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1978-03-28 第84回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十八日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 俊夫君     理 事                 長田 裕二君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 小澤 太郎君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 菅野 儀作君                 前田 勲男君                 大木 正吾君                 大森  昭君                 中野  明君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  服部 安司君    政府委員        郵政政務次官   宮崎 茂一君        郵政大臣官房長  河野  弘君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        外務省アメリカ        局安全保障課長  丹波  実君        気象庁予報部長  窪田 正八君        建設省住宅局市        街地建築課長   和田 友一君    参考人        日本放送協会会        長        坂本 朝一君        日本放送協会副        会長       藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      沢村 吉克君        日本放送協会専        務理事      山本  博君        日本放送協会専        務理事      川原 正人君        日本放送協会専        務理事      堀 四志男君        日本放送協会専        務理事      中塚 昌胤君        日本放送協会専        務理事      橋本 忠正君        日本放送協会理        事        反町 正喜君        日本放送協会理        事        武富  明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまより逓信委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 前田勲男

    前田勲男君 日本放送協会昭和五十三年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、NHK財政的展望辺地難視聴解除の問題、国際放送拡充等について伺いたいと思います。  それではまず最初に、日本放送協会は、放送法によりまして、公共の福祉のために、あまねく全国において受信されなければならない、放送法七条。また四十四条で、豊かで、かつ、よい放送番組放送し、文化水準向上に寄与するよう努力を払うこと。また四十四条の二におきまして、全国向け番組のほか、地方向け番組を有するようにすることとありますが、これにはやはり私はNHK財政的基盤がしっかり安定して初めてその使命目的に沿えると思いますが、いかがお考えでございますでしょうか。
  4. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生指摘のとおりだと思います。
  5. 前田勲男

    前田勲男君 それでは、昭和五十三年度の収支予算は、事業収支における収入不足額二十九億、また債務償還に必要な資金不足額八十九億を、五十一年度、五十二年度からの繰越金百十八億で補てんし、これで初めて収支均衡が保たれております。しかし私としては、やはり問題は五十三年度予算を踏まえたこれから将来、経営の危機に向かわれると思われる将来の問題についてお伺いしたいと思います。  そこで、五十三年から五十六年の経営見通し試案について、いただいております試案についてお伺いさしていただきます。この試案につきましては、前文にもございますように、経済情勢その他流動的であるとしながらも、NHKとしてこれから受信契約数拡大また受信料収納成績向上による増収を極力図り、また経営効率化省力化という経費節減等最大努力を含めた上での試算と受け取ってよろしいでしょうか。
  6. 山本博

    参考人山本博君) ただいまお尋ねがございました点、NHKといたしまして、この試案をつくるに当たりまして、幾つかの大前提を持っております。一つは、NHKが今後原則としてよほどの事情がない限り、拡大要因というものはとらない。できるだけ大きくなっていくということが必ずしもいいことではないと思いますので、拡大要因はとらない。それからもう一つは現行の要因というものは増加させない。それから第三番目が、間接的な経費というものは極力圧縮をする。むしろ増加というような要素を認めない。しかし、本当に国民にとってNHKがお役に立つような部門については、これは必要な経費は見ざるを得ない、また見るべきである。そういう一応の大前提を置きましてこの試算計算をしたわけでございます。  ただいまお尋ねがありました事業内容について、十分効率的な内容を含んでおるかどうかということでございますが、これはこの試算をつくります経過においては、ただいま申し上げました不要不急のもの、こういうようなものについては一切計算の中に入れてございません。しかし、経済的な変動要因は、これは今日の時点で五十四、五十五まで見通す材料が実は非常に不十分でございます。したがいまして、五十三年度につきましては六・八%、これは政府も発表いたしておりますので、NHKもそのとおり採用いたしておりますが、五十四、五十五になりますと、これは民間でもいろんなデータを出しておりますし、政府試算という形でごく最近出しましたけれども、これにつきましては絶対これだという見通しも立ちかねておりますので、現状においては七から七・五という数字をこの二年間においては採用をいたしました。その他公共料金関係の値上がりとか、そういうものも現状においては完全に把握をしかねる面もございますので、そこに書いてございますように、いろいろな変動要因がございますので、今後修正をさせていただきたいと思いますが、効率的運用につきましては、ひとまず先ほど申し上げましたような原則に基づいて処理をしてございますが、なおNHKの内部に、さらにここ三年間の期間において効率的運営あるいは組織の改正、こういうものを含めました総合的な効率化施策というものをつくり上げねばならないということで、現在副会長を長といたしまして作業中でございますので、その試案が最終的なものになる段階におきましては、効率的施策というようなものはさらにそこにつけ加えていくということになると思います。
  7. 前田勲男

    前田勲男君 いま、参考人が申しました効率的施策はどの程度の改善が見込まれるんでしょうか、この五十三年度から五十五年度のいただいております試案に対しまして。予想だけで結構です。
  8. 山本博

    参考人山本博君) 五十三年度から五十五年度まで、これは五十三年度の予算編成の際に、あと二カ年ぐらいは見通しを立てたいということでつくりましたのですが、そこに書いてございますように、全体の支出を一〇%台に抑えるということを一つの柱にいたしております。これは五十一年度から五十三年度までの、この前の御承認をいただいた計画におきましては、これは一三%台の支出でございましたが、今度は一〇%台に落としてございます。五十一年度から五十三年度までの計画遂行過程におきまして、NHKとしましては暫定予算による収入不足を克服するために、この間百二十億の支出の減をいたしております。これは支出全体につきまして大体二%ぐらいに当たります。今度五十三年度から五十五年度までを見ましたときには約三%、それを前の計画に比べますと、削減をしておる内容になっておりますその過程におきましていろいろな工夫をいたし、節減すべきものは節減をするということにした結果、そういう数字になっております。  さらにどのぐらいの金額が加わるかということでございますが、これは現状におきましては幾ら幾ら金額であるという数字まで固まっておりません。ちなみに五十一年度から五十三年度の過程におきまして、当初考えましたのは約五十億の支出減でございました。これは結果におきましては、この前も担当から御報告いたしましたが、約六十六億までそれを増加させるという努力をいたしましたわけでございます。
  9. 前田勲男

    前田勲男君 NHK経営効率向上、また経費削減等の御努力、大変よく理解できるんでございます。この試算に対する郵政省の御見解、またこの放送法三十七条の二項に基づく意見の中に、この試算を含めて検討されて意見を出されたのかどうか。この辺を伺いたいと思います。
  10. 服部安司

    国務大臣服部安司君) この試算経営見通しについては、私も十分検討させていただきましたが、私は、今後はなお一層厳しい条件認識していただいて、これ以上の経費節減のための努力を払ってもらいたい、かように考えております。これはあくまで試案で、経営見通しでありまするから、放送法第三十七条二項により私の意見を付すにつけても、十二分にNHK側の意向も、また五十三年度の予算案についてももちろん検討をいたしましたが、ここで御承認をいただいて、いよいよ五十三年度からいわゆる予算執行に当たっては、重ねて経営委員並びに会長以下関係方々とも、郵政省とも緊密な連携を保ちつつ、先生方の御意見を無にすることなく、より効果を上げて国民の期待にこたえてまいりたい、こういう立場をとってまいったわけでありまするから、もちろん意見書を付すまでには十二分に緊密な連携をとってまいりました。
  11. 前田勲男

    前田勲男君 この意見書は、この試算を含めて意見書を出されたという大臣の御答弁でございますが、NHKのこういう経営効率化向上努力に対しまして大変厳しい内容になっております。この点、やはり郵政省見解としては、まだまだ経営効率改善の余地があると、こういうふうに認識をされておるのでしょうか。
  12. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私は先ほど山本専務答弁にもあったとおりに、基本的にはあの考え方を了としております。ただ、NHKは、国民の声すなわち批判とか要望というものは謙虚に受けとめて経営合理化を図るべきであるというのが私の考え方基本でありまして、もちろん郵政大臣就任以来私が一番神経を使っているのは、この公共放送NHK経営の今後のあり方だと言っても言い過ぎでないと思うほど真剣に取り組んでまいったつもりであります。私は公共放送必要性は、皆様方と同様、これはなくてはならないものだと現時点では考えておりまするが、先ほど前田先生指摘のとおりに、経営基盤の確立がなくては、とうていこれは経営そのものにも大きな問題もありましょうし、国民要望にこたえることもとうてい困難であることはこれは言うをまちません。そういう観点から、私はいつも申し上げるとおりに、きわめて厳しい姿勢で今後の経営あり方を見守っていきたい、かように考えている立場から、そういった厳しい、過去にない厳しい意見を付した。というのも、現実の姿は過去のいわゆる経営の実態とおおよそ雲泥の差があるということの認識に立ったからであります。
  13. 前田勲男

    前田勲男君 五十四年から五十六年の収支試算を見ますと、事業収支差金いわゆる赤字が五十四年度が二百二十二億、約事業収入の一〇%、五十五年が四百二十七億、事業収入の約一八・九%、五十六年に至っては六百六十二億、事業収入の約二八.七%となります。これはごく近い将来に事業収入の五十六年では約三割の赤字経営をなさなければならない。こういった財政基盤の安定しない状況で、いわゆるNHK目的放送法七条、四十四条と、本来の使命を果たすことが大変むずかしくなってくる、かように私は考えております。また、NHKの約一万六千人の職員のこの将来まことに不安定、まことにお先真っ暗であるというような感じがいたすんでございますけれども大臣いか認識されておられますでしょうか。
  14. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 一番私も懸念いたしておりまするのは、現在NHKにお勤めの一万六千数百人の方々の今後のあり方であります。それだけに一層厳しい姿勢で臨みたい。五十四年、五十五年、現在の御指摘数字からいって大変な赤字経営になるではないかという問題でありまするが、事業というものは、私はいつも申し上げるのですが、長期計画に基づいて、ここでできるだけの、先ほど山本専務がお答えしたとおりに、拡大要因は再検討する、やらないと。それから国民要望にこたえてやらねばならない問題にしぼって極力経費節減を図りますと。私はこの言葉だと思うんです。こういう言葉をだんだん、衆議院逓信委員会、参議院の逓信委員会で、きょう初めて私はNHK経営者立場からのお話を真剣に聞いて大変うれしく思う。これがわれわれが求めていたいわゆるNHK姿勢でありまするから、数字では二〇%、三〇%赤字だという数字はふえても、これから運営する上において、今度は極力そういうことのないように、やらねばならないことをやりつつ経費節減を図って健全経営に移していくというふうにしてもらいたい。  いま一つは、先生方にも今後ひとつ御検討をお願いせねばならない日は必ず近いうちにくると思うのでありまするが、御承知のとおりにNHKのいわゆる予算国民全体の視聴料という御負担事業経営していることは御案内のとおりでありまして、このいわゆる料金徴収の面に当たってもかなり問題があるわけでございます。不払い同盟であるとか、何とか会とか、反対何とかといろいろありますがね、こういうことも私はやはり健全経営をしていただくために何かの措置を講ぜねばならない。これが努力によって完全に国民から負担を受けていただくようになれば、これは正直申し上げて、加えて企業努力があれば、七年や十年料金を何ら気にすることなく、安定した基盤の上に立って国民要望にこたえられる姿になるという確信を持っている次第でございます。
  15. 前田勲男

    前田勲男君 大臣の御答弁でもございましたけれども事業拡大はこれからやられないと、そしてまたいろいろ厳しい努力をしながら受信料徴収等に、不払い同盟等にも確固たる態度で臨み、また増収の道をふやしていく、こういうように受け取っておりますけれども、私の意見としては、これはやはり受信料徴収については、支払い者不払い罰則規定を設けるか、あるいはNHK増収の道としては、絶対考えられないという受信料改定を行うか、これ以外には大きな増収ということは考えられないと、かように思っております。しかし、この改定を行わないとすれば、特に際立った増収の道がございませんので、私は将来においてNHKの、先ほど拡大はやらないと申しましたけれども、大幅な経営模規縮小でございますとか、あるいは機構の縮小、また娯楽番組民放にまかせて、NHK独自の分野でやっていくと、こういった、われわれ国民がとってほしくないNHK経営体制をとらざるを得なくなるのではないか、かような心配をしておりますが、いかがでございましょうか。
  16. 服部安司

    国務大臣服部安司君) これはいろいろと考え方があると思うんです。と申しますのは、私は所管大臣としてまず第一に申し上げたいのは、経営者は厳しい姿勢経営に臨んでもらいたい。また監督官庁郵政省としては、同様十二分にそういったことを踏まえて、関係機関と緊密な連携をとりつつ、これまた厳しい姿勢指導に当たると、これ一体にならねばならない。受けて会長以下全職員、もちろん役職員は一丸となってその考え方に立って経営に当たっていただく、まずこれが基本であると思います。  それから、ただいま第二の御指摘料金徴収に当たっての御意見でありまするが、これはいろんな考え方があると思うんです。罰則についても、罰則にもいろいろあるわけですから、これもいまここでちょっと私の考え方を申し述べることは早計でありますので遠慮させていただきまするが、この問題とも真剣に私は取り組んでまいらねばならないという立場からいろいろと私なりの構想を持っております。適当な時期に皆様方に申し上げて御批判と御理解を得たいと思いまするが、この問題についてもNHK自身がもっと厳しい姿勢で臨まねばならない。これは余りにも安易に見送ってきたことが今日こういった大きな壁にぶつかったということを認識をするべきであるという考え方を私は持っております。言うならば、事業体そのものがもう大変マンモス化した、いわゆる日本で開いたオリンピックを起点にカラーテレビ普及やいろんなことで、増収増収でぼんぼんぼんぼんやったのが——恐らく世界であれだけの放送施設を持っているものはどこの国にあるでありましょうか。なかなか一遍拡大すると、この縮小ということは大変なことであります。なかなかできるものではありません。拡大することは事簡単でありまするが、縮小は大変であります。しかし私はこういった問題にも真剣に取り組んでいく姿勢を求めたい。  だから、これで経営基盤が確立しますということはございません。総合的に判断をいたしまして、総合的にいわゆるやらねばならないことはやるが、やってならないことはどんどんここで長期計画に立って、一挙にやれば出血がありまするから、長期計画に立ってどんどん縮小の一途をたどって健全経営に持っていく、これが私の考え方でございます。
  17. 前田勲男

    前田勲男君 それでは難視聴地域解除の問題についてお伺いいたします。  五十三年度の収支予算事業計画資金計画によりますと、難視聴世帯五十三年度解消数が八万五千世帯目標でございます。また別途その試案によりますと、五十四年度、五十五年度の難視聴解消目標が二十万世帯となっておりまして、五十三年度八万五千世帯といたしますと、残り二カ年で十一万五千世帯となりまして、二年間としてはかなりの難視聴解消ペースダウンになるのではないか、かように考えております。いかがでございましょう。
  18. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 御承知のように、難視解消につきましては年々努力をいたしておりますが、いま御指摘のような傾向は、難視対象地域というものが次第に過疎地域に入っておりまして、同じだけの努力をして同じだけの局数を設置いたしてまいりましても、それで救済できる、解消できる世帯数は次第に少なくなっていかざるを得ない。そういう人口分布であるということでございます。決して私ども努力を怠っているということではございません。御理解いただきたいと思います。
  19. 前田勲男

    前田勲男君 これはやはりNHK経営悪化によるペースダウンではないと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますでしょうか。
  20. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) そのとおりでございます。
  21. 前田勲男

    前田勲男君 それじゃ続きまして、電波監理局の方にお伺いいたしますが、民間放送の難視聴につきましても各地で大変な苦情が出ておりまして、現在約百七十五万世帯となっている、これが現状でございます。郵政省として、この民放の難視聴に対しまして早急に行政指導を行う用意があるかどうか伺います。
  22. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) お答え申し上げます。  一般放送事業者はもちろん有限希少な電波を使用いたしまして放送事業を営むわけでございますので、放送の最大限の普及に努めるべきである、努めることが責務であるというふうに考えております。郵政省といたしましては、このような考え方のもとに、従来も機会あるごとに難視聴解消を促進するように指導してきたわけでございますけれども、今後とも一層強く指導する所存でございます。また、テレビジョン放送難視聴対策調査会報告書を踏まえまして省内に難視聴対策委員会というものを設置いたしまして、それを中心に検討を進めておるわけでございますけれども、これまでにいわゆるミニサテ実用化を図りまして、NHK民放による共同建設推進をいたしてまいっております。しかしながら、民放NHKと比較いたしました場合、いわゆる微少電力テレビジョン放送局サテ局というふうに呼んでおりますけれども、これの置局かなり差がある。民放の方の努力がまだ足りないという状況でございます。これを促進するために、五十三年度におきましてはサテ局の価格の低廉化を図りますための研究開発郵政省といたしましても促進してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、民放番組視聴したいという国民要望はきわめて強いわけでございますので、このような開発の成果も生かしながら、先ほども申し上げましたように民放置局推進をさらに強く指導してまいりたい、このように考えております。
  23. 前田勲男

    前田勲男君 NHKにお伺いいたしますが、この民放の難視聴解消の問題で、特にNHKの御協力をいただきまして辺地ミニサテ局共同建設が積極的に行われておりますけれども、現在、中間都市と申しますか、民放送信所からある程度離れた地域ドーナツ圏と申しますか、これが非常に難視聴になっておりまして、辺地は聞こえるけれども、その民放送信所辺地との間の地域中間都市が聞こえない、見えない。この解消を早急に望むわけでございますけれども、従来、いま既設で持っておられるNHK放送中継送信施設と申しますか、これを積極的にこれから民放に利用させる意思があるかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  24. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 私どもといたしましては、民間放送NHKとできるだけ共同設備をつくることでお互いに効率的に難視解消を進めたいという気持ちでいままでやってまいっておりますし、今後もそういう基本姿勢には変わりはございません。おっしゃるような既設の私ども中継施設民間放送を乗っけるという問題につきましても同じ考えでございまして、ただ物理的にもともとそういう余裕を持った設備は必ずしもやっておりませんので、面積なりあるいは鉄塔の強度なり余裕があります場合には、その条件に応じまして御協力申し上げたい。またそれ相応の、応分の御負担もいただきながら御協力申し上げたいというふうに考えている次第でございます。
  25. 前田勲男

    前田勲男君 時間もございませんので、難視聴解消につきましては、辺地に住む人々にとりまして最も生涯に潤いと憩いをもたらすNHK放送でございます。また民間放送でございます。ぜひひとつ難視聴早期解消をお願い申し上げ、私の質問を終わらしていただきます。
  26. 中野明

    中野明君 まず最初に、NHKの方から出されたこの五十三年度から五十五年度、付録として五十六年度もついておりますが、経営見通し試案についてお尋ねをしたいと思います。  郵政大臣は、この試案をごらんになってどういう御所見をお持ちでしょうか。最初大臣に。
  27. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 試案を拝見いたしまして、私は率直に申し上げてもっと厳しい姿勢で臨んでもらうように今後も努力をしてもらいたい、かように考えた次第であります。
  28. 中野明

    中野明君 会長にお伺いしますけれども、これは経営委員会と御相談の上でお出しになったんでしょうか。もう一つは、経営問題委員会というのもございます。この両方に御相談の上でお出しになったものかどうか。
  29. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 御相談というよりか資料として提出いたしまして、そして継続審議するということで、別に議決をしたとかそういう性質のものではございません。また経営問題委員会も同様に、試算として提出いたしまして、継続検討しようということになっておる次第でございます。
  30. 中野明

    中野明君 過日来、当委員会で大変議論になっておりますが、この試案を私も見せていただきまして、何かしらNHK経営姿勢といいますか、取り組む気持ちが非常に緩いんではないかということを感じる一人でございますが、要するに五十一年から五十三年までこの三カ年計画が立てられて、受信料の値上げをしたことが、大体この三年の間で解決すればよろしいと。五十四年以降は、これはまた新しい状態から出発をして、そして経営が苦しいか受信料の値上げをどうしてもお願いしなければならぬ、こういう伏線でお出しになっているような気がしてならぬわけです。  本当に現在は御案内のように不況で民間の企業も大変なときなんですが、恐らく民間の企業でしたらこういうやり方はしないだろうと思います。先日もお話が出ておりましたように、来年も引き続いてNHKというのはずっと存続していくわけですが、そうしますと、借金の返済にいたしましても、何とかこの三年計画で、前回の受信料の値上げを三年計画でまあ何とかいけますということですが、私どもとしてはこれほど努力をしまして当分値上げはいたしませんと、この姿勢があって初めてこういう見通し試案というものを私どもも納得できるのでありまして、この試案を見る限りにおいては、もうこれは本年度で前回の値上げの分は終わりましたよ、五十三年度からは新しく赤字で出発して当然もう値上げをしてもらわなきゃNHKはやれませんよと、こういうような見通しを私どもの方にお出しになったとしかとれないんですが、この点会長さんとしてどういうお気持ちでこういう——二年間で八百九億も赤字が出て、五十六年は単年度だけで七百四十四億赤字が出る。これではもう普通の企業でしたらこれはもう倒産同然であります。その点の基本的なお考え、本当にNHKは将来もう値上げはしませんという姿勢がどこかに私出ているかと思って一生懸命見せていただきましたけれども、この収支を見る限りにおいてはもう前に値上げをした分の収支の償いを終わりまして、これからまた新しく赤字から出発して、二、三年のうちには値上げをしてもらわぬとどうにもなりませんよと暗に言われているような気がしていかぬのですが、その辺どうでしょうか。
  31. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 大変厳しい御指摘をいただいて恐縮でございますけれども、まあ一言言わさせていただきますと、五十一年度に値上げをお許しいただいて三カ年計画を立てたわけでございますけれども、その初年度におきまして、御承知のような暫定予算等によりまして大幅な収入減で予定の事業をスタートしたわけでございますけれども、その間お約束どおり収支償う努力をしなければいかぬということで懸命の努力をいたしまして、五十三年度、それでも二十九億という赤字を繰越金で償うというような形ではございますけれども、それなりの努力をしたわけでございます。ただ、五十四年度以降赤字になるから、だからすぐ受信料改定をお願いするというほど甘い考え方でなしに、非常に厳しい経営環境であるということ、それに対する一般の方々の御意見、それについてやはりわれわれは真剣に受けとめなければならぬ。そのためには最大限の経営努力をまず第一にすべきではないかということ、そういう考え方であることはこの席で申し上げることができるかと思いますけれども、ただNHK経営を支えるものはやはり受信料収入以外にございませんので、その意味で、ある時期において改定を再びお願いするという事態もあり得るわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、まず第一に経営努力をしてできるだけそういう点の御心配は排除したいというふうに考えていることには間違いないわけでございます。  この点については経営問題委員会等において長期展望に立った公共放送あり方等を含めて御検討をお願いしておりますので、それらの方々の御意見ども十分参酌いたしまして事に当たりたい。先ほど監督官庁郵政大臣からもかなり厳しい御指摘等もいただいておりますので、そういう点についてはわれわれ会長初め役職員一致してその御批判に懸命にこたえる努力をすべきであるというふうに考えておりますので、ただ数字的に見通しを現段階において立てますとこういう数字になるということでございますので、その点はひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
  32. 中野明

