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1978-05-25 第84回国会 参議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十五日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     桧垣徳太郎君      上田  稔君     岩動 道行君      青木 薪次君     浜本 万三君      山中 郁子君     渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 藤田 正明君                 福間 知之君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 佐藤 昭夫君                 渡辺  武君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        大蔵政務次官   井上 吉夫君        大蔵省関税局長  戸塚 岩夫君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君    事務同側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        外務省アジア局        地域政策課長   瀬木 博基君        外務省経済協力        局外務参事官   中村 泰三君        外務省国際連合        局政治課長    渡辺  允君        通商産業省興易        局輸出課長    柏木 正彦君        通商産業省産業        政策局廃業構造        課長       日下部光昭君        労働大臣官房国        際労働課長    石田  均君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律及び国際金融公社への加  盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日、山中郁子君、上田稔君、竹内潔君及び青木薪次君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君、岩動道行君、桧垣徳太郎君及び浜本万三君が選任されました。     —————————————
  3. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る十一日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 竹田四郎

    竹田四郎君 まず最初にお伺いしたいんですが、今度の増資に当たってそれぞれの額が割り当てられたわけでありますけれども、この割り当て根拠ですね、どういう形で、たとえば今度の増資に当たって日本では、三億三千万ドルですか、アメリカは十、三億ドル、こういう数字がどういう形で出てきたのか。これは一定基準というようなものがあるんではなかろうかと思うんですけれども、IMFにいたしましてもIFCにいたしましても、一定のそういう基準のもとに増資金額割り当てられているだろうと思うんですが、どういう基準でこれはやっているのか、その辺の根拠をはっきり伺いたい。
  5. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 今回の世銀及びIFCに対します割り当て基準につきましてお尋ねでございますが、まず世銀に関して申し上げますと、今回の増資IMFの第六次増資におきまして特別増額割り当てを受けた国を対象にして行われました選択的増資でございます。  それをなおちょっと詳しく御説明いたしますと、IMFの第六次増資、これは先般発効したものでございますけれども、それの各国別シェアにおきましては、割り出て額の増額を受けた国の中で割り当て額増加率が最低でありましたのがイギリスでございまして、そのイギリス伸び率は四・四六%でございました。今回の世銀増資におきましては、各国IMF割り当て額伸び率のうちこのイギリスの四・四六%を超えるもの、超える国につきましてその超える部分特別増加分といたしまして、その増加率に見合う形で各国世銀出資額を増加させたわけでございます。たとえば日本につきまして申し上げますと、日本IMF増資伸び率は三八・二五%でございましたが、先ほど申し上げましたように、同じIMF増資の際におきますイギリス増加分が四・四六%でございました。したがいまして、この三八・二五%から四・四六%を引きましたものを日本増資率とするというふうに計算をいたしたわけでございます。したがいまして、イギリスは今回の世銀増資におきましては増資はなかったわけでございます。各国同様の方式で計算をいたしております。  それから、次は国際金融公社IFCでございますが、このIFCにおきます増資後の出資シェア世銀におきます増資後の出資シェアに見合うものになるように各国への割り当て額を定めたのでございます。ただし、世銀加盟国の中にはIFCには加盟してないというような国がございますし、また、台湾が増資に応募しないという意図を表明をいたしましたので、その間の調整をいたしましたために若干割り当て数字につきましては世銀の場合と差がございますけれども、原則としては大体世銀増資後の姿に並ぶようなかっこうにするという方針のもとで割り当てた次第でございます
  6. 竹田四郎

    竹田四郎君 世銀総会等における決定の場合ですね、それぞれ投票権というようなものが割り当てられているだろうと思うんですけれども、その世銀における投票権数割り当てというのは、これは出資との関係ではどういうふうになっているわけですか。
  7. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) ただいま申し上げましたのは出資の額の割り当てでございますけれども、それでは投票権はその出資に基づいてどういうふうになっておっておるのか、その関係いかんということでございます。  世銀におきましては、各機関ごとIMFあるいは世銀等におきまして若干ずつその数字割り当て方が違っておりますけれども、まず世銀につきまして申し上げますと、世銀におきましては各国基礎票といたしましてその国の出資額いかんにかかわらず一国二百五十票というものが割り当てられております。それに出資票、これは出資の額に基づきまして、世銀の場合におきましては十万協定ドルにつざまして一票ということで、出資の額に応じますいわゆる出資票というものを加えてまいるということで計算いたしておりまして、日本の場合で申し上げますと、基礎票はすべての国同じであります二百五十票、それに日本出資票は、出資額日本の場合に十三億五千三百九十万協定ドルでございますので、これを十万協定ドルで割りますと出資票が一万三千五百三十九票ということでございまして、それを足しました二万三千七百八十九票が日本投票権ということになるわけでございまして、これは全体の投票権シェアの三・八%ということになるわけであります。  ちなみに、この基礎票は先ほど申しましたように大国、小国を問わず同一でございますので、そういう意味小国が有利に働くという効果を持っておるわけでございます。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうするとアメリカイギリス西ドイツフランス日本、カナダ各主要国があると思うんですが、そういう国の今度の増資後における投票権数シェアというのは、各国どのぐらいの割合になっているんですか。
  9. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 世銀で申し上げますと、まずアメリカでございますが、今回の増資前の投票権シェアは一九七五年に二二・七%でございましたが、それが今回の増資後二一・七%になっております。以下数字を並べて申し上げますが、イギリスは九・二%が七・三、西ドイツは四・八%が五%、フランスは四・五%が四・四%、日本は三・七%が三・八%というようなことになっております。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 それからJMFのいろいろな議決事項の中で、いろいろな票数について、事項によって恐らく常に同じのではなくて、あるものは半分、あるものはたとえば八〇%なり八五%の同意がないとIMF総会における議決が有効でない、議決されないというように項目が恐らくあるんではなかろうかというふうに思いますが、どういう事項過半数、どういう事項は何%というのをお示しいただきたいと思います。
  11. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) お尋ねIMFにつきましては、たとえば加盟国割り当て額調整、それから平価制度への移行というようなIMF体制にとりまして特に重要な事項につきましては、総投票権数の八五%の特別多数決によるということになっておりまして、次にこの八五%の多数決によるほどの重要性はないけれども、単純多数によって行うほど日常的なものでもないという事項につきましては総投票権数の七〇%の特別多数決によるということにしておりまして、その他は投票過半数によるということになっております。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 いままで戦後のブレトンウッズ体制の中で、国際通貨関係のレートとか通貨制度そのものとか、こういうようなことがいわゆるニクソンショック前から大変これが危なくなってきた。そして御承知のようにもともとはIMF体制というのはドル中心とする固定為替制度というものが、ずっと続いてきたわけなんです。ところが、ドルが力が弱くなって、これが例のニクソンショック、それからスミソニアン体制というような形で一番IMF体制の基調であった為替制度、こうしたものが大きく変化をしてきたという意味で、このIMF体制そのものというものが必ずしも強固な基礎を築いているとは言えないし、この間に世界経済における各国力関係というようなものがかなり変わってきたわけですね。  そうすると、いまのお話ですと、出資割り当て額決定だとか、あるいは平価制度等については八五%の特別多数決が必要だと、こういう規定なわけです。確かにこれは重要であると思うわけでありますけれども、しかし最近の南北問題という問題を考えてみますと、どうも通貨問題は先進国が勝手なことをして困るという反発というものが、南の特に発展途上国においてはこのことによってかなり大きな制約を受けていることも私は事実であろうと、こういうふうに思います。  いまのような形でまいりますと、たとえば重要な事項は八五%ということになりますと、これはアメリカシェアというのが、実に先ほどおっしゃられたように二十何%占めているということになると、逆にこれは拒否権の性格ですね、そういうようなものが出てくるんではないだろうか。しかも出資の割り合いに応じて投票権というのを決めていくということが、逆に言えば少数の国の反対の意見があれば多数国はこれどうにもしようがない。しかもその少数の一国がこれだけの拒否権的なシェアを持っているということになると、IMF自体というものがこれからの南北時代の中における機能というものが果たして機能できるだろうか、非常にその辺がむずかしくなってきているのじゃないだろうか。この辺がまた、UNCTADやあるいは開発途上国のいろいろな会議において一番批判が出ているところであろうというふうに思うんですけれども、こういうものについては、日本政府は一体これからの南北問題というものを考えて、こういう形がいいのかどうなのか、こういう点については、大蔵大臣あたりIMF会議にはしばしばお出になっているわけでありますけれども、日本方針としては、南の諸要求に対してこうした出資数中心とする投票権数という考えが現在のままでいいのかどうなのか。今日はIMFのこの加盟国というのも大変な数に上っているだろうと思うんですね。そうすると、何か先進国側が押さえつけてしまっていく、こういうような印象をこれからの国際経済の中に与えていく可能性が私はかなり強いと、こう思うんです。そういう意味では、いままでのようにアメリカドル体制が完全にあって南北問題が大して問題にならないという時代ならば、それも一つあり方だったろうと私は思いますけれども、これからuNCTADの会議があるごとにいろいろな要求が必ず出てくるわけであります。そういうものに対してアメリカと同じような態度日本が一体とっていいのかどうなのか。これは私はかなりの問題があるのじゃないか。  アメリカはそうした意味経済については、日本とは環境、条件が私は違っているだろうと思うんですね。アメリカの場合には、たとえば食糧等は自分で自給ができて外国へ輸出ができる。これからエネルギー、食糧というようなものは、あるいは資源というものはやはり一定の制限があるし、あるいは限界ないしその生産につきましても問題があるということになりますと、日本一体資源があるかないかという問題は一つまた問題としてあると思いますけれども、少なくともそうたくさんあるというふうには一般的に考えられない。やはり開発途上国との関連というのは、アメリカのそういう開発途上国に対する関連日本開発途上国に対する関係というものは、私は同じじゃないような気がするんですね。はるかに違うんじゃないだろうか、市場の面につきましても資源の面についても私は違うんじゃないだろうか、こう思うんですがね。どうもそういう辺で、いままでのIMF体制の中ではほぼアメリカの覆うとおり日本は動いてきた、こう思うんですけれども、私はこれからはそれでは日本経済的な安全保障というような面についても必ずしもいいことじゃないんじゃないか、そろそろカーブを切り始めていいんじゃないかというふうに考えますけれども、これは日本政府として、大蔵大臣、どう考えますか。
  13. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 大臣が御答弁になります前に、実態あるいは最近の経緯につきまして若干御説明させていただきたいと思います。  おっしゃいますように、IMF投票権の現在の六次増資後の割り当てで申し上げますと、アメリカは一九・八%の投票権を持っておりますので、八五%の特別多数の場合には拒否権を発動することができるわけでございます。  振り返りまして過去の数字を見てみますと、一九五〇年にはアメリカ投票権は三〇・六%でございましたが、六〇年には二六%になり、七〇年には二二%になりまして、現在はついに二〇%を割ったわけでございます。したがいまして、アメリカシェアはわりあいに早く減ってきておる。それから一方イギリスシェアは現在七%でございますが、これも一九五〇年には約二五%であったものが減ってきておるわけであります。しかし、他面ドイツでございますけれども、現在は五・一%でございまして、これは一九九五年には三・五、六五年には四・四というようなところで、じわじわと上がってきておる。同様な傾向日本にも見られるところでございまして、日本は五五年には二・七%でございましたが、現在は四・〇%ということでふえてきておるわけであります。しかし、四%では拒否権だけの力は持ち得ないわけでございます。その点は全く御指摘のとおりでございますが、第二に申し上げたいことは、先般の第六次増資の際にシェアにつきまして調整をいたしました。その際に産油国につきましては、従来廃油国全体で五%のシェアがございましたのを倍増するということで、正確には九・九%のシェアにほぼ倍増したわけでございます。一方、非産油途上国につきましては、そのシェアを減らすなという御意見が非常に強かったもんでございますから、これにはさわらなかったわけでございます。  したがいまして、産油国シェアが倍増した分だけは先進国シェアが減ったわけでございますので、その中で日本シェアは若干ふえたわけでございます。したがいまして、その先進国の減った分のしわはイギリス等経済発展がややおくれております国々のシェアが減るということによって処理をいたしたわけでございます。したがいまして、全体の動きといたしましては先生の御指摘のようにLDCシェアにつきましては、産油国も含めますと全体としてはふえるという傾向にあるわけでございます。  先般のメキシコにおけるIMF暫定委員会の中におきまして、この次のIMFの第七次増資につきまして議論があったわけでございますけれども、この中でも比例増資をするのか選択増資をするのか、日本などの場合には国力に応じて増資の幅を一定率ではなくて高めてもらいたい、選択増資にしてもらいたいという意見でございますが、圧倒的多数の国は比例増資でいくべきであるということを育っております。その中でLDCシェアは減らすなという意見も強く述べられておるのが実情でございます。  そういうことでございますので、大勢としてはだんだんそういうふうな動きになりつつある。ただ、日本のように経済発展が非常に力強い国におきましてはIMFに対する貢献も今後とも強くできるわけでございますので、それに応じて日本シェアはふやすべきではないというふうに考えておる次第でございます。
  14. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 二つ問題はございまして、一つ投票権関係する出資あり方の問題でございます。この問題はいま国際金融局長からお話がありましたように、大部分の国はやはり事なかれ主義と申しますか、平穏にやるには比例配分がよろしい、こういうことを言っているわけでございます。しかし産油国につきましては、GNPその他が大きくなっておりますから、これは漸次拡大しております。  それから非産油国途上国につきましては、特別の配属からいたしまして本来減るべきシェアを従来と同じようにしているわけでございます。問題はむしろ先進国間のシェアの問題の方がよりシリアスでございまして、日本は当然世界におけるその国の役割りの大きさに従って増資枠を決めるべきであるということを強く主張しておりますし、国会の附帯決議等も引用さしていただきまして、そういうことでないとなかなかわが国は今後協力する場合に非常に協力しにくいということを強くIMF会議において主張しておるところでございます。私は、やはり実勢に応じて先進国についてはシェア変化があってしかるべきだ、こういう考えに立っておるわけでございます。しかし、実際はなかなかそれやりますとほかの先進国のどこかのシェア日本がふえただけ減るわけでございますので、反対しておる国が多いというのは事実でございます。しかしわが国わが国として主張すべきことはやはり主張し、それを実現したいと考えておるのでございます。  まあ、発言権関係いたします出資に関する模様はそのようなものでございますが、それだからといって、たとえば各国一票ずつ持つというようなことはやはり私はいかがなものであろうか。債権国がみんな金を出し合ってやるわけでございますから、そこはやはり現実的に考えていくいま言ったような線が妥当ではないかと思います。  しかし、もう一つの問題は日本がその場合にどういう主張をするか。今度は投票権の問題でなくてどういう主張をしていくかという問題についても、これはもちろんアメリカと一緒に必ずやるというわけではございません。日本国際経済に置かれた立場、あるいは日本の国益というものを踏まえながら日本役割りにふさわしい発言をすることは当然のことだと思うわけでございます。そういう意味主張点になりますと、今度のメキシコIMF総会におきましても、アメリカとはかなり違う点も主張してきたのは事実でございます。  そういうことで出資あり方の問題と、何を一体日本主張するかという問題と、この二つ問題があるわけでございますが、基本的にはただいま申しましたような考えでおるわけでございます。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで出資割合というものは、これはLLDCの何かについてうんと出せといったって、これは恐らく債務がうんとあるようなところへ出せといったって、これは現実問題として余り出せないわけですね。やっぱりいまのところ出せる可能性のある国がこれを出していくという以外には、IMFの融資をふやしてIMFの目的を推進していくことは私はできないと思うんですね。出資の問題と投票権の問題がもちろんイコールじゃありませんけれども、その関係をどうしていくかということは、これからの私はIMFについての南北問題、これについては大きい問題であろうと思うんですね。その辺のところにやっぱり南の国の先進国に対する不満、こうしたものが私はあると思うんです。国内だって同じですね、そういう点は。選挙については、幾ら金持ちだって貧乏人だって選挙に対する一票は一票なんですね。これで国政の方向が決まっていくことも事実なんですね。  特に開発途上国UNCTAD総会においては常にこれは見られる現象であります。この現象は、私はこれからも強くなっていくだろうと思うわけです。そういうものに対してやはり日本が柔軟な、いまおっしゃられるように、完全に一票一票にすぐ持っていくというのは国際的な慣例がありますので、一本だけがそう思ってもなかなかそうはいかぬと思いますけれども、しかしなるべくそっちの方向に近づけていく、投票権の問題としては。これはやはり日本としては進めていくべき方向であろう。出資割合じゃなくて、基本的にはその国の主権として認めていく。こういうふうな方向日本は進めていくべきだ、それはなかなか一回にある限度まで一遍に突っ走るということはできないと思うんです。そういう方向で進めていくところに私は日本の南北問題の一つ態度というものが各国に明らかになっていくんじゃないだろうか、こういうふうに思うんですが、その辺を、さっきのお話でもわかっているようなわからぬような感じがしたわけですけれども、出資の問題と投票権の問題とは同一ではない、関係はありますよ、イコールじゃない、こう思うんですが、その辺もう少し明らかにすることが必要ではないかと思いますし、私自体政府のその辺の考え方をもう少し明らかに聞いておきたいと思います。
  16. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 私、この間メキシコ会議に出たわけでございますが、先進国どこの国でも南北問題の重要性についてはほとんどもう一致しているだろうと思うのでございます。やはり南の発展なくしては北の発展はあり得ない。また、現在南の発展のないところに世界経済が伸びない一つの原因がある。そういう意味で私は大づかみには、細かくはあれでございますが、大方の合意は大体得られておる。それがたとえば非産油国LDCについての出資枠を減らさないとか、そういうところに出ておるわけであろうと思うのでございます。  まあ、おっしゃる方向方向としてわかるのでございますけれども、どの程度やっていくか、やるとすれば基礎票をふやすということにあるいはなるかもしれませんが、さっきも言いましたように二百五十票という基礎票、それに対して日本のいわば出資に比例分する分が一万六千とかいっておるわけでございますから、なかなかこれは大変な、基礎票をふやしましてもそうはふえないのではないか、やはり問題は南北問題の重要性というものについて認識をしていくということがまず先決問題じゃなかろうか、経済問題でございますから、すべて議決で決めますといって先進国のできないようなことをやられてもこれまた困るわけでございますから、非常に現実的な問題であろう。私はしたがって、南北問題の重要性というものを世界がだんだん認識しておるとは思いますけれども、まずそちらの方が優先すべき問題ではなかろうかと思っております。  それから多少あれでございますが、世銀は御案内のように方々に出資額あるいはSDR等を一つの手段といたしまして、それぞれの資金を必要とするところに金を貸しているわけでございますけれども、まだほかに国際機関がたくさんございまして、たとえばアジ銀等見ますと、これはもうほとんど東南アジアに集中しているわけでございます。またアフリカあるいはアメリカの基金その他たくさんございますが、そういった複数のいま国際機関がそれぞれの役割りを持ってそれぞれやっておるわけでございますので、世銀世銀として考えIMFIMFとして考えますけれども、全体として考えますと、それらの国際機関全体を考えてみて一体いまのバランスがいいのか悪いのか、まあ非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう角度も入れて考えていく必要があるんじゃなかろうか、このように思っておるわけでございます。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで、日本の途上国への援助というのが必ずしも——いろいろのやり方かいまおっしゃるようにありますが、世銀出資して世銀を通じてやる、あるいはアジ銀を通じてやる、米州銀行を通じてやる、アフリカ銀行を通じてやるというやり方もある。まあ二国間の援助協定というのもあるでしょうし、いろいろな形があるわけですが、どうも日本の場合には二国間のものというのに対する政府の援助というのですかね、それが非常に諸外国と比べて、他の先進国に比べて非常に悪いわけですね。そういう開発途上国に対して金を貸す、あるいは援助をするにいたしましても、何か自分の金もうけが主体になる、自分のところの品物を売り込むという形で相手国の国情というものを真剣に考えない、そういうところに一つ問題があると思うんですが、私はその政府の開発援助、ODAの話というのはよく国会でも取り上げる方でありますけれども、これ幾ら取り上げてもDACの水準にいかないわけですね。恐らく七七年のODAの実績がどのぐらいになるかわかりませんけれども、とにかく当初予算では大変追いつくみたいなかっこうで組んでいるわけですけれども、実績になるとがくっとこう落ちちゃうんですね。これなんかはどうも私は理解できないんですよ。一体なぜ、予算ではたくさん組んであるのに実績になるとどたっと落ちちゃって、こういうものは必ずいろいろな国際会議でH本のODAが国際水準にいってないと、こういうことの批判の対象になっているわけですよね。だから幾ら善悪でやったって、実績で見られて何だ日本はと。そういう意味では、あるいはまた後で伺いますけれども、円借款その他の有償援助にいたしましても、たとえばグラントエレメントなんかにしても、とにかく日本が一番どんけつでしょう。しかもその数字から見ればほとんど半分でしょう、半分に近いような感じでしょう。こういうものは当然、私は開発途上国からはいい攻撃の材料にならざるを得ないと思うんですね、数字の上でぴたっと出てくるわけでありますから。  そうなってまいりますと、私はどうも、私の主張としては、日本の場合にどうも二国間でやるというやり方は相手をむしろ援助をして憎まれるという感じが多いわけですな。インドネシアにしてもあるいはタイにしても、この前田中総理が行ったときには反日デモが起きるというようなことはそういう面があると思うんです。そういう意味では、私はやはり国際的な援助機関、こういうものに出資をして、それによって日本のエゴといいますか、日本の、日本株式会社というような考え方をやっぱり感じさせないという形でいかないと、必ず将来に私は、幾ら援助をしてもそれがむしろ逆にかたきになって返ってくる可能性というのはあるような気がするんです。だから私は特にそういう意味では、世銀だとかあるいは米州銀行とかアジ銀だとか、そういう機関を通じて援助をやっていく、そういう方が私は正常ではないだろうかと、こういうふうに考えるわけです。  たとえばこういう世界銀行なんかに対する出資というものは、いま幸い日本は、外貨を持っているわけです。そういう意味では私はもっとやるような主張をすべきであろう、それでなければならないだろうとこう思いますが、時間の関係がありますから若干まとめて質問させていただきたいと思いますが、一体ODAというのはいつ、少なくともDACの水準ぐらいに狩っていくつもりなんですか、これは外務省かもしれませんけれども。いっそういうことにするのか、あるいはグラントエレメントにいたしましても、一遍にそこまで、八四%なり八六%にいくことはなかなかできないだろうと思うんですがね。いま五二、三%ですか、あるいはもう少し上がったかもしれませんけれどもね。これだって、このままでいたんではこれはしようがないと思うんですよね。そういう改善計画というのは一体どういうふうに考えているんですか。
  18. 中村泰三

