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1978-06-23 第84回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月二十三日(金曜日)    午前十時二十九分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月二十二日     辞任         補欠選任      松本 英一君     村田 秀三君      小巻 敏雄君     下田 京子君  六月二十三日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     大石 武一君      小山 一平君     志苫  裕君      青木 薪次君    目黒朝次郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         川村 清一君     理 事                 遠藤  要君                 坂元 親男君                 村沢  牧君                 太田 淳夫君     委 員                 青井 政美君                 大石 武一君                 金丸 三郎君                 古賀雷四郎君                 田原 武雄君                 戸塚 進也君                 最上  進君                 志苫  裕君                 村田 秀三君                目黒朝次郎君                 藤原 房雄君                 下田 京子君                 柄谷 道一君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    福島 静雄君        警察庁警備局警        備課長      若田 末人君        環境庁自然保護        局保護管理課長  中島 良吾君        国土政務次官   丹羽 久章君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁地方振興        局長       佐藤 順一君        大蔵省主計局主        計官       佐藤  浩君        大蔵省主計局主        計官       宍倉 宗夫君        大蔵省銀行局企        画官       野田  実君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        森田  一君        国税庁直税部所        得税課長     小野 博義君        文部省学術国際        局学術課長    植木  浩君        文部省管理局教        育施設部指導課        長        大井 久弘君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        倉地 克次君        厚生省社会局施        設課長      山内 豊徳君        農林省構造改善        局建設部防災課        長        長野 孝夫君        林野庁業務部業        務課長      高野 國夫君        水産庁漁港部防        災海岸課長    佐藤 稔夫君        資源エネルギー        庁石油部精製課        長        清滝昌三郎君        中小企業庁小規        模企業部参事官  山口  務君        運輸省港湾局計        画課長      小池  力君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        郵政省電波監理        局放送部業務課        長        志村 伸彦君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      津沢 健一君        建設省河川局防        災課長      瀬戸  充君        建設省河川局砂        防部砂防課長   小藪 隆之君        建設省道路局道        路防災対策室長  藤井 達也君        建設省住宅局住        宅総務課長    川合 宏之君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        上田 康二君        建設省国土地理        院測地部長    林  哲郎君        建設省国土地理        院地殻調査部長  藤田 尚美君        自治大臣官房参        事官       千葉  武君        自治省行政局公        務員部公務員第        二課長      宮川 雅一君        消防庁次長    福島  深君    参考人        宮城県知事    山本壮一郎君        仙台市第一助役  小岩忠一郎君        住宅金融公庫理        事        高橋  明君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (一九七八年宮城沖地震による被害に関する  件)  (新潟県妙高高原町における土砂による被害に  関する件)  (都市震災対策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨年、松本英一君及び小巻敏雄君が委員辞任され、その補欠として村田秀三君及び下田京子君が選任されました。  本日、桧垣徳太郎君、小山一平君及び青木薪次君が委員辞任され、その補欠として大石武一君、志苫裕君及び目黒朝次郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 川村清一

    委員長川村清一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のうち、一九七八年宮城沖地震による被害に関する件について、本日、参考人として宮城県知事山本壮一郎君、仙台市第一助役小岩忠一郎君及び住宅金融公庫理事高橋明君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 川村清一

    委員長川村清一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  去る十五日、当委員会が行いました一九七八年宮城沖地震による被害実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。村沢牧君。
  6. 村沢牧

    村沢牧君 去る六月十五日、村田委員長遠藤理事田原委員藤原委員河田委員柄谷委員目黒委員及び私村沢は、大地震により激甚な被害に見舞われました宮城仙台市の実情衆議院災害対策特別委員会と合同で調査をしてまいりました。  以下、その概要と今後の課題について御報告申し上げます。  まず、地震発生状況並びに被害の概況についてであります。  六月十二日午後五時十四分、宮城県の洋上百キロ、深さ四十キロの海底で、マグニチュード7.5の大地震発生仙台、大船渡、福島、新庄で震度五の強震となったほか、秋田、帯広、水戸、東京震度四の中震を記録、このため宮城県を中心東北一帯は大きな被害をこうむったのであります。  同地域では、本震に先立って午後五時六分、最大震度三の前震があり、また本震の後も十五日朝までに震度四を含む十数回の有感地震が頻発していましたが、一連の地震も鎮静化しているとの気象台発表で地元民の不安感は徐々にぬぐわれ、各所で応急復旧の取り組みが進められておりました。  北海道から関東、東海に及ぶ広域を揺るがした今次の地震は、去る昭和三十九年六月の新潟地震に匹敵する最大級規模であったことにかんがみ、気象庁は一九七八年宮城沖地震と命名し、その記録を明記することとなりました。  大地震の直後、太平洋岸一帯には津波警報が発令されましたが、幸いに高潮被害から免れたものの、内陸部は強い衝撃をまともに受け、特に仙台市では、建物破損倒壊を初め、電気ガス水道等都市施設被害が頻発し、原油流出の二次災害も加わって深刻な事態となったのであります。  宮城県がまとめた六月十五日付の被害調査によりますと、被害総額は四百十億円に上っており、内訳は住宅関係百五十三億円、土木関係九十九億円、都市施設関係四十三億円、教育、医療関係三十五億円、水産関係三十二億円等でありますが、商工関係等の県の集計は大幅におくれており、調査が進むにつれて被害額は激増するものと思われます。  また、一般被害につきましては、死者行方不明者二十三名、負傷者九百四十六名を数えており、住宅被害では全壊三百三十戸、半壊二百九十五尺一部破損三万四千戸、非住家被害八千百四十戸となっており、おびただしい数の建物損壊とともに、住宅付帯施設であるブロックべい、門柱等倒壊が多くの人命損傷をもたらしたことが特徴でもありました。  こうした事態の中で、宮城県は直ちに災害対策本部設置激甚災害が集中した仙台市、登米郡迫町、同米山町に災害救助法を発動するとともに、断水地域への給水仙台港での流出原油除去等の支援のため、自衛隊に対し災害派遣要請したのであります。  次に、主な被災地状況と今後の対策について申し上げます。  仙台市は人口六十四万を擁する東北地方での中心都市であり、震災後三日にして都市交通電気通信等機能はほほ回復しておりましたが、一たび沿道に目を移すと、ビルの沈下、屋根がわら落下窓ガラス破損ブロックべいの倒壊等が散見をされ、市民生活安定回復はなお長引くものと予想されました。  仙台港では東北石油仙台製油所原油流出事故現場視察いたしましたが、近代都市構造の中の危険な一面が露出したものだけに、今次災害の大きな焦点と思われました。  地震直後、同製油所構内にある石油タンク八十七基のうち三基に亀裂が入り、合計七万キロリットルの精製中の原油タンクから流出、当初製油所の各施設に阻まれて構内にとどまっておりましたが、ついにその一部約三千キロリットルが排水溝より仙台港に流出したのであります。  海上での原油拡散防止策としては、仙台港北航路内に一次から七次までのオイルフェンス約八千七百四十メートルを張り、これにより三次フェンス以内で原油拡散を阻止したとのことで、視察当時は回収効果を上げるために一次フェンス内への油面の縮小が図られておりました。  一方、構内にとどまった約六万数千キロリットルの原油防油堀を越えて通路にあふれ、芝生、植え込みの地帯にも浸入、一時は事務所周辺にも近づいて大火災の危険も予想され、物々しい警戒体制がしかれたとのことでありました。  流出原油回収作業は、自衛隊を含め構内で約五百名、海上で約二百八十名が従事していましたが、特に海上では原油と水との混合を避けるため、ひしゃくで回収する人海戦術がとられており、完全回収を果たすまでにはなお日時を要するものと思われました。  同製油所昭和四十六年に操業を開始、仙台湾産業都市中核コンビナートとしてスタートしたもので、当時防災面でも最新設備を導入、鋼鉄製タンクマグニチュード8の地震に耐える構造説明されていたのであります。しかし、現実にマグニチュード7.5、震度五の地震でもろくも破損をする事態となっており、石油タンクの設計上、工事上の欠陥か、地盤との関係か、いずれにせよこの原因は徹底的に詰めなければならないものであると痛感をいたしたのであります。  仙台市の東部地区中心街路筋に展開する建物被害状況は、倒壊したビル、アパートを初め、入居不能状態個人住宅等が放置をされており、また一部破損住宅屋根がわら落下窓ガラス破損壁面亀裂等によるもので、破れ個所はテントやビニールを張り夜露をしのいでいるのが大半でありました。  さらに、多数の被害者を出したブロックべい、門柱等倒壊は二千個所以上に上っており、これらは歩行者通路に面しての設置が多かっただけに、安全対策の不備が大きな問題となっておりました。  住宅被害代表例として、仙台市福室にある分譲マンションサニーハイツ高砂被災状況視察をし、居住者から説明を聴取いたしました。  同マンションは、三LDK、百九十戸からなる十四階建ての高級住宅であり、昭和五十一年六月に数少ない公庫融資つきマンションとして売り出され、快適な生活が約束されていたものであります。ところが今次の地震により敷地が波打って陥没、ために建物は大きく揺れて全戸にわたり壁面亀裂、七階以下では窓枠が外れ、玄関ドアの開閉ができなくなったほか、屋上の給水タンクと各階の配管施設破損いたしまして、ガス水道、トイレが使用不能という無残な状態でありました。室内は家具や壁面の崩壊で三十二名の負傷者を出したほどに混乱をしており、ドアの開閉しない家庭等六十戸の人々マンションを出て知人宅に避難をしているとのことでした。  大都市ではマンション需要増大の傾向にあり、今次の被災原因建築技術の面から解明されるべきでありますが、同時に入居者の多くがマンション購入費の支払いを長期ローンで果たしている実情の中で、地震災害に関し購入者と業者との間で事前取り決めを制度化することが必要と痛感をされました。  仙台東部地区はかねてから地盤の弱い地域と言われており、土木学会において地震防災の上で地盤構造調査が急務であるとの指摘をされていたのであります。案の定、今次の大地震では卸商社の集まる卸町とその周辺で、事務所工場、倉庫が軒並みに傾斜、倒壊し、展示商品や製品にも多大の被害をもたらしたのであります。ビルの一階部分が地下にめり込む形で倒壊した文具取扱店オビサンの周囲にはコンクリート、タイルが飛び散り、鉄筋も曲がってむき出しており、地震被害の惨状をいまにとどめておりました。  三百に及ぶ卸商社が集まるこの地域は、昭和四十五年に整備された近代的卸商センターでありますが、理事長説明によれば、ほとんどの商社被災をしており、被害額は百億円を超えると見込まれるとかで、復興再建のための国の十分な援助融資を訴えておりました。  仙台ガス局製造部門原町工場では、地震の直後、低圧ガスホルダー倒壊して炎上、市街地の中だけに二次災害が懸念をされましたが、一時間後に無事鎮火、しかし焼けただれた施設完全復旧には半年以上が必要とのことでした。幸いに同じ製造部門港工場は、構内配管が損傷したものの直ちに復旧東北石油からの原料供給が回復すれば製造が再開できるとのことでしたが、一方、市内のガス導管亀裂被害が顕著であり、この復旧になお十日程度を要するとのことで、都市災害の底の深さを痛感した次第であります。  最後に、今次災害の総括的な問題点並びに所見について申し上げます。  第一は、大都市機能防災体制についてであります。  今次の大地震は、災害に強いと言われていた杜の都仙台市において被害が集中、上下水道ガス電気通信等施設被害も加わって都市機能混乱状態となったのであります。この混乱は、生活の利便さを支える都市機能が、一たび不測の事態に遭遇すると、すべての人々生活安定が失われることを改めて教えており、もしこれが超過密都市東京を直撃していたらば、各種パニック現象同時多発が十分に予想されたところであります、、  近代都市防災環境はきわめてもろいとの前提に立って、食糧、医療交通情報等に関し非常時体制を整えるため、国、自治体、住民の協力関係を確立し、官民一体防災体制を実現することが緊要と痛感したのであります。  第二は、コンビナート防災体制についてであります。  仙台港への原油流出事故は、その後の懸命な回収作業の結果、大事故を誘発する危険性はなくなりましたが、石油タンク安全性の面で大きな問題が暴露されたのであります。  すなわち、昭和四十六年に石油タンク設置した東北石油の場合、五十年十二月施行石油コンビナート等災害防止法による防災基準、五十二年二月改正消防法による耐震技術基準等によるチェックからは除外されているのであります。強化された法基準適用以前に設置された施設には遡及して補修する義務はなく、防油堀のかさ上げ、化学消防充実等次善策で対処すれば足りるとされているのであります。  通産省の調査によれば、一万キロリットル以上の石油タンクは全国で二千七百八十七基、その大半改正消防法適用以前に設置されたものとのことです。石油備蓄が叫ばれ、そのための基地建設が進められている現在、各地のコンビナート安全性を確保することが必要であり、既設石油タンク防災対策の確立は重要な課題と思うのであります。  第三は、ブロックべい対策強化についてであります。  今次災害の痛ましい死傷事故大半は、身近な生活の場に配置をされているブロックべい、石べい等の倒壊によるもので、以前から指摘されていた鉄筋骨組み必要性が改めて実証されたのであります。  建築基準法施行令によれば、補強コンクリートブロックの場合、直径九ミリ以上の鉄筋を八十センチ間隔で縦横に配置するとされておりますが、一般的な組積造のへいの場合は、高さ二メートル以下、基礎部分は地中に二十センチ以上押し入れる等の規定があるのみで、鉄筋は不要とされているのであります。一  倒壊したブロックベい等の構造が法規で定めた基準どおりであるならば、耐震性を見直した上で基準強化改正を急ぐべきであります。また現行基準すら遵守されない不良施工倒壊原因であるならば、監督官庁による施工過程における安全チェック等、実効ある行政措置を講ずるべきであります。  いずれにせよ、この事態を教訓に、建物付属物等について安全性を再点検し、官民ともに日ごろの防災意識を高め、事前対策を講ずることが必要であります。  第四は、地震観測体制の整備についてであります。  今次の震源となった宮城県の沖合いは、これまでも三陸地震金華山地震等大きな地震が頻発しており、特にこの地域地震発生のメカニズムは日本付近で最も複雑と言われ、地震学会においてもその解明が急がれているところであります。  このように地震の巣と言われる宮城県沖ではありますが、この地域での地震観測体制は、東海沖紀伊四国沖に比べ皆無にも等しい状況にあり、地震予知連の定める特定観測地域にすら選定されていないのが実情であります。  さきの国会で成立を見た大規模地震対策特別措置法のもとで、今後全国的にも地震観測強化が図られることとなったのでありますが、過去に幾たびも大地震を経験し、また研究者の一部で巨大地震発生が予測されている宮城県沖は、他の地域に優先して観測体制を整備する必要があると痛感されるのであります。  第五は、財政措置融資措置についてであります。  大地震による災害形態は非常に特殊であり、広範囲にわたり同時的に被害が頻発し、社会機能生活機能を破壊するに至るのでありますが、今次はそれが大都市においてもたらされたものだけに、災害の底が広がり一層深刻な事態になったのであります。それゆえ個々被災物件はきわめて激甚となり、いわゆる個人災害も莫大な規模になっており、宮城県、仙台市は、公共土木関係等激甚災害指定特定地方公共団体決定について強い要望を繰り返しておりました。  人口増大に伴い行政費需要が急増している仙台圏自治体財政を補完し、各施設災害復旧防災面拡充措置を講ずるため、国の大幅な財政援助は不可欠であり、そのために激甚災害指定を早急に決定すべきであります。  同時に、個人災害に対しても、災害援護資金制度等運用拡大を図るとともに、災害復興住宅資金自作農維持資金中小企業災害特別融資等について特別の配慮を行い、地方税等減免措置についても検討すべきであるというふうに思うのであります。  以上が調査概要でありますが、これらは今次大災害の中でほんの一端にすぎないことは改めて申すまでもありません。政府は、被災地の真摯な要請と、指摘をいたしました問題点について十分に検討され、必要な行財政上の措置を早急にとられることを強く要請をし、あわせて今次災害犠牲者の御冥福と災害地の一日も早い復旧をお祈り申し上げ、報告を終わる次第であります。
  7. 川村清一

    委員長川村清一君) 以上で派遣委員報告を終わります。  この際、政府から宮城沖地震によるその後の被害状況について報告を聴取いたします。四柳審議官
  8. 四柳修

    説明員四柳修君) 去る六月十二日に発生いたしました一九七八年宮城沖地震災害対策実施状況等について御報告申し上げます。  まず、この地震によります被害でございますが、その後の調査の結果、先般当委員会に御報告申し上げました点、並びにただいま当委員会の御調査の御報告がございましたが、その当時の数字に比べまして非常に大きなものとなっております。二十一日現在判明しているところでは、死者二十七名、負傷者千百七十二名、建物全壊五百九十三棟、半壊五千二百五十棟、一部破損五万七千二百五十八棟、道路損壊八百十九ヵ所、橋梁の損壊六十四ヵ所、山崩れ百五十五ヵ所等となっております。その被害報告額もただいまの派遣委員の御報告では四百十億という数字でございましたが、これをはるかに上回りまして千六百億円を超すという御報告をいただいております。関係省庁関係地方公共団体あるいは関係機関等それぞれ全力を挙げてこれらの被害復旧に取り組んでおりますが、被害後現在までそれぞれの応急対策を組みまして着実に復旧が進んでいると考えております。  政府といたしましては、この復旧対策を一層促進するため、昨日、非常災害対策本部の第二回の本部会議を開催し、今後緊急に講ずべき措置といたしまして、一、ガス水道、その他の都市施設公共土木施設早期復旧、二、被災住宅に対します災害復興住宅資金の貸し付けの実施、三、災害にかかわります租税の軽減免除等措置実施、四、今後の地震活動の推移を把握するため観測強化等決定するとともに、あわせて、一、激甚災害指定に必要な被害額の早急な取りまとめ、二、ブロックべい等の倒壊原因及び油流出を見た石油タンク損壊原因の究明と、その今後の施工方法についての早急な検討、三、被災地方公共団体に対します財政援助、四、宮城県を中心としますこの水域につきましての特定観測地域指定等につきまして早急に結論を得ることを決定したところでございます。  今後とも政府といたしましてはこの決定に沿いまして各種災害復旧対策実施に万全を期してまいる所存でございます。
  9. 川村清一

    委員長川村清一君) 以上をもちまして政府からの報告を終わります。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 遠藤要

    遠藤要君 一九七八年宮城沖地震に対して質疑を行わせていただきますが、それに先立ちまして、このたびの地震によって罹災された方々に対してお見舞いを申し上げ、かつまたその地震でお亡くなりになった方々に対して深くお悔やみを申し上げる次第でございます。  なおまた、この地震に当たっては政府は速やかに対策本部設置され、国土庁長官本部長とされて宮城県に現地調査をされて、応急、恒久のいろいろの御指導をちょうだいいたしていることに対して深く敬意を表しておきたいと思います。  私は、そこでこのたびの地震にかんがみまして、これがもしも東京であったならばということを考えると懐然とするのであります。御承知のとおり、ただいま委員会現地調査報告にもございましたとおり、このたびの地震によって電気はとまる、そしてガスはとまり、上水道、下水道はとまる、そして交通機関は全く麻痺した、そういうふうな状態でございますので、その中にあって一体県民はあのような冷静な生活を行うことができ得たということは那辺にあるかという点を考えますると、きょうわざわざ参考人として御出席をいただいた山本知事さんを初め、関係市町村長さんたちの御努力というものにもこれまた深く敬意を表しておきたいと思います。  そこで私は申し上げたいのでございますが、この災害で、一体これくらいの地震ガスがとまり電気がとまる、そして交通が麻痺しなければならないものか。いまの国民生活において電気がとまりガスがとまり水道がとまるということになったならば、一体生活がどうなるかということを考えると、私どもとしてはやはり国自体の防災体制についてもっとふんどしを締め直した体制を立てていただかなければならない、こう感じておりますが、その点をまず国土庁の政務次官であり、防災対策の実質的な責任者である丹羽政務次官にお伺いいたしたいと思います。
  11. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) 遠藤委員にお答えを申し上げたいと思います。  ただいま宮城沖地震災害、この程度の地震で、東京並びに大都会にまたこのような地震が起きたときには現在体制で果たしていいのかという御質問であります。政府といたしましては当然この点を懸念いたしまして、先生方の御協力を得まして大地震に対する対策の方針を着々進めておるのでありまするが、今後に向かってはさらに一層、この地震は災いではありますけれども、この災いを教訓といたしまして、日本国民のこの災害が起きたときにより一層被害を少なくする対策をあらゆる角度から検討してまいりたいと考えております。それにつきましては、目に見えないいつ何どき襲うかわかりませんこうした災害に対して努めて予知を早くする、そしてそれを知らしむるその予知対策をさらに一層進めてまいりたいという考え方でありますので、諸先生方の一層の御協力を賜りますことを心からお願いいたす次第であります。
  12. 遠藤要

    遠藤要君 そこで私は、このたびの宮城県沖の地震で大きなパニック状態に陥らなかったという一つのやはり要因ば、不幸中の幸いと申しましょうか、一つはやはり六月であったということ。これが冬期間であると――御承知のとおりこのたびの地震によってはほとんど建物倒壊しなくても中の家具や何かは全部転倒している。そういうふうな状態から見ると、石油ストーブやガスストーブ等でもあったならばこれは大変なことではなかったか。そういうふうな点も考えられます。  この災害によって幸い火災事故というのはほとんど発生いたしておりません。ただ残念なことに、この仙台沖地震によって火災が発生したのはわずかの件数でございますけれども、当時三件と私は承知をいたしておりますが、その一つの中に東北大学の理学部から火災が発生しておる。いま一つは東北薬科大学から出ている。こういうふうに承知をいたしておるのでございます。しかも東北大の火災は、ことしの二月にも仙台地震がございました。同じところから二度発生しているというような点を考えると、きょうは御出席をちょうだいいたしていると思いますけれども、こういうふうな事故は、私は少なくとも官公庁の直接指導監督下にあるところがらそのような事故が出て、一般民家からは火災が発生しなかったという点を考えると、何となく県民感情として変な感じを持っている、そういうふうな点を指摘を申し上げておきたいと思うのであります。  さらに、この地震によって、私は先ほども申し上げましたが、電気がストップする。その電気ガスも配管が壊れてストップしたのではなく、ガスをつくる根元が火災を生じて、もちろん配管も故障を起こして、破裂したり破損したりしておりますが、そういうふうな点で、電力といいガスといいさようなような状態で、役所が直接指導監督に当たるべきところが大きな事故を起こし、一般県民は冷静にそれに対応して、このようなことで防ぎ得たということを非常に私は不思議に感じておりますけれども、この点についてひとつ政務次官いかようなお考えを持っておられますか。
  13. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) 遠藤委員の御質問に対してお答えをいたしたいと思いますが、御指摘のとおりであります。今度の災害におきまして、ガス管、水道管等々が非常に大きく破損いたしました現実をとらえて、ただいま各省でこの原因、さらに今後どうした対策をとったならばこうした災害時におけるところの答えが出てくるだろうか、施工法に欠陥があるのでないか、または現在の施工方法でいいのかということを、それぞれこれを機会に専門的により一層研究いたしまして、今後このような地震が起きましても、そのような処置をとらずして完璧たる設計がえをしたり、あるいは指導方法を変えたり進んでいきたいということで研究中でございます。  以上、今後の問題につきましては先生の御指摘のとおりでございますので、政府としましてはさらに勉強を続けて被害のないように考えていきたいと考えておりますから、どうぞ御了承をしていただきたいと思います。
  14. 遠藤要

    遠藤要君 そこで私はお願い申し上げたいんですが、私はきょうお話し申し上げているのは役所を批判しているのではなく、これからの防災、これからは災害が皆さん方の力である程度は防止できるという体制を確立していただくために申し上げておるので、その点は十分御理解を願いたいと思いますが、このたびの宮城県の地震に当たって、まず停電した、その停電によって信号機がもちろん不能になったわけであります。それによって今度の地震で一番パニック状態とまではいかなくとも、そういうふうな混乱を来したのは交通でございます。自動車でございます。そういうふうな点で、一度に信号機が停電し、そしてあのような地震の直後でございますので、車がわっと四方から集まって交差点が大混乱を呈した。そういうふうな状態が出ておりますけれども、地震と停電というのはっきものだと思います。そういうふうなことになると、今後の交通体制というのは災害の場合にはどういうふうな方向で指導していくべきかという点をひとつ警察庁にお尋ねしておきたいと思います。
  15. 福島静雄

    説明員福島静雄君) 先生御指摘のように、大地震発生いたしました場合には交通混乱を防止する、さらにまた運転者の心理的な不安からパニックに発展するということがないように万全の措置をとるということがきわめて重要でございます。今回の宮城沖地震におきましては、都市部におきまして特に道路損壊あるいは工作物の倒壊というような顕著な一次災害はなかったわけでございますが、御指摘のように、信号機が停電のために滅灯いたしまして、宮城県内約千百基の信号機がございますが、七百四十基ほどの信号機が停電によりまして滅灯いたしております。これに対しましては大量の警察官の街頭配置、あるいはまた交通情報の的確な提供によりまして交通整理をいたしまして、おおむね午後八時ごろまでには一部を除きまして平常に復したわけでございますが、今後の対策といたしましては、この教訓も十分に検討いたしまして、事前対策といたしましてやはり的確な交通規制計画を整備しておく。さらに地震発生した際における運転者の心得等について十分な広報、教育を図っていくということが大変重要だと考えております。  同時にまた、根っこの電気が供給されなくなるという状況発生いたすことが地震の場合に出てまいりますので、迅速に多数の警察官を現状に配置をいたしまして的確な交通整理に当たる。さらにまた報道機関、特にラジオ、テレビ局と提携いたしまして、運転者に正常な判断、正常な行動がしてもらえるような交通情報の提供というものを的確に行っていく。これらの諸点についてなお今後とも十分検討いたしまして万全の対策、対処ができるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  16. 遠藤要

    遠藤要君 いまのお話で、大災害のときに果たしてそのようなことで交通が確保できるかどうかということが非常に疑問があると思います。しかしできるだけ宮城沖地震をひとつ大きな教訓として、警察庁に対しても強くひとつこれからの交通の確保という面について検討を願っておきたいと思いますが、宮城県の場合には警察本部長中心として大分警察自体は熱心にこの問題に取り組んでおり、いまお話のように、宮城県の場合には報道機関も全部協力をしていただいた。そういうような点で、停電ではあるけれども、ラジオや何かでいろいろの報道をその都度きめ細やかに協力してくれたということで本部長が感謝をされておったようでございますが、ぜひそういうふうな点を取り入れて、常でさえも、交通安全と言ったらいいか、交通の渋滞に対してなかなか問題があるときに、あのような災害になっていまの御答弁のようなことではとうてい私は確保でき得ないと.思いますので、一層ひとつ御努力を願いたいと、こういうようなことを申し上げておきたいと思います。  それでは、次に私は、通産省おいでになっていますか、消防庁。――先ほども申し上げた委員会報告書にも出ておったのでございますが、コンビナートの問題ということでございます。東北石油の問題でございますけれども、御承知のとおり東北石油はそう古いコンビナートではございません。それにもかかわらずあのような事態を惹起せしめたという点については非常に私どもとして寒心にたえないのでございますが、これからの防策体制は一体あれでいいのか。たとえば防油堀があの地震によって全然使えなかったというような点、あのたくさんあるタンクの中において三つ四つがあのような災害を起こしたと言うが、あの三つ四つにどういうふうな欠陥があったのかということを御調査になっておられるかどうかという点等をお聞かせ願い、それぞれのひとっこれからの体制についてお聞かせを願っておきたいと思いますが。
  17. 福島深

    説明員福島深君) 四十九年に水島の重油流出事故がございまして、自来石油コンビナートの防災関係につきまして消防庁といたしましては各般の面から検討を加えたところでございまして、石油コンビナート等災害防止法の制定でございますとか、あるいは消防法令の一部改正を行いまして、防災のためのもろもろの基準につきまして強化を図ってきたわけでございますが、今回の地震によりまして東北石油タンク事故を生じたということは大変遺憾に存じておるわけでございます。  先ほど申し上げました消防法令等の改正によりまして、その後タンク本体の基準、あるいは地盤基礎、そういうようなものにつきましてはかなり厳しい基準を設けておるわけでございます。しかしながら、事故を起こしましたタンクそのものは四十七年あるいは四十八年に建設されたタンクでございまして、そういう意味で、ただいま現在実施をしております基準そのものから見ますと不十分なものであったということになるわけでございます。しかしそういう古い基準のものをそのまま放置をするということでは決していけないのでございまして、これを機会にいたしまして私どもとしては従来の基準によりますタンクにつきましてもその状況というものを十分調査をしてみたい。特に壊れたタンクが三基ございますので、これにつきましては近く私の方にございます危険物技術基準委員会、これは斯界の先生方を集めておるつもりでございますが、そういう先生方にひとつ専門的に御検討いただきまして、どういう点が悪かったのか、原因を十分究明をいたし、それによって現在の基準でもなおかつ改正をしなければならぬような点がございますれば、そういう点も早急に改正をいたしまして、このような事故のないような措置を講じたいと思うわけでございます。  しかし、これは単にタンクそのものだけでなくて、ただいま御指摘のございましたように、防油堤の問題でございますとか、あるいはその外側の防止堤の問題でございますとか、いろいろな施設が防災のために講じられておるわけでございますから、そういうものを総合的に考えて、それらが有効に災害時には作動いたしますように、効果があるものとして設置をされますように、私どもとしては十分検討を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。
  18. 遠藤要

    遠藤要君 法が改正になるその前のものだということはよく承知をしておるのですが、それで、これは前のやつだから、いましかしそうではないのだということで御答弁がございましたけれども、非常に県民としては納得がいかない点があるのでありまして、宮城県でも一昨日臨時議会が開かれて、そしてこの真相究明を徹底的にやってほしいということで、恐らく消防庁のお手元にもその意見書がいくのじゃないかと思っておりますが、非常に住民としては納得しがたい。たとえば仙台市のガスの発火の問題についても、わずかに一つだけあのガス局の中に古いやつが残っておった、それが地震で火を噴いたというようなことで、これは古いのだからそのまま残しておかなければならぬというような観念で、それに対して防災的な指導監督といいましょうか、いま少し徹底していただいておったならばなというような点が感ぜられます。さような点で、今度のタンクの問題、特にタンクもさることながら防油堀の問題です。あれが何ら役に立たない防油堀だった、かいた絵のような状態であったということは御承知だと思うのですが、私はこういうふうな点で真相をひとつとことんまで究明してそれを明らかにしていただきたいということと、今後の防災体制に対して、そういうふうな点を参考として、これは法改正前だからというようなことでなく、ひとつ徹底的な防災体制をしいていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
  19. 福島深

    説明員福島深君) ただいま先生から大変貴重な御意見をいただいておりまして、私どももいま先生の御指摘のような気持ちをもちまして、既存のものであるからそれでやむを得ないのだという気持ちでなくて、御指摘防油堀を初めといたしまして、なぜいまの防油堀が効果を発揮できなかったのか、そういう点も十分反省を加えながら専門的に検討を進め、それを今後の防災対策に生かしてまいりたい、かように存じております。
  20. 清滝昌三郎

    説明員清滝昌三郎君) 通産省でございますが、私どもも今回の災害につきましてはもちろん重大な関心を持っておりまして、防災体制その他相互援助の方法といったことにつきまして直ちに業界に指示をいたしまして、今後の防災体制に遺漏のないように今後とも十分指示をし、また御注意してまいりたいと思っておるわけでございます。
  21. 遠藤要

