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1978-04-11 第84回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十一日(火曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員の異動  四月七日     辞任         補欠選任      坂倉 藤吾君     大木 正吾君  四月十日     辞任         補欠選任      大木 正吾君     坂倉 藤吾君   出席者は左のとおり。     —————————————     委員長         栗原 俊夫君     理 事                 長田 裕二君                 西村 尚治君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 小澤 太郎君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 菅野 儀作君                 高橋 圭三君                 前田 勲男君                 大森  昭君                 坂倉 藤吾君                 中野  明君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  服部 安司君    政府委員        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        郵政政務次官   宮崎 茂一君        郵政大臣官房長  河野  弘君        郵政省郵務局長  神山 文男君        郵政省貯金局長  高仲  優君        郵政省簡易保険        局長       佐藤 昭一君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君        郵政省人事局長  守住 有信君        郵政省経理局長  浅尾  宏君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        警察庁警備局参        事官       近藤 恭二君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   広田 徳久君        大蔵省銀行局総        務課長      石川  周君        運輸省航空局管        制保安部長    飯塚 良政君        郵政大臣官房首        席監察官     日裏 泰弘君    参考人        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君        日本放送協会営        業総局総局長  森 外志雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵便貯金金利引下げ問題に関する件)  (郵政省管内における犯罪事件に関する件)  (簡易郵便局の設置、委託事務及び取扱手数料  に関する件)  (成田空港管制塔乱入事件及び同空港開港に伴  う受信障害に関する件)  (在日米軍ロランC局による電波障害に関す  る件)  (多重放送実用化に伴う諸問題に関する件)  (郵政省に係る週休二日制に関する件)     —————————————
  2. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、電波監理に関する事項の調査のため、本日の委員会新東京国際空港公団理事角坂仁忠君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 矢原秀男

    矢原秀男君 委員会における質問の重複もあろうかと思いますけれども、大事な問題でございますので御了解をいただきたいと思います。  まず、大臣にお伺いしたいわけでございますが、国民全般の中で郵便貯金に関する預貯金金利引き下げが昨年も二度行われたわけでございますけれども、本当にどういうふうに政府は考えてくれているのか、われわれの国民生活という立場から政治が行われているのか、こういう問題がこの預貯金金利引き下げ問題の中に出ておるわけでございます。まず、その理由と言いますか、大臣の本日の時点における御見解を伺いたいと思います。
  6. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 矢原先生の御指摘公定歩合引き下げ利子引き下げに伴って、郵便貯金もこれに連動し、金利引き下げの点についての御指摘でございまするが、私も、先生同様、公定歩合引き下げ郵貯金利引き下げとはあくまで別のものであるという基本的な考え方に立って、いかにしてささやかな金利を目的とする庶民大衆利益を保護するかという点で、御承知のとおりに郵便貯金法の第十二条で、預金者利益の増進に考慮を払うとともにと、こういった点を重く見まして、いろいろと今日まで苦慮いたしてまいりました。あわせて民間金融機関預金利率についても配意をしなければならないと、後段でこういったことも付記されておりまするが、政令でこの利率が決定されることは御承知のとおりでありまして、郵政大臣は、政令で定めるまでに郵政審議会の答申を得てと、こうなっておりますので、一応手続上、先月三十日、今月六日と、私は郵政審議会諮問をいたしました。  先生指摘のとおりに、私は昨年の五月、九月、また引き続いてただいまこれが論議されておりまするが、言うならば一年間、年度は違って、一年間に庶民大衆のいわゆる郵貯金利引き下げということは、所管大臣としても大変に忍びない気持ちでございますので、三十日と六日の両日の郵政審議会には白紙で御意見を賜りたいという、かつてない方法をとらせていただいたのでございます。  私といたしましては、どのような方向づけをするかということで、大変いま苦慮いたしておりまするが、ただ所管大臣といたしましては前者に重きを置きたい。しかし、国全体の財政金融の面から考えると、また大変苦しい、間にはさまった思いをせねばならないという点で、はっきり申し上げて、いまこのような方法で進めていくという決め手を残念ながら現時点ではまだ郵政大臣としては結論に達していないというのが偽らざる心境でございます。
  7. 矢原秀男

    矢原秀男君 私は、郵政大臣としましては、国民の側に立って、いわゆる郵貯を利用されている庶民方々立場に立たなくてはいけない。というのは、実は貯金をしている理由としては、おたくの省でも分析をされたと思いますけれども、先進国という日本の国であっても生活が大変である。そういう中で、国民が老後のためにというのが一点。そうして第二点目には、保険制度はあるけれども、家族で病気になった場合に、やはりそういう緊急の支出というものに。そうして三番目には、いま夢になりましたけれども、ささやかに将来自分の家を持って、そうして家族生活をしていこうという、これも土地値上がり建築材料値上がりお金の値打ちがなくなっておりますので、もう夢になりましたけれども。そうして四番目には、こういう社会制度でございますから、何とか子供教育をしてやりたい。それには塾に通わすにも、よその子供と一緒に競争させるためにも。そういうことで教育のためというふうな四点というものが分析をされているわけです。  そうして、総理大臣も、各大臣クラス減税問題が、景気刺激の中で景気浮揚という大きな役割りを一面では担うと、こういう説が野党から出ていけば、政府の方では、減税をしてもすべて貯金に回ってしまうんだと、こういうふうなことで、庶民生活というものが、何か景気浮揚であるとか家庭生活のより豊かな向上という面から、非常に判断に苦しむような答弁というものを伺うわけです。  私も先般、同僚議員方々視察に参りました。そのときに私が一面びっくりしましたのは、普通預金が、たとえば郵便局で一年間に二億円の預金を扱っている。ところが、トータルの一年間の最後には二億円のお金が引き出されている。それが一つ郵便局だけではなしに、二つも三つもそういうふうな数字的なデータが明らかになってくるということは、家庭の中で、まず給料をもらう。少しでも不慮のためにというので、生活を詰めて預金をする。しかし、一カ月の最後にはやはり引き出さないと生活が大変である。そういう毎月平均でプラスマイナス・ゼロというふうな形が出ている。それが一年間で二億預金を集めた郵便局、しかし、それが全部引き出されている。そういう数字を私はきちっと見ておりまして、政府の方が言われている別な面の、そういうふうなあれには毎月毎月の生活のために預金はするけれども、必ずそれは引き出されて、一年間のトータルはすべてプラスマイナスで、非常にやはり大変な生活というもののデータが出ているわけです。  私はそういう問題を考えますと、前郵政大臣も、こういう問題が、公定歩合引き下げの問題から預貯金金利引き下げの問題が出てまいりましたときにも、断固として、郵貯を利用されている庶民方々はそのお金企業のそういう資金にしているのと違うのだから、そういうことで断固として守ると何回も言われたわけです。これはもう郵政大臣、みなすごい方だなあと、本当に庶民立場だなあ。それは国、そうして企業、そういうことを考えれば、すべてこれは一環の中ですから、それはいろんな事情がございますけれども、やはり所轄大臣としてほんとに大したものだなあと思ったわけです。ところが、いつの間にか大蔵大臣とか、大蔵省とばんばんばんばん激しい折衝、なるほどなあ、いつの間にか大蔵省の中に丸められたというのか、そういうふうな形で預貯金金利引き下げる。そういうことをずっと見ておりますと、私は今度は、服部大臣だけは、これは御就任のときから見まして、大蔵省を向こうに回してやはり国の経済、そうして国民生活バランスとか、いろいろなことがございますけれども、今度は庶民立場に立って真っ向から私はやられるのだなと思っているわけですけれども、大臣決意の端々の中で、やはり大蔵省一つの説に大きく譲歩せざるを得ない。そういう三歩も四歩も後退をした、そういう裏の姿勢を私いま感じるわけですが、庶民は、私は国会でも調査をして、この現状予算委員会でも話をしようと思いましたけれども、全然その機会を得ませんでした。やはり貯金の中でそういうデータが出ているわけです。  だから、テレビや新聞国会大臣総理大臣方々が、いや減税を大きくすれば皆貯金に回るんだ、景気浮揚には、消費には回らないからそういうふうになってだめなんだというふうな発言ばかりでございますけれども、私は視察に行って、データの中で普通預金の場合は本当にもうやりくりで必死になっておられる生活、こういう一面の分析を私なりにしたわけですけれども、そのようなことですから、大臣大蔵省とはどういうふうないま経過のやりとりがなされているのかお伺いしたいと思います。
  8. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 結論から。現時点大蔵省とどういった交渉を詰めているかという御指摘でありまするが、取り上げて私は大蔵省と接触は、意識しているかもしれませんが、実は持っておりません。これはもうはっきりと法律で、政令で定める、郵貯利用者を保護する、ただし、民間金融機関利率との関係も考慮しながら郵政審議会の議を経て決めるわけですから、決して大蔵省の顔色をうかがったり、それはしろといったってできる男じゃありません。しかしながら、私も断固守りますと言いたいんですが、まだこの委員会では一度も断固守りますと言っていないんです。というのは、過去に私も通信部会でずっと十二年間いろいろ勉強させてもらってきたのでありまするが、断固守るは一度も守れたことはないわけであります、それほどむずかしいものであるというぐらいの知識を持っておりましたから、私といたしましては慎重にも慎重な発言をしているつもりでございます。  私は正直申し上げまするが、過去にないいわゆる諮問の仕方ということもこれは矢原先生が素直に認めていただけると思うのでありまして、今度考えているのは、各界の方々参考人としてお招きし、またいろいろと御意見を聞いて、私が過去二回の、三十日、六日、また近く参考人の御意見を聞いて、この時点でとるべき道を考えねばならない、もうある程度の方向づけをせねばならない時期であると考えておるわけでございます。ただ、どのようにして預貯金者目減りを少しでも少なくし、預貯金者の御期待にこたえるかというのが、もう正直申し上げていまの服部が真剣に考えている点であるという点を御理解いただくならば、大変喜びだと存じます。
  9. 矢原秀男

    矢原秀男君 大蔵省お見えになってますね。日銀がとっている政策ですね、私は前回公定歩合引き下げの二、三日前でございましたか、予算委員会日銀総裁に、その時点では大変な様相であるから公定歩合引き下げをするのかどうか——この引き下げでなしに前回のときでございますけれども、日銀総裁は、いや、断固やりません、このように断言をして、二、三日してぱっと引き下げをしている。それは発言によっていろんな経済関係に連動する思惑があるからそういうふうな発言をされたと思いますが、私はその時点から、日銀総裁、非常に政治家と違いますし、行政のしかも純粋な立場に立っていらっしゃる方ですから、それまでは尊敬しておりましたけれども、政治経済に裏表というのがあるのはやむを得ないなと思うけれども、日銀総裁とあろう者、そういう方方にぼくたちは一生懸命、調査の中で何とか景気がよくなればという立場でやっているけれども、これが一カ月先とかいうのであればそうですけれども、実にしゃあしゃあとして、国民立場で、中小経済経営者立場で一生懸命こっちが質問しているのに平気でそんなことを言っている。ぼくはその時点で、日銀関係大蔵省も一体だれの味方なんだ、だれのお金財政を動かしているのだ、そういう憤りに国民立場から燃えている一人なんです。  だから、大蔵省に対しても、本当に最近の新聞紙上に出ている、たとえば大きな企業に何千億円も貸して平気な顔をしている、そうして国民預貯金、血の出るような貯金平気利子引き下げられている。企業の方では売り上げだ、いろいろな収支バランスをどんどんどんどん上げて、銀行と提携をして、何百億、何千億も使ってもどちらも平気な顔をしている。こんなばかな日本経済あるかというのです。だれの税金なんだ。そういう意味では、私は日銀も、大蔵省の中にもまじめな方もいらっしゃるけれども、一体銀行を含めて、まじめな方もいらっしゃるけれども、まじめな指導者もいらっしゃるけれども、その権力志向の中では国民を踏みにじっていって平気なそういうメンバーもおるということを私は肝に、本当に十数年間政治生活をしておりますけれども、本当に厳しく感じたわけです。  そういう意味で、大蔵省に、森さんと石川さん出ていらっしゃいますけれども、あなた方に言ったってどうしようもないと思いますけれども、この金利引き下げは、やはり企業金利負担をする、そして円高やいろいろなあれで非常に冷え込んでいる。学者によれば日本経済はおととしから潜水艦経済といって海の下にもぐったまま冷え込んで浮き上がってこない。景気浮揚にはどういう手を打つべきかということは、公明党と日本の代表的な経済学者と、どうしたらいいかといって私たちは三年前からずっとこの問題を検討していたんです。そうして福祉経済トータルプランをわれわれが発表する。そうするとわれわれの経済成長に対してみんな笑っている。失業者はどんどんどんどんふえてくる、雇用の安定はどうするのか、そういうふうな問題の中で、やはり日本の大きな企業中小企業零細企業もすべてをやはり立ち直していかなくちゃいけない。  そういう観点からわれわれも考えているわけですけれども、今回の引き下げの問題についても、もう二回も下がり、三回目も——ところが大臣の方でいまお話があったように、やはりちょっと歯どめをかけにゃいかぬというようなことで引き延ばしがかかっている。そういう中で大蔵省のねらい、日銀のねらいというのは、それは企業金利負担をまたやっていく、そうすれば民間設備投資というものがまた刺激されて伸びていくんではないか、そういう考えは私たちもたびたび聞いたわけです。しかしながら現実の面から、民間設備というのは、一〇〇%から見れば六〇%、七〇%、そして甘く見て数字的なデータ政府のを見ても八〇%とかそういうふうなことで、まして民間設備刺激をするとかそういう段階ではなしに、やはり休んでいるそういう設備というものを稼働していく、そういうふうなところが関の山である。そういうふうなことであるけれども、景気回復のてこ入れ、私はこれはいいと思うのです。  ところが反面、預金者というものは、先ほどから話をしておりますように、やっぱり目減りばっかしがずっとしてきている。そして個人ですから商売をするわけではない。そういうふうなことで、結局この金利引き下げというものは個人が泣き、サラリーマンが泣き、企業をしてない人たちが真っ先に何回も泣いている。そしてその次に泣くのは、企業では零細企業、小企業、中企業、笑っているのは大資本という形が苦しい中でもやはり一番これの大きなよい影響を受けて笑っている。で個人の場合は、やはり血のにじむような苦しみというものになっている。  こういうことでございますけれども、大蔵省として大蔵大臣にかわって御答弁を願いたいわけですけれども、この金利引き下げ、何回も続く金利引き下げ個人が、庶民が苦しんでいる実感をどういうふうに感じていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  10. 石川周

    説明員石川周君) 先生指摘のように、日本経済が非常に苦しい局面にあることは改めて申し上げるまでもないことでございまして、政府といたしましては、去る三月二十五日の経済対策閣僚会議の決定でもわかりますように、経済政策のあらゆる面におきましてこの景気局面を何とかしたいということを決意をいたしております。  その現局面でなかなかうまく政策が展開できない、効果があらわれないという御指摘もそのとおりでございますし、長い目で見てじみちに根気よく施策を繰り返さなければいけないと、こう考えておりますが、その一環といたしまして、金利政策の面では、長期金利も含めまして全般的な金利水準引き下げを図るという方向が打ち出されております。それはいろいろなねらいが秘められていると思いますけれども、公定歩合引き下げのときの日銀総裁の談話では、端的に景気回復国際収支均衡化に一層寄与するという趣旨から公定歩合引き下げを行ったと、こういう説明になっております。景気回復という言葉の中には、公定歩合効果が、いろいろの角度からの意味が込められていると思いますが、一つには先生指摘のように、弱いとは思いますけれども設備投資あるいはそういった需要喚起につながっていくであろうという期待、それから企業金利負担軽減効果を通じまして企業マインドを明るくし、さらには雇用の維持安定に寄与するといったような効果、いろいろな効果がそこに期待されております。  ただ、金利というものは、一度に翌日から全部効果が出てくるわけでは決してございませんで、やはりその金利効果が出ていきますのには相当な時間がかかります。そして企業経営がよくなり、景気がよくなり、個人雇用効果、家計、所得、そこまでに及んでいくまでには相当な時間がかかります。かかりますが、そうしていくことが日本経済全体、個人生活全体にとって大きなプラスになると、金利を下げないでやっていくと経済は非常に苦しい局面になるという判断政府としては持っていると、このように理解しております。
  11. 矢原秀男

    矢原秀男君 景気浮揚には、いまあなたが言われておりますけれども、そういう金利政策もありますけれども、政府の方でとっている公共事業一辺倒、そういうふうなことだけではなしに、やはり減税によってGNPの五二%と言われる消費の活動、そうして公共事業、そうして福祉の面。福祉の面というのは家庭の中の出費というものが、まあ先進国のスウェーデンやデンマークや西ドイツや、そういうふうなところまではいきませんけれども、やはり家庭生活というものが安心をしてやっていける、そういうやはり福祉の問題、減税の問題、公共事業の問題、金利の問題、そういう総合的なバロメーターの中で経済というものが保っていくのに、金利なら金利だけばっとやってしまう。そうして何回下げたってもうだめだから、また下げろというのが財界から出ている。  そうして、さあ今度はそれもだめだから公共事業公共事業だって県の方に行くと、ある県では、先行取得土地というものが確保されているところにつくるのは問題ないけれども、そのほかの面での先行取得というものがいま難航している。そうして県議会が始まる、市議会が始まる。そうなると、県知事も、市長も、国から指令があった、一枚の通達だけで、いや、こういうふうに手を打っています。そうすると、ある県では先行用地取得の出先の課長たちが、こんなあほな話があるかというふうなことで、これやったらやめさしてもらわないかぬ。そういうふうにして公共事業の先行きというものも、相手があるわけですから大変な状態になっているのに、政府発言ということになると、ああ公共事業全部七〇%、もう全部行っているように見える。そうではない。そういうふうなことではなしに、減税福祉も、バランスのある景気浮揚というものが一番大事なのに片手しかやっていないというふうなことで大変な状態です。  そこで銀行局、もう一回お伺いするんですけれども、余談になりますけれども、たとえば国民生活で苦しんで一部の方々サラリーローンとかそういうところへやっていく。そうすると、銀行がそういうふうなところに融資をしている。そうして大きな企業が倒産をしている。さあ、ふたをあけた、ああ、あそこのメーンバンクは何千億、そういうものがもうずらっと出てくる。それは国民立場に立ったときに、企業から入れる法人税やいろいろなものがあるでしょうけれども、国民のささやかな税金等もあるわけです。  そういう場合に、現行法法律によって合理的にやってるんだから何も問題ないんだというふうなことなのか、それとも国民のそういうふうな税金で賄っていく、そういう中でこの金融というものが銀行を通していろいろな企業に出ている。本当に申しわけないという気持ち銀行にあって、大蔵省として指導監督立場からどういうふうな手を打っているか。もしこれが現行法でだめであれば、何とか加勢する手だてを立てなくちゃいけない、サラリーローンの場合なんかでもですね。そういうふうな、これはきょうの質問とちょっと余談になるわけですけれども、そういう面で、大蔵省として、国民立場からこういう該当の金融機関に対してどういうふうな形をきょうまで問題が起きてからとられたのか、その点を簡単に伺いたいと思います。
  12. 石川周

    説明員石川周君) 御指摘の点はサラ金の現状、いわゆるサラリーマン金融現状をどう考えていくかという御質問かと存じますが、サラリーマン金融問題点金融面だけではございませんで、やはり問題とされております点は、社会的な法秩序の問題とか、あるいは社会正義の問題、社会的な、そういった一般的なものが問題になっているように思います。もちろん金融的なものもあることは事実でございます。  で、これを金融行政の立場からだけ考えて、御指摘のような法規制を考えていくということにはいろいろな問題がございまして、現在、関係各省庁集まりまして、この問題につきましてどのような考え方で対処すべきか議論を重ねております。まだ結論を得るに至っておりませんので、大変申しわけございませんが、私ども大蔵省といたしましては、金融的な側面からこの協議に積極的に参加していきたいと思っております。
  13. 矢原秀男

    矢原秀男君 その面もよろしくお願いをしたいと思います。  それから、経企庁の方へちょっとお願いをしたいんですけれども、政府の目指している実質経済成長率というのが七%達成にあるわけです。そこで、GNPの先ほど申したように五二%か、またある人は五七%は国民消費にあるんだと。その間のちょっと差がありますけれども、いろいろ分析をされているわけですけれども、そういう大きな国民消費というものが景気浮揚の一面というものを担っている。とすれば、減税は三千億ちょっとということですけれども、外国の一兆円から二兆円減税から見ると、これは話にもならないし、まあそういうようなこと。で、福祉の方も、田中総理の現職中は非常に最高のパーセンテージになりましたが、これも経済成長とのかみ合わせでそうなっただけで、後はもうぐっと落ち込んでいる。  そういうふうなことで二歩も三歩も寄っているところへ、またまた今度預金金利というものが引き下げになれば、時節はちょっと節目はありますけれども、年三回くらいというふうな形と解釈をしてもできるわけですけれども、預貯金金利引き下げに対して七%の成長率達成、それとの兼ね合いというものは経企庁としてはどのように分析をされているのか伺いたいと思います。
  14. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたように、五十三年度の経済成長というものは実質七%というのを目途にしておりまして、これの構成要因と申しますか、それの需要項目は、先ほど先生からお話しのありましたように、公共事業とか個人消費支出とかいろいろな項目があるわけでございます。したがいまして、今回の、先般御審議いただきまして成立いたしました五十三年度予算を含めまして、いわゆる十五カ月予算ということで公共事業というものを中心に積極的な財政政策を行っているということは、この七%成長というものを達成する上において非常に大きな要因になっておることは事実でございまして、しかもその公共事業がことしの初め以来、五十二年度の補正予算、二回にわたります補正予算の効果がすでにかなりあらわれてきておりまして、生産とか出荷とか在庫調整といったようなものにかなり明るい見通しを持ちつつあることも事実でございます。  また、この公共事業というものに加えまして、財政的措置といたしましては税制の面、それから財政投融資といったようなものも含めまして可能な限りの財政的な措置をとっておるわけでございまして、それによって七%の実質経済成長というものをより確実にすることを考えておるわけでございます。  これに加えまして、先般日本銀行公定歩合引き下げということを行いまして、公定歩合引き下げということは、先ほど石川務課長からお話しがございましたように、企業の面、企業マインドに対しまして明るい見通しを持ち得、また企業収益の改善等を通じまして設備投資にもよき影響を与えつつあるということが言えるわけでございます。もちろんこれは公定歩合引き下げがさらに長期金利等にも影響をしてくる場合をも含めましての話でございます。そういうことを含めまして設備投資というものにつきましても、最近の見通しによりますと、製造業の方は必ずしも高い伸びは示しておりませんけれども、非製造業を中心とする設備投資の動意というものがやや明るい面を持ってきておる。  また金利引き下げということが、消費者ローンの金利引き下げ、住宅金融等も含めます都市銀行等の個人住宅に対するローンの金利引き下げということと相まちまして、さらにまた政府金融機関の住宅公庫等の金利引き下げというようなものが近き将来実現するという見通しとも相まちまして、個人住宅建設というものがかなり動意を見せておりますことは、昨日発表になりました二月の個人住宅建設着工でございますけれども、これの伸びが前年同月に対して一〇%以上伸びておるというようなことでも出てまいるわけでございます。したがいまして、この金利引き下げということが公共事業増という財政的な積極的な政策と相まちまして、個人消費支出とか財政支出とかという国民総支出の構成項目にそれぞれよき影響を与えてくるのではないかと、かように考えておるわけでございまして、七%の経済成長ということはわれわれとしては非常に達成可能ではないだろうかと思っておるわけでございます。
  15. 矢原秀男

