運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-18 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      山崎  昇君     野口 忠夫君      渡辺  武君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君     委 員                 衛藤征士郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 野口 忠夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君    政府委員        警察庁長官    浅沼清太郎君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        警察庁警備局長  三井  脩君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        環境庁自然保護        局鳥獣保護課長  野辺 忠光君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○鉄砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、渡辺武君及び山崎昇君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君及び野口忠夫君が選任されました。     —————————————
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 改正案に入る前に少しお聞きしたいことがあるんですが、昨年の八十国会でこの法案については改正されておるわけですね。そのときの主なものは、モデルガン規制中心にやられておるんですけれども、このときの議事録を読んでみますと、自主規制が妥当ではないかという議論かなり強く出されて、しかし、どうしてもこの改正をしていかなければならぬという観点から、多数で可決したという経緯もあるんですが、この一年間にその効果がどの程度出されておるのか、この点についてまずお聞きをしておきたいと思います。  同時にまた、このモデルガン改正とあわせて一連罰則強化がされておるんですけれども、それとの関連であわせてひとつ教えていただければと思うんです。
  5. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  先ほど先生指摘になりましたように、第八十回国会におきましては、モデルガン規制と、それから不法所持等に関する罰則強化中心改正をしていただいたわけでございますけれども、その効果については非常に顕著なものがあるというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、昨年中に拳銃押収をいたしましたのが千三百五十五丁でございました。これは前年に比べまして二百九丁、一三・三%減少をいたしておるわけでございます。このうち特にモデルガンを素材とした改造拳銃は、昨年一年間で八百十九丁押収いたしております。これは前年と比べて百九十七丁、一九・三%というふうな大幅な減少となっておるわけでございます。これは一連警察取り締まり強化ということもございましたけれども、さきの国会におきましてモデルガン規制、それから一連罰則強化というものが改正になりましたので、この効果が大きく作用しているものであるというふうに考えておるわけでございます。また、先ほど自主規制の問題が出ましたけれども、確かに国会で審議の過程におきまして、自主規制をもう少し強化して、それによってやるべきじゃないかという御意見もかなり出たわけでございますけれども、私どもとしては、自主規制だけでは必ずしも十分でないということで、業界ともよく話をいたしまして法律改正お願いしたわけでございますが、その後、業界との関係も非常に良好でございまして、現在第三者機関をつくりまして自主的規制の面も推進をしていただいておるような状況でございます。
  6. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ちょっと私が聞きますと、先ほどの御回答では、非常に顕著な効果が出たというんですが、この法律が通って施行までの間にモデルガンの肝心な部分が大量に駆け込み販売というか、そういうことを聞いておるんですけれども、これはあったのかないのか、そういう事例が。そして、その際に一体どの程度駆け込み販売というのがやられておるのかどうなのか、その結果、この問題に対しての対策をどうしてきたのか、こういう点についてひとつお伺いしたい。
  7. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 法改正が行われてから施行までの間、駆け込み販売があったかどうかということでございますが、先生指摘のように、駆け込み販売かなりございました。そういうことで、警察といたしましては、業界の方に法の趣旨その他、十分に御説明をいたしまして、御了解をいただいて、自粛をしていただくように強くお願いをいたしたわけでございます。その結果、かなり駆け込み販売が少なくなったというふうに聞いております。ただ、この数がどれくらい出たかということについては、現在のところまだはっきりしたものが判明しておりませんが、そのときの状況等について現在も、今後の参考にもいたしたいと考えておりまして、調査をいたしております。
  8. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 一年間、モデルガンを含めて、銃に伴う犯罪というのはどういう状態ですか。
  9. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 銃砲を使用した犯罪でございますが、これは年々増加をいたしております。昨年一年間で、合計三百五十二件が発生しておりまして、五十一年は三百四十一件でございましたので、十一件の増ということでございます。そのうち、今回改正をいたします対象になっておる猟銃につきましては、ライフル銃がことしは四件、それから散弾銃が百二十二件発生をいたしております。これは昨年に比べまして、ライフル銃は同数でございますけれども散弾銃につきましてはかなり増加をいたしているような状況でございます。
  10. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、あなたがおっしゃったように、顕著な効果があったということにはなかなかなりがたいんじゃないかと思うんですが、かなり昨年の議論のいきさつから見て、一応状況だけにきょうはとどめます。  そこで、本法の問題についてお聞きしたいと思うんですが、昨年の改正の際には、覚せい剤患者規制というものが入ってないんですね。そしてことしになってこれが急に入ると、こういう原因というんですか、こういったものに対して、私ちょっと疑問を持つわけです。覚せい剤犯罪というのが、昨年まではそう大したことはなくて、そうして昨年、この一年間に急激にふえて、そのことからこういう問題を提起しておるのか、この辺について、実態を含めてひとつお聞きをしたいと思います。
  11. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  ただいまの御質問にお答えいたします前に、まあ銃砲を使用した犯罪が減ってないということは、前回の、第八十回国会における改正は余り効果がなかったんじゃないかという御指摘でございましたけれども、これは私、ちょっと御答弁が余り適切じゃなかったかもわかりませんが、拳銃について見ますと、昨年は減少しております。昭和五十一年が二百二十二件の発生で、昨年が二百七件の発生でございます。で、前回法改正拳銃についてでございますので、拳銃については一応、まあ若干ではございますけれども減少いたしておりますし、押収量大幅減少と相まって、一応の効果があったんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、補足してお答えを申し上げたいと思います。  それから、今回の改正覚せい剤中毒者許可欠格条項に入れた理由についてでございます。まあこれは先生承知のことだと思いますけれども覚せい剤事犯昭和四十五年ごろから急激に増加をいたしておりまして、昨年は二万三千七百六十五件、一万四千四百七人を検挙いたしております。これは、前年に対比いたしまして三五%程度増加してるということでございます。これをまあ八年間で比べてみますと、約二十倍以上増加しているというふうな急増ぶりを示しておるわけでございます。また、覚せい剤中毒者による犯罪も非常に増加をいたしておりまして、昨年一年間で、覚せい剤をめぐる犯罪が九百三十件、六百二十一人を検挙いたしておりまして、前年と対比いたしまして、件数で四〇・九%、それから人員で九・一%の増加となっておるわけでございます。こういうことから見まして、今回の法改正の中に覚せい剤中毒者を、まあ猟銃等許可の際の欠格条項に入れるべきであるということで、改正をするようにお願いをしておるわけでございますが、これについては最近、ただいま御説明申し上げました、覚せい剤事犯並びに覚せい剤をめぐる犯罪が急増したからということだけではないわけでございまして、これは、かなり前から警察庁としても、最近の覚せい剤事犯等の激増に対応するために、何とか覚せい剤中毒者をこの欠格条項に入れないかぬということを検討しておったわけでございます。で、これまでも、これ先生承知だと思いますけれども許可欠格条項の中に精神病患者あるいは心神耗弱者という条項がございますが、それによって覚せい剤中毒者も、解釈でこれに含めまして排除をしてきておったわけでございます。しかしながら、まあこれだけではやはり、覚せい剤中毒者というだけじゃなくて、やはり精神病患者あるいは心神耗弱状態にならなければこれが排除できない、もう少しやはりこれを明確にすべきであるということで、今回改正お願いすることといたしたわけでございます。
  12. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、ちょっとひっかかるんですけどね。大麻麻薬ですね、この関係は昨年の動向、いままでのこの動向の中で実態がどうあるのか、それもちょっとあわせて御報告願いたいと思います。
  13. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 麻薬大麻中毒者につきましては、現行法でも許可欠格条項になっております。  で、最近のこの麻薬並びに大麻事犯状況でございますけれども、昨年はかなり増加をいたしております。これはヘロイン等麻薬取締法関係でございますが、これは五十一年が百三十三件の八十四名を検挙いたしております。昨年は百八十一件、九十八名となっております。また、大麻取締法関係では昭和五十一年が八百七十一件、七百三十五名でございましたが、昨年は千六十四件、八百九十二名の検挙となっておるわけでございます。この麻薬大麻中毒者につきましても、これは犯罪を犯すおそれ、あるいは事故を起こすおそれが十分にあるわけでございますので、許可の際にこれを十分にチェックいたしまして排除することといたしております。また、許可の段階だけじゃなくて一年に一回一斉検査をいたしますが、その際にも発見に努めておる。また許可更新、これは五年に一回に現行法ではなっておりますが、その際にも厳しくチェックするようにいたしております。また外勤警察官巡回連絡を初めといたしまして警察活動のあらゆる場合に麻薬大麻中毒者発見に努めておるところでございます。現在どの程度麻薬大麻中毒者ということで排除しておるかということについて、ちょっとただいま資料を持っておりませんので、数字を御説明することはできませんけれども、しかしながら、麻薬大麻の場合と覚せい剤中毒者の場合を比較いたしますと、これは犯罪を起こすおそれというのは覚せい剤中毒者の場合が顕著でございまして、麻薬大麻中毒者については、それと比較して比較的弱いと、こういうふうに承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、危険性は相変わらずあるわけでございますので、今後とも中毒者発見取り締まりについては十分に配意をしてまいりたいと、このように考えております。
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、いま顕著というお言葉が出たんですが、覚せい剤患者で昨年犯罪を犯した者六百二十一名と言いましたですね。この中で銃砲刀剣と関連する犯罪というのはどの程度ですか。
  15. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 銃刀法関係につきましては、昭和五十二年、すなわち昨年は百五件の七十七名を検挙いたしております。これは前年と比べまして若干減っております。これは件数で一二・五%、それから人員で二六%の減少、こういうことになっております。  それからただいまの御説明は、いわゆる銃刀法違反関係について申し上げたわけでございますが、覚せい剤中毒者が銃を使用して行った犯罪というのはこれは昨年の統計が出ておりませんで、一昨年でございますが、十八件発生をいたしております。これは昭和五十年が九件でございますので、かなり大幅に増加しておるという状況でございます。
  16. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大体この実態がわかりましたが、大麻麻薬というのは銃砲刀剣規制にずっとされながら、昨年にモデルガンのいわゆる規制改正を入れてやった際にも、覚せい剤については入れなかったということは、逆に言えば覚せい剤規制というのは、その判別ですね、覚せい剤患者かどうかという意味で、いわゆる銃砲所持許可、認可の際にそういった問題について非常にむずかしい点があるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、そういった点があるなら、そういった点をひとつ明らかにしてもらいたいし、同時にまた私が疑念持つのは、犯罪なり覚せい剤患者というのは、四十五年からずっとこれあるわけですから、それがいまだに、ことしになって急に規制対象に入れなければならぬという理由がどうも腑に落ちない。そういった意味で、そこら辺の問題があるんじゃないかと思うので、あればそこら辺をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  17. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) まず覚せい剤中毒者認定基準についてでございますが、これにつきましては、先生指摘になりましたように大変むずかしい問題がございます。と申しますのは、覚せい剤中毒者であるという認定は、現行法麻薬大麻中毒者認定すると同じように警察認定することになるわけでございます。しかしながらこれには専門的な知識が必要でございますので、この法律にも医者診断書を持ってくることを条件にしております。そのほか警察の方でいろいろ調査をいたしまして、その調査結果とあわせて判断をすると、こういうことにいたしておるわけでございます。しかしながら何といっても警察は素人でございますので、どうしても医者認定に依存するということにならざるを得ないわけでございます。ところが現在では、これは厚生省の所管でございますけれども麻薬についての医者認定基準というのはこれは明確なものでございますが、覚せい剤についてはまだはっきりしたものは出ておりません。そういうことで、これが一番のよりどころになるわけでございますので、厚生省の方に早速基準をつくってほしいということを申し入れまして、たしか今国会の予算の中に調査費等が組み入れられているというふうに聞いておるわけでございますが、こういうものがはっきりした基準ができますれば、この認定も非常に容易になるということになるわけでございます。  では、現行法では、現在では全然できないのかということになりますけれども、しかしながら、これは一応現在でも認定は不可能ということではございません。と申しますのは、現在覚せい剤中毒者が自傷他害の疑いがある場合には、精神衛生法によりまして措置入院をすることができる。措置入院、いわゆる強制入院、俗に言えば強制入院でございますが、することができることになっておりますが、これが昨年一年間で措置入院をいたしましたのが二百六十八人になっております。また、自主入院をした者が三百六十九人、これを合計しまして六百三十七人ということになっております。このように、個々の医師の方でこのように覚せい剤中毒者であるということを一応認定して措置をしているわけでございますので、現行でも十分とは言えませんけれども、一応の認定はできるというふうに考えておるわけでございます。まあしかしながら、何といっても厚生省の明確な基準がどうしても必要でございますので、その作成の促進についてはなお努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、覚せい剤中毒者を今度の改正の中に急に入れた理由というものがどうも十分にまだ納得できないという御指摘でございましたけれども、先ほど申し上げましたように、覚せい剤中毒者許可欠格条項の中に入れたいというのは、これは数年前から検討しておった事項でございますし、また、今回改正お願いしておりますような内容につきましても、これも数年来の懸案になっているものがかなり多いわけでございます。これらは一度にできるだけ早い機会に改正をしたいと思っておったわけでございますけれども先生承知のように、一昨年、昨年にかけて暴力団対立抗争事件というものが非常に多発をいたしました。その際、銃砲、特にモデルガンの使用がかなり目立ったわけでございます。したがいまして、早急にモデルガン対策拳銃対策を推進しなければいけないということで、その一環としてこの拳銃にしぼって前回法改正お願いしたわけでございまして、本来ならばこの覚せい剤中毒者を排除するというものを含めて、今回お願いしているものを、一連のものをお願いすべきであったわけでございますが、この暴力団対策というものがいわゆる急がれたということで後先になったというような状況でございます。御了解いただきたいと思うわけでございます。
  18. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、覚せい剤判定というのは、非常にむずかしいと思うんですね。だから、いまあなたのお話を聞いておっても、厚生省判定基準を早急につくってくれるように頼んでおると、要請していると、こう言われているように、むしろそういったものを確かめた中で、法律改正をやるというなら話は順序としてわかりますけれども、そういう意味合いでこの判定の問題について私お尋ねしたんですけれども、たとえば先ほどの覚せい剤犯罪が出ておりますね。その中で、先ほどの説明を聞きますと、銃を使っての件というのが十八件ですか、それからこの法律に準拠するような事件が百五件ですか、こういうお話がございましたが、一体この覚せい剤事件を起こした六百二十一人の中で、いまあなたがおっしゃったように強制入院もしくは自主入院経験者とか、そういう現行の中における認定ですね、そういったものが一体どの程度おるのか、その中に。恐らく私は少ないんじゃないかというような気がするんですけど、その点はどうなんですか。
  19. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 先ほど御答弁の中に申し上げましたこの覚せい剤をめぐる犯罪あるいは覚せい剤中毒者銃砲を使った犯罪について申し上げたわけでございますが、その中に覚せい剤中毒者として措置入院等をやった者がどの程度含まれておるかということでございますが、これにつきましては現在特別調査をいたしておりまして、まだはっきりした結果が出ておりませんので、御答弁申し上げることができないわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
  20. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 たとえばこういう人もあるわけでしょう。覚せい剤で入院して、そしてまあよくなって退院したと、その結果所持の申請をすると、銃砲刀剣のですね。そういう人もおるだろうし、逆に銃砲刀剣許可をもらって覚せい剤患者になる人もおると、こういう事例もあると思うんですが、そこら辺はどういう判断を必要としておるんですか、そういった問題については。
  21. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 確かにただいま御指摘になりましたように、覚せい剤中毒者ということで措置入院等をやって、退院した後また犯罪を犯すと、こういう者も一応あるものというふうに考えております。しかしながら、私ども現在特に問題にいたしておりますのは、覚せい剤中毒患者犯罪を犯した場合、この場合は精神病患者あるいは心神耗弱者ということになりますので、検察庁に送致いたしましても、これがなかなか起訴にならない。いわゆる起訴猶予処分になる、あるいは公判になっても判決でかなりの減刑をされるというような状況でございます。で、これが起訴されないということになりますと直ちに釈放になるわけでございますが、これが釈放になってそのまま野放しになるということが大変危険なわけでございますので、検察庁の方とも相談をいたしまして、できるだけ措置入院措置をとるように都道府県の方に連絡をしているわけでございますが、しかしながら現在は、精神衛生法での措置入院でございますから、単に覚せい剤中毒者ということでなくて、さらにプラスの自傷他害の疑いがあるということでなければ措置入院ができないわけです。したがいまして心神耗弱者ということで釈放になる。ところがなかなか現在の精神衛生法に言う基準に当てはまらないということで措置入院もできない、そのまま帰されてしまうというケースがこれかなり多いわけでございます。そういうことで、私どもといたしましてはこの覚せい剤中毒者であれば直ちに措置入院ができるように、そのほかに自傷他害の疑いというものがなくても、中毒者であるということだけで措置入院ができるように何とか法改正してほしいと、これも厚生省の方にお願いをしているわけでございます。これはこの麻薬中毒者につきましては、麻薬取締法でもう中毒者であれば直ちにこれは強制入院させることができるということになってかなり効果を発揮しているわけでございます。そういう面の手当てをするようにも一応努力をいたしておるわけでございます。  それで、また次に銃を持ってから中毒患者になる、覚せい剤中毒者になるということがあり得るじゃないかということでございますが、これはもう確かにそのとおりでございます。したがいまして、私ども許可更新、これは先ほど申し上げましたが、五年に一回になっておりますが、この際に十分に審査をする。今回の改正でそういう者をできるだけもっと早く発見するようにということで、更新期間を三年にということでお願いをしておるわけですが、そういうことで発見をしていく、あるいは一年に一回の一斉検査の際に発見をするようにいたしたい。  それから、これも先ほど申し上げましたが、外勤警察官巡回連絡を初めといたしますあらゆる警察活動の中で、そういう中毒者発見をいたしまして、そういう者が発見された場合には、銃を所持しているかどうかということを必ず照会をする。特に暴力団を検挙いたしました場合には、そういう者が銃を持っていないかどうかということを照会をして、そしてできるだけ早くそういう中毒者発見するように努めておるところでございます。今後ともそういう面についてはできるだけ力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  22. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、やっぱり判定が非常にむずかしい、あなたのお話聞いてみても。したがって厚生省基準を要請しておるし、所要の法改正お願いしておるというようなお話なんですけれども、これはその基準ができたら、ひとつ私の方にいただきたいと思うのですけれども、こういった現在の銃の所持者の中で、覚せい剤患者認定される人がどの程度おるのか、その点についてはおわかりになりますか。
  23. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在銃砲等所持している者で、覚せい剤中毒者がどれくらいいるかということでございますが、これは皆無ではございません。と申しますのは、先ほども申し上げました更新の際、あるいは一斉検査の際、あるいはそのほか事件検挙をして、銃を持っている者が中毒者であったということを発見するケースがあるわけでございます。これは現在発見している数は比較的少のうございまして、五十年に二件、五十一年に三件ということでございます。私どもはこういう数ではない、もっと多いのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう者の早期発見については今後さらに努力する必要があるというふうに考えております。
  24. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は覚せい剤患者が、この中に、規制対象に入ることについて反対ではないのですけれども、問題は、いま言ったように、御報告いただいたように非常に判定がむずかしい。そしてここら辺の対応というのは慎重でなければ、基本的人権そのものを侵すようなことにもなるんじゃないかというような気がするのです。そういう意味合いで、幾つか御質問申し上げたんですが、いま事情は大体わかりました。  そこで、覚せい剤関係については、先ほどの資料提出を含めて、また今後にひとつ残したいと思います。それから先ほどから再三ここに出ております所持許可を五年から三年に縮めたのは、いわゆるこういった患者その他の発見を容易に、短期にやっていきたいという意思だということが話されたのですが、五年でできなくて三年でできるということはどういう理由ですか。
  25. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) これは相対的な相違でございます。許可更新をいたします際には、人的要件についてもさらに調査をするようにいたしております。したがいまして、その調査の過程で銃を持ってから中毒者になった者を発見することができる場合があるわけでございます。したがいまして、五年でこの調査をするよりは、三年で調査をした方がその分だけ早く発見することができるということでございまして、実際これまでの例を見ておりますと、この許可更新、いわゆる許可証の有効期間ということになるわけですが、これが三年であったならば、このような犯罪は防げたのではないかというふうな凶悪事件かなり目立っております。そういう事例も踏まえまして、今回許可証の有効期間の短縮もあわせてお願いするようにいたしたわけでございます。
  26. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ついでにお聞きしておきたいと思うのですが、こういう許可申請ですね、こういったものについては、たとえばクレー協会とか、こういういろいろな協会がございますね、そういうところを経由して申請をするわけですか、県の公安委員会に。もっと言うと、その会員というものは強制的なのですか、会員に入らなければ事実上許可が出ないというような仕組みなんですか、実際運営は。そこら辺についてひとつ。
  27. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 新規許可等の許可申請について、ライフル協会とかあるいはクレー射撃協会とか、そういうところを通じて手続をするのかというお尋ねでございましたけれども、そういうことはございません。これは法的な義務づけもございませんので、御本人が直接警察に届け出をしていただければ結構でございます。現状では、ライフル協会だけが協会の方でまとめて許可申請をしているようでございますが、その他はそのような事務は取り扱っておりません。また、このような団体はあくまでも任意団体でございまして、法に基づいてつくった団体ではございませんので、法的な権限もございませんし、また会員としての法的な義務というものはないわけでございまして、あくまでも自主的団体で任意のものでございます。
  28. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今度の改正の中のもう一つの特徴なのは、いわゆる技能検定だとか教習であるとか、そういったところがかなり出されている。これは、まあ言うなら、猟銃なりの所有者が、初期の者だと思うのです。未熟で事故を起こす、その反省の中から出されておるのではないかという気が私はするのですが、実際数字の中でそういう実態が出ておるのですか。
  29. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 猟銃等による事故でございますけれども、これは昨年は前年に比べて五年未満の者の事故は減少いたしております。しかしながら、三年以下につきましては、これは若干増加をしているわけでございます。これは先生指摘になりましたように、最近の猟銃事故等を見ておりますと、経験未熟な者の事故がかなり目立っておる。これも単に経験年数が何年というだけじゃなくて、猟銃等を持って相当数たっておる者でも、いわゆる初歩的なミス、基本的なミスというものが目立っておるわけでございます。そういうことと、それからこれまでは比較的兵隊の経験等で銃の操作等にはなれた人がかなり多かったわけですが、これからはそういう兵隊の経験のある者は非常に少なくなるということで、猟銃等許可をもらって初めて猟銃を持つという人たちも多くなってくるわけでございますので、そういう状況を踏まえまして、今回の射撃検定あるいは教習射撃の制度を新設したわけでございます。
  30. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それと関連して何か保安協会か何か、そういう新しい協会をつくるという動きがあるんですか。
  31. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在業界の方の動きの中では、公安委員会が指定いたしております指定射撃場というものがございます。これは全国で現在六百十七ございますけれども、そういう人たちがこの機会にひとつ射撃場協会の全国的な組織をつくりたいという動きがございまして、現在各地区の発起人会を終了いたしまして、近々全国の連合会の発起人会を開催するように予定をしておられるようでございます。そのほか保安協会というお尋ねでございましたけれども、現在数府県に保安協会というものがございます。しかしながら、これについては現在全国的な組織をつくろうという動きはございません。
  32. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その全国的な組織をつくろうというのはどういう業界ですか、協会ですか。同時に、この改正を機会につくるというわけでしょう。そうしますと、そこにたとえば業務委託とかいろいろの関係出てくるんじゃないかと思うんですが、その点はどういうふうな考え方ですか。
  33. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在この全国的な組織をつくろうとしておりますのは、先ほども申し上げましたように、現在公安委員会が指定をいたしております射撃場というのが全国で六百十七ございます、これらの人たちがこの際全国的な組織をつくりたいということで、その作業を進めておられるわけでございます。この名称はまだ仮称でございますけれども、全国指定射撃場協会連合会という名称でございます。これは今回の法の改正を契機としてということを申し上げたわけですが、これは前々から一部の人の間では、六百十七もあって全国的な組織がないというのはおかしいじゃないかということで、つくりたいという希望はあったわけでございます。ところが、なかなか全国的に盛り上がりませんで、今回新たに教習射撃場というものを、制度を新設することにいたしましたが、これを機会にひとつつくりたいということで急速に具体化したわけでございます。これは新法、今度の改正法との関連でございますけれども、これは特に大きなものはございません。それというよりはむしろ現行法の指定射撃場という関係での関係を基礎にしているわけでございまして、強いて今回の改正との関連で申し上げますと、今度新しくつくります教習射撃場で一定の基準の教習をいたします。したがいまして、この教習に使うところの教本をつくるとか、あるいは警察からのいろいろ要望というものを伝達する、こういう役割りを果たしてもらえば私どもとしても大変ありがたいというふうに考えておるわけでございます。
  34. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ここに交付金であるとか補助金とか、そういう関係はないんですか。
  35. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在、組織としては社団法人ということでつくる準備をいたしております。警察としては現在これに対して特別、補助金だとか助成金を出していくということは考えておりません。
  36. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 環境庁来てますか。——日本猟友会というのございますね。日本猟友会の現状というか、特に業務の委託関係を含めてちょっと説明していただきたいんですが。
  37. 野辺忠光

