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1978-02-28 第84回国会 参議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十八日(火曜日)    午後三時八分開会     ―――――――――――――    委員異動  二月十五日     辞任         補欠選任      藤川 一秋君     戸塚 進也君      高平 公友君     宮田  輝君      丸谷 金保君     吉田忠三郎君      矢追 秀彦君     多田 省吾君  二月二十八日     辞任         補欠選任      藤井 裕久君     真鍋 賢二君      桧垣徳太郎君     降矢 敬雄君      中村 利次君     柳澤 錬造君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 藤田 正明君                 細川 護熙君                 福間 知之君                 塩出 啓典君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 降矢 敬雄君                 真鍋 賢二君                 宮田  輝君                 穐山  篤君                 竹田 四郎君                 矢田部 理君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 佐藤 昭夫君                 渡辺  武君                 柳澤 錬造君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        大蔵政務次官   井上 吉夫君        大蔵大臣官房審        議官       福田 幸弘君        大蔵省主計局次        長        禿河 徹映君        大蔵省関税局長  戸塚 岩夫君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        国税庁間税部長  矢島錦一郎君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        経済企画庁物価        局審議官     下山 修二君        外務省経済局外        務参事官     羽澄 光彦君        水産庁漁政部水        産流通課長    黒木 敏郎君        通商産業省通商        政策局国際経済        部通商関税課長  宇田川治宣君        通商産業省基礎        産業局非鉄金属        課長       原木 雄介君        通商産業省生活        産業局総務課長  宮本 治男君        資源エネルギー        庁石炭部計画課        長        向阪  浩君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、藤川一秋君、高平公友君、矢追秀彦君及び丸谷命保君が委員辞任され、その補欠として戸塚進也君、宮田輝君、多田省件君及び吉田忠三郎君がそれぞれ選任されました。  また本日、中村利次君及び藤井裕久君が委員辞任され、その補欠として柳澤錬造君及び真鍋賢二君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。村山大蔵大臣
  4. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における内外経済情勢の変化に対応し、関税率等について所要改正を行おうとするものであります。  以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、東京ラウンド妥結前の関税一括引き下げであります。  御承知のように、東京ラウンド交渉は、関税引き下げや非関税障壁軽減撤廃を通じて世界貿易拡大自由貿易体制の維持を図ること等を目的として、目下本格的交渉段階に入っておりますが、わが国はこれに積極的に取り組んでいるところであります。  政府は、かかる東京ラウンド交渉妥結促進を通じて保護貿易主義高まりを抑えるとともに、わが国輸入増大に資するため、同交渉妥結前に、乗用自動車等百二十四品目について関税率引き下げを行うことといたしております。  また、この関税率引き下げ措置による不測の影響に機動的に対処するため、本措置により特定の貨物輸入増加し、国内産業が相当な損害を受け、または受けるおそれがある場合は、政令貨物を指定し、この引き下げ措置を停止することができることといたしております。  なお、これらの改正事項施行期日については、東京ラウンドが本格化しているこの段階において、交渉妥結促進を図ろうとするわが国姿勢を具体的に示すとともに、輸入増大に資するという所期の目的をできるだけ速やかに達成するため、他の改正事項に先立ち、改正法の公布の日から施行することとしております。  第二は、原重油関税改正であります。  政府は別途御審議をお願いいたします石油税法案により石油税を創設し、石油対策の財源を拡充することとしておりますが、これに伴い、原油関税について、その税率現行の一キロリットル当たり七百五十円から六百四十円に引き下げることとし、重油関税の一次税率についても、これに見合う引き下げを行うことといたしております。  また、比重の高い原油のうち、石油の安定的な供給の確保を図るため特に必要があるものとして政令で定めるものについて、国内への引き取り円滑化に資するため、その関税率を暫定的に一キロリットル出たり百十円軽減することといたしております。  なお、これらの改正に伴い、石油化学製品製造用原油等に係る関税減税還付制度につき減税還付率調整を行うことといたしております。  第三は、その他の関税率等改正であります。  まず、最近における産業状況等を勘案して、以下の三つの措置を講ずることとしております。  その一は、麦芽について関税割当制度の一次税率を一〇%から五%に引き下げるとともに、二次税率を一キログラム出たり二十円から三十円に引き上げることといたしております。  その二は、アルミニウムの塊を新たに関税割り出て制度の対象として、割り当てに係る数量に適用される関税率現行の九%から五・五%に引き下げることといたしております。  その三は、鈴の塊の無税点精製鉛の場合一キログラム当たり百五十円から百四十円に引き上げることといたしております。  次に、昭和五十三年三月三十一日に適用期限の到来する大豆、トウモロコシ等七百六十六品目暫定税率適用期限を一年間延長するとともに、給食用脱脂粉乳免税等各種減免税制度について、適用期限をさらに三年間延長する等所要改正を行うことといたしております。  また、今回の関税率引き下げ及び別途御審議をお願いいたします酒税法改正等に伴い、入国者が携帯して輸入するアルコール飲料に対する簡易税率表につき、所要改正を行うことといたしております。  このほか、関税率表における物品分類のための品目表に関する条約で定められている品目分類国際的基準改正されたことに伴い、関税率表についても所要調整を行うことといたしております。  以上、この法律案につきまして、提案理由及びその概要を申し述べました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 穐山篤

    穐山篤君 ただいま一般的な改正説明を受けたわけですが、本格的なガットの交渉を前にして、これだけの、百十数項目について前倒しを行うわけですけれども、その政治的な特徴と言いますか、あるいはこの品目の中を一覧をしておりますけれども、経済的な分野から言ってどういう特徴があるのか、もう少し突っ込んだ説明をいただきたいと思います。
  7. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) このねらいといたしますところは、御案内のように、一方におきまして最近におきます経常収支の国際的不均衡、こういうことから非常に保護主義的な高まりがあるわけでございます。自由貿易体制を基本といたしますわが国にとりましては、これに対して大いに警戒的でなければならぬと思います。  一方、東京ラウンドの問題は、その後石油ショックあるいはアメリカにおけるいろいろな問題がございまして今日まで延び延びになったわけでございますが、わが国ホスト役を務めておったわけでございます。その意味で、その両面からいたしまして、この東京ラウンドのこれからの成功が望まれるわけでございますので、そういうねらいを持ちまして、率先して東京ラウンド前倒しをやることによりまして経常収支均衡、特に輸入拡大、こういうものを通じまして保護主義的な高まりを抑えるとともに、東京ラウンドについてわが国が積極的な役割りを果たしたい、かように考えておるわけでございます。  選びました品目につきましては、詳しくは後ほど必要に応じまして関税局長からお答えいたしますが、わが国が大体国際競争力を持っておる物、あるいは実際に必要とする以上に現在張ってある関税率が高いという物で、しかも国際的関心の強い物を品目に選んだわけでございます。ただし、その中で中小企業製品であるとか、あるいは構造不況業種に属する品目につきましては、これを避けるように努めました。  以上の措置によりまして、さきに申しましたようなわが国に打撃を与えないで、しかも今後必要とするわが国姿勢を示してまいりたい、こういう意味提案いたしたわけでございます。
  8. 穐山篤

    穐山篤君 最近、ECにしろアメリカにしろ、いろいろな代表日本に来ていろいろな通商の相談をして帰っているわけですが、せっかくのこの前倒しに対するアメリカあるいはEC印象態度というものについて、印象ですから感触以上には出ないと思いますけれども、ごく最近の状況をひとつ明らかにしてもらいたい。  しかしその場合に、われわれが聞いております情報、ニュースなどから見て、前倒しの話もさることながら、いずれのブロックからも具体的な物品を指定をして、購入の量、輸入の量を拡大をしろという主張の方が非常に強いやに見るわけですね。そうしますと、この前倒しの政治的な影響と言いますか効果と言いますか、そういうものについて非常に懸念をするわけです。あわせてその点も明らかにしていただきたいと思います。
  9. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 関税前倒し引き下げに対する各国評価でございますが、ストラウスというアメリカ通商代表大使、御存じだと思いますが、去る二月の上院の財政委員会公聴会で、わが国が非常に経済困難な状況のもとでこういう措置をとったということについて、大変評価した発言をしております。  またECでございますが、先日、ECのメイネルという局長が来日したんでありますが、やはり同様に、この前倒しをやっていくということについて日本の積極的なMTN、東京ラウンドに対する姿勢の具現として評価をしております。  で、いろいろ具体的な関心のある品目についてアメリカなりECなりが言っているのではないかというお尋ねでございますが、関税前倒しそのものについて追加をしてくれとかいうような趣旨の話は出ておりません。東京ラウンド全体の中でこういう品目についてディーパーカットをしてくれというような要望は聞いておりますが、この前倒しの中にさらに入れてほしいというような話はアメリカからもECからも具体的に出ているわけではございません。
  10. 穐山篤

    穐山篤君 感触ですからそれ以上のことは無理だろうと思いますが、ただこういうことは言えるんじゃないかと思うんですね。アメリカブロックあるいはECブロックにしてみても、日本の進出が非常に気になって相当いろんな圧力を加えてきている。最終的にはジュネーブで取りまとめをするわけなんだけれども、この程度前倒しというのは当然のことである。あるいは福田総理大臣が言っておりますように、関税前倒しというのは国際的にも非常に重要なものだというふうな気持ちを諸外国は持っていないんじゃないかと、こんなものは当然だというふうに私どもは受け取るわけです。これは後で、ことしの夏のジュネーブ交渉の問題についてもお尋ねをするわけですけれども、それとのかかわり合いが非常に強いわけですね。言いかえてみれば、日本があらかじめどれだけの具体的な誠意を示すか、その一つとして前倒しの話があるわけですね。しかし、この程度は当然日本としてはやるべき事柄であって、それほどいばるほどの仕組みの問題じゃないというふうに私どもは受け取るわけですが、ここは見解の相違ならばやむを得ないというふうに思います。  さてそこで、理屈の上から言えば、輸出もふやすけれども輸入をもっと増加をする、あるいは輸出を減らしながら輸入増加をする、収支の面から言えば物理的に言えば単純な事柄だと思うんです。言いかえてみれば、この前倒し輸入促進をするという具体的な効果を持たなければ、せっかくの今回の措置もから振りになってしまうわけです。  そこで、具体的にお尋ねをするわけですけれどもアメリカにしろECにしろ、前倒しの話も当然ですけれども、その先ですね。具体的に言うと、大臣施政方針の中で言われておったんですけれども日本物流事情というのは非常に複雑怪奇である、これが輸入を非常に阻害をしている一つの原因だということも指摘をしているわけですね。あるいは非関税障壁などの問題についても、これまた指摘をされているわけです。そうしますと、単に前倒しをしたからこれで諸外国の攻撃をとりあえず抑えるということには私はならぬじゃないかと思うんです。言ってみれば、貿易体制全体について明確な日本態度が明らかにならなければ、せっかくの前倒しの今回の措置評価をされないというふうに思うわけです。したがって、もう一歩突っ込んで、いま申し上げましたような部分を含めてひとつ明らかにしてもらいたい。
  11. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま穐山委員の御指摘された点は当然なことでございまして、わが国もこの前倒しだけでやろうというわけではもちろんないわけでございます。内需拡大ということがやはり基本的であるということ、これはわが国ももちろん、外国もみんなそう思っているわけでございまして、ことしの予算編成方針の中心をなしているわけでございます。しかしまた、それだけでもってそれなら経常収支なりあるいは国際収支というものが好ましい姿になるかと申しますと、なかなかそうもいきかねる、いま御指摘のいろんな点があるわけでございます。  そこで、一連対外政策グローバル見地から、特にアメリカとかECとかいうことでなくてグローバル見地からすでにとりまして発表いたしているわけでございますが、それは広範にわたっておりまして、御承知のように、一つには緊急輸入の問題もございます。また、わが国輸入金融の問題、金融制度の問題も一つあるわけでございます。あるいはまた、貿易における標準決済制度、こういう問題が非関税障壁的ではないかということも言われております。あるいはまた、いろいろな動物の検査とか疫病の検査について少し時間がかかり過ぎる、これも非関税障壁ではないであろうか。その他いろいろなことが言われているわけでございまして、わが国はそれらの問題を全部ひっくるめまして一連対外政策を講じたわけでございます。関税前倒しのこの措置もその一連関係一つでございますけれども、いずれにいたしましても、この東京ラウンド前倒しをやったという国はわが国だけだろうと思いますし、これだけで目的を達するわけではないけれども、その姿勢については高く評価されておると私は理解いたしているところでございます。
  12. 穐山篤

