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1978-06-06 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月六日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      衛藤征士郎君     北  修二君      金丸 三郎君     坂元 親男君  五月二十六日     辞任         補欠選任      北  修二君     衛藤征士郎君      坂元 親男君     金丸 三郎君  五月三十日     辞任         補欠選任      鈴木 正一君     降矢 敬雄君      成相 善十君     坂元 親男君  五月三十一日     辞任         補欠選任      降矢 敬雄君     鈴木 正一君      坂元 親男君     成相 善十君  六月一日     辞任         補欠選任      熊谷  弘君     藤井 丙午君  六月二日     辞任         補欠選任      藤井 丙午君     熊谷  弘君  六月五日     辞任         補欠選任      成相 善十君     小林 国司君      神谷信之助君     渡辺  武君  六月六日     辞任         補欠選任      小林 国司君     成相 善十君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君     委 員                 衛藤征士郎君                 金丸 三郎君                 鈴木 正一君                 成相 善十君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 渡辺  武君                 前島英三郎君    衆議院議員        発  議  者  佐藤 敬治君        発  議  者  小川 省吾君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    政府委員        内閣総理大臣官        房同和対策室長  黒川  弘君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁警備局長  鈴木 貞敏君        運輸省自動車局        業務部長     梶原  清君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省財政局長        兼自治省税務局        長        森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        国土庁土地局国        土調査課長    高田 徳博君        大蔵省主計局主        計官       足立 和基君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部財        務課長      土坂 泰敏君        労働省職業安定        局雇用政策課長  白井晋太郎君        自治大臣官房審        議官       大橋茂二郎君    参考人        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金の交  付に関する法律案衆議院送付予備審査) ○地方公営交通事業特別措置法案衆議院送付、予  備審査) ○地方行政改革に関する調査  (地方公営交通事業に関する件)  (地方公共団体雇用創出対策に関する件)  (新東京国際空港警備問題等に関する件)  (同和行政等に関する件)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨五日、神谷信之助君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。     —————————————
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行政改革に関する調査のため、本日の委員会参考人として、新東京国際空港公団理事角坂仁忠君出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金交付に関する法律案.及び地方公営交通事業特別措置法案を便宜一括して議題といたします。  まず、発議者から順次趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員佐藤敬治君。
  6. 佐藤敬治

    衆議院議員佐藤敬治君) ただいま議題となりました地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金交付に関する法律案につきまして日本社会党を代表して、提案理由及び概要を御説明申し上げます。  わが国完全失業者は、昭和五十年に百万人を超えて以来、本年一月には百二十六万人にも達し、国民に深刻な雇用失業不安を与えており、政府にとってこうした不安を解消することは本年最大の緊急課題と言わなければなりません。  しかしながら政府自民党雇用失業対策には、失業統計あり方に始まって具体的政策の実施に至るまで多くの問題があると申し上げなければなりません。  すなわちその一つは、失業統計あり方の問題であります。一週間に一時間以上働き、賃金を得た者を除外していることからも明らかなように、わが国失業統計算出方法は、失業者実態を数的にも地域的にも適確に把握していないのであります。これでは失業者実態に即した十分な雇用失業対策を講ずることはできるはずがありません。  二つには、失業者年齢別性別及び地域別分布とそれに対応した政策の問題であります。わが国失業者は、全国的には婦人労働者中高年男子労働者により多く集中するとともに、沖繩県等特定地域においては全階層にわたって多発いたしております。したがって地域別年齢別性別等失業者社会的構成に対応したきめ細かな雇用失業対策確立こそいまもっとも強く求められているのであります。  最後は、政府自民党経済財政政策の問題であります。円高不況とも言える今日の経済危機は、わが国経済体制構造的矛盾に由来するものである以上、基本的には民間設備投資拡大をてことする旧来の景気政策から脱却して、福祉中心経済への移行を図る必要があります。にもかかわらず政府自民党は、膨大な国債発行をもって日本列島改造型予算の再現を図り、これに地方財政を動員して景気浮揚を図ろうとしております。こうした景気政策の行き着く先は、部分的かつ一時的景気回復はあっても結局は、地域経済住民生活の不均衡と格差を拡大し、雇用失業対策には何ら役立たないことは明らかであります。  こうした立場からわが党は、今日の失業者実態に即した緊急雇用失業対策は、自治体における雇用創出プラン推進であることを主張してきたわけであります。数年前、西ドイツで実施されたこの種の実例を挙げるまでもなく、大型公共投資に対する地方財政下請化を排し、義務教育施設改善、公民館、図書館、単独の下水道事業拡大ボタ山処理、医療・福祉施設の拡充など、地域の実情に沿った生活福祉関連事業土地調査等各種自治体基本的統計事務の充実を中心とした臨時雇用創出事務事業推進するならば十分な雇用効果が期待できるのであります。  ちなみに申し上げれば、わが党が昨年、自治体雇用創出プランを発表して以来、これまで多くの自治体から「十分な財源さえ保障してくれるならば、雇用創出事業は山積している」との声が多く寄せられております。  これが本法律案提案した理由でありますが、次にその概要を御説明申し上げます。  第一に、本法律は、多数の失業者が発生し、雇用機会が著しく減少している状況にかんがみ、自治体臨時雇用創出事業を促進し、もって住民雇用の安定を図るため、自治体に対し、臨時雇用創出交付金交付することといたしております。  第二に、この臨時雇用創出交付金は、昭和五十三年度から昭和五十五年度までの三年間とし、各年度都道府県にあっては、人口一人につき千円とし、かつ当該都道府県失業状況を考慮しで加算し交付するものといたしております。また各市町村においては人口一人につき三千円を交付することといたしております。  第三に、臨時雇用創出交付金は、自治体雇用機会創出のため臨時に行う事務事業に要する費用に充てるものとしてその使途目的を限定いたしております。  第四に、自治体は、福毎年度議会の議決を経て臨時雇用創出事業計画を策定し、自治大臣に提出するものといたしております。  第五に、この臨時雇用創出計画の策定に当たって自治体は、臨時雇用創出事業に関する重要事項調査審議するため、条例の定めるところにより、労働団体及び経済団体の代表並びに学識経験者で構成する臨時雇用創出推進協議会を設置することといたしております。  以上が本法律案提案理由及び概要でありますが、最後にこの自治体における臨時雇用創出事務事業推進によって、市町村人口のおおむね〇・〇一%が福臨時的に直接雇用されるとともに事業の発注に伴う波及効果も十分期待され、およそ二十万人の雇用増が見込まれることを申し上げておきたいと存じます。  何とぞ、慎重審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  7. 金井元彦

  8. 小川省吾

    衆議院議員小川省吾君) 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方公営交通事業特別措置法案につきまして、その提案理由概要を御説明申し上げます。  地方公営交通事業は、昭和四十八年の第二次財政再建以来、依然として赤字を重ね、昭和五十一年度不良債務は、実に二千二十五億円となっております。こうした財政状況は、地方公営交通事業経営健全化促進法制定時において、すでに十分予測されていたことであり、旧態依然の再建策自治体に強要している政府自民党の態度は、無責任きわまりないと言わなければなりません。  公営交通財政悪化原因は、第一に高度成長下でもたらされた都市環境なかんずく交通環境悪化が何ら改善されることなく放置されているためであり、加えて地方財政はもとより公営交通においても十分な財源を保障されず、もっぱら企業主義的合理化を押しつけられていることも第二の原因として指摘しておかなければなりません。  不況が深刻化し、そのため地方財政も一段と危機的状況に立ち至っている実態のもとで、公営交通が、住民の足として十分その機能を発揮するためには、これまで政府自民党が進めてきた企業主義的経営政策をやめるとともに、道路整備中心交通政策大量大衆輸送機関中心に改め、地下鉄..ハス等交通整備のための国、自治体責任負担区分確立する必要があります。  日本社会党は、こうした認識のもとに地下鉄バス等建設整備に対する国、自治体責任を定め、住民生活に不可欠なバス路線の維持、存続を図るための補助制度確立を図るとともに膨大な不良債務の解消と自治体交通整備のための財源を保障する必要があるとの立場から本法律案提案いたしたわけであります。  次に、法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、目的及び国、自治体債務でありますが、ともすれば事業効率性のみが追及されがちな公営交通事業について、住民福祉向上目的とし、国はそのために必要な財政上の措置並びに交通環境整備に努め、自治体においても同様の責務を負うことを重ねて明らかにいたしているわけであります。  第二は、交通事業健全化計画についてであります。昭和五十四年三月三十一日現在の不良債務について、経営健全化を行おうとする自治体は、経営健全化基本方針等を内容とする交通事業健全化計画議会の議を経て策定し、自治大臣に届けることといたしております。  第三は、交通事業健全化債発行についてであります。交通事業健全化団体は、前記の不良債務の範囲内において交通事業健全化債発行することができることとし、地方公営交通事業経営健全化促進法に基づいて発行された交通事業再建債も含め、その償還については一般会計から繰り入れることといたしております。なお公営企業金融公庫は、交通事業健全化債について、その全額を引き受けることといたしております。  第四は、国の補助についてでありますが、国は、地下高速度交通事業または地方鉄道事業経営する団体に対しその施設建設または改良等に要する費用の四分の三を補助することとし、バス事業を行うすべての団体に対してバス購入費及び身体障害者利用のためのバス改造に要する費用の十分の八を補助することといたしております。  第五は、生活必需路線に対する補助制度の創設であります。住民生活の利便のため維持するバス路線営業系数が一三〇以上の路線生活必需路線とし、具体的には、1乗車密度が二十人以下の路線、2当該バス路線の最混雑時間帯と最閑散時間帯の輸送人員の比率が当該事業平均繁閑率の二倍を超える路線、3当該バス路線の表定速度当該事業の全路線平均表速度の九〇%以下の路線、4官公署、学校、病院その他自治省令で定める重要な公共的施設利用のため必要な路線、5三百戸以上かつ千二百人以上の規模の住宅用地の新設に伴い開設された路線で開設後五年を経過していない路線、6その他政令で定める路線のどれか一つに該当する路線生活必需路線としてその赤字額の三分の二を国は補助することといたしております。  第六は、一般会計補助及び地方交付税基準財政需要額算入措置についてであります。地下高速度鉄道建設費等に対しては四分の一、バス購入費については十分の二、生活必需路線については、その赤字額の三分の一をそれぞれ一般会計から補助するとともに、交通事業健全化債及び再建債償還費地下高速度鉄道建設費等に対する一般会計の繰り入れ及び補助については七割を、またバス購入費及び生活必需路線赤字額に対する一般会計補助については全額を、それぞれ地方交付税基準財政需要額に算入することといたしております。  第七は、地方道路税配分割合引き上げ交通事業健全化債償還等に対する充当についてであります。前述のように公営交通整備のための財源を保障することなくして公営交通確立はあり得ないとの立場から、現行一キロリットル当たり六千六百円の地方道路税を倍増し、交通事業健全化債再建債償還並びに本法律案で定める一般会計補助及び交通環境整備に充てることができるといたしております。この措置によって公営交通を有しない自治体においても、交通環境整備財源を保障されることとなり住民の足の確保は大きく前進するものと考えられます。なお勤労国民税負担の増大を抑制するとの立場から地方道路税引き上げ額と同額を揮発油税においては引き下げることといたしておりますことを申し添えておきたいと存じます。  以上が本法律案提案理由及びその概要であります。慎重審議の上、速かに御可決あらんことを御願い申しあげます。  ありがとうございました。
  9. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 以上で両案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  10. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方行政改革に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  11. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、いま社会党提案地方公営交通事業特別措置法案提案理由がなされたんであります。きょう、私は、短い時間でございますから、都市交通の問題についてしぼって質問してまいりたいと思います。  再建案に苦しんでおる公営交通健全化にとって、社会党が提起しましたこの法案に対して、きわめて緊急を要する問題だと思うんですが、いかがお考えでしょうか、意見をまずお伺いいたします。
  12. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま地方公営交通事業特別措置法案提案説明を拝聴いたしたのでございまして、その考え方は数項目に分かれておるのでありますけれども、これを一括して拝聴いたしますと、一つは、今日の地方交通あるいは公営企業等財政的に非常に苦労しておる。したがって、財政再建のために新たな計画を策定して、てこ入れをしなければならぬではないか、このことが一点と思うのでありますし、また地下鉄につきましては、昭和五十三年度から補助金制度がとられておりますけれども、さらにこれを分厚い措置をとるべきだ、かような観点からのお話だと、かように思うのでございます。今日の地方バス路線等赤字状況や、また地下鉄等財政的に大変な難渋をいたしておる、そのことへの打開の御提案だと、かように拝聴いたしました。
  13. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは早速その地下鉄の問題から入りたいと思います。  地下鉄建設の問題につきましては、今度五十三年度で六六方式から七〇方式という補助増額措置がとられました。これは自治省の努力や運輸省大蔵省協力等もあってなされたと思うんでありますが、しかし、私がこの七〇方式を計算してみますと、いわゆる間接補助率がいままで〇・一五だったのが〇・〇五に改善されておる。一体この〇・〇五というのはなぜ残したのか。それから六年分割が逆に今度は十年分割にその分変わってきておる。これは金利がつくわけであります。そういう面を見ますと、結果としては自治省の発表では一八・五四%の増と言われますけれども、実質的に見ますと一〇%弱、しかも総体的に見ますと五四・五%程度で、利子負担等をいわゆる四年間延長しましたから、そういったものを加えますとこれはもっと低くなる。いままでが五〇%程度ですからきわめて微々たる改善措置ということしか残ってないわけです。しかも、その二分の一が国負担でございますから、逆に言えば二分の一が地方負担、こういうふうに私の計算ではなるんでありますが、そういうことで相違ありませんか。
  14. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいまのお話でございますが、数字的にはそのとおりでございます。ただこの問題は、実は御案内のとおり五十一年度から研究をいたしておりまして、地方公営企業のための経営研究会大臣諮問機関として持ちまして、その中で各省の御協力を得ながら検討した結果、補助金が最も効率的に使用されるという時点がどの時点かということを考えながら算定いたした方式でございまして、もちろんこの方式が将来まで地下鉄全体に全部うまく機能するかどうかというのは大変むずかしい問題でございまして、ここしばらくの間はこの補助金運用を見ながら、実際この運用をしていって、現実乗客数の問題なりその他の収支を見ながら、数年後にあるいは開業後にこの補助金ではとても間に合わないという団体がありましたら、そのときには何らかの措置をとるということもこの経営研究会答申のやにも出ておりまして、その時点が参りましたら改めてまた検討し直さなきゃいかぬというふうに考えております。
  15. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題はいまあなたがおっしゃったように数字的には私の指摘したとおりだということですが、第八十国会ですかの五月の十九日のこの委員会における議論、それから八十二国会における十一月一日のこの委員会における議論等でもかなり尽くされておるのですが、その中で特に強調しておる議論を読んでみますと、いわゆるこの建設に対する補助運営費補助というやり方でやられておる。むしろこの地方負担実態から見ると建設費補助ですからそれは全額一括で出した方がいいんじゃないか。これに対しておたくの方が、いままでのこの運営実態からが一つと、もう一つはこれ起債でありますから二重ということがちょっと無理だということも含めて運営費補助というのが実際的だという議論をやっておるわけですが、おたくが、自治省関係各省要求、要請しておる資料を見ますと、五十一年度から一貫してこういう方式要求しておるわけじゃないんですね。言うならば、自治省主張を見ますと、トンネル部分等都市施設として道路に相当することから、都市計画街路と同様に全額公費負担とすべきである。そしてこの七〇%については、国が三分の二、地方が三分の一を負担すべきである、こういう主張を繰り返してやってきておるわけですね。ところが結果は先ほど私が申し上げたようなものになぜなっているのか。これは運輸省大蔵省とも関連するかと思いますけれども、この点をひとつまず聞きたいと思うんです。  それから、この問題と関連するわけですが、地方公営企業経営研究会、先ほどあなたが言われましたですね、この報告によりますと、特例債をこの改正に伴って打ち切るんだというような書き方がされておるわけでありますが、これは砂子田さんの四月二十八日の衆議院における答弁ですね、それを見ますと、決してそうではない。特例債はいままでどおりやるんだ、こういうむしろ細谷議員の方が読み間違えじゃないのかと、こういう言い方をされておるのですが、この点について一体どういう、その衆議院における答弁が正しいのかどうなのか、この点も含めてお聞きしたいと思うんです。
  16. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) まず第一に補助金方式なのでありますが、いまお話ありましたように、建設費の一部を単年度補助する方式でありますとか、あるいは建設費利子の一部について補助する方式でありますとか、いろんなことが実はこの研究会の中で検討されまして、結果的にはいま先生お話しのような方式が一番地下鉄建設には望ましいということで実は答申をいただいたわけであります。そういう意味で現在の七〇%の補助方式をとっているわけでありますが、自治省が一貫して街路方式主張しておったではないか、それにもかかわらずこういう方式をとったのはというお話でございますが、実はもともとこの地下鉄の問題につきましてはトンネル部分が非常に多いということで、トンネル部分について街路並みの適用を受けたらどうだろうかというのが主張であったと私は思っております。そういうことで実はそのトンネル部分というのが御案内のとおり地下鉄の七割ぐらいを占めているわけであります。その七割の三分の二ということになりますと四十何%ぐらいにしかならないはずなのですが、そういうことをも考慮に入れながら先ほども申し上げましたように国費の使い方として、あるいはこれからの地下鉄運営福方法を考えてみまして、どういう程度補助方式がよろしいかということで、実は今回提案をした七〇%方式をとったわけであります。そこで、なぜ〇・〇五%を引いたのかと、もともとこれは〇・八五だったのをまるまる全部一にしてしまえばよろしかったのじゃないかという御趣旨だと思いますが、公営企業全体として考えてみましても、ある程度総掛かり費の中からの控除率というのは引くことが、これは一般的な他の団体に対するならわしでもありますし、現実にそういう取り扱いをしているわけでありますから、一番どこまでいま総掛かり費控除をしているのが高いかということを調べました結果、やはり〇・九五までがぎりぎりだということで、実は総掛かり費控除を〇・〇五引いたわけであります。結果的には公共団体が出資をいたします一割と、それからこの〇・〇五が引かれることになるために、先ほどお話のような数字になるわけですが、総体的にはただいまお話し申し上げましたように、トンネル部分ということを考えますとさほど数字的には違っていないのではないかという感じがいたします。  それから最後特例債の問題でございますが、特例債の問題につきまして細谷先生がお話しになったのは、いまの特例債をじゃ廃止するのかというお話であったように私は聞いたものですから、特例債自身はやめるつもりはありません。それはそのまま継続いたします。ただ、事新しく七〇%方式になったときに、七〇%方式に従来の特例債のような同じ方式をとるのかというのであれば、それはこの答申にありますように、今回の改正に当たっては特例債方式はとらないというのが私たちのいままでのやり方でございます。
  17. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 特例債はまた後であれしますが、いわゆる今度の七〇方式ですね、七〇方式について、こうなったという具体的な理由というのはあなたの答弁の中には出てこないんですけれども、自治省主張した観点から見ると大変なこれは変更じゃないんですか。私はこの機会にちょっとあわせてひとつお聞きしたいと思うんですが、たとえば飛行場の建設ですね、第三種。これは自治体事業主体ですけれども、こういった事例を見ると、地下鉄方式と対比してみても、たとえば第三種の場合には五割が国負担、残る五割についてもその二分の一が補助対象と、こういう式でやられておると私聞いておるんですが、そういう面から見ましても、いわゆる地下鉄というのが今日都市交通の中では言うなら主力に上がってきた。そうして地上自体の交通環境実態から見ると、鉄下鉄は必然的なものになってきた。だからまた国もこの強化に力を入れてきておるわけですし、補助率を引き上げるという理由もそこにあると思うんですけれども、もう少しそういう面から見ますと、この問題に対しては、どうしてそうなったのかということを含めて、この問題に対する扱いというのが自治省としては腰砕けになったというか、実態にそぐわない方向でやむを得ず押し切られた、こういうことなのか、そこら辺を含めてひとつお願いしたいと思います。
  18. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 地下鉄は確かにお話しのように都市交通の主力にだんだんなってきつつあるわけでございますが、しかし、御案内のように地下鉄の進捗状況と申しますか、営業の状況は都市によってかなり違うわけであります。東京は営団と都営が分かれておりますし、また大阪の場合にはかなりの路線がすでに営業しております。神戸や横浜、札幌ということになりますとこれからという状態であります。  そこで、地下鉄に対する公的助成をどういうふうにするかという問題を考えます場合に、それらをひっくるめまして経営が万全に行われるように考えてまいらなきゃならない。仮に一からすべての団体が一直線に並んで建設を始めるということになりますと、これはきわめて処理がしやすいわけでございますが、そういう状況でございますので、どういう助成方式が一番いいかということは四十四、五年からいろいろ政府内で議論をしてまいりました。確かに御指摘のような資本費を中心に考えていくという方式もあるわけでございますけれども、いまの運営費補助という方式で当初五割というのを四十八年に六六%に上げ、今回七〇%に上げるということで、先ほど審議官が申し上げましたように、一面において、新規に投資をしていきます場合に、その資本費に相当の援助をするという率を上げてまいる、他面また、かなりな営業路線を持っており、新たに投資をしていくという経営主体も相当の助成が受けられて経営が健全に持っていけると、こういう方式としていまの方式が現段階の実情を見ますと一番合理的じゃないかという判断に達したわけでございます。決して腰砕けというわけではございません。いろいろ議論をしまして、過去十年弱ですが、こういう方式が現段階では妥当であろうという方向で持ってまいった次第でございます。
  19. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 運輸省、何かございますか。
  20. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 地下鉄は根幹的な都市交通機関でございますけれども、建設費が大変高いわけでございまして、そこから出てくる償却費あるいは金利費、こういったものの負担が開業後の地下鉄経営を非常に圧迫する要因になるわけでございますから、この点を改善して経営を安定させるという見地から従来から補助をしてきたわけでございます。ところが、現在の補助制度、現在というかいままでの補助制度は四十八年にできたわけでございますけれども、その後建設費などが非常に上がりまして実情に合わなくなっておりますので、これを踏まえまして実情に合うような補助制度あり方、これを地方公営企業研究会、ここでいろいろ研究をしていただきまして現在の補助制度を七〇%に変え、補助対象範囲の拡大も行うと、これが一番合理的であろうと、そしてまた具体的に計算をしてみますと、いま先生御指摘のいわゆる資本費補助、これよりも負担が同じ場合には補助の効果が高いということもわかったわけでございます。そこでこの提言に基づきまして先ほどからお話がありますような七〇%補助ということで今回改定をすることにした、こういうことでございます。
  21. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 飛行場との関係はどうですか。
  22. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 飛行場あるいは街路の例を挙げていろいろ御指摘があったわけでございますが、地下鉄はこれは鉄道でございまして、国鉄や私鉄と同じように本来運賃によって投資を回収していくというのが大原則でございます。ただ、運賃によって投資がカバーし切れない場合に、その必要に応じて補助をするというのがわれわれの考え方でございまして、街路あるいは飛行場と同じように考えるということはちょっとむずかしいのではなかろうか。それよりも地下鉄経営というものに着目いたしまして、この経営が安定するようにどういう方策が一番いいか、それをよく議論してやっぱり合理的なものを見つけていく、地下鉄に合った補助制度を考えていくというのがやはり一番いいのではなかろうかというふうに考えております。
  23. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いま自治省運輸省等も聞いてみますと、一番いいということだけは強調するんですけれども、実はまあ一番いいのは、やはりこういう施設は公共負担できちっとしていくと、こういうものが各研究会、たとえばいまあなたがおっしゃったのは経営研究会のことだろうと思うんですが、しかし都市交通整備調査会ですか、これの第六次提案という中にもそのことが強調されておるわけですけれども、これは私は、いまいろいろと説明を受けましたけれども、しかしどうもやっぱり胸にすとんと落ちない。飛行場の問題はともかくとしましても、上の道路があふれるようになって、そしてこの交通環境改善するための地下鉄という観点から立って、そういう面から見ても、当初自治省主張しておったような一貫した方向が私は正しいんじゃないかというふうに思うんです。一応改善というさっきの財政局長の答弁じゃないですけれども、数年間の議論の末に一定の改善をした一つの時期でありますから、この問題についてしかも砂子田議官お話にもございましたように、これが万全だということじゃない。ここ二、三年これを見ながらこれで行き詰まるようなことになれば、さらにまた検討すると、こういうお話でございましたから、そういう事情変更の余地を残しながらこの問題についてひとつ……。  次に進んでまいりたいと思いますが、特例債の問題がこの問題と引きかえに、いまあなたがおっしゃったのは廃止になるという意味ですか、これからは特例債をしないという意味ですか、どっちなんですか。
  24. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いままでの特例債はそのまま持続するという意味でございます。
  25. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いままでのは持続する。そうすると、これから借りる場合にはどうなるんですか。
  26. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いままでは御案内のとおり、四十五年なり四十八年なりに地下鉄建設をします場合に、孫利子のために、地方債を発行しましてその孫利子について利子補給をするという制度をとってきたわけであります。それはそのとおりやりますということを申し上げたわけです。
  27. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それではこのいま七〇方式というのは地下鉄の新設が主体ですね。改良工事についてはどういうふうに考えておりますか。
  28. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 改良工事につきましても自治省といたしましては前々から何らかの国の助成があった方が望ましいという考えをとっておったことは事実でございます。いまでもその考えに変更があるわけではありませんが、特に大規模な改良工事をやる路線というのはどういうところに出てくるかと申し上げますと、大阪であれば御堂筋線でありますとか、東京であれば銀座線でありますとか、大変採算に合う路線のところにそういう改良工事をしなければならぬ部分が出てまいるわけであります。これらの路線現実にいろいろな運営状況を見てまいりますと、大変よい経営状況をとっておるわけであります。そのために大規模改良工事をするための資金というのは、その路線から生み出せるという現況にあるものですから、現実の段階としまして大規模改良工事をやる路線については採算性がとれるという意味からは大変補助をするのはむずかしいという考え方でありますので、いまのところ今後どういう問題が起こるかは別といたしまして、いまのところ大規模改良工事についてはそういう意味でなかなか補助をしづらいということで現在に至っているわけでございます。
  29. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたは四月二十八日の衆議院答弁の中では、当面いままで新設補助に全力を挙げてきた、当然これが片づけば改良工事についても前向きに検討しなければならぬ。それについて大臣も同様の趣旨答弁しておるわけですが、いまの答弁とは若干違うんじゃないですか。
  30. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 前段で申し上げましたとおり、私の方はそういうことでいまでも補助ができるようにということで運輸省お話を申し上げているわけです。ただ、現実の問題としてそういう問題があるものですから、なかなか補助しづらいというのが現状だとお話を申し上げたわけです。
  31. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣どうなんですか。
  32. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま審議官から申し上げたとおりに考えております。
  33. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると、衆議院における答弁大臣は前向きに検討して、それを受けて砂子田議官運輸省と協議をしたいと、こういうことを言ったのは前言を翻すという意味ですか。
  34. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 別に翻すわけじゃございませんで、運輸省にもことしもその申し入ればいたすつもりであります。ただ運輸省としてはそういう考えだということを申し上げたわけでございます。
  35. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 運輸省はどういうことですか。
  36. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 改良工事でございますが、新線建設と違いましてある程度輸送需要が張りついてから行うものでございますので、路線状況によっても違いがございますけれども、原則として新線建設と違ってその路線に負担力があるというのが通例でございます。特にいま問題になっております輸送力増強のための大規模な改良工事、これは具体的には大阪市の一号線でございますが、これは輸送需要が大変ふえまして既存の輸送施設で対応できなくなった、そのために輸送力の強化を図るという目的で行うものでございます。したがって、この路線のようなものは非常に収支がいいわけでございまして、具体的に一号線のお話をいたしますと百億以上の経常利益を上げておるというのが現状でございます。したがいまして、その路線に投資の回収力があると考えざるを得ませんので、これを補助にするということは現段階では非常にむずかしいということに思っております。
  37. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大阪の方は一号線の問題だけをとらえて言われておるのですが、大阪の都市交通全体として、地下鉄全体としてはどういうふうにとらえているんですか。
  38. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いま運輸省の方からお話がございましたように、大規模改良工事ということをする前提要件といたしまして非常に輸送の人質がふえる、そのためにプラットホームその他が非常に小さくなってしまっている、そのはけ口ができないということのために非常に大きく改良しなきゃならぬということが起きるわけですから、ある程度そこの人間がその路線に張りついてこないと、なかなか改良工事が起きないと思うわけでございます。ですから、いま新線建設をしている段階ではこういう問題は起きない。言うなら既設路線においてそういう問題が起きる。そのときに大変大衆の多くの輸送をするという段階に入りませんと、なかなか改良工事が出てこないというのが実態だろうと思っております。  それについて運輸省の方が先ほど申し上げましたように、御堂筋線では大体百億の黒字が出ている、その中で大体大規模改良工事ができるのだという話をなさったわけですが、私どもの方としては全体的な路線を見ながら大規模改良工事がどうしても必要だ、しかしなかなか現実には採算に合わないという路線がありますならば、それはこの間衆議院で申し上げましたように大規模改良工事についての助成の仕方について運輸省には協議をすると、そういう考えでございます。
  39. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いま具体的に大阪出ましたからちょっと大阪で詰めてみたいと思うんですが、いま御指摘のようにいままでのダイヤというのは二分十五秒ごとに七両編成、まあ十両まで年次計画で上げていかなきゃならぬ。大体一日に百五万程度の乗降客と、こういう実態で、率にしますとラッシュ時には二〇〇を超えるという実態になる。ですから、これは現場としては当然改善をしていかない限り大変なことになる。こういう状態にあることは間違いないわけですよ。しかし、その線が運輸省が言うように黒字であるから、その黒字の部分として改良工事をするんだといいましても、しかし大阪交通局全体で見ますと、これはそうではないわけでしょう。ですから、そういった観点も含めて議論をしなきゃならぬのじゃないですか。
  40. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 現実申し上げましたのは、御堂筋線の黒字の幅が百億以上あるというお話は、実はそのほかの大阪の路線のマイナスを全部それでカバーいま現実にしているわけです。ですから、現実に改良工事をします場合にその収益が完全にだめになってしまった、収益がどうしてもその改良工事をやるのに足りないということが現実起きてきますれば、そのときにお話を申し上げなきゃならぬと思いますし、大規模改良工事についての必要性を私たちは何も否定をしておりませんで、大規模改良工事にどうしても新線の建設と同じぐらいの金がかかるならば、やはりそれは対象としてほしいということは常々申し上げておりますので、そういうことを見ながら運輸省の方で判断をしていただけるものだと思っているわけです。
  41. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、いま砂子田議官答弁というのは、全体的に見て改良工事が経営全体に大きく影響すると、そういう実態が出た時点では、この問題については新設工事とみなして、国の補助、そういったものについての所要の措置をとると、こういうふうに理解していいですか、これ大臣からひとつお聞きをしたい。
  42. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) そういう努力をしたいと思っております。
  43. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いいですか。
  44. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) そのとおりでございます。
  45. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。  参考のために、この問題と関連するんですが、諸外国の実態というものはどういうふうにつかんでますか、地下鉄問題含めて。
  46. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 外国におきましても地下鉄に対しましては政府あるいは地方自治体によって助成がなされております。しかしながら、補助の対象であるとか、方式であるとか、補助率であるとか、これは国によってまちまちでございます。地下鉄に関するわが国の助成と外国との比較ということになりますと、各国それぞれの事情がございまして、財政上の制約であるとか、交通問題の緊急性であるとか、そういったようなことを無視いたしまして一律に外国と比べるということは、やはり適当でないと思います。わが国わが国の実情に合うような補助制度というものを考えていくべきではないだろうかというふうに考えております。
  47. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたたちは都合のいいときには外国の例を引っ張り出して、そうして外国でもこうやってますと、したがってわが国ではと、こういう言い方をするけれども、都合の悪い部分については外国の例と比較を一概にすべきじゃないという言い方するんだが、しかし外国の例から見ましても、いまあなたの説明にありますように、また公営バス事業の安定化の中における六次提案の資料の中にも各国の実態が出されておりますが、ここで私は一々重複しませんけれども、やはり新設、改良を含めて一貫した公共負担というのが貫かれてますね。そういう観点から見ましても、私はやっぱり地下鉄というのは、運輸省自体が認めておりますように、大変な工事の建設費がかかるわけですね、改良するにしても。そういった観点から、これらについてはひとつ先ほど大臣がおっしゃったようにやはり早急に検討してもらって、経営全体のシェアから見た助成措置をとってもらうということについて確認をしておきたいと思うんですが、特に大阪の場合はすでに今年度から調査に入りましたですね。言うならその設計調査に基づいて直ちに工事にかからなきやならぬという事態を控えておるわけですから、財政局長の方でこの問題について直ちにひとつ助成を含む措置について御見解をお伺いしてこの問題を終わりたいと思うんですが。
  48. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 御質疑なり御答弁の中でも出ておりますように、要は路線ごとに経営状況を見て助成するか、あるいは地下鉄事業全体の経営内容に応じて助成をしていくかという、そこが一つの分かれ目と思います。私どもといたしましては、不採算路線もあれば、採算路線もあって全体として地下鉄事業経営しているわけでございますから、採算路線について大規模な改良工事——その範囲をどう考えるかという技術的な問題が一つあると思いますが、行います場合に助成を必要といたしますケースが出てまいりますれば、運輸省に強く要請いたしましてそれを実現できるように努力をいたしたいと、かように思います。
  49. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 運輸省、どうです。
  50. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 具体的な一号線の問題になりますと、私どもではその投資が運賃によって回収できるかどうか、つまり補助なしでその投資ができるかどうかということを検討するわけでございます。すでに大阪市の方は計画をはっきり持っておられますので、これに基づいて私どもの方で適正な運賃改定があり、輸送需要もこういうふうに伸びるであろうというようなことを想定いたしまして計算をいたしてみますと、これが補助なしでも十分にやれるという結果が出てまいっております。したがいまして、一号線の問題については、われわれとしてはこれは補助は必要はないというふうに考えております。
  51. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そんなことを聞いているんじゃないんです。いま財政局長はこの問題について、大阪の問題については具体的に着手をした段階だから、経営全体の視点から見でで運輸省と相談したいと言っておるわけだから、それには相談をするということですね。
  52. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 自治省から御相談がありました場合には、十分に協議をいたすつもりでございます。
  53. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それだけでいいんだよ。  次に、時間がございませんから、行政路線について質問したいと思うんですが、いま行政路線の問題につきまして、社会党の方では生活必需路線、こういう言い方をしておりますが、これも毎回国会ごとにこれは大臣、長い議論をしてきておるんですが、先般の衆議院における質疑を見ますと、この問題について何か砂子田さんのところで協議をしておる、こういう答弁がなされていますけれども、その結果はどうなったですか。
  54. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 実は、いまお話がございましたように、行政路線につきましては大変むずかしい問題を含んでおりますので、前々からこの問題をどう処理するかということが懸案であったわけであります。ただいたずらに時間を過ごしておりましてもなかなか解決が見当たらないということもございまして、私のところに都市交通の人とそれから公営企業の管理者の方に集まっていただきまして、一体どういう形の行政路線ならば全体的にこれに対していろいろな援助ができるだろうかということをいま研究をしている段階であります。私の方のなかなかいい知恵がございませんし、社会党の方からのこの法案の中にもそういう御提案があるようでございますが、それらも一つの検討の材料にはしたいとは思っておりますが、組合の方から今度はどういう路線についてならば組合として一応考えることができるのかということを向こうから提案をすることになっておりまして、それをいま待っている段階でございます。
  55. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 言うならば、どういうものをしていくかという意味での物差しの問題で議論になっているわけですね。きょう社会党がここに提起しましたね、物差しを。第十三条ですか、六点ほど提起していますね。この点についてはどうお考えになりますか。
  56. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 私先ほど申し上げましたように、一つの考え方であると思います。全面的にこのとおりやれるかどうかは大変むずかしいところもありますし、もともと営業係数が一三〇以上という形のものがとっておられまして、営業係数一三〇というのが一番望ましい形なのかどうかというのもありますし、いろいろな方の意見では、そればやっぱり一五〇ぐらいならばそういうことじゃないかとか、いやそれは二〇〇でなきゃいかぬとか、いろいろな議論があるわけであります。それをやはり総合的にもう一度考え直してみなきゃいけませんし、それは私の方だけでできる問題ではございませんで、私の方が行政路線としての一つの決め方を公営のバスについてやることがもしできるならば、民営についてもこれは考えなきゃいかぬ問題でもあろうと思いますし、そういう中でできたものをやはり専門家である運輸省とも相談をしていかなきゃならぬという時点も起きましょうし、そういうことを考えながらこの検討を進めていきたいと思っております。
  57. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 運輸省はどういうことですか。
  58. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 行政路線の問題につきましては、先ほど自治省の審議官から御答弁になりましたとおりでございますけれども、四十七年公営交通問題研究会の報告にもございますように、行政路線につきましては、範囲なり基準といったいろいろ重要な問題があるわけでございます。都市におけるバス輸送の現状とか、公営、民営双方の実態、あるいは補助制度の全体とのかかわりもあるわけでございまして、今後都市バス輸送改善のための総合的な対策の中で関係省庁で協議をしてまいるべき問題ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  59. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いやいやあなた私の質問の趣旨を間違えておるんだけれども、いま自治省の考え方としてはこの行政路線のどこを取り上げるかという物差しの差し方の問題でいろいろむずかしいと、こういう議論がございまして、この問題でいま話し合っておるんだという説明ございましたから、そこでいま社会党が先ほど提案した中に、行政路線の、言葉は生活必需路線とこうなっていますが、六つほど物差しを示しておるから、これについてはどう考えるかということを聞いている。
  60. 梶原清

