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説明員(中戸弘之君)
先生御存じのように、原子力発電所の安全性につきましては、原子力委員会の下に原子炉安全専門審査会というのがございまして、ここに日本の最高の権威者を集めまして厳重な審査をしておるわけでございます。で、御
指摘のように、
地震と申しますのは、日本が有数の
地震国であります
関係上、この安全審査の過程では最も重要視して審査をしているポイントでございます。
それで、この
考え方をまず最初に申し上げますと、ある原子力発電所につきまして過去の
地震歴をずっと調べまして、そこの、将来その敷地で起こり得るかもしれない最大の
地震力というものを想定いたしまして、これを上回る
地震に十分に耐え得るように、そういう
考えで設計されているかどうかということをチェックするのがポイントでございます。
それで、具体的にこの浜岡発電所につきましては、いま
先生おっしゃいましたように、すでに一号炉が運転中でございます。さらに二号炉が建設中である。それで、伝えられるところによりますと三号炉が計画中である。こういう
段階でございますが、この一号炉、二号炉につきまして、過去にどういう安全審査をしたかということを申し上げますと、まず、この敷地周辺の、被害を与えた過去の歴史的な
地震がございますので、それをずうっと調べ上げたわけでございます。たとえば西暦一〇九六年に起こりました永長
地震、それから一四九八年に起こりました明応
地震、それから近くは一八五四年に起こりました安政
地震と、こういったようなものをずうっとその
規模等を調べ上げまして、それで将来起こり得るかもしれぬ最大の
地震としては恐らく安政
地震が最大級のものであろうと、こういう想定をいたしまして、この原発の耐震設計につきましては、この安政
地震を上回る
地震について十分な強度を有する、こういう角度から審査をしたわけでございます。
それで、具体的な想定
地震といたしましては
マグニチュード8・2の大きさの
地震、これは安政
地震というのは大体
マグニチュード8ぐらいと、こういうことを言われておりますので、それを上回ります8・2の
地震が浜岡から六十キロに起こったと、こういう想定をいたしまして、そのときにサイトの地盤にどれくらい
地震力がかかるか、これを計算いたしました。これは計算によりまして二百八十五ガルと、ちょっと専門的な単位になりますが、こういう計算結果が出ております。で、この設計強度といたしましては、さらにこの安全を見込みまして三百ガルという
地震動に耐え得るようになっております。さらに、原子炉の中で重要機器がございますが、これに対しましてはさらに一・五倍、すなわち四百五十ガルの
地震に耐え得るような形で設計の安全性が確認されているわけでございます。それからさらに、いま申し上げましたのは動的強度でございますが、さらに静的強度につきましては、建築基準法に定めます三倍の
地震動に耐え得るように、こういうチェックがなされております。
以上が、安全審査に対します私
どもの審査の過程でございますが、なお、実際の原子力発電所におきましては、大きな
地震が発生した場合にはこれを自動的にとめるような装置、緊急停止装置がついておりまして、これは恐らく震度四ないし五ぐらいの
地震が来ましたら安全確実に原子炉を遮断すると、こういう装置がついておりますので、こういうことによりまして、
地震に対する原子力発電所の安全性を担保しているわけでございます。