    中野明君 私も、NHK経営基盤受信料で成り立っていることはもう十分承知しておりますし、いよいよ経営が成り立たなくなれば受信料の値上げもこれやむを得ないという気持ちは持っておりますが、それにはそれなりの国民視聴者各位を説得するだけの内容とそして姿勢が必要だから申し上げているわけでありまして、この中にも書かれておりますように、何かしら三番目に、「業務組織の適正化、業務運用の見直し、新技術導入による省力化等を軸として、効率的経営に努め、期間中現行要員規模の範囲内をもって対処する。また、事業運営にあたっては、経費の重点的、効率的使用に努めて節減の徹底を図る。」と、このようにお書きになっているわけですが、何か白々しい。書いておかないとぐあいが悪いから書いてあるような気がしていかぬわけです、この出てきた数字を見る限りにおいて。こういう点の姿勢というものをきちっとしていただくことによって将来のNHK経営のことについても理解を得られるんではないだろうか、そういうような気がしてなりませんので、その辺は感じたままを申し上げさしていただきました。  それでは次に、番組編成の基本方針についてちょっと一、二点お尋ねをさしていただきたいと思いますが、これまたいろいろと各委員の先生方から質疑の中でも出ておりましたが、ことしは国内放送番組の編成計画の中で特に、「視聴者の多様な生活・視聴態様に対応して、テレビジョンの夜間の編成を刷新し、共感を呼ぶ魅力ある番組の弾力的編成を推進する。」と、こういうふうに非常に強くうたい出されておるわけですが、これは娯楽番組というものを非常に重点にして、視聴率至上主義にNHKもお変わりになったんではないかという声も一部にあるわけですが、いま一度この編成の基本方針についてお尋ねいたします。
  33. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生承知のように、かつて、昭和三十九年度でございますけれども、当時テレビに対して一億総白痴化というような御批判が強うございました時代に、NHKといたしましては夜のゴールデンアワーの七時半のところに報道、教養番組を編成いたしまして、それなりの視聴者の方々から御見識を評価されたということで、私も当時の前田会長の御見識について高くその点は尊敬しておる次第でございますけれども、それから十五年たちまして、やはりその間視聴者の視聴態様というものがかなり変化してきておりますので、この際私は、会長就任以来NHKの存在は番組であると。したがいまして、番組の充実ということをまず第一点に考えるべきではないか。したがって、従来の編成について、この際根本的に見直す点があれば見直すべきではないか、こういうことで、視聴者会議あるいは世論調査その他いろいろな方々国民生活時間調査等々を勘案いたしまして、担当に検討を命じた次第でございます。したがいまして、先生指摘娯楽番組を重点にして視聴率競争に入るというような考え方ではございませんで、いま申し上げました視聴態様に即応するということが大きなねらいでございます。  なお、NHKは総合テレビと教育テレビという、テレビにおいては二つの波の免許を受けて放送しておりますので、これはもう車の両輪である。いたずらに総合テレビのみを重視するということであってはいけない。教育テレビの充実ということも当然図るべきであるということで総合、教育両面にわたって検討を命じた次第でございます。具体的な点につきましては担当からの御説明をお許し願いたいと思う次第でございます。
  34. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  娯楽優先に走り視聴率優先主義に変わったという意味の懸念があるということでございますが、私たちは、視聴率はやはりよい番組をできるだけたくさんの人に見ていただきたいということで、気にはいたしますが、視聴率のために低俗番組をつくるというような、視聴率に偏った制作態度は今後ともするつもりはございません。  また、娯楽番組でございます。もちろん娯楽番組の中にも教養性あり、教育性あり、教養番組の中にも娯楽性ありということで、娯楽番組と言われているものが御指摘の娯楽重点主義に直ちに結びつくかどうかは、疑問はございますが、一応娯楽番組について見ますと、夜のゴールデンアワー、すなわち六時以降の番組編成比率の中、すなわち一日三百三十分程度でございますが、その中で今度の編成でふえたのが一分三十秒でございます。非常に少ない数でございまして、報道が三分二十秒程度ふえた、時間の関係もございまして教養番組が九分近く減ったということで、番組全体の編成の骨格はほとんど変わっておらないという点も申し上げておきたいというふうに思います。
  35. 中野明

    中野明君 私、この間、NHKの二十五周年の記念番組でしたか、夜の、あれを見ておりましたが、あれを見ておっても、私そういう方向に局全体が、NHK全体がそういう考えになりつつあられるんではないかという懸念がちょっとしたんですがね。何か歌を歌ったり、いろいろ過去二十五年の番組を再編成してやっておられましたが、そのときに、最終的には結局司会者が、もうあたかもこれらの人たちが二十五年テレビを支えてきた、NHKを支えてきたというような、それによく似たような発言が何回かなされました。テレビを支えNHKを支えてきたというのはそれは歌手だけじゃないはずですし、もっとNHKにはやらなきゃならぬ重大な仕事があるわけですが、それは儀礼的な言辞として持ち上げられたんではないかと思いますけれども、そういうのを見ていると、これはNHKももう総合テレビは娯楽番組最重点に、局全体の考え方がそういう方向に行きつつあるんじゃないかというような懸念もしたわけですが、それでちょっとお尋ねをしているわけです。  やはりNHKは、公共放送として、民放ではできない番組をつくるところにNHKのよさがあるわけですので、その辺はもう娯楽番組にしても同じことであります。先ほどの御答弁で了承はいたしておりますけれども、そういう空気を私自身ちょっと感じましたので申し上げておるわけでして、やはり教育番組なんかでは、私もあちらこちらからよく聞きますけど、見ている人は非常にいい番組だということで好評の番組が多いです。そういうことを考えますと、やはり教育番組のPRといいますか、この辺も、せっかくいい番組をおつくりになっているんですから、何かの形でPRしてそして見てもらうような、そういう努力も必要じゃないだろうか。ただ番組のりっぱなのをつくっても、いまの時代ですから情報が非常に多いわけですから、PRがうまくいってないとせっかくのいい番組を見ていただけないというようなことにも通ずるわけですので、その辺、教育番組のPRのことについて一言。
  36. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その点につきましては私先生と全く同感でございまして、幾らいい番組でも、やっているということが視聴者に知られないということから見ていただけないという点もあるんではないか。ややオーバーな言い方をすれば、この時間スイッチを入れれば教育番組のPRの時間だというくらい教育番組のPR時間を設けたらどうだとまで言っておる次第で、最近のNHK番組予告をごらんいただきますと、私の指示しております点が大分生かされつつあるんではないかというふうに思っております。そういう意味で、より一層教育番組のPRにつきましては努力をしたいと思います。  なお、先ほど指摘放送記念日の娯楽番組の御指摘は、あの日の一つのイベントとしてやったわけでございますが、たまたま二月一日のテレビ開始二十五周年のときには、逆に磯村君が司会者になりまして報道、教育、教養番組を中心に編成いたしましたので、両面について常に考えいかなきゃならないという姿勢は持っているつもりでございますので、御理解賜りたいと思う次第でございます。
  37. 中野明

    中野明君 それでは次に、問題になっておりますモスクワのオリンピック放映について、現在NHKとして、オリンピックの実況放送についてはどういう働きかけといいますかをなさっておるんでしょうか、全然なさってないのか、向こうからも何の働きかけもないのか、その辺の事情を説明していただきたいと思います。
  38. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) モスクワのオリンピックにつきましては、大変先生方に御心配をかけ、また視聴者の方々にも御心配をおかけしておりまして、責任者として申しわけないと思っておる次第でございますけれども、まあ経過的には御承知のような形でテレビ朝日の独占ということでございますが、おいおいそれらのことについて、私どもの方なりにNHKとしての立場努力をしておる次第でございます。ただ、NHKは、御承知のようにモスクワに交渉に参りましたときに、NTV、TBS、フジテレビ等を代表して先方に交渉に行った手前もございますので、まずそれらの方々との一応の立場上のコンセンサスを得ながら事に当たらなければならないかと思っておる次第でございます。したがいまして、いま具体的にどういうふうにしているかということをこの席でオープンに申し上げることはいましばらく御猶予を、時間を賜りたいと思う次第でございますけれども、そういう姿勢で事に当たっているということで御理解賜りたいと思う次第でございます。
  39. 中野明

    中野明君 八〇年にアメリカで行われます冬のオリンピック、これではうまく話ができたように報道されております。ですから、それができるぐらいならば——他の民放と一緒にやったからという御答弁なんですが、八〇年のがちゃんときれいにできるんなら、別に感情的な問題も何もないように私も思うわけですが、この間の議論でも出ておりましたように、八〇%ほどは見えるんじゃないかということでしたが、それでも見えない人が二〇%。ちょっと系列を私も調べてみますと、私の住んでいる四国なんかは全然いきません。それから北陸の方も見えないような感じです。もちろん沖繩の方も見えないでしょう。そういうことになりますと、もしこのままでいってNHKが話がまとまらなくってオリンピック放映をしないということになると、これは大変なことになるということを私は感じますし、見えない人は必ず苦情が出るです。  特に、後に触れたいと思っておりますが、受信料徴収については、これはもう会長さん御自身がよく御存じかと思いますが、現場では大変な苦労をしているわけです。営業担当の人たちは日曜も返上して、そしてそれこそ冬でも真っ黒になって一軒一軒むずかしいところに当たっておられる。この現場の受信料徴収の苦労というものを考えましたときに、これはもうすぐはね返ってくると思いますよ、もしそういうオリンピック放映ができないということになりますと。そういうむずかしい経緯というものは一般の国民の皆さんは関心がありませんし、わかりません。なぜNHKがオリンピックを放送しないんだ、これ一筋でくると思います。だから、私、前にも当委員会で申し上げましたように、会長さんが、こうこうこういう理由でNHKはオリンピックの放映をすることができませんでしたと、このようにいかに上手に御説明をなさっても納得は得られません。それよりは、不満足ですと、非常にNHKとしては不満足で、少し困るんですけれども、オリンピックの放送をしんどいけどやりましたと言った方が説得力はあるように思うのです。オリンピックを放映しなかった理由を何時間言われたって、見えない人は納得できないだろうと思います。その辺でやはり技術的な問題もありましょうし、タイムリミットの問題もありますので、あんまり悠長になさっておると間に合わなくなるんじゃないかという心配を私もしておるわけです。  先日は、大臣かなり前向きの御答弁をなさっておりましたので、私はその面に期待はいたしておりますけれども、やはり何といってもNHK自体が、どうしてもNHKの持っている使命というんですか、責任において、何が何でも全国民の皆さんにオリンピックの実況を見てもらうんだと、こういう出発精神で、積極的にこちらの方から他の民放にも働きかけていただいて、そして折衝していただかないと間に合わぬのじゃないかという心配をするわけですが、どうでしょう。
  40. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生指摘のように、その点については私どももやはりある意味ではタイムリミットがあるということを十分承知しておるつもりでございます。それなりに努力はしておるつもりでございますので、同じような御答弁でまことに恐縮でございますけれども、その点はいましばらく時間をおかし願えないだろうかと、こういうことでございます。
  41. 中野明

    中野明君 先日の御答弁で、大臣は、必ず全国のテレビを持っている人には見れるようにはする決意ですと、そういう見通しをおっしゃっておりましたが、そのとおり受け取ってよろしいですか。
  42. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 中野先生、大変御心配をかけております問題、私も放送事業者の立場、また世界的な行事、民族の祭典、いろいろ考えると、かなり重要な内容を含んだ問題であると考えます。正直申し上げて私なりにいろいろこれは心配をいたしておりまして、これだけではありません、適当な時期にうまく便乗いたしまして、先ほど指摘のとおり、全国民がこの祭典を茶の間で見ていただいて感激を覚えていただくような方途を講じたい。何せ、御承知のように放送権をめぐる問題というのはなかなかむずかしい問題でありまして、私は不介入の姿勢はくずしませんけれども、必ず近いうちに私も交えていただいて、いろいろと解決の方法を見出すためのチャンスをつくれるものと、またつくらねばならないと、こういった意欲に燃えておりまして、先般お答え申し上げたとおりに、このモスクワ・オリンピックが開催されるまで必死の努力は払って、その時点で先般の答えのとおりにいたしたい、かように考えている次第でございます。
  43. 中野明

    中野明君 そこで、いま大臣からも話が出ましたが、放送権の問題ですが、スポーツを含めまして、最近は放送権料が非常に独占権をめぐってと申しますか、値段が大変エスカレートをしてつり上がってきている、こういう状況を私も心配をする一人なんですが、結局はこれ民放さんにしろNHKにしろ、放送権料がつり上がってくると、最後は一般国民の皆さんにしわ寄せがいくわけです。NHKとしては受信料の値上げにつながっていくでしょうし、民放さんはやはり御案内のようにスポンサーが全部商品にかけてくるということになりますので、やはりこの放送権料の問題は非常にむつかしい問題だろうと思いますが、独占権をめぐって何かトラブルが起こってみたりあるいはちょっと行き過ぎてみたり、いろいろのことがあるんですが、大臣としてこの辺はどう御認識をお持ちでしょうか。
  44. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘のとおりに、最近のスポーツの放送権料というものは高額化しつつあることでございます。NHKも、相撲の放送権料もずいぶん高くつくようにも聞き及んでおります。しかしながら、どのような放送番組の素材をどのような条件で獲得するかは、これは放送事業者の責任であり、その自主的判断に任せられているわけであります。したがって、郵政大臣としては云々すべき問題ではございませんが、わが国の放送界の健全な発展を願うという私の立場といたしましては、各放送事業者は良識を持って、良識に基づいて競争をしてもらいたい。協調すべきは協調し、たとえば先ほど中野先生指摘のとおりに、モスクワ・オリンピックはうまくいかなかったが、次の冬季オリンピックは皆でうまくいったと、私はこの後者なんですね、やっぱり適当な競争は必要でありまするけれども、協調すべきは協調し、国民本位の放送事業者の立場をとってもらいたい、かように考えております。  そういう立場で、わが国の放送文化の発展に大いに寄与していただきたいと考えておりますが、しかし、現実に御指摘どおりの問題が起きているわけでございまするから、私は何か適当な機関をつくって、介入じゃなくて、NHK民放を問わず、指導せねばならない立場郵政省が中心になって、実は今朝も事務次官以下電波局長交えて、関係部課長とも、私から、何か考えねばならない時期が来たのではなかろうかというふうに寄り寄り相談をいたしている状態でございます。御指摘の点、私はもう謙虚に受けとめて、法律の許される範囲でひとつ積極的に取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。
  45. 中野明

    中野明君 これは民放さんといえども民間の純然たる営利追求をする会社とおのずと性格を異にしております。これはもう御承知のとおり、電波の割り当てを受けて独占的にやっている半ばやはり公共性を持った事業でございますので、それが営利追求一点張りで進んでいかれると、非常に問題が出てくるんではないか。最近は何か非常に利益も上がっておられるようですけれども、いろいろ聞くところによりますと、番組もほとんど下請に出して、そして値段を非常に厳しく締めているというような話も聞きますし、そういうことをやはり監督官庁としては一応承知の上で、今後いろいろの面で話し合いの機会をお持ちになったらどうだろうかということを思うものですから申し上げているわけです。  それで、時間の関係がございますのでもう一点だけ。NHKが行っております国際放送、この国際放送あり方政府負担率、これもたびたび問題になっておりますが、なぜ政府が実施命令を出しておって、そしてそれに見合うだけの金を出さぬのだろうか。これまた結局受信者にかぶってくるわけでありますので、この辺は大臣としても努力はなさっていただいていると思いますけれども、余りにも国際放送に出す国のお金が少ないんではないか、私もこう思っております。ことしの予算では少しずつ毎年のようにふえてはきておりますが、その辺は今後大臣として、やはり法があるんですから、法で政府が実施の命令を出した以上は、それに見合うだけの予算の裏づけをするべきではないだろうか。もちろんNHK本来の業務としての国際放送NHK努力でなさっている面もありましょうけれども、その分け方というのは非常にむずかしいと思います。ここからここまでがNHKの本来の業務でやっているもんです、これは命令でやった分ですという、こんな区別はできないと思いますので、その辺、NHKが国際放送にかけたお金の、大体どれぐらい国から出せば妥当だと、こういうふうな検討はなさったことはおありでしょうか。
  46. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私は政治家で、決して法律云々という筋合いのものではありませんし、余り好きではございません。したがって、それは一応法律では予算の範囲内なんて適当にやっておりまするが、御指摘のとおりに最近の国際情勢を考えると、私は国際放送の重要性というのは、これは当然深く認識いたしまして、この向上のために努力せねばならないということは、これはもう率直に認めたいと思います。また、何度も同じことを言うようでまことに恐縮ですが、郵政省予算は大体七%の伸びであったんですが、国際放送は、そういう立場で私は在留邦人に正しい故国の状態をお知らせする義務もあり、また諸外国に日本の姿を正しく認識してもらうためにも、これはもう大変重要なものだというので、ことしは二四・五%の伸び率を示しました。しかしながら六億九千万というまことに微々たるものでありまして、もう率直に五十四年度は思い切った増額を図る努力をしたいと、かように考えております。もうすでにことしは予算も終わってしまいましたので、努力の足らざるところはこれは心からおわび申し上げまするが、ちょうど私が大臣就任と同時に予算折衝に入ったものですから、経験も薄く、未熟なもので、御期待にこたえられなかったと思いまするが、五十四年度はそういう御意思を踏まえて、ひとつ国際放送の重要性を認識しながら努力を続けたいと、かように考えておる次第でございます。
  47. 中野明

    中野明君 NHKが国際放送に使ったお金の何%程度が妥当と大臣としてはお考えになるでしょうか。
  48. 服部安司

    国務大臣服部安司君) まことにお恥ずかしい次第ですが、内容は十分つまびらかでございませんので、早速委員会が終わりましたら、そういった資料を取り寄せまして、私なりに検討させていただいて、適当な機会に、きわめて早い機会にひとつお伝え申し上げたい、かように考えますので、御了承願います。
  49. 中野明

    中野明君 それでは、ここで大臣が所信表明の中でも述べておられますテレビジョン放送のVHF帯からUHF帯への移行につきまして、「近年における電波技術の進歩発展等の情勢にかんがみ、これを行わないこととし、今後は、このことを踏まえて周波数の適切な使用を図ってまいりたいと考えております。」ということで、このテレビジョン放送のVHF帯からUHF帯への移行の断念を内外に発表をなさったわけです。この移行、十年前に閣議にも報告をされて、そして電波行政の基本方針として発表になったこのV−U転換なんです。それを服部郵政大臣が、もうあれはやめましたと、こうおっしゃったわけですが、御感想を最初にお聞きしたい。
  50. 服部安司

    国務大臣服部安司君) V−U移行の問題について、私が就任早々、目標の十年後のちょうどめぐり合わせに会いました。もう正直申し上げて感想とおっしゃるが、私自身もかなり疑問点がありましたが、まあ御承知のとおりに全くこういった面には素人でございまして、かなり高度の技術と専門的な知識が必要でありますので、私が答弁をいたしまするとそそうがあっては大変だと思いますので、ひとつ専門家の電波監理局長から答弁をさせますから、御了解願いたいと思います。後でまた政治的な判断についての御指摘があれば、私がお答えいたします。
  51. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 御指摘のV−U移行方針の問題でございますけれども、撤回の基本的な考え方について御説明申し上げたいと思いますけれども、このV−U移行の方針を決定いたしました昭和四十三年当時の状況でございますけれども、移動用の重要無線通信に利用されておりました、当時非常に小型で軽量で使いやすいと申しますか、雑音も少ないというVHF帯の周波数に対する各方面からの需要が非常に殺到しておった時期でございました。その当時に重要無線通信の著しい需要増加が認められたということも実は事実でございまして、そういう中で移動用の重要無線通信用の周波数を確保する方策といたしまして、テレビジョン放送で使用しておったVHF帯の電波を重要無線通信のために開放することもやむを得ないということでこのようなV−U移行の方針が決定いたされたものというふうに私ども考えておるわけでございます。  しかしながら、先生承知のように、その後におきまして、VHF帯の周波数につきましてもいわゆるテレビジョンに使っておる周波数帯ばかりではございませんので、六十メガサイクルあるいは百五十メガサイクル、そういった周波数におきましてチャンネルセパレーションの縮小でございますとか、あるいは多周波切りかえ方式の採用でございますとか、いろいろと電波利用の効率化を進めるために努力をしてまいったわけでございまして、その後における電波技術の進歩、発達によりまして、三百メガサイクル以上のいわゆるUHF帯の電波の重要な移動通信用への利用可能分野というものも著しく進歩を果たしたわけでございまして、現在の情勢を勘案いたしますと、今後はUHF帯の利用でおおむね今後の重要無線の需要に対応できるという見通しが得られましたので、V−U移行を行わないということにいたしたわけでございます。
  52. 中野明

    中野明君 いま監理局長は、十年前やむを得ないというような表現をなさいましたけれども、そんなものじゃなかったはずです。もうあのときの大臣の談話は、そうすることが望ましいと。テレビの電波の割り当てはVとUと二本立てにするよりも、テレビは一カ所へ片寄って、UならUで一本にまとまってくれた方が望ましい、こういうふうに強くおっしゃっております。望ましいことはいまも変わらぬでしょう。二つにしておくよりも一つにまとめた方が望ましいということについてはいまも変わらぬのじゃないですか。どうですか。
  53. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 当時におけるVHF帯とUHF帯を取り巻く技術的な、あるいは工業的な環境と申しますか、あるいは国民がテレビなりを見ております環境と申しますか、そういうふうなものと、現在のVHF帯、UHF帯を取り巻く環境と申しますか、相当変わってきておると思います。そういった意味から申し上げますと、当時におけるテレビがVからUに移行することによって出てまいりますいろいろな問題点よりも、現在の時点におきましてV−U移行を取りやめることによりまして、たとえば送信側におきましても直ちに、まあ現在の施設のままで放送が継続できる、あるいは重要通信そのものも、今後移行を待つまでもなくUHF帯が使用できる。で、国民、受信者にいたしましても、V、Uのオールチャンネル受像機が、その後の技術的な革新もございまして非常に高品質、低廉化を果たしてきておるというような事情から見ますると、必ずしもV−U移行を果たした方がよかったかどうかということにつきましては、当時の見方と若干異なってきておるんではなかろうかというふうに考えております。
  54. 中野明

    中野明君 そんなことは十年前から議論になっておるんです。十年前からもうUは移動用に使えるという実験も進んで、私どもはだから時期が早いと。そんなことはもうできっこないんだからやめなさいと言っているのに、無理やりにやったんじゃありませんか。そして、結局、いまになったらできませんでしたといって、電波の行政の基本にかかわる問題を、そんなに簡単にやられてはたまったものじゃないというのが私どもの気持ちであります。いまおっしゃっていることはよくわかりますよ。わかりますけれども、じゃ何で十年前にこういう、あの当時としては私どももびっくりしたわけですわ、乱暴な発表をなさって。そのためにどれほど皆、物心両面で大騒ぎをしたことか。これはもうあなたも御承知のとおりです。あのとき、どうでしょう、NHKの方としてはVからUへ切りかえるために試算をなさったと思うんですが、どれぐらい金がかかる計算になっていましたか。
  55. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 四十四年当時、私どもの持っておりましたVHFの総合並びに教育テレビジョン局の施設を新たにUHFでつくりますと、ほぼ九百億程度かかるであろうという試算をいたしました。現在の価格、その後の物価上昇を考えますと、二千億程度にもなろうかと思う次第でございます。
  56. 中野明

    中野明君 ですから私は、大臣、本当に率直に物をおっしゃっていただいた方が、みんなが納得するんじゃないかと思うんです。確かに十年前は、大臣が言われたように、テレビにしてもやはりVとUと混在しているよりはどっちか一緒の波の方へ、テレビはテレビで片寄ってくれた方が望ましいことは理想です。だれでもそう思います。けれども、理想と現実というものはそんな簡単なわけにいきません。残念ながらわが国はVが先発したものですからね、ですから両方混在になっておるわけですから。しかし、望ましいということは確かにそのとおりなんです。望ましいけれども、現実の問題として、NHKもいまお答えになったように二千億も金がかかる。この財政の窮乏のときに二千億も金がかかる。あるいは民放さんも同じぐらいまたかかるでしょう。そういうことを考えると、望ましい姿であったけれども、現実こういう経済的な事情もあるし、また技術もその後発達してきてその必要もなくなったので、理想の形であったけれどもこのようにいたしますと、だから、御心配をかけた、あるいはむだな金を使わしたところには大変済まなかったと、一言これは要ると思うんですよ、これは、そのために大騒ぎしたわけですから。そして、メリットのあった人もおるでしょうけれども、デメリットのあった人もおるわけですから、その辺、大臣、改めて率直な大臣のお気持ちをおっしゃってください。
  57. 服部安司

    国務大臣服部安司君) このV−U移行を、ちょうど私が就任直後、事務当局から指示がありまして、私は抵抗しました、正直言って。もともと決めて閣議決定していたものをなぜいまごろ変えるんだと。じゃ、いま先ほど言ったわかったようなわからぬような技術的なことを言われると、こっちは素人だから、ああそうかと。私はもう率直に申し上げてこういう抵抗もしました。あなたおっしゃるとおりに、UはUで一つにやった方がいいんじゃないかと。二千億かかるというのは初めて聞いたんですが、ある程度の経費はかかるだろうけれども国民にすれば大きな迷惑なんだと。Vならもうちゃんちゃんと見られるやつが、こんなUが入ってくると、いやそれはもうちゃんと機種に組み込まれておる、そんなことあるか、アンテナ買わなかったら映らぬじゃないかと。これは国民の側だって大きな迷惑だから、これだめじゃないかということを言ったこともまだはっきり記憶に残っております。しかし、そのようにこの時代に何千億という金がかかるとなると、これはもう全国的に大変なことであるということも私も認めて実はこういう発表をいたしました。十年前にはその立場で、そういった方がいいというふうに判断されたのでありましょうが、今日の時点で、私は理想は十分わかるが、現実はかなり厳しいのでこういった方法をとったと、はっきり申し上げたいと思います。
  58. 中野明

