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1978-02-09 第84回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

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  1. 参考人の出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査 (会議録情報)

    昭和五十三年二月九日(木曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員異動  一月三十日     辞任         補欠選任      勝又 武一君     松本 英一君      木島 則夫君     柄谷 道一君  二月八日     辞任         補欠選任      松本 英一君     勝又 武一君  二月九日     辞任         補欠選任      原田  立君     小平 芳平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事                 遠藤  要君                 青木 薪次君                 太田 淳夫君                 小巻 敏雄君     委 員                 青井 政美君                 金丸 三郎君                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 戸塚 進也君                 最上  進君                 勝又 武一君                 村沢  牧君                 小平 芳平君                 柄谷 道一君                 江田 五月君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        国土政務次官   丹羽 久章君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        農林大臣官房審        議官       角道 謙一君        通商産業大臣官        房審議官     松村 克之君        通商産業省立地        公害局長     左近友三郎君    説明員        警察庁刑事局保        安部公害課長   浜田 栄次君        科学技術庁研究        調整局生活科学        技術課長     清水 眞金君        環境庁水質保全        局水質規制課長  島田 隆志君        大蔵省銀行局総        務課長      石川  周君        国税庁直税部審        理課長      掃部  實君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        倉地 克次君        厚生省環境衛生        局水道環境部参        事官       三井 速雄君        通商産業省東京        鉱山保安監督部        長        間山  隆君        工業技術院総務        部研究業務課長  山中 正美君        中小企業庁計画        部金融課長    松尾 成美君        運輸大臣官房観        光部業務課長   小池 公隆君        運輸省港湾局防        災課長      寺尾  健君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部財        務課長      土坂 泰敏君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部土        木電気課長    原   慧君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        気象庁観測部地        震課長      渡辺 偉夫君        労働省職業安定        局雇用保険課長  望月 三郎君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       釣谷 義範君        建設省道路局企        画課長      渡辺 修自君        建設省道路局有        料道路課長    沓掛 哲男君        建設省住宅局住        宅総務課長    川合 宏之君        建設省住宅局建        築指導課長    大田 敏彦君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        対馬 英輔君        国土地理院地殻        調査部長     原田 健久君        自治大臣官房参        事官       千葉  武君        消防庁防災課長  持永 堯民君        日本国有鉄道経        理局主計第二課        長        長谷川 忍君        日本電信電話公        社施設局長    山口 開生君    参考人        中外鉱業株式会        社代表取締役社        長        長野 耕造君        地震予知連絡会        会長       萩原 尊禮君        住宅金融公庫理        事        高橋  明君        日本道路公団理        事        平野 和男君        金属鉱業事業団        理事長      平塚 保明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (一九七八年伊豆大島近海地震による被害対  策に関する件)     —————————————
  2. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月三十日、木島則夫君が委員辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。  また、本日、原田立君が委員辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のうち、一九七八年伊豆大島近海地震による被害対策に関する件について、本日、参考人として中外鉱業株式会社代表取締役社長長野耕造君、地震予知連絡会会長萩原尊禮君住宅金融公庫理事高橋明君、日本道路公団理事平野和男君及び金属鉱業事業団理事長平塚保明君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました一九七八年伊豆大島近海地震による被害実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。青木薪次君。
  6. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 委員派遣の御報告を申し上げます。  村田委員長坂元理事太田理事小巻理事戸塚委員木島委員勝又現地参加委員及び私青木は、去る一月二十七日、二十八日の二日間、大地震により激甚な被害を受けました静岡伊豆半島実情調査してまいりました。  以下、その概況と今後の課題について御報告申し上げたいと存じます。  まず、地震発生状況並びに被害概況についてであります。  一月十三日の夜半から群発地震が続いていた伊豆大島近海において、翌十四日午後零時二十四分にマグニチュード7・0の大地震発生、その後伊豆大島伊豆半島東部の一帯で延べ二百数十回に及ぶ有感地震があり、調査当時もなお余震が続いていたのであります。  ピークとなったマグニチュード7・0大地震各地震度は、伊豆大島、横浜で震度五の強震、東京静岡、三島、石廊崎で震度四の中震を記録、関東地方中心に北海道、中国、四国に至る広範な地域を揺るがし、各地津波発生危険性をもたらしたのであります。  伊豆大島における震度五の観測は、昭和十四年大島測候所創設以来のことであり、また、揺れの範囲が日本列島のほぼ全域という最大規模であったことにかんがみ、気象庁はこの大地震を「一九七八年伊豆大島近海地震」と命名するに至ったのであります。  これら一連の地震による被害発生は、静岡県、神奈川県、伊豆大島に及んだのでありますが、特に伊豆半島においては、東南部中心に山崩れ、道路破損住宅倒壊が頻発し、さらに、シアンを含む鉱滓流出の二次災害まで加わって、深刻な事態に立ち至ったのであります。  静岡県がまとめた一月二十七日現在の被害調査によりますと、被害総額は二百十九億円に上っており、その内訳は、土木関係五十七億円、商工関係八十一億円、農地・林地関係四十四億円、衛生関係八億円、農業水産関係六億円、その他有料道路関係二十一億円等となっており、集計が進むにつれ被害額はさらに増大するものと思われます。  また、一般被害につきましては、罹災総人員は四千数百名に上り、そのうち、死者行方不明者二十五名、重軽傷者百八十七名、その他住宅全壊八十八棟、半壊五百十四棟、一部破損三千七百九十六棟となっており、おびただしい数の土砂崩壊が人家・バスを埋没し、多くの人命損傷をもたらしたのが、特徴でもありました。  こうした中で、静岡県は直ちに災害対策本部設置、激甚な被害が集中した東伊豆町、河津町に災害救助法を発動するとともに、人命捜索崩土除去等のため、自衛隊に対し災害出動を要請したのであります。  次に、主な被災地状況と今後の対策について申し上げます。  視察いたしました被災地は、東伊豆町、河津町、天城湯ケ島町等でありましたが、被災から二週間を経過してようやく余震からの危険も薄らいだため、おくれていた復旧作業等が一斉に進められておりました。  観光地伊豆の大動脈である国道百三十五号東伊豆道路は、延長三十七キロのうち、のり面崩壊十七カ所、路面亀裂十四カ所と寸断されたのでありますが、余震合間をついての応急復旧作業により、十七日から緊急車両のみ片道通行可能の状態となっておりました。路面には砕かれた防災施設と崩れ落ちた大小の岩石が転がっており、背後の急斜面の山はだには、崩土落石が生々しい爪跡が残されておりました。海に迫る山を削ったこの道路建設は、事業費三十九億円を要したとのことでありますが、供用を開始して以来、今日までに災害復旧費防災費はすでに四十億円に達しており、今回はさらに二十億円を超える被害が見込まれるとのことでありました。  この道路有料でありまするが、地元民にとっては代替のない生活道路であり、また、伊豆急行電車全面開通がおくれている現在、観光客を招致する唯一の動脈であります。多額の費用と技術上の困難が伴うにせよ、抜本的な危険個所点検安全対策とともに、復旧事業早期推進、そして一日も早い一般車の交通を実現することこそ、地元民生活再建への意欲を鼓舞するものと思うのであります。  国道筋に展開する熱川、白田、稲取付近住宅被害状況は、まず全壊半壊といわれるものは、建築技術者不足のためか手もつけられないまま放置されており、当時のすさまじさをいまにとどめておりました。一部破損住宅は、主に屋根がわら頂上部分でずれ落ちており、この傾向は新築の住宅ほどひどく、古くからのかわらが無傷で残っているのが印象的でありました。  こうした一部破損住宅は、破れ個所にテントやビニールを張り、辛うじて夜露をしのいでいるのが大半であり、復旧資材不足かわら職等技術者不足が問題化しているとのことでありました。  また、眺望の開けた傾斜地に点在する多くの別荘住宅を目の当たりにし、崩土落石による住宅災害危険性をひしひしと感じたのであります。事実、今回の地震による全壊半壊住宅のほとんどは、その敷地と裏山崩れ等に起因しており、軟弱な地盤、防災対策の不十分ながけ等の放置は、予想以上の大災害に結びつくことを実証しているのであります。災害危険区域指定拡大とともに、危険地帯既存住宅に対する防災上の適切な措置指導を強めることこそ、この地域における住宅行政緊要課題と考えるものであります。  踊り子ラインで知られる県道下田修善寺線も、河津梨本地区から天城湯ケ島与市坂にかけ、土砂崩れ、路面亀裂のため寸断されており、途中部落への生活物資の運搬も困難な状況でありました。峠の山を切り裂いて中央道路を開いた梨本竹本地点では、峠の直下を地震断層が走った一とのことで、両側の山地から五万トンに及ぶ崩土落石があり、深さ十メートルの土砂が折しも通行中の東海バスを埋め、三名の犠牲者を出したのであります。  現場は、いまなお崩れそうな赤茶けた急斜面が不気味であり、余震のため排土作業のり面修復作業は難航、大幅におくれておりました。また、与市坂は、がけと谷の合間を縫って道路が開かれており、がけ崩れにより小田急バスが直撃を受け、四名の犠牲者を出したところであります。谷沿いには十数戸の集落があり、落石道路を越えて民家に及ぶ危険を避けて、数世帯が避難中とのことでありました。ここも余震による二次災害を懸念して復旧作業はおくれていましたが、常時落石注意地点でもあり、がけ上に広がる水田等排水路整備も含め、広範な防災施策が必要と思われました。この県道は、過去にも地震豪雨被災を繰り返しており、その都度復旧工事が施行されてきましたが、今回の決定的な被害を機に、バイパス建設等による思い切った抜本改修を講ずる必要があると痛感したのであります。  山津波のため四戸が埋没、七名が生き埋めとなった河津見高入谷地区では、行方不明者二名の遺体を求め、十四日目の捜索が進められておりました。自衛隊員七百二十名、機動隊員二百名、その他地元住民数十名から成る大捜索陣は、機械車両二十数台を駆使して、さながら野戦場様相でありましたが、視察を終える直前に遺体が収容され、改めて現場に赴き弔意を表してまいりました。  そんななだらかな山がなぜ、と、だれもが疑うほどの、傾斜三十度、高さ九十メートルの裏山地震とともに崩れ落ち、一瞬にして住宅四戸と河川道路を押し流し、静穏な山里を悲惨な災害地に変えたのであります。流れ出た土砂量は十七万五千トンに達すると言われ、向かい側の山のふもとまでの四百メートルを二十メートル以上の深さで埋め尽くしたのであります。地表下の崩れやすい火山灰層が、マグニチュード7・0の地震に耐え切れず、表層なだれの現象で崩れ落ちたもので、伊豆半島は随所において、こうした山津波危険性をはらんでいるとのことでありました。  排上の処分先をどこに求めるのか、この集落再建はどうなるのか、これらは遺体収容に続くこれからの課題でありますが、伊豆特有の崩れやすい地質を十分に考慮して、集団移転等抜本策の中で安全な生活場づくりを決意することが必要と考えるのであります。  東伊豆における激甚な被害発生とともに、天城湯ケ島町所在の鉱滓堆積場決壊は、人災としての色彩が濃いものだけに、今次災害の大きな焦点でありました。  十四日の大地震と同時に、中外鉱業持越鉱業所ほうずき沢鉱滓堆積場の第一扞止堤が約百メートルにわたり決壊、さらに、十五日の余震により第二扞止堤亀裂堆積鉱滓四十八万トンのうち、第一扞止堤から八万トン、第二扞止堤から三千トンが、それぞれ流れ出たのであります。特に第一扞止堤より流出した鉱滓は、持越川を経て狩野川に流入、毒性のシアンを含有していることから、狩野川上流で上水道の取水を停止、また、アユ、ウグイ等の魚類の全滅とともに、ワサビ田、ミカン畑にも被害をもたらし、さらに、駿河湾の養殖ハマチにも被害発生の不安をもたらしたのであります。  杉山を登り詰めた伊豆半島屋根のあたり、山の頂を利用した三ヘクタールのくぼ地には、灰色のどろどろした鉱滓ヘドロ全面に広がっており、不気味な光景をかもしておりました。鉱滓ヘドロ表面は、決壊した第一扞止堤に向けて三分の一ほどが大きく傾斜していましたが、決壊個所は土盛りによる仮扞止堤の構築がすでに完了しており、加えて鋼矢板による補強工事が進められておりました。  この堆積場は、通産省安全基準に適合した優良施設であったと言われておりますが、決壊現場を見る限り、地質の悪い地帯でのアース堰堤の採用とかさ上げ堰堤の方式は、防災面で問題があったのではないかと思われるのであります。  決壊部分応急措置が終わったいま、地元での最大関心持越川、狩野川の河床に、二十ないし三十センチの厚さで付着した鉱滓ヘドロをいかにして取り除き、どこに廃棄するかの問題であります。すでに通産省は会社に対し、流出鉱滓除去を指示しておりましたが、その作業は遅々として進んでいないのが実情であり、地元住民はいら立ちを高めておりました。幸いにして流水の濁りも徐々に薄らぎ、シアン以外の有害物質基準以下とのことでありますが、流出鉱滓をこのまま放置すれば、増水時に再度災害当時の様相を繰り返すことは明らかであります。発生原因の責任がどこにあるにせよ、まず、国、地方公共団体、企業が一体となって、鉱滓除去河川浄化に努め、漁場の回復と都市用水農業用水を確保することこそ、民心の安定を図る上でぜひとも必要と痛感したのであります。  最後に、今次災害総括的問題点並びに所見について申し上げます。  第一は、財政措置融資措置についてであります。  伊豆東南部の各町は、四十九年の伊豆沖地震、五十年の集中豪雨、五十一年の集中豪雨河津地震等、大災害が続いており、過年災復旧のため多額の出費を余儀なくされていた地域であります。これらの復旧工事は、完成を目前に控えた段階で今回の大地震となり、またまた大きく被災する事態となって、再度復旧のための支出負担が深刻な課題となっておりました。過疎に加え災害多発地帯であるこれらの町の財政を補完し、同時に施設防災面における拡充措置を講じていくために、公共土木関係局地激甚指定等、国の大幅な財政援助の道を開くことが必要であります。  また、甚大な被害をこうむった伊豆急行電鉄東海バスに対する援助、その他旅館、民宿等観光業者に対する営業立ち直り資金として、政府関係金融低利融資措置を講ずるとともに、住宅融資についても災害援護資金の貸し付けに加え、住宅関係激甚指定により、公庫の特別融資の道を開くことが必要と痛感するものであります。  第二は、開発自然保全についてであります。  伊豆半島は、急峻な地形に加え、地質海底火山噴出れきで、表面地層は風化が進み崩れやすいことは、従来から指摘されているところであります。また、通産省地質調査所が過日発表した伊豆半島における活断層分布図を見ると、縦横に走る地震病巣が示されており、全く驚かされたのであります。  伊豆半島は、こうした状況にもかかわらず風光明媚な温泉地として観光開発推進され、道路建設別荘地造成が繰り返されて、自然は傷められ、さらに危険状態が拡大されたのであります。今回の土砂崩壊道路損壊状況は、即開発自然保全の問題を提起するものであり、伊豆開発の方向に大きな反省を促しているものと思うのであります。道路、宅地、林地危険個所点検を早急に実施し、防災対策の確立を期するとともに、被災復旧被災の悪循環を断ち切るために、災害多発地帯における各施設防災基準を見直し、強化する必要があると痛感したのであります。  第三は、鉱滓堆積場防災体制についてであります。  この施設は、鉱山保安法に基づいて通産省が監督しており、地元住民施設に近寄ることもできない状況にあったとのことであります。また、この施設通産省の定める安全基準に適合しているのみならず、年二回にわたる点検調査にも合格しており、安全面で太鼓判が押されていたとも言われております。しかし、現実は、安全基準に照らし問題がないと思われた規模地震決壊し、住民生活に大きな被害と不安をもたらしたのであります。  こうした施設全国に二百以上あると言われており、同じ基準建設され、同じ基準点検、管理されているのであります。事故の原因を徹底的に究明するとともに、必要に応じて地形地質を考慮した安全基準の見直しを行うとともに、さらに防災点検に際しては地元住民を参加させる等、万全の体制を確立する必要があると考えるものであります。  第四は、余震情報についてであります。  十八日午後、静岡県は政府非常対策本部の見解を受け、余震情報の発表を決定、伊豆南部、中部の市町村に流したのでありますが、情報系統の乱れ、伝達方法の不備のため、地元住民に不安と動揺を与えることとなったのであります。本格的な情報提供はわが国初めての経験であり、発する側も受ける側もふなれであったと指摘されているのでありますが、それにしても、情報伝達のむずかしさを改めて知らされたのであります。今回の貴重な反省点を今後に生かし、地震予知伝達技術開発研究に全力を挙げるとともに、中央から市町村に至るまでの冷静、正確な伝達体制整備することが必要であります。  また、各市町村にあっては、その情報末端集落に伝達するために、地域広報手段である同報無線設置を促進させるべきであり、そのための財政援助についても特段の措置を講ずべきであります。  第五は、震災対策推進体制についてであります。  今回の大地震は、震災対策について最も関心を高めている静岡県において、大きな被害と混乱をもたらしたのであります。東海地震危険性が叫ばれて以来、県は独自の立場において防災計画を策定し、その推進について体制整備を進めてきたのでありますが、いざ本番となると多くの点で問題があることが反省されたとのことであります。  こうした中で、全国知事会は、昨年十二月、大地震対策特別緊急措置法早期制定要望を議決しましたが、時宜を得たものと存ずるのであります。  地震対策に関する法体系整備を図り、そのもとで国、地方公共団体の責務の明確化地域住民協力関係を確立し、広範にわたる施策を一元的に推進する官民一体実施体制を実現することがまさに緊要だと痛感する次第であります。  以上が調査の概要でありますが、これらの所見は、いずれも不安におののく地元住民の真摯な要望でもありました。  政府は、これらの点について十分に検討し、必要な行財政上の措置を早急にとられんことを強く要請するとともに、今回の災害犠牲となられた方々の御冥福と、災害地の一日も早い復旧をお祈り申し上げ、報告を終えるものであります。  以上であります。
  7. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) 以上で派遣委員報告を終わります。     —————————————
  8. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) 次に、一九七八年伊豆大島近海地震による被害対策に関する件について質疑を行います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  伊豆大島近海地震による被害につきましては、今日各方面から関心が持たれており、その対策が強く要望されておりますことは御承知のとおりでございます。本委員会におきましても、この機会に参考人方々忌揮のない御所見をお伺いし、対策樹立参考に供したいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 気象庁末広参事官にお伺いいたします。  いまも報告を申し上げましたように、死者二十五人、重軽傷者百八十七人を出した伊豆大島近海被災地伊豆半島では、地震発生後一カ月になんなんといたしているのでありますが、伊豆急は今日なお稲取−河津間で不通であります。東海岸の主要道も完全ではございません。県道修善寺−下田線は不通のままであります。  で、今回の地震マグニチュード7・0、震度五、または四という記録でありますが、この地帯震度四のはずであります。この程度の地震伊豆半島東海岸を直撃したのでありまするけれども、被害はいま申し上げたように莫大であります。被害を伴った今回の地震というものについて、なぜこんなに大きな被害をもたらしたか、その問題点というものについて簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
  10. 説明員(末広重二君)(末広重二)

    説明員末広重二君) 御説明申し上げます。  今回の地震は、御指摘のとおり、震度五という揺れを観測いたしましたのは気象官署のあるところでは大島と横浜でございましたが、これは伊豆の中部、稲取の付近でございますが、ここはたまたま気象官署がございませんので五という数字が出ませんでしたが、ここは後の調査では断層も通っておりましたし、五あるいはもう局地的には六で揺れたと思います。まあ七という地震にしては被害が大きいではないかという御指摘でございますが、このように震源域の一部が伊豆半島にかかっておりました。その上、伊豆半島は、御承知のとおり各所で温泉が出ておりますような火山性の地帯でございます。でございますので、非常に地質、土質が弱うございます。その上、山地で急傾斜地等が多かったというようなことから、平地で起こった地震に比べますと被害が非常に大きかったということになると存じます。
  11. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 いま参事官の言われたように、地元の特殊的な地層であるということはもちろんでありますが、地震規模マグニチュード7、震度は、発表されてませんね、六なんということは。エネルギーがマグニチュード7と、まあ強震ですね。伊豆半島昭和四十九年のマグニチュード6・9の伊豆半島地震昭和五十一年の河津地震と、今回で四年間に三回、そのほかに局地的な動揺はあったんですね。そうなりますと住民はいたたまれない。伊豆はトランスフォームベルト、横ずれ地帯というように、横ずれの帯だというように言われておりますけれども、伊豆半島と東海地域の地殻活動の関連がありまして、この横ずれの帯には、計算上伊豆半島地震を起こした石廊崎の断層と同じような東西方向の断層が約三十本通っているんですね。そして伊豆半島全体がフィリピン関係から押し寄せてくプレート、太平洋から押し寄せてくるプレートというものが、これが蓄積されて伊豆半島に集積されている。そのうちの、いわゆる相模トラフというものが少し動いたということだと言われておりますけれども、今回この地震が相模トラフの関係で動いた。いま駿河トラフの方がどうなるかということが大きな関心なんですね。それが将来に向かって東海大地震との関係につながってくると思うんですけれども、今回程度の地震が今後ときどきあると考えておられるのか、萩原地震予知会長さんにちょっとお伺いしたいと思います。
  12. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 伊豆半島が、いわゆるプレートテクトニクスの立場からどういう立場にあるかということにつきましては、学者の間にいろいろの説がございまして、定説というものはまだないのでございますが、とにかく現在いろいろ調査されておりますたくさんの大小の活断層、こういうものを見ましても、過去の地質時代に非常に大きな変動を受けてきたことが明らかでありますし、また、現在もそういった地殻の活動が続いていることは明らかでございます。  伊豆半島沖の地震、続いて今回の大島近海の地震、こういうものが続いて起こったわけでございますが、これがいま問題になっております東海地震、それのどういう関係にあるか、それの前ぶれであるかという問題でございますが、これは東海地震は駿河湾の中にあります駿河トラフ、ここを断層として地震が起こるというふうに想定されておるわけでございます。何しろ伊豆半島はその駿河湾に隣り合っている地域でございますので、この伊豆半島に起こっておりますもろもろの事件が、この駿河湾に起こると思われる巨大地震、こういうものと何らかの関係があると、つまり隣同士でございますから——ということは考えられのでございますが、ただいまのところ具体的に、ではどういう関係があるかということは明らかでございません。まあいろいろの説をなす者がございますが、実情としては、こうだからこうという、非常にはっきりしたことはただいま申し上げられない段階でございますが、とにかくこういった出来棄が続いてございましたので、また過去四年、伊豆半島地震以来いろいろの、地震のほかに土地の隆起とかあるいは微小地震の群発とか、非常に起こっておりまして、つまり地殻活動が続いておるのでございますので、今後、現在までにも相当観測は強化されておりますが、今後も観測をさらに強化して、どういうふうにこの地殻活動が続いていくかということを絶えず監視して、これが東海地震との関連に結びつくかどうかということを見きわめていきたいと思っております。  ただ、現在のところ、今回の地震が直接東海地震に結びつく、つまり、今回の地震が起こったから非常に近い将来東海地震が起こるであろうというような現象は、現在のところは観測されておりません。
  13. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 時間がありませんで、この問題だけでやっておるわけにまいりませんが、今回は、萩原先生のお話によれば、明確な前兆現象をつかめず大変残念だと、現在の予知の限界を国民に理解してもらいたいということをあなたは新聞で発表されておられるんですね。全く異常現象がなかったかどうかといえば、これはたとえば河津の峰温泉では急に温泉が冷え切った、あるいはまた熱くなった、あるいはまたそのほか亀裂が生じたとか、やれ何とか、隆起したとか——あの辺一帯が隆起しているわけですから、隆起した現象をつかんでいるとか、いろいろあるわけですよ。だからこの点について、当事者である静岡県民は非常にいまこの問題について重大な関心を深めているし、地震学についても全くの素人が勉強しなきゃならぬという時代になってきたと思うんです。しかも予知体制というものは、これはもうそれこそ何百分の一とか、何千分の一ではかえがたい大きな問題が——私は先日中国へ行うてまいりましたけれども、十日前に帰ってまいりました。そのときに言われたことは、海城予知体制というやつが完全に成功した。その後で唐山で失敗したというようなこともありまして、非常にいまこの問題で官民そろって研究をしているという体制下でありました。  二月五日の新聞によれば、ラドンをもうすでに前兆でキャッチして、地震予知へ画期的な一歩を申したということを新聞には書いてありました。国民はこのことでまた非常に喜んだんであります。しかし、なかなかこの地震予知の戦略というのは、精度の高い、しかも長期予報によってこのいろんな直前の前兆の現象といいますか、これを一々森羅万象逃さずとらえることだと言われている人もあるわけですけれども、この点については、萩原先生が予知連の会長をやられ、東海地域判定会の会長もやられておられるわけですから、すべて萩原先生にこの問題についてはもうかけているというぐらいに思っておられますので、どうかひとつ今後ともそういう意味で十分な御指導をお願いいたしたいというように考えておりまするし、この予知体制等については、今回の静岡県の十八日に出しました余震情報等が誤り伝えられている点もあるし、また、発表した側におきましても非常にふなれな点もあって一大パニックを起こしたわけですよね。この点でそういった予知、予報の体制に対する——学者の方はなかなかこう進んできた、ところが行政の面はこれに対応できないという面がありますんで、政務次官答弁してください。
  14. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 萩原先生が東海地区に対する責任者ではございませんけれども、それに対する委員長の資格を持っていただいております。非常にいろいろと皆さん方が今回の地震におきまして、いかに予知をしていただくかと、いかに早く知らしていただくかということには、先生おっしゃるとおりに非常に期待を持っておりますし、そうした研究が進められることを私どもは願っております。けれども、現段階におきましては、まだまだいろいろとむずかしい点があるとおっしゃっておりますが、前回の予知のときには、一部通報せられましたことが、これが当たらなくて幸せだという、皆さん方も喜びを持たれております。一部には、先生御指摘のとおりに大変迷惑をこうむった人もあるということであります。最近の新聞の世論的に調査せられた一部の発表を見ますると、そうした予知をしていただいた方がかえって心の引き締まりがある、そうしたことが望ましいという傾向の方が多いように発表せられております。しかし、今後は萩原先生を中心にしていただきまして、東海地区方面における地震は今後もあり得るだろうという予知が前回から発表せられておりますが、私どもはどのように発表していただく上におきましても、心構えを持つことが大切であると思っておりますので、今後一挙手一投足と申しますか、先生方の研究発表を待ちながら心構えを国民が持っていくことが必要であろうと考えておりますので、どうぞひとつ御理解いただきたいと思います。
  15. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 地震発生させたこの断層の端と思われるものは、伊豆半島稲取付近、すなわち東伊豆町から河津一帯だと思うんでありますが、この地域に、この間も調べたんでありますけれども、随所に土砂崩壊山津波発生して、轟音とともに大惨事が生じたということだと思うんです。もし被害の直接原因であるがけや地盤が鉄筋コンクリートの擁壁で固めてあったならば、今回の地震はこんな大被害にならなかっただろうし、また、河津町の梨本地区や見高入谷のような、全く急傾斜地の民家の背後地をボーリング調査をしておったならば、地下数メートルの火山灰の土質に気づいたと実は思うのであります。で、進んでボーリング調査をするとか、幹線道路をトンネルで逃げるとか、危険個所を橋で逃げるとかといっったようなルート変更を考える気はないかどうか、建設省にお伺いしたいと思います。
  16. 説明員(井沢健二君)(井沢健二)

    説明員(井沢健二君) お答えをいたします。  今回の伊豆地震におきまして、一番大きな被害道路に与えたところは、百三十五号線の旧道のところでございます。ここは、前にも新聞等で発表がありましたように、非常に大きな構造的な断層というか、地すべりの出たところでございます。その次に大きかったのが、主要地方道修善寺−下田線のバスの埋まったところでございまして、あそこにも非常に幅の広い断層がございます。その断層が動いて地震になったのか、あるいは地震が起きてその断層が動いたのかはわかりませけんれども、その断層に関連する大きな地すべりのために非常に大崩壊を来たしておるわけでございまして、現在のところ応急工事を進めまして、何とか一車線ぐらいは開通をいたしたいというふうなことを考えておりますけれども、今後の恒久的な問題に対しましては、私どもの研究機関でございます土木研究所であるとかあるいは国土地理院等を動員いたしまして、現地を検討しておりまして、現在県の道路関係の部局とも相談中でございますので、今月の中以降の災害の査定に際しまして、そういうふうな問題も含めて、こういうふうな再度災害防止という見地から、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  17. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 林野庁に一音お伺いします。
  18. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) 御指摘の、ボーリング調査等をしたらどうかというお話でございますが、従来から、林野庁におきましても集中豪雨等山腹の崩壊等が予想される場合には、山稜の崩壊の危険度であるとか、あるいは人家、道路等の保全等を総合的に勘案をいたしまして、実態調査を行いながら、緊要な個所から治山施設を行っておるわけでございます。この危険個所調査に当たりまして、ボーリングを行うということは好ましいことでございますけれども、広大な地域につきまして全国的にボーリングを実施する、これを網羅的にやるということはなかなか困難でございますので、従来から林野庁、県当局におきまして、踏査あるいは航空写真であるとか、地質図、地形図等によりまして精査を行ってきております。今後とも調査機関あるいは研究機関等の調査研究等を待ちながら、できるだけこういう調査の精度を向上していきたいというように考えておりますが、特に御指摘の伊豆半島につきましては、地質構造も非常に複雑だという点もございますし、今後の二次災害等の心配もございますので、私どもといたしましては、今後追加調査をするということを考えておりますので、この際、必要に応じましては、ボーリングということも含めまして地質調査も十分やっていきたいと、こういうように考えております。
  19. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 それはぜひお願いします。  それから、相次ぐ地震で伊翌半島の幹線道路はそのもろさを露呈したのでありますが、いまの話のように、国道百三十五号線、県道修善寺−下田線は各所でずたずたに切られ、国道百三十六号線とて例外じゃないわけです。そうすると、伊豆半島が陸の弧鳥になってしまうということなのでありまして、ただ、われわれの祖先が切り開いた山合いの道、山道、これは比較的、全く被害が少ないという珍しい皮肉な現象があらわれたのでありますが、これをひとつ開発することはもちろん、尾根に一つの大きな道路をつくって、そこから肋骨道路として付近の町村におりるというようなことを考える時期に来ているんじゃないかと思うのでありますが、建設省の道路課長いますか。ちょっと答弁してください。
  20. 説明員(渡辺修自君)(渡辺修自)

    説明員渡辺修自君) お答えいたします。  ただいま、いわゆる昔からございます旧道のようなものが、余り被害を受けてないではないかという御指摘でございましたが、調べましたところ、確かに修善寺−下田線の新天城トンネルの周辺におきまして旧道がございまして、これは比較的被害の程度が少ないという事実はございます。ただ、これは昔ながらの非常に狭い道でございまして、また、勾配もきわめて険しいというようなことから、道路構造令に合いますように新天城トンネル等を改良してつけたわけでございます。ある程度幅が広くなりますと、どうしても山を切ったりあるいは谷側に盛り土をするという部分もふえてまいりますので、その辺の配慮は今後とも十分いたさなければいかぬと思っておりますが、旧道そのものはやはり縦断勾配も非常にきついものでございますから、これをそのまま改良するということは、若干問題があろうかと思います。  なお、幹線を通して、その幹線から肋骨状におろしたらというお話でございますが、先生の御承知のとおり、南に参りますと地形が非常に急峻になってまいります。この辺につきましては、現在の主要地方道等の災害復旧に当たりまして、学識経験者等の意見を聞きながら、必要によりましては改良復旧をするというようなことで対処しつつ、また、全般的にも今後十分検討してまいりたいと考えております。
  21. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 その辺は机の上でなくて、現実に研究してくださいね。私どもも意見を申し述べますから。  それから、特に交通の問題については、東伊豆河津はもちろん、下田、南伊豆町の温泉地帯が、いま深刻な倒産の危機に瀕しているわけであります。これは何といいましても伊豆急の稲取−河津間のトンネルが、活断層そのものが通っているということでありまして、割れ目や起伏が起こって、いま大変な事態だと思うのであります。この点について、特に伊豆急は、各地道路公団管理の地帯から土砂が崩落して線路を痛めた、あるいはまた信号機を、あるいはまた橋を壊したというような問題にかかっているわけでありますが、こういった点について、地方鉄道軌道整備法の関係で、国がめんどうを見る必要があるのじゃないか。すでに過去二件あるわけですけれども、この点と、それからもう一つは、いまもう何としても早く列車を通したいということに追われておりますので、緊急応急復旧工事をやっていると思うのでありますが、今後における工事の分担関係等について道路公団の方から——時間がありませんから、ごく簡潔にひとつお答えをいただきたい。前の方は運輸省の鉄監局、後の方は道路公団の方から、簡潔にお答えいただきたい、こう思います。
  22. 説明員(土坂泰敏君)(土坂泰敏)

    説明員(土坂泰敏君) 御指摘のように、地方鉄道軌道整備法によりまして、災害を受けました地方鉄道に対して補助をするという道が開かれておるわけでございますが、しかしながら、法律上の要件といたしまして、災害復旧事業を自分の資力だけでは施行することが非常に困難であるということが要件として決まっております。  で、先生もお話しありましたように、いま伊豆急は稲取−河津間不通でございまして、ここの開通にどれだけの費用がかかるか、まだ確定しておりません。これが確定いたしました段階で、会社の経理状況その他も聞いた上で、先ほど申し上げました法律上の要件に該当するものかどうか、その段階でよく検討してみたいと、こういうふうに思っております。
  23. 参考人(平野和男君)(平野和男)

    参考人平野和男君) 私どもの管理しております東伊豆道路の今回の被災個所は三十一カ所でございます。そのうち、伊豆急行と近接していると思われるところが二カ所ばかりございます。ただ、いまのところ私どもの道路原因で伊豆急に被害があったかどうかということは、まだ申し出もございませんし、明確ではございません。ただ、私どもの道路復旧するに当たりまして、伊豆急と近接している個所につきましては、相互にいろいろ関連がございますので、今後とも先生御指摘のような点を含めて、伊豆急とは十分話し合いをしたり、連絡を密にしたいというぐあいに考えております。
  24. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 次に、運輸省港湾局にお尋ねいたしたいと思いますし、農林省の水産庁にもお伺いいたしたいと思うんですが、下田港が緊急避難港としての役割りが非常に重要となってまいりました。来年度以降の計画に乗せる意思があるかないか、それから現在どうなっているかという点について、簡潔にお答えをいただきたい。また、稲取港や北川港などの漁港も同様の対策を講ずべきだと思います。稲取港あたりは大きな亀裂が入っているわけであります。そういう点から、その問題に対するお答えをいただきたい。  それから各省庁に、特にここに学校関係の校舎の被災状況や、あるいはまた公共土木関係被災状況は、これ詳しくあるわけでありますが、それらの点について、各省庁から簡潔にひとつ、地震関係の予算をどういうようにいま要求しているかという点について、どうなっているかという点についてお答えをいただきたい、こう思います。
  25. 説明員(寺尾健君)(寺尾健)