    矢原秀男君 時間がございませんので、七%の達成というものは予算委員会でもいろんな質疑ございましたが、やはり各大臣方々のニュアンス全部違うわけです。そうしてやはり総合的な景気浮揚という手を打たなかったら七%の経済成長というのは、民間調査機関でもいろいろ言われておりますように、達成はこの状態だと不可能であろうと。私も残念ながらそれをとらざるを得ないし、経企庁の方々もいまは達成可能ではないかと言われているけれども、またいろんな分析面では大変だなという感じもあるんではないかなと私思います。  そういうようなことですから、やはり預貯金の、何回も重ねて引き下げをするということは非常に国民生活から問題があるというのは、国民はこれにものすごい関心を持っているんです。というのは、私も御近所の御婦人の方々とお話しをしておりまして、私たち郵便局に行ったりしたことはないんですけれども、どの制度が定期にすれば金利がいいんだというようなことをよく知っておられるわけなんですね。そういうようなことで、郵政大臣ね、わしびっくりしたんですわ、よく知っていらっしゃる。ですから、本当にこれは声なき声で、国会には届きませんけれども、非常に郵便局を利用されている方々がこれは一喜一憂されていることは事実です。  そこで、郵政大臣に提案というか、これ一回御答弁いただきたいと思うんですが、毎回公定歩合引き下げというものが景気変動の中で行われていく。そうすると、庶民零細の預貯金金利引き下げというものも並行して毎回こういうふうに行われて繰り返していっている。ところが、企業の場合、景気がいいとか状態がよくなってくれば、やはり一つのなにの中でそれが大きく生み出してくるというあれがありますが、サラリーマンとかいろんな人たちというのはよくても悪くても給与は決まっているわけですから、下げられていけば下げられたものがよくなったってちょっとしかよくなってこないというふうな形で一つも何もいいことはないわけです。そういう中でこういうことがいつも行われて、そうして預貯金関係国民方々が被害を受ける、こういう連動から除外をする方法の検討というものはないのかどうか、そういう点はいかがでございましょう。
  16. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほどもお答え申し上げたとおりに、公定歩合引き下げ郵貯金利引き下げは、私は直接関連するものではありませんという基本姿勢で今日まで、どのような方法でこういった零細預貯金者のささやかな金利を目的とする方々を守ればよいかという点で、先ほど来、もう大変苦慮いたしております、だから過去にない方法をとり、私は何かを見出したいと考えて努力をいたしておりますと、こういうお答えをいたしました。  しかし、これで零細預貯金者を守るんだという決め手は、正直申し上げて、いまだに見出すことは残念ながらできておりません。片や、この十七日からいよいよ一般金融機関預金者金利引き下げを実施するわけであります。後段の郵政大臣は「一般の金融機関預金利率についても配意しなければならない。」という項についても、正直申し上げて無視することはできません。  いま一つ、私が一番苦しんでいる問題は、矢原先生も先ほどから経済企画庁並びに大蔵省に対して意見を述べられておりまするが、やはり政府全体といたしましては、この行き詰まった経済をどのように乗り切るか、また国民期待をしているこの不況の克服をやるためにいろんな施策を推し進めねばならない。私が徹頭徹尾零細預貯金者を守るんだと言い切って、この郵便貯金法第十二条を盾にがんばり通しますると、先ほど来御指摘のとおりに、預貯金が全部郵便局に集まってくる。こうなると、日本財政金融運営に大変な支障を来たすのではなかろうか。その財政金融の混乱によって、先ほど来御指摘のいわゆる経済の安定施策がいろいろと支障を来たすことも、郵便貯金法第十二条の後段の一般金融機関利率に対し配意をせねばならないということにつながるということで、非常にくどくどしく申し上げまするが、この取り扱いに苦慮いたしております。  しかし、もう何かの方向を見出さねばならない時期に来ておりますことも、これはもう率直に認めねばならない。そこで、先ほども申し上げたとおりに、何かの方法でこの零細預貯金者預貯金目減りが減るような施策がないものかと、まあ模索から一歩出て、これでいきたいという考え方をいまつかみつつあるという状況でございまして、私の基本的な考え方は全く矢原先生と変わりはありません。できることなら郵政大臣の責任において守り通したいんですが、先ほど来苦しい申し開きをしていることもひとつ御理解を賜りたい、かように存ずる次第でございます。
  17. 矢原秀男

    矢原秀男君 大臣、少しでも目減りを防ぐ努力をしていただきたいと思います。  この問題で最後に一点だけ。いつも問題になるわけですけれども、資金運用部の資金法改正ですね、ぼくはやはりこの改正のためにぼつぼつ郵政省としても、いままでも何回も大蔵省といろいろ話し合い等は出ると思うんですけれども、この問題については、郵政省としても考えて大蔵省と渡り合わなくちゃいけない。そういう点を非常に感じるわけですけれども、まあ将来方向として、郵政省立場から考え方があれば伺いたいと思います。
  18. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便貯金の資金は、御指摘のように現在におきましてはすべて資金運用部に預託されておりまして、財政投融資計画の一環として運用されておる次第でございます。その中におきましても、ウエートといたしましては、いわゆる一−六分類に財投の全体がウエートをかけて運用されているという意味におきましては、やや間接的な形ではございますが、預金者利益につながる点があろうかと考えております。しかしながら、以前におきましても当委員会におきまして、「郵貯資金の運用については、国民福祉の増進にいっそう寄与するよう、特に配意すること。」という御決議をいただいております。  先生指摘のとおり、この問題は大変重要な問題でございますので、郵政省といたしましては、今後さらに検討をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  19. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ、最後に一問だけ。時間の関係で簡単にしますけれども、大臣ね、郵政省として、最近不正事件、不法の勧誘、いろいろなそういう問題が一挙に新聞紙上にばあっと出てきて、しかも、成田事件の問題なんかにも、電話も引かれている、郵便も配られている、しかもその中にもメンバーの方もあったというふうなことで新聞紙上にどっと出てきている。われわれも逓信委員として、一体おまえたちどういうようにしているんだというふうなことで、新聞等を見られた方々から非常に指摘を受けるわけですけれども、まあ時間ございませんので、細かい問題は差しおきまして、基本的に郵政大臣として実際責任があるのかどうか。もし、大臣方々はかわるから、そういうことになれば局長クラスのそういう指導者方々、どういうふうにこういう諸問題について手を打って国民方々に安心していただくのか、そういうふうな点をまず大臣と、それから該当の局長さんにお伺いしたいと思います。
  20. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘の部内犯罪、また最近国民から大変な御批判、御指摘を受けた成田空港のいわゆる極左暴力分子の中に郵政省の職員がいた、しかも管制塔占拠事件というきわめて反社会的な許しがたい犯罪の犯人として逮捕されたこと、まことに申しわけない出来事であり、当然すべて郵政大臣の私にこの責任があるわけでございます。私は、前回の当委員会における御指摘も謙虚に受けとめて、関係機関と緊密な連携をとりつつ、御意見を十二分に尊重しつつ、打てる手はすべて打ってまいりました。  また、御承知のとおりに、成田空港のあの事件によって逮捕されているのは、現在郵政省管内で六名でございまして、うち二人ははっきりとこの犯罪事実が確定いたしましたので、急遽係官を千葉県警に派遣いたしまして、懲戒免職処分といたしました。あと四名は判明いたしておりまするが、いろいろと捜査当局ともこれまた緊密な連携をとりつつ万遺漏のない措置を講じてまいりたい。  なお、この種の事件で過去においてまことに要注意人物であったということもはっきりといたしましたので、労務管理を通じて、こういった俗に言ういわゆる危険分子に対しては、万全の配意をいたしまして、再び国民のひんしゅくを買うような、信頼を失墜するようなことのないように今後努力をしてまいりたい。  また相模大野から始まって、目黒、また最近は深川と、これまた国民の目を覆うようなきわめて遺憾な事件がございました。前回の当委員会でるる説明申し上げたとおりに、いろんな手を打って、失墜した国民の信頼を回復するべくあらゆる機能を総動員いたしまして再犯防止に必死の努力を続けている現状でございます。  また、いま一つの御指摘郵便貯金の募集のあり方でございまするが、郵便貯金は、御承知のとおり簡便な貯蓄手段として広く国民に御利用願っていることは御案内のとおりであります。したがって私は、募集活動に当たっては、常にお客様、すなわち利用者の国民立場に立ったサービス向上を第一義とし、なお国営貯蓄機関としての品位と節度を十分に重んじて募集活動に当たるように、就任以来各種会議や打ち合わせ会を通じて指導を重ねてまいった次第でございます。募集活動についても、本委員会を通じていろいろと御指摘を受けた点については、さらに実情に合ったいわゆる方途を講ずるべく、これまた関係局は全力を挙げて検討を重ねているところでございます。
  21. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) ただいま御指摘の不正事件、最近相模大野局事件以来頻発しております。ただいま大臣からもお話がございましたが、私からも一言申し上げておきたいと思います。  郵政犯罪の中でも、特にこの部内犯罪でございますが、この犯罪はやはり郵政事業の信用を著しく失墜する行為でございますので、従来からこの点につきましては、この根絶について十分配意してきたところでございますが、何と言いましても防犯の基本というものは、個々の職員、これは管理者を含めまして個々の職員の防犯意識の高揚、それから正規取り扱いの励行、決められたことをきちんと守るということ、それからまた管理者による防犯管理体制の徹底という、この三つがやはり大きな柱であろうと思います。この徹底を欠くところにやはり犯罪が起こっていくわけでございまして、この点につきまして、私ども十分反省して、今後ともこれらの徹底に十分努力してまいりたいと考えているわけでございます。  で、相模大野局事件を契機にいたしまして、この部内犯罪の根絶をさらに徹底いたしまして、こういった犯罪が起こらないようにということでいろいろな施策をやっているわけでございます。御承知かもしれませんが、省に緊急に郵政事業防犯対策本部というものを設けまして、これは中央、地方両方に設けてございますが、その中で防犯管理体制の強化の徹底を図るというようなこと、あるいはまたその中でいろいろな施策を検討、協議いたしまして実施していくというようなことをやっております。それからまた、二月十七日であると思いますが、地方郵政、監察の二局長会議もやりまして、その中でいろいろ犯罪の発生の原因を究明いたしまして、最も効果的な対策は何かということでこれもやっております。  その他いろいろ打ち合わせ会等もやっておりますし、ただいまはまた全郵便局を対象にいたしまして防犯の特別調査というものをやっておりまして、これを大体ことしの九月末までには全部終わることにいたしておりますので、その結果をも十分参考にいたしまして、郵政事業防犯対策本部を通じまして、業務取り扱い上における改善、また防犯管理体制の充実強化などについても十分対策を講じまして、この部内犯罪が根絶するようにさらに努力してまいりたいと固く決意している次第でございます。
  22. 中野明

    ○中野明君 最初に大臣にお尋ねをいたします。  いま矢原委員からも貯金金利のことにつきまして、非常に高度な立場から議論が展開されておりますが、私は現実の問題に引き戻して、郵政大臣として、もうここまできている以上は、貯金利子を何がしか引き下げなければならぬという、そういう判断に立っておられるのですか、どうですか。
  23. 服部安司

    国務大臣服部安司君) もう率直に申し上げて、方向づけをせねばならない、先ほども矢原先生にお答えしたとおりに、方向づけをせねばならない時期に到達いたしましたということでございます。
  24. 中野明

    ○中野明君 そういたしますと、大臣が白紙で郵政審議会諮問をされている、これは異例のことだと、私の決意のほどを理解してくれという意味でおっしゃっているようですが、私は非常にこの諮問の仕方に危険性があるというふうに受け取った一人であります。  というのは、郵政大臣に与えられた権限の放棄にも通じるんではないか、あなた任せにして。もしも、今回——六日のときには諮問がもちろんまとまりません。審議会もどろをかぶるのがいやだから、もう一遍またボールを投げ返してきたように思いますが、もしも審議会が、白紙で出される以上はゼロから無限にあるわけですから、審議会が、それでは銀行よりももっとたくさん下げろというふうな答申が出てきたら、あなた、どうなさいますか。
  25. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘の問題は、そういうことは絶対あり得ないことでありまして、私は審議会の当初に、先ほど来矢原先生といろいろと質疑を通じての意見のやりとりの中にあったとおりに、そのようなことを私は劈頭に申し上げて、何としても守りたい、しかしこれこれの事情で苦慮いたしております、ひとつ何とか皆様方の御意見を何か見出したいと思うので決めてくれと諮問したのではありません。  ということは、中野先生承知のとおりに、委員の中にはいろんな代表がおられるんです。特に最近、選考の仕方もいろいろと御批判がありますので、私は就任後も一、二名お願いしましたが、これは皆さん納得いただけるような立場の方を御推薦申し上げると。だから、そこで私たちが考えている考えと違ったいろんないい面を出してもらいたい、こういった諮問の仕方であったことを御理解いただくならば、ただいま御指摘の御心配はないものと私は考えております。  第二回の諮問は、正直申し上げて、キャッチボールじゃないかと言われるとおりに、現実はそういう形になりました。こんなばかなことはあるか、おまえの方から案を持ってこい、われわれはその案に基づいて検討する、これは当然だと思います。しかし、私はさらに御討議をいただいて、御討議の結果、また審議会の名において、さらに拡大した立場方々から参考人の招致をいただいて、ここでまたこういった国民の声を反映させてもらいたいと。  いろいろと議論がありました、これはもう確かに、四時間に続く大激論があったわけですから。私はそれを期待いたしました。いままでのようにしゃんしゃんと決めるということは、政府立場からいけばしゃんしゃんと決まることが望ましいことでありましょうけれども、先ほどの御指摘のとおりに、年に三度ということは、ちょっと所管大臣としては耐えられない心境であったからあえてこういった方法をとったわけでありまして、決してひきょうな行為でも、またひきょうな考え方に基づいてとった行動ではないということを御信頼賜りたいと存じます。
  26. 中野明

    ○中野明君 そういたしますと、きょうも含めて大臣の過日来からの答弁で、お気持ちはよくわかっておるわけなんです。しかし、現実の問題として、いつまでもそういうことでは相済まないし、私どもはこの郵政審議会の構成メンバーというものに大変不信を持っております。会長がもう金利引き下げの急先鋒である土光さんですし、財界の代表あるいは各省の代表を含めて、過半数以上はもう金利引き下げ論者であることだけは間違いない。  こういう審議会に白紙で出されるというところに私どもは危険性を感じたということでありまして、大臣が日ごろからおっしゃっているように、審議会のメンバーをどんどん差しかえて、そしてある程度この審議会に対する信頼といいますか、国民気持ちが、大分審議会に対する郵政省の姿勢が変わったという時点で白紙で出されるのはわかりますけれども、審議会をそのままにしておいて白紙で出されるというところに私たちは一縷の危惧を持ったわけですけれども、やはり審議会もどろをかぶるのがいやだから、大臣に決めてこいと、こういうことのようですが、そうならば、私は、郵政大臣に与えられた権限を最大限に活用して、十二条にはいろいろ両方書いています。だから、最大限に活用して、思い切って、大蔵大臣が〇・五ないし〇・七ということで銀行利子は下がったわけですから、だからこれの半分なら半分をばんと決めてぱっと出されたらどうか。私はこうしたい、そうすることが現郵政大臣として貯金者の利益を守り目減りを少しでも減らすにはこれ以外ないという決断をなさって、これの半分ぐらいぽっと出された方が私はよほど服部郵政大臣らしいと思うんですが、いかがですか。
  27. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 中野先生、ありがとうございます。そのようにしたいんです、ぼくも。したくてしたくてもううずうずしているんですが、先ほど来申し上げておりますとおりに、やはりいろいろな周囲の環境と申しましょうか、きわめて厳しい経済情勢下にあって、それを出しても、いまおっしゃるとおりになかなかそれを認められないで、恐らく過去の例にありますとおり、一般民間金融機関金利引き下げに見習いなさいという答えが出ることを非常に恐れているわけなんです。これは、はっきりひとつ御信頼願いたいと思うんです。  で、何かないかと。これは私も、一度二度なら、やっぱり政府の一人ですから、政府経済政策というものは理解できているから、閣議でいろいろな経済政策に賛意を表しているわけですから、ぱっぱっとやったかもしれません。しかし、先ほど来御指摘のとおりに、年に三度、五月、九月、またこの四月に実施されるんだと、十二カ月がこれ日本で一年ですから、一年のうちに三度というところに私自身も大きなこだわりがあるわけでございます。  この点は、両先生の御指摘どおりのいわゆる零細預貯金者を守りたいという一念でありますが、だから、くどいようでありまするが、いろいろな機関の方々意見を聞く姿勢を私はきょうまで堅持してまいりました。近く、郵政審議委員ではない一般の方々、もちろんこれはいろいろな層から選びたいと思うんですが、私は、そういう方途を講じて何かという考えを持っている点でひとつ御理解を願いたいと存じます。
  28. 中野明

    ○中野明君 大臣がおっしゃるのはよくわかるんですが、大臣答弁をじっと聞いていますと、郵政大臣大蔵大臣と両方こんがらがっているようなところもあるような気がするわけです。ですが、服部郵政大臣ですから、あなたは。ですから郵便貯金者の利益を守るという、これだけはもうお忘れにならないように。
  29. 服部安司

    国務大臣服部安司君) はい。
  30. 中野明

    ○中野明君 もちろん民間金融金利等考慮しろという条件はついておりますけれども、預金者利益を守るという——ですから、最初、私申し上げましたように、郵政大臣に与えられた権限を最大限に利用していただきたい、活用をしていただきたい、これ以上申し上げてもこれはもうこの場では平行線だろうと思いますので、強く要望いたしておきます。  それでは、次に郵政の事故関係の問題で、ちょっと私も最近腹に据えかねていることもたくさんございまして、二、三お尋ねをしたいと思います。  まず、先日も大森委員の方からも指摘がございましたが、相模大野郵便局の問題、これは郵政史上もう本当に信用失墜の最大の事件だろうと思いますが、この事件を通して、私もときどきこのいただいた「郵政監察二十年」というこの本を読ましていただいているわけですが、これを見ますと、過去郵政監察に御苦心をなさり、現場第一線で活動してきた人の随想というのがずいぶんずらっと出ております。この中に、相模大野と同じような事故が思い出の事故として次々出てくるんですね。  ですから、何か今度の相模大野の事件によって、初めてこんな事件が起こったということじゃなくして、ずっと見てみますと際限がつかぬぐらいあるんですね。特に二十年の思い出の中に、いまだに退官されても思い出に残る事件として、山形県の斉局とか広島の御幸橋局、あるいは品川の南浜川局事件ですか、これらは全部相模大野の事件と同じ事件なんです。その都度郵政省では大騒ぎをして、そしてその部内に犯罪対策特別本部というものを設置されて、そしてそれを繰り返し、繰り返し、同じことを何遍も繰り返してきて、ついにまた今回この相模大野の事件というのが起こりているわけなんですが、過去の事件の教訓というものはどういうところで生かされておるのですか。どういう手を打って改善されてきたのか、改善されたところがあったら御説明を願いたいと思います。
  31. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) 先生指摘のように、過去の歴史を振り返ってみますと、やはり同じような特定局の犯罪が相当ございます。その都度いろいろ当時の監察関係の先輩の皆さん、あるいはまた他の事業局の先輩の方々が一体となってその対策に腐心したあとが見られるわけでございますが、その中でやはりとられた施策いろいろでございますが、何といいましても、先ほど申し上げましたように、犯罪を防止する一番の決め手というのは正規取り扱いの励行、これがやはり一番大事なことであろうと思います。きちんと通達その他でやるべきことはきちんと決められているわけでございますが、その決められたことをきちんと守っておりさえすればそういった犯罪は起こらないわけでございますので、その辺のところの徹底を期するためにいろいろな施策をやってきたわけでございます。  それからまた、監察の立場から申し上げますと、当時いろいろな事件がございましたが、やはり監察の陣営、その機構、組織だけではなかなかカバーできないということで、たとえば昔は監察官というのがおりましたが、数が少ないということで、これを強化するために監察官制度というものを設けまして、監察官、監察官補一体となってこの防犯対策に取り組んできたということによりまして、その犯罪もだんだん減ってきている、部内犯罪でございますが、減ってきておりますし、さらにまた、特にこの特定局長の犯罪につきましては、先生指摘のような事件にかんがみまして、特定局長自身についてやはり防犯意識を徹底させるということが一番大事なことじゃなかろうかということで、特定局長さんを集めまして、いわゆる防犯打ち合わせ会というものもありまして、これをずっと毎年やっております。  これは特推連という中での研修の意味もございますが、特推連の役員の方をまず集めまして、十分防犯関係について徹底させるとともに、続きまして全部の特定局長、これを集めまして、やはり防犯の打ち合わせ会を毎年開催いたしまして、これらの防犯意識の徹底を図る、あるいは正規取り扱いを必ず励行させるようにするというようなことなど十分指導しておるわけでございます。  その結果、これも御承知かと思いますが、特定局長の犯罪は当時から比べますと減っておりまして、過去五十一年度まで五年間の平均をとってみましても約八件ということに非常に減少しております。それ以前はたしか二桁以上、相当の特定局長犯罪もございましたが、最近はそういったことでだんだん減ってきておりますが、こういった相模大野の郵便局事件というような過去に前例のないそういう悪質な犯罪が発生しましたことは、やはり私ども十分反省いたしまして、今後さらにこの防犯対策に十分取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。
  32. 中野明

    ○中野明君 いま私の質問の趣旨がちょっと通じなかったようですが、もちろん特定局全体、郵政省全体に事故があってはならぬのですが、特に相模大野局の話を出しましたのは、同一の局の中に夫婦あるいは親子、兄弟、そういう人が小局で勤務なさっておる。それについての功罪といいますか、いい面と悪い面、これはどのように認識なさっておりますか。いい面があればいい面、悪い面があれば悪い面、両方ひとつ説明してください。
  33. 守住有信

    政府委員守住有信君) お答え申し上げます。  御承知のように、特定郵便局は山間僻地に至るまで全国的に非常に数多く設置されておる小規模な郵便局でございますので、局長の問題もそうでございますが、このような郵便局の職員には、やはりその地域に住居、居所等を持っておるという職員が多くあるわけでございまして、やはり通勤事情その他の関係からそういう面があるわけでございまして、その中で勢い当該局長とその地縁性とか地域性という関連で、親族関係にある者が勤務しておることが多いことは事実でございます。しかし、その局長の任用、採用とか配置とかいうことにつきましては、これは当該局長に任意にゆだねるということでございませんで、各地方郵政局において実施をさせておるところでございますが、やはり特定郵便局の職員の住居とか通勤事情等を考えますと、その職員が特定局長と姻戚関係にあるからといって、一概、一律にこれを禁止するということは実はいかがなものであろうかという面もあったわけでございます。  また、いい面と申しますか、その家族従業員が家族的なよい雰囲気をつくりまして、問題はここでございますが、職務の遂行についてけじめのある仕事ぶりを示すならば、非常に地域社会に密着した明るい親切なサービスというか、そういう窓口づくりあるいは能率的な運営に役立っておるという面もございます。  しかしながら、これが過去の、先生指摘のように、あれは品川の南浜川の郵便局の事件でございますが、十数年前、これが大きく国会で取り上げられまして、あのケースも局長家族の方との関係で起こった事件だと記憶いたしておりますけれども、そういういままで申し上げましたいい面とか客観性のほかに、やはりそういう関係が、万一犯罪が起こりました場合に非常にそれが大きくなりやすいと申しますか、そういう好ましくない事態のおそれもまたあるということでございますので、十年ぐらい前から、この家族従業員につきまして、配偶者と姻族につきましては二親等まで、血族につきましては三親等まで、これをはっきり決めまして、毎年四月一日現在で調査をするとと同時に、その中の構成というものがその局全体の、小さい局もございますれば十人とか五人とか八人とかいろいろな局がございますので、半分以下になりますようにという一つのめどを示しまして、自覚を喚起して指導してまいったところでございます。  ちなみに、これの全体の傾向を申し上げますと、特定郵便局の全職員に占めます家族従業員の割合を見てみますと、昭和四十三年四月一日で五・五%でございます。これが四十八年の同じ四月一日現在で四・六%、五十二年四月一日現在で三・六%と、ずっと近年にかけまして減少をしておる。こういう傾向を示しておりまして、私どもまた強制配転というふうな問題にわたるのもいかがかとも思っておりますが、断えず特定局長にそういう自覚と申しますか、自粛と申しますか、そういうものを促しまして、そういう傾向でやっておりますし、今後ともそういう方針を堅持しまして、さらに今回の事件にかんがみましてその指導を強めてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  34. 中野明

