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1978-04-27 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十七日(木曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      金丸 三郎君     竹内  潔君      園田 清充君     降矢 敬雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君                 神谷信之助君     委 員                 衛藤征士郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 竹内  潔君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 降矢 敬雄君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 野口 忠夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 向井 長年君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    政府委員        内閣総理大臣官        房同和対策室長  黒川  弘君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁長官官房        会計課長     大高 時男君        運輸省自動車局        業務部長     梶原  清君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        国土庁計画・調        整局計画課長   星野 進保君        大蔵省主計局主        計企画官     公文  宏君        大蔵省理財局地        方資金課長    鈴木 達郎君        厚生省社会局施        設課長      山内 豊徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○地方行政改革に関する調査  (地方財政対策強化に関する決議の件)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 志苫裕

    志苫裕君 去年の五月十二日、当委員会は、地方財政強化に関する決議、俗に言う特別決議を行いました。実は、その措置状況について一々聞きたいところでありますが、全体として時間も詰まりましたので一々お伺いすることは省略をいたしますが、この決議自治省よく心得ておるかどうか、まず伺っておきます。
  4. 山本悟

    政府委員山本悟君) 昨年の五月に、地方財政対策に関します特別決議が当委員会におきまして五月十二日に行われました。よく存じているわけでございまして、第一項目から第七項目にわたりまして各般のことを御指摘賜っているところでございます。私ども……
  5. 志苫裕

    志苫裕君 いいです。決議の第一項は、行政指導における地方自主性の尊重について述べておるわけでありますが、特に財政運営通達、いわゆる次官通達内容技術的助言範囲を越えるということで、ひとしきり議論が行われました。思うにこの通達が、地方団体関係者との間にとげとげしいまでの問題となったのは五十年ごろからでありまして、その背景には地方財政の急激な悪化と、それに対する国と地方との対応の違いがあったように思うのであります。時日の経過とともにこのような過渡的状況をようやく脱しまして、事態の抜本的な解決へ向かおうとする合意が生まれつつあることは大変結構なことでありますが、しかしなお通達等文言には、そのとげとげしい時代の名残がありまして、それが無用の混乱の火種に往々にしてなっておることは遺憾であります。したがって、五十三年度通達においては、それらの内容等については当然改善が図られるべきものだ、こう考えておりますが、いかがですか。
  6. 山本悟

    政府委員山本悟君) 財政運営に関します次官通達、私どもといたしましては、自治省としての技術的ないろいろの通達の中身といたしまして当然のことを申していると思うわけでございますが、ただいま御指摘のようにいろいろと混乱のもとになるということは本意ではないわけでございまして、なお通達表現等につきまして五十二年度におきましてもできるだけ簡素化等を図るという方針で対処いたしたわけでございますが、なお一層改善すべき点があれば検討してまいりたいと存じております。
  7. 志苫裕

    志苫裕君 改善すべき点があれば検討してまいりたいという答弁を了承いたしますが、たとえば給与水準等適正化に係る指導内容について言えば、国に比べて著しく高い水準団体に対して所要措置を求めているのであって、それほど高くないレベルで地方団体裁量権に基づいて行われておる団体をも一律に対象とするものではない、そう読み取れるような通達になる、こう理解してよろしいですか。
  8. 塩田章

    政府委員塩田章君) 地方公務員給与は、関係者努力によりまして近年漸次適正化の方向にあるわけでございますが、給与決定の原則から見まして、給与水準あるいは制度運用ともになお問題が残されておりますので、私どもやはり指導をしていく必要があるというふうに考えております。もちろんまだ文言そのものはいま検討しておる段階でございますけれども給与適正化必要性ということは、それぞれの団体給与事情によりまして異なりますので、財政運営通達に当たってもこういった点は留意して考えていきたいと考えております。
  9. 志苫裕

    志苫裕君 余り公務員部長よけいなことを言わぬでいいのでありますが、私が述べたような趣旨と読み取れるような通達になる、このようにひとつ、まだ文言できてないわけでありますから、検討いたしますということでよろしいですね。
  10. 塩田章

    政府委員塩田章君) 検討いたします。
  11. 志苫裕

    志苫裕君 先ほど答弁にもありましたが、なお付言をして、給与水準適正化については自治体もそれぞれ自主的な努力を払っておるのでありまして、その実績も正当に評価をする、またその評価をし、それを踏まえたような表現も当然盛り込まれるべきだ、こう考えますが、いかがですか。
  12. 塩田章

    政府委員塩田章君) 従前におきましても、この点は国の給与水準を上回っている団体にあっては努力をしていただきたい、こういうことで一律に申しておるつもりではないわけでございますけれども、なおその点検討させていただきます。
  13. 志苫裕

    志苫裕君 次に、定数管理職員数管理については御存じのように、特にことしは公共事業景気回復というこれが至上の課題になっておるようでありますが、この公共事業執行に伴う要員福祉関係職員をも一律に抑制または削減対象とすべきではなく、必要なものは確保する、こういうことになるべきだと考えますが、いかがですか。
  14. 山本悟

    政府委員山本悟君) 一般論から申し上げれば、地方公共団体におきましても職員数合理化ということには努力をしていただかなければならぬわけであります。本年におきまして、公共事業等によりまして非常に事務量のふえる面、その辺のところにつきましては各団体におきましてのやりくりというようなこともやっていただかなきゃなりませんし、また必要なものについては当然ふえるであろう、地方財政計画におきましても、一般職員につきましても約千五百人の増員部分もあるというような計算もいたしておるわけでありまして、そういった中で各地方団体知恵をしぼって、合理的な配置をしていただくということを私どもとしては期待をいたしておるところでございます。
  15. 志苫裕

    志苫裕君 次に、職員福利厚生や、健康の増進についても通達の中で配慮すべきである、こう考えますが、いかがですか。
  16. 山本悟

    政府委員山本悟君) 職員福利厚生に関する事項につきましては、やはり必要なものにつきましては配慮すべき旨を通達に盛り込むことも考えてみたいと思います。
  17. 志苫裕

    志苫裕君 次に、雇用創出問題にちょっと触れますが、国の経済政策だけでは雇用確保を図ることがなかなかむずかしい。したがって、自治体が地場の企業公的部門での雇用創出に工夫や役割りを果たすべきだ、そういう観点から社会党はすでに衆議院に法案を提出をしておることは御存じのとおりであります。三月二十五日の経済対策閣僚会議決定に基づく当面の経済対策について、自治省も三月二十七日同趣旨都道府県知事通達を出しておりまして、その中でも地域雇用創出に配慮を求めておりまして、これは大変望ましいことだと、このように思うのでありますが、もっと積極的に次官通達でもうたうべきではないか、このことについて、いかがでしょうか。
  18. 山本悟

    政府委員山本悟君) 地方団体におきましても雇用創出関係につきましていろいろ配慮すべき点は御指摘のとおりであろうと思います。さような意味からいきまして、公共事業等執行に当たりましては、地域実態に即して雇用創出効果が十分発揮できるように配慮すべきである、こういった点、あるいは失業多発地帯等におきまして、失業者の吸収のために地方単独事業を補完的に実施する場合には、自治省におきましても要請に応じまして地方債を重点的に配分いたしたい、こういったような点、その他中小企業に対します発注機会確保といったような点につきましても注意を喚起するようなことを次官通達においても配慮してみたい、かように存じております。
  19. 志苫裕

    志苫裕君 了承しました。  これに関連をしてちょっと横道にまいりますが、厚生省おいででしたかな、ちょっとお伺いしますが、五十二年度、過ぎ去った年度になりますが、五十二年度福祉環境福祉施設といいますか、福祉施設整備に伴って、人員といいますか、要員はどれぐらい必要とするのでしょうか。整備費用それに伴う人員の数、こういったものと、その充足状況は大体どれぐらいまでいっておるものかちょっとお伺いしたいと思います。
  20. 山内豊徳

    説明員山内豊徳君) お答えいたします。  いまのお尋ねは、五十二年度についての御質問と理解いたしましたが、五十二年度国の費用で約四百億の整備費がございます。ただ、福祉施設整備は、このほかにも自転車振興会などの民間資金の分もございますので、大体千五、六百カ所が新たにふえるというのが五十二年度あるいはそれ以前の傾向でございます。  その新しくふえました福祉施設あるいは増築によりまして大きくなりました福祉施設職員数の増でございますが、これはまだ五十二年度につきましては正確な数字、私ども押さえ切れないでおりますが、あらゆる社会福祉施設を通じまして大体二万五千人から二万八千人ぐらいの間で前後しておるのが少なくとも五十一年までの傾向でございます。  第三に充足率お尋ねでございますが、もちろんこれはでき上がりましてすぐの福祉施設で、そのまま入所者が一〇〇%入所するということがない場合もございますので、正確な意味での必要な職員数に対する充足率は明らかにしにくい点がございますが、最近の主な施設につきましては、大体職員数はこれを配置しておると私どもも考えております。
  21. 志苫裕

    志苫裕君 国の費用で約四百億、民間も含めて個所数にして千五、六百カ所になるだろう。国の費用で約四百億ということになりますと、千五、六百の個所について言えば公立は、いわゆる国の施設で見たのは何カ所ぐらいになりますか。国の費用で見たのはこの千五、六百カ所のうち何カ所ぐらいになりますか、何%ぐらいになりますか。
  22. 山内豊徳

    説明員山内豊徳君) 千五、六百カ所の中の正確な内訳は実は統計を取り切れないでおりますが、大体新しくできます福祉施設も現在ございます福祉施設施設種類によって違いがございますが、平均しますと六割が公立で四割が民間法人という形になっております。ただし、これは施設種類によって違いますので、五十二年度の千数百カ所の内訳がそのとおりであるかどうかはちょっと手元に数字がございません。
  23. 志苫裕

    志苫裕君 五十二年度のその千五、六百、民間も含めて。公立がそのうち六〇%、必要要員にして二万五千から三万人ぐらい、二万七、八千人ぐらい。私が聞いているところでは、そのうち仮に三万人として、充足をされておるのは二万人弱というふうに伺っていましたが違いますか。
  24. 山内豊徳

    説明員山内豊徳君) 充足という言葉の意味でございますが、私どもが存じています資料では、二万八千人の増の中で充足が二万にとどまっているというデータは全く持ち合わしておりません。これはむしろ現在福祉施設に現に配置されております職員数統計で私は答弁を申し上げておりますものですから、大体二万五千から二万八千というのが実際一年度でふえた職員数でございます。
  25. 志苫裕

    志苫裕君 その点は衆議院の記録の中にあるのですが、ちょっといま見つからぬからこれはじゃ後にしましょう。  五十二年度についてわかりました。で、同様に本年度、五十三年度整備計画並びにそれに必要とされるであろう職員数は大体どれぐらいになりましょうか。
  26. 山内豊徳

    説明員山内豊徳君) お答え申し上げます。  五十三年度は実は一つ問題がございまして、五十二年度に比べまして約百億増の四百九十億という福祉施設整備費予算を計上しておるんでございますが、現在各都道府県指定都市を通じまして、国の方に福祉施設整備について御相談がきておりますのが、完全な集計はしておりませんが、やはり六百億台になっております。したがいまして、かなり個所数からいいましても申請の多いところに当初予算としての四百九十億の整備費をどのように使うかということが当面の問題になっておるわけでございます。施設整備の中には御案内と思いますが、新しくつくるケース、あるいはすでにあるものを増設をいたしまして入所者あるいは職員数をふやすケース、それから全く現在あります施設を建てかえるというものもございます。その割合を、たとえば極端に申し上げまして四百九十億の枠の範囲内で創設、新しくつくるものばかりを補助いたしますとこれはかなり職員数入所者数の増も大きくなるわけでございますが、反面やはり地方からの御要望の中には建て直しもかなり緊急なものも入っております。そういった意味で、個所数で申し上げて四百九十億という国の予算の枠の中でどれだけの個所数ができるかということに非常に説明しにくい時点にあるのでございますが、金額的に申しますと、先ほど来申しております四百九十億に対しまして約百数十億、御相談いただいている金額だけで申し上げますと不足を生じているという数字が出ております。それが職員数のあるいは個所数表現でどのくらいの割合になりますかは、ここしばらく、整備計画補助方針を各施設ごとに決めませんと確定できない点があるので御答弁しにくい点でございます。
  27. 志苫裕

    志苫裕君 あなたは何さんだっけ、課長さんだね。上村社会局長という人は、衆議院社会労働委員会では四百九十億の施設整備をすると三万人ぐらいの職員増が必要でしょうということを述べているのですね。あなたはその下にいなさるのだろうが、その辺がよくわからぬとは一体どういうことか。
  28. 山内豊徳

    説明員山内豊徳君) 説明の仕方があるいは不行き届きであったかと思いますが、二万八千なり三万ということが毎年の福祉施設職員増加状況でございます。したがいまして、本年度におきましても四百九十億という整備費は例年の整備増を大体実現できる、そういう観点からは、局長答弁いたしておりますように、三万台と申しますか、二万八千というのが正確な表現になるかと思いますが、二万八千人程度増加はそれだけで一応期待できるというふうに御答弁申し上げたわけでございます。
  29. 志苫裕

    志苫裕君 自治省ちょっとお伺いしますが、厚生省はせっせと社会福祉関係施設整備公立民間を問わず努力をしておる。大体従前のベースでいきますと公立施設が半分ぐらい、六割ぐらいが厚生省が所管をしておる整備計画の中に占めている。去年の例でいきますと、約四百億円の整備計画で二万八千人ぐらい、六割ということになりますと約二万人弱というような者が公立関係充足を求められる。ことしはそれの約百億足しの約五百億円程度自治体があれもやってくれ、これもやってくれと言うのを全部のむと六百億を超えるということになりますと、推計されることだけでも、そのうちの約六割が公立だとしますと二万人を超す福祉関係施設要員が必要だという勘定になってくるわけでありますが、これらについては地方財政計画全体を見る自治省としてはどう理解されていますか。
  30. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 地方財政計画上の各種の施設職員等を含む一般職員につきましては、保育所などのように措置単価計算しているものは人員換算いたしませんで、国庫負担金の基礎となります国庫負担基本額によって地方財政計画上の一般行政費国庫補助負担を伴うもので計上いたしております。それから、職員数によって計算されるものについては、五十三年度にオープンされる見込みの施設を五十二年度までの補助対象事業によって確認いたしましてそれに各施設の標準的な所要人員を積算して算定をいたしております。そのようなやり方で、五十三年度地方財政計画におきましては、一般職員全体といたしまして四千八百六十人を新たに増員予定として計上しております。しかし、施設の中には補助対象事業として確認できないものもたくさんありますから、それらを含めてこれらは規模是正という形で見直しの形で職員数実態との乖離を是正いたしております。その関係で、五十三年度におきましては、消防を除きまして一般職員関係だけで二万三千人の規模是正を行っております。これらによりまして、五十三年度における新たにオープンする施設については所要人員確保できるものと考えております。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 大体承知しました。私不勉強だったな、措置費で見込むものは地方財政計画の中の人員にはかかわりないですね。
  32. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) さようでございます。その分がかなり多いわけでございます。
  33. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。そういたしますと、国が施設整備を行うものの大宗になるものは保育所ですね。
  34. 山内豊徳

    説明員山内豊徳君) 仰せのとおり、個所数で数えますと千数百カ所のうちにやはり七、八百カ所は毎年保育所でございます。
  35. 志苫裕

    志苫裕君 それじゃ、厚生省のそういう施設整備計画、それからそれに従った受け入れる形になる自治省の方の側にも問題がないということのようでありますが、私少し寄り道をしてここへ参りましたのは、通達関連をしてお伺いしました要員の、職員定数管理の問題について、一方ではこういう整備計画等が進んでおるのに、一方で何か減らせ減らせというニュアンスばかり強くてはせっかくの政策が生きてこない。その辺の間に国の中でも整合性がないじゃないかということを指摘をするために少し回り道をしてお伺いをしたわけでありますが、先ほど財政局長答弁のように、必要な要員については確保するということで理解してよろしいですな。
  36. 山本悟

    政府委員山本悟君) 国の基調に合わせまして地方団体におきましても、地方財政計画上は定数管理上、何といいますか、行政改革数字、たしか〇・八%でございましたかの削減計画というものは実施をするように計算をいたしておりますが、同時に、ただいま御指摘のございましたような必要な部分増員すべき部分につきましてはやはり計算をいたしまして、また規模是正等もいたしまして、実態に合うような努力をいたしているわけでございまして、その範囲内におきまして各地方団体がいろいろと知恵をしぼって合理的な配置をしていただくということによりまして必要な職員確保されるものと、かように私どもは信じているところでございます。
  37. 志苫裕

    志苫裕君 以上で地方団体に対する行政指導については質問を終わります。  次に、五十三年度財政対策及び法改正問題点について若干以下お伺いをいたします。  二十五日の小山委員質問大方社会党立場での問題点指摘は行ったのでありますが、なお若干の問題について補足的にお伺いします。  まず第一に、大臣衆議院地方行政委員会では、少なくとも委員会では、野党共同修正案可決をされました。可決をされるだけのやっぱり正当性というものを持っているというふうに思うのでありますが、その内容などはもちろんでありますが、ひとつ野党修正案評価についてお伺いをしたい。自治省じゃ大変これはいい案だと思ったんじゃないかと思うのでありますが、いかがですか。
  38. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 政府といたしましては、政府の提案いたしましたものが最良なんだと、かように心得ております。
  39. 志苫裕

    志苫裕君 それじゃそっけない。野党修正案にはあれかね、もういいとこ一つもないじゃないか。そんな、これからがんばって修正案何が何でも通さねばならぬ。いいとこ一つもないということないでしょう、あんた。私は大分すぐれていると思うんですが。
  40. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 傾聴すべき考え方も中に織り込まれておる点もございますけれども、現在の財政状況下におきましては実現がなかなか困難なもの等もございまして、私ども残念ながら野党修正案には反対をせざるを得なかったのでございます。
  41. 志苫裕

    志苫裕君 まあこのたびの改正法に盛られた財政措置について、実はきのうも参考人どもおいでいただきまして、意見をお伺いしました。まあ当面の措置としてはやむを得ぬという立場評価をする向きもある反面、制度改正にはなっておらないのみか、むしろこれが固定化をすることによって、かえって次の本格的な改正の妨げになりゃしないかというような評価どもありました。ただ、まあ一致しておるのは、これはあくまでも、仮に評価をするにしても暫定中の暫定のものであって、早期に抜本的なものに手をつけねばなるまいということの一致点はあったようであります。  で、私は予算委員会や本会議で、仮に百歩譲ってこれが暫定的なもので、やむを得ぬという見解に立つにしても、借入金の二分の一という将来の臨特のルール化をするのであれば、不足財源の総額及びその中から借入金を幾らにするかという、この決め方もルール化をしておかないと、これはやっぱり片手落ちだと思うんですね。きのうもやっぱり御意見がございました、参考人の中でも。これがやっぱり制度だというんであれば、こうやってこうやればこうなるという、毎年仮に額は動くにしても、数式、算式のようなルールは少なくとも政府が勝手に決めとるんじゃなくて、国会が決めるとか、あるいはまあきのうの意見ですと、地方制度調査会が決めるとか、諮って決めるとか、何かそういう政府だけじゃない、少し外の場で決められたルールのようなものがあって、わからぬが、大蔵省自治省という役所の内側でごちゃごちゃやって、そこで出た答えについてだけ二分の一持つということをルール化をするというのは、ルールは半ルールだということを前々からも、私は委員会等大臣の見解ただしました。きのうもやっぱりその種の意見参考人の中でも大方の御意見のようでありまして、改めてどうですか。
  42. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御審議願っておりますいわゆるルール化は恒久的な制度ではございませんで、あくまで当分の間の措置で、臨時異例のものだと御理解いただければありがたいのでありますのと、それからなるほど大蔵大臣と自治大臣の間に覚書を締結いたしまして、覚書の線に沿いまして法案を策定いたしたのでございまして、したがって、あくまでも覚書は内々のものであり、正規に御提案いたしましたものは法案として御審議をいただいておる、かようなことでございますから、何とぞ十分に御審議をいただきたいと、かように思います。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 大臣ね、その覚書が内々のもんだというのは確かなんですよ。だから私は、そのルールとしてはちょっと問題がありますよと、不十分ですよと言っているわけですね。交付税法の趣旨からいきましても、少なくとも自治体はあの法律で、まあ言うならば保障はされて、自分の財政運営というものを計画的にやれるというメリットがあるわけです。だから、ルールがあれば三二%は自治体へくるんだなということを、法律があればちゃんと計算をできるわけですよ。わからぬのは、ことしの税収総額が幾らであるかというのがわからぬだけであって、それさえわかれば三二%はそれじゃくるというのがわかるというふうに、自治体が計画的な財政運営をするという法の趣旨を満足をされるには、新しくつくられる財政制度というものがルールとして自治体も全部わかっていなきゃならない。そういうことによって自分も次の段取りができるという安心感がなければならぬと思うんですよ。今度の制度は、借りたら半分はめんどう見てもらえるという安心感、というのは、この分は将来の交付税やその他に盛り込んでまた財源を見てもらえるという、これはまあ安心感。しかし、借り入れが幾らになるのかというのは、てぶりはちかんで皆さんをこうして見ている以外にない。皆さんの方では、必ずしも純財政的に決まるとは限らない。そのときの政府の施策によっていろいろとなってくるでしょう。  きのう、地方自治体団体の代表になる横須賀の市長さんもおいでになったから、皆さんの方はその不足額の算定や借入額の算定にちっとは仲間になれますかと聞いたら、全然なれませんと言った。そういう表現じゃなかったがね。まあこれは自治省大蔵省がやっているということでしょう。これではやっぱりだめですよ。それはあなたに何遍言うても、これは本当に予算委員会以来のことだからこれはあれですが、で、まあそういう問題点があるということをよくのみ込んでくださいよ。特に問題になりますのは、上田委員質問にもやりとりがありましたが、毎年毎年投資的経費を基準財政需要額の内側に入れたり外側に入れたりして居所定かでないというところが一番の不安定のもとになる。これはやっぱり何かことしの物差しというのは、来年以降も通用する物差しになりますか。
  44. 山本悟

    政府委員山本悟君) 五十一年度以降、まあ深刻な地方財源不足に対処いたしますために、臨時応急的な措置といたしまして、基準財政需要額の投資的経費を地方債へ振りかえるという措置をいたしたことは御指摘のとおりでございます。その間におきまして、特に五十一年度におきましては、非常に財源不足の補てんが困難であって、いわゆる地方債の活用といたしましても、建設地方債部分、それだけでは足りませんで、そのほかに交付税において包括算入をいたしておりました投資的経費を地方債へ振りかえるという措置をいたしたわけでございます。これ、約四千五百億であったわけでございますが、そういうことを五十一年度はやむを得ずいたしたわけでございました。  五十二年度からは、同じ財源不足額を地方債によって補てんをいたしますにいたしましても、そういう五十一年度の四千五百億に対応するようなことはしないで済むと、しないような方針をとるというようなことにいたしました。御案内のとおり、五十二年度におきましても、五十三年度におきましても、地方債の増発をいたしますのは、いわゆる建設地方債に限っておるわけでございます。いわゆる地方財政法の特例というものはつくらないという方針で、五十二年度も五十三年度も対応いたしてまいっております。その関係で、五十一年度においては包括算入部分を基準財政需要額から落とす。だから、がたっと落としたわけでございますが、五十二年度はまたもとにその包括算入部分は返すと、この意味におきましては、五十一年に比べまして五十二年度は、地方財政にとりまして進んだ前向きの制度改正をお願いをしたわけでございます。  まあそういったようなことがございますので、確かに出し入れがあったというようなことになりまして、不安定であったわけでございますが、私どもといたしましては、やはり投資的経費に起債を活用するにいたしましても、それはあくまで建設地方債の分野に限るべきであり、御案内のとおり、五十二年度におきましても、本年度におきましても、公共事業地方負担額の九五%まで地方債を充当するということが、二年連続してその方針で対処いたしているわけでございまして、それ以上に地方債で充当するというやり方は、地方財政立場からいきまして適当でないんじゃないか、この点は最小限度の問題といたしまして守っていかなきゃならないというように存じておるわけでございます。五十一年度はきわめて特殊な異例な措置を行ったというように御了解賜ればありがたいと思います。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、あれですか、いま財政局長答弁でいきますと、来年以降は少なくとも、たとえば政府の公共投資総額といいますかな、そんなものが決まると大体こう自動的にことしの起債振りかえ分は幾らになるか、それは計算が大体すっと計算できるようになりますか。
  46. 山本悟

