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1978-05-11 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君                 神谷信之助君     委 員                 衛藤征士郎君                 金丸 三郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 野口 忠夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 向井 長年君                 前島英三郎君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    政府委員        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁交通局長  杉原  正君        公安調査庁次長  鎌田 好夫君        運輸省自動車局        業務部長     梶原  清君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    鈴木 良一君        警察庁交通局交        通指導課長    広谷 干城君        警察庁交通局交        通規制課長    福島 静雄君        警察庁交通局運        転免許課長    三上 和幸君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        文部省体育局学        校保健課長    遠藤  丞君        通商産業省生活        産業局窯業建材        課長       大高 英男君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部業        務課長      吉末 幹昌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔理事夏目忠雄委員長席に着く〕
  2. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  まず、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案について、運輸委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろと九日の本委員会並びにきのうの連合審査でも詳しくやりとりがありましたので、私はそれを少しまとめる意味で若干お伺いをいたします。  四十六年以来の大改正だと言われておるわけでありまして、この提案理由を読んでまいりますと、最近における道路交通実情というものにかんがみてこのたびの改正が試みられておるようでありますが、最近における道路交通実情、言いかえれば、四十六年以来の変化で現行法では賄い切れない、対応し切れない実情というものがその前段にはあることになるわけでありまして、それをひとづかいつまんで御報告いただけますか。できれば、もし主要な交通指標などがあれば、それらも引き合いに出して説明をしていただくとありがたいし、そのついでに、私は外国のことにちっとも詳しくないんでありますが、諸外国、たとえばアメリカとか西ドイツとか、そういうところと比べて日本交通事情というのはどんな位置づけにあるものか、その辺もあわせて説明をいただければと、こう思います。
  7. 杉原正

    政府委員杉原正君) お答えをいたします。若干指標その他を申し上げますのでお時間をちょうだいすることになると思いますが、簡単に御説明をしたいと思います。  四十六年以降、わが国の交通事故というものが車の絶対数、ドライバーがふえるという状況の中で絶対数そのものが減ってくるという傾向になってきたわけでございますが、この四十六年から昨年までの主な交通指標につきましてまず御説明をしたいと思います。  自動車台数、いま昨年の末で約三千三百万台でございますが、昭和四十六年を一〇〇にいたしますと一五七。それから免許人口が約三千七百万になっておりますが、これが昭和四十六年を一〇〇にいたしますと一三二。それから交通取り締まり件数約千二百万でございますが、これを昭和四十六年を一〇〇にいたしますと一八六。信号機の数、これが約七万九千交差点ということでございますが、これが四十六年を一〇〇にいたしますと二六九。それから高速道路延長、これが四十六年を一〇〇にいたしますと五十二年が三〇九、約三倍ちょっと。それに対しまして交通事故、これは典型的な死者について申し上げますと、昨年は八千九百四十五人の方が亡くなられたわけでございますが、昭和四十六年を一〇〇にいたしますと指数で五五ということになっているわけでございます。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 五五は死亡者だけですか。
  9. 杉原正

    政府委員杉原正君) 死者だけでございます。  それから諸外国との対比日本道路交通交通安全という見地からどのように位置づけがされているか、どのような位置にあるか、こういうことでございますが、余り国際比較について適当なものはございませんが、実は若干遅くなりますが一九七五年、これは非常に国際的に権威のあると言われておりますベルギーの交通安全研究財団先進諸国の二十二カ国、英、米、仏、ドイツ、イタリー、全部入っておりますが、これの交通事故死者数につきまして所要換算を行って、全世界共通して同じ死者取り扱いにもう一遍換算をして、人口当たりどうなっているかというふうなのを見たものがございます。これは日本では二十四時間の死亡事故でございまして、二十四時間経過して亡くなった方は死亡事故に入っておりません。それを世界全部のものを事故が発生してから三十日以内に交通事故で亡くなった人に全部換算をいたしますと、日本の場合には約三割ふえるわけでございます。ということで計算がされておりますが、それによりますと人口百万人当たり死者数でイギリスが百十七人、次いで少ないのが日本でございまして、人口百万人当たり百二十七人の人が亡くなったという、この二十二カ国の欧米その他、欧米先進国の中でそういうぐあいに位置づけがされておるわけでございます。  これは一九七五年の統計でございますが、実は日本の場合に去年もおととしもかなり大幅に減りましたので、昨年あたりのデータを基礎にして考えますと、またこれ正確でございませんが、ことによりますと、人口当たり死者数はロンドンをあるいは超えて低い国になったかもしれないというふうに思います。これは若干自画自賛でございますが、近日中にフランスの交通安全省庁間委員会総務委員長クリスチャン・ゼロンドさんという方が近く来られるようでございますが、来られる目的というのは、日本交通安全対策ということでございますが、訪問目的日本交通安全対策が諸外国比較して非常に進んでいるんで、どういうことになっているんだということを視察に行きたいんだという通知をおととい受けておりまして、そういうふうなことでかなり進んでいると思いますが、諸外国のいろんな取り締まり罰則の適用あるいは統計、そういったものがなかなか国間で事情が違ったり、それから警察官のほかに軍隊のようなところで交通違反取り扱いをやったりしているというようなことで、なかなか正確な諸外国との比較ができませんが、あるところの段階まで来ているだろう。  それで、今度の法改正のねらいでございますが、関係機関あるいは国民各層の御協力によりまして、こうやって事故が年々減ってきておりますが、私ども現場的な実感から申しますと、車とドライバーというのがどんどんどんどんふえていく中で、絶対数をこれ以上減らしていくというのは年々非常に大きな壁にぶち当たっているという実感でございます。どういうところにそういう点があるかということの一つは、やはり事故の中で歩行者自転車乗り事故が非常に減りなずんできたというふうな、ことしに入ってからなどは非常に去年対比で減り方が少なくなってきているという状況でございます。特に自転車というものの台数がどんどんふえていくのに対応して事故が減っていかないという問題が出てきている。それから例の高速道路、いわゆる先ほど申しましたように四十六年に比べて約三倍に延長が延びておりますが、この高速道路は一般の道路に比べて交差道路がありませんから、一般的には安全な道路であるわけでございますが、一たん発生をいたしますと、これはスピードが出ておりますだけに非常な重大事故に直結するという危険があちこちで出てきておる。しかも単に走っている車同士がぶつかるというだけでなくて、故障車両にぶつかるというふうなケースがハイウエーで非常に目立ってくるようになりました。また故障車両のために大変多くの人がいわゆる逃げ場がありませんので、高速道路の上で立ち往生されるというふうなケースが非常に目立ってきている。  それからもう一つありますのは、最近経済成長の中で貨客輸送の中の貨物の分野をトラックが受け持つ量が非常に多くなってきました。いわゆる貨物輸送の中のトラック輸送の占める割合が非常に高くなってくる。それに関連をいたしまして、特に過積み等の問題がかなり大きくなってきている。それからその他いろんな点のスピード違反とか、あるいは過労運転というふうなものが非常に目立っておりますが、現場処理をいたしておりますと、ドライバーが悪いというよりも、むしろドライバーにそういう走らせ方をしなきゃならないような雇用条件使用条件というふうなものが事件の背後にその事件捜査の過秘でうかがえる、これを何とかしなきゃならぬというふうな問題、それから従来道路交通の中でいろいろ処理をしておりますと、運転の上手下手という問題のほかに、自分の使っている車を車検を受けないで運転をしている。車検を受けないということは、したがって強制保険を受けてないということでございますが、強制保険にも入らないで車を運転している、あるいは車を買っても、まじめな人は庭をつぶしてでも保管場所をつくるんですけれども、若干ずぼらな人というのは適当な保管場所を最初確保したということにしておいて、あと解約をして道に放置をしているというふうなドライバーがかなりふえておるようでございます。これはドライバーが本当にドライバーとして適当であるかということになれば、やはりこの問題というのは考えざるを得ないのではなかろうか、これは被害者救済という問題を考えても当然のことではなかろうかというふうなこと等々の現状から、これの対策に本腰を入れないと、この厚い事故防止の壁が破り切れないという時代になるんではなかろうかということを痛感いたしまして、所要改正を盛り込んで御審議をいただくことにしたということでございます。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 いまいろんなお話を聞きましたが、いろいろと御説明のあったのを聞けば聞くほど、ただ単に道路交通法あるいは交通警察だけで事態の解決を図ることには相当の無理がある。もう少し広範な対策が要る。しかしその広範な対策のうち、外の方がなかなかおくれておるものだから、とりあえず警察だけでも前へ出ようか、そういう状況にもうかがえるわけであります。警察力あるいは交通警察だけで対応し切れない幅広い問題を抱えておるのに、警察力だけで対応しようとするから無理が出てくる。その無理が刑罰の威嚇によって行政目的を達しようという方向に走り出すと、これは大変困ったことになるわけです。今度の立法姿勢がよく人の意見を聞いたと、ところが警察というのは人の意見を聞かない代表的な役所なんでありますが、これがよく人の意見を聞いたという意味では、立法姿勢は評価されているんでありますが、また当初何でもかんでも罰が多いのに、わりあい指導という部面でのウエートが高まったと、こういう評価は一面であるんですが、それでもぽっと勘定してみますと、かれこれ二十近い罰則の新設になっているわけですね、十幾つかあるうち二十。ずいぶんふえたものだな。そこで日本というのはとんでもない事故が多いのかなと思ってさっき聞いてみたら、いや世界じゃ一番死者少ない方ですと、こういうことになってくると、何か罰則が率直に言って多過ぎるというような印象も受けるわけですが、その辺どうですか。
  11. 杉原正

    政府委員杉原正君) 私ども事故が、一昨年二十四時間統計での死者が一万人を割ったと、昨年は九千人を割ったという一応の成果は上がっていると思いますが、死者死者といいましても、先ほど申しましたように九千人を割ったといいましても、実際に交通事故で亡くなった人というのは、この三割ないしは三割五分は多いわけでございます。ということは一万人を超えた人が亡くなっているということ、しかもけがをされている方というのは年間で六十万人を超えるわけでございます。そういう実情を考えますと、やはり私どもは少し減ったからといってもう大丈夫だということにはやはりならないという感じで、御承知のように何をどうすればこれ以上減るかということに心血を注いできておるわけでございます。  今度のいろいろ罰則強化という御指摘もございますが、私どもこれは罰則を適用することにねらいがあるのでなくて、片方の被害者を、何とかしてこういう被害者が出ないようにするには一体どうすればいいのか、こういうことを守ってもらいたい、こういうことを守ってもらえばこの被害は起こらないのだ、あるいはこういう違反をしなくても済むようになるんだということでございまして、私どもが権限を強化をするがゆえに罰則をつけるということでなくて、何とかそれを守って事故を起こさないようにしてもらいたいのだという願いを込めたものでございますし、なかんずくこれは本質が過失犯、よほど酔っぱらい運転とか覚せい剤でも打ってこうやるという、今度罰則を非常に引き上げたいということを考えているもの以外は、自転車の問題にしましてもあるいは高速道路ガス欠みたいな問題にしましても、こういうことを起こしてもらわぬためにどうするか。それを法律にはこれ書けませんけれども、たとえばガス欠防止するためには一体高速道路に上がる前にスタンドとかあるいは料金所とか、どういうところに何をすればガス欠が起こらなくて済むのか、そういう行政的にやれるものにむしろわれわれ力を入れていくというのが本筋でございまして、どうしてもそれをやってもなおかつ行為を守ってもらえない人をやむを得ずやる、あるいは自転車等につきましては警察官現場注意をする、注意をしても聞かないでそのまま行くという人だけがその対象になるというふうな処理の仕方というふうなものを中心に考えて、いやしくも罰則をどんどんどんどん適用して取り締まりのための取り締まりをやって物事を処理していこうという考え方は、私どももあるとすれば基本的に是正をしてかかっていかなければならないというふうに考えております。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 私は交通違反をするのに甘い顔をせいという意味ではないのですが、しかし一面、人のモラル、人の社会の生き方というふうなものが絶えずお巡りさんによって取り締まり対象になって、それに監視をされて生きておるというような、そういうものは好ましくない。罰則がなくて秩序が守られるものならそれほどいいことはないという意味で、とかく最近は何とか立法何とか立法ばやりの御時世を苦々しく思っておるわけでありまして、そういう意味で、わざわざ法律に書かなくても、最近などはたとえば年寄りがあるいは盲導犬が横断歩道を渡るのは別にもう法律で書かなくったってそういうのはちゃんと車はとまるという、そういうものであればいいわけでありまして、もうはしの上げおろしまで何も規範として法律上に書くことはないという意味で問題の指摘をしたわけでありますが、答弁は了承しました。  そこで、かつて車と人が対立をしておった時代には、車と人の力関係というのは違いますから、車は悪いやつだということで、そういう一種の世論みたいなものもありますから、それを背景にして、取り締まり、処罰というふうなものがぬきんでておってもそう奇異には当たらない。しかしみんな車を持つようになっちゃった。単に便利というのではなくて、生活権の保障の一道具にもなっておるという、そういう生存権の不可欠の部分というようなところまでなってまいりますと、かつてのようにただ取り締まればいいということにはならない。それを皆免許時代とか車社会とか言うのでありますが。  さて、そういう社会に突入をしたとなりますと、当然法そのものに新しい価値観が加えられなければならぬということになってくる。で、この道交法の第一条の「目的」、これはこのままでいいでしょうか、かつての時代につくられた道交法目的でありますが。もし新しい価値観が盛られる必要があるとするならば、道交法目的そのものにも何かほかのものが加わるという可能性も存在をするわけでありまして、その辺の検討はいかがですか。
  13. 杉原正

