○沓脱タケ子君 それでは次に、非常に論議の中の問題の中心になっております
番組編成のことですね。これにつきまして若干御
意見をお聞きしたいと思います。
番組編成というのは
放送事業にとっては全くの中心課題でございますね。
昭和五十三年度から
番組編成が大幅に改編されるということで、これを通じましていろいろ論議を呼んでおるようでございます。私
どもといたしましては、冒頭にお伺いをいたしましたような
NHKが持っておる
基本的性格、そういう
基本的性格にふさわしく、
国民の期待や信頼にこたえられるように
番組編成が
改善をされるということを非常に強く期待をしているわけです。私は、
会長もおっしゃっておられますけれ
ども、
番組編成というのはずいぶん大切なものなんだなということを感じておるわけですが、たまたま週刊誌をぺらぺら見ておりましたら、つい十日か二週間前に、週刊誌の中で作家の五木寛之さんが書いておられたことで、「
NHKは妙な
番組をしばしば押しつけるが、」三月九日のあの「「東京大空襲」を放映したことで、私は当分、
NHKに
放送料をさほど腹を立てずに払いつづけるだろう。」というようなことをお書きになっております。事ほどさように
番組の編成というのがやはり大きな影響を持つものだという一例だと思うのですね。
特に
経営問題とも絡み合うと思いますけれ
ども、
国民の信頼にこたえ、そして
国民の理解と協力の得られる
NHKとして発展をしていくための一番の基礎というのは、やっぱり
国民に期待される
番組編成だと思うわけです。そういうことになってくれば、勢い理解をされれば
受信料の支払いの収納率あるいは契約数もふえてくるということになりますし、これは、
番組編成について、そのことだけでとやかく言うという
意見ではなしに、
経営の将来
計画、将来の発展の展望にも不可欠な問題だというふうに思うわけでございます。そういう点で、
番組編成の大幅な改正をやられるというに当たって、ああいった
番組がどうやら姿を消すんではな
いか、こういう
番組がなくなるんではな
いかというふうなお声というものを、私
どもも耳にしないことはありません。
たとえば、私
どもが耳にしますのはドキュメンタリーですね。私もときどき拝見をしておりますが、余り
視聴率は高くないんだそうですけれ
ども、そういうドキュメンタリーなどについては、今後は大型になっていって、昔のような、三十分のをいまやってますね、ああいうのがなくなるようなことを言われているけれ
ども、どうなっておるんだろうかというふうな御腐心というんですか、心配というんですか、そういうふうな声は聞かないわけではありませんけれ
ども、そういう点では、できるだけ
国民の
視聴者の
意見を反映するというふうなことが
大前提だと思うわけでございます。
そういう点で、私も、特に逓信委員になりましてからは、実は
NHKの
放送を
努力をして拝見をしてきているわけです。ずいぶんいい企画をしておられるなというふうに、私
ども素人でも思う
番組がしばしばございます。特に朝の、たとえばいま
放送されて、大阪で制作されているというふうに伺っております「風見鶏」などはできるだけ見るとか、日曜日の「黄金の日日」な
どもこれはできるだけ見たいわけですけれ
ども、なかなかうまく時間が得られないですから、全部見るわけにはいきませんけれ
ども、そういう
努力をするとか、土曜日の「くらしのけいざい」な
どもなかなかいい企画をやっておられるというふうに思うわけです。私は、そういう面では全く素人でございますから、いろいろあれがこうだこうだという具体的な論評などはとてもできませんけれ
ども、しかし、私
どもがスイッチを入れて拝見をしていても、なかなか時宜に適したものをお取り上げになっているなというふうなこともしばしば感じております。そういうものがやはり
国民の支持を受けられるように、形が変わってもできるだけ発展をさせていくというふうなことが非常に大事じゃな
いかというふうに思うんです。
私は、ちなみにどういうふうな経過をとっておるものかなと思って、実は憲法記念日をめぐる企画をずっとこの十年余り拝見をしてみたわけです。そうしますと、やはりそれなりに変化が起こってきてますね。これは、詳しく
NHKから資料をいただいたのを拝見してみましたが、ちょうど二十周年のころの五月三日憲法記念日というようなときの企画というのは、非常に憲法に関する
番組が多いわけです。時間も多くなっております。その二十周年というのは節であったので多かったんでしょうが、その後やはりそれなりにやられておりますが、たとえば四十四年などというところはもううんと少ないんです。安全保障への選択という形での
放送はやられておりますが、それ一本というふうな形なんです、テレビなんか。ずっと見てまいりますと、去年、おととしあたりも、まあ「ニュースセンター9時」で去年はおやりになったり、あるいは「ニュース解説」の十五分でおやりになったりしておられますが、その二十周年のころと比べると、大分かさが小さくなっていますね。こんなふうにして見ることというのは余りないんです、
視聴者の側から言いますと。しかし拝見をしてみますとこうなるんですが、こういうことも、案外見ておられる
方々というのは敏感でございまして、どうやらことしもまた憲法記念日が近いわけですけれ
ども、憲法記念日などをめぐる
放送番組というのが、やっぱりどんどん軽視されてきているという感じがするなというふうに
国民に感じさせるというふうなことになりますと、これはこれとして、やっぱりそれなりに心を配らにゃならぬことになるのではな
いか。
そういうふうになってくるのは、それじゃ企画の場合に、提案者が少なくてそうならないのか、あるいは制作
過程については、私
ども全く素人でわからないわけですけれ
ども、これはどういうことでこういうふうに大きな変化というのが出てくるんだろうかというふうなことをやっぱり疑問に思うんですね。かつて蜷川知事が、憲法を暮らしに生かすという名文句を出されましたけれ
ども、私は、やはり憲法というふうなものが
国民生活のあらゆる分野でどのように生かされるべきであり、また生かされているかというふうな点は、多面的に、これは
NHKでこそやれる課題だと思いますので、そういった点はやはり十分心してお扱いになっていただくということが非常に大事ではな
いかというふうなことを感じております。
そういう点について、
番組編成についての
基本的な方向とかお
考えというものは、もう何回もお伺いをいたしましたけれ
ども、そういった
国民の
考え方、要求、嗜好、そういったものを十分尊重してやっていくということを保障していくかどうか、それをひとつお伺いしておきたいと思うんです。