    説明員(寺尾健君) 御説明いたします。  下田港は伊豆半島の先端にありまして、避難港として整備が進められてきております。第五次港湾整備五カ年計画におきましては、当初小型船を対象としまして施設整備をすることにしておりましたが、伊豆半島近海の地震が多発するというために、新たに観光、客等の緊急避難が可能な施設を追加整備することにいたしました。すなわち、一千トンクラスの船舶が接岸可能な係留施設昭和五十一年度より整備しておりまして、全体の事業規模といたしましては、港湾整備事業で二億九千六百万円、起債事業で八千六百万円、計三億八千二百万円となっておりまして、昭和五十三年度完成を目指しまして、現在鋭意整備中でございます。
  26. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) ただいま先生から稲取、北川両港につきまして、地震の際、避難港として利用できるように整備すべきじゃないかという御質問でございますが、本来、漁港の整備は、漁業の生産なり流通なり、漁業活動の根拠地ということで必要な施設整備を行ってきているわけでございまして、地震等の際の緊急避難のためをあらかじめおもんばかりまして、そのために施設整備をするということは、なかなか目的としては困難でございますけれども、必要な個所につきましては、漁港の整備事業の範囲内におきまして、可能な限り緊急避難も可能なように、こういう施設整備していくことは配慮してまいりたいと考えております。特に、御指摘の稲取港につきましては、漁港整備事業といたしまして五十一年度に一応完工しておりまして、現在の漁港施設災害の際に使用することはむろん差しつかえございませんし、今回の災害の際におきましても、岸壁、防波堤等は東海汽船あるいは自衛隊等の自衛艦によって利用されまして、観光客の避難等にも十分役に立つと、また、給水作業にも役に立ったという現状でございます。また、御指摘の北川漁港につきましては、道路事情あるいは隣接港との関係等もございますので、今後地元関係者の御意見もよく聞きました上で、緊急避難にどのように利用できるか、十分検討してまいりたいと、かように考えております。
  27. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 建設省は、どのくらいありますか。時間がないから、端的に幾ら幾らと言ってくれればいいから。
  28. 説明員(釣谷義範君)(釣谷義範)

    説明員釣谷義範君) お答えいたします。  今度の災害におきまして、人家等が被害を受けましたがけ崩れの災害等につきましては、緊急急傾斜地崩壊対策事業費をもちまして至急工事を実施することにしております。  なお、緊急急傾斜地崩壊対策事業の一部については、県の方でもうすでに調査並びに一部については着工の予定でございます。で、次年度に引き続き工事を完成させる予定でございます。  以上でございます。
  29. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 いや、そんなことを聞いているんじゃないんだよ。建設省として地震対策関係の予算は幾らあるかと聞いている。今度被害の手当てをしたなんという問題じゃないんだよ。だめだ、しっかり聞いてなけりゃ。
  30. 説明員(井沢健二君)(井沢健二)

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  建設省の関係は非常に幅が広うございまして、まず、予知の関係でございますが、国土地理院関係がたしか来年度十数億——十億を超えるような額になっておろうかと思います。そのほか道路関係、それから河川関係、都市関係、そういう方面で、仕事全体がやはり生活あるいは産業、国民の生活上のいろんな活動のための仕事でございますから、関係があるといえばみなあるわけでございますが、現在地震関係予算ということで区分けしてありますけれども、現在資料持ち合わせございませんので、後ほど御説明に上がりたいと思います。
  31. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 地震関係で、私の記憶しているのは、三百七、八十億というように記憶いたしております。これは災害関係で約五千億になんなんとする、建設省の中で、そのように理解しているので、私の記憶と合っているかどうかという点をいま確かめたかったわけでありますが……。  国鉄はどうですか。
  32. 説明員(長谷川忍君)(長谷川忍)

    説明員(長谷川忍君) お答えいたします。  昭和五十三年度の工事経費の予算といたしまして九千五百億でございますが、そのうち、地震対策に役立つものと思われますのが、約二百五十億程度と予定しております。  それから、先ほどからお話しございましたが、特に私ども心配しておりますのは、静岡県の地質構造からいきまして、東海道新幹線が果たして大丈夫なんであろうかということなんでございますが、その点につきまして、全体計画約六十億から七十億の計画で、現在鋭意進めておる最中でございまして、内容は、主として落橋対策、また、のり面対策というものでございますが、さらに、いま鋭意検討中のものといたしまして、軟弱地盤の盛り土対策でございますね、これを検討中でございまして、これらも含めて五十三年度の予算案の中で重点的に配慮いたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  33. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 電電公社はどうですか。
  34. 説明員(山口開生君)(山口開生)

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  私ども電気通信の設備が災害で孤立しますことは、通信の大変な途絶状態になりまして影響が非常に大きいものでございますから、かねがね特別施策として災害対策を打っております。五十三年度の現在、政府原案によりますと、三百八十億を災害特別対策として見込まれておりまして、私ども公社の中では、特別対策以外にも一般の基礎設備の中に、やはり通信の伝送路の補強とかあるいはシステム全体の補強のために、一般工事費の中にもある程度の金額を見込んで対策を打っている現状でございます。
  35. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 それから東伊豆町、河津町の農地の崩壊、これは両町だけではございませんけれども、石がきの崩落によってほとんど手をつけられない個所がまだ数限りなくあるわけです。農業施設もまた同じでありまして、被害の面積の査定に当たって、水害で査定されるものよりも、地震で査定されるものの方が面積の基準のとり方に違いがあるんじゃないかということで非常に心配いたしておりますが、この点はどうかということと、それからいつ査定するのかということについて、簡潔にお願いしたいと思います。
  36. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) ただいま御質問の地震災害なり洪水の災害の場合、復旧すべき農地面積のとり方に差があるかということでございますが、地震の場合と洪水の場合、被害状況は確かに違うことは事実でございますけれども、復旧面積のとり方に当たりまして、両方差別をして査定をするということはございませんので、ただ実際上、また復旧に当たりましては、現地の事情に即しまして適切な工法で早急に復旧にとりかかりたいと考えております。  第二点の、査定でございますが、これは現地の準備の整ったものから早急に査定に入りたいと考えておりますが、当面二月十三日から緊急査定を行う予定でおります。また、そういう災害の査定も早期に完了いたしまして、できるだけ早く工事を着工したいと考えております。
  37. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 それから、国税通則法に基づく災害による場合の申告は、まだ地震が続いているという認識に立っておったわけでありますが、この点については通達を出したようでありますので、その点は了解いたしますが、期限の延長と、所得減、資産の損傷等が実はあるわけであります。こういう点について、国税庁としてはどう考えているのかという点についてお伺いいたします。
  38. 説明員(掃部實君)(掃部實)

    説明員(掃部實君) お答えいたします。  今回の地震によりまして、多くの納税者が被害を受けておられるわけでございますが、特に被害の大きかった賀茂郡河津町及び東伊豆町におきましては、納税者の半数以上が甚大な被害を受けておられるわけでございます。で、国税当局といたしましては、詳細にその実情調査いたしまして、法律の許す範囲内できめの細かい救済措置を講じていく、こういうふうに考えておるわけでございます。  先生お尋ねの被害者でございますが、まず事業所得者につきましては、事業用資産、たな卸し資産その他について被害を受けますと、その被害額を損金としてあるいは必要経費として控除いたしまして、青色申告者でない場合でありましても三年間の繰り越し控除、法人につきましては五年間の繰り越し控除をすることになっております。  さらにまた、住宅、家財につきまして二分の一以上の被害を受けた方に対しましては、いわゆる災害減免法に基づきますところの全免ないしは軽減の措置が講じられるわけでございますし、さらにまた、その損害額を所得金額から控除して所得税額等を算出する雑損控除制度がございますわけでありまして、これらいずれか有利の方を選択する制度がとられておるわけでございます。  さらに、給与所得者につきましては、源泉所得税が一定の条件に該当した被害ないしは一定の条件に該当する所得金額以下の方に対しましては、源泉徴収されるべき税額を猶予いたしまして、あるいは徴収した税額を還付すると、こういうような制度がとられておるわけでございます。  これらの制度につきまして納税者の方々が十分理解されますように、市町村中心といたしまして宣伝に努めておりますし、税務当局といたしましてもパンフレットその他を被災納税者に対して送付するなど万全の措置をとりまして、これら救済措置被災者に浸透するように配慮いたしておるところでございます。
  39. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 伊豆大島の近海地震は、鉄道や道路に対してきわめて大きな被害をもたらしたことは、御案内のとおりでありますが、中小企業に対して早急に対策を立てなきゃならないけれども、その中心はやっぱり金融の特例措置だと思うのであります。県は個人事業税の減免などを通じまして緩和措置を講じたわけでありますが、そのほか金融関係等については、相当貸し付け緩和措置を講ずる等の対策をとっておりますが、政府関係の金融機関における取り扱いの弾力化についてと、それから被災中小企業者は信用力、担保力が著しく不足していると思うけれども、これらの点や、あるいはまた河津東伊豆町はもちろん、下田市や南伊立町、松崎町、天城湯ケ島町、修善寺町も、これらの中小企業の金融関係等については、相当対策を講じなければいけない状態だと思うのでありますが、これらの点についてはひとつ強く要望いたしておきますが、よろしゅうございますね、その点は。中小企業庁、いいですね。——はい、確認をしておきます。  それから、国土庁の関係では、河津町と東伊豆町は当然激甚災害の指定を受けるものと思うけれども、審議官見えておりますけれども、どういう見通しですか。簡潔にお願いします。
  40. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) 公共、農林関係は、先ほど来の答弁のように査定が終わっておりませんからわかりませんが、中小企業関係につきましては現在集計中でございまして、できれば月うちに御指摘のような方向で処理したいと考えております。
  41. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 わかりました。  それから、被災地温泉地はいまだに商店がシャッターをおろしたままで、それからみやげ物品店も全く閑散とした、駅前なんか非常に特徴的な情勢を呈しているわけでありますが、キャンセル続きでもって休業届を出しているようなホテルや旅館、従業員の解雇もすでに千人を実は突破しようといたしているわけであります。労働省はこの点について、離職者の対策についてどう考えておりますか、これを簡単にお願いいたしたいと思います。
  42. 説明員(望月三郎君)(望月三郎)

    説明員(望月三郎君) 今回の災害によりまして離職者が発生しておるわけでございますが、特に下田に至る河津町、東伊豆町等において非常に大ぜいの人が発生しておりまして、二月の七日現在で千六百数十名という離職者が発生しております。これに対しまして、私どもは早急に再就職のあっせんを開始するという体制を安定所を中心にとっておりますが、とりあえず雇用保険の被保険者につきましては、保険給付を当面していくというかっこうで対処をしております。  なお、災害救助法の指定地域の離職者はもとより、それに関連する地域の離職者に対しましても、災害の特別の扱いをするという方針で対処をしております。
  43. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 次に、持越の関係についてお伺いしたいと思うのでありますが、鉱山保安法と、それから金属鉱山等保安規則、この二つを中心として検査、監督体制をやっているというように理解してよろしゅうございますか。
  44. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 持越鉱山の鉱滓堆積場に対する監督につきましては、御指摘のとおり、鉱山保安法及びそれに基づきます金属鉱山等保安規則によりまして監督をしております。
  45. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 検査、監視体制については、施設設置するとか、あるいはまた変更するときと、操業中における巡回検査とに大別して考えてみると、鉱山保安法やあるいはまた保安規則は、いわゆる前者の、施設設置する、あるいはまた変更するときというように——中心にこれを置いているというように規定されていると思うのでありますが、巡回検査についてはどのような義務規定をされておりますか。
  46. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 巡回検査につきましては、各鉱山保安監督局、部が毎年この検査方針を立てまして、それに従って鉱山の実態に応じまして巡回検査をいたすわけでございまして、その検査のやり方その他は内規で決められておりますが、大体、持越鉱山については、従来は年間二回ぐらい現地へ行って調べるというふうな頻度でやっております。
  47. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 東京鉱山保安監督部長にお伺いしたいと思いますが、保安官の派遣や監督のあり方、立ち会いといったようなものがどういうようになされておるのか、保安部長からお伺いしたいと思います。
  48. 説明員(間山隆君)(間山隆)

    説明員(間山隆君) 鉱務監督官派遣の手続について御説明申し上げます。  出張命令は、伺い簿により所属課長を経て部長が決裁いたします。勤務時間以外には、あるいは日曜日、祭日等、非常の災害が起こった場合には、電話等で連絡を受け、これを部長が口頭で命令をするということにしております。ただし、これにつきましての伺い簿の手続は、後日速やかに行うということで手続は進めております。  監督の内容でございますけれども、危害防止関係は当部の監督課、鉱害防止関係は鉱害防止課が担当しております。  その内容といたしましては、巡回検査、これは鉱山における人に対する危害防止、それから施設の保全に関する監督、こういうものでございます。そのほかに、認可施設の検査、これは主として機電等ございますが、それから重要災害発生のときの検査という特別検査がございます。これは原因の究明及び対策指導並びに司法捜査が含まれます。  鉱害防止課では、内容的には以上と同じでございますけれども、対象といたしまして坑廃水、鉱煙、堆積場、騒音、振動、そういうものが対象になりまして、巡回検査施設……
  49. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 その辺でいいよ、その辺で。  検査の結果報告というものはあると思うんですけれども、これは後でひとつ私に見せてくださいね。  それから、金属鉱山等保安規則の三百二条、これに「捨石または鉱さいは、崩壊または地すべりのおそれが多い箇所にたい積してはならない。」というように書いてある。「崩壊または地すべりのおそれが多い箇所」であるかどうかはどのような基準で判断するのか、これも簡潔にひとつお答え願いたいと思います。
  50. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 金属鉱山等保安規則の三百二条に、「捨石または鉱さいは、崩壊または地すべりのおそれが多い箇所にたい積してはならない。」こういうことになっておりまして、これは新しい捨て石または鉱滓堆積場の認可申請がありましたときに、鉱業権者側といたしましても、その土質あるいは付近の地形等を調査いたしまして、その地域がたとえば地すべりの常襲地帯であるとか、あるいは非常に崩壊の危険性の多い個所であるとかということがあった場合には、これを堆積してはならないということでございます。
  51. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 その辺でいいよ、時間がないから。  それで、ほうずき沢は崩壊または地すべりの多い個所であるかないかといったら、あるんですよ。これは地すべり地帯なんですよ。ここを何で許可したのかという点について、これは大きな問題です。それからボーリング調査等を実際にやってみたのかどうかということになれば、これは非常に疑問が多い。やったら、あの地帯にこのことを許可すべきはずはないんです。地盤の強弱は不明じゃないかと思うのであります。ボーリング調査をやらなければね。そういう点から非常に問題が多いわけですが、なぜあそこに許可したのか、端的に言ってください。合格地点だから許可したというのかそうでないのか。
  52. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 先生の御指摘のとおり、現実に今回の地震によって崩壊したわけでございますので、その点については非常に監督責任を感じているわけでございますが、認可をいたしました時点におきましては、あの地点が特に一般的に言って地すべりまたは崩壊の危険性の多い地点であり、これを防ぐことができないというふうには判断しなかったわけでございます。
  53. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 鉱山保安法の鉱業権者の義務の中に、鉱業権者は必要な措置を講じなければならないという中で、「ガス、粉じん、捨石、鉱さい、坑水、廃水及び鉱煙の処理に伴う危害又は鉱害の防止」という中で、通産省と会社は保安のために必要な措置を講じなければならないとしているけれども、あの鉱滓堆積場になぜ土でやったのか。しかも、崩壊した汗止堤は高さ十六メートルの基礎堰堤の上に鉱滓をためると、その上へもう三メートルかけていく。またたまると一二メートルかけていく。どろどろのものがこのような継ぎはぎ構造で一体持ちこたえると思っているのかどうか。基礎堰堤も、土の中に石を入れて固めてつくったアースダムという方式で、地震被害は実際にはそこの基礎堰堤は受けてなかった。土をかけたにすぎないという点でこれは非常に重大な問題だと思うのでありますが、この点について、簡潔にお答え願いたいと思います。
  54. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 鉱滓堆積場につきましては、その認可及びその後の維持管理の指導に当たりまして一定の基準を設けておりまして、この基準につきましては、学識経験者等の御参加を得て十分御検討の上で決めたものでございまして、これは逐次改定されまして、一番最近には昭和四十八年に改定されておりますが、この基準によりますれば、いまの工法が認められておるわけでございます。しかしながら、いま御指摘のとおり、現実に崩壊の事故が起こりましたので、われわれといたしましては、いま、学識経験者によって構成します事故調査委員会を発足させまして、現在調査を始めております。したがいまして、その事故調査委員会の結果が出ましたならば、単にこの件の事故の原因のみならず、将来このような基準について妥当かどうかを十分検討してみたいと思います。したがいまして、もしその結果、この基準の改定を要するならば、早急に基準を改定し措置をとりたいというふうに考えております。
  55. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 なぜもろかったのかということは、皆さん御承知のように、火山噴出物の安山岩と凝灰岩からできているんです。しかも、この土地は表面を削り取ったところでありますから、空気に当たるとぼろぼろになって風化しやすいんです。しかも、それに鉱滓に水がたまってどろどろの粘土状になって、それが流れ出ることは素人が見てもわかる。いまあなたは、基準を考え直す必要があったら学者先生に聞いてと言うけれども、こんなことは初めからわかってたんです。しかも、皆さん机上で判こだけ押せばそれでいいというもんじゃない。しかも、こういう地形については、少なくとも鋼矢板を打つぐらい、あるいはまたコンクリート状にするなりしなきゃいけない、こういうことになると思う。しかも水がしみ込んじゃいけない。水が、下にコンクリートを張るとか何とか、永久の、ビニールを敷くとか何とかということを考えたこともないでしょう。これは水がしみ込んでいるじゃないですか。この点どう思いますか。
  56. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) いまの御指摘の点、いろいろわれわれとしても検討しなければいけない点があると思います。現地の、いま事故調査委員会も精密にボーリングその他の調査をいたしまして、現地の地質も十分調べた上で結論を出していただくということに話が進んでおりますので、その結果を見た上で、われわれとして措置をいたしたいというふうに考えております。
  57. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 それからほうずき沢は、これはもう従来の工法ではだめだということは、これはもう素人が見てもわかるし、学者先生に私ども聞きましたけれども、これはもう全く不適格地であるということを言っておりますので、それ相当にひとつ対策をとってもらいたい。  また、大平と鳴沢地区、この地域は、昭和四十六年に廃棄物処理法ができる以前の——私は県から聞いてきたんでありますけれども、二〇〇PPmのシアン濃度を含む鉱滓が堆積されておりますけれども、これをどう思いますか。
  58. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 御指摘のとおり、鳴沢等の堆積場において、まだ法規制がなかった時代の鉱滓がございまして、そこには相当高濃度のシアンを含んだものがあるということは事実でございます。これがもし地震その他によって決壊いたしますと、やはり大変なことになりますので、実は会社に指示をいたしまして、それの安全性について至急調査を進めておるわけでございます。この調査の結果、安全が確認されればいいわけでございますが、さらに、補強等の必要がございますれば補強をいたしたいというふうに考えております。
  59. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 静岡県警が三つの法律違反の疑いで捜査を開始したんですけれども、この点——警察庁見えてますか、どういう点ですか、将来の方法についても、方針についても説明してください。
  60. 説明員(浜田栄次君)(浜田栄次)

    説明員(浜田栄次君) 警察庁の公害課長でございますが、今回の持越鉱山の鉱津流出事故は、地震が直接の、要因となって発生いたしました特殊な事故でございますので、刑事責任の有無につきましては現在慎重に検討いたしてございます。ただいま学識経験者による事故原因調査委員会設置いたしまして原因調査に当たってございますので、その結果、それから静岡県警で現在事実調査を行っておりますけれども、この結果を総合的に勘案の上判断をしてまいりたい、このように考えております。  いま、静岡県警に対しましては、本件事故が刑事事件に該当する場合もあり得ることを想定いたしまして、ただいま事故現場の実況見分並びに関係者の事情調査を進行させておるところでございます。
  61. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 厚生省にお伺いしたいと思いますけれども、汚泥が流出したものは鉱山の管理を離れたのであるから、当然産業廃棄物ということになると思うんですけれども、いかがですか。
  62. 説明員(三井速雄君)(三井速雄)

    説明員(三井速雄君) 環境衛生局の参事官でございます。  現在汚泥が鉱山の区域から離れまして、もうその下の方に流れておるということでございますけれども、私どもといたしましては、やはりこれは排出者の観点から考えまして、その鉱山において生じた廃棄物であるということから、鉱山保安法の範囲の問題として考えておるところでございます。
  63. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 それはおかしいよ。鉱山の関係については、鉱山の鉱業を推進する、それから鉱業生産の産物を採取する、人命の保安ということで特異的にその地域においてやっているのであって、これが一般のところへ流れたのもあなた方あくまでも鉱山保安法だ、川も鉱山保安法、鉱山だというふうに解釈しますか。
  64. 説明員(三井速雄君)(三井速雄)

    説明員(三井速雄君) ちょっと言葉が足りませんで恐縮でございました。  この件に関して考えてまいりますと、たとえば鉱山から出ました汚泥なるものが、たとえばその処理を外部に委託をいたしまして、たとえば町の中にある処理業者というようなところに委託をいたしまして処理をするということであります場合には、その委託をいたしました時点から一般的な廃棄物処理という観点で処理されるわけでございますけれども、本件に関しましては、鉱山保安法の適用自体、私詳細に存じませんけれども、こういう事件が起こりましたところから見ると、鉱山保安法上の鉱業廃棄物としての処理が十分でなかったということでございますので、やはりその系列の一連の問題として考えてまいるのが適切であろうというふうに考えておる次第でございます。
  65. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 そうだとするならば、廃棄物処理法との関係は、特別法、すなわち鉱山保安法が優先するということの明示はないんですよ、処理法には。水質汚濁防止法にはある。こういう場合には、特別法に規定のない事項については、当然一般法たる廃棄物処理法が適用されるというように、これは法律学の立場からは言えると思うんだけれども、あなたはどう考えますか。
  66. 説明員(三井速雄君)(三井速雄)

    説明員(三井速雄君) 確かに、廃棄物処理法には鉱山保安法が特別法であるという規定はございませんので、この点をどう解釈するかという問題になるわけでございますけれども、御承知のとおり、鉱山保安法におきましては、この廃棄物の処理、それからそれに対する監督体制、あるいはいろいろな措置命令の権限等につきまして、大変具体的に詳細な規定がございますし、それに対応する監督官庁もございます。そういう観点から、この鉱山保安法を優先して適用をするというやり方で措置しておるところでございます。
  67. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 政務次官どう考えますか。
  68. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 法的根拠に基づいての問題でありますし、行政指導の問題でありますので、十分に双方もう一度、先生の御指摘のように、どちらに責任をもってこれを行くべきかということを、いま一度よく検討させてみたいと思います。
  69. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 ただ、こう言っていなければ自分の身は安全でないなんというような立場で物事を考えたら大きな間違いで、これは法理論を曲げる解釈です。三百代言的な立場でこの問題を解釈してはいけないと思うんです。だから、その点で非常に遺憾な答弁だと思うんですけれども、この点は後で問題にしていきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、一日も早く復旧させなきゃいけないということと同時に、現在の融資の措置その他については、通産省どう考えていますか。
  70. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) とりあえず、われわれが、先ほどの現地調査の御報告にも御指摘がございましたように、応急措置を完了させることが現地に安心していただく最大の道だと考えまして、鉱滓堆積場扞止堤の強化、それから持越川に流出いたしました鉱滓除去というものをできるだけ急いで措置をしたいと思います。しかし、これについては、持越鉱山自体の金融力というものについて、われわれとして補強をしなきゃいけないという判断から、金属鉱業事業団に、融資をするという方針でいま話を進めてまいっております。したがいまして、この応急工事、少なくとも当面の応急工事については、そういう金融の道はできておるというふうにわれわれは考えております。
  71. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 二月の二十日までに何としてもひとつ鉱滓除去する。その場合に、現在持越川にたまっている約一メーターの鉱滓と、その下に、まだ流れ出ているわけでありますね、昔流れたのがまだたまっているんです。そういう問題について、また第二次被害除去のために起こす可能性がありますから、いま修善寺と長岡町は飲料水の取水をとめておりますからね、そういった点。  それから、これから駿河湾のハマチの養殖について大きな影響を与えちゃいかぬ。私は、駿河湾の底物のカサゴその他の関係については相当被害があったと断定しております。また、年越しアユは全部死滅したものと思う。こういう点について、人畜に対する被害を及ぼしたという点について、もう少し反省点があってもいいんじゃないか、こう思うんでありますけれども、そのこと。  それから、金融の措置も講ずるようでありますけれども、ひとつ社長さん、従業員の解雇とか、そういった問題に発展しないようなことについて、ひとつ御回答いただきたいと思います。
  72. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 先ほど御指摘のありましたような被害に対しまして、われわれとしても十分考えたいと思います。したがいまして、予定の期日、二月二十日までに持越川の河床にございます鉱滓除去を完了さすべく、相当県の御援助も得まして、建設業界の総力を挙げてやっていただいておりますので、この予定がいま順調に進んでおります。そういう現状でございます。われわれとしては、これについて十分な努力をいたしたいと思っております。
  73. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) 私どもの方の、当社のほうずき沢が崩壊いたしまして、世間にいろいろな御迷惑をかけたことに対しまして、まことに遺憾であり、心からおわびを申し上げる次第でございます。  いま問題になっておりますのは、堆積場にさらに二次災害を起こさないこと、あるいは川に出ました鉱泥による被害を極力少なくするということが、当面のわれわれの課題でございまして、その工事を急がせております。堆積場鋼矢板を打つことは、なかなか基礎資料がないので、初めの設計ははっきりしませんでしたが、だんだんボーリングデータも集積されましたので、それに基づきまして工程を急いでおりますが、大体三月末ころには前列の鋼矢板が打ち上がりまして、雨の被害が心配される点については防衛ができるのじゃないかというように考えております。引き続いて完成のためにまた努力いたします。  それから、川のどろを揚げる鉱滓の処理につきましては、地元方々あるいは当社の従業員が全員出ましてその除去に努力していますが、何分初めは、当社非常に小さな企業でございますし、また、平生協力していただいた請負業者の力も弱くありましたので、なかなか進捗いたしませんでしたが、先日は知事さんのごあっせんによりまして、三島地区の建設業界の約四十社の方々がこれに協力していただけるというような道がつきましたので、その以後、非常に仕事が強化されました。一日に一千立米だったのが、きのうは二千立米ぐらいまでに上がりました。いままでに、大体十六日間に一万五千立米ぐらい仮置場に揚げたんでございまして、あとはまだかなり残っておるのでございますが、何とかその強化された、動員された力によりまして、二月二十日までに一応の処理ができますように、全員努力をしている次第でございますので、このことを御報告申し上げます。  次に、先生から御質問のありました従業員の解雇がないようにということでございまして、私たちも一日も早く事業が再開できるように念願しておりまして、事業が再開できますれば、そういう雇用の不安もなくすることができるのでございます。事業が再開するにつきましては、やはりいろいろな地元の方の協力を得なければならぬと思いますが、どうぞ、その点についても官庁あるいは公署の御援助をお願いしたいと思うのでございます。  以上でございます。
  74. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 最後に、要望だけ一言申し上げておきますが、今度の地震は各方面にいろんな問題を投げかけました。特に、いまの鉱滓流出の関係なんかについては、思ってもいないことでありますけれども、私たちは保安監督行政という問題について、きわめてずさんであったということが、いま国民の前にはっきりしたわけでありますが、今後の、いわゆる流出鉱滓除去作業の進捗状態、あるいはまた、特にほうずき沢の、仮堰堤でなく、堰堤をどういうような進捗状況でいま工事を進めているかというような点について、ひとつまた今後において当委員会に御報告を願いたいということを付して、私の、質問を終わります。
  75. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後十二時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      —————・—————    午後零時三十二分開会
  76. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、一九七八年伊豆大島近海地震による被害対策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  77. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 大臣、御苦労さんです。昼飯も食べさせずに、全くお気の毒に存じております。  実は、大島近海付近の地震によりまして、伊豆地方一帯がものすごい被害を受けたわけでありますが、午前中に、きょうは萩原予知連会長先生や皆さんとともに若干の議論をしたわけでございますが、予知、予報の体制につきまして、学者先生の研究とそれから行政の立場が、建設省の国土地理院やあるいはまたその他科学技術庁の関係、あるいはまた運輸省の関係——いわゆる気象庁ですね、それから、それをやっぱり統合する立場に立ってもらいたい国土庁というような中において、行政の関係がこれに対応できない面が若干あるんじゃないかというように思うんでありますけれども、この点について大臣どうお考えになりますか。
  78. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御指摘は、われわれとしても今後の対応策として十分考えなきゃならない点だと思います。中央防災会議がございまして、大地震などに対する緊急対策要綱のようなものが従来あって、各省横の連絡をとりながら施策を進めておるようなわけでございまするが、これは災害基本法に基づく一応の対策でありますけれども、その災害基本法でまいりますると、予知情報の扱いについてはこれは明白でないわけでございまするから、したがって、現在、知事会などで要望のございます、また、国会でも要望のございます大地震対策の特別立法の必要性というものが出てくると思うのであります。この立法については、近く結論を得て、予算関係外の法案として三月中旬ぐらいまでに、提案の期限がございますので、それに間に合うように措置をいたしたい。その中で、予知情報の連絡について、統一的に、心配のないように処理のできるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  79. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 ぜひ、その点はひとつ推進をしていただきたいと思います。  この地震が、もし東京都を襲ったならばどうなるかということになったら、私どもは一千万人の人口、そしてまた、これだけの車と人口がもう本当にラッシュの地帯において、大変な予測し得ない事実が起こったんじゃないかというように考えますので、それらの点については、むしろ他山の石ということではなくて、この地震が日常的に起こり得るという前提に立ってひとつ考えていただきたいというように思います。  それから、この地方におきまして、交通機関が、伊豆急並びに国道百三十五号線、県道修善寺−下田線が不通になりました。いま、それこそ伊豆方面の河津東伊豆、下田、南伊豆、あるいはまた中伊豆関係の湯ケ島、修善寺等におきましては、いま中小企業者が全く不況にあえいでいるわけであります。円高とそしてまた長期の不況と今回の地震と、全く三重の苦しみに耐えているわけでありますが、この方面に対する、閣議においても二カ町村が激甚災害の指定を受けるものと確信をいたしておりますが、その他の地域におきましても、中小企業者のいま言った不況の状態と、それからいろんな、将来とも地震が起こるんじゃないかという、むしろ、ある意味では人心がパニック状態にあるというようなこともひとつ深く政府においても考えていただき、しかも、この地方においては、労働者が一つの町で一千人も離職するというような事態がいま起こっております。パートタイマーのお母さん方などは失業保険ももらえないというような人も出ておるわけでありまして、そういう事態についてもひとつ閣議で十分な議論を展開いたしまして、後顧の憂えのないようにしていただきたいというように考えますが、いかがですか。
  80. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の地震によりまして被害を受けられ——これは直接被害というよりも、この災害に伴う交通不便、あるいは観光客などの不安感というようなことから、御指摘の中小企業者あるいは旅館経営者の方々、その関連の業者の方々、非常に大きな影響を受けておることは、まことに御同情にたえないところであります。これらにつきましては、地元と緊密な連絡の上で、静岡県と密接な連絡をとりまして、この被害を受けておる方々に対する、たとえば金融措置のごときをすべきであるというふうに見ておりまするが、ただいまお話もございまして、私も対策本部長として関係各省に対して十分な措置のできるように対応してまいりたいと思います。
  81. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 一月十四日の大地震とともに、中外鉱業の持越鉱業所のほうずき沢にシアン鉱滓堆積場があるわけでありますが、このシアン鉱滓堆積場の第一汗止堤が約百メートルにわたりまして決壊いたしました。十五日の余震で、さらに第二扞止堤決壊いたしました。このために、八万数千トンの鉱滓が流れ出たわけであります。この点について、鉱山の保安監督行政に当たられる政府側の立場というものは、これを単にいわゆる土盛りの土扞止堤でやっておったところに一番大きな問題があるし、またこの山の頂に、噴火口のようなところに鉱滓をポンプアップしていけるという、ためるというやり方に問題がなくはないだろうかという点が一番大きな問題で実はあるわけであります。この点がいま非常に静岡県民に対しましてはひんしゅくを買っておりますし、また、もう一つは、大平というところとそれから嶋沢というところにいま堆積場があるわけです。これは排水基準の一PPmではなくて、県では二〇〇PPmぐらいだということが言われておりますけれども、これがたまっている。もしこの汗止堤が壊れたら、今回のほうずき沢の汗止堤なんていう問題じゃないわけですね。これはもうまさしくシアンの人体に与える影響というものが出ておりますけれども、これは死を意味すると思うんです。私どもはこの問題、一刻も猶予ならざる問題だと思います。現在もうすでにあの程度の雨で水が浮き出て、薄青い色が地面にいっぱいにしみ渡って遠くで見ても見える状態です。この上に開拓部落の皆さんは野菜をつくっているわけです。これがもしも——いままでにどういう評価をなされておるか、後で農林省にお聞きいたしたいと思っておりましたけれども、こういうような大きな問題が実はあるわけであります。また、今日、鉱滓が約五万トンあの地域にたまっているわけです。川底にたまっているわけでありまして、これを二月二十日までに除去する作業というものが行われますけれども、このことによって今度また第二次被害というものが——いま飲料水もとまっておりますけれども、水産業者、特に駿河湾のハマチ業者という関係者の皆さんに覆うべくもない被害を与えることが予想されるわけでありますが、こういった点について、私は大臣の所見をこの際伺っておきたい、こう思います。
  82. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私、災害対策本部長としてお答えをするわけでございますが、このシアン関係の問題につきましては、それぞれ直接の監督省があるわけでございます。これは十分御理解を得ておると思うわけでございますが。したがって、本部長の私としては、この持越鉱山、シアン問題が起きまして以来技術調査団を派遣いたしまして、御指摘のありました汗止堤についての面あるいはシアンによる影響、これらは相当専門的知識を必要とするものでございますから、そういう技術調査団の報告を聴しながら私なりの判断をしておるわけでございますが、さらには、この技術調査団以外にも通産省として専門員を、専門調査団を派遣して対応策を御検討願ったようでございます。その結果、この河床にあるシアンの、まあいわゆるヘドロと申しましょうか、これが撤去につきましては緊急を要するということで、当初自衛隊の応援も得ながら二月二十日までには何とか除去しようと、まあこういうことでございまするが、この扞止堤の今後の防護と申しましょうか、これらの点、鋼矢板を打ち込んでおるわけでございまするが、私どもとしては心配のないように一応の措置をとってもらっておる次第ではございまするが、なお、ただいま御指摘のありましたような諸点で慎重に検討しなきゃならない、より一層その警戒をしなきゃならない点も多々あることと思いまするので、今後とも十分な対策を講じていく考えでおります。
  83. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 最後に、今回の被災によりまして、道路とかあるいはまた橋とか、そういった目に見える公共土木施設については、これは直してもらえるわけでありますけれども、裏山からひび割れによって民家に押し寄せているいわゆる危険な状態、あるいはまた小さな側溝ですね、そういったようなものが非常にうとんぜられる可能性が出てきているわけであります。この点を、どこへ行きましても、現地の皆さんは何とかしてこういう方面をひとつ見てもらいたい、めんどう見てもらいたいということを言っておるわけでありますが、この点、大臣は建設大臣も兼務しておられますので、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  84. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 具体的に個々の地点がどうであるかと、こういうことになりますると、それぞれのとられておる措置を申し上げるわけでございますが、概括的に申し上げまして、崩壊のおそれがあるということにつきましては、緊急、応急の対策あるいは改良復旧対策などにつきまして、これはもう御心配のないように十分いたすべきことであると……
  85. 青木薪次君(青木薪次)