    政府委員(梶原清君) いま御指摘のありましたのは生活必需路線の内容、それから補助対象としてどういうものを取り上げるか、こういう御指摘だろうと思うわけでございます。私どもとしましては現在地方バス路線維持補助制度を設けまして、一日の運行回数十回以下で平均乗車密度が十五人以下のものを補助対象としてとらえておる、こういうことでございます。そのほかに…
  61. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは知っていますが、これはどう思いますか。
  62. 梶原清

    政府委員(梶原清君) これにつきましては先ほども御答弁いたしましたように、この補助対象としてとらえる範囲、内容の問題でございますので、補助制度全体として考えていくべきであろう、かように考えておる次第でございます。
  63. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 答えになってないじゃないですか。社会党のいま提案の中身というのは、具体的に営業係数が一三〇以上の路線生活必需路線として、乗車密度が二十人以下の路線当該バス路線の最混雑時間帯と最閑散時間帯の輸送人員の比率が当該事業平均繁閑率の二倍を超える路線当該バス路線の表定速度当該事業の全路線平均表速度の九〇%以下の路線、とか、こういうふうに具体的に六項目ほどあるわけですね。確かにおたくの場合に、何と言うんですか、地方バス路線維持補助制度というのがございます。この中にも具体的ないろいろな物差しを引いていますね。こういった問題と関連してこの問題にどういう考え方を持っておるのか。ここはどうあり、ここが問題があるという、あるなら結構ですから言ってください。
  64. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先生御指摘のこの生活必需路線のとらえ方につきまして、私どもとしましては私どものいままでとっております制度との整合性ということを考えなきゃいかぬわけでございまして、一概にこの事項についてはどうだ、この事項についてどう考えるかということをいまこの段階で申し上げるということは非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。
  65. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると自治省はこの問題で一つの物差しが決まれば、いまおたくのところで協議しておるわけですね、それで決まれば運輸省と相談をすると、そのときにはあなたの方は現在ある物差しを基本にしながらもこの問題について議論をするわけでしょう。そうですね。
  66. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 全体のバス事業に対する補助制度といたしまして、民営とそれから公営との整合性ということも考えなければいけません。また私どももいま実施をしております地方バス路線維持補助の中にも公営交通に対する補助が数件、相当数出ておるわけでございます。そういうものを総合的に考えて整合性のある補助制度をつくり上げなければいけない、こういうふうに考えるわけでございまして、自治省から御協議がございますればそれに応じてお打ち合わせをいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  67. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは砂子田さん、補助率の問題とか、大体いつごろの時期をめどにしておるんですか。
  68. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) これはいまやっております委員会の結論がいつごろ出るかというのが大変むずかしい問題でございまして、私たちとしても精いっぱい努力はいたしたいと思いますが、いろいろこれは関係することもございますので、いま直ちにいつごろということを申し上げる……
  69. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もっと言うと五十四年度予算編成の要求時期までということですか。
  70. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ちょっとそれはお答えするのは大変むずかしいと思います。いろいろな出方がございますからそれを見つつ議論をしていかなければならぬということもございますし、五十四年度に間に合うということをいま確実に申し上げることは大変むずかしいと思います。
  71. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、これは相当長い議論をやってきているわけですね。もっと言うと附帯決議かやられてから——あれは四十八年ですか、そうでしょう、五年近い議論ですからね。しかも一、やはり現実にはこれがバス路線の問題全体の中できわめて重要な問題になってきておるわけですから、少なくとも一つのめどをつくるとしたら五十四年度の予算編成までには間に合わせると、こういう姿勢でなければならぬと思うんです。特に、衆議院地方行政委員会の中で大臣自体がいわゆる生活路線と言われる路線の必要については私も地方行政を担当して痛感しておる。できるだけ早く解決を図ってまいりたい。こういう大臣答弁もしておるわけですね、大臣間違いないでしょう。こういうことについて大臣の見解をお伺いしたいと思うんです。
  72. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 衆議院地方行政委員会におきまして、いわゆる行政路線のことについて答弁をいたした記憶もございますし、また答弁の内容につきましてもは、明確には記憶をいたしておりませんけれども、ただいま佐藤議員が御指摘のような趣旨答弁をいたした記憶がございます。  そこで、行政路線をいかなる範囲に定めるかは行政上の非常に重要であり、かつむずかしい問題だ、かように考えておるのでございますけれども、ただ、第五に営業係数が一三〇以上を生活必需路線として認定をいたす、具体的にはいまお話がございましたように六項目にわたって示されておりますが、これが果たして現況下において妥当な線であるかどうかということにつきましては十分に検討いたしてまいらなければならぬ、かように考えております。
  73. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、五十四年度予算に向けて十分に検討するということで受け取っていいですね。
  74. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 実は、行政路線の問題というのは、先ほどお話がございましたように、この新しい促進法ができますときに行政路線の問題が出まして、それも委員会の中でも、議論になりましたし、もともとこの法案を出しますときの研究会の中でもいろんな議論があったわけです。しかし、現実には行政路線に対する確としたなかなか基準が出なかったことは御案内のとおりだと思います。  そこで、それをなかなか考えるのにどういうことをしようかということで、実は四十九年以来今年まで実は大変な取っかかるのにさえ大変ないろんな問題があったわけでして、取っかかった以上は速やかにやるべきだというのはまことにそのとおりだと思います。ただ、いまここで先ほど申し上げましたように、五十四年度の予算に向けて努力をするということはしても構わないのですが、確実に五十四年度の予算に乗せることができるというところまではとてもなかなかむずかしかろうということを申し上げておるわけでございます。
  75. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私も確実にするということはいまの段階では答弁はなかなかむずかしかろうと思うから努力をすると、こう言っておるわけですから、しかも、ここに一つのたたき台、物差しが、標本ができたわけですね、一つのたたき台として。ですからこれをもとにして、いままであなたの答弁というのはなかなかむずかしい、ないものだから物差しが、組合の方ですか、都市交の方ですか、物差しをひとつ出してくれぬかということを言っておるんでしょう。ところが、その物差しと合わせてどういう物差しが出るかわかりませんけれども、一つの物差しができたわけだから、ですから、私はそう大方の五年間の中におけるこの問題に対する共通の認識があると思うんですよ、どういうものだというね。ですから、具体的に物差しを引くのが引きにくかったと、こういうところに話が行き詰まったわけですから、今度はそういう意味では一つの材料ができたし、努力をしさえすれば五十四年度には私は間に合うと思うんですよ。そういう意味でひとつこれは大臣再々で恐縮ですけれども、もう一遍ひとつ御答弁をいただきたいと思うんです。
  76. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いまお話しのように、いわゆる生活必需路線なり行政路線につきましては、物差しが非常にむずかしいということでございますが、その物差しというものを考えます場合に、一つは、その路線が本当に地域住民の足として必要だという問題と、しかし、必要であるにもかかわらず、営業係数なり、あるいは乗車密度なり、あるいは表定速度なりの面で非常に劣悪であるという問題二つあるわけでございますね。ここの御提案乗車密度その他につきましてはこれだけ裸で出ておる。それを裸で物差しにするわけには私はまいらぬと思うんです。率直に申しまして、競合路線もあるわけですから、他の交通機関と競合しておって乗車密度が低いと、営業係数が悪いというやつもありますし、それからまた都市環境が悪いために表定速度が遅いという、それなどは都市環境を、もう少し交通環境整備していけばある程度よくなっていくと、こういう問題もあります。ですから、路線の再編成とか交通環境整備とか、そういう問題も頭に置きながら一つ一つにこの路線がどうしても住民の足として必要だということを認定してまいらなきゃならぬ、その物差しというのはこれは非常にむずかしいわけでございます。運輸省が先ほど来申されております新住宅団地バスだとか過疎バスなどというのは、その辺のところはきわめて明確になるものでございますから、補助制度がすでにできておる。しかし、一般的に現在の都市交通全体の中でのバス路線を抽象的な一定の物差しで決めていくということはそういう面で非常にむずかしい面がある。ですから、私はやはり現在の交通健全化促進法に基づきます交通事業健全化対策の進み状況とやはり並行してこれは考えていかなきゃならないんで、精いっぱいの努力はいたしたいと思いますが、五十四年度予算編成までに結論が出るという、率直に申して自信はいまのところ持てないわけであります。組合の方々からの御意見も十分伺いたいと思います。しかし、ある程度の時間はかけさしていただきませんと客観的、合理的に、かつみんなが納得する結論というのは、そう早期に出るわけではないんじゃないかと、かように考えておる次第でございます。なお努力はさしていただきたいと、かように思います。
  77. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まああなたが言う現実的に当てはめていく上で非常にむずかしい問題があると、こういう説明についてはわからぬでもないんです。しかしもう五年間の期間を置いて、そうしてこの問題については、国会の附帯決議だからあんなものは余り大したことないんだというなら別ですけれども、決議をされてから五年間たって、そして努力をしてきておるわけですから、私は時間的に見ればそう無理ではないと思うんですよ。森岡さん自身もやっぱりこういう問題についてはずいぶんこれまでも議論してきたと思いますし、運輸省運輸省としても先ほど言っているように、現行の制度との絡み合いでそういった問題もやっぱり検討する機会がずいぶんあったと思うんですよ。ですから、きょうここでバチッと五十四年度に間に合わせると、こういう回答はできがたいにしましても、少なくともそれに近づけていくと、五十四年度にできれば間に合わしたいと、間に合わしたいということで、ひとつ努力するということで私は強く注文つけておきたいと思うんで、大臣の先ほどの答弁の中にございましたように、私も痛感しておるという、この気持ちを体してひとつ馬力をかけて五十四年度予算に間に合うように、運輸省もあわせてひとつ注文をつけておきたいと思います。  それから、時間がございませんから次に移りますが、公営バスの問題です。この再建問題について、もう私はここでまた折り返して詳しく申し上げるまでもなく、第二次のいま再建の段階に入っておるわけですが、まあ砂子田さんの地方自治三十周年記念論文が衆議院では大分問題になりましたようでありますが、しかしそれにもかかわらず、やはりこの再建が軌道に乗ってないというか、年々不良債務がふえてきた。五十二年度の見込みの中では若干この改善の兆しがあるという中身を見ましても、これはまあ経常収支じゃなくて営業外の収入がそれに寄与しておると、まあこういうこともほぼ明らかにされてきておるわけですけれども、この問題について一体第二次再建計画というものについてこのままいくのか、このままいけばまたこの状態さらに延長拡大していくというかっこうになると思うんですが、もうここら辺でひとつ第三次計画に踏み込むと、こういった決断をする時期にきておると思うんですが、この点についてひとつ砂子田さんの方から聞きたいと思いますが。
  78. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいま再建のお話がございましたが、まあ再建計画、御案内のとおり新しい法律に基づいてつくりました直後に石油ショック等がございまして、そのためにまた不良債務が増額をしたというのはもう御案内のとおりであります。その以後五十一年度の決算で不良債務が九百一億新たに出来をいたしましたために、これを何とか解消しなきゃいかぬということで、実は公共団体の方の御協力を願いながら、この不良債務の解消に現在努力をいたしているところでございます。いま私たちが推計をいたしておりますところでは、この九百一億も五十二年度末には約六百億に減るだろう。それは中身についていろんなものがあったじゃないかというお話がございましたが、トータル的には六百億になる見込みでございます。今後とも公共団体お話をしながらこの計画を詰めていきますと、それぞれ計画の期間内には特定の団体を除きましては、およそ不良債務が解消できるだろうといま私たちは考えております。そのために公共団体の方にも経営の効率化についての努力をいたしていただかなきやならぬということもありますし、そのための適時適切な料金の改定をしなきゃいかぬということも、これは中身としてはあるだろうと思いますが、ともかく現行の段階ではいまのこの法律に基づきます第二次再建というのを進めていきます段階で、およそその再建期間内にはおおむねの団体は不良債を解消できるのではないかと思っておりますので、いまのところ第三次の再建計画につきましてはちょっと考えないのが私たちの考えでございます。
  79. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは、いまあなたおっしゃったのは何ですか、六百億程度になるというのは再建団体のみということですか。
  80. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いまの九百億が六百億に減るというのは、再建団体に関係してみる団体不良債務でございます。
  81. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まあ、あなたがおっしゃるのは、砂子田論文を読みますと合理化ですね、徹底した合理化を基調に置いておるようでありますが、しかしこの問題はあなたもおっしゃったように、単に石油ショックだけでなくて、むしろ外的条件としては都市交通整備調査会等も提案しておりますように、交通環境ですね。こういった問題であるとか、それから幾つか事例が挙げられておりますね、資本費の問題であるとか。こういった問題について原因があるとするならば、私はやっぱり合理化のみによってこの問題を解決する道そのものが誤りだし、ならないというふうに思うんですが、この問題についてもう一度ひとつ見解をお伺いしたいと思います。
  82. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいまお話がございましたように、バスの再建の問題につきましては、それぞれの内部要因なり外部要因というのがいろいろございまして、そのものが逐次改善されることによってバス全体の利用成績がよくなるものだと思っております。お話ございましたように、石油ショックのときの人件費の高騰が大変その後の収益に影響したことも事実でございますし、その反面、その後の人件費が非常に伸びなかったということも経営の効率化に役立ったこともこれも事実であります。それからバスの環境条件といたしましての交通の整備の問題なり、道路整備その他がいろいろございまして、そういうものを、専用バスレーンが走るようになったということもありまして、それが昭和四十七年ごろから現在まで見ますと、約三・五倍伸びたということも事実でありますし、そういういろんな問題がその中に入ってまいりまして、これだけ公共団体としても努力をした結果現在のような債務が縮小されたものだというふうに理解をいたしております。
  83. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まあ内部要因、外部要因の問題があるという御説明についてはわかるんですか、しかし交通整備調査会が提起しておりますように、やはり公営バス再建策として、第一には諸外国の例等も引きながらやられておりますが、少なくとも資本費ですね、これについては公共で全額負担すると、こういったことが基本にならない限り再建策というのはおぼつかないんじゃないか、さらにまたたとえば本来公営バスの負担外である学生定期であるとか福祉定期の割引額の問題であるとか、それから行政路線の先ほどの問題であるとか過密過疎の問題、こういった問題を公費で負担していくというものが絶対必要じゃないかということを強調しておるわけですが、さらにまたこれだけの多額の費用を要する問題について、いわゆる自治体が主体であるというところで国が、先ほど申し上げたように実質的には三分の一にも満たない負担率というところにも問題があるんじゃないか、こういう点が指摘されておるわけですね、こういった問題についてこの際ひとつ抜本的に検討するというそのことが伴ってあなたが言う再建の見通しというものが出てくるんじゃないか、私はそう思うんです。そういう面から見て大蔵省運輸省含めて御見解をお伺いしたいと思います。
  84. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 本来再建の計画をつくりましたときにも、公共的なバスの輸送のために国と地方協力をすべきだという前提に立ちながら、実はこの再建の計画をいま練ってきたわけであります。そのために国におきましても利子補助をいたしましたり、あるいは交付税で元金を見ましたりいろんな形をしながら国と地方との協力関係の中で再建計画を遂行しているところでもあります。ただお話がございましたように、まあバス事業の資本費というのは何があるかと申し上げますと、結局は利子と減価償却になるわけであります。利子と減価償却は何から出るかということになりますと、どうしてもこれはバスだけが大変固定資産として高いものですから、結局バスの問題にしかならないだろう。そうすると、バスの償却と利子を、起債で買った分を全部賄うかということになりますと、これは一つ公営企業をやっているという立場から申し上げますと、独立採算をするというのがたてまえでもありますから、ある程度やはり自分の収益でそのものを還元をしていくというのが公営企業をとっている方の立場でもありますから、そういう企業努力はやはりしていただかなきやならぬとも思います。たまたまバスの償却を何年で見るかということがございまして、これは御案内のとおり当時バス補助を始めましたときに、償却を五年で見りゃいいじゃないかということで現実やっておるんですが、現実にそのバスがそれじゃ五年で全部だめになるかと申し上げますと、そうじゃなくて、やはり最近は十年ぐらいバスが持つという形になるわけであります。そうしますと、バス補助金をほぼ五年間やっておりますと、大体もう償却といって積み立てをしていただければ、ほとんど新車を自分のところで買える積立金があるはずだというかっこうには、どうも予算上はならざるを得ない。現実はその金がないということは別といたしましても、補助金を出していった方からしますと、どうもそうだという気がいたします。そういう意味で、資本費の補助をするというのも大変これはむずかしい問題でもあろうと思います。といいまして、なかなかその再建計画で五年で打ち切るというのも大変むずかしかったという事情もございますし、再建計画が胸突き八丁へ来たということもございますので、実は、五十三年度は無理無理これは大蔵省にお願いをして一年間だけバスの購入費を延ばしたといういきさつはございます。そういうことを努力しながらやっております。  さらには、定期の割引の問題につきましては、これは別途運輸委員会の方に同じく社会党の方の提案で公共割引の法案が出ておりまして、これがどう御審議になっておるか、私ちょっと存じませんが、こういう中で定期の割引の問題も入っているようであります。ただ、この割引の問題は、単にバスだけの問題ではなくて、他にもいろいろ割引がありますから、そういうものとの均衡も考えなきゃいかぬのではなかろうかという問題ございますし、一概にどうも定期割引をすぐ負担を公共団体でする分だけ国で補えというのも、大変これまたむずかしかろうという感じもいたします。  行政路線につきましては、先ほどお話をしたようなことでございますし、この五年間の間にも、行政路線につきましては、先ほど佐藤先生お話ございましたように、過疎地のバスなり、あるいは新住宅地のバスなり、そういうことをこの五年間で手がけてきたわけでありまして、最後に残りました政策路線議論をどうするかというのがいまの問題になっておりますので、これは先ほどお話し申し上げましたように、私たちでもずいぶん努力をしながらこれの解決に努めたいというふうに思っております。  こういうことが、一つは皆さん方と申しますか、公共団体とわれわれと国と、みんなが一緒になりながらやはり解決をしていくところにこの再建計画というものが完成できる見通しができるということだと思います。今後もそういう方向で努力をしたいと思っております。
  85. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 公営バス業の財政再建につきましては、自治省からお答えもございましたが、私どもとしましては大体五項目につきまして総合的に進めてまいらなけりゃいけないんではないか、かように考えております。  まず第一点は、路線の再編成等による経営の合理化が一つでございます。  その次に、諸施設整備いたしまして輸送サービスを向上していく、そういう努力をすべきではないか、現在わが国の自動車保有台数は三千三百万台でございますが、そのうち三千二百万台が自家用車でございまして、こうした利便性の高い自家用車に打ちかっていくだけの輸送サービスを提供していく、こういうことが必要であろうかと思うわけでございます。  第三点としましては、駐停車禁止地域拡大とかバス専用レーン、優先レーンの拡充と、こういった交通環境整備していく、これが非常に重要な項目であると思います。  それから第四点としましては、最近六大都市のうち名古屋、京都、大阪、神戸といった都市につきまして運賃改定をいたしましたが、適正な運賃水準を確保していく、これも一つの重要な項目だと思います。  最後に、先ほど来議論になっております助成制度が挙げられるわけでございますが、国と地方とが協力をして適切な助成制度を確立していくということが大切であろうと思います。  なお、輸送サービスの改善に関連しまして諸施設整備するために運輸事業振興交付金制度というのがございます。これの活用も図ってまいらなければいけない、かように考えておる次第でございます。  そうしたもろもろの施策を総合的に積極的に推進してまいりまして、公営バス事業の健全な経営のために努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  86. 足立和基

