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1978-04-07 第84回国会 参議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月七日(金曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  四月七日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     相沢 武彦君      小巻 敏雄君     渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事         遠藤  要君                 坂元 親男君                 村沢  牧君     委 員                 青井 政美君                 金丸 三郎君                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 田原 武雄君                 戸塚 進也君                 最上  進君                 青木 薪次君                 相沢 武彦君                 原田  立君                 渡辺  武君                 柄谷 道一君    衆議院議員        災害対策特別委        員長       川崎 寛治君        災害対策特別委        員会理事     有馬 元治君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        国土政務次官   丹羽 久章君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁地方振興        局長       土屋 佳照君        農林大臣官房審        議官       角道 謙一君        気象庁長官    有住 直介君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        森田  一君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    山村 勝美君        厚生省医務局指        導助成課長    岸本 正裕君        中小企業庁計画        部金融課長    松尾 成美君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        建設省都市局都        市防災対策室長  上田 康二君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省住宅局住        宅総務課長    川合 宏之君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        対馬 英輔君        消防庁防災課長  持永 堯民君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○活動火山周辺地域における避難施設等整備等  に関する法律等の一部を改正する法律案(衆議  院提出) ○災害対策樹立に関する調査  (昭和五十三年度防災関係予算に関する件)  (過年度災害復旧状況に関する件)  (地殻変動による被害対策に関する件)  (都市防災計画及び防災対策整備に関する  件)  (地震災害時の救急医療体制に関する件)  (地下街及び高層ビル防災対策に関する件)  (火山及び気象観測体制整備拡充に関する  件)     —————————————
  2. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、太田淳夫君及び小巻敏雄君が委員を辞任され、その補欠として相沢武彦君及び渡辺武君が選任されました。     —————————————
  3. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提出者衆議院災害対策特別委員長川崎寛治君から趣旨説明を聴取いたします。川崎寛治君。
  4. 川崎寛治

    衆議院議員川崎寛治君) ただいま議題となりました活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨とその概要を御説明申し上げます。  活動火山周辺地域における災害対策につきましては、去る第七十一回国会において、活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律が成立し、同地域に対する災害対策の端緒が開かれたのであります。  現行法律は、火山爆発により著しく被害を受け、または受けるおそれがあると認められる地域に対し、まず、人命や身体の安全という基本的な対策として避難施設整備すること並びに最も自然的条件に依存し、火山影響を受けやすい農作物につきまして、被害防除のための防災営農施設整備することを主な内容とするものでありまして、現在、同法により、これらの施設整備が進められているところであります。  しかしながら、昨年八月の有珠山噴火及びその後の引き続く地盤変動や、桜島の継続する降灰等にも見られますように、最近の活動火山周辺地域被害複雑多岐なものとなっており、地域住民生活事業経営にも甚大な影響を受ける事態に至っております。  そこで、本案は、これらの被害の実情にかんがみ、活動火山周辺地域における災害対策を一層充実するため、活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律の一部を改正するとともに、災害対策基本法気象業務法森林国営保険法等の一部を改正しようとするものであります。  まず、活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律の一部改正について申し上げます。  その第一は、防災林業経営施設等整備であります。  現在、避難施設緊急整備地域またはその周辺地域で、火山爆発によって生ずる被害が、農業経営に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる地域農作物につきましては、その被害を防除するために必要な施設整備等に関する計画都道府県知事が定め、国は、その計画に基づく事業経費の一部を助成するなどの措置を講じておりますが、今回の改正によりまして、林産物及び養殖中の水産動植物、または水産物につきましても同様の措置を講じ、被害防除のための施設整備を促進することといたしております。  第二は、降灰除去事業推進であります。  国は、年間を通じて一定量降灰があった道路に係る降灰、または一定量降灰があった市町村の区域内の下水道都市排水路もしくは公園、または宅地に係る降灰除去事業に要する費用について、これを実施する市町村に対し、政令で定めるところにより、その三分の二以内を補助することができるものとするとともに、市町村が必要とする経費につきましても起債の特別措置を講じ、降灰除去事業推進することといたしております。なお、宅地に係る降灰につきましては、市町村長が指定した場所に集積されたものに限ることといたしております。  第三は、降灰防除地域についての措置であります。  内閣総理大臣は、火山爆発に伴う降灰により住民日常生活に著しい支障を生じ、または生ずるおそれがある地域で、当該支障防止し、または軽減するための施設整備する必要がある地域を、降灰防除地域として指定することができるものとし、また、この指定がなされますと、地方公共団体等当該地域内の教育施設または社会福祉施設について、降灰防除のための施設整備を行う場合、政令で定めるところにより、その費用の三分の二以内を国庫補助することができるものとするとともに、病院等医療機関または中小企業者降灰防除のための施設等整備を行う場合、長期低利資金融資の道を開くことといたしております。  第四は、火山現象研究観測体制整備警戒避難体制整備及び情報伝達等であります。  国は、火山現象の予知に資する科学技術振興を図るため、必要な研究開発推進し、その成果の普及に努めなければならないこととするとともに、都道府県防災会議等は、地域防災計画において、火山現象による災害防止するために必要な警戒避難体制に関する事項を定めなければならないことといたしております。  さらに、国に火山現象に関する情報通報を義務づけるとともに、通報を受けた場合の都道府県知事及び市町村長の対応についての規定を設けることといたしております。  その他、治山治水事業推進火山爆発に伴う河川水質汚濁防止及び火山現象による自然環境の汚染が人の健康等に及ぼす影響調査研究推進のため、所要規定を設けることといたしております。  なお、これらの施策を実施するため、国は地方公共団体に対し、財政上の措置について、適切な配慮をするものといたしております。  以上の改正に伴い、法律の題名を活動火山対策特別措置法に改めるとともに、目的につきましても、これに適合するよう改めることといたしております。  次に、災害対策基本法気象業務法森林国営保険法等の一部改正について申し上げます。  まず、災害対策基本法につきましては、火山噴火災害としての位置づけを明確にするため、噴火災害として明記するとともに、その他の規定整備を行うことといたしております。  気象業務法につきましては、火山現象に関する観測網を確立し、及び維持すること等を気象庁長官の任務とするため、また、森林国営保険法につきましては、噴火森林国営保険保険事故対象とするため、それぞれ必要な規定整備を行うことといたしております。  その他、国土庁設置法について所要改正を行うことといたしております。  なお、この法律は、公布の日から施行し、改正後の活動火山対策特別措置法規定は、昭和五十三年度分の予算に係る国の補助金から適用することといたしております。また、森林国営保険法改正に伴う経過措置として、この法律施行の際、現に存する森林国営保険契約についても、保険事故噴火を加えるための規定を設けることといたしております。  以上であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 以上で説明聴取を終わりました。  これより質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認めます。  活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  7. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 災害対策樹立に関する調査議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁長官の時間がないようでございますので、私は、長官に対して三点だけ質問いたします。あとの一般質問はその後に譲ります。  現行火山法の体質が弱いことは当委員会の中でも何回か論議をされ、また、各方面からも指摘をされ、政府もそのことを認めておったわけでありますけれども、ただいま議員立法によりまして、火山現象被害による特別措置規定した法律改正がなされたことは、住民生活を守るためにも時宜に適した措置であると言うことができるというふうに思います。政府は、この法律施行によって、関連法律改正あるいは財政措置防災施設整備計画、あるいは観測体制整備、または情報伝達などを義務づけされるわけでありますけれども、これに長官としてどのように対応されていかれますか。特に、この法律公布の日から施行することになっておりますので、関連法律改正であるとか、諸規則の改定等、どのようなスケジュールで取り計らっていかれますか、お聞きをしたいんです。
  11. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 議員各位の御努力によりまして、今回の特別措置法委員会審議を終わっていただきまして、私も心から感謝をする次第でございます。  すでに、衆議院採決の際に申し上げましたが、この法案施行に伴う財政措置につきましては、政府としても御趣旨に沿って努力をいたし、遺漏のないようにする考えでございます。  関連法改正の点につきましては、これは関係省庁と緊密に連絡をとりまして、すでに法案成立を目前に控えておることでございますから、この法律の裏づけの上に必要なものでありますので、国土庁といたしましても御趣旨に沿って最善の努力をいたしたいと思います。  今回の法改正によりまして、従来の法案とは違って新たなる施策をいろいろとするようになっておりまして、林業水産物等に対しての防災措置あるいは降灰除去について、これは文教施設あるいは厚生施設にも及ぶわけでございますので、法の趣旨にのっとって関係省庁十分連絡をとって、成果が上がるようにいたす考えでございます。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 次は、有珠山桜島噴火の後、当委員会でもいろいろな問題が指摘をされ、昨年十一月十六日には、各党の共同提案による活動火山爆発降灰等に対する災害対策充実強化に関しての、九項目にわたる決議が行われたところであります。この決議の各項目は、時間の関係上読み上げませんけれども政府は、こうした論議やあるいは決議を尊重して、どのように対応されておられますか。特に、五十三年度の予算にこの決議がどのように生かされているか、お伺いしたいのです。
  13. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 昨年十一月、衆参両院におきまして、いまお話しの九項目決議がございます。五十三年度から、一つには市町村が行う道路下水道宅地等降灰除去事業、また、先ほどちょっと触れました文教社会福祉施設における降灰防除のための施設整備事業に対する補助制度、これらにつきましては新設をいたしましたとともに、従来から行っている避難施設整備事業防災営農施設整備事業観測体制整備等も引き続き強化するように、五十三年度の予算の中ではいたしておる次第でございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 この決議は、大臣承知のように九項目にわたっているわけでありますけれども、いま大臣説明では、このうちのわずかしかこの五十三年度予算に反映をされておらない、このように認識せざるを得ないのですけれども、今後さらにこうした決議を生かしていく、そうした姿勢と施策がとられなくてはならないと思いますけれども、その点どうですか。
  15. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 村沢委員のおっしゃるとおりであると思いますが、五十三年度におきましては、この降灰除去事業あるいは文教社会福祉施設降灰防除のための施設整備事業につきまして、約十五億円を見込んでおる次第でございますが、その他の施策につきましても、法の趣旨にのっとりまして強化をしてまいりたいと思います。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 次は、有珠山のその後の現象として、住民を最も苦しめているのは地殻変動であります。私も先日現地人たちが持参をした写真を見せてもらったわけでありますけれども、たとえば建物が傾いたり亀裂が生じたり、あるいは道路が陥没したり水道施設が破損をされているわけであります。今回可決されました活動火山対策特別措置法のこの立法作業のころは、これほどひどい現象ではなかったというふうに私は思っておるわけです。その後、こうした地殻変動が大きくなるにつれて、地元では、今回の法案に、ぜひ地殻変動に対する対策も加えてもらいたいという要請を持ち上げたわけでありますけれども、すでに法案作成作業は終わった段階でありまして、今回これに加えることができなかったわけであります。こうしたことについて、地元皆さん方は不満を持っておることも私は承知をしておるところでありますが、このように火山活動関連をする地殻変動だとか、あるいは硫酸性毒物流出などによる被害対策は、当然この活火山法対象となるというふうに考えますけれども政府はどのように考えておるでしょうか。特に防災営農施設整備計画等においては、これらの現象による被害防止措置を盛り込むことができるかどうか。この際、法案は可決しますけれども政府の方で積極的にこうしたものも今後加えていかれる意思があるのかどうか、大臣見解を聞いておきたいんです。
  17. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいまの御指摘は、私どもとして大変頭の痛い問題であります。たとえば地殻変動お話しでございますが、それによって、現在、道路家屋等被害が発生しつつあると見なければなりませんが、まさに流動的なわけでございまして、どの程度被害になるものかということについて確定的になっておりませんから、そういう流動的な現象に対応してどうするということについて、現在決めかねるわけでございます。  そこで、ただいまの御指摘の中で、それらに対する何か防除対策をすべきでないか、その方が常識的には前提になるかと思うのでありますが、これまた、どの程度のものが今後起こるのか、どれだけの防除施策をしたらいいかということで、実際この対策を立てるものとしては非常に困難性があるわけでございますので、この地盤変動に伴うところの災害そのものについては、現行災害復旧事業災害関係融資制度などによって対応してまいりたい。しかし、まずこの範囲であるということになりますれば、あるいはそういうことを前提にして、将来こういうことが起きたときにはこんな対策をしようというようなことで、きょう改正法を可決していただいておりますが、その中に反映することができるんではないか。少し私どもとしてなかなかむずかしい要素があるなあということを、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  18. 渡辺武

    渡辺武君 大臣にほんの一言だけ伺いたいと思いますが、昨年の九月九日に起こりました沖永良部台風ですね、あれで台風情報が四時間くらいおくれたということで、これが被害を大きくした一つの重要な原因になっているわけです。  それで、昨年の十月六日に行われました当委員会で、委員会として現地調査した結果の報告がございまして、その中にも「気象観測体制早期拡充が望まれる」ということがはっきり書かれているわけであります。やはり名瀬の気象観測所ですね、これでは不十分じゃないか。気象台に昇格してほしいという要望が、その後も現地から非常に強く起こっております。  そこで伺いたいんですが、奄美群島振興開発特別措置法に、基本方向として台風襲地帯という諸条件からくる後進性を克服しつつ云々ということが述べられておりますけれども住民台風情報も的確に与えられないというような事態があるということは、法の趣旨からして、非常に好ましくないことだと思うんです。で、こうした観測所気象台に昇格してほしいという住民要望もあることでありますし、国土庁立場として、この点、どうお考えなのか伺いたいと思います。
  19. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 渡辺委員も重々御承知のことでございますが、国土庁立場で言えということでございますが、気象庁運輸省の所管になっておりまして、運輸省としてはどういう御見解を持っておるか、にわかなことで、私ちょっと判断をいたしかねるんでありますが、台風情報が沖永良部島においての場合はおくれたと、また、他の地域では台風情報が早過ぎたとかいうようなことも聞いておりますが、こういう情報が、でき得る限り的確を期することは言うまでもございません。また、気象庁におけるこれらの業務につきましては、現在人工衛星も使って相当正確性を増してきておることと思うんでありますが、今後一層、住民安心のできるような情報の正確を期するとともに、お話し観測所の昇格問題につきましては、これはひとつ気象庁の方、また運輸省の方で十分検討さしていただきまして、いずれにしても、昇格の有無にかかわらず、地域住民安心のできる気象情報の提供ができるようにすべきであると、このように受けとめる次第でございます。
  20. 村田秀三