    青木薪次君 大臣、急傾斜地が主なんです。
  86. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ああそうでございますか。これは、急傾斜地に対する施策は当然とり得られると思いますから、場所をお示しいただきますれば、私の方としてそれに対する措置を講じてまいりたいと思います。
  87. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 対策本部長としての大臣に、ひとつ総括的にお伺いいたしまして、後、各論は大臣が退席されてから伺いたいと思います。  地震特別立法のことにつきましては、大臣も非常に前向きに御努力いただいております。感謝いたしておりますが、これは今国会ということでございますから、政府では三月の中旬くらいまでに一応めどをつけるのが今国会の一応提出期限と承っておりますが、政府としてそのくらいまでに地震特別立法について成案を得ると、こういう方向だと考えてよろしゅうございますか。また、その際に、私はやはり予知の問題、さらにまた地震のそういう連絡機構とか政府の組織、あるいは非常時の措置、あるいはまた、今回自衛隊さんが非常に活躍していただきました。本当に自衛隊さんに感謝しておりますが、ああした、もし一時間前、三時間前に予知された場合に、事前に自衛隊さんに出動してもらって、災害が起きない前の、事前のいろいろな避難とかそういう問題についてやっていただく、こういったような問題、交通体系の整備の問題、さらには、静岡県の由比地区の例のように、鉄道も道路も全部集中している。いままさに地震が起これば、それが仮に崩土があれば重大事故が起こる。また動脈がとまる。こういったような地域について、あるいは危険な個所については、短期間をもって特別予算をもって特別事業というような形で事業を行って早期に安全を図る。こういったような、これはあくまでも私個人の意見でございまして、一々大臣から御答弁は必要ございませんが、そういったような問題等もひとつ鋭意含め、さらに全国知事会の案等も踏まえて、ひとつよりよい案にしていただきたいと思っておりますが、その辺について、提出のめどについてお伺いいたします。
  88. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これはもう今国会で御審議を願うという上におきましては、閣議におきまして予算関係外の法案は三月の中旬、ちょっといま何日ということを忘れましたが、いついつまでに出せと、こういうことになっておりますので、鋭意その期限までには提出をすべく作業中でございます。  で、法案の内容についての御希望の御所見がございました。どの程度に盛り込めるかは別といたしまして、現在東海大地震というものの非常に心配の多い折からでございまするので、法案の中で、いろいろお挙げになったような措置が適確に講ぜられるように、法的にいろいろ検討をいたすということはこれは当然じゃないかと思いますが、戸塚委員御承知のように、一方に災害基本法がございまして、その方で措置のとられるものもある、あるいは災害基本法による中央防災会議というものが常設もされておりますので、それこれ勘案して、緊急の事態に遺漏のない対策が講ぜられるようにいたしてまいりたいと思います。
  89. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 大臣に、伊豆の道路の抜本対策、これはともかく伊豆の中にどれか一本でいいから崩れない道路をと、こういう悲願があります。通れなくなる心配のない道路をという非願があります。建設省でも現在鋭意調査を進めていただいておりますが、伊豆に一本そういう生命道路というものをひとつ大臣考えていただきたい。  また、青木委員の質問にも関連いたしますが、精密な伊豆全体の地質調査、こういう点について、ひとつ建設省として、国土庁として各般の御努力をいただきたい。これはまた、一部危険個所の事業——何と言いますか、調査援助というようなものもありますが、これはもうすでに行っていただいておりまして感謝しておりますが、さらに精密な地質調査、こういうことが必要ではないかと考えております。この点について、ひとつ大臣いかがでございましょうか。
  90. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の地震にかんがみまして、伊豆半島一帯が特殊の土壌である、特殊の地質にあると、こういう常識的な判断ができます。地震による被害を見ますると、地盤の脆弱な個所というものが随所にあるということが明らかでございまするので、ただいま戸塚委員の言われるような、相当大きな地震でも交通の確保ができるような道路を一本確保する——一本と言っていいか、道路網を確保すると、これはもう地域住民の切なる願いであろうと思います。で、これらの点につきましては、私は、静岡県の知事さんなり地元の諸状況をよく把握されておられるその担当者から建設省の方へいろいろ御依頼があればできるだけの検討をし、そういう道路、どういうふうに考えますか、そのいまの国道とか主要地方道とか県道とかいろいろございまするが、特別な配慮をするということが、現在の行政当局として可能なものであれば、また可能な範囲でできるだけお世話を申し上げたいと、こう思います。  それから、地質の点の御質問をいただいたわけでありますが、これは通産省の関係が主になります。で、国土庁の方では、国土地理院の関係になりますが、両々相まってそして的確な地質状況を把握する、これは非常に必要なことだと思います。
  91. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 激甚の指定につきましては、もう早期で、かつできるだけその地域を拡大していただきたいということは当然のことでございます。しかし、今回、地震ということについて、私も現地へ入りましたが、水害とは非常に違う。つまり査定をしたときに、非常に査定しにくいといいますか、従来の考え方では考えられないような被害が実はあります。  そこで、ひとつ大臣にお願いしたいのは、激甚を、中小企業あるいは農業あるいは公共土木等を関連して早期に拡大していただきたい、早期に指定していただきたい、これは当然でございますが、もう答弁は必要ございませんが、そういう地震等の特別の場合に何か制度を少し考えて、いまのような査定の基準でいきますと、これが当然入るべきだというやつが入らない、こういう問題等がありますから、今回のことを教訓にして今後ひとつ研究をしていただく、激甚の指定の基準等について研究していただく、こういう余地はないか。  二番目は、伊豆はこれ五回目の災害でございます。河津町等は水害−地震−水害−地震ということで五回目。このような場合に、借金をした、また借金、どうにもならない。こういう問題についても、三問も四回も、同じ地域が二年か三年のわずかの間にあるなんということはなかなか予測ができないから、現在の制度がそれに対応できない点があります。こういう点について、やはり教訓として、今後これらの制度についてひとつ研究をしていただく、あるいは特例措置をつくっていただく、こういうことをお考えいただくことが必要と思いますが、いかがでございましょうか。
  92. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 過去の経緯を考えてみますると、激甚の指定についても逐次諸情勢に応じた扱い方をしてきたと思うんです。したがって、ただいま戸塚委員から伊豆災害に伴ってもう一つ検討せよと、これは私として検討をしてみたいと思います。  それから、反復被災を受けた地域について特別な配慮をせよと。これは、そういう地域というものがいかに惨たんたるものであるか、深刻な影響を与えておるかという、そういう状況はよく判断できるところでありまするので、これもあわせて検討をさしていただきたいと思います。
  93. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 時間がありませんから、二つ、資金の問題について重ねて大臣にお願いいたしておきます。  伊豆急がきょうから一番ひどいトンネルの工事にかかるようでありますが、これは思ったより相当長い期間かかるようであります。大変なことでございます。一方、伊豆急は、現在売り上げ三十六億に対して、大体この災害で恐らく十億ぐらいの金を使わざるを得ぬと思います。これはまあいまのところは何とかもっておりますが、これはピンチであります。したがって、少なくともこの資金措置だけはしっかりとやはり伊豆急側に国としても対応していただくように、これは運輸省が所管でありますが、担当本部長としてこれはしっかりお願いしたい。  次に、持越鉱山のことにつきましても、午前中も議論がございましたが、これについてはいまヘドロ処理に入っております。金属鉱業事業団の融資等が予定されているようでございますが、これはあくまで予定であって、まだ確定もいたしておりません。これについては、会社がもし万一のことがありましたら、これは国が全部持たなきゃならぬ。ほかに方法はありません。何とかやはり、会社も真剣にやるかわりには国としてもその融資についてしっかりと責任を持っていただく、応援していただく、この必要があると思いますが、以上二点。
  94. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 伊豆急が、民間会社として鋭意自己努力によって復旧のために各種の対策をされておるということでありまするが、その場合に、ただいまの御指摘のような資金的に非常な困難にぶつかると、こういうことがありますれば、これは監督官庁である運輸省とも相談して、当然対応をしなきゃならない問題だと思います。  それから、持越鉱山の問題につきましては、ただいまこれも戸塚委員の方からお示しになられましたように、金属鉱業事業団でどういうふうにお世話ができるのか、あるいは持越鉱山の実態がいまどうであるのか、私は細かく逐一は承知しておりませんけれども、きょうは会社及び事業団のそれぞれ責任者もおいでで、皆さんの方からお尋ねがあったことと思いますので、私は後刻それらの速記録も参照して、本部長としてやるべきことがあれば努めて努力をしたいと思います。
  95. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 遠藤委員から関連質問がありますから、最後に大臣にもう一点だけ伺いますが、災害弔慰金の問題につきまして、現在衆参両院の小委員会でも真剣に取り組んでいただいております。いまの自然災害による犠牲者方々に国から差し上げる弔慰金が——高い安いは別にいたしまして、やはり今回の災害等を考えましたとき、当然これはわずかでも、やはりいまの制度を現在の経済状態その他に合わせて適切に改正していくべきだ。これはまだ国会の中の議論の最中でありますが、しかし、やはり御担当本部長としても、これは真剣に政府としても取り組んでいただくべきだと思いますが、最後にその御所見を伺って、大臣への御質問を終わります。
  96. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 災害弔慰金につきましては、たしか昨年見直したと記憶するのでありまするが、その後の経済状況などを勘案いたしまして、前向きに検討をさしていただきたいと思います。
  97. 遠藤要君(遠藤要)

    ○遠藤要君 方部長にお尋ねしたいことは、一つは、この伊豆地震は御承知のとおり、さきに東海大地震が伝えられ、その後、この地震の前に大きな地震に二度襲われております。さようないろいろの点が、住民にやはりいろいろの点において防御策といいましょうか、自衛策が講じられておったと思います。さような点が、御承知のとおり、今度の大地震によっての火災等が防がれたということは、私は大変住民のやはり認識が高まっておったと、こう思います。ところが、御承知のとおり、今度の地震によって二十五名の死亡者を出しております。その二十五名の死亡者の大半は、自動車なりバスなりの中において、路上において土砂の崩壊等によって死亡されていると、こういうふうな点を考えてみると、また、かつ、ただいまもお話しになった持越鉱山のシアン鉱滓の蓄積場と申しましょうか、それがまあ国の基準に沿うたものであったがあのような崩壊をしたと、そういうふうな点を考えると、住民はある程度認識をしておったが、国自体は何らそれに対して予防的な処置をとっておらなかったんではないかと、こういうふうな点を考えられるわけでございますけれども、私はその責任をあえてここで追及するのではなくして、そのようにして被害を与えた地域に対して、いま戸塚委員からもお話がございました持越鉱山の問題といい、シアン鉱滓が、まあほうずき沢と言うんですか、そこから流出して、この二月の二十日までにそれをしゅんせつすると、そういうふうな体制を整えておるようでございますけれども、これはひとつ本部長、建設大臣でもございますので、当然私は災害だというような認定をされて、全額その河川のしゅんせつは国でやるべきではないかと、こう思いますが、その点についてお伺いをいたしたいと思います。  さらにまた、そのような地震の多発地帯、まあ伊豆のみではございませんけれども、通産省の問題といい、いろいろ道路の問題といい、建築の問題といい、地震のない地域も、土質の悪い地域も、地震の多発する地域も同じ規格で、同じ基準で果たしてどうかと、こういうふうな点が考えられますが、大臣の所感をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  98. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 伊豆半島一帯の状況というものが、何回かの地震あるいは水害などによりまして非常に特殊な地域である、また、学者の専門的見解にもそのことが指摘されておるわけでございまするから、そのことは行政担当者として十分認識をしておかなきゃならない、また、その認識に基づく対応を常に考えておかなければならないことは言うまでもないと思います。  そこで、具体的にこの鉱滓除去についての御質問でございました。まあ鉱山保安法から言えば扞止堤は法に一応適合すると、こういう判断のもとにきておったことは事実でございます。しかし、そのことが直ちに今度の崩壊、鉱滓ヘドロの流出について国が全額負担をし、そのことは国が責任を負ってやるべきかどうかということにつきましては、これは災害本部長がここでにわかに判断をすべき問題ではないと思うんです。そのために、専門調査団あるいは技術調査団、それぞれの立場から精密な調査をお願いしておるわけでございまして、これらの点は今後さらに検討さしていただきたいと思います。
  99. 遠藤要君(遠藤要)

    ○遠藤要君 ぜひ、まあひとつ調査の上に、住民に安心を与えるような処置をとっていただきたいと思いますが……。  いま一つは、ただいま戸塚委員からもお話しになった伊豆急行の問題ですが、この問題も、大臣御承知だと思いますけれども、この会社は無配の会社でございます。さような点で、これが復旧せしめるということになるとなかなか大変な問題だと、こう私は承知をいたしておるんです。ところが、この伊豆急行が開通するしないによって下田市の住民、経済また産業、また人心等に対する安定感というのがいかに違うかということは、本部長よく御承知のとおりだと思う。そういうふうな点で、これは一刻も早く開通せしめるというような方法を講ずべきだと、それにはただいま戸塚委員にもお答えになっておりますけれども、国自体としてもでき得る限りのひとつ援助を講じて、一日でも早く開通せしめるような方法を講じてもらいたいということをお願い申し上げると同時に、それから、先ほど申し上げたが、地震多発地域と、その地震ということの余り関係のない地域が、いろいろの建築なり構造物の基準が統一していていいかどうかという点を重ねて私はお尋ねしておきたいということが一つと、それから、このような東海大地震説が唱えられているときに、災害が起きてから調査するということも必要だろうけれども、事前に、やはりある程度私は東海地域についてはもっと真剣に住民に対して予防なり、また国自体が防御すべき点は防御するということに一層努力をしていただきたいということを要請いたして、私のお尋ねを終わりたいと思います。
  100. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 伊豆急行の速やかな開通については国もせいぜい努力をせよと、それが地域住民に対する大きな影響のある問題だと、これは私もそのように考えます。  そこで、この問題については、伊豆急行自体がこの復旧についていろいろと御苦労をされておることと思いまするが、会社から要請がありますれば、それを具体的に検討してみたいと思います。それから、伊豆半島一帯の構造物についての基準を考えろと、これは大変示唆に富んだお話でございます。特殊の地帯である。したがって、橋についてもトンネルについても、あるいは一般家屋、特に多くの人の出入りするホテルなどについて構造上もうひとつ厳格にやれと、こういうことについてはこれは私どもとしても考えなきゃならない点ではないかと、よく研究をさしてもらいたいと思うのであります。  それから、東海大地震が学者の間で相当真剣な検討をされて、その危険性というものがいろいろ言われておる折からでございまするから、この影響を受けるであろう地域につきまして事前の万全の対策をすると、これはもうそのとおりだと思うのであります。現に、法律によるものではございませんが、東海地震危険性のあるところには強化地域の指定があって、そしてこの問も一応の予知情報があったようなわけでございます。それで今度立法をいたしますれば、当然真っ先にこの地域に対しての、どういう名称がいいか、危険地域というのか警戒地域というのか、そういう指定をいたしまして、今度は法律の裏づけに基づく地域としていろいろな施策を講じてまいりたいと、このように考えておるわけであります。
  101. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 第一に、前二者の方が質問された点にかかわりまして、対策本部長としてお聞きをしたいわけです。  それは一つは、繰り返されておりますが、地震、水害と五回でありまして、この繰り返されている中で、再度また金融面については検討するという大臣の答弁もございました。私が特にお願いしたい点は、五回目の人は今度借りても間に合わないという、間に合わないという意味は、とても返せないという意味でありました。そういう意味で、特に今回もまた激甚指定等低金利のものから中金、商金、住宅金融公庫、国金それぞれ多くの融資制度がございますけれども、何とかいままでのものの返済の猶予、一時的な何とか一年ぐらいではとてもしょうがないという住民の要望でありました。できるならばそれ以上の間、従来のものの返済期間を猶予してもらう、あるいはできるならば利子補給等をぜひ検討願いたい、これが、私が金融、融資にかかわって特に対策本部長としての大臣にお聞きをしたい点ですが、いかがでございましよう。
  102. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 具体的な御質問でございまして、いまここでにわかにずばりとお答えがしにくい点がございますが、反復災害を受けて返済がなかなかむずかしい、こういう向きに、従来行われておる一年程度の猶予ではどうかと、こういうことでございます。これは現実に返済ができない状況に置かれておるのでありまするから、何らかの対応策をとりたい、こういうふうに思います。  それから、利子補給をせよと、この問題については、これは仮にそういう措置をとるとすれば、立法措置などの必要性が起きてくると思います。それからまた、他の場合も、恐らく日本全国を通じて見ますると、たとえば台風常襲地帯などのごとく繰り返し台風を受けるという場合も、反復災害を受けるということについては同様のことになってまいりまするから、だからいま、それは考えましょうということは軽々に言えませんが、この問題については他の関係をも勘案しながら検討をさしていただく。必要があって立法措置がとれればそれはそれなりに考えられるということになりまするが、いまここで結論的にはちょっと申し上げにくいと、こういうことでございます。
  103. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 次に、雇用対策の問題であります。  午前中も再就職のあっせん等の答弁がございましたが、特に間接被害という点で、旅館なりみやげ物店、飲食業者、タクシー等交通業者、これらにかかわる雇用保険さえ受けていない人たちの対策の問題でありますが、なかなか、たとえばいまの、私一例挙げました被災地河津東伊豆町だけでなしに、当面の下田市等を検討しましても、きわめて重大な局面に達しているわけでありまして、たとえば市町村の、これはまあ建設大臣としての大臣の御所見も聞きたいんですが、市町村としての直轄の土木事業、そしてこういう離職者を対象にした、そういう簡易なそういうような点が、市町村にこの際そういうことを考えるということができないだろうか。これは市町村からも私は要望があるというように感じますので、お聞きをしたいわけであります。
  104. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御質問について、各地災害を受けると、大きな災害を受けて非常に地域住民が影響を受け困られるというときに、一方におきまして災害復旧事業がある、その方で就職をし、ある期間しのぐという場合が従来でもある次第でございます。したがって、いま御指摘の旅館関係あるいは飲食店関係あるいはタクシー関係の皆さん方で、それぞれの方に適応する災害復旧の仕事でもありますれば、これはもう優先的に就職していただくことについては、これは検討が十分できると思うのであります。ただ、私が簡単に、そういうお困りの方はその土木復旧の方へ勤めてもらいましょう、いやヘドロの回収に出てください、これは住民の方々の心境の上から簡単に言えないことでございまするから、私としては、非常にお困りの方々について十分検討さしてもらうということで、ひとつお許しをいただきたいと思います。
  105. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 第三点といたしまして、道路と鉄道、これも再三質問がございますので、こういう点からお聞きをしたいわけです。  伊東から下田の百三十五号、有料道路、これは恐らく二十年前はありませんでした。伊東から下田まではバスに揺られて四時間半かかった道程でありまして、まさに鎌倉時代からの道であります。今回の災害を見ましても、いわゆる四時間半かかっていた二十年前のこの道路の方は、非常に被害が少ないわけです。直接約一時間半ないし二時間で行けるようになった有料道路の方がきわめて被害が大きい。伊豆全体の観光政策という観点から考えてみても、この有料道路というのは、開設時から、建設のときから非常に大きなやっぱり無理があったんじゃないのか。一例を挙げますと、建設のときの費用よりははるかに——約十何年ですか、十数年に及ぶ開設以来の災害復旧の費用の方がもうはるかに多くなっている。このこと一つを見ても感じますし、なお、いまお話のありました伊豆急の点で見ますと、一番被害の大きいのは稲取トンネルでありました。この稲取トン、不ルの場合には、開設のときに、すでに設計施行業者等が、温泉余土の関係からきわめて困難な土木工事であったということの指摘も当時からあるわけでありまして、そういう意味では、やはりまさに四時間半かかっていたところを一時間半で行けるという、そういう時代の進展に伴う考え方は考え方としまして、やはり観光政策全体という立場から考えると、伊豆におけるそういう道路なり鉄道のあり方というものについて、私はやはりもう一度反省があっていいんじゃないか。何も急ぐことだけがいいんじゃなくて、そういう七百年に及ぶ歴史の試練を経てきた道路というものをもっともっと大切にしていいんじゃないか、こういう反省国土庁長官としても、建設大臣としてもおありじゃないかというように思いますけれども、その点についての御所見はいかがでございますか。
  106. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の災害によって、いろいろと教えられるところが多々あると思うのであります。先ほどからお答えを申し上げるように、せっかく道路はあっても、一体構造上どうかという御疑念を皆さんがお持ちであることは、これはもう私どももそのとおりに受けとめるわけでございまして、道路にしても、トンネルにいたしましても、その他建築物にいたしましても、今度の教訓を生かしまして、構造上万遺憾なきを期すべきであることは当然だと思うのであります。昔からの相当時間のかかる道路がしっかりしておって、新しくつくったものが、便利ではあったが非常に不安の多い道路だったと、こういうことが今後ともずっととられるとすれば、これはもう政治不信になるわけでございまするから、今回の経験を生かしまして、よりよきものにするよう努めてまいりたいと思います。
  107. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 時間がありませんので、あと一つだけにいたしますが、それは、いわゆる国道筋を通っていてはわからないという個所について、最後に国土庁長官としての大臣にお願いをしたい件です。  それは、たとえば河津町の湯ケ野の周辺になりますと、家の裏側の石がきあるいは畑の地割れ、そして堤防、土手、こういう個所のところが目立ちますが、さらにこれを山ずそに入ってまいりますと、沢や小川が非常に土砂で埋められているわけでありまして、この沢や小川というのは、いわゆる有料道路なり国道筋県道筋から見ると目につかない個所であります。ところが、ここが埋まっておることは、すぐに春が参ります、雨季であります、叫びまた水害、増水の場合の危険がきわめて顕著である個所であります。これはまさに前二回の地震や、五回に及ぶ水害で明らかでありまして、特に、そういう意味で目につかない個所の沢や小川の土砂除去、あるいはそれが農地の水利等にかかってくる場合もあるでありましょう。それぞれの官庁にまたがるかもしれません。それだけに、これは農林省だ、こっちは建設省だと、こういうことでなしに、対策本部長としての特に長官にもこの点をお願いしたいのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  108. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの問題は、恐らく関係市町村で十分掌握しておることではないかと、こう思うのであります。なかなか中央対策本部では、末端の細部にわたってまでの掌握はむずかしいと思います。しかし、いま御指摘のような沢や小川が土砂で埋まっておる。そして、春を迎えて相当量の雨が降ればどうかということになってくれば、もう当然それによるいろいろな被害が出ることが予想せられますので、市町村掌握しておることと思いまするが、本部長といたしまして、なお、その危険個所について十分な点検をしてもらうよう指示をいたし、また、そういう個所で何らの対策がない地域につきましては、県市町村と緊密な連絡の上で万全を期したいと思います。
  109. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 ただいま同僚議員への御答弁の中に、地震立法につきましては三月中旬に提出をされるということでございましたが、ぜひともその推進をお願いしたいと思いますが、政府部内では、災害対策基本法の一部改正をするということも考えとしてはあるらしいのですが、これは特別立法でいかれるのか、災対法の一部改正で対処されるのか、その点の確認をしておきたいと思います。
  110. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 当初と申しましょうか、東海大地震説が昨年来声が高まってきておる段階におきましては、災害対策基本法の中に地震対策を織り込もうという意見も出ておりましたが、現在におきましては、知事会の要請、また、今回の貴重な経験からいたしまして、特別立法いたすべく、すでに福田首相もその見解を予算委員会などで申し上げておるところでございまして、私もそのように心得ております。
  111. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 内容についてお聞きしますけれども、この予知体制につきまして、権限は内閣総理大臣に一元化すると、そういう意見が一部にあるようですけれども、この権限の一元化ということは、逆に民主的な行政の運営に反する場合も考えられると思いますが、その点はどのように考えてみえるか、見解をお伺いしたいと思います。
  112. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどちょっと申し上げましたように、今度立法が終わりますると、早速にその強化地域と申しますか、警戒地域と申しましょうか、そういう地域を指定いたしまして、緊急の場合に対する準備行為に入るわけでございまするが、予知連絡会の従来の御検討の結果を見ますると、非常に予知が緊急的であると思うのですね。予知をしてから一週間後だ、十日後だというようなことでないように受けとめております。もし短時間でということになると、地震が群発した、さあ二時間後、三時間後と、こういうようなことでありまするので、お話のように、総理に権限を付与して、そして、また対策本部でも設けてと、こういうような措置を順序を踏んでとり得るかどうかというところは非常にむずかしい点がございまするので、現在は気象庁の地象情報として、この間はストレートに静岡県に流れて、情報が流れておるわけでございますね。しかし、また、その後の予知情報が異常な混乱を招いたというようなこともございまするが、私としては、緊急性を尊重した迅速的確な予知情報の流れるように配慮しなけりゃならないと、こういうことで、鋭意いま関係省庁との間で、この辺が一番むずかしいところでございます。ずうたいが大きくなって動きにくいということでもいけないし、それかといってあんまり単純な方法にいたしましても、地域住民の御安心が願えないということであってもいけないと、いま苦慮しておるところでございます。
  113. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 その点の伝達の方式がやはり一番問題になるわけでございまして、その点につきまして、いまいろいろ苦慮されているというお話でございますけれども、この特別立法では、そういう気象庁からストレートで各地方自治体に行くのか、あるいは政府部内で一たん吸い上げてそれを流していくのか、その点、問題いろいろと議論されてくると思いますが、大臣としての、政治家としての御意見はいかがでしょうか。
  114. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私としては、実体の伴う的確迅速な報道、しかも、地域住民の安心できる形でいきたいと、こういうことでいま詰めておるところでございまするので、ひとつこの程度できょうのところはお許しをいただきたいと思います。
  115. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 それでは最後に、やはり今回の地震の教訓としまして、先ほど遠藤さんからお話がありましたけれども、大都市周辺にこのような地震が起きた場合には、大変なやはり問題が起きてくるんじゃないかと思います。その点、建設大臣として、国土庁長官としてあるいは災害対策本部長として、これから相当の決意を持って臨まなければならないと思いますが、最後に、長官の大都市災害に対するいろんな決意をお聞きして終わりたいと思います。
  116. 国務大臣(櫻内義雄君)(櫻内義雄)

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御意見は、私として十分心得ていかなきゃならないところでございます。  そこで、東海大地震の予測も立てられるというようなことで、昨年は富士市で相当大規模な演習も試みてみたわけでございますが、ことしも予算通過後に、争い時期に東京などで演習をしてみたい。一番東京で混乱が起きてはいけませんので、そういうような常時努力をすることによりまして市民の皆さんの御理解も得ると。これは今度の地震でも、先ほどからお話が出ますとおりに火災が一件もなかったということは、同時に東海大地震などで住民の皆さんの心構えが相当できておると、地震、さあ火を消すと、こういうようなことであったと、私どもは非常にこの点は相当な訓練が行き届いているなと、こう思っており、また、その結果、訓練の必要性も認めておるわけでございまするので、この災害対策本部の方は伊豆地震に対する本部でございまするけれども、中央防災会議の方では、ちょうどここへ政務次官、防災会議の事務局長が見えられまして、その方で十分なこの緊急時に対する対策を講じてもらおうと、こう思っております。そして、地震立法に伴って、さらに、その地震のごとき緊急の際の措置を講ずると、こんなふうな考え方に立っておるわけでございます。
  117. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) どうも大臣ありがとうございました。
  118. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 それでは、予知連の萩原先生にお尋ねさしていただきます。  連日御苦労さまでございます。今回の伊豆地震のいろいろ警報その他の問題点につきまして、先生の御所見を承っておきたいと思います。  実は、今回の一連の警報その他のことによりまして、静岡県の中に混乱がございました。また、県知事がいわゆる責任者として非常にマスコミ等から批判をされました。その批判をされました要点は、一つは、地震発生一時間前に気象庁から、昭和三十九年の地震よりやや程度の大きい地震があって被害が予想されるから気をつけろという警報、があった。そこで、三十九年の地震というのは静岡県では被害はなかった。どう考えていいかわからなかったが、しかし、ともかくこういうことがあった以上は連絡しなければならないということで、防災無線で連絡はした。それに対して、下田市などはかなり迅速な適応をしたようでありますが、他の市町村では十分な判断もできないうちにあの大地震になった。その場合に、なぜ、圏からちゃんと警報が来たのに、知事はそのように対処しなかったかと非常に批判を受けた。その後において、対策本部の会議に知事が出席をしておったところ、その席上で、これは萩原先生ですかどなたですか、それは私はわかりませんが、まだ余震がかなりあるであろう。四十分の一しか来ておらない。四十分の三十九の余震が心配される。マグニチュード6程度のものはあり得るかもしれない、こういう話があった。知事としては、前段の批判もありましたから、これはもう本当に考えなきゃならないということで、県に帰って、かなり気をつけろということについて指示をしたところ、それが誤り伝えられて、震度六が来る、あるいはきょう夕方五時に来るということになってパニックになった。これも知事が悪い、こういうことに実はなっておるわけでして、これでは自治体の長として、これから国からそういう警報や指示や参考資料があった場合にどう対処していいかわからない、これが実際知事の心境ではなかったかと思うんであります。知事にもあるいは県当局にも、足らざる点はあったかもしれませんが、やはり今後のそのような警報の出し方とか、あるいはまた予知速としてのお仕事の中にも、そうした一つの今回のことを参考にしていただいて、なお今後改善していただくべきは改善していただきたい、かように思っているわけでありますが、決して私は参考人に対して責任をどうとか言うわけじゃございません。非常にお立場が大変でありまして、そのことは十分わかっておりますが、そういう一件もあったということを御参考に申し上げまして、今回のそうした一連の、予知連としておとりになった措置なり警報の出し方なり、いろいろそういった点について御所見がありましたら承っておきたいと思います。
  119. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 十四日に起こりました伊豆大島近海地震、これはまだ非常に正確な値が決まっておりませんが、マグニチュードは大体7ぐらいということになっております。これは十二時過ぎに起こったのでありますが、その日の朝から非常に大島近海で地震が群発いたしまして、この群発地震活動はかなり規模が大きいので、気象庁ではその日の午前に、今回の群発地震規模が大きいので——大島付近では再三群発地震の起こるところでございますが、今回のは規模が大きいので、多少の被害を伴うような地震が起こるかもしれないので御注意くださいと、そういう地震情報を出したわけでございますが、これが伊豆の住民の方々にはよく伝わらなかったようでございます。ところが、ただ大きい地震、多少の被害を起こす程度の地震はあるかもしれないという情報なのでありますが、これは恐らく気象庁地震課の方も、頭の中では大体大島を考えていたのではなかったかと思いますし、私どもも皆そういうふうに考えておりまして、あの大島の群発地震、その後に続いた本震、これが伊豆半島にまでも及ぶ。つまり、あれは東西の断層ができたわけでございますが、この断層の端っこが伊豆半島の内陸にまで及ぶということは考えていなかったのでございます。したがって、これは後から考えますれば、この伊豆の中部では二年ぐらい前から非常に微小地震が群発しておりましたし、土地も相当隆起するという現象はキャッチしておりましたから、後から考えればあの大島付近で起こりました群発地震、これが前兆と考えて、この地震をもう少し大きい範囲で、つまり、伊豆半島内陸までを含めて考えるべきであったのでございますが、そこまでの判断ができなかったわけです。で、それというのは、伊豆大島付近には、再三群発地震がこれまでも起こりまして、昭和になりましても何十回という経験があって皆大事に至らずそのままおさまっているという経験を持っているわけでございます。ただ、では伊豆大島付近の地震がいつもそうかというと必ずしもそうでなくて、過去に明治三十八年とか、あるいは大正十二年の関東大地震の直後の余震のとき、やはりマグニチュード7程度の地震が起こったことはあることはあるのでございます。で、ただしその場合も、皆伊豆半島にはほとんど被害のないような状態であったわけでございます。そういう過去の経験に余りにこだわったこともあるのでございましょうが、どうもだれもが今回の地震、ああいうふうに伊豆半島にまで及んで、稲取の辺に明らかに——主な断層は海の中でございましょうが、その端っこが上陸したと、そういう結果になったわけでございますが、それを私初め予知連の委員の諸君だれもが考え及ばなかったのでございます。そういうわけで、はなはだ残念なことであったわけでございますが、伊豆半島の皆さんは、結果において不意打ちを食ったという形になったのでございます。まあこれは私どもにとって非常に貴重な経験でございまして、将来はこのような経験を大いに生かしたいと考えておるわけでございます。  そういうわけで、本震の前の地震情報、これは県の防災部でも流して、それが余りよく伝わらなかったということでございますけれども、そもそもそういう情報を出す方の側が、やはり考えが大島だけを考えておりまして、伊豆まで及んでなかったと。情報の中には、ただ多少の被害、ある程度の地震が起こるかもしれませんと言って、それが大島とか何とか言っておりませんけれども、やはり余り伊豆ということまでは思い及ばなかったわけでございます。そういうようなこともあって、やはりそれを受けた県の方でも伊豆ということをそれほど重要に考えていなかったことと思います。そういう点で、これが先ほどのお話のように、県知事さんがいろいろ責任を問われておるとしましたら、大変お気の毒だと存じます。  なお、次の地震、それから十八日でございましたか、パニックのようなものを起こしました予知情報の件でございますが、これはどうもマグニチュード6という、余り普通の住民の方には聞きなれないような言葉もあったせいもありますが、マグニチュード6ということが非常に強調された結果、ああいうのが一つだと思いますが、これは十五日の本震のありました翌日、地震予知連絡会では予知を夕方に記者会見をしまして発表いたしましたが、中で、今後余震は半月ぐらい続くであろう、大きいのではひょっとするとマグニチュード6ぐらいのものがあるかもしれないということを談話で述べているわけですが、このときはマグニチュード6ということは、実は余り強調していなかったのでございますが、これが地震対策本部から県庁の方に伝わります場合には、多少、地震予知連絡会が発表いたしました、記者会見いたしましたときに新聞記者諸君に渡しましたメモには、それほど、マグニチュードのことには詳しいことは何も書いておりませんが、どういうわけか、少しばかにマグニチュードを強調したようなメモのようなものが渡されたようでございまして、そこにちょっと行き違いがございます。  そういうわけで、県の対策本部としては、非常にマグニチュード6ということにかなりこだわった情報を県や市町村に伝えたのではないかと私は考えておるのでございます。そしてこのことは、ただ、こういうことをしたということについては、私はそれでよかったのだと思っております。県の対策本部がですね。したがって、そういうわけで、それがああいうような騒ぎを起こす結果になったのでございますけれども、私としては県のとりました処置はあれでよかったと思っております。別に、ことさら県知事さんをかばうわけじゃございませんけれども、たとえば私が知事さんの立場にあり、あるいは県の地震対策課長、仮に私がその立場にあったとしたら、やはり同じことをしたと思っております。  で、そういうわけで、すべて、これはもう気象庁もそうでしょう、地震予知連絡会もそう、それからこちらの国の地震対策本部も県も、全部やはりふなれといいますか、これはもっと訓練しておかなければいけなかったんでしょうが、初めてのことで、非常にそこの間にまたいろいろの行き違い等があった、そしてそういうことになったということで、私としてはどうもそれほど知事さんがとがめられているということは、非常に遺憾であると思っております。
  120. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 わかりました。それで知事も納得するでしょう。  私の持ち時間がありますので、これからの御答弁の方、すいませんが、なるべく簡潔に、二時三十三、四分までしかございません、よろしくお願いいたします。  そこで、いまの萩原参考人のお話で参考になったわけですが、非常にいい勉強になったわけですが、気象庁、ここでひとつ今後ああいう情報などを出す場合、もう少し——地震立法、特別立法ができるまで、まだ日があるわけです。その間のこともあります。ですから、最初のときには大したことなかろう、後はそれがパニック、こうなっているわけですから、その出し方、今後各地方へもし群発地震だ、大地震だ、心配があるぞというときの出し方について、よほどやはり慎重に気をつけてやってもらいたい。答弁を一言。
  121. 説明員(末広重二君)(末広重二)