    説明員中村泰三君) 御指摘のとおり、わが国政府開発援助、これを拡大、改善していくということは急務でございまして、当面は主要先進国の水準並みに一日も早く近づけるということがわれわれの課題でございます。  そこで、まず政府開発援助の量でございますが、五十二年度におきましては対前年比一五・八%の増、対GNP比〇・三%を確保いたしました。このように、私どもは中期的な展望に立ちまして、政府開発援助の予算の一興の拡充に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。  それから、五十三年度予算のうち特に無償資金協力につきましては四六・五%の増、総額で申しまして、二国間贈与でございますが、一千九十二億円でございます。この贈与が飛躍的に増大しております。したがいまして、今後わが国政府開発援助のグラントエレメント、質というものは贈与の比率の増大によりまして改善されていくのではないかというふうに考えておりますし、私どもといたしましても今後政府開発援助の質の改善のためになお一層の努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。  それから、予算の執行の問題でディスバースの問題がございます。せっかく予算がついても消化しないという問題がございます。これは政府開発援助、これがまあたとえば国内の公共事業と違いまして開発途上国を対象にしたものであると、したがいまして途上国側の計画の変更であるとか、あるいは予算の手当てがしてない、あるいは事務能率の問題等々がございましてなかなか思うように進まないのか状況でございます。しかし、当然わが日本側にも問題がないわけではございませんで、私たちといたしましてはこの執行率の改善ということに鋭意努力しておりまして、たとえば関係省庁の協議を密接にすることによって早く執行の消化の実を上げる、あるいは事前に必要な調査を終えまして、予算がついた段階ですぐ予算を消化し得るような状況に持っていく、あるいは一三〇%以上の予備案件というものをつくりまして、先方政府が計画を変更した場合に迅速に対応し得るような体制をつくっておくというような方法をとりまして予算の執行の改善に努めております。過去二、三年と以前と比べてまいりますれば、執行率というものは非常に改善されているというのが実情でございます。  それから最後に、国際機関に対する比率でございますが、これはピアソン報告では大体ODAの二〇%程度が適正だというふうなことが言われておりますが、わが国の実績は約三〇%近くなっておりまして、国際機関を通ずる援助に関する限りにおきましてはわが国の実績は国際的な水準に達しているということが言えるかと思います。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまおっしゃったようなことはもう四年か五年ぐらい前から言われているんですよ。私はもう三回ぐらいこういう質問していますよ。いつになったって予算額よりはるかに実績は落ちているんじゃないですか。七七年の実績はどうなっているか私まだ知りませんけれども、いままでだってぐんと落ちているんですよ。何回もぼくはこれは言っている。一向に改まらないじゃないですか。口でそういうことを言ったってだめですよ、数字で出てくるんだから。私がやっているわけじゃないんだ。あなたの方の数字をはじけばそうなってくるんだ。これはやっぱり私は期限をつけて——大蔵大臣、あなたの所管じゃないかもしれませんけれども、内閣の一員として、私はやっぱり期限をつけてそういうものをはっきり直していくという形をとらないと、ほかの方の予算を削ってわざわざここにつけているわけですよ、現実に予算段階では。だけれども実績はがくんと落ちている。これは国民に対しても私は申しわけのないことだろうと思うんですよ。  国民だっていま私は、そういう発展途上国に対する援助ということについてはかなり理解を持ってきていると思うんですよ。これがこのままでいつもずるずる、いまおっしゃられたようなことでずるずるいくということになりますと、何だということに私はなると思うんですよ。だからこういうものはもう少し、五年計画なら五年計画でここまで直すという明確な計画を示して、これは内外に示す必要があると思うんですよ。そういうふうにやっていかないと、もういつも何だ日本はという反感だけふえていってしまう、もう少しその辺は計画的に、国際水準に上げるように毎年毎年計画を見直しながらやっていくというようにしなければ、いつもいまと同じようなので、上げます、上げますということで、ふたをあけてみりゃちっとも上がっていない。非難だけが返ってくる。これじゃ私は困ると思うんです。もう少しその辺は具体的に改善のプログラムをつくってもらわにゃいかぬと思うんですか、大蔵大臣どうですか、これは。
  20. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) わが国の後進国に対する援助がほかの国に対して見劣りがしていることは私は事実だと思うのでございます。何と申しましても、やはり援助国としては後発であったということが一つあったと思います。しかし毎年毎年の増加割合を見ておりますと、日本は改善の跡は最も著しいわけでございますが、現在の状況では残念ながらまだ各国の援助額までいっておりません。しかし、先進国のやつを見てみますと、大体、昔の宗主国としての旧植民地に対しての援助が非常に多いことがわれわれは顕著に目につくわけでございます。それだからといって日本はそれでいいということではございません。われわれは、特にASEAN諸国との関係日本の場合は重視しなくちゃいかぬのじゃないか。おっしゃるように、従来のようにそれがひもつきであったり、日本輸出増加につながるようなこと、そういう観念はこれからは払拭して、むしろ世界安全保障といいますか、あるいは世界全体の経済発展において日本の地位にかんがみてやると、こういう方向でふやさなければならぬと思っております。  量につきましては、すでに御案内のように、いままで五年間で倍増と言っておりましたけれども、三年間で倍増やろうじゃないかということを決めさしていただいたわけでございます。しかし、その何倍というのは、これはやはりディスバースベースで計算されております。それで、各国の比較は暦年ベースでやるわけでございますが、どうも日本の場合は会計年度になっておるものでございますから、一−三月にかたまるというくせがあるのでございまして、やはり国際比較をされるときにはよほどその点は気をつけていかにゃいかぬ。特に予算の積み残しが三割ぐらいあるわけでございまして、これが不執行になっているわけでございます。したがいまして、ディスバースを一体どういうふうに促進するか、要するに消化の問題なのでございます。外務省あたりにいろいろ伺いますと、やはりプロジュクトそのものの消化のぐあい、相手方の案がいろいろ固まっていない、そういうことからくる未消化部分が多いと聞いております。したがって、われわれもそういう点に、やはり借りる方の側とも十分協力いたしまして、そして相協力してその計画が確実であるもの、そして早く履行ができるようなもの、向こうだけのせいでもない、こちらもやはり手をかして消化を図っていくというようなことがこれから一番大事になるのではなかろうかと、こう思って、いま政府間でもって一つの目標を決めまして、おっしゃるような趣旨に沿って消化を促進したい、このようにいま考えておるところでございます。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 ぜひそういう点で、やはり日本よりももっと経済規模が小さな国でも日本よりずっと高いわけですからね。少なくともそういう点では早くプログラムをつくって改善をしていく、実績をひとつ示していただきたいというふうに思います。  それから、こうしたIMFを含めて対外援助あるいは対外投資ということをやっていくということは、やはり日本資源の問題あるいは日本の市場の問題こういう問題と私は非常に大きな関連があるわけですし、まあ人道的に見れば生活程度、文化水準を引き上げていくといういろんな要素がこれには入っていると思うんですが、しかしいずれにいたしましても、そこの経済力を上げていく、生産力を上げていく、こういうことが援助や融資の大きなぼくは目標になっていると思うんです。  そうなってくれば、そこの国々は、当然いままで単なる農業国であったものが今度は工業国になるし、工業国になるということは外国へ輸出をする、こういうことに私はなってくると思うんですね。特に最近はそういう面で、たとえば韓国と日本との経済関係というものは、どちらかというと経済摩擦が最近多くなってきておりますね。つむぎの問題とかあるいは繊維の問題とか、あるいは最近は造船の問題なども二国間の大きな摩擦になってきているわけであります。これは援助をやり融資をやり投資をやっていくということになれば必然の結論だと思うんですね。それをやったために今度は日本で失業者がふえるということになると、これは大変な私は国民にはまたわからない矛盾だろうと思うんですよ。  だから、そういう投資や融資や援助をやっていく度合いに応じて日本の産業のあり方という、産業調整といいますか、こういうものは当然進んでいかなくちゃならないと思うんですけれども、そういうものはどうも余り進んでいない。投資はいいけれども、後でけんかをしちゃって困った。こういうものは入れちゃいけねえんだということになると、援助を受けた国にしてみれば、盛んにやれやれと言うのでその気になってやったら、今度はつくった物は買っちゃくれないと、これじゃ何のための援助であり投資であり市場の拡大であるかという、こういうことに私はなっちゃうと思うんですが、その辺の考え方がどうも明らかでない。それに対応する産業調整なりこちらの産業構造の改善のペースがどうもそれと合ってない、こういうような感じがしてしようがないわけですよね。  もう最近は、確かにそういう点では開発途上国——LDCというのは中進国になってきている。特にアジアにはそういう国々がかなりできてきているわけですよね。この間も新聞を見ますと、もう韓国からの輸出はお断りだというようなことを言う国々もあちこちにあらわれてきている。この辺の関係政府は一体どう考えてどう調整しようとしているのか、基本的な考え方はどうも余りよくわからないんですけれども、いずれにしてもこれは調整せざるを得ない問題である。どういうような考え方をしているか。造船の問題なんかにしても、困るから、じゃ救済して何とかまた立ちいくようにしようというような意見が多いんですけれども、私はある程度調整していかなければ、それはどんどん援助をすればその国の産業なり技術は上がってくるわけでありますから、日本と同じ水準であれば摩擦が起きるのは当然でありますね。その辺の基本的な考え方はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
  22. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) 御指摘の問題、非常に重要な問題だとわれわれ考えております。この問題は、繊維あるいは雑貨等、御承知のとおり前からそういう問題意識で取り組んでおるわけでございますが、基本的な方向として、やはり非常に単純なものから始まって、ある程度の付加価値のあるところくらいまでは発展途上国の力はどんどんついてきておる。それをやはり受け入れるような形で先進国考えなきゃいかぬというふうに考えております。それじゃ先進国はどうするのかということになりますと、それはやはり知識集約化と申しますか、要するに、付加価値の高い、頭を使いながらしかもその国の国民のニーズに合ったような、そういう、たとえば繊維で言えばファッション性の高いものとかデザインの高級なものとか、あるいは生地でも品質が非常にいいものとか、そういう方向へできるだけシフトしていくということが必要であるということで、これは先生御承知のとおり、もう従来から相当の年月をかけていままでやってきております。そのテンポがまだ十分じゃないんじゃないかというお話かと思いますが、これは私ども鋭意そういう方向で努力はし、また民間も精いっぱいの努力をしておると思うんです。ただこの問題というのは、産業あるいは企業のあり方とか構造というものをそっちの方向へ変えていくという話でございますので、急にばっといくということが相当の広い範囲でできるということにはなかなかならない面というのがございますので、その辺は私どもとしてはできるだけ、たとえば経済成長なり何なりを高めて環境をそういうことをやりやすいようにしながら、しかも具体的にそういう努力というものが、実っていくようなかっこうになるように構造改善あるいは転換を中心としていろいろな政策導入を行っておるわけでございます。私どもの感じとしては、これは相当の政策体系があり、金も相当用意しておるということがあると思いますので、それを精いっぱい各業界使っていただいて、そちらの方向へシフトしていくような努力というのをお願いしたいと思いますし、また私ども自身もそういう方向へ誘導し、環境整備していくというための努力というのはいままでもやってきたつもりでございますが、これからも一層やっていきたいというふうに考えております。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもそれがテンポが合ってないような気がするわけですよね。それは援助するときには恐らく日本の古い物を持っていって援助するわけじゃなかろうと思うんですね。要らなくなった物をそういうところへ、中古品の販売市場にする面もあろうと思いますけれども、そういうことをやっていたらまた何か文句が出てきますから、日本のかなり進んだ技術を向こうへ行って植えるわけですから、国内にはまだ古い技術、古い設備がうんとあるわけですから、だからこれをうまくやっていかないと、むしろ被援助国の方が賃金は安い、設備はとにかく最新式の設備でやってくるということになりゃ、これは生産性というのはうんと上がるわけですよね。これに対してこっちはなかなかスクラップできない、新しい機械も入れられないといういろいろな問題がありますわな、各企業の内容によって。そうすれば、被援助国の方が私はそういう発展というのは早いと思うんですよ。  日本がかつてアメリカに追いついたときとやっぱり同じだと思うんですよ。アメリカの新しい技術を持ってきて日本でやって、安い賃金でやったからアメリカを追い越すことができたと思うんですよね。これと同じ問題が援助する国と援助される国との関係にこれから私はあらわれてくると思うんですよね。確かに通産省の産業構造関係の人が一生懸命いろんなことを考えていることはわかるんですよ、わかるんだけれどもどうもそれはテンポが鈍い。こういうことでいけば、援助国と被援助国との間の摩擦というものはどうもかなり早い時期にあらわれてくる。援助してやって今度はこっちに失業者がいっぱいあふれてしまう、物を売る場所がない、これも何か援助する方の国とすればちょっと理解に苦しむ問題であろうと思うんですよ。そういう点でそういう面の政策というものはかなり私は力を入れていると思うんですが、急速に改善をしていかないとやはり問題が起きてくるんじゃないか。日下部さんとはお話をしたこともありますけれども、そういう面にもっと政府としてやっぱり力を入れていただかなくちゃいけないんじゃないか。ただ産業構造のところで構想を練るだけでは私はいかぬじゃないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、私の時間ももう大体来たと思いますけれども、最後にひとつ国際金融局長に聞いておきたいと思います。  いつだかの総会IMFが保有している金ですね、これについては出資国にある程度返すと、ある程度の分はこれを売って開発途上国の援助にすると、こういうようなことがあったわけでありますけれども、いまそのトラストファンドというのはどんなふうになってどんなふうに使われているのか、ひとつ私もよくこの点はわかりませんので御説明いただきたいと思います。
  24. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) ただいま御指摘のございましたIMFの保有金の売却につきましては、暫定委員会の合意に基づきまして二千五百万オンスを四年間に売却するということで、これとは別途二千五百万オンスを各加盟国に返還いたしますが、さきに申しました二千五百万オンスを売却をいたしましてそれによってトラストファンドが設立されておりまして、現在開発途上国に対する特別の国際収支の援助を行うために用いられておるところでございます。現在のファンドはほぼ十億SDRに達しておるのが現状でございます。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 わかりました。  それから、これは大蔵大臣か外務省かどっちかわかりませんけれども、お伺いしたいんですが、恐らく最近は円高の問題が新聞紙上に騒がれていて、開発途上国の債務、累積債務ですね、これがどんなふうになってきておるか。これは少しは改善されたのかどうか、あるいはこれに対して、日本政府はこれからそうしたものに対してどうしようとしているのか。これはやはり国際貿易市場あるいはその他の市場というものに対する阻害要因に私はなっているはずだと思うのですが、そういうようなものは一体どういうふうな形になってきているのか、これはどちらがお答えになるのかわかりませんが。
  26. 中村泰三

