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1978-08-10 第84回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年八月十日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  七月十五日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     小笠原貞子君  七月十七日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君                 神谷信之助君     委 員                 鈴木 正一君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 佐藤 三吾君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 前島英三郎君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        人事院給与局給        与第三課長    清水 秀雄君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        警察庁交通局交        通規制課長    福島 静雄君        警察庁警備局長  鈴木 貞敏君        厚生省社会局更        生課長      板山 賢治君        労働省職業安定        局業務指導課長  田淵 孝輔君        建設省住宅局建        築指導課長    大田 敏彦君        自治省行政局行        政課長      中村 瑞夫君        自治省行政局公        務員部長     砂子田 隆君        自治省財政局長  森岡  敞君        自治省財政局交        付税課長     柳  庸夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (地方公務員給与問題等に関する件)  (駐車禁止除外車両証の取扱いに関する件)  (地方公共団体等身体障害者に対する諸施策  に関する件)  (警察行政に関する件)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。  神谷信之助君が一時委員異動したことに伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事神谷信之助君を指名いたします。     —————————————
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  5. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 速記を起こして。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 実は、あすにでも人事院勧告がなされるような話であります。実は、それらの点について、少し、人事院でもおいでいただいて、尋ねようと思ったんですが、勧告を前にして、内側の話はできないみたいな事前の話でありましたから、人事院にお伺いするのは少し遠慮いたしますが、いずれにしても出るということが既定の事実のようでありますが、額も大した期待もできない、とはいいましても、勧告になるようであります。  そこで、自治大臣あれですか、額のいかんにかかわらず、当然のことながら、地方公務員についても必要な財源の手当てないしは行政指導を行う、このように考えておるんですが、いかがですか。
  7. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま御指摘がございましたように、近い機会国家公務員人事院勧告が行われると、かようなことでございます。そこで、例年いたしておりますように、各地方団体におきましても、それぞれの財政事情あるいは給与事情等十分検討の上、所要の措置が講じられるべきである、かように考えておるところでございます。  ただ、給与水準国家公務員あるいは民間従事者のそれを上回る団体等につきましては、いまお話がございましたような給与水準適正化を行うべきものである、かような基本の考え方をもって指導いたしてまいりたい、かように考えておるところであります。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 いや、そこなんですよ、大臣一般論としていままで給与水準適正化あるいは給与体系合理化ですね、こういうものに自治体努力をしていることは承知しておるし、そしてまた努力自治省当局もいろんな行政指導で促しておるということは承知をしておりますが、そうは言っても、不景気のもととはいえ、年に一遍の昇給ないしは給与改定というものは公務員にとっては励みになっておるわけでありまして、この給与適正化努力というものと、この賃上げというものを一遍に帳消しにしてしまうというようなことは何とも酷な話のような気がするんです。給与適正化努力努力給与改定改定という、そういう扱いにこれはなされるべきではないかという気もするんですが、大臣が御答弁で、前段の方では、当然自治体も国に準じてなされるべきものというお話しをして、後段で、ただし給与水準の高いところはだめだとか、こういうニュアンスでありますと、私が質問あるいは要望を込めて述べておることはいささかニュアンスが違うんですが、もう一度ひとつ。
  9. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 国家公務員に準じまして、地方公務員におきましても各地方団体が処遇の改善を行ってまいりますのが当然のことであろうと思うのでございます。ただし、だからといって、現在各団体等におきましていろいろ事情は違いますものの、今後適正化のために御努力を期待いたしたい、かように考えておる団体が相当数ありますことも事実でございます。ただし、かつてのようなことではございませんで、昨今の地方団体、各団体とも非常に御苦労なさりながら適正化のための努力をいたしておられまして、その成果が逐次上がってまいっておりますことは私どもよく承知をいたしておるところでございます。ただ、今後もなお適正化を御努力願いたいと、かように考えておる団体も多いのでありますから、そういう団体におかれましては、給与改善機会にこそさようなチャンスであろうかと、かような考え方を持っておるのでございますから、国家公務員に準じて給与改定を行うべきだと、かような一本調子のことではございませんで、しかしかような機会にどうぞ御努力をお願いいたしますと、かような態度でありますことの御理解をいただきたいと思う次第であります。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、禅問答みたいですけれども、言わんとすることはわかりますが、私はやっぱり事柄を分けて考えて、国家公務員に準じて地方公務員も当然給与改定は行われるべきだということが一つと、給与水準適正化については引き続き努力をしてほしいと、これでいいと思うんですよね。あなたの言い方を聞いていると、給与水準適正化努力せいと言ってもなかなかやりにくいだろうから、この給与改定の際にやれというふうなニュアンスは避けるべきだと、給与改善適正化適正化で引き続き努力してくださいよと、給与改定はひとつ国家公務員に準じて、計画上の財政措置等も十分あるわけでありますから、これはひとつそれで給与改定が行われるべきであろうと、こういうふうに事柄を分けてむしろ見解を表明なさる方が適当だと——いかがですか。
  11. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 毎年国家公務員給与改定につきましての結論が出ました場合には、それを踏まえまして、自治省といたしましても各地方団体に対しまして指導いたしてまいっておるところでございますから、恐らく今回もいつになりますか、いまだ明確ではございませんけれども、恐らく給与関係閣僚会議等におきまして結論を出し、さらにその結論を受けまして閣議で決定がなされると、かように考えておるのでありますから、さような決定を踏まえまして、地方団体指導をいたします際に、国家公務員に準じての給与改定を行うべきである。かような指導と同時に、この機会にいま申しましたような適正化のことにつきましても、これまたともに指導いたしますのが適当ではないであろうかと、かような考え方を持っておるところでございますから、どうぞさような御理解をいただければありがたいと思うのであります。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 それ、理解ならぬのですよ。あなた、前段答弁やめなさいよ。この機会にというくだりは、これは一般的に自治省地方公共団体給与適正化について努力をお願いしておるわけでありますから、その行政指導を私ここでやめろと言っているわけでない。それはどうぞ続けなさいと、こう言っているわけですよ。ですから、それはそれでいままでやっておるんですから、何も年度の半ばに大きい音出さんでも、春から言っていることでやっているわけですから、それはそれでよろしいじゃないかと、給与改定指導給与改定指導だけでやめておきなさいよと、こう言っているわけですよ。この機会にと言って音を大きくすることはこの際おやめなさいよと、こう言っているわけです。話はつじつま合っているじゃないですか。長い答弁要らないですから、さようでございますと、こう言えばいいじゃないですが。
  13. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 決して音を大きくいたしましたり、トーンを高めているわけではないのでありますけれども、通例取り運んでおりまするような、そういう形において今回もいたしたいと、かような気持ちを述べているところでございます。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 とにかく財政事情あるいは給与事情等を勘案することもあながち否定はいたしませんが、しかしまた財政事情ゆえにわずかであっても給与改定ができないとか、そういうことがまたないように、それからまた給与水準適正化は一年、二年ではなかなかできない事情にあることも御存じのところでありまして、やみくもに相殺をするとか、そういうことにならないように、これは要望をこの機会にいたしておきます。  この間、壱岐対馬という隔遠地離島委員派遣を命ぜられて行ってまいりましたが、そこで気がついた二、三のことについてお尋ねをいたしますが、国家公務員地方公務員を問わず、離島であるとか、遠隔の地であるとか、僻地であるとか、そういうところに勤務する職員について隔遠地手当なり特地手当なり僻地手当、私ら昔はみんな何でもかんでも僻地手当と言ったのでありますが、最近名前変わったようでありますが、その種の隔遠地勤務する者の特別の手当というのが出されておるようでありますが、地方公務員について、その種手当支給状況を概括的にお話しいただけますか。
  15. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) いまお話がありました特地勤務手当の問題につきましては、すでに法制上定められておりまして、通常勤務地勤務する場合に比べまして、離島その他の生活の著しく不便な地域について、そういう官公署勤務する職員につきまして支給をするということになっておるわけでございます。その内容といたしましては、そういう官公署勤務する職員自身勤務に伴う生活上の不便やあるいは生活の苦痛ということに着目いたしまして、かつ人事異動というものを容易にしようという考えに出ているものであります。それから寒冷地手当というものは、寒冷なり積雪の著しい地域勤務する職員に対しまして、燃料費その他の寒冷増高費用の一部を補てんするということで支給をしている手当でございます。調整手当というのは民間賃金なり物価、生活生計費が特に高い地域勤務する職員に対しまして、地域的な給与の実質的不均衡を是正するという意味職員維持確保を図るということのために支給している手当でございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 それで公務員部長、あれですか、その手当自治体職員地方公務員支給状況、概括つかんでいますか。
  17. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) お話のありました特地勤務手当につきましては、市町村の中でも支給をしておる、一部支給をしているというのは承知をいたしております。  それから、府県につきましてもこれはそういう生活不便なところについて支給をしておる実態を存じておりますが、府県につきましては、おおむね半分ぐらいの団体寒冷地手当を出しているというふうに理解をいたしております。それから、市町村につきましては、この三千二百あります団体の中で五、六十の団体寒冷地手当支給されているというふうに承知をいたしております。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 この際、特地手当……
  19. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 失礼いたしました。特地手当でございます。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 三千二百の自治体のうち半分ぐらいの市町村特地手当支給されていると。
  21. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 半分と申しますのは府県の方でございます。四十七の道府県のうちで半分ぐらいのところが特地手当を出しております。それから市町村では三千二百の団体のうちで五、六十ほど出しておるということを承知しております。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 特地とか僻地を持っていないところは出さなくてもいいわけですから、そのことはいいですが、国に準じて、やはり自治省が何か持っているわけでしょうね、一般的な指導基準として。その僻地あるいは特地ですか、隔遠地ですか、僻地なり隔遠地なりというところの市町村あるいはその持っておる市町村というところで、この特地手当なり僻地手当支給をされておる状況はどんなもんでしょうか。
  23. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 現実に市町村の中でどこの市町村がこの特地手当を出しておるかということは実はつまびらかにしておりません。ただ、私たちがいろいろ県からのお話を聞いておりますところでは、そういう特地手当を出しているところは、先ほど申し上げましたとおり市町村では五、六十あるというふうに理解をいたしております。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 私も細かい統計を持っているんじゃありませんが、県の場合には大体そういう隔遠地僻地等が国に準じた基準該当官公署があれば支給されているように伺っている。市町村の場合にはそれがいま五、六十というお話がありましたが、五、六十といえば案外支給されていないところが多いという数字にも伺えるんでありますが、実はこの間ちょうど壱岐対馬に行きましたときにもこの話を伺ったんですよ。その同じ対馬に国の役所もあるし、県の事務所もあるし、市町村事務所もあるわけですね。それが市町村の場合には支給されておらない。そういう手当が設けられておらない。条例にもないんですね。ということなのですが、自治省はわりあいに給与改定とか給与条例給与制度については一種のモデル的な案を示したりしまして行政指導を行っておるんですが、この特地手当というのですか、僻地手当についてはどういう行政指導を行っておられたんでしょうか。
  25. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 先ほど申し上げたとおり、特地手当性格は申し上げたとおりでございますが、国や都道府県におきましては非常に地域的に広域的な部分がございまして、そのために官公署というのが設置をされる場合に地域的に大変自然的あるいは社会的な諸条件に大きな差異があることは御承知のとおりだと存じます。そのために給与上におきまして特別の配慮をする必要があるということから、この特地手当支給されておるわけでございますが、市町村の場合には国や県に比較をいたしましてその区域も狭うございますし、地域による条件ということも市町村の中では余り差がないということのために、一般的にはその特地手当というものにつきましては、市町村にはなじまないものだというふうに私たちとしては理解をいたしているわけであります。このようなことから、現在市町村におきまして特地勤務手当支給している例というのは、先ほど申し上げましたようにきわめてまれでございまして、市町村の一部の地域にある公署勤務する職員については特地勤務手当支給しないというのが通常のようでございます。また、そういうような指導をいたしているわけでございます。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 後段また、そういうような指導をいたしておると言うんですが、そのそういうような指導と言えば、いまあなたの話聞いていると、特地手当というのは市町村ではなじまないから支給すべきでないという指導を行っておるんですか。それでいつどんな文書で出ています、そんなものが。
  27. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 一般的に給与全体をどういうふうに支給をするかというのは、公共団体自体が自分の給与状況なり財政事情なりを勘案しながら決めていくものでございますが、この特地勤務手当につきましては、先ほど申し上げましたような事情がございますので、一般的には市町村になじまないのだと、聞かれればそういう御説明をいたしておりますということでございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 聞かれればそういうことを言うったって、あんた聞かれなくたって皆さんの方が都道府県を通じて市町村指導をいたしておる給与条例案ですね、給与条例モデル規則といいますか、そういうものにはやっぱりちゃんと特地手当というようなものも入っておるわけでして、それやっちゃいかぬぞというようなことを別に文言に書いてあるものは見当たらないのです。ですから、私はどうもまとまった指導はなさっておらないのじゃないかと思うんですが、聞かれればそう言うと。  そこで、そうでしょうかね。私は、あなた聞かれればなじまない——どこにでもなじまないという言葉を何にでも使うのですが、強いて言えば何かあんた国家公務員とか地方公務員だとか日本全国という広がった幅を持っていて、それで開けたところと開けないところ、寒いところと暖かいところ、そういう全体の中に差がある。そのうちの開けないところだけがいわば市町村なわけだから、市町村という区域の中では差がない。差がないから特別とりたてて僻地手当離島手当だいうものは要らないと、こういう発想になるようです。それは論理的に合いませんよ。寒冷地手当と同じことですよ。鹿児島と北海道があるから、寒い方の北海道手当が出るという論理が、北海道だけで見ればみんな寒いのだから要らぬという、これは論理的に合いませんよ。それならこれ調整手当という昔の勤務地手当のなごりだ。東京都という区域の中は、それは日本全国から見ればとんでもない私の方の新潟のような田舎東京じゃ何かにつけて支出の度合いも高いだろう。田舎の悪いところで見れば東京はいいということになるかどうかわからぬが、一応そういう意味では、しかし東京都という範囲で見れば似たようなものでしょう。こういうわけで、いまあなたが冒頭に、似たような性格手当寒冷地手当調整手当特地手当という三つの手当性格から見て、国の職員、県の職員には通用するが市町村職員地域が狭くてその範囲の格差がないから手当はなじまないという論理は通らない、論理的でない、こういう気がいたしました、あなたの話聞きまして。  で、ここ人事院にちょっとじゃお伺いしますが、この特地手当にしぼりましょう、特地手当ないし僻地手当は理論的にどういう性格のものですか。
  29. 清水秀雄

    説明員清水秀雄君) お答え申し上げます。  特地勤務手当は、御承知のように国家公務員の場合は給与法の十三条の二というので規定されているわけでございますが、その規定に明らかなように、離島その他の生活の著しく不便な地域に所在する官署人事院規則で定めるものに勤務する職員支給することになっております。それで、その支給します趣旨は、先ほど自治省の方からも御答弁がございましたけれども、そういう不便な地域勤務することに伴います生活上の不便あるいは精神的な労苦というようなものに着目をして支給しているわけでございまして、一方ではそういうような官署への人事異動円滑化を図るというようなことを基本的なねらいとしている手当であるということを申し上げることができると思います。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 私もそう思います。この生活上の不便、皆さんの出した文書で、いろいろ生活精神的云々というのがあります。これをさらに広い地域、広い視野で考えると、都会から田舎へ行く者とか、あるいは暖かいところから寒いところへ行く者とかという異動ですね、この異動という視点で考えますと、先ほどあなたおっしゃったように、異動、寒いところから暖かい方へ、あるいは都会から田舎へというこの異動というサイドから考えますと、当該市町村区域は狭いですから、似たところから似たところへ行くわけですから、異動という点での給与上の特別の配慮は確かに論理的にも要らないと思いますね。しかし、ずいぶん文化的にもおくれたところで、生活便益も悪いところで苦労するという点では、これは範囲が広かろうと狭かろうと差異がない。  そこで、準特地というのがございますでしょう。で、あなたいま人事院課長さんおっしゃった後段の方は、皆さん説明でその異動を円滑にするということに着目をしているのは、むしろこの準特地手当の方じゃございませんか。これははっきり異動をする場合に、へんぴなところへ行くので大変だろうから三年間手当を特別にまたつけてあげますよと言って上積みをしておるでしょう。これは異動の方の裏づけであって、それから前段の方のこの特地手当なり僻地手当というのは、むしろ生活上の便益とかそういうものに対する手当といいますか、そういう性格と考えた方がよろしいんじゃないでしょうか。
  31. 清水秀雄