    説明員(野辺忠光君) 全国段階には大日本猟友会というのがございますが、この大日本猟友会には環境庁からは委託業務でございますとか補助金は一切ございません。また各県の段階では、大日本猟友会の構成メンバーでございます地区、県単位の猟友会がございますが、これには指導者講習会の開催に関する事務の一部でございますとか、あるいはまた有害鳥獣駆除等の実施につきまして若干の事務を委託いたしております。また、猟区の事務の一部を委託することができることになっておりますが、これについては委託されておる例はございません。またこのほか、火薬類等の無許可譲り受け法の交付事務を都道府県段階での猟友会に実施さしております。  以上でございます。
  38. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この猟友会が、たとえば支部で分裂したとか、そういった問題か起こって、いろいろな混乱が起こっておる。それからまた、その混乱が起こってきておるというのは何かといえば、たとえば火薬にしても、いま申し上げたようにいわゆる銃の所持許可申請の場合も、猟友会に入ってないとなかなかうまく許可がおりないとか、そういうことの利権と絡んで混乱が起こっておる事例があるんじゃないんですか。
  39. 野辺忠光

    説明員(野辺忠光君) ただいま御指摘の火薬類等の無許可譲り受け法の事務でございますが、これは会員であると否とを問わず、その地区に住んでおられます方から申請がございました場合には、分け隔てなく事務を取り扱うようにという指導をいたしておりまして、若干一、二の例としてそういったような混乱があったということも聞いておりますけど、その後内部的に団体の中でいろいろお話しをされまして円滑に解決された、そういうふうに聞いておりますので、今後におきましてもそういうことがないように指導してまいりたいと思っております。
  40. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、私が心配するのは、たとえば全国的なこの保安協会とか、こういう組織ができるのはいいんだけれども、まあ言うならば、警察の方も人手が足らぬ点もあるだろうし、そういった業務の内容に詳しく精通するということが日常的にむずかしいということで、ついつい委託とかそういうかっこうのものがだんだん協会の方に移って、そして先ほどお話しあったように、猟友会の中でも出ておりますように、必ずしもそこに人の集まりの中に円満にいくとは限らぬわけですから、たとえばそこの会長とけんかしたとかなんとかいうようなかっこうで、そのために不利益が起こってくる。いま、猟友会の場合にはそういうことについては仮にそういう事態が起こっても法の中における不平等性はない、こういう御説明がありましたし、今後そういう指導をやっていくということですが、こういったものについてはどういうふうに考えておるんですか。
  41. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 確かにただいま御指摘ございましたように、全国的な組織をつくるとしても、その中に利権的なものが介在いたしますと、どうしても対立関係が生まれてくるということになりがちでございます。そういうことになりますと、このような組織ができるということがかえってマイナスであるわけでございます。私どもといたしましては、今回の指定射撃場協会の連合会ができましても、あくまでも自主的に運営する部分についてはお願いするということであって、特別に法律に基づく権限を与えるとか、あるいは委任をしていくとか、そういうことがないように、むしろそういう対立の火種を与えるようなことをしないようにということを配意すると同時に、適正に運営されるように指導をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  42. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 環境庁の課長に私からもお願いしておきたいんですが、いま今後の指導に努力するというお話でしたけれども、いまおたくの手元にそういう問題というものが、大阪周辺から出てないですか。
  43. 野辺忠光

    説明員(野辺忠光君) 昨年のある時期にそういうことがあったということを聞いております。
  44. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それはどういう指導をやりました。
  45. 野辺忠光