    説明員末広重二君) 御説明申し上げます。  私ども、今回のこと非常に重大に受けとめておりまして、今後の情報の出し方には十分気をつけてまいりたいと思います。要するにふだんから防災関係、地元住民の方に十分な御理解が得られるよう努力するとともに、情報の内容もわかりやすい、防災に役立ち得るような内容に改めていきたいと思っております。
  122. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 富士宮市に国土環境開発株式会社というのがあります。これミミズを数十億匹飼っております。このミミズがあの地震の当日の午前六時半ごろから異常に群れをなして集まってきて、それが地下へもぐろう、もぐろうというような物すごい運動が起こった、こういうことであります。  委員長にお願いしておきますが、また次の機会に、この国土環境開発株式会社の社長本間さんを参考人として、ぜひこの委員会に呼んでいただいて、その事情を聞いていただきたいと思いますが……。  まあ、その同じような傾向が、静岡県内のミミズを養殖している関係者で七件、同じような時間に同じような異常、全くいままで脅えられなかったような異常な動きをしたということであります。きょうの夕方のわが県の方のテレビ放映でもその実態があるようでございますが、これはやっぱりばかにできないことだと。ナマズの問題もしかり。また、雲の、市長さんがあの予見をしたということもしかり。これはいかにも迷信じみた話のように聞こえるけれども、しかし、現実にこの国土環境開発株式会社に、本間さんのところへ気象庁が、今度ミミズがこんなことで動いたらすぐ知らせてくれということを依頼されているようです。その事実はあるでしょうな。それとまた、そういうことについて、やはりこれはばかにしないでやはり研究していく、そういう必要もあるんじゃないか。また、科学技術庁はこういう問題についてもっと研究促進費みたいなものも、民間委託も考えるべきじゃないかと思うが、その点どうでしょうか。気象庁と科技庁、一言ずつ。
  123. 説明員(末広重二君)(末広重二)

    説明員末広重二君) 御説明申し上げます。私どもこの地震予知技術開発は、国民の皆様の深い御理解を得てこそ初めて進歩すべきものであると思っておりますので、そういった国民の皆様のお寄せくださる情報には謙虚に対処していきたいと思っております。ただ、問題は、どの時点でこれを業務としてやれるところまで状態が進むかということでございますが、こういった動物関係の部門は、予知技術の中でもごく最近手につき始めたところでございまして、その進歩状況とにらみ合わせまして、私ども謙虚に対処していくつもりでございます。
  124. 説明員(清水眞金君)(清水眞金)

    説明員(清水眞金君) 先生御指摘のとおり、過去にいろいろ発生いたしました地震の例を見ますれば、やはり地震発生の直前に動物の挙動等に異常が発生したというような報告は数多くなされておるわけでございます。ただし、現在の地震予知に関する研究観測は、大体国のあるいは大学の地震計、そういうふうな研究が重点に進められておりますけれども、動物の挙動あるいは地下水の変化、そういうふうな民間情報に関しましては、現在まだ基礎的な研究の段階でございます。  現在行われております研究といたしましては、先生がいま御指摘ございましたように、科学技術庁におきまして特別研究促進調整費を用いまして、神奈川県の温泉研究所に一部地下水の観測データに関する民間情報をどういうふうに活用したらいいかというふうなところにつきまして、委託研究を現在実施しております。今後とも、なるべく民間のそういうふうな情報を予知に役立てるにはどうしたらいいかというふうなところにつきまして、特調費等を活用して、研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
  125. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 萩原参考人にもう一言だけ伺いますが、いまのようなそういう現象について、学界筋でもやはり真剣に取り組んでいただいていると思いますが、その評価をこれ簡単に一言だけ。
  126. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 動物の異常な挙動については、いろいろ関心を持っている人もおります。ただ、動物は地震がなくても異常な態度を示すことがあるので、やはりたくさんの数で統計的に実証していきたいと思っております。
  127. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 最後に参考人にもう一言。  伊豆の今回の群発地震は東海大地震には関係なしと、こういうふうに私どもは学界筋から一応承っておる、と、私は認識しております。また、近い将来、東海大地震というようなものが心配されると、たとえば今回のことがあったからというようなことはないと、こういうふうに私どもは伺っておりますが、正しい認識と考えてよろしゅうございますでしょうか。
  128. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 簡単に申します。  大体それでよろしいと思います。なお、隣のできごとでございますから、全く無関係ということはないと思いますが、なお、いろいろ観測によって監視を強めていくつもりでおります。
  129. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 それでは、今度は中外鉱業さんのことについてお尋ねいたします。  通環省に一言だけ伺いますが、もし中外鉱業がなくなっちゃったとしたら、この処理は当然国で行わなければならないと私は思うが、その点どう解釈されますか。
  130. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 結論だけ申し上げますが、鉱業権者がいなくなれば、やはり国がそれに対する措置を講ずる必要があるというふうに考えております。
  131. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 中外鉱業の社長さんにお尋ねいたしますが、おたく様の会社をあれこれ言っちゃまことに申しわけないんですが、私が経理の状況を調べさせていただきますと、大体経理はとんとんと、持越ではやや黒字で、両方の、北海道と島根の方で赤字——ほぼとんとんと、そういう状況であり、なかなか、経営もそんなに楽な状態ではない。それに対して、今回のあの始末に対して、私の仄聞でございますが、ヘドロを揚げたり、穴へ入れたり、上をつくったり、約十億ぐらいの金が最低必要なんじゃないだろうか、こんなふうに思っておりますが、そうした場合にやはり借り入れ等については、先ほどもちょっと一部お話がございましたけれども、やはり相当国の制度融資なり何なり考えないと、会社の存続問題にも影響するんじゃないかというように思いますが、社長の率直な御所見を承りたい。
  132. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) 私の方は非常に中小企業の鉱山でございまして、ただいまも御指摘のように、昨年度はわずかの利益を上げましたんですが、今年の見込みは、非常にいま非鉄金属産業が不況なので、大体わずかばかりの赤字になるんじゃないかというように予想しておりました。ところが、今度の災害がありまして、ただいま御指摘いただいておりますように、上の方の打止堤の強化に約五億三千万円ぐらい、それから鉱滓のどろ揚げの工事に、最終処理までには同じぐらいの金額が、要るように見積られておりますので、私たちは非常に各所に御同情をお願い申し上げているわけでございます。で、私たちは、しかし大ぜいの従業者とともに、何とかこの苦境を一致団結して乗り切りまして会社を存続させたいと思うんでございますが、いま言ったような事情でございますので、所管庁その他、できるだけの物心両面の御支援を賜るよう、ひとつ心からお願いをする次第でございます。
  133. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 金属鉱業事業団、いらっしゃいますか——お尋ねいたしますが、中外鉱業さんからおたく様の方へ、いまのお話のあった処理費等について融資をしてもらいたい、こういう申し入れがあると私は承っておりますが、あるかどうか。審査はいつごろまでかかるか。  なお、これはここで申し上げていいかどうかわかりませんが、先ほどの中小企業者が一生懸命になってヘドロ処理やっておりますが、その支払い条件は三月二十日に終わって、それ以後一カ月以内に必ず払うと、こういうことの約束を中外さんはしています。もしそれができなかったら、今度は三島の建設業の四十軒の人がみんな倒れます。こういう実は状況になっておる。それに対して通産省さんの方でも、これについてはひとつ責任を持ちますという文書じゃないですけれども、それに近いような文書を静岡県知事に渡した。渡したから知事も責任持ってやってくれということでいま鋭意やっています。こういう状態の中ですから、これはもう本当に融資の問題についてひとつ真剣に考えていただかないと、全部の人が因ります、これ。その点について伺いたいのと、それからこれはヘドロ処理だけで、上の方の築堤についてはまだその限りにあらずのようですが、やはりこれも含めて早急にやはり結論を出してやっていただかなければならぬと思うが、いかがでございますか。
  134. 参考人(平塚保明君)(平塚保明)

    参考人平塚保明君) ただいまの先生の御質問に対してお答え申し上げます。  先ほど先生からも御指摘があり、また長野社長からもお話しがありましたように、なかなか容易ならぬことであると私は存じておりまするが、この融資の問題につきましては、先刻、書面で正式に申し入れを受けました。ただいま鋭意審議中でございます。いつ幾日金を払うかということは、ただいま審議中でございまするから、日にちをはっきりは申し上げられませんが、できる、だけ早くいたしたいと考えております。  なお、この機会に一言だけつけ加えて申し上げておきまするが、私どもの事業団では、探鉱とか備蓄とか、そういう融資のほかに、この鉱害の融資をいたしておりまするが、これは鉱山の開発によって起こるであろうという鉱害防止に対しての融資をいたしておるんでありまして、数字的に申し上げますと、大企業に対しては七割、中小に対しては八割融資いたします。また、この金利も、大企業に対しては五%、中小に対しては三・五%の金利を取りますが、中外鉱業は千人以下の企業でございまするから、当然三・五%で八割の融資をいたします。また、この返済は、二年据え置きの十五年均等返済ということに相なっておりますので、あわせて申し上げておきます。
  135. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 通産省にお尋ねいたしますが、ただいまの的確な事業団のお話がありましたが、担保問題とか、その他いろいろなことがあると思います。また、いまの会社の状況でいまの返済できるかどうか、これ非常に疑問ですが、とりあえずは、ともかく担保の問題等で突き当たるおそれもあります。私は先ほど遠藤理事からお話しがあったことは非常に適切だと、これはもうこういう中小企業の社長さんが夜も寝ずに一生懸命になって自分の責任を果たそうとして努力している。これに対してやはり国の方は、六月に事故究明委員会があるまでははっきり責任がわからぬとおっしゃるが、現に通産省さんではちゃんとはんこ押して検査してよろしゅうございますとやっている。もちろん会社は会社なりの無過失責任もあるでしょう。しかし、同じ法律に、いわゆる天変地異の場合はその限りにあらずという酌量条項もあるんです、ちゃんと。こういうことを考えたら、通産省さんは、少なくともこのヘドロや関係の向こうの鉱害防止に会社が真剣に当たることに対して、きちんとやはり融資についてめんどう見るべきだ、担保等についてもきちんとやはり特別な扱いなりするべきだと思うが、監督当局にそのことを伺いたい。
  136. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 御趣旨のとおりと思います。われわれも懸命になっていま努力をいたしておりますので、この応急対策が完全に実施され、かつ、会社も存続するという形で問題の解決に当たりたいと思っております。
  137. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 それでは、伊豆急さんのことについて伺いますが、先ほど、午前中、青木委員からお話しがあった補助金問題は、過去に法例によって島原鉄道、土佐電鉄、各一千万ずつ出ているようであります。これが出れば、なお言うことはないと思いますけれども、なかなかこの事業の資本金とか会社の規模、伊豆急はかなり大きい。そういう面等からいって、なかなかこの補助金はむずかしいかもしらぬが、少なくとも三十六億の売り上げで、今度の事故で六億売り上げが減少すると聞いています。そしてトンネルやその他の災害復旧に十億かかったら、この会社の行く末はどうなるかということも、これまた非常に重大な問題です。少なくとも政府関係の金融機関等を通じて、このトンネルの速やかな開通のために運輸省は全力を挙げてひとつこれは応援すべきだと思うが、いかがですか。
  138. 説明員(土坂泰敏君)(土坂泰敏)

    説明員(土坂泰敏君) いま御指摘のありました伊豆急の復旧の費用でございますが、現時点でまだ確定しておりませんが、来週の初めには確定する見通しでございます。それが確定いたしまして、会社から要請があれば、必要な資金の調達ができますように、政府関係の融資も含めて運輸省として努力をしたい、こういうふうに思っております。
  139. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 あわせて運輸省に指導について伺いたいが、この伊豆急さんのところで今度やられたのは、ほかの人の山から石っころが落っこってきてみんなやられちゃっているんですよ。そうすると、いまの法律では、人様の山でも石っころが落っこちてきそう、だったら伊豆急が全部直せとなっていますが、そんな、あの伊豆の山で全部直したら気絶しちゃいますよ。ですから、やっぱりこういう問題についてそういう落石等が起こらないような形を、たとえば建設省の公団の近くの道路なら、そこにあるものであるならば国の方でとか、民間なら民間でそれなりに措置してやるように、鉄道の安全を確保できるような措置というものも当然運輸省で指導すべきだ。また、たとえば山が坊主だったりするからおかしくなる。たとえば植林をするなら、森林法に基づいて国で、県で補助があって植林もできるはずです。こういうことをやって鉄道が安全に通れるように、伊豆急ばかりに責任を持たすんじゃなくて、指導監督機関として適切な各役所との連係もとってあげるべきだと思うが、その点についてどうですか。
  140. 説明員(土坂泰敏君)(土坂泰敏)

    説明員(土坂泰敏君) 復旧工事の一部を他の主体に負担してもらうことができるかということでございますが、これは公共事業の施行主体その他いろいろ関係するところが多いものでございますから、そういう方面と、御指摘を踏まえて今後相談をさせていただきたいと思っております。
  141. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 それでは個々の問題に入りますが、大蔵省にまず伺います。  中小企業の対策で、いま旅館関係の人で一番熱望していることは、先ほど勝又委員からもお話しのように、もう何回も借金していましてね、これ以上借金しても借金返す見通しがない。そこで、ささやかだけれども銀行へ自分が預金している預金を、定期的な預金をこの際ひとつ非常時払いだから払い出したい。それは、まあ決していまはもう何といいますか、歩積み両建てというのはないことになっているんですから、だから、それは自由じゃないかとおっしゃるかもしらぬが、中小企業者が銀行へ行ったときの気持ちをわかってください。だから、大蔵省さんは、こういう非常時だからひとつ旅館関係の中小で持っている定期的な預金についてはひとつ有無を言わさずに出してやりなさい、こういう指導を約確にすべきだ、まずそう思うが、その点はいかがですか。
  142. 説明員(石川周君)(石川周)

    説明員(石川周君) 先生御指摘の点は、いわゆるにらみ預金の問題かと存じますが、これは災害がなくてもそういうことのないようにその自粛、整理につきましては、厳に措辞をしているところでございます。もし御指摘の点があるようなことがございますると、これははなはだ遺憾に存じます。私どもといたしましては十分な指導をしていきたいと思っております。  なお、災害の場合のその金融措置につきましては、定期預金の期限前払い戻しあるいはそのほかのいろいろな臨機の措置につきましては、かねてから指示しておるところでございまして、御不便のないように十分配意したつもりでございます。
  143. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 あったのではありませんから、どうぞ銀行を余りしからないでくださいよ。これから行くときに羽織はかまで行かにゃならぬので、それをひとつ文書か何かで、そんなに気を使わなくても大蔵省からちゃんとこういう愛情ある一札がきているからどんどん出してやる、こういうことでいけるようにしてやってくれ、こういう意味ですから。  それから、税制についても先ほど青木委員からお話がありました。適切な御意見だと思います。もちろん、いろんな各種の税金について減免あるいはまた延納その他考えてあげるべきは当然だと思いますが、そのほかに、当面確定申告がもうこの二月十五日から実は始まるんです。いま道路も鉄道も何も通ってないんです。確定申告どころの騒ぎじゃない。その日の飯も食えない状態。だから、当然確定申告の申告などは、この伊豆災害地域についてはこれは延期すると、一月なり二月なり延期すると、これが当然だと思うし、視察に行ったときもそういう要望がありましたが、これは大蔵省いかがですか。国税庁。
  144. 説明員(掃部實君)(掃部實)

    説明員(掃部實君) お答えいたします。  国税通則法第十一条におきまして、災害その他によりまして——申告、申請、納税について期限が設けられておりますが、その期限について、災害のために申告を延期するという制度ができておるわけです。その延期の規定と申しますのは、災害がやんだ日から二カ月以内の範囲内で期限を延長することができるというふうに通則法で規定しておりますので、最大限である二カ月間を限って延期するという措置をすでにとっておるわけでございます。  本年の確定申告は、御案内のように二月の十六日から三月十五日というふうになっておりますが、三月三十一日までの間に出していただければよろしいということになっておりまして、一番災害の大きかった二町村につきまして、そういう告示も現に出しておるところでございます。
  145. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 それでは二週間しか延びませんのでね、やっぱりもうちょっと延ばしていただきたいんです、現状は。そこをひとつまあ申し上げるだけ申し上げておきます。  中小企業庁で、先ほど勝又委員からお話がありましたこと大事でございます。既往貸付分について、ひとつこれは当然一年じゃない三年、少なくとも五年、やはりこう猶予をすべきです。また、いままで借りておったから、今度新しく激甚で金借りるけど、たとえば一千万枠があったと、いままで七百万借りてたから、あんた残り三百万しかだめだと言われたんじゃ困ります。それについて、ひとつ連続災害であるという特殊性を考えて、ひとつ特別な扱いをしていただきたい。具体的にどう対処されるか伺います。
  146. 説明員(松尾成美君)(松尾成美)

    説明員(松尾成美君) 中小企業金融対策についてのお尋ねでございますが、まず、第一点の返済猶予でございます。この点につきましては、さしあたり、たとえば国民金融公庫でございますと一年、それから中小公庫で代理貸しの場合では六カ月ということで、返済猶予をすでに行っておると思います。これは実は支店長限り、あるいは代理店限りでできる期間というのは、とりあえずそういうふうに決まっておりますので、そこでやっておりますけれども、一年ぽっきりということではございません。実情に応じてそれを延ばすということは、私どもとしてはやれることになっております。また、やるように指導してまいります。  それから、第二点の新規の貸し付けでございますが、これは災害の特別貸し付けと言っておりますが、国民金融公庫でございますと四百万、中小企業金融公庫でございますと三千万円という別枠の融資をやっておりますが、これは災害ごとに別枠ということで考えておりますので、従来の貸し付けがあったからといって、この別枠を借りられないということはないという形になっております。御指摘のような点がありますと問題がありますが、再度徹底することにいたしたいと思います。
  147. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 激甚の指定については、中小企業庁の場合は当然当該の二つの地域だけじゃなくて、もう本当に火の消えている伊豆ほとんど全域について——全域と言っちゃ言葉がオーバー過ぎるかもしれませんが、   〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕 要するに、今回の道路の途絶、観光客が全然来ない、こういったような事実上もう死の町と化している他の町村に対しても、当然適用を拡大する、こう解釈してよろしゅうございますね。
  148. 説明員(松尾成美君)(松尾成美)

    説明員(松尾成美君) 激甚災害につきましては、これは現在の激甚災害法、それから、それについての激甚災害の指定基準がございますが、これに照らして私ども検討しているわけでございます。まあ、それぞれの被害状況をいま県の方から出していただきましてやっておりますが、その被害の著しい地域に限ってやるということになってまいりますので、伊豆全域という形にはちょっとならない。被害を特に著しく集中的に受けているところについては取り上げるということで、今月内に結論を出すことを目途に、いま鋭意作業を進めております。
  149. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 その著しく被害というところの被害が、ただかわらが落ちたとか、うちが壊れたというところだけが被害じゃないということをよく御認識でお願いしたい。答弁は結構です。  それから、雇用問題について労働省にお尋ねいたします。  いま千八百名ぐらい離職者が出ておるようでございますが、適切にやっていただいているようであります。ただ、困る問題は、出かせぎなんかで二、三カ月前に来た。地震が来た。もう商売もやれない。首にしたいが、首になってくにへ帰ると雪で仕事ができない。そこで失業保険というと、半年以上ないとだめということで、帰るに帰れず、事業主も給料払えば自分がこうなるというようなことで困っているんです。これについては、やっぱり何とかして労働省で対策を講ずるべきだと思います。もちろん、これは県や市町村も関係あるでしょう。有珠山の問題も聞いています。しかし、やはりこれは前向きに考えるべきです、こういう問題は。地震というような問題でね。  それからもう一点は、雇用調整給付金の場合の、法にいう経済の著しい低下といいますか、その悪化といいますか、これは鉄道がとまり道路がとまり、一般車両も全然入れなくて死の町と化しているのは、法解釈で当然この経済の著しい低下に入りませんか。どうです。これが入らないような雇用調整給付金の制度なら、これは直ちに改正すべきだ。どうですか。
  150. 説明員(望月三郎君)(望月三郎)

    説明員(望月三郎君) 二点の御指摘でございますが、まあ旅館等に働きます出かせぎ労働者が、確かに御指摘のとおり、数十名ございます。この点につきましては、静岡県の報告を聞いておりますと、東伊豆町に数十名ございます。その数は、正確には四十五名いま把握しておりますが、皆さん、おっしゃるとおり、被保険者期間が要件に満たないということでございますので、その方々に対しまして細かな就職相談ということを安定所が集中的にやっております。そういった状態で、いまのところは事業主が抱えていこうという態勢になっておりますので、それをしばらく見守りたいと思います。  それから、後段の御指摘の点でございますが、これは、実は立法時に景気の変動その他経済上の理由によりということで、非常に問題意識を強く持って法律をつくった経緯がございます。これは昨年の不況業種の離職者法におきましても、これは議員立法でございましたが、その点をまた踏襲いたしまして立法がされておりますので、解釈上はちょっと無理だということでございまして、非常に問題はあろうかと思いますが、現行法ではちょっと無理であるというようにお答えせざるを得ないと思います。よろしく御了承のほどを願います。
  151. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 政務次官、お聞きのとおりでございますがね、これは本当に法の解釈によって、こうやってもう生活の心配をしている人たちを救えるんです。それが法解釈ができないなら、やっぱりこれは現在適用できないというなら、それはひとつ対策本部の事務局長として改正すべきだ、こういうことでやはり政治的にも大いに活動していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  152. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) ただいまの質問は、非常に現実問題としてはやっぱり先生のおっしゃるとおりだと思います。しかし、国全体からこう考えてまいりますと、非常にその経済低下であるということも認められまするが、前段にありましたその国際的な経済問題等々をにらみ合わせて、そうした関係におけるところの不況業種指定といったような法律もできておるやさきでありますので、そうした点とにらみ合わせながら、こういうようなことはそう再々あってはなりませんし、またあるべきでないと私どもは念じておりますから、特別にひとつ激甚地を指定しながら、そうした融資関係を考えてみたいと思っております。それについては、いま役所側、政府側から答弁いたしましたように、十分検討いたしていきたいと思いますので、御了解をいただきたいと思います。
  153. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 いま、伊豆で一番困っているのはお客さんが来ないことです。だから、いま宴会でも申し込んでいただければ、本当神様のように思うんですが、なかなか来ていただけない。そこで、町を挙げて地域を挙げて観光対策に取り組んでおりますが、運輸省の観光部にお尋ねしたいのは、有珠山の例もあるようですけれども、ひとつ地域のそうした観光関係の者、旅行者、県、打ち合わせをして、国としてもひとつもう当面地震は心配ない、伊豆はいいところだと、こういうことでひとつうんと宣伝、PRを観光部でやっていただきたい。いかがですか。
  154. 説明員(小池公隆君)(小池公隆)

    説明員(小池公隆君) お答えいたします。  大地震によりまして確かに現地のホテルあるいは旅館、こういったところが大きな被害を受けましたために、それ以来観光客が途絶している。こういう現状につきまして、私ども観光行政に携わる者としても非常に憂慮しているところでございます。  御指摘のような観光客の誘致でございますけれども、これにつきましては、やはり何と申しましても、まず、現在のところは交通機関の回復、これが肝要かと思うわけですが、そういった体制の整い次第現地等におきましてもいろいろ観光客誘致のためのキャンペーン、こういったものが行われている模様ですが、私どもといたしましても、そういう地元方々あるいは地方公共団体とか観光連盟とか、いろいろあると思いますが、そういう方々と十分御相談の上、その内容等につきまして、われわれ監督しております旅行業者等について徹底する。あるいは参加を呼びかけると、そういったことをできる限り援助していきたい、こう考えております。
  155. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 自治省にお尋ねいたしますが、関係市町村で今回やはり予期しないああいうことによって、大変な非常支出がたくさんありました。これについては、やはり町としては特交の期待、それからまた、あるいはそうしたいろんな事業をやらなきゃならないので、そういう財政窮迫の中だから地方債等についての特例措置、そういうものもとってもらいたい、切なる願いです。まあ特交については何か三月ぐらいにかなり心配もしていただけるようにも聞いておりますが、これらの十分な措置、こういうことについてひとつお考えを承っておきたい。
  156. 説明員(千葉武君)(千葉武)

    説明員(千葉武君) 今回の地震によります地方団体におきます災害救助、あるいは災害応急対策に要します経費につきましては、先生御指摘の三月分の特別交付税の配分において十分配慮をいたしたいと、かように考えております。  また、公共土木施設などの災害復旧事業費、これらの地方負担額などにつきましても、地方債におきまして十分な処置を講じたいと、かように考えております。
  157. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 農林省に伺います。  今度の農林災害はどうも普通の水害なんかと比べて査定もなかなかやりにくいと、こういろんな条件とか基準がむずかしいと、したがって激甚についてどうかなというような首をかしげているといいますが、これは大変実は農民心配しています。これはやっぱりそれこそさっきのお話じゃないが、基準を改定しても激甚指定してもらわなきゃならぬが、そういう心配はないでしょうなということを一点伺います。
  158. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) 激甚災害の指定の問題につきましては、国土庁の方で統一的に検討されておりますので、それに従うことになろうかと思います。  また、査定の問題は、けさほど申し上げましたように、地震災害であるからといいまして特に差別することはございません。地震の場合には、被害が斜面でありますとか、のり面に集中するとかいうふうに、被害が一般には小さく出るというようなことはあろうかと思いますが、そういうことで差別はしておりませんので御了承いただきたいと思います。
  159. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 現状は差別はできないでしょうが、やがてはやはり地震という特殊な事情によって考えいただかなきゃならぬ時代が来るんじゃないかと思います。  漁港関係につきましても、鋭意整備を進めていただいておりますが、稲取の離岸堤その他いろいろ早急にやらなきゃならぬこと、あるいはあそこは港湾がありません。したがって、漁港だけで万一の避難、こういう体制も整えていかなきゃなりません。総括的にだけ申し上げますが、十分に対策を検討していただき、そうした避難等の緊急の場合等についての研究も怠っていただきたくない。なお、場合によっては運輸省の港湾との打ち合わせも必要かもしれない。そういう、面で十分な配慮を願いたいが、一言だけ伺います。
  160. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) 漁港につきましては、本来的にはやはり漁業生産あるいは漁業流通等、漁業活動のためにつくるものでございますから、その必要な規模を超えてまでは整備をすることはできないと思いますが、漁港としての範囲におきましては、十分避難港としても利用できるよう配慮してまいりたいと思います。先生御指摘の点を十分今後配慮してまいりたいと思います。
  161. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 駿河湾のハマチについては、十分検査していただいてて心配がないと、こういうふうに承っておりますが、間違いがないか。この前の地震で、伊豆一帯の豊富なお魚が地震でびっくりしてどこかへ逃げちゃったと、こういうことはないと思うし、また、そういう検査もしていただいているようですが、そのことについて承りたい。
  162. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) ただいま御指摘のハマチにつきましては、県からの報告等につきましても、現在のところ被害は出ておりません。特に水質につきましては継続的に、私ども県に委託をいたしまして調査をしておりますので、現状では特に問題は生じていないと考えております。
  163. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 建設省に、先ほど大臣に総括的に伺いましたが、伊豆の背骨道路、ずばっとした道路、こういうものについて計画を進めていただいていると思いますが、それについての考え方。
  164. 説明員(渡辺修自君)(渡辺修自)

    説明員渡辺修自君) この前の雨の被害のときも申し上げたわけでございまして、本当にたびたびで申しわけございませんが、交通網の確保は、まさに先生の御指摘のとおり、非常に重要でございます。私どもこれから災害復旧にかかるわけでございますけれども、土木研究所の専門家等も地震後直ちに派遣しておりますが、そういった専門家のアドバイスも得ながら、地震に強い道路をつくるよう適切な措置をとってまいりたいと考えております。
  165. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 住宅公庫関係で建設省に伺います。  私は、地震特枠を設けるべきだということを従来から主張しております。住宅公庫の中に、まだ地震のための補修とか補強費とかいう項目がないとすれば遺憾ですが、早急にこれは考えていただくべきだ。あるいはまた、災害住宅の貸付限度の引き上げ、利率の問題、償還年限等について、これは今回の地震等をいい教訓にして、先ほど遠藤理事のお話のように、そういう地域についてはこういう条件にするということを考えるべきだと思うが、総括していかがですか。
  166. 説明員(川合宏之君)(川合宏之)

    説明員(川合宏之君) お答えいたします。  まず、貸付限度額の引き上げにつきましては、従来から努力いたしてきたところでありますけれども、昨年、五十二年十月に引き上げを行ったという経緯もあり、非常に困難とは思いますが、今後とも、財政事情あるいは他の制度との均衡などを勘案しながら、御趣旨の線に沿いまして、最大の努力をいたしたいと脅えております。  それから、地震の特枠につきましては、現在特枠は設けておりませんが、従来から、災害復興住宅につきましては抽せんを行わないで、審査だけで貸すような方式にいたしておりますので、実質上被災者の方に御迷惑のかからないような方式を今後とも続けてまいりたいと思います。  それともう一点、災害が起きてからじゃなくて、事前に住宅を補強するための努力もいたすべきであるという御意見のように承りましたが、この点は全くおっしゃるとおりでありまして、現在の災害復興住宅では、もちろん災害が起きてからの制度でありまするけれども、現行の制度の中で住宅の改良に対する貸し付けの制度がありますので、その制度を活用いたしまして、御趣旨の線に沿って努力をいたしたいと思います。
  167. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 建設省、二言だけ。  今度、相当たくさんかわらが落ちたりこうなりましたからね、相当県の方で枠の申し込み等があると思いますが、それには十分対応していただけますね。
  168. 説明員(川合宏之君)(川合宏之)

    説明員(川合宏之君) 御趣旨のようにいたします。
  169. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 それでは科学技術庁。  今回の地震を踏まえて、いろいろ将来に向かって予算面あるいは組織面、いろんな面で反省したり、あるいはもっと前向きに五十三年度の予算以上に取らにゃいかぬと、こういうようなものもあると思います。地震事官庁として御所見を伺いたい。
  170. 説明員(清水眞金君)(清水眞金)

    説明員(清水眞金君) 地震につきましては、御指摘のように、いろいろまだ問題があるわけでございますけれども、まず一番問題だと思いますのは、地震予知技術というものがいまだ確立していないというところであると思っております。したがいまして、そういうふうな地震の予知技術を確立するために、研究観測、そういうものを一層強化して行う必要があるというふうに考えておるわけでございます。それから、したがいまして、そういうふうな研究観測につきまして、測地学審議会の建議の線に沿いまして、今後とも一層の充実を図っていく必要がある。それからさらに、データの集中等を進める必要があるのではないかというふうに考えております。  さらに敷衍いたしますと、いわゆる地震予知推進するための体制の問題でございますけれども、これは将来の問題といたしまして、学識経験者あるいは政府部内におきまして十分に審議を尽くして、しかるべき体制のあり方を考えていきたいというふうに考えております。
  171. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 では、あと五分でございますから、最後に、ちょっと前に戻って恐縮ですが、持越鉱山の鉱滓の処理のことに関連をして、もう一度通産省に伺います。  とりあえず、いまあるものをとめたり工事をしたりすることはよくわかりました。しかし将来の鉱滓の処理、これについてやはりああいう高いところにああいう物を置くことはどうかと、これは衆議院でもあったと思いますがね。これはやっぱり伺うと、全国的に通達も出して云々と伺いますが、やはりこれはいまの中外鉱業さんだけじゃなくて全国の問題ですよ。やっぱり本当にこれは考えていただかなきゃ。恥ずかしいけど私もああいう山の上にああいうものがあるとは知らなかった、これは私も非常に反省しておりますが。ですから、通産省さんの方で、おたくだけ知ってて楽しんだというわけじゃないでしょうけれども、しかしやっぱりこれからはしかるべきところへ——ああいう災害の起きないことを十二分に考えて処理の方法について指導すべきだ、また対策を早急にやるべきだと思うがどうですか。
  172. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 御指摘のとおり、鉱滓の堆積について今後いろいろ考えるべき点がございます。ことに、伊豆のような地震について心配のされる地域についてはどうであるかという問題もございます。したがいまして、これについては事故調査委員会の結果を見まして基準の改定その他を考えたいと思っておりますが、今後、従来以上に安全性について考慮を密にいたしまして検討して、必要があれば基準の改定ということもやっていきたいというように考えております。
  173. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 これは余り長期に検討されても困るんですね。少なくとも今年度中くらいには結論を出して、やはり改正すべきは改正する。そして通達も出す、あるいは指導もする、こういうやはり毅然とした態度でいっていただかないと、第二、第三の持越問題が起こったら大変です。もう一度伺いたい。
  174. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 結論につきましては、なるべく早く委員会の方に出していただくようにお願いしておりますが、ただ、やはり調査の内容といたしましては、具体的に何本かボーリングをいたしましてその地質を調べるというような作業もございますので、その点の若干の時間をいただきたいと思います。なお、検討の過程で、こういうことをした方がいいというようなことが中間的にもわかりましたならば、その中間的措置だけでも何とかやらすというようなことも考えたいというふうに思っております。
  175. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 先ほど青木委員の質問の中で、中外さんの刑事責任についての調査も行われているように伺いましたが、逆に、国の問題も含め、事故原因究明委員会の結論が六月ごろに出ると伺っておりますが、もっと早く出ないもんでしょうか。あるいはまた、六月に出るんですか。どのように、もし出たらどうするんですか。
  176. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) いま申し上げましたとおり、委員会の先生方が現地へ行っていただきまして、いろいろ、こういう点の試料をとるべきではないかというような、いろいろな御意見を承りました。したがいまして、その試料をいま急いで集めているところでございますが、その試料の中には、具体的にボーリングその他をやって試料を採取しなきゃいけないという問題もございますので、その検討の時間だけはいただきたいと思います。そして試料が整った上は、なるべく早く結論を出していただくようにお願いをしたいというふうにお願いをしておりますし、そういうことに進めていきたいということでございます。そして委員会の結論が出ましたならば、その上で、その結論を考えて今後の監督体制の強化その他を図りたいということでございます。
  177. 戸塚進也君(戸塚進也)

    戸塚進也君 ちょうど時間が来ましたから、防衛庁さんを呼んでおきましたが、ここで防衛庁さんに——いますか。  今回の非常出動といいますか、災害救助、本当に御苦労さんでした。非常に地域住民喜ばれまして、もう町長さんたちは、あなた方が来てくれなかったら、防衛庁が来てくれなかったらどうしていいかわからなかった、本当にありがたかったと言って感謝しています。で、われわれも現地へ行ってその姿を見てきました。私は、去年も指摘しましたが、ああして夜中までずっと働いても自衛官さんは一銭の超過勤務もない、夜勤手当もない、ああいう危ないことやるから——あたりまえだという話ですけれども、あたりまえじゃ済まないんじゃないでしょうか。よくひとつ防衛庁さんの方でも、本当によくやっていただく自衛官の方に対してそれ相当に報いられるように善後処置を講じていただきたい、重ねて要望いたしておきます。  最後に、中外の社長さんにお願いとそれから御注意を申し上げますが、おたくの会社も、もちろん従業員の方も含めて今後も存続していっていただかなきやならぬ。しかし、やはり起こしたことに対する責任というものについては十分に認識をして、いろんな工事については万全遺憾なきを期していただかなきやならぬ。その中でも上の方の工事については、三月末までには一応仮にはできるそうですが、五月末にならないと完全にはならぬというようなことも聞いております。これは工法的にもやむを得ぬかもしれません。しかし、少なくとも一刻も早くあの完全な復旧ということについて、会社を挙げて最も努力していただくべきだと、御注意と同時に、最後にその御決意を承っておきたいと思います。
  178. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) ただいまは御注意大変ありがとうございました。私たちも、先ほど申しましたように、上の汗止堤を強化するということと、下の鉱滓を揚げるということにただいま全力を注いでおりまして、お役所の方からもいろいろな融資のごあっせんもいただきまして一日も早くやるように努力いたしますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  179. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 第一に、先ほど大臣にも御質問をいたしましたが、激甚指定の問題と、それからこの融資、特に返済の猶予の点につきましては大臣からもお聞きをし、先ほど関連して御答弁もありましたから、なお一層関係の各省庁で、この問題についてはぜひ前向きに努力をしてもらいますように御要望をして、時間の関係でこの激甚指定、それから融資の問題については終わりたいと思います。  二番目にお聞きをしたい点は、当面の緊急措置であります。  過日の新聞の報道によりましても、稲取を中心にしまして、伊豆半島内での伸び縮み、上下変動、これがまさに明らかに報告されているのでありまして、北側では十七・一センチメートルの地盤沈降、南側で三センチメートルの隆起、あるいは白田から逆川までは四十センチメートル伸び、逆川から梨本までは逆に三十六センチメートル縮んでいる。こういう状況なり、各面における地震亀裂なり、断層の発見なり、再三再四の水害、それから地震、これにかかわって、何かやはり災害復旧は当面の雨季を控えて、ぜひ、急ぐものは緊急にやはり急いでもらうという態勢が、これは特に対策本部として重要だと思いますが、この点についてどういうように対処されているのか、承りたい。
  180. 説明員(井沢健二君)(井沢健二)