    説明員清水秀雄君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、現在特地勤務手当のほかに準特地勤務手当というのが昭和四十五年以来設けられているわけでございますけれども、その趣旨といたしますところは、特地勤務手当そのもの性格は先ほど申し上げましたようなことでございまして、さらに敷衍すれば、国家公務員の場合には御承知のとおり全国的な規模職員を採用し、全国的な規模職員異動等を行っているわけでございます。したがいまして、勤務条件として見ました場合に、相対的な勤務条件の差として生活の不便な地域勤務する職員にはそれだけの特殊性があるので、それに着目をして支給するという意味で先ほどお答え申し上げたわけでございますし、それがそのまま人事異動円滑化というような観点にも資するということで支給をしているわけでございます。ところが、実際上の問題といたして見ますと、最近のように世の中が変わってまいりますと、従来の特地勤務手当だけでは必ずしも十分な異動円滑化というようなことが図れないというような点が出てまいりましたものでございますので、さらにそれに上積みをする形で支給するというような趣旨におきまして準特地勤務手当というような制度昭和四十五年に設けたわけでございます。したがいまして、現在のところは両方の手当支給されるような形になっているということでございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 公務員部長、そこで、私少し問題を整理して考えますと、いま人事院課長見解もありましたが、あなたの先ほどの説明で言えば、準特地手当というような、これは確かになじまない。しかし、特地手当ないし僻地手当ですね、これはなじまないといって一方的に退けてしまうものでもない、こう思うんですが、もしあなたの論理一本やりでいきますと、これはやっぱりどうも市町村寒冷地手当支給するのもなじまない、あるいは在勤地手当調整手当支給するのもなじまないというところまでどうも行ってしまうような気がしてなりません。本来給与体系の中にこういうような種類のものがあるのがいいか悪いかのことはこれは別にしまして、現状を是認した上で考えますと、やっぱりそういう気もいたしますので、市町村にも特地手当支給されてしかるべきだ。要らぬというなら別ですが、仮に支給しようかというふうになれば、それは結構だという指導になるべきじゃないですか。
  33. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) ただいま特地勤務手当につきまして人事院の方が御説明になった内容だと思いますが、そういう意味では、市町村の中で人事異動をするということは、おおむねそういう広域的に生活が非常に不便になるというところに異動するわけではなくて、大体同一の地域の中で異動するというわけですから、本質的にはやはり特地勤務手当になじまないものだというのは、先ほど申し上げたとおりだと思います。ただ、その市町村によりましては自然的にあるいは社会的に非常に異なる条件のものにありますという、そういうのが非常に客観的にも明らかであるというごく限られた一部分については、そういう特地勤務手当支給するということは私はあろうと思いますが、やはり一般的にはそういう市町村にはそういうことは適用がないのではないかということを感じております。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 いやいや、それはあなた一遍言い出すとなかなか引かぬからあれですが、準特地手当、いわゆる異動円滑化を直接目的にしておる手当、こういうものであれば、まあ生まれたところが運が悪くて田舎だったと、僻地だったと。どこへ行っても僻地なんだから、逆にAという部落からBという部落の役場の出張所へ行ったからといったって、どっちみち僻地なんだからね。これは異動とかなんとかというものじゃないという意味で準特地手当支給できない。もっぱら異動円滑化人事行政の円滑化を目的としておる手当はなじまないということは私も同感です。しかし、古くからある僻地手当、いま特地手当と言っておりますが、特地手当というのは異動円滑化とかという特にそういうことをねらいとしているものではない。その地域が大変生活上の便益も悪いし、不便なところでもある、文化の吸収にも船に乗って遠くまで行かなければならぬとか、そういうことでは大変だろうというものを相当程度内容としておるわけですから、当然そういうところで暮らす、あるいは勤める者にそれなりの諸手当が講じられておる。寒いところは寒いところで大変だろうと、何くれと物入りだろうというので寒冷地手当がある。物価が全国平均からずば抜けて高いから、東京の支出の機会が多いから、こういうところはやっぱりそれなりに大変だろうというので、それに見合う制度があるというのと同じ意味でありますから、特地手当というのは支給されるべきだ。  実は、極端な話ですが、対馬で聞いた話ですが、きょうだいが三人おりまして、兄さんは学校の先生だというんだな。弟は税務署へ行っているという。三男坊は役場へ行っている。同じ家から弁当ぶら下げて出て、兄貴と二番目は特地手当もらっているわけよね。三番目はないわけだ。これはね、何か理屈には合わないんですよ。三番目に準特地がないというなら別ですよね。大臣、どうですか、この点は、あなたの県の岡山には島があるかどうか、やっぱり山地はあるんじゃないか。これは公務員部長言うようにかたくなに考えないで、これは支給できるもの、支給相当だというふうにむしろ考え方を変えるべきですよ。いままでのは、だめだといって文言に書いて指導しているんじゃない、お尋ねがあるとなじまないんじゃないかなというぐらいの返事をしているらしいですけれども、これはやっぱり支給の対象になる。町村がそういう制度をつくってしかるべきだ。大臣どうですか。
  35. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま三人のきょうだいの具体的な例をお引きになられたのでありますけれども、たまたまその地の出身の方がその地の税務署に勤務し、あるいはその地の学校に勤務をしておられた、この場合の例でございます。が、しかし実際問題としましては、長崎県の職員であります場合に、壱岐対馬勤務いたします場合と、そうではない場合があるのでありますから、恐らく人事異動等によりまして適当な時期には他の地域に転勤いたさなければならない、かように客観的な情勢下に置かれておる。税務署の職員にいたしましてもまた同様の条件であろうかと思うのでありますから、ですから、生活上の困難がありますとか、あるいはその環境に直ちにはなじみにくいというようなことも一個の要素ではございましょうが、私は特地勤務手当なるものは、やはり人事異動を円滑にさせるための処置である、かような理解をいたしておるところでございますから、そういたしますと、国家公務員なりあるいは地方公務員のうち、都道府県職員につきましてはさようなことは言えようかと思うのでありますが、市町村の場合は、やはり市町村役場、市役所もしくは役場に勤務いたしますか、あるいはその周辺の支所に勤務いたす場合があろうかと思うのでありますけれども、そう大きく勤務条件が違うとは思えませんし、また人事交流の面で特地手当が設けられておらなければ支障を来す、かような客観的な条件はないように考えられるのでありますから、やはり特地勤務国家公務員とそして都道府県職員には適当であろうかと思いますけれども、市町村職員につきましては、たてまえとしてはやはりなじみにくい性格のものではないであろうか、かような感じも私はいま質疑応答を聞きながらいたしておるようなところでございます。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、それはあなた勝手に、特地手当というのは、僻地手当というのは、人事異動をスムーズにするもの、円滑にするための手当であるというふうに勝手に定義をしているからですよ。私は前段人事院にもお伺いしておるわけでありまして、これはずいぶん歴史は古いんです。歴史は古いんですが、何も人事異動を円滑にするということだけのものではないということを先ほどから言っているわけですよ。著しい生活の不便、便益の問題であるとか、あるいは文化的なおくれの問題であるとか。私はむしろ公務員はどういうところに住んでおっても、大体同じようなレベルの文化なりあるいは経済なり、生活なりそういうものの便益、利益を受ける、そういうことのために支出のよけいにかかるものにはよけいそれを保障する手当があり、あるいは寒いところで衣類等がよけいかかれば、それに対するあれがあり、僻地などで文化の吸収やそういうものにそれなりの苦労をするというところにはそれなりの手当もあるというものだと思う。そのことがまた一面で人事の交流や異動というものも容易にするという性格のものと。その人事異動人事の円滑ということだけに着目をして、最近に至ってわざわざ準特地というものを重ねておるじゃないか、三年間。そのほかに人事異動円滑化ということであれば、僻地へ行ったら一号昇給させるとか、どこどこへ行ったら役付にしてやるとかという、そういういろんな措置を講じていますよ。そういう歴史的な経緯や手当の組み立てから見ると、私の言うていることも間違ってない、こういうことなんですが、私も昔は労働組合をやっていましてね、こういう手当ができるころ、こういうことを専門にやっておったんですよ。そのころは、悪いですけれども、最近でこそなかなか人事異動というのに着目しますが、昔は余り異動というものは役人にはありませんでした。いまみたいにころころころころ三年ぐらいでかわるというのはむしろ最近のできごとでありまして、昔はどちらかというと、焦げつきに似たような、どこどこ事務所というと、その顔がずうっとどこどこ事務所にあったような状況でした、人事の管理を見てまいりますとね。私はそういうころのことも思い浮かべてみますと、僻地手当なり特地手当なりというふうなものは、大臣公務員部長が言うように、人事異動円滑化一本やりではない、淵源的にも。それだけに特地手当イコール人事円滑化だ、市町村は狭い地域で、円滑化というそういう配慮が要らぬのだから、したがってなじまぬ、こう短絡的になじまない論理づけをしないで、やっぱり国家公務員あるいは県の職員に準じて給与を決めるという地公法上の仕組みからいっても、さっき私はきょうだい三人の引例をいたしましたけれども、法律はそうめんどうなことを書いているのじゃない、きょうだい三人が公務員だったら、大体似たような保障をされるというのが地公法二十四条の趣旨ですよ、これはめんどうな解釈要らぬのであって。そういうことからいっても、当然市町村職員にもこれは特地手当という制度が設けられるべきだ、対象になるべきだ。市町村の当局者がそういう制度を当然考えても、なじまないなんという話じゃない。大臣もう一度ひとつその点答弁してください。
  37. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) ただいまのお話でございますが、一つは、この特地手当と申し上げますのは、先ほどから申し上げましているとおり、離島やその他で非常に生活が厳しい、あるいは不便だというところの官公署勤務する職員に出す手当でございまして、これはやはり勤務に伴う生活上の不便でありますとか精神的な苦痛というものが主目的である、そうものに着目をしているということは事実ですが、このことと人事異動を容易にするということが、離して考えられているわけじゃございませんで、その二つがやはり両方の目的となって一体になって手当が出ているものだというふうに理解をいたしているわけです。ところが、先生専門家ですから御案内のとおり、もともとこれは隔遠地手当のときには交通不便だという規定であったわけですが、その後生活が著しく不便だというふうに直した関係上、準特地というものまで及ばなければいかぬ、生活上非常に環境が違うということでそこまで行ったわけでして、その人はまさに人事異動そのものですが、この特地手当というのは、その上に重なり合っているものですから、当然にそういう不便さというものと人事異動のスムーズさということが両方やはり一体になって動かない限りは、特地手当としての本来の趣旨は出ないだろう。しかもきょうだい三人のお話がございましたが、これもやはり一つは、手当自身の基本的性格に基づくものでして、なかなかこれを、そこへ出ているからという理由だけでは理解できないものがあろうと思います。むしろ県の職員なり国家公務員に出ているというのは、そこに勤務している職員との均衡の問題でして、手当自身の、県と市町村とにおける手当の基本的性格を変えるものではないというふうに理解をいたしております。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 きょうだけでは、なかなかあなた方のかたい頭はほぐれぬようだから、これはおいおいとまた話をしていこうと思うんですが、だからその流儀になりますと、寒冷地手当調整手当、同じことだと言うのだ。寒冷地は寒い。寒いから、いろいろな支出もかかる。そういうところには暖かいところから人も行きにくいというふうに考えれば、これも不可分の、非常に人事異動円滑化と不可分の形で寒冷地手当等ある。調整手当等ある。北海道は全部寒冷地だということになれば、その中で寒いところから寒いところへ異動するくらいのことは別にどうということはない。新潟は全部雪の降る寒積地域だという論理になってくれば、都道府県にそういう手当が出たとなるとおかしいということになってくるわけで、あなた方の方が少しそうかたくなに考えるべきものじゃない。世の中には皆さんの考えや論理だけが正しいということはないんですよ。私の言うことだってたまにはいいことあるんですよ。人がいいこと言ったら素直に聞くだけの能力がなくて何があなた勤まりますか。よく考えてください、これは、この次またやりますから。  そこで、交付税、財源手当ての面では財政局長、これはどうなっているでしょうか。
  39. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 都道府県分につきましては、その年々の人口を測定単位とする費目につきまして僻地補正という補正をやりまして、これは教員の僻地手当、それからいまお話しの特地勤務手当、全部包括、一括算入いたしております。これは公務員部長がいまお話し申しましたような特地勤務手当なり、あるいは僻地手当支給というものに中心を置いて級地区分を決めて算入しておるわけです。  市町村分につきましては、いろいろ御意見があったわけでございますが、やはり公務員部長申しましたように、生活の不便ということと人事異動円滑化ということも合わせて一本でこの制度趣旨を考えるべきだということから、一般的に申しますと、やっぱり市町村に全体としてはなじまないという気持ちを持っておるわけでありまして、そのような観点から県分と同じような算入はいたしておりません。ただ、市町村の中で離島であるとか、大変生活の不便な地域におきましては、公務連絡のために旅費もたくさん要りましょうし、あるいはその他一般経常経費もかなりかさむわけでありますから、そういう点に着目いたしまして隔遠地補正という形で、これもやはりその他諸費の人口分の費目について割り増し算入をいたしております。県分で約百二億円、市町村分で七十四億円、これは五十二年度分の算入額でございますが、そういう措置をいたしておるわけでございます。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、私聞いているのは、財政局長、あなたになじむかなじまぬかということを聞いているんじゃないんで、僻地なり隔遠地なりであることによって起きる行政需要といいますかね、そういうものをどんなやり方か、いろいろやり方ありますが、いずれにしても県であれ市町村であれ交付税法上それは算入していると、特に市町村の場合には僻地手当を出しちゃならぬように交付税計算してあるということじゃないでしょう。県も市町村も扱いは同じでしょう。ただ、学校の先生に、膨大な数に僻地手当というのが別の法律に基づいてありますから、その分は抜き出して計算をする仕掛けにはなっていますが、その他の一般の職員ということになれば、県も市町村も同じやり方で算入しておるでしょう、そうでしょう。
  41. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 県分につきましては、いま申しましたように僻地補正という補正をやり、市町村分については隔遠地補正という補正をやっておるわけですが、その内容は、いまお話しのように同じ算入をしているんではなくて、県分につきましては僻地手当なり特地勤務手当というものを中心に級地区分を決めて算入しておるわけです。  市町村分につきましては、特地勤務手当というものを算入しておるのではなくて、むしろ一般的な行政経費、公務連絡その他のいろんな経費の増高がありますからそれを算入いたしておる、こういう内容でございます。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 そうですか、これはあなたは専門家だから、あなたが言うのが本当かと思うが、どうもぼくはそうじゃないと思うな。なるほど市町村は、特地勤務手当というものをとりわけて柱を起こして勘定する仕掛けにならないで、一般的に僻地の行政需要というようなものを包括的に人口分のところにぶっかけて算入する仕掛けになっている。県の場合も、僻地あるいは特地であるがゆえの一般的な行政需要というようなもののほかに、僻地手当というようなものも柱になるような仕掛けになっていますが、そこであなたの答弁、ちょっと違いがありますのは、都道府県僻地手当は、あなたの言うように僻地教育振興法に基づくあの僻地手当というのは一つ柱が立ってますが、一般県職員支給される特地手当は柱は立っていません。あなたは僻地手当特地手当とこう言っているけれども、特地手当はない。特地手当市町村と同じように一般的に突っ込まれている。僻地手当の方だけは一つ柱が立っているんじゃないですか。だから私は、県も市町村特地手当に関する限りは同じ扱い、考え方としては同じ、あると言えばある、ないと言えばないんでありますが、一応行政需要としては見込まれているというふうに見るのが正当でしょう。
  43. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 都道府県分を計算いたします場合に、お話しのように僻地手当というものが経費の分量としても大変大きいということがございますから、僻地手当の級地区分を基本にとりまして五級地に分けて計算しておりますが、その場合に、県の職員特地勤務手当、これは僻地手当に比べればそう金額は多くはございません。その分も合わせてその他諸費の人口分の中に一括算入して見ておると、こういうことでございます。市町村の場合にはそれと違ったやり方で僻地における各種の行政経費の増高を割り増し算入をしておるということでありますので、県分と市町村分とは同じような算入にはなっていないということでございます。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 いや、念のために聞きますが、それは逆に言うと、県職員ですね、県の分についてはいま私が問題にしておる特地手当は対象になっているが、偉人されているが、市町村の方は算入されていませんよという説明になるわけですか、あなたの言うのは、逆に言うと。どういうことですかそれは。私の言うのは、県におる教員の僻地手当の分については抜き出して対象にしておるが、その県職員特地手当の分が市町村も同じこと十把一からげにして突っ込まれておる。それがむしろ——それ来る前に一生懸命読んできたんだけれども、それは部長、局長も何べんも言うが特地手当はないよ、その中には。
  45. 柳庸夫

    説明員(柳庸夫君) ちょっと財政局長の答弁を補足させていただきますが、局長から御答弁申し上げましたように、道府県分におきましては教員の僻地手当のウエートが非常に大きいものでございますから、教員の僻地手当基準といたしまして、市町村を級別に分けまして、これについて一定の補正率を乗ずるという形をとっているわけでございますが、その補正率を算出しますための基礎といたしましては、教員の僻地手当だけでございませんで、一般の職員の人件費も全部ベースにいたしまして、これに教員の僻地手当が中心になるものですからその僻地手当支給率を乗ずる。算定の簡素化のためにその支給率自体は教員の僻地手当支給率を使いますけれども、そのベースになるのは教職員以外の一般職員も含めました人件費の一般財源総枠を使ってやっているわけでございます。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 いや、そういうのであれば、やっぱり財源手当ての上でも、頭から市町村特地手当はなじまないという考え方が交付税の財源手当ての計算の仕方にも入っておるということになるわけで、これも前段、私、公務員部長と少しやりとりをしましたが、理屈に合わないというように思います。  時間が来ましたから、きょうはこれぐらいでやめますが、大臣、いまの段階で皆さん行政指導上の見解あるいは財政措置上の取り扱いはわかりましたが、私は、それは適当でないと思います。大臣何か見解ありましたけれども、これはよくもう一遍考えてください。私もすぐあしたどうこうと言っているわけじゃありませんけれども、これは皆さんの方でも、私もいろいろときょう言ったところにそんなに理屈の通らぬ、論理的に筋の合わぬことばかり言っているんじゃない。聞くべき指摘もあったと思うんですよ。これ内部でちょうどきょう大臣もそうだし、公務員関係、財政関係いらっしゃいますから、内部でひとつ検討してみてください、いかがですか。
  47. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 特地勤務手当に対します考え方なり、あるいは交付税の財政的な処置につきましては、先ほど来関係者から答弁がありましたとおりでございますけれども、しかし、行政は絶えず流動的に動いておることでもございますし、かつまた、最近の情勢等を踏まえまして、適切な処置をとってまいりますのが行政の常道であることは、よく承知をいたしておるところでございますから、今後よく研究をいたしてまいりたいと、かように考えております。
  48. 前島英三郎

    前島英三郎君 まず、警察庁にお伺いいたしたいと思います。  身障者の駐車禁止除外車両、六月から全国統一化ということの方向で大変喜ばしいことでございますけれども、この全国統一化になったがために非常に都道府県単位の警察によりまして、枠が非常に厳しいという一つの問題が出てきたわけですね。交通事情地域によって大変異なる点というのはわかるわけでありますけれども、たとえば一つの例を出しますと、北海道などでは、車いすの通勤をしている人たちには駐車禁止除外車両のステッカーを出さない。その理由は何だというと、通勤をして、朝九時から退社まで道路なんかに置かれたんじゃ困る。これは利用する方もまさかそんな節操のないことをするわけがないにもかかわらず、警察サイドで就労している者に対しての駐車禁止除外車両のステッカーは出さないというふうな部分もあるわけでありますけれども、この辺の統一といいますか、指導といいますか、どのようになされているのか、まず伺いたいと思います。
  49. 福島静雄

    説明員(福島静雄君) 御指摘の歩行困難な身体障害者の方に対する駐車禁止の除外措置につきましては、六月から全国統一化を図りまして、その後、標章の切りかえ等も進めつつあるところでございます。  そこで、この措置を実施するに当たりまして、私ども全国の都道府県警察と協議をいたしまして、考え方といたしましては、第一にこの全国共通化するがゆえに従来標章の交付を受けていた方方の範囲をしぼるということはしない。したがいまして、いままでの標章を受けておられた人は、そのまま共通化の対象になるという方針が一つでございます。  それから第二に、いま御指摘がございましたけれども、従来一部の県におきましては、たとえば診療を受けるとか、一定の業務に従事するとかいうふうな場合にのみ標章を交付するというふうな限定を付していたところも一部でございますがありました。これらにつきましては、そういった車の用途上の限定をしているところはそういう限定は外すということにいたしましたので、したがいまして、そういう県では用途上は範囲が拡大されるということになろうと存じますけれども、これは申請がございますれば、要件が具備されている限り標章は差し上げるという方針をとっております。したがいまして、北海道の例の御指摘がございましたけれども、北海道につきましても当然そういった措置がとられるというふうに私ども考えております。
  50. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうすると都道府県単位によってまちまちであるのじゃなくて、これは一つのいい面のところを中心として全国統一化を図るということで理解してよろしいわけですね。
  51. 福島静雄

    説明員(福島静雄君) 御質問のとおり、用途限定につきましては外すということでございますので、御指摘のような御理解で結構だと考えております。
  52. 前島英三郎

    前島英三郎君 ちょっと自治省にお伺いしますけれども、七月に各省事務次官あてに地方財政に対する五十四年度の提案をなされたというふうなことをちょっと伺ったところですけれども、いわゆる社会福祉に対する各地域のニードは増加する一方なんですけれども、社会福祉施設に対する地方の超過負担という問題がよくささやかれているところなんですね。国のいわゆる基準というものが書面上の問題ありますけれども、たとえば中学校の校舎を建てるにいたしましても、たとえば四分の二負担する、しかし実質的につくっていく段階において四分の二の負担が結局五分の一あるいはもっとそれ以下のような形になってしまって、その地域に対する補助採択率が非常に十分ではないということが、いろんな施設がこれからどんどんつくられていくでしょうし、あるいは五十四年度のいわゆる養護学校の義務化に伴いまして教育棟の増設、あるいはまた通勤棟というようなものも各地域につくられているわけでありますが、その超過負担につきまして問題解決について自治省は関係省庁にどういう姿勢で臨んでおられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  53. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 各種の社会福祉施設についてのニーズが大変広範であり、その結果各府県市町村におきまして経費の増高を来しておるということは御指摘のとおりでございます。その場合にいわゆる超過負担が出まして県なり市町村といたしましては大変困っておるということも事実でございます。私どもといたしましては、いま御指摘のございましたように、毎年度概算要求をいたします前に本年は七月の八日でございましたが、各省庁に対しまして一つは単価その他の面での超過負担解消を積極的に図ってもらいたいということが第一点。第二点は、これもお話のございました補助採択基準をできるだけ改善してもらいたいということ、この二点につきましてかなりきめ細かく各省庁に申し入れをいたしております。  それからいま一つの問題といたしまして、超過負担がかなり著しいと思われる行政経費につきまして関係省、自治省、大蔵省三省で年々共同調査をいたしまして、それで具体的に超過負担の状況を明らかにして改善すべきものはその基礎データをもとにして改善措置を講ずる、こういう二本立てのやり方を続けてまいっております。  五十三年度も身体障害者あるいは精神薄弱児者施設等の整備費の基準面積につきまして、かなり大幅な引き上げが行われました。二割九分あるいは二割五分、物によりますと五六%ぐらいの補助基準面積の引き上げも行われています。しかし、これでもって十分だというふうに私ども考えておりませんので、引き続き最初に申しましたような姿勢をもって関係省庁及び大蔵省に対して強い要請をしてまいる、こういう気持ちでおるわけでございます。
  54. 前島英三郎

