それはそれでいいと思うんです。その方向で御努力ありたいというふうにぜひお願いしたいと思いますし、基本的に言えば、やっぱり私は法定化の方へ戻すということが最優先で考えられなければいけないんだということだけを、これはお願いを申し上げておきます。  さて、実際、内容ですけれども、再三の御議論を承っておりまして、積立金利も貸出金利も、少なくとも返済期間ぐらいは何とかならないかというふうに考えますけれども、たとえば短大に入りますと、一年据え置きがあっても一年で返さなきゃならないですね。そうすると、学生さんになってから一年間で三十万も四十万もという金を返すというのは、これ相当大変ですよ。だから、実際、普通の考え方で言えば、私、先ほど申しました夢と現実はかけ離れ過ぎていると言うのは、卒業して、就職をして、ある程度収入が得られるようになってから返すならともかく、実際、学生さんで、勉強しながら、アルバイトしに学校へ行っているんだか何だかわからないという実情になりまして、強いて言えば、奨学金を受けて、奨学金で返済に充てるというようなことになりますと、奨学金の意味さえ変えてくるようなことになってきて、ゆゆしき問題だということも考えられますね。  ですから、少なくとも一年据え置き、在学中に返すということが動かないんでしたら、せめて保証人の方はどうでしょうね。実際に発足して運営してみてから、サンプルを集めてどのぐらいの事故率があるかとかということを計算して、初めて、統計的な数値とか目安が立つわけですから、その時点でなければはっきりお答えいただけないということもよくわかります。わかりますから、いままでのたとえばゆうゆうローンなんかも、これ性格はかなり違いますけれども、ゆうゆうローンなんかでやっている事故率、事故の発生率ですね、その辺のところを把握していらっしゃったら、そこからある程度推測が成り立つんじゃないかという気がしますけれども、その辺は事前に通告してありませんので、明確にお答えいただけないかもしれませんが、その辺いかがでしょうか。
  73. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ゆうゆうローンは、先生承知のとおり預金担保貸し付けでございます。いわば自分の金を自分で、期間の有利という点から使っておるということで、多少契約による返済、六カ月以内返済というのが、何というんですか、かたく考えない節があるのかもしれないので、結局、期間が来ましていわゆる法定弁済に係るものが、いま数字はしかとは覚えておりませんが、比較的多かったように思います。  比較的と申しますのは、私以前に物品の割賦販売業者の実績等を見たことがあるんでございますが、それに比べましてゆうゆうローンの場合の法定弁済率は高いようでございますが、これは別に預金者がずぼらであるということじゃなくて、自分のお金なんだから手続で、実はほっとけば向こうでがちゃんにしてくれるわいと、こういうふうにお考えになっている。いわゆる契約という概念が少し薄いせいだろうと思うんでございますが、これはあくまでも私の考えでございまして、内容等について調査した資料は実はございません。事実関係について数字を欠いて申しわけございませんが、概要を申し上げますと、そういう状況でございます。
  74. 青島幸男