    委員長村田秀三君) それでは国土庁長官、お忙しいところありがとうございました。  引き続き質問に入ります。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 政務次官お伺いします。  まず、私は、本年度の予算も成立したわけでありますし、先般の委員会予算説明もあったわけでありますけれども、五十三年度予算、総予算関連をして、災害復旧費性格についてお聞きをしたいわけです。  総予算額三十四兆二千九百億円、これは臨時異例措置であるというふうに、政府自身もたびたび説明しておるわけでございますけれども臨時異例措置であるということは、歳入をはかるために思い切った措置を講じたということだけではなくて、同時に、歳出の関係臨時異例措置でなくなはならないというふうに思うんです。そこで、災害復旧事業に対する臨時異例措置というのは、どういう費目や金額で示されておるんですか。先ほど来大臣答弁にもありましたように、当委員会では九項目にわたる決議をしたわけですけれども、お聞きすれば、大して五十三年度予算に反映されておらない。災害復旧に対してどんな臨時異例措置をとられていますか、政務次官、ひとつ性格についてお話しください。
  22. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) お答え申し上げますが、いまちょっと、資料に基づいての答弁をさしていただきたいと思いますので、ほんのわずかな時間いただきたいと思いますが……。  お答えを申し上げます。  数字においていささか間違いがあったらまた御注意のほどをお願いいたしたいと思いますが、災害は一兆四千四百億ということになっておるように思います。五十二年度は、先生承知のとおりにおかげで大きな災害がございませんでした。そういう意味から計算いたしますと、いささか一兆四千四百億という金は、五十三年度の予算としては少ないということになるようでございますが、これは通常的に計算いたしまして、五十二年度を取り上げてそうした予算編成をいたしたのでございまして、さらに必要あるとなれば、それに基づいて考慮いたしていきたいという考え方で予算編成がせられておると思いますので、どうぞひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 その予算に基づいて、災害復旧事業、特に公共土木あるいは農林水産施設過年度災害復旧率はどのくらいになりますか。五十二年と比べて、その進歩率は上昇するのかどうか。災害復旧事業を含む公共事業関係費の伸びは、景気浮揚のための公共投資偏重予算性格から、五十二年度に対して二七・三%公共事業は伸びている。構成比も、五十二年度一五%から五十三年度は一五・九%にふくらんでおるわけであります。しかし、災害復旧費だけ取り上げると、いま政務次官説明のあったように二一%も減少しておるわけです。説明では、なるほど五十二年度災害の規模が前年に比べて小さかった、だから予算は減ったというふうに言っておりますけれども、こんなときにおいてこそ災害復旧事業を、過年度発生災害復旧を前倒しにして進めるというような、こういうやっぱり大幅な予算措置を講じてもいいんではないか、それをすべきではなかったかというふうに思いますけれども、その点はどうでしょうか。先ほどの進捗率とあわせて御答弁を、これは政務次官の方から最後の方はひとつ答弁いただきたい。
  24. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) 先生の御指摘のとおりでございまして、昨年の災害が少なかったからということで、このたびの予算が二一%ということは、こういうときにこそ十分に考え対策をすべきじゃないか、予算措置考えるべきじゃないかというお説に対して、私もそのとおりだと思っております。その点につきましては、大臣から御答弁きっといただいたことだと思いまするが、大臣もこの予算獲得には大蔵省とずいぶん——災害がないからといって災害対策予算を減らすべきでもないし、それを大いにもらって十分な備えをするべきであるという、災害そのものよりも備えをすることが必要であるからという折衝をせられたようでございまするが、なかなか厳しい予算査定で、二一%というようなことになったことだと思っております。この点については、今後私どもは大いに勉強をし、そして先生の御指摘の線に沿うべきであると考えておりますので、この点を率直に認めさせていただくわけでございますが、きめ細かい点につきましては、また局長から答弁があるようでございますので、どうぞひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  25. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 建設省の今年度の災害復旧予算につきましては、五十二年災害、昨年の災害でございますが、非常に少のうございまして、全体で二十億程度であったわけでございます。で、直轄は二年で復旧する、それから補助は三年で復旧というふうなことになっておりまして、通常の場合でございますと、補助災は、二年目終わりますと大体八割が終わることになるわけでございますが、今年度につきましては八五%程度というふうなことで、予算も非常にふやしてございますが、実際に物価等も余り上がりませんでしたので、事五十二年の災害につきましては、五十三年度中には大体九二%ぐらい復旧を完了するというふうなことになろうかと思います。この場合には、関連事業あるいは助成事業等は少し例年よりも進度はアンプしてございますけれども災害復旧費の方はそういう状態になろうかと思います。
  26. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ただいま御質問の過年度分についての進捗率でございますが、手元にいま詳細な資料ございませんが、大体本年度五%程度進捗率の増加になっておるかと思います。  なお、詳細調べまして、また別途御報告申し上げたいと思います。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 この際、私は災害復旧事業性格について伺っておきたいというふうに思います。  災害復旧事業は、災害前の原状に回復する原形復旧を目的として積算されるわけでありますけれども災害前の原状に復するということだけでなくして、もっと改良改修をするということ、あるいはまた関連事業を多くする、こういう点に重点を置いて経費を積算をする必要があろうというふうに思うんです。治山治水などは広い意味での予防と言えるわけでありますけれども、わが国のように工業集積の過密やあるいは人口の集中の進んでいるところでは、災害が自然災害あるいは人為的な災害を問わず、不可分な形で発生をする危険性がきわめて強いわけです。このように、いつ人命や生活環境を破壊するかわからない災害に対して、災害予防の見地からもやはりこの予算経費を先取りするという、あるいは関連事業や、あるいは改良修復事業等も積極的にやっていくという、こういう構えが必要ではないかというふうに思うんですけれども、この災害復旧事業費の性格考え方について伺っておきたいんです。
  28. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) 先生指摘のとおりに、災害復旧は壊れたところを単に直すというだけでなくて、より以上前進した新しい企画、そしていままで壊れた原因追及等をいたしまして、さらに一層前進した改良的な復旧と、それから、当然関連的に復旧をしていくことが目的でなければならないという考え方をいたしておりますので、そのように考えて、今後の事業災害どきの復旧に対しては心構えとしていく考え方でありますので、御了承をしていただきたいと思います。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 以下、具体的に伺ってまいりますけれども有珠山のその後の火山活動地殻変動が激しい。こうした現象を見ると、地下において溶岩活動がまだ吸収をしていないというふうに判断がされるわけなんです。この有珠山にしてもあるいは櫻島にしても、火山活動はかなり長期化されるというふうに思いますけれども有珠山あるいは櫻島の現在の活動状況はどういうふうになっているかどうか。  それから、今後はどのように推移するというふうに判断をされるか。活動がさらに活発化するおそれがあるのか、あるいは活動はだんだん弱まってくるような見通しなり、予知連の統一見解等もあるのかどうか。  それから、こうした現状の中から、今後の対策として重点を置かなければならない課題は何であると考えているのか、これらについてお聞きをしたいわけです。
  30. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいまのお尋ねの点でございますけれども、私どももその都度聞いているわけじゃなくて、大変恐縮でございますけれども、先般、先ほど御決定いただきました活火山法改正関連しまして衆議院での御審議のときに、地元の北大の横山先生と東大の下鶴先生にお越しいただきまして、各委員からの御質問の中で、いろいろその後の経過といいますか、そういったことの御紹介がございましたものですから、そのときに伺いました話で大変恐縮でございますけれども、御案内のように、昨年の噴火当初は、地震活動が最高一日千六百ぐらいになりまして、その後九月になって六百、五百、あるいは冬近くなりますと四百台に下がってまいりました。ところが、年を越してまいりまして、二月の半ばぐらいから五百回ぐらいで、またふえてまいりました。片や、噴火そのものでございますが、御承知のように先般一部水蒸気噴火爆発等がございましたけれども、灰その他を多量に噴き出すほどの状況ではございませんが、その際の御説明によりますと、やはり地下のマグマ活動というものはまだとまっていない。かつての昭和新山ができたときと同じように、やはりあそこの火山性格からしまして、非常に粘性の強いところでございますものですから、そのかたまりが、昭和新山のように溶岩円頂丘という形で出てくるまでにはやはりまだ火山活動が続くのではないだろうか。しかし、その火山活動の中心は、昭和新山の場合のように火口原の外側ではなくて、むしろ火口原の中ではないだろうか。しかし、火口原の中でそういう活動が行われますと、やはり火口壁その他が崩れるとか、あるいは火口壁の北側の方が一部ずれますとか、そういった形で周辺の方にも地盤変動等を及ぼすと、そういうことがまだしばらく続くんではないだろうか。そういう中で、特に最悪の場合を想定いたしますと、かつて、たしか一八五三年だと、正確な記憶、忘れましたけれども、そのときに噴火に伴いまして熱泥——熱雲といいますか、熱泥が火口から南側の蛇田の方に流出したことがございます。そのときにやはり相当の人畜の被害がございました。そういう最悪の場合も想定して監視体制を強化するとともに、最悪の徴候が出た場合に、急速避難できますように地元の方で体制を一応整備していると、そういう状況でございますが、いまの火山活動がいつの時点で終息するかということは、いまの段階でははっきり断定できかねると、こういうふうに伺っております。  なお、私の伺った範囲、足りない点ございましたならば、気象庁そのほかの方から補足をお願いいたしたいと思います。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 いま四柳審議官は、私は一々聞いておらないけれども衆議院委員会で大学の先生がそういう話をしておったというふうな説明があったんですけれども、この種の大きな火山活動に対して、政府として、一体どこが掌握するんですか。火山法つくったって、皆さんの責任体制ができなければ何にもならないんじゃないですか。どこかで聞いたような話をこんなとこでする必要はないんですよ。一体どこが掌握しているんですか。そして、今後はどういう対策をとらなければならないということは、政府ではだれが掌握しているんですか。人から聞いたような話ではだめですよ。
  32. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 大変失礼いたしました。  火山活動そのものの状況につきましては、現在の有珠山につきましても、火山噴火予知連が地元に観測班等を置きまして、定時的に観測の結果というものを御発表になっている。その情報のルートにつきましては、私どもの方は噴火予知連のお世話等をいたしております気象庁等から一応伺います。そういうルートをとっておりますものですから、大変恐縮でございましたけれども、防災側としましては、私どもとしまして各省と協力しながら、また、地元の道、市町村ともよく連絡をとりながら対策をしておりますけれども、今後ともそういう点につきまして、御案内のように、今回の活火山法改正によりまして、そういった情報につきまして、地元気象官署から地元の県の方にも協議会等を通じて十分伝えるような仕組みも取り入れられておりますものですから、そういう点と相まちまして、御指摘のような点がないように注意してまいりたいと思います。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 私は、国土庁がそういう火山活動全体について、まあ予知をするのは気象庁、予知連であっても、掌握しておらなければならない、そのことを同時に指摘したわけですけれども、それから、そういう現状の上に立って、実は防災措置としてこれから重点を置かなければならないものは何か。先ほども質問したんですけれども、お答えないですけれども、どうですか。
  34. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御質問の点、大変恐縮でございますけれども有珠山に一応限定して答弁させていただきたいと思いますけれども、防災側の問題としまして有珠山で残されている問題でございますけれども一つは、御案内のように木の実団地のところに蛇田町の水道の施設がございます。この施設につきましては、現在の形では一応機能を維持できますものですから、あそこの場所で一応利用させておりますけれども、今後融雪災害等によりまして木の実団地の奥の降灰等が流出した場合に、あそこの場所で機能が維持できるかどうか。当然のことながら、不可能の場合には他の代替施設等を検討しなくちゃいけないという問題が、当面大きな問題の一つに残っております。  それから二番目に、有珠山周辺の国有林、民有林等に堆積しております降灰が、土石流という形で融雪時に流下してきて、それが二次災害等を起こす心配がないかという問題がございます。この点につきましては、農林省、建設省それぞれ、治山、渓流部門におきまして、各種の堰堤をつくるとか防止施設をつくるとか、そういうことをやっておりますので、当面の問題は一応それで措置できると考えておりますけれども、一部の地域におきまして、下流部の方にやはり人家が残っているところがございます。ここにも大量のそういったものの流出があった場合には、やはりその地域人たちにつきましては、災害に遭わないよう緊急避難をしていただかなければならないという問題が残されております。  それから三番目に、通常の農業関係降灰の後始末の復旧問題につきましては、先般来の委員会等で御答弁申し上げておりますように、一応この春の作付までには大体降灰の処理等ができますものですから、この点につきましては、とりわけ問題点は残ってないと思います。  それから四番目に、漁業でございますけれども、御案内のように、噴火湾のホタテにつきまして稚貝等に一応脱落するものが出てきた。これを防ぐために、沿岸漁業の振興関連しましてホタテのいかだ等を外に出すとか、いろいろ指導をしておりますが、これがこの春先になりましてその計画どおりいくかどうかということが、やはりいまの段階では正確にわかりかねます。そういう点につきまして、なお今後とも関係漁協あるいは道の水産試験場、国の水産試験機関と一緒になりまして指導をしていかなくちゃならないと、こういう問題が残されております。  それから、一般的な中小企業観光関係につきましては、一応融資措置によりまして措置ができましたけれども、九月、十月は対前年比はお客さんが完全に減りまして、最悪のときには四割程度になりましたけれども、幸いなことに十一月、十二月あたりから大体旧に復しているのではないだろうか。しかし、御案内のような経済情勢でございますから、一般的に言いましてお客さんの伸びというものが余り今後期待できない。そういう形で、やはり今後とも道その他中心になりまして、きめ細かい指導を続けていきませんと、関係業界等もなかなか恒久的な立ち直りが容易でないのではないだろうかと、こういうふうに考えております。  以上、特にいま問題になっておる点でございますけれども……。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 私は、先ほど特に重要な問題として、大臣地殻変動のことについて質問をしたわけなんです。いま、当面する課題は何かという質問に対して、審議官は五つほど例を挙げたわけですけれども、それらについても後ほどお伺いしますけれども、この地殻変動については何らの説明もなかったわけですけれども国土庁としては、この地殻変動現象をどのように判断されておられるのか。それと、あるいは地元なり北海道庁から、これに対して要請があるのか、その辺はどうなんですか。
  36. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 私ども地元の道庁あるいは蛇田、壮瞥の関係者の方々から伺っております地殻変動の状況なり、その問題点でございますけれども、御案内のように、地殻変動によりまして一番被害をこうむりましたところは、壮瞥町の三恵病院でございます。御視察のときにはまだつぶれておりませんでしたけれども、現在ではもう一階はすでにつぶれてしまって使えない形になっている。幸か不幸か、三恵病院の場合には精神病院でございますものですから、その復旧等につきまして国庫補助の対象になりますものですから、一応洞爺湖の岸の壮瞥町の旧小学校跡地に移転する前提で、国庫補助あるいは関係融資、道の助成等によりまして、代替施設の一応建設の計画を進めている段階でございます。  それから、他の地域地殻変動によります問題点でございますけれども道路等につきましては、昭和新山に入ってまいります道路周辺等におきまして非常に隆起がございます。これは災害復旧事業によりましてある程度措置をしておりますけれども、いかんせんやはりその後も続いております。  それから、住家、温泉街等の地盤変動の状況でございますけれども、壮瞥町寄りの一部と、それから洞爺湖畔にございます協会病院におきましてやはり一部、非常にそれぞれ局所的でございますが、局所的に、地盤変動の結果によりまして建物に亀裂が入るとか、温泉旅館の浴槽が割れてお湯がたまらないとか、あるいは温泉、上水道等を引っ張っておりますパイプのジョイント部分が外れてしまうとか、そういう状況が局所的に出ております。  実は、これらの問題につきまして、私どもの方も、どこかの段階で、災害復旧事業という形で、融資等によりまして措置ができないかということも道の方と相談してみたわけでございますけれども、いかんせん、いまの段階でその火山活動がとまるという保証がございません。また、現在地からどこの地点に移転してそういうことをやったら可能かという、候補地もまだ地元としても決めかねているという状況でございますので、先ほど大臣が、大変私どもとしても頭が痛くて決めかねているという御答弁を申し上げた次第でございまして、それらの状況を、ある程度落ち着きを見まして、そういった対策をとらなくちゃならないと考えております。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 いろいろ対策を講じられなければならない問題があるわけでございますけれども、特に地殻変動については切実な要請、陳情が私どものところにまいっておるわけなんです。審議官は、私の質問に対していま答えた程度のものでありますけれども、しかし、地殻変動が激しい地域ですね、今後さらにこれが続いていくとするならば、単に三恵病院だけではなくて、一般人家にも影響を来しているし、水道施設等にも影響を来しておるわけなんです。そうすると、その場所で生活することができなくなるような恐れが生じてくるのではないか、そういうようなことも懸念されるわけですけれども、そんなような心配はないのか。また、そうしたことが起こった場合にはどういう措置をとるのかということですね。特定地域として指定をして他のところへ行く、その地域へはもう住まない、そういうような措置までとるのかどうか、そのことと、それから建物、施設、水道などの災害復旧ですね、改良あるいは移転などにはかなりの資金も必要とするわけでございますけれども、その場合、融資制度の特別措置というのがあるのかないのか。あるいは、私が指摘をいたしましたように、地殻変動火山現象によって生ずる著しい障害でありますから、何らかの助成措置もやっぱり講ずるべきだというふうに思いますが、現行法上そのような対応策があるのかどうか。これらの点について説明してください。
  38. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御指摘のように、私ども実はその点非常に頭を痛めている問題でございまして、ある程度マグマ活動が落ち着きまして、将来の見通しが立ちました段階で、やはり地域によりましては集団移転ということも考えなくちゃいけないのじゃないだろうかということも、よりより地元の町長さんなどとも話し合っております。その場合には、やはり現行の集団移転の助成制度等を活用いたしまして、そのような措置を促進したいと考えております。  また、先ほど来申し上げました住宅あるいは医療機関、環境施設等につきましてのそれぞれの施設災害復旧関係融資につきましても、特別の措置という形ではいまのところ考えておりませんけれども、それぞれの施設の中での災害復旧事業の制度というものを活用いたしまして、重点的な配分によりまして措置をしてまいりたいと考えております。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 この活火山法の一部改正をするときに、あるいは地殻変動なんかもこの法文に入れるべきではないかという、論議をされたことも私は承知をいたしております。その際、国土庁は、いやそれまでしなくても、現行法律の範囲内で何とかできますというような見解を持っていたことも事実であろうというふうに思います。しかし、いま説明を聞いてみますると、どうもその程度のものであってはきわめて不備だというふうに私は思うんです。大臣が言われたように、法律に織り込むことは、進行中であるのでむずかしいことはあるというふうに思いますけれども、せっかくの活火山法をより充実していくために、重ねて指摘いたしますけれども国土庁として前向きに、地殻変動その他のものをこの活火山法の中に将来加えていく、織り込んでいくことはできないかどうか、そういう検討をするべきだというふうに思いますが、そのような用意を持っておられますか。今後どういうように考えておりますか。
  40. 四柳修

