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1978-04-20 第84回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      丸谷 金保君     竹田 四郎君  四月二十日     辞任         補欠選任      岩動 道行君     衛藤征士郎君      河本嘉久蔵君     浅野  拡君      佐藤 昭夫君     宮本 顕治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 藤田 正明君                 細川 護照君                 福間 知之君                 塩出 啓典君     委 員                 浅野  拡君                 糸山英太郎君                 衛藤征士郎君                 梶木 又三君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 宮田  輝君                 穐山  篤君                 竹田 四郎君                 矢田部 理君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 渡辺  武君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        大蔵政務次官   井上 吉夫君        大蔵大臣官房審        議官       福田 幸弘君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省主計局次        長        禿河 徹映君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        国税庁間税部長  矢島錦一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部調        査課産業調査室        長        関根 芳郎君        公正取引委員会        事務局取引部景        品表示指導課長  土原 陽美君        宮内庁長官官房        審議官      藤巻清太郎君        外務大臣官房外        務参事官     枝村 純郎君        厚生省公衆衛生        局精神衛生課長  目黒 克己君        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  七野  護君        厚生省薬務局審        査課長      新田 進治君        農林大臣官房参        事官       田中 一昭君        食糧庁総務部企        画課長      野明 宏至君        食糧庁総務部検        査課長      中山  昇君        通商産業省機械        情報産業局航空        機武器課長    山田 勝久君        運輸省航空局監        理部総務課長   山田  宏君        自治省財政局調        整室長      小林  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○各種手数料等改定に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十九日、丸谷金保君が委員辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。  また本日、佐藤昭夫君が委員を辞され、その補欠として宮本顕治君が選任されました。
  3. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び各種手数料等改定に関する法律案便宜一括議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 穐山篤

    穐山篤君 最初酒税の関係についてお伺いしますが、清酒の問題については本委員会でかなり時間を割いて審議がされております。総合的な判断として、与野党を問わず、酒税を通して財源の確保を図ろうということは当然のことでありますが、清酒——別名で言えば日本文化とも言うべき清酒産業についてどう遺産を受け継いでいくかということが私は全体の気持ちではないかというふうに思うわけです。ビールにしろあるいはウイスキーそのものについては、原材料がそれほど値上がりをしておりませんので議論はわりあいに少ないわけですが、酒の場合には米が主たる原料になるわけです。この原料が年々上がっていくということになれば必然的に清酒価格影響をしてくる、これは物理的には当然の帰結だと思うんです。審議を通していろんな障害があることもはっきりしたわけです。したがって、どう清酒、酒造というものを守るかということになりますと、産業政策として決断をする以外に方法がないのではないだろうかというふうに考えます。もちろん、それは税の面で政治的な決断を下すか、あるいは原材料の分野で決断を下すか、あるいはその他の視点からこれを支えるか、いろいろな方法があると思うんです。しかし総体的には日本酒というものを守れ、守っていこうではないかということに私はなるものと思います。したがって、私はもう技術的なことをこの段階でお伺いするつもりはありません。もはや政治的に決断を迫られている時期だというふうに思いますが、その点について大臣の御見解をいただきたいと思います。
  5. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま穐山委員がおっしゃったとおりに考えておるわけでございます。  それで、二つの点から考えておりまして、一つ原料の方で、食管制度の枠内でできるだけのことをしようということと、それからもう一つは税の面で、一般増税のときには引き上げ幅を、十分その点を勘案して引き上げ幅を少なくする。将来減税なんていうことはないと思いますけれども、なかなかむずかしいと思いますが、減税するときには大幅にと、このように考えておるわけでございまして、税の面でも手当てをしなくちゃならぬと思うのでございます。もう一つ補足的に、今度の安定法にありますように業界合理化を図っていく、それに政府もできるだけ協力する、こういう三つのやり方でやっているわけでございます。今後ともこの方法を進めてまいるのでございますが、この方法で一体いつまでやることができるかどうか、この辺がこれから大きな問題点になってくると思っておるところでございますが、引き続きやはり清酒というものを守っていく立場で、財政物資として日本古来の酒でございますので、何とかこれを維持発展させたいという観点から今後とも真剣に検討をしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  6. 穐山篤

    穐山篤君 ぜひ積極的に産業政策を守る、推進するという立場をとっていただくわけですが、これから業界が挙げていろんな構造改善に取り組んでいくことはそのとおりだと思います。考えられますことは、品質について改良するということは当然期待ができますが、コストを下げるということは非常に至難だというふうに、この業界の性格から考えてみて無理だと思うのですね。そうしますと、ビールウイスキーのような調子で物を考えるということは私は誤りではないかというふうに思います。過去の税金増税のサイクルから考えてみましても、ここ一、二年の間に酒の問題について、日本酒のあり方の問題について十分な検討をしていただきたいと思うのです。酒を税金という立場大蔵省が持っていくわけですけれども原料は農林省。そうしますと、やっぱり産業政策の面から考えてみて、もう少し連携プレーをよくしてもらいたいというのがこれまた一致した意見だと思うのです。ぜひそういうことを考慮をして、ここ一、二年の間に結論が得られるように努力をしていただきたいというふうに思います。  さて、その次にウイスキーの問題です。これも大いに議論をされたわけですが、私は特殊な問題で恐縮ですけれども、いま市販されております国産のウイスキーの中の最南のものはサントリーザ・ウイスキーという五万円の小売価格表示されているウイスキーですね。その次の値段のものはたしか一万五千円ですね。その次が八千円というふうに私は承知をしているわけですが、この五万円のウイスキーというのは、飲んだことがありませんのでよくわかりませんけれども、これはどういう品物——品物と言っちゃ語弊がありますが、どういう原料を使ってどういうふうにつくられたウイスキーであるのか。それから、小売価格が五万円ですけれども税金が幾らになっているのか。私の仄聞したところによりますと、どうもびん代が一万円前後というふうにある店で聞いたわけです。ですから、五万円の中身を大ざっぱにひとつお伺いをしたいというふうに思います。
  7. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御指摘の一番高いザ・ウイスキーというウイスキーでございますが、この原料につきましては、サントリーの方といたしましては最南のモルトウイスキーを使い永して、長い間貯蔵いたしました選び抜いた最高の原料と、それから破局の技術をもってつくっておるというふうに主張しております。  それから値段でございますが、ザ・ウイスキーの場合は七百六十ミリリットルでございますが、標準的な小売価格が五万円でございます、おっしゃるとおりでございます。そのうち標準的な卸売価格は四万円、生産者の出し値といいますか、生産者価格は三万七千三十七円、ただしそのうち酒税が一万七千五百六十四円八十銭。そうしますと、税抜き生産者価格は一万九千四百七十二円二十銭ということになります。それから、容器代につきましては約一万円というふうに聞いております。
  8. 穐山篤

    穐山篤君 一応各種の酒というのは嗜好品というふうに決められているわけですが、小売価格が五万円ということになりますと、嗜好品の域を超えて、どちらかといえば奢侈品の部類になるのではないかというふうに思うわけです。   いまお話がありましたように、小売価格が五万円であったにいたしましても税金は一万七千円台ですね。一般的に、他の酒にしましても何でもそうですが、従量税でいっているわけですけれども一般の人々が酒を飲むあるいはビールを飲む場合に、おれが飲んでいる一本のビールの約半分は税金だなと、そういうふうに承知をしながら飲むときもしばしばあるわけですよね。そういう国民的な感情をいまのザ・ウイスキーに当てはめてみますと、五万円のうちたった一万七千円かと、これも無理からぬ国民的な感情だと思うんですね。これは小売価格にかかるものと蔵出しの量にかかるものの違いですから、厳密な意味でいえば理屈どおりでしょうけれども、国民感情的にいえば、非常に高級品には税金が安いじゃないか、そういう誤解を与え、政府巨大資本に奉仕しているじゃないかという理屈をいつも言われるわけです。ですから、少なくとも嗜好品としての域を超えているようなこの種のものについては税金考え方を変えてもいいのではないだろうかというふうに思いますが、その点いかがですか。
  9. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 最初に御質問の中で御指摘になりました、五万円で買う——なかなか自分では買わないんでしょうが、特殊なところに置いてある。五万円のものの税金が一万七千円ちょっとで、ほかのビールだの、あるいはもっと安いウイスキーに比べて何となく税金が少ないではないかという御指摘につきましては、一実は約一万円が特殊なびん代ということでございますので、いわば一万円のぴんと四万円のウイスキーを買った、それで楽しんでおるというようなことになるということをまず御理解いただきたい。四万円弱のウイスキーに一万七千円ぐらいの酒税がかかっておるということでございますので、まあ一番高い従価税が適用されていることは当然でございますが、従価税を適用されている限りにおいて、特殊なびんの代金を別にお考えいただけば、負担率はほかのものと同じになっているわけでございます。  それから第二点の、そういう非常に高いものはやはり消費税として特殊の課税を考えてもいいではないかというのは、かねてからそういう御意見、御指摘はございます。特にそういう考え方が強く出されてくるようになりましたのは、たとえばナポレオンの帽子と称するものを二千万円で買った、この場合は税金がかからないのはおかしいというような話がございまして、非常に高額な商品については特殊の負担を求めてはどうかということで、いろいろ勉強をした時期がございますが、結論から申しますと、なかなかいい答えが出なくて、そのまま研究課題に残されております。と申しますのは、たとえば、西陣花嫁衣装も当然その対象になるが、しかし、昔、物品税がかかっていたものがいろいろな経緯で現在はかかっていない、うまくいくかというふうな問題がございます。  それから、原価と非常に飛び離れておるではないか。——西陣の場合は原価が高いんだと思いますが、原価と非常に飛び離れているからそこを、ということになりますと、実はこれまた、こういう場所で名前を申すのもどうかと思いますが、たえとばカルダンのネクタイとかディオール婦人服とかいうものは、原価でいえば恐らく問題にならない、要するにそういう一種のイメージで皆さんがお買いになっているものだ。ですから、そういう角度からの物の考え方というものもなかなか整理できないものですから、一つ研究課題であるなと言われながらそのままになっております。  そこで、そこをさらに発展させますと、恐らく今度はおしかりを受けるようなことになってしまって、小売価格なり卸価格なりのベースでの一般的消費税というものがあればそれなりに負担していただけるわけでございますが、それはそれでまたなかなか別の角度で御反対も強いというようなことで、なかなかいまのところ税制上非常にわかりすやい結論というものが出てこないという状況にあることを申し上げておきます。
  10. 穐山篤

    穐山篤君 私は、何でもかでも税金を高くしろという意味じゃなくて、水平的な立場あるいは垂直的な立場でも公平にするということを考えますと、いま西陣の話も出ましたし、それからディオールの話も出ましたけれども、やっぱり公平感を欠いてはならぬのではないかというふうに思うわけです。この五万円のウイスキー議論をまつまでもなく、酒税全体について従量税でしばらく据え置くのか、あるいは従価税にすべて切りかえていくのか、この論争が依然として現にありますし、これからも続くわけです。税制調査会もその点について触れているわけです。長年これは税制調査会でも検討されて一定の見解が出されているわけですから、もうこの辺で結論を出さなければならぬ時期だというふうに私も考えますが、その点いかがですか。
  11. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) おっしゃいますように、全体的な公平感はもちろん大事でございますし、課税対象となっているものの中での、公平だと皆様が納得してくださるような姿を追求するということは一番基本的に大事なことだと考えております。その場合に、小売価格に対して負担を求める、その負担の求め方が高い値段のものから低い値段のもの京でが順序に並ぶということが公平であるんではないかという一つ角度は当然あるわけでございまして、その角度からしますと全面的な従価税小売価格ベースでの従価税の方が望ましいという意見は当然ある。ある時期に非常に強くそういう主張が前面に出まして、酒全部を従価税にしてしまおうということでかなりの検討が進められた時期がございます。ただ、実際にそういうことを研究し、ある試案までつくっていろいろ御相談をしてみましたところが、やはり中小メーカーを主としてそういう方々から、一律従価税に移られると、ほかの原因でコストが上がって価格を上げざるを得ないときに価格プラス税の分を上げるということになり、なかなかその転嫁ができないという現実問題が指摘されまして、したがって清酒の一級、三級はいまだに部分的にも従価税が入っていないという状況でございます。  それからビールは、これは従量税を定期的に調整することで、大体製品価格がみんなそろっておりますものですから、現実問題として処理できるのではないかというようないろいろなことがございまして、ただいまのところ、穐山委員承知のように中期答申では一時に比べますと全面移行という考え方がやや後退しておりまして、従量税から従価税に移行する場合の現実的なむずかしさもあるということも念頭に置きながら、しかし方向としては、現実にできるものから従価税に移行することを考えたらどうかという御指摘を受けているわけでございます。一番新しい税制調査会考え方というのはいま申し上げた考え方になっておりますので、私どもも今後できるものから従価税へというのを基本的な方向として研究を続けてまいりたいと思っております。
  12. 穐山篤

    穐山篤君 では、酒はその程度で終わりたいと思いますが、最近、ビールウイスキーの売れ行きが非常に驚異的ですね。ビールはそのまま飲む人が多いわけですが、ウイスキーの場合には連れ子がありまして、ストレートで飲む人もないわけじゃありませんけれども、まあカクテルにしたり水割りにしたりオン・ザ・ロックに、いろいろな飲み方をするわけですね。  そこで私は、水の問題について以下質問をしたいと思います。  水といいましても、いわゆる水道水——これは水道水の水です。よく飲みに行くときに出されます水というのは、いわゆるミネラルウォーターと言われております特殊な水ですね。その特殊な水、ミネラルウォーター、このミネラルウォーターにつきましては、過去の歴史でいきますと、昭和四十七年の多分七月ごろだったと思いますが、二つの事件があったわけですね。  一つは、ミネラルウォーターの中から特別なものが検出をされてそれが問題にされた。それからもう一つ問題点は、同じころでありますが、主婦連盟から表示の問題を通して公取に問題が持ち込まれた。まあ言ってみれば行政のレベルに問題が持ち込まれたといういきさつがあるわけです。公取としてもその問題について努力をされていることはよくわかりますが、どういうところが問題でどういうふうに対応をされてきたか、あるいはこれから対応しようとしているのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  13. 土原陽美

    説明員土原陽美君) お答えいたします。  ミネラルウォーター協会から、昨年、表示基準をつくりたいというお話がございまして、私どもといたしまして表示連絡会という会を開催いたしました。これは消費者とか学識経験者、あるいは事業者の方に集まってもらっていろいろ検討する会でございますが、ここで一度検討をいたしました。  ミネラルウォーター成分規格につきましては、国内的にもまた国際的にもほとんど基準がないという状況でございまして、ミネラルウォーターと普通の水とどこまで違うのか、どう違うのかというところが非常にあいまいでございますし、定義をつくるというのが非常にむずかしいという問題が一つございます。  また、その表示連絡会でいろいろ検討しましたときに、ミネラルウォーター需要というのが業務用にほとんど偏っておるということもございまして、消費者の関心というのが非常に薄いという状況でございます。そういうようなことでございまして、公正競争規約ということでつくっていくという際には、やはりいろいろむずかしい問題というのを少し時間をかけて検討する必要があるんではないかという気がしているわけでございます。しかしながら、将来需要がふえていくということも十分予想されますし、また、一般ミネラルウォーターというものが普通の水よりはいいんであるという思われ方もしているようでございますので、私どもとして今後とも勉強していきたいと思っております。
  14. 穐山篤

    穐山篤君 内容的なことはこれから逐次御相談をしますが、紛争が起きてからかなり時間がたっているんですね。公取公取としての御努力をされているし、協会業界としても御努力されていることはよくわかりますけれども、しかし、紛争が長い期間続くということは好ましいことではないと思うんですね。特に、いま私、ここに見本を持ってきているわけですが、これは飲む物ですね。これがにおいをかいだりするような物ならばしばらく時間がかかってもしようがないと思いますけれども、少なくともこれは人間の口を通して体内に入る飲料水なんですね。その飲料水について研究の時間が長過ぎるというのは、私はサボっているとは言いませんけれどももうこの辺で節目をつけていいんじゃないか、何が実は障害になっているのかというところをもっと明らかにしてもらいたいと思います。
  15. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 先ほどお話しいたしましたように、ミネラルウォーターというものをどういうふうに定義するか、どういう基準のものをミネラルウォーターと言うかというところが一番のむずかしい問題ではないか。私ども専門家でございませんので、その辺なかなか判断しにくい、これは専門官庁、他官庁とも十分相談しなければ、なかなか判断はむずかしいだろうというふうに思っております。
  16. 穐山篤

    穐山篤君 それでは厚生省の方にお願いをしますが、現行の水道法によりますと、水道法の第四条で水道水基準というものがあります。それをさらに砕きまして施行令あるいは省令その他でずいぶん水の問題については規制がされております。これは、日本は国際的にきれいな水だとは言われておりましても、やっぱりこれも人間の口に入る飲料水ですから、相当細部にわたった検査基準というのがあるわけです。ところが、その他の飲料水清涼飲料水につきましては、ある程度の限定された規制はあります。沈でん物があってはいけないとか、あるいは混濁してはならないとか、おおむね四つか五つぐらいの項目はありますけれども水道水検査基準に比べまして他の飲料水検査基準水質基準飲料水基準というものはきわめて抽象的てありますし大ざっぱであるわけですね。その点、食品衛生立場から言って片方の水道水を厳しくして、一方のその他の清涼飲料水について厳格な規制がないというのは特別な事情があるかどうか、その点をお伺いします。
  17. 七野護

    説明員七野護君) 清涼飲料水成分規格の問題かと思いますが、御存じのように、食品衛生法におきまして、ミネラルウォーター清涼飲料水として取り扱っていることは御案内のとおりでございます。  そこで、その清涼飲料水成分規格、これが一体どうなっているかということでございますが、この清涼飲料水の場合には、まず清涼飲料水をつくる場合ですね、この製造業者でまず食品衛生法上のしばりがかかっております。これは御存じのように、公衆衛生に与える影響が著しい営業であって、この施設について業種別公衆衛生の見地から必要な基準を知事は定めなければならないということになっておりまして、現在三十四業種対象業種にいたしております。その中に、清涼飲料水製造業許可業種としてまず規制をいたしております。  そこで、この清涼飲料水を製造する場合には、いま申し上げましたように製造業というしばりがまずございまして、さらに食品等規格及び基準の中で清涼飲料水成分規格、それから製造基準をさらにしばりをかけておるということでございます。この食品等規格及び基準に基づくこの基準は、公衆衛生の見地から販売の用に供する食品について厚生大臣は成分についての規格であるとか、製造加工についての基準を定めるということになっておりまして、先ほど御指摘のように、清涼飲料水につきましては、成分規格といたしまして、「混濁したものであってはならない。」、それから「沈殿物」が「あってはならない。」、それから定められた試験法による「ヒ素、鉛その他の重金属を検出するものであってはならない。」ということで、さらに「大腸菌群が陰性でなければならない。」ということで、重金属に対する規制、それから大腸菌群に対する規制ということで成分規格が設けられております。  さらに製造基準では、いわゆるガラスびんを使った清涼飲料水につきましては、まずそのガラスびんを王冠による打栓等によりまして密栓または密封をしたものであるということにいたしまして衛生上の確保を図っておるわけでございます。  水道法についての御下問でございますが、水道法は先ほど先生のお話にもありましたように、これは水道法によります水、これはまさしく水は私たち人間の生命の維持、活動に欠くことのできないものであることも間違いないわけでございまして、現在私、水道法の所管ではございませんが、水道法の中を見てみますと、「水道が国民の日常生活に直結し、その健康をまもるために欠くことのできないもの」というふうに響いてございますし、またさらに「用語の定義」の中にも、「水を人の飲用に適する水として供給する」というように、飲用に適した水を給供するというのが目的であろうかと思っております。そういう点で、水道による水と、先ほどから御指摘のありますミネラルウォーターとは、同じ口から入るといたしましても、やはりそれ相応にある程度の差異がある、かように私は考えております。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 このミネラルという清涼飲料水は、各都道府県の許可、認可ということになっているわけですが、世間に出回っておりますいわゆるミネラルウォーターというのは何種類ぐらい、あるいは何会社ぐらいあるか御存じですか。
  19. 七野護

    説明員七野護君) そこまで把握いたしてございません。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 把握されていないものが販売の用に供されているということになるわけです。  さて、先ほども公取からお話がありましたが、ミネラルウォーターの定義がはっきりしない。定義がはっきりしないというのは、お気持ちはよくわかりますけれども、しかし市販されておりますものをそれぞれ見ますと、ああ、こういうものがミネラルウォーターかというふうに感ぜられるような表示をしているところもあるわけです。あるいは全く水道の水であるのか、あるいは一遍水道の水を煮沸して、冷ましてこの中に入れた水であるのか、そういうことが全然皆目見当つかないわけですね。きめ細かい話は別にしまして、大ざっぱに言って、こういうものがミネラルウォーターだというふうな概念と言いますか、考え方というものをどんな程度に規定をされておりますか。公取でもあるいは厚生省でも結構です。いわゆるミネラルウォーターというのはどういう概念のものか。製造基準なりあるいは保存基準、細かいことは私はいま質問するつもりはありませんけれども、どういう程度のものをミネラルウォーターと言うのか、お伺いしたいと思います。
  21. 七野護

    説明員七野護君) 先ほども申し上げましたように、食品衛生法上、たとえばミネラルウォーターとしての製造基準であるとか成分規格というものはございません。先ほどから申し上げておりますように、清涼飲料水の中でミネラルウォーターをとらえて、いろいろな規制なり指導なりを実施しておるということでございますので、御了承いただきたいと思います。
  22. 穐山篤

    穐山篤君 それじゃ公取にお伺いをしますが、公取はトラブルがあった後で公聴会をされたわけですね。
  23. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 公聴会はやっておりません。
  24. 穐山篤