    説明員(足立和基君) 現在公営バス事業につきまして国が行っております施策は、ただいま砂子田議官が申し上げましたように、再建債についての利子補給であるとか、あるいはバス購入費に対する補助とか、こういったものを精いっぱいの努力を国としていたしておるわけでございますが、先ほど来いろいろ申し上げておりますように、公営バス事業といえどもやはり公営企業でございますから、独立採算でやっていただくということがたてまえでございますので、国の関与し得る限度というものは非常に限られてくるのでなかろうかと考えております。ただいま運輸省の方からいろいろその公営バス事業についての財政再建について御方策が述べられましたけれども、その辺の事情、結果等も十分見ながら今後とも検討してまいりたいと思います。
  87. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いま関係各省の御答弁をいただいたんですが、やはりその中にも出されておりますように、独立採算制が基本だと。これは私もわからぬでもないと思うんですが、しかし、独立採算制をやろうにもできないという環境ですね、そういった環境なり実態というものを無視するわけに私いかぬと思うんです。ですから、そういうものについては国なり公共団体なりが助成をしていくと、これがやっぱり基本に流れておらなきゃならぬと思うんですけれども、現実に諸外国の例が先ほど出されましたけれども、私が調べた各国の実態を見ましても、ほとんど運営費まで含めてそういった助成というものがやられて、そこに安定的な成長というのがなされてきておりますね。ですから、そういう面から見ると、この問題については独立採算制というものが基本だと言いながらも、やはり環境の問題行政制度の問題なり、こういったものを含めては必要最小限の国の措置をやっていくんだと、こういうことが貫かれていかなきゃならぬと思うんです。  その中で、先ほど減価償却の中でもほとんどバスの問題だということを言っておりましたが、そのバスについて五年間の期限を一年延ばしてもらったんだという、大蔵省に無理言うて云々という話がございました。これは無理を言って一年ということで、ことしで打ち切るつもりですか。
  88. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいま申し上げましたように、バスの購入費の補助というのは、先ほど申し上げましたようにバスの償却を考えながら実は期間設定をいたしたわけでございます。この当初つくりますときには五年だということで補助の期間を限って実は補助をしてきたわけでありますが、現実の交通再建の実態を見てみますとなかなかこれを打ち切れるような段階でもなかったということで実は一年延ばしたわけでございます。結局、この一年間の間にそういう意味でのいろんな公共団体の努力が実りまして、先ほど申し上げました不良債務が非常に低下をしてきた、縮小してきたということもあります。で、おおむね胸突き八丁のところはそういう意味ではもう通り越したのではなかろうかという考え方を持っておりまして、このバス補助金もお約束どおり五十三年度で一応いまのところ打ち切りたいと考えております。
  89. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 五十三年度そのもの自体がいままでの半額じゃないんですか、補助は。それが五十三年度でもって打ち切るということはどういうことなんですか。
  90. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 実態を申し上げますと、いま五十二年度末で六百億の不良債務があるわけですが、この六百億のうちで実はバス不良債務というのは四百億ぐらいなわけです。そのほか路面電車の不良債務があるわけでございまして、これが私たちの推定では五十三年度のときにはバス不良債務は百六十五億まで減少すると見ております。そういういろんなことを考えてみますと、おおむねこのバス補助金というのがその使命を達したというふうに理解をいたしておりまして、そういう段階でもございますので、一応一年間、実は大蔵省に大変御無理を申し上げまして延ばしたわけでありますが、五十三年度でこの補助金は一応打ち切りたいと、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  91. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 先ほどのあなたの答弁では、いわゆる公営交通の問題の国の助成なり公共負担の問題については必然的なものであると。私まあそういうふうに理解しておったんですけれども、打ち切るということになるとこれ私穏やかじゃないと思うんです。これはひとつ、そうじゃなくて、むしろ、もう一遍この問題について実態調査しながらさらに継続するかどうかを含めて検討していくと、こういうことについて明確な御答弁をいただきたいと思うんです。
  92. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 大変、前向きの答弁をいたしたいのはやまやまでありますが、実はもうこの問題につきましてはそういう形で一応私たちの方も内心決めておるところでございますので、その点お許しを願いたいと存じます。
  93. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 内心決めておるということは、これは財政局長も聞いておるんですか。私は、昨年もこの問題で、砂子田さんであったか金子さんであったか、課長さん、たしかお会いしたことがあるんですが、いまあなたがおっしゃったことを聞きましても、いわゆる減価償却の年数というのは大体十年を見ておるわけでしょう。十一年ですか、ことしは。そういう面から見ると、まだバスの一回り回ってくるその段階にいってないんじゃないですか。
  94. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、補助を始めますときのバスの償却というのは五年であります。現実には五年だということで補助をしてきたわけです。ところが、現実バスの耐用期間自身が非常に長くなりまして、物によっては十年間もっているものもあります。そこで、もう五年間補助をしたんですから、六年目からは——その償却を積み立てていれは、当然自分の金で購入できる資金が積み立てられているはずです、というのが六年目から実は始まっているわけです。それをことしは、どうも六年目から自分の金で買うことができるんだと言ってみたところで、なかなか胸突き八丁はむずかしいだろうということで、実はことし、本当は五年の償却のやつを一年延ばしてもらって補助を出したというのが実態でございます。それは先ほど申し上げたとおりでございます。
  95. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その積み立てばできておるんですか、その積み立てば。
  96. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) それは公共団体が減価償却するわけですから当然積み立てているべきものだと、こういうことでございます。
  97. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、私はやっぱりそこにおたくの机上プランがあると思うんですね。実際は公営バス全体の赤字というのは増大しているわけですから、そのことは、逆に言うなら、そういう積み立てをすべきである、あるはずだと、こういう言い方だけでは済まされない内容が私は伴っておると思うんですよ。ですから、この問題については、やっぱりさらに継続するかどうかを含めて検討していくと、こういう基本のもとに関係団体、関係者との協議をしていくと、そういう方向でひとつ進めてもらいたいと思いますし、同時にまた、いまあなたがおっしゃったように、ようやく胸突き八丁というか、に来ておるという言い方をしました。しかし、あなたの論文の中でもありますように、まさにことしが安定成長するかしないかの岐路だと、こういう言い方をされております。私どもが見ると、もっと言うと、その再建計画、再建方向というのはむしろ悪化しておるというふうにとっておるわけです、この問題について。ですから、そういう実態等かみ合わせてみますと、いまこのバス補助を打ち切っていくようなことにはとうていならない、そういうふうに思いますし、これはひとつ、財政局長が一番の衝に最終的にはなると思うんですけれども、そういう方向でひとつ検討してもらうということで私の方からも注文をつけておきたいと思いますが、何か所感ございますか。
  98. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 審議官から申し上げましたように、健全化促進法を四十八年につくりましたときに、バス補助制度をどうしても入れたいという考え方をとりましたのは、一つには、十五年間というかなり長い再建期間をとったわけでありますが、当初はやはりこの健全化促進法でどういう形になっていくか、やはりいろんな心配もあったわけでございます。そういうふうなことから、バス購入費補助金大蔵省に要請をしてつけてもらったわけでありますが、しかし、基本的な考え方は、やはり企業会計でありますので、補助金をもらった分を使いっ放しというのではこれはおかしいわけでありますから、当然減価償却相当分は積み立てて、更新分はそれでもって賄っていくという筋でこれは補助制度ができておると、これはもう否定すべくもないわけであります。ただ、先ほど来申し上げておりますように、この再建計画つくりました直後にいわゆるオイルショックが出まして、いわば予想外の経営上の重圧が出てきたわけであります。それが新たな不良債務を発生せしめた私は大きな要因だと思いますが、それが安定してまいりまして、先ほど審議官が申し上げましたように、再建団体について見ますと、五十二年度ないし五十三年度でかなり不良債務の減少を見込めると、こういう予測を持っておるわけであります。そういうふうな状況でございますから、バス補助制度の沿革、それからその際及び今年度における大蔵省との折衝の経緯から申しまして、率直に申しますると、一年間延ばしてもらったということをもってこの制度を私はやはり打ち切らざるを得ないのではないかと。しかし、全体としての公営バスの再建問題について、再建計画の進行状況を見ながら、新たな助成として何が考えられるかというようなことも含めて検討することは私は必要だと思いますけれども、必要がありますれば、そういう検討をいたしたいと思いますが、やはり経緯から申しますると、今年一年延長いたしましたことをもってこのバス購入費補助は一応打ち切りということで御了承をお願いしたいという気持ちでございます。
  99. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いま財政局長の答弁では、このバス補助の問題については、昨年の経緯で打ち切らざるを得ないけれども、しかしこれにかわるべき措置があるかどうか、こういった問題については検討すると、こういうふうに私は受け取ったんでありますが、いずれにしましても、私はさっき申し上げましたように、いわゆるおたく主張から見ましても財政が好転の兆しがあるという表現で出されておりますけれども、われわれの見る公営交通全体から見ましても、バスから見ましてもむしろ悪化の兆しが出てきている、悪化状況になっていると、こういう先ほど申し上げたように、実態の取り方に開きがありますね。さらにまた再建団体実態を見ても、積み立てておるべきはずだと言っても、それができてないのも実態ですね。ですから、そういう面から見ると、私はやはりあのバス補助のゆえんというのが何かといえば、いわゆる再建計画を軌道に乗せて、そうして早く安定的なものに持っていきたいというのが趣旨でありますから、その一つとしてバス援助というのが出てきておるわけですからね、そういう総体的な面からとらえて、この問題について対処していくというのが基本でなけりゃならぬと私は思うんです。ですから、そういう意味合いでこの問題についてひとつぜひ取り組んでもらいたいと、そう思います。そういう意味合いで、最後に時間がございませんから、ここで終わりますけれども、大臣の、いままでの質疑を含めまして、三つの問題についてひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  100. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 三つの問題とおっしゃいましたので、果たして私の受けとめています三つの問題と整合いたしますかどうか自信がないのでございますけれども、先ほど来いろいろ御指摘がございましたように三次再建のことでございますが、新しい法律に基づきまして第二次再建計画が策定されておりまして、そして各公営企業によりましてその中身は相違はございますものの、マクロ的にはいま話がございましたように、五十一年度末では九百億円を超えます不良債務が五十二年度におきましては約六百億円程度に減少いたすと、かようなことでございます。が、しかし公営企業を取り巻いております環境はきわめて厳しいことは先ほど来御指摘のとおりでございまして、バス補助等につきましては、従来の経緯から見ましてこれを継続いたしますことば困難であろうと、かように考えますけれども、先ほど財政局長が答弁いたしましたように、きわめて厳しい環境に対応いたします新たな助成措置等がありといたしますならば、さような面につきましては鋭意検討を加えてまいりたいと、かように考えております。  それから二番目は、行政路線のことであったと思うのでございますけれども、先ほど提案説明にもございましたように、地方公営交通事業特別措置法案の中には、その第五に、その基準につきましてのきわめて明確な御指摘がございました。かような具体的な御指摘は今後行政路線をいかなるものを行政路線といたすかと、かような決定をいたすに当たりましてきわめて有効な御提案だと、かように考えまして、今後十分に参考にしながら検討いたしてまいるべきだと、かように考えております。  それから公営バスの再建につきましては、今後とも各面にわたりましていろいろ努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  101. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間がございませんからここで終わりますが、先ほどのバスの問題については、これは私としては承服できないし、今後この問題についてまた追及していきたいと思いますが、いずれにしましてもこの公営交通の問題は、いままで皆さんが手がけてきたように容易な問題では再建ができないという事実だけはお互いに認識がいったと思うんですね。ですから、これについての五十四年度を含めてさらに財政措置引き上げていくという方向でぜひともひとつ検討していただきたいということをつけ加えておきたいと思います。この問題の後に宿日直の問題で労働省の関係者にきょう来てもらったわけでありますが、時間がございませんから大変申しわけないんですけれども、また次の機会によろしくお願い申し上げます。
  102. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前の調査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  103. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政改革に関する調査議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 小山一平

    ○小山一平君 きょうは雇用問題について少しくお尋ねをしてまいりたいと思いますが、労働省お見えですか。——現在の失業者実態、新聞などで発表されてはおりますが、これについてひとつ御報告をお願いいたします。
  105. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 最近の雇用失業情勢でございますが、新聞等でも発表されておりますように、四月現在で就業者は五千四百十三万と、前年同月より四十八万人増加しておりますが、完全失業者も百二十三万人と昨年より増加いたしまして、完全失業率季節修正値で二・二%というふうになっております。また求人の状況は、有効求人倍率——安定所にあらわれます求職者と求人の比率でございますが、〇・五五倍と、やや回復を見ておりますけれども、依然として低い水準にございます。
  106. 小山一平

    ○小山一平君 いわゆる潜在失業者、パート等女性の実質的な失業状態、こういったようなものはどのように把握しておりますか。
  107. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 潜在失業者と言えるかどうかの点についてはいろいろと問題があるわけでございますが、雇用者数が四月で三千八百万人でございますが、これは対前年比約十万人の増になっております。しかし最近の情勢で申し上げますと、女性の数がふえて男性が減っているという状況になっております。
  108. 小山一平

    ○小山一平君 不況の中で企業内部にかなりの過剰労働力をやむなく抱えている、こういうことが明らかなんですが、これはいつ完全失業者になるかもわからないという要素を持ったものと思いますが、企業内における過剰労働力、これをどんなふうに考えておりますか。
  109. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 手元にいまちょっと数字を持ってきておりませんが、過剰労働力の問題につきましては、ちょうどオイルショック以後四十九年から不況に入りまして、五十年の末から五十一年におきまして非常に過剰雇用の問題が言われたわけでございます。当時鉱工業生産指数も落ちてまいりまして、それから雇用労働者の数も若干減っておりますが減り方が少なくて生産性が非常に落ちてきたというような状況でございます。しかし、五十二年から五十三年に入りまして鉱工業生産指数も上がってまいりまして、それからその間に企業が体質を強化したと申しますか、従業者数は七%から九%減ってきているというような、ことで、生産性も一〇%を超える上昇が四十九年と五十二年の比較では出てまいりまして、その五十年、五十一年に言われましたいわゆる過剰雇用の問題は、各調査機関その他で言われました数字ではじきますと、全体的にはマクロで見ますと過剰雇用は減ってきている、ある計算によればほとんどないということになるわけでございますが、しかし過剰雇用がないかと申しますとそうではなくて、その回復の過程の中で、構造不況業種とかそういう面で過剰設備を抱えておるところでは過剰雇用があると。さらに、過剰雇用というのはどっちかと言いますと、在庫の先行きと同じようなところがございまして、先行きの見通しの中で、非常に求人が伸び悩んでおりますが、それは企業が先行きに必ずしも安心感を持っていないというようなことから伸び悩んでいるわけでございますけれども、そういう点からしますと過剰雇用は依然として残っているという状況でございます。ただ数字をどういうふうにはじくかということになりますと、非常にそれぞれの立場で困難な点がございまして、ただ日銀の経済観測等の調査等によりますと、企業の中で大体七〇%は従業員が適当である、あだあと三〇%は過剰であるというような調査が出ております。この数字は、四十一年の一月当時には四割の企業が過剰雇用であったというようなことでございまして、その後ずっと下がってきたわけでございますが、本年二月の調査ではややそのパーセントが上がってきているというのが現状でございます。
  110. 小山一平

    ○小山一平君 推定数字はどのくらいになりますか。
  111. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 過剰雇用の推計数字は、いま申し上げましたように、それぞれの企業の持っている過剰雇用感、またはどういうふうにはじくかということでそれぞれ異なっておりまして、現在推計はいたしておりません。
  112. 小山一平

    ○小山一平君 それはおかしいですね。それははじきようによっていろいろ数値は違うにしても、どんなふうにはじいたらどんな数字が出る、こんな角度ではじいたらこんな数字になるぐらいなことを把握していないというのはおかしいじゃないですか。
  113. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) いまお答え申し上げましたように、生産性その他からはじいてまいりますとほとんど過剰雇用がないという数字でございまして、過剰設備がどれぐらいあるかとか、それから過剰雇用感としてどれぐらいあるかということになってまいりますとそれぞれの立場がございますし、過剰設備から数字をはじくということはちょっと推計不可能でございまして、現在のところ推計値を持ち合わしていないということでございます。
  114. 小山一平

    ○小山一平君 それでは今後の雇用対策などを進めていく上に大変無責任な姿勢だと思いますが、まあいいでしょう、わからないというなら仕方ありませんけれども、しかし大体企業内にどの程度の潜在的な過剰雇用があるかというものを推定の上でも把握しておらないなどということはおかしいでしょう。日銀でいったら三〇%あるという。生産指数からいったらゼロだという。そんな大ざっぱで数字を把握して今後の対策が立ちますか。
  115. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 過剰雇用についてはそれぞれ、たとえば財界で、構造不況業種が十二業種ある場合に、その雇用者数が現在四百万ある、それの一割四十万人が過剰雇用だというふうに言われたりいたしておりますが、企業自体が過剰雇用をどういうふうに把握しているかということになりますと、個々の企業の推計はいま申し上げましたように産業間で非常にアンバランスがあるということと、それから先ほど申し上げました、いま過剰雇用がそれぞれある部門は、過剰設備とかそういう面での過剰雇用感でございまして、その辺が、では設備がどれだけ過剰でそれならば過剰従業員がどれぐらいあるかということは、いまの稼働率その他から申しますとすでに過剰設備自体が休止しているのがございますし、そういう点で、これは労働省だけではなくて通産省その他事業官庁とも相談いたしておりますが、その面での過剰雇用という数字はなかなか出てこないということでございます。先ほど三〇%と申し上げましたのは、そういう過剰雇用感を抱いておる企業が三〇%あるということでございまして、じゃあその企業のそれぞれが何割の何人ぐらいの過剰雇用を持っているかということはちょっと推計不可能でございます。  そういうようなことで過剰雇用の数字は持っていないということでございまして、対策としましては、その過剰雇用と申しますか、それだけ従業員を抱えている企業で配転とかそれから出向とか、それらの措置がとられるについてのなるべく失業を予防しながら対策を進めていくと、それから労働市場にあらわれた失業者についてはそれぞれまた雇用対策を進めるという形で対策を進めざるを得ないという状況でございます。
  116. 小山一平

    ○小山一平君 そういたしますと、先ほど御報告のあった完全失業者百二十三万を除くと、これ以上失業者が出るという不安なものは今日の企業の中にはないと、こういうふうに解していいわけですね。
  117. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) いえ、そうではございませんで、現在の状況から申しますと、総体的にはやや経済の見通しその他が薄日が差したと言われておりますが、先ほど申し上げましたように、必ずしも求人の動向その他、雇用失業情勢は上向きには転じていないというようなのに加えまして、先ほど申し上げました構造不況業種その他がございますので、これらの業種からの離職者がなお発生するという余地は十分あるというように感じております。
  118. 小山一平

    ○小山一平君 何かわかったようなわからないような話ですが、まあいいでしょう。  それから、この新規雇用ですね。新規雇用の場合には若年層が優先されて、中高年層が取り残されるという傾向はこれは当然出てくると思いますが、その状況はどんなふうに見ていますか。
  119. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 先生おっしゃいましたとおり、新規雇用については若年に偏りがちでございまして、中高年、特に四十五歳以上の者につきましては求人倍率その他も非常に低くなっているというような状況でございます。特に最近の、先ほど申し上げましたように、有効求人倍率〇・五五倍という状況を踏まえましても、若年の方はほぼ一に近い状況でございまして、中高年以上につきましてはさらに比率が落ちるという状況でございます。
  120. 小山一平

    ○小山一平君 それから、身障者の未就労状態というのはどんな状況ですか。
  121. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 恐れ入りますが、手元にいま資料をとらえて持っておりません。
  122. 小山一平

    ○小山一平君 私は、今後特に中高年層、あるいは身障者、こういう人たちがなかなか雇用機会に恵まれるということが非常に困難な状況であるということは明らかだと思うんですね。そこで、労働省としてこの新規雇用の場合に、中高年層や身障者に対する一定比率の雇用義務などというものを考えていく必要はありませんか。
  123. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 中高年者、身障者につきましては特別の法律がございまして、御存じのとおり身障者には雇用比率がかかっておりますし、それから中高年につきましても、高年齢者の六%の雇用比率がかかっております。ただ両者の違いは、身体障害者につきましては民間企業一・五%、国等で一・八から一・九%になっておりますが、その未達成事業から納付金を徴収し得るという制度が特に身障者の場合にはかかっているということでございまして、高年齢者の雇用比率六%につきましてもそれに基づきます行政指導、さらには定年延長やその他の措置等をとることによって六%を達成していくという措置を現在とっているわけでございます。
  124. 小山一平

    ○小山一平君 それが守られていますか。
  125. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) その辺の資料を手元に現在持ってきてはおりませんが、完全に実施されているという状況ではございません。しかし身障者の雇用比率等もだんだんに上がってきておりますし、高年齢者の雇用比率につきましては昨年から施行された状況でございまして、さらに本年の調査等を参考にしなければなりませんが、定年制、どうも徐々ではございますが、若干五十五歳定年が六十歳定年に近づきつつあると、こういう不況期におきましてもそういう状況でございまして、特に高年齢者につきましては非常にまだもどかしい点があるわけでございますけれども、そういう方向に進みつつあるというふうに思っております。
  126. 小山一平

    ○小山一平君 しかしそういう義務を定めていながら徐々によくなっているとかなどというのはおかしいんじゃないですか。どうしてもう少しこれ強力に決められた比率の雇用を実際に行わせるような指導なり何なりの措置がとられなくちゃならぬと思うんですが、どんなふうにやっていらっしゃるんですか。
  127. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 身体障害者につきましては、これは昭和三十五年に身体障害者雇用法律ができまして、そのときに雇用率が決まりました。それは努力義務であったわけでございますが、それに基づいて雇用が進んできたわけでございますけれども、これが一昨年の法律の改正によりまして、この雇用率制度について、三百人以上の企業につきましては納付金制度というものが設けられたというようなことで、雇用率未達成の場合には納付金を納めるという状況になっているわけでございますが、そういうことでかなり進んできていると思います。  中高年の問題につきましても、これは昨年法律ができまして、六%の高年齢者の雇用率ができたわけでございますけれども、これは一応努力義務でございまして、行政指導によって進めていくということになるわけでございます。個々の企業の実態から申しますと、それぞれの企業の成り立ちとか歴史とかあるわけでございまして、非常に新しくできた企業等または年齢構成等を見ますと、必ずしも一律に直ちに六%に持っていくと、いうことは、全体をなべて六%に持っていくということは非常にむずかしい点があるわけでございまして、その点を強力に行政指導で進めていくということでございます。
  128. 小山一平

    ○小山一平君 行政指導で、努力目標でなんということでは、これからますます中高年層の雇用機会が困難になってくる状況の中では私はなまぬるいと思うんですよ。もう少しこれを強い規制が行われるようにおやりになる方がいいんじゃないかと思いますが、どうですか。
  129. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) まあ身障の問題はそういうふうな規制になったわけでございますが、それぞれ身障者につきましては社会的に共同の連帯意識の中でそういう施策を講じていくと、また対象となる人数の層とか、そういう点があるわけでございまして、また、中高年の問題につきましては、それと比較しますと、非常に大幅な層でございますし、いま申し上げましたように、個々の企業でそれぞれ現在の従業員を抱えて、その従業員がどういうふうな構成をしていく、若年を切ってそこへ中高年を入れてパーセントを上げていくということも非常に困難な面があるわけでございますし、その面につきましては、定年の延長とか、中高年齢者を中途採用していくとか、そういうようなことで進めていかざるを得ないということでございまして、さらには、わが国の賃金体系、それから生涯雇用の制度等もこれに関連いたしておりまして、そういう面での、雇用管理面での行政指導も加えながら持っていかざるを得ないというような状況でございまして、中高年齢者につきまして特に規制、罰則を設けて現在法律で規制するというのはいかがかと思うわけでございまして、その前にそういう環境づくりをしていかなきゃならないというふうに考えているわけでございます。
  130. 小山一平