    政府委員(四柳修君) せっかく活動火山法の改正によりまして、従来の避難施設と防災営農事業という限られた観点だけではなくて、やはり広い意味での生活環境の整備といいますか、そういった観点からの助成制度を強化していただきましたものですから、基本的には、私どもも、やはりそういった自然的な悪条件に置かれている地域の環境整備につきまして、前向きに取り組まなくちゃいけないと考えております。ただ、有珠山に限らず、たとえば桜島の場合でも、基本的な問題としまして、あそこの姶良カルデラの地域に対します基本的な今後の展望の研究ですとか、いま御指摘ございました有珠山その他のように、火山活動が進行している場合の過程の中での措置というものが、実は、御指摘のようにいまの仕組みの中ではなかなかございません。それらの点も、せっかくの御指摘でございますから、私どもの方もそういった火山関係地域におきます環境問題、あるいは各種の施設整備の問題という課題の中で、五十三年度以降の研究課題として検討してまいりたいと考えております。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 火山に関する法律議員立法で、一部改正議員立法で、議員に任せておけばいいんだというふうな考え方もまさかないでしょうけれども政府当局の方でも、積極的にこういうものを加える必要があるんではないか、やっぱり前向きに今後検討していただくことを私は要請しておきます。  次は、観測体制についてお尋ねするのですけれども火山噴火予知並びにその後の観測についての体制が弱いことは、今日までも指摘をされてきたところであります。火山に限らず、地震についてもそうであります。火山噴火予知あるいは地震予知として、確立した技術はむずかしいとしても、観測体制は十分整備をしなければならないわけです。  そこで伺いたいのは、現在観測綱ですね、組織は一体どうなっているかということであります。わが国にはおよそ七十ぐらいの活火山があるわけでございますけれども、常時観測体制の現況、あるいは人的、機械的な組織的な関係、他の機関との相互連絡や観測綱などは十分とられているかどうか。気象庁いますね、簡潔に答えてください。
  42. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、わが国には七十近くの活火山がございますが、このうち特に活動度の激しい火山、十七火山に対しましては、常時監視体制をしきまして、二十四時間見張っております。その他の火山につきましては、それぞれ担当の気象官署を決めまして、ふだんから異常の有無によく気をつけるようにしております。  なお、常時監視体制のしいてございません火山に万一異変が生じた場合には、機動観測班という、常に移動可能な観測隊でございますが、これを三個班持っておりまして、これが直ちに出動いたしまして観測を続ける、あるいは観測を開始するという体制をとっているわけでございます。これは、今後この法律改正に伴いまして、また気持ちを新たにいたしまして、今後の整備に邁進したいと思います。  それから、他省庁との協力体制と申しますか、連絡でございますが、これは先ほど審議官も御説明申し上げましたが、火山噴火予知連絡会というのがございまして、気象庁、私どもがお世話をさしていただいておりますが、このほかに研究観測をなさっておられる大学、それから火山周辺での測量の繰り返しを御担当の国土地理院、それからやはり研究を御担当の防災センター等の方に委員になっていただきまして、また、そういった観測の結果が防災に直ちに反映いたしますように、国土庁の震災対策課長も委員に加わっていただきまして、これを定期的に開催して、情報の交換、施策推進等に努めているわけでございます。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 御承知のように、測地学審議会は火山観測体制の不十分であることを指摘をして、「火山噴火予知計画推進について」という建議を、数年前皆さんに出しております。また、今回、法律の一部改正によって、火山現象に関する観測綱を確立をする、また、維持することなどを気象庁長官の任務にするよう、気象法も一部を改正されることになったわけなんです。このように、法律的にもあるいは現実的にも、体制の整備が強く求められている現在、この予知、観測体制、この法が議決をされたときでありますから、これからどのように確立をしていこうとするのか、あるいはまた、予知体制の連絡、協調というけれども、その一元化なんかどのように図っていこうとするのか。本年度の、あるいは今後の計画について、この際明らかにしてもらいたいと思います。
  44. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。  ただいま測地学審議会におきましては、第二次の噴火予知計画——これは五十四年度から五年間でございますが、観測その他の体制をどう進めていったらよいかという建議を、いま練っておられるところでございまして、伺うところによりますと、この五月か六月にその建議案が出るそうでございます。私どもはその建議の案に沿いまして、五十四年度から強力に火山噴火予知、火山業務整備を進めていくつもりでございますが、大体の方針は、いま申し上げました十七火山にしかれております常時監視網を未整備火山にも広げていく。それから移動観測班も強固なものにする。それからさらに、今回の法律改正では「火山噴火」という言葉ではございませんで、「火山現象」という言葉が使ってございます。これは御指摘火山活動に伴います地殻変動、あるいは温泉の量の増減、火山活動関連する現象をすべて包含しているという解釈をいたしまして、そういった関連現象に対する観測も新しい手法を取り入れて監視していくというふうに、間口を広げるということも一つの大きな柱にする計画でございます。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 測地学審議会の建議を待つことも当然でありますけれども法律がこのように改正をされて公布されるのですよ。いままでとは気象庁長官の負わなければならぬ任務も違ってくるわけです。重要性を帯びてくるわけです。責任を持たなければならない。ですから、もっと積極的に、この法律には予算も当然つくことでありますから、皆さんの方から予知並びに観測についての体制を早急に確立しなければならない、そういうふうに私は思いますけれども、早急にやりますか。
  46. 末広重二

    説明員(末広重二君) 私ども従来までも、火山災害に対します防災ということに有効な火山情報の提供を申し上げるということについては認識してきたつもりでございますが、今回の法律改正に伴いまして、新たに重大な任務を課されたわけでございまして、これは全庁厳しく受けとめまして、ここで気持ちを一新いたしまして、この法律に書かれました責任におこたえするように、ただいま案を練っている最中でございますので、この計画の進捗に伴いまして、順次御報告させていただきたいと思っております。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど、沖永良部台風関連をして渡辺委員からも質問があったわけですけれども、つまり、情報の——火山にしてもあるいは地震にしても、台風にしても、警報発令の一元化ということですね、やはり国の責任をはっきりしておく必要があろうというふうに思うわけなんですよ。予知の判定の結果を情報としてこれを公表する、あるいはまた、総理大臣報告する。地震の新しい法律も近く提案されるようでもありますけれども、こうした気象庁の、地震なら地震、噴火なら噴火の予知の報告に基づいて、それに対応する措置を総理がとる。また、気象庁情報を一日も早く関係市町村民に連絡するというような、こういう裏づけを持った情報、警報の一元化、統一、このことが必要であるというふうに思いますけれども、これは地震法との関連もありますけれども、どのようにいま考えていますか。
  48. 末広重二

    説明員(末広重二君) 私ども気象庁では、大気中の現象、あるいは水——海洋でございますが、それから地面の下、われわれの生活環境を支配する自然現象による災害関連のある警報は、すべて私どもで常時監視をしておりまして、必要とあれば、その警報を出すということは受け持たせていただいておりますので、そういう意味では、自然現象に関する警報は一本化されていると思っております。  ただ、これは適時適切な情報を出すということが大変大事なことでございまして、御指摘の第九号台風に関しましての不手際等は、これを深刻に受けとめまして、こういったことを将来繰り返さないように、また火山、地震等につきまして、新たに課される責任に対しましても、警報、情報の発表、伝達に遺漏のないように、ただいま報道関係の方々と、その間もう一遍その見直しをするということで作業も進めているわけでございます。こういったことを中心にいたしまして、防災担当の方々とも緊密に連絡をいたしまして、情報発表、伝達には遺漏なきを期していきたいと思っております。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁に……。  先ほどの審議官の、今後に対する課題の一つとして、治山工事の促進があったわけであります。申すまでもありませんけれども降灰によって二次災害を起こす危険性を持っているわけでありますけれども、いままでどのような措置を講じてきたのか。それから、五十三年度予算、それ以降ですね、この緊急治山工事も促進をしなければならないというふうに思いますけれども、それをどのように対処をされておられるのか、説明してください。
  50. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 有珠山噴火活動に伴いまして、火山灰の降下によります林地降灰被害額は、大体七十六億円あったわけでございます。  そこで、林野庁といたしましては、災害発生後直ちに被災状況を把握をいたしまして、次期降雨なり融雪等で火山灰が流下をして、人家なり公共施設等に非常に被害を与えるおそれがある場所、約九十カ所につきまして緊急に処置をいたしましたが、緊急治山事業費におきまして約十億三千万円、また、五十二年度の補正予算約四億円をもちまして、谷どめ工、土どめ工、柵工、緑化工等を行いまして、二次災害の発生の防止に努めてきております。  そこで、その後も、同地域は本年非常に豪雪がございまして、洞爺湖に面した地域につきましては、まだ三十センチ余りの雪が残っているというようにも承知しておりますので、二次災害等が生じませんように、現在地方自治体の協力を得まして、巡回調査等を行っております。また、五十三年度におきましては、治山激甚災害対策特別緊急事業あるいは復旧治山事業ということで約三十数カ所、金額にいたしまして約六億八千万円という事業費をもちまして、できるだけ早期に防災工事を行いたい、かように考えておりますし、また、これらの防災工事の実施に当たりましては、特に下流域の施行にかかわります砂防事業との関連等につきましても十分配慮をしながら、二次災害が起こらないように処置をしてまいりたいと、こういう万全の措置をとりたいと考えております。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 今回の法の改正によって、噴火によって生ずる損害もこれを森林国営保険でてん補することが加えられたわけであります。今後における噴火については、当然この保険の対象になるわけでございますけれども、この経過措置として、有珠山爆発に伴う森林被害については、この救済措置をどのように行っていくかということであります、本法施行の際、噴火災害による損害が継続しておるものに対しては、本法改正の効果が及ぶことになるものというふうに私は理解しておるんですけれども、その見解をこの際ただしておきたいと思います。
  52. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ただいま御指摘の問題につきましては、当時から非常に大きな問題になっておりましたので、私ども対策にいろいろ苦慮していたわけでございますが、先ほど本委員会におかれまして採決されました活動火山対策特別措置法におきましては、附則の第四項におきまして、この点、事態を明確にするために、遡及はしないということが書かれております。  これは、保険の仕組み上、やはり保険は将来起こるか起こらないかわからない不確実な事故、事象に対しまして、あらかじめ危険負担の意味で保険をかけるということがたてまえなものでございますから、すでに昨年の八月に起こりました噴火という確定の事実というものを前提にいたしまして、いまから保険事故を追加をいたしまして遡及するというのは、保険の仕組み上なかなかむずかしいということで、今回の法律改正におきましてもそのように措置をされたものというように理解をしております。  しかし、これでは、先ほど申し上げましたように、噴火によりまして事故を受けられた方につきましては、非常に問題が残りますので、私どもとしては別途対策考えたいということを苦慮していたわけでございますが、たまたま、被災者の方々には非常に御不幸なことでございますけれども、本年、その関係地域は非常な豪雪がございまして、当時の噴火によります降灰が誘因になりまして、どうも本年におきましても雪害が懸念されております。  したがいまして、もうすでに昨年の降灰等によりまして幹倒れを生じた、その結果枯死をしたとか、あるいはすでに伐採されて保険目的がなくなっているものにつきましては、現在手の打ちようがないわけでございますけれども、当時の降灰の結果、幹曲がりあるいは幹倒れ等がございまして、それが誘因になる、その結果、また雪圧等によりまして雪害が生じたものにつきましては、これを雪害ということで、従来の被害等もあわせまして保険事故対象として処理をするというかっこうで対処したいと、かように考えているわけでございます。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから、終わります。
  54. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  55. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 速記を起こして。
  56. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、前回、震災予知を中心として質問し、政務次官の前向きの答弁を得ましたので、本日は、都市災害の問題にしぼって質問したいと思います。  フランスの詩人リルケは、一九〇四年、パリで「マルテの手記」というのを書いておりますが、その冒頭に——人々は生きるためにこの都会に集まってくるらしい。しかし、私はむしろここで皆が死んでゆくとしか思えない——と記しております。日本の都市防災の現状を直視いたしますと、私は、この詩人の予感が日本の都市に的中しているように思われてなりません。  総理府統計局がまとめました昭和五十年の国勢調査によりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉のいわゆる首都圏と、大阪、兵庫、奈良、和歌山、京都、滋賀の近畿圏にわが国総人口の四一%が集中いたしております。しかも、これらの地域は高度の都市化が進み、産業も集中して、災害という視点から見て、他の地域と比べきわめて危険性が高いと言わなければならないと思います。  そこで、まず都市防災に関する国土庁の基本的な考え方についてお伺いをいたしたい。
  57. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) 柄谷先生、前回の質問に対しまして、非常に国土庁としましてもえりを正しながら拝聴し、御答弁申し上げたわけでございます。  ただいまの都市災害対策についての基本的認識はどうなっておるかという御質問でありますが、わが国の人口及び中枢機能等が密集している東京、大阪、三大都市と称しますところの名古屋、周辺の大都市地域は、軟弱な地盤に立地し、かつ木造家屋を主体とする狭隘な市街地に可燃物が集積され、さらに、大震火災に対しきわめて脆弱な条件に置かれていることは、先生承知のとおりでございます。これらの大都市の防災性を強化するためには、基本的には国民の理解と協力のもとに、土地利用の再編成、建造物の不燃化を含めた都市の改造、人口及び大都市機能の分散、再配置等が必要であると思っております。まあ第三次全国総合開発計画にいう定住構想の具体化により、抜本的な解決を図らなければならないと思っております。  しかし、当面は避難・救援体制の強化とともに、避難地、避難路の整備推進など、可能なものから防災対策事業を実施するとともに、あわせて防災科学の振興、危険施設に対する保安基準の強化、建造物の防災基準の強化等を図ってまいりたいと考えておるわけでありまするが、さらに、最近、先生もきっとお考えであろうと思いますが、大都市におけるところの地下街等に対する今後の考え方も新たに取り入れながら、それに対する一大地変の起きてきたときに、どう避難をするかということも、大変なこれは重大な問題だと考えておるわけであります。   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕  そういうような面におきまして、今後一層こうしたことに対して人命をとうとび、そして避難していただくことが容易にできるような方法を講じていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  58. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、都市災害という言葉があらわれてきましたのは、昭和四十五年四月八日の夕刻に起こった大阪のガス爆発以来だと思います。私は、私自身の考えでございますけれども都市災害とは、発災の現象が何であろうと、都市における施設の過密、人間活動の高密度、施設相互の複雑な絡み合いというものによって、二次災害、三次災害へと拡大をしまして、その災害規模が都市的な大スケールに至る、これを指すものだと思っております。大阪瓦斯の場合も都市災害と言えますけれども、地震の場合はこのような災害が多発的に発生をいたします。したがって、その被害ははかり知れないと思うのであります。  私は、いま政務次官も申されましたように、都市防災対策には、内容的には建築物の対震性、空間構成の拡大、避難場所の整備といったような施設的な対策、消防避難、救護といった管理的対策、また、これらについても緊急対策と恒久対策があり、さらに、予防対策と事後対策、多岐にわたるものだと思います。   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕  そこで、きょう、幾つかの具体的問題につきまして逐次質問したいわけでございますが、まず、全般的な都市改造計画について、どういうプランを持っているのか、建設省にお伺いします。
  59. 上田康二

    説明員(上田康二君) 大都市の大地震等の都市災害時の対策でございますが、具体的には各都道府県あるいは市町村地域防災計画によることになるわけでございますが、都市の防災化につきましては、大地震の際に予想される建築物の倒壊、火災、水害、そういったものの発生に対処するために、日ごろから防火地域等の指定、道路、公園等の都市施設整備、あるいは市街地再開発事業等による市街地の改造、こういったものを推進することによりまして、建築物の不燃化、オープンスペースの確保等に努めるとともに、公共施設の点検整備を行うなどの方法によりまして、都市の安全性の向上を図ってまいっているわけでございます。  特に、大都市地域におきましては、非常災害に備えるためには、特に避難の問題が重要でございまして、安全な避難地と、それに至る避難路及び緊急輸送用の道路、こういったものを確保することが重要でございまして、そのために公園、緑地、道路等を整備する一方、たとえば東京の江東地区のように非常に危険度の高い、また、災害が発生した場合、その被害がきわめて大きいというふうに予想される地域におきましては、河川整備等とあわせまして、総合的な再開発事業としての防災拠点の整備推進しているところでございます。
  60. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま御答弁があったわけですが、さらに、私は建設省にお伺いしたいわけですけれども、たとえば都市計画法に示されております目的や基本理念に「健康」「文化的」「機能的」という言葉がございますが、安全、防災という言葉はございません。都市計画基準の条文のところには、公害防止計画が定められているときは、それに都市計画は適合すること、と書かれておりますけれども地域防災計画との関係については何ら触れられておりません。きわめてこれは現実的な問題ではございますけれども都市計画法では土地利用計画が重視されまして、無秩序な市街化を防止するための市街化調整区域の制度はございますけれども、水害などの常襲地域が市街化区域になっている個所が多く存在をします。また、都市防災を考慮して、せっかくの市街地に火災の危険を防除するための防火地域も義務づけられて明らかにされているわけではございますけれども、しかし、それは経済力のある商業地域の高池価を反映した高容積率との引きかえで指定されております。また、建築基準法は、水害に関しての災害危険区域の制度はありましても、これまで指定された地域を見ますと、二、三の臨海部に水害があった後、後追いの形で指定されたものでありまして、予防的に指定されたものはないと思います。また、宅地造成等規制法による規制区域の規定もございますけれども、これはがけ崩れと土砂の流出災害防止に限られております。  このように、私は現行の諸立法をながめてみますと、これは極言かもしれませんけれども、現実面での都市計画は、利便を目的とした都市施設の個別的な整備になりがちであって、しかも、それが道路中心のものではないか。防災の視点がこれらの法律の中に十分配慮されているとは決して言えない立法の体系であろうと、こう思うわけでございます。  こういった意味から、私は、都市計画法なり、建築基準法なり、宅地造成等規制法なり、都市再開発法等も含めて、もう一度この防災の視点からこれらの立法の洗い直しが必要ではなかろうか、こう思いますが、いかがですか。
  61. 上田康二

    説明員(上田康二君) 御指摘のように、都市計画法等には防災ということが文言としては書いてございませんけれども、現在やっております都市計画あるいは都市計画法によるいろいろな制度は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、あるいは都市施設整備等に関する一体的、総合的な計画でございまして、都市防災の観点からも、広幅員の道路、あるいは大規模な公園等の都市施設計画、あるいは防火地域の指定による建築物の不燃化とか、あるいは市街地再開発事業による地区の改造、こういった計画を定めることができるようになっております。また、土地利用計画におきましても、住居専用地域とか工業専用地域等の用途地域を適切に活用していくならば、住宅と危険物を扱う工場等の混在を防止するとか、あるいはさらに、危険性の高い石油コンビナート地帯と一般市街地との間には緩衝地帯を設けて両者を分離するとか、こういった具体的な事業の中で防災対策は進めているわけでございまして、対応は十分可能であろうというふうに理解しているわけでございます。
  62. 柄谷道一