    穐山篤君 公聴会をやっていないですか。参考人を呼んだということですか。
  25. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 表示連絡会ということでございます。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 そのときに協会側も、この公正競争規約について努力をしてみよう、あるいは表示についても自主的に努力してみようという経緯が残っておりますね。そして昨年協会独自で考えられたかどうかわかりませんけれども、ミネラルに関します一定のまあ自主規約というものがつくられて公取にも提示をされているわけですね。その中には、おおむねミネラルというのはこういうものだというふうな定義、あるいはミネラルの種類が書かれているはずですね。それを受けて、当然公取あるいは食品衛生厚生省立場からいってみても、研究を進められていると思うのです。なかなか判断がむずかしいということはわかるけれども、せっかく業界から具体的な問題の提示があるわけです。ですから、今度はお役所側が受けて立ってそれにこたえる立場ではないかと思うのです。その点どうでしょう。
  27. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 現在ミネラルウォーターということでいろいろな商品が出て、それは中にはミネラルウォーターと言っていいのかどうかという問題のものもあるかもしれないという状況にあることは確かだと思います。そういう意味では、何らかの言葉の使用についての整理というものが必要であるということは考えられるわけでございますが、業界の方で基準をつくって、こういうものではどうかという案が確かにございますけれども、その案でいいのかどうかということを判断するのは、これはなかなかむずかしい。ミネラルウォーターというものについての実際の考え方も、あるいは専門家の考え方も、いろいろであるようでございますし、その辺はもう少し十分時間をかけなければならないのではないかと思っております。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、このミネラルというのはいろいろなところに使われているわけですが、たとえば個人の消費量、消費の割合と、いわゆる業務上の——病院だとか、あるいは飲食店だとか、そういった業務上で使われている割合とか、あるいはどのくらいのケースが年間に出ているかというふうなことは調査されたことがありますか。
  29. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 正確には調査したことはございません。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 時間をかけてよく研究をしたいということは、一面わからぬわけではありませんけれども、国内では業界から一つの問題の提示がされた。それから、国際的には保健機構でミネラルというものについて定義あるいはその他について目下審議が続いているわけですね。ですから、その二つというものが参考になって一定の見解を示さなければならぬ段階にあるのではないかと私は思うわけですが、この国際的なWHOの審議の経過、あるいはその試案というものについてどういうふうにお考えですか。
  31. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 国際的な基準についていろいろ検討されておるということは聞いておりますけれども、まだ結論を得るに至っていないという状況のようでございます。  で、ミネラルウォーターというそういう表示のついた商品そのものは、もともと外国で広く売られているものでございますし、国際的な基準が定まってくれば、それが非常に参考になるんではないかというふうに思います。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 日本は昔から水というのはきれいな水だし、あるいは衛生管理からも非常に手を加えておりますから、水に関してはアメリカやヨーロッパよりも先進国では血いかというふうに思うわけですね。ヨーロッパを旅行をしてみますと、生水を飲むなというふうに日本からみんな言われて行くわけですね。ソビエトで出されるミネラルウォーターも、あるいはローマで出るミネラルも、あるいは香港で出るやつも全部硬度が高いんですね。ミネラルと言っているけれども、かたさが三百ぐらいですね。あるいは五百というような高いものもある。しかし、日本は水そのものがやわらかいと同時に、このミネラルは多分八十から百ぐらいだろうというふうに思うわけですけれども、そういう意味で言うと、国際機関におきますミネラルの審議のことを考えてみれば、機械的に全部一本調子で保健機構が決めることは無理だと。そこで、アジアにおけるミネラルの定義あるいは製造基準というものがつくられるだろうし、アメリカ大陸における地域別の定義が下されるだろうし、あるいはECの地域帯のものが下されるというふうになるのは当然だと思うんです。ですから、ヨーロッパのミネラルというものを参考にするよりも、日本独自の考え方、定義というものを積極的に国際的な舞台に持ち出していくということが少なくともいい水を持っている日本立場ではないか、あるいはミネラルの立場ではないかというふうに考えます。  ところがどうしても、どうもお役所の仕事というのは非常に遅い。何か原因があるのではないか、別な原因があるのではないかというふうに勘ぐられてもしようがないじゃないかと思うんですが、そういうことを含めていかがですか。
  33. 土原陽美

    説明員土原陽美君) ミネラルウォーターの具体的な基準をどうするかという問題は、むしろ私ども公正取引委員会の仕事の範囲を越えているのではないか。そういう基準がある程度定まってきたところでそういう表示をする、その表示がそういう基準と比べて不当かどうかというときに私どもの問題になるというふうに思います。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 国際的な話はもうぼつぼつやめますけれども、たとえば保健機構で議論されておりますものを見てみますと、天然沸騰性ミネラルウォーターという第一の種類がありますね。二つ目には非沸騰性ミネラルウォーター、一三番目には脱炭酸天然ミネラルウォーター、第四には炭酸添加天然ミネラルウォーター、非常に種類が多いわけですね。これはヨーロッパにしろアメリカ大陸でもそうですが、水が悪いものですから、結局こういうふうな手を加えたものを含めてミネラルウォーターを製造せざるを得ない地理的な条件があるわけですね。ところ、が日本の場合にはそれほどむずかしい地理的な条件、水利的な条件にはないといういい面もあるわけですね。  私どもの方の守備範囲ではないというふうに突っぱねられると、これはどこと話をしていいのかよくわかりませんけれども、少なくとも私は日本の水、あるいはミネラルウォーターについて言えば、日本は先進国だという立場で、もっと真剣に取り組んでもらわなきゃ困るということを一つ注文をしておきたいというふうに思います。  さてその次に、協会から出ておりますのは研究されておりますね。昔はいろいろな表示がされておりました。力がつくとか、あるいはこの水を飲めば赤ちゃんがよく眠るとか、いろいろなことが書かれていましたけれども公取の指導あるいは業界の自主的な規制でそれはなくなったわけです。しかし、市販されているものを見ますと、いろいろな表示がされているわけですね。  きょう私がここに持ち出してきましたのは、サントリーとニッカとクリスタルと奥利根ですか、この前者の三本はほぼ同じような表示であります。これは一遍大臣もちょっと見ておいてもらいたいんですが、ところが一本について、奥利根というのは、福田総理大臣のところで出る水なんですけれども表示がずいぶん違うんです。この奥利根というのは、ミネラルウォーター奥利根と書いてありまして、含有成分及びその分量というのが事細かに全部書かれているんです。これがミネラルウォーターだという、そういう評価だろうというふうに思うんです。こちらの三本につきましてはそういう表示が一切なされていないんです。表示の問題についてまだ結論が出ていないということですから、全部統一することはできないと思いますけれども、片方ではものすごく厳密な成分が書かれておって片方では書かれてない。こういうことについては、まあ黙認といいますか、それはしようがないんだというふうにお考えですか。
  35. 土原陽美

    説明員土原陽美君) いまのところは、その辺は企業の任意の表示ということで、あってもなくてもいいということだと思います。適正な表示という面から考えた場合に、そういう成分なりミネラル分というのがあることが結局消費者の選択に役立つということであれば、やはりあった方がいいということになると思います。
  36. 穐山篤

    穐山篤君 それからまた、成分の点で表示の違いがあることはいま申し上げたとおりですが、もう一つだけ表示がそれぞれ違いますのは、サントリーにつきましては、開栓は御使用直前にしてくださいというふうに書かれているわけです。福田さん——福田さんじゃなくて奥利根の方は書かれていないんです。まあ書いてあるから、書いてないからということよりも、書いてある方がいいと思うんですけれども、往々にしてこういう問題が現実に起きているわけですね。  大臣、第一本目はお客さんの前でこれはちゃんとこうやってあけるんです。二本目のときには、そこにある水を入れて持ってくるところもあるやに聞いているわけです。そのときにこれが書かれていると、ちょっと待った、おかしいじゃないかということが消費者立場から言えるわけです。ところがこちらは書いてありませんので、まあ商行為としては、道義的には内心じくじたるものがあるんでしょうけれども表示してないから東京都の水をこの中に入れて持ってこられても別に紛争にはならないんじゃないかというふうに思うわけですね。  普通の清涼飲料水の場合に、開栓をしますと味が変わるとかにおいが変わるとか色がさめるとか、そういう問題点があるわけですね。ところがこれについては、開栓して幾日も置けば別ですけれども、三分や五分、十分ではそれほど変わらないわけですね。ですから悪質なところは、このびんで三回も五回も十回も使用している現実があるわけです。皆さんもかなりそういう意味ではやられた方ではないかというふうに思うわけです。  まあ私の聞いている範囲では、自主的に協会がこういうふうに使用する直前にふたあけてくれ、開栓してくれ、こういうふうに指導されていることは一番いいと思う。少なくともできるものから、公取にしてみても、あるいは食品衛生立場から見ても、最小限度できるものから指導していく、あるいは協会全体にそれを徹底をさしていくということがいいのではないかと思うんですけれども表示全体あるいは定義全体が決まらなければ協会の指導というのはできないんだというふうに機械的に考えるのは私は少し問題があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
  37. 土原陽美

    説明員土原陽美君) いまのお話しの件は、定義だけじゃなくてできるところからというお話でございますが、ミネラルウォーターという言葉が使われるようになりましたのは、どうも私が考えますに最近になってからのように思います。その使われた商品についていろんなものがある、あるいはそれについての表示もいろんなものがあるというようなことで、一般消費者の認識もまちまちでございます。そういう点から言いますと、十分検討して基準をつくらなければかえって後で弊害が起こるということもあるんではないかと思います。そういうようなことで、何か基準をつくるという点では少し時間をかける必要があると思いますけれども、明らかにこれはおかしいではないかという表示がございましたら、これは不当表示として厳格に取り締まっていくということでいきたいと思います。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 どうも迫力に欠ける回答ですが、さてそこで、食品衛生立場から言えばすべて清涼飲料水というもとで処理されておりますね。しかし、先ほど私も申し上げましたが、水道水と同じ、または水道水と変わった用途を、特殊な用途をこの清涼飲料水は持っているわけですね。たとえばほかの清涼飲料水——ラムネだとかあるいはネクターだとか、そういうものと用途が違うわけです。これは最近病院でも非常に使われるようになったわけでして、その意味では通常の水道水を使うよりもミネラルウォーターを使うという、そういう使用の範囲あるいは目的が高くなってきたし幅も広くなってきたわけですね。ですから、他の一般的な清涼飲料水と同様に扱うことについては問題があるんじゃないか。言いかえてみれば、片方のは嗜好品ですよ、純粋に嗜好品ですよね。しかし、こちらはいまも指摘をしましたように、水または水以上の性能を持つ、ミネラルウォーターです。そういう意味で言えば、法規上単純に清涼飲料水というふうな格づけをしっ放しというのは問題を残している、現に問題が、私取り上げたぐらいですから問題があるわけですが、分離をしてこのミネラルウォーターについての位置づけをきちんとするというふうなことについてお考えはいかがですか。
  39. 七野護

    説明員七野護君) 先ほどから申し上げておりますように、ミネラルウォーターと申しますものは、何といいましょうか、一般的な常識論から言いますと、いわゆる無機塩が一般の水に比べて多いというような、これは一般的な解釈ではなかろうか、それが一般的な通念であろうかと、そういうことを私は個人的に考えておりますが、ところで、このミネラルウォーターそのものが一体どういうことに使われるかということになりますと、一般の水道の水というように、いわゆる飲料水として常時使われる性質のものでは現在の日本では私はあり得ない、かように考えております。もっぱら特殊な用途、先ほどから先生御指摘のようにウイスキーの水割り用であるとか、そういうような特殊な用途に使われている水であるというふうに私は理解いたしております。  そこで、先ほどからお話しいたしておりますように、清涼飲料水という範疇の中でしかるべく清涼飲料水製造基準として枠をはめ、さらに成分規格として枠をはめ、指導取り締まりを現実に行っておるわけでございます。これはもちろん全国におります食品衛生監視員が常時立ち入り、周知をいたしまして取り締まりに当たって、おるわけでございますし、そういう点で現在目下のところ、清涼飲料水の範疇の中で十分取り扱えるものであろうというふうに私は現在のところ感じております。  なお、表示についていろいろ御指摘がございました。食品衛生法でも確かに表示の義務づけがなされておりまして、これは表示基準を定めております。これもあくまでも公衆衛生の見地から販売の用に供する食品、これに対する表示につきまして必要な基準を定めるというふうになっております。  そこで、清涼飲料水につきましては名称と製造年月日と製造所の所在地、それから製造者の氏名、それからもし添加物を使った場合には添加物を含む皆、この四点につきまして表示を義務づけております。いま申し上げましたように、清涼飲料水の枠内でいろんな点の規制を現在実施いたしておりますので、今後ともその基準が製造所なりで十分守られるように、衛生上の確保が図られるように指導また取り締まりを行っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  40. 穐山篤

    穐山篤君 少なくともナチュラル・ミネラル・ウォーターということになれば、原水をそのままびんに詰める、容器に入れるということが原則になるわけですね。ですから、荒川の水をきれいにして水道水にするというものと大いに性格を異にするわけですね。原水が取れるところが常に清潔であって、その他の金属だとかあるいは混濁だとかあるいは混合物が入ってはならない、ある意味で言えばそこを保護しなければいいミネラルというものは取れないということになるものと思います。  私は、たまたまこのミネラルウォーターを出荷しているところにかつて住んでいたわけです。山梨県の下部町に住んでおりまして、私の家では下部の原水がそのまま飲料水に使われる、温泉に使われる、その他いろんなものに使われている。私の家のカランをひねってびんに詰めたものがかつて出荷されていたわけです。これが銭になるとはその当時不思議に思っていたわけです。で、冗談はともかくとしまして、いま申しましたように、水道水と同じあるいは水道水より以上の特別な用途に使われるわけですから、その意味では、原水地というものを十分に保護をしていく、こういう気持ちが私はあるわけです。まあ山梨県にしろ奥利根にしろあるいは長野、兵庫にしましても、いずれも近くに最近団地が出てくる、あるいは工場が建設をされる。その近辺にはたんぼ、畑がある。ですから、考えてみますと農薬の流入だとか、あるいは工場の廃液だとかいうことを、これからある意味では心配をせざるを得ないわけです。そういうことを考えてみますと、水道水と同じ、あるいはそれ以上の評価をしていかなければならないし、あるいはこのミネラルを取るために、それに対する保護措置と言っちゃ語弊がありますけれども、いいミネラルを取るための行政措置というものが私は必要になってくるのではないかというふうに思うわけですが、その点いかがですか。
  41. 七野護

    説明員七野護君) どうもあれなんですが、先ほどももう何回もお話ししておりますように、私たちは食品衛生法を所管しておりまして、食品衛生法というたてまえで各種規制をいたしておるわけでございます。  そこで、御指摘のたとえば含有するミネラルであるとか、原水の産地であるとか、それから飲用直前に開栓をするとか、そういうものの表示につきましては、先ほどから申し上げておりますように、食品衛生法規制するということにつきましてはなじまないというふうに私は考えております。  以上でございます。
  42. 穐山篤

    穐山篤君 公取にしろあるいは厚生省にしろ、それぞれの領域があるわけでしょうから、それ以上のことについてはなかなかお答えがいただけないというのは非常に残念なことだと思うんです。  もう一度前に、以上の審議を通して戻るわけですけれども、都道府県知事が認めないようなミネラルウォーターは市販をされない、これは当然だと思うんです。その基準というのは、清涼飲料水に関する基準というものは「食品、添加物の規格基準」というものが基礎になって行われるわけですから、認可されない、許可されない、ミネラルウォーターは市販をされていないというふうに私ども思います。しかし、現実に市販をされておりますこのミネラルを見ると、協会の資料によりましても三つぐらいこの種類が定義されているわけですね。天然ミネラルと、それから通常のミネラルと、専門的に言いますとスプリングミネラルというふうに三種類あるというふうに私ども資料の上では聞いているわけです。その三種類、私は、認可されたものだから全部それは販売の用に供してよろしいというものだろうと思いますけれども、今度はお客さんの立場から言うと、ナチュラルなミネラルというのはどんなものだろうか、あるいは普通のミネラルウォーターというのはどんなものだろう、あるいはスプリング・ミネラル・ウォーターというものはどんなものだろう、こういう関心を持つのは当然だと思うんですね。ところが、そういう判断をするものが、残念ながら基準が示されていないし、このびんの上にも表示されてないわけです。  卑近な例で恐縮ですけれども、たとえば、ウイスキーの水割りをするときには第一の種類のナチュラルなミネラルを使いたいと思っても、どれか第一であるのか第二であるのか第三であるのかわからない。嗜好品と言ってみても、どういう嗜好に合った嗜好品であるのかということがよくわからないわけです。その点については公取さんになりますか、ちょっとお考えをいただきたいと思うんです。
  43. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 確かにミネラルウォーターというものがどういうものかということをはっきりさせた方が、これは消費者の方に便利ではあるだろうと思います。ただ、いま先生のお話にございました業界の案によりますと、ナチュラル・ミネラル・ウオーター、ミネラルウォーター、スプリングウォーターとあるわけでございますが、前の二つの方はミネラルが一定基準以上のもの、ところが、スプリングウォーターの方は、原水を容器に密封したものであって、基準はミネラル分が少なくてもよいというような基準でつくって考えているわけでございます。  こういう形になってきますと、たとえばスプリングウォーターのようなものになりますと、普通のそのほかの水とどう違うのかということがなかなかはっきりしなくなるわけでございますし、それからミネラルウォーターという場合の基準にしましても、一応の基準はいまできておりますけれども業界の内部におきましても大手と中小で若干意見が違っておる、その辺若干流動的であるというようなことで、また学識経験者ミネラルウォーターについての考え方も、ちょっと聞きましても種々あるというようなことで、実際上基準を定めるという段になりますと、やはり相当の検討が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  44. 穐山篤

    穐山篤君 いろんな、各界から意見を聞かれるのは結構だと思うんですけれども、販売をしているわけですから、消費者立場から言えば、いいミネラルという言い方をするとまた問題が起きますけれども、おれの嗜好に合ったミネラルは売っているだろうか、たとえばビール議論でもあったんですけれども、おれはキリンビールを欲しい、おれはサッポロビールを欲しい、そういう気持ちでキリンビールを買ったり飲んだりする、これは嗜好品だから当然だと思うんですね。味や香りもいろいろ違うわけですね。このミネラルだってそういうことは言えるわけです。  これまた水道水の話にいきますけれども、たとえば、どこどこの水はうまい、あそこへ行ったらあの水を飲んでこよう、こういう話は茶飲み話にあるわけですね。これはミネラルだって同じことが蓄えるわけですよ。病院で使いたいミネラルというのはどれを買ってきたらいいだろうか、どれが適合するだろうか、あるいはカクテルにする場合にはどのミネラルがいいだろうか、これ消費者立場とすれば当然のことですね。ところが、それに合った表示あるいは消費者が選択できるような表示になっていない。これは私は大いに研究していただかなきゃならない問題だというふうに思います。  しかし、先ほどからお話聞いておりますように、なかなか一定の解釈が下せないんだ、定義が下せないんだというままにこのミネラルウォーターを放置しておくということはまずいのではないかというふうに思います。たとえば、私はネクターを欲しいと思えばネクターを買えばいいわけですね。ところが、このミネラルにつきましてはそれができないむずかしさを現実に残しているわけですよ。そのことはおわかりになるでしょう。
  45. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 先ほどもお話ししましたように、私どもとしましては、当面はやはり表示の中で特におかしいものがある、そういうものについて規制をしていくということで考えております。
  46. 穐山篤

    穐山篤君 どうも水かけ論みたいな話になって恐縮ですが、(笑声)表示として適当でないものはやめさしていると、これは一般的にはそういうことだろうというふうに思いますが、しかし考えていただきたいと思いますのは、これが年々需要がふえている。先ほど申し上げましたように、用途別に見ますと業務用がもうほとんど大半を占めている。その他個人の消費も最近はふえているというふうに思うわけですね。総体的にふえている。それは単にこのミネラルウォーターも売れているというだけでなくして、国家財政の立場から考えてみるとウイスキーと非常に大きいかかわり合いを持っているわけですね。これが売れるということは酒税ウイスキー税がたくさん入ってくるということを一面では言うことができるわけです。まあ業者といいますか、直接消費者に売っているところでは、このびんをそのまま売っているところと、東京都の水を詰めてごまかして売っているところもありますけれども、年々非常にふえているわけですね。ごまかして水を売っているやつを正規なものにして見ますと、正規に販売されている量数の二倍ないし三倍売られているんじゃないだろうかというふうに思うわけです。大蔵省の税を確保するという立場から考えてみても、本問題についての位置づけというのは、私は一面非常に大切なことではないかというふうに思うわけです。ウイスキーが非常に売れる。ウイスキーにかかっている税収が非常に伸びている。その陰にはこのミネラルウォーターが非常に働いているという理屈になるわけですね。ですから、お冷やをちょうだいと言うときには大体東京都の水が出てきますけれども、ミネラルをちょうだいと言えばこういうものが出ると私はごく常識的に思うわけです。ですからミネラルウォーターについての格づけ、基準というものはどうしたって早くつくり上げて、これを製造している人たちにも十分な安心感あるいは供給力をつけていかなきゃいけないし、あるいは消費者立場から言ってみても、私が飲む、嗜好に合うミネラルというのはどんなものだろうか、どれを買えばいいのかというふうに誤解や誤認を与えないという基準が当然必要になるわけですから、くどいようですけれども、もう少し積極的な考え方を示してもらいたいと思います。
  47. 土原陽美

    説明員土原陽美君) いま先生がお話しになりますように、ミネラルウォーターについても表示が適正化されるということは好ましいことでございますので、私どもとして十分今後とも検討していきたいと考えております。
  48. 穐山篤