    遠藤要君 次に、私は、建設省の道路局来ておりましょうか。――交通問題について、道路の問題についてただしておきたいと思うのですが、国道や県道、地方道という点で、今度の地震によって橋梁が決壊したりいろいろの事故が――事故といいましょうか損傷を受けておりますけれども、一体橋梁や何かに対しての耐震性ということに対してはどれほどの加味された建設をされているのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  22. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) 現在つくられております橋の耐震設計の基準は、昭和三十九年に新潟地震が起きたわけですが、それを契機にしまして昭和四十七年一月に制定されたものであります。これは関東大震災程度の地震に対しても安全のように配慮されており、局部的な被害を受けることがあっても大きな被害を受けることがない前提で検討されたものであります。
  23. 遠藤要

    遠藤要君 それにしては大分、藤井さんのおっしゃるような状態ならこんな被害が、今度の地震震度は御承知のとおりであったと思うんですが、建設省の実際のあれと実際とは異なっておるような感じをいたします。そういうふうな点で、今後のやはり地震に対する耐震ということに対しては、もっとやはり検討の必要があると思いますが、どうですか。
  24. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) 今回の地震につきまして、橋梁につきましては大きな被害を受けておるわけですが、これは現在の耐震設計指針以前の橋にその多くのものが見られておるわけで、今後つくる橋につきましては新たな基準でつくり、従前の橋につきましては実は五十一年度震災点検を行いまして、一部耐震性の向上に手をつけておるものがあるわけです。それらの橋につきましては一部被害を受けましたけれども、ほとんどのものは残っておるというようなことで、漸次整備してまいりたい、このように考えております。
  25. 遠藤要

    遠藤要君 それから、高速道路は一体今度の地震によってどのような被害を受けましたか。
  26. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) 高速道につきましては、福島飯坂インターから築館間百二十六キロでございますが、七十五ヵ所に路面沈下、のり面崩壊等が発生したわけで、地震直後直ちに交通を閉鎖して復旧に着手したわけですが、十四日の夕方までにほとんどの区間を開通し、復旧に時間がかかりました泉-大和間十一キロにつきましても十五日の午前七時には開通し、全面供用開始しておる、このような状況でございます。
  27. 遠藤要

    遠藤要君 高速道は最近できたばかりなので、これに対する耐震性というものは考えられなかったんでしょうか。
  28. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) 耐震性につきましても十分な配慮で建設はしておりますが、やはり地盤の弱いところ、それから切り盛りの境等につきましては、やはりクラック等、それから路面の沈下、こういった被害が起きたわけで、今回の地震の経験を生かしまして、今後の高速道路の設計、それから維持管理、こういったものに生かしまして、なるべく早く供用開始できるように、さらに総合的な耐震対策をやっていきたいと、このように考えております。
  29. 遠藤要

    遠藤要君 まあ藤井室長はまだ日が浅いからわからないと思うんですけれども、伊豆地震のときにも高速道路が一番の被害を受けているんです。そういうふうなときにもそういうふうなお話であったのですが、私はいま少し高速道はよその道路よりもいつでも被害が多いのが高速道路だと。むしろ既成道路の方が被害が少ない。伊豆地震なんかでもそれがひしひしと味わわされたと申し上げても誤りじゃないと思うんですが、そういうふうな点で、室長はまだ最近赴任したばかりなのでどうかと思うけれども、ひとつその姿勢をもっとがっちりと建設省として考えてもらわなければならぬと思うが、どうかね。
  30. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) お言葉を返すようでございますが、伊豆地震の場合は一般有料道路の利用で実施したものでございまして、今回の東北道は高速道路ということで、かなり規格の高い、地震に対しても安全な観点で施工されておるわけです。こういった観点からも復旧が早く、大きな被害が出ずに済んだんではないかと、このように考えておるわけですが、今回の地震をさらに見直しまして、さらに安全な高速道路の建設、運営、管理、そういうことをやっていきたいと思っております。
  31. 遠藤要

    遠藤要君 それに室長いま一つ、この局速道が室長の話だと速やかに開通したと、こういうふうな話なんだがね。地元の住民たちとしては、あのように国道が混乱状態になっているときに、高速道は直ったところから開通せしめたらいいんじゃなかったか、それをとめておけば安全だというような考えで、お役所的な考えでストップさせたという声が高いんだが、その点どうですかね。
  32. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) 高速道路の供用開始につきましては、どの程度の復旧をすれば供用開始をしていいのか、このあたりの判断が非常にむずかしいわけであろうかと思います。時速五十キロ、時速八十キロというものの復旧をやればかなりの時間がかかるわけですし、たとえば三十キロ程度のスピードでも車を通そうということであれば、もう少し早い時間に供用開始できたんではないかと……
  33. 遠藤要

    遠藤要君 そんなに修理してないんだよ、あんた見たかどうかわからぬが。ぼくは見ているんだよ。見てないんじゃないかな。
  34. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) 現地見て参ってきております。
  35. 遠藤要

    遠藤要君 とにかくよく現地を見て、そういうふうなことのないように、住民が皆批判しているよ。批判していますよ。とめれば安全だというお役所的なことではだめだと、こういうふうな話が住民から出ている。そういうふうな点をひとつ十分肝に銘じて、これからの防災体制なり何かに万全を期してもらいたい、こう思います。
  36. 藤井達也

    説明員(藤井達也君) よくわかりました。
  37. 遠藤要

    遠藤要君 それでは、長官がおいでになったので長官に、先ほどもお話し申し上げましたが、早速宮城県にお駆けつけいただき、防災対策本部を設置していろいろ御配慮をちょうだいいたしたことに対して、県民一同感謝をいたしております。厚く御礼を申し上げたいと思います。  ところで、きょうは参考人として、これまた宮城県の対策本部長である宮城県知事出席を求めておりますが、きょうは午後からまた帰って対策にこたえなければならぬというようなことであり、毎日、きのうもおとといも余震といいましょうか後震が出て、きのうはまた二次災害が起きて、土砂が崩壊し車が何台か埋まったというようなことがけさの新聞にも報道されておるようでございます。  それで、大臣のおいでの中において私は山本知事にお尋ねいたしたいのですが、県民はいまこの災害に当たって何を求めているかということを率直にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  38. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) お答えを申し上げます前に一言お礼を申し上げたいと存じますが、先般の災害に当たりましては直ちに当特別対策委員会の現地御視察をいただき、またきょうこうして今後の対策について御審議を賜りますことを、被災者一同、また県民を挙げまして心から感謝を申し上げておる次第でございます。なお政府におかれましても、国土庁長官を初め関係各省庁打って一丸となって大変力強い応援を賜っておりますこと、これまた心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  先ほど四柳審議官から御報告がございましたが、今回の宮城県沖の地震被害でございますが、大ぜいの死傷者、負傷者を出し、また一般民家の全半壊、あるいは商工業、農林業等々に対する被害、あるいは都市施設に対する被害まことに激甚なものがあるわけでございます。いま遠藤先生るるお話がございましたが、私どもは今回の地震から数多くの教訓とかつまた反省すべき多くの課題を受けとめておるわけでございます。これらは当然本県のみならず今後の防災対策に生かしてまいらなければならない、かように存じますが、いま罹災者県民が求めておりますことは、先ほど申し上げましたように大ぜいの死傷者、負傷者が出ております。また家を失い、家を壊された大ぜいの罹災者がおりまして、いまだに避難を繰り返しております。あるいはまたまだガスが出ない戸数が仙台市内でも七割以上あるような状況であるわけでございます。  私は災害対策でいま一番大事なことは、こういう被災者の生活の安定を図るということが一つ。それから、ちょうど雨期でございます。なお余震も続いておりますので二次災害を徹底的に防止する。さらに恒久対策につきましては、いろいろ反省すべき点もございますので、こういう今回の貴重な経験を将来に生かす、この三つを中心災害対策を進めてまいらなければならないと存じます。  政府もそういう観点からぜひ御協力をお願いしたい、かように存じておりますが、そのために私どもといたしましては、今回の災害をぜひ激甚災の御指定をいただきたい、これが一つでございます。  それから一般住宅被害、さらには農林商工業等々の被害復旧のために現在ございます各種融資の制度を最大限活用し、またその条件を緩和をしていただきまして、これらが有効に働くようにひとつ御処置をいただきたいということでございます。  それから、第三に公共の被害復旧を急いでいただきたい。特に先ほどもお話がございますいろいろと都市施設について上下水道あるいはまた廃棄物処理施設ガス施設等々の被害があるわけでございます。こういう都市施設災害復旧につきましても、道路橋梁等、これまでの公共土木災害復旧に準じた何らかの有利な取り扱いというものをお願い申し上げたいと存じます。  なお、これから県なり市町村なりが災害対策を講ずるわけでございますけれども、御承知のように最近における地方財政まことに厳しいものがあるわけでございます。今後県内の経済活動も予想を下回ることが当然考えられるわけでもございます。ぜひ十分な財源措置等につきまして御配慮を賜りたい。  なお、先ほどお話がございましたように、石油タンクの問題といい、あるいはまた各種建築物、ブロックべい等々含めまして建築基準の見直し等今後安全対策に万全を期していただきたい。  最後に、これも先ほど御報告がございましたけれども、宮城県の地域を大規模地震対策特別措置法特定観測地域の御指定をいただきまして、今後再び地震被害でこういう大きな被害を受けることのないように恒久対策を確立をいたしてまいりたい、かように念願をいたしておりますので、ぜひ当委員会におかれましても今後とも格段の御支援、御指導を賜りますことを切にお願い申し上げる次第でございます。
  39. 遠藤要

    遠藤要君 長官、ただいま宮城県の山本知事から宮城県として県民の声をそのままお聞き取りをちょうだいいたしたのですが、まず第一番目に、先ほども四柳審議官から被害状況改めて報告をちょうだいいたしだのですが、死者が二十七名、負傷者が千五十何名、そしてその被害額が千六百億を突破している。しかもその中には石油とか電力とか、そういうふうな金額はまだ含まれておらぬ。そういうふうな被害の激甚というような現況にかんがみまして、ただいま知事からも強く要請されておる激甚災害指定については、大臣も現地においていろいろ協力的なお話をちょうだいいたしたようでございますが、一昨日は福田総理も大変われわれにはよりよいようなことを耳にいたしておりますが、この席において長官に改めて激甚災害指定の問題について長官からひとつ山本知事のおるところで気持ちのいい御返事をちょうだいいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先般の宮城沖地震被害状況というものはきわめて甚大でございました。負傷者の皆様方、あるいは建物全壊半壊、その他による災害を受けられた方の御心境察するに余りあるものがございます。  ただいま遠藤委員から激甚地指定の問題に触れられたわけでありますが、被害の全貌からいたしまして、特に中小企業に対しての影響が大きいのでありますので、その点では激甚の指定というものはまず行われるべきではないかと、こう思うのであります。ただ私が自分の目で見たり報告を受けたりした点だけから指定を行いますと言い切ることについては、これはもう遠藤委員もお察ししていただけると思うんでありまするが、やはり指定すべき基準というものがございます。それが明確になって指定をいたしますと、こう言うべきものであると思いますが、私が担当の国務大臣の一人として、現在までの状況からいたしまして少なくとも中小企業関係については激甚の指定をすべきそういう状況にある、こういう判断をいたしておるわけでございます。
  41. 遠藤要

    遠藤要君 ぜひ長官、ひとつ一日も早くお墨つきをちょうだいいたしたいということを重ねて要請いたしておきたいと思います。  それから、いま知事からも生活の安定ということで話に出たのでございますけれども、今度の罹災者、個人災害というのは非常に大きいのでございまして、県民一人一人が全部が災害を受けている、こう申し上げても誤りではないのでございます。その中において、特に私は農家なり、また勤労者なり、中小企業者なりが大変な被害を受け、しかもその自分の生活する住宅がまだ借金も払っておらぬ、ローンが残っている、またローンで借金したばっかりだというような方々が今度罹災されている。そういうふうな面についての援助と言いましょうか、これをただ単に金を貸せばということだけではなく、もっと国として何か温かい援助の方法がないのかどうかということを大臣お尋ねしたいんですが、なかなかこの点はめんどうだと思いますけれども、いまの県民の心境としては、公共事業の災害ならばこうだとか普通ならばこうだとかということではっきりと補助なり助成の区分がしておるけれども、個人災害で、本当にようやく家は建てた、それが災害に遭って家はなくなり土地はなくなり残ったのはローンだけだ、こういうふうな住民がたくさんおるんです。  私はそういうふうな点を大臣何とか考える方法がないのかということと、いま一つ私がお尋ねしたいのは、ここにおいでになる藤原委員も後ほど質問されると思うんですけれども、このたび仙台市内におきまして二次災害を防止するためにどうしても撤去しなければならぬ住宅、または傾斜の急勾配のやつをもっと緩和しなければならぬというのでそれを削り落とさなければならぬということになっておるわけです。それを承諾させて、先般一昨日かのテレビで、子供さんが泣いているその中においてブルドーザーが家をつぶしていくという姿をごらんになった方もたくさんあろうと思いますが、家はつぶしたわ、土地もなくなったわ、一体だれがそれを補償してくれるのか、残ったのは借金だけだと、こういうふうなことで泣き叫んでおられるということを私は聞いたのであります。これに対して大臣、何らかの救済の方法というのがございましょうか。ひとつお答え願いたいと思います。
  42. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 現在災害を受けられた方で遠藤委員がおっしゃるような大変な御心配をされている向きが非常に多いと思います。それらについて何らかの対応策を国としてもまた県としてもあるいは市町村としても緊密な連携の上でとっていかなければならないと思いますが、残念ながら現行制度の中では個人災害の救済につきましては災害弔慰金の支給であるとか、災害復興住宅資金の貸付制度であるとか、そういうようなものが中心でございまして、この災害復興住宅資金の貸付制度を見ましてもなかなか思うようには制度ができておらない。あるいは援護資金の貸し付けについても同様でございます。  私はこれらの制度を見て本当に遺憾に思うのでありますが、恐らくこういう制度は相当広範囲な災害を前提にしておる。今回の場合も同趣旨のことであると思いますが、そういうために国を中心として考えますと、どこまでめんどうが見れるものかというようなことから、過去のその当時の財政状況などを勘案しながら、貸付限度などの額が非常に物足りないものがあって、まことにこういう災害状況を目の当たりにいたしますと、どうも私自身も申しわけない、物足りない気がいたすわけでございます。またそういう点を踏まえて国会におきましてこれらの制度を改善をしていただいてまいっておることもこれは事実でありますが、何分インフレ状況も進んでいる中に、なかなか被災者のお気持ちに沿うような、追いついていっておるとは思えないような、そういう点のあることを残念に思うわけでありますが、せっかくこれらの個人災害救済制度について、現に本委員会でもあるいは政府においても、これらの制度の改善については鋭意検討をいたしておりますので、今回の実情をも勘案しながら改善でき得るものは速やかにいたしたいと思う次第でございます。
  43. 遠藤要

    遠藤要君 ぜひ大臣お願い申し上げたいと思いますが、二次災害防除のために災害を受けた者でない――実際被害を受けてないんです。しかしこれからの二次災害防除のために撤去しなければならぬ、つぶさなければならぬというような住宅なり土地に対して何らかもっと、まあいまの法では、制度ではなかなか困難だという長官のお話ですが、しかし対策本部長としていま何らかの方法で考えなければならぬという温かいお言葉なんですが、いま少しそれならば財政援助するから県にやれとか、市にこういうような方法でやれとかということについて御配慮をちょうだいできないものかどうか。いま一歩大臣踏み込んだひとつお答えをちょうだいいたしたいと思うんですがね。大変恐縮ですが。
  44. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 現行制度でどこまで考えられるか。たとえばがけ下にある住宅でだれが見ても危険が迫っておる、これは撤去して移転しなきゃならない。こういう場合に従来これに対しての施策は私はあると思うのであります。したがって、今回の地震災害を受けられてそういう危険な状況にありますればそれは該当すると思うのでありますが、ただ私の手元にある報告からしますと、土地造成などをした、その場合のいわば一見がけ下にあるがごとく見える住宅はそれに該当するのかどうかというようなことを多少専門的に検討すると、なかなか該当するかしないかということについては議論が相当出るところだと思うわけであります。あるいは集団移転制度などもございます。したがって、それを適用したらばどうかと、こういう場合に、完全に被災者がある一定の地域に集団移転ができ得るものなのかどうか、被災者の御満足というか、不満ながらもそれならその方に移りましょうというようなそういう意欲を持っていただけるものなのかどうかというような、具体的に検討してまいりますとなかなか問題も多うございますが、しかし全然対応策がないというものでもない。したがって、よく検討し実情に沿うようにしてもらいたいということを指示しておるような次第でございます。
  45. 遠藤要

    遠藤要君 ぜひひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。やはりそういうふうな点が解決しないとこれからの防災体制というのがもっと急速に進捗しないのではないか、こう考えられますので、よろしく御配慮をちょうだいいたしておきたいと思います。  続いて住宅問題についてお尋ねしたいのですが、住宅融資の問題について、現行では五百八十万ですか、というような限度のようでございますけれども、宮城県の場合には非常に農家が多いんです。農家が五百八十万の融資を受けて再建できるかということになるとなかなか問題がある。そういうふうな点も、ひとつ枠のかさ上げと申しましょうかの問題と、それから一般勤労者や市民がローンによって住宅をつくっておる。ところがそのローンがまだ返済が終わっていないのにこのたびの被害を受けたということになると、ローンも重なってダブルパンチのようなかっこうになってくるわけなんですが、そういうような場合に期間の延長が一体どうなるものか。それからただいま長官からお話しになったように今度の激甚災指定をちょうだいしたものとして、なった場合に利子は一体どうなるのか、やはり金利等についてももっと配慮願えないかというような住民の声がございますので、その点について、これは局長からでもどなたからでも結構ですからお答え願いたいと思います。
  46. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) ただいま大臣からお答えがありましたとおり、災害復興住宅の貸付条件につきましても私どもこれで決して満足なものとは思っておりません。  ただ先ほど先生がおっしゃったように、貸付限度額は五百八十万円に昨年末に上げております。それから土地費につきましては、これはつい過日でありますが、土地が流失等によりまして使用不能になった場合には土地費の貸し付けを行いますが、この額も百九十万円から三百五十万円に上げております。それと償還期間につきましてもこの通常国会におきまして法律を変えていただきまして、木造につきましては十八年を二十五年に、それから簡易耐火構造につきましては二十五年を三十年に延長をしていただいております。また貸し付けの利率につきましても財投金利の引き下げに伴いまして、横並びではありますが、五・五%を五・〇五%に下げております。かような政府部内におきましてできる限りの努力はいたしておりますので、この点は遠藤先生も評価していただいているのではないかと思います。  ただ冒頭申し上げましたとおり、現在の貸付条件で決して十分とは思っておりませんので、限られた財政の枠の範囲ではありますけれども、今後とも財政の許す限り貸付条件の改善には努力してまいります。
  47. 遠藤要

    遠藤要君 そこで長官、国土庁長官じゃなく建設大臣としてお答えをちょうだいいたしたいのですが、ただいま住宅局の総務課長からお答えをちょうだいいたしたのですけれども、五百八十万が限度だ、こういうふうなことが出ております。金利についても大分引き下げたつもりであろうと思いますけれども、いまは御承知のとおり世の中は低金利の世の中でございまして、これは上がっていくときは役所が遅いからなかなか上がらぬというのが役所のいいところなんですが、下がるときにもまた役所は遅いからなかなか下げないというのが役所の欠点だとも言われておるようでございますが、その点について、金利、償還期間の延長、最高額の限度の問題等について建設大臣としてもっと御配慮願える方法がないかどうかということについて、これから努力されるかどうかという点についてお尋ねしておきたいと思います。
  48. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま建設省の方よりお答えを申し上げたとおりが現行制度である、そしてこの現行制度も先般の国会のさなかに一部は変更をしております。それから利率につきましても公定歩合の引き下げに伴って、そして改定をしたところでございまするから、したがって、まともに国務大臣としてどうだと、こう言われると、現状においては最近改定したところでございますのでなかなかむずかしいと、こう申し上げる以外にはないのでありますが、これは私は政治的に見まして現行制度が今度の大地震によっての被災者に対して全く不十分なもので行き届かないものである、こういうことが多くの人々から判断されて、しかもそれにもかかわらず私がここでこの間改定したばかりだからだめだと、そういうものでは私はないと思うんです。しかし私もこの被災をされた地域状況が木造建築物の建設費五百八十万円、償還二十五年、利率五・〇五%で、一体それがどういうものであるかということをただいまここでにわかにちょっと判断がしかねますので、この点はよく検討をさしていただきたいと思います。
  49. 遠藤要

    遠藤要君 ぜひひとつ検討していただいて、対策本部長として御検討願って、これは宮城県のみではなく、今後の罹災者に対する救済の温かい手をひとつ伸べていただくように強く御要請申し上げておきたいと思います。  続いて商工業中小企業者の融資の面でございますが、この点については中小企業庁おいで願っていますね。――どういうふうに宮城地震に対して対応されるかお聞かせ願いたいと思います。
  50. 山口務

    説明員(山口務君) お答え申し上げます。  被災されました中小企業者に対します金融措置でございますが、被災後直ちに中小企業三金融機関――中小企業金融公庫、国民金融公庫及び商工組合中央金庫でございますが、におきまして被災中小企業者の事業の早急な再建を図る、こういう観点から災害復旧に要します資金について貸付期間を通常の場合よりも長くする、あるいはその貸し付けに当たりまして簡易、迅速な処理をする、こういった災害特別貸付制度をすでに発動いたしております。それからまたすでに借りておられました企業貸付金の返済につきましては、返済が困難な中小企業者に対しましては個々の実情に応じまして返済猶予を行う。こういった制度を実施いたしておるわけでございます。新たな融資返済猶予、いずれにつきましても各金融機関の窓口で御相談いただきたいと思うわけでございます。  なお先ほど来議論になっておりますように、激甚の発動の暁には激甚災害貸付制度というのが発動されるわけでございます。この制度ば災害時にさかのぼって適用するということでございますので、金利の面につきましても、あるいは償還期間の面についても優遇措置が講じられる、こういうことでございます。
  51. 遠藤要

    遠藤要君 それで中小企業庁に要請しておきたいと思うんですが、どうも政府機関の金融機関というのは一般の金融機関よりも大変ややこしいという、私は政府機関から借りたことないのでわかりませんけれども、そういうふうな評判がたっておるようでございます。そういうふうな点があるようですが、このような災害のときにはひとつ臨機応変に御協力を願いたいということと、救済があるからということでなかなか抵抗があるというようなことのないように、いまのお話で了解されますが、十分ひとつ被害者の救済という、復興というたてまえで、中小企業者の復興だというような気持ちで温かい御協力を願いたいと思いますので、その点を要請しておきたいと思います。  続いて文部省に。文部省おいで願っていますか。――文部省にお願い申し上げておきたいんですが、先ほど堅頭に申し上げたように、今度の地震によっての火災は文部省御承知のとおり民間からは出ておりません。地震発生し停電になってから初めてろうそくをつけて火災が出たというのは二件ございますけれども、地震によっては学校だけです、火災出たのは。そういうふうな点で管理の面においていま少しやはり検討願いたいということを強く要請をいたしておきたいと思いますと同時に、文教施設が大分傷めつけられております、学校や何か。そういうふうな点で、その文教施設の学校の校舎や何かも設計や何かにいま少し配慮する余地があるような感を私どもは深めておるわけでありまして、特定の設計のやつだけが傷んでいるというような状況がなきにしもあらずであります。  そういうような点での改善をお願い申し上げたいということと、さらにまた私立学校です。これが何ヵ所か被害を受けております。東北工業大学などは十三億からの被害を受けておる。薬科大学もしかりです。そういうふうな点で、その私立学校に対してもひとつ文部省として再建の方法について御配慮していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  52. 大井久弘

    説明員(大井久弘君) ただいまの御指摘のとおり今回の地震におきまして東北大学等におきまして薬品の混合発火による火災事故発生したことはまことに遺憾でございます。ただいまの御指摘の三点のことでございますが、薬品の混合発火による事故につきましては、直ちに現地に係官を派遣いたしまして原因調査などをいたしましたところでございますが、やはり薬品の保管を厳重にするということ、それから危険薬品の分類整理をきちっとしておくということ、さらには薬品だなの転倒、さらに薬品の落下の防止、また万一火災が発生した場合におきますところの消火活動が円滑に行えるような消火設備の整備あるいはガスマスク等の設置というようなことが非常に大切なことであるということを痛感いたしておるわけでございます。これらの点につきましては、できるだけ早い時期に関係省庁と連絡をとりながらさらに一層の徹底を図りますよう指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  また学校施設復旧につきましては、現地からの計面書の提出を待ちまして直ちに現地の査定を行いたいというふうに考えている次第でございます。  今回の地震によりまして学校の施設に相当な被害が生じましたことにつきましては、学校施設の計画のあり方という、耐震構造という点につきまして、さらに一層の研究を進めまして指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。  また最後の、私立学校等につきましては、激甚災害指定されますと補助の道が開かれておりますし、また融資の道ということもございます。これにつきましては学校側の要望を十分お聞きした上対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  53. 遠藤要

    遠藤要君 よろしくお願いします。  続いて大臣、宮城県で今度の地震に遭って、この太平洋沿岸地域を大規模地震対策特別措置法の特定観測地域指定してもらいたいという声が、大臣が御来仙の際も恐らくお話があったと思いますが、その点に対して一体いかがなものかどうかということをお伺いいたしておきたいと思います。  さらに気象庁の方にお願い申し上げ、またお尋ねしておきたいんですが、今般の地震に当たって一応気象庁から一連の鎮静のあれがあるというような発表があったので住民はやや安心したのですが、その後、一昨日は三、きのうは二というような震度のまたあれがあるというような点で、住民はほとんど戸をあけっ放しで、家に入って休む人は戸をあけたままで休んでいるというような点で、住民はまだいまだに不安を払拭するわけにはいかないような状態になっているが、気象庁として今度の宮城沖地震に対してこれから一体どういうふうなことになるのかということを、はっきり明確なことはお答えはできないと思いますが、気象庁としての見方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  54. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 気象庁の方から御見解を承る方がよいかと思いますが、一昨日地震予知連絡会が開かれておりまして、その際に「この海域の地震は、過去において二、三回続けて起った例もあり、日本海溝沿いに地震活動の空白もあるので、今後、特定観測地域に準じた観測及び測量を行い、監視を強める必要がある。」と、こういうふうに予知連絡会が統一見解を示しておられます。私はこの予知連絡会の専門家の皆さん方の御意見をそのとおり受けとめて、特定観測地域指定するしないにかかわらず観測あるいは測量の強化を行うべきものであると、こう思います。  かねて来宮城県沖地域あるいは三陸沖地域等、いろいろ申し上げようがあるかと思うのでありますが、地域が最近起こっておる実情からいたしまして、私の判断では当然特定観測地域に加えて観測体制強化すべきだというふうに見た次第でございますが、地震予知連絡会におきましても、ただいま申し上げたような統一見解が示されておりますので、今後の観測強化しそれに必要な措置をとってまいりたいと思います。
  55. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  まず最初の点でございますが、御指摘のとおりきのうきょう等も地震が起こって大変地域の皆様御心配のことと存じますが、これはすべてこの十二日の地震の余震でございまして、起きますたびにその都度地震状況及び本震との関連等を発表いたしまして、NHK等の御協力を得て皆様に十分お知らせしているわけでございまして、一進一退はございますけれども、ただいままで余震は順調に減少しておりますので、今回の宮城沖地震は一応終息する、この活動は終息すると思っております。ただし、ただいま大臣も御答弁なさいましたように、この今回の地震の先代と申しますか、昭和十一年に起こりました金華山沖地震の場合には、その後二、三年の間に同じような海域でやはりマグニチュード7以上の地震が続けて起こったという例がございますので、私どもこれを重視いたしまして、この方面の監視を十分強化していきたいと存じます。  それから、御指摘特定観測地域指定でございますが、これは今般の法律以前からあることでございまして、そういう意味で法律によるものではございませんが、今回二十一日の日にこれを検討いたしまして、ちょうどだだいま予知連絡会で全国的な特定観測地域の見直しという作業を進めて、この一、二ヵ月の間にこの作業を完了する予定でございますので、この際同地域を含めまして全国的な見直しとして恐らく観測地域指定という方向で向かうものと存じております。
  56. 遠藤要

    遠藤要君 なおまた、きょうは農林省もおいでを願っておるが、農林関係、農林漁業水産関係被害も甚大である。この点についての復旧並びに金融問題についてもひとつ速やかな処置を講じていただきたいということを、時間の関係もございますので、要請だけしておきたいと思います。  それで、自治省はおいで願ってますね。――自治省にお尋ねといいましょうか、要望申し上げておきたいと思うんですが、先ほど宮城県の知事からもお話がございましたように、いまこの不況の中において地方財政というのは全く底をついている。その中においてのこの災害、こういうふうな点で、市町村の財政に対してこの災害によるところの援助ということについてはひとつ積極的に努力していただきたいということを要請しておきたいと思うが、それに対する自治省の考えをひとつお聞かせを願いたい。  それからいま一つは、これは大蔵省にも関係することでございますので大蔵省からもお答え願いたいと思うんですが、この災害による税の減免についてです。家はつぶされたわ、新しくつくる、固定資産税がまたかかってきたというようなかっこうになるのかと。そういうふうな点や、この災害によってどういうふうな税の免除の方向、どういうふうな点で税対策において災害に対する何というか救済方法があるのかというような点をお聞かせ願っておきたいと思います。
  57. 千葉武

    説明員(千葉武君) お答え申し上げます。  まず第一点の今回の災害に伴います地方財政対策でございますが、被災地方公共団体に対します財政処置といたしましては、今回の状況にかんがみましてまずとりあえずの応急処置といたしまして、去る十七日に宮城県下の五つの被災市町に対しまして普通交付税の繰り上げ交付の処置をとりました。今後交付要件に該当する団体が出ましたら追加交付の処置をとってまいりたい。  それから、公共施設災害復旧に関する問題でございますが、これにつきましては、今後災害復旧事業費が確定次第、これらの事業に関連いたします地方負担額などにつきまして所要の地方債を配分をしてまいりたいと考えております。  さらに、その他の災害応急対策などに要しました経費につきましては、被災団体の財政状況でありますとか、そういうものを総合的に勘案いたしまして、実情に応じた特別交付税の配分を行いたいと、かように考えております。  それから、第二点のお尋ねでございますが、税の減免つきましては、私ども従来から次官通知によりまして各都道府県知事に対しまして実情に応じまして所要の減免処置をとるようにという指導をいたしております。今回の災害につきましては、その状況にかんがみましてさらに実情に応じた指導をするように現在内部で検討しております。近く指導を行いたいと、かように思っております。
  58. 小野博義