    柄谷道一君 政務次官、私いま指摘いたしましたのは、私個人の意見ばかりではございません。横浜国立大学工学部の入沢教授も、現在の諸立法が防災という配慮においてなお欠ける面が多いということを具体的論文として発表いたしております。もちろん、これらの立法は建設省の所管に属する問題ではございますけれども、防災を担当する国土庁としても、建設省と十分に話をいたしまして、これらの洗い直しということが当然防災担当の官庁として行われてしかるべきではないか、こう私は思うわけでございます。いま時間の関係で、どの法律をどう直せこう直せという議論よりも、しかし、防災の視点から、少なくとも洗い直して足らざるは補完する、この姿勢があってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) 建設省の対策室長から答弁がございまして、お話を聞いておりまして、そうした決められたところの防災法律がなくても大体指導的に行われておるだろうということでありますが、私は先生の話を聞いておりまして、古い思い出を新たにするわけでありまするが、名古屋港におけるところの、あの周辺一帯が伊勢湾台風というのによる大きな被害をこうむったことがあるわけであります。三千有余名の死者を出しましたし、そしてあの付近に貯木場があった、その貯木が流れてきて、この下に入った人たちが、出ることができずして死亡した。こういうような面から考えてまいりましたときに、あのときに防災地域として何か海岸端一帯にそれに対する対策法律があって指定、規定せられて防災的になっておったら、あのような大きな被害はまだ少なく食いとめることができたろうということを、いまだに思っておるわけであります。  そういうような観点から考えてまいりますと、これで事なれりということではなくて、新しい制度を取り入れていく必要性は私は十分にあると思います。そういう点で、国土庁が、三十八万平方キロの中から、いかに住みよく、いかに人災、天災の被害があってもそれを最小限に食いとめていくかということは、これはもう当然考えなければなりません。そうした意味から建設大臣国土庁長官は兼務していらっしゃいますのでよくお話を申し上げ、また、関係しておっていただくところの対策室長とも十分に話し合いをしながら、新しい道を選んでいきたいと考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  64. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ、そのような検討をお願いをしておきたいと思います。  次に、昭和五十一年八月三十日に財団法人日本都市センターは、「都市構造の推移と防災システムの研究開発」という報告書を出しておられます。この報告書をまとめる作業には、建設省、国土庁及び消防庁の方々も参加しておると聞いておりますけれども、その中には、国や地方自治体の震災対策が、大地震が起きた後の対症療法に傾き過ぎ、都市計画など行政全体との連携と調和を欠いているため、都市は年々地震に対する安全性が弱まっている、こう指摘いたしております。さらに、国や自治体が強力な権限と予算を持った防災庁または防災局を設けて、十年、二十年を見越した安全な都市づくりのための総合的な対策推進すべきである、こういう提唱をいたしておるわけでございます。この報告書が出され、しかも、関係官庁が参加された報告書でございますが、すでに二年を経過いたしております。この報告をどう受けとめ、どのように対応してこられたのか、お伺いをします。
  65. 上田康二

    説明員(上田康二君) 建設省からも、この計画には個人的に委員として参加しているようでございますが、この報告書に盛られているいろんな具体的な対策、私ども関係のございます都市計画関連の分について申しますと、将来、大都市の構造を災害に対して強い体質に変えていく必要があるというようなことで、具体的な構造改造の試案的なものも示されております。いわゆる延焼遮断帯を都市の中につくって、避難対策とあわせて都市構造の改善をしていく必要がある、というような提案も見受けられるわけでございますが、これらの法につきましては、われわれも、非常に長期的には重要な対策でございまして、先ほど御説明いたしましたいわゆる避難地、避難路整備、こういったものの延長線上には、そういう延焼遮断帯をつくって都市構造自体を改造していくということも考えながらやってきているわけでございまして、具体的に申しますと、建設省の総合技術開発プロジェクトという研究の方式がございますが、この中で、都市防火対策手段の開発というものに五十二年度から取り組んでいるわけでございます。具体的な延焼遮断等の理論、現在のところまだ必ずしも解明されてない問題もたくさんございます。そういった理論的な解明をしながら、また、そういった延焼遮断帯を実現していくための手段、こういったものにつきましても、そのプロジェクトの中で検討していきたいというふうに考えております。
  66. 柄谷道一

    柄谷道一君 対策を進められているということは承知いたしますけれども、果たしてそれで十分かどうか、私は大変な疑問を持っているわけでございます。たとえば、いま申しました日本都市センターの報告書の中には、もし東京にマグニチュード7・9という、関東大震災並みの地震が起こればということを仮定をして、東京二十三区内の死者は五十万一千人、同じく重傷者は十二万人、中軽傷者三十万人が出るであろう。しかも、救援活動及び負傷者の搬送活動もきわめて混乱をして、放置される多数のけが人が出る。しかも、疫病の発生、冬であれば凍死、こういうものを考慮すると、死者は百万人を超える可能性があると、こう指摘いたしておるわけでございます。二十三区内の人口約八百五十万といたしますと、八.五人に一人は死亡する可能性があるということをこれは示唆いたしておるわけでございます。まことに私はゆゆしい都市の現状ではなかろうかと、こう思います。  そこで、厚生省にお伺いしたいわけでありますが、昭和四十九年の八月に、三菱重工ビルの爆破事件がございました。そのときに出ました負傷者は三百人でございます。しかし、このわずか三百人の負傷者を搬送し、医療機関に収容することにも大変混乱があり、問題があった。これが当時新聞に報道され、世間で指摘されたところでございます。今度は三百人ではございません。この日本都市センターの推定によりますと、重軽傷者を合わせて四十二万人が一時にする。こういう事態を想定して、搬送はこれは消防庁の関係でございますが、ひとつ厚生省に、救急医療体制というものについて、どのような検討と準備が行われているのかをお伺いしたいと思います。
  67. 岸本正裕

    説明員(岸本正裕君) 非常に広域的な大災害が発生した場合に、災害対策基本法に基づきます緊急災害対策本部が設置されますと、厚生省といたしましては、その業務の一環といたしまして、医療救護活動に関する業務を分担することになっているわけでございます。そこで、私どもといたしましては、すでに昭和四十年度から、このように集団的に発生する傷病者に対する救急医療対策といたしまして、たとえば医療関係者の組織の問題でありますとか、搬送の問題、それから傷病者の収容先の問題、それに収容先の確保の問題、それから医療用器材の備蓄確保の問題等々にわたりまして、地域の実情に即した救護活動ができるような計画を立てるよう指導をしてきているところでございまして、これを受けまして、各都道府県におきましても具体的な計画の策定がなされているところでございます。しかし、先生いま御指摘になりましたように、非常に大規模な災害が起こりますと、相当な範囲におきまして医療機関の機能も麻痺をしてくるわけでございまして、非常に搬送等が混乱をする——大変大事な問題でございますけれども、混乱をするであろうということも予想されるわけでございまして、通常の医療機関に収容するという問題と違ったむずかしい問題をたくさん含んでくるわけでございます。また、都市化の進展に伴いまして、災害の態様というものもどんどん変わっていくものというふうに考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、そのような実態の変化等を踏まえて、関係省庁ともよく連絡をとりながら、最善の救護活動ができるような対策を、これからも検討を続けていきたいというふうに考えているところでございます。
  68. 柄谷道一

    柄谷道一君 政務次官、私はこの種の問題は一地方自治体だけで対応できる問題ではないと思うんですね、大規模都市震災が起きました場合は。むしろ広域的な視野に立って、いわゆる国自体がその対応策というものを地方自治体とも連携をとりながら確立をしておく。人間の生命というのは何よりもとうといわけでございまして、私は三菱重工の爆破事件の例と、この日本都市センターの災害予測を見ますと、まさに慄然たる思いがするわけでございます。ひとつこれは国土庁が中心になりまして——消防庁もこれ関連いたします。もちろん厚生省も関連をいたします。建設省等のミニ防災拠点等の関連も生ずるでございましょう。私は、都市計画というのは十年、二十年、非常に長期の期間を要する問題であることは、もう十分承知をしておりますけれども、とりあえず、予測される災害から起きる人命の被害をどのようにして最小限にとどめていくか、このことについては最も緊急の課題であり、国土庁が中心になって各省庁と連携をとりながら、一刻も早い対策の樹立が必要ではないかと、こう思うわけです。いかがでしょうか。
  69. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) 数字を挙げて、これは仮想的ではありますけれども、ないことを願うものでありますが、東京大震災を仮定して五十万人の死者、そして四十二万人近い負傷者が出るという御指摘でありますが、私は大学の先生、専門家がどこに基準を置かれましたか知りませんが、私が感じたことを率直に申し上げますと、新建材という、いまから十年ほど前にわれもわれもとつくり上げてきたあの新しい建材には燃えやすいものがあり、それがひとつの毒ガス的なものを発生をするということも言われておるわけでありますので、倒れた、火災、さらにもう一歩突き進めてまいりますと、あの関東大震災当時の自動車の数と今日の自動車の数の数字からいきましても、大変な自動車が各家庭に持たれ、あるいはタクシー、ハイヤーとして動いておる。こういうのが、いつどういうときに起きようとも、それに火がついてきたときに爆発はするわ、火勢は激しくなるわ、そしてガスは発生したわということになると、収拾がつかない。たくさんの人々が負傷者となり、死者となってあらわれてくるだろうという想像をせざるを得ないのであります。そういう観点から考えてみますときに、非常体制を整えて、そうしたときの処理方法をどうするかということについては、厚生省はもちろんお考えをいただいておりますし、消防庁の方にもこれに対する——交通は途絶する、あらゆる面に大きな障害が生じてくるでありましょうが、これはどうやっても十分な体制をしなければ、大混乱的になることは、先生指摘のとおりだと思っております。  以上、考えまして、ただいまの厚生省からの御答弁もございましたが、より一層国土庁としましては各省の皆さん方とよく相談申し上げまして、万全を期せられる処置をとっていきたいと思っております。それについては、日赤の救護班というのも、こういうとき、そうした事態のときにはうんと活躍をしていただかなければなりませんので、日赤救護班による全国の協力体制、いつ何どきでも出動できる体制を整えたいという考え方を持っておることを申し上げておきたいと思います。
  70. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、関係官庁の二、三の例を挙げましたけれども、これは防衛庁、いわゆる自衛隊にも関連がございます。また、自治省その他関連する部門は非常に多いわけでございますね。ぜひ、人命を守る、そして犠牲をいかに最小限度にとどめるかという問題になりますと、いま挙げた、問題のほかに、国民自体の救急法に関する技術の習熟の問題も必要でございましょうし、ミニ防災拠点に備蓄されております衛生材料、医薬品等の備蓄にもかかわってまいります。少なくとも、私は東京の例を挙げましたけれども、これは単に東京ばかりではなくて、川崎市も大阪市も名古屋市も同様の、いま安全性が疑われる現状にあることはもう事実でございますので、ひとつこの点につきましては早急にそのあり方に対する検討を開始して、その対策が一日も早く樹立されるように、強く要望いたしておきたいと、こう思います。  そこで、ことしの二月に埼玉県の社会経済総合調査会が、「防災からみた埼玉県市街地の整備構想」という研究報告書を発表いたしております。この内容は、時間の関係から多くを触れませんけれども、防災都市づくりの基礎を短期間でなし遂げるのは不可能であるという前提に立ちまして、短期レベル、中期レベル、長期レベルに分けまして、その計画をつくり、三十年間でこの構想の実現を図ろうとしておるものでございます。しかも、住民と行政体とのコンセンサスを得つつ行うという、具体的方法論もこの中には明記されております。私は、この構想を高く評価いたしたいと思うわけでございますが、国としても、各都市の実情に合った長期計画づくり、防災都市づくりということに対して、もっと強力な指導を行い、このような計画が全国の都市に普遍するような行政指導というものが必要ではなかろうかと存じますが、いかがでしょうか。
  71. 上田康二

    説明員(上田康二君) その点に関しましては、三大都市圏の既成市街地等につきましては、先ほど申し上げましたように計画づくりを指導しておりまして、その中には、いわゆる広域避難地とか、避難路の整備ということを当面の課題にしているわけでございます。こういった対策をやや広い範囲——いま御指摘の埼玉県の南部の都市連檐地域等にも適用していく必要があるということで、現在準備をしておりますし、さらに、その構想に盛られているような思想と申しますと、先ほど申し上げましたように、いわゆる延焼遮断帯、防災緩衝帯といったような性格のものを、新市街地におきましても余り過密な市街地が連続しないように、適当な遮断帯、緩衝帯を設けながら、災害に強い都市づくりをするというのがその構想の趣旨だと思いますが、そういうふうな方向を将来の方向として目指していきたい。ただ、当面余り大きな構想を持ちましても、実現化に非常に問題がございますので、じみちなところから積み上げながらやっていきたいというふうに考えております。
  72. 柄谷道一

    柄谷道一君 ちょっと視点を変えますと、昭和五十二年版の消防白書、私これを読んでみました。そして、この消防白書の中には、日本の都市と世界各国の主要都市との都市火災に対する対比が書かれているわけでございます。それによりますと、一万人当たりの出火件数は五・六、これは世界でも低いグループに属しております。死者一人当たりの火災件数の数値も低いわけでございます。しかし、これは出火率が低い反面、火災による死者の発生率が著しく高いということを、これ逆に示しているのではないか。また、火災一件当たりの損害額も、世界各国の都市に比べて非常に高い数値が出ております。私は、もちろんエネルギー源の多様化だとか、国民の生活態様の変化等もありますけれども、世界の主要都市に比べて、日本の都市構造の複雑化に対応する安全防災対策の立ちおくれというものを、この消防白書というものは如実に示していると、こう思うわけでございます。  中米のニカラグアの首都マナグアで、一九七二年に大地震が起こっております。このマナグアは人口四十万の都市でありまして、そのうち三十五万人が住む家を失った。まさに都市は壊滅的な被害を受けたわけでございますが、死者は一万ないし二万人、負傷者は三万人にとどまっております。これは、一九三一年に大地震を受けたときの教訓を生かしまして、歩道の幅を大きくするとか、安全のための空間を確保するなどの都市計画を持ったればこそ、これだけの、都市全滅とも言えるべき災害の中で死傷者を最小限にとどめたのではないかと、こういうことが言われているわけでございます。  政府にお伺いをしたしましたところ、政府ではロサンゼルス、マナグア、グァテマラ、イタリア、ルーマニアなど、大地震が起きるたびに調査団を派遣をいたしまして、それらの教訓というものをわが国の災害対策に生かそうという努力をされているように聞きますけれども、これらの調査を通じ、まあ聞きますと、何か十五項目ぐらいの教訓を得たという、膨大な資料をいただいているわけでございますが、特に当面、何を重点にこれらの教訓というものを生かそうとしておられるのか、お伺いをいたします。
  73. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいま御指摘政府調査団につきましては、関係各省庁いろいろ参加しておりますが、私の方で取りまとめて一応御答弁申し上げたいと思います。  御指摘のように、ロサンゼルス以降ルーマニアまで各調査団が参っておりますが、いま幾つかの項目をお挙げいただきましたが、私どもの方で、各ルポートの中から幾つかの問題点なり教訓というものを整理いたしますと、いろいろの点があろうかと思いまして、それを個条書きにしましたものが、十幾項目になったのだろうと思います。  そこで、その教訓で、結局何が一番問題点なのかという点でございますけれども、やはりいま先生が御議論なさっております都市災害という問題にしぼって考えてみますと、いかんせん各地域の、外国の災害の場合には比較的国土も広くて、その土地利用もある程度計画的に利用できる。しかも、国民の災害に対します物の考え方も非常に違っている。たとえばイタリアの場合について言いますと、公営住宅をつくるときにも、日本の三LDKよりも値段も安くて広いものができると、そのかわり災害には弱い。日本のように、いわば木造家屋を中心としまして一世代ごとに家を建て直し、町の中に家があるといいますか、そういった形の中での町づくり、都市づくりを進めてきた形とは非常に違っている。そういうことで、先ほど来御議論いただいている課題に特に関係あると思いますけれども、外国の調査団のレポートを見ますと、いかんせん日本のような木と紙の家ではなくて、非常に広いところに比較的燃えない物で、長世代にわたっての住居としてのものなり、街区全体としてのそういった整備も可能であったと、あるいは白地のところにそういうものが書き得た。そういったところを、いま日本の状況に置きかえてみますと、実は切り張りのような話なり、それこそ一つ一つ置きかえをしながら漸進的にそういった対策をとらざるを得ない。そういった点が非常に、何といいますか、外国の調査のレポートを見まして、日本に取り入れにくい問題点だろうと思います。実は、その取り入れにくい問題点が取り残されるだけに、ますます問題がむずかしくなってくる。そういうことで、建築基準法の改正にしましても、あるいは各施設の耐震性の点検強化にしましても、それぞれの段階では取り入れておりますけれども、それらを総合して、たとえば面とか、線とか、帯とか、そういった広い観点での町の安全性というものが一体計画的に進められているのかどうかと、そういったことはどうしてもおくれざるを得ない。こういった点が一番おくれていて、しかも今後必要な点だろうと思います。
  74. 柄谷道一

    柄谷道一君 私も、国土の地理的条件が外国と違いますから、その教訓がそっくりそのまま日本に適応するものだとは考えてはおりません。  国土庁でも、当初、災害時の防災拠点として、大都市の密集市街地域内に不燃建築物で囲った広さ二、三ヘクタールの防災拠点をつくって、いま各都市で指定している広域避難緑地まで逃げることが不可能な老人や子供を収容するということを考えておったようでございますが、しかし、この計画ですと、地価が高い現在、一防災拠点建設の費用が数十億円かかると、地方自治体ではその必要性は認めておっても、地方財政が逼迫しておる現状の中でなかなかこれに踏み切れないと、こういう現状もあったということで、ミニ防災拠点というものを考えられておるようでございます。  すなわち、学校、公民館といった公共施設を新築する際に、少し余分に用地を購入し、地上に公共施設、地下に防災シェルターをつくりまして、これを防災拠点とする。いざというときの避難場所にすると同時に、食糧、水、医療品等もここに備蓄をする、これを救急医療体制のまた一環に組み入れていこう。これがいわゆるミニ防災拠点の私は構想であろうと思います。  国土庁は、五十一年にマスタープランをつくりまして、五十二年からモデル拠点の建設を始める。そして、五十三年からは本格的にひとつ着工したいという意欲を持っておったように聞くわけでございますが、本年度、このミニ防災拠点の建設に対して、どのような計画を実施されようとしておりますか。
  75. 四柳修