    ○中野明君 先ほど私がこの監察二十年の本の中から指摘しましたのは、全部小局で家族ばかりでやっているところで大変大きな事故が起こったという例を挙げたわけなんですが、郵政省の方針としては、いまのお話でちょっと私ももう一度確認するんですが、今後は小局でそういう肉親をなるだけ同じ局に勤務させないような方針でおられるんですか。
  35. 守住有信

    政府委員守住有信君) 今後の問題として、新しい配置につきましては、先生指摘のような考え方でやっていく、こういうことでございます。問題は、すでに配属になっておる職員につきまして、これがよく特定局長や本人の自粛、自戒を促しながら、強制配転ということではいかがかと思いますので、そういう理解の中でこれを進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  36. 中野明

    ○中野明君 私も、よけいなことかもわかりませんが、非常に心配するんですが、御夫婦でたった二人で局で勤務しておられるというような場合、あるいは親子で勤務しているというような場合に、もし親戚に不幸があったりあるいは婚礼があったりしたら、郵便局閉めていくんでしょうか。その辺非常に私も気にしておるんですが、どうでしょう。
  37. 守住有信

    政府委員守住有信君) 郵便局を閉めるというのはとんでもないことでございまして、これはもう懲戒処分にも値するような事案だと思っております。私、そういう事例を、閉めてあれしたというようなことを聞いたことはございませんわけでございますが、そのように考えております。恐らく交代してか代表かであれしておるのではないかと思っておる次第でございます。
  38. 中野明

    ○中野明君 素人がそばから見てよけいな心配をするなということかもしれませんけれども、そういうことをいろいろ考えますと、小さな局に親子とか夫婦でおられるというのは、やはり事故の起こる——もし起こったら、さっきもおっしゃったように、大きな事故が起こるということで好ましい姿ではないという理解は持っておられるわけですね。どうですか。
  39. 守住有信

    政府委員守住有信君) 家族従業員がおるからといって犯罪が起こるんだ、起こりやすいとは考えておりませんけれども、万一そういう緩みの中で、冒頭申し上げましたような公私のけじめ、職場の仕事のけじめが緩んだ中で起こりました場合に非常に大きくなりやすい、あるいはわかりにくい、こういう面があろうかと思いますので、先生の御指摘のような気持ちを持ち、それをいろんな話し合い、理解の中で進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  40. 中野明

    ○中野明君 小さな局であると、やはり表に出ないような小さな事故は当然伏せられてしまうという懸念もありましょうし、その点は好ましくないという方向で将来の対応策を考えていただきたいと思いますし、いま一つは、これは特定局全般のことになるんですが、現在の状態をお聞きしますと、郵政局が特定局を一応指導監督といいますか、そういうことに組織としてなっているやに聞きますが、そうしますと、非常に郵政局の傘下にとてもたくさんの特定局があるということになりますから、とうていこれ目が届かぬのじゃないだろうか。私の住んでおります四国で例をとりましても、四国の四県の特定局を四国郵政が一応指導監督ということになりますと、これは大変な時間と手間がかかってなかなか十二分にはいかぬのじゃないかというような感じがしますが、これはやはり県単位とかいうところにはそれぞれ中心の普通局、二百人とかおられる普通局があるわけですが、そういう普通局で県単位に指導監督するという、そういうような制度のあり方という方向に持っていくわけにはいかぬのでしょうか。その辺よろしく御説明を願いたいと思います。
  41. 河野弘

    政府委員(河野弘君) お答え申し上げます。  いまの先生から御指摘ございましたその普通局による管理の問題でございますけれども、これは特定郵便局もそれから普通局も同じ郵便局としての位置づけをいたしております。相互に監督関係という観念を従来、郵便制度発生以来とってないわけでございます。また郵便局長としてそれぞれが誇りを持ってそれぞれの業務を、同種の業務をやっているわけでございますので、この監督関係を持たせるというところに若干問題があるわけで、歴史的に見ましてもあるいは実質的に見ましてもあるわけでございます。  ただいま郵政局が相当多くの局を管理するということについて問題がありはしないかというお話もございましたけれども、この点につきましては私どもは現在の制度の中であらゆる手段を尽くしまして、たとえば監察支局というのがございます、各県単位に。これが特推連の——特推連というのは周知のとおりでございますが、これの防犯担当責任者というものを今回明定いたしまして、それとの連絡を密にするなどあらゆる手段を尽くして、今後とも小局管理につきまして全きを期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  42. 中野明

    ○中野明君 やはりどういうんですかね、組織ですから、ある程度の権限というものを与えなければ指導監督効果は出ないんじゃないだろうか。ただ、もうお互いに自主的に事故を起こさぬようにしようじゃないかというようなことでは、恐らく指示、命令と言えば語弊がありますが、そういうのは徹底しないんじゃないか。関東郵政局ちょっと聞いてみましても、二千五百三十二も特定局があるんであります。四国は八百五十七ですけれども、四国の中を動くだけでもこれ徳島から愛媛県まで行ったら八時間も。東京へ来る方が近いんです、四国の現状を見ましても。そういうところで八百五十七の特定局をどのようにして郵政局が目を光らせるというんですか、気を届かせるということになると、私は不可能のような気がしてなりませんが、こういう組織の制度のあり方そのものをもはや変える時期じゃないだろうか。こういう時代、郵政の近代化という上から言ってもやはりそうすべきじゃないだろうか。  私も本当は組織のことでびっくりしたんですが、たとえて言えば、高知の郵便局へ行きますと、全然高知の郵便局のことしか知らぬのです、普通局で。二百人も三百人もおります。それで、きょう時間があればお尋ねしてみようと思ったんですが、郵政の現場でバイクに乗って走っておられる職員の中に白ろう病が発生したということで、私、国元へ帰ってテレビを見ておったら、四国の中で白ろう病が四人かなんか出たと。どうもこれは山が多いのはわが高知県だからと思って高知郵便局へ行って、きょうのテレビで白ろう病の患者が出た言うんですが、あれは高知におるかなと言ったら、高知にはおりませんと、こう言うもんですから、ぼくはそれはよかったと思って、よかったというと語弊があるけど帰ったんですが、後で聞きますと高知県にはおるんですね、県に四人か三人かおる。ところが高知郵便局は自分の高知市内だけしか知らぬもんですから、うちにはおりません。私は勘違いして、高知郵便局は高知県のことは全部知っているんだというつもりでおりましたもんですから、何かうそを言われたような気がして、よく考えてみるとそうじゃない、自分の守備範囲が違う。だから、山間の集配特定局で配達している人のことは高知郵便局は、私はそんなことは知りません、こういう組織になっているようですから、まことに不自由な組織だなと。少なくとも県単位ぐらい、東京で言えば区単位というんですか、その程度にはやはり特定局なら特定局を束ねて指導監督し、絶えず横の連携をとるようなそういう制度にならぬのであろうか。  この辺どうでしょう、郵政大臣、検討の余地はないでしょうか。今日、こういう事故が続発して、郵政に対する不信といいますかね、国民の信頼はもう大変崩れてきております。この辺、検討の余地はないんでしょうか、どうでしょう。
  43. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘の問題、郵政事業運営について大変貴重な御意見を拝聴いたしました。中野先生質問に対して答えは、おおよそ私いま聞いていて真意が通じてなかったと、これはもう率直に認めます。過去に監察二十年史を出されて、これだけのことをやっているのに現在まだ起きているのはどうだと言われることも、これはもう謙虚に申しわけありませんと。  そこで、私は、実はいまこういうことを考えているんです。郵政行政運営に当たって、われわれは真剣に取り組まねばならない問題がかなりあるということは、これはもう率直に認めたい。そこで、近く、これは私の考え方でありまするが、政務次官を長といたしまして、一遍これは省議で方針を決めて、長年経験がある各部内の方々意見を聞いて、政治家としての立場でいろいろと想を練って、心を新たに何かやらないと、これはもう率直に申し上げて、中野先生指摘の本を出されて、私はこの委員会に来ると、何回か、まことに申しわけありませんとおわびを言わねばならないようなことじゃ本当の仕事にならないという考えも持っておりますので、どの制度を、どの問題を検討するというんじゃなくって、全体を静かに見きわめて、私も大変あっちこっちで忙しいものですから、政務次官を長にして一遍検討したい。少し時間をひとつお与え願いたい、かように存ずる次第であります。
  44. 中野明

    ○中野明君 服部郵政大臣が就任されて、皆非常に期待はしておるわけですから、何かしてくださいよ、早く。これ要望しておきます。  それから、この問題の最後として、郵政監察の姿勢について私ちょっとただしておきたいと思いますが、まず、先ほど大臣もちょっと言われましたように、またつい最近深川の郵便局郵便局員が一千万円持ち逃げをしたというので全国紙に載って。それから、これかっこうの悪い話なんですが、高知の郵便局——あの郵便局は高知では一番大きな鉄筋四階建てで、メーンストリートに面したすごい庁舎なんですが、そして、守衛さんが二十四時間勤務している。この郵便局で、郵便物を入れている郵袋というんですか、それが、十二名か何かが勤務をされて徹夜で作業をされている間に、忽然と一つ消えたという話なんですが、その後の状態はどうなんですか、ちょっと要領よく説明してくれませんか。
  45. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) 高知郵便局の郵袋事件の概要でございますが、これは、いま御指摘のように本年の二月十四日午前二時二十分ごろ発生した高知−春野間の下り便に出した大郵袋を、午前六時三十分ごろ、高知局におきまして日逓の運送員に引き渡した際に、春野局あて有証通常大郵袋一個が亡失していることに気づきまして、同局で調査したわけでございますが、発見することができませんでしたので、同日の午前八時四十五分、同局から四国郵政監察局の高知支局に報告がございまして、直ちに郵袋盗難事件として捜査を開始したわけでありますが、残念ながら現在まで犯人検挙には至っていないわけでございます。  この事件の発生の原因でございますが、一つには発着口の施錠が完全でなかったということ。それからまた、作業員の交替時に郵袋の引き継ぎ確認が行われていなかったということ。それからまた、当日たまたま祝日の、二月十一日でございますが、の後でもございまして、処理する郵便物が平常に比べまして少なかったこともございまして、作業がいつもより早目に終わったといったことがございましたので、作業員が休息に入りまして、短時間ではございますが保管郵袋が監視されていない状態が生じたということ。大体そういったことについて不備欠陥があったと思われるわけでございます。  そういったことで、これらの点の是正につきまして、高知局に対してはもちろんでございますが、四国郵政局管内の全局に対しましても注意を喚起する通達を出して指導いたしておりますが、本省におきましても事故犯罪の防止につきまして、全国に対して改めて通達をして十分注意をしたところでございます。いずれにいたしましても、このような事件が発生いたしましたことは、郵便業務に対する国民の信頼を失墜させたことになるわけでございまして、改めて深くおわび申し上げますとともに、今後とも事故犯罪の防止につきまして最善の努力を尽くしたいと思うわけでございます。
  46. 中野明

    ○中野明君 結局、いまだに何の手がかりもなしに、このままでは恐らく迷宮入りだろうと思うのですが、あれは銀行に比べても私はりっぱだと思いますが、そういうりっぱな庁舎の中から郵袋が一つ、しかも十三人も徹夜で勤務しておられる中からなくなって、何の手がかりもなしに迷宮入りということになると、これは本当に郵政事業に対する私ども不信を感じます。  特にこの問題で、高知でいま非常に問題になっておりますのは、これも監察で御承知かと思いますが、高知県の赤岡というところで保険金の詐欺グループが摘発されまして、相前後して非常に大きな問題になっているわけです。これは完全な部外者の犯罪なんです。それに対しては郵政の監察の方は、積極的にマスコミの方へ、どんどん書いてもらいたい、こういう不正事件が起こるということはまことにけしからぬ、保険制度を悪用した悪質な犯罪でございますからどんどん書いてください、不正防止になりますから宣伝をしてくれと、郵政の監察の方から積極的にマスコミに要請をする。  ところが、その事件の渦中にいまの郵袋事件が起こったわけです。そうしたら、今度は、一切勘弁してくれ、勘弁してくれ、内容だってなかなか言わない。私もとられたということを聞いて現地の局へ行ったら、なかなか教えてくれない。勘弁してください、新聞に発表した程度でございます。そういうようなことで、赤岡のときにはいち早く警察に連絡をとって、そして本当はこれ郵政監察が摘発したんですから、監察がやればいいものまで警察にも要請をして大々的にやっているのに、今度の事件に関しては警察に要請もしない。そしてぐずぐずしているものですから、いまだに郵便物のかけらも出てこぬ、郵袋のかけらも見つからないということで、どうなっているんだろうかということになって、そして郵政の監察に対する不信になっているわけです。  どうも、まだはっきりしておりませんよ、今度の高知の郵袋事件も内部の犯罪か外部の犯罪かまだはっきりしておりません。内部犯罪という説も根強く残っております。それは、守衛がついて二十四時間勤務している中でなくなったんですから。しかし、その晩勤務しておった人は本当に気の毒です。私も何人かに会いましたけれども、もうノイローゼになっています。とにかく一週間ほど徹夜同然みたいに調べられてもうノイローゼですよとえらい迷惑がっておりましたが、働いておられた人こそまことに大迷惑だと思いますけれども、読者の投書とか、あるいは地元の新聞の中に、非常に厳しく郵政監察の姿勢、果たしてこれでいいんだろうかと。自分たちのひょっとまかり間違えば内輪の犯罪かと思われるようなものは伏せて伏せて、隠して隠して、言わないように言わないようにして、外部の人がやった犯罪は大々的に宣伝してくれと、不正の摘発に通じる、不正防止に通じると。こういう監察の姿勢というものは、どうも私は、また大臣に言われるかもしれませんが、この本をおれ一生懸命読ましてもらったら、先輩がどれぐらい苦労してこの監察ということの歴史を築き上げてきたかということをしみじみ感じますがね。  いまの監察というのは、ここの本に書いてあるのと違いますか。もっと、本当に事件が起こったんならばそれを摘発するというか、犯人を逮捕して事件を解決するということにまず第一義を置かなきゃならぬと思うんですが、何か伏せているようなそういう疑念を一般の人に与えるということは、私は大変な間違いだろうと思うんですが、その点、どういう御指導をなさっているんですか、監察官にちょっと。
  47. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) ただいまのお話でございますが、監察といたしましては、あくまでもやはり捜査して、必ず事件があった場合は犯人を検挙するということがやはり防犯の一番の決め手であるということで監察官一同これに取り組んでいるわけでございますが、ただいま御指摘の高知局の大郵袋事件につきましては、残念ながらまだ挙がっていないということがございますけれども、やはり犯罪捜査につきましては、その間はやはりいろいろ中身、具体的な問題につきまして、申し上げることが差し支える場合がございますが、捜査中ということで、これは警察もそうでございますが、捜査中の場合には余り深く具体的なことまで申し上げることは差し控える場合もございますので、その点は御理解いただきたいと思うのでございます。  ただいま監察だけでやっているではないか、だから見つからないんじゃないかというお話でございますけれども、私ども郵政監察といたしましては、事案の態様によりまして、郵政監察だけではなかなか犯人を検挙するのがむずかしいというような場合には、警察に直ちに協力を求めまして、緊密な連携をとりながら捜査に当たっているということでございます。この高知局の事件につきましても、警察に協力を求めて現在やはり捜査をやっているというところでございまして、残念ながら挙がっておりませんけれども、私どもとしてはこの犯人検挙に最大努力しているということを申し上げておきたいと思います。
  48. 中野明

    ○中野明君 警察に言うたのが何もかも済んでしまってから言うたって、やっぱり犯罪捜査というのは、これはあなたに申し上げたら釈迦に説法のようで申しわけないですが、初動が大切でしょう。一週間も十日もたってから警察へ言うたってそれはだめですよ。ところが保険金の詐欺の方はもう最初から警察へ言うて任しっぱなしぐらいになっているんです。監察はもう全然警察へ任しっぱなしのような調べ方をしているのに、こっちの方は、いや郵政の四国の松山へ連絡をとってその指示を待ちましてとか、そんなことを言いよったら、もうそれは話にならぬというような感じを受けたんですが、そういう点、これは本当に郵便局舎の中で現金が入ったそういう大切な郵袋が消えてなくなって跡形もないというんですから困るんです。  その点、監察の姿勢を云々されておりますので、そういう声があるということを御承知いただいて、今後の郵政監察のあり方についての参考にしていただきたいと私は強く要望いたしておきます。  大臣もお聞きのとおりでございます。よろしく御指導をお願いしたいと思います。  それでは時間も経過してまいりましたので、最後簡易郵便局の問題でちょっと一、二点お尋ねして終わりたいと思いますが、いろいろ資料をいただきますと、特定局と簡易局の設置数が一応予算で決められるわけなんですが、ところがこの実績、予算ではなるほど二百五十局なら二百五十局簡易局をことしはつくりましょうと、あるいは特定局を五百つくりましょうと、こういうように出るんですが、実績が、特定局は何とかいっているんですが、簡易局は非常に少ない。特定局も、いまそういう声がありますが、全部じゃありません。これは特に私、比率で見ると簡易局は物すごく悪いように見ているんですが、何か簡易局設置に問題があるんでしょうか。余りにも比率が低いんです。
  49. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 簡易局の設置でございますが、昭和五十二年度について申し上げますと、二百五十の計画に対しまして百十という数字で、確かに計画に対して低い数字になっておることは御指摘のとおりでございます。  そこでこれの原因でございますけれども、簡易局を設置しようとする対象地域における適当な受託者というかが得られなかったというような場合、あるいはその他、場所的に適当な施設が得られないとか、いろいろ理由があるようでございますが、今後そういう点もっと努力をいたしまして、適切な時期に置いていけるように努力をいたしたいと考えております。
  50. 中野明

    ○中野明君 私いろいろ聞きましたところによりますと、いま局長は一般的な理由を言われておりますけれども、実際はそうじゃないようですよ。私がいままで聞いたところでは八カ所ですか、八カ所とも断わられた理由は、そこは将来発展する可能性があるので、そこに特定郵便局をつくりたいからだめなんですと、こういう返事なんです。適任者もおる、局舎もある、ところが将来そこへ特定局をつくりたいのだと、発展しそうだから。ところがそれを言うてから四年たってもまだ特定局もできませんよ。そしたらどういうことになるんですかね。  郵政省の考え方というものは、一般の国民の皆さん方の利便のために局を設置するのか、郵政省の都合で局を設置するのか、その辺の考え方が逆じゃないだろうか。みんなそこに郵便局が欲しいと、で、地元から陳情書までつくって出した、そしたら、そこは将来発展しそうだと、だからここは特定局をつくる場所にしておるんで、そこは簡易局あかぬのだと。それで一年でも二年でもたって特定局ができたんならまだ私もなるほどなあと思うんですが、三年たっても五年たっても、またそれから景気が悪くなって、なかなかその状況は変わってきませんわ。そうすると、地域の住民の皆さんはたまったものじゃないですね。郵政省の都合のために自分たちが不便な思いをして、これもお役所仕事、これ商売といえば語弊がありますけれども、やはり現場を持って営業しているんですからね。  だから利用者の便利のいいように、利用者の本位に立って、そのためにぼくは簡易局の制度というものができたんじゃないかと思うんですが、今日ではもう簡易局というものは定着しましたよね。郵政の一つの制度として、窓口として定着したんです。そして将来、それが五年なり十年なり後にそこが特定局になるなら、それはその時点でいろいろ検討なさったらいいことであって、特定局をつくる予定だからあかぬと、こう言う。そしたら地域の住民の人たちは特定局ができる条件がくるまでじっと待っておらにゃならぬ、こういう方針ですか。
  51. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 簡易郵便局は、先生承知のように業務量の比較的少ない、将来もそう——遠い将来は発展するにしても、当面そう発展する見込みのない地域に置いてまいっております。  特定局は、一方都市近郊とか将来相当発展するだろうというようなところに置いてまいっておるところでありますけれども、先生おっしゃったように、現在はまだ特定局を置くだけの享便人口もないところ、しかしいろいろの計画を見ますと、やがては相当の発展地域になるというようなところにつきましては、そういう時が来たならば特定局を置くというような方針でまいっておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、その間のブランクというものは当然生ずるわけでございます。  一方、近い将来発展するであろうというところに簡易局を置きますと、特定局と簡易局は先生承知のように制度が違う。そうしますと、せっかくある人に委託をして施設をつくっていただく、ところが、特定局にする場合は、今度は特定局長という国家公務員になっていただくということで、おのずからそこに取り扱いの違いがある。すると、委託者がそのまま特定局長になれるというわけにはいかないわけでございまして、そういうことで非常にいろいろのやっかいな問題が生ずるということで、なるべくなら、発展するような地域は、そういう見通しが立った時点で特定局を置いていきたいということが私たちの考え方でございます。
  52. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ただいま担当局長からお答えいたしまして、恐らく御満足いただけないだろうと思います。  これは物の考え方でありまして、簡易、特定ともにだれのためにつくるのかという御指摘でありましたが、私は、局長立場では当然ああいった答弁になるだろうと思うのですが、私は、いまこういうことを考えたい。これはまあ検討したいと思うのですが、事実どこかの郵政局で強い要望があったのに、近く特定局を置くので簡易局は認められない。しからば特定局をつくるまでその地域住民が不自由を忍ばねばならないのかと、こうなりまするから、一歩進めて、できるならば当面簡易局を置いて、必ずその局長が特定局にふさわしい簡易局の設置者になっていただくべく人選を進めて、納得いただくならば、簡易から進んでいってもいいんじゃないかという、私、感じを持ちましたので、これはまたひとつやっぱり所管局があるわけですから、帰っていろいろと検討してまいりたいと、かように考えております。
  53. 中野明

    ○中野明君 なぜ私、そういうことを言うかといいますと、断る理由にそういう理由が非常に多いんです。そして、それから私、六年も七年もじっと見てますけれども、何もできへんのです。だから言うわけでして、決してやみくもに言っているんじゃございません。その点は御理解いただき、いまの大臣答弁、私は大体同じ考えを持っておりましたので了解いたします。その方向でひとつ努力をしていただきたいと思います。  それから、いま一点は、昨年委員長と高橋先生と御一緒に四国を視察したときに、現場で痛感したんですが、簡易局で郵便貯金を扱わぬ簡易局があります。要するに、農協、漁協が簡易局を受託しているところは郵便貯金扱わぬわけです。そして、最近はもう御承知のように都市化されてきて、農協といってもその回りに百姓なんかろくにおらぬですわ。ほとんど一般の住家になっている、農協だけが残っているというようなところでも貯金は扱わぬ。そうすると、わざわざ郵便局貯金しに行ったら、うちは貯金やらぬのです言うて、貯金は隣の窓口の農協の方へどうぞということで、貯金しに行った人が農協の通いをもらって帰ってくる。ところが、農協の貯金通帳はよそでは出せぬ。郵便局だったらどこでも出せるんです。  そういう事態が現実にあるわけですが、これは簡易局発足の経緯から言って私はやむを得ぬと思っておりますが、もうここまで簡易局が定着してまいった時点で、果たしてそういうのがいつまでもあっていいんだろうか。まあ簡易局法ですか、何か、法を読みますと、優先順位みたいなのがありますね。だけれども、もうそれは変更されて、最も適当な人というように改正をする時期が来ているんではないだろうか。非常に奇異に思います。郵便局貯金を扱わぬ、これは郵政事業としてはもうまことにおかしいと思います。だからその辺は、どういうふうに変えるか、それは私はもうそこまで云々はできませんかもしれませんが、優先順位のようになっているのを、一応は受託者の範囲はずっと書いて、最も適当な人というような、そういうやり方にしたらどうだろうかなというふうに意見を持っておりますが、その点、どうでしょうか、局長の御意見は。
  54. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 取り扱い業務が受託者によって違うということは当然好ましくないと考えております。その点については、先生指摘のように、法改正ということと別に、そういう受託者について、受託者を検討していくという方法もあろうかと思いますので、よく関係部局とも相談の上検討してまいりたい、こういうふうに考えます。
  55. 中野明