    穐山篤君 そこで積極的にやっていただきたいし、できるだけ早くまとめていただきたいと思うんですが、仄聞するところによりますと、先ほど食品衛生課長からもお話があったとおり、どういう種類のものがどれだけ売られているかということも把握されていないような状況にあるわけですね。それと同時に、これを製造されている方々の協会というのは必ずしも一本ではないわけです。ですから、協会自身も自主規制をしたといたしましても、これはこのサントリーとかニッカ、こういうところを中心にした協会につきましてはある程度の対応措置というものができると思いますけれども、零細中小の別の協会に入っているところにつきましては、なかなかその影響力というのはむずかしいというふうに思うわけです。私は協会を一本にしてくれというような機械的なことを言うつもりはありませんけれども、十分にそれらのことも考えていただいて、配慮をめぐらしていただいて早急にひとつ指導を考えていただきたい。  せっかくこちらの協会から、自分たちが考えた公正競争の規約というものが提示をされているわけですから、お役所側が今度は受けて立って答えを出すと、その公正競争の規約ができることによって、あるいは行政的にミネラルとは何かということについてきちんと省令なり政令なり何らかの方法で位置づけるということは、ミネラルに対する評価をきちんとすることになると思うんですね。したがって、積極的にひとつ考えていただきたいというふうに思うわけです。  さて、時間が来ましたので、大蔵省に最後に一言、研究をしていただきたいと思うんです。私は、先ほども申し上げましたように、市販されている量数というのは、新聞その他週刊誌なんかを見ましても三百六十万ケース前後ではないかと、ワンケース三十本ですから大変な量に上るのじゃないかと思います。ごまかして東京都の水を中に入れて売っているのも含めるとその三倍ぐらいになる。四億本とか五億本になるわけですね。これが正規な商行為で、すべてこういうびんに詰めて、本来のミネラルがそのまま市販されるということになればかなりの分量になると思うわけです。そのことは先ほども指摘をしましたように、酒税にも大きなかかわりあいを連動として持っているわけです。私は税金をこれにかけてくれというふうに言うつもりはありませんけれども、他の清涼飲料水につきましては物品税のかかっているものもある、かかっていないものもある。ですから、その基準をきちんと行うことの方が税の公正という立場から考えてみて私は妥当ではないかというふうに思います。その点いかがでしょう。
  49. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) きょうミネラルウォーターの御質問があるというので、私ども率直に申し上げて、ちょっとにわか勉強をいたしたんでございますが、五十一年度ということで、これは私どもの調査でございませんで、日刊経済通信社というところが調べたものの孫引きでございますが、三百六十五万ケースという数字が一つございました。その中身を見ますと、先ほども質問の中にございますようにサントリーが銘柄としてトップで、ニッカ、が二番目、両者合わせて大体五七、八%のシェアを持っておるという状況のようでございますから、やはり実態として、おっしゃるようにウイスキーを売る販売ルートに乗せて売られているというものが非常に大きいようだなという印象は受けております。  それから、そのほかに地域ごとに特殊なものがあるという点も御指摘のとおりのようでございまして、富士とか布引とかエルムとか、あるいは白山、養老というふうな名前がつきますと、これはなるほどその辺の水なんだろうなという気もいたすわけでございますが、ただこれを税の角度から考えるといたしますと、やはりいろいろとまだ勉強してみないといけない面があるだろうと思います。酒税の方からのアプローチというものは、これはちょっと致酔性がないので、やはりアプローチするとすれば物品税の方かもしれません。したがいまして、炭酸飲料なり一部の果実水というものに比べてミネラルウォーターをどう位置づけたらよろしいかということになろうかと思います。  その場合に、やはり従来の物品税の経緯を見ますと、対象メーカーの中に零細メーカーが非常に多い場合には、よくよくの理由がなければやはり課税からはできるだけ外すという一つ考え方もございますし、いまのシェアから見ますとかなり零細な方が多いのかなという気もいたします。同時にまた、物品税法で仮に取り入れるとしますと、先ほど来御質問のございますミネラルウォーターとは何ぞやという、税法だけでうまい定義ができるかどうか、それも私ども酒の専門家はたくさんおりますが、水の専門家というものをまだ持っておりませんので、やはり関係官庁の御意見を十分伺いながらこれから勉強をしていくということになるんだろうと思います。その意味でかなり時間がかかりますし、もう少し私どもとして詳細な勉強をしなくてはならないと思いますが、いま御指摘がありましたことは十分念頭に置いていきたいと思います。
  50. 福間知之

    ○福間知之君 最初酒税の引き上げ問題に関連いたしまして御質問申し上げます。  先般も参考人さんをお招きをしていろいろ勉強をしたわけでありますが、特に今回の酒税の引き上げに関しまして、いわゆるわが国個有の清酒に関して、果たして今後業界立場がどうなんだろうかということが異口同音に質疑の中で話し合われたわけであります。   今日この酒類業の状況というものを見ますと、企業のほとんどが、九九・六%という数字だそうですが、中小企業であるというところにやはり着目をせなきゃならぬかと思うわけでありまして、大蔵省当局は、明治以来からの業界に対する監督官庁という立場が続いておるわけでありますが、これは大蔵省設置法第四条に基づくものだと、こういうふうに聞いておりますけれども、その御答弁はともかくとして、私が申し上げたいのは、他の業界の場合は監督官庁は、製造業の場合これはもうすべてと言っていいんですが通産省当局ということになると思います。あるいはまた農林省ということになると思います。酒に関しては、これは果たして大蔵省が管轄することがベターなのかどうか、妥当であるかどうかというよりも、私はベターなのかどうかということを考える時期が来ているのではないかと。  確かに明治、大正時代にウイスキーをぼんぼんわれわれが飲んだという時代ではなかったし、最近のように外国のウイスキーが円高の影響で割り安に入ってくるというふうな事情もなかったし、まさに主税局長もしばしばおっしゃるように、酒・類はすぐれて嗜好性に富んだ商品だと、こういうことだとするならば、日本の国民のニーズというものが大正、明治時代から大きく変わっておるわけです。したがって、産業政策という観点から見てみると、この酒類業界というものを監督するのは大蔵省であることは私はベターじゃないんじゃないか、こういうふうな気がしてならないのですが、御見解はいかがですか。
  51. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御指摘のように、清酒製造業大蔵省設置法第四条の規定によりまして大蔵省の所管ということになっておるわけでございますが、酒類行政は明治以来一貫して大蔵省が所管しておりまして、行政当局及び業界としてもいずれもがこれになじんでおることは事実でございます。それから酒類につきましては、何よりもその商品の特性が高率の酒税負担しておりまして、財政物資であるというような非常な特色があるという点も事実でございます。さらには酒類行政が免許あるいは許認可事項、いろんなそういうような行政を所管しておる点、国税庁が所管しておるわけでございますが、こういう点からいきましても、あわせ行った方が効率的であるという点も事実でございます。また、いままで大蔵省に所管しておくことについて、特に問題があるというような御指摘も余りなかったように思うわけでございます。  しかし先生のおっしゃるように、産業行政というものと酒税を徴収するという立場のものが一緒にあるのはおかしいではないかというようなお話でございますが、私ども産業行政を行います立場といたしましても、大蔵省の設置法に基づきまして酒類業組合の指導監督、それから中小企業基本法とかあるいは酒類業者の経営状況の調査、製造に関する価格、取引、原料、資材とか、各般にわたりまして国税庁といたしましていろんな面で指導をやっているわけでございます。国税庁といたしまして非常に不適当ではないか、産業所管官庁としてやるべきことをやっておらないのではないかというような御意見もいろいろあるわけでございますが、酒税を確保するということも大事な仕事でございますが、ちょっと言葉は悪いんでございますが、鶏が金の卵を産まなくなってはこれは私ども立場としても非常に問題だというようなことで、やはり産業行政というものは二つの柱のうちの大きな柱としていままで明治以来一生懸命努力をしてきたわけでございます。  現実に、先般来いろいろ申し上げておるとおりでございますが、近代化事業に対するいろいろな側面的な援助あるいは助成米の援助あるいは今回御審議いただいておりますような安定法に基づく各種の補助金、それからそれに基づきますいろんな転廃給付金の支給といったようなものにつきまして、特に清酒業を中心といたしまして、国税庁の方といたしましてはできる限りの努力を果たしておるつもりでございます。したがいまして、それが大蔵省として所管するのが不適当ではないかというような点は直ちにはちょっと賛成いたしかねるわけでございます。  以上でございます。
  52. 福間知之

    ○福間知之君 私、直ちに所管を変更すべきだということを申し上げる気持ちはまだないんです。しかし今日、社会情勢、経済情勢、産業構造も大きな変革が続いている中にあるわけですね。たとえば同じ公共企業体一つとりましても、国鉄の一部民営への移行だとか、あるいはまたたばこ製造業の民営化だとか、などなども今日的な課題としてクローズアップしているわけです。単にこれは公共企業体労働者にスト権を付与するか否かということとの絡みだけでは私はなくって、当該審議会はもっと大所高所から私は考えている向きがあると思うのです。したがいまして、そういうことも背景として念頭に置けば、この酒類業界といっても、先ほど申し上げたように、日本古来清酒業界は比較的企業の形態、体質などなどが時代にそぐわない状態のままに推移しているではないか、今回、業界の安定特別措置どもひとつ充実していこうと、近代化、合理化を目指そうと、こういうことではありますが、やはり、ビールだとかあるいはまたウイスキーなど、代表的な他の種類の製造基盤を見てみますと、これは日本清酒業界とは格段の違いがあるわけですね。そういう点で、何か私はそれこそ合理性というものが希薄であると、大蔵省の所管になっていることに、そういう感じがしてならないので、これは一度検討をしてみるということは当局としてはおありなんですか、気持ちとして。そういう検討はやっぱりしてみる必要はあるという気持ちはおありなのかどうか、これは大臣に一遍お聞きしたいと思います。
  53. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) われわれも長く税務行政に携わっておりまして、その問題は特に指摘されたことはございませんけれども、われわれといたしましては絶えず考えているところでございます。しかし、いろいろ考えてみますと、これは明治以来そうであるというだけの理由でなくて、酒税を確保するという問題になりますと、その酒の品質から、また免許の問題、あるいはまた取り締まりの問題、さらにはその事業の健全な育成という問題に触れざるを得ない立場にあるわけでございます。したがいまして、酒税法でごらんになりましても、あるいは団体法をごらんになりましても、さらに安定法をごらんになりましても、恐らく普通の産業でこれだけ細かい規定を持っているのは余りないんじゃないかと、そういうふうに感じておるわけでございます。  そういう意味でいいますと、これを普通の産業として、たとえば通産省とか、まあこれは食品だから農林省だとかいうことに一体なじむであろうかどうか、非常に私は御意見でございますけれども、その点に大きな疑問を持つ者であるわけでございます。恐らく他の省に行ったときにはもう、そう言っちゃなんでございますけれども一般的な産業としてしか規定は行われないであろう、今日のようなこういう細かい配慮はとうていできないであろうと思うのでございます。現に問題になっております原料米の問題にいたしましても、あるいはまた、いま問題になっております安定法の一部改正というような問題、これはどちらかと申しますと自由競争に任せてしまう、こういう方向に私は多分行くだろうと思うのでございます。確かに自由競争の面を持つことも大事でございますけれども、それ以上に、やはりこの業態が健全に育成していくということ、まあその方向がより強い私は業種ではないであろうか、こう考えているわけでございます。したがって、私たちはいままで大蔵省から離した方がいいという、少なくとも私はそういう御意見は余り立ち入って受けたことはないのでございます。まあ福間先生とやや意見を異にするのでございますが、やはり大蔵省の中に置きまして、これから酒税という問題とこの業界というもののかかわり合いの中でどのように相互的に発展していくか、こういう問題としてとらえた方がいいように思っております。
  54. 福間知之

    ○福間知之君 大臣、私も先ほど申しましたように、にわかに所管を変更することがベストだと断言するところまでまだ確信を持っておりません。ただしかし、先ほど来申したような時代の変化と、その中における清酒業界の、言葉は適切かどうかわかりませんが、一種の混迷というもの、あるいは苦悩というものを考えますと、むしろ所管の問題ということよりも業界に対する将来政策ですね、これを大蔵当局として十二分に考えていく、そういう何といいますか、体制というものが果たして十全であるんだろうかどうなのかということが私は気になる。   たとえば、これは比較して妥当かどうかわかりませんが、歌舞伎だとか能だとか義太夫だとか、これはまさに日本古来の芸術、芸能ですね。これはかなり財政面でも援助をしていかなければやっていけない。文部省の所管になるとは思うんですけれども、所管の問題よりも、そういうものを生きながらえさしていく、保存をしていくというために国家がかなり配慮をしていかなければならない、いろんな面で。さながら清酒業界というものはそういうふうな範疇に入りかけているのではないのかと、たとえば業界に対する安定措置法にしましても、すでに数百社がここ数年のうちに合併なり廃業をやはり余儀なくされているということから言って、一つの展望として、今後もそういう時代への対応というもので企業数はむしろ減ってもふえない、こういうふうに予測されるわけであります。したがって、そういう場合のいわば転業なり、あるいはまた新しい商品の開発による営業活動なり、そういうものを含めた業界政策ですね、これを一体大蔵省、あるいはまた国会ではどこで議論をしていいのかということを戸惑うわけであります。   これは当委員会でも、酒税の値上げという、酒税の引き上げという場合だけ議論が行われているにすぎないのであって、のど元過ぎれば暑さ忘れるじゃないですが、この法案がひとつけりがつけば、当分清酒業界問題などは当委員会では話題にはならない。いままでもならなかったわけですね。そういう点で、この機会に問題の提起をさしていただいた方がいいんじゃないか。これは理事会でも私相談をしなければならぬことだと思うんですけれども大蔵省所管であるならばあるで、当委員会は単に酒税引き上げだけの時期で議論をとどめるんじゃなくて、適切な時期に適切な場で、適切な方法で何かやはり考えてみなければならないだろうというような気がするわけです。  大臣もおっしゃいましたが、他の業界と少し性格が違うということは私もわかっているのですが、しかし、たとえばラベルの問題、表示の問題、価格の問題などなど、これは公取委はやはり一応監督する立場にそういう面ではあるわけですから、他の業界とそういう点では一緒なんです。そういうことも考え合わせまして感じた点を申し上げた次第であります。  それから、酒類関係ではもう一点お尋ねをしてとどめたいんですが、先般理事会を通じまして酒類の原価などの資料を提出していただきました。その資料を点検いたしますと、恐らく今回の酒税引き上げによって、酒類全体が価格を上方に引き上げるかどうかということは少しまだ見当がむずかしい、つきませんけれども、少なくとも清酒業界に関しては、先般も参考人の方にはそれぞれ小売価格の引き上げというものをお願いしなければならない、こういうことを申しておりましたが、大蔵当局としてはすでにそのあたりについての意思疎通もおありかと思うんですが、たとえば前回、五十一年に上げた上げ幅を大きく上回るような値上げというものが予測されるのかどうか、お聞きしたい。
  55. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ただいま先生御指摘になりましたように、確かに酒類業界、特に清酒業界というのは混迷、苦悩に満ちているではないかというようなお話、ごもっともでございます。私どもも、産業所管官庁としていつもそういうようなおしかりを受けておるわけでございますが、酒類業界は、御存じのようにビールウイスキーといったような寡占業種が中心の産業と同時に、清酒などのような非常に中小企業性の商い小規模企業が非常に多い業種まで混在しておりますので、それぞれについて非常に個別の対応が必要だというような意味で、しかも、特に昨今の経済情勢から見まして、酒類の消費需要が飛躍的に余り伸びていないというような状況のもとに、やはり酒類産業行政が、それぞれの消費者のニーズに対応してどういうような成長性を続けていくかということにつきましては、私どもは、個々の企業がそういうことを十分認識してやっていただくということが第一であろうかと思うのでございますが、やはりそれはそれといたしましても、私どもとしては特に清酒、これは中小企業性も多うございますし、需要の伸びもよくないというような実情を反映いたしまして、そういうような最近におきます、特に情勢の変化に対応いたしまして弾力的な必要な対策を今後ますます立てていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。  先ほど伝統産業振興法とか、そういうような古来のものをもっと尊重していくべきではないかというようなお話もございましたが、やはりそういうようなことも、もちろん民族の酒としての日本酒というものにつきまして、できるだけのきめの細かい配慮を続けてまいりたいという気持ちが、私ども産業所管官庁としての立場でございます。いま先生のお言葉を激励の言葉というふうに承りまして、ますます努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  それから、増税によりまして酒類の販売価格が当然値上げされるということでございますが、清酒につきましては昨年の六月以降、散発的ではございますが、かなりの引き上げが行われています。酒類全体を見ますと、増税分をどういうふうにするかというような問題につきましては、お酒自体は自由価格でございますので、基本的には個々の企業が自主的な御判断によりまして、転嫁していくのかあるいは吸収していくのかというような問題がございましょうけれども、物によりましては企業努力で吸収できるものもあるかとも思いますが、元来、間接税というのは転嫁されるのを前提としております。その限りにおきまして、やはり増税分を転嫁して、その分だけは、あるいはその端数調整分ぐらいはやはり上げていくということはやむを得ない措置ではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ全般的な問題といたしまして、こういうような機会を利用いたしまして便乗値上げといったような動きがあることにつきましては、私どもとしては、そういうような消費者の利便という問題もございますし、あくまでも増税というものとコストアップあるいは便乗値上げというものは別のものというふうに理解いたしまして、はっきり分けていくべきであるというふうに考えておるわけでございまして、たとえば今度の増税につきましても、便乗値上げはやるべきでないということを強く要請してまいりたいと思うわけでございます。  以上でございます。
  56. 福間知之

    ○福間知之君 ぜひひとつ、増税コストアップによる値上げの必要性の可否、あるいは便乗値上げ等々については、いまおっしゃられたように、厳にひとつ留意を願いたいものだと思うわけでございます。えてして、税金が上がったからということでメーカー側の価格を上げると、これは飲食店はもちろんのこと、消費者に悪影響を及ぼしかねないので、特に留意をお願いしたいと思うわけであります。  間税部長にちょっとお聞きをしておきたいんですけれども、具体的なことで、この席ですぐにわからなければ別の機会で結構ですが、大阪の城東区の京橋にダイエーという大スーパーが店を持っていますが、そこにおける酒類の販売というものをめぐりまして、当該地域の小売業界と対立があったわけであります。この点で、当該地域の業界の方々は、同じ大阪の豊中地区における同種の春情と比較しながら、豊中の方は認めてないのに京橋の方は認めるのは何でだと、こういうことで陳情も行われているようなわけでありまして、そのいわゆる営業認可というものはもうおろされたわけですか。
  57. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) スーパーダイエーのお話でございますが、いまのお話の京橋支店そのものについては、現在のところまだ免許を認めるに至っておりません。  ただ、スーパーの大型店に対する免許につきましては、一般的には酒類販売業免許等取扱要領という通達に基づきましてやっておるわけでございますが、その限りにおきましては一般の小売店の免許とは違わないわけでございますが、特に、最近経済情勢が非常に停滞しているといったような問題を考慮いたしますと、スーパーみたいな大型店が一度出てまいりますと、周りの零細な既存の小売業者に与える影響が非常に大きいという問題がございます。したがいまして、こういう場合につきましては、免許の付与につきまして関係業界意見を十分参考にしながら免許をする、あるいは税務署長限りではなかなかできないものでございますので、国税局長が良識のある判断のもとにそういうものの免許の可否を決めるといったようなことで、スーパーとか百貨店、生協、いろいろな大型の非常に影響力の大きい販売店の免許につきましては特に慎重に通用していく必要があるわけでございます。いま御質問のようなスーパーにつきましても、相当長い期間にわたりまして免許がおりないままにおるというのが、実情でございます。
  58. 福間知之

    ○福間知之君 京橋ダイエーの問題は、この場ではこれ以上やることはふさわしくありませんので、改めて間税部長に事情を聞きたいと思います。  次に、手数料に関しまして少し御質問をしたいと思います。  今回改正されようとしている手数料は三十七項目と個別の法律で五項目、こういうことでございますが、正確にはどれだけの手数料改定を行おうとするものですか。
  59. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 一括法でお願いしておりますのが三十七項目、件数にいたしまして二百二十二件でございまして、それから単独法で別途お願いしておりますのが五法律でございまして、手数料の数で十五でございます。
  60. 福間知之

    ○福間知之君 対象になる法律は十省に関係するようでございますが、そうですか。
  61. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) そのとおりでございます。
  62. 福間知之

    ○福間知之君 これ、なぜ今回、その十省にわたるものを大蔵省は一括して仲立ちという形で当委員会に御提案になったのですか。
  63. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 実は、大蔵省所管の法律は一件もないわけでございまして、全部他省の法律なんでございます。  手数料につきましては、当然物価の動向でございますとか、あるいは行政コストの観点から見直しを行わなければならないわけでございまして、法律で金額が決まっていないもの、つまり政令以下で金額が決められているものにつきましては、毎年度適宜見直しを行ってきておりまして、かなり実態に即した適正なものになっているわけでありますけれども、法律で金額が決まっている手数料につきましては、その法律の改正の機会があります場合には手数料もあわせて改正をお願いするということをやってまいりましたが、手数料だけのために法律の改正をお願いするということは、まことに申しわけないとは思いますけれども、それだけやれというのは実情からいきまして無理な面がございますので、どうしても改正がおくれがち、滞りがちになるというのが実情でございます。  五十三年度予算編成に当たりましては、御承知のような財政状況でございますので、歳入歳出両面にわたりまして根っこから洗い直しを行うということで検討いたしました。歳入面ではこの手数料の関係も洗い直しをいたしまして、これは法律に根拠があるものも含めまして洗い直しをいたしました結果、法律事項、法律改正を要するものが出てまいりました。そのうちで、先ほど申し上げましたが、五法律につきましては、ちょうどそのほかの改正のチャンスがございますので、その中で手数料の関係も改正をお願いする。そのほかの三十七法律につきましては、改正のチャンスがございませんので、これを一括した法律でお願いするということにさしていただきたいと思ったわけでございます。  各省所管でございますのですが、歳入という大きな面から見ますと、大蔵省が関与していい側面もございますので、便宜、大蔵省がいわば幹事役として取りまとめさしていただいたわけです。したがって、大蔵省がお出ししたものですから大蔵委員会で御審議いただくということになったのではないかと思うわけでございます。
  64. 福間知之

    ○福間知之君 山口さん、二百二十二項目法律関係だけであると、五月一日改正施行をしたいということでございますが、これ、仮に五十項目でも詳細に質疑をするならば、どれくらいの時間がかかるものでございましょうか。
  65. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 御審議の仕方でございますから、私どもが申し上げるのはいかがかと思いますが、資料その他必要なものは極力整えまして、御審議の便に供したいと思っております。
  66. 福間知之