    政府委員(四柳修君) いま御指摘の具体的な問題としましては、五十三年度の私どもの方の予算の中で、とりわけ大都市圏の問題としまして、私どもの方の大都市整備局の方で、いまの候補地としましては大阪と川崎を予定しておりますけれども、既存の市街地の中で、そういった建てかえも含めた街区の整備に対しまして、地元の市の行います事業に対しまして補助金を出す予算を五十三年度予算に計上しております。それによりまして、十分ではないかもしれませんけれども、せっかくの地元の構想の具体化に御援助申し上げたいと考えております。
  76. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、昭和五十一年に、前三木総理大臣が、わざわざ本会議の施政方針演説の中で、防災対策としては、科学技術を総動員して、事前の予防に最善を尽くすと、こう述べられたわけでございます。しかし、これはもちろん必要なことでございますけれども科学技術の総動員をまたないでも、政府がやる気になれば、いま言いましたミニ防災拠点の数をふやし、その拠点を数多くつくっていくという方策は実行できるはずであります。私は構想ばかり雄大な防災対策よりも、実効性のある対策を一日も早く実施すべきである。いかに最小限の財源で最大限の効果を上げ、しかも、当面何が必要かという、その優先順位を定めて、これを地方自治体に任せるのではなくて、国みずからがその第一段階の着手を強く地方自治体に要請し、これに対する十分の予算措置を国としても講じていくということはなし得ることではなかろうかと、こう思うわけでございます。政務次官、ひとつぜひこの点は、ことしの予算は決まってしまいましたので何とも言えませんけれども、もういまからでは遅うございますけれども、来年の予算編成については、このような視点に立った予算編成をぜひ長官ともお話しの上御配慮を賜りたい、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  77. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) ただいまの御質問に対して、私も全く同感でございます。  四柳審議官から説明がありましたように、本年は大阪、川崎を中心にして進めるようでございますので、さらに、来年度予算に対しましては人命のとうとさ、そしてお年寄りなんかが集団的にしても何にしましても、避難の場所が遠ければ大変でございますので、こうした個所を努めて多く持っていくことのできるように、また、補助金の出せるような予算措置を、長官ともどもに御相談申し上げまして、各皆さんの協力を得て、そのような編成をいたしていきたいと思いますので、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  78. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、この二月、三つの大きな災害が起きております。一つは、二月十七日に、パリの高級住宅街で、ガス漏れが原因と見られる連続六回のガス爆発が起こりまして、五十人を超える死傷者を出したということが新聞に報道されました。また、二月二十日、東日本一帯を襲った広域地震で、仙台は震度四であったわけでございますが、市内のビルの窓ガラスが大量に割れ、破片が地上に散乱する、幸い通行人がなかったために被害者は出ませんでしたけれども、大惨事に至る危険があった。しかも、このビルでは、はめ殺しという一枚のガラスの固定窓だったわけでございまして、この構造自体が再検討をされるべきであろうと、建設省も調査に入ったということが、これまた新聞に報道されました。さらに、二月二十二日にも、横浜市内の鉄筋十一階建てのマンションでガス爆発が起こりまして、その爆風が付近のマンション等百五十世帯、そこの窓ガラス約五百枚を割りまして付近に吹っ飛んだ、こういう記事も出ておるわけでございます。  こういう問題をつなぎ合わして見まして、高層アパート、マンション、高層ビル、こういうところの爆発対策というものについて、もう一度見直されるべきではないか。これは五十メートル、百メートルの上からガラスの破片が落ちてくるということは、本当に凶器が降り注いでくるということを意味するわけでもございますので、果たして技術的に、また現在の構造的に、これらの問題にどう対応するかという対策は、真剣に考えられてしかるべきであろうと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  79. 対馬英輔

    説明員(対馬英輔君) ただいま先生の御指摘ございました地震の際のビルのガラスの落下の問題でございますが、これは、先生指摘のとおり、はめ殺しという形式の窓が大部分でございまして、それで、この状況につきましては、私どもの建築研究所で調査分析をしてございます。それで、まだ継続中でございますが、最近の建築物で使用されておりますのは、余りこういうはめ殺しという方式ではございませんで、一般には窓枠につきましてもアルミニウムの窓枠を使っております。で、ガラスの取りつけも、弾力性のある材料を用いておりますし、今回のような被害というのは余り起こらないのじゃないか、こういうふうに考えております。  ただ、御指摘ありました既存のビルで、スチールサッシ等をはめ殺し方式で固定している。しかも、仙台のケースは大部分がパテどめという形式で行っておりますので、この点につきましては、建築研究所の現在しさいな分析調査を行っておるところでございますので、その結果を待ちまして、今後の必要な措置等を考えてまいりたいと、かように考えております。
  80. 柄谷道一

    柄谷道一君 これはもう政務次官、震度四でこの程度なんですね。本当にこれ、大地震が東京を襲ってきた場合、まだ旧構造のビルも多数東京都内には存在するわけでありまして、こういう新聞記事を見るたびに、本当に大丈夫なんだろうかという危惧感を持つ国民は決して少なくないと思うわけです。いま研究されておるということでございますけれども、なるべく早くこれらの対策が講ぜられるように、ぜひお願いをいたしたい。  次に、一九五七年三月に、名古屋駅前に世界で初めての地下街が生まれまして以来、わが国には全国的にこの地下街が広がっております。火災のときにはこれが煙突の役割りをして、大災害に発展するんではなかろうかということも言われているわけでございますが、この地下街に対する防災対策について、御所見をお伺いいたします。
  81. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) ガラスの落ちる問題につきましては、新しいガラスに対しては新工法が行われておるようでございますし、中にいろいろの工作がせられておりますから、相当きつい地震があってもそれは落下しないような研究が施されておると私は思っております。たとえば自動車のフロントガラスも、かっては割れますと、それが運転手の目の中に入ったりけがを与えたのでありますが、最近そういうことがありませんので、そのような研究が続けられておるということは私は間違いないと思いますが、古い建物のガラスは総入れかえがしてありませんので、先生指摘のとおりに、強い地震が起きたときにはそれが落下するおそれがないとは断言できませんから、また、いままでの事例からいきましても、そうした面がたくさん発生いたしておりますので、さらに研究をしていただいて、このガラスの落下防止に対することを一日も早く研究をし、結論を出してもらうように、建設省とも十分な打ち合わせをいたしたいと考えております。  その次に、先生指摘していただきましたこの地下街の問題でありますが、地上で商売をしておる人たちがだんだんと地下にもぐり、そして営業をなす傾向が多くなってまいりました。名古屋市も駅前だけでありましたけれども、それが、さらに駅前に大きなビルディングができるとそれに連結をする。いろいろと、当時でかしたときからのもう何倍かの地下街になったわけであります。さらにまた、一等地でありますところの栄町付近にも大きな地下街ができましたし、またテレビ塔という、その塔の周辺にも大きな地下街ができております。新しい地下街に対しては、相当防災関係は研究せられた設計がなされておると思いまするが、まだ私の方には——これは名古屋市の主管であり、愛知県の建築基準に従って施工せられておりますので、私の手元も、十分な研究を私自身がしておりませんが、直観的に考えたことを率直に申し上げますと、あの中に入っておって、もしものときにどの方向に逃げ出して行くんだ、どうしたらいいんだという考えで入っていらっしゃる方はほとんどないと思います。ただぞろぞろと買い物あるいは商店のウインドーをながめながら、あるいは食堂に入っていらっしゃる。そうした方々が、もしもの場合に大変な事態が起きるということだけは、私どもの感覚でも知ることができる。心ある人はそれを思うことであろうと思っております。そうした面につきまして、国土庁としても災害対策、地震等々におけるところの問題点について、これをどう補導し、そして出口を明らかにしてもらい、そして退避をしてもらうかという点について考えなければならぬということで、地下街に対しては特別な指導、研究を、それぞれの方々にもおいでいただいたり、あるいは私どもが時間が許すならば現地へ参りまして、その方々と懇談をしながら、新しい一つの道を選び、そして災害どきには心配ない体制を整えていきたいと、こういうことで、もし必要ある法律ならば、その責任者である当局側とも御相談をいたしてまいりたいと思っておるわけであります。しかし、現在のところは努めてその商店の方々が中心になり、消防が中心になっていただきまして、退避訓練もいたすし、そして、さらにいろいろと指導していらっしゃるようでございますが、まあ訓練というものは大切なものでありますが、前もって予告をしつつ、訓練ということになれば整然とできますけれども、本当に非常事態が瞬間的に来たときというときこそ私は大切なことであると思っております。そういう点について、今後少し時間をいただいて、国土庁、建設省、関係の方々と特に地下に対する検討をいたしていきたいと考えておりますので、政府考えを申し上げておきます。
  82. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間も参りましたので、もう一問の質問にとどめたいと思います。  私は、防災都市計画研究所の村上所長が、ある雑誌に「畏れの社会こそ防災の根源である」と、こう書かれておる論文を見まして、非常に感銘を受けたわけでございます。災害の実態を国民が知るということが私は防災の出発点であろうと、こう思います。こういう視点から考えますと、国土庁、建設省、消防庁など、まあ関係官庁は別として、大蔵省、文部省、通産省など他の官庁にどれだけ防災に関する深い関心がいまあるんだろうか。災害対策特別委員は別として、それ以外の国会議員だとか、第一線建築家とか、財界の指導者とか、学者というような社会の指導者が、十分この問題を認識しているんだろうかという点を考えますと、まだまだこの防災に対する認識、いわゆるおそれというものに対しての認識は十分ではないのではないか。政財官民の大勢は都市の安全性、防災性について楽観視しており、その関心というものも必ずしも深くなく、そのことが対策のおくれをもたらしているのではないだろうかと私は思うわけでございます。で、これらの、おそれを社会化するためのネックをいかにして取り除いていくか。そして災害、特に大災害というものが予測される都市災害について、いかに全国民的な課題としてこれに取り組んでいくか、このことを改めて問い直さなければならない私は重要な時期であり、また、治にいて乱を忘れずという気持ちをさらに深くしなければならない現状ではないかという感を深く持っているわけでございます。  本日の質問を通じ、まだまだ都市防災の対策が十分確立されたものとは言えない。あるきは足踏みをし、あるときはのろのろと前へ進んでいるという現状であることが明らかになったわけでございます。政務次官の率直な御見解と決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  83. 丹羽久章

    政府委員丹羽久章君) ただいまの御指摘につきましては、全くそのとおりだと私は申し上げることができるわけであります。交通安全対策というのは、現実にその日その日がそこに浮き彫りせられてくるのでありますので、国民の考え方が交通安全対策、交通安全というものはいかに大切であるかということの御認識、ほとんどの国民の皆さん方が知っていただいて御協力していただいております。けれども、この防災問題は、起きたところの人たちは大変な関心を持っていただき、いかに天災、地災そのもの自体が大きな悲劇を招くことであり、大変な国家的損害であり、とうとい人命が失われていくかということを知っていただくわけでありまするが、なかなかそういうことの起き得ないところの方々に声を大にいたしましても、まあよくわかっておるよとおっしゃいますけれども、その実態を把握することは困難でありますので、なかなか浸透いたしておりません。私どもの年代以上の方々で、東京にいらっしゃった方々は、あの東京の大震災というものがいかに恐ろしいものであったかということを知っておっていただきますし、また、戦時中に私どもの知多郡方面を襲いましたあの地震で、すべての工場が倒れ、すべての物が破壊せられ、とうとい人命が大変たくさん亡くなりましたが、戦時中で公の発表はありませんでしたけれども、当時、その工場等で働いていて、そこから逃げた人々は、地震の恐ろしさ、災害の恐ろしさというものをしみじみ知っておるわけであります。そういう点につきまして、今後私どもは、PRというのでなくて、真実を求めて恐ろしさを認識していただくことの運動と申しますか、それを理解していただく方向に向かって、どうあるべきか、どう進めるべきかということを、より一層研究と勉強をいたしまして、きょう御出席の委員長初め御質問いただきました先生方の意を体して、今後も私ども努力政府としてしていきたいと思っておりますので、どうぞ御理解をしていただきたいと思います。
  84. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  85. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  86. 相沢武彦

    相沢武彦君 私、有珠山噴火に伴う被災地の救済対策その他についてお伺いをしていきたいと思います。  有珠山は、本年に入ってからも一日にまだ五百回ぐらいの地震を繰り返している、こういう状況なんですが、現在の観測体制についてお尋ねしますが、現在何人の技術専門家によって、どういう規模で監視体制を続けておられるのか、まず、その概要を御説明いただきたいと思います。
  87. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。  私ども気象庁では、有珠山の周辺三点に火山性の地震を観測する観測点を持っておりまして、これを室蘭の気象台までテレメーターをいたしまして、これが昼夜の二十四時間の監視に当たっております。このほかにまた、地元の壮瞥町でございますが、ここに、私ども火山の機動班と申します臨時の観測班を、噴火以来ずっと常駐させまして、火山現象——地殻変動とか、温泉、地下水等も含めまして、周辺での定期的な観測、あるいは地元対策本部との連絡に当たらせております。このほか、札幌管区気象台等も観測に参加いたしておりまして、相当の人数で、有珠の活動の続く限り監視の体制をとっていくつもりでございます。このほかに、北海道大学も御研究の立場から数点の観測点を現地にお持ちでございますので、この観測結果も総合いたしまして火山の監視を続けておりますし、大学方面との連絡を密にいたしますために、噴火予知連絡会の出店と申しますか、現地の総合観測班というものをやはりいま申し上げました壮瞥に置きまして、協力体制の遺憾なきを期するよう努力しておる次第でございます。
  88. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうすると、最高の人数のときと比べて、かなり体制の規模は減少しているんですか。いま現在、かなりの規模であるというふうに言いましたけれども、人数的にはそこのところはっきりしてないんですけれども
  89. 末広重二

    説明員(末広重二君) 有珠山のふもとの、現地に張りついておりますのは二名でございますが、室蘭気象台等で二十四時間の観測に従事している者を全部合わせますと、二十五名が常時監視体制に参加しているわけでございます。それから、確かに噴火直後は現地にも四名ほど常駐させたときもございましたが、観測体制も定常的なものに移行いたしましたし、また、観測員も現地の事情になれましたので、観測体制そのものは低下させておらないんでございますが、その噴火直後に比べますと、現地の人数は若干減ってはおりますが一観測体制そのものは低下させておらないつもりでございます。
  90. 相沢武彦

    相沢武彦君 有珠山のマグマ活動を中心にしまして、地下の活動がどういうような観測結果が現在出ているんでしょうか。特に、ことしに入って四回ほど水蒸気爆発を引き起こしているんですが、住民が避難をしなければならない規模の噴火というものは、もうないというように断定できるのかどうか、非常にこの予測はむずかしいというふうに聞いているんですが、現時点における気象庁としての責任ある御判断はどのようになっているのか。
  91. 末広重二

    説明員(末広重二君) ただいま私どもの監視の結果から申し上げますと、いわゆるマグマ活動は外輪山の中に限られているようでございます。したがいまして、山腹から急に噴火が起こるというようなことは現時点では考えられません。しかしながら、この火山の今後の推移と申しますか、これは現時点でどうなるかということを見通すことは大変むずかしゅうございまして、やはり監視体制を続けて、現在の状態が高まるとかいったような徴候が見えたときにそれに対処すると、あるいは先に手を打っていくということが、現時点では防災につながる道だろうと思っております。この前の昭和新山のできましたときには、一年九カ月活動が続いたわけでございますが、今後も、今回の活動も現在横ばい——高まった活動が横ばいの状態を続けておりますので、少なくとも相当長期化するという見通しは、これは持たざるを得ないかと存じます。
  92. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうしますと、今後の観測状況によってでないとなかなか正確な判断はできかねるということでありますので、先ほどの御答弁で、観測体制は低下させておらないのだということでありましたので安心したんですが、やはり昭和新山のときと同じように、かなり長期化するということになりますと、最低でもそのぐらいの期間はやっぱり観測体制というものは現状を堅持して万全の体制で臨むと、こういうことでいかなけりゃならないと思いますので、その点は抜からないようにしっかりお願いしたいと思うんです。  そこで、現地でいま一番苦しんでいる問題、悩んでいる問題、これは地殻変動の問題なんですが、昨年の十月十一日に、噴火予知連が発表した第四回目の統一見解というのがございましたね。これで、地殻変動は今後もなお長期化するということが発表されているわけです。有珠山の山ろくの関係住民にとりましては、一日も早く地殻変動がおさまってほしい。それによって、今後の、いろいろと自分たちとしての将来の設計なり、また県に対する救済措置なりを改めてお願いしなきゃならぬということなんですが、技術的専門家の見通しとして、この地殻変動の終息時期というのは、見通しとしてどのように判断をされているのか、お伺いしたいと思います。
  93. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明いたします。  有珠山のこの火山活動の特徴は、御指摘地殻変動を伴うというのが特色でございまして、私どもの判断では、現在の活動が続く限り、やはりこれに随伴した地殻変動というものも続くであろうという判断をとっているわけでございます。したがいまして、先ほど、いつ活動が終息するかなかなか見通しはむずかしいということを申し上げましたが、仮に前回の昭和新山のできたときを例にとりますと、一年半か、二年といったような程度ぐらいの期間活動が続き、やはりその間は地殻変動も活発なものが随伴すると私どもも思っている次第でございます。
  94. 相沢武彦

    相沢武彦君 午前中の質疑にも出ておりましたけれども地殻変動に対する対応策というものは、きょう可決された活動火山対策特別措置法の中では明確になっておらないわけですが、今後の現地の推移を見ながら、やはり適切な対応といいますか、考慮というか、そういうものはどうしても必要になってくると思うんですが、それに対する取り組みの体制について、どのような方向で考えられているのか、お伺いします。
  95. 末広重二