    ○青島幸男君 いいです。ここで明確にしてくれとは私も申しませんけれども、しかし、郵便貯金で、少なくとも子供進学させようというので毎月一定額を積み立てるという人に、そんなに大きな事故率を考えなくてもいいんじゃないかという気がするんですよね。いままでのあり方から見て、郵便局とお取引いただいている一般零細の預金者というものは、わりあいかたくて、きちんとしていらっしゃる方が多いんじゃないか。ましてや、これから子供を何卒か積み立てた後で入れようという、間違ってもそう高い事故発生率というのはあり得ないんじゃないかという気がしますので、これはもうさまざまな方からも御質問が、そういうかっこうで出ていると思いますけれども、これについて、可能性はどうなのかということを、まずお聞きしたいと思いますね。
  75. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵政省といたしましては、こうした貸し出しの業務というのはやっておらないんでございますが、幾ばくでも類似した仕事があればということで、同じく貯金に関連する仕事でございますので、一つ調べたものがございます。  というのは、郵政省郵便局は年金、恩給のたぐいの総括的な窓口になって、受給者の方々、非常に多数の方々に支給をやっておるわけでございますが、老齢の方が多いもので、権利関係の変動が、これは年間に直しますと相当の件数がございます。万以上の件数であったと思います。つまり例を申し上げますと、受給権者が死亡されたけれども、手続をしないでそのままずるずるともらっていた、これは無権限の者。あるいは奥さんがもらう場合半額になるわけですが、手続しないでそのままもらっておって、後で一種の債権管理をやらなければならなくなるケースがございます。このケースを調べましたところ、取り立てに困るとか投げてしまったという件数はもうきわめて微々たるものでございます。  これは一部に階層が寄っているということはあろうかと思います。公務員等であって年金をもらっている、しかし権利が変動して、それをもらっていた人はその御本人じゃないわけでございますから、これを一般のものと解するならば、きわめて事故率は少ないのが実情でございます。これは末端の郵便局というものが非常に地元に密着しているせいではなかろうかということ。  それから一般の民間の割賦販売業者等の場合における貸し倒れの原因別というのは、これは余り公開してもらうと困るということで資料をもらったものばかりなんでございますが、原因の一番多いのを見ると、転居先不明というのが多いんでございますが、郵政省の場合は、住居については確かに一番ノウハウが多いわけでございますから、実はその年金、恩給等の事故払いの取り立てについて、住所不明というので取り立てできないのがあるかと思ったら、一万件につき二、三件はたしかあったと思います、これはいわゆる蒸発であろうと思いますが。その他は何らかの形で、これは月賦返済とか、いろいろなものがございますものの、取り立てておりまして、一般の割賦販売業者のように意図的に詐欺するとかなんとかいうものはないのじゃないか。  そこから類推いたしますと、この進学積立貯金進学貸し付けというものは、特定の明確な目的を持ったものでございますし、積み立てをやるというのは、そこに一定の居所、住所を持ち、住んでおるということでございますから、少ないであろうということは考えておりますが、何分、先ほど来大蔵側からも答弁いたしましたように、初めてのことでございまして、類推はできますものの、これという数字は実は持っておらない。多いか少ないかというお尋ねであれば、私は多いとは考えていないと申し上げたいと存じます。
  76. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、この条項を外す可能性のことを私伺ったんですけど、大体いま御答弁あったように、地元に密着している人が、しかも蒸発しようにも、学校、行く先、どこの学校へ行ったか言わない、あるいは証明書持っていかないと貸してくれないわけですから、それこそ郵政省ですから、お手のもので、住居変更しようとどうしようと、どこへ行こうとおおむねわかるわけですね。ここまできちっとした組織もおありになって、しかもそういう実態を踏まえて——しかし大臣、これ本当のことを言って、うちの息子が大学今度受かることになりました、おかげさまで試験通ったんです、何人に一人で。やがて入ることになったんですけどと言えば、御近所は、それはおめでとうございました、よろしゅうございましたね、何よりで、おたくのお坊ちゃん、できがいいからと、いろいろなことありますけれども、いざそのために保証人になってくれ、ああそうですかって判こ押してくれるというのはわりあいむずかしいですよ。  ですから、この制度を本当に実体あらしめて、一般の方々利用に本当の意味で供しようという意思がおありでしたら、それは確かに貸す金も、一般の方々の金ですから、やっぱりきちっと返してもらわなければならないことも事実ですけれども、しかし、ほかのあり方と違うという実態を踏まえまして、少なくともこの条項は外せるんじゃないかという希望を私は持って御質問しているんですけれども大臣からその点について承りたいと思います。
  77. 服部安司

    国務大臣服部安司君) この債権管理国民金融公庫にあるんですよ。ここが一つの問題点です。私は債権管理郵政省を主張したんです。交渉の場で非常に乱暴なことですが、債権管理をやると言って。仰せのとおりの確信があったからです。局長に命じて月販の割賦販売の資料も集めさせて。ところが、やっぱりがんとして放さなかったわけです。債権管理国民金融公庫にありますると、この保証機関の設立についてはやっぱり一枚上ですね。金融制度についてはあの大蔵の発言権の方が非常に強いという悩みも青島先生、あるわけです。  しかし、私は、皆様方のこの当委員会を通じて、いろいろとあらゆる角度から賜った意見は、まことに政治家として、素直に謙虚に受けとめて、これとこれとは何とか実行したいと。残念ながら現時点ではもう正直言って手も足も出ない状態ですよ。お気持ちは十二分に理解できますが、ひとつ制度の発足を見て、余りにまだるっこしいことを申しますが、しかる後に可及的速やかに適切な手を打つ努力を払いたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと、かように思っておる次第であります。
  78. 青島幸男

    ○青島幸男君 私もだんだん、この内容を知るにつれまして、このままこの改正案が通ったんでは、どうも承服できないという感じがありまして、この幾つかの点のうちの一点ぐらいは、何とか改善の余地を見出すように、質疑の中でも皆さん努力あったと思うんですけれども、そうでなければ、私もこれ反対せざるを得ないんじゃないかという感じまで実は抱いておりましたので、そのつもりでおったんですけれども、やっぱりショックをやわらげることは事実ですね。少なくともそのとき百万円出さなければならないのを、前後通算考えて六年ぐらいの月賦になるということですから。  また、大臣からも、重ね重ね、発足してから、当委員会質疑の中に盛られた国民的願いを守り育てていくようにしたいというかたい御決意も再々承っておりますので、反対賛成のことははっきりこの場では申し上げられませんが、少なくともその大臣の御決意と御意思に非常な期待をかけまして、ますます皆さん方の申し上げました意向が具体化、実現するような線で御努力いただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  79. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 本件に対する本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会