    前島英三郎君 じゃ続きまして時間が少ないものですから、ここのところたくさんありますので、先へ進めさしていただきますが、官公庁の中で都道府県の雇用率というのが法定の一・九%に対して一・五三%、非常に低いということなわけですけれども、三月の委員会で労働省の見解を伺ったところでありますが、実は労働省任せでなくて自治省でも強力に各地方公共団体に対して指導すべきではないかというふうに思うんですけれども、まずその点から伺いたいと思います。
  55. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 身体障害者の雇用問題につきましては、それぞれ各公共団体ともかねてからお話がございましたように、労働省の御指導によって配慮をしてきたところだと存じます。ただ、お話のようにその雇用率自身が毎年上昇はしておると申しましても、なおかつ不十分であるということもまた御指摘のとおりと存じます。ただ、これは府県自身がこの問題について非常にこの問題を軽視しておるというわけではございませんで、その中にも最近のような公務員の雇用状況の問題ございましたり、いろんなことがございまして、なかなか採用もままならないという点もあって不本意な結果を招いている点も私はあろうかと存じます。ただ、こういう結果をいつまでも放置しておくということは何も好ましいことではございませんので、当省といたしましても、公共団体に対しまして身障者の雇用の実効の上がるように一層の要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  56. 前島英三郎

    前島英三郎君 実際、大企業というのは中でも最も成績が悪いわけですね、七千八百社対象があるそうですけれども。その地方公共団体のいろいろな官公需の発注なども、やっぱり身障者の雇用を達成している企業でないと官公需の発注はまかりならぬというぐらいの、やっぱり自治体の指定業者の条件の中に法定雇用率達成がまず条件であるというような形のものというのはとれないものなんでしょうか。そうしないと、身障者を雇用する、生産性が上がらない。で、非常にこうした経済の鈍化時代を迎えるということになって、身障者が一度職業訓練という形で職場の適応を図るための訓練で、雇って一年後、そのときには七万五千円のそうしたものが出されておりますけれども、それが一年後にはばっさり切られてしまうわけですから、結局身障者どうも使いものにならぬというような部分があったりするわけで、しかし小さな、地方の本当に小さな企業が率先してそういう面では身障者の雇用に対しては理解があるわけです。そこにやはり官公需に対する発注というものをまず優先させるというような指導自治省からもやっていただきたいと思うんですけれども、その辺まず伺いたいと思います。
  57. 中村瑞夫

    説明員(中村瑞夫君) ただいまのお尋ねの点でございますけれども、制度の基本的な面から申し上げますと、地方公共団体の契約に関する諸法令というものは、契約がその目的に沿って公正でかつ最も効率的に締結、履行されるということを本来の目的として定められているものでございまして、そういった観点から運用されておるのが一般でございます。  そういたしますと、御指摘身体障害者の雇用の促進の問題はもとより大変重要な問題でございまして、いろんな方面からその具体的な促進を図っていかなければならないというふうに思うわけでございますけれども、ただ、いま申しました契約制度本来の公正かつ効率的な締結、履行という観点からいたしますと、直接の関連性は必ずしもないのではないか。したがいまして、いまおっしゃいましたように、法定の身体障害者雇用率の達成をもって直ちに契約の締結なり、あるいは入札参加の資格条件とするということにつきましては、法律上大変むずかしい点があるというふうに思うわけでございます。ただ、このような契約制度本来の観点というものを踏まえながら、地域の実情なり、あるいは契約の内容等に応じまして、各地方公共団体が自主的な判断によりまして、労働安全でございますとか、労働福祉といったものを考えるということは可能なわけでございますので、そういった観点から、御指摘のようなことにつきましても配慮したような運用を行うということは可能であろうというふうに考えておるわけでございまして、実際にも各地方公共団体、その辺のところにつきましては、可能な配慮は行いながらやっておるようにも思うわけでございますけれども、なお御指摘のような点につきましては、私どもといたしましても十分関心を持ちまして、そういったことが実際の運用の中で可能な形で適切に実現されるということには配慮をいたしてまいりたいと思います。
  58. 前島英三郎

    前島英三郎君 非常に身体障害者の雇用問題というのは、五十一年度の雇用促進法の改正に伴いまして形ばかり先行しているわけですけれども、中身が伴わない。しかも、非常に重度な人たちが雇用されない。しかし、その重度な人たち地域の本当に小さな企業が雇用しているケースが多い。そこが、しかし景気の変動によりまして経済情勢の背景にもう倒産も間近いというような部分がずいぶんあるわけですね。そういう点でもやはりそこを救うのが地方公共団体であろうと思いますし、また国の行政指導だというふうに思うわけですので、そういう点では一つの枠組みの中になかなかそうしたむずかしい面もあろうかと思いますが、なるべく法定雇用を達したところを官公需優先というような形の指導をやはり今後ともやっていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思うわけです。  そこで、ちょっと厚生省と労働省にお伺いをしたいところですけれども、身障者が働く場としまして授産施設が持つ役割りというのは大変大きいわけなんですけれども、しかし、施設あるいは設備にしましても職員の配置にいたしましても、まだまだ十分ではないと思うんですね。また職種もきわめて限られておりまして、授産施設というものは一体何だろうかということを考えたときに、どうも二万九千ぐらいは仕事の内容があるというにもかかわらず、どうも旧態依然とした十年ぐらい前のいわゆる施設のパターンと同じような繰り返しであって、どうしてもそこが終生の場所になってしまう。終生の場所になってしまうというには余りにもまた施設の面でも立ちおくれが目立つ、環境整備もなされていないというふうな面から、やはり今後施設経営という面でも大変苦労している面もあるわけですし、まあ内容の充実とかあるいは職種の拡大とか仕事の確保、これもまあ先ほどの話に続くわけですが、みんなやっぱり仕事をいただくものが曽孫請みたいな形の中で、結局一定の納期までにはどうしても納めなければならない。しかも、この仕事を失ってしまったら、この授産所では何らもうやるものはなくなってしまうんだという背水の陣の中でやっているケースというのは非常に多いわけですね。その辺につきまして職種の拡大とか内容の充実とか仕事の確保につきましての今後の方針をあわせまして伺いたいと思うんですが、厚生省の御見解を。
  59. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) 身体障害者の授産施設というのは、先生の御指摘のとおり、いろいろな意味で大変重要な役目を持っておると思います。私ども実は身障授産というのは二つの面から位置づけをしたいと考えておりますけれども、一つは、仕事をすることによって収入を得るという、そういう自活への経済的な基盤を持つという、そういう一つの大きな意味、それからもう一つは、身体障害者の方々が残されている能力を生きがいも含めていかに生かしていくかという、そういう意味を持たせる。この二つの意味で授産施設というものをとらえていきたいと思っておりますが、前の方の収入を上げて経済的な自立を図っていくという意味におきましては、まさに先生の御指摘のとおり現在の置かれております情勢というのは、経済情勢その他の関係もありますけれども、大変に十分でない状況にあることはおっしゃるとおりだと思うんです。  そこで職種の問題、クリーニングとかあるいはローカルな製品をつくるという、あるいは大きな企業の一つの系列での作業工程の中に組み込まれるというようないろんなタイプ、それぞれの経営者が苦労をいたしまして道を開いておりますが、職員の配置あるいは事務費の補助、こういったところに厚生省といたしましてもさらに努力をして改善をしていきたい。関係業者というか、施設経営者からは特に販売開拓といいますか、販路の開拓というふうなものについて、もう少し手当てをしてくれというふうな要望も出ておりますので、今後の予算編成などに当たりましてはひとつ知恵を出してみたいと、このように実は考えておるのでございます。  それから、後者の生きがいを含めました身体障害者の何かをつくるという意味を含めた授産施設というもののありようにつきましては、小規模の授産施設をつくって家庭からそこに通えるような形をとってくれという、こういう要望も大変に強うございますので、それらも含めましていま全国に百三十カ所、約七千人ぐらいの人たちが働いておられます授産施設でありますが、これに対しますてこ入れを少しずつ前向きに取り組んでいきたい、このように考えておりますので御了承いただきたいと思います。
  60. 前島英三郎

    前島英三郎君 まあ授産施設の中での生活ではなくて、非常に地域の近いところにそういうミニ授産的なものが誕生している。しかし、いまの段階では三十人以下はなかなか認められない部分というのもありますし、その辺のやっぱり枠は十人、五人、地方公共団体によっては五人ぐらいでも法人を認めているようなケースもあるわけでありますので、そうした形でなるべく自分の家から非常に近いところで通える、そのためには重度の人たちが非常に取り残されているわけでありますから、当然そのまず福祉の問題ということが考えられるわけでありますが、これは電車も乗れない。電車も最近非常にわずかの割引なのに、どうも国鉄が厚生省にそれを払えというようなことをちらっと申しているというふうなことを聞くにつけましても、やっぱり私たち生活していくために家から通うにいたしましても、まあタクシーも乗れない、電車も乗れない、バスも乗れないであってはいけないわけで、せめて重度の人たちに対して私は電動車いす、電動車いすというものが非常にもう欧米諸国では自立への大きな補装具になっていると思うのです。その点ではまだまだ日本では電動車いすの補装具化ということが叫ばれてはいるんですが、なかなか実行の段階に入っていないと思うんですけれども、その電動車いすをその重度の人たちに補装具として渡すという部分は厚生省どうなんでしょう。
  61. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) 重度の障害者の方の生活圏を広げますとか、あるいは社会活動を促進するという意味で車いすの持っている役割りというのは大変に重要だと私も思います。そこで、電動車いすは現在身体障害者福祉対策の中では日常生活用具としての支給ができるという仕組みで、それなりに障害者の方々のニーズにはこたえておる、このように私どもは考えておりますが、ただ、その修理のお金とか等を含めまして、補装具にすることがより一層障害者の持っておられるニーズにこたえるのに適切だと、こういう御意見が非常に強うございます。私どももここ数年来、その検討をいたしてまいりましたが、ようやくその電動車いすの使用についての安全性の検討なども終わりまして、JIS規格などもできましたので、できれば近い将来この電動車いすの補装具化を実現をいたしたいと事務当局では考えておるのでございますけれども、これはただしかし、予算措置が必要でございますので、今後関係当局と十分に折衝をいたしまして努力を進めていきたいと思っております。
  62. 前島英三郎

    前島英三郎君 近い将来というと五年先とか、十年先とか、もっと近い将来というふうには考えられないのですか。
  63. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) できるだけ早い時期ということでございまして、まあ私ども率直に申し上げますと、この一両年の間にはそのような実現を期していきたいと、このように思っております。
  64. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうもありがとうございます。  そこで、授産所に通所する、あるいは共同作業所的なものに通所するというケースになってくるだろうと思うんですけれども、現実に授産施設あるいは福祉工場、そうしたものがどんどんつくられていく、そこで働く、生きがいというものを見つけていく。現実に働いていることには間違いないんですけれども、なかなか労働基準法にも触れられない。そしてまた労災保険の対象からも外されているというようなことで、けがをするケースがあったら困るというんで、これは保障対象がその施設であったんじゃとても賄えるもんじゃない。だから思い切った職業指導はできないのです。たとえば洗たくばさみとか、あるいはやっぱり機械を導入したものを、それらはもちろん予算的な面もありましょうが、なるべくけがをさせないように適当に時間をつなぐ程度の職種をというような部分が非常にあるわけでありまして、しかし実質的には非常に中にはもう近代的なメカを取り入れまして、非常に危険な状態の中で授産施設で就労しているという部分が非常に多いわけなんですね。で、やっぱり実質的にはもう労働者だというように私は授産所というものを見ているわけなんですけれども、しかしそこはなかなか雇用関係も結ばれてないわけですから、どうしても保護的な部分でしかないというように思うんですけれども、やっぱりそういう点でも今後実情に見合った処置を、これはもう労働省、厚生省等お互いに連携をとり合いながらやっていただきたいというふうに思うんですけれども、この辺は労働省はどういうぐあいに思っていられるか。これは実際授産所、福祉工場、このあたりで働く人たちは私はもう労働者、実にもうノルマのために日曜も返上、納期までに納めなければならないということになりますと、残業二時間、三時間なんというのはざらなんですね。これはもう施設ではないというように私は思うんですね。だから、その辺にやはり労基法も適用されない、社会保険もだめだというようなことになってくると、一体これはどういうことかというやっぱり矛盾を感ずるんですけれども、労働省、その辺はどんなふうに思っていらっしゃいますか。
  65. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 労働省が所管しております行政の範囲は、一応雇用関係を前提にいたしまして、雇用者と被雇用者、労働者という関係がある場合に、私どもの行政を従来行ってきておりまして、実態的にそういう授産所とか共同作業所等で実質的な雇用関係があれば、実質に着目して労働基準法の適用とか、あるいは雇用関係の法令の適用とかなされるわけでございまして、その実態によると思いますけれども、身体障害者の雇用促進法で対象としておりますのも、またその納付金制度の対象にしておりますのも、一応雇用関係を前提としておりますので、その境界の、限界の問題につきましては、厚生省、労働省いろいろ連携をとって打ち合わせておりますし、現在総理府に置かれております中央心身障害者対策協議会——中央心身協と申しますが、そこでもその接点の問題を取り上げていろいろ御議論をいただいておりますので、その結論などを見ましてさらに進めていきたいと思っております。
  66. 前島英三郎

    前島英三郎君 ですから、授産所から本当は労働行政の中に入っていわゆる雇用されていかなければいけないんですけれども、結局施設というものに甘んじてしまって、そこが結局終生の場になってしまうというケースが非常に多いんですね。やっぱり施設そのものは運営していると、生産性を重視していかなければならない、したがって、非常にもう健常者にも負けないほどのすばらしいテクニックを持ったり、技術を持っていたりしても、やっぱり今度は施設が放さなくなってくるというような形になりまして、やっぱり雇用促進法ができて、実際どんどん重度な人たちも一般企業に雇用されていく形になってきたら、これはやっぱり厚生省、労働省がしっかり連携をとり合ってやっていってもらいたいというふうに思うわけですが、その辺でもなかなか授産施設にも入れないというまた重度な人たちがこれはいるわけで、たとえば北療育園なんかでも高等部を二十六人ことし卒業したそうですが、就職した人は一人もいない、重度の人たち。そういう実態を見るときに、その地域に小規模の作業所というものがいま非常につくられております。特に脳性麻痺の人たち、それから精薄の人たち、こういう人たちを対象にした重複重度の人たちのための作業所が御父兄の方とか、あるいはボランティアの人たちとかというような形になっておりますが、これもやっぱり雇用関係にないものですから、恐らく労働省のこれはもう関係外だというようにお答えになるのはわかるわけですけれども、やはり雇用政策が落ちこぼしてしまっている人たちがみずから、何といいますか、生きる場を得ようとしているものに対して、やはりそれなりのまた労働行政の中で何か位置づけるものが必要じゃないだろうか。  たとえば、雇用促進法ができた、納付金は聞くところによると何十億集まっているかわからないというような状態で、恐らく半期で九十一億円というようなことをちらっと聞いているんですけれども、五十二年度には恐らくその倍ぐらいの金が集まったんじゃないか。じゃあ実際そういうお金は何に使われるんだろうかというようなことを思うときに、やはり施設は山の中につくられてしまう、施設の中でもって生活をする、じゃあ雇用、さあ皆さんの門戸は開かれていますと言ったって、社会性が失われている、そこにおけるいわゆる職業訓練という場がやはり国の行政の中に全くないものですから、結局また在宅になってしまう。在宅になってしまうと、これはもう小さいころはお父さん、お母さん若かったけれども、もうお父さん、お母さんも年老いてしまっていると、結局テレビとラジオを相手の生活でしかない。そこで、じゃあ地域の中に共同作業所みたいなものができる、で、ここを一つの踏み台にしてやはり一般企業の中に入ろうという気持ちの人たちも非常に多いわけですね。そこで、雇用納付金制度になっているのはいいんですが、企業も何かどういう職場が適当かというようなことで、それより金を払ってしまえ、また身障者自身もなかなかぱっと山の中から町の中へ出てきてとても何か不安がある。戸惑いと戸惑いの間で雇用納付金がぶらぶらぶらぶらして莫大なお金が浮いているというようなことをちらっと聞くわけですけれども、雇用納付金制度になって一体幾らぐらいのお金が集まっているのか伺いたいと思うんですけれども。
  67. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 雇用納付金制度は、身体障害者の雇用率を達成してない事業主から集めまして、雇用率以上達成している事業主へ還元する、あるいは新しく身体障害者を雇い入れる場合に助成金として支給する。要するに事業主から集めて事業主へ戻すというお金でございまして、そういう意味で先生先ほどもおっしゃいましたように、なかなか共同作業所という雇用関係のないところへいろいろ支給するということは、現在の法制上は、一応出している事業主の意向もありますので出せない仕組みになっております。ただ、将来の検討課題としてはそういうことも十分検討の余地はあろうかと思っております。  現在どのぐらい集まっているかということでございますが、一昨年の十月から昨年の三月までの半期分で約九十六億円を徴収いたしております。それから五十二年度分につきましては、ことしの四月から徴収を始めておりますが、まだ分納とかいろいろございまして、現在集まっているのは約八十億円程度でございます。  このお金は現在雇用率が一番悪い状態で今後雇用率がよくなるわけでございますので、いま一番たくさん集まりまして、今後は入ってくるお金は減っていく。それから雇用率が進みますと出ていくお金はふえていく、あるいは新しく雇用が進みますと助成金が出ていくという形になっておりますので、現在決して余っておるとか、たくさん集まり過ぎたというようなことではございません。
  68. 前島英三郎

    前島英三郎君 ですから、ずっと大海に流そうという川の水をせきとめておいて、やっぱり水がほしい、さあさあ海へ入ってくださいと言ったって、これは入れるもんじゃないんですね。だから、今後雇用率が伸びてきたらその金は使わなきゃならぬからというような形ではなく、恐らく今後やっぱり横ばいだと私思うんです。それはなぜかというと、やっぱり労働行政——職業訓練校みたいなものはないんですね。大きなものないんです、国の中に。ハンディキャップを持った人たちが社会に自立していく、そこに職業訓練校がしっかりと労働行政の中にできて、そしてさらに山の中から町の中へ出てきた人たちが社会性を養って、授産施設もそこが終生の場ではなくて、そこである程度の職業を学んで社会へ雇用されるというケースならいいけれども、それも旧態依然とした形の印刷とか皮細工とか、あるいは洗たくばさみとかというようなものですから、一般企業で雇用されるわけがないんです。それよりもやっぱりその人の能力に合った労働行政というものをしっかりするためには、まず何よりもその地域の中の小さなそうしたものがいまどんどんふえつつあるんだし、その人たちが次の企業へのステップになるためには、その共同作業所的なものを私は納付金からやはり育成するような気持ちが労働省の中にもあってもいいと思うんです。ですからそれまでになったら、また雇用率が非常に今度は大きくなってそれにまた奨励金も出していかなきゃならぬ。そのときになったら今度は納付金は少なくなるから、そのバランスを保つためにいまプールしているんですと。そのときになったらそのときになったでまた国と話をすればいいと思うんです。やはりいまあるものを九十六億円、それからいまのところ八十億円、百七十億円なんですね。その百七十億円で一体何に幾ら使われたと思ってますか。ちょっとその使われたお金はどのくらいあるんですか。
  69. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) ちょっといま手元に正確な資料持ち合わせておりませんが、最初の半年分では約二十億円が事業主の方へ払い戻されております。それから昨年度分については目下申請の受付中で、いずれにしてもお金が幾らになるかちょっとわかりません。
  70. 前島英三郎

