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1978-04-06 第84回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月六日(木曜日)    午前十時六分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 藤田 正明君                 細川 護煕君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 宮田  輝君                 穐山  篤君                 矢田部 理君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        大蔵政務次官   井上 吉夫君        大蔵大臣官房審        議官       福田 幸弘君        大蔵大臣官房審        議官       海原 公輝君        大蔵省主計局次        長        禿河 徹映君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省関税局長  戸塚 岩夫君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁間税部長  矢島錦一郎君        資源エネルギー        庁次長      大永 勇作君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        資源エネルギー        庁長官官房国際        資源課長     木下 博生君        資源エネルギー        庁石油部計画課        長        箕輪  哲君        資源エネルギー        庁石油部流通課        長        廣重 博一君        運輸大臣官房海        洋課長      渡辺 幸生君        運輸省海運局監        督課長      棚橋  泰君    参考人        石油開発公団理        事        江口 裕通君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○石油税法案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  石油税法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る四日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 穐山篤

    穐山篤君 この石油税法案というのは、この前御説明をいただきましたが、この新しい税金の基本になっておりますのは実は別の法律ですね。言いかえてみれば例の石油開発公団石油石炭特別会計の一部改正というものが前提になって、そして財源をどうするかという意味でこの石油新税というものができたというふうに理解はします。本来、形式的なことを言えば、前提条件が総合的にあるいは専門的に議論をされて、後財源立場からこの法律案議論されるというのが当然ですけれども、現実に前者の法律案が出ていませんので、本来ならばそれを議論しなきゃなりませんけれども、やむを得ずこの場におきましてもこの税金関連をして石油安定供給、あるいは備蓄という問題についても後ほどお伺いをしたいというふうに思います。  さてそこで、新税新設でありますが、五十三年度の税制に関します答申というものと、具体的に法律案として出てまいりましたのには多少の違いがあるというふうに思います。それは、新税税調答申というのは、率直に言えば課税対象というのは、原油だと、原油対象にして新税新設をする。当然これを創設をする場合にはその他の諸問題についても十分に専門的に検討しなきゃならない、こういうものがついていたわけです。私ども理解によれば、原油というものが課税の具体的な対象であって、製品輸入の問題についてはいずれ改めて研究をした結果追加をされるのではないかというふうに思っていたわけですが、今度出されました法案を見てみますと、製品輸入についても同様に、あるいは調整は当然いたしますけれども出てきたような感じがするわけですから、その税調答申と具体的な法律案かかわり合いについて、考え方をまず第一にお伺いしておきたいと思います。
  4. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) お手元答申をお持ちかと思いますが、答申の中では基本的な仕組みについて多数意見をまとめられまして、課税物件原油、それから原油関税の一部の調整、それから税率を三・五ということまでが具体的に答申されておりまして、その後のところで、ちょっと読ましていただきますと、「輸入石油製品天然ガス等石油税課税に際していかに処理すべきかについては、この基本的な考え方を具体化する過程政府において十分専門的な検討を加える必要があろう。」というふうに述べられております。その「具体化する過程」と申しますのは、法案を国会に提案するその過程ということで御答申いただいたわけでありまして、輸入石油製品につきましては、やはり国内で精製いたします場合とのバランスから考えますと、輸入石油製品についても、そこに含まれております原油分について負担を求めるということの方が適当であろうということに関係省との間で合意をして、ただいまの法案に盛り込ましていただいております。  それから、天然ガス等の中にもLPGなどがあるわけでございますが、天然ガスについては、全体の考え方として、今後の石油対策を考え、またエネルギー政策を考えるときには、やはり石油以外のエネルギーに依存する度合いをなるべく大きくするというか、逆に申せば石油に対する依存度をなるべく縮めていくことが望ましいのではないか。その意味では、天然ガスというものは今回の課税対象に入れないという考え方で御理解いただけるんではないかということに、これまた関係省との間に合意をいたしましたので、今回の法案では原則として原油課税物件にする。国内精製海外精製かということのバランスから言って、輸入原油製品についてもその中に含まれる原油相当分については同じ程度負担になるような課税を考えたいということで御提案申し上げておるわけでございます。
  5. 穐山篤

    穐山篤君 国内石油製品についても後ほどお伺いしますが、よくエネルギー問題あるいは石油問題で議論になるときに、石油の安定的な供給という言葉が常にまくらにつくわけですね。この石油安定的供給という場合に、石油と言えばすべて含まれるわけですけれども、通常いままでは原油というものが対象になってきたわけですね。どちらかと言えば、製品輸入の問題につきましては副的な位置づけがなされていた、そういうふうな理解をいたしますと、この答申についても、この答申の中で読み取れるのは、かなり時間をかけて、製品輸入についてもあるいは国内のこの種の製品の問題についても、あるいは前段にも出ておりましたけれども価格への転嫁だとかあるいは国内各種の油に関係します税金とのかかわり合いというものを考えてみれば、かなり時間を置いてもっと研究をしたらどうか、あるいは「十分専門的な検討を加える」というのは、ある意味では各種各層意見というものも十分に聞いた上で追加提案をしろというふうに私どもは受けとめたわけです。  しかるに今回の場合、ある意味で言うと唐突にこの問題について出てきたような感じがしてならないわけです。いやそうじゃないというふうに言われるかもしれませんけれども、これは国内各種製品についても、あるいは車関係税金についてもかかわり合いがありますので、単に均衡上とかあるいはこの際というだけではどうも説明不十分のような気がします。もう一度お伺いします。
  6. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) ちょっと舌足らずな点があったかと思いますが、輸入石油製品というのはかなり技術的な言葉でもございまして、大体は油とお考えいただければ結構かと思います。実際輸入の多いのは重油と、それから重油ほどじ、ゃございませんが、ナフサがその典型例でございます。   そこで、石油税を今回御提案のように原油課税することになりますと、原油から出てまいります重油なりあるいはナフサなりというものには原油負担した税がコストとして入ってまいっておるわけでございまして、結局、その国内で精製されて消費者なり利用者の手に渡る重油なりナフサの中に石油税が入ってくるわけでございます。バランスと申し上げましたのは、それとのバランス上、海外原油からナフサを精製して輸入してまいりますときには、やはり国内で精製したというのと同じような負担をしておいてもらうというのが本来のたてまえとしては望ましいのではないかという意味で申し上げたわけでございます。  それから、答申で「政府において十分専門的な」というふうな表現がとられておりますのは、当時の議論を私どもが拝聴しておりますと、その点はひとつエネルギー庁主税局十分議論をして法案をつくるまでに決めなさいという御議論であったものですから、私どもの方としては、いわばごく素直に法案をつくるまでにひとつわれわれの間で勉強して決めましょうということでございまして、具体的にでき上がりました法案はもちろん閣議に早速お届けしてあるわけでございますが、答申の御趣旨から離れたものというふうには実は私どもは考えていないわけでございます。  それから、全体に唐突ではないかという点が御指摘、御質問の中にございました。確かに税制調査会に本件を具体的な検討課題としてお願いをしました時期は、中期答申が終わった後になっておりまして、中期答申のときにはこの石油税という話が表に出ていなかったという意味で、世の中から見て唐突な感じを持たれた方が多いであろうということは私も感じております。ただ政府部内では、実はここ数年来こういうふうな考え方検討対象になっておりました。ただ、私の個人的な立場からお答えいたしますと、やはり率直に申し上げてこの税は、後ほど御質問あると思いますが、本来性格上はコストとして石油製品価格に反映されるべきものでございますので、また石油製品というのは非常に広い範囲に使われますので、やはりよほどいい時期を選びませんと物価に対する影響というものがかなり問題になり得るということで、従来なかなか具体的に政府税制調査会にお願いするタイミングをつかみかねておったわけでございますが、昨年秋以降、幸か不幸か円相場が大幅に動きまして、いまの時期に導入を考えるということであるならば、物価なり景気に対する影響というものを心配しないで済むという状況になっておる。その意味で五十三年度として、一方で景気対策に全力を尽くしながら他方ではしかし景気対策と矛盾しない範囲でできるだけの増収を図りたいという二者矛盾する要請を抱え込んだ財政運営としては、やはりこの時期にこの問題をぜひ検討していただきたいということで税制調査会に持ち込みましたものですから、税制調査会で御議論いただいたタイミングとしては唐突の感を免れないという点はおっしゃるとおりだと思います。
  7. 穐山篤

    穐山篤君 その次ですが、原油というのは品物がはっきりしていますね。それから輸入製品というのは、この資料に書いてありますように、「パラフィン等をいう。」ということで、法律関係で言えば関税法に決められたものだと思いますが、この「パラフィン等」という場合に、あと具体的にどういう品物対象になっておるのか。私の調べが間違っておればまた御訂正をいただきますけれども、ここにも書いてありますように、揮発油ナフサジェット燃料軽油灯油重油グリースパラフィンあるいはアスファルト、硫黄、コークス、LPガス、一応理屈の上では目に私どもが映ります品物としてはこんな程度理解をしておりますが、その点は間違いないでしょうか。
  8. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 結論的に申し上げますと、輸入石油製品というものを具体的に法律では確定しなくてはならないわけでございまして、お手元法案にございますように、「関税定率法別表第二七・一〇号に掲げる」石油製品石油及び歴青油というものに該当するもの、それをさらに分けて申し上げれば、揮発油灯油軽油重油、粗油、潤滑油、その他石油及び歴青油に該当するその他のもの。二番目には、石油歴青油調製品ということで関税定率法に掲げられておりますグリース、それと調製品に該当するその他のものということになっておりまして、LPGは入っておりません。それからいわゆるヘトケミ製品輸入石油製品と申しますと、そこのところが石油化学製品が入るのではないかというふうにどうも受け取られることがままありましたのですが、非常に技術的にどうも石油製品という言葉しかないらしくて、石油化学製品は入っておりません。大体油とお考えいただければ結構でございます。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、これにもありますように、「引取価格に所用の調整を加えた金額」とするということで、この参考資料の二ページと三ページにわたって、調整というものの対象はおおむねこの二つだというふうに指摘をしているわけですね。前段は前回決めました関税の問題ですね。それから後者につきましては、いまも私指摘をしましたけれども、いろんな製品があるわけですが、その製品全部を課税対象にするとアンバランスだということで抜き取って計算しておる。その抜き取りについて一例がここに書いてありますけれども、これはすべての製品について標準的な抜き取りの検査といいますか、手法書といいますか基準書といいますか、そういうものはすでに明らかにされているのですか。
  10. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 調査室でつくられました資料に、「例えば」ということで例示がしてございます。これは先ほど申し上げました揮発油あるいは軽油というような項目別に政令で決めてまいることを予定いたしております。各項目ごとに、たとえば揮発油でここに書いてある四割相当付加価値分とすれば六割が原油価格分というふうに決めるときには、輸入価格に六割を掛けたものに三・五を掛けていくということを規定する予定でございますが、それがその六割が適当であるのか、重油の場合には何割であるのかということは、やはり基本的な考え方としましては、国内精製メーカーの実情を調べまして、国内揮発油として出荷されるものの中に原油価格がどのくらいになるかと、重油の場合はどのくらいになるのかというもので決定してまいりたいと思います。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、根っこのところで課税をすると、保税地域から引き取る場合にその引き取り価格について課税する、根っこ課税する、一応理屈はわかるわけですが、その上に輸入製品それぞれある。  さて、一方国内油関係の諸税を見ますと、それぞれ規格があって、課税対象になっているものもあるし課税対象になっていないものもある。保税地域から輸入する場合課税をする、した上でなおかつ国内で引き取りをやる場合、販売をする場合に課税するものとしないものとある、やっぱり税の体系から言うと非常に複雑でわかりづらい。一見この製品については大変余分に課税されているのではないかという印象を持ったり、あるいはナフサなんかについてはこれは税金が少なくてもうかったというふうな単純な計算がどうしても起きやすいし、現にそういう議論が横行しているわけですね。その意味で言うと、油関係税金というものについてもっともっと一元化を図れというふうな意見に発展をすると思うわけですが、いま私が卑近な例で申し上げましたものについての解明といいますか、理屈といいますか、そういうことについてはどうお考えですか。
  12. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) これはお手元答申の冒頭の部分にも触れられておりますが、現在わが国の石油製品に対する課税が、いまありますガソリン税でございますとかあるいは航空機燃料税でございますとか、石油ガス税でございますとか、そういうものでやりますと全石油製品の大体二割程度になっております。その使途がまたそれぞれ特定されております。今回の考え方は、それぞれの経緯を背負って使途が特定され、かつ一部分にのみ課税されているという現状を踏まえた上で、今後の石油対策にかかわる財政需要を考えまして、それを原油あるいは原油から出てくる石油製品を利用しあるいは消費される方々に広く薄く負担していただいたらどうかという考え方でございますので、その意味ではでき上がった後はまさしく穐山委員がおっしゃるように重複してくる、複雑でわかりにくいという点はこれは否定できないかとは思います。  それから油種ごとにどうなるかという点につきまして、第一の問題としてお示しになりました輸入物国産物バランス、それは現在課税対象になっております油種、たとえばガソリンにつきましては輸入ガソリンガソリン税負担していただいております。国内で製精されてガソリンになりますと国内ガソリン税負担していただく、そういうことになります。したがいまして、重油は現在原重油関税はございますけれども重油そのものに対する税はない。したがって、輸入のときには関税はあるけれども国内消費税はかからないという関係になります。  それから、今回の石油税負担が一体どの油種にどのようにコストとして配分されていくであろうかということは、実は価格体系そのものの問題ということになりまして、従来の価格体系が変わりません場合には、私どもの期待としてはそれぞれの油種に平均的にコスト配分されるということが消費者側にとってはわかりやすいだろうと思いますが、しかし価格体系そのものは見直しというような問題もあるようでございますし、やはり油種ごとの市場の需給状況でまた価格が動きますものですから、私どもの方で一義的にガソリンにはこのぐらいの石油税とか、重油にはこのぐらいの石油税の配分というふうに決めてまいるというわけにはまいらない、そういう性格のものであろうかと思いますが、なお価格問題につきましては、御質問ございますればより詳細にエネルギー庁の方からお答えいたしたいと思います。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 さて三・五%、品物によっては調整して実質三%ということになると思うのですが、このお金、千五百何億かの金は石油勘定に入れるわけですね、全額石油勘定に入れる。これは公団法改正の問題とも関連しますが、その点は後で十分にお伺いしますが、この石炭及び石油特別会計というのは、法律にも示されておりますように時限的な法律になっているわけですね。この時限的な法律あるいは会計の中にこの財源を入れていく。そうしますと、物理的に言えば、期限が来ればその勘定はなくなるし、それからこの石油税というものも石油勘定対象にしているがゆえに自然に消滅をする、期限が来れば切れるというふうに、単純な物の考え方ですが理屈はそういうわけですね。
  14. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 実は私ども提案申し上げているのは、いまおっしゃったような仕組みでないものを考えております。と申しますのは、当面の仕組みはおっしゃったとおりですが、この税としては、やはり石油対策にかかわる財政需要というものが将来かなり長い期間続くであろうということを予想しておりますし、税としては狭い意味での法律上の目的税としては構成してございません。税としては普通税として構成してございます。したがいまして、所属一般会計所属になっております。それを当面の措置として石石特会改正いたしまして、それを公団法改正と同時に商工委員会で御審議をいただいておるわけでございますが、石石特会改正いたしまして、一般会計に入ってきた石油税収入を、考え方としては全部石特石油勘定に繰り入れます。ただ、税収石石特会石油勘定財政需要とは必ずしもぴたりと毎年度一致するわけでもございませんので、もし余りがあればその余った分は翌年の石油税収入に加算して、その範囲内でまた、石油勘定所要額はこれは繰り入れていくという形にさせていただいております。  ちょうどその関係は、揮発油税道路特定財源であると言われることの関係と全く同じ形でございます。揮発油税というのは、普通税として期限のないパーマネントな税制として持たしていただいております。ただ、道路整備に巨額の財源が必要であるということで、道路整備緊急措置法で特に揮発油税収相当額以上を必ず道路整備財源に充てろという規定があって、それに基づいて一般会計から道路特会に繰り入れておる。その関係で、税としては普通税であり、他の法律によってその税収使途時限的に特定しておる。したがいまして、くどくなって恐縮でございますが、道整備緊急措置法というのもこれまた時限法でございますから、理屈としましては、道路整備必要性がなくなれば整備緊急措置法がなくなって揮発油税特定財源性はなくなって、しかし一般財源として残る、それと同じ関連として仕組ましていただいております。したがって、石石特会があります限りは、おっしゃいましたように実質全額ひもつきということになる、そういうことでございます。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 普通税性格でしょうし、この石油勘定がある間はそちらの方にこの税収が回る。ここはあとは議論になる点だし、後ほど確かめなければならないわけですけれども期限が到来をしてなおかつその法律石炭及び石油勘定についてはなお数年の間延長するということにその時限でなって、またその捻出の財源というのはこれを対象にするということが改めて決まれば、石油勘定で処理をするということになると思いますね。しかしその時点でもはや石特勘定は必要はないすべては一般会計である、あるいはその他の方法であるということになれば、この税金石特会計とのかかわり合いはそこの時点で切れるということでいいですね。
  16. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 法律的にはおっしゃるとおりでございまして、石炭石油特別会計期限が参りますときに、それを延長するか廃止するか一般会計に吸収するか、新しい何か別の特別会計をつくるかという問題すべてを含みまして、その時点で全体の判断から結論を出して改めて御審議をお願いする、法律的にはおっしゃるとおりでございます。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 石油税そのものについてもう一つお伺いしておきますと、これはいまのところ三・五%、薄く広くということなんですけれども、この石油税というのは、後ほども問題にいたします公団法改正あるいは具体的な事業内容によって、据え置かれるかあるいは税率が高くなるか、いろんな方法があると思うんですが、現状から考えてみまして、この石油税だけを対象にして考えてみた場合、その他を総合しないでですよ、みた場合に、この税率を将来に向かって据え置きたいということになるのか、あるいは備蓄計画その他増強計画が逐次ふえていくので税率を上げなきゃならぬのかというふうなこともすでに計算はされていると思うんですが、その点いかがですか。
  18. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 将来にわたって石油対策にどれくらいの資金を必要とするか、またその中で政府が分担すべき資金量は幾らかということは、穐山委員御承知のように、総合エネルギー調査会資金分科会で時間をかけて研究がなされておると私ども承知しておりますが、まだはっきりとした結論は出ておりません。まだ小委員会段階であるように聞いております。しかしある時期にその全体像が、政府としてこうしようかという結論は求められておると思うのですが、その時点で改めて考えてみなくてはならないという要素はあるかもしれません。しかし同時に、それだけの資金需要があるからといって、それを全部石油税負担で賄うという考え方をとって、果たして石油税負担水準として大き過ぎることにならないかということもまた十分考えてみなくてはならないと思います。したがって、それはその時点におきまして全体的な財政事情を考えまして、一般財源投入の余力があるかないかという点も含めて、また一部は借入金で賄うことも妥当な性格資金があるかというようなことも含めまして考えてみなくてはならない。いまの段階で、将来石油対策のための財政需要がふえればそれは全部石油税で賄いたいと思いますということを申し上げる用意は実はございません。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 途中ですけれども、最近国会の中でも世間でも大変議論になっておりますのは、電力業界にしましても石油業界にしても、去年から見ましてかなり円高の差益がたくさん出ている。去年の第一次補正予算のときに、円の相場が二百六十七円というふうに当委員会でも発表されたわけです。幸か不幸かわかりませんけれども、現実には二百二十円が切れている。この法律が可決されて施行される間も、すでに買ったものについては関係ないわけです。そういう意味でいきますと差益というものはかなり多いのではないか。世間ではそれを還元しろ、あるいは政府も還元したらどうかというふうな意見を言う人も中には見受けられるわけですが、電力とそれから石油、この二つの業界で今日まで扱っております輸入量、輸入金額から考えてみましてどのくらいの差益が現実にあるのか、さらに政府と電力業界なりあるいは石油業界との間に、差益について十分国民が納得するような使い方について当然話し合いがされている、あるいは指導もされていると思いますが、その点はいかがでしょう。
  20. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 為替差益の問題でございますが、これは経理のいわゆる専門的な意味におきます為替差益と申しますのは、契約時とそれから決済時のレートの差でございますから多少意味が違いますが、五十一年度と比べまして五十二年度におきまして為替レートが、円が上がったということに伴います利益というものをいま仮に為替差益ということで呼んでみた場合にどうかということの御質問であろうかと存じますが、まず石油につきましては、為替レートが一円高くなりますとキロリッター当たり八十六円コストが低下するということに相なります。五十二年度の為替レートでございますが、上期は平均がこれはもう実績が出ておりまして二百七十二円でございます。それから下期をどう見るかということでございますが、これを仮に二百四十――ちょっと厳密な数字がございませんが、二百四十数円ということに考えられますが、それを平均いたしまして五十二年度中の為替相場を三百五十九円ということで計算いたしますと、五十二年度全体で七千八百億円のメリットが出たということに相なります。  それに対しましてコストアップ要因といたしましては、五十二年の一月と七月に原油価格が合計一割上がっております。これによりますコストのアップが五千三百億ございます。それにさらに備蓄関係の経費あるいはコンビナート法の実施によります防災関係の経費、これがコストアップ要因といたしまして約千九百億と見込まれるわけでございます。これを足しますとコストアップ要因は七千二百億円ということになりまして、六百億円のメリットがさらに残るわけでございますが、ただ下期におきまして十-十二月に約千円、一-三月に二千円程度のいわゆる製品価格の下落がございます。こういうものを総合的に判断いたしますと、五十二年度において石油業界のふところの中に残った差益というのはこれはほとんどないと、したがいまして、これは会社によって著しくでこぼこがあるわけでございますが、五十二年度を通じての石油企業全体の経常損益というのは五十一年度と大差はないのではないかというふうに考えております。しかし五十三年度におきましても、現在の為替レートが続きますればもちろんこれはまた差益が出るわけでございますが、それにつきましては、適正な価格形成が行われるように今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから、電力会社の為替差益でございますが、数字的な点につきまして申し上げますと、先ほどのような為替レート上期二百七十二円、下期が二百四十数円、これでは二百四十五円と出ておりますが、そういう前提計算いたしますと、五十二年度全体を通じまして千三百七十五億円の為替差益があったということになっております。それに対しまして、石油価格の値上げの影響額というのが三百六十九億円でございますので、差し引きをいたしまして約一千億円の為替差益が出ておるということに相なります。これを仮にキロワットアワー当たり幾らかということで直しますと、キロワットアワー当たり二十五銭、一ヵ月の使用量が百二十キロワットアワーの家庭につきましては月に三十円程度という形になるわけでございます。  この差益をどうするかという問題でございますが、今後におきます方向を考えて見ますと、いま申し上げましたような円高による差益は発生いたしておりますが、今後とも設備投資の増加に伴います資本費あるいは人件費、修繕費といったような諸経費の増加によりまして総コストはさらに増高するということが考えられるわけでございますし、また六月におきますOPECの原油価格の向も予断を許さないというふうに考えるわけでございます。こういう点を考えますと、この為替差益につきましては、そういった今後におきますコストの増高にもかかわらず、料金をなるべく長期に安定的に維持するという形で還元していくことが適当ではないかというふうに考えておりまして、具体的には先般九電力に対しまして大臣から指導したところでございますが、今後少なくとも一年間は現行料金を捉え置くと、五十三年度中でございますが。さらに、その後におきましてもできる限り長期に現行料金の捉え置きを図る。さらに為替差益につきましては、これを不当に社外流出するというふうなことをいたしませんで、料金安定化にのみ使うよう各事業者を十分指導監督するという方針でまいりたいと存じている次第でございます。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 平均二百五十九円という計算ですけれども、世間に発表するときにはこういう平均で物を言うよりしようがないと思いますけれども、現実には円の上がり方がもう極端に言えば一日一日の勢いで上がっているということでありますし、それから輸入の量の推移を見てみましても、円高をねらったと言えば語弊がありますけれども、輸送の計画もありまして、後期の方が少し多いような感じがするわけです。そうしますと、単純に二百五十九円でこれだけの差益しかありませんというふうに言うのは、世間を納得させるには少し問題があるんじゃないかということをまず指摘をしておかなければならない。  それと同時に、よく差益差益と言うけれども、引き取り価格の違いを一般的には言っておりますけれども、商売人から見れば現実にドルや円で組みかえをして支払う場合には四ヵ月もかかるわけですから、その間に円が上がっていく。それだけ企業の努力と言うことができるかどうか知りませんけれども、その分だけはまた取引価格の差にプラスアルファをされて差益として残っているわけですね。そうしますと、いま説明のありました金額というものは、私は細かい資料を持っておりませんけれども、世間の人の気持ちから言ってみてどうもぴったりした数字ではないような気がするわけです。いまおっしゃられました数字というのは、私が申し上げました原油の代金の支払いのドルを銀行から借りて円での返済というふうなときを全部含めての数字になるのかどうか、その点いかがですか。
  22. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) これは先ほどちょっと舌足らずであったかと存じますが、いわゆる会計制度上為替差益と呼ばれているもの、すなわち、いま先生御指摘になりました契約のときから実際にそれが輸入されまして、通常ユーザンスと言いまして金融がついておりますが、最終的に決済されるまでの期間の利益を経理上為替差益というふうに呼んでおりますが、その為替差益のほかに、昨年度と比べて円が上がったことに伴いますいわゆる利益、これを全部合算したものを先ほど申し上げました為替差益と仮に呼びまして御説明申し上げたような次第でございます。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 石油税のことにつきましては、また改めてもう少し備蓄その他のことが議論が進みましたならばお伺いをしたいというふうに思います。  前段私申し上げましたように、この財源というのは石油勘定に入る、したがって石油税法の基本になっております公団法なりあるいは備蓄法なり石油勘定なり、そういうものをまず洗う必要があるだろうというふうに思います。  一昨日、五十三年度から五十七年度までの石油供給計画をいただきました。この石油供給計画の策定というのは、その前提条件エネルギー全体の問題が据えつけられておって、まあ部門として石油ということになっただろうというふうに思います。そこで過去の資料で見ますと、昭和五十年度に総合エネルギー対策閣僚会議が長期的なものを発表されました。その後の情勢の変化を踏まえまして昨年手直しといいますか改定が行われた。それを踏まえてこの石油供給計画というものが策定をされたわけですけれども、一応これで数字的には、どういうふうな考え方で五十七年度までおおむねの伸びの推移というものが決められたかということは数字の上ではよくわかりますけれども、総合的に言えば、これから石油輸入について相当制約を受けるというふうな前提条件を置くならば、石油備蓄ということもあるだろうし、それから国内外におきます探鉱開発の問題もあるだろうし、それからいわゆる省エネルギーの問題もありますし、代替のエネルギーの問題もあるというふうに思います。五十年の策定をされたときと最近の状況ではずいぶん状況が変化をしてきたわけですが、いま申し上げましたような四つか五つの部門について五十年の策定をした当時に比べて、昨年これ改定した考え方ですね、基本というのはどこが特徴点であるのか、まず総合的な意味でお伺いしたいと思うんです。
  24. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) いま御指摘のように、五十年の八月に総合エネルギー調査会でもちましてエネルギーの需給計画をはじきまして、さらに五十二年の八月に暫定見通しという形で新しいエネルギーの需給見通しを出したわけでございますが、その間におきます一つの差異は経済の成長率についてでございまして、五十年の八月におきましては、昭和五十年から昭和六十年までの経済成長率につきましては六・六%ということで考えていたわけでございます。それに対しまして昨年の八月の暫定見通しにおきましては、この経済成長率につきましては六%強ということでございまして、五十年度に比べますと若干の成長率の引き下げといいますか、成長率の減少を前提としております。  それから個々のエネルギーにつきましては、たとえば原子力につきまして五十年度におきましては四千九百万キロワットが昭和六十年度においてでき上がるであろうということでございましたが、その後の発電計画のおくれによりまして、昨年の見通しにおきましてはこれを三千三百万キロワットというふうに修正をいたしております。  それから、石油につきましてはそういう前提ではじきました場合に、五十年度の見通しにおきましては四億八千五百万キロリッターということで見込んでおったわけでありますが、昨年のケースにおきましてはこれを四億三千二百万キロリッターということで若干下方修正をいたしております。  なお、省エネルギーにつきましては五十年度におきましてもそれから昨年の見通しにおきましても、省エネルギーの絶対の量といたしましては石油換算で八千万キロリッターのエネルギーの消費の節減ということで動かないわけでございますが、全体のエネルギーの需要が五十一年度の見通しの方が減ったことに伴いまして、省エネルギーの率としては前回に比べまして若干高い省エネルギー率、具体的には一〇・八%の省エネルギー率を見込んでおるというようなところが主な相違点でございます。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 詳しいことはまた別途お伺いをいたしますが、全体的に節約を強化をする、省エネルギーの部面を積極的に進めていってその他の部分については下方修正する、当然そういうことになるだろうと思いますが、ただこれからのエネルギー全体のことを考えてみた場合に、代替エネルギーあるいは省エネルギーについての物の考え方が私は少し問題ではないかというふうに思います。  きょうはそういう面についての審議が中心的な審議対象じゃありませんからそのことを詳しく申し上げる必要はないと思いますが、たとえば一例ですけれども、この資料にもありますけれども、産業用にどのくらいエネルギーが使われているか、あるいは民生用にどのくらい、消費と生産との関係の物的流通の部分についてどのくらい、全部ウエートが出ています。しかしそういう部門について、私は野放しとは言いませんけれども、省エネルギーを積極的に進めていくという立場から言えば、一例ですけれども交通機関を一つとってみまして、電力と石油揮発油のウエートを考えてみた場合に、そのまま野放しにしておいて、そして燃料が足りないから輸入をするというのは余りに非常識ではないかというふうに思うわけですね。省エネルギー立場から言えば、鉄道が消費するエネルギーの割合を一にすれば、たとえばトラックだとかあるいはマイカーだとか、そういうもののウエートというのは約十倍を超えるわけですね。そういうものをそのままにしておいて、いや燃料が足りない、ガソリンが足りないというふうに騒ぐのは私は少し政策あるいは行政の面から言えば問題がある、十分な手を打っていないというふうに思うわけです。  そういうことについて、これはなかなかむずかしい話でしょうけれども、政策の上で誘導をしていって燃料の消費をできるだけ変えていくというふうな知恵があってしかるべきではないかというふうに思うわけです。この割合を見ますと、たとえば交通運輸、物的流通の分野で言えば十何%、一三%ぐらいですか、そのくらいのウエートを占めているわけですね。そうしますと非常に重要な部分だと思うんです。ですから少なくともエネルギーの問題を議論する場合に、そういうふうな政策指導が行われてなおかつ油が、ガソリンが足りないんだと、国民は協力してくれというふうな話になるならば、これは協力の方法もいろいろあると思うんですけれども、道楽息子と言っては語弊がありますけれども、そういうものについてそのまま野放しにしておいて需要と供給の計画をつくることについては、私は政策担当者としては少し問題ではないか。特にこれからのことを考えてみれば、そういう部分についてもっと積極的な政策指導、行政指導というものがこの際必要じゃないか。資源有限ということをしょっちゅうわれわれ耳に聞くわけですけれども、その資源有限であることはわかるけれども、中身で知恵を余り働かしていないというふうに考えるわけですが、その点いかがですか。
  26. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 五十年度の実績で申しまして、エネルギー需要全体の中での比率を見てまいりますと、産業用がいろいろな数字がありますが約五三%、輸送用が一三・五%、それから民生用が一八・九%、その他が一四・七%ということになっておりまして、輸送用は一三・五%を占めておるわけでございます。この比率自体は、諸外国と比べますと、日本の場合には国土が狭いというふうなこともございまして、比較的には小さい方であろうと思います。ただ輸送の内容的な面になりますと、いわゆる人的輸送、人の輸送の面におきましては、鉄道の発達によりましてこれはかなり省エネルギー型ということになっておると思いますが、貨物輸送の面につきましては、確かに先生御指摘のように鉄道輸送のウエートがだんだん減りまして、貨物輸送特に長距離貨物輸送のウエートが上がってくる傾向にあるわけでございます。これにつきましては、エネルギー担当者であるわれわれといたしましては、先生御指摘のように、トラック輸送と鉄道輸送では、エネルギーの消費量というのは一対五とか一対六とかというふうなことでございますので、鉄道輸送の増加が望ましいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、この輸送体系の問題と申しますのは、われわれも先ほどのエネルギー需給見通しをつくるに当たりましていろいろ国鉄の方々等とも意見を交換したわけでございますが、なかなかエネルギー問題だけで律し切れない複雑多岐な問題がございますので、今後政府全体において長期的な問題として御検討いただくことが望ましいというふうにわれわれといたしましても考えておるような次第でございます。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 これはまた別に商工その他で十分議論をいただかなければならぬ私は問題ではないかというふうに思います。  さてそこで、開発公団法改正法律案の十九条八号というのが新設され、あるいは十九条の二項というものが新たに加わる、あるいは補助金というものが今度新しく出てきたわけですが、それを十分に議論するためにもいままでの問題について少しお伺いしておきたいと思いますが、現実にいま備蓄法というのがあって、昭和五十四年度末ですか、九十日の備蓄をしなさいというふうに義務づけられている。もちろんこれは民間が行っているものでありますけれども、この九十日間備蓄というものと、それから今回政府自身がといいますか、国自身が備蓄をしようというので新しい法律が出てきたと思います。その九十日備蓄あるいは今回の百日備蓄というのは経済的な尺度から出てきた数字であるのか、少しいやらしい言い方しますけれども、政治的な戦略的なボリュームとしての九十日あるいは百日備蓄ということになるのか、この点は少しいやな質問で恐縮ですけれども、これからの問題がありますからお伺いします。
  28. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 純粋に経済的な立場からいたしますると、いわゆるランニングストックということになるわけでございますが、石油の場合にランニングストックといたしましては四十五日程度あればいいであろうというふうに言われておるわけでございます。したがいまして、そういう意味からいいますと、四十五日を超える部分というのは万一の供給中断に備えてのいわゆる備蓄ということになるわけでございます。  それで現在、いま御指摘のように、わが国におきましては、民間ベースで五十四年度末九十日備蓄ということを目標にいたしまして備蓄を図っております上に、今回石油公団法改正によりまして、公団自体が約一千万キロリッターの備蓄を行う。これは日数に直しまして約十日分でございます。したがいまして、民間備蓄の九十日分と合わせますと百日分の備蓄を行うということになるわけでございますが、ただ、この数字につきましては現在ヨーロッパ諸国、大体、イギリスの場合には北海の油田を当てておりまして、すぐそばに油が出ることになったものでございますから、若干、百日を備蓄日数切っておりますが、そのほかのドイツでございますとかフランスでございますとか、いずれをとりましても百日を超える備蓄を行っておるわけでございます。そういう観点からいたしますと、IEAという国際エネルギー機関という機構がございますが、そこにおきましても日本はもっと備蓄に努力すべきであるということがかねてから言われておるわけでございまして、そういう観点からいたしまして、われわれといたしましては、公団による備蓄を加えまして百日程度備蓄の確保ということはぜひ必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、九十日分というのは経済的なベースでなくて、もう少し視野を広げた意味備蓄だと、世間体の言葉をかりるならば、アメリカやECやその他に対抗する国力の比重として九十日ぐらい持ってないと対等な話し合いができないというふうに考えざるを得ない。なお、いまお話のありましたように、百日以上越えて百二十日ぐらいの備蓄をしたらどうかという資料も読んではおります。しかし、果たしてそれだけの備蓄が必要かどうかということを考えるわけです。  といいますのは、石油備蓄についてはざっくばらんに申し上げて、一たん事があったときに最低四十五日、倍あれば大体賄えるだろうという計算をする。ところが、もう一方の一番大切な食糧資源についてはそういう考え方が国会の中でも余り議論をされていないですね。これはどういうわけで、石油というエネルギーの問題については四十五日とか九十日とか百日という具体的な目標を与えながら、もっと一番必要な食い物の問題については全然そういう政治的な目標というものが国民の前に明示されていない。これはきょう農林大臣が、まあ私お呼びしてありませんけれども、そういうふうな政策的に少し片手落ちの面があるじゃないかということを心配をするわけです。それと同時に、逆に言えば、資源有限ということ何も石油だけでなくて、食糧もあるはずなんだけれども石油だけになぜ固執をするのかという新しい疑問が現実にあるわけですね。そのことについてお答えをいただけますか。
  30. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 農林物資につきましは十分承知いたしておらないわけでございまが、ただ石油と申しますのは、前回のいわゆるオイルショックのときの経験に徴しましても、よく御承知のとおり、一極の政治的な形での供給中断というのが可能性が非常に考えられる特殊な戦略的ないわゆる商品でございまして、そういう観点からいたしまして、われわれといたしましては備蓄を図る必要があると。しかも石油といいますのは、その使途をごらんいただきますと、たとえば民生、それから農業も含めまして、それぞれ非常に深いつながりを持っておりまして、これ供給不足という事態になりますと社会的な波乱も招きかねない要素を非常に多く含んでおるということがございます。まあ食糧につきましても、その後者の意味におきましては似たような状況であろうかと存じますが、前者のいわゆるその政治的な形での供給中断があるかないかというふうな点につきましては、石油はとりわけすぐれた戦略的な商品であるということは言えるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  31. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。  さてそれで、今度国が法律をあえて改正してまでもほぼ十日分上乗せをして、全体としては百日分の備蓄をする。この百日分の備蓄というのでわが日本の備蓄の計画というのはおおむね完了するという計算でいいんですか。
  32. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) たとえば、国の備蓄につきましては一千万キロリッターだけではなくて、もっとやるべきではないかというふうな声もございます。ただし、現在のところは目標を一千万キロリッターということに定めておりますので、それ以上の計画は現段階では持っていないわけでございますけれども、今後の国際情勢等々を十分に踏まえまして考えていくべきものであろうかというふうに考えております。民間ベースの備蓄につきましては、これはコストとの関係もございますが、九十日を維持すること自体が民間にとってはやはり相当な問題でござますので、これにつきましての民間ベースでの九十日備蓄追加ということは現段階では考えておらないと、こういう状況でございます。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、九十日分いま民間で備蓄をされているわけですが、これは五十四年度末までに備蓄をしなさいという法律義務ですか、が課せられているわけですが、それに対する財政的な措置ですね。まあ大ざっぱで結構ですけれども石油勘定からどの程度、いままでどうして、五十四年末にこのくらい。それから民間が直接手をおろします設備資金あるいはその他含めてどのくらいという点はいかがでしょう。
  34. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 民間ベースの九十日備蓄に対しましては、予算的な問題といたしましては、一つは共同備蓄会社というのがございます。これは石油会社が共同で備蓄会社をつくります際に、それに対しまして石油公団が出資をするというものでございます。それからもう一つは、石油備蓄の増強につきましては利子補給というのがございまして、備蓄用の油につきましてその金利負担を軽減するための利子補給というのがあるわけでございます。これは利子補給幅は従来四・一五%であったわけでございますが、五十三年度からは五%にいたしたいとうことでございます。それから民間備蓄のケースでございますが、民間備蓄のケースといたしましては、いま申し上げました共同備蓄会社に対する出資関係とそれから利子補給の関係が、いわゆる石石特別会計からの支出項目でございまして、五十三年度につきましてはこの出資金関係が百九十三億円、それから石油備蓄増強対策補給金が百四十億円ということになっております。  なおそのほかに、五十三年度からはいわゆる石油貯蔵施設、タンクをつくりましたときの立地対策交付金ということで、石油タンクのできました公共団体に対しまして、公共施設整備等のための交付金を交付するという制度が新しく五十三年度予算で認められたわけでございまして、この関係が約百五十四億円、これは民間備蓄政府備蓄共通のものでございます。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 いまおっしゃられておりますように、合同の備蓄会社というものが一つはあると、それから一般の民間の石油会社が備蓄をしている。その両方で現実に来年の三月末までにいわゆる九十日分というものがきちんと保証されるかどうか、この見通しはいかがですか。
  36. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 備蓄日数につきましては、計画的に逐次その増加を図るということで、毎年五日分ずつふやしております。具体的に申しますと、去ることしの三月末、これが目標が八十日と、それから来年の三月末が八十五日と、それから五十四年度の末が九十日ということで、ここでまあ九十日が達成されるという形になっておるわけでございます。  それで、具体的には去る三月の備蓄日数につきましては、まだ最終的な報告はできておりませんが、おおむね八十日を若干上回る程度になっておろうかと思いますので、備蓄日数の達成につきましては、従来のところ順調といいますか、きちんと行われている。今後ともいま申し上げましたような予算の交付等を通じまして積極的な指導をいたしまして、九十日達成に遺憾なきを期したいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 国が約一千万キロリッター、十日分、民間が九十日分、合計百日分というのを目標にする。これはいままでの経緯からするとこういうふうな段取りになってきたんだろうというふうに思いますが、これはごく近い将来の問題を含めてお伺いするんですが、一応法律義務で民間に九十日分の備蓄を与えておりますけれども石油の安定的な供給という立場から言えば、これは改正の公団が、新しい公団が将来その部分の半分を受け持つとか、あるいは全部国の計画で百日分を備蓄するというふうなことを考えられて、とりあえず十日分の国家備蓄ということを考えたのか。それとも全く無関係に、民間は常に九十で、まあ九十が限度いっぱいだろうと、それ以上は国家備蓄にするという構想のもとに出てきた話であるのか、これ非常に大切な問題ですから、もし十分に閣内で統一されておればその見解を承りたいというふうに思います。
  38. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 九十日備蓄につきましてはこれは民間で実施をしていただく。九十日を超えるものにつきましては、民間の負担の限界等がございますので、これは公団による面接の備蓄を行う、こういう考え方でできておるものでございます。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 そうすると、突発的なことがない限り九十日というのは民間のペースでやって、それ以外は国家備蓄だと。これが百十になるか百三十になるかわかりませんけれども、それは国家備蓄だと、そのことは変えないということでいいですね。
  40. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 現在それを変えるという考え方は持っておりません。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 それでは今度、具体的なこの公団法改正の中の、石油備蓄ということについてお伺いします。  あらかじめのお話によりますと、昭和五十七年までの間に計画的に一千万キロリットル、約十日分の備蓄を行う。しかしそう簡単に施設設備ができるわけではないので、それを前提にして当面タンカー備蓄をやるのだというふうにお伺いをしているわけですが、もう少しその具体的な構想がおありと思いますので、お話を承りたいと思います。
  42. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 一千万キロリッターの石油備蓄をやるためには、タンクの容壁といたしましてはこれはもう一〇〇%満タンにするわけにはまいりませんので、若干の余裕が必要でございまして、千二百五十万キロリッター程度のタンクの建設を図る必要があろうかと思います。これを実施いたしますには、少なくとも三ヵ所以上程度の全国への国家備蓄の基地が必要ではなかろうかと、これは現在そういう形で考えておるわけでございます。ただ、この陸上恒久タンクの建設につきましては、これは二、三年の時間がかかるわけでございますので、その間のつなぎということで出てまいりましたのがタンカー備蓄でございまして、これは現在運輸省それから水産庁、この辺とタンカー備蓄推進のための合同委員会を設置して具体的なやり方を検討しておるわけでございますが、五十三年度中に約五百万キロリッターのタンカー備蓄を実施するということで計画を検討し、かつ予算措置を講じておるような次第でございます。
  43. 穐山篤