    説明員(野辺忠光君) これにつきましては、猟友会内部の問題でございますので、団体で自主的に解決されるというのが最も好ましい方法でございますが、私どもの方から大阪府に対しまして実情をお聞きしますと同時に、できるだけそういったような問題が不平等とかなんとかというようなことにならないようにということを含めまして、よく指導いたしていきたいということで、そういった旨を伝えてございます。
  46. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その点ひとつさらに追跡を含めてお願いし、できればひとつ結果を私の方にお願いしたいと思うんです。結構です。環境庁、どうもありがとうございました。  警備局長がお見えのようでございますから、成田の問題について二、三御質問申し上げたいと思います。  十七日に、警備会議がございましたですね、現地で。どうですか、五月の二十日開港について確信が持てましたですか。
  47. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 五月二十日の開港に向けましてこの警備が万全の体制で行われるように打ち合わせた次第でございます。
  48. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 けさのテレビや新聞等でも報じられておりますが、反対同盟の方は政府との話し合いに、たとえば開港日の延期であるとか、三つですか、条件がついていますね。非常に厳しい環境に私はなっておると思うんです。こういう中で開港をやっていくということになると警備一本でこの安全な運航ができる、そういうような確信を持っておるわけですか。
  49. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 当面の開港及びその前後の問題といたしましては、前回の経験にかんがみましてこれを十分に踏まえて私たちといたしましては運輸省、それから公団当局の行います物的、人的防護体制の強化と、われわれ自身の警備の中のやり方についての、一段と細密なといいますか、やり方によってこれは処理をしてまいる、これについては万全の体制で臨むということでございますが、相手に極左暴力集団がおることでありますから、法を無視しても違法行為をやるという目標を掲げ、かつそれを暴力的な行動によって実施をするという存在があるわけでありますので、これが、その目的は何であれ違法行為に訴えない、それぞれの主張はもとより自由でありますけれども、法を無視し、暴力によってこれを実行するということについては厳しく私たちは取り締まらなければなりませんが、同時に世論による厳しい批判というものが一番大事であろうと、これが基本でございます。そういう意味におきまして、私たちは開港後の警備体制、恒久的な警備体制についてもそれぞれ検討を加えておるところでございますけれども、一番の基本は多くの世論によって彼らの暴力的な行動は認められておらないんだということが彼ら自身がわかってくるということが、恒久的な問題として一番大切だというように考え、そういう方面につきましては私たちのできるところはもとより私たちがやるわけでございますけれども、各方面の御努力お願いをするということで努力をしておるところでございます。
  50. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 やはり警察としてはなかなか言いづらい面もあると思うんですけれども、基本はやはりこれから長くこの開港後の展望についても地元の完全な理解ができてないと、警備だけであの空港を守っていくとか、それに輪をかけて新立法でやっていくとか、そういうことだけでは私は律することはできないんじゃないかと思うんです。そういった点を、まあ局長は現地に入ってより一層私は感じたんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  51. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ああいう土地柄といいますか、ああいう地域でございますし、空港という大きな施設でございますので、これの警備の万全を期するのはわれわれの任務でありまして、ただいま申しましたような経験を十分に踏まえて漏れがないか、盲点はないかという点についてはわれわれ専門の立場で十分に詰めてきておるわけでございます。そういう意味で、当面の開港ということはわれわれ十分自信を持ってこれに対処いたしますが、長い将来、恒久的なことということになりますと、多くの警察官をあそこに配置をしてというようなことは、いまの応援体制を長く続けるという意味でございますが、これは必ずしも通常の状態でございませんので、応援が要らない体制で措置をするというのが普通の体制でございます。そういう状態に速やかに持っていく、できるだけ早く持っていくということにつきましては、そういう極左暴力集団等の空港反対は反対であっても、これを世論に訴えるというような民主主義的な方法を用いるべきでありまして、法を破ってまでこれを行うということは許さるべきではないということについて、彼らが思い至るにつきましては、世間から、とりわけ警察はもう取り締まるのは仕事でございますけれども、まあ警察以外の一般の世論といいますか、一般の報道といいますか、世間からそれは間違っておるというようなことが盛り上がり、そのことが彼らに自覚といいますか、を促すというようなことが、迂遠なようでも基本的には一番大切なことだと、こういうように考えておるわけでございます。
  52. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたのおっしゃる世論というのが、四月十五日の読売新聞の中に出ていますね。早期開港に賛成が一七%、そうして、多少おくれても将来を含んで安全な対策、安全という、私はこの安全という意味は、完全に地元から理解されて、そうしていまあなたがおっしゃったように、警備をしなくてもいいような、安心して国際の旅行者を迎えたり送り出したりできる、そういった安全なものを求めておるのが五四%、こういった数字が出ておりますし、それから警備についても、新法を望むというのが、新法でその安全性を守れというのが二五%、現行法の範囲内でひとつ守るべきだというのが三五%、こういう数字が出ていますね。これについて現地を、その警備会議を含めて、感じた感想を伺いたいと思うんです。
  53. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいま数字をお挙げになりましたが、私たちが注目しておりますのは、その中の第一は、「開港か廃港か」というテーマにつきまして、廃港にすべきだというのは一〇%程度、あとの七一%は開港だと。ただ、いまおっしゃったように、早期開港と時期的に多少おくれても開港というのが五四%ありますが、七一%——まずこのような世論調査におきまして、七一%というのは大勢をあらわしておると思いますけれども、これはともかく開港すべきであると、こういうふうに言っておるという点は、世論の大勢を示すものとして心強く感ずるわけでございます。  第二点は過激派の問題でありますが、われわれの言う極左暴力集団に対しましては、反対運動であっても限度を守るべきだというのが四八%ありますし、何はともあれ、ああいうような過激行動は絶対に容認できないというのが二八%で、この両方を合わせますと七六%と、まあ八割近い人たちは過激派についてはこれを容認しないということを明確にしておると。こういう二つの点につきましては私たちは大変勇気づけられるといいますか、現地におる警察官も大いに士気をバックアップするという意味では、大変これはいい結果が出ておるということで勇気づけられると思うわけでございます。  第三番目の警備のやり方の問題につきましては、いまおっしゃいましたように、新規立法、内容は一般的なものと成田に限定した立法という二つがありますが、新規立法をすべきだと、それによって規制すべきだというのが三六%ですから三分の一強ということになりますし、また現行法の活用、それから警備方法の工夫といったような、新規立法によらない方法でやるべきだというのは三五%ということでありますから、これは半々と、こういうことでありましょう。そういう意味におきまして、三番目の警備のやり方というのは方法論でございますから、方法論におきましては、新規立法と現行法の活用という両方でやれというのは大体同数で両方に分かれておると、こういうふうに考えるわけでございます。  この点私たちの考え方といたしましては、当面の開港警備、これを万全の体制で乗り切るということにつきましては、新規立法でなくて現行法の活用でやっていくと。ただ、先ほども申しましたように、恒久的な体制ということも考えますと、全国各県からの警察官の応援という警察法に規定のある措置でございますけれども、これは臨時といいますか、そういう特別の措置を法に認められた範囲でやるということでございますので、恒久的な体制としては、そういう臨時の応援というものをもらわないで、当該県警察が独自で自力でやっていく、こういう体制をつくることが望ましいわけでございます。そういう意味におきましては、新規立法も恒久体制をつくる中ではこれは大変望ましい、こういうような考え方でおるわけでございまして、この新規立法云々についてのこの世論調査が二つに分かれておるのも、当面はなくてもいいが恒久的にはあった方が望ましいというわれわれの考え方ともあるいは一致しておるのだと、こういうふうにも感ずるわけでございます。
  54. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたの分析というか、これは非常に読み違いが多いんじゃないかと私は思うんですよ。たとえば開港に賛成が七一%ですね。これは私は、ここまで来た以上開港していかなきゃならぬじゃないかというのは、それは国民の大勢だと思うんですよ。ただ問題は、安全性を抜きにして開港をとにかく急げ、五月二十日で急げと、こういうものに対しては明確に一七%が支持をしておるんであって、これは五月二十日ということが決まった後にとった世論調査でしょう。そうすると、言うならば、五月二十日については一七%の支持しかない。むしろその五月二十日が多少おくれても、警備に頼って空港を開くようなことでなくて、本当に日本の玄関口としての安全性が守れるような、そういう空港の開港をすべきだというのが、私は過半数を超えておる五四%の意見だと思うんですよ。  なぜ私はここら辺を強調するかというと、やはりどうしてもいまの政府の姿勢を見ると、警備が万全でありさえすれば空港は開けるというような発想を持っておる。しかし、あなたがさっきおっしゃったように、いまの現状は異常だと、いわゆる警備で空港を開くような状態というのは異常だと、こういうあなたは説明なさっておるわけでしょう。その異常な状態に対する国民の批判というのが五四%ですか出ておるわけです。ここら辺私は、警備を担当する者として、責任持つ者としてやっぱり率直に内閣に対してきちっと言いわけしないと、まあ、あなたの場合には、今度の三・二六のときに若干ミスがあったと、警備上、そういう負い目があるかもしれません。だからそのミスを今度なくして完全にやっていくんだということの姿勢があるかもしれぬけれども、しかし、これは三・二六でミスがあったというのは、警察としてもやっぱりいろいろ訓練をして、そうしていろいろな目配りをして万全を期したつもりが結果的にはミスの面が出てきたと、後で。逆に言えば裏をかかれた部分が出てきた。私は今度五月二十日にそういう事態が再現しないとは限らないと思うんですね。また起こるかもしれない。問題は、やはり基本はそういうことじゃなくて、あの空港を日本の玄関口として全国民がそれをやっぱり認めるような、もっと言うと、地元の人たちがそれを認めるような、そういった問題の方向に政府全体の方向を変えていかなきゃならぬと私は思うんです、いま一番大事な点は。あなたがおっしゃるように、安全性を守る意味から見ればそういうこと言えるんじゃないかと思うんですが、そこら辺はひとつ警備当局としてきちっと私はやっぱりしないと、間々自民党の空気を見ますと、自民党の中でも新立法でやればできるんだという発想があるように私は新聞で見受けております。また政府もそういうことに乗っておるような感じがするわけです。しかし私は、新立法つくったからといってそれが律せられるものじゃない。律せられるなら今日この十二年間の中でもいろいろな形の中で努力なさってきたんですからできると思うんです。ですから、そういう意味合いのことはやはりせっかく現地で警備会議を開いて五月二十日に向けての一切の点検を行い、体制を整えたと思うんですけれども、ここは大事なところですから、あなたのやはり本当の気持ちを含めてきちっとした意見を出してもらいたいと思うんです。
  55. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 問題を、当面の問題と長期恒久的な基本問題というように観点を分けて私たちは整理をし、考えていきたいと思うわけでございますが、当面の開港という点につきましては、いまお話のように、この世論調査による早期開港という意味は、もう五月二十日をも含めての意味であることは明瞭でありますけれども、多少おくれても開港という点についての意味が、それをさらにどの程度に考えておるのかという点は必ずしも明瞭でないように思うわけでございます。まあしかし、いずれにいたしましても、開港をするということについては多くの世論がこれを支持しておるということを私たちは踏まえまして、そのやり方につきましては十分に検討を加えていくと。幸いといいますか不幸でもあったわけでございますけれども、大変大きな経験をしたと、こういうことでございますので、警察的、警備的にはこの経験を十分に分析検討を加えると、また当面の空港当局、公団当局もまたこれについての経験に立った今後の改善策というものに力を入れておりますので、この両々相まちまして当面の開港については、私たちは十分の自信を持ってこの警備をやり遂げるという考え方でございます。  なお御指摘のように、将来の問題ということにつきましては、やはり恒久策といたしましてはきわめてノーマルの状態に、しかもできるだけ速やかに持っていくというのが大切なことでございますので、この辺につきましては単に警備的なサイドだけの問題でなくて、もっと広く各般の関係から打つべき手は打っていくということは必要だと思います。ただ警察として警備的な観点ということには万全を期するわけでございますけれども、先ほど申しましたような応援体制ということになれば、これはまた臨時の体制ということでありますので、これを恒久的な体制にするための警察的な側面からのやり方というようなものを検討しておるわけでありますが、さらにおっしゃるように、広く警察以外の万般の角度から手を打っていって、できるだけ早くノーマルな状態、正常な状態に持っていくということについての努力については、私たちが警備を担当するという角度から見て気のつくところ、あるいは何といいましても警備というのは形にあらわれた現象面の処理ということにどうしても中心が行きますので、そのもっと根源的なものに対する対策というものが何といっても大切でありまして、つまり警察の出番を待つまでもなく、そのもっと前の段階で問題の根源を処理されていくというのが理想でございますけれども、現実の問題としては両々兼ね合いの中で事が処理されるということであろうと思いますので、われわれとしても警察の分野並びにそれを越えた点についてわれわれの気づいた点、意見というようなものも十分に関係のところに反映しながら、トータルにおいて安全な空港が一日も早く実現すると、こういうふうに努めてまいりたいと考えるわけでございます。
  56. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 警備局長、これ以上言うてもなかなかあなたの立場にあると言えぬと思います。本来なら運輸大臣にこういう点を聞かなきゃならぬと思うのですけれども、ただ私は三・二六の事件がひとつ契機になったわけですけどね。やっぱりいまの地元の体制の中では、これは三・二六が五・二〇に日にちが変わるということであって、いかにミスが今度ないような警備体制をしけば、若干の程度はあってもそこには限界がある。同時にまた、この地元との問題が解決して、そして理解が完全にいかない限り、私は将来にわたって不安が残る、この空港は。そういう意味合いで重大性を含んでおると思うのです。ただ、いまの政府の動向なり自民党の新立法の動きを見ると、やはり権力で仰えていきさえすれば、この問題は道が開けるんだというような、こういう姿勢がある。その根底はやはり警備当局の責任ある発言がないというところに私はあるんじゃないかと思うのです。いまあなたがおっしゃった、この後段の言いにくい部分ですね。判じ物みたいな言い方をしよったですけれども、そこの部分を私は明確に出すべきだと思うのですよ。特別に警備隊をつくってみてもそこには限度があるはずです。ですから、限度があることについてできるだけ五月二十日までにこの問題ひとつ政治的な解決をしてもらいたいということはきちっと言わなきゃいかぬ。この世論調査を見る見方にしても、いまあなたのような見方をすれば、やっていけるという判断をするでしょうから、そうじゃなくて、やはりこれは四月の九日にやられておるわけですね、世論調査は。ですから、いわゆる五月二十日というのが決定した後で、十分に国民が判断する時間を置いた上でやられているわけです。その結果、五月二十日を多少おくれても——多少おくれてじゃなくて、当然そういうことから見ると、五月二十日、多少おくれても安全性をひとつ確保してもらいたいというのが国民の世論の過半数を超えているというこの事実、こういった問題を私は警備の中からでもきちっと整理をして、政府に正しい判断ができる提起をすべきだと思います。まあこれ以上あなたにこの問題でお聞きしても限界があると思いますので、一応私の質問は時間も参りましたので打ち切りますけれども、ぜひそういう点を、いわゆる政府の政策決定に生かすように、あなたとしてのひとつ役割りを果たしていただきたいということをお願いして終わります。
  57. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  58. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 先ほど佐藤委員からいろいろと銃刀法の改正についてお尋ねがありましたが、私は、これに関連をして、いわゆる右翼や暴力団銃砲店とのかかわりがいろいろと取りざたをされておることにかんがみまして、当局では、何かその種の情報を得ているかどうか、あるいは調査したことがあるか、これらの点についてお伺いしたいんですが。
  60. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  銃砲店と右翼あるいは暴力団との関連についてでございますが、銃砲店の許可は、御承知のとおり、通産省が武器等製造法に基づいて行っておるものでございます。警察といたしましては、現在、御指摘の右翼、暴力団と常習的暴力行為を行っている者が銃砲店を開いておるということは把握をいたしておりません。しかしながら、銃砲店は大量の銃砲を取り扱うものでありますから、警察としては従来から重大な関心を持っておるところでございまして、今後とも主管官庁である通産省との連携を強化いたしまして、このような者が銃砲店を開くというようなことのないように努めてまいりたいと、こういうように考えておるわけでございます。
  61. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、ちょっと視点を変えますが、暴力団とは言いませんが、名のある右翼が銃砲店の経営にかかわりを持っているとか、持ったとか、そういうことはありますか。
  62. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在のところ私どもといたしましては、名のある右翼とか暴力団がかかわりを持っておるということについては承知をいたしておりません。そのような情報があれば、私ども調査をするのにやぶさかでないわけでございます。
  63. 志苫裕