    前島英三郎君 ですから九十六億円のうちの二十億円しか実際使われてないんですよ。そのあとの金は結局プールされているわけです。それじゃあ、その利息分でも、共同作業所を実際運営していく人たちは廃品回収をしたり、チャリティーバザーをしたりして、四人五人地域の中にその授産所を設けまして働くことに生きがいということを見つけながら、細々と洗たくばさみをつくったり、タイプ印刷をしたり、暑中はがきの印刷をしたりというようなことをやって、これもやっぱり労働だと思うんですね。だから雇用関係がないからとか、あるいはもし雇用関係がないからといったら、じゃあ雇用関係があるような形にするにはどうしたらいいとか、ただお金を出すのをいやがる、いやがる、いやがるだけの形で、やっぱり一方では身体障害者雇用ということをあおり立てて、事実重度の人たちはますます取り残されてしまうし、その重度の人たちにやっぱり適応した能力に合った職業指導ということは、これはもう厚生省じゃないと思うんですね。労働省の行政の中で位置づけていかなければ、いつまでたったって納付金という形でお金で解決しようという形がこのままずっと続いていってしまうと思うんです。その辺の対策は今後どんなふうに労働省では見ているか伺いたいと思います。
  71. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 決してお金を出すことを渋っているわけではございませんで、やはり法律制度的になかなかむずかしいのでございますが、先ほど言いましたように雇用関係がもし成立いたしますと、十分もういばって出せるわけでございますので、こういう関係団体の方々から陳情を受けました際、あるいは国会の中でもほかの委員会で御質問があった際も雇用関係がはっきり明確になって雇用者と被雇用者という関係が成立するようなケースもある、中には、非常にレベルが高くて。そういう場合もあるというふうにお聞きしておりますので、そういう場合については報奨金とか助成金を支給できるということをお答えしておりまして、そういうふうに運用なされている場合には十分お手伝いできると思います。
  72. 前島英三郎

    前島英三郎君 特に精薄の人たちには雇用促進法から外されているわけなんですけれども、その辺は対策とすればどんなふうになっているんでしょうか。
  73. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 身体障害者雇用促進法の前回の改正の際に、雇用率の対象として精神薄弱者と身体障害者を同じように扱うかどうかということは、国会でも非常に論議されたところでございますが、結論としましては、まだ精神薄弱者についてはいろいろ雇用に適するかどうかという判定が非常に困難なこととか、適職の開発が進んでいない、あるいは生活指導の面でいろいろ問題があって一緒にはなかなかできないという御意見で、法律の附則の中で今後いろいろ職場の開発等について研究を進めていくということで研究課題になっておりまして、労働省としても職業研究所へ適職の範囲の拡大といったようなことの調査研究もお願いしておりますし、その他現実的な予算措置等ではできるだけ精神薄弱者の方々を身体障害者の方々と同じように扱うという取り扱いで具体的な施策の充実を期しております。
  74. 前島英三郎

    前島英三郎君 障害者の雇用ということはやっぱり率先して国が指導していただきませんと困るわけでありますが、共同作業所、授産施設、福祉工場、モデル工場とさまざまな就労の形態がありまして、国の対策というのも非常に一貫してないと私は思うわけです。そういう点ではどこからどこまでが厚生省で、どこからどこまでが労働省でとか、それから後はどうでとかいうことじゃなくて、やっぱり事身障者福祉という名のつくものであったら、文部省もやはり労働省も厚生省も一体となって連携を持ちながら、一つの揺りかごから墓場までという表現はオーバーかもしれませんけれども、そうした対策をもっと連携を持ってやっていただきたいというふうに思うわけです。  時間がだんだんなくなって、実はあと三項目ぐらいあるんですけれども、かたまっていきますから申しわけありません。  一九八一年は国際障害者年ですけれども、この年に向けて身障者福祉を飛躍的に前進させる必要があると思うんです。わが国は先進国でありますから、先進国は経済的な面でなくて、やっぱり福祉の面も先進国であってほしいと思うわけですけれども、今後も世界に向けてリーダーシップを大いに発揮する日本は立場にあるだろうと私も思うわけですが、日本として特に国際障害者年に向けて一体何をするのか、どういう計画があるかというような方針を伺いたいと思います。
  75. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) いま御指摘のとおり、一九七六年の国連総会第三委員会というところで、昭和五十六年を国際障害者年にするという決定がなされているようでありますが、これは正式には窓口が外務省の国連局になっているようでございまして、いま各省それぞれに逐次連絡が参っておるところでございまして、まだ、具体的な行動計画といいましょうか、どのようなことをするかということについては成案を得た段階ではございません。ただ、お話がありましたように、この国際障害者年を一つの契機にいたしまして、心身障害者の対策についてのできますれば大きな前進を見るような施策を講じていきたいというのが私ども関係当局のそれぞれの気持ちでございますので、これからさらに検討いたしまして努力をしていきたいと思っております。
  76. 前島英三郎

    前島英三郎君 国連で、昨年の十一月に第三十二回総会に出された事務総長の報告では、どういう計画があるかということを三十二カ国ぐらい出したということですが、残念ながら日本からは答弁がなかったという状態です。ほかの国は、こうしよう、ああしようと非常に、発展途上国からも、こういうことを障害者の皆さんのためにやらなければならない、ハンディキャップを持っている人たちの今後の社会参加にこうあったらいい、あるいは、国はこういう処置をとるべきだ、教育もこうあったらいいというようなことで、いろいろな草案が出されたのですが、先進国であるわが国からはその返事が何ら文書で国連に届いていないという一点を見ましても、非常に国が本音の部分では無関心であることは間違いないわけです。そういう点では、国際年に関する政府の宣言といたしまして、いろんな意味で諸外国にも、日本もやっぱり福祉というのは非常に考えているのだということを率先して私は宣言をしていただきたいというふうに思うわけです。障害の予防対策とか、あるいは職場安全規制の見直し、改善とか、障害者に関する国勢調査とか、いろんな問題があると思うのです。国勢調査の一件に関しましても、昭和四十五年度のデータでと、こう言うわけです。昭和四十五年以来どうなっているのですかと言うと、昭和四十五年以来全然わかっていません。百五十万とも二百万とも何とも言えないということで、恐らくぼくは厚生行政なんてできないと思うのです。いろんな問題が山積しているわけで、今後も障害者たちはふえこそすれ減ることはないと思うのです。その辺に対しての国勢調査みたいなもの、厚生省も、これは何年ごろには実数を把握しなければならぬという確固たる姿勢を私は打ち出してもらいたい、こんなふうに思うのですけれども、お伺いしたいと思います。
  77. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) ただいまの、身体障害者を含めました障害者の実態を的確に把握しなければ対策が講じられないではないかという御指摘は、全くそのとおりでございまして、私ども、昭和四十五年身体障害者の実態調査をいたしまして、昭和五十年度の実態調査は、実は関係方面等の若干の反対もありまして全県実施ができませんでした。まことに残念でありましたが、実は来年、昭和五十四年は身体障害者福祉法が制定されまして三十年になります。私ども厚生省事務当局といたしましては、最近関係者も大分理解が進みまして、実態の把握のないところに行政施策はないという御理解もいただいてきておるようでありますので、その三十周年記念の一つの仕事といたしまして実態調査はあえて実施いたしたいと、このように考えまして、いま来年度予算でその手当てをすべく準備をいたしているところでございますので、そのようにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  78. 前島英三郎

    前島英三郎君 来年は韓国で、そして再来年はカナダで、八一年の国際障害者年に向けまして、全世界のいろいろリーダーシップを持っている人たちが集まって、今後の世界平和、それから世界の身体障害者の問題、ハンディキャップを持っている、取り残された人たちをどうしたらいいかということが打ち出されているときに、私たちも出席する場合、日本では昭和四十五年の調査によりますとという形では、いとも不安な状態であるわけでありますので、その辺は、実数を把握して、そして把握した以上は、それに見合った、一体取り残された人たちはどういう生活をしているのか、またはどういう生きがいを求めようとしているかということを、しっかりとぼくたちは期待をしたいところであります。  それでは、もう一つだけ伺います。大変申しわけありません。  身障者の利用を考慮した生活環境整備ということで、これは毎委員会私は建設省にお願いしているところでありますが、五十二年度完成の建設省所管の建物について、身障者の利用を考えた設計を採用したのは六割でしがなかったということを、質問主意書の答えの中に総理の方からいただいております。やはりこれは法的に明記すべきではないか、今後つくられる公共物、準公共物に対しては、すべての人たちが利用できるように設計施工されるべきだという形のものを法制化する必要があるのではないか、そう思うんですが、重ねて、答えはあらかたわかっておりますが、建設省の見解を伺いたいと思います。
  79. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 公的な建築物を身体障害者が利用しやすい構造とするための法的措置につきましては、現在中央心身障害者対策協議会におきまして、その可否をも含めまして検討することになっております。その結論が得られ次第、これを踏んまえまして建設省としての必要な措置を検討してまいるつもりでございます。  なお、この問題に関する当面の措置としましては、国等の施設につきまして現在進めております対策を一層徹底させますとともに、その実施内容を建築物のオーナー団体あるいは関係方面に周知させまして、この問題に対する関係者の理解と認識を深めることが非常に重要と考えておりますので、こういうことも対策協議会におきまして検討作業を進めております。
  80. 前島英三郎

    前島英三郎君 中央心身協第三プロジェクトチームで法制化の必要を含め検討中、この前もたしかそういうお答えをいただいたんですが、その経過、今後のめどなんか、いかがですか。もう何回か開かれて検討されたんでしょう。——前と同じお答えですから。
  81. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) 中央心身障害者対策協議会の事務局を実は私どもの方が受け持っておりますので便宜その経過だけお答えを申し上げます。  中央心身協の中に三つのプロジェクトチームがございまして、いまお話のありました、生活環境改善というような、建設省あるいは厚生省などが一緒になりまして研究をいたしておりますのは第三プロジェクトチームでございますが、今年度に入りましても二回の検討会を開催をいたしました。さらに、この方面で大変に努力をして成果を上げておられまする神戸市を、委員の先生方、それに関係行政当局参加をいたしまして実地を見てまいりました。ただいま、その結果を整理いたしましたり、さらにはこれからのまとめに向かっての作業などにつきまして鋭意検討中というところでございまして、できれば年内ぐらいにはおよその方向づけというものをいたしたいというのが事務当局の気持ちでございます。  ただ、この中央心身協と申しますのは、関係行政機関が集まりまして、それぞれ、何をなすべきか、今後何が課題であるかというようなことについて研究討議する場でございまして、諮問に答えて答申をするというふうな性格とはやや違っておるのでございますので、その辺のまとめがどのような形に処理されますか、もう少し内部で検討をさしていただきたいと思っておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  82. 前島英三郎

    前島英三郎君 国会も車いすでもはいれるようにはなりました。そのことを広く全国の仲間にPRをしましたら、この間衆議院に行ったら衆議院は全然車いすではいれない、車いすのトイレも一つもない、参議院だけしかない、一体どういうことなんだと。まあきっと、参議院は参議院、衆議院は衆議院という答えが返ってくるだろうと思いますが、そうした一点を見ましても、やはり私は、近い将来に法制化することによって、今後つくられる公共物ですから、いまある公共物をどうということじゃなくて、今後つくられるものは建築基準の中に設けていただくことによって、これは建築予算でできますのでプラス・マイナスそんなに変化あるものじゃないと思うわけですから、今後ともプロジェクトチームを通して鋭意検討をしていただきまして、前進ある結果が得られるように心から期待をいたします。  どうもありがとうございました。
  83. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      —————・—————    午後一時二十七分開会
  84. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  85. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず最初に、国家公安委員長にお伺いしたいと思います。  大変遺憾なことではありますが、警察官の不祥事件がいまなお後を絶たないわけであります。本年一月に入りましてから例の女子大生殺しがありましたし、引き続いて東調布署の若い警官が主婦を襲うという事件が起こりました。つい最近には京都で西陣署の巡査部長の広田というのがピストル強盗事件を起こすという、そういう問題が起こっておりまして、国民に非常に大きなショックを与えております。これらの問題が起こりますと、新聞の投書欄に、警察官に対する不信の念というものが載っているわけでありますけれども、こういう事件が後を絶たないという問題について公安委員長としてどのようにお考えになり、またどのように対処をなさろうとしているのか、まずその点をお伺いをしたいと思います。
  86. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま御指摘もございましたように、まことに遺憾千万な事件が発生いたしておりまして、まことに相済まぬ、国民に対しましてもまた被害者等に対しましても心からおわびをしなければならぬ、かような心境でいっぱいでございます。ことに一月には松山巡査の事件が発生をいたしましたし、またいま御指摘がございましたように京都府警におきまして拳銃を盗み、そして強盗を行う、かようなことでありますとか、また、ごく最近の東調布の若い巡査が婦女子を暴行いたしまして傷害を加える。かようなまことに残念な事件がございました。  そこで、これらの事件を断じて再び起こしてはならぬ、かような決意をそのたんびにいたしてはおりますものの、いまだこれを根絶いたすと、かようなことに相なっておらぬことは、これまた非常に残念なことでございます。ことに一月の松山事件に当たりましては、緊急に国家公安委員会を招集いたしまして会議を持ち、警察庁長官に対しまして厳重な指示をいたしました。ことに、若い警察官につきましては十分に留意をいたしまして、その採用からまた学校におきます教育、また第一線に出ましてからの対処の仕方等につきましても、おのおの要綱を定めまして、それに従いまして対処いたしてきておるところでございますし、かつまた警察官全般に対しましても、綱紀の粛正等につきまして厳重な指示等いたしてきておるようなことでございますが、しかしなかなか後を絶たないことはまことに申しわけないことでございまして、これが対処の方法といたしましては、根気よく努力を重ねてまいりますることが肝要なことであり、また国民の皆さん方に対しましても、警察に対する信頼を取り戻していただきますためには、警察官全体の毎日毎日の絶え間ない努力が必要でございますし、ですから、みずからの身を修めますと同時に、そういう努力を継続していくと、このことが必要なことであろうと思うのでございます。  ただ、この機会に若干の弁明をさしていただきますならば、かようなよろしくない警察官は本当に九牛の一毛にすぎないのであります。他のほとんどの警察官は誠心誠意職務に精励いたしており、まじめなりっぱな警察官がそのほとんどであるのでありますから、ごく一部のかような悪い警察官をもって、他の警察官を類推いたすようなことがありといたしますならば、これは非常な残念なことでございまして、かような点につきましても国民の皆さん方の御理解をいただかなければならぬ、かように考えているところでございますが、ともあれ根気強くいま申し上げましたようなことを中心にいたしながら、二十万警察官が努力を積み重ねていく、このことがきわめて重要であろうかと、かように考えているところであります。    〔委員長退席、理事望月邦夫君着席〕
  87. 神谷信之助

    神谷信之助君 多くの警察官の中で、若干のそういう不心得な警官が発生をするということで、公安委員長は九牛の一毛にすぎないといまおっしゃるのですが、公務員が、警察官のみならず公務員全体がそういう汚職、腐敗あるいは破廉恥罪、この種の事件を起こしますと、これは一般の私人の行為以上に厳しい批判の的になるということは、これは避けられないし、そのことがまた社会の秩序を維推をし、国民の信頼のもとに行政やあるいはまた警察業務を進める上でも重要なわけですから、これは私は、だから全部がそうだという意味で言っているんじない。とりわけ非常に大きな権力を持っている警察官の多数不祥事件ですから、よけいに私は委員長のおっしゃるように努力をしなきゃならぬ、あるいはそのよって来る根本の原因というところにメスを入れなきゃならぬ、こういうように思うんですね。  私の方で、そこで警察職員の非行事案に対して懲戒処分、懲戒免職の状況の報告を求めましたところが、五十一年は三十七件、五十二年は二十件、五十三年は現在までに十三件という報告であります。ところが、ことしに入りましてからずっと新聞、全部じゃありませんが、拾い読みして挙げてみますと、これだけにはとどまらないんですね。いわゆる懲戒免職になったのはこれだけかもしれませんけれども、そういう不祥事件を起こして依願退職になったり、あるいは諭旨退職になっているという人も相当おります。たとえば岐阜南署の奥村、平田という両巡査が広域暴力団から賄賂をもらって逮捕される状況とか、あるいは事務所捜索の情報を流していた、こういうのがやっと発覚をいたしましてこれは三月末に諭旨免職ですね。  それから、警察の方でそういう事件が起こった場合にこっそり処理をしようとする。そして、見つからないはずだったのが後からばれてしまうという、そういう事件も相当あります。二、三申し上げますと、警視庁の捜査三課のすり係のベテラン刑事が万引きを行ったという事件、これは二月に依願退職になりました。ところが警視庁の方は女子大生殺しの事件があった直後ですから社会の批判を考慮したんでしょう、こっそりそれを処理をされておりましたが、六月になってこれが明るみに出るという事態が起こっております。  あるいは大阪の淀川署ですが、これは六月の二十五日の午後四時ごろ右折禁止の交差点を右折をして、そこでパトカーが警告をした、ところが逃走するわけです。つかまえてみたら、何と自分の上司の交通課長が女性と一緒におってその女性は逃亡する。パトカーはつかまえてみたら自分の上司なものですから、反則切符も切らないで釈放してしまう。そしてその後、署に帰って報告をする。署長の方も始末書だけで大阪府警本部にも報告をしない。これは事件が六月二十五日であります。署内に箝口令をしいた、ところが七月十四日になって明るみに出て新聞に報道されるということになります。そういう箝口令までしいたというようなことが報道されているわけですから、これは警察に対する不信を大きくするのはあたりまえであります。  同じような事件が、これは埼玉県の上尾署でも起こっております。これは六月三日の午後二時ごろですが、同署の交通課長が高校生をはねまして全治三週間のけがをさせました。ところが署ではこれを処分をせず、そのまま勤務させておる。ところが六月二十二日になってそれが明るみになりました。批判を受けてとうとう送検をするという状況になってきています。  三月の二十七日、これは警視庁の懲戒審査委員会が、万引き少女を補導すべき警官が、モーテルに連れ込んで乱暴をしたという事件、これで懲戒免職の処分をいたしました。これは当然の措置でありますけれども、ところが二月中ごろに新聞記者の方がこの事件の状況を察知をして、そして追及したところ、その少女の謝罪の手紙を見せてそういう事実はないと言って、そのときにはひた隠しに隠した。それが後ほどになって明るみに出てきたわけであります。  あるいは四月の二十七日にバーにあらわれてわいせつ行為をした警部補の問題、これは現行犯逮捕されました。これもこっそりと三月二十七日付で依願退職しました。ところが悪事はやっぱり露見をいたしまして、四月の二十七日には新聞に報道されるという事態になった。  幾つかの例を挙げましたが、これはことしになってからの、しかも目にとまった新聞の記事の幾つかを挙げただけでありますけれども、私は、これはなぜ警察はそういう不祥事件について国民の目からそらせる、ひた隠しにしなきゃならぬ、あるいは新聞記事によれば、もみ消し工作をしたという見出しをつけている記事もありました。なぜそういうことをしなきゃならぬ、この点について公安委員長見解を聞きたいと思います。
  88. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほどおっしゃいましたように警察官には権力が付与されており、そしてその権力を軸にしまして職務の執行をいたしておるのでございますから、身を持してまいります上では、他の公務員以上に厳でなければならぬことは申すまでもないことでございまして、この点を警察官に十分徹底させますような努力を今後もいたしてまいりたい、かように考えております。にもかかわりませず幾つかの事犯が生じておりますことは残念しごくなことでございまして、今後かようなことのないような努力をいたしてまいらなければならぬと。いま幾つかの例をお引きになられたのでありますけれども、ことさらに隠蔽いたすというようなことではございませんけれども、しかし、同僚の警察官が、あるいは自分の部下がさようなことをいたしましたものをことさらに表に出すなどというような取り運びはいたしておらぬことがあるいは隠蔽いたしたと、かような結果につながっておる点があろうかとは思いますけれども、しかし処罰する点は厳重に処罰をいたす、決して自分の直接の部下だからとか、あるいは同僚だからとか、かようなことによって手かげんをいたすようなことは断じてあってはならぬと、かように強く考えているところであります。
  89. 神谷信之助