    中野明君 大体十年前に無理があったものですから、いま非常に苦しんでおられるように思いますけれども、とにかくこの一つの例を考えてみましても、メリット、デメリット、恐らくその放送の、民放NHKもそれこそその準備で大騒ぎをしてあれをしたわけなんですが、もう一点だけちょっと聞いておきますけれども見通しが得られたからもうここで十年でやめたというんですけれども、大体大丈夫だという見通しが得られたのはいつごろですか。きのうやきょう見通しが得られたんじゃないでしょう。V−U転換をすることを断念したという見通しを得られたのはいつですか。
  59. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 先ほど申し上げましたように、昭和四十三年にV−U移行の方針が定まりまして以降、種々の技術的な方策を検討いたしてまいりまして、昨年の春、八百メガヘルツ帯——UHF帯の相当上の方の周波数でございますけれども——がある程度の考慮を払えば陸上移動業務に使用が可能であるという答申、これを郵政大臣の諮問機関でございます電波技術審議会の方から御提出をいただいたわけでございます。それで一方、それに対する種々の実験結果あるいは今後の八百メガヘルツ帯の使用の可能性の検討、そのようなことと並行いたしまして、諸外国におけるいわゆる重要無線を含む移動業務がUHF帯で現在あるいは将来どのように使われるであろうかというような検討、そのようなことをいたしました。さらには四十三年以降チャンネルセパレーションの縮小その他、あらゆる面からの検討を続けておったわけでございますけれども、VHF帯、UHF帯における陸上移動だけではございませんで、海上移動あるいは航空移動の需要が今後とも継続するであろう、需要の増加が継続するであろう、そのような需要を吸収するに必要な技術開発というものが当然必要になるわけでございまして、そのようないわゆる検討も続けてまいったわけでございます。その結果、先生承知のように、ことしの二月の一日でございましたか、その直前に郵政大臣に御決定をいただいたということでございます。
  60. 中野明

    中野明君 何で私がこういうことを言うかといいますと、このV−Uの転換の方針は、大臣が断念を発表されるまでは生きているんでしょう、郵政省のこの電波行政の基本方針として。VからUへ移行するという方針は生きているわけでしょう。生きているのだったら、どんな努力をしてきたか。全然努力していないんでしょう。やりっぱなしでしょう。発表しただけでしょう。ただ、テレビを、受像機をオールチャンネルに早くつくってくれという程度のことで、ほかのことは何にもできておらぬじゃありませんか。だから、それだったらもっと率直に、早く——大体私の推定では五年ぐらいたった時点でもうこれは無理だということをお感じになっておったんじゃないかと思うんですよ。その時点でどうして発表なさらぬのですか、こう言いたいわけです。もう時間が来て、十年ぎりぎりになって。だからいまの服部郵政大臣は運の悪いときに大臣になったということです。そんなことを発表しなければならぬときの大臣というのは気の毒です。本当にこれは現実的に無理だということがわかったら、早く発表する方が、やはりあらゆる面で私は技術の革新にだってつながると思うのです。御承知のように、非常に伝搬力の強い、使いやすい、実用化しやすいVを明け渡してUへ切りかえてもらうというのですから、やはり使いやすい方が開放されるということになると、技術の革新はそれだけおくれるわけです。しかし、あけないということになると、競って皆がUHF帯の開発努力をしておったはずです。そうすると、これは技術革新にも大きなマイナスになっていると、こういうことも言えると思います。  それから、もう一つ私言っておきたいのは、東京、大阪は、東京エリアとそれから関西方面、ここはいまなお基幹局、キー局は全部Vです。VHF帯専門です。そうすると、東京、大阪、ここだけで、私どもが推定で計算してみますと約七百五十万台ぐらいテレビがあります、東京、大阪のVだけで見えるところ。そこの人たちが、要するにオールチャンネルのテレビしかいま売っていませんから。電気屋さんへ行ってもオールチャンネルのテレビしか売っていません。だけれども、東京、大阪方面の人たちは従前どおりのVHF帯専門のテレビでも見えるわけです。十二分に見えるわけです。そういう人たちが、郵政省がそういう方針を決めたために、値段で言えば恐らくオールチャンネルですから、そういう付属品がついているから私は高いと思いますよ。高いテレビを七百五十万台の人は買わされたということです。郵政省がよけいなこんな方針を発表しなかったら、そのままでずっとVも製造しておったでしょうから、七百五十万台の人は、その中には、アンテナをとんでもなく延ばしてUも見たいという人もおるでしょう。けれども、大多数の人はVHF帯だけで十分見れたはずだ。いま買いに行ってもありませんよ、製造はもうそれしかしていないのですから。だから、前回方針を発表されたときに、通産省を通じて、将来テレビは全部Uになりますので、オールチャンネルのテレビをとにかく製造してもらいたいと要請をなさったんですが、今度断念をしたわけですから、通産省の方に、何かメーカーの方に、こういう事態になりました、東京、大阪はV専門のテレビもつくって店頭に出すように、そういう要請をなさるつもりがあるかどうか、その辺どうでしょうか。
  61. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) わが国のテレビジョン放送は、御承知のように全国的に原則といたしましてU、V混在ということでございますので、各地で受信するには、御指摘のように、いわゆるオールチャンネル受像機がどうしても必要になるわけでございます。そういう状況の中で、通産省の方の御協力も得まして、カラーテレビ受像機の年間生産台数が逐次ふえてまいっておりまして、約九百六十三万台のほとんどが御指摘のようにオールチャンネル受像機ということでございまして、その価格につきましても大量生産のメリットを生かしまして順調に下降の傾向をたどってまいってきておるわけでございます。そういった意味で、VHFのみの受像機を生産いたしました場合、どれだけの需要があるかということも問題かと思います。  と申しますのは、東京、大阪といったV局のみの地区におきましても相当程度近隣府県のUHFテレビ局の放送が受信できますし、またこれらの地区の方々は相当出入りが多いというような状況から勘案いたしますと、VHFだけではなくてオールチャンネル受像機の方が使用効率がいいのではないか。さらに今回の移行中止によりましても、従来予定いたしておりましたUHF帯による放送大学の開設といったものを目途といたします周波数の確保というようなことを考えますと、全国的な規模でのオールチャンネル受像機の普及は今後とも必要ではないか、従来と異なった方向に行く必要はないのではないかというふうな考え方を持っておるわけでございます。  また、そのオールチャンネル受像機とVのみの受像機の製造価格の関係でございますけれども、具体的に申し上げますと、若干確かにVのみよりもオールチャンネルの場合にはパーツの増加ということはございます。しかしパーツ個々にとらえてみますと、せいぜい数百円というふうな価格のように承知をいたしておりまして、従来の量産によって品質を高度化しコストを下げていくという中でほとんど吸収されておるように見ておるわけでございます。そういった意味で、いま直ちに通産省に対しまして、この前V−U移行を始めますときに要請いたしましたようなことを、今後VHF受像機につきまして要請する考えはないわけでございますけれども、たしか先生おっしゃいますように、四十五年ごろだったかと思いますけれども、当時の電波管理局長から通産省の重工業局長に対しまして、オールチャンネル受像機のひとつ開発、生産の促進、あわせて価格の低廉化につきまして御要請をいたしたことがございます。そういった意味で、今回、先ほど申しましたようにその方向は変わらないわけでございますけれども、このようにいたしましたという御連絡はしたところでございます。
  62. 中野明

    中野明君 放送大学のことをおっしゃったですけれども、まだ海のものとも山のものとも、放送大学はいつかわかりませんよ。そういうことで言い逃れをしてくれては困るんですが、やはりもっと親切に、だって安いんですから。オールチャンネルよりVHFの方が安いんです。私も白黒はまだつくっている会社がありますから調べました。一台で三千円ぐらい違いますよ、白黒で。だからカラーにしたらもっと違うと思うんです。そして総理大臣はしょっちゅう省資源や省資源や言い出したでしょう。余分なものを要らぬのにつけておく必要ないでしょう。それでも資源の節約になるでしょうし、欲しい人は、両方出ているんですから、やはり選択できるようにしておいてあげるのが親切じゃないですか。私はそう思うんです。  それね、なぜ安くなるかといいますと、局長も、大臣だって御承知だと思います。東京の一流のホテルに泊まってごらんなさい、ホテルは全部カラーのV専用のテレビです。千台なら千台、二千台なら二千台まとめて特注しています。それで十分なんですから、ちゃっかりやってるんですよ。やはりホテルは営業政策で一銭でも安い方がいいということで、わざわざ特注してVだけしか見えぬカラーテレビを全部据えていますよ、各部屋に。向こうは営業ですから高いものをわざわざ特別注文して部屋に入れぬでしょう。ということは安いということです。これは単なる一例ですよ、一例ですけれども郵政省電波の行政の方針を転換しただけでもそれぐらいに影響があっちこっちに出ているということです。そうすると、結局東京、大阪の人たちは、不要なものがついている高いテレビを買わされておったと、こういう言い方もできるんです、ちょっと言い過ぎかもしれませんが。  で、何か移動が多いと言われますけれども、移動だって、東京一千百万の人が全部移動するということは考えられません。移動するのはその一%か二%程度しか移動しないと思う。そんなことはぼくは理由にはならぬと思いますが、いずれにしてもこういう問題で迷惑をかけたことは事実です。だから、こういう大事な根幹にかかわるような基本方針はそうやたらに発表してくれては困るし、発表したら変えてくれては困るということです。この点は大臣、よろしくひとつ今後のこともございますのでよほど慎重に、こういう基本方針の変更のときはやはりあらゆる意見を聞いていただいて慎重にしていただきたいということを申し上げたいと思います。
  63. 服部安司

    国務大臣服部安司君) きわめてごもっともな御意見で、私はもう先ほど申し上げましたように技術者じゃありませんので、専門的な知識はありませんが、かなり御質問の内容は重要だと思いますので、検討をお約束いたします。
  64. 中野明

    中野明君 それじゃ、時間がなくなりましたのではしょってやりますが、その次は、やはりNHKの問題として一番問題になるのは受信料の問題でございます。この受信料の性格ということでいろいろ過去から定義づけられてはおりますけれども放送法で明確に規定をされているわけですが、最近、受信料を結局払わない人、これが非常にふえつつあるということで、私どもも非常に憂慮しているわけです。  最初大臣にお伺いをしたいんですが、受信料は一応法律で決まっているわけなんですが、罰則はついておりませんけれども、契約をしなさいということになっています。この受信料を払わない人に対して、大臣としてはどういう考えをお持ちですか。
  65. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 法律にもはっきり明記されておりますることは御指摘のとおりであります。私といたしましては、公共放送NHK経営は現在は必要でありますので、できれば国民全体、すなわち受像機を持つ方々負担において経営が成り立っておるわけでありまするから、声を大にして国民の良識に訴えて御協力を賜りたい、かように考えておる次第であります。
  66. 中野明

    中野明君 非常に前々から、これは私、小宮山大臣のときも申し上げたんですがね、不払い運動を一生懸命やっておるような人がおりまして、そうしてチラシをまいたりしている。だけど、法律では契約するようになっているんでしょう。非常にこれは紳士的な法律ではあります、罰則はありません。しかし、最近、何かNHKの営業の方が行かれると、罰則がないから払わぬというような人もふえつつあるというんですよ、罰則がないから払わぬと。これじゃ法律があってなきがごとしということにもなってしまうわけですが、法がある以上はやはり法を守るという、こういう姿が出てこないと、これは日本の国は法治国家であり民主主義の国なんですから。これを本当に私ども、——NHKもそれは一生懸命努力はしているでしょうけれども郵政大臣として、最高責任者というのですかね、放送の監督の責任者として、何か談話というんですか、何かの形で、法律ではこうなっているんだ、だからこの受信契約をしない人はこれは法律違反なんだから、それじゃ困るというようなアピールというのですかね、そういうことをされる気持ちはありますかね。  いろいろけさからわれわれの党でもずいぶん議論になっておりますが、あの成田の空港の問題にしても、ああいう不法行為が横行するような社会というのは、これは困ったもんです。法治国家としては厳とした態度が必要でありますし、それもやはり法を守るというところから出発しなきゃなりません。そういう意味で、何かこう大臣として御検討をされて、しかるべき処置をおとりになるお考えがあるかということです。
  67. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 中野先生の御指摘のとおり、私も同様に憂慮をいたしております。この受信料NHKの業務を行うための費用でありまするから、最近のように不払い者がどんどんふえてまいる、経営者NHK努力はしていますが、ふえていきますという状態、それはもう大変将来に私は杞憂いたしておりまするが、私は理想的な法律だと思うんです、罰則をつくらないで国民の良識に訴えるということは。しかし現実にそれが、法治国家でありながら罰則がないから守っていただけないとなりますると、どういった施策を講ずべきか。  先ほど前田先生にお答えいたしましたが、NHKの今後のあり方について私が厳しい姿勢で臨みますという半面、こういった財源の裏付けについても、どのような措置をすれば最も理想的な姿になるかということも真剣に現在は取り組んでいる実情でございます。近く先生方の御意見もお聞かせいただいて、何かのひとついい方途を講じたいと考えておりますので、よろしく御理解を賜りたい。言うならばこのいわゆる受信料は、法律に定められたとおりに、すべての国民の理解と協力で納めていただかなかったならば、NHK経営に大きな支障があるという観点に立って先ほど来申し上げた次第でございます。
  68. 中野明

    中野明君 NHKお尋ねしますけれども、この受信料を契約をしてもらう、あるいは受信料徴収する、こういう営業関係に携わっておられる人数はどれぐらいになりますか。
  69. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) お答えいたします。  NHK職員でこの営業の仕事に携わっておる者、これは内勤の職員、それから外務の職員、合わせて大体二千名、そのほかにこの集金を委託いたしております委託の集金の方が約四千名でございます。
  70. 中野明

    中野明君 非常にその営業の人たちの苦労を考えますと、これはNHKとしては大変なエネルギーだと思います。民放ともう比べるわけにはいきませんけれども、ここ数年の状態を見ていると、だんだん民放に追い抜かれて完全にほかされてしまっているような感じです。民放一社にも及びつかないような時代がもう目の前に来ているような気がするわけなんですが、その一つの理由として、やはり大臣、営業、この受信料徴収にすごいエネルギーがつぎ込まれている、これがほかの面につぎ込まれていけば、また経営内容についても、番組内容充実についても、大変な影響を持つんじゃないかと、こう思うわけです。そういう意味で、この受信料の問題ということはこれはもう重要な問題になってくると思います。NHKがこのままで受信料を集めるのに労力をつぎ込んでいかなけりゃならないことがだんだんふえてくると、ますます民放との格差が逆格差になってくるのじゃないか、こういうことを心配しておるわけであります。  そういうことで、この受信料不払いに関連しまして——きょう、外務省来てくれていますかしら。米軍の受信料不払いについては、外務省の見解と、それから向こうにどういうふうな話を持っていっていただいているのか、ちょっとその辺をお答えいただきたいんですが。
  71. 丹波実

    説明員(丹波実君) お答え申し上げます。  まず、本件につきましては、地位協定の第十三条三項におきまして、軍人、軍属及びその家族が一時的に日本にあることのみに基づいて日本に所在する有体または無体の動産の保有、使用、移転についての租税は免除される、こういう規定になっておりまして、日本政府見解といたしましては、NHK受信料というものは、ここで免除の対象となっておる租税というものには該当しない。したがって、地位協定上の見解といたしましては、これら軍人、軍属、家族が個人的に所有しておるところのテレビについての受信料は支払うべきものであると、こういう考え方でございますが、本件につきましては、アメリカ側は、従来、たとえばスターズ・アンド・ストライプスであるとか、あるいはNHKと現在接触が行われているわけでございますが、そういうところでアメリカが表明してきた見解と言いますのは、NHK受信料というのはここで言うところの租税に該当するので、したがって免除されるべきものであると、こういう考え方をとっておると承知しております。
  72. 中野明

    中野明君 外務省としては、米軍とこの問題については話し合いをなさったことがありますか。
  73. 丹波実

    説明員(丹波実君) 本件につきましては、衆議院の委員会審議の段階で外務大臣からお答えしたところでございますが、この問題につきましては、このように受信料の性格について意見の対立があるわけでございまして、このような対立あるいは誤解に基づくことかとも思いますけれども、このような問題についてはまず米軍当局とNHKが話し合うべきではないかと、その結果どうしても話し合いがつかないということであれば、あるいは郵政当局がアメリカ側と話し合うべきではないだろうかと、そういうことを踏まえてどうしても話し合いがなお滞るという段階で、外務省としては、郵政当局側とも話し合って今後この問題をどう動かしていくかを検討したいと、こういう考え方でございます。したがって、先生に直接お答えいたしますと、正式に本件について外務省として米軍と話し合ったことはいまのところございません。
  74. 中野明

    中野明君 非常にアメリカならアメリカに対して、そういう点ではもっと言うべきことは言うてほしいという気もするわけですけれども、やはり手続上の問題がおありのようですから、その点はNHK郵政大臣、先日来、当委員会で表明なさっておりますのでそれ以上申し上げませんが、一日も早くこういう問題もすっきりしてもらいたいと、こう思います。  なお、受信料不払いの中には、テレビが見えないという不払いもあります。このことについて、先日も郵政大臣は建設大臣にお話しをして、何とかいわゆる公共事業が原因で電波障害が起きるようなことについては、建築基準法の検討も建設省で入られたというようなことも聞いておりますし、いま、当面問題になっております池袋のサンシャインですか、あれについて、最初に、建設省の方おいでいただておりましたら、要するにこの電波障害について、建設省としてはどういう作業をいまお進めになっているか、お答えいただきたいんです。
  75. 和田友一

    説明員(和田友一君) いま先生からもお話ございましたように、私ども従来から郵政御当局といろいろとこの問題について検討さしていただいておりまして、現在いろいろ郵政御当局でも御検討のようでございますけれどもテレビジョン放送難視聴対策調査会に基づきます御報告の中にございますような、そういうような抜本的な、法律的な、あるいはしっかりとした制度的なそういった解消を一日も早く講じていただきたいと、かように考えているわけでございますが、当面の施策といたしまして、五十一年三月に郵政省から出されております受信障害解消についての指導要領がございます。それによりまして、暫定的な措義ではございましょうけれどもその範囲内において指導しておるというのが現状でございます。  なお、いま先生から御指摘がございましたように、服部大臣から、私ども大臣の方にお話がございまして、建築基準法という立場から何がしかの検討ができないかという御指示が私どもの方にございまして、現在、郵政御当局とも御相談をしながら検討さしていただいているという現状でございます。
  76. 中野明

    中野明君 都市の電波障害というのは、これはもう大変な問題になってきておりますし、それにつきましてはやはり受信障害の認定基準の策定と、そして紛争処理機関の設置というのは、これはもう急を要しておるということはたびたび指摘されておるところでございますが、やはり大臣努力していただいて、できるだけこれは建設省と話を詰めていただいて、建築基準法の中でやはり法的に一つの裏づけをつけるような、そういう対策をぜひ講じていただかないと、ますますこれ混乱をして問題が複雑になってまいります。  そこで、池袋の問題については、NHKとしてはどの程度の影響と、そしてこれを直すためにはどれぐらい金がかかるんですか。
  77. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 池袋のサンシャインビルの影響につきましては、前々から調査を進めてまいりました。昨年の九月でございますか、ほぼ外壁が完成に近い状態になった、外壁ができ上がったという状態で、これの障害状況がほぼ安定したと解釈をいたしまして、その時期に最終的な調査をいたしたわけでございます。その結果わかりましたこと、この委員会でも前にも申し上げたかと思いますけれども、豊島、板橋地区方面、つまり北方面に対しましてビルの完全な影の地帯が出てまいります。そのほかに、東西方向に向かいましてビルの壁面から反射をした電波が、直接テレビ塔から参ります電波との間に時間的なおくれがあります関係上、ここにゴースト障害が発生をしておる。そのほかに、ビルの非常に近辺、南側のビルの近辺におきましても、ビルの壁面からの乱反射によります受信障害が出ております。そういうものを合わせまして約十万世帯が被害を受けておるものというように考えております。  そのうちで、現在のところ北の方の影になります地域、豊島区に関しまして、約五千世帯余りの共同受信施設がサンシャインビルの責任において完成をいたしまして、板橋区の千世帯分について現在工事が進んでおるというふうに伺っておりますし、ビルのすぐ近辺の、いわゆる近傍の受信障害につきましても、約二千世帯余りにつきまして対策が終わっておるというふうに伺っております。全体、これを完成すると幾らかかるかという御質問につきまして、正確なことを申し上げるのは非常に困難でございますけれども共同受信施設の標準施設単価、工事単価で申しますと四、五万はかかるというのがいままでの実績でございます。したがいまして、いま申し上げました工事の終わった分も含めまして約十万世帯を対象に考えますと、四、五十億という金になろうかと思います。
  78. 中野明

    中野明君 いよいよ都市の難視というものが大変になってきておるようでありますので、大臣よろしくひとつ。  それでは時間も参りましたので、気象庁に来ていただいておりますので、天気予報のことだけちょっとお尋ねして終わりたいと思いますが、昨年、私、沖繩の石垣島に台風が参りましたときに現地へ行ったわけですが、そのときに一番最初に出てきたのが、天気予報の情報をもっと正確に流してほしいという、特にそれが一般の国民方々認識が間違っておられて、NHKが間違った天気予報を出したというのでずいぶん文句が出ておりましたので、その点は、NHKが天気予報を調べているんじゃないということは言っておきましたが、台風情報についてはどうなっているんでしょうね。気象庁の方、見えておりますか。——中央へ一遍全部集めて、それから流されるんですか。この前石垣島へ参りましたときは、何か沖繩で言えば沖繩の先島方向へ向かっている、こういうテレビを通じての台風情報であった。ところが、先島と言っても宮古島もあれば石垣島もある。だから、何かこう沖繩本島を中心にして流してくれるものだから、石垣島の人たちは、先島と言っているから、ああそれなら宮古が自分よりも向こうだから、宮古へ来たころから準備すればいいわと思って油断しておったら、もう八キロのところへ来ておった、こう言って大騒ぎをして、そのためにずいぶん屋根が飛んだとか何とかいって苦情を言われたのですが、システムはどういうことになっているんでしょう。  それから、昨年同じく九州の方に台風が変なかっこうで行ったり来たりしたことがあったんですが、ああいうときの情報というのはどうなっているのでしょうかと思ってちょっとお尋ねするわけです。
  79. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) ただいまのお話二つございます。一つは、われわれ資料を作成するという問題が一つございます。それから一つは、報道機関そのほかの御協力をいただいて、われわれのつくった情報を伝えるという問題がございます。  後者の問題について申し上げますと、なるべく早い時間に情報を伝えるということで、最終的には府県、そこが中心になりまして、NHKその他の報道機関に伝えるようにしております。たとえて申し上げますと高知の場合には、高知気象台から高知、あるいは愛媛の場合には松山の気象台からNHKの四国本部という形になっております。  それから情報の作成は、そこですべてをやるというわけではございませんで、最近非常に通信網が発達しておりますので、全体の非常にたくさんの資料を使うような場合には本庁でやっております。それを受けて、その場所で適宜早くやった方がいいというような情報は地方気象台その他でやっております。
  80. 中野明

    中野明君 これはNHK視聴率を見ましても、天気予報というのは非常によく見られておりますし、確率も七〇ぐらいですか、非常によくなってきているということなんですが、台風の情報は、いまお話が出ましたように、ぼくは高知県なんですが、高知県の場合なんか非常に的確に情報を刻々と出していただいて、非常に感謝しておるんですが、沖繩に行ってその話を聞いてぼくもびっくりしたんですが、あれは何か手違いかなんかあったんですか。その辺どうでしょう。
  81. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 高知の例を申し上げますと、高知はちょっと特殊でございまして、非常に台風常襲地帯ということで、自治体の側の方も、NHKの側の方も非常に熱心でございまして、特に、去年からわれわれ気象台の中にミニ放送局のような形で開設ができまして、そこで予報官と協力して情報を伝えるという状態にまでなっております。  それからいま御指摘いただきました沖繩、沖永良部台風の場合は、実は多少の手違いがございました。沖繩から情報を伝える場合と、それから鹿児島の気象台で情報を伝える場合との受け渡しの問題がございましたが、その間が多少われわれの方としても問題があったというふうに考えております。現在、それの改善策はNHKの御協力をいただいて進めることができるようになったというふうに考えております。
  82. 中野明

    中野明君 天気予報については、地元も直接被害が出たりするものですから、皆、非常に敏感でございますので、今後も一層努力をお願いしたいと思います。  じゃ、沖繩の話が出ましたので、最後にもう一点だけお尋ねして終わります。  七月三十日に、沖繩は、御承知のように交通方法が右から左に変更になります。これは初めてのことで、県を挙げてPRに非常に苦労しているようですが、NHKとして、この交通方法変更に伴う報道関係、PR、これはどのようなやり方をなさってきたか。また、今後、いよいよ日が近づいてまいりました。それについて、県民に周知徹底の上から、NHK公共放送としての性格としてかなりやっていただいていると思いますが、具体的に、いままでやってきたこととこれからやることをお示しいただきたい。
  83. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  約一年前、すなわち去年の七月ごろからNHKはこのキャンペーンを実施したわけで、言うまでもなく円滑な運行により犠牲者が一人でも少ないように、あるいは混乱が少しでも減るようにという趣旨でキャンペーンをやったわけでございます。そして、大体そのころからずっと、一カ月一遍くらいのわりでキャンペーンを展開しているわけでございますが、ことしに入りましてからは、四月から六月までは十五分ローカルで週一回のキャンペーン、二十分ローカルで週約一回のキャンペーンを行い、七月以降八月終わりまで、週二回のキャンペーンをする以外に、不定時に番組を組みましてこの問題に対処したいと思っております。また、長時間討論等も実施いたしましてこれをする予定でございますが、それに先立ちまして三月の十日ごろ、世論調査等を行ってその準備に取りかかっているという次第でございまして、私たちとしてはローカル放送のこの部分に対しては全力を挙げて取り組む姿勢を見せております。
  84. 中野明