    説明員(末広重二君) 私ども、観測の分野について御説明申し上げる次第でございますが、この法律には火山噴火とは書いてございませんで、「火山現象」というふうにうたってございます。これは噴火はもちろん含みますけれども、もっと広く地殻変動、地下水、温泉の変化等も含みますので、私どもは、現地の観測班が、たとえば三恵病院のあたりが一番変動が激しいんでございますが、そこへくいを打ち込みまして、それを定期的に、どのくらい変動があるかというのをそのくいを標準にしまして定期的に測定しておりますし、また、もう少し精密な、距離の変化をはかる特別の観測もこれもまた定期的にやっておりまして、地殻変動の観測には、やはり相当の手を打っているつもりでございます。
  96. 相沢武彦

    相沢武彦君 火山災害の中で一番恐ろしいのは何といっても熱雲現象だろうと思うのですが、有珠は過去に二回も熱雲現象を経験している火山ですし、また人身事故等も起こしているわけですが、噴火活動の終盤に起こる現象というように聞いておりますけども、この発生予測について、どのように御判断をされているのか伺いたいと思うのです。  また、万一発生した場合の規模が大きければ、惨状というものははかり知れないものがあろうかと思いますので、あらかじめいまから危険地帯を想定しておく必要はないのかどうか、この点もあわせて御答弁いただきたい。
  97. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御指摘のように、火山の終息期に円形の山ができ上がりまして、それで、そこから熱雲が発生するということは考えられますし、この有珠山自身につきましても、御指摘のように過去二度熱雲を出して被害を生じたことがございます。ただ、この有珠山の場合、熱雲現象が発生いたしまして、一番近い洞爺湖温泉は約三キロ離れておりますが、ここまでなだれのようになって押し寄せるということは、これは大変大規模の現象でございまして、普通の熱雲は、発生いたしましても火口の付近から少し外へあふれて、しばらくすると散逸して消えてしまうという程度なんでございますが、本当に被害を発生するような、大熱雲発生というほどの活動が高まりますれば、当然相当の前兆現象が伴うことが考えられますので、これは現在の観測体制で十分に把握して、事前の警告と申しますか、御注意を差し上げるということはできると存じます。  また、危険地域の設定でございますが、過去の例を見ますと、やはり熱雲の発生状況で北側がやられたという例もございますし、また、南側がやられたという例もございますので、現時点で、大規模の熱雲が発生した場合に必ずここがやられるんだということを決めてしまうことはできかねるわけでございまして、やはり常時監視を怠らずに、もし極端にそういう活動が高まるような場合には、事前にこれを、前兆現象を捕捉するという方向で防災につなげていくべきだと考えております。
  98. 相沢武彦

    相沢武彦君 これまでの経験からいくと、その熱雲発生の前兆から、実際に発生までの時間的な間隔というのはどれぐらいあったんでしょうか。
  99. 末広重二

    説明員(末広重二君) 過去の例が、実は文政五年、これは一八二二年でございます。それから、もう一度起こりましたのは嘉永六年、一八五三年でございますが、何分このときにはまだ北海道は大変人口も希薄でございましたし、しかとしたその記録もなかなか、いまからさかのぼって調べるということもむずかしゅうございます。ただ、この有珠山の特徴といたしまして、必ず活動が高まる前に地震がまず前駆するということは、これは明治に入ってから私ども観測始まって以来経験しているところでございまして、これが去年の八月の場合には二日前からでございましたが、活動が高まるほど、やはりその前駆する地震も前から発生する。ある場合には、過去の例では、一カ月ぐらい前からその地震の活動が高まったという例もございますので、地元の皆様に最小限避難していただく程度の時間的余裕というのは十分あると考えております。
  100. 相沢武彦

    相沢武彦君 その観測体制を怠らないことと同時に、そういう徴候があらわれたときには、やはり地元の、実際に避難の指揮をとって活動起こさなきゃならないのは地元の町村だと思うのですが、そういったところへの連絡体制というものは、やはり早急にやるということを日ごろから心がけておかなきゃいけないと思うわけです。  あの噴火のときも、かなり徴候はあったけれども、まだ大丈夫だろうというようなことで、かなり地元のそれぞれの関係者に対する警告といいますか、それが若干おくれぎみであった点は否めないと思うのですけれども、万々が一、今回の場合は、大規模の熱雲の発生はなかろうということの予測でありますけれども、やはり万が一を考えて万全の体制をとらなきゃならない。特に、大きな惨事というものは、いままで経験なかったような、そういう新しい事故ということによって引き起こされる場合が多いわけですので、そういう未知への遭遇ということも十分想定をしておいて、警告をとり合う時間的な体制というものは、よほど事前にスピーディーにとられるようなあらかじめの心構え、そういう体制というものは必要であろうと思いますので、その点はしっかりお願いしたいと思います。  次に、建設省にお尋ねしますが、噴火による降灰火山れきによって、有珠周辺町村では個人家屋の倒壊、それから火山弾による屋根の破損で大きな被害を出しております。また、地震によって個人住宅やマンション等にも大きな被害が発生しておりますが、こういった個人災害に対しては、やはりこういった今回の有珠噴火に伴う事故を一つの契機にして、救済対策というものをやはり考えるべきではないのか、着手すべきではないのか、このように思いますが、この点はどのようになっていますか。
  101. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) お答えいたします。  有珠山噴火による住宅の被害状況を、新しいデータを調べましたところ、滅失が八むね三十六戸、すべて公営住宅ですが——滅失といいますか、使い物にならなくなっております。そのほかに家屋の半壊が四戸、それと一部損傷が五百三十四戸という状況になっております。  これに対しまして、住宅金融公庫の貸し付けを考えますと、条件関係で、いわゆる災害復興住宅の適用はできないことになっておりますが、一般の個人の建設の貸し付けのうちで、特別貸付という制度によりまして、災害を受けた方に対しまして貸し付けができることになっております。そのほか、住宅の改良につきまして貸し付けができることになっております。  特にお尋ねありませんでしたが、貸し付けの実績につきましても申し上げますと、前者の方、個人の特別貸付の方は二戸、それから、罹災住宅の改良につきましては八件、合計十件すでに貸し付けを行っております。
  102. 相沢武彦

    相沢武彦君 一般貸付と特別貸付では、どれぐらい融資の利率は違っておりますか。
  103. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 特別貸付におきましては、土地費の融資を行うことになっております。
  104. 相沢武彦

    相沢武彦君 実績で特別貸付二戸、それから改良の方の希望者が八戸ということなんですが、これは希望者全部ということですか、それとも対象者はまだあるんだけれども、実績としてはこれだけの数だということですか。
  105. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 住宅金融公庫が、地元の町を通じまして十分に広報活動をいたしまして、希望者を募りました結果、先ほど申し上げたような貸し付けの希望が出てきております。
  106. 相沢武彦

    相沢武彦君 最近、交通災害による傷害あるいは自然災害による被災者が非常にふえているわけでして、特に今後、午前中も質疑された都市災害に伴う個人災害、これの救済措置ということもあわせて今後やはり検討する時期に来ているんではないかと思うんですが、そういったことは全然省内での論議にはなっていないんでしょうか。
  107. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) ただいまの先生の御指摘は、お考えとしてはまことに一貫したものだと存じますけれども現行法の住宅金融公庫法の体系から申しまして、特に激甚な災害を指定しまして、それにつきまして手厚い保護をするという体系になっておりますので、この制度を改変いたしますことは、ほかの制度との均衡の問題とか財政との問題とか、いろいろな問題を慎重に検討しなければならないことだと考えております。
  108. 相沢武彦

    相沢武彦君 虻田町の泥流の危険地帯に指定された木の実団地の隣接地に、民家が何軒か存在しているんですけれども、現在この融雪期に入って泥流の不安がつのっております。現地はまだ積雪三、四十センチはあろうかと思っておるのですが、このような木の実団地のすぐ隣接地帯にある住民に対する避難対策、これについてはどのようなことになっていましょうか。
  109. 持永堯民

    説明員(持永堯民君) 避難対策につきましては、地元市町村地域防災計画に基づきまして、緊急時といいますか、危険時が迫りました場合には、市町村長が避難の指示をする、こういう仕組みで動いておるわけでございまして、この有珠山の周辺の市町村につきましては、昨年有珠山爆発をします以前におきましては、必ずしも十分なそういった体制の確立ができていなかったわけでございますけれども、その後、私どもの方からもあるいは北海道の方からも十分指導いたしまして、現在、そういった避難対策も含めました体制を一応確立をいたしまして、現在北海道の方と正式な煮詰めをしておるという段階でございます。したがいまして、これに基づいてしかるべき措置を臨機応変にとっていく、こういうことで対応することになろうと思います。
  110. 相沢武彦

    相沢武彦君 民家の集団移転の問題なんですが、建設省の方は三十戸以上まとまれば集団移転ができるんだ、こういうことなんですが、なかなか現地は、実際その危険が迫るまではそんな大きな事故にはならないだろうと、こう願望にも似た気持ちでおりまして、できれば自分の家から離れたくない、そういった人もおりますので、なかなか三十戸まとまらない、また戸数もそんなにたくさんありません。そういったことで、もう少し、三十戸以上と言わないで、数を減らした規定でできないのか、こういうことなんですが、建設省の方ではやはりこの三十戸以上でなきゃだめなんでしょうか。
  111. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 先生承知のように、危険地からの集団移転問題では、ただいまのお話しになりました建設省のがけ地近接の地域からの移転というのがございますが、直接所管でございませんので正確ではございませんが、これはたしか三十戸というような大きな数ではなくて、もっと少ない数であったかと思います。私どもの方で所管しております防災集団移転は、これは十戸以上ということでございまして、これは個々人が移るというよりも、ばらばらに行くのはどうかということで、地方団体が団地を造成して、そしてそこに十戸以上というかっこうで、それに関連するいろいろな施設を整えて移転をしてもらうということでございます。したがいまして、三十戸というのは、ちょっと私の方には関係ございませんが、がけ地近接の場合でも、もっと少なかったというふうに記憶しております。
  112. 相沢武彦

    相沢武彦君 大蔵省来ておりますか。——有珠噴火被害のうちで、降灰や、それから火山れきによる車両の損害が大部出たんですが、約三百台以上になると言われておりますが、この車の修繕費についての救済方法、現時点では何らないわけなんですけれども、車両の任意保険というのは大蔵省の所管ですけれども、この保険で修繕費というものを賄うように特別の措置が講じられないかどうか、この辺の検討はされてましょうか。
  113. 森田一

    説明員(森田一君) ただいまの先生の御質問につきましては、地震、噴火または津波による車両の損害につきましては、普通の車両保険では免責とされております。しかしながら、これらの普通の車両保険に地震、噴火、津波危険の特約をつけた場合には、これらの提害がてん補されるということになっておるわけでございます。  ただ問題は、これらの車両保険のうちで、地震等の特約がついておる契約というのは、五十一年度で全国ベースで〇・〇七%ときわめて少なく、北海道地区をとりましても〇・〇二%ときわめて少ない状況でございます。したがいまして、すでに契約されておるこれらの任意の車両保険によりまして救済を求め得る部分というのは、おのずから限定されてくるものと思われます。  以上でございます。
  114. 相沢武彦

    相沢武彦君 なかなか現状ではむずかしいということですね。  今回の有珠山噴火による災害で、人命損失が一件もなかったということは不幸中の幸いなんです。本当によかったと思います。専門家の中には、今回の有珠山噴火、これが本当に人身事故がないで済んだのは奇跡に近かった、一つ間違ったら大惨事になる要素もあったんだと、こういう厳しい指摘もあるわけです。  そこで、私は有珠山噴火の体験を貴重な教訓として、ぜひとも各方面でこれを生かしていただきたいと思いますが、たとえば、災害対策基本によって、国、都道府県には防災会議がありますけれども、この有珠山噴火の教訓を生かして防災体制を再検討をされてはいかがかと思いますが、これについては国土庁の方でどのような協議をされておりましょうか。
  115. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 私ども、この有珠山の問題に各省ともども昨年来からいろいろ取り組んでおりまして、お互いにいろんな経験を得ただろうと思います。その幾つかを考えてみますと、確かに有珠山の場合には、三十時間前でございましたけれども、一応前兆現象によって予知ができたということ。そのことを土台にして、北大の観測施設を初め、今後ともやはり噴火予知ということがさらに強化されるといいますか、そういう点が一つあろうかと思います。そういう面で観測体制整備されますと、防災側としましても非常にまあ対応がしやすいといいますか、そのかわりに迅速なる情報を的確に流してもらいたいという問題が出てくるかと思います。  二番目に、今回の避難の状況等を考えてみますと、自衛隊等の御協力によりまして、非常に短時間に全地域を、ほとんど全住民を挙げて避難することができた。そのかわりと言っては恐縮でございますけれども、その避難住民の解除の問題につきまして、やはり観光地なるがゆえに特殊な事情があったかもしれませんけれども、いろいろむずかしい問題があった。そういう過程の中で防災側として考えてみますと、地元の町村と道と道警とのいろいろのお話し合いの中から、地元住民の方々が御自分で自衛組織というものを一応提案をされ、あるいは緊急時におきます再避難の自己組織といいますか、そういったことの御提案もあって、そういう中で避難の解除がなし崩し的にできたということがあったかと思います。  それから、そういった避難の過程の中での、特に集団生活の中で、やはり防災側として考えてみますと、いろいろの教訓があったかと思いますけれども、たまたま地元の洞爺湖の温泉町の中学校の文集で「石の雨」という本を出していますけれども、そういう中でいろんなことが書いてございますけれども、やはり今回の災害に対しまして、地元の方での受けとめ方としまして、やはり地元住民の協力ということが非常に力あった、その反面、復興に対して非常にバイタリティーがあったといいますか、そういうことが書いてありまして、防災側としましても、そういった住民の協力なり、住民の持っているバイタリティーというものを、今後の、そういった一朝事ある場合にどういうふうに受けとめたらいいのかという点があろうかと思います。  最後に、先ほど来村沢委員等の御質疑もございましたように、現在進行形の地盤変動のような災害につきまして、いまの制度ではなかなか対応しにくい。こういったことをやはり——いままでの災害は、どちらかといいますと風水害ですとか地震ですとか、非常に限られた短時間内で非常に集中的な被害があった。そうでなくて、有珠山のように二年にまたがるやはり連続進行形の災害というものについて見て、防災側としましても、いままでの計画、いままでの発想とは違った形での受けとめ方をやはり検討しなくてはならないだろう、こういうふうに受けとめまして、これらの教訓なり反省ということも踏まえて、先ほど来御指摘ございました各種の計画なり各種の会議等におきましても、十分検討してまいらなくちゃならないと考えております。
  116. 相沢武彦

    相沢武彦君 あれだけの大きな被害にもかかわらず、人身事故を起こさないで済んだというのはいまおっしゃったような各関係者の皆さん方の不眠不休の努力、あるいは地域住民の協力、これがあったと思います。特に、地元の岡村虻田町長の沈静なといいますか、非常に勇気ある行動、こういったものが大きく働いたんだと思います。それから、幸いにして真夏の事故であったということも、これは非常にその避難に対して誘導しやすかったといったようなことですが、北海道の場合、非常に積雪の問題がありまして、これがちょうどことしみたいに大雪のときにぶつかって、冬の事故だった場合にはまた非常に混乱があったんではないか。また、避難する最中の事故等も発生したんじゃないかということが予測されるんですけれども、この避難訓練の問題として、やはり冬季間における避難訓練ということも、噴火が予測されるそういう地域においてはあらかじめ必要ではないんだろうか。また、この冬の場合の避難施設整備ということも課題でありましょうし、この点についての援助措置なり、また、今後のこの冬季間の避難訓練ということをいまから想定してやる用意があるのかどうか、この点あわせてお答えいただきたい。
  117. 持永堯民

    説明員(持永堯民君) 冬場の避難訓練の問題でございますが、虻田町では昨年の秋に訓練をいたしたようでございますけれども、お話ございましたように、積雪あるいは非常に寒いというような、条件によりまして、条件が違うためにとるべき応急対策も違ってくるということがあり得るわけでございます。したがいまして、そういう対策が違うことが考えられるとすれば、当然それに見合うような訓練、あるいはそれに見合うような体制の確立というものも必要であろうと考えております。したがって、そういった場合の訓練も必要だと思いますが、これは訓練いたします場合に、御承知のようにともかく地元住民の多くの方々の御協力も必要でございますので、多分、先ほどの御質問あるいはお答えのお話からしても、虻田町の方々につきましては、昨年の経験からして防災意識というものも相当向上しておるということもあろうかと思います。そういったことでもございますし、多分御協力いただけると思いますので、地元の道あるいは市町村の方と十分相談をしてまいりたいと思っております。
  118. 相沢武彦

    相沢武彦君 避難訓練の前に、まず避難計画ですな、これ、ひとつ関係者とよく打ち合わせしてつくっていただきたいと思います。  それから、この真冬の避難計画、訓練等とあわせて、冬季間の飲料水の確保ということが非常に重要な課題になると思うんですが、厚生省、この冬季間におけるこういう災害の場合、飲料水の確保についてはどういうような御見解ございますか。
  119. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 災害後の応急給水が主として問題になろうかと思いますが、この地域考えますと、北海道で最も暖かい地域でございますし、水道の水源自体、洞爺湖も凍らないというお話でもございますし、水の供給源、もとそのものがなくなってしまうというような話はないんではないかと。問題は、雪等が降って道路事情が悪くなって、給水車の運行が妨げられて給水の効率が悪くなるというような心配も、この地域においては余り雪のたくさん降る地域でもないというふうに聞いておりまして、かつまた観光地でもございますから、道路整備はかなりいいんではないかというような話を聞いております。また、給水車を置きっ放して凍るんじゃないかというようなことも心配されますけれども、適当に流れておれば水というものは凍らないものでございますから、それほど心配はないんではないかというふうに考えておりますが、なお、北海道——寒冷地そのものは長年そういう寒い経験を持っておりまして、配水管が凍結して破裂する、したがって断水をすると、応急給水をするというような、こういう災害に限らず、一般的な状態でもそういう経験を積んでおりますので、それほど支障はないんではないかというふうに考えております。
  120. 相沢武彦