    穐山篤君 せっかくお話があったわけですから、たとえば検査の問題にしましても、あるいはその他事務的な障害の問題についても、アメリカECから注文がかなり前からあるわけですね、こういう点をこういうふうに直してほしいと具体的に日本注文があったはずなんです。それについて、わが国としてはECなりあるいはアメリカブロックからの要望に対して、こういう部分はこういうふうに改正いたします、あるいはこういう部分についてはこの段階改正の運びにしたいという、そういう具体的な問題を明らかにしなければならぬ段階だと思うんです。すでに政府の部内では一部検討が進んで、部分的にはヨーロッパ、アメリカに対しても回答しているやに聞いているわけですけれども特徴的な改正案、あるいは具体的な改善策というものについてもっと明らかにしてもらいたい。
  13. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 内需拡大あるいは七%の成長ということはもうすでに国会に提案しているところでございます。それから、残存輸入制限の枠の拡大についてもすでに明らかにしているところでございます。また輸入標準決済制度については、将来その撤廃を含めて具体的に緩和していくということも、これまた明らかにしているところでございます。輸入金融につきましては、外貨貸し制度あるいは日銀の輸入資金枠拡大措置、これも明らかにいたしておるところでございます。また緊急輸入につきましては、具体的にいま各品目ごとにそれぞれ交渉を進めておるところでございますが、相手方の都合でなかなか輸入ができない問題もありまして、その点は先方も承知しているところでございますけれども、鋭意考えられる緊急輸入につきまして、いま具体的に手を打ちつつあることは、世界各国はほとんどもう了承をしているところでございます。  さらに、全般的な問題といたしまして、四月一日ごろから為替管理の大幅な自由化をいま考えておるところでございます。将来は、いまの為替管理原則禁止、例外自由というあの根本的なたてまえそのものをいずれは改正しなくちゃならぬと思いますけれども、さしあたりその根本的な改正をする前に、およそ四月一日ごろを期しまして、現在の段階改正し得るものは思い切って自由化の方向に進もうということで、先般新聞紙上でも発表したところでございます。そういうことで、これは計画にとどめませんで、すでに実施に移しておる、あるいはいついつごろに実施する、こういうことを内外に明らかにいたしているところでございます。
  14. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 関税問題につきましては、先生指摘のように、東京ラウンド本格交渉に入っているわけでございます。去る一月十八日に、鉱工業品についてどの程度関税率引き下げるか、農産品につきましてどの程度引き下げるか、あるいは非関税障壁につきまして、各国からリクエストのあったものにつきましてどの程度オファーを出すかというのをジュネーブの方に日本は提出いたしました。  第一の鉱工業品についてどの程度引き下げるかという点でございますが、御承知のように、現在高い関税率になっているものについては深くカットをする、現行が低い税率についてはカット幅を小さくする、その結果、各国関税率がハーモニーになっていくというような方式が一応合意されまして、それにのっとって、日本もその方式どおりやれない例外の品目をできるだけ少なくし、それをオフセットするような形で、ディーパーカットする品目をたくさん選びまして、結果値におきましては四二%ぐらい関税率引き下げるというオファーを出しております。  また農産品につきましては、そういうカット率を単純に当てはめて引き下げるわけではなくて、個々のリクエストに対してオファーを、出したわけでありますが、これについても日本はかなりの品目についてオファーをしております。  また、検査等の非関税措置があるだろうという先生お尋ねでございますが、それに対しても各国からいろいろのリクエストがございました。これに対しては約十五のオファーを行っているということでありまして、先ほども大臣が申しましたように、東京ラウンドホスト国として積極的に参加し、これが早期に妥結され実施に移されるということが大変必要だという態度で取り組んでいるわけでございます。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 輸入促進をする、国際的な関係から言えば当然でありますけれども、これが具体的にどれだけの効果があるかというのはこれから見なければなりませんけれども、その前提としてと言えば語弊がありますけれども、先日、輸入品価格動向調査をやられたということについては非常にいいことだと思うんですが、この調査結果を見ましても、ストレートに安くなったもの、これは歓迎すべきものだと思います。ただ、輸入品そのもの値段が高くなっているものについて、それを安く販売するということは不可能ですから、そのことは許されないと思いますけれども、これでも指摘をしておりますように、まだ日本の業者が企業努力を非常にサボっている、あるいはこの際少し蓄積をしようという意味で、客観的に見てもう少し何とかなりそうだと思っている品物でさえもなかなか値段が下がらずに販売されているという結果があるわけです。この関税前倒しによって政府自身としては何とか量としてもふやしたい、あるいは国民生活の上から言ってみても日本産業を圧迫しない範囲において消費者の利便を図りたい、こういう気持ちは皆同じだと思うのです。  しかし、この調査の結果から考えてみましても、前倒しをやったからストレートに大量に安い物が、消費者気持ちに沿った物が輸入をされる、あるいは消費者の手元に安い価格販売をされるということを機械的にのみ込むことは私はできないのじゃないかというふうに思うわけです。そういう意味では、具体的に前倒しをやった後の輸入についても追跡調査を十分にやらなければならないという私は使命なり役割り政府としても持っているだろう、持っていなければならないだろうというふうに思うわけですが、その辺のアフターケアを含めてどういうふうにお考えになっておりますか。
  16. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) いまお尋ねの、関税率前倒し引き下げがあったならば、それが国内販売価格に十分反映するようにしていかなければいかぬという御指摘でございますが、私も全く同感でございます。  それにつきましては、まだこの法案通っているわけではございませんが、通った暁にはどうしようかというような申し合わせを、きのうでございますが、企画庁の方で主宰していただきました物価担当官会議の中で一つの項を起こしていただきまして、読ませていただきますと、「現在審議中の関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に基づき関税の引下げが実施された場合には、その効果が適正に国内販売価格に反映されるよう適切な対応を図る。」という一項を起こしてもらいました。私ども先生の御指摘のような気持ちで対処してまいりたいというように考えております。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 さて、輸出輸入関係ですが、最近の資料を見ましても、交易条件指数、四十五年を一〇〇にしたやつを私は見ているわけですけれども、去年の十一月は七八になっておりますね。簡単に言えば日本貿易構造というのは押し出し圧力型の貿易構造になっているというふうに、概念的ですけれどもそういうふうに見て差し支えないと思うのですね。ですからこの構造を変えるためには、単に世間の実勢に任しておいたのでは、この交易条件指数にあらわれておりますように変わらないというふうに思うわけです。依然として輸出がふえ輸入が少ないということに陥らざるを得ないし、過去の具体的な例から見てもそういうふうに判断できるわけですね。  そこで、国内にはそういう意見は少ないわけですけれども日本輸出規制、自主的な規制を行うべきじゃないか、そういうところから貿易構造を漸次変えていかなければ貿易の不均衡は続くぞというふうに再三指摘を受けているわけです。ですからこの輸出押し出し型の状況を具体的にコントロールをしていくということがなければ、一時的に前倒し評価されたとしましても、それはごく一定の期間前倒し評価を受けるだけであって、この提案理由の中にもありますように、保護貿易主義というものを何とかはずそうという立場から言えばやや心配になるわけです。したがって、その輸出押し出し圧力型の貿易構造をどうやって変えていくか、これは業界には業界なりの考え方もあるだろうと思いますが、やはりこれは国際的な課題ですから政府自身が十分にかんで進めていかなければならぬと思うんです。その点いかがですか。
  18. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま穐山委員が直接お尋ねになった点はあるいは通産行政の問題点の方が多いのかとも思いますが、まあ私の知っている限りでお答えいたしますと、一つは何といっても内需拡大はやはりそれなりに輸出圧力を国内に向けるであろうということが一つ言えるだろうと思うのでございます。  それから国際収支の黒字は、長い目で見ますれば、当然のことでございますけれども今度は逆に働くわけでございますから輸出に圧力はかかるわけでございますが、短い期間で言いますとどうしても価格効果の方が出てくるものでございますから、そう急には改善が望めないということは言えるだろうと思うのでございます。  それから、輸出の問題についてもう一つ、いまお触れになりませんでしたけれども日本の方はやはり縮小均衡ではなくて拡大均衡をやっていこうというわけでございまして、特に製品輸入をできるだけふやしたい、こういうことでございますが、しかし、輸出についても余り集中豪雨的な輸出ラッシュというものは、いかに自由貿易主義を世界がとっておったといっても、そこにはおのずから節度が、自由貿易を長く保つためにもやはり集中豪雨的なものは自由主義貿易の立場からも考えにゃならぬということで、自主規制を求めているわけでございます。  いま穐山委員が御指摘になりましたのはまたそれとは別の要素で、日本産業構造あるいは貿易構造が景気の好不況にかかわらず、いわば輸出型の産業日本経済の中にビルトインされておるんじゃないか、恐らくそういう御指摘であろうと思うのでございます。その点も、何が、どの業種がどうかということは申し上げられませんけれども、そういうものもやはりあるんじゃなかろうかということが一般に論議されているわけでございまして、その問題は貿易構造の問題だけでなくて産業構造の問題に恐らく触れてくる問題であろうということで、通産当局の方では単なる貿易構造だけの問題でなくて産業構造の問題としてとらえまして、そして今後長期的視野からわが国の経済の構造を直していこう、こういうふうにいま向かっているように私は理解いたしておるのでございます。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 総合的な対応ですからいろんな分野から詰めなければならぬと思うわけですが、たとえば最近イギリスからの指摘によると、日本の自動車の輸出が非常に大きい、イギリスの中におけるシェアがかつては実績として一〇%前後であったものが一二、三%台に入ってきた、イギリスの自動車産業から言えばこの程度の数字であっても脅威を感じているわけですね。そのことはアメリカでもどこでもみんなすべて自国の立場から言えば、国益を守るという意味から言えば皆同じだろうというふうに思うわけですね。ですから、業界の自主規制あるいは節度ある輸出というものに十分にまつわけなんでしょうけれども、本格的な東京ラウンドの話がまとまるまでの間においても輸出が急増していくということになれば、先ほどお話のあった四二%の話というものも根底から崩れるし、それ以外の幾つかの問題点まで大変な圧力が加わるというふうに見なければならぬと思うんですね。そういう意味でいきますと、前倒しと同時に節度ある輸出についての考え方をもっと明確に出さなければうまくないのではないかと思うんですけれども、その点もう一遍お伺いしたいと思うんです。
  20. 宇田川治宣

    説明員宇田川治宣君) 御説明申し上げます。  通産省の通商政策局通商関税課長をいたしております者でございますが、ただいま穐山先生の御指摘の点につきましては、大蔵大臣から先ほどお答えになりましたように、わが国といたしましては基本的に資源に非常に乏しい、かつ、その中で安定的な成長を続けていかなければいけないというふうな観点からいたしまして、先ほど大臣からもお答えになりましたように、縮小均衡を図っていくというよりは自由貿易立国という国是を堅持しつつ拡大的な均衡を図っていくということが基本的な方向づけであろうかと思います。しかしながら、先生指摘のように、わが国の商品の輸出が相手国の市場におきましてフラッドするといいますか集中豪雨的な輸出を行うというふうな結果によりまして相手国の市場が撹乱状態になるというふうなことは長い目で見て決して得策ではない、わが国にとりましてもまた相手国にとりましても、あるいは世界貿易全体におきましても決して得なことではないという意味で、御指摘のような節度ある輸出を図るということが必要だと思っております。  そういう観点から、私ども政府といたしましては各それぞれの輸出商品につきまして、その輸出状況あるいは相手国の市場の状況というのを常時注視いたしまして、その成果といたしまして、相手国の政府あるいは相手国の業界の動きというものを的確に把握するように常時努めておりまして、かつ、わが国の業界に対しましてそういう情報を流し、あるいは相手側に撹乱的な状態が生じないように節度ある輸出を行うというふうなことで注意を喚起しているところでございます。  その結果といたしまして、たとえば先生が先ほど御指摘になりましたイギリスの自動車というふうなものにつきましては、先般、イギリスの自動車業界と日本の自動車業界とがお互いに情報交換をいたしまして、わが国のこれからの輸出動向というふうなものを日本の業界からイギリスの自動車業界に十分説明をいたしまして、相互の理解を深めていくというふうなことを行っている次第でございます。  なお、そのほか集中豪雨的な輸出がかつて行われたたとえば家電、家庭電器につきましても、必要がおきます場合には輸出入取引法あるいは輸出留易管理令というふうなものの規制の枠をかぶせまして、オーダリーマーカッティングといいますか、秩序ある輸出を行っていくということを必要に応じてとっていくということでございますし、これからもそういう撹乱的な状態がないように十分配慮してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 まあけちがつけられるときには一遍にいろんな問題が起きるような感じがするし、現にいまその時期ではないかというふうに思いましす。  いまの問題に関連をして特徴的な問題が二つ、時間の関係で見解を明らかにしていただきたいんですが、最近アメリカで相殺関税の事件といいますか、訴訟が現に起きているわけです。これは御承知のことだろうと思います。日本政府は、あるいは開発銀行など政府機関の非常に低利の融資をして、その上に特別措置法で税金も相当軽くする、その上に立って輸出が行われているので市場荒らしだと。こういうことを軒並み許しておったんでは公正な貿易あるいは競争ということにはならないということで、二月二十二日の新聞報道によりますと、アメリカの最高裁が相殺関税の問題についてゼニス社からの上告を受理をしたと、こういうふうに報道をされているわけです。  こういう話は最近久しぶりに聞く話でありまして、従来私どもが知っている限りではそういうことは相殺関税の対象にはガットの協定上から言ってみてもならないというふうに聞いていたわけですけれども、さてこういうむずかしい段階になりますと、背に腹はかえられない理屈が国際的に出てくるんじゃないかというふうに思うわけです。  したがって、その低利融資なりあるいは税金の特別措置なんかの種々の恩典を伴った輸出についての争いというのは、理屈にはならぬぞとは言ってみても、現に紛争が起きておるし、アメリカではそれが裁判として進行しようとしているわけです。これはわれわれ日本にとっても重大な関心を払わざるを得ない問題ではないかというふうに思いますが、その具体的な中身なりあるいは考え方、対応の措置について決まっておれば明らかにしてもらいたいと思います。
  22. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 先年御指摘の米国の問題は、アメリカのゼニスという会社が日本のテレビの輸出に関連しまして、日本物品税免除というのは補助金ではないか、したがって、補助金を相殺する相殺関税アメリカの方で張るというような訴えをいたしまして、第一審ではゼニス社が勝って、第二審では負けて、そして最南裁判所の方に係属したということでございます。  物品税というのは、国内の消費の負担力に着目して内国の消費税として課しているものでありまするから、国内で消費されない輸出の物については内国消費税を免除するということは日本のみならず各国もやっているところでありまして、ガットの規定におきましても、その第六条第四項に、「いずれかの締約国の領域の産品で他の締約国の領域に輸入されるものは、その産品が原産園若しくは輸出国における消費に向けられる同種の産品が課せられる租税を免除されることを理由として、又はその租税の払いもどしを受けることを理由としてダンピング防止税又は相殺関税を課せられることはない。」という規定も明確に書いてあるわけでございます。またこれの附属書で、同様の物品税の免除みたいなものは補助金ではないんだということをはっきりさせているわけであります。はっきりさせていても、アメリカでは日本のテレビが大変出たのでありましょう、ゼニス社もあるいは被害を受けたのかもしれませんが、そういう訴えは自由でございますので、一応事件は形式的には係属しているということでございます。  それから、あと輸出所得の控除みたいなことを税制でわが国がやっているという点は、御承知のとおりもうすでに廃止をしておりまして、いまそういう種類の、輸出所得なるがゆえに税金を免除する、あるいは軽減するというようなことはやっておりません。それから第三番目におっしゃった、低利融資を輸銀や何かでやっているという問題につきましては、輸銀のコストを割ったような非常に極端な利率で貸せば実質的な補助金だという問題はあるでありましょうが、御承知のようなプラントとか、いま船などに特別な金利で貸してはおりますが、その金利は諸外国と、一応国際的なガイドラインに沿って決められている金利でございまして、日本だけが特別な低利融資を行っているわけではありませんので、そういう問題はなかろうかと私は考えております。  なお、問題ありましたら関係省ないし局から答えてもらいます。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 いまのアメリカの、ゼニス社の問題というのは、ある意味でいえば極端な典型的な例だというふうに思います。しかし、先ほども申し上げましたように、これから日本国際収支経常収支というものの成り行きいかんによってはどんな理屈がまかり通るかわからないということも十分に構えておかなきゃならない問題ではないかというふうに思います。  さてもう一つ、角度を変えますけれども日本のドル減らし、黒字をできるだけ圧縮するという意味で目をつけられましたのが、発展途上国に対します借款の問題が出てきたわけですね。これは借款そのものは大したことはないとしましても、借款を通してあと具体的に材料の輸出の問題だとかあるいは技術の援助の問題だとか、いろんなことを含めまして結果的にひもつき援助ではないかというふうに厳しく指摘をされておりますね。これは去年も福田総理大臣がASEAN各国を回りまして幾つかの国と借款を決めてまいりました。あるいはその前の年、その前の年も皆そうでありますが、借款を通して外国から指摘をされているのは、ひもつきの援助で、結局は日本輸出拡大するための便法としてそれをとっているじゃないか、これもかなり厳しい指摘なんです。これも実績が明らかでありますので、いやそうじゃないというふうに否定できない弱い面も現実に持っているわけです。この途上国に対しますいままでの借款の問題と、これだけ非難を受けてひもつきをやめろというふうに言われております日本としては、毅然たる方針、態度を決めなきゃいけないし、また、それを国際的に明らかにしなければならない時期に迫られているわけです。この点についてはいかがですか、どういうこれから対応の措置をとろうとしておりますか。
  24. 宇田川治宣

