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政府委員(
佐分利輝彦君) まず、第一の御
質問の
医療供給体制に関する
計画並びにその実施
状況でございますけれ
ども、具体的な例を申し上げますと、僻地
医療対策については昭和三十一年度からやっておりまして、現在の
計画は五十年度から始まった第四次五ヵ年
計画でございます。また、これが来年度で第四次
計画が終わりますので、新たな第五次
計画策定のための実態
調査を本年度実施することにいたしております。また、救急
医療対策につきましては、四十八年に消防法に基づく救急
病院の
厚生省令を設けまして、告示
病院、診療所の
制度を進めると同時に、四十一年から各都道府県の救急担当の基幹
病院の整備を進めてきたところでございますけれ
ども、当時は交通事故が主体でございましたが、最近は交通事故も四十五年をピークとして減ってまいりましたし、むしろ脳卒中とか心筋梗塞とかあるいは子供の急病、あるいは緊急のお産と、そういった外傷以外の疾患が問題になってまいりました。そこで、五十一年度から第三次救急
センター、いわゆる最高度の機能を持った救命
センターの整備
計画を打ち出したわけでございますけれ
ども、さらに五十二年度からは三ヵ年
計画をもって日本全国の救急
医療の体制を整備しようという
計画を打ち出しまして
推進をいたしております。救急
医療対策も五十四年度は約四十億増額されているわけでございます。
そのほか、特殊疾病
対策でございますが、がんの
対策といたしましては、すでに三十六年の国立がん
センターの整備から始まりまして、各都道府県のがん
センター、さらに広域
市町村圏におけるがん診療施設の整備というふうに進めてまいっておりますし、小児
病院につきましてもすでに専門の小児
病院は世田谷の国立小児
病院を
中心といたしまして全国に九ヵ所ございますし、
計画中のものが四ヵ所ございます。また、総合
病院で小児
医療の診療部門を非常に強化したといったようなものも、二十七ヵ所はすでに整備されているわけでございます。
また、難病
対策については、四十七年の十月に難病
対策要綱を発表いたしまして、第一次五ヵ年
計画を実施いたしまして、一応五十二年度で第一次
計画は完了と、五十四年度からいよいよ難病
対策の第二次
計画に入るという時代になってまいっております。
また特に、新しいものといたしましては腎透析、腎移植の問題がございますけれ
ども、腎移植につきましても本年度から地方腎移植
センターと申しますか、じん
センターの整備を始めるといった予算が計上されております。
以上は、建物設備について申し上げたわけでございますが、医師の
養成計画、
看護婦の
養成計画も、それぞれ医師については無医大県解消
計画として、また
看護婦については第一次五ヵ年
計画として
推進されていることは御案内のとおりでございます。
次に、第二の御
質問の
病院と診療所の機能の分化の問題でございますが、これは各国の
国民の慣習とかあるいはその国における医学、医術の発展の過程、歴史と、こういったものによって非常に左右されるわけでございます。やはり、日本の
国民は
教育水準が高うございますので、できれば大
病院の外来を利用したい、大
病院の専門医を主治医にしたいというような
気持ちがほかの国の国津よりも強いわけでございます。また、日本においては、
病院そのものの発展過程がもう初めから外来を主とした病床を持った施設というような発展過程をとりましたので、非常に多くの外来
患者を抱えているわけでございます。また、特に日本においては欧米のようなオープンシステムの
病院といったものもございませんから、開業医は町にオフィスを持ってそこで簡単な診療をする、むずかしい
患者は提携している
病院に送る、そうして
自分も一緒になってその
病院で診療をすると、そういったシステムも発達いたしておりません。また
教育制度自身が初めから一般医と専門医を分けて
教育をするというようなシステムではございませんで、いわゆる学位
制度を
中心として発達をした
関係から、日本の医師は外国の医師に比べて平均的なレベルが非常に高くなっております。そういう
関係から、開業いたしましても
自分のクリニックであるいは
自分の小さな
病院でできるだけ
自分の専門の腕をふるいたいという
気持ちが強いわけでございます。そのように、いろんな複雑な要因が絡んで現在の日本の
病院と診療所のあり方というものができ上がっているわけでございますが、ただ注目すべきことは、外来は診療所、入院だけが
病院と、特に救急外来だけが
病院というふうなたてまえをとっておりました欧米諸国におきましても、最近は
病院の外来
患者がどんどんふえていくというような傾向が出てまいっております。これは一方においては医学、医術が非常に進歩いたしますと、どうしてもそういった高度の専門医を持ち、高度の設備を持った
病院の外来を使おうというふうな傾向が世界的に出てくるものと
考えております。
第三の最後の御
質問は、
医療法七条の二に基づく公的病床の規制の問題でございますが、これは三十七年に議員立法によって行われた
制度でございます。確かに、公的病床だけ規制して私的病床を規制しないのはおかしいではないかということであろうかと思いますが、私的病床につきましても、
医療金融公庫の融資で公的病床と同じような融資の規制をいたしております。また、いわゆる公的病床につきましても、一般基準はあのように決められておりますけれ
ども、たとえばがんの病床を整備する、小児の病床を整備する、あるいは老人病床だとか難病病床を整備する、リハビリの病床を整備するといった場合には、特別な加算
制度が設けられておりまして、その運用の適正を期すれば問題はないというような
考え方を私
どもは持っております。
なお、これにつきましても、むしろ最近特にアメリカ、イギリス、フランスにおきましては、
医療費増高の傾向から、やはり根源的にはベッド数のあり方を
検討しなければならないというような立場に立ちまして、特に増床を規制する、
病院を新築した場合には古い
病院は壊してしまう、またできれば非常に利用頻度の低いところは捨ててしまう、そういうふうな
病院削減
計画を逆に打ち出してきているような傾向がございます。