    穐山篤君 とりあえずタンカー備蓄をするのだと、このタンカー備蓄については、新聞にはいろいろ出ておりますけれども保税地域でタンカー備蓄をするというふうな計画はないと思いますけれども、その点いかがですか。産油国周辺で外国のタンカーあるいは日本のタンカーを係留をして、そこに備蓄をしておくというふうなことはないですね。
  44. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) これは現在、先ほどの合同委員会検討いたしておりますのは、いわゆる国内におきます泊地をどういうふうにして選定するかということを検討しておるわけでございます。海外において備蓄をするという考え方もあり得ないことはないわけでございますが、もしそういう海外での備蓄をやります際には、一日緩急のときにそこで備蓄した油を日本にちゃんと持ってこれるという相手国政府の保証がない限りは、これは備蓄趣旨に合いませんので不適当であると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  45. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、大ざっぱに言って国内、日本周辺沿岸に大型タンカーを何ばい捉えつけるかわかりませんけれども、係留をする。当然どこの地域に係留するかという泊地の問題が出てくるだろうと思います。必要によれば漁業補償の問題も出てくるだろうし、安全の問題も出てくるだろうし、いろいろな問題が想定をされると思いますけれども、しかしこれは国民の合意を得てタンカー備蓄というものがやはり行われなければならないと思うわけですね。具体的にそういうことについて泊地その他の具体的な計画というものをお持ちですか。あるいはそれをもとにして地方公共団体などともすでに折衝の段階に入っているのかどうか。  私の聞いている話では、それほど具体化していない、これから本格的に具体化するんだというふうにお伺いをしているわけですが、そういうことになりますと、後ほど具体的な予算案の中でお伺いしますが、財政的な裏づけとのかかわり合いというものがどうなっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  46. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 泊地につきましては、現在財団法人日本タンカー石油備蓄協会というものを去る三月十日に設立をいたしまして、ここで検討していただいておるわけでございますが、現在数ヵ地点につきましてその候補を挙げまして、その可能性の調査等を行ってもらっておるという段階でございます。
  47. 穐山篤

    穐山篤君 総トンどのくらいのタンカーを想定されるのかわかりませんけれども、かなりの隻数になるわけですね。そうしますと、財政的にはかなり大きな規模を担保しなければならないということになるわけですが、この「石油税法案」という資料の何ページですか、十ページのところには、具体的にはそれはどういうふうに石油勘定の中であらわしているのですか。
  48. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) タンカー備蓄関係につきましては、公団備蓄事業出資金という形で二百九十九億円が計上されておりまして、これがタンカーの用船料等に充てられる。それから、油代につきましては財投でもって千二百億円が計上されておる、こういう形でございます。――失礼いたしました。多少訂正がございますので、計画課長から御説明申し上げます。
  49. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 大変失礼いたしました。  ただいま次長が申し上げました公団出資金の方は陸上の恒久タンクの方の出資金でございまして、お尋ねのタンカー備蓄事業費の方につきましては、用船料とかあるいは保険料というようなものを含めまして百八十億円予算に計上していただいております。そのほかに原油の購入代金は、これは借りた金でもって賄う予定でしておりますので、その利子補給金が六十八億円計上してございます。そのほかに財投といたしまして、いま申し上げましたように、五百万キロリットル原油相当分の金額といたしまして千二百億円が計上されているということでございます。
  50. 穐山篤

    穐山篤君 私がいただいております資料といまの説明では食い違いがありますので、後で少し整理をさしていただきたいというふうに思います。  なぜ私がそのことをお尋ねをしたかと言いますと、この九ページによりますと、五十二年度の予算額というのが石油勘定で総枠六百八十一億、これは関税収入がほとんど対象になってこれだけの規模になっているわけですね。五十三年度の予算案というのは、関税収入が少し下がりました。それに今度の三%、三・五%を加えた新しい財源をもって五十三年度の予算がこれに組まれているわけですね、と私はこういうふうに理解をしたわけです。まあ簡単にこの数字を見ますと、石油の探鉱開発については前年度四百七十億で今年度四百八十億、これは余り大差がない。ところが、備蓄増強については前年度二百四億で今年度千五十億、これがいわゆる備蓄関係の費用になっているわけです。それから、その他につきましても多少、七億が百二十七億、百億ぐらいふえているわけですけれども、このふえた金のほとんどというのはコンビナートの対策補助費になっているわけです。ですから、今回の千六百五十七億円、全体のボリュームを見てみますと、石油備蓄増強のところがふくらんでいるわけです。  まあ法律案改正に伴ってそういうことになったのは当然だと思うんですが、いまのお話でいきますと、五十三年度中に、言いかえてみれば今年度中ですよ、来年三月三十一日までの間に五百万キロリッターの備蓄をしなきゃならぬけれども、土地も建物もタンクもない。そこで、大型タンカーを係留をして入れる、これもこれから相談をする。ということになりますと、現実の問題として五百万キロリッターがすべてタンカーに積載をされて沿岸で係留をされるということは非常に無理だというふうに私は思うわけです、困難だと。困難だということも承知をしながら、言いかえてみれば、繰り越しを承知をしながら最初からこの案がつくられているんじゃないかという懸念を持つわけですが、その点いかがですか。
  51. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) タンカー備蓄につきましては、一つは泊地の選定の問題でございます。一つは安全基準の設定及びこれを前提としての地元との話し合いの問題であろうかと思いますが、これらにつきましては鋭意検討を進めておりまして、御指摘のように次年度に繰り越すというふうなことは考えてないわけでございます。なお、泊地が決まり船が決まりますと、日本におる船でも、それから大体一ヵ月半ぐらいの間には行って油を持ってこれる、現地の周辺に現在おりますタンカーを用船いたしますればもっと日数は早く持ってこれるということでございますので、それほどの日数がかかるというふうには考えておらない次第でございまして、五十三年度中にこの予算は十分消化し得るという確信を持っておるわけでございます。
  52. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、こういう手順になるんですか。現実にいま石油輸入、輸送というものは民間の会社がやっているわけですね、原油輸入をやっておるわけです。石油公団が、民間のどういう会社に委託するかよくわかりませんけれども、その隻数のうち五隻なり十隻というものは、これは公団用の備蓄分だということで係留をするんですか。民間の輸送の計画の上にプラスアルファをして、アルファをしたタンカーが九州なり四国なりの地域に停泊をするということになるんですか。
  53. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) そのとおりでございまして、五百万キロリッターということになりまと、二十五万トンタンカーでありますれば約二十隻ということになるわけでございますが、これつきましては、改正後のいわゆる石油公団がこれを用船をいたしましてやるという形になりますので、民間がその石油の輸送用に使っている船と別の船であるという形でございます。
  54. 穐山篤

    穐山篤君 いま、たとえば二十五万総トンで計算をしても二十ぱいの船が必要だと。そうしますと、公団が用船をしますタンカーというのは、まあ十日分の一千万キロリッターの備蓄をするたに年間を通して計画的にその隻数というものをらかじめ指定をして回航させるのか、それが優先するのか、あるいは民間に義務づけましたその十日の備蓄の方の義務づけの問題について、通産省としては、まあどちらを優先するかと言っちゃ語弊がありますけれども、そういう問題が現実に出てくると思いますね。片方では八十五日分の備蓄しかない、ところが石油公団の方については常に十日分の備蓄がある、あるいはまあその逆も実の問題としてはあり得るわけですね。そのことについての指導といいますか、考え方というのはどうなんですか。
  55. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 原油輸入につきましては、この民間備蓄分のほかに、いわゆるその備蓄分だけではなくて、石油会社が精製いたしますために輸入するものを加えますと、年間におきまして二億七千万キロリッターを超える程度でございます。その中で、五百万キロリッターでございますので、全体の原油輸入に占めます公団備蓄用の原油輸入の量のウエートというものはかなり小さいものでございます。  先生御承知のように、現在は世界的に見ましてタンカーというのはかなり船腹に余裕がある状態でございますので、民間ベースでの原油輸入、これはまあもちろん民間備蓄を含めましての輸入でございますが、に支障を与えることなくこのタンカー備蓄のための用船ということは十分可能であるということを考えておるわけでございまして、これらの点につきましては運輸省とも十分相談済みのことでございます。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 さて、今度は大蔵省にそれとのかかわり合いでお伺いをしますが、この国家備蓄十日分の、まあ現実にはもっと容量が多くなければ一千万キロリッターというのは備蓄できないわけですから、多少の弾力性はあると思いますけれども、この五十五年度から五十七年度まで、いま議論しましたタンカー備蓄のところを除きまして、最終的に五十七年度中に十日分の備蓄ができるように全部財政的な措置をする、その財源石油税である、こういうふうにお伺いするわけですが、この十日分の備蓄体制というものが整った後は、その水準を維持するという意味で財政的な負担が国にかかり、あるいは公団にかかることは十分に承知をします。ですから、十日分の施設をつくるまでの総枠のまあ財源ですね、それから、備蓄体制が施設その他が全部整備されますとそれほど今度は金がかからないわけですが、そうなりますと、まあ水準を維持するための財源だけで済みそうな感じがするわけです。そのことについてもある程度計算はされているんだろうと思いますが、大ざっぱで結構ですが、まず最初にその点をお伺いします。
  57. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 公団の十日分といいますか、一千万キロリッターの備蓄に五十七年度までどのくらいの金がかかるかといいますのは、これからのいろいろ原油価格の変動あるいは備蓄のための土地代金をどう見るか、そういうふうなことで不確定要素も大変多うございます。確定的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、一応の試算というふうなことでまいりますと、原油代あるいは貯蔵施設のための土地代、そういうふうなものをひっくるめまして大体五ヵ年間で七千億円以上はかかるんではなかろうかと、こういう試算は現在いたしております。
  58. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、概数ですけれども、この石油新税を創設をして年間一千億円、一千四、五百億円、安く見積もってもその程度税収があるわけですね。五ヵ年間で七千億円といいますと、おおむね現在の――現在のといいますか、新しい法律三・五%の税率でほぼ財源的には見合うという計算でいいんですか。
  59. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) いま申し上げましたのは、公団の一千万キロリッターの備蓄ということに限定した上での試算の数字でございまして、それ以外に、石油公団の方といたしましては、先生先ほどお話がございましたような探鉱開発、その資金も必要でございますし、その他いろいろのものがあるわけでございます。さらに、民間に九十日備蓄というふうなことを義務づけておりますが、その備蓄関係の利子補給等々あるわけでございまして、まだ確たる将来の数字が各年度どのくらいかということは、先ほど申しましたような不確定要素もたくさんございますので申し上げにくいわけでございますけれども、まだまだこれから石油対策にはかなりの財政需要が必要であろうと、かように考えております。
  60. 穐山篤

    穐山篤君 気持ちはわからないわけじゃないと思いますけれども、私は、先ほどくどくも辛くも申し上げたのは、民間は九十日というのが限界だしそれでいきたい。それから国家備蓄としては十日分というのが戦略目標だというようなお話があった。しかし、これは経済的なペースを超えて国としてのもう少し大きな角度からの百日分だと、こういうふうにお伺いをいたしました。それと同時に、将来にわたって民間備蓄九十日分を国家備蓄に切りかえるつもりもないんだと、そういう予定も構想もありませんというお話を聞いたわけですね。そうしますと、この石油税というものが、主たる対象になるのは、当然備蓄を中心にしながらその他出資金だとかあるいは補助金というものはあることは承知しますよ。しかし、その他の金額というのはそれほどびっくりするようなボリュームでない数字になっているわけですね。  そうしますと、少しけじめをつけていただきたいと思いますのは、備蓄の体制ができてそれに必要なかなりの投資が行われると、その金はよくわかります。しかし、備蓄の体制が全部整った上でこの百日分、十日分というものが変わらないとするならば、先ほど主税局長からも話がありましたように、一般的には石油安定供給という面ではかなりの金がかかるというような気がするというお話がありましたけれども、ここの部分だけに、備蓄の問題だけに焦点を当てるとするならば、それほどの、備蓄体制ができてしまった後は、維持するために必要なものはあると思いますよ、それほどの財源は必要がないというふうに考えて当然だと思うんですが、その点はどうですか。
  61. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 現在考えております備蓄体制、民間で九十日、それから石油公団によるいわば国家備蓄というものの一千万キロリッターということだけで考えてまいりますと、今後あるいは数年間というふうなことでその辺が達成ができるし、できた暁にはさほどの資金需要は必要ないではないかというお話でございますけれども、なかなか石油状況というものは国際政治等々も絡みまして大変見通しが立てにくい状況でございます。そういうことは抜きにいたしまして、もし先生がお話しのように現状のままで推移していった場合には、石油対策により以上の資金というものが必要でなくなるというふうなこともあるいはそれはあるかもしらぬと思っておりますが、先ほど主税局長からお話ございましたとおり、石炭石油特会というものが五十六年度末までのものに現在なっております。これをさらに延長するのか、あるいはこれを廃止するのか、あるいはさらにほかの、たとえば一般のエネルギー対策というふうなことにその石油税収入を持っていくのか、いろいろこれから検討すべき事項は多々あると思います。そういう時点におきまして、私ども慎重に関係の方面ともよく相談しながら適切な措置を通じて持てるようにしてまいりたい、かように考えおるのでございます。
  62. 穐山篤

