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1978-05-09 第84回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月九日(火曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      前田 勲男君     中山 太郎君  四月二十七日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     宮本 顕治君      木島 則夫君     柳澤 錬造君  四月二十八日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     沓脱タケ子君      柳澤 錬造君     木島 則夫君  五月二日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     市川 正一君  五月九日     辞任         補欠選任      市川 正一君     沓脱タケ子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 俊夫君     理 事                 小澤 太郎君                 西村 尚治君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 長田 裕二君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 高橋 圭三君                 大木 正吾君                 大森  昭君                 中野  明君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  服部 安司君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       渡辺 喜一君        郵政政務次官   宮崎 茂一君        郵政大臣官房長  河野  弘君        郵政省貯金局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        大蔵省主計局主        計官       角谷 正彦君        大蔵省銀行局総        務課長      石川  周君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、前田勲男君が委員辞任され、その補欠として中山太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 次に、理事辞任及び補欠選任の件についてお諮りいたします。  今九日、理事長田裕二君から文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小澤太郎君を指名いたします。(拍手)     —————————————
  6. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 郵便貯金法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。服部郵政大臣
  7. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 郵便貯金法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、預金者利益増進を図るため、新たに進学積立郵便貯金を設けるとともに、預金者貸し付け貸付限度額引き上げようとするものであります。  まず、進学積立郵便貯金の新設について申し上げます。  最近における高等学校大学等への入学に際し必要な経費は年々ふえており、進学者を有する家計を大きく圧迫しております。  このような状況にかんがみまして、進学積立郵便貯金を新設し、この貯金預金者に対して、高等学校大学等への進学時に必要な資金の一部を国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫から郵便局を通じて貸し付け、もってその経済生活の安定と福祉増進に寄与しようとするものであります。  新たに設けようとしておりますこの進学積立郵便貯金は、高等学校大学等進学する者またはその親族が、国民金融公庫等から進学資金小口貸し付けを受け、かつ、必要な資金貯蓄する目的で、あらかじめ一定据え置き期間を定め、その期間内毎月一定額を預入することを内容とする貯金であります。  この貯金預金者で、国民金融公庫等から進学資金小口貸し付けを受けようとするものに対しましては、郵政大臣は、その貸し付けを受けることについてあっせんを行うこととするものであります。  次に、預金者貸し付け貸付限度額引き上げについて申し上げます。  現在、預金者貸し付け限度額は、一人三十万円でありますが、最近における経済情勢にかんがみまして、これを五十万円に引き上げて、預金者利益増進に寄与しようとするものであります。  なお、この法律施行期日は、進学積立郵便貯金に関しましては、この法律公布の日から三カ月を超えない範囲内で政令で定める日から、進学積立郵便貯金預金者に対する郵政大臣国民金融公庫等へのあっせんに関しましては、国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律施行の日から、預金者貸し付け貸付限度額引き上げに関しましては、この法律公布の日からといたしております。  以上が、この法律案の提案の理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  8. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 大木正吾

    大木正吾君 ただいま議題となりました進学ローンの問題でございますが、私は最近の金融事情等に関しまして、この機会に少しく御質問をさしていただきたいと、こう考えております。ぜひ委員長並び関係委員の方々の御了承をちょうだいしておきたいと思います。  まず第一に、金利引き下げ問題でございますけれども、たしか三月の上旬と記憶いたしますが、服部大臣預金者利益を守るために金利問題については慎重に対処する、こういうようなお答えがあったと記憶いたしますが、残念ながらその後の郵政審議会議論を経まして、結果的には公定歩合に連動する〇・四八%から〇・七五%引き下げ、こういう結果になりました。これについて大臣の御努力なりあるいは審議会におきまする議論内容について冒頭にお伺いしたいと思います。
  10. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘のとおりに、三月十六日に公定歩合引き下げが実施されたわけであります。これに連動いたしまして、大蔵大臣から日銀政策審議会に、一般市中銀行金利引き下げの発議をされると同時に、郵政大臣にも協力方要請がございました。私は、この問題が当委員会で大きく取り上げられたときから、公定歩合の操作と郵便貯金利率引き下げは直接関連するものではないという基本的認識に立ちまして、まあ諸情勢の推移を慎重に見守ってきたところでございます。言うまでもなく、私は所管大臣といたしまして、大衆のささやかな金利目的とする預金者立場を十二分に考慮してまいりました。何とか守りたいと、いわゆる貯金法第十二条二項の前段を私が守り抜くために非常に苦慮してまいったところでございまするが、御承知のとおりに、いま取り巻く環境はなかなか厳しいと申しますのは、この郵便貯金もすでに三十七兆という全く予想もせなかった額に達しました。これがかなり日本財政金融に大きな影響力を特ってきたことはこれはもう御案内のとおりでありまして、そういう条件の中で、私は先ほど申し上げたとおりに、何とか守り抜きたいと考えて、御承知郵政審議会白紙諮問をいたしました。  白紙諮問ということについては、また見方によってはひきょうな行為ではないかという御指摘を受けました。私はその批判を覚悟の上で、何とかひとつ各界各層から選ばれた有能な委員各位意見を聞いてからひとつ考えたいという、かなりな期間的余裕を見ていろいろと手を打ってみたわけでございます。その間には、参考人のお願いをいたしまして、また違った角度からこの金利引き下げについてどう扱うかということを求めたことも御案内のとおりでございまするが、まあ私は正直申し上げて、一年間に三度の金利引き下げということは、もう忍びがたい気特ちでございましたが、まあ郵政審議会においてはやはり郵政省から諮問案を提出しなさいということに相なりまして、私は先ほど申し上げたとおりに、かつてない方法をとったのは、参考人意見を求めて、まあ最終的にはああいった諮問を求めたわけでございます。  私は今回の郵便貯金利率改定について非常に苦慮いたしましたが、なかなかやはりこの日本財政金融経済の運営並びに雇用の安定のための、これについてもいろいろ意見はありますが、政府のまとまった意見といたしましては、これを強力に推し進めて、まず経済安定を図るべきであるという趣旨で、郵政審議会の再三にわたる強い要望もございましたので、鋭意検討を進めた結果、去る四月十二日に開催されました郵政審議会に対し、郵便貯金利率改定案を提出いたしたような次第でございます。  私は十二分に皆様方のこの委員会を通じての御指摘意見にこたえられなかったことについては一先般の委員会でも深くおわび申し上げたとおりでございまするが、大変苦しい結果に相なったことをこの機会に改めて御理解を得たいと存ずる次第でございます。
  11. 大木正吾

    大木正吾君 大臣、いま白紙諮問というように、これは新聞見出しもそう書いてございましたけれども、諮問内容説明がございまして、説明の中身を拝続いたしますと、まあ〇・五から〇・七五%公定歩合引き下げがありました。そうして貯金法十二条の二項の関連の前段の項を抜きにしまして、後段民間金融機関等利率についても配慮しなければいけないと、こういう説明がございます。また土光会長からの答申内容を拝見いたしますと、「多数の意見として、「諮問内容どおり改定することはやむを得ない措置である。」」こう書いてございまして、これは土光さん参考人でおりませんのでうかがい知る由もないわけなんですが、この「諮問内容どおり改定することはやむを得ない措置である。」ということは、これは貯金局長でも結構ですが、どのように解釈したらよろしゅうございましょうか、この点伺います。
  12. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 審議会のこれは審議内容にわたろうかと存じますが、審議会議事についてごく簡単に申し上げますと、審議会参考人意見聴取を含めて四回にわたって行われた次第でございます。大変御熱心な討議が行われました。その概要をとりまとめて答申文書に書いてあるわけでございますけれども、議事内容といたしましては非常に多岐にわたる議論が行われました。  その中におきましても、先ほど大臣も触れられましたように、郵便貯金利率がすでに昨年の五月及び九月に引き下げられ、今度引き下げると一年に三回の利下げを行うことになるため、個人零細預金という郵便貯金本質から考えてもこれは大変に遺憾なことであるという議論も非常に強く行われました。この点についてはこの考え方そのものについては大方の委員が特段の異議を特っておられないと考えたのでございますけれども、しかしながら、現在の経済情勢というものが非常に困難な状況に立ち至っているという点からいたしまして、この際金利引き下げることが景気の浮揚につながるということであるならば、預金者立場からすれば、金利引き下げはそれに応じた損失を受けるけれども、全体的に見た場合においては必ずしもその損失損失だけで残るということにはならないという考えも強く申し述べられました。すでに民間金融機関金利引き下げが決定しておること、現在の厳しい経済情勢に対処するための政府経済方針の中にも金利の全般的な低下ということがうたわれておるということ、これらを考えて、結論といたしましては、この際まことにやむを得ないという結論に達したと私は理解しておるところでございます。  郵便貯金金利引き下げ自体は、預金者にとってはそれだけの損失ではあるけれども、個人としての借入金を持っておる方は、あるいは借入金利子が減るということもあり得るだろうし、また、郵便貯金金利財投原資相当部分を占めておる。その財投の使途というものもいわゆる一−六分類のものが大部分非常に大きなウエートを占めておるといったような点からも、総合的な判断の立場から、答申にございますように、一定希望条件をつけてこの際やむを得ないという結論に到達いたした次第でございます。
  13. 大木正吾

    大木正吾君 いまのお話にありました景気問題でございますとか、あるいは郵貯の利子引き下げによりまして受けるメリット的なことにつきましては、後ほど詳細にまた大蔵省からもお見えでございますので伺いますが、その前にもう少し立ち入りまして、これは大臣に伺ったらいいかもしれませんが、日本における国民貯蓄率が高いということは、これは大体アメリカが少し低いのですけれども、ヨーロッパEC関係ですと一二から一五、六で、日本の三分の二ぐらいの貯蓄性向なんです。この高い理由ということについて、福田総理予算委員会等で、非常に結構なことだという話だけで終わっているのですけれども、むしろこのことは、国際的に見ていきますと、決して誇るべきことではないと私は思います。老後心配があります。同時に、若い方は住宅の頭金が要りますね、言えば土地も増高して値段が高いですから、ヨーロッパ等では国家がやるべきことを日本では残念ながら私的に解決をしているんですね。  そういったことが結局は貯蓄率が高いことの原因と、こういうふうに言われておりまして、大臣が恐らく小中学生のころには貯蓄美徳だった。現在ではむしろ美徳と考える高年の方もおられますけれども、老後生活心配だという立場で、やっぱり貯金生活を切り詰めてもしなくてはいけないというように私自身考えておるのですが、その辺の御認識大臣いかがでしょうか。
  14. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 貯蓄率が高いということは、私も大変結構なことだと言わざるを得ないのです。しかし、御指摘のとおりに老後の不安と、いわゆる所得と、たとえば例を挙げると住宅購入資金とのバランスが大きく狂っているから、逆に求めるものも求められないので貯蓄に回っているのではないかという立場から考えると、これは大変さびしい、悲しいことだと思うのであります。  ただ、私は前回の委員会でも大森先生から御指摘がありましたが、中野先生でしたかね、郵便年金のときに、私は残念ながらまだ日本現行社会福祉によるところの老人年金、また現在の国民年金のあれから言っても、老後の安定はできておらないと。だから、国民年金と併用に郵便年金整備拡充を図って、本当に老後の安定を図る施策を強力に推し進めていくべきである。これは郵便年金のいわゆる現在の活動していない点の御指摘のときに答えたことを記憶しています。  こういう実態から見ますると、それはなるほど大木先生の御指摘のとおりに、いわゆる所得で十二分に賄えるような経済確立が図られていることは、これはもう大変望ましいことでありまするが、なかなかこれも戦後三十三年、あの荒廃から立ち上がった日本に、いわゆる政府の打つべき手が不足だと言われれば、私も、いやそうじゃありませんとは言い切れませんけれども、実態が、わずかの期間にこれだけの成長を遂げて国民貯蓄率も上がった点、一部にはいろいろと見方がありますが、さらに私は、こういったことを基礎に公定歩合引き下げ日銀がやられた、これはきわめて厳しい環境に取り巻かれてわれわれも郵便貯金金利引き下げねばならない立場に相なりましたといま申し上げた。こうやって経済の安定と安定成長を図って国民所得の増強につないでいくという、いま一生懸命に先生の御指摘された方向に、われわれは政府が一体となって先生方理解協力を得て推し進めているわけでございます。どうぞこの点、貯蓄率が高いからいいか悪いかということよりか、この根幹である国民経済生活の安定を図るという点にいま必死の努力を払っているという点で御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  15. 大木正吾

    大木正吾君 大臣のおっしゃったその後段のくだりは後ほどまた伺うことにいたしますが、たとえば三百万限度ぐらいの預貯金につきまして、利子物価にスライドしていくとか、そういった望ましい形での貯金ならばよろしいのですけれども。これは後ほどの質問関係いたしますが、私の意見からすれば、要するに、最近の貯蓄過剰の姿ですね、需給ギャップ二〇%、二十兆という話もございますが、そして、今回やった公定歩合の一年間に三回、民間では四回になりますが、二・五%ぐらいの引き下げに当たるわけでして、十万円の定期やっていますと、その方は大体年間金利でもって二千五百円の損をする。こういう計算に単純になるんですね、結局。ですから、不況が招いた資金循環バランスの崩れ、そして円高不況、そういうことに関連するところの公定歩合引き下げという問題が、郵便貯金ができた明治初期からの郵便貯金の性質なり目的というものは、これは庶民金融ですから、庶民貯蓄ですから、そういう点との関係では、大臣がこの前もおっしゃったとおり、まさしく大蔵省側と相当やり合ってしかるべき性格を持っておるわけでして、どうも最近の傾向を見て、この一年間というものは、とにもかくにも何か個人貯蓄しかも庶民貯蓄郵便貯金が、常に何か、大企業とばかりは申し上げませんけれども、そういったものの犠牲にされ、そのたびごとに貧富の差が拡大していくということですね。このことを心配しますからさっき伺ったのですが。  もう一つ大臣伺いますけれども、この郵便貯金性格でございますけれども、外国では、ヨーロッパでも幾つか資料を拝見いたしますと、たとえばイギリスでは国民貯蓄銀行契約貯蓄、あるいはフランスですと貯蓄金庫ですか、ドイツなどでも住宅貯蓄に関する特別な扱いなどがございまして、そして、たった一つ日本と違うのは、郵便貯金が三十七兆と大変大きな額を持ったということが違うんです。しかし、こういった個人貯蓄につきましては、金利の自由化問題ということを土台に敷きながら、常にその上に〇・二五%とか〇・五%とか、こういうふうな状態で安心しなさいと、おじいちゃんもおばあちゃんも。そういうぐあいにできているのがヨーロッパの、欧米の個人貯蓄に見る姿なんですよ。  ですから、その辺と日本郵便貯金のできた経緯というものは、戦争中にはずいぶんと協力させられまして、国策に協力させられたこともございますがね。戦後は一貫して、今度は大企業先行投資東京湾の埋め立てですよね、ああいった費用に使われていく姿、しかも金利はその場合にわりあいに低位に置かれているという状態ですね。こういうふうに考えますと、どうもやっぱり郵便貯金性格自身について、私たちはいつの間にか忘れてしまっている、こういう感じがするんで、これも大臣に、めんどうですけれども、郵便貯金のできた経緯、同時に金額が大きくなったからといったって、その中にある庶民部分について、やっぱり守るという、こういう立場が必要なんですからね、郵便貯金性格に立ち直った見解を再度伺いたい、こう思います。
  16. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私もこのたびの公定歩合引き下げで、一般金融機関連動金利引き下げに伴って、大蔵大臣から協力方要請を受けて、約一ヵ月の間というものをずいぶん、先ほど申し上げたように苦しみました。いろいろと、いろんな角度からこのことについて直接関係いたしました体験から、私はいま御指摘のとおりに、郵便貯金本質というものを、これはあくまで省じゃなくて、私的な考え方でひとつお許し願いたいのでありまするが、やはりもう考えるべき時期が来たのじゃなかろうかと痛切に実は感じたわけでございます。  なぜならばと申しますると、私は、たとえば、いかなる事情があっても金利引き下げられる場合、引き上げられる場合に、一般金融機関はこうだから、郵便貯金はこうだからといういわゆる状況をつけてもなかなかこれは、私は所管大臣として庶民を守りたいと思っても、なかなかこれはもう抗し切れないという結論ですね、もう済んだから申し上げまするが。それがためにはこういうことを繰り返すべきではない。いま御指摘のとおりに、明治初期にできた郵便貯金のあり方というもの、これを明確にいたしまして、基本的な扱いが違うというような制度をもう再検討する時期が来た、ああいうことで、とかく意見が相半ばしてああいう形をつくるということは、同じ政府の中で余り芳しいことではないと強く感じているところでありまして、これはひとつ皆さま方の、当然国民代表の国会の場でいろいろと御論議がされる時期が来ただろうと思いまするが、私はまあ個人的に、郵政省郵政大臣じゃなくて、そうありたいものだなと、かように考えてているほど苦しんいるということを御理解いただきたい。  なお、ただいまの御指摘の問題でありまするが、御参考までに簡潔に申し上げまするが、貯蓄目的というものをいろいろ調べて統計をとってみましたが、この全体の中で、病気不時災害備えとしてというのが約七九・六、約八〇%ございます。それから、子供教育費結婚資金に充てるためというのは五四・二、土地家屋の買い入れや家屋新増改築、修理のためにというのが、三二、老後生活のためというのが三八・五、大きく開いて、自動車家具などまとまった金額の物品を購入するためには八・六%、旅行など余暇を楽しむためは一〇・七%、納税のためは二・九、特に目的はないが貯蓄していれば安心だからというのは三〇・二%、まあこういう統計になっております。  で、ここでわれわれはこの統計に基づいて、この貯蓄目的に基づいていま真剣に考えねばならないのは、病気不時災害備えとしてといういわゆる国民考え方にこたえて、いま大木先生指摘のとおり、物価スライドから考えてこの金利に矛盾があるじゃないかと、御指摘のとおりでありまして、私はやはり、こういった病気不時災害の場合にもっと手厚い手当てがしてあげられるような施策を強力に推し進めていくことがまず緊要ではなかろうかと。また、子供教育費結婚資金に充てるためと、これはまあ先ほど申し上げたとおりに進学ローン制度を設けて、少しでもお役立てしたいという考え方の手打ちであります。土地家屋の問題は、金利引き下げに連動いたしまして、今度はいわゆる住宅金融公庫の貸付金利引き下げ、また、一般金融機関の、民間金融機関住宅ローン引き下げもやったことは御案内のとおりでありまして、まあ老後生活のためには、先ほども申し上げたとおりに、郵便年金整備拡充を図って、国民に安心してもらうための施策を推し進めていこうと。あとは、自動車家具とか旅行というのは、これはまあ別問題でありまするが、このようないわゆる目的皆様方に十二分に、十二分とはまあ言い過ぎかもしれませんが、達していただくために、やはり違った国全体の経済政策にも大きな責任があると私は考えている次第でありまして、この零細な庶民大衆貯蓄金利引き下げについては、非常に責任は感じておりまするが、そのかわりにこういった政策をとって、日本経済の安定を図って、先ほど大きくウエートを占める、こういった国民の望みにこたえるいわゆる経済体制をつくることが、これまたわれわれの務めであろうと、かように考えている次第でございます。  どうぞ、こういった考え方が一日も早くいま国の推し進めている不況の克服、雇用の安定、こういったものにつながって、最終目標が達せられるように必死の努力を払うことは、きょうの閣議でも強くそういった意見が出てまいりました。案納先生から、おまえ、経済閣僚になれなれっておしかりを受けたが、入れていただいて、こういう御意見を大きく私はその場で取り上げて進めてまいりたいと、かように考えておりますので、御了解を賜りたいと存じます。
  17. 大木正吾