    政府委員杉原正君) 基本的にはい京の道路交通法目的は、安全とそれから円滑の問題、それから例の交通公害等を含めまして障害の除去、こういう点、それぞれの時代に対応して目的改正になってきておりますが、今回のいろんなものを盛り込んでおりますのは、大体この目的の中で全部処理ができる、この目的をより完全な姿で達成するために盛り込んだ所要改正規定であるというふうに考えております。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 道交法では「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路交通に起因する障害防止に資する」、こうなっておるのですが、「その他」というのはこれ何ですか。それから「及び」というのはどれにかかるのですか。
  15. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) 道交法目的読み方でございますけれども、「道路における危険を防止し、」といいますのは、この「その他交通の安全」という言葉の例示の規定でございます。したがいまして、「交通の安全」というものに「道路における危険を防止」するという概念は入ってくる。むしろ「交通の安全」という概念が広うございまして、その中に具体的な形として「道路における危険を防止」という言葉が入る読み方だというふうに理解いたしております。  それから、「及び」と申しますのは、これは道交法目的の中に三つあるということをあらわしておりまして、結局交通の「安全」という問題とそれから交通の「円滑」という問題とさらに「道路交通に起因する障害防止に資すること」、この三つが道交法目的である、こういう意味でございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 なるほど。この「及び」というのは、「安全」「円滑」及び「障害防止」と、こういうふうに読むのですか、これは。
  17. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) そのとおりでございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 「危険を防止し」というのと「防止に資する」というのはこれはどこがどう迷うのですか。
  19. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) 「危険を防止し」というのは、直接にそういうふうな形で防止するという意味でございますが、「資する」という意味は、そういうものに貢献をしていくということで、一段弱い作用を言うものというふうに理解をいたしております。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 なるほど。「資する」の方が弱いわけですね。たとえば、今度の共同危険行為防止のように、ちょっといままでなかった新しい概念というようなものが入ってきますよね。それは危険防止と言えば危険防止ですが、危険防止ということになれば、たとえば道路構造なら構造のようなものをどうするかこうするかも「資する」方だか「防止し」の方だか、というようなことになると、この法律にいろいろと幅広く盛り込めることになるわけですか、この第一条だけで。
  21. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) 確かに、「道路における危険を防止」ということでございまして、この道交法目的は、いわゆる学問上で言います公物警察権根拠法規であるということでございまして、そういうふうな限りにおきましては、盛り込めていけるというふうに考えておるわけでございます。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしてもこの場合、道交法の第一条で言います道路の「危険を防止」あるいは「安全と円滑」、この場合人と物といいますかな、人と物があるわけですが、この「安全」というのはどっちにかかるのですか、仮に人と車といった場合に、車にかかるのですか、人間にかかるのですか、優劣があるのですか、これは。
  23. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) 人の場合もございますし物の場合も当然あろう、あり得る。そういうことによりまして交通の安全色確保するということであれば両方の場合が入る、含まれてくるというふうに解釈をいたしております。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、道交法自身非常に古い時代のもので、あんまりそんなに車が今日ほど出ていない時代法律目的ですから、私は人と物というふうなものが仮に対立する状態であるという場合には車から人を守る、物から人を守るといいますかね、そういう重みが第一条に、資金なら安全にもかかっておるのかなというふうにも思って聞いたわけですが、それはそうでないですね。
  25. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) この場合の「交通の労金」は、やはり車の場合あるいは人の場合、そういうものも含めて考えるわけでございまして、いろいろなケースによりましては両方調和さして考えていく、もちろん事柄によりましては優劣、それぞれの場合の優先といいますか、そういう問題はあろうかと思いますけれども、そういうものを含めて交通の安全ということを考えていくという趣旨でございまして、交通の「安全」という言葉交通の「円滑」というものは、ある意味では相矛盾する概念の場合もあるわけでございますけれども、これは両方調和さして持っていくという思想であろうという形で運用をいたしておるわけでございます。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  そこで、文部省おいででしたね。いまもちょっとやりとりしたのをお聞きいただいたと思うんでありますが、まあかつて車と人が対立をしていた時代には車は悪いもんです、おっかないもんですと言うておってそれでも済んだわけでありますが、皆免許時代、あるいは車社会、昔の徴兵検査じゃありませんが、一定の年になるとみんな車を持つと。人間の暮らしにはもう欠くことができない。車の悪口を言うてる者も自分が持つと、こういうことになってくるわけでありますが、そうなってまいりますと、この車あるいは車のある社会というようなものを人間人格形成の中にも取り込んでいく、教育の中にも取り込んでいくというようなこと。ただ単に車のメカニズムという、そういうもんじゃなくて、車を扱う人の自覚や、古くさい言葉で言えば道徳ということですね、そういうものも含めて車というものを扱っていかなければならぬのではないだろうかというふうに考えて、これをひとつ、たとえば教育の課程の中に私がいま述べているようなものを取り込んでいく必要があるんじゃないだろうか。事の順序として、いま車についてはどんな形で教育の中に入り込んでおるのか。それからいま私の提起しておる問題についての見解を伺いたいと、こう思います。
  27. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 御指摘のように、交通安全教育といいます中には、一つには、もちろん交通に関する規則を教えるということがございます。そしてそういうことに基づきまして日常生活の安全に必要な事柄をまず知的に理解させるということが一つ。  その次に、それが実践できるようにということで、安全に行動できる能力や態度を育てる、あるいは習慣を育てるということをまあ目標にしてやっておるわけでございます。幼稚園におきましては健康という領域あるいは社会といったような領域を主としてそういった時間に当てておりますし、小学校におきましては、教科としては体育の時間、中学校においては保健体育の時間、そしてそのほかに学級指導でありますとか学校行事ということで、自転車の安全な乗り方といったようなことを、場合によっては警察官の方に講師として来ていただいて教えていただくというようなこともやっております。そしてまず小学校低学年のころは歩行者、それから自転車に乗るということで、そろそろドライバーとしての心構えに近いものも大変重要になっておりますし、特に高等学校におきましては最近非常にオートバイ、自動二輪車の利用者がふえてまいっておりますので、まさにドライバーとしての教育、これももう知的な規則であるとか、運転技術といったようなものはむしろ生徒の方が非常によく熟知をしておりますし、もちろん免許の制度でございますから熟知をしておるわけでございますから、むしろ心構えと申しましょうか、先生御指摘の道徳という言葉にも当たろうかと思いますが、そういった問題。これがまた一つ間違いますと暴走族といった方に入っていくわけでございますので、むしろそういった心理的な面、自己抑制ということの重要性といいますか、それを身につけさせるということに大変苦心をしておるわけでございますが、なかなか十分な成果が上がっていないで、高等学校の課程におきましては特にどうすればそれが実践できるようになるかということに腐心をいたしておるところでございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 それで、手を挙げて渡りましょうとか、まあ小中あたりはもっぱら被害者にならないように教えておるわけですな。だんだん年とると加害者にならぬようにしましょうというあたりは、やっぱりまだ薄いんじゃないんでしょうか。扱い、全体に占めるあれが、その辺の点どうですか。
  29. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 御指摘のとおりでございますが、まあ若者がスピード感につかれると申しますか、スリルを求めると申しますか、そういったいわば本能的な動きといいますか、心情がございますので、それがいけないということはもう口を酸っぱくして教えているわけでございますけれども、一方そういった本能的な欲望というものがございますので、これを実践させるというか、皆無にするということの方法について、教育の方法というものについては、いろいろな試みを各地で各学校でやっていただいておるわけですけれども、まだこれという決め手といったところまでまいっておりませんで、ここ数年来毎年研究協議会を重ねておるわけでございますが、その中でまだ模索の過程であるというふうに思っております。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 これは皆さんの方でもうすでに気がついておられて検討されているようですから多くは述べませんが、いまちょっと話にありました、私今度暴走族対策に入るわけですが、文部省、ついででありますから、私も、暴走族対策で今度いろいろと警察当局も苦心をしておるようでありますが、ただ抑えるだけで問題の解決にはならないという意味で、やっぱりああやって走るとかエネルギーの発散は若者の特権なわけでありますから、それをひねた大人が大事に抱え込むばかりじゃ何にもならないという意味では、一方でそういう、たとえば教育的な視点でそういうものを大いに発散をさせるといいますか、善導するといいますかね、そういう施策というふうなものがやっぱり用意されなければならぬのじゃないかと思っているんでありますが、その文部省の方の側から見て、この今度の暴走族対策について、この法の対策について何か所見がありますか。
  31. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 今回の法案の内容につきまして、特に文部省として申し上げるほどの所見はございません。ただ、自動二輪車の利用について、特に高校生の利用について、これにどういうふうに学校として対応していくかということについては、ある地域、ある学校ではこれを全面的に危険であるということで禁止をしようという学校もございますし、特別な遠距離の通学の者に限って許可制でこれを利用させるという方法もございます。そういう方法をとっている学校もございますし、ある学校ではまた将来よきドライバーになるために禁止をしないで、むしろ積極的に善導するための教育をするというような措置をとっている学校もございますが、そのような学校でも一たん大きな事故が起きますと、社会的な批判もございまして一時的には禁止の態度をとるとかいうことの繰り返しといいますか、いろいろな場面場面に対応したやり方をしておるわけでございまして、もうしばらくはっきりした——これが一番すぐれたといいますか、適した教育方法であるというところまでまだいっておりませんけれども、大きな流れとしては、皆免許時代にもう入っておるわけでございますから、一時的には禁止の措置をとるにいたしましても、やはりよきドライバーとしての素地をつくっていくという方向に行くべきであろうという方向で、そのためのやり方を模索をしておるという状況でございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 いわゆる皆免許時代、あるいは車社会と言われる新しい価値観をつけ加えなければならない時代に入ったわけでありますから、ひとつ教育、文部省の視点でもひとつよく研究をしてしっかりやってもらいたい。  それから暴走族対策等に関連をして言えば、文部省あたりがたとえば積極的なそういう施設の整備とでもいいますかね、そういうものについてもこれは大胆に必要な施策を打ち出したらいいのじゃないか、予算要求をしたらいいのじゃないか、そういうものといわゆる警察当局の対策とがうまく調和がとれないと、人間を鋳型におさめるだけでは必ず別なところで噴き出すということを要望しておきたいわけであります。  そこで法案ですが、六十八条「共同危険行為等」、「等」は何ですか。
  33. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) この六十八条の「共同危険行為等」の「等」と申しますのは、これは見出しでまとめて書いたものでございまして、この六十八条の本文の方では、ここにありますように、「著しく道路における交通の危険を生じさせ」る行為と、それからまた「著しく他人に迷惑を及ぼす行為」という二つの行為があるものでございますから、これを含めまして「共同危険行為等」ということでくくったと、こういうものでございます。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、もう時間もありませんから、これ私は、局長があくまでもこれはもう暴走族対策なのであって、いささかもほかにこれを適用したり乱用した与する余地はないんだということを口酸っぱくして御答弁になっております。そのことはそれで受けとめておきますが、しかし、何分にもあなたがいつでも現場にいるわけではないわけであります。で、現場警察官に、たとえば共同の意思の認定も含めて任されるということになるわけでありますから、現場にいる警容官必ずしも質が均等だとは言えません。地域の実情に応じ、人それぞれのまた人柄に応じて違いがあること、これはやむを得ない。  で、私はこの六十八条の条文だけですと余りこういう文章ないものだからなじめないんですが、「共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼす行為をしてはならない。」というだけでは、いかにもけじめがないような気もするので、当然皆さんの方では、この六十八条だけじゃないんでしょうが、六十八条の一種の取り扱い要綱みたいなものを必ず出すだろうと思うんですよ。私は乱用を戒める意味であれば、もしその取り扱い要綱にどんな文言が入るのかわからぬけれども、たとえば暴走族とはとか、あるいは危険を及ぼす行為とはこういう行為だとか、あるいは迷惑をかける行為はこういう行為だとか、共同の意思というのはこういうことだとかというふうなことが、ここで答弁になっているようなことが法文に書いてありゃ一番安心できるんですよ。しかし、そんな長ったらしい手紙みたいなものをここには書いておけないからですが、それだけにあなたがもう断固としてほかに適用したり乱用したりしないんだというのであれば、この条項の取り扱い要綱なもの、その中には恐らくいろんな規定案が盛り込まれると思うんですが、そういうものを、本委員会の審議の経過をひとつ皆さん勘案しながらこの委員会に報告をする措置をとってもらえぬか、この六十八条についてはこういう通達なりこういう要綱で指導の万全を期しますというふうなもの、そういう措置をとってもらえぬかという気がいたしますが、いかがですか。
  35. 杉原正

    政府委員杉原正君) 御指摘の点は実に、私自身本当にごもっともな御指摘だと思います。で、今度これを法案の構成要件を考えますときに、俗にわれわれが取り扱っております暴走族以外にいろんな類似の形態の、いわゆる社会的な習慣として行われているようないろんな行事がございますので、そういうものが何とかこの構成要件の中から外へ出るようなものをどう表現したらこれだけに適用ができるかということで十分考えたつもりでございますが、二点に分けて申し上げますと、まず一つ、いま私どもがこの第一線への通達の中で考えておりますのは、これは一つは具体的などういう行為、客観的に見たどういう行為を言うのかと、それからもう一つは共同意思というものがありますが、共同意思はどういうものかと、これは当然に示さなきゃならないと思っておりますが、一番の御心配のあります「行為」でございます。具体的にはどういう行為が——ひとつの「共同危険」というのはこれは他の交通に非常に危険を及ぼす行為、それから「迷惑」というのは、これは直接的には前へ進めない、直接危なくはないけれども前へ進めない、いわゆる渋滞の面、円滑の面で非常に迷惑を受けるというものを考えておりますが、大体「行為」の形態を言いますと、はっきり申しまして七つこれを考えています。それでこの七つ以外のものは考えない。  で、一つには、そういう共同意思の確認の仕方、それから「危険行為」は、これはもう具体的な形態を出して、形態を第一線に示して、こういう形態以外にはやらないということで示達をしようと思っておりますが、私どもが出します基本的な取り扱いの問題につきましては、こういうもので指導しますということを当委員会に御報告をいたします。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 で、暴力団というのは法律用語にはあるのかないのか知りませんが、一応無力団というものについて何がしかの概念規定があって皆さんはちゃんとリストを持っていて、あるいは暴力団が、私は暴力団として登録はしないんでしょうが、一応事実上持っているでしょう。それと同じことで、きのうあなたの連合審査の答弁でも暴走族というものが幾つでした、三百六十五グループあって、まあグループをつくっていないのもあって、そいつもまあ六千人ぐらいおるとか、ああいう話を聞いていますと、やっぱり暴走族というのは法律用語にはないが、いわゆる暴走族というものには概念規定があるわけですね。本当はそれがここに書かれるとほかに累を及ぼさないでいいんですが、それを書くには余りにも法律用語としては未成熟だというので恐らく除かれておるんでしょうが、しかし法律で善くほど成熟してなくても通達やその他では書けるわけでありますから、暴走族というのはその法律用語でなくてもいいですが、暴走族という概念規定はありますか、何かこう。常時どこどこにたむろしてとかなんとかと、ここ何かあるんですかな。こういうものはしかし通達に入れるでしょう、その点どうですか。
  37. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) 御指摘のいわゆる暴走族という定義でございますけれども、この道交法改正案の六十八条に規定しております「共同危険行為等」であるとする場合に、暴走族と申しますのは、その二人以上の運転者が二台以上の自動車を連ねあるいは並進して進むという一つの条件、それから先ほど局長が申しましたような七つの態様でございますね、そういうふうな態様でもっての行為を共同意思で行う、そうしてその結果交通に著しく危険を生じさせ、または他人に著しい迷惑を及ぼした、そういう行為、それをやる者を暴走族と、こういうふうに一応定義をすべきではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 私はちょっとくどいようですが、ただ行為だけと暴走族とは違うと思うんですよ。それはこの間のように集団走行しますと付和雷同件が出てきて云々と言われましたが、仮にサイタリング——本当に暴走族じゃないんたが仲間でどこかへ遊びに行ったと、走っているうちに気分よくなってついそういう人様の迷惑になるようなことをする、これはあり得ます。しかし、それはいわば俗に言う札つきの暴走族ではないんで、たまたま集団になったのでついそういう形態になっちまった、これはあり得る。これは別に悪いやつじゃないんだけれどもつい大ぜいの中でそういう気になる。これはむしろ指導とかそういうものの対象になるべきである。ところが間々こういうのが十把一からげで警察につかまったということで大騒ぎになって学校は退学というケースが現にあるわけです。そういうところまで行ったのは文部省もおわかりになっていたですね。学校というのはだめな子供を教育するためにあるわけで、だめなのは学校から追っ払ってしまったんではこれはちっとも教育にならないけれども現実にそこまでいく。しかも人格形成期には、それはたまにははみ出しますわな。はみ出した方が往々にして将来大物になるわけでありまして、皆さんの言うことばかり聞いているようなのは将来よくならぬですよ、余りいいものは。そういうのを何かちょっとしたときの心の勇みというふうなものがこれでがちゃっとやられて、ずっと学校の退学までいくというような形にしちゃいけないという意味で、ぼくは暴走族というのもある程度常習、出来心じゃなくてそれを誇りにしているようなやつを言うんじゃないかと思うんですが、そういう意味で。
  39. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) おっしゃるとおり暴走族ということになりますと、そういうふうな集団的に常習的にあるいは継続的にという性格がどうしても必要になってくるだろうと思います。そういう性格を入れて、下部に通達するときにはそういう形で徹底をいたしたいと思います。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。その点はぜひ要望しておきます。  時間がありませんから、次に運輸省、お待たせして済みませんでした。穐山委員と長い時間かけていろいろやりとりがありまして、いわゆる旅客自動車運送事業の運転者の常時選任といいますか、そういう問題についてお話がありまして、念入りなやりとりが五月九日に行われましたから、私はそのことには触れません。結果として質問の趣旨に沿うように努力を約束をされましたし、そのために通達等を出して指摘されておる事項の調査や改善に役立てようと、こういうお話がありました。私はそれで結構なんでありまして、運輸省を信用しないわけではありませんけれども、なお念を入れてお願いをしておけば、その種の通達を出す作業に入ったときにこういうことを調査する、こういうことの改善をしたいと思うというふうなことで、念のために質問者もしくは当委員会の理事、私でありますが、理事である私でも結構でありますが、連絡などして、なお意見を徴してもらいたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  41. 梶原清

    政府委員(梶原清君) お答えをいたします。  先日の当委員会におきまして、穐山委員からアルバイト運転者の選任につきまして御質疑をちょうだいいたしましたが、その際、私どもから関係陸運局に対しまして実態の調査と適切な指導を行うように指示をいたしたいという御答弁を申し上げたわけでございます。これに当たりましては当委員会における諸先生の御意見を十分踏まえまして、また今後御意見をちょうだいいたしまして適切な指示ができるようにいたしたい、かように考える次第でございます。また、それに当たりましては労働省とも十分協力をいたしまして、私どもが期待しておりますタクシーの運行の安全ということと、旅客サービスの確保ということに万全を期してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 ぜひひとつ、そのようにお願いをいたしておきます。   〔理事夏目忠雄君退席、委員長着席〕  次に、この間の、これも穐山委員の質問に関連をいたしまして、私、例の七十五条第二項、政令に委ねられておるその基準の考え方の提示を求めたわけでありますが、きょういただきました。なお念のために説明をいただけますか。
  43. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) 七十五条二項の自動車の使用の制限の停止の基準についての考え方でございますが、この基準につきましては大きく分けまして四つあるだろうと思っております。  一つは、具体的な下命、容認行為の危険性という問題でございます。と申しますのは、七十五条一項の下命、容認行為の中には酒酔い運転であるとか、あるいは麻薬等の関係の逆転であるとか、そういう大変悪質な、特に悪質なものと、その次等にランクされます無免許無資格の問題、あるいは最高速度制限、その他の過労運転とか過積み運転とか、こういうふうないろいろな種類の罪種が入っておりますので、そういうふうな具体的な下命、容認行為の危険性というものに一つは着目する必要があろうと思います。  それからもう一つは、そういう下命、容認行為に係る違反行為によりまして交通事故を起こした場合の被害の有無、いわば結果の問題を一つ考えなければいけない、こういうふうに考えております。  それから三番目に、やはりそういうふうな下命、容認行為というものが過去にどの程度の違反歴があるかというふうな問題。  四番目には、自動車の使用の制限に係るこういうふうな使用制限を受けた行政処分歴というものを問題にしなければならないのではなかろうか、こういう四つの要素があろうと思います。  そういうことを中心に考えていくわけでございますが、一つは、先ほど申しましたように、大変悪性の強い違反、酒酔い、麻薬等の影響を受けている無謀運転下の下命、容認行為というものにつきましては、やはり直ちにそういう使用停止をすべきではなかろうか、こういう考え方でございます。  それから、そういう下命、容認行為に係る違反行為によりまして、人の死傷に係る交通事故を起こした、人身事故を起こしたという、大変結果の重大なものを巻き起こしたという者につきましては、やはり直ちに使用の停止を考えるべきではなかろうか。  それから違反の種別にこれは応ずることになろうと思いますが、やはり反復して下命、容認行為をするというふうな場合、これはやはり悪性の強いもの順に、回数が少なくて考えなきゃいかぬと思っておりますが、回数をもし同じとすれば、日数でもって差をつけていくというふうなことになろうかと思いますが、ここのところあたりをどういうふうな形にするかということを今後詰めなければならない、こういうふうに考えております。  それから行政処分を、こういうふうな下命、容認の行為があってこの自動車の使用の制限に係る行政処分をもうすでに受けた、また、この下命、容認行為があった、こういうふうな行政処分の前歴のある場合には、やはり直ちに自動車の使用の停止をすべきであろう。そしてそういうふうな考え方のもとにおきまして、その違反の内容、程度というものによりまして、口数でやはり差をつけていくべきであろう、こういう考え方でございます。  また、日数は百八十日未満となっておりますが、最低の方は少なくとも十日前後の日数というふうに押さえて、それから順次必要に応じて日数をふやしていくということにすべきではなかろうか、こんなような考え方を持っております。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 反復して下命、容認、これは皆さんの考え方というのは、反復というのは二度目からという意味ですか。
  45. 鈴木良一