    説明員中村泰三君) 開発途上国の債務でございますが、OECDの資料によりますと、一九七六年の末の債務残高は合計二千六十八億ドルというふうになっております。この債務問題に対処するために本年三月UNCTADの貿易開発理事会というものが開かれました。この会議におきまして先進援助供与国は過去の二国間ODAの条件の調整措置あるいはその他これと同等の措置をとるよう努力することが合意されました。その後、政府におきましては四月二十一日の経済政策閣僚会議におきまして、「貧困発展途上国の直面する債務問題の解決に資するため、当該国の実情に応じ、アンタイド商品援助を供与し、またできる限りソフトな条件による資金協力を行う。」という旨が決定されております。わが国といたしましてはこの債務問題の解決には応分の寄与をいたしたいというふうに考えておりまして、この閣僚会議決定を踏まえましてわが国としていかなる措置をとるか、目下鋭意検討中でございます。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 ひとつそれ、最終的な方針が出ましたらその際にお教えいただきたいというふうに思います。  以上で私の質問終わりたいと思います。
  28. 福間知之

    ○福間知之君 多少時間が残っていますので引き続き伺いたいと思います。  世銀の融資事業につきまして大蔵省の資料を拝見しますと、かなり開発途上国における社会開発事業というのに、大きなプロジェクトというものに多額の融資が行われているようであります。運輸とか電力、農業開発、工業化への援助などかなりウェートが高いようでありますが、これは地域別あるいは国別にいま個々の融資の実態というものをある程度私たちは知りたいわけですが、これは時間の関係上この場では伺えません。  問題は、お聞きしたいのは、たとえばいま融資残高が世銀で三百八十六億ドル、あるいは国際金融公社で十七億ドル余、かなりの金額になっています。個々のそういうプロジェクトにいつどの程度つけた金がどういう効果を上げているのかというチェックは、一体どこでだれがいつどんな方法で行っておるのか、先ほどの竹田委員の質問とも若干関連をするんですが、当然融資をする限り実行が伴わなければならないはずでありまして、それはわが国の大蔵当局も実態をつかんでおるかというと、これは少しむずかしい話でございますからそうは申しませんが、一体だれがそういうものを適切な手段と方法でもってチェックをするのか、これが一点。  それからもう一点、この資料によりますと、世銀の活動実績という中身に、貸し付けの承認額とそれから貸し付けの実行額というものに数十%の開きがあるわけであります。たとえば七六年度で言えば承認額は四十九億七千七百万、ほぼ五十億ドル、ところが実行額はその半分、二十四億七千万ドル、七五年に至っては四十三億の承認額に対して十九億九千万、これも半分以下であります。六五年ぐらいからの実績を見ますと、毎年承認額と実行額との間には倍ぐらいの違いがある。七七年も前年に比べて一五・七%上回る五十七億五千九百万ドル、これは融資承諾額となっているんですが、これだってまた半分ぐらいに実行額がなっている。毎年毎年この落差、格差というのはどういうふうになっていっているのか、これは資料によっても不明でありますので、まずその二点お聞きをしたいと思います。
  29. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 第一点でございますが、  世銀もまた金融機関でございますので、その貸し付け先のプロジェクトがどういうふうな進行ぐあいであり、また経済的な効果を予期どおり発揮しておるかどうかという点につきましては、当然重大な関心があるところでございまして、世銀当局、特に考査局、監査局というのがございまして、そのプロジェクトをそれぞれフォローをしておるところでございます。したがいまして、その点は国際金融機関としての役割りは十分果たしておるものだと、かように考えております。  それから第二点の融資承諾額と実際のディスバースの額が非常にギャップがあるではないかという点でございますが、これは世銀の融資いたしますのがプロジェクト融資が非常にウエートが高いわけでございますので、その融資承諾をいたしますときにはプロジェクト全体の承諾をするわけでございます。ある単年度だけの一部分だけを承諾するわけでございませんで、また融資を受ける側といたしましては、全体のめどを立ててもらわないと不安でありますから、何年間かにわたるプロジェクトの全体の融資承諾を受けるわけでございまして、たとえば第一年度につきましてはそのうちの何分の一かが実際のディスバースをされるということになろうかと思います。もちろん、一年で全部終わるというものもあろうかと思いますけれども、プロジェクトとなりますと、世銀のみならず大体数年間にわたるというのが多かろうと思いますので、その辺のギャップが出てくるわけでございまして、それはある程度やむを得ないということではなかろうか、かように考えております。
  30. 福間知之