    穐山篤君 くどいようですけど、今回新設をする石油税というのは、石油の安定的な供給というものが基本になっていますね。その基本を踏まえて、政策の上でも行政の上でもきちんとしなきゃならないという意味で、開発公団法改正石炭及び石油特別会計法の改正というのが出ているわけですね。ですから、この一連のものは現実に公団法改正に伴って必要な財源石油税で補てんをするわけですよ、担保するわけですね。そうしますと、新たに加わりましたのは、この特会の法律案の第二ページ、「石油備蓄を行うこと。」、これは内容的に言えば暫定的にはタンカー備蓄、その後は具体的に十日分の公団の備蓄というものがきちんと政策の上で明らかにされているわけですね。それから十九条の出資金だとか、五ページの、貯蔵施設の設置の円滑化に資するための地方公共団体に対します補助金というものが、ざっくばらんに言えば中心的な課題ですよね。現実に行っております民間の備蓄に対します財政的な措置というものはいままでもやってきたわけですから、この新しい税金対象にしたものは、この二ページの八、それから出資などの十九条の二、それから後ろの特別会計法の五ページの中に出ております四という数字が具体的な対象財源ですよ。  そうしますと、私が繰り返し申し上げているわけなんだけれども、必要な金を――必要な金というのは国家備蓄に必要な金、あるいはそれを取り巻く必要な金というのは財源として石油税で賄いましょうというのが提案ですよね。その理屈は、いい悪いの議論あったにしてみてもあると思うんですね。一たん十日分の体制を中心とした備蓄の問題について整備されますと、ざっくばらんに言えばそれだけ大きなボリュームの財源は必要がなくなってくるわけですね。あとはこれをいかに維持するかという意味で水準的な財源というものは必要だと思うんです。そのほかに、石油公団ですから融資の問題があったり、あるいは自主開発原油の問題についてどういう金融的な措置をするとか、いろんなことはありますよ。あるけれども、それほどびっくりするような金ではないんですよ。ここの部分についてはもう予算に出ているわけですよ。ですから、一たん昭和五十七年度末で備蓄体制が整った暁には、もはやそれほどの財源は必要がないじゃないか。だから言いかえてみれば、この石油税対象にした財源というのは、ここの点を考えてみればそれほど財源は必要ない。新しい政策の話はいまからいたしますよ。いたしますけれども、これを限って言えばそれほどの財源は必要ないということがはっきりしたと思うのですけれども、その点いかがですか。
  63. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 主税局長の方からもお話があるかと思いますけれども、現在私ども考えております石油公団の一千万キロリットル、五十七年度までにその備蓄をやろう、そのためにも大変膨大な実は財政資金が必要になってくるというふうなことでもございます。それから先どうするのかということは、現時点で明確にもちろん申し上げられるわけではございませんけれども、また片方におきましては、たとえば通産省の総合エネルギー調査会等におきましても、いろいろ今後の日本のエネルギー問題についての御検討がなされております。そういうものを私どもも踏まえながら、将来それに必要な財政措置というものも考えていかなくちゃならない、そういうふうなことを考えているわけでございまして、五十七年度までの備蓄ということだけに限定して、しかも現在の原油価格等を前提にしたものでいけば、それから先は若干、対策費がいまほど必要でなくなるということはそれはあろうかと思いますけれども、何分にも五十七年度の目標にまず現在進んでおるような状況でございますので御了承願いたいと思います。
  64. 穐山篤

    穐山篤君 私はけしからぬということを言っているわけじゃないんですよ、けじめをきちんとつけてもらいたい。少なくとも五十七年末までに国家備蓄としては十日間やらなきゃならない施設を全部つくるわけですから、これは当然金がかかるわけですね。財源石油税から求めている、これも筋があるわけです。この十日分の備蓄の体制が整いますと、後は維持管理という問題だけに限定されるわけですね。ですから、それほどの財源は要らなくなるということをまずきちんとそこまで節目をつけておいてもらいたい。後どうするかという話、いまから私もお伺いをしますけれども、そこに、が、という言葉が入りますと節目がつかない気がするわけです。その点、大蔵省いかがですか。
  65. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 税の性格としては、先ほどお答えしましたように普通税としてお願いしておるわけでございますが、しかし提案理由でも申し上げましたし、法案の理由書にも書いてございますし、現実の政策として別途石炭石油特例会計法の改正もお願いしておるということで、当面石油対策費、今後予想される石油対策費の財政需要を考慮してということがこの税の創設のお願いの一つの基本の柱であるという点は申し上げたとおりでございますけれども、そこで申します今後の石油対策というのは国家備蓄だけだということではないと思うのでございます。主計局次長が申しておるのもそういう趣旨だと思います。国家備蓄だけに限りますれば、それは穐山委員がおっしゃいますように、ある程度いわば初度費的なものがかなりかかるときがあって、初度費的なものが大体終われば後は経常費的なものになるという御指摘はそのとおりだろうと思います。それはその十日という前提が動かなければまさしくそういうことになるだろう。  しかし、だから今後国家備蓄の十日ができれば後は財政資金が要らないかというと、それは石油対策としてはいろいろ要るだろう。まさしくおっしゃるように、その後の問題というのは別途十分問題意識を持たなくてはいけない。  それから、――恐らくこれから御質問あると思いますので、先にいろいろ申し上げるのは差し控えますけれども、衆議院でもその点については両様の意見が出ておりました。
  66. 穐山篤

    穐山篤君 あとの話というのは当然、後の話になりまして、普通税ですから、私もそれほど国家備蓄だけにこの金が使われて、それ以外は一銭もだめだということを言っているわけじゃないのだけれども、この国家備蓄性格あるいは使命から考えてみて一たんそこで区切りをつける。政府も公団側もそこで一たん区切りをつけるということのように私は確認をしたいと思うのです。  新たに備蓄を、あと二十月分ふやしたいというふうな問題とか、あるいは全く新しい石油の情勢が出てきた、あるいは税体系上の問題として、油関係税制についてはこれを統合整理一元化をするというふうな話が出てくれば、これは話は別だと思うのです。ですから、これはもう一たん使命が終われば終わったんだというふうに、くどいようですけれども確認をしておきたいと思うのです。  さてそれから、当委員会の問題ではありませんけれども、たなの開発というのが出るわけですね。この九ページの予算書を見ておりましても、石油の探鉱開発、当然公団自身として行うもの、あるいはまあ融資をするもの、補助をするもの、いろんなことがあるわけですが、この中にもどこかたなという言葉が一、二あったわけですが、いわゆるこのたなというのは日韓大陸だなを除いたたなということなんですか。それとも、気持ちの上では日韓大陸だなを含めたたなというふうに、精神的には入っているんですか。
  67. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) ちょっと手元に私どもその資料を持っておりませんので、正確な御答弁ができないわけでございますが、石油開発公団の開発融資につきましては、今度増強が行われまして、従来は一本の周辺のいわゆる大陸だな部分に対します開発融資につきましては七割の助成と、出資または融資が行われたわけでございますが、今度からはそれを八割に上げることになったわけでございます。単に大陸だなという場合には、日本周辺の大陸だな全体を指しているものといううに考えます。
  68. 穐山篤

    穐山篤君 資料というのは大蔵委員会調査室ら出た資料なんですが、いまお話がありましたように、探鉱開発で国内大陸だな、七割のウエートを八割に引き上げる。それから海外開発につきましても五割を七割に上げる。この町内大陸だなというのが一般的に抽象論でありまして、これはたとえばいま行っている秋田とか新潟というふうなものだけに限定されて言われているのか、それもいま政治課題になっておりますような日韓大陸だなというところまで延長した考え方で融資の考え方が出ているのか、その点をお伺いしたかっわけです。
  69. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 今回の予算でもってお認めいただきました国内の大陸だな開発につきましての融資条件を八〇%まで引き上げると申しますのは、一般的に日本の国内の大陸だなということを意味しておるわけでございまして、先生いま御指摘のような阿賀沖ですとかあるいは秋田あるいは常磐あるいは北海道沖というようなのが念頭にございます。  ただいま御指摘のその日韓大陸だな問題をどするかということにつきましては、実は従来かいろいろ国会内で議論のあったところでございまして、公団が日韓大陸だなの融資についてどのような対応をするかということにつきましても、従来いろいろな委員会でもっていろいろ議論されところでございます。したがいまして、私どもとしては、国会内での議論を踏まえて現実に日韓大陸だなについて融資ないし出資の要請が出てまいれば検討するということにはしておりますけれも、基本的にはいま申し上げましたように、いろいろめんどうな問題のある点であるということは重々承知しておりますので、ここで言っておりますのは明示的にその日韓大陸だなを含んでいるんだというお答えはいまはできないと存じます。
  70. 穐山篤

    穐山篤君 いまはできないといういわゆる政治的な発言なんですけれども、はっきりしてもらいたいのは、このたなというのは、日韓大陸だなというたなは入っていないというふうに確認をしていいんですね。
  71. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 財政当局の方で理解しておりますことがあるいはそちらの方のとちょっと正確であるかどうかわかりませんが、今度の融資割合の引き上げの問題につきましては、最近のいろいろ石油の探鉱開発、これがなかなか進みにくいということがありまして、やはり石油公団の融資割合を現状以上に高めてそれを促進していく、そういう政策的必要があるということから、一般のものにつきましては従来の五〇%融資の原則を七割に引き上げる、それから大陸だなの関係の現在の七〇%の融資比率を八割まで引き上げるということでいたしましたものでございまして、ちょっとその辺の、大陸だなというものの中にいわゆる日韓大陸だなが入るのかどうかというようなことはちょっと私どもよくわかりかねますけれども、基本的な考え方はそういうことで引き上げたようなわけでございます。
  72. 矢田部理

    ○矢田部理君 関連。  これは非常に重要な問題だと思うんですね。したがって、大臣に質問をしたいと思うんですが、融資の比率を上げる、その場合に上げる基準として国内海外とを分けているわけですね。日韓大陸だなは国内に入るんですか海外に入るんですか、そこをやっぱりまず明確にしてほしいんです。
  73. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) これはむしろ通産省から答えてもらった方が適当じゃないかと思うんだが、共同だからあるいは町方に入っているのかもしれないなといまちょっと思ったんでございますが、詳しくは通産当局の方から答えてもらいたいと思います。
  74. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) いま矢田部委員が御指摘になりました日本の大陸だななのかどうかということにつきましては、私どもは従来からの主張からいってこれは日本の大陸だなであるというふうに理解をしております。ただ、韓国との間でああいう協定ができたがゆえに、日本の大陸だなであるけれども、協定及び現在審議中であります国内法に従いまして特別な扱いをするのであるというふうに了解をしております。
  75. 矢田部理

    ○矢田部理君 非常に重大な発言だと思うんですね。日本はあそこは日本の大陸だなだと言ったかもしらぬ。しかし、同様の主張を韓国側もしている、あるいは中国も、いや、わしにも延長線上にあると、こういう主張があるわけですね。そこで、どこのたなとも実は確定をしないで、とにかく日韓で共同開発しましょう、こういう話で例の条約をつくったわけでしょう。そういう不安定なところを日本の大陸だなだと、日本のたなだという主張を確定的にしていいんですか。
  76. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 先ほどの私が申し上げましたことは、従来日本の主張は日本の大陸だなであるという主張をしておったし、前国会でございますか、前の通常国会で成立いたしました日韓大陸だな条約におきましてもその点は明確にされておるはずでございまして、境界画定については決めてないんだということを明記してあるはずでございます。したがいまして、私どもとしては、いま申し上げましたように現実に日韓の大陸だなをどう取り扱うのかと言われれば、協定に従って取り扱う特別な扱いになっておりますということでございます、ということで御答弁したつもりでございます。
  77. 矢田部理

    ○矢田部理君 したがって、少なくとも現政府は韓国との間に、いずれのたなとも決めないで国際的な約束をしたわけでしょう。それがいわば法制度的には固まろうとしてきているわけですね、条約的にはすでに固まっている。これを日本のたなですというわけにはいかぬのじゃないですか、いまの政府が。それが一つ。  それから、日本のたなで仮にあったとしても、あそこを国内開発というふうな位置づけをするわけにはいかぬのじゃないですか、領海外ですよ。国内というのは、少なくとも領海内でなきゃならぬというのももう一つの基準としてあるわけです。それでもなおかつあなたは国内開発だと、こういうふうに言うんでしょうか。
  78. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 先ほど計画課長が申し上げましたのは、日韓間の協定によりまして、これはいわゆる領土の画定をするものではないと。日本は日本でいわゆる中間線議論をとっておりますから、共同開発区域はこれは日本の大陸だなであるという主張をしておりますし、韓国は自然延長論のもとにあれは韓国の大陸だなであるという、両方の主張が食い違っておるわけでございまして、その辺の現実的な妥協といたしまして、これを共同開発でやるということが出てきたわけでございますが、協定の中にもたしか書いてあったと思いますが、これは両方のそういった大陸だなについての主張についての一つの結論を出すものではないと。それはそれぞれの主張はそれぞれの主張として生きておるということでございます。  したがいまして、日本がいろんな写本の法律に基づきまして助成をしあるいは援助をするという場合には、これは当然日本側の従来からの主張でございます中間線論によって行われるべきものであるというふうに考えられるわけでございます。それで国内の大陸だなと、国内じゃないじゃないかということでございますが、これは一般的には先生御指摘のように十二海里が領海でございますが、いわゆる大陸だなにつきましては、これはそれぞれの大陸だなの所属しております国がそこに対しまして主権的な権利を持つということになっておるわけでございまして、大陸だなに関する限りにおきましては、十二海里の外にありましてもこれは国内の大陸だなに対する融資というふうに読んで差し支えないものというふうに考えます。ただ具体的に、計画課長が申し上げましたように、この日韓大陸だなで開発が行われます場合に、これに対しまして公団が投融資するかどうかという問題につきましては、従来から国会等でもいろいろ議論のあった問題でございまして、その点を踏まえまして慎重に対処したいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 矢田部理

    ○矢田部理君 いまの議論全くおかしいですね。日本がどう主張したかということと、最終的に少なくとも韓国との関係ではどういうふうに両国間で了解をしたかということとは別の問題のはずですよね。その主張はあったけれども、またその主張は最終的に下げたわけではないけれども、お互いにペンディングにして共同開発をやりましょう。そういう意味では日本のたなだと少なくとも国際法的には確定をしていない。まして中国は、その部分は中国のたなの自然延長線上にあると、こういう非常に強力な主張があるわけでしょう。そういう状況の中で、しかも日本の主張は、一応日韓大陸だなについては日本のたなだという主張はしばらく下げて、どこのたなとも決めないで共同開発をしましようと、こういうことになったわけですから、あれを日本のたなだという前提で融資をするのはおかしい。国内開発の基準で七割を八割の基準に当てはまるんだという議論もおかしい。これはもう絶対納得できません。国内開発じゃないでしょう。頭上外で、どちらのたなとも決めないで、とにかく日韓両国で共同開発しましょうと、こういう話なんですから。国内開発だというふうにきめつけるのはとんでもない話ですよ。
  80. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 国内であるかどうかという問題につきましては先ほど申し上げましたが、いわゆる日本の大陸だなの部分というのは国内開発、国内の大陸だなの開発として扱う、それが領海の中であるかどうかということではなくて、日本の大陸だなであればこれは国内の大陸だなということで扱うということで、従来からそういう考え方でやっておるわけでございまして、たとえば新潟の阿賀沖の開発、その当時は日本の領海はいわゆる三海里説をとっておったわけでございますが、阿賀沖の開発地点は三海里の外であるわけでございますが、これは日本の大陸だなに属する部分でございますから公団から投融資を行っておるわけでございまして、いわゆる領海の問題で制限される、領海が三海里あるいは十二海里だからといってその外にある大陸だなの部分に公団が投融資をできないということはわれわれとしては考えてないわけでございます。
  81. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一問だけ。  通産省ね、たなが問題になるのは領海より外に出たところが問題になるわけですよ。領海内のたななどというのは余り議論になる必要はない。問題は、それは日本のたなだという主張はあるかもしらぬけれども、それが国際的に日本のたなだとやっぱり認められてないわけでしょう。そこが違うんですよ。国際的に日本のたなだと全体的に認められない状況のもとで、朝鮮も自分のたなだと、中国も権利があるという主張をしている、そういう状況のもとで日本のたなだと主張し、それを前提国内法を運用するというのがおかしいと、こう言っているんです。その新潟の阿賀沖のたなとは全然問題の違う内容なんです。そこを私は問題にしているんです。
  82. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 日韓大陸だなの区域につきましては、これは日本の大陸だなであると主張し、韓国は自然延長論に基づきまして韓国の大陸だなであるということで主張しておりまして、これはまだその間の決着はついてないということはもう事実でございます。ただ、日本のいろんな財政援助その他を日本の法制に基づいて行います場合に、これは日本の判断で行うことができないのかと言えば、一般論的に言えばそれは日本の法律は、援助に関する限りは日本の判断でやっていいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  ただ、具体的にそれでは公団が投融資するのかということになりますと、これはいわゆる紛争関連地域という言葉の解釈の問題といたしまして、国会でもいろいろ議論があり、附帯決議等もついたというふうな事実がございますので、その辺を十分に踏まえまして慎重に対処してまいりたいと、現実に公団に投融資をしてくれという話が出るかどうかも全く未定でございますので、慎重に対処をしてまいりたいと、こういうことでございます。
  83. 矢田部理

    ○矢田部理君 いずれにしてもいまのお答えは全く納得できません。特に係争地域であり、どこのたなかも明らかにならない地区に多額の投融資をするということはもう大変な問題なんでありますから。日本のたなだと国際的に確定もしていないところへ大がかりな費用を投入するということはもうとんでもない話なんで、これも後の議論に残しますけれども、いまの説明では全く納得できません。私は、少なくとも日韓大陸だなについては、日本のたなだということを前提にした融資はすべきでない、あるいは国内開発だということを基準にした引き上げ率を適用すべきではない、そこはやっぱり明確にしておいてほしいというふうに思いますが、この議論をいまさらに重ねるためにはもう少し、そちらも検討してもらわなければならぬし、しますから、この程度で終わりますが、いまの答弁では私は納得しません。
  84. 穐山篤

    穐山篤君 これ、なかなかむずかしい課題であるとは承知をしますが、こうやって備考のところに国内大陸だなというふうに書かれますと、単にこれは備考とか参考程度の話ではなくなる性格です。まあ本格的にはまた別のところに譲ることになると思いますが、たとえば尖閣諸島について鳩山外務大臣が国会で答弁した態度から考えてみまして、あの周辺の石油の探鉱についてはなかなかトラブルがあることも承知をします。あの周辺のたなはどちらのたなだというふうに聞いてみましても、それぞれ主張があるわけです。そこのたなについての探鉱を行うから融資をしてほしいという話は現実にないかもしれません。あるいは現実にはあるわけですよ。あるけれども、なかなかもたもたしているわけだけれども、たなという、国内大陸だなというふうに書かれますと、具体的にはそういう問題まで援用して考えなければ処理がむずかしい事態になっていると思うんです。いまの尖閣諸島あるいはその周辺のたなというのは、国内のたなであるのか、あるいは国内開発の対象になっているたなであるのかないのか、その点についてもし見解が統一をしておれば明らかにしてもらいたいと思います。
  85. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 大変お答えしにくい問題なんですけれども、率直に申しまして、尖閣列島というのは日本の固有の領土であるという主張は従来日本はやっておったはずでございます。今度大陸だなという概念に当てはめましたときに、先ほどの話と同じ話があり得るのではないかと思いますが、大陸だなのその定義次第では、中国側の主張というのはどの程度まで出てくるかという問題もございまして、国際的にはこれも確定した見解があるということではないと思います。したがって、私はここで日本の政府の代表としまして、尖閣列島周辺大陸だなというのはこういうものでございますということをいまお答えする立場にはございません。
  86. 穐山篤

    穐山篤君 まあこのたなの問題は非常に微妙であるし、いまの答弁では確信を持って言われたというふうに理解するには少し問題が、少しよりも大変問題が残っております。したがって、そこの部分については私も質問を少し保留をしておきたいというふうに思います。  大変、時間が来てしまったものですから、探鉱開発の問題についてお伺いをします。これは公団と通産省の側になるわけですが、石油というのは繰り返すまでもなく戦略物資であることは間違いないし、それだけいろんな努力をして今回も備蓄の計画が立てられている。ところがこの戦略物資に対して、輸入とかあるいは備蓄とかということには非常に関心が深いし、具体的な手を打っておりますけれども、それ以外の探鉱開発、あるいは自主開発についての熱意というものが非常に私は薄れているというふうに思うわけです。この前の関税のときにも私は指摘をしたわけですけれども海外で開発している会社が十数社あるわけですね。現実に原油の質が悪いから引き取り手がない。引き取りも年々数量が下がってきているという実績はわかります。しかし一面、ドルの黒字の分野から考えてみれば、別に海外で土地を買うわけでなくて、鉱業権を買ってそこで探鉱開発をやるわけですから、もっともっと国全体としては自主開発についての積極的な支援あるいは協力体制というものがなければならぬのではないかというふうに思います。資料の上では、これからの石油資源というものが少なくなるという、それぞれの地域の資料はありますけれども、せっかく海外で戦略物資を何とかしなきゃいけない、日本に持ってこなきゃならないといって努力しているそれぞれの会社の立場、あるいはそれにかかわっている関係者の立場から言うと、日本政は冷たいという、そういう一語に尽きるのではないかというふうに思います。  たとえば融資にいたしましても、今回五〇を七〇に引き上げるという前進面を評価しないわけではありませんけれども、しかし、これだけでは自主開発についての熱意をさらに一層促進をするということにはならない。もっと財政の面あるいは金融の面で積極的な方法を講ずる必要があるだろうというふうに考えますが、政府並びに公団の考え方をひとつお伺いしておきたいと思うんです。
  87. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 海外での開発につきましては、いま御指摘のように、探鉱段階につきましては石油公団が出資または融資をするという形で助成をいたしておりまするし、それから生産段階になりますると、輸銀がこれに対しまして生産の開発関係資金の融資をするという形で助成をいたしておるわけでございます。  一番の問題は、せっかく海外で開発されました石油が必ずしも順調に日本の国内に引き取られておらないという点であろうかと存じます。現在生産中の開発原油は九つございまして、これらを合計いたしますと、日本の取り分といたしましては、年間の量にいたしますと約四千三百万キロリッターということになるわけでございますが、現実に引き取っておりますのは、五十一年度に二千四百万キロリッターということにすぎないわけでございまして、引き取り未達分があるわけでございまして、これに対しまして引き取りの促進を図るということがきわめて開発意欲を促進する上からも非常に大事なことであろうかと思うわけでございます。五十三年度につきましては、かかる見地から、一つは公団の関与いたしましたわが国の開発原油のうちでいわゆる重質のものにつきまして原重油関税を百十円引き下げることにいたしましたほか、先般発表になりました五十三年度から五十七年度までの石油供給計画におきまして、新しい試みといたしましてこの供給計画の中に自主開発原油の引き取り目標量を明記するということにしたわけでございまして、今後これをベ-スにいたしまして引き取りにさらに積極的な努力を行いたい。また、それによりまして、せっかく開発されました自主開発原油の生産並びに今後の開発意欲の促進を図りたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  88. 穐山篤