    政府委員山本悟君) 本年度も、三兆五百億円の財源不足分額のうち、一兆三千五百億円を地方債の増発で賄ったといたしましたが、この額はあくまで公共事業地方負担額を九五%にしたときの差額でございまして、それ以上のものではないわけでございます。したがいまして、明年度もこの方針を貫いていく限りにおきましては、公共事業地方負担がこの程度になれば、九五%なら地方債はこうなると、残りは本年度におきましては一兆七千億という地方債の増額によって賄っておるわけでございまして、これも借り入れではございますにしても、交付税というかっこうで地方団体には配分できると、こういうことの措置をいたしているわけでございまして、そういうことはおのずと出てくるんじゃなかろうかと思っております。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても、改正制度そのものについてはわれわれは反対ではありますけれども、仮に皆さんのベースで考えるにしても、やっぱりそのルールというものが一応公のルールになっていなければいけない。ある部分だけはちゃんとこう自治省なり大蔵省なり握っておって、役所の内側で握っておって、それが案外生殺与奪の権を握るような、そういうような役割りを果たしてはいけないという意味で、ルール化できるものは残らずルール化していく方が、仮にこういう制度をとるにしてもそれはこの制度になじむんだという主張で申し上げておることについては、ぜひひとつこれは理解をしてもらいたいということを、これはまあ要望にしておく以外にありませんが。  そこで、片や借入金、片や地方債、その地方債というのも結局将来は交付税、基準財政需要に勘定をしてくれるから当面の金は心配はないし、将来はまたみんないいところめんどう見てくれると言うんだから別に何も不自由ないじゃないかと、実はそういうふっとした空気が公共団体の一部にあることは確かです。しかし、この点についていろいろ指摘もあるんですが、結局何のことはない、問題を先送りしているだけじゃないかと、まさに先楽後憂になっている、先憂後楽でないわけね。こういうことは非常に少し長期の視点で自治体の問題を考えますと、ずいぶん危ない綱渡りで、今夜はコーヒーが飲めればあしたは原爆が落ちてもいいみたいな発想に通じているということで非常に残念に思うわけでありますが、しかし、借入金だって無制限に借りられるものでもないでしょう、いろいろ限りがあるわけでありますから。借金、起債だって無制限にできるものじゃない。おのずから借入金も、まあ起債は現実に限度額がありますけれども借入金にもおのずから何とかの指数みたいなもので限度額が生じてきませんか。
  48. 山本悟

    政府委員山本悟君) 個々の地方団体におきますところの地方債、これが無限に大きくなっては困ると、御指摘のとおりでございますし、また交付税特別会計におきましても、まあ本年御提案申し上げております制度改正が行われれば二分の一は国庫が持つにいたしましても、やはり地方財政として半分は持たなきゃならないということでございますから、無限にそういうものが続き得ることでないこと、これまた御指摘のとおりだと思います。やはり何と申しましても、国、地方を通じましての現在の経済情勢のもとにおける財政、これが何とか早い機会に立ち直るようなことにならなければならない。これはもちろん経済の問題が基本にございますが、同時にやはり税財政制度改正ということも当然に考えられてこなければならないわけでありまして、現在のような状況がずっと続くというようなことであってはならないことはまさにそのとおりでありまして、一刻も早く基本的な地方税財政制度改正というものが行われるようにならなければならないと思っている次第でございます。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、いまの答弁にもあるわけですが、この間小山委員も、「当分の間」には前科があって、当分の間は三十年続いた当分の間もあったと、まだ続いておるという指摘があって、その当分の間におのずからめどを何とか立てようじゃないかという意味での質問を申し上げ、区切りはめんどうにしても大方の意向、与野党を問わず当分の間にどこか何かめどみたいなものを置きたいものだというような気持ちもないわけでもないんですか、何か皆さんのその当分の間——まあ先行ってみましょうやだけではだめなんで、何かありますか。
  50. 山本悟

    政府委員山本悟君) まさに現在の情勢のもとにおきまして当分の間はいつだと、いつまでに本当に立ち直るための制度改正をやるんだと、こう詰めてお話しされますと、非常にお答え申しにくいような経済、財政の状況にあるわけでございますが、まあ先ほど申し上げましたように、地方財政が現在のような巨額の財源不足、これがいつまでも続いていいということでないことはもう御指摘のとおりでございまして、長期的な安定を確保するためにできるだけ早い機会にこれは税負担の増加というものを求めなきゃならないと存じますけれども、そういったものを含めまして地方税財政制度改正が必要であると思っているわけでございます。  これを仮に地方財政収支試算、御提出申し上げておりますが、あれで見てみますと、経済審議会の暫定試算というものに一番整合しているというのはケースIIと言われているわけでありますが、あれで想定いたしました税負担の増加が行われれば、まあ昭和五十七年度には地方財政収支は均衡を回復すると、こういうことになっているわけでございます。しかしながら収支試算というのはあくまでも収支試算でございまして、財政計画じゃないわけでありますから、これが目標だということを申し上げるわけにもいかないわけでございますけれども、回復がおくれればおくれるほど、制度改正がおくれればおくれるほど地方財政の回復というのはむずかしくなるというような気持ちもいたすわけでございまして、遅くとも収支試算で想定いたしております、均衡のとれる昭和五十七年度ぐらいまでには地方財政の健全性を回復したいと念願をいたしているところでございます。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 この間の質問からきょうまで二日あったんだから、それ宿題でしたから、当分の間にもっといい答えが出るかと思ったら余りいい答えも出ないところを見ると、これは余り先行きよくないんだな、まあ財政収支試算などで想定をすれば五十七年ごろにということで、希望ですね、願望をしておるということになるようですが、このまた財政収支試算を毎年つくって毎年書き改めているんだから、アキレス亀を追うというのがありますが、幾ら走っても走っても追いつかないというようなたとえ話のようなことになりますが、大臣これはあれでしょうか、それは少し事務的なものよりも、当分の間このまま何とか飢えをしのいでいずれ大改革をというのは、とどのつまりは当分の間が切れるときは、実は大増税のときだということに政治的にはなりませんか。
  52. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 当分の間は、理論的に申しますならば、一つの場合は、地方財政が好転いたすその間が当分の間でございますけれども、経済企画庁の暫定試算を前提にいたして考えまする限り、GNPの伸びがおおむね一二%前後と、かような状況下におきましては、そう大幅な地方財政の好転等は望み得べくもないと考えられるのでございますから、結論といたしましては、税の増徴をもあわせまして交付税問題等を解決いたすときと、かように考えざるを得ないと思います。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 交付税問題、最後に一つでいいですが、交付税の性格にも絡むので具体例で一つだけお伺いしておきますが、かつて広域生活圏の、まあ自治省が考えた政策課題を誘導をするために交付税にこれを取り込んでいったことがございます。私はこういう一つの政策目標の達成手段に交付税を使うというのは趣旨にそぐわない、こう思うのでありますが、こんな形になっていけば交付税がまさに自治体の自主的財源にならない、政府の補助奨励的なものにだけ使われる性格に変質をしていきますから賛成じゃない、かねがねそう思ったんでありますが、あいつは大体何か一段落ついたみたいで事実上は消滅でありますが、次に出てくるのは定住圏構想というのが考えられますが、これは生活圏同様に交付税に取り込みますか。
  54. 山本悟

    政府委員山本悟君) まあ定住圏構想自体は、これからの地方行政の考え方といたしまして非常に意味のあるものと思っておりますが、ただいまのところでは御案内の広域市町村圏というものが現実にあるわけでございまして、その間の整合性なりあるいは方向づけというのをこれからどうしていくかということが議論をされることであろうと思います。私どもといたしましては、この定住圏構想をさしずめのところは市町村と県とが緊密に連携いたしまして、広域市町村圏の総合整備を図るという意味地方債の活用ということを考えている段階でございまして、交付税制措置におきましては従来の広域市町村圏に対します措置を踏襲してまいりたい、継続していきたいということでございまして、まだ広域定住圏構想というものがその広域市町村圏構想とどういうぐあいに結びついてくるのかというようなことがはっきりしない段階におきまして、これを直ちに定住圏という意味での交付税の中に入れていくということは、いまのところまだ考えていない段階でございます。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 交付税問題、今後直接の法改正問題はそのぐらいにしまして、消防庁長官もおいでですから、ひとつ消防力の問題について。  消防庁告示、昭和三十六年八月一日、最終改正が五十年五月三十一日ですか。これの第一条によりますと、消防力の基準が明示をされておりますが、いまの段階でも長官、あれですか、この基準に示された最小限度の施設人員というようなものは妥当なものだと、権威のあるものだと、こうお考えですか。
  56. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) この基準自体は、やはり社会の情勢に伴って常に見直さなければならないものではございます。われわれの方もこの基準が果たして現実に妥当であるかという見直しの努力は常に行っておるわけでございますが、現在の段階では、全体的にこの基準に対してまだ充足率と申しますか、現実がこれに追いついていないという状況でございますし、当面それぞれの自治体においてこの基準を目標にして整備を図ってもらいたい、そういう意味では現在の基準が現在の時点ではなお努力をしていただく目標として妥当しておると考えております。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 そこが、いまもちょっとお話がありましたが、どうですか、私資料お願いしとけばよかったんですが、いまあらましでいいんですが、一番新しいところで全国の充足率というのですか、基準に比べてどの程度整備状況かというものをひとつお示しいただけますか。人と施設のように分けてもらえますか。
  58. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 基準というのは口数で出ておりますので、具体的な正確な数字が出ないものもございますが、まず全国の概略を申し上げますと、基準のうちの動力消防ポンプ、小型動力ポンプも含むやつでございますが、これが現在九一%の……
  59. 志苫裕

    志苫裕君 現在というのはいつですか。
  60. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 五十二年度末見込みでございます。これはお断わりいたしますけれども、五十年の四月に一応全体の調査をしておりまして、その後は補助金その他によって整備されたであろうと補助金の消化状況その他から推察されるものを加えた数字でございますので、自主的に単独事業で整備したものはさらにこれに上積みされるというふうに御理解いただきたいと思います。  ポンプは九一%の整備状況でございますが、はしご自動車ですと、これが五八・二%、五十年度末は実は四八・六%であったので、約三年間の間に一割ぐらい整備状況充足してまいっております。それから化学消防車が大体おおむね同じでございまして、五十年四月でございますか、四十九年度末の四八・一%から、現在は五四・八%に充足しております。それから消防艇、これはなお非常に少なくて、現在でも二八・八%しか充足していない。さらに消防水利の基準というのがございます。消火栓とか防火用水の配置、これは全国で言えば七四・八%の充足率を示しております。全国的な意味での人員充足率に関する数字は実は現在ちょっと手元にございませんのですけれども、これが交付税法でいう標準団体つまり人口十万の市でございますが、この市を中心にいたしまして、大体九万一千から十一万三千ぐらいの間の約二十市を平均した数字が手元に来ております。これによりますと、ポンプ自動車は基準が六台に対して現在は六台、ちょうど一〇〇%。それではしご車が一台に対して一・二台、一二〇%、それから化学車が一台について一・一台、一一〇%、救急自動車も三台について三・二台と、完全に充足しておるわけでございますが、人員につきましては、基準でこれをはじきますと百十人必要なところが現在その二十団体の平均が百一人でございます。なお、交付税の算定上は、これは偶然のようでございますけれども、全く百一人算定していただいておりますので、交付税の算定どおりに充足しておるということが言えるわけでございます。ですから、現在はこの標準団体辺の規模をとりますと、人員あるいは設備とも基準をほぼ充足しておる。で、全体を平均いたしますと、先ほど申し上げましたとおり、消防ポンプの方は九割を超えておりますけれども、なお、はしご車、化学車、消防艇といったところが基準に達する度合いがまだ不足であるというのが概括の状況と考えております。
  61. 志苫裕

    志苫裕君 で、五十二年一月一日現在で百七の単位消防組織中、職員充足率が基準に照らして五〇%以下のものが七十一もあり、三分の二に達しているという調査がある、こういう報告を私は受けておるんですが、これはうそですか、こういう報告は。
  62. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 実はその報告、私は存じませんのですけれども、どの筋の報告であるかはちょっと私わかりかねますけれども、実は基準のうちの人員、人数でございますね、これについては大変その基準が不明確なわけなんでございまして、基準は口数で出ておりますから、たとえばポンプが三台必要だというときには三台ポンプが要る。ポンプ一台についてはたとえば五人乗っておって三交代ということで人数はすぐはじき出せるのでございますけれども、現実にはポンプ車とはしご車、ポンプ車と化学車というものの間の乗りかえというような問題がございますので、基準自体は口数で示しておりますので、このポンプ車三台に対して基準人員は何人かという場合に、乗りかえを一切考えないで全部フルに充足すれば大変な数字になります。それに対して充足率が三分の一であるとか半分に満たないというような議論は私よく聞くわけでございますが、現実にはポンプ車と化学車、あるいはポンプ車とはしご車が同時に出る——まあ大火災の場合は同時に出ることもございますけれども、通常の運用からいって、何人かの乗りかえというのを考えるのが合理的である。そういうものを考えてはじきました場合に、その基準が三分の一に届かないとか半分に満たないとかいうようなことはまずあり得ないというふうに考えております。
  63. 志苫裕

    志苫裕君 そこなんですよ、長官。救急車が出ておって、火事があれば消防車も出なければならぬのでしょう。で、消防車当たりの人間がいたって、その人間が救急車に回っておったら消防は動かぬわけでしょう。酒田の火事のときにはそういう例があったわけなんでしょう。だから、いまあなたの言う、いわば充足率がどれくらいだという計算にも、その辺多分に恣意的なものがあるね。これだけ欲しいというものを頭に置けば、足らぬということになる車が可能性としてはフルに動く場合だってある。常時消防車が動くときにはポンプ車が休んでおるとか救急車がじっとしておるとかということにならないで、可能性とすれば全部動く場合がある。たまたま運悪くぶつかりますと酒田のような例になるということになるわけで、この辺はあなたの方の充足率の勘定の仕方も少し融通がきかな過ぎるのじゃないですか。
  64. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) もちろん酒田市にとって、酒田の大火がそれは何百年に一遍であるかどうかしりませんけれども、あれだけの災害の場合には、ある台数をフルに動かすのは当然だろうと思います。それを考えて常時乗りかえを一切しないで配置しておくということになりますと、やはり効率上問題がある。  それからもう一つは、救急車が一台ありましても、一人の運転手が二十四時間やっているわけじゃございませんので、二交代なり三交代なりでやる。ところが、あれだけの大火の場合は直ちに非番を招集するというようなことを考えれば、当然にああいう本当の非常時にある、そこにある救急車なり消防車なりはしご車なりを全部動かすということも当然可能でございます。したがって、ふだんから救急車に一台三人、三交代で九人、これはもうほかと乗りかえできないのだと、ポンプ車はポンプ車で同じようなという計算をするのがやはり合理性から言っていかがということはございます。ですから、最大、最悪の場合を想定してできるだけたくさんを配置したいけれども、通常の効率その他を考えて、このぐらいの乗りかえはいざというときも間に合うと、非番を招集すれば間に合うと、で、このぐらいの乗りかえはという線をはじき出しまして、それを一応基準とする場合に、ある程度の乗りかえということを考えたわけで、その場合の充足率のはじき方が全部専任を配置したときとは大分違う数字が出ている。これは現実だろうと思います。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 私、ちょっといまここに手元にその充足率数字があるんだけれども、あなたの話を聞いておったら、何かどこかの国の話みたいに違うんですよね。なので、ちょっとこれきょう議論しにくいから、あなたの方でひとつ消防力の基準に照らして施設設備、要員のちょっと充足状況のようなものを私に一番新しい数字をいただけませんか。
  66. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) あるいはそちらのお手元の資料が特定のどこかの幾つかの市ということであれば、すぐに問い合わせてわかるはずでございます。よく突き合わせて必要な資料をお渡ししたいと思います。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 いや、全般的な充足状況、一覧表のようなものを下さい。
  68. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 特定の市とか特定の団体はすぐわかるんですけれども、それを全般は、いま集計したものはないようでございます。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 いや、あなたさっき標準的に人口十万のところで云々とか、いろんな話言っていたでしょう。これは全体の数字がないものだから、悪いところばっかり集めて一かたまりにし、いいところばっかり集めて一かたまりにして、そのかたまりとかたまりを比べるからばかに違うんだな。そういうことですかな。
  70. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) そういうことではないと思いますけれども、人口十万の市の場合は標準団体が十万でございまして、その前後のちょうど二十団体をもう全部取って集計したわけでございますから、標準団体ぐらいの規模の充足率、これはこれでもうはっきりわかると思います。  それから、たとえば大阪なら大阪地区に——ここに実は、豊中市、高槻市以下、大阪地区の市町村の充足率を全部はじいたのも出ておりますが、こういうふうにどこのということであればすぐにも調製できます。いいところだけピックアップする、あるいは悪いところだけピックアップするという手間はとてもかけられるものではございませんし、全国的な一覧表があって初めてそれもできるかと思います。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 それはあなた全国的な整備しなさいよ。消防庁が持ってないってどういうことですか、一体。これはいまないというものを出せと言ってもあれですから、これはいずれまた資料は委員会を通じないこと、ここでの発言を通じないことになるかもしれませんが、私の方で直接またいただきたいというものがありましたら、ひとつお願いしたいと思います。  で、ちょっと自治省の方にお伺いしますが、先ほどこれも私は数字違うんだなあ。いわば地方交付税の算定基礎が標準団体で、人員で百一人だと、基準も百一人。算定基礎が百一人、基準も百一人はわかりましたが、実態は何人ですか。
  72. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 私の説明は少し舌足らずでございましたか、基準は百十人でございます。
  73. 志苫裕

    志苫裕君 済みません。基準がね。
  74. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) さっき私が申し上げたような適当な乗りかえを考えてはじきますと、これだけのポンプ台数、これだけの救急車の台数の場合、予防要員その他も入れまして百十人欲しいというのが基準なんです。で、実態が百一人でございます。そして交付税の算定上は従来の実態その他を考えていただきまして、これがたまたま偶然ぴったり一緒になって百一人になったわけです。
  75. 志苫裕

    志苫裕君 私が調べたところでは、実態がまず九十人ないし九十五人という数字を持っているのを、あなたの方では百一人と言うんだから、まあ仮におたくの答弁を信頼をいたしましても、自治省、基準は百十人なのに、算定基礎は百一人というのは何で値引きしているんですか。
  76. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 地方交付税の算定におきましては、法令によって基準の定められているものはなるべくその基準に近い数字を想定の基礎にするわけでありますが、御案内のように基準財政収入額の算定に当たりまして、二五%を計算外に置いておりますので、理論的には歳出の方で一〇〇%基準財政需要額には算入できないわけであります。そこで、各経費の、行政の実態ども勘案しながら、一部はいわゆる二五%部分で賄っていただくという考え方で標準団体の想定をしておると。そういう意味で消防力の基準ではじきますと、百十人という想定に対してそういう数字になるわけでありますが、交付税の計算上は従来は百一人という計算をしております。なお、これでも各費目の中ではむしろこの算入率は最も高い部類に属しているものと考えております。それにいたしましても、事情の許す限り基準に近づけるということが望ましいわけでありまして、五十三年度の単位費用の積算の基礎におきましては、一名増員いたしまして、百二人を想定いたしております。
  77. 志苫裕

    志苫裕君 そういう内側の事情があるんでしょうが、一般的に自治体が能動的に考えて、交付税の基準というのはまさにある意味では抽象的な数字でありますが、往々にして、自治体が怠けますと、あの交付税の算定分があればそれで満足と、責任的にはあれを最低のものにして、上積みをしようとするという、その辺の自治体の差は出ますけれども、消防にそう力を入れているとも思えない状況からして、実はこの基準よりも低い算定基礎というのが逆に消防力の整備充実のブレーキになっているという実態もあるようなので、これは自治省、消防庁ともに改善の努力をしてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  78. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 財政当局には毎年そういうことで消防力の充実をお願いして、基準財政需要額の中の算入率を高めていただいている反面、地方団体に対しましてもその充実について常に力を入れていただくよう一生懸命努力をしているわけでございまして、今後も続けたいわけでございますが、やはりこういう地方財政状況になりますと、起こるか起こらないかわからない災害のための投資よりも、やはり子供が何人ふえるから小学校を建てなきゃならぬということについ早く回りがちである。その結果の数字がやはり、たとえば四十七年ごろは財政需要額に計算していただいた額と決算額とがほとんど一〇〇%近く一時なりましたけれども、この二、三年やはりそれが少し落ちつつありまして、六五%、八八%というふうな数字に低迷しております。もちろん交付税でございますから、この基準はじいたとおり計上せよという指導はできないわけでございまして、これは地方団体自主性に任すわけでございますが、できるだけその努力、意欲を強めていただきたいというような考え方で一生懸命お願いしておる次第です。
  79. 志苫裕

    志苫裕君 自治省どうですか。
  80. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) ただいま長官からもお話がありましたように、最近の実勢で申しますと、決算額よりも基準財政需要額の方がかなり上回っているわけでございます。ほかの費目においてはこういう例は少ないわけて——上回っているからもうこれでいいというふうには考えておりません。経費の内容、義務的な性格なども勘案しながら、事情の許す限り内容の充実には今後とも努力してまいりたいと思います。  なお、先ほど私は標準団体十万団体の単位費用の積算の基礎として百二人に五十三年予定していると申し上げたわけでありますが、これは標準団体で全然補正がかからない、補正係数が一の場合を想定しての話でございます。実際には十万団体となりますというと、多くの場合態容補正係数が一以上の係数がかかっている団体が多いわけでありまして、現実に十万団体付近の補正後の状況計算いたしますと一一一・六ぐらいの平均値が出てまいります。そういうこともありまして、決算よりも基準財政需要額の方が上回っているのが実情ではないかと思います。しかし、これらについては個々の平均値だけではいけませんので、個々の団体状況も見ながら消防庁の御意見も拝聴して今後とも内容の充実には努力してまいりたいと思います。
  81. 志苫裕

    志苫裕君 これは大臣一言だけちょっとお答えをいただきたいのですが、いまもお話がありましたように、私は交付税の算定基礎が少ないじゃないかと言ったら、まあまあそれも少ないかもしらぬが、決算はそれよりも少ないんだと、こういう御返事なわけですね。いかに整備状況が悪いかということなんですよ。これはひとつ大臣としても消防力の充実強化についてはなお格段のハッパをかける努力をするということをひとつお答えいただきたいと思います。
  82. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 消防は火災その他の事故がない場合には全く手があいているみたいな姿ではございますけれども、いざ事のありました場合には消防に頼らざるを得ないのでございますから、日ごろから整備充実を図ってまいる必要があると、このことを痛感いたします。したがって自治省といたしましても最大の努力をいたしたいと、かように考えます。
  83. 志苫裕

    志苫裕君 次に、成田の警備隊の問題について、私、この間ちょうど衆議院の方で交付税の議論をしておりましたので、自治省当局には迷惑をかけない審議方法がとられておりましたから、主として警察庁にお伺いをしてきました。で、改めて問題点指摘をいたしますと、成田といういわば国の施設ですね、国の施設をもっぱら警備をするために特別の組織をつくって警備隊を置こうと、こういう問題になるので、その警備隊を置くことの賛否の問題は一応こっちにおきまして、置くというのであれば、特定施設に特定の組織までつくってやるという例は皇居の皇宮警察がある、こういったものにされるのがたてまえになるんだ。私の考えではああいう特別の需要というふうなものが交付税制度になじむとは考えられない。そうかといって、じゃ直接いまの警視正以上に国が費用を持っているように、千五百名の隊員を含む警備隊に直接国が何らかの形でお金を持つかということになると、これは自治体警察にはなじまない、警察制度の大改革だというふうにも考えられるということを念頭に置いていろいろと警察当局にお伺いをしたんでありますが、費用の問題については自治省とも絡みますので、警察当局にはこの間お伺いをしなかったわけであります。で、改めてお伺いしますが、警察庁の官房長おいでになっていますが、費用はどのようにされるつもりでおりますか。費用とは特に給与の方ですよ。
  84. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 空港警備隊に要する費用といたしまして車両通信施設、その他活動に要する経費、それから人件費があると思います。前者につきましては現在の警察法、並びに警察法施行令の規定により国庫支弁するたてまえでございますので、千葉県に財政的負担を空港警備隊設置でかけないようにするためには、お尋ねのように人件費をどのように国が補助していくか、国が財源措置を講じていくかという点であろうと思います。ただいまそういう方向で人件費の補助について大蔵省と煮詰めを行っておる段階でございます。
  85. 志苫裕

    志苫裕君 いや、その人件費をどう扱うのかということが私には聞きたいところでありますが、いまそれはまだ結論が出ていないわけですか。
  86. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) さようでございます。千葉県に負担をかけない方向において国において財源措置を講ずる手段を研究、検討折衝中である段階でございます。
  87. 志苫裕

    志苫裕君 折衝中であるというのはどことどこが折衝しているのですか。
  88. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 警察費に関することでございます。警察庁の責任において財源措置を講じていただく大蔵省に対しまして折衝いたしております。
  89. 志苫裕

    志苫裕君 大臣はもちろん御承知ですが、自治体の機構ですね、警察。で、自治省は相談の相手じゃないですか、警察庁は。
  90. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 人件費についての補助の問題でございます。大蔵省との折衝が煮詰まりますれば当然自治省地方財政の問題にも絡むわけでございますので、十分打ち合わせ検討を重ねてまいりたいと思っております。
  91. 志苫裕

    志苫裕君 自治省にお伺いしますが、いま警察庁のお話ですと自治体、具体的には千葉県に負担をかけない方法、国が負担をする方法でその人件費の負担方法を研究しておると、折衝しておるということのようでありますが、少なくとも地方交付税にはなじまないというふうに理解していいですか。
  92. 山本悟

    政府委員山本悟君) 空港警備隊に要します経費につきましては、国際空港の警備という国家的の性格の強い警察事務を処理することになります同隊の性格にかんがみまして、全額国費をもって措置されるのがたてまえとすべきものであるという意見をすでに申し上げてあるわけであります。その意見の方向によりまして、ただいま御答弁がございましたように警察庁と大蔵省が折衝なされておるというように存じておるところでございます。したがいまして、その意見が通れば交付税で措置する必要はなくなると、かように存じているところでございます。
  93. 志苫裕