    ○福間知之君 いまの後段のギャップの問題なんですが、いただいているこの資料によりますと、六五年なり七〇年、七四年、七五年、七六年、七七年、これだけの年度で一応参考に資料が出ているんですが、数字が出ているんですが、そうしますといまの御説明だと、たとえば七〇年度の場合、この資料によれば承認額は十五億八千万ドルであって、実行額は七億五千四百万ドルである。この実行額は、七〇年度ないし七一年度ぐらいの実績をここに書いてあって、その後もうこれ七、八年たっているわけですから、当然この実行額はもっと上がっているとも考えられるわけですが、そういう理解でいいんですか。
  31. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 確かに、最近の各年度を見てみますとディスバースの率は下がってきております。特に最近、景気が悪くなりましてからの率がかなり下がってきておるのは御指摘のとおりでございまして、これは世界的な景気の停滞に伴いまして借り入れ国側におきます工事の進捗が鈍いということが一つの大きな原因ではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、これは世銀が全部まる抱えということではございませんものですから、そういう意味でこの傾向はある程度やむを得ないんではなかろうか。したがいまして、景気が回復してきまして融資を受けます各国経済状況も改善してまいりますとこの傾向は改善されるんではなかろうか、かように考えております。
  32. 福間知之

    ○福間知之君 まあいまの御説明だけでは私のお聞きしたこととちょっとすれ違っておるわけですけれども、最近は、過去五年あるいは八年ほど前よりも貸付金額が絶対額としてかなり大きくなっておりますね。そしていまおっしゃるように景気の動向によって工事の進捗率が少し鈍いと、こういうことが実行額を小さいものにしているということは一つの側面として理解できますけれども、一体これは、もちろんわが国だけが世銀出資をしたり融資をしたりしているわけではありませんから、余り独善的にも考えられないんですが、毎年しかしかなり大きな金がこういうふうに貸し付けられていくという昨今の事情からするならば、若干われわれも関心を持って、まあこれは大蔵当局が調べるのがいいのかどうなのかそれはちょっと私も見当つきませんが、やっぱり実効が上がっているかどうかというのはこういう面からもほぼ推察がつくものですから、当事者である皆さん方が無関心ではないはずでありまして、そういうことについて何かの方法で調べてみようというふうなお気持ちはないものですか。  それから融資の原資につきまして、払い込み資本金とか借入金とか純利益とかいうようなものが世銀の原資になっているようですが、世銀のいまの借入残高が大体幾らで、それはわが国としてはどれくらい貸し付けておるのか、その他の国はどれくらい貸し付けておるのか、概略で結構ですからお教えをいただきたいと思うんです。
  33. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) まず第一点でございますが、御指摘のように、貸し付けが行われそのディスバースがおくれておるというそれらの実態につきましては、日本もまた出資国でございますので、その点につきましては当方としてできるだけ調査をいたしたいと存じております。理事も任命理事が出ておりますので、それらのルートを通じましてできる限りの調査をいたしたい、かように考えております。  それから第二点の世銀の資金調達の方法でございますけれども、これは大別しまして世銀債の発行、それから各国の中央銀行からの借り入れ、それから民間金融機関からの借り入れがございまして、これらは払い込み請求払いの資本をいわば担保といたしまして世界の資本市場から調達をいたしておるわけでございます。この中でシェアを申し上げますと、昨年の十二月末の数字でございますけれども、通貨別で見ますと全体を一〇〇といたしまして米ドルが四五・五%でございます。それからドイツ・マルクが二五・二%、スイス・フランが約二%、それに並びまして日本も約一一%ということになっております。特に日本につきましては円建て債を非常に活発に世銀も含めまして出しておりますし、また日本銀行から世銀に対する貸し付けもいたしておりますので、その辺の協力は非常に特に最近活発になってきておることを御報告いたします。
  34. 福間知之

    ○福間知之君 最後に、理財局長せっかくおいでいただいているようでございますので、質問通告をしておきましたが、新中期債の発行をめぐりましていろんな報道がなされておりますが、たまたまこれは当委員会がこの時間に開かれなかったということも一つの理由でありますが、いささか新聞発表等でわれわれは知ったにすぎないのでいかがかなと思っておるわけでして、やっぱり当委員会でこの種の問題はかねがね私どもは議論をしておりますんで、できれば正式に発表前に委員会の席上、あるいはまた日常的に血の通ったひとつ御連絡、御説明を賜わりたい、こういうように思うわけでありまして、きょうはちょうどいい機会ですから、新中期債発行に関連して当面の大蔵省としての国債管理政策についてのアウトラインを御説明いただきたい。  かたがた、あすから証取審が開かれるようであります。一体窓販問題を端的に諮問されるというふうに理解していいのかどうか、その他証取審に対してどういう姿勢で諮問をされるのか、この二点お聞きをして終わりたいと思います。
  35. 田中敬

    政府委員(田中敬君) 中期債につきまして、先般当委員会におきまして五月九日福間委員から御質問いただきました。その際、当時の状況といたしましては、私どもとしましてはできる限りの可能性につきまして具体的な御説明を申し上げたつもりでおりますけれども、いろいろ調整の段階でございましたので確定的な具体的な内容は申し上げられなかったことは御了解いただきたいと思います。  九日に私がここで御説明を申し上げました、くしくも明くる日の五月十日に新聞が二紙ほどわりあい具体的な報道をいたしておりますけれども、これは私どもが発表したものでございませんで、私どもが調整段階にありまして金融界あるいは証券界といろいろ下折衝をいたしておるそのものが、いずれかのところから漏れてああいう具体的な記事になったものだろうと存じます。私どもといたしましては、ようやく現段階でほぼ調整の詰めが最終的なところにまいっておりまして、去る二十二日、今週の月曜日でございますが、国債の引受シ団に対しまして中期債構想というものを正式に提示をいたしました。  その内容は、昭和五十三年度におきましては利付三年債というものを公募入札によって発行する。発行の限度額は一応一兆円を限度として発行するというその骨子を発表いたしたわけでございます。これにつきましては、今月三十日に国債発行の世話人会という組織がございまして、年間の国債の発行額あるいは月々の国債発行額につきまして国債引受シ団と発行当局との間の折衝の場がございます。それがこの五月三十日に行われる予定でございますので、その五月三十日の席上で最終的に木構想を固めたいというふうに思っております。  中期債の構想につきましては大体骨格はそうでございますが、新聞で報道されておりますように、私どもといたしましてはこれを公募入札方式にする。その入札方式と申しますのは、先回この席で御説明を申し上げましたタッチ方式——ダッチ方式であってもかついかなる入札方法をするかという点につきましては、いずれこれは大蔵省令あるいは大蔵省の告示をもちまして発表いたす予定でございますが、私どもはイールドオークションと申しまして、入札される方が三年債であれば、たとえば五分三厘五毛であるとか五分二厘五毛あるいは五分一厘五毛なら自分は買ってもよろしいという、そういう利回り方式の入札を実行したいと思っております。この利回り方式と違います入札方法と申しますのはプライスオークションと申しまして、あらかじめ発行者が五・二%あるいは五・一のクーポンの国債を三年債で用意すると、幾らでお買いになりますかと、九十九円五十銭で買うか百一円で買うか、そういう形のオークションをプライスオークションと申しておりますが、私どもは今回ダッチ方式、イールドオークションにいたしたい。  それから一番関心のございます入札資格者、応札資格者でございますが、これにつきましては先般資金運用部資金が持っております国債を市中に売却いたしましたときと同じように、現在日銀と取引のある証券十社を含めました金融機関、全体で約四百十五社程度、それと当初第一回の入札につきましては応札資格者にいたしたいというふうに考えております。  それから第二点の今後の国債管理政策の問題でございますが、私どもは国債管理政策につきましてはもちろん国債の発行額を圧縮するということが第一でございますが、予想されますような大量発行が続き、市中に国債の保有残高が非常に大量に滞留するということになりますと、まずこの流動性、それからそれの受けざらとしての市場面、公社債市場をどうするかという市場面からのアプローチというものを従来とってまいりました。国債の種類の多様化というものも市場での流動性という面もございますが、別途市場面からのアプローチ以外に国債の管理政策といたしましては、やはり国債の商品性のアプローチ、いわゆる国債というものがいまの経済環境の中に非常に商品性の高いものとして皆さんに好んで持たれるという形で、この商品性を高める方策をどうするかということをまず今後具体的な方向としては考えてみたい。と同時に、やはり忘れてなりませんのは、景気が回復し、クラウディングアウトと言われるような事態が起きた場合にどう対処するのか、あるいはいかなる資金をもって対処するのか、価格の乱高下に対してどの程度これを防止し、どの程度は実勢に任せるべきかというようなことにつきまして、観念的には頭の中に構想はございますけれども、具体的にそれをどうアプライしていくかというようなことを今後検討課題にしてまいりたいと思います。国債の管理政策と申しますのは、何をどうしたから終わったというものでございませんので、日々勉強さしていただきたいと思っております。  それから第三点の明日から開かれます証取審でございますが、これは役所の内部のことを申して恐縮でございますが、証取審は大蔵省におきましては証券局が主宰をいたしまして、証券局長のところで行うものでございます。  証取審にどういう諮問をするかということにつきまして、証券局長と確認をいたしましたところ、諮問の内容はまだ具体的に考えておらない、証券局長が当日最近の公社債市場問題、特にこれだけの大量の国債発行下における公社債市場にいかなる問題があるかという問題意識を証券局長が冒頭に御説明を申し上げまして、やはりその中の中心というのは国債の問題であろう。ですから、今後この国債の流動化の受けざらとしての市場対策をどうするか。市場対策と申しますのは、市場の参入舌をどの程度にするのか。これは一つは言われております銀行のディーリング業務にも発展する問題でございますし、もちろん窓販問題にも影響がある問題でございますが、具体的に窓販をどうするか、銀行のディーリング業務をどうするかということは冒頭からお諮りするということは考えておらないようでございます。証券局長の状況説明を受けまして、当日御参集の証取審の各委員の御発言を待って、そしていかなる問題から具体的に入っていこうかという議題の選択というものは証取審の審議の過程で選んでいくというふうに承っております。  以上でございます。
  36. 福間知之