    ○小山一平君 いわゆる不況産業と言われる分野は当然産業構造の転換によって問題解決を図らなければならないと、こういうふうに言われております。ところが、なかなかこれは容易ならざることでございますから、今後の雇用拡大あるいは完全雇用というようなことは大変容易でない。これが不景気だというある短かい期間の問題でなしに、将来相当恒常的な失業者あるいは潜在的な失業者というものが存在せざるを得ないと、こういうふうに言われておりますけれども、労働省はどういうふうにお考えですか。
  131. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 先生おっしゃるとおり、中長期的に見れば産業構造の転換、さらにはそういう就業構造の転換等によって高度成長から安定成長へ向かうにつきましての雇用は非常にむずかしい面を迎えているというふうに思います。したがいまして、現在の状況は、先ほど申し上げましたように、非常に短期的、短期的と申しますか、こういう完全失業者その他失業情勢の悪い中で彼らの施策を適切に講じていくということにさらに踏まえまして、その産業構造の転換の中で、特に大ざっぱに申しますと、第三次産業はふえて第二次産業は減っていくというような状況の中で、今後雇用をどういうふうに吸収していくかということは今後の重要な課題だというふうに考えております。
  132. 小山一平

    ○小山一平君 もちろん第二次産業が減少して第三次産業に期待をすると、こういうことでございますが、私はやっぱりそうは言っても、それには限界もあろうし、かなり困難性もあろうというふうに思うわけです。  そこで、従来のように、いわゆる雇用安定対策とか、失業予防対策とか、あるいは失業者生活保障とか、こういうような施策だけではとても対応し切れるものではない。何らかの方法を講じて新たな雇用創出するということがなされなければ、いまもお話があったように、失業状態というものが短期的なものでなくて、恒常的な性格を持っておると言われる中でどうしても必要だと思うんですが、それどう思いますか。
  133. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  先生おっしゃいますとおり、雇用創出と申しますか、そういう面での第三次産業におきます雇用、どういう職種と申しますか、どういう産業、第三次産業の中のどういう業種で雇用が進んでいくのかと、そういうような十分な検討と、それから進むべき方向と申しますか、そういうものの検討の中で、そういう面への誘導策その他雇用の開発に関します方向を今後施策として検討していかなければならないというふうに考えております。
  134. 小山一平

    ○小山一平君 不況業種の関係その他いろんな要因によって皆地域的に非常に多種多様、アンバランスな状態にあると思うのですね、この失業問題というのは。したがって、その対策を立てていくには、私は少なくとも地域別、さらには市町村別の失業状態の実態調査、こういうものが土台になければ適切な方策を立案することも困難だ、こう思うのですが、市町村別の失業状態というようなものを調査されて数字を持っていらっしゃいますか。
  135. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  市町村別の調査は数字を把握いたしてはおりません。御承知のとおり、完全失業者の数は総理府の労働力調査によるわけでございますが、この調査はサンプル調査でございまして、全国的な数字しか出ないということになっております。現在各都道府県別または各安定所別に把握できる数字は、安定所にあらわれます求職者ないしは保険受給者の数を把握するということになるわけでございます。
  136. 小山一平

    ○小山一平君 いま問題になっているのは、地方自治体の場においても雇用創出について取り組んでいかなければならない、こういうことでいろいろ努力が払われております。それにはどうしてもそれぞれの事情が多種多様でございますから、市町村別の失業状態、失業状態ばかりでなしにパートの実態あるいは年齢層あるいは男性、女性の関係、さまざま違った内容を持っていると思うのですね。ですから、私はきめ細かい雇用対策を考えていく場合には、少なくとも市町村別の実態ぐらいはしっかり把握をしてまいらなければならない、こう思うんですけれども、これがないということですが、今後これおやりになる必要があるでしょう。
  137. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 市町村別に失業者調査その他をどういうふうにやるかという点については全体の問題としてやるかと思いますが、私の方は全国にかなりの地域に安定所を持っておりますので、その地域にあらわれます求職者数、それから求人数等を把握していくことによって各市町村と連絡しながら十分対処し得るのではないかというふうに考えております。
  138. 小山一平

    ○小山一平君 自治大臣、私はこういう深刻な雇用状況の中にあっては、少なくも地方自治体末端の市町村に至るまで、完全失業状況あるいは半失業状況あるいはいつ失業という憂き目を見るかもわからないという不安状況、こういうようなものは調査して、しっかりしたデータを持つべきだと思いますが、どうですか。
  139. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 雇用問題はその地域地域にとりましては非常な問題でございますし、まして失業者がどの程度自分の市町村内にあるかと、このことは市町村といたしましても十分に把握をしなければならぬことでございますし、いま質疑答弁の中で明確になってまいりましたように、労働省の安定組織といたしましては、市町村別ではございませんけれど、安定所単位に十分に把握をいたしておると思うのでございますから、各市町村におきましても安定所と十分に連絡をとりますれば、当然雇用状況が把握できるのでありますから、今後公共団体におきましてもそういう把握に努めてまいりまして、雇用問題なかんずく失業問題に対処していくべきだと、かように考えます。
  140. 小山一平

    ○小山一平君 私は労働省の出先機関の組織実態からいって、市町村別のきめ細かい実態調査などというものが把握できるわけがないと思うんですよ。ただ、この完全失業者ということになって、失業給付金をもらうとか、そういう窓口で把握できる範囲のものは、これはできると思いますけれども、もっと潜在的なさまざまな状況というふうなものは、やっぱりもう少し市町村などの力によって細かな調査というものをやらないと、きめ細かな実態を把握するということはとてもできるもんじゃない、こう思いますが、労働省は自信ありますか。
  141. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) きめ細かいという点がどの程度かということになりますが、実際に職を求めて求職している人々の数、それから雇用保険がほとんどの雇用者に全面適用されている現状におきましては、顕在化した離職者その他につきましては十分把握できますし、それを市町村別にまた分析するということも可能だというふうに思っております。
  142. 小山一平

    ○小山一平君 それでは労働省ではそれぞれ出先機関の守備範囲内における市町村別の失業実態、こういうようなものを整理をして市町村にこれを報告していただく、示していただくということをやってくれますか、できますか。
  143. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 個々の場合にすべてそういうふうなことを行ってはいないと思いますが、ことしの四月から地域別に特に問題のある地域につきましては雇用対策連絡会議というものを設けまして、各国の出先機関、それから県の出先機関及び市町村がメンバーになりまして、それらの中で連絡を、調整をとりながら情報を交換していくということにいたしておりますので、それらの場所におきましていま先生が言われたような方向でその雇用失業情勢を御報告していくということはできるというふうに考えます。
  144. 小山一平

    ○小山一平君 それじゃ労働省にお願いしておきますが、それぞれの市町村でいま雇用対策についてかなり積極的な取り組みが行われております。したがって、そうした活動の中で皆さんの方へ要請をすれば市町村別の実態などを早速報告していただける、説明していただけると、こういうことにぜひやっていただきたいと思いますが、やっていただけますね。
  145. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) いま申し上げましたように、安定所が把握している数字の中で、市町村へのそれぞれの分析の御報告は御連絡によりまして取り得る体制に持っていきたいというふうに思っております。
  146. 小山一平

    ○小山一平君 労働省よろしゅうございます。  きょう午前に社会党から臨時雇用創出交付金交付する法律案というのが提案され説明があったと思いますが、これに関連して自治省の方に少しくお尋ねをしてみたいと思いますが、先般出された事務次官通達によりましても、地方団体には雇用確保と安定に資するために地域の実情に即応して適切に措置されたいと、こういう一項がございまして、これにこたえてかなり地方団体の中であるいは雇用対策本部であるとか雇用対策室であるとか、こういうものを設置をして雇用問題に取り組み始めておりますけれども、現在こういう雇用対策のための何らかの機関を設置された団体数など自治省の方でおわかりでございますか。
  147. 大橋茂二郎

    説明員大橋茂二郎君) ただいま御指摘ございましたように雇用問題は地域にとって大変重要な問題でございます。したがいまして、その実情もまたさまざまでございますので、地域状況によって取り組み方、したがってその組織その他の形でもさまざまでございますので、必ずしも一律でございません。実は私の方でもそういう状況を把握しようということで調査しておりますが、まだ完全な集計ができておりません。ただ、ただいま私の方で承知しているところでは、いわゆる雇用対策本部ということで知事とか部長とか課長さんが集まっている本部体制をとっているのは三十一県あるように承知しております。それから学識経験者であるとか産業界、労働界のいわゆる役所から言えば外部の方ですか、そういうものを入れた審議会を設けているのが四十四県あるように承知しております。
  148. 小山一平

    ○小山一平君 これは自治省が次官通達で指導された点でございますから、当然今後ともこうした機関を設置をして、そして積極的な取り組みをしていくようにと、こういう自治省としての御指導は継続されてまいるわけですね。
  149. 大橋茂二郎

    説明員大橋茂二郎君) 先ほど御指摘になりました事務次官通達にもございますように、地域の実情に即して適切な対処をされたいということを述べましたほか、この通達の各所におきまして地域における雇用創出その他の細かい指示をいたしております。自治省といたしましては、各地方公共団体がこの趣旨をよくわかりまして、それぞれの実態に即した適切な対処をするということを自治省としても大いに期待しているわけでございます。
  150. 小山一平

    ○小山一平君 そこで、さっき労働省にお尋ねしたところなんですが、私は市町村別の実態把握、こういうものがきわめて重要だと思うんです。今後地方団体がそれぞれの地域においてその実態を正確に把握をしていくような取り組み、こういうようなものをぜひ自治省立場からも御指導願いたいと思いますが、どうですか。
  151. 大橋茂二郎

    説明員大橋茂二郎君) 先ほどのような御趣旨でそれぞれ適切な対応をするように申しておりますが、ただ率直なことを申し上げますと、たとえば要するに失業対策であるとか、あるいは職業のあっせん、こういうことになりますと、ある程度国と地方公共団体事務分担等はございます。しかしながら、地方公共団体にとりまして雇用が大切であるということでございますので、先ほど言いましたそれぞれの機関を通じて地方公共団体が、それぞれの自分の地方公共団体の実情を把握し、さらには関係団体と連絡をしたり、さらには関係団体との相互調整を図るというようなことで努力してまいるというふうに考えております。
  152. 小山一平

    ○小山一平君 それから、あの通達の中に、地域雇用創出効果が十分発揮されるように公共事業を実施していく上にも、取り組みなさい、こういうことも指摘をされておりますし、それから雇用創出のために道路等の地方単独事業などを補完的に実施する場合には、要請のあるものについては地方債を重点的に配分する予定だと、こういうふうに述べられております。私は、この単独事業を、地域の特殊事情というものは実に多様だと思いますから、当然事業内容も多様であるのが当然だと思いますね。だから、幅広くこの単独事業を認めていく、こういう方針でやっていただきたいと思いますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  153. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 通達の中でも掲げておりますように、またいま御質問の中にございましたように、雇用の安定確保は国民経済としてきわめて大きな課題でありますから、基本的にはやはり公共投資の拡充、特に公共事業拡大及び失業者多発地帯への重点的な配分によりまして推進していくということがまず第一に基本だろう。同時に補完的に地方単独事業を実施していく、これによって景気回復を図り、また事業自身の失業者救済を図っていくということが大事だと思うんでございますが、単独事業につきましては、お話にありますように、事業自身がかなりこれは多種多様でございます。ことにまた五十三年度臨時地方整備事業でありますとか、臨時河川整備事業でありますとか、あるいは臨時高等学校整備事業のような新たな地方債の費目もつくったわけでございます。これらを活用いたしまして、一面において公共施設の拡充、他面において雇用の安定確保に努力をしていく措置を十分講じてまいりたいと、かように思います。
  154. 小山一平

    ○小山一平君 私は道路をつくるとか、橋をつくるとか、そういういわゆる一般的に言われる公共事業のほかに、いろいろ地方団体の創意工夫による雇用創出効果のあるような事業、こういうようなものはやっぱり積極的にお認めになったり、奨励されるべきだと思うんです。  たとえば、私が現にどっかの市長であると、こういう立場でものを考えてみますと、たとえば私の市ならば温泉がある。温泉の温かい泉が川に放出されている、あるいは余った温泉が放出されている、こういうエネルギー、熱を活用してビニールハウスなど、農家でやるようなものをその地域につくって、そして特に高年齢層などの方々を雇って、そこで花をつくるとか、そういう事業を考える。そうすると、この設備にお金はかかりますが、同時にかなり長期的に、そこになかなか雇用機会に恵まれない高年層の雇用機会がつくり出される。こんな事業というものを市長である私が考えてたといたします。こういう事業について当然私は自治省としてその財源についての配慮をしていただく、こういうことでなければならないと思いますが、これは一例ですけれども、そんな事業地方団体が工夫の結果考えたというようなときには、一般公共事業と同様にその建設について地方債を認めるというようなことは当然行われてしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  155. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 地方団体の単独事業でありますから、かなり幅広い創意工夫があって私はいいと思います。基本的にはそう思いますが、ただ限られた財源なり限られた地方債資金によりまして、一面において雇用創出効果をねらい、他面また立ちおくれている社会資本を整備をするというのが公共投資を拡大した大きなねらいであったと思うんであります。そういたしますと、やはりその事業の内容につきまして、その両面兼ね備えたような事業を優先的にやっていただくのが私は筋ではないだろうか、かように思うわけでございます。  いまお話のありました一例でございますが、地方公共団体がやる事業といたしましては、社会資本、特に生活関連施設整備をやはり先に実施をするという方が私どもとしては望ましいのであって、いま御指摘のような例は、地方団体の行います事業といたしまして直ちに採択していくことが妥当かどうか、これは非常に慎重に考えてみなければならない。率直に申しまして消極的に考えざるを得ないという気持ちでございます。
  156. 小山一平

    ○小山一平君 これは、あれですよ、地方団体雇用創出ということを配慮をして、そして単独事業を立案するという場合に、道路つくったって、橋かけたって雇用創出になりませんよ。なりますか。こういうその地域の特殊的な条件を生かして、そしてその中から直接的な雇用創出ができる。しかも、雇用機会に恵まれない中高年層に対する雇用の場が多少なりとも確保をされるなどという事業は、やっぱり他の生活関連事業と同列に扱うべきじゃないですか。それぐらいのやっぱり幅広い柔軟な対応があっていいんじゃないですか。これはぜひ消極的などと言わないで、そういう事業にこそ積極的に承認を与え、奨励をするぐらいにやっていただかなければ、それは施設ができる、あるいは環境をよくするということだけを中心に考えれば、雇用創出ということは、大変これは効果が出てこないというのは、予算委員会での論議の中でも、公共事業というものが、これほど洪水的だと言われる公共事業をもってしても、景気刺激の効果があるかないかは別として、雇用創出効果はまことに微々たるものだということは明らかにされているじゃありませんか。これはやっぱり自治省としてそれぐらいな柔軟な扱いがあっていいんじゃないですか。どうですか。
  157. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 公共投資を拡大いたしまして雇用の安定を図っていくという場合には、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、全体として景気の回復を速やかに行って経済成長を適切なものにして、それでもって民間の経済活動の盛り上がりを求めて雇用拡大を全体として図っていくという問題と、それから公共事業自体の失業者吸収の問題、両面あると思うんでございます。地方団体が公共的な事業を実施いたしまして、その二点について有効な効果を上げていくといいます場合に、やはり私どもといたしましては、やらなきゃならない生活関連施設整備というのが非常に残っておるわけでありますから、そこのところはそれを捨ててと言うと語弊があるかもしれませんが、それを差しおいていま御指摘のような事業を先にやるということについてはいかがなものだろうかという気持ちはどうしてもあるわけでございます。かたいと言われればそうかもしれませんが、そういう意味合いで慎重に検討しなきゃならない問題だろうというふうに感じておる次第でございます。
  158. 小山一平

    ○小山一平君 これは地方団体が、私も経験がありますが、いま緊急に必要とする住民のための教育施設なり福祉施設なりというものを後回しにしてこんな事業なんか考えませんよ。それはもちろん重点的に考えるけれども、こういうものも付随的に考える、そういう性質のものです。  それから、さっきの労働省とのやりとりの中で明らかなように、景気がよくなれば雇用問題は解決がつくということにならない。かなり構造的な要因に由来する部分が多いので、そういう部分というものはかなり恒常的な雇用問題というものが後に残っていくと、こういうことが言われておるわけでしょう。したがって、今後雇用問題を考えていく場合には、従来の対策のほかに新たな雇用創出という観点で取り組む必要がある、こういうことがいま常識として言われているわけでしょう。ですから、これは自治省、やっぱりいま申し上げたように、それは一般的な事業に比べれば、相対的に見れば微々たる金額の範囲にとどまるかもしれません。しれませんけれども、その地域の抱えている深刻な雇用問題に積極的な取り組みをするという、せっかくのこの計画というものをやっぱり自治省が温かくこれを取り上げるという姿勢があっていいんじゃないですか。そんな肩のこるようなことをおっしゃらずに、そういう適切な事業を検討の上、これはできるだけ認めてまいりたいぐらいなことをおっしゃいよ。
  159. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 各地方公共団体もこの次官通達を前提といたしましていろいろ工夫をこらしておる最中だと思います。地方債の申請もそれを踏まえて出てまいると思います。その具体の申請の内容を十分吟味いたしまして、まあ基本的には先ほど申した気持ちはなお依然としてございますが、できるだけ検討は進めてまいりたいと、かようにいたしております。
  160. 小山一平

    ○小山一平君 それから、国土庁いらっしゃいますね。現在の地籍調査の実施状況はどんな状況ですか。
  161. 高田徳博

    説明員(高田徳博君) 地籍調査と申しますのは、御承知のように国土の実態を科学的かつ総合的に調査をいたしまして国土をより高度に、かつ合理的に利用するための基礎資料を整備するとともに地籍の明確化を図る、こういうことを目的にしておるわけでございます。それで昭和二十六年以来国土調査法に基づきまして実施されておるわけでございますが、現在は国土調査促進特別措置法という法律に基づきまして昭和四十五年を初年度といたします第二次の国土調査事業十カ年計画を作成いたしまして、その達成に努力しているところでございます。  そこで、地籍調査事業につきましてでございますが、昭和二十六年以来現在までに実施いたしました量は約五万八千平方キロメートルでございます。第二次の十カ年計画の分につきましては、昭和五十二年度末におきまして十カ年計画全体の量八万五千平方キロメートルに対しまして約三万一千平方キロメートル、約三六%の進捗率ということにとどまっておるわけでございます。しかし本年度、五十三年度は実施予定面積を三千八百平方キロメートルといたしますと、昭和五十三年度末には進捗率が四一%までに引き上げられるというように努力してまいりたい、こう思っております。
  162. 小山一平

    ○小山一平君 四十五年から十カ年計画でやってきて今年終わってようやく四一%実施と、そうすると十カ年が終わるときでも半分ぐらいしかできないと、こういうことですが、私はこういう時代にこの事業というものは雇用創出に最も効果のある事業だと思うんですよ。これは市町村で数少ない技術者を確保をすれば、あとは大ぜいの人員が必要なわけですから、しかも、これを三カ年計画などの事業でこの残りを実施をしよう、こんなふうにやられた場合には、相当数がこの三カ年間は新たな雇用機会創出することができる、こう思います。どうですか、この機会年度を三年ぐらいに設定をして、そして全国的に一挙にこの事業を完成するようなことをお考えになりませんか。国土庁といえども、やっぱりこういう雇用不安の時代においては、雇用問題というものを事業の中で十分配慮をして計画をお立てになってそれを実行するということが必要だと思うんですよ。どうですか。
  163. 高田徳博

    説明員(高田徳博君) 地籍調査と申しますのは、御承知のように一筆ごとの土地につきまして地番、地目、境界、それから所有者の調査というものを行いまして、それから境界の測量を行いまして面積の測定を行う、そしてその調査の結果を地図と簿冊に作成する、こういう作業でございますが、調査の実施に当たりまして、現地測量が行われますが、一部のそういった現地測量等の実施段階におきまして、たとえばポールを持つポール持ちというような、そういった専門的でない職種の分野にある者につきましては、一般的な雇用促進効果というものは持っていること、上がることは事実だと思っておりますが、一筆ごとの地籍の明確化を行います際に、土地の所有者その他の利害関係人の立ち会いのもとに隣接いたします土地の境界を確認するという、こういうむずかしい作業が伴うわけでございます。そういうことでございますので、一般的な失業対策等の雇用拡大ということだけでは地籍調査の大幅な実施の増大を図るということはなかなかむずかしい面があるんじゃなかろうかと、こう思っておる次第でございます。  それで地籍調査につきましては、先ほども申しましたように、現在国土調査促進特別措置法というものに基づきまして十カ年計画で実施しているわけでございますが、その達成に努力しているところでございますが、今後とも広く事業の重要性と地籍調査の重要性というものの認識を高めさせまして、計画的にかつ積極的に地籍調査推進に取り組んでまいりたい、こういうことでございます。
  164. 小山一平

    ○小山一平君 私も昔は市長でしたからね、この地籍調査も実際にやったんですよ。だからそのことのむずかしい点はどうやるか、この事業やればどれだけの雇用創出ができるかということはだれよりもよく知っているつもりです。ですから、私はこの雇用問題が大変厳しい今日において、この不況下においてこうした事業をもっと短期間に大々的に行うということをやれば大変有益な効果がある。どうしてもやらなければならない事業を短期間にやると同時に、かなり大幅な雇用創出ができる事業だと、実はこう考えているわけです。自治大臣どうですか、いい考えだと思いますが。
  165. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) なかなかいいお考え、アイデアだと思います。
  166. 小山一平

    ○小山一平君 それではひとつ大臣にげたを預けますが、まあ国土庁の長官とも話し合って地方自治体による地籍調査、しかもこれはかなりの雇用創出効果のある事業だと、こういうことでございますから、これを大幅に積極的に実施をすることができるようにひとつ御相談を願って推進をしていただきたい、こう思います。
  167. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 雇用問題が国としても大変な問題でありますと同時に、また先ほども申しましたように、地方団体といたしましても非常に重要な問題であることは申すまでもないことでございます。そこで地方が努力をいたしますと同時に、国の段階におきましては雇用問題は単に労働省だけの問題だ、かようなとらえ方ではない。いま具体的ないろいろの御指摘がございました。ことに地籍調査等におきましては相当数のそれも中高年層の雇用が可能だと、かようにも思えますので、やはり国土庁等とよく連絡いたしましてこれら拡大のために努力をしていくべきだと、かように考えます。
  168. 小山一平

    ○小山一平君 時間がないようですから、あと二つだけお尋ねいたします。  昭和四十八年に福祉元年、こうおっしゃいましたね。そして経済優先政策から福祉優先政策に転換をしていくんだ、こういうことを政府はわれわれ国民に約束をしたと思いますが、この考えは今日も変わりませんか。
  169. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 福祉国家を建設してまいりますことが、わが国におきましての理想であるだけではございませんで、世界的にもまたそういう方向が正しい、かように考えます。そしてその目的のためには国も地方団体も懸命に努力をしていかなければならぬ、かような基本の考え方は私は揺るぐことのない理念だと、かように思います。ただ、具体的には財政的にいろいろ制約がございましょうけれども、さような制約をできるだけ克服をしながら前進さしていくべきだと、かように考えます。
  170. 小山一平

    ○小山一平君 そこで、これは不況対策とか雇用創出とか、そういうことが中心で申し上げるわけではありませんけれども、先ほど来の論議の中でも明らかになっているように、日本の産業経済構造はかなり長期的に相当数の失業者というものを抱えていかざるを得ない、こういうことが明らかであります。そこで、こういう状況の中で雇用問題などを考えたときには、公共団体の場における雇用というものを広げていくべきだ、国の目指す政策と一体のものとしてこれは考えるべきである。  そこで、この際、財政的な大変問題はありますけれども、たとえば保育所の保母さんの扱う幼児の受け持ち人員を少なくする、学校における一学級の編成基準を緩和をする、四十五名を四十名にする、三十五名にする。こういう方策を財政状態が悪いからやらないというのでなしに、こういうときにはあえてそれを進めるべきである、こういう議論がいま高まっています。こういう積極的なこの教育、福祉の行政水準の引き上げ、あるいは教育内容の充実、こういうためにあえて財政難の中ではあるけれども実行していく、こういう取り組みが私は重要だと思いますが、大臣はどう思いますか。
  171. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 地方財政の現状あるいは将来を考えます際に、率直に申して、また御質問の中にもございましたが、並々ならぬむずかしい状態にあるわけであります。もちろん国民福祉のために必要な職員数の増加は従来も苦しい中で地方財政計画に計上してまいりましたし、また今年度も御案内のような増員を計上いたしております。しかし、それは本当に必要な増員は歯を食いしばってでもやりますけれども、雇用効果を上げるために職員数をふやすということは、私は地方財政の将来を考えました場合にそれはとるべき措置かどうかは非常に問題だという感じを持っておるわけでございます。必要な人員増は福祉向上のためにぜひ必要なものはやりますけれども、そういう観点からの職員数の増加ということはこれは慎重にお考え願いたいという気持ちを強く持っております。
  172. 小山一平

    ○小山一平君 それは私の言っていることとちょっととらえ方に誤認があるんですが、私の言うのは、雇用の場を広げるためにやるんじゃないんですよ。教育の問題が論じられるときには必ず現在の一学級の定数というものはもっと下げるべきだ、こういうことが言われているわけです。あるいは保育園においては保母の受け持つ定数はもっと率を下げるべきだ、そういうふうに行政水準は常に高めるべきだ、あるいは教育内容の充実は積極的に進めるべきだ、こういうことが常に論じられているわけです。そこで、今日的な産業構造の転換の問題、あるいは経済から福祉へという基本的な政策転換を方針とするからには、こういう機会にこそあえてそういう英断をすべきではないか、こういうことを言っているわけです。いまの基準でこれでもう十分であるのに、雇用増大のためにわざわざ人間の数をたくさん必要とするような措置などというものをとるなどという、こんなばかげたことは当然とるべきじゃありません。ですけれども、これは今日まで常に論じられ主張されてきた国民的願望である、こういうことであるので、こういう機会にこそそういう英断するということもあってもいいのではないかと、こういうことを申し上げたわけです。
  173. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 教育水準あるいは保育所等の福祉施設の内容、水準の引き上げについてのいろいろな御提案があることは私ども承知いたしております。しかし、また一面現在の財政状況を考えますと、一挙にそういうことが可能かどうか、これは相当吟味をしませんとなかなか結論は出にくい問題だと思うわけでございます。そういうむずかしさがありますので、その問題はその問題として、また関係省庁の意見なども聞きながら私どもとして検討を進めてまいりたいと、かように思います。
  174. 小山一平

    ○小山一平君 最後に一点だけ。  これはいまの話とはちょっと違うんですが、新聞報道などによれば、水俣病にかかわる熊本県の地方債をめぐっていろいろ報道されておりますね。この熊本県の地方債に対する国の保証措置、こういうようなものはどういう形で行われようとしておるのか。何か場合によっては交付税などというようなことをこれに関連して書かれていたのもありました。これは大変おかしな話だと思いますが、実態はどういうことですか。
  175. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) この問題は、御承知のように、熊本県の発行する地方債によって資金的な措置をするかどうかという問題、別に決まっておるわけじゃございません。と申しますよりは、熊本県自身がそういう方式をとり得るのかどうかということにかかっているわけでございます。県としては、私どもが承知しております範囲では、熊本県に負担がかかるような形での地方債の発行という形式はこれはのめないという気持ちを強く表明しておられるわけでございます。私どももそれはもっともだというふうに感ずるわけでございます。したがいまして、いまいろいろ県と政府あるいは政府部内で議論がございますが、新聞紙上に出ておるものはいわば憶測記事が相当ございまして、何も数紙に出ておりますような形で決まったというものでは全然ございません。私どもも熊本県が対処できるような形にぜひ持っていく必要があると、かように考えておる次第でございます。
  176. 小山一平