    説明員鈴木良一君) さようでございます。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  交通規制がいろいろ総合交通対策とかなんとかであちこちの自治体等でも行われるわけでありますが、交通規制というのは、いままであったのが急に車が通れないとか一方交通になっちゃうとかという、いろいろさまざまな変化を及ぼしますと、それに依拠して地域の暮らしや商売があったわけでありまして、それがある日どんと遮断をされるわけでありますから、少なからず影響が出てくる。ましてそういう規制がその町そのものにとっては大した影響のない通過交通といいますか、そういうものにウエートがある場合には全く被害ばっかり受けるという事態があちこちにあるわけでありますが、当然そうなりますと地域の生活、生業と交通との調和ですね、というふうなものが考えられなければならぬのでありますが、警察の方の商売は余り生活とか生業の方よりは、車の安全と円滑の方を中心に考えると、どうもそっちの方がおろそかになるんですね。こういう事例があるわけですが、その辺の点の皆さんが総合交通規例なんかをする場合の心構え、それから地元のそういう利害との調和、それからそれの段取り、住民との相談とか、そういうものについてあちこちから苦情が来ています。概括的に考え方を求めたいと思います。
  47. 杉原正

    政府委員杉原正君) 具体的ないろんな問題はまた規制課長の方から話をすると思いますが、やはり私どもこの交通規制という規制権というものを与えられておる、これはもう大変な大きな権限であるわけでございます。これがこの交通安全対策に非常にやはり大きな力も逆に持っておるということでございますが、いまのあれからいいますと、交通規制というものをやろうとしますと、もう住民の中に賛成と反対というのが必ず出る。これはある道路を駐車禁止にする、一方通行にすると必ず利害関係がつきまとう。そこで各県の段階、署の段階、各ブロックをとって、物事をやるときにはかなり事前からの地元住民の方との相談がなかったら、これはもう一方的には絶対できない性質のものでございます。これを最終的にある面では事故防止ということでやる場合もありますし、それからそこへ買い物に来るお客さんの利便のためにやるというふうなケースもございますし、単に交通の安全と円滑ということだけでなくて、広いそういう経済活動、社会活動全般にある程度地元の要望を聞きながら、いろいろな手法をこらしてやっているのが実態でございますが、一〇〇%全員に賛成されないケースはございますけれども、事の事情を話をして理解をできるだけ得ながら実施をする、しかも実施する場合にはいきなりぱっとあすからやるということじゃなくて、大体いつからこういうことになりますよという事柄を地元住民に事前にPRをし、各種機関、団体を通じてやるというふうなことを通じてやっておりますが、徹底を欠いている面があるとすればさらにそういう慎重な配慮で対策を講じていくべきだというふうに思います。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 じゃあ、これはあれでしょう。よく住民の意見を聞く段取りを講じているんでしょう。私は時間がありませんからこれはやめますが、やっぱりある一定の期間、試行期間なら試行期間にして、やっぱり悪かったらまた手直しをするとかもとに戻すとか、こういうゆとりのあるやり方をぜひしてもらいたい、この点よろしいですね。
  49. 福島静雄

    説明員(福島静雄君) 局長からも御答弁申し上げましたが、商業地域あるいは住宅地減等におきまして車両の通行禁止、駐車禁止あるいは一方通行等の交通規制を行いますことによりまして、沿道の生活にかなり影響が出るという点は御指摘のとおりでございます。これらの規制を実施するに当たりましては、十分地域住民の方々の御意見をくみつつ、一たん規制を実施した後におきましても、必要があれば適正な修正を施していくというふうな考え方で、都道府県警察指導しているところでございますが、ただいまの御趣旨も十分体しまして今後ともそういった方面の指導に努めてまいりたいというふうに考えます。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 そういう意味でしょうけれども、私のところへたとえばこういうものも来ております。この交通規制は県公安委員会の半ば一方的な実施なのであって、商工業者間では非常に困っているとかいろいろな話もあるわけでありまして、いまの答弁の趣旨を了としてそのようにひとつ進めてもらいたいと思います。  最後になりましたが、公安委員長兼自治大臣、先ほどお伺いをいたしますと、確かに自動車や運転免許人口がふえるに従って交通取り締まりの件数、免停、取り消しの件数、いろいろふえておりますが、ありがたいことに事故、死傷は減っておる、これは大変結構なことだと思うのでありますが、しかし世界的に少ないとはいっても、交通安全施設の整備維持が万全だというわけでもない。これらには当然のことながら予算等も伴うわけでありまして、自治体がそういう経費の確保も含めて対策を万全に講ずると同時に、国においてもなおひとつ大幅な経費の確保、積極的な施策を講ずるように要望したいのでありますが、見解を伺いたいのであります。
  51. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 交通安全対策を進めてまいりまする上では、ただいま御審議いただいておりますように、道交法改正を行いまして指導取り締まり強化いたしてまいりますることのみでは万全ではないことは申すまでもないことでございまして、先ほど来御質問やまた答弁もございましたように、交通安全教育の面でも格段の配意をいたしてまいらなければなりませんけれども、やはり施設の整備や信号機その他の機器類の整備等もこれまた非常に重要でございます。ですから、国の段階におきましてもできるだけの予算確保を行ってまいらなければなりませんし、また地方でも相当の負担をしておりますのが事実でございますから、さような負担に対しましても地方財政の面で他に大きな影響を及ぼさないようなそういう配意をいたしながら処置をしてまいるべきだと、かように考えておりますので、そういう基本の考え方で今後も努力をいたしてまいりたいと、かように考える次第であります。
  52. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 昨日から連合審査等で道交法の問題についてはるる審議がされたわけですが、私はそれに関連して一つだけ質問してお答えをいただきたいと思っております。これは主として運輸省に関連するわけです。大臣の所用で時間のこと十分承知しておりますが、最後に一言いただきたいと思いますので、しばらく時間をいただきたいと思います。  きのう、大臣の、連合審査の中で御発言がございましたように、今度の道交法改正の中では、一つの大きな柱として身体障害者の保護安全、こういう問題を取り上げてみたいと強調されたわけです。それと関連する問題ですが、身障者対策基本法というのが四十五年に制定されておりますね。これの二十三条の中で、特に身障者に対する経済負担の軽減を中心として、国または自治体が努めなければならないということを強調しておるわけです。その問題でいまの実態と対比しますと非常にその趣旨が生かされていない、そぐわない実態に私はあると思うんです。それはどういう点かというと、国鉄が昭和二十七年の四月八日に公示百二十一号で出したいわゆる運賃割引の規則にしましても、それから航空局が航空運賃の身体障害者の割引制度の概要というものをそれぞれ制定して出しておるわけですが、実態とそぐわない点は何かというと、この道交法の中でもそういうものがあるんじゃないかと私は思うんですが、心身障害児というとらえ方が、主として肢体不自由児ですね、こういう方々を中心にとらえて、ところがいわゆるこの精薄ですね、重度障害児であるとか、そういったものが、言うならば身障児全体のとらえ方の中にらち外にこう置いておるんじゃないかという感じがするんですね。たとえばこの国鉄の例を見ますと視覚に障害、いわゆる目が見えない。一種の中で耳が聞こえないとか、聴覚。それから声が出ない、音声、言語障害ですね。こういう形になっておるんですけれども、いわゆる精薄関係の重度というのはその他の中に置かれておると、こういうかっこうになっておるわけです。で、それがどういう具体的な現象を示すかというと、たとえばいま御存じのとおりに、身体障害者の中で重度の児童の施設というのは国の場合にはたった一カ所しかないわけですね、所沢の秩父学園です。私はそこのいま親の会の会長をやっておるのですけれども。地方の都道府県の段階など幾つか施設があるんですけれど、確かにこの肢体不自由児関係はいわゆる社会的に訴える力を持っていますから、また現実にそれがいろんな形の中で社会全体の中でそういう施設をつくったり措置がとられてきていますね。ところが、重度の場合になると、都道府県段階ではなかなか、言うなら、最近ようやく公立が出てまいりましたけれども、ほとんど慈善事業ですか、こういうところが賄っておるという実態で、事実上この重度になるとなかなか扱うところが少ない。したがって、ある一カ所、たとえば東京都であるとか、それから国の場合にたった一カ所しかないんですが、そういうところに全国から集まってこざるを得ない、こういう仕組みになっているわけですね。で、そういう仕組みになっておるのですが、やっぱり学園ですから春、夏、冬の休みがある。同時にまた家庭教育という面も重要な教育の一環ですから、ですから、そこにまあひとつ夏休み、春休み、冬休みは連れて帰ってくれと、こういうことになっているわけです。ところが、この国鉄運賃にしましても、航空割引にしましても、いわゆる本人と一緒でなければ割引の対象にならないという仕組みになっている。いわゆる保護者が、たとえば九州から、北海道から東京にやってきて、来るときの運賃は割引の対象にならない。それから今度は、子供を連れてきて帰るときには一人ですから割引の対象にならない。こういうような実態が基本法の中でうたわれておるように、そういう家庭というのは経済的にも大変な負担がかかっておりますから、ましていわんやそういうような実態から見ると、なかなか連れて帰ることができないという、こういう悩みをたくさん持っておるわけで、親の皆さんにしてみれば。で、そういったことが一体どうしてできないのかということで、まあこの条文をとってみると、いま言うように肢体不自由児を中心に置いているわけですね。たとえば重度のいわゆる精薄というのは、障害児というのは、たとえば汽車に乗せても一カ所に、たとえば一つの席に据えておっても肢体不自由児の場合は頭はしっかりしていますから、普通の人よりは体の苦痛はあっても大体お客に迷惑かけぬで七、八時間の旅行はできるのですよ。ところがこういう子供の場合には、ほとんど一時間過ぎたらもう、ちょっと異常な状態になりますから、結果的には汽車の利用ができない。こういう隘路があるのですけれども、こういった問題について、ひとつ実情に沿った措置というものをできないものかどうか。この点について、これは運輸省の所管だと思いますが、お聞きしたいと思います。
  53. 吉末幹昌

    説明員(吉末幹昌君) お答えいたします。  ただいま先生の方から身体障害者に対する、いろいろ割引措置というものとあわせまして、重度の精神薄弱者等に対する割引の問題というふうな趣旨のお話かと存じますが、現在国鉄では御承知のとおり五〇%割引というのを身体障害者について行っておりますけれども、そのほかいろんな割引制度を国鉄としてはやっておるわけでございますが、実は御承知のような国鉄の財政危機の状況でございますので、国鉄で行っておりますこの割引問題につきましては、基本的に割引のそれぞれの性格を洗い直しまして、社会福祉政策的な面から行っている割引とか、あるいは文教政策上の必要性から行われている割引等につきましては、それぞれの政策実行部門の負担とするように努力しなさいと、こういう実は附帯決議を御承知のとおり七十八回国会でいただいておるわけでございまして、私どもとしましては、その附帯決議の趣旨に沿いまして、関係の各省庁に必要な措置をとってくださいと、こういうふうなお願いをしてまいっておるわけでございます。そういう事情でございますので、お話がございました割引制度の拡大という問題は、国鉄の負担でそれをやるというふうなことは現状では非常に困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  54. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 国鉄を呼ぶとそういうふうに金の問題にすりかえるんですけれども、私は現行のこの実態で国鉄がいま負担しておるのは大体二十億ぐらいですか、年間。その二十億のうちほとんど私が、中身の数字があれば出してもらいたいと思うのですけれども、いわゆる肢体不自由児の人がどのくらい活用して、精薄関係がどのくらい活用しておるか、数字がわかればひとつ発表してもらいたいと思うのですけれども、いずれにしても恐らく精薄関係については利用度が少ないのじゃないかと思うのです。利用できない仕組みになっている、この規定が。ですから金の問題じゃなくて実態に合ったような形にしたらどうかということを言っているわけです。
  55. 吉末幹昌

    説明員(吉末幹昌君) 先生御案内のとおり身障者の割引規則というのを二十七年国鉄公示で決めておりますけれども、これの対象割引者は視覚障害あるいは聴覚、言語機能障害あるいは肢体不自由者と、こういうことでございまして、こういうものに該当するものとして身体障害者手帳をいただいている方々、こういうことでございますので、いわゆる精神薄弱という形のものとしては対象に入っていないんではないかと存じます。
  56. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうでしょう。ですから問題は、重度の場合には皆出ておるのですけれども、精薄でも出ておるのですけれども、ただ問題は、いま言うように事実上使えない仕組みになっておるのです、さっき私が申し上げたように。ですから、これは肢体不自由児の場合は頭しっかりしておるわけですから、一人でもできるわけです。乗れるわけです。ただ乗るときとおりるときの手助けがあればできるわけです。ところが重度の精薄というのは一人で乗ることはもう絶対不可能なんですね、どうしてもこれは付き添いが必要になってくる。その付き添いがいま言うように事実上一往復というものは絶えずだめと、こうなっている。だから割引の対象にどうしてもならない、ここにこの趣旨が生かされていないと私は思うんですよ。ですからその金の問題じゃなくて、せっかくこういう法律が制定されて、そうしてそういったところに手を差し伸べるという趣旨がつくられながら、結果的には国鉄の規定や航空局の規定になると一これは航空局の規定というのはほとんど国鉄のをそのまま置きかえたような形ですからね、事実上利用できないという仕組みになっている。だからその点については私は法の趣旨に照らしても、やはりこの際ひとつ検討してもらう、こういう金の問題じゃないという観点から運輸省のひとつ結論をお願いしたいと思うんですがね。
  57. 吉末幹昌

    説明員(吉末幹昌君) 先ほども申し上げましたように、社会福祉政策としてそういう措置をいろいろ講ずるべきだということでございますと、やはりそういう政策実施担当の方でその辺の措置もとりますという形がやはりついてまいりませんと、私どもやはり附帯決議の趣旨に沿わないんではないんだろうかというふうに存じますので、国鉄の負担でそれをやるんだというふうな話は私どもとしてはやはり困難ではないんだろうかというふうに感ずるわけです。
  58. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 国鉄に行くとそう逃げる。それから当事者、やっているところに行くと、どこに行ってもそういう形になるんですけれども、しかし厚生省に参りますと、厚生省の方は私の方の所管事項に入ってないから、どうしてもやっぱり運輸省の方で結論を出してもらわないとできぬと、こう言っているわけですね。これはやはりこういう逃げの争いじゃなくて、心身障害者の対策基本法というものに照らして国全体でどうするんだと、実態に合わなければ実態に合わせると、こういう努力を私はひとつやってもらいたいと思うんです。  時間がありませんからこれ以上はきょうは言いませんが、今後この問題についてはひとつなお追及して聞きたいと思いますけれども、これは自治大臣も都道府県が認可したり許可をするといろ関連も持っているわけですね。したがって、大臣のひとつ見解をお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  59. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 社会福祉の拡大強化はきわめて重要な課題でありますことは申すまでもございませんです。そういう中におきまして、現在の心身障害をお持ちの方に対します割引措置が必ずしも十分であるとは言いがたいのでありますから、これが拡大強化はきわめて重要な課題でございますので、毎年度予算編成におきまして、自治省なりあるいは国家公安委員会という立場ではございませんで、私も一政治家として今日までも努力をいたしてまいっておりますし、またこれからも努力をいたしてまいりたいと、かように考える次第であります。
  60. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 午前の質疑はこの程度しし、午後一応三十分まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  61. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず最初に、警察当局の姿勢といいますか、取り締まり当局の姿勢にかかわる問題として質問をしたいというふうに思います。  問題は、先般京都で知事選挙並びに参議院の補欠選挙が行われました。この選挙を通じて林田陣営、上田陣営の行いました二十数件にわたる選挙違反について、杉村陣営、杉村候補を推している会の事務所の選挙事務長あるいは共産党京都府委員会から告訴、告発をしております。これにかかわる問題をこれからお尋ねをしたいと思うんです。  まず最初に、警察当局にお聞きしたいのは、例の公選法の二百三十五条の第二項の虚偽事項公表罪、この問題ですが、これは有権者の公正な判断を損なわせる、そういう行為ですから、したがって選挙の公正を期するという点では重要な犯罪行為と言わざるを得ないと思うんですが、この点いかがでしょう。
  63. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) お答えいたします。  公職選挙法の二百三十五条の二項は仰せのとおり虚偽事項の公表ということを規制しておる条項でございまして、この法文によりますと、「当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者」、こういった者につきましては、「四年以下の懲役若しくは禁錮」あるいは「三十万円以下の罰金に処する。」こういう規定でございます。したがいまして、この法条からも十分に察せられまするように選挙というのは国、地方に限らず、選挙人の自由に表明する意思によって公正に、公明に行われる、それを担保するというものがこの公選法の根本的な趣旨であろうと思いまするので、そういう意味で公選法上もそういうふうな位置づけをしておる、こういうふうに理解いたします。
  64. 神谷信之助