    神谷信之助君 たび重なるそういう警察の不祥事件について私は公安委員長見解を問うたわけでありますが、われわれ一般の国民とは違って非常に強力な権限を持っているわけですから、よほど注意をしていないと、知らず知らずのうちに特権意識が芽生えてくるわけです。そしてまた、警察社会のよく言われる閉鎖性といいますか、そういう中でお互いが傷をなめ合うというようなそういうよくない傾向も発生する条件、これがあることは否定できないというように思います。ですから、日本の、わが国の警察制度の根本にかかわる問題とも関連をする問題だと思うから、私はこの問題を指摘をしているわけであります。  そこで、もう少し一歩進めていきたいと思いますが、警察関係の、五十三年度の資料はまだ未集計だそうですから、五十二年度の警察庁及び都道府県警察の予算の総額についてで結構ですから報告をしていただきたいと思います。
  90. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) 五十二年度の警察庁予算の総額は千百二十七億六千二百万円でございます。都道府県警察ごとの警察予算、これをトータルいたしますと、五十二年度は一兆三千九十三億二千九百万円となっております。
  91. 神谷信之助

    神谷信之助君 警察庁の予算の中には三百四十八億ほどの都道府県警察に対する補助金がありますから、それは都道府県の方の警察の費用に行くということもありますが、しかし総枠で片一方は一千百億余り、片一方は一兆三千億ですから、日本の警察活動についての財政負担というのは都道府県が人件費を中心にして圧倒的にこれを負担をしているということが言えると思うんです。市町村の方も、防犯協会とか交通安全協会とか、あるいは署の建設あるいは駐在所の建設とかいったような場合などで一定の財政負担あるいは助成金、こういったものを出しておりますから、日本の警察活動全体で言うなれば、都道府県市町村、いわゆる地方自治体がその財政的な支えをしているということは否定できないと思います。これは財政的には自治体警察のそういう形、姿というものが残っている。しかし今日は警察法の改正によって実際上は中央集権的な国家警察の体制というのができ上がってきているという状況ではないかと思うんです。現に国家公安委員長も、いろんな問題で私ども申し入れをしたりしておりますが、国家公安委員長というのはそれほど大きな権限を持っているわけでございませんのでというお話もあるくらいで、国家公安委員長自身が警察庁あるいは日本の警察活動全体について指揮監督をする任にはない、管理するというように法文上は規定をされております。そういう状況であります。実際今日まで公安委員制度ができましてから相当たつわけですが、たとえば警察の特権官僚の不正の問題、あるいは例の松川事件とか菅生事件などの数々の謀略事件、これなんかに対して厳しく公安委員会が戒めるとか、あるいはその責任者を処罰をした、あるいは罷免したというような例はないわけであります。あるいは目に余る人権侵害とか行き過ぎたスパイ活動、こういったことをたしなめるということも耳にしたことはありません。あるいは逆に、政府・与党など圧力をかけるようなそういうおそれのある汚職、腐敗の事件の捜査、これに対して公安委員会が責任を負うから徹底的にやれというような激励をしたという話も聞きません。それどころか、例の金大中事件が起こりましてすでに五年たちましたが、あの金東雲の指紋まで現場の警官が努力をして手に入れながら、政治決着をつけられて、そしてその壁のために真犯人の追及の手足をもぎ取られて現場の警官は切歯扼腕をせざるを得ない、そういう事態、それに対して国家公安委員会として抗議をするなり、あるいは警察権の擁護のためにそういう政治決着について文句を言ったという話も聞かない。こうなりますと、現場の警察官自身にとりましても無力感を感ぜざるを得ないと思います。   〔理事望月邦夫君退席、委員長着席〕 こういう点を見ましても、なかなか警察法の規定はあったにしても、警察官の職務執行が真に市民本位の警察、市民警察あるいは民主的な警察として成長するという上では制度的にも私は日本の場合に非常に多くの障害があることは否めないと思います。したがってこの点についての私は解明努力といいますか、あるいは根本的なメス、検討するということが必要ではないかというように思うんです。それで、きょうここで取り上げていきたいと思っております埼玉県の富士見市における勝共連合の連中の暴挙、それに対する埼玉県警やあるいは東入間署の措置、これらの問題もまたいま指摘をしたところと関連をして私は重大な問題ではないか、共通の問題があるのではないかというように思うんです。  そこで、まず確認をしておきたいと思うんですけれども、警察というのは本来市民生活の平穏を守る、そして市の職務が正常に行われるように公の秩序を維持をして、これを侵害をする者に対しては厳正に取り締まる、そういう責任を持っているというように私は解しておりますが、この点は間違いないでしょうか。
  92. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) いま仰せの点につきましては全くそのとおりと思いますし、市の職務につきましても、市の適法なそれぞれの職務、それについてやはり守る立場にあるというふうに思います。
  93. 神谷信之助

    神谷信之助君 市の適法な職務についてはこれを保護し、そしてこれを侵害する者に対しては厳正に取り締まるというお答えだったと思います。それではまずその点を確認をしておいて具体的な問題に入っていきたいと思います。  事の発端は富士見市の五月二十五日付「広報ふじみ」であります。これはお手元に資料として配付をしておりますからごらんいただきたいと思います。  まず最初に自治大臣にお伺いいたします。市民がインチキ商法にひっかかって被害を受けることのないように市民に注意を喚起をするということは、市民の生活擁護の責任を持つ市として当然の措置であるというように思いますが、この点はいかがですか。
  94. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方団体といたしましては、自分の団体に属しております市民、その地域の市民の生活の安定を期してまいりまする諸施策を実施いたしますと同時に、また平穏な生活が送り得ますような、そういう処置をとってまいりますことが一つの任務であることは申すまでもないことでございます。そこで、消費生活等のことにつきまして市民に正しいやり方等を広報、宣伝いたしますことは、これは地方団体としてやるべきことの一つであろうかと、かように考えております。
  95. 神谷信之助

    神谷信之助君 先般松本善明議員と一緒に大臣にお会いをしてこの記事はごらんいただいたわけでありますが、そのとき大臣もこの記事一つ一つお読みになって、あたりまえのことが書いてあるし、当然のことだというようにお答えになっておりましたが、この点は確認をしておきたいと思いますが、そのように理解をしておいてよろしいでしょうか。
  96. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 松本議員と御一緒においでになられました際に市の広報を見せていただきました。しかし、私は詳細に読む時間はないままにざっと目を通しましての私の印象を申し述べたのでありますけれども、その前段におきましては、八十歳になる御老人が投書していらして、その投書を記載してあり、そしてその後に、トラブルを防止するための処置等のことについて書いてございました。で、これらのことを詳細に点検してのことではなかったのでありますが、一般的に申しまして、市がかような消費者のための注意を喚起いたしますことは当然なすべきことであろうと、かような判断をいたしましてあのような言い方をいたしたところでございます。
  97. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう少しちょっとはっきりさしてもらいたいと思いますがね。まず投書の記事が出ています。これは投書された人の主張ですから、これ自身は否定をすることはできないと思います。あと、「届出は一刻も早く」というのは、訪問販売法の規定の内容を市民に知らせているわけです。それから「トラブル防止する七つの決め手」、これはそのとき大臣自身が一項一項声を出してお読みになって、これはあたりまえのことだ、あたりまえのことだと言って確認をされました。  したがって、もう一度お尋ねをいたしますが、この記事の中に不穏当な文句があるでしょうか、ないでしょうか、いかがですか。
  98. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 端的な言い方をいたしますならば、その後判明いたしたことでございますが、五月の二十五日の富士見市のこの「広報ふじみ」に記載されております「これ以上の被害はゴメン」、「しつこい訪問販売」、この記事をめぐりましてただいま富士見市のトラブルが繰り返されておると、かように承知をいたしておるところでございます。で、私は一般的な言い方といたしまして先ほど申し上げましたような表現をいたしたのでございますが、いま私が一項目一項目について読み上げながらうなずいたと、これはややオーバーな表現と、こう私は言わざるを得ないようなことでございますけれども、とにかく一般的には消費者行政に関してかような記事を出しますことは市としてなすべきことだと、このことを申したようなことでございますが、しかし、いまこの記事をめぐりましてのトラブルがあり、そしてそのトラブルが今後早期に解決することを期待はいたしておりますけれども、私がこの場でこの記事が正しいんだと、一項目一項目がすべてこのとおりで結構だと、かような言い方をいたしますことが、結果としてトラブルを増すようなことがありといたしますならば、それは心外のことでございますから、ですから、ただいま端的にどうだと、かような御質問に関しましては御期待に沿いますような明確な表現がなしがたい、このことの御理解を願いたいと、こう思います。
  99. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうもおかしいですね。市長が市民の生活を守るために、その市民の生活に被害を及ぼすようなおそれがある事態を発見をしたら、それに注意を喚起するのは当然のことだと、これは大臣もお認めになった。一項一項声を上げて読んだというのはちょっとオーバーだとおっしゃいましたが、読まれたのは大臣ですよ、私が読んだんじゃない。大きな声ではありませんがお読みになって、これはうん悪くないですね、あたりまえですねと、こうおっしゃりながら一項一項言われた。これははっきりしておることであります。だから問題は、トラブルがあるからこれについての判断をするわけにはいかぬと、こうおっしゃいますけれども、しかし問題はこれをめぐってトラブルが起こっているんじゃない、これが発端で、それから次々起こっておるんです、エスカレートしているんです。このもとは、この記事自身これが一体不法なものであるとか不当なものであるとか違法なものであると、そういう内容を含んでいるのか、そういう文言があるのか、これをはっきりさせるというのはあたりまえのことじゃないですか。しかも自治大臣というのは、公選の知事なり市町村長が進める地方自治の仕事、これを援助し保護し、そして必要に応じては指揮監督の助言をする、そういう任務を持っておられるんですからね、そういう職責の人ですからね。市長がやった、そしてこの記事を出した。これはもう印刷されて配布されているんですから、いまさらどうにもならない問題。これがいいのか悪いのか、ここに間違いあるのかないのか、これをはっきりさせるということが、なぜトラブルを解決するのを困難にするということになるのか。こういうことをあいまいにするから、かえってますます大きな顔もしているんです、彼らのさばっている。どうせこれ一般的にはそうおっしゃりながら、このもの自身については意見を述べることはできない。そういう態度をなぜとらなきゃならないのか、私はどうも納得できない。自治大臣としての責任を回避するような態度だと言わざるを得ないと思う。
  100. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 自治省といたしましては、この種のことに関しまして都道府県知事を指導いたしており、都道府県知事が市町村指導いたすと、かような仕組みで行政が取り運ばれておるところでございまして、一般的には私が先ほど来申しておりますように、このことが悪いなどと申しているわけではございませんで、消費者行政に関して公共団体が非常な関心を持ち、市民に正しい姿を指導いたしますことは当然なすべきことだと、かように考えております。ただ、私の立場からいたしますと、地方団体が発行いたしておりまする広報紙のその記事につきまして、一つ一つこれが悪いんだとかあるいはよろしいんだとか、これはけしからぬとか、かような議論をなすべき立場にはないと、このことを申しているようなことでございます。
  101. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間の関係もありますから次に進みますが、消費生活保護のためにこういう呼びかけ、注意を喚起をすることは当然の業務である。それで、一般的に言うならばそれが不適当だと、悪いということでは一つもないとおっしゃっていますから、その点を一つ確認をしておいて次に進みます。  それで警察にお伺いしますが、この記事が私は営業妨害になるとか業務妨害になる——この記事自身が直接営業妨害になるとか業務妨害罪の疑いがあるとかいうものでないことははっきりしていると思うんです。またこういったインチキ商法にひっかからないように市民に呼びかけることは市の業務として当然の措置である、これもはっきりしているんじゃないかと思います。こういう点についてきわめて明確な判断、これができないとすれば警察官の資格がないと私は言わざるを得ないというように思うんですけれども、いかがでしょう、この記事自身が営業妨害とか業務妨害のおそれがあるというように言えますか。あるいはまた、市が市民に対してこういう注意を促す措置は、先ほど適法な業務、職務とおっしゃいましたが、不適法な業務というようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
  102. 森永正比古

    説明員森永正比古君) ただいま問題になりました富士見市の機関紙の内容が業務妨害になるかどうかということの判断についてでございますけれども、この業務妨害になるかどうかの前提になりますのは、この記事で申し上げますと、この二段目にございます「富士見市内でも、高額の高麗人参液や人参茶、つぼや消火器などが悪質な手口で売りつけられたという被害が続出しています。」という文言があるわけでございますけれども、これが、「悪質な手口」というのがどういう趣旨のものか私どもも現在はっきり判断ついてないわけでございますが、私どもの立場で申し上げますと、違法な手口であるかどうかということが問題になろうかと思います。これにつきましては、確かに富士見市内の市民の方からこの高麗人参、濃縮液の販売に関しまして被害届が出ておりまして、この問題について地元警察署におきまして県警本部の応援を受けて現在捜査中でございます。これが果たしていわゆる訪問販売法違反あるいは薬事法違反になるかどうか、そこら辺が一つの問題になるんではないかというふうに考えておるわけでございますが、もちろんこれはこのことだけで決められるということではございませんで、そのほかのいろいろの要素等も勘案して判断をしなければならないというふうに考えられるわけでございますが、保安部の関係といたしましてはこの点が問題になろうということで早く結論を出そうということで捜査を進めておるところでございます。
  103. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうするとなんですか、「悪質な手口」というのが問題だと、この文言で言うのは。いまのはそういう御趣旨ですか。
  104. 森永正比古

    説明員森永正比古君) 私どもが問題ということであれば、この点が問題点になるであろう。しかしながら「悪質な手口」というのをどういうふうな趣旨でこれお書きになっておるのかどうかですね。私どもが「悪質な手口」ということで考えるとすれば、法律違反になるかどうかというような判断ではなかろうかというふうな、想像いたしましてそういうお答えを申し上げたわけでございます。したがいまして、この全体をいまちょっと見まして、一応問題点になるというのはまずこの点ではなかろうかと、こういうふうに考えておると、こういう趣旨でございます。
  105. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはおかしい話ですね。確かに短い文章ですから舌足らずというか言葉足らない点があるでしょう。しかし悪質なという意味は、いわゆる法律違反的な、あるいは不当な不法なそういう行為、ここに押し売り防止条例や迷惑防止条例があるかどうか知りませんが、仮にあればそれに違反をするような販売方法というのも含まれるかもしれません。いずれにしても薬事法違反あるいは訪問販売法違反、あるいはそういう条例があればそういう条例違反ということで、だからそういうことにひっかかりなさぬなよと。押しまくられたり、封を切って、もう封を切ったんだから買ってもらわなきゃ困るといって居直られたり、あるいはさも薬効があるかのようなことを言って、それでうっかり契約をしたり、そういう被害にかかって実際には大変な、困った例があるから気をつけなさいよと。もっと詳しく書けばよいということになるでしょう。しかし限られたことですから、趣旨はそういったように言っておるわけですね。その行為自身は市として当然やらなきゃならない。当然です。内容が少々舌足らずで、逆に向こうの方から居直られたら処置ないということになる、こういう意味なんです。しかしここに言っていることは、——正しい商法をやっているのはいいんですよ。正当な商行為を何も規制しているんではないんです。悪質な商法、インチキ商法は困る。だからこれはけしからぬと。この記事がけしからぬということになればインチキ商法を認めろということになる。インチキ商法をしておるのか、しておらないか知らないけれども、あの記事のためにおれは迷惑をこうむったと。それじゃあんたインチキ商法をやっていたのか。正しい商法をやっていれば別に、私とこはこういうやり方ではない、薬事法違反もしておりません、あるいはしつこくも申しません、あるいは訪問販売法違反もしておりません、正々堂々と商取引をしておりますと言えば、それは市民は信頼する。それは商取引ができる。それは決して否定してないです。インチキ商法はいかぬと言っている。インチキ商法はいかぬと言ったのに、言葉足らずで、「悪質な手口」というのは一体何かわからぬ、ひょっとしたら違法性があるんじゃないか、疑いの眼で見て回る。こういう態度でどうして市民の消費生活を守るという、その市の業務を正しく理解をしろということになるんですか。合点がいかぬじゃないですか。
  106. 森永正比古

    説明員森永正比古君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる訪問販売法違反あるいは薬事法違反にならないかどうか。本当に「悪質な手口」、すなわち私どもとして考えているのはそのような法令違反が実際に行われているかどうかということについて、被害者の届け出に基づきまして捜査を現在行っておるわけでございます。で、若干内容について申し上げますと、現在までの捜査の結果によりますと、この高麗人参茶につきましては、これは健康食品ということであれば訪問販売法の一応指定にもなりますので、その点について捜査をいたしておりますが、現在わかっております購入者の供述によりますと、訪問販売法に言う書面交付等を現在のところはやっております。したがってこの点は容疑は薄くなったということも言えると思います、しかしこれは現段階でございますから。  それと今度は薬事法違反でございますけれども、これは現在まで聞いたところでは被害の届け出をされた方と、もう一方、薬効をうたったというふうな申し立てをしておられる方がおられます。それ以外については一般的な健康食品的な言い方をしているというようなことで、その点についてもまだはっきり薬事法違反になるという断定をするまでには至ってないわけでございます。しかしながらこの事件の捜査につきましては、これは——まあこれだけでございません、このほかに「民主ふじみ」という新聞の問題も問題になっていいるわけでございますが、いずれにしろこれの、高麗人参、濃縮液等の販売をめぐって問題になっているわけですから、この問題が一つの根本的な問題になろうかと思います。したがいましてできるだけ早急にこの捜査を遂げまして結論を出したい、このような考え方で捜査を進めているわけでございます。
  107. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体出発が私は違っていると思うんですよ。これは七月の二十四日ですが、松本善明議員と私が埼玉県警本部を訪れまして、向こうの笠井警備部長と高橋警備課長ですかね、お会いをしました。それでいま言いましたこの記事が業務妨害になるのかならぬのか。業務妨害になるとすれば威力業務妨害か何かという内容まで聞いておったんです。ところが警備部長も警備課長も、これは業務妨害で告訴をされているからそれについて見解を述べるわけにいかぬということで見解表明を避けられました。相当やりとりをいたしまして、それはいつだれが告訴しているのかという追及をしました。ちょっと調べましょうと言って調べに行かれました。戻ってきてから大分態度が変わりまして、警備部長の方から、早とちりをいたしました、「広報ふじみ」は告訴の対象ではありませんと。こういう訂正があり、その上でそれじゃ見解はどうなんだと。そうしたら、この記事自身は営業妨害、業務妨害にはなりませんと。明快に答えた。問題は、そのことをはっきりさせれば、この市を犯罪の容疑団体として捜査をするようなそういう態度をとる必要はなかった。ところが七月二十四日、私どもが行ってそういう話し合いをする中で初めて早とちりをしていたことに気づいて、これ自身が告訴の対象になっていない。それで改めてこれは営業妨害あるいは業務妨害ではありませんと、こういう見解を明らかにされておるわけでございます。  きょう聞きますと、また保安部長えらい慎重な態度をなさっておりますけれども、それはこの記事自身ではなしに、その他のいろんな諸条件、それとの問題でしょう。これ自身は一体どうなんだと。私は、埼玉県警の警備部長が改めて言いましたように、これ自身は何らそういう営業妨害とか何らに類するようなそういう疑いのある文章ではない。これは明確だと思うんですが、この点どうですか、もう一つはっきりしてもらいたい。
  108. 森永正比古