    志苫裕君 銃砲店が全国的にチェーン店になっているのはありますか。
  64. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) この事項は通産省の所管に属しますので、はっきり掌握いたしておりませんけれども、チェーン店が一部あるという話は聞いております。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 その話は聞いておる、私も話を聞いておるんでありますが、いまもし、きょうでなくても結構ですが、通産省等とも当たりまして、チェーンになっておる店などがわかりましたら、調べて結果が得られたらひとつ御報告いただきたいと、こう思うのです。  昭和五十二年十月二十五日、読売新聞夕刊によると、これは政治経済日の丸評論社ですか、某右翼団体がハワイで射撃訓練を行ったことが大きく報道されておりますが、これについて事実を確かめたことはありますか。
  66. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) この読売新聞に載った特定の事実について調査はしておりません。  ただ、現在ハワイを中心暴力団等の進出が非常にはなはだしいと、激しいということで、こういうものに対する対策を一応考えなきゃいけないんじゃないかということで、アメリカ等とも一応話し合いを進めてきているところでございます。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 それは結構なことですが、何かこの写真によりますと、現に実弾射撃訓練をしておる。果たしてハワイでやっているのかどこでやっているのか、だれのものやらわかりませんが、もしこういうことが行われるとすると、ハワイというところはそんなことの簡単にできる場所かどうか知りませんが、いかなる拳銃を使うものやら非常に問題の多いところなので、いませっかく答弁がありましたから、日本でできないからというので、そういうところで腕をみがいて別のルートで手に入れて暴れられたらたまったもんじゃないという気もいたしますので、その辺はひとつ詳細に事実関係調査や日ごろの探索を怠らないように要望しておきます。  成田のいわゆる千葉県警の空港警備隊、取りざたされておりますので以下長官を初め皆さんにお伺いしますが、いわゆる報道されております千葉県警空港警備隊と言われるものについてその発想方法、どういう発想であったのか、いろいろ検討があったんじゃないかと思いますが、その発想とか検討のいきさつ、経過あるいはいま考えられております構想といいますか、内容、そしてそれらの法的な根拠あわせて一括、概略でよろしゅうございますが、長官からでもお答え願えませんか。
  68. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいまお尋ねのございました千葉県警察の空港警備隊でございますが、これは言うまでもなくこのたびの国際空港の恒久的警備に当たる部隊として、千葉県警察の意向を十分に徴しながら設置することが決定されているものでございます。その背景は申すまでもございませんが、国際空港を廃港に導くための、廃港を目途としての極左暴力集団の間断なき不法行為、凶悪な法越軌行為、ゲリラ行為が行われておるわけでございます。これにつきましては、従来警察庁としましては全国都道府県警察からの応援援助によって警備に当たるということにいたしてまいったわけでございますけれども、過般の管制塔襲撃破壊事件にかんがみまして、恒久的な警備体制を国際空港を管轄する千葉県警察に置く必要があるのではないか、空港警備のためだけのそれを任務とする部隊を置く必要があるのではないかということを、千葉県警察の意見を徴しましてその必要性を感じたわけでございます。その結果、政府要綱四月四日に出されました新東京国際空港の開港と安全確保対策要綱におきまして空港内外の警備に万全を期するため、空港警備隊を設置するということもうたわれることと相なったわけでございます。  ただいま考えております規模、任務等でございますが、おおむね千五百人をもって当番、非番、日勤の三交代制勤務で、極左暴力集団等による空港施設への侵入あるいは空港施設の損壊その他空港運営業務の安全を妨害する行為の防止、制圧及び検挙に当たる、以上のことを任務として編成いたしたいと思っております。  法的な根拠についてのお尋ねでございますが、いままで申し上げましたように千葉県警察の部隊として設置することにいたしたいと、千葉県警察においてもそのように考えておりますので、特別の法律に基づき設置するわけではございません。現行警察法の規定の中で、千葉県警察の内部組織として条令並びに千葉県公安委員会規則に基づく組織として設置されるわけでございます。  それで経費の点でございますが、以上のようないきさつで設けることを決めておるわけでございますので、国際空港の警備の重要性というのは国家的に強く期待されておりますし、国家的な重要なものといいますよりは、わが国の国際的威信がかかっておるわけでございます。そういう強度に国際的、国家的色彩の強い事務でございますので、自治体である千葉県に負担をかけさせるということはそぐわないと考えておりまして、千葉県に過大な負担とならないよう目下検討いたしておる次第でございます。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 概略お話がありましたが、まず疑問から申し上げますと、恒久的な警備体制をとる、いわば恒久的でありますから、相当長期ということですね。相当長期のほぼ恒久的な警備体制をとる。当然前提には治安の不安定が相当長期に、恒久にわたる。過激派組織や、あるいは空港の廃港を目指すそれらの諸君による治安の不安定な状況というものが恒久的に続く、相当長期に続くという想定がない限り恒久組織は創設する必要がないわけです。長官、成田問題についてはそういう想定を持っておられるんですかね、成田の治安というものについて。いかがですか。
  70. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 恒久的と申し上げました趣旨は、長期的に全国からの応援援助体制で臨むことは各都道府県警察、援助部隊を出す都道府県警察の治安にも響くことになりますので、そうした応援援助体制を長期的にとることにかえて千葉県自体に警備の力を蓄える、そういう意味で申し上げたわけでございまして、現在考えておりますこの空港警備隊は極左暴力集団の現在の成田空港に向けての不法行為を働く意図なり、ゲリラ行為の形態が存する限りということでございまして、その限りの臨時、異例的な組織であると考えております。もちろん極左暴力集団の蠢動、ゲリラ行為というものが絶えるならば、こうした警備体制もその必要性がなくなると、かように考えております。そういう意味の臨時、異例な、ある一定期間における持続的な、恒久的な警備体制ということで御理解いただければと思います。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 官房長、あんた言葉をやたらに使うけれども、臨時、異例の、長期、恒久。恒久というのはずっと続くものを言うんです、これは。臨時、異例というのはやっぱり一時的なものなんですよ。年がら年じゅう臨時、異例で百年も臨時、異例が続いたんではたまったものじゃない。私はやっぱりいま官房長のお話がありましたが、現在特に開港を目指しての一種のピークのようなときにあるものですから、一万四千名といういわば警備体制をとっている。仮に一万四千が一万であってもほかの県からもうこうやって、ほかの県で日ごろ遊んでいるわけじゃないんですから、通常の任務についている者を抜いてきて成田にああいう形で警備体制をとるということは一時的にはできても、少し時間を長くいることとてもできないから置こうという発想のようです、善意に考えますとね。しかし、どうでしょう、いま動員している数は一万四千名ですよ。一万三千でしたかね。いずれにしてもそんなもんですね。そういう動員体制が長期に持続できるわけがないので、といって三交代千五百名、これは毎回五百名ですね。五百名の警備隊がいまの一万数千の警備陣にかわる実力を持つわけはない。ということになると、どうも判断に迷うのは、いまのような大がかりな廃港運動というようなものはないにしても、しかし廃港運動というのは長期にわたって続くという想定がやっぱりあるんじゃないですか。だから、恒常的な組織を——臨時的なものなら、臨時的に千五百や二千の部隊を二、三年間ぐらい配置をするぐらいなら、いま一万四千だってずいぶん長いことたってますが、二、三千ぐらいの、あるいは千五百ぐらいのものなら、あちこちからちょっと県警に御苦労願って、いま一万ばかりおる機動隊の中のその千五百名ぐらいを臨時的にあそこに部隊編成をすることは可能です。恒久的にどうも千五百もずっと置くということの意味がわからない。
  72. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいま一万数千人とおっしゃられましたが、成田警備のピーク時において、極左暴力集団の大衆動員が行われたときにとりました警備体制は確かにおっしゃるとおり一万人余でございますが、現在は応援部隊は二千人をすでに下回っております。そういう事情を御理解いただきたいわけでございますが、またお尋ねになられました、千五百人ぐらいであれば全国から応援をとったまま続けられるではないかということでございますが、この点は、やはり各都道府県警察とも大変いろいろ多忙な警察事案を抱えておりまして、中核となる機動隊その他を常時、交代とはいいながら応援に出すということは、それぞれの県の治安に重大な影響をもたらすことになるわけでございまして、短期間でございますれば、そうしたデメリットを耐えながら協力、援助をしておるわけでございますが、一年ぐらいに及ぶということになりますれば、やはり総合的な見地からしまして、千葉県に独自の警備力を置く、こういうことが合理的ではなかろうかと。臨時、異例ではございますが、臨時、異例な状態の続くその期間内においてはそうした措置が合理的であろう、こう考えておるわけでございます。
  73. 志苫裕

    志苫裕君 成田問題が確かにいま国家的、国際的な威信をかけた問題だからというので、少々の問題点があってもすっと通るというふうにお考えになっておることに私は少し懸念を感ずるんですが、一般論として考えてみても、私、世界に冠たる日本の警備当局が、少なくとも成田なら成田の空港をめぐって恒久的に絶えず治安の不安に襲われるような状態にあるということは想定をしていないと、善意に解釈して。そうしますと、やっぱり過渡的なある一時期の対策のために少なくとも千五百名という警察官を採用するということは、用が終わったらおまえ首切るというわけにいかぬのですよ。少なくとも政令やその辺は直すんでありましょうが、法令の一部を直してまで組織を——臨時的じゃない、これはつくるものは恒久的ですよ、というものを設置をするという、そっちの方が異例だ。そういうのは普通やりくりをしてそれに備えるんじゃないですか、やりくりをして。私は臨時をとれとは言いませんが、普通の場合ですと、たとえばそういうものを臨時で間に合わして、あちこちの人たちの手を借りたり、工夫をしたりというふうなところで緩急に応じて体制をとる。一年か二年ぐらいの、あるいは半年か一年ぐらいのものに恒久的な組織をつくるでしょうか。そもそも諸外国でも、わが国でもいいんでありますが、これぐらいの規模で空港を常時守らなきゃならぬという空港、どこかに例がありますか。
  74. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いまのは警備情勢との絡みの問題でございますので、私からもお答え申し上げたいと思いますけれども、極左暴力集団が成田空港について、彼らは将来は革命というふうなものを彼らなりに展望しておるのかもわかりませんけれども、成田空港を開港させない、あるいは廃港に持っていこうということを彼らの当面手近な目標としていろいろの活動をしておるという現実が一つあるわけでございますので、これに対する対策といたしまして、当面とやや長期に見たものと二つ考えまして、長期の問題といたしましては、三・二六に匹敵するような開港時というものを彼らなりに、この前は一週間連続闘争というように彼らなりに全国動員であの闘争をやったわけでありますが、次回についてもそれに劣らないような彼らの行動というものをわれわれとしては想定しなければならぬと。  そうすると、これの体制としては、話がありましたように、少なくとも前回並みの、あるいはそれを下回らない臨時の応援体制、大量応援という形でこれを乗り切らなければならないという警備の要請が一つございます。  もう一方、それでは開港が一たん無事に行われた後に、彼らはどういうふうな出方をするかということについては、いろいろ見方は分かれるかと思いますけれども、最近の新聞等で公然と言っておる反対同盟委員長の発言を見ましても、開港になれば一般の人が大ぜい入ってくる、ますます彼らはやりやすくなる、こういうふうに言っておるわけであります。  私は、開港時と、その後のやや恒久的、長期的な問題との中間に過渡期があると思います。つまり過渡期と申しますのは、開港時に彼らが大量動員をして警察部隊にぶつかってくるというような大衆行動的な、ゲリラ行動的な攻撃と、それからまた某委員長が言っておるような、今度は開港後にすきを見て、そういう部隊とかなんとかというんでなくて、ごく少数でも、一般人にまじって何か行動、事を起こすのだと、こういう式のものが、過渡期には両方あるんじゃないだろうかと。それが済みますと、今度は大衆行動でやるということではなくて、もっぱらどこかすきがないか、すきを見つければ、一人でも二人でも何か事をしようと、こういう時期が比較的長く続くんではないかと、こういうふうに思うわけでございます。  それは、どこの空港についても同じようなことはあり得るわけでございますけれども、成田の場合には、成田空港に反対するというような勢力や空気が残っておりますれば、それをバックといたしまして続けるということはあり得るわけでございまして、同じ空港であれば、羽田だってあるじゃないかというようなことはあるかもしれませんけれども、羽田の場合には羽田そのものを反対とか廃港とかという動きというものは基本的にはないわけでございますから、そこの差がどういうふうに治安の面であらわれてくるかということを見るわけですけれども、私たちとしてはそこを手がたく見ていく、こういうことになりますと、開港時は臨時の大動員体制をやる、その後は恒久的な体制と臨時の体制とを組み合せつつ推移いたしまして、そして最後には、比較的長期にわたる恒久的な体制で押しつけていく、こういうことでその後どう展開していくかということがまたこれ情勢の推移いかんということで、相手方のあることでありますので、いまそこを読み切るというのはなかなかむずかしいということで、ある意味での手がたい体制をしいていこうということでございます。  外国の空港のいまの例を……
  75. 志苫裕

    志苫裕君 いや、外国はいいです。
  76. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 以上でございます。
  77. 志苫裕

    志苫裕君 こればかりやってもしょうがありません。私は、いずれにしても、官房長の答弁、局長の答弁聞いておりまして、わが国の警備当局は、成田に関して言えば、相当長期にわたって常備警察、機動隊千五百名を配置しなければならぬような不安定な状況に置かれておるという想定に立っていますね、成田について。
  78. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 極左暴力集団の法越軌行為に対処するための部隊でございまして、それを私ども警察の責務として検挙、制圧、防止するわけでございますが、御安心を皆さん方にいただくために防止、検挙、制圧するためには、むしろ持続的な空港警備隊という警備体制をとった方がよろしいのではないかと、こういう角度で設けておるわけでございまして、決して警察努力を超えて不安定な状態が続くというように考えておるわけではございません。
  79. 志苫裕

    志苫裕君 私は、一時的なものであれば恒久的な警備制度、組織は要らない。一時的な編成でよろしいという考え方なものですからお尋ねしたわけですが、それは問題点にして次に進みます。  先ほど特別の法律はつくらないということですが、なお念のためにお聞きしますが、この問題は、たとえば法的な根拠などを成田にかかわる特別立法がいま云々されてますが、成田にかかわる特別立法等の中にこの空港警備隊の法的な根拠を定めるというようなことはありませんね。
  80. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) そういうことは考えておりませんし、ございません。
  81. 志苫裕

    志苫裕君 成田の警備というのは、いわばあの辺の地域の公安の問題か、あるいは国の公安にかかわる事案というふうにお考えになってますか。どちらですか。
  82. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) いま都道府県警察が所掌しております警察の責務の中にはいろいろ国家的性格の強いもの、あるいはもともと自治的性格のものといろいろあるわけでございますが、成田の空港警備につきましては、先ほども申し上げましたように、大変国家的性格が強い事務であるというふうに認識しております。
  83. 志苫裕

    志苫裕君 この点は後でまたかかわりが出ますので、一応念を押しておきますが。あれでしょうか、空港、国の特定の施設を警備するということで、長期的にそういう警備組織をつくって警備をするという例はほかにございますか。
  84. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 国内の各空港にはそれぞれ空港警察署というものを設けまして、所要の空港警備その他の空港に関係する警察事務を処理しておるわけでございますが、そういった組織とは別に、独立の警備隊を設けるということは、臨時、異例なものとは言え、今回が初めてであろうと思います。
  85. 志苫裕

    志苫裕君 たとえばこういうことは考えませんでしたか。皇居という国の特定の施設がありますね。これには警察庁の付属機関として皇宮警察、これは特定の施設を警備するという、こういうことを考えませんでしたか。
  86. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 国際空港は千葉県内に所在するわけでございまして、それに対する極左暴力集団の違法行為といいますのは地域的に空港地域に限定されるものではございません。したがいまして、効果的な警備活動を行うためには、やはり千葉県本部長の統一した指揮のもとに行うことが適切であると、こう考えております。同時に、やはりこれは警察法上の都道府県警察という制度の根幹を変えるまでのことでもない。制度の根幹に触れずに、千葉県警察本部長の統一的な指揮命令のもとに有効な警備を行いたい、こういう考えに基づいて検討したわけでございます。
  87. 志苫裕