    ○福間知之君 そこで、私はとても無理だと判断をいたしますので、その五月一日施行に御協力するためには、もう余すところ旬日でございますので、とても無理だと思いますので、きょうは通産省と運輸省だけの方をお招きをいたしまして、少しお聞きをしたいと思います。  その前に、その手数料というものを、私は、一体この性格はどういうものなのか、よって来たる憲法上、法律上の根拠というのは一体何なのか、一遍お教えをいただきたいのですが……。
  67. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 手数料は、一般的にいわれておりますのは、特定の人のためにいたします国の事務でありますとかあるいはサービスに対する反対給付として徴収するものであるということでございまして、そういう性格でございますので、どういうやり方で算定するかと言えば、結局その事務なりサービスなりにかかった行政コストを基本的には勘案して決めるということでなかろうかと思います。ただ、それは基本でございまして、例外的にいわば行政コスト全部をちょうだいしない、そういう意味では公益性を認めるという、そういうものもございますし、また逆に、一定の経済的利益を特定の者に与えるという特権付与的な手数料につきましてはコスト以上のものをいただくというような例外はございますが、基本的には行政コストをいただくというのが原則だと思います。  それから、手数料の性格としてもう一つ申し上げておいた方がいいかと思いますのは、その手数料のもとになります国の事務が、法律上あるいは事実上強制的な性格を持っている場合がかなりあるわけでございまして、そういう場合には、対価として徴収する手数料につきましても何らかの意味で法律に根拠がある方がいいんではないかと。財政法三条というのはいま実は眠っているわけでございますけれども、その物の考え方からいきましてもそういうことではないだろうかということで、現行法、これは歴史的な経緯もありますのでさまざまな点がございますけれども考え方の大筋といたしましてはそういうことになっているんじゃないか。  今回お願いしておりますように、金額を法律ではっきり書いているものもありますし、そうでなしに、法律には根拠だけ書いて政令以下に具体的にはゆだねているというものもございます。それは先ほど申し上げました強制性と申しますか、強制的な性格、結局は手数料のもとになります仕事の強制、適正化の薄い濃いの違いが反映してそういうことになっているんじゃないかと思います。
  68. 福間知之

    ○福間知之君 今回のこの改正の各項目を見てみますと、古いものでは昭和二十四年に改正されて以降手がつけられていない。新しいものでは昭和五十年のものもあります。この間の情勢の変化はかなり大きいのですが、なぜいままで二十数年も放置されてきたのかということについて伺います。
  69. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 先ほどもちょっとその点申し上げたつもりでございますけれども、二十年以上改定してないのが三十七法律のうちで十六法律もあるわけでございます。それから十年以上二十年未満というのが九法律もあるということで、はなはだ改定努力が足りなかったという点につきましては申しわけないと思うわけでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、この手数料だけのために法律改正をしてほしいと各省にお願いいたしますのは、実際問題としてなかなか無理でございまして、こういうことに結果的になってしまったわけでございまして、今回その点を反省いたしまして、一括法案ということで大蔵省が幹事役になって法案をまとめさしていただいたわけでございます。
  70. 福間知之

    ○福間知之君 要するに、財政事情も切迫してきたことでもあり、この際思い切って総括的に改正したいと、こういうことなんですね。それはそれで仕方のないことで、済んだことをとやかく言ったって始まりませんが、じゃ今後もそういうことになるんですか。その部分だけ法律改正をするのも何だからというので、いま御答弁がありましたが、いまからまた十年も十何年もほうっておくわけですか。
  71. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) こういうやり方につきまして、国会で今回認めていただきましたら、今後もこういうやり方でまたお願いすることになるんではなかろうかと思うわけでございます。  それからもう一つは、法律で余りきっちり金額を決めませんで、大筋について決めて、あとは政令以下に授権していただくというような方法一つの道かと思いますので、これは個別の法律の改正の都度の問題になるわけでございますけれども、そういう方向でも工夫してみてはどうかという感じがいたしておるわけでございます。
  72. 福間知之

    ○福間知之君 私も、先ほど財政法三条は眠っているとおっしゃいましたけれども、それとの関連があるのかどうか定かではないですが、いま後段でおっしゃられたようなことをやっぱり考えないと、先ほど麗々しく御説明になったその算定の基礎だとか行政コストだとかいうようなことを言っても、これは少し取ってつけたような話でございまして、二十年間も眠っていればどうにもならぬわけですから、これは一考を要する課題だなあということを今回この提案を受けて感じたような次第でございます。衆議院段階でもいろいろとその算定の基準だとか、審議が行われたようでございます。それ一々やっておっても多岐にわたる手数料、性格もそれぞれ違いますし、いかがかと思いますので、そういうのは省略をせざるを得ないと思うんです。  二、三具体的にちょっとお聞きをしたいんですが、——その前に、国の手数料とそれから地方における手数料があると思うんですけれども、大ざっぱに言ってどういう種類のものがどれぐらいあるのか、御説明をしていただけませんか。数にしてどれくらい手数料などが存在をしているのかということ。
  73. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 国の歳入になります手数料は、五十三年度における見込みでございますと約六百三十件、金額にいたしまして約千億円と見込んでおります。  地方の分は、自治省からお答えいたします。
  74. 小林実

    説明員(小林実君) 地方団体が徴収いたします手数料は、国の機関委任事務に関するものと地方団体の固有事務に関するものがございまして、ただいま御質問がございましたのは機関委任専務に関するものと思いますが、個々の法律等に書いてございますのは、ちょっと私資料を持ってまいっておりませんが、私どもが所管しております地方公共団体手数料令では、約二百強の種類の手数料を徴収をしております。
  75. 福間知之

    ○福間知之君 これはまた当然、国の方が上がりますと地方も上げるわけですね。
  76. 小林実

    説明員(小林実君) 今回、国の方で各種手数料等改定に関する法律を出していただきまして、個別の法律の中で国の手数料を上げるものがあります。その中に地方団体の専務に関するもので、やはり手数料を定めてございますものがございまして、これは十四法律でございますが、一緒に改定をお願いしております。それから、そのほか個別の法律で地方団体の収入に関するもののみがあるわけでございます。これは十二法律でございますが、これは別途地方交付税法等の一部を改正する法律の中で改正を予定しておるわけでございます。
  77. 福間知之

    ○福間知之君 そういうふうに、一応手数料一つとりましても、国の方でこれを改正しようとすれば、やはり地方団体をも含めて地ならしが行われなきゃならぬということになります。先ほどの酒の税金の値上げ問題じゃございませんが、手数料にしましても、個人を対象にするもの、あるいはまた企業その他団体を対象にするもの、いろいろありますが、一概に消費者負担だと、国民の負担だと、こう言い切るわけにもまいりませんけれども、全般としてそういう値上げムードというものがやはり生まれてくるということについて一応考慮はしていかなきゃいかぬのじゃないか、こういうふうな気持ちがあります。  そこで、一、二具体的なことをお聞きしたいんですが、まず通産省、武器製造法に基づく製造事業許可手数料、これは昭和二十八年二万円に改めたものを今回七倍の十四万円に改めようということであります。金額の適否は別としまして、この機会に、一体わが国で武器製造というのは、実態はいかがなものかということをお聞きしたいと思います。
  78. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 私どもの武器等製造法上の武器というものにつきましては、銃砲、たとえば産業用、スポーツ用のものは除きますけれども、銃砲、それから銃砲弾、爆発物、それから爆発物を投下する、あるいは発射する装置、あるいはこの法律で政令にゆだねられております機械器具でございますが、その中にたとえば戦車というようなものがございます。航空機、たとえば戦闘機とかあるいは護衛艦のような艦船はこの私どもの法律では含まれておりません。ここで言うところの武器と限りますと、昭和五十二年の実績で七百十七億円でございます。このうち七百十五億円が防衛庁に納められております。全体の九九・八%で、あとの〇・二%が海上保安庁とかあるいは警察とか厚生省とかに納められているものでございます。  この法律でこういった武器の製造の許可を受けておる会社及び事業所でございますが、会社数で三十会社、それから事業所で計算をいたしまして四十事業所でございます。なお、昨年の十二月現在の従業員——就業労働者でございますが、八千七十六人になっております。
  79. 福間知之

    ○福間知之君 いまのお話で、三十社、四十事業所、八千七十六人と、こういうことでございますが、ここ五年なり十年のうちにこれはかなりふえたというふうに理解してよろしゅうございますか。
  80. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 過去五年間の数字を申し上げます。  生産総額で四十八年——暦年でございますが、五百十九億円でございます。四十九年が五百五十一億円、五十年が六百二十七億円、五十一年が七百十三億円でございます。五十一年、五十二年をとりますとおおよそ横ばいに推移しております。
  81. 福間知之

    ○福間知之君 まあ武器問題は、中身についての議論は差し控えますが、余りこれは大きなふえ方ではないというふうに判断してよろしゅうございますね。   ところで、先ほどの御説明と関連しまして、たとえば製造事業許可手数料というものを二万円から十四万円にするんですが、これは運輸省の航空局関係の、後ほど御説明をいただきたいんですが、幾つかあるわけですね、航空局関係で。たとえば飛行場の完成検査手数料、これは昭和二十七年七万五千百円であったものを今回十三万円にしようということなんです。非常に広大な飛行場、これはローカルの飛行場も含めての話でしょうが、そこらの完成検査手数料が十三万円。いまの武器製造事業所の許可手数料が十四万円、先ほど行政コストだとかいろんなことをおっしゃいましたけれども、何かぴんと来ないんですね、そういう横にらみをしてみますと来ない。  航空局の方にちょっとお聞きしますが、耐空証明手数料というのがございますね。昭和三十五年二十二万三千円でございましたが、今回はそれを三百六十万円に一挙に引き上げようということになっているんですけれども、これは一体どういうことなんですか。
  82. 山田宏

    説明員山田宏君) いま先生お尋ねの耐空証明手数料の点でございますが、これにつきまして、御審議をお願いしております改正案に、新しく三百六十万円の上限ということで改正案に盛り込んでおりますが、これにつきましては、先ほど大蔵省からもお話ございましたが、手数料の基本的な考え方、これに基づきまして、この耐空証明の発給に要する事務、これに見合うコストというものを積算いたしまして、それを今回の法案の手数料の最高限度というふうに定めたわけでございます。  そこで、アップ率が非常に高いではないかという御指摘でございますが、これにつきましてはコスト主義に立ちまして、現在国内で耐空証明の申請をするということを考えました場合に、一番事務量が多いというようなものに着目いたしまして、それはいわゆる型式証明を受けない航空機、それが耐空証明を受けようとする場合に検査とかそういう事務が一番多くなるわけでございますが、その場合の専務量を想定いたしまして人件費、物件費を合算いたしたわけでございます。それで、従来は人件費を織り込んでなかったとかそういうようなことがございまして、結果的にアップ率が十五倍強という形になったわけでございます。
  83. 福間知之

    ○福間知之君 恐らく金額的には手数料の最高のものじゃないかと思うんですが、それはともかくとしまして、耐空証明というのは具体的にどういう検査をするんですか。耐空というのは、飛行機の機体その他が、使用する場合の空気抵抗その他にどれほど耐え得るかというふうに字句から読めるんですが、具体的にはこれはどういう検査なんですか。
  84. 山田宏

    説明員山田宏君) これは平たく申しますと、自動車の車検に相当するようなものでございますが、航空法に基づきまして、およそ「航空機は、有効な耐空証明を受けているものでなければ、航空の用に供してはならない。」、こういう規定がございます。言うまでもなく空を飛ぶ飛行機、機械でございますから、それが安全に飛べるかどうか、これを国におきまして詳細かつ綿密な検査をいたしてその安全性を確認いたします。それで、具体的には先ほど申しましたように型式証明を受けた航空機とそれから型式証明を受けていない航空機で、検査の対象項目と申しますか、検査事務の内容が変わってまいりますけれども、いずれにいたしましてもその航空機が安全に飛べるかどうか、その機械の装置の安全性、あるいはその航空機自体としての飛んだとき、あるいは離陸、着陸の場合の安全性、そういうものを技術者が綿密に時間をかけて詳細、精細なる機械的なテスト、最終的には試験飛行をして試験をするということもございますが、そういったような非常に手間暇をかけ、かつ技術的に綿密なチェックをいたすわけでございます。そういうことで、検査事務は相当な時間も要しますし、したがってコストというものが非常に高く積算される、こういうことでございます。
  85. 福間知之

    ○福間知之君 もう一つわかったようでわからないんですけれども、まあともかくとして、これは関連してお聞きしますが、お互い皆飛行機に乗る時代になりまして、何となくあの大きなずうたいの機体が空に、中空に浮くわけですね。これが落ちたらどうなるんだろうかとか、強風にあおられてバランスを崩さないだろうかとか、あるいは私などずいぶん海外に行きまして、台湾の東方、ちょうど東の方の上空は非常に気流が悪い。香港から乗りますと、大体夕方乗ると食事の出る時間になる。一遍に二、三百メートルどすんとエアポケットで落っこったことがあるんですが機体は何ともなかった。皆さん飛行機に乗るときに、まあ知らぬ顔して乗っているけど、何となく無事に着かぬかなあという顔をして乗っているんですよね。飛行機というのは航空局さんどうなんですか。大体私聞いているのは、まあ予想される衝撃に耐え得重三倍の強度を持っているというふうに聞くんですが、最近のように五百人から乗るジャンボジェット機になれば、果たしてそういうことが言えるのかどうか、この三倍というのが間違っているかどうかお聞きしないといかぬのですが、どうなんですか。エンジン部分だとかあるいはまた翼の部分、機体の部分、いろいろあるでしょうけれども、肝心のところはどうなんですか。
  86. 山田宏

    説明員山田宏君) はなはだ具体的なお尋ねでございますが、先ほど抽象的でよくわからぬという御質問でございましたので、先ほどの説明を補足させていただきますと、耐空証明を出すに当たっての検査の項目の主なものを申し上げますと、製造工程の審査、それから品質管理の審査あるいは飛行性能の試験、さらには先ほどちょっと触れましたが構造の強度の試験あるいは油圧の関係、さらには動力あるいは燃料あるいは電気計器、それから操縦系統、そういったような航空機の室内のあらゆる装置、設備につきまして厳重な審査を行っているわけでございます。  それでいまお尋ねの、しからばどの程度の安全性と申しますか、安全度の余裕と申しますか、それを見込んでおるかとのお尋ねであろうかと存じますけれども、これにつきましては、払いまそういうきわめて専門技術的な詳細な知識を持ち合わせておりませんが、小さな飛行機にいたしましても、最近のジャンボジェット機のような最も大きな、しかも高速で飛ぶような最新の航空機にいたしましても、基本的には安全第一という原則に徹しておりますし、それもあらゆる可能性ということを前提に置きまして、いわゆる安全度のアローアンスと申しますか、それを相当見込みまして審査しておるというふうに申し上げておきます。
  87. 福間知之

    ○福間知之君 衝撃に対する強度が三倍であるとは言い切れないわけですね。何年か前にBOACが富士山の上方で乱気流に遭ってばらばらになりましたね。あれの経験などは航空当局としてはやっぱりその後に生かされていると思うのですけれども、いかがですか。
  88. 山田宏

    説明員山田宏君) はなはだ専門技術的なお尋ねでございますので、現在私そういった資料持ち合わせておりませんので的確な御回答を申し上げかねますが、具体的に安全度が三倍であるか否か、それにつきましてこの席では御答弁申し上げかねますが、帰りまして調査の上、また改めて御説明に上がりたいと思います。  なお、十数年前、富士山の近くでたしかジェット機が墜落したことがございますが、あれは相当猛烈な乱気流が原因で空中分解したというふうに承知しておりますけれども、その後そういったことも踏まえて、強度と申しますか安全性と申しますか、については十分考慮しておると存じております。
  89. 福間知之

    ○福間知之君 その強度は果たしで何倍なのかというようなこと、別にここで特にせんさくをする気持ちはないんですけれども、わかっておれば知っておいたら便利だなあと思っただけでございまして、また機会があれば教えていただきたいと思います。  通産省の関係の手数料というのは一番数が多いですね。しかも、ほとんどこれは個人を対象としておらないし、比較的新しい年度で改定が行われていると、こういうことも資料によると拝見できるのです。省によって、通産省さんなんかこれ五十二年大分ありますよ、これは数が多いから通産省の場合は五十年に一括改正が試みられたのかどうか。それはそのときは当大蔵委員会では恐らくなかったのじゃないのかと、こう思うんでございますが、これは大蔵省どうですか。
  90. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 通産省の関係で、金額的にも大きいんでございますけれども、特許関係の四法が御指摘の点であろうかと思うのでございますが、これは特許関係四法がたまたま五十年に改正がございまして、そのときに手数料関係につきましても改定をお願いしたということで、最近見直すチャンスがあったわけでございます。
  91. 福間知之

    ○福間知之君 だから、これは私も持て余すんですけれども、数が多過ぎて、一々やっていると恐らく委員長が泣くほど委員会を開かなきゃならぬかと思って、ほとんど具体的なことをやれませんけれども、先ほど山口さんがおっしゃったように、ぜひこれはこういう姿じゃなしに、審議の仕方というものを御一考を願いたいと思うんです。今回これを一々せんさくして、行政コストその他によって基準を洗いざらいしたところで、恐らく当局は十分検討されて提起されているんじゃないかと思いますんであれですけれども、われわれはちょっと見ただけでも、何か、先ほど言ったように、横にらみで金額的なアンバランスというものを感ずるわけですよ。そういう点でどうもとっつきにくいですね、この問題につきましては。  そういうふうな不満を私は申し上げて、あと関連質問、ひとつ穐山君にお願いしたいと思います。
  92. 穐山篤

    穐山篤君 一つだけお伺いいたしますが、手数料の改正というのは筋から言えば、コスト主義ですから、一定の時期が経過をすれば値上げをするというのはある意味ではやむを得ないと思うんです、しかし、私は毎回の委員会で申し上げているんですが、ことしは税収確保の点ではいろんな知恵を出された、近年になくいろんなものに手をつけたという感じがするわけです。この手数料の総収入全体を見ましても、たとえば鉱業法だとかあるいは旅券法という特定なものの収益が大部分を占めておりまして、それ以外のものはごく小部分になるわけですね。先ほどもお話がありましたが、原価主義、コスト主義をとるんだけれどもその他の要素もありますということを指摘をされるならば、少なくともこの手数料で税収を拡大をしたいという、そういう一面があるとするならば、特に特定な手数料についてもう少し吟味をしていいのではないかというふうに思います。  たとえば、この前ハイジャックがあったときに旅券法の改正という問題もあったわけです。その旅券法の改正のときに手数料についても、手数料を上げることによってもっと、まあ旅行を楽しくという面もありますけれども、もう一面は旅行に対する節度というものもきちんとつけたらいいじゃないかという議論もあるわけです。したがって、一括審議しろというのは非常にむずかしいわけですが、いま申し上げたある特定なボリュームの大きい手数料については、しっかりした審議を通して増収対策を図るということの方が筋のような気がしますが、その点をお伺いをしたいというふうに思います。
  93. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ごもっともな御意見だと思うわけでございますが、金額の大きいものにつきましても小さいものにつきましても、コストでございますとかあるいは物価の動向を考えまして常時見直しを行っていきたい、それはまさにそうでございますが、法律で決まっているというところに一つむずかしさが実際問題としてあるという点も御理解いただきたいわけでございまして、今回のような一括法案でお願いするのも一つのやり方でございますし、今回一括法案でございますから、それぞれの制度それ自身には触れないで、たとえばコストスライドでございますとか物価スライドでございますとか、従来その手数料がやってまいりましたやり方を踏襲しているわけでございますけれども、それぞれの根拠法の改正の機会をとらえて、先ほど申し上げましたように、法律では大まかに決めていただいて、あるいは行政府に差し支えのない範囲でお任せいただくような制度の導入を考えてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  94. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後二時十四分開会
  95. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、 酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び各種手数料等改定に関する法律案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  96. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、酒税法の問題について質問をいたします。  本日は、まず最初表示の問題についてお尋ねしたいと思います。  先般、灘、伏見の酒造業界の人たちに会ったときも、また、先般の大蔵委員会に参考人として来ていただいた酒造業界の人たちも、また、私の地元である広島県の清酒業界の人たちに会うときにも、いつも表示の問題についていろいろ意見が出るわけであります。  それは御存じのように、酒は製造年月日等あるいは内容表示等もやっておるわけですけれども、一方ウイスキー類については年月日が記入されていない、内容表示もない、ビールについても旬のみが記入されておる、こういうことは非常に不公平ではないか。清酒業界としては公平な条件の中で競争をさしてもらいたいと、こういう意見があるわけでございますが、公正取引委員会としてはこの問題についてどう対応してきたのか、御説明をいただきたいと思います。
  97. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 洋酒の業界につきまして、特にウイスキー業界に対しましては、かねてから原材料表示あるいは特定用語の表示等、具体的な検討事項を示しまして、公正競争規約を設定する方向検討するようにということで指導しているところでございますが、外国品との兼ね合いもありまして、業界としましては技術者が中心となりまして種々検討をやっていきたいということで相当時間がかかってきたようでございます。しかしながら、昨年の暮れから専門理事会というものを業界の方で設けまして、公正競争規約をつくる方向で鋭意作業を進めているという段階にございまして、なるべく早く公正競争規約の案がまとまることを期待しているわけでございます。私どもとしましても、積極的に指導を続けていきたいと考えております。
  98. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 清酒業界の人たちは、消滅業界公正競争規約をつくって表示に踏み切るときに、公正取引委員会ビール業界にもまたウイスキー業界についても同じように表示をさせる、こういうような話だからわれわれはやったのだ。ところが、どうも同じようにやらせると言いながら同じようにやらせないじゃないか、そういう点で公正取引委員会の姿勢は約束違反である、業界によって差別するとはけしからぬじゃないか、こういう意見が強いわけなんですが、公取はその点をどう考えますか。
  99. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 清酒ウイスキービールも同じ油類でございますが、それぞれまた違う性格も持っているわけで、メーカーも違いますし業態も若干違うわけでございます。私どもとしましては、それぞれいろいろな商品がございますけれども、そういう商品の表示が適正化されるようにということで仕事をやっているわけでございまして、酒類について申しますと、特に清酒につきまして、四十八年あるいは四十九年ごろからいろいろ表示の問題が指摘されたわけでございます、まず、清酒の方からいろいろ指導をしたわけでございます。  それと同時に、また洋酒の方につきましてもいろいろな問題が指摘されてきたわけでございまして、清酒の指導あるいはそういう清酒業界の自主基準ができた以降に、洋酒の業界につきましても公正競争規約検討するようにということで指導してきたわけでございまして、特に両者を差別するとか公平を欠くとかということでやってきたわけではございません。
  100. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 公正取引委員会としては、清酒業界に対しても洋酒業界に対しても、その他の酒類業界に対しても同じような姿勢で当たっておる、こういうお話ですがね。  そうしますと、清酒業界の場合はいち早く実施に踏み切っておる、洋酒業界はまだ踏み切っていないということは、やはり業界の自主的な考え方の違いであると、そのように判断をしていいわけですか。公正取引委員会としては同じように指導しているけれども、一方の業界は言うことを聞くけれども、一方の業界は言うことを聞かないんだと、極端に言えばそのように判断をしていいわけなんですか。
  101. 土原陽美