    ○小山一平君 そういたしますと、国が保証をするといっても、地方交付税などを場合によって考えてはおらない、そんな筋の通らないことはやるはずがないと、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  177. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 国の債務保証というものがなければ、地方債の負担は熊本県にかかっていく可能性がこれはあり得るわけでありますから、どのような債務保証をするかということについてまだ別に決まっておりません。その辺のところを県及び政府全体といたしまして結論を出すという方向でいま話し合っておると、こういう段階でございます。
  178. 小山一平

    ○小山一平君 当然それはいいんですが、全国の地方団体の固有の財源である地方交付税をこれに絡ませるようなことは断じておありになってはならない、私はそういうことをはっきり申し上げておきたいんです。その約束だけしてください。
  179. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 私どもといたしましては、御指摘のような気持ちを基本的には持っておるわけでございます。できるだけ特別の国の債務保証によりまして措置ができるということが一番望ましい形だと、かように考えております。
  180. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、成田空港が開港になりましてから、その後周辺に起きている諸問題、この問題につきましていろいろとお尋ねをしてみたいと思います。  まず、細かく入る前に、当局としては開港前に騒音問題にしても、あるいは移転の問題にしても、いろいろな問題を含めていろいろと考えられて手を打ってこられた、で、開港してみると、また当初想定していた以上の問題が発生してきているように考えられるわけです。そこで、当初に考えられたいろいろな対策、その対策と開港後どういうような食い違いが出てきているのか、まずその辺からお尋ねをしてみたい。また、その点をお尋ねするということは、どういうふうにいわゆる開港後の諸問題をとらえているかという、そういった点でその点についてお尋ねをしてみたいと思うんですが、これは公団ですかね。
  181. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 騒音問題につきましてお答えいたします。  開港いたしましてから実際の騒音……
  182. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっと待って。初めから細かく言っていただかなくていい。いわゆる食い違いの出ている問題、そういう問題、どういう問題、こういうこと、こういうこと、こういうこと、こういった点については確かに食い違いが出てきておるということで結構ですから。
  183. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 予測コンターとそれから実際の騒音測定でいわゆる大きくは食い違っておりませんが、ごく一部に実際の測定値が食い違っておるところがあることは事実でございます。なお、公団だけではございませんので、各市町村、県等もやっておりますので、こういうデータを集めましてもしも食い違いがあれば現在のそういう対策の範囲の変更ということも当然あるわけでございますので、そういうことにつきましてはもう少しデータをよく精査してみたい、かように思っておる次第でございます。
  184. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ一つ一つ具体的にお話を伺っていきたいと思います。  騒音問題いまちょっと出ましたけれども、それらについては後にしまして、何といいましても当初いわゆる空港の安全性、空港利用者の安全性という問題が非常に大きな問題として取り上げられてきた。そして、その中でいろいろな過激派の行動があった。当然今後も考えられることでありますけれども、そういったいわゆる現在の状態を見ますと、空港開港以来何とか小康状態を保っているという、こういう感じがいたします。そこで、だからといって安心するわけにいかないので、過激派の動向ということについて当局はどういうようにとらえていらっしゃるか、とらえているということは掌握されておるか、この点ひとつお答え願いたいと思う。
  185. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) お答えいたします。  過激派の動向につきましては、これはやはり長期的な観点からそれぞれ見ていかなくてはならぬということでございまして、開港前、後を問わず、やはり長い目で彼らの動向というのは詳細に把握し、それに乗っかって当方の警備措置適確にやっていくということはもとよりでございます。  御承知のとおり、過激派全体の状況でございますが、この数は約三万五千というふうに私たちの方では把握しております。これは極左暴力集団がまあ全体的に見ますと組織の非公然化あるいは軍事化ということを図っておりまして、御承知のとおりことしに入りましてからも爆弾事件あるいは内ゲバ事件、こういったあれでいろいろ人の殺傷も引き起こすような状況でございまして、特に成田に限りまして見ますると、成田闘争ということで約八十件の悪質なゲリラ事件、これが引き起こされております。今後これら極左暴力集団の将来の展望からいたしましても、やはりテロ、ゲリラ化という傾向、これが一層強まるというふうに見ざるを得ないような状況でございますので、警察といたしましては、今後ともこれら極左暴力集団の違法行為、これにつきましては断固として取り締まるというふうなことで全国的に努力しておるというふうな状況でございます。
  186. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 もう少し細かく、私がお尋ねしたことは、全国的な問題ということよりも、成田空港というものを中心にしてああいう問題が起きてきたわけですね。それでいま申し上げたように、何となく小康状態を保っているという形、そういう中でいわゆる過激派というものがあの周辺でどういうような状態にあるのか、そういったことがわかればお尋ねをしてみたいと、こういうことでお尋ねしたわけですが。
  187. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 成田に限って申しますと、これまた御承知のとおり成田の廃港ということを目指しましてあらゆる手だてで廃港に追い込むという主張のもとにいろいろの動きをしていることは御承知のとおりでございます。その一つの証左としまして各種のテロ、ゲリラ、先ほど言いましたように成田周辺を含めましていろいろのテロ、ゲリラ行動があったわけでございますし、また、五月の二十日の開港をめぐりまして現地におきまして数多くの集会、さらにまた違法行為が繰り返されたというふうな状況でございます。  また、あの周辺は御承知のとおり現在の段階で三十三カ所のいわゆる団結小屋というふうなものがございまして、現実にそこにきょう時点でも三百余名の極左暴力集団等がそれぞれの三十三カ所等を拠点にいたしまして常駐しておるということでございまして、それに対しまして警察としましては現在約九千名の部隊をもちまして昼夜を問わず警戒に当たっておるというふうな状況でございます。  またきょう段階での状況では、反同を含めまして近く、すなわち七月四日とか、あるいは九月段階、さらにまた過激暴力集団等では六月段階におきまして東京あるいは現地において全国的な集会その他を開くようないろいろのもくろみをしておるというようなことで、いっときも予断を許さない状況にある。相手の動きはそういう状況にあるということでございます。
  188. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 先般反対派の総決起集会がございましたね。そのとき戸村一作委員長がこういうことを言っているわけです。これから全国至るところで水道、電気、電波、交通機関など空港関連施設へ戦線を拡大していく、こういうようなことを宣言しているわけですね。こういう宣言があった後、実際にこれは全国的な問題として、こういった宣言をしているわけですけれども、何らかの動きがこの宣言後あったのかなかったのか、あるいはそういういわゆる兆しは確かにあると、こういうようなことが感じられるのかどうか、その点どうでしょうか。
  189. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 御質疑の点につきましては、ことしの五月二十日三里塚の第一公園で開かれました開港実力阻止の全国総決起集会という約七千名、そのうち極左が五千数百名集まった集会がございました。その席で反対同盟の戸村委員長がいまおっしゃったような趣旨の発言があったということでございまして、その発言とすぐ結びついて具体的な違法行為が行われたというふうなことは証拠上その他もつまびらかでござやませんが、御承知のとおり全国八十数件いろいろなテロ、ゲリラ的な状況が起きておりますし、またその中でポンプ場へ火炎びんが投げ込まれたり、あるいは電力会社の鉄塔が倒されたり、あるいは国道等に往来危険罪的な状況があったり、ケーブルが切断される。いろいろのケースがあったわけでございますが、これらの中には水道あるいは電気関係の施設も含まれておるということでございますけれども、戸村発言そのものと云々ということにつきましては、直接のあれはわれわれの方としては承知把握しておりません。ただ、こういった戸村委員長の発言につきましては十分関心を持っておるということでございます。
  190. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ実際こういったことをやりかねないとは言えないわけで、これはいわゆる全国的に航空施設といいますか、空港の関連施設、これに対する一つの挑戦、こういったことを明らかにしたということですね。ですからいまおっしゃったように万全の体制をもってこれを処していきたいという、こういう御発言ですが、それにはやはり抽象的観念的な問題ではなくて、やはりそれを未然に防いでいくためにそれだけのいわゆる中長期にわたっての警備体制というものが、これが確立されていかなければならない、こう思いますね。ですから、そういった点について今後のそういう全国的な問題としての警備体制というのはどういうような形でなされていくのか、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  191. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 仰せのとおり空港というのは何も成田に限りませんで、全国的にある数多くの空港、これはきわめて人命に直接関係のある非常に重要な場所でありますし、いわばいろいろの人間のやはり集まりでございますので、この安全を保つというのは、警察というものは非常な力を注いでやっておるところでございまして、そういう意味で、空港といいましても非常にいろいろの関連施設があるわけでございます。したがって、全国各地の関係重要施設、こういったものの警備につきましては、全国の警察の総力を挙げて対処していくということで、過日の全国本部長会議はもとより、各種の会合その他におきまして、この点について一致協力してこれら重要施設の防護について遺憾のないようにしていきたいということでございますが、しかし、これら数多くの関係重要施設の警備は警察だけの力ではこれはとうてい及ばないところでございまして、したがって、関係機関の自主防護体制といいますか、こういうものと相まちまして、これらの防護の完全を期していきたいということで、現在及び将来とも関係機関と十分協議、連絡を密にいたしましてやってまいりたいと、こういうことでございます。
  192. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 問題が別になりますが、五月二十日の開港の当日ですね、ケーブルが切断された事件がありましたね。それで、この地下ケーブル埋設といいますか、敷設場所ですね、これは部外者に簡単にわかるようなものなんですか。これは郵政省ですか、郵政省来てないですか。——来てない、じゃ、公団かな、公団もわからない。
  193. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 詳細につきましてはちょっと公団わかりかねますんで……。
  194. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりかねる。そうですか。  それでは、先般千葉県警察本部によりますと、空港関連施設の上水道がねらわれていたというようなことが明らかになったと、これは五月三十一日付の読売新聞にも掲載されているわけであります。それがわかったもとというのは、ある学生寮を家宅捜索したそのときに、押収した証拠品の中に上水道管の埋設個所を示したコピーが見つかったと、こういうわけですね。その図面にはペンでルート等が書き込まれている。で、その状態がもう手にとるようにわかっておったということ。で、そうなりますと、それがいわゆるどこから出たかという問題。で、その図面は千葉県の水道局にある図面がもとになっておると、全く同じというようなもののようです。こういったことについての報告は受けておられるわけですか。
  195. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 千葉県のただいまのお話しございました水道局の言によりますと、県の水道局では五万分の一あるいは二万五千分の一の配管図を作成をいたしております。この図面につきましては実は道路の埋設物の、先ほどお話がございましたが、いろんなものがございまして、建物を建てますとか、そういうときに地域住民あるいは業者にある程度その配管の図面を示しませんと、その上に地上の物件を建てられないということがあるものですから、そういう関係者には必要の都度これを見せているということになっておるようであります。厳密に言うマル秘扱いではない。ただこういうものの文書につきましては、県といたしましても十分万全を期して取り扱っているということの報告は受けております。
  196. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私の聞きたいのは、先ほどのケーブルの問題にしましても、またこの問題にいたしましても、簡単に部外者にわかるものなのかということですね。簡単にわかるということになれば、これは非常に危険ですね。と同時に、またマル秘ではないけれども、まあある程度のもの、特にそれが、この上水道のコピーの問題それからあのケーブル切断の問題、こういった問題も、これ部外者なのか、あるいは官公庁に勤める、言うならば部内者ですが、そういう点がこれどういうことなのかという、そういう疑念が私たちにあるわけですね。ですから、非常に部内者だということになれば危険な状態にあるということが言えるわけで、想像はいろいろとできますけれども、その辺はどういうふうにとらえておられるのかですね。
  197. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) この図面の入手につきましては、あるいは警察の方からお答えを願うのが正しいのかと思いますが、県といたしましては、その図面がどういう経路で、あるいはどういう——本物であるかどうかは別として、どういう経路でそういう図面が入ったのかということについては県としてはまだ確認をしていないということのようであります。
  198. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、まあその点確認してないということですからわからないということですが、そこで官公庁にいるいわゆる過激派と見られる、見られるというかもう過激派ですね、この過激派と称される者がどのくらいいるのか、これはつかまれているんですか。
  199. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 官公庁にいる過激派がどのくらいかという御質疑でございますが、当初申し上げましたように、極左暴力集団、これが約三万五千と、こういうことでございますが、そのうち公務員、公社関係、こういったもので約二割程度と見られます。で、まあこの数、二割という一つの根拠でございますけれども、集会、デモ、こういった際にそれぞれ参加いたします、そういった参加者のいろいろの状況を積み上げまして推定したものでまあ二割程度と、こう申し上げているわけでございまして、したがって官公庁別にどうこうとかいう問題じゃなく、全体として三万五千の約二割ぐらいだろうと、こういうふうな見方を私の方はしております。
  200. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 もう一度ちょっとそこのところを、官公庁勤務という、そういうことでなくて、全体——何ですって、いまのところちょっとわからないんですがね。私が聞いているのは、少なくとも官公庁勤務をしておる、その中にいわゆる過激派と称される者がどの程度いるのかという、こういうことなんですが、その辺のところは明らかじゃないわけですか。
  201. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 先ほどお答えしましたように、公務員あるいは公社関係で勤務しておる、そういう分子が三万五千のうち約二割程度と見られると、こういうことでございます。
  202. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、これ非常に秘密漏洩、今後危険だということが言えるわけですね。  そこで、たとえばこれは三月の開港がおくれたということは過激派によるわけですね。ああいう襲撃事件があった。またあれでしょう、開港日の五月二十日のいわゆるケーブルの切断だとか、そういう問題にしても、その中に官公庁に勤めておる人が多数おったということですね、これは事実です。そこで自治省は、これらに対するひとつの対策というか措置というか、そのために通達を出した。今後これらのいわゆる人事管理というものは大きな問題だろうと思うんです。その人事管理、これどういうふうにしていくかという問題ですね、この点どういうふうにお考えになっておるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
  203. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 法律を執行すべき地方公務員が法律に反する行為をしていいというものではございませんが、基本的にはこれは公務員のモラルの問題であろうと思います。したがいまして、あらゆる機会をとらえまして公務員のモラルを向上させるというような措置がそれぞれの地方団体において行われることが必要であろうと思いますが、一方また現実の問題といたしまして、今回事件を起こした者の状況等を見てみますと、やっぱり服務規律の問題も非常に大きな問題であろうかと思います。したがいまして、五月の十一日付をもちまして私ども次官通達をもって関係地方団体に対しまして公務員モラルの向上あるいは服務規律の向上の問題につきまして、さらに徹底するよう指導しておるところでございますが、今後とも折に触れましてこういったことについて各地方団体を強く指導してまいりたいと、このように思っております。
  204. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 へ理屈言うようですが、地方公務員のモラルの問題だという、そんなことじゃ私は解決できないだろうと思いますよ。それは私が言うまでもなく皆さん自体がそんなこと承知の上だ。何らかのいわゆる対策を講じていく、強力な対策を講じていかなけりゃこれらの撲滅というか、それはとてもできるものではない。モラルなんというようなことでもって指導をしたということであるならば、これは永久にこれを防ぐというわけには私はいかぬと思うのです。ですからやっぱりそこにはこれを防いでいくための何らかの強力ないわゆる措置、対策というものが必要ではないか、こう思うんですがね、その点どうですか、大変なことなんですよね。
  205. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) お説のとおり大変なことだと思っております。したがいまして、基本的には先ほども公務員のモラルの問題であると申しましたが、当面の問題といたしましては、やはり服務規律の問題といたしまして今回の通達におきましても職員の出勤、勤務状況の的確な把握、休暇等の適正な管理、運用、こういったことについて特に管理者は目を光らせろということを強く指導しておるところでございます。
  206. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これ幾らあれしてもそう簡単に結論は出ないかもしれませんので深くはとやかく申しませんが、とにかくふえても減るということはないだろうと思う。それだけに本当に大変な問題であろうと思う。ですから十分にその点はその対策についてお考えいただくことでなけりゃ困ると、こう思います。  まあちょっともとへ戻るような形になりますが、六月一日から警備体制一万三千から七千になったということですね。そこでまあ反対同盟ではこういうこと言っているでしょう。機動隊の厳戒態勢下は表面に立った行動は控えて、警備が手薄になった段階で一発でっかいゲリラをやった方が効果的だ、こんなこと言っているわけですよ。こういうことを言っているわけですが、こういう中でいわゆる警備体制がいわゆる弱体化とは私は申し上げません、いわゆる縮小されたということ、これはこういう中でこういうことも言っておる、こういう中で縮小されたということについては、いろいろとお考えがあった、いろいろ計算があった、いろいろな点を含めて警備体制を縮小したということだろうと思いますが、その辺についてひとつ減らした、縮小した意図といいますか、その点についてひとつお聞かせをいただければと思います。
  207. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 開港後の現地情勢は、先ほど申し上げましたように国民的な協力でおおむね平穏に推移しておるという状況でございますけれども、極左暴力集団等の反対勢力、これは依然としてやはり廃港をねらってテロ、ゲリラ化の傾向を強めている、こういう情勢でございますので、警察といたしましては今後の情勢を厳しく受けとめまして、現地の状況を詳細に把握し、その上に立って警備体制もひとつ慎重に考慮していくということで、にわかに縮小するとか、そういう考え持っておりません。  で、今後におきましても、こういった情勢を十分見きわめながら情勢に応じて所要の警備体制をとっていくというのが基本的な姿勢でございまして、ただ何名にした、どうということですね、これはやはり一つの警備、戦術といいましょうか、そういうことにもかかわる問題であろうと思います。とにかくいまは一万三千人はいない、約九千名でやっています。しかし、これがいつの段階から何名にするとかそういうことは、やはり相手の実勢に応じて慎重にひとつ検討してまいりたいと、こういうふうな気持ちで現在日々相手の情勢等も把握しながら対処しておるというふうな現況でございます。
  208. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 六月一日から小学生や中学生の団体の見学を認めたわけですね。で、これはもう間違いがあってはならないわけですが、間違いがあってはならないということで一般のいわゆる送迎客の制限というような問題が起きていると思いますね。そういう中で小学生、中学生の団体見学を許した。そうなりますと、やっぱり一般送迎客のあれですね、見学といいますか、こういったことも、当然それは許されてもしかるべきではないかというふうに思いますが、またそれと同時に、それを多くの人たちが望んでいるわけですね。それがいままでとめられてきたというところにいろいろな批判もあった。そういうことで、いわゆる一般の送迎客の見学、こういった点については今後見通しはどういうことになるのか。これはどこかな。
  209. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 警備の問題につきましては警察御当局からお答えがあったとおりでございますが、公団といたしましては、いろいろ警備の問題ございますけれども、いわゆる長期の問題といたしましては、周辺の皆様に空港を理解してもらうことが非常に大事と思いまして、最初小中学生に限りまして、しかも空港周辺の市町村十二カ市町村につきまして、特に事前に連絡をいただきまして間違いのない付添人がつく——学校の先生でございますが、そういうことで認めたわけでございます。  送迎につきましては、非常にいま厳しい段階でございますけれども、警備当局と御相談の上、従来は非常に、事情を聞いてやむを得ない者を一名だけでございましたが、その数を、同じ車に乗っておりまして間違いなくそのお客さんに関係のあるということの確認ができる方ならば、それを一名に限らず二ないし三名というようなことに多少緩めたと申しますか、そういう面につきまして、一応いろいろ打ち合わせの結果、六月八日からそういうかっこうにいたしておる次第でございます。
  210. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私がなぜこんなこと聞くかといいますと、いわゆる小中学生の見学は許されたということですよ。常識的に当初それらもとめられておった。それが許されるということ、それは安全性の問題で、この程度ならばということで許されたという、常識的にはそういうふうに考える。だとするならば、一般送迎客だっていいじゃないかと、こういう理屈になるわけですよ。で、それがなぜ一般の人たちについてはその制限が厳しいのかと、いまだに。こういう不信を持つわけですね。だから、いまこうお聞きしていて感ずることは、小中学生が許されているんだからわれわれだって見送りしたっていいじゃないかというのが一般のこれ考え方じゃないですか。そこのところをはっきり私はさしておく必要があるだろうと。  で、いま私はそのお答えを聞いていて感じたことは、小中学生を対象にした場合、小中学生を対象にした場合ですよ、これはまず武器の持ち込みという心配はないんです。しかし一般の送迎客ということになるとその心配が出てくる。だから、一般の送迎客についてはもう少し体制を整えた上でという、こういうことなのかなあという感じをいま受けたんですが、どうですか、その点。
  211. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) いろいろ御批判、御意見ございますけど、さしあたり、六月いっぱいは非常に御迷惑をかけておりますけれども、いままでより多少緩めたと申しますか、検問あるいはターミナルビルに入ること等につきましては相当厳しくやっております。ということで、六月いっぱいは非常にそういう状態でございますので、余り、開放と申しますか、そういうことをしたくない。これは公団あるいは警備当局とのいろんな御相談の結果でございます。将来につきましては、いわゆる周辺の状況とかあるいは警備当局の御意見等を参考にいたしましてどうするかということで、さしあたり六月は余りだくさん空港に入れないようにという基本的な原則と申しますか、方針のもとにやっておる次第でございまして、将来につきましては、やはりあくまでも周囲の、そういう要するに安全状況をもう少しとくと見きわめた上でやっていきたいということがいま基本的な考え方でございます。
  212. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いま私が聞いたことに対する答えではないと思いますね。通り一遍のお答えだった。まあ余り重要視してとやかく言うことではないかもしれないけれども、小中学生がこうやって見学できるようになったんですから、一般の人たちもやっぱり一日も早く行ってみたいという気持ちを持っていると思いますよ。ですから、それにはやっぱり空港の安全性という問題、これは欠かすことはできないでしょう。一日も早くそういった方向で対処されるようにした方がいいんじゃないか、こんな感じしますけどね。  それで、次に騒音対策ですが、地元では騒音対策についてはいま始まったことじゃなくて、もう開港前から騒音対策ということで公団としてもその点に相当重点を置いていろいろと考えてきたと。それはよくわかります。しかし、開港になってみますと、開港前のテスト飛行のときの騒音に対する測定、そういったものと実際に開港してみて実際飛んでみると大分違いが出てきているようなんですが、なぜそんな差がテスト飛行と実際に飛んだ騒音と大きく開きが出てきたのか、その辺の原因についてひとつ御説明してください。
  213. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 騒音テストを昨年の八月と十二月にやったわけでございますが、騒音テストで測った騒音の実際の音と、今度の実際の開港の音と、大きいので十ホン、あるいは小さくても数ホン違うことは事実でございます。これは当時も地元によく御説明したわけでございますが、どうしても騒音テストは、まだあの当時成田に給油の施設がございませんので、要するに羽田から来まして成田に安全におりられますいわゆる最大着陸重量というものでしかできませんでございました。一つの例をとりますと、一番騒音の大きいDC8等はあの当時は九十八トン以下で離着陸したわけでございますが、実際のDC8の、しかも長距離便でニューヨークとかあるいはモスコーへ直行いたす便で燃料並びに乗客を満載いたしますと百六十トンぐらいの重量になるわけでございまして、そういう意味で、テストのときの音と今度の実際の大きないわゆる長距離飛行の音と違うのは、当時からそういう飛行機が飛びますと大きいので十ホンぐらいは違いますよという御説明をしたわけでございますが、その辺のPRが不徹底で騒音のテストと今度と違うじゃないかという御批判を受けているわけでございますが、違いはそういうことが大きな原因でございます。
  214. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あえて疑いをはさまないで素直に聞いてみようと思いますがね。まあ、地元じゃごまかしじゃねえかということですよね。何がテスト飛行かということですね。実際に被害を受けるのは地元の人ですからね。どう理屈をこねてみたところで被害を受けるのは地元の反対している方です。それをそうなりますと一日も早く救済をしなきゃならぬ、こういうことなんですね。そういったことでこれからお尋ねをしてみたいと思うんです。  公団では、五月の二十六日から一週間にわたって実態調査を行ったわけですね。その結果はわかっているんですか。
  215. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 五月の二十六日から六月一日まで二十八地点で一週間測定をいたしまして、そのときに出ました音につきましては全部集計できております。まとまっております。
  216. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それで、まあ、大ざっぱにいきましょう。騒音指定区域を一種、二種、三種とこう大ざっぱに分けまして、その調査の結果、たとえば、場所によって多少違うかもしれないけれども、大ざっぱにその三種に分けて、当初、三種はこのくらいであろう、二種はこのくらいであろう、一種はこのくらいであろう、こういうことで、そういう当初の考え方があったわけでしょう。テストの結果もあったでしょう。で、実際に調べた結果、その二種類に分けた騒音地域、これに対する実際の騒音というのはどういうようなことになっているのか。
  217. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 騒音地域の告示と申しますか、昭和五十一年の一月に発表いたしましたいわゆる騒音対策地区の数字と、それから今度実際に測りました音と、地元の人に御説明してもなかなかわかりにくいと思いますけれども、騒音の指定につきましては、いわゆるうるささ指数と申しますか、WECPNLというものを基準にしてやっておるわけでございまして、先生御承知のように、八五から九〇までは一種、九〇から九五までは二種、九五以上は三種ということでやっておるわけでございます。しかし、ある一機の飛行機の音を調べますと、いわゆる一種地域でも約百ホンくらい出ておる飛行機ももちろんございます。しかし、これはいまの環境庁の航空機騒音基準、四十八年の十二月二十七日出たわけでございますが、これはいろいろの国際的な傾向もございまして、いわゆるうるささ指数でやっておるわけでございますので、実際の音の大きさとそれから騒音対策としていまやっております数字と違うことはこれは事実でございまして、その辺なかなか御理解できないわけでございますが、そういうことで、いわゆる地元の苦情もうちは一種だから八五から九〇の間と思ったところが九五ホンも出たという苦情がもう寄せられております。実際そういうことを別に隠しませんで、公団がやっております間に野毛平等では百数ホン出ておりますが、これがイコール一種、二種、三種の区別にならないというところが非常に御説明いたしましてもなかなかわかりにくいところでございますが、そういう意味で今度いろいろ騒音を実測いたしまして、そういう意味の告示を大きく変えるような結果は実は出ておりません。ただ、成田市あるいは芝山町あるいは県も始めますので、公団だけのデータじゃなくて、こういうデータも全部精査いたしまして、やはり実際の音が告示した、あるいは現在騒音対策をやっておる地域ともし違うならば、運輸省に要請いたしまして告示を変えていくようにしたいと思っておりますが、最終的なデータがまだまとまりませんので、現在は中間報告ということで発表しておる次第でございます。
  218. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まだ結局はっきりわからないということですね、いまの御答弁ですと。
  219. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 大体の傾向はわかっておりますが、率直に申しましてまだ予定の便数飛んでおりません。現在ノースウエストがストライキ中でございまして、一日二十便の離発着があるわけでございますので、私どもといたしましてはノースウエストが全便飛びましたときにもう一遍測定をやってみたいと思っております。したがいまして、現在よく百四十七便、百五十便と言われますけれども。いま飛んでいるのは百三十数便でございまして、しかもノースウエストはわりに長距離機が多うございますので、もう一つ時間帯の問題もございまして、現実に成田の国際便が全部離発着する場合の騒音、コンターはどうなるかというのは、もう一度やはり検討して正確な数字をつかみたい。ただし、いままでの百三十何便の中間報告のテストによりますと、先ほど申しましたように、特に三里塚等では予想したよりも大きいのが出ていることは事実でございますが、これをいわゆる一種、三種、三種に区別する場合にそれが大きく変わるような数値にはいまのところなっておらないということでございますが、これももう少し検討いたしまして、できれば、ノースウエストのは別でございますが、今週中ぐらいに最終的なWECPNL等も試算いたしまして、また各地元並びに市町村、県を入れましてその辺を御相談してみたいと、かように思っておる次第でございます。
  220. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 当初に一、二、三種という騒音指定区域を分類したわけですよ。そうすると、一番うるさいところは三種であると、その次は二種であると、一種が一番……。そこで測定の結果、もう成田なんかでは直ちに測定をして、その一種と言われるようなところが百ホンを超えておるというようなことを言っているわけですよ。大体地元の調査とそれから公団の調査は、えてして食い違いがあるのですね、どっちが本当なんだか知らないけれども。なかなか公団も後へ引かない。いろいろな問題についてそんなことでがたがたやってきて信頼を失ってきたということも言えるのだけれども、そこでとにかく一種、三種、三種その三つの地域に分けてあるわけだけれども、三種、二種の場合にはこういう条件でこうしますよとか、あるいは一種の場合にはこういうふうにいたしますよと、こうなっている、内容があるわけです。だとすると、いわゆる開港になって実際に飛行機が飛び出した、騒音の問題これが当初考えているよりももっと大きく被害が広がってきたということになりますと、いわゆる当初考えていた一種、二種、三種という考え方から考え方を変えていかなきゃならぬだろうと、これは言えると思いますね。そうでしょう。たとえば、具体的に言うと、一種の地域が、それこそ当初考えた三種の区域と同じような騒音を来すということになると、これは内容において各種それぞれ条件が違うわけですからね。その条件も変えていかなければならぬわけですよ。その点についてはどういうふうに考えておられるのか、公団は。
  221. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 今度の場合は実際の測定でございますから、市でやったのと公団でやったのと大きく食い違っておりませんで、いま一つの例を御指摘でございましたが、野毛平で移転したいわゆる従来一種地域と言われているところでも、ある日によりますと一機百ホン出している飛行機も、公団ではかりましても実際あるわけでございます。したがいまして、この百ホンをもとにしていま御指摘のような、これはもうすでに二種、三種というような議論になりますと非常に問題ございますが、ある日一機が百ホン出しましても、いわゆる先ほど申しましたうるささ指数でいきますとこれが八五から九〇の間に入るというような計算をいたしますと、一種地域で百出たあるいは九十九出たからすぐこれを二種、三種ということは、いまのそういう騒音地区の指定並びに騒音対策の基本的な考え方でいきますと急にそうはいかぬわけでございまして、これがWECPNLを計算いたしましていまの一種地域が九一になるという事実があればこれは当然直してその対策をしていくことは当然でございますが、そこへいくまでにはもう少しデータの整理が必要であると、かように考える次第でございます。
  222. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまのお話わかりました。  そこで、もう一つ具体的に話をしてみたいのですが、たとえば三種、二種の地域については移転に対する補償、これは全部公団で持ちますと、こうなっておりますね。それから一、種の地域はこれは防音装置、防音家屋ですか、そういう補償をしましよう。こうなっているわけです。そこで私の公明党でも現地で調査したんですが、たとえば野毛平にしてもこれは完全に一種ですよ。それで光ヶ丘だとか、これは百あるいは百超えると。そうなってきますと、いわゆる一種も当初公団で考えていた区分けをした三種、二種並みの対策を講じていかなければならないのじゃないか、当然でしょう。一々これを説明しなくたっていいのだけれども、何のために三種だ、二種だ、一種と分けたんだ。そして三種、二種の場合には移転ということに対する補償をいたしましょうというのですから。それはなぜ移転させるのだ、余りにも騒音が厳しい、ひどいからでしょう。だからそれには耐えられないんだろうからそこまでめんどうを見ましょうというわけだ。しかし、現在飛んでみると、一種の地域でもそういうところがあるんならば、当然これは三種、二種並みにやらなくちゃならぬ、これは当然のことですよ。その辺が、いわゆる実際に測定をしなければどうだという結論は出ない、出ないけれども、これは常識的に考えても、当初決めた三種、二種はこういうふうにしますよというんだから、いま飛んでみたら一種も同じような音がするというんだったら、その点については、何らかの対策ではなくて、三種、二種並みのいわゆる対策は最低限補償いたしますよというくらいのことは言うべきですよ、これは。そうでないと安心できませんよ。それがまた親切ないき方だと私は思う。その点どうですか。
  223. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) お言葉を返すようで失礼でございますが、確かに百ホン出たりあるいは九十数ホン出た一種地域があることは事実でございます。そこで、くどい説明になりますけれども、一日百五十数便飛ぶときに、一度か二度百ホン出るのと、百五十数便飛んで七十回、八十回百ホン出る場所との違いでございまして、まあ住民の皆様の苦情、お気持ちはよくわかるわけでございますが、要するにいまの制度といたしまして、うるささ指数ということでございますが、わかりやすく申しますと、一回百ホン出るよりも九十ホン五回出る方がうるささ指数が高くなるわけでございまして、騒音対策といたしましては、一回百ホン出る地区よりも九十ホン五回出る地区の方がうるさいという考え方で、そこの方を重くしておるわけでございまして、その辺なかなか、おっしゃる気持ちもよくわかりますし、それから実際もう私毎日成田におって騒音を聞いておりますので、こういう音がしょっちゅうしたら大変だなという気持ちもよくわかるわけでございますけれども、いまのうるささ指数に基づく騒音対策の制度がある以上、いまのその制度によりまして、先ほどからくどく申しますように、それによりましてその一種、二種、三種がどこか違っておって直すというときには、これは必ず直しますという約束をしておるわけでございますので、それを直すまでにいまの実測値がまだそろっておらないという現状でございます。
  224. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私はそんなことを聞いているんじゃないですよ。だから三種、二種、一種と決めたでしょう。それを決めたということは、やっぱりうるささのいわゆる状態ですよ。ここはこのくらいのうるささだ、とても住むに耐えられないだろう、だからこうしましょうと、こういうわけでしょう。だから実際に飛んでみたら、今度は、心配ないと思っていた一種の地域もやはり相当な騒音である。百あるいは百を超えるような騒音であるということであるならば、当然当初考えた三種、二種並みのいわゆる対策、補償、そういうものがあってしかるべきではないかと私は言っているわけです。だからそれをやっぱり明確に、実際の音は、騒音はこれから実測をしてみなくちゃわからないとしてもだ、だけれども、いわゆるそういう三つに分けた意味合いからいって、実際に一種の地域でもそれだけの二、三の騒音区域と同じような音を発するというならば、それと同じようないわゆる対策、補償をすべきではないか、また、いたしますよというくらいのことをきちっと明確にすることが、やっぱり地元の人たちに対する安心感、こういうものを与える最大の原因になると私は思うんですよ。ですから、そういうふうに言い切ることが、それは当然のことであって、それはやっぱりこういう場所で明確にされた方がいいんではないか、そうすりゃ地元の騒ぎと言っちゃ語弊がありますけれども、やっぱり地元民のいわゆる感情というもとは、そのことによって相当やわらげることもできるだろう、安心感を与えることもできる。そのやわらげる、安心感を与えるということが、それは大切なことなんです。そこをずっと心配してきたわけですからね。そうでしょう。ですから、そのぐらいのことを私ははっきりと言うべきではないか。私は理事ですので、そこまでは言えませんというんだったら、ここへ出てくる資格がないということでしょう。私の理屈が間違っていたら、あなたのそこが間違っていますよと、こう言ってください。そうだったら、そう認める以外にないでしょう。
  225. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) いまの先生のおっしゃること、並びに住民の皆さんのこと、非常によくわかるわけでございますが、少しすれ違いの答弁になるかもしれませんけれども、先ほど申しましたように、いろいろ計算しました八五といいますのは、あくまでも中間目標でございますので、やはりこれは最終目標の、要するに個々の音の測定値がもちろんもとになりますけれども、それよりも全体といたしまして七五WECPNLにしなきゃならぬわけでございまして、現在それが八五になっておるわけでございます。したがいましてこの七五は昭和五十八年十二月まででございますけれども、これはやはり先取りいたしまして、七五までいわゆる防音工事をやるというような区域、それからこれは前から御指摘でございますが、要するに防音工事でも全室防音工事をやる、こういうような騒音対策の前取りを強力に進めることによりまして、そういうことのお約束と申しますか、そういうことに対しましては御答弁いたしますけれども、非常に率直な言い方でございますが、一回百ホンの音が出たから、これはもう三種区域と同じように移転対象にすべきだということにつきましては、そういたしますという答弁は、私、騒音対策の担当理事でございますけれども、仮に公団の最高責任者が参りましても、一回、二回百ホン出ましたから、すぐ三種と同じ対策をいたしますということは、やはりいまのところでは、それは答弁できないのではないかというふうに考えております。少し言い過ぎかもしれませんけれども、実際の音とうるささ指数との関係が根本的に変わらない以上は、やはりそういたしますという答弁はできないというふうに、これは私が答弁いたしますのも、総裁あるいは副総裁が答弁いたしますのも、同じ答弁なはずでございます。
  226. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、先ほどちょっとお話ありましたけれども、その二種、三種の条件が、そこは移転する、補償もするわけですよね。それはあなたが言ったように、たとえば九十ホンなら九十ホン飛ぶたびに連続してそれだけの音がする、だからこれは移転の補償もします、こういうわけですね。それで一種区域で、たとえば百ホンが一回、二回あったからといって、それは二種、三種の取り扱いはできないんだと、こういうことですか。
  227. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) いま先生のおっしゃったとおりでございます。
  228. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、あなたは一回、二回と言うけれども、聞くほうにとってみれば、たまったものじゃないんだ。初めからそれじゃ一種についてはそういうような条件をつけてあるわけですか。私たちの調査でも相当な音がしているわけですよ。だからそれはあなた方が測定してからでなければ、それまで私はどうのこうの言うんじゃない。測定した結果だ。もういま調べた調査の結果では、一種区域が相当な騒音を感じているということ。だから一回、二回、細かくいろいろと言えば切りがないけれども、当初あなた方が考えた一種というのは、そこまでは音はしないだろうという、そういう判断に違いない。初めからいわゆる百以上がたまたまあったからといって、それは二種、三種並みに取り扱うという、一種がそういう音がするでしょう、百以上の。そうは思わなかったんでしょう、あなた方は初め。大体この程度だろうと一種は、こういうふうに思ったんでしょう。だからたかくくっていたと言っていいと思う。しかし、情勢はそういうふうに変わってきたということ、じゃそうだとするならば、少なくとも一回でも二回でも百以上騒音を発するということであるならば、それはそれなりのやはり対策を講じていかなければならぬということが言えるんじゃないですか。少なくとも地元の人たちはこの程度だから私たちは一種の地域に指定されたんだと、こう思っているのだから、そこのところをはっきりしないと、そこをはっきりしないといつまでも問題は噴き出るばかりだ、そんな感じがするんです。それは問題が噴き出るとかなんとかということよりも、当然それに対する当初の言うならば見損ないみたいなものですから、公団の。だからそこのところをそうだとするならば、何らかの対策を講ずると言う、それについては。ただ防音装置というそれだけの問題でなくて、防音装置じゃ耐えられないだろうから二種三種の人は移転までやはり用意しろと言うわけですから、ですからそれにかわる何らかのことを考えていかなかったら地元の人たちは納得しませんよ、それは。幾ら口でもってどうの言ったって、やっぱり実際にこうしましょうというようなものがなければ。その点どういうふうに考えているのか。
  229. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 御指摘のとおり、一種地域は最高とか最低の音はいろいろございますけれども、当初から一種地域で百ホン出るというようなことはもちろん予想はしておりません。八十数ホンとかあるいは九十ホンとかはたまに出ることあるということは予測いたしておりますけれども、そういう意味で、そうだけれども百ホンが、私一回とは申しませんが、福一日に数回、一種地域で測定——一回百というのはございますけれども、これが数回測定されておるのに何もそれに対して手を打たないという御指摘、よくお話趣旨はわかるわけでございますが、それでもう少しデータを整理いたしまして、これが要するにWECPNLが八五になるのか、八四になるのかということをやりまして、これが九〇以上になればもちろん二種の移転地域になるわけでございますが、そういう現在の中間の予測では現在の一種はすぐ二種と同じようなうるささ指数になるというような数字がまだ出ておりませんので、すぐ百ホンが数回するから移転対象にいたしますと、移転対象にならなければ何かほかのことを考えろということでございますが、それは先ほども申しましたように、いわゆる騒音全体の枠の中の騒音対策をできるだけ先取りしていくということで、住民の皆さんとよくお話しして御理解を得るように私ども誠意を持って努力するということを申し上げるよりほかに、ここで私たちがすぐ一種でありましても、騒音の百ホンが数回出たから移転の対象にいたしますということを申し上げますと、これはむしろできないことをやりますというお答えになりまして、かえって公団の不信感をあれするようなことになりますので、もうしばらくこの数字のデータの整理を待ちまして、いわゆるうるささ指数の最終的な結論が出てから御相談申し上げたいと、かように存ずる次第でございます。
  230. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一点だけはっきりしてください。それはいつまでたったってあなたのあれとすれ違いだ。だから一点だけ、いずれにしたって初めからそれだけの予想はしてなかったということですよ。だからいまはっきり言ったでしょう。一種地域についてはそれだけの騒音が出るとは予想してなかったと、こう言うわけですから、だからその予想を超える騒音がいま起きているということ、それはあなた方の調査はまだ不十分だからあれですけれども、いわゆる地元の、あるいはまたわが党でも調査をしたんだけれども、事実そうだということ。だとするならば、常識的に考えれば、当初決めた二種三種のいわゆる条件ね、その地域に住んでいる人に対するいろいろな補償問題、それと同じように考えてしかるべきだと思うけれども、なお、それがそうはっきりお答えできないということならば、当然それまで予想してない、予想以上のことが起きたんだから、いわゆる防音装置という条件、それだけでなくてやはりできるだけ地元のいわゆる要望におこたえするだけの用意はございますというだけの返事はしておいてください。
  231. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) このいわゆる騒音対策の民防とか移転の実施とは別に、要するに地元対策として騒音地区の地元民の御要望におこたえするということは、誠意をもっておこたえするようにしたいと思います。
  232. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでとめましょう。  それで警察関係ですが、ちょっとまた逆戻りしちゃうんですけれども、ちょっと飛ばしちゃいまして失礼をしちゃうんですが、当初一万三千人全国から集まってきたんですが、その経費の問題ですね。この経費相当かかったと思います。で、これは大変な経費だと思うんですが、聞くところによると、その経費は明確にどうだということはまだ出てないということで、それについてはとやかく申しませんが、この経費の負担はどこでどうしていくのか、負担するのか、その点ひとつ明確にしておいていただきたい。
  233. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 成田警備に要しました経費の負担区分でございますが、もともと警備のための出動に要する経費、これにつきましては警察法施行令の第二条の七号によりまして、出動警察官の旅費等につきましては国庫支弁になっております。それから、同じ警察法施行令の二条三項の規定によりまして、出動しました警察官のうち機動隊員及び管区機動隊員、これの超過勤務手当につきましては所要額を国から補助するということにいたしております。ただ、出動警察官のただいま申し上げました超過勤務手当を除きます人件費につきましては、それぞれの所属の県の負担、県費でございます。ただ、人件費以外のたとえば車両の維持費、ガソリン代等につきましては、警察法施行令の規定によりまして十分の五の補助を国庫からできることになっておりまして、所要の補助をしておるところでございます。
  234. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間もちょっと過ぎましたんで結論的に申し上げますけれども、いまお話しあったように、警察法施行令第三条二項によりますと、国が都道府県に補助する経費は十分の五を補助する、「ただし、特別の事情があるときは、」「十分の五をこえて補助することができる。」、こうあるわけですね。私は、当然この後段の分を取り入れるべきであろう、こう思うわけです。いわゆる成田の場合を考えるならば「特別の事情」、これに当てはまるだろう、こう思います。で、特別の事情、その場合には「十分の五をこえて補助する」「こえて」ということは全額ということも言えるわけですね。ですから、この施行令の上からいっても全額国で見るという考え方、これが至当である、妥当である、こう考えますが、この点どうですか。
  235. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいま御指摘の後段の「特別の事情がある」場合にりきましては、今後予算の範囲内において十分検討いたしたいと思っておりますが、従来の警備出動、警備活動経費について補助対象に係る分につきましては、従来の例によりますれば、十分の五の補助補助を行っておるところであります。
  236. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 従来の点についてはわかっているんですが、いま申し上げたように、「特別の事情」という、これをどういうふうにとらえるのか。当然それはそのままとらえて、私は全額という考え方が妥当ではないか、こう思うわけです。ですから、その点をどういうふうに考えておられるのか、そこだけをひとつ明確にしておいてもらいたい。
  237. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 従来、特に一例を申し上げますれば、沖繩県における沖繩県警察創設の時期におきまして、特別の事情ありとして補助率をアップしたこともあると思います。したがいまして、御指摘の点は今後十分検討に値するところであり、検討しなければならないと思っております。ただいま、われわれが実際の予算執行でやっておりますことを従来ということで申し上げたわけですが、将来の検討課題ではあると思っております。
  238. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 本当を言うと、地元の警察大変なんです。ですから、いまのようなお話になりますと、いろいろと言いたくなるわけですけれども、検討課題と言う。それじゃ、この施行令の「特別の事情」というのはどういうことを意味するのか。どういうときにこの「特別の事情」ということが採用されるのか、その点を具体的に明確にしてもらわないと、何のためにこれがあるのかわからない、こんな感じがするわけです。そこのところ、どうでしょうか。あれはもう「特別の事情」と言う以外にないので、だとするなら、十分の五以上を補助することができるというのですから、ということは全額ということも言えるわけですよ、幅を持たしているだけの話でね。当然これは全額持つというのが妥当であろうと私は思う。また、私も思うけれども、だれが考えても、それは全額持つことが妥当ではないかと思うのです。ですから、これは、考えるとかなんとかという問題になってくると、その点突っ込んでお聞きしなければならない、この施行令を。こういうことになるわけですが、いかがでしょう。
  239. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 御指摘の点は、十分にわれわれも考えておるところでございます。特に警備出動のケースとしましては、大変長期にわたり、千葉県財政にも大きな負担がかかっておる状況でもございます。ただ、従来の警備活動につきましての補助のパターンを申し上げ、われわれがただいま執行している実際を申し上げたわけでございますが、今後におきましては、御指摘の点を含めまして、予算の範囲内において御指摘のような内容で補助できるかどうかということも十分に検討してまいりたいと思っております。
  240. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまのお答えについては、私は納得しませんよ。もっとそれじゃ、この施行令をどういうふうに考えているのか、この施行令が「特別の事情」と言うのはどういうことを意味するのか、そういった点を論議しなければ結論を出せないということになる、納得しないということになる。ですから、それを納得しないまま一応ここでとめておきます、時間の関係がありますから。  公団は、全室防音工事、これを繰り上げてやろうというわけでしょう。いつごろから繰り上げてやるのですか。
  241. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 現在、全室防音工事につきましては、六カ所現地で試行の工事をやっております。大体八月いっぱいぐらいにでき上がりまして、これで防音効果がどのくらいになるかというようなことがわかると思いますので、それができ次第、予算面とか制度面、関係方面とよく折衝いたしまして、五十四年度とは言わずにすぐかかれるように折衝してみたいというふうに考えております。
  242. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 金ありますか。
  243. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 昭和五十三年度の騒音対策の費用は、三十八億円現在計上いたしております。この内訳につきましては、当初の予算のときにはそういうことの繰り上げ施行を考えておりませんでございましたけれども、これは関係方面と折衝の上必要ならば公団でも補正予算を組めるわけでございますから、そういうふうに努力はしてまいりたい、かように思っております。
  244. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 聞くところによると、いわゆる繰り上げ工事をやろう、だけれども公団に金がないから県で立てかえてくれと。こういうことを聞いているんですが、どうですか。
  245. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 五十三年度の予算成立の段階におきましては、公団といたしましては、全室防音工事の制度並びにそういう措置ができまして五十四年度にやるという方針でございましたが、こういうふうになりましたので、繰り上げてやりたいという公団は強い希望を持っております。それは関係方面との制度並びに予算の折衝をやらなければいけませんので、その段階で予算につきましては考慮したい、かように考えております。
  246. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうでなくて、公団にその繰り上げ工事をやるのに金がないから県で立てかえてくれ、こういうふうに公団で言っていると。だけれども、県にも金がないんだと。こういうことを私は聞いているわけです。ですから、それは事実なのかどうかということです。
  247. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 初当いろいろの面で五十四年度からしかできないということに対しまして、要するに、県というよりも地元で、繰り上げ施行をするために、成田市あるいは芝山町で予算を組んで立てかえ施行するから後でめんどう見てくれという御要望があったことは事実でございますが、公団の方から県に、金がないから県の金を出してくれということは、私の知る範囲におきましてはそういうことを正式に県に頼んだ覚えはございません。
  248. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それはわかりました。大体、火のないところに煙が出るのが公団だなんて、そんな話はないけれども、そういうようなことで県も困っているみたいなことをちょっと聞きました。ですから、そんなことじゃなくて、県だって金がないのですから、公団が、これだけ実際に飛行機が飛んでみれば騒音がひどいんですから、五十四年なんてのんびりしたことを言ってないで即座に実施に移すということは当然のことで、いわゆる地元の方たちの立場を考えるならば、また、その立場と同時に、それに報いるためにも、当然やらなくちゃならない、それをやる予算については当然公団でもって措置するということでなければ私はうまくない、またあっちこっちに弊害を及ぼす、こう思いますので、その点ひとつはっきりしておいてくださいね。  それから、電波障害がひどいんです。もう五分間置きくらいにふあっふあっふあっふあっと見えなくなっちゃう。これどうするんですか。テレビは唯一の楽しみです。
  249. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 電波障害、特にテレビのフラッター現象が出ておることは苦情が参っておりますので、どんどん申し込みを受け付けましてどんどんフラッター防止アンテナをつけておりまして、一部つけたところは非常に成績がよいということで、すでに七十数ヵ所つけまして、現在申し込みが三百ございますので、これにつきまして、NHKのお力をかりまして、現地のうちへ行きましてそれに合うようなアンテナを取りつける。アンテナも業者に立てさせておりますので、そういう現象があればすぐ電波障害につきましては即応できる体制を整えておりますので、やっていきたい、かように考えております。
  250. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それはひとつ精力的に、申し込みがあればというようなのんびりしたことじゃなくて、積極的にこっちがその対策を講じていこうという姿勢が地元の人たちに買われるんですよ。いつも——この間公団総裁に会ったけれども、うそぶいた姿勢やるなんて、あれじゃ地元の——いや、頭かしげなくていいんだよ。あれじゃ地元の人は納得しやしないよ、あなた。角坂さんだったかな、角坂さんはそんなことないけどさ。もっと積極的に、やっぱりもう問題点は決まっているんだからね。そんなものをずるずるずるずるしているんでなくて、先手を打ってどんどん手を打っていくという姿勢が大事なのよ。それが全部後手になっているからよけいにいわゆる突き上げがひどくなるんだ。それだけはひとつ申し上げておきます。  それでもう終わりますけれども。地元では夜間飛行の制限ということを言っている。で、これは地元の人からすれば当然のことだと思うんです。いま地元の要望は夜九時から翌朝六時まで飛行禁止、こういう要望をしているわけでしょう。この点についてはどういうふうに考えておられるか。これは公団ではないかな、公団ではどうにもならないか。運輸省か。
  251. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 夜間飛行の制限、地元から非常に強い要望が出ていること承知いたしております。現在十一時から六時までの禁止でやっておりますが、特に十時以降につきましては非常にやかましいという、騒音、問題にしておりますが、これは公団でこれをどうこうするわけにはまいりませんけれども、要するに国際線ということで、またおしかりを受けるかもしれませんが、騒音対策をひとつ前向きにどんどんやりまして、ひとつこの何とか、十一時の線は国際空港の使命上御理解を願いたいと、公団といたしましてはさように考えておりますが、これはちょっとその時間につきましては私がどうこうするということはできませんのど、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  252. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 公団とすれば十一時まではお許し願いたいと、地元のその理解をそういったことで求めたいと、こういうわけですね。ですから、いまの地元の方たちのいわゆる要請、要望、九時から六時ということについては、これをそれじゃその方向でというわけには現段階ではいかないと、将来にわたってもなかなかそれはむずかしいであろうと、こういうふうに理解されるんですが、そう考えていいですか。
  253. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 時間はそういうことで、これは十一時まででございますけれども、仮に九時以降に飛ぶ飛行機はできるだけ少なくしてくれとか、十時以降に飛ぶ飛行機は少なくしてくれというようなことは、公団といたしまして関係方面にお願いはしたいと、かように考えております。
  254. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ありがとうございました。
  255. 渡辺武