    説明員(小野博義君) お答え申し上げます。  災害により納税者の方が被害をお受けになった場合の国税の救済措置といたしましては、国税通則法、それから災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律及び所得税法の中にそれぞれ規定があるわけでございます。これらの規定を活用いたしまして被災納税者の方の救済に万全を期したいと考えておるところでございます。  その内容といたしましては、まず申告、納付等の期限の延長の規定が国税通則法の十一条にございます。また納税の猶予につきまして国税通則法の四十六条に規定があるわけでございます。また所得税の軽減、免除につきましては、住宅とか家財などの生活に通常必要な資産に損失があった場合、この場合は災害減免法による軽減、免除もしくは所得税法の雑損控除による軽減、免除という二つの道がございます。また事業用資産に損失があった場合につきましては、所得税法の三十七条、五十一条によりまして必要経費として当該年度の損金に落ちることになっております。  私どもといたしましては、現地を管轄する仙台国税局及び関係税務署におきまして、関係地方公共団体の方とも密接な連絡をとりながら、被災納税者に対する国税の救済措置の周知に努めておるところでございますし、また税務相談所を税務署初め各地に設置いたしまして、個別の相談にも遺漏のないように措置をしているところでございます。
  59. 遠藤要

    遠藤要君 大変時間があれしたんですが、最後に大臣、地震保険なんですが、これは大臣の所管ではないわけなんですが、地震保険というのは、家が全部倒壊して、そして二百四十万ですか。そういうふうなんで、何千万掛けていようが火災保険と併合するわけなんだが、地震保険に入ってもそれ以上は家が全部つぶれなければ、倒壊しなければだめだということなんで、半壊の場合には地震保険がもらえない。そういうような点を考えると、非常に県民感情として、本当に地震起きたら火を消せ-火を消さない方が保険取れるんですよ。個人の被害に対しては国は何にも救済の方法がないということになって、そして地震起きたら火を消せと。消したら何にももらえなくなってしまう。そういうふうな矛盾が大臣あるんですね。そういうふうな点で、地震保険の支払い条件の緩和措置について、何らかひとつ、これはまあ大臣の所管ではございませんけれども、対策本部長として大蔵省やその他各省とお話を願いたいと、こう思うんですが、いかがなものでしょうか。
  60. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) お話のように、全損の場合だけが対象になっておる、分損にまで拡大すべきではないか。この問題はしばしば専門家の間で御検討を願っておるわけでございますが、なかなか議論が多く結論に至らず、そしてただいま遠藤委員がおっしゃるように、火災でも出てそれを消さない方がいいんじゃないかというような論議まで出る、そういう事態というものはこれはまことに遺憾に思います。そこで、国におきましても御承知のような再保険に応じ、現在一兆二千億円にまで支払い限度額を引き上げるというようなことでございますが、国及び損害保険会社において地震などに対して一体負担能力がどこまであるかないかというところに最後はかかってくるんではないかと、こう思うのであります。  きわめて保険制度の上において技術的な困難性は持っておりますが、ただいま遠藤委員の言われたようなそういうことが被災者の中から言われておるという、このことは私は重要視しなければならないと思うんですね。せっかくまず火を消せと、いや火消せば保険はもらえないからほっておけというようなことになったら、これは大変な問題でありますから、そのようなことも頭に置きまして、私としてはさらによく検討すべきことを命じたいと思います。
  61. 遠藤要

    遠藤要君 ぜひ大臣お願いしたいと思います。個人災害に対してももっと国自体で温かい方向でめんどう見てやるということもあわせてひとつ御検討願って、私の質問は終わらせていただきたいと思いますが、なおまた山本参考人は時間の関係で退席されるようですが、本来ならここにおいでになる目黒委員なり藤原委員からも御質疑の希望があったようですが、知事の都合があるようだから遠慮しようというような御了解願いましたので、どうもありがとうございました。
  62. 川村清一

    委員長川村清一君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後十二時五十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ―――――・―――――    午後零時五十八分開会
  63. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も全国区でありますけれども、生まれが宮城県なものですから、死亡された方あるいは災害に遭われた方、罹災者にお悔やみ申し上げると同時に、一日も早く回復なり復旧されんことを心からお願いいたします。  まあ遠藤委員が私の隣町のものでありますから、大体二人で歩いたポイントなどについては午前中いろいろありました。できるだけダブらない角度で時間の限りで質問したい土と存じます。  まず最初に、三陸沖というところは、私も少年時代金華山沖の地震に遭って少年時代として非常に恐ろしい記憶が残っておるわけでありますが、大体昭和年代に入ってからマグニチュード6以上ぐらいの地震が三陸沖で昭和年代-五十三年ですね、ことしは。どのくらい一体発生しておるものか、それを記録があったら教えてもらいたい、こう思うんです。
  65. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  この三陸沖ということを、岩手県と青森県の県境、これは八戸付近でございますが、それからずっと南に海岸をたどってまいりまして、茨城県の真ん中ぐらいのところを三陸海岸といたしますと、そこから御指摘地震の起こりますのは約三百キロ沖合いの日本海溝までの間でございますが、この間に大正十五年一月一日から昨年末までの五十二年間にマグニチュード6以上の地震は百三十回起こっております。
  66. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 7以上はどのぐらいですか。
  67. 末広重二

    説明員(末広重二君) 7以上は約その十分の一でございますが、正確に勘定をいたしますと十個か十一個でございます。
  68. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、この前の大地震特別措置法の審議の中でずっと議事録を読ませてもらいますと、この三陸沖一帯もやはり午前中問題になりました特定観測地域、そういうものに当然該当すべき地域ではなかったのかというようなことを、私は昭和十一年からの自分の経験も考えて、他の福井地震であるとか、あるいは伊東の地震であるとか、そういうことを自分で考えると、当然特定観測地域に入って行政その他の面で措置すべき責任があった地域ではないか、こんなふうに感ずるんですが、専門的にどうでしょうか。
  69. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  東北に被害を及ぼします地震は二種類ございまして、一つは、たとえば秋田県であるとか、あるいは青森県に起こります内陸型の地震でございます。これはマグニチュードはそう大きくございませんが、いわゆる直下型でございますので被害の面から見ると大ごとでございます。これに対しましては、御指摘の特定地域の中に秋田県一帯を入れまして観測強化してきたのでございますが、三陸沖合いの地震は、起こります場所が海岸からはるか百キロとか二百キロの沖合いの海底下に起こりますために、いま御指摘昭和十一年の金華山沖の地震であるとか、あるいは昭和八年の三陸沖の大地震であるとか、これ皆地震直接の被害はほとんどないんでございまして、津波の被害の方がはるかに上回ったと申しますか、津波の被害だけであったわけでございます。そのため私どもといたしましては的確な津波警報をお出しする、地震そのものの予知はいま申し上げたように大変沖合いでございますので、本震そのものの予知はできなくても津波警報の方で防災をするという立場で施策を進めてまいりましたが、やはりこの前の十勝沖の地震あるいは今回の地震によりまして、都市構造が大変変わってきたために、従来は津波だけであったような三陸沖の地震であっても、地震災害、直接の被害、あるいはその後の非常な生活に不便を来すという苦い教訓と申しますかを得ましたので、今後はその辺を見直しまして、三陸沖の地震でも技術的に申し上げますと大変むずかしい点がございますけれども、何とかこれも将来は予知できる方向へ持っていくということで努力してまいる所存でございます。
  70. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私は本人に会って確認したわけじゃありませんから、ただ田舎に帰っていろんなことを聞いた中で、浅田という地震予知連絡会の副会長さんがいらっしゃいますね。この人が今回の宮城沖地震の問題について金華山沖地震と震源地が同じであるから起こっても全く不思議のない地震だということを断定していらっしゃるという点を私は耳にしました。それからもう一人、これは力武さんですか、力武常次さんという同じやっぱり地震予知連絡会の副会長さん、東京工大の方、この方は、今回の宮城沖の問題についてはいろいろ手を回して予知のことについては努めるべきであったけれども、現在の陣容その他から言って東海や南関東の観測に手いっぱいで、とても宮城沖までは手が回らなかったと、現状の体制は当然だと言わんばかしに両副会長さんが言っていらっしゃるんです。  で、われわれ地震を受けた県民なり当事者から見れば、地震予知連絡会の最も責任者の方々がこういうことを公然と言っておるにもかかわらず、地震の予知ということについて行政はもっと手を伸べるべきじゃなかったのかという疑問がはね返ってくるんです、疑問が。それで現地の調査仙台の気象台の関係者に聞いたら、何が何だかさっぱりわからないと、もやもやしていて。私も東北弁ですから、大体東北の人の言うことはわかるんですけれども、私がわからないぐらいだから何をしゃべっているかわからないということですね。いわゆる気象台の皆さんも自信がないということですね、予知について。  こう考えますと、私は対策本部長に聞きたいんですが、この前の議事録を見ますと、この仙台沖の地震の予知の問題について、予知体制に不備があったという点はきわめて遺憾であったと、こういう意味の大臣答弁を衆議院の段階でやっているということを一応お聞きしたんですが、こういう問題について行政は観測体制に不備があったということについて、当該の宮城県初め皆さんにやっぱり行政の責任できちっと明らかにすることがまず本件の私はいろんな議論をする前の前提条件じゃないかというような気がいたしますので、この点について衆議院でどういう意味の答弁をなさったのか、本部長の見解を聞きたい、このように考えます。
  71. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど気象庁の方から御答弁申し上げましたように、相当数の地震が過去に起こりながら特定観測地域にもなっておらないということについては、私なども同じような気持ちがいたしたのでありますが、しかし一歩踏み込んでいろいる聞いてみますと、沖合いはるか相当距離のところに海溝があって、そしてその海溝に対して現在の精密度の高い地震計などで観測するにはなかなかむずかしい個所である。したがって、従来の経緯から見ると津波による被害の方が大きいので、津波については十分警戒をしております、仙台の測候所に津波に関してはテレメーターも入っておると、こういうことで私としても現在までの特定観測地域になっておらなかったという事情については一応の理解をいたしたのでありますが、しかし二月に地震も起き、今回起き、そういう実情に触れてみますと観測体制に不備があったんではないか、こう言われればそれは私は認めざるを得ない、他のいろいろな方法によりましてもう一つ観測体制強化する必要がある、こういうふうに思って、衆議院における答弁の言葉はどういうふうに申し上げたかはっきり記憶しておりませんが、いま申し上げたようなことで、観測体制をもう一つ強化したいという点から不備があったという言葉があればそういう見地から申し上げたと思います。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が聞いたのには、観測体制に不備があったので遺憾の意を表するということがありましたんで。  それからもう一つ、これはことしの五月十日の参議院の災害対策特別委員会の議事録を見ますと、当時の気象庁観測部の参事官の末広さんという方が原田先生の質問に答えて、一月十四日発生した伊豆大島近海地震については、あらかじめ前兆をつかめたと。読みますと、お答え「今年の一月十四日の地震に対しましては、ある程度何かあるんではないかということを、率直に申し上げまして把握していたわけでございます」ということをおたくが答えているのですよ。そうすると、今度の仙台宮城沖は7・5ですね。前の場合は6・何ぼですか、東海関係は。そうしますと、この時点であなたは把握している、予知しておった、こういうふうに断定しておるということから仮定すれば、設備さえきちっと整っておれば今回の宮城沖の問題についても率直に前兆として把握できたのではないかという私の推論が成り立つのですが、この答弁と、今度の沖の予知が特定観測地域というふうに仮に入っておって観測体制が十分してあれば伊勢湾と同じように把握できたのではないかという観測が成り立つのですが、いかがでしょうか。
  73. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  一月十四日の地震は、おっしゃるとおり今回の地震に比べて地震そのものは下回っていたのでございますけれども、起こった場所が伊豆大島と伊豆半島の間でございまして、伊豆半島の東海岸にもまた伊豆大島そのものにもいろいろな観測機器がございまして、いわば地震の起こりました震源地のほとんど真上に観測の網があったわけでございます。そのために前兆の幾つかが把握できたわけでございまして、地震が起こる前に、どうもおかしいということも私ども検討していたわけでございますけれども、今回の地震は何分海岸から約百キロ沖合いの海底下に起こりましたために、地震そのものは大きゅうございましても地震の震源地の真上には何も観測の網が敷かれていなかったということで、観測の網が震源地の上にあるかないかということに大変大きな差があったわけでございます。これを解決いたしますためにはやはり三陸沖の地震に対しましても観測の網を震源地の上にかぶせるというところへどうしても持っていかなければいけないわけでございまして、このためには海底下における観測ということの技術を開発する、あるいは開発してあるものはこれを三陸沖に応用するという方向へぜひ進んでいきたいと、こう思っておる次第でございます。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 地震の予知になると毎回これは笑い話かもしれませんが、ナマズ飼いの問題が話に出るのですが、今回の新聞を私も興味を持って集めてみたのです。そしたら、東京の新聞では東京都の水産試験場、やっぱりここのナマズ君が前兆をしたと、こういう話。同じく都内でば世田谷区の中学校の先生も同じ探知をした。あるいは横浜市にもあった。それから地元の仙台の方では、これは神奈川県の温泉地学研究所のグループにかかわる二つのグループがやはり前兆があったと、こういう話があるのです。そしていま気象庁の方から震源地のところにかぶせるという海底との関係、いろいろあったのですが、こういう普通のアマチュアがやっているナマズ飼いというものなどについては検討する価値があるのだろうかないのだろうか。たまたま偶然にこういうふうにやっているのか。あるいは長く研究すれば何らかの海底にかかわる地震について探知する手がかりでも求められる可能性があるのかないのか。その点も参考までに、どちらでも結構ですから、水産庁でも結構ですから教えてもらいたい、こう思うのです。
  75. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  地震の予知あるいは地震現象を把握いたしますためには、地震は地下に起こる現象でございますので、それに随伴して起こります地震活動であるとか、あるいは土地の傾斜、伸び縮み、その他地球の電気磁気的性質の変化等多岐にわたります種目を観測いたしまして、それでそれの総合的検討のもとに地面の下のありさまを推定するという手法でございますので、当然いまおっしゃいましたような生物の生態に影響が出てくるということも十分考えられるわけでございます。したがいまして、私どもの手法と申しますか方向といたしましては、地球物理的な観測に加えましてそういった一般の国民の皆様が観察なさる、あるいはお気づきになられたことも、その総合的検討の材料の中に取り入れまして、それで将来一種の包囲作戦で地震予知ということをより実用化させたいと思っているわけでございます。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 今回大規模地震対策特別措置法が発効していろいろな施策を講じられるわけでありますが、裏から見ると大規模地震対策特別措置法の予知の範囲、これがマグニチュード8以上だ、こういう議論がずっと何回も同じところで繰り返されておるのですが、この特別措置法が実施されて仮に宮城沖が中央防災会議の答申を得て観測強化地域というふうに指定されたと仮定しても、今回程度の地震については、率直に言えば予知はできない、そういうふうに見るのが正しいのか。いやいやいろいろな方法があれば予知ができるのだというふうに、ある程度宮城県民とか東北の皆さんに安心感を持たせるのか。いやだめなのだ、特定観測指定になってもいま言った海底三百キロ向こうだということになるとなかなかむずかしい。そうすると、特定観測地域指定されても、あるいは今回の大規模地震法の観測強化地域指定されても、今回程度の地震は予知にはひっかからないのだというふうにどうもずっと調べていくと私はなるような気がするのです。そうしますと、午前中県知事の特定観測地域指定してもらいたいということは、裏を返せば、これに指定をされて気象台とかいろいろな設備を整えてもらえばあらかじめわかるのだなという私は県民の期待があるからみんな言っていると思うのです。ところが実際は法律を検討してみると何にも出てこない。こういう関係があるので、今回の地震程度の予知はどういう手を打てば予知できるのかということも含めて、専門的になると思うのですが、見解をまず聞かしておいてもらいたい、こう思うんです。
  77. 四柳修

    説明員四柳修君) 先生議事録をごらんいただきまして御案内のように、毎回出てくる問題でございますけれども、この法律をつくりましたときは、観測強化いたしまして各観測成果というものを常時観測という形で気象庁にオンラインをしますと、いまの技術水準ではマグニチュード8程度でございますが、衆議院の委員会のときにも参考人の先生方がおっしゃいましたように、できることならばそのマグニチュード8というものを担当者の目標としましてはマグニチュード7を目標にしてやりたい、こういうことを重ねて言っておられます。私どもの方も、大学あるいは関係省庁等の試験研究機関の御研究の結果によりましてそういったものが7に近づくことを期待いたしております。そういう形で、いま先生の御心配のように、今後のスケジュールとしまして特定観測地域に準じた観測強化になりますが、これが観測の密度が高まりまして、あるいは機器が整備されまして常時監視体制というものが入ってまいりますと、そういう過程の中で観測技術そのものもある程度進歩すると思います。そういうものと並行いたしまして知事さんの御心配のようなことをこの法律の強化地域の対象にするかどうかということはやはりその段階で検討したいと思いますが、全然可能性がないという話ではなくて、やはり技術の進歩に期待いたしたいということでございます。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、期待はわかるんですが、生臭い話ですが、そうすると、現在の技術水準等現時点では大規模地震対策特別措置法の法が施行されてもなかなかひっかからないということがこれは現実だ、これはこれとして素直にやっぱり県民に期待を持たせないように、これが現実だ、しかし将来の問題としてわれわれは一日も早く近づけるように努力するんだという私は明言をしておくべきだと、こう思うんです。  それで大臣ね、毎日新聞の方々の取材によると、大臣は、いややりますよやりますよ、来年度予算はがっぽり取ってやりますよ、大分やります一本やりで仙台で記者会見などなさったと、こう思うんですが、いま専門的な方が言われたマグニチュード8あるいは7程度を予知をするためにはこの技術開発を含めてどの程度のまあお金と言えば変でありますが、予算なり設備なりあるいは研究所なりそういうものが必要なのか。そういうある程度のプログラムを持って、三年なら三年計画、二年なら二年計画あるいは五年計画、そういうことを持ってある程度具体性のある私は可能性を追求しているのか。そのための予算の裏づけはもう災害ですから問答無用ということで内閣としても予算をつける、そういう万全の体制を現時点でとろうとしているのか。また机上プランなのか。その辺の可能性について大臣の方からひとつ見解を述べてもらいたい、こう思うんです。
  79. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 測地学審議会の方で第四次の答申も近く行われる、こういうことで、全般的に申し上げるとそれに応じて予知体制強化してまいりたい、こう思っておるところでございます。  で、今回の地震にかんがみまして、予算措置についてできるだけのことをするということを申し上げておるのが若干興味本位な報道になっておるのを私も拝見いたしましたが、当時の私の申し上げておるのは、今回の地震に際しての今後の対策に万全を尽くすという意味合いから申し上げております。で、こういう場合、明年度以降の予算措置ということになりますが、たとえば観測体制強化をするという上におきましては科学技術庁の方に研究費などが私はあると思うのです。ですからそういう面から当面緊急を要するものについては支出の可能性はあると思います。  なお、この予知とは若干ニュアンスは違いましても、先ほど御質問にもあったように、伊豆大島沖地震に対する前兆については気象業務法による地象として情報などの提供が行われたのでございます。したがって、観測体制強化によりましてそういう情報提供なども非常に参考になるものではないか、こういうふうに思っておりますから、できる限り早く観測体制強化に努めたい、それにはどういうものを設置する必要があるかどうかということについては専門家の所見に従いたいと思う次第です。
  80. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私もあんまり専門家じゃありませんから、そういうことについては県民とか国民に期待を持たせて、時間がたつにつれてそれが実を結ばなかったでは行政に対する不信感がつのるだけでありますから、大臣を含めて最大の努力をお願いしたい、こう思うんです。  それとの関係で、精密測地網測量ということが現在第三次予知計画で行われておるわけでありますが、これは私は東北人だからひがみ根性になるかどうか知りませんが、この第三次計画にもこれは宮城県とか東北がほとんど入ってない。記憶の間違いなら謝りますが、私が調べたところでは、関東、東海、中部、北陸、近畿の地方が入っておって、大体全国の二〇%、こういうことなんですが、この点にも宮城関係、三陸沖が全然入ってない。こんな気がしたんで、私もどういうわけかなと思って若干ひがみ根性を持っているわけでありますが、いま大臣が言うとおり第四次計画が測地学審議会で検討されておると、こういうこともありますから、この第四次計画の関連も含めて、この関係について宮城三陸沖をどういうふうに結びつけていくのか、それなどについて計画があったら教えてもらいたい、こう思うんです。
  81. 林哲郎

    説明員(林哲郎君) お答え申し上げます。  全国を対象にいたします精密測地網測量を含めました測地測量というのがございますが、これは特にその中でもいま先生の御指摘の精密測地網測量あるいは水準測量あるいは高精度トラバース測量、こういうのが地震予知に非常に有効だというふうに言われておりまして、第三次長期計画の中でもそういうふうな建議がございます。  それで、これらの測量につきまして若干御説明申し上げますと、東北地方につきまして昭和四十八年から五十年にかけましていま申し上げました一等水準測量を実施いたしております。それからこれは当地方の地殻の上下の変動の方の検出でございますが、これはもうすでに関係のところに御報告を申し上げているとおりでございます。それから精密測地網の基礎とも言えます高精度トラバース測量というのがございますけれども、これも同時期に東北地方ですでに実施されております。それから精密測地網測量、これは従来の三角測量にかわりまして近年開発されました電磁波測距儀、こういうものを使いまして昭和四十九年度から新しい測量方式として進めていった測量でございます。  で、精密測地網測量につきましては四十九年から始まったわけでございますが、当時水準測量を実施していなかった関東、東海の方から始めまして現在までちょっと西の方に延びているものですからまだ東北地方にはいっておりませんけれども、なるべく早い時期――ここ両三年になると思いますけれども、時期には東北地方につきましてもぜひ実施していきたいと、そういうふうに考えております。
  82. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それはいま事情はわかりますけれども、端的に言って、やはりこの三陸沖の地震というのは沖合い三百キロということで、津波のことがあったにしても、だからその辺われわれから言わしてもらえば少し偏り過ぎておったんではないか、あるいは等閑視されたんではないかという気がいたします。ですから、これらの問題については、この予知という問題、いろんな観測という問題については、今回の地震をきっかけにやっぱり計画の面でも設備の面でも特段の配慮をして県民なり東北地方の皆さんに再び心配を与えないように最善の努力を、この際この予知問題の締めくくりとして大臣の見解をひとつ聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  83. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま目黒委員がおっしゃることについては私も全く同感でございます。ただこれは技術的なことでございまして、単純に強化しますということでは申しわけのないことでございまして、ただいまの御質問の御趣旨に沿いまして観測体制強化に鋭意努めたいと思います。
  84. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いつの日か政府は十分やったということを具体的な事実で県民の皆さんにわかるようにひとつお願いしておきたいと思います。  それから、具体的な災害にかかわる問題については、午前中遠藤委員の方から大体ポイントをほとんどと言っていいくらい、私もここに原稿を持ってきたが、八〇%ぐらい遠藤委員から言われたんですが、ダブりますのでダブらない点でお願いしたいと思いますが、何か警察の方が若干都合で出かけるという話がありますから、警察関係で二つほどお伺いしておきます。  一つは、今回の災害ブロックべいの崩れ、あるいは門柱の崩れでお年寄りゃ子供が大分亡くなってらっしゃるというのが今回の特徴だと言われるんですが、警察関係で加藤自治大臣兼国家公安委員長仙台に、いつですか、十七日ですか、行った際に、今回のこのブロックべいの問題については業務上過失致死罪の疑いがある、それで現場を保管せいと、そういう指示を与えたと会見で言っているんですが、そのままほっておくと交通確保について障害になるんじゃないかという気も一面ではするし、一面では過失の追及ということについてはなるほどなあと、わからないでもないんですが、この点は実際大臣があそこに行って記者会見して、お帰りになっていま庁内でどういう手続なりどういう処理をしようとされておるのか、この辺まず警察関係で一点お聞かせ願いたいと、こう思うんです。
  85. 若田末人

    説明員(若田末人君) お答え申し上げます。  せんだって仙台の方に国家公安委員長視察に参りましたときに私もお供をいたしまして、現地の記者会見でそういうことをおっしゃったわけでございますが、現場につきましては現在大臣の言われたとおり調査をいたしておるところでございますが、今回の地震被害につきまして一つよかったことは津波の被害がなかったこと、あるいは火災がなかったことでございますが、私どもの立場から見まして大変遺憾なことは、先生御指摘のとおりに、ブロックべい等によりまして被害者の十七名ぐらいに当たると思いますけれども、大半の方が御指摘のとおりにブロックべい等の倒壊によって亡くなっておられるというようなことでございます。このことにつきましては、直接は建築基準法の関係になるようでございまして、建設省の方におきましてそれぞれ基準が定められておるようでございます。そしてまたこれに関連いたしまして十万円程度の罰金もあるようでございます。そういう特別法の関係の捜査とともに、それをつくりましてこういう死者が出たということについて、建築基準法から離れて警察プロパーの問題として過失致死罪というようなものはなかったかどうかというようなことについて現在調査をいたしておるところでございます。  また現場保存につきましては、捜査について最も必要なことでございますけれども、御指摘のように通りについてその落ちた状況が大変交通の妨害になるようなことであれば写真撮影等をなすことによりまして現場保存はできるわけでございますので、御指摘のように交通の妨害にならないような形で現場保存をいたしまして、事後の調査に資しておるところでございます。
  86. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは建設省にお伺いしますが、ブロックべいの問題については建築基準法施行令で決まっているということは、もう時間がありませんから細かく申しません。ただこのブロックべいの建築基準法施行令鉄筋を入れる場合と鉄骨を入れない場合と二つあるというふうにも聞いているんですが、これらの問題については建築許可を出す際に十分にその監督官庁チェックをしてオーケー出しているのか。そうでなくもう業者にある程度任している。あるいはチェックしたいんだけれども、人手が足りないからまあ自主性に任しておく。まあいろいろあると思うんですが、実際の運用は、これはきれいごと言ってもしょうがありませんから、実際の運用はどうなされているのかという点をひとつ率直に聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  87. 上田康二

    説明員(上田康二君) お答え申し上げます。  ブロックべいのいわゆる建築確認の手続でございますが、本体の住宅等と一緒に工事をやる場合、これは当然へいも建築物の一部でございますので、申請が出てまいりますし、チェックするわけでございます。ところが家は建て終わって後でブロックべいの工事をする場合、これは現在の建築基準法の六条によりまして手続は省略してもいいということになっております。その趣旨は、まあ建築工事いろいろございますけれども、非常に軽微な増築とか修繕等を一々手続をするのは大変であるし、手数料等もかかるというようなことから、軽微な工事については手続を省略できるということでございますけれども、実体規定についてはこれは手続を省略したからといってやはり基準に合わないものは適法ではないわけで、実体上の制限はかかるわけでございます。  なお、先生いま御指摘のように、建築基準法の施行令にはブロックべいにつきましての規定は二つの系統がございますが、この鉄筋を入れる場合の規定は昭和四十五年の改正によりましてそういう規定が新たに設けられたということがございますので、今回の事例でもそれ以前のものについては鉄筋が入ってなくてもいいという状態もあったことを申し添えておきたいと思います。
  88. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私なかなか探しても見つからなかったんですが、これは六年だか七年ぐらい前にロサンゼルスだかで大地震があったとき、政府調査団がアメリカの現地を見に行って、ブロックべいによる被害が非常に多い。したがって日本のブロックべいについても前車の轍を踏まないように、特に都市構造ではブロックべいの取り扱い基準チェックなどについては死傷事故を起こさないように、保安基準も含めて十分な対策を立てるべきだという政府調査団の答申があったと私は記憶しているんですがね。この答申の原本なり、あるいはその答申を受けた後建設省はそれに対してどういう対応をしたかという経緯があったら教えてもらいたいし、答申は受けっばなしなら受けっばなしだったと、その点の答申との関連と今回の事故と、この関連はどうなのかということを若干やっぱり確かめておく必要がある、こう思うんです。
  89. 上田康二

    説明員(上田康二君) ロサンゼルス地震後の答申につきましては、申しわけございませんが私現在記憶しておりませんので、どういう答申があったかわかりませんけれども、わが国におきましてブロックべいが危険であるということは、従来からいろいろ地震対策としては指摘はされていたのは事実でございますけれども、ただ今回のように大量の死者が出たという経験は初めてでございまして、そういう意味でわれわれも非常に深刻に受けとめております。そういう意味で、その原因等を含めて技術的な調査実施して必要な措置を検討してまいりたいというふうに考えております。
  90. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは一月の伊豆大島の地震の際に、建設省建築研究所の調査の中にも、鉄骨量が少ない、さびている、あるいは鉄骨が入ってなかった、こういうのがブロックべいの崩壊の調査の結果明らかになって、こういうことのないように全体的な指導をするということに、伊豆大島の地震の際にもそういう答弁をしておって、それが十分点検されておれば今回の事件は一件でも二件でも私は少なかったんじゃなかろうか。だからそのロサンゼルスの政府調査団の答申の際にも、ああわかったという程度で実際上きめ細かい指導がなされていないんじゃないか。  私も今度家へ帰って、いま私が住んでいるところ、はてな、この家ブロックどうだったかなと言うと、父さん、家のブロックにも鉄筋なんて入ってなかったよと、こういうふうにうちの家内が言っとったですがね。だからやっぱりブロックという問題は国会答弁用でなくて、今回は十七人のもう死亡者が出たんですから、もう一回親身になって建築屋さんなどの協力を得て根本的な点検をする、そして悪いものは直す、思い切って。そういうことをやっぱりして、本当に今晩来るかもしれませんが、地震ブロックべいのために亡くなるということはぜひ防ぐようなきめ細かい指導をぜひお願いしたいとこう思うんですが、これはもう大臣どうですか。大臣の方にお願いしますわ、このブロックべい対策
  91. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ブロックによる死者を相当数出したということは本当に残念なことでございます。そこで現在建設省の方では専門的に研究をさせておるところでございまして、その研究の結果を待たないと責任あるお答えがしにくいと思うのであります。こういうような被害を起こして、私も実情を見てしっかりしたものも相当市内にずっとございます。そういうところを見ると欠陥があったに違いないとは思うのでありますが、この程度のことは早く結論を出すようにと、こういうことを言っておるのでありますが、まだそこまでいっておらないということでまことに申しわけない次第でございますが、今回のこういう不幸な事態を起こしておりますので、しっかりした基準と申しましょうか、そういうものを確立いたしたいと思います。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では、警察の方が業務上過失致死罪の疑いで捜査するという、そこまで警察の方で厳しくやっているが、片方の肝心かなめの建設省等の詰めの方はいま大臣の言った答弁のかっこうとなりますと、どこかやっぱりちぐはぐになりますので、手抜きをした大工さんなり、あるいは所定の基準の鉄骨を入れなかった、入れても間隔をごまかした、そういう手抜き工法を責めるのもいいですけれども、やっぱりその点は罪人をつくるだけが能じゃありませんから、やはり十分に対応するように警察の方と検察庁の方に要請をして、一日も早くこの二の舞を踏まないようにお願いしておきます。これは要望で結構です。  それからもう一つは、警察の関係で先ほど遠藤委員からもありましたけれども、信号が全部停電になって、車をまあ投げてといっちゃ語弊がありますが、車からおりる方、信号がない、非常にパニック状態になってしまう。聞きますとメーン通りも裏通りも全部五時十五分帰り時刻ですから、どこへ行っても車がいっぱいでどうにもならなかったと。先ほどの答弁で警察官を配置して交通整理をする、そういう意味の答弁があったんですが、警察官を配置するのにもう道路上ではどうにもならぬし、ですから私はぜひとも非常用のヘリコプターでも備えておくのかな、あるいは自衛隊の出動でも願って自衛隊のヘリコプターに乗せてもらって、そして要所要所に警官隊を配置して交通整理をする、そういうことでも考えているのかなと、こう思ったんですが、それともメーンラインの信号に自家発電用の信号をつけておいて、それで停電になった場合にはメーンラインの信号だけは動く、そういう装置をするとか、何らかのことを考えないと、やっぱり先ほど言ったように警官隊を現地にやりますというだけではどうも対応にならないなという気もしたもので、この辺の見解をもう一度聞かしてもらうなり、あるいは答えがなければもう少し具体的な問題としていざという場合の措置について検討して、ほしいなと、こう思ったので、警察庁側の御答弁願います。
  93. 福島静雄