    大木正吾君 いずれにしても、議論は最後の運用問題でまたいまのお話を受けまして御質問いたしますが、服部大臣経済関係閣僚の中に席を設けられまして、非常に頼もしいと思ってるんです。本当はきょう宮澤さんにも来てもらいたかったんですけれども、まあ一応その方は経済閣僚になりました服部大臣を信頼いたしまして、企画庁までは手を伸ばさなかったんです。  ただ、いまお話ありました、要するに三十七兆の郵便貯金の中で、三分の一がこれが個人貯蓄であると、六・八%物価が上がったらスライドして上げましょうというものと、最近は年間六兆数千億の郵便貯金がふくれてるんですよ。私、後ほどこれ聞きますけどね、なぜふくれてるかという問題、実は私自身の疑問に残ってるんですよ。しかも定額がふくれたんですよね。名寄せの資料もちょうだいしたけれども、十分に理解できない問題もあるわけですね。ですから、そういう意味合いでいろいろ問題ございますけれども、ここで確認しておきたいことは、最後に服部大臣おっしゃった、まあ要するに公定歩合の値下げ、同時に民間金融に連動いたしましてやることが経済活動にプラスという御判断が優先した、こういうふうにおっしゃったわけですが、まあその方についてさらにお話を進めてまいります。  確認をいたしますけれども、とにかく郵便貯金法第十二条二項の、前半よりは後半にウエートを持ちながら今度の利下げ問題が大蔵省との話し合いでもって決着がつけられたと、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。  そこで、質問を次に移しますが、実は景気問題についての話の前にもう少し具体的に今度の金利問題の中身を少し貯金局長から伺ってみたいと思うんですが、去年の四月以降の三回の利下げで、ほぼ公定歩合二・二五%平均値といたしまして下がっているわけでございますけれども、そうして目減り問題ということが新聞や雑誌にもよく出てくるわけでございます。また預金者の側もこの方を主として問題にするわけなんです。昨年の十一月、臨時国会のときに大蔵省徳田銀行局長がおっしゃったのは約四千百億円の目減りと、こうおっしゃっておるわけですが、日銀総裁森永さんは当時資本金一千万以上の関係で一兆二千億円の金利負担の軽減と。これはまあ目減りと軽減ですから数字の根拠は若干違うかもしれませんけれども、こういうことを述べておるわけですが、このことを引き伸ばしていきますと、今回のこの利下げ問題に関連しましての目減り状況貯金局長どういうふうにお考えですか。また大蔵省からもその関係少し承りたいと思います。
  18. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 今回の利下げに伴います郵便貯金の目減りについて御説明申し上げます。  郵便貯金は、先生承知のとおり定額貯金、積立貯金は預入時の金利がそのまま継続される。まあ積立貯金期間が二年でございますけれども、定額貯金は最長十年まで継続できるわけでございます。しかも、定額貯金郵便貯金の全残高に占める割合は五十三年一月末現在におきまして八四・九二%、約八五%という数字になっておりまして、大部分のものは利下げ以前の、前日までに預けたものはそのまま継続するということになっておりますもので、目減りと申しましても、実は簡単に申し上げますと通常貯金と、これはもう即刻総額について適用されるわけでございますが、それと利下げの日以降新規に預入される積立貯金、定額貯金、定期貯金等々ということに相なるわけでございます。したがいまして、残高三十七兆円に対してその利下げの率がすぐ適用されるということには相ならないわけでございます。  したがいまして、目減りを計算いたしますと、三十七兆円という残高に対しては比較的少ないものでございますが、しかしながら今回の利下げに伴う五十三年度中、つまり十一カ月間の目減り、つまり新規に預入されてくるものの逸失利益と申しますか、利下げなかりせば得るであろう利率に対する目減り分ということで考えますと、それと通常貯金等を入れますと、五百七億円という金額になっております。郵便貯金について申し上げますと、今回の利下げに伴う五十二年度中、すなわち十一カ月の目減りは五百七億円と計算いたしております。
  19. 大木正吾

    大木正吾君 大蔵省どうでしょう。
  20. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 今回の一連の金利引き下げによりまして企業金利負担が軽減されるわけでございますが、その軽減額につきましては、日銀の試算でございますけれども、およそ三千五百億ぐらいというふうに聞いております。
  21. 大木正吾

    大木正吾君 大臣、これは個人的にこう見てまいりますと、いま日本国民が持っています預貯金残高総額、もちろんこの中に公社債とか株式なども入りますけれども、保険も入りますが、大体三百五十四万というのが最近の数字でございまして、そのうちの預貯金に類するものが二百六万、平均の世帯構成が仮に三・二三人といたしまして計算してまいりますと、〇・七五%の利下げ問題をこれ二百六万に掛けていきますと、大体いまの定額部分のこともございますが、貯金局長ね、私はこう見ているんですよ、三十七兆のうち大体大ざっぱに言って二十兆ぐらいが定額であろうと、あとの十五兆ぐらいが目減り対象かもしれぬと、こういう見方をしております。これは概算的な見方で細かな数字は申し上げません。それからこういうふうな計算でまいりますと、結局二百万掛ける〇・七五でございますから、結局世帯当たり一万五千円ぐらい消えていく、こういう計算が頭で描けるわけですね。  今度、これは衆議院の予算委員会で決まって、夏のボーナスで実行されるという報道が一部にございますが、三千億円の減税というものを世帯主六千円から家族三千円と、こう見ていきますと、大体において目減り問題とバランスして消えてしまうと、こういう計算になるんですよね。ですから減税問題の財源も、何か大蔵省は最近の土地の成金問題の影響なんかもございまして、大体二千億円ぐらいの財源は確保できたなんて新聞に書かれていますから、これはきょう別に大蔵省の主税局長おりませんから、次官候補おりませんからとやかく申し上げませんけれども、いずれにしても目減り問題と減税問題がほぼこれはバーターというか、ほとんどバランス的に言えば減税が消えてしまうということになる。一つのこれは事実ですわね。  もう一つは受益者の側と言うと言い方が、ここには商社の方やあるいは大企業はおりませんので話はしにくいわけですけれども、三井さんが一社でもって、これも新聞報道ですから正確な数字とは私考えませんが、百三十億円の利得者ですね、これは。受益者ですよ、金利値下げによりましてね。そして鉄鋼の大手の一社の場合だと百五十億と言っています。これは恐らく新日鉄かもしれませんですね。そして大臣、恐らくこういったことが鉄鋼なんかの下請あるいは鉄鋼のその本工自身の雇用のつなぎになるじゃないかと、こういうふうに恐らく大臣言いたいでしょうけれども、私は労働界に長くおったんですから、なかなかそうはいかぬぞという気持ちを持っておりましてね。例としてこういった要するに被害を受ける貯金者の側の目減りの状態と、それと受益者と言うべき利下げでもってもうかるグループという問題、もっとたちが悪いという言い方は悪いんですが、私は金融業者でもって仮に何十億かの金を動かす力を持っておりましたら、短期のプライムレートで見ていきますと三・七五%でございますから、そして定期が一応今度利下げになりまして四・五%ですから、そこには〇・七五%の逆ざやがあるんですよね。サラ金まで言いませんけれども、こういう悪知恵働かしたら、またこれ金融業者なんかはもうかる筋が残っていまして、この辺の問題について私並べてみたんですけれども、どうでしょう、貯金局長あるいは大蔵省審議官の方から、こういったことは金利値下げのときに議論があったのかなかったのか、その辺のことを少し聞かしてほしいと思いますがね。
  22. 高仲優

    政府委員(高仲優君) どういう議論が行われたかという点について、特に審議会についての御議論であろうかと存じますが、郵便貯金は先ほど申し上げましたように、主力商品である定額貯金が八五%を占めている。実は、これは三十七兆円の中で、約三十一兆四千億円が定額貯金になっているという点から考えまして、金利引き下げというものは新規のものに限られるという点は、これは委員の方々すべて頭に置いた上でのお話でございます。  したがいまして、郵便貯金の今度は経営の方から見まして、支払い利子率の方は、これは金利引き下げがあったからといって、直ちに実は階段をおりるような形で減るものではございません。そうした意味では、一般の民間金融機関におきましてはもちろん定期預金がございます。しかしながら最長二年ということになっておるわけでございまして、いささかニュアンスを異にしておる。また、郵便貯金の経費率が下がるということは、これは財投原資のコストが下がるということでございまして、財投の使途そのものが、民生に関連する部分が非常に大きいという点から見て、これ自体預貸の帳じりの問題によって特段に中間搾取的なものが行われるという理解はないわけでございます。
  23. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 大木先生指摘のとおり、現在は、短期の貸し出しの最優遇レートとそれから定期預金のレートとは逆ざやになっておるわけでございます。したがいまして、金融機関としては最優遇レートで貸し出して、一方高い金利の定期預金を受け入れるということでございますから、これが非常に異常な姿である。しかも金融機関の経理をかなり圧迫しておるということは御指摘のとおりでございます。ただ、短期最優遇レートの適用比率といいますか、実際の総貸し出しに占める比率というのはそう高くございませんで、都市銀行の場合でも一五%ぐらいでございますので、全体としては何とか金融機関もやっていると、こういう状況でございます。
  24. 大木正吾

    大木正吾君 いまの貯金局長のお答えに対しましては、また後ほどの議論で。  三十一兆の定額貯金につきましては問題が二つあると私見ているわけなんです。財投資金が別に大衆的な収奪とか、そんなこと私言った覚えはないんでして、貯金局長から御親切なお答えがあったんですが、ただこの財投というものの使い道と、さっき大臣からお話ありました、たとえば住宅なりあるいは老後の医療施設の問題等につきましては議論があるところでございまして、同時に三十七兆も、年間六兆数千億円ですから、富士銀行あるいは三井銀行、三菱銀行ぐらいが毎年一つ建つぐらい、なぜ定額を中心に郵便貯金がふえていくのかということ自身、あなたは不思議に思わぬのですか。私は不思議でしょうがないんですよ。  だから、名寄せ問題とかこういった問題について考えていったとき、私たちはもう少し、いま財政難の折からですからね、一般消費税に行く前に、こういったものに対してもっとやっぱりメスを入れなければいけない。大阪の、何というか金物業者がやられたのは、大蔵省が意地悪くやったんだと、こういう意見もあります。私はそんなけちな見方はしたくないんでしてね、やっぱり異常ですよ、この状態はね。ですから、そういったことはまた後ほどお話をすることにいたしますが、大臣のいらっしゃる間に、もうちょっと基本的なことに触れてみたいと思うんです。  そこで大臣、目減り問題はその程度にして、後ほどに議論を残しまして、今度の金利引き下げ問題が、私はあえて経済政策の失敗と言うんですけれども、円高、不況問題——不況から少し公共事業が牽引車になって引っ張っているわけですが、そういう民間の、やっぱり民間投資なり民間の在庫等を少し揺るがしていこうという気持ちがあって、それで、理屈は合わぬけれども、十二条問題の後段の方に沿って妥協したといいましょうか、話し合いになったと、こういうことになるわけなんですがね。  けさ、閣議があった模様でございますが、最近の経済状況についてどういうお話があったんですか、それを聞かせてください。
  25. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほど来御指摘の、金利引き下げについて大蔵省との話し合いという御意見ありましたが、これは全く大蔵省とぼくとは対立の状態で、決して話し合いをしたものでは、これはもう正直申し上げて、ない。信じてもらいたいんですが。また、大蔵省も私の方に一言も、圧力がかかってくる筋合いでもないし、きても受けるような服部ではございませんから。ただ、先ほど来申し上げたような事情で、万やむを得ず私がみずから判断をし、こういった措置をとりましたという点に御理解を願っておきたいと思います。  きょうの閣議で、とりたてて経済問題を中心に話が出なかったんですが、総理が訪米いたしました。カーター大統領といろいろ経済問題についての話し合いをいたしました。それに関連いたしまして、関係閣僚も一堂に集まっていろいろと話し合いがあったようでありまするが、その中で、特にアメリカは、七%の成長はわれわれはなかなか考えられないという意見があって、総理が堂々と数字を挙げて、必ず実現してみせるという、胸を張って諸君の納得を得たというくだりの説明がございました。私はやっぱり何といってもこの七%の経済成長は、いまの日本にとって、円高、ドル安また不況、それから雇用の不安定、いろんな面に大きな影響力を持ちますので、もちろん福田内閣の閣僚の一員といたしまして、こういった面で、またわれわれのいわゆる所管する行政の中を通じてやれるべき問題はやらねばならないという決心をさらに強めたような次第でございます。
  26. 大木正吾

