○
国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の十二月に
政府が七%ということを申しましたときに、各方面から非常な手厳しい批判を受けたわけでございます。国会における予算御審議の過程でもいろいろ御批判をいただいたわけでございますが、ただいまの
時点になりますと、少し基調が変わってきつつあるということは世の中でだんだん言われ始めております。もちろんまだ決定的に七%云々ということは言っておられる方は少のうございますけれ
ども、四カ月前のような
情勢とは違うなあという感じはあちこちで持っておられるように
考えていまして、私は、経済のここまでの動きは私
どもがほぼ予測をしたとおりであったのではないかと
考えております。ことさら議論の分かれました在庫調整の問題につきましては、一部に残っておるものがございますけれ
ども、ほぼ一巡をしたということは、だんだん各方面で認められるようになってきたと思っておりまして、したがいまして、今回は
政府の公共事業投資の波及効果が、本来期待し得る
程度に期待し得るのではないかという判断を強めておりますので、それで先ほど申し上げました達成が十分可能であると
考えておるわけでございます。
少し詳しく分析的に説明せよという
お尋ねでございました。
で、やはり一番消費が
国民総生産の中で大きい要素でございますので、これが一番その影響力が大きい重要項目でございますが、当初から申し上げておりましたとおり、恐らく消費は生産関連の動きから
一つおくれてしか出てこないであろうということを申し上げておりました。ことに昨年の暮れには消費の傾向がかなり沈滞しておりまして、前年同月で対比いたしまして、十月にマイナス〇・五、十一月にマイナス一・五ということであったわけでございます。ただいま一月までしかわかっておりませんが、十二月にはプラス〇・七、一月にプラス二・八と、ここでかなりの目立った回復が見られます。この基調がこのまま続きますかどうかがなお定かでございませんが、一応沈滞を脱したのではないかと思っております。
で、春闘につきましては、私
ども伝統的に口を差しはさむべきでないと
考えておりますので、コメントを申し上げることを御遠慮いたしますけれ
ども、しかし一般的に、消費者が経済は最悪の事態を脱したと判断するとき、つまり雇用の問題もこれ以上は悪くならないであろう、あるいは多少の残業手当もふえてくるかもしれないと判断するようになりました場合、しかも消費者物価が確かに、理想的に低いとは申し上げませんけれ
ども、落ち着いた推移をたどっておるという場合には、かなり消費者も長年の間節約をしてきておられますから、普通
程度の消費に戻っていくということは、私は期待し得ると
考えております。すなわち昨年あたりに比べまして多少の消費性向の回復があるのではないか。これはそんなに無理な期待ではないという感じでございます。
民間住宅につきましては百六十万戸
程度を
考えておりますが、今年は住宅金融公庫の融資条件あるいは融資の枠等々にかなりの改善を
計画しておりますし、また多少の減税もある。これもやはり経済の最悪事態が過ぎたと判断するかどうか。しかも、建設資材は少しずつ上がっておるとは申しますものの、まだまだ十分余裕がある。こういう状況で、かなりの期待ができるのではないか。
設備投資につきましては、もともと大きな期待をいたしておりませんで、主として電力に期待をしておるわけでございますが、これは予算
委員会当時の段階で申し上げました三兆一千億
程度。これは年度が始まりまして、九電力、電発等の具体的な
計画がスタートいたしますが、まず三兆一千億という
数字に過大見積もりはなかったわけでありまして、それにある
程度のプラスアルファが前倒し等で多少の期待ができるかもしれない状況であります。
それから民間在庫につきましては、五十二年度に
考えましたものが三兆円
程度、五十三年度に
考えておりますのが三兆八千億円
程度でございますから、これは大きな
数字ではございません。私
どもはこの点では、景気が最悪な事態を脱しましても、大きな在庫の積み増しがあるということはもともと期待できないであろうと
考えておりますので、この点はまずこの
程度のものはいけるのではないか。
総じて申しますと、七%
程度の成長という路線に、まだ
見通しをつくりましてからわずか四カ月余りでございますけれ
ども、まずまずそういう方向に向かいつつあるというふうに判断をいたしておるわけでございます。