    説明員(井沢健二君) 建設省防災課長でございますが、現在、まず道路の緊急的な復旧に全力を挙げておりまして、これが大体十五、六日ごろにはおおむね幹線道路は開通という現状になります。  それと同時に、約百億に上ります災害復旧事業の査定を始めることになっておりまして、現在、非常に大変なものでございますから、県の職員がかなり応援に現地へ入っておりまして、さらに私どもの方の土木研究所であるとかあるいは国土地理院、そういうふうな研究グループも現地に行っていただきまして、現地のそういう断層の問題とか、地質の問題とか、そういうふうな問題を加味しながら構造の問題をいろいろ検討いたしておりまして、重要な問題につきましては本省に持ってきていただきまして、私どもあるいは道路局の各課、そういうふうなところで現在打ち合わせをしながら査定の準備を進めております。そんなふうにいたしまして、二月ないし三月の初めには大体の査定を終了いたしたいというふうに考えております。  今年度、県の事業能力のある限りの予算をつけたいというふうなことで、大蔵省と当局と折衝いたしたいというふうに考えておりますが、時間がございませんので、そんなにたくさんの事業はできぬわけでございますけれども、引き続きまして雨季までにはそういう非常に危ないようなところの補強であるとか、あるいはそういう緊急を要するようなところを先にするというふうな、そういう対策をとってまいりたいというふうに考えております。
  181. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 次に、学校その他公共施設についてお伺いをいたしますが、今回の復旧の事業に伴います地方財政の圧迫、こういう観点から、特に市町村関係の負担分、この点についての、五十二年度の交付税で配分するように、ぜひ最善の努力をしてほしいんですが、これは自治省にお聞きをいたします。  なお、学校の復旧事業に関しまして、市町村から文部省に申請があれば速やかに査定していただいて、同時にその査定が、市町村は持ち出さなくてもいいような、十分この復旧ができるような御配慮を文部省側にもお願いしたいと思いますが、この点についていかがでしょうか。
  182. 説明員(千葉武君)(千葉武)

    説明員(千葉武君) 市町村におきます学校等の公共施設災害復旧事業につきましては、国のいわゆる被害査定、これがまず行われまして、それに伴います国庫補助金の交付があるわけでございます。私どもといたしましては、それの裏負担、国庫補助金に伴います地方負担額につきまして地方債を充当いたしまして、その地方債は後年度の地方団体の負担になりますので、その地方債の元利償還金については普通交付税の中で処置をしてまいる、かような仕組みになっておりまして、地方団体には迷惑を、財政的な負担をかけないような仕組みにいたしております。  なお、災害救助、災害応急対策などの問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、特別交付税で十分配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  183. 説明員(倉地克次君)(倉地克次)

    説明員(倉地克次君) 私ども、市町村から事業計画書が大体二月の十七日ごろに出てくると予定しているわけでございまして、その後早速現地に入りまして査定などのことを行いたいというふうに考えておる次第でございます。  それから査定の点でございますが、私ども公立学校施設災害復旧費国庫負担法という法律に基づきまして、大蔵省の担当官と共同して現地において事業計画を確認し、その費用を確定する次第でございますが、これまで長年大蔵省の担当官と協議してそれを行っている次第でございます。これまでの幾つかの災害に当たりましても、私どもとしては適正に査定をしてまいったと考えておる次第でございますが、今回の災害につきましても、十分適正に行うよう心がけてまいりたいと、かように考えております。
  184. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 特に、学校というのは災害時の避難場所に、避難個所に指定されているのが非常に多いと思います。そういう意味で考えてみますと、特に今回の場合も自衛隊の駐留、こういう事態もございますし、そういう意味で、やはり災害対策という観点からも、日常的に照明設備とかあるいはそういう点での配慮、こういうような点についても考えておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  185. 説明員(倉地克次君)(倉地克次)

    説明員(倉地克次君) 私ども災害対策といたしましては、学校を、まず第一に危険な校舎についてはこれを健全な鉄筋校舎にするということでやっているわけでございまして、そういった観点から、五十三年度におきましては約二百万平米の予算を計上いたしまして、五十二年の第二次補正を含めますと、前年度の当初と比べまして約二倍の事業量の拡大を行って、そうした危険校舎の一掃に努力している次第でございます。先生のいまお話のありました照明施設そのものにつきましては、私ども格段の措置はしていないわけでございますけれども、そういったものが建物の一部分として設置される場合には、建物の建築費の一部として私どもとしては考えてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  186. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 東伊豆町、河津町等の特に幼稚園、保育園、小学校、中学、こういう児童生徒がまだ青年に達していない、そういういわゆる義務教育諸学校等を見ますと、校舎の被害状況は、非常に亀裂が多くて安心して授業をしていられない、こういうことを直接教員が訴えているわけです。やっぱりこれは私は教育活動の面からいって非常に大きな問題じゃないかと思います。   〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕 それから地盤沈下を起こして校舎がゆがんでいるという、そういう状況がございます。これは鉄筋の場合にもありますし、木造の場合にもあります。あるいは基礎と土台とがもう何と言うんでしょうか、大きな、十センチぐらいのすき間が生じてしまっているという小学校、あるいは地割れや亀裂に不安を、動揺を感ずる中学、こういうのが幾つかあるわけですね。しかも伊豆一帯は、さっき御答弁もありましたけれども、実は木造の校舎が多いんです。これは私はよく現地を回りますから一番よくわかっているんですが、そうならば、少なくとも緊急対策として、伊豆一帯の木造校舎を本年度全部鉄筋にするという御計画、英断はございませんか。
  187. 説明員(倉地克次君)(倉地克次)

    説明員(倉地克次君) 私ども、先ほど申し上げましたように約二倍の事業量をもちまして、五十三年度におきましては危険校舎を相当規模において改築したいという計画を持っている次第でございます。その中の一つといたしまして、これまで耐力度検査というものがございまして、四千五百点未満の校舎につきまして鉄筋改築を行っていた次第でございますが、五十三年度におきましてはこれを約千点引き上げまして、原則的には五千五百点、特に地震の多発地帯などにおきましては、六千点近くまでの校舎について改築をしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。こういった措置によりまして、地震などの際に危険を感ずるような建物につきましては、私ども改築に努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  188. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 そうすると、くどいようですけれども、いまの点は、伊豆一帯の木造校舎は全部一年以内になくなるというように考えていいですか。
  189. 説明員(倉地克次君)(倉地克次)

    説明員(倉地克次君) いまお話し申し上げましたように、五千五百点までが原則でございますが、地震多発地帯につきましては、約六千点近くの校舎についてまで改築するという計画でございます。それでございますので、それに、その要件にはまらないものにつきましてはこれは残るかと思う次第でございますが、地震の際に危険を感ずるような建物につきましては、私どもとしては市町村から申請があれば優先的に採択し、これを健全な鉄筋にしてまいりたい、そういう計画でございます。
  190. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 いまの点は、まさに地震の多発、五回に及んでいるところでありますから、格段の御配慮をお願いをしたいと思います。  それから、もう一つ学校の関係で、教員の中に、有線放送があって非常に的確な児童生徒に対する指導ができたという経験の発表がございます。ところが、あれだからよかったんですが、有線放送が全部つぶれたときどうなるのか。特に幼稚園、保育園、小学校等の幼い子供たちの場合の、それを指導、教育をしている教員の立場に立った場合にどうかという問題でありまして、私は、できるならば無線の設備などをやはり特設をするということはどうか。これは学校だけでなくて、特に市町村における重要な拠点に、町内会単位とまではいかぬでしょうけれども、ある程度適切な個所に無線を設置する、こういうことを考えるべきだというように、先ほどの学校への照明というようなものとも関連をしまして考えますが、この点はいかがでしょうか。
  191. 説明員(持永堯民君)(持永堯民)

    説明員(持永堯民君) 無線設備のお尋ねでございますが、従来から、いまお話しございましたような市町村の中の主な地点を結びます無線を整備すべきであるというお話があったわけでございますけれども、私どももその点を特に重要視いたしまして、来年度、五十三年度からそういったものについて助成を新しくしていこうということで、現在提案されております五十三年度の政府予算案に計上をさしていただいておりますので、そういったものをきっかけにしながら、今後推進を図ってまいりたいと思います。
  192. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 それでは次に、観光行政、観光政策にかかわって、直接被害だけでない、間接被害等の問題にかかわって御質問をいたします。  もう再三同じことを繰り返されておりますから、同じことは省略しますが、観光伊豆地域で、静岡県の料飲税の八五%というものが納入されているという地域でありまして、その基本が、当然国道百三十五号、百三十六号、それから修善寺—下田、いわゆる天城線、こういうことだと思いますが、最近は雨にも地震にも弱いシュガーロードだという言葉ですよね。それから、下田へまいりますと、食堂のおかみさんが、地震の直接被害よりはいままさに下田は地震後遺症に揺れているということを言うわけですが、まさにそういうようにきわめて間接的な被害、大変な収入減、これは手元に資料もございますが、そういう観点から一、二お聞きをしたいわけです。  それで、ちなみに、いまここで下田市が出しているのによりますと、一月から六月までの収入見込み減というのを旅館、ホテルで三十一億四千万、民宿で六億八千万、商工業で百七億、飲食業が二十二億、計百六十七億収入見込み減だというわけです。現在の調査ですね、これは。そして、きょう午前中、当院の調査団が行きました際の、一月二十七日現在の県の発表が、二百十九億という発表が先ほども報告がされましたが、実はこれはすでにもう二月の八日現在では県発表では二百八十億というように、一週間もたたないうちに、約十日ぐらいの間に訂正をされているというふうに思うわけですね。これらを考えると、全く間接被害というものはきわめて大きいというように感ずるわけです。  そういう意味で、先ほど大臣にもお聞きをいたしましたが、一つお聞きしたい点は、雇用対策の問題です。再三再就職のあっせんという御説明がありました。あるいは、東伊豆町では離職者が数十名というお話もありました。ところが、下田市だけで見ましても、実は雇用保険の実人員で見ても一月が千二百二十五人、二月の想定は下田公共職業安定所の管内で見ても見込み数千七百三十人、二月で。こういうように発表もされておりますし、下田市内だけの臨時雇いの従業員が六百四十六名解雇、そのうち九〇%以上が雇用保険の適用がされていない、こういう観点で私はお聞きをしているわけですが、大臣から先ほど答弁がありましたが、特にそういう意味で、市町村が、直接やはりこういう雇用保険の給付も受けられない離職者等を対象にして、何らかの直営の雇用対策事業というようなことを、この際、積極的にやるように指導するということはできないのか、この点についてお伺いをいたします。
  193. 説明員(望月三郎君)(望月三郎)

    説明員(望月三郎君) 先ほど先生お挙げになった数字は、普通の離職者も含んだ全体の数だと思いますが、私、先ほど前の委員の問いに対しましてお答えした数字は、今回の災害によって直接離職した数でございまして、その点をちょっと御了解をいただきたいと思います。  それで、日雇いと申しますか、季節労働者の問題でございますが、確かに先生おっしゃるように、東伊豆町を中心に数十名就職しておりまして、私どもは安定所を通しまして把握したところによりますと、その方々は、雇用保険の受給要件でございます期間まだ就職していないということでございまして、それを事業主の方で受給期間が完了するまで、満たすまで雇っていく、こういうことを事業主おっしゃっておりますので、当分そういった方向で雇い続けてもらいたいということで、私どもも行政指導をしているということでございまして、特に出かせぎ者については問題はないかと思います。  それから、そうでない、本当にパートというような形で従業員となっていた方々につきましては、これは最初から雇用保険の対象の労働者ではないということできておりますので、その点は、これは制度上どうにもならないということでございまして、再就職の意思がある方々につきましては、安定所を中心に職業相談、職業あっせんという態勢をとってそれに対処していくということで努力をしております。
  194. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 この雇用対策という問題、非常に私はいまの点で不満に思うわけですね。こういうときなんですからね、もっとやっぱり真剣に考えて、何か縄張りみたいなものもはずして、対策本部としてぜひ考えていただきたいというように、これ要望しておきます。  その次に、時間の関係で道路の問題に移りたいと思います。  何回も地震が続いているんですが、伊豆半島における道路についての耐震点検、こういうようなことはどのように行われていたでしょうか。
  195. 説明員(渡辺修自君)(渡辺修自)

    説明員渡辺修自君) お答えいたします。  昭和五十一年に全国的に点検をいたしました。ただ、震災関係につきましては、新潟地震の教訓等がございまして、私ども主に橋あるいはたとえば歩道橋、こういったものが落下すると大変危険でございますので、そういったものを中心にして点検をしてまいりまして、山の斜面が崩れるというようなものは、従来主として雨を対象といたしました防災対策ということで点検をしてまいったわけでございます。ただ、今回のように、私どものいままでの知識を超えますような大きな被害が出ておりますので、専門家を早速派遣もいたしたわけでございますが、こういったことで今後新しい知見をもとに、どうすればいいのかということを考えてまいりたいと思っております。
  196. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 落石注意というのがよく目につくんですが、あれはどこが出しているんですか。
  197. 説明員(渡辺修自君)(渡辺修自)

    説明員渡辺修自君) 落石注意は警戒標識でございまして、道路管理者がやっております。ただ、これは国連標識にもございまして、世界的にもある標識でございます。
  198. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 国連だか何かよくわかりませんが、直接私などが車で行って、どうなるでしょうかね、あれ。落石注意と書いてありますよね、車とめるわけにはいかぬわけですよね、通っていいことになっているでしょう。行くと、ごろごろっと落ちてくるわけですよね。これはどうにもならぬわけでしょう、山の上から落ちてくる落石は。落石注意と書いたから、まあ気をつけて走っていけということになるのか——落石注意と書いてあってもどうにもならぬわけでしょう。どうにかならないですか。
  199. 説明員(渡辺修自君)(渡辺修自)

    説明員渡辺修自君) いろいろ対策を講じましても、これは斜面等が自然の摂理、長い間の変化によりまして風化をいたしましたり、そういうことで落ちてきたりすることもあるということで、私ども標識を出したからこちらの責任が免責されるとか、そういうことを考えておるわけではございません。これはあくまで道路利用者の方々に御注意をいただくという意味の標識でございます。
  200. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 それでは、東伊豆有料道路に移りますが、この東伊豆有料道路は大変な被害でございますし、その補てんの問題から、償還計画の変更の問題とあると思いますが、有料期間というのは一応いつ——これは地震がなかったと仮定すれば、何年度に終了する予定だったんでしょうか。
  201. 参考人(平野和男君)(平野和男)

    参考人平野和男君) お答えをいたします。  東伊豆有料道路につきましては、昭和六十一年の六月三十日まで有料道路として償還をするということになっております。ちなみに、五十二年度当初のまだ償還していない額、これが約六十五億円ございます。ただ、今回の災害防災対策等の費用がかかりますが、償還期限には影響がございません。予定どおり六十一年に償還することになると思います。
  202. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 これは先ほど大臣にもお聞きしたんですが、その関連で幾つかお聞きします。  伊東から下田まで四時間半だったんです、ぼくなどいつもバスで行きましたけれども。稲取というのが中間でして、いまぐらいの時期になりますと、もうもたないわけです、お客さんみんな。稲取へ着くとみんな急いでトイレに行ったもんです。そして、この伊東から稲取へ行く途中には河津三郎とか、その当時はバスの車掌さんが案内をしてくれまして、あそこが、すぐ下が椎ノ木三本だとか、そういうようなまさに情緒豊かな伊豆路だったんです。そして、それはまさに鎌倉時代、もう数百年という歴史の風雪を耐えた道路です。片方は、それは確かに一時間半、二時間で行けるようになった。  ところが、先ほど大臣にお聞きしたがった意味はその辺なんでして、確かに時間的には半分になったけれども、有料道路をつくったときの額より、すでにもう災害復旧の費用の方が多くなっているというように私は聞き及んでおりますけれども、一体、この辺についてもう一度、伊豆のようなああいう地域道路政策といいますか、そういうような点についてもっと真剣な反省がこの際あってしかるべきというように思いますけれども、いかがでしょうか。これは政務次官にお聞きしたい。
  203. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) ただいま先生のお説を聞いておりまして、全くそのとおりだと私は感じます。先生方にも現地を視察していただきましたが、私どもも現地を視察いたしましたときに、こうした道路がつくられていくときに、当時は非常に困難な仕事であり、まあ緊急を要して、発展性を考え、一つの観光地として進められた工事ではあったろうと思いまするが、その間の工事の施工法によって非常に厳しい切り土のしてある面もありますし、何とか、これがもう少し全体の土を動かさなくても技術的にゆとりのあるものというか、傾斜面をもう少し考えてみたらというような感じも持ったのは私だけでなくて、行かれたそれぞれの専門的な方々もそういう考えであったろうと私は思っております。そういうような観点に立ちまして、今後十分検討して、先生たちの御意思をやはり行政の上に生かして、すばらしい一つの安定的な道路づくりを考えていき、住宅環境を考えていくことが国土庁の使命感であると私どもは感じておりますので、一つ一つを私どもはかみしめながら、この天災をいい教訓として進めていきたいと思いますので、御了解をいただきたいと思います。
  204. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 恐らく、前の地震のとき、前の水害のときも——私はそのころ静岡の一住民でありまして、国会におりませんでしたけれども、この場で同じようなことがやられたんじゃないかというふうに私は思うんです、四回あったんだから。そうすると、その都度、担当の省庁なり担当の大臣なり政務次官が、同じようなことを私はお答えになったというように思います。ところが、また同じように起きているんです。今度だけじゃないわけです、百三十五号が不通になったのは、何回もなっているんです。今度も主要な被害個所だけで三十一カ所。発生直後通行不可能な個所は六カ所。同じところがやられているか、同じところの今度はまたすぐ横がやられているか、私は、恐らく今度の災害復旧を原状に復旧するということだけにとどまっているならば、同じ程度の地震が来たらもっとひどい崩壊場所が起こる、これは断言していいと思うんです。そういう意味で、ぜひひとつ、いま政務次官からお話がありましたが、これは建設時に私は大変な無理があったんじゃないか、結論的に言うなら。そして、そのことは水害なり地震なりというものを、この七百年の歴史と、二十年間——恐らく二十年たってないと思いますが、二十年未満の、歴史の違いがここにやっぱり歴然とあらわれている。このことを、ですから専門的な多くの皆さんがいらっしゃるでしょうけれども、ぜひひとつこういう点での猛反省を促しておきたいと思います。  それから、関連して、従来やはり災害時の原形復旧というのが災害の原則だっだというふうに考えるわけですが、そうじゃなくて、そうやっていたら必ずまた同じ個所で、あるいは隣のところでもう出るに決まっていますから、もう思い切って災害時の原形復旧という原則をひとつおやめになって、この際どのくらい金がかかろうが、やや極論するならば、抜本的な改良に取り組むと、こういうことをやはり国土庁としてぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。
  205. 国務大臣(丹羽久章君)(丹羽久章)

    ○国務大臣(丹羽久章君) ただいま先生のおっしゃるところでありまするが、現状をもう一切抜きにして、新しい線を重点にしていくということは、人命尊重の上のたてまえとしても当然考えなければならぬと思います。しかし、現状を災害から守ることのできる手直しができていくとするならば、その必要性もひとつ考えの中に取り入れていきたいと思います。何にいたしましても、尊事べき——いかに人命のとうとさを知り、破壊せられていくところの恐ろしさを、私どもはもうしっかりと今度の地震でこれを身につけながら、新しい構想で、そしてその企画のもとに技術を生かして、そして御期待に沿っていきたいというのが、今度の災害対策について、先生方も私どもも一体感であろうと思っております。どうか、そういう意味におきまして、みんなの知恵でよりよきものをつくり上げ、再び災害があっても、このような被害のない体制、国づくりをしていくことに目的を置きたいと思いますので、どうぞひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  206. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 特に、この百三十五号の有料道路は、くどくなりますが、伊東から下田へ行っていた旧道、これと有料道路、それが一緒になっているところと、それから旧道がそのまま残っているところと両方あるわけです。そこで、住民の立場に立つと、この有料道路を通っていくということが、生活道路になってきているところが非常にあるわけですね。ところが、ここは皆関所を通るたんびに銭取られている。これは私は何とかならないかというように思うんですけれども、この有料道路のうちで、旧道の方はほとんどもう廃棄に近いような状態で、生活的にも皆そこの道路を通るようになった場合に、従前からいる住民、あるいは学校へ通う教員、その他多くの人がいるでありましょうが、そういうような場合に、ここの関所を通るから、そのたんびに朝晩通行料を払うという、この点についての従来からの既得権といいますか、優遇策といいますか、この辺についてはどうでしょうか。
  207. 説明員(沓掛哲男君)(沓掛哲男)

    説明員(沓掛哲男君) お答えいたします。  先生の、東伊豆道路の無料開放につきましては、東伊豆道路は料金徴収期間が昭和六十一年六月三十日までとして許可されまして、現在償還中であり、昭和五十二年の年度当初における米償還額が約六十五億円でございまして、このような有料道路を直ちに無料開放することにつきましては、通行者の利用料金を償還財源として借り入れた資金で道路建設していくという、現行の有料道路制度の中では困難でございますが、ただ、先生のおっしゃいましたような、そういうその利用を余儀なくされるというような方々につきましては、実は、まあ有料道路の沿道、または、その近傍に住居あるいは事務所等を有する者が使用する車で、その車の使用にあたってこの有料道路の利用、通行を余儀なくされる者などの一定の要件に該当する車につきましては、道路公団の方で無料通行証を交付しております。これが、この道路については、先生のおっしゃられましたような利用形態が大変多うございまして、現在千百二十五枚の無料通行証が沿道住民に交付されておりまして、先生のおっしゃったようなことが支障ないように、できるだけの努力はいたしておるところでございます。
  208. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 私も、伊豆へマイカーで観光に行く人、そのようなのを全部無料開放しちゃえなんということを言っているんじゃないんです。それはもう六十一年までのタイムリミットでわかります。ただ、言っていますように、千百二十五というお話ですが、私はもっと生活道路として利用している人の数は多いんじゃないかと思います。そこの点の、現実生活に見合った拡大についてさらに一段と御努力を願いたいと、そういう行政指導等も十分ひとつ今後もお考えをいただきたいということですが、いかがですか。
  209. 説明員(沓掛哲男君)(沓掛哲男)

    説明員(沓掛哲男君) お答えいたします。  いまの運用につきましては、建設省の告示によって定められておりまして、それに基づいて道路公団が運用しているわけでございますが、さらにその運用の実態等について調査いたしまして、できるだけ沿道住民に、この告示の線に沿った範囲内において支障を来さないように努力したいと思います。
  210. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 それでは、道路で最後に、下田−修善寺線、いわゆる天城線ですが、これについて、もう御承知のように天城のトンネルを境にして、修善寺の方から行けば与市坂、トンネルを抜けたところの梨本、大変悲惨な二つのバスの事故が起きた時点でありまして、私がもう繰り返す必要はないと思います。  そこで、この与市坂にしても梨本のところにいたしましても、前から、私など一番現地ですから自信を持って言えるんですが、前からも指摘をされていた危険個所ですね、さっきの質問ともかかわるわけですが、山はだの亀裂、断層、それからたとえば与市坂で言えば道の、道路側面の山崩れなり山の上の水田の排水路、水路、もう崩れやすいというようなことが明白です。同時にまた、梨本のところは、これはもう有名な渋滞地帯でありまして、もうずっとH鋼が打たれた片側地域であったんですが、一体いつまでこの工事やらないのかというのを、もう通るたびに感じていた地域であります。ですから、これはもう当然、いま全面的なトンネルとかバイパスとか、抜本的な検討が考えられているというように私も仄聞しておりますが、ぜひ、この点については先ほども申し上げているような観点で、抜本的な、天城を抜ける道路についての改善案というものについて、国の立場でもひとつ十分な指導なり対策なりを考えていただきたいと考えますが、いかがですか。
  211. 説明員(井沢健二君)(井沢健二)

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  修善寺−下田線は、今回の災害で非常に大きな被害を、受けたところでございまして、先生のいま挙げられた地点は特にひどいところでございます。現在査定の準備を進めておりますが、その中におきまして、両地点ともどういうふうな構造にしたらいいか、どんなふうに考えるべきかというふうなことを、県の方でもいろいろ地質調査をしたり、あるいは設計で図面を書いてみたり、そういうふうなことをいたしております。何度か私どもの方とも下打ち合わせをしながら、土研あるいは国土地理院、そういう研究所の方の意見も聞きながら、私どもの中の道路局の関係各課とも相談しながら、現在検討を進めておる段階でございます。こういう問題につきましては、今後の査定を待ちまして決めてまいりたいというふうに考えております。
  212. 説明員(渡辺修自君)(渡辺修自)

    説明員渡辺修自君) ただいま防災課長から災害復旧関係について御説明申し上げましたが、災害復旧では見れない部分で、なお手を入れるというようなところもあるいは出てこようかと思います。そういった際は、一般の道路の経費を合わせて導入をいたしまして、よりよい道路にしてまいりたいと考えております。
  213. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 鉄道の問題ですが、これももう再三出ておりますから重複を避けます。ただ、大臣にも申し上げましたように、例の伊豆急の稲取トンネルの個所であります。このところは、まさに開設工事の際に、土木業者でさえ、温泉余土の関係から、建設の観点からもきわめて困難な個所であったということが再三言われているわけでありまして、国の、これはどういう責任という意味合いではありませんけれど、やはり抜本的な改善という観点では、先ほどから会社に対する補助金、そういう点での融資等の点もありましたけれども、やはり国の立場で稲取トンネルの個所については積極的にひとつ検討もしていただきたいと思いますし、そういう意味での財政的な援助といいますか、そういうことも含めての検討をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  214. 説明員(原慧君)(原慧)

    説明員(原慧君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘の稲取トンネルにつきましては、建設されますときにボーリングを二カ所やっております。その際、温泉余土及び断層の存在を確認いたしまして、この調査結果に基づきまして、トンネルの中間部分約五百メートルにつきましては円形断面を採用しまして、また、コンクリートの巻き厚も約七十センチということで、他に比較して相当大きくしてございます。また、そのほかのものにつきましても、建設.工事中に起こりました熱川トンネル等につきましては、やはり巻き厚を大きくしてございまして、そういう地震に対してある程度の配慮をしてあったわけでございますけれども、このたびこういう災害がございましたので、その調査結果を踏まえまして、今後の対策指導してまいりたいと考えております。
  215. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 最後に、持越の問題でお聞きをいたします。   いろいろこの点は出ておりますから重複を避けますが、私が最初にまずお伺いをしたいのは、通産省の認可申請書にかかわる問題ですね。この点で、現地を直接見たときに直接感じたのは、鉱津というのは、私たち素人が考えてみて、水分を大量に含んでおる、固形部分が三〇%、こういう点が、正直言ってあれだけの、鉱滓の六万と土手の二万を含めた八万立米を流し出した直接的な原因じゃないかというように思うわけですね。もちろん固まっていればそうでもなかったんでしょうけれども、そういう非常に水分を大量に含んでいた。それと堰堤の強度の、いわゆる土盛りをどの程度の強度があればいいかという基準の問題ですね。この辺が、先ほど午前中からの質疑の中で、学識経験者に基づく一定の基準で四十八年度改定して設けられていたというんですが、その辺についてのやっぱり真剣な反省をお聞きしたいんですが、いかがですか。
  216. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 鉱滓の堆積をいたします場合に、堆積場に堆積するものが、いま御指摘のありましたような非常に水を含んだものについては、やはり堆積の方法その他について十分考慮を払わなきゃいけないということになっておりまして、構造自身でも、そこに水抜きの暗渠を設けるとか、そのほかいろんな構造を決めておりますが、さらに日々の維持管理につきましても、その鉱滓を捨てる場合に、なるべく扞止堤の方にはどろの分がいかないような放出方法というようなことも決めております。したがいまして、鉱滓堆積場の、ことに、そういう水を含んだものを堆積する場合には、建設の場合の基準と、それから平生の維持管理についての定めというものがあってやっておるわけでございます。しかしながら、現実にこういう事態になりましたものでございますから、その建設基準について、あるいはその維持管理のやり方について、われわれも反省をいたしまして、今後の調査委員会の検討結果を待って、改めるべきものは改めるということにいたしたいというふうに考えております。
  217. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 そういう率直なお話をお聞きしたいと思ったんですよ。というのは、これは各新聞社が書いているのは、もう通説になっていますね、かさ上げでは無理だったと、あるいは堆積場に欠陥があったんだ。これが大体各新聞社なりテレビなりの報道機関、私はもう通説になっているというように思うんですが、それに対する国の明確な反省なりというものはない。六月の時点で、調査結果が出てからということになっているところに、やはり国民大衆のこの問題に対するズシンと落ちていかない、納得できない点が住民にあるわけですよ。このことをぜひやはりお江戸にいらっしゃる官庁の皆さんはお考えいただきたいのです。これは現場を代表して申し上げますよ。  そういう意味で、やっぱり何というんでしょうか、申請したときの見積書、設計書、工事の明細書、扞止堤の安全度、算定方式、計算書、工事設計の明細書、これらがすべて法八条に基づく保安規則の五十四条ですか、この中で明らかになっているわけですね。こういうものはやっぱり何か官庁の極秘事項だとかどうとかじゃなくて、やっぱりその時点ではこうだったんだよと、四十八年度ではこうだったんだよというものを出されて、そして素直に皆さんの賢明な判断を承るというのがやっぱり私は国の態度としてはしかるべきだというように考えますが、この辺はいかがですか。
  218. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) いま調査委員会で、そういう資料をもこの検討の対象として検討していただいております。われわれとしてもその辺について十分検討された暁においては、その検討結果を明らかにしたいというふうに考えております。
  219. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 時間がなくなりましたので少し急ぎますが、毎年の巡回検査というのは一体的確に行われていたのか、この辺についてはどういう御反省ですか。
  220. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 巡回検査につきましては、毎年定期的に行われておりました。そしてそれについては、この巡回検査員の個人差をなくするために、こういう点をチェックすべきだという、いわばチェックポイントを一表にいたしまして、そのチェックポイントに従って検査をするというシステムをとっております。しかしながら、従来については、すでに御指摘が各般からございますように、主として外観検査が主体になっておりました。これについてはやはり必要を認めた場合に、外観検査のみでない、もう少し地質調査だとか、ボーリング調査だとかいうことができるような体制をとりたいというふうに、いま現在検討しております。これについては予算の伴う点もございますので、必要な予算を確保した上でということになりますけれども、それに至らない場合にも、極力われわれの方の予算を活用いたしまして、従来のように外観検査だけでない検査というものに進むように、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  221. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 この水質規制をされたのは四十六年度ですか。その以前の高濃度のシアンを含む鉱滓の、未処理のままにしていたということについての反省と、今後どうなさるおつもりか。
  222. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) この水質汚濁防止法等の規制がなされる前は、それに対する規制がございませんので、堆積場に堆積するという事態があったわけでございます。これについては、現在堆積場を完全なものにして流出しないという形にもってまいりました。そしてまた、絶えず堆積場から流出する水を検査をいたしまして、シアンの含有率が水質基準で定められている基準におさまるように、絶えず監視を続けてまいりたいというふうに考えております。  具体的な、持越鉱山について申しますれば、ほうずき沢堆積場のほかに、以前に使用いたしました堆積場——鳴沢堆積場等がございますが、それについても、いま安全検査をいたしますし、また今後も継続して、それについて汚濁水を出さないような検査、監督をしてまいりたいというふうに考えております。
  223. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 社長さんにお伺いいたしますが、地元の住民から持越鉱業所に、そういう意味で、立ち入り検査等の点で要請を受けたことがいままでございましたか。
  224. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) そういう要請があったかどうかということ、実は確かでございませんけれども……
  225. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 恐らく社長さんのところへは行かなかったかもしれませんが、湯ケ島町の公害担当官等の話によりますと、昨年だけで四回会社を訪れてお願いをしているわけですね。それはやっぱり狩野川シアンが流出をしてアユが死んでしまった。アユが死んだということについて、どうも持越のそこから出ているんじゃないだろうか、そういうことで行ったけれど、実は、私の方はすべて通産省の監督下にありますので、通産省の、何と言うんですか、監督、指導、検査、そういうことなので、ほかのところからのあれは一切ありませんと、こういうように会社側の方が答えられているんですが、そういうような点についてはどうなんでしょうか。
  226. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) 持越の青化製錬所の排水にそういうことがあったことは承知しております。先ほど、私が堆積場の検査というように聞いたもんですから、そういうことを知らないと申し上げたんですが、製錬所の排水についてはそういう問題があったことを承知しておりますんで、前言を取り消しいたします。  それにつきましては、現地において皆さんが現場状況を指摘されまして、それの原因について、パイプの接合部が非常に不注意で、そこから青化液が漏れたということがございましたんで、そういうことがないように、製錬所の排水の流路につきましては完全に直しまして、それで住民の方に御了解を得たという事実があったことをお答え申し上げます。  以上でございます。
  227. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 時間がなくなりましたので、一つだけで終わります。  先ほどありました水質汚濁防止法の二十三条二項あるいは二十二条、それから二十三条の四項、これらを少し勉強してみますと、環境庁が都道府県知事等に対して、特にこの場合には「行政機関の長」ですから、通産相に対して「排出水を排出する者に対し、特定施設状況、汚水等の処理の方法その他必要な事項に関し」云々とありますが、こういうことが検査することができるというように、水質汚濁防止法の二十三条、二十四条、二十二条、この辺から考えられますけれど、いままでは一切合財通産省だけだと、あとは一切出入り御免、こういうことだったと思うんですけれど、この点、環境庁いかがですか。
  228. 説明員(島田隆志君)(島田隆志)

    説明員(島田隆志君) いま、先生御案内のように、鉱山の特殊性ということで、いろんな安全対策も含めて鉱山保安法で一元化されておるわけでございますが、水質汚濁防止法の点から一般的に申し上げますと、水質汚濁防止法の中で、排水基準だとかというものは、水質汚濁防止法は、特定施設単位ということで考えておりますので、そういうものを持っているものにつきましては、排水基準とかそういうものがかかってくる。ただ、鉱山保安法で非常にきめ細かい施設の届け出だとか——認可になっておるわけでございますが、これだとかあるいは改善命令、鉱山保安法でいきますと鉱業停止命令だとか、施設使用停止命令だとか、そういうきめ細かい規定があるわけです。そういうものにつきましては適用除外になっております。それから、いま先生二十三条の件でお話ございましたんですが、その中でそういう適用除外になっておりますけれども、そういう特定施設を持って、特定施設から汚濁が出て、非常に周辺の水域に悪影響を及ぼすようなおそれのあるという場合に限りまして、その特定施設について都道府県知事が鉱山保安監督部長の方にそういう改善命令だとか、そういう措置をお願いするという規定がございます。これはあくまでも特定施設ということについて、限られた形で入っておるわけでございますが、一般的には鉱山保安監督部長に対してそういう措置を要請することができることになっております。  ただ、今回事故のありました堆積揚につきましては、これは私どもの水質汚濁防止法の特定施設には指定がされていないわけでございますので……。
  229. 勝又武一君(勝又武一)