    志苫裕君 その意見が通ればなくなるじゃなくて、交付税制度には乗らないものではないかと、こう言っている。
  94. 山本悟

    政府委員山本悟君) 自治省としては乗せるべきものではないと思っておるわけでございまして、その意見を申しておるわけでございます。
  95. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、自治省地方団体の負担にならなきゃそれでいいよと、これではだめですよ。警察というのは自治体の組織ですよ。自治体の組織の一部ですよ。銭のしりがおれに来なければいいよというものじゃないのだ、これは。たとえば都道府県の機動隊が少し要員ふやしてもらって、その自分のローテーションの中で国の施設を守るとかというようなことはいろいろやっています。警視庁から国会も守ってもらっていますし、いろいろやってもらっています。いまのは空港という国の施設にそれ専用の組織をつくりましてやろうというのだからちょっと違う。少なくとも地方自治体の組織にそういうものが設けられようとするわけでありまして、銭の負担もさることながら、自治体の組織や機能やそういうものから見て自治省が相談にあずからないという手はない。大臣どうですか。
  96. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 警察制度上の問題についてのお尋ねでございますので御答弁申し上げますが、まず空港警備隊を千葉県の自治体の組織に置くことにつきましては、前回も御答弁申し上げましたが、空港という国の施設を守るわけでございますが、極左暴力集団の各種の妨害行為を鎮圧、制止するため、未然に防遏するための組織でございます。そういう観点からいたしますと、空港施設の中だけ、あるいは直近においてその活動が行われるわけではございません。防止、鎮圧のための警察活動も周辺一帯における治安と関連して行わなければなりませんので、そういう観点から国の組織として置くとかということでなしに、千葉県本部長の統一した指揮のもとに、千葉県の組織として置くことが合理的であろうという観点で、県警察の組織といたしたわけでございます。ただそこで、国において財源措置を講ずるよう私ども考えております理由は、やはりこの警備隊の任務の国家的性格の特殊性でございます。そこで、そうした財源措置を講ずることが警察制度上、自治体警察の本旨に、根幹に触れるのではないかというお尋ねであろうと思いますが、その点はそもそも現行警察法における警察制度はどのように形づくられておるかということから始めなきゃならないと思いますが、警察事務については、国家的性格の事務と自主的性格の事務とが実は混在、融合しております。警衛警護とかあるいは国家的法益を守る。それにかかわる犯罪捜査などは国家的性格の最も強い事務だと思いますが、そういう事務が入っておるわけです。しかし、制度として自主的性格を重視した都道府県警察という組織をわが国ではつくったわけでございます。諸外国では国家的な性格の事務は国家警察に与えておるのが通例であると思いますが、わが国においては警察の職務執行の民主性、自主性を重視するたてまえから国家的性格の事務がありながら、都道府県警察という自治体にしたわけでございます。そこで国家的な性格を自治体警察に行っていただく。そういうための調和点というものを制度上いろいろ設定しております。御承知のように、たとえば警視正以上の都道府県警察の警察官は、国家公務員としております。これは自治体警察という観点からすればきわめて異例と思える措置であろうかと思いますが、その理由は、いま申し上げました警察事務の中に国家的性格の事務が混在しておるという点に尽きるわけでございます。  それから、各種の国家的性格の強い事務についての費用は、国庫支弁と制定当時からいたしております。それはやはりいま申し上げた国家的性格の事務が入っておるということに尽きるわけでございます。したがいまして、われわれとしては空港警備隊の任務の特殊性にかんがみますとき、その設置に伴う経費を国が財源措置を講ずるといたしましても、千葉県本部長の指揮下、さらに申し上げれば都道府県の機関である千葉県公安委員会管理のもとに、千葉県警察本部長の指揮下に職務執行が行われる限りにおいては自治体警察の制度に触れることはない、かように考えております。
  97. 志苫裕

    志苫裕君 時間がないようですが、自治省の話、財源的な問題はわかりましたが、官房長、私の意見には少し全体として警察力を強化しまして、そのローテーションの中で千葉やったらどうか、成田やったらどうかというのがあるんです。それはまあ一応意見は抜きにしまして、それをやるにしても、やっぱり天下の警察でありますから、ちゃんと法律が必要であれば法律をさらにいろんな手続をとるべきだという意味で申し上げているんですが、少なくともいまの法律を変えないままで経費負担を工夫するということは無理なんじゃないか。
  98. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 大蔵省と折衝中でございますので、結論的に申し上げることはできないわけでございますが、考え方を申し上げますれば、警察法三十七条三項で、「都道府県の支弁に係る都道府県警察に要する経費については、予算範囲内において、政令で定めるところにより、国がその一部を補助する。」という項目がございます。それによって警察費の補助ということが警察法施行令で定められておるわけです。その補助率については、特別の事情がある場合には十分の五を超えることができることが政令の規定により定められております。したがいまして、空港警備隊の人件費につきましても、いま申し上げました法律の条項、政令の規定によりまして、私どもの警察庁の考え方としましては、その全額を補助することとすることは政令の規定の改正により十分にできるというふうに考え方として考えております。
  99. 志苫裕

    志苫裕君 それは、私はこの法律に違反をしないように、もしやるとすれば、三十七条第一項の一号に、警視正以上は国が持つとなっている。だから成田の警備隊の隊員を全部警視正以上にすればこれはできる。それが役に立つかどうかですね。そんなぼろぼろぼろきれいっぱい集めてですね。そのようなことは抜きにして、これなら法律違反にはならない。いま官房長の言うのは、第三項を使いますとね、あくまでも国がその一部を補助する。国が一部を補助するのであって全部を補助するということは違法ですよ。そうしますと千葉に負担をかけないという趣旨は貫けぬ。
  100. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 警察法の、ただいま御指摘の三十七条三項の解釈といたしましては、都道府県警察に要する経費、そのうちの一部の補助でございまして、縦割りの個々の経費についで十割補助することは、一部を補助するということになるわけでございます。
  101. 志苫裕

    志苫裕君 法律が当初そういうことを想定したかどうかは、これがよく議論になります、法律ではできるとしたら——するという典型的なものですが、やっぱり成田の治安の問題について特別立法や法改正の問題についていろいろ議論はあっても、それがどうしても国民のコンセンサスを得なければならぬ問題であれば、これは真正面から出る、成田に絶えずつきまとっておるのはこそくな手段なんですよ。これは警察の責任じゃないにしても、あの空港の設置から始まってこそくな手段というのがずっとつきまとっている。これが不幸が尾を引いているんだよ。だから、警備問題や警察の機構の問題についても、これはやっぱりこそくの手段はとらない、いまのような、なるほどそう言うてみればそうかもしらぬわな、全体の中の、ある部分は全額みても警察費全体なら一部だと。これはあなた、むちゃくちゃな解釈ですよ。でありますから、これはそういうことにしないように、この際要望を改めてしておきますが、自治大臣国家公安委員長どうですか。
  102. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 具体的な数字で申し上げますと、現在千葉県の警察官が約六千名、そこへ一千五百名を増員いたしまして千葉県の警察官の定数はおおむね七千五百名と、かようなことになろうかと思うのでございますけれども、そこで自治省立場において考えますならば、自治体警察でございまして、そして警察官の定数を基準にいたしまして交付税の計算等をいたすのがたてまえでございますけれども、成田空港警備の特殊性にかんがみまして、一千五百名はカウントしない、かような処置をとることによって交付税の対象外に置くことができると、かように考えるのでございますけれども。  そこでいま空港警備隊の性格のことについての御議論でございました。なるほど考え方の一つといたしましては、国家警察として対処いたすことも考え方としては成り立つのでありますけれども、民主性を担保いたす観点から、現在の自治体警察は厳として存しておるのでございますから、考え方といたしましては、やはり成田空港が千葉県にありますから、千葉県の警察の管下に置いて警備を行う。これが筋であろうと、かように考えておるところでございます。が、しかし、これが経費につきましては、成田空港の警備の特殊性からかんがみまして、地方に多くの負担をかけてはならぬ、かような基本の考え方で対処いたしておる。その具体的な取り運びにつきましてはいま大蔵省と折衝中と、かようなことでございますから御了承をいただきたい、かように思う次第であります。
  103. 志苫裕

    志苫裕君 御了承ならないから、そういうこそくな手段をとらないで、それの必要性を主張なさるのであれば主張なさって必要な法律の改正等の手続をとられる方が正当でしょうということを申し上げておるんですが、時間がありませんからこれは私の主張として明らかにしておきます。  最後に、御存じのようにいま東京都の勤勉手当問題が少し物議を醸しました。このことのよしあしはそれぞれ民意のおもむくところ答えが出ることで結構だと思うんでありますが、ただ私は、この問題にはかねがね自治体の賃金問題をめぐってとげとげしい雰囲気が五十年来起きて、あるときには住民請求の条例が出たり、あるときには職員団体と当局との交渉のまとめが議会によって否定をされたりというようなものがありまして、こういうものを一つ象徴する問題ですので、ちょっと指摘をして見解を伺っておきたいんですが、御存じのように地方公務員法では、職員の勤務条件等について当局と職員団体が交渉するという権利がいわば労働権として保障されています。一方、住民の権利、議会の権利として、同じ地方公務員法では、勤務条件その他は条例で決めるという規定も厳然と残っています。その条例を決める議会はそれなりの権能を持っておるわけです。一方、議会は自治法に基づいて条例を決める力を、権限を持っている。で、住民は条例をみずから請求をしたり、議会が決めたことを改廃させる権限を持っている。いずれもこれは正当な権利です。いずれも正当な権利ですから、どの権利よりもどの権利が上とか下とかそういう関係ではない。それぞれが尊重され合わなければならない。それぞれ尊重され合わなければならないものがぶつかり合って実はこういうトラブルがときどき起きる。こうなってまいりますと、やっぱり相互の権利を認め合って何か調整する機能がやっぱりどこかにないとまずいという問題が現実にいま生じたわけでありますね。この辺の点について自治省はどうお考えになっておるかということをまずお伺いしたいと思います。
  104. 塩田章

    政府委員塩田章君) おっしゃいますように、それぞれの権利といいますか、職能を持ってそれぞれの機関が担当しておるわけでございますが、したがいまして、その間の職務はそれぞれ尊重されるべきものであるということはもう御指摘のとおりでございます。  ただ、そうは申しましても、現在の制度は基本的に条例主義になっておりますので、条例の制定権者である議会が結局は最終の決定といいますか、権限を持っておると言わざるを得ません。したがいまして、いま御指摘のような仮にそのぶつかり合いが起こりまして、どうやって調整するかということでございますが、現在は制度的には、その間の仮にトラブルといいますか、トラブルがあった場合に調整するという制度的なものはございませんで、あくまでも議会の最終的な条例制定権によるんだというたてまえになっております。
  105. 志苫裕

    志苫裕君 その理解私は承服できないですね。条例主義をとっておる。で、条例主義という物の考え方は、たとえば当局と職員団体とで労働条件決めていくという権利が一方にありますけれども、しかし同時に、それは労働者の側から見ると、たとえばスト権やその他の問題において相当制限を受けながら、交渉権というものが保障されているわけです。もしこれが条例でないと、力関係で言えば使用者の、当局の一方的な恣意で、この特別権力関係において当局の一方的な恣意で勤務条件が決められるおそれもある、こういう場合に当局の一方的な次心意をチェックする方法としては、この条例、すなわち公の、住民によって選ばれたそれによって決めるということによって、当局の一方的な恣意をむしろ拘束をするというのが条例主義の意味だと思うんです。俗によく法の支配と言います。で、法の支配を逆手にとって一般民衆を支配する癖があるけれども、そもそも法の支配の意味というのは、支配者を法が支配することによって民主的な形を保障するところに意味があると思うんです。同じように条例主義というのは、力関係では優位に立っておる当局を拘束するところに条例主義の意味がある。これを逆手にとりまして当局と議会の多数派とがぐるになって、その条例主義というものを逆用して、逆に労働者の労働条件をあべこべに拘束をするという形をとっておるところに問題があるわけなんですよ。今度のは美濃部憎や何とか憎やがあったかわからぬが、いずれにしてもいままであったトラブルにはそういうものが往々にして多かった。たとえば公労協等の場合でも、公共企業体等の当局と話が決まります。で、それは最終的には国会で決められなければ発効しませんが、国会がこれを削ったりひっくり返したことはない。法律にだれが調整者と書いてないが、一つの慣習法として、労使で決まりがついたものについては、仮に文言の上で権限があるにしても関与はしない。お互いがそれぞれの権利は平等である、対等であるということを少なくとも認め合っています、認めてますよ。もし法律上の文言がなければ、あなたの言うように、条例最終決定権を持つところに最終権があると言わないで、これは慣習法としてそれらは尊重されるようにいろんな努力をすべきだ、これは自律的に自分をそのように律していくべきだ、こうなるのが普通じゃないですか。
  106. 塩田章

    政府委員塩田章君) 条例主義をとっている意味はいろいろ解釈はあるかもしれませんが、結局当局と組合とのどちらがどうということでなくて、要するに最終的には住民の批判を受けるという、その住民の代表である議会の議決にかからしめているんだということであろうかと私は思うわけでございます。ですから、当局と組合との関係がどちらがどうで、どちらを拘束するとか、そういう意味のものではなくて、いわゆる民主主義の原理によりまして住民の批判に付すると、その住民の代表である議会の議決を尊重するという趣旨であろうと私は思います。
  107. 志苫裕

    志苫裕君 私これでやめますが、それは額面どおり読めばそうなる。じゃあ議会は万能であって、それは月給下げようと昇給とめようと、あるいは分限条項をやたらと書き込もうと——法律はあれは制限あるか、御自由でございますということにはならぬのですよ、これは。だから私は、それは慣習法として確立されるべきものかどうかも知らぬけれども、議会は議会なりにおれは最終的には民意の負託者であって、何を決めてもいいということにはならないという、自分を自律的に拘束していくものもなければ、人の権利には干渉しないというものもなければいかぬという意味では、住民と議会と労使双方それぞれの権利を相互に尊重し合う調整の場といいますか、その種のものが何かで約束されなければならぬのではないか、そういう文言や規定が、法律のどこかで整備をされなければならぬのではないかということを、この際、きょうは提起しただけで終わりにします。
  108. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  109. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大臣にひとつお聞きいたしますが、お尋ねよりも御決意を承りたいと思うんですけれども、本地方交付税法の改正案はなるべく早期に成立を期待されておるようでありまして、連休前にひとつ上げたいというような御期待もあるようでございますけれども、まあ自治大臣の傘下にある三千二百の市町村、四十七の都道府県がたびたび提言を行っている。いろいろ自治省に対する期待を寄せての提言等もあったわけでございますが、今回の地方交付税法の改正の中で、この問題にこたえるようなものはどうも見ることができないのではなかろうか。昨日も参考人の方がおいでになられまして、いろいろ意見の陳述があったわけでありますが、五人おいでになりましたが、五人とも今日の自治省努力は非常にわかるけれども、しかしそれは、今日の地方自治体の問題としては、この程度改正案では不満である。ただ今回の措置暫定、当分である、そういうところで一応見逃しをすることはできるけれども、この機会に抜本的な改正を行うべきだという意見、それができなければ早急に行えというような意見、不満ではあるが今日の状態ではやむを得ないだろうというような御意見が多かったようでありますが、五人とも、憲法に保障された地方自治の本旨に基づく自主的な地方自治体のあり方を国と地方との見直しの中で考えてほしいという期待感については異口同音であったと思うのですけれども、私も地方行政委員会では、参議院に当選してから三年間お邪魔しておりますが、毎回そのたびに今回だけだというような大臣のお話を聞いております。福田自治大臣のときには、来年は間違いなくやるみたいなお言葉も賜っておったわけでございますけれども、どうもお言葉だけであって、結果的には当分、当分ということで流されていきます。どうもこの傾向をこのままにしておきますと、本当に自治団体が願っている自主的な地方自治の本旨に基づくそういうあり方に転ずることではなくて、何かうやむやのうちに従来のままに終わってしまうのではなかろうかというような不安感をやはり深めている事実があろうと思うわけでありますが、今回もまた当分こういうことでやりますということで過ぎてしまうわけでありますが、どうもこれだけで委員会の審議というものが終わって上がりましたからということで早期に成立したと、こういうことで終わってしまってはぼくはいけないと思うんです。やはり委員会を通じて地域の住民の直接的な責任を持っている地方自治団体の皆さん方の御苦労というものを十分考えた問題解決の方向性が出てなけりゃいかぬじゃないだろうかというふうに思うわけで、今回はこの改正案でいくとしても、これから何年か後には自治団体の強い要請というものにこたえるようなそういうものに変わっていくという方向、だから今回がまんしてくれと、こういうことであるなら私はわかると思うんですが、どうもこれからの方向が全然わからないで当分、当分で三年間これ置かれてきました。こういう状態では、どうもこれを成立を早急になどと言われても、成立すること自体が余り結構なことではないではないかという気がいたしまして、一番最初に、いつごろまでにこういう当分が終わって、いよいよ本格的に入るんだというのはどの辺のところに一体めどを置いて大臣としてはいまお考えになっているか、その将来に対する大臣のお考えをひとつ承りたいと思います。
  111. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方財政はきわめて厳しい環境下に置かれておりまして、各団体も一般財源の確保に懸命でございまして、税収の確保努力をいたしますと同時に、また一般財源の雄なる交付税に非常な期待を寄せておるのでございますから、慎重御審議をいただきまして、どうぞ早く議了願いましてこの法案が成立いたしますように心から願望いたしているところでございます。  そこで、御審議いただいております交付税制度に関しますいわゆるルール化なりますものは、このことが理想の案だとは考えておらないのでありまして、あくまで一時的な暫定的な措置でありまして、なるべく早い機会に財税制の基本的な改正をいたしまして今日のような状況を脱却いたさなければならぬと、かように強く考えておるところでございます。  そこで、午前中、志苫議員も御指摘になりましたし、またただいま野口議員からも、当分の間の時期はいつかと、かような折り畳んでの御質問でございます。私どもが今日までお答えいたしておりますのは、当分の間というのは、いまのような厳しい財政状況ではありませんで地方財政が好転いたした時期、これが当分の間の結了いたす時期だと、一つはかように申しておりますけれども、しかし今後のわが国経済を思いましたり、また地方の経済情勢を思いますときに、なかなか現行行財政制度そのままのもとにおきましては、なかなかその時期が来ようとは思いがたい点があるのでありますから、結局のところ午前中もお答えいたしましたように、財政並びに税制の制度改正を行う時点、かように言わざるを得ないのでございます。そこで、その時点がいつかにつきましてはなかなかめどが立ちにくい状況でございますが、しかし、なるべく早くやらなければならぬ。そしてこのことがおくれればおくれるほど解決がむずかしくなるとも考えられるのでありますから、なるべく早くと、かような一言に尽きようかと思うのでございます。が、なるべく早くではわからぬと、いつの時期かとかようにおっしゃいまするならば、たとえば暫定試算におきまして三つのケースを試算いたしておるのでございますけれども、そのケースIIであると仮定をいたしますならばそう遠い時期ではない、かように判断をいたしておるところであります。
  112. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大臣、問題の把握ですがね、私の申し上げたのは、今日の地方自治体は財源問題で自治省に対するいろんな提言をしているとは思われないわけです。もちろん財源は大事ですから考えなくちゃなりません。しかし、財源があるとかないとかの問題ではなしに、どうも地方の住民自治、憲法に保障された自治という姿の中で置かれていながら、さて予算を組んでみると自分の自由にできる財政は三割くらいきり、三割以下になっていると。交付税を見てみると、地方負担分の裏金みたいなもの、補助金の裏みたいなもの、起債の裏みたいなもの、やることなすこと何か自主的に自分がやっているという、そういう認識を得ることのできないような現状の中で、言葉は住民自治というのだけれども、現実は全く上の方から下請された仕事のみに追い回され、みずからの責任でない高度経済成長の後始末みたいなものを、職員に向かっておまえは月給が高いから下げろとかなんとかというようなことになってきて、一生懸命働く職員との間にあつれきを生じながら、しかも地域住民からは保育所の問題はどうなった、福祉の問題はどうかといってせっつかれている。この直接住民と接しておる場においてそれらの声にこたえようとするところの自主的な自分のものを持たぬというこの姿を、何か地方自治体自主性の回復の歴史といったらいいでしょうかね。ですから、この問題の提起されたのは、地方財政が悪化してから提起されたんではないんですね。高度経済成長のあの時代にもこの問題は自治省に提起されていたろうし、それ以前においてもその問題は提起されておったわけであります。だから財源のあるなしの問題は、当然これ地方自治体水準を維持するには大事であろうと思いますけれども、問題の把握されるべきものは私はそういうものではなかろう。しかも今日成田に見るような、新幹線で見るような、公害問題で見るような国民の直接的な要求というものが、住民運動という姿の中でわれわれでは抑えつけることのできないような力の上にわれわれの前に立ちはだかっているわけですね、いま。国会議員というのはこれ皆選挙してきまずから、背中には一人一人の国民を背負っておると私は思います。ですから、ここに何人かの国会議員が集まったということは、その背後に常に一億の国民がいるんだという姿だろうと私は思うんですけれども、そういう気持ちで私どもいたつもりですけれども、やっぱり地域に帰ってみると間遠さを感じているのですね。いわば物理的な条件ともいうべき東京と自分のところとの間が離れてくるということ、ここで仕事を持つことにおいて直接的に触れないということ、顔が見えないということの中では選挙だけの国会議員さんだと。選挙が終われば来ないのだということは間違っていますけれども、どんなに私たちがここで国民のことを考えていても、そういう直接性というものはどうしてもやっぱり失われがちです。この直接的なものを失っていく、国の間接議会民主政治というものが実はいま危機にあると見るべきではなかろうかと私は思うんですよ。  後で公安委員長としての大臣の御意見も承ると思いますが、お聞きするところによると三千人くらいの警察官がもう亡くなっているそうですね。いま私の見たところ、国会の中では福永運輸大臣の顔がちっとやせているようだし、警察庁長官の顔がちっとやせているように見えるし、ことに刑事局長なんていうのは何だか近ごろしょぼっとして元気がない。公安委員長もその仲間の一人であろう。一体これは何だということになれば、国会というところ、国のやっていこうとするものが直接的な触れ合いのない間接性の危険だということをやはり思わなくちゃならなくなる。そういう場合その間接性の危機的状態を少しでもカバーしていけるものは何だ、私は地方自治体の住民であろうというふうに思うわけです。地方自治体は直接毎日ふえているわけです。その中でわれわれの間接的な欠陥性を、物理的な欠陥性をやっぱり補ってもらうような意味で、今日地方自治というものは尊重されなければならぬということを思うわけでありますが、ですから三千二百の団体、四十七の都道府県が、とにかく自主性の回復をやってくれというこの願いを、住民のものとしてそれを認めながら、そのことに問題の解決をしぼっていくことをやらないということは、日本の民主化のやっぱり私は危機だというように思わざるを得ないわけ。単なる自治省自治体の尊重という言葉ではなしに、今日の日本の危機、警察は取り締まり切れますかね、これ一体。しかもそれはわずか何人かのいわゆる極左分子と言われる者、この世の中に存在してならないようなものが存在してわれわれの前に立ちはだかって、このわずかな人間のために国会の中で何時間一体費やしたかね。そのために運輸大臣は顔がやせてきた、刑事局長もだんだんやせてきたでは、その他の国民の多くの者はこれは一体どうなるんだろうか。  考えてみますと、そこには自治的な訓練がこの戦後三十年の間にどのくらいなされてきたか。この課題がやっぱりわれわれいま問われるんではないかというように思うわけであります。地域住民の中に本当に自主的な、独立的な、そして責任を重んずる一人一人の国民を自治という精神の中で育成していくという、こういう国家的な民主化のこの姿というものが、この三十年間にあったら私はこの成田の問題はなかったのではなかろうか。残念ながら言うことを聞いてくれないという姿の中で、何をやってもいいんだという姿の中に追い込んでいく。そしてそのことに対して一般的な農民や中小企業の皆さんが、やっぱりああそうだなあというようなことに心の中で共鳴を感じている。成田の現状は全くそういう意味では、余りにもずさんなあのやり方の中で、千葉県民に対しては大きな不満と不安をやっぱり残しているだろう。あってならないものに対して、何か国民か寄っていくような今日的状態の根源を、国会が責任を負うことは当然ですけれども、そこで負い切れない直接性の問題が残ってくる中で、地方自治体というのは全くその点では大きな役目を持つんではなかろうか。その課題に触れた交付税法の改正がやっぱりいまなけりゃならぬじゃなかろうか。それは財源、いまの経済情勢、まことに不況でございますのでやむを得ませんという考えでこの問題をしていることには私はいかぬと思うんですが、どうしてもこう歴史的にずっとながめてみると、国と地方とのあり方という問題をめぐって絶えず下には不満が残り、上はそれを押しつけていく。この中央権力支配的な傾向自主性を求める声との争いの中に、成田はやっぱり今日的問題の根源があるというような考え方をするわけでございます。  自分だけの意見申し上げましたが、私はそういう意味大臣に今回の地方交付税改正の中にそういう問題意識がないんじゃなかろうかと、こういうことを御指摘申し上げたいと思うんでございますが、非常に大きな今日的状態が、余りにもどうにもできないような危機感的なものを含めて、われわれが守ろうとするこの社会秩序というものが崩されていくような状態の中にあって、成田の開港日さえも不安を持って迎えなければならぬ今日的現状の中で、われわれがやっぱりいま一番考えなければならぬのは、国民をここにどうして連れてきて、われわれの話を聞いてもらうかということだと思うんですよ。だれも国でも怠けている人はないわけです。一生懸命だが通らないんです。そのパイプ役を地方自治体がやるとすれば、今回の交付税法改正案あたりには、少なくとも平衡交付税というものが、何らか地方交付税というものがその性格を失い、その意義を失い、まさに全国土が地方交付税なくしては自治体が守っていけないような今日的現状の中では、幾らも手があると思うんですね。大都市の自主財源はどうするんだ、東京は、大阪は。そこには、われわれが提言しているような自主財源の確保の道もあるだろうが、そういう問題については触れようとしないで、相変わらず国依存の交付税交付金に依存されているわけであります。東京だの大阪あたりが交付税に依存するようになってしまった交付税法というのは、ぼくはその性格はもう全然なくなったんではなかろうか。調整財源的な交付税というものが、まるで自治体の自主財源の一つを持っているような状態に追い込まれてきている今日の状態の中では幾らも手はあるだろうが、そういう点について何となくやらない。あくまでもこういう財政が悪化しているときに、経済が悪化しているときにはだめなんだという意見だけなんですね。  この前も決算委員会で車の両輪と申し上げましたが、私は本会議で総理から大蔵、自治三人が車の両輪言われたときに、自治大臣に私は非常な不満をやっぱり持ちました。国の立場ではそう言いたいだろうと私は思うんです。しかし自治大臣までが車の両輪では、この大きな課題というものは、やっぱり私は迷っていくんではなかろうかというような気がして、この前申し上げましたので、あとは申し上げませんけれども、以上のような点で大臣にお聞きしたわけでございますが、今回の交付税法はもうすでにきょう成立することになっているそうですが、まことに不満だということの意思だけを表明してこの御質問は終わりたいと思います。  次に、以上のような住民と触れ合うような国の政治ということ。これを考えた中で提起される問題として、第三次全国総合開発問題が、ぼくはあるんじゃないかというような気がいたします。この中には、私がいま申し上げましたような意味での触れ合いというものがマクロ的な立場で国が計画をしていくという一つの方向性が出ているんじゃないかと思うんですが、三全総といわれる第三次全国総合開発計画は、まあ悪名その名も高い国土開発計画、一次、二次とも、とにかくもう大した国民の信頼を失うような国土開発だ。おかげさまで地方に行ってみますと、地方の選挙ポスターあちこちで拝見いたしますが、どのポスターにも緑の山、魚の泳いでいる川、そういうのが日本じゅうにはんらんしていますね。どのポスター見ても、緑の山と書けば選挙に当選できるというのですから、選挙標語としては大したのを生み出してくれたと思うのだが、日本の国土改造というものはそういうものであったということなんですね。その反省の上に立って、この三次全国総合開発計画が昭和五十二年の十一月に閣議決定して、現在実施中であると思うんですけれども、国土庁の方おいでになると思うんですが、大体概要ひとつお示し願いたい。
  113. 星野進保