    ○中野明君 それから簡易局のいわゆる功績といいますか、簡易局はもうすでに定着をしてきて、かなり郵政事業にとっては、特定局に並んで最先端の窓口として大きな役割りを果たし始めていることは事実であります。ところが、この簡易局の待遇の改善の問題なんですが、毎年少しずつ上がっていっているようですが、取り扱い業務の拡大と待遇の改善については、これは純然たる経理上の問題からいきますと、特定局より大分郵政省は得だろうと思います。しかし特定局には過去の長い間の経緯がありますから、私は特定局制度を否定するものでも何でもありません。  しかし簡易局というのは、これ大変財政的に見て郵政省としてはありがたい制度だろうと思っております。ですから、この簡易局の待遇は極力改善をしてあげて、そうして地域住民の利便のためにはやっぱり可能な限り取り扱いできる範囲を拡大してやっていくことが好ましいのじゃないかと思っておりますが、最後にその御答弁をいただいて、終わらしていただきたいと思います。
  56. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 簡易局の待遇と申しますと、現在取り扱い手数料というものをお支払い申し上げているわけでありますが、これは毎年一般の物価賃金等の動向に対応しまして改定してまいっておりますし、五十三年度においてもただいま検討中でございます。その他やめた場合の一時金の問題とかいろいろの措置を検討してまいっております。今後とも時代時代に合ったような措置を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  57. 中野明

    ○中野明君 大臣、一言最後に。
  58. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 担当局長からお答えいたしましたが、率直に、郵政省にとっては大変ありがたい機関でございますので、当然この時代の推移に沿って処遇の問題については前向きで取り組んでまいりたい、かように考えております。
  59. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時九分休憩      —————・—————    午後一時十四分開会
  60. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 木島則夫

    ○木島則夫君 まず、成田問題に関連をしてお伺いをいたします。  三月二十六日の成田新東京国際空港における過激派集団の空港諸設備に対する破壊活動というものは、これはもう法治国家への明らかな挑戦であります。このため、空港の開港は五月の下旬に延ばされまして、内外ともにこの政治に対する信用を問いかけているというのが現状です。さて、この過激派集団の中に、事もあろうに郵政の職場に奉職をする者が存在をしたということは、逓信委員の一人である私も大変驚きでありまして、国民の皆さんも驚きとともに怒りを持って事態を凝視しているというのが偽らざる姿であろうと思います。  そこで、まず警察庁にお伺いをいたしますが、現在までにわかった逮捕者の中で、公務員、公企体等の職員が何人おって、差し支えなければその名前もひとつ明かしていただきたいと思います。
  62. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 今回の成田の事件で、二十六日から二十八日にかけまして合わせて百六十六人の被疑者を検挙いたしておりますが、このうち御質問の公務員あるいは公企体の職員の数は十四人でございます。
  63. 木島則夫

    ○木島則夫君 名前はどうですか。
  64. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 名前につきましては、ただいま捜査中でございますので、答弁を控えさしていただきたいと思います。
  65. 木島則夫

    ○木島則夫君 その辺は私も尊重いたしますけれど、(「新聞に出ている」と呼ぶ者あり)前回の、これはもう新聞に出ているということもいま委員が言っております。そして前回委員会では郵政関係が四人いたんです。ところがきょうは新たに二人ふえて、今回は六人になりました。そのあとの二人は現場関係かどうか。
  66. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 郵政職員六人、電報電話局員四人でございますが、現場関係の者が多いということでございます。
  67. 木島則夫

    ○木島則夫君 さらに伺いますけれど、逮捕者の中で今後公務員とか公企体等の関係者のふえる可能性については、警察庁としてはどのように予想をされておりますか。
  68. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 公企体、公社の職員のふえ方というのはちょっとわかりませんけれども、一般的に申しますと、学生等に比べて労働者の逮捕者が最近ふえておりますので、その中でもやはり公務員、公企体の職員が一定の割合でふえるという傾向にあろうというふうに思っております。
  69. 木島則夫

    ○木島則夫君 極左暴力集団の概数とその中に含まれる学生と労働者の割合、さらに労働者に含まれる公務員とかまた公企体等の職員の数の推定、大変むずかしかろうと思いますけれど、警察庁としてどの辺をつかんでいらっしゃるかお伺いをいたします。
  70. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 極左暴力集団の全体の勢力は、ただいま三万五千という概数でございます。その中で、学生と労働者の割合は四対六の割合で、労働者の方が六で、多いわけでございます。そのうちの二割が公務員、公社の職員でございます。三公社五現業の職員はそのうち約三千というふうに承知いたしております。
  71. 木島則夫

    ○木島則夫君 大臣に伺います。極左暴力集団の概数、その中に占める学生と労働者の割合が四対六、しかも公務員、公企体職員に関係すると思われる人の数が私の想像したよりも非常に多いということですね。私は、これが直接郵政の職場に結びつくとは思いたくありませんし、またそう考えたくありませんけれど、この概数と実情というものを、郵政大臣、どういうふうに御認識になってますか。
  72. 服部安司

    国務大臣服部安司君) きわめて深刻に受けとめております。  御指摘の、このたびの成田空港事件で逮捕された者の中に郵政職員と、しかも電電公社の職員が、二十六日から二十八日までの逮捕者十六名の中で十名を占めているということは、まことに申しわけなく思っておる次第でございます。  犯罪を行った者については、事実に即して、御案内のように速やかに厳正な措置をする方針で、すでに事実が明確になりました郵便局員二名に対しましては懲戒免職処分を行いましたが、今後も事実関係の確認をできるだけ早急に行い、厳正に措置する考えであります。特に私は、従来から、国民より負託された大切な事業を円滑に運営していくためには、何をさておいても法秩序の維持、職場の規律の維持が大事であるという観点から、常に各職場においてその指導の徹底を期し、特に暴力に対しては厳正に措置をするようにしてきたところでありますが、たとえ一部の職場の、しかもほんの一部の職員とはいっても、私はその徹底を欠く点があったことについては、もう全く弁解の余地はございません。率直に反省いたしております。  したがって、今後とも今回のような不名誉きわまることの事態の発生を全力を挙げて防止いたしまして、法と秩序を守る考えを持ってくれるように、いろんな機関を通じて指導をいたしまして、秩序ある明るい職場づくりに全力投球をいたしたい、かように考えて、きわめて深刻に受けとめてこの問題と取り組み、信頼の回復に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  73. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵政大臣決意としては大変結構なんです。しかし、これは言うべくして行うことは非常にむずかしいというのが、過去の私は問題提起の中にも含まれているように、非常にこれむずかしい問題だと思います。  そこで、郵政大臣としては、こういった事態を今後どうやって防止をしていくのか、つまり、現場での管理を含めた防止策について具体的に示していただきたいということが一つと、郵政の職場に働く職員に対する、国民への奉仕者としての意識を徹底せしめる、そして自覚をせしめるための教育というものがどのように行われているのか。もし、その教育に欠陥があるとしたら、それは何で、今後どこを強調をしていったらいいんだろうかという、きょうは具体策をひとつ示してくださいよ。決意だけじゃだめなんです、これは。やるんだ、やるんだ、残念です、遺憾です、やります、これだけじゃだれだって言えることですから、ひとつきょうは具体策を示していただきたい。  それから、私が遺憾でならないのは、公企体等の職員が、国民の足である電車をとめることを平気でしたり、郵便を遅配せしめるようなことを平気でやっている。それにはそれ相応の措置をおとりになっているようでありますけれど、概して緩やかですね。こういうものが、法と秩序をないがしろにするような風潮を呼んできたことも否めないわけでありまして、過激派集団のああいう行動が、三月の二十六日にあの時点で一気に起こったとは私は考えたくない。そういうバックグラウンドも含めて、もう一回郵政大臣、ひとつ具体的に示してくださいよ、これは。
  74. 守住有信

    政府委員守住有信君) お答え申し上げます。  大臣が先ほど御答弁になりましたように、今回、政治的、社会的に、また国際的にまでも非常に大きな影響をもたらしました暴挙に私どもの郵便局員が参加してまして、まことに残念で、遺憾に思って、反省しておる次第でございますが、この中で、現在、新聞にも出ておりますように、郵便局に入りまして数年も経ずして、というような若い職員があのような破壊行為に走ったのか、その動機だとか背景、原因などにつきまして、あるいはまた本人にどのような事情があったのか、私どもの職員管理の面におきまして、先ほど先生の御指摘のように教育の面等々につきまして、どのように欠けるところがあったか、などにつきまして、今後の警察関係当局の捜査あるいはまた私どもの調査を通じまして、現在検討を進めておるところでございます。  今後の対処につきましては、大臣おっしゃいましたように、厳正、早急な、事実に即しての懲戒免の処分でございますが、これも一つの戒めとして一つの重要な防止策であろうかと思いますが、さらに、日常の職場の中で、職務に関しての、職場の特に暴力に対する私どもは告訴、告発をするとか、職場の中からの暴力というものに対しては非常に厳しく対処してきたところでございますが、職場外の私的な活動分野においてが今回の顕著なケースである、このように認識をいたしておりますわけで、まあ多少言いわけがましくなるかと存じますけれども、今回のような、職員が職場外で犯す犯罪、非行、非違等につきまして、管理者がこれを事前に察知して防止するなどの措置をとるということは、事実上は非常に困難でございます。  しかし、何といいましても管理者は日ごろ職員に接する機会が多くあるわけでございますから、御指摘のような、日ごろからの公務員としての、法を守り、いやしくも法を犯すということのないように、遵法精神の涵養を図ることはもちろんでございますけれども、さらに毎日の職場の中の勤務管理、職場管理、職員管理を厳正にするということ、また、職場における職員の掌握を十分に行いまして、また、職場外での動静、動向につきましても、これが勤務管理上必要な場合には適切な、また積極的な指導をしていくなど、職員管理、掌握指導などの面について遺憾なきを期したい。特にまた、その教育訓練の、職場内と研修所と両方でやっておるわけでございますが、青年職員の教育研修の場を通じまして、今回のケースを一つの実例として話題を提供いたしまして、その具体的な、このような犯罪、非行に走ることのないように、さらに青年職員の教育を徹底してまいりたい、このように具体的に考えている次第でございます。
  75. 木島則夫

    ○木島則夫君 私も質問時間が一時間しかありません。本当はもう少しこの問題、徹底していまやりたい。いま人事局長がお答えになったのは非常に抽象的ですよ、具体策は余りない、はっきり言って。そういうことを言っていれば犯罪がなくなるかっていったら、なくならないですよ、これは。きょうの新聞にも、なぜ若い人たちがそういうものに埋没をしていくか、社会的背景とか若い人の心理まで立ち入らなければわからないという状況でしょう、いまの世の中は。そういうことやってますか、人事局長。そして、あなた方はコミュニケーション。コミュニケーションと言うけど、本当にやってるの、そういうことを。事なかれ主義というのが現場で横行してるというふうに私は聞いている。余り問題を起こさない方がいいだろう、平穏無事にやっていて、そのうち転勤が来るだろうから、それまでは事を起こさない方が上の覚えもめでたいというような気持ちがもし管理者にあったとしたら、こういう犯罪というのはあなた、なくならないですよ、本当に。  郵政大臣、いまの人事局長のああいう答えで、あなたは犯罪なくなると思いますか、悪いけれど。私は言いにくいことをきょうははっきり言わしていただく。
  76. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ただいま人事局長立場で御答弁いたしました。大変真剣にこの問題とお取り組み中の木島先生には御不満の趣でありまするが、私は正直申し上げて、まずこの動機、背景というものをやっぱりその立場にある管理者は徹底的に解明を図る、なぜこういったことになったかということをやってみたいと。それから職場管理と職場環境というものが一体これでいいのかどうかという点も、これまた徹底的に解明を図りたい。あわせて管理職にある者の心構え、私はこういう問題を徹底的に解決を図ろうと思うと大変な勇気が要ると思うんですね、勇気が。一体わが省でこういった不名誉きわまりない厳粛な事実がここに露見したわけでありまするから、私は決して夢々おろそかに取り扱う気持ちはございません。  と申しますのは、十六名中十名ということは、もうこれは大変な恥辱でありまして、私はそういう点から、先ほど来申し上げている問題を徹底究明を図る傍ら、一体管理者がそういう問題に御指摘のとおりにじんぜん日を送る状態であったのか、まああったと断定されても返す言葉はありません。もしそういうことであれば、これはゆゆしき問題である。まず管理者の再教育に臨まねばならないというわけで、正直申し上げて、人事局長を中心に関係者が集まっていろんなケースをいま整理いたします最中でありまするが、それをもとに検討会を持って、どの面にどのような施策を講じていくか。いまここで、これはこうしますということは、ちょっとそこまで煮詰まっておりませんので非常に申しわけないわけでありまするが、近日中にまとめて御報告申し上げて御批判と御理解を得たいと、かように考えている次第でございます。
  77. 木島則夫

    ○木島則夫君 人事局長、私も言いにくいことを申し上げたけれど、曲り角に立たされております郵政事業、その中で一生懸命働いている人たちがこういうことで挫折をしないようにと思うその気持ちが多少声を荒らげましたけれど、私のひとつ真意もくみ取っていただいて、いま人事局長のお立場で一生懸命やっていらっしゃる、大臣からも前向きのお答えがございましたので、きょうはこの問題は私はもうここでやめますけれど、ひとつ本当に、これは郵政事業がつぶれちまうかつぶれないかという境目だと私は思いますよ。そういう認識のもとにひとつこの問題と取り組んでいただきたいと思います。  きょうは苦い問題ばかりを御提供申し上げるけれど、私はやっぱり郵政のお立場を理解しようと思うし、発展せしめるためにこういうことを申し上げているということもひとつ御理解をいただきたいと思います。  次に、特定局問題に絡む問題を取り上げてみたいと思います。  最近、郵政部内者による業務上の犯罪が多く起こっております。このことは国の事業としての郵政事業に対する不信感をつのらせているという点で、成田のああいった事件と絡めてやはり非常に大きな私は問題だと思います。特に昨年神奈川県下で起こりました特定郵便局長並びにその家族、職員などによります郵便貯金横領事件というものは、郵政事業に対する国民の信頼を裏切るものであって、これはもう許せない行為ですね。これはもうあたりまえの話です。この事件は、単に郵便貯金を詐取をしたとか横領をし、事業の信用を失墜せしめたというだけのものではなくって、その背景には、やっぱり特定郵便局制度と特定郵便局長の資質などに起因する問題がその底辺に大きく絡まっているというこの背景は絶対見逃すことができないんだという、私はそういう観点に立たなきゃいけないと思うんです。  後で私は詳しく申し上げたいと思いますけれど、特定郵便局長の中には、自由任用制という制度のもとで、郵政事業に関する知識を全く持っていらっしゃらない方が郵便局——いわゆる郵便局舎を提供する、もちろん賃貸料は得ているわけでございますけれど、これだけで局長に任用されましたり、あるいは特定局長の親族であるということだけで経験豊富な先輩を追い抜いて局長に任用されたといったものが数多く存在をしているわけですね。また全国に一万七千局ですかあります特定郵便局の相当数の職場には、局長の奥さんであるとか、お子さんであるとか、こういった方々がともに勤務をしていらっしゃるのが実情でございまして、私企業的な色彩が非常に濃い。国の運営する事業とはとうてい思えないような前近代的な仕組みが残っております。  私はさきの特定郵便局長の郵便貯金の横領事件というものは、この特定郵便局制度の悪い部分を象徴した事件であるというふうに考えるのです。こういう私の考え方が間違っているのかどうか。やっぱりこの辺の問題と関連をせしめてこの問題の提起をしなければ、事件の解決はないという認識の仕方はいかがでしょうか、大臣、間違っておりますか。大臣、どういう御認識のもとにこの問題と取り組まれるか、その前提となる認識の仕方を一つだけ伺っておきたいと思います。
  78. 服部安司

    国務大臣服部安司君) きわめてむずかしい問題の御質問でありまして、確かに現実の問題として素直に御指摘の問題を受けとめて考えねばならない点もありまするが、しかし、制度そのものについて、こういった犯罪につながるというように私はいまのところそこまで徹底した結論、また考え方には立ち至っておりません。  しかしながら、事実これもきわめて最近にいろいろな種類の犯罪が起きて、特に中には悪質きわまりない内容のものもございます。午前中は中野先生からも御指摘を受けて、われわれは深く反省し、どのようないわゆる措置をとるかということもとりつつ、さらにこれでよいとは考えておりません、一層の善後措置を講じているわけでありまするが、確かに私はいまここで、どうなんだと言われるとお答えはできませんが、午前中にもお答えいたしましたとおりに、政務次官を長として、これはぼくと政務次官で話し合ってるんです、本当に掘り下げた再検討を全般にわたってやりたいと。そうしてこれはもちろん衆参の逓信委員会先生方の御意見を参考にして、できるだけの信用回復のための措置を講ずる所存でございます。
  79. 木島則夫

    ○木島則夫君 現行の特定局制度は、局舎の私有であるとか、あるいは局長の自由任用制であるとか、大きく言って三つの柱が中心となっておりまして、そこから枝葉が出て、それが制度化されたものであると言って言い過ぎじゃないと思います。私はこのうち私有局舎にまつわる局舎問題の占めるウエートというものが非常に大きい。局舎問題さえ解決すれば、全部が解決するとは言いませんけれど、特定局における問題はその八〇%が解決されたと言ってもいいくらいこの問題にはいろいろ複雑な問題が絡まり合っているということを御指摘を申し上げたいと思います。  もちろんこの私有局舎は局長の自由任用制と密接な関係がございまして、どっちか一方の問題を突き詰めてまいりますと、必ずほかの方の問題も一緒になって出てくるんです。複雑怪奇——怪奇とは言いませんが、複雑な問題を秘めている。その問題点一つ一つ究明していくことは大変大事なことではありますけれど、改革となるとこれを同時に進行せしめなければならないという、そこに私は一番大きな難点、大事な点があるというふうに考えます。  私どもが私有局舎の国有化促進を要求するのは、私有局舎というものが国有局舎に比較をして非常に問題点が多いことですね。また、その問題点の解決が私有局舎であるために容易にできないというところに問題点指摘を申し上げているわけでございます。  で、私有局舎には、私が一々ここで項目を挙げるまでもなく、問題点を羅列してみますと、局舎が当該局長の私有の場合には、局長が退職をいたしますと、その後任に局長家族がなり、世襲的な人事となるわけですね。この場合、後任局長が部内者であればまだいいんですけれど、全く郵政業務の知識を持たないような部外者の場合が非常に多いという問題点があります。次に、局長家族に後任局長のなり手がいない場合には、当然、新たな局長——新たな局長は、買収または賃貸等によりましてその局舎を確保するか、あるいは別に局舎を用意しなければならず、そのために、ときには局長がかわるたびに局舎が移転することもあり得ると、こういうことになります。同一特定局に長い間勤務をいたしましても、従業員は、自分で局舎を確保しない限り特定局長にはなれない。次に、局舎が古くなって、狭くなっていっても、家主のプライベートな費用で改善、改築をさせるためには、十分に行えない場合が多い。特に大都市の場合には、土地が騰貴をして、とてもじゃないけれど、私力で賄える問題をはるかに越したところに大きな壁が存在をしている。次に、局長の私宅と局舎が共用の場合には、公私の区別がややもしますと不明確になりますね。また、部外者である局長家族が事務室に出入りをする、ときには業務についても口出しをするなど、従業員との間のトラブルの原因にもなりかねない。  こういうふうにして挙げてまいりますと、とにかくいろいろ問題が、さっきから申し上げているように、たくさんあるわけであります。  そこで、局舎問題について細かく言ったらこれはもう切りがないし、一時間やそこらではとてもできません。もちろん私は、百年の歴史のある郵政事業の中で特定郵便局が果たしてきた役割りというもの、地域との密着性、そういういい面も決して全部を否定するものではございませんけれど、郵便局舎がどんどん近代化してすばらしい局舎に変わっていく、そしてコンピューターの導入も行われる、機械化、合理化がすばらしい勢いで行われているという半面があるかわりに、こうした明治以来の名残がいまだに尾を引いているという——きょうは細かいことは結構ですから、大臣ね、たとえばですよ、当面は私有局舎の方が数字の上で、そろばんをはじくといいですか、確かに財政上はこの方がいいかもしれないけれど、ここから起こる複雑な問題点、局員の士気の問題、効率の問題、運営上の諸問題などを考えますと、かえって私は高くつくと思いますね。  ここら辺の根本認識について、いまは併用という形をおとりになっていますけれど、これはやっぱり問題点が多過ぎて、どうしても改善をしていかなきゃならないという強いお気持ちを、いまのたった短い説明でも大臣は起こされたと思うわけでありますけれど、いかがでございましょう。
  80. 服部安司

    国務大臣服部安司君) まず、お言葉を返すようでまことに恐縮に存ずるんですが、私は誤解があったらいけないのでひとつ御理解を願っておきたいのは、制度そのものは正直言って欠陥はありませんと、しかし運用の面で、先生指摘の改革じゃなくても改善を加える点は率直に認めてそのように努力をいたしたい、この点ひとつ重ねて申し上げて御理解を願っておきたいと思います。  それから、先生も百年の歴史を持つ特定局制度はすべて悪いとは言わない、しかし私有局舎による余りにも複雑きわまりない内容で、いろいろとその職員の士気とかまた採用面、いろんなことで、むしろそういったことよりか国で局舎をつくることの方が、併用より国一本でやった方がいいじゃないかという問題でありまするが、そういう考え方もあるかもしれませんが、私はいま郵政省のいわゆる財政事情からいって、これはもうとうてい考えられないことであります。と申しますのは、郵便業務にいたしましても、御承知のとおりいま大変な赤字予算を組まねばならない。決して私はこれを理由にするものではありません、これはもうけさの会合でも、いわゆるこういう行き方ではとうていこれはだめだと、もっと思い切った企業努力を図っていかねばならない、具体的にこういうこともやってみたらどうだ、こうやったらどうだという点も指摘してまいりましたが、こういうことも考えて私は制度の欠陥というよりか、今後の郵政業務運営に当たっていま少しきめ細やかに配意をしながら、先生の御指摘の問題の解決を図る努力はせねばならないというふうに、いま御指摘を受けてここでそう感じております。
  81. 木島則夫