    説明員森永正比古君) 私が機関紙の「ふじみ」について、これが業務妨害という点で問題になる点があるかどうかという御質問でございましたので、これは明確に業務妨害になるかどうかということではなくて、問題になるとすればここでしょうということを申し上げたわけでございまして、しかしながら、だから悪質な手口で売りつけているということを書いたから、即じゃそうでなければ業務妨害になると、こういうことを申し上げたわけではございません。問題になるとすればここであろうということを申し上げたわけでございます。私も、これが告訴の対象になっているんじゃなくて、「民主ふじみ」の方が告訴の対象になっておるということも十分承知しておるわけでございまして、そういうことを承知の上で申し上げたわけでございます。
  109. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは、問題になるとすればここであろうということであって、これ自身が埼玉県警の笠井警備部長も言いましたように、それ自身で直ちに業務妨害の疑いがある文章であるという断定はできないというように承ってよろしいですか。——はい、わかりました。  ところが、私は重大だと思うのは、七月二十四日の段階まで実はそのように履き違えていて、したがって、これを発行している市ですね。市長以下担当者を含めて、富士見市が犯罪容疑のあるそういう団体として捜査の対象にしておられる、これは私はきわめて重大ではないかと思うんですけれども、もしそうしますと、このことが営業妨害だと言って騒ぎ出した埼進商事なり勝共連合の連中の暴挙も、どろぼうにも三分の理があるということで、一理もあるということになってしまう、こういうことが起こってきているわけですね。ですからこのことになりますと、勝共の連中が営業妨害だと言って騒いできます。それも一理がある。しかし、市の方もそれは市民の消費生活を守るという措置だと、こう言っている。対等において、そして、どちらが本当か、どちらが犯罪を犯しているのかという捜査を行う、あるいは調査をする、少なくとも調査をする。こうなりますと、勝共の言い分は聞いて、客観的な市の公務は保護しないということになってしまう、こういう事態に発展をするということになると思うんですね。初めのボタンをかけ違うとあとのボタンまでずっと違うように、出発点が、私はそこのところで警察側のとった態度に重大な過誤、これがあったのではないかと思うわけですが、この点はどのようにお考えですか。
  110. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 富士見市のいろいろの事犯は、御承知のとおり大変長い期間のものでございまして、その間いろいろのトラブルがあることは私たち承知しております。  そういう中で、やはり双方から相当警察に対しましても告訴、被害届、そういったものがなされておるわけでございまして、それぞれ一つ一つのケースにつきまして内容は違うわけでございますので、それについて一概に申し上げられませんけれども、トータルとして見ますると、この六月以降、警察に対しまして双方から十五件の告訴がなされております。このほか二件の被害申告ということでございます。  警察といたしましては、もとよりこれらの告訴なり被害届につきましては事犯の真相を究明する、そして違法事犯につきましては厳正、公平、不偏不党の立場からこれを解明していくというふうなことは当然でございますので、目下そういう意味でこれらの告訴を受けた点等につきましては鋭意捜査を進めておるというところでございます。  したがって、先ほどの御質疑にありました富士見市の方、あるいは市の職員等を捜査の対象にしているんじゃないかということにつきましては、私の認識しておる、理解しておる段階で、市なり市職員そのものを何かまあいわば被疑者的な立場で捜査するとか、そういうことはございませんし、まあ後で御質疑出るんだろうと思いますが、下坂という男から被害届が出ているケースもございますが、これは真相を究明するために、いかなる真相であったか、そういうあれで関係者からそれぞれ事情をお伺いしなくちゃならぬと、こういう立場にあるということでございます。
  111. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後の方の市なり市の職員について被疑者扱いはしていないという問題については後でまた具体的にお尋ねをしたいと思いますから、あとそれではいまおっしゃった点を含めて具体的にひとつ個々の事実に基づいて、それぞれどういう態度、どういう措置、それがなされたのか、それが適切であったかどうかという点を明らかにしていきたいと思うんです。  まず自治大臣にお尋ねをいたしますが、こういう広報が出ました。その後六月の二日に埼進商事の責任者の藤原忠弘というのが市役所にやってまいりました。そして、この広報は営業妨害だ、取り消せと、取り消すまで毎日来て市の仕事ができなくしてやる、そういう抗議をいたしました。市の職員の方が、そうおっしゃるあなたのところはそんなインチキ商法をやっているんですか、こう反問をしたら、いや、おれのところはしておらぬと言うて引き下がりました。こういう藤原の、言うならば逆ねじです。これは筋違いも私ははなはだしいと思うんです。自分が正しい商行為をやっていれば何も文句をねじ込まなきゃならぬ問題ではない。市としてはインチキ商法をやられて市民に被害が及んでは困る、だから正常な商行為を期待をしてそういう広報に記載をするという措置をとった。それは市の処理というのは当然であるし、こういう藤原の逆ねじ的な申し入れというのは筋違いもはなはだしい、というように私は思うんですが、大臣の御見解はいかがですか。
  112. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私は藤原何がしなる者が市役所に抗議をいたしたという話をこの前も聞きましたけれども、その抗議の内容等につきましては全く承知をいたしておらぬところでございまして、正しい商売をやっておるのなら、正しい商売を継続してやればよろしいことであって、そのことを市に抗議をいたしますのは、やはりこの広報が影響しておるのではないであろうか、かような感じをいま伺いながら持ったようなことでございます。
  113. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっとわかりませんがね。正しい商法をやっておるのならそれは別に進めていけばいいのであって、しかしそういう抗議がやってきたということであれば、それは広報が影響しているんではないかということはどういうことですか。ちょっと意味がわかりませんが。
  114. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 藤原何がしなる者がどのような商売をしているのか私にはわかりません。わかりませんけれども、私はトラブルの原因がどの辺にあるか、このことを私なりにこの広報を見ながら考えておるところでございますけれども、私が、「トラブル防止する七つの決め手」というところをこの前読み上げましたことは御承知のとおりでございまして、これは、「セールスマンを家に入れない。」、これは恐らく次の、「身分を確める(身分証明書等を見せてもらう)」と、このことと関連があろうかと思うのでありますから、こういう慎重な態度は当然必要でございましょうし、それからあやふやな態度をやめて、要らないものははっきり要らないと断りなさいと、こうも書いておりまして、これもまた正しいことであり、そのことを申したのでありますけれども、しかし、ただいま勝共連合としばしばトラブルを起こしておりまする原因は、やはり「届出は一刻も早く」、かようなことで、その後に具体的な商品名を掲げておる、このことがトラブルの原因ではないか、こう私なりに判断をいたしておるのでございまして、「富士見市内でも、高額の高麗人参液や人参茶、つぼや消火器などが悪質な手口で売りつけられ」ておって「被害が続出して」おる、かような書き方をいたしておりますから、ですから私のいま想像いたしますことは、藤原何がしなる者が、あるいは高麗茶なり人参茶なりあるいはつぼや消火器なるものを販売しておるのかな、この具体的な商品と関連を持っておるのかなと、かような感じを持ったことを申し上げておきます。
  115. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはそうなんですよ。彼らが高額の高麗人参液や人参茶、それからつぼ、これなどを悪質な手口で売っていることは事実です。消火器は売ってないですね、彼らは。消火器は取り扱っておりません。  それから人参液や人参茶、これを取り扱っている商社というのはこの埼進商事だけでもありません。韓国から輸入、それを取り扱っている商社というのはたしかいま大きいところで三つございますね。ですからこの記事自身が埼進商事の商行為そのものを特定をしている記事ではありません。しかし、埼進商事がやった行為によって被害を受けた人が怒っていることは事実です。埼進商事の行ったインチキ商法、先ほど被害届け出が出ているというように保安部長もおっしゃったけれども、そういう薬効があるかのような演説をしてそして濃縮液を売って実際に一日三回飲んでみたけれども、苦くてここにあるようにとうてい飲めないということで返品をしたいというトラブルが起こった。これは事実ですね、あるいは埼玉だけではありません。全国的に言いますと、千葉でも、あるいは東京でも至るところでこういう事態が起こっているんです。うまく持ち込んで封を切らして飲ましてみて、そして買わざるを得ないようにしむけるという訪問販売法違反のような、そういうやり口をやっている方法もあります。いずれにしても、しかし、それは訪問販売法違反やあるいは薬事法違反の悪質なやり方、違法なやり方、それには注意をしなさいといったわけです。これはあたりまえなんです。それをけしからぬというのはそのインチキ商法を認めよということになります。これは大臣も岡山で知事なさっておったんですから県民に対してそういう被害が起こったら当然そういう呼びかけをするというのはあたりまえでしょう。現に岡山県もラジオで二分間のスポットでこういうインチキ商法に注意をしなさいという県民への呼びかけをやっています。九月には岡山の何ですか、県民向けの広報にこの内容を記載をして県民に知らせる、こういうことをやる予定にしています。岡山市でもそうです。岡山市も同様の放送もしましたし、そして広報も出しています。これは当然自治体の長としては、責任者としてはあたりまえのことです。それをインチキ商法やっているやつが、けしからぬと、インチキに気をつけろというような記事出すからおれのインチキ商売やれぬようになった、営業妨害だ、取り消すまで市の仕事ができぬようにしてやるといってどなり込んでいくというのは、これは道理のある言い分ということができるでしょうか。これは知事さんの経験もお持ちの大臣ですからそれははっきりしてもらわぬと、全国の知事さんや市町村長さんも、自治大臣の方でそういうことぐらいはっきりしてもらわぬと、本当に県民、市民のために仕事ができぬじゃないか、こういうことになりかねない、どうでしょう。
  116. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私は藤原何がしなる人物は全く知らないことでございますし、だれに向かってどのような抗議をいたしたのかも承知をいたさないのでありますのと、それからその抗議に対しまして市役所側がだれが応対してどのような返答をいたしましたかはこれまた全く承知をいたさず、ただいまの御質問で初めて知ったようなことでございますから、したがって、一般的な言い方をする以外には方法がないのでありますけれども、抗議をいたしました者が、正しい抗議でありますならば、市の側は率直にその抗議に対しまして改める点は改めていくべきでございましょうけれども、しかし、正しくないことの、間違ったことの抗議でありますならば、とんでもない、そんなばかなことがありますかということで峻拒いたしますのが当然なことであろう、かように言わざるを得ないのでございます。
  117. 神谷信之助

    神谷信之助君 これ、押し問答しても仕方がありませんが、しかし実際にどういうことを言ったのか、だれが応対したのかということは、その場に、客観的に、言うなれば大臣自身がその場におらなかったら、あとは伝聞証拠になりますからね、それも本当かうそかわからぬじゃないかということになってしまいます。あるいは法廷での証言、宣誓証言でもない限りはおれは信用できねえという言い方にもなります。これは私は賢明な答弁だというように思いません。  同じようなことを、六月の十九日十四時ごろ、今度は勝共連合の関東組織部長の北原周次外一名が市民相談室及び商工課にやってきました。そして、この勝共連合自身は販売活動しているわけではありません。ところが、その北原周次は、なぜ広報に載せた、営業妨害だ、取り消さない限り市の仕事ができないようにしてやると抗議をする。さらに秘書課にやってきて、市長に対して面会を強要する、そういう事態が起こりました。したがって、市の方は庁舎管理規則に基づいて口頭で制止をする、そういう措置をとりました。そこへちょうどたまたま警察官がやってこられたので、その北原某という者を警察官に引き渡しをいたしました。この主張、北原らの主張ですが、これもいままでの大臣答弁でいくと、私は直接聞いてないから確認できないというおっしゃり方になると思いますが、しかし、もしこういうことを言ったと、仮に仮定をするならば、そういう北原の主張というのは正当な主張ということができるでしょうか。私は理不尽なものだと言わざるを得ないと思います。その点についてお伺いしたいと思います。  第二点は、したがって市長に対して面会を強要する、そういう北原らに対して庁舎管理規則に基づいて口頭で制止をして、そしてたまたま来庁された警察官に引き継ぐという措置をとった。この市の措置は当然であり、冷静な措置であるというように私は思うんだけれども、この点についての大臣の御見解を聞きたいと思います。
  118. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) ちょっと、非常に具体的なあれでございますので私、政府委員からお答えさしていただきたいと思います。  いまの御質疑の十九日の件でございますが、御質疑の中にありましたとおり北原周次という者が市長に面会を強要して、退去を要求したけれども聞かないので警察に引き渡した、このケースでございますが、これは六月の十九日の午後一時五十分ころのようでございます。市の職員と思われる人から一一〇番で、勝共連合の者三名が市役所に来て市長に合わせろと言っており、これをとめている市職員との間でトラブルが起きそうなので来てくれ、こういうふうな届け出がございました。そこでパトカー一台に警察官二名が乗りまして現場に到着したのが午後の二時ころのようでございます。参りますと、市役所の中で勝共連合の者三人を、市役所職員あるいは市会議員等の方が二十人ぐらいおったようでございますが、取り囲むようなかっこうで口論しておるというふうなことで、警察官がその中に入りまして勝共連合の三人を庁舎外に連れ出した、こういうふうな事実のようでございます。
  119. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま局長から報告のございましたような事実であったろうと私も思います。
  120. 神谷信之助

    神谷信之助君 いやいや、自治大臣に聞いておるのは、もし北原らが先ほど言いましたような主張をしておったと仮定をするならば、このような主張は正当なものということができるかどうかという点、それから市が、そういう不当な要求に対して庁舎管理規則に基づいて制止をする。だんだんだんだん声が大きくなりますから、人が集まってくるという状況になりますと、一一〇番をして、いま警備局長の方から報告されたように、パトカーで警官がやってきて、そして排除するという措置をとりました。この段階では、だから一一〇番をして警察に連絡をして、警察によって排除するという措置をとった。これは当然な措置であり、冷静な措置だというように思いますが、いかがでしょうかということであります。
  121. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) いまの処置を私に論評せよというような御注文のように聞けるのでありますけれども、まず思いますことは、市長に面会を求めた、市長は時間が許し、また面会すべき者と御判断になったら面会をなさるでありましょうし、何かの都合で不在でありますとか、あるいは面会し得ない事情がありますのなら、これを断るのもこれまた当然であろうと、かように思います。さような処置に対しましてその制止を聞かずに暴れ回るなどということはよろしくない振る舞いであり、そのことが市の仕事に悪い影響を与えると、かようなことで警察に連れ出してもらうべく一一〇番をしたのではないであろうか。これに応じて警察が行動をいたしましたこともこれまた当然な行動だと思うのでありますし、市の仕事に悪い影響があるからこそ外部へ連れ出したのであろう、かように私は思うことでございます。
  122. 神谷信之助

    神谷信之助君 さて、十九日、そういう宣戦布告のようなことを北原周次が市に対して行ったわけでありますが、それ以前にすでにもう連日のように市に対する攻撃を勝共連合が行って、そして市の業務の妨害を始めております。まず、六月の九日には、十四時から十五時にかけまして正面玄関の市の敷地内で宣伝ビラを五人によって配布する。市は宣伝ビラの配布の許可が必要である庁舎管理規則の十条の第一項第二号に基づいてそれに違反をするということで、同第十二条第一項第三号によって口頭で制止をするということを行います。  続いて六月十二日の十六時三十分から十七時にかけて同じ場所で五人がやってきて、今度は「人殺し・共産党=山田市長」と、そういう見出しのビラを配布をいたします。そして、宣伝カー一台三人乗っておりまして、これが敷地内に入ってきて、ボリュームをいっぱいに上げてマイク宣伝をやったと。こうしますと、市役所の建物の中で仕事をしている市の職員の業務は騒音のためにきわめて困難になる。そういう状況が起こります。したがって、市の方は管理規則の九条四号、同じく五号、いわゆる示威行為及び騒擾違反ということで口頭による制止を行います。  さらに、今度は十三日になりまして、また同じように十七時から十八時にかけまして十数人がやってくる。宣伝カー三台を乗りつけて同様の行為をする。市は口頭による制止及び敷地内からの宣伝車、これの搬出命令、これを行いましたけれども応じませんので、今度は警察に出動を要請をいたします。ここで警察が出動してくるわけですが、この六月十三日の点につきましては東入間署の警察の方はどういう対処をなさったのか、報告をしていただきたいと思います。
  123. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 非常に現場的な問題でございますが、警察としましてこの勝共連合が富士見市の市役所に再三にわたって押しかけておるわけでございますが、その前段として警備部としてこの状況を把握しましたのは、実は六月九日から七月八日までの一カ月間、この勝共連合が埼玉県下全域にわたりまして街頭活動を行うための道路使用許可を受けに来ております。それによりまして警察としても勝共連合が富士見市内で街宣活動を行っていたということは承知しているわけでございますが、したがって、この事犯も六月九日の以降のわけでございまして、先ほどの御質疑のように、六月九日、これは警察としては届け出がなくて認知しておらない。十二日の件も仰せのとおり警察は出ておりません。この十三日でございますが、これは午後の五時十分ころ、これまた、名前はわからない匿名の方から、市役所前でけんかになりそうであるという一一〇番がやはりございまして、午後の五時二十分ころパトカーに二名の警察官が乗りまして現場に着き、勝共連合の宣伝カー二台が市役所の敷地内に入っておったようでございますが、一台に警告しまして敷地外に退去させたと、その後さらに、付近にいた日共宣伝カーと勝共の宣伝カー、この乗務員との間で口論が始まったということで、両者のトラブルを避けるために警察官がその中に入りまして、両者を分離して双方を現場から引き離してトラブルを避けたと、こういう措置をとっておるというふうに報告を聞いております。
  124. 神谷信之助

    神谷信之助君 パトカーで出ていって庁舎の敷地内におった広報車、勝共の宣伝カー、これに警告をして排除した、こういうことですね。  翌十四日にもやってきています。これは八時十五分から九時にかけて同じような行為を行っている。そこで、市の方は、正常業務の執行妨害のおそれがあるということで制止をします。及び広報車の搬出命令をする。聞かないので警察の出動を要請しております。  同日また午後、十六時四十五分から十八時にかけて同様行為がある。このときにも警察の出動を要請をしております。これらについてはどういう措置をなさいましたか。
  125. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 六月十四日の件でございますが、これはやはり午前と午後の二回ありまして、午前八時三十分ころでございますが、市役所で勝共の車が宣伝しておりうるさいという、こういった匿名のやはり一一〇番がありました。これまた、パトカーに警察官二名が乗りまして八時四十五分現場に到着、街宣中の勝共連合の車に警告を発しまして、勝共側はこれに従って立ち去った。  また、午後の分でございますが、これは午後の五時十六分、富士見市の助役さんから市役所敷地内でビラ配布をしておるという届け出がございました。これにはパトカーに警察官四名が乗りまして五時三十分現場に到着、そのとき勝共の宣伝カー、これが二台おったようでございまして、路上で街頭宣伝をしておると、退庁する職員にビラを配布しておったようでございますが、交通そのものには支障がないので警戒しておったところが、まもなく勝共側は立ち去ったと、こういうことの報告を受けております。
  126. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの午後の方は、助役の方から連絡をして、そして、パトカーが出動するという、そういうころになりまして路上の方に出ていった、こういうことが繰り返して起こっています。  連日そういう状況が、管理規則違反の行為が行われる。そうして、公務の執行が妨害をされるということが繰り返えされる。それに対して警察官が出動して排除する、警告をして排除する、あるいは警告をする、ところがまた繰り返してやるわけですね。それじゃこれ、たかるハエをうちわで追うてるだけにすぎなくっていつまでたっても切りがない。こういう違法行為を繰り返えさせることを許すということは、私はこの市の業務の円滑な遂行を保障する、あるいは秩序保持に責任を持つ警察として、警察の責任から言いましても新しい対処が必要な状況があったのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  127. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) ことに六月上旬から下旬にかけまして、勝共の街宣活動の過程で何回かにわたりましてこの富士見市役所前での件につきまして職員側からいろいろの通報等があるわけでございます。そういう中で、やはり警察としてもこういうトラブルは一日も早くやめるべきであり、静誰なる状態に返すべきであると、これは当然でございまして、そういう意味で警察としていろいろその間努力をしておるわけでございますけれども、六月の二十九日でございますが……
  128. 神谷信之助

    神谷信之助君 まだそこまでいきません。順番にやります。いま十四日の段階。
  129. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) さようでございますか。  ということでございまして、六月十四日までの段階ということであれば、その都度警察官としても情勢に応じて現場に速やかに派遣をいたしましてトラブルの防止に努めておるという措置をとっておるということでございます。
  130. 神谷信之助