    説明員(星野進保君) 第三次全国総合開発計画について御説明申し上げます。  先生御案内のように、基本的な前提といたしましては、日本の国土というのは三十七万平方キロ余で、今後恐らくその広さというのは一定だろうと思いますが、それに対しまして私どもの日本人の数というのは、そこに住んでおります人口の数と申しますのは、現在一億一千三百万ぐらいでありますが、それが恐らく今世紀末ぐらいには一億三千五百万人ぐらいになるという想定が、かなり確からしくされておるわけでありまして、そういたしますと、現在から同じ国土の上に二千五百万人ぐらい、言いかえますとそれは現在東京、千葉、埼玉、神奈川といったような一都三県にまたがります人口が大体二千七百万人でありますから、そのくらいの人口がさらにこの国土の上に圧力がかかってくるということであります。したがいまして、それを引き受けましていかに国土を有効に使っていくかということが、そもそもこの私ども国土利用計画の観点から見ますと一つの関心事であります。さはさりながら、国土をそのように効率的に使っていくと、同時にそもそも私ども政策の目標というのは、基本的にはそれぞれ住みます各個人個人の生活が安定し、しかもその環境を整えるということがあくまでも基本的な、ある意味では未来永劫の目標でございますので、そこで三全総では総合的居住環境の整備を図るということを基本目標に設定しておるわけであります。それで、それを達成するために現実を振り返ってみますと、現に大都市はかなり過密の状態にある、それから地方が相対的におくれておるという観点を踏まえまして、私どもの言葉で申しますと定住構想という言葉を用いまして、大都市の集中を極力抑制いたしまして、なるだけ地方を振興いたしまして、そのことによりまして総合的居住環境が整備されると同時に、国土の利用も極力均衡化されるようにしていく必要があるだろう、非常に一般論で恐縮でございますが、概要の基本的なポイントを申し上げればそういうことだと思います。
  114. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 ただいまのお話で、定住圏構想ですか、それに伴って定住圏というふうなものをおつくりになられる。全国総合開発計画でございますから、そういう定住圏構想、定住構想のほかに、開発の計画があるだろうと思うわけですけれども、いまおっしゃった基本的なものは、これを実施していくのには地方自治体との関連が非常に深くなってくると私は考えるわけであります。地方自治体の協力なしにはこれはできないのではないかと思うんですけれども地方自治体は広域市町村圏というようなことでいまやっていらっしゃるわけですけれども、定住構想、定住圏というようなものが、地方自治体との関連の中ではどんなに結びついていくんだろうか、その結びつきですね。それからまた、その際の財政的措置というようなものは、一体これはどんなふうなぐあいになるものか、その辺のところをお聞かせ願いたい。
  115. 星野進保

    説明員(星野進保君) 御説明申し上げます。  私ども三全総におきまして、先ほど申し上げましたように、基本的に居住の総合的環境を整備するということでございまして、その要素といたしましては当然生活の施設でありますとか、そこにおける就業の場でありますとか、それから当然先ほど先生御指摘ありました緑の問題のような自然環境でありますとか、そういったようなものが一体となって当然総合的居住環境というものを形成するわけでございます。そういたしますと、基本的にそういうものをつくり上げていくというのが、やはりそこに住まわれている住民の方々が当然イニシエイトすると申しますか、いろいろデザインをされるとか、そういうことが基本であろうということを三全総の中でも申しております。  それにつきまして先生が財政についてはどうなんだということでありますが、私どもはあくまでも構想計画でありますので、非常に抽象的で恐縮でありますが、この中で最後に「計画の実施」という個所がございまして、その中で、地方公共団体役割りが一層期待されることになるので、地方財源の確保安定について適切な措置を講ずることが必要であろうということを述べております。
  116. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 結局定住圏、定住構想というものは、現在ばらばらにやられている一つの行政を、この地域の中に住みついていきたいという、そういう心を誘発するような環境整備を総体としてやっていく、その財政措置というのは、これは国土庁としては各省のやろうとするものに乗っていくんだ、こういうぐあいにアイデアを提供して、アイデアをひとつあんた方やってくれないか、こういうふうな姿で三全総というのは進んでいくという、こういう考え方をしていいわけですね。
  117. 星野進保

    説明員(星野進保君) 基本的には先生が御指摘のとおりでございます。
  118. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 どうもそこが、まあ私どもこれ地方自治体などに行ってみましても、定住圏構想ということには非常に何か魅力を感じましてね、中にはすでに内容に取り入れて考えているというような方向まで御発表になったすぐ後あたりからそうなってきたわけですが、一方これ、苫小牧とか、あるいは志布志湾とか、あるいは高速道路とか、この三全総というものがやっていくのが、それほど魅力のあった定住構想については、各省に御忠告申し上げるみたいなかっこうになっちゃったのには、これは空の上に上がった花火みたいな感じがしてしまうのですけれども、結果的には苫小牧だ、志布志湾だ、高速道路だということになっちゃうんだな。三全総も何か花火だけぱっと上げておいて、定住圏となると、みんな何か引きつけておいたけれども、結果としてはもちろんそういう考えの中で行われる大型プロジェクトの開発計画というものは、地域の中の住民との関連性も深まるとは思うんですが、どうも定住圏がまくら言葉になってそれが進んでいくのでないかというような不安感が、三全総の中からもとれないのですけれども、その辺はどうですか。
  119. 星野進保

    説明員(星野進保君) 三全総の中で、たとえば先生いま御指摘の志布志の話でありますとか、それから苫小牧東部の話が出てまいりますが、もちろんその事業実施については環境影響評価を徹底的にやりましょうというようなことは言っております。ただ、その基本的な考え方としまして二つの観点が私あると思います。  それは一つは、当然地域におきますそういう一つの就業の場と申しますか、地域におきますいろいろな機会をふやしていくという角度での工業開発というのがあろうかと思いますし、同時にもう一つ、私どもの三全総では国民生活の基盤ということでたとえますと、中にエネルギー問題が入っておるわけでありますが、エネルギーにつきまして恐らく現在石油ベースでございますと、二億八千万トンぐらいの石油を使っておるわけでございますが、いずれにしましても人口がふえ、かつ各種の活動がふえてまいりますから、今後の十年あるいは十五年の間に四億キロリットルぐらいの必要性が出てくるだろう。そうなりますとそれをどこかで確保せざるを得ない。その場合に既存の給油立地地点であります瀬戸内海でありますとか東京湾でありますとか、そういうところはすでにかなり過密状況にありますので、そういうところではちょっと負担し切れないということになりますと、そういうエネルギー立地につきましては、ひとつ別の地域で御負担願いたいという気持ちのことを三全総の中で書いてあります。ただ、もちろんそれを実施するに当たりましては、当然のことでありますが、地域の住民の御了解を得ないわけにはいきませんので、基本的には地域の住民の方々の合意ということが先決であろうということは述べております。したがいまして、先生御指摘のように恐らく第二全総、新全総のときに大規模のネットワークであるとか、あるいは大規模工業基地、大規模畜産基地というかっこうで計画を策定していったわけでありますが、それと今回の三全総との違いと申しますと、私どもやはり地域のそれぞれ先ほど申し上げましたような地域地域における生活環境、居住環境を強くしていくということが基本でありまして、それに必要とあらばつなげるような形で、特に幹線交通体系で申しますれば、従来東京一点集中主義でありましたから、それをできるだけ地方分散型の交通体系にしたらどうだろうかというような言い方で三全総は書いてございます。そういうことを通しまして地方分散も強固になっていくだろうというふうに私たちは理解しておるわけであります。
  120. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 なかなかむずかしい構想ではあろうかと思いますが、国土庁としては、そういう姿で定住圏構想というものを基本にしてこれにプラスする、あくまでも国土庁としてそれをやっていくんだといういま御答弁であったと思うわけでございますが、私も定住構想という問題がいま言われることについては、その言葉ですね、具体的にはどうなるかまだわかりませんけれども、とにかく全国国土総合開発の中に定住という概念を持たれたことにやっぱり私は敬意を表したいと思っているんですが。  自治省の方にお尋ねしたいんですが、いままで自治省としても、地方自治団体の過疎過密という問題は大きな課題として私もこれを考えますと、何か私たちがいま苦労しているものはみんな高度経済成長の後始末で苦労しているんじゃないか。ずいぶん本気になって議論していますけれども、議論の内容をよくよく検討すると、みんな前に向いていく姿勢ではなしに、後始末をどうするかの話に、もうごみさらいみたいなことばかりやっているのではないか、それで苦労しているのが多いのではないかと思うんですが、過疎過密というものもあのときに残された一つの課題で、むずかしい課題だと思いますが、残っているわけですが、このことに対してはいままではもっぱら対策、過疎債とかなんとかの、つまり過密過疎があるという、あることに対してどうするかという対策に対して、今度の三全総は、その過密過疎を解消しよう、解消しようという努力を考えているわけですね。高度経済成長で人口の大動員をかけて、日本の資本の蓄積に協力されました。あの潮のごとく東京、大阪に集めてきた高度経済成長の人間を、今度はひとつふるさとの方向に向かって、過疎地帯に向かって定住できるようにそこの地域を温かくつくっていこうじゃないか。もう一回こちらに来るものを向こうにとどめ、あるいは帰る。そして全国土が均等ある発展をしようというような、こういう解消の方向を定住という構想の中で持たれるように思うわけでありまして、これについてはやっぱり自治省としては当然協力すべきものであろうと、私は考えるわけでありますけれども自治省の三全総に対するお考えはいかがでございますか。
  121. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま御指摘ございましたように、三全総もまた過密過疎解消対策であろうと思います。ただ、わが国の国土計画というのは三十七年にできました第一次の全国総合開発計画、それからただいま悪名高きと言われました第二次の全国総合開発計画、それから三次の今回のもの、すべて過疎過密対策ということが基調であったと私ども了解いたしておるわけでございます。だだ、第一の場合は、太平洋ベルト地帯に集中するところの人口、産業というものを全国各地に配分しなければならないということで、その場合に工業基地というのが起爆剤になるというようなことで、例の新産工特を生んだわけでございますが、その国土計画がうまく現実には動かなくて、ますます過疎過密というのが拡大していったということであろうと思います。  そこで、その反省の上に立った新全総というのは、先ほど国土庁からお話ございましたように、例の大規模プロジェクト、それから全国交通通信のネットワーク、この方式と、実はもう一つ広域生活圏方式というのを打ち出しておるわけでございます。この二つの方式によりまして過密過疎を解消しようとしたわけでございますけれども、当時の列島改造などの開発ブーム等もございまして、大規模プロジェクトの方が非常に脚光を浴びたという形になっております。また、その後のいろいろな経済情勢の変動等によりまして、若干過疎現象等についても従来のような激しい進捗度というのはなくなってきておりますけれども、それにしても、大都会におけるところの出生増、人口増、そういったものがございますために、やはり日本の将来を考えた場合に、過疎過密対策というものを基本として、それではどういう手を打つかということで、従来の新全総の反省の上に立って、新全総の中で芽が出ておる広域生活圏というものを今度は重点を置いた、それが定住構想というふうに衣がえして目玉となってきた、私どもそのように考えております。  そこで、過密過疎対策といたしまして、従来国も地方団体もいろいろそれぞれの手を打っております。そういう現象が進んだから後始末としてそういう手を打つという側面が非常にあったことと思います。ただ、それと一方私どもといたしましては、新全総の中の広域生活圏方式、これはやはり将来におけるところの過疎過密解消のための地域づくりの基盤となるという意味におきまして、四十四年以降広域市町村圏という施策を展開して現在に至っておるわけでございます。  そこで、今度三全総という形で定住構想が正面に出てまいりまして、これが昨年の十一月の閣議決定で国の施策ということになったわけでございますから、関係各省ともどもどもこの定住構想の実現に向かって努力していかなければならない。その場合に、従来から進めておりますところの広域市町村園の施策というものは当然その母体となるというふうに考えております。
  122. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 御説明で、自治省の考え方の三全総の定住圏というものと、いまやっている広域市町村圏というものの関係なんですが、それは広域市町村圏を母体として、そして定住圏という構想にいくんだ、こういう考え方で自治省はいる。国土庁はこういう考えについてはどうなんですか。
  123. 星野進保

    説明員(星野進保君) いま局長からお答えがありましたのと全く同じでございます。
  124. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 定住圏という圏というのがありますね。この圏のつくり方が、自治省の場合は市町村、広域市町村圏の場合は市町村中心に、定住圏の場合は山、水、海といったようなことの、非常に数の上でもちょっと違うわけですがね。この辺の絡まりぐあいはどうなんですか、広域市町村圏を母体としてそういう定住圏構想というものにだんだんまとめ上げていく、こういうことですね。非常に地域的にも数の上でもちょっと計画が合わないわけだが、その辺のところの自治省の考えというものが、いま定住圏構想というものを大事に守っていくんだというお話を承りましたが、まことに私はそれは重要なことだと思います。その辺どうなんですか。
  125. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 広域市町村圏の線引きの関係でございますが、四十四年から四十七年の間にわたりまして全国三百二十九の圏域設定をいたしております。それ以外に昨年度福岡、北九州、仙台といった中核都市を中心とする圏域設定をいたしておりますので、それも広い意味での広域市町村圏と考えるならば、三百三十二ですかの圏域設定が行われておるという状況でございます。この圏域設定をするときの考え方でございますけれども、当時からすでに市町村の区域を越える実質的な経済圏というのが生まれてきておるわけでございます。そしてまた広域行政等の必要からもそういった圏域づくりというのが必要であるということで、関係市町村の合意のもとである程度の規模の圏域設定を行った。それが結果的にはただいま申しました三百三十二という圏域になったわけでございます。  ところで、今度の定住圏の線引きの考え方でございますけれども、これはそういった既存の生活圏あるいは流域圏、その他もろもろのものを考えて国土開発の受けざらとして、基盤としての圏域設定を行うということになっておるわけでございますけれども、私どもやはり一緒になって仕事をしていこうという圏域づくりという場合には、関係市町村の十分な合意のもとで行われることが必要であろうと思うわけでございます。そしてまた従来の広域市町村圏は、まさにそういった関係市町村の合意のもとで都道府県知事が策定したという形になっております。それから現在の広域市町村圏は、やはり昔の郡、市の区域というものが一応の基盤になっておりますので、やはり先ほど山あり川ありということでございますけれども、地形的にもある程度私はまとまっておるんじゃないかというような感じを持っております。  それから今度の定住圏の策定に際しまして、このところとかくなおざりにされがちであった流域圏の考え方というものを取り上げられたことは一つの非常な進歩だと思います。ただ、現在の広域市町村圏におきましても、太平洋ベルト地帯あるいはある程度の都市圏を除いては大体まあ流域圏と合致しておると思っております。ただ流域圏に合致しておらない、特に太平洋ベルト地帯でございますけれども、そういったところは交通通信の発達等によりまして、たとえば山をくりぬいてりっぱなトンネルができるというようなことで、住民の日常生活圏が変わってきたからこういう形になっておるんだというふうに了解しております。  そこで国土庁の、三全総に書いてございますところの圏域の数は二百ないし三百となっておりますけれども、限定的に幾らというわけではございません。それから私どもの広域市町村圏の三百三十余りというものも、別に私どもはこれで固定的なものと考えておるわけではございません。その後の経済情勢の変更等によりまして、関係市町村が合意のもとでこの圏域を変えたいということであるならば、変えることについて別に私どもがとやかく申すべき筋合いではないと思います。ただ、いずれにしても、定住圏というものが、関係地方団体が自分たちのその区域について住みよい地域づくりを行っていこうという合意がなければ、この定住構想というものはうまくいかないわけでございますから、そういう場合に、すでに八年の歳月を経てこういった共同行政になれておる広域市町村圏というものがある以上、これが当然一つの基盤となると私どもは考えております。
  126. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 時間がもうありませんので、広域市町村圏における広域的事務処理機構の中で、これは法改正をしたんだろうが、市町村が集まって協議してやるような協議会方式という、あんた方言っているけれど、まあそういうものがありますね。それから一部事務組合方式、複合的一部事務組合というのがありますね。これは非常に地域住民と遊離するような傾向があって、いわゆるそういう点のところは十分注意しなくちゃいかぬという、衆参両院の附帯決議などにも載っているわけですけれども、今後これはどんどんやっぱり推し進めていくようなかっこうになりますか。
  127. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 広域市町村圏の施策と関連して自治法を改正いたしましたのは、複合事務組合の制度でございますが、これは一部事務組合が非常にたくさんできて、それぞれ一つずつしか事務を行わないというのは不合理じゃないかというので、この複合事務組合制度というのができたのでございますが、実質的には一部事務組合と同じでございます。  そこで、一部事務組合の運営の問題でございますけれども、御指摘のとおり市町村の上にある団体みたいな形になっておりますので、住民の意向反映という点については特に留意しなければならないと思っております。ただ現実問題といたしましては、一部事務組合は、これは御承知のように規約で動いておりますが、その規約につきましては関係地方公共団体の十分の合意のもとでつくられておりまして、それぞれ執行部、議決機関というものがあるわけでございますので、ある程度は私は住民の意向というものは反映されておるというふうになっておりますが、なお現実の運営につきましては、今後ともよく住民の意向が反映するよう指導していきたいと思っております。
  128. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 全く時間なくなりましたので、実はこの問題をお聞きして、先ほどこれからの地方自治のあり方について問題の認識をしっかりしてやってもらいたいということを申し上げましたけれども、それとも結びつけながら、どうもこの広域市町村圏とか三全総とか、国土総合開発というようなものが、建設ばかりやりまして、施設の問題などばかりをやりまして事足れりというような感じがないわけでないわけです。本当の意味の、まあ三全総の言う定住構想というようなものから言えば、喜びを持たなくちゃならないわけなんですね。道路をただつくっただけではこれはちょっと問題が残るわけですね。やはり道路をつくれば、交通機関の整備ということは当然これ来なけりゃならぬと思うわけでありますが、定住圏構想というものの中で、そういうものを抜きにしては、これは従来の全国開発計画と違うということにはならぬと思う。どうも施設だけで、建設面だけをやっていけば国土開発だみたいな印象があって、道路はりっぱにできましたけれどもさてバスは通らないということになるんですね。これは最近の過疎地帯、まあ福島県も過疎地帯が多いわけですけれども、本人自身が希望して出て歩くというようなものではなくなっちゃったんだな、移動の範囲というのが。これは大変御研究なすった、調査をなすった資料を持っているわけですけれども、本人の希望ではなくて、強制的に移動しなければ生きていけないみたいな現状がいろいろな面にあるわけね。産業構造の中にもある。ことに第二種兼業のような問題の中にも存在する。それから通学の問題がある。これも文部省のいわば効率的な学校運営というふうなことの中での統廃合で大分遠いところに行かなければいけない。最近は病院を整理している。これも統廃合が行われる。保健所もだんだん今度は小さくなってくる。こういうふうなぐあいに、いわば行政的な一つのあり方の中で、動かなければ生きていけないような現状に置かれている。  ある山の中のおじいちゃんなんかは、昔はこの山を出ていかなくてもよかったんだがなあと、ここで自給しておったんだと、まあまあ本当に出かけていくのは年に一遍ぐらいだったかなあなんというなつかしそうなことを言うんだが、これがいいかどうかは私疑問ですですよ。しかし今日的移動というものは、これは本当に強制的に動かなければ生活できないみたいな現状の中で道路をつくっていくとなるんですね、これ。非常に産業経済の範囲が広まっていく中で、これは非常に便利だと。これが自家用車いいって言うんだが、この自家用車というのが、またこれ決して交通機関の一つとして考えることのできないような、ある人間の特定所有物になっておりまして、バスがないといったようなことになるんですが、採算性だけを考えているバスは最近大分赤字でやめております。そのために過疎バスということを市町村は考えてやっているそうでございますが、まことにどうも赤字の累積にあるようなんです。これは運輸省の方で補助しているそうてございますが——運輸省来ていますか。その補助の実態、いま時間がありませんから後で言ってください。とにかく補助があるそうですけれども、それは地方自治体の持ち出し分の赤字の、まあ市町村過疎バスを運営しているものにも及ばない。大分苦しい状態に陥って、先刻、市町村の過疎地の皆さん方が今度の国会に対して相当広範な陳情が行われたと思います。私もその陳情を受け取っておりますが、いわば国土開発というふうなものを行った後の、それが施設、建設だけでもって進んでいく中で捨てられていく過疎地におけるこういう問題は、これはやっぱり自治省としても考えなくちゃいかぬと思うんですが、現在市町村でやっている過疎バスの市町村の数はどのぐらいあるか、その経営状況はどうだかをひとつお聞かせ願いたいと思います。  それからまたバスの問題で、許認可問題が一つあると思いますが、これも運輸省かもしれませんが、一体バスをここで通したらいいかどうかの認可を、国まで持ってきてやらなくちゃならぬという理屈はちょっとおかしいじゃないかと私は思うんです。一番その実態を知っているのは府県であり、市町村でございますから、そういうような問題も、やっぱり全国総合開発計画の中で地域住民と密着する中で考えなければならぬ問題でなかろうか。そうなってくると、地方事務官問題は一体どうなったんだと。これはもう国会の中ではとうの昔になくなって、地方へ身分が移管しているはずだと思うんですけれども、何かごたごたごたごたしてまだだめで、一つもだめ。これはもう国会ではっきりとしておりますんですが、この地方事務官のやっている問題をわれわれはやっぱり国家公務員の立場でやる仕事ではなかろうと思うんです。やはり地方自治体の中に入って地方の住民の行政の一端を担うということになってやれば、また認可事項やあるいは地方事務官の所掌している事務は身近に住民のそばにも帰ってくるという課題もあろうと思うんですが、その地方事務官の問題と、それから過疎バスの問題と、自治省のそれに対する対策と活動、それひっくるめてひとつお答え願って私の質問を終わります。
  129. 山本悟

    政府委員山本悟君) 過疎バスの運行に対しましては、基本的には運輸省の方から各種の補助がなされているわけでございますが、自治省といたしましては、過疎バスの運行費補助の地方負担分につきまして交付税措置をする、あるいは地方団体が運行いたしますスクールバスあるいは遠距離通学児に対する補助を交付税によって措置をする、こういうようなことをいたしております。現在市町村自身で過疎バスをやっております団体が何団体かちょっとただいま手元に資料を持ち合わしておりませんが、たとえば五十二年度の交付税措置といたしましては、過疎バス関係だけを取り出しましても、九十二億四千万の過疎バス関係の経費を特別交付税において措置をしている、こういう状況になっております。
  130. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) これまでの広域市町村圏の実績を見ましても、ハード面と申しますか施設設備というところに重点が置かれまして、この八年間で見違えるぐらいによくなったと言ってもいいぐらい相当水準は上がってきておりますが、いま一番おくれているのは先生御指摘のいわゆるソフト面であろうと思います。病院つくっても医療のネットワークをつくらなければ住民の役には立ちませんし、それからバスの問題も、最近のマイカー時代におきましては御婦人、老人あるいは子供にとってはまさに自分の足と同じでございますので、その確保というものは大変な問題であるというふうに考えております。定住構想を踏まえまして私どもも広域市町村圏計画というものを見直していくわけでございますが、そういったソフト面についても今後とも十分の配慮をしていきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、なお御指摘地方事務官問題でございますけれども、御承知のようにまことにむずかしい問題でございまして、昨年の暮れの閣議決定によりまして、とりあえず陸運事務所の地方事務官につきまして一定の方向が出されまして、それにつきまして現在関係各省の間で鋭意話を詰めておりますけれども、現時点においてはまだ固まっておりませんが、私どもといたしましては地域実態に即した行政ができるようにこの問題を解決したいということで今後とも努力してまいりたいと思います。
  131. 梶原清