    ○木島則夫君 私も、百年間の郵政の歴史というものを現実的にちゃんと理解をした上で改革をしていく。改革というのは革命じゃないんですよ、全部一遍にいま力づくか何かでそういうものをひっくり返しちゃうなんということは私はつゆ思っておりません。そうじゃない。改善、改革というのは、やっぱりいいものに向かって徐々に一歩一歩でも、歩みは遅いかもしれないけれどそれを改めていくということだろうと私は思います。そういう意味でいま申し上げた。それで、この問題は鋭意ひとつ御検討いただきたい。  ただ、財政が許さない許さないということをにしきの御旗のように振りかざすということ自体どうでしょうか。やっぱり私はそこに問題があろうと思います。だからやらないでもいいんだとは短絡はいたしませんけれど、私は財政の問題もよくわかっているつもりです。だけど、問題点が多過ぎるんじゃないだろうか。そこから起こる郵政事業の近代化をおくらしている問題の方がはるかに大きいマイナス点を抱えているんだという意味で申し上げているわけです。  さて、もうあと私、持ち時間が二十分しかございませんので、局長の任用制を中心とした問題に移らしていただきたいと思います。  特定局長というのは、国家公務員の一般職ではございますけれど、きわめて特殊な存在というふうに言えると思います。それは自由任用方式に起因し、局舎の私有とも関連をして、ほかに類例のないものだからでございます。部内、部外を問わない自由任用であるために、特定局業務知識の乏しい局長が生まれやすいという弊害がありますね。非常に少ない人数でもって特定局が運用されておりますから、局長たる者が全般の知識経験を持たない人がそこに来ると、その人の負担がほかの職員の肩にかかって、これは大変な労働過重になるということも大臣よく御認識のとおりです。単にその局舎を有しているという経済的な事由だけで局長になれる。確かに現在いわゆる局長任用の条件に局舎の提供というものははずされてはおりますけれど、現実にはりっぱにこれが生きているということだと思います。  それから局長に転勤がないために職場が大変マンネリ化する。ある意味でファミリー化していくということは、風通しが悪くなってマンネリ化してしまうということにもつながっていかざるを得ない。特定局長さんがだめだなんて私はこれっぽっちも申し上げていない。特定局長さんの中にも大変有能な方が多いですよ。ですから、従業員がわずか数名というような特定局の局長としてその生涯を送らせるには惜しい人材が多々ございます。それこそ前途多難な郵政事業にとって、そういう有能な人材を二十年も三十年も一カ所に定着をせしめることの方が私はマイナス点が多いのじゃないかなと、そういうふうに思います。  そのほか封建的な世襲人事が行われやすい。要するに何といいますか、私有局舎問題とも絡んで、人物や能力は二の次三の次となりまして、単に局長の跡継ぎという理由だけで世襲任用される場合が多いとも聞いております。もちろんその局長家族だからいけないと言っているんじゃございません。こういうことどもを踏まえまして、もう一つ天下り人事も行われやすいというようないろいろな問題点もありますよ。こういうことをバックグラウンドにいたしまして、私はきょうひとつ具体的に提言をしてみたい。大臣は非常に就任以来積極的な姿勢をお示しでございますから、ひとつ私の御提言にも耳をおかしをいただきたいと思います。  特定郵便局長の任命に当たりましては、まあこれもなかなかむずかしいと思いますけれど、競争選抜試験を行って広く人材を求める必要があると思いますけれど、いかがでございますか。一つ一つ伺います。
  82. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ただいまは特定局長の任命についての御指摘でございまするが、御承知のように特定局は全国あまねく設置されております、先ほど御指摘の一万数千局という。したがってこのねらいは、地域に密着したサービス業務を提供するということが特定局の存在の特色であるということをまず御認識いただきたいと思います。  だからといって、業務内容がルーズであっていいというのではございません。いろいろと御指摘される面もわれわれ謙虚に受けとめておりまするが、ただこの地域密着性のよさを特色としてまいりましたので、われわれはこの地縁と申しましょうか、地域に非常に信頼される人材、いわゆる選考任用ではありまするが、選考に当たっては十二分に特定局長としての能力を有するかどうか、また地域社会に融合性のある人であるかどうか、また人間の管理能力の点において十分であるかどうかということを慎重に検討を加えて今日まで採用してまいりました。現職局長の事情で、退職のときにその子供が世襲するとかいうふうに指摘されておりまするが、決して世襲制はとっておりません。これはもうはっきり、とっておりません。たまたま家族の中に有能な人材が応募をされて、したがってそのいわゆる任用の範囲に、射程距離にある方を選んだというのが事実でございます。  したがって、これを公開にしてはどうかといういま先生の御指摘でありまするが、いわゆる公募ですか、それも決して悪いとは申し上げませんが、これにもなかなか一つ問題点があるわけでございます。われわれは選抜方法というのは管理能力、経験、適性のほか、いろいろと加味した総合的な観点に立った選考の方法で進めてまいる。そこで選ばれた方は決して、もちろんこれは部外者であれば業務面に疎いことは御指摘のとおりでありまするから、採用と同時に訓練をし、十分な指導を行って、現場につくときにはすでにそういった能力を持ち合わせていると言っても決して言い過ぎでないほど真剣に局長については考慮を払っております。  まことに苦しい答弁だとお思いかもしれませんが、公開競争試験よりも現在の選考任用による方が、適切で実態に合っているというのが現在のわれわれの持っている見解であります。
  83. 木島則夫

    ○木島則夫君 大臣、御自分から大変苦しい答弁であるとおっしゃいましたんで、問題点はよく御承知のはずですよ。ですから、できるかできないかで結構ですよ。そうすると、まず競争選抜試験を行うと、広く人材を求めるというのは、人事局長、これはまだ先のことだということですか。考えてはいるんですか。
  84. 守住有信

    政府委員守住有信君) 御承知のとおり国家公務員法では、一般の競争試験と選考による方法と二つあるわけでございまして、特定郵便局長の場合は選考による方法が最も適切であり、かつ実態には合っておるということのたてまえで、国家公務員法以下の流れできているわけでございます。もちろんそれは採用という意味でございますが、今度は昇任という意味で、たとえば郵便局の管理者の場合、登用いたす場合も選考の方法によって登用をいたしておるわけでございます。
  85. 木島則夫

    ○木島則夫君 何かこの辺になると、えらい歯切れが悪くて、さっき大臣もおっしゃった、苦しい答弁だという中に問題点を十分に御認識しているというふうに私は見ますよ。  大体、特定郵便局長任用規程を見ましても、年齢満二十五歳以上の者、相当の学識才幹ある者、この二つでしょう。ずいぶん簡単と言えば簡単ですね。だから、特定郵便局の業務というのは相当頭のいい、相当勘のいい人でも三年はかかるというんでしょう、あれを覚えるまでに。下手すると十年かかっちゃうという。任用規程を改めた方がいいですか、それとも、まあいいですよ。当分これはだめだというふうに、だめだというか、見込みがないかもしれませんね、第一項目は。ひとつやってくださいよ、そういうふうに言わないで。新しい郵政事業をつくるんですから。  二番目、任命の際は事業経験二十年以上の者であって、年齢四十歳以上の者とすることが普通郵便局の管理者との均衡からしても妥当と考えますけれど、飛躍をした提言でしょうか。
  86. 守住有信

    政府委員守住有信君) 先ほど御指摘の任用規程も非常に簡単なものでございますけれども、実はそれだけでございませんで、それはいわば大筋のものの仕組みでございまして、後は地方郵政局長の任命でございますが、その場合にいろいろ申し上げておりますように、いろんな角度からの総合かつ慎重な検討を加えた上で局長希望者の中から選考任用をしておるということでございます。したがいまして、またそういう場合に、それは大枠としての基準でございますので、年齢の場合も、一律に部内経験が二十年以上だとか、あるいはまた年齢が四十歳以上というように、一律に限定して条件を設けていくということはいかがかと思いまして、その大枠の中で慎重厳正な選考に当たってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  87. 木島則夫

    ○木島則夫君 経験のない若い人が、いままで一生懸命下積みとして働いているところにぽんと来て、何もわからない人がいたらやっぱり士気にも影響しますよ。こういう点はやっぱりはっきりこの際お答えをしていただいた方がいいと思いますよ。郵政事業、何のためにやっているんですか、ほんとに。これは、私も現場をずいぶん見せていただいた。きょうは時間がないから細かいことは言いませんけれど、皆さん御存じでそういうことを言っているんでしょう。この際、官僚の方も優秀な方が多いんですから、頭を切りかえて、郵政事業本来の仕事を前進をさせる意味で、具体的にひとつ前向きのお答えをしていただきたいと思いますよ。それじゃなきゃ、こういう委員会なんか開く必要ない、本当に。私はそう思いますよ。
  88. 守住有信

    政府委員守住有信君) もちろん、御承知のとおり、個別の任用に当たりましては、特定局は二人局、三人局のようなものもございますし、十人、二十人というふうな、あるいは地況の違いとか、いろいろなバラエティーに富んでおるわけでございまして、したがいまして、それをやる場合に、それぞれの特定局長として真にその地域でふさわしいかどうかという問題と、一方ではその局の状況がどうかということも、具体的な判断の場合は十分考慮に入れながら選考任用をしておる次第でございまして、決して一律に物を考えていくということではございません。
  89. 木島則夫

    ○木島則夫君 いい面と悪い面が物には必ず同居しているんです、ですから、私が申し上げたように、特定郵便局を全部否定するんじゃないんですよ。私は決して全部否定なんかしてない。そして、百年の歴史の中で果たしてきた貢献度というものも十分にお認めしようじゃないか、この歴史をつくった方々に対して尊敬も払おうじゃないか、こういうふうに申し上げているんです。それをなおよくするためには、いろいろの改善点、改革点がありましょうよというふうな御提言であります。  次に、特定郵便局長の訓練制度としまして、任命と同時に職場に配置するんじゃなくて、少なくとも三カ月間程度研修所で管理者教育を行った上に、その適否を判断して配置なすってはいかがでしょうか。非常に短い期間ですぐ現場についちまう。しかし、一般試験を受けてお入りになった方方は、少なくとも一カ月以上ですか、訓練期間があるというふうに私は伺っています。この辺はやっぱりしっかりしませんと、もとから崩れていったらこれは大変ですね。いかがですか。
  90. 守住有信

    政府委員守住有信君) 御指摘の点は、私どもとしてもこれからますます今回の事件にかんがみまして考えていかなきゃならぬ点であるというふうに考えるわけでございまして、現実的には、もちろん特定局長として真にふさわしい人物を選考いたして任用しておるわけでございますが、その中で、特に部外者及び特定郵便局の経験のない者からの任用の場合などにつきまして、必要と考える者につきましては、正式の任命の前の内命の段階で近隣の局に配置いたしまして、その実務的な実習訓練を現在行わせておるわけでございますが、じゃ、その程度とか内容がどうだということにつきまして、先生の御指摘のような点を十分念頭に置きまして見直していきたいと思うわけでございます。  それからまた、任命の際は、地方郵政局におきまして、特定郵便局長として当面必要な重要点につきまして、訓戒や各部からの指導等をいたしておりますが、さらに、任用後研修所におきまして合宿訓練というものをやっておりますし、さらに、これはもうすでに特定局長になった者の現任特定局長訓練ということをやっておりますが、今回の事件にかんがみまして、その内容、カリキュラム、重点の置き方、担当の講師等も見直しをやりまして、これを地方郵政局に対して厳しく指導し出したところでございます。
  91. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵政大臣ね、この教育の面は、先ほども大臣が大変強調なすった点でございます。今回の事件にかんがみてもという人事局長の大変考慮を払ったお答えもいまございました。ですから、このくらいは、このくらいはいますぐやりましょうというお答えを私いただけると思う。  そして、さっき私が申し上げたように、特定郵便局というのは、私もずいぶん見せていただいた。狭いですね、まず。休憩室もありませんね。トイレもないところがある。食事は前のデパートの社員食堂に行って、一緒に食事をしなきゃならない。トイレも、いいですか、十メートル、二十メートル向こうに行ってトイレしなきゃならない。雪の日なんか、女の方大変ですよ。ストーブに当たろうと思っても、局舎が狭いものだから、そうして、しかもそこにいろんな大事な郵便物や何かをお預かりしているものだから、ストーブをたくと周りがこげちゃっていけないということで、暖もとることができないというような状況も私は見せていただきました。それから受付のスペースが非常に狭いものですから、雨とか雪が降ったとか、非常に風が強いときには、利用者が中にお入りになれないで、長い列をつくってびしょぬれになる。寒い風の中に立たされるというようなことは、これはごく日常茶飯事ですね。休憩室なんか大臣気の毒なくらいですよ、狭くって。そうして、特に女の方と男の方が一緒に仕事をなすっているようなときにはね、休憩室の目の前にトイレがあるの。大きく音楽でもかけないと、とてもじゃないけれど、女の方は用をたすこともできない。そういう状況ですね。  だから、いますぐですよ、さっき言ったように、力ずくで、金ずくで、いますぐ全部これを変えちまえなんて私は言ってない。できることから一つずつやっていただきたいというふうに私はお願いをしているんだけど、何か余り前進のあるお答えとは見受けられないのです。それで片方では、国民にとって大事な郵政事業はこれを前進、守りましょうと言っているけど、論理が違いやしないですか。
  92. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ちょっと、ぼくはいま数字ははっきりしておりませんが……
  93. 木島則夫

    ○木島則夫君 数字なんかの問題じゃないんですよ。
  94. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 職場環境の改善の御指摘は、これはもう真剣に取り組んでまいりたい。こういう環境では、とてもそれは能率の向上を図ることは不可能であるし、利用者のサービスもこれは十分にできないことは率直に認めて、これはもう真剣に取り組んでいくことをはっきり申し上げたいと存じます。  教育の面でありまするが、これはもう大変重要な問題であります。どういう方法——いまおっしゃったように、研修所に三カ月入れろということが適切かどうか、これは別問題でありまするが、私は、事特定局長の任用だけではない、先ほど来申し上げているとおり、これらも含めて、今後のいわゆる管理者の教育には、これはもう徹底を期す決意をいたしておりまするから、どうぞその点は御安心ください。
  95. 木島則夫

    ○木島則夫君 御安心くださいと言った以上、ぜひひとつこれをやってください、本当にね。お約束くださいよ。  私も実は郵政事業については本当にずぶの素人ですよ。素人なるがゆえに、現場に参りますと手に取るようにやっぱりわかるんです、その痛みが。そういう人たち郵政事業を支えてくだすっているんだというこの認識ですね。  大臣ね、いかがですか、特定局で、狭隘な、ストーブもたけないようなところへ、ある日ひょっこり行ってくださいよ。いかがですか。
  96. 服部安司

    国務大臣服部安司君) そういう機会を持ちたいと思っておりまするし、また私も、山間僻地の出身ですから、十二分に特定局の非能率的なあり方は認識いたしておりまするから、先ほどそこまでは、ずいぶん、何というか、わかりにくい答弁でしたが、後の最後の二つは、これはもう飛びついてそのようにいたしますと申し上げたほどですから、決して私は、そういうことはゆめおろそかにする考えは持っておりません。真剣に取り組んでやります。
  97. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、時間は守ります。あと一分間しゃべらしていただきます。  いま大臣ね、郵政事業が置かれているその位置、立場役割り、機能、これはもう容易ならない事態ですね。情報化の中で果すべき、郵便一つとっても、いろんな情報が多種多様になってきて、その中で郵便というものが曲がり角に立たされているということも御承知のはずでございます。そういう状況の中で、郵政事業を本当に蘇生し、生き生きとさせるためには、私がいま問題を提供した特定局問題一つとっても、やるべきことのみ大変多いというこのことです。伝統を重んじ、いままでのしきたり、習慣を重んじるということも大事かもしれない。しかし、世の中はもう目まぐるしく変わっているんだから、ひとつ大臣、それに合わせて、大臣のその明晰な頭脳と行動力を、私が御提供を申し上げたそうした改善にぜひひとつ力を尽くしていただきたい。  御決意をもう一回伺って、私は終わりたいと思います。
  98. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 渋いお答えで、歯切れの悪い点は、御指摘の中でかなりのあれがあったと思いまするが、これはこれなりに、私は、現在の立場でなかなか非常に微妙なんでして。ただ、やりますと言ったことは、必ず御期待に沿えるような措置を事務当局に命じて、私みずからも陣頭指揮に立って御期待にこたえたい、かように考えております。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、最初にロランC基地の電波障害についてお伺いをしたいと思うんです。  現在、米軍が千葉県の柏市に設置を計画しておりますロランCの危険性というのは、すでにわが党の不破書記局長予算委員会で明らかにいたしましたが、最近の情報では、このロランCが電波障害を起こす事実が明らかにされている。そして地元柏市を初め周辺の住民に大変不安を与えておるのでございます。郵政省は、このロランCの柏市設置の決定以来、日米合同委員会の合意に基づいて米軍と協議を進めておられますね。この協議の内容、それから電波障害の実態について、まず最初にお伺いをさしていただきたいと思います。
  100. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。  去る五十二年の八月でございますけれども、TLC会合の席上におきまして、在日米軍から柏ロランC局の周波数要求がございまして、それ以降担当の電波監理局といたしまして各種検討いたしました。同じ五十二年の九月及び十月、同じくTLCの会合におきまして、米軍の周波数要求を検討中であるけれども、幾つかの困難な問題があるということを口頭で説明をしたわけでございます。その後十一月に至りまして、同じ会合の席上、当方の検討結果といたしまして、きわめてむずかしい問題があるという旨のメモを米軍に手交したわけでございます。その結果、五十三年の一月に至りまして、同じ会合の席上、米側から周波数要求を取り下げるという旨のメモランダムが提出をされたわけでございますが、その後二月に至りまして、日本におけるロランCシステムの精度向上のため引き続いて検討中であるという旨のメモが出てまいったわけでございまして、当方といたしましては、米軍の検討を見守っておるという現状でございます。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いまの協議経過の御報告の中に、昨年の十一月に、きわめてむずかしい問題があるので米軍の御要望の周波数は使用できないというふうに考えて、そのメモを渡したというわけですね。きわめてむずかしい問題というのは一体何なんですか。
  102. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 柏のロランCの周波数要求によりまして発生をする可能性のある混信妨害について、種々検討いたしました結果、混信妨害が予想される場合が考えられますので、要求を認めることはきわめてむずかしいということでございます。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、これは後でも出てくるのですけれども、むずかしいというのは要求には応じがたいという意味ですね、ちょっとその話がよくわからぬけれども。それで、アメリカの方は、米軍の方は取り下げると言ってきた。それは一月ですね。二月に入って、なお引き続いて検討する、いま検討中だって言うんでしょう。ということは、取り下げるということはどうなったんですか。
  104. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先ほど御説明をいたしましたように、五十三年の一月に一度取り下げたわけでございます。その後改めて、二月に至りまして、米軍は引き続いて対策を検討中であるという旨のメモを持ってまいったわけでございます。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そのいきさつ、ちょっとわかりにくいのですがね。一月には無理だということで取り下げると言うてきた。ところが、二月になったら、取り下げるというのをもう一遍変えて検討中だということなんですね。そういう経過ですね。  それで、その協議内容は、ちょっとそういうことになったいうだけでよくわからぬわけですが、実際に郵政省が、きわめてむずかしい問題があるので要求周波数の使用についてはこれはできないと考える、というふうに判断をなさったということでございますから、電波障害があることは明確なんですね。で、電波障害を受けるのは国民ですからね。これはどういうものが電波障害を受けると郵政省はお考えになっているのですか。そのきわめてむずかしいという中身ですね。
  106. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) このロランCによります電波障害の可能性につきましては、一般的にはロランCと比較的関連があると思われております海岸局、無線標識局、放送及び電力線搬送通信施設等が検討の対象になるわけでございますけれども、柏の具体の問題につきましては、先ほど申しましたように、現在米軍で検討中でございますので、具体的な内容につきましては差し控えさせていただきたいとお願いを申し上げておきます。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、米軍で検討中だから公表を差し控えるというのは、公表をしない、できないというわけですね。これはちょっと問題なんですよね。国民生活に影響が及ぶ電波障害でしょう。その被害を受けるのは国民なんですよね。協議をしておられる内容の経過というのもちょっと理解がしにくいわけですけれども、しかし一月には一遍取り下げるというてきたのに、二月にはもう一遍検討すると言うているので公表できない。しかし郵政省はどういう種類の電波障害が起こるというふうに考えているかということですね。それも言えないの、一般論だけしか言えないの。
  108. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生承知のように、障害関係と申しますのは、この場合ロランCと、先ほど申し上げました各種の通信関係との間で起きるわけでございまして、米軍が検討しておるということは、これは類推の域を出ないわけでございますけれども、いわゆるロランCの種々の特性を変更するということによっても対策が講じ得る可能性があるわけでございますので、この際、当方の検討の詳しい内容につきまして公表いたしますことを差し控えさしていただきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 で、公表できないというのはきわめて問題だと私は思いますが、それじゃ具体的にお聞きしますけれども、成田の空港関連の航空保安施設ですね、このNDBは電波障害は受けるんですか、受けないんですか。具体的に聞かしてもらった方がいいですね。柏にロランC基地を置いたら、成田の航空機の保安施設ですね、これには影響があるんですか、ないんですか。
  110. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘になりましたノン・ダイレクショナル・ビーコンのことかと思いますけれども、この点につきましても現在米軍で検討中であると考えておりますので、最終的にどのような調整が行われるかという米側の検討結果を見るまでは、わが方といたしましてはここしばらく様子を見守りたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 きわめて重要ですね。これは私、電波全く素人ですからよく知らないけれども、しかし実際、ロランCの周波数というのは九十キロヘルツから百十キロヘルツでしょう。通常は百キロヘルツですね。これは長波ですよね。それでいま成田の保安施設であるNDBですね、これも同じく長波です。こういうことになってくると、これは電波の倍々混信あるいは差の周波数の原理というふうなことを私もちょっと勉強させてもろうたら、この原理でいったら電波が混信するというのはもう明らかですね。それはそういうことだというふうにわかっているけれども、ここで公表するのは差し控えたいと、こういうことですか。
  112. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先ほど申し上げましたように、またただいま先生指摘ございましたように、柏のロランCと周波数関係につきましては、おっしゃるとおりの状況でございます。そのような観点から、いわゆる非常にむずかしい問題があるという指摘をしたわけでございまして、したがいまして、柏のロランCのサイドにおける種種の特性を変える、あるいはそれと混信関係にあります当方の特性を変える、あるいは混信を逃れるための種々の方法を考えていく、両方の詰め方があるわけでございます。米軍の検討結果を見てからわが方が判断をするということにいたしたい、そのようなことでございます。
  113. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これね、電波関係の問題、大変専門的になるんで細かく言っていると時間がかかるんだけれども、明らかに、はっきり言わないけれども、その影響があるということがあるので米軍には困難な問題があると言うたんでしょう。それをいま検討しているんだと、こういうわけでしょう。それで、これ、私全く素人でも、特に成田空港に関連するNDBというたら柏市から二十キロそこそこしか離れてないでしょう、佐倉ビーコンというのは。それから五十キロしか離れてないですね、木更津のビーコンというのは。そういうことになれば、米軍の発表しているロランCは三百五十キロワットの大出力だというんでしょう。そうなれば、もうパルス電波を発信するのは当然ですからね、これは障害が起こるというのは明らかなんですよ。そのことは百も御承知なんですね。それで、こういう状態で来月二十日いよいよ開港するというわけですが、運輸省どうなさいますか、これは。
  114. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 現在、米軍のロランC局は、私どもが承っておりますところでは、北海道の十勝太と、それからあとは沖繩の慶佐次、本島の慶佐次というところがございますが、その周辺には那覇空港のNDBとか、あるいは家島のNDBがございます。それで当方は民間航空機があの周辺は飛んでおりますが、現在の時点では航空無線施設を使って航空機が運航しておりますけれども、その民間の航空機からはそのNDBを使う面において支障があるというふうなレポートは、現在のところでは何ら受けていないということになっております。
  115. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、運輸省は余り危ないとは思うてないんですね。
  116. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 柏の方につきましては、これは私どもの方もまだ新聞紙上承知しているような程度でございまして、この内容については郵政省当局と十分御相談して対処していきたいというふうに思っております。
  117. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、郵政省と相談してということになるんですね、いまおっしゃったように。だから危険であるかどうかという判断というのは、これは運輸省が判断を独自ではするというんではないと、こういうことですね。  ところで、このロランCの極東チェーンというのは、硫黄島と南鳥島、十勝太、それから慶佐次、ヤップですね。北海道の十勝太に設置するときにもこの電波障害あったんですね。郵政省はそのときにはどういうことをやって対策をとりましたか、十勝太のとき。
  118. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 北海道の十勝太につきましても、先ほど一般的に申し上げましたような混信の起きる可能性があるということで、関係機関と協力をいたしながら米軍と十分に協議をいたしまして、要するに先ほど来申し上げておりますように、ロランCの側の特性をいろいろ検討するということと、わが方の施設につきましても若干の調整をいたしまして、先ほど申されましたように問題がないという状況をシビアに検討をいたしました経緯がございます。
  119. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 シビアにとだけ大きい声でおっしゃられぬとね、具体的にちょっと言うてくれぬと、それ全く素人が聞いておるんだから。ロランCの方の送信機の特性は調整をしたと。受ける側のわが国の方も調整をしたと。何を調整しました、受ける方は。
  120. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生承知のように相当古い時期のことでございまして、いろいろ調査をしたわけでございますけれども、具体的な内容につきましては不明でございます。
  121. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと、具体的な内容は不明でございますなんて、そんなむちゃなこと言うたらいかぬですよ。これは四月の十日におたくの電波監理局から「ロランC局(十勝太)の電波障害について」ということで御報告をいただいているのでは、「十勝太における電波障害の対応策については、ロランC局の送信機の特性の改善及び障害を受ける側における周波数の変更等を行いました。」と書いてある。それを聞いておる。
  122. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先ほど申し上げましたように、十勝太ロランC建設当時、電波障害が予想されましたので、調査をしたことは間違いのないところでございますが、その結果、放送自体の受信には妨害がないということが確認できたわけでございまして、それ以外の、先ほど申し上げましたラジオビーコン局、電力線搬送施設等につきましては若干の妨害が認められましたので、シビアに検討いたしました結果、ロランC側の機器の回収あるいはただいま先生指摘になりました周波数の変更等の対策が講じられておるということでございまして、わが方といたしましていろいろ手段を講じたということが必ずしも明僚でないと、そういう状況でございます。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、これはロランC局の送信機の特性の改善というのはアメリカのロランC局の発信機でしょう。障害を受ける側というのは日本の側でしょう。日本国民の側でしょう。障害を受ける側における周波数の変更等を行ったというんでしょう。だから、米側は使う周波数は変えなくてそれで送信機の特性についていろいろ調整をした、受ける側の日本の方は電波の周波数を変えて対応したと、こういうことと違うんですか。私は素人やけど、この報告ではそういうふうに読み取れるんですが、そういうことですか。
  124. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 放送の受信につきましては妨害がないので何もしなかった。それから無線標識局、いわゆるラジオビーコン局及び電力線搬送施設につきましては若干の妨害があることが判明をいたしましたので、ロランC局の機器の回収でございますとかあるいは周波数の変更等の対策を講じたところでございます。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ずいぶん虫のいいやり方をするなあと思って私はこの報告を聞いていたんです。だって、受ける側の方が数が多いわけでしょう、はるかに、発信するのは一カ所でしょう。そこを変えて受ける側に変化がないように調整したというんだったらまだ話はわかるけれども、経費は米軍が持ったのかどうか知りませんが、実際一カ所のところを直して、受ける側はそのままで受けられるように調整をしたというんだったらまだ話はわかりますよ。送信する一カ所のところはそのままにしておいて、多数の受ける側の電波の周波数の変更までやるというのはこれは大変なことだというふうに思うんです。こんなのちょっと合点しにくいですよ。それで、こういうロランC基地、ロランCというのは米軍が核潜水艦の通信にも使用するロランCでしょう。これを維持するために日本政府がこういう逆になるような協力をしているというのはちょっと理解しにくいんですよね。  それが今回の柏の設置の場合、さっきちょっと触れましたが、成田や羽田のビーコンにもしこれ影響が起こってくると、まあ起こるんですわな、それで困難やと言うたんです。こんなもんもし十勝太でやったみたいに、送信のところはそのまま少々調整をしただけで、あと全部周波数を変えにゃならぬということになったら、これはもう航空機の安全上きわめてゆゆしい問題だと思うんですよ。というのは、成田や羽田のビーコンというのは一体周辺にどのくらいあるんですか。
  126. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 関東地方でございますと、NDBはいま木更津、それから厚木、それから羽田、それから荏田、それから座間、それから品川、荒川、佐倉、立川、大宮、熊谷、それから常陸大子、それからあとは茅ケ崎、それから横須賀、館山、それから大島、それから三宅島、八丈島、それからあとは成田空港周辺では久住、それから横芝、こういうところがございます。
  127. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 とにかく、これ一覧表もらっていますけれども、これ一つずつ勘定してみても二十七あります。これを十勝太でやったようなやり方を、検討中だといま言われているから私は特に注意を喚起したいのですが、もし同じやり方になったらこれはもう大変なことだ。これはできないですよ。だから、これはもう航空の安全上も重大問題だと思いますので、十勝太でやったような対策、こういうやり方をやってはならぬと思うのですがね。  これは大臣にちょっと聞きたいと思う。運輸省にも聞きたいと思うんですよ。先に運輸省から聞かしてもらいましょうか。任してあるというから何とも言えませんか。その辺はもう端的で結構です。
  128. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 私どもの方では航空機関係ではNDBの施設がございます。それでこの辺の支障があるかどうかということにつきましては、まだ当方としては直接検討してはおりませんで、郵政省電波監理局の方と十分御相談の上対処したいと思っております。
  129. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほどから担当局長といろいろと御質疑を受けていますが、検討中というのはこういうように理解してもらいたいと思うのです。御指摘の危険とか電波妨害とか障害が起きれば、当然郵政省はどなたから要求があっても波の割り当てをしないというのが基本方針でありまするから、それがために郵政省の中には電波監理局に監視部というのがあって、絶えずそういうものを検討を加えて、日本国民のいわゆる電波の利用者に迷惑をかけないというのが第一義でございまするから、どうぞその点は御安心いただきたいと思います。
  130. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、その点大臣がおっしゃるから安心をしたいのですよね。十勝太のときのようにこれは簡単にできないであろうというふうに私は素人でも思えるのですよ。現に郵政省からはきわめて困難があるということを返事をしているわけなんです。それではその周波数は取り下げると、こう言うてきているのですよ。それをもう一遍検討しているということになってきておりますから、特に私は念を押しておきたいと思いますのは、それでなくても成田空港の問題は大問題なんで、さらにそばにつくろうとする柏のロランCでまた航空機の安全上きわめて問題だというようなことになったのでは、これはもう国際的な信頼を失墜しますよ。そういう点では特にはっきりしておいてほしいと思いますのは、これは発信装置の方で調整をするから、受信の方は全部それに合わして調整するというふうなかっこうでの調整というような、対策というような形で解決をしてはならぬと思うのですよ。その辺のところを明確にしておいてほしいと思うのですが、電波監理局長、その辺はどうです。
  131. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま大臣からお答えしたとおりでございまして、先ほど来シビアにと申し上げたのはまさにそういうことでございます。
  132. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃあその点は、私は何でこれしつこう言うているかいうと、協議のあれはいま検討中だから公表できないとおっしゃるから、これは柏の市民にしたって、周りの人にしたって非常に不安を持っているわけですよ。だからはっきりしておいてほしいということなんです。公表されましたら、どういう状態だからそれじゃあ送信の方のロランCはこういうことが検討中だと、これがこういうふうになったら受ける方はこうしたら解決できる、あるいはどのようにしても解決できないということがオープンで見られるということになればこれほど心配はないと思う。オープンにされずにやられているというところに国民の心配があるから、特に厳重にお聞きをしているわけです。その真意はわかっていただいているでしょう。  もう一つついでにちょっと聞いておきたいんですが、現在十勝太それから慶佐次で、柏の設置と歩調を合わして出力の増強という工事が行われているということですが、郵政省はこれは日米合同委員会の合意に基づいて協議を受けておりますか。
  133. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま先生おっしゃいましたような地点につきまして、現在協議を受けておることはございません。
  134. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 しかし、合意では受けることになっているんでしょう。合同委員会のもとの日米周波数分科委員会ですか、そこでは米軍の電波の使用調整及び監理について責任を持つということになっているんでしょう。だから、当然電力の増強の場合は協議を受けることになっているのと違いますか。これは電波法の特例に関する法律にもそういうふうに書かれていますね。
  135. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 御指摘の十勝太、沖繩の増力につきましては、過去に協議を受けまして、認めた範囲内であろうというふうに理解をしておるわけでございます。
  136. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ、範囲内であろうというふうにということですから、それじゃあこれは出力が増強されますと電波障害がまた起こる危険がありますね。だから、これは郵政省調査しておられますか。
  137. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 十勝太及び沖繩につきましては、過去におきまして、現在先生がおっしゃる増力を見越しまして、協議を受けましたときに、種々調整をいたしまして、そして認めた範囲ということでございます。
  138. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんから、余りかかずらっておられぬのですがね。  この柏の設置は、いわゆる電波障害の実態とか検討とかという問題があって工事が延期されているということですね。米軍は、春になったら、桜の咲くころになったら工事を再開するというようなことを言ったそうですが、これは防衛施設庁にお伺いをしたいんですが、現段階どうなっていますか。
  139. 広田徳久