    志苫裕君 それでは、三井局長は、成田問題が起きましていろいろとここでもやりとりがありましたときに、まず空港当局というのですか、公団自身が自分でやることはやってもらう。自分でやれる警備はやってもらうと。その上に警察当局が必要な警備をすると、このことをしきりに強調されました。たとえば鉄道が、国鉄が、自分のやれることはやるというので鉄道公安官のようなものを置いてますね。あれは何名いるのか知りませんけれども、特別の立法があります。空港当局がたとえば自分のやれることをやる。自分の施設は自分が守るという意味で、たとえば空港公安官のようなものですね、そういうようなものをたとえば特別立法等も頼みながらやるとした場合、それも一つの警備方法でしょう。それらの点についてのメリット、デメリット、まさに臨時、異例のものを恒久的に、自治体警察とは言っても問題があることは新聞でも指摘していますが、いろいろ問題点を含むことは含むわけですが、たとえば特定の施設を守るという意味では皇宮警察のような例もあるし、自主警備をするという意味では鉄道公安官のような例もあるし、それらの諸点についての検討はなされませんでしたか。
  88. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 種々の検討はいろいろといたしたわけでございますが、ただいまの自主警備の点につきましては、もとより私が特に申し上げたのは、だれでもそうでありますけれども、自分の施設、ことに空港のような複雑な施設、これを自分で守るという自発性の中でどこに問題点があるのかというのが出てくるであろう。われわれはまた警備の観点から内容を空港当局からも教わりながら緊密な連絡の上でやっていこうと、こういう趣旨を申し上げたわけでありまして、いまお話しの鉄道公安官的なものを空港公団が自分で持つかというようなことにつきましては、私はこの空港というものの性質上、多くの人の出入りもあることでありますから、また、それだけでいくものでもありませんし、警察が治安一般についての責任を持っておる。それの具体的なものとして、空港というのは大変重要なところであるという角度から、警察が本腰を入れて取り組むと、こういうことは基本だと思いまして、いまの点についてはやはり空港警備隊というような考え方が一番適当であろうというように考えております。
  89. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても私は国の施設を自治体警察——県警が国の施設を恒常的に特別の組織をつくって、いわば常時警備に当たるということはまさに臨時、異例というだけあって納得がしにくい。国の特定の施設を自治体の警察が恒久的に警備組織をつくってそれに当たるということがどうも納得しにくいわけですね。先ほど官房長から、成田の地域にあって成田の問題が全国的にも影響があるので、千葉県警本部長の指揮のもとに事に当たる、というようなお話がありましたが、自治体警察の根幹に触れる問題であるので取り扱いが慎重であることはわかりますが、それでは都道府県警察、いわゆる自治体組織の構成要素——都道府県警察というのは、自治体の組織の構成要素なのであって、これは国のそれではない。国の特定の施設を守るために自治体警察が特別の組織をつくるというのはなじまないと思うのですが、いかがですか。
  90. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 国の施設を都道府県警察が守っているという事例は枚挙にいとまがございません。国会の施設につきましても同様でございまして、警視庁という都警察がその警備に当たっておるわけでございます。ただ、独立の部隊をつくることはいかがかという御指摘だと思いますが、これは先ほど来申し上げておりますように、成田とそれに対する極左暴力集団の違法な行為が頻発しておるという特殊的状況の中の臨時、異例の措置でございますので、警備の目的を達成するためにはやむを得ないことだと考えておるわけでございます。
  91. 志苫裕

    志苫裕君 いや、私は国の施設を守るなどと言っているんじゃない。それは国会の場合だっていろいろお伺いしますと、議長から総理に要請をしまして、総理、官房長官から都の公安委員会に要請があって、それで公安委員会から警視庁にその旨言って、警視庁は自分の配下の機動隊のローテーションの中でこの国会という施設を守っているわけでありまして、そういうのが現実でありまして、私が指摘しているのは、官房長後段にお答えになったように、特別の組織をつくってそれに対応するということもあんまり、何とも言えない。しかし、まあそんなものはかまっちゃおれぬと。なじむもなじまぬもない、新しくなじませるんだということなんですが、国の公安にかかわるものだという先ほど認識を示された。成田などは一成田云々という地域の問題じゃなくて、国の公安にかかわる事案であるという、そういう認識を示されるのであれば、たとえば国家公安委員会、いわゆる警察庁といいますか、が法五条の事務に追加をして行うべきじゃないか。皇宮警察その他云々と並べて、成田空港の警備に関することというのを法五条に追加をしてやる方法だってあるでしょう。でなければ、特別のことをしないで、一般の千葉県警の機動隊のローテーションの中で行う、足らなければいまのような警察法に基づく相互の援助要請というようなもので処理をするという方法もあるではないかと思うんですが、もう一度長官、この辺の判断はやっぱり長官の判断にもよるんじゃないでしょうか。
  92. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 国の公安にかかわるということの表現よりも、国家的色彩が強い事務だというふうに私御答弁申し上げたつもりでございますが、もちろん千葉県警察のいま条例で決められております定員の中でやりくりして守るべき筋合いの点もあろうかと思います。現に、いままでそのように大変無理なローテーションを組んで千葉県警察はやってまいりました。それに対しまして、われわれは全国からの応援援助ということを千葉県警察の要求にも基づきましてやっておったわけでございますが、そうしたローテーションというものは、やはり長期間にわたりますと無理がくることは必至でございます。特に人口に比べて定員の少ない千葉県警察にそのような長期的なやりくりを強いることは、事実上困難になっておるわけでございます。応援援助につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、限界がきております。そこで、やむを得ざる措置として千葉県に定員をふやして、その中で空港警備を——はるか市街地から離れた原野の中でございます。そこで、地理的にも離れた場所でございますので、そこに部隊を置いて警備をすることが合理的ではないか。臨時、異例という枠内においてそういう措置をすることが一番合理的だろうということで考えた結果でございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  93. 志苫裕

    志苫裕君 一応きょうは問題点の指摘だけですから、次にまいります。  そこで、官房長の御答弁では自治体警察という根幹に触れる問題だからいろいろ慎重に扱うということですが、しからば、千葉県警に設置するということになりますと、当然千葉県条例で定めることになるでしょう。その場合、法四十七条に定める政令の基準に従うこととされておりますから、当然この政令四条関係の付録の改正が手続として上ってくるわけでありますが、これはもう改正の用意をなさっておるわけですか。
  94. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 御指摘のとおり、四十七条四項で、「内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。」ことになっております。政令で定める基準はただいまのところ、本部の内部組織の部までを政令の基準で定めておりますので、それ以下の組織ということになりますれば、部に付置される隊というような、そういう組織につきましては千葉県公安委員会規則ということで定めるよう条例からの委任がございます。したがいまして、そうした条例の、政令の基準の定め方、条例で定めている内容、条例の規則への委任という諸規定をにらみまして千葉県公安委員会において御決定がなされると考えております。
  95. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、千葉県は四条関係の職務の指定県ですね、千葉県は、俗に言う指定県。他の都道府県ではなくて、千葉県については付録に、グラフに書いてある。すると、あの政令は具体的にさわらないで、いまのお話ですと、千葉県の条例もさわらないで、千葉県公安委員会の規則だけでこのような設置になりますか。
  96. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) これは千葉県に限らず、各都道府県警察について現状は、政令で定めております基準は部まででございます。都道府県警察本部の内部組織の部まででございまして、通常の定め方としましてはそれ以外の、それ以下のと申しましょうか、他の組織につきましては、条例がそれぞれ公安委員会規則に委任しているのが通例でございます。千葉県の場合もさように承知しておりますので、これは千葉県御当局、千葉県公安委員会の御判断によることと思います。
  97. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、結局ずいぶん前例のない、しかも警察制度の根幹にさえも触れるような問題だと私は思うのだけれども、最終的には千葉県公安委員会の規則にちょこっと何か書くだけでこういうものができるということになるようでありますか、これは千葉県との合意——どうも私は一方的に国のサイドで進んで発表されているような印象を受けるんですが、千葉県との合意はずっと進んでおるんですか。
  98. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 冒頭に御答弁申し上げましたように、この設置について検討いたします場合には、当然千葉県警察の警備上の意見、意向を徴しておるわけでございます。  それから、組織についてのお尋ねでございましたので、先ほど組織に限って御答弁申し上げたわけですが、警察法五十七条の規定によりまして定員の基準というものは政令で定めることになっております。したがいまして、今回の千五百人の空港警備隊、これを千葉県において設置いたします場合には増員が伴います。その増員措置につきましては政令をもって定めなければ、直ちに条例で定めるわけにはいかないということになっておりますので、つけ加えて御答弁申し上げます。
  99. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  で、千葉県公安委員会はそういう規則をいつごろつくると言うとるんですか。
  100. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) この空港警備隊の設置につきましては、まずただいま御答弁申し上げました定員の増員措置を政令で御措置いただくことがまず先になろうかと思います。  それから、冒頭に御答弁申し上げましたように、県に負担を来たさないための財政措置上の諸問題、関係省庁といま折衝中でございますが、そうした点の結論が出まして、定員の基準に関する政令の改正が行われました後に、条令の制定その他の問題が出てこようかと思っております。
  101. 志苫裕

    志苫裕君 まあいろいろお話がありますが、結局、千葉県には何も主導権ないんですよ。何名にするかというのも政令で、いわば国が決めるわけですし、千葉県は一銭だって自分で銭持つ気はないんですから、そうすれば、財政措置だって千葉が負担することを何も歓迎しているわけではない、本当に千葉県の判断で、先ほど来御答弁がありますような、千葉の県警や千葉県が自主的にそういう発議をし、措置を求めるのであれば、定員が何名来るかわからぬけれども、やれるものはやってみようという姿勢に出るのがあたりまえじゃないですか。そうなっていないのは、やっぱり主導は国がおやりになっているんです。私はむしろ警察庁所管事項は、国家公安委員会の事務の、これは国の公安地域のことだけれども、国の公安にかかわる事項だという認定をして、それに基づいて事実上はこの法律第何条ですか、警察庁の指揮、監督権を行使をしてあそこの警備に万全を期すという発想で事実上は進めておるんだが、とられるかっこうだけは千葉が自主的にやるんだというふうにおやりになっているんじゃないんですか。
  102. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) その点につきましては、千葉県当局さらに千葉県警察当局の強い要請があるわけでございます。警備力を増強してほしいという強い要請を受けまして、そこで警察庁といたしましてもその意向を受けた上で検討して政府要綱にも載るという経緯があったわけでございます。決して国だけが考えて、ただいまお尋ねのように押しつけているという状況ではございません。日常の成田警備を通じて、それから今後を見通しまして千葉県当局、千葉県警察がぜひこういった増強が必要ではないかという意見を持つに至っておるわけでございます。
  103. 志苫裕

    志苫裕君 時間がありませんから、ちょっとこれに関連をしてお伺いをいたしますが、私は一つの考え方として、国の公安にかかわる事態だとして云々ということを申し上げましたが、ところが話は別ですが、法律十二条の国家公安委員会の規則は、即都道府県警察を拘束できますか。   〔委員長退席、理事夏目忠雄君着席〕
  104. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいま御指摘の十二条は、「国家公安委員会は、その権限に属する事務に関し、法令の特別の委任に基いて、国家公安委員会規則を制定することができる。」という規定でございまして、法令の特別の委任のございます限り都道府県警察を、都道府県公安委員会を拘束する内容の規則は制定できるわけでございます。
  105. 志苫裕

    志苫裕君 それを受けた政令の十三条、そうするとそれはやっぱり制限があるんですか、特定の事項について規則が拘束力を持つんですか。
  106. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいま御指摘警察施行令十三条の規定は、法令が国家公安委員会規則に委任した根拠条項だろうと思います。
  107. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、私は頭が悪いのでわかりやすく聞いているんですが、公安委員会の規則制定権がありますよね。これは都道府県警察を即拘束はできないんですか、できるんですか。
  108. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 法令の特別の委任というものがありますれば、それに基づいて定めた国家公安委員会規則は都道府県公安委員会を初め都道府県警察を拘束するわけでございます。
  109. 志苫裕

    志苫裕君 これは警備局長、成田問題が今日こういう事態でさまざまな検討をされておるんですが、その結果警備実施要則を手直しをするとか、改定をするとかいう必要がありますか。
  110. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいままでのところ警備実施要則の改正の必要は感じておりません、将来はまた別でございますけれども
  111. 志苫裕

    志苫裕君 次に、機動隊について少しお伺いいたしますが、昭和二十九年七月に機動隊の設置が通達によってなされたわけでありますが、機動隊が設置をされる根拠、ちょっとお示しいただけませんか。
  112. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察庁といたしましては、各県警察の行うべき事項につきまして調整する権限が基本的にあるわけでございます。したがいましてまず全国的な情勢の中で、いまの機動隊の問題について言いますと、こういうような情勢で、昔は県によっては機動隊のあるところ、ないところがございましたし、あり方も、その都度、必要の都度編成するということもありますし、常備的に置いておくといういろいろな形態がございましたので、それを足並みをそろえるという基準、これがその通達であるというように考えております。
  113. 志苫裕

    志苫裕君 機動隊設置運用基準要綱というのがありますね。これは実は御提示いただけますかと言ったら勘弁してくださいというので御提示は求めませんが、まず設置運用基準要綱というものの法的根拠は何ですか。
  114. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 先ほど申し上げました警察庁として各県の警察活動を調整するということでございますから、警察庁の一般的な調整権限に基づくものでございます。
  115. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、十六条の指揮監督権ですか、あなたの言うの。あなた何でも法律第何条によってと物を言う口だけれども、一般的な調整権というのもないでしょう。法律第何条のどれですか。
  116. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 警察法の五条二項各号に掲げております事務は、警察法第十七条で警察庁の権限にもなります。ただいま御指摘警察法十六条二項によりまして、その警察庁の所掌事務について都道府県警察を指揮監督できるということになっております。その中身として五条二項十三号をごらんいただきますと「警察行政に関する調整に関すること。」という項目が掲げられております。これを中身とした調整を行う監督でございます。
  117. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、いまの根拠を持った通達が設置運用基準要綱なわけですね。そうしますと、不勉強ですが、これの予算及び人員はどこで定めておるんですか。警察機動隊の予算、人員はどこで定めておるんですか。
  118. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 機動隊は、都道府県警察の中の組織でございますので、各都道府県警察におきまして、条例及びそれに基づく国家公安委員会規則で設置を定め、その定員につきましては警察本部長訓令以下の措置で定めておると思います。都道府県警察に、条例で決められました定員の中の配分の問題として各都道府県警察で定めております。
  119. 志苫裕

    志苫裕君 そうおっしゃるけれども、たとえば人員とか、経費の負担区分とか、そういうものはそれぞれ根拠がありますけれども、機動隊について、機動隊の設置基準要綱のところに、予算、人員基準については別に定めるとなっているんでしょう。その基準は別に定めるというんですから、都道府県ごとに勝手に決めているのじゃなくて、警察庁がその基準を示したわけなんですよ。ところがついぞ別に定めたものはお目にかかったこともないわけですが、それはどこに定めてあるんですか。
  120. 三井脩

    政府委員(三井脩君) だだいま申しました設置基準要綱、それの付属文書という形で、その県の機動隊の数、これは丸い数字でございますけれども基準として一応示しておるわけでございます。
  121. 志苫裕

    志苫裕君 予算もそうですか。予算は機動隊分は別枠になっているんですか。それともどんな仕掛けになっているんですか。
  122. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 予算につきましては警察法三十七条の規定及びそれに基づきます警察施行令第二条、第三条で詳細な規定が定められております。その中で、「警備のための出動、機動隊の運営、警備訓練」云々という項目が第二条第七号にございますが、その七号の規定により、機動隊の運営に関する費用は国庫支弁ということに規定されております。そのほか施行令の第三条三項の規定では、機動隊の超過勤務手当については所要の基準により補助することができるという規定もございます。それらの規定によって措置されておるところでございます。
  123. 志苫裕

    志苫裕君 いま機動隊の全国の数は幾らになっていますか。
  124. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 約一万でございます。ちょっと端数がございますが、一万でございます。
  125. 志苫裕

    志苫裕君 管区は。
  126. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 管区機動隊は四千二百でございます。
  127. 志苫裕

    志苫裕君 俗に第二機動隊と称するのですね、というのは幾らいますか。
  128. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 第二機動隊といいますのは、いまの機動隊及び管区機動隊とは別でございまして、第三の種類といいますか、いまの管区の二つの機動隊はほぼ常設的なものでございますけれども、第三の部類に属する第二機動隊は、特に必要ある場合に編成をするということで、平素訓練を、一定の訓練はしておりますが、看板を掲げた第二機動隊というもんではありませんで、そういう警備部隊を必要により編成をするという性質のものでございますが、全国で私たちが一応その数として考えておりますのは、一万六千という数でございます。
  129. 志苫裕