    勝又武一君 狩野川は、御承知のように、アユの愛好者が二十万人、大変な利用度でありまして、同時に水道がきわめて命でありまして、そういう意味ではぜひ、通産省任せでなしに、環境庁が当然指導して立ち入り検査等ができるような、そういう具体的措置ができるように、ひとつ心から御要望申し上げまして、質問を終わります。
  230. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 主に持越鉱山のほうずき沢堆積場のことについて質問したいわけであります。  いまの長野社長さんのお話によりますと、昨年狩野川シアンが流れ、魚が死んだという住民の方の訴えによって、企業側が点検をしたらパイプに穴があいていた。そこでこれを修理し、流れないようにして了解を得た、こういうことでございますか。それは去年のことですか。
  231. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) そうでございます。
  232. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 そういうことは通産省は知ってたんですか。
  233. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) われわれの方も連絡を受けまして、その当時から存じております。これは狩野川木流までは出ませんで、精錬所の下流の大体三百メートルあたりで若干魚が浮上したということから調査をいたしまして、それで改善をする。鉱山側としてはそれに対して必要な補償をするということで解決をしたわけでございます。
  234. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 保安監督部の監督というものは、そういう被害が、現実に被害発生した。それを見て、パイプの穴をふさいだからよろしいという程度のものですか。
  235. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 先ほどから御説明申し上げておりますように、定期的な検査、その他巡回検査等をやりまして、未然にこういう事故が起こらないようにするのがわれわれの本来の務めでございます。しかしながら、残念なことに、昨年こういうことが起こりましたので、われわれとしてもそれについてはもう少し監督を厳重にすべきであるということを反省いたしております。    〔委員長退席、青木薪次君着席〕
  236. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 それから、朝来、再三、午前の質疑以来問題として提起されておりますが、実際扞止堤が崩れてしまったところもあるし、現に大きな亀裂が生じているところもあるわけです。その亀裂の中をのぞき込むと、確かに土が土盛りしてあるだけで何ら補強はしてないと、素人目にそう見られるわけです。先ほど局長さんは、水分のあるものは遠くへ、水分のないものを汗止堤のそばへたまるようにというような説明もなさっていらっしゃるのですが、精錬所の堆積場は亜鉛にしろ、銅にしろ、精錬所の堆積場は相当の水分を含んだものが堆積されていることは、もう初めからわかっているわけでありましょう。したがいまして、そういう点、ほうずき沢だけが水分が多いためにそういう思わぬ欠陥があったということにはならないと思うのですね。初めから水分を多量に含んでいるものがどこの精錬所の堆積場だって堆積されているわけです。したがいまして、やはり非常にその辺手抜かりがあったと、まあ専門家とおっしゃるでしょうけれども、専門委員会の結論待ちと先ほど来おっしゃっておられますが、しかし、常識で考えても、周辺の山はそんな崩れてないわけでしょう。その堆積場が崩れているわけでしょう。非常に手抜かりというか、ずさんというか、万全の態勢でなかったということははっきり言えるのじゃないですか、いかがですか。
  237. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) この堆積場建設につきましては基準がございまして、その基準に従って建設をする。それから、その後の維持管理もこちらで定めておる方式に従ってやるということでございまして、従来われわれといたしましては、こういう工法というものが安全であるということでやってまいったわけでございます。しかしながら、現在のような事故が起こりました。それから地震という要素、もちろん地震の耐震構造というものも入っておるわけでございますが、それについて、ことに、いま御指摘のように、水分の多いものについてどうだろうかというような問題もございます。したがいまして、われわれといたしましても、決してこれで将来とも万全であるというようなことをいま申し上げるというようなことはできないと思っております。したがいまして、しかし、このものについてはいろいろやはり学閥的な検討を経て、こういう構造なら安全だということを、やはりお決め願わなくてはいけないということでございますので、学識経験者の方にいろいろ御審議を願っておるわけでございますから、われわれといたしましては、その結果をなるべく早く出していただいて、その結果をわれわれも虚心に承って、そして今後のより厳しい監督、より厳しい基準、安全な基準というものをつくり出すように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  238. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 これからの構造をどうするかということは、十分な検討が必要だと思います。思いますが、現在の、先ほど来説明いたしますように、あのような土盛りをしただけで亀裂がある、亀裂が生じた、見れば土だけがずっと盛ってあるのがよくわかる。そこへああした水分が大量に含まれたものが常時堆積されて、五年、十年、十五年とたっているということ。そういうことで、それは初めのうちはそういう工法でもよろしいということであったということを、これも再三説明なさるわけですが、しかし工法——そういう土盛りだけでよろしいという、工法も基準に合っていたという、その基準を決めたのもやはり専門家が決めたわけでしょう。素人が勝手に決めたんじゃないわけでしょう。そういう辺に基本的な欠陥があったというふうに言わざるを得ないじゃないですか。
  239. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) われわれといたしましては、この基準については、昭和二十九年に定めまして以来数次の改定を行っております。そしてその時点において、こういう問題に関する権威者を集めて御検討を願ったわけでございます。しかしながら、こういう結果を見ましたから、私としても、過去のものが最善であるというようなことを申し上げるつもりはございませんけれども、当時としてはそれがいいということで決まったということは事実でございます。したがいまして、今後はさらに再検討いたしまして、こういうことの起こらないようにいたしたいと思いますし、そしてその基準というのは、今後つくられるものについて適用するだけじゃなくて、もし、そういう基準の改定がございますれば、今度は現在既設のものについても、その基準に合致するように、何らかの改善をするということにいたしておりますので、そういう点で、今後の問題の出てくることを防ぎたいというふうに考えております。
  240. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 それは、新しい安全基準によって、既設のものも直さなくちゃいけないというのは、それは当然だと思いますね。  次に、先ほどの社長さんからのお話でもありましたが、堆積場鋼矢板の補強、それから持越川の川底に堆積している鉱滓除去、これに取りかかっているわけですね。  そこで、初め費用の点ですが、補強が約五億円の、持越川の河床の鉱滓除去が約五億円ですか、十億円くらいと言われますが、そのほかに大きく費用がかかると思われることはどんなことがございますか。これは社長さんから。
  241. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) その費用の全体につきましては、いまのところ、最近までなかなかわからなかったんでございますけれども、いろいろ、いつまでも確定しないわけにいきませんので、非常にあらましでございますが、いまのような数字を申し上げたわけでございます。その後さらにかかるという問題は、今後のいろいろな補償の問題がまだ残っているんじゃないかと思います。それについては、いまのところ全然その額の中には計上されておりません。  それともう一つは、やはり工事の査定において、あすこでは営林署にいろいろなお世話をいただいておりまして、営林署は、緊急のときだから必要な木は切ってよろしいというような御許可をいただきまして、必要な木を切ったり、そこに進入道路をつくったり、いろいろな御援助をいただいておりますが、それに対する補償についてもまだそこには入っておりませんので、まだ若干ふえるかと思うんでございます。  以上でございます。
  242. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 通産省に伺いますが、先ほどの局長の御答弁では、鉱業権者がなくなった場合に、これはもう国が費用は出すんだということが、ごく簡単に結論だけ発言なさったんですが、現に鉱業権者はきちっとしておりますし、それから鉱業法による無過失賠償責任ですか、   〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕 そういう点等を考慮した場合に、これは一体どうなるかということが、実際被害を受けていらっしゃる方は心配になるわけなんです。特に、いやそれは責任は国だ、いやそれは県じゃないか、いや、県は責任ないけれど発生原因者じゃないか、そういうことを長々と言い争いされたんでは、とても困るというわけです。現に、もう補償問題でも、狩野川の漁業は現時点ではもう見込みがないとしか言いようがないじゃないでしょうか。そういう場合にどう考えますか。
  243. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) この補償の問題につきましては、やはり鉱業法に基づきまして鉱業権者に補償責任があるということでございますが、今回のような場合につきましては、鉱業権者が補償の責任を全うするためには、われわれといたしましてもいろいろ援助をいたしまして、そういうものが行われるようにしなきゃいけないというふうに考えておりますので、今後十分われわれも会社がそういうことがやり得るような形——融資その他を考えまして処置をしてまいりたいというふうに考えております。  それからまた、もう一つは、やはりそのためにも会社が今後存続し得るということが大前提でございますので、そういうことができるように、われわれとしてもいまいろいろ検討をしておるところでございます。
  244. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 そこで、はっきりお聞きいたしますと、補償の場合、それは鉱業法の手前がある、しかし、直接地震がきっかけだったということもこれ間違いない、それは構造上の欠陥があったかなかったかはこれからの問題として。そういう今回のこの問題に対して、国がやることは、先ほどの融資以外何か考えられますかどうか。
  245. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) まず、国がやり得ることは融資、これは先ほど申しました金属鉱業事業団の融資というものを考えておるわけでございますが、それ以外に全く道がないかどうか、たとえば先ほど御質問がございましたように、これについて、たとえばこの公共事業というようなことでやり得る部面があるかどうかというふうなこともございましたが、こういう点についてもわれわれも検討はいたしますが、しかし、やはり大筋は、この融資というもので解決をしていくということにならざるを得ないんではないかというふうに考えております。
  246. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 では次に、この持越川の堆積している鉱滓を集めて、その後どうするということに現在なっておりますか。
  247. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 現在持越川に流出しております鉱滓は、それを集めまして、いま、目下仮堆積場に積むということでやっておりますが、これはあくまでも仮でございまして、その堆積場に仮に積みましたものを、やはり最終処分地に積むということになろうかと思います。なお、その一部はこの持越鉱山の古い坑道といいますか、掘り跡がございますが、そういうところに充てんできないかということも考えております。しかし、いずれにいたしましても、それをやるためには、この河床から揚げました鉱滓の中のシアン分などが、廃棄物の基準、われわれの方の考えております鉱山法上の基準というものに合致するということを見きわめてからのことでございますが、そういうことを見きわめた上で最終処分地、それはやはりこの周辺の土地を探しまして、そこに埋めるということにならざるを得ないかというようなことでございますが、相当の量もし廃坑に入れられるとすれば、その分はその廃坑の中で安全に入れることが可能になるということもあるというふうに考えておりますが、これについては、いま廃坑に充てんすることの安全性について現在検討をしておりますので、その検討結果が出ました上で、地元とも十分御相談して、地元の御納得を得られれば、そういう処理も考えたいというふうに考えております。
  248. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 東京から監督部が行って、そういう話をもうしてきたんじゃないですか。
  249. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) この廃坑に埋める件につきましては、当初からございまして、私が行きまして知事さんと一緒に御相談したときも、とにかく試験をしてみようということになりまして、試験をやったわけでございますが、その試験結果をもって現場で話し合いをしておるということでございますが、これについてはやはり十分話し合いがつかないと進められないというふうに考えておりますので、話し合いが完全につくというのをわれわれはいま待っておるというのが現状でございます。
  250. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 いや、そういうことならそういうことで了解いたしますが、すでにもう監督部とそれから鉱業権者と地元で話をして、何か三項目の話が決まったと、それで作業が始まるというふうにも伝わっていますが、いかがですか。
  251. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 現在の話し合いをしております段階は、試験的に投入をしてみようということはよろしいということになりまして、試験投入という形でやっておるということでございますので、本格投入が地元の方の御了承を得られたということには、まだなってないんじゃないかというようにわれわれ了解しております。
  252. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 それでよろしゅうございますか。
  253. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) ただいま局長さんが申されたとおりでございます。
  254. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 それから次に、この金の製錬にはシアンが必要だというお話は承りましたが、まあシアンが流出するということは非常に危険であるということ、そういうことも午前以来のお話で十分出ておりますが、このシアン以外の何か有毒なもの、あるいはシアン以外に重金属などが流出をして、そしてたんぼに蓄積をするというような可能性についてはいかがですか。
  255. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 金銀を産出いたします原鉱石は、これは持越鉱山の少し離れたところの清越という山から持ってまいっておるわけでございますが、そこの鉱石につきましては、われわれの方の調べております限りでは、金銀以外の重金属類は余り含有していないということになっておりますし、鉱滓自身をとりましても、それを水質汚濁防止法とか廃棄物処理法というようなものの基準に基づきます試験結果——これは溶出試験という試験でございますが、それによった結果を見ましても、そういう重金属が出てくるという、基準以上に出てくるということはございません。したがいまして、いまのところは大丈夫だと思いますが、これについても十分今後は監視していくし、それからまた、そういうものがなるべく水田その他に入らないようなことも考えなければならない。これは災害対策本部技術調査団の御意見もございますので、そういう御意見に従いまして今後の処理をいたしたいというふうに考えております。
  256. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 それから、これも先ほど御指摘があったんですが、環境庁は何を考えているかということですね。で、それは予算委員会のときも私が指摘したんですが、環境庁長官からお答えがあったんですが、何か時間もなくて私も余りはっきりしなかったんですが、それは鉱山保安法による監督があると、そこで鉱山保安法による監督部、局の監督のもとに万全な体制をとっているんだということ、しきりにそういうことをおっしゃるが、それがいけないと私は言ってるんじゃないわけです。ただ、実際問題、この山のそうした上に猛毒シアンを含んだ堆積場があるということ、それが決壊したら大騒ぎになるわけですから、そういう点で保安監督は保安監督部が保安法によってやる、それは当然としまして、やはり地元の町あるいは県、県でも先ほど御指摘のことと同じことを言っておられましたが、もっと積極的に話し合いがなされていかなくちゃいけない、了解を得られるように行動していかなくちゃならない。これは通産省もそうだし、環境庁も私はそういう立場で取り組まなくちゃいけない、このように考えますが、両省から御答弁いただきたい。
  257. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 御指摘のとおりと思います。実は水質汚濁防止法等では、先ほども話が出ましたが、適用除外にはしておりますけれども、それの特定施設についての実態は、通産省から関係省の方に連絡するようになっております。実際の取り締まりに当たっておる自治体にも連絡するようになっておりますし、また、必要があれば自治体等からこちらの方に意見をいただくようになっております。そして、これが法律ができましたときに、その法律の制度に従って十分連絡するように指示を出しておるわけでございます。しかしながら、実は私も現場へ参りまして、知事さんとかそれから町長さんと、いろいろ話を伺いますと、やはりただ法律で定められたものだけで、連絡するというだけでは不十分ではないかというふうにいま感じております。もっと日常の現実のあり方について、県とか町とかいう方によく御連絡を申し上げることが必要ではないかというふうに考えておりまして、実はこの件については、別にその調査委員会の決定とか結果とか何かまつ必要はございませんので、そういう点について、保安監督部の方にもっと地元との連絡をよくするようにという通達を出すように、いま関係省とも御相談をしながら準備をしておりますが、これはなるべく早く出しまして、今後こういう問題について地元とよく連絡がつくような措置をとりたいというふうに考えております。
  258. 説明員(島田隆志君)(島田隆志)

    説明員(島田隆志君) 先生に予算委員会のときも御指摘いただいたわけでございますが、確かに、一元的にいま鉱山保安法が主として取り締まりやっているわけでございますが、やはりこういう問題は地元の理解と協力が得られなければ十分な鉱害の安全確保はできないと思います。これは先生の御指摘のとおりだと思います。先ほど局長の方から話ございましたように、われわれもやはり先生の御指摘のとおり、地元の協力と理解を得るために通産省の方でもいろいろ御検討いただいて、われわれも緊密な連携をとっております。そういう趣旨でわれわれも通産省と十分な連携をとり、また、必要なものについては都道府県等を指導してまいりたいというふうに思っております。
  259. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 これで最後ですが、連絡会議の萩原先生、大変長い時間にわたりまして恐縮でございます。  午後のお話の中で、余震情報が出されたということ、あるいは群発地震に対する情報が出されたということ、それを知事がどう受けとめ、どういうふうに流したためにこうだったということ、それは私繰り返しませんので、先ほどお話があったとおりのことが現実問題あったわけであります。  で、一方では、科学技術庁の係の方がそこで答弁された中には、地震予知技術は確立していないから、五十三年度とれこれしかじか取り組むんだというふうにもおっしゃっておられたわけです。  それからもう一つは、国土庁長官が特別立法を検討しております、この国会に提案をする準備をしておりますと、これは総理大臣もそういう発言をしていらっしゃったと報道されております。  その点を考えまして、第一には地震情報が出た場合の対応、そしてその予知の技術が確立していないという現在の段階、しかも、ここで特別立法をせざるを得ない現実があるわけです。そういう場合に、技術は完全でなくても法体系整備するとか、あるいは先生のお立場で、そうした法律をつくるということに対するお考えをどのように感じられますかお伺いしたいんです。
  260. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 地震予知は、言うまでもなく地震防災の一環でございます。それで、予知でございますが、予知がまあたとえできましたといたしましても、その予知情報が有効に生かされなければ何にもならないのでございまして、つまり、その予知情報を受け入れる受け入れ体制、つまり防災側の体制でございますね、それができておらなければ有効にできないし、混乱を起こすということになるわけでございます。  ところで、こういったただいま問題になっておりますような、いわゆる法律によるそういった予知情報を受ける体制、これがいろいろ検討されておるわけでございますが、まあここで一番問題になりますのは、やはり予知の確度、それが一審問題になってくると思いますが、ただ、現在はある客観的な法則があって、それに従って予報を出せばよろしいと、まあ現在の天気予報の業務のように、そういう客観的な法則がまだ成り立ってないわけでございます。  では、予知はもう全然当てにならないのかと言いますと、そうでもないのでございまして、予知の研究もここ十年急速に進んでおりまして、また、地震によりましては非常に明確な前兆を伴うものもございます。そういうわけで、非常に的確な予報が出せる場合もあるわけです、過去の地震を顧みましても。そういうわけで、まだ未完成ながら非常に役に立つ場合も幾つもあるだろうと。ただし、一〇〇%というわけにいかないかもしれないけれども、とにかくあるし、これからも技術がだんだん進んでいくという点で、現在のように、長期予報については予知連絡会が情報を出しますし、東海地方に限りましては臨時的の処置として判定会というものをつくりまして、常時観測の監視をしているという状態でございますので、ここが大変むずかしいところでございますが、これは政治的と申しますか、行政的の決断でございますが、こういう状態でもなおかっそういう立法を進めて、とにかく東海地方、たとえれば、非常に重要な、日本の国運を左右するような重要な土地でございますので、立法化を進めて、防災、それに対する防災側の体制をしっかりすると、そういうことは大切であろうと思います。ただ、それは政治的の決断でございます。
  261. 小平芳平君(小平芳平)

    小平芳平君 どうもありがとうございました。
  262. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 それでは、最初に政務次官にちょっとお尋ねしたいと思いますが、先ほど大臣の御答弁の中で防災訓練ですね、このことを地方自治体だけでなくて国も関与した形で東京中心に行いたい、こういう御意見が述べられましたけれども、この防災訓練につきましては、政務次官が事務局長をされています中央防災会議が、これが中心となってされるんでしょうか。
  263. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 先ほど、私が大臣のいらっしゃるときにこの部屋へ入りましたら、たまたまそういう御答弁していらっしゃったようでございます。聞いておりましたら、やっぱり大都市におけるところの災害に対してどういう考え方をするかという質問に対してのお答えのようでありましたが、防災訓練は、私にはちょっと記憶ございませんが、何か一遍やられたことがあるそうでございまして、今回も、国土庁というよりも災害対策における本部としてぜひ東京をまず一応やってみたい、許される予算ならば大都市の大阪も、さらに名古屋も、そして他の方にでもやっていきたい、そして心構えをしていただきたい、こういうお考えを大臣も持っておられますし、役所の者もそういう考え方に一致いたしておるわけであります。ところが、一時的にしましても、非常に関係それぞれが大変なことでありまして、たとえば、まだこれはたとえのことになるわけでありまするが、前回おやりになった例を考えて言われたことであろうと思いますが、規模が大きくなれば大きくなるだけに交通網も遮断せなければならない、消防庁にも大変な協力をしていただかなければならない、さらに、それを本格的な様相を示しての訓練になれば防衛庁の出動もいただかなければなりません。そして東京都でやる場合においては、東京都民のうちの何%かの方々が、それによって一時仕事を中止しなければならないというようないろいろの問題点がたくさんあるので、こういうようなことを煮詰めた上において実行に移していかなければなりませんから、いろいろと今後の研究課題としてそれを一つ一つほぐしながら進めていきたいというのが長官の考えでもありますし、対策本部長としての考え方があるわけであります。そういう意味におきまして、今度の予算の一部の中にもそれが含まれておるように思いますから、私どもは時があればそうしたことを実行に移していきたいという考え方を持っております。
  264. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 それでは次へ移りますが、科学技術庁にお尋ねしますけれども、せんだっての伊豆半島の大島沖地震に関しまして、余震情報のその後につきまして、心理的な影響について科学技術庁で世論調査をされていますが、その結果について御報告願いたいと思います。
  265. 説明員(清水眞金君)(清水眞金)

    説明員(清水眞金君) お答えいたします。  地震予知情報伝達システムにつきましては、すでに昨年の十月から科学技術庁が未来工学研究所に委託いたしまして研究を進めておるところでございますけれども、今回、一月十四日に伊豆大島の近海地震発生いたしまして、余震情報によってパニックが起きたというふうな事態がございましたために、これに追加いたしまして、急遽一月の二十五日、二十六日の二日間にわたって、電話インタビューによる調査を行ったものでございます。これ約千五百名に電話をしたわけでございますが、有効な回答がございましたのは約五百名でございました。  結果の概略について申し上げますと、まず、住民の過半数がデマ情報に接触しておる。それからそのうち、いわゆる半信半疑の人を含めまして、このデマ情報を信じた人が約七〇%もおったというふうなことが出ております。それからなお、直接テレビとか県の広報車から余震情報を聞いた人のうち、約三分の一がすでにその段階で間違った情報を受け取っておるというふうな結果が出ております。  それからさらに、デマ情報に接した場合に、何らかの行動を起こした人、これを調べましたところ七〇%は火を消すとか、そういうふうな具体的な行動に出ておるわけでございます。これは信じない人でも、なお信じないながら三〇%ぐらいの人は行動を起こしておるというふうな結果が出ております。  それから、このパニックは余震情報が出ましてから三時間後ぐらいがほぼピークに達しております。その後県の広報車あるいは県の方がテレビ等で真相を説明いたしまして、一応鎮静化に向かっておりまして、ほぼ六時間で一応鎮静化しております。  それから、そういうふうな一応デマが出ましてパニックになったわけでございますけれども、こういうふうな余震情報を出したことにつきまして、県民の方々がどういうふうに考えていたかということでございますが、約七〇%以上の方がやはりやむを得なかった、やはりそういうふうな情報は出してもらった方がいいというふうな、非常に好意的な反応が出ております。  それからなお、科学技術庁におきましては、今回の調査は電話によります緊急の調査でございますので、なお詳細がわからないところがございますので、近く現地における詳細調査を予定しております。  で、それらの二つの調査の結果を総合いたしまして、近々、年度過ぎには何とか発表するようにこぎつけたいというふうに考えておる次第でございます。
  266. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 ただいま科学技術庁からお話がありましたけれども、萩原会長はこの結果をどのように評価されますか、お聞きしたいと思うんです。
  267. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) このたびの騒ぎは、これは全部がこうした方が非常にためになるだろうという善意から出発している、そういうわけで、だれが悪いという、全くとがめることはとうていできないのでございます。この騒ぎは全く——まあ私は東京におりまして一応局外におったわけでございますが、やはりあれだけの情報があれだけ曲げられて伝えられてああいう騒ぎになったということは、全く予測しなかったわけでございます。こういう情報伝達につきましては、やはり私どもの立場から、ふだんからいろいろ心理学者のお話を聞くとかそういうことをしておったのでございますが、全く予想もつかなかったことで、今回の出来半は私どもにとって非常に全く貴重な教訓になったと思っております。
  268. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 わかりました。  地震予知連絡会には、どういうメンバーが参加されていますか。
  269. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 地震予知連絡会は、いまいろいろな省に属しますいろいろの機関が地震予知に必要な観測を行っておりますが、そうした観測を担当している各機関から三十名の委員が出ておりまして、なお、三十名——約半数は学識経験者及び大学関係でも観測に協力しておりますので、大学の先生、そういう者から構成されておりまして、私が委員長をいたしております。
  270. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 そこで、ちょっとお尋ねしますけれども、その情報をいろいろと発表される段階の過程ですね、そこにおいて、その情報を発表することによってパニックになるから、発表するのはやらない方がいいんじゃないかとか、あるいはストレートに出した方がいいんじゃないか、そういった議論はそこでされるんでしょうか。
  271. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) それは従来いろいろと議論されまして、できるだけオープンで、ガラス張りでやっていく。連絡会がありました後、レクチャーと称して気象庁記者クラブの方を中心に発表いたしますが、できるだけオープンにすると。これは隠してもだめ——隠すとかえって報道関係同士抜き合いになりますし、そういった間違った情報が伝えられることになりますので、できるだけ隠さないで詳しくお話するという方針をとっております。
  272. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 これは先ほどもちょっと先生おっしゃいましたが、社会心理学者等の意見を聞くということでございますけれども、そういった社会的、政治的な影響というものを考えて、この連絡会には社会心理学者が入った方がいいんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  273. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 連絡会は、地震予知に必要な観測の結果に基づいて学問的判断をするところでございまして、この心理学者で情報伝達に関するいろいろな、こうした方がいいという研究は必要でございますが、これは連絡会とは別個のものでやった方がよろしいと私は思っております。
  274. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 結構です。  それでは次に、地震の関係に移りますけれども、通産省にちょっとお聞きしますけれども、伊豆半島地質的な状況について御説明願いたいと思います。
  275. 説明員(山中正美君)(山中正美)

    説明員(山中正美君) お答え申し上げます。  伊豆半島地質でございますけれども、一応、伊豆半島地質は、地質学上で言いますと新生代の第三紀——新第三紀及び第四紀の堆積岩とそれから火山岩類で構成されておりまして、地域的に言いますと伊豆半島の南部地区が大体新第三紀、いわゆる約二千五百万年から百八十万年ぐらいの間の地層でございまして、それから、第四紀というのは百八十万年から現在までの地層でございます。  それで、一応第三紀の地層でございますけれども、これは一応堆積岩といたしまして泥岩だとかあるいは砂岩とか一般的なものから構成されております。それから火山岩類でございますけれども、これは火山から直接流れ出しました溶岩であります玄武岩だとかあるいは安山岩で構成されております。それ以外に、火山灰等が固まってまいりましたいわゆる火山堆積岩類というもので構成されております。  それから第四紀の方でございますけれども、これは堆積岩がほとんどございませんでして、一般的には河川の河原等に散見する程度でございまして、残りは大部分は火山岩類で構成されております。  以上でございます。
  276. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 この地域は、活断層のすぐあるところだと言われておりますけれども、地震活断層との関係について、どういう見解をお持ちですか。
  277. 説明員(山中正美君)(山中正美)

    説明員(山中正美君) 先生も御案内のとおり、一般的には、地震というのは地殻のひずみエネルギーが蓄積してまいりまして、それが放出されるときに一つ一種の断層が生じますし、それが地震だと言われております。私ども地質調査所でやっております活断層と申しますのは、これはまた地質学上の分類でございまして、御承知のように、一応先ほどちょっと御紹介いたしましたように、第四紀といいますか、百八十万年前から現在に至るまで、まあ地質学上では一番新しい年代でございますけれども、そこに断層が生じているかどうか、つまり、逆に言いますと、一般的に断層はずっと古くからあるわけでございますけれども、第四紀を切っているということは、第四紀に地震が起こったということの逆の過去の歴史をあらわしているわけでございます。それ以前の地層を切っている断層は、百八十万年間地震が起こらなかったという証明にもなるわけでございますから、逆に、第四紀を切った断層につきましては活断層と称しまして、一応百八十万年間の間に地震が起こった、そういうふうなことで、一応活断層というふうに思っておるわけでございます。逆に言いますと、だから、活断層自身は今後地震が起これば必ず動くというものではなくって、過去に地震が起こって動いたという歴史的な証明といいますか、事実的な証明ということになっておるわけでございます。  以上でございます。
  278. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 この地域活断層が多いことが報道されましたし、活断層の上を、あるいは周辺とか、そういった危険地帯に住居が建設されていたりしておりますが、そこで、国としては、このような危険地帯に建っている場所について、調査で把握していると思います。また、そういう状況について、あるいは、それからどのように行政指導されているか、その点お伺いしたいと思います。
  279. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) 大変恐縮でございますけれども、具体的には私どもの方も今回の地震の騒ぎによりましていろいろ情報を知ったわけでございますが、先ほど地質調査所の方からの御説明がございましたが、先般の国会の予算委員会のときにも、たしか現在の活断層の関係の調査状況の御報告を申し上げて、現在三カ所ができておると。さらに、五十三、五十四年度ぐらいで、日本全国の二百万分の一も含めましてもう四カ所つくる予定であると、そういうような状況報告がございましたんで、現況としてはその程度の、何といいますか、状況図と申しますか、そういうものが進行形であるということを私どもは理解しております。
  280. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 建設省に、じゃ時間ありませんので端的にお伺いしますけれども、伊豆半島は、きょうもいろいろと議論されておりましたように、もう相次ぐ地震の連続、災害の連続でございましたが、そのたびに開発の問題が注目されているわけです。今回の地震でも被害を増大させた、決定的なものにしたのは開発問題じゃないかと、こう言われておりますけれども、その点どうでしょうか、建設省の考え方。——じゃいいです、次、まとめて言ってもらえればいいです。  この伊豆半島の問題につきましては、やはり道路の問題が一番これが重大な問題になっております。その道路等は、大体がけとか山を削り取って造成されたものが多いわけですが、特にきょうも問題になっております幹線道路国道百三十五号線の問題です。この道路は、これまで、地震集中豪雨で崩れたところを復旧すると、またその次の災害で別のところが崩れると、そういうことを繰り返してまいりました。また、今回の地震でも御承知の災害に遭っているわけです。ですから、この道路問題を解決しなければ伊豆に安全はないと、こうまで言われているわけですけれども、建設省の抜本的な対策は必要と、そういうことは先ほどからもお話はされておりますが、特に問題になっております東伊豆町の白田地区、あそこは今回の大量の崩落があったわけでございますが、ここは有料道路と共有ですから、これが崩れますと完全に町は両断されてしまう。したがって、この地区の道路については万全の対策が必要だと、このように言われておりますが、その点についてどうでしょうか。
  281. 説明員(沓掛哲男君)(沓掛哲男)

    説明員(沓掛哲男君) 御説明いたします。  最初に後の点から申し上げたいんでございますが、この白田地区でございますが、東伊豆道路災害復旧に当たりましては、今回の被害状況等を十分調査いたしまして、耐震性の大きいのり面対策、擁壁補強等を実施していくほか、これらの工法によっては安全を期しがたい個所につきましては、道路を構造物で被覆する道路覆い工等も含めまして、恒久的対策を実施していきたいと考えております。これらの対策により、道路位置を大幅に変更することなく交通の安全確保を図ることができると考えておりますが、なお、学識経験者等の意見も聞いた上で、最終的な防災対策を確定したいと考えております。  なお、最初の先生の開発にかかわる問題でございますが、この東伊豆道路をつくる場合におきましても、できるだけ自然ののり面は切らないようにして、海側に桟道を出すとか、そういう形で実施いたしまして、震災対策というような面ではいままでも十分配意してきたつもりでございますが、いま、先ほど来の特殊な地形地質でございまして、今回こういうふうな災害が起きましたので、このたび道路公団に東伊豆道路震災対策検討委員会を設けまして、ここに、いろいろの学識経験者等も含めて抜本的な対策を検討し、それを実施していくように考えております。
  282. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 時間もないので次へ移りますが、先ほど通産省から伊豆半島の特殊な地質についていろいろと説明がありましたけれども、次は、農林省ですね、林野の防災保全ということも、これ人命及び財産の安全を守るために重要な問題だと思いますが、今回の地震によって、崩落はしていませんけれども相当なこれは傷が入っていると思います。伊豆沖地震の後の豪雨によっても、各所で土砂崩れを起こして人命が失われました。道路復旧しても、これで災害終わったわけではないとまで言われているわけでございますけれども、これから梅雨どきが勝負どきとなると思います。関東大震災でもその後の豪雨で丹沢だけでも千五百カ所も崩壊したし、新潟地震でも、四十二年八月の加治川水害で、新潟県だけで百三十六人の死者が、あるいは行方不明者が出ております。したがって、今度の地震の結果というのは次の梅雨期、たとえば集中豪雨等によってあらわれてくるのじゃないか、こう思います。したがって、総点検及び対策に対しては万全を期していただきたいと思いますが、林野庁ではどのように考えていますか。
  283. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) ただいま御指摘のように、今次の地震によりまして二次災害等、今後多少危険が心配される個所は、県なり東京営林局の報告によりますと約四十カ所程度ございますので、これらにつきましては、規模あるいは保全対策等を勘案をしながら、緊要な個所から予防治山事業といたしまして弔急に治山をやっていきたいと考えております。
  284. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 同じく東伊豆町では、住民から要望があるわけですが、災害によって熱川地区と稲取地区はこれは両断されているわけですね。今回、飲料水の補給につきましては、稲取地区は自衛隊によって補給が可能になりました。それから熱川地区の方につきましては、集砂堤防はあっても堤防がないために船が着けないということでそれが不能であったということです。それで、地元としましてはこの堤防の補強をしていただいて、二十トンないし三十トンぐらいの船が着く程度でもこれは可能じゃないか、こういう意見が出されているわけです。今回の震災で漁港の整備等が全面的に要望されているわけですけれども、その点について。
  285. 政府委員(角道謙一君)(角道謙一)

    政府委員角道謙一君) 漁港につきましては、先ほど来申し上げておりますように、漁港として、本来必要な漁業生産なり漁業の流通面で必要な規模において漁港を整備をするというのがたてまえでございます。ただ、漁港そのものを災害等の場合に避難港として利用することは無論可能でございますし、また、今次の災害におきましても十分その機能を発揮したわけでございます。御指摘のような個所につきましては、漁港の機能の範囲内におきまして、できるだけ配慮していきたいというように考えております。
  286. 太田淳夫君(太田淳夫)