    中野明君 これで終わります。
  85. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  86. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  87. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、NHKの五十三年度予算案の審議に関連をいたしまして質問をしたいと思います。  私は、NHK予算案審議は初めてでございますので、基本的なところからひとつ教えていただきたいというふうに思いますので、最初にお願いをしたいと思います。  NHKというのは、放送法に基づく特殊法人という経営体で、わが国唯一の公共放送事業体だというふうにNHKの概況には述べておられます。そしてNHKというのは、国の出資を受けない、まだ、特定の資本によることなく、全国視聴者から受信料を受け取って、それを財源として築き上げられてきたものだ。したがって、NHK財政的基盤というのは、日本公共放送として国民の信頼にこたえるために、言論・報道機関としての番組編成の自由と経営の自主性を確保することが何よりも大切だという意味のことが記載されておりますけれども、この基本原則というのは、いまも変わりないわけですね。
  88. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) おっしゃるとおりでございます。
  89. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣、当然のことだと思うんですけれども、御確認できるんですね。そのとおりですね。
  90. 服部安司

    国務大臣服部安司君) そのとおりでございます。
  91. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、受信料の値上げをいたしましてから三年目の五十三年度、それからNHK収支試算表を拝見いたしますと、昭和五十五年度には八百九億円の収支不足になるというふうなことが出ております。また一方、大臣意見書によりますと、「公共放送機関としての経営責任を全うするため、長期的展望に立って事業運営の刷新、効率化を図るとともに」、それから「受信料改定を極力抑制するよう努めるべきである。」と言われております。こういう状況のもとでは経営改善いかにあるべきかというところが問われていると思うわけですけれども、片や八百九億、毎年毎年収支不足がふえて五十五年度には八百九億というふうなことになり、片や大臣意見書では、できるだけ経営の効率を上げてしかも受信料の引き上げを極力抑制しなさいというふうに言われておりますので、こういう非常に困難な現況に立って経営改善がどのようにやられるかということがいま一番問われていることだと思うわけです。過日来の質疑応答の中でもこの点は非常に重視をされて質疑が交わされてきております。その点で、この一番大事なしかも困難な情勢の中で、しかも経営改善いかにとり行うべきかという基本方針というのはきわめて大事な点だと思うのですが、まず、会長の御見解をお伺いしたいと思います。
  92. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 当委員会でも御答弁申し上げておりますように、五十一年度に値上げを御承認いただきまして、三カ年計画につきましては、毎々申し上げますように、初年度に暫定予算というようなことでかなり大幅な収入不足を生じましたけれども、その後、われわれ経営努力をいたしまして、一応お約束の形で五十三年度までは値上げをしないということで経営努力をしたつもりでございます。五十四年度以降は、当然、お手元に御提出申し上げましたような資料に基づましても、相当収支の不均衡が拡大するというふうなことで、きわめて経営環境が厳しいということは予測しておるわけでございますが、これも、長期計画担当の山本専務が午前中申し上げましたように、拡大要素を極力抑えましてそして経営努力を行うということをまず第一に考えたい。そのテーマといたしましては、当然受信料制度を守るための不払いに対する対応であるとか、あるいは今度も御審議いただいております受信料免除の問題であるとか、あるいは国際放送等に対する政府の交付金の増額等々、そういうことにつきましてもできるだけ御理解を賜りながら、直ちに受信料改定というような安易なところへ結びつけない努力をすべきであろうというふうに現在では考えております。しかし、何と申しましてもNHK基盤を支えますのは受信料でございますので、ある時期には受信料改定をお願いする事態があり得るということも、これも御理解賜りたいと思う次第でございますけれども現状では、それに先立っていま申し上げました諸点を中心に経営努力をして、できるだけそういう御心配をかけないような努力をまずすべきであろうというふうに認識しておる次第でございます。
  93. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、NHKの長期的展望に立つ場合に、改善の方途というのは、いま会長がおっしゃったように経営改善努力企業努力、そういうものをできるだけ詰めてやっていきたいんだということをおっしゃっておられるんですが、私はそういうお金勘定のあの手この手という点での具体策というのは、これは具体的に詰めてもらわなければならない点は多々あろうと思います。しかし、NHKの冒頭にお伺いをいたしました基本的な性格から見ます場合に、理念としてどうなければならないか、どうしなければ経営改善の方向というのは開ける道がないのかあるのかという、そのあたりの基本理念というのはやぱっり大事だと思うんですね。そういう点で、基本的な性格から言いますと、国民の信頼にこたえられる放送機関としての、国民から支持をされ、理解と協力の得られるようなNHKになるということが何よりも中心課題だと思うんですよ。そういう点での発展方向というものを、はっきりと、理念としてきちんとしませんと、お金勘定のあれこれの策だけでこれは解決のできる企業体ではなかろうというふうに思うんですが、その点の御見解はどうですか。
  94. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生指摘のように、一番そこのところが根本で、そのために受信料制度というものが支持されるというところになろうかと思いますので、私は就任以来、番組というものが何といっても国民に支持されるということでなければならない。したがって、何をおいても番組の充実、番組視聴者の理解と信頼を得るというところに、その一点にしぼって考えるべきであろうということで、終始その点につきましては指示しておるつもりでございます。
  95. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういう点でNHKというのは国民の期待にこたえる、あるいは国民から支持をされ、理解と協力が得られるという状況というのはあらゆる面でつくっていくということが大事だと思うんですね。そういう観点から見ますと、これは衆議院でもずいぶん問題になっておりましたが、米軍関係者の受信料の問題などというのは、これは非常に国民注目の的になっていると思うんですね。NHKが法律に定められておる正当な主張を米軍関係者との間でどのように貫くかどうか、これは注目の的になっておりますよ。こういう問題についての正常な解決というのがやられるかやられないかということが、やっぱりNHK国民的な支持を受けられるかどうかという一つの試金石にもなろうと思うんですね。米軍関係者の受信料が、全部集めてみても大した金額にならないかもわからない。しかし、これを解決するかどうかは国民全体に協力と理解を得られていくかどうかの非常に大きなかなめになってくる。そういうふうな観点でやはり問題をとらえる必要があるんではないかというふうに、私、素人ですけれども実は考えておるわけでございます。  そこで、大分衆議院でも論議をされておりますし、また本院でも問題になっておりますので、詳しくお聞きをしようとは思っていないんですけれども、この問題の経過ですね、簡潔にお伺いをしたいと思います。
  96. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 今回問題になりましたのは、二月六日付のスターズ・アンド・ストライプス紙に、アメリカ軍の在日米軍司令官から、NHK受信料は一種の税金であって、アメリカの軍人、軍属等は支払いを拒否するようにという指示を出したという記事が出ました。この情報を私どもが入手いたしたわけでございますが、それ以来、私どもは米軍司令部広報部を通じまして、問題解決のための話し合をしたいということを再三にわたり申し入れたわけでございますが、米軍側がこれになかなか応じませんでしたので、二月二十日付で私の名前で文書を出しまして、この指示に対して抗議をいたしますと同時に、この指示を撤回してもらいたい、そして受信料の支払いについて協力を要請するという内容の文書をだしたわけでございます。これに対しまして同司令部からの回答は、三月十四日付の文書で参りました。その内容は従来と同じ見解を述べたものでございました。そこで私どもといたしましては、再び三月二十日付で同司令官あてに文書を出しまして、アメリカ側の見解を重ねて否定いたしますとともに、司令官との直接の会談を申し入れるということで申し入れたわけでございますが、それに対する向こう側からの返事はまだ参っておりません。  一方、電話でも再々先方に対して申し入れをいたしておりましたが、担当者レベルで非公式に会おうということがございまして、去る二十二日に、横田基地におきまして、在日米軍司令部の法務部長外と私どもの担当者が会ったわけでございますが、この会談におきましてもアメリカ側の見解は全く変わりませんで、平行線をたどっているという状況でございます。
  97. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それから今回の問題になりましたのは、本年の二月六日が初めのようでございますが、これは大臣の御発言の中にもたびたび出ておりますように、戦後三十年にもなるのにいままで何もやってこなかったじゃないかという御指摘というのはたびたび私も拝聴いたしておりますが、いままでにそれでは受信契約のために努力をしてきた経過があったのかなかったのか、あったらどういうことをやってきたか、そしてその経過はどうであったか、それを簡潔にお聞かせ願いたいと思います。
  98. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 米軍の軍人、軍属は、基地の中に居住している者と、基地の外に居住している者とございます。で、基地の外に居住している者につきましては、私どもは以前から集金の担当者に英文の受信規約を携行させるというふうなこともいたしまして、契約の締結並びに受信料の収納の努力をしてまいりました。それの一つのあらわれが、今回の米軍の指示になったと思うんでございますが、この米軍の指示に基づく軍人、軍属への周知文書と思われるものがございますけれども、それによりますと、当司令部はNHKの集金人が米軍関係者から受信料を取り続けていることに注目しているというふうなことが載っております。そういう表現が見られるところからも、私どもはそういう努力を続けてきたということは言えるというふうに思っておりますが、基地内の居住者につきましては、立ち入りが困難であるということから、従来から契約の締結は行われていなかったというのが実情でございまして、その点につきましては、私どもの米軍とのこの問題についての交渉、米軍司令部との直接の交渉というのは従来なかったわけでございまして、その点の努力の不足というものは私どもも認めざるを得ないというふうに考えております。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、これは私、資料としていただいた文書の中に、昭和三十五年四月の米海軍横須賀基地司令部法務部からの照会に対する回答とか、昭和五十二年二月四日の米海軍極東海上輸送司令部法律顧問室の覚書に対する抗議文とかいうふうなのがありますが、このときはどういういきさつがあったんでしょうか。
  100. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 昭和三十五年の四月には、アメリカ海軍横須賀基地司令部法務部からNHKにあてまして、在日米軍人、軍属の受信料支払いの義務の有無について文書による照会がございました。そこで、私どもは当時の業務局長、これはいまの営業総局長に該当する者でございますが、業務局長名でこの受信料の支払い義務があるという旨の文書で回答をしたわけでございます。  それから、五十二年二月の文書につきましては、その当時に横浜放送局管内におきまして、米軍人、軍属の家庭を訪問いたしました、集金に参りました私どもの集金担当者に対して、受信料支払い義務はないという旨の文書が配布されておりまして、それを見せて支払いを拒否したという事実がございましたので、協会といたしましては、アメリカ海軍極東海上輸送司令部法務部顧問室あてに文書で抗議をいたしまして、支払い義務があるんだという旨の文書を出したわけでございます。そういう文書のやりとりがございまして、それ以上に私どもが直接交渉をするということは、その当時としてはしなかったということでございます。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、そういう文書のやりとりをして、その後未解決のままであったわけですね。その辺はどうなんですか。
  102. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 基地外居住者に対しましては、私どもは私ども見解に基づいて従来どおりの契約収納活動をやらせました。しかし基地内の居住者に対しては、まあ立ち入りは困難でございますのでそういう活動はやりませんでしたし、司令部あての交渉はしなかったということでございます。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、大臣がおっしゃっておられる三十年ほうっておったじゃないかという中身は、基地内で立ち入りのできない部分について、積極的にはやってなかったけれども、基地外の居住者についてはたびたび受信料の請求等に行って、そういう中でトラブルが起こった場合には文書等での申し入れなどをやってきたということなんですね。
  104. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) そういう米軍側から文書が配布されて、それが私どもの手に入りました場合にはそういう抗議をいたしましたし、それから現場の集金の担当者には従来どおり受信料の支払い義務はあるんだという立場で営業の活動をやらせたということでございます。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、基地外の居住者については受信料を支払ってもらっていたという時期もあるわけですか、一遍ももらったことないんですか、どっちですか。
  106. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 現在でも支払っておられる方もございますし、拒否されている方もございます。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣は、三十年ほうってたじゃないかと言って、まあ責任問題はどこにあるとしてもという御発言を前回の委員会でもなさっておられたんですが、私はこの問題、やっぱり大事だと思いますので、少し大臣の御見解を聞きたいと思うんです。  で、三月二日の衆議院逓信委員会で、わが党の藤原議員がこの問題に関連をして御質問申し上げております。そのときの質問に答えて大臣は、解決のためにわれわれは、外務省も防衛施設庁も郵政省も一丸になってバックアップをして、また、ときには表に立っていろいろな交渉の場で目的を達成するように努力をしていきたいという意味のことを、何カ所かで会議録を拝見いたしましてもお述べになっておられます。そこで、あれ以来、これは三月二日ですからね、きょう二十八日ですから二十六日ほどたちますが、その後何か具体化された御経過があるのかないのか、あれば具体的にお願いしたい。
  108. 服部安司

    国務大臣服部安司君) その後、アメリカ局長、それから防衛施設庁長官とも再三お会いいたしました。正直申し上げて、NHK努力が足りないためにこういう結果を招いたが、いまNHKも財政的に非常に苦しい状態に相なったので、米軍軍人、軍属から、やはり法律に定められたとおりに日本国民同様聴視料を徴収せねばならないので、まあ私がNHKの、この委員会の場を通じての答弁を聞いていると、三十五年に一度やったとか五十二年の二月に——そんななまやさしいことでアメリカ人が応ずるはずがないので、ともかく過去のことは別問題にして、その時点でひとつ交渉をしたいと。しかしながら、これは日米の関係する問題であるから、外務省の見解は当然聴視料はもらうべきだという見解だから、防衛施設庁長官、おまえさんのところ施設庁だから、NHKでは交渉するといってもなかなか容易でないから、相手は米軍人、軍属だから、おまえさん立てかえて払ったらどうだというところまで実は交渉を詰めておるわけなんです。  ところが防衛施設庁長官は、実は私の所管じゃありませんと、こう言うものですから、今度はアメリカ局長にお会いいたしまして、アメリカ局長といろいろと懇談をいたしましたところ、必ず御要望にこたえてひとつ努力はいたしますというお答えを私みずからいただいております。さらに、私は二人を同じ場所で、施設庁長官とアメリカ局長に、一体どちらの責任に帰するんだと、この問題の交渉の窓口はどこだと言ったら、はっきりとアメリカ局長であるということがわかりましたので、改めてアメリカ局長にこの事情を説明申し上げ、協力方を懇請いたしました。さらに郵政省の事務当局に指示をいたしまして、アメリカ局長にこういった交渉を持ったから、事務当局は緊密な連携をとってこの問題の解決に当たるべきであるという指示をいたしておるのが現況でございます。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣は、防衛施設庁長官に会ったら利の所管ではないと言われたとおっしゃっておられるんで、私もちょっとそんな気がしましてね。それで、大臣は外務省や防衛施設庁とよく相談をして云々というのを再三言われておられますので、何かこの問題で特別に防衛施設庁の方と話し合いがあって特段の何らかの措置を御協議にでもなっておられるのかどうかと思って実は念のためにお伺いをしたわけでございます。  午前中の中野委員の御質疑で、外務省の御見解は私も拝聴をいたしましたが、外務省の方にちょっとお伺いをしたいんですが、大臣がアメリカ局長ともお会いし御相談になっておられるということでございますが、それに対して外務省としては何らかの対処の方途をお考えになっておられますか。
  110. 丹波実

    説明員(丹波実君) お答えいたします。  ただいま郵政大臣が申し上げましたとおりでございまして、その後、そういう大臣から私の局長へのお話を受けまして郵政省の担当の課長が私のところに参りまして、今後本件をアメリカとの関係でどう動かしていったらいいかということでお話がありましたので、私といたしましては、アメリカとの間で何らかの話し合いの場を設ける必要があろうという前提に立って、どういう場にするのが適当であるかという点につきまして現在郵政省の事務当局と話し合いをしている、こういう段階でございます。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 外務省の御答弁は午前中の御答弁と大分ニュアンスが違うんですね。午前中は、地位協定十三条の三についての御見解は、外務省としては大臣も明確にこういうふうに言っておられると、外務大臣がですね。という点の見解だけは明確にしておりますけれども、何にもしていないというお話であった。私は午前中の答弁を伺っていたのであえて大臣に先にお聞きをしたんですけれども、どっちが本当ですか。
  112. 丹波実

    説明員(丹波実君) そのような印象をもしお与えしましたとすれば、私の御説明に若干不備な点があったからであろうかと思いますが、私が頭に描いておりますのは、現在郵政省と話しておりますのは、将来、現在行われておるNHKと米軍との話し合いがどうしてもだめだということになった場合には、アメリカとの間でどういう場を設けたらいいかということをあらかじめ考えておるということでございまして、現在の段階ではまだNHKと米軍との話し合いを見詰めておる、そういうことでございまして、その点は午前中申し上げたところがまさにそういうところでございまして、先ほど申し上げたことと私は矛盾はないと考えております。
  113. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 なるほど。それじゃ、そういうときになったら何らかのことを考えようということで、あらかじめどういうことができるかという相談はしているけれども、いまは何にもしていないと、こういうことですね。
  114. 丹波実