    説明員宇田川治宣君) ただいま御指摘の援助の問題につきましては、通産省のみならず、経済企画庁を中心といたしまして外務省、大蔵省、関係各省とも積極的に援助を進めていくという方向で対処しようとしているわけでございますが、先年御指摘の点につきましては、昨年の十二月六日に経済対策閣僚会議で各種の措置を検討し実施していくということで八項目を決定いたしたわけでございますが、その中の一つといたしまして、第八番目に「経済協力の推進」という項目がございます。読み上げさしていただきますと、「わが国は開発途上国との相互依存性が強く、長期的に世界経済の調和ある発展を確保していく必要があり、国際社会への貢献という観点からも開発援助の拡大と条件改善等に努めることとする。このため、政府開発援助(ODA)の効果的かつサブスタンシャルな増大を図り、今後五年間に援助の倍増以上の拡大に努めるとともに、諸般の情勢を勘案しつつ、今後、一般アンタイ化の推進を図ることを基本方針とするものとする。」ということが決定されております。  先生承知のとおり、いわゆる国際的な援助機構、たとえば第二世銀でございますとかアジア開銀でございますとかというふうなものに対しまして拠出をいたしまして、そういう関係のプロジェクトというものにつきましてはわが国としては一般的なアンタイ援助というものを行っております。今後ともそういう一般的なアンタイ化――ひもつきでない援助というものをそういう国際援助機構を通じ、あるいは二国間といいますか、ある特定の国に対する多国的あるいは二国間の援助というふうなものにつきましても、そういう方向を踏まえて今後とも積極的に推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 いまの問題ですけれども日本がアジアの銀行にしろあるいはその他の国際的な金融機関に出資をする、これは当然のことだと思うんですけれども、出資の割合よりも貿易の割合あるいはドルのかせぎ高の割合というものが高くなるとどうしたって目をつけられますし、それならばもっともっと出資金をふやしてしかるべきだというふうな面にまで議論としては発展する可能性を持っているわけですね。したがって、これはいまお話がありましたからこれ以上申し上げませんけれども、やはりいま非常に私はむずかしい時期だと思うんです。日本国内産業も守っていかなきゃならないということを片方で踏まえながら、片方では圧力に対してどういうふうに対応するかというふうに、ある意味で言えばイデオロギーを越えて非常にむずかしい段階ではないかというふうに考えたので、あえてその問題を提起をしたわけであります。  さて、そこで問題になりますのは、日本産業を十分に守りながら貿易の不均衡をできるだけ解消していきたいと、こういうことで前倒しが行われるわけですが、予算委員会でも議論されておりましたように、七%成長率の達成の問題と六十億ドルに圧縮する話というのは関連性が非常にあるわけです。まあ人によっては全く無関係関係だと言う人もあるわけですけれども、率直に申し上げて七%の成長率の方については、政府を除いてはすべての調査機関あるいは銀行などの見通しによると皆低目の直球を投げているわけですね。極端に低いところは四%台。七%というのは政府だけですね。非常に強気で希望的観測数字というふうに見ざるを得ないと私は思うわけであります。しかし、その七%を達成するためには内需拡大をする、また貿易面で言えば輸入拡大をしていくということになると思うわけですが、たとえば輸入の品物の種類あるいは量などを考えてみますと、逆に七%を下げる圧力に計算の上からはなる仕組みになるわけですね。たとえば円高が成長率を落とすということは現実証明をされたわけですね。輸入についても同様のことが私は言えるのではないかと思いますけれども、その点について、政府の部内で、いやそうじゃないんだ、こういう基準で計算をして、輸入だけの分野ではありませんけれども輸入の分野では七%にこういう寄与をするはずだというのを持っていなければならぬと思うんですが、まず最初に、そのところから見解を明らかにしてもらいたいと思います。
  26. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは経済企画庁の所得の分野だと思いますけれども、七%と経常収支六十億ドルの関係政府の見通しではまさに関連している問題でございまして、七%の成長を達成することによりまして、やはり輸出の伸びが鈍化し、それから輸入がいままでよりも伸びていく、その結果として経常収支の六十億ぐらいはほぼ見込まれるんじゃないか、こういうことを言っているわけでございます。  それから、民間の見通しがいずれも政府より低いということはよく承知しているわけでございまして、その点も予算委員会で大きな問題になったわけでございますが、経済企画庁のそれに対する対応といいますか説明と申しますか、これは何といっても在庫の見方が基本的に違っているんじゃなかろうか、それから、主として今度の大型予算が組まれる前に出された見通しが多い、その二点がやはり大きく違うと言っているわけでございます。経済企画庁は、時期はあんまり――業種によって違いますけれども、大体三月か四月ごろ特定の不況業種を除いて在庫調整がかなり進んで正常化してくるのではなかろうか。そういうものを受けまして、今度の景気刺激予算というものが設備拡大にはそれほどはいかないけれども稼働率の上昇にはかなり役立ってくる。来年の、五十四年の三、四月ごろは稼働率は大体九一、二、操業度で申しますると一〇%ぐらい落として考えるわけでございましょうが、それくらいにはなるんじゃなかろうか。  それこれ考えますと、いま言ったような七%の成長と経常収支の六十億ドルというのは非常にむずかしい問題ではあるが、まずまず達成できるんじゃなかろうかと、こういう答弁であったように思っているわけでございまして、われわれ聞いておりましても相当の説得力を持っておったなと実は考えているところでございます。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 参議院の予算委員会でもその種の議論がもっと専門的に行われると思います。時間の都合ありますから余りきょうはその問題触れませんけれども、ただ政府の見解の中に、担当の大臣によって少し印象の違う発言をされているように見えるわけですね。  たとえば、牛場さんの立場から言うと、相手との折衝が多いことでしょうから経常収支の問題に常に重点が置かれる。だから日本の五十三年度の政策の重点というのは、黒字を百十何億ドルを六十億ドルに下げることが、これがもう使命ですというふうに力を入れる。企画庁なり大蔵大臣は七%の力に力を入れる。そうすると、この七%と経常収支六十億ドルというのは具体的にどういうふうに関連を持っているのかいないのか、これはだれしも不思議に思う点であります。  最近牛場さんがいろんな場所で、七%の話よりもどちらかというと経常収支に大変な力を入れている。客観的に言うと、政府は七%成長率の政策というのをあきらめたのか、あるいはそんなに力を入れないで、国際的な摩擦を今年度はできるだけ避けていきたいというふうに政府の方針が変わったのかというふうに思うのは当然だと思うんです。この点はいかがでしょう。
  28. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) あるいは違った印象を受けられるのは無理からぬことと思うのでございますが、率直に言って七%の成長というものと国際経常収支の六十億に幅を縮めるというのはもちろん整合性の合った問題でございます。  アメリカその他から来る、何といいますか、日本に対する問題というものは、やはりいま雇用問題がアメリカでも非常にやかましい問題でありますから、日本経常収支の黒字というものが向こうの雇用問題に響いてくる。したがって、経常収支からスタートしてくるということはある意味で言えば当然のことでありましょうし、アメリカ側から見れば、七%というのはあれは方法論であるかもしれないだろうと思うのでございますから、対外折衝をやっておられる牛場さんがそちらの面を強調される、あるいはそちらの面から説明されるということはあり得ることだと思うのでございます。  一方また考えますと、日本が長い間、この三年も不況になっている。そして前期経済計画というものが少しずれまして日本のミクロ経済が悪い、そのために日本の減速経済への軟着陸ということが非常におくれておるわけでございますから、国内的に見ますればむしろそっちの方が問題であるわけでございまして、その同時解決のためには、思い切って政府がやり得る手段としては、やはり内需拡大していく、公共中業中心の政策をとるということもまた出然なことであろうと思うわけでございます。その結果として、いわば整合性を持った対外均衡というものがたまたま六十億ドルに出てきた、こういうことであろうと思うわけでございまして、七%を捨てて六十億ドルに力を入れておるとか、あるいは六十億ドルを捨てて七%に力を入れているとかいうことではないんじゃないか、そのように私は見ているわけでございます。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 それが統一見解だと、七%の成長率というのは公約か公言か何かよくわかりませんけれども、しかし国内的に言えば、これは政策の具体的な数字であることは間違いないし、またそれをもとにして公共事業投資なりあるいは各種の法律が現に国会で議論をされているわけです。それから六十億ドルにつきましても、公言か公約かよくわかりませんけれども、これまた国際的には認知されている数字ですね。ですから、いずれもこれは国内、国際的に言えば、七%と六十億ドルという数字については壊すことのできない目標ではないか。ですから政府の部内で、こういう席では閣内としては統一してあるとは言ってみても、出るところによってはかなり印象の違う話をするということは日本の国際的信用度にもかかわる問題ではないかというふうに考えます。したがって、その点は十分にひとつ心してもらいたいというふうに思います。  さて、この六十億ドルの圧縮の問題ですけれども、去年の実績で百十一億ドルでしたか、これを六十億ドルに圧縮する、かなりの努力が必要だと思うんです。ただ、抽象的に輸入がふえて輸出の方は節度ある輸出にいたします、その結果六十ぐらいになるでしょうでは、これは説得力に弱いわけですね。もう少しその点をわれわれ国民にも明らかにすると同時に、国際的にもこういう方法を考えておるので日本を信頼をしてもらいたい、あるいは日本貿易についても十分に協力してもらいたいという説得力ある数字でなければならない、あるいは根拠でなければならないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  30. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) それが数字的にどの程度整合性を持つのかというのは、これは経済企画庁から説明しているわけでございますが、その努力の跡というのは、私が冒頭に申し上げましたように、内需拡大を中心として輸入をふやすためのもろもろの具体的の措置を講じておる、あるいは輸出を抑制するための――抑制といいますか、節度ある輸出をやるために具体的なもろもろの政策を講じておると。この関税前倒しもまたその一連措置でございますけれども、それが一体どれぐらいの説得力を具体的政策として持っておるか、この評価にかかる問題だと思うわけでございまして、政府といたしましてはいままで考え得るあらゆる手段をいま講じておるというところでございます。
  31. 穐山篤