    大木正吾君 飛び石連休が終わったわけですが、新聞やテレビの報道でございますと、あながちお天気が悪かったというだけでなさそうでございまして、財布の中のことも影響があって、わりあいに旅館街でありますとか近郊のレジャーの施設などは、余り期待どおりにもうけがなかったというような話もございまして、最近のいろんな経済誌や新聞などを拝見いたしますと、一応公共事業に関連いたします資材の不足なり、あるいは、たとえばトラックとかいろんなあれがございますが、ダンプ、セメントとか鉄の小棒とか、いろんなこういったものが相当品不足なり値上がり傾向などもございまして、公共事業関連の鉱工業生産の上昇状態は、確かに三、四、五カ月上がってきているのは事実ですね。ところが問題は、公共事業関連に、私がずっと見ている経済諸指標の中では、その方だけは極端に上がりまして、他の関係ですと、たとえばここの品物はいいという、一部の繊維関係が少し立ち直ったとかありますけれども、依然として、昨晩の夕刊の日銀総裁の話じゃありませんけれども、公共事業でもって伸びているものが、今度は民間につながるかどうかについてはクエスチョンマーク、要注意ですね。黄色の信号ということを御発言なすっているわけなんですよ。  特に私が心配しますのは、そういった中で、民間投資を誘発し得るかどうかという問題がポイントでございまして、その辺の見通しを実は大臣に聞きたかったところだし、同時に大蔵省もいらっしゃいますから大蔵省の方からも、専門担当じゃないかもしれませんが伺ってみたい、こういう気持ちがいたします。  そして最終的に心配しますことは、ことしは結局春闘の賃上げ問題もわりあいに五、六%程度に終わりそうだし、まだ残っている六、七割の中小企業もこれは五%、極端に言ってゼロかもしれませんからね。そうすると個人消費の最大のウエートを持つサラリーマン賃金が相当に経済見通しとの関係では狂ってきている、いわば低い線をはっていることは間違いないわけですね。七・五%ぐらいを予定したものが二%ぐらい低いことは明らかなんですね。そうしますと、最終需要の問題が依然として問題としては残るし、この隣りで商工委員会やってますけれども、商工委員会でつい最近通過しました構造不況法で、佐世保重工を福田さんがてこ入れをしろという号令をかけたという話が新聞にありましたけれども、造船とか鉄鋼とか、そういったところがどんどん淘汰していきますと、二十万から三十万の人が、また中年層があぶれるというような傾向もこれは否定できないんですね。雇用が少し上向いたと、百四十万の失業に対しましてそういう話があった中身を調べていきますと、全部臨時工かアルバイトなんですよ。婦人が多いんですよ、その中でも。この賃金の要するに経済計画に達しなかった問題と、失業者が依然として百三、四十万という状態が続いていくであろうという想定との関係では、私は経済閣僚の服部さんが安心をすることは少し早いというふうに思うんです。  それは福田さんはアメリカへ行っていいかっこうをするのは結構ですよ。しかし、むしろ迷惑するのは国民あるいは村山さんなりあなたかもしれませんけれども。七・五%なんてIMFから押しつけられまして、そして盛んに抵抗している村山さんの気持ちも私はわかるんです。  ですからその辺の関係について、鉱工業生産の動向、さらには公共投資から民間投資への渡しですね、最終的にそれが景気の回復につながるかどうかについては個人消費と雇用問題と。こういう関連について大臣なり大蔵省等から現状について少し説明していただけませんか。これは金利問題が、大臣、そうでしょう、景気問題でもってやったんだとこうおっしゃったんだから、やっぱりそれはここの委員会の問題じゃないというお話にはならぬですわね。ひとつお願いしますよ。
  27. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 全体の景気の動向でございますが、私、専門外でございますが、一応お答えをさしていただきます。  いま先生おっしゃいましたように、生産とか出荷、こういう面で見てみますと、大体ここ五カ月ぐらい連続して伸びてはきておるわけでございます。そういう意味ではやや明るい兆しが出てきておるということは事実でございますが、その中身につきましては、おっしゃいますように公共事業関連、そういうふうなものが主導的な役割りを果たしておるということであろうかと思います。  円の為替レートの面につきましても、最近におきましてはやや落ち着いた動きを示しておる。で、一般中小企業を含めまして企業のしぶり等につきましても、この円高基調というものに順次慣れてきておるといいますか、そういうものへの対応が進んできておるということも言えるかと思うわけでございます。特にその対応の仕方につきましては、輸出品の価格を上げるとか、あるいは国内の生産の合理化をさらに進めるとかいうことを、そういう努力は非常に効いておるわけでございますが、それに加えて円高のメリットというものも徐々にあらわれてきておる。仕入れの面、その他におきましてかなりコストは軽減されてきておるということも事実であろうかと思います。ただ、おっしゃいますように、雇用の面におきましては、最近三月の数字を見ましても百四十一万人という失業者がある。倒産件数も依然として月千五百件を超えておる。こういうふうな状況が続いておるわけでございまして、そういう意味ではよく日銀総裁が言いますように、潮の流れが変わったというふうにはなかなかまだ見られないのではないかということも事実であろうかと思うわけでございます。  全般的に今後の趨勢を考えますと、一つは、この公共事業をリードといたします生産の、徐々ではございますが確実な伸び、こういうものを次第に公共事業関連からさらに一般産業へ及ぼしていく、つないでいくと、こういうことによって支えていく。それをまた裏づけるものとして特に円高のメリット、これはかなりタイムラグがございますので現実には秋以降ぐらいに主として出てくるのではないかと。こういうふうなことをもろもろ考え合わせますと、いま政府が七%成長ということで全般的な精力を集中してやっております経済政策の効果というものが着実に出てくるんではないかと、こういう期待を私どもは持っておるわけでございます。  おっしゃいますように、一番基本になりますのは何と言っても最終需要でございます。で、個人の消費、これは総需要の半分以上を占める非常に重要な要素でございますが、最近の動向を見てみますと、百貨店売り上げその他の数字におきましては、徐々ではございますがやや明るい数字も見えておると、こういうことでございますので、私どもはひとつ希望を持ってこれからも精力的に景気の回復に力を尽くしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  28. 大木正吾

    大木正吾君 いまのお話、これはもう企画庁でございませんから余り深い話をしても申しわけがありませんので避けますけれども、ただお話だけでは納得できない面が多々あるわけですね。たとえばこれから先進国の会議もございますけれども、依然として百四十一億ドルの経常収支の黒字ですね。あるいは三百億ドルを超えるところの世界で二番目か三番目の外貨の手持ち残高でしょう。結局こういったものこそが実は国際的に大きな問題になるわけですから、円高メリットがいずれ秋口には云々という話も、これも確かにそれは全くないと私は否定いたしませんけれども、逆にそういったことよりも、むしろ国際経済環境の中ではこわいものがあって、アメリカのカーターも福田総理とお会いしまして様子を見るという私はやっぱり感じが強いし、日本は七・五%実質成長やれという話も国際的には声が大きくなってきているわけですから、余りやっぱり楽観しちゃいかぬと、こういう感じが非常に私自身も強いし、やっぱり消費者が物を買える状態ということは、賃金をよけいに取るか、物価が下がるか、あるいはこの委員会でいま議論しておりますところの老後生活や、先行き生活心配がないかどうかという問題ですね、この辺にやっぱり絡んでくる問題でございます。  いまおっしゃられた中で非常に抵抗感じますことは、円高に対してどうやら対抗する力が企業の中についてきたということと、それから最近西山千明さんが日経新聞に書かれた何かを見ていきましても、物価の鎮静、結構。円高大いに利用しよう、結構。最後に一体何と書いてあると言ったら、ただ一つだけ残ることは失業者の問題と、こう書いてあるんですよ。アメリカは六%に失業者が下がった、九%から。同時に今度は物価が上昇ぎみですから、カーターは金利を上げた。そういった状態でもって大変な苦しい環境の中で経済のかじ取りをやっているわけですよ。日本経済の場合はちょうどアメリカと逆でございまして、やっぱり失業者とか個人の消費、そういったものは低迷し続けながら、結局円高に対抗する力はなぜできたかというと、言えば失業者をふやすという企業の中の合理化、当然といえば当然かもしれませんですが、観点が違うかもしれませんけれどもね、そういったことを考えた整合的な政策を持ち込みませんと、私は、経済全体として秋口にうまくいくだろうなんという甘い考え方はぜひこの際、服部大臣に、答弁要りませんけれども、経済関係閣僚でございますから、大ぜいの現業職員を郵政、電電等に抱えているわけでございますから、篤とひとつお考えおきいただきたいし、そういった問題にぶつかったときには、むしろEC等でも最大問題はやっぱり失業問題が経済のウイークポイントになっているわけですから、そういったことをお考えおきいただきたい。このことを申し述べまして、景気問題に関する金利との関係についてはこの程度にさせていただきます。  次に、委員長、金融の再編問題について、大蔵省からおいででございますから、少し伺ってみたいと思います。よろしゅうございますか。
  29. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) はい。
  30. 大木正吾

    大木正吾君 最近非常に金融再編の声が高々と上がり始めているわけでございますけれども、どうでしょうか、大蔵省、新しく銀行協会の会長になられました松沢会長も言っているんですが、この際、低金利状態とか混合的な金融機関の体質等から言って、銀行局長にこの問題については来てもらったらよかったんですけれども、松沢会長おっしゃるように、金融の再編問題なりあるいは金利の自由化、弾力化問題、こういった方向について大蔵省はどうお考えになっておりますか。
  31. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 金融の再編ということがよく言われるわけでございますが、私どもといたしましては、これは人為的に進めるというふうなものではない、金融の実勢その他の成り行きといいますか、そういうものから生まれてくる、ある意味では必然の結果として受けとめるというふうなスタンスを持ちたいと思っておるわけでございます。そのこと自体はそれが各いろいろな金融実態に余り大きなインパクトを与えないとか、あるいは金融の利用者サイドについても特別の不都合、不便を生じさせないというふうなもろもろの条件はありましょうが、そのこと自体は大変歓迎すべきことであるというふうに考えております。したがいまして、そういう機運というものが仮に出てまいりまして、それが盛り上がってくるというふうな事態になりますれば、行政といたしましてもそれがうまく進むように配慮をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 大木正吾

    大木正吾君 非常に東大出の優等生のようなお答えが返ってきたんでございますけれども、しからば戦後の日本の、特に昭和三十年以降の金融問題ということはそういう状態で進んできたと考えていいんですか。
  33. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 金融の提携——各金融機関その他含めまして提携とか合併とかいろいろの再編成が過去においても行われてまいったわけでございます。戦前のもろもろの合併、提携等につきましてはそのときどきの社会経済情勢等に応じたいろいろな政策意図というものがあったやに私どもは聞いておるわけでございますが、戦後につきましては、おおむね昭和二十年代に入りまして現在の金融秩序というものができ上がったわけでございます。その後の金融再編といいますか、提携、合併ということにつきましては、四十年代に入りまして一時幾つかの大型合併等が行われたという事実がございます。このときは、考え方といたしましては金融の効率化、つまり金融機関の合理化といいますか、経営の効率化、こういうことが非常に大きなウエートを置かれて考えられたわけでございます。  その基本にございますのは、金融環境というのは、当時、高度成長の時代でございますが、こういう金融の逼迫の状態というものがいつまでも続くものではない、いつのときかに必ず逆転した局面、つまり金融が非常に緩む、金利も非常に下がる、そういう局面が恐らく来るに違いないと、金融機関としてはそういうときに備えて十分合理化を進めておく必要がある、こういうふうな考え方が基本にあったかと思います。  現在の金融情勢というのは、当時まさに予想をしたような事態というものがすでに来ておるわけでございまして、そういう意味では、当時、四十年代に考えましたような金融機関の経営の効率化、こういうものは好むと好まざるとにかかわらず現在は進めてまいらねばならない、そういう局面に金融機関は直面をいたしておるわけでございます。さらにそれに加えまして、当時と違いまして現在のこういう経済情勢でございますから、金融機関に求められる社会的な役割りと申しますか、そういうものも従来と違って非常に大きなウエートを持ってきておる。そういうもろもろのことを考えあわせますと、現在の局面というのはやはりある程度金融の再編といいますかへそういうものに向かわざるを得ないような、そういう局面になってきておるんではないかと、かように考える次第でございます。
  34. 大木正吾

    大木正吾君 一つは、今回、いま議論いたしてます公定歩合のここ一年余りの間における二・二五%引き下げ問題がなぜ起きたかということですよね。もう一つやっぱり、外貨の蓄積なり円高問題などがなぜ起きてきているかという問題ですね。同時にやっぱり現象的に幾つかの問題をとらえて見てきますと、私は確かにおっしゃるように自然現象的な面も、それはそういう理論を並べればそういう理屈が成り立つかもしれませんけれども、その原因となるものについて考えてきますと、大蔵省自身が、公定歩合日銀がそれはまあ経営委員会等でもってお話し合いされるでしょうけれども、最終的に大蔵大臣がやっぱりそれに対してボタンを押すということは、これはもう周知の事実ですわね。同時にやっぱりオイルショック後における問題として、最近のこの不況問題等が政策的に円高不況問題をもたらしたことも事実なんですね。あなたがおっしゃったみたいに、戦後、昭和三十年ごろからそういったことは必要だとおっしゃることの意味合いはどういうことなのか。  たとえば日本における高成長というものは金融機関が少し金を貸し過ぎているんですね。あるいはオーバーローン、日銀が出し過ぎているんですね。そういったものが行き過ぎているから、自己資本率をもっと高めろ、あるいは四割ぐらいにしておけということを具体的に指導し、そういうことをやってきたのかどうなのか、その辺のことをやっぱりいろいろ歴史的に振り返って見ていきませんと、おっしゃるような、要するに最近における金融機関に起きた都市銀行の逆ざやとか利ざやの減っている問題とか、都市銀行対地方銀行の相互乗り入れ問題とか、定額預金と見合って定期預金というものを今度複利計算へ持っていこうとか、CD問題とか、たくさん問題が出てきているわけでしょう、結局は。だから、そういったことの原因ということについては、いまお話があったような問題でなしに、やっぱり政策的な要因が下にある、こう考えているんですが、そういうふうに考えたら間違いでしょうか。
  35. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) おっしゃるように、当然基本的には経済政策というものも一つの要素になっておることは間違いございません。ただ、まあ経済でございますから、単に政府経済政策の思惑どおりに動くというものでもございませんで、当然海外要因でございますとか、いろいろなもろもろの要因が相重なって経済が進展していく、こういうことだろうと思います。金融機関の立場から見ますと、そういうそのときどきの経済情勢に応じた金融秩序、金融体制と、こういうものが必要になるわけでございまして、それを着実に実現していくことが、また金融機関としての社会的な役割りといいますか、社会から期待されておる機能を果たすことにも相なると、こういうふうに考えるわけでございます。  したがいまして、常に現在あるいは将来を見通した経済情勢経済実態、こういうものに適したしぶりができるような、そういう体制を整えておく必要がある、こういう意味から私どもは常々金融機関に対しては、経営体としての効率化、合理化、これを極限まで進めておく必要がある、常に変動する経済実態に対応していけるだけの体力をつけておく必要がある、こういう指導をしてまいっておるわけでございます。
  36. 大木正吾

    大木正吾君 徳田銀行局長、私非常に尊敬している一人でございまして、まあ法律問題、あるいは行政指導の余りごつごつした政策じゃなく、わりあいにソフトに誘導していくところはなかなかやり手の、銀行界における立場とすれば、私は尊敬する銀行家の親分、こういうふうに見てるんですけれどもね。ただ、いまおっしゃられて、確かに経済環境、あるいは国際環境によりまして、金融事情がずっと最近変わってきていることはお認めになると思うんですね。最終的にやっぱりそういった自由化なり弾力化動向なり、再編、合併、統合等が進む中で、郵便貯金の位置づけ等、商業金融を中心とした都市銀行や地方銀行の位置づけ、そういったことが問題になるから伺っているわけなんですけれども、一つの事実は、これは、昭和四十七年には都市銀行の利ざやは〇・八%あった、五十二年の上期、下期ではそれが〇・二四%から〇・一%まで下落している。そして銀行関係は、従来はむしろ借金をしたいという申し込みございましてもなかなか貸してくれなかった。いまでは銀行が、住宅ローンはもちろんでございますけれども、ありとあらゆる企業を、製造業からサービス業含めて、定期にしておいてもしようがないし、公社債でもまだまだ合わないから、何かいい借り手がないかという話でもって、八方手を尽くしてますよね。要するに借り手有利市場に変化したということですよね。このことは認めるでしょう。
  37. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) おっしゃるとおりでございまして、戦後ずっと高度成長期は金融逼迫が続いたわけでございます。したがいまして、貸し手市場と申しますか、常に資金不足という状態が続いてまいったわけでございますが、最近は非常に金融が緩和いたしておりまして、金融機関といたしましても、いいといいますか、適正といいますか、貸し出し先、運用先、こういうものについては従来のように座っておれば自然にあらわれてくるというふうな状況でないことは全くおっしゃるとおりでございます。
  38. 大木正吾