    ○福間知之君 もう時間がありませんので、いまのお話は、後段の方はまあそういうふうに理解もちょっとしにくいんで、きょうのあすのことですからね、大蔵省の非常に微妙な立場も問題によってはあるわけですから、きょうはそれで聞きおく程度にしておきたいと思います。ぜひひとつ、最近のこの国債管理についての大蔵省の考え方については、われわれとしてもかなり前向きでやっていっているような気配も感ずるし、何となくもやっとしたような感じも感ずるし、大いにこれはひとつ今後の課題としてわれわれも勉強していきたい、そういうふうに思っております。
  37. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは最初に、世銀グループといういわゆる金融機関が三つあるわけでございますが、世界銀行が設立されてからもう、三十年以上たっておるわけでありますが、こういう世銀グループの果たしてきた役割りというものをどう評価するのか、また今後の問題点は何か、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  38. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 世銀グループの果たしてまいりました評価をどう見るかという第一点でございますけれども、これは率直に申しまして非常に戦後の世界の復興開発に貢献をしたのではないかと、かように考えております。日本にとりましても、東名高速道路につきましては世銀の融資を受けたところでございますし、その他の基幹産業の戦後の復興につきましても世銀の融資を受けたわけでございまして、その意味では日本はすでに世銀の卒業生ということでございますけれども、世銀の融資対象国の中で日本のような経済的な成功をかち得た例は世銀当局からしばしば例示をされているところでございます。その後も、重点はむしろ戦後の復興からいわゆる独立間もない発展途上国経済の開発という点に重点を向けられまして現在事業が進められておるところでございます。  それから第二点でございますが、今後のこの世銀グループの発展につきましては、ただいま第一点につきまして申し上げましたことと関連いたしますけれども、世銀自体のほかに第二種銀あるいはIFCの活動を通じまして、たとえば第二世銀を通じましては、これはむしろIFCが民間の企業に重点を置きました。ペイする企業に重点を置きました融資でありますのに対しまして、第二世銀の方はソフトな、金利がゼロという資金を提供いたしまして、特に貧しい発展途上国経済基盤の強化を図るという点を志向をしておるところでございまして、その方向もあわせて今後とも発展していくんではないかというふうに考えております。
  39. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 世銀の融資対象の分野がかなり当初の運輸、電力とかそういう産業基盤的なものより、最近においては農業、教育部門さらには人口、保健、環境問題、こういう社会的側面にも考慮が払われている、このように聞いておるわけでありますが、現状はどうであるのか、今後の方向はそういう方向に進むと考えられるのか、その点はどうでしょうか。
  40. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) ただいま御指摘のありましたように、近代的な産業を発展させるということから、現在の世銀の貸し付けの中心がむしろ基礎的な運輸、電力、通信あるいは灌漑というようなものにも重点を置きつつ農業あるいは教育、病院等の部門に重点がかなり移りつつあるということは確かでございます。先ほど申し上げましたように、戦後の復興開発の時期におきましては基礎的な産業の復興開発に重点を置いたのでございますけれども、その後新興独立国がふえまして、これらの国におきましてはいきなり工業化を進めるということにはどうしても無理がある、その工業化の基礎になります農業等の基盤をまず確立する必要があるということで、現在は世銀総裁もその点に非常に重点を置きましてその方向を強く進めておる、かように私どもは理解いたしておるわけでございます。
  41. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これら世銀グループの運営においては問題はないのかどうか、スムーズにいっているのかどうか、たとえば貸し倒れとか不良債権とか、そういう点の心配はないのか。  それからもう一つは、竹田委員の質問にもございましたが、いわゆる米国が拒否権を持っておるために——拒否権という言葉はよくないかもしれませんが、米国が投票権でかなりのシェアを占めておるために運営上においていわゆる発展途上国の意図に沿わなくて非常に困るとか、こういうような事態はないのかどうか、その点どうでしょうか。
  42. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 第一点でございますけれども、世銀の融資活動等の事業の運営は円滑に進捗いたしております。先ほど福間委員の御指摘のありましたように、ディスバースのおくれという点は確かにございますけれども、これはプロジェクト融資の一つの宿命とも言うべきものでございまして、その他につきましては円滑に進んでおりますし、また、世銀が融資いたしますプロジェクトはその当該国の保証を受けたものあるいはその政府自体に貸し付けるということでございますので、貸し倒れ等につきましては、いままでそういう事例はございません。  それから第二点のアメリカ拒否権という点でございますけれども、協定改正という点になりますと拒否権の問題も起こってまいりますけれども、通常の融資の問題につきましては単純なる過半数で決めておりますので、アメリカが人権問題等を理由にいたしまして反対をいたしましてもこれは通らない、通らないと申しますか原案が通るというのが実態でございまして、御懸念のようなことは、融資の個々の案件につきましてはそういうことはございませんので、御報告いたします。
  43. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ついでにお尋ねしますが、IMFの運営等において、そのいまのアメリカ拒否権などでなかなか前へ進まないとか、そういうような具体的な問題はないのかどうか。
  44. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 先ほどもお答えいたしましたように、アメリカシェアは二割を切ったといえ、特に重大なる事項につきましては八五%の特別多数が必要でございますので、そういうようなケースにつきましてアメリカの同意がなければ、あるいはEC諸国合わせますと当然そういう数になるわけでございますが、それらの国々がいわば拒否権を持つということはございますけれども、当面いま現在問題になっております点でそういうような拒否権の問題が云々されるというような案件は現在のところございません。
  45. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 関連してお尋ねしますが、IMF加盟国に外貨を貸すという積極面と、それから為替相場の変更とかあるいは為替諸制限の実施とか、こういう消極的な面でいわゆる通貨の安定という機能を持っておるように聞いておるわけでありますが、いまドルの安定ということが世界的に言われておるわけですけれども、そういう問題についてIMFというのは、たとえば米国にこうしろとか、そういうようなことはできるのかどうか、あるいはそういうことはすでにやっておるのか、そのあたりはどうなんですか。
  46. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) IMF暫定委員会あるいは理事会あるいは総会等のいろいろな場におきましてそのメンバーの諸国がいろいろな意見を言う、基軸通貨国でありますアメリカに対しまして、たとえばインフレを抑えてもらいたいとかエネルギー対策を早く、実現してもらいたいとか、そういうような要望を出すことは通常のことでございますし、その他、アメリカといえども、第二点でおっしゃいましたいわゆるサーべーランスを受け、あるいはIMFのコンサルテーションを受ける対象であることには変わりございませんので、そういうような点におきましていろいろIMF当局、事務局自体意見を聴取することは十分あるわけでございます。その点につきましてはほかのメンバー諸国とは全く違わないわけでございまして、そういうことが現在も行われているということは私どもが存じておるところでございます。
  47. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 日米首脳会談で福田総理が三年間で政府開発援助を倍増すると、こういうことを言われたわけでございますが、この四月下旬の経済対策閣僚会議で円高総合対策を発表したわけでありますが、この三木の柱の一つ経済協力の推進ということで、どうも政府の開発援助の倍増というのは本来あるべき援助の姿というよりも黒字減らしのため、景気回復のためということが表に出ているように思うわけでありますが、大蔵大臣としてはどう考えておるのか、伺っておきます。
  48. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 時期が一緒であったものですから黒字減らし対策ととられた向きもあるいはあったかと思うのでございますが、話は実はそうではないのでございまして、やはり日本世界経済における立場から言いまして、日本のODAを先進国並みにふやしていく、そのことがすなわち日本世界経済に対する当然の務めであろう、また広い意味世界経済の安全あるいは世界経済の進捗に貢献する、そういう趣旨から途上国に対する援助をより一層拡充しなくちゃならぬ、こういう趣旨で決めたものでございます。
  49. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 このODAの予算と実績の推移を見てまいりますと、一九七三年度では執行率が八二・六、七四年度が七五・六、七五年度が七八、それから七六年度は七〇%と、こういうように徐々に下がってきておるわけでありますが、七七年度は大体どの程度になるのか、現在作業中とのことでございますが、七〇よりも上に行くのか下に行くのか、それと、こういうせっかくの予算がありながら実績がだんだん乖離をしてきておる原因はどこにあるのか、それから今後はどうされるのか、その点をお伺いいたします。
  50. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 御指摘のように予算と実績が、いわゆる実績の方がかなり下回っておる、しかもそれが近年より下回ったという点につきましては、資料のとり方にもよりますけれども認めざるを得ないところでございます。これに対しまして今年度どういう見通しかというお尋ねでございますが、これは私どもといたしましてはそのディスバースをなるべく早くして予算を消化するように努力してまいりたいということでいま努力をしておるところでございますので、どれだけかということにつきましてはこの場で全体として申し上げることはできませんけれども、七七年、五十二年度につきましては、政府直接借款につきましては前年度よりも若干上回る率になるのではないかというふうに考えております。全体の数字としてはまだ出てないところでございますが、五十一年度よりも若干上回りまして七六%ぐらいになるのではなかろうか、借款ベースでございますが、そういうふうに考えております。  それから、そのODA予算のディスバースがおくれます理由でございますけれども、これはその中身がたとえば二国間贈与あるいは国際機関に対します出資、拠出、こういうものはわりあいに足が速いわけでございますが、問題は借款でございまして、これは大きく分けて二つ理由がございまして、一つば借款を受ける側の能率が悪いということと、借款を提供いたします日本側の能率が悪いという二つがございます。日本側の理由につきましては、関係各省と協議をするその意思決定をもう少し早くする必要があるのではないか、あるいはその手続をもう少し簡素にする必要があるのではないか等につきまして関係各省寄って現在協議をいたしておるところでございます。受け入れ側の非能率につきましては、これはある程度やむを得ないところもございますが、当方の援助機関が手をかしてやってその手続を早くしてやるというような点につきましても検討をいたしたいと、かように考えております。
  51. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大臣もいま話されましたように、いわゆる不況対策、こういうものは非常に緊急的な短期的な問題で、しかし海外援助、経済協力というものはかなり中長期的な計画で行かなければいけないんではないかと思うわけであります。そういう点で、こういう経済協力というものはわが国の国内の景気、不景気にかかわらず、ある一定のペースでもって前進をしていかなければいけないんではないか。そういう点で、私たちの感じとしては、政府の援助の姿勢と申しますか、計画性あるいは展望、そういうものに非常に欠けておると、国内嫌気の上から急にばっと押し出されたり急に減ったり、そういうことでは非常にいけないわけで、わが国の中長期的な計画なり展望なり理念なり、そういうものは私は明らかにすべきではないかと思うんでありますが、政府としてはそういう考えがあるかどうか、お伺いしておきます。
  52. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 基本的な方向としてはいま塩出委員のおっしゃったとおりに考えているわけでございます。しかし、さしずめはいま三年間倍増ということで、ことからその目標に向かっていくわけでございますが、三年たちましたからそれならもうスローダウンするのかということではないのでございまして、余り先の話をいたしますと実現性がどうかと、こう思われますので、とりあえず三年のことを決めたのでございまして、その後も引き続きこの問題はやはり日本国際経済において一番大事な役割りではなかろうか、こんなふうに考えて、われわれも同趣旨でまいりたいと思っております。
  53. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 三年倍増ということが、基準年次はいつか、あるいは円ベースかドルベースか、こういうことでいろいろ論議があったようですが、これは普通、先般総理がアメリカへ行かれて三年間で倍増すると言えば五十三年度のわが国のODA予算を今後三年間で倍にする、こうとるのが大体普通じゃないかと思うんですが、どうも大蔵、外務、通産の間に意見の一致があるようなないような感じがするんでありますが、政府としての最終的な統一見解というものは基準年次がいつであり、円ベースでいくのか、その辺をお尋ねします。
  54. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) お尋ねのODAの三年倍増は、昨年五月の国際経済協力閣僚会議日本代表が表明しましたODAの五年間倍増以上の拡大というアイデアをベースにいたしまして、倍増自体は期間を短縮しまして三年間で達成しようというものでございまして、五十一年暦年のODAの実績であります約十一億ドルを五十四年暦年に二十二億ドルに拡大するということを目指したものでございます。この考え方につきましては大蔵省と外務省、通産省との間に意見の相違はございません。  なお、これをめどといたしますけれども、援助の拡大につきましては、同じ期間につきましてもさらにそれ以上の援助の拡大もでき得る限りいたしたいというのがわれわれの考えでございます。
  55. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、五十四年度に二十二億ドルということは、五十四年度の予算は来年になるわけですが、五十三年度の予算に比べてはどれぐらいふえるわけなんですか。
  56. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) ただいま申しましたのは五十四年暦年でございまして、五十一年暦年の実績に対しまして五十四年暦年の数字で、しかもそれがドルベースということでございます。それはレートが今後どうなるかということも関連いたしますけれども、ほぼ本年度と同じ程度の伸び率でありますれば達成できるのではなかろうかというふうに考えております。
  57. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大体今年度と同じ程度であれば、  福田さんがわざわざアメリカに行って約束するほどのことば余りないんじゃないかと、そういうような気がいたします。しかし、いずれにしてもわが国政府の援助の内容においてもまた量においても、先ほどから質問がありましたように、必ずしもいい方ではない、終わりの方に近い、こういうことが言われておりますので、政府としても誠意を持って取り組んでいただきたい、このことを要望しておきます。  私としては、まことにいまのような政府の姿勢ではちょっと熱意がなさ過ぎるんじゃないか、三年間倍増という言葉はいいけれども、その内容とすれば国際的にもいろいろ批判をされる内容のものではないか、こういうことを申し述べておきたいと思います。  今後は、わが国発展途上国からの輸入が五五・四%、輸出が四六%、こういうように先進国の中でも発展途上国との関係、相互依存という形は一番強いわけでありまして、そういう点からこの経済協力というものは真剣に考えていかなくちゃいかぬ。いままでよく大蔵、外務、通産、各省の間のなわ張り根性と申しますか、そういうものがいろんな面で足を引っ張っている点もございまして、海外経済協力担当大臣をつくってはどうか、そういう意見もあるわけであります。やはり経済協力をしている国々の声も正しく聞き、またそれに対して本当に効果のある経済協力をしていくためには、こういう担当大臣を貫いて、そしてその担当大臣はもうしょっちゅうその国々を回っておると、こういうようなことをすれば一歩前進じゃないかなと、こう思うんですが、どう考えますか。
  58. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは現在は外務省が窓口でございまして、そして大蔵、通産等と協議をいたしましてやるわけでございます。そしてまた、そのことは私は当然なことだと思いますので、その上にまたさらに海外援助の担当大臣をつくるというのはどんなものであろうか、せっかく緊密に連絡をしてわが国の事務を促進したいと、こういう機運が盛り上がっているときでございますので、私はやはりいまの制度を運用上合理化した方が屋上尾を重ねなくていいんじゃないか、かように実は私見でございますが考えているのでございます。  それから、先ほどのお話で、三年間倍増というのはいくんじゃないかと、簡単にいくんじゃないかというお話ございましたが、実は私は大変だと思っているのでございます。と申しますのは、この前の財政収支試算でもお示しいたしましたように、今後特に経常的経費につきましては非常にやはり選択を厳正にしてまいりまして、できるだけあの種の経費を圧縮したいと思っているわけでございます。その中で、やはり一五%以上の伸びをこれに充てるということは、ほかの方がそれだけぐっと縮まるわけでございますから、容易ならぬことだとは実は思っておるのでございまして、しかし、重要性にかんがみましてそういう決意をいたしたのでございますので、その点は少し御評価をいただきたいとお願い申し上げておきます。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、わが国の開発援助の中身の問題でございますが、政府の白書等を見ましても、政府開発援助の平均条件として昭和五十一年を見ましても、日本とDACの平均をとりましてもかなり日本の方が低い。たとえばグラントエレメントはDACの平均が八八・五に対してわが国は七四・九%である、贈与比率はDAC平均六九・六に対して四八・二と、こういうようにかなり差があるわけでありまして、その差は余り縮まっていないわけであります。また、借款の平均条件を見ましてもやはりグラントエレメントがDACの平均より低い、一方金利はDAC二・六に対してわが国は三・三、償還期間はDAC三十二・八年に対して二十四・九、据え置き期間はDAC九・〇年に対してわが国は七・八年と、どれを見てもすべての点で非常に悪いわけで、先ほどお話がありましたように、ほかの国々は旧植民地の国々だからやむを得ないんだと、こういうような御答弁でありますが、先ほど申しましたように、わが国は、発展途上国との相互扶助の関係でなければわが国の今後の発展はない。そういう長い将来を考えたときに、こういうような条件も少なくとも国際並みぐらいには持っていくべきじゃないかと。そのためには一遍に来年からこうしろということはまあできないと思うんでありますが、私は金額のことは金額として、こういう条件についても五年なり十年なり、このように将来打っていくんだと、これは日本の国内経済の状況がどうあろうとも、少なくともこれだけはやっていきたいと、こういうような線を示すべきではないかと思うわけでありますが、大蔵大臣の御見解を承っておきます。
  60. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いまグラントエレメントの条件を見ますと、七六年で日本が七四・九ぐらいでございまして、先進国の平均が八八・五、それからドイツは八五・二というところでございます。グラントエレメントの目標は八六ということでございますので、私たちもその目標に向かって努力してまいりたいと思います。  やはり何と申しましても、一つは二国間贈与が日本は少なかったのではなかろうか。そういう問題についてASEANというものをどういうふうに評価しておるか、これがやはり大きな問題の一つではないかと考えますし、もう一つは、やはり日本の金利がいままで相対的に高かった、そのことで自然にその他の借款等につきましてもグラントエレメントの要素が少なかったんじゃないか。この二点に気をつけまして、ちょうどいま情勢がこういう情勢でございますので、その二点を中心にグラントエレメントの要素を国際水準までにできるだけ早い機会に上げてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう条件とともに、いわゆるGNP比、DAC加盟国平均〇・三三に対して、わが国は〇・二で加盟国十七カ国中第十三位である。こういう点もひとつ努力をしていただきたい、このことを要望しておきます。  それから、発展途上国に対する問題の一つとして、ジャカルタで五月の二十九、三十日の両日輸出所得安定化制度について具体的な協議が行われるようでありますが、政府方針はどうか。また、この安定化制度の融資枠とか対象品日、これはどういう方向になりそうなのか、この点を承っておきます。
  62. 瀬木博基