    政府委員(梶原清君) お答えをいたします。  三全総に盛られております定住圏構想につきましては、私どもの担当いたしております運輸交通の問題というものが非常に大きなかかわりを持つわけでございまして、今後関係省庁と十分協議をいたしまして、過疎地域の交通問題の解決に資するという観点から私どもの省としても前向きに対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  次に、御指摘のございました過疎バスに対する補助金でございますが、昭和四十年の初め五百万円の国庫補助金から出発いたしました補助制度でございますが、四十七年度におおよそ現行の補助制度が確立いたしまして、その後制度の拡充、予算の増額に努めてまいりまして、最近の数字で申しまするならば、昭和五十二年度七十二億一千百万円に達しておるわけでございます。で、そのうち、先生御指摘の廃止路線代替バス、これは市町村がやっておられるわけでございますが、百三十九やっておられますうちで百十八市町村に対して九千三百万円補助金を支出したわけでございます。  それから、地方事務官問題につきましては、自治省の行政局長からお答えになりましたとおりでございますので、私からは省略させていただきたいと思います。
  132. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 私の調べたのでは、有償乗り合いバス、金を取っているのが百七十一市町村、無償であるというのもあって、五百市町村くらい大体あるということなんですがね。ですから、いま財政局長から有償でやっているという話あったんですが、何か運輸省でそれはやっていると、こういう話あったね。いろいろこのお話聞いてみましたら、やっぱり余り手が入ってないようなんですね。自治省という役所は、地方団体が一番苦しんでいるのは一体どこかというと、いろいろ各省とのやっぱり問題が一番大きな問題があるわけでございまして、その中でやっぱり赤字の中で過疎バスを運営しているが、それは運輸省だと、こういうことになっているわけであろうと思いますが、自治省としては、五百もの市町村が有償、無償合わせてやっておるとすれば、それらについてやっぱり自治省としての立場から自治団体に対する協力、そして各省との折衝、こういうことはわがものとしてやっぱりやっていかなければ、それが自治省の役目ではないだろうか。どうも自治省だけではなくて、農林省の問題も自治省の問題になる、運輸省の問題も自治省の問題になる。自治省という役所は国と地方に二分して国家予算を半分ずつ使ってやるほどの大きな仕事を持っているわけでございますから、そういう点では過疎バス問題なども特に丁寧に御検討いただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  133. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 この委員会で二日間にわたってこれからの地方財政をどうするかということを、その点に議論が集中してきたわけですが、私も当然これからの地方財政どうなっていくんだろうか、またどうすべきなのか、そういったことを非常に憂えるものでありますけれども、そういう考え方、立場から私もどれだけか質問させていただきたいと思います。  余談になりますけれども、はっきり言えば、国の、いわゆるこの窮迫した地方財政をこれからどうしていくんだといういわゆる方向性というものが、明らかになってないと、こう言って間違いないと思うんですね。ですから、たとえば交付税特別会計で借り入れた半分を国が負担するというようなことで、言うならば応急的、悪く言えばごまかし的なそういう方法によって体裁をつくろっておる、こう言わざるを得ない。こうすればこうなるんだよ、必ず何年後にはこうなっていくんだというような中期計画も、長期計画もない。そういったところにいわゆる一つの混乱がある、こういうふうに私は思います。  そこで、そんなことを踏まえながらどれだけか質問してみたいと思うのですが、まず地方財政収支試算ですね、ケースI、II、III、これに対するまず評価、これどういうふうにお考えになっているのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  134. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御案内のとおり地方財政収支試算におきますところのケースIは、国の財政につきましての収支試算で、大蔵省の策定いたしましたものでケースAに相当し、地方財政ケースIIは、国の場合のケースCに相当し、それから地方財政ケースIIIが国の場合のケースDに相当さしているわけであります。その場合におきまして、地方財政ケースIの場合には、税財政制度現行のままということによって試算をいたしまして、要調整額というのを算出いたしているわけでございまして、経済審議会の暫定試算の線に沿ってではございますが、現在の税財政制度のままであれば要調整額はだんだんふえていく、五十七年になりましてもそれは解消しない、要するに赤字は続くということをこのケースIは示しているというかっこうになっていると存じます。それに対しまして、ケースII及びケースIIIにおきましては、それぞれ必要といたします増税といったようなものも含めまして計算がなされているわけでございまして、この場合には、五十七年度までに達すれば、両案におきましても要調整額は地方財政の場合に解消する、こういうかっこうになっているわけでございます。そのどれが一番経済審議会の暫定試算に合致するかと申しますと、国の場合におきましてはケースC、すなわち地方財政の収支試算におきましてはケースIIである、こういうようなことになっているわけでございまして、ケースIIというのが経済審議会の暫定試算とは一番合致している、こういうような基礎データになっておると存じます。
  135. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 数字的な説明をしてくださいと言ってるんではなくて、それはわかっている。だから、どう評価をしておるのかということですね。少なくともこれが出たということは、これからの地方財政を立て直していく上に、どれだけかのいわゆる基礎資料みたいなものになっていくわけですね、そんなつもりで出したんだろうと思う。だから、そういう意味でどういうふうに評価をされているのかと、こういうことなんです。これは評価の問題ですから、大臣ひとつ。
  136. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 財政収支試算は、文字どおり試算でございまして、政策的な追い込みは一切いたしておらないのでありますけれども評価と申しますと、ケースIの場合におきましては、現行の税制そのままを踏襲をいたす、かような考え方でございますから、これでまいるといたしますと、毎年相当額の要調整額、すなわち財源不足が生ずる、かようなことが言えなうかと思うのでありますから、ケースIの場合だと財源不足が毎年多額に生ずる、これがいわば評価とも言えようかと思います。  それから、ケースIIの場合でございますと、昭和五十七年までを考えてみまして、毎年相当額の新たな税源を必要といたす、新たな税源がかようかような場合にはこういうことに相なりますよ、このことを試算をいたしておるのでございますから、ケースIIもしくはケースIIIの場合でございますと、毎年相当額の税の増徴が必要である、かように言えようかと思います。
  137. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。そのままおっしゃっていただいたと思うんですが。  そこで、ケースIの場合ですね、一々数字を挙げなくてもよくおわかりなんですが、五十七年になりますと七兆四千億からの財源不足、こういうことになりますね。ですから、これはもうあくまでも数字の上でいくとこうなる。多少の変動はあるかもしれません。しかし大体この程度になる。そうすると、このままではならないわけですね。ただそれは表であるよというだけでは済まない。大変なことになりますよということです。ですから、そうなると、ケースIの場合には、五十七年度で七兆四千億からの財源不足を生じます、しかしこのケースIIのような考え方でいけば、五十七年は財源不足はゼロになるということですね。ケースIIIは多少IIよりもゆるやかな状態で、そしてしかし最終的には財源不足はゼロ、五十七年において、こういうことなんです。  そこで、ケースIの状態ではこれは大変なことになるので、何らかの方法をとらなければならぬわけですよ。そうでしょう。これは表だけの問題ですよ、試算ですよ、だから何も関係ありませんよというわけにいかない。そうですね。だからそういう意味で、いわゆる私の評価ということは、ケースIそのままでいいというわけにいかない、そうすると、ケースII、IIIという問題が出てくる。そういったケースIIとかIIIとかいうものを、国とすれば、これからどの部分を取り入れていこうというような考え方ですね、当然何らかの形でもって頭の中にはそれがなくちゃならぬだろうと思う。またそういう一つの参考資料としなければ、こんなものを出したって何にもならぬでしょう。出さない方がいいということだ。ですから、評価と言ったのはその辺ですよね。もっと端的に言いますと、そうすると一ではだめなんだ、だからIIかIIIを今後取り入れていこうという考え方があるのかないのか、その点ひとつ。
  138. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいま大臣もお答え申し上げましたように、試算は試算であって、これをこうやっていくという政策が入っての財政計画ではないということでお答え申し上げたわけでございますが、ただ確かに御指摘のとおりにケースIの場合には、要するに財源不足が雪だるまになっていくだけでございまして、これでは今後のことは解決しないのは御指摘のとおりだろうと思います。ケースIIの場合には、歳出規模をGNPの伸びに応じまして伸ばしていきまして、それほどの節減というのをかけていない、それからケースIIIの場合には、歳出面におきましても一割程度落とす、こういうような内容になっておりますから、それに対応いたしまして、まあ国民の方々から増徴しなければならない税収が少し差がある、こういう両案になっているわけでございます。したがいまして、いずれがいずれとも申しかねるわけでございますけれども、この三つの案から申せますことは、やはり何らかの意味での税の増徴というようなものがなければ、財政としてはなかなかめどがつかないというようなことが推察にかたくはないわけでございます。ただあくまで申し上げますように、財政計画としてこういうようなかっこうで各年度やっていくからこういう数字になるのだというところまで申し上げております試算ではございませんものでございますから、その点は御了解を賜りたいと存じます。
  139. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、このケースIIIまでのものがある。いまのお話ですと、当然地方財政充足さしていくためにやっぱり増税ということを考えざるを得ないんじゃないか、こういうふうに私はいま聞いたんですが、そういうふうに受けとめてよろしいですか。これから増税をしなきゃならぬ、それでなければ解決できないんだ、こういうふうに受けとめていいですか。
  140. 山本悟

    政府委員山本悟君) この収支試算は御案内のとおり経済審議会の暫定試算とはずを合わしているわけでございまして、その計画に基づきまして経済が進展をする、日本経済が伸びていくということを考えます限りにおいては、何らかの意味で国民に租税の負担というものの増徴というものを求めない限り、やはり財政としては財源不足額というものを解消することは非常に困難だということを示してはいると思います。
  141. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは、私の聞いているのは、あなたあくまでもそれは試算であって、だからこれではこういうふうに言っているんですよと、こういう言い方。だから、これは何らかの参考になるのかと、こう聞いているわけですね。そこで、参考になるならば、やはり増税というものはやっていかなきゃならぬと、こうお考えになっているかどうかということなんですよ。ただ、これはこういうことを言っているんですということでなくて、それはこういうことを言っているということは、何らかの参考にしなきゃならぬ問題でしょう。だからこれは参考にするとするならば、いわゆる増税ということ以外ないんだと、それは極端な言い方かもしれない。まだほかにもっといろいろやらなくちゃならないかもしれない。だから増税というものは、これはもうやむを得ない、当然これからやっていかなければならぬというふうにお考えになるんですかと、こういうふうに聞いているんです。
  142. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいまのようにおっしゃられますと、やはり地方財政立場から申せば国民の租税負担の増加というものを求めていかざるを得ない財政状況にあるのではないかと思っております。
  143. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、この表によりますと、増税のあり方ですね。ケースIIによりますと五十四年度七千九百億、それから五十五年度が九千五百億、大体一兆円ですね、ずっと。そういう増税が受け入れる、受け入れないは別ですよ、いまあなたのお話でもって増税に頼らざるを得ないだろうという、こういう意見を述べられた。だから増税をするとするならば、これによりますと、地方税の増税分はいわゆる年々約一兆円ということでしょう。そういう大変な増税というものができるのかどうかという問題、この点についてはどうお考えになってますか。
  144. 山本悟

    政府委員山本悟君) そういう点になりますと、ただいま申し上げましたように、やはりこれが国の試算、あるいは経済計画とのはずを合わせまして計算をしたものであって、これが直ちにこの額というものが可能であるかどうかという意味での財政計画にはなっていないと申し上げたわけでありまして、私がこの試算に基づきまして、ただいまこれは可能であるとか、不可能であるとかということをこれに基づきまして申し上げるのは、いささか困難でございまして、この点は御了承賜わりたいと存じます。
  145. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 じゃあもうちょっと詰めましょう。  あなたは増税に頼らざるを得ないと言ったんだよ。だとするなら、それだけの考え方があるならば、これをもとにしても、もとにしなくてもいい、この試算によればこういう数字が出ているわけです。だから、あなたは増税に頼らざるを得ないだろうと、こういう考え方があるんだから、少なくともこれはうまくないよと、こういう極端な行き方はとてもできるものじゃないじゃないか。それならばもっと延ばして、十年なら十年ということでもってこういうふうにした方がいいとか、どの程度のいわゆる国民のコンセンサスを得ながら、どの程度の増税ならば可能であるというものがなくちゃならぬでしょう。増税に頼らなくちゃならない。だから、そういったことが何一つ明らかにならないということ、すべてが全部そうなんですよ。地方財政においてこれだけ大変な時代を迎えて何にもこれという方向性というものは示されてないじゃないですか。大臣だって当分の間とかなんとか、これはごまかしですよ。それは後から少し詰めますが、私はそれ聞きたいんですよ、あなたが増税に頼らざるを得ないと言うならば、それじゃあこれと比較をしてあなたはどういう考え方を持っているのか。少なくともそのぐらいの考え方がどれだけか明確にされても私はいいと思いますよ。何にも明らかになっているものないんじゃないですか。
  146. 山本悟