    穐山篤君 自主開発について引き取りの目標をきちんとする、これはこれからもぜひ積極的に進めていただきたい。ただ、率直に申し上げて、たとえば最近中国との間に業界が石油石炭輸入の問題について合意が行われた。しかし中国の原油につきましても、質から考えてみてかなりの精製を行わなきゃならない、これは当然だと思うのですね。日中両国の友好という立場から、その精製についても国あるいは業界が手を上げてこれを何とかしなきゃならぬ。これは非常に積極的な態度を示している。これは私は大いに歓迎していいと思うのです。しかし、そういう部分的に力こぶを入れるというのでは、戦略物資の性格から考えてみて余り適当ではないじゃないか。ですからもう少しその点、戦略物資としての位置づけを明確にして、中国ともそうでありますし、それから自主開発を行っている関係についても、もっと精製について機能の高いものを設備をして、そして供給をするというふうな施策を進めていかなければならぬのではないか。これは何も私だけでなくて、すべての人が私はそう考えていると思うわけです。この点につきましてはまた改めて別な機会にお伺いしますが、とにかく積極的にやっていただきたいということを申し上げておきます。  さて最後に、今度は税金の問題にもう一遍戻ります。時間がありませんから全部お答えをいただくのは無理かとは思いますけれども石油税新設の問題に当たって衆議院の方でもかなり議論が細かく詰められたことも承知をしております。附帯決議も述べられたことも承知をしておるわけですが、当面、国民的な立場から言えば、この石油税新設に伴いまして業界の自粛を要望したとしてみても、物価への影響価格への転嫁というものは当然予想される点であります。業界としては、差益があったにしてみても過去の企業努力やあるいはこれからの設備投資を考えてみれば、そう差益は国民に還元できるものではないと、どちらかといえば居直りの姿勢にあるわけですね。ですから、考えられますことは価格への転嫁、物価上昇ということは必然的にこれは想定をされることだし、また現実的に起きるという心配を持つわけです。その点について政府の政策指導、行政指導というものについての考え方をひとつお伺いしたい。  それから、大蔵委員会という性格から考えてみますと、税の体系の問題について問題をやや残した感じ審議を進めているような私は感じをするわけです。もとに課税をするということが一番いいとは言ってみましても、海外から輸入する製品にかかるものもあれば、国内製品にかかるもの、かからないものもある。税制体系として、油の税金体系としては非常に不自然なものを持っているというふうに思うわけです。本来、もし石油が今日のように課税対象にしなきゃならぬという緊急的な必要が、今回あったんでしょうけれども、従来日本の国内で消費している輸入の量やあるいは製品のそれぞれの分野から考えてみて、もっと以前にこれはつくられてしかるべきだというふうな意見もないではなかったわけですね。いまになってみると非常に税の体系の上でややこしい問題を残したと。したがって、国民の間からもあるいは委員会としても税の体系上の一元化という、そういう問題は当然考えられるわけでありますが、この石油税を創設するときに当たってその辺についてどういうかかわり合い議論がされたか、最後にお伺いをしまして私の質問を終わります。
  89. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 前段のお尋ねにつきましては、税制調査会でも御議論が出ましたけれども、この御議論いただいたのは十一月、十二月という時期でございますが、そのころに比べて、この税の本来の性格からすれば、それがコストになり、石油及び石油製品を利用しあるいは消費される方が負担していただくべきもの、性格論としてはそうであるけれども、現実に予想される事態というのは、その当時の石油製品価格がその税の導入によって上がるということは考えられない状態ではないかという議論が非常に強かったわけでございます。時間の関係結論的なところだけ申し上げますが、先ほどのエネルギー庁次長からの数字的な説明からもその辺の事情はお読み取りいただけると思います。いままでの値段の状態というのが平均が三百四十数円であるということでございますから、今度この税の負担がそのまま転嫁されるとして、まあこれは価段、使途、値段によりますけれども、大体キロリッター七百円弱ぐらいの計算になるわけでございますが、いまの状態よりも七百円上げなくてはならないというふうには考えらないと申し上げていいんではないかと思います。ただ、それを具体的にどういうふうに指導していくかと、それはエネルギー庁の方から所管庁としてのお答えいただきたいと思います。  第二点の問題の、その体系として一つ加わったという意味複雑になったということは否定いたしませんけれども、税としておかしな税であるというふうには私ども考えておらないわけでございます。それはやはり石油及び石油製品を利用するあるいは消費するということの便益性に着目をして消費税として負担をお願いする、課税の方式としては個別の製品課税ではなくて一番根元の段階で課税をするという考え方はそれなりに十分根拠もあるし説得力もあり得るものではないか。ただ、それがいままでの既存の個別消費税、製品課税と併存するから一つよけいに加わってややこしくなったという点は否定いたしませんが、併存するだけの理由も十分にあるのではないか。と申しますのは、個別の消費税というのが石油製品の全部をカバーしていなくって、約二割程度のものを相手にしておって、しかもそれぞれに一種の受益者負担的な感覚で使途が特定されて負担をお願いしているわけでございますから、現状において少なくともこの両者が併存しているということが体系上はなはだおかしいというふうには私どもは考えておりません。  ただ、衆議院での御質疑過程でも、将来の課題として、現在ある個別の消費税の使途なり何なりというものをもう一遍考え直すということとの関連で、その石油税石油製品に対する個別消費税のあり方というものは将来の課題として十分勉強すべきであるという御指示を受けております。それは私どもも今後の重要な検討課題の一つであろうと考えておるわけでございます。
  90. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 消費税でございますので、理屈の上からいきますればこれはコストに反映されまして最終的には消費者負担をされるべき性質のものだと存じますが、ただいま主税局長からも御説明ございましたように、現在の需給動向あるいは現在の為替動向等を勘案いたしますると、この石油の税が直ちに価格に反映される必然性はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  91. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後雰時三十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会
  92. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  石油税法案審査のため、本日の委員会石油開発公団理事江口裕通君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  94. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 休憩前に引き続き、石油税法案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  95. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 冒頭に、直接法案関係がないことでありますけれども、特に景気対策の問題が緊急の問題でもありますので、それについてひとつお伺いを最初したいと思います。  中小企業の経営者について、いま景気を起こすためにもその辺が潤い、また企業意欲が活発になるようにしなきゃならない。当然のことでございますが、そういう点で十二分の育成措置をとり景気を刺激すべきだと、こういうふうに思います。特に金融面でいろいろ訴えられたりしますのは、十分な担保力がない。そうなりますと、都道府県なりのいろんな信用保証協会、市内の信用保証協会の保証を受けてということが多くなってくるわけでありますが、残念ながらこれがまだまだ景気対策に対しては不十分な感じを受けるわけです。現在までのこの限度額の推移、こういうのを見ていくと、現在なんか私は不十分過ぎるんじゃないかというような感じがするんですけれども、この保証限度額の推移についてまず最初にちょっとお伺いをしたいと思います。いままでの経過を言ってください。
  96. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 保証額の推移でございますが、これは五十年十二月に引き上げが行われておりまして、特別交付条件は百五十万円から二百五十万円になっております。無担保保険は五百万円から八百万円になっております。それから普通保険は四十九年五月に組合が七千万円から一億円になっておりまして、一般の保険は五十年に同じく三千五百万円から五千万円に引き上げが行われております。
  97. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあ一番陳情を受けてきますのはやはり一般の場合であります。これがいまの答弁のように最高限が五千万円。それで無担保が八百万ついたとしても、五千八百万円が限界ということだろうと思うんです。すでにこの無担保でない方、無担保の方が五十年、そうでない方は四十九年ということでありますから、すでに四年以上もこれが経過している。実際いま景気を起こすんであれば、この限度纈の引き上げをするのが非常に必要じゃないかと思います。これはどうしても法の改正が必要なわけでありますけれども、そういう時期に来ているんではないかと思うんですが、この辺は大臣はどうお考えになりますか。
  98. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、この保証限度の問題は中小企業金融にとって非常に大きな問題でございますが、したがいまして、その点でこの限度が十分であるかどうかについては常に検討が行われるべきものと考えられますが、ただ五十二年度のたとえば上期の実績で申しますと、普通保険の平均付保の実績が一件当たり平均七百十二万円でございます。無担保が二百四十六万円でございまして、限度をまだかなり下回っているわけでございます。それから、これは先生御承知と思いますけれども、業況の悪化している不況業種等に属する中小企業者につきましては、保険限度額について同額別枠で認められる特例措置が講じられているわけでございます。それからまた、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法に基づきまして認定を受けました円高関連中小企業者につきましては、さらに本来の枠と同額、保険同額がまた別枠となる特例措置が講ぜられているわけでございまして、原則として普通の枠の三倍まで利用できる道も開かれているわけでございます。したがいまして、当面はこの限度で一応円満に円滑に保証されるものと、このように考えているわけでございます。
  99. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 実際、いまの答弁のとおりだろうと思いますけれども、人によってはこの限度、いわゆる五千八百万円では足らないというのもあるようなんですね。やはりもう少しこの枠の拡大を、いま言われたような、円高とかいろんなものに関係しての枠の拡大を受けられない人で、そして実際五千八百万円以上必要というのも出てきているわけです。こういうのについての道が全然あいてないわけですね。やはり景気対策の上からは何かその辺穴をあける必要があるんじゃないかという感じがするのですけれども、どうでしょうか。
  100. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) ただいま申し上げましたとおり、この保証限度の枠というのは中小企業にとって大事な問題でございますが、ただいま申し上げましたように、現実にこの枠いっぱいになっている企業の数は比率としては少ないわけでございまして、もちろん個々の企業にとっては大きな問題でございますけれども、そういうような実績でもございますので、今後とも十分、その限度の推移につきましては実態を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
  101. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 実態を見きわめながらということですけれども、いまの答弁だと五千八百万では足らないという人については、そういう資金需要については道は閉ざされたままになっちゃっていくという感じがするわけです。その点は、そんなに数は多くないかもしれないけれども、利用状況を精査をしていただきたいと、それで対策を至急考えてもらいたいと思います。  次は石油税法案に入りますが、この法案提案理由の説明の中で、「今後予想される石油対策に係る財政需要に配意して」、そういうことでこの法案を提出したというように言っておりますが、「今後予想される石油対策」とは具体的にどういうことを想定しているのか。特に、五十三年度は予算案概要の中に示されておりますけれども、五十四年度以降についてはどういうことを想定していますか。
  102. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 今後予想されます、石油対策といたしましては、たとえば従来から行ってきております石油の探鉱開発関係の事業、それに対する補助金その他、あるいは融資の関係というふうなことが、従来のペースに引き続いてこれを促進していかなくちゃならないというのが第一であろうかと思います。  第二の大きな柱といたしましては、最近の情勢にかんがみまして、何と申しましても石油備蓄の増強、これが非常に要請されてきておるところでございます。その中身といたしましては、これも従来からやってきておりますいわゆる民間備蓄、これを五十四年度末までには九十日備蓄の目標達成に向けて進めていく、それが第一であろうかと思います。  それから備蓄の第二といたしましては、やはり諸般の事情にかんがみまして、単に民間の備蓄を進めるだけでなくて、さらにそれにプラスして、いわゆる国家備蓄と申しますか、現在考えております石油公団による備蓄の増強、これを進めていくべきであろうというふうなことで考えております。  当面の目標といたしましては、昭和五十七年度までに、石油公団による備蓄を一千万キロリットル、これを達成していこうというふうなことでございます。  そのほか第三と申しますか、その他といたしましては、いろいろ揮発油の販売業界の体質の改善、あるいは細かい点で、金額的には現在細かいのでございますけれども、重質油の分解の装置のフィジビリティの調査、そういうふうな問題を今後とも進めていかなくてはならないだろうと、かように考えております。
  103. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあ言えば、五十三年度以降、五十四年度以降になりましても、ずっと特段大きい変化をさせるということはないと、こういう理解ですね。そういうことでしょう。五十三年度の予算案概要に示されているのとは大きな相違はない、五十四年度以降は。こういう理解でいいですね。
  104. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 現在私どもが考えておりますのは、五十三年度新規に石油の国家備蓄を行うというふうな点を中心といたしまして、今後ともその方向で進んでまいりたい、かように考えております。
  105. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 備蓄のことは後で少し伺いたいと思っていますけれども、わが国が現在、昭和五十二年度予算で見ても国税収入の八・一%ですか、石油から税金を取っている。これは西ドイツの八・二%でしたかね、それに次ぐ高い水準にあるということでございますが、しかし、それに比べて石油の国民一人当たりの年間の消費量は、アメリカ、フランス、西ドイツよりも少なくなっている。ということは、国際的に見ても、消費の上からいくと、日本は現在でさえ過大な税負担を強いられているというふうに、消費量の方から比較していくとならざるを得ないというふうに思うわけですけれども、その点はいかがでございますか。
  106. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 石油全体についてどの程度税を負担していただいているかという点につきましては、やはり石油の消費構造に応じましてそれぞれの国の消費のウエートが、油種によって多少違いますけれども、それに対してそれぞれの国でどういう税を負担してもらっておるかということで比較するというのが一番現実的ではなかろうか。その点はなお御質問ございますれば具体的な数字でお答えいたしますが、そういう角度から眺めますと、日本はほかの先進の石油消費国に比べますとまだ負担は低いというふうに私どもは考えているわけでございます。  ただいまの御指摘の中で、税収に占めるウエートから見ればどうかということになりますと、恐らく年度によって若干動きますけれども、一番新しい日本は五十三年度、ドイツはわかっております一番新しい五十一年度というふうなことでやってみますと、日本が八・三、ドイツが七・九、おっしゃるとおり、ほかの国はそれより低い税収ウエートということはございます。  ただ、この点は、それは石油に対しての税負担が低いということでは必ずしもない。というのは、別の例で申し上げた方がむしろよろしいのかもしれませんが、たとえば法人に対する税負担というのは、日本はほぼ国際並みとよく言われておる、私どももそう考えておる。ところが、税収の中での法人税収のウエートは非常に大きいわけです、日本は。それはやっぱり所得に対する税、消費に対する税がほかの国より安いもんですから、全体の負担率が下がっておる。全体の負担率が低い中で、法人所得に対してほぼ同じ負担を求めると法人税のウエートが高くなってくる。そういうことでございますので、税収の中でのウエートの方から日本の石油税負担は重いというふうには私どもは考えていないわけでございます。
  107. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 五十三年度の石油税を実施した場合が八・三%ということですね。そういうことで、確かに税収の中での話とすれ違いがあったと思うのですけれども、これが国民所得に対する石油関係税金、こういうのを見ていくと、確かに言われるように日本はほかの国よりはそんなに高くない。しかし、いまドル防衛で問題になっている、ドルの問題で問題になっているアメリカ等は、国民所得に対しての、石油税の徴収は〇・三六%というふうに非常に低い状況ですよね。日本はその三倍近いところにある。こういう点から考えると――特に日本の場合は大きな九十何%輸入しなければならない。西ドイツのように、石炭が豊富であるために、石油エネルギーもあるけれども石炭エネルギー依存度も商いというところと大分違うと思いますね。そういうのに対してやはり一・一%という比率はぼくは高いような感じがする。その点はどう思いますか。
  108. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) その点も、一番最近わかります数字で見てみますと、日本が一・〇六、アメリカが〇・三二、イギリスが二・〇一、ドイツが二・〇七、フランスが一・三二という数字になるようでございます。やはりアメリカは国内に非常に豊富な石油資源を持っているということで、先ほど私がほかの国と比べますときに先進消費国というふうに申し上げたはずなんですが、やはり石油に関してはアメリカというのは日本やヨーロッパとはちょっと違う位置にあるのではないか。私どもは、ヨーロッパでかなりエネルギーの中の石油依存度の高い国、まあイギリスは最近北海油田が出ましたけれども、いままでで言えば、輸入して使っている国の負担と比べる方がいいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  109. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの問題に関連するんですけれども、もし、現在の状況でも、税収総額に占める石油関係諸税の収入が高い、しかしこれが、一般消費税というような考え方がいまぼつぼつ言われてきておりますが、それが入ってくると今度は九%を超えるような状況というのが出てくるのかどうか、その辺はどうなんでしょう。
  110. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) その点は確たる見通しを申し上げるのは非常にむずかしい問題であると思います。結局その税収が今後の経済活動の反映としてどういうふうに伸びていくのか、こういう点もございますし、それから財政再建のために負担増加を求めるとして、どういう税目に求めていくかということにもよるわけでございますので、税収の中での石油税のウエートを一定の水準に固定するという考え方は私は持っていないということしか申し上げられません。
  111. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは、西ドイツのように付加価値税を含めて九・何%というような、約一割近いところまで持っていかれないようにひとつお願いをしたいと思います。  それから、今国会で関税定率法改正が行われた。原重油関税についてはわずかながらもいじられて毎年下がってきた。これは関税審議会の答申趣旨に沿った措置であると思うんですね。確かに原料に対して課税するなんという、非常に関税かけるなんという奇妙なことがなされているわけでありますけれども、しかしこの石油税法は、実体として今度見るというと、関税と全く選ぶところがないというふうに思えてならないんですが、この関税率を引き下げたのと今回この石油税を創設したこととどういう関係性があるんでしょう。
  112. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 今回御提案申し上げております石油税考え方は、鈴木委員よく御承知のとおりなんで、石油という便益性が大きくてかつ有限な資源を利用する、それに着目して、石油及び石油から出てくる製品を利用しあるいは消費される方に負担を求めるということを国内税として考えることには十分理由があるのではなかろうか。課税技術として、それが個別製品課税でなくて、一番根元の段階での課税になっているということでございますが、制度としましては、非常に微量でございますけれども国産原油課税対象になるということで、税としてはやはり関税とは別のものであると私は考えております。ただ実質的に、現実から見れば圧倒的に多いのは輸入原油である、それをしかも根元で取るんだから実質的には原重油関税とほとんど同じではないだろうかという点は、それは否定できないように思います。  ただ、これは私、あるいは誤解があるのかもしれませんが、従来関税審議会で、原料に関税をかけるのはおかしいという議論が非常に強いのは、やはり関税とは何であるかという議論の方から出てきたのが一番強いのではなかろうか。つまり保護関税というのならその分だけ、もっぱら石油に依存しているという石炭現状から見て、保護関税ということがうまく説明できるかという関税理論としての消極論が強いんではなかろうか。国内消費税として構成していま御提案しているような方式で負担を求めることにはそれなりに十分に理由があり得るのではないだろうか。  ただ、こういう新税を創設いたしますときに、従来から関税審議会での御議論もあり、また実質的に、いま鈴木委員のおっしゃいますとおり、かなり似たようなものになるという点もやはり現実問題としては頭の中に入れて、それで五十二年度で暫定引き上げをした分はこれはもとへ戻すということで関税考え方とのデリケートな調整をしていきたいというのが今回の提案になっているわけでございます。  なお、必要があれば関税局長からもお答え申し上げます。
  113. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 石油に対しての何か財源がないだろうかということで石油税ができてくる、そういうことで、だからほとんどが輸入であるだけに関税と変わりないものですよね。それならばそちらの方でいじる、あるいは輸入課徴金というような考え方でいくということならば、一つの大きな目的――アメリカならば国内開発ということでしょうけれども、そういうような何か政策目的を持った上でやるということだと思うんですけれども、同じものをいじくり回しているだけのような感じがするんですね。これは一貫性がなくて、何か名前を変えて取らなきゃ取りにくいからつくったというふうにしかとれないわけなんです。そういう点はどう思うんですかね。
  114. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 石油全般に対していま御提案申し上げているような方式で負担を求めたらどうかという議論は、数年前から政府部内ではずっとあったわけでございます。ただ、具体的にどういうものにするかということを政府税制調査会にお諮りしたのは昨年の秋になってからなんですが、その前の段階では、実は私は個人的には関税審議会の小委員の御意見に必ずしも賛成ではなくて、政策目的があれば原重油関税を課していいんではないかという論者なんでございますが、それはなかなかうまくいかない。しかし、石油対策財源はどうしても必要だということでありますと、やはり石油税というものをお願いし、その機会に関税の方は税率引き下げということで、関税の理論派の方の方々の御要請にはこたえるというのが、政府として考え得る一番適当な方法ではないかというふうに考えたわけでございます。
  115. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣、政治的な論議になるんですけれども、国民の方の声からいえば、円筒差益がいま大変問題になっております。それによる多額の利益が上がっているだろうと、そういうことを国民に還元してもらいたいという声が大きいわけですね、特に石油についてはありますが。そのときに一方で税金がふえていくということは、これは税の理論とか何とかは別ですよ、政治的な判断として、そういう還元を求めている最中に負担をかけていくという行き方はどんなものなんですか。
  116. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) いま円高によりまして、いわゆる円高差益の出ている企業もございますし、逆に円高によって非常に苦しんでおる企業もたくさんあるわけでございます。財政のパイプで申しますと、円高の差益は当然法人税なり所得税でこれはそれぞれの額が吸い上げられまして、歳出というパイプを通じましてやはり国民に還元されるわけでございます。  しかし、いま一般に言われておりますのは、その財政のパイプを通じてのことではなくて、直接価格を引き下げることによって消費者に還元しろと、こういうことが言われているわけでございまして、このことについてはやはりできるだけその方が直截で望ましいと考えておるわけでございます。  しかし、御承知のように日本の場合は、石油につきましてはおっしゃるように最近二、三千円ばかり取引価格を下げたようでございます。しかし、もう一つ言われます霊力について申しますと、これは通産省――通産大臣が特に言っているわけでございますが、電力料金というものはやはり二年ぐらいの期間を見通して原価計算をするのがその業種として適当であり、かつそれが基幹的なコストをなすだけにむしろ長い目で見れば安定するんだ、こういう考えをとっているようでございまして、したがいまして、電力については、いまそれ全部還元いたしますと世帯当たり月に百三十円とか何か下がるんだそうでございますが、そういうことをしないでむしろ二年間ぐらい、一年間はもう間違いない。できれば五十四年度末までいまの供給価格を据え置く、こういう形の方が差益の還元の仕方としては適当であると、このように言っておるわけでございます。  それからそれ以外の問題につきましても、円高差益をすぐ還元できるようなもの、たとえば専売公社がいまやっております外国たばこのようなもの、これはもう製品で入るわけでございますから直ちに値下げをいたしたところでございます。しかし日本全体を考えますと、御案内のようにやはり原料価格、原料の輸入が大部分でございますから、その還元というものは非常に迂回的な形をとっていくことはこれはやむを得ないであろうと思うのでございます。やはりそれが加工され、製品段階になるときに結局その円高の差益が還元されていくという形になろうかと思うのでございます。  最近におきます卸売物価が対前年同期で少し下がっております。これは別に円高ばかりのせいじゃないとも思います。経済活動が鈍いというせいもあると思いますけれども、やはり円高のメリットも相当あるんじゃないかと思います。しかし、委員が申されましたように、国民としては、少なくとも下げられるものについてはできるだけ目に見える形で下げてほしいということはもっともでございますし、政府もいまできるだけその方向で鋭意指導しているところでございます。
  117. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣、円高のことだけのお答えになられたんですけれども、私はそういうときに石油税をつけるということは反対の方向じゃないかという政治論はどうなんですかと聞いたんです。
  118. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) これは私少し鈴木さんと見解を異にするわけでございますが、これは消費税でございますから理論としては石油コスト原油コストに入っていくわけでございますが、先ほど申しましたように、実際の価格で言いますと二、三千円下げているわけでございますので、実際の感覚から言いますとそれほどのことはないであろう。一方、総合エネルギー調査会で言っておりますように、今後石油その他総合エネルギー対策というものは相当巨大の財政資金を必要とするわけでございます。今度は石油対策だけに限定して出したわけでございますので、いまほかで財源を求められないとすれば、やはり石油関係するもは石油の受益者が負担してもらうのはやむを得いんではなかろうか。そしてまた、実際問題とてそれによって石油価格が上がるという現況にございませんのでやむを得ないのじゃないかとこんな感じがしております。
  119. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次は関連して揮発油税等、いわる軽油引取税から石油ガス税、こういうものについてですが、五十二年度でも一兆六千二百六十億円ですか、そういうことになっております、全合わせると。しかし、これが一般財源とはなっいるけれども、全部いわゆる道路整備緊急措置いうんですか、それに基づいて道路財源ということになる。五十三年度も同じシステムになるわけですね、そういうことになってくる。しかし、いま現状から見て道路整備事業だけが社会的、政治的な緊急な課題である、こういうものじゃないだろうと思うんですね。それほど政治的にも社会的にも最優先してやらなければならない緊急なものであるというようにはどうも考えられないので、この揮発油税等について、これは検討を加えて弾力的な運用というものを図るようなことにするべきだと思うんですが、その点いかがですか。
  120. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) ただいまのような御意見はかねてからございましたし、またここ一両年、年を追って強くなってきておるというふうに私ども感じております。ただいま油種ごと負担を求めております個別消費税は揮発油税、地方道路税、航空機燃料税石油ガス税ということで申しますといずれも実質的に特定財源化しておる。将来の問題として税負担を求めるときにはなるべく特定財源でない方が望ましい、一般財源である方が望ましいという基本的な考え方もございますし、財政需要が変動するに伴いまして、やはり石油関係の個別消費諸税の使途の配分を、一遍に一般財源とまで言えないにしても、たとえば総合的にもう少し広げて考えてみるとか、あるいは別の角度から言うと総合エネルギーというようなことで考えてみるとか、そういうことを考える時期に来ているのではないかという御意見政府税制調査会の内部でもかなり強まりつつございます。  ただ、現実の問題として考えてみますと、資金配分が全体としてどうなっているかという問題で予算の総額が決まっており内訳が決まっておる。やはり五十二年度、五十三年度としては予算でお認めいただいただけの道路整備費というものはどうしても必要である、そういう前提に立ちます限り、道路整備につきましてもガソリン税では足りない、この苦しい中から一般財源を投入せざるを得ないという状況にございますので、現実に、これをはがしていくということはなかなか言うべくしてできないという実態もまた御理解いただきたいと思いますが、やはりその問題は今後財政需要の変動に伴いまして、将来の重要な研究課題の一つとして意識しておりますけれども、当面はやはりそれぞれの整備事業、空港、道路というようなものの財政需要から見ます限りは、特定財源投入はやむを得ないかもしれないというふうに私どもは考えております。
  121. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次に、石油のいま挙げたようないろいろな諸税、それに加えて今度新たに石油税ができるということになるわけです。これは税収を広げるということだけじゃなくて、やはりこれは海外にも影響を与える、そういう内外の経済に与える影響が十分あるのではないか。OPECの各諸国がこれまでの原油価格の引き上げを行ってきた。これからもないとは言えません。そのときの一つの理由の中に、消費国の政府原油で利益を得ている、つまり税金で取っているじゃないか。それほど安いのなら上げる必要があるだろうというのが一つの大きな原因の中にも入っていた。現実、大幅値上げ以降は急激な上昇はできないような世界的な制約になっていますけれども、しかし、こういうような石油税をつくったりしてだんだんその負担をふやす、いわゆる政府が利得を得るというような言い方をすればそういうことになるわけですが、それがやはりまた原油価格の引き上げの口実を相手に与えるというような影響をつくるのではないかという心配があるのです。その辺の配慮はどうしたらいいものでしょうか。
  122. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 政府税制調査会の中にも、ちょっとお名前は申し上げられませんが、一人かなり強くそういうことを御主張になった方がいらっしゃいました。ただ、全体としての委員の意見としましては、国際的な反響というものを両面から考えてみる必要があるだろう。一つは、他の先進諸国の目から見て日本が何か変な時期に変なことをやっているなあということになるかならないか、その面から申しますと、やはり消費国の方はいわゆる石油ショック以後、財政再建のために石油に対する税負担を増加させていくという例の方が多いわけでございまして、そちらから見るとおかしくはないとか、アメリカもエネルギー法案が、もしそれが通らなければ課徴金というようなことも言っているわけでございますし、そっちからの心配はない。剛題は産油国側からどう見られるか、確かに値上げが実現するときにそれを理由にカウントするということはある。ただ、現実にどうかということになりますと、いま言葉が非常にむずかしいと思いますが、世界的な石油需給とかその他の経済的要因ももちろんございましょうけれども、やはりOPEC、少なくともOAPECというような一種の国際カルテルが値段を決めるときには、経済的理由もさることながら、政治的、軍事的な理由も非常に強いということも否定できないし、またさらに価格体系として仕向け地別に価格を決めるということもない。したがって、先進国全体が同じような、先進消費国全体が同じような考え方をしておるその中で、ほかの国よりもまだ石油に対する負担が低い一本が、今回御提案している程度石油負担をふやしたとしても、だからグローバルに石油価格を上げるというふうなつながりにはならないと考えていいんではないかという御議論が多かったわけです。たまたまタイミングとして、政府案を決定いたしましたのがカラカスのOPECの会議の直前ということになりまして、私どもは一体どういうことになるかなというのを実は若干はらはらして見ておったわけでございますが、御承知のとおりカラカスでは少なくとも半年間は上げないということになりましたし、まあそういう御意見の方が依然としてございますけれども、全体の多数の御意見としては、それを理由にこういう税負担を求めることは一切やめるということにはならないだろうという御判断であったわけでございます。
  123. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 税制調査会が昨年の暮れにまとめた答申の中で、この創設について、これは原燃料に対し、先ほど答弁ありましたように一番根元において課税するということで、産業活動に対する影響の面から見ても非常に問題ではないかという反対意見があったと。私もこの反対意見はすごく重要な意見じゃないかという感じがしてしょうがない。本来は原料というものについての課税というのは避けるべきだというふうな感じがいたします、特に日本は輸入せざるを得ない国ですから。そういう点について、今回提出するのに当たって政府部内ではどういう検討を行いましたか。
  124. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 非常に石油から出てくる製品というのが幅広く使われておりますので、その意味でこのような新しい負担を求めるときに、それが経済全体に与える影響については十分慎重であるべきだということはおっしゃるとおりだと思います。ただ、私どもが数年来こういう話が部内ではいろいろ話題になりながら、政府税制調査会に具体的に提示したのが昨年の秋であったということは、これはいい悪いは別にしまして、円相場の急激な変動という事態、これに即していよいよ具体的に検討をすることになったと率直に申し上げた方がいいと思います。  そういう局面でございますので、もちろん相場の予測というのは非常にむずかしゅうございますけれども、今回お願いしている程度の税負担が新たに追加されることが、たとえば物価を押し上げてしまうとか、あるいはそれを通じて景気政策全体に悪影響を及ぼすとか、そういう心配が最も少ない時期ではなかろうか。片一方で景気対策に全力を挙げながら、しかし景気対策に矛盾しない範囲内ではできるだけの増収を図らなくてはならないというつらい立場に追い込まれておりますので、あれこれ考えました結果、いまお願いすべき時期ではないかという結論に達したわけでございます。
  125. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはずっと答弁伺っていますと、石油新税をつくっても円高によって大分助かりましたので影響は少なかろう、円高がまるで救いの神のような感じの御答弁ばかりずっと大臣以下皆さんなさっていらっしゃるわけですけれども、実際政府税調考え方の中に、省エネルギー立場から原油に内国税をかけることが望ましいということだったんだろうと思いますね。  ところが、昨年八月の総合エネルギー調査会、これは通産大臣の諮問機関です。そこでの省エネルギー部会では、価格引き上げによる省エネルギー効果について、エネルギー価格が上昇しても実際には省エネルギーにはそれほど有効に働いていないと、こういうことを言っております。これが事実とすると、多少上げたってどうしようもないということと、省エネルギーという効果はない。そこへ持ってきていまの話の円高が拍単をかけるとなれば、これは私は一体この税金のねらいは何だったろうか。円高によってエネルギーがとんとんになれば二重に効果を失われるということですよね。影響が少なかろうということは省エネルギーにならないだろうということです。そうすると、当初の目的とは全然違った様相になったということです。これは非常におかしな話なんですけれども、どういうふうに思いますか。