    説明員(広田徳久君) 現在、私どもの情報を受けた範囲でお答えいたしますと、ただいま郵政省の方から御説明をいただきました内容の調整が終わらないまでは着工はいたしませんという情報でございます。
  140. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、そこへは調整がついたらまだつくろうという考えですか。これは、現地の情報では昨年の八月に工事の入札をして、昨年の十一月に電波障害の問題が出て、それで米軍は工事の中断を指令しているんです。それで、一カ月ほどして十二月の二十四日には請負の業者に解約通知をしているのですね。だから、そういうことから勘案をして、米軍が柏以外に場所を移そうというふうなことの検討もしている模様だという情報もあるわけですけれども、防衛施設庁はそういうことは御存じないですか。
  141. 広田徳久

    説明員(広田徳久君) お答えいたします。  米軍の現在の意向は、ロランCシステムの精度の向上を図るための可能な案を現在検討中でございまして、いろいろな面から考慮する必要があるのでありますが、柏の案も現在まだ検討の中に入っておるというのが正確な米側の現在の意向でございます。
  142. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、これは非常にその動きの限りでもきわめて重大な問題が含まれているということになると思うのですが、柏市では全面返還の非常に強い御要望というのが市民の中にもあるわけですね。四月の七日には柏の市長が防衛施設庁へ、あの通信基地の用地を全面返還してほしいというふうに要求がされたと思いますが、これはいまおっしゃったような状況ということですけれども、そういうことも含めて、住民の意見もあわせてこれは米軍に問い合わせをする必要があるのと違いますか。
  143. 広田徳久

    説明員(広田徳久君) 柏の施設は、昨年では百八十三万平米ございましたが、現在残っておりますのは八十八万平米。これはロランC設置をするのに必要な最小限の施設区域として残っておるわけでございます。したがいまして、昨年の九月の三十日に九十五万平米は返還をいたしました。したがいまして、この八十八万の現在提供している施設は、ロランCということでございますので、この検討が終わった後どういたしますかは、そのときに米側に折衝をいたしたいと思っております。
  144. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後大臣に聞きたいんですが、ロランCの危険性というのはアメリカ政府当局の証言でいろいろと言われているんだけれども、核戦争のときには生き残る能力のきわめて弱いものだと、つまりロランC基地は核の第一攻撃目標になるということは、これはアメリカの政府当局者の証言で、いろんな角度でそういうふうに言われているんですね。こういう危険性を持つものであり、しかも電波障害を引き起こして国民生活に大変な影響のあるものなんですね。大臣、こういう先ほどからいろんなことでお聞きをいたしました客観的な情勢判断をひとつ詰めていただいて、こういう実態をまとめられて、総理だとか外務大臣だとかに、これはひとつ郵政大臣として見解を報告されて、これは柏では無理だという点を明確になさる必要があるんではないかと思いますが、そういうおつもりはありませんか。
  145. 服部安司

    国務大臣服部安司君) きわめて重要な内容を持った御質問でありまするが、柏における米軍のロランCの送受信の目的というような点については、無線航行援助に使われるということ以外には私は残念ながら関知いたしておりません。しかし、どのような目的で使おうとも、日本国民に多大の迷惑を及ぼすような結果を懸念されるような波の配分は、先ほど申し上げたとおりに、断じていたしません。言うならば、私はいま取り上げたいのは、このロランCのいわゆる目的についてははっきり明記されています。これは先生も、後でいわゆる核戦争の対象物なんて御指摘がありましたが、当初はロランCという御質問でありました。それをずっと聞いておりまして、私は、どうぞ先生御安心ください、国民に、また人類に危険を及ぼし、また現在この波をいろいろと文化、娯楽その他必要な業務用に使っている、いわゆる無線に多大の支障ある場合は、断じて波の配分はいたしません。  それが証拠に、途中で、いま要望があったけれども、一月に、それではきわめて影響が大きいからつてお断りしたことは、先生も素直にお認めになったんですね。これはわれわれの過去の実績です。いかにアメリカであろうがだれであろうが、いけないことはいけないとはっきり態度を示しているわけでありまするから、重ねて申し上げまするが、どうぞ御安心ください。生命に影響を及ぼす問題、また電波障害、妨害のある場合には決してこの要求には応じない、割り当てはせない、このことをひとつ確認いたしておきます。
  146. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 また話を続けておると長うなるんですがね、ロランCというのはポラリス潜水艦の目や耳になるというふうな、通信基地だけの任務ではないと思うんです。しかし、そういう任務を持っているということを、これはアメリカの当局が証言をしているんですね。だから、ポラリス潜水艦の動きを左右する一番核ですから、そこを息の根をとめたら攻撃力は落ちるわけですからね。だから、核戦争のときには攻撃の第一目標になると言われているわけですね。そういう危険性があるという問題というのが第一点あるんです。  同時に、しかも電波障害で大変な問題、そばに羽田あるいは成田というふうな空港の問題一つを見ましても、きわめて重要な影響があるように思います。これは、私は電波については素人ですけれども、少し勉強すれば、大変だなあというふうに思います。そういう状況だから、単に周波数の配分だけではなくて、そういうものを柏という首都圏の中に置くというふうなことについては、電波障害の問題も含めてやめるということが非常に大事だという点で、これは大臣の御意見をお伺いしたんです。その点を一言だけ伺って次に移りたいと思います。
  147. 服部安司

    国務大臣服部安司君) この点については十二分に防衛施設庁とも緊密な連携をとりつつ、万遺漏なきを期したいと考えております。
  148. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ次に、新東京国際空港のテレビの受信障害についてお伺いをしたい。  成田空港の開設に伴って受信障害が起こるということは当然考えられるわけでございますが、公団の方ではこの障害について調査をされたというふうにお伺いをしておりますが、調査をされて、どういう状況ですか。
  149. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) お答えいたします。  フラッター現象は、これは非常に複雑な現象でございますけれども、公団といたしましては、その傾向をつかみたいと思いまして、一月九日から二十四日、たまたま慣熟飛行のときに、百三十六カ所につきまして傾向の調査をしたわけでございます。このうちで、約八割弱の百六カ所につきましては、やはりフラッター現象が認められております。  その内容を申しますと、画像が流れまして受信できないというのはゼロでございましたが、非常に大きく揺れるというのが三十四カ所ございました。それから画像が揺れるというのが七十二カ所ございまして、一番多うございます。残りは、変化がないというのが九ヵ所、わずかに揺れる、しかし余り気にならないというのが二十一カ所でございました。この、画像が揺れる、から大きく揺れる云々につきましては、やはり防止対策をしなければならぬというふうに考えておりますが、調査の結果は以上のとおりでございます。
  150. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 NHKの方は、これは御協力をされて、調査されて、確認をされているんですか。その辺どうです。
  151. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) NHKの技術指導を全面的に受けましてやったものでございます。
  152. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、いまおっしゃった百三十六地点で調査をされたと。まあ慣熟飛行しかいま飛んでいないんだからしょうがないんですね。  これはNHKにお伺いをした方がよかろうと思いますが、この調査の結果からして、受信障害の起こると考えられるのは、大体あの地域では世帯数にしたらどの程度になると考えられますか。
  153. 森外志雄

    参考人(森外志雄君) ただいまの御質問でございますけれども、この間の、いま空港公団の方から御報告がありましたその百三十六地点の調査と申しますのは、A滑走路の中心から北側へ十五キロ、それから南へ二十三キロ、幅五キロという範囲の中に百三十六地点が選ばれておりまして、それの中からの調査というものに限定をして考えま、すと、先ほどのフラッターが非常に激しい、大きく揺れるというような部分につきましては約六千世帯というふうに私どもも聞いておりますが、六千ないし七千というかっこうでございまして、新聞等には七千世帯という数字も出ております。その、どこからの限度で切るかというものは、これは非常にむずかしゅうございますので、約七千というふうに踏んでおりますけれども、慣熟飛行の非常に限られたときでございますものですから、この地点だけの世帯もこれでおさまるのか、あるいはこれを実際の開港後もう少し上回るのかということにつきましては、開港後さらに調査をしてみなければわからないと思っております。  それから公団さんの方で調査をなさいました以外の地区にそれではあるのかどうかということでございますけれども、これも限られた慣熟飛行のコースと、限られた回数と、限られた日数でございますものですから、十分な調査をいたし切っておりません。したがいまして、これから先の調査というものが重要ではなかろうかと思っております。
  154. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあNHKがそういうふうに判断をしておられたら結構だと思うんですがね。というのは、公団の調査区域を除く地域で千葉県が調査しておられるんですね。やっぱりそこでも大分ひどいですね。障害がやっぱり出ておりますね。そういう点では、これはいまの調査の結果で何千世帯というふうに判断をするというのはやっぱりちょっと困難ですね。実際に飛び出してみたらどれだけ広がるかというふうな問題が今後に課せられているというふうに考えなきゃならぬと思うんですがね。  それで、いずれにしても障害があることだけは明らかなんで、これの対策はどうなさいますか。
  155. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 現在この対策といたしましては、まずフラッター防止のアンテナをひとつ公団の費用でつけるというのがまず第一点でございます。それから、それでだめな場合はフラッター現象の起きない個所に共同アンテナを立てまして、それから有線で各戸に引っ張るというのが第二の対策でございます。もう一つは、銚子にUHF局がございますので、ここへいわゆるその受信方法と申しますか、UHF放送を受けられるようなアンテナに公団の費用でもってほかへ引いてもらうという三つの点をそれぞれの状況に応じてとりたいというふうに考えております。
  156. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、空港の運営によって起こる受信障害というのは、公団が原因者負担という立場で対策をおとりになると、いろいろやり方はフラッター防止アンテナとか共聴アンテナとかいろいろあるでしょうけれども、やり方はともかくとして、障害があれば公団が責任を持って他への対策をなさると、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  157. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 成田空港に離発着する航空機によります原因のものにつきましては、公団が責任を持ちます。ただ、非常に範囲が広うございまして、どこまで延ばすかということは非常にむずかしゅうございますので、その範囲につきましては別途協議いたしたいと思いますが、少なくとも空港周辺につきましては公団が全責任を持ってやるというふうにお答えいたします。
  158. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで一つ問題が残るのは、いままだその飛行機飛んでないから全貌がわからない。ですから、当然開港後でないと対策は立てられない、こういうことになるんですね。私は、NHKの予算審議などでも大変問題になったんだけれども、受信障害が起こってくると当然やはり受信料の問題と結びついてくるおそれというようなことがありますから、これは対策としては、実際上具体的には開港後でないとできないと思いますが、できるだけ早くやらなきゃならぬという問題が結びつくと思う。これは技術的な問題も絡むのであろうとは思いますけれども、できるだけ早くやるとして、開港後どのくらいで、たとえば調査をやって実際には障害の出ているところから手を打っていくと思うんですが、どのくらいで対策ができるかという目安ですね、そういうものをちょっと聞いておきたい。
  159. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 開港いたしまして、いわゆる通常飛行と申しますか、満便が飛んで早急にやりたいと思っておりまして、先ほどいわゆる六千戸、七千戸ということでございますから、少し時間がかかると思いますが、もし調査いたしまして出ましたら、すぐアンテナのフラッター防止等はもう準備いたしておりますので、そういうものは申し出があればすぐ取りかえるというふうに考えていきたいと、こういうふうに思います。
  160. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 非常に早くやってもらうということは大事だなと思うんです。当面三つのやり方で対策をなさるとおっしゃったんですが、どのくらいの予算を考えておられますか、いま。
  161. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) さしあたりフラッター防止につきましては、現在五千万円とりあえず用意いたしております。
  162. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはそうすると五千万円だけですか、いま予算化しておられるのは。
  163. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 現在は五千万でございます。
  164. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと五千万ではどうにもなりそうもないなあというふうに思いますけれども、これは、空港周辺の受信障害は公団が責任を持ってということをおっしゃっておられますが、ちょっとお金の裏づけが非常に弱いなあというふうに思いますが、それはどうです。
  165. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 長期予算を組むときには全く予想でございましたが、いろいろ調査いたしますと、また五千万じゃ足りないことが大体わかっておりますので、現在その騒音対策事業費というのをうちは数十億持っておりますので、そこでその予算の組みかえということをいま関係方面と折衝中でございますので、その御了解を得ましたらまた予算を使っていきたいと、かように思っております。
  166. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ、いろいろと問題の多い空港でございますから、できるだけその点は手抜かりのないように、またその受信障害の対策でもめるというようなあほなことにならぬようにしていただきたい。特にお願いをしておきたいと思います。  次に、これはあんまり時間がありませんので、大臣最後にひとつお聞きをしたいと思いますのは、この間からたびたび本委員会でも問題になっておりますNHKの受信料の問題についての米軍とのかかわり合いの問題ですね、これについてちょっと大臣の御見解を伺いたいと思うんです。  実は、昨日、本院の決算委員会で、私、外務大臣にそのいきさつ経過などを、本委員会でも審議をされた経過等申し上げまして、こんなもの、いわゆる地位協定の十三条の三項についての理解というか、その理解が全く違う、日本と米軍との間で違うと、しかも外務大臣はちゃんと日本側の解釈をきちっと理解を示しておられると、こういう状況で、NHKに米軍と突いたり押したりさしておって片がつくと思うかと言って私聞いたんですよ、実際に。第一、基地へ入ることだってできへんやないかと、そんなものを相手にして、基地の外なら別ですよね、現在だって徴収している部分もあるわけですから。基地内の問題に限って考えてみるならば、こんなものNHKに折衝させるといったって話にならぬでと。  この間、私、たまたま二十八日の逓信委員会のときにNHKのお話を聞いたけれども、何とか話し合いしたいから会いたいといって文書で丁重に頼んでも、いやまあ事務段階でというようなことになってしまうというふうなことで、なかなか責任ある人と会えないという段階ではこれは片がつかぬ。少なくとも外務大臣、これは外交問題として解決をするという立場をおとりになっていただく必要があるんじゃないかというふうなことで質問をしたんですが、外務大臣は、郵政大臣と相談をして、日米合同委員会の下部組織ですね、その下部組織いうたってこんなものをかける下部組織はあらへんと、しかし周波数分科委員会とか通信分科委員会とかいうふうなところで、どこへかけるのが適当かということを検討して、そういうところでこれは解決のために協議をするようにしていきたいということを実は昨日明確に言われたんですよ。  そこで、私、大臣にぜひお聞きをしたいのは、まあ外務大臣もそういうふうに言っておられます。見解も明確にしておられるし、いよいよ日米合同委員会の下部組織にかけてでも片をつけてしまおうというふうに言うておられるわけですから、所管大臣ですし、郵政大臣、これはぜひ解決のために園田外務大臣と協議をされて、解決できるように当事者の立場としての努力としてぜひやっていただきたいと思いますけれども、大臣、御決意を伺っておきたいと思う。
  167. 服部安司

    国務大臣服部安司君) いろいろNHKと米軍との料金問題について御心配かけてまことに申しわけないと思います。この委員会を通じて再三の御指摘、御指導を受けましたので、私も報告したと思いまするが、アメリカ局長でしたかに強く申し入れて、もうこれ以上どうにもならないから、御指摘の日米合同委員会の下部組織の通信分科会か周波数分科会か、これはまあちょっと私、つまびらかじゃありませんが、ここで議題にしてもらいたいということを要請するとともに、前回委員会で沓脱先生がお笑いになったけれども、私は施設庁にも申し入れたというのは、私なりの考えがあるのです。  というのは、施設をつくるのは施設庁ですから、その住宅の中に置いてあるんだから、アメリカは何と言っても出さないというなら施設庁からNHKに払ってやってくれという申し入れをしたほどでして、私は、この問題はNHKの経営にきわめて大きなウエートを占める料金対象であるということも認識いたします。もちろん喜んで園田外相とも緊密な連係をとって、なるべく早い時期に解決をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  168. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私、もう時間が来ましたから、あと予定しておりましたのはまた後日に譲ることにいたしますので、これで終わります。
  169. 青島幸男