    太田淳夫君 各省庁それぞれ対策について要望があるわけでございますが、十数カ所非常にありましたので、時間になりましたので省きますが、いずれにしても伊豆半島災害が連続して起きているわけです。したがって、先ほども通産省の方の報告がありましたように、特殊地帯でありまして、災害常襲地帯としてのこれは認識を持っていただいて、特別な災害対策を出していただきたいと思うのです。特に政務次官は、この災害発生に際しまして先陣を切って現地に乗り込まれて、いろいろと被害調査に当たられておりますが、どうかその点、各省庁をまとめていただきまして、伊豆半島復旧はもちろんのこと、恒久的な安全を目指しての対策をお願いしたいと思います。
  287. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 太田先生の私に対する質問に対して、お答えを申し上げたいと思いますが、私が現地へ参りましたのは、一応調査団として参ったわけでありますが、その前に本部長として大臣もお出かけいただきまして、親しくいろいろの話を聞かれ、そして十分に認識していらっしゃいますし、非常にこの災害に対して被災せられた方々に対して心からお気の毒であったということと同時に、亡くなられました二十五名の方々に対しての御冥福を本当に祈り、そしてこの災害に対して一日も早く住民の皆さん方が安心していただけるように、さらに新しい構想のもとに一つ一つを復旧していかなければならぬという決意をしていただいております。さらに、私ども調査に参りました調査団の、各省のそれぞれの方々も真剣に取り組んでいただいておりますので、御期待に沿うべく、いまだまだ解決していないいろいろな問題については、至急速やかに一日も早く解決するように皆さんとともに協力をして解決に当たっていきたいと思っております。どうぞ先生方にも御協力を賜りますことを心からお願いいたしまして、私の答弁といたします。
  288. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 共離党を代表して質問をいたします。  この災害の中で、私どもの党といたしましても、直後に調査団を派遣し、一月二十一日には政府に申し入れを行ってきたところでございます。また、私自身も二十七、二十八両日の参議院の災害委員会調査に参りまして、厳しい災害の跡を見、とりわけ青木理事の方からも報告をしたわけですが、見高入谷のあの山津波の中では、たまたま視察の現時点で二つの遺体が発掘をされるというような、生涯忘れがたいような深刻な状況も見聞をしてまいったわけであります。  すでに、災害後一カ月近い時が流れておりますから、避難をされた方も家に帰られ、そして被災をされた方々もそれぞれ厳しい状況の中で、家財を失いあるいは痛みながら復旧に奮闘しておられるでしょうし、とりわけ、現地の市町村長、大変な状況で奮闘しておられると思うわけです。亡くなられた方の冥福を祈りながら御質問申し上げるわけですが、まず、次官にお尋ねをするわけです。  さまざまな被害が現地にあるわけですが、特に死傷者あるいは住宅の全半壊というような状況の、中で、災害救助法全面発動されて、災害弔慰金の弾力的な運、用を含め、個人被害についての補償救済については格段に努力をされなければならぬと思うわけですが、この点についてお伺いをした上で、次の質問に入りたいと思います。
  289. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 先生の御質問に対してお答えいたしたいと思います。  それぞれ金融関係、融資関係等につきましては、万全を期していきたいという考え方でそのような手配いたしておるわけでありますし、一日も早く復興していただくことが、この災害における何よりの、優先したものであるわけでございます。そういう点におきまして、いまだ、まあ激甚地という問題、災害に対する特例としての処置はとられましたが、いままでのお話を聞いておりますと、まだ激甚地に指定もしてないところもありますので、こういうような問題等を取り上げまして、至急速やかに安心していただき、こうした天災を受けても、やっぱり政府はとるべき処置をきちっととってくれるんだという安心感を持っていただくように、私どもみんなで力を合わせていきたいという前提に立って進みたいと思っておりますので、どうぞそういう観点からあらゆる質問をしていただき、その質問の中に私どもは勉強をして、そして適当な処置を考えるべく政府としていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  290. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 真っ先に訪れたのが、河津町の役場であったわけですね。河津町の深刻な状況というのは、今回の被害に先立ってこの四年間に五回の災害が起きる、町長さんも切々と訴えておりましたが、正木町長が就任以後、四十九年には伊豆半島地震と、それから五十一年には五十年に続いて集中豪雨、これで二年間で十五億円、三十二億円と出費をしたと。そして五十年の十月八日の災害で十五億、五十一年の七月には三十二億。そして五十一年の八月、その翌月にやってきた直下型の地震で、これは三億円。こういうような次々の災害で、三年計画で緊急復旧を予定してやっているんだが、連続災害で消化できないと、防災の重要性はわかっても、復旧が間に合わぬので消化できないんだというふうなことも訴えておられたわけであります。そこへ今年の正月の災害、これで六十一億円というわけですから、通常の一般会計が十二億ぐらいの自治体で、ことしは二十億多く組まれたそうですけれども、この自治体が努力をしても救出、復旧、なかなかいまの状況で莫大なまた債務にもなっておって、手が届かないというような状況を見るなら、新たな観点でいろいろ援助をしておかなければならぬのではなかろうか。  ここで特に河津町から寄せられた要望事項を見ますと、八項目にわたって、たとえば学校の先生は、女の先生が七〇%であるのを男女半々にしてくれというようなところまで、非常に身につまされるような要求が出ておるわけです。人事は県がやるわけですから、これを国でどうこうと直ちにやるわけでないのですけれども、まあ非常に切実感に満ちておるわけであります。この中で特に二点、非常に現地でも従来からの懸案になっておる問題でもあり、二点について答弁をいただいておきたい。  一つは、がけ地近接住宅の移転事業、これがいままでの状況であれば市町村の負担金が四分の一ついておる。これを何とかしてもらえぬか、これでは制度があっても活用できぬというのも非常に切実な訴えであります。  その次には、急傾斜地帯及び林地災害等に該当しない地域、なかなかうまく該当しないわけでありますから、これの復旧工事が全額個人負担になっておる。この点について、この際、救済措置について考えてもらいたいというのがあるわけですが、いかがでしょうか。
  291. 説明員(対馬英輔君)(対馬英輔)

    説明員(対馬英輔君) お答え申し上げます。  前段のがけ地近接危険住宅移転事業でございますが、この事業は、がけ地区の崩壊等による災害から住民の生命の安全を確保するために行います予防的な措置として、昭和四十七年度から制度化された事業でございます。昭和四十七年度制定された当時、補助対象としておりましたのは、がけ地に近接しております危険住宅の除却に要する費用ということで、補助率も三分の一でございましたが、翌四十八年度からは補助対象を、除却しました危険住宅にかわりまして建設します住宅建設に要する費用、これも補助対象に加えまして、補助率も二分の一に上げております。そのほか、補助対象の限度額も逐年引き上げておりまして、当面はこれで対応できるんじゃないかというふうに考えております。  それから、御指摘がございました河津町につきましては、近年の実績等を見ましても数戸程度のものでございますので、それほど地元に大きな財政負担を与えることはないんじゃないか、かように考えております。
  292. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 この急傾斜地被害等あるいは林地災関係の被害等の分についての答弁もらってないと思うが、これはいかがですか。後ほど補充してください次官。
  293. 説明員(井沢健二君)(井沢健二)

    説明員(井沢健二君) 急傾斜の関係でございますが、今回の地震によりまして急傾斜に採択されますのは四件で、二件が緊急としましてやりたいというふうな話を聞いております。
  294. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 問題も具体的ですし、いまのように単価のアップだけでは、なかなか該当させることはできないというところに問題もあるようですし、また後ほど詰めてお伺いをしたいと思います。  この地域で、この要望書には上がっていないのですけれども、すでに四年前の伊豆半島地震以来救出と復旧の先兵になると申しますか、そのときにフル回転しなければならないのが、これが消防力の問題になってくるわけであります。この消防関係の定員の基準というのは、これは在住人口比例ではじき出されておるのであって、実際にはここにたくさんの観光施設がありますから、そこのところで、それぞれの時点で存在しておる人間の数は非常に多くて、今度の場合でも避難の問題等でかなりの措置をしなければならなかったというような点があります。この点についても、この防災体制で消防の設置基準については在住人口だけではなくて、観光地帯として観光客の人口等も勘案するなど、何がしか工夫をしてもらいたいものだと。そういう消防力の強化の問題あるいは防災専任職員——これも置かなければならぬかと思うけれども、こういうものが単費で置くというようなことではなかなか大変だし、こういうものに対する配慮も願いたいというようなものも非常に切実な要求になっておりますが、これらについての現時点でのお考えないし研究方法についてお伺いをしたいと思います。
  295. 説明員(持永堯民君)(持永堯民)

    説明員(持永堯民君) 私、直接の所管でございませんので、的確なお答えは申し上げにくいわけでございますが、お話しございましたように、消防力の基準の場合には人口を基礎にしていたしております。ただ、河津町の場合には、現在はまだ常備消防になっておりませんで、いわゆる消防団、非常備消防の形でございますので、そういった面からいたしますと、常備消防になった場合には先生御指摘のような問題が出てまいると思いますけれども、いまのお話は十分所管の方へ伝えまして、いずれ後刻またお答え申し上げたいと思います。
  296. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 この問題についても、すでに前回の災害以降、現地等でもいろいろ総括なり研究をやられたようで、それらの総括の中にも早くから上がってきておるわけですね。こういった点は御研究を願いたいと思うわけであります。  私、ここで、すでに同僚議員からも多く質問されておるところでありますけれども、持越鉱山関係の問題について御質問をしたいと思うわけであります。せっかく長野社長がお見えになっておりますので、社長にまずお伺いをしたいと思うわけでありますが、私どもも現地視察に参りました。まず天城湯ケ鳥の町長の立岩さんにお目にかかったら、これは国有地に立地をしてあって、通産省の厳格な監督を信じてきましたのに、えらいことになりましたということで悲痛な声を上げておられましたけれども、残念ながらそこにもう一つ加えて、あの会社ならと、こういうことは言われなかったですね——とにもかくにも国と通産省を頼りにしてやってきたんだというふうには言われておりましたけれども。そういう点ひとつ社長さんとしては考えていただきたいと思うわけであります。  長野社長は、キャリアとしては元三井鉱業の取締役も行われ、あの天下の神岡鉱業の所長も経験をしてこられて、ただの社長というよりは専門家としてのキャリアもあり、技術関係、法律関係についてはよく熟知をしておられる方だと私は考えるわけでありますが、この点について安全と公害防止の観点、法規、保安規則等については社長就任以後留意をしてやってこられたのかどうか。それから、今後ともこの調査に対してどのような協力をされ、これら住民との今後の対話、協力等についてはどういったふうなお考えで進めようとされておられるのか、その点をお伺いしておきます。
  297. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) 私どもはやはりいろいろな法規をまず厳重に守るということが、私たちの毎日の日常の心がけでございます。その法規を守るためには、私たちは部下の教育ということが大事でございまして、その点はわれわれは十分気をつけてやっているつもりでございますが、御指摘をもし受けますれば、さらにそれについて勉励したいと思います。  その次、特別の調査に対してでございますが、いま言ったように私たちは合理的な半間的な判断、あるいは基準ができるということが一番大事だと思いますので、今度来られる調査その他につきましては、私たちは心からその調査ができますように、当然これに協力しあるいは御援助しなきゃならぬかと考えております。  それからもう一つは、地元に対する接触でございますが、私は長い間鉱山やっておりましたですが、やはり地元の方の協力を得なければ、なかなかああいうような仕事はうまくいかないんじゃないかとこう考えまして、私自身も地元に対してはできるだけ十分の誠意を示すようにしておりますし、また所長初め私の方のスタッフに対しても、平生そういうことは最も大事なことであるというぐあいに、私の気持ちを伝えてあるんでございます。今後ともそういったように地元に対しては誠心誠意真心をもって尽くすと、そうして御理解を深めていきたいと、こう考えております。  以上でございますが、よろしゅうございますでしょうか。
  298. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 もう一つ、それでは先ほどの質問の中でもございましたが、昨年の五月三日にも、これは製錬所の方から狩野川の方にシアンを漏出をしておる、こういったことについては承知をしておるということでしたが、これについてもさまざまな環境規制の中で法規があるわけです。後始末はどういうふうになったかというようなことは皆御承知ですか、社長さん。
  299. 参考人(長野耕造君)(長野耕造)

    参考人長野耕造君) 実はこの点につきましては、製錬所が非常に古い製錬所でございまして、常時その排水関係には何回も改善を加えてまいったわけでございますが、何分一カ所パイプの接合部が腐っておりまして、量としては非常にわずかだったんでございますが、下流数百メーターのところの魚が浮いたという事実がございました。それで、そういうことが万一にも起きないように、そのパイプを全部集めまして、鉄の新しいトラフを中に全部それを詰めるようにして、全部その排水関係は直しますし、また途中には自動警報装置も新たにつけるようにいたしまして、それで地元の方にこういたしましたと、よろしいでしょうかということで、大体了解を得た次第でございます。
  300. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 じゃ、通産省の方にお伺いをしていきたいと思うわけですが、この持越鉱山中外鉱業所の鉱滓堆積場、これについては当然通産省の監督下に行われたものだと、先ほどからも指摘があるように、この立地については特に地震の頻発する地域である、設置に当たって設計管理にはその点が反映をされて御指導になったと考えるのは常識でありますが、そのような点はどういうふうに行われたわけですか。
  301. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) このほうずき沢の堆積場につきましては、三十六年に鉱山保安法に基づきます規則によって設置を認可をしておるわけでございます。その後基準も改定をいたしまして、耐震性その他も十分配慮をした上でそういう改定がなされ、しかも、その改定に従った基準にも合致をしておるということを調査をしたわけでございますが、結果として、こういうことになりましたということについては、われわれもはなはだ遺憾に考えておりますので、これについては今後十分な調査をして対策を考えたいということでございます。
  302. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 耐震的な観点を十分に念頭に置いて、そして設計については基準に照らして合致しておるものとして認可をしたというふうに言われるわけですが、そういう点では、二百カ所といわれる同種堆積場の中で、特段にこれは、ほかの堆積場に比べてさまざまな施設上の違う点といいますか、特別な点を持っておるわけですか。
  303. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) 堆積場そのものについては、同種のものと大いに違うという点はございませんが、ただ、内容物として金製錬の鉱滓を入れるというものは全国で比較的少のうございまして、そういう点では、金鉱山というものの堆積場というのは、一般的な基準というものを満たしておりますけれども、今後そういう点でも、特殊な検討の必要があるかどうかという問題も、原因調査の過程で検討の課題になろうというふうに考えております。
  304. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 ちょっとはっきりわからぬ点があったのですが、局長の答弁では、耐震的な配慮も加えた上で、大体他の数多い堆積場とほぼ同形態で、やっても間違いないということで認可をしたというふうに聞き取れるわけであります。私、堆積場の設計基準ですね、これは立地公害局でもって取り扱われる責任範囲になっていると思うんですが、読んでみると、確かにさまざまな条件を予想しておりますから、これが厳格に適用されるならば、そうよほど不測のことでもない限りは間違いなさそうなものだと思うわけですね。この点に従って少し詰めて読んでみますと、どうも納得のいかぬようなところが出てくるわけです、率直に申しまして。  この中に幾つかの条件がございますが、先ほどから社長さんは、法規は丁寧に守って、これは厳格に実施をしてきた、そして基準では、これは間違いなく認可をしてそれで検査もやってきたと、こう言われるわけですけれども、それじゃどこに問題があったのかということになるわけですね。第二節のまず第一の「位置の選定と地盤調査」という部分があります。ここのところで、まず立地について規制条項があるわけですけれども、これはどういうことを書いているわけですか。ひとつ説明をしてもらいたいと思うんです。
  305. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 第二節の「位置の選定と地盤調査」でございますが、「位置」といたしましては、この基準で述べておりますところは、まず「下流側近傍」——といいますのは、もし万一決壊等の事故が起こった場合に、下流側の近傍に人家あるいは重要な建築物等が存在する場合には非常に被害が大きいということから、下流側近傍にそういったもの、人家とかあるいは重要な建築物等が存在するところを避けるようにということが一点でございます。ただし、「止むを得ない事由があって」こういったものが存在するところに設ける場合には「危害防止について特に考慮を払う」というただし書きがございます。  第二点は、「集水区域からの土石の流出が少いこと。」と、これは、堆積場がございますその沢につきまして一定の集水区域があるわけでございますが、その区域からの土石の流出が少ないような、そういった位置を選ぶようにと。  第三項は、「山崩れ、地すべり、なだれ等のおそれが少いこと。」、こういう地域を選ぶようにということになっております。
  306. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 下流側近傍に人家や建物がない、こういうことになると、持越鉱山は一体これに該当したのかしなかったのか。日本には多数のものがあるのですが、日本の場合には、多くは、大体山でやれば下流には一般的には人家が存在するでしょう。今度の場合なんかになってみれば、漁業一つを見ましても、二億円のアユだとか三十四億のハマチというような問題もあれば、あるいは水田でも非常に広いものが流域に存在しており、この川は飲料水の水源にまでなっておるわけです。こういうところをよけて、第一の規制条項というのはこういうところへ立地するなということを書いておるのではなかろうか。特にしかし、それでもここにつくられたのは、やむを得ない理由があったときという方に該当して認可をされたのかというふうにも読むわけですが、その点はどうなんですか。
  307. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 当時の判断がどうかということは別といたしまして、下流側の近辺に人家や重要な建築物が存在している、たとえて言いますれば、非常に密集した人家がその沢の開けたところに存在するようなそういった場合には、これは人命七非常に大きな問題であるということから、別なところを選んだらどうかと、こういう基準でございます。それで、ほうずき沢堆積場の場合には、不幸にしてあれだけの災害を起こしましたけれども、実際上の人命の災害あるいは住宅の流失といったようなことにはつながっていないということで、この条項からいたしますと、近傍には人家や重要な建築物は存在しなかった。もちろん持越川にスライムが流れ出ましてこれが狩野川まで影響を及ぼして、公害と申しますか、被害を及ぼしたことは、非常に私どもとしても責任を感じているわけでございますけれども、やはりこの第一で申しますのは、できる限りそういったところを選ぶようにという趣旨ではなかろうか、このように思います。
  308. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 この基準自身を読めば、かなり制限条項を多数設けているけれども、これがざる法になってしまえば何にもならぬわけであります。東京とか大阪とかいうところがすぐそばにあるのでなければ、この程度なら下流近傍に住家、建造物の存在するところとは見ない、と。したがって、もしここへつくる場合には、やむを得ない理由があるものとして、特に日本で金を掘る場所は幾つもないから、ここでは「危害防止について特に考慮を払う」という、ただし条項を適用して、そうして立地をしようというふうにさえもなっていないとすれば、他の鉱山も推して知るべし。恐らく日本の鉱山というのはただし条項を適用しているものは一つもないんじゃないかというような感じがするわけであります。ただし条項があるということは、よほどの場合に、具体例があって初めてこれも価値があるもので、こういう点でも私どもとしては非常に問題を感じるわけです。この点では、基準の見直しとかいう以前に、基準の適用についてこれは公開されて、どういう場所で、住民の同意も求めて厳格に行われていくかということが、今後問われるのではなかろうか。この点ひとつ指摘をしておきたいと思うわけであります。  さらに、ほうずき沢のこの堆積場が、結果において幸いハマチの被害などを招きませんでしたけれども、これも一種の天佑であって、今後ともそうでないということは決して言えない。これらの問題については厳格にやはり反省をされる必要があるんではなかろうか。  続いて、地盤、土質についても規定を持っておるわけであります。この「材料」の部分、第三節を見ますと、「たい積場の設計に必要な基礎地盤、構築材料及びたい積物等に関する性質又は強度等は、原則として試験により判定する。」できない場合には推定値を出すと、こうありますけれども、これは試験によって判定をされ、その資料を現在残しておるわけですか、いかがですか。
  309. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 第三節の「材料試験」の項目でございますが、「たい積場の設計に必要な基礎地盤、構築材料及びたい積物等に関する性質又は強度等は、原則として試験により判定する。ただし、あらかじめ試験により判定することができない場合には推定値によることができる。この場合においては、適当な時期に試験により推定値を照査し、その結果必要がある場合には設計を変更するものとする。」と、こういうことでございますが、これらの構築材料及び堆積物等に関する性質については、本件の場合には嶋沢の鉱津堆積場、これはこの堆積場ができます前につくられた古い堆積場でございますが、この堆積場の土質試験の結果を参考といたしまして、これから推定をしたということでございます。
  310. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 これ、一つずつ点検をやっておると時間に限りがないわけですけれども、具体的に、いまの答弁からすれば、この持越鉱山、今回のほうずき沢内身の構築に関しては、ここに書かれておる原則として試験による測定は省略をして、そして古い施設のものを援用して推定量を出してこれでやったんだということも答弁から明らかなわけであります  特に、この地盤調査についてはあれこれ番いてあるわけですけれども、この土地、土質というのはきわめて軟弱と言われるわけでありますけれども、その点はどうなんですか。
  311. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 「地盤調査」につきましては、「たい積場を設ける区域及びその附近の地盤については、あらかじめ次の各号について調査を行うものとする。」「地盤を構成する岩石又は土の種類、性状及び賦存状態」、次に、「地下水の状態」及び「ゆう水の有無、位置障及び状況」、この点につきましては、「地盤を構成する岩石又は土の種類、性状及び賦存状態」については調査を実施いたしております。それから「地下水の状態」及び「ゆう水の有無、位置及び状況」についても、これを把握しているということでございます。
  312. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 この点についても、現在、調査団が行って調査するまでもなく、これらのものが厳格に行われておるならば資料は現存するはずでありますし、すでに民間学者あるいは大学の先生等が独自にほとんど資料なしで、航空写真を見たり、いろんなやり方をしながら、それなりに調査をして結論を出しておるわけです。こういうものに対しては調査資料というのは、すぐ出せる状況にあるのかどうか、この点についてお伺いしておきます。
  313. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 先ほどから御説明いたしておりますように、この崩壊の原因につきましては、ただいま原因調査する委員会を設けまして、この委員会におきまして専門的な立場から原因の検討をお願いしているところでございます。したがいまして、この委員会に対しては、私どもといたしましてもできる限りの資料を提供して、正しい結論を早急に出していただくということでお願いをいたしておるところでございます。
  314. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 続いてもう一、二点、この点についてお伺いをするわけですが、ほうずき沢の扞止堤自身について考えるわけですけれども、扞止堤の種類は土の扞止堤とコンクリートの扞止堤と砂の扞止堤と三つ設けまして、これに対して基準ではさまざまな条件の中で選択するようにつくられてある。このほうずき沢の扞止堤はどの扞止堤に出たるのか、そうしてそれはどうして選んだのかというような点についてお伺いをします。特に十三ページの第五節「かん土堤設計の一般事項」これを見てみますと、たとえば「原則として、たい積物の水分を排除するに適した構造」を選べとか、「基礎地盤又は堤体中に貫孔作用を生じないこと。」——途中で穴があいたりしてはいかぬ、それだから危ない場合にはコンクリートの重力扞止堤にしたらよろしいと、その場合にはあれこれ条件をつけないけれども、土や砂の扞止堤の場合にはどうこうというのが、ずっと記載されてあるわけですね。非常にピンチになったら大体コンクリートにしろというふうになっておるわけであります。ここで選んでおるのは、その中で土の扞止堤なわけですね。そうでしょう。
  315. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 土の扞止堤でございます。
  316. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 土の扞止堤につきましては、これまた、これについて一つの基準を持っておるわけですけれども、それはどういうふうになっておるわけですか。
  317. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) この基準の中では、コンクリート扞止堤あるいは砂扞止堤あるいは石塊扞止堤、それぞれの規定を持っておりまして、土扞止堤につきましては第八節に規定しているところでございます。  土扞止堤の場合には、その築堤材料につきまして、「高い密度をあたえる粒土分布を有し、せん断強度が大で、安定性があること。」、また、「有機物を含まず、成分が水に溶解しないこと。」また「過量の粘土を含まない」というのが材料としての条件でございます。また、設計についても十一項目にわたって規定しているわけでございますが、詳細にわたりますので一応略さしていただきます。
  318. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 このほうずき沢の場合に石塊の扞止堤、これらの、コンクリートの扞止堤を選ばずに土の扞止堤で十分だとしてこれを選んだ、それについても条件が付せられてある。その土扞止堤を選ぶ場合には、築堤材料として高い密度を与える粒度分布を有して「せん断強度が大で、」安定的でなければならぬとなっているんですが、ここでは土質が非常に問題になってくるのではないか。こういうことは、いまから調べなければわからないことだとはとうてい思えないわけであります。それから、「有機物を含まず、成分が水に溶解しないこと。」というのと一緒に、「過量の粘土を含まないこと。」というようなのも、三条項入っておるわけであります。ところが、これは最近の新聞紙上に出されておるものでありますけれども、日大の守屋教授の調査報告、これは地質の先生でありますが、各紙に掲載をしておったのです。その一つの調査結果を見ますと、大体これの問題は、これに使用しておる材料が安山岩質の凝灰岩の土砂であって、これは水抜きが十分できていない。そして水が入ったら粘土のようになる。場合によれば流砂現象を起こして、あの新潟地震のように、上に乗っておるものでも、常には一見しっかりしておるように見えてもぐらぐらになるというような、非常に危険な要素を含んだ土質であるということが、これがいわばネグレクトされて、一定期間に固まって強固なものになるとして採用をされていたというふうな批判もしておるわけですけれども、かなり明白に、基準自身にはこれらの材質の問題について制限条項を含んでおるわけです。これを通過したものとして国民は信用しているわけですけれども、それをやるのは専門家であり、特に学者先生に一々相談するわけじゃなくて、一応百年の歴史の上に立った技術陣でやっていって書面審査をやるわけでしょう。この辺のところはどうなっているんですか。
  319. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 新しい堆積場についての認可申請が出されます場合には、この扞止堤についての認可基準、捨て石鉱津堆積場建設基準というものに照らしまして、必要がある場合には現地に参りまして実際の調査をする。また、お話のございましたような会社側のデータによる書面審査による場合もございます。それらの審査によりましてこれを認可するということでございまして、御指摘のように、必ずしもすべての調査を役所独自でやっているということではございません。
  320. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 これらの説明を聞いておりますと、必ずしも今日の科学なり技術なりの到達水準が低いので、予想できなくて起こった災害とはとうてい思えないわけであります。この尽くされるべき手順、システムが安易に流れて、その中で当時の技術と科学の水準で明確になっておったものがネグられてきたのではなかろうかと、少なくとも私は専門家でありませんからわかりませんけれども、これらの資料が明確に残っており、手順が尽くされておるならば、この凝灰岩というような土質のものが水に遭ったときにどういうふうになるか。特に震度六まで耐えるというような太鼓判を押しておるわけなんですから、こういう、いわばコロイドのような状態にあるものが脱水していく過程で、地震というような圧力が加わった場合には、一体どういう状況が起こるのか。これらの問題については、少なくとも当時の水準の科学技術のおくれによって発生をしたものではなくて、やっぱり監督官庁と建設の責任者が、これらの成果を取り入れることなく安易に進めていったところによって起こったものだと見るしかないわけであります。  私は、ここで素人議論を続ける気持ちはないわけですけれども、この点では欠陥設計、欠陥認可と言われるような状況が、少なくとも手持ちの材料の中からかなり明白に指摘されなければならないし、一方で、それは学者の調査団を派遣するとともに、手持ちの資料、材料を公開をして、そして現時点で専門家の意見も仰いで、直ちにこれに対する応急の処置に着手をする、こうあるべきではなかろうか。特に、私どもとして納得がいかぬのは、六月になるというわけですね、この調査結果がわかるのは。それはよく国会というのは延長されるところですけれども、大体、たてまえとして六月には国会が終わることになっておるわけですよ。休会中になるまで私どもは現在とにかく調査中ですからということで、ことごとくの答弁をいわば待たされて、六月までこのままということではとうてい承知できないと思いますし、途中で集中審議でもして、参考人でも招致をする。これは委員長の方にお願いしなければならぬかと思いますけれども一あるいは手持ちの材料を出してもらって、そして検討をするというような機会を設けなければならぬのではなかろうかというふうに思うわけです。その点については、委員長、ひとつ所見を述べてもらいたいと思います。
  321. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) ただいまの小巻委員の資料問題と集中審議のことにつきましては、後日、理事会に諮って善処いたします。
  322. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 特に、かさ上げ方式の問題は、すべてのいままで発言された議員が指摘されたところでありますけれども、あのかさ上げ部分というのは、一体これは壁なのですか、ふたなのですか。ここのところをはっきりと言ってもらいたいと思うんです。
  323. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 今回の災害がございまして、非常に私どもも責任は感じているわけでございますが、この建築基準そのもの、建設基準そのものを見る限り、かさ上げ部分は壁というふうに思います。
  324. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 かさ上げが壁であるということは、ふたのようにかぶっているかさ上げの下の部分が壁になっているということでなければ、それは汗止堤としての位置づけにはならないわけです。少なくとも切断面で示された図示では、下の堆積物の上にかぶされた壁のようになって、一定傾斜等の一つの規制はありますけれども、行われておる。これが中の堆積物が流れるに従ってかなり早い期間に脱水をして固体化をいたしまして、大体扞止堤と同様な強度を持つものとして想定をされておるわけでありますが、この点については現在どういうふうに見ておられるわけですか。
  325. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) お話しのように、この内盛り式の扞止堤といいますのは、下に堆積いたしましたスライムが脱水をいたしまして、これが固化していくということが前提になっているわけでございます。今回のほうずき沢の堆積場において、実態がどういうふうになっていたかという点については、今後調査委員会等の御要求もございまして、それらの点についてボーリングその他の方法によって実態を明らかにしていくということでございます。
  326. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 なお、これはしさいに警察も含めた調査の中で明らかになっていくものかと思いますが、現地新聞等で、下のポンプアップの作業場で死亡した方と一緒に残っておって目撃者の何というようなのも私はべっ見しておるわけですが、あれの崩壊は、真ん中のところから崩れて、一挙に崩れ落ちたというようなふうな一つの証言もあるやに聞いておりますし、もう一つ、これも新聞記事もしくは他の調査によって言われるところですが、すでに十年以上鉱滓投棄を中止をしておる例の嶋沢で、今度の地震によって真ん中がふくれ上がってきておるというような、異変もあらわれているということを聞くわけですが、この点はいかがですか。
  327. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 鳴沢堆積場につきましては、測量をやってその異常を確かめたわけでございますが、現在のところ異常がないということになっております。
  328. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 そんなことはないでしょう。これはもう周知のことで、航空写真にでも写るぐらいに、旧堆積場の真ん中のところがこの地震によって富士山のように低い形で盛り上がって、真ん中に火口原のような穴までできて、内容物が出てきているということがあるわけですね。どうですか。
  329. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 私ちょっと答弁間違えましたが、先生の御指摘が、堆積場の上積み面が全体に変形したというふうに伺ったわけでございまして、そのようなことはないと申し上げたわけでございますが、部分的にいわゆるクィックサンド現象であろうかと思いますが、吹き出してそこにサンドが流出したということは、おっしゃるとおりでございます。
  330. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 クイックサンド現象というものは一体どういうものであるのか、ひとつ簡潔に説明してもらいたいと思います。
  331. 政府委員(松村克之君)(松村克之)

    政府委員(松村克之君) 私、いま不用意にクイックサンド現象と申しましたが、実際にどういう現象であったのかということは、今後の調査にまつわけでございますが、簡単に申しますと、内容の堆積物が完全に乾いていないという状態で起こる現象でございます。
  332. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 私も学者の方の調査、見聞をされた話を聞きますと、すでに投棄を十年も前にやめているのですから、これは予定どおりであればかんかんに固まってなくちゃならぬはずで、その上には土を置きまして、入植をしたような方が大根をつくったり、白菜をつくったりしているけれども、こんなのはミネラルだらけのものになっておるに違いないと思うのです。そこのところが、真ん中がふくれ上がって火口のようなものができて、上の埋設をした土を越えて内容物が吹き出しているのですから、これは明らかにクイックサンドと言われる、平生、固体のような姿になっておるものが圧力によって液体化して吹き出したと見るよりほかはないわけであります。幸いに崩れてはおりませんけれども、それがいま、より水分をたくさん含んだほうずき沢の中では大規模発生をしてクイックサンド現象を起こして、そうして崩れてきたと一見るのが現時点ではかなりの方々が見られる見方であります。こうなってまいりますと、六月まで学者先生の意見が出るのを謙虚に待ちまして、その答えを聞いてというのは、果たして謙虚な姿勢であるのかと、私はそう言いたいわけであります。少なくとも監督官庁としては、現時点で当時にさかのぼって資料を国民に公開をし、現時点で言い得る今日までの欠陥を明らかにし、これらの問題も国会に明らかにした上で、その上で学者の結論を待つ、そうでなければならぬと思うわけです。この点は局長の方から責任ある答弁をいただきたい。
  333. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) いま、るるお話がありましたように、基準が決められておる。その基準に対して当時適合しておったかどうかという問題がございます。それから、その後の維持管理状態がどうであったかという問題がございます。したがいまして、今回この地震による崩壊の原因を調べるためには、当時のデータのみならず、現在どうなっておるかということを、土質的にも調べなきゃいけないというのが委員会の先生方の御意見でございまして、そういう意味でボーリング等をいたしまして現在のサンプルを取り、それを過去のものとも照合しながら学問的に進めていくということでございます。したがいまして、やはりそういうあらゆるデータをそろえて、やはり本件は学者の方々に科学的に分析してもらって、その結果で処置をしなけりゃいけないというのがわれわれの立場でございます。ただ、それを何もいたずらに遷延するということは、私らの考えているところでございませんので、極力早くいたしたいと思います。したがいまして、何か予定的に六月にするということは私らは一切しないつもりでございます。極力急いでやるとは思いますけれども、その現在のデータ、過去のデータ全部そろえた上で検討するという姿勢は、これは科学的にやっていただかなければならないというのがわれわれの立場でございます。
  334. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 少なくとも依頼された学者の調査団の方々には政治責任はないわけであります。少なくともこの国会でさまざまな災害問題——当面の重点はこの問題、当委員会としては。これが本国会中にこの状況のままで審議がこの件についてはストップをしてしまうというような状況では、私は通産省の責任も済まないだろうと思うわけであります。この点については先ほど委員長からもありましたので、委員会の中でさらに改めてこの問題については協議をした上で調査を進めたいと思うわけであります。  特に、先ほど長野社長の方から、昨年五月などの製錬所の川を汚染したという、シアン流出の問題について話がありましたが、この問題は通産省は知っておったわけですか。
  335. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) この問題については、すぐに通報を受けまして現地に行き、そして先ほど社長が申しましたような措置について当方から指示をいたし、そして処置をしたわけでございます。
  336. 小巻敏雄君(小巻敏雄)

    小巻敏雄君 この点につきましても、新聞紙等の掲載するところによれば、一応法規上、この問題については監督官庁並びに警察に対しても報告をしなければならない。これが示談で終わらされて、報告も上がってないといったふうな記述もございます。全体として、今日開発と公害の問題が問われるときに、いやしくもこれらの問題については、幸いにして示談で終わり、まあ対話はよく進んだにしても、とられるべき手続は厳格でなければならないというふうに思うわけでございます。そのことがまた、災害を未然に防止していく上で大きな力ともなっていくものだ。  時間もございませんので、このことを指摘をいたしまして、最後に、チャンスとしては、この精密検査というこういう機会があったにもかかわらず、これも空振りに終わっておる。この責任も含めて、次回以降の総点検についてのあり方、それから、他の同様施設についてのあり方についての御答弁をいただいておきたい。特にこの鉱山については、この堆積場については六月までの検査と、こう言っておりますけれども、大体同様なものが二百カ所あって、似通ったものも特に存在をしておる。これについては何の見直しの義務も何もないことになっておるわけですね。だから、現時点で直ちに通産省としてはいろいろな作業を開始しなければならぬのじゃなかろうか。特に、その関連をする二百カ所、特に似通ったものについては、限定をされたものでしょうけれども、これらの堆積場についての今後の措置というものについて、意見を述べていただいて質問を終わります。
  337. 政府委員(左近友三郎君)(左近友三郎)