    説明員(丹波実君) 大体先生のおっしゃるとおりでございます。
  115. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、先ほどNHKに今回の経緯について拝聴いたしましたが、最後のことしの三月二十日付のNHKから在日米軍司令部あての文書を拝見いたしますと、先ほどの御説明にもありましたけれども、双方で検討することができる会合をしかるべき時期に持つことを要請したいという、NHKと米軍司令部との話し合いを要請するという文書を出しておられる。ところが、先ほどの御説明にありましたように、いきなりではなくて事務段階でということで、二十二日には非公式に会談を横田基地でおやりになったけれども、米軍の側としては見解に変わりはなかったというふうなことでございますが、その後どうなさるおつもりですか。
  116. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) さらにそういう担当者レベルの話し合いを進める、それから一方、司令官と直接会う機会をつくるようにしてさらに交渉をやりたいというふうに考えております。
  117. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 NHK会長にお聞きしたいんですが、これ、さらに話し合いを続けたいと担当幹部の方おっしゃっておられるけれども、これは話し合いをして解決ができる見通しはおありになりますか。どんなふうに考えておられますか。
  118. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 現状の経過から見ますとなかなか困難ではないかと思いますけれども、そういう努力をいたしませんで済ます問題でもないというふうに思いますので、努力したいというふうに申し上げた次第でございます。
  119. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、これは文書のやりとり、それから予備折衝の会談の中でも出ておるように、問題は法律の解釈をめぐる問題になってくる。しかも法律の解釈をめぐる問題が国際問題になっているわけですね。米軍司令部と日本放送協会というかっこうになっているんですね。そういうことになってきますと、法律の解釈をめぐって意見が対立をしている場合に、しかも国際問題ですね、外国の見解日本放送協会との間でその解釈をめぐっての意見の違いということになってまいりますと、これは話し合いで解決がつくのかどうかという点ですよ。これは明らかに国際問題で、そういう法律上の解釈をめぐる対立意見という点で、これを解決しようと思えば当然外交問題として解決する以外に道はないのではないかというふうに思うんですよ。その点はどうなんですか。外務大臣だってNHKと同じ法解釈のもとに立っておられるわけですよ。その解釈をめぐっての意見の対立があるのは、米軍だけが違うんですよ。  そういうことになっているんですから、明らかに外交問題としてこれは外務省を通じて解決をするということにしませんと、NHKにだけ話し合いをせいせいと言うてさしておっても、これは解決のつくはずがないと思うのですね。話がここまで開いておったのが、煮詰まってきてここまで来てるんやと。だからもう一押しだから、もう少し煮詰めて話をしなさいという体の問題じゃないんですよ。全く法解釈をめぐっての見解の相違なんですね。こんなものをいつまでNHKに四の五の言うておったって片づかぬと思うのですわ。その点、大臣、非常にいままでも積極的な御発言をなさっておられるのですが、これはもうNHKが話をしてあかぬということになったら——なったらという話なんですが、それはちょっと考え違いがあるんじゃないか。むしろ直ちに外務省に依頼をして、これは協議をして、外務省を通じて米軍との話し合いというのを、法解釈をめぐる問題なんですから、ここで見解を統一させるようにして、NHK努力が実るようにするべきだと思いますけれども、どうですか。
  120. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 大変御心配かけてまことに恐縮でございます。  外交問題だというお言葉も決して私は否定はいたしません。しかし、法律の定めではっきり、日本国民同様徴収すべきであるという見解が出たわけでありまするから、放送事業者のNHKが私はまだ努力が足らぬとはっきり言いたいんです。坂本君もっともらしい説明していますがね、私もそれなりに調べていますが、そんな遠いところからさわっているようなことで何アメリカ人が金払いますか。彼らは誤解してるんですから。私は、沓脱先生に大変御心配かけてまことに恐縮でございまするが、私は私なりで彼らにしっかりやれと言いながら、片方ではやってるんです。先ほど、施設庁、何、関係があるんだというお言葉もこれ、ありますが、施設の中の問題だから、私は素人判断で、施設の中の問題だからおまえのところ関係あろうと言ったんだが、いや実はないんですと正直に答えたわけで、私は決して外交問題として取り上げることを拒否しているものではありません。言うならば、まことに言い過ぎかもしれませんが、甘やかさないでくださいと、もう少ししっかりと腰を据えて経営の任に当たってもらうために私はしっかりやりなさいと——しっかりやるのは当然です。事業者がやるのは当然なんです。  やはりそれだけのものを積み上げて、彼らに、NHKには語学の堪能な方は恐らく外務省以上におるかもしれない。そういった方を総動員してでも説得に当たって、最後にわれわれも乗り出していって、話の煮詰まる順序としてはやはり専門的に聴視料とはこういうものであると法的解釈を説明されて、われわれはいま協議をやらしていますから、外務省のアメリカ局と私の方の電波監理局と協議をさしていますから、相呼応してこの問題の解決に当たるのが最も理想だと、私はこのように考えている次第でございます。しかし、決してこのまま放てきしようという考えはありません。財政事情がこれだけ窮迫しているわけでありまするから、もちろんありとあらゆる手を打ってこの問題の解決に努力することはやぶさかではございません。
  121. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私、余りこの問題にだけ時間とりたくないと思っているんですがね。全く、私人間で法律解釈をめぐっての意見の対立がある、しかも相手は外国人で言葉に障害があって誤解を招いているという問題ではないわけですよ、この場合は。米軍司令部が見解を発表しているという。やっぱり権力が物を言っているわけです。いわばその法解釈をめぐってNHKが困っているわけですよ、実際上。恐らく経営状態でもよければこんなしんどいことをせぬでもよかったと思っているかもわからぬわけですしね。思っているか、思ってないかは別として。しかし、長いこと十分追及していなかったということですから、だからそういう点ではこれはアメリカの米軍司令部が出してきているという見解で、しかも日本見解と食い違いがある。しかも、政府も、外務大臣も明確に見解を表明をされている。そういう場合には、これはNHKは当然当事者ですから努力をしなければならないし、まだ努力が足らないといえば大いに努力する必要があると思います。  しかし、政府としても、これは日本の国の政府としての一致できる見解、あたりまえの見解なんですからね。これは公然とアメリカ側と折衝をして、NHKが言うてるのは実はかくかくしかじかなんだという折衝をして、それこそ側面援助というのですか、バックアップをして、法律解釈についての理解だけは明確にさせるという努力は当然なさるべきだと思うのです。決して私、NHKを甘やかそうなんてことをゆめゆめ思っておりませんし、きわめて厳しいことを申し上げているわけですから、そういう点で大臣おやりになるとおっしゃっておられるし、アメリカ局長とも御相談になっておられるということでありますならば、その点を、やはり国際問題になってきているんだから、政府としての対処の仕方というものについて、積極的にひとつ御主張をなさるということが大事な段階ではないかというふうに思いますので、特にお願いを申し上げているわけです。
  122. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほども申し上げたとおりに、これはもう全力でバックアップすることにはやぶさかではございません。今後も努力を続けて、この聴視料の徴収が完璧を期するように、NHK並びに外務省アメリカ局とも緊密な連携をとりつつ、一刻も早く実現をしたい、かように考えているわけでございます。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは次に、非常に論議の中の問題の中心になっております番組編成のことですね。これにつきまして若干御意見をお聞きしたいと思います。  番組編成というのは放送事業にとっては全くの中心課題でございますね。昭和五十三年度から番組編成が大幅に改編されるということで、これを通じましていろいろ論議を呼んでおるようでございます。私どもといたしましては、冒頭にお伺いをいたしましたようなNHKが持っておる基本的性格、そういう基本的性格にふさわしく、国民の期待や信頼にこたえられるように番組編成が改善をされるということを非常に強く期待をしているわけです。私は、会長もおっしゃっておられますけれども番組編成というのはずいぶん大切なものなんだなということを感じておるわけですが、たまたま週刊誌をぺらぺら見ておりましたら、つい十日か二週間前に、週刊誌の中で作家の五木寛之さんが書いておられたことで、「NHKは妙な番組をしばしば押しつけるが、」三月九日のあの「「東京大空襲」を放映したことで、私は当分、NHK放送料をさほど腹を立てずに払いつづけるだろう。」というようなことをお書きになっております。事ほどさように番組の編成というのがやはり大きな影響を持つものだという一例だと思うのですね。  特に経営問題とも絡み合うと思いますけれども国民の信頼にこたえ、そして国民の理解と協力の得られるNHKとして発展をしていくための一番の基礎というのは、やっぱり国民に期待される番組編成だと思うわけです。そういうことになってくれば、勢い理解をされれば受信料の支払いの収納率あるいは契約数もふえてくるということになりますし、これは、番組編成について、そのことだけでとやかく言うという意見ではなしに、経営の将来計画、将来の発展の展望にも不可欠な問題だというふうに思うわけでございます。そういう点で、番組編成の大幅な改正をやられるというに当たって、ああいった番組がどうやら姿を消すんではないか、こういう番組がなくなるんではないかというふうなお声というものを、私どもも耳にしないことはありません。  たとえば、私どもが耳にしますのはドキュメンタリーですね。私もときどき拝見をしておりますが、余り視聴率は高くないんだそうですけれども、そういうドキュメンタリーなどについては、今後は大型になっていって、昔のような、三十分のをいまやってますね、ああいうのがなくなるようなことを言われているけれども、どうなっておるんだろうかというふうな御腐心というんですか、心配というんですか、そういうふうな声は聞かないわけではありませんけれども、そういう点では、できるだけ国民視聴者の意見を反映するというふうなことが大前提だと思うわけでございます。  そういう点で、私も、特に逓信委員になりましてからは、実はNHK放送努力をして拝見をしてきているわけです。ずいぶんいい企画をしておられるなというふうに、私ども素人でも思う番組がしばしばございます。特に朝の、たとえばいま放送されて、大阪で制作されているというふうに伺っております「風見鶏」などはできるだけ見るとか、日曜日の「黄金の日日」などもこれはできるだけ見たいわけですけれども、なかなかうまく時間が得られないですから、全部見るわけにはいきませんけれども、そういう努力をするとか、土曜日の「くらしのけいざい」などもなかなかいい企画をやっておられるというふうに思うわけです。私は、そういう面では全く素人でございますから、いろいろあれがこうだこうだという具体的な論評などはとてもできませんけれども、しかし、私どもがスイッチを入れて拝見をしていても、なかなか時宜に適したものをお取り上げになっているなというふうなこともしばしば感じております。そういうものがやはり国民の支持を受けられるように、形が変わってもできるだけ発展をさせていくというふうなことが非常に大事じゃないかというふうに思うんです。  私は、ちなみにどういうふうな経過をとっておるものかなと思って、実は憲法記念日をめぐる企画をずっとこの十年余り拝見をしてみたわけです。そうしますと、やはりそれなりに変化が起こってきてますね。これは、詳しくNHKから資料をいただいたのを拝見してみましたが、ちょうど二十周年のころの五月三日憲法記念日というようなときの企画というのは、非常に憲法に関する番組が多いわけです。時間も多くなっております。その二十周年というのは節であったので多かったんでしょうが、その後やはりそれなりにやられておりますが、たとえば四十四年などというところはもううんと少ないんです。安全保障への選択という形での放送はやられておりますが、それ一本というふうな形なんです、テレビなんか。ずっと見てまいりますと、去年、おととしあたりも、まあ「ニュースセンター9時」で去年はおやりになったり、あるいは「ニュース解説」の十五分でおやりになったりしておられますが、その二十周年のころと比べると、大分かさが小さくなっていますね。こんなふうにして見ることというのは余りないんです、視聴者の側から言いますと。しかし拝見をしてみますとこうなるんですが、こういうことも、案外見ておられる方々というのは敏感でございまして、どうやらことしもまた憲法記念日が近いわけですけれども、憲法記念日などをめぐる放送番組というのが、やっぱりどんどん軽視されてきているという感じがするなというふうに国民に感じさせるというふうなことになりますと、これはこれとして、やっぱりそれなりに心を配らにゃならぬことになるのではないか。  そういうふうになってくるのは、それじゃ企画の場合に、提案者が少なくてそうならないのか、あるいは制作過程については、私ども全く素人でわからないわけですけれども、これはどういうことでこういうふうに大きな変化というのが出てくるんだろうかというふうなことをやっぱり疑問に思うんですね。かつて蜷川知事が、憲法を暮らしに生かすという名文句を出されましたけれども、私は、やはり憲法というふうなものが国民生活のあらゆる分野でどのように生かされるべきであり、また生かされているかというふうな点は、多面的に、これはNHKでこそやれる課題だと思いますので、そういった点はやはり十分心してお扱いになっていただくということが非常に大事ではないかというふうなことを感じております。  そういう点について、番組編成についての基本的な方向とかお考えというものは、もう何回もお伺いをいたしましたけれども、そういった国民考え方、要求、嗜好、そういったものを十分尊重してやっていくということを保障していくかどうか、それをひとつお伺いしておきたいと思うんです。
  124. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHKの存在の理由が番組にあるということは、しばしば申し上げたとおりでございまして、その番組というのは、やはり国民要望に沿うというところにあろうかと思いますので、基本的には先生の御指摘のように私ども考えておる次第でございます。  ただ、そのときどきによりまして、番組の取り扱いの本数であるとか、ボリュームであるとか、形式であるとかというようなことには多少の消長はあろうかと思いますけれども基本的には全くそこら辺のところをわきまえてやるべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 放送・報道機関、まあ言論機関ですね、そういう性格を持つNHKですから、これは当然言論の自由あるいは民主主義的な運営というものが、これはNHKの運営に関するあらゆる分野でやはり貫かれなければならないというふうに思うんです。私は、現場のことはよくわかりませんけれども、そういった点でのNHKの職場内での積極的な提案とか創意とか、そういったものが自由に発揚されて、しかもそれが国民的な期待と結びつけられるように、これはぜひ工夫をしていただくということが大事だと思うんです。  職場というのはなかなかいろいろむずかしいものですよね。私どももかねては厚生省関係の国立病院で仕事をしたこともございますし、私は本職は医者だから、病院で多くの従業員と一緒に仕事をしたことなどもございますが、職場の中で、やはり自由に物が言えるというんですか、いわゆる抑制、抑圧を感じなくて自由に物が言えるという職場の自由、あるいはそれぞれの人格が尊重されていく、能力も尊重されていくという民主主義的運営、そういったものの保障というのがやはり大事だと思うわけでございます。そういう点では、NHK基本姿勢を貫いていくという場合に、番組の編成過程でもそういうことが大事であろうと思うし、あるいは経営についてもそういった民主化をして、国民の理解と協力の得られるようなやり方を進めていくという点も大事だし、特にやはり大事なのは、NHKの中でこの仕事を支えて働いておられる、働く人たちの職場における自由と民主主義というんですかね、そういうものも確立するということが、やはり一番支えておられる人たちなんですからきわめて大事だと思うわけでございます。  そういう観点から見てまいりますと、職場の中で、これはまあ大勢の職場ですから不満が一つもなくなるということはなかなかむずかしいとは思いますけれども、しかし、解決のできる不満や要求というようなものはできるだけ解決をし、そして民主的な空気の中で、それぞれが持っている能力がみごとに発展のできるような職場を保障するというのは、これは他の職場と比べましても放送・報道機関としての経営体としては何よりもやはり大事だというふうに思うわけです。  で、それに関連をいたしまして若干お聞きをしたいと思うわけです。職場の中で、昇進だとか昇任だとかいうことについての不満というのは、これはどこの職場でもよくあることなんです。例に漏れずこれはNHKにもあるようでございます。私はそういうことをちょっと耳にいたしましたので、若干資料などもいただいて検討してみたんですが、そうしますと、NHKではABCDEというふうなランクをつくっておられるようですが、たまたまAからBランクに昇進をするコースで、しかも高校卒ですね、高校卒の方で、これは昭和三十八年入社の方ですから、勤続十五年ですね。その方々のデータをちょっと見せてもらいましたところが、その三十八年に入社の方で、男性がAからBに昇進せずに残っている人が十四人、それから女性が七人なんですね。これを見ますと、数字から言うたら少ないんですけれども、総数で見ますと、男性は百七十五人中十四人が残っている。ですから六・三%残っているわけです。女性は十一人中七人残っている。ですから残っている率は六三・七%、やっぱり相当な開きがあるというふうに思うわけです。  で、たまたま聞きますと、大阪では女子の七人の未昇進者の中で三人、四人おった中で去年一人昇進をしたけれどもあと三人は残っていると。平素は、仕事はよくしてくれると言って職制からは喜ばれているのにどうしてだろうというのがやっぱり不満の種になっているんですね。こういうふうなことはやはり改善をしていく必要があるんではないか。特別に目立つような昇任、昇格、特殊な条件がある場合は別ですけれども、そういうものがない場合には、そういう特殊な条件を除く場合に、余りかけ離れたことのないような対処というのは必要ではないか。これは労務対策上大事な点ではないかと思いますが、その点についての御見解を伺いたい。
  126. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 原則としては先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、個々のケースに当てはめます場合には、多少のそこにバラエティーの違いがあるということは御理解賜りたいと思いますが、いま具体的に御指摘になりました点につきましては、恐縮でございますけれども、担当から御答弁をお許しいただきたいと思います。
  127. 武富明

    参考人(武富明君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘を受けました具体例がどういうものでありますのか、個人的な名前は私ちょっとわかりませんので。それからもう一つは、人事考課に関する点でございますので、大変お答えしにくいわけでございますけれども、御指摘がございましたように不公平があってはなりませんし、それから考課につきましては、直接の上司、それから局長に至るまで、三段階厳正に考課をいたしまして、そして昇進を定めておりますので、その点は私どもとしては万抜かりがあるとは考えておりませんし、また、いまのお話でございますと、多少女子という点に先生不利があるんじゃないかという御指摘があるのかと思われますけれども、大体同様に男子の場合にも残る率というものはそう変わった状況で残っているとは私考えておりません。したがいまして、その点で男女の別をつけている考えは持っておりません。
  128. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは個々の問題ももちろんあります。で、その昇進の、残っている人の率がひどく違うでしょう。男性の場合は残っているのが六・三%で、女子の場合が六三・七%というふうな。これは数が少ないですから、一人ふえたら率大分上がるんだけれども。そういうことというのはやはり全く同等でなければならないわけですけれども、現在直ちに同等にすぐにはならぬかもわからぬけれども、男女差別と言えば言えないこともありませんので、数から言えばもう割り切れば男女差別ですよね、これは。しかし、それにはいろいろな諸条件があろうと思いますので、そういうふうな断定は私、したいとは思ってないのです。ですが、たとえばいわゆるこのAからBに昇進する場合に、男性の同じ学歴で同じ勤続年数を持っている場合に、やはり年数の違いが平均して出てきていますね。男子の場合が十三・七年で大体上がっていると、女子の場合には十四年五カ月というふうなことですが、それぞれのランクではそういう若干の差が男女差として出てきていると思うのです。で、そういうことが積み重なってくると、ある特定の人になってまいりますとやはり不満になってくるような状況というのは出ているんじゃないかと思うのです。これは個々の事情があろうと思いますので、私は個人名はまた別途御相談を申し上げるようにいたしたいと思いますけれども、そういうことをなくするというのは非常に大事ではないかと、こういうふうに思うのです。  それから、もう一つ関連をいたしまして、女子の登用の問題ですね。これは私、昨年も御質問申し上げて、女子の採用というか、職員数、職員の率が低いのではないかということを申し上げましたが、今回資料をいただきますと、全国的に見ますと女子は六・九%ですね。で、去年質問申し上げましたけれども、その後具体的に御検討になって何らかの対策をお考えになっておられるかどうか。そのことを最初にお聞きしたいと思います。
  129. 武富明

    参考人(武富明君) お答え申し上げます。全国的に申しますと、ただいま先生がおっしゃいましたように、女子のパーセンテージというのは六・九になっております。ただこの中には、女子にお働きをいただくにはふさわしくない部分がございますので、その部分を抜き出して、放送事務、それからその他一般の管理関係の業務に従事している女子、これを見ますと大体一一・九%ということになっております。約一二%でございます。これは新聞あるいは通信社、それから放送十社を交えました場合の統計、これは新聞業界で出しているデータでございますけれども、そういう前者についてみますと、女子の比率というのは六・一%ということになっておりますので、私どもとしては必ずしも低いパーセンテージではないんじゃないかというふうに考えておりますが、この前先生に御指摘をいただきましたように、女子の場合には定期採用でとりましても、たとえば結婚をなさるとかあるいはお母さんになられて退職をなさるとかいう場合もしばしば出てまいりますので、大体そういう場合には女子で補充をするようにいたしておりますので、女子の総数というのはここ十年間余り大きな変化は来しておりません。
  130. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、私が聞いたのは、少ないから積極的に対策を立てているかどうかと聞いたんだけれども、少なくないと思うので何もやってないんですか。
  131. 武富明

    参考人(武富明君) お答えいたします。  これまで女子の従業員の数は確保しているというふうにお答えを申したいと思っているわけでございます。
  132. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 女子にふさわしくない部分を除いて一一・何%とおっしゃったでしょう。どの部分がふさわしくないんですか。
  133. 武富明

    参考人(武富明君) お答えいたします。  ただいま私が除外をいたしましたのは、報道関係の取材とか、それから技術関係でございます。技術関係は特にやはりいろいろ重い物を持ったり、それからまた専門的な知識と申しますか、わりあいに勤務の条件その他も厳しいものですから、そういう状況の中で取材と技術とを除きまして一一・九%とお答えしたわけでございます。
  134. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、いま絶対量が少ないから管理職なども当然女子が少ないのはあたりまえだと思うんですけれども、非常に少ないですね。これ私が拝見をしております分では……。お聞きしましょうか、正確に聞いた方がいいですね。  女子で管理職は何人おられますか。
  135. 武富明

    参考人(武富明君) 女子で管理職は全国で二十六名おります。特別職から副主幹に至るまで、二十六名管理職がおります。
  136. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、これ管理職にもいろいろありますからね、そういう聞き方だけしてもしようがないんで、で、各職場別の男女の比率を見ますとね、これは非常に女子が少ないんですね。一番多いのは事務だけであって、たとえば私、大阪の例を見てちょっと驚いたんだけれども、たとえばアナウンサーなんて二人ですね、総数二十三のうちで二人。報道関係は三十七人のうち一人。芸能部関係は六十七人中一人。教育部関係では五十八名中四人てなことですよね。これは私ちょっと理解に苦しむのは、いまテレビを見る視聴率からいうたら女の人の方がよけい見ているでしょう。それから婦人番組とか、子供の番組だとか、そういう点からいったら当然これは婦人の感覚というのは制作者の中にも反映させられなければならないと思いますし、特に考えられるのは、婦人でなかったら入れないところへも取材に行かなければならぬ場合もあるでしょう。そういう点から見たら余りにも少ないんじゃないかという気がするんです。  御承知のように国際婦人年を契機にいたしまして、政府でも国内行動計画をつくり、それから女子の積極的な採用、昇任、昇格、登用等については国の方針としても踏み出していつつあるわけですね。だから、これはNHKではもっと婦人を登用していく必要があるんではないか。従来は恐らく深夜勤務ができないとかなんだとかということで御心配があったんだろうと思いますけれども、看護婦さんや交換手と同じように、アナウンサーやプロデューサーはこれは対象外になっていますからね、もっと働いてもらえるはずですよ。そのことを承知の上で無理だ無理だと思っておられたんですか。
  137. 武富明

    参考人(武富明君) 確かに先生のおっしゃるとおり、除外例の中でプロデューサー並びにアナウンサーは除かれている部分もございます。ただやはり、時間外とか休日出勤の禁止とか、そういう条件もございますし、それからまたプロデューサー、アナウンサーその他につきましては、いろいろ出張関係とかそれから特殊ないろんな事情というものがございますので、われわわとしてはその中でも当然女性に持っていただかなきゃいけない部分というのはございますので、いまできるだけ反映しているわけでございますが、ちょっと申し上げますれば、大体全国でプロデューサーのうち二百名くらいが、二百名に近いものが女性で、全国に散らばっております。ただいま先生がおっしゃいました地方局というものを比べますと、確かに女性のプロデューサーが多く集まっておりますのは本部に集まっております。  それは、ちょっと時間をとって申しわけございませんが、実は転勤のローテーションその他を考えまして、実は東京にわりあいに女性のプロデューサーが集まっており、大阪もほかの局に比べては多い方でございますが、ほかの局に至っては大変少ないという状況になっております。女性を東京にたくさん採っておりますのは、ただいま先生が御指摘になりましたように、番組の中でやはり女性の目というものを通したそういう番組が必要だという必要性考えまして集めているわけでございまして、多いところでは二〇数%の女性のプロデューサーを抱えているという番組のセクションもございますので、ちょっと付言をいたさせていただきます。
  138. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は無理やりに女性をふやせふやせとやみくもに言うているんじゃない。適当な職場がないとか、あるいは労働条件の問題があってというふうなことがよく言われているでしょう。前回もそういう御意見だったですね。深夜勤務ができるということになれば、これは非常に大きく条件変わるわけでしょう。それから婦人の能力だって、これは昔と違いましてずいぶん発展をし、開発をすればますます能力を発揮できるような水準になってますよ。そういう点ではもっと大きく目を開かれるということがまず一つは大事だと思う。特に事務職の現場では比較的婦人の数は多いけれども、報道関係放送関係では少ないというふうに言われておりますが、特に私、現場をはっきり知らないけれども、言われておりますところでは、効果音の作成の仕事だとかデザイナーだとかいうふうな仕事は大体女性で十分できる仕事だと思うけれども、そういった関係のところでは女性が一人もいないそうですね。そうですか。
  139. 武富明

    参考人(武富明君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  140. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなところなども大いに女性の方々で適当な能力をお持ちの方々は採用、登用していかれるということが大事ではないかと思いますがね。そういう点で、基本的にやっぱり女の人はできるだけ少なくしようとか、そういうようなことを考えておられると、そういうふうに考え方というのは広がらないと思うんですけれども、やぱっり基本的な立場というのを、大きく番組編成も変えていくというふうな段階でございますし、そういった点は目を開いていただくというのが大事だと思うんですけれども、その点どうですか。
  141. 武富明

