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政府委員(田中敬君) 各個別機関の実態を申し上げます前に、一応概括的に申し上げたいと存じます。
と申しますのは、先般某新聞に政府
関係機関の資金の使い残しが相当金額出るという
報道が出ておりましたけれ
ども、計数的に相当間違いもございますので、改めて私
どもの現時点における
見通しを申し上げてみたいと存じます。
大体、政府
関係機関の財政投融資のうち、資金運用部資金の運用予定総額に対しまして五十二年度末、この三月末で繰り越し額の見込み額が昨年度一兆四千七百億円程度でございましたのに対しまして、本年度は二兆一千七百億円程度の繰り越しが見込まれております。
それから、繰り越し以外に不用額というものが見込まれておりますが、それも現時点での
見通しでは、昨年の一千億円に対しまして本年度は約四千八百億円の不用が立つであろうと
考えているわけです。
大きく分けまして、その繰り越し、不用の大きなものは、最大のものは地方公共団体でございます。地方公共団体の繰り越し予定額が一兆三千二百四十八億ということでございまして、追加後の現額二兆五千億に対しまして繰り越しが一兆三千億、半分以上の繰り越しが出るということになります。地方公共団体につきましては例年こういうことがございまして、地方公共団体が起債をいたしましていろいろ公共事業等を行います際に、現実には資金繰りは短期で金を借りる、あるいは地方銀行から金を借ります。そうしまして出納整理期間に入りまして、いわゆる財政資金でございます資金運用部に対しまして長期の借り入れに切りかえて、そこで起債
措置をするということでございまして、二兆一千億のうちに地方公共団体が約一兆三千二百億ございますので、この分につきましては四月、五月にその過半が起債という形で消化されます。
この点につきましてよく
報道されております、起債が十分に行われてないから公共事業の推進が滞ってるんではないかということが言われますけれ
ども、実際の公共工事の進捗
状況というものは、ただいま申し上げましたように、地方銀行等から、低
金利時代でございますので
短期資金を借りてやっておりますので、その進捗には問題がございません。
あと二兆一千億の繰り越しのうち地方公共団体が大半でございますので、その問題は解明できるわけでございますけれ
ども、今度は約四千八百億の不用の問題が出てまいりますが、これの大きなものが先ほ
ども御
指摘のありました住宅公団、輸出入銀行、住宅公団で約二千三百億、輸出入銀行で千百五十億、開銀で三百億、それから地域振興整備公団で三百三十億、大口が大体そのようなところでございます。
まず、御
指摘のありました機関から申し上げますと、開発銀行につきましては、ただいま申し上げました三百の不用以外に、約四、五百ないし場合によっては八百億程度の繰り越しが出ることが見込まれております。これは御承知のような景気情勢でございますので、設備投資のおくれその他によりまして資金需要が低迷しているというのが最大の原因でございます。それともう
一つは、長期
金利が下がるんではないか、現に今回公定歩合め引き下げがございまして長期
金利の引き下げが予想されておりますので、引き下げ後に借りようということで借り控えが起きているというのも
一つでございます。
それから大口の輸出入銀行につきまして不用が一千億以上、約一千百億立つと申し上げましたけれ
ども、この不用の原因は、こういう最近の景気情勢あるいは
円高の情勢でございますので、海外から延べ払いで、物を
日本から輸入して海外からの弁済が繰り上げ弁済になっております。そういたしますとその金が輸銀に戻ってまいりまして、繰り上げ弁済額が約一千億を超えるような額で予定よりも早まってきておりますので、その繰り上げ弁済額に相当する金額というものは、結局財政投融資計画といたしましてはその一千億を自己資金として輸銀に充当いたしますと、財政投融資の金額がそれだけ一千億不用に立てても結構だと、貸付計画には
変動が起きないということで、そういう
意味で一千億の不用が立っております。
一方、繰り越しが相当、輸銀につきまして先ほど申し上げましたように千九百五十億程度の繰り越しが予定されておりますが、これは
一つには、こういう景気情勢のためにプラント輸出等も受け入れ先の方からも手控えられておるということで、プラント、船舶の輸出が当初計画よりも下回っておること、あるいは輸入金融につきましてもこのような景気情勢で輸入が伸びておらないというようなことで、輸出入銀行につきましては繰り越しが相当目立っておりますけれ
ども、これは年度を越して五十三年度と通年すれば、いろいろプラント等の計画は現実にございますので順調な支払いが行われるものと
考えられております。
それから住宅公団でございますが、住宅公団につきましては御承知のように空き家問題等がございまして、多くの問題を抱えております。そういう
意味で住宅公団が事業計画の見直しを現在行いつつございます。五十年度当初計画で六万戸、五十一年度も当初計画で六万戸の計画を着工を予定いたしておりましたけれ
ども、五十年度につきましては六万戸の消化は可能でございましたけれ
ども、五十一年度は現実には六万戸でございませんで、五万戸の建築しか行えないということになっておりまして、ここで一万戸の減が立っております。それから五十二年度につきましては当初計画六万戸でございましたけれ
ども、私
どもが現在聞いておるのでは六万戸は建たずに、恐らく五十二年度は三万五千ないし四万戸で終わるであろうと、そういうことなどで新たに事業計画の組み直しを
考えておりますが、それらに見合います金額といたしましてただいま申し上げました二千二百八十億というものが一応不用になってまいります。
そういう
意味で住宅公団につきましては不用、繰り越しが相当多額になっておりますけれ
ども、これらは不用は別といたしまして、繰り越しの二千三百億というものは、ただいま見直した新たな住宅建設計画に基づきまして五十三年度に繰り越された上で消化が進むというふうに
考えております。
あと、地域振興整備公団につきましても約三百億の不用が見込まれておりますが、これも地方都市整備事業につきまして地元公共団体との折衝がつかないとか、あるいは工業の再配置事業につきまして、最近の景気情勢から工場移転というものが進まないというようなことからの不用でございます。
それから石油公団で不用が出てまいりますのは、石油の輸入単価が下がりましたために備蓄のための輸入原価が下がったことというようなことが大きな原因でございます。
大体以上のような機関で多くの繰り越し、不用が生ずるわけでございますが、不用の四千八百億ぐらいが出ることは本年度五十三年度の財政投融資計画を組みます際に私
どももあらかじめこれを見込んでおりましたので、この不用見込み額の四千八百億円程度につきましては、これを五十三年度の財政投融資計画の原資に充当するということで、これは五十三年度の財投計画にすでに資金として計上済みになっております。