    神谷信之助君 さらに、この虚偽事項の、虚偽事実の公表が、一般の人たちが行うという場合はもちろんですが、相当の地位にある人が、そして社会的影響力のある人がそういう虚偽事項の公表を行うという場合は、より一層重大な選挙違反行為と考えざるを得ないと思いますが、この点いかがですか。
  65. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いまの御質疑の趣旨が取り違えているかもしれませんけれども、地位の高下にかかわらず、とにかく一人一人有権者としての大切な問題でございますので、そういう意味で地位の高下、財産のいかん、そういったものを問わず、それぞれ国民の一人一人が均てんして、そういうものとして守らなくちゃならぬ条項であろう、こう思います。
  66. 神谷信之助

    神谷信之助君 個人が一般的にそういううそを言いふらすという、そういう場合と、相当の地位にある人が多数の人を前にして公然とそういう虚偽事実を述べるということとは軽重がありますね。そういう意味で、私はより、何といいますか、社会的に相当の地位にある人あるいはより社会的に影響力のある人、そういう人がそういう虚偽事項の公表をするということは、より選挙の公正を期する上からいっても大きい影響を与えるわけだから、当然重大視せざるを得ないと思うんですがね。この点はいかがですか。
  67. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) もとより公選法ではその地位あるいは職種と申しましょうか、そういうもので特に厳格にそういう地位によって生ずる責務といいますか、そういうもので、たとえば公務員の地位利用違反であるとか、そういうものは特にそれぞれ罰せられるというふうな規定があるのも御承知のとおりでございますが、虚偽事項公表罪につきましては、地位いかんによって刑の罰則の軽重が云々というふうな規定はございません。したがって、この法条に従いまして具体的な事実に応じてそれぞれ判断されていく、こう思います。
  68. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから具体的にはそういう事実というものを行為によって判断をされるわけですね。その点では情状の問題です、そういう情状の問題では、そういう影響力なりその行為自身の公正な選挙に対する阻害状況といいますか、阻害の程度ということは考慮に入れざるを得ぬと思いますが。  さらにもう一つ時間がありませんから続けて言いますが、しかもそれが同一の構成人で数人あるいは数カ所において相当の地位にもあり影響力を持っている人がそういう虚偽事項の公表を行うということになりますと、これは組織的な行為と考えざるを得ない要件というものが生まれてきます。そうなるとより一層この点はこの公表罪について取り締まりをする場合重視をせざるを得ないという状況になると思いますが、いかがですか。
  69. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) ともかく公選法の各条の違反につきましては、警察としまして厳正公平ということを中心に大変苦労してやっておることは先生も御理解願えると思うわけでございますが、一般論的なあれは別としまして、いま御質疑のような点につきましては、個々具体的にそれぞれのケースに応じまして慎重に判断して処理すると、こういうことで一般的にごうごうと言うのはちょっと私としてはいま御返答しかねるということでございます。
  70. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ具体的に話を進めていこうと思うのですが、法務省は見えてますか。  五十三年の三月二十六日付で杉村としまさ選挙事務所の選挙事務長長島三郎氏が告発人となって被告発人前尾繁三郎氏、同じく小林弘明氏に係る公選法第二百三十五条第二項の虚偽事実公表罪に関する告発、これがなされていると思いますが、これは現在どういうような措置をされ、どのような捜査段階になっているのか、この点差し支えなければ聞かせていただきたいと思います。
  71. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答え申し上げますが、ただいまお尋ねの事件につきましては、京都地方検察庁に告発がございまして、同地検におきまして厳正公平に捜査中であるということでございます。  告発事実の概要というものは、先般行われました京都府知事選挙あるいはまた参議院議員の補欠選挙等をめぐりまして対立候補者に関する虚偽の事項を公表したということでございますが、京都地検におきましては関係者を取り調べると、あるいはまた所要の証拠物を収集する等の捜査活動を鋭意続行中であるということでございます。
  72. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま指摘をしたのは前尾繁三郎氏と小林弘明氏に対する告発ですが、これは、三月の二十三日の夜に舞鶴の中央公民館で開催をされました林田候補の個人演説会会場で、三百名余りの聴衆に向かって、杉村候補の当選を得させない目的をもって、いずれも事実に反することを知りながら、被告発人前尾は、杉村候補が共産党員であることは間違いありません等と演説、同小林氏は、杉村さんというのは、民青の育ての親で、純粋の共産党員であります。などと演説し、もって、公職の候補者に関し虚偽の事実を公にしたものである。というのが、その事実内容なんですが、これに続いて、それだけではなしに三月の二十五日付ですか、同じく長島氏による告発が三月二十日夜の演説会場における津田幹雄氏、それから三月十七日夜における演説会場における西脇尚一氏のそれぞれの演説について虚偽事項公表罪で告発をしているということも御存じでしょうか。
  73. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 告発状によりますれば、ただいま先生御指摘のような事実が記載されておるようでございます。
  74. 神谷信之助

    神谷信之助君 これらの被告発人のいま申し上げました四名は、いずれも自民党の党員であり、衆議院議員あるいは府会議員あるいは市会議員です。したがって、いま検察当局の方はこれらの内容について事実関係について捜査をされているという御答弁ですが、単に個々の問題ではなしに、同一自民党の党籍があり、しかも衆議院議員であり府会議員であり市会議員であるという立場の人、したがって、この点では組織的犯罪行為という要件も当然考えられるというように思いますが、この点は捜査当局もこれからの捜査の結果いかんによってはそういう方向に発展する可能性というものはあり得るわけでしょう。
  75. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お尋ねの事件は文字どおり具体的なケースでございまして、ただいま京都地検において捜査中でございますので、具体的な内容にわたることは適当でないと思いますが、一般的に申し上げますならば、検察庁におきましては公職選挙法違反事件あるいはこのような事件に限らずその他一般の事件も含めてでございますけれども、常に背後関係あるいはまた内在する諸般の状況等を十分踏まえて事案の真相の解明に当たるということでございます。
  76. 神谷信之助

    神谷信之助君 それではもう一つ法務省に聞きます。  昭和四十六年四月八日付で、明るい革新大阪府政をつくる会事務局長の荒木伝氏外一名の告発で、衆議院議員中山正暉氏を被告発人として虚偽事項公表罪による告発を行っています。これがすでに処理をされておりますが、不起訴になっているということですが、この不起訴の理由ですが、起訴猶予あるいは微罪、あるいは罪とならず、嫌疑なしというようになると聞いておりますが、この件の不起訴の理由、これはどれに該当するのでしょうか。
  77. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいまお尋ねの事件に該当すると思われます事件が、昭和四十六年四月八日付で、告発人荒木伝さん外一名から被告発人中山正瞳さんに対してなされておりまして、罪名は公職選挙法違反ということでございます。この事件につきましては、同年すなわち四十六年の八月三十日付をもちまして不起訴処分に付されております。  不起訴の理由ということでございますが、すでに事件は終結いたしまして七、八年を経過しておりまして事件関係記録も検察庁において廃棄済みでございますので、不起訴理由の詳細は一切不明でございます。
  78. 神谷信之助

    神谷信之助君 一切不明だということですが、起訴猶予あるいは微罪という場合は犯罪の構成要件を満たす、しかし情状酌量して不起訴する、公訴提起を必要としないということでありましょうし、罪とならずあるいは嫌疑なしというのは犯罪を構成する要件自身がないことになるだろうと思いますが、この点はいま廃棄してしまってわからぬというお話ですが、どちらであろうというふうに考えられますか。
  79. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 不起訴の理由といたしましては、ただいま先生御指摘のとおり嫌疑なし、罪とならず、起訴猶予等の理由があるわけでございますが、本件につきましてはちょっと推察いたしかねますので、いかなる理由で不起訴処分に付されておるのかということはちょっと正確にお答えいたしかねるわけでございます。
  80. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、罪とならずとか嫌疑なしということになれば、それは中山氏の行った演説内容、それが事実であった、虚偽ではなかった、そういうことにならなければならないということになるわけでしょう。
  81. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 一般的に申し上げますならば、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、そのほかにいわゆる犯意がないとか、あるいは事実の真実性が証明されたとか、いろいろな理由で犯罪が成立しないということがございますので、これまた大変恐縮でございますけれども、一概に申し上げることはちょっと現在いたしかねるわけでございます。
  82. 神谷信之助

    神谷信之助君 重大な問題なんですよ。罪とならずあるいは嫌疑なしということであれば、それは中山氏が演説内容としたのは、黒田氏が共産党員であったという虚偽の事実を大阪駅前の街頭演説でやったわけです。そのことについての告発ですから、それが嫌疑なしということになれば、黒田さんが共産党員であったということが確認をできたということ、確認ができたとすれば、一体どういう確認があったのかということが問題になるし、この場合検察庁がそういう確認をする——実際問題として、捜査の上で確認ができるようなことがなされたのか。そういうことが、告発人の方は、これは大阪の社会党の責任者並びに共産党の責任者がそれぞれやっているわけです。そして知事選挙に擁立をするときには、政党に所属をしない無党派の人であるということを確認をしてそして擁立をしている。そういう客観的事実が一面でありながら、いやそれは共産党員であったという認定をするとすれば、これは重大な問題になっているはずだと思うんですが、だから恐らくそういうことじゃなしに、起訴猶予ということで、不起訴ということではなかろうかというふうに私は思うんですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  83. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいま申し上げましたとおり、大変恐縮でございますけれども関係記録一切が廃棄されておりますので、私自身本件の告発状も拝見いたしておりませんので、いかなる事実をもちまして告発されておるのか、また検察当局がいかなる理由をもちまして本件を不起訴処分に付したのか、かかる場所におきまして正確に申し上げるというだけの自信はございません。  ただ、申し上げますならば、一般的には虚偽事項とされた事実が真実であったという場合と、一応虚偽ではあるにしても、それを公表した御本人が真実であると信じたという場合と、二色のケースがあろうかと思います。本件の場合はどちらの方であったか、これまた明確にはちょっと申し上げかねるところでございます。
  84. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、本人が共産党員であるということを信じたという場合も嫌疑なしあるいは罪とならずという、そういう結果になるというようにいまのお答えお聞きしていいんですか。
  85. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) さような場合にはわれわれの方で申しますいわゆる犯意がない、罪を犯す意思がないということになりますので、いま先生御指摘のような罪とならず、あるいは嫌疑なしというような裁定理由になろうかと思います。
  86. 神谷信之助

    神谷信之助君 犯意は、当選を得せしめない目的をもってと、そういう犯意、そういう目的をもって行っているわけですから、この点はひとつもうちょっと進めてみます。  そういうことで四十六年当時の大阪の知事選挙で黒田候補が共産党員であったというような虚偽事項、その事実を公表して、結果として不起訴になった。それに味をしめて今回の京都の知事選挙で林田陣営が大々的に組織的にそういう虚偽事項の公表を行う、こういうことがなされています。とりわけいま取り上げました中山氏ですが、これは三月十八日、京都の山科区の鏡山小学校における演説会でこう言っているんです。街頭演説をやった、ちょうど私と同じ年の石原慎太郎が来たと、二人でマイクを持って、そして皆さん気をつけてください。日本では共産党のことをアカと言います。今度出てきた黒田という男、名前を見てもうそつきだ。アカのくせにクロダと言う。これが公選法の二百三十五条違反、選挙妨害、それで調べてみるということで検察庁に呼ばれて、中山さん、あなたどこで黒田が共産党だと知りましたか。私、公安調査庁で調べました。そう言うと向こうがふるえ上がって、もう来てくれるなと、ついにもう呼び出しがなかったと言っているんです。これはここにテープもありますが、中山さんの演説シーンは、内容は。だから四十六年のときにそういううそを言ったと、それがどうも起訴にならなかった。検察庁も認めてくれた。そういうことでのうのうとこういう演説をやっています。  そこでちょっと公安調査庁に聞きますが、この中山さんは公安調査庁に行って調べたと言うんですが、黒田さんが共産党員であるかどうかということは公安調査庁へ行けばわかるわけですか。
  87. 鎌田好夫

    政府委員(鎌田好夫君) 一般的に申し上げまして、公安調査庁として職務上知り得た個人の秘密事項を他へ漏らすということはいたしておりません。
  88. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、中山さんが公安調査庁に調べに行かれたという事実はあったでしょうか。
  89. 鎌田好夫

    政府委員(鎌田好夫君) 今回の、質疑の御通告がありまして調査いたしましたけれども、現在までのところ、この四十六年の選挙に絡みましてそのような事態があったということはうかがわれません。
  90. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうするとこれはうそであるんですね。公安調査庁で調査をなさってもいないのにそういうようにおっしゃったということになるわけです。  そこで法務省の方に聞きますが、検事の方は、中山さんがおっしゃっているように公安調査庁の名前を聞くとふるえ上がると、これが検事やというようにおっしゃっているんですね。そういう状況なんでしょうか。
  91. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ちょっと御質問の趣旨がはっきりつかめなかったんでございますけれども、いやしくも検察官が公安調査庁の名前を聞いてふるえ上がったと、こういう意味でございましょうか。
  92. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうおっしゃっている、中山さんが。
  93. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 検察官を信頼していただきたいと思います。
  94. 神谷信之助

    神谷信之助君 まさか、そうだと思うんですよ。ところが、ここでも中山さんはうそを大衆の前で言っているんですね。まあ公安調査庁も検事も候補者でありませんから、この場合は中山さんがどんなうそを言おうと虚偽事項の公表罪にはなりませんよ。しかし、こういう演説をして、黒田さんがアカだ、あるいは共産党員だと言ったことは、検察庁もそれを承認した、認めた事実なんだと、そして片一方では今度は杉村候補は共産党員なんだと、こういうやり方ですね、これは私は許せないと思うんですけれども、こういう点について告訴、告発状というのは京都地検に出されましたけれども、同時に京都の府警本部の方にも同一内容のものが提出をされておりますが、この点は刑事局長聞いておられますか。
  95. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 今回の知事選及び参議院補選を含めまして私の方で聞いておりますのは、京都府警でそれぞれの分野から十四件の告訴、告発が来ており、現在鋭意捜査中である、こういうふうに聞いております。
  96. 神谷信之助

    神谷信之助君 法務省の方にお伺いしますが、いま一連のことをお話しましたが、四十六年の事件で不起訴にした、それが廃棄処分をされて不起訴の理由がわからない、こういうことでもう一つはっきりしないんですけれども、その不起訴処分にしたことによって味をしめて、そして今度は京都の知事選挙で中山さん自身が言うだけじゃなしに、前尾さんを初め自民党の府、市会議員多数があちこちの演説会場でこういう虚偽事実を公表する。これは罪にならない。こういうことで組織的にこういう有権者の正しい判断を阻害をする行為がなされている。こうなりますと私は、先ほど法務省の刑事課長は、そういう背後関係、それから背景といいますか、そういうものを十分調査をするとおっしゃっていますからどうせ明らかになるでしょうが、こういう点については私は厳正に捜査を行う必要があるというように思うんですが、その点は間違いないと思いますが、いかがですか。
  97. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 検察当局といたしましては、公職選挙法違反事件につきましては、これがいわゆる選挙の公正を阻害する重大な犯罪であるという認識を持っておりまして、常に厳正な立場で事犯の取り締まりに当たっておるということでございます。
  98. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、これらの事件で前尾さんらいわゆる被告発人の取り調べというのはもう終わっているでしょうか。
  99. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 具体的な事件のことでございますので、どのような関係者を取り調べたか、あるいは被疑者の取り調べをしたかどうかというようなことは、大変恐縮でございますが答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、事案を処理する場合におきましては所要な関係者を取り調べるというのが検察の一般的な方針でございます。
  100. 神谷信之助

    神谷信之助君 じゃ続いて次の問題に移りますが、先日引き続いて行われました参議院の地方区の補選の場合ですが、上田稔候補の方の選挙運動用の個人ビラです。こういうビラですね。ここに証紙が張ってあります。裏には公約その他が出ているビラです。これは公選法の百四十二条一項二号のビラ、参議院選挙でまくことを許されている、証紙を貼付して頒布できるビラだと思うのですが、その点の確認と、そしてこのビラの頒布場所というのは御承知のように制限をされていると思うのですね、街頭演説の場所とか。そういうビラであるということについて、いかがでしょうか。
  101. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いまお示しのビラ、証紙の張ってある法定ビラという前提で、私もちょっとここからよく見えないのですが、そういう前提でございますが、先ほどおっしゃいましたように百四十二条の三項、「文書図画の頒布」ということではがきなりビラ、こういったものが各種選挙に応じまして頒布の方法その他が規制されているところは御承知のとおりでございます。普通散布してはいけないということでございますし、また「政令で定める」云々ということで施行令の方で詳細に頒布すべき場所が規定されておりまして、いまおっしゃったように、選挙事務所内であるとか、あるいは立会演説会の会場の入り口であるとか、あるいは街頭演説会の場所であるとか、あるいは個人演説会の会場内であるとか、こういう四カ所にしぼられておるというようなかっこうでございまして、それ以外の方法では配れないというふうな公選法の立て方になっておるわけでございます。
  102. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、このビラが四月の二十一日の午前六時ごろから七時三十分ごろまで、ですから一時間半ほどですね、京都の山陰線の園部駅前の広場、ここで出勤途上の人たちあるいはその周辺を歩いている人たち、これらに無差別に配布されたわけです。当然そこにはしかし上田候補の街頭演説会が行われてはおりませんでした。こうなりますと、明らかに、いま局長が言ったように、頒布してはならない場所で配布をしている。まさに公選法違反行為だと思うのです。したがいまして、四月二十一日付で府会議員の野中広務氏らを含めて八人を田中耕一郎氏外一人が告発をしております。これについて法務省の捜査状況はどうでしょうか。
  103. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お尋ねの事件につきましても、本年四月二十一日告発人田中耕一郎氏外一名から告発が出されておりまして、ただいま京都地検におきまして鋭意捜査中であるということでございます。
  104. 神谷信之助