    穐山篤君 少し抽象的ですが、先ほど大臣も言われたわけですけれども輸入の問題について、単純なチョコレートとかなんとかという品物はともかくとして、産業構造に重要な影響があるわけですね。かつて高度成長のときには在庫調整が行われる、直ちに設備投資という新しい機能が働く、そして成長率がどんどん上がる仕組みになっていたわけですね。しかし、現在では不況、円高という問題も背景に持ちながら、どの商売をやったらおれの、あるいはこの産業では安定をするかというのは、みんな暗中模索だと思うのですね。ですから、宮澤長官は三、四月ごろになれば在庫調整はうまくいくと言う、しかし日銀その他は七、八月ごろでなければはっきりしないと。仮に時期がおくれたにしましても、在庫調整が行われてすぐその後新たな設備投資がどんどんふえていくというふうな構造になっていないわけですね。もう産業構造としては、政策としては非常にみんな迷っているわけです。ですから、そういう段階にチョコレートだとかオレンジだとか――オレンジもこれは問題がありますけれども、単純な輸入品についてはある程度拡大は見込むことができると思いますけれども、これが設備投資を伴う、あるいは操業度をもっともっと高めるための輸入の品物がどれだけふえるかというのは非常に危惧を持たざるを得ないというふうに私は考えるわけです。ですから、きょうのところは具体的に六十億ドルに圧縮をするための積算根拠というものは明示されませんから、いずれまあ別な機会で結構ですけれども、やっぱり見通しある話を明示をしなければ、こういう委員会の論議としてもつまらぬじゃないかというふうに思います。  さて、具体的なことについて、開発原油の問題について一、二お伺いをしておきたいと思うんです。時間ありませんからはしょってまとめて申し上げますけれども石油原油というのは日本の立場から言えば戦略物資であることは間違いないですね。ですから、石油輸入石油の備蓄、石油の開発ということについて力を入れていることは十分に承知をしますが、それにしてみては海外で日本の企業がアラビア石油を含めまして幾つか開発をしているわけですが、戦略物資にしてみては力の入れ方が、ざっくばらんに申し上げて財政的な援助を含めて力の入れ方が非常に足りないというふうにまず第一に指摘をしておきたいと思うんですね。  たとえば、日本の企業が外国に出てボーリングをする、そういう場合に財政的な援助というものは石油開発公団が行う。しかし、あとのことは全部あなた方やりなさいというふうにほうり出しているわけですね。戦略物資にしてみては原子力やその他のエネルギーとどうも違った態度を持っているような気がします。この点は私はこれからのことを考えてみれば、もっともっと戦略物資らしい国の力あるいは財政的な背景というものを与えなければならないと思うわけですが、その点を一つ。  それからもう一つは開発原油、この資料を見ますと、あるところでは最近やめたというところも含めまして開発原油日本に逆輸入をする量というのは非常に減ってきた。まあ一時の二分の一以下に減ってきているわけですね。これは埋蔵量はたくさんあるんだけれども、品質だとかあるいは価格だとか、そういうことで国内の企業が引き取り手がないということも一つの原因だろうというふうに思うわけです。あるいは悪い品質で高い品物を無理やりに買わせるような行政指導というのは困るという、その反対の意見もいま現に出ているわけです。しかし、品質が悪ければ精製の技術がそれを補う、これはいずれの場合でもあり得るわけですね。したがって、私はこの戦略物資、開発原油についてもう少し明確な態度を示さないと、現にアラビア石油その他一生懸命にがんばっているところが意気喪失をして撤収をするということも考えられそうです。そうなりますと、勢い政府の行政指導で、それぞれの系列はこれだけの量を引き取りなさいというある程度の強制力を使わないと、いわゆる日の丸原油について発展をする可能性がないわけですね。一体開発原油について、関税の面ではこういうことなんだけれども政策的にどうするつもりか全然明確でないわけです。これはわれわれとして非常にいただけない話です。その点明確にひとつしてもらいたい。
  32. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 石油につきましての自主開発の重要性につきましては、かねてから政府部内でも議論が行われているところでございまして、その議論を踏まえまして、昭和四十二年の十月に先生承知のとおり石油開発公団発足したわけでございます。現在まで十年以上の歴史の中で、石油開発公団は四十二の会社に投融資をしておりまして、その投融資の累計が二千九百六十億円ということになっております。この四十二社の中ですでに開発に成功しまして生産している企業が十社というふうな形になっているわけでございます。  ただ、この開発した原油につきまして、これも御指摘の品質等の関係から、その国内引き取り数量が最近減少しているということは事実でございまして、五十一年の実績で見ますと約二千四百万キロリッターということで、日本の全体の原油輸入量の九%を若干切っているというふうな姿になっております。一日当たりの生産量で見ますと、日本が引き取れる自主開発原油の枠は大体七十万バーレルということになっておりますが、日本に引き取っておりますのが四十万バレルになっております。したがいまして、その差につきましては政策的な努力がなお不足だということはまことに御指摘のとおりでございまして、私どもとしましてもこの引き取り促進のために大いに努力していきたいということで考えているわけでございます。  この引き取りのむずかしさは幾つかの事情があるかと思いますが、一つは品質面から見まして重質であるということ、それからもう一つは、外国石油のメジャー等が開発します場合と比べまして単品生産といいますか、いろんな原油の組み合わせになってないということが一つの事情になってくるかと思います。それからもう一つは、現在の世界での原油価格が重油につきまして十分適切な姿になってない、つまり軽質との比較で相対的に不利な形になっているというふうな諸点があろうかと思います。  この促進につきましては、関税の面で特別な措置をお願いしているわけでございますが、なお私どもとしましては、総合エネルギー調査会の石油部会の中でも、この引き取り促進のための御審議をお願いしておりまして、その審議結果を踏まえまして今後努力していきたいと思っておりますが、たとえばかって行いましたようなプロラタ、一定比率に基づきます強制的な引き取りができるかどうか、あるいはそれに関連しまして他の経済的なメリットの付与の方式があり得るかどうかといったふうな諸点について十分研究した上で努力してまいりたいと思っている次第でございます。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 いまの問題で、石油開発公団のことについてずばり一言で結構ですけれども石油開発公団というのは平たい言葉で言えば金貸しの機関。今度の国会に公団法の改正が出ています。これは備蓄をする、約十日分の石油の備蓄をするために公団法を改正する、こういうふうに私ども受け取っているわけですが、しかし、少なくとも石油開発公団というならば、国内はもちろんですけれども、国際的に対応できるような機関でなければ本来性格としておかしいじゃないか、こういうふうに思うわけです。  具体的な例ですけれども、たとえば公団が石油引き取りについて輸入権というふうなものを持つか持たないかということは公団のこれからの体質、性格の上で非常に重要な問題になるのじゃないかと思うわけです。もしそこまで議論されていなければ結構ですけれども、この石油開発公団の改正を行うわけですけれども、いま私が申し上げましたようなことを含めて、体質の強化ということを考えた公団法の改正を予定しているかどうか、そのものずばりで結構です。
  34. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 今度の国会におきましても公団法の改正をお願いしているわけでございますが、これは石油開発公団が直接備蓄業務を実施するという面につきましての改正のお願いでございます。そういう意味では、公団はただいまお話にございましたような金貸しという形以上に、直接の業務を実施するという形に一歩進むわけでございます。開発の分野につきましては、五十三年度以降の拡充強化のために、従来の公団の投融資比率、海外五〇%、国内の大陸だなの場合には七〇%という原則がございましたけれども、これを大幅に拡充いたしまして、海外につきまして七〇%、国内の大陸だなにつきましては八〇%ということで考えているわけでございますが、なお石油開発公団の機能をもっと直接的な業務の分野まで拡充していくべきではないかという点でございますが、これにつきましてもいろんな議論がございます。昨年来審議をお願いしております総合エネルギー調査会の中での議論の一つの問題点にはなっているわけでございまして、本年の八月ごろに予定しております最終答申までの間に、その辺につきましての考え方の整理をしていただこうというふうに考えているわけでございます。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、次に東京ラウンドの基本的な問題についてお伺いをしたいと思うのです。  まあ、オファーを出して目下詰めている段階ですから、何がどう起きているのか、あるいは起きるかということについて予想が非常にむずかしいと思いますけれども、しかし、ここ数年の貿易のあり方、貿易構造の面から言ってみても、今度の東京ラウンドの問題というのは非常に重要な問題だというふうに私ども意識をいたします。これは新聞でもいろいろ報道されているわけですからある程度のことは承知はしているつもりでありますけれども、今日、日本が置かれている立場、置いている立場から言いますと、どうも世に言うセーフガードの問題が出るんじゃないか。それに日本は苦境に追い詰められるんじゃないかというのは、何も素人だけのみならず専門家の間でも大いに議論をされているわけです。あるいは、日本の農業を十分に防衛をしなければならないという意味で農業政策が幾つかあるわけですけれども、しかし、農産物を中心にした輸入制限品目をどういうふうに扱うかということも、これまた国民全体の、特に農家にとりましては重要な緊急の課題ではないかというふうに思います。  そこで、初めてでありますので、この東京ラウンドの、夏までにはまとまるんでしょうけれども、大きな課題はどういうものであって、現に折衝の段階ではどういうことが予想される。まあ新聞報道にも明らかなとおり、いま私が申し上げました、少なくともその二つは大いに詰められるんじゃないか。アメリカECと相談をして四〇%以上の引き下げをするというふうなところについてはまあまあというふうな気がしますけれども、いま私が申し上げました問題あるいは非関税障壁撤廃という問題については相当覚悟をしなければならないのではないかというふうに思いますが、その状況について、これは許される範囲で結構ですけれども、明らかにしていただきたいと思います。
  36. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 東京ウランドは御承知のように関税率をどうするかという問題だけではなくて、幅広く貿易についてのいろいろな障害を取り除いていくという多角的な面で貿易通商問題をとらえているわけでございまして、現在本格的な交渉段階に入っているわけでございますが、若干問題になっております点をお話しいたしますと、第一はやはり関税率鉱工業品についての関税率引き下げをどうするかという問題であります。先ほど日本は加重平均で鉱工業品について四二%の関税率引き下げをするというオファーを行ったと申しましたが、アメリカあるいはECも若干日本からおくれましたけれどもオファーを出しておりまして、それについて現在分析をしております。やはりフォーミュラどおりきちんと下げられるということにはなりませんので、どうしても各国例外という問題が出てまいります。そうしますと、この例外についてもっとフォーミュラどおりカットしてほしいというようなリクエストが当然出されるわけでありまして、そういう問題をめぐりまして関税率の問題が一つの重要なテーマになるわけでございます。  二番目の問題は非関税障壁につきまして輸入の規制をするというような問題、せっかく関税率を下げましても数量的な制限を自由にさせるというのでは貿易拡大は望めないわけでありますから、そういういろいろなクォータの問題が一つの問題になります。  さらにまた、課税する場合に課税標準の評価の方法をどうするかという点につきまして、ブラッセルの評価条約というのがあるわけでございますが、それに加盟しないで特別な評価方法をとっているというような国も若干ございます。そうしますと、税率は下げても課税標準のとり方が非常にアップするということでは実質的な障壁が下がったことにならないという問題がありますので、評価問題というのも一つの非関税障壁として重要なテーマになります。  さらにまた、先ほども先年が質問でも触れられました補助金と相殺関税というものも議論になっております。  もう一つ東京ラウンドがケネディ・ラウンドと違って大きな問題としてクローズアップされておりますのは、御指摘のセーフガード、緊急関税措置の問題であります。これは、関税率が下がりますとどっと輸入量がふえて一国の産業が非常な損害を受ける、関税率を下げれば下げるほどそういうおそれというものは出てくるという点から、緊急関税の弾力的な運営をしなければならないという議論と、もう一つは、それを余り弾力的に運用されたんではせっかくの輸出がチェックされてしまうというので乱用は防止しなけりゃならぬという全く相反する立場からの議論がございまして、この問題は東京ラウンド一つの大きなテーマになっているわけでございまして、日本はそういう問題に対してどういう主張をしているかというような点につきましては、相手国に日本の出方の予断を与えることになりますので、ここでは発表することは差し控えさしていただきたいと思います。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 まあ多分そういうことになるだろうと思います。  さて、日本の国益からすれば、日本は技術の開発をする、あるいは勤勉だということは大いに外国に主張してしかるべきことだろうと思いますけれども、やっぱり国際社会で生きていくためには日本の理屈だけではなかなか通らない。特に、貿易均衡問題については最近特にECの主張なんかを聞いておりますとその感が強いわけです。きのうですか、また代表が見えて政府関係者と協議をされているようですが、あのお話を聞いておりましても、結果的にECには理屈はないけれども十分に日本は聞くべきだという理屈を言っているような感じがするわけです。ですからこれは何が起きるかわからないという意味で、それ以上のことは突っ込みはいたしませんけれども、十分国益を考えて、なおかつ国際協調を考えてやっていただかなければならないというふうに考えるところです。  それに関連をすることなんですが、関税率を下げる、それも三者の相談では四〇%なんだけれども、鉱工業製品については日本は四二%、若干の誠意を上乗せするというようなお話があるわけです。しかし、率を下げただけでは問題の解決にはならないと思うんです。現実にあらわれてくるのは日本輸出輸入はどうなんだということが最後の勝負になるわけですね。そういう意味で言うと、私は先ほども申し上げましたが、日本貿易構造というのはどうしても輸出押し出し型になっている。だから常に自主規制を含めて節度ある輸出にしなきゃならないというふうにこの面では考えるわけです。その努力はいろんな面でされているわけですけれどもアメリカの言い分にしろイギリス、ECの言い分にしろ、これが高じてきますと輸入課徴金の話だとかいろんな問題にどんどんエスカレートしてくる可能性があるわけですね。関税奉の引き下げとは全く違った分野で攻撃を受ける、圧力が出てくるということにならざるを得ないと思うのです。  そこで私は、輸出の問題について節度ある輸出あるいは自主規制ということを指導なさるわけでしょうけれども、もう一歩前に足を出して財政的な分野で具体的にそれを担保する。平たい言葉で言えば輸出税というふうなことになるかどうかわかりませんけれども、節度ある輸出というものにするためにはある程度の強制力を、場合によってはあるいは品物によってはあるいは地域によっては考えていかなければこれは乗り切れないのではないかというふうに思うわけです。  たとえば、セーフガードの問題がどうなるかわかりませんけれども、これがきゅうきゅう詰められていきますと結果的に大変な事態になるわけです。ですから、日本がその場合にやむを得ず押しつけられるということよりも、積極的に国際協調あるいは貿易均衡についての具体的な誠意を、まあ私が申し上げましたようなことを一つの例にして担保をして、そこで国際的な信用力を得る、信用力だけでなくして実際の均衡を図っていくということでなければならないような気持ちがするわけですが、その点はいかがでしょう。
  38. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 輸出税の問題は非常に響きの大きい問題でございまして、私は慎重に考えにゃいかぬのじゃないかと思うのでございます。すでに変動為替相場下でございますから、長期的にはやはり変動為替相場が当然働いてくる、それが変動為替相場の一番の特徴だろうと思うのでございます。ある特定の商品に輸出税をかけるということは、いわば二重為替ともとれるわけでございます、事実上。それからまた、いまのような非常に為替相場にセンシティブな国際環境のもとにおきまして輸出税をかけるということは、円はやがてもっと高騰すると日本みずから認めているんじゃないか、こういう非常なセンシティブな為替市場でございますので、その点が非常に懸念されるわけでございます。  したがいまして、全体として拡大均衡をとらねばならぬのでございますが、やはり集中豪雨的なものというものは、これは何といっても基本はその業界がみずから自分の長い目で見た国際的な利益というものを考えたときに、やはり自制していただく、あるいはそれがどうしても業界内でうまくいかない、いま穐山さんがおっしゃったようなそういう性質があるというんなら、これはやはり行政指導でやっていくのが日本の場合一番現実的ではないだろうか、そういう感じがいたしまして、まあ輸出税という問題につきましては非常に響きが大きいので、私はいまのところどうしても積極的になれない、こんな心境であるわけでございます。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 私も輸出税というふうにきめつけているわけではありませんけれども、まあ例示としてそういうことを申し上げたわけです。それはセーフガード、まあいろんなことをやられれば結果的には同じことになるんじゃないかというふうに考えたからですが、自主規制にしろ、節度ある輸出入ということをやりながらもなおかつドルがどんどんたまっていくということになれば、もっと別な問題が国際的に議論をされることになるわけであります。結局日本輸出オンリーの国じゃないか、自分だけよければいいのかというふうに決定的に指摘される心配を持つわけです。  それは、どこの国でも国内廃業を十分に守りたいという気持ちは持ちながら輸出入をやっているわけなんですけれども、たとえば日本の牛肉の問題にしろオレンジの問題にしてみても、ある意味で言えば保護貿易ですよ。どういうふうに説明するかは別にして、現実的には保護の立場から牛肉は余り買いたくない、オレンジも買いたくないとわれわれは言うわけですね。しかし、ある特定のごく少ない種類の品物のために、円高になったりあるいは不均衡問題が起きたりあるいは黒字のドルがどんどんたまっていっているわけですよ。ですから、追い詰められていろんなことをしかけられるよりも、もっと積極的に日本が国際的に協調をしていくというものを先手を打った方が私はいいのではないか、輸出税というふうにこだわることはありませんけれども、もっと具体的に真剣にその面を検討をしていっていただかなければならないと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
  40. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま穐山委員がおっしゃった、積極的にどんどん先手先手を打って、いまの非常にむずかしい国際情勢を乗り切るためには対外均衡を得なくちゃならぬというお説、全く賛成でございます。そういう角度で今後どんどん進めていかないとなかなかむずかしいんじゃないかと思うのでございます。  ただそのときに手段、方法をどういうふうに選ぶか、これが非常にむずかしい問題でございます。私ども輸出税にこだわるわけではございませんけれども、先進国でこの種のものをやっているところはいまほとんどないわけでございますし、特に非常にセンシティブな、いまの国際流動性の動きはきわめてもうセンシティブでございまして、ちょっとしたことで大変なことになるわけでございますので、穐山委員の総合的そしてまた前向きにどんどん先手を打っていけと、この御意見には全く賛成でございますので、われわれも今後とも注意を怠らずに注意深く見守って、お説のような措置をとってまいりたい、かように思っているところでございます。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 よく西ドイツと日本代表的に例が挙げられるわけですが、ドイツの場合には中期的な政策もありまして、一たんたまったドルも少しずつ日に見えてたまりぐあいが少なくなった。まあその間にはいろいろな西ドイツの努力なり、ECの中におきます経済的な状況が背景にはあったわけですけれども、それほど非難はないわけですね。いまやもう国際的な非難は日本に集中している。  そういう意味で最後にお尋ねをするわけですが、これから国際的な会議が、日はよくわかりませんけれども、三月にあるとか五月にあるとか何月にあるというふうに計画されているわけです。この国際会議というのは、一般的な世界の情勢を話す議題もあるんでしょうけれども、結局は日本がどれだけ努力をしてきたか、あるいは日本アメリカとの間にどれだけ相互に努力の足跡が見られたか、あるいはEC日本ではどれだけ具体的に努力をしたかという、まあ言ってみれば点検会議みたいなお話ですね。日本はどちらかというと受け身の会議にならざるを得ない、こういうふうに思うわけです。  そうしますと、まあこれもいまから申し上げるのはどうかと思いますけれども、仮に七%成長率へのスピードが非常に遅いというふうに国際的に判断をされたり、あるいは国内的にもそういう計算がされることになりますと、その問題について日本自身も議論しなきゃなりませんけれども、国際的に相当な注文を受けるわけです。それから、六十億ドルについても同じ立場だろうというふうに思います。いずれも、たとえば経常収支の方が黒字でどんどんたまる――まあ二百億ドルにはならないにしてみても依然として百億ドルの台で進行をしている。しかし、成長率の方は七でなくて非常に低目のところを歩いているということになりますと、いやが上にも新しい政策、もっと具体的に言えば予算の補正というふうな話まで延長線としてはどうも出るような気がするわけです。いま年度の当初の予算の議論のときに私はそういう不謹慎なことを言うつもりはありませんけれども、やっぱりこれからの国際会議ではその種の問題が非常に受け身として日本はいろんな会議議題にならざるを得ないということになるわけですけれども、その時期が来れば来たときのことさというふうなことにはならないと思いますが、そういう点についての決意を、あるいは考え方を明確にしていただきたいと思います。
  42. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) おっしゃった点は、言うまでもなく、日本わが国のためにもまた世界のためにもやはり当然努めなくちゃならぬ点であろうと思いまして、先ほども申しましたように、注意深く今後の経済の推移を見回しまして、そして考え得るあらゆる手段を講じなければならぬのは当然だと思います。また、世界会議の場において日本が相当注目の的になっていることも当然でございます。  しかし、最近におきます模様を見ますと、いまや日本だけの問題ではございませんで、むしろここ――昨年の暮れからことしにかけましてはマルクとかスイス・フランがどんどん上がっておるのでございます。そしてまた、ドイツ、アメリカの間でいろんな会議が行われておりますけれども、必ずしも意見が一致したとも聞いていないわけでございまして、なかなか国際関係は複雑多岐になりつつある。EC諸国における議論の過程を見ましても、かつてはアメリカ日本、西ドイツ、これらの国がまあ比較的うまくいってるのだからこれらが一つのターゲットゾーンをつくって努力すべきだという議論に対しまして、ECの方では今度は逆にそんなものじゃとてもだめだと、みんな各国が応分の力を尽くさない限りいまの世界経済の変調は直らない、こういう議論がいまECの方では大分盛んになってまいりまして、私は恐らく国際会議になりますといろんな角度から、もちろんアメリカにも、アメリカはみずから努力すると言っているわけでございますから、アメリカにもやはり大きな点を求めなくちゃならない。そういった意味日本ももちろん批判の的になることは当然でございますけれども日本だけが被害者意識を持ってやることもいかがなものであろうか。これからは非常に多様化していく国際情勢の中で、日本が世界の利益との一致点を見ながらやっぱりみずから努力していく、こういう態度がこれから一番望まれるんじゃないだろうか、こんな、非常に私の感触でございますが、そんな感じがいたしているわけでございます。
  43. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まず最初に、東京ラウンド交渉の完結が非常に大幅におくれているわけであります。七五年の予定であったと聞いておるわけでありますが、これが大幅におくれた理由はどうなのか。それからまた、現在の見通しでは七月ごろまでには完結するように聞いておるわけですが、その見通しがどうであるのか、お伺いいたします。
  44. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) お答え申し上げます。  国際ラウンドは七三年九月、東京で開始されましたんですが、その直後石油の危機がございまして、その後も各国、特に主要各国が非常なる不景気に見舞われたわけでございまして、その二つが東京ラウンドが予定どおり促進されなかった非常に大きな原因ではなかろうかと思っております。  昨年五月、ロンドンにおきまして首脳会議が開かれたわけでございますが、そこでできるだけその年のうちに交渉の実質的進展を図ろうということが合意されました。その後を受けまして各国の準備作業はかなり促進されたわけでございますが、ことしになりましても一月二十三日、ジュネーブで閣僚レベルの非公式会合が持たれまして、アメリカECわが国とともにこの国際ラウンドの実質的妥結をなるべく本年の夏までに図ろうということを意図表明いたしておりますので、その線に沿って促進されることが期待されると思います。
  45. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 現在わが国オファー各国に先がけて提出をしたと、こういうように聞いておるわけでありますが、その他の国のオファー状況等、大体作業は順調に進んでおるのかどうか、その点はどうなんですか。
  46. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) わが方の出しました作業、オファーのリストにつきましては、一番詳細にわたってよくできておるといいますか誠意がくまれる、特にこれほど詳しく出したのはアメリカ日本というふうに評価されておるわけでございますが、その他の国からもオファーはほぼ出そろいまして、つい二、三日までジュネーブにおきましてそのオファーリストに基づきまして日本アメリカEC、一番主要国の間のまず打ち合わせが行われたわけでございます。そういうことで、オファーリストにつきましてもほぼ出そろいまして関係国間の協議が進んでおる状況でございます。
  47. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先ほど関税局長の方から、これからの東京ラウンド交渉で問題になる点についてはいろいろお話があったわけでありますが、特に非関税措置については各国からのリクエストを勘案をしできるだけ実質的なオファーを行うと、こういうようにいただいた資料にはあるわけでありますが、この非関税措置についての各国からの要求というのは大体どういう内容であり、それに対してわが国はどういうオファーをしたのか、これを簡単に御説明ください。
  48. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 先ほどお話しいたしましたように、いろいろなリクエストわが国になされましたが、その中で鉱工業関係で申しますと十五の事項につきましてイニシアルのオファーを出した。その中身の点につきましてはちょっと交渉段階にございますので発表は差し控えさしていただきたいと思います。
  49. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回いわゆる関税前倒し引き下げを行うわけでありますが、このわが国措置に対して世界の国々はどう評価をしているのか。また、わが国政府としてもこういう前倒しを率先をして行うということを大いにPRをしてわが国の誠意を認めてもらい、今後の交渉をより容易にしていかなければいけないんじゃないか、このように思うわけでありますが、そういう点はどうですか。
  50. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) わが国のこのもろもろの措置は大変各国から高く評価をされております。たとえば、米国におきましては例のストラウス代表でございますが、二月一日の上院財務委員会公聴会におきましてわが方のこの、一連措置に言及いたしまして高く評価する旨を言っておりますし、その翌日二月二日ニューヨークで行われました演説におきましてマンスフィールド駐日大使も同様に高く評価する旨を言っております。また、ECにつきましては、二月七日に外相理事会が行われて日本問題が取り扱われたわけでございますが、その中でもわが国のこの一連措置に注目するということを言っております。それは日本アメリカとか日本ECとの関係におきましてもそういうことで高く評価されておるわけでございますが、特にわが国が率先してこういう措置をとったということが、自由貿易体制の強化という面で国際ラウンドに臨む各国態度に対して非常なるいい影響を与えておると考えておる次第でございます。  それから、先生がおっしゃいました各国に対するPRでございますけれども各国別に、特にアメリカにはこの前ストラウスが来たときに説明したわけでございますが、ECとの協議におきましても非常に詳しく説明しておる次第でございます。また、そういった場を離れましても、大使館等を通じまして関係各国にいろいろ説明する、同時にOECDとかガットとかといった国際的な場におきましてもわが国態度ないし措置説明しておる次第でございます。
  51. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回のこういう関税引き下げによりまして輸入増加というものがどの程度見込まれるのか。これは非常にむずかしい問題だとは思いますが、しかしある程度の、確率の少ない予測かもしれませんが、政府としてもある程度の予想はしていると思うんですけれども、大体どの程度輸入増加を見込んでおるのか。特に輸入増が顕著であると考えられる物はどういう品目であるのか、これをお伺いいたします。
  52. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 先生お話しになりましたように、大変これは見積もりにくい問題でございます。百二十四品目輸入実績をとりますと、五十一暦年で約六千四百億円でございます。全体の加重平均の引き下げ率は二二。九%。六千四百億ぐらいの輸入のあった物の関税率を二二・九%引き下げるとどれぐらい輸入がふえるか。これは個々の産品につきまして関税率が下がって価格が仮に下がるとすればどれぐらい消費は伸びるかというので、そういうことをきちんとやれるような社会科学的な手法というのは私どもミクロ的には持ってないんですが、まあマクロのあれで、農産品関係について価格が下がったならばどれぐらいふえるか、鉱工業品について同じようにどれぐらいふえ得るかというようなモデルを使いまして――これも一つのモデルがあるんですが、そうしますと大体まあ百億円以上ふえるかなあと。ただ、いろいろな予測の手法がありまして、二、三億ドルふえるというようなこともあるわけでありますが、私ども来年度の予算を見積もる上からは一番かたい歳入を見積もっておく必要がありますので、輸入金額は百億円ふえるということを前提として歳入の予算は組んでございます。
  53. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 関税引き下げ輸入品がふえると、このためにはやはり消費者価格が下がらなければふえないんじゃないかと私たち思うわけであります。今回の関税引き下げもできるだけ自由貿易拡大均衡さしていく、そういうことが大きなねらいであるならば、何といっても関税引き下げ国内消費者物価の引き下げに連動するようにしていかなければならない、このように考えるわけであります。  ところが、関税引き下げよりもはるかに引き下げ幅が大きいいわゆる為替差益がどれだけ消費者物価、小売物価に影響しているかと、こういう点を先般経済企画庁が発表したわけでありますが、この点について経済企画庁にお尋ねしたいわけですけれども輸入価格が下がっても小売価格が変わらないのもあるわけですが、特に魚関係が、輸入価格は大幅に下がっておるのに小売価格が逆に上がっておると、こういうデータが出ておるわけでありますが、これはどういうところに原因があるのか、どのように分析されておるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  54. 下山修二