    説明員土原陽美君) まあ清酒ウイスキーと比べましたときにも、一方が醸造酒で一方が蒸留酒という違いがあるわけでございまして、それぞれ表示の実態にしましても業態にいたしましても違った問題があるかと思います。特に洋酒の場合、ウイスキーの場合などでは、国際的な商品でございますし、それとの兼ね合いということでいろいろ問題があったのではないかと考えております。
  102. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私のいただきました資料によりますと、五十一年八月三十日に公正取引委員会日本洋酒酒造組合に口頭で公正競争規約をつくれと、こういうことを業界に指導をしたと聞いておるわけでありますが、まあそれ以来すでに二年近くになろうとしておるわけでありますが、この検討状況はどうなっておるんでしょうか。
  103. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 私ども、いま先生お話ございましたように、五十一年の八月に業界の方に口頭で申し入れをしまして、その後進捗状況をるる聞いているわけでございますけれども、聞いている限りでは、当初特に技術者が中心となって、ウイスキーというのはどういうふうに定義されるものかとか、いろんな成分についてどう考えるかというようなことを、非常に基礎的なことを含めて種々議論をしてきたということのようでございまして、先ほど申しましたように昨年の十二月からは、むしろ営業関係の人たちが中心となりまして、具体的な今度表示基準をつくるという方向検討を開始していると聞いております。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この洋酒業界が、なかなか清酒業界が言うように、日付をつけるとか内容表示をするとか、そういうことに非常に難色を示しているわけですが、こういう理由はどういう点にございますか。
  105. 土原陽美

    説明員土原陽美君) まず製造年月日といいますか、日付の表示につきましてでございますけれども一般的に申しましてそういう日付の表示というのは、時がたつにつれて品質が低下するという商品について表示が必要であると考えられるわけでございます。ウイスキーにつきましては、経時による品質の低下というのがほとんどないと言われているようでございまして、そういうことであれば表示の必要性は余りそれほどないんではないかと思われるわけでございます。また原材料表示につきましては、これも一般消費者から見まして、まあ必要なときに、商品選択上必要であればあった方がいいということでございますが、まあある商品を取り上げた場合に、いろいろな原料が使われておる。その原料がその商品の品質とか機能に密接に結びついておるというようなときに表示が必要であると考えられるわけでございますが、ウイスキーにつきましては、いろいろな原料が使われているということも言われているわけでございますけれども、そういうことであれば消費者の商品選択上表示があった方がいといういことになるかと思います。いずれにしましても、私どもとしましては業界考え方がまとまった段階で検討したいと考えております。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうするとあれですか、公正取引委員会としての方針というものはないわけですね。ともかく業界で話し合って公正競争規約をひとつまとめてみろと、それが出てきたら検討するということで、公正取引委員会清酒業界には日付をつけろということを指導したわけですけれども、洋酒業界には日付の点についてはそういうことをやれという方針でもないわけですね。
  107. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 最終的な業界考え方がまだ出ておりませんので、私どもとして具体的に申しているわけではございませんが、具体的な考え方が出てきた段階で、公取としましてどう考えるかということを検討するつもりでございます。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま醸造酒と蒸留酒というものは、まあびん詰めをした後の品質劣化の問題について、蒸留酒は品質の劣化が非常に少ないと、そういうお話で、これは一般的にはそう言われているわけですけどね。しかし清酒業界の人に言わせれば、やはり蒸留酒にしてもびん詰めにすればそれから後は品質劣化は起こるんだと、よくなることはないんだと。まあブドウ酒とかウイスキーなどは、たるに入れて地下に低温のところに保管をしていると、ああいう状態は長くなれば長いほど非常にいいわけですけど、びん詰めをしてしまえばやはり当然それは品質劣化が起こるわけで、そこに多少の違いはあるかもしれませんけどね。そういう意味で私はやっぱりこれは品質管理の上からもやはり日付をちゃんと明示すると。それは何月何日何時何分まではいいにしても、おおよその日付はつけるように私は指導すべきじゃないかと思うんですがね。  この点は大蔵省の方はどうなんですかね。大蔵省は、これはまあ公正取引委員会の関係だから、余りいやなことはタッチしない方がいいんじゃないかと、こういうことで傍観をしてるんじゃないですか。
  109. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 御質問表示の問題でございますが、私ども実は清酒業界からもいろいろそういうような御意見を承っておりまして、私自身も何度か公正取引委員会の方に伺いまして、バランスのとれた表示を行っていただくようにということはお願いしておるわけでございます。ただ、いま公正取引委員会の方でお話がありましたように、たとえば、原材料とかそういうものは別として、劣化するかどうかという問題になりますと、私どもの技術の専門家の話では、やはり醸造酒の場合とはかなり違うというような感じのお話がございますので、その内容をどういうふうにするかという問題につきましては、やはりこれは公正取引委員会の所管に属することでございますので、私ども幾らでもアドバイスできることはいたしますといたしましても、そちらの方でいろいろ業界と詰めていただくと、私どもは側面的にそれをまあアドバイスしていく、あるいは指導していく、こういうことが筋道ではないかと思っておるわけでございます。しかし、決して問題を私ども怠けてるわけではございませんし、これからもそういう点につきまして一層努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ別に怠けてるわけではないとおっしゃいましたけど、やっぱり物事は結果をもって判断をしなくちゃいかぬわけでね。私は、清酒業界は非常に、三千も業者がいて、しかも大中小いろいろあると、そういう業界はまとまりにくいと思うんですけど、まあしかし消費者立場に立って誠意をもってやっておるんじゃないかと思うんですね。実際清酒業界としても、ああいう日付があるために、もしお酒が古くなったら返品もあると思うんですね。そういうこともやはり清酒業界にとっては言うなれば経済的には損失なんですけれども、やはり消費者立場に立ってやっておるわけなんですから、そういう点大蔵省としても真剣に取り組んで、早く結論を出してもらいたいと思うのです。  公正取引委員会にお伺いいたしますが、表示の問題というのは、これはやはり消費者立場に立って考えるべき問題である、消費者のために表示問題があるんだと、こう私は理解をしているのですけれども、それでよろしいですか。
  111. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 先生おっしゃるとおりでございます。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 現在ウイスキー公正競争規約検討についていろいろ専門の部会を開いて検討をしているとのことでございますが、これはどういうメンバーが入っておるのか、これはどうなんでしょうか。
  113. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 詳しいことは聞いておりませんが、業界の重立ったメンバー、約十社ぐらいの特に営業関係の重役クラスの方がメンバーになっておると聞いております。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは、たとえばこのメンバーの中には専用の学者とかあるいは消費者意見を代表する人とか、そういう人は入っているわけですか。
  115. 土原陽美

    説明員土原陽美君) いま先生がおっしゃいました、外部の専門の学者あるいは消費者というのが入っているということは聞いておりません。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、先般から当委員会においても表示の問題がいろいろ論議をされてきたわけです。これはウイスキー表示のみならず、いわゆる清酒業界においても特別な酒の表示が果たしていいかどうかと、こういうことが問題になったわけで、私は消費者に正しい情報を与えるためにもこの表示問題は非常に大事だと思うんです。しかし、ただいまのような公正取引委員会の姿勢で業者任せ、業界任せであれば、どうしても業界というのはやっぱり業界の利益というものを第一に考えると思うのですね。これはやはり業界の人たちは自分たちの従業員の月給も払っていかなくちゃいけないし、できるだけコストを安くして利潤を上げていかなくちゃいけない。これは当然のことであって、そのこと自体が悪いということは言えないわけでありまして、そういう意味で、この表示問題を洋酒業界の問題にいたしましても業界任せで果たしていいのかどうか。やはり、たとえば専門家を加えるとか消費者代表を加えるとか、そのようにしてもうちょっと国が音頭を取ってやるべきではないかと。これは全体の問題になると大蔵大臣の所管ではないかもしれませんけれども、酒類という問題に限ってみても、私はそういうことが必要なんじゃないかと思うので、その点はどうでしょうか。
  117. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 現在、大蔵省が所管している法律に酒税法、酒団法があるわけでございますが、酒団法上で酒類行政の必要限度におきましてそれぞれ表示をすることを規定しているわけでございますが、別途、取引の公正な競争確保の見地から消費者保護のために別途の表示が問題になっていることは委員の御指摘のとおりでございます。もとより酒団法上のこの表示は、これはまたこの必要でもってやっているわけでございますが、消費者保護という問題も酒類業界が今後発達していくためには同時に考えていかねばならぬ一つの問題であることは当然でございます。したがいまして、国税庁におきましてもこの問題については検討を進めているわけでございますけれども、先ほどから申し述べましているようなもろもろの理由がございまして、なかなかその辺がうまくいってないようでございますが、なお一層、御趣旨もございますので、大蔵省におきましても公正取引委員会の方あるいは業界との連絡をとりながら、消費者保護のためにさらに一層の努力を傾注してまいりたいと思っておるところでございます。
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この問題はこれ以上やっても余りいい答弁は出そうにありませんので、これでやめますが、要はいろいろ問題があるわけで、それだけに業界任せでは進まない。やっぱり表示の問題は業界だけの問題じゃなしに、消費者立場からやっていかなければならないわけでございますので、ひとつ早急に結果を出していただきたい。公正取引委員会も先ほどのような御答弁ではわれわれも全く納得できませんし、清酒業界に比べて余りにもウイスキー業界が誠意がなさ過ぎると、余りにもそういう姿勢に対して公正取引委員会もちょっと姿勢が弱いのじゃないかなと、こういう感じがいたしますので、この点は公正取引委員会に強く要望いたしまして、これはまた次の機会にいろいろ質問をさしていただきたい、このように考えております。  それから、次にお酒の消費の問題でございますが、農林省が、「米の消費拡大について」という通達を一月三十一日に出しております。また、それを受けて食糧庁長官が本年二月八日にやはり同じ内容の通達を全国の食糧事務所へいたしまして、できるだけ米を使えと、その一環として公式行事にも米を使うと同様にお酒を使いなさいと、こういう通達を出しておるわけでありますが、各省あるいは各県の反響状況はどうなのか、これは農林省にお伺いしたいと思います。
  119. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 米につきましては、日本の風土に適したものである、それからまた日本酒につきましては、伝統的なわが国の民族酒としての歴史を持っておるわけでございます。そういう意味におきまして、それらの消費をできるだけ伸ばしてもらうということで、各関係行政機関それから各都道府県にもお願いをいたしておるわけでございますが、そういったような趣旨については多くの理解と認識を深めていただいておりまして、農林省はもとよりでございますが、他の官庁におかれましても、各種の会合の後の懇親会等で酒類を用いられる場合には日本酒を用いておる、あるいは各都道府県においても、都道府県自体はもとよりでございますが、関係の方面をもそういう趣旨で指導しつつあるというふうに存じております。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは大蔵大臣にお尋ねしますが、この通達を見ますと「米の消費拡大について」ということなんですね。米の消費を伸ばすために酒を飲んでくれと、こういう通達にたっておるんですね。農林大臣は米を所管しておるんですからこういう通達を出すのはけだし当然というか、遅きに失したというか——まあしかし、米の消費拡大に酒を飲んでくれというのもそれはいいですけれども、しかしやはり、日本には古来からの清酒というお酒があるわけですから、これをやはり消費拡大をしてほしい、こういう大蔵大臣の通達ぐらいはもっとあってよかったんじゃないか。そういう点はちょっと大蔵省は農林省に比べて熱意が足りなかったんじゃないかと、このように私は思っておるんですが、この点はどうですか、大蔵大臣
  121. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 農林大臣の方は、御承知のように、いま米の減反の問題が大問題でございますし、また、食管の価格が決まるたびに、酒米に対しましてやはり二百四、五十億の事実上の補助をした結果になるようにいろいろな手当てをしていただいているのでございますので、農林大臣立場は私はよくわかるのでございます。君たちも日本酒がうまくいくようにということで三本柱で大いにやっておるわけでございますが、酒税全体をわれわれは預かっておるのでございまして、したがいまして、大蔵大臣があたかもビールウイスキーは余り飲まないで日本酒だけを飲んでくれと言う立場にはないのであろうと思うのでございます。別途実質的な方法で、それぞれ酒税法におきまして、あるいは原料米の割り当てにおきまして、さらには、業界の発展のために安定法等を通じまして奨励いたしておるのでございますが、大蔵大臣立場というのは酒類全体でございますので、御理解願いたいと思うのでございます。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ大蔵大臣立場からすれば、もちろん税金が入ればいいわけですから、それは輸入のお酒にしても税金は同じように入るわけですね。しかし、大蔵大臣は大蔵大臣であるとともにやはり日本政府の閣僚でもあるわけですから、やはり日本人であることは間違いないわけですから、そういう立場立場として、また日本の古来の伝統的、芸術的な清酒業界の発展にも努力をしてもらいたい、こういうことを要望しておきます。  そこで、先般西ドイツ大統領が日本へ来られまして、そのときの宮中晩さん会に日本酒を出した、初めて登場した、こういう記事が載っておるわけであります。前々から清酒業界の人たちが言うのには、やはり外務省における外国のお客さんを招いてのパーティーとか、そういうときにもどんどん日本の酒を出してほしい。ソ連へ行けばウォッカとか、あるいは中国へ行けば茅台酒とか、あるいは朝鮮に行けば人参酒とか、それぞれやはりお客さんを迎えて自分の国のものを出すのがこれが国際的にも最高のエチケットであると、私もそういう話を聞きまして、まことにそのとおりじゃないかということで、いままでもそういうことを主張してきたわけなんですが、宮内庁が今回歴史始まって以来初めて清酒を出したと、こういうことは一歩前進として非常に高く評価をしておるわけでありますが、しかし一方、なぜいままで出さなかったのかなと、そういう気持ちも実はあるわけなんですがね。そういう点、宮内庁にはいろいろ伝統というものもあるし、やっぱり伝統といもうのは重んじていかなければならない点もあると思うんですけれども、そのあたりの状況はどうなっているのか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  123. 藤巻清太郎

    説明員藤巻清太郎君) お尋ねの件でございますけれども、宮内庁で日本酒を出す——まあ国賓の方につきましては今回初めてでございます。これは御指摘のとおりでございますが、そのほかいろいろな機会、特に皇室による内外人の接待というときには、たとえば天皇誕生日、新年祝賀、あるいは春秋の園遊会、外交団接伴、こういったところではもうすでに前から出しておるわけであります。  で、国賓の点につきましては、実は最近になって考えたわけじゃございませんで、相当前からいろいろ研究しておったわけでございます。ただ、何分にもおよそお客さんを接待するときにはやはり相手方の事情とか、それから押しつけにならないように、さらにはその行事の趣旨といいますか、雰囲気というか、それがうまく盛り上がるようにというようなこと、いろいろ十分慎重に考慮しなければならない面もございました。特に皇室の接伴することについて、一度試しにやってみて、ぐあいが悪かったからまたやめるということもどうかと思いますので、そういう点で非常にこの検討には確かに時間がかかってきたわけでございます。  ただ、たまたま先ほど来御指摘のような農林省からの御依頼というものも一つ検討を促進する材料にはなったと思いますが、われわれとしては今後ともできるだけそういういろんな要請をうまく調和さしていくということに努力をしていきたい、こういう状況でございます。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いままでも、国賓の場合は初めてですけれども、それ以外は積極的に使ってきたと、こういうお話でございますが、今回宮中晩さん会に清酒を初めて使ったわけでありますが、反応というか、それはどうなんですか。非常に好評だったのか、余り好評でなかったのか。
  125. 藤巻清太郎

    説明員藤巻清太郎君) おとといぐらいのことでございますので、まだはっきり反響という——まあ、こちらで余り自画自賛するのもお客さんの接待からいっていかがかと思いますが、まあ決して大統領以下ドイツ側も悪い感じはなかったのではないかと思いますが、われわれとしては、われわれの意のあるところを相手の方がくみ取っていただけたらありがたいがなあと、こういう感じでございます。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もちろん、どの酒を飲むかということは基本的には皆各人の自由であり、押しつけることはこれはできないわけでありますが、ただ、私は日本にお招きしたお客さんに日本古来のものを出すということは、これは決して失礼でも何でもない。向こうが飲みたくなければ、ちょっと一口飲んで飲まなければいいわけですからね。そういう点で、今後ともそういう点は努力をしていただきたい、このことを強く要望しておきます。  外務省の方はどうなんでしょうか。外務省は非常に公式なそういうパーティーなんかも多いわけでありますし、そういう点はどう努力されておるのか、お尋ねいたします。
  127. 枝村純郎

    説明員(枝村純郎君) 外務省におきましても、ただいま宮内庁から御答弁がございましたように、やはりそういう行事を守り立て、お客さんに満足してもらうというということが第一であろうと思うわけでございます。ただ、やはりそういう機会に日本の文化とか伝統とかを紹介する、そういったものを味わってもらうチャンスを設けることもまた望ましいわけでございまして、そういった意味合いで、一つのコースに何か日本食のようなものを出すとか、その場合に酒を供するとか、そういうこともいろいろ工夫して、これはホストがそれぞれ心を砕くところでございまして、外務省の飯倉公館でお客様を接待するときにもそういう工夫をしておりますし、あるいは地方に国賓、公賓が旅行されるようなときは日本食を供し日本酒を供すというふうな工夫もしておるわけでございます。また在外公館における行事でも日本酒を、大きな天皇誕生日でありますとか、新年のレセプションでありますとか、そういうときには日本酒はぜひ供するようにということでやっておるのが例でございます。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう点で、やっぱり外国から来られたお客様をいろいろ接待をすると、まあこういうときに向こうが喜ぶようにしていくということはこれはわれわれも反対じゃないわけですけれども、しかし、だからと言って何もかも向こうに合わせる必要はないわけでね。むしろやっぱり日本のものを、日本の文化、風土、そういうものをどんどんやってもいいと思うんです。それは決して押しつけということじゃないわけですからね。私はどこの国へ行ったって、やっぱりその国のたばこがあればたばこを吸え吸えと言って押しつけみたいに勧める国もございます。お酒にしたって料理にしたって、やはり向こうに合わせることも大事かもしれんけれども、こっちのよさもそういうときにどんどん伝えていく、私はそういう点が、いままでの日本の外交にはちょっとそういう弱い点があるんじゃないかなあと、今後はもっと向こうに合わせるよりも日本の文化、伝統というものを向こうに教えていくと、こういう方向努力をしてもらいたい、このことを要望しておきます。答弁は結構です。  それから厚生省にお尋ねいたしますが、いわゆる酒類の人体に及ぼす影響の問題ですが、お酒とか清酒ウイスキービール、ワイン、こういうようにいろいろな種類があるわけですけれども、そういう酒によって人体に及ぼす影響というものはどうなのか。当委員会でも問題になりましたが、酒は百薬の長であるとか、こういうように言われるし、また一方害があるとも言われているわけですが、そういう種類によって非常に害が違うとか、そういうことはあるのかどうか、その点はどうなんでしょう。
  129. 目黒克己

    説明員(目黒克己君) 一般にアルコール飲料によりまして起こります健康障害につきましては、本質的にはアルコールの量とそれからその飲み方とそれから個人差というものがございまして、種類によって差がはっきりするということはないわけでございます。しかしながら、一般的にはたくさん飲めば二日酔いといったようなもののほかに、軽度の肝臓障害とかあるいは高血圧といったような障害は出てまいります。また多量に、十年以上多年にわたって飲みますれば、慢性のアルコール中毒というふうなことになるわけでございます。そういうことでございますけれどもウイスキー等非常に濃度の濃いアルコール飲料を飲む場合に、その飲み方によりますればつい多量のものを飲むことが多いというふうなことが一般的に言われているわけでございますが、あくまでもこれは個人差と飲み方ということによって健康障害というものに差が出てくるわけでございます。
  130. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先般、当委員会清酒業界の代表の方を参考人として来ていただいて御意見を聞いたときに、米を食えば頭が悪くなるとか、清酒を飲むと脳溢血になるとか、ほかのを飲むとならないとか、こういうようなもっともらしい話がどこからともなく伝わって非常に困ると、こういうことを言っておったわけなんですが、私はそういうことが真実であるのかどうかということは、やはり清酒業界のためにもはっきりさしておかなくちゃいけないと思うのですがね。やはり国民の健康をあずかる厚生省としては、そういうことが事実なのかどうなのか、お米を食えば頭が悪くなるというようなことも私は絶対ないと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  131. 目黒克己