    渡辺武君 福岡県の北九州市の問題について伺いたいと思うんです。  福岡県の北九州市は、かなり以前からのことでありますけれども、同市の同和行政の基本に反しまたはそのおそれがあるということを理由として、市立の公民館、市民会館、市民センターなどの公の施設を市民に貸与しないという不法な行為を重ねております。多くの場合には同和問題に触れるか触れないかということが踏み絵にされておりまして、市民が会場の使用を申請をいたしますと、その申請書の備考欄に同和に触れないということを書かなければ会館を貸してくれないというような状態であります。私、五月の一十六日に日本共産党の八幡・遠賀地区委員会主催の時局演説会が八幡の市民会館で開かれる予定になっておりまして、衆議院の二谷議員とともにそれに参加するために行きました。ところが開会の直前になりましてから、同市とそれから同市の教育委員会がやはりこの市の同和行政の基本に反するおそれがあるという理由でこの会場を貸さないということを言い出しました。とうとう演説会開くことができなかったんです。この問題については五月二十九日参議院の決算委員会でわが党の沓脱議員が質問いたしまして、自治省は現地の事情がわからないから調査をいたしますということを約束されました。その調査の結果をまず最初に報告していただきたいと思います。
  256. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 五月の二十九日の参議院決算委員会における沓脱先生からの御質問に対して、事実関係について市の方に問い合わせてみるとお答えしましたのは、実はただいま先生が御指摘されたその件ではなくて、二十八日の、同じような件でございます福けれども、小倉南市民センター使用についてのトラブルの件でございます。いま先生御指摘の件につきましては、すでにその二十六日の時点におきまして三谷先生から私どもの方に御連絡があり、そこで事実関係を市の方に聞いてみると申し上げて、月曜日の決算委員会の席ではその事実関係についてお答え申し上げたところでございます。  そこで重ねて二十六日の件について申し上げますならば、これは本年の四月二十一日に日本共産党八幡・遠賀地区委員会から北九州市八幡市民会館の使用について申請が北九州市教育委員会に出されまして、北九州市の教育委員会はこれを承認しましたが、その際使用に当たって同和問題についての使用ではない旨の確認を行っておるということでございます。そこで、当日五月二十六日になりまして市側から本日開かれる講演会というのは同和に関する演説会ではない旨再確認をしようとしましたけれども、確認はできないという御返事をいただき、市側としては承認に際して付した条件が守られないおそれがあると判断して、本集会は差別を助長するおそれがあるということを理由にいたしまして同会館の使用を取り消したということになっております。  その後の問題といたしましては、このため主催者側としては福岡の地方裁判所にこの件について出訴しておるというふうに聞いております。  二十六日の件については以上でございます。
  257. 渡辺武