  126. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 二つの面からお答えしなくちゃならないと思いますが、一つは、その円高差益を価格を通じて還元されることが望ましい、それに対してこの新税負担は少なくとも理論的には利用消費者の方に転嫁さるべきものであって、ちょっとそこのところはおかしいではないかということですが、その点は私どもとしましては、消費される側から見て一番わかりいい形といのは、この税は六月から、幸いにして御審議いただいて成立すれば六月から実施になりますが、その前にとにかく還元さるべき価格効果というもが一遍全部出てきて、その上で新しい税が入ったからその分は値がちょっと戻りましたという方がわかりやすいと思います。何が起こったかということは、何となくあいまいのままに上げるとか上げないとかいうことでいってしまう方がわかりにくい。しかし、それなりに個別の製品価格というものは市場の需給で決まるということでございますし、価格体系全体がどう動いていくかということを一義的に税の方から規定するわけにはまいりませんので、油種ごとに物差しではかったように、いま私どもはそういう方がわかりいいと申しげているような値動きになるというふうには思えません。思えませんけれども、物の考え方としはそうではなかろうか。そして初めて石油対策金がかかるので石油製品を利用、消費される方はこの負担をしていただきたい。それは円高差益の一部が価格を通じて還元されない部分になるであろうけれども、それは大蔵省がポケットに入れてしまうわけではなくて、石油対策ということで財政のパイプを通じて国民の皆さんに還元するものでありまして、そういうふうに御説明すべき問題ではないかというふうに考えております。それから省エネルギー効果の問題は、答申の表現をそのまま読ませていただきますと、「石油製品価格が上昇することによってむしろ石油資源の節約及び有効利用に資することにもなるとの意見もあった。」という表現でございまして、これは答申の書き癖としましては、一部にそういう御意見をお示しになった方があるんだということでございますが、最近の答申はなるべく審議経過がわかるようにということで、一部の意見も盛り込んで、そういう議論をしてこういう結論になったんですと、わかるようにしたいということでここ二、三年そういう答申になっておりますが、つまりそういう意見の委員がいらっしゃったわけです。ただ全体としましては、「との意見もあった。」という受け取り方でございまして、やはり価格弾力性を、価格によって石油消費を削減していくということには余り大きな期待を持ってもだめなんではないかと言う方の方が多いように私は受け取っております。特に非常に大幅な価格であれば別かもしれませんが、今回お願いしております程度の、まあ円換算でせいぜい一キロリッター七百円弱ぐらいの負担で、それがエネルギー消費の節約につながるというふうには、私どもそこまではとうてい期待できないというふうに考えます。
  127. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 しかし、並列にしてもそういう意見もあったということで書いてあることは、何かあったときには、そういうこともございましたという答弁ができるようになっているわけですからね、これは期待をしているということです。  ところが、通産省の方の省エネルギー部会では、エネルギー価格が上昇しても省エネルギーの効果は望めまい、非常に薄いと言う。これは大臣、政府部内に二つの違った意見があったということになるわけですよ。そういうことになるんじゃないですか。この課税に対する省エネルギー効果、つまり、石油製品の値上げが若干行われるだろう、たとえば円高云々がない場合のことを考えていただけばわかるんですけれども、その場合に、上がったとして、大蔵省の税調の中には、省エネルギー効果もあろうとか、そう言う人もあったという意見があった。一方では、これはもう効果は望めないだろうという通産の省エネルギー部会の意見があるし、政府に二つの考え方があるような感じがします。再度ここで、その効果について認識が政府部内で違っているんじゃ困るんですけれども、どうでございましょう。
  128. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) これは恐らく、政府意見というよりも、政府の諮問委員会の各委員の意見のばらつきが出ておるんだろうと思うのでございまして、それはそれでそれなりの意義があるだろうと思うのでございます。  ただし、一般的に言いまして、今度のようなことで消費が減退するかどうかという問題は、やはり多分にその需要の強さとそれから負担の重さで判断せざるを得ないと思うわけでございます。私たち、率直に今度の三・五%――実は〇・五%分は関税の方から吸収した分でございますから、実質的には三%でございます。キロリッター当たり七百円ぐらい――一リッター七十銭になりますか、それで消費が減退するというふうにはなかなか考えられないのでございますので、消費節約の面も言っておりますけれども、実際は、石油対策財源がどうしても要るんだという面がやはり強調されてしかるべき性質のものであろうと、私はそのように考えているわけでございます。
  129. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 昨日の新聞報道によると、大蔵省は再び一般消費税の五十四年導入を目指して税調の一般消費税審議をスタートさせるという方針を決めたということが載っていたんですけれども、今度のこの石油税法案、これはそういうことを背景に持った、一般消費税の先取りというふうに考えていいんでしょうか。
  130. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 新聞報道はそれぞれに観測をもって書かれることでありますので、私がそれにいろいろ申し上げるのは差し控えたいと思いますが、私が衆議院の大蔵委員会で御質問に答えて申し上げましたのは、一般消費税の問題は、中期答申で、不公平税制と言われるものを直す、既存の税目であらゆる増収の努力をする、しかし、なおかつそれでは足りないであろうから、所得税で一般的な負担増加をお願いするか一般消費税の導入を考えるしかあるまい、税制調査会としては一般消費税の導入というものは検討すべき時期に来たと思うと言われまして、それを受けまして、三ヵ月ぐらいの期間でございましたが、いろいろな方面に出かけまして中期答申考え方を御説明する機会があったわけでございます。  そのときに寄せられました御意見は、それはやっぱり歳出をもっと切ってほしいとか、もっといわゆる不公平税制を直さなくちゃだめだとかという御意見が非常に強かったのはもちろんでございますが、一般消費税そのものについて、その考え方というものは聞いたと、しかし具体的にそれは賛成とか反対とかと言うためには、もう少し考え方だけでなくて一種の案のようなものがないとそれ以上詰めて議論ができないではないかという反応も非常に強かったわけです。それを受けまして五十三年度の年度答申で、政府としては政府の責任で将来の財政の展望を示し、税制調査会はそれを受けて一般消費税についてもう少し具体的なものを早急に詰めたいということは答申に掲げてございます。  で、ちょっと前置きが長くなりましたが、それを受けて事務当局はどうするつもりか。事務当局としてはやはりなるべく早い機会に審議を再開していただいて、試案と申しますか素案と申しますか、もう少し具体的なものを税制調査会でつくっていただきたい。それを公表し、機会があれば国会にも御報告をし、そうして議論を詰めていただいた上で最終の答申政府案というものにたどりつくという過程を考えております。ただ、それにはある程度の時間はかかりますということをお答えしたわけでございます。  具体的にどの年度にどの税目でどの程度負担増加を求めることが適当かというのは、それは答申にまた詳しく書かれておりますように、その各年度の経済情勢全般を考え、それに対応しての財政の姿勢を考え、その一環としての税制を考えるということで、具体的に各年度の税制改正結論を出そう、その考え方は全然変わっておりませんので、私がその段取りを申し上げたことが、いかにも五十四年度に向かって突撃を始めたというふうに受け取られたのかもしれません。  それから税の性格としましては、このお願いしております石油税と一般消費税というものは非常に異質のものであるというふうに私は考えております。やはり課税対象石油という特定の物でございますし、課税段階は一番根元の一段階だけでございますので、一般消費税とは非常に違う性格の税であるというふうに考えております。
  131. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 石油税についてわが党は賛成なんですけれども、私はどうも疑問点というのかが非常にあるわけなんです。たとえば税調答申の中で、「石油資源の有限性及び我が国においてはエネルギー石油依存度が極めて高いという実情からみて、この種の税を導入することは適当である」というんですね。エネルギー石油依存度がきわめて高いからということであれば、一般財源として税収の増加を図るというより、政策的目的を持ってということが前になければならないと思うんです。たとえば省エネルギーであるとか、いろんなそういったことを強くするべきで、私はそういう意味では、本当言えばこういう原料課税ですから、石油資源は有限である、しかしまた輸入依存度も高いから、だからかけるのだという――私は逆にそれは免税にすべきだろうという感じがするわけですよね。そういう点ですれ違いなんですが、本当ならだから石油税というような考え方でなくて、何らかの対策として必要であれば輸入課徴金のような、いつでも外せるようなかっこうのものを考えるべきが本当じゃなかったか。一度税として確定してしまうと、なかなかこれは簡単に方向転換がやりにくいということもございます。そういう点から見て、どうしてこういう考え方になってきただろうか、その点の課徴金というような考え方は全然考えておられなかったのかどうか、ひとつお答えいただきたい。
  132. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 課徴金という御議論税制調査会の中にはございませんでした。
  133. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 政府には……。
  134. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 政府の方にもございませんでした。というのは、やはり課徴金という形ですと、それこそ原重油関税とどういう関係になるのか、どうもさっき石油税が非常に似ておるという御指摘がございましたが、もっと似てくるのではなかろうかということで、やはり関税審議会の方の長年の御議論も考えますと、どうも輸入課徴金という考え方は出てこなかったと申し上げざるを得ないかと思います。
  135. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 石油税関連して、石油開発公団から理事の方においでをいただいておりますので、若干時間をおかりして伺いたいと思います。  石油開発公団のいままでの業務の主力というものは、大部分海外のいわゆる石油資源の開発というか、自主開発といいますか、そういうものであったということなんですけれども、本年度からといいますか、いわゆる石油備蓄にも力を入れるようになってきている。  そこで、ひとつ最初に伺いたいのは、いままでの海外での石油資源開発の成果はどういう状況だったですか。
  136. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 鈴木君に申し上げます。  大臣が衆議院の本会議でございますので、中座させていただきたいと思います。
  137. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 はい、結構です。
  138. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 開発関係で申しますと、現在石油公団は発足以来十年になるわけでございますが、開発一般といたしましては、六十六社が海外及び日本海周辺で探鉱いたしておりますが、このうちで公団の投融資対象あるいは債務保証の対象としております企業は四十二社でございます。  その四十二社に対しまして公団が投融資をいたしております実績を、ごく簡単に申し上げますと、投融資実績が五十一年度末で二千九百五十八億、約三千億でございます。それから、債務保証をいたしております保証額が二千二百三十四億ということになっております。その四十二社の内訳でございますけれども、この中で当たっておる企業もございますし、不幸にして当たらなかった企業もございます。その内訳を非常に概略申し上げますと、開発に成功いたしまして現在生産をしております会社は十社ございます。この中には、例のアラビア石油のように債務保証だけの会社も三社ございます。いずれにいたしましても、十社が成功しております。それから、油、ガスを発見いたしましてその生産可能性について検討をしておると、いわゆる検討段階にあります会社が三社でございます。そのほかの二十七社というものは、中にはうまくいかない、あるいは会社の解散というようなことに陥るような企業もございますが、一言にして申しますと探鉱活動中のものでございまして、これが二十七社でございます。合計四十二社。ちなみに、こういった成功十社、このうちの海外の八社からわが国に入ります油が大体年間で約二千百万キロでございます。約八%近くの油が入っておると、こういうことでございます。
  139. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの御答弁で、探鉱開発に成功し生産中のものが十社と、いまの答弁のようにアラビア石油についてはいわゆる債務保証だけということでありますから、まあ公団とは無関係というわけでもないでしょうけれども、成功している。  ジャパン石油は、これは既開発油田の権利を買収したということですか。
  140. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) ジャパン石油、俗称まあジャパン石油と申しますのは、アブダビ沖で従来ADMA、これはアブダビ・マリーン・エリアと申しますADMAという会社がございます。それのアブダビ沖の鉱区を譲り受けたわけでございます。これの約三〇%を譲り受けたわけでございますが、この当時、確かにこの油田においては油は出ておりましたけれども、いわゆるファームインという形でございまして、その油田に対して一応権利を取りましてロイアルティーを払いましてそして入るということでございますが、しかしながら、なおこの中にはいわゆる今後二次採取と申しますか、一次――単にそれだけの姿のままでは油の出方が十分でございませんので、水を圧入いたしましていわゆる二次採取をするわけでございますが、そういった部分が多数入っておるということでございました。そういう意味のリスクというものは若干あった油田でございます。ですから、私どもこれを一応探鉱段階にあると、開発でもあるし探鉱でもあるというふうに考えてやっておるわけでございます。
  141. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうすると、アラビア石油、ジヤパン石油、この二つを除いた八社でどの程度石油をわが国に供給していますか。
  142. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 先ほど二千一百万キロという数字を申し上げましたが、アラビア石油が先のうちの約九百万キロでございます。それから、ジャパン石油が大体五百五十万キロでございますので、残りを引きますと約六百五十万キロ程度になろうかと思います。
  143. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いま言われたように、実際にそれで、わが国の石油の全輸入量に対して先ほどは八・何%と言いましたね、八%ですか。――それに対して石油開発公団が先ほどの債務保証をした、債務保証をした以外の投融資を行っている会社、こういうことで実質的に開発に成功したというのが、これが八社ということになるわけですか。そうですね。――それで、その八社の日本の総輸入量に対する比率はどのぐらいですか。
  144. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 先ほどちょっと私、誤解があるかもわかりませんので、先ほど申し上げました二千百万キロの根拠でございますが、その対象としておりますのは、イラク石油開発、それからザイール合同石油等々と、こうまいりますとここで海外関係が十社でございます。そのうちのアラビア石油がこれが債務保証だけになっております。これを先ほど引きまして、八百八十万キロを引いたわけでございます。それからJODCOというのは、これは債務保証でございませんでして投融資をいたしております。これを五百五十万キロというのを引いたわけでございます。それで残りが八社でございますけれども、先ほど私の方で八社と申し上げましたのは、ややこしいんでございますが、この中で、この十社の中には公団の融資対象にならないところがございます。たとえばシーアイエネルギー、伊藤忠関係のシーアイエネルギーというような会社、あるいはジャパンローサルファというような会社がございます。これを引きますと八社ということでございます。
  145. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 わかりました。まあ私の何というか錯覚で済みませんでした。それを抜いた八社の場合はどのぐらいなんですか。いわゆるおたくの言われた八社の場合は、全輸入量に対してどのぐらいの比率なんですか。
  146. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) シーアイエネルギーは、これはまだわずかでございまして五万七千キロ、五十一年度実績でございます。これは公団融資の対象にしておらないところでございます。それから同じくジャパンローサルファが約二百九十万キロでございますので、両者合わせまして約三百万キロ、したがいましてそういうのを公団融資対象だけで二千百万キロ、これちょっと私、数字を前後いたしますが、十社では二千三百万キロでございまして、そのうちから二社を引きますと二千百万キロと、こういうことで、それが八社ということでございます。
  147. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それで債務保証を抜くと。
  148. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) それで、その債務保証はアブダビだけの部分がいわゆるアラビア石油の八百八十万キロ、これを抜いていただければよろしいわけでございます。ですから二千二百万キロから八百八十万キロを除いていただければよろしいわけでございます。
  149. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 わかりました。  石油開発公団は発足以来現在までこの探鉱のために、石油採鉱のためにどの程度資金を使ってきたか、累計でひとつお願いします。
  150. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) これはいわゆる出資と融資というふうにきわめて乱舞に分けさせていただきますと、出資が五十一年度まで、つまり公団が開設、四十二年度以降でございますが、出しました金が千五百二十二億でございます。それから融資が千四百三十六億で、合計いたしまして二千九百五十八億ということに相なるわけでございます。
  151. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあいまのことから言うと約三千億相応というような資金、これを使って見てみると、債務保証の分を抜くと一千百万キロリットルということですから、言えば四%を切るわけですね、三%前後になってくる。そういうことでそれだけの金額を使ってその程度石油しか日本に輸入できないと、これは失敗なんですか成功なんですか。
  152. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) これは、私どもこういう仕事に携わってまいりますと、石油の本来の特性といたしまして、やはり非常にたくさんの金が要ることは御存じのとおりでございます。それからリスクも非常に高い。あまつさえ、最近いわゆるテークオーバーという、まあ何と申しますか、国有化あるいはそういう収奪ということが行われております。それから税制も非常に高いということでございまして、非常に条件が悪化しておると、そういった条件に比べましては、私どものやっておりますことはかなりいい線をいっておるのではないか、もちろん十分ではございませんけれども、いい線をいっておるのではないか。  具体的に一つ数字で申し上げさしていただきますと、大体油田発見の、油田の成功率というのがございますが、この成功率は二〇%以上になっております。いわゆる井戸を掘りまして掘り当てたというのが二〇%以上でございます。二二、三%になりますが、これは世界の水準を上回っておるわけでございます。それから新油田の発見率も、これはそういった当たりました中から、いわゆる商業採算に乗りますところの採算油田をとるわけでございますが、採算油田の発見率というのが一応四・七というぐらいの数字になっております。それで世界が大体三・三%ぐらいでございますので、そういう点から見ましてもさして遜色はないのではないか、その結果がこういう数字になっておるということを御了解いただきたいと思います。
  153. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 石油開発公団が投融資を行なっている、出資を行ったり融資を行っている会社、そういう石油の採鉱開発の会社で、現在決算が黒字になっている会社はどのぐらいになりますか。
  154. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) いわゆる配当のできる意味の何と申しますか黒字、利益を上げておりますのは、厳密に申しますとインドネシア石油だけになるわけでございます。ただ、先ほどちょっと違うとおっしゃいましたが、アラビア石油につきましては、これはもう恐らく、近く大体黒字化すると思います。まあ非常に概略申し上げますとそういう状態でございます。
  155. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 確かに、私も事業報告書をここに持っておりますが、アラビア石油等はきちっと当期の第十九期、五十一年の暮れのやつについてはもう当期利益は上がっています、確かにね。確かにそれだけ黒字の会社が少ないということであろうと思います。  ひとつここで非常に矛盾した話で、質問でおもしろいというか、あれなんですけれども石油開発の各々の会社は探鉱の開発に成功しない方がいいという声があります。というのは、下手に成功するとその時点から大変な営業努力をしないと赤字がふえてくる。むしろ成功しないでいれば毎年のように公団からの資金の援助が受けられると、こういうようなことが聞こえてくる、そういうような批判の声を聞くんですけれども、その点はどういうように思っておられますか。
  156. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) まあ、これは公団の投融資比率の問題に絡む問題かと思います。しかし簡単に申し上げますと、これはまる抱えではございませんので、たとえば特定プロジェクトにつきましては現在六六%でございますとか、あるいは七割というものを出しておるところもございますけれども、これは全体の数プロジェクトでございまして、平均いたしますと恐らく三、四割程度の公団のシェアになろうかと思いますが、要するに企業別に申しますと三、四割のシェアになろうかと思いますが、やはり自己資金というものがどうしても要ってくるわけでございます。したがって、そういうものを当然みんな集める努力をしてこられたわけでございますし、かつ、その上に立って皆さんお仕事をしておられるのであろうと思います。したがって、そういう意味ではやはり成功しなければ会社としての意義がないという、これはもう一般の、原則に当然立つものであろうと思うわけです。
  157. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私の調査で、これは石油開発公団が出資、融資をしている会社の中で、まあ五つの会社が――会社の名前は特に挙げませんけれども、全部第十一森ビルの中にある。それから、四つの会社の本社の住所と電話番号が全く同じものがある。それから五つの会社の社長の名前が全く同じ人物であるというのがある。これは一体どういうことなんですかな。
  158. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 具体的にどういう会社を御指摘かわかりませんので、直にお答えはできないわけでございますが、まあそんたくいたしますと、やはりこれは別会社をつくる必要があるということであろうかと思います。じゃ、なぜ別会社をつくらなければならないかということでございますが、これはまあ一般的にこういったリスク企業でございますので、ある程度限定責任ということの立場を貫かなければならない。と同時に、探鉱をする、たとえば石油資源なら石油資源がいろんなところで各国で探鉱いたしますけれども、国が違っておりますと法制も違う、税制も違うということでございますので、これを全部一本に込みにいたしますと、なかなかその点で非常にまずい点も当然出てまいります。それなどは一つの例でございますが、そういうことでいわゆる別会社制度というものをとってやっておるわけでございます。ただその場合に、これはやはり別会社にいたしますと、いわゆる管理部門というものが非常に重複いたしますので、そういう意味である程度事務の効率化を図っておられるというふうに私どもは解釈しておるわけであります。たまたまそういう意味で場所が同じになるということも、それはやはりあり得るケースではないかというふうに思うわけでございます。
  159. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は世間常識で非常におかしく感じるんですね。とにかく五つの石油のいわゆる株式会社、あるいは石油開発の会社が同じビルの中にあったり、あるいは四つの会社が全く住所も電話番号も同じという、あるいは社長が五つの会社全部同じであると。何だかいまの答弁では、各個ごとにあるからということで、まるで妖怪みたいな、あちらの顔こちらの顔とくっつけたような形になっているんだろうというふうに想像できますけれどもね、しかしそれだけではちょっと、何か物が起きたときには、これは変じゃないかと言わざるを得ないだろうと思うんですね。こういう点は、私はもう邪推をすると、こういう実態から見ると、一つの探鉱に失敗したと、そしたら新たな会社をつくって今度公団から資金を出してもらってまた別にやればいいと、カナダで失敗したら中東で、中東で失敗したらまたほかでというぐあいに、無責任態勢そのもので石油開発をやるというふうになるんじゃないか、そういうことになるんじゃないかと思うんです。そうすると、石油開発公団が出資、融資をしているのもそういうことを見越して、まずくなったら別の会社をおつくりくださいというふうにおやりになる、テーブルも同じ電話も同じということになる。これは邪推ですよ、これは。しかし、そういうふうにとられても仕方がないということじゃまずいと思うんです。その辺のえりの正し方が非常に大事だと思うのですけれども、いかがお考えですか。
  160. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) まあいまの御指摘は、次から次へ会社をころがしていくということがおかしいではないかという、ごく簡単に申すとそういうことであろうかと思いますが、繰り返しになりますが、やはり一つの同じ地域あるいは同じ国相手の仕事ばかりではございません。恐らくこれはごらんいただきますとかなり国はみんな違っておるだろうと思います。それからプロジェクトの内容も違っておるわけでございます。したがって、一件一件きちっとけつを入れて、俗にけつを入れるといいますか、きれいにいたしまして次の仕事にかかっていく、あるいはそうした方が相手方に対する兼ね合いから言いましても、税制等の問題から言いましてもよろしいという実質的な問題があることも事実でございます。そういうような点もひとつ御考慮いただきましてごらんいただきたいと思うわけでございます。
  161. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 石油開発公団が出資したり融資したりする資金というのは、いわば国民の金でもあるわけですから、それを億単位で出していくわけでしょう。それが会社が、確かに言われるように相手国が違うけれども、同じ電話番号で同じ住所で同じ社長さんでなんていうと何かおかしい、一つの――大部分石油開発に失敗をする、一部開発に成功したとしても会社の黒字の見通しは立たない、採算が合わないということになる。また別のところを目指して一つの開発の会社ができるということになりかねない。これは公団の方の出資、融資の基準、それから出資、融資をした後どう監視をしていくのか。いまのは、こういう現状だけれども武士の情けをもって見逃していただきたいというみたいな答弁に聞こえるんですけれども、そういうことじゃなくて、私はけじめだけははっきりしてやらなきゃいかぬですよと言っているのです。何かあったときにこれは公団自身かぶらなきゃならなくなってきますよ。その点からもこういう点、出資、融資等についての基準やそれ以後の監視は一体どうなさっていらっしゃるのか、伺っておきたいのです。
  162. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 御承知のように、これは公団が投融資をいたします場合には非常に厳密な審査をしておる。基本的に一口で申しますと法律にございますような、公団法にございますような安定かつ低廉な油が入るということ、しかもそれが適正に入るということでございますが、具体的に申し上げますと、これは技術的な点を非常に十分チェックをするわけでございます。  具体的な方法といたしましては、まあケースを申し上げますと、地質評価をまずするわけでございます。プロジェクトの地質評価をいたします。それからそれに基づきまして、第一次審査に基づきまして経済性の評価、それからさらに内容の契約の評価、それから各会社の資金収集状況あるいは財務状況の把握という第二次審査ということをいたします。この一次、二次の審査を事務的にいたしまして、それによりまして全部のここでいろいろな会議に諮りまして一次採択という手続をとります。それから、一次採択という手続で大体の了解を与えるわけでございますが、それに基づきまして今度は各社が相手方と契約交渉に入るわけでございます。それで個別に一々全部それについての御報告がございます。そういうことで第二次採択ということをいたしまして公団の投融資対象にするということでございます。  こういうことをやってまいりまして、現在まで大体どの程度の比率になっておるか、つまり採択案件と非採択案件の比率でございますが、現在まで案件といたしましては約七%程度になっておる、つまり採択しておる分が百件のうちで七件程度しか採択しておらないと、要するに非常に根拠の薄弱なものについては残念ながらお断りしておるというようなことをいたしております。  それから、さらにそういうことで融資をいたしますと、まず融資をいたします段階には基本契約、出資の基本契約、貸し付けの基本契約をいたしますが、その基本契約に基づきまして個別の金の要るたび、その都度その都度いわゆる個々の出資あるいは融資というものを承諾してまいります。そういう際には、いわゆる投融資企業の方から一々御連絡をいただきまして、公団の方でそれを御相談をいただいた上で判断をさしていただいて投融資をすると、そういう状況になっておるわけでございます。
  163. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 先ほどのえりを正すべき、あるいは一つの決まりといいますか、ものをきちっとすべきだということについての答弁はいただけないでいるんですけれども、その辺はどう思いますか。どうなさるつもりですか。
  164. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 私どもの方でえりを正すというのはどういうことを申したらよいのかと思いますけれども、いわゆる当たらないものについては……
  165. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 けじめです、けじめをはっきりしろというのです。
  166. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 当たらないものについてはやはりきちっとこれは清算をするなり、そのままの状態で放置する、いわゆる休眠状態に置くということは極力避けるようにしたい。現在まで四件ほどそういうことで処理してまいっております。ただしかしながら、これ会社の所在地がどうとかということになりますと、たとえば先ほどの例で申しますといろいろな実情がございますので、そういう点のみで、すなわち同じところにあるからいかぬというわけにもちょっとまいらぬと思いますが、私どもの方ではえりを正すべきものはきちんと正してまいりたい。それから、現にもうそれで見込みのないというものは、やはり整理するものは整理するということで進めてまいりたいし、いまでもそういうふうにやっておるつもりでございます。
  167. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 一つ、これは新聞やいろんなものに出たので伺いたいと思ったのですが、ジャパン石油のアブダビ沖の利権の一部を、利権の契約ですね、アブダビ沖利権の契約、これについてどういうふうになってきたのか、説明していただけませんか。
  168. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 私、いまちょっと手元に細かいそのいきさつを持っておりませんので、非常にうろ覚えになりまして間違えておるかもわかりません。あるいは後で、もし間違っておりましたら御訂正申し上げるつもりでございますが、一応契約、利権を取得いたしましたのは一応一九五三年の三月九日でございます。これはアブダビ沖の鉱区でございまして、利権期間は六十五年ということでございます。  で、ジャパン石油、これを利権のいわゆるファームインを受けました当事者は当初海外石油でございましたが、後にこの権利はジャパン石油に渡されております。これが、海外石油開発が一九七二年の十二月に、先ほど申しましたADMAという会社の株式の三分の二を持っておりますBPから、その四五%の利権取得をいたしまして、結果におきましてはADMA社の権益の三〇%を間接的に取得したということになっております。その後、その三〇%は先ほどのジャパン石油に移されました。このときの払いました金が七億八千万ドルでございますが、これがジャパン石油に移されております。  ジャパン石油はそれを継承したわけでございますが、その後、御存じの国有化ということが起こりまして、アブダビの国有会社、いわゆるADNOCと申しておりますが、アブダビ石油公社が六割のテイクオーバーをいたしまして、そういう意味で相対的にJODCO、ジャパン石油のシェアが下がっておりまして、現在権益の一二%を持っておると、こういうことに、非常に簡単でございますが、なっておるわけでございます。
  169. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 先ほど、いまの答弁の中にあった海外石油開発が昭和四十七年十二月に買ったのは確かに七億八千万で、しかし、そのころアブダビ政府はADMAの利権の二五%を九千万ドルで取得したと、こういうふうに報道されているんですよ。それは事実ですか。
  170. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 恐らく当初アブダビ政府の持っておりましたシェアを広げたわけでございます。国有化によりまして六〇%持っていきました。これが恐らく二五から六〇へ持っていったんだろうと思います。これは実はいまこの揚で承りましたのでちょっと推測で、ございますが、恐らくそのときに補償料、要するに国有化をいたします、テークオーバーをいたしますときの補償料というものを払っておるわけでございます。恐らくその補償料のことを御指摘になっておるのではないかと思いますが、これは少し調べさしていただきたいと思います。
  171. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 なるほど。  当時、一九七二年ADMA所有の石油の推定埋蔵量が十七億トン前後と、こう言われていたんすね。それに対してこの回収率二五%と、こう想定すると、全体で四億ドルが上限じゃないかというようなことから、大体海外石油開発が取得した利権の価格が九千万ドル程度じゃないかと思うんです。それが七億人千万ドルというふうに八倍以上の価格で買ったんじゃないかというふうに、こういう疑問が出されているわけですね。その点について、これは私もよくわからないものですから、わからなくて質問をしているんですけれども、どうかわかるように、なぜそんなふうになったのか、この辺をお聞きしたいと思うんです。それを、石油開発公団がお金を出して、ジャパン石油ができてそれを引き継いだというようなことになっていくんじゃないか、この点はいかがでございますか。
  172. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 七億八千万ドルの参加料につきましては、いろいろの別の案もその後あったわけでございます。ただしかし、これはある意味においては問題は後から出ておったというふうに思います。つまり、その国有化が六割というふうにやられたということ、あるいはそのほかいろいろな問題があって、結局当初予定していたとおりの進みぐあいは必ずしもできなかったということはわれわれとして申し上げざるを得ないと思います。ただしかし、七億八千万ドルは、やはりすでにその鉱区の中に、先ほど先生も御指摘になりましたように、油がかなり出ておったわけでございます。これが現在でございますと五十万バレル程度のものはもう出ておるわけでございます。それからさらに、その後二次採取の余地があるということでございます。もしこれができ上がれば現在だけでも、現在二つの油田から出ておりますが、これだけでも五十万バレル程度のものが出ておりますし、二次採取をいたしますと私どもの計画では七十万バレル程度のものがさらにこれから追加されてくるだろうというふうに思っております。それでこういった数字は、大体、現在サファニア油田というのが例のカフジのところで出ておりますが、これが海洋油田として八十数万バレルのものでございます。これは一番大きなものでございます。ですから、ADMA鉱区というものは油田の価値から見ましてこれは非常に定性的でございますが、決して劣るものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから、当時考えておりました考え方といたしましては、水攻法を実施いたしましてここで約百三十億バレルという程度のものは取りたいというふうに考えております。  それから、そのほかにさらに、先ほど申しました補足でございますが、まだ今後未開発余地があるというようなことを考えまして、金額的にこの数字がどういうふうに合理性があるかということをいますぐ申し上げることはなかなかむずかしいわけでございますが、私どもとしてはこれは一応当時としては妥当な買い物をされたのであろうというふうに考えております。  現在、その内訳でございますが、当時一応七億八千万ドルの評価といたしましては、現在ザクム、ウムシャイフという二つの油田が油が出ておりますが、これに約六億八千万ドルと、それからその他新地域の評価あるいは分割による利払いの必要というようなものを加味いたしまして、約七億八千万ドルというふうに考えておった次第でございます。
  173. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 じゃ、いいです。
  174. 渡辺武