    説明員福島静雄君) 先生御指摘のように、今回の宮城沖地震に伴う交通上の問題につきましては、私どもといたしましても震災時の交通対策の今後の研究の上で大いに教訓としていかなければならないと考えております。  御指摘の点でございますが、今回の対策では事後にヘリコプターも使いまして交通状況を監視し情報伝達等もしておるわけでございます。先生御提案の点につきましては私どもいろいろこれから研究をしてまいりたいと存じておりますが、特に信号機が停電によって消えた場合の問題が一番大きいと考えております。これにつきましてはもちろん大量の警察官を現場に配置をいたしまして、交通の規制、整理を行うということが非常に重要でございますが、あわせまして今回痛感いたしましたのはやはり信号機が消えることによる影響が非常に大きい。逆に申しますと信号機の威力というものは交通機能の維持の上で非常に大きいということがございます。したがいまして、何らかの方法である程度予備電力を確保いたしまして、たとえば可搬式の発動発電機等を装備いたしまして主要交差点については何とか信号機の機能の維持を図るというふうな方法につきましても十分研究してまいりたいというふうに考えております。
  94. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、救急医療で自動車がそういうかっこうであったために、今回は百二十五件、あの段階で百二十五件の消防署の方に救急車の要請があったけれども、結局はいまの車の渋滞が直接災いして二十四件しか需要に応じ切れなかった、あと百件近くはどうにもならなかったという消防隊の報告があったわけなんです。  ですから、こういう段階で救急車の要請があった際には一体消防庁なり厚生省はどうしようとするのか。あるいは仙台の市立病院はどんどん患者が運ばれて、もう手いっぱいでてんやわんやだったという話もあるんですが、こういう異常な際には病院から医者と看護婦が班を編成してやはり各地域に出動するということも考える必要があるんじゃなかろうか、病院に患者が運ばれて来るだけを待っておったんじゃ間に合わないということもあるんじゃなかろうかと、こんな気がしました。  したがって、これは消防庁と厚生省にこういう異常の場合の対応についてどうあるべきなのかということについて御検討されたか、あるいは考えがあればこの際聞かしておいてもらいたい、こう思うんです。
  95. 福島深

    説明員福島深君) 地震の際のように負傷者が多数発生することが予想されるような場合の事態に対処をいたしまして、当然一つの計画を持っていなければならぬと思うわけでございます。で、私の方の指導といたしましてもそういう際には予備救急隊の編成、たとえば一般のポンプ車等も負傷者の輸送に当たらせるというようなことも考えておりますし、ただいま御指摘にありましたような病院あるいは自衛隊の救急車を要請するというようなことも含めまして、できる限りの救急要員を確保しなければならぬと思います。  このことにつきましては、仙台市においても当然できておると思いますが、あらかじめ地域防災計画というのがございまして、その中でこういう点について一つの計画がなされておるはずでございます。しかしながら非常に事態が突発的であったということもございまして、そういう緊急事態に対します救急体制としてとった措置としてはまだまだ改善の余地があったように思うわけでございまして、このような計画の見直しを進めていかなければならないと、かように考えておるわけでございます。  それから、ただいまの御指摘にもありましたように交通が一時停滞をいたしまして、そのために現在仙台市には五隊の救急隊がございますが、それが必ずしもフルに動けたというような状態でもございませんので、こういう点については警察当局と十分今後協議をして今回の教訓を生かしてまいりたいと思うわけでございます。  なお、それだけでもこれは不十分だと思うわけでございまして、やはり何と申しましても地域住民でありますとか、あるいは事業所の組織による救急措置というものが自主的にとられませんと、非常に大きな災害の場合にはとても救急車だけの動きで負傷者が収容できるわけでもございません。そういう意味で近隣住民あるいは事業所のいわゆる共助体制というものをどうしても強化していかなければならぬと思います。そういう指導を私どもとしては消防当局を通じまして今後十分してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  96. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはやっぱり仙台市の消防隊の皆さんの名誉のために、私が山形局長さんから車の中で聞いた中では、やはり七五、六%の隊員が非常招集してすぐ来たそうです。あとの二十何%の方は仙台から離れているとか、あるいは出張しておったとか、あるいは来るにも車があって歩いてくるに時間がかかるということで、仙台の消防隊はいま五つの隊があって云々という話がありましたが、もう一〇〇%出動可能な方々は非常招集をかけて全力投入してやったと。ただ、いかんせん、いま言ったメーンラインも裏小路もどこも全部車がいっぱいなためにもうどうにもこうにもならなかった、こういうことなんです。だから信号が消えた、あるいはメーンラインも裏小路も全部車でふさがった際にけが人が出た、あるいは心臓麻痺の人が出たとか、そういう際にどういうことであるべきなのかということについてはなかなか消防局長も頭を痛めておったようです。  ですから、私はやっぱりいま答弁者の言うことについてはそれなりに理解しますが、もう一歩突っ込んだやっぱり具体的な  いま事業所という話もありました。あるいは病院もありますね。あるいはお医者さんもいらっしゃる。そういう広域地域の中で、こういう際には目黒病院はこの町内、あるいは鉄道病院はこの町内とか、あるいは逓信病院はこの町内、この町内の負傷者その他についてはもうこの緊急令が発せられれば、事のいかんを問わず、医者であれ病院であれ事業体であれ非常体制でその患者その他の方々に当たるということの、何かやっぱり行政だけでは達し得ないから、何か緊急的なそういうことに対する県知事の要請とかあるいは市長の要請とかがあった際には、そういう非常体制をとるということも含めてやっぱり考えておく必要があるんじゃなかろうか。特にこのごろビルのガラスの落下がありますからね。そういう点非常に私はそういう従来の救急体系だけではどうにもならぬことを今回の仙台地震が教えたなあと、こう思ったんで、これは厚生省も関係ありましょうから、各省も関係ありましょうから、ひとつ消防庁中心になって最大の努力をしてほしいと、こう思うんですが、いかがですか。
  97. 福島深

    説明員福島深君) 全く御指摘のとおりでございまして、現在の地域防災計画でも一応そういう配慮をしているんでございますが、非常に抽象的であったということをいま反省していると思います。したがいまして、今回の経験を十分生かしまして、御指摘のようにたとえば病院ごとにその区域を決めるとか、そういうきめ細かいことを計画上明記をいたしまして非常災害に備える、このような指導をしてまいりたいと思っております。
  98. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひ具体化をお願いします。  それからもう一つは、寝たきり老人、これも仙台とか県内で一件か二件あったですが、寝たきり老人、しかも一人で暮らしている老人、こういう方々をこういう激震の際にどういう措置をするのか。あるいは特殊老人病院ですね、厚生省。特殊老人病院でいっぱい寝ていらっしゃるんですが、まあ扱っている方々はわずかなものでしょうが、こういう際に一体地域住民も含めてどういう救助の方法をとるのかという点は、いまのところ盲点になっているような気がしました。したがって、私の勘違いであれば改めますが、そういう際にこの寝たきり老人、一人住まいの老人、あるいは特殊医療施設方々に対してどういう救出の措置をするのか、どういう指示をするのか。これは消防庁と厚生省にこの取り扱いについてお願いしたいし、今回の措置が一体皆さんが考えていることにマッチしたのか、あるいは不十分であったのか、今後どうするかということも含めてこの寝たきり老人対策について教えてもらいたい、こう思うんです。
  99. 福島深

    説明員福島深君) 寝たきり老人の搬送の問題につきましては、率直に申し上げましてその体制ができていないと思うわけでございます。これは消防の救急業務として行いますものとしては余りにも問題が大き過ぎまして、大変私ども頭を悩ましている問題でございます。  中国の地震視察団が先般帰ってまいりました。その報告を聞いたんでございますけれども、たとえば中国では寝たきり老人だとか、あるいは妊産婦だとか、そういう者に対しましては一人一人にだれが責任者であるか、地震時の責任者であるということをそれぞれもう決めておるようでございまして、責任を持たせて、しかもそれはいわゆる公の機関というよりはむしろ地域住民の相互の救助活動というような形で、かちっと責任分担を決めているようでございます。  そういうことは非常に望ましいと思うんでございますが、それが日本の社会体制に合うものかどうか、これははなはだ問題でございますが、いずれにいたしましてもこの住民の共助体制というものをもっと認識を持ってもらって、そういう組織でやっていく。そういう組織で十分でないものは、これはもちろん消防署員あるいは消防団員あるいは病院の方々で搬出をする、そういうことを考えていかなければならぬと思うんでございますが、口で言うほどにこれは簡単な問題でございません。厚生省当局とも十分相談をして今後の対策を考えてまいりたいと存じます。
  100. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) ただいま消防庁次長からお答えございましたように、率直に申し上げまして特に在宅の寝たきり老人のこのような場合の対策については私ども必ずしも十分具体的な対策を打ち立てていなかったことは認めざるを得ないところでございます。  老人ホーム、特別養護老人ホームなどにつきましては、一応施設の責任におきまして、これは消防法にものっとりました地震の際も含めました防災計画の樹立を求めておりますが、これとてもやはり大きな災害になりますと一施設だけでは片づかない問題がございます。特に今回古川市の福祉事務所管内で起きました八十幾つの高齢の方の場合につきましては、たまたま御家族がいらっしゃったというところから、福祉事務所でも通常の一人暮らしの寝たきり老人としてややチェックアップしてなかったような点もございます。これはしかしやはり災害時家族の方がいらっしゃると限らないものですから、具体的には末端行政機関としては福祉事務所を一応頭に置きながら、しかもこれは消防庁の御答弁ございましたように、消防庁だけであるいは福祉事務所だけでやれないことでございますので、何か効果的なかつまたその地域の実態に合ったものを少しマニュアルでもつくりまして指導さしていただきたいということを考えておる段階でございます。
  101. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 今回たまたま二、三件あったんだけれども、事故にならなかったので幸いだと思っています。ですから事故になればまた論説その他で大きくクローズアップされますが、家族その他の皆さんの協力で事故にならなかったということになるんですが、幸いだと思うんです。ですからいまのやつについては、やっぱり特に在宅老人等の問題、一人暮らしの問題などについては特段のひとつ厚生省、消防庁で対応策を考えてもらいたいと、こう思うんです。  それからもう一つは、まあわれわれは男性で勤め人で悪いんですが、家庭の奥さんたちと子供たちがおるという段階で地震が起きた際の避難方法、訓練はどうするのか。おやじとか男性軍がおればある程度それは機動するとしても、全部勤めに出た後、奥さんと子供とあるいは年寄り、こういう際の災害というものに対しては非常にやっぱり対応がまだ不十分ではないかという指摘が、これは東京都の調査団かな、何かありました。ですから家庭婦人、子供、お年寄り、こういう方々に対するこういう災害時の避難の方法あるいは救出の方法ということについてもやっぱり特別に熱を入れてというと語弊がありますが、やはりその辺の階層に対する訓練とか、そういうものについても考えておくべきじゃないかという問題提起があるんですが、これはどこになりますかね。消防庁かな、やっぱりこれは救出だから。ひとつ参考までに聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  102. 福島深

    説明員福島深君) 地震はいつ起こるかわからないわけでございますが、やはり男性は職場に大体出ておるということを想定して考えなければいかぬわけでございまして、したがって、当然そういった場合のたとえば初期消火の問題にしても、あるいは安全な場所への避難の問題にしても、これは家庭の主婦がやはり中心的な役割りを果たさなければならないと思うわけでございます。私ども日ごろの消防活動におきましても、婦人のそういう活躍の仕方につきましてPRをしているつもりでございますけれども、なお不十分な点もあろうかと思います。よくそういう点については勉強もいたしまして指導の徹底を図ってまいりたいと存じます。
  103. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その点は私も余りわかりませんから、ひとつよろしくお願いします。  それから午前中あった東北石油タンクの問題ですね、通産省。これは水島のタンクの際ずいぶん議論されて、それで議論済みと、こういうくらい議論された問題でありますが、今回また同じ轍を踏んだ。現地に行って現地の所長からいろいろもっともらしい理由は聞いたんですが、しかし私ら鉄道関係の技術屋の端くれから見れば、そんな断層とかそういうものについては設計をする段階である程度やっぱり想定した中でどうするかという、立地条件というのは当然設計の段階で考えられるべきものではないのか。それがタンクが被裂してからいや地質がどうだとか陥没があるとかなんとかと言うのは、どうも私は言い回しとか言いわけにすぎないではないかと思う、きょういろいろ聞いてみると、亀裂をした場所はまだはっきりわからないけれども、油のにじみ出る点から見ると水島のタンク亀裂と同じようなところが亀裂をしているという報告もあるわけですね。それから話を聞くと、あのタンクに荷重がかかる曲がり部分の溶接という点には非常に設計者と施工者の間に技術的な論争があるということも聞いておるわけなんですよ。  ですから、先ほど何とか基準委員会ですか、それを派遣する、こうなっているんですが、本当に一体どうなのか、日本の最高の技術水準をもってしても防ぎ得ないタンクということについては一体どうすべきなのかということについて、通産省の方で、まあ自信があると言うんでしょうけれども、自信がある自信があると、毎回事故が起きるたび自信があると言ってまた同じことを繰り返していく。それで耐震能力はいや6や7であると、こういう形で悪循環を繰り返しているんですが、これは防災の大臣も含めて、通産省のあれも含めて、本当のところはどうなのかという点をもう一回聞かしてもらいたいです。  それから油が流れるとき排水口も作動しなかったと。あれも私聞いて何やってるのかと思ったけれども、あっちも悪いこっちも悪いと言って、全部悪いのは流れていった油が悪いのだと言わんばかりに言っているんですが、やはりその点はもう少し責任を持った体制にしないと、このタンクにかかわる住民の不安、国民の反対闘争がむしろ盛り上がるだけじゃないですか。ですからその辺の核心のところはどこがポイントなのかということを私はお願いしたい。  二つの論争があったら、溶接部分でも論争があったら、私はやはり安全な方を採用してもらいたい。これは建設大臣お願いしますよ。通産大臣から言うと、いや少しでも多い方がいいからおまえ待てと、こう言わないで、二つのAとBの論争があったら、やっぱり安全度の高い方をとった設計指導をやってもらいたい。そして事故が起きた後に設計者と施工者がおれはこうだったけれどもおれの意見を聞かないからこうなったんだという学者の評論を住民を前に現地でやるということは、行政の責任としては私はやめるべきだと思うんですよ。県民に不安を与えるだけですよ、AとBが論争するだけでは。そういうことを含めてひとつ本件問題について本部長と通産省の見解を先ほどの答弁も含めてもう一回聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  104. 福島深

    説明員福島深君) 危険物の安全に関します問題は消防庁で所管をしておりますので、私から先にお答えを申し上げたいと思います。  今回の石油タンクの油漏れの問題は、確かに水島のときに不等沈下の問題がございまして、そういうことから耐震性の問題等についてかなり基準強化をして現在その施工をいたしておるわけでございますが、今回のタンク事故を見てまいりますと、東北石油の場合には実は七十基のタンクがあるわけでございまして、そのうちの三基がああいうような状況になり、また二基が油がにじみ出たというようなことになっておるわけでございます。そういうような現実の姿からいたしますと、その原因が一体どこにあるのか。四十七、八年にできましたタンクはかなりあるのでございますが、そのうちの三基がとにかくああいうような状況になっておるわけでございますので、そこで一部には何か工事上のミスがあったんではないか、手抜きとは言わぬまでも何らかの不十分な点があったんではないかというような見方もございますし、あるいはまた、そうじゃない、当時のタンク基準そのものにやはり問題があって事故が起きたんではないかという御意見もございます。そのほか基準そのものはあれでいいんだろうけれども、たとえば腐食がある程度何らかの関係で進んだのではないか、そこから漏れたのではないかというような考え方もいろいろございます。  特に基準の問題については、いま御指摘のありましたように、たとえば地盤についてどうであったんだろうか、あるいは溶接部分が非常に問題であったんではないかとか、いろいろな意見がいま推測として出されているわけでございますが、しかしこれはやはり現地に乗り込みまして専門的な調査をしませんと余り軽々に議論はできないのではないかということでございまして、私どもとしては、先ほどもお答えをいたしましたが、今月中には危険物技術基準委員会の先生方に現地に乗り込んでいただきまして詳細にひとつ検討していただこうということにいたしておるわけでございます。その際には単にタンクだけの問題でなくて、ただいま御指摘のありましたようにガードベースンのギロチンダンパーがどうも十分に作動しなかったんじゃないかというような、きわめて初歩的と申しますか、そういうような問題もございますから、その点も含めまして十分原因の究明をし、その対策をひとつ個々にとってまいりたい、このように考えております。
  105. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がないですから、私現地の仙台の消防局の皆さんから防油堀の容量の問題とかいろいろな意見がありました。それから隣の塩釜港のこれは大協石油、それから丸善石油のタンクも傾いているという報告もありました。これはまた基準以下であるから油を抜いて点検するという話もありませんで、タンクにまつわるいろいろな問題があるんですが、調査団の派遣結構です。  ただ私は要望をしたいのは、水島のタンクの派遣の際に、最初は物すごく張り切っておったんですが、だんだんだんだん世論の動向がおとなしくなってくるに従って、そっちの方の熱の方もだんだんさめちゃって、出てきた調査はまるで何といいますか、わかったようなわからないような、専門家だけがわかってわれわれ素人がわからぬ。この調査は素人がわかるようにしてやらないと困るんですけれどもね。一般の住民ですから、大学の先生方が見るわけじゃないですから、やっぱり相手が一般の漁民であり住民なんですから、そういう漁民や住民にわかるように問題点を明らかにして対策を立てる、そういう具体策をひとつこれは大臣に私は特に答弁要りませんから要請をして、再び繰り返さぬようにお願いします。  それから次は造成問題、個人の被害の問題いろいろありましたけれども、先ほど遠藤先生から微に入り細にわたりありましたから、私も現実に調査をしてきた者として、特に仙台市の緑ヶ丘というところは私の住んでおるところでありますから、友達もいっぱいおるし、私も五十六ですが、国鉄退職の皆さんが二、三年前にローンを借りて建てた家がみんなパーになった、残ったのはローンの借金だけだというのが現にありますから、先ほどの大臣答弁を含めて最大の配慮をお願いしたい。  ただこの際、先ほど大臣の答弁を注意深くメモしておったんですが、激甚災害指定の問題について、大臣、中小企業関係についてはある程度わかるけれども、その他の問題には条件があるのでという話がちょっと先ほど私のメモに残っておるんですがね。私はいろんな条件も聞きました、事務的に。聞きましたけれども、これだけの災害になっている以上は、やっぱり大臣も現地でああいう記者会見をし、加藤自治大臣も現地で十七日ですか、激甚災害指定をするということをやっぱり見た目で現地で記者会見しているんですから、いろいろなむずかしい問題はあろうけれども、中小企業だけでなくて全体としてやっぱり指定をする、そういう基本的な考えでぜひ大臣に最大の努力をしてもらいたいということを、さっきの答弁がちょっと気にかかったものですから大臣の見解をもう一度お願いしたい。これは加藤大臣もおれば加藤大臣にも同じことを聞こうと思ったんですが、両大臣を代表して仙台における記者会見の生々しい気持ちを忘れないようにひとつやってもらいたい。事務的な問題は、事務と政治がぶつかったら政治が判断するという点で各官庁を指導してもらいたいという大臣の決意をこの際ひとつお願いしておきたいと思うんですが、いかがですか。
  106. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 激甚災害指定についていままでの報告をもとにして考えた場合に、中小企業関係はまず指定は可能であるというふうに私が判断しておることを申し上げておるわけであります。  農地等の災害公共土木施設災害、それぞれこの被害状況というものが逐次明らかになってくると思います。また地域によって被害程度も違ってくると思うのであります。この視察をした本部長として、これだけの大地震できょう報告のありましたような被害状況からいたしまして激甚指定の対象になる、こういう気持ちは持っておりますが、しかしけさほども申し上げましたように、何といっても激甚の指定基準にどうなるかというようなことがまず基礎になりますので、私が政治的に見てもまず指定が可能である、指定ができる、こう判断しておる範囲を御答弁申し上げておりますが、しかし公共事業等についても地域によって指定のできるところも、被害状況から見まして否定するようなことではないと、こういうふうに思います。
  107. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは大臣の政治力をもうくどいと言われるぐらい要請する以外にありませんから、再度要請しておきます。  それで、そのほか仙台の小岩助役さんも来ておりますが、この災害が始まってから大学、業界、学界、自治体、いろんな方々仙台に入りまして延べ千名を超すと、こう言われて、応対した仙台市、宮城県庁、そっちの方の人災でてんてこ舞いしておられたと思うんです。しかしまあそれは人災でなくて今後の――やっぱりある新聞見るとこれは関東大震災以来の都市型地震で自然の大実験場だと、こう評価しておるくらいですから、私はここで千名近くの方々が行かれました。おとといですか、東京都の調査団も窓枠の問題からピアノが倒れたなんということも含めて、大分きめ細かい調査書を出しておるのを見ました。したがって、私はこのことを、学界とか業界、自治体が行ったわけでありますし、政府団も行っているわけでありますから、この都市型地震に対するいろんな今後の問題を含めて、これを総合的にこの調査結果を集めて、どこかセンターになってそれでこの調査方々をみんな網羅をして、そして政府から一般市民に至るまであるいは各階層別に、いま言った老人とか婦人も子供も含めてどういう日常が必要なのか、どういうことが必要なのかという点を総合的に能動的にこれを生かす方法をぜひ政府がリードして考えてもらいたいものだと。地元の自治体なり東北大学は当然地元として労を惜しまないでしょう。そういうことを含めて、竹中工務店などもずいぶん具体的な問題を建築の方法で提起しているようでありますから、そういうことを一々言いませんから、それらを網羅した生きた今回の調査をぜひ大臣が中心になってやってもらいたいものだ、こう思っておりますので、これは簡単に大臣の見解でいいですから、ひとつ教えてもらいたいと、こう思うんです。
  108. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 目黒委員のおっしゃることは私どもも全く同感のことでございまして、各方面の調査を総合いたしまして、後日のために必ず役に立つように総合の調査結果を得たい、こう思います。
  109. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ではお願いします。  最後に、これは国鉄に対する要望ですが、私も今回のあの衆参両院の調査が終わってから時間をもらいまして、特に長町地区、宮城県の貨物線などについて国鉄の実態を見ました。私も国鉄に入って四十年になりますけれども、ああいう被害というのは、とまっておる貨車が地震のために脱線した、機関車もとまっているやつが揺れて脱線した、ボギー台車が上がっているその車体が揺れて脱線した、そういう国鉄にとっては大変な私は被害であったと思うんです。もう時間もありませんから、この前開通した気仙沼線が開通が大変だとか、貨物線の被害が大変だとか、いろいろ見てまいりましたので、国鉄側も非常に大変だと思うんですが、同時にこれは国鉄も貧乏ですから、赤字貧乏ですから、赤字貧乏のために災害復旧が十分できなかった、そして直さないために二次災害が出た、そういうことがもうあってはなりませんから、やはり国鉄も十分努力をすると同時に、大臣の方でもこの交通機関の復旧ということを含めて特段の配慮をしてもらいたいと思うし、同時に宮城県内にもバスとかタクシーとかいろいろ交通機関があってそれなりの被害を受けておるということも見ておりますので、それから塩釜の港湾、漁港などについても私の方に来ておりますが、そういう国鉄を中心とした交通関係被害等についても、予算その他の面で大臣の特段の配慮をお願いして、国鉄側、時間がありませんから説明要りませんから、大臣の心構えを聞いて、要請をして私の質問を終わりたいと、こう思うんです。
  110. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の被害状況でいろいろ特異性があると思います。それらの特異性はまた今後万が一のこの種の災害を受けるときの大きな教訓、示唆を与えておると思います。ただいまお話しのごとくに国鉄の被害状況もまた今後に大きな参考になることは論をまたないところでございまして、これらの復旧とともに、この教訓を生かすべく努力をしてまいることを申し上げてお答えといたします。
  111. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では大臣にお願いしまして、国鉄側にも一つだけ要請しておきます。  私が行ってみた限りでは長町のデイーゼルの車庫、あれは広島の原爆ドーム以上にやられちゃって、ああいう危険物のところ、それから電気機関車の修理車庫の天井クレーン、あれがボルトがほつほつ折れておった。ああいうものについてはやっぱり金はかかるだろうけれども、安全の面から直ちに撤去するか、基本的な修理をして十分安全が確認されてから操業を開始する、そういうことを安全の面から国鉄側に要請をしておきます。答弁要りません。よろしくお願いします。いますか国鉄――では要請しておきます。
  112. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣の時間が非常に限られておるということで最初三十分にちょん切られての質問なんで、ちょっと中途半端のような感じがしますが、拾って大臣にだけひとつ御見解いただくところお話し申し上げます。  最初に、このたびの災害で亡くなられた方々、また罹災なさった方々に対してお悔やみとまたお見舞いを申し上げるとともに、政府もまたわれわれも心を一つにしてこの災害対策に対処していきたい、このように思う次第であります。  最初に、地元から声を大にして叫ばれておりますのはやっぱり激甚災、この指定を何とかしてもらいたいということでありますが、これには法律上いろいろな基準がありますので一概に大臣に言ってここでそうでございますという簡単な返事はあるわけないだろうと思いますが、   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕 被害額から見まして、中小企業に対しましての問題については先ほど来お話しがございましたように指定基準にやや及んでおる、ほかのことにつきましては、これは大臣がやはり現地をいち早く視察なさったという、こういうことから、私どもはやっぱり現状をよく知ってくださる大臣がいろんな御配慮をいただけるんじゃないかと思って、非常に期待をいたしているわけでありますが、去年も有珠の爆発のときには、法にはなかなか適用しがたいいろんな条件がありました。災害というのは法律どおり被害を及ぼしてくれれば一番いいんですけれども、なかなかそうはいかない。今度のこの災害にも、地震被害にも、やはり先ほど来お話ありますように、個人災害というものが非常に多いという、こういう特徴があるわけでございまして、そういう点ひとつ十分に勘案いたしまして、激甚災害、これの指定激甚災害がどうしてもいろいろな法の制約上できないというならば激甚災害に準ずる措置をするというような、こういうことでひとついままでにない都市災害ということで御配慮をしてもらいたいものだと、このように痛感をいたすわけでありますが、大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。
  113. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 藤原委員の御質問の御趣旨のとおりです。現実に被害地を視察し、また個人個人の被害状況に接しますと、できる限りの救済をすべきである、こういうことは基本的な姿勢であり気持ちでございます。そのあらわれとして現行制度の中では激甚指定というものが、これが必要であるということから、委員の皆さん方からしばしばこの問題についての御要望なり御質問をちょうだいしておる次第でございまして、皆様方のおっしゃっておる趣旨は十分承知をしておりますので、そのお気持ちを反映いたしましてこの災害対策上われわれとしての可能な限りのことをいたしたい、そういう立場をとっておるわけでございまして、ただいまの御質問のことは十分念頭に置いておきたいと思います。
  114. 藤原房雄

    藤原房雄君 現地を訪れた大臣は非常に前向きの御発言で、地元の方々はいろんな対策を講ずる上から非常にそれなりの評価といいますか、いたしておるわけでありますが、法律に照らしての事務当局というのはなかなか厳しいようなことも聞いておりまして、ぜひひとついま大臣の御発言のとおり現実に即した面で進めていただきたい。高度成長の時代ならいざ知らず、こういう低成長の時代、そしてまた福祉ということを強く叫ばれております今日、罹災者の方々に対して法律がどうだから手が届かないという、こういうことでばならないだろうと思うわけでございます。  きょうお忙しい中、仙台助役さんにおいでいただいておりますので、現地を見られた、大臣は見られておるわけでありますが、それらの関係方々につきましても、やっぱり市の助役さんとして市の災害をつかさどっておりますそういう立場から、市当局が非常に悩んでおること、また今後についていろいろ感じておることを二、三お伺いいたしたいと思うわけであります。関係当局の方々もぜひひとつこの御発言はお聞きとどめいただきまして、今後の対処に大いに役立たしていただきたいものだと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、何といっても今回の災害はいろんなことがあるわけでありますが、見逃してはならないのはやっぱり個人災害、そしてその中では住宅被害というものが非常に多いわけでありますけれども、これに対しまして市としてはまあ個人の住宅だからどうでもいいんだというわけにいきませんで、大変苦慮していることも私どもはよく存じておるわけでありますけれども、今後この個人住宅被害、これに対しましてどのようにお取り組みになろうとしていらっしゃるのか、この点ひとつ最初にお伺いをしておきたいと思います。
  115. 小岩忠一郎