    説明員(下山修二君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、政府といたしましては五十二年の十二月からことしの一月にかけまして、これは第二回目の輸入品価格の動向調査というものを行いました。その結果につきましては、ただいま先生が御指摘になったような事態があらわれております。  先生が御指摘になりました水産物、特にマグロというふうな例をお出しになりましたが、マグロの生産量あるいは輸入量というものについては別に逼迫要因というものはなかったわけでございますが、一言で申し上げますと、大体国内価格の比較的な高水準というものに輸入価格も引っ張られたというふうに私たちは分析しているわけでございます。
  55. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 流通段階で食われておるんじゃないか、小売屋さんの意見ではどうも仲買が高いんだ、仲買が言うのには、いやそうじゃないんだ、大体商社、問屋とか大手水産が出荷調整をして、いま言ったように国内価格が非常に高いから、だから少々出荷調整して高くしても売れるからということで、そのあたりが大きな原因ではないか、このように言っておるわけですが、そうすると結局あれでございますか、いわゆる輸入価格が安くなってそのメリットというものは、その利益というものは大体どこが吸収していることになるわけですか。いま言ったように、小売段階あるいは仲買段階あるいはそのもう一つ前の直接輸入する問屋、商社、大手水産、そういうところにあるのか、そのあたりはどうなんですか。
  56. 黒木敏郎

    説明員(黒木敏郎君) 水産物の小売価格につきまして全体的な状況を申し上げますと、一昨年の夏以降、御案内のようにイカでございますとかアジ、こういった多獲性魚が不漁になりまして、水産物の小売価格全体が上昇してまいったという状況があるわけでございます。特に昨年の四月から六月にかけましては、日ソ両国で二百海里を実施する、あるいは日ソ交渉の長期化に伴う供給の先行き不安、こういうものが伴いまして大幅な上昇を見たわけでございます。しかしながら、その後は次第に小売価格も鎮静化してまいりまして、昨年の十二月の段階で見てみますと、対前年比九・七%高というところまで全体的には落ちついてきていると、こういうのが実情でございます。  そこで、今回の輸入品価格動向調査が公表になりまして、その中で水産物、御指摘になりましたマグロ、エビ、タコ、こういったものが輸入なり卸売価格が下がっているのに小売価格は必ずしも下がってないと、こういう指摘があったわけでございますが、企画庁の方からお答えになりましたように、国産物の価格に引きづられた傾向というものが一つにはあろうかと思います。  そのほかに、御案内のようにマグロやタコにつきましては加工の過程で目減りがいたします。大体重量比にしましても半分ぐらいに減ります。それから小売サービス、そういったものが加わってまいりますので、小売価格の中に占めます輸入原価の割合というのは二割ぐらい、これは今回の調査報告の中でも述べているわけでございますが、そういうことでございますので、まあ輸入なり卸売の価格の低下が直ちにすぐ小売価格に響きにくいというような状況は、特に水産物の、このマグロでございますとかタコ等につきましてはそういった特殊な事情があろうかと思います。  それから、同じ水産物、同一の水産物でございましても、規格、品質あるいは産地によりましてきわめて価格の差もございますし、それに伴いまして需給事情もかなり違ってくるというようなこともございまして、一定の規格のもの、あるいは全体の平均値で全体の姿がなかなかとらえられがたいというような状況はあろうかと思います。  しかしながら、水産庁といたしましてはこういった調査結果が出ましたので、個々の具体的な状況につきましてなお事情なり状況を把握した上で具体的な対応を考えてみたいと、こういうふうに基本的には考えておりますが、ともかくこういうような調査が出されておりますので、それなりに受けとめまして関係業界を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。その一環といたしまして、たとえばサービス販売による消費者への供給、こういったものも考えてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  57. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 円高にしても、また今回の関税引き下げにいたしましても、そういうものが消費者物価、小売価格を下げる、それが一番望ましいわけでありまして、きのうも物価担当官会議が行われて、野菜の場合は出荷奨励金、そしてまた魚の場合は安売りを指導する、こういうことが決まったようですけれども、しかし現実の問題として、指導するといったってどういうように指導するのか。実際にそういううまい効果があるのかどうかですね。円高の差益というものが本当に消費者に還元するように、指導というのは一体、ただやりますやりますと言うだけで終わるのか、本当にそういう方法があるのかどうか、このあたりは経済企画庁としてはどうなんですか。
  58. 下山修二

    説明員(下山修二君) 先ほど先年がお話しになりましたように、物価担当官会議でもそういう問題が出たわけでございます。これにつきましては、いろいろ水産庁の方を通じまして業界の関係者に御指導申し上げるとか、あるいはまた三月から四月にかけて、いま計画中でございますが、安売りの運動を行うとかいうふうなことが具体的にはあると思います。  しかし、また別の面からいきますと、こういう調査の結果を消費者の方々に公表いたしまして、その情報を提供するということもまた大きな意味があると思います。したがいまして、そういう意味で国民全体がこれを監視していくという態度がまた物価の引き下げにも大きな効果があるものと、このように思っている次第でございます。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  それでひとつ私が要望したいのは、やっぱりこういうことがありますと小売が非常に悪いんじゃないか、だけど小売店には小売店の言い分があるわけですし、実際は小売店よりも仲買、あるいはもう一つさらに一番、直接輸入をする商社とか大手水産会社とか、魚の場合はそういうところに問題があるかもわかりませんし、そのあたりをよく調べて、そしてそういう事実を公表してもらわないと、いまのような、ただ魚が輸入価格が下がったのに小売価格が上がっておると、こういうことだけでは、実際は利益を待ていないところが非難をされる場合もあるわけですし、そういう点をもう少し実態を調べてもらいたい。これはどうですか。
  60. 黒木敏郎

