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国務大臣(
村山達雄君) いま三点御指摘になったと思うわけでございますが、
一つはやっぱり
個人消費支出がどうも危ないんじゃないか、こういうお話、特に耐久
消費財の例を出されたわけでございます。
経済企画庁の方でも、耐久
消費財についてはほぼ
需要が一巡しておって、かつてのような三種の神器のようなものがなかなか出ない。この方の
需要の
伸びには多く期待していないようでございます。その他の部門、特に第三次産業の方面に関係のある
消費の方が
伸びるんじゃないか、こういう観測で、そういうものを織り込んで最終的には一一・九を出しておる、こういうことでございます。
それから第二点の、いま
民間住宅が、これがやはり大きな
要素ではないだろうか。この点はごもっともでございまして、
政府におきましてもこの点は大きく期待しておる。特に
住宅建設が行われますと、それに伴う家具であるとかもろもろの物のやはり周辺の購買力が当然出てくるわけでございますから、
波及効果が非常に大きいと、こう見ているわけでございます。そういった意味で
住宅建設の
促進につきましては、
一般会計におきましても財投におきましても、また
民間の金融につきましても、それぞれ
所要な
措置、できるだけの
措置を講じているところでございますけれども、特にいま
税制についてお尋ねがありましたのでその点をお答え申し上げたいと思うのでございます。
税制につきましてはなかなかむずかしい問題でございまして、三つぐらいの要請があるんじゃないかと思うのでございます。
一つは、かつてのような狂乱
物価で土地が非常に高くなった。だから、その高くなったという理由はほとんど大部分は
公共投資のおかげで本人の
努力によるわけじゃないんだから、むやみやたらに金持ちをつくっちゃいかぬ、土地成金をつくっちゃいかぬ、こういう問題が
一つございます。
それから第二番目の問題は、やはり土地価格というものをできるだけ安くする必要があると、こういう問題が
一つはございます、最終
需要者の面から言いますと。
第三番目には、しかし、そうかと言って土地の供給が円滑でなければこれはなかなか住宅ができない、何といっても土地の問題が優先するんじゃないか。だから土地成金をつくらないで、しかも土地価格を安定さしながら、しかも土地供給をふやせと、こういう三つの命題にこたえるためにはどうしたらいいかと、こういう問題なのでございます。
そこで、
税制の方でございますけれども、土地
税制の方から申し上げますと、今回やりましたのは、従来主としてこれはデベロッパーに適用されるのでございますけれども、いままでは二つのたががかかっておったわけでございます。
一つは、国土利用計画法における公示価格を上回って売ってはならぬと、こういう歯どめが
一つございました。それからもう
一つは、
税制上の歯どめというわけじゃございませんけれども、適正利益率二七%を超えた場合には、その根っこから普通の
法人税のほかに二割という土地重課をいたしますと、
税制上の規制があったわけでございます。
そこで、仮に公示価格で売った場合にそれが適正利益率を超えておりますと重課税がかかる。そのために公示価格違反ではないんだけれども
税制上の負担がかかるので売らないと、こういういろんな御主張があったわけでございますので、今回はその適正利益率という問題をはずしたわけでございます。そして、売る価格は全部公示価格以下で売ればいまの土地重課の適用をやらないと、こういうことにいたしましたので、デベロッパー方面ではかなりの土地供給が行われることを期待しているわけでございます。なお、ほかにも要件がございまして、公募条件が非常に従来厳重でございましたけれども、それを一部はずしているところでございます。
それからさらに、ミニ開発の関係でございまして、これは小さな宅建業者に適用されるのでございますけれども、それにつきましても従来かなりしばりがあったわけでございますが、これも若干緩和いたした、こういうことが
税制上行ったところでございます。
それから同時に、あわせて申し上げますと、それだけではなかなかうまくいきません。そこで言いますと、主として人口急増地域におきまして公共関連の施設、これが
地方財政が非常に苦しいためにそれをデベロッパーに負担させる。公共負担と称して、そして土地の何割かはこちらに公共負担として出しなさい。
企業の方ではその分を損するわけにいかぬものでございますから、その分を全部割りかける。したがって土地価格が非常に高くなるということがございますものですから、
地方団体の方の負担を軽減することによりまして反射的にデベロッパーの負担をやわらげ、そして結果において土地の価格を従来よりも安く提供させるようなもろもろの
措置を講じることをあわせ申し添えておきます。
それから、もう
一つは今度は上物の方の関係でございますけれども、これも
税制だけについて申し上げますと、いわゆる住宅取得控除、この制度でございますが、これは取得後三年間いままでは最高三万円引くことにしておりました。今度は住宅ローンと関連さしまして年間の償還額が三十万円を超えるものについてはその超える分について五%、最高三万円でございますから、従来の三万円と合わせて最高六万円住宅取得控除で引きましょう、こういうような
税制措置を講じているわけでございます。もちろんそんなことだけで建物の取得が進むわけではございませんで、住宅金融公庫の住宅戸数の目標を高め、それに対応する
資金量をふやし、そしてまた一戸
当たりの貸付限度を
引き上げ、さらには貸付条件、これを大幅にいろんな工夫をこらしまして緩和しているわけでございます。たとえて申しますと、木造家屋でいままで償還期限が十八年を二十五年にしますと、あるいは五十三年度限りの
措置でございますけれども、一年間は元本据え置きで結構でございます、一年間は元本返さなくても結構でございますと、こういうようなことをやっております。
なお、
民間につきましても、最近は住宅金融の
伸びが非常に多うございまして、残高で申しますと、前年同期に比べて最近では
一般が大体九%、全部で九%ぐらいの貸付残高の
伸びでございますが、住宅の方の残高はたしか二四%ぐらいの
伸びでございます。それだけ非常に
需要が強いわけでございますので、
民間につきましてもいろんな条件を考えてくれ、それで一年据え置きというやはりやり方を考えることになっております。
なお、
一般の金融機関につきましては、近く住宅ローン相談所が一斉に発足すると見ているわけでございまして、そこでいろんな相談に応ずる。既往の住宅ローンの返済についても条件変更もケース・バイ・ケースで相談にあずかるように、かような指導をしているわけでございます。ですから言ってみますと、
政府が持っておりますいろんな政策手段、
一般会計、財投、
税制、さらには
民間金融機関に対する指導、このようなもろもろの
措置を講じまして、そしていまおっしゃるように
波及効果の最も高い
住宅建設を
促進しようと、かようにしているところでございます。