    参考人小岩忠一郎君) 私は仙台市の第一助役をいたしております小岩でございます。御質問に答える前に一言御礼を申し上げたいと思います。  このたびの災害につきまして、櫻内大臣初め国の各機関の方々に早速現地を視察いただきまして、また市民の被害者の諸君に温かい同情とまた激励の言葉をいただいて非常に感謝をいたしておるのでございます。また衆参両院の議員の方でも早速視察団を派遣していただきまして現状をつぶさに調査をいただき、さらにまた今回のような委員会でいろいろ御研究、御検討いただいて、この災害被害を救済していただくという方途につきまして、全市民にかわって厚く御礼を申し上げたい、かように思うのでございます。また、全国各地方、各市、各機関から温かいお見舞い、同情をいただいておるのでございまして、これまた感謝にたえないのでございます。  ただいま御質問ありました被害のうちで、特に住宅被害について若干申し述べたいと思うのでございますが、仙台市は従来災害の少ない都市だと、こういうことで市民も至って安心をしておったようなことでございますが、今回ほど強い地震記録によりますというと明治三十年以来だ、八十年以来の大地震だ、こういうことでございます。したがいまして、その被害も想像以上でございまして、完全に使い物にならない住宅というものも相当多いのでございまして、調査では三百九戸となっておりますが、農家等半壊のように見えましても主柱になる一尺角ぐらいの柱が折れておるというようなことで、だんだん調べますというと、これは修理も何もきかないというような家屋が非常にふえておるのでございます。したがいまして、お手元へ差し上げました被害状況に書いておるような数字をだんだん日がたって精細に調べますというと、これらがさらに大きくなっておるということを申し上げなければならぬ、かように思うのでございます。  半壊家屋二千二百あるいは一部損壊三千八百、こういうふうにございますが、全市の家庭におきまして被害のない家庭というのはないのでございます。たとえば被害とも言えないというような気持ちでおります屋根がわら、これをちょっと修理させようと思うと二十万円ぐらいすぐかかります。あるいはまたふろ場、そういったようなところのタイルがみんなはがれてしまった、そういうのもやはりちょっと見てもらって調べますというと十五万円ぐらいすぐかかる。こういうふうなことでございます。全戸そういう状況でございますから、仙台市だけで申し上げまして二十万の世帯でございますが、仮に十五万円平均の被害といたしましても三百億、あるいは二十万円とすれば四百億、こういうふうな金額になるわけでございます。さらに全壊あるいは大きな損害を受けた家屋の損害というものを合わせますというと、これらのものはもっともっと大きくなるだろう、かように思っております。  仙台市ではこの家屋の損害調査につきまして毎戸に調査票を配りまして、その集計に当たろうといまやっておるところでございます。月末ぐらいには集計があるいはできるのではないだろうか、電算機にかけまして集計いたしますから、案外早く結果が出ると思いますが、恐らく一般家屋の被害だけでも非常に大きな額に達するのではないかと想像いたしておるわけでございます。そういうような意味合いにおきまして、私どもこの家屋倒壊あるいは破損のもの、まあ軽微なものについては別といたしまして、   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕 大きな家屋の損害、住むに住居もいまなかなかないというようなところに対しては仮設住宅を急いでつくろうというようなこと、あるいは場所によってはまた一雨来れば非常に危ないというような、避難を希望しておる市民もかなりおりますから、そういう仮設住宅をつくろうということもいたしております。  私どもは、そういう意味で個人の家屋に対する復旧の資金というものを何とか大幅にひとつ考えていただけないものかと、住宅金融公庫等でもいろいろ配慮していただいておるわけでございますが、これらの限度もいま考えておるようなものではとうてい足りない、やはりこれを倍額ぐらいにひとつ思い切ってふやしてもらう、少なくとも今回の災害については激甚災並みの扱いをしていただいて、いろんな便宜を図っていただきたいということが私どもの願いの一つでもございます。  そういったような点、さらにまた二次災害が出まして、これから撤去しなきゃならぬような住宅がかなり出てまいっております。このお配りしました資料の中でも、緑ヶ丘地区等で見ますというと、急いで撤去をしなきゃならぬところの戸数が約八十二戸、それから、雨が降ってきて危険な、いずれは撤去しなきゃならぬだろうというのが百九十戸ほど緑ヶ丘でございます。そのほかに源新田地区とそれから北根の方の黒松地区、そういったようなところにも大体百十戸ぐらいそれに類したものがございます。集団移転に対して政府の資金を援助するやり方がございますが、これらがうまく適用できるものかどうか、私どももいろいろ御指導いただきたいと思うのでございますが、四分の三国の方から補助をいただいてやるというようなことでございますが、残り四分の一といたしましても、これは二五%でございますが、仮に五十億、百億とかかるような、そういう住宅の集団移転というようなことになりますと、相当の多額の市費負担にもなるわけでございます。この法律では、市または大きな場合には県というふうに、選択的な運用の仕方があるようでございますが、私どもといたしましては、この点については、国、県、市が一体になって処置していただくというようなやり方で、ぜひこれを実現したいものだと、かように思っております。  先ほど話がありましたように、緑ヶ丘地区等においては、二次防災のために健全あるいはりっぱな家をシャベルでぶつ壊す、あるいは崩れかかった土砂を排除するというようなことをやっておるわけでございます。そういったようなものもひとつこの枠の中に入れて補償あるいは宅地及び家屋の買収ということを考えて救済しなきゃならぬのではないだろうかと、かように思っておるところでございます。どうかそういう点につきましても、十分御指導、御検討いただきまして、これらがうまくいきますように、また将来にわたってこういう災害が長く心配の種を市民の間に残さないような措置ができるようにお願いしたいものだと、かように思っておるのでございます。よろしくお願い申し上げます。
  116. 藤原房雄

    藤原房雄君 市民の生命と財産を預かる市当局としても大変に心配の種がたくさんあるようでございまして、いまもそういう観点から、まあ現在としては被害が起きて、地震がありましてから十日ということですから、緊急対策に追われているということですけれども、しかしある地域にとっては、これはもう緊急対策だけじゃなくて先のことまで考えなければならぬ、こういうことで、中には先走って考えたという方がいらっしゃるかもしれませんが、これもまた私ども耳を傾けなきゃならないことだろうと思います。  ここ、先ほど助役さんのお話にございました緑ヶ丘地区というのは砂防地域指定にもなっているところでありまして、相当な被害が出ておるわけでありまして、ここの被害につきましては建設省の指導で県の事業としていろいろ計画があるようでございますが、何といってもこれは改良復旧ということで早急にこの事業を進めるべきであるという、これをいまここの問題については思うのですが、どうでしょう、建設省。
  117. 瀬戸充

    説明員(瀬戸充君) お答え申し上げます。  仙台市の緑ヶ丘に設置されております砂防ダムはいわゆる畑塒沢ダムと申しまして、現在地震により一部被災しておりまして、付近に御案内の住宅が連権しておりまして、この状況にかんがみまして早急に復旧を図るように、現在宮城県におきましてボーリング等地質調査実施いたしております。この結果を待ちまして応急工事を至急実施する予定になっております。地質調査によりまして、いわゆる鋼管抑止工というようなことをおおむね考えておりまして、鋼管パイルのようなものを打ち込みまして地すべりをとめようというようなことをおおむね考えております。  この応急工事のほかに、当然上流部のそで部分にも新たな崩壊が起こっておりますので、これにつきましても工法等につきまして、現在現地の方からもデータを取り寄せまして検討中でございます。この準備を待ちましてすぐに査定を行いまして早期復旧に努めてまいりたいと、こう考えております。査定はただいまのところ七月の下旬早々県の方の準備ができ次第とり行いたい、このように考えております。  なお改良復旧というようなお話でございますが、いわゆる再度災害を防止できるような形で、、何度も災害を受けるようなことではつまりませんので、そういう点を加味いたしまして、工法等を十分検討いたし復旧工事に早急に取りかかりたい、このように考えております。
  118. 藤原房雄

    藤原房雄君 二、三年前の大雨で災害が起きて、あの砂防ダムの事業が行われたわけでありますから、一、二年のうちにまた再び――あのダムのところはある程度それなりの効果はあったわけでありますが、やはりこのダムの弱いところに災害が起きたということで、地元としましては早くひとつ対策を講じてもらいたいという強い要望でごさいますので、いま地質調査その他やっておるということですが、早急にひとつ御検討いただいて進めていただきたいと思います。  で、助役さんからお話ございましたように、仙台市内にも何ヵ所か非常に地盤の弱いところが、たとえば緑ヶ丘の地域については非常に憂慮すべき世帯が多いということでいろいろな対策が講じられているわけでありますが、建築基準法の三十九条では、危険の著しい区域を災害危険区域一という、このように指定をするわけでありますけれども、この緑ヶ丘地区には先ほどお話ございましたように二ッ沢という沢を宅地造成した、非常に急峻なところを造成したんだということであります。当時のことを知る方から聞きますと、ぞっとするようなお話でございますが、それがいまある程度の工法によってとどめることができたとしても、やはり先ほどお話ございましたように、今後も心配の種が消えるわけはないという、非常にこの宅地造成というのは無理をしたといいますか、規制法のできる以前とは言いながら非常に危険な状態のところである。そういうことで、この地域の一部は危険地域指定というふうになっているわけであります。こういうことで、危険地域指定であり、一部にそういうところがあり、そしてまた宅地造成前の状況から見て非常に今後も不安を持つという、こういう地域であるということでありますから、ある地域にとりましては今後宅地として建築基準法でこれを許可することができないといいますか、そこを宅地として使用することに耐えないようなところが出てくるのではないかという、こういうことを非常に市当局としても憂慮なさっているようであります。  そういうふうになりますと、これは今後いろんな手続を経たりしなければならないことでありますけれども、やはり危険なところとして宅地として適さないという、こういう地質上またいろんな条件の中からなりますといろんなことを考えなければならぬわけでありますが、その中で現在の法律としてみましては、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、先ほど助役さんのお話のごさいました、参考人のお話のありましたこの法律の適用によって、宅地として今後非常に危険を伴うところにつきましてはそういう形に進めざるを得ないところが出てくるのではないか、地元ではこういう心配をいたしているようであります。この法律はなかなか適用というのはいろんな条件があるようではございますが、しかしながら一つは「異常な自然現象による災害発生した地域」という地域、これによって「災害発生した地域」という一つの条件や、建築基準法の三十九条の一項で指定された「災害危険区域」というものも一部に該当するということ等あわせまして、これはこの法律の適用が可能かどうかということについては十分な検討がなされなければならないのではないか。私ばこれはやっぱり助役さんが現地を知るだけに心配をいたしているわけでありますが、国当局といたしましても緊急対策はひとつ早急にやっていただくとともに、これからの問題といたしましても、こういう問題はどうしても大きな問題として検討しなきゃならぬこととなってくるわけでありまして、市当局または県としても検討いたしておりますこの問題について国としてもそれ相応の御検討をしていただきたい、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  119. 佐藤順一

    説明員佐藤順一君) お答え申し上げます。  ただいますでに委員の方から御指摘がございましたとおり防災集団移転促進事業は防災集団移転特別措置法の第一条にも定められておりますように「異常な自然現象による災害」の被災地域または建築基準法の三十九条によります「災害危険区域」でありまして、今後の居住に適さない、こう認められる区域につきまして住民の方々の集団的移転を促進しよう、こういう見地から考えられている事業でございまして、今回の緑ヶ丘地区は地震という異常な自然現象による被災地域であるわけであります。この面においては該当するわけでございます。  次に、当該地区が居住に適さない地域と認められているのかどうか、またこの特別措置法によりますところの集団移転促進を計画的に実施されることになるかということにつきましては、今後におきまして地元におきます調査検討を経ました上で判断がされていくというふうに相なってまいると思います。この場合ただいま御指摘ありましたとおり特別措置法によります集団移転促進に当たりましては、一つには、地方公共団体が十戸以上の規模住宅団地を整備するということ、二つには、そこへ関係区域の住民の方々が移転をされるということ、三つ目には、結果におきまして関係区域が全戸移転されるということ、四つ目には、跡地についてはもう住宅用地としては使わないこと等を初めといたしましていろいろと要件が必要とされているわけでございます。これはこれほどの大事業なるがゆえに国庫補助四分の三という高率補助が考えられております以上は、その適用につきましてはこのような要件があることは御承知のとおりであるわけでございます。  そこで仙台市におきましては、いま助役さんからもお話がございましたとおり現在諸般の復旧事業あるいは被災対策が考えられているわけでございますが、今後におきまして当局においても十分検討をされるでございましょう。また住民の方々との間におきましてもいろいろとお話し合いが進んでまいるでございましょう。そしてやはり集団的移転が必要である、こういうことに合意に達せられまして、そして計画的に移転を行う、こういうふうになってまいり、そういう方向がとられます場合におきましては国土庁といたしまして法律の定める要件との関係も検討の上、県、市当局と緊密な連絡をとりながら適切な措置を講じてまいりたい、こういう考え方で現在おるところでございます。
  120. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは県の知事さんが大臣にお会いしたときにも緑化の方で進めていきたいとか、市でもやっぱり同じような、先ほど来お話しておるとおりでありまして、これは十分な地質調査とか、これだけの大きな集団移動ということになりますと、手続やまたなすべきことがたくさんあろうかと思いますが、いずれにしましても応急対策はひとつ当局としても積極的に取り組んでいただいて、そうした上に立ってその適否の問題についてはよく地元の連携の上に立った適切な判断、こういうもので対処していただきたいと思うのであります。  いま事務当局からの説明がございましたが、大臣も現場にはぜひ行っていただきたいんだが、日程の都合で行けなかったということですが、写真もいろいろありまして、私も持ってきているんですけれども、ごらんになっていると思いますが、これは想像以上に大変なところで、また造成前の地形、航空写真、そしてまた現在の現状、こういうことをごらんになれば十分にそこら辺のことはおわかりいただけるんじゃないかと思いますが、地元でも今後住民との問題一番あるわけでございますから、あす、あさってということではないかもしれませんが、十分な御検討、配慮をいただきたいものだと思うのでありますけれども、大臣の所見をちょっとお伺いしておきたいと思うのですけれども。
  121. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 緑ヶ団地につきましては、ここにおります四柳審議官また政府派遣調査団の副団長に私にかわって詳細見てもらった次第で、実情については一応の知識は持っておる次第でございます。ただいま国土庁の方よりお答えを申し述べたように、実情に即しましてもしこの被災地災害危険区域である、こう認められる場合には防災集団移転促進事業の対象になろうかと思うのでありまするが、それらの点を含めまして、現在一体緑ヶ丘団地は今後どうすべきかということで昨日は建設省の方で専門家が調査に伺っておると思います。市当局、県当局、緊密な連絡の上にこの被災をされておる皆様方に一日も早く御安心のできるような方向で問題を解決していきたいと、このように思う次第でございます。
  122. 藤原房雄

    藤原房雄君 最後になりますが、参考人にお尋ねしますが、中小企業の被害もこれはまた大変な被害であろうかと思います。特に商工都市ということで、これは中間報告では九百億を超しておる、まあ一千億、こういう被害状況を私どももいろいろ聞いておるわけでありますが、やっぱり大きな大工場があって、仙台市がそういう大工場を抱えているんじゃなくて、卸業を中心とする商工、零細、こういうところが非常に多いわけなんで、こういう方々に対する対処というものを市としてどういうふうにお取り組みになっていらっしゃるか。また国に対する要望、こういうものもあろうかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思うんであります。
  123. 小岩忠一郎

    参考人小岩忠一郎君) ただいまお話しのように、商工関係、中小企業関係被害が非常に多いということがだんだんにわかってまいりました。工場でもう建物が使えなくなった、したがって機械もひっくり返ったというようなところもかなりあります。特に小売商、卸売商、倉庫等そういう商品の被害というものが非常に多いのでございます。そういったようなことで私ども一時は非常に心配をいたしたんですが、人心はわりあいにこの点では安定はいたしております。  しかし実際を聞いてみますというと、この卸商などは小売店に大体品物をやって、その代金の回収ということがほとんど不可能なような、まあいつかは来るだろうけれども、いまとても回収はできない。それから自分が持っておる倉庫の在庫の品がまた非常に傷んでおるというようなことで、中小企業の設備の復旧資金もさることながら、相当程度の運転資金、しかもかなり長期の一年ないし二年の運転資金を必要とするというような話がかなり強く出ております。市といたしましても今度の災害復旧の予算の中に各融資を促進するための預託金というようなものをやります。ことに零細企業等については無担保、無保証の金を出すということで、一件二百五十万円まで出すような処置をしようというので、一億ほどの預託をいたすわけでございますが、そういったようなことから考えますというと、政府におかれましても中小企業の復興のために低利長期の安定資金あるいは設備改良資金、改善復旧資金というようなものを相当程度ひとつ回していただくようにお願いしたい、かように思うのでございます。  これらにつきまして大臣から商工関係は激甚災の指定を受けられそうだという話を聞きまして、私非常にうれしく思って、このことは帰って早速報告いたしたいと思っておりますが、そういうことによりまして金利等も安くなる、あるいは据え置き期間も長くなる、あるいは返済の期間も長期的に延ばせるというようなことで、その点は助かると思うのでございますが、何といいますか、枠に乗らないような運転資金、そういったようなものも政府で関与されておる金融機関、たとえば商工中金であるとか、あるいは国民金融公庫とか、そういうようなところからそういう運転資金等も相当融資していただかなければ、今後いろんな面で困ることになる。またそういうことによって倒産あるいはパニックというようなことが起きるということもいささか心配の種でもあるわけでございます。その点を善処していただきたいものだと、かように思っております。
  124. 藤原房雄

    藤原房雄君 中小企業の方は、いまお話ございましたように、中小企業対策については先ほど来もお話ございましたので重複は避けますが、いまもお話ございましたけれども、瀬戸物類とか、金物類とか、そのほかございますけれども、被害が非常に大きいわけでございまして、そういう中からフロアをどうするかということで、フロアによっては被害を少なくできた。そういうことで、壊れたものに対してこれからどうするかということももちろんあるんですが、運転資金を中心といたしまして、これから改良ですね。いままでのあり方だとまた被害をふやす、そういうことで被害のないようにするにはどうするかということで、こういう設備等については非常に地元では検討しているようでございますので、二度と同じ轍を踏まないように、地元でいろいろ検討したことについてはひとつ国の方もバックアップをしていただきたいものだと、こういうように思うわけであります。ぜひひとついまお話ございましたこと等考え合わせて、中小企業の金融問題については積極的な御検討をいただきたいと思います。これは要望として言っておきます。大臣いらっしゃいませんから、国務大臣として長官もひとつその点十分に御配慮いただきたいと思うわけであります。  以上で終わります。
  125. 下田京子

    下田京子君 他の委員からの御指摘もあったと思うんですけれども、今回の宮城県沖の地震被害というものは、当初報道されていたより以上に深刻で、しかも刻々とまた第二次災害のおそれを含みながら、いま多くの皆さんがまだより人間らしい暮らしができないというような状況の中にあることは、これは国土庁長官も御承知のとおりだと思います。  そこで、第一にお尋ねしたいところは、これは福田総理自身もすでに述べられておりまして新聞報道にもございますが、激甚災の指定は当然だと、こう言われております。被災地の現地の皆さん方は一日も早いこの激甚災指定、これを待ち望んでいるわけです。河北新報等にもこうした報道がされておりますが、その点いかがなものか、まず第一にお尋ねいたします。
  126. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから繰り返しお答えを申し上げておるわけでございますが、被害実情にかんがみまして、特に中小企業につきましては、私の判断では激甚指定をすべきものであると、このように見ておるわけでありますが、何分にも法律に基づく基準もある次第でございますので、せっかく被害の集計を急いでおる次第でございますが、ただいま下田委員のおっしゃるとおり、地域住民の方がこの指定を待たれておるということにかんがみまして督促をしてまいりたいと思います。
  127. 下田京子

    下田京子君 一日も早い指定ということが望まれると思います。中小企業についてはすべきだというふうなお答えですけれども、これはもうただいまいただいている資料等にもありますが、六月二十日現在において七百四億円を超えるそういう被害状況になっているわけです。公共土木等については百三十二億を超えているというふうな状況ですから、これはもう当然指定受けるところだというふうに私どもは思うわけなんです。  いまのお話ですといろいろと法律等もあるし、指定基準があるからというお話なんですが、もしその指定基準に合わない、わずかなところでそういう事態が起きたということを仮定しても、これはやはりその基準を変えてでも私は激甚災指定というふうなかっこうで持っていく必要があるんじゃないか。あるいはまたそれに準じた形でもっての融資状況であるとか、すでに借りております融資の償還期限延長だとか、利子の補給だとか、こういった措置は当然とられるべき筋合いのものではないかと思うんですが、具体的にこの点いかがですか。
  128. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 激甚指定ということからいろいろお尋ねがございますと、やはり基準というものがございますので、その基準からどう考えるか、ある程度で基準に達するが、しかし多少及ばないというようなときには勘案できることもございましょうが、こうやってまともに御答弁を申し上げる上におきましては、先ほど来申し上げておるように、私としては中小企業については激甚指定状況にあるんではないかと、こう判断をしておるわけでございますが、やはりこれが基礎になりまして財政当局との交渉になる、具体的な措置になるんでありますから、なかなか一方的な希望だけでうまくいくかどうか。こういうことについてはむずかしいことは下田委員もおわかりいただけるものと思うのであります。  しかし今回の災害に伴って被災者の方がいろいろお困りでありますから、それらのことにつきまして激甚の指定以外にそれじゃ全然対策がないのかということは、それはそういうことでなく、この災害に対しての個人災害はどうするんだというようなことがございますから、それぞれその現在の制度に見合いまして考慮をしてまいりたいと思う次第でございます。
  129. 下田京子

    下田京子君 ただいまの大臣の答弁の中で、個人災害等にもいろいろと手を尽くしていきたいというお話がございましたが、今回の地震は特に都市型地震といわれるその特徴と言えるでしょう、個人災害というものが非常に多い。たとえばクリーニング屋さんの機械が破壊した、パーマ屋さんの機械が破壊した、あるいは酒屋さんのびんが全部もう倒壊しただとか、いろいろとそういうようなものがございます。ですからそうした特別融資を激甚災並みにといいますか、そんな形でも御配慮いただくという話だったので、ぜひ具体的な調査の上に対応をいただきたいというふうに重ねて要望をしておきます。  次に、他の委員からやはりお話あったと思うんですけれども、住宅問題です。これは御承知かと思うんですけれども、いま現在で緑ヶ丘住宅団地だけで避難の勧告を受けたその状況、私ども現地の皆さんからの資料をいただきましたところによりますと、一丁目、三丁目、四丁目と、この三地区ですけれども、第一種の勧告を受けたところが八十二戸ありました。第二種の勧告を受けたところが百九十一軒あるわけです。合わせて緑ヶ丘だけでこの避難勧告を受けたのが、いわゆる二次災害のおそれありということで待機している、それが二百七十三戸に上るわけなんです。それからその他の地区も合わせて現在いまつかんでいるところですと、第一種の避難勧告、これが百四十四戸に上る、第二種の方が二百五十七戸に上る、こういうふうな状況であります。  大臣は直接ごらんになっておらないようですけれども、私も災害のあった翌日すぐに現地に飛びまして、余りのひどさに本当に胸が詰まる思いだったわけですが、まだ建てて新しい方ですと二、三年、古い方でも十年前後というふうな中で、もうすぐに取り壊し問題や何かも出てきていて、現にいまその取り壊しも進んでいるわけです。こういうふうな状況の中で、大臣先ほどのお話もありましたが、いろいろと検討はしているということなんですが、検討というのはそう長いこと検討されていたんではやはり困ってしまいますので、緊急な措置どうなのかというふうなことで皆さん本当に困っていらっしゃると思うのですね。  その点から具体的にお尋ねしたいのですが、まず第一には、地元の皆さん方から私どもへ緊急課題として申し入れ、恐らく届いていると思うのですが、私たちのところにも来ているのですが、緑ヶ丘団地を初めとして双葉ヶ丘、それから一念坊、この三地区について二次災害防止のために特別調査団を派遣していただけないかということが関係住民からの非常な大きな要求になっております。といいますのは、集団移転にしても、あるいはどうしたらいいかということで、もう見通しが立たないわけですね。私なんか行ったときなんかも、どうなるかわからない状態なのに、もう地震の翌日大工さん入れて修理しているのですよ。でもそっくり移転しなきゃならない羽目にまたなってきているわけですよ。ですから、第一に科学的調査に基づいてそれなりの対応していただかなければならないと思う。政府の特別調査団派遣していただけるかどうか。これが第一です。
  130. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 下田委員のおっしゃる特別調査団ということに該当するかどうかは別といたしまして、昨日建設省は緑ヶ丘の被災地に対して専門家をもって調査に伺っておると思うのであります。その調査の結果につきましては、まだ私の手元に報告はございません。そういういま一応の経過にございますが、下田委員の言われるとおりに、危険にさらされておる、二次災害も起きつつあるような状況も加わっておる、こういうことでございますので、一刻も早く専門的な見解を得て、そしてそれに対して地域住民はどうお考えいただくのか、またわれわれとしては行政的にどう御配慮申し上げるのか、これはやはり被災者の方々のお考えを十分承っての措置でなくてはならないと思いますので、そういう心構えのもとに努力をいたしてまいりたいと思います。
  131. 下田京子

    下田京子君 過日特別調査団といっていいかどうかは別としても専門家を派遣している、近日中にその結果に基づいて対応したいということなんですが、これはやはり新聞報道にございますが、首相そのものが救済について具体的に、いま私指摘しました、また大臣が御答弁ありました緑ヶ丘団地等については、これは買い上げ、こういったことも考えなければならない、そしてまた緑地帯にするとかいうふうな形で対応しようという報道がございますけれども、方向としてはそのような形での宅地の買い上げや移転補償あるいは新しい住宅建設に十分な援助を行うというふうな形での対応ができるというふうなことに理解してよろしいでしょうか。
  132. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) それは御質問でおっしゃっておるように、早く専門的な見解を得て、そして本当に危険である、また地域住民も集団移転をしたいと、こういうことになってのことであると思うのでございまして、現在のところそこまでいっておらない、結論にはいっておらない。ただ危険な状況にあるので早急に対応策を立てなければならないという状況にあると思うのであります。  私、総理がいろいろおっしゃったようにいま御質問の中で触れられておりますが、それは具体的には承っておりませんけれども、恐らく被害地の状況からそういう危険な状況にさらしておいてはいけないという御心境で何かおっしゃったのではないかと思うのでありますが、現在ございます制度の上で解決をしていくという上におきましては、なおおっしゃったとおりの専門的な調査の結論を前提としなければならないと思います。
  133. 下田京子

    下田京子君 ですから、方向としてそういう――そういうというのは繰り返しませんけれども、危険地域である、昔は炭鉱の跡地ではないかとか、いろいろ言われているわけなんです。ですから住民の方々からいま具体的な私が指摘したような、あるいは総理もそういう方向でというふうな形で気持ちとして言われた云々というお話もございましたけれども、出ているわけです、一定方向。そういう方向でもって大臣としても取り組んでいただけると理解してよろしいかどうかという質問でございますので、どうかという御答弁いただければと思います。
  134. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 総理の方のことは私は存じ上げてないということを言っておるんです。ただ総理がおっしゃったとすればそういう心情で言われたんじゃないかという私の推察を申し上げたので、総理の点については私承知はしておらないのであります。  重ねての御質問でございますが、きょうの最初からの御質問の御趣旨で、まず早く専門的に調査をするように、それはそのとおりだと、また現に危険な地域に二次災害も起こっておるような状況被災者の方々を放置するというようなことは、私としては忍びがたいところであって、われわれとしても早く結論を得たい、しかし一方的なわれわれの見解だけで処理のできることでなく、被災者の方々の御心情も考えながら、一体この危険地域で防災集団移転をしなきゃならないというときに、そのように地域住民の方もお考えいただけるかどうかというように、これ順序を踏んでいきませんと、こういう際に一方的な押しつけ的なことではやれない。だから下田委員のおっしゃることはよくわかります。この地域方々のことをよく考えてやれと、それはもう異論はございませんが、それには調査等の順序も踏み、それもそう時間をかけてはいけない、緊急性がある、それは当然であると思うのであります。
  135. 下田京子

    下田京子君 大変前向きのようなふうなんですけれども、全体としてよく一つずつ考えていきますと、どうしても現地の皆さんの気持ちを理解していらっしゃらないんじゃないかと思うんです。私、大臣もごらんになっていただきたいと思いますね。十戸まとまったら集団移転というぐらい、十戸もうひどいんですよ。だからさっき数字を挙げて私も申し上げているわけなんです。これは急を要する問題でして、現に地域住民の皆さんと相談して云々じゃないんです。現実起きているんです。どうなさるんですかという緊急な対応なんです。ですから早く宅地の買い上げなら買い上げ、あるいは緑地化なら緑地化、移転補償なら移転補償、あるいは集団移転できない個人の場合にはどうするのかということを早急に出してほしい、そういう方向でやっていただけますねというその確認です。いかがですか。
  136. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 下田委員のおっしゃることは私少し残念に思うんですね。現に被災してお困りになっておられる方を目の当たりにして、この方々の心情もよく考えながらその対策を講じたいと、それをこっちが一方的に何かいろいろ考えるという、そういうことではないんじゃないかということをまず申し上げておるわけであります。  また対策の内容について下田委員は何かもうお決めになってほんほんおっしゃいますけれども、それはそれで制度はあるんですから、その制度に応ずるような状況であるという前提が、あなたも専門的な調査をと、こうおっしゃったんでしょう。それならそれがなければ話は前提がないじゃないかと思うんですが、私が何だか冷淡なようにおとりですけれども、私はそんなような立場はとっておりません。
  137. 下田京子

    下田京子君 冷淡でなくて具体的に皆さんの心情を理解して対応しているということでしたらそれで私は結構でございますけれども、ただ大臣自身が本当にこういう大変なときでしたら足を運んで、それこそ本当に皆さんの気持ちを理解するというのだったら直接お話し合いすべきじゃないかということを私は申し上げているわけです。  それから時間もございませんので、もう一点なんですが、地震の保険の問題なんです。これは他の委員からも御指摘がやはりあったかと思うんですけれども、現在地震保険の場合には全損の場合でも掛金の三割までしか出ないというふうな状況であります。このことにつきましては、かつて地震保険に関する法律ですか、この法律の審議の際に、当時福田現総理だったと思うんですけれども、決議もされていると思うんですね。これらについて具体的に改善が必要であると思うんですけれども、その改善の気持ちあるかどうか、お尋ねいたします。
  138. 森田一

    説明員(森田一君) ただいま先生御指摘地震保険の問題につきましては、そもそものいきさつをちょっと述べさしていただきますと、地震というのは……
  139. 下田京子

    下田京子君 いえいえ結構です、細々は。時間もないですから。
  140. 森田一

    説明員(森田一君) それでは、先生の御指摘のように、地震保険法が成立したときに附帯決議が確かについておるわけでございます。ただこの地震保険は非常に保険制度、特に民間会社が行う保険制度に非常になじみにくい点がございまして、そのようなことからこの附帯決議の内容につきましては各般のいろいろの機会をとらえまして議論がなされておるわけでございますけれども、現在御指摘の分損も加えるという点につきましては現在までのところ非常に困難であるという結論になっておるわけでございます。と申しますのは……
  141. 下田京子

    下田京子君 附帯決議は幾つかあると思うんですけれども、特に地震にかかわる問題について出されている附帯決議の中で重要なのが分損を加える問題、いまお話になりました。それから二番目には保険料を低率とする問題、それに「地震保険については施行後の推移を考慮し適切な運用改善をはかること。」と、こういうふうになっていると思うんです。  それで私が質問したのは、そういうことも含めて改善をなさる検討がいま進められているかどうか。今回のような形で現に都市型地震という大きな災害が出た時点でもう考える必要があるんではないかというふうに思うわけなんです。特に地震保険制度の創設以降、五十年度末期までの状況を見ますと、これは第二十五回銀行局の金融年報の資料によりますと、いままで支払われた地震保険の保険金というのが二百十三件、金額にして五千八十八万円にすぎない、そういう状況です。ですから改善するかどうかというこの御答弁だけいただきたい。検討するかどうか、大臣、よろしくお願いします。
  142. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 地震保険の分損の問題については、下田委員のおっしゃったとおりの経過があるのでございますが、まことに恐縮なのでございますが、大蔵省から答弁がございましたように、現在のところ国及び損害保険会社の負担能力、保険料負担の問題、大震災時における分損認定を迅速かつ適正に行うことの技術的な困難性等から、その実現には困難な問題がある、こういう状況でございます。
  143. 柄谷道一