    政府委員山本悟君) たびたび同じお答えを申し上げて恐縮でございますが、この部分がいわゆる財政計画でこういうかっこうで各年度にやってまいりますということをお示しするだけのものにははっきり申し上げて国の試算におきましても、地方財政試算におきましてもなっていないわけでございます。これからどれだけのものが各年度において増税できるのか、これは税制調査会等の御審議もございましょうし、そういったような各般の御審議を賜りまして、政府としては各年度においての税制改正を決めていくと、こういう立場であるわけでございますので、相当の増税というものが計算上なければ、なかなか五十七年におきましても地方財政の収支のバランスがとれないということは、この試算によっておくみ取りいただけると思うわけでございますが、そのとおりにこちらが自治省といたしましていま考えているということを申し上げるまでのまだ体制になっていないわけでございまして、その点は御了承賜りたいと存じます。
  147. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、いつもどういう問題についてもそういう答え方しかしないわけですよね。だから、ずるいと言う以外にない。だからこそ問題がよけいに複雑化しちゃうわけですよ。  これをいつまでやったってらちがあかぬのですけど、まあこの点については、これ以上幾ら話し合ってみたところで結論は出そうもないし、この辺でもってやめておきますけれども、細かくいろいろこの問題について突っ込めばいろいろまだまだ論議がありますよね。だけれども、大ざっぱな論議かもしれませんけれども、この辺でやめておきますが、大臣が本会議等、先ほどもお答弁になりましたけれども、当分の間ということが大分問題になっていますね。当分の間とは地方財政が好転するか、または行財政の基本的な改正ができるまでの間と、こんなようなあれですけれども。  それで、地方財政が好転するということですね。これは非常にこれだけの言葉では、確かにわかりますよ、漠然とはわかる。だけれども、少し詰めてみる必要があるだろうと思うんですね、大ざっぱじゃいけない。だから、やはりいつこの地方財政を何とかしなくちゃならぬということについては、こういうこと、ああいうこと、こんなことと、いろいろな意見があるわけですよ。それに対して大臣地方財政が好転するまでと、この好転という内容といいますかね、これはあると思いますよ。いわゆる社会、経済情勢を踏まえてこういうような状態になった場合、あるいは地方財政がいま赤字、赤字ですよね、だけれども、これはいわゆるこういうところまでくれば好転ということが言えるであろう。いまより一千億だけよくなった、これも好転ですよ。そうでしょう。そのときに、いわゆるこんなことをやめるか、そして根本的に抜本的ないわゆる改正をやるという考えなのか、その辺やっぱり好転と言ったってその辺の内容がもう少し明らかになってこなければ、私はうまくないだろうと思うんです。そういう意味で、好転というのはどういうことを指しているのかということですね。
  148. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 経済がよくなってまいりまして、地方におきましては現在の税制のもとにおきましても相当の税の増徴は可能である。また国におきましても税収が大幅に増加いたしまして、そして現在の交付税対象でございます国税三税等が大幅に伸びてまいりまして、そこでそのパーセンテージを掛けましたものが交付税として確保できまして、そしてこの両者を軸にいたしましての一般財源でまずまず地方財政がどうにか運営していける状況、これが好転の状況であろうかと思います。がしかし、かつてのようなわが国経済が高度成長いたしますことが期待できますならば、そういう好転もなきにしもあらず、かように思えようかと思うのでありますけれども、少なくも経済企画庁の暫定試算を踏まえて考えます際に、またこの暫定試算を踏まえないといたしましても、今後のわが国の経済があるべき姿を常識的に判断をいたしましてもそういう状況はなかなか来ないのではないであろうか、五十三年度におきましては七%経済成長を目標に努力をいたしておりますけれども、五十四年度以降それがかつてのような十数%の経済成長ということは不可能であろうかと、かように考えられるのでございますから、したがって地方財政が好転と申しましても、それは言うべくして現況下におきましてはなかなか達成困難だと、かような認識を持っておりますから、したがって当分の間と申しますのは、一つは地方財政が好転した場合と申しながらも、これはやや観念的に過ぎるものでありまして、実情を踏まえたことではないのでございますから、したがって行く行くはいま一つの選択でございます税財政につきましての基本的な改正が必要だ、かような考え方でございます。
  149. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 税財政の改正ですね。ということは六条三の2というようなことが含まれているわけですね。
  150. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 六条三の2は基本的な税財政の改正のことをも含んでおると思うのでございますけれども、しかし、六条の三の2の読み方は、必ずしも基本的な改正のみを頭に描いた条文ではございませんで、ただいま御審議をいただいておりまするような当分の間の制度もまた制度改正だと、かような理解をいたしております。
  151. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣がそういうふうにおっしゃいますと、あなたはその六条三の2の考え方についてはいろいろあるんですよと、こういうことを言っている、いまの話は。ところがあなた自身がそれは当分の間、先ほどもお答えになっているんですよ。近い将来税財政制度改正をしなくてはならないという、こういうようにおっしゃっているんです、先ほど。ということは、その六条三の2というのは、当分の間とかいうそういう便法的な問題でなくって、もっと基本的な問題を言っているんだということをあなた自身が言っているわけでしょう。だから、いまのあなたのお話だとちょっとあれですね、矛盾するんじゃないですか。
  152. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私はただいま御審議いただいておりますいわゆるルール化を行おうとしております制度改正は、あくまで基本的な改正ではございませんで、暫定的、一時的な改正だと、かような認識でございまして、先ほど答弁をいたしておりますのは、なるべく早い機会に基本的な改正をいたさなければならぬと、かような気持ちで申し述べておりますようなことでございまして、そこで六条の三の2は暫定的な改正をも含めた条文であると理解をいたしておりますけれども、あくまで暫定的な臨時的なものでございまして、やはり早い機会に基本的な改正はいたさなければならぬと、かような気持ちでございます。
  153. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこのところがちょっとわからないんですよね。じゃ、六条三の2というのは基本的な改正にはつながらないという意味ですか、いまのは。
  154. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 本来的な考え方といたしましては基本的な改正をいたすのが理想でございます。ですから、六条の三の2は理想的な場合をも含めておりますと同時に、またただいま御審議いただいておりますような暫定的な制度改正をも含めたものだと、かような理解をいたしておりまして、そういう趣旨説明をいたしておるところであります。
  155. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その辺のところがちょっとあれなんですよね。確認の意味でこの法文を読んでみましょうか。毎年度分の普通交付税の額が地方団体不足額と引き続き著しく異なる場合、交付税率の引き上げか行財政制度改正を行うこと。行財政制度改正ということは、基本的ないわゆる改正ということにつながりませんか。それから地方交付税率の引き上げというのは、やはり基本的なという考え方につながりませんか。いま大臣の話を聞いていると、確かにそうかもしれないけれども、今回のような措置も含まれているんだ、それはわからないことはないわけです。だけれども、それはわからないことはないんだけれども、もっと一歩突っ込んで言うならば、それは、そういう意味も含まれているかもしれないけれども、もっともっと根本的な意味があるんじゃないだろうかというように私は思うわけです。だから、こんなことを何回も繰り返して言うわけですね。
  156. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) まことにくどいような答弁になってしまいますけれども、ただいま御指摘のございました六条の三の2は、御指摘のとおり、毎年度地方財政におきまして著しく財源不足が生じました場合には二つの道を選ばなければなりませんのです。その一つは交付税率の改正です。私もオーソドックスな取り運びといたしましては交付税率の引き上げが正しい取り運びであり、またそれが理想の姿だと思うのでございますけれども、今日の経済情勢並びに財政状況等を見まして交付税率の引き上げはきわめて困難だ、かような結論に達せざるを得なかったのでありますから、いま一つの選択の道の税財政制度改正を行おう、かような考え方のもとに御審議をいただいておるのでございまして、そしてこの改正も理想的には抜本的な基本的な改正でございましょう、しかし今日の流動的な経済情勢下のもとにおきまして、また高度成長から不況が数年続き、安定成長に移り変わろうとしておりまするいわば変動期にあるわけでありますから、かような変動期に基本的な改正がなかなか困難でございましたので、一時的、暫定的な措置といたしまして当分の間としてはいま御審議いただいておりまするようなルール化を行うことによって財源不足を補ってまいりましょう、そしていま御審議願っておりまするいわゆるルール化は当分の間は地方財源不足に対応し得まする措置である、かような理解のもとに御審議をいただいているところであります。
  157. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣の言っていることはわかるんですよ、わかる。だから今度の措置も当分の間の措置もそれはわかるんですよ。だが、それがいけないと言っているわけではないんです。いまの状態の中で当然そうしなければ地方財政は潤おわないんだから、だからやらざるを得ないでしょう、便法的なことを。だけれども、だから便法的、極端な言い方をすれば便法的だからこそ、いわゆる当分の間ということを言っているわけだ。そこで私は、六条の三の2というのは、いわゆる基本的な改正という、そういったものに含まれるというか、そういう今度の措置よりももっともっと大きなこの六条三の2というのは意味を持っているんじゃないかということを言っているわけでして、そこで、そこをもう少し明確にしておきたいんです。何か大臣の話を聞いていると、いわゆる当分の間の方に比重がかかっているわけですよ。だが私はそうじゃない、この六条三の2というのはもっともっと大きな意味を持っているのだろうということを言いたいんだし言っているわけですから、そこのところをはっきりしてくれないから同じような論議になるのかもしれぬ。ですから、大臣はそう言いながら、当分の間とは地方財政が好転するか、または行財政の基本的な改正ができるまでの間と、そうすると行財政の基本的な改正ですよ。いわゆる六条三の2にこううたっているんでしょう。だからこれは基本的な問題だということが言えるわけでしょう、六条三の2というのは。いわゆるそういう、半分持ちますという、そういった、それを悪いということを私は言っているんではないんで、それもあるかもしれない、含まれているかもしれないけれども、もっと大きな意味があるのだろう。大臣は言っているんです。行財政のいわゆる改革改正ができるまでの間とあるわけですよ。だからそれは六条の三の2に該当するでしょうと言っているわけです。該当しないんですか、これは。私なぜこんなことを言うかというと、あたかも大臣は、六条の三の2というのは行財政改革、いわゆる基本的な改革、そういったものを言っているんじゃないみたいな聞こえ方なんですよ。
  158. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私が申しておりますのはそうではございませんで……
  159. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうでなかったらそうでないようにはっきりしてくださいよ、何回も何回も同じようなことを言わせないで。
  160. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 理想の形といたしましては基本的な改正であろうことは間違いがないのでございますけれども、ただいま御審議いただいておりまするような一時的な暫定措置といたしましての当分の間の改正ではございましても、これは六条三の2に申しております税財政制度改正に相当いたすと、かような趣旨でございます。
  161. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣は当分の間の方ばかり、自分の言ったことばっかり言っているんですよ。私はそうでなくても、もっと基本的な問題が含まれているんでしょうと言っているんです。それには一つも触れないんですよ。そこを触れてくれというんですよ、私は。
  162. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ですから、なるべく早い機会に基本的な改正を行いたいと、かように考えております。
  163. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 どうしてはっきり言ってくれないのかな。だから六条の三の2というのはその基本的な問題だろうと、こう言っているわけです。いかがですか。
  164. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 基本的な改正をも含んでおりますし、また当分の改正をも含んだ条文であると解釈をいたします。
  165. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。そうなりますと、いわゆる好転については聞いたんですけれども大臣がおっしゃった、好転と言ったって相当もう好転なんというのは考えられないだろうなんて、そんな考えられないようなことをおっしゃるということもこれはちょっと大臣らしくないという感じがしますよ。これは国民をまどわす発言と言わざるを得ない。自分で言っておいて、好転と言ったってそれは無理でしょうなんていうようなそんな話はないんでね。それで、いわゆる行財政の改正ができるまでの間というのがありますね、これは基本的、抜本的な改正意味しているんだろうと思うんだけれども、そういう状況が醸し出される条件というか、それはどういう状態のときにこれが行われるというふうに考えているんですか、大臣は。無理なんだよな、そんなことは、いまの段階ではね。矛盾だらけだ。   〔委員長退席、理事夏目忠雄君着席〕
  166. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 行財政制度改正は、先ほど来申しておりますように、早い機会に基本的な改正をいたさなければならぬ。したがって、今回の措置はあくまで暫定的、臨時的な当分の措置であることの御理解はいただけたと思うのでございます。そこで、いつの時点にどのような行財政の改正を行うか、具体的なものはただいまは持ち合わせておらないのでございますけれども、ただ、税制調査会におきましても、地方制度調査会におきましても、しばしば指摘をされておることでございますが、それはなるべく早い機会に基本的な改正を行わなければ次第次第に問題の解決を困難にしてくると、かような言い方がございます。先ほど指摘がございましたように、ケースIの場合を考えてみましても、要調整額が毎年累増いたしまして、昭和五十七年度におきましては、実に七兆四千三百億と、かような要調整額——要調整額はとりもなおさず不足額でございますけれども、かような金額になってしまって雪だるまのようになってしまった時点ではなかなか改正が困難ですよと、かような指摘でもございますし、また私どももさように考えておるのでございますから、なるべく早い時期に改正をいたさなければならぬと、かような決意でございます。ただ、その時期がいつでありますかにつきましては、先ほど来よう明言をいたしておらないのでございますけれども、しかし仮に試算を基本にして物を申すと仮定をいたしますと——ただ誤解があってはいけませんのは、衆議院予算委員会におきましても、国の出しました収支試算が増税キャンペーンではないかと、かような議論がございました。政府といたしましては増税のキャンペーンではないという考え方に立っており、また、地方財政におきます収支試算におきましても、これまた増税のキャンペーンだと受け取られては本当は困るのでございますけれども、がしかし、仮に収支試算を基本に物を言うと仮定をいたしますならば、ケースIIの場合におきまして、昭和五十四年度では少なくも何らかの形において七千九百億円の増徴がなければ収支が償わないということでございますし、また昭和五十五年度、五十六年度、五十七年度と、この四年度を合わせますと、四兆六百億円の税の増徴がなければケースIIの場合には合致をいたさない、かようなことでございます。そして、これらの具体的なことにつきましてはいま直ちに明言はできないのでありますけれども、なるべく早い機会に具体化していかなければならぬ、かように考えております。
  167. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣ね、私は大臣が、失礼な言い方かもしれませんけれども、おっしゃったことはわかるんですよ。で、早い機会にやるという、そんなことは、だれだって、大臣から言われなくたって、地方制度調査会で言わなくたって、早い機会に何らかの手を打たなくちゃならないことはわかり切っているわけです。何らかの手というのは何かと言えば、いわゆる税財政制度改正だとかいうことが言われてきているわけでしょう。それができないわけでしょう、いますぐに。早い機会——早い機会と言ったっていろいろあるわけでね。だから私が聞いているのは、そういう観念的抽象的な問題ではなくて、少なくとも大臣がいわゆる行財政制度改正する時期まで当分と言うんだと、こういう言い方をしているから、その行財政制度が早く改正されるということはもうだれもが願っていること、しかしそれがすぐできないところに問題がある。だから、その行財政制度改正されるためには条件というものがなくちゃならない。社会経済情勢、あらゆる情勢の中でこういう時期が来ればこれができるんだということが、そういう内容の問題というか、 その辺がやっぱりはっきりしなきゃならぬでしょう。早い機会、早い機会と言ったって、それはいつの時期——いつの時期といったって私はその時期たけを明確にしなさいというんではなくて、どういう条件下にあったときに行財政制度というものが改正される可能性があるのかという、そういうところがわからなかったら、全く言うだけで実態が何にもない、まるで雲つかむような話だということですよ。地方財政が好転という問題も、これはいま大臣の口から言われたように、結局は雲つかむような話です。いつのことかわからないということじゃないですか。行財政制度改正されるまでの間、じゃあそれは、これが改正されるというには条件が少なくともなくちゃならない、その条件はどういう条件下にあってそれが行われるのかということが問題でしょう。そのくらいのところまである程度話ができなかったら、こんな委員会で何やったって何にもならぬというんです。私そこが聞きたいんです。
  168. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 国には御承知のように税制調査会がございまして、税制調査会においても御審議がいただけておりますし、ことに地方制度調査会におきましては長期的展望に立ってあるべき姿につきましていま御審議をいただいておる最中でございます。そう遠くはない時期にその結論が出していただけると思うのでございますから、さような結論を踏まえましてなるべく早く具体的に対処していかなければならぬと、かように考えております。
  169. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そう言われますと、もうあと言うことないんです。私は大臣の考え方聞いているので、地方制度調査会の答申を待ってということでは、これはまだ出ないんですから、恐らく地方制度調査会でもそういう明確な結論は私は出てこないだろうというふうに思いますよ。ですからやっぱり大臣という立場でもってそういった点を十分考えなきゃいかぬだろう、こう思うわけですね。ですから、大臣が発言されたことですから、大臣が少なくとも発言したことなんだから責任を持って、じゃその時期、条件、私はいつということじゃなくて、それができる条件というものはあるだろう。まあ野球で言うならばチャンスみたいなものだ、そういうチャンス、それはどういう状態なのかというそれを聞きたいんで、それもいま大臣が言ったように、自分でおっしゃりながら、私も実はそれはわかりませんよと、地方制度調査会の答申を待って、それまで、だからそうだったらこんなごまかしみたいな発言は私は非常に無責任じゃないかという感じがするわけです。ですから、これ以上これを詰めてみたところで詰まりようがありませんので、大臣、もう私やめます。時間の協力もありますのでこの辺で私やめます。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまも議論になっておりましてもう詰まらぬのでということになりましたが、この六条の三の第二項の適用問題、これは私はきわめて重大だと思いますので指摘をしたいと思います。  一たんこれ、去年もそうでしたし、ことしもここでルール化をして、これでは六条の三の二項による制度改正だと、そう言わなければ交付税法違反になりますから言わざるを得ぬわけですからそれは変わらないでしょう、大臣答弁としては、現在の段階で。しかし、いままで交付税率の引き上げが七回ほどやられてきています。しかし、それらは全部いわゆる六条の三の二項の適用といいますか、それに該当する事態ということで税率の引き上げがなされたのではない。昨年度で初めて六条の三の二項の適用という立場から自治省大蔵省に五%の税率の引き上げを含む措置を要求する、今年度の場合もそういうことになってくるわけですね。したがって、六条の三の二項の適用というのは、そういう事態が発生をして、それに伴う制度改正もしくは税率の引き上げを要求するという事態になったのは、昨年度とことしと、いえば交付税法の六条の三の二項が発動する最初の事例ですからね、したがって、この点であいまいさを残しておくということは、交付税法それ自身の運用にとってもきわめて重大だと思うわけです。したがって、そういう意味から少し詰めておきたいと思うんです。そういう意味でいまいろいろおっしゃっていますが、制度改正というのは理想的な制度改正暫定的な制度改正が含まれるという大臣答弁で、そういう立場から言うと、昨年の措置も今年度措置もいわゆる暫定的な措置であって、理想的な制度改正措置というのはまだなされていない、これは当然今後なされなければならないものであるということは確認できると思うんですが、その点はいかがですか。
  171. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) なるべく早い機会に基本的な改正を行うべきだと、かように考えます。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、これは自治省石原さんと今井さんの共著の地方交付税法の逐条解説ですね。これで、去年の八月出版のやつですから一番新しいですね。これにはこういっているのですね。「「地方財政若しくは地方行政に係る制度改正」とは、例えば、地方税制の改正、国庫負担対象経費の範囲又は負担率の変更、国、地方を通ずる事務配分の変更、事務の改廃等であり、単年度限りの予算措置制度改正とはいえず、いわんや単に経費の節約を行うことによってつじつまを合わせるようなことは、もちろん含まれない。」、こう言い切っているのです。単年度限りの予算措置、これは制度改正とは言えない、そう言いながら、五十二年度でとった措置、いわゆる臨時地方特例交付金を交付することを法定をしたというのが制度改正に含まれるということに、そうせざるを得ぬからしでいるわけでしょうけれども、単年度限りの予算措置に若干その点での法定をしたということをもって制度改正という強弁をしているわけですがね。しかし、同時に「ここにいう「制度改正」は、それによって構造的に生じている地方財源の過不足を解消できる程のものでなければならない」、こう言っていますね。「構造的に生じている地方財源の過不足」、これを「解消できる程のものでなければならない」、そうすると昨年の単年度の法定措置、これは単年度だけですからね、幾ら法定しようと。これはしたがって、構造的に生じている地方財源の過不足を解消できるほどのものではない。したがって、今年度も構造的な原因は除去されていないわけですから、三兆五百億の財源不足を生じてくる、来年度はこれは三兆五百億をさらに超えるかもしれない。いずれにしても二兆、三兆円連年続いている財源不足額というものを生ずるであろうということになるわけでしょう。そうすると、制度改正、「それによって構造的に生じている地方財源の過不足を解消できる程のものでなければならない」これが「本来の趣旨と解する。」という点、これは自治省の見解でしょう。それとは合致をしないということになりますが、いかがですか。
  173. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 六条の三第二項についての解釈に関連して私が書いたものを引用されましたので、私の考え方を申し述べさしていただきたいと思います。  ここでいま引用された前段の部分は、交付税法の立法当時の考え方、趣旨を述べたわけでございます。これは、私も地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律の立法作業に当時参画いたしまして、その当時の考え方の趣旨を申し上げたわけですが、法律解釈論といたしましては、もっと幅広く読むべきであろうと考えております。その部分を後ろの方で述べているわけであります。先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、ここの地方財政または地方行政に係る制度改正については、何といいましょうか、そこで私が申し上げた構造的な財源不足を補えるような程度のもの、大臣は理想的な制度改正と言われたわけですけれども、そういうもの、そういう趣旨であると同時に、また臨時的な制度改正も含めるんだ、含み得るんだということ、そういうふうに私も解釈しております。といいますのは、ここで地方財政制度改正または地方行政制度改正を行うということを述べておりますが、その具体的に制度内容がどういうものであるかということをこの法文上は特に制限しているわけでありませんので、そのときの状況によって、たとえば昨年度あるいは本年度のような経済情勢のもとで当分の間の措置を講ずるということもこの条文は許容していると、このように解釈できると私は考えております。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、今度の、今回の措置で構造的なそういう過不足の発生という状態、いわゆる六条の三の二項に言っている状況、これはもうなくなった、こう言い切れると。
  175. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 構造的に生じている財源不足を解消できるような制度改正、これが本来の趣旨というか理想の姿であろうと思うんでありますが、残念ながらそのような制度改正ができるような状態にない現在の国、地方を通ずる経済状態、財政状態のもとで、その理想の姿での制度改正ができるような状態にない。そこで、大臣もしばしば答弁申し上げておりますように、やむを得ず応急的といいましょうか、当分の間の制度改正を今回御審議願っているわけですけれども、このような当分の間の制度改正もここに言う制度改正には含まれる。そういった制度改正も解釈上は許容されている、このように考えているわけであります。したがいまして、今度の制度改正によって構造的な要因が解消されたと、このようには考えておりません。そのような解消できるような制度改正ができることが望ましいとは思いますけれども、残念ながらいまの客観情勢のもとではそれができない。そのために当分の間の措置、いわば次善の措置といいましょうか、それで当面は対処せざるを得ないというのが今回御提案申し上げている法案の改正内容でございます。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、今回のルール化をしても、なお六条の三の二項に言う状況、事態は存続をしているということ、解消していないわけですから、存続して残っていると。したがって、来年度政府の対処措置をどうするかということを検討する場合に、交付税率の引き上げまたは制度改正を要求する、六条の三の二項の状態が続いているのだから、したがって、これの解消を要求するということは当然可能であるという立場に立つんですか。それとも当分の間、こうルール化しているのだから、何ぼ借りるかとかそういうものは別にして、当分の間は税率の引き上げとか制度改正というものは、先ほど大臣が言ったような、そういう地方財政が好転をしたときとか、基本的な抜本的な改正、行財政の制度改正がある時期までは、もう来年はできないとか、来年はそういう要求しない、こういう状況になるのか。一体それはどういうことになりますか。この辺はどうです。大臣の見解というのはどうなりますか。
  177. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 何回も申しておりますように、御審議願っておりまする案は、当分の間の措置でございまして、そしてこのことで足れりといたしているのではないのでございます。したがって、本来的には行財政の基本的な改正を行うべき性格のものでございますから、その基本的な改正をなるべく早くいたしたい、これが根本の考え方でございますから、なるべく早くと申しますとおり、一生懸命に早期にやろうと、かように考えております。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう少しそれなら端的に言いましょう。  去年、五十二年度のときは五%の交付税率の引き上げを含んでまあ要求をなされました。今年度予算要求では六・五%でしたか、税率の引き上げも含めて要求されました。来年度予算要求のときにはどうされるのですか。そういう内容も含まれた予算要求をされるわけですか。
  179. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 来年度予算要求は毎年の例によりますと八月の下旬までに大蔵省に概算要求をいたすと、かようなことになっておるのでございますが、五十三年度におきましては、八月の時点ではいまだ明確ではございませんでして、たしか十一月の時点で六・五%の引き上げを要求いたした、かように記憶をいたしておるのでございますから、いつの時点にどういう形で行うか、ただ交付税率の引き上げだけではございませんで、私ども交付税の対象税目の拡大をも考えておるのでございますし、またその他の行財政の改革をも考えていかなければならぬ、かように考えておるのでございますから、関係向きと相談をいたしながらその内容決定いたしてまいりたい、かように考えております。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 去年お尋ねしたときは、その点はちょっといまの大臣答弁少し違っているのですがね。昨年この同じ問題でお尋ねをしたときには、経済の好転というのは見込められないし、したがって、抜本的な制度改正というのは直ちに来年度要求するということにならないだろう、したがって、交付税率の引き上げの要求まで含むかどうかというのもなかなか渋っておられたわけですけれども、税率の引き上げを含んで何らかの財源対策というのは要求せざるを得ないだろうという意味答弁を前大臣はなさっておりましたけれども、来年度については八月か十一月になるか知りませんが、その段階では大臣としては交付税率の引き上げもしくは地方行財政、税制を含めた、これらの抜本的改革についても研究し、検討して、できれば何らかの自治省案というものをつくって、そしてそれをその実現を目指していくというところまで含めて展望されているのかどうか、その辺はどうなんですか。
  181. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 大蔵省に概算要求をいたします八月までにはまだ相当の期間があるわけでございますし、私単独の意見で事を運ぶわけにもまいらぬのでございますから、関係向きとよく相談をいたしながら、その時点におきまして具体的な案を固めてまいりたい、かように考えております。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまちょっと大事な点なんですが、四十九年、あの石油ショック以来地方財政のきわめて深刻な危機的な、破局的な状況というのか発生をしておる。それ以来われわれは——それ以前、高度成長時代からも言っておるんですけれども、現行の地方行財政制度というのは多くの点で欠陥があるし、したがって、それの改革に早く手をつけるべきである。これは地方制度調査会の答申なんかにも出ているわけですね、事務の再配分問題を含めまして。あるいは自主財源の拡充強化、これらを含めてもうその当時からいろんな答申も出ております。現実にこの財政危機が顕著になってきました四十九年の後半から五十年、これから以来毎年われわれはそのことを主張してきた。これは急に言って短期間にプランができるわけじゃない。したがって、そういう点では計画的に、しかも迅速にそのことを検討し、そしてしかるべく各団体にも検討をしてもらうというような時期が必要なんだから、早くやらなきゃならぬということを口が酸っぱくなるほど力説をしてきたわけですね。ところが、それを放任をして、やっと六条の三の二項に該当する、三年目になって、ということで五十二年度から初めて交付税率の引き上げを含む要求を出された。しかし、そういう行財政全般にわたる抜本的な改革を目指す自治省の見解あるいは具体案、こういうものがいままで出てない。のんべんだらりといまの状態に追い込んできている。私はこの点は政府あるいは特に担当の自治省の責任は重大だと思います。そして税調なり地方制度調査会から、早くしないともうそれこそ取り返しのつかないようなことになりますよということが言われていますということをいまさら言ってみたって、それはもう前からやかましく言っているんじゃないかと。まさにその点では政府あるいはとりわけ自治省の責任、怠慢というのは重大責任があるじゃないかというように思うんです。たとえばきょうのいまの答弁で、八月までまだ間があるから、その点ではせっかく検討して抜本改革の具体案といいますか、プランといいますか、そういうものをつくりたいという大臣自身の意欲というのを出されたんですが、それはいまそういう点のおくれを取り戻そうという意味も含めておっしゃっているんですか、もう少しその内容をお聞かせいただきたいと思います。
  183. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 自治省といたしましては決して怠慢であったわけではないのでありまして、常に懸命に努力をいたしてまいっておった、かように私は承知をいたしております。そしてこれからもまた努力をいたしてまいらなければならぬのでございますし、ことにただいま御審議いただいております五十三年度措置といたしましても、地方団体といたしましては不足財源を完全にこれをカバーし得る処置ができておるのでございますから、決して怠慢であったわけではないと御理解をいただきたいと思うのでありますし、なお、先ほど申しましたように、五十四年度に対処いたします処置といたしましては、関係団体その他多くの方々の御意見を結集いたしまして、仮に税の増徴を求めるといたしましても、それは国民のコンセンサスも要るのでございますし、また経済の動向等も勘案いたさなければならぬのでございますから、さようなことを総合的に勘案いたしまして、八月の下旬までには考え方を固めてまいりたい、かように考えております。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 八月の段階までに、末日までには考え方をまとめてみたいということですが、それは税制、財政それから事務の再配分あるいは補助金の申請問題だとかいろいろありますね、事務手続の簡素化なんかを含めた、そういうものまで含める内容になるわけですか。いままで知事会、六団体の方もいろんな資料を出してきてますし、それから地方制度調査会も十六次か十七次にわたって答申も出していますから、それらを踏まえて大体自治省の第一次案的なものを八月末ぐらいまでにつくりたいと、そういう意思でございますか。
  185. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御承知のように今日の地方団体は、わが国経済が高度成長を遂げてまいりました、それに対応いたしますような行財政の仕組みができ上がりまして、それがここ二、三年来非常な不況のためにいわば過渡期にあるわけでございまして、これからのわが国経済は、この不況が回復し得たといたしましても、かつてのような高度成長の段階を迎えますことは恐らくあり得ないであろうと、かように考えられますので、いわば行財政両面にわたりましての高度成長段階から安定成長段階に切りかえが行われているさなかだと、かように理解をいたしておりますから、ですから、単に財政面だけではございませんで、行政面にわたりましても、ことに行政機構や定数管理等にわたりまして新しい体制づくりと、かようなことを基本に考えをまとめていかなければならぬと、かように考えております。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは例の地方事務官の身分移管の問題みたいな簡単なことでもなかなか実現しない。国会の決議もし、総理もそのことを期限を切って約束をしても実現をしないという一例でもわかるように、この辺のきわめて効率的でしかも民主的なそういう行財政の転換、われわれはそれを要求しているわけですが、非常に多くの問題をはらみますね。したがって、相当重大な決意でもしない限りは、これらの問題はなかなか前向きには進まないと思うんですが、その辺の決意はどうなんですか。
  187. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 長い間の高度成長段階におきます行政組織でありますし、また定数管理等でもございまして、かつまた地域住民皆さん方の要望、行政需要と申しますか、これはいわば無限とも言えようかと思うのでありまして、地方団体は日々さような要望を受けとめながらそれをどのように選択していくか、この課題が地方の最も重要な課題であろうと思うのであります。住民皆さん方の要望が急速にしぼんでまいるとは思えないし、また行政機構の改革にいたしましても、あるいは定数の管理にいたしましても、なかなか一朝一夕には新しい体制には移行しがたいことは想像にかたくありませんけれども、しかしこれはどうしてもやらなければならぬことであろうかと考えておるのでございますし、また地方財政地方財源の不足にいたしましても、どの程度不足額が生じますか、まだしかたるめどは立っておらぬのでありますけれども、やはり相当の不足額が生ずるであろうと、このことは予想されるのであります。これを具体的にどういうぐあいに埋めていくか、これも非常に大きな課題でございますから、さような課題を逐一消化いたしまして対処いたしてまいる必要があると、かように考えます。
  188. 神谷信之助

    神谷信之助君 私はこれはそう単純に、また短期的にこの問題を解決するのは、今日の日本経済の深刻な危機的な状況から言ってもきわめて困難だというように思っているわけです。したがって、わが党が五年ぐらいの計画をもって、そして今日の地方財政の危機の打開と抜本的なそういう行財政制度改革をやる必要があるだろう。したがって、当面まず緊急措置法的なものをつくって、そしてとりあえずの交付税措置でもってカンフル注射的な措置として四〇%への交付税率の引き上げ、それから総合的な補助金制度の導入、それから超過負担の計画的解消ですね、これらの措置を当面やりながら、他面で地方団体それから中央官庁、各省の代表を含めて学識経験者を含めたそういう委員会をつくって、それらの検討を民主的に、十分に国民の合意を得ながら取り組む。これはだから、そういう意味で一遍に全部というわけにはいかぬだろう。そういう討議をして、合意を得ながら五年間ぐらいの計画で解決をしていくというぐらいの展望をもってやる必要があるということを、具体的な項目にはいま触れませんが、そういう提案をしているんですがね。それぐらいの私はやっぱり腹を据えてかからないと、やっぱり去年、ことしにやったような、とりあえず必要財源の総額を確保するというにとどまってしまう。石原さんの書いている本で言えば、そういう構造的に生じている過不足を根本的に解消するような措置というのはなかなか困難だというように思うのですが、この辺の御意見はいかがですか。
  189. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私どもの持っておりまする問題意識も、いま御指摘のございました数項目と一致するものもございます。たとえば超過負担の解消にいたしましても、毎年関係省庁と一緒に調査をいたしながら解消いたしてまいっておるのでありまして、今後もその努力をしていかなければならぬ、かように考えますし、それから補助等の国庫支出のあり方につきましても、これまた検討を要することでございますし、また交付税率の引き上げにいたしましても、理想的にはさらに引き上げていきますことがよろしいのでございますけれども、ただ私ども対象税目の拡大との関連において交付税率を考えていく、かような基本の態度でございます。  それから、最後に御指摘委員会設置のことでございますけれども、税制調査会もございますし、また地方制度調査会もございまして、そこへ関係団体等の代表者が加わられて御審議をいただいておるのでございますし、また自治省地方財政審議会をもちまして、地方財政審議会は五名からなっておりますけれども、そのうち三名は地方団体の推薦を受けた方ということで構成いたしておりまして、絶えずこの審議会の御意見等も伺っておる、かようなことでございますから、新たに審議会なり委員会を設けますことは必要ではないと、かように考えております。
  190. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がありませんから、指摘だけをしておきますが、たとえば当委員会でも以前に問題にしたことがあるんですが、地方制度調査会にしてもその構成自身が決して今日の地方自治体の抱えている諸問題を民主的にあるいは広範な意見を吸収できるようなそういう構成になってない。具体的にいま触れませんが、そういう点を前に指摘したことがあります。一遍またこれは大臣にも聞いてもらって、その辺をひとつ御検討していただくという点は要望しておきたいと思います。時間がありませんから、それだけ指摘をしておきます。  それから次の問題で、財政収支試算の問題でこの前渡辺議員が大蔵省の案と自治省案との食い違いの問題を指摘をしたわけです。これについて大蔵省の方からひとつ、見えてますね。——それで自治省の方は新税についての交付税措置を、いままでの国費と交付税との関係ですか、三税との関係、これらを踏まえて計算をしておられる。大蔵省の方はそのことは見ないでそのまま来ている。新税に対して地方への財源付与、新税に関する地方への財源付与は一応大蔵省の方はゼロで、片っ方は一〇〇という、比喩的に言えばそういうことになっているわけですね。これはそこまでまだ大蔵省としてはその中身まで決めて、そして精算をして出した数字じゃないということでしょうから、改めて私の方から角度を変えて聞きたいと思うんですけれども、いずれにしても地方財政にとって必要な財源措置、これは地方自治体にとって必要な財源措置というのは、いままでも従来もやり方についてはいろいろの議論はあっても、それを保障するというのは大蔵省のいままでとってこられた措置だし、したがって、あの地財法にはそういう点での明記はないけれども、当然それはその他のところに含まれていると理解をしていいというように考えてよろしいですか。
  191. 公文宏

    説明員(公文宏君) 御質問の財政収支試算との関連でございますが、これは先生御承知のように、これは財政計画という性格のものでつくっておるわけではございません。したがいまして、いろいろ各年次ごとの数字が並んでおりますけれども、この数字のとおりに政策的にこれからやっていこうという意図を持ってつくったものではないということをまずお断り申し上げておきたいと思います。  で、御質問地方交付税の取り扱いの問題でございますけれども、これにつきましては、いま先生からもお話ございましたが、収支試算の上では経常部門歳出の国債費、振替支出を除いたすべての経費は一括してくくりまして、くくりました全体につきまして一定の仮定を置いている。ケースCの場合ですと、これはGNPと同率に伸ばすというような仮定を置いているわけでございまして、地方交付税そのものについてどういう推移になるかということを試算はあらわしておるわけではございません。ただ、問題になりますのは、その他の中に、うち地方交付税という表示がございまして、そこに交付税の数字として現行税制における三税の三二%分がこう並んでいるわけでございますけれども、これは試算の中にもいろいろ注記してございます、備考にも書いてございますけれども地方交付税そのものをお示ししたというものではございませんで、経常部門歳出のその他という項目が非常に膨大な金額になっております。その中にかたまりとして何かあるだろう、それは一つのかたまりとして考えられますのが、現行税制における国税三税の三二%分である地方交付税分であるという表示をしておるわけでございまして、この前も渡辺議員にも申し上げたわけでございますけれども地方交付税を今後大蔵省がどういうふうに考えていくかということを示したものではないと、そういうふうに御理解をいただければと思います。
  192. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、どういうふうに考えているかということを示したものではないということと同時に、毎年地方財政に必要な財源というのは、毎年予算折衝のときにやるわけで、したがってまた、それに対して必要な財源を保障するというのがたてまえですからね。だから、その他の経費の中には教育費もあるでしょうし、社会福祉費もあるでしょう。ぼくは、交付税あれだけを特記せぬと、社会福祉費なんかを特記してもらったらもっとはっきりするんじゃないかと思いますけれども、だからたまたま交付税を特記したと、交付税はこれ以上ふやしませんよと言わんばかりのやつを出してますから物議を醸すわけですね。だから必要な財源は当然保障するのはあたりまえだという点は、これは当然の態度だと思いますが、その点はいいんですね。
  193. 公文宏