    説明員(黒木敏郎君) 先生指摘になりましたように、私どもこの調査の結果を踏まえてと申しますか、出ましたので、具体的な状況についてさらに把握をいたしましてしかるべく必要な指導を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。輸入価格というものが低くなりますと、やはり長い目で見ますと消費者に還元されるべきでございますし、還元されていくものだと、こういうふうに考えております。そういう意味で、そういう視点からも具体的な状況をさらに把握いたしまして必要な指導を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、ただいま審議をしているこの法律案は施行日はいつなのか、また、関税引き下げは「他の改正事項に先立ち、改正法の公布の日から施行する」とありますが、この「公布の日」とは国会で成立した後いつごろをめどとしておるのか、これはどうですか。
  62. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) この法案の施行日につきましては、いまお話しのように、関税前倒し引き下げの分につきましては法律の公布の日から施行ということに書いてございます。ほかの事項につきましては、それぞれ附則で規定を設けておりますが、簡単に申し上げますと、いわゆる日切れで、本年の三月三十一日に日切れになるという事項につきましては四月一日からの施行、また、石油税の創設に伴っての原重油関税引き下げにつきましては石油税が施行となる日から、ただ開発原油につきましてはなかなか引き取りが困難であるという実態が続いているわけでございますので四月一日から、さらにはまた、酒税の改正に伴いまして簡易税率表を変えるという部分につきましては酒税法が施行になる日からというように、事項によりまして施行日を異にしているわけであります。  前倒し部分につきまして公布の日から施行というように提案しておりますのは、御承知のように東京ラウンド本格交渉段階に、具体的に日本は施行したんだということを海外に示していくことは大変意味があることであるし、かつまた、少しでも関税率引き下げ輸入増大に資するという目的でもございますので、できるだけ早く国会においてお認めいただきまして公布をし即日施行と。国会のことでございますので私ども何日ということは申し上げられないのでございますが、できるだけ速やかに可決成立を図っていただきたいということをお願いする次第でございます。
  63. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 国会で成立すればすぐ公布できるのか、あるいは準備期間があって一週間後に公布できるのか、それはどうなんですか。
  64. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 若干末端の税関までの手続というのはあるわけでございますが、もうすぐにでも施行できるような準備は整えてございます。成立しましてから二、三日余裕を、期間を見ていただきましたならば施行できるというように考えております。
  65. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、今回の「措置により特定の貨物輸入増加し、国内産業が相当な損害を受け、または受けるおそれがある場合」の引き下げ措置、そういう場合は関税をもとにすると、こういう措置が定められているわけでありますが、実際に今回の措置によってそういうおそれのある、可能性のある貨物というのはあるのか、そういうものはないけれども、ただ念のために入れておくにすぎないものなのか、その点はどうですか。
  66. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 先ほど大臣穐山委員の御質問に答えられましたように、この百二十四品目の選び方の考え方は、貿易上非常に優位に立っていると、関税率が比較的よその国に比べて高いと、そういう物の中で中小企業の製品的な物であるとか、あるいは極端な不況業種の産品は除くということで厳選しておりますので、法律で書いてあるような急激に対象品目輸入がふえまして国内産業に相当な損害を与え、または与えるおそれがあって保護するためには関税率をもとへ戻すというような事態はまあまあないというように思っておりますが、先どういうことになるかわかりませんので、そういう規定を置かせていただいているということでございます。
  67. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、原重油関税を七百五十円キロリットル当たりを六百四十円に下げるわけでありますが、この下げる理由は何であるのか、それをお伺いします。
  68. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 七百五十円を六百四十円に下げるという点でございますが、これは御承知のように五十二年度の関税改正の際に、石油供給安定化対策の緊急性及び当時の財政事情から、従来六百四十円でありましたものを百十円引き上げまして、キロリッター七百五十円に暫定的に税率を張ったわけでございます。これに対しまして、五十三年度石油対策にかかる財政需要が大きいということにも配慮をされて石油税が創設されることを予定しているわけでございます。この石油税の税収が石油対策の方にも回っていくということになりますことを考慮いたしまして、五十二年に上げました暫定的な引き上げをそれ以前の水準に戻すこととしたわけでございます。
  69. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 原重油関税は廃止せよとの意見が関税率審議会や関係業界からもずっと出されてきておるわけでありますが、政府としてのこの原重油関税についての今後の方針はどうなのか、これを伺っておきます。
  70. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) いま御指摘のように、原重油関税は無税であることが望ましいというような答申を関税率審議会からもいただいておるわけでございまして、私どもとしてもその意見を十分聞いておるわけでございますが、御案内のように、原重油関税はエネルギー対策、特に石炭対策の財源ということで暫定的に設けられているものでありまして、いまなお石炭対策の重要性ということは認められるわけでございますので、直ちに原重油関税を外してしまうということは、それのかわりの財源を求めることもむずかしい現状においてはやむを得ないではないかというので、将来の方向としては十分検討をしてまいりたいというように考えているわけでございます。
  71. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、石油税の創設は六月一日から予定をされているわけであります。したがって、今回原重油関税を下げるということも石油税の成立を見込んでの引き下げであると私たちも判断をいたしております。それで、この石油税が見送られても原油関税引き下げは変更しないのか、これはどうなっていますか。
  72. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 七百五十円を六百四十円に下げますのは、石油税の方が新設されることに伴ってそういう税率にするということでございますので、いまの先生の御質問のように石油税が創設されなかった場合には七百五十円、現行どおりいくということになると思います。
  73. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その場合でも、いわゆる開発原油に対する関税引き下げは予定どおり行うと、こう判断していいわけですね。
  74. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) そのとおりでございます。
  75. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回開発原油輸入促進ということが一つの意図ではないかと思うわけでありますが、たしか石油危機のときに、政府としても将来のエネルギー対策の一つの柱として開発原油輸入をふやしていこうと、そうして将来はわが国原油輸入の三分の一は開発原油に頼りたいと、こういうたしか方針であったと思います。ところが、先ほどもお話があったように開発原油がわずか九%である。だんだん年々下がってきておるわけであります。一方、開発原油わが国には来ないでほかの国へも売られておる、こういうように聞いておるわけでありますが、開発原油がなぜわが国に来ないかという理由は先ほどエネルギー庁の方から答弁があったわけでありますが、わが国の開発原油の生産量というのはどの程度であるのか、それからどの程度わが国へ入って来ておるのか、そのあたりはどうなっておりますか。
  76. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 現在わが国の自主開発原油としましてわが国引き取り得る量は、一日の生産量で言いますと七十万バレル、一年の量で言いますと約四千二百万キロリッターでございます。これに対しまして現実にわが国に引き取られました量は五十一年度で約四十万バレル・パー・デー、一年の量で言いますと二千四百万キロリッターということになっております。
  77. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、資源エネルギー庁としましては、今回のこの措置によってわが国へ入って来る自主開発原油の量はどの程度ふえると見込んでおるのか、その点はどうですか。
  78. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 特に効果が出てくるのはアラビア石油のカフジ原油ではないかと思いますが、カフジ原油につきましてはその品質が重質のために五十一年、五十二年度におきまして引き取り量がかなり減少したわけでございます。昨年につきましては約十万バレル・パー・デー、すなわち一年の量がいきますと約六百万キロリッターということになりますが、これを少なくとも二倍ぐらいには持っていけるのではないかというふうに私ども期待しております。つまり一日当たりの量で言いますと二十万バレルということになっております。
  79. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまアラビア石油ですか、そのお話だったわけですけれども日本全体で自主開発原油というものがどの程度ふえる見通しであるのか、その点はどうですか。
  80. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 今回の特別な措置の対象となりますのは、カフジの原油とイランのバスラ・ヘビーということになっております。したがいまして、この両方がどの程度ふえるかということでございますが、先ほど申し上げましたように、特にカフジ原油について効果が出てくるんではないかというふうには考えているわけでございまして、この増量が六百万キロリッター前後ということで私ども期待しているわけでございます。したがいまして、従来の実績でございます二千四百万キロリッターが三千万キロリッターを上回るような姿になる、ないしそこまで持っていきたいというふうにいま考えているわけでございます。
  81. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 しかし、それにしてもわが国の自主開発原油は四千二百万キロリットルでありながら、そのすべてがこっちへは入ってこないわけですね。もちろんいまは油も世界的には非常に供給過剰の状態で、その必要はないかもしれませんが、いままでのわが国の方針から考えれば、少なくとも自主開発原油はすべてわが国へ引き取っていくことが将来の石油の安定確保の上からも私は必要なんじゃないかと。したがって、今回の重油関税引き下げだけの処置では不十分じゃないか、もう少し抜本的な対策を立てるべきじゃないかと考えるわけでありますが、その点はどうなんですか。
  82. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) いまのお答えの前に一つだけ訂正させていただきたいと思いますが、先ほど私イランと申し上げましたが、イラクの間違いでございました。  それから、自主開発原油引き取り促進についてでございますが、これは私どもの方の総合エネルギー調査会の中の石油部会でもその促進のための努力を非常に強調しておりまして、中間答申でもその点について触れられているわけでございますが、行政指導面でどの程度のことができるか。たとえば、かつてやりましたようなプロラタ方式まで採用できるかどうかといった議論、あるいは関税面におきます特別措置のほかに何らかの経済的なメリットの付与の施策はとれるかどうかといったふうな議論を含めまして御審議をいただいているところでございますが、この全体のとりまとめを八月ごろ予定しておりますので、それまでにぜひ十分御審議いただいて、その結果を施策面で反映していきたいというふうに考えております。
  83. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 世界的に今後油の供給というものがだんだん逼迫してまいりますと当然重質油も使わなければならない、こういう方向に来ることは当然じゃないかと思うわけであります。そういう点から、やはり今回の開発原油に関する重質油の関税引き下げだけではなしに、わが国全体として重質油対策をどうするか。中国からの原油も非常に重質油であるわけでありますが、そういう重質油に対する対策をひとつ今後とも政府としても強力に進めてもらいたい、このことを要望をしておきます。時間がございませんので、答弁は結構です。  それから次に、今回の内容の中で、アルミニウムのかたまりを関税割り当て制度の対象としているわけであります。御存じのように、アルミ業界は非常な過剰設備を抱えて、不況業種の最たるものの一つでありますが、今回のこの改正によりましてアルミ業界に対しどの程度影響があると考えておるのか。これは通産省の御意見を承ります。
  84. 原木雄介

    説明員(原木雄介君) お答え申し上げます。  ただいまのところ、アルミニウム産業が――アルミニウム製錬業でございますが、大体年間に発生いたしております赤字が約三百億ないしは四百億と目されております。今回こういった特別な関税割り当て制度の導入ということによって得られますメリットといたしましては約三十億から四十億の間と、こう思われておりますので、これのみをもって赤字が全部消えるということにはならないかと思います。したがいまして、効果としては、この直接的な三十億ないし四十億の利子補給に使われるということのほかに、いろいろな措置というもののインセンティブと申しますか、たとえば金融機関に対する金利低減と、そういったものへのインセンティブという意味もございまして、ほかのいろいろな措置と並行してまいりますと、アルミニウム製錬業自体の再生への一つのきっかけになると私ども考えております。
  85. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回このアルミニウムを関税割り当て制度の対象にし、私の聞いている範囲では、いわゆる一次税率と二次税率を設けて、そうして関税の一次税率の適用を受ける輸入業者は、いわゆる一次税率と二次税率の差の金額を構造改善協会へ拠出をし、それをアルミ業界の今後の体質改善にも役立たせていくと、このように聞いておるわけでありますが、そのように理解をしていいのかどうか。
  86. 原木雄介

    説明員(原木雄介君) いまの御意見のとおりでございまして、需要業界の協力を得て九%と五・五%の差額の三・五%を構造改善協会に拠出していただくということになっております。
  87. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その場合、輸入する方からすれば一次税率の適用を受けても二次税率の適用を受けても結局は同じなんですね。ところが、一次税率の適用を受けるためには手続も非常にややこしい、そんなことよりはもう適用を受けないで二次税率でどんどん輸入すれば同じことじゃないかと、そうなってしまうと今回この割り当て制度を設けた意味がなくなってくるんじゃないか。私はやはりそういう点、一次税率の割り当てを受けて輸入した方が多少はメリットがある、こういう差をつけないとなかなか行政指導だけでは協力も得られにくいんではないかなと、そういう点を心配をしておるわけでありますが、そういう心配はないのかどうか、その点はどうなんですか。
  88. 原木雄介

    説明員(原木雄介君) 御指摘のとおりの問題がございまして、二次税率の九%で入れても一次税率で入れても三・五%の差額というものを全部いただきますと、手続その他の関係で逆に逆ざやという事態も考えられるような事態になっております。したがいまして、過去昭和三十八年に実施いたしました銅の場合でございますと、万三円の関税に対しまして二万七千円をいただいた前例がございますので、その点を勘案しながら私どもとしてインセンティブになるような幅というものをいま検討中でございます。また、この点についていまそういったインセンティブだけではもちろんまだ不十分とは思われますけれども、いまの段階国内の製錬があって輸入が安価に入ってくるというような観点もございますので、商社あるいは需要業界の協力というものは十分いただけるというように私どもは考えております。
  89. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 関税率審議調査部会はその附帯決議として、「アルミニウム製錬業の再建のための施策について多角的、かつ抜本的に再検討されることを強く要望する。」と、このようにあります。これは今回のアルミニウムに対する関税割り当て制度というものはやむを得ない措置として、その後にこのような決議がついておるわけでありますが、このアルミニウム業界の抜本的な再建についての、これは通産省に余り聞いておると時間がございませんので、大蔵省として、大蔵大臣にこれを聞くわけなんですが、大蔵大臣にはまだ一回も質問しておりませんので、最後にそういうアルミニウム業界の抜本的な再建等について大蔵省としてはどういうことを考えておるのか、それを伺っておきます。
  90. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 今度の割り当て制度並びに三・五%の税率引き下げということは、関税制度としては全く異例の措置であることはもう御承知のとおりでございます。しかし緊急やむを得ざる必要で、関税審議会でもやむを得ざる緊急措置として認めていただいたわけでございますが、大蔵省といたしましては実施官庁である通産省に抜本的な対策を来年までに考えてほしい、こういうことを強く希望しているわけでございます。もとよりその内容につきましては、業界のいろいろなみずからの解決努力あるいは通産の指導等にかかるところでございます。たとえば電力の値段を一体どういうふうにするのか、こういった大きな問題が残っているのではなかろうかと、かように思っておるところでございます。
  91. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 このアルミニウム製錬業の構造改善をどうしていくか、これはアルミニウムのみならず、その他の不況産業を含めて今後国会において新しい法案も準備をされておるわけでありますが、現在、アルミニウム製錬業界の救済のためには今回のこの関税割り当て制度によるとともに、さらには金融機関等による金利のたな上げ等の援助、これもかなりなされておるわけでありますが、現在は大体ずの程度の金融機関からの金利のたな上げ等が行われておるのか、これはもしわかりましたならば……。
  92. 原木雄介