    説明員(瀬木博基君) 先生御案内のとおり、昨年福田総理とASEANの首脳との会談が八月に行われたわけでございますが、その際共同声明が出されまして、そこで日本の総理大臣輸出所得安定化制度を設立したいとのASEANの要望に理解を示し、諸種の問題についてASEAN側と共同検討を行うということに同窓いたしております。  先生の御指摘になりました五月二十九日、三十日という日に行われますジャカルタでの会議はその共同研究の一環でございまして、輸出所得安定化制度についてどういう問題があるか、この制度をつくっていくということがASEANにとり日本にとりどういうメリットがあるかというような問題につきまして共同研究するという場でございます。  先生が御指摘になりました、またお聞きになっておられますところの品目につきましては、この共同研究の一環のまさに重要な根幹をなす問題でございまして、決定的な、特にASEANと日本との間で合意された決定はございません。
  63. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それではもう時間も大分参りましたので、最後に経済企画庁、大蔵省にお尋ねいたしますが、一つは、この四月、輸出入の通関実績によりますと、依然として輸出超過となり、黒字基調に変わりがないと思われるわけでありますが、今後の見通しはどうか、今年度は経常収支六十億ドルの目標に対して心配はないのか、あるいは今後どういう施策を考えておるのか、この点が一点であります。  それともう一点は、国内嫌気の動向につきまして、まだら模様とかあるいはさざ波景気ということが言われておるわけでありますが、生産指数あるいは出荷指数は五カ月連続して上昇、在庫調整も進んできており、稼働率も上昇ぎみであると。しかし雇用は変わらず、業種間のアンバランスが依然として残っておるわけであります。そして昨年、一昨年とも上期には明るさが見えても、緒川これが下期には息切れとなってきておる、そういう点で今年度についても今後についてそういう心配がされておるわけでありますが、昨年、一昨年と比べて政府としてはどういう分析をしておるのか、そのあたりを含んで今後の見通しを承っておきます。
  64. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 経済の見通しにつきましては企画庁から答えていただきますが、国際収支につきましてちょっと申し上げます。  四月の経常収支を見ますと、三月には経常収支の黒字が二十四億ドルでございましたが、これが四月には十七億ドルにかなり激減しております。それから、これを季節調整をいたしますと、三月には二十一億ドルの経常収支の黒字でございましたが、これが四月には季調後では十二億ドルというふうに激減をいたしておるわけでございます。したがいまして、かなりこの一−三月は漸次季調後でも黒字がふえるという姿でございましたのが、四月を境にしましてかなり変わってきたんではないかというふうに私どもは考えております。  ただ、今後の見通しにつきましては、国際収支は海外の景気見通し等にも大きく影響されるところでございますので、現時点で具体的に幾らぐらいになるということを申し上げることは非常に困難でございますけれども、量気の回復等、あるいは日本の市場の開放等によりまして、昨年来の円高の影響もございますので、かなり経常収支の黒字は縮小の方向に進んでいくんではないか、かように考えております。
  65. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) 景気の見通しについてのお尋ねでございますけれども、確かにいま先生が御指摘になりましたように、雇用の問題につきましては、三月は原数値で百四十一万人の失業者、失業率といたしましては二・六という数字が出てはおりますけれども、しかしこれは一月から三月にかけましては毎年かなりの失業者の数字として上がってくる傾向でございまして、四月以降はこれから申しますようないろいろ内需の振興、経済活動の活発化というようなことでこの数字はずっと減ってまいりまして、五十三年度におきましては政府見通しのように五十二年度の百十五万人に対しまして百十万人程度、五万人の失業者の減ということを現在でも考えておるわけでございます。それを証しますように、有効求人倍率の方では毎月わずかではございますけれども徐々に上がってまいりまして、三月の数値は〇・五五という数字を示しておるわけでございますし、またもう一つの御指摘でございます業種間のばらつき、さざ波景気というような面で構造不況業種の問題と申すものは確かに深刻な問題はございますけれども、しかし生産活動その他経済活動一般の面におきましては、いま先生もおっしゃいましたように、十一月から生産指数がずっと各月上がってきておりまして、特に三月におきましては速報値で一・六というように対前月比増加を示しておるわけでございますし、また出荷の数字も非常に着実な増加を示しておる。したがいまして、在庫の方は前々から申しておりますように、三月、四月という面におきまして製品在庫を中心としてかなりの顕著な調整が行われるといった数字数字上確かめられてきておるわけでございます。したがいまして、操業率も、稼働率と申しますか、稼働率指数も三月かなり上がってきておるといったような状況で五十三年度に入っておるわけでございます。  さて、この五十三年度が今後どのような経過をたどっていくか、また五十二年度のように途中で息切れがするんではなかろうかという面でございますけれども、五十三年度におきましては、もうすでに先生御承知のように、例の公共投資の大幅な拡大というものが前倒しの施行ということも含めまして順調な拡大を示しておるということは数字の示すところでございますし、また民間住宅、これの新規着工戸数を見ましても二月が一一・二、三月が一五・八というように非常に顕著な伸びを示しておるわけでございます。また、せんだって住宅公庫の募集を行いました。その応募状況もきわめて順調な推移を示しておる状況でございます。  このように公共事業、民間住宅投資といったようなものがきわめて堅実な推移を示しておるというものとともに、また一つの問題になります民間設備投資でございますけれども、これも先行指標として考えられる機械受注等にはかなり明るい数字が出ておるわけでございまして、三月では前年同期比機械受注は、これは船舶を除いておりますけれども、四二・八という伸び率を示しておるという数字が出ております。また、前月比を見ましても三四・〇、これなどは非常に先行きをながめます場合には明るい数字ではないかと思っておるわけでございます。建設受注も、もちろんこれは公共事業等を中心に民間の方もかなりの伸びを示しておるということによりまして、こういった公共事業等の推進と、また先般実施いたしました金利の引き下げ等の推進という内需拡大政策、こういったものが次第に効果をあらわして、特に在庫調整がこの三月、四月でほぼ完了するといった点が一番今後の状況を推察する上におきまして五十二年度の状況と違っておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。  と申しますのは、昨年度はまだ在庫の問題で過剰在庫の問題が非常に大きなネックとして存在いたしておりまして、公共事業を拡大しいろいろな政策を講じたわけでございますけれども、この過剰在庫の壁を突き破ることができなかったというのが昨年の状況でございましたが、ことしは一応その過剰在庫の壁が突き破れたのではないかとわれわれは考えておるわけでございます。  したがいまして、今後例の十五カ月予算というものに基づきます公共事業の拡大、これが次第に実体経済に浸透するということは、結局民間の設備投資等々生産活動に結びついて後半には民間の活動にもかなりの活発性が出てくるんではなかろうか。そういう民需の拡大ということに期待いたしておるわけでございまして、そういった面から申しますと、この五千三年度におきます七%という実質経済成長率、これにはまさに五十三年度の出発点に当たりまして当初描きました軌道の上には乗っかっておるんではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  一つ先ほど需要項目で申し落としましたが、非常に大きな需要項目といたしましては個人消費支出がございますけれども、この個人消費支出も最近におきます毎月勤労者統計の、実質賃金の増加とそれから家計調査におきます異質消費の動向、この数字を見ておりますと、これもかなり明るいものを将来予測せしめるような数字が出ておるわけでございまして、そういった面から所得がふえ、しかも個人消費、農家等の消費をも含めました全世帯の消費といったものの、実質の伸び率が月々かなり着実に伸びておるということは、消費の面におきましても七%の経済成長を遂げる上において決して、暗い見通しではない。  そういったことを総合いたしますと、五十三年度は、五十二年度の最近の経済指標を受けまして、五十三年度末におきましては七%の経済成長というものが達成できるのではなかろうかと期待される次第でございます。
  66. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 先ほど来議論も出てますが、例の日米首脳会談で経済援助を今後三年間で倍増するという方向が出されているわけでありますけれども、当然その中には国際機関への出資もかなり増大をしていくということになるだろうと思うんです。  ところで、国際機関の従来のあり方について開発途上国からその運営が要求に十分沿うものでないという市があったり、またその融資先が反共軍事政権などに偏っておるんではないかという批判も出されていると思います。  そこで、まず大臣お尋ねをしますが、政府はその援助額を倍増をするということだけでなくて、このような批判にどう対応していくか、どのような理念で今後の援助をやっていくのか、また世銀など国際金融機関の運営について今後どういう改善の主張をしていくのか、まずその基本的な点についてお尋ねをしておきます。
  67. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 世銀は御案内のように当初は戦後の復興それから発展途上国の開発、これを目的にしているわけでございます。復興問題につきましてはほとんどもうその任務を果たしているわけでございます。今後は後進国に対する開発援助という点に重点が進められておりますし、それぞれ専門家がおりまして、それぞれのプロジェクトを持っておる対象国と協議の上、いま進めておるところでございます。  資金量につきましても、世銀は必要とあれば今度のように増資も求めてまいりますし、また日本におきましても世銀重要性にかんがみまして、先ほど御説明しましたように、日本銀行から特に向こうの要請に応じて貸し付けをしておるとか、あるいは世銀債の発行にも大いに協力いたしておるところでございます。  そういうことによりまして、今後、日本がかって世銀からの援助を受けたと同じような形で、現在の後進国がそれぞれ伸びていくことをわれわれは期待いたしておるところでございます。したがいまして、私たちといたしましては、いまの世銀がますます今後活躍することを期待いたしまして、われわれもその中の理事国の一国でございますので、そういう方向主張してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  68. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうも御答弁が私の質問のポイントに沿ってない。お尋ねしていますのは、開発途上国要求に十分沿うものとなってないんではないか、また、結果が軍事政権にとかく偏っているのではないかということでありますが、その点に沿って答弁してください。
  69. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) もちろん、これは軍事援助はいたさないたてまえになっているわけでございますから、そういうことはあり得ない、だろうと思うのでございます。あくまでも開発援助ということでございます。  それから第二点として、量的に途上国の要望を満たし得ないんじゃないかということでございますが、これはやはり全体の資金量の問題でございますので、すべての要望を満たすというようなことは、これは経済でございますから、なかなかむずかしい、だろうと思うのでございます。可能な限りやはりその辺は世銀当局は十分にらんだ上で資金繰りをしておりますし、私は現にそのようにしておると思っておるのでございます。
  70. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは少し具体的にお尋ねをしたいと思いますが、韓国に対する世銀の融資の問題でありますが、世銀の一九七七年の年次報告によりますと、韓国の工業部門の重機械プロジェクトに対して一九七七年の六月二十三日付で八千万ドルの貸し付けを承認をしているわけでありますけれども、具体的にはこれは韓国のどういう企業に対して融資が行われておるのか、御説明願いたいと思います。
  71. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 佐藤委員がただいま御指摘になりました融資案件は、第一義的な借入人は韓国政府ということになっておりますけれども、韓国政府からシュンダイ・インターナショナルという会社に転貸されることになっております。全額につきましては、ただいま委員の御指摘のありましたように八千万ドルということでございますが、この会社は、詳細は私ども承知しておりませんけれども、世銀の資料によりますと、韓国におきます大手の民間企業グループの一員でございまして、建設、自動車、造船、セメント等の企業が含まれるということを聞いております。  なお、世銀がこの会社を選択いたしましたのは、プロジェクトの目的でございます発電所、製鉄所、化学及び石油化学プラントに必要な設備製造のためにはこの会社が最もすぐれた技術と実績を有しているというふうに聞いております。
  72. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 世銀の年次報告によりますと、この重機械のプロジェクトについては主に製鉄所、発電所及び化学、石油プラントで使われる重機械や機具をフル操業で十万トン生産できるよう設計されている。製造設備はその他の分野の工業機具も幅広く生産できる柔軟性と多様性を備えている。このプロジェクトは技術集約的工業への構造的転換を企図する韓国政府の政策実現への大きな第一歩を意味するというふうに評価をされているわけでありますが、この世銀融資は一九七七年から実施をされている韓国の第四次五カ年計画、これに沿ったものというふうに理解をされるわけですか。
  73. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 御指摘のように、韓国の第四次五カ年計画に基づくものであるということを聞いております。
  74. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうしますと、この韓国の第四次五カ年計画は合計で約百億ドルの外資導入を予定をして世銀とかアジア開発銀行の融資、さらには日本アメリカ、EC諸国からの借款を受ける計画となっているということですから、今後とも世銀は具体的な韓国五ヵ年計画に沿うプロジェクトに融資を行っていくという方針だということでしょうかね。
  75. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) この第四次五カ年計画につきましてはつまびらかにしておりませんけれども、世銀の資料によりますと、第一には経済規模の拡大、それから第二には産業構造の近代化、第三には社会開発の促進のための投資財源の確保、第四には国際収支の均衡を図ること等を目的とする経済計画であるというふうに聞いておるわけでございますが、その計画全体につきましてどういうようなファイナンスをしていくのか、それにつきまして私どもは知っておりません。なお、今後この計画に沿いまして世銀がどういう参加をするかということにつきましても、これは世銀自体の問題でございまして、その個別の案件が起こりました際に私たちはそれを知ることができるということになろうかと存じます。
  76. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 外務省にお尋ねしますが、昨年第四次五カ年計画が実施されてから現在まで、日本の海外経済協力基金、輸出の円借款などがどれぐらい進んでいるか、具体的な現状というのについては把握できていますか。
  77. 中村泰三