    説明員(目黒克己君) 一般的にアルコール、俗に酒類を飲みますと老化が促進されるというふうなことは一般的に言われているわけでございますけれども、特に酒を飲むと老化を促進するとかあるいは頭が悪くなるとか、精神障害を酒だけが起こすというようなことはなく、アルコール系の飲料は皆濃度によって同じ影響を与えるというふうに聞いているわけでございます。
  132. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは次に、酒造米対策の問題についてお尋ねをいたしますが、政府米等が清酒業界に供給されておるわけですけれども、これが毎年毎年一貫性がないと、先般の当委員会での参考人の方々の御意見も、早く幾ら譲り渡していただけるのかはっきりしてくれと、こういうような御意見があったわけです。それが早く決まらないとほかに手当てをしてしまいますし、そういう点から恒久的な、その年その年によって相談して決めていくんじゃなしに、一つの恒久的な処置というものを、まあこれは恒久的ということは永久的ということじゃなくてもいいですけれども、五年なり十年なりこういう方向でいくと、そういうようなものをはっきりすべきではないかと、このように思うわけですが、その点は農林省のお考えはどうなんでしょうか。
  133. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 酒造用の米につきましては、御案内のとおり、昭和四十四年に旧主流通米制度が発足いたしましてから、自主流通米をもって供給されておるわけでございます。それによりまして、やはり政府から米を供給する場合とは異なって、酒造業者の方の創意工夫による円滑な流通がそれなりに図られているというふうに考えておりますが、政府米を売却いたすようになりましたのは五十一年産からでございます。酒米については、御案内のようにそれ以外にいろいろな助成があるわけでございますが、そういったような助成とも関連いたしまして、政府米の売却というものをあわせ講ずるようになっておるわけであります。したがいまして、その趣旨は特例的な措置であるというふうに考えておるわけであります。  それからもう一つ、自主流通米を政府米に切りかえました場合には、生産者の方は、自主流通米によってそれなりの政府へ売るよりも高い手取りを得ておるというふうな点もございまして、政府が米を売りますとその分だけそれが減るというふうな関係もございます。農家への影響という点もございますので、それらの点もあわせて考えまして、総合的な判断に立って売却するかどうか、どの程度売却するかということを決めさせていただいておるわけでございますので、これを恒久的な形にするということについてはやはりいかがなものかというふうに考えておるわけでございます。
  134. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、これはいま政府米を、低温古米ですか、これを供給すると、これはあくまでも臨時異例の処置であって、これをずっと一つの制度としてする考えはないと、そのように判断していいわけですか。
  135. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) ただいま申し上げましたとおり、諸般の事情も総合的に考えて毎年決めてまいりたいというふうに考えております。
  136. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういうことでは非常に業界は困ると思うんですね。やはりお酒をつくるにはそれぞれ原料の手当てからしていかなくちゃいけないわけで、一年の計画を立てるために政府からの安いお米がどれぐらい来るのかと、そういうようなことはやっぱり計画する上にもぼくは必要じゃないかと思うんですが、それを制度化することは無理としても、毎年毎年の方針の決定というものはもっと早くするということはぼくは可能じゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。いつごろ今年度の問題は決まるわけですか。
  137. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 自主流通米に対する助成全般がそうでございますが、毎年おおむね七月ごろ政府買い入れ価格を決め、その後政府売り渡し価格を決めるというふうなことでやっております。そういった両米価の価格の決まりぐあいとの関連を考えまして、その年の自主流通米に対する助成なりあるいは酒米に対する助成というものを決めてまいっておるわけでございます。従来は自主流通米の助成が決まった後、酒米の助成についてはある程度おくれて決まっておるというふうな実情がございますが、その点に関しましてはできるだけ早く一般の自主流通米の助成を決める時期に決められるように努力してまいりたい、かように考えております。     —————————————
  138. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、岩動道行君が委員辞任され、その補欠として衛藤征士郎君が選任されました。     —————————————
  139. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この問題はいまの御答弁でよく納得できないわけですが、時間も限られておりますので……。  要は、ひとつ業界が要望しているように、早く打つべき手は打ってもらいたい。やらないんならやらないということが早くわからなくちゃ困るし、やるならこういう内容で、私言っているのは、特に低温古米の問題に限っていま言っているわけでございますので、それをひとつ早くしていただきたいとともに、これはほかの委員からも要望がございましたので私から特に申し上げませんけれども、できるだけひとつ新米を供給してもらいたい。新米もほっとけば全部古米になっちゃうわけですからね。だから毎年毎年新米を供給するということは、時期を一年か二年早くするだけの話ですから、結論的に同じことになるのじゃないかと思うのですね。そういう点でこのことを要望しておきます。  それから広島県においては、特にお酒に適した酒造米については減反の対象にならないようにしてもらいたいと、こういう要望が強くあるわけでございますが、農林省としては酒米についての確保のために特別なそういう指導はされたのかどうか、この点はどうですか。
  140. 田中一昭

    説明員(田中一昭君) 最近におきます厳しい米の需給事情にかんがみまして、五十三年度は、転作等目標面積を前年度の納二倍に増加して転作を実施することとしておりますが、この目標を達成しますためには、全国の稲作農家の御理解と御協力のもとに、地域の実情に応じてそれぞれ応分の御負担をいただかなければならないと考えております。  そこで、いまお尋ねの問題でございますが、都道府県別の転作等目標面積の配分に当たりましては、地域指標とかあるいは排水条件等々七つの配分要素により算出されました数値をもとにいたしまして、所要の微調整を行って算定しております。  そこで、その際に良質米についての配慮をいたしておりますが、酒造好適米ということを理由に配分にしんしゃくを加えていることはいたしておりません。県内並びに市町村内の配分につきましては、それぞれ都道府県知事及び市町村長にゆだねておるところでございまして、御質問の点につきましても、地域の実情に応じまして適切な配分が行われておるものと理解しております。
  141. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それからこれは大蔵当局、主税局長に御答弁願った方がいいかもしれませんが、清酒業界が、いわゆる自主流通米ですね、これを買うということは、政府の配給しているお米よりも高い値段で買うわけですね。これ買わなければそれだけ食管の赤字がふえるわけでありまして、したがって、清酒業界が安い輸入米も使わないで自主流通米を使っているということは、ある面では一種の税金負担しているようなものじゃないかと。そういう点から、清酒製造費の一番大きな部分を占める原料米の価格については、もうちょっと政府としても力を入れるべきではないかと、私も確かにそういうように思うのですが、こういう点はどう考えますか。
  142. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 御指摘原料米の価格でございますが、確かに先生おっしゃるとおり、原料価格につきましてはかなり値上がりしてきております。昭和四十年に玄米三等六十キログラム当たり六千九百十六円であったものが、現在一万七千四百円ということで、かなりの高騰を見ているわけでございますが、私どもは、酒米がやはりお酒の最大の原料である、しかも国産品である、必要不可欠な原料であるというようなことで、この酒米の値上がりを何とか抑制したいというような気持ちで、いままで、たとえば酒造用の自主流通米につきましては、主食用とほぼ同じような助成措置が講ぜられるようにしてまいったわけでございますし、また、原料米の一部につきましても、政府米の払い下げを実現さしていただいたというようなこと、こういうものを総合的に考えますと、清酒業者の方々の米代の負担軽減というのは、かなりそういうものに資しているんではないかというふうに考えておるわけでございます。今後ともこういうような原料米の負担の軽減につきましては、酒造米助成というような問題の実現の方向で、産業所管官庁としては、食糧庁当局にお願いをしてまいりたいというふうに思っております。  そのほか、今度の税制改正におきましても、そういう清酒の特殊事情を十分考えていただきまして、税率につきましても、他の種類と比べて低い税率で抑えられたというような点も含めまして、私どもとしてはできるだけの配慮は行ってきたつもりでございます。今後もこういう点については努力をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  143. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは次に、清酒業界あるいはウイスキー業界ビール業界の大体の経営状態、これは大ざっぱに言ってどういう傾向であるのか。これはあんまり細かい数字じゃなくていいです。大体大ざっぱな傾向としていまこうだと。これはどうでしょうか。
  144. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) お答えいたします。  まず清酒でございますが、ごく最近の計数というのはございませんのでございますが、昭和五十事業年度の清酒製造業の欠損企業割合というのは二九・六%というふうになっておりまして、それから低収益、いわゆる法人税の税引き前の利益が五十万円以下の法人も含めますと五一・二%という状況で、経営状態は余りいい数字とはなってないわけでございます。  それから、ちょっと数字が違うわけでございますが、いま申し上げましたのは清酒業の実態調査に基づく数字でございますが、ビール製造業につきまして、総資本税引き前利益率で比較いたしますと六・〇%、ウイスキー製造業につきましては八・六%ということでございます。同じような資料によりますと、清酒製造業については五十事業年度で三・二%と、このような数字になっております。
  145. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 特に清酒業界の欠損企業の割合を見ますと年々ふえてきておる。しかも、最近は中小だけではなしに大手まで悪い比率がふえてきておると、このように判断をしていいのかどうか。
  146. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生おっしゃるように、清酒自体が嗜好がかなり変わってきたということ、伝統産業であるというようなこと、あるいはコストの上昇要因があるということで、全般的に収益状態が余りよくないわけでございますが、このうち大手企業、たとえば灘、伏見の十四社というものを中心にして考えますと、四十九事業年度と五十事業年度の経営状況を欠損企業割合で見ますと、いずれも欠損企業はない。また総資本税引き前純利益率で見ましても、五十事業年度が五・五、四十九事業年度が五・〇というようなことで、この両年度の計数面だけで比較をいたします限りにおいては、特に悪化しているというような傾向は見られないわけでございます。  その後のデータにつきましては、私どもちょっと把握しておりませんので何とも申し上げかねるわけでございますが、大手企業の経営は、最近におきます全般的な価格の引き上げ、中小、大手を問わない清酒価格の引き上げがかなり寄与しているということを勘案いたしますると、大手企業の経営状況にも大きな変動がないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  147. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 清酒業界に比べて、ビール業界、洋酒業界等は特に欠損企業があるのかどうか、その点どうですか。
  148. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ちょっと、正確な数字を持ち合わしておりませんが、ビール会社につきましては、欠損企業は恐らくないものだろうと考えております。それからウイスキーにつきましては、中小のメーカーにつきましてはちょっと調べておりませんのでわかりませんが、大手につきましてはいまのところないのではないかというふうに考えております。
  149. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ウイスキー業界サントリーのシェアが非常に高いわけでありますが、現在大体どの程度のシェアになっておるのか、また現在サントリーのシェアというのはだんだん上がってきているのか、下がってきているのか。それからビール業界においても、これはガリバー型の寡占状態で麒麟のシェアが非常に高いわけでありますが、その麒麟の占めるシェアというのはどの程度で、それは平衡状態であるのか、ますます大きくなってきているのか、そのあたりの動きの状況はどうなんでしょうか。
  150. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 特定企業の名前を申し上げていいかどうかわかりませんが、ビールの場合は、トップ企業につきましては、昭和四十八年におきます集中度は六十度ということでございます。その後四十九年が六十二、それから五十年が六十、五十一年が六十三、五十二年が六十一という数字になっています。  ウイスキーにつきましては、トップ企業が四十八年六十六、四十九年六十三、五十年六十六、五十一年六十五、五十二年六十八という数字になっております。
  151. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、大体傾向としては寡占の度合いは進んでいる、なめらかではあるけれども進んでおると、こういう状況判断していいわけですね。
  152. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 企業によって違うと思いますが、まあ一進一退というところではないかと考えております。
  153. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは私たちもできるだけ公平な競争が行われることが一番望ましいと思うわけですけれども、現実はそうではないわけであります。  それで、たとえばビール業界ではトップ企業が六割以上のシェアを占めている。そういう点から考えれば当然やはりコストも安いはずじゃないか。しかし、安くすればこれはますますシェアが拡大をしていく。そういうようなことで現実に売られている小売り値段というものは、ビールの場合でも余り差はないわけですね。こういうような状態について私たちも一つのジレンマというものを感ずるわけですけれども公正取引委員会としてはこういう問題についてはどういう姿勢で臨んでおるのか、これをこの際伺っておきます。簡単で結構です。
  154. 関根芳郎

    説明員(関根芳郎君) ただいま先生御指摘の、ビール業界につきましての御質疑があったわけでございますが、寡占の問題につきましては、昨年の法改正によりまして、独占的状態に対する措置というような規定ができまして、この規定は単にシェア規制だけじゃなくて、非常にいろいろな面での弊害ということが現実になってきておる場合に適用されるというようなことでございまして、現在のところは、シェア基準につきましてかなり寡占的で、あるという御議論があったわけでございますが、今後そういうような面で弊害とかなんとか生じないよう十分見守ってまいりたいというふうに考えております。
  155. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それからお酒の最後の問題で、実はテレビ広告の問題でございますが、これも清酒業界、特に私の住んでいる広島県等は清酒業界の中でも大手の十何社、十二社でございますか、それにも入らない、それぞれ地域に根を張った清酒が多いわけですけれども、そういう人たちが言うのには、テレビでぱぱっと全国ブランドでそういうものをやられると非常に影響が多過ぎる。だから私たちも公平な立場で競争をしていきたいと、そういう点から考えて、テレビの広告については非常に困ると。国によってはお酒の類のテレビ広告というものも禁止しているところもあるそうですけれども、こういうテレビで酒を宣伝——酒を飲め飲めと、こういうような広告。しかも内容というものは別に何も書いてないわけですね。ただ、何とか何とかという言葉だけで酒の宣伝をしていくという、こういう広告のあり方について公正取引委員会としてはどう考えているのか、これは公正取引委員会じゃないですか。
  156. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) お酒の広告でございますが、テレビを見ますと、いろんな広告が確かに出ておりますことにつきましては先生のおっしゃるとおりだと思います。諸外国の例も私なりに調べておるわけでございますが、詳しいことはわかりませんのでございますが、確かにおっしゃるとおり、フランスあたりにおきましては、度の強い酒類の多くについては広告を禁止するとか、あるいはスタジアムとか、そういうところには広告をやらないとか、そういうような規制をしているところもあるやに聞いております。一方では全く規制をしていないという国もあるわけでございまして、世界的に見ますと、主要国につきましてもばらばらな状況になっておるやに聞いておるわけでございます。  ところで、そういうような広告をどうするかということでございますが、致酔性の飲料であるというような酒の製造とか販売のあり方、あるいは広告のあり方ということにつきましては、私どもといたしましても十分な関心を抱いておるわけでございますが、たとえば清酒製造業の第三次の近代化計画におきましても、広告及び販売方法の適正化等、消費者利益の増進に努めるというのも、最近のアルコール飲料に対する社会的関心が非常に高まってきているということから、酒類の広告宣伝あるいは上販売方法の適正化というものをどうしたらいいかと、こういう観点からの趣旨によるものであろうかと思うわけでございます。  それから中央酒類審議会におきまして、現在流通問題について検討が行われておるわけでございますが、これも致酔性飲料としての酒類の販売のあり方をどうしたらいいだろうかという観点からの御議論もいただいておるわけでございます。しかし基本的な問題といたしましては、酒税法等関係法令の規定に抵触しない限り、やはりまあ企業の自由意思である程度広告はできるというのが現在のたてまえでございますし、また、広告というのは一つの流通の効率化、円滑化という点におきましてその果たす役割もあろうかと思うわけでございます。こういう問題も十分に念頭に置きながら、かつ、致酔性飲料としての酒類としての広告はいかにあるべきかということについては、私どもは、余り多くの広告宣伝をしてまで需要を拡大すべきものかどうかという点について若干の問題もあるというふうに考えておるわけでございます。
  157. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは中央酒類審議会におきましても、広告その他消費者誘引行動については節度を求むべき点があると、こういうことも指摘をしておりますし、これは非常にむずかしい問題だと思うんですけれども、これは大蔵当局としても検討していただきたい。そして、公正な立場で競争のできるように検討していただきたい、検討すべきである、このことを強く要望しておきます。  そこで、公平を期するためにも、まあ現在の広告費というものを規制すべきではないか、あるいは課税すべきではないか、こういうような意見もあるわけであります。この問題も非常にむずかしい問題だと思いますが、大蔵省あるいは税調等のいままでの考え方は大体どういう方向にきておるのか、これを承っておきます。
  158. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) かねてから広告費に課税してはどうかという御議論がございまして、新しい段階の最後のところだけ御報告いたしますと、一昨年の十一月に、考えられる新税として各方面で提起されているものを部会長メモでまとめました八項目の中に、広告税ないし広告費課税というものが入っております。資料としてお手元に参っておると思います。  それを受けまして、昨年十月にいわゆる中期答申が出ておりますが、中期答申では賛否両論があって、まだ結論が出ないという形で処理されております。もしさらに必要ありますれば、賛否両論を詳しくお答えいたしたいと思います。
  159. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、もう時間もございませんので、お酒についての本日の質問はこの程度にとどめたいと思います。  次に、今回提案されております各種手数料等改定に関する法律について質問いたしたいと思いますが、一つは、午前中の質問にもありましたように、二十四年以来初めて料金を改憲すると、こういうものもあるわけですね。また一方、五十年に改定したものも改定するものもあるわけですけれども、この手数料等は原則的には原価主義である。原価主義という言葉は、当然賃金も上がってくれば、本来なら年々変えていかなくちゃいけない。しかし、現実にはその手数料を百円を百五十円に変えるために国会に法律を提出するわけにもいかないということで、延び延びになってきておるんじゃないかと思うのです。そういうことは、行政の公平化という点から見てもよろしくないんじゃないか。私たちとしても値上げは余り賛成ではありませんけれども、しかし適正な料金を保っていくということは、国原財政あるいは行政の公平化の面からも必要であると思いますし、したがって、今後手数料の改定のルールというものを確立しなければいけないんじゃないか。この点は今後はどうするつもりなんですか。
  160. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 前段御指摘いただきました点は全く同感でございまして、今後におきましてもコストあるいは物価の動向を踏まえて、適正な手数料にするべく見直しを常に行わなければならないと思いますが、ただいま問題になりましたのは、結局法律で金額がしっかりと決まっている種類のものにつきましては、なかなかその法律改正のチャンスがございませんと改正がしにくいという点でございまして、今回、便宜一括法案ということで御審議をいただいておるわけでございますが、こういうかっこうを今回お認めいただきましたならば、今後もこういうやり方をとっていくのが一つの道ではなかろうかと思いますし、それから、今後それぞれの個別の法律を改正するチャンスもあろうかと思いますが、その際に、手数料の決め方についてもっと弾力的な制度にする道はないかどうか御検討いただき、でき得べくんば、行政府にかなりの幅で授権していただくようなことをお認めいただければ、それも一つの道ではなかろうかと思うわけでございます。
  161. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点は、ひとつより合理的なルールというものを確立するために、財政当局の立場である大蔵省としても検討していただきたい。私たちもいろいろ勉強さしていただきたいと思います。その件を大蔵大臣に要望しておきます。これは要望だけですから答弁は要りません。  そこで、これは確かに具体的な問題になるとお尋ねする時間もありませんが、午前中も話がありましたいわゆる耐空証明手数料というものは、これは昭和三十五年から今日まで、十七、八年ぶりに改定をして、三十二万三千円から三百六十万円と十五倍になっているわけですね。ところが、同じ三十五年以来改定する厚生省関係の医薬品製造業許可手数料というのは一・六倍になっているわけですね。だから、きょうの午前中の御答弁でこれが実際に実費だと。人件費、医薬品製造業許可手数料などは、人手を考えてみても、昭和三十五年と現在とを見れば、一・六倍というのは少な過ぎるんじゃないかと、こっちは十五倍だと、こういう違いがどういうところに出るのか。各省によって料金決定のルールというものが確立されてないんじゃないかなという感じがするんですが、この点は、これは各省からあるいは大蔵省がまとめて御答弁していただくのか、その点どうなんでしょうか。
  162. 山田宏

    説明員山田宏君) 耐空証明の手数料の額につきましては、午前中も御答弁申し上げたとおりでございますが、今回の最高限度額を定める考え方といたしまして、今日、日本におきまして耐空証明の申請があった場合に、それに要する事務量、これはその機材の大小とか種類とか、あるいはその申請にかかわりまする航空機が国産かあるいは輸入物か、あるいは型式証明を受けたものであるか否か等によりましてまちまちでございますが、その事務量のうち最大な場合、これにつきまして、それに要する人件費及び物件費、それを積算し合算した額、それを最高限度額ということで御提案申し上げておるわけでございます。  そこで、いま先生、三十二万三千円から三百六十万円にとおっしゃいましたですが、現在二十二万三千円、それが御提案申し上げておるのでは三百六十万円でございまして、確かにアップ率が十五倍強、約十六倍になってはおりますが、午前中申し上げましたように、何せ飛行機の安全性、事人命にかかわる重大な問題でございますので、それの審査につきましては機体の中の設備とか機械、さらには航空機全体としての安全性につきまして、慎重にかつ詳細に審査を行うわけでございます。それで最大の場合を考えますると、非常にその延べ時間が長時間と申しますか、長期間にわたらざるを得ないわけでございまして、その間の物件費、人件費はこれまた相当な額に上るわけでございます。したがいまして、結果的にこういうような倍率になっておるわけでございますが、なおここで付書いたしま ると、耐空証明は言うまでもなく飛行機を使う者、つまり航空会社等が申請をし負担するわけでございますので、結果的に十五、六倍になっておりますけれども負担力がある航空会社等の状況を勘案いたしますると問題はなかろうと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  163. 新田進治

    説明員(新田進治君) 医薬品につきましては特殊な性格を持っておりますので、その観点から薬事法の第七十八条によりまして、医薬品の製造業の許可等の手続につきましては、従来から法律で五千円を超えない範囲で定めることになっております。これにつきましては、最近事務費の増高、さらには物価動向から見まして、適正に是正をする必要があろうということになりまして、実際に私どもの業務の実態調査を行いまして、タイムスタディー等で審査に要します時間等を積算してまいったわけでございますが、従来からその要します人件費なり物件費等を承認件数で除してまいりますと改定案のようになるわけで、これにつきましても、そのほか特に新しい医薬品の場合、特に試験規格等とか、また試験法の適否について審査をいたします場合には、特別実費を徴収しておるわけでございます。  御指摘のように、医薬品につきましては国民の保健衛生上の観点から、特に審査についても厳重を期すということからも、今後そういう先生の御意見もございますように、特に薬事法の改正に当たりまして、そういう試験また審査の徴収額、また徴収の範囲等につきましても慎重に検討いたしまして、今後手数料につきましても検討してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  164. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまの耐空証明は、飛行機のより安全性を厳重に審査するために昭和三十五年に比べて十五倍に値上げをする。これはぜひ慎重にやってもらわないと、落っこちては困りますし、これは異論はないわけなんですが、しかし一方、医薬品の製造許可も、これまた慎重にやってもらわないと、ある面から言えばより大衆に影響があるわけでありまして、ところが、こっちの飛行機の方は二十二万が三百六十万になるわけだけれども、こっちの薬事法製造許可の方は五千円が八千円になる。タイムスタディーで研究しているというけれども、そうなると人件費はもっと上がっておるわけでありまして、やっぱり昭和三十五年よりもいまの方がよりスピーディーに検査をやると、まあ八千円分でやれるような検査ではあんまり慎重にやっていないのじゃないかなと、こういう心配があるんですが、その点大丈夫なんですか。簡単でいいですよ。
  165. 新田進治