    大木正吾君 もう一つの大きな問題がこの国債との関係なんですがね。まあ一つの事例でございますけれども、四十九年には預金増加、これ、都銀の例ですけれども、年間増加額の四分の一ぐらいでもって負担が済んだ。ところが五十二年、去年の上期ですと、約半分強ですが、五六・六%ぐらい国債を抱かなくちゃいけないという立場に立っておりますね。同時に、大蔵省の側からしますればなるべく国債を——従来の高成長期には一年間持ってれば日銀が買い上げて現金化する、こういう慣行的なものがあったと思うんですが、そういったことでは国も困るものですから、短中期の国債を出すとか、いろんな面で銀行の側なり、まあ銀行を媒介して今度は個人に国債を持ってもらうとか、そういった意味でもって、要するに都市銀行なり地方銀行、あるいは信金等もそうでしょうけれども、郵貯以外の一般の金融機関が国債のあおりを食って、そして、どうも国債だけでは分が悪いという意味合いで、たとえば定額貯金に匹敵をするような複利計算方式の定期とか、あるいは貯蓄国債とか、CDとか、そういったものの検討を始めてることは、それは事実ですね、これは。
  39. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 最初に、金融機関と国債の問題でございますが、おっしゃいますように、預金の増加額の半分以上というのは最近におきましては国債の保有に向けられると、こういう状況になっております。ただ、まあ、先ほど申し上げましたように、現在資金運用面なかなか大変なものでございますので、そういう状況から見ますと、まだ、だから国債はもう持てないと、そういうような状況には立ち至っていないわけでございまして、五十三年度の国債発行につきましても、十一兆円というふうな非常に大きなオーダーでございますが、これらをシンジケート団組みまして、民間証券も含めまして——においてこれを引き受けると、こういうふうなことに相なっておるわけでございます。  なお一方、その運用面だけでございませんで、資金の吸収面におきましてもなかなか、先ほどまあ郵貯は非常に伸びておるということでございますが、民間金融機関の方は従来のような伸びがなかなか期待できないと、こういう状況でございます。したがいまして、資金吸収面におきましてもおっしゃいますようにいろいろな新しい開発手段と、こういうものを勉強しておることは事実でございます。まあいろいろな工夫があるわけでございますが、それらの中には新しい制度、全くいままでにない制度というふうなものも含んでおりますので、こういうものにつきましては現在金融制度調査会におきましても鋭意検討を進めたいと、かように考えておる次第でございます。
  40. 大木正吾

    大木正吾君 時間の関係がございますから、この問題についての結論めいたところを少し聞いておきたいんでございますが、森永日銀総裁がおっしゃってる中で、国債のこういったいろんな多様な出し方などを考えながら、まあ結果的には金利の弾力化、自由化ですね、そういった方向を目指す。松沢新銀行協会の会長がおっしゃってることも大体符節が合うわけなんでございますけれども、これは、日本におきましては公定歩合というものを中心としながらずっとまあ戦後の経済を、ある意味では金利公定歩合中心の管理金利的な動向でもって政策的にずっとやってきたと思うんですけどね。非常にこの金利問題の自由化ということは、いま金融界に対しましては大きな問題のやっぱり変化、あるいは問題の提起ということになるわけなんですが、その辺の見通しを含めて大蔵大臣に聞きたいし、同時に大臣からももし所感がございましたら伺いたい、こう思うんですが。
  41. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) おっしゃいますように、現在のわが国の金利制度というものは完全に自由になっておるわけじゃございません。特に受け入れの方の、預金の金利というものは、これは一応統制されておるといいますか、管理されておるわけでございます。貸付面につきましては原則として自由になっておりますが、ただこれも、当然のことながら、預金の面が固定されておりますので、そちらの面からの制約を受けるということで、金利全般の自由化というものは実現していないわけでございます。  まあ、金利の自由化ということにつきましては、学者的といいますか、理論的に申しますと、資金の効率的な配分を達成する、あるいは景気調整の機能を十分に発揮すると、こういうふうな、いわゆる金利機能といいますか、そういう観点からはこれは当然やるべきである、こういう考え方が出てくるわけでございますが、ただ、現実の問題としてこれを考えてみました場合に、わが国の現状においてすぐに金利の自由化ということをやれるかといいますと、これはもうなかなかむずかしいという感じがいたすわけでございます。特に、わが国の金融の実態というのは間接金融が大部分、九〇%は間接金融でございます。しかも、先ほど申し上げましたように預金面において非常に制約がある。郵貯も三十数兆円という大きな規模を占めておるわけでございますから、こういうものも含めまして非常な制約があるわけでございます。したがって、市場原理というものが直ちには通りにくい状況になっておる。こういうときに、一面の金利だけを自由化いたしましても、それによって金利機能を期待するということは非常に無理ではないかと思うわけでございます。  それから、金利機能だけで果たして本当に期待するような効果というものが発揮できるかということにつきましても、やや疑問がある。場合によっては、非効率的な分野に低コストの資金を流す必要、こういうものは当然社会政策その他も含めましてあるわけでございますから、そういう意味におきましても、金利機能だけで資金配分というものを期待するような姿で実現するということはなかなかむずかしいんではないかということも考えられるわけでございます。  それから、金利を自由化いたしますと、これはある意味では自由競争ということになるわけでございますから、どうしても、預金つまり資金の吸収面、それから運用面つまり貸し出し、両面におきまして強いものが有利になると、こういう状況が出るわけでございます。預金について見ますと大口の預金が優遇される、それから貸し出しにおきましても大口貸し出しが優遇されるというふうなことにどうしてもなってくるわけでございまして、そういう意味からいいましても、やはりある程度の制約というものがどうしても必要になるんではないか。あれやこれや考えますと、現在のわが国の経済実態を踏まえた場合、やはり金利自由化ということまで一遍に進むということではなしに、経済の実情をウオッチしながら、それに追随して金利の弾力化を図っていく、こういうことが私どもとしては一番適切なとるべき金利政策ではないかと、かように考えておる次第でございます。
  42. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私の所管するのは郵便貯金でありまするが、郵便貯金は、簡易で確実な少額貯蓄手段を国民大衆に提供し、その経済生活の安定を図り、福祉増進を図ることを使命としておりまして、それに、利率の決定の原則についても郵便貯金法第十二条に規定されておりますので、先ほど審議官からもいろいろ御説明がありましたが、金利の自由化という点につきましては、郵便貯金の使命を十分に踏まえつつ、これはなかなか慎重に対処せねばならない問題であると考えている次第であります。
  43. 大木正吾

    大木正吾君 これで午前中の質問は終わりますが、いまのお話の弾力化問題は午後の議論の方にも関係いたすわけなんですが、いずれにいたしましても低金利、そして利ざやの減少から、逆ざやとか、それから国債の大量引き受けによりまして、結局資金的な面での圧迫が金融機関全体に及ぶわけでございますし、弾力化と審議官おっしゃられるが、本当は弾力化の中身を検討されているかどうかなども伺いたいのでございますが、時間がありません。  それで、あとは結局この弾力化との兼ね合いでもって、服部大臣おっしゃった、やっぱり三十七兆の、これは国際的にも例がないわけなんですけれども、国営銀行並みに見るかどうか、私はその全部をと申し上げませんが、やっぱり三十一兆という定額貯金というものは異常なんですよね。三十一兆がまさか七分、八分という高金利時代のものがそのまま残っているわけじゃないわけですから、去年入った、あるいはことしの三月駆け込んだものはやっぱりそんなに金利は高くないわけですから、その辺の兼ね合いでもってこれ議論してまいりますと、やっぱり三分の一ぐらいの十二、三兆、まあふえるときはまたふえますけれども、そういったものを固定化し、同時にその上の弾力化を考えるとかなんかしませんと、一般の国民なり市民はたまったものじゃないんですよ。弾力化されて、いつもこう穏やかな波ならいいですけれども、波が激しくなるに従って常に目先が変わってきますからね。そういったことは、これは貯蓄ですからね、あくまでも郵便局に預ける方の気特ちは、最近の若い方の感じは変わってきました。変わってきましたけれども、主として四十歳前後から上の方々の郵便局への貯金の心理は、結局預けたものはあれは預けっ放しなんだ、こういうふうな気特ちが強いわけですからね。しかもその平均は大体二、三百万なんで、四百万にも達しておりません。千四百万、とんでもない話なんですからね。  その辺のことを考えて私もこの金利問題聞いたんですが、いまの審議官が大蔵省を代表して、その程度の段階にあるという、こういうふうにお答えを伺わさしていただければ、これからまた大蔵委員会などで議論する場合でも、これは徳田さんと議論する場合でも参考になりますので、この辺、今後の金融市場なり金融問題に非常に大きな影響を特つ課題ですから、特段と大蔵省郵政省等と連携などしていただきながら慎重にこれは配慮しませんと、結局地方の小さな金融機関は、金融恐慌という言葉は使いたくないんですけれども、やっぱり危ないですよ。永大問題とか佐世保重工問題とか、都市銀行のBクラスの銀行でも手を引いている世の中ですから、大変に危ない問題が出てきますので、その辺はひとつぜひ慎重な対応をしていただきたいことをお願いいたしまして、あと残る問題は、結局最近のこの三兆に及ぶ過剰流動性に基づくそれがどこに逃げちまったのかということを大蔵省に聞きたいし、最後に大臣の方から今度は運用問題につきまして少し聞きたい、こういう考えでありまして、午前中の質問を終わらしていただきます。
  44. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとして、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時八分開会
  45. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵便貯金法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  46. 大木正吾

    大木正吾君 午前中に引き続きましてお伺いいたしますが、どうも最近の経済事情、特に金融関係の問題で非常に波が多いと言いますか、不景気と言いながら一方では過剰流動資金がどこかにもぐっている、こういうような話もございまして、景気の回復とともに、かじを取り間違えますと物価が上がる、こういう心配があるわけでございますけれども、これは最近のことですから、確たる資料ではなしに新聞記事等を参考にしながら少し伺ってみたいと思います。  大蔵省にまず伺っておきたいんですが、円の平衡買いの関係で、五十二年、五十三年に日銀が発行しました円はどれぐらいの額になるでしょうか。
  47. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 日銀の介入金額は公表されておりませんので、はっきり私どもも明確な数字はつかんでおりませんが、大体それに近い数字といたしましては外為会計の払い超の数字がございます。これで見ますと、五十二年度は年度間で三兆三千億程度になっております。
  48. 大木正吾

    大木正吾君 手元にあります資料とほぼ見合った数字でございますが、関連いたしまして、最近の異常な株価の上昇、これについての大蔵省の御見解はどうでしょうか。どういうふうに受けとめておられますか。
  49. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 株価の動向はいろいろな要因がございますので、一概には申し上げにくいわけでございます。で、一ころは円レートとの動きというのは、最近と逆の動きをしたこともございますので、なかなか的確な要因というのはつかみにくいわけでございますが、最近の株価につきましては、やはり企業その他の手元余裕金みたいなものが株に向いておるんではないかということも言われておるやに聞いております。
  50. 大木正吾

    大木正吾君 その辺、余りえぐった議論をしてみてもこれは始まりませんが、最近の所得番付の、これも新聞発表でございますけれども、東京都における長者番付見ていきますと、上位三十人中十六人が土地成金と、こういうことでございまして、これは建設省等にも税制の緩和問題等で伺いたいこともございますが、どうもやっぱりミニ開発とは言いながら、その辺に少しく金が流れている、こういう感じもいたしますが、その辺はどういうふうに受けとめておられますか。
  51. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 土地は御案内のように、一ころのようなブームというのは去っておるわけでございます。土地の譲渡所得というのは、これはある意味では長い期間にわたって次第に蓄積された所得が実現したというものでございますので、これと通常の年度内の所得とを同じに並べて見るというのは、いささか比較の仕方としては違う感じがするわけでございますが、しかし、実現したのはある時点で実現したわけでございますので、そういう意味で技術的にはそれを並べて見ておるということだろうと思います。まあそういう意味で、たまたま土地を長く保有していた人がそれを処分することによって所得を得るという場合には、それは長期間にわたって次第に蓄積された所得でございますからどうしても金額が大きくなると、こういう事情があろうかと思うわけでございます。  で、もちろんそういう所得が実現した場合に、それらの実現した所得というのは、どういう方面に運用として向かっていくかという問題はあろうかと思いますが、先ほどの株その他の問題も、そういう面もある程度は含んでおるというふうに考えざるを得ないかと思います。
  52. 大木正吾

    大木正吾君 土地は蓄積されたものの云々というお話はいただけない問題ですが、そのことをここで議論しようと思わないんですが、ただ、いま幾つか例を挙げたんですが、根本的にはやっぱり先ほど申し上げた円高に対する外為関係の並行買い、三兆三千億というお話ございましたけれども、この三兆三千億でもいいですしあるいは三兆三千五百億でもいいんですが、結局この金額といいますか、額そのものは四十八年の列島改造、狂乱インフレ、ああいったときの通貨の過剰流動性に匹敵するぐらいの数字と考えるんですが、その辺はどうですか。
  53. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 外為会計の払い超の数字を見てみますと、四十六年度が非常に大きな数字になっておりまして、これが四兆三千五百億ということでございます。四十七年度は引き続いて払い超でございまして、約一兆八千億というふうな数字になっておりまして、当時の払い超の規模というのは、実額におきましても五十二年度の三兆三千何百億というものをはるかに超えておると。しかも当時は全体の通貨の規模というものが現在より小さいわけでございますから、そういう意味で比率におきましてはもうはるかに大きな過剰の流動性であったと、こういうことが言えるかと思うわけでございます。
  54. 大木正吾

    大木正吾君 まあ、物をこう切り離して考えるわけにいかないわけなんですが、一つの例としてここに数字が出てきましたから挙げたわけなんでして、たとえば公債の発行に絡んで、これ午前中若干議論がございました、まあ渡辺さんおっしゃったんですけれども、若干景気が回復基調という話ですね、そういうことと関係いたしまして、もしもいま手持ちの国債なり公社債等を会社あるいは銀行等がまあ仮に日銀に持ち込んで円等にかえていきますと、結局いまのあなた三兆三千億とおっしゃった、私の手元にあるのは三兆七千億なんですけれども、そういうものと一緒になって、そして景気の回復基調との兼ね合いでもって過剰流動性として物価の上昇ということにはね返る心配はないかどうかですね。いまのうちにこれ議論しませんといけないんですよ。上がってしまってからでは遅いんですね。  現にアメリカが失業が六%に減ったと、途端に今度は公定歩合を上げて、アメリカ自身がインフレ抑制に走っていますわね、結局。もちろんドル対策もあるでしょうけれども、そういったこととの兼ね合いなどを考えた場合に、まあこれはいまの経済の仕組みを変えない限りだめかもしれませんけれども、外為関係等でもって三兆五千億円と私はあえて申し上げますが、加えて土地が、単にこれは東京の番付だけで言っているわけじゃないんですよ。どこの新聞でも全部土地が微騰傾向とかあるいは上がっていく上昇傾向、みんなこれは書いていることなんでして、不動産研究所もそう言っているわけですからね。同時に、株式が異常に上がっているから手を出すなということはあなた方の先輩などは警告している話でもあるし、換物性として見れば、これは金とかあるいはダイヤモンド等に金が向かうとか大豆に向かうとか、要するにインフレの地殻変動といいますか、芽生えというものがある。そこのところをどういうふうに考えるかということは、午前中の議論と関連いたしましていまのうちから注意をお互いに払っておくべき問題と考えるものですから、もし景気が回復軌道に乗ってくる、一遍に今度は銀行が企業に向けて金を貸し始める。そしていま言った三兆何千億プラス国債の現金化が始まる。そういったことの心配はないでしょうか。  その辺のことについて、渡辺さんと、経済閣僚でありますから郵政大臣にもひとつお伺いしたいと、こう考えております。
  55. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 確かにおっしゃるように、外為会計はかなりの払い超で、それだけの円資金が流出いたしておるわけでございます。ただ、財政全体として見ますと、必ずしも外為会計の流出が直に効果を出すような状況にはなっていないわけでございまして、たまたま運用部その他一般財政の資金の払いがかなりおくれておるような関係がございますので、外為の払い超を相殺しておるわけです。五十二年度の財政資金全体のしりを見てみますと、約六千億の払い超ということでございまして、これは前年度五十一年度の財政のしりが七千六百億の払い超ということでございますから、数字としてはむしろ前年度よりやや低い数字になっておる。こういうことでございますので、少なくとも財政の関係で見ますと、むしろやや払い超が縮小しておる、こういう状況になっておるわけでございます。
  56. 大木正吾