    神谷信之助君 刑事局長お伺いしますが、いまごらんのようなビラで、いま局長もおっしゃったように、候補者本人のおる街頭演説の場所その他それを含めて四カ所に頒布場所が限定をされています。したがって、それ以外のところでまいている現場を見つけたら警察官というのはどういう措置をする必要があるのでしょうか。
  105. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 一般論でございますが、それぞれのケースに応じまして的確に処理するということでございます。
  106. 神谷信之助

    神谷信之助君 その的確に処理するということですが、まいているのを見る、それからそのまいているビラがそういうビラである。そうするとこれは頒布をする行為違反行為であるということがわかりますね。そういう場合、警察官としては、そういう犯罪行為防止する立場からも、注意をしてやめさせるとか、あるいは警告するとかなんとかの措置をする必要があるんじゃないでしょうか。
  107. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) おっしゃるとおりでございまして、それぞれの態様に応じまして、ある場合には警告もあるでしょうし、警告に従わないということで引き続いて強引にやるというようなことであれば検挙もやむを得ない場合もあろうかと思います。それぞれのケースに応じて違反としての正常なあれに戻すための措置をとる、こういうことになろうかと思います。
  108. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次は、ビラをまいているのです。ビラをまいたことは現認をした。それで周囲の人が、告発人らが、そのビラはここではまけないビラだということを警察には言っている。しかし、そのビラがそういう頒布場所が制限をされているビラであるかどうかを現認をしないで見逃すという行為、これは許されるでしょうか。
  109. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) ただいまの園部警察署云々の件につきましては、昨日質問通告を受けましてから、実は私の方で府警の方にどういう状況であったか調査をしたわけでございますが、そういう通報がありましたケースがあったようでございます。で、これは、二十一日の件としまして、園部警察署にその日の朝、名前のわからない男の方からでございますけれども、申告があって、こういうふうなビラをまいている、これは違反じゃないかという電話連絡がございましたので、幹部に連絡の上とにかくその現場に赴いたようでございます。ところがすでにそのときにはそういう状況は全然なく、確認に至らないで終わってしまった、こういうふうな報告を受けている次第でございます。
  110. 神谷信之助

    神谷信之助君 通知を受けて行ったらもう遅かったと。うまい報告があるものだと思うんですけれども、事実は、六時から七時半の間にそういう行為が行われていると。そこで、それはここではまけないビラなんだと、違法であるということを指摘をし抗議をする、しかしなお配布をしている。そこで園部署に対して、駅の電話を借りて二回にわたって、二人が一人一回ずつです、二回通報しています。園部署の方は、早朝なので担当者が来ればひとつすぐ連絡をいたしますと、こういうことだった。翌日弁護士と一緒に園部署へ行きましたときには、捜査課長ですか、その方は、初めて聞きましたと答えて言ったそうです。ところがその後、五月の一日の午前に告発人の田中耕一郎君らが園部署の長谷川捜査課長に会いましたら、連絡を受けて署員が現場で配布しているのを確認をいたしましたと、こう言っているんです。確認をすれば警告をするのがあたりまえではないか。現に違反行為がなされておってそれを見逃すということはこれは警察官として許される行為なんですか。そういう状況ですから直ちに京都地検に告訴、告発をせざるを得ない、こうなっているんです。そういう違反行為がなされている状態が野放しにされるということは、警察法の第二条の不偏不党の原則から言いましても、あるいは公選法の七条の公正な執行をやらなければならぬという警察官に対する義務規定からしましても、これは重大ではないかと思うのですね。しかも、先ほど言いました虚偽事項公表罪の問題もそうです。府警本部に対してその都度、告訴、告発状を京都地検に届けると同時に府警本部に渡しています。しかし、そういう告発をしてもその行為が続いている。それに対して警察は捜査もしようとしないし警告を出そうともしていない。こういうことは一体どういうことなのか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
  111. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いま先生のおっしゃった園部署管内の事実は私の方の聞いている事実とちょっと違いまして、違反現場を見ながら放置したというようなことは私の方として、いろいろ詳細に聞いた結果でも出ておりません。おっしゃるとおり当日午前七時十分ごろ加入電話で男の氏名不詳の方が駅前で証紙を張った上田候補の経歴等を書いたビラを配っているがあれは違反ではないかと、こういう申告がございまして、さらに一、二分後に別の男と思われる人からもう一回あった。それで当直員が直ちに幹部に報告しまして、七時半現場に着いてみたところがすでになかった、何にもなかった、こういうふうな報告を受けておるわけでございまして、違反現場を現認しながらそれを放置したという事実は私の方に報告として上がっておらないわけでございまして、もし仮にそういうことであれば、これはきわめて遺憾なことである。やはり違反の現行を認めた場合にはそれを的確に速やかに処置をとるというのが、やはり警察の言うまでもなく当然とるべき措置であろう、こういうふうに思います。
  112. 神谷信之助

    神谷信之助君 現場に駆けつけた署員がビラの配布行為自身は現認をしているように捜査課長は告発人らに言っています。ただ、そのビラが違法であるかどうかというところまでは確認できなかったというように言っています。私は、いずれにしてもしかし、その現場に駆けつけた署員が、まいていた人たちが全部もうおらなくなったんじゃなしに、現場にいたこと、野中氏らがおったということ、これも署員は園部署は知っている。だとすれば、違反のビラを配布したのかどうかについて調査をするということは当然すぐなされなければならないと思います。この点はどうでしょう。
  113. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いずれにしましても、このケースにつきまして報告を昨日それぞれ受けた段階では、先ほどお答えしたような内容になっておりまして、そういう状況であれば京都府警として園部警察署のとった措置として別に瑕疵はない、こういうふうに私自身思ったわけでありますが、いずれにしましても昨日通告後聞いた状況では、そういうことで府警として私の方に事実を率直に知らせておる、こういう前提で私申し上げておるわけであります。どうも前提が違うようでございます。そういうふうに私たちは理解しておるわけであります。
  114. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、きのう言いましたから、そういう点では時間的関係で十分事実関係を調べることができなかったと思いますから、これは後でちゃんとしてもらいたいと思います。  そこで、もう一つ報道によりますと、知事選違反取り締まり本部を解散をしたという報道が五月九日付で京都の関係新聞に一斉に報道されています。その内容を見ますと、特に目立ったのは組織的な戸別訪問、法定外文書配布で杉村敏正候補派の応援に立った藤原ひろ子代議士の事務所や自宅が文書配布容疑で捜査を受けたほか、検挙された四グループが同代議士と同じ法定外文書を配布しており、組織的な指令によるのは間違いないということで、さらに追及を続けるというような報道であります。早速私京都の府警本部の広報課に電話をして、新聞記者会見の内容について、これは報道ですからだから間違っているといかぬと思いましたから、各紙の報道がありますが、大体似たり寄ったりですから、新聞記者会見で公表された内容というのは報道されている事実と報道の記事と間違いあるのかないのか、違う点があったらおっしゃっていただきたいと言いました。そうしたら大要そういう発表をいたしました、お話をいたしました、こういう回答でした。ですから、府警本部の新聞記者会見ではこういう報告をなされたというように思うんです。ところが、先ほども刑事局長がおっしゃいましたように、園部におけるビラまき行為にしろ、それから先ほど問題にしました虚偽事実の公表罪に関する問題にしろ、あるいはその他勝共連合の選挙妨害の幾つかの事案、これらは京都地検に告訴、告発すると同時に、その文書の写しは全部京都府警本部にも渡しています。これらはこの新聞報道によると、もう捜査を済んだのか、もうしないということになったのかと受け取れる内容になっています。私はそういうことはあり得ないと思うんだけれども、この点について刑事局長の見解を聞きたい。
  115. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 選挙取り締まり本部、御承知のとおりそれぞれの選挙では警察のやはり総力を挙げまして厳正なる違反取り締まりということを担保をするために取り締まり本部を設けておることは御承知のとおりでございます。また一連の京都の選挙が四月九日あるいは二十三日ということで接続して行われましたので、相当長期にわたる取り締まり本部の設置があったことも当然でございます。解散の時期が五月九日ということもまあ投票が終わってある時期になれば、やはり、看板を外すといいましょうか、そういう措置をとるわけでございまして、タイミングその他としてもやはり府警の判断としてはとやかく言う筋合いのものではなかろうかと思います。しかし看板を取り外しまして本部解散といいましても、いろいろの告訴、告発事件を初め、捜査中の事件を放棄するということは、これはもうもとよりそういうことではございませんで、やはりそれぞれの事案に応じて人をかけ、誠実に迅速にこれを処理するというふうな体制は当然残していくわけでございまして、記者発表その他でどういう内容を言ってどうなのかということは、私も全然承知しておりませんし、聞いておりませんけれども、残っておる事案につきましては誠実に迅速に処理するということで京都府警は努力しておる。こういうふうに聞いておるわけでございます。
  116. 神谷信之助

    神谷信之助君 残っている事案とおっしゃいましたが、私がいまちょっと奇異に思っているのは、恐らくこんなことあり得ないと思っていることは、残っている事案というのが杉村派にかかわる違反行為のみで、林田陣営にかかわる告訴、告発、先ほど言いましたが、非常に多くの十数件ですか、二十数件行っていますが、これらは当然捜査を継続をされるはずだろうと思うんですけれども、そういうことについては新聞記者会見では触れてない。だから私は奇異に感じているんです。私はそういうことはあり得ないだろうと思うんですね。この辺ひとつはっきりさしてもらいたい。
  117. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) われわれ警察の立場としまして、党派、政党その他によりまして選挙の結果をいわゆる区別してそれぞれ言うということは絶対あり得ないということでございます。
  118. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後に公安委員長にお伺いしたいのですが、御承知のように四月の二十八日にわが党の国会議員団の名前で申し入れいたしました、この件について。いま選挙違反の事案といいましてもいろいろあって、ついうっかりいままでの慣例でということで大臣も御経験のこともあることだし、その点では十分選挙の公正を害する、しかもそれが組織的きわめて悪質なものというようなものについては厳正にやっぱり厳しく対処をする必要があると、それが一方的に、片一方の陣営だけが捜査をされて、そして相手方は何らそれもされていないというような、そういう状態というのはこれは納得できるものではないという点を申し上げたと思いますが、いま刑事局長が厳正公正に、しかも選挙の結果いかんにかかわらず断固としてやるんだということですから、これはここでは京都において京都府警本部が行った新聞記者会見の内容が、恐らく府警本部の行った発表の内容すべて報道しているものではないであろうというように好意的には解釈しておきますけれども、ゆめしかしそういうことがあってはならない。しかし、現実に九日付の京都における一般新聞の報道はまさにそういう報道しかない、全部が。この点私は非常に重大だと思いますが、公安委員長としてこの点警察本部に対するそういう厳正、しかも公正な態度を厳守をするという点についての所見を承っておきたいと思います。
  119. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 選挙が公正に行われますことが、民主主義の大前提でありますことは申すまでもないことでございます。したがって、厳正公平に行われなければならぬ選挙につきまして違反事実等がありといたしますならば、警察といたしましてはこれに厳正に対処してまいる、これが根本の考え方でございまして、いかなる選挙の場合におきましても、また政党政派のいかんを問わず対処いたすべきものでありますことは申すまでもないことでございます。いま御指摘がございましたように、二回にわたりまして京都の選挙につきまして共産党の衆参両院の議員の方が私を訪ねてこられまして、ただいまお話もございましたようなお話も承り、また申し入れもございまして、私はその都度刑事局長に対しましてかようかようなお話があったと、選挙違反に対処するに当たっては厳正公平でなければならぬことは申すまでもないことであって、さように対処しているとは思うけれども、さらに念を入れて申しますよと、かように申したのでありますし、なおかつ先週の土曜日、私は京都を訪問する機会がございましたから、警察本部長、佃本部長に会いまして、二回にわたっての申し入れのございました事実は直接伝えてきた、かようなことでございます。今後におきましても選挙違反に対処するに当たりましては厳正に公平に対処してまいると、かような決意でございます。
  120. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃこの件は終わりますかち法務省関係は結構です。  続いて次の問題に移りますが、道路交通の安全を確保するには、いままで当委員会でも議論されておりますように取り締まり主義といいますが、あるいは厳罰主義、これは当然限界が起こってくるというように思います。したがって、事故の発生の原因について社会的、政治的に究明をして、そしてその対策は総合的に立てられなければならないというように思います。この点は交通安全対策基本法にも強調されているわけで、この見地からこれから二点について質問したいと思います。  まず過労防止の問題なんです。道交法の六十六条に言う過労の取り締まりの基準ですね、六十六条は、「何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物」等々というようにありますが、この過労についてどういう基準をお考えか、まずこの点お聞きしたいと思います。
  121. 広谷干城

    説明員(広谷干城君) 過労運転の認定の問題についてのお話でございますけれども、御承知のように過労運転違反になります場合は、過労の状態が正常な運転ができないおそれがあるという状況が、かようなわけでございまして、その認定に当たりましては最終的には個々のケースについて具体的に認定をする必要があるわけでございますけれども、その個々のケースにつきまして判定をいたします場合に、おおむねどういうところを判断の基準にしておるか、見るポイントにしておるかということでございます。  いろいろな要素がございます。いささか技術的になろうかと思いますけれども、まず過労運転防止するために一般的に運輸省あるいは労働省から示された運転時間なり、あるいは運転距離なり、あるいは一般的ないろいろな面での労働問題、労働の基準というふうなものが示された通達がございます。まずこういうものがそれに従って行われておるかどうかということが一つの重要な判断の基準になろうかと、こういうふうに思っております。  ただ、これだけでもちろん判定ができるわけではございませんで、先ほども申し上げましたように、一つには労働条件の要素、たとえて申し上げますと多忙な事務に引き続いての運転業務かどうか、あるいは具体的にその運転というものが交代なしの長距離運転だったのではないかどうか。あるいはこの運転をする前に、たとえば休日の日にも勤務がずうっと続いておるというふうな過剰な勤務というものがこの運転の前にあって、その結果が運転にあらわれてきておるんではないかどうかというふうな点ももちろん判断の基準になるわけでございます。  それから時間的な要素というものもございまして、非常に疲れの激しい夜間運転であるかどうか、あるいはその運転の期間中における休憩の状況はどういうふうになっているか、こういう点もあるわけでございます。また気象等の条件につきましてもこの要素になるわけでございまして、たとえば積雪、凍結、濃霧というふうな状況運転の過程で出てくるというふうなことがございますと、これがまた過労の条件になってくる、かような点がございます。そういうふうないろいろの、そのほかに人の要素であるとか、車の整備状況でございますとか、日ごろ通りなれておる道であるかどうか。いろんな要素があるわけでございますけれども、こういうふうなものを総合的に判断をいたしまして、その人が過労の状態にあるかどうかということを具体的に認定をしておる、こういう状況でございます。
  122. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうして過労の状況事故が発生をしたということになりますと、ドライバーに対する対処というのはどういうことになりますか。
  123. 広谷干城

    説明員(広谷干城君) 過労の状況運転をした運転手の方に対する道交法上の責任というものももちろんあるわけでございますけれども、まあわれわれといたしましてはそういうふうな過労の運転というものがなされる背景というものがあるんではないか。こういうふうな点、これ当然考えなきゃならぬわけでございまして、過積載あたりでも何回か申し上げておりますけれども、その違反をさせておるといいますか、その背景をつくという捜査を十分にしなきゃならぬという方針のもとでやっておるわけでございます。
  124. 神谷信之助

    神谷信之助君 警察の方としては結局は事故が起こってからその過労の背景を見なきゃならぬ、こうなりますから、やっぱり過労の状態を起こさせない条件をつくるというのが、これがきわめて質要になるわけです。したがって、その点で労働条件の改善とか賃金及びその賃金体系ですね、これらの改善というのが非常に重要な要素をなすであろうということは一致できると思いますね。  そこでタクシーの場合について、これは運輸省の方にお聞きしますが、昨年五月タクシー料金の値上げが認可をされたわけですが、この場合そういう点も考慮をして労働条件の改善にこの値上げ部分が充てられることを重視をして、この認可をするに当たってもそういうことを考慮されたというように聞いているんですが、運輸省の方はこの点について具体的にその後どういうような指導をやられているのかどうか、この点をお伺いします。
  125. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 私どもといたしましては、タクシー事業者に対しまして日ごろ運転者の給与状況を改善するように十分指導監督をいたしておるわけでございますが、特に運賃改定等当たりましてもその点遺漏のないように指導いたしておるところでございます。
  126. 神谷信之助

    神谷信之助君 具体的にどういうように給与改善なんかが行われたり、あるいは労働時間、賃金体系、これらについてどういう改善が行われたかという調査とか、そういうものはなされていないわけですか。
  127. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 給与体系、給与水準等につきましては労使の問で決定されるべき性格のものでございますが、私どもといたしましては労働省と緊密に連絡をいたしまして、労働条件の改善、向上につきまして業者を指導しておるところでございます。
  128. 神谷信之助