    渡辺武君 石油税が創設されるわけですが、これによる税収見込み、これをお伺いしたい。
  175. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 平年度三千百七十億円、初年度一千六百二十億円という推計をいたしております。
  176. 渡辺武

    渡辺武君 初年度一千六百二十億円。五十三年度の中小企業対策費にほぼ匹敵するくらいの金額になるわけですが、かなりの予算を使って大量の石油備蓄しようということでありますけれども、私ここに資源エネルギー庁が出しました「90日石油備蓄増強について」というパンフレットを持っておりますが、これの九ページにこういうことが書かれております。「国際エネルギー機関(IEA)においても、国際石油融通スキームとの関連で、一九七六年一月一日までに七十日の中間目標を設定することとしたほか、一九八〇年までに九十日備蓄を達成するという意図表明を行っている。」というふうに書かれております。  通産省に伺いたいんですが、この文章によりますと、今回のこの石油備蓄、これはIEAの決議に基づいたものだというふうに理解できるわけですが、ここに書かれている、国際石油融通スキームというのがありますが、これは一体どういうものなのか。また、ここに書かれているように石油の国際的融通のためにも今回の備蓄というのが推められているものなのかどうか。
  177. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) いま先生がおっしゃいましたようにIEAが決議をしておりまして、一九八〇年までに九十日の備蓄水準を達成する意図を表明するということの決議を行っておるわけでございますが、これはいわゆる国際的な義務ではないわけでございまして、そういうことも踏まえながらわが国は独自に九十日備蓄実施計画を進めておるものでございます。  それから、緊急時におきます融通システムでございますが、これは九十日というのが計算の基礎としては用いられていますが、先ほど申し上げましたように、九十日というのは国際的な義務といった性質のものではない、まあ努力目標といったようなものであろうかと思います。
  178. 渡辺武

    渡辺武君 いや、今回の石油備蓄計画、これは日本もIEAに加盟しているわけですから、やはりそのIEAの決議、これに沿ったものだというふうに理解していいんじゃないかと思うんですが、私伺いたいことは、この石油備蓄石油の国際的融通ということにも役立たせるというものなのかどうか、これを伺いたいんです。
  179. 木下博生

    説明員(木下博生君) お答えいたします。  IEAで国際石油緊急融通スキームというのができておりますけれども、それに基づきまして、緊急時、石油供給が減りました場合に必要に応じて国ごとに油を融通し合うというスキームがございますので、石油備蓄につきましては、そのそれぞれの国に供給が減りました場合にそれを補うためにそれぞれの国が自分の国の備蓄を使うという性質のものでございます。
  180. 渡辺武

    渡辺武君 すると、もしいまおっしゃったいわゆる緊急事態が出て、どこかの国に緊急に石油を融通しなきゃならぬという場合には、日本で備蓄している石油供給するということはあり得ないことなんですか、それともあり得ることなんですか。
  181. 木下博生

    説明員(木下博生君) 日本の場合には石油供給のほぼ一〇〇%を輸入しております。したがいまして、供給が減りました場合に、日本に持っております油をほかの国に融通するということはまず考えられないことでございます。
  182. 渡辺武

    渡辺武君 しかし、IEAには日本は加盟しているわけでしょう。IEAは石油備蓄とそれから緊急時の国際的な融通、この二つをやることになっていますね。加盟している日本が、自分のところで備蓄した石油は自分のところだけで使って、国際融通というシステムは全然無関係だというわけにはいかないんじゃないですか、どうですか。
  183. 木下博生

    説明員(木下博生君) IEAの緊急融通スキームによりますと、石油供給が七%まで落ちました場合に、それまでの間は各国はそれぞれ自国で消費を抑制する形で対処するという形になっております。全体に対する供給が七%を超えまして落ちました場合には、必要に応じて融通をすることはあり得るわけでございますけれども、その場合でもそれぞれの国に対する油の供給量というのがゼロになるというようなことはほぼ予想されませんので、九三%より少ない国あるいは九三%より供給が多い国というところで、場合によっては融通が行われるということでございますが、その場合には、日本の場合には油を全部輸入しておりますから、毎度入ってくる油の配分によって変わってくるということでございます。
  184. 渡辺武

    渡辺武君 どうもよくわからないんですが、全然備蓄とは無関係のことだというふうに理解すべきですか、どうですか。
  185. 木下博生

    説明員(木下博生君) IEAの緊急融通スキームによりまして備蓄を取り崩す場合の考え方というのは、全く無関係ではございません。しかし日本の場合には、九三%というその水準から落ちた場合あるいはそれより高かった場合によって事情は違いますけれども、日本の場合にまずやりますことは、みずからの備蓄をみずからの供給の削減を補うために充てるという形でやっておりますので、日本の油をほかの国に持っていくというようなことはまず考えられないことでございます。
  186. 渡辺武

    渡辺武君 まず考えられないけれども関連はあるということでしょうね。奥歯に物がはさまったようでどうもはっきりしない。  時間がないので次に質問を移しますけれども、四月二日からIEAの国際石油融通スキームが、その有効性をテストするために九週間の間机上演習をやる、もうやりつつあるということだそうでありますが、どういう内容のものなのか、おっしゃっていただきたい。  なお、さっきの質問に対して何か答弁があればついでに言ってください。
  187. 木下博生

    説明員(木下博生君) まず、先ほどの緊急融通システムと備蓄との関係についてもう少し詳しく御説明いたしますと、日本の場合には国内に九十日まで八〇年度までに備蓄する計画に一応なって備蓄計画が進んでおります。それと同じような計画を各国とも進めておるわけでございますけれども、各国に対する油の供給が減りました場合に、各国ともまず第一にやることは、みずからの国の石油の消費量を抑制するという措置をまずとります。それで、ある水準以下に供給が落ちました場合には、各国はそこで各国みずからの供給を補うために、みずからの備蓄を使っていいというような形でやろうという考え方でございます。その仕組みでまだ再び足りない場合には、その部分についてだけ油の融通を行うということで、その場合でも、日本にまいります場合には、日本に入ってきます油の量が実際上減らされるというような形で融通が行われるという形になるわけでございまして、日本に持っております油を出して、輸出してたとえばほかの国に持っていくというようなことは、まず日本の場合には起こり得ないことでございます。  それから、テストランのことでございますが、おっしゃいましたように、先週金曜日からIEAの緊急時のテストランというのを始めております。これは、そういう緊急融通スキームというのが一応できておりますので、常時情報の収集等は行っているわけでございますが、いざ何か不測の事態が起こって供給が落ちました場合に、実際にそういう緊急融通スキームがうまく動くかどうかのテストをしようということで、IEAと関係各国政府及び関係石油会社が協力しまして実施しておるものでございます。
  188. 渡辺武

    渡辺武君 どんな事態が起こったという想定のもとにやられているんですか。具体的に、たとえばどこかの国で何%ぐらいの石油の削減があったというようなことをやはり想定してやっているんですか。
  189. 木下博生

    説明員(木下博生君) 実際には、ある幾つかの国で何らかの理由で供給が落ちたという想定をつくりまして、それによってテストをしておりますが、これはあくまでもそういうスキームがうまく動くかどうかのテストをやるということでございますから、実際にあり得るようなケースを想定してやるのではなくて、全く架空のケースを想定してテストをやっているわけでございます。
  190. 渡辺武

    渡辺武君 それは架空のことを想定してやっているんでしょう、机上テストですからね。その場合、どこの国に何%くらいの石油の削減が起こったんだというふうに今回は想定しているのか。それから、その場合わが国の果たすべき役割りはどんなふうになるのか。それから、一体いま政府及び石油会社が参加していると言っておりますね、日本ではどういうところが参加しているのか、その辺聞かしてください。
  191. 木下博生

    説明員(木下博生君) テストをやっております具体的な中身につきましては、各国それぞれ国際的な話し合いでやっておりますので、内容は公表しないという形でやっておりますので、具体的な国の名前は申し上げられませんが、幾つかの供給国の場合に、その供給国の供給が何%か下がったというような事態を想定しまして、それを受けて、それじゃ各国が通常の状態で油を輸入しております状態とどういうふうに将来違ってくるだろうかということを想定した上で、お互いに情報を交換し合ってやっていくということでございます。日本の場合には、主な石油会社が参加しております。
  192. 渡辺武

    渡辺武君 日本の果たす役割りは。
  193. 木下博生

    説明員(木下博生君) 日本の果たす役割りはこれはIEAのパリに事務局がございますが、この事務局とそれから日本の政府との間でお互いに、日本にそういうケースの場合には油がどのくらい供給が減るだろうかという情報を受けまして、その受けました情報をもとに、日本としてはどのくらい油が実際に供給が減るだろうかという想定をしたりして、それをIEAの事務局との間でお互いに情報交換をし合いながら、じゃ具体的にこういうことになるなということを決めていく。その場合に、もし日本に対して融通が行われる立場になるかどうかは、これはやってみないとわかりません。
  194. 渡辺武

    渡辺武君 日本で参加している会社はどういう会社ですか。それから、国際的に供給市場で有力な会社というのも参加していると思うんですね。つまり別の言葉で言えばメジャーですが、どこどこが参加していますか。  それからついでに聞きますけれども、何でいまこういう緊急事態が起こったというふうに予想してこういう訓練をやるのか、その辺聞かしてください。
  195. 木下博生

    説明員(木下博生君) 国際的にはいわゆるメジャーと言われるような石油会社がたくさんおりますし、それ以外でも、アメリカで大きな石油会社、ヨーロッパでも大きな石油会社がおりますが、そういう会社はほとんど全部参加しております。日本の場合には、いわゆるそういう国際的なメジャーと言われる会社自身はございませんで、子会社はございますけれども、その子会社あるいは関連会社はございますが、関連会社はそれぞれの親会社を通じて参加しておる。それから、日本にありますいわゆる幾つかの大規模な石油精製会社が参加しているということでございます。  それから……
  196. 渡辺武

    渡辺武君 なぜいま時分こんなことをやるのか。
  197. 木下博生

    説明員(木下博生君) なぜいま時分やっているかということでございますが、IEAができましたのは一九七四年の十一月でございまして、十一月にできまして以降、この緊急融通スキームというのは非常に複雑仕組みでございますので、まず緊急融通スキームの全体をつくり上げることに大体精力を使っておりまして、ほぼ昨年一ぱいでそのスキームができ上がった形になっております。したがいまして、それ以前でも従来からときどきルーチンに情報を出し合うということはやっておったわけですけれども、今度はそういうスキームが一度できたので、実際にその複雑なスキームがうまく動くかどうかをやろうということで、たまたまタイミングがこの四月の初めになったということでございます。
  198. 渡辺武

    渡辺武君 今度の備蓄計画ですと大体九十日と、九十日といえば一年間分の四分の一ですね。それに国家備蓄を加えて百日と。百日といえば大体三割近くの石油備蓄されると、こういうことになろうかと思うんですね。それで、それを使ってもなおかつ足りないときには他国から融通を受けると。同様に他国も備蓄をしているものを使って、あるいは消費の節約をして、それでも足りなければよその国から融通を受けると、こういうことですわな。そうすると、かなり大規模な供給の削減があるということは想定してのことじゃないかという感じがするんですけれども、その緊急事態というのはどういうことを想定しているんですか。
  199. 木下博生

    説明員(木下博生君) 緊急事態につきましては、現実に供給が減る事態が起こったというようなことでございまして、その原因が物理的なものか政治的なものかというようなことは全く決めておりません。ただ、現実に石油供給が何らかの理由によって減った場合ということで、その場合にこの緊急融通スキームを発動しようということでございます。  それで、いま先生の最初の方でお話ございましたけれども、先ほど申し上げましたように、IEA全体として油の供給が七%減る段階までは、それぞれの国がみずから消費の削減をやることによって対処していく。七%以上減りました場合に、七%というラインともう一つ一〇%というラインがありますが、七%のラインで御説明いたしますと、七%以上IEA全体の供給が減りました場合に、国によっては大きく減るところもあるし、別の国によってはその減り方が少ない場合もある。その次にやりますことは、それぞれの国が一義的にある算定方式によりまして、それぞれの国の備蓄を取り崩していく。取り崩してまいりましても、その供給が大幅に、七%なら七%ラインより大幅に落ちている国があります場合には、その部分の国に対して、将来行われる油の供給がほかの国にいくよりも少したくさんいくようなかっこうに持っていく形によって調整しようというのがこのスキームでございます。
  200. 渡辺武

    渡辺武君 だからずいぶん大規模な石油供給削減が起こると、そういうことを予想していると。これはまことに私はきな臭い話だと思うんですよ。それであなた方の出されたこのパンフレットには、これは八ページに書いてあるんですが、「ヨーロッパ諸国では、一九五六年のスエズ動乱、一九六七年の第三次中東戦争の際の対ヨーロッパ禁輸などの体験から、備蓄必要性が早くから認識されていた。」と、こういうことで、本当にきな臭い話がここに出ているんですよ。大体そんなところを考えているわけですか。
  201. 木下博生

    説明員(木下博生君) そういう事態が過去にございましたけれども、たとえば昨年の場合には、サウジアラビアで油田の火災事故があったということがございます。それから、御承知のように油の供給ルートでは非常に狭い海峡を通るというようなところありますので、そこで何らかの事故が起こるというようなこともあります。  したがいまして、いろいろな理由によって油の供給が一時的に停止あるいは削減されるということがありますので、そのいろいろな理由を特に最初から予想しているわけじゃございませんが、そういう事態が実際に起こったら何らかのお互いの協力措置を講じようということでございます。
  202. 渡辺武

    渡辺武君 スエズ動乱とか第三次中東戦争とか、ここに例示されているような事態、これも一応考慮の中に入っているというふうに理解しないと、どこかの海峡でタンカーがどうにかなったというようなことで、そんな大規模な石油供給削減が起こるなんということはちょっと普通考えたって考えられないでしょう。大体私、このIEAの発足ですね、これ自体がまことにきな臭いアメリカの意図との絡みで出てきてるんじゃないかという感じがするんですね。  一九七四年だったと思いますけれども、キッシンジャーとフォードがこの中東諸国に対して非常にきつい高姿勢の発言をしましたね。私ここに一九七五年の一月のキッシンジャーのビジネス・ウィーク誌とのインタビューの記事持っていますが、こういうことですな。キッシンジャーがこういうことを言っているんです。「いますぐ石油価格を引き下げる唯一の可能性は、サウジアラビアやイランのような国に大規模な政治闘争をしかけて、かれらの政治的安定と、もしかれらが協力しないならばおそらくかれらの安全を危険に陥れるようにすることにある。」と、OPECを敵対国とみなしての話ですね。このキッシンジャーのインタビューに対してフォードがすぐ、そうですね、キッシンジャーのインタビューが一月二日、フォードがタイム誌とインタビューしたのは一月十二日ですけれども、ここでこういうことを言っているんですよ。彼が、つまりキッシンジャーが「言葉にして言っているのは、自由世界すなわち工業世界がしめ殺される場合には、武力をも除くものではない、ということだ。」ということを言っている。これは有名な言葉で記憶しておられるでしょうけど、まことにきな臭い立場からキッシンジャーが提唱して、このIEAというのがつくられてきている。  その後、OECDの中の機構としていわば平和的な装いはとっておりますよ。とっているけれども、そのIEAの中ではやはりアメリカが最大の投棄権持っているというような状態ですし、それから今回の緊急事態発生の場合の国際融通スキームを動かす場合、その緊急事態が起こったのかあるいは起こるおそれがあるのかというようなことは、事務局がこれはメジャーと相談をしてメジャーの意見を聞いて決める、それからどういう措置をとったらいいのかということもメジャーと相談をして決める、こういうような仕組みになっていますな。ですから、やはりまことにOPEC敵視という立場に立ったアメリカが、いわば事実上主導権を握ってこのIEAを動かしているというふうにしか私見られないと思うんです。  そこで、あなた方のこのパンフレットの六ページを見てみますと、「緊急事態に際して、国民にゆとりをもたせ社会的混乱を回避するとともに、石油の消費節減とあわせて国民経済の緊急時体制へのスムーズな転換を図るために、石油備蓄は不可欠である。この意味石油備蓄は国民経済の安全保障に必要な一種の保険であるといえよう。」と、こういうふうに言っているんですね。もちろん、石油備蓄が全然要らないとか反対だとかいうことを私ども言おうとしているんじゃないんだけれども、しかしこうした危険なアメリカの国際的な機構の中に入って、そうしてスエズ動乱などを例証にあなた方挙げているから、それを使って申しますと、もし事が起こってOPEC諸国その他からの石油供給が大幅に低下したというような場合にどうするかというような見地からいろいろ問題を立てて、そうして今回すでにもうその演習もやっているというような状態ですわな。そういう状態を背景にして、そうして中小企業対策費とほぼ匹敵するくらいの莫大な予算を使って九十日、百日の石油備蓄をやるということですな。私はこれは、確かに石油備蓄することは経済上の安全保障という点には二面ではなるけれども、大きな筋から言えば、かえってOPEC諸国との敵対というような点からしてわが国の安全、経済上の安全保障という点で非常に危険なものだというふうに考えざるを得ないと思うんですが、どうですか。
  203. 木下博生

    説明員(木下博生君) IEAができますときにアメリカが一つの提案国であったという点は先生のおっしゃるとおりでございます。  それから、キッシンジャー国務長官が記者会見等で申し述べたのは、私どもも雑誌で読んでおりますけれども、ただ、当時のキッシンジャー国務長官が言ったままを受けてIEAというようなものができたわけじゃございませんで、石油消費国各国は、やはり将来の長期的なエネルギー問題を解決するためにはお互いに協力する必要があるというようなことで、OECDの中にこのIEAという機関をつくろうということになってできたわけでございます。したがいまして、IEAの中にはこの緊急融通スキームをやっております仕事が一つございますが、それ以外に長期協力計画というようなことで長期協力、代替エネルギーの開発あるいは節約というものを各国大いに協力し合ってやっていこうじゃないか、それから新エネルギー研究開発協力もお互いにやっていこうじゃないかというような部局もございますし、それから石油のマーケットについての情報をお互いに交換し合おうじゃないかというような部局もありまして、したがいまして、最近はOPEC諸国が言っております長期的に見たエネルギー問題解決のためにはできるだけ石油の消費を節約したらどうかということについては、全く産油国側と消費国側の意見が一致して、お互いに同じような形で協力し合っているというのが現状でございます。
  204. 渡辺武

    渡辺武君 あなた方の方からの説明はそうだろうと、そんなところだろうと思います。しかし、念のために申し上げておきますけれども、やっぱりこのIEAの最大の投票権を持っているのはアメリカだし、アメリカとその他の二、三の国が一諸になりさえすれば、日本がどういうことを言おうともそれは通らぬような仕組みになっていますわな。それで、いま言ったように事務局の体制もメジャーの意見がすっと通るというような形になっておりますので、いまのアメリカの中東政策との関連も考えて、これは私どもは非常に危険なものだというふうに思わざるを得ないということをはっきり申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのは、当時DDオイルあるいはまた政府間のGGオイルですね、これの輸入をふやすんだということを盛んに言われておりましたが、昨年度どのくらいあるのか、全輸入量の中のパーセンテージを言ってください。
  205. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 五十二年度につきましてはまだはっきりした数字がありませんので、とりあえず五十年度の輸入実績について申し上げますと、いわゆるGG原油は八百四十万キロリットルでございます。それから、いわゆるDD原油といわれておりますものの輸入は三千三百三十万キロリットルでございまして、合計いたしますと四千百七十万キロリットルというのがGGないしDD原油輸入でございます。五十一年度全輸入に占めますウエートと申しますのは一五・一%ということになります。  それから、まだ推定でございますけれども、五十二年度につきましてはこれが若干比率がふえるのではないかというふうに考えております。
  206. 渡辺武

    渡辺武君 若干比率がふえれば結構なことだと思うんですが……。私、わが国はエネルギー資源が非常に少なくて外国から石油輸入せざるを得ないという実態を踏まえて、わが国のやはり経済の自主性をどう保持しながら経済的な発展を図っていくかという点では、いまのように外国から輸入する石油の多くの部分をアメリカの石油独占資本に握られているという事態は、国の独立という点からしても非常に好ましくないことだと思うんですね。そういう意味で、DDオイルあるいはまたGGオイル、これの比率をもっともっとふやさなきゃならぬというふうに思います。そうして、やはり産油国との互恵平等の立場に立った貿易をもっと全面的に発展させる必要があるのじゃないかというふうに思うんです。  私事で、申しわけないんですが、私、一九七四年にイラクのバグダードで開かれた石油資源国際セミナー、これに出席しましたときに、イラク政府の経済局長のアル・メディという方に会いました。これは元OPECの事務局長です。石油のことについては権威者ですね。その方といろいろ話しておりましたが、こういうことを言っておられたですね。もし日本が工業製品を適正な価格で輸出してくれれば、イラクとしても石油製品を適正な価格で輸出するということをはっきり私に言明したんですよ。そういう点もありまして、私どもは少なくとも外国から輸入するエネルギーについては、まさにそうした立場でメジャーを頼らずに直接的な取引をもっと拡大すべきだというふうに思いますが、その点どう思われますか。
  207. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) ただいま御指摘の点は、私どももまさにそのとおり考えておりまして、実は昨年の八月に総合エネルギー調査会の中間報告、石油部会の中間報告をいただいたわけでございますが、その中でも長期安定供給ソースの確保のためには、いわゆる自主開発原油ですとか、GG原油ですとかあるいはDDというような、みずから確保できる自由度の高い原油の確保に努めるべきである、大体の目安といたしまして昭和六十五年度までに自主開発原油含めまして、大体需要の三分の一程度の規模ということを目標にしたらどうだ、そのための検討をしなさいという答申をいただいております。  現実にどのような対応をしているかということでございますけれども、先ほどGG、DD原油輸入量の概数については申し上げましたが、来年度の石油供給計面におきましては、いわゆる自主開発原油だけについてでございますけれども、日本への引き取り量を目標として明示するというようなこともさせていただいております。それ以外にも、ものによっては重質原油というものも今後多くなってくるということも予想されますので、全般的な重質油分解のあり方ということについても検討を進めていくというふうにして引き取りやすいような体制を整えていきたい、そのように考えております。
  208. 渡辺武

    渡辺武君 どうもせっかく大蔵委員会で大蔵省に聞かないのは悪いですから……。今度の石油税税率三・五%ということなんですが、石油一キロリットルについてどのくらいの税負担になりますか。
  209. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) これは原油の引き取り価格いかんによって若干変動いたしますけれども、現在の情勢で計算してみますと、大体原油一キロリットル当たり七百円前後とお考えいただいてよろしいだろうと思います。
  210. 渡辺武

    渡辺武君 一方で輸入関税下げたでしょう、それも考慮しての数字ですか。
  211. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 三・五%で計算しますと、八百円弱になろうかと思います。それから百十円引きましたわけでございます。
  212. 渡辺武

    渡辺武君 そこで伺いたいんですが、この税負担ですね、これは税の何といいますか、性格からすれば、これは当然石油価格に織り込まれていくというふうに考えられるわけですが、どういうふうに石油価格に転嫁されていくのか。つまり、全油種について同じような割合で転嫁されていくのかどうか、その辺はどうですか。
  213. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 税が性格上転嫁を予定しておるという側面から申しますと、理屈としてはいろいろな石油製品にその中に使われている原油に応じて油種別に配分のときにコストとして計算されていくということが望ましい、特定の消極にしわ寄せされないことが望ましいというふうに税の立場からは考えておりますが、しかし、もちろんよく御承知のように、実際の石油価格というものはそれぞれの製品に対する需給にもよりましょうから、なかなか機械ではかったようにうまくいかないかもしれません。特定の油種にしわ寄せされないことが望ましいということは、私どもとしてはそう考えております。
  214. 渡辺武

    渡辺武君 特定の油種にしわ寄せされないことが望ましいとおっしゃられても、実際の需給関係等々、これで特定の油種にいわばずっと集中してくるというおそれがあるんじゃないかという気がするんですね。たとえばナフサだとか重油だとか、買う方が大企業だというような場合、値決め交渉で石油税価格に織り込むというのはなかなか困難だ、そういうふうになっていくんじゃないか。むしろ灯油とかガソリンとか、一般大衆の使うようなものですね、これについて税金がずっと価格に織り込まれてくるという可能性があるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  215. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) その辺は率直に申し上げて私も素人でございますので、むしろエネルギー庁の方からお答えいただいた方がいいんじゃないかと思いますが、ただ私なりに承知しております最近の情勢は、少なくとも末端ではガソリンは値崩れしてございますし、灯油価格については通産省、それと別の角度からの指導もなさっていらっしゃる、そういうふうに私は理解しております。
  216. 渡辺武

    渡辺武君 主税局長、衆議院の大蔵委員会での御答弁ですね、私速記録読ましていただきましたが、いまの水準あるいは最近若干値崩れをしていれば、その値崩れ前の水準に比べて上がるようなことはないという趣旨のことを言っておられますね。うなずいておられるからそのとおりだと思うんですが、もしこういうことだとしますと、元売りの方の石連は石油税かかったらこれは価格を上げざるを得ないという趣旨のことを言っていますよね。ところが、末端価格がもし仮に上がらないということになったらどこが負担しますか。
  217. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) たしかその同じ日にその問題を御質疑になってお答えしたと思うんでありますが、石連の会長さんがそういうことを言っておられるという新聞記事は拝見しましたけれども、それは石油税は本来コストとして配分されるんだという趣旨ならばよくわかります。しかし、先ほど来お答えしているような、もちろん為替相場の先行きというのはむずかしゅうございますが、しかし昨年の上期の状態といまの円相場の状態を考えれば、昨年の上期の値段が石油税分だけまた上がらざるを得ない、元売りが上げざるを得ない、そんな状況にはないはずじゃないだろうかというように私は考えております。
  218. 渡辺武

    渡辺武君 なるほど。  そうすると、元売りが今度のこの石油税については、これはいわば負担するというふうに考えられておるんですか。
  219. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) その負担するというふうに言い切るんじゃなくて、どういうプロセスになるかということで、本来為替差益を含む円高利益というものがあって、他のコストの事情が変わらなければ、それは付加価値を通じて市場価格が下がってくれることが望ましいであろう。ですから、六月から仮にこの税法が動くとしまして、まずは税が動く前の姿で市場価格が一遍下がってその上でこの七百円、重油換算七百円ですから、製品にすれば個々の製品はもう少し安くなるでしょうが、その分が上がりましょうという方が消費者サイドにとってみれば、何が起こったのかがわかりやすい、そういうプロセスになってくれることの方がわかりやすいと私は思うんです。ただ、現実の価格というものがそういうふうに物差しではかったようにうまくいくだろうかという点になりますと、なかなかそうはいかないだろう。それは五月末でも六月でもまだ相場がいろいろ動いてみたり、別のコスト要因があったりするんでございましょう。しかし、考え方としては石油会社がその分を負担するという性格のものではない。ですから、本当に仮定の上でございますが、たとえば二千円下がって七百円上がるというかわりに千三百円下がるというふうなことになるんではなかろうか、これは数字は仮定の上です。
  220. 渡辺武

    渡辺武君 先ほど石油各社の為替差益の数字の報告がありました。私の聞き違いでなければ七千八百億円の差益が出ている。しかし、原油価格も上がっているし、備蓄費やコンビナート対策等々でコストがかかって、これが七千二百億円だという趣旨の御答弁がありましたが、この数字ちょっとおかしいんじゃないかという感じがするんです。もう時間も余りないので中身に立ち入って議論するわけにいかないんですが、私は非常にこれは疑わしい。とにかく消費者も、この為替差益については消費者に還元しろと非常に強い要望を持っておりますし、これは国民的な世論だというふうに見ていいと思うんです。今回石油税がかかったからといって、やはり莫大な為替差益を持っている限りはこれを価格に上乗せるというようなことはやるべきでない。私ども石油税そのものは反対ですよ。反対だが、力関係で仮に法案が通ったとしてその場合のことですが、価格に転嫁するべきじゃないというふうに思いますが、どうですか。
  221. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) けさほど申し上げましたのは、五十二年度におきますバランスの問題といたしまして、為替差益がどの程度出て、原油代の価格その他がどの程度上がっていると、こういうことを申し上げたわけでございまして、今後の価格のあり方につきまして御説明申し上げたわけではないわけでございます。  最近におきます為替レートの動向を考えますと、今後の原油価格その他いろいろございますけれども現状におきまして考えますと、石油税ができたからといって、それが価格に直ちに反映されるというふうな可能性は少ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  222. 渡辺武