    大木正吾君 いまの話は、これは議論をさらにしてもいいんですけれども、あくまでもいままでの話は数字上の問題でございまして、そしてお話しのように、相殺していけば心配はないとおっしゃいますけれども、実は私が心配しますことは、景気が回復軌道に乗る。そしておとといの日経新聞ですか、三月末のM2ですね、要するにマネーサプライが一一%台に回復をした。これはある意味じゃ、景気の回復ということだけでしぼって考えれば、いい現象かもしれませんですね。しかしこのことが、仮にそのとおり順調にいったとして、先ほど渡辺さんおっしゃった秋口にという話なども関連していきますと、やっぱりもう少しインフレに対する抑制気構えというものが、いまのうちに一面では考えられておかなくちゃいけないことが一つの問題。  もう一つ、私非常にいやなことは、こういった状況の中で、たとえば土地とかダイヤとか金とか、換物的なものに国民の気持ちが走るということは、決してこれはいいことじゃないわけですね。要するに、日本国民自身の財政なり、あるいは金融に対する信頼の大体欠落傾向を社会的に示していると思うのですよ。同時にあわせて、貧富の拡大というものにまでこれは走る心配がございますでしょう。ですから、そういう意味を含めて、午前中の質問とはむしろこれは逆のことを私は伺っているんですけれどもね、景気の回復は堅調かどうかということと同時に、あわせてむしろいびつな状態で進行して、それが今度は逆にインフレの芽生えをいわば抱えた状態で動き、一挙に今度は噴き上げるという問題になって、そのローリングを通じながら金持ちと社会的弱者の問題が結局広がっていくということが、政治なり政策としては好ましいことじゃないわけですから、その辺の問題について大蔵省御自身がある程度やっぱり準備と言いましょうか、警戒警報ということは、これは非常に大事な問題だと、こう考えますので、ひとつ渡辺さん、その辺についてのもう一遍の御回答と、やっぱり経済閣僚ですから、服部さんからも何か言ってもらわぬとちょっと引っ込めない、私の方としましてはね。
  57. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 先ほど来申し上げておりますように、一番私ども過剰流動性の指標としては、マネーサプライと言いますか、それを注意深く見守っておるわけでございます。現在M2——預金まで含めましたM2の指標で見ましても、まだ一〇%……
  58. 大木正吾

    大木正吾君 一一%、三月末で。
  59. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) 三月一一%になりましたですが、その程度でございますので、これは四十七年の過剰流動性時代は二十数%というふうな非常に大きな数字になっておるわけでございます。そういう意味から申しましても、現在の段階ではまだインフレという兆し、前兆というものはない、こういうふうに判断をいたしておりますが、しかしながら、先生おっしゃいましたように、インフレというのはこれはもろもろの経済主体に対して一番不公平な影響を及ぼすという面で、われわれはこれを非常に警戒しなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。物を買う、金とか、あるいは土地、そういうものを買うというのは、これはやはり先行きインフレ期待といいますか、そういうことが原因になるわけでございますので、そういう意味から申しましても、インフレの徴候すら本来許せないということだろうと思います。そういう意味で、私どもといたしましても、注意深くもろもろの数字はウオッチをいたしておるわけでございまして、もし必要とあれば直ちにそれに対する手は打っていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  60. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 渡辺審議官が専門的な立場からるるお答えになって、私はもう補足する必要はないと思いますが、ただ一番問題なのは、最後に御指摘のあったインフレを一番憂慮いたしております。インフレというのは、これは国民生活にとっても、国の経済政策にとっても、これは許せない問題でありまするから、懇談会では、こういう徴候があらわれると、何を犠牲にしてでもこの阻止に全力を傾けるという固い決意で臨んでいるわけでございまして、これはもう政府はもちろん、国挙げて国民協力を得てこういった阻止に全力を傾けねばならないという考え方を持ついる次第でございます。
  61. 大木正吾

    大木正吾君 結局、外為問題だけで私は心配しておるわけじゃございませんで、問題はやっぱり、国債をまさしく腹いっぱい抱いてしまった市中銀行なり、都市銀行、地方銀行、全部金融機関を含めて、経済が反転しますと、みんな、午前中申し上げたのですけれども、なるべくいまは六分か七分の公債でもってしんぼうしておりますけれども、結局投資が始まれば、その方に向けて企業は、銀行は動くことはあたりまえですから、それがまた一挙にして動いていきますと、これはまた大変なことになるわけなんでございまして、要するに公債を持っている、あるいは金は株式かなんかで持っているかもしれませんね、その意味で。しかしそれが一挙に今度企業の投資活動に回ったときに防ぎ得ないということが起こり得るわけであって、確かにM2で見るということなり、あるいはマネーサプライで見ることも結構ですけれども、その底にあるものということを、ちょうどいま転換期ですから、私たちはやっぱり景気は回復してもらいたい、雇用はもっとしっかりさしてもらいたい。  そのことと同時に、アメリカが失敗してローリングしてますけれども、また今度はインフレ状態でもって公定歩合を上げたり下げたりであったんで、乗っているお客はたまったものじゃないわけですから、その辺篤とひとつ大臣なり渡辺さんにもお願いとして、とにかく国民の心理的な気持ちでもって、株式の異常な値上がりは何だという気持ちはありますしね。同時に、土地が昭和三十年を一〇〇にしたら、サラリーマンの賃金八八〇ぐらいで、土地が三三〇〇という数字でね。これはもうここにおられる方々の子供さん方だったら、とてもじゃありません、三十前後の方は、マンションに住めばいいじゃないかと言うかもしれませんけれども、一時間以内じゃ土地は、よっぽど悪いことしなけりゃ買えない状態なんですからね。そういったことについても十分に注意していただきませんと、社会的なやっぱり気持ちのすさんだ状態が起こることを私は一番恐れるわけなんで、そういった点で、これは希望としてインフレ警戒をお願いいたしたいし、キャピタルゲインあるいは換物運動等についてもぜひ大蔵関係といたしましては注意を払ってもらいたいと、こういうふうに申し上げておきます。  さて、話を次に移しまして、これは今度は郵政省貯金局長に伺いたいんですが、先ほどお話ありました三十七兆のうちの三十一兆という定額部分でございますが、定額部分預金者の頭数なり口数などは詳しくわかるんですか。
  62. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 定額貯金の口数についてのお尋ねでございますが、口座数は、五十三年一月末のこれは定額貯金だけでございますが、定額貯金の枚数で二億六百七十四万枚ということに相なっております。
  63. 大木正吾

    大木正吾君 人数はどうですか。
  64. 高仲優

    政府委員(高仲優君) これは一人の人でございましても、定額貯金につきましては何回もできるわけでございます。総額制限の中におきましてはできるわけでございます。そうした関係から、人数の方はこれより当然少ないわけでございますが、そちらの方はちょっと調べた数字がございません。
  65. 大木正吾

    大木正吾君 時間もありませんから急ぎますが、これ、名寄せの問題について関連して聞きたかったから伺ったんでございますけれども、五十一年における名寄せですね、これに絡んで超過件数と額という資料をいただいて、これは昨年のたしか十一月の大蔵委員会でちょうだいしたと思うんですが、五十一年度二万五千九百六件で、超過金額三百九十五億円と、こうなっておるわけですね。名寄せの郵政省における作業はどういう状態でいまやっておられるわけですか。
  66. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 地方貯金局におきまして原簿はすべて所掌をいたしております関係上、地方貯金局において、これは一つ一つの口座についてタグと申しますか、小さな票をつくりまして、それを名前別に整理するというやり方でやっております。手作業でございますので、実は大変な手数がかかっておるのでございますけれども、これは法の定めたところを正確に執行するというたてまえから厳重に実施いたしておる次第でございます。
  67. 大木正吾

    大木正吾君 これは村山大蔵大臣からのお答えがあったわけですけれども、予算委員会におきましての村山さんのお答えでは、五十五年度に利子配当の特別分離課税の措置が切れますので、その際にまあ本則に戻すというような形でもって鋭意勉強中ですと、こういう言葉があるわけでございますね。局長どうですか、これ、大蔵省の主税局の方から何か連絡なりそういうことはございましたですか。
  68. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 目下のところ、そうした立場からの照会ないし意見表明というものはございません。
  69. 大木正吾

    大木正吾君 主税局長の大倉さんは私に対する予算委員会の答弁の中で、九月ごろには中間的な作業の結果を報告いたします、こういうふうに記録に残っているのですよ。ですから、まあこれは渡辺さんに聞いちゃちょっと酷な話なんですけれどもね、結果的に予算委員会でもって分離課税問題に対する、言えば筋の話に対して、いいかげんというと言い方がちょっと失礼になりますけれども、そういった、やっていないことをやっているような形での答弁になる、主税局長ですよ。そういうふうにいまのお答えですとなるわけなんですが、そのことは一応きょうは大倉さんおられませんから別にいたしまして、さっきも問題にしたんですが、三十一兆というこの定額貯金、ある新聞に、これは週刊誌や赤新聞じゃないんですけれども、ある税務署が抜き打ち抽出的に定額貯金の口座洗ってみた。呼び出しかけたところが、ほとんどの人がいなくて、葉書が返ってきた、こういうような新聞記事をちょっと拝見したのですがね。そういうことは貯金局長、ありませんか。
  70. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 総額制限の厳重な履行につきましては、最近特に注意をいたしておる次第でございまして、たとえば郵便局の窓口でお預かりいたしますときに、一定金額以上のものにつきましては、身分証明書の御提示をいただくとか、あるいはそれにかわるべき、確かに実在する人物であるという証明を見せていただくというたてまえにいたしております。また何によって実在人であるかを確認したかにつきましては、その預入関係の資料に記載しておくということで架空名義の貯金の入ってくることにつきましてはチェックをいたしております。また郵便局におきまして、預入をいただいた場合に、お礼状を差し上げて、特に疑わしいものについてはお礼状を差し上げてそれの送達状況を監査するといったような方法で、架空名義は絶対に起こらないように鋭意努力をいたしておる次第でございます。
  71. 大木正吾

    大木正吾君 二百万前後の結局一世帯の貯金で、これは平均でございますけれども、そういう関係から三十一兆というこの定額貯金というものを拝見いたしました場合ですね、どうも頭の中の計算なんでございますけれども、まあ赤ん坊の名前でやることも、それは別に法的には制約がないわけですけれども、二百万か二百三十万前後の預貯金、それのうちに郵便貯金が大体四割ぐらい占めているというふうに、これは平均的に言いますとね、銀行との関係そうなるわけですけれども、そういうふうに考えていきますと、どうもいまの御回答との関係なんですけれども、利子関係所得の税制の特別措置については必要がないんじゃないかという気がするんですが、貯金局長どうでしょうか。
  72. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、私どもといたしましては、総額制限の遵守及び架空名義の防遇については鋭意努力をいたしておる次第でございまして、そうした点から考えまして、またそれをならしてあわせて総合課税というのは、私、貯金を預っておる立場から申し上げますと、必要は乏しいのではないかという感じを私は持っておる次第でございます。
  73. 大木正吾

    大木正吾君 ということは、配当分離課税の必要性はないと、こういうふうに局長は感じておるわけですか。
  74. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 少額預金の非課税一般というものについても同じでございますが、郵便貯金は本来庶民の少額な預金をお預りしているものでございます庶民の預金を保護するという立場からいたしまして、これをあえて分離課税に持ち込む、課税の対象にするというのは、これは本来税制の問題でございまして、郵政省の問題ではございませんが、私といたしましては労が多く益の方がいかがなものであろうかという感じを持っております。
  75. 大木正吾

    大木正吾君 時間もありませんから急ぎますが、私も局長と同じ考えでございまして、これは大臣のお答えをちょうだいいたしたいのですが、むしろ二百万なら二百万というところまで物価スライド的な金利保護政策とか、そういったことが必要——もっと金額が少なくてもいいんですが、そういうことを一面では考えながら、利子の配当もこれは関連するんですが、きょうは配当を議論してもしようがないんですけれども、少額貯蓄の分離非課税ということについては、まあ必要がない。むしろずぱっと総合課税にいたしまして、そしてすっきりさした中で、金利面とかあるいは少額の二百万限度とか、そういった面で何らかの保護措置を講ずるとか、そういうふうに私は、やっぱりこの段階ではすっきりする方が国民も納得するし、大体二、三百万預けている方々が、たとえば七%の定額貯金ですといったときに、三百万でもって年額にして二十一万、一割として納めて二万一千ですね、それが問題なのか、金利がいわばローリングして下がるのが問題なのかとなりますと、私自身服部さんほどのお金持ちじゃないですけど、郵便貯金金利がどうのこうのなるということについて余り神経はないんですよ。もしあるとする方々は、やっぱり五千万とか一億とか、そういった金を預けている方々にとっては、これはばかにならぬ、年間何百万の収入に関係いたしますから問題かもしれませんけれども、そういう感じがいたしますので、これはぜひ予算委員会における村山さんのお答えとの関連からいたしまして、ぜひ五十五年にいまの期限が切れるわけでございますから、これは大臣の答弁が要るわけでございますけれども、こういうものについては、財政的にもきわめて不如意な時期ですからね。とにかく、時におどかしが飛び出すんですよ。たしか予算委員会で公明党のどなたかの御質問だったかと思うんですけれども、そのときに返ってきたのが、要するにアメリカとヨーロッパの一部にありますけれども、総背番号制を実行すればできますよなんて話で答弁が返されたことがあるんですが、アメリカなんかは、一部の記事によりますと、社会保険にみんな入っていますから、その社会保険の証明書でもって貯金を受けつけるということになっているようでございまして、こういった二千七百億程度の少額税制特別措置との兼ね合いでもって、総背番号制でもって逆襲するというやり方は、きょう張本人おりませんから余り言いたくないんですけれども、やめていただいて、やっぱりすんなり私は総合課税にしていただいて、そして二百万なら二百万のところまではもう少しめんどうを見る方法を考えるとか、一般の庶民には、郵便局に預けておけば安心なんだという程度しかないんですよ。別にそんなに税金がどうのこうのという心配、気苦労する方は少ないわけですから、そういう点で服部大臣、五十五年に分離課税の法律が切れますから、その際にも大臣やっていてもらいたいし、がんばっていただきたいし、そういったことをやった中で、どうしても若干の増税をしなけりゃ財政が持たぬというのだったら説得力がありますよ。そういうことを含めて、いまのお話について大臣の御見解をちょうだいいたしたいと思います。
  76. 服部安司

    国務大臣服部安司君) これは税制問題で、むしろ私はとかく言うべき筋合いではないと思いまするが、ただ、郵便貯金を預かる立場からいたしまして、御指摘のとおりに、少額零細貯金でありまするから、大変なこれはもう労を要する問題でありますので、余り私は歓迎したくないと考えております。どうせこういうことについて、いろいろと話し合いがあれば率直にわれわれの考え方を申し上げたいと、かように考えている次第でございます。
  77. 大木正吾

    大木正吾君 大臣、好ましくないという受け身のお話じゃなしに、こういうことは国民感情なりあるいは国民生活なりの立場からして、公正を欠く制度でございますから、とにかくこちらは頼りにする大臣ですから、何としてもこれは期限切れのときには整理をいたしたい、こういうふうにもう少し明快にお答えをちょうだいできないでしょうか。
  78. 服部安司