    神谷信之助君 一つずつ聞きますが、一つは、いまの過労問題ですが、過労防止違反率の調査を京阪神の陸運局ですか、査察をなさったというデータをいただきましたが、このいわゆる運輸規則の二十一条違反ですね。これは大阪で四二・三%、神戸が一六・五%、兵庫が六八・七%、京都一九・六%と、東京の方は定期監査らしいですが二四・九%という何が出ていますが、この違反かどうかの基準は、運輸規則の二十一条及び労働省の四十二年の二・九通達、これらを基準にしてこの査察あるいは定期監査をなされてい、るのかどうかちょっと確認をしておきたいと思います。
  129. 梶原清

    政府委員(梶原清君) タクシーの安全な運行、それと旅客サービスの確保を図ります観点から、先生御指摘の自動車運送事業等運輸規則第二十一条の規定がございまして、「旅客自動車運送事業者は、過労の防止を十分考慮して、」「乗務員の勤務時間及び乗務時間を定め」ることが義務づけられておるわけでございます。この勤務時間及び乗務時間決定にあたりましての過労防止という点でございますけれども、これは先ほど御指摘の労働省労働基準局長から四十二年二月九日に出されました通達いわゆる二・九通達等を基準にいたしまして適否を判断しておるわけでございまして、私ども関係の事業者を適時監査をいたしまして、その遵守状況を確認しますと同時に、違反者につきましては十分な指導監督あるいは適切な処分をいたしておるところでございます。
  130. 神谷信之助

    神谷信之助君 これらの査察あるいは定期監査ですか、これらの結果は公表されているわけですか。
  131. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先ほど先生から大阪陸運局管内のものにつきましてお話がございましたが、大阪の場合には運賃改定後の状況につきまして査察を行って、それを違反の条項ごとに件数を発表いたしたわけでございます。その他の陸運局につきましてはそのような公表はいたしておりません。
  132. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうでしょうね、まあわれわれから言わすと、その違反の事業者自身も公表して、そして改善の努力を迫まるということをしなかったらなかなかしないと思うんだけれども、せめてそういう違反件数あるいは違反率といいますか、そういったものを大阪陸運局だけがやったということだけじゃなしに、全国的にそういうことをやって、そして業界自体にもやってもらうし、そこで働く労働者自身も自覚をしてもらって、そういうことをなくしていくということをやってはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
  133. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先ほどお答えをいたしましたように、大阪陸運局の場合も違反条項につきましての概況を公表したわけでございまして、そのような公表の仕方は今後やっていくように努力はいたしたいと思いますけれども、個々の事業者の個々の違反につきまして、これを公表するかどうかということは慎重に検討すべき内容だと思います。
  134. 神谷信之助

    神谷信之助君 お気持ちはわかりますが、やっぱり悪質な者、それからなかなか指導しても言うことを聞かない者、こういうのはどんどん明らかにしていかないと、なかなかこれ長期にわたっているわけですから改善をされない。これではあと取り締まる側が忙しくなるばかりだと、こういうふうになるわけですから、この点ひとつ要望しておきます。  その次、運輸規則の二十一条の二の「乗務距離の最高限度」の問題ですが、現在東京では最高限度が何キロになっているか、そしてそれはいつ決まったのかという点について報告してもらいたい。
  135. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 東京地区につきましては、三十三年六月に陸運局長が地域指定を行いまして、これに基づいて法人事業者の隔日勤務の場合は三百六十五メートル、個人タクシーの場合は二百キロと、こういうことで届出がなされておるところでございます。
  136. 神谷信之助

    神谷信之助君 三百六十五キロというのは、二の三項三号ですね、「算出の基礎を明らかにすること。」が決められておりますから、その根拠基準というのが明らかになっていると思うのですが、細かいやつはいいですよ、恐らく交通状況とか輸送実績、これらを基準にして決められているんじゃないかと思いますが、この点いかがでしょう。
  137. 梶原清

    政府委員(梶原清君) それにお答えをさしていただきます前に、先ほど御答弁いたしました中で、法人事業者の隔日勤務の場合三百六十五メートルと申し上げたかと存じますが、これは三百六十五キロメートルの間違いでございますので、まず訂正をさしていただきたいと存じます。  それから御質問の最高乗務キロの関係でございますが、この規則にもございますように、算定基礎を明確にして届け出るということに相なっておるわけでございますが、これは各地域におけるそれぞれの労働時間、ハンドル時間、走行キロ等を綿密に調査をいたしまして、事業者の方においてそれを検討いたしまして、それを明示をいたしまして届け出があるわけでございます。
  138. 神谷信之助

    神谷信之助君 三十三年の六月の当時三百六十五キロと、東京都内で最高限度がこういう決定がなされたわけですが、ところが調べてみますと、東京における登録自動車の台数は三十二年度末で十九万台、それが四十二年度末で百二十七万台、それからことしの五十三年一月末現在で二百七十二万台にふえているわけです。そうすると、これはもう交通状況というのはうんと違ってきますね。三十三年当時出せたスピードと現在におけるスピードと、これが渋滞状況その他でうんと変わってくるわけでしょう。それなのにこの最高限度が変更にならないというのは一体なぜでしょうか。
  139. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先生御指摘のように、この二十年来非常に自動車がふえてまいっておりまして、先生御指摘のような数字になっておることは事実でございます。そこで乗務距離の最高限度につきまして、先ほど申し上げました昭和三十三年に三百六十五キロメートルということで届け出があったわけでございますが、その後これが変わっていないということも事実でございます。これにつきましては何キロメートル走行するのが可能であるか、あるいは適切であるかという点についての議論になるかと思うわけでございますけれども、走行する場所、走行する時間、交通渋滞の程度、それから高速道路の利用の有無等諸条件に大きく左右されるわけでございます。昨今の情勢から見ますと、夜間走行する事例が多うございますし、あるいは高速道路を利用する割合というのも相当ふえてきておるわけでございまして、これを一概にいま先生の御指摘事情だけをもちまして決めていくということはむずかしい事情にあろうかと思うわけでございます。
  140. 神谷信之助

    神谷信之助君 この最高限度は業者の方が計算をして、そして陸運局へ届け出るわけですね。それは三十三年六月に届けたままでちっとも変更がない。変更すれば陸運局に届けなければならない、こうなっていますね。この三百六十五キロというやつが届けられてそしてそれ以後ずっと変わっていない。その三百六十五キロが妥当であるかどうかというのは当然陸運局では検討しなきゃならぬでしょう。妥当でなければ指導しなければならぬと、こうなりますね。それがずっと二十年来動かぬままというのは私はどう考えても不思議な感じですね。しかも交通事情はうんと二十年前ですから月とスッポンほど違うと、そういう状態でそのまま見過ごされているということが一体どうなのか。私はこの点現段階でひとつ見直しをする必要があるんじゃないだろうか、あるいは検討する必要があるんじゃないだろうかというように思うんですがね。大体何で最高限度を決めるんだということですね。この点はどうでしょう。
  141. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 一番最後の点でございますが、昭和三十年の当初でございますが、東京都内あるいは大阪市内等におきましていわゆる神風タクシー問題というのが発生したわけでございます。それに対処するために最高乗務距離というものを決めたこのいきさつがあるわけでございます。その後いま先生御指摘のような推移をたどってまいっておりまして、現在なお三百六十五キロ、東京都内でございますればその三百六十五キロで運用してまいっておるわけでございますが、これは先ほども申しましたような個々のケースに応じまして非常に事情が違ってまいるわけでございまして、高速道路が非常にふえましたような、整備されましたような現在、高速道路を利用するケースも相当ございます。また遠距離運行のものもございますし、それから先ほど申しました夜間運行というのもございまして、一概にこれをどうこうということが非常にむずかしい状況にございまして、現在のところ最高限度としての基準という性格から見まして、現段階で直ちにこれを変更する必要性というよりも、この監査等を通じまして事業者に過労運転とかそういうことのないように厳格に指導監督をしていくということの方が、そういう必要性の方が高いのではないだろうかと、かように考えておるわけでございます。なお、この最高乗務距離の問題につきましては、先生いま御指摘もございましたので、今後実情を十分調査検討をいたしまして対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  142. 神谷信之助

    神谷信之助君 高速道路が二十年前から言うたら確かにふえていますよね。しかし、その高速道路事故があったりなんかして渋滞を起こしてかえって進めないという、そういうことで今度道交法改正もあるのですからね。だから高速道路がふえているから最高限度はそのままにしておいてもいいということにはならない。逆に都内のスピード制限はずっと強まっていますわね。それから台数もふえていますから、渋滞の状況、これらを考えると、大体いまお話があったように、これを決めたのは神風タクシーを防ぐ、それからスピード違反防止、それから同時に過労防止でしょう。だから過労とスピード違反、これが交通事故発生の中でも非常に大きい部分を占めているわけですからね。それの発生の一つの要因になっていはしないか、この辺の認識についてひとつ指摘をして検討してもらいたいと思います。  そこで、都内でタクシーがスピード違反をやらないで正常に運転をすると、いまハンドル時間十六時間ぐらいということで一日何キロぐらい走れるの万という、そういう調査をなさったことありますか。
  143. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 私どもいま先生御指摘のありましたような観点からの特別の調査をいたしたことはございませんけれども、東京都区内におきます法人タクシーの走行状態につきまして標準的な三十五社の実績を見てみますと、昨年度、昭和五十二年度におきましては一日平均三百十四・六キロメートル、こういうことになっておるわけでございます。
  144. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体これが、そういう実績を基礎にしたやつが運賃の原価計算の一つの要件になるように聞いているのですが、そうですか。
  145. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 標準的な会社の成績でございますので、これを運賃改定等を行いますときの基礎の一つの数字として使っておるわけでございます。
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは実績の平均ですからね、私はこれは問題があると思うんですよ。実際にタクシーの運転手の皆さんでいろんな条件がありますから、ハンドル瞬間十六時間としてスピード違反をやらないで一体どれだけの走行距離があるのか、あるいはそこへ客待ちなり渋滞状況いろいろあるでしょうが、それを大体実際自分らでやってみますと、東京都内の場合二百八十から二百九十キロになっておるのです。しかしそんな速度で走っておったのでは飯が食えませんから、実際問題としてはお巡りさんのおらぬところやったら適当にスピードアップすると。そうやって水揚げを上げないことには生活ができない。それが実績ですよね。それでなかったら一斉取り締まりや言うてワーワー言うてタクシーの運転手さんもワーワ一言って対応措置を考えるなんていうことをせぬでいいわけです。実際はそうでもしなかったら水揚げは上がらないし、生活ができないからやるわけです。それできょうはどこそこでありそうやというので、皆それぞれひっかからぬようにしようと、こうなるわけです。実際実績というのは、だからそういう意味でいうとスピード違反で走っている距離、それを逆に言うたらそれだけの距離走らぬことにはいまの給与体系では最低食えないということで、タクシーの運転手の皆さんが悪戦苦闘している数字ですよね。そうすると、これを基準にしてそして原価計算をすると、運輸省は確認をして、それを認めて原価計算の内容にも入れるということになりますとね、スピード違反を公認していることになるのですね、結果的には。片一方では取り締まりをやるわけです。だからひっかからないようにうまいこと走れよということを言うていることにもなる。これはそういう意味でひとつ私は運輸省自身も、そういう交通違反をせずに実際に走るというとどういう状況になるのか、いろんな実験をしてみたりあるいは協力を求めてやってみたり、そうして実態をつかまないと、そしてまたそれを基礎にして労働省の方も賃金体系その他についての指導なり援助もしないと、それはいつまでたってもそういう状態はなくならぬというように思うのですが、この辺いかがですか。
  147. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 運賃改定に当たりましては実績も一つの大きな根拠になるわけでございますが、標準原価をはじきましてまたいろいろの諸条件を勘案をいたしまして運賃改定をやっておるわけでございます。また、単に経営の立場だけでなしに、これを大幅に運賃を改定いたしました場合にはお客さん離れということも考えなきゃいけませんので、経済的な情勢、一般経済の情勢ということも踏まえまして適切な運賃改定ということに努力をいたしておるところでございます。今後さらに運賃の作業につきましては、先生御指摘の趣旨も踏まえまして慎重に適切な運賃改定が作業ができますように努力をいたしたい、かように考える次第でございます。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がありませんからほかの問題もやらにゃいかぬので、この問題は後まだ聞きたいことも大分あるんですが終わります。  で、交通安全基本計画にもわざわざ運転者の労働条件の適正化ということを明らかにし、それに基づいて労働省の方も二・九通達を出してやっておられるし、さらに昨年は全乗連に五月十日付の通達を出されています。こういったことで一定の努力はなされているんですけれども、先般当委員会でも問題になりましたように、リース制度とかあるいはオール歩合給制度とかいうのが現にまだ存在をしておる。労働省でしたかの調査でも、毎年五月の調査を見ましても、全産業平均の労働時間及び労働賃金、これ見ましてもハイタク関係の労働者の労働時間は長いし、賃金というのは低いしという結果も出ているという状況ですね。ですから、これ交通事故をなくすために道交法のいろんな基準、罰則その他を強化するという、あるいはさらに取り締まり強化する、そうしないとまた死亡事故を含む重大事故も発生をするわけですから、そういう点も考えなきゃならぬわけですけれども、しかし総合的にやっぱりこういう点を含めてやらないとどうにもならぬと、この辺公安委員長、もう時間がないので単刀直入に聞きますが、国務大臣として御出席いただいているのはお一人ですから、閣内でもこの交通安全基本計画を見ますと、りっぱに全部書いてあるんですよ。ところが実際にはなかなかその施策が進まない。この辺のところを私どもはやっぱり道交法を今回改正をするというならば、それにマッチして、こういった問題についてそれぞれどのように各省、労働省は労働省、運輸省は運輸省で改善措置をして、そうして警察の方が右往左往して取り締まりに狂奔せんならぬということにならぬように、あるいは違反者をつくるということだけが目的でありませんから、そういう点での総合的なこの対策をもっと本当に考えてもらうということがなかったら、罰則ばかり幾ら強めてみても、取り締まりをなんぼ強化をしてみても、これは解決しないというふうに思うんですね。この辺のちょっと御見解を聞きたいと思うんです。
  149. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 今回の改正案におきまして、御指摘がございましたように罰則強化をいたしている点もねらいの一つでございますけれども、しかし、これは違反をいたしました者を処罰をいたしますことが目的ではないのでありまして、要は交通の円滑と安全を確保すると、この点がねらいでございます。したがいまして、悪質の者に対しましては一罰百戒の実を上げなければなりませんけれども、しかし何もかにもみんな処罰の対象にする、かような考え方ではない方針でなければならぬ、かように強く思っておるところでございます。  それから警察の力のみを持っていたしましても指導取り締まりに十全を期し得ないことは申すまでもなく、ことに指導の面におきましては運輸省や労働省と十分に連携をとりながら進めていかなければならぬ、かような考え方のもとに計画も策定されておるのでありますから、計画を計画どおりに推進してまいりますためにも、今後関係省庁と十分な連携を保ちながら取り運んでまいりたい、かように考えているところであります。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣の答弁は、答弁としては非常に結構なんですけれどもね。実際にそれを実効あらしめていただきたいということを特にお願いしておきます。  次に過積みの問題ですが、これももう時間がありませんので少し一括してただしていきたいと思いますが、過積載関係の五十二年度検挙状況をお聞きしますと、積載違反対象運転手ですが、これが十五万四千七百五十八件ですか。それから両罰規定に基づくものが、運送会社、雇い主、これらが四千七百二十四件。下命、容認、これは連行管理者等が対象で千五百十三件。それから教唆、幇助、これは主として荷主に対してですが八件。こういう数字をお聞きをしました。若干誤差はあるかもしれませんが、余りにも運転手に過積載についての追及というのが大きい。この点、雇われている立場ですから弱さがあるわけですね、運転手の方は。したがって、雇い主なり使用者あるいは荷主の強制が一つの大きな原因になっているんですが、処分を受けるのは運転手とわかっているんですから、好んで運転手の方が過積載をするはずはないということを考えますと、こういう五十二年度の検挙状況を見るとどうもぐあいが悪いというように思うんですね。今度はその点で使用者に対する責任を明らかにする改正がなされたわけですが、この辺についての見解をまず簡単に聞かせていただきたい。
  151. 広谷干城