    ○青島幸男君 私は、本日、多重放送について幾つかお尋ねしたいと思うんですけれども、何分にも多重放送という言葉も耳なれませんし、私自身がどういうものがこの実態なのかということもよく把握しておりませんので、その点疑問に思いつつお尋ね申し上げる次第でございますけれども、いずれにいたしましても、近年は大変に科学技術が進歩しておりますし、また企業の営業活動も盛んでございまして、あっと言う間にいままで見たこともないものが多数でき上がりまして、あっと言う間に既得権と申しますか、そこから利潤を生ずるような、少なくともシステムというものはもはや確立しておりまして、これを監督、行政指導に当たる立場がむしろ戸惑うというような実例がいままでたくさんございました。  ということで、先取りということではございますけれども、実際どういうものが行われるのであろうかという、もしそうならば、それによってこうむる被害はどんなものだろうか、あるいは利益はどんなものだろうか、どういう点を擁護し、どういう点を守らなければ一般国民の皆さん方の財産として持っておられる電波について、十分な指導監督ができないということで、その辺を暗中模索でございますけれども、お尋ねをしていく上で明らかになれば幸いだというふうに感じております。  先ごろ多重放送に関する調査研究会というのが省内に設けられまして、そこでいろいろ研究なさって、報告書というものもできまして、私もこれを拝見いたしました。技術的な問題等につきましてはずいぶん深く報告にあります。しかし、この問題の中で、著作権あるいは著作者人格権ということについて一つも触れている部分がないんで、その点、大変私も疑問に思うんですけれども、その点について、まず御見解を承りたいと思います。
  170. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘のように、多重放送につきましては、去る昭和五十一年の十二月でございますか、多重放送に関する調査研究会議の報告書の提出をいただきました。その中に指摘されております諸問題につきまして、現在行政的側面から鋭意詰めをしておる段階でございますが、多重放送と著作権との関係につきましては、多重放送のうち特に文字情報放送あるいは静止画放送を行う場合等に問題となろうというふうにも思われますので、運用の課題といたしまして研究してまいりたいというふうに存じております。
  171. 青島幸男

    ○青島幸男君 研究していただきたいと思うんです。というのは、一つのテレビの画面から二つの音声が出てくるということになりますと、これは演湊をステレオで聞くことも可能でしょうし、それから一つの劇映画なりを原語で、そのフィルムがつくられたオリジナルの言葉で聞くこともできるし、あるいは日本語のスーパーインポーズが聞こえると大変便利だと思うんですけれども、その点は問題はないと思うんです。  しかし、一つの画面が映っております中に、文字あるいは静止の画像を同時に重複して送ることが可能ですね。そうなりますと、先につくりました画像の上に全く違ったものが重なるわけですから、もとの画像をつくった意図を非常に損なうということが出てまいりますね。そこで著作人格権の侵害ということになるわけですけれども、たとえばいま民間のテレビの制作者で同時に二つのチャンネルが映るというような機器すらつくられようとしているわけです。というのは、たとえば六チャンネルを見ておりますと、片すみに四チャンネルの絵が常に映っているわけですね。ですから、一台のテレビで二つの局を見ることができる。平たく申しますと、ドラマを一人の人間が見ておると、左下すみでもう一人の人間がイヤホンを使って野球の中継放送を見るということが可能だと。一見大変便利なように見えますけれども、左下すみに常に違った映像が映っているということは、本来主たる画面で映されているものをつくった人間の意図をいたく損なっているわけですね。これは二台のテレビを一つの画面で見るということとは全く違ったことになりはしないかということですね。  しかし、それを要求する人がいて、それをつくる人がいて、しかもそれを買う個人がいるんだったら問題はないじゃないかということにもなりかねないんですけれども、それは買った人間の選択によりまして消すことも可能ですし、いいんですけれどもね、こういうものを放置しておいて、果たしてそのオリジナルの著作権を持っている人間たちの著作権がいたく侵害されることになってしまいはしないかということに心配をしている向きが多いわけです。  どういうことなんだか私もよくわからないんですけれども、実際に著作権は、一本の劇映画なら劇映画の著作権はさる劇映画をつくる会社が持っておる。そこからテレビの免許を受けている放送会社が買って、そこで放送しているわけですからして、たとえそうであっても、それをつくった、その画面をつくったオリジナルの監督なりの意図というものはやっぱり損なわれてはならないというのが著作者人格権ということだと思うんですけれども、そうなりますと、かってにそういう機器を選んで買ったりしたのは構いませんけれども、そういう重複した放送がたとえ聴視者の選択によって行われるにせよ、その画面の上に重複して重なってくるということを放置することが、あるいは著作者人格権を侵さないかどうかということでお尋ねしているわけです。
  172. 服部安司

    国務大臣服部安司君) この著作者人格権という問題、私はこれ法律学者じゃありませんから、決してそれについて法解釈上申し上げようとは考えておりませんが、確かにこの「著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」、これははっきりと明文化されております。私たちがいまこの問題について、多重放送をたとえば実施するということになれば、当然これは検討せねばならないということははっきりしているわけでありまして、この多重放送実現のための諸準備にかかる場合には、当然この問題もあわせて法理論的に専門家のいろいろな知識も取り入れて検討を加えて、問題の起きないように措置したい、かように考えている次第でございます。当面、いま答申をいただいております音声多重には、この種の問題が私たち判断では絡んでこないのではないだろうか、主として文字、いわゆる画像という点に大きな影響力があるということをはっきり認識いたしておりますので、十二分にそういう問題が起きないように検討してまいりたいというふうに考えております。
  173. 青島幸男

    ○青島幸男君 そのとおりで私もよろしいと思うんです。ということは、それ以上申し上げられないんです、私も。ということは、実際に行われているわけでもございませんし、これ海のものとも山のものともつきませんし。  ただ、前にかつてこういうことがございました。ある局でございますけれども、野球の中継を行っておりますんですが、ある特定の時間が来る八時なら八時にはもう打ち切らなきゃならないですね、次なるスポンサーが控えておりますので。そこで、ちょうどいいときに野球の中継放送を打ち切りますと、局へもうがんがん電話かかるわけですね、あれはどうなったんだと、あの後どうしても見たいのに、後の番組はおれは見たくもないんだと。といって、スポンサーの御好意によりということで、内部的な事情で話し合いをつけて野球の放送を延長いたしますと、その後の番組の固定ファン層からまた電話がかかるわけですね。そうしてまあ痛しかゆしということになりまして、番組の左下すみをあけまして、ドラマの放送をしている最中に野球も見られるようにということを、実験的に、それは急場しのぎの苦しみの手だてかもしれませんが行ったことがございますけれども、これが大変な問題になりました。  ということは、常に劇映画を放映している、ブラウン管の中に映っている左下すみに、六分の一なり四分の一なりを割いて、全く違った趣旨のものを放送されているということは、その劇映画をつくった出演者も作者も監督も、すべてそれに協力した人たちのその製作意図をいたく侵害することになるわけですね。ましてや左下すみにその劇の進行の上で大変重大な問題が映ったとしますね、たまたま。すると、そこのすみに映ったものが物的証拠であって、そのドラマの進行の上に欠くべからざる重要な証拠だったりなんかしますと、そこの場面は映っていても、そのすみにマスクがあって見えないために、このドラマの意味合いとか、進行の状況、皆無なわけですね。全くわからないという実情さえあるわけでして。で、この著作者人格権をいたく侵害したということで、そういうトラブルからこういうことはやめにしたという実例がございます。  そういうところから配慮いたしますと、今度どんどんできて、現にある会社でつくりつつあるわけです、その二つ同時に見られるというようなもの。すると、これはそういう二つ同時に見られるようなものは、必然的に著作者人格権を侵す可能性があるから、つくったり販売したりしてはいかぬというようなわけにもいかぬでしょうし、この辺の問題は私もわかりませんけれども、それは買ったり使ったりする人が、勝手に選んでいくことの以外には、その消費者に選択権がある以外の何ものでもないし、これはもう権力であるいは法律で規制したりする筋合いのものじゃないと思いますけれども、しかし形のないものだけに、とかく著作権などというものが軽く考えられがちだということはいままでの通例からもありますし、で、この会社は少なくとも映画監督協会とかあるいは著作権協会にこういうものをつくったらどういうことになるだろうかという諮問をしたらしいんですね。すると、当然そこでは、まあやめろと言うわけにはいかぬだろう。そういう宿命を持った機械で、機種であるということも十分お考えいただきたいというようなことを言ったところ、勝手に買って、勝手に使って、営業目的でするわけではないんだから、その辺の配慮は一向に構わないんじゃないかというような暴言さえ吐かれたと。そのことに対して相談を受けた監督協会なり映画協会なりは、非常に立腹をしておるわけですね。また同時に、戸惑いも感じておるわけです。  ですから、大臣、いま御答弁いただきましたんで、それで十分だと思いますけれども、今後どういうかっこうで行われるにしろ、知らず知らずのうちに、著作権あるいは著作者人格権というようなものを空洞化してしまうというようなことがあっては一大事だと思いますので、その辺十分の御配慮があってしかるべきだということだけ私申し上げたいので、その点重ねてお答えをいただければ、きょうはこの問題だけで私は十分だと思うんです。ありがとうございました。
  174. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほど申し上げましたとおりに、十二分にそういった侵害をせないように研究を続けてまいりたい、研究をしたいと考えております。
  175. 青島幸男

    ○青島幸男君 よろしくお願いいたします。
  176. 案納勝

    案納勝君 私は、最後になりましたが、皆さん方に御協力をする意味で時間が大変縛られていますので、きょうは二、三点にしぼって御見解を聞きたい。  まず最初に、どうしてもこれは聞いておきたい、聞かなくてはならない問題があります。先ほどの木島先生質問、あるいは十一日の最上さんの質問等がありました成田空港の問題をめぐっての措置であります。  私はああいう過激的な、極左的な暴発事件というのは全く認めることはできません。そういう意味で、それとまた成田空港に対する対策というのは、私はきのうも本会議で福田総理に言いましたように、また別な面から重要な問題を含んでおる。それはきょうは申し上げません。ただ、大臣が、郵政職員の中に六名にわたる人たちが逮捕され、しかも参加をしたという大変重大な問題、これに対する対策についてきわめて強い態度を表明をされています。たとえば最上委員質問では、特定の立場の人物には万全の措置をとる、やれることをやる、こういうふうにいまもお話があっています。打てる手はすべて打っていく、要注意人物には労務管理の面から危険分子に万全の配慮をする、こう言われています。私は、これは実は大臣の本委員会での発言の中で、明らかにしておかなくちゃならぬ問題だと思います。  確かに大臣の言われる気持ちはわからぬでもありません。しかし御案内のように、大臣は現場の職場の実情をどれだけ御存じなのかわかりませんが、けさの新聞にも郵政の職員の水野、これは元和光郵便局、あるいは児島純二、元千葉中央郵便局、これらの人々のことが書いてあります。で、これについて幾つかのコメントが書かれているんです。ここにコメントされていますように、今日こういうセクトの人たちの職場での現状というのをどういうふうに理解されているのか。いま職場の中で、大変まじめな職員で、黙って働いている、内向的に。決して職場の中でこの種のセクトの諸君が、例の内ゲバ以来というのは、ほとんどはっきりしたそのことについての重要あるいは特定な人物だというふうにはたから確認をすることはいまできません。  そういう中で、特定な人物をマークをして万全の措置というのはどうやってできるんですか。郵政省が思想調査をやるんですか。あるいは郵政省の皆さんが実際に特定な人として判断をするのは、そういう職場の環境の中でどういうことで判断をするんですか。もし間違ってレッテルを張られたとしたら、その人の人権はどうなるんですか。私は、今日の段階で、そういう人たちを、特定の者を特定の人としてマークをする、レッテルを張る、そのことについての危険を私は感じるんですよ。言われるように万全の措置、そしてそういう万全の措置でマークした人は、どっかゲートへ連れていって、そこへ、おりの中に囲んでおくのか、そういう措置がとれるはずはない。まじめに働く人間、そしていまも言われて、ここにも新聞のコメントにもあるように、やっぱりそういう内向性の人たちが多いだけに、職場の中では大っぴらに物を言い、大っぴらにお互いに牽制し合う、あるいは意見を言い合う、そういう中で職場社会が吸収していくことが一番大事だと、こう指摘する。私はそのとおりだと思うんですよ。  したがって、大臣が言われています特定の立場の人物には万全の措置をするとか、やるだけのことは最善のことをやるとか、打てる手はすべて打つ。危険な分子には万全の配慮を行うというのはどういう判断でそれをされるのか。郵政職員は三十何万いますよ。今日までの長い間の郵政部内における確執というのは、最近、大変双方との理解やその他について前進をしつつあると私は見ています。しかし、そういう中でこういう措置がどういうふうにされようとしているのか、私は明確にひとつお答えをいただきたいと思います。
  177. 服部安司

    国務大臣服部安司君) このたびの極左破壊活動分子の中に、郵政省並びに関係の電電公社職員合わせて十名の検挙者を出しました。そのうち特に悪質な管制塔乱入事件にも郵政二人、電電一人というふうにきわめて悲しむべき事態に直面いたしました。案納先生初め各先生方からきわめてこれまた厳しい御批判といろんな角度からの御指摘を受けたわけであります。  私は職員の思想、信条の自由を忘れてああいった言葉を言っているのではございません。当然これは相手の人格を傷つけるような行動は許されません。これはもう言うを待ちませんが、質疑の中で、たとえばどの先生でございましたか、その職員のその当時の行動を説明しろというくだりがございました。ちょうど前日からいわゆる欠勤届けを出していた者、無届けもあります。また、当日は週休や代休、たとえば年休とかいろんな方法でやっておりましたし、勤務内容はどうであったかという質問に対して、きわめて勤務成績は不良でありますと、絶えず上司に逆らい、無届け欠勤が再三あって、戒告ですか、訓告ですか、数回受けておりますと、こういったことを人事局長答弁いたしましたことも案納先生承知のとおりであります。  私はこのくだりで、いわゆるこういった職員には、決して彼らの自由の行動を束縛するとか、もうちょっとどこかにとか、そういう考えではありません。この職員も採用された以上は郵政省職員でありますから、いわゆるこういった犯罪に参加しないように平素から十二分な労務管理体制を敷き、加えて本人とも十二分に話し合いの場を持つように、また職員間の融和を図るような施策を講じながら、きわめて厳しい態度で処しますと、こういったのが私の真意でございまして、決して思想、信条の自由を拘束する考えでもありませんし、思想調査をやろうという考えではありません。現象面にいわゆる十二分に意を配して万遺漏ない措置を講ずる。これが人事管理のいわゆる当然のなすべき行為であると考えるのでございまして、どうぞ誤解がございましたらひとつ私のただいまの説明で御理解を願うならば、この上もない幸せと存ずる次第でございます。
  178. 案納勝

    案納勝君 ここにも大臣ね、児島という同じように逮捕された千葉郵便局の第一集配課員の職場の上司の感想が載せられております。「職場では激しい活動はしない。無口で目立たないという印象の方が強い」、地域では同じように実家の周辺の住民の人も同じような意味のことを言われています。意外にいま多いんですよ、そういう人は。そんなこと言っては悪いですが、要するにいま大臣が言われたように、思想、信条の自由、それで市民生活における自由、職場で無口で、しかも一生懸命集配の仕事をしているそういう人たちに、私はいま大臣の言われた言葉の中で、郵政の労務管理体制の中でいたずらにレッテルを張るというようなやり方が出るとするならば私は大変だと思う。市民生活の中でも同じだと思う。  確かに成田の問題についてのあの暴発事件は一定の決着をつけなくちゃなりません。きのう本会議でも決議がなされたわけです。しかし、私はその前に政府がしなくちゃならぬことがあると思います。農民の人たち意見を十分慎重にくみ上げてきたならば、私は、どういう過激派の諸君たちがおろうと、ああいう形はこなかったですよ。だから、その辺についての政府の反省も必要です。あわせてこの措置、対策を立てる場合には、私はまかり間違っても職場の中で、いま言う労務管理強化という面を通じていたずらなレッテルを張ったり、あるいはその人権を侵すようなことがないように、特段にこの際申し上げておきたいと思います。大臣いかがですか。
  179. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 全く御指摘のとおりでありまして、決して職場においても社会においても、そういった考えを持って人に接することは、いかに労務管理の立場にある方でも許されません。  ただ、もう一度御理解願っておきたいのは、たとえば勤務をする場合に、管理者に、私はきょう事情があるから、たとえば外務員なら配達区域を変えてくれという申し入れのあったケースもあるわけです。これはなぜかといろいろ調べると、やはり複雑な背景があるわけですね。こういった不安定な状態でいやしくも国家公務員が日常勤務をすることは一体どうなのか。私は決して相手の思想とか信条を侵害しようとは思っておりませんが、こういう場合には、当然これは職域の問題でありまするから、やはり徹底的に、なぜそうやらねばならないのか、配達に出るのにきょう突然ちょっと事情があるから変えろと、いろいろ調べると大変危険な要素もはらんでいる。こういった場合に、管理者はどういった姿勢でこの職場管理を、労務管理をやるかという点に重点を置いて私は申し上げたようなわけでありまして、ゆめゆめその本人の行動の自由を束縛しようなんということは考えておらないことを重ねて申し上げておきたいと思います。
  180. 案納勝

    案納勝君 では次に入ります。時間の関係がありますので、週休二日制についての大臣の御見解を承っておきたい。  大臣すでに御存じのように、同僚議員であります大森議員からも質問がなされました。衆議院の大蔵委員会の小委員会で、金融機関の週休二日制に関する決議がなされたのは御存じのとおりであります。これは長い経過をたどりまして、私が思い出すには五十年の予算委員会で、当時の大平大蔵大臣から、実は銀行協会を含めまして十八条問題について検討をするというお話をいただきました。これはまあその以前からの問題でありましたが、その後の経過を踏まえて大蔵委員会は御案内のとおりの決議をしたわけです。  そこで私は、また貯金問題については改めて貯金法がかかりますので、その際金利、利下げの問題等については改めて質問をいたしますが、少なくとも大臣の御答弁をいただいている限り、郵便局の場合においても民間金融機関との関係を考慮せざるを得ない、預金金利の面ですね。あるいは募集についてもそうでありましょう、あるいは資金運用についてしかり、そういうことを特に強調されています。そうだとするならば、今回出されてきた大蔵委員会の決議の中身から推察をして、私は郵政省としても、全体的には人事院の例の時短の試行をやっておられます。しかし、金融機関の窓口が週休二日制になるならば、郵政省もそれと合わせて窓口の週休二日制に踏み切る、こういう措置が私はとられてしかるべきだと思います。  大臣は、今回衆議院段階で決議をされたこの背景と経過を十分御理解と思いますが、これらの経過を踏まえて、いま申し上げた私の質問に対してどのように御理解になっておられますか、大臣の意のあるところをお伺いいたします。
  181. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 衆議院の大蔵委員会での御決議も拝見いたしました。経過もただいま御親切な御説明で理解はできていると思います。  そこで、民間金融機関が週休二日制を実施した場合に、郵政事業の中の郵便局の窓口も同調すべきではないかという御指摘だと思いまするが、週休二日制は時代の趨勢でありまして、私もぜひこれはできるだけ早い機会に、著しく国民にサービス低下をしない範囲で実施に移すべきであるという立場をとっていることは間違いありません。したがって、先般も週休二日制の閣僚協で、五十三年度も人事院の勧告で再試行の発議がされました。私がトップに賛成の意を表し、しかし、私の預かる郵政事業は、他の官公庁と大きな差異があり、これには定員増の必要のあることを認識をしてもらいたいということを官房長官に強く申し入れをいたしました。こういうことは、やはり時代の趨勢をはっきり認識している所作だと御理解を願いたいと思うのであります。  ただやはり、郵政事業も官公庁でありまするから、私は五十三年度の再試行に当たって、まあここで結論が出ると思うのでありまするが、当然他省庁と歩調を合わさねばならない。民間金融機関も必要であるかもしれませんが、やはり官公庁の統一した行動ということは、やはり私がとらざるを得ない立場であることもあわせて御理解をいただきたい。  そこで、いま私は基本的な姿勢を説明いたしましたが、ここに一つの問題のある点も、この機会に御理解を願っておきたいと思うのであります。まあ郵便局の窓口で扱っているのは、一般金融機関と比較して、取り扱う業務におきましても、これはやっぱり恩給とか福祉年金、児童扶養手当とか、事務等、郵便局でしか取り扱っていない事業もあるわけです。これはもう私が言うまでもなく、先生方は専門家ですから。また全国の僻地に至るまで設置されているのも、これは郵便局の、いろいろと御批判はありますが、特色であることも御理解いただいていると思うのであります。で、ここでこの窓口だけいわゆる一般金融機関と同じ行動をとることは、いとも簡単であると思いまするけれども、私からいたしますると、やはりこれは、外務で配達している職員も、また、貯金募集をやっている人も、保険業務に携わっている人も、郵便の配達までの過程における人の目に見えない、いわゆる輸送から選別からやっている職員も、ひとしく週休二日制を実施させたいという私の考え方に間違いがあるでしょうか。やはりすべての職員が、たとえ曜日は違っても週に二日間の休暇をとるような措置をとるのが最高責任者のとるべき道だと思う。  ところが、いまこの大蔵委員会の決議に同調したいが、同調いたしますると、ここに大きないわゆる格差が生じます。また、そう簡単に人員の配置とか、あわせて私がいま考えている問題は、週休二日制を実施するためには、もっと郵便業務の近代化を図らればならないわけです。近代化とは、決して俗に言うような考え方の近代化ではありません。国民の皆様方にも広く訴えて理解を得て、やはりもっと合理化された状態において、まあこの時代でありますから定員の増というのはなかなか行管もそう簡単には認めてくれないと思います。しかし、何ぼかやはりこの点の理解も得ねばならぬ。で、これと私の言ういわゆる合理化とあわせて、余剰人員、現在のところが週休二日に持っていくための再配置の余剰人員の準備もせねばならない。  こういったものを私が完全に整備できて——ただ一言、案納先生に申し上げられることは、決してどの官庁よりも一日おくれることはありません。いかなる努力を払ってもやりますが、しかし、このようなまあ大蔵委員会の決議のとおりに郵政の一部のいわゆるその業務分野だけをその方向に持っていくということは、業務内容からいっても、すべての均衡をとる上からいっても、なかなか至難であるということを申し上げて、御理解を得たいと存じます。
  182. 案納勝