    国務大臣服部安司君) まあ明快にお答えしたいのも私の性格からいって山々でありまするが、事税制問題でありまするし、先ほど申し上げたとおりに、そういった煩わしい大変な労を要することに相なりまするから、われわれとしては余り好ましくない問題でありますということは、なるたけそういうことをやってもらいたくない。しかし、いまどうせ大蔵当局も、その額によるいろいろな制度も設けることだろうと私は勝手気ままな理解をいたしまするが、そういう方向で努力をしたいと考えておる次第であります。
  79. 大木正吾

    大木正吾君 案納理事の方からこの前ちょっと注文がつけられた関係か、ちょっと歯切れが悪い感じもするんですが、とにかく五十五年に切れる法律でございますから、同時に私たちといたしましても、やっぱりいまの景気動向なり高齢者社会等考えた場合、まず不公平是正なりあるいは富裕者税等考えつつも、一般的には税負担というものを考えざるを得ないという気持ちは持つのですけれども、しかし医師優遇問題とかこの利子配当の分離課税問題というものは、まさしくその中において、金額も大きいし、まあ不平等の最大と言ってもいいと思うのですけれども、割合に貯金利子あるいは配当等については、日本の戦後の借金経済の発展というか高成長経済の支えということもございまして、何か貯金の場合には、脱税してもそんなに悪いことをしたわけではないのだと、こういうような社会的な黙認的なものがございます。しかしいまの段階になりますと、もうそういった時期ではないと、私はこういうふうに考えておりますので、大臣のせっかくのひとつ御努力を篤とお願いいたしておきます。  最後の問題でございますけれども、進学ローンの方に対して、時間がもうありませんから、まあわが党のあとの関係者の方に譲りますが、郵政審議会が要望を三点ほど今度の答申の中でつけておるわけでございますけれども、これについて、まだ具体的には郵政省検討していないかもしれませんが、相当、四回の議論があった中での要望でございますから、貯金局長でも大臣でも結構ですから、これをどういうふうにこれから生かすか、もしお考えがありましたら聞かせていただきたいのです。
  80. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵政審議会答申につきましては、御指摘のように三点にわたる要望が強くなされております。この三点いずれをとりましても大変基本的な問題でございまして、直ちに結論を出し得る問題でもございませんし、また郵政省限りで決せられる問題でも実はないわけでございます。しかしながら、先生おっしゃいますように、多くの議論の結果といたしまして、審議会として強く要望した事項でございますので、私どもといたしましては鋭意検討いたしましてこれの実現を図るよう、努力をいたしたいと考えております。
  81. 大木正吾

    大木正吾君 進学ローンの中身はとやかく言いませんが、住宅貸付五十万円、これ、一体五十万で何をやるんですか。
  82. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 住宅積立貯金の積立額そのものは仰せのとおり五十万円でございますが、五十万円を積み立てることによって住宅金融公庫に郵政大臣あっせんし、一般の貸付枠プラスたしか百七十五万であったと思いますが、プラス百七十五万円という枠が、いわば一般の方では競争率がある場合も、抽選なしに確保されるというメリットがあるわけでございます。五十万円がいわば呼び水になるかっこうでございまして、五十万円の積み立てだけが住宅積立貯金目的ということにはなっておりませんので、実際の住宅を建設する場合には大きにプラスになっているのではないかと考えておる次第でございます。
  83. 大木正吾

    大木正吾君 ゆうゆうローンという話もございますけれども、これも今度三十万が五十万に変わる法案になっているわけですが、いずれにいたしましても、これは大体私たちが金を借りるという場合には、自分の貯金が仮に百万円ございますれば、それに対して大体三百万借りられるとか、そういうときが要するにお金を借りると、こういうふうに私は認識するんですが、自分が預けた百万のうち九十万を借りる、六十万のうち五十万借りる、こういうんでは、何か前払いであって、金利払って、こんなばかなことはないから下げちまえと、こうなっちゃうんでありまして、その辺、このゆうゆうローンとか住宅貸し付けの話もわからぬわけじゃないですけどね、どうも取り上げて見ていきますと、まあ郵便貯金自身がやってきた財投の使命、あるいは預金者の最近のニーズの変化、そういったものに対してぴったりこたえてないという感じが否めないんです。  それから同時に、最近のサラ金の問題にも絡んでいきますと、もう少し、郵便局は少額の貸し付けが多いわけですから、今度進学ローン貸し付けのシステムなどをもっと広範にキャンペーンしながら、サラ金でもってわずか百万か五十万借りて一千万近い家まで暴力団に取られていくという、こういう状態、そういうものに対して何か救いの手を差し伸べる気持ちはないですか。
  84. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便貯金資金は、御承知のとおり資金運用部に回り、財投に回されております。その財投の融資先というものは先ほども申し上げましたように一−六分類が非常に多いわけでございます。そうした意味では、広い意味でペイバックになっておろうと思いますが、郵便貯金預金者に対する直接の還元という観点に立ちますと、先生仰せのとおり、これは直接のものは少のうございます。そうした点から、従来郵政審議会において、あるいは当委員会においても御決議をいただいております。そうした考えがありますことは私ども十分承知いたしております。しかしながら、この問題は非常に重要な問題であると思います。金額的にも非常に大きい問題でございますし、大きく言えば金融制度全体に響く問題で、慎重に検討しなければならないということであろうと思いますが、そうした点を別といたしますれば、やはり預金者に対して目に見えた形での還元があるということ自体については、これは望ましいことであろうと考えております。  なお、ゆうゆうローンについてお尋ねがございましたが、確かに預金してあるその預金の一部を借りるということではございますが、定額貯金は長く置けば有利になるように、半年複利で、期間が長くなるとさかのぼって金利が上がる意味で、中途でおろすより、一時の金の必要に対しては借りることによって有利な金利を維持できるという点から、一般の利用も非常に進んでおるものでございます。まあ進学ローンにつきましては、ただいま御審議いただいておるような案になっておる次第でございますが、考え方といたしましては、私ども、預金者の利便一般に即応した郵便貯金事業をつくり上げるという点については、今後とも努力を重ねてまいりたいと考えておる次第でございます。
  85. 大木正吾

    大木正吾君 最後になりますけれども、結局、まあ郵政大臣服部さんを頂点とする郵政省の職員はもっぱら貯金集め係でありまして、使い手は村山さん以下、渡辺さんに別に悪口言うわけじゃありませんけれども、大蔵省、こうなるわけですよね。こんなばかな制度なんてどこの国にありますか、こういうことを言いたいわけです。ただ、三十七兆がまた六兆ふえて四十三兆に来年なるかもしれないという、それにおびえてもしも大蔵省が物を言っているんだったら、私は別の方法があってもいいと思いますよ。たとえば、半分なら半分は預金部に持っていって半分残すとか、三分の一はもっと個人貯蓄として自由に使えるとか、もうちょっと、いまの若い人のニーズにこたえた考え方でもってものを扱いませんとね。結局はもう何のことはない、社会保障問題も全然、むしろ後退ぎみになり、——貯蓄ですよ、これは。個人貯蓄を商売に使うなんてことは——ある銀行の頭取はぼくに言いましたよ、討論会のときに。こういうことを言ったんですよね、大木さん、あんたの言ってることは間違ってるんだ、おれたちはおまえさん方が預けたその安い金をなるべく高率に使って、そして利息をつけて返してる、こういう言い方ですよね。私はそんな物の考え方ヨーロッパなんかにはないと思いますよ。  だから、服部さんを頂点として、金集めて汗だくで回ってる方々、一方じゃ、大企業先行投資として、基盤投資として使ってる財投資金ね。それが国民のために、住宅とか学校とか病院に返ってくるんならわかりますよ。今度東京都はそれでもって何か売り始めましたけどね、みんな民間の大企業、工場に売るわけでしょう、あれは。埋め立てた費用は財投から出てるわけですよ。やっぱり郵政省はそういったことについて、何回もこの委員会で決議されてるようですけども、もう少し腹を据えてやってもらわぬと、預金者は、正直者はばかをみるという状態でもって残っちまうと思いますからね。その辺は三点の要望事項もあるし、同時に、審議会のメンバー若干の差しかえというお話も何かあった、これはまあ実行するかどうかわかりませんけどね。逓信委員会全体として、与野党含めて、この話は筋の通った話だから、大臣も少しその辺は腹に置いて踏ん張って、せめて半分か三分の一は集めたあなたの裁量でもってまあ善政が施し得るように、ひとつ何らかの政策的な意味合いでの決着をつけてもらいたい。  まあ進学ローンも結構ですよ、これは確かにいままでと違った意味で、まあ九〇%分とにかく先払いしましょうというものとは違った意味でもって、これは中身が少し変わってますから、それは認めますけれどもね、こういったものでは、とてもじゃありませんが話の筋は通らないんでしてね。これは郵政省少し、何というか、高姿勢といいますかね、高い政治的な姿勢でもって大蔵省と闘ってもらいたいと私はあえて申し上げるし、恐らく自民党の先生方もそれについては異論がなかろうと思うんで、一言申し上げさしていただきたい。大臣のそれに対する所見を伺って終わりにいたします。
  86. 服部安司

    国務大臣服部安司君) まあ、一生懸命にささやかな金集めをやって、金集めは郵政省、お使いいただくのは大蔵省、けしからぬではないかという御指摘でございます。郵政省もずうっと長い間涙ぐましい努力を払っていることは大木先生も御案内のとおりでありまして、なかなかガードがかたくて、まあ、ちょこちょことやっている状態。私も本当に歯がゆい気持ちでいっぱいでありまするが、これは長いやっぱり歴史というものがありましてね、なかなか歴史というものは簡単に砕かれるものではないということをまず服部安司が、大臣就任して日は浅いわけでありまするが、もう痛いほど体験いたしました。これはかなり高度の政治問題ではなかろうかと私は理解いたします。  また、一方では金融二元化という点については、なかなかこれまた守りが必死でありまするし、私は、こういう問題は大きく国会の場で論議をしていただいてその方向づけを、もちろんわれわれも努力をせねばなりませんが、やっぱり高度の政治判断で方向づけをしていただくように、今度は私の方からお願いを申し上げる次第でございます。
  87. 最上進

    ○最上進君 与党の立場から質問させていただきたいと思います。  御承知のとおり、郵便貯金金利は先月二十五日から引き下げが実施をされたわけでございまして、大臣にまずお伺いをしたいのでありますが、この一年のいわゆる利率引き下げ状況を見ますと、三回にわたるわけでございます。すでに昨年五月及び九月の二回にわたりましてやむを得ず引き下げられた。一般金利との連動に対する批判というものがかなり強い中でこれが引き下げられ、今回で三回目であると、この一年に三回すでに引き下げられているわけでございます。  そこで、まず大臣に今回のこの引き下げに対するお考えからひとつお聞きしてまいりたいと思います。
  88. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘のとおりに昨年の五月、九月、このたびはまた四月と、十一カ月で三度の金利引き下げをやらねばならない立場であった私は、何とかこれを阻止したいという考え方であらゆる関係機関に強い姿勢で臨んだわけでございまするが、先ほど来御説明申し上げておりますとおりに、この取り巻く環境はもう想像以上に厳しくございまして、まず私も最終的には、確かに結果から申し上げますると民間金融機関に右へならえをせねばならない羽目に相なったわけでございます。  これはもう申し上げるまでもなく、最上先生にも御理解いただけると思うのでありまするが、午前中の審議を通じてでもある程度御理解いただいていると思うのでありまするが、やはり三十七兆というこの膨大な貯金量、国の財投の約五〇%近いウエートを占めるわけでありまするからまあ大変な影響力があるわけでございます。本来ならばこういった零細な預貯金のいわゆる蓄積でありまするから、国が何とか手を打たねばならないということはもうこれは十分わかるわけでありまするが、膨大過ぎてこれまたなかなかの問題が残るわけです。万策尽きて四月の十八日に答申をいただいてああいう方針をとったわけでございます。私は郵政大臣立場からいたしますると、返す返すも残念でなりませんが、どうぞこの事情を御賢察いただいて御理解を賜りますならば大変幸せだと思う次第でございます。
  89. 最上進

    ○最上進君 大臣のお言葉を聞いておりますと、何とか阻止をしたい、取り巻く環境が想像以上に厳しいものであったと、万策尽きて返す返すも残念であると、これは郵政審議会答申の中でも結論として触れております今回の利下げもやむを得ざる措置であるという、この結論と相通ずるものがあろうというふうに感じるわけでございます。  私どもやはり国民に選ばれて国会に出てまいっておりますので、国民立場に立って常に代弁をし議論を進めていくということは一つの議員としての役目でございます。それだけに、やはり中央で行われておりますことに対して、みずからの生活に直接大きな影響のあるこうした問題というものが余り理解ができないような状況にあることも事実でありまして、したがいまして、いま大変抽象的に、大変御苦労いただいたわけでありますけれども、万策尽きて本当に返す返すも残念であるけれどもこうした状況になったという大臣のお言葉の陰にありますことを、私はむしろこういう委員会で、ぜひひとつできる限り私どもにお聞かせをいただいた方がいいんではないかというふうに感じているわけでございます。きょうは大蔵の方方もいらっしゃいますから、いろいろやはり支障がある面もあろうかと思いますけれども、国民理解してもらうためにも、やはり私は今回この問題、取り巻く環境が想像以上に厳しかったその背景というものをぜひひとつお聞かせをいただきたいと思っております。
  90. 服部安司

    国務大臣服部安司君) このたびの郵便貯金の利下げについては、先ほど大木先生にもお答えいたしましたとおりに、大蔵省からとかく言われる筋合いのものではございません。法律ではっきりと、郵便貯金法第十二条、これに基づいて私は協力要請は受けましたが、自後一切そういった指示も、協力方も受けておりませんし、また受ける筋合ではありません。私は法律に基づいて郵政審議会と緊密な連携をとりつつ、委員先生各位の意見を聞きながら最終的にああいった措置をとったわけでございます。  その裏の話もここですべて公開し、またわれわれも今後力をかしてやることがあらばかしてやるからというありがたいお言葉でございまするが、これまあなかなか微妙でして、一つのあった事実を申し上げますると、やっぱりかなり私が強い姿勢で利下げをやらないという態度を表明いたしましたから、直接は会いませんけれども、かなり厳しい電話で、おまえは一体日本の福田内閣の閣僚として現在のいわゆる経済の運営、あり方について何と心得ておるかという強要もありました。私はそれは違うというわけで、かなりエキサイトした場面もあったわけでありまするが、それとても私はそれに屈した記憶はありません。それは何といわれても私は終始一貫やはり預金者を守るんだという姿勢を貫いたわけでありまするが、先ほど申し上げたとおりに、国全体の経済という立場から考えたときに、きわめて取り巻く周囲の状況が厳しうございましたと、だから、私がこの問題に遭遇いたしまして、いろんな立場で検討をさせていただき、また省内貯金局長初め関係者とも緊密な連携をとりながらどう措置するかという過程で、かなり問題が大きく日本経済に影響しているという点が、私がこういう方向にいかざるを得ない一つの理由であっただろうと理解をいたしております。  いろいろと申し上げたいこともたくさんありまするが、この程度でひとつ御理解をいただくならば大変幸せだと思います。
  91. 最上進

    ○最上進君 これ以上与党の立場といたしましてお聞きするのは残酷でございますのでとどめおきまして、大蔵のお方がお見えでありますので、この際ひとつお伺いをしておきたいんでありますが、大変急激な円高傾向加えて雇用情勢も非常に厳しい、景気回復刺激策として公定歩合引き下げるということはこれはもう一つの常道でありますけれども、現実にやはりこの一年で三回のこうした一般金利と連動いたしまして郵貯の利率引き下げが行われる、こういうことによって、現段階において実際に日本経済の立て直しのために今回とられたこうした公定歩合引き下げあるいは一般金利に連動しての郵貯金利の引き下げを含めて、どういうような効果というものが、どの程度の効果というものがあらわれるというふうにお考えになっておられるのかお伺いをしておきます。
  92. 石川周

    説明員(石川周君) 今回の一連の景気政策は、三月二十五日の経済閣僚対策会議の決定にございますように、金融政策さらには財政政策、雇用政策等、もろもろの総合的な展開のもとに行われております。その一環といたしまして、金利も全面的な引き下げを行うべきであるという判断が示されておるわけでございまして、公定歩合引き下げ、その他一連の金利政策はこのような政策の方向に基づいて行われたものでございます。したがいまして、私ども金利政策だけの効果ということはなかなかお答えしにくいわけでございますが、いわゆる十五カ月予算というような財政政策、さらには中小企業金融対策、対外経済政策とか、もろもろの総合的な政策を踏まえましたこの全体の景気政策、経済政策の結果といたしまして、景気が速やかに明るい回復の基調に円滑に動いていくように期待をしているということかと存じます。係数的にはやはり政府見通しというようなところに落ちつくものと私どもは期待して経済を運営しているわけでございます。
  93. 最上進