    説明員(広谷干城君) お答えいたします。  われわれといたしましても、過積載の背後と申しますか、過積載をさせる背景、しなきゃならぬ背景があるということは取り締まり現場を通じましても感じられるわけでございますが、単に運転者だけを処罰するということでこの問題が解決できるというふうには考えておりません。したがいまして、この違反を発生させている原因をつくということで種々の工夫をこらしながら努力をいたしておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、なお一層の事業者なりあるいは荷主なりに対する背後責任の追及というものを行っていかなきゃならぬということを十分に考えておるわけでございまして、なお一周の努力をいたしていきたいと考えております。  なお、昭和五十二年中の数字でございますけれども、荷主を中心といたします教唆、幇助犯が八十八件を検挙いたしております。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 これも京都の一例ですがね。これは一人親方の砂利運搬をやっている業者なんです。この方は日産ディーゼルの八トン車一台持って、そして長池建設資材株式会社という山砂利屋ですが、そこから近畿生コンや京都小野田レミコン、こういったいわゆる生コン屋のところまで運んでいるんですね。それの仕入れ販売運搬日報ですが、八トン車ですね、これを見ますと大体十八トン五百五十、十八トン三百、十六トン八百五十、十八トン八、百四十、十七トン五百というように全部オーバーです。ですから何回かやっぱりひっかかるわけですね。それでとうとう免許取り消し処分になったんですね。ところが、これいややと言うたら運ばしてもらえぬでしょう。だから私は、こうやってちゃんとあると、業者にこれだけ運べ言われて、そしてまあ違反とわかっているけれども運ばぬことには首になってしまうし、使うてもらえぬからうまくないということで、これは京都の公安委員会に申請を出して審査を請求して、そのときにこれ持っていってやったらしいんですがね。しかも公安委員会の方としても、それは事情はようわかるけれども、公安委員会でこれを追及することは、解決はできぬと、お気の毒なことやということで、結局免許取り消し処分になっているんですがね。だから、一人親方のそういう一台のダンプを持ってやっている業者から、それから大きい運送会社に至るまでいろいろの種類があるけれども、そういう過当競争が非常に激しいという状況だと思うんです。きょうの新聞報道によりますと、国鉄も悲鳴を上げてきのう、十日に「物流秩序の改善について」という要望書を運輸省、通産省、警察庁など関係省庁に提出をしたという報道があります。公正な競争をひとつやってくれと、積載量オーバーとか運賃ダンピング、白ナンバー営業、これらひとつ輸送業界の秩序庁正してくれという要望が国鉄自身からも出ていろわけですね。こういった点は非常に深刻な問題かと私は思うんですね。こういう点について運送業界の方の指導を担当している運輸省の、それからいま山砂利の問題ですから砂利関係でそれに対応してどのように対処をしておられるのか、あるいはしようとされているのか、こういう点について通産省のそれぞれからひとつ意見を聞かしてもらいたいというように思うんです。
  153. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 御指摘のとおりにトラック運送事業者は全国でいま三万二千業者ぐらいございまして、その大半が中小零細事業者でございます。この事業者間の競争というのも非常に過熱な競争をしておるわけでございます。また荷主との関係におきましてはトラック事業者が非常に経済的に弱い立場にあるわけでございまして、私ども指摘の過積載その他の秩序違反に対しましては荷主に対する要請ということを強くやってまいらなければいけないと、かように考えておるわけでございます。通産省当局等の御協力をいただいて荷主側に対する啓蒙、要請ということを続けてまいりたいと思います。  また、一方この業界の体質改善と申しましょうか、経済基盤の強化ということが非常に重要でございますので、従来から構造改善事業とか、あるいは運輸事業振興助成交付金の有効な活用ということによりまして経営基盤の強化を図る。また、一方昨年度から監査員制度を新設をいたしまして、本年度で十五名各陸運局に配置をしまして輸送秩序の改善向上のために努力をしておるところでございます。
  154. 大高英男

    説明員(大高英男君) 通産省といたしましても、砂利等を運搬いたしますダンプカーの過積載の問題につきましては、かねてより関係業界団体等を指導してきたところでございます。本年におきましても四月にこの過積載の防止対策強化ということで、やはり関係のそういった業界に対して通達も出しております。なお、今後はこういった過積載が行われないよう関係省庁とも連携をいたしましてなお一層指導を強めていきたいと、このように考えております。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 これなかなかそういう答弁なさっているけれども、実際問題としてできないんですね。京都で舞鶴港から外材が二十七号線から九号線、連日走っていますけれども、大体これも過積載なわけです。これなんかは、何といいますか、積む場所がもう限定されていますからね、だからそこで業者団体で自主的に看貫重量計といいますかね、置いて、そして業者団体として過積載を規制すると、それで警察の方は時々なれ合いをせぬように立ち入りもすると、指導をすると、途中でおまえ違反じゃ言うてつかまえることが能じゃないんですから、そういう方法を呼びかけて考えるとか、それぞれありますね、積み場があるんですからね。その積み場のところでひとつそういうことがやれるような方法を運送業者、荷主側含めてそれぞれ考えてもらう。それに対して警察も一緒に協力してそういう指導もしていくというようにしていかないといかぬということが一つと、もう一つは、結局いまの構造改善事業とおっしゃいますが、結局、先ほど言いましたように運賃のダンピングがやられているわけですから、無理をして積まないことには食っていけないと、こうなってきますと、一人親方だとか資力の弱い企業は弱肉強食でつぶされていくわけでしょう。だから、力の強い者だけが残ってしまう、そういう構造改善事業になったんでは、これはぐあいが悪いわけなんです。共存共栄ができる、業界全体として発展ができる、そういう方向を考えなきゃならぬわけですからね。この辺は取り締まりの方法と、それからそういう業界に対する指導と現実に過積載をやらせないということを含めて大事じゃないかと思うんです。  それからもう一つは、荷主が積む場合に伝票をちゃんとつけさせて、それを持って走る。そうすると運転手の責任じゃないわけですね。だれが過積載さしたかということもはっきりするでしょう。こういった方法も一つ考えられるのじゃないかという問題もありますし、それからトラックの最大積載量ですか出ていますが、あれをもっとわかるようにして大きくして、そしてぱっと見ただけでもこれはおかしいということがわかるようにするとか、いろんな方法も考え、総合的にひとつ考える必要があるだろう。この辺やらないと、いつまでたってもこれは私は解決をしないのじゃないかというように思うんです。これは先ほどの過労防止の問題とも同じですけれども、そうしないと取り締まりが結局強まるだけでは、小さい業者がどんどん先ほど言いましたようにつぶされていくということになりますし、だから、この辺の指導をひとつ特に強調しておきたいと思います。  その次の問題に移りますが、もう時間がありませんから簡単にいきますが、実は聴覚とか言語障害者の運転免許の問題ですが、これは請願も出て当委員会でも議論をしたわけでありますが、この道交法八十八条に、御承知のように耳の不自由な方等についての免許は与えないという規定がありますね。これは今回の道交法の大幅な改正の際になぜ削除されなかったのかという点です。それで九十一条によって体の不自由な方に対してはいろんな操作といいますか、をして、そして免許を与えることができるということで、これによっていま耳の不自由な方約六千人に対して片一方では資格を与えているわけですね。そういう補聴器をつけて九十ホンが十メートル後方で聞こえればよろしいということで、その方にも与えていると、こうなっています。しかし、八十八条の資格を与えることができない者の中には、そういう耳の不自由な方などがだめだという規定がそのまま残っているんですよね。私はちょっとこれは矛盾しているんじゃないかと思うんですね。だから、その条項を消しても、九十一条では体の不自由な方についてはそういう器具をつける、補強する道具を使うことによって初めて免許を与えることができるという規定があるわけですから、当然削除をすべきではなかったかと思うんですが、この点の見解をひとつまずお聞きしたいと思うんです。
  156. 三上和幸

    説明員(三上和幸君) ただいま先生からの御指摘のように聴覚障害者につきましての運転免許につきましては、四十八年の八月から補聴器使用を条件にいたしまして六千九十四人昨年末で免許を取られておるわけでございます。昨年一年で千二百三十三人の方が免許を取られているわけでございます。  それで私どもとしても、聴覚障害者が社会生活の上で現在のような車社会において十分活動できますように、御指摘のように九十一条の条件ということでかなりの聴覚障害者につきましても免許が取れるような措置を講じておるわけでございますが、今回この道交法改正の中に取り上げておりませんけれども、これは全く聴覚がないという方につきましてどういう形の、いわゆる聴覚を欠く場合に、補聴器を現在は条件にいたしておりますけれども、補聴器条件なしにどういう形で免許が取れるかということを考えてまいりたいということで、その代替手段としてはどういうものがあるのか、こういうことにつきまして十分専門家の意見も現在聴取をして検討をいたしておるところでございます。  それからもう一つ、今回は取り上げておりません理由は、一つは、現在まで六千九十四名の方が聴覚障害で取られておるわけですけれども、この方々のいわゆる事故の問題というようなものもフォローして調査をいたしておるわけですけれども、現在の一般の健聴者の事故よりも若干、いわゆる免許取得者全体と、それから聴覚障害者の免許取得者のいわゆる事故状況というようなものも見てまいりますと、若干その事故率が上回っているというようなこともございます。いろいろと慎重な運転をされているとは思いますけれども、そういう状況もありますので、聴覚障害というものがどういうふうに影響があるのかという点、もう少し見定めて、その面を十分検討した上でいわゆる聴覚障害者の免許付与を私どもとしては十分に考えてまいりたい、まあそうすることが聴覚障害者の安全にとっても必要でありますし、また一般の方にとっても必要だと、そういうことで、私どもとしてはなるべく、社会生活に必要になってまいりました免許の問題について十分真剣な検討をいたしておるというのが現状でございまして、今回取り上げておりませんのは、そういった専門家のいろんな状況も聞きましてそれに対する、いわゆる補聴器というようなことではなくて、何らかのもっと適切な代替手段というものをとって免許を付与できるような方法はないかと、こういう方向でいろいろと検討いたしておるというのが現状でございます。
  157. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がもう本当にありませんから言いますが、私は、何度か、運転免許を与え、取れるようにしたいということで研究をし、調査をしているとおっしゃるけれども、聞いたら、いわゆる六千名余りの運転免許をもらった人の事故状況事故発生率はどうなんだと聞いたら、それは調査してないというんですね。一体何をしているんだろうというふうに思うんですよ。この問題についてはアメリカで非常に研究が進んでいるんですけれども、アメリカの調査では、「聴力障害者は自動車事故に大きく関係していると思われない。」「ろうあ者は非常に注意深い運転手である。」あるいは「運転に於ける警戒信号の大部分は視覚を通じて受入れられる。(米国自動車協会の調べによると、上記信号の九七%は視覚によって把握されるという。)」そういうようなことも明らかにされていますし、さらに、全聾運転者と非聾運転者、これが事故及び違反において大差がない、全聾運転者群の過半数が無事故ないし一回事故者であった、すなわち聾が逆転危険の決定的条件ではないということがアメリカでも立証されているんですね。そういう調査をどんどんいろんな角度でやられていますけれども、残念ながら日本では余りそういう点がやられていないというように思うんです。で、前回、音を光に変える装置というのを厚生省の方で予算をつけて研究をされたわけですが、これもお聞きをしようと思いましたが時間の関係で省略をしますが、来年度からは厚生省の方では、そうじゃなしに今度は聾唖者の方々、聴覚言語障害の方々に運転を訓練をしてもらって、そしてその訓練技術を身に習得をすれば事故なしに運転が可能かどうかという、そういう調査研究を五十四年度からやろうという、そういうお話も聞いておりますが、私は実際、私自身は運転できませんが、運転をされている皆さんの話を聞くと、視力ですね、視覚によるのが圧倒的に多いわけで、したがってミラーを全方向がわかるようなミラーにする、少なくとも後方の相当の部分が免れるようなミラーの装置にするとかいう方法も考える必要があるだろう。この間の、音を光に変える装置ですと相当金がかかりますからだれでもというわけにはいかぬでしょう。もっと簡易にやれる方法、あるいは全聾の人が実際に運転の技術を身につけてそしてやってみて一体どうなのかという実験も繰り返しやってみれば一定のあれが出てくるでしょう。それを、何といいますか、八十八条で免許を与えない不適格者というその項目で、すでに六千人余りにわたって運転免許を与えながら、それが削除されずに残されているというのは、私は警察当局の怠慢だと思うんです。そういうことをやらなきゃならぬ。調査、研究をしようと思えば急げばやれるんですし、あるいは厚生省と協力してそういう実験をやってもらうようにすればもっと早くできるわけですね。ですから、これは私は、電話をかけて仕事を、印刷なら印刷の仕事をやっておって、電話で仕事を注文受けるわけにいかぬわけですからね、走らにゃいかぬのやから、あるいは物を運ばにゃいかぬのやから。ところが車にも乗れないという状況で、実際生活の条件というのは非常に狭められているわけでしょう。こういった点も考えると、私はこれは重大な人権問題だというように思いますから、この点ひとつ、もう時間もありませんから、その点を強調して一応きょうの質問終わりたいと思います。
  158. 三上和幸

    説明員(三上和幸君) 先ほど先生事故について全然調査しておらないというお話がありましたけれども、私ども十分この点も考えて、六千九十四人の方がどういうような事故を起こしておるかというようなことで、現在、全六千九十四人の方で二百五十四件の交通事故が起きております。それでいわゆる所有者数との関係で見ますと四・二%になるわけですけれども、健聴者全体の平政というものを見てみますと三・八%、三・八%というようなことでそう大きくは変わっておりません。しかし若干多い。そこで、そういう形のものをこれを過大視してどうしようということではなくて、確かにそういう状況もあるので、これはしかも私どもはいま補聴器条件の方で十分意思疎通のできることを含めてそういう方がこれだけの事故があるということもありますので、私どもは免許をやりたくなくて一生懸命そうしているという意味ではなくて、そういう行政の責任としてはやはりその方も事故に遭われては困る、しかし社会生活には欠くべからざるものになりつつある、この調和を何としても図ってまいりたい、われわれとしてはそういう前向きに何とかしてまいりたいと思います。  それから、アメリカの例いろいろお話ございましたけれども、確かにアメリカの州ではかなり免許を全聾の方でも耳の聞こえない方につきましても出しておるところがございますけれども、また出しておらないところもあるんです。それからフランス等でもそういうことで、ソ連なんかでもそうでございますが、いろいろ各国の事情違いますが、私どもは、日本日本として安全な形で、耳の聞こえない聴覚障害者の方が安全に運転できるということを専門家の意見も聞きまして進めてまいりたい、これを現在も私ども考えており、いろいろとその条件を整備をしてまいりたい、厚生省当局とも十分協力をしてまいりたいという考え方でございます。
  159. 向井長年

    ○向井長年君 大臣、先般の大臣の所信表明で、最近の流動する社会情勢に的確に対処するため警察体制の充実強化を図ることが急務である、このためには昭和五十三年度においては人口が急増しておるし、新興住宅地域がどんどんふえてきている、したがって、ここに派出所等の増設をやらなければならぬ。あるいはまた日本赤軍の今日の状況に対する対策も進めなければならぬ。あるいはただいま問題になっておる新国際空港の警備問題等々ですね、そういう問題について地方警察官のいわゆる増員、三千四百人の増員を行うこととしたい、こう言っておられるわけです。また、警察官の質の向上並びに処遇の改善についても配慮してまいらなければなりませんと、こういうことを言われておるんですが、そこで三千四百人の増員の根拠は何ですか、そしてまたこれで十分であるのか、まず私はお聞きしたいと思います。
  160. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 御指摘がございましたように、昭和五十三年度におきましては三千四百名の地方警察官の増員をいたしたのでありますが、増員のファクターといたしましては、ただいま御指摘がございましたようなファクターを基本にはいたしておりますけれども、しかし必ずしも正確にどのファクターに幾らという計算ではなかったのでございまして、たとえばいま御指摘がございました中には、留置場看守の三交替制のことには触れておりませんけれども、これもまた増員のファクターに計算をいたしておるのでありますのと、それから十分であるかどうかという御指摘でございますが、五十三年度の予算編成が行われます段階では、たとえば成田の問題を考えてみます場合に、今日のようなエキサイトした状況になろうことは予想いたさなかったのでございますから、その増員は必ずしも十分であったとは言いがたいのでありますから、ただいま空港警備隊の新設を検討いたしておる、かようなことでございます。したがいまして、結論的に申しますならば、必ずしも正確なファクターではございませんけれども、地方財政の現況等にかんがみまして三千四百名程度でやむを得ないのではないかと、かような結論になったのでありますが、しかし、このことが十分であるとは考えておらないのでありますから、今後機会を得まして増員の問題等に対処してまいりますと同町に、また警察官の待遇改善等につきましても、あるいはまた質の向上につきましても、格段の配慮をしてまいらなければならぬ、かように考えているところであります。
  161. 向井長年