    説明員中村泰三君) 第四次五ヵ年計画を始めました一九七七年から現在までの交換公文の締結状況は次のとおりでございます。  七七年の二月十日、農業振興借款に百二十六億円の円借款をコミットいたしまして、この交換公文を締結いたしました。同じく八月三十一日に超高圧送電施設計画に対し四十億円、忠州ダム建設計画に対して百四十億円、農業振興借款に対して六十億円、計二百四十億円、総トータルにおきまして三百六十六億円の円借款をコミットいたしております。
  78. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それの相手側の具体的な企業名とかそれからプロジェクトの内容、金利、返済期間、こういうものわかりますか。わかればちょっと時間の関係ありますので、できるだけそういう詳細内容、知り得る詳細内容を資料として提出していただけますか。
  79. 中村泰三

    説明員中村泰三君) さよう取り計らいます。佐藤昭夫君 この韓国の第四次五ヵ年計画に対して世銀の融資と日本の借款が具体的に進んでいるわけでありますが、私は心配をするのは、これが兵器生産に直接間接的に使われるおそれがあるんじゃないかという問題であります。ことしの一月十八日の朴大統領の記者会見でも、自主防衛を強調をし、基本国産兵器は量産体制を整え、原資材も国産化を開始したというふうに述べていますし、八〇年代に航空機と精密電子兵器を国産化する努力をしているというふうに朴大統領の記者会見で述べているわけでありますけれども、武器製造関連の設備については日本政府はいわゆる輸出禁止三原則というのが出されているわけでありますが、その内容をまず通産省御説明を願いたいと思います。
  80. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) お答えいたします。  政府といたしましては、武器の輸出については国際紛争等を助長しないという立場から武器輸出三原則を設定し、従来からきわめて慎重な態度をとってきたわけでございますが、これに加えまして一昨年二月、国会において表明いたしましたところの武器輸出に関する政府の統一方針に基づきまして、さらに一層厳しく武器輸出三原則を運用している次第でございます。今後とも火器輸出につきましてはこの方針に従いまして慎重な態度をとって臨んでまいりたい、このように考えております。
  81. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その内容を言っていただきたい。
  82. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) まず、武器輸出三原則でございますが、共産圏諸国向けの場合、それから国連決議により武器の輸出が禁止されている国向けの場合、三番目のカテゴリーといたしまして国際紛争当事国またはそのおそれのある国向けの場合、この三つの場合には原則として武器の輸出を認めないというのが武器輸出三原則でございますが、先ほども申しましたとおり、一昨年二月の国会におきまして統一見解を発表したわけでございます。  その内容は、一つは武器の定義をはっきりしたということ、二番目には武器輸出三原則地域以外の地域についても武器の輸出を慎むという方針を打ち出したこと、三番目には従来触れておりませんでしたところの武器製造関連設備、これは輸出貿易管理令別表第一の第一〇九と第七九に該当するものでございますけれども、このような武器製造関連設備の輸出についても武器に準じて取り扱うものとするということで、一段と厳しくかつ明確にしたというのが一昨年二月発表されたところの武器輸出に関する政府の統一見解でございます。  以上でございます。
  83. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その一昨年出された見解を繰り返されておるわけでありますけれども、一つは昨年の四月十四日当参議院の大蔵委員会で同僚の渡辺武議員が韓国に対するいわゆる経済援助をめぐる、それが結果的に武器生産の援助をするということになっているんではないかという問題についていろいろただしておる。そのことは御記憶だと思いますし、また去年の十月の予算委員会で、これはかなり各予算委員からもいろいろ韓国の企業に対する結果的な武器生産援助のおそれという問題が出されている。それに対しての政府の統一見解というのもこの当時出されておったということでありますが、このように国会でさまざま指摘をされておる問題について、具体的な調査をその後なさいましたか。
  84. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) お答えいたします。  調査と……、具体的にどういう意味の調査でございましょうか。
  85. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういうおそれが指摘をされたわけですからね。
  86. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) 技術輸出とか設備投資については通産省が答えるよりも、むしろ大蔵省の所管に属しますので、あるいは外務省の分野でございますので、そちらの方からお答え願うのが適当かと存じ上げます。
  87. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 去年の十月の予算委員会におけるこの種問題のいろんな議論のそういう経過を受けて、福田総理はこういう答弁をなさっているわけですね。  一つは、韓国内でいやしくも武器を生産する企業への投資、日韓合弁会社が武器を製造することは認めない。二、もしその企業が武器を生産した場合は、親会社の影響力を行使して改めさせる。三、さらに武器を生産すれば外為法で許可した投資目的が変更になり手続が必要になるから、そのとき政府の行政を行使してやめさせる。大筋こういう答弁をなさっているわけですけれども、こういう答弁といいますか統一見解といいますか、これを物差しにして実態をお調べになったかということで尋ねているわけです。
  88. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 私どもが所管いたしておりますところでは、海外に対する投資の問題がございますけれども、その問題につきまして現在まで許可しております案件につきましては、武器製造を目的とするおそれがあるかないか、その点につきましての判断は通産省にその了解を求めておるところでございまして、現在までのところ私どもはそういう案件はないというふうに理解いたしております。  それから技術協力につきましては、これは標準外の支払いをいたしますものにつきましては許可を要する、標準内の支払いのものにつきましては全くフリーになっておりますので、その標準外の支払いの分につきまして私どもが調べたところでは武器製造関連の技術の輸出はないということでございます。
  89. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) 投資の関連につきましては、私どもは産業政策局の方で担当しておりまして、きょうは来ておりませんので、私ども貿易局の方は輸出について担当しているわけでございまして、産業政策局の担当課長が参っておりませんのでその点についてはお答えすることができません。いずれにいたしましても、投資につきましては権限的に大蔵省の所管に属しまして、通産省は大蔵省等に協力するという立場にあることは申し上げることができるかと思います。
  90. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうも行政の管轄範囲を理由に答弁があいまいにされておると思うんですけれども、ぜひこの点は次回実際調査の結果、どういうことでどういう見解を持つんだということをぜひとも明らかにしていただく必要があろうと思います。  なお、大臣お尋ねをいたしますが、問題は今次法案との関係での世銀について、わが国の直接融資の場合はその武器三原則、これでやっていくわけですけれども、世銀のそういう武器製造関連施設への融資についての明確な今日禁止基準があるのかないのか、ないとすればわが国わが国のそういう基本的政治方針に沿って世銀の場に対してどういう提起をしていくのか、この点大臣お尋ねしておきます。
  91. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 世銀の貸付につきましては、私どもが世銀の当局に照会いたしましたところ、世銀そのものは開発途上国経済開発のために融資をするものでございまして、武器そのものあるいは武器製造を直接目的とした製造施設を対象に世銀が融資をすることはないというふうに私どもは聞いております。また、それが本来の世銀のあるべき姿でございますので、御指摘のような、その疑いがあるというような点をどういうふうにして解釈するのかという問題がございますけれども、先ほど挙げられました融資案件につきましても、これは韓国の経済開発のための融資でございまして、明らかに武器製造を目的とする案件に対する融資ではないことはいろいろな資料から私どもは確認をいたしておるところでありますし、今後ともそういうことはないということをここで申し上げられると思います。  世銀と申しますのは、共産圏の国も含めまして多数の国の参加を得ております国際金融機関でございますので、そういうような点は非常に厳しく多くの目で監視をされている機関である、かように解釈いたしております。
  92. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういう御答弁をなさっても、それはちょっとその場限りの言い逃れだという感を持たざるを得ないのです。さっき言いましたように、大分韓国の五ヵ年計画に基づいての世銀の融資計画というものが進行しておる。片一方朴大統領の方はそういう五カ年計画の中の一環として自主的な軍事力を持っていく、能力を持っていくんだということの演説をやっているというこことの関係でそういう疑いが持たれるという問題であるわけですし、そこで、仮定の問題であるにしても、そういうことはあり得ないとおっしゃっているのですが、たとえば世銀のいろんな運営規則なり定款なりそういうところで、結果的に武器製造に援助を行うということは断じてやらないという明確な規定でもあるのか。なければ、それはどういうふうに日本としてすべきだと考えているのか、重ねてちょっと大臣お尋ねします。
  93. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 世銀の目的自体が開発にあるわけでございます。したがって、初めから武器製油旭とは直接の関係がないことは当然であろうと思うわけでございます。開発いたすのは、それぞれの近代化を図るとかそういういろんな目的でやっているわけでございます。したがいまして私たちはちっとも疑いを持たないのでございます。日本が武器輸出の三原則を決めているのはこれは日本のたてまえでございまして、憲法のたてまえから言いまして日本はいま三原則ということを決めているのでございます。世銀世銀の目的で決めているわけでございまして、われわれがそれに同急をして加盟をし出資をしているわけでございますので、あえてそういうことを御心配なさる必要は私はないと思っておるわけです。
  94. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 目的がそういうふうにうたわれておっても、武器製造を結果的に援助をする結果につながっていくおそれがあるのじゃないかということで繰り返し言っているわけでありますけれども、この点はひとつぜひ、そういうおそれに対してどういう歯どめをかけるのかという問題について一遍政府としてもよく考えておいてもらいたいということで、その点重ねて私の意見を強調をしておきたいと思います。  時間の関係がありますので話をもう少し進めますが、世銀などの運営について開発途上国からの要望が十分満たされないという話がさまざま出ているわけでありますけれども、こういう問題について、たとえば投票権の配分という点で見ますと、先進七カ国だけで四八・三%、さらにイタリアグループ、カナダグループ、こういうところを加えますと五一・一%と過半数を占めているという、依然として改善はされてきているとはいえそういう現状にあるわけです。そこで、投票権のそういう偏重を是正をするために脱時点で日本政府として何か具体的な改善策というものを考えておられますか。
  95. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 世銀の運営に関しましてLDC諸国が不満を持っておられるという御指摘でございますけれども、何せ世銀各国出資に基づきまして、それを担保といたしましていろいろなソースから資金を調達して融資をしておるところでございます。したがいましてこれはその資源に限りがあるところでございます。LDCの側、融資を受けます側にいたしますといろいろな希望がある、したがってすべての御要望を満たすわけにはいかないというのは非常に明白なことであろうと存じております。その点はLDCのみならず、大きな出資国であります先進国の側につきましてもまた別の不測があろうかと思います。単にLDC側だけの不満を考えてこの問題を見るべきではないのではないかというふうに考えております。  それから第二は、現実の問題といたしまして、世銀の理事会では二十名の理事が出ておりますけれども、そのうちの九名はLDC側から出ておるわけでございます。したがいまして、おっしゃいますように、十一名が先進国でございますから先進国の声が大きいではないかということは御指摘のとおりであろうかと思います。しかし、非常に大きな部分出資先進国側からされておるわけでございまして、先進国側の国が出しておりますそういう出資先進国の国の資産でございますから、これは国民の税金をもって賄われておるものでございますので、その資産の管理につきましては十分明確な管理をしていただく必要があるわけでございますから、そこにはそれなりの言い分があろうというふうに考えるわけでございます。  それから投票権の問題でございますが、LDC全体といたしましては出資シェアは三〇%を割っております。しかし先ほど来申し上げておりますように、各国はその出資額いかんにかかわらず基礎票として二百五十票を与えられておりますので、この制度の結果LDC全体としての投票権は三六%持っておるわけでございます。したがいましてその意味でもLDCに対して優位な制度になっておる。もちろんそれは出資全体が少ないために過半数には至っておりませんけれども、そういうような事態の緩和を図っておる。  それからまた第三点に、過去のシェアの推移を見てまいりますと、一九五〇年には先進国投票権シェアは約七四%でございましたが、昨年ではこれが一〇%下がっておりまして六四%になって刈るというのが現状でございます。先ほど来御説明いたしておりますように、IMF増資をしますその同じパターンで世銀増資をしておりますので、こういうふうに、LDC投票権割合か徐々にではございますけれども将来ともふえてくるのではないかというふうに考えておるところでございます。  それから第四に、それでは日本として何かアイデアがあるのかという御指摘でございますけれども、こういうような体制を踏まえまして、片や、日本としては国民の税金によって賄われております出資をしておる国でございますから、それなりの国民に対する責任もございます。一方では、LDCの希望に対する理解も深める必要があるという立場でございまして、それらを踏まえまして今後は個々のそういう問題が起こりましたときにその立場を明らかにしてまいりたい、かように考えております。
  96. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう時間がありませんので最後にお尋ねをしておきますが、いろいろいまたくさん答弁なさいましたけれども、一番最後の、それならば具体的にどういうことをというそこが非常な抽象的な答弁に終わっているということでありますが、たとえば出資の額のいかんにかかわらず、一国当たり基礎票二百五十票というこの運営をもうベストのものと考えておられるのか、でき得ればこれをさらにもっと改善をするという方向考えておるのか、その点をお尋ねをしたいということと、それからもう一つ、最近アメリカがアジ銀の総会などでインドシナ三国への融資に、これについては反対だといったような発言もしている。そういういわば社会主義国よりも資本主義国の中の特に反共的な国々、こういうところへ重点を置く態度というものを発言をしているわけでありますけれども、たとえば世銀等の運営において、わが国としてはその体制のいかんにかかわらず、社会体制のいかんにかかわらず、世界の平和、各国の民生向上、これに適切な融資が行われるようやっていく、当然そういう方向をとるべきだと思うのでありますけれども、そういうアメリカの不当な動きがあった場合には、それを批判をして是正をさせていくという基本態度をとるべきだというふうに思うんですけれども、その点の決意をお尋ねをして、質問を終わっておきたいと思います。
  97. 旦弘昌