    相沢武彦君 確かに洞爺周辺は北海道では温暖の地ですけれども、海岸地は雪が少なくても、ちょっと山の方へ入りますと、やっぱりかなり雪深いんですよ。ですから洞爺村の方ですね、あっちの方はかなり雪が深いわけでして、たかくくってますと、やはりいざというときに飲料水の供給というものは非常に困難さを伴うんじゃないかと思いますので、その辺のところは十分に検討しておく必要があろうかと思います。  それから、現在融雪期に入っているわけですが、二次災害が心配されているんですが、特にことしは、例年雪の少ない有珠地方も大雪に見舞われていますから、もし二次災害が発生した場合を想定しますと、かなり大きな被害も予測されるんですが、昨年における治山事業、それから砂防事業、これの方の対応は万全でしょうか、御説明いただきたいと思います。
  121. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 治山事業につきまして御説明申し上げます。  林野庁におきましては、昨年の災害発生後直ちに被災状況を把握をいたしまして、次期災害等によりまして、火山灰の流下によりまして、人家、公共施設、耕地等に被害を与えるおそれがある場所、非常に緊急に処置の必要がある個所につきまして、約九十カ所ほどでございますが、これにつきましては緊急治山事業費約十億三千万、それから五十二年度の補正予算におきまして四億円の事業費によりまして、谷どめ工、土どめ工、柵工、緑化工等の工事によりまして、一応の治山工事を行いまして、二次災害防止に当たっております。  で、本年度に入りましても、当該地域、非常にことしは雪が多いものでございますから、地方自治体等にお願いをいたしまして、融雪状況等の巡視等を現に行っておりまして、現状の把握に努めております。  また、五十三年度におきましては、約三十数カ所につきまして、金額では約六億八千万円を予定しておりますけれども、これによりまして、治山激甚災害対策特別緊急事業あるいは復旧治山事業ということをやりまして、早期にできるだけ防災工事を実施したいというように考えております。
  122. 相沢武彦

    相沢武彦君 それで二次災害が食いとめられれば、これが一番いいわけですが、もしことしの融雪でさらに流出被害が出れば、五十三年度の緊急治山事業で対応する準備があるというふうに承ってますけれども、この場合、国費はどれぐらい保留されて、予算上心配ないかどうか。この点ちっと明確にしておいてください。
  123. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 緊急治山事業といたしまして、まだ二十四億円を保留してございますので、また、災害等非常に危険がある場合には所要措置を講じるようにしまして、万全の措置を講じたいと考えております。
  124. 相沢武彦

    相沢武彦君 それから、林野庁にお尋ねしますけども林業被害の救済対策のうち、これまで森林国営保険法降灰被害対象外としておりまして、まあ本日可決された活動火山対策特別措置法保険事故とすることになったわけですが、有珠噴火による林業被害の場合は、法的には対象外となってしまうんですが、午前中、この点に対する質疑がありまして、有珠噴火に伴う林業被害については特別な措置も考慮すると、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、その点、もう一回ここで御答弁いただきたいと思います。
  125. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) いま御指摘ございましたように、保険事故を遡及適用するということは非常に困難でございますので、別途、たまたま本年当該地域非常に雪が多かったということで、昨年の降灰の結果、幹曲がり等が原因、誘因になりまして雪害も懸念されておる状況でございます。ただ、昨年の降灰の結果、すでにもう補修をしたりあるいは木を伐採した等、保険目的がなくなっているものにつきましては、これは処置がしようがないわけでございますけれども、こういう昨年の降灰の結果、幹曲がり等が誘因になりまして、さらに、今年の降雪等で雪圧が加わって幹倒れ等の事故を生ずるというものにつきましては、それらを含めまして雪害というかっこうで一体として処理をしたいと、そういうことで、相当の方の救済は可能であろうというように考えているわけでございます。
  126. 相沢武彦

    相沢武彦君 畑作地帯の復旧事業なんですが、五十三年度中に回復させて、一切完了の予定と聞いているんですが、現地の農家では、ことしの取り入れまでの生活資金がどうしても不足している様子なんですが、天災融資法に基づく融資は受けておりますけれども被害が大きかっただけに生活が苦しくて、どうしてもほかからの借金をしてこなければならない、こういう状況なんですが、農林省として畑作農家に対する別途生活資金融資、こういったものは御検討されていないかどうか、お伺いします。
  127. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 昨年の災害の結果、被害対象面積大体三千八百四十三ヘクタールございますが、五十二年度で大体二千四百六十ヘクタールが復旧完了いたしております。  また、いまご指摘ございましたように、昨年の災害の際に天災融資法を発動いたしまして、道の方の希望どおり大体十三億円の融資をいたしましたわけでございますが、これは天災融資法のたてまえから一応経営資金ということになっております。また、私どもこの天災融資法のほかに、自作農維持資金ということで約十五億円、これは道の方からの御要望に従いまして十五億円の融資枠を設定いたしまして、また、一人当たりの融資限度額につきましても、従来、災害につきましては百万円になっておりましたが、これを二百万円まで拡大したと。この自作農維持資金につきましては、特段の使途は指定はされておりませんので、生活資金に充当されている。この天災融資法の十三億円と、それから自作農維持資金の十五億円、これで大体の要望は満たしたというように私ども考えておりますが、ただ、経営資金と切り離しまして、純然たる生活資金ということは、農林省側の方ではなかなか、所管行政上純然たる生活資金につきましての融資というのは困難かと考えております。
  128. 相沢武彦

    相沢武彦君 天災融資法に基づく融資なんですけど、現地聞いてみますと、これは非常にランクづけが厳しいんで満額借りられないんだと、それから自作農維持資金にしましても、噴火災害時以前から融資を導入しているので、二百万円の限度額というものを大幅に拡大してもらわないと、現時点で希望どおりの金額の融資は受けられないんだ、これが実情なんだということを訴えているんですよ。その点ちょっと食い違いがありますので、もう一回現地の役場あるいは農協を通して実情を調べていただいて、御検討いただきたいと思うのです。これは要望しておきます。  それから、商工業者に対する被害対策資金の融資制度のうち、一企業当たりの平均の融資金額、これがどれぐらいになっているのか。また、実際の返還期限は何年据え置きで何年間の償還になっているのか、お伺いしたいと思います。
  129. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 有珠山関係災害融資の実績についてのお尋ねでございますが、金額につきましては、全体で四百四十五件の方がお借りになっておりまして、総額で十七億一千八百万円、したがいまして、一件当たりの融資金額というのは三百八十六万円ということになってまいります。  それから、貸付期間なり据え置き期間でございますが、これは、実はこの特定の地域について統計をとっておりませんので、正確に幾らと申し上げにくいのでございますが、それぞれの現地の支店の感触を尋ねてみましたところ、大体、期間につきましては五年から七年ぐらいの幅になっておりまして、据え置き期間については六カ月から大体一年、まれに二年というものがございますが、大体六カ月から一年の間に散らばっているということでございます。
  130. 相沢武彦

    相沢武彦君 有珠山周辺の商工業者ですね、御存じのように、まだ地殻変動が続いておりますし、大分観光客等もUターンしてきているのですが、例年から見るとかなりな目減りになっているわけでして、本来の営業ペースに戻るまでにはなお一、二年はかかるだろうということなんですが、今後、融資資金の返済期限の延長や利子補給の道、こういうものは考えられないものかどうか、お尋ねします。
  131. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 現在、商工業者の方がなお平常の状態まで復していないという方もいらっしゃるであろうと思います。ただいまの返済猶予の点でございますけれども、これは個別にそれぞれの方の事情に応じて、もし返済ができないという御相談がありますと、個別に、これはケース・バイ・ケースでございますが、返済猶予を実施をいたしておりますので、これは、お困りの方は御遠慮なくこの三機関の現地の窓口に御相談をいただければというふうに考えております。  それから、利子補給というお尋ねでございますが、実は今回の有珠の災害融資自体、利子補給をしてすでに低利になっておるということでございますので、これをただにするわけにもまいりませんので、いろいろやりくりが大変な点は、元本、もとの方の返済猶予というのができるわけでございますので、その辺で極力資金繰りをつけるということで対処していただければ、というふうに考えております。
  132. 相沢武彦

    相沢武彦君 水道施設にかかわる整備事業についてお尋ねしますけれども、洞爺湖温泉と壮瞥町の二つの地域関係のある上水道なのですが、ここの配水管が現在なお一カ月間に数十回も故障を起こしている。これは地殻変動関係だと思うのですが、当面の対策としてはどのような措置がとられておるか、また、今後どういうふうにされますか。
  133. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) ただいま御指摘のように、温泉、上水道の地域において地盤変動、恐らく隆起が主体だと思いますが、隆起が起きておりまして、配水管が離脱——抜けたり折れたりする事故が多発しておりまして、昨年の十月から最近、この四月の三日までで百三十三件そういう事故が発生をいたしておりまして、報告によりますと、むしろふえてきておるというような状態にございます。ただいま御指摘のとおりでございますが、とりあえず現在のところ、それほど大きなパイプでもございませんので、数時間あるいは半日ぐらいの断水でそれを修復しておると、それを繰り返しておるわけでございます。今後やはり続くという、先ほど気象庁の方からも長期化するというようなお話もございましたが、できれば、それが落ちついてから現地査定ということでもしたいと思っておったわけでございますが、長期化するということでありますれば、年単位に区切ってでも災害査定をして、復旧費の手当てするというようなことを考えております。
  134. 相沢武彦

    相沢武彦君 百三十三件の修復整備事業の場合の経費の負担ですけれども、これはどうなっていますか。
  135. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 現在までのところの報告では、三百万余りという程度でございまして、一般の災害については二分の一の国庫補助という制度がございます。
  136. 相沢武彦

    相沢武彦君 故障のたびにぜひ早急に直していただきたい点と、それから、地殻変動がおさまった時点でひとつ恒久対策もこれ考えていただきたいと思うのです。  それから、災害対策と別途に、水道事業としての観点からお尋ねしておきますが、虻田町の洞爺湖温泉町や洞爺村では、現在の湖水を利用した水道から、将来も考えあわせて、たとえば貫気別川から取水をして、高台に浄水場を設けて、広域的な水道事業をぜひ考えてほしいんだという声が現地に強いのですが、この点いかがですか。
  137. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 水道整備に当たって、広域的な観点から水道整備を図るということは、安定的な水の供給を図る上で非常に有効な手段であるというふうにわれわれ認識しておりまして、かねてから、広域的な水道整備をやりなさいという指導をし、また、助成もしてきておるわけでございますが、御指摘の貫気別川につきましては、まだ地元市町村から直接要望等は聞いておりませんし、また、具体的な計画があるとも聞いておりませんが、こういう計画を立てるについては、貫気別川から果たして水が取れるのかどうかとか、水道施設はどういうふうに配置するのが合理的であるかとか、また、事業推進する上での経済性の問題はどうなんだとか、といったような調査検討をする必要がありまして、特に、現在とりあえずある程度の設備投資をして、ある程度ほぼ円滑な給水が行われておるという状態に対して、さらに貫気別川という遠いところから、長距離の導水路で、各市町村を相互に結ぶような長距離な配水管と申しますか、そういった相当な設備投資をしなければいかぬということが当然伴うわけでございますので、とりわけ経済性の検討といいますか、水道料金への影響といいますか、そういうものについて特に注意しながら、慎重に検討する必要があるというふうに考えておりますので、今後地元市町村とよく相談しながら指導してまいりたいというふうに考えております。
  138. 相沢武彦

    相沢武彦君 現在、冬季間、特に高台の住民の場合わざわざ下の湖水まで水をくみに行っている状態で、非常に不便だということで、ぜひ、将来広域的な水道事業考えてほしいという声が一部にあるわけですが、確かに、いまお話があったように、貫気別川からの取水の可能性とか、あるいは遠距離輸送によるところの経済性の問題、これは当然ネックになってくると思うので、関係市町村の方から、積極的にこれを取り上げて、ぜひ調査検討を図ってほしいという要望があれば直ちにこれは調査検討にかかる、そういう用意はございますか。
  139. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 市町村単位の事業でございますので、国が直接調査するというわけにいきませんが、市町村でそういう計画が出てくれば、事業認可とか——知事認可と大臣認可と分かれておりますが、恐らくそういう認可の段階で十分検討さしていただきたいと思います。
  140. 渡辺武

    渡辺武君 長官に伺いますが、昨年の九月の九日に起こりました台風第九号ですね、沖永良部台風と後で名前がつけられましたけれども、この台風の予報が四時間おくれたと、それから台風の進路についても予報に間違いがあった等々で、これが被害を大きくした一つの重要な原因になっているわけですけれども、こうした状態の原因ですね、異常に速度が速かったということだけではなくて、主たる原因は、現地気象観測体制の不備にあったということが、当委員会が派遣しました現地調査団の結論だったと思うんです、私も参加しましたけれども。  それで、昨年の十月六日の当委員会報告された現地調査報告一つの結論は、「気象観測体制の早期拡張が望まれるところであります。」というふうになっているわけです。  それで、当日長官も御出席なさってこれはお聞きくださったと思うのですが、同時に、他の委員質問に対して、長官御自身も反省すると、あるいは改善するという御答弁を何回も言っておられるわけです。その後、どのように気象観測体制の改善が行われたのか、これをまず伺いたいと思います。
  141. 有住直介

    政府委員(有住直介君) お答え申し上げます。  いろいろと事柄を検討いたしまして、反省するべきところを十分に反省いたしまして、どうしたらいいか検討いたしました。そして、やはり十月の二十六日でございましたが、やはり当委員会で、こういうことを具体的に考えておりますということを御答弁申し上げたわけですが、その線に沿いまして、逐次整備その他を図らせていただいております。  まず、この情報を、やはりいい情報を流したいということでございます。そのために静止気象衛星のひまわりを打ち上げるようになりまして、六日からは本格運用も始めるようになりました。これを十分に利用したい。これを利用することによりまして、先生ただいまも申されました観測の点で不十分でないかということに対しまして、かなり強力なプラスになると私ども思っているわけでございます。  これの画像を受信する地上の装置でございますが、これを三月下旬に現地に送りまして、実は三月の三十日に現地の名瀬測候所に資材等着いたという報告を受けております。これを名瀬の測候所内に設置いたしまして、台風時期までには十分活用できるようにしたい、こういうふうに思っているわけでございます。荷物が着きまして、現地調査、それから整備、設置ということになりますと、やはり若干の時間はかかりますけれども、ことしの台風時期までには十分間に合わせるように進めたいと、こういうように思っているわけでございます。  それから、情報をやはりよくするという意味で、勢力の強い台風が奄美諸島に接近するおそれがあるという場合には、本庁から技術者を派遣いたしまして台風情報の充実を図りたい、こういう計画でおります。それからまた、台風の位置を正確にお伝えをするということから——従来ややもすると時間がかかっておったわけでございます。それは、と申しますのは、昔、観測やっている担当のところで、何カ所かでもって独立に、台風の位置というものを急ぐ余り、何カ所かで発表したために台風の位置が食い違ったということで、大変国民に御迷惑をかけたことがございまして、どうしても本庁で統一して一応ばしっと決めて、その位置でいろいろな情報もお流しするということでやっておりましたが、そのために、ややもすると今度は現地情報をお流しするというのがおくれるということがございます。今回も十分この点反省いたしました。と申しますのは、名瀬の測候所にはレーダーが、本茶峠というところにレーダーがございまして観測しているわけでございますが、このレーダーの利用をもっと早くしたい。で、防災という観点から考えますと、必ずしも台風の位置が非常に経度何度何分、緯度何度何分という正確な値もさることながら、やはり暴風圏がどうなっているか、あるいは暴風の瞬間最大風速はどうかとか、そういうふうな具体的な事実をやはりお知らせするということも非常に大切なことなので、情報の中身をそういう意味でよくして、必ずしも中心指定にこだわらずに早く情報をお流しすると、そういうことを考えているわけでございます。  それから、昨年の九月でございますけれども、中国と取り決めを行いまして、中国の中央気象局長と日本の気象局長の間で取り決めを行いまして、昨年の十二月一日から日中回線が開通したわけでございますけれども、それに伴いまして海域の台風情報を初め各種の気象データというのを早く入手することになりましたので、こういう情報も積極的に利用していきたい、そういうようなことを考えて実行に移そうとしております。  それから、この情報の質に対してはそういうことを考えておりますし、できるところから逐次実施しようとしておりますが、また、この情報を早くするという意味で、台風の臨時体制というものを強化いたしまして、台風指示報、これの毎時通報というものを早くお流ししたい、そういう計画を立てております。  それから、この沖永良部あるいは奄美諸島全般に言えることでございますけれども、放送が必ずしも一カ所の放送局を受ければ受かるということでございませんで、テレビについて申し上げますと、鹿児島のテレビは受かるけれども沖繩は受からないという地域と、逆に沖繩のテレビは受かるんだが鹿児島のテレビの方は受からないというような状況もございますことにかんがみまして、この奄美諸島に関しましては、鹿児島の方からとそれから沖繩の方から同時に情報をお流しして、どちらの放送局でも、どちらかを聞いておれば情報を正確につかんでいただける、まあオーバーラップ方式と申しておりますが、そういうことを計画しておりまして、これにつきましては私どもばかりでなくて、NHKの御協力も得なければならないことで、NHKの方とも打ち合わせをいたしました結果、そういう方向でやっていただけるということに決まりました。今後は十分そういう意味で成果を上げるのではないかと思っております。  また、名瀬の測候所から出ました警報等につきましても、やはり迅速に鹿児島の放送局から放送していただけるようにお願いいたしまして、これもNHKの御協力をいただけるようになりました。  また、そのほか通信網に関しましても、台風が接近してまいりますと、専用線というのをつけるわけでございますけれども、これをできるだけ従来よりも早く設置するというようなことも考えております。  そういうことで、私どもといたしましてもまずかった点を十分反省いたしまして、これからの台風については失敗のないよう、十分に整備していきたいと、そういうふうに思っているわけでございます。
  142. 渡辺武