    案納勝君 大臣ね、大臣の言われるように、いま時間短縮というのは、雇用の面からも、あるいはいまのわが国の円高の中で、しかも今日までのわが国の集中豪雨的な輸出政策に諸外国の大変な批判がある。やはり時代の趨勢として早急に実現をしなくてはならない課題であることは間違いない。その中で私は、郵政に働く人たちが、郵便も貯金も保険も一緒に週休二日制を実現をしてもらう、この努力をそれはぜひやってもらいたい、これはもうそのとおりであります。  ただ、郵政事業の場合は、大臣御存じのように、郵便の場合も、貯金も保険の場合も、仕事の態様がそれぞれ違うわけですね。で、御案内のように、いまの郵政事業の中で試行しているやり方と国家公務員の試行されているやり方を比べたら、問題にならないんですよ、正直言って郵便の場合。それは郵便事業という特殊事情、貯金、保険という特殊事情が加味されているからでしょう。そういう中で民間金融機関、要するに郵便貯金事業、保険事業というのは同じように金融機関であります。その民間金融機関がスタートするときに、じゃ郵政事業は、まだほかのところの条件が要員その他整わないから私のところは窓口をこのままあけていきますということでは通用しないんじゃないでしょうか。  いま民間金融機関関係は、労使を含めて銀行法十八条の問題を含めてここまで進んできているわけで、そうすると、先ほど大臣が言われるように、金利の問題でも、民間の機関との関係を考えなければ、金利をもし下げなかったら、郵便局に大量に預金者が集中をして市中の金融を乱す、こういうふうに言われている。それだけのことがあるなら、民間金融機関と打ち合わして窓口については土曜日は休むという、そういう中で、大臣の言われる郵便の場合も保険の場合も、ひとつ、まあ保険の場合も金融機関の中に入ると思いますから、郵便の場合も努力をしてもらって、そう簡単に私は郵便の事業の場合の近代化というのはできないと思います。みんなの努力でこれはある程度乗り越えざるを得ないいま課題だと思います。そういう中で、週休二日制というものは現実の問題として進んでいく、こういう努力を私は前向きにしてもらうことがいま一番大事じゃないでしょうか。  私は、大臣貯金金利問題でこれだけ苦労されている。私たちのこの委員会もこれだけきょうも真剣に論議をしています。しかし、肝心の大臣経済関係閣僚会議に出られないという、そのメンバーでないということに大変不満を持っているんです。貯金のときは少しそこあたりは大蔵省を呼んでやらにゃいかぬと思うんです、これは余談ですが。いずれにしても、そういう意味郵便貯金事業と保険事業というのはきわめて重大な民間金融界との関係を持っているだけに、私は週休二日制の踏み切りについて、いま言った筋道を大臣がしっかり踏まえていってもらいたい。だから、民間が実際にされるときには、郵便貯金、保険の場合も窓口については同じペースで進むということについて、そして他の必要な部分については全力を挙げてそれに同じペースにするために努力をするということを大臣、ひとつ本当に考えていただきたいんです。  ここでいま大臣が読まれたやつは、私は答弁は大方こういうことだろうと、お役所の書いたやつだろうと思いながら聞いていたんです。だから私はいま言ったところを、大臣、もうこの間からずっとお聞きしていると、大変前向きで問題に取り組んでおられるわけであります。それだけに、私はこの問題については世の中の情勢として、そのことを踏まえて対処していただきたい。いかがでしょうか。
  183. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほども私の基本姿勢を申し上げたとおり、これは時代の趨勢であることはもう率直に認めざるを得ない。また私はそうありたい。しかし、事業の内容というものは、もう申すまでもなく案納先生十分御理解願っていると思うんですが、わが方のあずかるいわゆる郵政業務というのはなかなか複雑でございまして、私だって、そのとおり検討いたします、いやもう早く実施したいんですと、この大蔵委員会の決議にいいとこ幸い乗りたいのはやまやまなんですが、これに乗れないというこの複雑な業務内容について、これまた金利引き下げと同様苦悶することになりますが。  私はもうくどくど申し上げませんが、真剣に取り組んでまいりますと、またその気持ちでいま進めていますと。あらゆる角度から、どのようにやれば他の機関におくれをとらないで、複雑な業務内容であるけれどもおくれをとらないで実行できるかということをいま真剣に取り組んでいるわけでして、あの大蔵委員会の決議どおりに、同調せよということに、はいとはちょっと言えませんので、大変意に沿わない答弁で悪いと思うのでありまするが、御理解を願っておきたいと存じます。
  184. 案納勝

    案納勝君 全力をもってその意思で取り組むということについてよろしゅうございますね、理解をしまして。
  185. 服部安司

    国務大臣服部安司君) そのとおりです。
  186. 案納勝

    案納勝君 次に入ります。  私は実は少し時間をかけて、腰を据えて大臣と相模大野の問題を初めとする一連の問題について、できるだけ問題点を明らかにして今後の郵政事業の展望を見出す筋道を探したい、こう思いまして、実はきょういまから質問を幾つかするんですが、時間の関係がありますので、その辺を考えまして、引き続いてこの問題は、今後法案審議等ありますから、問題点をひとつ明らかにしていきたいと思います。そこできょうは、余り私見を入れずに御意見を承っておきたいと思います。  私は、今回の相模大野郵便局長の詐欺、横領事件、さらには東京、大阪の国税局により摘発された架空名義などの郵便貯金の制限額超過の悪用による脱税事件、あるいは目黒郵便局の保険の詐欺、横領事件。先ほど木島先生、あるいはけさ来は中野先生等の御質疑ありましたように、私はこれは単に偶発的に起きた問題ではないと思います。各先生方の御指摘のとおりの私は同意見立場に立つものであります。したがって、このことについて、いまこういう状態に置かれている郵政事業というものについて、私も部内出身者として憂慮にたえないんです。  郵便事業、先ほど大臣言われたように、先行きどうするのかという重大な問題を抱えているんです。貯金事業はこれは大蔵省の責任だと思いますが、赤字を依然として抱えておる。さらに金融政策、資金運用問題を国民にどう還元するかという重大問題を抱えています。保険も同じ深刻な問題を抱えながらいま推進をされているわけです。それだけに私は、これは一連のものとして郵政事業の体質というものをもう一回見返して改善をしていかなくちゃならない問題、課題を抱えていると思う。そういう立場で以下聞きます。  まず、相模大野事件を初め、その前にありました麻溝郵便局事件、これも同じ特定局長の事件なんです。東京、大阪の国税局により摘発された脱税事件、目黒事件、こういう一連の事件について報告をいただきたいんですが、その前に、大臣はこれらの事件について、その抜本的な、要するに基本的な、こういう事件が発生をした原因というのは、対策じゃなくて、今後どうするかじゃなくて、原因というのはどこにあるというふうにお考えになっておられるか。この点だけまずお聞きします。
  187. 服部安司

    国務大臣服部安司君) この事件が発覚いたしましたときに、私ははっきりと衆参の逓信委員会で申し上げましたことは、なぜこのような犯罪が起きたかという原因の究明をまず徹底してやらねばならないということを申し上げました。犯罪後の処理については、これは別段私は法律に照らして厳しくやればいいわけですが、なぜこういった悲しむべき事件が起きたかと申しますのは、やった本人はこれは覚悟の上でやったんでありましょう。しかし、それにまつわる家族の深刻な悩みというのはこれはもう想像に絶するわけでありまして、私はあえて悲劇という言葉を使っているわけで、そういった家族気持ちを察するときに、再びこういう問題を起こしてはならない。その防犯体制をしくために原因の究明を図らねばならないということは、この佐藤和也なる局長が一番犯罪の中心人物でありましたが、郵便局長でありながら、他の事業にいろいろと手を出していた。順調にいっているときはいいだろうが、最近のように経済変動の激しいときにはとても郵便局長の能力で一般の事業家に伍していけることは、これは望む方が無理ですから、やはりああいう結果を招いたわけであります。  私は、この過程でこういったものを発見できなかったのはいかなる理由であるか。なぜ二年、三年の間こういったことが発見できなかったのかという点についても十二分に資料を収集すべきである。これが私の、いわゆる事件の徹底究明を図って、その徹底究明の上に対策の樹立が初めて行われるべきであるというわけでございまして、はっきり申し上げて、いま徹底究明をやりつつありまして、またいろんな情報収集を図って、どのように対処するかということも考えているわけでありまするが、素直に申し上げて、監察の不手際、また部内の正規の事務手続が完璧でなかったいわゆる指導の悪さ、こういった点については非常に反省いたしております。これは、まあ私の考え方の一端でありまするが、とにかくいろんな角度から検討を加えて、原因の究明を図ってまいりたいと考えております。
  188. 案納勝

    案納勝君 大臣の言われているとおりのところだと思いますね。  そこで、私はまず財務局で摘発された問題は後ほどするとして、首席監察官にお尋ねしますが、要すに麻溝郵便局事件で、この佐藤局長とその妻佐藤英子が三回にわたって小切手をもって、正規の手続を経ずに約一千七百九十五万八千円換金をしたという事件がありますね。これは言われるところの本来あるべき手続というのはどういう形になるんですか、この辺いかがですか。
  189. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) 御指摘のように麻溝郵便局事件は、麻溝局の元局長内田某から頼まれまして、相模大野郵便局長とその妻の英子が、六回、それぞれ三回ずつ、六回にわたって小切手を現金と交換してほしいと頼まれまして交換しております。これははっきり監察で判明したものですが……
  190. 案納勝

    案納勝君 それは正規の手続で交換しているんですか。
  191. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) それは正規の取り扱いではございません。小切手と現金を交換することは認められておりません。したがいまして、これは違則の取り扱いでございます。そういうことで、私どもの方としてはこれは非違として取り扱い、これを郵政局の方に通報いたしまして、郵政局の方で処分したということになっております。
  192. 案納勝

    案納勝君 そこで、もう一回お尋ねします。  大臣、こういう非違の行為が公然と行われるということは、これはどういうことなんでありますか。隣の郵便局長から小切手を持ってきた、佐藤という相模大野の局長、それに夫人の英子という主事ですか、これがこういう手続を行わないで公然とやれるというところはどこに原因があるんですか、どう思っておられますか。
  193. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほども申し上げましたとおりに、正規の事務手続を怠ったわけであります。恐らく案納先生は、そういう正規の事務手続を終えなくともこのようにいわゆる小切手が現金化するというところに大きな問題があると御指摘だと思うのでありまするが、したがって私はずっと午前中から、いろいろと問題の御指摘があって、大変苦しい答弁でありまするが、今後は運用の面で十二分にそういったことの起こらないように配意をしたいと申し上げている点でひとつ御理解を願いたい。
  194. 案納勝

    案納勝君 それは大臣、それは運用やってみたって本人はやる気に——私は共犯だと言うんです、佐藤とその佐藤英子というのは。そういう共犯がやれるというのは何かというと、それを牽制する機能というのがないわけですよ、この段階で。たとえば、それからその後、佐藤が定額の横領を始めたわけですね。十八万円も十五万円もある局へ行って払い戻しするわけですね。まあ自分の局で払い戻しているのも多いですが。あるいは小切手の場合に、東京の原町田の方へ来て、同じように何回も同じ局へ行って七百万も八百万も佐藤が窓口でおろしているわけです、正規の手続せずに。正規の手続する気ないわけですよ、佐藤は。それをごまかしてとろうというわけですから、そういう中でこういうことが行われるということについてはチェック機能がない、どんな運用を考えようったってないんですよ、いま特定局の段階で。局長と女房と燐の局長とぐるになり、あるいはもっと悪く言うならば、隣の特推連と言ったら悪いですが、これは勘弁してください。この回りの局あたりの人たちとぐるになったら、これはまるっきりチェック機能がいまないんです。  そこでお尋ねしたいのは、しかも監察が五十一年の四月から六月まで入っているわけですね。資金の流通、これは首席監察官がこの前の委員会で資金の動きが激しいので、あわせて麻溝の問題があって入ったと。そのときはもう犯罪が行われているわけです。五百万ほどの、これは定額貯金の払い戻しです。横領事実がもうそのとき行われているわけですね。まず一つはチェック機能がないということと、監察が入って、何でこれが監察がわからないままにこのまま持ち越して、しかも郵政局に報告をして、それで停職で、本人の希望で退職をしている。退職金払っちゃったわけです。  先ほど首席監察官が、中野先生の御質問に答えて、私、きょう持ってきませんでしたが、従来のこの監察二十年というのの中にあるように、先ほど中野先生言われたとおり、そしたら首席監察官は正規の取り扱いの励行——そんなこと言ったってやる気になってるんですから。チェック機能がないんですから幾らでもやれる。従来の監察の機構、組織ではカバーできないから、これを監察官、監察補制度などを設けて犯罪の防止に努めてきた。特定局長の防犯認識を徹底してきた。特定局長がそれをやろうというのに、幾ら防犯意識を徹底したって、やる気になってやっているんですから。問題はやる気になってやろうとしてもできないという状態をつくること以外にないんじゃないですか。こんなことを、先ほど答弁をされましたが、私はなぜ監察が、こういったものについて本当に事実というものを明らかにできない、そういう能力しか持ってないのか、この点はどう思うのか。
  195. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) ただいま御指摘のように、この麻溝局関係の事件につきまして、五十一年の四月から六月にかけまして状況の調査に入っております。このときは、いまもお話がございましたように、資金の関係、それから小切手と現金を交換した事実、これを確認するために相当の人員と労力をかけております。  そういった中で、いま申し上げました二つの事実を確認したわけでございますが、本来、その中でいまお話しのように五十一年の五月ごろからだと思いますが、これは後でわかったことでございますけれども、まあ犯罪が行われていたということでございますので、結果的に見ますと、私たちとしてはその際にあわせてその潜在犯罪を最も効果的な方法で発見することができなかったかということをただいま深く反省いたしまして、やはり潜在犯罪の発見ということについて、言うならば捜査の機能を通じて、たとえば情報、これをやはり広く収集して、それに基づいてこれを分析し、そしてその結果に基づいて的確な方法で措置をしておったならば、その潜在犯罪も発見したであろうということは、私ども深く反省しております。そういったことで、今後はもう潜在犯罪の発見に重点を置いてやっていきたい、かように思っておる次第でございます。
  196. 案納勝

    案納勝君 大臣、いま質疑のやりとりの中で、やっぱり内部牽制というのが十分でない。もっと時間があるならじっくりこう一つずつ例を挙げたいんですが、このことはもうおわかりになっているはずだ。それから、監察の考査が不徹底だ。なぜ不徹底なのか。私はこれは次回に譲りますが、ここで一言だけ言わしてもらうなら、ここに私のところに各監察局、郵政局、総合考査報告書というのがある。これを全部見たら、いまの監察のこういう状態になること、わかり切った内容が書いてある。これは私はきょうは読み上げません。私は永末首席監察官時代に、監察体制の再検討、見直しをやって、本当に監察の主たる目的を果たせるようにということを申し上げたことがあります。私はもう一回、この点では改めてやりますが、監察のやり方という、いまの監察制度の中で、あなたが言われる監察制度が十分でなかったから、組織を改編してカバーして、そしてさらに監察官補等の制度をつくってやったというんです。それが効果をあらわしていないんです。私はもう一回この点を明確にしなくちゃならない問題点としてここで指摘をしておきます。これは答弁要りません。  そこで、もう一つお聞きします。兼職についてであります。  大臣が先ほど言われましたように、この佐藤和也というのは、実は共進商事の代表取締役をやったり、最大の株主なんです。金はどんどんこっちへ突っ込んだんでしょう、私は裁判官じゃありませんから、その後の経過知りませんから。この事実について、監察としては全くわからぬで今日まで来たのか、特推連という組織があって、防犯問題についていろいろ協議をしたり、私よく知っていますが、防犯会議が選対会議になってみたりなんかやるわけですから。そういう特推連で防犯会議をやっているならば、その特推連の会議の中で、どうも佐藤はおかしいとか、あるいはあの局長はこういう会社の仕事をやっているとかという話、必ず出てくるでしょう。周りの住民の話でもすぐわかるじゃないですか。それで、しかも特定局はいま指定局制度があるから、指定局あたりはそのことについてわかるんじゃないですか。本当に指定局にもう少し権限をつけて、先ほど木島先生もおっしゃったが、もっと権限を指定局というものにつくって、そういうものをしないでも、私は、郵便局の外務員の人たちが配達をしたりなんかしているんですから、大体、町の人のうわさというのはわかりますよ。それを監察がわからぬまま今日まできたということについて、私はよくわからない。  いま全国の特定局長の兼業の承認、どういう状態になっていますか。これは簡単に。
  197. 守住有信

    政府委員守住有信君) 特定郵便局長の国家公務員法第百三条の関係の兼業でございますけれども、五十一年度の承認件数を見てみますと、十四件でございます。
  198. 案納勝

    案納勝君 非営利企業の場合、幾つになっていますか。
  199. 守住有信

    政府委員守住有信君) 非営利企業の方は百四条の関係でございますが、これは百十三件と、同じ五十一年度でなっております。
  200. 案納勝

    案納勝君 この営利企業——公務員法百三条関係で、貸し家、貸し間、貸しガレージ、たばこ等小売業、これだけになっていますね。監察の方では、この佐藤和也じゃありませんが、これだけで、兼業は全国局長行われていないというふうに判断をされていますか、特定局長兼業。このとおりだというように理解されていますか。
  201. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) ただいまの相模大野の局長の兼業の問題でございますが、当時監察としてはその事実を承知していなかったということでございます。
  202. 案納勝

    案納勝君 いや、全国でどうなんですか、把握していますか、こういう事件について。こういう佐藤和也みたいなのがいないというふうに理解をしておられますか。もっとそれについて明確に答えてください。そして答えられなければ、私はこれ、完全にもう一回、いま特別対策委員会つくられているそうですから、しかるべき班をつくって徹底的にひとつ明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  203. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) ただいま兼業のお話でございますが、全国でただいま特別調査をやっております。まあそういった中で、やはりそういった兼業関係も把握できればこれを把握いたしまして、所要の措置をとってまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  204. 案納勝

    案納勝君 それはしっかり把握してもらいたい。私のところでも三件上がってきています。きょうは出しません。これは許可を得ているわけではありません。したがって、これは調査をされた後に、いずれにしても問題点として指摘をさしていただきたいと思う。いずれにしてもそれは、私はとかくそれをというよりか、兼業兼職についての特定局長というのは佐藤和也みたいな、そういうことをやれる実は誘惑やその他がたくさんあるわけですね、町の有力者だとか、いろんな意味で。だから、そういうものについてやっぱりモラルというか、そういうようなきちっとした局長の責任感というのも確かに必要だと思うんです。あわせてそういうことができないやっぱり先ほどから言うチェック機能、周りの機能というものをどうするのか、私は大変な課題だと思う。そこで、それは課題として明らかにしておきます。  そこで、全国の犯罪の状況についてお尋ねします。特定局、普通局の犯罪の状況は、この三年間、四十九年から五十一年まで、三年間でいいですから、どういうふうになっていますか。
  205. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) お答えします。  普通局におきましては、四十九年度が部内者犯罪が二百二十四人ございます。それから五十年度は百九十三人、それから五十一年度百八十九人ということになっております。  それから、特定局でございますが、特定局について見ますと四十九年度が七十五人、五十年度が八十一人、五十一年度が六十六人ということになっております。
  206. 案納勝

    案納勝君 それで、総人員に占めるパーセンテージはどうですか。総人員に占める普通局と特定局、犯罪のパーセンテージ。
  207. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) 大体特定局の場合は、全体の約二一%ぐらいだろうと、はっきり私、いま承知しておりませんが、約二一%か二二%ぐらいという——ただいまちょっと大変失礼いたしました。部内犯罪者ということでお答え申し上げましたが、全体に占める割合ということで申し上げますと、普通局の場合は、最近三年間の年平均検挙件数二百九十七件ございますが、これは件数でございまして、最近三年間の年平均局数は千百八十三局でございます。それからまた年平均職員数、これを見ますと十四万九千百九十七人でございます。したがいまして普通局の場合、百人当たりにいたしますと、〇・二〇件ということでございます。  それから特定局でございますが、特定局の場合は最近三年間の年平均検挙件数は八十二件ございます。また、最近三年間の年平均の局数は一万七千九局になっております。それでいきますと、百局当たりの件数が〇・四八件、それから最近三年間の年平均職員数が十三万五千二百八十二人でございますので、百人当たりにいたしますと件数は〇・〇六件ということになっております。
  208. 案納勝

    案納勝君 そこで、いま言われた中に入っていると思いますが、特定局長の犯罪は三年間何件、普通局長の犯罪は何件。さっきは八件と言ったじゃないですか。
  209. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) ただいまの御質問でございますが、普通局長はございません。
  210. 案納勝

    案納勝君 ないですね。
  211. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) はい。  それから特定局長でございますが、これは先ほど五年平均で八件というお話申し上げたんですが、詳しく申し上げますと、四十九年が六名、それから五十年が十名、五十一年が八名と、こういうことになっております。
  212. 案納勝

    案納勝君 そうすると、いま言われた特定局長は、先ほど言われた特定局の犯罪の中に入っていませんね、別ですね。
  213. 日裏泰弘

    説明員(日裏泰弘君) この数は特定局の中へ入っております。
  214. 案納勝

    案納勝君 それは違うんじゃないですか。あなたの方から普通局、特定局、簡易局事務取り扱い者の犯罪状況、百万円以上の、この資料はいただきました。その資料の中で、あなたの言われた数字はそのままです。しかし特定局の局長の犯罪についての四十九年の六局、五十年の十局、そして五十一年、実は全然入っておりません、この局の中に。特定局長の犯罪の局の名前を私全部読み上げても結構です。入ってない。これはどういうことですか。私の方で全部読み上げましょうか。ただ重複しているところが三局あります。そのほかは全然ないんです。  そこで、私はここでもう一回あなたにお聞きしますが、私が調べた中で、普通局は四十九年七件、五十年同じく七件、五十一年十件、計二十四件、これは百万円以上。特定局は四十九年三件、そして五十年十四件、五十一年五件、計二十二件。局長は四十九年六件、五十年十件、五十一年八件、計二十四件。そこで普通局は十四万九千百九十七名、局長が何ぼあるか後ほど答弁してください。特定局は約一万七千あって、十三万五千二百八十二名ある。特定局長は一万七千何ぼですね。その比率から言うと特定局長の犯罪というのはきわめて高いんですよ、一つも減ってないんですよ。先ほど中野先生が言った監察二十年の歴史の中で一つも減ってきてないんですよ。  あなたは志賀さんに衆議院で答弁されて、特定局制度上の問題ではない、特定局の犯罪というのは減ってますと、こういうふうに言っている。そうじゃない。局長犯罪別にしてあんた報告しているんです。中に三件だけごまかして一緒に入っているのがあります。私はこれは納得することできませんから。この事実というのを隠しちゃだめなんですよ。特定局長の犯罪というのは、しかも百万円以上の犯罪で、確かに実損ゼロというのがありますよ。麻溝ですか、これは資料の中で確かに実損ゼロだ。弁償しているわけですよ。千七百万横領した。しかし横領の事実が消えないですから懲戒免職になっていますね。私はきょうは時間もありませんから、改めていま言った正確な資料を、しかも局長犯罪の行われた局の名前を含めて出してください。  そのことを要望して、きょうは終わりますが、大臣最後に、特定局問題というのは、けさ来いろいろ指摘をされましたように、自由任用の問題、局舎問題さまざまあります。それらの中で、言われるように、百年もたってきて今日時代の流れが変わっている中で、本当に近代化をしていかなくちゃならない郵政事業の中で実は放置できない問題なんです。確かに木島先生が言われたように、今日まで先人の努力を多といたします。しかし、制度そのものについて見直しをして、改善をするところはしていかなければ、私はこの種の問題、郵政事業国民の信託を受けて本当に国民の事業として今後発展をする、そのためには私はならないと思います。私は木島先生や中野先生から先ほど指摘をされ、きょう午前中から指摘をされていること、全く同じです。  私はまだ任用問題や局舎問題触れていません。いま触れたのはまずチェック機能がないということ。従来、大臣御存じないかもしれぬ、十年来の確執がありました。労使の中で信頼がなくては郵政事業というのは発展しません。回っていきませんよ。ところが、それを壊してきた。やっと何とか前向きになってきた。その経過で、職場の中で労使の関係にある労働組合、民主的な国の組織と労働組合が機能のないところは機能を補いながら相互牽制の機能を果たしていくんです。どの社会でもそうなんです。そういう面についてのいままでの郵政省自身の見方というのがない。逆な意味の見方しかなかった。この機能をどうするのか。要するにチェック機能、牽制機能というもの、監察制度というのはいまみたいなままでいいのか。そしてこの局長の犯罪の問題についても、一つもこの三十年消えているところはない、減ってはいない。それは任用問題があり、家族職員の問題がある。きょうは触れません。この問題にメスを入れなければ、私は近代化はできないと思います。  このことを、私はきょうは三点だけを、まず問題を提起をいたします。今後また引き続いて、この問題は一日や二日では解決しません、問題点を明らかにしながら、今後、郵政事業全体が国民の事業として発展できるように、私も努力をしていきたいと思いますので、ひとつ大臣も、この意味でお取り組みいただきたいということをお願いをして、終わります。
  215. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 先ほど要求した資料は提出できますね。
  216. 服部安司

    国務大臣服部安司君) もちろん、それはいたします。
  217. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十一分散会