    政府委員旦弘昌君) 第一点でございますが、基礎票をふやすようなことを考えておるかというお話でございますけれども、この件につきましては、日本だけで決められる問題ではございません。それからまた、現在そういうような具体的な提案は出されておりません。したがいまして、将来この問題が起こりましたときには、その際日本としての立場を考えていくべきであろうと考えております。ただ、先ほども重ねて申し上げましたように、日本はかなり大きな出資国でありますし、その出資は国民の税金によって賄われておるものでございますから、その債権の管理、資産の管理が確実に保障されるようなことでなければ国民に対して申しわけないというもう一つの立場がございますので、その点も含めて今後考えていくべき問題であろうと思います。  それから第二のお尋ねの、個々の融資案件に対するアメリカ態度でございますけれども、これは個々の融資案件につきましては過半数で決めるわけでございますので、アメリカ意見がどこまで通るかということにつきましては、アメリカシェアが約二〇%ということでありますれば、おのずからそこは明らかなところでございます。  政治的な問題について私は答弁をいたす立場にございませんけれども、日本政府といたしましては政治信条、社会制度の相違にかかわらず、融資すべきものは融資するということで従来もきておりますし、今後もそういうことでいくべきものと考えております。
  98. 市川房枝

    ○市川房枝君 まず大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。  五十三年度の予算を見ますと、東南アジアを中心としてのいわゆる国際経済協力の総額が六千四百億円前後に上っている、このことは国民として大体賛成だと思うんですが、ただ納税者として、この金が相手国の一般の庶民にまで及んでいるかどうかという点で心配をしておるわけです。いままでに伝えられているところで見ますと、仲介に立った企業あるいは相手国の政府あるいは企業のふところに入ってしまっている、そういうようなことがあるので心配をするわけですが、大臣のこの問題についての御感想をまず伺いたいと思います。
  99. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは率直に申しまして、やはり援助を受ける側が何を希望するかということ、向こうが希望しないやつをやるわけにいかぬものでございますから、希望したものをやっておるのでございますが、大体におきましては、前には基幹産業とかそういったものがやはり日本と同じように中心でございましたけれども、このごろはだんだん運輸、通信、こういう非常に社会的に基礎構造といいますか、そういうものであるとかあるいは農業とか、そういった方向に重点が向いているように思っておるのでございまして、われわれもこの援助は有効に動いている、このように考えておるところでございます。
  100. 市川房枝

    ○市川房枝君 もう一つ伺いたいんですが、その経済協力の形式は二国間の協議といいますか、それと東南アジアあるいは国際的な機構の機関を通じてするのと二色あるように思うんですが、その割合を見ますというと、日本は二国間協議によるものが七〇%ぐらいだということで、それに主力が置かれているみたいですが、しかし私はむしろ国際機関、いわゆる世界銀行、きょうの問題になっておりますそういう国際機関を通じてする方が公平で、あるいはある程度チェックもできるし、それから相手国側の国民のプライドも傷つけないで済むんではないのか。そこで、その国際機関を通じてすることが望ましいと思うんですが、大臣はどうお考えになりますか。
  101. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 日本はどっちかと申しますと、国際的に見ますと、日本の全体の援助枠のうちで占める比率で見て見ますと、いま国際機関を通じてやる比率が非常に高い方に属しておるのでございます。それは何と申しましてもやはり国際機関の方が審査が非常に確実であるし、したがって、国民の税金を出すときにその管理が目的に沿っているという意味で国際機関に主としていま三一%ぐらいでございますが、そうやっておるのでございます。私たちはやはりそれはそれなりに非常に大事なことだと思っているのでございます。  しかしまた一方考えますと、日本の方はいわゆる二国間の贈与、これが少ないということで、これがやはりグラントエレメントの要素を非常に引き下げておるのでございます。協力基金とかそういうものを通じてやる借款がわりと高い、こういうことでございます。ですから、私たちは国際機関についても十分従来以上にやはりわれわれは協力してまいりますし、いまだかつて国際機関からあって、われわれは断った例がないのでございます。しかしまた同時に、二国間贈与の問題も考えていかないと全体のODAの要素が少ないとか、あるいは援助が伸びないとか、こういう問題がありますので、両面にわたって今後考えていったらいいのではないかな、そんなふうに考えておるところでございます。
  102. 市川房枝

    ○市川房枝君 次は、日本加盟しております国際連合あるいはその関係の機関、ILOその他に対しまして日本政府は分担金を払っておりますし、それから別に寄付もしているようですが、それを最後的に承認するのはやっぱり大蔵省だと思うわけですが、五十二年度でその総額はどれくらいになるか知りたいんですが、これはあとで資料としていただきまして、きょうは時間がありませんので、ILOに関することとそれから国際連合の国際婦人年に関する費用のことだけを関係当局からちょっと伺いたいと思います。  まず労働省の当局に伺いたいんですか、ILOはアメリカが脱退したので機構の改革あるいは人員の整理等で節約をしておりますけれども、別に加盟国に対して寄付をしてほしいという申し込みをしておるはずなんですが、五十二年度の分担金、それから寄付はいつ幾らぐらいなさいましたか、労働当局から伺いたい。
  103. 石田均

    説明員(石田均君) ただいまの御質問にお答えいたします。  ILOは先生お話しのとおり、アメリカの脱退によりまして非常な財政危機になりまして、去年の十一月にいろいろと問題になったわけでございますけれども、約五百六十五万ドルほどどうしても足りないということで各国から特例に金を出してくれ、こういう要請がございました。私どもといたしましては四月十二日でございますが、百万ドルILOの要望に応じまして任意的な拠出をすると、こういう通告をいたしております。  なお、日本の一般的な拠出金の額で申し上げますと、五十三年度で申し上げますが、約七百五十万ドルでございます。
  104. 市川房枝

    ○市川房枝君 まだお払いにはなってない、通告だけなすったわけですか。
  105. 石田均

    説明員(石田均君) まだ通告だけでございます。
  106. 市川房枝

    ○市川房枝君 ILO関係の人から聞きますと、向こうの会合の席で、どこの国は幾ら寄付してくれることになったんだ、ところがまだ寄付してくれないのはソ連と日本だけだという報告をしょっちゅうされるんで、実にいづらいというか恥ずかしい思いをしていると、こういうことなんですが、いま百万ドルというお話があったんですが、なぜもっと早く、そしてどんどん支払うことを、それやっぱり大蔵省がしぶるんですか。
  107. 石田均

    説明員(石田均君) 日本政府として特別拠出金を出す意思を決めるのがなぜおくれたかというふうな御質問でございますが、これは私どもといたしますと、やはり各国がどういうふうな拠出の仕方をするのかその様子を慎重に見きわめたいということが一つあったわけでございます。それからいま一つには、ILOに対しましては従来のような運営だけでは困る、もう少し改善をしてもらわなければならない、日本政府としてそう思う点が多々ございます。そういった点につきましていろいろ確認をいたしたい、そういう折衝なども積み重ねた上でやりましたので遅くなったということでございます。  ただ、先生御案内と存じますが、主要国の中で大体どのくらいの額出しておるかということを御参考までに申し上げさしていただきたいと存じますが、たとえば西ドイツが七十万ドルでございます。フランスが二十万ドル、英国が二十五万ドルというふうなことでございまして、日本の百万ドルというのは非常に大きな額でございます。それで、日本決定をして通告する以前におきましては、ILOにおきましてあるいは先生お話しのようなことがあったかと存じますけれども、現在ではむしろ逆でございまして、日本はよく百万ドル協力してくれたと、こういうことで大変評価をされておる、こういうふうに私ども聞いておりますので申し添えさしていただきたいと思います。
  108. 市川房枝

    ○市川房枝君 次は、外務省当局に伺いたいんですが、国連で一九七五年に国際婦人年という行事を行いまして、ところが予算がないというので各加盟国政府あるいは民間団体に寄付をしてくれということで、これは外務省もなさり、私ども民間団体も少しばかり寄付をいたしました。この国際婦人年は、御承知のとおりに国連婦人の十年というので期間が延びた、したがってその経費が要るというわけで、やはり日本政府の方に寄付をしてほしいという申し込みがきているわけのようですが、まだ日本は全然意思表示をなすっていないということを聞いているんですが、いつごろどれくらいなさる計画ができておりますか。
  109. 渡辺允

    説明員渡辺允君) お答え申し上げます。  国連での婦人関係の事業に対する日本の拠出につきましては、ただいま先生からもお話ございましたように、一九七五年に国際婦人年というのが行われましたときに任意拠出の基金ができまして、それに対しては日本政府としては三万ドルを拠出をいたしました。ちなみに、これは各国の拠出の中では上から六番目ということでございましたので、必ずしも少ない額とは言えないかと思います。  御質問の、国際婦人の十年の任意拠出基金と申しますのは、この国際婦人年のための基金が七五年の国際婦人年の行事が終わりました後若干の剰余金が出たということで、それをもとに新しくその十年にわたる任意拠出基金をつくるということになったわけでございます。これは一昨年の秋の総会でそれが決められたと承知しておりますが、日本政府は先生御指摘のとおりまだ実は拠出をいたしておりません。  この基金につきましては、たとえば米国等はすでに拠出を決定しておるようでございますが、イギリスフランス、それから西ドイツ、カナダ等ヨーロッパの国もまだ恐らくそれぞれの事情があってかと思いますが、拠出の意志を表明しておらない状況でございます。  御承知のように、もう一つ婦人の関係ではアジアのESCAPのアジア婦人センターというのがイランにございまして、これは七七年度に五万ドル、それからまた五十三年度、今年度にも五万ドルをそれぞれ拠出することにしておるわけでございます。  そういう次第でございますので、私どもとしても婦人関係の事業のためにできるだけの拠出はいたすよう考えてきたつもりでございますけれども、今回の先生御質問の基金につきましては、五十四年度予算の作成もこれから始まるところでございますし、その全体の枠組みの中で私どもとしても検討させていただきたいと思っております。
  110. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまお話のESCAP、アジアの方の婦人関係のイランに設置された機関に対しては、日本政府は五万ドルお話しのように。それから、ことしも何か予算にのっているらしいんですが、それが一番大きくてたくさんで、えらい向こうとしては感謝をしておるようでございます。これからのはこの五十四年度の予算で考えるというお話でしたが、この八〇年の婦人会議、もう場所もイランと決定をしておるようですが、準備委員も決まった、日本も準備国に入っておるようですが、本当はそのぐらいに一応金額が決まって報告されておれば、出席をする日本の代表が大変安心をするといいますか、あるいはそこでまたほかの国の金額なんか読み上げられて、そして日本はまだだなんて言われると小さくならなきゃならないんですが、どうせ出すものなら私は早くというか、あるいは経済協力、先ほどからのずいぶんたくさんなんですが、国際連合あるいはその関係の平和を目的としているそういう国際団体への寄付は大分ふえて感謝されているというお話があり、まあILO百万ドルはわりあい大きい金ですが、だから今後もやっぱり、大蔵大臣おいでになりませんが、大蔵次官の方で、ひとつそういう面への分担金あるいは拠出金というものを少しふやしていただいて、そうすればあそこで世界じゅうの国が集まっておるわけですし、ですから日本というものに対する信頼というものがそういうところでも評価されることになるから、金が生きるとでも言いましょうか、そしてわりあいに早く決めて、ほかの国が何ぼということを見てからそれから決定するんだというお話もありましたけれども、それも一応そうでありましょうけれども、なるべく早くということをこの機会にお願いを申し上げておきます。次官から何かちょっとおっしゃっていただいて、私の質問を終わります。
  111. 井上吉夫

    政府委員(井上吉夫君) 御趣旨十分承りましたので、外務省当局とも協議をいたしまして対応したいと思います。
  112. 市川房枝

    ○市川房枝君 ありがとうございました。
  113. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認めます。  本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  次回は、五月三十日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会      —————・—————