    柄谷道一君 激甚災害指定、商工業及び農林水産業被害、さらに一般住宅医療関係機関の被害に対する救済など六項目の県陳情につきましては、冒頭視察報告がなされましたように、いずれもこれは超党派で要請されるべき問題であろうと思います。今日まで各委員からそれぞれの質問がございましたので、時間の関係から重複を省略をいたしますが、大臣の手元におきましてこの特別委員会の意を体して県知事陳情というものが満たされますように一層の御努力を冒頭お願いをいたしておきたいと、こう思います。  そこで、日本は全地球地震エネルギーの一五%が集中している、しかも国土面積は全世界の一%に満たない、文字どおりの地震国でございます。ことしに入りましても、一月には伊豆大島近海地震、二月には宮城沖地震、三月には関東を中心とする広域地震、さらに六月四日に鳥取広島地震、そして六月十二日の宮城沖地震と、いわば大型、中型の地震が相次いでいるわけでございます。そしてその都度大きな被害を出していることは御承知のとおりでございます。  わが国がこの地震から逃れ得ない運命にあるとするならば、国、地方自治体及び住民が一体になってその対策を確立しなければならない、そして被害を最少限に食いとめる必要があることは論を待ちません。特に国家が国民の安全を確保するということは最大の任務でございまして、経済、雇用、教育、防衛などとともに国の重要な施策の一つとして位置づけられるべきだと思います。まずこの点に対する大臣の基本的な認識についてお伺いをいたします。
  144. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 柄谷委員よりの最初の宮城県知事からの陳情に対して善処をするようにと、これは私もあらゆる努力をいたしまして、その御趣旨に沿うよう一つ一つ解決をしてまいりたいと思います。  それから、全般的な地震に対しての国の施策につきまして、他の各種の施策以上に地震対策が重要ではないかという御指摘につきましては、私も全く同感でございます。一たびこの種の災害が起きます場合、その影響するところはかり知れないものがあるわけでございます。小規模のものにおきましても、地域によりまして相当な影響を与えておる事実、ましてや大地震ということになりますれば、これは国としてもきわめて重要な問題である。したがってそういう場合を予想いたしまして、常日ごろから対策に万全を尽くすのは当然のことでありまして、このたび大地震立法をお願いしたゆえんのものもそこにある次第でございます。
  145. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣の基本認識を伺いましてまことに心強く感ずるわけでございますが、その基本認識を実行に移していこうと思えばこの予算措置が必要に当然なってくるわけでございます。大規模地震法は前回の討論でも私申し上げましたように、いわゆるスタートであって、まだ予算措置は伴われておりません。  そこで、毎日新聞の本間編集委員が興味ある新聞の記事を出しております。「WHOでは人間が安心して生きていくうえでの基準として「安全」「健康」「利便」「快適」の四つの基準を掲げている。」と。ところがこの四つの問題について予算上のウエートを見ると、安全に関する予算は一兆六千二百二十億八千九百万円、健康に関する予算は六兆七千二百三十四億八千万円、利便に関する国家予算は七兆七千三百八億四千八百万円、快適に関する予算は一兆四千二百二十七億千三百万円、このように分類をいたしまして、わが国の国家予算の編成の内容について、安全という問題が快適、利便、健康という陰に隠れて、従来そのウエートがきわめて少な過ぎるのではないか、もし生命を失えばあらゆるものが失われてしまうわけでございますから、国家として健康、利便、快適という要素以上のウエートをもってこの安全という問題が考えられるべきであろう、こう編集委員指摘いたしておるところでございます。  大地震対策の法律の際、福田総理も今後相当の力点をこの安全、地震対策に置いていきたいと答弁をされたわけでございますが、来年度の概算予算の編成は、もう八月でございます。大臣のこれに対する、予算編成に対する決意をまずお伺いをいたしたい。
  146. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 柄谷委員がお取り上げになりました本間編集委員の所見というものは、私は一つの見識であると思います。この安全についてもっと重要視しなければならない、それには予算措置を考えるようにという柄谷委員の御指摘は私もそれを尊重いたしまして、具体的には恐らくこの地震対策の予算など十分に措置せよと、こういうお言葉ではないかと思いまして、そのような立場で進んでまいりたいと思います。
  147. 柄谷道一

    柄谷道一君 先国会で成立いたしました大規模地震対策法は、予知の可能性が生まれたいわゆるマグニチュード8以上の巨大地震に対応するいわゆる法律でございます。もちろん巨大地震による災害というのははかり知れないものでございますから、その意味で対策法の成立というものはきわめて有意義であると思いますし、なるがゆえに私もこの法案に賛成した者の一人でございます。  しかし、今後はマグニチュード6から7・5ぐらいのいわゆる大型、中型地震の予知ができる観測体制をいかに確立していくか、これが残された重大な課題であろう、こう思うわけでございます。審議官は当面目標として7程度の地震が予知できるような体制づくりのための研究を進めたい、こう答弁されているわけでございますけれども、しかし現在の特定観測地域は実にもう四十五年の二月に指定いたしました北海道東部、秋田・山形西部、長野北部・新潟南西部、琵琶湖周辺、島根東部、伊予灘・安芸灘及び阪神地区の七ヵ所でございまして、宮城沖がこれに含まれていなかったことは多くの委員から指摘されたところでございます。しかし、この宮城沖は昭和に入りましてからでもマグニチュード6以上の地震が二十四回発生しておると聞いております。特にマグニチュード7以上は三回、昭和十一年十一月三日には金華山沖地震が起きておりますが、これは7・7でございます。いわば地震の多発地域としてきわめて危険性が危惧されておった地域であることは間違いのない事実であろうと存じます。  過去のことは私は責任を深く追及する時間がございませんので、問題は、今後の対策に移っていきたいと思うわけでございますが、予知連の二十一日総会で追加指定という答申が出されたと聞いておりますけれども、大臣として、この地域を責任を持って特定観測地帯として指定し早急に予知のための観測体制の整備を図る、こういうお気持ちと理解してよろしゅうございますか。
  148. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) そのとおりに御理解していただいて結構でございます。一昨日の予知連絡会におきましては、恐らく宮城沖と申しましょうか、三陸沖と申しましょうか、この地域特定観測地域にしようということについては御意見の一致を見ておると思うのであります。なおこの機会に他の地域におきましても、柄谷委員のおっしゃるとおりに、現在の特定観測地域決定が大分前のことでございますので、その見直しをもかねて宮城沖を指定しようというように承っておる次第でございまして、柄谷委員のおっしゃるとおり私も同じ考えに立っております。
  149. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は先国会の大規模地震対策法の中で予知に関しては全国的にその整備を図る必要がある、こう指摘をいたしました。それが今日まで十分その体制がとれなかったということは、率直にお伺いいたしますが、予算の関係でございますか。
  150. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは予知体制が専門技術者から言って現状ではマグニチュード8程度の場合ができるということで、特に東海地域については判定会を設けて予知ができる、こういうことでございます。そこで全国的にいま申し上げたようなそういう状況まで予知技術が進んでおるかというと、残念ながら予知技術もまた観測体制も十分でないのではないか。そういう意味から言うと全国予知をやるために予算が不足しておる、その体制が整ってないということにもなりますが、どちらかといいますと、マグニチュード8以下のものについてはまだ予知技術が十分でないということも一つの原因になります。それに加えて観測体制等がまだ十分でないということで、今後マグニチュード7程度の予測のできるような体制に持っていくためにわれわれは努力をしたい。そのことは観測体制強化なり予知技術の進歩を望んでおるわけでございます。
  151. 柄谷道一

    柄谷道一君 予知技術と予算上の双方の関連である、こういうことでございますが、予算の方は決断によってこれがカバーできるわけでございます。そういたしますと、宮城沖、いわゆる三陸沖と申しますか、それ以外にも従来の七ヵ所の特定観測地域に含まれておったり含まれていなかったりいたしますけれども、俗に大地震また大型もしくは中型地震危険性のある地域としては根室十勝沖、南海沖、さらに三陸沖が地震の多発地帯であろう、こう言われておるわけでございます。これらの地域につきまして今後予知連が特に全国的観測体制整備の中で優先してこれらの地域体制強化する必要があるという答えを出しますならば、これに対応する予算措置というものは当然とられてしかるべきではないか、こう思うのですが、そのように考えてよろしゅうございますか。
  152. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これはきょうの御審議の中にも出ておりましたように、予知連絡会自体がそれではそういう広範囲な体制に対応できるのかどうかということも一つの問題点になります。それは言いかえますならば、いまの予知について十分な知識を持ち、専門的な技術者と言われる方が全国観測体制に対応するだけの用意があるかどうかというようなことも考えてみなければならないと思うのであります。したがって、予算をうんとつけて、そして観測強化地域をたくさんふやすということについては、私は一気にいきかねるようないまの予知陣営ではないか、予知推進本部も設けまして、また測地学審議会の御意見を聞きながら順次強化をしてまいっておるのでありまして、やはりわれわれとしては全国民に対して御安心を願うように、御質問の御趣旨のような全国体制を望みたいと思いますが、一気かせいにはなかなかいきにくい点がある、しかし一歩ずつでも速やかに全国民の安心できる体制に持っていきたい、こういう見解でございます。
  153. 柄谷道一

    柄谷道一君 現在最も予知観測体制が整っておりますのはいわゆる静岡東海地域でございます。何としてもこれに準ずるような観測体制を全国危険地域において整備してもらいたいというのはもう国民の率直なこれ願望であろうと思うわけでございます。とするならば、いわゆるマンパワーの問題を含めまして、やはりこれに対しては年次計画的なものを定めてこの国民の願望に一日も早く到達をするということが当然政治に携わる者の重大な私は責任であろう、またそのことが冒頭申しました、地震国日本がこの被害を最小限に防ぎ得るただ一つの道である、こう思うわけでございます。大臣の一層の力強い善処を求めたいと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
  154. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 予知体制につきまして過去の経緯を見ますと、私は順次強化されてきておる、また今後も順次そういう方向が拡大されていくものと思います。それに加えまして、皆様方とともに、政治の上におきましてこういう問題が国策上、より重要であるということで促進をしていきますならば、柄谷委員のおっしゃるような方向へ進み得るものと思うのであります。
  155. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣の時間の関係がございますので、もう一点だけにしほりまして、他は政務次官の方に後ほどお伺いをいたしていきたい。  それは、さきに日本都市センターが防災に関する綿密な計画を出しましたが、五十三年の三月には財団法人社会開発総合研究所が、巨大都市地域における防災性の向上に関する調査研究、膨大な調査をされております。内容を見ますにつきましてまことに適切な対策だと思うわけでございますが、しかしこれらの対策を進めていくには巨大な経費というものがかかるわけでございます。  で、われわれ委員会といたしましては、さきに東白鬚地区防災拠点の視察もいたしました。四十七年の九月に計画が決定され、五十年の三月に着工、五十三年の三月に第一地区と第二地区の工事が完了したわけでございますが、事業費のみで千二百億円を要しております。東京には江東デルタ地帯に住む七十万人の人々を収容するためには、これと同規模の防災拠点をさらに五ヵ所建設しなければならない。さらに、東白鬚地区におきましても第三地区工事が五十三年から五十八年の間に行われるわけでございます。  で、これらの防災拠点の確立というものが地域住民に非常に心強さを与えていることは事実でございますけれども、前回の視察で驚きましたのは、国庫補助が二〇%であるということであります。これは都市再開発事業並みの国庫補助ということでございます。防災拠点をつくっていこうとすれば、当然建物もより堅牢でなければならない、水の設備、防火の設備など一般の都市改良計画にプラスアルファするいろいろの設備を備えなければ防災拠点としての役割りを果たし得ない。これらが他の都市開発事業並みに取り扱われているというこの一事をもってして私は地震対策というものに対する国のウェートのかけ方というものがまだまだ及ばないのではないかということを視察の中で痛感したわけでございます。  そこで、これらの問題に対する大臣としての所見をお伺いいたし、あと最後の問題は後ほどの質問に譲りたいと思います。
  156. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 白鬚地区の実情というものが付近の住民の方々にとって非常に大きな心理的な効果を与えておる、また施設自体もりっぱなものだと思います。この種の施設に対する補助が他の都市事業並みであることについての御批判があったわけでございますが、これは私としても検討をしてみたいと思います。なお現在川崎市とか大阪市にこの防災センターのようなものを別途考慮もいたしておりまして、それらの事業といまの都が中心でやる事業とどちらがより効果的であるのか、そういうような点もあわせ考えながらよく検討させていただきたいと思います。
  157. 川村清一

    委員長川村清一君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  158. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記を起こして。
  159. 志苫裕

    志苫裕君 どうもそれぞれの皆さん御苦労さまです。実は、きょうは宮城沖地震について集中的な調査が行われておるわけでありますが、私はお許しをいただいて妙高災害の問題について若干のお伺いをいたします。  実は、先ほど宮城沖地震の問題につきましては、わが党の目黒委員からも、また各委員からもそれぞれお尋ね、要望があるところでありますが、かく言う私は例の昭和三十九年の六・一六新潟地震の体験者でありまして、当時は地方議会に身を置きましたが、この対策に当たった経験がございます。新潟地震は、地震の大きさもさることながら、地盤沈下に絡む水がこれに加わりまして大変な被害を招いたのでありましたが、それにしてもあれから十数年、新潟地震の経験が今度の宮城県沖の地震に生かされておるかというと、幾つかの点で粗漏があったような気がして残念なわけであります。きょうば私の本題じゃありませんので内容には触れませんが、各委員から要望のありました点について万全な措置が講ぜられますように私からも要望をいたします。  さて、妙高高原の災害の問題でありますが、当委員会は五月の二十六日にいろんな調査を行い、政府にも必要な措置を求めておるのでありますが、それ以降とられた措置、現状、問題点というようなものについてあらまし御報告をいただきます。
  160. 四柳修

    説明員四柳修君) 御指摘の点につきまして私どもの方から概括的に御報告申し上げます。  妙高高原町におきます土砂災害の現在までの復旧状況の要点でございますが、道路、橋梁につきましては、国道十八号線にかかっております白田切橋でございますが、御案内のように帝国石油のパイプの臨時架設がございました。それら等もございまして交通規制を実施しておりましたが、去る六月十九日からこの規制を解除しております。それから白田切川にかかっております県道の白妙橋、ちょうどあの西垣さんの家の前でございますけれども、あの白妙橋につきましては六月二十日に仮橋がかかっております。それによりまして一応あの県道も応急復旧、利用できるようになっております。  次に国鉄でございますが、御案内のように五月末日から復旧工事にかかっておりますが、現地でもお聞き取りのように一応十月の開通を目途に努力中でございます。  それから白田切川の応急復旧工事でございますが、一部の流心の掘削と左岸の危険個所の応急工事を六月の十一日に完了いたしております。  次に山の方でございますけれども、緊急治山工事といたしまして、崩壊地の下流、ちょうど国有林との境でございますが、そこで緊急治山事業といたしましてコンクリートの堰堤設置のための工事を六月二十日に着工いたしております。  ガス水道あるいは温泉等の問題でございますが、現地御調査の当時とは――御報告がございましたように被災の新赤倉地区がまだ一部ガス水道が通っておりませんが、それ以外の地区は五月末までに全部復旧が済んでおります。それから温泉につきましては今月末に試験引き湯をいたしたいということを伺っております。  最後に被災地にたまっております、特に新赤倉地区の堆積土砂の排除の問題でございますが、この点につきましては県、町等ともその復旧方針を御協議の上その方針に基づきましてできるだけ早く作業を実施いたしたいと、このように概括的に伺っております。  以上概括的でございますが、御答弁とします。
  161. 志苫裕

    志苫裕君 そこでおいおいといまの点に触れてお伺いしますが、二十九日から一番問題となっております原因調査について政府調査団が入っておりますが、これについての報告をいただきます。
  162. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 建設省の方と農林省の方と合同で行っておりますが、私の方から御報告を申し上げたいと思います。  ただいま先生からお話しございましたように、五月の二十九日から三十一日にかけまして、農林省の林業試験防災部の治山科長ほか二名、それから建設省の土木研究所砂防部長ほか三名、合計七名の調査団が入りまして調査実施をいたしております。調査の目的といたしましては、研究者によります現地調査によりまして災害の概況を把握をし、それから災害防止工法の技術的な検討を加え、そのために必要な発生原因につきましても追求をする、こういうようなことで行ったわけでございます。現在調査団戻りましてから二十日余りになりますが、最終的な報告書の詰めを行っておる段階でございまして、来週中にはできるだけ早く国会の方に御報告を申し上げたい、こういうことで現在最終的な詰めを行っておる状況でございます。  以上でございます。
  163. 志苫裕

    志苫裕君 実は発生原因その他調査団の最終報告をまとめるについての詰めが行われておるということなのでありますが、しかし現実に調査団は予知不能の災害であったとか、あるいは今度のあれの大きさから見て未然の防止は困難であったとか、あるいはいろいろと言われている発生原因に触れての林道の開削等は原因に無関係であるとか、幾つかの見解というには当たらぬかもしれませぬが、所見が述べられておるわけでありますが、地元のたとえば新聞等含めてそれぞれ報じられておるわけでありますが、それらの諸説は一体いかなる意味を持つんですか。
  164. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 二十九日から三十一日まで現地調査を行いまして、調査を終わった後で妙高高原町の役場に出向きまして町長さんその他の方にごあいさつを申し上げた際に、調査団のいわば説明の中で、説明と申しますか、三日間の報告の中で現地で感じましたことを御説明申し上げました際に、新聞社の方もおいでになりまして幾つかの質問が交わされまして、その結果が新聞記事に載って出たと、こういうことで承知をいたしております。ただ、戻りましてからいろんなデータを総合的に検討いたしておりまして、やはり結論といたしましては来週御報告申し上げる報告書の中でまとめられる、このように承知をいたしておるわけでございます。
  165. 志苫裕

    志苫裕君 後ほど少し細かくお伺いしますが、今度の調査を検討をしてさらにまた現地調査に入るという可能性ありますか。
  166. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 五月の本院の委員会の席でもそのお話が出たというふうに記憶いたしておりますが、今度の調査団の報告が提出されましたならば、私どもといたしましても国土庁あるいは建設省の方とも御相談をいたしましてさらに調査を要するか否かについての判断をし、それからやる必要ありということになりましたならばまたやり方についても御相談いたしたい、こんなぐあいに考えておる次第でございます。
  167. 志苫裕

    志苫裕君 で、あなた方も御存じのように、この災害原因が何であるかということは、基本的には今後の防災計画その他の基本的な設計計画にかかわる問題でありますし、それからまた災害の補償とか、そういう問題にもかかわってくる問題であります。それだけに非常に大事な意味を持つのでありますが、いままでのところ、一つは新潟大学の妙高火山災害に関する緊急調査団というのがそれなりの諸調査を行い、最終的でないにしてもいろいろな見解を述べております。それからもう一つは同じく新潟大学でありますが、新潟大学工学部土木学科妙高災害研究グループ、これが幾つかの調査を行って所見を述べています。それから日本大学の理工学部応用地質学研究室の守屋喜久夫教授をキャップとするグループがそれぞれ調査を行って所見を述べています。なお、新大あるいは新大の研究調査団には信州大学の一部も加わっておるようでありますので、これらは近く連合学術調査団というふうなものに仕立て上げて、それぞれの諸説をまとめようという努力もしておるようであります。それに政府、この場合は林野庁と建設省というこれの合同調査団になるわけでありますが、これが調査を行ってそれぞれまとまった所見を述べていませんが、ところどころ述べておる。  そこで、可能な限りお伺いいたしますが、食い違いがどこにあるのかというと、あの辺の土質がまあわかりやすく言えば非常に滑りやすい、崩れやすい弱い土質でこれに雪解け水などが多量に加わって非常に不安定になったと、そこで起きたんだと、こういう大まかな土地の条件が悪い土質が崩れやすい不安定だ、雪の水というものが倍加――それに加わるということまではどの調査団も不一致がないわけであります。問題はそういうところを承知の上で林道を切るとか、温泉パイプを埋めるとかというようなこういう手を加えたことが引き金になったかどうかというところになると、これが意見が分かれてくるわけです。そして幾つかの調査がありますが、いわゆる政府筋の調査は引き金にならないと、こう言っている。ほかのところのはみんな引き金になったと、こう言っているわけです。ここのところでこんなもの責任がだれだとか何とかというふうにあらかじめ、やがて議論が発展する方向を予測してそうならぬように調査をするのは、これは科学的じゃない。あくまでもこれは科学的に問題を扱わなければならぬと思うので、いまあれですか、調査団、政府調査団は少なくとも新大の二つのグループ、日本大学のグループ、こういうものが行ってずっと所見を述べておる、これらの所見についてどういう見解を持っていますか。
  168. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 新潟大学の先生方がおやりになりました調査結果につきましても、私ども先生のところにお伺いをいたしまして直接お話を承る機会も持ったわけでございます。で、大きく分けまして工学部系統の先生方とそれから理学部系統の先生方の調査があるわけでございますが、先生方のアプローチの仕方と申しますか、結論に至りますまでのプロセスといたしまして、いろんな仮説をお立てになりましてそれをいろんなことを検討しながら逐次問題を消去していくというようなやり方をおやりになっているというぐあいに実は私どもお話を承ったわけでございますが、理学部の先生方のお話を私ども総合的に私どもなりの判断でございますが、判断いたしますれば、大体前委員会の際に農林省の方から御説明申し上げましたような見解に近いようなぐあいに受けとめているわけでございます。それから工学部の先生方につきましては、先ほど申し上げました仮説の中で林道についてはまだ消去し切っていないといったような状態で、なお最終的な結論には到達してない、こんなぐあいに実は私どもお話を承った結果では理解をしているわけでございます。それから日大の先生でございますが、六月の中旬においでになりまして新聞にもその御見解が出ているわけでございますが、私ども実は残念ながら日大の先生にはまだお目にかかる機会を持つことができませんできょうに至っておりますが、できるだけ早いうちに先生方のところに伺いまして御意見を聞かせていただくようにしたいと、こんなぐあいに考えている段階でございます。
  169. 志苫裕

    志苫裕君 いまお答えいただいておるあなた自身が調査団でもない――あなたも調査団の一員ですか――違いますね。建設省の調査団に加わった方来ていますか、調査団のまとめをしていなさるところ。――建設省からも調査団が出ておるわけですが、ちょっと建設省の方の調査団の方は私に対してどの程度の答弁ができますか。
  170. 小藪隆之

    説明員(小藪隆之君) 建設省の方は土木研究所の砂防部長ほか三名が参加しておりますが、それらにつきましては、先ほど林野庁の方の御説明がありましたように調査団の結果がまだ出ておりませんので、その結果をもちまして御報告さしていただきたい、かように考えております。
  171. 志苫裕

    志苫裕君 いや、建設省の方からも調査団が出たわけですから、崩れた場所は国有林ですから林野庁が所管をしている場所ではありますけれども、科学者は両方から行って調べておるわけ。起きたのは林野庁の場所だからそれならそっちの方で調べてくれやというて建設省横を向いているわけじゃないんでしょう、これ。林野庁の方の原因がはっきりしてから云々という、答弁にならぬのじゃないですか。
  172. 小藪隆之

    説明員(小藪隆之君) 林野庁と合同で調査さしていただいておりますので、その合同調査の結果を待ちまして詳細につきましては御報告をいたしたいと、かように考えております。
  173. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、いままとまった報告をいただける状況にない、今月中には何とかというお話でした。それは承知の上で、しかしなお、地元の大学や日本大学その他の幾つかのグループが発生原因等に触れて所見を述べておる、部分部分であるが、その所見に対する見解も幾らかは政府調査団の個人かどうか知りませんが、述べているわけですし、そこで建設省の方にお伺いをしたいのは、新大の二つのグループ、日大のグルーブ、そういうものが述べておる災害原因にかかる所見について何かコメントがありますかということを聞いているわけです。
  174. 小藪隆之

    説明員(小藪隆之君) 今回の災害原因につきましては、先ほど先生の御説明ありましたように、赤倉山の山腹の崩壊がこれが引き金になりまして土石流が発生したということははっきりしておりまして、そのために下流に土砂を押し流しまして災害をもたらしたということになっておりますが、なおその崩壊の原因だとか、あるいは土石流の発生機構だとか、復旧工法等の検討のために現地に合同調査をいたしたわけでございまして、その結果が先ほど林野庁からも御説明ありましたように、今月中にまとめて御報告ということになっておりますので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  175. 志苫裕

    志苫裕君 それではこれはどうですか。先ほど言いましたように、原因論はちょっといまこっちへ置きますが、この崩落のメカニズムですね。これで一つ言われておりますのは、十八日の朝六時ごろ災害発生と、こうなっておるんですけれども、前の晩、十七日の晩に実は小崩落かあったんです。これがたとえば温泉管などを切って、そこでそこから、あれはどれくらいの量が出るのか知りませんが、相当の量が出て一定のところに蓄えられる。同時にエネルギーも蓄えているわけでありますが、そこから実は始まると。それからその翌朝その次の何万トンかの土の崩落になって一気に押し出す、こういう説が出ておるんですが、違いますのは、どこが違うのかというと、一つは、日大説というのは最初からもう六十万トンぐらいの土が一気に押し出したのだという説。この説は、それが証拠には途中の川沿いの土を削って雪だるまにふくれたという証拠はない、どこも土なんか削っておりはせぬという一つの説があるわけです。九十万トンという土が出たんだからという、これが一つですね。それからもう一つは、政府は二、三十万トン、粗っぽく言いますと二、三十万トンの土が途中の土を削って仲間にして九十万トンという量にふくれ上がってきたのだと。新大説というのはその前に二、三万トンぐらいの土が落ちてどこかに蓄えられておって出てきたんだと。この新大説と政府の説というのは、いずれにしても途中川沿いの土砂を巻き込んで九十万トンにふくれ上がったという説では一致するわけであります。そうなりますと、川沿いの土をそれだけ膨大もなく削った跡が必要だということになるわけであります。ところが日大説は、そんな土はどこにも削られておらない、最初からそれは上から流れてきたんだと。私は科学者というのはあの現場を、われわれ素人が見てもわかりませんよ。しかし専門家が見たらそれぐらいの違いはわかるんじゃないでしょうかな。これは一体どうですか。皆さんの方の専門家の見た見解ではいかがですか。
  176. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 農林省の方から前回の委員会で御説明申し上げました際に、約三十万立方ということでお話を申し上げたわけでございますが、それが流下する途中で川岸の土を巻き込みながら量がふえたと、こういうぐあいに実は思っておるわけでございます。で、ただいまお話しの日大の先生の六十万立方の数字でございますけれども、私どもが現地で崩落地を見まして、その崩落の高さでございますとか、あるいは幅でございますとか、さらには崩れました深さ、これは後からの見込みになるわけでございますので、正確な数字はむずかしいわけでございますけれども、そういった点から判断をいたしまして三十万立方程度というのが妥当な数字ではないかというぐあいに現在でも考えております。  なお、正確な崩れました土量の把握につきましては、現在崩れる前の空中写真とそれから崩れた後の空中写真を照合いたしながら土量を計算中でございまして、七月の上旬くらいまでの間にはそれをはっきり把握をいたしたいと、こんなぐあいに考えている次第でございます。
  177. 志苫裕

    志苫裕君 きょうはあなたといろいろと原因論を実は詰めていってもどうも出そうもないような気がしますが、しかし私は素人ですからわかりませんが、一方に六十万トンぐらいの土が落ちて、周りのものを巻き込んだんじゃなくて四十万トンぐらい逆に置いていったんだと。途中のものを持って出たというのと四十万トン置いていったというのじゃこれは大分違うわけですわね。日大のあれは、六十万トン滑って四十万トンをダムや流域に置いて二十万トンが関川まで流れていって下へ行っちゃった、これが一つの説ですね。それからもう一つの説は、落ちたのが小さいのから大きいものもありますが、二、三十万トン落ちて途中のものを巻き添えにしてずうっといった。置いていったのと持っていったんじゃ、これ話が大分違うことになるんですがね。これぐらいのことは専門家が見たらぱっとわからぬものでしょうかね。私らそれは現地へ行きましたけれども、何でもしゃばじゅう泥だらけになっていますから、置いていったものやら持ってきたものやらそれはわかりませんけれども、専門家が見たらすぐわかるんじゃないかと思うんですが、これは何か見当ついていませんか。その辺から少し糸がほつれるような気もするんで聞いておるわけです。
  178. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、私どもといたしましては崩落現場からは約三十万立方くらい崩れたというぐあいに考えておりまして、詳細な土量の変化につきましては、先ほど申し上げました崩落前後の航空写真を対比させながら現在計算中でございますので、七月上旬までの間にその辺についてははっきりさせたい、こんなことでおりますので、よろしくお願いいたしたいと思う次第でございます。
  179. 志苫裕

    志苫裕君 私、先ほど申し上げましたように、崩落原因というものが非常に大事な役割りを持つ、みんながそれに関心を持っておるし、これをはっきりさせないで今後の基本設計はできないということを申し上げておるわけでありまして、それだけに私はこの際細々したことはまだ時間がかかるようですから申し上げませんが、いずれにしても科学的であることを要求します。どういう答えが出たらこっちへ飛ばっちりが来るとか、どういう答えが出たら向こうへいっちゃうとか、これだけは実は厳正に科学的な態度で処理をしてほしいと思うんです。そこにたまたま建設省さんと農林省さん並んでおられるけれども、私らふっとこうおつき合いしただけでも、落ちた場所は林野庁の分野でその下に建設省がおって上から土をかぶったわけですが――ですので涼しい顔はしていないにしても、原因は林野庁がやってくださるんでしょうというふうなことで余り原因説にも積極的な意図も示されておらぬように、逆に人のなわ張りのことによけいなことを言うよりは黙っていた方がいい。たとえばこういう印象を、私の印象ですが、受ける。事ほどさように、やっぱり役所の欠点というのはよけいなことを言ったり、間違ったことをして自分のところへよけいなものがのしかかってこないようにというのが強過ぎるんですよ。きょう結論を出しておるんじゃないから言いませんけれども、林野庁の見解に対して言えば、あの災害が起きて草々の間に、とっさの間に林野庁なりの見解をまとめた。それはそれでその当時考えられた理由なんですからいいも悪いもありません。しかしあのときに言っちまったんだから、後からいろんな科学的なデータが出てきても初説を曲げないように、とっさの間に言うたところにつながるような、そういうまとめ方だけはやめてもらいたいということを、あくまでもひとつ科学的であることをこの機会に要望をいたしておきます。これ以外にどうもありません。  そこで当面の問題ですが、いまそろそろ梅雨期に入ります。ここでも少し見解が違うのは、いまだに山腹は不安定であって大雨が出たり大水が出たりするとどかっと来るよというて二次三次の崩落の危険の警鐘を鳴らしておるのと、林野庁さんの方では大分土も固まって安定をしてきた。いわば安定度の方のニュアンスを強く出していなさるところと、いやこれはやっぱり大雨でも降ればやってくるかもしらぬぞという心配事の方を少し前面に出しているところで受け取るニュアンスば違うのでありますが、ここのところはひとつはっきりさしておいてくださいよ。いかがです。
  180. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 私も五月の十八日に災害が起こりました際に現地に参上したわけでございますが、あのときに、十九日のことでございますけれども、行方不明の方々の捜索作業を開始できるかどうかという判断を林野庁側が現地災害対策本部の中で求められまして、私自身も十九日の早朝に現地を見たわけでございますが、その際に、現状を見る限りにおきましてはさらに大きな土石流が再び起こりまして十八日の災害のような大きな被害を起こすような土石流はもう起こらないのではなかろうかと。一万五千立方ないし二万立方くらいの不安定土砂がまだ崩落地に残ってはおりますが、一挙に大量の土砂が流れ出しまして十八日に起こりましたような大きな被害を起こすようなことはなかろうと、こういう実は判断を申し上げたわけでございます。したがいまして、そのときから絶対に安全であるというようなニュアンスの御説明を申し上げた経緯はないわけでございます。その後現地の営林局長の方がずっと引き続きまして二十四時間の警戒体制をとって現在に至っているわけでございますが、最近の報告によりますれば、崩壊面も乾燥してきているというようなことやら、それから融雪水もほとんどとまったと、こういうようなことから判断をいたしまして、崩落直後の状態よりはさらに安全度は増しているのではないかと、このように実は判断をいたしているわけでございます。で、重ねて申し上げて恐縮でございますが、発生直後から現地に営林署の職員を夜、昼配置をいたしまして、有線電話もつけて下の方の警戒体制と連絡をとりながら現場を監視をいたしておりますが、およそのところ今後大きな危険はないのではないかと、このように考えている次第でございます。もちろんいま梅雨どきでございますので、集中豪雨等も当然のことながら予想されるわけでございますので、そういったことも十分念頭に置きながらさらに警戒体制を継続してまいりたい、こんなぐあいに考えている次第でございます。
  181. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしてもこれはそろそろ梅雨期に入り、いつ大雨が降るかもわからないし、下流では工事もやっておるわけでありますし、少なくともこの山腹がすっかり安定をするまでの安定した長期の警戒体制、予報措置というふうなものはいずれまた後で改めて問題にするにいたしましても、当面の問題としてもこの警報体制、それ落ちたという、これがあればこの間のときに土石流は防げなかったが、人命は防げたわけでありますから、最低限。ですのでこの警報体制の方は万々遺漏はないでしょうね、いかがですか。
  182. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 先ほど申し上げました現地への営林署の職員の配置のほかに、有線電話をつけて無線と併用で下流の方と連絡体制をとっておりますとともに、上部の方に崩落の危険を予知できるような装置を四組セットをいたしております。それからもし万一土石流が起こりました場合には、それを直ちに感知をいたしましてサイレンが鳴るような仕組みを考えまして、そういった装置もつくりまして予知体制をいまつくり上げている状態でございます。
  183. 志苫裕