    説明員(原木雄介君) 金利の問題でございますけれども政府系金融機関につきましては一応いま銀行局の方と九%以上のものにつきまして八・九%へ下げていただくよう、いろいろ銀行局と折衝中でございます。  それから民間金融機関でございますけれども、これは各行いろいろございますが、私ども承知している範囲内では、メインバンクはおおむね大体プライムに近いところまで来ているというように承知いたしております。しかしながら、アルミニウム製錬業の置かれております立場というものは非常に深刻でございますので、各製錬会社個々に金融機関と折衝して、その辺をうまく再建への糸口がつかめるようにしてくれと、こういうことをいたしておりまして、個々の問題というわけでございますので、いまのどうかということは具体的にはちょっと申しかねるということでございます。
  93. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは時間が参りましたので、細かい点は省略いたしまして、最後に大蔵大臣にお伺いしておきたいと思うわけでありますが、先般永大産業が倒産をし、いわゆる倒産の状態になりまして、銀行管理の企業が倒産をした、そういうところから一つの新しい時代に入ってきたんではないかと、こういうことが言われておるわけであります。私たちも、そういう大きな企業が倒産をするということは非常に影響も大きいわけで、当然救済をしていかなければならない。しかし、一方このアルミニウム業界に対する金利のたな上げにしても、あるいはその他の業界における銀行の救済にしても、もとは何かといえば大衆の貯金によって生まれた利益でありまして、そういうものがどんどん使われていくということについては、一方では矛盾も感ずるわけであります。しかし、さらにそれが高じて今度は銀行が不況産業じゃないか、どこそこ銀行が非常に危い、こういう信用不安というものになればこれは非常に私は大きな問題じゃないか。こういう事態を迎えて、大蔵大臣としてはこういう非常な不況産業を抱えた金融機関のあり方としてはどのように指導していくのか、そういう点を一点最後にお伺いしたい。  それともう一つは、アルミ業界にいたしましても、また造船業界にしても鉄鋼業界にいたしましても非常な過剰設備を持っておる。しかし、そういうものは政府の高度経済成長政策、政府の経済の見通しの誤りから実は生じたわけでありまして、そういう点も多分にあると思うんですね。ところが、そういう政府の責任というものが追及されないで、その責任を全部業界にかぶせ金融機関にかぶせるということについては私たちも非常にすっきりしない。政府の責任は一体どうなんだと、こういうこともやはり言いたくたるわけなんですが、まあこの問題はまた後日に譲るといたしまして、この二つの点についての大蔵大臣の見解を承っておきたいと思います。
  94. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 御案内のように、日本の経済はいわば自己責任あるいは自由主義経済、あるいは別の言葉で申しますと市場経済を中心にしているわけでございます。政府は毎年経済見通しを発表しているわけでございまして、好ましいマクロの姿、あるいはまた、それはある意味でミクロの指針になると思いますけれども、そういうものを発表しているところでございます。したがいまして、いま塩出さんのおっしゃった問題はきわめてデリケートな私はバランスの問題であると思うのでございます。金融機関といたしましては、もとより非常に信用、秩序を保っておるある意味で公共性の非常に強い機関でございますから、当然こういう不況の時期におきましてはできるだけの援助をしまして、そして取引先あるいは実体経済の援助をするということは当然のことであろうと思うのでございます。私たちは、最大限に金融機関がその公共性を発揮してそして援助をすることを求めているわけでございます。  しかし、いま委員も御指摘になりましたように、それだからといって、大事な預金を預かっているわけでございますから、底なしにやっていけば、これは単に金融機関みずからの経営が危ないだけでなくて、預金者の大きな信用不安を招くことは当然でございます。したがいまして、そこにはおのずから限度があることは当然なことであろうと思うのでございます。したがって、そこは絶えず貸し出しにおいて、また自後の貸し出し先の経営状況について綿密な調査をし、そしてそれに対処した方法をとらなければならぬのは当然であろうと思うわけでございます。  しかし、往々にしまして、なかなかわからないということも事実でございまして、特にその不況になった原因というものは、非常に昔の話で、永大産業の例なんかを申しますと石油ショック後非常に大きな設備拡張をいたした、その結果として合板あるいはプレハブ、こういうところで競争力を矢ってきた、こういう例でございます。ですから、その辺の程度と申しますかバランスというものは非常にわれわれはむずかしいと思っておるわけでございます。したがって、そこはおのずから節度をもって、そして早目早目にやはり経常指導をしていくということは金融機関に与えられた当然の任務でございまして、それでいざというときには最大限のやはり協力をしていく。特に関連企業、あるいは永大の場合で言いますとユーザー、さらには雇用者、こういった人たちに対しては可及的に援助をしていくというようにわれわれは指導をしているわけでございます。  政府の責任という問題でございますが、経済見通しは必ずしも全部が当たっているわけではございません。非常に残念なことでございますけれども、世界経済の大きな変動のもとでそれほど全部が全部当たっているわけではございませんけれども、しかし、マクロの見通しを立てるということはやはりミクロにとっても一つの指針になると思っているわけでございまして、この経済の見通しを誤らないように、それからまた、ある程度理解する方も幅をもって、こういう時代でございますから、御理解をいただきまして、そしてそれぞれが自分の責任において対応していただくようにぜひお願い申し上げたい。そのためには、今後あらゆる意味で、企業のディスクロージャーの問題であるとか、あるいはいろんな情報の周知徹底の問題であるとか、こういうことが今後進んでいかなければいけないであろうと思っておるわけでございまして、われわれは資本市場の今後の発達、あるいは公社債市場の発達、さらには間接金融の問題につきましても、こういった角度を踏まえまして、できるだけ過ちなきを期してまいりたい。まあ決め手が、いま申し上げたように余りこれでいいという決め手はないのでございますけれども、やはりいまの経済体制を考えますとそういうこと以外にはないであろう。努力を積み重ねてまいりたい、かように考えているわけでございます。     ―――――――――――――
  95. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、桧垣徳太郎君が委員辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  96. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 質問いたしたい問題多々ありますが、時間の制約もありますし、いましがたも出ておりましたアルミの関税にかかわる問題は衆議院で荒木議員が質問をいたしましたので、私は問題をしぼって質問をいたしたいと思います。  まず第一の問題は、今回提案をされております百二十四品目にわたる関税前倒し引き下げ、この問題は多分にアメリカからの圧力に、日本政府としてそれに屈服をしたんではないかという感じを私どもは強く持っておるわけでありますが、この点についての大臣の見解はどうですか。
  97. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これはしばしば予算委員会その他でも申し上げましたように、アメリカからいろんな要望があったことは事実でございます。しかしながら、日本アメリカの圧力があったからということではなくて、日本みずからの利益のために、それは当然今日のような国際社会でございますから、国際的な利益と日本の利益のつながるそこの一致点、共通の利益に従ってやっておるわけでございまして、したがって、この前の対外政策というのも別にアメリカだけを意識したわけでもございませんし、また、ECに対しても十分考慮を払っておるところでございます。  それからアメリカ自身、アメリカ日本貿易収支の問題を全然彼らは問題にしていない。グローバルとしての経常収支の問題、それの達成手段としての好ましい成長率について日本にお願いしている。日本もまた自主的立場で最大限の努力をすると、こういうことでございまして、アメリカの圧力に屈服したものというふうにはわれわれとっていないところでございます。
  98. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そのような答弁でございますので、いま一度ごく主な点だけ今回の前倒し関税引き下げにかかわる日取りを、足取りを少したどってみたいというふうに思います。  私もいろいろ調べてみましたが、九月十三日に日米高級事務レベルの会議で、アメリカ側から一般的な日本輸入問題とは切り離してカラーフィルム、電算機の関税引き下げを要求をした。これに対して九月二十日の日に、政府がかなり各分野にわたる総合政策とも言うべき「対外経済政策の推進について」という政策を決定をしたわけでありますが、この中で関税引き下げの問題については東京ラウンドへの取り組みとして、その東京ラウンドへの取り組みを通して合意された交渉日程に従い対応していくという方針をその中でも明記をしているわけでありますが、十月十二日、今度はECのジェンキンズ委員長の方から、ブランデー、乳製品など三十品目の加工食品の関税東京ラウンドに先立って行うことを要求をし、当時の大蔵大臣が再び、この際も、東京ラウンドの場を通じてやりたいというふうに新聞を通して見解表明をしているわけです。  ところが十月十五日、衆議院の予算委員会の場で、福田総理が質問に答える形で、米欧の関心品目について前倒し引き下げを検討しておるという旨の答弁をしたわけであります。  こういう経過をたどって、十一月十一日に前倒しについての大蔵案というのが発表になりましたが、この時点では六十品目程度、一〇%程度、こういう内容で大蔵案というのが発表になっているわけですけれども、重ねて十一月十九日の日に日米事務レベルの会議においてリバーズ案というのが要求をされた。ここで製品輸入比率を現行一九%から四〇%に引き上げる。同時に、自動車、電算機、カラーフィルムなど具体的な輸入拡大策を示せ、工業製品ばかりでなく農産物も思い切って関税引き下げを行え、一〇%程度引き下げでは低いということを正式に要求をしているわけであります。さらに、同日アメリカ側から五百ないし六百品目関税引き下げリストを日本側に提示をしたというふうに新聞に報道をして、おります。  こういう経過を経て、十二月二日の日に前倒しについての政府の方針決定というのが新聞報道されておりますが、八十品目にわたって関税引き下げを行うというふうに報じております。そしてさらに、十二月十四日の日に今次提案の基礎になります政府前倒し引き下げの全容が発表になりまして、百二十四品目、平均二三%の引き下げを行うということが決定をされ、そして関税率審議会の諮問、答申を経ながら一月の十三日、日米共同声明で二十億ドルの輸入にかかわる関税前倒し引き下げの四月一日実施をその中ではっきりとうたい、さらに今次提案、さらにそれを一歩進めて共同声明では四月一日実施と、こう書いておったわけですけれども、法律の公布の日から直ちに実施をするという今次法案の提案になっておると、こういう経過をたどっておると思うのでありますが、私が申し上げましたこの経緯、大筋で間違いありませんね。
  99. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 私、先生の御指摘のいろいろな日にち、正確にメモしなかったので大変恐縮なんですけれども、まず九月十三日に準閣僚レベルの日米の会議が持たれたという際に、向こうから関税東京ラウンド妥結前に前倒しをしてくれというような話は、私も会議に出席いたしましたのではっきりそういうことはなかったということは申し上げられます。  翌日、バーグステンというアメリカの外務次官補が私のところに参りまして、かなり東京ラウンドの全般についての話はありましたけれども、その際に関税前倒しをやってくれというような話は全然出ておりません。  それから、十一月十九日に日米事務レベルの折衝でリバーズという通商代表の法律顧問が参りまして、その際も私会っております。新聞に五百ないし六百の品目について関税前倒しの対象品目に選んでくれというように報道はございましたけれども、そういう具体的な要求は一切ございません。私、最後別れるときに、その品目リストを置いていきましたけれども、それはたしかサゼスチョン・フォア・タリフ・リダクションということで、実行税率がどうなっておるかという品目がずらっと並んでいるだけで、もし日本がやってくれるとすればこの中から選んでほしいなあという趣旨のリストを何の説明もなく置いていったというのが事実でございます。それが新聞では、具体的な引き下げ品目の要求がなされたかのごとく報ぜられたことは大変遺憾だというようにはっきりここで申し上げられるのが実態でございます。  私は、およそ一国の関税率というものは他国の要求によってみだりに上げ下げするべきものではないというように思っております。日本は淡々としてこの国際経済情勢を考えるならば、やはり東京ラウンドを早く妥結させるような姿勢ホスト国として積極的に示すことが国益だという判断で、関税率審議会に原案を出して、そうして答申をもらって、今日ここに法案を御審議願っているという段階でありまして、また、施行の日につきましても、新聞では四月一日というようなことが書いてございましたけれども、これはこういう趣旨からいきまして、できるだけ早く日本姿勢を示すことの方が国益だという判断で、公布の日から施行ということをお願いしているわけでございまして、いま先生の御指摘になりました、およそ外国の圧力によって一国の関税を動かすなんというような不見識な気持ちはございませんから、その点ははっきりさせていただきたいと思います。
  100. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 えらい大きな声で強調されておりますけれども、どうなんですか、そうしたら九月二十日の、さっき私も触れました総合的な政府の政策の一環としての「対外経済対策の推進について」というあの文書ですね。あの文書の中では、はっきりと関税引き下げの問題については東京ラウンドへの取り組みを通して対処をしていくんだというふうに明記をしておった。物の一カ月もたたない間に、十月十五日の予算委員会で総理の答弁が変わってくるという、こういう歴然たる事実、あるいは一月十三日の牛場さんが行かれました日米共同声明のあの中でこういうくだりが出てくるでしょう。「大臣は、一九七八年度においては、日本経常収支黒字は内需拡大、最近数カ月における円の切り上がりの効果及び」、これからが問題ですが、「外国商品の日本市場に対するアクセスを改善するための一連の新たな措置を通じ、大幅に縮小するであろうと付言した。」というふうに書いておるという問題やら、あるいは実際今回の提案をされています関税前倒し引き下げ品目の中には、つとにアメリカなんかが強く要求をしてきた品目が大きく入っておる、こういう点からいってみて、やはり率直に、それは当然日本政府でありますから日本産業の実情を踏まえて自主的に検討したというのはいわば理の当然の問題であって、しかしなかなか強いアメリカ側からの圧力があったということは認めるべきで、当然じゃないですか。
  101. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) まあ東京ラウンド、先ほど外務省の方からほかの委員の御質問に対して答えがありましたように、四十八年の九月に東京で宣言されてからなかなか進展を見なかった。しかし、去年の五月にロンドンで首脳会議が開かれた際に、福田総理が、東京ラウンドをことしじゅうに実質的な進展を見せるようにしようではないかという提言をされましてそれが採択されたと。それから七月からどんどん動くようになってきた。そういう際に、ホスト国日本としてはやはり下げられるものを下げていく。そうして、まごまごしていれば世界は保護貿易主義の台頭で恐慌的な様相だって考えられるわけでありますから、そういう際に日本が積極的に何とか態度において示すことはできないものかということを私はひそかに考えておりました。  その際には、アメリカ関心品目だからというんじゃなくて、日本関税率の中で外国に比べれば比較的高いとか、あるいは貿易日本が非常に優位に立っているという物の中から選ぶ、あるいは日本が供給できない物を選ぶというようなことで選んでいったんでありまして、結果的に先ほど先生が今度の百二十四品目の中にはアメリカの物が入っているではないかという御指摘でございますが、それは入っております。しかし、全体で五十一年の輸入実績でいえば約六千四百億でございますが、その中で、一体アメリカ輸入額の中で今度の前倒し品目のカバーの率はどれだけかといいますと六・一%です、ECが一二・一%です、というように、決してアメリカ輸入額の中で関税前倒しの対象品目を選んだ物のウエートが高いという実態にはなっておりません。ECが結果的には一番高いという数字になっているのであります。誤解を解いていただきたいというように思うわけです。
  102. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この問題だけで論争していますとこれだけで深夜になりますから。  いずれにしましても、いよいよ東京ラウンドの本番に向けての取り組みが引き続き進んでいくわけでありますから、ぜひとも日本産業に対する影響を慎重にひとつ検討をして東京ラウンドに向けては対処をしていくんだと、日本としての自主的な立場から対処をしていくんだという基本態度、基本方向、これは確認をしてよろしいわけですね。
  103. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) そのとおりでございます。
  104. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは、日本の廃業にこういう関税引き下げの問題がある分野では重大な影響を与えるんではないかという問題の一つとして、いま山梨県などで大きな問題になっておりますワインの問題を一つの例にしてお尋ねをいたしたいと思います。  例の稲作転換政策によって多くの農民の皆さん方が米作からブドウづくりに転換をしてきた、それが大きな比重を占めておるということでありますが、このブドウが醸造用として大きな不安が出てくるんではないか、また、地場産業として成り立ってきたワインメーカーの経営が心配をされるんじゃないかということが山梨県下では大きな――ほかの県にも多少ありますけれども、問題になっておると思いますが、当然こういう点は配慮をされたことと思うんですけれども、たとえば関係者の意見は十分聞かれたのか、あるいは今次提案の中でどういうその点の配慮がにじみ出ておるのかという点についてはどうですか。
  105. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) ワインにつきましては、先生承知だと思いますが、よその国と比べますと大変関税率が高くなっております。国内のブドウを使っていくのと、もう一つはバルクワインを輸入してまぜてボトルするというような形で国内ではワイナリーが製造しているというのが実態でございます。  今度の関税率の際にも、関税率が相当高いわけでございますが、何とか多少下げてもらえないかということを担当省である農林省ともいろいろ相談しまして、もちろん農林省としては山梨県当局とも御相談になったことと思いますが、結果といたしましては、ボトルのワインにつきまして一二・五%を下げ、バルクのワインにつきましては現行どおり据え置くというような措置をとったわけでございます。バルクワインは大部分がいま特恵関税で一リットル八十円という関税で入っておりまして、そういう安いワインを引き取りますと、ワイナリーとしてはその原料も使い、また国産のブドウもそれなりに高く買えて、まぜてコストが下げられるということになりますので、やはりバルクのワインの方は一リッター八十円というように低くなっておりますので、これをさらに下げますと国内のブドウ生産農家の脅威にもなるというようなことで、これは前倒しの対象品目からは除くということを積極的にやったわけでございます。
  106. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いまのようなことでありますが、そういう点で十二月の上旬に山梨県の知事からも政府の方への強い要請が行われたということになっておりますし、また、昨年の十二月二十一日には山梨県議会で決議が採択をされて、輸入ワインの関税に関する意見書という形で同趣旨の申し入れを政府の方へやってきている。  お尋ねをするのでありますが、国産ワイン、地場産業を安定的に守っていく、そういう点でいわゆる外国産ワインの関税引き下げはもうこれ以上は行わない、東京ラウンドの本番でさらに再び下げるということはひとつやめてくださいということになっておるのですが、そういうことはしないということで確認できますか。
  107. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 先生お話しのとおり、山梨県の方からそういう対策について陳情を受けておりまして、その一つの項目の中には、外国産ワイン、びん詰め物の関税引き下げはこれ以上行わないことという要望がなされております。私どもとしましては、そういう御要望もあることで十分検討はしているところでありますが、御承知のように、東京ラウンドというのは八年間のあるべき姿を考えようということでございますので、八年間ずっといまの関税でいいかという問題についてはもう少し慎重に検討してまいりたいと、いまは白紙でございます。
  108. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 時間の制約がありますのでつづめてお尋ねをいたしますが、二つ目の問題として要望が出ております外国産ワインのバルク物の関税引き下げは行わないようにという点、あるいは国内の原料ブドウの優先使用ということを基本にした外国産ワインの輸入調整方式を確立をしてもらいたいという問題とか、あるいはブドウ農業とワイン産業の育成が図られるよう税制上、金融上の措置を含めひとつ施策の充実を図ってもらいたい、こういった点についてはどうですか。
  109. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) お答えいたします。  いま先生から御質問のございましたいろいろな要望、四項目の要望が行われておりますことにつきましては、御質問のとおりでございます。  いろいろな要望があるわけでございますが、その背景には、やはり関税率引き下げによりまして競争上比較的不利な立場に置かれます国産ワインメーカーが、国産の原料ブドウを購入しなくなるのではないかというようなあるいは危惧もあろうかというようなわけでございますが、いずれにいたしましても、いろいろの問題がございまして早急な対応は困難な状況でございます。  当面の措置といたしまして、バルクワインの関税につきましては現状どおりとするということ、五十三年産のブドウにつきましては五十二年産と同様の取引をするということ、ワイン対策につきまして検討会を設置する、以上の三つのことにつきまして県当局の同意を得たわけでございます。  その結果、国税庁といたしましても、五十三年産の原料ブドウにつきましては五十二年産のものと一緒にする、事前取引契約をやるということで指導いたしましてワインメーカーの了解を得ておるわけでございます。  それから、ワイン産業の対策検討会につきましては、第一回目を一月の末に開催いたしまして、昨日第二回目を開催いたしました。いずれにいたしましても、問題の性格上、非常に具体的な結論を早急に得るというのはかなりの時間を要するんではないかというふうに思われますので、国産ワインと原料ブドウの共存共栄ということを基本といたしまして、五十四年度以降のワイン用の原料ブドウの安定取引というものを含めましてそのあり方を検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  110. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いずれにしましても、東京ラウンドに向けての東京宣言の中でも、この関税引き下げの問題については、いわゆる工業製品と農産物については画一的に扱うのではなくて、それぞれの国の農業を守る立場からの十分な配慮を行っていく必要があるというふうに書いておる問題であります。  あるいはまた、時間の関係で触れることができませんが、今回の提案の中でいわゆる前倒し停止条項ですね、重大な影響のある場合またはそのおそれのある場合前倒しを停止をするという、この物差しについてもいろいろお聞きしたいわけでありますけれども、衆議院の方で議論なさったその制度説明としては、その産業の半分以上の企業に影響が出てくるというような場合にはこの停止条項の一つの物差しになるといったような答弁をなさっている。  そういう点から見ますと、たとえばこういうブドウ産業というのはいわばかなり際どいところへいくんじゃないかというふうにも考えられるわけでありますし、本番東京ラウンドに向けてどういう態度政府として対処をしていくかということでいろいろ御答弁をいただいたわけでありますが、いずれにしても前倒しによる被害、さらに本番に向けての二重のこれらの農民、農家の皆さん方への重大な被害がかかっていくということにならないように、ひとつ十分慎重に対処をしてもらいたいということを強くお願いをしておきたいというふうに思います。  あわせて、同様の問題としてお尋ねをしておきたいと思いますが、二月二十七日の日経新聞でも、安い外国のキャンデーが輸入をされてくる。そのために日本の中小製菓業者に打撃が来る。東京ラウンドでさらに関税引き下げの見通しもあっていろいろ心配が出ているという報道がされておるわけでありますけれども、いずれにしてもこの種問題について大手の業者だけではなくて中小零細の業界の皆さん方の意見もよく聞いて慎重に対処をしていくということでぜひやっていただきたいというふうに思うのでありますが、その点についてどうですか。
  111. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 私は、関税率というのはやはり財政関税をいまとっておるわけではなくて保護関税だと、基本的にはそういうように考えております。したがいまして、国内産業を、農業であれ中小企業であれ守っていかなければならぬ。これは将来国内において生産がふえていくものであるというようなものについてはある程度バリアを張っていくのが当然だと思います。そういう点で、先ほどお話しのように工業品と農産品というのは東京ラウンドにおいても別な扱いをするということが言われているわけでありまして、私ども交渉に当たっては、国内産業に大きな影響がないかということを十分検討して対処していきたいというように考えております。
  112. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 次に、関税の問題にかかわって、いわゆる繊維を初めとする逆輸入規制の問題について少しお尋ねをいたしたいと思います。  二月三日の衆議院予算委員会で、わが党の不破書記局長もこの問題を取り上げてきたところでありますが、もう多くを申し上げる必要ないと思いますが、わが国の大企業が韓国に資本投下をするとか合弁企業をつくるとか、こういう形を通して、韓国の国内で売られるよりは日本国内向けにどっと商品が輸出をされてくる。数字的に見ましても、韓国の現地で売られるのが一六%、日本輸出するのが六八・五%、こういう率になっておって、このことが日本国内の、まあ私は京都でありますけれども、京都であれば西陣とか丹後ちりめんとか、全国的に非常に大きな悩みの問題になっているということでありますが、何とかこういういわばまあ悪徳商法を規制できないかというのが業界からの強い要望になっておると思うんです。  この点で衆議院の予算委員会でも触れたわけでありますが、再度もう少し敷衍をしてお尋ねをいたしたいんでありますが、例の外為法に基づく「外国為替管理令に基づく許可事務等の委任について」という通達が出されておって、わが国経済に重大な悪影響を及ぼすおそれのある投資についてはいわゆる自動承認制の例外とすると、こういう扱いになっておると思うんでありますけれども、たとえばこういう方法なんかも適用をして、これらの悪徳的投資について規制を行うということを考えるべきではないかというふうに思うんでありますが、この点お答え願いたい。
  113. 宮本治男