    渡辺武君 ついでにその二十八日のもちょっと聞かしてください。
  258. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 二十八日の件でございますが、これは本年の五月六日やはり日本共産党福岡四区選対本部の主催者の方から、選挙準備後援会活動前進のための学習会ということで、五月の二十八日の五時から八時までの間センター大ホールの使用を申し入れてきたということでございます。そこでセンター側では同和問題に関係がない旨の確認を得た上で正式の承認を留保して大ホールの使用料六千円を預かり金名目で受け取ったということであります。したがって使用承認書は交付しないで預かり証を交付しておるということのようでございます。そしてセンターの管理者の側からはその後数回にわたりまして会場の使用方法等について打ち合わせしょうということで主催者側と連絡をとろうとしましたけれども、なかなか連絡がとれなかった、で、五月の二十六日になりまして主催者側がセンターを訪れまして使用承認書の交付を求められました。これに対してセンター側では、同和問題に関係がない旨の再確認を求めようとしましたけれども、それを得られなかったと。しあがって、差別を助長するような集会には貸せないというようなことになったということでございます。そこで、主催者側といたしましては仮処分の申請を福岡地裁に提出したようでございまして、そのため五月の二十七日になりまして、福岡地裁の小倉支部からセンター側に対しまして使用承認取り消しの執行停止の申し立てが出ているので、市の意見書を出せというような指示があったようでございます。それに対しまして管理者である市の教育委員会は、五月の一十七日に意見書を提出しております。そしてこの集会が開かれる予定日の当日、二十八日の午後四時二十五分になりまして福岡地裁の小倉支部で申し立てを認める旨の仮処分決定が行われ、これに対して市は仮処分決定に対し即時抗告を行っておるということでございます。なお、仮処分の決定がございましたので、当日の集会は五時ごろからセンターで行われておるということでございます。  以上でございます。
  259. 渡辺武

    渡辺武君 私申し上げるまでもなく、国民の集会、結社、表現の自由、これは憲法の第二十一条で明確に保障されているわけです。またすべて国民は、法のもとに平等でなきゃならぬということも第十四条で明確に保障されているわけですね。日本共産党の時局演説会、これはまさに政党としての自由に開かれなきゃならぬ集会でなければならぬわけですね。また公の施設利用については、地方自治法の二百四十四条、これは御承知のように「正当な理由がない限り、住民が公の施設利用することを拒んではならない。」明確にうたっているわけです。なお、「住民が公の施設利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」ということも明確に規定しております。いま言われたような理由で、北九州市が会場の使用を拒否すると、これは憲法、地方自治法、これを根本から踏みにじる不法、不当な行為だというふうに考えざるを得ません。自治省としては、いまあなたが述べられたような理由によって北九州市が会場の使用を拒否するということは、これは正当な理由だというふうに考えておられますか。
  260. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 法を執行する立場にあるところの地方団体が、憲法あるいは地方自治法に違反するようなことを行っていいはずはないわけでございまして、したがいまして、北九州市も当然のことではございますけれども、憲法、地方自治法の規定を守っていろいろな行政行為を行っておるというふうに私どもは信じております。  なお、具体の件につきましては、それを貸す、貸さないと、そういった場合に公の施設を貸さないということが、正当な事由に当たるかどうかという判断に属するわけでございまして、市当局としては正当な事由に該当すると判断したものと思っております。
  261. 渡辺武

    渡辺武君 市当局が正当な理由と判断したかどうかということを伺っているんじゃないんですよ。自治省として地方自治法にはっきりこうして書かれている、憲法にもはっきりうたわれている、その原則に照らして北九州市のこの会場不使用のために挙げている理由ですね、これを正当な理由というふうに判断しているのかどうかと、これを伺っているんです。
  262. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 公の施設の使用につきましては、憲法、自治法の規定に基づきまして、具体的にはそれぞれの市の条例あるいは規則等によりましてこういった場合には貸すことができる、貸すことができない、決めておるわけでございます。北九州市の場合も同様にこれに関する条例と規則とがございまして、たとえば北九州市立市民会館規則というようなのもございますが、その中で具体的に使用できない場合といたしまして、公の秩序を乱し、風俗を害するおそれがある、あるいは建物、設備等を損するおそれがあると、そういったことと並びまして、その他管理上支障があると認められるときというような規定もございまして、市の当局といたしましては、その他管理上支障があると認めてこの場合には貸さなかったということであろうと思います。そういうことでございます。  そして具体的に管理上の支障があるかどうかということを判断するのは、やはりいろいろな客観情勢というものを前提に置いて判断することが必要でございますので、それは管理者の責任において行うということであろうと思います。
  263. 渡辺武

    渡辺武君 先ほどあなたが市の方から聞かれた会場不使用の理由、この中に同和問題についての使用ではないと。これは五月二十六日の会場使用の問題について当初そういうことを確認したということを言っておられますね。それから五月二十八日についても同和問題に関係がないということを確認した上で会場を貸すことを承認した、こういうことになっているんですね。同和問題に関係があるかどうか、これを会場を貸す、貸さないの条件にするということについてはどうですか。
  264. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 過去からのいろいろな経緯、それから現在市が置かれておる状況、そういったものを総合的に判断して、そういった場合にもし貸せば管理上支障があるという条文に該当するかどうかという市当局の判断になろうかと思います。北九州市の場合は、先ほども申しましたこれまでの経緯あるいは市が現在置かれておる客観状況そういったものから判断して、やはり管理上支障があるということで判断したということでございます。
  265. 渡辺武

    渡辺武君 同和問題に関係のある集会については貸さない。しかも、その背後にあるものはこれは当日、私ども五月二十六日、八幡の市民会館貸さないと、どういう理由で貸さないんだということを問い詰めまして、文書でもってその理由をとってあります。これによりますと八幡の市民会館の館長の坂本という方はこういうことを言っているんですよ、「昭和五十三年五月二十六日の会場使用申込みについては北九州市同和行政の基本方針に反するおそれがありますので使用承認を取消します。」と、つまり同和問題に触れるか触れないかという問題というものは、基本的には市の同和行政の基本に反するということが基本にあって、そうして貸す、貸さないを判断しているわけですね。市の同和行政の基本に反するから貸さない。それをもっと極端に言いますと、同和問題に触れるから、だから貸さないのだ、同じことを言っているわけですけれども、これは極端ですよ。そういうことを理由として会場を貸さないということは、これは会場、公の施設を貸さない正当な理由になりますか。たとえて言えばある市で市長さんは原子力発電の誘致という基本方針を持っていたといたします。市議会もこの誘致賛成ということになったといたしましょう。ところが市民の中には、いや誘致反対だという市民がいたとしましょう。その場合に、市の原子力発電の建設問題についての基本方針は誘致賛成なんだ、これが基本方針だと。だから誘致に反対するということであったならば、これはその基本に反するからそこの町の公会堂は貸さないんだと、公民館は貸さないんだということで貸さなかったらどういうことになります。市の行政について会場を使って、公の施設を使って批判することは許さないと、こういうことになるでしょう。これはこの地方自治法の二百四十四条、はっきり述べている正当な理由あるいは不当な差別的扱い、これに反するんじゃないですか。どうでしょうか。
  266. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 地方自治法に言う正当な事由あるいは不当な差別待遇、こういったことに該当するかどうかということは個々具体的状況下における具体的なケースについて判定を下さなければならないという感じがいたしておりますが、一般的に市の行政を批判するから貸さないというだけのことであれば、通常はやはり正当な理由ということにはならないような場合が多いという気がいたします。
  267. 渡辺武

    渡辺武君 北九州の場合ですね、とにかく公党が国会議員も参加して時局演説会を開く、これがどうしていまあなたの言っているような市の会場使用の規定に反するんですか。どういう経過があり、どういう具体的な事実があって会場を貸さないという市当局の判断がこれは適正なもんだというふうにあなた考えるんですか。なるほど市に市民会館の使用についての規則がありますよ。しかしその規則も憲法、地方自治法の原則の範囲内で適用されなければならぬでしょう。あなた自身が認めているように、市の特定の行政についてそれを批判するからといって会場を貸さないと、これは地方自治法のたてまえからいって問題があるという趣旨のことを言っているが、北九州市が今回とった措置というのはまさにそういうことじゃないですか。どうですか。問題分けて聞きますよ。ここに私持っています、市民会館の規則というのを。第八条に言われるようなことも確かに書いてあります。「その他管理上支障があるとき」第八条の第四項ですね。これは憲法、地方自治法、これの原則の範囲内で考えなきゃならぬと。その点はどうですか。
  268. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 申すまでもなくお説のとおりでございます。
  269. 渡辺武

    渡辺武君 それでは同和問題に触れるということで貸さない、さらにその基本に立って言えば、市の同和行政の基本に反するから貸さないんだと。そのことを理由としていま言った管理上支障があるんだということで貸さない。これは憲法、地方自治法に違反していることじゃないですか。どうですか。
  270. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) そういう個別の問題になってきますと、北九州市というものが置かれておるところの過去からの経過、それから現在置かれておる状況、そういった客観情勢を勘案して違法であるか違法でないかという判断をする必要があると思います。一律に違法であると決めつけることはできないと思います。
  271. 渡辺武

    渡辺武君 どういう経過とどういう客観情勢があるんですか。あなた方、市の判断が仮に正しいんだというふうに判断しているとすれば、その判断の根拠、どういう経過とどういう客観情勢があったんですか。
  272. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) これまでの経過の中で市がとっておりますところの同和行政のあり方、そういったものについていろいろ論議されることが、しかも公の施設の場でそれがされることが管理上いろいろ問題があるということでこういう問題が起きてきておるんだというふうに理解しております。
  273. 渡辺武

    渡辺武君 市の同和行政の基本に反する、別の言葉で私どもは公正・民主の同和行政、これを確立すべきだという立場で、従来の部落解放同盟の朝田、上杉派、これがあちらこちらの地方自治体、これを場合によっては力づくで屈服させ、あるいは場合によっては癒着してそうして逆差別をつくり出すほどの不法、不当な同和行政をやらしている。これについて断固として闘ってまいりましたよ。政党の綱領の中で、部落問題を、これを解決する、部落差別一掃のために努力するという趣旨のことをうたっている政党は私ども日本共産党たった一つしかない。兵庫県でも大阪府でも、私どもは客観的な事実に基づく公正・民主の同和行政を求めて暴力に屈せず断固として闘い抜いたたった一つの政党ですよ。その政党が、市の同和行政が、これが間違っている、そういう立場で集会を開くことが何で、それに対して会場を貸さないという市の態度ですね。何で正当なんですか。もう少し言ってくださいよ。いまあなたが言った従来の経過と客観的な事情、具体的にはどういうことです。
  274. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 会場をそういった問題について貸す貸さないということで、御承知のように今回が実は初めてではございませんで、昭和五十一年の一月の二十六日にも若松文化体育館の使用不承認事件というのがございまして、現在福岡地裁におきまして公判中でございまして、四回程度現在までに口頭弁論を経ておるようでございます。さらにまた二十六日の八幡市民会館の件につきましても裁判所へ出訴しておる、裁判所に係属中であるというようなことでございまして、そういったことが正当な理由になるかならないか。市の方としては正当な理由になると言っておるわけでございますが、現在裁判でその点が実は争われておるわけでございます。私どもといたしましては、法を守るべき地方公共団体でございまして、いろいろな配慮の上でそういう決断を下したことであろうと思いますので、よもや北九州市が違法なことを行っておるとはゆめ考えておらないわけでございます。
  275. 渡辺武

    渡辺武君 あなた方はゆめ考えていないと言うけれども、実際、違法、不当なことが起こっているからそこで私はここで問題にしているんです。予断を持って臨んじゃいかぬですよ。それは守らなきゃならない任務がある、憲法、地方自治法、地方自治体は。任務があるということと、実際に憲法、地方自治法に違反したことをやっているということとは別ですよ。客観的に違法、不当なことをやっているからそこであなたにいま質問しているんです、問題にしているんです。これは国政上も見落とすことのできない重大な問題です。特に自治省のこの点についての責任は重大だと思うからこそ質問しているんです。だから地方自治体が憲法、地方自治法を守る義務があるということをもってこの問題を避けて通るわけにはいかない。まさに守る義務があればこそそれに違反している問題については是正されなきやならぬでしょう。だから問題にしているんです。具体的にどういう経過で、どういう客観的な事実があったら日本共産党の時局演説会、あるいは先ほどお話しになりました二十八日ですか、これはつまり後援会活動、これの学習会だっていうんだ。これについて同和問題に触れるか触れないか、それを踏み絵にして、同和問題に触れないと言わないから貸さない、こういうことでしょう。その基本にあるのは先ほど公民館長の会場不使用の理由、文書でもってもらったのをあなたに読んで差し上げました。市の同和行政の基本に反するおそれがある、だから貸さないんだと、こう言っている。あなたも、一般論としてはそういうことはうまくないという趣旨のことを答弁している。一般論でまずい、しかしまさにそのまずいことが北九州市によって現実に行われているんです。それを正当化するどういう理由があるのか、これを聞いているんです。裁判やられているとかなんとかということは承知しています。
  276. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 具体的にその使用許可をしない、使用の許可をしないということが違法である、不当であるというふうな現在先生からの御質問でございますけれども、市当局は別に違法だと言っておるわけではございません。違法であるか不当であるかというのは、結局その会館を管理するところの市が、その置かれた状況のもとでこれは管理上支障があるかどうかということを判断するのが私は第一義的だと思います。で、市は、今回こういった会合にこれを貸すことはやはり管理上支障があるということで不許可にしたというふうに私どもは理解しております。
  277. 渡辺武

    渡辺武君 その管理上支障があると判断する、その判断というのは憲法、地方自治法の範囲内でなければならないのではないかと。そうしたらあなたはそうだとおっしゃった。一体、政党の集会あるいは学習会、これに、同和問題に触れるか触れないか、市の同和行政の基本に反するか反しないかということを踏み絵にして、公の施設を貸さないということが憲法上許されますか。地方自治法の二百四十四条のたてまえから言って許されますか。何回も申します。憲法では政党の活動、言論と集会と表現の自由、これを保障されている。また思想、信条、これによって不当な差別をしてはいけないということもはっきりうたわれておる。日本共産党が北九州市の同和行政、根本から間違っている、その立場から仮に批判の集会を開く、これも思想、信条に基づく表現の自由ですよ。それを理由にして公の施設を貸さない、これは不当な差別でしょう。正当な理由に基づく行為じゃないんじゃないですか。どうですか。そのことを伺っているんです。
  278. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) まさに、その先生御指摘の正当な理由に基づくかどうかというところが論争になっておるように私は見ておるわけでございます。正当な理由というのは、抽象的に言う場合と、それと個々具体的に物を貸すか貸さないかという場合になりますと、抽象的というよりも、置かれた状況のもとにおいてそれを貸す貸さないが正当な理由に該当するかどうかという判定が必要になってくるだろうと私ども思うわけでございまして、それを具体的に判定できるのは、やはりその管理の責任を持つところの市であるというふうに言わざるを得ないんじゃないかと思います。私ども抽象論としてどうこうということは申しましても、何分、具体的な事例になりますれば、やはりそれを取り巻くいろいろな事情があるわけでございますので、そういったことも含めまして正当か正当でないかという判断は、なかなか私どもにはできかねるところであります。
  279. 渡辺武

    渡辺武君 だから、その具体的な条件というのは何なのかと。あなた方が市当局の判断が、これが妥当だと言うんなら、一般的にはまずいけれども、しかし今回の市当局の判断は妥当なんだというふうに判断していると言うなら、どういう具体的な条件があってそういう判断が出てくるのか、これを伺っているんです。言ってくださいよ。
  280. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) まさに、その市当局の判断と、それから主催者側と申しますか、会場を借りられなくて裁判に出訴しておる方の側、これが原告、被告で現在、両方いろいろ論点が出されておるわけでございますが、そこに尽きるのではないかと私ども思っております。私ども実は当事者じゃございませんので、それがどうこうと申し上げる場にはないわけでございますけれども、市当局といたしましてこういった判断を下すには、当然のことながら正当な理由ありと判断したものと私どもは信じておるわけであります。
  281. 渡辺武

    渡辺武君 裁判で争っているから、まだ判定は出てないわけですね。先ほどのお話で、私も知っておりますけれども、福岡地裁の仮処分の決定、これは出ている。しかし市が控訴している、こういう事態なんです。しかし、裁判で争っているからといって、そのことを理由にして公の会場を貸さない。これはどうですか。しかも、その裁判で争っている原因はどこにあるかといえば、市当局が、市の同和行政の基本に反するおそれがある、つまり市の特定の政策をこれを絶対化して、それに賛成しなければ会場は貸さないんだ、反対すれば会場は絶対に貸さない、こういうことでしょう。そこが争われているんですよ。だから基本は、市のそういう立場が一体憲法、地方自治法の原則に照らして正しいのか正しくないのか、その判断を自治省としてはどう考えるのか、そう伺っている。
  282. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 御承知のように、私どもは市当局から聞いておる範囲での現象面を承知しておるだけでございます。それによりますれば、市当局といたしましてはそういうような集会に市の公の施設を貸すということは管理上非常に困るということで、一貫してお断りするという方針をとっておるということでございまして、それは客観情勢がそういうことであるならば、憲法、地方自治法にそのことによって抵触すると言い切ることは、私はできないのではないかと思います。そしてまた、そのことについて、それが果たして憲法に抵触するかどうかということが一方で裁判で争われておるわけでございまして、私ども、裁判というのは御承知のように具体的な事実に即していろいろ判断されるわけでございますが、私どもそういったいろいろな調査等をする立場にもございません。したがいまして、客観的に見まして市のこれまでの行政のいろいろなあり方、そういったものから見まして、当然のことでございますけれども、憲法、地方自治法にあえて抵触するようなことは市はしていないというふうに信じておるわけであります。
  283. 渡辺武

    渡辺武君 それは自治省として私は当然やるべき任務を放棄しているんじゃないかと思うんです。地方自治体が憲法、地方自治法に違反するような行為をやっている場合には、あなた方としてもそれを適当に是正するための指導はすべきだと私は思う。私は架空のことを言っているんじゃないんです。自分自身が参加した演説会で自分自身が受けた深刻な打撃、これについてあなたに申し上げている。決してあなたの言うように、それはそれなりの事情があるでしょうというようなことではとうてい済まされないんです。当日、沓脱議員に対してのあなた方の答弁では、何かトラブルが起こるのではないかというようなことも言っていたらしいですね。しかし当日、トラブルなんて起こりやせぬです。そんな情勢でもなかった。会場を使うことができないというので、三々五々と集まった人たちが、会場前に詰めかけて屋外で抗議集会をやった。平穏無事にそれも済んでおる。大体、混乱が起こるかどうかというようなことについて、勝手に起こるおそれがあるというようなことで会場を貸す貸さないというようなことを判断されたら、どんな場合でもそういう口実さえつけるならば、公の施設を貸さないという事態になってくる。  ですから、こういうような問題についてのいままでの判例、これによれば、トラブルが起こるかどうかという明白かつ現在する危険ですね、これがあったときに、そういう判断が下せるのだ、こういうことを言っているんです。私は、問題の所在はそれと同じだと思いますよ。市の同和行政の基本に反するおそれがある、こういう理由で会場を貸さないというのは、一般的には問題だとあなた自身が言っている。それならば、そういう問題がある措置を北九州市がとる、これを正当化する場合には、それなりの明白かつ具体的な事実がなきゃならぬ。原則的に間違っていることを北九州市当局がやっている。それをあなた方は、客観的な条件があってそういう判断を下したもので、これは憲法、地方自治法に違反していないと考えますと、事実を調べもしないで、そういうことを言っている。どういう客観的な明白な条件があって、北九州市当局のやっているこの措置が適法だと言えるのか、そのことを言ってほしい。
  284. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 具体的に施設を貸す貸さないのその判断というのは当然のことでございますけれども、その管理の責任者である、この場合でありますならば、市当局が判断するわけでございます。貸すことによりまして管理上支障があるというふうに市が判断した、その判断の具体的事実というのは、それぞれのケースによっていろいろ違うと思いますけれども、それぞれのケースに対応いたしまして、市が具体的に判断したということだろうと思います。
  285. 渡辺武

    渡辺武君 だろうと思いますということで、そうすると、あなた方は、たとえば五月二十六日の件ですね、あるいはその後の二十八日の件ですか、小倉の南市民センターの件ですね、これについて、市の行った措置は正しいと判断しているのか、あるいは正しいのか正しくないのか、まだ行政当局としては判断できないでいるというのか、どっちなんです。先ほどは一般論として、地方自治体というものは憲法、地方自治法に違反しないものだと考えておりますと言っているんだが、この具体的な措置について、憲法、地方自治法に違反していない行為と考えているのか、あるいは違反した行為と考えているのか、あるいはまた、そのどっちともいまは判断できないでいるんだということなのか、どうなんです。
  286. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 少なくとも違法な行為ではないと思っております。
  287. 渡辺武

    渡辺武君 それはどういうわけですか。
  288. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 市当局が憲法、地方自治法という規定を十分理解した上で、そういった判断をしておるわけでございますから、私どもといたしましては市当局の判断を信頼いたしたいと思います。
  289. 渡辺武

    渡辺武君 それじゃ理由にならぬじゃないですか。  市当局が憲法、地方自治法を十分理解したと仮にしても、それを実施する上で間違っている、それに違反しているという場合だってあるでしょう。この場合が確かにそうですよ。あなた方の一般論としてはまずいんだということを言っている、そういう行為をやっているんだ。それが何で正しいのですか。  その問題もさらに答弁いただきたいのだが、次に質問を進めますが、あわせて答弁していただきたいのですが、この北九州市が、市の同和行政の基本に反するおそれがあるということを理由として——これか最大の理由です、ほかにいろいろ言っていますけれども、これが理由の根幹ですよ。そういう理由で公の施設である市民会館その他を市民に貸さない。そういうことからどういう事態が起こっているか。それをあなた方に御参考までに申し上げて、あなた方の見解も聞きたいと思います。  たとえば五月の三十一日、「公正で民主的な同和行政を求める区民の会」というのが同特法に基づく公正・民主的な同和行政はどうあるべきかということについてのフリートーキングを行う目的で代表者会議を開こうとした。そうして、門司の東公民館に会場の使用を申し込んだ。ところが、その場合に市当局がいろんな条件をつけた。どういう条件か。これは大臣、重要な問題ですからぜひ聞いておいていただきたいと思うんですよ。おおむね五つばかりの条件をつけている。これは北九州の門司中央公民館で公民館の係長の、これは馬という字に何郡、何郡という郡という字ですね、何と読まれる方か知りませんが、馬郡高一とでも仮に読んでおきますけれども、その方に対して、なぜ会場を貸さないんだと、どういう条件があれば貸せるんだということを問い詰めた。ところが、市当局の方は、市の同和行政の基本方針と相入れないもの、またはそのおそれのあるものには会場は貸さないというのが市の基本方針ですということを繰り返し言っている。その上で、それじゃ貸せる条件はどうなんだということでいろいろ聞きましたら、まず第一に、この申請者の団体名、それから代表者の氏名、これを変更してほしい、それから使用目的から公正・民主とか同和行政の文言を削ってほしい、それから会議の目的については、同和行政について市がとっている基本方針と相入れないものにならない内容にしなければならない、これも使用の条件。それからこの公民館が、会議の目的に反する場合には使用中止を命ずることができること、主催者はこれに従うこと、これも会場使用の条件だと言う。そしてそれから必要に応じて職員が随時会場に立ち入ることを認めてもらいたい、こういうことも言っている。で、これは念書を入れてもらう場合には省いてもいいけれども、しかし公民館の職員が立ち入ることはあらかじめ御了承願いたい、こういうことなんです。普通の市民の同和問題を研究する会合、これに対して公民館の館員が、これが立ち入って、そうしていわば昔の治安維持法の警察官の臨検同然のことをやろうとする、場合によっては中止命令をするという。昔の治安維持法で言論、集会、表現の自由、これを徹底的に禁圧した、それと全く同じことをやろうとしている。しかも、会場使用の条件として、市の同和行政、これに反するようなことをやってもらっちゃ困るんだと、こういうことまではっきり言っている。一体こんなこと、いまの世の中で許されますか。私はとうてい許されるものじゃないと思う。これが市の同和行政の基本に反するおそれがあるかどうかということを理由として会場の使用許可、不許可を決めようとする態度から必然的に出てくる。そうでしょう。  先ほど私、言いましたよ。ある市で原子力発電所誘致、これが市の基本方針として決まっているとするね。ところが、その場合に、その市の方針に反対する集会、これには会場を貸さないんだと、市の公の施設を貸さないんだというようなことが許されるのか。もしそういうことが許されるとすれば、自治体の特定の政策、これを絶対化して、それに賛成すれば会場を貸してやる、賛成しなければ会場を貸してやらない、まさしく思想、信条の自由を奪う差別的な行為でしょう。結社の自由、表現の自由、これを侵す憲法違反の処置だと言わなきゃならぬと思いますね。  それから、もう一つ大臣御参考までに申し上げておきますけれども、この五月の二十四日、戸畑の地区労が子供映画会をやりたいということで会場の使用を申し込んだ。そうしたら事前にシナリオを持ってきなさいということを言われた。これは戦前の検閲制度ですよ。そういうことまでやって、そうして公の施設、これを市民に貸す貸さないということの判断をしろと、こんな市当局の判断があなた方適正なものだというふうに考えられるんですか。こんな措置はどうです。これは大臣から御答弁伺いたい。こんなやり方許されますか。
  290. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほど来何回も繰り返して御意見やまた御質問がございましたように、集会、結社の自由やまた表現の自由が憲法で保障されていますことは申すまでもないことでございます。かつまた地方自治法の二百四十四条を御引用になりましたけれども、正当の理由なくして公の施設を使いますことを許さないことは許すべからざることが明定されておることもこれまた事実でございます。ただ、私も今回のただいまの御質問やまた前回の決算委員会におきます沓脱委員の御質問を通じまして初めて北九州市の実情の何がしかを承知をいたすように相なったのでございますけれども、北九州市におきましては、従来からの過去の幾つかの事例等があったり、また現在置かれておる立場等から、公民館等の使用に関しまして管理上必要があります場合のカテゴリーに同和問題のことを入れておることもまたわかってまいったのでございます。が、しかし一般的に申しますと、先ほど局長が答弁をいたしましたように、できるだけ管理上必要があるという考え方を狭く解釈をし、狭く運用さるべきが当然のことであろうと思うのでございますけれども、ただ北九州市につきましては、一般的な言い方や一般的考え方では律し得ない何物かがあるのではないかというかような感じを強く持っておるのでございます。  ただ、いま具体的に二つの例のお示しがございました。五月三十一日の区民の会の代表者会議の門司中央公民館におきます貸します場合の五つの条件をお示しになったり、あるいはまた五月二十四日の戸畑地区労の事前にシナリオを求めた、かようなことでございましたけれども、私は、一般的に申しますならば、かようなことが果たして管理上必要があるという考え方の中に入るかどうかと、かような疑念を持ちますのが率直な気持ちでございますけれども、しかし、これもまた北九州市の置かれておりまする特殊な立場であろうかと、かような判断をいたしたようなことでございます。
  291. 渡辺武