    説明員(公文宏君) いまおっしゃいますように、今後の地方財政の問題として国がどういうふうに財源を考えていくかという点につきましては、従来と同じ考え方で自治省ともども円滑な財政運営ができるように努力していきたいということでございます。その方針には変わりございません。
  194. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃもうその問題はそれ以上はなかなか無理でしょうから、その程度にしておきましょう。  次は大臣おられる間に、同和対策の問題でちょっとお聞きをしておきたい。御承知のように同対法が一九六九年に成立して十年間の時限立法でもうすでに九年経過をいたしました。政府の方でも長期計画を立てて、同和地区の生活環境整備とか社会福祉あるいは公衆衛生の向上、産業の振興、雇用の促進等々の各種の事業を策定をして、それに対し一定の補助金の支出を行ってきた。また自治体の方もそういう政府指定以外の独自の事業をどんどんと進めてまいりました。まあ総額一兆円余り少なくとも投資をされているというように言われていますが、その点で一定のそれは成果が上がってきていると思うんです。しかし、一方御承知のように、大阪、福岡などいわゆる同和行政に対する不公正なそういう暴力的脅迫的な行動も相まって、そのことによる国民の不信とか疑惑、これも新たにつくり出されてきているということは御承知だと思います。したがって、なお多くの重大問題が未解決のままに残っているというのが現状ではないかというように思うんです。  で、この十年間の時限立法でその期限が来年に迫っているんですが、この同対法を制定して九年間の状況についてその到達点あるいは評価、こういった点についてその御見解を、特にこれ自治体が中心になって実際の仕事をやって苦労しているわけですから、自治大臣の方からその点についての御見解をお聞きをしたいと思います。
  195. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) いわゆる同対法が施行されまして九年余を経過いたしておるのでございまして、私は明治以来百年以上経過いたしまして、いまだ差別が残存しておりますことはまことに残念なことでございまして、一日も早く差別の解消をしていかなければならぬ、このことを強く感じておるのでございます。そしてさような趣旨に沿う意味におきましての立法であったことは申すまでもないことでございまして、十年近くを経過いたしまして、その間にこの法律がありましたがゆえに国の補助も逐次増加してきておりますし、相当の成果を上げてきましてこの法律は高く評価さるべきものだと、かような考え方を持っております。
  196. 神谷信之助

    神谷信之助君 高く評価をさるべきだとおっしゃいますが、実際上は十分にその効果を発揮をしていない。その点での不十分さというのが現行法自身にも私は存在をしていると、だから実際に第一線の自治体では非常に苦労をしてこの事業を推進をしている状況が生まれているというように思うんです。それで、私は特に政府の部落問題に対する消極的姿勢というのがひとつ重要な問題ではないかと。そのために自治体もまた財政的にも非常に苦労なさっているというように思うわけです。たとえばこれは政府自身が一九七六年に行った九府県対象の精密調査ですが、それによりますと、府県段階の種目別延べ事業六百二十九に対して、国庫補助事業は百六十九で二〇%ちょっと出ていますけれど。それから事業の六九%までが地方自治体の単独事業になっています。それから近畿の各府県、市町村が一九七五年度に実施をした同和対策事業で国庫補助事業は四三・二%、国庫負担率は一七・三%にすぎないということであります。それから京都府の状況を見ますと、京都府と京都市を除く市町村、国庫補助事業、府の補助事業、市町村の単独事業全部合わせますと百四十三億八千七百万円、それに対して国費の補助は一九・五%、府費が三六・七%、それから市町村が四三・七%という状況です。したがって、財政力の弱い市町村がこの同対事業で非常に苦労しながら同和地区の環境の改善その他の事業をやっている。国が同特法という法律をつくりながらも国の責任がきわめて不明確で、しかもきわめて消極的な姿勢のために一九・五%の国費、こういう状況になっていますね。百四十三億八千七百万円の事業費のうちで国費が二十八億五百万、こういう状況になっているんです。この点について御見解を聞きたいと思います。
  197. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 実情を把握をいたしてみますと、ただいま御指摘のございましたような数字に恐らくなっておろうと思います。国の負担が少なくて、都道府県や市町村の負担が多い、このことは承知をいたしておるのでございまして、ですから自治省といたしましては毎年予算編成をいたします前に、またさらに予算折衝が煮詰まってまいりまする段階で、同和関係をも含めまして、各省庁に対しまして補助率やあるいは補助単価やあるいは対象規模や、かようなことにつきましての拡大を依頼をいたしまして、地元の負担が多くならないようにいつも努力をいたしておるところでございまして、今後もまた同様の努力をいたしてまいらなければならぬと、かように考えております。
  198. 神谷信之助

    神谷信之助君 具体的に法の延長、それから改正の段階に来ておりますから、そういう点でひとつ御見解を聞いておきたいんですけれども先ほども言いましたように、何でそういう状況になっているかと言えば、同対事業に対する国の責任が不明確であるという点が言えると思うんですね。したがって、府県、市町村に、とりわけ市町村に強い負担、過重の負担を強いるという結果になっていると思います。具体的に同特法の四条では、国と自治体の責任というのを並列しております、「国及び地方公共団体」ということで。国自身の責任というのを明確にしておりません。それから七条の補助金財政措置ですが、これ国の責任といいますか、国の具体的にやることといえば第七条に言う特別の助成にしかすぎない。それも国の指定事業に限定をし、しかも予算範囲内で三分の二にするという二重の枠がはめられている。これが補助対象事業が非常に少なくて、しかも府県、市町村の単独事業かふえるということになってきているというように思うんですが、こういう点はひとつ改善をする必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  199. 山本悟

    政府委員山本悟君) 自治省といたしましてのこの問題に対します基本方針は、先ほど大臣から申し述べましたように、やはりこの特別措置法の趣旨にかんがみまして、これは原則として国庫補助事業として事業は実施さるべきである。その事業の対象を広げ額をふやすことによりまして、地方団体の現状においてはひっかぶっていると言わざるを得ません超過負担、単独といったようなものにつきましての解消を図っていく、これが基本方針でいるわけでございます。そういう点から申し上げてまいりますと、やはりいろいろ問題点があるわけでありまして、毎年要望をいたしておりますけれども、この各省庁に対します要望はさらに一層強化しなければならない。また、この法律がどういうぐあいになってまいりますかというのは、まだ私ども自治体としましてこう決まったということを伺っているわけではございませんけれども、いろいろな機会にやはり地方立場からいたしまして必要なる意見は強力に申し述べる必要がある、こういうふうに思っているところでございます。
  200. 神谷信之助

    神谷信之助君 同和対策室に来てもらっているのですが、いままで九年間の実績の上に立っていま指摘をしている国の責任をもっと明確にして、そして国自身がもっと積極的に財政的にもその責務を果たしていくという必要があるというように思うんですね。余りにも市町村、自治体に責任を転嫁をしている。現場へ行きますと特にそういう意見が非常に強い。この辺、延長、改正の問題が議論になってきているときですが、その点についての見解はいかがですか。
  201. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 同和対策につきましては、同和対策事業特別措置法をもとにいたしまして国といたしましても積極的にこの問題の解決のために取り組んでいるわけでございまして、毎年予算の相当の増額あるいは国庫補助対象事業の拡大ということに努めているわけでございますが、今後におきましても同和問題の解決のためには一層積極的に取り組んでまいる必要があるというように認識しております。
  202. 神谷信之助

    神谷信之助君 これひとつ自治省にも同対室の方にも申し上げておきますが、国と自治体との関係ですね、これをもっと明確にしていくという意味で、国の責務を、いま四条で国も自治体も一緒になっていますが、国の責務というのはやっぱり独立をさせて明確にする、そして推進するように努めなければならないという助力規定に現行はなっていますが、推進しなければならないという国の責任義務規定というのを明確にする必要があるのじゃないか。  第二点は、財政補助の問題ですね。七条、これはきわめて不備であります。この補助を適正化する必要があるだろう。したがって、その点でそういう事業に対して適正な補助をしていくということですね、この点を明確にする。そのために内閣にたとえば同和対策推進協議会というようなものをつくって関係団体を含めて補助事業の指定その他、それから法執行について内閣に勧告ができるそういう権限を与える、内閣の方はそれを尊重する義務を持つというようにして、適正な、しかも公正な事業が国の事業として補助対象になり、そして適正な三分の二の補助がきちんとやれるようなそういう形をつくっていく必要がある。  第三は、今度は地方公共団体の方ですか、これは責務を独立をさせる。とりわけ府県が財政力の弱い市町村に責任を転嫁をしているという、そういう状況も出てきておりますから、そういう点では財政力、財政基盤の弱い市町村に対しては府県が責任を持って推進するという点を含めて規定をして、そうしてこの同和対策事業の推進のアンバランス、不均衡、これを来さないようにする必要がある。これは同対法ができてから当初数年間ほとんどやられていませんから、後半になって事業が進み出し、しかもそれは地域的なアンバランスというのが非常に多いようです。これらの国と自治体との関係の点だけ私いま取り上げて言ったんですが、そういった問題について検討する必要があるというように思うんですが、この点いかがでしょうか。
  203. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 同和対策事業特別措置法の取り扱いにつきましては、各政党、各団体からいろいろな意見が述べられているところでございます。今後のこの法律の取り扱いにつきましては、政府といたしましては各政党の御協議、合意の成立をまって判断いたしたいというふうにかねがね申し上げておるところでございますが、いまお述べになりました御意見につきましてもそういう意味におきまして貴重な御意見として参考にされるべきものであるというふうに考えます。
  204. 神谷信之助

    神谷信之助君 各党の意見を聞いてみてというお話は、長官の方も国会で答弁をなさっておりますがね。  それでついでにちょっとお聞きしておきますが、毎日新聞の二十日付によると、事務当局に対して期限延長のための改正法案づくりを指示をされたという報道がされておりますが、この点作業、大体どういうめどでやるのか、それともさらにそういう各党の意見をどのような形でどの段階で聞こうとされているのか、あるいはそういった段取り、そういう点についてどういうようなお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  205. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) この同和対策事業特別措置法の延長問題につきまして政府の考え、政府案をまとめるという意味で、総務長官から事務当局に対しまして検討方が指示されましたわけでございます。  それから今後の見通しと申しますか、たとえば今国会に提出するのかということでございますが、この問題につきましてはこの国会に提出せよという同和地区関係者等からの御要請もある状況でございますので、検討はそのような要請にも留意いたしまして進めるということにしております。なお、従来国会におきます答弁で、そういう政党間の合意を尊重して取り計らいたいというふうに申し上げているわけでございますが、この点につきまして私どもやっております検討は、従来の国会答弁趣旨にもとるものではないというふうに考えております。
  206. 神谷信之助

    神谷信之助君 事務当局が作業を始めたのがけしからぬと言っているんじゃないですよ。作業は作業として続けてもらい、試案、たたき台というものをつくってもらわなきゃなりませんし、問題は各党の意見を聞くということが答弁されていますからね。それは少なくともちゃんとやってもらわなきゃならぬという点で指摘をしている。  次に、自治大臣の権限に関する問題ですがね、この同特法の例の十条の適用問題、これについて市町村側の要望が非常に強いわけです。自治省の方もそれはしばしば要望を受けておられると思いますが、これについてはどういうお考えか、適用の拡大についてどういうお考えか、まずお聞きしたいと思います。
  207. 山本悟

    政府委員山本悟君) 先ほど申し上げましたように、やはり特別措置法の趣旨から言いますと、原則として国庫補助事業として行われましたものにつきましてその地方負担について元利償還金を普通交付税で見る、こういうのがこの同対法ができましたときからのお約束、各党御提案になりました部分につきましての国会での御審議というような経過を踏まえますとそういうことになっているわけでございまして、やはりこの関係で申し上げますと、そういって地方が単独で見られないで非常に苦労しているそのことによって、何といいますか、国の方の補助事業量の拡大ということに持っていきませんと、なかなか解決のむずかしい点があることは御承知のとおりでございまして、そういう点から申し上げますと、ただいまのところにおきましてはやはり国庫補助事業の地方負担というものに十条適用としては持っていった方がいいんじゃなかろうか、こうも思っておるわけでございますが、なおいろいろ検討しなければならない、地方団体側からの御要望のあることはよく存じておりますので、検討をさしていただきたいと思います。
  208. 神谷信之助

    神谷信之助君 京都府下で十条適用地方債はどのくらいかというのを調べてみたんですが、五十一年度ですが同和対策債の四四・七%、半分以下ですね、十条適用地方債は。そういう状況です。   〔理事夏目忠雄君退席、理事望月邦夫君着席〕  それから、なぜそれ七や適用が低いのかというと、結局局長がいまおっしゃったように補助対象外単独事業になるわけです。舞鶴の場合で見ると、非適用分では隣保館それから同和地区の公営住宅、これらの超過負担、それから補助対象額をオーバーした分については補助対象にもちろんならないから、したがって起債措置もされない、十条適用もならぬという形になっているんじゃないかと思いますが、こういう状況が出てきております。これは五十一年度ですから、たとえば隣保館の超過負担分というのが三千九百九十五万円、それの大きい問題は、補助基本額が平米当たり十万三千八百円、実際額は十五万五千五百八十五円、五十三年度では十二万ぐらいになっておると思いますがね、それにしても五十一年度当時の実際実額から言うても、また五十三年度の補助基本額よりは低いです。それから公営住宅の超過負担分、これが二千九百二十万円ですが、これも単価を見てみますと、補助基本額の単価は五万六千八百五十六円、これは五十三年度の七、八万のところへずっと並んできている。しかし実際額は八万九百五十五円ですから、五十一年度五十三年度の違いがありますけれども、恐らくこの点でも超過負担がある。それから補助基本額では少なくともそういう単価差は出ないわけですが、もちろん地域によって物すごくデラックスなやつで問題があったりしておりますけれども、舞鶴の場合はそういう状況の隣保館や公営住宅ではない普通一般的なやつですね、それでもこういう超過負担が出てきている。  それから亀岡市の場合でいろいろ聞いてみたんですが、ここもやっぱり言っているのは結局国の補助事業にならない府の補助事業ですね。しかもそれは、したがって同和地区によって小規模の地区の場合はどうしても対象が小さいですから、そういう意味でも地区の道路、共同浴場、下排水路、それから防火水槽、農水路という細かいやつになると国の補助事業の対象にはならない。これらも何といいますか、一件ごとじゃなしに一括的な方法とか、いろいろな方法をやっぱり研究をして国の補助対象にかかるようにして、そして地方負担を軽減をしながら同特法に記載をしているところの差別をなくしていく具体的な施策が進められるということが望ましいと思うんですね。その辺のところを、これは自治大臣が指定するのですから、十条適用、この辺ひとつ検討してもらってやってもらいたいというふうに思うんですが、この点は  いかがでしょうか。
  209. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいま御指摘になりましたような各市あるいは各事業いろいろとそういった事態があろうかと思います。私どもといたしましては毎年のように適宜な時期をつかまえまして各省庁にその解消方について要望を重ねているわけでありまして、次第に上がってはきておりますけれども、なお非常に差がある実態、この点につきましてはさらに一層の努力をしなければならないと存ずるわけであります。まあ十条を自治大臣が指定すれば自治大臣の権限で広がるじゃないかという点につきましては、先ほど来申し上げましたようにやはり基本的に国が片一方は責任を持って負担し、それに応じて地方財政としても負担をするというかっこうではございませんと、やはり一方に片寄ってしまうというような別な問題点も起こり得るわけでありまして、そういったことを十分踏まえました上でいろいろと考えさしていただきたいと存じます。
  210. 神谷信之助

    神谷信之助君 同対室の方で、この延長、改正を検討する作業をやられる、始められたわけですが、こういう十条適用のいわゆるそれに移行した国の指定する補助事業ですね、それの対象をさらにうんと思い切って拡大をする必要があるんじゃないかという、そういう点は問題点として検討課題の一つにされているわけですか。
  211. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 十条適用の拡大につきましては、諸方面から寄せられている意見の中の一つの意見でございます。この点につきましても全体の問題の中で検討している次第でございます。
  212. 神谷信之助

    神谷信之助君 同対関係はそれで終わります。  次は、地方債問題に入りたいと思いますが、五十年度以降ですね、大量の地方債の発行が続いておるわけですが、五十三年度末で地方債の現在高、普通会計で一体どれぐらいか。それから公営企業債、これを含めると全体でどれぐらいになるのか、見通しについてお伺いしたいと思います。
  213. 山本悟

    政府委員山本悟君) 五十三年度末の普通会計の現債高、推計でございますが、約二十二兆四千億程度に相なろうかと存じます。  それから、その他の会計が十三兆八千億、合わせますと約三十六兆程度の現債高になろうかと存じます。
  214. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから五十三年度の普通会計債の償還額及び歳出に占める比重の見通しですね、どの程度見ておりますか。
  215. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 五十三年度の公債償還費の歳出総額に占める割合でございますが、地方財政計画で申し上げまして、金額で二兆二千三百八十二億であります。歳出額に占める割合は六・五%になります。
  216. 神谷信之助

    神谷信之助君 公債費が四十五年度が三・八%ですが、五十三年度は大体六・五%、大体倍近くなってきているわけです。これは三千三百団体をマクロ的に見た数字ですが、個々の自治体を見ると、公債費比率が三年間平均で二〇%を超えると起債制限を受けるという状況も生まれてくるんですが、五十年度、五十一年度で大体二〇%を超えている団体数というのは大体どれぐらいになっているんですか。   〔理事望月邦夫君退席、委員長着席〕
  217. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 二〇%以上を超す団体は都道府県にはございませんで、市町村について申しますと、五十一年度決算で三十一団体になります。
  218. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういうように公債費が強くなってきているんですが、特に最近は金利が下がってきていまから、 この問題でひとつ何らかの措置ができないかという点です。四十九年ごろは政府資金で八%、それから縁故債は九%を超えている状況になっています。この間の地方財政白書で見ますと、七%以上の金利の地方債は都道府県で八一・七%ですか、それから市町村の方は七九・八%ということで、現在の金利より非常に高い縁故債を抱えている、そういう状況があります。ですから、これを現在の金利並みに借りかえることができると、地方自治体としても非常に財政負担が助かるわけですね。兵庫県の伊丹市の例を見ますと、五十一年度末の起債残高が百八十八億五千万円、このうち金利が九%以上というのが三七%ある。平均すると大体金利が八%を超えるという、そういう状況です。したがって、仮に起債残に対する金利が現在の通利並みの七・一%、七・二%に軽減されるとすれば大体年間二億円近い金利払いが助かると、こうなります。  それからこれは和歌山の市会でも問題になっているんですけれども、ここでも政府資金七・五%の利率で五十年度が五十八億七千万円ですが、五十一年度で三十三億二千万円。紀陽銀行から借り入れた縁故債では五十年度で九%ものが七億五千万円、八・六七%ものが九億円、五十一年度では八・六七%ものが七億一千万円、八%ものが十一億四千万円。ですから、和歌山市の場合一%下げただけで年間一億三千九百万円の資金が浮く。そういう状況なんですが、この点、私はひとつ積極的に自治省としても研究をし、安い金利の方に借りかえるという指導をやってはどうだというように思うんですが、いままでそういう自治体の方で借りかえた例も二、三あるように聞いているんですが、いかがでしょうか。
  219. 山本悟

    政府委員山本悟君) 現在は御案内のとおり金利水準が全般的に相当低くなっておりますので、地方団体側で過去の高金利時代に発行しました地方債の借りかえについて希望がありますことは聞いておるわけでございますが、この問題は基本的には金融機関とその団体との個別の折衝で、相対で借りているわけでありますから、その折衝で任されなければならぬと思いますが、一般的に考えますと、高金利の時代に銀行の集めました資金というのはコストが高い。そのときに借りたものを途中で借りかえて下げてしまいますと非常にむずかしい問題が起こる。逆に申しますと、今度は金利が上がったときにはそれじゃ低金利のときに借りた分は借りかえさせるのか。いろんな問題が派生をしてくるんじゃなかろうか。こういうこともございましてなかなか一律にこういう方針でということを自治省側といたしまして物を言うのは非常にむずかしいような状況に思っております。一、二、例はないわけではございませんが、借りかえた例もあるとは思いますけれども、これはきわめて特殊な事例で、銀行との間におきまして、金融機関との間におきましての相対でもって話がついたということでございまして、一般論として申し上げますと、下がったときに低い方に借りかえさすということは、逆に言えば上がるときには上がる方に借りかえさせるのかという問題も派生をいたしますし、なかなか一概に決めつけるやり方というのは非常にむずかしいんじゃなかろうかというような感じがただいまのところいたしております。
  220. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは大蔵省の方はどうですかね。大蔵省はもっと厳しいかな。
  221. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 縁故債の金利につきましては、いま財政局長からお話し申し上げたとおりに考えております。なかなか一律の指導等は困難だなあと思います。  それから運用部資金につきましても、実は四十九年から一年間ほど八%という金利の高い時代がございましたけれども、そのときの原資、まさに一その郵便貯金者に対しましてちょうど八%いまもって運用部は払っておるわけでございますので、いまその分だけ引き下げますと運用部特会の方の収支じりもとうてい持たなくなります。そういう意味で、比較的いま運用部特会の収支も困難な時期でございますので引き下げは困難ではないかと思います。
  222. 神谷信之助

    神谷信之助君 地方財政きわめて厳しいわね。そうでしょう。片一方、いま不況で構造不況業種に対しては金利負担の軽減の措置をとっているでしょう。まさに地方財政も構造的不況業種みたいなものです。一般の民間企業でそういう構造的不況業種に対する金利の軽減措置をとっているわけですからね。民間の縁故債関係が、これは個別、相対づくの話だから相対づくでやれというならば、それはそれでこれは自治省の方でもそういう相談があればいろいろと知恵をかしてやるということをやってもらいたいと思うけれども政府資金の方は、そういう点での八%の時期の、たしか四十九年から五十年にかけてありましたね、そういう時期のやつとか、一定の措置というのは、構造不況業種並みの措置というのはとれないものかどうか。この辺はいかがですか。
  223. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 構造不況業種関係の問題は私の所管ではございませんが、たしかおっしゃったとおり、あれは九%強でございますか、かなり高い金利について一部そういうことがかなり例外的なものとして行われているやに聞いておりますが、運用部資金の場合には最高で八%でございますし、それからまあ金利軽減した場合の範囲というものも非常に広いわけでございますので、目下そういうことは部内でも検討できる状況ではございません。
  224. 神谷信之助

    神谷信之助君 構造不況業種の関係は、民間資金ですから、金利がつくのです。だから、そこで、中小企業については八・一%を超える部分についての引き下げ措置、金利負担措置ですね。それから大企業関係は八・四%を超える部分についての措置ですね。これは紡績、平電炉、アルミ、そういう関係があります。自治省の方ね、通産省はそういうことで要求をして、大蔵省と折衝をして、そういう構造不況業種に対する金利負担の軽減の措置というのをとっているわけですがね。この辺のところ、いままで政府資金の場合は八%が四十九年の十月から五十年の十二月まで、これがまあ最高ですね。それから以後ずっと下がり出したんですけれども民間資金の場合という問題を含めまして、借りかえか、あるいは金利負担の措置か、それも一般的にやるかどうかは別として、財政力との関係、それらを考慮してどういう措置がとれるか。こういった問題含めて、こういう時期ですから相当きめ細かく考えてやる必要があるというふうに思うんですがね、自治体に対して。このようなひとつ検討をしてもらうことはできませんか。
  225. 山本悟

    政府委員山本悟君) まあいろいろな金利で発行をいたしている地方債のあることそのとおりでございますが、許可を受けまして発行された地方債についての元利償還金、これはマクロで見れば地方財政計画の歳出に全部そのとおりの金利でもって計上といいますか、計算をいたしまして歳出に立てますので、マクロとしての地方財政としてはその額は確保される、何らかの意味確保される、支障がないようになると、こういうシステムになっていると思います。個々の団体についてそれがどういう状況であるか、それに応じて一つ一つやっていくということはなかなかむずかしい問題を含めておると思いますが、しかし、ただいまおっしゃいましたこともなお勉強させていただきたいと思います。
  226. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体それで終わりますが、いずれにしても六割までは政府資金並みの金利補てんの措置を取りながらきていますが、しかしながら、それでもなお縁故債の比重というのは、先ほどあれは縁故債、それから政府資金も含めてですけれども、七%以上というのが都道府県、市町村通じて八〇%前後あるわけですから、そういう状態もありますから、それを全部一律にやるのか。それとも、一定の財政力指数なりその他いろんなものを考慮して、一定の基準を設けて、そういう措置を見ていくというようにするのか。特にこの辺は、こういう時期で、しかも、公共事業今度はどんどんやって、地方債をどんどん発行するという状況も本年度ありますから、そういうこともかかわり合ってひとつ十分検討してもらいたいということを要望して、私の質問これで終わります。     —————————————
  227. 金井元彦

    委員長金井元彦君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、園田清充君及び金丸三郎君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬雄君及び竹内潔君が選任されました。  着席のまま暫時休憩します。    午後四時十六分休憩      —————・—————    午後四時二十八分開会
  228. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  229. 向井長年