    志苫裕君 常備機動隊一万名、管区機動隊四千名、第二機動隊一万六千名、で、そうしますと成田へ集めた約一万四千人ですね。という数、発表されておりましたが、これはそうすると全国の機動隊、管区機動隊を全部持ってきたということになるわけですか。
  130. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 最高時の応援は一万でございまして、一万四千という場合の四千は、千葉県の警察官、茨城県の警察官を合わして四千になっておるわけでありますから、一万と、その一万は機動隊一万と管区機動隊四千二百の一万四千二百あるわけですが、この中から込みといたしまして、込みといいますか、数字的にはその一万四千二百の中から一万を動員したと、こういう数でございます。したがいまして、機動隊が全部出たとか、それも管区部隊が全部出たということでございませんで、管機部隊はほぼ全部参りましたけれども、したがって、大ざっぱな数字で言いますと、管区部隊の四千二百と機動隊一万の中からの六千と、これがまあ応援したと、こういう数字になるわけでございます。
  131. 志苫裕

    志苫裕君 その機動隊、成田に対する警察官、機動隊の派遣といいますか、動員についてでありますが、これは千葉県公安委員会からの要請によったものだと思うのでありますが、まあ六十条によりまして、まず三・二六に向けてはいつどのような要請が行われたのか、いまの常時大体二千名ぐらいのものだというお話がありましたが、それの派遣要請というのはどんな要請の形に、いつからいつまでの間とかいうことになっておるのでございますか。
  132. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 応援派遣の前にいろいろ打ち合わせをいたしますので、それに基づきまして千葉県公安委員会から部隊の属する、警察官の属する各県公安委員会に対しまして、おたくの県からは何名をこれこれこれだけの期間派遣を願いたいということで、個別に応援計画やローテーションがございますから、それに合わして個別に、たとえば一回の応援は九州から来て帰るまで何日ということになりますと、その期間を計算して、何月から何日間、多少おおむねということは入りますけれども、そういう応援要請を個別にやってございます。
  133. 志苫裕

    志苫裕君 その三・二六のはいつ要請があったんですか。三月二十六日前後ですね、あの大動員、あれはいつ要請があったんですか、千葉県警から、公安委員会から。
  134. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 三月の初旬にやっておりますが、それも県によって、北海道のような早く出てこにゃいかぬところとか、あるいは場合によって遠いところで、ローテーション都合がありますから、近県は遅く来てもいいとかということもございますので、県別に違いますので、おおむね二週間、しかしそのほかに往復の日数がございますので、それを加えた期間を派遣してもらいたいと、こういう考え方で要請をしております。
  135. 志苫裕

    志苫裕君 これ変なことを聞いてあれですけれども、これは何か書面に基づいて、何か物々しい要請書みたいなものが行くんですか。電話でもかけて、おいちょっと来てくれというようなことになるんですか。
  136. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 事前に電話でやりますが、下準備といいますか、予告的な性質のものは電話でやります。正式のものは文書です。正式のものももちろん事前です。事後ということはございません。事前に文書でやりますが、その前に電話で了解を取りつけます。
  137. 志苫裕

    志苫裕君 それで私、手続のことですが、この要請は千葉なら千葉の公安委員会から新潟なら新潟の公安委員会に要請をするのではなくて、千葉の公安委員会から直接新潟県の警察に要請をするんですね、手続としては。その場合、相手の県の公安委員会というのは、あれはつんぼさじきになるんですか。
  138. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 公安委員会から公安委員会、つまり千葉県の公安委員会から、いまの例ですと新潟県の公安委員会に要請をいたします。その事務的な手続をあらかじめ千葉県警察から新潟県警察本部に電話その他の方法で連絡をするということでございます。
  139. 志苫裕

    志苫裕君 そうですか、この要請は第何条でしたかしら。これは公安委員会から警察に対してじゃないんですか。
  140. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいまお尋ねの六十条の条文には、「都道府県公安委員会は、警察庁又は他の都道府県警察に対して援助の要求をすることができる。」と規定しておりまして、「都道府県警察」という用語が出ております。しかしながら、警察法上「都道府県警察」といいますのは、第四章に「都道府県警察」という章名が出ております。その中の第二節に、「都道府県公安委員会」ということがございまして、六十条に言う「都道府県警察」といいますのは、都道府県公安委員会を頂点にする組織という意味で使っておりますので、手続といたしましては、ただいま警備局長御答弁申し上げましたように、公安委員会から公安委員会に行うのが正式な手続でございます。
  141. 志苫裕

    志苫裕君 警備局長、あれですか、三月二十六日前後のあの成田をめぐる反対派の行動というものは、法律第五条の二項三号のロに該当をするとの判断がありませんでしたか。
  142. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 三・二六の事態が起こってからのことと、起こる以前の判断とあろうと思いますけれども、起こる以前にはもちろんそういう判断はいたしておらないわけでございますけれども、起こってからはそういう判断も可能であると考えております。
  143. 志苫裕

    志苫裕君 で、この二項三号のロに該当すると判断をする際の要件ですね。何か起きてからすぐ行動というわけにはなかなかいかぬと思うのですが、その要件というようなものがどこかに記載をされておりますかしら、感じでいいんですか、その認定は。
  144. 三井脩

    政府委員(三井脩君) これは、要件というのはもっぱら法律解釈の問題でございますから、この法律で言うこれを公安委員会要件で定めるというようなことは別にございませんので、法解釈一般の原則に従って考えるべきものというように考えます。そういたしますと、これは設置された趣旨警察法全体の体系と、こういうことから考えるべきものでございまして、これが発動されるといいますか、これに該当する場合の一番メリットは警察庁長官が直接に指揮をするというところにメリットがあると思います。これは都道府県警察、公安委員会を含む警察に対する指揮の問題ということでございまして、たとえば緊急事態の場合、警察法では緊急事態の規定がございます。この場合は、緊急事態の布告が行われますと、都道府県警察が一時機能停止といいますか、わきへのくわけでございます、都道府県の公安委員会が一時横にのいて、警察庁長官が直接に都道府県の本部長を指揮すると、こういうかっこうになるわけでありますが、いまおっしゃったあの規定に該当するという場合には、そういう効果が伴わない、別に伴わないことでありまして、事務文書の性質上調整じゃなくて直接にいろいろ言ってもいいと、また、直接という意味は、都道府県警に警察庁長官が物を言う言い方が、調整じゃなくて直接に言えるということでありますから、それは、長官として県の公安委員会に対して言う、公安委員会を通じて本部長に言うということでありまして、個々の警察官を警察庁長官が指揮監督するという性質のものではございませんので、その辺のところを勘案しながらこの規定の解釈、運用というものを考えるというように思っております。
  145. 志苫裕

    志苫裕君 五条の二項の三号のロは、「地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案」、で、本文にいきまして、「国の公安に係るもの」と、こう読むのだと思うんでありますが、どこかの地方でがたがたもめたと、それが「国の公安に係る」という場合に、警察庁の直接の事務になるという規定のようでありますが、いまちょっと何か途中で訂正があったようですが、これに該当すると認定をすれば、十六条によって警察庁長官に指揮監督権が移るというものじゃないんですね。ここで十六条の指揮監督権というのは、一般論としての職員に対する指揮監督権というふうに読むべきなんですか、こういう事態における「指揮監督」までも含まれるんですか、これは。
  146. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 十六条二項は警察庁長官の都道府県警察に対する指揮監督でございまして、警察庁の都道府県警察に対する指揮監督といいますのは、ただいま警備局長から御答弁いたしましたように、都道府県公安委員会を頂点とする都道府県警察でございますので、都道府県警察警察署長であるとか、個々の警察官に対する指揮ではございません。これはあくまでも本部長の自治体警察の枠内における指揮命令でございまして、都道府県警察全体に対する指揮監督権が五条二項各号の事務についてあるわけでございます。その中で、強弱はございますが、先ほど申し上げました警察行政に関する調整が一番弱いものでございますが、強弱はありますけれども、都道府県警察への指揮監督権が公安委員会を通じて行われるということでございます。
  147. 志苫裕

    志苫裕君 話戻りますが、そのロの認定というのは、そうすると大したメリットを伴うものではないということになっちまうわけですが、それはじゃいいです。  参考のためにですが、七十一条の事態というのはどんなものを言いますか。
  148. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 緊急事態の特別措置に係るお尋ねでございます、七十一条の事態は、法文に明らかなように、「大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認める」というのが要件でございます。効果としましては、先ほども警備局長から答弁いたしましたとおり、内閣総理大臣、警察庁長官の統制が行われる。したがって、警察法に言う都道府県警察という組織が一時凍結されまして、個々の警察官に至るまで総理大臣、警察庁長官の指揮命令権が徹底する、公安委員会による管理というのが一時排除されるという効果を伴います。そういう効果発生させて、治安の維持を図る必要があるということが要件だと思います。
  149. 志苫裕

    志苫裕君 ですからここに「大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認めるとき」、この七十一条。同じように第五条のところにも「民心に不安を生ずべき大規模な災害に係る事案」、あるいはいろいろありますが、それぞれに、言うならば、似たような状況だが、程度に応じて五条の枠に入ったり、七十一条の枠に入ったりするのだと思うんです。そうすると程度認定というものには何か物差しがなければ、早とちりをして七十一条の認定をしたり、あるいは七十一条の事態になっておるのにまだ五条あたりをのそのそしておったりということでは困るでしょう。そうするとやはりどこかに認定の物差しを持っていなければならないんじゃないですか、そういうものはどこかにあるのですか。
  150. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 先ほど七十一条の解釈について御答弁申し上げたわけですが、七十一条の緊急事態を発動する要件といいますのは、通常の警察組織による努力、これは警察庁長官の指揮監督がございます。それから応援援助もございます。都道府県警察相互間の協力義務もございます。そういう第六章「緊急事態の特別措置」に規定されていない警察法上の規定による努力というのがいろいろな形でございますが、その努力、規定の発動を通じても措置できない、公安委員会制度を一時排除してまで個々の警察官に対して総理大臣、長官が指揮監督しなければ事態が収拾できないというところが要件だろうと思います。その要件を満たさない場合においては、通常の警察組織の系統で処理する必要があるということになろうかと思います。
  151. 志苫裕

    志苫裕君 それはわかりました。  そこで、現にいままでもそうだし、いまもそうですが、成田に派遣された警察官の待遇、宿舎等はどうなっておりますか。
  152. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 警備出動に要する経費は国庫支弁でございますので、その他警備活動に要する経費についても所要の国庫支弁の規定がございます。そうした国庫支弁金をもちまして、宿泊のプレハブ宿舎もつくってございますし、給食、給与の点につきましてもできる限りの手当てを尽くしておるところでございます。
  153. 志苫裕

    志苫裕君 できるだけのことをすると言えばそれきりでありますけれども。  自衛隊の宿舎の使用について協力を受けていますか、受けたことがありますか。
  154. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いまは受けておりません。いままで過去の成田警備については受けたことはございます。
  155. 志苫裕

    志苫裕君 自衛隊のいま受けていないというのは恐らくプレハブなりを持っているんでしょうが、自衛隊の宿舎の使用についての協力を受けたことがあるというのですが、それは根拠は何ですか。ただ一宿一飯の仁義というのではないんでしょう。
  156. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 官庁間協力という規定に基づいてやっております。
  157. 志苫裕

    志苫裕君 官庁間協力というのは聞いたことがないんですが、ちょっと具体的に官庁間協力というのは何ですか。官庁同士でおいちょっと泊めてくれと言うわけですか。
  158. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 国の行政組織法で基本をきめているわけでございますが、それに各官庁は相互に協力しなきゃならないという基本規定がございますので、これに基づくものでございます。
  159. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいま警備局長から答弁いたしました国家行政組織法第二条第二項の規定でそれが定められておりますので、読み上げたいと思います。「国の行政機関は、内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」。こうした規定に基づいて財産管理上の問題についてもいろいろな協力関係が運用として行われておるわけでございます。
  160. 志苫裕

    志苫裕君 国家公安委員会と防衛庁との間に、治安出動の際における治安の維持に関する協定というものが結ばれておるようでありますが、その協定に基づいて泊めてもらっているんじゃないんですね。
  161. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 結論を申しますと、そうではございません。あれは治安出動の場合にどうするかというようなことを言っておるわけでございまして、今回は、そういう問題とは全く関係ございませんので、そういうものに基づくものではございません。また、一般に警察官が警備出動の際に自衛隊の宿命にお世話になるということも、その協定とは全く関係のない、ただいま申しました行政組織法の原則に基づくものでございます。
  162. 志苫裕

    志苫裕君 治安出動の際における治安の維持に関する協定、これ、資料として提出できますか。
  163. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 内容をちょっと検討さしていただきまして、その上でまた考えたいと思います。
  164. 志苫裕

    志苫裕君 で、それによりますと、何か細務協定とか地域協定とかというものも必要があれば結ぶということにいまなっておるそうでありますが、たとえば、そういうものを根拠にして、千葉の問題、成田の問題ですね、そういうものにかかわって、細務協定なり地域協定というようなものがございますか。
  165. 三井脩

    政府委員(三井脩君) それはございません。いまありますのは、警察で言えば警察庁の一部であります各管区がございますが、管区局長と自衛隊の方面総監との間で協定があるのは細務協定でございまして、いまおっしゃった地域協定とおっしゃるような意味ではそれが細務でございます。その他、そういうんでなくて、本協定のほかに細かなことを決めたものはもちろん細務協定してございますけれども、地域的な意味ではそれが一番下であるということでありまして、たとえば各県と自衛隊の出先との協定と、そういうものはございません。
  166. 志苫裕

    志苫裕君 三・二六の騒擾事件ですね、成田事件に関連をして、自衛隊の出動をさせればいいじゃないかという種類の意見が一部にあります。皆さんが言っているというのではありませんけれども、そういう意見が現実にある。自衛隊の出動というものについて、警察当局の所見を聞いておきたいんです。
  167. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 私たちは、あの種の事案はまさに警察が処理すべき警察固有の任務に属する事態であるというように考えております。  それからもう一つ、自衛隊法等によりますと、治安出動できるかというと、あの事態は治安出動のできる事態ではないというように私たちは考えております。そしたら立法論としてどうするかという問題なら、また別の問題でございますが、警察としては、あくまで警察が自分の固有の任務として処理すべきものであると考えております。
  168. 志苫裕

    志苫裕君 時間が迫ってきましたから、私は、さらに千葉の空港警備隊についての財政問題についてお伺いをして、空港問題の全体のまとめにするわけでありますが、きょうは、自治省の担当者は呼ばない約束になっていますので、財政問題はなかなか聞くわけにもいかぬので、皆さんに関係したことだけ聞いておきますが、財政問題について言えば、経費負担とか、財政の仕組みについて、自治省とはどの程度の打ち合わせが行われておりますか。
  169. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 空港警備隊の設置のための経費で千葉県に過大な負担をかけないという趣旨で、大蔵省と主として折衝しております。車両、通信施設とかいう警備に要するその関係の経費は、現在、警察法においても国庫支弁でございます。活動に要する経費もカバーできるわけでございますが、問題は人件費でございますので大蔵と折衝しておりますが、傍ら、御指摘のように、自治省所管にも関連いたします。同様に、並行していろいろ問題点について折衝いたしておるところでございます。
  170. 志苫裕