    渡辺武君 疑念を持つと言われましたけどね、それはそのとおりなんです。疑念持たなきゃおかしいですよ、実際のところ。そういうことをやっているだけじゃないんです。  もう一つ申し上げますけどね。たとえばいま申し上げた会場使用の場合の例なんですけれども、会場使用許可の申請書を書いて提出したんです。ところが、その申請書の備考欄に同和問題に関係がないという趣旨のことを書き入れなければ申請書を受け付けないと、こう言うのです。申請書を受け取ってその上でいろいろ行政上の判断をするというならこれはわかりますよ。しかし、もともと申請書を受け付けないというようなことで公の施設を借りようとする市民の権利というものは保障できるのか。私は問題があると思う。絶対にそんなことはやるべきでないと思う。しかも、問題は備考欄、大臣ここに現物がありますからちょっと見ていただきたいんですが、これが現物なんです。「使用承認申請書」ですね。申請者が書かなきゃならぬのはこの太い範囲ですね。この範囲です。この備考欄というのは申請者が書き入れなくても受け付けなきゃならぬのですね。これは後から鉛筆で、これもう向こうで受け付けないものですからこれを受け取って帰って後から鉛筆で書いたんだから、提出したときにこれ書いたものじゃないのですけれどもね。備考欄に同和と関係ないのだということを書かなきゃもともと受け付けない。こういうことで市民の一体権利が保障できるのか、それを伺いたい。
  292. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 公の施設でございますから、たてまえといたしましてだれでもが使えることが理想でございます。理想ではございましても、しかし北九州市におきましては過去からの経過あるいは現在置かれておりまする現状、かようなことから判断をいたしまして、ある場合には管理上支障があると、かように判断をいたします場合があるでございましょうから、さような場合に市民の使用の制限が生じてまいりますることは結果的にはやむを得ないことであって、そしてそのことは憲法や法律に抵触するものではないと、こう判断をいたします。
  293. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、一般論としてはよくないことなんだが、九州市にはいろいろ具体的な条件があるんでこういうことになったんだろうというような御趣旨の御答弁のように伺いましたが、一体、一般論として正しくないことが具体的には正しくなる北九州市のその具体的な条件というのはどういうことなのか、これ明確に言っていただきたい。これは重要問題です。ただ抽象的に歴史的な経過だとか等々言われたんじゃわからぬ。具体的に言ってほしい。
  294. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいままでにいろいろ御議論が出ておりましたように、同和問題についていろいろ論議が行われる、しかも北九州市がとっておりますところの同和の基本的な姿勢、そういったものについていろいろな論議が行われることを目的とする集会、そういったものについては庁舎管理上いろいろ問題があるということで使用を差しとめておるというふうに理解しております。
  295. 渡辺武

    渡辺武君 それじゃ具体的には何もわからぬじゃないですか、具体的にどういうことなのかと伺っておるのに。
  296. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 公の施設であるところのその会館その他の管理上支障があるということでございます。
  297. 渡辺武

    渡辺武君 だからね、その管理上支障があるというのは、先ほどあなたは、その管理規則というものは憲法、地方自治法の範囲内でこれは考えるべきだということをおっしゃったけれども、その憲法、地方自治法とは明確に反した会場使用についての措置をやっているわけですね。どういう具体的な条件があって、一般的にはまずいことが北九州市では具体的にはいいことになるのか、それを言ってほしい。北九州市の特別な事情と大臣も言われたけれども、どういう事情なんですか。抽象的に言われたんじゃわからぬ。また、答弁にもならぬですよ。
  298. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) まあ決して抽象的に申し上げておるつもりはないわけでございますけれども、ただいままでのずっとの論議を振り返ってみましても、また北九州市が言っておりますことも、北九州市がとっております同和行政の基本姿勢、それに対していろいろ批判し誹謗するといったようなことを目的とする集会、それが行われるということは、公の施設の管理上問題があるから貸さないということでございますので、私はある程度これは具体的であると思いますが、ただ、それが現実問題として管理上支障があるかどうかの認定というのは、やはりその現場にありますところの、そしてまたその会館等の管理の責任者であるところの市当局が判断するということでございます。
  299. 渡辺武

    渡辺武君 大臣、ちょっと伺いたいんです。そういう立場に立ちますと、先ほども私、例を挙げて言ったんですけれども、ある市で原発の誘致ということを基本方針としている。ところがそれに反対する団体がある。そうして集会をやりたいから市の公民館を貸してくれといって申し込んだ。ところが市としては原発誘致という市の基本方針に反するから、あるいは反するおそれがあるから、だから公民館は貸さないと、こういうふうにした場合に一体そういう措置というものは正しいものでしょうか。大臣、これお答えいただきたい。
  300. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 仮に、ただいま北九州市が持っておりますような条例や規則が、その市町村にあったと仮定をいたしますならば、そしてその中に管理上支障があります場合には使用禁止することができる、かような処置がとり得る道があると仮定をいたしますならば、個々のケースに基づきましてその営造物を設置し、もしくは管理しております者が果たして管理上支障があるかどうか、これを個々のケースについて判断をいたし、結論を下す。これが正しい方向であろうかと、かように考えます。
  301. 渡辺武

    渡辺武君 その管理上支障があるということの条件として、市のとっている原発誘致という基本方針に反するおそれがあれば管理上支障があるということなんだという方針が決められていた場合は、一体それは適法のものなのか、こういうことを伺っているんです。  この前沓脱議員の質問に対して大臣自身が思想なり、信条なり、あるいは宗教なりによりまして使用せしめるか否かを決めておると仮定をいたしますならば、それはまさに正当な理由とは言いがたい、ただいま私は判断いたしております。ということを答弁しておられる。私はまさにいまの原子力発電所誘致を決めたこの市ですね。この例からすれば、大臣のこの御見解に基づけば誘致反対だという信条、誘致反対だという思想、これに基づいて会場が借りることできないという措置になってしまう。私はこういうものは、これは正しくないんじゃないかというふうに思います。  なお重ねて申し上げますけれども、この五月二十八日の件なんですけれども、会場使用不許可になっている。福岡地裁に仮処分の申請をした。福岡地裁は使用承認の効力の停止という判決をいたしました。その判決の理由にこういうことがいわれている。「被申立人は会場を使用させない理由として、申立人」——「被申立人」というのは、これは市の方ですね。「申立人が市の同和行政にたいして中傷、ひぼうするので許されないというのが、本来行政批判などの政治的主張をなすことは、表現の自由として保障されていることであり、また、本件記録を精査しても、市行政にたいする事実無根の中傷、ひぼう行為がなされる恐れはない。」ということを明確にうたっております。つまり思想、信条、これによって会場を貸すか貸さないかということを決めるというのは、これは間違っているんだという根本の立場に立っておられる。いま私が挙げました原発誘致、これに関係しての問題点ですね。大臣どうお考えになりますか。
  302. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいまお答えをいたしたとおりでございまして、その営造物を設置し、管理をいたしております者が、その管理の上で支障があるかどうか。このことは個々のケースに従いまして判断をいたすべきものでありまして、そしてそのことが、その自治団体の決めておりまする基本方針に反することであって、そして反する立場の者が使用することによりまして、いろいろの問題があるといたしますならば、そのことは管理上支障がある。かようなカテゴリーに入るものと判断をいたします。
  303. 渡辺武

    渡辺武君 その、市の同和行政の基本という問題について、少し幾つか伺いたいと思うのです。  まず、いわゆる窓口一本化の問題ですね。これについて一般的に伺っておきたいと思うのですが、私どもがたびたび指摘してきましたように、同対審答申あるいは同特法、これを理由としたいわゆる窓口一本化といわれるような同和対策事業が、特定の団体によって独占管理されるとか、利権あさり、あるいは地区住民に対する行政上の不公正などが存在している事実がたくさんあります。この、いわゆる窓口一本化についての政府の見解を最初に伺いたいと思うのです。  政府昭和四十八年の次官通達で「同和対策事業の執行に当たっては、同和対策行政のめざす受益が対象地区住民に均しく及ぶことが必要であるので、行政の公平性と対象地区住民の信頼の確保についても、今後とも充分留意されるようお願いする。」というふうに述べておりまして、このいわゆる窓口一本化ということを戒めているというふうに考えます。で、同和対策協議会昭和四十六年の意見具申で同じような趣旨のことを述べておりますけれども、まず最初にこの点を確認しておきたいと思います。
  304. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 同和対策行政につきましても、もとより関係住民をひとしく対象といたしまして、公平に実施されるべきものであります。政府はそのような同和対策行政の執行につきましての基本方針を、いま渡辺議員御指摘の各省事務次官通達をもって地方公共団体に示しているところでありますが、その後におきましても、この趣旨が守られていないという御指摘があることはまことに遺憾でございます。この通達の趣旨につきましては、その後も機会をとらえまして徹底を図っているところでございますが、さらにその徹底を期し、今後公平な行政が行われるように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  305. 渡辺武

    渡辺武君 この政府の通達や同対協の意見ですね、これもいわゆる窓口一本化が不公正の一つ原因だと、こういうことは行うべきものじゃないんだというふうに述べていることは、これは明らかなことだというふうに思いますが。  自治省に伺います。昭和四十七年の通達で、いま述べましたいわゆる窓口一本化、これをやめて公正な行政の確保は地方団体でも留意することが必要だという趣旨のことを述べておられますが、この点を確認したいと思います。  また自治大臣に伺いたいんですが、いわゆる窓口一本化、つまり特定の団体が同和行政を独占管理する、そうしてそのことによって利権あさり等々これが起こっている、こういう事態についてどう考えるか、それを伺いたい。
  306. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 先ほど同対室長から御説明のございました四十八年の九省庁の「同和対策事業推進について」という共同通達の線に沿いまして、自治省といたしましても地方団体の同和行政を推進しているところでございます。すなわち「同和対策行政のめざす受益が対象地区住民に均しく及ぶことが必要であるので、行政の公平性と対象地区住民の信頼の確保についても、今後とも充分留意されるようお願いする。」としておるわけでございます。ただ、こういったことを実現するためにはどういった方策を具体的にとるのか、どういった具体的な同和行政を推進するのかという点につきましては、それぞれの地方団体いろいろな態様があると思いますので、この通達の趣旨に沿いまして、それぞれの地方団体が一番地域住民のすべてに受益が及ぶように、どうすれば地域住民のすべてに受益が及ぶようになるのかということを判断して同和行政を進めてほしいという考え方でおるわけでございます。
  307. 渡辺武

    渡辺武君 大臣、いわゆる窓口一本化ということについて。
  308. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) いま総理府やまた行政局長から御説明を申し上げたとおりでございまして、昭和四十八年五月十七日の九事務次官の通達の中に明確に方針を示しておるのでございまして、行政は公正公平でなければならぬこと申すまでもございませんし、まして同和行政につきましては格別この点に配意をして行政をやっていかなければならぬ、このことをこの通達で示したのでございます。が、しかし、この通達の精神を生かしてまいりまして、具体的に地方団体が行政福をやってまいりますにはいろいろ工夫やまた対応の仕方があろうかと思うのでございますから、ですから窓口一本化か否かのことは議論の外といたしまして、あまねくその地域の皆さん方にその利益が均てんする、かような行政でなければならぬ、かように考えます。
  309. 渡辺武

    渡辺武君 若干いままでの裁判の判決などについても一言申し上げておきたいんですが、福岡市で住宅改修資金の問題が起こりました。福岡高裁の判決では、部落解放同盟福岡市協議会のことですが、解同市協の認印がないことを事由に市が申し込みを握りつぶしているのは違法だという判決をやっております。これは住民が、これが住宅改修資金、これの貸与を申し入れた。ところが、その貸与について福岡市の部落解放同盟の協議会が認印を、判こを押してくれなかった、そのために福岡市がその申請を握りつぶしていた。そのことについての判決ですけれども、これは違法だということをやっております。これは一つの例ですけれども、すでに福岡市ではこの仮処分を含めて三十件近い判決決定、これが行われている。いずれも窓口一本化ということについての判断を示しているわけです。  福山市の例を申しますと、窓口一本化の裁判で広島地裁、これが一九七七年七月二十九日の判決で、窓口一本化は部落解放運動に対する考え方、所属団体の違い、いわば心情において差別を持ち込む不合理な制度と認めざるを得ないというふうにしております。このことをはっきり申し上げて北九州市の同和行政の基本方針、これについて伺いたいと思うんです。  資料は恐らくお手元にあるだろうと思います。「同和行政推進に関する北九州市の基本的な考え方について」という文書が北九州市と北九州市教育委員会の連名で出されております。先ほど来私問題にしております市の同和行政の基本に反するから会場を貸さないということで不法、不当なことが行われておりますけれども、その市の同和行政の基本というのはまさにここに盛られているんです。  そこで、ごらんいただければおわかりと思いますけれども、まん中辺から後「同和対策事業実施にあたっての市の基本方針」というところに次のように述べられております。「同和対策事業実施にあたっては、「同和対策審議会答申」にのべられているように、「地区住民の自発的意思に基づく自主的運動と緊密な調和を保つ」という精神と過去からの経緯をふまえて、地区住民の多数で組織されている歴史と伝統をうけつぐ関係団体と協議をして事業を総合的に実施し、地区住民の自覚をうながし、」云々ということが「市の基本方針としてきています。」というふうに述べております。そしてその次に「このことは、市が同和対策事業を実施するにあたって、地区住民の要望を整理・集約して行政水準と行政効果をあげるためには、地区住民の多数を組織し、地区の実態をいちばんよく把握し、総括している関係団体と協議していく必要があるからであります。」、こういうことをうたっている。  北九州市で多数を組織している関係団体、たとえば部落解放同盟の北九州地協ということになりますし、また具体的に北九州市が、これがここでは「協議」ということになっています。——協議のもとでやっているようですが、同和行政のいわば独占的な管理を許している団体もこの団体です。  ところが、その反面で一番最後にこういうことが書かれている。「なお、本市において昨年十二月二十一日に「部落解放同盟正常化小倉地区協議会」という団体が結成され、市に対して四項目の要求にもとづく交渉の申し入れがありましたが、この内容はもとより、この団体の考え方は、いずれも市の同和行政の基本方針と意見を全く異にするものでありますので、同和行政推進にあたり協議をしていく考えのないことを明らかにしておきます。」、こういっている。一方の団体には市の同和行政と基本的に基本方針と意見が違うんだ、だからこの団体とは協議しないということで、一方の団体が持っているいわば思想なり信条なり、これを理由としてこの団体とは協議しない、こういうことをいっている、そうしておいて他方では多数の団体、これとは協議するんだ、こういうことをいってその団体に同和行政の独占的な管理を許している。私は、これは先ほど自治大臣も確認された自治省の通達その他に照らしてみて大きな問題があるというふうに思いますけれども、その点はどうでしょう。
  310. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 先ほども申し上げましたように、政府といたしましては、先ほどの九省庁の事務次官による連名通達の線に沿いまして、同和行政の受益が地域住民にあまねく及ぶようにというような趣旨でやっているわけでございますが、その具体的な同和行政の展開につきましては、どのように行えばそういう効果を期待できるかということにつきましては、すべて地方団体が自主性を持ってこれを実行するということでございまして、北九州市はその置かれておる状況からいたしましてこういった基本方針をとっておるというふうに理解しております。
  311. 渡辺武

    渡辺武君 同対審の答申に「地区住民の自発的意志に基づく自主的運動と緊密な調和を保ち」ということが書かれておりますが、その意味はどういう意味でしょうか。
  312. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 渡辺議員いま同対審の答申の一部をお読みになりましたけれども、これは文字どおりここに書かれているとおりでございまして、その「自発的意志に基づく自主的運動」、同和対策を進めるに当たってはそういった運動との緊密な連絡、調和が必要であろうということで、特別にコメントをつけ加えませんでも御理解いただけるんではないかというふうに思いますが。
  313. 渡辺武

    渡辺武君 同特法を施行したときの通達、これに次のような言葉が書かれているんですね。「貴管下市町村、諸団体等に対する適切な指導を行ない、」この後が重要だと思うんですが、「関係者すべての密接な協力関係に基づいて本法が円滑に実施されるよう格段の配慮を願いたい。」、これはこの法律施行に当たっての行政のあり方の基本を示したもんだというふうに考えますが、先ほど私申し上げました公正な行政ということについての通達や同対協の意見具申、それからこの通達、いま述べました通達ですね、こういうものに照らしてみて、先ほど私指摘しました北九州市の同和対策事業実施に当たっての基本方針というのは、これは正しいものかどうか、この点どうでしょうか。
  314. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま御指摘になりました同対審の答申あるいは九省連名通達、そういった線に沿いまして同和行政を北九州市において円滑に遂行していくにはどうしたらいいかということで北九州市はこういうような方針を立ててそれを実行しておるものだと理解しております。
  315. 渡辺武

    渡辺武君 大臣、伺いたいんですがね、つまり「関係者すべての密接な協力関係に基づいて」というふうに明確に通達はうたっているわけですね。ところが、北九州市の方はこれはいろいろ言われてますよ、歴史的云々というようなことを言っておりますがね、言ってみれば特定の団体です。「地区住民の多数で組織されている歴史と伝統をうけつぐ関係団体」というふうにその団体を特定しているわけですね。そうしておいて、同じこの部落の人たちが組織している他方の団体、これについては市の同和対策事業の基本とは意見が異にするんだと、だからこういう団体とは協議していかないんだと、つまり協力関係を持たないんだということを言っている。これは明らかに差別じゃないでしょうか。特定の団体とたけは協議するが、こっちの団体はわれわれと方針が違うんだから、だからやらないんだと、協議しないんだと。これは差別じゃないでしょうか。したがって、またこの通達に言われる「関係者すべての密接な協力関係」ということとは反していることになるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  316. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほど来何回も申しておりますように、同和対策事業の遂行に当たりましては、その受益が対象地域住民皆さん方にひとしく及ぶことが必要である。かような基本の考え方のもとにこの通達が出ておるのでございまして、具体的に北九州市がどのような基本方針を持っておりますかは、いま私は資料もございませんで明確ではございませんが、この考え方の趣旨に基づいて同和行政が展開されておるものと、かように信じております。
  317. 渡辺武

    渡辺武君 私、そういうことにはなっていないということを指摘しているんですよ。そうでしょう。多数を占めている団体と言っても、この団体に入ってない未解放部落の人たちもいるんです。また別な団体に入っている人たちもいるんです。ところが、そのうちの特定団体とだけ協議する、そうしてこの特定団体に同和行政を事実上独占管理さしている。そういう事態が一方であるわけですね。これは先ほど来私が前提条件として伺った自治省の通達にも、あるいは同対協その値の関係文書、この基本原則とも離れているんじゃないか、こういうことを伺っているんです。総理府の方どうですか、その点について。
  318. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 一般論のような形でお答えするわけでございますが、同和対策行政、まあ地方の行政、国の行政を含めましてこれらの行政に対する意見や批判は当然おありになろうと思います。またその中には拝聴に値する意見も当然あることというふうに思いますし、そういう意見については謙虚に聞くべきではないかというふうに私は思います。
  319. 渡辺武

    渡辺武君 ですから、基本方針の最後の方に、「市の同和行政の基本方針と意見を全く異にする」から、だから協議しないんだということは正しくないんでしょう、どうですか。
  320. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 北九州市の意向につきましては、私本件について直接話を聞いておりませんので、北九州市の例を素材にいたしまして申し上げているわけではございませんが、先ほども一般的にと申し上げましたように、同和対策行政につきましてもこれに対する批判はむしろ聞くべきではないかという考えを持っているということでございます。
  321. 渡辺武

    渡辺武君 昭和四十六年の同和対策協議会ですね。これの意見具申を見てみますと、こういうことが書いてあるんですね、「関係団体に依存しすぎること等により行政の公平と地区住民の信頼が失われることのないよう配慮する必要がある。」と、こう述べているんです。北九州市が、これがその地域の多数を占める団体とだけ協議をする、そうしてその団体にだけ同和行政の管理をゆだねている、こういうことになりますと、一体利益の均てんというようなことに支障が出てくる。そうして住民の信頼が失われるということが当然出てくるのじゃないかというふうに思いますが、この多数を占めている、あるいは「歴史と伝統をうけつぐ」とかいろいろ言ってますがね、いずれにしても特定の団体ですよ、これに依存し過ぎている、こういうやり方は正しいでしょうか。これも総理府の方に伺いたいと思います。
  322. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 少なくとも実質的な意味におきまして同和対策の効果がひとしく地区住民に及ばないような現象が生じているとすれば、そのことには検討すべき問題があるというふうには考えます。
  323. 渡辺武

    渡辺武君 大臣、申し上げたいんですが、こういう北九州市の同和対策についての基本的な考え方、これに基づいてどんな事態が起こっているのか、これははっきり見ていただきたいと思いますね。まさにこうした間違った問題があると言われた基本的な考え方、これを踏み絵にして、これを批判する場合には市の公共施設、これを貸さないんだと、こう言っているんですよ。それがつまり会場使用に当たってその他管理上支障がある、こういう項目にしっかりと組み込まれている。先ほども申しましたけれども、私ども共産党は、まさにそうした特定団体と癒着をして特定団体に同和行政の独占的な管理を許して、彼らの逆差別、自分たちの団体に入っていない人たちに対しては同和対策事業の利益を与えないという不当なことをやっている。それについて徹底的に批判をしてその是正を求めるために努力している。ところが、まさにそういう誤まった市の同和行政の基本、これに反するからという理由で会場は貸さないと、こう言っている。どれほど北九州市のやり方が間違っているかということは明らかじゃないでしょうか。それだけじゃありません。まさに日本共産党が、あるいは日本共産党でなくてもいいんです、市の同和対策事業間違っているからと、これを改めようという団体がある、そういう団体が集会を開こうとすれば、そういう思想を持ち信条を持っている、けしからぬということで公の施設を貸そうとしないんです。まさにこれは地方行政の利益、これは同和対策事業に限りませんけれども、ひとしく地域住民に均てんしなければならないはずのところを全く阻害していると言わざるを得ないんです。そんな事態がいま行われているんですよ。あなた方はいろいろ理屈をつけて、いま北九州市で行われているやり方、それなりの理屈があるだろうと、それはそれで正しいんだというばかなことを言っている。率直に言いますよ、憲法、地方自治法に違反していることを平然とやっていて、行政当局がそれについての是正を求めることもできないというようなことで、どうして憲法、地方自治法、これを守らせることができますか、地方自治体に。とんでもないことですよ。  いま私、ここに一つの事件が起こっておりますのでそのことについて申し上げますけれども、これは北九州市の小倉で起こった事件です。ある家庭の子供さんが道のすぐ前にある同和保育所に入所していた。ところが、その子供さんのお父さんが、これが部落解放同盟、あそこでは上杉というのが一応の責任者になっていますが、こういう一部の連中が狭山事件反対のために小学生、中学生、これを同盟休校をやらせようとした、お父さんはそれに反対だという意見を述べた、ところがそういう反対だということを言ったからといって部落解放同盟から除名されたんです。それで、保育所の入所というのは一定の期間が来ますと更新します。その更新の時期が来た、入所の申請をしようと思った、ところが部落解放同盟が判こ押してくれない。そこで市当局は、そのことを理由としてこの同和保育所に入れない、ほかの保育所へ行きなさい、こういう行政処分をした。いまこれは裁判で争われております。だから、その事の当否をいまここで大臣に伺おうとはしませんけれども一、一体こういう処置を受けた家族、また、この当の小さな子供さんですね、どんな思いをしているか、これを大臣聞いていただきたい。まさに北九州市の同和行政が部落解放同盟、この特定の団体に独占的に管理されているということから起こっている問題なんです。この一年間保育所に行けなかったときの子供の状態、これをお母さんやお父さんが語っているんです。どうしてみさちゃんだけ保育所へ行けないの、どうして、どうしてと言って保育所に行きたいと言って泣き出された。いままでの友だちと切り離され、さびしそうにしていた、表に出ると、友だちと顔を合わせるので玄関にかぎをかけて外に出ないでうちに閉じこもるようにしていた、こう言うんです。それから遊戯やお歌の時間には戸を閉めていてもうちの中までよく聞こえてくる、そんなとき保育所に行きたがって悲しそうな顔をしていた。どうして保育所へ行けないの、どうして、どうしてと言われるので、お母さんやお父さんはみさちゃんの名札がなくなったので行けなくなったのよ、こう言っている。ところが、なぜみさちゃんの名札をなくしたのとお母さんに聞くというふうな状態です。ラジオ体操の音楽が流れてきたときにはうちの中で一緒にラジオ体操をよくした。保育所が静かになると、うちの節穴から道一つ隔てた保育所の方をしょっちゅうこうやってながめる。お母さんがその節穴のところから子供を連れてきても、子供はまた節穴のところに行ってのぞく、こんなことがるる述べられている。部落解放同盟の判こがなければ、同和保育所にも入れてもらえない。子供にはそんなことはわからないですよ。全く残酷なことをするもんだと思う。北九州市のこの同和事業についての基本方針なるものが根本から間違っている、根本から間違っているからこんな悲惨なことまで起こってきている。先ほど私が申しました集会に公民館の職員が臨検をする、場合によっては中止を命ずる、子供の映画に対しても事前検閲をやる、そんなこともこうした誤まった市の基本方針なるものを押し通す、それに対する批判を一切封じ込めよう、その目的でなされているんですよ。会場を使わせないということもそういうことです。まさに基本方針が間違っている。その間違っている基本方針を押し通そうがために憲法も踏みにじる、地方自治法も踏みにじる、こういうことが行われている。大臣、こんなことは私は当然国の責務としてもその是正の措置を求めなきゃならぬと思いますが、どうですか。
  324. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 各地方団体におきましてはその団体固有のいろいろな理由があろうことは想像にかたくないのでありますけれども、しかし、根本の考え方といたしましては、先ほど来九事務次官通達を引用いたしまして、政府の考え方を申し述べているとおりでございまして、同和事業推進に当たりましては地域住民皆さん方がその利益を均てんして受益ができますような、そういう基本の運営を期待しているところであります。
  325. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時四十九分散会      —————・—————