    参考人(武富明君) 先生の御指摘よくわかるところでございます。ただ、一面、先生にもぜひ御理解をいただきたいと思いますのは、実はNHKの男子の職員の中で転勤を経験をしていない者というのは、恐らく五%にとどまるだろうと思います。大体九五%は全部各地を転勤してまいります。それは、各地に働いております者が、やはりNHKの人事行政上、ひとつ転勤ということが契機になりまして、技能が開発されあるいは人材が養成されていくという経過がございます。そういうチャンスというのを待っている人間というのが各地方にたくさんいるわけでございます。これは決して転勤ができないというわけではないんございますけれども、女性の場合にはなかなか転勤ということが事実上むずかしいという面もございますので、われわれとしては人事行政上どうしてもローテーションということをひとつ軸に考えてまいりたいというふうに思うわけでございます。したがいまして、一方でそういう情勢があるということを御理解の上、そういう情勢の許される中でわれわれとしてもさらに最善の努力を尽くしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  142. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういう転勤の問題について理解できないわけではないんです。しかし、大体外務省でも積極的に女子職員を登用し出している時代ですから、NHKが、転勤が障害になるからというのは正面の理由にはちょっとなりにくいですよ。しかし障害はあると思いますよね。ですから、そういう点は勘案をしながらも、もっと職域を広げていくというふうなことを積極的に考えていただきたいと思います。  会長、いいですね、その点。ちょっと最後に聞いておきましょうか。
  143. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 担当の理事が申し上げましたように、人事行政上いろいろな問題がなしといたしませんけれども基本的には別に男女の差別をするなんという気はさらさらございませんし、適材適所ということで事に臨みたいというふうに思っておりますので、その点は御理解賜りたいと思う次第でございます。
  144. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それから次にお伺いをしたいのは、これは放送団体十六団体の御要望ですね。これに関連をしてちょっとお伺いをしておきたいんです。私はちょっとこれ拝見して驚いたんですけれども、「放送番組に関わる諸団体の訴え」ということで、関係十六団体の皆さん方の訴えの冒頭にこういうふうに書かれているんですね。「わが国において、ラジオ放送が始まって既に五十年を超え、テレビ放送を開始してからも早や二十五年を経るに至りました。その間その技術革新は目覚しいものがあります。また、放送文化、テレビ文化という言葉が、社会世相を語る際しばしば使われていることからも判りますように、放送は今日のわが国の文化に深く関与している現状であります。しかるに、その放送文化・芸術に深く関っている者はどうかと言いますと、これが日本の文化向上に寄与している者達かと思われる程劣悪な条件下におかれ、その権利すら侵されつつあります。」という非常に激しい口調でその現状についての訴えをしておられるわけでございます。  私はこれを拝見し、また報道等でもやられておりますけれども、わが国のテレビ、ラジオ等の制作に関係するいわゆる脚本料だとかあるいは出演料だとか、そういったものというのが、経済大国として成長率は非常に早かったんですけれども、その分野では非常に世界的に見ても低いという問題が指摘されているんですね。この報道やあるいは訴えによりますと、ずいぶんひどいですね。オリジナルドラマの脚本料というのは、インターナショナル・ライターズ・ギルドの調査では、世界二十三カ国加盟している国の中で二十二位だというんですね。それから脚本料に至っては、三十分ものでアメリカでは五千ドルですか、それが最低だそうですが、日本ではNHKが五万六千円、六十分ドラマの制作費に至ってはアメリカでは六千万だけれども日本では千二百万だ。これは民放などではさらにこれを下請、下請でもっと安くなるんだそうですけれども、こういう状態というのが続きますと、私はいまの日本の文化、芸能関係の水準というのは決して先進諸国と比べてもひけをとらない水準になってきていると思いますけれども、そういう文化、芸能、芸術関係の人たちの水準をさらに発展をさせ、国民文化を発展させていくという点から見ますと、背筋の寒くなる思いがするのですね。  この前、私、本委員会でレコードの二次使用料の問題についても見解をただしたことがあるのですけれども、それも同じことなんですね。やはりこういった点についての改善考えなければならないのではないかと思いますが、これは報道されるところによりますと、とにかく赤字がありますのでそんなことを考え余裕はないと言わぬばかりの御意見だというふうなことが新聞では報道されているのですがね。これは放置できないのではないかと思うのですが、御見解をまずお伺いしたいと思います。
  145. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答え申し上げます。  新聞でそのように報道されていることは、必ずしもNHKに対して言われていることかどうか明確ではございませんが、私たちは昨年度、今年度と、この十六団体等に対する出演料及び脚本委嘱料等について鋭意努力をしてまいりました。脚本料につきましては、民放よりもわずかではございますが上回った金額に相なっているかと思いますし、また二カ年で約四三%程度の改善を行っておりますし、引き続いてことしも努力を続けたいというつもりでおります。  また、レコードの二次使用につきましては、先般関係団体との間で話し合いがつきまして、昨年度比三〇%という増額で円満な話し合いが成立したわけでございます。さらに、JASRAC等との話し合いも現在進行中でございます。許された経済条件のもとで努力を続けているというのが実態でございます。しかし、御指摘のように、国際水準ということになりますとまだまだ努力の余地があるとは思いますが、これはいろいろの条件もございますので、直ちにというわけにはなかなかまいらないというふうに考えております。
  146. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一挙にそれは国際水準というわけにいかぬでしょうね。脚本料はアメリカの最低の二十分の一とか二十二分の一だと言っているのですからね。一遍に二十倍になかなか上げられないと思いますよ。しかし、せめてその差を縮めるような改善というのはなされてしかるべきではないか。特に、芸術、文化、芸能関係方々というのはやはり創造的な仕事をする人たちですからね。本当にそういう点では生活を保障して、創造活動が自由に発展できるような条件を少しでも保障するということが何よりも大事だと思いますけれども、こんなの、比べてみたら腹が立ってということになりますよ。安いからどうしてもたくさんこなさなければならぬということになれば、その作品は必ずしも、せっかく能力があってもりっぱなものができない。粗製乱造にならざるを得ないということになるわけですから、そういう点を防ぐためにも、一挙にはいかなくても改善考えるべきではなかろうかと思うのです。そういう点についての会長の御見解もあわせて伺いたい。
  147. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私、番組を重点に考えたいということの中身は、その番組を支える外部の出演者の方々あるいは作家の方々、そういう方々に対する処遇の問題についても当然配慮すべきであろうというふうに考えておりますので、決しておろそかに考えているつもりはさらさらございません。いま担当の専務が御説明申し上げましたように、許された条件の中では最大限の眼目をそこに置いて努力している次第でございますので、その点は御理解賜りたいと思う次第でございます。
  148. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、先ほど民放と比べましてまだ少しはとおっしゃったんですけれども、それは少しは高いですわな、三十分ものでNHKの創作全国放送では五万六千円、民放は五万五千円ですからね。それはちょっと高いわけですけれどもね、結局NHKの基準が民放の基準になっているわけですよね。そういうことになっているわけなんで、そういった文化、芸術、芸能関係者の立場やあるいは能力発揮を促進していく、よい文化をつくり上げていくという立場で、こういった点についてはやはり特段の考え方を持ってもらうべきではないかというふうに思うんです。とにかく赤字だからあかんのやと、こういうんでは、粗製乱造になって、番組がよくなかったら視聴者が喜びますか。その関係と深くかかわっている問題だというふうに、やはりこの点では御理解をしていただいて対処される必要があるんではないかというふうに思うんですよ。
  149. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その点は全く私も同感でございますけれども、ただやっぱり前提条件がございますので、その前提条件を超えて対応するというわけにはまいりませんので、それは関係団体によく御理解賜るように、交渉の節私も先頭に立って御説明しておる次第でございます。したがいまして、全く不誠意に、安ければいいというような考え方で交渉しているんではないという点はひとつ御理解賜りたいと思います。
  150. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういう文化、芸術、芸能関係方々というのは、やはりいろんな立場に置かれているんですね。私は、そういうジャンルに生活をしていないものですから詳しくは知らなかったわけですけれども、いろんな機会に遭遇しまして、これはほっておけないというふうなことを感じることがしばしば最近多うございます。  特に、最近、たまたま日芸労という労働組合の二十周年記念のレセプションがあって、私訪問をしたわけです。そこで伺ったんですけれども、かつてはNHKの専属のオーケストラとか合唱団であった方々で、かつて解雇をされた人たちなんだそうです。そういう日芸労、日芸労というのは日本放送協会芸能員労働組合ですか、そういう労働組合が出演料などについての要求を出されて交渉をやっておられるそうですけれども、これもやはり一定の引き上げについてはお考えになっておられるんでしょうね。
  151. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 待遇改善については、配慮をしようと考えております。
  152. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 引き上げを、折衝しておられてやられるんですね。まあ、引き上げると言うんだからゼロはないんだろうと思うけど、多い少ないはあっても。その辺はどうですか。
  153. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答え申し上げます。  日芸労についてはかなり長い時間的経過がございまして現在に至っておりまして、実際問題でほとんど出演のない方もいらっしゃいます。したがって、契約改善にいたしましても、私たちとしては具体的に申しますと五万円からゼロに至るまでの幅をもって待遇改善に臨みたいという基本的方針を明らかにしているわけでございまして、ゼロはないという保証を交渉が行われている現段階で申し上げることはややいかがかと思いますので、その点は御容赦願いたいと思います。
  154. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そう言うということは回答しておられるんですね。まあ賃上げというんだから、ゼロの賃上げというのはないんで、その辺はそれ以上詰めませんけど、引き上げということをなさるんだから、ゼロなら引き上げにならないので、その辺はひとつ十分配慮して対処してあげていただきたいというふうに思うのです。私はたまたまそのときに拝見をしたんですけれども、バイオリンだとかビオラだとか、演奏を直接拝聴したり、ソプラノだとかバスだとかいうクラシックを生で拝聴したりして、やはりああいう音楽が何よりも好きで、それを本当に聞いてもらいたいという熱意を持っている人たちの集まりですし、そういう人たちが十分活躍のできるような条件というのをやっぱり保障していく社会でなければならないなということを改めてちょっと感じたのですが、そういう点ではNHKの今日の運営の中では、なかなかいろんな障害もあるんだろうと思いますけれども、そういう芸術に非常に情熱を傾けて、しかも損得を考えずにやろうという意欲を持っている人たちの登用についても心をされるべきではないかということを感じました。これは私の感想でございますが、その点をひとつぜひ御勘案をいただきたいと思うのです。  もう時間がなくなりましたので、あとお伺いしたいのは受信障害、特に都市難視ですね、これは去年も私お伺いをいたしましたサンシャイン60の都市難視の解決問題なんですが、午前中にも御質問がありましたので、これはできるだけダブって聞かないようにしたいと思っているんです。  最初NHKにお聞きをしたいと思っておりますのは、その障害が出てきてNHKが調査をされましたね、去年の九月に。その後の経過、何かあれば御報告をいただきたい。
  155. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 調査いたしました結果をサンシャインビルの方、それから若干受信状況が悪くなっている関係の区役所等関係方面に御説明をいたしました。その後サンシャインの方での対策につきましては、けさほど御紹介申し上げましたように、主として直接影になっている部分についての対策が進んでいるように存じます。影の部分以外の反射部分につきましては、サンシャインのお話によりますと、自分のところの障害原因も確かにある、NHKの報告どおりあるだろう。しかし、その地域地域のほかの原因者もあるんではなかろうかと、その辺の問題についてもう少し詰めたいというようなことをおっしゃっておるように拝聴しております。
  156. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 サンシャイン60の新都市開発センターがことしの二月に杉並区長あてにテレビ電波障害の防除対策についての回答というのを出しているんですけれども、これは御承知ですね。これにはこう書いてあるんですよ。「日本放送協会のいう「サンシャイン60」による反射障害区域については、必ずしも原因者が単独ではなく他の建築物、工作物の影響との複合により障害が発生し、若しくは助長された区域が多分に含まれているものと考えられます。すなわち、複合障害地域であると当社は考えていますが、NHKの調査では、この点が明確にされていません。」「現在の処、複合障害対策についての具体的実施方法は明確ではありません。この段階において、当社のとり得る方策について」は、「未だ結論を見るに至っておりません。」それから「受信障害の除去について国、放送事業者等の責任も明確にすべきである等現行法規等の改正を要する点があると考えられます。」「当社もまた電波行政、都市行政の所管省庁に対し要請し、この要請が達せられるよう今後とも各方面のご協力を得て関係者に強く働きかけて参る所存であります。」こういうふうに、これは区長あての文書です。御承知ですか。
  157. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 承知しております。
  158. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 NHKの調査では複合障害は明確ではありません、私の方は複合障害であると考えております、こういうふうに言っているんだけれども、それに見解ないですか。
  159. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 承知をしておりまして、実は、杉並の区長さんの方からNHKの方に、そのいま御紹介のありましたサンシャイン側の見解を含めまして御照会がございました。私どもとしましては、いままで調査をいたしました結果をそれぞれのところへ御照会をしておるんですけれども、詳細に調査いたしました結果から申しますと、大局的に申しまして、サンシャインビルが原因である。それは、非常に微細に検討いたしますと、いま都市内でゴーストのような受信障害が全然なく受像できるような場所はほとんどございません。これがかなり見るにたえなくなる、本当にひどくなったときに、いわば原因者負担で障害対策をしていただく。よく注意して見れば障害は若干あるけれども、通常見るのに実用上支障のないというような段階のものまで含めまして複合障害というふうには私ども考えていなかったわけでございます。そこまで含めておっしゃいますと、確かにそういうものはないとは申しませんけれども、従来、サンシャインビルができるまでの間実用上支障なくごらんになっていたところに、サンシャインビルができたために非常な障害を生じたというところだものですから、私どもとしては、そういう意味でサンシャインビルが少なくとも主原因であり、個々の、個別的な具体的な場所につきましては若干従来の、サンシャインビル以外の原因による障害がまだ解決されず残っているところがあるかもしれません。そういうものにつきましては、具体的な対策を講ずる場合にそれを勘案して分担をしていただけばよかろうというふうに考えている次第でございます。  したがいまして、そういう個々の調査地点におきますゴーストの実態を分析をいたしましたデータもつけまして御説明はしてございますし、今後サンシャインビルが中心になりまして、いわゆる原因者責任主義という郵政省の御指導のもとに対策を進める、そういう場合に具体的な分担なり他の原因者との関係なり調べる必要があれば、私どもはこれに協力するのにちっともやぶさかでないというようなことで、杉並区長の方にはそういう実態をもう一度御説明をいたしてございます。
  160. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、私これを拝見しまして、私がNHKやったらものすごう腹が立つと思うんですよ。NHKが技術的に調査をなさって、調査の結果を資料として報告しているんでしょう。それについて、これは、NHKの調査では複合障害だというのは明確にされてない、私の方は複合障害地域であると考える、現在のところは複合障害対策については具体的な実施方法は明確ではありませんので当社ではいまだ結論を見るに至っておりません、というふうなことを書いているんですよね。そんな、NHKの調査は明確でない、私の方は複合障害だと言っているんですよ。開き直っているんですがな。そして、複合障害なら対策は明確でないんだと。十万世帯難視地域があるんでしょう。それは受信料との関係は勢い出てこざるを得ないでしょう、そういうときに。そういう問題を解決していくのに、そないのんびりしたことを言うてたら話にならぬのと違いますか。私はこれを見て、何となめたことを言うなと思ったんですけれども、そういうふうにお感じにはならないですかな。
  161. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) おっしゃるように、まことに心外な面もございます。ですけれども、売り言葉買い言葉になることを決して好みませんし、できるだけ円満に解決をしたい。サンシャインビルにいたしましても常識のある事業体だというように考えておりますので、杉並の方からこういう返事が来ましたという照会がわれわれの方へございましたので、もう一度理を尽くして御説明に当たっているというのが現状でございます。
  162. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはまあしかし、サンシャイン60の方で独自に調査能力を持って調査をなさってそういうふうにおっしゃっているというのかどうかという問題あるんですね、それはどうですか。
  163. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) サンシャインの方でどの程度調査能力をお持ちか私の方ではつまびらかにいたしませんけれども、今回のサンシャインの工事の進捗に応じましてNHKの方でぜひ調査をしてほしいという御依頼もございました。私どもとしては、これだけの建物が建つ以上は何らかの障害が出てくることは当然予想されますので、自主的に調査をすることも考えておりましたけれども、先方からもそういうお申し出もございました。ということは、私ども以上の調査能力をサンシャインがお持ちであるとは考えられないと思います。
  164. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だから、NHK以上の能力はまさか持っておらないと私も思いますよね。それがNHKの調査では明確ではないんだと、複合障害が。私の方は複合障害だと思いますと、そう断定的に言っているんですから、その辺のところはやっぱりNHKとしても、何もサンシャイン60とけんかしなさいと言っているんじゃないですよ、そうではないけれども、十万世帯難視ができたらこれはあんた、受信料に直ちにはね返っていくでしょうがね。そういうものを解決していく上で、やはりNHKがおやりになってきた立場あるいはその見解というようなものはもっときちんと相手に対してもはっきりさせていくということが必要ではないかというふうに私は感じたんです。  さらに、これにはこう書いてあるんですね。「受信障害の除去について国、放送事業者等の責任も明確にすべきである等現行法規等の改正を要する点があると考えられます。」「当社もまた電波行政、都市行政の所管省庁に対し要請し、この要請が達せられるよう今後とも」「関係者に強く働きかけて参る所存であります。」と書いてあるんですが、大臣、これ郵政省にはサンシャイン60から何とか要請がありましたか。
  165. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) お答え申し上げます。  サンシャイン60から格別の要請はございません。
  166. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、これは空文ですな。これ、二月の文書ですからね。しかも区長あてに出している文書なんですが、誠実に解決するという態度を持っているのかどうかという点が疑われるわけですよ。それで、私はNHKにもしっかりしなさいよと申し上げているわけでしてね、その点会長、どうです。こういうことになってくると、これは、いや私の方は調査の結果複合障害だと、NHKの調査は当てになりませんと、こうなってきたら解決しませんよ。こういう課題がどんどん広がり出したら大変ですよ、どうします。
  167. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まあ先方がどうおっしゃろうと、私どもの方は原因者責任主義という基本方針を貫くための折衝なり交渉なりをする以外にないんではないかと、そういうふうに考えて現在指導しているつもりでございます。
  168. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣にちょっとお伺いしたいんですがね、この都市難視解消の問題というのは、これは午前中も論議がございましたが、昨年も私御意見を承ったんですが、非常にむずかしい問題ですね。特に地方団体でも条例などをつくったりして対処を始めてるんですね。しかしどうにもならないので、そこらの地方団体の担当者たちは、少なくともこれは地方自治体で条例などをつくってやってみても効果が上がらないと、国の責任で法的措置をとってもらいたいんだという要請があるぞということを昨年も私申し上げた。で、その点で原因者負担原則というふうなものが明確にされるような法的な措置をお考えになるのかどうか、そういうことを考えるんではなしに建築基準法でけさもお話のありました建設省との折衝などで対処していこうとお考えになっているのか、どっちでやろうとしておられるのかという点ですね、これちょっとお聞かせ願いたいんです。
  169. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 都市受信障害がもう大変な社会問題になっていますというように認識いたしております。けさの委員会でも、住宅局の課長が建築基準法で解決を図るように検討いたしておりますという答弁がありましたが、私は原因者負担のたてまえを堅持し、解決を図ろうと思うと、建築基準法、すなわち建築確認の段階でありとあらゆる技術を投入いたしまして、この建築物が完成いたしまするとどの程度の電波障害が起きるかということを地方電波監理局の責任において、またNHKなり民放関係の協力を得てこの確認をせないとなかなか原因者負担のたてまえが貫けないわけですから、やはり建築基準法の改正を図る努力を続けて、確認の段階でいわゆる建築主に責任を持ってもらうということをいま検討中でございます。  まあ私は精力的にこの問題と取り組んでいるつもりですが、なかなかうちの役所では技術的に困難な面を指摘するし、建設省は建設省でその立場の問題でありましょうか、先ほどサンシャイン60のいわゆる原因者負担に四十億かかるとなると、これまた日本の建築はこれで電波障害のためにできなくなるということを懸念してああいうことを言うんだろうと思うわけでありまするが、かなり検討をすればするほどむずかしい問題が出てまいりましたが、私はしかしこの方法を進めつつ、今度は放送技術と申しましょうか、この技術開発にも力を入れて、もっと安易な方法で、たとえばいま僻地の難視聴に大きな役割りを演じてくれていますミニサテ、ああいったものも開発するために、まあ研究者は私に指示いたしました、並行して解決を図らねばならないと、現在のところこういう結論に立ち至っておりまするが、今後もさらに検討を加えて、一刻も早く御迷惑をかけている視聴者の救済に努力をしたい、かように考えております。
  170. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、大臣が建設省との折衝をお始めになっているとかあるいはけさの建設省のお話を伺ったりしてちょっと心配をしましたのは、今後の課題、今後建築される建築物のあるいは構造物の課題について検討されていくということが、その分野ではできても、既設のものについての対策というのは別途考えざるを得ないわけですね。そういう点で、その両面を考えておられるのか、あるいは建設省サイドとの話だけで何とかしようと考えておられるのか、その点を非常に心配をしたわけです。両面を追及しようとしておられるということでございますね。それで非常にむつかしい。  確かにおっしゃるとおりむつかしい問題を含んでいると思うのですが、NHK経営の実態から言いましても、これはむずかしいからと言ってほっといたら、どんどん都市難視が進めば、これは受信料の収納と深くかかわり合いがありますから、その点は一日も早く解決しなければならないと思うのです。恐らくこのサンシャイン60でも、こんな文書を区長あてに出すということになりますと、これは障害を受けている視聴者との話し合などについてもかなり強い態度に出てきているんではないかというふうに思うんですね。そうなってきますと、これは当然国民の側は、視聴者の側は、これはもう受信料というところへすぐ結びつきますよ。そういう点を考えれば、大臣、幾らむつかしい、むつかしい言うておっても片はつかないので、一定の目標、期限を切ってでもやはり取り組まれるとか、あるいは大臣在任中には必ずこれはやってのけるとか、そういう点ははっきりされていく必要があるんではないかというように思いますが、どうでしょう。
  171. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 先ほども申し上げたとおり、建築基準法の改正と相まって、何というんですか、むずかしいサンシャイン60ですか、これ一つ電波障害で四十億というわけですから、やはり私は原因者負担原則を貫く上においても、やはり原因者も国民ですから、こういった方々負担を軽減し、なおかつ電波障害をなくするという、これが理想的な政治の姿ですね。だから片や技術開発にも力を注ぎ、並行、両用相まって解決に取り組みたい、在任中にやれとおっしゃっても、これはなかなか高度の技術を要する問題でありまするし、また軽々に私はようござんすと言うわけにもまいりません。しかし真剣に取り組んでいることだけは素直に認めてもらいたいと、まあかように申し上げて答弁といたします。
  172. 木島則夫

    ○木島則夫君 まず、FMと多重放送の開放についてお伺いをいたします。当委員会における服部郵政大臣の発言を伺っておりますと、FM放送とか多重放送の早期免許に踏み切るという大変積極的な姿勢をお示しのようでございます。そこで、まずFM放送の前提となります国際的な中波ラジオの周波数再編成というものが本年の十一月の二十三日、国際標準時午前零時、日本時間ですと午前九時に当たります。ひとつ、こういう切りかえのときに、具体的にどうやって日本がこの方策を進めていくのか、この辺から伺いたいと思います。
  173. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) お答え申し上げます。  国際的な周波数の切りかえ工事、それからわが国といたしましては、切りかえ後の検査の必要があるわけでございまして、そのためにはある一定時間の停波——放送の中止が必要になろうかと思っております。  国際会議では、ただいま先生仰せのように、日本時間で午前九時を期してと、こういう形になっておりますけれども、わが国の放送現状もございますし、また、いつの時点で停波することが最もスムーズに周波数の移行が可能になるかという点につきまして、NHKあるいは各放送事業者、それぞれ局数も違いますし、移行のための要員関係等もございますので、現在、それぞれの要望を承りながら対策を検討中でございます。
  174. 木島則夫

    ○木島則夫君 十分にこれ慎重に検討していただきたいと思います。  FM放送の開放に当たりましては、中波ラジオとの混信対策という問題が絡みながら、その推移を見てというのがこれまでの方針の一つの特色であったと思います。つまり、中波ラジオの代替としてFMを使うのか、それともFMの特色を生かしたものにするのかということでございます。服部郵政大臣の発言を伺っておりますと、いま申し上げた中波の混信対策の必要性が、何かこう希薄になってきたようにも受け取れる御発言をされているし、さらに交通情報用にという御発言を伺いますと、一体、FM放送というものの本質、特質というものは何なのか、その目的とするところは何なのかといった基本的構想に触れざるを得ない、戻らざるを得ないという感触を私は受けとめたわけでございます。  もう一度繰り返しますが、中波ラジオの代替としてのFM放送としての任務は放てきをしてしまったのか、それともFMの特色を生かしたものとするのか、確認の意味で、ひとつ郵政省のFM放送に対する位置づけというものを基本的にお聞かせをいただきたいと思います。
  175. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 混信との位置づけという点ですが、現在も中波放送で混信をして困っている地域があるわけですから、そういった地域住民に、よりよい品質の放送を享受してもらうために、この混信の解決のためにFMをその地域に使うべきであると、まず第一に私は考えております。  いま一つは、これはもう専門家でありますから、申すまでもなくFMのいわゆる音質のよさということは、これはもう定義づけられているわけでございまするから、音質のすぐれたFM放送の拡充を求める声は、これは各方面からもまことに強いわけでございますので、私は、この要望にこたえるに当たりまして、中波放送との関係などをいま事務当局に十分に検討をしてもらいたい、するべきである、しかる後に結論をなるべく早い機会に出して、この周波数の割り当てもしてまいりたいと考えておりますが、なお開放の目的とか、また放送区域等の問題もいろいろとこれはなかなかそう簡単にはまいらないことも十分承知いたしております。したがって、私は、こういったことを具体的に申し上げる段階ではないかもしれませんけれども、FMのいわゆるいい面を大いに活用する、片や、混信の地域の解決にも使いたい。  さらに、交通情報関係についてという御意見でありまするが、これは私は確かに閣議後の記者会見で、最近の交通事情のふくそう状態、これは人間の神経がいらだって、寿命が縮むほどの状態であると、これにもできればFMを使いたいと。というのは、朝から晩まで、二十四時間中交通情報を流したのでは、これはドライバーたまったものではありませんから、このFMのよさを中に取り入れて、軽快な音楽を流しながら、しかも交通情報を流して、交通渋滞に少しでも役立つことができるならばやりたい、かように考えている次第でございます。
  176. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま、大臣の確認を伺って安心をいたしました。何か混信対策がこう希薄になって、見切り発車をされたんではないかというような印象に実は私受け取っておったものですから、いまの大臣の御発言を伺って私は安心をいたしました。  で、交通情報も、ただやたらに流すんではなくて、音楽の合間といいますか、音楽の間隙にそういうものもというお話でございますから、これも納得をいたします。  一々ちょっとこう確認をさしていただいて恐縮でございますけれども……
  177. 服部安司

    国務大臣服部安司君) いや、結構です。どうぞ。
  178. 木島則夫

    ○木島則夫君 できるだけ早い時期にFMの開放をとおっしゃったことと関連をして、中波の国際会議の決定に基づいて、十一月の二十三日にいわゆる周波数の変更がございますね、再編がございます。で、早い時期に開放というと、年内ということになるんでしょうか。その二十三日から年内の間ということでしょうか。  それと、大臣は、中波の国際会議の決定を、これは大臣の御本心じゃないと私は思いますよ、この間ちょっと軽視をなさったような御発言がありましたものですから、いやしくも現職の大臣といたしまして、これは憲法の問題なんかを持ち出すまでもなく、国際条約とか国際協約、協定というものは、これを大事にしなきゃいけないというお立場でお伺いをするわけでありますけれど、もちろんこういうものを大事になすって、その上でしかるべく手続を、対策をおとりになると、こういう意味でございましょうか、ちょっと確認をさしていただきたいと思います。
  179. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私は、少し行き過ぎた発言であることは、これはもう謙虚に認めますが、ただ、そういう状態でお役所で作業を進められると、すばらしい、いわゆる良質の放送を受ける国民が大変な損害を現在も受けているわけなんです。現在でも、東京、名古屋、大阪、福岡と、民放四つのFMがございます。これはもうすでに実用の段階に入っているわけです。大変好評を受けているわけですから、私の申し上げるのは、先ほども申し上げ、いま具体的にその時期をと、こう申し上げたことも、やはり物事には準備行為というのがあるわけですから、たとえば十一月二十三日の国際会議を盛んに局長が主張するから、ぼくもちょっと抵抗を感じたわけですが、これを待ってこれから始めたんでは、一体いつの日にいわゆる開放ができるかということは、非常に長引くわけであると。だから、一応の会議の目標はあるが、私にはその会議の結果というのはある程度想像できるが、少なくともそれまでにいわゆる各地域の実態の検討を開始すべきである、実態の把握をすべきであるというふうに私は考えて、そういう立場から先般申し上げたような次第でございます。
  180. 木島則夫

    ○木島則夫君 電波監理局長に確認をしておきますけれど、十一月二十三日に、つまり中波ラジオの周波数再編成の実施ですね、大臣のいまの御発言に何か補足することがございましたら、ちょっとおっしゃっていただきたい。
  181. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 国際協定によりまして、ことしの十一月二十三日の日本時間で午前九時に、国際的に周波数の移行が行われることがすでに決定をいたしております。  一方、大臣が申されるように、FMの開始、これは十分に中波との関連を考慮しながら検討をできるだけ早く取り進めるようにというお気持ちも、十分事務局といたしまして承知をいたしておりますので。また一方、中波放送と申しますのは、先生承知のように、放送の重要な基盤一つでございます。将来とも混信のないような形で維持できるものならば維持していくべきであるという観点からいたしまして、各国の中波放送現状、あるいは移行の状況、そういったものを、監視機関等を駆使をいたしまして把握をいたしつつございます。  また、十一月二十三日の時点にならなければ移行後の日本の中波との混信関係が全くわからないのかどうか、その辺につきましても鋭意検討をいたしております。しかしながら、近隣諸国の中には、協定の中にまだ記載されるに至っておらない周波数を、かつての昭和五十年の国際会議に提出をしたという経緯もございますので、あるいは完全に十一月二十三日の段階では各国との関係、言い直しますと、中波の混信のためにFMを準備しなければならない局というものが摘出できるかどうか、現在鋭意検討を進めておるという状況でございます。
  182. 木島則夫