    志苫裕君 これは、まず交付税制度で考えてみますと、交付税は、御存じのように、自治体の標準的な団体を想定に入れています。そして、それの行うナショナルミニマムのような行政を保障するということを前提にして、そういう意味では、ある意味では抽象的な基準で標準団体を想定をして描くわけでありますから、この交付税の仕組みの中に成田の警備隊というような特別のものが入り込むという余地はない。そういう意味では交付税制度になかなかなじまないという点が一つの問題点になると思うんです。じゃ、それを全部国が持つかということになると、自治体警察の根幹にかかわってきて、国が相互の協力関係に応じて一部はめんどうを見るというのが、経費の持ち合いの限度になっておるわけでありまして、これは全部持つということになりますと、これは全然自治体警察の範疇を超えるという問題になってきて、財政負担の面でも、私は、この成田の警備隊というものの位置づけが非常にむずかしいのではないかという気がするわけであります。一方、私、冒頭に鉄道公安官のようなものはどうだとか、皇宮警察はどうだとか、あるいは国家の治安にかかわる問題であれば、国、警察庁の付属機関のようなもので置いたらどうだとか、あるいは恒久的な治安というよりは一時的なローテーションで少し補強して間に合わせて、この恒久対策、恒久組織というようなものは考え直してみたらどうだとか、いろいろなことを言いましたけれども、私は、やっぱり、あの制度を一口で言うと、どうも自治体警察にはなじまない組織になりそうだ、財政の制度から言っても入り込みにくい制度になるのではないか。そうすると、少なくとも、これは特別立法で、法改正その他でもし成田警察を置くのであれば、位置づけを与えるべきだという答えが出てくるのであって、何か、警察当局では経費負担区分、政令のごく一部の変更であれが設置できる、あるいは千葉県公安委員会の規則と、それから経費にかかわる政令の一部、これだけであの制度ができるという立論にはなかなか同意しがたい。賛否の前に、置くのであれば、ちゃんとした折り目、筋目を立てるべきだという気がするのですが、これは長官、ひとつやっぱりその辺は慎重に検討されるべきだと。それで、またもう少し具体的になればまたお尋ねをいたしますが、一応検討の課題とすべきだ、その点は。いかがですか。
  171. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) 先ほど来官房長、警備局長からお答えをいたしておりますが、現実には千葉県の内部で相当やりくりをいたしまして、機動隊等も使ってきております。  それから、先ほどお話のように、三・二六を頂点とする時期には、全国から一万人応援を求めまして警備をやると。その後も約二千人ぐらい応援を求めているという形でありますが、したがいまして、ただいまお尋ねの空港警備隊の設置の問題そういういままでいろいろやってまいりました実績を踏まえて、今後の開港後の警備体制ということを判断し、かつ極左の非常な狂暴性、今後の闘争の形態、そういうことを判断いたしまして、やはりこれは、現在の制度の中で、千葉県の警察の組織の中に空港警備隊というものをその一部として設置をするということか最も合理的であり、妥当であるという判断になりまして、また、これは千葉県あるいは千葉県の警察の意向も反映しているわけでございますけれども、そういう判断に立ちまして、空港警備隊を設置すると。しかし、この隊の任務、性質上、やはり財政負担については、これはなるべく地元には迷惑かけないようにしたい。こういうことで、結論的に先ほど御答弁したようなことで、空港警備隊の設置を決めたわけでございまして、先ほどお尋ねのようないろいろな問題点、なお詰めていかなければならない問題ございますけれども、基本的には従来の実績に立って将来を展望して、そういうような方針で機動隊を設置するというところが現在の結論でございます。
  172. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、長官、成田の空港の警備の万全を期さなきゃならぬという認識に開きがあるわけではない。しかし、先ほど来少しやりとりをいたしましたように、この問題は、成田が大変だからといって、いろいろそういう制度をつくったり、人を置いたりすることではあるが、よく考えてみると、警察制度の根幹にも触れる問題点をやっぱり持っている。昭和二十九年の、あの例の制度改正から久しく警察制度の根幹にかかわる議論はありませんでしたが、これは一体自治体警察かということを考えると、やっぱり重要な問題で、それならそれなりに手段を踏むべきであって、何かどこか政令あたり、国会のお目にかからぬところでちょこちょこっとさわって、事実が先行をしてしまう。制度の変更が先行するということについては、立法をあずかる者としては納得しがたい。だからやっぱり折り目、筋目の通った扱いをすべきだということを私は主張しておるのであって、そういうことについては、いずれまた、検討中のことのようでありますからやりますが、直す方は直した方がいいですよ。こそどろみたいなやり方はしないということだけ強く要望しておきます。
  173. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まず、長官にお伺いしますけれども、この法律案は「最近における猟銃又は空気銃を使用する犯罪及び猟銃又は空気銃に起因する事故の実情にかんがみ」とありますけれども、「最近における」と、特にうたってありますのは、いままでと大分事情が変わったわけなんでしょうか。全国的に見たり、あるいは犯罪傾向その他から見まして、法改正しなければならないという特別な理由があるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  174. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) ただいまのお尋ねの点でございますが、猟銃及び空気銃の事故の現状から見まして、たとえば覚せい剤中毒者を欠格条件に入れるとか、あるいは新しく免許をとる者に対しての講習を義務づけるとか、いろいろお願いをいたしておりまするけれども、これはここ数年のやはり猟銃等中心とする事故の現状から見まして、その事故防止のために有効な方法としてぜひお願いを申し上げたい。いわばここ何年かの懸案と、こういうことでございます。
  175. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話ですけれども、特にこの数年といいましょうか、最近このような行為についての必要性が生ずるような、たとえば数字上の、あるいは犯罪件数なら件数上の変化というものがありましたら、ちょとお知らせ願いたいと思います。
  176. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 今回の法律改正お願いをいたしておりますのはいろいろございまして、まず第一番目には、許可欠格条項の中に覚せい剤中毒者を入れるということでございます。  第二番目には、新たに許可を受けようとする者に対しては、射撃の検定に合格した者でなければならない。または教習射撃場において一定の教習を終了した者でなければいけない。それに関連して、指定教習射撃場の基準なり、あるいはそこで指導いたします射撃指導員、あるいは教習射撃指導員、そういうものの基準を定める。あるいは許可証の合理化ということで、いままで一つの銃の許可に対して、一つの許可証が必要だということでございましたけれども、そういうものを一冊のもので賄うと。あるいは許可証の有効期間を五年としておりましたけれども、三年に改める。そのほか、現在は銃が失効した場合には、仮領置の制度がございません。そういうことで、違反をして取り消しを受けた者の措置と著しく不均衡が生じております。そういうものを是正する。あるいは猟銃につきましては自己保管が原則になっておりますけれども、長期出張をするとか、あるいは入院をするという場合には、適当なところに預けた方がいいわけでございまして、公安委員会に届け出をして、指定したところは預けることができるというような、まあ非常に多角的な改正お願いをしておるわけでございまして、この改正について、必要性は何かというお答えについても、これは一つずつ、まあ厳密に言えば違ってくるわけでございますが、総括して申し上げますと、この提案理由の中にも規定してございますように、何といっても第一には、猟銃等によるところの犯罪や事故を未然に防止するということにあるわけでございます。その数字的なものにつきましては、この初心者の事故というものがふえているかどうかというのが一つの問題になると思うんですが、これは必ずしも猟銃所持して五年未満の者についてはふえてはいないわけでございます。むしろ減少しております。三年以下のものについては若干増加をしている。これは猟銃所持の期間、いわゆる経験年数からいえばそういうことで必ずしも大幅にふえたという数字は出てないわけでございます。しかしながら、事故の内容を見てみますと、これはたとえば経験年数が十年、十五年たっている人の事故であっても、やはり初歩的なミスあるいは基本を忘れたための事故というものがかなり多いわけでございます。したがいまして、昨年は前年に比べてそういう初心者の事故が減っておりますけれども、やはりこういう事故はむしろ一件でもあってはならないわけでございます。特に先ほど申し上げましたように、経験年数のある者についても、やはり初歩的なミスによる事故が多いわけでございますので、この際新規に許可をとろうとする者に対しては、やはり射撃の検定なり、あるいは一定の教習射撃を受けて基本をしっかり身につけるということが必要ではないかというふうに考えているわけでございます。また、銃砲等を使用したところの犯罪でございますけれども、これは銃砲全体で見ますと必ずしも最近ふえたという結果は出てないわけでございます。警察庁に報告のあったものだけでございますけれども昭和五十年には九件、それから五十一年では十五件、それから五十二年には七件というものが発生をいたしております。しかしながら、覚せい剤中毒者によるところの犯罪や事故というものは、これはかなりふえておるわけでございます。覚せい剤中毒者銃砲による事故というのは、先ほど申し上げましたように、必ずしもふえてはいないわけですが、中毒患者による事故というものはかなりふえております。これがやはり銃砲を将来所持することによって犯罪を起こす、あるいは事故を起こすという危険性かなり高いわけでございます。そういうことを総合的に考えまして、今回の改正案を作成したわけでございまして、御審議をお願いしているわけでございます。
  177. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、今回特に改正するということは、数字的にこういった犯罪がふえたからどうこうというのじゃなくて、実態に応じてこのような改正をしようと、こういうふうに理解をしていいわけでございますね。そうすると、いまお話のあった、この覚せい剤中毒者猟銃等による犯罪実態と言っても、まだそれほどはっきり当局ではつかんでおるわけじゃございませんね。そういうふうに理解してよろしいですか。
  178. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 先ほどちょっと説明が不十分でございましたけれども覚せい剤の中毒に起因する銃砲による犯罪件数が、昭和五十年には九件、五十一年には十五件、五十二年には七件ということでございまして、そういう事故については一応は掌握いたしております。
  179. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、この覚せい剤の中毒にかかっている者に許可をしないと。要するに欠格者だと、こういうふうにお扱いになるのはわかりますけれども、当然だと思いますが、すでに覚せい剤の中毒にかかっている人間が新たに銃を手に入れるということを、これを取り締まることができても、銃をすでに持っている者が覚せい剤の中毒になった場合に犯罪を起こすということは予想されますね。そういった覚せい剤中毒者と申しましょうか、そういう人たちが、他人の許可を受けて所持している銃を使ってそれで犯罪を起こすと、こういうことも考えられますけれども、こうした場合の防止はどういうふうになさるお考えですか。
  180. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 確かに今回の改正で、新規許可欠格条項の中に覚せい剤中毒者というものを入れて、いわゆる門前払いをするというような考え方でございますが、ただいま御指摘になりましたように、許可後その者が覚せい剤中毒者になるということはもう当然考えられることでございまして、これらが犯罪に使用されるという危険性も十分あるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、一年に一回銃の一斉検査をいたしております。で、その際に単に銃を見るだけでなくて、この人に欠格条項がないかどうか、これも十分に確かめるようにいたしておりますし、また、現在では五年に一回更新のための許可の申請に参ります。そのときにも人的条件その他についても詳細に審査をするということにいたしておりますので、そういう際にも特に覚せい剤中毒者発見については十分に留意をする。それでまた、今度は逆の方になりますけれども覚せい剤事犯の検挙も最近非常に多くなっておるわけでございますが、そういう検挙をした場合に、その者が銃砲を持っていないかどうか、そういうものも一つ一つ丹念にチェックをいたしまして、そういう者が持っておれば直ちに取り消しをするというような措置をとってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、そのほかにも、外勤警察官巡回連絡とか、そのほかあらゆる警察活動の場において覚せい剤中毒患者発見すると、それと銃の結びつきというものをチェックしていくと、こういうことを十分に考えてまいりたいというふうに思っております。
  181. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この覚せい剤の問題ですけれども、やっぱりこのような犯罪をなくすることには、根本的にはその覚せい剤取り締まりということが最も肝心なことだと思いまするし、また同時に、覚せい剤や銃というものは暴力団と切り離すことができないものであるというふうに考えますと、しょせん、つまるところはこれらの撲滅を図る以外に根本的な解決はないんじゃないかと、このように思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  182. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) ただいま御指摘のありましたとおりでございます。この覚せい剤や、銃砲の密輸とか、密売の組織のほとんどはこれは暴力団であります。したがいまして、覚せい剤中毒者増加している、あるいは銃砲によるところの犯罪が多発をしているというようなことは、やはりその根本にはこの暴力団の問題があるというふうに考えております。したがいまして、覚せい剤中毒者銃砲によるところの犯罪を撲滅するというためには、暴力団そのものを徹底的に取り締まると、できればこれを壊滅していくと、これが最も重要な施策だと私どもも考えております。
  183. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話ですけれども覚せい剤事犯というものが最近暴力団、それから芸能人なんかからかなり一般のものにまで及んでいるかのようなことを聞いておりますけれども、最近の覚せい剤の広がりぐあいについて何かつかんでおられましたらば御説明願いたいと思いますが。   〔理事夏目忠雄君退席、理事望月邦夫君着席〕
  184. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 覚せい剤事犯昭和四十五年ごろから急激に増加をいたしておりまして、昨年の検挙件数は二万三千七百六十五件、検挙人員は一万四千四百四十七人にのぼっておりまして、この八年間で約二十倍以上増加をしておるという結果が出ております。また覚せい剤押収量も昨年は六十五キロとなっておりまして、例年と比べますと約二倍になっております。この量は十年間を比較してみますと最高の記録となっておるわけでございます。この増勢は一向に歯どめがかかりませんで、ことしも二月末現在で増加しているというような状況でございます。  で、これは先ほども申し上げましたように覚せい剤暴力団の最大の資金源となっておるわけでございまして、そのために暴力団の組織を利用してかなり無理な売り込みをいたしております。地域的に見ますと、北は北海道から沖繩まで全国的に広がっております。またこれを職業別に見ますと、バスあるいはタクシーの運転手、農漁民、家庭の主婦あるいは少年にまで広がっておるというふうな状況でございます。で、その中で一ころマスコミをにぎわしましたけれども、芸能界にもかなりこれが入ってまいっておりまして、かなりの検挙者を見たわけでございます。しかしながら、先ほども検挙件数あるいは人員ということで数字を申し上げましたけれども、これらも氷山の一角であるというふうに私どもは見ております。これらの覚せい剤の製造でございますけれども、現在は国内にはほとんどございませんで、ほとんど外国で製造いたしております。したがってほとんどが密輸入ということでございます。特に多いのは韓国、香港、タイ、フィリピン、台湾、そういうところになっております。
  185. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に、所持許可基準の整備の二番目といたしまして、保管義務違反者とそれから譲渡制限の違反者に対しまして三年間は免許を許可しないこととしておりますけれども、これまでに該当するものでどれくらいの数になりましたか。  それからついでに伺いますけれども、違反者の中でも悪質なものは生涯もう銃を持たせないというふうな断固たる処置が必要ではないかとも思いますけれども、その辺の御所見を承りたいと思います。
  186. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 保管義務違反の状況でございますが、これは昨年一年間で四百三十一件でございます。これは前年に比べて若干減少しているというふうな状況でございます。それから譲渡制限違反につきましては昨年一年間で七十件となっておりまして、これも前年に比べて減少しているというふうな状況になっております。  これらの悪質な違反者について、もうこれは免許を与えないというふうにしたらどうかという御指摘でございますけれども、現在の法のたてまえといたしましては、この欠格条項に該当しない場合には、これは一応許可をするというたてまえになっておりますので、全然許可をしないというわけにはまいらないわけでございます。しかしながら、悪質な違反者というのは、またこれは繰り返すというおそれも十分あるわけでございますので、まあ、再度新規の許可申請に来た場合に、厳密に審査をして、欠格条項があればこれを排除する、もちろん欠格条項がなくても、そのおそれが十分あるということであれば、行政指導をいたしまして、できるだけ銃砲を持たないような方向に持っていくということが必要であろうというふうに考えております。
  187. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 今回の改正案によりますと、新たに猟銃所持許可を受けようとする場合の手続ですけれども、これが変更されていますけれども、これはどのような理由によるものかお伺いしたい。ということは、現行許可手続の不都合な点はどんなところにあったのかと思いますけれども
  188. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在は猟銃許可をする場合には、猟銃等講習会の講習課程を終了した者であって、法で定めるところの許可の欠格事由に該当しない者であれば、所持許可を与えるということにしているわけでありますけれども、今回の改正法が成立しますと、銃の新規所持者は次のような手続をとることになるわけでございます。まず猟銃等講習会の講習を受講いたしまして、その講習課程を終了した後、いわゆるこれはもう俗称、通称で呼んでおりますが、仮許可を受けることになっております。仮許可を受けましてから法令で定めますところの射撃検定を受けて、これに合格するか、あるいは教習射撃場に参りましてそこで一定の課程を終了する。そしてその際には終了証明書というものをもらうことになるわけでございますが、この条件を満たして初めて新たに許可を受けることができると、こういうことになるわけでございます。  この中で、これまでの、そういう手続の差がございますが、これまでにいろいろ不都合があったのかということでございますが、これは先ほど来先生から御指摘をいただいておりますように、猟銃等によるところの事故というものがかなり多いわけでございまして、その原因も初歩的なミスあるいは基本を忘れたための事故というようなものがかなり多いわけでございまして、そういうものを防止するためには、やはりこのような手続を経て許可を出す、そこまでやはり慎重にやるべきではないかということで、今回の改正を考えておるわけでございます。