    神谷信之助君 鈴木さん、私が言っているのは、だから、連絡があったら走っていくと、そして排除する、また来よる、また走っていって追い出す、そういう違法行為の繰り返しを許しておったんでは警察としての責任を果たすということにならぬのではないかと言っている。  そこで、そういう事態が十四日まで連日のように続いた。そして先ほど言いました十九日に北原が市役所にやってきた、そうして、言うことを聞かなきゃ、取り消さない限り仕事をできないようにしてやると言ってそういう暴言をはき、市長に面会を強要する。大声上げてそれをやるわけですから、市の職員や当時おりました市会の議員さんなんかもそれを取り囲んで、そうして面会強要を拒否するという市の態度を支持をする。それを支持をするという状態にそこへ警察官が来て北原を外へ連れ出した。そこで、この北原というのは、御承知のように勝共連合の関東の組織部長で、この富士見市における勝共連合の数々の暴挙の責任者である。それを連れ出して、その北原に対しては警察はどういう対処をなさったのですか。連日、市の庁舎の中に入って、宣伝カーで人殺し共産党イコール山田市長というような市長の個人に対する中傷攻撃、デマ攻撃をやる。また、そのことによって市の業務は混乱を起こし、できないような状況が起こってきておる。またそのために市民生活は平穏を破られるという状況が起こっている。そのいう事態を見て、秩序保持の責任を持つ警察官が、警審の方が当の責任者である北原に対してどういう警告をし、どういう説諭をなさったのか。私は、市の秩序を維持をする、市民生活の平穏を維持をする、そういう責任を持つ警察ですから当然北原に対して、君たちのやっていることは違法行為だと、もしこれ以上続けるならば法律に従って断固として取り締まりをする、こういうことを明らかにしなきゃならぬと思うんですけれども、そういうことはなさったのかどうか、いかがですか。
  131. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 六月から——二十九日までの段階はいま……
  132. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、いま十九日……。
  133. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) ええ。言いましたように、その都度現場に急行いたしまして警告をし、あるいは退去をさせるというふうな必要の措置をとってきておるわけでございますが、実はその十九日前に、六月の十七日でございますが、富士見市の庶務課長さんが東入間の警察署を訪れまして、次長に対しまして勝共連合の車が市役所の敷地内に入ってきたらどうしたらよいかとか、またすでに入っている場合にはどうしたらいいでしょうかと、こういうふうなことで意見を求めに参っております。それに対しまして次長は、退去要求の意思を明確に相手に伝えて、退去しない場合にはひとつ警察へトラブルを避けるために出動を要請してほしいと、こういうことを庶務課長にも指導をしておるわけでございます。そういうことでその都度届け出が行われておる、こういうふうに思われますが、その都度に警察も出動して必要な措置をとっておるというふうなことでございます。  それで、先ほどの北原なりそういった岩にどういう措置をとったかということでございますが、そういうことで、実はその後——十九日とおっしゃいましたが、もうそこをちょっと飛ばさしていただきますけれども……。北原自身を呼び出して実は厳重注意したのは七月一日になります。といいますのは、その前日に呼び出しておるわけでございますが、本人来ませんで、再度七月一日に署に呼び出しまして、この北原勝共連合の代表に不法行為は絶対行わないように厳重に注意をしておるということでございます。  それで警察といたしましては、この警告、厳重注意、これを契機にいたしまして六月三十日から七月十五日まで毎日八人前後の警察官を市役所の付近に派遣いたしまして、交通取り締まりを兼ねて警戒警備に当たるというふうなことで違反の未然防止に努めたということでございまして、いわば張りつけ的に市役所内に車と人をつけたというのは六月三十日からということでございまして、約半月の間に百五十名ほどの警察官を市役所周辺で警戒を兼ねて職務につかせたと、こういうふうな状況でございます。
  134. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはおかしいわけですよ。私は、この六月の十九日、この時点で七月一日やられた措置を直ちにとられれば、それ以後の事態というのは防ぐことができたと。現に敷地内に入ってそういう行動をやっている。そのことを助役さんの方からも十七日に連絡をしている。そして、次長もそのことについて、その日は連絡を、退去命令なら退去命令ということを明確にしてすぐ連絡をしてもらいたいと。それで、現にそのことによってパトカーは二回ないし三回ずっと来ているわけです。そういう違法行為が続いている。そのことによって公務執行の妨害が現に行われている。そのことは現認できるわけです。すでに犯罪行為が行われておる。そのときに、直ちに逮捕するかどうかは別にしても、少なくともこういう違法行為をさらに今後繰り返すなら断固として取り締まりをする、逮捕するかもしれぬ、そういう態度を明確に六月十九日段階ではっきりさしたらいい。私はその責任はきわめて重大だと思うんです。その六月十九日段階で、あるいはそれ以前にそういう適切な措置をとらないために、客観的には野放しにする、違法行為を野放しにする、警察が容認をする、こういう事態になっています。彼らの側からしたら、おれらのやっていることは警察も承認済み、認めているんだと、こういうことになっているんです。だから、見なさい、六月二十一日には八時から九時十分ごろにかけて同じような行為が行われている、庁舎敷地内で。そして警察に出動要請して二十分後にパトカーが来て排除する。六月二十二日十六時四十分から十八時五分にかけて同様行為が行われている。そして、そのうち三人は庁舎内に侵入をする。職員によって排除せざるを得ないという事態が起こる。六月二十三日に同じように十六時三十分から十七時三十五分にかけて同様行為が行われている。これも直ちに警察に要請をする。大体十五分ないし二十分後に到着をして排除するという事態になった。  さらに六月二十七日、十五時二十分から十五時四十五分にかけては、今度は議会の議員控室前でボリューム一ぱい上げたマイクで騒ぎ出す。事もあろうに市の女子職員二名の名前を挙げて市長のめかけだという事実無根の中傷までやる。そのときには、十五時二十五分及び十五時三十分二回にわたって警察に出動要請をした。しかし、彼らがなおも騒いでいるので、議員や職員がそろって排除する。このために当時開かれておった市議会はたびたび中断をせざるを得ない。彼らのそういう騒擾行為で、騒音によって、審議をしても聞こえないわけですよ、議場の中で。ですから、審議を中断をして休憩せざるを得ないという事態が起こった。市会の正常な審議さえ六月二十七日には保障されないという状態が起こっている。とうとうそのために市議会は、六月の二十八日には、常識を超えた宣伝活動を庁舎管理規則に基づいて厳正に規制せよと、そういう庁舎管理規則の徹底遵守に関する決議というのをやらなければならない。それにこたえて市長は、庁舎管理規則に基づいて、市の職員一丸となって断固として対処します、こういう見解を発表せざるを得ぬということになります。不法行為の、あるいは犯罪容疑行為が行われる。そのことを現認をしたら、直ちにその適切な毅然とした態度をとらなければ、彼らはますますエスカレートするのはあたりまえ。  そこで自治大臣、地方自治の擁護に責任を持つ所管大臣ですから、お伺いしますが、このような事態というのは、まさに市議会の審議さえ保障されない、市の正常な業務も混乱をさせられる、言うなれば、地方自治の破壊であり、地方自治に対する不当な介入が行われるという事態になりました。したがって、そういう事態になりましたときには、市長として一体どういう措置をしなければならないのかという問題であります。市会の決議に基づいて管理職を動員をして自衛体制をとる、そして市庁舎の安全、秩序の保持、あるいは市の業務の円滑な遂行、議会審議の保障を図る、こういうことを考えるのはあたりまえのことだし、市長としては、市会の決議もあることですから、そういう責任を果たすために、そのことを、そういう措置をとるのは当然のことだと思いますが、大臣の御見解はいかがですか。
  135. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 市長といたしましては、話し合いをすべき者とは十分に話し合いをいたし、そして、管理規則によりまして、対処いたすべき点は、自力でやり得ます点は自力で最大の努力をしなければなりませんけれども、しかし、自力で排除し得ないような場合には、当然警察の協力を求める、警察は欣然として協力をいたしまして、不正な状態がなくなりますように努力をいたす、かように考えております。
  136. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ警備局長、お尋ねしますが、いま申し上げましたような事態になったわけですが、私は、警察としては、冒頭確認をいたしましたように、市の業務を保障する、公務を保障する、それから市民生活の安全を保障する、保護する、この秩序維持の責任があると私は思う。このことは先ほど冒頭に確認をしたところであります。とすれば、このように議会が異常な決議をしなければならないような事態を引き起こす、市長自身も、その決議に基づいて非常な決意をもって庁舎の管理、安全、あるいは市議会の審議の保障、これらについて考えざるを得ない、そういう事態を引き起こした。これについて、それまでの彼らの違法行為に対して、それまでとってまいりました警察のそれぞれのときの措置、これがすべて適切であったというようにお考えでしょうか。そういう事態を招いた事実の上に立って、それまでとってきた東入間署あるいは埼玉県警のとった措置に遺憾な点はなかったのか、あるいは不十分な点はなかったのか、そういう反省というのはないのでしょうか。この点まずお聞きしたいと思います。
  137. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 先ほど来のあれで、そもそもの発端が訪問販売等の問題から発しまして、だんだんエスカレートしていったと、まあこういうふうな状況であるわけでございますが、私も現場の状況を詳細に聞いた範囲での私自身の感想でございますが、先ほどのお話の中にもありましたように、結局富士見市議会としまして、この庁舎管理規則の徹底遵守に関する決議というものが提案されまして、可決されたのは六月の二十八日であるわけでございます。いろいろの経緯があったようでございますが、この決議の内容を見ますると、富士見市と議会の名誉のために、庁舎内における各種団体の常識を超えた宣伝活動を排除するよう万全の策をとることを議会の名誉において決議する、こういう要旨の内容になっておりまして、その前段階としては、勝共連合の市役所内での宣伝活動あるいは車両の立ち入り禁止を求める緊急決議というものがあったようでございますが、これは否決されまして、結局いまのような内容、いかなる団体であろうと、宣伝活動でこういった常軌を逸したものについては排除する、こういう市議会としての決議である、こういうふうなことで報告を受けておるわけでございます。  そういった面を受けまして、それまでの約二十何日間にわたる、何回かにわたる市役所前でのいろいろの届け出、警察が出かける、警告する、退去させるというふうなことがあったわけでございますが、やはり庁舎管理規則というものに基づきまして、市自体がそれぞれ努力された。で、手に負えないときに警察の方に届け出、通報がある。警察はそれにすぐこたえる、こういうかっこうできておるわけでございまして、この決議を受けた後にはやはりこれは警察、市と話し合って、警察としても市のキャンパス内の場所を一部借りまして、そこに七、八名がずっと待機するようになったということでございまして、いろいろいきさつはあったと思いますけれども、やはりそのプロセスをずっと見ていきますと、自主管理的な庁舎管理による市自身の努力というものの積み上げ、それに警察のいろいろのサポートという過程を経まして、議会の決議がある、それからまた、市の方からの積極的な要請もあって、警察の方もそれにこたえるというふうなかっこうで常駐化のかっこうになっていった、こういうことだろうと私は報告から受けているわけでございまして、全体の流れの中から、決して現場の措置としては妥当な線でいっておったんじゃないか、こういうふうに判断いたします。
  138. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、現場がやったことはもうとにかく、どんなへまがあろうとも、とにかくそれを守るといいますか、擁護する、そういう態度を続けておったんでは、私が冒頭申し上げたような警察官の不祥事件というものは後を絶ちませんよ。先ほども申し上げましたけれども、違法行為は初めてやっているんじゃない。六月九日以来ずっと続いている。そして、十九日にはその責任者である北原某を警察官が排除しているわけです。なぜそのときに七月一日に行ったような断固とした措置を北原にしなかったか。私はそう思う。それをやらなかったから、連日彼らは違法行為を繰り返した。そのためにパトカーは来た。排除して、そしてまた来る。警察が来るまでは違法行為やってよろしい、警察が来たら警察の言うことをおまえさんら聞きなさいよ、客観的に見たらそう映るでしょう。勝共連合と警察官がサル芝居をしているとしか映らぬじゃないですか、市民の前には。こういう状態を続けておってどうして警察の信頼を回復することができるか。そういうことを繰り返すことによって、とうとう市議会も異常な特別決議をやらざるを得なくなって、そういう市議会の特別決議をしなくて済むように正常な秩序を回復するのが警察の責任ではないのかと私は言っている。その点についての反省は一つもないのかと私は言っている。その点もう一度はっきりしてもらいたい。それまでとってきた現場の措置というのは全部適切であったとあくまでそうおっしゃるのか。市議会が特別な決議をするのは異常なことではなかったのか。そういう異常なことをつくり出した、それまでに打つべき手は警察になかったのかと私は言っている。その点もう一度お伺いします。
  139. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 第一線の警察署の職務執行、これにつきましては、御承知のとおり、日々変々するいろいろの事犯につきまして的確に対応するということでやらなくちゃならぬことは当然でございますし、またそれの基本的な処理方針としては厳正公平にやるということもこれまた当然でございます。この件につきましても、そういう意味で両者のトラブルということを避けるために警察としても十二分の努力を払い、その都度その都度適正な処理をしたと私は理解いたします。  反省がないかというふうな点でございますけれども、東入間警察署の処置としては、当時署としての精いっぱいの努力をそれぞれ日々続けておったということを信じます。
  140. 神谷信之助

    神谷信之助君 トラブルが両方にあったとおっしゃいますが、そんな対等といいますか、同じレベルで見ておっていいようなトラブルなんですか。彼らが営業妨害だということで告訴したのは一体いつですか。
  141. 森永正比古

    説明員森永正比古君) 業務妨害で埼進商事の代表者藤原忠弘氏より告訴が提出されましたのは六月の二十日というふうに承知いたしております。
  142. 神谷信之助

    神谷信之助君 六月二十日でしょう。そうしたら、六月十九日までは告訴してない。だから彼らが営業妨害だと言うのは、思うのは勝手です。だからといって市の業務を麻痺をさせるようなそういう不法行為をどうして許すんです。今度は六月の二十日に告訴をした。そうしたら営業妨害の問題は告訴したんだから、警察が捜査をして、もし業務妨害の事実があれば、それは送検をし、起訴をして、しかるべき法的措置をするから違法行為をやめろと言うべきじゃないですか。それが当然の警察の措置ではないんですか。そういうことを現場の東入間署が北原なり藤原なりにはなさったのか、なさってないのかいかがですか。
  143. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 先ほど来から申しておりまするように、六月三十日からはそういうことで毎日八人前後市役所付近に配置して事犯の未然防止に努力しておりますし、またその間、議会の傍聴あるいは市庁舎の管理規則に基づくそれぞれの処置につきましてのいろいろの問題もあったようでございます。また、市側としてもいろいろ御努力されて二十九日等の段階では勝共連合の車をショベルカーで自力でこれを排除するということもあったようでございます。いずれにしましても、そういういろいろの過程を経て市の議決というふうなことになったと思うわけでございまして、その間警察としても連絡があれば直ちに行きまして警告し、退去させておるというようなことでございます。御質疑の内容はそれ以前からじゃもうずっと警察張りついていたらどうだと、現場の措置としてはそういうことかと思いますけれども、やはり庁舎管理規則を執行する市側の立場、これとやはり警察とのそれぞれの意思疎通というものが大切だと思います。そういう意味で今後ともこういうケースがないように、ひとつ市側と警察側が十分にその点の管理規則を執行するというふうな面も含めまして、両者の意思の疎通、十分な疎通が必要ではなかろうかと、こう思うわけでございます。
  144. 神谷信之助

    神谷信之助君 苦しい答弁ですね。私が言うのは、火事が大きくなってから消したんじゃだめでしょう。初期消火が必要なわけなんですよ。犯罪の予防もしかりなんです。犯罪行為が行われてから取り締まるのが警察の本来の仕事じゃないでしょう。まず犯罪を起こさせない、犯罪の予防、防犯活動こそ本来の任務。その上で犯罪行為が起これば、それに対して厳正な態度をとるべきです。ところが、犯罪行為起こっている。厳正公平にやりますと言いながら、犯罪行為は見逃している。警告をし、排除は繰り返すけれども、また来るんですから。そしていまおっしゃったように、とうとう二十九日には市の職員を動員をしてショベルカーなどで宣伝車を排除をせなければいかぬという事態です。私は、これをやるということを市の理事者が決断をするということは本当に勇気の要ることです。下手をしたら、当然の行為であるけれども、逆にいろんなへ理屈、傷害罪その他の文句を言われかねないことであります。しかし、連日のようにそういう違法行為が繰り返され、そして警察に連絡をする。警察はパトカーで来て排除はしてくれる。あくる日は、あくる日以降はもうそういう違法行為はなくなるのかというと、そうじゃない。またやられる。ついに市会がしばしば審議中断をされるという事態が起こって、そういう特別決議まで行われた。私はこれは警察の責任が重大だと思うんです。それまでの警察の措置とうのは怠慢と言われても仕方がない。本来警察というのはそういう事態が起こらないようにするために活動しているんじゃないですか。二十九日に、いま言いましたそういうショベルカーで市の管理職が自衛団を編成をして宣伝カーを押し出すという、そういう事態が起こりました。それに対して警察の方はどういう措置をなさったのですか。
  145. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 二十九日の件でございますが、これは午後の一時五分ころのようでございます。一一〇番通報が市長からあったようでございます。勝共の者七、八名が市役所敷地内に入って一方的な宣伝をしているので、警察官の派遣を願いたいと、こういうふうな内容の通報でございましたので、一時十五分、パトカー二台に外勤係長以下七名が乗りまして現場に行きまして、行ったところが、すでに勝共宣伝カーは敷地外に退去しておるというふうな状況でございまして、それが先ほど言った市の自力的なあれでやったというふうにそれを見ておった人等が言っておったということでございます。
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 いやいや、そうやって市が自力で排除せざるを得ないようなところまでエスカレートしてきたという事態に対して、警察の方はどういう措置をなさっていますか。
  147. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 先ほどもお答えいたしましたように、警察署に相談に来た際も、もう何かあればすぐ警察に届けてくれと、こういうことでございますので、この際も事前にそういうあれで届けておけば、当然警察の手でしかるべき措置をとったと思いますけれども、この際はすでにもうそういう措置が終わっておったということと理解いたします。警察にそういうあれで事前に早目に連絡があれば、この段階でも何か手が打てたのかなと、こういうふうな印象でございます。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 新聞報道によりますと、そういう事態が起こったので二十九日——九日以来の宣伝合戦、これに対して極力介入を避ける姿勢をとってきたけれども、このままでは暴力事件発生のおそれありということで、双方に自粛を申し入れをするということを決めて、同日山田三郎市長を呼んで申し入れをした。そして先ほど鈴木さんお話が、報告されましたが、勝共連合の方は三十日出てこなくて、一日の日に北原を呼び出して申し入れをしたという措置をとられたように報道されておりますが、これは間違いございませんか。
  149. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) 先ほどお答えしましたように、実は六月三十日には市側と勝共連合の代表者双方にそういう意味での厳重なる注意をするという予定でございましたが、勝共連合側は翌日になりまして、当日は富士見の市長さんが参りまして、これに対しましては、不測の事態を防止するために警察に対する早期の出動要請を含めて緊密なる連絡について遺憾のないようにひとつお願いしたいということを要請したということでございます。その間にありましたいろいろの事態につきましては、もちろん警察の立場として具体的に犯罪構成要件を充足するような事犯であれば、それは厳正にそれぞれ検挙なり取り締まりをするということにつきましてはやぶさかでございませんし、そうすべきであると、こう思いますが、それぞれの段階はそういう事犯の内容から見まして現場での警告なり退去の措置というものでそれぞれ予防しておるという措置は妥当な措置ではなかろうかと、こういうふうにも思います。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 それまでの措置は犯罪を構成する要件をいまの話であると満たしてないかのような主張ですがね、しかし少なくとも軽犯罪法違反にはなるんですよ。庁舎敷地内、他人の敷地内です。公共用地の中に入ってきて、そしてボリュームをいっぱい上げて騒音を発する、あるいは迷惑防止条例があれば迷惑防止条例違反になるんです。少なくとも短時間であろうと市の業務がそのことによって麻痺をする。市会はそのため休会をするという事態を繰り返すんです。これは明らかに公務執行妨害の犯罪要件になるんじゃないですか。その容疑があるではないですか。そういう行為を現認をしながら野放しにして、そして六月三十日双方に注意をするために両方に呼び出しをかけた。市に何を注意する必要がある。市はどういう不都合なことをしているのか。市がどのような違法なことをしているのか。勝共連合こそ違法の行為を繰り返しているんだ。これは厳重に警告をし、そしてさらにその行為を続けるならば断固とした措置をとるということを明らかにしなければならぬ、これはわかる。しかし、市長を呼び出して何を注意しなければならない。注意されるような不都合なことを市がやってきたのかどうか。いまの鈴木さんのお言葉じりをつかまえるようだけれども、そういういまお話ですから、私はちょっと理解に苦しみますが、いかがですか。
  151. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) この事犯はそもそもいろいろ内容お互いに告訴をしておりますし、こういった告訴事犯等につきましては、これから誠実に早期に処理をするということはもとよりでございますが、やはり何といいましても一つの宣伝活動といいますか、そういった要素でのものでございます。いままで市役所での出来事がほとんどいま論議に上っておったわけでございますが、それ以外でも駅の前の問題とかいろいろの範囲にわたってあるわけでございます。そういう意味で違法行為につきましてはもう申すまでもなく警察としては看過しないというふうな基本方針でございまして、この点については今後とも厳正公平なる職務の執行に遺憾のないようにひとつ今後とも努めてまいりたいと思いますが、いま御質疑等の点につきましては、道交法、軽犯罪法その他云々という問題でございますけれども、やはりそれで検挙するとかいうふうな事態まで至っておらないという現場での判断である、こういうふうに報告を受けているわけでございます。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 きわめて勝共連合に対してはなまぬるいわけですよね。非常に温かい配慮をなさっております。  じゃその次の問題にいきましょう、おっしゃるならば。  七月一日十一時半ごろ、北原ら六人が市役所の二階に来て、傍聴受付のところで大暴れをいたしました。そして、議場のドアに体当たりをして、ドアをあけて議場に向かって大声で叫んだ。議長はしばらく審議をやっていたけれども、やかましくて審議できない状態になって、議会は休憩を宣した、そういう事態。そこにおった警察官は、余りにもひどいその北原らの公務執行妨害、その行為に対して排除をいたします。そうすると、その同じ二階にある開発公社の職場のところに来て、そこにあったヘルメットを投げ、雨がっぱを投げ、そういう乱暴をした。さらに排除しようとすると、床に寝転んで抵抗する、そういう状況が起こりました。そして、やっと下に、一階に連れ戻す。十二時四十分ごろ一階のロビーで火災報知機、それを数回火事も起こっていないのに鳴らす。市の職員は全部仕事をやめて集合せざるを得ない事態になる。やっと庁舎外に追い出すと、しばらくしてまた入ってくる。こういうのを繰り返して完全に排除したのが十三時半であります。その現場には警察官がおるんです。明らかな公務執行妨害、そういう犯罪行為、少なくともその犯罪容疑の行為、これを現認をしながらなぜ逮捕をしなかったか。これは公務執行妨害罪にならない行為ですか。はっきりしてください。
  153. 鈴木貞敏