    ○向井長年君 大臣、あっち行ったりこっち行ったり御苦労さんですが、実は私もいろいろと質問事項を用意してまいりました。ところが、先ほどから他の議員の質問を聞いておりますとほぼ同じような質問になります。  要は、昨日も参考人を招致いたしましていろいろと意見聴取をいたしました。そうしますと、現在の実情の中で、この交付税については緊急やむを得ないものである、これは根本的にわれわれがいいということではないけれども、まあ現状やむを得ないというような参考人のそれぞれの大体意見ですよ。  われわれもこの法案に反対をしておりますけれども先ほどから、各党の議員の皆さんが質問されておる内容を聞いておりましても、言うならば、反対であるがやはり現状の中でやむを得ないが、今後どうするのだと、いつこの基本的な改正をやるのだと、こういうところか中心であろうと思うのですよ。そういう中で、今後の地方財政制度改正とか、あるいはまた財政構造の改正等々、こういう問題について質問されても、近き将来ということで、早急にやらなければならぬということを大臣答弁しているだけですよね。それ以上一歩も進まない。じゃあ、どういう形でやるかといっても進まない。近く地方制度調査会ですか、あるいはまた税制調査会等々、こういう中で一つの結論を得たいと思うというようなことでございまして、これはそういう形は結構だが、しかし自治省として少なくとも根本的に今後こうあらねばならぬと、こういう問題の一つの試案というものを持たなきゃならぬのではないかと思うんですよ。ただ調査会に諮問したと、その結論を待ってわれわれ検討しましょうと、こういうことでなくて、やはり地方行政というものは国民全般に及び、各省にも大きな影響を持つ問題ですね。そういう中で、やはり少なくともみずから、根本的な改正はこうあらねばならぬ、これは直ちに実現できるかできぬかは、財政的な問題もあり、あるいは経済情勢の状態もあってできないにいたしましても、それくらいのものはつくるべきではないか、こういう感じを私はしております。したがって、この点について最終的にお答えいただきたいと思いますけれども、それと同時に、これははっきり、加藤大臣も長い間私たち参議院におられて、しかもそういう問題も痛感し、なお地方自治の首長として長年従事されて、その矛盾も感じておられると思うんです。そうなればなおさらのことだと思う。しかし、ただこの国会の法案審議の過程で、何とか、言うならば、通りゃいいわいという安易な感じ、こういう感じでそういう答弁が出ておるとなると、これは私たちは納得できないわけです。したがって、大体それが今日の経済の不況からいろんなものを巻き起こしておるんですよ。これは自民党さんの皆さんおられるから言いにくいとは思いますけれども、今日までの本当の経済政策にしましても、十分な計画的な展望に立ってあらゆる問題に取り組まなかったために、こんな状態がますます高じてきている。もちろん外因の要因もありましょう。そういうところに私は日本の政治の正さなきゃならぬ問題がある。自治省としてもそれがあるんではないか、みずからの地方行政として。そういう問題について、おれは大臣次にはやめるんだ、今期だけは万遺漏ないようにまあまあというかっこうでいこうとするようなことであっては、いつになったってだめですよ、どの大臣がなろうと。したがって、私はもう多くは述べません。内容の問題はもうほとんど皆さんが触れられた問題でございますから多くは、述べませんが、そういう地方制度調査会にでも諮問するという場合に、まずやはり理想はこうあらねばならぬ、直ちにこれが通過できるかできぬかわからぬが、それに近づけなきゃならぬというぐらいのことは、自治省として具体案をつくったらどうでしょう。そして大臣はそれを自信を持って大蔵省にも各省にも呼びかけていいんじゃないですか。野党の皆さんがいろいろと質問したのは、これ自治省督励の質問ですよ、私が聞いておっても。ほとんどがそうなんだな。この法案そのものについては、これは緊急やむを得ないと思いつつも、三二%がなぜ四〇%にこの際しないかとか、あるいはその他問題たくさんありますけれども、しかし本来から言うなら、皆自治省督励のための反対ですよ、これは。そういう意味で皆さんの質問が今日まであったと思いますので、私は最後の締めくくりでございますから、大臣は自信を持って、近き将来という問題は、自治省みずから具体案を持って、そして調査会にも諮問する、各省にも呼びかける、一日も早くその基本的改正を行うべきであろう、こう私は意見みたいなことを申し上げますけれども大臣の所信を伺って質問を終わりたいと思います。
  230. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私を初め政府委員答弁をいたしておりますのは、単に通してもらえればそれで足りる、その時間その時間を過ごせればそれでいいようなそういう態度ではみじんもないのでございまして、誠心誠意答弁いたしてまいっておるつもりでございますから、その点は御理解をいただきたいのでございますけれども、ただ、今後の地方財政のあり方につきまして、いろいろ模索をいたしており、自治省自治省なりの考え方を持っておらぬと言えばそれはうそでございまして、おっしゃるような長期的展望等につきましても、おのおの腹にはあるのでございますけれども、残念ながらこれを具体的に申し述べまして、今後こういうぐあいにやってまいりますと、かような熟度に到達いたしておらず、なお自治省のみでやり得ることではございませんで、大蔵省等との折衝もあるだけではございませんで、長期展望に立ちますならば、地方財政強化して、あるいは拡充してまいりまする方向は、具体的には、行財政制度改正とは言いながら、税の増徴が軸にならざるを得ないと思うのであります。そういたしますと、片や早く問題を表に出して御論議を願い、国民のコンセンサスを早く得なければならぬという点もありますけれども、片やまた早く出し過ぎて、そのことでまたおしかりを受ける、かような面もあるのでありますから、たとえば法人事業税におきます外形標準課税の導入問題だって、ここ何年来かの懸案でございますから、私どもはぜひ早い機会に法人事業税の外形標準課税を導入いたしたい、かような根本の考え方は持っておりますものの、それは税制調査会や地方制度調査会におきます論議を振り返ってみましても、国税におけるたとえば一般消費税との創設の関連においてやるべきだ、かような考え方が示されておるのでありますから、単なる地方税としてのみの捕捉が困難である面もございますが、ところが国税におきます一般消費税が少しでも表に出ますと、大変な論議が巻き起こる、そのことがいい面もございましょうけれども、また余り出過ぎましてたたかれてしまうというような面等もございますので、なかなか表に出しがたい面もございます。また、今回の覚書に基づきますルール化措置だって、もとより私どもは本心はこれで十分だとは考えておらないのでございますけれども、しかし当分の間の地方財源の不足を補う措置としては、まず五十三年度においてはこの程度以上には出なかったと、かように考えておるのでございますけれども、しかしこのことで決して満足しておるわけではないのでございまして、今後の交付税率の問題は、対象税目の拡大との兼ね合いにおいて早く解決をいたしてまいらなければならぬし、地方財源の不足を早期に解決をいたしまして、そのことが自治を高めてまいりまするゆえんだと、かような根本の考えは微動だにいたさないのでありますけれども、具体的な運びにつきましては、なかなか、あるいはもどかしい感じをお持ちでございましょうし、いまの向井議員だけではございませんで、多くの方々がさような観点から御鞭撻をしてくだすった、かように受けとめておるのでございますけれども、なかなか長期的な展望を具体的にお示しすることが困難でございまして、この点をまことに申しわけなく思っておるのでございますけれども、ただ誠心誠意努めてまいっておりますことだけはどうぞ御了承いただきたい、かように思う次第でございます。
  231. 向井長年

    ○向井長年君 意見あるがやめます。
  232. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  志苫君から委員長の手元に修正案提出されております。修正案内容は皆様のお手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。  志苫君から修正案趣旨説明を願います。志苫君。
  234. 志苫裕

    志苫裕君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党を代表し、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  地方財政は、御承知のとおり本年度においても三兆五百億円という膨大な財源不足に見舞われ、四年続きの深刻な財政危機に直面いたしております。地方財政がこうした深刻な危機に直面することとなったのは、深刻な不況に起因しているのでありますが、その根本的原因としては、歴代自民党政府が、住民福祉の充実や生活基盤の整備よりも、産業基盤の整備など中央集権化のもとに大企業優先の高度成長政策を推進してきたことによるものであります。そのため自治体においては、過疎、過密、公害その他の対策に膨大な財政需要を引き起こすことになりましたが、これに対し国が十分な自主財源を付与してこなかったところに地方財政の構造的な危機が招来されたと言わなければなりません。  われわれは、このような地方財政の危機を打開し、自治体の自主的な行政運営を確保するため、地方財政長期的な見通しに立って、抜本的な恒久対策を講ずるようにこれまでたびたび自民党政府に要求してきたのでありますが、残念ながら今回の自民党政府地方財政対策は、われわれの要求のみならず地方団体を初めとするすべての自治体関係者の要求をも踏みにじったものと断ぜざるを得ないのであります。  三兆五百億円の財源不足に対し、自民党政府は、地方交付税率の引き上げを図ることなく地方交付税特別会計における一兆五千五百億円の借り入れと一兆三千五百億円の地方債振りかえによって措置し、全く根拠のない二分の一負担方式をルール化しようといたしておりますが、このような財源対策が、地方交付税法第六条の三第二項及び地方財政法第十条の二等の趣旨に反していることは言うまでもありません。  今日、地方交付税制度改革なかんずく税率の引き上げは、いまや国民的合意となっており、この国民的期待にこたえることこそ今国会の重要な課題であります。このような立場からわれわれは、地方交付税率の引き上げ措置等を含め、一般財源の充実強化を図り、もって地方財政の危機を緊急に打開し、地方自治の発展を図るため、本修正案提出した次第であります。  次に本修正案の概要について御説明申し上げます。  第一は、最近における自治体の財政需要の増大に対処するため、昭和四十一年度以来、据え置かれてきた地方交付税率を現行の三二%から四〇%に引き上げることといたしております。  第二は、臨時地方特例交付金の増額等についてであります。  その一つは、昭和五十年度以降発行された減収補てん債及び財源対策債はすでに巨額に達しており、その元利償還にかかわる基準財政需要額については、臨時地方特例交付金で措置することといたしております。  その二つは、昭和五十年度、五十一年度及び五十二年度における交付税及び譲与税配付金特別会計における借入額の元金償還については、当該年度に償還する額に相応する額を臨時地方特例交付金として一般会計より繰り入れることといたしております。  以上の措置により昭和五十三年度における臨時地方特例交付金は、三千四百二十八億円増額し、五千六百七十九億円となります。  第三は、投資的費用にかかわる単費用改正であります。その他の土木費においては、道府県四千七百二十円、市町村一千二百七十円とし、その他の諸費においては人口一人につき道府県五千九百六十円、市町村四千円とし、面積一平方キロメートルにつき道府県百四十万六千円、市町村六十六万五千円といたしております。  第四は、自治体の財源の充実強化を図るため、速やかに国・自治体間を通じて行財政全般にわたって抜本的検討を加え、その結果に基づき、国と自治体との間の財源の再配分が実施されるよう必要な措置を講ずることといたしております。  第五は、地方交付税の交付額は、自治体固有の財源であることにかんがみ、国税収納整理資金から交付税特別会計へ直接繰り入れることといたしております。なお本規定は、昭和五十四年度から実施することといたしております。  以上が本修正案の概要でありますが、本修正によって地方交付税の総額は、一兆六千八百四十八億円増額することとなりますので、一兆三千五百億円の建設地方債の発行は全額取りやめるべきであることを表明し、提案理由の説明を終わりたいと存じます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  235. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまの志苫提出修正案予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から修正案に対する意見を聴取いたします。加藤自治大臣
  236. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいまの地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党提案の修正案につきましては、政府といたしましては賛成いたしかねます。
  237. 金井元彦

    委員長金井元彦君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  238. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党提案の修正案に賛成し、政府案に反対の立場から討論申し上げます。  昭和五十三年度地方財政対策に当たって、政府は、三兆五百億円の財源不足を、地方交付税一兆五千五百億円の借り入れ、財源対策一兆三千五百億円の発行をもって措置したわけでありますが、地方財政に対するこうした四年越しの借金政策は、緊急対策の名のもとに地方財政の構造的危機を深めるといえます。  言うまでもなく、地方交付税法第六条の三第二項によれば、交付税率の引き上げ、あるいは行財政制度改正は不可避であり、これを全く根拠のない二分の一負担のルール化によって置きかえようとする政府措置は、先ほど大臣自身が大変不満である、こういう見解を述べられたように、地方交付税法の基本的趣旨を踏みにじるばかりか、国、自治体間の財政秩序を乱すものと言わなければなりません。そればかりか、膨大な公共事業自治体負担や起債に振りかえ、地方交付税の基準財政需要額から除外していくやり方は地方財政法の趣旨にも反していると言わねばなりません。こうした政府案に対し、日本社会党を初めとする野党共同修正案は、地方交付税本来の機能を回復するための適切かつ妥当な内容であります。  すなわち、地方交付税の配分構造を昭和四十八年の状態に回復させ、起債振りかえをやめるためには八%の交付税率の引き上げが必要であります。また、起債償還やこれまでの交付税特別会計における借金を現行の交付税率の枠内で返還していくことは交付税率の実質的引き上げであります。これらを政府の責任で別途措置すべきであることは重ねて申し上げるまでもありません。  なお、衆議院委員会審議においては、本修正案と全く同じ修正案可決したことは御承知のとおりであります。国会における一つの意思が国民の前に明らかにされたわけであります。政府は、こうした冷厳な事実に対し謙虚に対応すべきであります。  わが党を初めとする共同修正案にむしろ積極的に賛成すべきであり、そして国と地方は車の両輪だとよく福田総理は強調されますが、両輪にふさわしい財源を保障することこそ景気回復の第一歩であることを強調して、私の討論を終わります。
  239. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、政府提案の地方税法等の一部を改正する法律案に賛成、同法案に対する日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提出修正案に反対するものであります。  本法律案は、地方交付税の総額の確保に資するため、当分の間、交付税特別会計における借入金増加額の二分の一に相当する額を後年度、一般会計から交付税特別会計に繰り入れることを法定化するとともに、昭和五十三年度地方交付税の総額の特例措置として、一般会計から二千二百五十一億円を交付税特別会計に繰り入れるほか、交付税特別会計において資金運用部資金から一兆五千五百億円の借り入れを行うこと、地方団体の財政需要に対応するため単位費用改正することにあわせて、公営企業金融公庫の融資対象を拡大し、臨時地方整備事業等を追加するとともに、各種の手数料の適正化を図ることを内容とするものであります。  今日のわが国経済の最大の課題は、物価の安定に配慮しつつ内需中心の景気回復を図るため実質七%の経済成長を達成し、もって雇用の増大と国民生活の安定、対外均衡の回復に努めることにあります。政府は、昭和五十三年度このような政策目標を実現するため臨時異例と言われる財政運営を余儀なくされているのであります。  かような状況を考えますとき、今回とられました地方財政対策は、引き続き借入金地方債の増発に依存していることにつきましては、地方財政の健全性と弾力性の面から見て問題なしとはしないのでありますが、他方、大量の公債に依存せざるを得ない国の財政事情をも考慮いたしますとき、この時期に抜本的な行財政制度改正を行うことは、政府答弁にもありますように、必ずしも時期として適当ではないと考えられるのであって、借入金に対する国の実質二分の一の負担のルール化を導入することとした政府努力評価するものであります。また公営企業金融公庫が普通会計債にもその融資の道を開いたことは歓迎すべきことであり、今後の機能の一層の拡充が望まれるところであります。  以上の観点から、私は、政府提出改正案は、現下の財政状況にかんがみ、当面の措置としては適切な内容のものであると存じます。  なお、地域住民の行財政需要が増大する中で、昭和五十四年度以降においても、依然として大幅な財源不足が予想されていることであり、速やかに行財政制度の基本的な改正に取り組むよう政府に強く要望いたしますとともに、地方団体においては節度ある財政運営を行うことを期待し、修正案に反対、原案に賛成の討論を終わります。
  240. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法等の一部を改正する法律案に対して、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党提出修正案に賛成し、政府原案に反対する討論を行います。  今日の地方財政は、昭和五十年度以来四年連続して二兆円以上の財源不足を生じ、五十三年度は実に三兆五百億円にも達し、崩壊寸前の危機に直面しております。  こうした財政危機を招いた直接的な原因は、言うまでもなく不況の長期化とインフレによる税収の激減によるものでありますが、より根本的には政府経済政策の失敗と中央集権的な地方財政制度の構造的欠陥にあることを強く指摘したいのであります。  したがって、地方財政の健全化、民主化を図るためには、こうした構造的欠陥を見直し、新しい時代に対応した抜本的な税財政制度改革を行うことが緊要なのであります。  これまで政府は、地方財政が二年連続して多額の財源不足を生じ、三年度以降も引き続き財源不足が見込まれる事態となれば、地方交付税法第六条の三第二項の規定に従い、交付税率の引き上げまたは制度改正を行うことを再三明らかにしてきております。  しかるに、今回の政府案は地方自治体の願望とみずからの約束を踏みにじり、交付税率の引き上げを見送り、三兆五百億円の財源不足に対し、一兆三千五百億円の地方債の増発と一兆七千億円の交付税の増額により補てんされております。交付税の増額分のうち一兆五千五百億円の交付税会計借入金について、当分の間二分の一の額を国が負担するという変則的な措置ルール化して事足れりとしておりますが、こうした措置地方財政実態を無視した財政対策であり、交付税法の精神を歪曲し、交付税制度の根幹を脅かすきわめて違法性の強い措置であると言わざるを得ず、全く納得のできないところであります。  わが党は、地方交付税法の趣旨に沿って交付税率を四〇%に引き上げるとともに、臨時地方特例交付金の増額などを盛り込んだ四党修正案は、深刻な危機に直面している今日の地方財政実態に十分即応するものであり、当然のことと考えるものであります。  反対理由の第二は、地方債についてであります。昭和五十三年度地方債計画は総額六兆二千百九十七億円で、このうち普通会計分は四兆百六億円、対前年度比三二・九%と大幅な増加を示しております。この結果五十三年度末の普通会計債と公営企業債を加えた地方債残高は三十五兆円前後にも達することが予測されております。これらの地方債償還費は年々増大する一方であり、将来の地方財政の大きな負担となることは明らかであります。  さらに、こうした地方債の増発にもかかわらず政府資金のウエートが低下し、民間資金への依存が高くなり、地方債の消化とコストの両面から地方財政を圧迫していることもまた明らかな事実であります。  今回、政府は資金の確保を図る措置として公営企業金融公庫の融資対象の拡大を図っておりますが、融資対象は三事業、融資額も二千億円ときわめて不十分なものであります。  したがって、地方債資金の安定確保の面からも公庫の資金量を確保し、融資対象をすべての普通会計債に拡大すべきであり、また地方債増発の現状から政府資金の一層の拡充を図ることを強く望むものであります。  反対理由の第三は、国庫補助金制度及び超過負担についてであります。  昨年十二月の第十七次地方制度調査会の答申において補助金の整理合理化を積極的に進めるとともに、これを地方の一般財源に振りかえ、また存続する補助金等についてもその統合ないしメニュー化を推進すべきであると指摘されておりますが、政府はこれに対し積極的に手をつけようとしておりません。  さらに、超過負担について、政府は五十三年度予算の事業費ベースで九百三十三億円の解消を図ったとしておりますが、自治体が強く要望している保健所職員費などの改善は必ずしも十分でなく、全く言いわけ程度にすぎません。今後超過負担の大きい単価差、数量差、対象差など補助負担基準について社会経済情勢の推移に即した抜本的改革を強く求めるものであります。  以上の理由から政府案に反対し、修正案に賛成する討論を終わります。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、政府提出地方交付税法案の一部を改正する法律案に反対、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党共同提案に係る修正案に賛成の討論を行います。  政府原案に反対する第一の理由は、地方財政の財源不足の一部を補てんする交付税譲与税特別会計借入金の二分の一の国庫支出のルール化をもって交付税法上の制度改正とみなすことはできないからであります。  本来、地方交付税制度は、政府が算定した基準財政需要額と基準財政収入額の差を補てんして、地方財源の保障と財源調整を行うことを目的とするものであり、その差が引き続き著しい場合には、地方交付税法第六条の三第二項は、地方行財政制度改正または交付税率の変更を行うものとすると規定しています。  この制度改正とは、財源不足をつくり出す原因となっている地方行財政制度を改め、その原因を取り除く制度の確立を指すものであります。  しかし、この改正案による措置は、昭和五十年度以来すでに三年間、毎年取り続けてきた地方交付税率引き上げの見送りと地方債振りかえ、特別会計借入金の二分の一国庫支出による一部補てんという従来の糊塗策の踏襲であり、そのルール化にほかなりません。これが何ら地方財政の財源不足の原因に手を入れ、その解決に役立つ制度といえるものでないことは明白であります。これをもって制度改正とする政府の態度は、地方交付税の財源保障機能と政府の責任を放棄するものと言わざるを得ないのであります。  また、暫定措置としてやむを得ないとの意見もありますが、従来の糊塗策の踏襲だけでなく、毎年自治省大蔵省との折衝で行ってきた交付税率の引き上げ要求さえできなくなることは明白であり、決して評価することのできないものであります。  反対理由の第二は、この改正案によるルール化が、同時に不足財源地方債振りかえによる一部補てんと連動しているからであります。  これは地方自治体の一般財源である交付税を特定財源化するものであり、本来、使途の自由であるべき財源を特定化することは明らかに地方交付税の本来の趣旨である地方自治の促進に逆行し、現行の国庫補助金制度と相まって、地方自治と財政自主権の侵害をもたらすものと言わざるを得ないのであります。  次に、わが党を含む四党の修正案について述べます。  本修正案は、地方交付税率を八%引き上げ四〇%とするとともに、五十年度以降に発行された減収補てん債及び財源対策債の元利償還については特例交付金で措置し、五十年度から昨年度までの交付税特別会計における借入金に係る元金の償還額についても、全額特例交付金で交付することにより国が負担することを主な内容とするものであります。  これは地方財源不足の補てんが基本的に国の責任に属するものである以上、きわめて当然の措置であります。  今日、地方財政の危機的状況はますます深まり、五十年度以降の大幅な財源不足は、五十三年度には三兆五百億円にも及ぶ事態となっています。こうした中で、不況下における福祉の充実、高度成長期に積み残されてきた生活関連施設整備など、住民の高まる行政需要にこたえるためには、地方自治と地方財政の確立こそ緊急の課題となっています。  わが党は、このために今後も積極的に奮闘するものであることを述べて、私の討論を終わります。
  242. 向井長年

    ○向井長年君 私は、民社党を代表して、政府提案の地方交付税法の一部を改正する法律案に反対、日本社会党初め、四党共同修正案に賛成の討論を行います。  地方財政危機はこれで四年目を迎えているわけでありますが、特に本年度の財源不足額は三兆五百億円という、これまでにない深刻な危機に直面をいたしております。  このすでに慢性化しております地方財政危機は一時的な現象ではなく、これが構造的矛盾に起因することは明らかでありますから、臨時的、応急的な当面の対策で解決できるものではなく、抜本的な対策を必要とするわけであります。ここに今回の地方交付税法の改正の大きな意義がなければならないのであります。  しかるに政府改正案は、過去三年間と全く変わらぬ借金依存、地方債依存という数字の小手先操作にとどまっており、政府地方財政の危機に対する認識と対策は全く欠如していると言わなければなりません。  地方交付税は、御承知のように地方の一般財源でありまして、税率の改定に当たっては、昭和四十一年以来の財政需要の拡大、地方債に振りかえられた公共事業等地方負担、あるいは国が地方を通じて実施してきた各種政策事業等を考慮して定めなければならないにもかかわらず、そうすれば四〇%の税率はどうしても必要になってくるのであります。  地方財政の危機に際し、地方自治体は借金財政に追われ、公債費比率は来年度以降さらに増加してまいります。中央に依存することなく、地方自治体みずからが財政を確立させていく余裕を与える必要があるのであります。  今回四党提出修正案地方一般財源の安定的確保を図る第一歩としての意義を有するものであることを申し上げて、私の討論を終わります。
  243. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、志苫提出修正案を問題に供します。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  245. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 少数と認めます。よって、志苫提出修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  246. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  248. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  望月君から発言を求められておりますので、これを許します。望月君。
  249. 望月邦夫

    ○望月邦夫君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案に係る地方財政対策強化に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    地方財政対策強化に関する決議(案)   現下の地方財政は、自主財源が長期にわたり著しく不足し、極めて憂慮すべき状況にある。よって、政府は、左記事項について、速やかに措置すべきである。  一、国及び地方自治体の行財政全般を抜本的に検討するとともに地方交付税、その他税源の再配分等についても所要措置を講じ、自主財源の強化を図ること。  二、地方交付税特別会計借入金の償還に係る国の負担制度については、地方交付税制度の基本に照らし、これが長期にわたることのないよう特段の配慮をすること。  三、地方交付税交付金財源については、国税収納金整理資金から、地方交付税特別会計へ直接繰り入れる制度を検討すること。  四、地方超過負担の解消のため、地方自治体との連絡を緊密にし、引き続き改善措置を講ずること。  五、起債については、さらに許可手続きの簡素合理化に努め、その弾力的運用を図ること。  六、人口急増および過疎地域対策は、長期間継続して実施する必要があるので、引き続き改善について検討し、内容の向上を図ること。  七、交通、病院、水道等地方公営企業の健全な発展のため、国庫補助制度の拡充を含む諸施策の改善を図ること。  八、地方事務官問題については、従前決議趣旨を尊重し、地方自治の本旨に従い対処すること。   右決議する。  以上でございます。
  250. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまの望月君提出決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  251. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、加藤自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤自治大臣
  252. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま御決議のございました事項につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  253. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会      —————・—————