○
政府委員(
矢島錦一郎君) お答え申し上げます。
まず、
酒類の原料の使用
状況でございますが、先生お話しのように、輸入品が非常に多いじゃないかということでございますが、対比上、ちょっと
清酒から申し上げたいと思いますが、
清酒用のお米につきましては、最近五年間で比較いたしますと、数量的にはほぼ横ばいでございます。その間の価格はおよそ一・九倍になっております。
それから
ビール用の麦芽の使用量でございますが、これは最近五年間で一・二倍になっておりまして、
内容的には輸入麦芽、輸入大麦による麦芽の使用割合というのが六五%
程度から八八%
程度に上昇しておる次第でございます。輸入麦芽の価格でございますが、この五年間に約一・七倍に上昇しておりますのに対しまして、国産大麦の価格は二・二五倍
程度に上昇しておるわけでございます。
それから三留目にウイスキー用の麦芽の使用量は、この五年間で約三・二倍に急増しておりまして、このうち輸入麦芽の使用割合は九〇%を超えている。輸入麦芽の価格はこの五年間に約三八%の上昇ということになっておるわけでございます。
それから、ちょっと順序が逆になりますが、生産量のお話を申し上げますと、値段でございますが、
清酒は、たとえば自主流通米が発足いたしました
昭和四十四年には、三等六十キロのウルチ米でございますが、八千六百六十九円でございましたものが一万七千四百円に五十二年なっております。それから大麦でございますが、
ビール、ウイスキー用の国産
ビール大麦でございますが、これは二等で一トン、
政府の告示価格でございますが、四十四年に六万一千二百九十五円であったものが十五万八千六百四十円。それから
ビールにつきましては輸入
ビール大麦、これも一トン、
政府売り渡し価格でございますが、六万三千百九十円が六万一千七百二十円ということになっております。それから麦芽でございますが、
ビール、ウイスキー用の輸入麦芽、CIFプラス関税価格でございますが、一トン当たり四万九千七十九円が八万九千四百六十二円ということになっております。大体主要な原料はこんなところでございます。
それから、数量の御
質問がございましたが、数量につきましては、原料米でございますが、
清酒用の原料米は四十四醸造年度、会計年度でございますが、五十二万五千九百九十二トンでございましたものが、五十一年には五十六万七千六百七十六トンということで、一一〇%の伸びでございます。しょうちゅう乙用の原料米、これは破砕米でございますが、四十四年には一万七百六十四トンでございましたものが、五十一年には二万三千九百六十一トンということでございます。それから麦芽でございますが、国産の自製麦芽は、四十四年に二十二万六再六十四トンでございましたものが、五十一年には六万七千四百六十八トンということになっておりまして、それから輸入の自製麦芽につきましては一万七千三百四十二トンが七万三千五百六十二トン、輸入麦芽につきましては十一万五千八百五十三トンが四十万五千五百二十五トン、主要な原料につきましては大体こういうような輸入の推移になっておるわけでございます。
それから円高の問題でございますが、この間の夢精がいろいろちょっと御
説明を申し上げますと長いのでございますが、御承知のように、お酒につきましては自主流通米になりまして、自主流通米の食管
制度との絡み合いもございまして、
政府米もいただいておるわけでございますが、原料がいま申し上げたように大体上がってきておるということでございます。それから
ビール、ウイスキー用の麦芽につきましては、
ビール、ウイスキー用の麦芽をまず国産原料を優先的に使用しょうというような観点から、国産
ビール及びウイスキーの大麦の検査合格数量の全量をまず農林省の告示価格で購入すると、それによって不足しました麦芽を関税割当
制度のもとで輸入するということになっておるわけでございます。それから
ビール川につきましては、精麦設備が遊んではいけないという点で、一部食糧庁から外国産の
ビール大麦の払い下げを受けまして、これを含めた全体としての輸入
依存度が、先ほど申し上げましたような、八五%
程度ということになってくるわけでございます。
それから大麦の価格でございますが、これは
ビール、ウイスキーの原料になるものでございますが、御承知のように毎年上昇しておりますが、これは麦価の算定方式が五十二年にございまして、奨励金を廃止しまして麦価に算入するというような
制度上の
改正がございましたので、三〇%という大幅な値上がりをしています。
以上、主要な原料についてのいろんな価格体系の問題がございますのでちょっとくどくなりましたが申し上げました。
それから
酒類用の原料につきましては、
ビール川につきましてはその麦芽及びホップ、それからウイスキー用につきましては麦芽、これはピーテッドの麦芽でございます。
それからトウモロコシ、ウイスキーの原酒と、こういうようなものから構成されておると思うんでございますが、こういう輸入原料は、先生さっき御高説がございましたように、直接
製造者の方が外貨建てで、たとえば米ドルとか英ポンドとかそういう形で輸入しておりますんで、円高による差益といいますか、為替差益は確かに直接
ビールとかウイスキーの
製造者の方に帰属するということはおっしゃるとおりでございます。しかし、実際の輸入価格、CIF価格の通関統計から見ますと、これは麦芽のたとえば
ビールのノンピーテッドの場合でございますが、五十一CYでトン当たり九万六百九十五円ございましたものが、五十二年には九万一千五百六十六円ということで一〇一%の上昇になっています。
ホップにつきましては、キログラム当たりでございますが、千二百四十円が千三百十七円ということで一〇六・二%という上昇でございます。ウイスキー用につきましては、そのピーテッドの麦芽が五十一CYでは八万二千九十五円、これトン当たりでございますが、それが八万三千五百七十円ということで一〇一・八%。トウモロコシにつきましては四万五百五十二円が三万三千二十円ということで八一・四%、若干下落しております。ウイスキーの原酒につきましては、リットル当たり三百六十一円が三百二十九円ということで九一・一、ここも下落しておるわけでございます。
そういう
意味で麦芽とかホップにつきましては、先ほど御
説明申し上げておりますようにむしろ値上がりとなっている
状況でございまして、これはやはりFOB価格の値上がりということがもっぱらあるということであろうかと思います。しかし、反対にトウモロコシとかウイスキー原酒につきましては若干値下がりになっておりまして、特にトウモロコシにおきましては円高による値下がりだけでなくFOBの値下がりというものもあるわけでございます。
こういうように、くどくどと申し上げましたけれ
ども、
ビール用の原料につきましては、輸入原料の価格が上昇しておりますということに加えまして、国産
ビールの大麦の価格が生産者麦価の算定方式が変更になりまして非常に大幅に上昇しているということでございまして、原料面からいたします製品の値下げ要因というのは余りないのではないかというふうに思うわけでございます。
それから一方、ウイスキー原料でございますが、麦芽の価格は上昇しておることはおるわけでございますが、トウモロコシそれからウイスキー原酒の輸入価格は値下がりしていると先ほど申し上げましたとおりでございまして、仮に、仮定計算でございますが、五十二年に通関いたしましたウイスキー用の原料の全数量を五十一年度のCTF価格で通関したものというふうに仮に置いてみます。そういう仮定計算をいたしまして、五十二年度の通関価格との差額を業界のメリット額だというふうに仮定いたしますと、国産麦芽等の値上がりを差し引いて計算いたしますと十三億四十万円ほどの額になるわけでございます。しかし、このメリット額は五十二年の課税移出数量をもとにいたしまして製品の七百二十ミリリットル一本当たりに仮に
試算して割り振ってみますと、
製造原価で四円
程度、正確に申しますと三円五十銭、末端小売価格で五円
程度ということでございまして、特に値下げを指導するという
程度の額とまではいっていないんではないかというふうに
考える次第でございます。