    説明員(新田進治君) 医薬品の審査につきましては、われわれ厚生当局の審査だけではなくて、従来からその試料の提出に当たりましては関連学会等の厳正な評価を受けた試料が提出されることになっております。そういうことを踏まえまして、直ちにただ審査の事務手続だけで審査をやるということではなくて、昭和三十五年当時と現在と事務量が特別ふえたわけでもございません。質の高度化ということが主な改良点になっておるわけでございます。
  166. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大蔵省は、今回の手数料の改定に当たっては一つ一つ総点検はされたんでしょうか。そして一つのルールでこの料金は妥当であるか、そういうことを統一的な基準で再検討したものがここに出されたのであると、こう判断していいわけですか。
  167. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) おっしゃるとおりでございます。考え方は、原則はコスト計算をして一件当たりの金額が手数料として出てくる。でありますから、前回設定時の違いによって物価の値上がりも違います、あるいは人件費の値上がりも違う、それから仕事のやり方に工夫改善があるということもありましょうし、つまり仕事が簡単になっている場合もありましょうし、逆に丁寧になっている場合もありましょうし、それはそれぞれのケースに即してやるわけでございますけれどもコスト計算はそういうふうに統一的にやったわけでございます。ただ、コストによらない場合もございます。たとえば公益性を考えましてコストの七掛けを採用している手数料もございます。そういうようなものは、従来その手数料がとってまいりました方式はそのまま踏襲する。今回は一括法案でございますんで、計算方式の改善、改定ということは原則としてやらないというやり方で、そういう意味で統一的に処理さしていただいているとお考えいただいていいと思います。例外は先ほど来問題になっております航空法の関係でございまして、前には人件費が入らない物件費だけのコストで計算していたものを、今回の改定に当たりまして人件費を含めたコストで計算しておりますので、多少そういうような例外はございますが、基本的には先ほど来申し上げておるとおりの考え方でございます。
  168. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 突然のあれでございますが、たとえば原子力発電所の点検——通産省が検査していますね。あるいは原子力発電所を設置する場合には申請書出しますね。当然やはり原子力安全委員会等においてはかなりの人をかけて審査するわけですか、そういうときもやっぱり料金は取るわけなんですか、手数料というのは。これなんかはコスト計算でいくとかなりの金額になると思うんですが、そういうのはどうなっているんですか。
  169. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) これは、コスト計算の五割を手数料として考えるというのが従来からの取り扱いでございまして、今回もその取り扱いにならって計算してあります。
  170. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 手数料等も、国民の側から見れば安いに越したことはないと思うんですけれども、しかし最初に申しましたように、やはり公平の原則がなければいけないと思いますし、そういうものが各省異なった方程式で計算されるということは行政の公平化という点からもよくないのではないか。そういう点から、今回はそういう計算方法検討まではしなかった、ただ賃金とか諸物価の上昇だけを見込んで改定をしたとのことでございますが、今後はやはりそういう手数料というものは一体どうあるべきか。これはもう全国民に及ぶようなものであれば一々取らずにやるのがいい場合もあるでしょうし、あるいはあるものは五割、あるものは十割、あるいはあるものは七割取るとか、それぞれのやはり性質によって違いはあってもいいんじゃないかと思いますし、その点はやはり大蔵省が中心となるなりほかの省が中心となるなりして、統一的な立場から見直しをしていかなければいけないではないか、このように考えるわけですけれども、それについての主計局の御見解、最後に大蔵大臣の御見解を承っておきます。
  171. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 今後の財政状況は、当分の間大変厳しい情勢が続くと思いますので、私ども歳入歳出両面を通じまして常に見直しを行っていかなければならない状況が続くと思います。その際に、手数料につきましても、今回お願いいたしましたのと同じようなことで、また全面的に見直しをするということもあり得るわけでございまして、そういう際はもちろんでございますが、さらに毎年度の予算編成に当たりまして手数料を常に検討を続けているところでございますので、そういう歳入面からの手数料の検討を通じましてただいまおっしゃいましたような点についてもよく検討をし、適正な手数料を設定するように努めてまいりたいと思います。
  172. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 歳入を預かっております大蔵省といたしましては、今後ともこの手数料の統一的な算定につきまして、この上とも検討を進めまして、御要望に沿いたいと思っております。
  173. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、まずお酒の宣伝費用、これについて伺いたいと思うのです。  もしおわかりでしたら、サントリーの最近一年間の広告宣伝費はどのくらいかかっているのか、伺いたいと思います。
  174. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) サントリー社の有価証券報告書によりまして、広告宣伝費として計上されている広告宣伝費の額は、五十一事業年度でございますが、百四十四億一千万円でございます。
  175. 渡辺武

    ○渡辺武君 そのほかに販売促進費及び手数料という項目がございますが、この中にも広告宣伝費が含まれているというふうに見て差し支えないと思うのですが、この販売促進費及び手数料というのはどのくらいかかっておりましょうか。
  176. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 有価証券報告書によりますと、五十一年四月一日から五十二年三月三十一日までの数字でございますが、販売促進費及び手数料が二百四十六億七千二百万円でございます。
  177. 渡辺武

    ○渡辺武君 同じ営業期間に売上高が四千百七十  一億円ということになっていると思います。そうしますと、いまおっしゃった広告宣伝費と販売促進費及び手数料、合計しますと三百九十億円を超えるという状態になっているわけですけれども、比率をとってみると約九・三%、相当販売促進、宣伝広告のために金を割いているという状況がわかると思うんです。  私、こういうものが大体社会的な出費で消費者の上に、価格に上乗せされて負担になってくるということも問題だと思いますし、同時に、この広告宣伝費ですね、これは課税上はコストとして計算される、税金がかからないという面でも問題があろうかと思っているんです。しかし、その問題は若干別にして考えてみましても、あんまり酒を飲め飲めという宣伝ですね、これやり過ぎるんじゃないか。テレビのコマーシャルなんかを見てみますと、まるっきりウイスキーの広告なんかは物すごいですね。これはアルコール飲料です。飲めば酔っぱらうものですよ。そしてまた、それなりに体にもいろんな影響があるというようなものですから、全然宣伝広告をやってはいかぬというふうなことまでは言いませんけれども、あんまり過大なこうしたいわゆる致酔飲料の宣伝広告というものについては私は問題があるんじゃないかと思います。ある程度やはり制約をするということが必要じゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  178. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先ほどの御質問のときにお答え申し上げましたように、やはり広告というものの性格をどう考えるか、諸外国におきましても、先ほど申し上げましたように、非常に厳しい国もございますし、そうでない国もあるということで、ばらばらでございます。わが国の場合には、その点につきましては、御案内のように必ずしも強い規制がないということも事実でございます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、酒というものが商品としての時性としてやはり致酔飲料としての性格を持っているわけでございますから、どんどん飲んでもいいというものでもないということもまた言えると思います。そこにおのずからやはり物の性格に応ずる一つの限度というものもあろうかというふうに考えておるわけでございます。
  179. 渡辺武

    ○渡辺武君 限度というといろいろな意味があると思いますが、もうあるいはほかの委員に御答弁になったのかもわかりませんけれども、アメリカの場合など聞いてみますと、酒を飲む場面はテレビなどには出させない。あるいはまた広告の表現の内容、そういうものについても規制がある。ヨ−ロッパ諸国でも酒類の宣伝は厳しく規制されているという話を聞いているんです。それと引きかえますと、ちょっと日本のはひど過ぎるんじゃないかという感じが非常に強いですね。有名な言葉で、「トリスを飲んでハワイへ行こう」というようなのが盛んに言われまして、子供だって覚えているんですよ。大変なことですわな。最近は関取を使ってビールの宣伝をやる。これは週刊誌なんかでも取り上げられているという状況なんです。やはり酔っぱらい運転などの事故が大きな問題にもなっておりますし、特に私、酒を飲んだためのいろんな、何といいますか、神経系統あるいは体についての影響ですね、年々大きくなっていっていると思うんですね。  ここに厚生省の資料がありますが、抽出による推計調査で、アルコールによる精神病、昭和四十三年には千七百三十人のところ、昭和五十一年には二千二百人、その前の年の五十年は三千三百人というような急増ぶりになっているわけです。  それからアルコール中毒、これは昭和四十三年一万三千人、それが昭和五十年には一万五千二百人、五十一年にはちょっと減って一万四千五百人、こういうことになっております。  それから大量に飲む人ですね、これについて昭和四十三年百九万人、五十一年が百五十四万人、いずれにしてもふえていっているわけです。  それで、これがサントリーだけの責任だと私決して言いませんけれども、しかし、やはりウイスキーの王者としてサントリーが絶大な力を持って猛烈な勢いで宣伝に打って出ているというようなこととその内容ですね、これについて、大蔵省としても一定のやはり規制措置を積極的に講ずべきじゃないかというふうに思いますが、その点どうですか。
  180. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先ほども申し上げましたんでございますが、お酒というのは確かに致酔飲料でございますし、アルコール中旬とか交通事故といったような個人生活、社会生活の面に非常に大きな影響を与えるという面がございまして、単なる嗜好品としての財政物質というだけの問題じゃないという問題確かにあると思います。  そういうことで、御指摘のとおりでございますが、しかし一般的に見まして、一人当たりの飲酒量というのは国際的に見てそれほど日本の場合には多くないというのもまた実情でございまして、当面直ちにアルコール飲料そのものについて、消費量とか消費態様について特別の規制を加えるといったようなこと、それに対して酒税法とか、そういう法律面の規制も含めて、そういう規制を加えるということは直ちにはいかがかという感じはするわけでございますが、一方におきまして免許制度というものも、酒類の製造、販売という問題につきまして、やはり社会的な規制の面でかなり寄与もしているというふうに考えておる次第であります。しかし、非常に高濃度であるウイスキーとか、そういうものがだんだん伸びていくということに対しましては、確かに問題はいろいろあるということもございますし、お酒の特性というものを中心として十分配意していく必要はあろうかと思うわけでございます。  それから、いま先生がおっしゃいました広告宣伝費がどのぐらいが妥当なんだろうかという問題は確かにあると思うんでございますが、妥当性の判断の目安として、たとえば売上高のうちどのぐらいを占めるんだろうかというような考え方もあろうかと思いますし、あるいはそれ以外の方法もあると思うんですが、サントリー社以外にもかなり高い宣伝費を出しておるといった会社もかなりあることもまた事実でございます。お酒の広告宣伝につきましては、確かにおっしゃるとおりいろいろな意見があるということは御案内のとおりでございます。ただ、サントリー社に対しましても、私どももいろいろ意見を聞いておるわけでございますが、販売促進を図るためには、人件費とかリべートとか、そんなものに金をかけるよりも、むしろ広告宣伝に重点を置いた方が効果が大きいしまた安いといったような、そういう経営方針もあるやに聞いているわけでございます。サントリー社の問題というのは、確かにおっしゃるようにかなり高い水準にあるわけでございますが、こういう問題が続いていきますと、それ以外の会社といいますか、それ以外の酒類の製造者に対する広告宣伝費に対する影響というものもまた出てまいります。  それから全体として、やはり酒類の需要が全体的に停滞傾向にあるという中におきまして、一定の会社だけが特に強くやるといった場合が仮にあるといたしますと、酒類業界全般にやはりそういう影響を持っていくという問題もあろうかと思います。酒類というのは致酔飲料でございますし、過度の飲酒というのはやはりよくないことでございますし、多くの広告宣伝をしてまで果たして需要を拡大すべきものかどうかということにつきましては、いろいろ御意見もあろうかというふうに思うわけでございます。こういうことも考えまして、私どもといたしましては、このサントリーに対しましては機会のあるごとに広告宣伝を自粛してくださいということも要請しておるわけでございます。
  181. 渡辺武

    ○渡辺武君 機会があるごとに自粛を要請していていまのような状態だというと、ますますこれ問題ですわな。  私、調べてみますと、昭和五十年度清酒業界の広告宣伝費ですね、これは総額で二百七十億円、売上金額が一兆三千四百億円ですから、売り上げに占める比率は二%ということです。この二百七十億円、これは清酒業界全体でですね。ですから、サントリーたった一社で純粋の広告宣伝費が百四十四億円、販売促進費及び手数料を入れますと四百億円近いというような状況は、これはちょっと大変な数字だなと思わざるを得ないんですね。売り上げ高に占める比率が一割近いというようなことはちょっとやはり大き過ぎるんじゃないかという感じがするんです。  それで、もう何回も申しますけれどもこれはアルコール飲料なんですよ。いまあなたおっしゃいましたように、さあ飲め、さあ飲めと言えるようなしろものじゃないんですね。全然宣伝広告をやるなというわけじゃないんですが、清酒業界が、もう圧倒的な力を持った大企業であるウイスキービール業界と比べてみていま落日の状態になってきつつあるというようなことも考え合わしてみて、サントリーなどのこういう広告宣伝、これもう少し効果のある指導できませんか。
  182. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生のおっしゃるとおり、確かに清酒製造業の場合には税込みの売り上げ高におきましては二%でございます。それからサントリーにおきましては三・五%というぐらいの程度、三%ないし三・五%という広告宣伝費率があるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、人件費で、要するにセールスマンとして売って歩くのがいいのか、あるいはリベートという形で販促費を出してそれによりまして促進をしていくのがいいのか、あるいは広告という形で宣伝をして販売を伸ばしていくのがいいのかというのは、やはり企業の一つの自主的な判断に基づいてやっておるということであろうかと思うわけでございます。決してそれがいいということを申し上げているわけじゃございませんけれども、やはりそこは企業の経営政策に関する問題でございまして、私どもはそこまでやる必要があるんだろうかどうだろうかということについては問題提起はしているわけでございますが、やはり行政指導というものは一つの限界があるということもひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  183. 渡辺武

    ○渡辺武君 私の申し上げたいのは、それは企業としては経済効率ということを考えていろんなことをやるだろうと思うんです。しかし、その経済効率をなまで貫いていくということについては、つまり国民の生活、健康を擁護するという側面からも問題があると、特にこういうアルコール飲料、濃度の強いものですね。それからもう一点はこれは清酒業界、つまり中小企業の集団だというふうに参考人も言っておりましたよ。そういうものとの公正な競争という点からしても問題があるんじゃないか。巨大な資本力を持ち企業力を持った業界が経済効率一点張りでやる宣伝その他を野放しにしておくということは、私はやっぱり公正という点から問題があるんじゃないかという感じがしますよ。そういう意味から申し上げているんです。大蔵大臣どうですか。これはなかなか大事な問題だと思うんです。
  184. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) なかなか、非常にむずかしい問題を含んでいると思うのでございます。酒類全体の伸びは私はそんなに多くはないと思っておるのでございます。それから日本人のアルコールのとり方も、国際的に見ますとどっちかと言えば私は低い方だろうと思っておるのでございます。酒税という問題もございますし、本来酒の問題というものは、致酔飲料たる嗜好品財政物資と、いろんな性格を持っているわけでございますので、本来やはりその飲む人の自覚によりまして、適度に飲めば体にもいいということでございますし、たくさん飲むとこれはもう大変な問題を起こすと、こういう問題でございます。非常にむずかしい問題だと思っています。その中で、しかも日本酒の問題が、私は食生活が一番大きな原因である、続いて原料関係だと思うのでございまして、直接サントリーの宣伝のために向こうに行っているというよりも種類間の移動だと思うのでございます。したがいまして、いまおっしゃっている問題は、むしろウイスキーならウイスキーの中において寡占体制になるかならぬかという問題が最大の問題であるのではなかろうかと、実は私さっきから拝聴しておりましてそんなふうに考えているわけでございます。したがって、寡占体制になりますと、ともすると公正な競争原理が失われるわけでございますので、そういう意味からも今後国税庁に引き続き検討をさして何らかの妥当な結論を得たいと、かように考えておるわけでございます。
  185. 渡辺武

    ○渡辺武君 その広告宣伝費とも関連いたしますけれども、余り広告がじゃかすかやられるものですから、そこから出てくる反発的な評価という点もあろうかと思いますけれども、たとえばサントリーなんかにつきましてこういうことを言う人いるんですよ。品質はどうなんだと、本場のスコッチウイスキーなんかの場合ですとモルトに対する統制があるんだけれどサントリーの場合はない、だからほとんどアルコール代と広告宣伝費とびん代というのがサントリー値段の主な構成要素じゃなかろうかというようなことを言う人がいるわけですね。  それで、いまもあなた方からもお話ありましたけれども、アルコールが、やはり適度に飲めばそれは体にいいでしょうけれども、飲み過ぎたらこれは体に悪いわけですからね。だから品質の内容について明確にする必要があるんじゃないかという感じがするんです。それで、外国の酒類については品質の表示はかなり厳しいと思いますけれども日本ウイスキーについても表示の内容をもう少し詳細なものにする必要があるんじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  186. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 品質の表示でございますが、品質につきましては、モルトを含めましたウイスキーの原酒がウイスキーの場合に最も品質的にメルクマールとして新しいメルクマールになってきておるということで、原酒の混和率によりまして特級、一級、二級というふうに決めておるわけでございます。私どもといたしましては、現在のウイスキーの状態というものを見た場合に、原酒がたくさん入っているというお酒は確かにいい、まあ少ないお酒よりはその方がいいということで、その点については特に問題がないのではないかというふうに考えておるわけでございます。外国産の輸入ウイスキーというものと比べましても、日本ウイスキーがそれほど遜色があるというふうには私どもは考えていないわけでございます。  ただ、表示をどうするかという問題になりますと、先ほど来公正取引委員会の方でるる御説明がございましたように、現在公正取引規約をつくるということで公正取引委員会といろいろ折衝をしておるというようなことでございまして、この内容につきましては私の方から余り申し上げない方がよろしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  187. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまおっしゃったように特級、一級、二級というように分かれていると。それでわかるものは大体アルコールの濃度ぐらいが判断できる程度のことなんですね。  それで、外国の場合をちょっと私聞いてみましたところが、イギリスの場合、スコッチ製造法が一九〇八年に規定されている。それによりますと、スコッチウイスキーは、原酒、これはモルト、大麦のことだと思います、またはグレーン、穀類ですね、あるいは町方をブレンドしたものでスコットランドで蒸留し三年間熟成したものという厳しい規定があるというふうに聞いております。フランスの場合ですと原産地統制名称法というのがあって、産地、ブドウの種類、ブドウ栽培法、ブドウの収穫量、アルコール含有量を記入したラベルを張ることにしている。ドイツやイタリアでもこれに類似したような、かなり詳細な、しかも厳しい規制が行われているというふうに聞いているわけです。それに比べますと、ただウイスキーは一級、二級、一二級というふうに分けただけだというような程度では余りに簡単過ぎるんじゃないかというふうに思います。これは公正取引委員会の方の担当になるわけですか、伺うのは。
  188. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御高説のとおり、イギリスにおいては、ウイスキーというものはこういうものだということでかなり厳密な規定が置かれておるわけでございまして、フランスにおいても、たとえばどういう地方でできたどういうようなブドウ酒といったようなことで行われておるわけでございますが、日本におきましても、さっき申し上げました原酒の混和率というようなことは確かに法令で決められておるわけでございますが、何分にも、輸入ウイスキーがどんどん入ってくるという情勢のもとにおきまして、日本ウイスキーメーカーとしても、品質をなるべくよくするということにつきましては懸命にいま努力しておるわけでございまして、この点については私は、現在の級別制度の中において十分それを解決しているんではないかというふうに思うわけでございます。ただ、先生おっしゃいました原酒の貯蔵年数というものは、確かに三年という規定は日本の場合にはございません。ございませんけれども、必ずしもこれは.貯蔵年数が長いからいいというものではないというふうに聞いております。余り長いとぼけるという場合もありますし、貯蔵の状態とか温度とか、そういういろいろな条件によってウイスキーの貯蔵年数がどのぐらいがいいのかということが決まってくるものでございまして、スコッチの場合にこういう年数だから日本の場合にこうでいいということには必ずしもならないんではないかというふうに考えておる次第でございます。もちろん、いいウイスキーについては、かなり長い貯蔵年数のものをたくさん入れるというのは、やはり日本ウイスキーメーカーの自由競争の中で実際に実現されつつあるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  189. 渡辺武

    ○渡辺武君 問題は、やっぱり消費者に選択の余地を十分に与える必要があるという点にもかかわってくると私思うんですね。いま、外国と比べて余り遜色がないような話をしておられましたが、しかし、表示の問題については清酒業界の場合に比べるとかなり遜色があるわけでしょう。清酒の場合ですと、これは皆さんの方がよく御存じですが、清酒の級別認定については、酒類審議会の審査を経て、そして国税庁長官がこれを認定するということになっておりますね。そしてその上に日本酒造組合中央会、これが公正取引委員会の指導を受けて、自主的に製造年月日や原料表示している。ウイスキーはそこまでいってないわけですね。しかも、清酒の場合そういうふうにやるようになったのは、いずれ酒類全体にそういう表示を及ぼすんだという了解の上で自主的にやらしているわけでしょう、それがいまだにウイスキーについてそこまでいってない。私は問題だと思うんです。  そういう点で、やはりウイスキーについても少なくとも清酒と同じような表示に改めるべきじゃないかというふうに思います。その点どうですか。
  190. 土原陽美

    説明員土原陽美君) 酒類の表示の適正化につきまして、清酒だけじゃなくて、洋酒につきまし  ても検討するというふうに考えておりまして、どういうものを表示するかということは、酒類の性格もかなり違う面もございますし、同じものをしなければならないとは考えておりませんけれども、鋭意業界の方を指導しているところでございます。
  191. 渡辺武

    ○渡辺武君 まあひとつ鋭意指導していただきたいと思うんですね。  うわさによりますと、ニッカやなんかはもう表示してもいいんだという意見を持っているそうですけれども、主としてサントリーが強い抵抗を示しているというような話もあるわけですよ。余りぐずぐずしていますと、これは政府公正取引委員会も国税庁もサントリー擁護しているんじゃないかというような疑問さえ出てくる可能性がありますからね。本当に、鋭意と言われましたが、鋭意をもう一回ひっつけた鋭意くらいでやってほしいと思うんです。その点、国税庁の方からも答弁いただきたいと思うんです。
  192. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先ほど来るる申し上げておりますわけでございますが、表示の問題、日本酒の場合とビールの場合と、それからウイスキーの場合とかなり差があるということは事実でございます。また、清酒が自主基準を比較的早くやったがために、あとのおくれたウイスキービールとの関係につきましてアンバランスが出ておるというような苦情の出ていることもよく聞いているわけでございます。これにつきましては、確かに私どもは、バランスをなるべくとるべきであるというような立場から、公正取引委員会の方にもなるべく早くそういう問題についてお願いしたいということで、私自身も伺いましてお願いしておるわけでございます。ただ、その内容の問題になりますと、たとえば醸造酒と蒸留酒だとか、いろいろ問題があろうかと思います。そういう問題も含めまして、やはりこれからも先生のお言葉をまつまでもなく、公取ともよくお話を詰めていきたいというふうに思っております。
  193. 渡辺武