    渡辺武君 だろうと思いますね。とにかくこれはメジャー系の石油会社の昨年十二月期の決算の新聞記事ですけれども、東亜燃料、モービル、エッソ、シェルなど五社、経常利益の伸びがものすごいですね。東亜燃料の場合は前年に比べて三九・六%も伸びている。モービルの場合三一・七%も伸びている。為替差益が入って、含めてのもうけですよ、べらぼうなものですわな。それから日石の場合でも、これは別の新聞の記事ですけれども、「今三月期経常利益三百三十億円と前期比五割強の大幅増益となる見通しだ。」、こうなって、これでは為替差益還元いたしませんなんてとうてい言えたような義理じゃないという状態なんです。その点もひとつよく心得ておいていただきたいというふうに思います。  為替差益還元についてはどうですか。つまり逆に価格下げるという問題は。
  223. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 価格の問題につきましては、現実にことしに入りましてからかなり低下の傾向がございまして、ガソリン灯油ナフサ、それぞれ物によって違いますけれども、二千円あるいはそれ以上の値下がりをしておるという状況でございます。
  224. 渡辺武

    渡辺武君 そこのところはもう少し論争したいのですが、時間がないので改めてやりましょう。  そこで次に伺いたいんですが、この莫大な予算で莫大な量の石油備蓄が始まるわけですね、いままでも始まっていたけれども、今後続くわけですが、特に九州とか四国とか沖繩とか、南の方ですね、従来石油基地になるだろうと目されていたようなところが一斉に動き出している。住民は大変な不安を感じているというのが実情なんです。  それで伺いたいのですが、民間企業が独自にやる場合、それから共同備蓄をやる場合、それから公団がいわゆる国家備蓄をやる場合、この三つのケースについて備蓄量、それから補助などの今回の政府の施策、それから備蓄計画の具体的なプロジェクトですね、これをお聞かせいただきたいと思います。まず国家備蓄の方からやってくださ  い。
  225. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 国の備蓄につきましては、一つは陸上におきます備蓄でございまして、これにつきましては千二百五十万キロリッターのタンクを五十七年度までに建てまして入れるということでございまして、そのための土地の取得費が新年度の予算に計上されているわけでございます。それから、それまでのつなぎといたしましてタンカー備蓄をやるということで、これが五十三年度におきまして五百万キロリッターのタンカー備蓄をやるということで、そのタンカーにつきましての用船料、それから原油は財投でまかないますけれども、その利子補給といったようなものが五十三年度の予算に計上されておるわけでございます。  それから、民間備蓄のうちでいわゆる共同備蓄につきましては共同備蓄会社に対します出資金、出資金が同じく新年度予算に計上されておりますが、このプロジェクトといたしましては、現在動いておりますのは新潟のケースとそれから長崎県の西海町のケース、これが具体化しておりますが、あと二、三の地点につきましても逐次検討が行われているという状況でございます。  それから、個々の石油会社の行います備蓄につきましては、一つは開発銀行による施設融資、それから備蓄原油につきましての利子補給、これは共同備蓄会社も共通でございますが、この利子補給の幅を五十三年度は若干広げることに伴いましてやはり予算の増額を行ってる、こういう状況のあらましでございます。
  226. 渡辺武

    渡辺武君 国家備蓄について伺いたいのですが、その備蓄の計画ですね、さしあたり五百万キロリットル、先へいって一千万キロリットルという話ですが、これ五十五年度二百万キロリットル、それから五十六年度五百万キロリットル、五十七年度三百万キロリットルというような計画になっているという話を聞きましたが、どうですか。
  227. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) そのとおりでございます。
  228. 渡辺武

    渡辺武君 大体予定地はどういうところを見ているんですか。
  229. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 予定地といたしましては、三ヵ所以上必要になるのではないかと思いますが、これは地元との関係その他もございまして、現在公表できるような段階にはまだ達しておらない次第でございます。
  230. 渡辺武

    渡辺武君 長崎県の橘湾ですね、これについて、長崎県知事に通産大臣から予定地として検討を申し入れたということを聞いておりますが、どうですか。
  231. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 候補地の一つとしましてそういう地点も報道されておりますし、その可能性を特に否定もいたさないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、これはタンカー備蓄のケースであろうかと思いますが、非常に地元との関係その他微妙でございまして、いま正式にここで、それが入ってるとか入ってないとかということを公式に申し上げるような状況ではまだないかと思う次第でございます。
  232. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、橘湾の場合ですと、これは新聞記事ですが、二十五万トンタンカー十隻ということで、約二百五十万キロリットルということが書かれているのです。橘湾の場合、二十五万トンタンカーで約十隻、総量だから二百五十万キロリットルということになろうかと思うのですが、福岡県が内部資料として発表した数字だというのが新聞に出ておりまして、私その資料そのものはまだ手に入れておりませんが、それにも約二百五十万キロリットル、橘湾、国家備蓄石油公団というように出ているのですがね。そうしますと、五十五年度予定の二百万キロリットルというのはほぼこの橘湾で間に合うという感じがしますが、あと五十六年度、五十七年度、これはどんなところを大体模索しておられるのか。私、あるいは苫小牧の東部だとか、あるいは鹿児島県の志布志だとか、あるいはむつ小川原だとか、そんなところを考えていらっしゃるのかなという気もするのですが、どうですか。
  233. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) ちょっと説明が舌足らずであったかと思いますが、五十五年度二百万キロリッター、以下五十六年度、五十七年度というこの数字は、いわゆる陸上タンクの設置による備蓄の計画でございます。タンカー備蓄につきましては、五十三年度において、それまでのつなぎとして五十三年度において五百万キロリッターを実施するというものでございます。
  234. 渡辺武

    渡辺武君 それで、いま私の伺ったところは。
  235. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 失礼いたしました。タンカー備蓄につきましては、全国で数ヵ地点につきまして、現在、財団法人タンカー備蓄協会というのができてきておりまして、そこでいわゆるフィージビリティスタディをやってもらっておるわけでございますが、まだどこの地点でどういうふうに考えているということが公表できるような状況には立ち至ってない、こういう現況でございます。
  236. 渡辺武

    渡辺武君 やっぱりべらぼうにでっかいタンカーを何隻も並べるわけでしょう。大変なものだと思うのですね。それで、あらしやなんかのことも考えなきゃならぬでしょう。そうすると、一定の錨泊地としての条件が必要だと思うのですね。それはどういうふうに考えていらっしゃるのか。また、それに適合していると思われるところはどんなところですか。
  237. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 御指摘のとおり、安全サイドからアプローチいたしますと、海底の状況ですとか水深ですとか、あるいはその広がりというところについていろいろな制約があるわけでございます。したがいまして、いま次長が申し上げましたように、いろいろフィージビリティスタディをやっているということの中身に、錨泊の場合であれば一隻当たりどのぐらいの半径の地域が必要である、水深はどのぐらい必要であるということを割り出しまして、それをベースに各地の自然条件を調べているというのが現状でございます。  先生御存じのとおり、タンカー備蓄をいたしますという場合には世界に例がないわけでございますから、その方式といたしましても幾つかの方式が考えられるわけでございます。いま言われましたこの錨泊と申しますか、係留しておくのも一つの方法でしょうし、あるいは広い海域でもってドリフトと申しますか、というようにするというのも一つの技術的な方法であろうとは思います。したがいまして、その辺まだ比較考量いたしまして、これがいい、方式はこれだという決定もまだないわけでございまして、鋭意その点を検討しておる、泊地の選定と並んで検討しておるということでございます。
  238. 渡辺武

    渡辺武君 まだそんなことで一体――金はもう出ることになっているけれども、肝心のタンカー置くところがまだ決まっていない。たかだか、橘湾一ヵ所どうやらその話を進めているというようなことですか、それで間に合いますかな。  それからもう一つ、共同備蓄ですね、さっき新潟――恐らく東港のことだろうと思うし、それら長崎県の西海町を言われましたが、なおそのほかに長崎県の上五島ですね、これ海上備蓄をやるという話が大分出ておりますし、それから苫小牧東部ですね、この辺も共同備蓄の候補地に大体なっているのじゃないですか、どうですか。
  239. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) いまおっしゃいました上五島あるいは苫小牧等につきましてもそれぞれ、これは共同備蓄というのは民間でございますから、それぞれ民間が検討しておるやに承っておりますけれども、まだこれがいわゆる公団の援助対象項目たり得るのかどうかというふうなことになりますと、今後のさらに検討に待つ必要があるという状況でございます。
  240. 渡辺武

    渡辺武君 この三地点は可能性としてはどうですか。
  241. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 民間がそれぞれの地元といろいろ話し合いをやっておられる段階であると思いますので、現段階でそれがどういうことになるかということにつきましては、役所の方からはまだ申し上げる状況ではないということであろうかと思います。
  242. 渡辺武

    渡辺武君 いずれにしましても、民間の企業独自にやるものにしても、あるいは国家備蓄あいは共同備蓄という場合でも、いずれにしても安全性の問題が非常に重大だと思うのですね。  それで、ここにあなた方の出されたパンフレットですね、これの十七ページに、石油備蓄というのは余りメリットがないのだということを書いてあるんですね。雇用吸収力もないし、地元関連産業の振興効果も余り期待できないし、安全防災上不安が生じているというようなことがいろいろ並べてありますけれども、その二番目に、「安全防災上の不安に対しては、消防法改正石油コンビナート等災害防止法制定等により安全・防災規制の強化を図り、十分な安全・防災対災が講じられることとなった。」となっていますがね。これは陸上備蓄の場合でしょう。上五島の場合ですと、タンクを海上に浮かべて備蓄するという計画だと聞いているのです。国家備蓄の場合は当面はタンカー備蓄をやる、こういう新しい問題が出ていますね。これについての防災対策はどうなっていますか、検討されていますか。
  243. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) いわゆるタンクによる洋上備蓄につきましては、現在消防庁、それから運輸省におきまして、それぞれ安全確保のための基準につきまして検討しておられるところでございます。  それから、いわゆるタンカー備蓄につきましては、先ほど計画課長から申し上げましたように、たとえば一点錨泊の場合、どの程度の海域、水深が必要であるか等々の点につきまして、現在、財団法人海難防止協会でもって検討してもらっておりますが、これは最終的には運輸省の方でこれをオーソライズしてもらう必要があるというふうに考えております。
  244. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、まだ結論は出てないわけですか。その点、伺いたいんです。たとえば運輸大臣が運輸技術審議会に安全指針の諮問をしたということも伺っているんですが、大体そういう方向でどういうような結論になりつつあるのか、それ一点と、それからもう一つ、一体この海上に浮かべるタンクあるいは石油備蓄するためのタンカーですね、これは貯油施設と見るべきものなのか、それとも石油を運ぶ海上施設として考えるべきものなのか、つまり責任の省庁はどこになるのかという点もあわせて聞かしてください。
  245. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) この洋上備蓄につきましての基準につきましては、近く指針が発表されることになるものとわれわれとしては理解しておるわけでございます。  なお、いま後段で先生のおっしゃった問題につきましては、運輸省の方からお答えを申し上げたいと思います。
  246. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 私の方から、まずタンカーの安全の問題と取り扱いについて申し上げます。  先ほど通産省の方から御答弁がございましたように、タンカーの備蓄につきましてはただいま検討しておりますけれども、この問題につきましては、この話が起こりました一昨年来、通産省と運輸省でまず検討委員会をつくりまして、そこで検討いたしました結果、タンカーを使用いたします場合には、船員を全部配乗いたしまして、船としてこれを利用する、いわゆるタンクとして利用するのではなくて、いつでも動ける形の船としてこれを利用するのが当面考えられる最も安全な対策であるということに大体結論が出まして、現在計画されております、先生先ほどお話のございました二十三万トン型タンカー二十隻というような問題は、すべてその方向で検討を進めておる段階でございます。  なお、上五島につきましては、これは別問題でございますので、官房の方から答弁をいたします。
  247. 渡辺幸生

    説明員渡辺幸生君) 上五島の洋上タンク船方式による海上貯油センターの関係についてお答えをいたします。  この計画は、全部で約六百万キロリットルほどの石油を海上に備蓄するという点で、全く新しい方式でございまして、そういう点からしますと、この施設に対して安全防災の、万全を期するということはきわめて重要なことでございます。  運輸省は、その計画がちょうど明らかになりました昨年の十月二十七日に、運輸技術審議会に、この上五島の施設を含めまして、これだけではなくて、一般的に浮遊式海洋構造物といいますか、あるいは貯油船方式といいますか、そういうものによります石油備蓄システムの安全指針について諮問をいたしました。審議会はそれ以来審議を重ねておりまして、たとえば設置場所をどういうふうな場所に選定するか、それから自然条件、これは風波を初めとしていろんな条件がございますが、そういうものを科学的にどう把握するか、それから備蓄基地の全体配置は、たとえば貯蔵船泊地であるとか、それからタンカー用のバースの関係であるとか、それから陸上の危険物の施設であるとか、そういうものが全体的にどう配置されなければならないか、それから貯蔵船と港湾の施設の設計等のいろいろな基準、それから保安防災対策等について審議を続けておりまして、近日中に答申がいただける予定となっております。  御質問の中で、一体浮かぶものについて船舶かどっちかというお話ございましたけれども、これは消防庁さんといろいろ調整しておりまして、近日中にまとまる予定でございますけれども、貯油船につきましては船舶安全法で主として安全防災対策を講ずるということでございます。運輸省といたしましては、この答申と、それから現在ありますたとえば原油タンカーに対する安全基準、それからその他の港湾関係の基準、そういうものを利用しまして、あわせて上五島の貯油センターの安全対策を進めていこうと、こう考えております。
  248. 渡辺武

    渡辺武君 最後に、このパンフレットでも強調しておりますが、地元の反対が非常に強いということになっているんですが、今度地元の自治体だけじゃなくて周辺の自治体にも交付金を出すということになっておりますが、その交付金の使い道ですね、どういうところに使うものに、何にこの交付金を出すのか、それを伺いたい。  それからもう一点、時間がないのであわせて伺いますけれども、地元に強い反対があると一言で言いましても、たとえば上五島の場合、五島の町会では誘致の決議をしている。しかしそこの漁協ですね、ここには反対意見が非常に強い。漁協全体はまだ態度は未決定だが、反対意見が非常に強い。長崎県漁連としては強い反対だと、こういうことですね。とにかく海洋汚染その他石油の被害というのは広域に及ぶわけですね。だから相当広い範囲を地元と考えなければならぬじゃないかという感じがするんです。  それから志布志の場合でも鹿児島県は推進と。ところが隣の宮崎県は、これは当然もらい公害になるということで強い反対を持っている、こういうことで、これまた相当広域的に考えなければならぬところがあるわけですね。  ですから、そういう点を今後十分にやっぱり考慮をして、地元の反対意見、これが十分話し合いで解決するということになるまでは強行しないということが必要だと思うんですが、その点どうでしょう。
  249. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 最初のお尋ねの立地交付金の使い道でございますけれども、これは、現在考えております立地交付金と申しますのは、陸上で新設する場合、それから既設のもの、それからタンカー備蓄の場合と、三つに分かれると思いますが、主として私どもが内容として考えておりますのは公共の施設の整備、特に海湾防災関係のものに力点を置いたものでこの支出をしたい、そのように考えております。  先生御指摘のように、地元に対する不安と申しますのは、確かに実際問題としてめったに事故は起こさぬといいましても、万一ということもあり得るわけでございますので、先ほど運輸省からの答弁もございましたように、タンカー備蓄の場合、あるいは陸上タンクの場合であれはコンビナート防災法ないし消防法の運用というものを厳正にやらなければならないということは当然であると考えております。  その上に、やはり何といっても大きなタンクが並ぶあるいはタンカーが海上に並ぶということになりますと、人心に対して与える不安と申しますのは、正面言って否定できないのではないかと思います。したがいまして、私どもとしては地域社会との合意が行われない限りはできないと、そのように考えておる次第でございます。
  250. 中村利次

    ○中村利次君 現在も原重油関税の一部を石油対策費として使っておるわけでありますけれども、ここに石油税新設をしようという構想は、これはまあ石油対策、これをどう使うかはこれからの問題、これはいま決まっているわけじゃありませんね。石油資金需要も大変でございましょうし、あるいはエネルギーに対する資金も大変な天文学的な数字だと思う。とてもこれは石油税なんかでは賄えないと思うんですが、石油税新設するということは、たとえば円高問題なんかは一般的にはこれは大変な政治課題として対処しなきゃならないことですが、新税をつくるあるいは増税をするという場合一番頭痛の種になるようなことが、石油新税の問題では円高の問題等もあって、わりとタイミングはよさそうだという点については私もこれはそう思います。そういう意味では確かにこれは一つの方法だと思います。ところがやはりいま申しましたように、石油にかかる税は自動車用の揮発油だとか軽油、これは自動車が走る道路に使う、原重油関税をかけて特別会計をつくってもともとは石炭に使った、石油にも一部使うようになった、また新しく石油税で今度は石油を重点に使う、あるいはこれは油の値段がものすごく上がってきますと石油税もうんとふえてくるわけでありますから、どういう使い方をするかということになると思いますが、いずれも複雑でややこしいですな、これは。このままお続けになるつもりですか。石油税をここでつくろうということですけれども、やっぱり揮発油税もあるいは軽油原重油関税石油税というぐあいにこのままお続けになるつもりですか。
  251. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 税負担の求め方として、いま御審議をお願いしている石油税というものが、石油対策のための財政需要を念頭に置きながら、石油及び石油製品を利用される方々に広く薄く負担していただきたいという考え方は私どもなりに論拠のある考え方であると思っております。ただ、いままで個々の製品について、実質特定財源として、交付税で申せば種目は四つ、品種は三つございますが、それがある上に、さらに新しい税が入ったという意味複雑さを加えたということはこれは否定できないと思います。  今後の研究課題として考えられます方向はやはり二つであろうと思います。一つは、原重油関税期限つきの面がございますから、その期限到来までに原重油関税の今後のあり方というものを勉強していかなければならない。それから個別の国内消費税としての製品課税、具体的には揮発油に対する揮発油税と地方道路税、それから航空機燃料に対する航空機燃料税LPGに対する石油ガス税、これはやはりいまのところ実質的に道路整備と空港整備に財源が特定されております。余り一、二年というような期間の間に空港整備なり道路整備に対する財政需要が大きく変動するということは必ずしも予想されないと思いますし、いまのところ特に大きな税収でございます道路関係につきましては、苦しい財政事情の中でもやはり道路整備には全体の資金配分の中で資金を配分してみると、一般財源を投入しないと賄えないという状想がございますので、やはり今後のこの財政需要の変化をにらみながら、個々の税目の使途の特定を從来どおりにしておいてよろしいということをまずは研究すべきではなかろうか。その結果で、仮に使途が変わるというようなときに、合わせてそれでは根元の石油税というのはどう考えどう位置づけるかということを勉強していく。いまつくっていただきたいというお願いをしておる税でございまして、複雑であるからこれは要らないというわけにはとうていまいらないわけでございますが、御指摘の御趣旨は私どもも十分頭に置きまして、将来の重要な研究課題にいたしたいと思います。
  252. 中村利次

    ○中村利次君 税率三・五%、これは油の価格によって変動することになりますが、新設をすると回持に原重油関税で百十円、こいつを削る。ということは、たまたまこれは三・五%の現在の油の価格からいって〇・五%分に百十円が当たるということで百十円を削られたんですか、それとも何か特別の根拠でもあるんでしょうか。
  253. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 考え方の流れは、エネルギー庁と十分相談しながら、新しいネットの負担増はどの程度が一番いいだろうかということでネットの負担増は実質三%が適当ではないか。しかし、一方でたびたび関税審議会からは原重油関税というものは基本的には廃止が望ましいのだと言われてきた経緯がございますので、この機会に、五十二年度に暫定増税をお願いした百十円分はこれはひとつ石油税創設を機にもとに戻すということで、関税審議会の御意見にこたえるということをしたらどうであろうか。そうすると、私ども議論しておりました当時の価格でいろいろ計算しますと、大体百十円が〇・五%に相当するものですから、その石油税税率は三・五、実質新規負担は三%、いわば百十円は振りかえ、そういうふうに物の考え方の流れができたわけでございます。
  254. 中村利次

    ○中村利次君 そうすると、五十四年度以降はこれは変わってくるわけですね。石油税は三・五%ですね。ですから、たとえば原油価格が上がれば当然これはそれに掛ける三・五ですから、百十円というのはもうだんだんだんだん影が薄くなってくるわけですね。そういうことになりますね。
  255. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) これは理論的にはおっしゃるとおりだと思います。やはり切りかえのときにある前提を置いてそういう計算をしたというふうにしか申し上げられない。というのは、裏から申しますと、実は五十三年度というのは私どもがいろいろ計算をしてみたときよりも引き取り価格は下がるかもしれない。そうするといまおっしゃったことと逆の関係になるかもしれない。そこのところが引き取り価格が今後どう動くかによって上下に変わり得る。ただ変わった都度〇・五を操作するというわけにもまいりませんし、石油税負担としては三・五、創設時のいろいろな前提のもとで百十円を振りかえる、そう申し上げるのが一番、正確であろうと思います。
  256. 中村利次

    ○中村利次君 これは、動向としては石油価格というのは非常に高価格時代に入っていくことはもう間違いありませんね、傾向としては。一時的にいろいろな変動があっても、中期見通し、長期見通しからいけばもう明らかにこれはものすごい高価格エネルギー時代に入っていくことは間違いないわけでありますから、何かそこの操作が私はどうも、こんなつまらぬことをおやりになる必要はないじゃないか。むしろ抜本的に、いま主税局長も触れられたように特別会計のあり方についての研究の方が私は地についていると思いますよ。  そこで、これは五十六年度までですか、特例会計は。
  257. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 石炭及び石油対策特別会計は、法律によりまして昭和五十六年度末までに廃止するものとするという規定が置かれておりますので、そのとおりでございます。
  258. 中村利次

    ○中村利次君 これは大蔵省にお聞きした方がいいのか通産省にお聞きした方がいいのかわかりませんが、石炭はわが国唯一のこれは地下資源というかエネルギー資源と言ってもいいと思いますよ。石炭審あたりがずいぶんここ数年間がんばってがんばってこられたけれども、しかし五千万出炭体制から四千万トン、三千五百万トン、三千万トン、年を追うに従って、これは大蔵省に言わせ、ると大変な私は荷耐介なものになっちゃったと思うのですね。そしてこれはやっぱり筋から言ったらいろいろ議論のあるような原重油関税特別会計から、ほとんど現在五十二年度でもあれは六十何%、一千百六十数億円つぎ込んで、そして五十二年度の出炭はまだ実績が出ておるかおらないか知りませんが、五十一年度は千八百六十万トンという、とにかくこれはもう、そして石炭労働者も二万二、三千人ぐらいになっちゃったんですか、これは出炭実績にあれしますと、やっぱりトン当たり六千円余りぐらいの金をつぎ込んで、しかもなおかつ国際価格に比べればはるかに高いという実情にあるんですが、まあこの特別会計は五十六年度までということになれば、私も唯一の国内資源、エネルギー資源、わずかではあってもこいつをどう維持するかという点については別に異論はありませんが、これはどうしますか、大蔵省でも通産省でも結構ですけれども、何か対策、もう五十六年と言ったら幾らもないわけですから。
  259. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) おっしゃいますとおりに、石炭対策には昨年度におきまして総額で千百九十九億予算を計上いたし、五十三年度予算におきましても千二百八十三億円という、見方によれば大変多額の予算の計上をいたしておるわけでございます。私どもいま考えております石炭対策といたしましては、五十年の八月でございますか、通産省の方の石炭鉱業審議会、その審議会から出ました答申が、やはり石炭につきましては二千万トンの生産体制を維持する、あるいは新たなる需要の開拓等を図っていくというふうな方向が示されておりますので、その方向に即しまして大きな三本の柱でやってまいりたいと思っております。  その第一の柱は石炭鉱業の合理化あるいは安定対策、第二の柱が鉱害対策、第三の柱が産炭地域の振興の関係、そういう三本の柱を中心にいたしましてこれからもやはり進めていかなくてはならないんではないか、かように考えておりますが御指摘のとおり、石炭石油特会は現時点におきましては一応五十六年度末までに廃止するものとするというふうなことになっておりますので、それまでの間、現行のシステムで石炭対策も進めてまいりまして、その時点が参りましたところで今後どうするのか、その辺を関係省庁とも十分協議をして取り進めてまいりたいと、かように考えております。
  260. 中村利次

    ○中村利次君 それは二千万トン出炭体制とおっしゃっても、もうすでにこれは崩れているんですよ。そしてだめなんです。どうです通産省、五十二年度どれくらいの見通し、大ざっぱで結構ですが。
  261. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) ちょっと手元に数字を持っておりませんが、五十二年度は、一つは鉄鋼が非常に不況になりまして引き取りが減ったということ、それから北海道地域におきます暖房炭の需要の低下、これは幌内に事故がございまして、その間にその暖房炭が灯油にかわっていったというふうなこともありまして、正確な数字を持っておりませんが、千八百数十万トンの出炭にとどまったのではないかというふうに記憶しております。
  262. 中村利次

    ○中村利次君 五十一年度の実績は千八百六十万トンと発表されておりますから、大体それは五十二年度もそれより多いということは私はあり得ないと思う。これは北海道の暖房が石炭から灯油にかわったから出炭量も減ったということではないでしょう。これはもう二千万トン出炭体制という、その体制そのものが大変にこれは私は問題になってきておると思うのですよ、そういう点の認識はいかがですか。
  263. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) たとえば幌内におきます事故でございますとか、いろいろ供給サイドにも問題がございます。それから、有明におき、ますこれはノリ等との関係での出荷減、そういったような供給サイドの問題もございますが、現時点におきましてはどういうことかと言いますと、むしろ需要が先ほど申し上げました鉄鋼不況等々によりまして減少いたしまして、したがって山元には貯炭がかなりふえておるということで、現在九州で約百二十万トン、北海道で六十万トン程度の貯炭があろうかと思いますが、現時点におきましては出炭体制の問題よりもむしろ需要の下降の方に問題が若干生じておると、こういう形であろうかと思います。
  264. 中村利次

    ○中村利次君 どうも私は大変心配になっちゃうんですよ。少なくとも政府エネルギー対策として、これはエネ調の中間答申なんかを見てみますと、昭和六十年に石炭輸入炭を一億トン以上ですね。その中で国内の一般炭を含めて二千二百万トンを電力にたかせようという、いまのまさに三倍ですよ、そういうのが政府の計画ですね。いま五十三年ですから昭和六十年と言ったらもう目先ですよ。そして、いま二千万トン出炭体制というものは前からこれは強烈にあるんです。一千二百億前後ぐらいの特別会計からの資金まで助成金でつぎ込んでおる。なのに、どうも需要の関係で出炭が計画どおりいかないんだというんでは、何かさっぱりつじつまが合わない、首尾一貫しないと思うのですが、いかがですか。
  265. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 現在国内炭につきましては、一つは御承知のように原料炭で鉄鋼需要でございます。一つは一般炭でこれは電力が中心でございますが、電力以外にも暖房炭、あるいはセメント向けといったその他の分がございます。その中で電力につきましては、大体北海道電力あるいは電発等それぞれ目いっぱい引き取っておるという感じであろうと思います。ただ、鉄鋼業界あるいは暖房用炭等々につきましては、最近におきます不況その他の影響で引き取りが減少しておる。これが先ほど申し上げました需要の停滞につながっておる。しかし、そういった状態がいつまでも続くというふうには考えておりませんが、現状はそういうことであろうかと存じております。
  266. 中村利次