    志苫裕君 これは建設省になる……建設省も含みますね、全部。  私はこの間のときに、ここから上は林野庁、ここから下は建設省、ここからここは何とかと言わないで、川は一本ずつとつながっておるわけですから、全体の整合性のある防災設計、復旧計画というものを立ててほしい、さあそのまとめ役が国土庁になるのか建設省になるのかは別といたしまして、ということを要望をいたしましたが、先ほどの国土庁の報告を聞きますと、まあとりあえずの問題としてダムに手をつけたとか、いろいろなお話がありましたけれども、あの流域全体の防災設計というんですか、基本設計、基本計画というんですか、そういうものはいつごろでき上がりますか。これはどちらになりますか、どこが所管になりますか。
  184. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 災害の起こりました直後から建設省、林野庁の両機関で再々現地の調査でございますとか、あるいは情報の交換でございますとか重ねているわけでございますが、特に六月の二日と十九日の二回にわたりまして国有林の治山事業の担当者と、それから砂防関係方々と打ち合わせを行っておりまして、今後におきますところの白田切川全域につきましての災害復旧工事の打ち合わせを行っているわけでございます。その中で治山関係につきましては崩れました下流に治山堰堤を五基入れると。それから……
  185. 志苫裕

    志苫裕君 いやいやそういう細かいことよりも、防災の全体の計画というのはいつごろできますか。
  186. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) そこで先ほど申し上げました打ち合わせの中で、一応現在早急に復旧工事もいたさねばなりませんので、一応のものを両者間で打ち合わせの上でつくり上げております。なお先ほど申し上げました今月うちに御提出申し上げる報告の中でも、将来の工法等についての提案があることになっておりますので、それを見た上で修正すべきはしたいと、こんなぐあいに考えております。
  187. 志苫裕

    志苫裕君 建設省答弁ありますか。
  188. 瀬戸充

    説明員(瀬戸充君) ただいま林野庁の方から申されたとおりのことでございますが、それを受けまして下流の緊急砂防の地域とそれから河川災害復旧地域というぐあいに分担いたしまして、その両方につきまして県及び担当の建設省所管課でもっていろいろ計画を検討いたしております。なお先日すでにその下相談、いわゆる事前協議と申しておりますが、そういう内容につきまして協議を行っておりまして、実は査定を七月上旬、七月に入りまして早々行いまして、これでその工法のあらましを大体決定いたしまして、しかもすぐ工事に着手するという予定にいたしております。
  189. 志苫裕

    志苫裕君 順序はおよそこう考えればいいですか。先ほどのいわば調査団による原因調査などを含めて防災計画の当然提案のようなものもその報告の中には触れられている。で、それらを踏まえながら七月の上旬等には現地査定等も行ってそのいわば青写真というふうなものができ上がる、こういうふうに考えていいですね。
  190. 瀬戸充

    説明員(瀬戸充君) いま先生の御指摘のとおりでございまして、いわゆる査定と申しますと、やはり現地で概略のことといいますか、現地を見た段階である程度決めることでございまして、非常に重要な問題等につきましては保留という形でまた持ち帰りまして、さらにもう少し慎重を期しまして衆知を集めまして決定いたすという手段でございますので、七月上旬のその査定のときに一〇〇%決まるというわけでございませんが、あらかたのことは決まりまして、緊急的に仮工事等手をつけなければいけないものにつきましては早急に着手するという予定になっております。
  191. 志苫裕

    志苫裕君 時間もないようで、少しダムサイトの問題や流域の大きさの問題などをお尋ねしたかったんですが、これは皆さんの方がこれで大丈夫だという防災の基本計画のようなものがまとまったあたりでまたいろいろと意見も述べさしてもらいたい、このように考えます。  時間がないですが、環境庁さん、あれですか、私の方から申し上げて簡単に答えていただけばいいんでありますが、とりあえずケーブルでお湯を引っ張る。で、何とか先ほどの四柳審議官報告でも、そのうちにお湯が出るような話でありましたが、これは当面のお湯の引っ張り方ですか。将来こうやるのですか。
  192. 中島良吾

    説明員(中島良吾君) お答えいたします。  現地からの報告によりますと、現状では仮復旧工事をやっているというふうに聞いております。  それからこれは非常災害のための必要な応急措置でございますので、自然公園法上は許可を要しない行為として取り扱っております。
  193. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると本格的に将来お湯を引っ張る方法ということになりますと、これどうなりますか。
  194. 中島良吾

    説明員(中島良吾君) 自然公園法では風致の規制、つまり自然景観の保護という観点に立っての規制ではございますが、災害の予防という観点も非常に重要な事項でございますので、この点に観点を置きまして、たとえば地下埋設でなくて宙づりの方式をとるというような方向も当然調整できるというふうに考えてございます。
  195. 志苫裕

    志苫裕君 この点について言えば、今度お湯の管が引き金になったかならないかも一つの論争点になっているわけですが、前にこのお湯の引っ張り方でも論争があったわけです。今度のようにケーブルで引っ張ったらどうかという提案は前にもあった。しかし、それは採用されなかった。そこで土の中へ埋めたけれども、土砂崩れでお湯管が壊れてお湯がどうどうと一晩じゅう流れておってそいつが引き金になったという仮説もあるわけですね。ですので、この辺はこれもあの地区全体のこの基本的な防災計画の中にきちっと位置づけて取り扱いされるように要望いたしておきます。  それから労働省おいでいただいておりますね。――お願いいたしますが、二つだけ重ねてちょこちょこっと聞いておきますが、一つはロッジの管理人、これは業務上災害でしょうか。  それから二つ目、二次災害で役場の職員が三名亡くなりました。これはすでに公務災害というふうに役場では言っておられるようでありますが、そのことは一応ちょっと別にしまして、労働安全衛生法上の問題が残ってくるわけであります。この問題を処理をする役所というかな、場所は監督署の方でしょうか、あるいは役場そのものでしょうか。この二つの点お伺いいたします。
  196. 津沢健一

    説明員(津沢健一君) 御説明申し上げます。  いわゆる天災地変は、それ自体としましては業務と無関係な自然現象でございますので、一般には業務外の災害ということになるわけでありますが、しかし、天災地変に際しまして生じました死傷災害でありましても、同時に天災地変によって死傷災害をこうむりやすいというようなそういう業務上の事情がありまして、その事情と相まって発生した場合には、業務に伴う危険が天災地変を契機として現実にあらわれたということも考えられまして、この場合は業務上の災害と認められることになるわけでございます。御指摘の妙高高原の有沢製作所の管理人御夫妻が亡くなられました災害につきましては、これがただいま申し上げました要件に当てはまるものかどうか、被災されました方の雇用関係がどのようなものであったかなど、その細部の調査を待たなければ結論を出すことはできないのではございますが、現在までに把握しております状況から見ますと、業務上の災害として認定される可能性があるものと考えております。保険の給付請求がございました次第、速やかに結論を出すようにいたしたいと存じております。  それから第二点でございますが、町の建設課の職員の方がお亡くなりになっておるわけですが、この方につきましては、労働基準法第八条第十六号に該当する事業に従事する職員でありますので、地方公務員法の五十八条の規定によりまして原則として労働安全法の規定の適用を受けることとなるわけでございます。しかし、当該職員に対しまする労働基準監督機関の職権ということになりますと、これは地方公務員法第五十八条、ただいま申し上げました五十八条の第四項の規定によりまして人事委員会などが行うこととされておるわけでございます。妙高高原町の場合につきましては、人事委員会が設け置かれておりません地方公共団体に当たりますので、ここの場合には、ただいま申し上げました労働基準監督機関の職権は地方公共団体の長である町長が行うということになります。
  197. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、確認いたしておきますが、有沢製作所、これは高田労働基準監督管内だから直接扱っているんでしょうが、そのほかにも事業所はあそこにないけれども、高田労働監督署を離れればあるわけですが、有沢製作所を例にとれば、業務災害であるということで、給付の請求があれば支払いに応ずるということで確認いたしますね。  それから――後段の点はわかりました。そうしますと、自治省おいでですね。どうですか、労働安全衛生にかかわる監督機関の取り扱いは町長が行う。町当局は、いや町長はこの問題についてはいまどういう措置を行っていますか。
  198. 宮川雅一

    説明員(宮川雅一君) ただいまお話がありましたように、町長は労働基準監督機関としての職権を行うということになっておりますので、労働安全衛生法の規定に基づきますいろいろの権限というものを行使するわけでございます。当然町といたしましては、事業者という立場もあるわけでございますから、そういう立場において第一義的に安全対策というものについて当然いろいろの対応策をとっておるというふうに承知いたしております。
  199. 志苫裕

    志苫裕君 これでやめます。私は、きょうはやはり地元のいろんな問題がありますから、この問題での深追いはいたしませんが、必ずしもとっておるということにはならない。果たして労働安全衛生上の諸手続といいますか、諸措置が万全であったかどうかは議論のあるところでしょう、きっと。それについてどうしようこうしようというような話が進んでおるとも聞いておらないわけであります。いま両省のお答えのように、これは監督機関の権限は町長が行うということがはっきりしたわけでありますから、自治省もう少し町とも連絡をとって、これらの取り扱いに遺漏のないようにこの際要望をいたしておきます。  時間も参りましたので、委員長、先ほど来お話がありましたように、どうも月末以降に出てくるであろうこの報告書が大変重要な意味を持つような気がいたしますので、機会がありましたらまたそのような場を設けていただきたいと、こう思います。  終わります。
  200. 藤原房雄

    藤原房雄君 先ほどに続きましてお尋ねを申し上げますが、先ほど申し上げましたように、また他の委員からもお話ございましたが、罹災者の場合には、緊急避難の場合、それから仮設住宅とか、そういうことで、居住の問題についてはいろんなことが言われるわけでありますが、やがて落着いて家を定めようということになりますと、それぞれの財力に応じていろんなことが考えられることだと思うのでありますが、先ほど来各委員からお話ございましたように、現在住んでいる家のローンが終わっていないという、そうして新たにまた家をつくるとか、それぞれいろんなことをなさるわけでしょうけれども、こういう場合には、今度の災害は当然災害復興住宅資金、こういうことでこれに該当して借り入れができるんだろうと思いますけれども、前のローンをまだ払っていないのにまた借りざるを得ないという、こういうことになりますと二重になるわけなんで、こういう立場の方々のためには償還期間を三年以内据え置いて云々という条項もあるようでございますけれども、ここらあたりのことについて、この災害復興住宅資金、このことについて長々しいお話は結構なんですけれども、そういう二重になる方にはこういう制度でこういうふうになるんだという、その辺をちょっと住宅金融公庫の方にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  201. 高橋明

    参考人高橋明君) 簡単に答弁せよというお話でございますから簡単に申し上げますが、私どものいわゆるお話の既融資住宅融資借り受け者につきまして、その融資住宅災害を受けた場合、新しくまた住宅の建設なりあるいは修理をしなければいけない。そういう場合に既融資の返済負担と、それから新築または補修をした場合のまたローンの返済負担、二重になることについてどういう措置があるか、こういうお話でございますが、一応既融資住宅につきまして償還負担が非常に大きくなる。つまり災害を受けたために一時家業その他に支障を来すということで償還能力が落ちるということと、それからその新しい新築または補修のためのローン負担、あるいは家族がけがをされる、あるいはたまたま何らかの災害原因で病気をなされたためにいわゆるその家族の収入の面から見て償還が非常に困難になったというような場合には、その収入減になった額に応じまして既存のローンに対して最大三年据え置き期間を新たに設定をする、あるいはその据え置き期間の間の利子率を最大一・五%の範囲内で負担を軽減をするという措置を講じております。で、最大と申しましたが、その最大までの段階、どの程度適用するかにつきましては、その収入減とそれからその負担増になった負担の割合に応じて個々に判定をする、こういうふうにいたしておりますが、その実施につきましてはこれは金融公庫法の規定に基づきまして主務大臣の認可をいただいてから実施するということになります。
  202. 藤原房雄

    藤原房雄君 今度の宮城沖地震、これが当然災害復興住宅資金の借り入れる条件に該当し、これ罹災なさった方々は借りられることになるんだろうと思うんでありますが、そうすると利子のことについて三年据え置きということはこれはそうなるとして、この三年据え置き、それから利率が下がるということについては個々にやっぱり条件があって、こういう条件を満たされなければ、三年の据え置き、それからまた利率、こういうものについては適用できないということになるんですか。これはもう罹災なさった方々はまあ一・五じゃなくても、最大が一・五ですから今度の災害をどういうふうに見るかによっていろいろ決められるんだろうと思うんですけれども、どういう条件があればどういうふうなことに決まるのかという、ここらあたりどうなんですか。
  203. 高橋明

    参考人高橋明君) 先ほど簡単に話せというお話がございましたので簡単にお話し申し上げましたが、詳細に申し上げますと、先ほど申しましたように災害のために収入減になる、あるいは融資住宅復旧に要する自己資金が要る、あるいは出漁等の用意が要るということの原因のために実質上収入減になるわけですね。収入減になる額と、それから災害時以前の一年間のいわば収入額との比率を見るわけです。比率を見て、それを罹災割合と称するわけですが、その罹災割合が三〇%未満の場合には据え置き期間を一年とする。据え置き期間中の利子率の引き下げを〇・五%とする。それが三〇%以上六〇%未満の場合は据え置き期間を二年にする。その間の利子率の引き下げを一%にする。六〇%以上の場合は据え置き期間の設定を三年にする。その場合の利子率の引き下げの幅を一・五%にする。そういういわば一応内規をつくっておりまして、これを個々の申請者に――申請者といいますか、貸付条件を変更してもらわないと負担が重いとおっしゃる方々の申し出に応じて個々に審査をして、この変更といいますか、負担軽減を適用するわけですが、これは一応われわれの内規でございまして、したがいましてこれから主務大臣の御認可を得て実施することに場合によってはなるかと思いますが、いまここで確定的にこうなるということはちょっと申し上げかねます。
  204. 藤原房雄

    藤原房雄君 いまお話お伺いしましてわかりました。内規でいろいろ定めるようでありますが、先ほど参考人のお話ございましたように、五百八十万というこの公庫の融資でも足りない、実際全然手持ちもなく、そこから始まるわけでありますから、ある程度蓄えがあってそこからやる方とはずいぶん違うんだということで非常に厳しいという、もっともう倍ぐらい考えてもらいたいというようなことを先ほど参考人の方が言っておりましたが、そういう事情にあることを十分に考慮いただき、また国の住宅政策ということでどんどん宅地が造成され建っておる。建っておるその途上の中でこういうことが起きたわけでありますから、ことのほか現在もまだローンが十分に払い切っていない。一年、二年、三年、長い人でも十年そこそこ。そういう方々が非常に多いという、こういう現状にかんがみまして十分な配慮をしていただきたいものだと思います。  これはあなたに言ってもしょうがないのかもしれません。それで政務次官ひとつその点を十分にお願いします。もう頼みは政務次官しかいないんですから、内規でいろいろ決めるということでございますけれども、そういう点ひとつ現状に即したように、われわれも法外のことを言っているわけじゃ決してないんですけれども、現状認識をした上で賢明なひとつ判断をしていただきたいということなんですが、御答弁いただきたいと思うんです。
  205. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) ただいまの質問に対してお答えを申し上げたいと思いますが、藤原先生のおっしゃるそのお気持ちは十分わかりますし、私どももこの問題に対して大臣も相当頭を痛めておりますし、また庁内のいろいろの関係からこうした地震に対して特に考慮をすべきことが必要であろうということで、ただいまも資料をもらいましたが、五百八十万円にしましたのは最近ふやしたわけであります。しかしこれでいいというものでもありませんから、どういう方向へ持っていくかということについていろいろと内部で調整をいたしておりますが、先生御指摘の点につきまして先生自身も御存じだと思いますが、先ほど金融関係からの答弁のありましたように非常に厳しいいろいろの規約があるわけでございます。その規約の一つ一つをひもといてこういう機会に解決をしていかなければなりません。大臣もきょうはきっと御答弁していただいたことだと思いまするが、この問題について慎重に、そしていままで融資を受けておった人々がこういう災害におけるところのまだ残り分があり、さらに金がかかっていくという点についてどう考えるべきか、また五百八十万円でそのものずばりと借りてみても金額が少ないという点については、昨年ふやしたばかりではありますけれども、一層またこの問題に取り組んで慎重な考え方で先生の御期待に沿うように努力をいたしていきたいという考え方でございます。どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  206. 藤原房雄

    藤原房雄君 本当に心温まるお話で精神的には本当にもう感激をいたすのでありますが、まあいろんな条件もありますから、私は何をどうだと言いませんが、どうかひとついまの情熱あふるるまた感激的なお言葉、実現の方向でひとつがんばっていただきたいと思うんですが、それとともにこの住宅金融公庫からお借りなさっている方、この方々についてはいまお話がいろいろあったわけですけれども、一般金融機関からお借りして建てている方もやっぱり相当いらっしゃるわけでありまして、今度新しく建てる家がまたどういうふうなことになるのか、その人その人のいろんな条件があろうかと思います。こういうことを考えますと、一般金融機関についても、おれの方は別に制約されるわけじゃないんで、住宅金融公庫とは違うんだということで、こういう災害時のときに手をこまねいて見ているというような、こういうことじゃなくて、やっぱりこれば大蔵省になるんですか、行政当局のやっぱり行政的なこれは指導というのか何というのかわかりませんが、やっぱりこれに準ずるような住宅金融公庫にすべてが同じというわけにいかないかもしれませんが、準ずるようなことについての話し合いというのはやっぱり大蔵省当局としてもなすべきだと思うんですが、どうでしょう、大蔵省。
  207. 野田実

    説明員(野田実君) お答え申し上げます。  災害地に対します民間金融機関の措置につきましてすでに通達を出しておりまして、民間金融機関をして災害状況応急資金の需要等を勘案して被災者の便宜を考慮した適時適切な措置をとるよう配慮しなさいという通達を出しております。この通達に基づきまして個々の金融機関と借入者との間でいろいろ個別に相談に乗ってもらえるようになっております。  なお本年度から新たに住宅ローン相談所というものをあちこち全国につくりまして、こちらでも、一般に災害の場合だけではございませんけれども、災害の場合にも相談に応じられる形になってございます。
  208. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、これは老婆心ながら申し上げるんでありますが、危険地域指定といいますか、こういうことで先ほど午前中もいろいろ話がございましたが、相当な戸数の方々がこういう危険地域のようなところに指定される、こういうことになりますとその土地の価格というのは下落する。そういうことでローンによる土地担保の価格が不足するというようなことで、こういうときに担保を要求されるなんという、災害のためにこうなったわけでありますけれども、そういう弱い立場の方々にそれで追い打ちをかけるみたいなことはこれは万々ないだろうと思いますけれども、しかしこういうことについても十分に考えておかなきゃならないことの一つだろうと思うわけでありまして、こういうことにつきましてもやっぱりきちっとした、まあ先ほどの通達でこういうことも含めて、含まっているのかどうか私はよくわからないんですけれども、こういう点についても十分にひとつ指導し、そしてまた災害後、罹災なさった方々に対しての行政当局の対処の仕方というものについても厳しくひとつ見ていただきたいと、こう思うんですが、いかがでしょう。
  209. 野田実

    説明員(野田実君) 無担保で融資することが適当かどうかにつきましてはその個々の状況によるのではないかと思いますが、適時適切に措置をとるようにというこどでございまして、個々の状況に応じてやっていただきたいと考えております。
  210. 藤原房雄

    藤原房雄君 現在借りている担保になっているその担保が価格が下がるということになりますからね。それでそのままでいいのかという、貸す方にすればそういうことになるのかもしれませんけれども、それはまだこれからどういうふうに推移するかということもわからぬわけでありますし、そしてまたどういう時点でどうするかということについてもこれは余り罹災者に対しての動揺を与えるようなことがあってはなりませんし、銀行当局としてもこういう罹災者に対しての、たとえそういう変動といいますか、動きがあったといたしましても、十分なやっぱり社会性、公共性、こういうものを勘案した対処の仕方であってもらいたいということで申し上げているんですけれども、それはよく理解していただけると思いますが、そういう点、ひとつ御注意を払いながら罹災者の立場に立って行政当局もひとついろいろ対策また対処の仕方、こういうものについても御検討いただきたいと思うんです。  さて今回、地震もない非常に災害のない仙台宮城と、こう言われておったわけでありますが、今回非常に大きな問題が起きました。これは新しい造成地、それから古い造成地、宅地造成をしたところにこういう問題が起きたわけでありますが、宅地造成のあり方等についても今日までいろんな論議がなされてきたわけでありますけれども、そこで土質とかまたその地域に断層がどうとか、こういうことについていろんな学者の方々はそれぞれの立場で研究なさっておる。宅地造成法というのはできたものについてどうするかという、そういうことはいろいろな角度から規制をなされるわけでありますが、土質とかどこに断層があるかという、こういうことについては学者は学者の立場でいろいろ研究なさっている。機関それぞれによって研究なさっているけれども、それが即造成地にここはこうだからこうだというふうにその情報というものが生かされていないということを私痛感するわけですけれども、そういうことをうっかり言ったらその土地が下落して所有者に大変なことになるという、いままでそういう思惑があったのかもしれませんが、今日宅地造成がどんどん進んでそしてあちこちに住宅がどんどん建つ、そして地震がある、また何か災害があると必ずもう大きな事故がそれに伴って出てくるということを考えますと、この宅地造成法というもので宅地についていろんな規制をする以前の土質なりまた断層といいますか、その土地の状況というものについてやっぱりきちっとして、行政当局としましてはそういう情報をもとにしてそこが宅地として適当であるかどうかということについてもやっぱりきちっとした対処の仕方をしなければならないのじゃないかというふうに考えるわけですけれども、どうでしょう、政務次官。
  211. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) 宅地造成につきましては、先生方から真剣にいままでの災害災害でないときにも決壊があるということで、相当建設省でも厳しい制約を設けるようになりました。最近の宅地造成においては進歩した宅地造成が行われており、また完璧とまではいきませんにしましてもだんだんよくなったと私どもは思っております。  今回の宮城県の地震災害におきまして一部災害におけるところの住宅が大変なことになって、いま現在は疎開をしておっていただくようでありまするが、聞くところによりますと、この地域はそうした規制の設けられる前にできた住宅のように承っております。しかし今後この土地がさらにそこに皆さん方に住んでいただくことができるかできないかということは、これはもう徹底的調査をしなければ、二次災害が起きるようなことでは大変であります。全国的に見ましてもまだそういう個所がきっとたくさんあることだろうと思いますので、こういう機会においてさらに一層調査を進めて、災害のあったときにたくさんの犠牲者の出ない、一日も早く直すべきところは直さなければならぬという考え方を持っておるのでありますし、昨日第二次対策本部会議を開きました節にも、そういう問題はそれぞれの各省の方々からも意見が出ましたし、私は副本部長をいたしております関係からそれを強くお願いして、至急全国的にも調査をしてもらうように、さらに今度の問題におけるところの宮城県における緑ヶ丘住宅に対しては早く結論を出すようにということを言っておきました。先生の御指摘どおり今後十分こうした問題については研究をして、よりよき安心して住宅の建てれる措置をとっていかなければならぬということを思っております。  以上、答弁であります。
  212. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあこれからの――これからというか、規制法ができてからもまだ十分ではなかったわけですが、その後何度か地震災害を受ける、またロサンゼルスでああいう事件があった、こういうことでまた研究に行く、こういうことでだんだんだんだんよくなってきているのは私ども十分承知いたしているわけでありますが、じゃ前のはいいのかというとそういうことじゃ決してございませんで、やっぱりいま政務次官がおっしゃったように、いままでのものにつきましても十分な調査を、総点検をしていただいた上で、やっぱり住宅が建って、そして事故が起きてからあわてふためいてどうだこうだという対処の仕方というのじゃなくして、それはいろんな問題があると思いますけれども、いま政務次官のお話もありましたように、ぜひひとつ旧来のものにつきましても十分な、同じような轍を二度も三度も踏むことのないような対策を、恒久的なそういう問題も、いま起きたことに対してどうするかということも大事でありますが、今後のことにつきましても十分にひとつ配慮をいただきたいものだと思うんです。  学問もどんどん進みまして、そしてまたこの緑ヶ丘につきましては以前から断層があるということも言われておったんです、これ。それから亜炭の山で下にたくさん掘った跡があるとか何かいろんなことを言われておるのですが、ただそういうことが巷間言われておるということであって、それがある学者の調査によればということなんですけれども、そういうことがあるならばそれを確認する道とか、そしてそこに住宅がどんどんふえることが適当かどうか、そういうこともこれは社会常識としてはいろんなむずかしいことがある。まあ造成した人がそういうことを発表されたんじゃもうたちまち値が下がっちまって家も建てられないような土地を持ってどうするかということがあるかもしれませんが、人命を最大に尊重するという、こういう立場からするならば、こういうことについてもいままでのように、ああだからだめだ、こうだからだめだ、危険だということがわかっていながらそっとしておこうなんという、こういう消極的なことじゃならないという感じがするわけですから申し上げているわけでありますけれども、ぜひひとつ積極的に新しいものはもちろんといたしましても、古いもの等につきましても今後十分な総点検、そしてまたそれに対する対処、こういうものも十分にしていただきたい、こう申し上げるわけであります。  それから、知事からもお話ございましたし、自治省の方に遠藤理事の方からもお話ございましたが、新しいものについては十分排水とか下水のこういう水抜きとかいろんなことについては配慮を重ねられているわけですけれども、古い団地についてはこういう下水や排水のあり方等についてばもういいかげんなものが多いわけなん、で、それが漏水といいますか、地下にいろんな地殻変動を起こすまたもとになるということも言われるわけであります。こういうことで、地震という特殊なことがあってこうなったと言えばそれまでのことですけれども、やはり造成地についての水道、下水、こういうものの漏水、こういうことのために地盤が緩むという、こういうことのないようなことも十分考えなければならぬだろうと思うんです。  政務次官、これは自治体の財政力の弱いところで、じゃ見ましょうなんて言って簡単に見れることじゃ決してないんですども、自治省も十分にこういうことについての手当てのできるような交付税の配慮なり処置をするようにして、古いから起きて仕方がないんだという、こういうことのないようなひとつ対処をぜひお願いを申し上げたいと思うのであります。  午前中も遠藤先生からお話があったんですけれども、今度の地震が7・5ということでありますが、それにしても地下の埋設物というのは非常に弱かった、水道にしろガスにしろ。これは私どもは詳しい専門家じゃないからわかりませんが、全体的に宮城というのは地盤が強固だという、地震には強いんだという意識があって、だから弱くしたわけじゃ決してないんだろうと思うんでありますが、地下埋設物についてはやっぱり相当な強度を持ったものにしなければならないと思うんです。  こういうことで、県の方からの陳情書の中にもありますが、石油タンクとか橋梁とか鉄道とか学校、こういう建築構造物の建築や宅地の造成、こういうものに対する「耐震診断及び耐震設計技術基準の見直し」、これをやるべきだというお話ですが、宮城また仙台のこういう構造物がほかのところよりも弱いという、こんなことじゃ決してないだろうと思うんですけれども、日本列島至るところ地震の多いところであるだけに、今回のこの地震を一つの教訓として、耐震性の技術基準ということについてもこれは十分に考えなければならぬ。特に地下埋設物、まあ目に見えるところはわれわれはすぐ気がつくんですけれども、今度の水道にしろガスにしろ、非常な広範囲にわたるだけに事故も多い。これは通産省の方いらっしゃらないからあれですけれども、一般的な問題として政務次官、これもひとつぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
  213. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) ただいま先生御指摘の地下埋設物に対して今後この基準の見直しというのか、設計監督に対する厳しいものをやれというお話でございますが、全くそのとおりであります。今度の宮城地震におきましても、一番障害になりましたのは御承知のとおりにガスが漏れたということが大きな障害でありますし、また水道管が破裂した、電気関係が壊れたという、こういう点が障害を大きくしたことは、これは先生方御存じのとおりでございます。  そういう意味において、基準がどうよりも、現在のあり方におきましては相当地下埋設に対しての基準が厳しくなっておりますので、その影響たるものにはそういう大きな障害はないと思いますが、かつて何年か前に埋設したものが大変傷んでまいりましたし、腐食いたしておるわけで、ガスなんかではもうすでに埋設をしてから、これは宮城だけでなくて東京都におきましても、あるいは大阪においても、過去もう四十年ぐらいそのままの状態ガス管が埋まっておるというような実態があるわけであります。大変な金がかかりますので、ガス会社にこれを直ちにやれと言ってみても、財政がガス会社自身あっぷあっぷでありますのでなかなかこれをやらない。しかし行政の立場から言えば、人命のとうとさを考えたときに金がかかろうとも執行していただかなければなりません。  そういう点から、いま一度御指摘のとおりにさらに悪い個所はないかということを検討しながら、現在の技術面におけるところの基準だけでいいのかどうかということを各省それぞれ専門的に検討していただき、さらに学者を交えながら一層の研究をしまして、よりそうした危険をなくするように配慮いたしていきたいと思いますので、どうぞひとつ先生方の御協力方も、そうした法案を直すときにはぜひお願いをいたしたいということをお願いいたすわけでございます。
  214. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから仙台地震のとき火事があった。その中でも大きいものにガスの有水槽ですね。タンクが燃えた、低圧ガスホルダー。高圧じゃなかったから余り危険はなかったのかもしれませんが、しかしガスがたくさん入っておったんですね。なぜああいうものが燃えるような惨事になったのか、いろいろな原因があるのかもしれませんけれども。タンクそれ自体は三十二年、一応三十年を過ぎているんですね、耐用年数というか。これは通産省――通産省いないから副本部長に申し上げているんだけれども、耐用年数というのは、これはどういうふうにして算定するかというこれもあるんですけれども、しかしこれは東京ガスで戦前使っていたやつを持ってきたやつでして、当然今日耐えられるというか、まあ耐えるというから使っていたのかもしれませんが、壊れるべくして壊れたというか、そういうふうに感ぜざるを得ないんですね。ちょっと調べてください、本当に。東京から持ってきて三十二年前につくり直したというような、こういうしろものでしてね。これはただ高圧でないために通産省の検査がないと言う。しかし通産省としてはいつも公益事業の大事なところとして発電所やなんかと同じようにやっぱり検査するわけですから、そういう年数のたったものについては注意するということは当然じゃないかと思うんですよ。  こういうことで、またタンクが、まあ市のガスの責任者もいよいよ古くなったと言ってやらなかったのもやらない方ですけれども、それはお互いにチェックし合うということのために行政当局の検査があるんでしょう。ですからこういうガスの入ったタンクが火を吹いて燃え上がるなんという、こんなことはあってはならないわけでありますから、たとえ低圧だといいましてもやっぱり注意しなきゃならないんじゃないでしょうか。  こういうことで、余り先ほど来お話出ていませんが、もう一歩立ち入ってみますと非常に問題だらけなんでして、これもぜひひとつ厳重に今後のこととして通産省当局で御検討いただけるように、副本部長よろしくお願いします。  それから、都市型災害ということで都市の方に集中しておるわけですが、農業、漁業につきましてもやっぱり相当な被害があるわけであります。先ほどの県のまとめたやつを見ますと、まだ完全にまとまっておりませんからあれですけれども、五十億、六十億。農業被害についてはいろいろな制度がありますから十分な対処がなされるんだと思いますが、漁業も閖上等漁港に亀裂が入ったとか壊れたとかということですから、これも公共事業としていろんな対処の仕方あるだろうと思いますが、農林省の方いらっしゃっていますか。長い話要りませんから、今度の被害についてどういうことを考えておるということだけでも結構です。
  215. 長野孝夫