    ○向井長年君 次に、処遇の改善の問題にもいま触れられましたが、特に治安維持、あるいはまた犯罪捜査、交通取り締まりと、職務上非常に危険な指命をかけた場合もあり得る、そういう危険性を伴う職務であるわけですね。したがって、そういう中から考えれば、国民から見れば崇高な職務である。このためには士気を高揚しなけりゃならぬし、あるいは質の向上も図らなければならぬ、そして職務に専念でき得る条件整備をやらなければならぬということなんですよね。その条件整備とは何ぞ、これはもう言うまでもなく処遇の改善ですよ。処遇の改善について今日まで、四十四年六月警察庁に設置された警察官給与制度研究会ですか、こういうもので諮って、その意見を得て人事院に要望いたしておりますね。そういうことをやり、あるいはまた国家予算なり地方財政計画、こういう中でいろいろ折衝を図らなけりゃならぬと思いますよ。しかしながらこの問題は、私はずっと一覧いたしますと、現在の教員ですね、学校の先生方の人材確保法に基づく給与改定がずっと行われてきておる。あるいは最近におきましては主任手当等も出ておりますし、そういうものと比較するならもう大きな格差がいま警察官に出てきておるのではないか、こういう感じがいたすんですよ。  幾ら大臣が所信表明で、人員の確保、質の向上、処遇の改善だと、こう言っても、現にこういうものが出てきておるし、処遇改善についてこれを人事院にやってもこれがまだ決まっていない。これは給与体系の改善もありましょうが、いろいろなもろもろの手当もありますから、何はともあれそういう問題に私は力をもっと入れなければ質の向上も生まれてこないと思うんです。だから私は、やはり警察官に大きな責任を持たし、そして自覚をさし、そしてあらゆる問題の取り締まり、あるいはまた治安に当たるという精神を養うためにはそこに力点を置かなきゃいかぬのじゃないか。これがおざなりの、国家予算がこうだ、地方財政がこうだ、あるいはまた一般の公務員がこうだという、これだけの頭でもって治安は守られませんよ。これを私は大臣なり関係者は十分に考えなけりゃならぬということで、この処遇改善、質の向上、そして人員の確保、これをまず私は申し上げたいんですが、大臣、所見いかがですか。
  162. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私も向井委員が御指摘になりましたとおりの感を深ういたしておるところでございまして、御承知のように、かつては学校の先生の給与と警察官の給与はほぼ同じような形においてのバランスがとられておったのが過去の実情でございます。ところが、昭和四十九年に人材確保法が制定されまして、その後数次にわたる人事院勧告がございました。そこで、第一次、第二次、第三次と措置をされまして、今日では非常な格差が生まれてきているのが実態でございます。人材確保上教職員に対しましてあのような措置をとりますのは当然のことでございましょうけれども、しかし非常な格差が生じてきておりまするので、このことが非常に目にもついてまいってきております。そのことが裏を返せば警察官の士気の上にも非常な悪い影響が生じておると、かように見ざるを得ない節があるのでございますから、そこで、私どもは人事院に対しまして毎年強く要望いたしておるのでございますけれども、今後もさらに強く強く要望いたしまして待遇の改善を図っていかなければならぬ。そして警察官はいまございましたように、非常に困難な仕事に携わっておるだけではございませんで、身の危険を冒して国民の生命財産を守ってくれておるのでございますから、それに対応いたします処遇もまたいたしてまいらなければならぬ、かように考えております。現在も公安職俸給表が適用されましたり、また特殊勤務手当等によりまして一般の公務員よりも若干上回る特別の措置はできておるのでありますけれども、これをもって足れりとは絶対に思っておらないのでございまして、今後の社会情勢を思いますときに、警察官の職務はますます困難になってきて、かつまた身の危険を覚えるような場面が多々生じてきますことも想像にかたくないのでありますし、それだけに非常に重要でございますから、それに対応いたします給与をも取り運んでまいりまして士気の高揚を図ってまいらなけりゃなりませんし、またそのことが資質の向上にもつながってくると考えておりますので、今後も一生懸命に努力をしてまいろう、かように考えております。
  163. 向井長年

    ○向井長年君 そういう答弁はせざるを得ないし、また心からこれはやはり実行に移さなきゃいかぬと思いますが、何はともあれ、これは危険だけじゃなくて拘束されておるのですよ、私生活というものに対して。一般の公務員なり一般の国民とは違うんですよ。幾ら勤めがあっても夜いつ出なけりゃならぬかわからない。輪番制があってもいつ招集されるかわからぬ。これは私生活をある程度拘束された不規則の状態を持っておるんですよ。こういう問題もあわせて私はこの際考え、人事院においても、これはたびたびやっておるが取り上げてないんでしょう。これはまことにいかぬですよ。これは私は、ただ公安委員長とか自治大臣だけじゃなくて、やはり閣議でもっと真剣に考えなけりゃ、現状を見てみなさい、確かに問題はいろいろあるにいたしましても、いま成田問題一つ見てもあの状態でしょう。そういう中から身を挺してやるという、これは国のためとかだれのためじゃない、国民のためですよ。こういうことを考えて取り組んでいただきたいということを私はまず強く要望いたしておきます。  続いての問題は、ただいま審議している道交法の問題で一、二点お伺いしますが、まず私は大臣に、交通取り締まり目的概念は何なのか聞きたいんですよ。むずかしい言葉のようなことを言いますが、わかり切った愚問かもわかりませんけれども、一度大臣からもう一遍説明いただきたい。
  164. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 簡単な言い方をいたしますならば、道交法にその目的が掲げてございますから、その目的といたしますところが私どもの使命であると、かように心得ておるのでありますけれども、それは国民総免許時代を迎えておるのでありますから、従来は車と人との関係が唇歯輔車のような関連ではないような観念を持った時代があろうかと思うのでありますけれども、それは許されない新たな時代に入っておると、かように思うのでございます。したがいまして、交通安全確保とそして交通の円滑化を図ってまいりますことは、いわば両輪のような関係にございまして、人と車が一体でなければならぬ、かような新しい時代を迎えておる、かような感じを深ういたします。したがって、警察におきましても単に取り締まれば事が足りると、かような考え方ではございませんで、いま申し上げましたような理念を背景に持ちまして対処していかなきゃならぬ、かような感を深ういたしております。
  165. 向井長年

    ○向井長年君 なぜ私がこういう愚問を発しているかと申しますと、これは確かに交通の安全、そのためにやられるんですが、取り締まりをやらなきゃならぬですが、警察取り締まりの当事者が、あるいはまたいわゆる警察庁にしても、少なくとも悪意の、言うならば違反者、これに対しては徹底的にやはり取り締まり、究明をしなきゃならぬと思う。しかし善意のやはり違反があるんですよ。そういう問題も下へまでいくと同じことなんです。私はここで交通安全のための指導が必要じゃないかというんだな、指導。その指導が十分なされておるかと言えばなされていませんよ、これは。いま申しましたように常習犯というか、先ほどいろいろと質問がありましたような生活やむを得ず違反を犯しておるという常習犯もおりますけれども、しかし善意の人がおるんですよ、知らない人もおるんですね。この人たちに対するもっと親切な形で指導しなきゃならぬ。私は例を言いましょうか、私自身がひっかかったんですよ、まあ秘書が運転して。たとえばこういうことなんです。きのうまではここは一方通行ではなかった、きょうになって一方通行になっておるというんですよ、きのうも私は通った、そこは、秘書と一緒にね、秘書が運転して。そしてそれは普通で皆通っているわけです。それで明くる日になってまた同じところを通った、ぱっとひっかかった、おかしいなと思ってみたら小さい字で一方通行と書いてあるんです、なるほど、いいですか、そしてずっと通ってみりゃね、警察官が、警部補が一番これは指揮官で、六人そこで待機をして、タクシーそれから自家用、それが十二、三台ずらっといかれておるんですよ。何だと思ったら、それが全部免許証取り上げられて何やら調書脅かされて、それで私は警部補に、これきのうまで一方通行じゃなかったのかと言ったら、そうでしたと、きょうからこれは一方通行になりましたと、こういうことなんですよ。これどういうことなんですか。それだったらそれだけ警察官が五人も六人もそこで待機して、しかも違反挙げるんだというような態勢とるんだったら、なぜ一方通行になったところに一人でも立って、きょうから一方通行になりましたよと、ここは通ってはいけません、あっち回りなさい、なぜこの指導をしないんですか。こういったことは各所にありますよ。それがやはり善意の違反に対する指導ではないか。違反を起こさしめないというのが目的でしょう、にもかかわらず違反をさして、そして罰金を取ろう、それで罰金はどこへ入るんですか、この罰金は。予算化しておるでしょう、あの違反命ね、これは本末転倒じゃありませんか。私は取り締まりというものは、先ほど概念聞いたのは、そういうことなんです。概念違反を起こさせないための行政指導をやるというのが本務であって、たまたま悪質な違反者には徹底的究明をする、あるいはまたたまに違反しても、これは注意を喚起して善意であれば、事件起こしちゃいかぬぞという形で私は指導するのがたてまえではないか、こういう感じがするんですが、この点どうなんですか。
  166. 杉原正

    政府委員杉原正君) 先ほど取り締まりに関連しまして向井委員から御指摘のありましたことは、私はそのまま非常に深刻に受け取って現在考えておるわけでございます。もう国民皆免許といいますか、交通の関係というのは本当に国民全部が対象の行政でございます。取り締まりが年間に千三百万件、しかもこの三千七百万のドライバーというのは三年に一遍必ず警察に来られるというふうなそういう状態を考えると、これだけ膨大な行政、対国民の皆さんと接している部門というのはほかに余りないだろう。そこで私ども本当に警察の万般の仕事がそうでございますが、国民の皆さん方の理解と協力のないところに警察活動なんというのはあり得る道理がないわけでございます。したがいまして、今度のこの道路交通法改正というものを機会に、私どもいままでの交通警察のあり方、特に取り締まりについて取り締まりのための取り締まりがあったり、それからそこに違反があるから取り締まれという形式的なことをやったりというふうなことが国民の皆さん方の理解を得られる道理がない。むしろそういう力は指導に向けるべきであるということを非常に痛感をいたしておりまして、国民皆免許時代と言われるこの新しい車社会に対応して、われわれの指導取り締まりもまさに今度の道交法改正を契機にして時代を画するような新しい方法というものを模索し、導入をしていきたいという強い決意でおります。  なお、この反則金の問題が御指摘ございましたが、実はこの反則金の問題は罰金と全く同じでございますが、国の財政法のたてまえで、歳入歳出はすべてこれを予算に計上しなきゃならない、歳入というものは会計年度における一切の収入をいうということになっておりまして、これは罰金も大体同じような形で毎年こう予算化されておる。このこと自身これは一つの仕組みだものですからやむを得ないと思いますが、現場的な、現場に対する指導はこれはわれわれとしては非常に残念なんだけれども、一つの仕組みなんでやむを得ない、しかし、こういうものが計上されておるからといって、これはいささかの拘束もないものとして理解をしてほしいということでございますし、またその点はこれからも第一線に重ねてその趣旨を徹底をしていって、本当に悪質なものに重点を指向する、他は指導を重点に措置をしていくということの決意で臨みたいというふうに思っております。
  167. 向井長年

    ○向井長年君 私はもう余り多く言いませんが、何はともあれ、いま言われたように、これ警察官にノルマ与えているんでしょう。そのノルマというのは指導のノルマにしなさいよね。その違反、反則者、違反を挙げるノルマを上げるなどいけませんよ。それは悪質なやつは徹底的にやりゃいい。しかしそういうことは、あなたたちはそういうことを言っている、あるいは場合によっちゃ地方へ行って、本部長かその辺はそのぐらいのこと考えることもあるかもしらぬ。しかし現場警察官は、やっぱり決められたことばちばちとやろうとしますよね。あるいはまた場合によれば警察官の行き過ぎもありますがね。こういうノルマを与えたり、あるいは何か制度で、これ何かそういうものを摘発したら手当でもあるのですか。ないんでしょう。そういうことであるならば、やはり功績になるようなこと、違反を挙げたら功績だというようなものの考え方はいけないんで、悪質なやつは大いに功績にしたらいいが、一般の善意な国民が違反して罰金取られるとだれも思っていませんよ。できるだけそういう交通安全のためにお互い注意し、啓蒙しなきゃならぬと思いますけれども、現状の形は必ずしもそうじゃないですよ。  これは私は一つの例をいま申しましたけれども、それだけじゃないんだ、もう一つあるのですよ。相当以前ですけれども、大阪で私も走っておった。大阪で、あれ五十キロ制限ですか、そこを五十五か六十で走っておったんですよ。走っているのあたりまえだ、前の車が全部その距離で走っているんだから、同じ間隔でずっと走っているんですよ。私のところだけぽんととめよった。私が国会議員とかそんなもの知らないんですよ、向こうは。ばっととめた。なぜとめたんだろうと私は不思議に思った。とめるのやったら前の車も全部とめたらいいじゃないかと、同じ間隔でずっと六十キロ近くで走っているではないか、こう言ったら、機械出してこうだああだと言うから、なるほどこれは超過してるんだから仕方がない、こっちも違反したんだからね、運転手が、私の秘書が。じっと考えてみりゃ前の車は全部大阪ナンバーだ、後ろも大阪ナンバー、私のやつだけ奈良ナンバー、ははーん、これは県外のやつだからといってやりよったなと、こう私は思ってね、君たち何だと、大阪府警は少なくとも県外のやつは取り締まって大阪のやつは取り締まらないのか、こうぼくが言ったら、そうじゃありませんよ、なぜ前の車をとめない、番号覚えているだろう、こう言ったんだが、これは事実知りませんよ、他府県やから取り締まったのかどうか、偶然なったのか知りませんけれども、全部が同じ間隔で走っているんだな、五十五キロぐらい出ておったんでしょう、ぼくは余り知らないけれども、寝ていましたから。だからね、これも善意ですよ、前が走っているんだからいいかなあと、ぼくは知りませんから、運転手は知っておるんだろうけどね。したがって、そういうものをぱちっとやられて、忙しいさなかに時間とられて、調書書かされて、それで私はその間じっとしていなければならぬ、行けないもん。本当にそういう形をもう少し親切にやったらどうですか。違反違反で罰金取られても仕方ありませんよ。しかし、ちょっと行き過ぎもあるし、あるいは指導もおかしい。  だから、そこら私は、一、二自分の体験を言いましたが、私だけの問題じゃないと思う。国民全般に非常にそういうことを感じておりますよ。で、先ほどの一方通行の問題も、ちょうどこういうバッジをつけておったものですから、先生、けしからぬですよ、これは、きのう私はここを走っていましたと、それがきょうになったら、こないして罰金取られるのですと。免許証をよこせと言っているのですな、タクシーの運転手にね。これは、やはりいけないことはいけないけれども、もう少し親切な指導をやっていただいて。そして質の向上を図っていただきたい、これを強く要望して私は質問を終わります。ありがとうございました。
  168. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  道路交通法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  170. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  志苫君から発言を求められておりますので、これを許します。志苫君。
  171. 志苫裕

    志苫裕君 私は、ただいま可決されました道路交通法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   道路交通の当面の課題は、交通事故をさらに抑制し、生活環境との調和をはかりつつ、交通の円滑化を実現することにある。よって政府は、改正法律の周知徹底に努めるとともに、すみやかに左の諸点に留意し、善処すべきである。  一 国民皆免許の段階に即応した健全な車社会の実現を図るため、運転免許制度及び学校社会における運転、安全教育の在り方を検討し、改善をはかること。  二 総合的な交通安全対策の確立をはかるため、国民各階層の意見を十分反映させるよう配慮すること。  三 暴走族対策として新設された「共同危険行為等の禁止」の規定が正当な政治活動、労働運動等に適用されることは絶対許されないので、立法趣旨の徹底をはかること。  四 積載制限違反等悪質な道路交通法違反行為が、事業者、荷主等によって助長されている状況にかんがみ、すみやかに、これが防止のため労働条件の改善を含め、根源的、かつ、総合的対策を積極的に推進すること。  五 旅客自動車運送事業の運転者の選任については、関係法規の趣旨にてらし、適切な指導監督を強化するよう措置すること。  六 道路交通の規制は、地域社会の生活・営業活動等に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、住民の意見が十分反映されるよう措置すること。  七 沖繩県における交通方法の変更に当たっては、交通に混乱を生ずることのないよう通行方法の周知徹底、道路の改良等、交通安全確保のため適切な措置を講ずること。  八 聴覚言語障害者の運転免許資格については、所要の措置を講じ、安全を確認のうえ、取得できるよう努めること。  九 交通指導取締りの適正を期するため、警察官の資質の向上に努め、いやしくも「取締りのための取締り」とならぬよう周到な配慮を行うこと。  右決議する。  以上でございます。
  172. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) ただいま志苫君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  173. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、志若君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、加藤国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。国家公安委員長。
  174. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 政府は、ただいまの附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、万全の措置を講じてまいりたいと存じます。
  175. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  177. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法年等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤自治大臣。
  178. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  政府は、恩給年額の増額を図るため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出いたし、御審議願ったところでありますが、地方公務員共済組合の退職年金等の額の改定につきまして恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるほか、寡婦加算の額の引き上げ、掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額の引き上げを図る等の措置を講ずるとともに、地方議会議員に係る退職年金等の増額改定措置及び地方団体関係団体の職員に係る年金制度等について地方公務員共済組合制度の改正に準ずる措置を講ずる必要があります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合制度の改正に関する事項のうち恩給制度の改正に伴うものについてであります。  その一は、恩給年額の増額の措置に準じ、地方公務員共済組合が支給する退職年金等の額について増額することとしております。すなわち、その額を、昭和五十三年四月分から約七%増額する措置を講ずるとともに、昭和五十一年度の退職者のうち同年度中に改正が行われた給与条例等の給料に関する規定の適用を受けずに退職したものに係る年金額の改定についての特例措置を講ずることといたしております。  その二は、恩給における最低保障額の引き上げに伴い、退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げる措置を講ずることといたしております。  その三は、恩給における増加恩給の増額及び公務扶助料の最低保障額の引き上げに伴い、公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げる措置を講ずることといたしております。  その四は、恩給における老齢者等に対する普通恩給等の算出率の特例措置の改善に伴い、年金事例職員期間等を有する七十歳以上の老齢者等に係る退職年金、廃疾年金及び遺族年金の算出率の特例について改善措置を講ずることといたしております。  第二は、その他の地方公務員共済組合制度の改正に関する事項でございます。  その一は、遺族年金に係る寡婦加算の額を引き上げることとしております。  その二は、掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額を三十八万円に引き上げることといたしております。  第三は、その他の制度の改正に関する事項であります。すなわち、地方議会議員共済会が支給する退職年金等について、年金額の改定に関し所要の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体の職員の年金制度等について、地方公務員共済組合制度における措置に準じて所要の措置を講ずることといたしております。  以上が、昭和四十二年度以後における地方公務貫等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の概要であります。  なお、衆議院で御審議いただきました際、施行期日を公布の日とする等の修正が行われております。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  179. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会      —————・—————