    政府委員左近友三郎君) いまの御指摘の点はそのとおりだと思います。  それで、私どもは、この原因調査の結果を待って対処するということでは遅いということを考えておりまして、実はもうすでに全国の二百の堆積場については点検をする。先ほど申しましたように、基準に実際に従うということが現実に行われているかどうかということのチェックが肝要でございますので、早速始めております。ただ、全国の二百のものをわれわれの監督局部でやるには若干時間がかかりますので、とにかく類似のものから急いでやる。それから、それと並行して自主的な検査もやってその資料を提出してもらう。しかしながら、それにとどめずに、必要なところは全部監督部の方で直接検査するという形ですでに進めております。  なお、先ほど申しましたように、調査委員会の結果が出て、こういう点をさらに改善すべきだということがございますれば、追っかけまた検査をして必要な指示をするという態勢を現在とりつつございます。
  338. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) この際、長野参考人にお礼を申し上げます。  本日は、御多用中のところ、長時間にわたり当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見を賜わりまして、まことにありがとうございました。
  339. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 伊豆大鳥近海地震対策につきましては、当委員会調査報告書で指摘されているところであります。また、各委員より、激甚災害指定と災害復旧持越鉱業所シアン流出を契機といたしまして、全国二百カ所の総点検鉱山保安法に基づく鉱滓堆積基準の洗い直し及びその補償対策、さらに観光業者、被災住宅等に対する融資等の問題につきましては、すでに質問として尽くされておるところでございます。  私は、最後の質問者でございますので、これら重複する部分は質問として省略をいたしますけれども、ただいままでの意見はすべて、与党、野党にかかわらず超党派の意見であることを十分御留意願いまして、被災者のためにも一日も早くこの問題の解決がされますように、まず冒頭要望を申し上げておきます。  さて、いま衆議院で五十三年度予算が審議されておりますけれども、地震予知関係予算は、科学技術庁、文部省、通産省、海上保安庁、気象庁建設省の国土地理院を合わせ、四十一億二千四百万円と承知をいたします。このほかに東海地域地震予知研究、関東東海海域の地殻構造及び地殻変動の総合研究等を実施するための特別研究促進調整費六億二千万円を加えまして、四十七兆四千四百万円であると承知いたしております。  今回の伊豆大鳥近海地震反省を踏まえて、所管責任者であります国土庁として、この予算をもってして今後の対策は十分予知の体制がとれるとお考えになっておりますかどうか、お伺いします。
  340. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) ただいま先生から、この災害問題に対しては超党派的であるべきだという御指摘をいただきました。まことにそのとおりであると思っております。  国民の中に、このような災害を受けた人々に対して、いろいろな意見はあろうとも、最終の決定的なものは一日も早く復興することであり、亡くなられた方々の御冥福を、祈ることであることが、これが私どもの使命でありますので、先生のおっしゃるとおりであります。  ただいま気象庁だとかそれぞれ関係省の五十三年度の与えられた予算四十一億数千万円、この問題と、東海等特定地域に対するこれが四十一兆とお聞きいたしたようでございますが、これは少し数字が多いように感じますが、先生、これはその予算が——これ幾ら——四十七億……
  341. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 四十七——合ってますよ。間違っておれば、いただいた資料が間違いということです。
  342. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) そうですか。どうも失礼しました。——それでは資料もっとしっかり出さなきゃいかぬ。  四十七億だそうでございますので、先生の手元に四十七兆と書いてあれば……
  343. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 あ、四十七億でございます。失礼しました。
  344. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) そうですか。そうすると、四十七兆円あればもう十分でございますが、四十七億では、これはもう完璧だとは私は考えておりません。いろいろの問題を調査していく上において、もっとたくさんの予算編成をすることが当然だと思いますが、やっぱりこの過程において総合的にいろいろの点から考えてまいりますと、国土庁とし、各省それぞれ今度の予算にはもう必死になって、うちの本部長も私どもも、そして各省の皆さん方が、こうした災害に対しては一日も早くやらなければならないし、予知に対しても努めてできるだけのお金をいただいて、万全を期していただきたいという考え方から、一生懸命にやったのでありまするが、残念ながら先生におしかりいただくような予算に終わったわけでございます。しかし、この予算をいかに活用して、いかにうまく使って、そして所期の目的に十分達せられなくても、その目的に達するような考え方で進みたいと思っておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思っております。
  345. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 萩原会長に御質問いたしますが、いま申しましたように四十七億四千四百万円、これは総括の予知予算でございます。この予算につきまして、予知連といたしましては、どのような評価をされていらっしゃるか、お伺いいたします。
  346. 参考人(萩原尊禮君)(萩原尊禮)

    参考人萩原尊禮君) 五十三年度四十七億、この予算、この時節にこれだけの予算が地震予知につきましたことは、非常にいろいろな方の努力のたまものでございまして、厚く感謝いたしております。もちろん四十七億で、これでもうたっぷりというわけではございませんが、これは地震予知連絡会は実戦部隊でございますから、お金が足りないからできない、人手が足りないからできないということは決して申しませんで、それなりに、作戦、方策を立てまして御期待に沿うようにいたします。
  347. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 非常に謙虚な御答弁であったんですが、たとえば文部省に資料を要求しましたところ、OECDの一九七三年統計、国際比較が出ております。で、自然科学系の研究費、いわゆる学術研究費でございますが、わが国は三千五百八十二億円、これに対しましてアメリカは一兆二千八百四十三億、西ドイツは三千六百四十九億、自然科学系の学術研究にこれだけの国費を投じているわけでございます。福田総理大臣は、よく、わが国最大の資源は頭脳である、こう言われております。世界の中で最も地震国であるこの日本の研究費一つを取り上げてみましても、諸外国に比べてなお相当の見劣りがするのではないかと、こう思われるわけですが、いかがですか。
  348. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 先生の御質問に対してお答えいたしたいと思います。  ただいまOECDの学術研究に対する、アメリカが一兆数千億であると、わが国は三千数百億であるということでございます。まあ数字の点について勉強不足でございますのでわかりませんが、確かにそういう大きな開きは私はあると思っております。かつて海中資源の調査等におきましても、日本の調査費というのか資源開発に対する費用と、アメリカのこうした費用との差を見ますと、大変な開きがあるということで、かつて国会の場でそういうような質問をいたした記憶を持っております。しかし、だんだんとその幅はすぼめられてきたという感じだけはいたしておりますし、特に総理は、非常に頭脳を働かせて、資源の乏しい日本人はそうしたことにおいて世界の平和にもたらす貢献を大きくし、さらに、資源のない日本であるから、より以上にお互いが研究していかなければならないということは、口ぐせのように言っていらっしゃいます。  そういうような観点から考えてみますると、こうした予算は少なくとも、御指摘いただいておしかりいただくのでありましょうけれども、精いっぱい、相当この予算に対しては研究せられてこの予算は編成せられたものであろうと思っております。  まあ本年のことはともかくといたしまして、今後もこういうような予算に対して、先生のおっしゃるように、努めてたくさんの予算を組みまして、そうして今後の研究をいたす予算措置をとっていただくように努力をいたしたいと思っておりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  349. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 私は、昨年四月二十七日の質問でも取り上げたわけですが、ちょうどそのときに、国土地理院を呼んでおりませんでしたので、気象庁にかわって答弁をしていただきました。  それは、五十二年一月十八日のサンケイ新聞に掲載されました東京工大教授、地震予知委員の力武常次さんの意見でございます。簡単ですからちょっと読んでみます。  「会長萩原先生は会社の顧問をされてそれでメシを食っておられる。そうして一週間に一度国土地理院に出かけてデータをごらんになる。委員の私も大学で講義して給料をもらっている。予知連からもらっているわけじゃない。北大あたりの先生は、三カ月に一回の会議に出張してくるにも二回に一回は自腹というありさまです。」「手紙の発送なんかをする事務員はいますが、専門の常勤の人はいない。三カ月に一回会議があっても、ほうぼうから出ている資料を二時間ぐらいみたって何もわかりはしませんよ。常時監視、責任体制になっていない。国民の皆さんがお考えになっているものとはだいぶ遠いんじゃないですか。」、これを力武さんが言っておられるわけでございます。  私は、この文書をひもときまして、国土地理院に十分の研究体制がとれるように、学者先生の頭脳が十分に発揮できるように、手厚い体制というものが必要ではないかということを意見として要望を申し上げたわけでございます。  その後一年を経過いたしておりますが、これらの問題についてどのような改善が加えられ、そして学者先生に不麦のない研究体制がいまとられるようになっているのかお伺いをします。
  350. 説明員(原田健久君)(原田健久)

    説明員原田健久君) 地震予知連絡会の運営をいたします経費といたしまして、今年度二百六十万円の予算が計上されております。
  351. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 私は、ここでひとつ国土庁政務次官にお願いをいたしたいわけでございます。  確かに各関係省庁は予算に最大の努力をされたと思います。しかし、三十四兆二千九百五十億円ですか、この予算の中で、一回災害が起きれば膨大な国費を失っていくわけです。そのために最も重要な地震予知、そして地震予知に献身的に携わっていただいております予知連の先生方に対して、もっと国家というものが十分な手当てをして心おきなく研究に打ち込んでいただく、こういう体制をとることが、私は政治家としてあるべき姿勢ではないかと、こう思うわけでございます。決してここで非難するわけではございませんけれども、もう一度、災害予知関係の予算を見直していただいて、そして至らざるは補い、そしてこの災害対策委員会がいつも指摘しておりますようなこのような問題が、再び当委員会で指摘されないような体制をひとつ政治家として求めたいと思います。いかがですか。
  352. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 先生の御指摘で、ただいま部長から答弁がございました。日本の国の地震予知をするという大変な仕事の予算が、まあ端的に言われました二百六十万円、もう実に私自身が冷や汗を感じた次第でございます。この予算二百六十万円の予算編成には、いろいろと考えに考えたあげくの予算編成ではあろうが、端的に聞きますと、一体これで本当の仕事がしていただけるだろうかという感を深くいたしました。まあ私も政務次官は一年か半年やらしていただくといたしますれば、政治家としてこういうような予算編成は本当に適当でないということを、もう超党派的に率直に申し上げるわけであります。特に与えられた私の政務次官の責任におきましても、これは本当にいま一度見直しを考えていただくように、本部長にもよく話しまして、私どもの長官である櫻内大臣にもこの点をよく話して理解をしていただいて、そしてこの二百六十万円を増額するなり、ただいま委員長は非常に何と謙虚な気持ちで、お金は少なくてもわれわれはそれで手を抜くようなことはないと言っていただきましたが、全くそういうことだけではできない問題等がございますので、いま一層この問題については十分心して、そしてこの問題について考慮をしていただくべく、本部長にも言い伝えたいと思いますので、どうぞ御理解をしていただきたいと思います。
  353. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 非常に前向きの御答弁でございますので、ぜひそのような方向で御努力を願いたい。  なお、萩原先生にはまことに委員の一人といたしましても、このような予算で予知の大任を御苦労だと思うのでございますが、御苦労を多といたしまして、夜おそくにもなりましたので、ひとつ御退席を委員長の方でお願いいたしたいと思います。
  354. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) この際、萩原参考人にお礼を申し上げます。  本日は、御多用中のところ長時間にわたり当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見を賜わりました。今後の施策の指針にいたしてまいりたいと、こう思います。まことにありがとうございました。
  355. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 私は、当委員会地震問題について過去三年のうちに六回ほど質問をいたしました。この中で率直に提言を受け入れられたものもございますけれども、なお多くの問題が研究過程でであるということを理由として未解決でございます。したがって、他の委員方々と重複することを避けながら問題を提起いたしてまいりたいと存じます。  まず、四十九年六月に私が提起したわけでございますが、地震立法につきまして、現在政府でもその立法化が検討されているやに聞きますけれども、先ほどの委員方々の御質問に対する答弁として、次のように確認してよろしゅうございますか。それは災害対策基本法の一部改正という形ではなく、独立立法として考える——間違いございませんか。
  356. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) 御指摘の点、そういう方向で検討しております。
  357. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 単独立法ということでありますならば、いま出ておりますのは、全国知事会地震対策特別委員会が提言いたしております考え方と、自民党の地震対策特別委員会でまとめられた案、表にはこの二つが出ているわけでございます。いま検討中と言われるわけでございますが、そのたたき台として、どちらの案を主体にいま検討が進められているのか、お伺いします。
  358. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) せっかく御提案いただきましたそれぞれの案でございますから、どちらの案がたたき台と申し上げるのは大変恐縮でございまして、私ども問題にいたしております点は、やはり大規模地震に対しての——特に東海地域を想定しているわけでございますけれども、予知情報が出た場合の対応ということを中心にしまして、それぞれの案の中での御提案もございますし、あるいはそれ以外の御意見もございますものですから、それらを踏まえて現在たたき台をつくっておりまして、そのたたき台につきまして、特に関係の深い対予知関係の省庁あるいは防災関係の省庁の事前のある程度の御理解を得た上で、その上のもう一つのたたき台をつくりまして関係方面にもう一遍、積み上げながら、それこそ皆さん方の英知をお借りしましてたたき台をつくっていく作業を進めているところでございます。
  359. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 それでは、いつごろそのたたき台がまとまって国会に提案される予定でございますか。   〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕
  360. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) 先ほど大臣は三月中と御答弁申し上げましたが、私ども事務的には三月十四日を一応目途に作業を進めております。
  361. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 そのような鋭意検討が続けられている中でございますが、あるマスコミに、国土庁の防災担当のある幹部の言として次のようなことが載っております。  「一番の問題は予知の確度の問題です。予知技術がいくら進んでいるといっても、もちろん百パーセントの確度はないわけですが、現状で、われわれが判断する限りでは、警報の空振りによる損失のほうが、より大きな問題なんですよ。いたずらに、警報を出しても静岡の例でもわかるように、混乱を招くだけで、そのへんのメリット、デメリットがまだ解決されていない。それと、警報が出て、いざ規制措置がとられた場合、これが全くの空振りに終わった時、この経済的な負担を誰が負うかという問題もあります。」ということで、「国民のコンセンサスがはっきり得られない限り、行政を担当する側としては不安ですよ。いわゆる〃空振り損失〃の額がケタ外れに大きいことも」ありますというのが——これわかりませんよ、言われたかどうか。しかし、国民はこれを目で見ているわけです。すると、果たして国土庁に一これはむしろ逆立ちの議論ですよね。確度が一〇〇%でないということは当然です。しかし、それはいかにしてこの予知連の充実を通じてその確度を高めるか、そしてそれは空振りに終わったとしても、そのことによるデメリットよりもメリットが大きい。その国民のコンセンサスを求める方向に言論を誘導し、対策を充実していくのが国土庁の役割りだと、こう思うんです。  デメリットがあるから云々という、こういう記事は、まさに現在の特別立法を検討しておるという国土庁に、果たして真剣にこの問題に取り組む姿勢ありゃどうやということをこれは国民に疑わしめると思うのです。御決意いかがですか。
  362. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) 御指摘の報道記事につきましては、かりそめにも私どもの役所の名前が出た以上、だれがどうこう言ったということは別にしまして、御指摘の点、私どもも十分考え直さなければといいますか、慎重に考えなければいけないと思いますけれども、決意という点につきましては、私どもやはりメリット、デメリットとかあるいは国民のコンセンサスとか、いろんな物の表現がございますけれども、決して百点満点のものはやはりできないと思います。しかし、現実の問題としてすでに判定会が発足しておりまして、万が一にも予知情報が出るということを前提にする限りは、少なくとも必要最小限のものにつきましてコンセンサスを得て、それを立法化する決意で進めております。   〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕
  363. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 代表する御意見でございますからそう信じますけれども、やはり週刊誌とかマスコミに国土庁という名が冠せられてこういう記事が出ますと、やはり国民は何かデメリットを恐れて特別立法の制定に二の足を踏んでいるのではないかと、こういう印象をこれは持つのが当然だと思うんですね。国民の合意を得る場合に、私はもっと国土庁内部の合意を得て、そしてやっぱり確信を持って、こういうデメリットはあるけれども、それ以上のメリットがあるんだ、そのためにこういう対策が必要なんだという、議論を逆立ちしないような、ひとつ行政の姿勢を強く求めておきたい、こう思います。  そこで、今度は気象庁にお伺いいたしますが、測地学審議会の指定によりまして、特別観測強化地域として防災官を三カ所に置くということが決定されたと聞いております。ところが、この防災官の養成計画につきましては、伝聞するところ二カ月間の養成ということなんですね。で、教育期間二カ月ということで、果たしてこの地震関係の防災官として任務を全うすることができる知識をマスターし得るのであろうかという疑問がございますが、これについてどうか。  もう一つは、わが国はいわば地震国でございまして、当面三カ所に防災官を配置するということは第一段と思いますけれども、もっと幅広くこの防災官というものの制度を拡充していく必要があるのではないか、ということになると、いまからその養成計画というものをあらかじめ持っている必要があるのではなかろうかと、こう思うわけでございます。  以上、二点について御所見を伺います。
  364. 説明員(渡辺偉夫君)(渡辺偉夫)

    説明員渡辺偉夫君) お答えいたします。  観測強化地域に指定されておりますところの東海地域、それから南関東地域の所在するところの静岡、横浜、銚子の各気象台に対して、地震防災に関するところの地域特性の調査あるいは地震情報の解析というものを担当するところの専門官を配置する計画を五十三年度にお願いしてございます。これはいつというところの期限はまだございませんが、この人員配置に際しましては、部内からその適任者を十分選考いたしまして配置する計画でございます。  なお、養成の問題が先生から出ましたが、確かに地震の専門官を養成するというのはなかなか大変なことでございますが、従来から私たちの方では各管区気象台といいますか、そういうところに地震の専門家がそれぞれおりますし、逐次、部内教育その他で行っておりますので、今後これらの適任者に対しても十分対処できると私は思っております。
  365. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 これも政務次官にお願いしておきますけれども、今度置くのは静岡、横浜、銚子の三気象台でございます。私はこの地震国という実態を考えれば、もっと中期計画的に地震防災官を全国の気象台に配置するという計画があってしかるべきだ、こう思うわけでございます。余り場当たり的に一つ問題が起きたから三カ所にとりあえず置こう、こういう発想ではなくて、わが国の気象観測の中にやはり防災官というものは一体全国的にどのような配置をしていくべきなのか、この計画に基づいてその養成計画を一体どう進めていくべきなのか、こういった問題につきましても、ひとつ抜本的な検討を国土庁政務次官にお願いをいたしておきたい、こう思うわけでございます。
  366. 政府委員(丹羽久章君)(丹羽久章)

    政府委員(丹羽久章君) 先生の御指摘は、全く私も同感に感じております。まして静岡、横浜、銚子という三カ所に限られておるようでありまするが、今後はもう少し幅広くそして防災官の使命、そして地震そのものに対する知識、こういうような点については、御期待に沿うような人を人選してもらって、配置にまず一応ついてもらいたいと思っております。そういう点について十分これは選考をする、そして十分マスターしてもらってそしてその責任を果たしていただくようにしてもらいたいと思っておりますし、さらに、指摘していただいた三カ所、もっと幅広く考えていくことに対して、また皆さん方と十分相談をしながら、その措置をとってもらうような考え方に進みたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  367. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 私は地震予知とともに、予知した情報をいかにして伝達するか、このことについて再三当委員会で問題を提起してきたわけでございますが、残念ながら今回の余震情報では六時間にわたってパニック状態があらわれた、情報伝達方法はなお遅々として前進してないということが、今回の地震で残念ながら明らかになった、こう思うわけでございます。  他の委員の御質問に対しまして、科学技術庁の方から、調査によりますと、県が余震情報を出したことについてよかったとするもの三四%、やむを得なかったとするもの三六%、合わせて七〇%が余震情報を出したことに対して是といたしております。しかし、問題は、その情報伝達の方法が十分でなかったためにデマを信じたものが七割もいる。そして流言が流言を呼んで一つのパニック状態を醸し出した、こう分析されると思うわけでございます。で、私はそういう点も考えまして、予知連とは別個に、社会心理学者等を含めた一つのプロジェクトをつくりまして、この予知した情報をいかに伝達するかについて国の確固たる方針の樹立を求めてきたところでございます。そのことは今後御努力願うとして、きょう、マスコミの皆さん大分帰られたわけでございますが、私は政府のマスコミに対する施策にも大いに欠けるところがあったのではないかと、こう思うんです。  たとえば県の情報が流されましたときは、大した話題にも上らず混乱もなかったわけでございます。何を契機に混乱状態があらわれたか。それを、ある新聞では地元のテレビ局の一つが午後二時半過ぎにテロップ、いわゆる字幕でこれを流した。それには「静岡県はきょう午後、伊豆の南部、中部に余震情報を出しました。今後の情報に注意し、落ち着いた行動をとるよう呼びかけています」、これが字幕に出てきたわけですね。大体テロップというものは、国民の感情といたしまして、日航機がハイジャックされたとか、いわゆる大事件を、番組を中断することができないから字幕で流していくわけでございます。これだけの字幕が流れますと、余震情報の内容はわからないわけですね。そうすると、必要以上の不安感がここで生まれるのはやむを得ない一つの現象ではないか。  また、私の聞くところによりますと、この地震の最中に、ある放送局の女性アナウンサーが、「いま揺れています。揺れています。大変です」、こればかりを繰り返していたと。揺れていることはもうわかっているんですよ。問題は、その揺れている地震に対して、たとえばストーブの火を消しましょうとか、落ちついて行動しましょうとか、そういう呼びかけをすることによって人心というものは安定していくと、こう思うんです。  こういうことを私言いますのは、たとえば消防庁がこんなりっぱな「地震の心得」、これ力作ですよ——出しておられます。それから、科学技術庁が委託しました未来工学研究所から「地震予知とあなたのくらし」と、このようにりっぱなパンフレットを持っているんです。ぼくは、やはり現在のこのマスコミに対して、いつ地震が起きてくるかわからないわけですから、そういう地震予報というものをいかなる形で国民に伝達をし、そして必要以上の不安感というものをいかにして防止するか、そういう方面について十分話し合い、マスコミの御協力を得ると、こういうものがないと、私は今回の伊豆大島近海地震について、むしろマスコミは正確な情報を流すというよりも、それも流されましたけれども、それ以上に人心を不安にせしめるような一つの情報伝達方法があったのではないか。それから、後から、パニックが起きてから市町村の広報車を出して情報を伝達していきましても、それは鎮静なんですよね。私は、こういう問題についても十分にこれは検討をしていかないと、あれが伊豆で、あの程度でございますから、もし東京に同様のテロップが流れ、アナウンサーがろうばいをいたしまして「大変です」という放送を流した場合、大都市においてどのような恐慌状態が起きたか、まさに燦然たる思いをするわけでございます。こういう点について、ひとつ十分な御検討を煩わしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  368. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) 先生の御指摘、私どもも非常に今回貴重な経験をさせられたと思っております。要は、判定組織から始まりまして、予知の情報というものを、どういう仕組みでどういう内容で的確にわかりやすく、よけいなことを言わずに最短距離で伝えるか、そういうことについての、今回の、何といいますか、取り組み方が十分でなかったと、こういうふうに反省しております。そういう意味で、当然のことながら今度の特別立法で考えます場合に、たとえば判定会が招集されまして、判定会の結論を、一応気象庁が窓口になって御発表になる仕組みになっておりますけれども、その場合の、何といいますか、報道のマニュアルにしましても、あるいは伝え方のルールにしましても、そこいらの点を、とりわけ窓口に接せられます気象庁関係のマスコミ関係の方々、それらの方々とも現在気象庁の方で一生懸命接触されているようでございまして、特に各報道関係も社会部長さん方がそのためにわざわざ会議に出てきておられまして、先方の方も責任を持って協力をしたいと、こういうお話でございますから、私どももせっかくの貴重な体験を、本当はあっては困るんですけれども、いざ本番のときに間違いがないように措置をしたいと思っております。
  369. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 次の問題は、この地震予知体制の問題で、私は再三、予知の中核には予知連等を中心としました地球物理学とか地質学とかの学者先生がおられる、その周辺を、自然現象の変異というものを観測し、これを中央に連動せしめることによって一層地震予知の確度を高めていくという、いわば中国が唐山地震でとり成功いたしました事例を挙げながら、こういった外郭の予知体制に対する補助、育成、こういった問題について再三問題を取り上げてきたところでございます。戸塚先生からは一つの事例が出されたわけでございますが。そういう立体的予知対策というものについて、その後たびたび要望いたしておりますが、前進いたしておりますか。
  370. 説明員(清水眞金君)(清水眞金)

    説明員(清水眞金君) 御承知のとおり、過去に発生いたしましたいろいろの地震の例を見ますると、後から見た場合にはそういうことがはっきりわかるわけでございますが、民間のいろいろなデータに地震の前兆があらわれているというふうな例がございます。ただ、現在のところは、逆に言えば、そういう動物の動きがあらわれれば必ずしも地震が起こるというところまでは確認されておりません。したがいまして、現在のところは、わが国のいわゆる地震観測研究と申しますのは、いわゆる国の研究機関とかあるいは大学のいわゆる機械的な観測に重点が置かれておるわけでございまして、したがって、ただ、そういうふうな動物の挙動とか井戸水の変化とか、そういうふうないろいろな周辺の情報につきましては、非常にこれは貴重な情報であるというふうに考えております。したがいまして、これを少し研究いたしまして、予知にどういうふうにすれば役に立つかというふうなところの研究にいま入っておるところでございます。  具体的にやっております研究といたしましては、先ほどちょっと御説明申し上げたんでございますが、まず科学技術庁におきましては、特別研究促進調整費によりまして神奈川県の温泉研究所に委託して、民間の地下水のデータがございますが、これ約百三十本ぐらい神奈川県にあるわけでございますが、それのデータがどういうふうに変化するか、それが地震にどういうふうに結びついていくのかというところをいま研究をしております。  それから、ちょっと、これ所管外でございますが、文部省さんの方で科学研究費補助金というものを活用いたしまして、東京大学の末広先生の方に委託して、いわゆる地震予知と動物の行動異常との関連に関する研究をすでに五十二年度からやっておられます。  以上、そういうふうなことでございますが、今後とも、なるべく民間等のそういう周辺の情報地震予知のいわゆるデータに組み込んでいけるような方法は、どういうふうにしたらいいかというふうなところにつきまして、専門家の意見も十分に聞きまして研究を進めていきたいというふうに考えております。
  371. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 私は、体制が違いましても、諸外国でそういう学者と民間が相連動しながら統計の確度を高めまして地震を予知していくということは、まことに有益なことだと思うんです。今後とも研究に対する助成、援助というものについて一段と御配慮を賜っておきたいと思います。  次に、これも昨年四月当委員会で私はルーマニア地震調査報告書の提出を求めました。本年の十月十七日に当委員会にこのようなりっぱな調査報告書が配付されました。まことに詳細な報告書で力作であるわけでございますが、私は、当時ルーマニアのブカレストにおりました私の知人が帰国をしてまいりまして、いろいろ経験を聞いたのでありますけれども、たとえば、体制の違いがあるとはいえ、ブカレストにおきましては水道も一日だけ給水車が出たけれども、二日目からは水道が出るようになった。被害のわりに社会的混乱というものは非常に少なかった。さらに、その最も大きな原因は、縦の命令系統、指示系統というものが確立をされておったところにその要因があるのではないか。しかし、地震というものを身近に体験していないルーマニアにおきましては、大地が揺れたというだけで高層ビルから飛びおりる者があったりいたしまして、日本の常識では考えられない死者がその面では逆に出ている。また、われわれは昔は大地震があれば机の下に隠れるというのが一般庶民の生活の知恵なんでございますが、鉄筋などの場合は、ドアを開いてそのドアの位置の近くに立って崩れるコンクリートから身を守る、こういう生活の知恵が案外に役立ったと。いろいろの経験を伺ったわけでございます。  せっかくの、これだけのりっぱな調査報告書を出されているわけでございますが、この資料が、いまの特別立法なり今後の地震対策という面において十分に活用されているのかどうか、いかがですか。
  372. 政府委員(四柳修君)(四柳修)

    政府委員(四柳修君) 前段の、今度の地震立法につきまして、特にルーマニアの地震の教訓が活用されているかどうかという点でございますが、現在のところは、主として、先ほど先生御指摘になりました関係方面のたたき台なり、意見というものが中心になっておりまして、とりわけこの中からどこの部分をどうという形では、法律関係につきましては取り上げておりません。
  373. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 むしろ、立法として取り上げる問題は別として、これだけのやはり実態を調査されたりっぱな資料があるわけでございますから、その法律とは別に、今後の地震対策の行政官庁としてとるべき施策なり、また、建設省として建物の構造等に関して特段の洗い直しをする必要がある問題とか、行政上私はこの資料は大いに生かされてしかるべきだと、それがせっかく国費を投じましてルーマニアまで政府専門委員を派遣をして、これだけの資料をまとめたことのメリットではないかと、こう思うわけです。ぜひ、この点は、きょうは時間の関係で一々指摘をいたしませんけれども、これを通読し、単なる調査報告書にとどまらないように、御活用をお願いをいたしたいと思います。  それから次に、時間の関係であと二つぐらいにしぼりますが、建設省関係にお伺いをしたいんですが、一つは、千葉大学都市工単専攻教授の清水先生が、地震災害は文明の発達の二乗に比例する。文明が商層化、地下化、集中化、高速化、スピード化していけば、その進歩の二乗に比例する人為災害をもたらすという点を指摘されております。  また、新宿の副都心に七本の高層ビルが建っているわけでございますが、揺れの相乗効果が出て、あの地域の地盤が軟弱になっている可能性が高いということを指摘しているわけでございます。私はもちろん専門家でございませんので、建物自体は震度十に耐え得る構造になっているんだそうですが、あれだけの高いのっぽビルが七本連動して揺れますと、新宿副都心あたりにも地盤軟化の傾向があらわれてきているということを、権威ある都市工学の先生が指摘している以上、やはりこれも国民が目に見ているわけですね。事実そういう心配がないというなら結構です。やはり建設省としても、現在の高層ビルのあり方について、災害が起きてから後で問題がありますと、きょういろいろ御指摘されましたような行政責任が追及されるわけでございますから、こういう問題についても検討をされる必要があるのではないか、こう思うんですがいかがでしょうか。
  374. 説明員(大田敏彦君)(大田敏彦)

    説明員(大田敏彦君) 超高層ビルのように非常に目方の重い建築物を支持するためには、その基礎を強固な地盤に直接接して建築しております。それで、建物自体の安全性は十分保たれておるわけでございますが、そのビルが震動することによって地盤が緩むということは私実は初めて聞きました。そういうお話もございましたので、早速私どもの建築研究所の専門家にも聞きましたところ、目下のところそういうことは余り学界では問題になってないということでございますが、なおよく清水先生の著書等も参考にしまして、今後そういうことの研究を深めてみたいと思います。
  375. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 あと四、五分しか時間ございませんので、最後に労働省に、一問一答になるかもしれませんが簡単に御答弁を願いたいと思います。  一つは、今回の伊豆大島近海地震に伴いまして離職を余儀なくされた者のうち、当然雇用保険の受給資格を満たしている、そういうものが、再雇用約款つきといいますか、災害復旧してお客が来るようになれば再雇用する。しかし、いま現実に仕事がないから離職をする。通常、事業責任に伴う解雇の場合は、そういう再雇用約款つき解雇というものにつきましては、雇用保険の適用を図ることに問題があるわけでございますが、特に災害に関しましては、このような弾力措置がとられるものと私は理解いたしておりますが、そのような運営がされておりますか。
  376. 説明員(望月三郎君)(望月三郎)

    説明員(望月三郎君) 御指摘のように、災害の場合に限りまして先生おっしゃるような、一災一扱いと私ども言っておりますが、特別な扱いをするということで、今回もその特別扱いを行うということで処理したいと思っております。
  377. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 観光事業等の場合は、パートタイマー、臨時工などで雇用保険に入ってないものが相当あるわけです。これは伊豆地域に限らず、全国的にそういう傾向が強いわけでございます。雇用保険に入っていませんから、法のたてまえとしては何ら雇用保険の救済の対象にならない、こういうことになります。  そこで、問題は二つあるんですけれども、一つは、大体観光地というのは地震地帯に多いわけですから、やはり常時雇用される従業員については、経営者等に対して強力な行政指導を行いまして、そして雇用保険の被保険者になる、こういう強力な行政指導が必要であろうと。もう一つは、どうしてもいまそういう雇用保険に入っていない者について、どのような具体的救済措置をとられようとしておるのか。二点お伺いします。
  378. 説明員(望月三郎君)(望月三郎)

    説明員(望月三郎君) 二点の御質問でございますが、最初の方の御質問は、恐らく雇用保険の被保険者期間が、雇用保険の給付対象になる期間に満たないという者についてどうするんだと、こういう御質問かと思いますが、これは先ほど来御答弁申し上げましたように、被保険者期間が六カ月という大原則がございますので、それに満たない部分については、これはできるだけ私どもとしては経営者の方に抱え込んでもらって、つくまで、一カ月ないし二カ月というような期間程度は休業手当を払いながらひとつ雇っていただくと、そして受給資格をつけて給付をしていくというような行政指導が必要かと思っております。そういうかっこうで指導をしたいと思います。  それから第二の点でございますが、確かに観光地等につきましては、パートタイマーだとかそういった種類の労働者が多いかと思いますが、パートタイマー等につきましても、一定の要件と申しますか、具体的に申し上げますと、一週の所定労働時間が通常の労働者の四分の三程度、一週二十二時間以上というような者、それから賃金、労働時間、労働日以外の労働条件が一般の労働者と同様であるというような場合、それから反復継続して雇用が続いているというような一定の方々については、これは雇用保険の適用対象にするということで、従来どおりやっておりますので、そういったものがある程度あると思いますので、そういった者はパート等であっても保険を適用していくということでやっていきたいと、こう思っております。
  379. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 時間が参りましたので最後でございますが、いま課長おっしゃいましたように、臨時工、パートであっても一定の要件を満たす者については雇用保険の被保険者にする、行政の指導の方針がそこにあることは理解いたしております。ところが、現実はなかなかそのとおり運用されていないというのが観光地等の持つ一つのまた特徴ではないか。これを契機に、労働省としても、それら一定基準に達している者が雇用保険にまだ入っていないという者については、やはり雇用の安定を図るためにその保険に積極的に加入せしめるような、従来に増した行政指導を強く求めておきたい。  それからもう一つは、自治省ほか関係官庁に、これはお願い、要望いたしておくわけでございますが、季節労務者等六カ月に満たない者については経営者に抱えてもらって、六カ月の資格を取って、受給は受けられるようにやりますということです。私はそれまことに結構だと思うんですが、私の記憶では有珠山爆発の場合は、しかしそういうことをやるにも旅館はいま休業しているわけです。北海道の場合は、道及び市町村がそういうことをやり得るための融資というものもこの融資の中に配慮をして、そしていま労働省の指導というものが円滑に実施できるような、いわゆる背景づくりをしたというのが私は有珠山の場合の実例だと思うんです。いま、お伺いしますと、まだ静岡県、市等においては北海道においてとりましたような措置が十分とられていないのではないかと、こう思いますので、これはせっかくの有珠山爆発のいい前例があるわけですから、その点、自治省で県、市とも十分連絡をとられて、雇用を確保するための要素も融資の中に加えると、こういう形で雇用不安を起こさないように、これは特段の御配慮を求めておきたい。  時間が参りましたので、以上をもって質問を終わります。  委員長、私は終わるんですが、何か国土地理院が補足説明したいということですから、私はどちらでも……。
  380. 説明員(原田健久君)(原田健久)

    説明員原田健久君) 先ほどの、私の地震予知連絡会運営経費二百六十万円に関する御説明が、はなはだ舌足らずだったことをおわびいたします。  この二百六十万円は、器械を買ったり事業をしたりというお金ではございませんので、それは各研究機関や大学が別の経費で行っておりまして、このお金は純粋に地震予知連絡会の会場をお借りしましたり、また京都の先生がその会議においでになります旅費をお支払いしたりと、そういうお金でございまして、できるだけ先生の御指摘のように、決して十分に諸先生方にお支払いできているとは申しませんが、私どももこれで何とか運営しておりますし、また大蔵省に私どもが要求しております金額もこれと、二百六十万円とケタが違うような金額を要求しているわけでは決してございませんので、それは満杯にいただいているとは申しませんが、まあまあの運営をやっておりますことをつけ加えたいと思います。
  381. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 それにしても少ないよ、まだ。
  382. 委員長(村田秀三君)(村田秀三)

    委員長村田秀三君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時二十六分散会