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参考人(
萩原尊禮君) 十四日に起こりました
伊豆大島近海の
地震、これはまだ非常に正確な値が決まっておりませんが、
マグニチュードは大体7ぐらいということになっております。これは十二時過ぎに起こったのでありますが、その日の朝から非常に大島近海で
地震が群発いたしまして、この
群発地震活動はかなり
規模が大きいので、
気象庁ではその日の午前に、今回の
群発地震は
規模が大きいので——大島付近では再三
群発地震の起こるところでございますが、今回のは
規模が大きいので、多少の
被害を伴うような
地震が起こるかもしれないので御注意くださいと、そういう
地震情報を出したわけでございますが、これが伊豆の住民の
方々にはよく伝わらなかったようでございます。ところが、ただ大きい
地震、多少の
被害を起こす程度の
地震はあるかもしれないという
情報なのでありますが、これは恐らく
気象庁の
地震課の方も、頭の中では大体大島を考えていたのではなかったかと思いますし、私どもも皆そういうふうに考えておりまして、あの大島の
群発地震、その後に続いた本震、これが
伊豆半島にまでも及ぶ。つまり、あれは東西の断層ができたわけでございますが、この断層の端っこが
伊豆半島の内陸にまで及ぶということは考えていなかったのでございます。したがって、これは後から考えますれば、この伊豆の中部では二年ぐらい前から非常に微小
地震が群発しておりましたし、土地も相当隆起するという現象はキャッチしておりましたから、後から考えればあの大島付近で起こりました
群発地震、これが前兆と考えて、この
地震をもう少し大きい範囲で、つまり、
伊豆半島内陸までを含めて考えるべきであったのでございますが、そこまでの判断ができなかったわけです。で、それというのは、
伊豆大島付近には、再三
群発地震がこれまでも起こりまして、
昭和になりましても何十回という経験があって皆大事に至らずそのままおさまっているという経験を持っているわけでございます。ただ、では
伊豆大島付近の
地震がいつもそうかというと必ずしもそうでなくて、過去に明治三十八年とか、あるいは大正十二年の関東大
地震の直後の
余震のとき、やはり
マグニチュード7程度の
地震が起こったことはあることはあるのでございます。で、ただしその場合も、皆
伊豆半島にはほとんど
被害のないような
状態であったわけでございます。そういう過去の経験に余りにこだわったこともあるのでございましょうが、どうもだれもが今回の
地震、ああいうふうに
伊豆半島にまで及んで、稲取の辺に明らかに——主な断層は海の中でございましょうが、その端っこが上陸したと、そういう結果になったわけでございますが、それを私初め予知連の
委員の諸君だれもが考え及ばなかったのでございます。そういうわけで、はなはだ残念なことであったわけでございますが、
伊豆半島の皆さんは、結果において不意打ちを食ったという形になったのでございます。まあこれは私どもにとって非常に貴重な経験でございまして、将来はこのような経験を大いに生かしたいと考えておるわけでございます。
そういうわけで、本震の前の
地震情報、これは県の
防災部でも流して、それが余りよく伝わらなかったということでございますけれども、そもそもそういう
情報を出す方の側が、やはり考えが大島だけを考えておりまして、伊豆まで及んでなかったと。
情報の中には、ただ多少の
被害、ある程度の
地震が起こるかもしれませんと言って、それが大島とか何とか言っておりませんけれども、やはり余り伊豆ということまでは思い及ばなかったわけでございます。そういうようなこともあって、やはりそれを受けた県の方でも伊豆ということをそれほど重要に考えていなかったことと思います。そういう点で、これが先ほどのお話のように、県知事さんがいろいろ責任を問われておるとしましたら、大変お気の毒だと存じます。
なお、次の
地震、それから十八日でございましたか、パニックのようなものを起こしました予知
情報の件でございますが、これはどうも
マグニチュード6という、余り普通の住民の方には聞きなれないような言葉もあったせいもありますが、
マグニチュード6ということが非常に強調された結果、ああいうのが一つだと思いますが、これは十五日の本震のありました翌日、
地震予知連絡会では予知を夕方に記者会見をしまして発表いたしましたが、中で、今後
余震は半月ぐらい続くであろう、大きいのではひょっとすると
マグニチュード6ぐらいのものがあるかもしれないということを談話で述べているわけですが、このときは
マグニチュード6ということは、実は余り強調していなかったのでございますが、これが
地震対策本部から県庁の方に伝わります場合には、多少、
地震予知連絡会が発表いたしました、記者会見いたしましたときに新聞記者諸君に渡しましたメモには、それほど、
マグニチュードのことには詳しいことは何も書いておりませんが、どういうわけか、少しばかに
マグニチュードを強調したようなメモのようなものが渡されたようでございまして、そこにちょっと行き違いがございます。
そういうわけで、県の
対策本部としては、非常に
マグニチュード6ということにかなりこだわった
情報を県や
市町村に伝えたのではないかと私は考えておるのでございます。そしてこのことは、ただ、こういうことをしたということについては、私はそれでよかったのだと思っております。県の
対策本部がですね。したがって、そういうわけで、それがああいうような騒ぎを起こす結果になったのでございますけれども、私としては県のとりました処置はあれでよかったと思っております。別に、ことさら県知事さんをかばうわけじゃございませんけれども、たとえば私が知事さんの立場にあり、あるいは県の
地震対策課長、仮に私がその立場にあったとしたら、やはり同じことをしたと思っております。
で、そういうわけで、すべて、これはもう
気象庁もそうでしょう、
地震予知連絡会もそう、それからこちらの国の
地震対策本部も県も、全部やはりふなれといいますか、これはもっと訓練しておかなければいけなかったんでしょうが、初めてのことで、非常にそこの間にまたいろいろの行き違い等があった、そしてそういうことになったということで、私としてはどうもそれほど知事さんがとがめられているということは、非常に遺憾であると思っております。