    ○最上進君 大変上をなでるような御答弁なんですが、確かに十五ヵ月予算を組んで景気対策としての一連の政策の中の一つであるということはわかるんでありますけれども、私どもやはり国民の中にあって常に感じ、また批判を聞いておりますのは、こうした公定歩合のとにかく引き下げというものによって一番大きな恩恵を受けるのは一体だれなのかとか、これはやはり皆様方ももうすでに耳に入っておられると思いますけれども、大手のやはりたくさんの金を借りている企業、そして今回の一般の金利に連動して郵貯の金利まで引き下げられるということによって、そうしたしわ寄せが、ほとんど零細な貯金に頼る一般国民に行っているという、こういう批判というものが現実に国民の中にはごうごうとしてあることは事実であります。私は、そういう中で、政府が福田政策の中でこうした公定歩合を数次にわたって引き下げられているということに対して、最近では疑問を感じているやはり一人でございます。  したがいまして、いま係数的には最終的に政府見通しになるというようなお話で締めくくられておりますけれども、一体その公定歩合引き下げをこうして数次やることによってどういう効果が実際にあるのかということ。一次、二次にわたって引き下げたことによって、三次をやらなきゃならなかった一次、二次のその効果というものはどの程度あったのかということを、これは係数であらわすことは非常にむずかしいでありましょうけれども、お示しをいただければありがたいと思います。
  94. 石川周

    説明員(石川周君) 一年に三回に及ぶ預貯金金利の下げというのはまことに異常でございまして、私どももできればそういうことをしないで政策運営をしてまいりたいと願っておりますことは、全く気持ちは同じでございます。ただ、金利を下げないで経済政策の運営をしていった場合には、やはり日本経済として、その金利負担全体としてたえ切れないとごろにくるんではないか。そしてやはり企業の倒産とか経済運営がうまくいかなくて、結局は雇用問題、現に歩んできました実績以上に悪くなったんではなかっただろうか。確かに金利を下げないでやっていった場合の結果と、金利を下げて現実に歩んでまいりました経済の実際とをどう比較するかというのは非常にむずかしい仮定の問題でございますけれども、私どももし金利引き下げを一回目、二回目しないでいった場合には、かなりの経済の混乱があったのではないかと思います。また、その金利を下げまして経済運営をやってまいりましたその結果といたしまして、必ずしもはかばかしくない。そして第三回目の金利引き下げをせざるを得ない環境になりましたことは、私が申し上げるような問題ではないかもしれませんが、非常に残念なことだったと思います。  午前中の議論にも出ておりましたように、政策それ自身の問題だけでなくて、やはり対外的な要因とかどうにもならない一つの経済の動きというものもございましたし、私どもといたしましてはそういう事態を踏まえながら、三月の下旬におきましてそういった新しい事態を前提として、これからの経済のあり方をどうするのが一番よいかと、そして金利を下げた場合の経済の安定の仕方、それがめぐりめぐって雇用にも及ぼすよい影響、そしてそれがそれぞれの個人所得に及ぼす影響、そいったものと、金利を下げないでやった場合の暗い困難な状況を想定いたしまして、やはり金利を下げて経済運営をした方が、結局は国民全体としてプラスになると、こういう判断がこの経済政策の決定の背後にあったと理解しております。
  95. 最上進

    ○最上進君 やはり貯金利率引き下げの影響をまともに受ける預金者立場に立って考えますと、この際やはり何らかの預金者保護の施策というものが必要であろうというふうに私は強く感じているわけでございます。  先般の郵政審議会議論の中でも、大変貴重な意見が展開をされているわけでございます。その内容の一つを見ましても、たとえば現行金融制度の見直しを行うべきである、預貯金個人貯蓄性預金と営業性預金とに区別して、個人貯蓄金利は直接金利政策の影響を受けないようにするなどの検討をすべきであるというような意見も出されているわけでありまして、大変私どもも共感を抱いているわけでございます。こうした意見を踏まえて先ほど大木委員がお触れになりました、三項目からなります要望事項があるわけでございますが、その中の第一項であります郵便貯金の本旨にさかのぼってこの際預金者保護、利率の改定等のあるべき姿について基本的な検討に努めるべきであるという御意見があるわけでありますけれども、これにつきましてはどのようにお感じでありますか、お伺いをしておきたいと思います。
  96. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 最も基本的な重要な問題を審議会から指摘され、またただいま先生から御指摘を受けたわけでございますが、私どもといたしましては百年の歴史の上に単に安住するのではなく、国民の要望を満たす郵便貯金というものはいかなるものであるかということを描きながら、審議会答申趣旨あるいは前回でございましたか、当委員会からいただきました御決議等の趣旨を体して、今後検討に十分努めたいと考えておる次第でございます。
  97. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほども私は、郵便貯金の本来の姿、したがって、見直しをする段階に来たのではないでしょうかということを申し上げましたが、私はこのたびの利下げについて、その渦中の人間、最高の責任者として本当に苦悶状態でありました。こういうことはもう繰り返すべきではない、郵便貯金法にはっきりと前段では預金者保護、後段では一般民間金融機関を考慮に入れる、こういう、こう言っちゃ悪いがあいまいな法律の書き方ってぼくは他にないと思うんですね。で、過去の歴史をひもとくと、大体もうすべて右へならえをさせられているという現実、私はこのことを強く皆さん方に訴えたい。  やはり厳しい制限を、これは無制限にそういう優遇措置本質に逸脱する行為でありまするが、厳しい制限を加えてでも各々実態がやはり違うかっこうにする方が、公定歩合が引き下がった、これは公定歩合が下がれば当然金利が引き下がらなないと日本財政金融に大きな狂いが生ずるわけですから、そのときにはもう当然一般民間金融機関も、また郵便貯金金利も同率に下がると、しかし、基本的にはある程度のいわゆるいま言った営業預金と個人零細預金とのはっきりした差があるわけですから、厳しい制限を加えて、ここにある程度の差をつけておけば経済運営上万やむを得ない状態が来ても、これははっきりと郵便貯金法趣旨に合った結果になってくる。このように私は考える次第でありまして、これも大変高度の政治問題でありますので、私は心からこういう方向づけを国会の場でひとつ御論議していただきたい、かように思う次第でございます。  したがって、この答申案については、できるだけわれわれはもちろん尊重いたしまするし、まあ最善の努力を払ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  98. 最上進

    ○最上進君 これは大蔵の方にお伺いをしておきたいのでありますが、先ほど私がちょっと触れました、預貯金個人貯蓄性預金と営業性預金とに区別して、やはり金利政策の影響というものはその個人貯蓄金利というものに影響を与えないような仕組み、制度というものを考えるべきでないかという指摘に対して、どのようなお考え方をお持ちであるかお伺いしておきたいと思います。
  99. 石川周

    説明員(石川周君) 先生の御指摘がございましたような御意見はときどき承っております。一つの御見識かと存じますが、ただ、実際の実務を取り扱っております行政の立場から考えますと、なかなかそういった区分けというのは非常にむずかしいんではないかという技術上の問題、それから、いま金利が非常に下がっている局面でございますので、また下げが問題でございますだけに、そういう御意見が出るのもよくわかりますが、今度逆に、上げの局面のときに上げないという御意見が果たしてあり得るのかというような実際上の問題を考えますと、なかなか日本の風土には向かないのではないのかなという感想を持つわけでございます。
  100. 最上進

    ○最上進君 要望事項の中で、特に郵便貯金の総額制限額の引き上げ指摘をしているわけでございます。最近におきます国民経済生活の実情からいたしましても、やはり三百万円という現行の制限額というのは余りにも低過ぎるというふうに私たちは感じているわけでございます。で、郵政省では、当初私どもに部会等で御説明をいただきました段階では、五十三年度の概算要求でこの引き上げをたしか要求をされていたはずでございますけれども、これがどうして実現をしなかったのか、予算折衝の経緯の中で変わっていったわけでありましょうけれども、その実現をしなかった理由はどこに一体あるのか、この辺につきましてまず郵政省からお答えをいただきまして、次にひとつ大蔵省からも、これに対する経緯とその理由、できなかった理由、その点についてお話を伺っておきたいと思います。
  101. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 私どもの方から理解しております点について申し上げます。  先生仰せのごとく、五十三年度予算概算要求におきましては、総額制限額の引き上げを確かに要求いたしております。しかしながら、この問題につきましては、現在財政状態が全般的に非常によろしくないということ、それから、利子所得に対する非課税措置全体とのかかわり合いを一体どうするのか、この問題と切り離して郵貯のみを引き上げるということは問題があるのではないかということ、また、財政が苦しいのに利子所得に対する非課税枠のみを拡大するということが税制上から見てどうなのかといったような、いろいろなむずかしい問題があって、これら各般の要素が重なり合って今回は実現を見るに至らなかったということではなかろうかと理解いたしております。従来とも郵便貯金の総額制限額につきましては、そのときどきの国民所得の伸びとか、貯蓄保有額の推移等見ながらやってきた次第でございますが、この総額制限額の枠の拡大というものは、郵便貯金預金者の直接的な利益にかかわる問題でございますので、各般の事情はあると存じますが、私どもといたしましては、この問題については今後とも真剣に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  102. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) ただいま貯金局長がお話をされたことで尽きているかと思いますけれども、若干補足さしていただきますと、郵便貯金につきましては、先生案内のとおり、所得税法上非課税、その利子が非課税ということになっております。したがいまして、その預入限度につきましては、従来から銀行その他の金融機関の預金の非課税限度といったものと並行いたしまして大体バランスをとりましてその引き上げを図ってきておるということでございます。  ところで五十三年度の税制改正につきましては、国民貯蓄のいろいろな実情等に照らしまして、非課税限度につきましてこれを引き上げないというふうな取り扱いになりましたこともありまして、そういったこととのバランス上、郵便貯金の預入限度につきましてもこれを据え置くこととしたというのが一番大きな原因であろうというふうに理解しております。
  103. 最上進

    ○最上進君 当面直面しております財政状況がよくない、あるいはまたいまお話しいただきました原因で、今回予算折衝段階で消えたという話でありますけれども、この問題、先ほど指摘をいたしましたとおり、国民経済生活というものがやはり現段階でこういう状況になっております状況から見ても、一般国民の声として、三百万円という現行の制限額では余りにも低過ぎるというふうに私は感じているわけでございます。今後も郵政当局は、大蔵との話し合いの中で、当然、いま財政状況がすぐによくなると思いませんけれども、やはり引き上げの方向で努力をされていくべきだというふうに私は感じているわけでございますけれども、この点について郵政はどのようにお考えであるか、お伺いをいたします。
  104. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便貯金の総額制限額の引き上げにつきましては、先生指摘のとおりの実情にあろうかと思います。また、郵政審議会からも強い要望を受けておる次第でございまして、私どもといたしましては、これを実現すべく努力を重ねてまいりたい、真剣に検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  105. 最上進

    ○最上進君 次に、答申の中でもやはり触れているのでありますが、特に老齢者、お年寄りの預金とかあるいはまた定年退職者の退職金についてやはり特別の配慮を要望しているわけでございまして、郵政大臣はこの問題についてどのようにお考えになっておられるか。これはいろいろむずかしい問題だと思いますけれども、どのような施策をお考えになられているかお伺いをしたいと思います。
  106. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 退職金の千五百万円までの利子を非課税とする構想につきましては、勤労者の退職金がもっぱら退職者のその後の生活資金に充てられているという性格から、私は、これはもう郵便局だけの問題でなく、全体の金融機関が少しでも優遇策を講じたいという見地から、これらの所得郵便貯金に預入される際には、一般の総額制限額の別枠を設けることといたしまして、去る四月十八日の郵政審議会答申の中でも検討するよう強く要望されたわけであります。国家財政が非常に厳しいときでありまするが、先ほど主計官からもお答えがありました、全体に総額枠の制限額を上げることはやらないという立場であったという御指摘でありました。私は、もちろん国家財政の立場から、歳入の確保ということはこれはもう当然重要な問題でありまするが、この退職金というのは一挙に来ないんですね。たとえば、三十年勤続とすれば三十分の一ずつやめていかれるわけでありまするから、国家財源、歳入に大きな支障はないだろうという判断からこういったことを申し上げているわけであります。  しかしこの構想につきましてもなかなか解決を要すべき問題がたくさんあります。関係方面との折衝を要するものでありますので、目下事務当局で検討をしている段階でございまするが、私は、できる限り最善の努力を払って実現を期したいという強い意欲に燃えているところでございます。
  107. 最上進

    ○最上進君 ぜひ大臣、勇気を持ってこの問題には御努力をいただきたいのでございます。  それはあとで聞くことにしまして、今回の法改正も、言いかえれば前回の郵政審議会答申などを受けてのいわゆる預金者保護施策の一環であろうというふうに受けとめているわけでございます。法律では大変大まかなことを決めていて、具体的な内容についてはすべて政令等に委任をされているわけでありますけれども、こうした法案の説明だけではその内容がつまびらかでない面があるわけでありまして、特に私ども、いろいろ関係の機関の中で議論をしてまいりました中でも、たとえば貸し付けは窓口が郵便局でありながらも、実際に焦げつきが出て、これを催促する、督促する、そういうような仕事というものは一体それではどこがやるのかというようなことの詰めに関しては、私ども聞いている範囲では、どうもそれは国民金融公庫が当然やるべき問題で大蔵側の問題であるとか、あるいはそれは窓口の郵便局がやるんではないかとか、やはり現実にもいろんな論議がまだなされているはずでありますので、こういう問題を含めて、もう少しひとつつまびらかに進学ローン制度について御説明をいただきたいと思っております。
  108. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 進学ローンの具体的な制度内容についてのお尋ねでございますが、政令その他で決めております事項は、郵便貯金法部分に関しましては、政令で決めるものが貯金利率及び貯金据え置き期間、それから省令で決めるものが一回の預入金額及び預入金総額、その他貯金の預入及び払い戻しに関する事項、これが省令で決める事項になっております。  それから国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の系統の方におきます政令事項といたしましては、学校の範囲の問題、それから借り受け人の資格、貸付限度等々については業務方法書ということになっておりますが、これを通じて具体的な制度内容について御説明申し上げますと、まず進学積立貯金制度内容につきましては、一年以上三年の期間にわたり毎月一万円以上、これは五千円刻みで四万円までの間の金額を最高五十四万円の範囲内で積み立てる、この貯金預金者国民金融公庫等から進学資金貸し付けを受けようとする者に対しては、郵政大臣がその貸し付けを受けることについてあっせんを行うというものでございます。この貯金利率につきましては、これは先ほど申し上げましたように、政令で決めることでございますし、郵政審議会の議を経る問題でございますが、据え置き期間が二年を超えるもので年二・八八%、据え置き期間が二年以下で二・六四%を予定いたしております。  次に、具体的な貸付条件につきましては、国民金融公庫等大蔵大臣の認可を受けて業務方法書で定めるものでございますが、その内容といたしましては、貸付限度額進学積立貯金の積立額の範囲内で、すなわち五十四万円以内であるということ、貸付期間は一年の据え置き期間を含めて高校三年以内、大学四年以内、それから貸付利率は公庫の基準金利と同率となる予定と承知いたしております。この基準金利は去る三月二十七日から年七・一%となっておりますので、この基準金利に変更がなければ進学ローンの貸付利率も年七・一%となる予定になっております。  これの実際の事務取り扱いの手順でございますが、進学積立貯金は、当然のことながら他の郵便貯金と同様、郵便局で受け付け、お預けをいただくわけでございます。貸し付けの申し込みにつきましては、これまた郵便局で受け付け、郵便局国民金融公庫の本支店にこれを取り次ぐ。この際、入学許可が出てから実際の金の所要までの期間というものが大変短いという実情に照らしまして、国民金融公庫におきましてはあらかじめ審査できるものは審査をしておいて、入学許可の通知があれば郵便局の窓口で直ちにお貸しできるような手続をとっておく、こういうことで、進学積立貯金預金者が金を借りようという場合、実際の窓口は郵便局のみをもって片づくという手順を考えております。  なお、債権管理についてのお尋ねでございますが、いままで申し上げましたように、貸し付け自体は国民金融公庫が行うものでございますから、債権管理もこれは貸付業務そのものの一部分でございまして、国民金融公庫がその責任において行うべきものと考えております。しかしながら、郵便局の側の故意または過失に基づく金の欠損等があれば、これは当然のことながら、郵便局においてこれは責任を負うべきものであると考えております。概略申し上げますと、以上のとおりでございます。
  109. 最上進