    ○中村利次君 これはまことにどうも、私は日本のエネルギー対策はどうなっていくんだろうという心配が非常に強いですね。こういうことを実は質問するつもりじゃなかったんです。いわゆる石油税というのが新設をされるについては特別会計、特にその中では石炭というものが特別会計を食っているわけですから、だからそういう石炭対策を果たして今後どうしていくのか、そこら辺で、ほかの質問もたくさんありますからとめておこうと思ったんですが、これはやっぱり総合エネルギー対策あたりが大変にどうもえらい問題で、政府の計画で昭和六十年省エネルギーを一〇・八%、石油換算で八千万キロリッター、そして代替エネルギー、新エネルギーをこうこうこうして、石炭もこれだけ輸入してこれだけたいてというのがあるわけですね。ところが、そういう中期構想があって、だからそういう意味では石油問題なんか私は大変これは大事だと思う。石油バランスがこれからどういうぐあいになっていくのか、あるいは、石油価格がどうなっていくのか、無尽蔵にあると言われるアメリカの石炭なんかのガス化、液化なんかの、そういう見通しはどうなのか。いろいろこれは問題はあるんですけれども、何だか入り口のところで大変心配の種があらわれたような気がしますがね。しかし、そんなことにいつまでもかかわっているわけにはいきませんが、いかがですか、石油バランスについて大体の見通しはどういうぐあいにお持ちでしょうか。
  267. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 石油の将来の世界全体におきます見通しにつきましてはいろいろな見方がございますが、大体、一九九〇年前後に増産限界に達する――これは、見通しによりまして、かなり早くから増産限界に達すると言う方もございますし、一九九〇年過ぎるぐらいのところまではまだ頭を打たないだろうという見方もございますが、平均いたしますと、一九九〇年前後に増産限界に達するという見方が一般的でございます。ただ、これはあくまでもOPECが政治的な意図によって、いわゆるコンサーベーションといいますか、生産の抑制を行うことはしないという前提での話でございますので、OPECが生産抑制策を強く打ち出した場合にはそれよりも若干早い時期において石油供給に問題が生じてくるという可能性があろうかと思います。  石油価格につきましては、これから一九八〇年ぐらいまでの間は、御承知のように北海の油でございますとか、あるいはアラスカの油が出てまいりますので、当面、一九八〇年ぐらいまでは石油の需給は比較的緩慢に推移すると思われます。したがいまして、そのごろまでは、石油価格につきましても、ドルの為替減価によります問題でございますとか、あるいは一般の産油国の輸入をします諸物資の輸入価格の上昇に伴います調整であるとか、そういったものはあり得なくはないわけでありますが、大幅な価格のアップということは八〇年ごろまではないかと思うわけでございますが、八〇年代の半ば以降、先ほど申し上げましたような増産限界が到来、近づいてまいりますと、価格につきましても予断は許さない状態になろうかと思います。  それで、日本の石油につきましては、原油輸入量が五十三年度石油供給計画で約二億八千万キロリッター弱でございますが、LPGを含めまして昭和六十年度には四億三千万キロリッター程度というのが昨年八月の見通しの数字でございます。この程度石油につきましては、努力をすれば何とか確保できる見通しがあるんではないかというふうに考えております。
  268. 中村利次

    ○中村利次君 大分これは楽観的な見通しを聞いて、私もある意味では安心をしたんですがね。しかし、国際機関あるいはOPECそのものも一九八五年、昭和六十年ごろはかなりな深刻な、エネルギーバランスが崩れるという警告をしていますね。一九九〇年ごろということになりますと非常に結構ではありますけれども、しかし、だったら、昭和六十年というのは一九八五年ですから、昭和六十年省エネルギー一〇・八%、それから、まあこれは少しきつい言い方かもしれませんけれども、たとえば新エネルギーの開発だって、できもしないと思われるようなことを政府は発表されているんですね、計画して。たとえば地熱なんかでも百万キロ、私はできないと、こう断言してはばかりませんよ。だから、そういうことを計画をお出しになって、そして昭和六十年、一九八五年には石油輸入が逼迫をしてくるからこういう計画を実現しなきゃならない。だったら、それほどきついあれをする必要はないんですけれども、一九九〇年ごろが大体ピークになるということでしたら、そういうぐあいに受け取ってよろしいですか。政府が出した昭和六十年のエネルギー計画というのはそれほどわれわれは真剣になって取り組まなくてもいいんだということになりますか。
  269. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) これは若干舌足らずであったかと思いますが、一九九〇年前後には増産の限界に達する、それまでは少しずつは石油供給はふえるであろうが、その辺になると今度は石油がダウンカーブ、石油の生産が落ちてくるという見通しでございますから、これはもう大変なことでございまして、需要は逐年ふえていくのに生産が落ちるというわけですから、そのギャップは大変なことである。その以前におきましても十分な需要を賄えるかどうかということにつきましてはいろいろ問題がある。われわれとしては四億三千万キロリッター程度は一九八五年において何とか確保したい、そのためには、もちろん全体のエネルギーバランスとしては原子力であるとかLNGであるとかというものについて最大限の努力を尽くす必要がある、こういう趣旨でございます。
  270. 中村利次

    ○中村利次君 増産ピークというか限界というか、それと需給バランスを間違えて受け取っていました。わかりました、それで。  そこで、そうなりますと、先ほど次長おっしゃったように産油国が産油調整をやるかやらないかということですね。これはやっぱり石油価格がいつごろどうなるかということに重大な影響があるわけですがね。私はこれは産油調整は必ずあると。なぜならば、石油が有限である限りは、これは特に中東の産油国なんというのは油以外には何もないわけですから、それは自国の国益を考えれば、だれが何と言おうと資源を見通した廃油調整は必ず来るだろう。そうすれば需給の関係原油価格は上がるんですから、ですからふところに入ってくるものはそれほど関係ないでしょう。まあ、これは国際的ないろんなひずみは大変に起きてくるでしょうけれども、そういう点についてのお見通しはいかがでしょう、もう時間がありませんからね。
  271. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) これは中東が石油の生産調整やるかどうかというかぎをやはり持っておるのは、一つはサウジアラビアであろうかと思います。現在大体世界の埋蔵量の四分の一をサウジアラビアが持っておりまして、かたがた人口が少ないものですから、生産調整の可能性もなおかつ持っておる。それほどの外貨を必要としないものですから、生産を落としても困らないという状態を持っておるということでございます。ただ現実にそれでは、サウジアラビアだけではございませんが、等々の国が生産調整をやるかやらないか、あるいはどうやるかということにつきましては、これはたとえばサウジアラビアとアメリカその他自由諸国との関係等々、いわゆる政治力学的な問題が非常に影響してくるかと思いますので、現段階でその予測をするということはなかなかむずかしいことであろうかと存じております。
  272. 中村利次

    ○中村利次君 これは日本は全く、備蓄の問題も先ほどありましたけれども、基本的にはエネルギー問題なんというのは、それは九十日、百二十日の備蓄で対応できるものではありません。しかし、たとえばいま世界じゅうを覆っておる深刻な不況、それからいろんなひずみというものはどこから起きているかと言えば、直接の原因はやっぱりオイルショックですからね。中東の政情なんというものが安定をして、今後も、エネルギーバランスの問題は別にして、そういうアクシデントによる危機というものがあるのかないのかと言ったら、これも恐らくそんな心配はないんだと言い切れる者はいないと思うんですね。だったら、やっぱりこれはどれほどの備蓄をしていくのかということは、これはもう欠かすことのできない私は決定的な政治課題だと思いますよ。ですからこれはいろいろそういうことを伺ったり、それからやっぱり石油だけでないエネルギー対策に対する資金をどうしていくのか、とってもこれは石油税なんかでは賄えない決定的な私は問題だと思いますから、そういうのを伺いたかったわけですが、すでに時間が尽きてしまったわけです。いかがですか、何だか質問の焦点がぼけちゃいましたけれども、最後に大臣どうですか、ひとつそういう、石油新税をここで起こそうとしていらっしゃる。これはまあ石油対策備蓄対策をとりあえずは対象にした石油新税をつくろうとされておるわけですが、これは石油ももちろん、全般的なエネルギー資金需要というものはこれは天文学的なものがあると思うんですがね、一体どうしてこれから対応をしようとされるのか、お伺いをして私の質問を終わります。
  273. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) このたびは、とりあえずは石油対策のための財源ということでございまして、従来の石油開発に加えまして、大きく備蓄の問題が入ってきたわけでございます。しかしいまおっしゃったように、総合エネルギー調査会では、単に石油という問題だけではなくて、新エネルギーあるいは代替エネルギーの問題も検討しているわけでございます。したがいまして、それらのことを十分に頭に置いて、今後必要な財政措置もあり得るということを考えているわけでございます。しかし、その場合はあくまでも財政負担というものは多ければ多いほどいいということではないんであって、あくまでも民間で負担すべきものと、それからまあいわば税金負担すべきものというものにはおのずから区分があるであろうと思っておるのでございます。しかしながら、日本のようなエネルギーの非常な乏しい国においては、そうは申してもなかなか大きな財政負担を余儀なくされるということも十分考えておるわけでございます。そのためには今後の歳入歳出を通じまして、この前申し上げましたような一般的な考え方を持っておりますけれども、その中でこの問題も十分頭に置きながら現実的な対処をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  274. 野末陳平

    ○野末陳平君 石油税に入る前に、初歩的なことをいろいろとお聞きしておきたいと思いますけれどもガソリンを例にとってお聞きしますが、このガソリンのリッター当たりの値段ですけれども、ここのところ下がっているように思いますが、前の質問ちょっと聞いておりませんでしたので重複があったらお許しいただくとして、ガソリンのリッター当たりの値段はどのくらいになっているかという、ここのところの動きをちょっと説明してください。
  275. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 御説明申し上げます。  最近のガソリン価格につきまして統計的に把握できておりますのは、元売り価格につきましては日銀の卸売物価指数でございます。それから小売価格につきましては総理府で御発表になっております消費者物価指数があるわけでございますが、いずれもポイント数で申し上げまして五十三年の一月には五十二年の一月、一年前に比べまして卸売物価指数ベースで三・七ポイント、それから小売物価指数で三・六ポイントほど下落いたしております。それでこれを実際価格に引き直します場合には、私ども実はそのデータをいただいていないわけでございますが、小売価格につきましては私どもで一応の前提を置いて試算をしてみますと、この総理府の物価指数ベースの金額はリットル当たりで百十四円前後ではないかと、こういう推定をいたしております。
  276. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますといま大体百十四円前後と、いまと言いましても、ことしになっても何円かずつの差があるように思いますが、いま百十四円でもいいんですよ、ばらつきがいろいろあるようですね。地方によってあるいは無印スタンドその他ありますが、そのばらつきの幅はどのぐらいですか、円にして。
  277. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 御説明申し上げます。  ただいま引用しました指数ベースで、これも私どもで一応の仮定を置いて計算してみたわけでございますが、通産局単位で平均してその数字をながめてみますと、高いところと低いところでは七円ないし八円ぐらいのばらつきがあるように考えられます。これはあくまでも通産局単位の平均でございまして、さらに個々の地点なりあるいは個々の販売店、こういったところの価格でお調べいただきますと、あるいは相当現実には値開きが大きいかと存じます。
  278. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうするとリッター当たり七円から八円のばらつき、あるいはもっとあるかもしれない。このぐらいの幅というのは要するにガソリンが末端で値崩れしていると見るべきなのか、それともどの商品にもこの程度あるんだという、それほど気にすべきことではないのか、どんなものでしょうか。
  279. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 最近のガソリン価格の動向につきましては、昨年の暮れからさらに今年に入りまして相当下落していることは事実でございます。かつ、その下落の幅が地域によりまして必ずしも同じではないと、こういったところに問題があろうかと思います。そういった意味で、現在の地区別の価格差につきましては、やはり私ども相当問題が多いと考えております。  それでこの原因につきましては、私どもやはりガソリンが現在の石油会社の中では一番採算性が高いということ、それからこのガソリンを取り扱っております揮発油販売業界自体が数が多いとかいろいろ問題がございまして、そもそも過当競争になる体質を持っていると、こういうことでございます。  さらに、あえてつけ加えさせていただきますれば、最近の円高メリット、これをいかに消費者に還元するかと、そういった関係もあろうかと思いますが、そういったことで、局地的には非常に価格の値崩れが生じておりまして、揮発油販売業者の経営の不安定を招いているという、こういった実情があることは否定できないところであると存じております。
  280. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、この石油税ができて、ほかの油は別としてガソリンそのものにはどうですか、影響ありそうですか。なさそうに思えるんで、その辺ですがどんなもんですか。
  281. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 石油新税石油製品価格への転嫁の問題につきましては、先ほどから各先生からの御質問もございまして、大蔵省御当局の方からいろいろ御答弁をいただいているわけでございます。私も一般的にそのラインに沿ってお答えすることでよろしいかと存じますが、具体的にじゃガソリン価格についてどうなるかというお尋ねでございますが、現在の価格の下落状況というのが非常に大幅でございます。したがいまして、今回の石油新税価格上昇に寄与する分というのは、常識的に考えて各油種に配分されればそう大きくないわけでございまして、その辺につきましては主税局長の御答弁にもございましたように、まず下がるべきが下がって、その後で新税分として上がるのか、新税賦課を見越してある段階で下がり方がとまるのか、その辺は実際には製品需給状況等を反映して現実的には決まってくるんじゃないかと考えております。
  282. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、先ほど値崩れしているというような見方で、しかもその原因を幾つか挙げられましたけれども、まず、ガソリンが採算の高い商品であるという理由ですか、原因を先におっしゃいましたから、そのことに関連しまして、リッター当たり百十四円としまして、内訳は大体どうなっていますか。まず業者のマージンとそれから税金と、あと仕切り値、その内訳みたいな、大体リッター当たり、大ざっぱに内訳をちょっと教えてほしいですね。
  283. 廣重博一

    説明員廣重博一君) まず、元売り仕切り価格が幾らであるかということ、実はこれは私ども正確に把握するすべはないわけでございますが、最近の卸売物価指数等から推測いたしますと、キロリットル当たり五万円を若干割り込んでいるものが出ているんではないか、こういうことが言えるかと思います。それからあとガソリン税がございます。これが御案内のとおり、キロリットル当たり四万三千百円という数字がございます。これを足していただきますと、常識的ないわばその原価が出るわけでございまして、これと、先ほど申し上げました売り値との差が販売店における、販売店と申しますか、流通段階における諸経費と利潤を含めたものと、こういうことになろうかと思います。
  284. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、値段が下落している傾向から見ると、業者の採算はかなり悪くなりつつあるということですか、末端業者の、販売業者の。
  285. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 立地条件なりあるいは、取り扱い量等によって、現実の採算状態は区々だと思いますが、平均して、先生御指摘のとおり、最近のガソリン市況の乱れが揮発油販売業者の経営を圧迫している、こういったことは否めない事実だと存じます。
  286. 野末陳平

    ○野末陳平君 元売りの方はどうですかね。もともと採算が高いというんですが、どの程度が採算、たとえばキロリッター五万円割り込むといっても、どの程度が採算点になっているか、その辺も知りたいんですが、差益のことは別にして、わかりますか。つまり、末端の業者は非常に経営を圧迫されていると、マージンが幅が狭くなって苦しくなったというのはわかりましたが、元売りについてはどうかと、差益を別にして考えてはいけないかもしれませんが、採算点がちょっとわからないんで、もう少し詳しく、原価と言えるのが一体どういう部分かわかりませんが、大ざっぱでいいですよ。
  287. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 原価的には会社によって区々でございまして、正確なことは申し上げられないと思います。また、石油製品自体は御案内のとおり連産品でございまして、そのコストをどういうふうに製品に配分するか、こういった一定のルールもございませんので、私から先生の御指摘に対して的確なお答えを申し上げられないことは大変申しわけないと存じます。
  288. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは、ちょっと角度を変えましてお聞きしますけれども、値崩れしている原因が、採算点の高い商品だからみんなこれに集まって、しかも過当競争を招いていてというところは大体想像できるし、現実にそうだと思えるんですが、一つ問題は、元売りの製造とそれから販売と両方の能力というか、そこの製版のギャップですよね、それがもちろん元売りによって違うわけですけれども、この製版のギャップによって供給過剰を招いていて、結果的に値崩れになっているんでしょうけれども、この製版のギャップというのがどのくらいあるか、その辺がわからないんですよね。しかもそれが――いや、もしあれだったら、後で表で見せていただきゃいいんですが、ここが問題じゃないかと思うんですよ。別に値崩れをどうこうするというんじゃないんですよ。石油業界の体質そのものが、ぼくは、これから果たしてこのままでいいのかどうかと、石油を自由競争にたえ得る商品と見るか、あるいはそういう業界であると見るか、その辺非常に問題だなと思ってはいるんですが、とりあえずこの製販ギャップがある。しかもそれが供給過剰を招いていて、この辺の体質をほっといていいとは思えないんで、それについてちょっと通産省の見方を答えてほしいんです。
  289. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 御指摘のような、いわゆる製販ギャップというものが各社別にながめますとあることは事実でございまして、ただ製販ギャップと申しますのも、時々動いております取引でございますから、地域的あるいは季節的なアンバランス、あるいは摩擦的なギャップと申しますか、そういうものもあるでしょうし、あるいは資金繰りまたはその手持ち品の処理ということをする必要がある場合に出てくるというような場合もあろうかと思います。ただ、根っこにいま先生の御指摘になりましたような体質と申しますか、製造能力と販売能力の間に差がある企業があることは事実でございます。したがいまして、これが量的にどのぐらいあるかというのは実は非常にむずかしいものですからお答えできませんけれども、これがいわゆる精製、元売りを通じます石油の過当競争の原因の一つであるというふうに私ども理解しております。したがいまして、精製、元売りを通じます構造改善と申しますか、そういったことを進めていくことが実は望ましい方向であるというふうに考えておるわけでございます。
  290. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ大ざっぱに言って、どのくらい製造してて、販売はどのくらいで、その辺にだぶつきはどのくらいあるか大ざっぱにわかりませんか。大体常にこのぐらいは、何割ぐらいはだぶついているんだと、それわからないですか、業界全体として。
  291. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 個々の会社を各時点で見ますれば、いろいろ生産量とそれから販売量にアンバランスがあることはあると思いますけれども、全体的にながめますればマクロで一致するわけでございますから、基本的にどのぐらいいわゆる生産ギャップ量があるかということは、ちょっと把握しかねるのではないかと思います。また全体的に申しますならば、、石油供給計画でもって全体の油種間のアンバランスというのは図っておるものでございますから、そう先生の言われるように常に何割あるというようなものではないだろうというふうに考えております。
  292. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっとそれ保留しておいて、もう一つの末端のこの――ガソリンに限りますね、スタンドが多いのか少ないのかということなんですけれども、いま大体どのくらいあって、まだどんどんできつつあるんですけれども、これすらもいまでも少し多過ぎている、それなのにまだどんどん許可していく、どういう基準で許可するか、あるいはどこが許可するかは別として、このままスタンドをどんどんふやしていって、またまた業界が混乱する原因をつくっているようにも思うんで、それに対してはどういうふうにお考えですか。
  293. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 御説明申し上げます。  現在の揮発油販売業者の数は全国で約三万七千でございます。これらの者が所有しております給油所、いわゆるガソリンスタンドの数が約五万七千でございます。それで現在、昨年の五月から揮発油販売業法というのを施行していただいておりまして、これによりまして、揮発油販売業界の秩序ある発展を図るという、こういう法体制をしいていただいているわけでございますが、この法律におきましては、ガソリンスタンドは登録制ということになっております。したがいまして、一定の登録要件を満たしておりますれば、法律上は登録するのが私ども行政庁の義務でございます。ただ給油所の新設が過度に行われます場合には、いろいろと中小企業者が特にこういった業界多うございますので経営上の問題も出てまいります。そういったことから、私どもは一応ガソリンの需要の伸び、それから現在ございます給油所の生産性の向上と申しますか、一スタンド当たりの効率アップと、こういったことも踏まえまして、両者をにらみ合わせて適正なスタンドの建設数にとどめるようにと、こういった観点から元売り各社に対しましては秩序ある建設に対する要請を行っているところでございます。現在そういった私どもの要請を踏まえて、各関係者はスタンド建設に当たっていると思っておりますので、今後とも十分この動きを注視してまいりたいと考えております。
  294. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかしそうなると、元売りは自分のところのシェアを拡大するためにどんどんつくっていく、何か元売りがすべてスタンドをつくる力を持っているとすれば、またまたこの業界は強い弱いでかなり差ができてきて、いままでいろいろお聞きしましたけれども、その点はいい方には全然いかないように思いますが、どんなものですかね。
  295. 廣重博一

    説明員廣重博一君) 先ほどの御説明で申し落としたかと思いますが、、実は揮発油販売業法におきましては、非常に過当競争地区で販売業者の経営が不安定になっているような地区につきましては、これを指定地区として指定いたしまして、この地区におきましては原則として新しいスタンドの建設についての抑制的な措置をとることができる。また、販売価格が著しく下落しております場合には、 これについての価格是正の、法律的な用語で申し上げますれば勧告の規定等もございます。こういったこともございますので、これらと先ほど申し上げました行政的な措置をかみ合わせて十分万全を、期してまいりたいと考えておるところでございます。
  296. 野末陳平

    ○野末陳平君 末端の行政指導は大体その辺で十分おやりになっているんだと思いますけれども、ぼくが一番考えなきゃいけないと思っているのは、先ほどちょっと言いましたけれども、やはりこの石油業界をほかの品物、ほかの商品と同じように自由競争に民間に任せっ放しで果たしていいかと。何かあったときに、次のショックが来たときに果たして供給がスムーズにいくか、その他またいろいろな不安な問題も考えられますけれども、いつまで自由競争に任しておけるのかという基本的なことなんですよね。ですから石油税云々の前に、備蓄の話は先ほどからずいぶん出ておりましたけれども、それもまた大切だと思うんですけれども、この業界そのものが非常にゆがんでいるというか、少なくともほかの業界と比べてはまだそれほどしっかりしてないところが多いですから、そこでお聞きするんですよね。要するに、石油業界の体質をさらに強化させる方向にのみ行政指導が行く、それだけで十分なのか、それとも、石油そのものがもう民間に任しておく時代は過ぎつつあると、別の言葉で言えばこれはもう少し国がコントロールしなきゃいけないんで、自由競争に耐え得ないいまの業界の体質を考えれば、ただの行政指導で果たしていいかどうか。あと何年それがもつのか、あるいは何年後にはもう少しこれはこういう方向でとか、そういう基本的なことがないと、このまま野放しで自由競争やらせることがぼくは決して今後の石油供給を確保しないと、こう思うんですが、どんなものですか。
  297. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) いまの御指摘は非常に基本的な問題であろうと思います。ただ御存じのとおり、石油安定供給の確保ということは日本の経済社会にとりまして、これは民生用も含めてでございますけれども、至上命令であることは間違いないところでございますが、一つの考え方といたしましては、原油の確保というところが最大のポイントであって、それ以降のいわゆるダウンストリーム、製品段階については自由な競争をさせておくのがむしろ国全体の利益からいって望ましいのであるという考え方もあると思います。従来はそういう態勢でやってきておるわけでございます。ただ、いま先生御指摘のように、基本的なエネルギーであるだけに、いわゆる野放しでいいのかということになりますと、そうではございませんというのが現在の実態ではないかと思います。  具体的には石油業法というものもございますし、揮発油の販売業につきましては先ほどから御説明のあります揮発油販売業法というものもございまして、いろいろな制約が公共的な観点から加えられておるわけでございます。したがいまして、完全に野放しの自由競争をさせているというのが現状ではないというふうに私ども理解しております。ただおっしゃるように、国全体として安定供給の確保を図るということから申しますれば、原油の確保ということがまさに第一のポイントであるはずだと思いますし、それから、流通市場におきます混乱というのがじゃあ安定供給の確保の上に望ましいことかといいますと、残念ながら日本はメジャーから原油供給を受けている量というのが大体七割ぐらいでございますが、メジャーに対して供給の魅力といいますか、そういうものを与えておくということも安定供給確保上必要なことであるという見方もあるのではないかと思います。したがいまして、安定した流通であるというのが望ましいことは申すまでもないわけだと思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、すでに日本の石油そのものにつきましては野放しの状態ではない、いろいろな規制がかかっているんだということを前提にして考えて、さらに政策的に何か国がどうこうする必要があるのかどうかというところが問題なのではないかというふうに考えております。
  298. 野末陳平

    ○野末陳平君 いや、まあそれは基本的にはそうなんだけれども、じゃあ、果たして野放しの状態でないと言うけれども本当かな。きょうはやらないけれども、そんな簡単に考えていて果たしていいのかね。  流通市場の混乱と、もう一つ原油の確保と両方の問題ごちゃごちゃに話しておりますから、まあそういうお答えになるのが当然と思います。しかし、野放しでないと言ったって、たとえば円高になったんでもうどんどん油を買ってくるわけだ、販売能力もないところが。で、どんどんつくる。まあそこら辺だって、どうなのかな、規制がかかっているというのかな。おかしいな。  大体基本的にそちらのお考えはわかりました。ですからそれを通産省の石油政策というふうに考えて、ぼくはガソリンの問題を例にとりながらやりましたけれども、まだ何回か機会がありますから質問をさせてもらいたいと思います。  ところで、漠然とした話になりますけれども、一時のオイルショックのときはもう非常に、節約というよりも通産省が音頭を取って夜のテレビをやめさすような話になったり、ネオンを消すとかガソリンスタンドはとかいろいろありましたけれども、あれはどうなりました。あれはもう全く何も考えずにやっていいわけですか、これからは。
  299. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 大型のネオンの自粛でございますとか、それから休日におきますガソリンスタンドの営業の自粛等々につきましては、やめておるわけではございませんで、従来に引き続いて実施しておるわけでございますが、ただ最近の、ごく最近におきます石油の需給の実勢からいたしまして、若干その遵守率といいますか、これが落ちておるということは御指摘のとおりであると思います。  それで、それじゃどうするのかということでございますが、現段階におきます石油の需給の状況あるいは景気の動向等々から総合的に判断いたしますると、こういったネオンの規制でありますとかガソリンスタンドの休日自粛というようなことにつきまして、現在のベースをさらに強化するというふうなことに力を注ぐのではなくて、むしろ石油の消費の合理化を図っていく。たとえば産業につきましては省エネルギー型の設備投資をしていく、それから住宅につきましては断熱材の利用の促進を図っていく、それからエネルギー消費機器につきましてはエネルギー消費効率の向上を図るような基準を設けていくというふうな、前向きといいますか、エネルギー消費の合理化を図っていくということに当面重点を置くべきであろうと思いまして、現在これらに関します法律につきましても、今国会に提出すべく検討を進めておるというような状況でございます。
  300. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうですね。やはりそれをやらないと、少々テレビ消したりネオン消したって大した節約にもならないと思いますけれどもね。それをやると同時に、ぼくが言うのは、あんな鳴り物入りでやったのがもういまは、確かにそれほど差し迫った問題じゃないかもしれないけれども、あれっきりにしちゃうのもまずいんで、今後どうなんですかね、日本ほど石油がないのに乱費しているところはないわけですから。通産省が、せっかくあそこまで雰囲気が盛り上がったときに大騒ぎして、もういまはほかの方がいいんだと。遵守されてないって言うけれども、だれも守ってないよ、遵守率が落ちたとかそんなんじゃない、全くだれも忘れている。  それは日本人全体もいけないことだけれども、やっぱり石油を扱っている通産省が何となくゆるふんになっちゃうのもまずいんで、ここはやっぱり浪費癖を改めるためにはやるべきじゃないかと思うんですよ。だから消費の合理化が一番いいことですし、それから経済成長の問題もありますし、いろいろ複雑にあると思いますけれども、一般の国民に対してはやはり節約ムードで、何といいますか、もっと石油、油の重要性を行政ベースでやらなきゃだめじゃないかと思うんですが、それをまたやらないと一騒ぎ起きるんじゃないかとか心配することがいっぱいあるので、わりとのんびりしているなあという気がするんですよ。  ですからぼくは、需給の問題とかそれから産油国の問題とか幾つもあるし、代替エネルギーの問題もあるし、それはこの問題はお金もかかるし時間もかかるし、対策と言っても一つ二つじゃ済まないのはわかっていますから、むずかしいのは。しかしやっぱり最後は、アメリカじゃないけれども、油があっても節約をしようというふうに行政ベースで強力に呼びかけて、国民も自覚する。日本はそこへいくと全然ないわけです。これをほっておいていいのかというのがやはりもう一つ頭にひっかかる。だから石油税で、この金どうするということも議論としては大事だけれども、そればかりやっていて、次のショックに備えるためにはそれで十分かどうか、備蓄で十分かどうか、そういうことを考えるんです。だから簡単なことなんで、ああいう自粛、規制をちょっとやって、もうのど元過ぎればで、お役所も忘れちゃっている。国民はもっとはっきり言って忘れっぽい。だからまあほどほどでなんというような、そう思ってないかもしれないけれども、現実にはやっぱりそうですね。世界のどの国から見ても異常ですよね、日本の油の使い方は。節的ムードすら全然ない。やはりここらで音頭をとってきちっとやるのが大事だと思うんですが、消費の合理化だけでいいのかどうか。それ最後にしまして、次にもっとおもしろいことをやりますよ。おもしろいことと言うと語弊がありますけれども、やはりこれが非常に重大な業界は問題だということを、ぼくはそれを言いたいですよ。少しのんびりし過ぎているような気がしてしようがないんだ。まあ最後に節約問題について一言。
  301. 大永勇作

    政府委員(大永勇作君) 節約問題につきましては御指摘のとおりでございまして、まあむだを省くということは、これはエネルギーの、石油の大部分輸入しております日本にとりましては非常に大事なことであると思っております。まあいまのような不況なときに余りけちけちしたことを言うことがどうかというふうなムードも若干ないわけではないわけでございますが、まあ先生のいまのお言葉を激励の言葉というふうに受けとめまして、今後ともエネルギーの節約につきましても、合理化だけではなくて節約につきましても努力をしてまいりたいというふうに存じております。
  302. 野末陳平

    ○野末陳平君 結構です。
  303. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  次回は四月十一日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会