    説明員(宮本治男君) お答えいたします。  先生承知のように、海外投資につきましては、OECDの自由化コードに沿って、現在特定の業種を除きまして自動許可制ということでございますけれども、繊維などにつきましては、不況の深刻化その他もございまして、従来からわが国にその海外投資の結果、大量に逆輸入されて日本の繊維産業に重大な影響を及ぼすようなものにつきましては、必要に応じまして事前に指導をしております。その姿勢を今後とも続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  114. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その事前指導をなさってるということはよくよく承知をしてるわけですけれども、そういう事前指導をくぐり抜けて悪徳商法がはびこってるという、ここを問題にしてるわけで、そういう点で、いまの外為法に基づくその通達ですね、これをもとにした、そういう法律、規則に基づく規制をやるべきだということを提起をしてるわけですけど、その点はどうなんですか。私はできると思うんですがね。
  115. 宮本治男

    説明員(宮本治男君) 国際的な環境その他から申しましていろいろ制約があると思いますが、現在のような行政指導という形の線で続けてまいりたいというふうに考えております。
  116. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その予算委員会でも触れたんですけれども、こういう通達がありながら、これが発動された例が、わが党が調べたところではいままで例がないということで、もう通達が宙に浮いてる。せっかくそういう通達があるんだから、これを活用して日本産業を守る積極措置をとったらどうかということを言ってるわけでありますから、ぜひともひとつそういう方向での検討をしていただきたいと思います。  もう一つのこの方策――私どもが考えた方策でありますけれども、きょうもちょっとお話が出てましたガット十九条の緊急輸入制限条項、これがあるわけですけれども、これも国内関連産業に打撃を与える場合、関税の引き上げができるというふうに定めてるわけでありますけれども、ただその場合には、総合的に他の品目関税引き下げを行ってバランスをとらなくちゃならぬという、こういう点があるわけですけれども、そのバランスをとる問題は多々方策はあるだろうと。非常に輸出競争力の強い分野もあるわけでありますから、したがって、この条項なんかも活用をしながら関税の面でこれらの悪徳商法を規制をするということをひとつ御検討願いたいというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  117. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 繊維で輸入繊維というのがわが国の中でどれぐらいのシェアを占めているか、これを全部ならすことは問題があるかもしれませんが、三%というような実態でございまして、まあ全体としては緊急関税でもって対処するというような実態のものは現在においてはないのではないかというように思っておりますが、緊急関税という制度現行法上あるわけでございますから、実態的にそういうようになった場合には緊急関税を動かすということで対処しなければならない場合もあろうかと思います。
  118. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まだほかに方策はいろいろあろうかと思いますけれども、たとえばという方法でいま外為法に基づく規制、緊急関税に基づく規制、こういう二つの方法を提起申し上げたわけでありますけれども、ぜひともそういう点で鋭意当局として検討をいただいて、どうやってこの日本の伝統産業を守るかという立場からの方策を強化していただきたいというふうに思います。  もう一つお尋ねをしたいと思いますのは、この法案でも加工再輸入減税の問題、これの適用延長の問題をうたっておるわけでありますけれども、これの主たる内容は自動車とか家電とか、こういう製品に関係をする分野になってこようと思いますが、ここらの分野というのが非常に今日まで、同時にまた輸出力の強いそういう分野にもなっていたということで、むしろここらの問題は、そういう減税措置を継続をするというよりは、もっとその減税措置を見直すべきことが必要ではないかというふうに思うんでありますが、その点どうですか。
  119. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 加工再輸入減税措置は、御承知のように昭和四十四年から設けられている制度でありまして、原材料をわが国から輸出して外国で加工されてそれが再輸入される場合には原材料相当部分だけ減税するという制度になっているわけであります。  これの利用の状況でございますが、五十一年度で見ますると、約十億輸入額がございまして、近隣諸国から大変要望の強い制度でございます。したがって、現在においてはこれを存続させていただきたいというように考えているわけでございます。  それから、大変恐縮でございますが、先ほど繊維の三%と申しましたのは総輸入額の中に占めている特恵国からの輸入が三%ということでございますので、訂正させていただきます。
  120. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 最後に、石油税にかかわる問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、この関税を財源といたしますいわゆる石炭石油特別会計についてでありますが、今回の提案に基づいての仕組みがこう変わるということで、結果的に見ますと昨年度に比べて石炭勘定は七%伸びるだけ、ところが石油勘定は創設をされる石油税も投入をされるというこのことも大きな理由でありますけれども、一四三%も伸びてほぼ二倍の規模になっている、こういう姿になっておると思うんでありますが、この大きくふくれる石油関税石油の備蓄だとかあるいは海外の石油開発のための買い取りと、こういうところへ大きく回っていくという方向になっていると思うんであります。  ところで、問題は従来この分野における関税は大きなウエートとしては石炭をどうやって守っていくかと、財源的、数字的に見てそこに重みがかかっておった。これが大きく逆転をするという結果になってきている。わが国のエネルギー政策の長期展望といいましょうか、そういう点から見ても、また諸外国の動向から見ても、国内の石炭を見直すべきであるということがかなり大きな議論になってきていると思うんですけれども、そういう見地から言っても、それから同時に、最近の深刻な不況のもとでいろんな炭鉱地域における多数の失業者の皆さん方の生活をどう守るか、こういう点から言ってもこの石炭会計の問題というのは非常に重要だと思います。  そういう点で、今回数字的に比重が逆転をし、石炭会計の位置が非常に低下をしてくるわけでありますけれども、エネルギー政策上の見直し問題、また、現実に生活困難から炭鉱地域の人たちをどう守るかとか、こういう点での独自的な施策を財政上、行政上どういうふうにやっていくのかという点について、これは大蔵大臣と通産省それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  121. 向阪浩

    説明員(向阪浩君) お答え申し上げます。  石炭対策の推進は、ただいま御指摘のとおりわが国のエネルギー政策の重要な柱の一つでございます。このため、従来から原重油関税収入を財源として所要の施策を行っているところでございます。  すなわち、石炭鉱業合理化安定対策によりまして国内炭の二千万トンの生産体制の維持、石炭利用の積極的な展開等の施策を講ずるとともに、石炭鉱害対策、産炭地域振興対策等所要の施策を講じているところでございまして、今後とも必要な石炭対策の遂行に支障のないよう努めてまいる所存でございます。
  122. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま通産省から答えたとおりでございますが、いま二千万トンぐらい利用しているわけでございます。今後これをふやすことができるかどうか、これは実体官庁であります通産省に御研究を願わなければならぬわけでございますので、国内のエネルギーを有効利用するという立場については、われわれ全くあなたと同じ考えを持っているわけでございます。  片や不況対策という問題、これもいまお答えがあったように、産炭地域振興の問題、さらにはまた職業安定資金の問題、雇用保険の方でいろいろ手当しているわけでございます。  なお、今後の公共事業の促進当たりましては、われわれは雇用対策を重視しているわけでございますので、実際の実施計画当たりましてはそういった雇用関係の問題を十分踏まえましてこの実施計画を推進してまいるということで、今度の特定不況産業のあの法律案でも、労働大臣から特に意見を申し述べるという構成になっているわけでございます。実行上そのような点に十分配意いたしまして財政の方も十分留意してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  123. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 御答弁が、どうもちょっと私が質問をしておりますポイントとかみ合ってないんですけれども、私が質問をしておりますのは、従来の石炭石油特別会計の姿と比べて、石油関税が下がると結局この石炭会計、石炭勘定に回っていくお金がうんと少なくなるわけです。石炭対策がやれるお金がうんと少なくなるという結果が出てくるわけだけれども、そこを補うために五十三年度の財政措置として、あるいは行政上の施策として、お金が減ってくる分を補うためにどういう特別のことをやるんですかということを、いままで何してきたんですかということを聞いているんじゃないんで、そこをひとつ明確にお答え願います。
  124. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 先生指摘の、石炭石油特会の中で石炭勘定の比重が下がっておるという御指摘でございますが、比重という点で申しますとそのとおりでございます。ただこれは、今回国会に提案いたしております石油税の創設、それに伴いまして石油関係の対策費を大幅に拡充しようと、こういうふうなことによるものでございまして、石炭関係の対策費がそのために減るとか、そういうふうなことではございませんで、五十三年度予算におきましても、総額におきまして千二百八十三億円の石炭対策費を計上いたしておるわけでございます。決して昨年より減っておるとかいうふうなことではございません。  先生一番初めに申されましたとおり七%の増、これが多いとか少ないとか議論はあるいはあるかと思いますけれども、先ほどお話がありました二千万トンの生産体制というものを維持するのには必要な財源措置が十分講じられておると、かように私ども考えております。
  125. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 佐藤君、もう時間ですから。
  126. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 はい。  石炭の新たなるエネルギー源としての見直しのための施策とか、そういう点から七%増というのではおよそ不足するというのは明らかだと思いますし、いずれにしましても、この問題については特別会計の執行上の問題としてもいろいろ考え得る問題であろうと思いますし、ひとつ十分検討いただきたいと思います。  最後に一問質問をして終わりますけれども、さっきも触れましたように、この石油勘定で石油開発公団への援助を強めながらタンカー備蓄も含めて石油備蓄政策をずっと推進をしていくということになっているわけでありますけれども、この石油備蓄政策という方向は、いわばIEAの施策に沿った、アメリカのメジャーに依存をする、そういう方向だと思うんです。私思うんですけれども、そういう石油の自主開発の問題と相並んで、産油国とこの石油について直接取引をするという、こういう方向を積極的に打ち出す必要があるのではないかということを最後意見としてお尋ねをして終わります。
  127. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) わが国石油産業におきます大きい問題が、地域的にもあるいは供給ルートの面でも非常に偏っているというところにあることは広く指摘されているとおりでございまして、これの解決のために地域的な分散化を図ると同時に、従来メジャー系列に偏り過ぎておりました供給ルートにつきましても、産油国との直接取引とかあるいはGGベースでの取引という方向、あるいは自主開発原油引き取り促進といった形でその多様化を図る考えに私どももあるわけでございまして、この基本的な方向につきましては、総合エネルギー調査会で昨年八月出していただきました中間報告の中でも強調されている点でございます。その中でも、民間石油産業も産油国との長期的な関係の強化を図りつつDDの取引を拡大すべきであるというふうなことを言っております。この辺も考慮しながら、私どもとしても全体としての多様化の方向に努力したいと思っております。
  128. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  130. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十分散会      ―――――・―――――