    ○木島則夫君 この問題で余り時間を割きますと、せっかくのNHK予算の時間が割愛をされますけれども、もうちょっと続けさしていただきたいと思います。  多重放送についても積極的な姿勢をお示しのようでございます。多重の開放に当たりましては、まずこれの独立的利用なのか、それとも補完的利用にとどめるのかということが先決要件にあるというふうに思います。郵政当局としてはどのような活用方針をとられていくのか。多重放送に関する調査研究会議の報告でも、現在の段階では、多重放送のすべての種類について全面的な実施に移すのは時期尚早であるので、技術的、法律的にも問題の少ないもの、テレビ音声多重放送の補完的な利用としてステレオ放送とか、二カ国語放送、こういうあたりから実験的に行うことを提言をしておりますけれどもいかがでしょうか、郵政当局としてはどのような活用方針をおとりになっていくんでしょうか。
  183. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 多重放送についても、御指摘どおり、決してすべての多重放送が完璧だとは私も考えてはおりません。ただ、音声多重は、もうすでに完成の域に達したと言っても私は言い過ぎではないと思います。したがって、これまたラジオのFM同様とてもすばらしい開発でありまするから、私はこれは早く国民に供用を開始すべきであるという立場をとり、現在もそれを堅持しつつ、ただ補完的にするか、またこれを独立にするかという問題については、なかなか微妙な問題もありますので、正直申し上げていまどちらの点を採用するかということを検討を始めているところでございます。
  184. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう少し具体的にこの先の問題を伺おうと思いましたけれども、いま大臣の御発言にありますように、非常に微妙なむずかしい問題を含めております。  実はこれから伺いたかったのは、NHKに対して多重放送はどの種類のものを認めていくのかということ。この場合、場合によりましては、マスメディアの集中化というような問題にもつながってくるだろうし、さらに多重放送の独立的利用を第三者が行う場合、これを可能にするための法律的な措置というものも必要になってまいります。ですから、こういう点を含めて、もちろん慎重に検討はなすっていると思いますけれども、もしその構想があったら片りんだけでもちょっと聞かしていただきたい。
  185. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ちょっとこの段階ではひとつ勘弁してもらいたいと思います。
  186. 木島則夫

    ○木島則夫君 次にもう一つNHKに入る前に、放送衛星に絡む問題について簡単に伺わさしていただきたいと思います。  放送衛星についての関心は内外ともに非常に高まっています。三万六千キロという高度から直接各家庭に向けてテレビ放送を行うこの放送衛星というものは、まさに画期的なもので、受信障害とかそういうものも、将来これによって解消できるという可能性も非常に大きいわけでございます。しかし、この便利な放送衛星に対しても、やはり問題はいろいろあるようですね。現在、多くの国は短波を使って外国向けのラジオ放送を行っておりますけれど、放送衛星を利用しますと、外国向けにテレビ放送を行うことは、当然これは可能でございます。これが実施をされた場合に、放送を受ける立場から考えますと、つまり受け手の立場に立って考えますと、外国からのテレビ番組を多数の国民視聴することによって目的とする国以外にも、つまり映像の広がり、電波の広がりというものが当然あるわけでありますから、多数の国民視聴することによりまして、政治的にも社会的にも文化的にもいろいろな面で問題が起こってくる。これがそれぞれの国内の体制内の事情にもつながって、ときには国際緊張の面まで発展しかねないというような問題にもつながる。こうした心配は特に社会主義国やあるいは発展途上国で強いと言われております。こういう観点から、衛星放送を国際的に規律しようという動きがあり、これが国連の宇宙空間平和利用委員会で審議をされている衛星放送規律原則案の問題であるというふうに私は受けとめております。  これも簡潔で結構でありますけれど、この委員会における各国の主張と問題点——大体三つぐらいのグループに分かれていると思います。さらにわが国の立場、これが実用段階に入ったときのいろいろな予想される問題点の中で、特に郵政省が重視をしている問題、こういうことに関してひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  187. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 衛星放送についての国際的規律の問題でございますが、現在、技術及び法律の両面から国際的な検討が行われておるわけでございます。先生指摘の法規律の面につきましては、国際連合宇宙空間平和利用委員会の法律小委員会におきまして、衛星による直接テレビジョン放送を規律する原則案の起草作業が行われておるところでございます。  この原則案の作成をめぐりまして、従来、相当長く対立があったわけでございますけれども、最も対立しております点は、このような直接テレビジョン放送を外国に向けて行う場合、送信国は受信国の同意を得なければならないこととするかどうかという問題だと考えております。わが国といたしましては、衛星放送につきましても、基本的には放送番組に編集の自由が確保されなければならないという考え方に立っておるわけでございますけれども、この原則が損なわれない限度で受信国の関心についてある程度配慮できる余地を制度化することが、現実的な解決の一つの方法ではないかというふうに考えておりますけれども、現在各国の主張は依然として厳しく対立をしておりまして、どのような結論になるかを現時点では予測することは困難であると言わざるを得ないわけでございます。
  188. 木島則夫

    ○木島則夫君 現実的利用の段階に入りますと、いま言ったような国際間の体制の違い——思想、文化、政治体制、いろいろ問題が付随をしてまいります。非常に便利で画期的な放送衛星というものが、逆に不便な状況に制約をされかねない。放送権の問題も絡んでまいりますでしょう、いろいろありますね。だから、そういうことを私は将来展望としていま伺ったわけであります。ちょっと抜けておった個所がございます。
  189. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 現在わが国で考えております放送衛星は若干おくれておりますけれども、いまの予定といたしましては四月の八日ないし九日に打ち上がるわけでございまして、これは実は実験用の中型放送衛星でございまして、なおかつ、ただいまの問題もございますので、スピルオーバーと申しますか、外国にできるだけ実験用の内容が漏れないように工夫をいたしまして実験をする。で、その結果を踏まえながら、いわゆる国内における需要と申しますか、使用方法を考えてまいりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  190. 服部安司

    国務大臣服部安司君) まあ離島とか災害時とか、それから難視聴をまず解消目的をもって実験に入りたいと、かように考えておる次第でございます。
  191. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ何というか、電波というのは壁でさえぎるわけにもいきませんし、ある一国だけに電波を送るということはできないわけですね。だから、それが他の国に漏れないようにということになりますと、これは神わざよりもむずかしいわけでしてね、せっかく便宜な画期的な放送衛星というものをいざ使用する段階になりますと、さっき言った体制の違いとか、いわゆる余り自由の度合いを見せつけられては困るとかいう規律の問題が、かえってこの画期的な衛生放送というものを不便にするという意味で、これからやっぱりこういう問題は深刻に、真剣に考えいかなきゃいけないという意味で、将来展望も踏まえて私は申し上げたわけでございます。  大変お待たせをいたしました。いよいよNHKの五十三年度予算についてお伺いをいたします。  四月からの番組編成のバックグラウンドになったと言われている国民視聴態様につきまして御説明をいただきたいと思います。これは簡潔で結構でございます、ほかの同僚委員からも質問がございましたので。視聴態様というものがどう変わったのかということですね。
  192. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 最大の変化は、物理的変化といたしまして、国民の寝る時間が遅くなったという、約十年間で一時間おくれをみておるということと、それからもう一つは、国民の都市集中ということがますます進みまして、その結果、視聴好的時間が少し動いたということです。すなわちこれを見る方から、視聴態様から申しますと、ゴールデンアワーが広がったということでございます。普通、いろんなときの調査でも、昔は九時ないし十時で終わっていたものが、十一時までをゴールデンアワーとして取り扱っていることが一つでございます。それから、それに、広がりに応じて子供のチャンネル権というものが七時半台においてほぼ確立しておると、こういうことかと思います。
  193. 木島則夫

    ○木島則夫君 これはまあ確認の意味でただしておきたいと思います。  つまり、国民の生活態様に変化が出てきたんがと、寝る時間が遅くなり、ゴールデンが広がったということですね。これに見合った番組編成を伴ったという御趣旨に受け取って差し支えございませんでしょうか。
  194. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えします。  見合ったと申しますか、これにこたえ得る番組編成を行ったということでございます。
  195. 木島則夫

    ○木島則夫君 前回の大改定の折には、報道番組を前面に押し出して、つまり報道のNHKを標榜をされたわけです。むしろこういう言い方は、私流の言い方ですからひとつ御容赦をいただきたいと思いますが、むしろ強引と思われるほどの編成方針を打ち出した。部内にいた者でも、ある面では面食らったほどの急変ぶりで、むしろNHK先導型で公共放送としてのNHK色を定着をさせてきたというふうに過去の経緯、過去の推移を私は見ております。言い過ぎであったらお許しをいただきたいと思います。  適当なたとえにはならないと思いますけれど、従来的な食事のメニューがある日急激的に変わった。で、これは視聴者のニーズというよりも、NHKの側から積極的なアプローチがあって組み込んだ食事のメニューであり、初めのうちは確かにとまどったり口当たりがよくなかったりしたけれど、NHKという公共放送のメニューはかくあるべしというNHK側のアプローチによりましてなされた番組改定であったというふうに私なりに受けとめております。そして、これが民間放送との番組対比においても特色となって、NHKは、公共放送はかくあるべきなんだという公共放送の象徴的な姿として、いつしか国民の間に定着をしてきたというのが前の大改定以来の推移であると、私なりに受けとめているわけでございます。  そこで、今回の改定に当りましては、これまでのNHK基本的な考え方は踏襲をし、国民視聴態様の変化に対応できる形をとったという御説明でございますけれど、これも非常に私流の言い方でございます。従来のNHKが、ある意味でアクティブに民放との対比の中でNHKを特徴づけてきた姿勢、つまり肩いからしてきたNHKが、大人になったというのか、現世的になったというのか、骨っぽさというものが少し薄らいできたようにも感じられます。なで肩のNHKに変化してきたんじゃないだろうか。このあたりに、私は十年、十数年の歩みはありますけれど、少し落差があり過ぎるんじゃないだろうか。堀さん、その辺は私のこういう見方というものは偏っておりましょうか、いかがでしょうか。私はちょっと落差を感じる。
  196. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答え申します。  木島委員の姿勢について私からとやかく批評がましいことは差し控えさしていただきたいとは思います。しかし私たちといたしましては、もう一つ、その当時、昭和三十九年当時のテレビ台数というのは約千六百万でございました。それから約二倍とは申しませんけれどもかなりの数のテレビが普及しているという状況変化もあるわけでございますが、それはさておきまして、私たちはその特段に大きな骨格的な変化を、ゴールデンアワーの内部で比率を変えたというふうには思っておりません。まあ肩は多少いからしたことから見れば、そのときなりに、会長先ほど申し上げましたように評価もされ、われわれも評価をしているわけでございますが、少し、何といいますか、普通になったという程度に私は理解しております。
  197. 木島則夫

    ○木島則夫君 少し普通になったというふうにおっしゃいましたけれど、距離を置いて見ておりますと、その辺に私は多少の落差を実は感じるんです。  前田さんの時代には、確かにNHKを取り巻く環境というものもいまよりはよかったし、まあテレビも急激な勢いでふえていったこともこれも事実でございます。あの当時は視聴態様ももちろんNHKとしては参考にされただろうし、それよりも何よりもNHKは、公共放送はかくあるべきだというたてまえを前面に押し出された形をとってきたようにうかがえます。さっきも申し上げたように、むしろ強引と思われるほどの改定を行って、これを公共放送のたてまえとされた。そして、こちらの編成に国民の皆さんなれてくださいよと、こうはおっしゃいませんでしたけれど、当時、まだ私はNHKに在職をさしていただいておりました。何か現場でもずいぶん変わったなという、そういう印象を受けたわけであります。  あの当時とは時代も視聴態様も変わったことは事実でございます。でも、何か、今度NHKの方の御説明を伺っておりますと、視聴態様というものが非常に大きなウエートを持って説明をされる。そして、視聴態様にこたえ得る番組だ、番組だという、そういう御説明が、何か先ほどの堀さんの言葉を、私は言葉じりをとやかく申し上げるわけではございませんけれど、少し変わった、少しなで肩になったんじゃないだろうかという落差を私に印象づけたんじゃないだろうか。そして、大変抽象的な議論で恐縮でありますけれど、その落差は一体何から来たんだろうかという、そのバックグランドに何か特別の、堀さん、理由はございませんか。
  198. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 昭和三十九年、十五年前の改定時におきましては、確かに大きな決断を持ってそういう放送体系を前面に打ち出したことはこれは事実でございます。その後、しかしいろいろの調査によりますと、その時点から二年ぐらいたちましてから、ゴールデンアワー内における視聴率というものはかなりの変化を来してまいりました。そしてまた、民放の台頭等もございました。そういうNHKに対する親しみが、視聴率だけが問題じゃございませんけれども失なわれてきて、批判も多少出てくるようになったというようなことかと思います。  しかし同時に、NHKといたしましては、その当時から、たとえば報道、教養、教育はNHKで、娯楽は民放でという、いわゆる民放の言う機能分化論に対しては私たちは非常に強く反対していたわけでございます。したがって、それが視聴態様の変化及び視聴者の傾向の変化ということは、いわゆる時代の動きとともにありまして、それに合わせようという努力はその都度行っておりましたが、基本姿勢において根本的変化を来したというふうには私たちは考えておりません。
  199. 木島則夫

    ○木島則夫君 昭和三十八、九年のテレビというものは、カラーが急激にふえていった時代ですね。その前の皇太子殿下の御成婚というビッグ・イベントに刺激をされ、さらにオリンピックという好個のテレビ対象を得て、いま申し上げたようにテレビは急上昇の時代にあったわけでございます。こうした時代から十数年たった現在、テレビを取り囲む環境というものも、NHKを囲む環境というものも、私は当然大きく変わっている。経済状況も大きく変わってまいりました。NHK民放との開きも、収入面においては大きく逆転をした、こういう状況でございます。価値の多様化の中で、NHKも一昔前のNHKとはその立場を異にしてきたということもこれは認めざるを得ない。ことに財政面での危機というものは、受信料の値上げをしても数年が限度。そうそう安易に受信料値上げもできないという中で、公共放送の十字架と申しますか、重荷というものはますます大きく喧伝をされ、財政面での危機感をバックに公共放送としての試練に直面をしているというのが現状でございます。  したがって、当委員会でいろいろ議論をされた、国際放送政府がもっともっとめんどうを見なきゃいけない。こうした財政援助をふやそうが、NHKに負わされてきた、また公共放送としての負担を軽減されようが、これだけではとてもじゃないけれど赤字を埋めることはもはやできないわけでございます。構造的な財政危機という表現がいいかどうかは別といたしまして、私はそういう認識を持っております。不払い者の数も決して少なくない。不払い者に説得に行っても、その回収のための経費の方が高くつく。だからといって、行くなと言っているんじゃない。公平の原則を貫くためには、私はやはりやってもらわなきゃ困ると思っております。また、ある思想を持った人たちに説得をしても、話し合いをしたって、これは払うものじゃないです、はっきり言って。現体制を否定しようという人たちですから、これはなかなか容易なことでないこともわかっております。こう見てまいりますと、NHKを取り巻く周囲の事情というものは非常にシビアですね。これはもう私が申し上げるまでもなく、皆さんは骨身にしみていらっしゃると思います。  そこで、こういう御質問を申し上げることは私は失礼かと思いますけれど、坂本会長にお伺いをいたします、こういう状況の中で、いかがでしょうか、これじゃいけないんだ、いけないんだという、何か萎縮につながるようなあせりというものがおありなんじゃないだろうか、こういうふうに質問すれば、そんなものはございませんよとお答えになるに決まっておりますけれど、私とあなたの間だと言うとちょっと言い過ぎになりますけど、きょうは私はフランクにひとつNHKのお気持ちを聞かしていただきたいという意味で伺いたいと思います。
  200. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 木島先生の御指摘のように、その点が一番われわれ心配するところでございまして、非常に厳しい環境に負けて、萎縮になっていったら、それでもうNHKの存在が否定というところにつながらざるを得ないのじゃないかと。その場合に、じゃNHKは何をもって対応するのかと言えば、私は番組以外にないのじゃないか。まあ迂遠なようではあるけれども番組が支持されるというところから、受信料不払いその他にもある種の説得力を持ってくると、それだけで、その不払いなり滞納なりが解消できるなんという、そんな甘っちょろい考え方を持っているわけではございませんけれども、そこを手抜かりにしていたんでは前へ進まないのじゃないか。したがって厳しい、かつて経験したことがないような、私もNHKに在職して三十数年になるわけですけれども、その体験の中で、かつてないような厳しい状況であるということは、もう骨身にしみて承知しておりますけれども、だからといって萎縮したんでは、これは解決策にならない。どうしてもその困難さを突破するための勇気と努力と決断がなければいけないのじゃないかという、その第一着手としては、やはり番組についてのテコ入れなり手直しなり、編成がえなりというところから出発すべきではないだろうか。  そのバックグランドになりますところは、堀専務からも御説明したように、世の中の変化というものに即応して、たとえば午後七時半台に報道、教養番組を編成していればNHKらしいというふうに考えることの方が、むしろ時代錯誤ではないか。なぜ報道番組が八時台にあってはいけないのだ、なぜ九時台にあってはいけないのだ、なぜ十時台にあってはいけないのだ、もっと最も適当なところに適当な形で、視聴者の要望に沿う形で、七時半に報道、教養番組を編成していればNHKらしいというふうに思うことの方が、むしろ時代錯誤ではないか。そして、私は、あわせてNHKには教育テレビというのがあるではないか。ところが残念ながら教育テレビにつきましては、やや余談になりますけれども、中学生の中で、生徒のことを考えないでべらべらしゃべっている先生のことを第三チャンネルというあだ名をつけるのだということを聞いて、私は全く愕然とショックを受けたわけでございます。そうして、少なくとも教育テレビの中身については、私はどなたにごらんいただいても、もちろんいろいろ御批判はあるでしょうけれども、十分鑑賞にたえるものをやっているつもりだ。知的要求にこたえるものをやっているつもりだ。それを見せる努力をわれわれがしてなかったのじゃないか。  そういうことで、現在は、総合テレビと教育テレビというのは車の両輪だ。この存在を視聴者の方に御理解いただくことによって、いろいろな困難なところを突破する第一着手にしたい、こういうふうに考えておりますので、木島先生が、なで型になったんじゃないか、丸型になったんじゃないかということにつきましては、むしろ積極的な意図を持っているということを申し上げたい。ただし、世の中良薬は口に苦しというようなことでございませんで、いまや糖衣錠というようなものまで出てきている状態でございますから、やはり見られるような、受け入れやすいような努力は当然出す方がすべきじゃないか。いいものを出しているんだから見ない方が悪いのだなんというのは、これはひとりよがりじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  201. 木島則夫

    ○木島則夫君 非常に私は本音が伺えてうれしいですね。私はきょうはこういう議論を実はしたいんです。そしてさっきから私が言っている、前田会長時代にむしろ強引とも思われるような七時半台に教養番組を並べて、NHKの御意図がそこにあったかどうかは知りませんけれど、こういう編成をしたんですから、NHKのあるべき姿はこうなんです、国民の皆さん、こういうNHKのあるべき姿にむしろ御理解と、習慣づけて、なれていただきたいとまではおっしゃっていないだろうけれど、そういう様子が見えた。それほど前面に押し出しNHKというものが、時代の推移はあったかもしれませんけれど、十数年たった今日、御説明を伺うと、視聴態様、視聴態様というところに何かウエートを置き過ぎているように私は感じてならない。そのウエートを置き過ぎているそのおっしゃり方というものが、ちょうどいまNHKが置かれている財政危機を初めとする厳しい環境と直に短絡をしているので、世間様は、批評家の方々は、どうしてもそれを短絡してとらざるを得ないという、そこの御説明を実は聞きたかったわけですよ。違いますか、会長
  202. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) そういう点でわれわれどうも説明下手と申しますか、あるいはPR不足と申しますか、そこら辺のところも含めて反省しなきゃならないと痛感している次第でございますけれども、木島先生指摘のとおりでございます。
  203. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、娯楽番組がいけないとか、ニュース報道でなければ公共放送ではないというようなことは、そんなことは毛頭考えておりません。むしろそういうことを考える方がおっしゃるとおりこれは時代錯誤だと思います。ただ、くどいようですけれども、もう一回言わしてください。いままでNHKのあるべき姿を前面に押し出してこられたNHKが、視聴態様によりすがった御説明をなさり過ぎるものですから、私は少し聴視率というものにこだわり過ぎているんではないかという世間の批評に、私もそれに耳をかさざるを得ない、こういう意味で申し上げたわけであります。  堀さん、ちょっとお伺いをいたします。  私はNHKを退職をいたしまして、朝のモーニングショーを担当をいたしましてから、民放にいる人たち、私ももちろん含めてでありますけれど、ビデオリサーチとか、あるいはもう一つございましたね、ニールセン、こういうものが発行される日というのは、まだかまだかといって目をさらのようにして待ち構えてそれに飛びつくのであります。こういう伺い方をしては大変堀さんに失礼でございますけれど、堀さんは、それぞれの発行日に待ち焦がれるお気持ちでございましょうか。もうそういうものは私は関係ないという全く淡々としたお気持ちでございましょうか。
  204. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  ちょうどその中間ぐらいでございます。
  205. 木島則夫

    ○木島則夫君 まさに名回答であります。  私はこれ以上申し上げません。NHKの編成方針、NHKなりの自主的判断によって七時半台に娯楽を並べた。これからの問題は、実はその娯楽が民放と違って、なるほどNHKらしい娯楽であるなという認識が持てるか持てないかというのがこれからの私は勝負どころだと思いますので、これはここで議論が終わったわけではございませんで、しばらくこういった番組を私もできるだけ見さしていただいて、機会あるごとに私はまた御批判なりアドバイスをさしていただきたい、感想も申し上げてみたいというふうに考えております。  さて、NHKNHKらしさを発揮し、民放民放らしい番組をつくって、両者が共存をしながらそれぞれの番組で競争をしていくというのがNHK民放の二本立て制度の中でのあるべき姿でございます。新聞を持ち出すまでもなく、新聞同士ならばお互いに紙面で競争をする。放送ならば正々堂々番組で競争ということになりましょう。ここでも適度の競争は紙面の内容を高めるし、番組内容を高める上で必要欠くことのできないものでございます。これは理想論です。しかし、日本のマスコミの現状を見ますと、適正な競争をはるかに越えまして、過当競争の渦の中でお互いに相対さなければならないというのもまた偽らざる現状でございます。テレビ局や新聞社、つまり情報の送り手と受け手である視聴者とか読者と、こういう間は本来は純粋に、純粋に近い形でストレートに結ばれていることが正常な姿でございますのに、どうも他社を見ながら、横を向きながら、横を見て思惑を含みながら送り手に物を送っていく、そういう傾向の中で紙面は競争され、また番組はセンセーショナルに扱われていく傾向が現実の中では多々ございます。ここに実は問題点があるわけでございます。  特に私が危惧をしている問題に、放送の素材に対するテレビ局の独占、またはそれに新聞系列も加わっての問題の複雑化が最近は非常に激しくなってきている、この問題でございます。聴視率競争に直接結びつく放送素材獲得の問題だけに、これをめぐって民放NHK、さらには民放同士の激烈な競争が行われ、またこれからも予想をされる。素材の独占化、独占に必要な放送権料の高騰など、視聴者に対するもろもろのしわ寄せが直接間接覆いかぶさってくる、こういうことが一番私は心配の種でございます。こうした放送素材、たとえばオリンピックもそうでしょう。相撲放送もそうでしょう、相撲も。高校野球もそうです。プロ野球、バレーボール、最近はゴルフも登場しています。こういうものに対するNHK基本的な取材態度、契約態度について伺っておきたいと思います。
  206. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私どもといたしますれば、一番大きなイベントとしてはオリンピックでございますけれども、それ以外のいろいろなスポーツ、行事につきまして、やはりNHKとして国民放送する義務があるであろうというふうに認識しております。しかし、競争ということになりますと、なかなか全部が全部そういうわけにいきかねる点もございますけれども、ただ、私どもの方は独占するというような考え方はございませんで、NHK放送できるということであれば、それを同時に民放がお取り上げになるということについて、何ら支障を差しはさむ気はございません。ただ、現実の問題になりますと、民放の方は御商売というたてまえから、NHK放送したのでは商売になりにくいというような面も一応あるようでございますので、そこら辺のところがケース・バイ・ケースで非常に苛烈な競争になるという実態もございますけれども、私どもの方はそういうことではなしに、基本的には全部オープンでNHKとして放送できればよろしいというたてまえで交渉をするのが第一目的でございます。
  207. 木島則夫

    ○木島則夫君 この場合、お差し支えなければ一、二の例を挙げて、契約料というのでしょうかね、放送権料というようなものも参考のためにちょっと聞かしていただけますでしょうか。
  208. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 契約権料につきましては、私どもは余り企業秘密を持たない性格は先生方承知のとおりでございますが、相手方もあることでございますので、ひとつこの点は、大相撲が年間三億二千万円という程度でお許し願いたいというふうに思います。  なお、高校野球につきましては、春、夏ともに無料でございます。
  209. 木島則夫

