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政府委員(澤野潤君) 景気の見通しについての
お尋ねでございますけれども、確かにいま先生が御
指摘になりましたように、雇用の問題につきましては、三月は原数値で百四十一万人の失業者、失業率といたしましては二・六という
数字が出てはおりますけれども、しかしこれは一月から三月にかけましては毎年かなりの失業者の
数字として上がってくる
傾向でございまして、四月以降はこれから申しますようないろいろ内需の振興、
経済活動の活発化というようなことでこの
数字はずっと減ってまいりまして、五十三年度におきましては
政府見通しのように五十二年度の百十五万人に対しまして百十万人程度、五万人の失業者の減ということを現在でも
考えておるわけでございます。それを証しますように、有効求人倍率の方では毎月わずかではございますけれども徐々に上がってまいりまして、三月の数値は〇・五五という
数字を示しておるわけでございますし、またもう
一つの御
指摘でございます業種間のばらつき、さざ波景気というような面で構造不況業種の問題と申すものは確かに深刻な問題はございますけれども、しかし生産活動その他
経済活動一般の面におきましては、いま先生もおっしゃいましたように、十一月から生産指数がずっと各月上がってきておりまして、特に三月におきましては速報値で一・六というように対前月比増加を示しておるわけでございますし、また出荷の
数字も非常に着実な増加を示しておる。したがいまして、在庫の方は前々から申しておりますように、三月、四月という面におきまして製品在庫を
中心としてかなりの顕著な
調整が行われるといった
数字が
数字上確かめられてきておるわけでございます。したがいまして、操業率も、稼働率と申しますか、稼働率指数も三月かなり上がってきておるといったような状況で五十三年度に入っておるわけでございます。
さて、この五十三年度が今後どのような経過をたどっていくか、また五十二年度のように途中で息切れがするんではなかろうかという面でございますけれども、五十三年度におきましては、もうすでに先生御承知のように、例の公共投資の大幅な拡大というものが前倒しの施行ということも含めまして順調な拡大を示しておるということは
数字の示すところでございますし、また民間住宅、これの新規着工戸数を見ましても二月が一一・二、三月が一五・八というように非常に顕著な伸びを示しておるわけでございます。また、せんだって住宅公庫の募集を行いました。その応募状況もきわめて順調な推移を示しておる状況でございます。
このように公共事業、民間住宅投資といったようなものがきわめて堅実な推移を示しておるというものとともに、また
一つの問題になります民間設備投資でございますけれども、これも先行指標として
考えられる機械受注等にはかなり明るい
数字が出ておるわけでございまして、三月では前年同期比機械受注は、これは船舶を除いておりますけれども、四二・八という
伸び率を示しておるという
数字が出ております。また、前月比を見ましても三四・〇、これなどは非常に先行きをながめます場合には明るい
数字ではないかと思っておるわけでございます。建設受注も、もちろんこれは公共事業等を
中心に民間の方もかなりの伸びを示しておるということによりまして、こういった公共事業等の推進と、また先般実施いたしました金利の引き下げ等の推進という内需拡大政策、こういったものが次第に効果をあらわして、特に在庫
調整がこの三月、四月でほぼ完了するといった点が一番今後の状況を推察する上におきまして五十二年度の状況と違っておるのではなかろうかと
考えておるわけでございます。
と申しますのは、昨年度はまだ在庫の問題で過剰在庫の問題が非常に大きなネックとして存在いたしておりまして、公共事業を拡大しいろいろな政策を講じたわけでございますけれども、この過剰在庫の壁を突き破ることができなかったというのが昨年の状況でございましたが、ことしは一応その過剰在庫の壁が突き破れたのではないかとわれわれは
考えておるわけでございます。
したがいまして、今後例の十五カ月予算というものに基づきます公共事業の拡大、これが次第に実体
経済に浸透するということは、結局民間の設備投資等々生産活動に結びついて後半には民間の活動にもかなりの活発性が出てくるんではなかろうか。そういう民需の拡大ということに期待いたしておるわけでございまして、そういった面から申しますと、この五千三年度におきます七%という実質
経済成長率、これにはまさに五十三年度の出発点に当たりまして当初描きました軌道の上には乗っかっておるんではなかろうかというふうに
考えておるわけでございます。
一つ先ほど需要項目で申し落としましたが、非常に大きな需要項目といたしましては個人消費支出がございますけれども、この個人消費支出も最近におきます毎月勤労者統計の、実質賃金の増加とそれから家計調査におきます異質消費の動向、この
数字を見ておりますと、これもかなり明るいものを将来予測せしめるような
数字が出ておるわけでございまして、そういった面から所得がふえ、しかも個人消費、農家等の消費をも含めました全世帯の消費といったものの、実質の
伸び率が月々かなり着実に伸びておるということは、消費の面におきましても七%の
経済成長を遂げる上において決して、暗い見通しではない。
そういったことを総合いたしますと、五十三年度は、五十二年度の最近の
経済指標を受けまして、五十三年度末におきましては七%の
経済成長というものが達成できるのではなかろうかと期待される次第でございます。