    説明員鈴木貞敏君) お答えいたします。  いまの七月一日の件でございますが、これも現場でのいろいろの時間追った経緯がございまして、若干長くなりますがお答えさしていただきますと、これは当日の午前十一時五十分ごろであったようでございますが、市の市役所の庶務課長から一一〇番で、勝共連合の者四、五人が市役所に来て、市職員との間でトラブルを起こしておるので来てほしいと、この届け出がございまして、この日も先ほど来言っておりまするように、署では菊地警部補以下六名が市役所前におりまして、午前九時から警戒を兼ねて交通取り締まりに当たっておったと。それで、この一一〇番を受けますとすぐ警部補以下六名の警察官が市役所内に入りまして必要な処置をとるようにいろいろ指示したようでございます。で、菊地警部補らが二階奥の議会傍聴者の出入り口に急行いたしますと、市職員四十名ぐらいと勝共連合の会員五名が口論しておるということで、両者の間に割って入りまして、まず市役所の庶務課長から事情を聞きましたところが、退去要求を出しても退去しないので退去さしてほしい、こういう申し述べでございます。続いて勝共連合の北原らから事情聴取をしますと、議会傍聴に来たところが退去命令書を渡され、議会内に入れてくれない。共産党と思われる者は傍聴さしているのになぜおれたちだけを入れないのだ、こういうふうな言い分で、議会の傍聴に来たんだと、こういう言い分でございます。そのとき現場の状況は、双方がそれぞれの立場立場での主張をし合っておりまして相当興奮の状況にある。このまま置いては不法事犯の発生が予想されるというので、北原らを一たん市役所の庁舎の外に連れ出そうとしましたところが、五人の勝共連合の会員うち四名は警察官の同行に素直に応じたのでありますが、北原だけは途中で同行を振り切ってもとのところに立ち戻って再び市職員と口論を繰り返すような状況になりましたので、菊地警部補らは北原の手足を押さえながら二階から一階までおろしたと。北原も興奮がおさまったようなので全員が車のところまで戻るよう指示しまして、午後の零時四十分ころ庁舎外に退去させたと。  先ほど、それからでございますが、質問にございまする北原がヘルメットや雨がっぱを市の職員に云々というあるいは火災報知機を何回か鳴らしたと、こういうことでございますが、これは菊地警部補らが現認したところの報告によりますと、北原を二階から一階に連れ戻す際に警察官の手を振りほどこうとしました北原の手が二階の学校建設公社、それから土地開発公社受付カウンター付近にありました雨がっぱやヘルメットにこれが当たったということから、雨がっぱやヘルメットが事務室内に転がりまして、また手が、階段近くの壁に設置されておりました火災報知機にも触れて、その際報知機が鳴ったと、こういうふうなことの現認なようでございます。  午後零時四十分ころ本署から松田次長も市役所に到着しまして、ちょうど連れ出されました勝共連合の北原らが松田次長に対して市民としての正当な権利である議会傍聴に来たのに警察がなぜ排除するのかと、こういうことで警察の権力の不当弾圧だというふうな抗議があったようでございます。そこで、松田次長はとりあえず北原らに市や市議会の方針をよく聞いてからでないとおれとしては何とも言えないと、いずれにしてもトラブルは避けなければならないんで、それまで外で待っておるようにと説得をいたしまして、市の庁舎内に入ってまず市の庶務課長事情を尋ねましたところ、市の管理規則に基づいて警察に排除してもらったような次第ですということで、そういうお答えで管理規則を持ってきてこれを示してくれた。議会の方も同じ意向ですかというふうに聞いたところが、田中庶務課長が議長と副議長を呼んでできまして、その際議長は松田次長に対しまして、議会は公開が原則ですから傍聴してもらっても差し支えないというふうな議会の意向を伝えたようでございます。それで、松田次長としましては、田中課長と議長の方針が違うので、さらに市の態度を尋ねたところが、今度は斉藤助役が見えまして、議会の傍聴に来たのならやむを得ないと、議会が傍聴を認め、しかも勝共連合の会員が妨害行動をしなければ立ち入らせるというふうな答えであったと。そこで、松田次長としましては、勝共連合の会員に傍聴を認め、入れるのか入れないのか、市及び市議会の態度をいま一度はっきり確認したいということで念を押しましたところ、同席しておりました加治という秘書課長さんが助役の述べたことと違いまして、市長がいまこの問題で議会に申し入れをするそうだからしばらく待ってほしいと、こういうふうな言い分であったようでございます。それで、松田次長は庁舎外に退出させている勝共連合の会員らの行動が気になったので庁舎外に出たところ、北原がどうなったかというふうに尋ねてきましたんで、議長は原則として傍聴させてもよいと言っているけれども、いま市と議会とで話し合っているのでしばらく待てと、こういうふうに言いましたところが、北原が興奮して庁舎内に飛び込んでいきましたので、これはまた市職員との間に紛争を起こすことになりかねないということで、松田次長もすぐ庁舎内に取って返したと、こういうふうな事の状況であるということでございます。  そういう過程を経ましていろいろ議会としての傍聴の問題、そういった点があったというふうな経緯でございまして、この点やはり市の管理規則なりあるいは非常に詳細な市の管理規則がございます。また、市議会にも御承知のような傍聴規則という詳細な規定がございます。そういったものに基づきまして地方自治法百十五条では議会の公開制というふうなものを一応の原則にしておるようでございます。そういう市と議会側の一つの統一した見解というふうなことで処理するのが現場の処理としては妥当であるというふうに次長としても判断したということでございますが、結果的には、当日は議長から、いまのきょうの段階ではとにかく帰ってくれというふうなことでございまして、北原も引き揚げたと、こういうふうに聞いております。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 大分話がおかしいですよね。市長は退去命令を出しているんですよね。退去命令は警察としては無視をしていいわけですか。退去命令をどうして保護しないんですか。あるいは保障しないんですか。この点がまず第一点おかしいでしょう。傍聴する権利、これはあるでしょう。しかし、連日にわたって庁舎管理規則に違反をする。そして、退去命令を出す。個人だけではなしに、勝共連合、その団体自身も庁舎への侵入を許すことはできない、そういう決定を市がやっている、そういう事態であります。何しろ自力でショベルカーで宣伝カーを排除しなければならないような事態になっているんですから、そういう無法の限りを尽くしているんです。ところが、そういう連中の傍聴をする権利があるという一般的な言い分で警察がなぜ介入するんですか。庁舎の管理権は市長にあるわけです。議会で傍聴を許可するかどうかは議会にあります。そういう退去命令が出ているのにもかかわらず、また退去命令を口頭で何回も明らかにしても退去しない。そうして、警察官が退去させようとすればそれに抵抗する、そういう事態で、そして公務の執行において妨害が行われていることもまた事実です。  今度、いまのお話で松田次長が傍聴の手続がどうなっているというようなことを北原にかわって聞きに行く、これもおかしな話であります。退去命令が不服であるならば、退去命令が消えなければ議会は傍聴できないわけですから、市の庁舎の中を通らなければできないのだから、それに不服であれば行政訴訟など起こせばいいわけです。そのことを明らかにしてやればいい。  退去命令が出ているにもかかわらず、その命令に違反をして、実力で庁舎内に入るというのは、これ違法の行為ですよ。その違法の行為を見逃しているというのは一体どういうことなのか。この点は、もう時間がありませんので、その点を問題指摘をしておきます。  さらに重大なのは、七月七日であります。七月七日の朝九時五十七分、十時前ですが、再三にわたり庁舎内で蛮行をふるって、何度か退去命令通告を受けていた勝共連合と称する者たちのうちですね、下坂らを含む男女計四名、これが市役所前に来て敷地内に入ろうとした。そこで、市の職員の方がこの者たちに応接の上、敷地内からの退去を勧告する、こういう事態が起こりました。その現場には、いまお話に出ておりました菊地警部補がおります。退去命令が出ているんですからこの人たちを入れるわけにいかぬと、だから排除してもらいたいということを言うと、菊地警部補は、いや上司からは傍聴することはいいと聞いている、そういう指示を受けている、こう言ってこの勝共連合の側の連中の言い分の肩を持つ、こういう事態が起こっています。傍聴するためには市長の退去命令を無視しなければならない。上司から傍聴するならいいと聞いている、だから退去命令は無視してよろしいということになるのかどうか。ここでも私は重大な問題があると思うんです。  そういうトラブルをやっている間に一人、その下坂というのがわきの生けがきの中から敷地内に潜入をしました。庁舎前でスクラムを組んでいる管理職の職員のピケに会う。スクラムを組んで、手を後ろに回している。そして、やってきた彼に、あなたははいれないんだ、出てください、退去命令を口頭でしばしば説示をする。そして、徐々に押していく中で、階段がありますが、初めのうちには後ろ向きにおりておったその男が、最後のところではちゃんと前向きにおりて行く。最後のところでみずから柔道の受け身のようなかっこうをして転げる。起き上がって、てれくさそうな顔をして笑う。そこでは市の職員が暴行を働いたとかどうとか、けがをさしたとかいうそういう行為は何一つしないで、てれくさ笑いをしながら道路に向かって進むわけですね。そこで菊地警部補にどうしたんだと言われて、いや転んだんだと、けがをしたんだ、傷害だということで、そのままパトカーですか、ジープに乗せられて東入間署に連れていかれた。そこで傷害罪だという被害届が出たということで、その捜査が東入間署で進められるということになりました。時間がありませんからはしょっておりますが、私はこの経過の中にもいま指摘いたしましたような重大な問題があるというように思います。市の職員が行っている公務、行動は、それは七日の日から市会が再開をされる、恐らくそういうトラブルが起こるであろう。そこで、七月の六日に富士見市議会の特別決議に基づいて、常識を超えた宣伝活動を行い、庁舎管理規則に違反をした行為を繰り返して行う団体等に対して厳正に対処をするために、富士見市庁舎管理特別対策本部、これを設置をするということを決め、さらに遵守事項も決めまして、そして暴力や暴言は慎むと、あるいは相手の挑発に乗らない等等、細かくそれに対する慎重な対処というものも明らかにして、七日の日には庁舎に対する不法侵入を防衛する、そういう体制をとりました。だから、本来ならばこの市長が出している退去命令は警察によって保護されなければならない。ところが、保護すべき警察官がテープにもあるように、これはテープありますよ、証拠が。上司の命令では、傍聴ならよいということです、こう言っているんです。それで勝共の連中は、私は傍聴に来たんだと、傍聴するには、その退去命令を無視しなければならない。公共の秩序保持の責任を持つ警察が、退去命令を出さざるを得ないような不法行為を繰り返している、そういう連中の言い分をうのみにして、そして市長命令を踏みにじるということは許されるはずはないと思うのです。そういうことが起こっている。しかも、皆さんのところにもう一つの資料出しています。その下坂という男は一体どういう男なのか。六月の二十九日の議会傍聴のときの届け、これによると、常盤台二の三十一の何とか書いています。年齢は二十二歳であります。ところが、七月十日には、誓約書を出せば入れてよいということが議会の決定が改めてなされました。その後出した誓約書には、今度は住所が常盤の三の十一の一になっている。六月二十九日から七月十日の間に、なんと二十二歳から二十五歳、一遍に年がふえる、こういうでたらめなことをやっている。こういうでたらめな男の傷害のでっち上げの被害届を真に受けて、そうして市長初め市の幹部職員を被疑者扱いをする。先ほど警備局長は被疑者扱いはしておりませんとおっしゃる。しかし、弁護団が東入間署に問い合わせをしたら、二人の幹部職員に対しては被疑者扱いをしている。さらに山田市長に対しては刑訴法百九十七条第二項によって身上調査照会書というのを市長あてに出している。山田市長は自分の本籍地、出生地、住所、戸籍簿記載の家族、これを市長名で東入間署に回答せざるを得ない。山田三郎市長は公人です。本籍や家族の状況、現住所は明らかであります。まさにいやがらせ。普通は身上調査照会書というのは被疑者に対して、いわゆる強制捜査でない場合、百九十七条第二項に基づく手続というのがとられるそうであります。私は素人ですから知りませんがね。そういうように言う人もいます。どうであろうと、市長個人の本籍そのものを市長自身にわざわざ照会をする、それは取り調べのために必要な場合、捜査に必要な取り調べを行う場合にはそういう手続をしなさい、強制の場合には要りませんというのが第一項。第二項にはそれは市長にするんですよと、こうなる。被疑者扱いをしていないとおっしゃるけれども、弁護団にはそう言い、市長にはそういう行為をやっているじゃないですか。本来そういう七月七日の事件が起こり、そうなったら七月九日に市の幹部の方が、十日の日には相談をして対処しますからということをわざわざ返事をしているにもかかわらず、市の立ち合いも求めないで強引に七月九日の朝、現場検証を強行する。そういうものじゃないでしょう。市長の命令で市の職員が対策本部を設置され、そして遵守要綱を決められ、それに基づいて業務を執行している、その上で起こった傷害罪であれば、しかも傷害罪を申告している男が、先ほど言いましたでたらめな男である、しかも勝共連合というところは、そういう自損行為を平気でやる団体です。しばしば言っているように、京都の市長選挙でも、みずから自分の手をかみちぎってそして共産党が暴力をふるったと言う。現場に警官がおってそれを見ておりましたから、だから、お前自分でかみ切ったじゃないかといって取り合わなかったから事件にならない。富士見でもそうです。六月の二十四日に市の庁舎の前でマイクでわあわあやっている。通りかかった老人がそれに対して注意をしたら、暴行だと言って追いかけた。どこをけがしたんだと言ったら、腕を見せるわけです。それに歯型がついている。ちょっとさわったかどうかわかりませんが、歯型がつくはずがない。自分で自分の腕にかみついて、そして暴行を受けたという、そういう自損行為を行う、それが常習犯であります。七月二十三日に数千人の市民が集まって集会が開かれた、あの榎本健一さんの奥さんがそこで訴えましたけれども、その奥さんも言っています。マイクのボリュームを上げて演説をしている、そのために病人や皆困るじゃないかと言って近所の奥さんが注意をした。そうしたら、暴力をふるったと言って騒ぎ出す。だから榎本夫人は、暴力をふるっているのはお前さんじゃないか、まさに病気で寝ている人が休むこともできない、いらいらしている、あなた方のやっている行為こそ人殺し的な行為じゃないかという、そういう指摘をしたということを訴えていますが、まさにそういうことを常習としている団体です。その言い分を聞いている。普通ならば、そういう訴えがあれば、事前にそういう状態について一体市の方はいかがですかというのを現場検証などする前にお聞きになるのが公署間の普通の関係じゃないでしょうか。ですから八月の一日には山田市長初め誣告罪で埼玉地検に告訴しました。その後で山田市長は新聞記者会見をして、警察を信用することができないので、検察庁に告訴をしました、こう言わざるを得ないのであります。私は決してこれはよいことだと思いません。警察法の一条二条、明確に公共の安全、秩序維持をその責務として、まさに不遍不党で中正公平に警察官が業務の執行をやるべき責任を明記をしております。本来ならば対等にみそもくそも一緒にするんじゃなしに、けじめをちゃんとつけて、そういう不法行為は許さないということを毅然として厳格に厳正にやっておれば、ここまでエスカレートをせずに問題を未然に防ぐことができたわけです。私はそういう現地の東入間署あるいは埼玉県警も一定の責任はあろうかと思いますが、こういう行為を野放しにして今日の事態を引き起こしてきた警察の責任は免れないというように思います。このためにいま富士見市民を中心にして警察に対する不信というのは非常に広がっています。これは決していいことじゃない。私はそういう警察の信用を回復をするためにも、自分たちのいままでとってきた措置は、全部適切であり、一点の過ちもなければ不十分さまもない、そういうような言い切るような独善的な、独断的な態度じゃなしに、謙虚にみずからを振り返る。そして不十分さなり、あるいはまた過誤があったり、あるいは誤解があったりするならば、そのことを率直に認めて、そして協力をして、市民生活を擁護し、秩序の回復を図る。そして彼らの不法、暴行あるいは薬事法違反等の疑い、これらについても迅速に措置をしていくという態度を即刻とることが最大の信用回復の道だと思うわけです。  時間がありません。オーバーしましたからこの点をひとつ申し上げて、見解をひとつお聞きをしておきたいと思うんです。
  155. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいまいろいろ御意見もございましたけれども、私は、富士見市の事件につきまして、警察が適当でない執務であったとは考えておらないのでございまして、市の要請等に応じまして適宜出動いたしまして取り押さえ等もいたしておるようなことでございますし、決していまお話がございましたような不適当な警察職務の執行ではない、かように信じております。信じてはおりますものの、しかし、警察とても過ちがないとは断じがたいのでございますから、さらによく調査をいたしまして、また、市と警察との間に誤解に基づきますそご等がありといたしますならば、早くそれを解決していかなきゃならぬと、かようにも考えておりますので、さようなことがもしあるといたしますならば、善処をいたして努力をいたしてまいるべきだ、かように考えております。
  156. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後に一言だけ。  公安委員長、ここで大分具体的事実でもって私が指摘をいたしました。事は、いま言いましたように、市長と市民、それと警察との間がお互い不信感が生まれるというような事態になっていることは、今日の状態、事実です。したがって、しかもこれは私は日本の警察制度の根本にかかわる問題にもなろうかと思うので、公安委員会としてこの点の事実について調査をして、しかるべき措置をとる、そして当委員会に報告をしてもらうという点を要望しておきたいというように思います。
  157. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時四十二分散会