    渡辺武君 気象庁がそういう体制をとりつつあるそのときに、地元の方ではいろんな人たちから要望書が出てるんですね。私ここに奄美群島市町村長会と、それから奄美群島市町村会議長会、これの出した要望書を持っておりますけれども、お読みになったとは思いますが、こういうふうに書いてあるんですね。「台風襲地帯であるにもかかわらず、地元気象観測機関には台風情報気象情報の発表権限がなく、台風等の防災対策上からも気象観測機関の機能充実と権限拡大を図る必要がある。」として、「名瀬測候所の地方気象台昇格を促進する。」と。つまり、測候所を地方気象台にしてくれということが一致した要望として出ているわけです。  それで、同じ趣旨のものは鹿児島県議会でも議決があったというふうに思いますが、特に職場で働いている職員の人たちですね、この人たち要望はもっと切実でして、いま申しました名瀬測候所を地方気象台に昇格させるということのほかに、予報官の増員と予報権限の拡充を図ること。それから、自動気象観測網(アメダス)の充実を初め、情報の収集や伝達の迅速化を図ること。それから、気象災害防止上に必要な調査研究並びに気象行政全般にわたる広報や啓蒙活動が可能な要員を確保すること。それから、沖永良部測候所の空港出張所との一体運営をやめ、地域住民へのサービス機能を強化すること。こういうように、非常に具体的になっているわけですね。しかし、まあ中心は気象台に昇格してくれと——さっき言った予報官の増員だとかアメダスの問題とか、そのほかの問題は気象台昇格の中に恐らく含まれることじゃないかというふうに私は思うんです。そして、この要望については、約五千八百名の人たちがすでに署名をしていると。それから、利用者団体三百三十五団体ですね、これもまあ同一の要望をしているというような状態です。  いま長官がおっしゃったいろんな施策を講じられたことは結構だと思いますけれども、しかし、こうした地元の広範な人たちの切実な要望を、これに私は適切にこたえていないんじゃないかという気がするんです。どうなさいますか、この要望に対して。
  143. 有住直介

    政府委員(有住直介君) 先生の御指摘のように、各、たとえば鹿児島の県議会とか、あるいは名瀬の市等からいろいろ御要望いただいておりまして、それは私どもも、その点に関しては今回の反省点も含めましていろいろ考えているわけでございますけれども、やはり本質的に今回の事柄や何かを考えてまいりますというと、どうしてもやはりいい情報を早くお流しすると、これがやはり実質的にどうしても必要なことではないか、まあそういうふうに考えるわけでございます。それで、私どもとしてはその受画装置を整備するとか、そういうことを手始めといたしまして施設考えていって、そして、そういう本当の意味でいい情報を早くという御要望に沿うようにしていきたいと、そういうふうに思っているわけでございます。  で、まあ気象庁でも、いろいろとこの件に関しましては検討いたしましたが、やはり先決問題としてはいい情報を早くということを実質的に進めていきたいと、その方をまず考えていきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  144. 渡辺武

    渡辺武君 そのいい情報を早くというのは結構なことなんです。問題はね、それができる体制と権限と人員と、これが整わなければそれは確実なものにはならぬと思うんですね。それで、私申し上げるまでもなく、近くにあるのは那覇の気象台と、それから鹿児島にある鹿児島県の気象台と、この間に名瀬の測候所があるわけですよ。そうすると、沖繩の方は沖繩のこの台風が過ぎますと、そうすると気象観測それからいろんな情報連絡、これは間遠になってくる。鹿児島の方はまだ台風が接近してないという、その谷間に、まさにあの地帯に台風が行くわけですからね。だから、あすこが余り権限のない、しかも人員も少ない、体制も整っていない測候所だということは、これは非常に台風襲地帯気象観測のあり方としては私は片手落ちじゃないかと思うんですね。  しかも、私聞いてびっくりしたんですけれども、名瀬の測候所が受け持っておる予報区ですね、これは幅が恐らく二百二、三十キロメートルありますか。長さが三百五十キロメートルと。この三百五十キロメートルといいますと、鹿児島から広島まで届いちゃうそうですね。そういう広大な区間を受け持ってるんです。九州各県とってみますと、それぞれの県に一つずつ気象台があって、そうして測候所よりもはるかに整った体制で、はるかに頻繁に予報をやっている。それが、数県中へ入るような地域でですよ、しかも台風襲地帯で、人間も住んでるんです。特に海上では漁をやってる人たちがたくさんいるわけですね。そういう人たちの身の安全を考えてやらなきゃならぬ。これは私、あの測候所の重要な任務だと思うんですけれども、その名瀬に、気象台ではなくして測候所しかない。これは現地人たちにとって大変私は不安だと思うんですね。気象台にしてほしいという要望は、これは私は当然のことだと思うんです。なぜできないんですか。
  145. 有住直介

    政府委員(有住直介君) 実は、気象の予報の仕組みでございますけれども、いい情報をやはり早くお流しするためにということで、やはり電子計算機を利用いたしましたり、いろんな技術を使ってやるわけでございますけれども、そういう仕事を各官署でそれぞれに行うということは不経済でもあるし、また能率もよくないということから、たとえば電子計算機におきましては本庁に整備してこれを予報に使って、いいプログノといいますか、予想天気図その他をつくる。これをつくるのは東京でつくるけれども、それはその地方に図の形でお流しすると、そういうような仕組みでやっておりまして、各管区気象台あるいは地方気象台、そういうような区分を置きまして、そして仕事を進めて、最も能率よくやろうという体制で進めておりまして、私どもといたしましては、この地方気象台というところでそういういろんな資料を受け取りまして、それをもとにして予報を出すと、そういうことにしておるわけでございます。  で、それを測候所ではそういう情報を、さらに予報なり情報をいただいて、説明をそれにつけ加えて国民の皆様にお渡しすると、そういうふうにしながら、末端に行く情報としては、やはり皆様にいい情報を、たとえば予報で申しますと、当たらない予報というのはこれは皆様から歓迎されないわけで、毎日頻繁に幾ら情報をお流ししても当たらない予報ではいけないだろうと、どうしても当たる予報にしなければいけない。当たる予報を出すためには、そういう技術的ないろんな検討を経た上で仕組みを上手に考えてやる。そのためには、やはり本庁とか地方気象台とか測候所とかという、そういう仕組みを考えた上でやるのが最もいいという考え方でわれわれ進めてきたわけでございます。  名瀬の場合でございますけれども、名瀬は、先生おっしゃるように、非常に広域の地域を受け持ち、また、鹿児島から離れておるということもございまして、そういうことで、測候所の中でも名瀬の測候所につきましては、特別に注意報、警報等も出せるというふうにしてあるわけでございます。  沖繩につきましては、そういう仕組みを若干変わりまして、よそでは全部各県に一つの地方気象台というものを置きまして、県庁等、地方行政機関と密接に連絡をとる官署というものを地方気象台に限定して仕事をやらしているわけでございますが、沖繩につきましてはそういうふうになっておりません。と申しますのは、沖繩が復帰の前の時点におきまして、やはり一つの独立の、何といいますか、気象庁と対等のような、気象庁という機関で政治機関としてやって、おったということがございまして、その下に地方気象台が三つあるわけでございます。これは、復帰のときのいろいろな国としての御配慮から、そういう組織は変えないでわれわれ引き受けたということで、沖繩につきましては地方気象台ございますんですが、鹿児島につきましては、鹿児島県に地方気象台があって、名瀬は測候所としてですけれども、そういう警報やなんかの仕事については、鹿児島でカバーできないところはできるように実は考えてやっているというのが現状なんでございます。
  146. 渡辺武

    渡辺武君 長官、恐縮ですが、私、時間がないから、もう少し端的に答えていただきたい。  いい情報を早くとおっしゃいますけれども、そういうことができない体制になっているから、だから沖永良部台風で四時間も予報がおくれてしまう、あるいは台風の進路が誤って予報されるというような状態が起こってきているわけでしょう。問題は、あなたのおっしゃるような論理を推していきますと、測候所であろうと気象台であろうと、とにかく中央でもってコンピューターでやっているからいいんだと、こんな論理になっちゃいますね、ばかな話ですよ。あれほどの重要なところに、人員も体制も不十分な測候所しか置かれていないから、みんな気象台に昇格してくれとこう言っているわけですね。  それで、名瀬の測候所ですけれども、聞いてみますと、職員は五十一名いる。ところが、そのうちで天気予報や注意報、警報などを出したり、住民の問い合わせに応ずるということをやる技術課員というのがわずかに十二名程度しかいない。特に予報官が一名しかいないと、こういうわけですね。そういう体制をそのままにしておいて、ひまわり衛星飛ばして、そして台風の位置はここだというのがわかるようにしたって、体制そのものが整っていないんですから、どうしていい情報を早くと言うことができますか。ひまわり衛星の情報をキャッチするということ、そのこと自体私悪いと言っているわけじゃないんです。それを十分に役立たせるためにも、それにふさわしい体制をつくらなきゃならぬじゃないかということを言っているんです。  どうでしょうか、やはり名瀬の測候所を気象台に昇格させて、十分な人員と体制を整えさせることが、いま長官がおっしゃったいろいろな、ひまわりの情報をキャッチしてそれを運用するとか等々を有効適切に、しかも、早く住民に知らせていくということの最良の道だと思うんですが、どうでしょう。
  147. 有住直介

    政府委員(有住直介君) 確かに、いろいろの先生のおっしゃるような示唆はあると思いますけれども、やはり、たとえば前回の場合に台風の予報が外れましたが、外れたというのは、決して測候所で予報をやるということではございませんで、現在の気象庁の機能といたしましては、測候所ではなくて、やはり主力となっておりますのは、東京なり地方気象台なりというところで台風の予報や——特に台風の経路につきましては、東京の電子計算機なりあるいは多くの装置を使いまして的確な予報をやっていると。これが基本になって情報として流されるわけで、この前のときに予報が外れて大変御迷惑をかけたんですが、これはやはり予報の技術を上げて、計算機なり何なりを十分に使って、経路の予報を的確に当てる、その方向に持っていかないといけない。  それから、先生おっしゃるように、確かに現場の人の仕事というものも、これは軽々しくできない問題でございます。現在名瀬におきましては、先生のおっしゃるように、十二名の人が技術課で働いておるわけでございますけれども、常時、昼は三名、夜は二名というような人が働いておられて、そこで仕事をやっているわけでございます。もちろん人数が多いということ、これは多々ますます弁ずということもあるかもしれませんが、やはり私どもといたしましては、国民の貴重な税金あるいはその他のもので仕事をしておるということから、できるだけ効率的に働いていただくというような観点で、私どもとしてはこういう体制で進めさせていただいているというようなことなんでございます。
  148. 渡辺武

    渡辺武君 それじゃ、反省するとか改善するとか言っても、実のない話になるんじゃないですか。  私、名瀬の測候所に五十一名も職員がおるということを伺いまして、それなりにあすこは大事なところだと思うのですよ。高層観測とかレーダー観測とか、あるいは島にある空港に測候所があるというようなことなどがあって職員も多いと思うのです。しかし、いま言ったように、技術課員はわずかに十二名、特に予報官はたった一名、これは大変なことじゃないですか。  私、直接伺ってみました。おととしの台風十七号、四昼夜も居座っていた。予報官一人しかいないから、うちに帰るわけにいかないと言うのです。職場にずっともう徹夜、半徹夜状態でいなきゃならぬと、こう言うわけですよ。いつ、どういう予報をしなければならぬか、職場に張りついていなければならぬ。  しかも、そういう状態ですから、もう私申し上げるまでもなく、あなた方の方がよく御存じだと思うけれども、測候所の機能として、予報が一日二回しか出せないでしょう。そうでしょう。気象台は一日に五回出せる。測候所は一日二回しか出せない。そういう状態ですわな。  そうして職員の人たち言うんです。あれほどの台風襲地帯だから、少なくとも気象台並みに予報官が三名か四名くらいいて、そうして三交代か四交代、こういうことで、いわばオールウォッチ体制と言っていましたけれども、そういう体制でやって初めてあの台風襲地帯気象観測、予報、これが曲がりなりにも十分にできるんだと、いま測候所だからそれができないんだと、住民に対して申しわけないということを言っておられる。  国民の税金と言いますけれども、使い道はいろいろあるのですよ。まさに国民の税金はこういう住民サービスのところにこそ使うべきだと私は思う。私は、もしあなたがまじめに考えるならば、当然こうした体制、これは地方気象台に昇格さして、十分な体制にするということによって改善すべきだと思うのです。どうですか、重ねて伺いますが。
  149. 有住直介

    政府委員(有住直介君) 確かに、予報官一名ということになっておりますけれども、予報をする人が一名ということではございませんで、予報官に匹敵するような技術者もおりまして、やはり交代しながらやっているというのが現状でございます。しかし、やはりそれは技術は高度の方がもちろん望ましいわけでございまして、そういう技術を向上させるということについて私どもやぶさかではございませんし、また、情報をよくするため、または伝達をよくするように、私どもといたしましては、これからも施設その他は十分に心して整備を進めていきたい、そういうふうに思っているわけでございます。
  150. 渡辺武

    渡辺武君 もう時間が来ましたので、まとめて幾つか伺ってやめますけれども、五十三年度予算でも各地方気象台に要員をふやしているというふうに、体制づくりはやっているわけでしょう、あなた方も。特に問題を起こしたこの名瀬の測候所について、これを気象台に昇格するということは全然考慮する余地がないのかどうか。あるいは将来において、来年か、予算関係もあるから検討する、そういう気構えはないのかどうか、これ一点伺いたい。  それからもう一点は、これとの関連にもなりますが、しかし、気象台に昇格する前にでも私はできることだと思うのですけれども地元ではアメダスという自動観測装置ですね、あれがいま三カ所か四カ所ありますね。これをもっと定点を四カ所くらいふやしてほしい。これは要望書があなた方のところへ行ってるから御存じだと思う。同時に、これを名瀬の測候所で直接その情報をキャッチできるような宅内装置と言いますか、これを名瀬の測候所に設置してほしい、これは非常に強い要望です。これは、気象台になれば自動的にそうなるだろうと思いますけれども気象台になる前にも、ああいう台風襲地帯の重要な地点ですから、少なくともそのくらいのことは私はやるべきだと思うけれども、その点どうなのか。これが第二点。  第三点として、警報ですね、私ここにきょう持ってきましたけれども、あの九月九日の十時に名瀬の測候所がこういう注意報をあちこち出している。みんな電話でやっているのです、あちらこちらに。最後の大島支庁総務課長のところへ電話を入れたのが十時二十四分。二十四分間もかかっているのですよ。こんなことじゃおくれるに決まってるんです。それで、各地の気象台で使っているような、何と言いますか、同時送話装置ですね。これをあそこに設置してほしい。このくらいのことはあなた方の義務として、率先してやってくれるべきことだろうと私は思うのですが、この点どう思われるのか。  最後に、沖永良部飛行場にある測候所ですね、あれはもともと町の中にあって、台風なんか来ると、町の職員もそこへ泊り込んで一緒になっていろいろ仕事をしたそうですよ。それがいま沖永良部飛行場に持っていかれて、人員も削られて、事実上、航空気象観測に使われていて、住民のための気象観測になってない。だから、これはもっと体制を充実してほしい。これも非常に強い要望です。この点やってくださるかどうか、この点を伺って、終わります。
  151. 有住直介

    政府委員(有住直介君) 第一点でございますけれども、将来とも絶対に考えないのかという御質問でございますけれども、そういうことは、私たちとしてはやはりいまここでお答えはできないと思います。将来のことになりますと、やはりいろいろと情勢も変わるかもしれませんし、また、気象庁としても、技術の向上その他にいろいろな検討を加えておりますので、そういうことから、あるいは将来、そういうことを将来の問題として検討するということも、それはあり得るのではないかと思っております。
  152. 渡辺武

    渡辺武君 来年はどうですか。
  153. 有住直介

    政府委員(有住直介君) 来年とか再来年とかいうことになりますと、私ども何ともお答えできかねると思いますが、しかし、将来の研究課題としては、あるいはそういうことも検討するということはあり得るのではないかと思います。しかし、いますぐとか、あるいは来年度とか、あるいはどうかというようなことになりますと、私どもとしては、そういうことはいまの現時点での情勢その他から考えますと、非常に困難な、きわめて困難なことでございまして、私どもとしては何とも申し上げられないので……。  それから、第一点に関連いたしまして、やはり私どもとしてはどうしても、何回も申し上げますように、いい技術でいい情報をつくってそれを早く流すということにこそ、私どもの心血を注いでいきたいと、そういうふうに思うわけで、つけ加えさせていただきたく思います。  それから、第二の装置の問題、あるいは第三も装置に関連すると思いますが、そういう装置の問題、あるいは第四も装置に関係することが入るかと思われますが、そういう整備、機械の整備とかそういうことに関しまして、それが非常に有効であれば、私どもとしてはやはり検討していくという心構えを持っておりますが、ただ、いつ、どういうふうにという時点は、いまはちょっと申し上げられない、そういうことでございます。
  154. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時六分散会      —————・—————