    ○最上進君 当初進学ローンのこの制度が私どもの耳に入ってまいりまして、郵政省独自のお考え方があり、当時小宮山前大臣の指揮のもとで、私どもいろいろやはり論議を聞いてまいったわけでございます。当時は郵政省独自の案の中では、もちろんこの進学ローン制度というのは、郵政省の一つの大きな目玉としてこれをお扱いになるというお話であったのでありますけれども、いろいろやはり問題が煮詰まっていく過程の中で、最終的にふたをあけてみたら、国民金融公庫が登場したりして私どもは大変びっくりした一人でございます。  本来の郵政省案のねらいと違った一つの制度ができ上がったということは私はやはり否めないというふうに思っているわけでございますけれども、一体どこから国民金融公庫が出だしてきたのか、これはやはり交渉に当たられた大臣、先ほどの金利政策の問題でも大変厳しい質問をさせていただいたわけでありますけれども、やはり本来の郵政省独自の案が私はすばらしいと思って応援をしてきた一人でございましただけに、最終的に国民金融公庫が登場することは、これはやはりやむを得ざる措置であったのかもしれませんけれども、一体どの辺からこういう問題に転換をしてきたのか、本来持っていた郵政省独自の案とかわってきて、一つの制度ができ上がったということに対して、私はいまも大変疑問を感じている一人でございます。その辺につきまして、先ほどの金利の問題じゃありませんけれども、経緯を含めて、ひとつ御説明をいただければありがたいというふうに考えております。
  110. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 余りすばらしい案ができたものですから、郵政省だけに食べさすわけにはまいらないと、やっぱり日本の国にはいろんな金融機関もあるんだからというので、大蔵省がお考えになった対案じゃなかろうかと思うのでございます。国民金融公庫だけではございません。すべての日本国内の金融機関が、これも一挙にあらわれて、予算折衝の過程で雨後のタケノコのようにわっと。今度は、われわれのやる進学ローン法律で規制されまするが、民間金融機関は、きょう考えて頭取が決めれば、もうあしたから実行できるというわけですから、華々しく登場したわけであります。これも私は、交渉の過程で本当にどうにもならない立場に追い込まれましたが、大蔵省の金融一元化という立場からすれば、当然守りの城を築くのはあたりまえだと思います。  しかし私は、もう刻々と予算の編成が官邸筋から厳しく通達が来るし、最終大蔵大臣折衝は、私の郵政省は一番最後でした。だから、その場でいろいろと考えて、待てよ、これは郵政省という立場から考えるとまことにくやしい一語に尽きるが、国全体、すなわち利用者の立場に立てば、これはもう広くいろんな窓口で利用できるわけだからという、ちょっとこれがぼくのひるみだったと思うんですね、いまから考えると。これは国民のサイドに立てば非常にいいことだと考えて手打ちをしたのが、こういうふうに各界、各層から批判を受けるような姿に相なったわけでございます。私は重ねて申し上げまするが、もちろん国民金融公庫のいわゆるあっせん業務になりまするが、しかし、そのときの交渉過程で、すべて郵便局の窓口で事処理ができるということも確認ができましたのでこういう姿に相なったわけでございます。どうぞこの点の経緯もひとつ御理解をいただきたいと思います。
  111. 最上進

    ○最上進君 大蔵省の言いますいわゆる金融の一元化政策というものの考え方はわかるわけであります。しかし私ども、先ほども大木委員指摘をしましたとおり、集めるだけで使えねえじゃないかというやはり一つの考え方に基づいて、既設の、既成の制度を打破しようとか、考え方を何とか打ち破ろうということで立ち上がった郵政省に対しては、私は心から拍手を送っていた一人なんです。ところが、やはり制度的にでき上がってみますると、こういう形になるということに対して、ひとつ私はこれの一番主役であった貯金局長は、腹の中ではどういうことを考えておられるのか、この制度ができ上がった段階でですね、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
  112. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 大変むずかしい御質問をいただいて、お答えに窮しておる次第でございますが、まあ私どもの当初の郵政省原案というのは、先生おっしゃいますような内容でございました。しかしながら、およそ物事にはいろいろな見方があろうかと思います。また、置かれておる環境等からする見方もあろうかと思います。そうした点から大臣がただいまお答え申し上げましたとおり、財投資金の運用のあり方、政府系金融のあり方と各般の問題との調整を図った結果がこうした形になったものと理解いたしておりますが、これまた大臣が先ほどはっきり申し上げましたが、利用する国民サイドから見ました場合には、郵便局の窓口、これは全国一番広範に分布しておりますが、ここですべて用が足りるということになっておりまして、利用する方々の立場から見ました場合には、原案と変わるところはない。つまり利用者の立場に立てば満足すべきものになっておるのではないかと考えております。  また、先生が御指摘なさいましたように、このいわばアイデアと申しますか、郵政省考え方がもとになって、各般の金融機関において、進学資金貸し付けという制度が始められたという意味におきましては、いささかなりとも国民の家計に対して裨益するところがあったのではないかと考えておりますし、また今後実施に当たりましては、大いに役に立つような運営の仕方を今後とも十分考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  113. 最上進

    ○最上進君 なかなかこういう場では本音を言いがたいというふうに考えております。しかしながら、たとえば郵政省独自の案が論議をされている段階で、たとえば私ども推進者のところに、ある地方銀行の頭取あたりから、ふだん電話なんかかかってこないんでありますけれども、電話がかかってきて、何とかこの制度だけはひとつつぶしてほしいというような要望さえあった問題でございました。私はそういう中で、やはり非常に根深いものを、この制度ができ上がるまでの過程の中で大変強く感じた一人であります。私は、やはりこれ、でき上がる以上は仕方がないんでありますから、とにかくこれを最大限御活用いただく。しかし私は、恐らく貯金局長の胸のうちは、七〇%ぐらいはとにかく満足したけれども、あとの三〇%は、恐らく腹の中に何か残っているんじゃないかというようなことを察するわけでございます。そんなことないでしょうか。どうでございますか。
  114. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ひとつ郵政省独自の案と現在でき上がった内容とを比較検討してもらいたいと思うんです。正直申し上げて、かっこうは少々悪くなりましたが、味は大変よくなったといっても私は言い過ぎじゃないと思うんです。金融一元化という立場大蔵省は、一応かなりな層から悪者にされていますが、実態はそうでなかったと思います。やっぱりなかなか、ぼくと話し合いの場では大変好意的で、ああいう立場をとらなければならなかったという反省からきたのかもしれませんが、金利は安くなりました。据え置き期間も一年、新しくつくりました。返還期間も長くなりました。当初から比べると、かなり内容は、利用者にとっては有利になったと。だから、まあかっこうは少し、男前は悪くなったけれども味がよくなって、大体国民の側から見ればまあまあじゃないかと貯金局長が思っているんじゃないかというふうに私は推察をいたしております。  今後はいろいろと国会の場を通じての先生方の御意見をわれわれはいろんな機会にこれを生かすべく努力を払ってまいりたい、よりよいものに仕上げてまいりたい。まずこのたびはこの姿でひとつスタートすることを御理解いただきたいと、かように存ずる次第でございます。
  115. 最上進

    ○最上進君 国民に詳しいことは知らされていないわけでありますから、ちとかっこう悪くなったけれども味はよくなったというような大臣の御答弁を私はとにかくひとつ真に受けて、少なくともやっぱりこの制度国民のために本当に活用される制度であっていただきたい、そのようなひとつ運営努力をしていただきたいというふうに思っております。  特に、積み立てを完了した預金者を、郵政大臣国民金融公庫等あっせんをするわけでありますけれども、国民金融公庫等から貸し付けが行われることになりまして、問題はやはり積立預金者は要件が整えば必ず進学資金が借りられるという保証がなければならないというふうに私は思うわけでございます。万一、資金不足等の事情から貸し付けが行われないというような事態が生じたといたしますれば、これはやはり郵便貯金に対する国民の信頼というものが失墜される結果につながるというふうに私は思っております。したがいまして、この資金手当てを完全に行うということが、これはやはり大変大事な問題でございまして、そのような事態は絶対に生じさせないということを、この際、郵政省はもとより大蔵省からもぜひひとつ、関係があるわけでありますから、国民に向かって確約をされたいというふうに考えております。
  116. 高仲優

    政府委員(高仲優君) この進学ローン制度は、貯金法におきます進学積立郵便貯金国民金融公庫法等に基づく進学小口貸し付けとの両者が合わせて成り立っておる制度でございます。この二つを法律的に結びつけているのが郵政大臣あっせんということに相なるわけでございます。法律あっせんの規定を明記いたします以上、預金者が確実に貸し付けを受けられるように資金の確保を図るべきことは、これは当然のことであると私は考えておりまして、制度運営に当たっては遺憾なきを期してまいる所存でございます。要件が具備しておる預金者に、郵便貯金進学積立貯金預金者であって、貸し付けの申し込みをし、要件が具備している者については必ず貸し付けが受けられるものと私は確信しておる次第でございます。
  117. 石川周

    説明員(石川周君) 郵政省からごあっせんがございます案件につきましては、要件が整えばお貸しするというのは当然でございます。また、御質問のございました、資金手当てがその場合大丈夫かという御質問でございますが、現在の国民公庫の全体の貸付規模の中でいろいろと工夫するという余地もございますし、中小三機関には毎年末追加措置もとられておるというような事情も御勘案いただければ、資金手当てがつかなかったから貸し付けをお断りせざるを得ないというような事態はまず考えられないと思っております。
  118. 最上進

    ○最上進君 それは本当に国民に向かって確約をしていただいているという意味に私はとりまして大変ありがたく思っております。来年の進学時から貸し付けるということになりますと、本年度の財投計画で資金措置をしておく必要があるというふうに思うわけでございますけれども、国民金融公庫に対してどの程度の資金措置がなされているのか、これはやはり大蔵省の方から御説明いただきたいと思います。
  119. 石川周

    説明員(石川周君) 五十三年度の国民公庫の貸し付けの中で二百億円をこの進学ローンのために枠として用意いたしております。そのほかに沖繩公庫につきましては二億円を用意いたしております。
  120. 最上進

    ○最上進君 郵政省にお伺いをしたいんでありますけれども、本年度のいわゆる進学積立預金者をどの程度と見込んでおられるのか。そのうち来年の進学期に貸し付けを希望する者がどの程度と見込んで計画をお立てになっておられるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  121. 高仲優

    政府委員(高仲優君) この制度は全くいままでなかった、新規に行われる制度でございます。この見通しにつきましては、民間金融機関の教育ローンとか、国民金融公庫等の低所得者向けの進学資金貸し付けがどのくらいになるかといったようないろいろな変動要素が非常に多いのでございまして、いま的確に見通しを立てるということはむずかしいのでございますが、まず来年度最大限どのくらいになるだろうか。まあ最大限と申してはちょっと言い過ぎかもしれませんが、十分のPRが行われた場合にどの程度になるかと言いますと、私は十万件程度ではなかろうかと考えております。つまり、法律が成立いたしまして施行されましてPRを始める、十万件程度はいくだろう。そのうち五十三年度の三月期に出るのが一体どのくらいになるだろうかというその細部につきましては、ちょっと現段階では予測がむずかしいのではないかと思います。  十万件と私申し上げましたのは、高校、大学の入学者の推測をいたしまして、それに対して、いままで文部省の奨学資金の貸付希望者、これは貸付希望者と奨学資金をもらっている者とは当然違うので、希望者の方が非常に多いわけですが、奨学資金の貸与希望者は入学時においても入学金等の金融を必要とするものと考え、その希望者の割合を大学、高校の入学者にそれぞれ掛けまして、それからそれに対して郵便貯金のシェアをどのくらいと見るかという問題になりますが、この点については四四%が郵貯の方に来るだろうという少し大き目に見ました場合に、十万件程度になるわけでございます。この辺のところにつきまして、郵貯のシェアがどのくらいになるかという問題、それから初年度からすぐ経過措置の分ばかりで十万件になるのか、あるいはその翌年目がけてというのがどのくらい入ってくるのか、この辺のところがちょっとわかりませんので、まず考え得る枠のもとで初年度十万件と踏んでおります。
  122. 最上進

    ○最上進君 まあ十万件の見込みという具体的な数字をお示しをいただいたわけでございますが、予想以上に来年の進学期の借入需要が出た場合には、その資金措置をどうされるのか。この点については、ひとつ大蔵省から的確なお答えをいただいておきたいと思います。
  123. 石川周

    説明員(石川周君) 先ほど御説明申し上げましたように、いまの状況で考えますと、二百億ということはかなりの規模だと思いますので、まず足りないことはないのではないかと思いますが、もし万一資金が不足するということになりますれば、国民金融公庫の全体の貸付枠の中で融通をすることをまず考えたいと思いますし、それでももし仮に足りないというような場合には、財投追加というようなことも考えるということかと存じます。
  124. 最上進

    ○最上進君 それでは最後にお伺いをしたいんであります。  今度の制度の中では、進学資金の借り入れに当たりまして保証人を立てなければならないことになっているわけでありますが、経済的に恵まれない人たちにとって、保証人を立てる、他人に保証人になってくれというふうに依頼をするということは、これはやはり非常にむずかしい問題だというふうに私は考えているわけでございます。したがいまして、そうした方々が保証人を得られないがためにこの制度が活用、利用できないというようなことも当然出てくるわけであります。民間金融機関においては保証人にかわる保証制度というものがかなり充実されてきているというふうに評価をしているわけでありますけれども、国民金融公庫においてもやはり何らかの制度が考えられてしかるべきではないかというふうに私は常々考えているわけでございます。  大蔵省はこの点についてどのようなお考えを持っておられるか。あるいはまた、どのような方法をおとりになることによって、これだけやはり皆さんが一丸になってできた制度が、国民の中に本当に浸透して、しかも一人でも多くの恵まれない方々に御活用いただけるかどうかということにもつながってまいりますだけに、この点についてのお答えをいただいておきたいと思います。
  125. 石川周

    説明員(石川周君) 金融的に申しますと、消費者ローン、個人ローンというのはまだ未開の分野、未知の分野と言ってもよいような感じのところでございます。いままで経済の局面がそうであったということであろうと思いますが、民間金融機関におきましても、消費者ローンに、個人部門に対する資金供給というものに重点を置かなければいけないというふうに考え始め、その体制をとり始めたのはここ数年でございます。そうした金融的な感じから考えた場合、個人に対する貸し付けというものが、債権保全という角度から、どこまでが許容範囲であって、どうしたような手だてがどこまでなければならないかというのは、いろいろこれから経験を積んでいかなければならない分野でございます。特に、教育ローンという分野におきまして大々的に金融を行いたいというのは、私ども事務屋の立場からいたしますとかなり未知の分野と言わざるを得ないような面もございます。大事な預貯金を運用することでございますので、そこはやはり慎重にならざるを得ない。金融のサイドから申しますとそうした問題がございます。しかし利用者の立場からは、先生指摘のような、できるだけ利用しやすい、保証人なしで何とか利用できないだろうかという御要望のあることもよくわかります。  私ども、その両方の要請にどのようにこたえていくか、今後よく検討いたしたいと思いますけれども、この保証人にかわるたとえば一つの保証機関というようなものをつくるとした場合に、教育ローン全体の実績の大きさ、どの程度のものになるのか、その場合の保証料はどうなるのか、そうした保証機関として仕組みがつくれるものかどうか、いろいろの問題があろうかと存じます。私ども、保証機関が必要であるかどうかということ自身につきまして検討いたしております。いたしておりますが、申し上げたようないろんな問題がございますので、確たるお約束はまだできる段階ではございませんので、御了承いただければありがたいと存じます。
  126. 最上進

    ○最上進君 終わります。
  127. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 本件に対する本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五分散会      —————・—————