  189. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 現行の場合でも所持許可申請書が出された場合に、その者が銃を所持するに足るかどうかを警察の方では十分に調査をなさっておられると思いまするけれども、銃が非常に危険物である以上、やはり厳格な調査を行っていくべきではないか。これは当然のことだと思いますけれども、今回の改正案では、この調査のことも何かお考えになっておられますか、お伺いします。
  190. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) この点についても先生の御指摘になりましたように、猟銃所持ということは大変危険なものを持つということになるわけでございます。特にこの人がこのような危険なものを持って十分であるかどうかということは非常に重大なことでございまして、これは従来から厳しい調査をいたしております。したがいまして、今回の改正によりまして特に人的調査について特別に追加するとか、あるいは特にこの点を厳重にするというようなことは考えておりません。強いて言えば、さらに厳格な人的調査をすると、それで欠格者を発見をしてこれを事前に排除すると、こういうふうに努めたいということでございます。
  191. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 先ほどからお話のありました銃を新たに持つ場合に受けなければならない講習会のことでございますけれども、この内容はどんなようになっておりますか。それからまた、この講習会の内容の変更はないんでございますか。
  192. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 講習会には新規所持の講習と、それから更新前の講習と、まあ二通りがあるわけでございますが、講習の内容は、いずれもそのときの最も新しい法令の講習と、そのときの事故の内容、傾向を踏まえまして、銃の取り扱いに関する技術的な講習をいたすことにいたしております。しかしながら、新規所持者の講習につきましては、できるだけ基本的なものを内容に盛り込む、それから更新前の講習については実際的にすぐ役立つような効果的な講習の内容にするというような考えでございまして、これまでの猟銃等の講習との違いがあるかどうかということでございますが、これまでは比較的時間も短い時間でやっております。で、改正後の講習につきましてはできるだけ内容を充実したいということで、所要時間も比較的多目に考えてまいりたい。それで、しっかりこの際基本を植えつけるようにいたしたいと、こういうふうに考えております。
  193. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ちょっとそれと似たようなことを伺いますけれども、このいまの教習を受けなければならない、あるいは技能検定を受けなきゃならない、こういうことになっておりますけれども、これはメリット、デメリットということについてどのようにお考えですか。
  194. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 最近の猟銃等の事故の原因は、先ほど来申し上げておりますように、初心者あるいは基本を忘れた事故が多いわけでありますから、射撃検定あるいは教習射撃を実施することによりまして、社会的に見て猟銃等の事故を大幅に抑止することができると、また猟銃を初めて持つ者、これは午前中の佐藤先生の御質問にもお答えしましたけれども、これまでは兵隊の経験のある者で銃に比較的なじんでおった方が多かったわけでございますが、最近ではだんだんとそういう方も少なくなって、許可をもらって初めて銃を手にするというような方が多くなっておるわけでございます。したがいまして、銃を持っても自信を持てないというような方々が多かったわけですが、こういう検定に合格し、あるいは一定の教習射撃を受けるということによって自信が持てると、自信を持って行動することができるんじゃないか。自信を持つということが、また事故防止にもつながるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。このようなメリットがあるというように考えておりますが、もちろんこれは検定や教習射撃をやるということについては、それだけの時間がかかりますし、また費用もかかるわけでございます。しかしながら、このようなデメリットも、全体のメリットから考えればやむを得ないんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  195. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この技能検定ですけれども、どのような基準で行われますか。  それからさらに、この技能検定に当たる試験官、それから場所などはどういうふうに考えておられますか。
  196. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 技能検定の基準でございますけれども、これは銃を所持しようとする者の技能が一定の水準に達しているかどうかを判断するためのものでありますから、猟銃の点検方法、それから基本的な保持方法、装てん、脱包方法、授受の方法、それから休憩時の取り扱い及び挙銃、照準方法等の猟銃操作と、射撃を実際に行わせた上で合否を判定するということを考えておるわけでございます。なお、その基準についてはこれは政令で定めることにいたしております。平たく一般的に申し上げますと、射撃教習の制度を設けますが、この射撃教習の課程を経た者と大体同程度ということで考えているわけでございます。  それから次に、試験官でございますけれども、これは県警察本部に勤務しております銃砲担当職員がこの検定に当たることを一応考えております。また試験地につきましては、都道府県の管内にあります公安委員会の指定した射撃場を借用して行うというふうに考えておるわけでございます。しかしながら県の中に公安委員会の指定した射撃場がないという場合もあるわけでございますので、そういう場合には隣県に検定を委託するとか、あるいは隣県の管内にあります射撃場を一時借用すると、借り上げると。こういうことで補ってまいりたいというふうに考えております。
  197. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、あれですね、この教習射撃場というのは全国で二十カ所か二十五カ所ぐらいになるものと考えればよろしゅうございますか。それと、同時に伺いますが、教習所の管理者の資格ですね、これなども厳しく審査しておく必要があると思いますけれども、どのようにお考えか、あわせて御返事願いたいと思います。
  198. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在教習射撃場を何カ所指定するという、そういう限定的なことでは考えていないわけでございまして、これはやはりまず第一番目には、教習射撃場というのは指定射撃場の中から届け出によって審査をして指定をするということになるわけでございますから、指定射撃場のまず意思が大切でございます。そういう届け出があった場合には、いま言ったような基準によって審査をいたしまして、基準に適合するということであれば、これは全部許可をするということになるわけでございます。で、また一方、これはやはり利用者の方の利便も考えなきゃいけませんので、できるだけその県内には少なくとも一、二カ所はできるというふうに行政指導をしてまいらなければならないというふうに考えております。したがいまして、冒頭に申し上げましたように、全国で幾つつくらなきゃいけない、その県の中に何カ所ければいけない、そういうような画一的な、あるいは限定的なことでは考えておらないわけでございます。まあしかしながら、その審査に当たってはひとつ十分に厳しくしてまいらなければならないというふうに考えております。  それから、管理者の基準でございますけれども、やはりこのような重要な教習射撃場の運営に当たる人でございますし、また教習射撃場の指定の要件にもなっております。したがいまして、この管理者の基準については厳しく考えておるわけでございますが、ざっと申し上げますと、二十五歳以上の者であること、それから管理しようとする教習射撃場で使用する銃砲または火薬類に関する相当な知識を有すること、それから銃砲所持の欠格事由に該当しないこと、射撃に関する経験を有し、かつ射撃に伴う危害の防止のために必要な知識を有している者であること、その者が、指定射撃場または教習射撃場の管理者として在任中に発生した事由により、当該指定射撃場または教習射撃場がその指定を解除されたことのない者、銃刀法または猟銃用火薬類に関する火薬類取締法の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられたことのない者、ということで考えております。
  199. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 管理者についてはわかりましたけれども、その下で働きます教習場、射撃場の教習を行う指導員ですね、この指導員は大体何人ぐらいお考えになっていますか。それから指導員になるための資格要件というようなものはどのようになるのか、お伺いします。
  200. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) この制度を実施していくのには、教習射撃場において初心者の射撃教習の指導に当たる教習射撃指導員に適任者を得ることと、必要な人員が確保されるということが必要なわけでございます。そこで、教習射撃指導員はどの程度人員になるかということでございますけれども、これも画一的には考えておらないわけでございまして、これは教習射撃を受ける人がどの程度いるのか、あるいは教習射撃場の運営がどのようにされておるのかというようなことを勘案して、それぞれ教習指導員が決められるということになると思うわけでございます。これも公安委員会が一応指定はいたしますけれども、教習射撃指導員になるためには、管理者が、一応適任者であるということを認めれば選任できるわけでございます。これはもちろんこれは射撃指導員の中から選ぶことになるわけですが、射撃指導員の中で適任者であると思われる者について、管理者が指定をすることができるわけで、選任をすることができるわけでございまして、その結果を公安委員会に届け出る、こういう義務が課せられております。そういうことでございますので、まあ何人ということは警察の方では決める考えはありませんが、しかしながら、大体基準的なものを申し上げますと、教習射撃場であれば三名ないしは四名ぐらいの教習指導員がいるということが大体標準ではなかろうかというふうに考えております。  それで、教習射撃指導員の基準でございますけれども、これはまずこの射撃指導員として指定されておるということがまず要件でございます。  で、射撃指導員としての資格要件でございますが、これを申し上げますと、ちょっと長くなりますけれども……
  201. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 簡単で結構ですよ。
  202. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) はい、二十五歳以上の者、現にその者が行おうとする射撃教習の種類にかかわる種類の猟銃について所持許可を受けている者、それから本法または猟銃用火薬類に関する火薬類取締法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたことのない者、猟銃の操作及び射撃について相当な知識、技能及び指導力を有する者、射撃指導員の指定を解除されたことのない者、こういうふうに考えておるわけでございますが、この中から教習射撃場の管理者が選任をするということになるわけでございます。そのときの要件といたしましては、一つは、教習射撃指導員を解任されたことのない者、それから射撃指導員としての経験が二年以上である者というようなことを考えております。
  203. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に飛びまして、この第五条の五の関係ですけれども、技能検定または射撃教習を受けるために猟銃所持しようとする者に政令で定める期間の間所持許可することとなっていますけれども、どれくらいの期間をお考えになっていますか。
  204. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 現在四カ月ぐらいを考えております。
  205. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、この仮許可ですか、仮許可は銃を購入しても技能検定なり教習がこの期間に終了せずに、所持許可されないというケースが実際においては出てくると思いますが、これに対してはどういうふうにお考えになっていますか。
  206. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) まあ確かに一応考えますと、これは射撃検定というのもこれは試験でございますし、あるいは教習射撃と言っても一定の課程を終了した結果を考査して合格しなければいけないわけでございますから、理論的に言えば不合格者も出る、こういうことになるわけでございます。しかしながら、実際上の問題といたしましては、何回でも検定を受けることもできますし、また教習射撃についてもさらに回を重ねて講習を受けることかできるわけでございます。特にこの教習射撃について一口で申し上げますと、その猟銃等所持しようという意思があって、一応普通の努力さえすれば、当然に合格できるというところに大体基準を置いております。したがいまして、射撃検定についても大体同程度ということでございますから、一応の意志と努力さえすれば合格できる、したがって、実際の場合には不合格者は、まあ例外的なものはありますけれども、一応原則的にはないのではないかというふうに考えております。
  207. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 五十二年に行いました銃の一斉検査の結果、所在不明になっているもの百四十九丁、不正に譲渡されているものが二百五十丁という数字の資料が来ておりますけれども、これはちょっと驚くべき数字だと思いますが、これらの犯罪に使用される危険性というものはありますか、どうでしょうか。
  208. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) ただいま御指摘の所在不明銃や不正譲渡をされた銃というのは、犯罪や事故の危険性というものを持っておるわけでございます。
  209. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それから、これと同じようなことですけれども、眠り銃と認められるものは二万四千丁ということですが、これは本当でしょうか。  それから、この処分はどのようになっていますか。強制的に処分させるような措置も考えらるべきだと思いまするけれども、どのようなお考えかお伺いします。
  210. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 昨年一年間で眠り銃が二万四千丁発見されておるということは御指摘のとおりでございます。それで、これの処分につきましては、廃棄させるか、あるいは適当な人に譲渡させるというような措置をとっております。
  211. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この猟銃所持者につきましては、不適格者には所持許可しないように、許可の段階で厳しくチェックしなければならないことは当然でございまするけれども許可した後に銃が暴力団に渡ったり、それから犯罪の用に供せられるとか、あるいは所持許可を受けた者が犯罪に使用したり、不注意のため事故を起こす等のことが考えられるわけですけれども、このような事件や事故を防止していくためにはどのような対策を講ぜられまするか、お伺いします。
  212. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) これは先ほども指摘がございましてお答えを申し上げたわけでございますが、やはり猟銃等許可を得て——先ほどは覚せい剤中毒者でございましたが、今度の場合は暴力団に加入するという者も、これは考えられるわけでございます。これらを防止するためには、やはり覚せい剤中毒者発見と同じように、一年に一回やります一斉検査の際に発見するように努める。また、許可更新の際に、こういうものを発見して排除いたしたいというふうに考えておるわけですが、一方、暴力団取り締まり等をやります際には、その者が猟銃等を持ってないかどうか、これはもう当然にチェックするわけでございます。  またさらに、暴力団そのものを壊滅するということが、何といっても根本的な対策になるわけでございますので、暴力団取り締まり強化というものは今後さらに強めてまいる必要があろうと考えておるわけでございます。
  213. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に、銃の所持許可証、一人についての許可証の有効期間についても現行の五年を三年に短縮しておりまするけれども、こうした処置による実効はどのようなものかお伺いします。
  214. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 許可証を簡素化し、また許可の有効期間を短縮することによりまして、所持許可を受けた者の実態把握が容易になります。また許可の欠格事由に該当する者の早期発見、眠り銃の早期排除、こういうことができるわけでございまして、効果のある措置ではないかというふうに考えております。
  215. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この法律案についての資料の「統計資料」の表の2ですね、この「銃砲犯罪供用件数の年次別状況」を見ますと、散弾銃による犯罪増加が目立っておりますが、これはどのような理由があるんでしょうかお伺いします。
  216. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) これを的確に、どういう理由であるかということを表現することは非常にむずかしいわけでございますが、最近猟銃による犯罪の内容を通じて考えられますことは、暴力団が威力の強い散弾銃に着目をしてきておる。で、また一方、これは第八十回の国会において一連拳銃等についての罰則強化してもらった、あるいはモデルガン規制強化してもらったということで、拳銃から猟銃等にかわっていくというような傾向も見受けられるわけでございます。また自殺の手段として使っているということも目立っておりまして、そういうものも理由になっているのではないかというふうに考えております。
  217. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最後にお伺いしますけれども、御案内のように、昨年の国会でもってやはり銃刀法を改正いたしまして例のモデルガンの改造防止を図ったわけですけれども、その後の運用状況についてお伺いしたいと思います。  効果の点ではまだどうこうという段階じゃないかとも思いまするけれども、それに関連した業界の動きなどについて実情がおわかりでしたら御説明願いたいと思います。
  218. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 第八十回国会での銃刀法の一部改正効果ということでございますが、その後の拳銃押収状況を見ますと、昨年一年間で拳銃押収量が千三百五十五丁になっておりまして、前年と比べまして二百九丁、一三・三%減少をいたしております。その中でも、特にそのときに規制をしていただきました金属製モデルガンを素材にいたしました改造拳銃は、昨年一年間で八百十九丁押収しておりますが、これは前年に比べまして百九十七丁、一九・三%というふうに大幅に減少をしておるわけでございまして、実際のモデルガン規制は十二月からになっておりましたけれども、やはり一応法が改正になった、これから厳しくなるぞということで、かなりやはり効果が出てきているものというふうに考えております。しかしながら、真に効果が出るのはこれからのことでございますので、法を十分に活用しまして、ひとつ取り締まり効果を上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから改正に伴う業界の動きでございますけれども改正後自主的に第三者機関モデルガン検査を委託して合格したものについてはSMGマークを——これはセルフ・モデル・ガンということでございますが、これをつけて市販をするということをいたしております。  なお、このSMGマークつきのモデルガンは、本年三月末現在で十九万八千丁が製造販売されたというふうに業界から報告を受けております。
  219. 望月邦夫

    ○理事(望月邦夫君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会      —————・—————