    ○木島則夫君 確かに五十年の放送の歴史を持ったNHKでございます。放送界においてはもう大先輩として、いままでは民放のために協力もしてこられましたし、またスポーツ団体等の育成にも大きく貢献をされてきたNHKでございますけれども、そのネットワークとか財力とか、さらには新聞社との密接なつながりをバックにした民間放送の進出というものも、最近は非常に力が出てきたわけですね。民間放送も大変な力を持ってきた。そして放送素材の独占化に活発に動いているというのが状況でございます。  私もNHKに知人がございまして、食事をしながらNHKの将来を語り合うときに、心配の余りこう言うんですね。オリンピックも今度はうまく放送できなくなる——できるかできないか今後の問題です。その放送権の獲得ができなかった。そろそろ高校野球も、新聞社系列があるのでこれも厳しくなってくるんじゃないだろうか。相撲も民放がいろいろ何というか動いている。さっき私が言った、要するに、受け手である視聴者の側だけを見ていられない横向きの状況の中で、金も出さなきゃいけないし番組の編成も図らなければならない。ここまで言えばもう皆さんぴんとこられると思います。これ以上言いません。  プロ野球は周知の事実であります。みんなが見たいというような思うようなカードはなかなかできない。そういうカードをやれば、それじゃ第二軍の放送もやってくれよというようなことになりかねない。いま言ったように、長年手がけてきた相撲放送もいろんな取りざたをされている。で、私の知人が申しますのは、まごまごしているとどうもこういうビッグイベントと言うんでしょうかね、こういう行事が、バレーボールも加えて何か民放に全部してやられてしまうんではないか、この辺も心配だなと、こういうふうに言っているわけですね。これは私の危惧に終わればいいと思いますけれども、過去の実績だけでは私はもう解決できない。なるほどNHKは、こういうスポーツ団体なりそういう行事に対して積極的に御参加を願った、そして全国に御紹介をし、育成もされてきた、その恩恵なり貢献度というものも私は大きく評価をしたいと思います。しかし、たとえばあるスポーツ団体が、自分たちのよりどころとなる会館をつくりたいとか競技場をつくりたいというときには、どうしてもお金の方に目がいくというのが現実の姿でございます。過去の実績だけではなかなか解決できないのがこれからの現状ということでございます。  いわゆるオリンピックも二十五億とかいう放送権料を払ったとか払わないとか、まことにうわさはにぎやかでございます。一億国民一人一人の負担ということで単純に計算をさしていただくと、これは二十五円ということにもなります。たしか過ぐる委員会で、私は、法外な放送権料を払うんならば公共放送として国民の皆さんに御負担がいくんだから、こういう放送をすることは潔よしとしないという、こういう態度でいきなさいと、私は確かに申し上げましたけれど、武士は食わねど高ようじじゃ、これはやっぱりNHK番組見てくださらないわけで、これは商売——商売という言い方はやめましょう。公共放送として成り立たないということにもつながる。現実は大変厳しいわけでございます。  そこでですね、事前の段階で、こういうものを獲得する周到な準備とか政治力を持った人あるいは国際的に顔のきく方々NHKにはたくさんいらっしゃる。こういう方をその衝に網羅をされていると思いますけれど、なおかつ、私は、これからやはり厳しい時代になりますと、こういうポジションも大変大事なかなめになるんではないかという意味で、どんな対策とか将来展望をお持ちでございますか。
  210. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 対外的な問題につきましては、やはりそれぞれエキスパートもおりますことでございますので、私なりに、いま先生がおっしゃるような、そういう方向で処置していきたいと思いますけれども、権料の競合につきましては、ある段階ではどうしても協調というところへお互いに持っていくべきではないだろうか。先方も、それは金があればあり従いで取ればいいんだということでは、現実問題としてなかなか禍根を残すことにもなりますので、ある過度的な現象として、先生の御指摘のような点は十分NHKとして配慮しなきゃなりませんけれども、やはりそれぞれの責任者とお話し合いをしながら、協調するところは協調するという姿勢をやはり持っていくべきではないだろうか。そういう点の努力をやはり経営者としてはしていくべきではないだろうか。いたずらにあれもだめだ、これもだめだというような形での後退を余儀なくされるというような事態になっては申しわけないと思いますので、その点についての配慮は別途したいというふうに思う次第でございます。
  211. 木島則夫

    ○木島則夫君 一昔前のNHKは、こういう言い方は失礼な言い方になるかもしれませんけれど、座っていたって日銭が入ってきて、いい身分であったと思います。おおらかで、優雅で、紳士的でいられた時代は、もう私はとっくに過去のものになってしまったと思います。で、私は、何もこう言うからといって、民放NHKも対抗をして視聴率競争を争えと言っているんじゃない。そのことは、こういうふうに申し上げるそのことは、NHKは教育番組とニュースだけやっていればいいんだ、スポーツも娯楽も要らないんだという短絡では決してないんですよ。そこのところは間違えていただくと困るわけであります。もしNHKがニュースだけやっていたとしたら民放と何ら変わらないと思いますね。ニュースという事実はNHKであろうが民放であろうが事実には変わらない。ニュースという事実の前には私はNHK民放もないという、こういう考え方からでございます。  したがって、その娯楽番組とか芸能、ドラマ、スポーツ、教養といった各ジャンルの番組の中にこそNHKNHKたる特色が発揮できるんじゃないだろうかというふうに信頼をしております。広い範囲にわたってこそNHK公共放送としての特性を出し得るという意味で、私は、NHKはニュースと教育番組だけでいいんだという言い方がされるとするならば、これこそNHKは要らないんだということに押しやる大変軽率な議論であるということで、これは真っ向から私は否定をいたします。なるほど財政基盤は厳しい、公共放送としての十字架が事ごとに押しかぶさってくるというシビアな状況の中にいることも、十分私は認識をしていろいろ申し上げております。こうした折であればあるほど、ひとつNHKの存在価値を認識をし、前向きにがんばっていただきたいと、こういうふうに思います。  そこで、郵政大臣にお伺いをいたします。  これも確認の意味でございます。大臣の御発言を伺っておりますと、その中に、NHKは内部努力に徹しなさい、もちろんそうでしょうね。そして、ところどころでコンパクトにコンパクトにというような——お言葉は違いますよ。何かこう縮小論につながるような御発言があるやに私はニュアンスとしてとったわけでございます。私の受け取り方が誤りであれば幸いでございます。で、大臣は、NHK縮小しコンパクトにコンパクトになれというようなお気持ちなのか。先ほど来私が申し上げておりますように、あらゆる分野でもってNHKらしい番組をつくるためには、むしろ内部努力に徹しながら拡大再生産の姿勢が必要なんだ。拡大というのは何も金をたくさん使って出演者を湯水のようにと言うんじゃない。精神的拡大再生産、こういうものがいま一番必要なんだという私の論議のどちらをおとりになりますでしょうか。あのNHKに対しても、きっと親心で大変厳しいことを大臣はおっしゃっていらっしゃると思います。いかがでございましょうか。縮小して縮小してコンパクトにということではございませんでしょうね。
  212. 服部安司

    国務大臣服部安司君) まず、私は所管大臣として、いまNHKに求めているのは意欲です。決してコンパクトに縮まれと言っているんじゃございません。先ほども、やってならないことはいけません、やるべきことはどんどんやってもらいたいと、それにはやはり財政基盤の確立だと。  ここでこの機会に、木島先生先ほど来の御意見、私は静かにここで拝聴していたんですが、まことに聞きながら意を強くしたわけですが、私が一番危惧している問題をひとつ聞いてもらいたい、NHKの。名前は挙げませんが、ちょうど私より少し若い方で——きわめて最近に大企業、大商社の二つの倒産に等しい吸収合併があったことは御承知のとおりです。そのときに、中高年層の方々でしょうかね、私の知人の大変な悲嘆に暮れた状態を私は目の当たりに見て、これを比較にするのはどうかと思うのでありまするが、NHKは現在一つの都市だけの人口を擁する関係者がいるわけなんです。一万六千数百人の職員に平均家族を二名ないし三名加えますと、一つの中都市なんですね。こういった方々立場に立ちますると、現在私の見ているNHKというものに対して、やはりいまこの方々に大きな不安を与えつつあるのではなかろうか。それは先ほど木島先生の御指摘のあった友人との、いわゆるこれは業務運営についてのさびしいお言葉であったと思うんですが、私はそういう点を考えて、そういう悲しい羽目に追いやっては大変だと、これはもう弱少企業や中小企業じゃないんですから。  そこで私の言っているこの気持ちは、決して縮小とか何もやるなとか言っているんじゃないんです。もう口が酸っぱくなるほど、現時点で公共放送の必要は認めていますと、必要なんですと。それだけに、いわゆる会長以下、特に幹部の方々は、経営者は、必死の企業努力を払って意欲的にこういった全職員、家族にも不安に陥れないようにやろうではありませんかと。私はこういう言葉遣いで非常に誤解を受けますけれども、片や自分の考え方も、もっと違った立場でこういう方向に持っていくべきか、この方向に持っていくべきかと。これにおいて、NHKのいわゆる何と申しましょうかNHK経営基盤の確立を図る要因をつくろうかと、これは日夜真剣に考えているわけでして、決して私は縮小とかいう考えは持っておりません。といって、決して在来のように日銭の入る上にあぐらをかいてむだ遺いは許さない、はっきり言って。物一つを購入するについても真剣に取り組んでもらいたいということは、先ほど来申し上げている理由でございます。
  213. 木島則夫

    ○木島則夫君 確かに大臣おっしゃったとおりだと思います。決して縮小とか萎縮をしろと言っているんではないんだと。つまり、過去のNHKではもう現代に対応できないんだから、そうした認識と体質の改善を行いながら、がめつさとある意味でのバイタリティーを持ってこの難局を乗り切ってもらいたい、意欲である、こういうふうなおっしゃりようだと思います。全く賛成でございます。私は先ほど来、前半において、七時半台に娯楽が来たとか来ないとかずいぶん議論をいたしましたけれど、もちろんこういう議論も大事でございますけれど、要するにいままでのNHKの物の考え方とか受け取り方、体質ではなかなかやっていけないんだと。その考え方を根本的に見直すそのことの中から現状認識し、意欲を持っていただきたいと。これは大臣のお考えと重複をするかもしれませんけれど、私もこのことを、公共放送がなくてはならない、必要なものであるという前提に立って、声を大にして強調を申し上げたいと思います。  さて、現場での創作意欲と能力は大変すぐれていると思いますね。私も逓信委員会に籍を置かしていただいておりますので、できるだけ番組は拝見することにしております。たまたまことしのイタリア賞で「永平寺」に賞が輝きました。これも私は拝見をいたしました。なかなかりっぱな作品だったと思います。それから芸術祭テレビドラマ部門の大賞として国内で受賞をされました「シルバーシート」、そして「男たちの旅路」、これは私は二本とも見ている。そして「男たちの旅路」シリーズというのは、私はこういう番組こそNHKがやはり続けるべき最もNHKらしい番組として快哉を叫んだ番組一つでございます。それが国内で大賞を受賞をされている。喜びにたえません。  現在の日本で欠けているものは何だろうか。ホームドラマが私は悪いと言っているんじゃない。これも大事ですね。しかしホームドラマではとてもとても指摘できない、もう一つきりっとしたものを遠慮会釈なくここで指摘をされる。たとえば「シルバーシート」の問題にしましても、老人を扱う場合には痛いものにさわるような扱い方を世間ではしがちであります。大事にしなきゃならないということは私は百も承知をしている。しかしその老人たちのエゴをみごとに厳しく追求をしていますね。なかなか私はりっぱなドラマだったと思います。やっぱりこういうものが必要なんですね。テレビドキュメント部分では、「埋もれた報告」など圧倒的にいいものを、創作意欲と能力がすぐれている現場で表現をされているわけですよ、はっきり申し上げて。したがって、優秀なものをもう一つ拡大をし確固としたものにするためには、先ほど来から申し上げているようなやっぱり私は現状認識、そこからくる拡大生産、精神的拡大生産である、意欲であるというふうに考えます。会長いかがですか。
  214. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 大変温かい激励と厳しい御指摘とこもごもいただきまして、私としては大変感謝する次第でございます。ただ、先生が御指摘のそれらの番組についてもう一言言わさせていただきますと、それは芸術祭とかイタリア賞とかのためにつくったんではなしに、日常の番組でつくったものの中から優秀だというもので参加いたしました。私は、その芸術祭とかイタリア賞とかという場で当然戦わなきゃならない番組づくりも大事でございますけれども、日常の番組の充実が先決ではないかということで、芸術祭に参加するにいたしましてもイタリア賞に参加するにいたしましても、日常番組の中から優秀なものを探せという指示をいたしまして、御指摘の水俣病を扱った「埋もれた報告」にいたしましても、「シルバーシート」にいたしましても、「永平寺」にいたしましても、全部日常の番組の中で優秀だったものが国外あるいは国内のコンクールに参加して大賞を得たと、この点を私はこの席をおかりして先生方に御報告申し上げたい。日常の職員努力がそういう形で実ったということをあわせて御報告させていただきたいと思う次第でございます。
  215. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま会長がおっしゃったことは大変大事なことだと思います。ためにする、ためにつくる番組であってはこれは視聴者と直結をした番組ではないという意味で、さっきから申し上げている、他との思惑を考えたり、こうやってやろうという特別な意図があっての番組づくりでないというところに私も大きな意義を認めたいと思います。こういうふうに考えてまいりますと、いいものをつくればそれが国民の皆さんの認めるところとなり、受信料制度というものも、全部とは言いませんけれど私は前進をしていくというふうに考えます。  そこで次に、NHK民放が共存をしてお互いに現在の日本放送制度というものを高めていく、よりよい放送のために努力をしていくというそういう間柄にあるNHK民放とは、ある場面ではフェアな競争が必要でございましょうし、またある場面では協調ということも必要だろうと思います。そこで現在NHK民放との交流の場というものが、私も一つ、二つ伺ってはおりますけれど、一体どういうところで現在交流の場が持たれ、将来それを拡大、定着をしていくお考えというか、構想がおありなのか、そうすることが本当の意味でのNHK民放との二本立ての放送をより高めていくことにつながりはしないかという意味で、将来展望も含めて、これは会長郵政大臣からもひとつお伺いをしたいと思います。
  216. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 番組そのものを通じて交流するという具体的な場はございませんけれども民放の幹部の方々、私を含めていろいろとお話し合いをする場、たとえば番組センターあるいは番組向上協議会、そういうところで幹部といたしましては民放方々と交流いたしますし、それから私どもの方の中央研修所というところで民放方々の委託研修を受けまして、そしていろいろ研修についてお役に立つというようなこともございまして、私どもはいい意味でのライバルではあるけれども、日常の形では協調するということで、この考え方、この方向はやはり今後といえども持続していくべきではないだろうかというふうに考えております。
  217. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私はけさのどなたでしたかの質問にも答えたとおりでございます。何かひとつ交流の場を郵政省が中心になって考えてみたい。たとえば、先ほど指摘のあるいは権料の問題についても、今後の健全な放送業務運営についてももう必要な時期が来たように私は感じますので、きわめて近い時期に、なかなかむずかしい問題であります、正直言ってなかなか容易でないと思いまするが、最善の努力を払って皆様方の了承をまず取りつけてそういった場をつくり、よりよい放送を通じて国民のためになる放送業務の運営を図ってまいりたいと、かように考えております。
  218. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 会長のおっしゃったことに補足させていただきたいと思います。  かつて、一九六七年と記憶いたしますが、アポロが打ち上げになりました。その際に、衛星中継回線の取り合いが民放NHKの間で始まりました。民放同士の間でも始まりました。それを機会に、同じものを送られてくるものを、競争の余り二重三重の投資をしてはばかばかしいじゃないかということで、そこでジャパンプールというものをつくりまして、衛星中継に関する限り民放NHK共同で撮って、それを費用を分担して分かち合うという組織をつくりまして、そしてそれが今度は単に衛星中継の受けだけではございませんで、外国へ取材に行くときも、競争すべきところは競争すべきだけれども、全く同じ素材を撮るのに二重三重のカメラが行ったんでは、まあ余りみっともよくないし、二重投資であるということでやめまして、そして外国への取材はジャパンプールとして行く部分が大部分になりました。現在でも続いております。  さらにそれが発展いたしまして、国内でも、たとえばエリザベス女王が来日したときは、今度は全テレビ界挙げて分担を決めまして、テレビで絵を撮り、それを交互に交換し合うということで二重投資を防ぎ、かつテレビ中継の完全を保障したわけでございます。そして、それの集約的なものがモントリオールにおけるオリンピックの放送でございました。これは日本チームとして出かけたわけでございますが、それがモスクワのオリンピックでちょっととんざしているわけでございますが、現在ではジャパンプールは日本プールと改称いたしましたが、精神は生きております。さらにいまVIS・NEWSという、ヨーロッパから毎日朝衛星で中継をいたしておりますが、これはNHK民放三社との間で共同で撮って費用を分担して分かち合うというシステムがとられております。  さらに今後行われますレイクプラシッドはモントリオール方式が復活いたしましたが、この後の一九八四年のロサンゼルスのオリンピックにつきましては、私たちが獲得した情報はほとんどすべて民放にお流ししまして、再び日本放送界としての良識ある協調をしようじゃないかという具体的な方策をしている次第でございます。
  219. 木島則夫

    ○木島則夫君 オリンピックの放送問題についてはきょう私は触れませんけれど、一言、やっぱり民放NHKが本当の意味で協調をしていって、よりよい放送国民の皆さんにあまねく見ていただくというこういう立場からしますと、いまのオリンピック問題も、放送局同士の私は自主的な話し合い、番組編成権に余り介入することはよくございませんけれど、何らかの形で、引き水というのはいけない言葉かもしれませんけれど、仲立ちのようなことはおやりになりますか。この間、自分からは決して行かないんだという、御自分からは決しておやりにならないんだという御発言をなすっておりますけれど、良識あるNHK放送事業体の人たちなんだから、このまま黙っていてもちゃんとうまくいくよというお気持ちなのか、これは容易ならない問題なのかという、その御認識と今後のお考えがおありになったら聞かしていただきたいと思います。
  220. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 確かに私は自分から乗り込んでまいりませんと一応たてまえ論を申し上げました。しかし、必ず全国民がこの世界的民族の祭典をごらんいただけるように努力をいたしますと。これで木島先生もぼくの真意はおわかりいただけると思うんですね。私は正直申し上げて、接触はいたしております。公式じゃありませんよ。しかし何かの機会にやっぱりそういういま御指摘のような状態で、内容で、現在の私の立場としては、やはりうまく話し合ってもらって、全国民が円満のうちに最高のいわゆるお互いの持てるよいところを出し合って国民に供用したいと、こういうことも話しておりまするし、また今日こういうようになった経緯についてもある程度知っておりますので——何を言ったかわからぬような答弁になりましたが、ひとつ、くどいようですが、最もよい状態になるように今後も必死の努力を払いますということで御了解を願いたいと思います。
  221. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に、不払い者の問題についてただしておきたいと思います。  まず、NHKに対してお伺いをいたします。  契約をしましても料金の回収ができない人たちに対しては、幾ら説得のためのあるいは交渉のための経費がかかろうが、公平の原則を貫くためにその経費増をいとわず積極的に対応をしておいでになるのかどうか、この点です。
  222. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 私どもといたしましては、幾ら経費がかかろうともということは非常にむずかしいことでございますけれども、われわれとしてはやはり経費をかけても説得活動、そういう滞納者を減らす努力、これはするつもりでございます。来年度におきましては、私は少なくともこの滞納者のふえる率を横ばいにするという、それを最小限の目標にしてやりたいというふうに考えております。
  223. 木島則夫

    ○木島則夫君 さっきもちょっと触れたんでありますけれど、これは郵政大臣にお伺いいたします。  契約をすら絶対に拒否をなさるという思想的、ある何と言うんですか、お考えに基づいての意識的な拒否、こういう方々に対しましては、説得が大事だとか、話し合いが大事ですよと言うのは、これはなかなか通じないことだと思いますね。現に、現在の体制を否定してかかっている方もいらっしゃるわけで、そういう中にあるNHKというものを認めっこないんです。ですから、そういう方々に対して、いままでの当委員会でのお答えも、話し合いを積極的に進めてください、説得に努めますということで終始をしてきたわけですね。私は、成田のああいう過激派の問題とこれとを直結はしたくはございませんけれど、日本は法治国家ですね、はっきり申し上げて。そういう人たちを説得をいたします、話し合いをいたします、価値の多様化の中で存在理由がございますといっていままで認めてきた、許してきた政治の中にも私は大きな問題があると思います。今日の過激派をああいう形でばっこさしてきたということとこのNHK不払いとの問題の間は無縁ではございません、私ははっきり言って。そういうふうに考えます。  けさの閣議などの雰囲気も踏まえられまして、一体思想的根拠を持って絶対にいやなんだと、法律を無視をなさる方々に対しては、一体大臣としてどういうこれから態度でお臨みになるのか、その辺の決意を聞かしていただきたいと思います。
  224. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私は、今日こういった事態を招いたことは、先ほども触れたとおり、萎縮しているNHKがこういうことになったのではなかろうか、これは私なりの考え方ですね、だから、意欲を持ってくれということは、一番私がこの問題にウエートをかけているのはいわゆる料金収納なんです。これはもうこれ以外ないんですから、NHKのいわゆる経営基盤の財源としては。しかし残念ながら、非常に、先ほども中塚理事の説明には、来年は何とか横ばいにという、こういうことでは、横ばいを守るのに努力するというんじゃこれはもう大変なことだと。そこで、率直に申し上げて、私なりに考えているんです。  ということは、衆、参の逓信委員会を通じて、きょうでこれは七回目ですか、各党の先生方はどういった感触だろうかと、まず私の立場からいたしますると、確かに質疑を通じて、このNHKの聴視料というものについて——予算審議だから勢い料金問題が絡んできますから——私は得るところがあったと判断いたしました。厳しい態度をとり続けまするけれども、この問題についてひとつ大体各党の先生方の御意向もわかったような気がいたしますので、ひとつ真剣に、法治国家としてのあるべき姿、またはっきりと放送法でも国民、いわゆる聴視者の全体の負担においてという立場を堅持するためにも真剣に検討したい。しかし、いまこうやるんですということはちょっと言いかねますが、幾つかの案を私なりに持っていますので、これを事務当局で検討させて、さらにまたNHKとも連絡をとりながら、近い将来に先生方にもまた各部会や各党の部会を通じて御報告申し上げる機会ができたならば、ひとつ了解工作をとって、よりよい肉づけをしていただいて、すばらしいものに仕上げて、健全な運営に持ってまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  225. 木島則夫

    ○木島則夫君 大変大事な御発言でございますし、法治国家としてもうそろそろこういう問題を、私はこう、直に真っすぐに見るべき時期に来たんじゃないだろうかという意味で大臣に御決意を伺ったわけでございます。  もうちょっと敷衍をさしていただきますと、とにかくある意志を持った、ある意識を持った方々に対して説得とか話し合いということは、これはもうあいまいもことしたもので通じないということであるならば、大臣の頭の中には、一体、その法的な面での措置をおとりになりたいのか、そこまで行かずとも行政の面でもうちょっと何らかの手だてをお考えになりたいのか、とにかくいまのままでは困るんだということだけは私、確認できたんでございますが、いかがでございましょうか。
  226. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私はいま正直言って三つの案を考えているんです。まあ、了解を得るならば法的措置を講じたい。とてもそれはもう説得で効果上がるならば、中塚参考人言葉をしょっちゅう聞いておりまするが、もっと効果が上がらねばならないのが、努力していわゆる下降線をたどるという、来年はせめて横ばいと、これはやっぱり現行の努力が一向に報われない。先ほど来木島先生指摘のとおりでございまするが、やはり法治国家らしく法的な措置を講じたい。三つの案を持っていますが、三つともぼくはやっぱり法律根拠でいきたいと。しかし、これはなかなかやっぱり慎重を要する問題であろう。しかし急がねばならない時期であることも認識いたしております。
  227. 木島則夫

    ○木島則夫君 これで私、質問終わります。  不払い問題についてはもっと御質問申し上げたいんでありますけれど、重大な決意を持って臨むんだといういま大臣のお話は非常に大事でございます。しかし軽々にもできないという、この御発言も私は非常に大事にしたいと思います。  きょうは、私はNHKの幹部の方々に対してある意味で失礼な言葉も申し上げたかと思いますけれど、しかし、現在の日本放送制度の中で、NHK民放とがお互いに共存をしながら、番組を競い合いながら、協調しながらよりよい日本放送をつくっていく、そのことのために必要であるという観点に立ちまして苦言を申し上げましたし、また多少オーバーな表現も申し上げた次第でございます。せっかくでございます。これからますます公共放送立場に立って精進御努力をなすっていただきたい。このことを最後に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  228. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 本件に対する本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会