    ○渡辺武君 それからウイスキー原価の問題ですけれども清酒類の場合、前回酒税法改定のときに比較的詳しい清酒原価の構成についての資料提出がありました。しかし、ウイスキーについてはまだそういう詳しいものの提出がないわけです。特にサントリーオールドなどは、さっき私ちょっと申しましたけれども、どうも原価構成にいろいろ問題あるんじゃないかという疑いも強いわけですね。そういう点で、原価がどのくらいのものなのか、たとえばモルトがどのくらいで、それからびん代がどのくらいで等々の、そういう内容についてこの委員会に提出してほしいというふうに思いますが、どうですか。
  194. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ウイスキー原価につきましては十分把握しておりませんし、御承知のように原価というのはこの委員会でもたびたび御質問がございましたんでございますが、各企業にとり戻しても最高の機密事項でございます。したがいまして、私どもからそれを具的体に幾らということについて申し上げることは差し控えるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  195. 渡辺武

    ○渡辺武君 その把握してないというのはちょっとおかしいですね。やはり酒税を取る立場でいろいろ経営の問題について私は熟知していると思うんですね。ですから、もし個々の企業の個々の製品について企業秘密があってまずいというようなことであれば、ウイスキーについての平均的な原価というようなものでも私はいいと思うんです。清酒についてはそういうものを出しているわけなんですね。ウイスキーについては出してない。これ、どういうわけなのか非常に疑問なんですよ。ですから、少なくともそのくらいのものはやっぱり公表をして、そして委員会審議あるいは国民の批判、これに十分にこたえるべきだというふうに思いますが、どうですか。
  196. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ウイスキー原価につきましては、確かに十分には把握してないわけでございますが、ただ、有価証券報告書を中心といたしまして調理できる限りのものについてでございましたらお出しすることはできるかと思うわけでございます。ただし、サントリーの場合にはウイスキーだけというような分類になっておりませんので、洋酒部門とといったような形で分かれておりますので、かなり正確性を欠く場合があろうかと思いますが、そういうものでよろしければ提出ができるかと思っております。
  197. 渡辺武

    ○渡辺武君 その洋酒でいいんですよ、いろんなものをつくっているから。私、特にウイスキーで言っているから、洋酒でいいんです。それで、原料代だとかびん代、包装代、それからさっき問題にしました宣伝広告費等々、こういうようなものも全部含めて項目別にわかるようにできませんか。
  198. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先ほどちょっと、委員会に提出できると申し上げましたのは間違いでございますが、細かい広告宣伝費とか、そういう細かいことまでなかなかわからないのではないかというように思っております。
  199. 渡辺武

    ○渡辺武君 すると、どの辺までわかるんです。
  200. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) たとえばニッカウイスキーの場合でございますが、五十一年四月から五十二年三月までの期間でございますが、有価証券報告書によりまして推計いたしますと、税込みの売り上げ原価、それから販売費、一般管理費、金利その他の費用、それから総原価といったようなところがわかろうかと思います。——失礼しました。税込みではございません、税抜きでございます。
  201. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、有価証券報告書はわれわれだって見ることはできるんです。これはもう実際世間に公表されているようなものですよ。だから、あの程度のものじゃなくて、もう少し詳細なものは出せないかということを言っているのです。
  202. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) いま申し上げた程度のこと以上についてはちょっと申し上げられません。
  203. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃ、時間の関係もあるので次に移りますが、いま、清酒業界のことなんですが、業界がいろいろ努力しまして吟醸酒だとか原酒だとか、それから本醸造だとか純米酒だとか、手づくりだとか、あるいは秘蔵酒だとか赤い酒——私、共産党だから赤い酒というわけじゃない——そういう名前の酒があるということですが、等々の名前を持った酒が売り出されて、わりあいに需要家にも受けているのですね。比較的この種類のものは販売が伸びているというふうに聞いているわけです。私、この酒がいい酒だとかどうだとか、いまここでその品評をするつもりはいささかもありませんけれども、しかし、やはりこういう特色のある酒を各地方地方でそれなりに自主的に発展させるということは非常に必要じゃないかというふうに思っているわけですが、そこで問題なのは、たとえば純米酒ということで売り出されている酒の中にも、メーカーから言わせますと、これは本当の純米酒じゃないというような酒が純米酒という名前で売り出されているというような例もあるわけですね。ですから業界の要望としては、こうしたたとえば純米酒というのはどういうものなのかという一定の基準を、これを政府酒税法なりあるいは酒税法施行令なりで明記するということが必要じゃないかというふうに思いますが、その点どうでしょうか。
  204. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) いまおっしゃいました純米酒という問題につきましては、先ほど来御説明申し上げております「清酒表示に関する基準」におきまして、「純米醸造等」という中に、「純米、純粋等」は(1)と書いてあるんですが、「本醸造等の文字を使用できる清酒のうちアルコールを使用しない清酒に限る。」ということで、これ以外のものは「純米酒」という言葉を使ってはならないということで、業界で取り決めまして使ってないはずでございます。
  205. 渡辺武

    ○渡辺武君 そのほか、私幾つかの名前挙げましたが、そういうものについてはどうですか。
  206. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 申し上げます。  吟醸づくりとかいうのがございますが、その「吟醸等」という中でございますが、吟醸などは「(1)の本醸造等の文字を使用できる清酒のうち精米歩合」——これはお米のみがき方でございますが、「精米歩合が六〇%以下の白米を使用し、いわゆる吟醸造りをした清酒に限る。」  「手造り」というのがございますが、「手造り」は、「甑(コシキ)、麹蓋を使用し、生もと系」——これは特殊な手法でございますが、「生もと系または普通速醸酒母を造り製造した清酒で(1)の本醸造等の文字を使用できるものに限る。」  それ以外に「秘蔵等」と、「秘蔵酒、秘蔵の文字を用いることができるのは、貯蔵期間が五年以上を経過した清酒に限る。」  それから「たるざけ」は、「樽に入れた、木香のついている酒を樽づめのままもしくはびんその他の容器に詰め替えて販売するものに限る。」  「原酒」は、「上槽後加水しない清酒に限る。」  「生一本」は、「米および米麹のみを原料とし、自醸酒であって、かつ原酒であるものに限り」、こういうふうにいろいろ細かく「手造り」の液その他を分類しておるわけでございます。
  207. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、あえてそのことを取り上げましたのは、そういうふうに規定することによって、いわば政府が公認するという意味もあるし、不良な酒が銘柄だけ偽って紛れ込んでくるということを防ぐという意味もあると同時に、そういう特殊性を持った酒を今後育成していくというためにも必要じゃないかというふうな意味から申し上げたわけです。今後そういう方向でこうした地酒の育成という方向をひとつ大蔵省としても努力していただきたいというふうに思います。  それから清酒の値引きの問題、リベートの問題ですね、これについて一、二点伺いたいと思います。  中小企業近代化審議会の大蔵部会が昨年の四月十一日付で発表しました「清酒製造業の中小企業近代化計画」というものの中に、「販売力に見合った生産の実行と、過当な値引、リベートの圧縮に努める。」というふうに書かれております。この「過当な値引、リベートの圧縮」、こういうことを言わざるを得なかった実情はどうなのか、これをまず伺いたい。
  208. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 中間報告の中にそういう文句があるわけでございますが、やはり清酒の場合が特に問題になろうかと思うのでございますが、三千の業者の方がおられまして、ややもすれば生産過剰になりがちだというような体質がございます。しかも古い時代のカルテルの名残みたいなのがございまして、まあつくれば何とかなるだろうというような感じ、それからマーケティング力がウイスキーとかビールに比べますとやはり落ちまして、どうしても販促の方法としてはリベートとかそういうものに頼らざるを得ないというような傾向がなきにしもあらずでございます。そういう場合に、まあ非常に過当なものが出てまいることになりますと、酒そのものが流通業者を通じまして消費者に渡りまして、消費者の代金が流通業者を通じてまた製造者に戻っていくという、こういう循環過程を通じまして酒税の保全が図られておるわけでございます。ひいては、そういうものが非常に崩れてまいりますと酒税の保全が危くなるというような見地から、私どもといたしましては過当なリベートはやめるようにというような指導をしているわけでございます。
  209. 渡辺武

    ○渡辺武君 そういう方向で指導しているということであれば、それを一層強化してほしいですね。私、業界の人に聞きますと、年間約五百億円くらいになるんじゃないかと、こう言っているんです。その額がほんとに正確なものかどうかということは私も自信はありませんけれども、少なくとも業界の人がそういうことを言っているわけですから、相当の額になっているだろうということは当然のことだと思うんです。私、特に問題にしたいのは、ビールウイスキーの場合にはそういう例があるにしてもほんの少額ですね。立場の弱い清酒業界が大もとに卸すときに、そういうことがいわば制度化されているということは、これはいまの清酒業界の正しい発展という点からしても、十分に身を入れてこの解消のために奮闘していただかなきゃならぬというふうに思います。重ねてこれは大蔵大臣、なかなか業界にとっては重要問題なんですが、大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  210. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 日本酒のリベート問題は、もう依然から非常にやかましい問題であるわけでございます。とりわけ、やはり販売網の関係で小売の方が優位に立っているわけです。全体として買い手市場であるという市場の基本情勢から出てくるわけでございまして、しかし、そのまま放置いたしますと、渡辺委員指摘のとおり、やはりどうしても過度に弱肉強食の関係になっていくというような関係がございますし、そして、ひいては弱小のものからその企業体質を弱めていくと、こういう問題がございますので、従来からその点につきましては国税庁を中心に自粛を求め、場合によりましては強い警告を発しているのでございますが、今後ともその方向で指導してまいりたいと、かように考えております。
  211. 渡辺武

    ○渡辺武君 手数料の問題について若干伺いたいと思うんです。  この提出されている法案の第二十四条、電気事業法の一部改正ですけれども、これによりますと原子力発電用の電気工作物の使用前検査手数料、これが昭和三十九年に設定されて現在の手数料三十万円、これを今回七十七万円に引き上げるということになっております。二倍とちょっとの引き上げと、こういうことになります。それから、同じ原子力発電用の電気工作物の溶接検査手数料、これがやはり昭和三十九年当時の三十万円、これを今回四十二万円に引き上げるということにしているわけです。二倍もしくは二倍以下という引き上げになっているわけですが、他方で不動産鑑定士試験受験手数料の引き上げ、この方を見てみますと、第一次試験が現行五百円を二千円と四倍にする、二次試験が三倍、三次試験が三倍ということになっております。それから、不動産鑑定業者の登録申請手数料、これは六倍になっているというような状況ですね。原子力発電所の場合などは、これは大企業にかかわるものなんですね。これの引き上げ率が比較的少なくて、いま言ったような不動産鑑定士の試験の受験手数料など、これは一般民衆にかかわる手数料です。これの引き上げ率の方が大きいということで、これは私逆じゃないかと。負担能力のあるところこそ実費主義というならばやはりそれに応じて引き上げるということが必要であろうし、国民の生活にかかわるものは、仮に実費主義でもやはり社会保障的な意味も含めて引き上げ率はなるべく抑えておくということの方が必要じゃないかというふうに思いますが、この点どうでしょうか。
  212. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ただいま御指摘のありました点は、いずれもコスト計算の結果でございます。電気事業法の方は、先ほどの御質問でもお答えしたところでございますが、従来の手数料の算定方式で公益性に着目して割引率を掛けておりますのは、それは今回の一括法の性格からいって従来の方針を踏襲しておりますので、その点は従来と同じでございますが、考え方はいずれもコスト計算でやっているわけでございます。  一般的に申しまして、手数料は広く一般の人に対する行政の対価というよりは特定の者に対する行政の対価、行政サービスの対価としていただくものでございますから、かかったコストを徴収するというのが公平な考え方である、それが適正な措置であるというふうに思いますが、いまもお話のございましたように、ある特定の事務につきましては、コストを全部ちょうだいしないで公益性に着目して割引を行う等の配慮をいたしておりますし、また逆に、特定のものに経済的利益を与えるというような意味合いの強いものにつきましては、コスト以上のものをちょうだいする場合もあるということでございます。
  213. 渡辺武

    ○渡辺武君 一定の配慮を加えているというのであれば、私はやはり原子力発電所にかかわるものなんかは、これは大企業が主として利用するわけですから、だから担税力という点からすれば一般個人よりもはるかに大きいと思うんですね。そういう点はやはり十分に考えて、取れるところから何でも取れという意味じゃないですよ。ないんだけれども、しかしもう少し引き上げ率なんかは、  一般個人の引き上げ率よりも低いというような状態は、これは改めるべきじゃないかというふうに思いますね。  それからもう一点、たとえば国鉄運賃なんかの場合でもやっぱり原価主義ということを言っているんですね。原価主義ということを言っているんだけれども、たとえば農産物の運賃なんかについては、これはやっぱり政策的な考慮を加えてこれを抑えるという措置をとっているわけですね。だから両方兼ねて、やっぱりその辺は十分に考えてほしいというふうに思います。重ねて伺います。
  214. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 原価主義というのは原則でございまして、それに対して公益性等々から調整を加えるということは手数料についてもやっておるところであります。今回は一括法ということでございますので、そういういわば原価主義に対する例外の取り扱いは、いまそれぞれの手数料がやっております方式を踏襲するかっこうでやらしていただいたと、将来またその個別の法律によりまして国会の御審議を仰ぐようなことがありますればそのときの検討課題ではなかろうかと思うわけでございます。     —————————————
  215. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、河本嘉久蔵君が委員辞任され、その補欠として浅野拡君が選任されました。     —————————————
  216. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、だからこういうふうに一括してぽんと出されてくるとそれなりの問題が起こってくるんですよ。これ見てみましたら、さっきも議論が出ていましたけれども大蔵委員会では、これは値上げだから、手数料の値上げだから大蔵委員会関係でということで、その面はわれわれとしても理解できます。しかし、実際手数料を取っている当該のいろんな不動産鑑定士の仕事だとか等々、つまりそれに応じた政府側のサービスが十分行われているかどうかとか、そういう仕事の社会的な性格がどうかというようなことについては、残念ながらわれわれ十分理解する能力がないというような状態なんですよ。だから、こうした  一括提案方式というのは今後やっぱり改めてほしいと思うんですね。その点は大蔵大臣にも要望しておきたいと思うんです。  それからもう一点、もう時間がないんでついでに伺いますが、この第十三条、農産物検査法の一部改正ですね、これ見てみますと、自主流通米とかそれから大麦などですね、大豆ですか、これは  一包装当たり二十円から四十円に引き上げられるということになっていて、農民の方は、まあ一包装当たり二十円くらいだから額は小さいように見えるんだけれども、果たしていまの条件のもとでこれが価格に転嫁できるかどうかというようなことを心配しているわけですね。こういう点についてもやっぱり十分に配慮してほしいというふうに思っているわけです。  それから、行政管理庁の答申を見てみますと、政府買い入れ米も検査手数料を取るべきだというふうに言っておりますけれども、その点についての大蔵省の考えはどうか、一括して御答弁いただきたい。
  217. 中山昇

    説明員(中山昇君) お答え申し上げます。  農産物の検査手数料と申しますのは、米麦等を生産している生産農家が手数料として納付をするというものでございまして、昭和二十六年に農産物検査法が制定されて以来、二十円の法定限度はそのまま据え置かれておるわけでございます。昭和二十六年からと申しますと、もう四半世紀据え置かれているわけでございまして、その間物価も上がっておりますし、また農産物価格も上昇しているということで、今回受益者の負担の適正化を図るという見地に立ちまして、検査手数料の法定限度につきましては、先生おっしゃるように、二十円を四十円に引き上げるということを御審議をお願いしているわけでございます。  ただ、品目別の検査手数料につきましては、この法定限度の範囲内でそれぞれ政令で定めるということになっておりまして、個別に品目別に検査手数料を定めます際は、この法定限度まで一気に引き上げるということではなくて、先生お話しのように、個別の生産者、個別の農家でございますから、それに対する影響というものを十分勘案をいたしまして決定をいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  それからもう一点、行政監理委員会の方で、検査手数料について、政府買い入れ米についても徴収したらどうかというお話がございますが、これにつきましては、私ども政府買い入れ米と申しますのは、これに検査手数料を徴収することといたしましても、その分また政府買い入れ価格の方で政府が支払うということになりますものですから、一方で徴収し一方で支払うということになりますと二重手間でございまして、どうも事務が煩瑣になるのではないかという点がございますし、また、本来政府買い入れ米と申しますのは、食糧管理法によりまして、政府以外に売ってはならないという義務づけをしているものでございます。そういう義務づけをしているもの、また政府が買うものでございますから、検収検査という意味も持っているわけでございまして、そういうものについてまでこの検査手数料を徴収するというようなことについては、どうも妥当ではないのではないかというふうに私どもは考えております。
  218. 渡辺武

    ○渡辺武君 それからもう一点、農産物の検査について伺うんですが、この農産物の検査を民間に委託する方向政府が考えているというふうに言われているんです。そういうことを考えていらっしゃるかどうか。もしそういうふうになるとすると、果たして責任のある適正な検査ができるだろうかという点非常に疑問に思うわけですけれども、その点いかがですか。
  219. 中山昇

    説明員(中山昇君) 米の検査、農産物の検査一般でございますが、これにつきましては歴史的経過がございまして、最初民営の検査ということで始まりましたものが、県営検査、国営検査という歴史的過程を経て現在の国営の検査というものになっておるわけでございます。そうなりました趣旨は、やはり農産物の検査と申しますものは、公正な第三者がやらなければ、先生御指摘のように、公正な検査、格づけができない。それができないと公正な値決めができないということになりますので、やはり第三者的な中立な機関、公正な機関、公的な機関がやるべきであるというふうに思っておりまして、私どもも、いまの国の検査というものをやめるというふうには考えておりません。
  220. 渡辺武

    ○渡辺武君 それからこの法案の第三十一条の航空法の一部改正の問題ですが、飛行場等設置許可手数料、それから飛行場完成検査手数料外九項目の手数料、その中で飛行場及び飛行場施設は地方自治体のつくったものがあります。この地方自治体から手数料を取るということになっているわけですね。これは、たとえばほかの場合に比べてみるとちょっとおかしいんじゃないかという感じがするんです。と申しますのは、土地収用法による土地収用事業ですね、これの認定手数料では、地方自治体からは手数料を取らないということになっておりますですね。同じ地方自治体がかかわっているもので、飛行場の場合は地方自治体から手数料を取る。土地収用の場合は手数料取らない。これは矛盾していると思うのですね。この点はどうお考えですか。
  221. 山田宏

    説明員山田宏君) いま御指摘の、航空法に基づきまして地方公共団体が飛行場あるいは航空保安施設、それを設置したりあるいは検査を受ける場合の手数料の件でございますが、いま挙げられましたような行為、これは地方公共団体が行う場合におきまして、それはいわゆる行政庁としての固有事務等の行政処理を行うような立場ではなくて、一般私人が飛行場あるいは航空保安施設を設置、管理するのと同じような施設ないし営造物の設置、管理行為、こういうものであるというふうに私どもは考えておる次第でございます。したがって、一般私人と同じように、地方公共団体につきましても手数料を徴収すると、こういう考え方で臨んでおる次第でございます。
  222. 渡辺武

    ○渡辺武君 土地収用の場合はやっぱり国が認定するわけですね。それから飛行場の場合でも国が認定する。同じように国のサービスが行われていて、片方何で手数料取って、片方何で手数料取らないのだということを伺っている。  それから、もう時間がないので、最後に大臣一つ伺っておきたいのは、いまも問題にしましたように、こうして一括して各種の手数料、これの引き上げを大蔵委員会に出してこられると、このやり方では私は十分審議ができないと思うんですね。この提案のやり方ですね、これ今後やっぱり少し改めてほしいというふうに思いますが、その点伺いたい。
  223. 山田宏

    説明員山田宏君) いまお尋ねの土地収用法等の比較でございますが、私、土地収用法上の取り扱いがどういう考え方に基づいてなされているか存じませんけれども、航空法上の手数料の徴収に関する限り、私どもといたしましては、地方公共団体の設置、管理、これが一般私人の設置、管理と航空法上は全く同じ立場、つまり、同じ法律上の適用を受けるべきものであると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  224. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 今度の手数料の値上げを、大蔵省が幹事役になりまして一括提案しました理由につきましては、前に述べたようなわけでございまして、先ほどほかの委員からは、今度は逆の御提案がございまして、こういう形でずいぶん長いことほったらかして財政当局としては怠慢である、今後は今度のような形で適宜出してほしいと、こういう御要求でございます。いま委員からは、この形では十分審議できないからというお話でございます。両方ともごもっともだと思うのでございます。  したがいまして、やり方といたしましては、今度のようなことをやるにいたしましても、十分説明できるように、準備資料を十分つくりまして、そして渡辺委員のような御疑問が起きないように、できるだけ努力する方法一つあるかと思います。  それから、今後この手数料に関係します法案提出のときに、あらかじめ当該委員会におきまして、ある限度を設けて、そうして政令以下に委任さしていただくと。ただそのときには、具体的な手数料はこういう算定方式でやりますというようなことで、授権をいただくのも一つ方法かと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今度こういう形で出さしていただきまして、私たちにも多く教えられるところがありましたので、諸委員の御意見を踏まえまして、できるだけ善処してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  225. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) それでは、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  226. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 次に、各種手数料等改定に関する法律案に対する質疑は、以上をもって終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより各種手数料等改定に関する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  各種手数料等改定に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  228. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間知之君。
  229. 福間知之

    ○福間知之君 私は、ただいま可決されました各種手数料等改定に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブ及び新自由クラブの各派共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。   各種手数料等改定に関する法律案に対する附帯決議(案) 一、政府は、各種手数料等について、国民生活に及ぼす影響等を考慮しつつ、費用負担の公正を期するため適時に見直しを行うとともに、法律、政令等にゆだねる基準についても整合性を図るよう努力すべきである。 一、政府は、各種手数料等の趣旨にかんがみ、その筧出方法等の合理性について、なお一層検討すべきである.   右決議する。  以上でございます。
  230. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  231. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 全会一致と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、村山大蔵大臣から発言を求められております。この際これを許します。村山大蔵大臣
  232. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配意をいたしたいと存じます。
  233. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと.存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は明二十一日、午後三時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会