    説明員(長野孝夫君) お答えいたします。  農地それから農業用施設、農地海岸の関係では千三百五十五ヵ所、約八十億という数字が六月二十一日十五時現在で参っております。これに対しましては、被災後直ちに担当官を現地に派遣いたしまして、被災状況の把握と農地、農業用施設の点検等をいたしておりまして、復旧方針等の指導を行うとともに、六月十五日から復旧工法等の指導を行っておるところでございます。  査定につきましては、現地の準備が整い次第早急に行いまして直ちに復旧工事を実施したいというふうに考えております。
  216. 藤原房雄

    藤原房雄君 私も現地に行きましたけれどもね。用水路、いま大事なときですから、すぐやれるものとまた時を待ってやらなきゃならないものがあるかもしれませんが、ぜひひとつ早急に対処していただきたいと思うんです。  これは助役の話にもあったんですけれども、大きな農家の家がずいぶんやられたという話もございましたが、これはちょっとおかしい話なんですけれども、豚小屋が倒れたときにはこれはいろんな農林中金や何かの施設被害ということであるんですけれども、農家の家は皆さん御存じのとおり大きい家が多いわけですね。先ほどの公庫のお話じゃないけれども、五百八十万じゃとても建たぬようなそういった大家族。貧弱な家ではもう若い者は寄りつかぬということでいろいろお父さんも頭を痛めて、農家は農家なりの苦労をしておるわけですけれども、農家の方々住宅を建てるという、まあ仙台だけじゃなくて近辺の農家の住宅が相当やられたわけですけれども、これはこういう農家の住宅が壊れたものを建て直すというときには、いま住宅金融公庫ということになるかもしれませんが、それだけではもう半分にも追いつかないという現状でして、またそれならば農協の方の融資ということになると非常に金利が高いということで、こういう罹災者の立場に立つ方々のためにはもっとこれは低利なことを考えなきゃならぬ。農家の方々住宅問題というのは都市の方とも違ったまた問題があるので、これもぜひひとつ頭の中に入れていただいて御検討いただきたいと思うんです。  それから郵政省。今度現地へ参りまして、県警本部長が非常に情報が的確であったということでNHKそのほかマスコミに対しても評価をしておりました。二月の地震のときちょうど私は仙台におったんですけれども、NHKの放送局が故障したということでしばらくは情報が流れなかったわけでありますが、今度は的確で、私も逓信委員会におりまして申し上げたことあるわけですけれども、災害時にはやっぱり一番頼りになるのはラジオ、テレビ。電気が切れるとラジオしかないわけですけれども、正確な情報を流しませんとどうなっているのかもわからぬ。そこへ今度電話が全然通じないということになりますと、本当に右往左往するだけという、こういうことでNHKも最近何度か災害に遭うたびにだんだんよくなっておるということで、余りうれしくない話なんですけれども、しかし今度は非常に住民の方からも何人か私聞きましたけれども、やっぱりそういう評価でございました。それとやっぱりこれは民放の方についてもさらに努力をしていただくようにしなきゃならぬと思いますし、今回のように電気がしばらくの間とだえる、そういういろんな非常事態の中でマスコミ、放送局や新聞社等の担うべき役割りというのは非常に大きいということを痛感するわけでございまして、やっぱり本当に身近な問題等について、その地域地域の問題等についてきめ細かに情報を流す、こういうことについてもぜひひとつまた御検討をいただきたいと思うんです。  これはこの前、二、三年前、逓信委員会でも申し上げて、それでいろんなことを検討したようでありますけれども、さらにまた今回のことを教訓としてやっていただきたいと思うんですが、特に民放等につきましても、ずいぶん努力をなさっていらっしゃるわけですけれども、仙台ぐらいの六十何万の都市ですとあれでよかったのかもしれませんが、大都市になるとどうなるかということでこれは非常に大事な問題でございますので、お願いします。
  217. 志村伸彦

    説明員(志村伸彦君) 郵政省といたしましては、そういう災害のときの放送の確保ということ、これは放送の基本的な使命であるということで従来から指導してきておるわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、今回の地震の際は比較的放送が的確に行われたということで私ども喜んでおるわけでございますが、なお一部の地域におきましてやはり停電によるもの、あるいは送信機の事故によるものによりまして一部の地域で放送が出なかったということもあったわけでございまして、そういうようなことを今回の教訓といたしまして、NHKそれから民放ともに今後とも国民に役立つ放送ということで万全な体制をとるように指導していきたいと考えております。よろしくお願いしたいと思います。
  218. 藤原房雄

    藤原房雄君 それに引きかえて電話の方は非常に通じないということで、やっぱり殺到するというか、機械上、技術上やむを得ないという面があるのかもしれませんが、これも今回だけじゃ決してないわけで、われわれいままで聞くところによると、電電公社は災害時には移動電話とかいろんなことで対処します、災害にはもう絶対――絶対とは言わないけれどもそれなりの対処しておると言うんですけれども、今回は災害といったって一地方の小さい村が、町がやられたということじゃない。そういうことで、いろいろの問題があろうかと思いますけれども、電話が通じないということになると、全国の人たちはみんな自分の身内とかなんかということで心配しておるわけでありますから、そういうふうなときには放送機関を通じてそういう状況に対してどうするかという、放送局だけじゃなくてやっぱり電電のそういう状態になったことに応じて放送は何をしなきゃならないかという、こういうことが今回ある程度考えられたというところに評価があったわけなんですけれども、今後もっと具体的にいろんな問題についてひとつ御検討いただきたいと思うんです。  それからブロックべいの問題があるんですが、これは今後どういうふうにするのかという、ただ強くすればいいのか。仙台は御存じのとおり非常に狭い道路、旧市街、こういうところにブロックべいの間を縫って歩かなきゃならないようなところがあるわけですが、それに比べて緑化木というのは非常にそれなりの役割りを果たしておる。緑化推進とかいろんなことを言われておるわけですけれども、非常にこの緑化木の方が緑化推進という上からも好ましいことだと私は思うんですけれども、どんなにこれ強いものにいたしましても、やっぱりこれからどういう地震といいますか災害が起きるかということもわからないということを考えますと、この強度をただ強くするということだけでいいのかどうか。この辺も都市構造の中でブロックべいのようなものが適当かどうかという根本的な問題について、これは御検討いただかなければならないのではないかと思うんです。こういうことで緑化推進とか何かいろいろ叫ばれておる中で、ぜひひとつ根本的な問題としてこれも御検討をいただきたい、こう思うわけであります。よろしいでしょうか、副大臣。
  219. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) 今度の宮城県の地震災害におきまして、一番亡くなられた方々の多くは子供さんのようでありました。その子供さんが何によって亡くなられたかという調査をいたしますと、先生方御承知のとおりに、コンクリートブロックべいが倒れたところに多くの犠牲者が出たわけであります。この問題点は、国土庁としましても建設省並びに関係省庁といろいろ現地の実情調査していただいたその結論を踏まえながら勉強いたしておりまするが、一つの事情を申し上げますと、建築基準に従って書類を出した中にへいという問題が申請してなかった、建築基準住宅の許可だけもらって、へいは後からっけたという方もあるようであります。そういう点、今後は、あなたはへいをつくりますかどうしますかということを、へいのない申請をしてきた場合にはそういうような指導的役割りを果たしてすべきかどうかということも、これも今後の問題として扱われていくことでありましょうし、またこのへいのつくり方は、これは技術面でありますが、道路側に倒れないように、もしもの場合には家の中の方に倒れるような考え方をするという必要性も出てくるんじゃないか。そして家の人たちはそれを認識するというあり方、これも考え方の一つというようになるわけでありますが、結論としていまだ何も出ておりません。これからはそういうへいをつくっていくという問題に対して、強度的にどういう方法でこれをつくるべきかということを真剣に考えていきたいということを、技術面の方からこの研究をしてもらうということに一生懸命なっておりますので、先生の御趣旨を体して満足のいくような解決方をしていきたいと思っておりますから、御了承を願いたいと思います。
  220. 藤原房雄

    藤原房雄君 もう時間もございませんで、これで終わりますが、先ほどもお話ございましたように、交通、これはもう信号全部とまってしまったということで、こういう対策もぜひひとつお考えいただかなきゃならぬということと、もう一つはいま申し上げたようにへいに囲まれた狭い道路、こういうところで救急車もろくに通れないというようなこういう中、これ交通対策問題といたしまして、こういう問題については常日ごろからこういう狭隘な道路についてはどうするかということや、信号問題についても十分な配慮がなければならないと思います。  電源が切れたということで警察官が飛び出していったと言っても、飛び出しても車が渋滞してなかなか現地に到達するのに時間がかかったということも私ども聞いておるわけでありますが、ぜひ主要幹線の信号だけは何があってもこういう7・5ぐらいの地震工、まあこれは変電所がやられたわけですからあれですけれども、すぐそれを補う電源ができるような、こういうことも十分に考えあわせる。六十万そこそこの仙台でこんな状況ですから、これはもっと大きな都市だったら一体どうなるかということを考えますと、これはもう本当にじっとしておられないような気持ちだと思うんです。これについてはひとつ警察庁の方、今日まで御検討なさったことがございましたらぜひお述べいただきたいと思います。  それともう一つは、私どもは災害視察に参りまして高層マンション事故現場を見ました。ここではいろんな問題があるんですが、時間もございませんからあのことこのことを申し上げる時間もございませんが、ああいうふうになったということ自体は、これは確かに建築上問題があったのではないか。これをどういうふうに判定するかということは非常にむずかしいことで、お入りになった方はまだ二年たっておりませんから、二年以内に問題があればこれはお引き取り願うということになるかもしれませんが、今後これが本当に瑕疵があったかどうかということを判定するということは、これはなかなか大変なことで、建設省でも専門家が現地に行って視察をなさったようでありますけれども、たとえそれを見たからといってどっちに軍配上げるなんという、どういう原因でということは軽々しく口には出さぬだろう、こういうことで、こういう問題というのは往々にして両者の話し合いというのはなかなか進まぬ、こういうことで裁判ざたにならなければ決着がつかぬというようなこんなことが繰り返されるようなことではならぬだろうと思います。  高層マンションで起きた事件としては、今回が初めてこういう大きな問題が起きたんじゃないか。それだけにこれは今後の住宅事情、高層マンションがどんどん立ち並んでおる中で、これは今後こういう問題についてどう対処するかという試金石とも言えるような大事なことだろうと思うのであります。そういうことで耐震性基準とか、いろんな問題については十分にひとつ御検討いただいて、この問題の解決も努力すると同時に、今後同じようなことが起きないようにしたいものだと思います。やっぱり卸町団地の事故のあったところを見ましても、建設業者によってどうも事故が起きているみたいな感じがします。  それから私ども建築なんというのはあっちこっちで見ますと、北海道のような寒冷地でも東京のようなある規格のものがそっくりそのまま建てられているという、こういうことも痛感するわけですが、マンション等については私どもは専門的知識がありませんから、同じ一つの規格のもとで全国同じものを建てているんだなんと、こういうことを断定する力もありませんけれども、その地域地域実情に合ったものをやらなきゃいかぬし、また地盤が悪かったら、そこに建てるんですからその悪い地盤の中で倒壊のしないような、事故の起きないようなしっかりした基礎を築かなきゃならないわけでありまして、地盤が悪かったとか何とかいうことは、それは理由にはならぬだろうと思います。  そういうことでこの高層マンションの問題についても、これは深刻な問題として、私もちょうどきのう、おとといですか、余震のあったときは実家におったんですけども、本当にいたたまれない気持ちであった。住民の方々はどんな不安な気持ちでいらっしゃるか。これについてもぜひひとつ対策本部長、この方々のために、またこれから二度と起こってはならないわけでありますけれども、高層マンション等についての問題等についてぜひひとつあらゆる角度から検討いたしまして、現在起きている問題についての対処と、今後再び同じことの起きないようなひとつ施策を力強く進めていただきたいと思うんです。  それじゃ警察庁の方からちょっと一言。
  221. 福島静雄

    説明員福島静雄君) 今回の地震に際しまして、停電によりまして信号機が滅灯したという事態を直ちに認知いたしましたので、最大限の警察官を動員いたしまして、また非番員にも非常招集をかけまして、最大八百八十名の警察官を動員して交通規制、整理に当たらしたわけでございます。しかしながら、やはり信号機が消えたということによる影響が非常に大きかったわけでございまして、できるだけやはり停電があっても信号機の正常な機能を維持していく方法を考えなければならないということを痛感したわけでございます。したがいまして、警察自体で大規模な発電装置を持つということはちょっと困難でございますけれども、実際的にはやはり移動式の発動発電機を整備して、これを主要交差点で活用していくという方法を今後とり得るように努力をしてまいる必要があるというふうに考えております。  さらにまた交通規制につきましても主要府県みんな災害に際しましての広域交通規制計画を持っているわけでございますが、さらに現在の計画で十分かどうか見直しをいたしまして、より具体的な実効の上がる交通規制を実施していくという観点から、さらにこれにつきましてもきめ細かい規制計画に直していくという点について、十分前向きに努力をしてまいりたいというふうに存じております。
  222. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) 先生御指摘のように、宮城沖地震災害に対しましては一日も早くこれを原形に復すること、復興させることにあると思いまするが、さらにこの地震に対してあらゆる角度から壊れたところ、破損したところ一切合財を調査いたしまして、その調査に基づいて、今後こうした地震はあってはなりませんけれども、天災のことでありますのでいつ襲ってまいりましてもそれに対して対処できるような研究を進めて、各省それぞれ御研究を願う、それを国土庁が中心になって国民にこたえていきたいという考え方を持っておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  223. 下田京子

    下田京子君 先ほど大臣にお尋ねしましたが、具体的な点で直接寄せられている、また私お聞きした住民の皆さんの声をお伝えし、できるかできないか大変簡潔に御答弁をいただきたいということをまずお願いしたいと思います。  その第一なんですが、住宅問題です。大きな点では先ほど大臣から御答弁いただいておりますけれども、まずその一つば住居の全壊半壊等の損失に際しては、これは家屋補修費等の融資として災害援護貸付資金というのがあると思います。これにはただ所得制限があってなかなか適用範囲が狭いために借りたくとも借りられない。何とかこの今回の災害について所得制限緩和、そして希望者ができるだけ受けられるようにしてほしいという御要望があるわけですが、この点については改善、いかがですか。
  224. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) ただいまの点、一点は貸付額その他が家屋の全壊半壊で区別されておりますが、この災害援護資金貸付制度は本院を中心に四十八年に制定されました法律で、あくまで被災者の生活の立て直しという観点から年利三%の貸し付けでございます。結論だけ端的に申し上げますと、現在大体所得階層で拾いまして三分の二ぐらいの方に重点的に貸し付けをするというこの仕組みを大きく変えることは考えていない段階でございます。
  225. 下田京子

    下田京子君 政令の改正、現在の所得制限緩和するお考えないんですか。
  226. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) これは現在三分の二という考え方で所得の額、つまり税法上の所得の額で二百十万円と決まっておるわけでございますが、これは今年度特に世帯人員、四人世帯の方の場合は二百四十万円、五人以上の多人数の世帯については二百七十万円ということで改正することになっております。これはいま申しました課税上の額でございますので、たとえば二百四十万円という額は通常のサラリーマンの所得で直しますと三百六十万円ぐらい、二百七十万円と申しますのは約四百万円ばかりの額でございます。ただし、これは考え方は繰り返すようでございますが、三分の二程度の所得をカバーするという考え方に基づいているわけでございます、
  227. 下田京子

    下田京子君 考え方としてはそういうことだけれども、課税標準の額そのものについては政令改正というふうなことを見込んでいるということですね。  同時にもう一つなんですが、家屋の全壊半壊の場合だと思うんですが、三分の一壊というふうな場合はどうかということで、運用上の問題になると思うんです。特に今度のような都市型地震と言われる仙台の例というのは、東京とか大阪、そういう大都市にもしこういった事態が起きたときのことを考えた場合にどうなのかということもございますので、それは一定の基準というものがあるわけですけれども、いろいろと希望に応じては運用の方で考えていただきたい。  その点は政務次官。
  228. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) お答え申し上げます。  下田先生のお気持ちも、一般の方々から要望せられておるお気持ちもよくわかるわけでありますが、いま係官から説明がございましたように、これから一部改正するということになっておる段階でありまして、思いがけない地震が本年は伊豆大島地震を初めとして起きてきたわけであります。直ちにこれを改正する、あるいはより以上というようなことはすぐとはできませんが、必要とあらば十分いろいろの角度、関係者ともよく相談いたしまして、努めて謙虚に受けとめていきたいと考えております。  大臣は大体私と同じような御答弁していただけたと思いまするが、もし大臣と食い違っておるとするならば、大臣のおっしゃったことが本当でございますので、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  229. 下田京子

    下田京子君 政令改正を見込んでいるということでいろいろと検討するということですが、今度の宮城県に起きた事態について、ぜひもうきっぱり数字的にぱっぱと切るんじゃなくて、運用としてこれは大いに見込めるところは拡大して皆さんの意に沿うようにお願いしたいということを再度お願いしまして、あわせて災害弔慰金の支給及びその災害援護資金の貸し付けの問題で、現在確かに貸付制度ばいまのことであるんですけれども、見舞い金を支給するようなことには何とかできないものでしょうか。
  230. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) この点につきましては午前中櫻内長官からも御答弁ございましたように、結論から申しますと給付としての見舞い金については非常に困難な問題があるということでございます。  と申しますのは、先ほど申しました四十八年に制定されました災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の制定以前にかなり時間をかけて当時の総理府を中心個人災害、特に共済的な制度ができないかということで議論されていたんでございますが、結論的には現行のような死亡された、亡くなられた方に対する弔慰金と貸付制度に終わった経過がございます。貸付金そのものも低利でございますから、その部分をとれば一部の財政的な補助制度になるんでございますが、端的な見舞い金の給付制度を特に国の制度でつくるということは、私が伺っております限りでは当時なかなかむずかしい問題であるという結論から現行の法律に落ちついたということを聞いているところでございます。
  231. 下田京子

    下田京子君 現行法がそういうことになっているということはわかるわけですけれども、非常に今度のような形が出たというのは現実起きているわけですから、検討をお願いしたいというふうに思います。  それから次に住宅金融公庫、これまた他の委員と質問ダブっているかと思うんですが、確認の意味でお聞かせください。  金融公庫法の第二十二条にあると思うんですけれども、現在住宅金融公庫から融資を受けている場合、その償還期間の延長であるとか、あるいは利子の据え置きですね。こういった問題について何とか措置をとっていただけないかという問題について。
  232. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) お答えいたします。  先生おっしゃったように住宅金融公庫法の第二十二条によりまして、災害その他によりまして貸付金の支払いが困難になった場合には貸付条件の変更等を行うことができるようになっております。手続につきましては先生おっしゃったように住宅金融公庫から主務大臣に対しまして認可申請を出してまいりまして、私どもが認可するという形になっております。  今回の災害に関しましては、先ほど住宅金融公庫から答弁がありましたけれども、まだ公庫からは私どもに申請が出てきておりませんので、現実に出てまいりました時点で十分に審査いたしたいと思います。
  233. 下田京子

    下田京子君 いまお尋ねしたのは、すでに借りている既債務についての問題ですが、新たにまた住宅金融公庫から融資を希望している、   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕 そういう人たちの場合には法の二十一条の二に該当するんじゃないかと思うんですけれども、その場合にも二重になって大変なんで、償還期間の延長だとかあるいは据え置きというものについて考えられるのかどうか。
  234. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 今回の災害はすでに住宅金融公庫の災害復興住宅の貸付条件に該当いたしておりますので、三年間外枠で償還期間を延長いたしまして、その間元金の据え置きを行うことにいたしております。
  235. 下田京子

    下田京子君 わかりました。よろしいです。  次にお尋ねしたいのは、現在補修して入れるものやら、全部移転しなければならないものやら、あるいはもうとにかく入れないで仮住まいということで一時しのいでいる方だとか、大変いろいろ事情が違っていて大変な状況なんですが、そういう中でも家を建てるのにはなかなか大変だという方にやっぱり公営住宅の問題が入ってくると思うんです。この公営住宅への入居を希望される方、まあいろいろと条件はあるわけなんですけれども、こうした事態ですから希望者全員公営住宅入居ということが可能かどうか。担当の方。
  236. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 公営住宅に対しましては、災害により罹災した方に対していわゆる抽せんなしで特定入居を行うことができることとなっております。すでに仙台市及び宮城県の公営住宅に一部今回の罹災者を収容しているところでありますが、これで足りるかどうかというお尋ねかと思いますが、公営住宅の供給のほかにも地方住宅供給公社あるいは日本住宅公団にも若干の収容能力がありますし、また公営住宅法に災害公営住宅という制度があります。これは建設費の三分の二を国が補助して、事業主体が公営住宅災害の罹災者のために建設するものでありますが、このための予算も建設省に用意いたしておりますので、まだ事業主体――宮城県なり仙台市からの要望はありませんけれども、要望がありましたときには十分対応し得る体制となっております。
  237. 下田京子

    下田京子君 確認ですけれども、希望者全員が入居できるような方向で、一つは現在すでにあいている公営住宅に特定入居ということで優先して入居していただいているし、また足りない分等については今後災害のための特別な公営住宅資金の枠も見ている、現地からの要請にこたえて対応していきたいというふうに理解してよろしいですね。
  238. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) おっしゃるとおりですが、先生すでに御承知のとおり、公営住宅の入居に関しましては収入基準がありまして、いかなる収入の者でも無条件に入れるということは困難でありますが、かような方々に対しましては地方住宅供給公社あるいは日本住宅公団の住宅への入居をあっせんする方向で、被災者に御迷惑がかからないように措置いたします。
  239. 下田京子

    下田京子君 ちょっとあれなんですが、再度またお聞きしなければなりませんが、特定入居ということでいけば、その一定の所得制限はあるけれども、その枠にとらわれず災害ということでもってある一定の優先的順位で入居できるというふうに私理解したんですが、そうではないんですか。
  240. 川合宏之

    説明委員(川合宏之君) 一定の収入基準に該当する方につきましては、抽せんなどの方法を経ないで直接入居を認めることができます。
  241. 下田京子

    下田京子君 ちょっとごめんなさい。私理解できないんでもう一度聞きますが、災害を受けたと。となると、所得制限とそれから抽選、こう二つある、で、抽せんという手は煩わせないで入れるけれども、所得制限というのはやっぱりついて回るんですよということなんでしょうか。となれば問題なので、それは民間の云々というお話ありましたけれども、なかなか該当する方が少ないんではないかと思いますが。
  242. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 抽せんの方法は外しますけれども、収入基準につきましては公営住宅の特定入居におきましても該当をいたしております。
  243. 下田京子

    下田京子君 制限はあるのは知っているんですが、その制限について所得制限という制限はあるけれども、その制度はもう取り払うことできないんですか。取り払って入居できるようにしてもらわないと困るというのが皆さんの要望なんですよね。   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕 なぜならば持ち家でしょう。ですからお一人じゃないです。大体借金返したりするのに共働きなんですよ、いろいろと。そうすると、今度は所得制限にひっかかって公営住宅にも入れないというかっこうになっちゃう。所得制限あることは私知っているんです。そうじゃなくて災害という事態なんだから、その特定入居の中に抽せんを経なくて入れるというだけじゃなくて、所得制限もできるだけ緩和して入れなさいよと、どうなんでしょうかという質問です。そういうことで対応していただけないですか。
  244. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) お尋ねの趣旨は、災害の罹災者に対しましては収入基準を問うことなく入居させるべきであるという御意見かと存じますが、現在の公営住宅法におきましては災害の罹災者に対しましても収入基準がかかることになっております。したがいまして、そういうような方々に対しましては、先ほど申し上げましたように、地方住宅供給公社なり住宅公団なりの住宅をあっせんする方法により対処いたしたいと考えております。
  245. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、公営住宅には所得制限があって入居は無理だけれども他の方法でとにかく対応できるように現地と具体的に相談をして対処したいと。それで大丈夫対応し切れるのかどうか。その点は政務次官の方に。
  246. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) ただいま説明申し上げまして、先生にはちょっとお考えになっておる線と違っておるようでありまするが、この収入基準というのは外すことができ得ないといういま説明であります。私もそういうふうに解釈いたしております。ただしそういう住宅をなくした方々に入っていただく上において、普通で申しますと抽せんをしていただいて何人かの中から入っていただくというのを、特に災害関係方々には収入基準の該当しない方にはお入りをいただく、特別な取り計らいで入っていただく、こういうことになるわけでございます。
  247. 下田京子

    下田京子君 それはわかります。
  248. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) いまこの収入基準を外せというお説ですが、なかなかこれはいまのところはできないということになっております。
  249. 下田京子

    下田京子君 次官、私勘違いも何もしていませんよ。それでは実際に対応できないでしょうと。ですから公営住宅が入居無理だとなれば民間等々に対応してこたえられるようにおやりになるんでしょうということを確認のために次官にわざわざ尋ねたんです。よろしいです。  次なんですが、農協共済の住宅資金についてなんですけれど、これは宮城県の場合ですと農協が利率一%引き下げというようなことも決めているというふうに聞いておるんですけれども国としても利子補給を行うなどして何とか利率の引き下げができるようにお考えできないものでしょうか、
  250. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) お尋ねの趣旨はつまり民間の住宅ローンについても利子補給をできないかということかと思いますけれども、民間の住宅ローンに対しまして利子補給をするかということにつきましては大変いろいろ大きい問題がございます。バランス論の観点からの議論もあれば、それから実務上の議論もございますし、それから財政負担の議論もございまして、まあ詳しくは申し述べませんが、大変に問題のあるところかと考えております。  そこで、それじゃ住宅を建てる場合におきまして金利水準をどうやって下げたらいいんだということでございますが、それにつきましては住宅金融公庫の貸し付けによりまして、その金利が御承知のように今度利下げいたしまして五・〇五になっておりますが、これとあわせ貸しをすることによって全体的に下がっていくということが現実的な解決の道かというふうに考えております。したがいまして、いまお尋ねのようなことにつきましてはちょっと私どもとしては考えられないことではなかろうかなと思っております。
  251. 下田京子

    下田京子君 どれもこれも何もあちこち検討しなければならない、考えられないでは一体どうなさるつもりですか。これはもう実際に対応していかなければ、本当に個人の災害が非常に大きいだけに何らかの形で現行法がだめだったらそれじゃ新たにこんな立場から検討しようと。もちろん財政的な問題が伴うわけですからあれもこれもというわけにはいきませんけれども、こういうふうな都市型地震というのがもう今後起こらないということはだれも言えないわけですから、もうぜひ検討をいただきたいというふうにこれは要望しておきます。  次に、先ほどの地震保険の問題なんですけれども、さっきの御答弁ですと、これはかって保険法ができたときに附帯決議等あったけれども、その後検討したがなかなか大変だというお話でした。しかしこれを見ますと民間だと言っていますが、民間にちゃんと国が再保険で出しているわけですね。これは三百億までですと民間がやって、それを超えて一千五百億になると五〇%国が出す、それから八千億というふうなかっこうになると九五%国が見るというふうになっているわけなんですよ。こういう状況があるわけですから、大蔵省、これは検討しましたけれども大変民間でやられていることですからみたいなことじゃなくて、これだけ国が出しているんですから、民間に本当に地震等の起きた際の保険がわずか全壊で三〇%などというようなことではなくて、大いに指導もし検討もするという立場で臨んでいただきたい、その決意だけでよろしいです。
  252. 森田一

    説明員(森田一君) 先ほど御答弁申し上げたところでございますけれども、附帯決議の中の「支払保険金額の限度額」につきましては、個別の限度額あるいは総額につきましても数次にわたって引き上げを行っておるところでございます。  そこで、先生が……
  253. 下田京子

    下田京子君 簡単でよろしいです。
  254. 森田一

    説明員(森田一君) いまお話しになりました八千億、それから三百億、千五百億というのは、本年の四月一日以降それぞれ五〇%増しになっております。そういうような点につきましては順次改善をいたしておるわけでございますけれども、分損の問題等につきましては、国の再保険の問題がございましてもなお非常にむずかしい問題があるということを御説明さしていただきます。
  255. 下田京子

    下田京子君 次の問題に移ります。  東北石油仙台製油所の油漏れの問題ですけれども、これはまとめて何点か申し上げますので、よろしくお願いします。  約七万キロリットルの重油、軽油が流れ出した、これは第一次防油堀もだめ第二次防油堀もだめ、オイルフェンスを張って何とか押さえたということなんですけれども、消防庁でこのことについて、不等沈下が起きていないかどうか、かつて検査をしているかどうか、これが第一点。  それから第二点目に、ある大学の専門家のお話によりますと、この同製油所地盤というものは非常に軟弱であるというふうに指摘しております。私は専門でありませんから、その大学の方のお話をそのまま申しますと、第三紀層というかたい層に届くまでに非常に軟弱なところが三十メトルからあるというふうなことなので、地質調査行っているかどうか。  それから最後になりますけれども、今度の経験をもとにしまして全国のこうした石油タンク等についての総点検をするお気持ちがないかどうか。同時に、その基準についてもいろいろと新聞等でも報道されておりますけれども、いろいろと問題があるのでないか。すなわち現在の基準そのものに合ったものをつくったけれども、マグニチュード7・5という中ではそれが耐えられなかった、だからその基準そのものの見直しも必要でないかと、こういう御意見もある。  申しわけないですが、端的にいま言った点お願いします。
  256. 福島深

    説明員福島深君) 第一点の東北石油に対します不等沈下の検査の件でございますが、これは今回壊れましたタンクについても検査は行っておるわけでございますが、しかし私の方で著しい不等沈下として特に警戒を要するものとしております百分の一以上の不等沈下には該当していない、そういうような報告を受けておるわけでございます。  それから第二点の地盤の件でございますが、これは私どもの方では東北大学の先生のそういう御意見があるということを実は承知をいたしておりませんが、これは例の水島の重油流出事故以来、タンク設置する場合にはその地盤について十分検討する必要があるということで、五十一年度の改正でもって地盤について十分事前調査をし規格に合ったものでなければならないという基準をつくっておるところでございます。  それからタンクの総点検でございますが、これはこういう事故があったわけでございますから、特に東北石油の場合にはすべてのタンクについてこれはぜひ総点検をしていただきたい、若干でも疑問のあるようなものにつきましては、たとえば不等沈下等はこれは外部から判断してわかるわけでございますから、そういうものについてはこの際内部を開放いたしまして十分な検査をしてもらう、このような指導をいたしてまいりたいと考えております。  それから基準の見直しでございますが、これはただいまもちょっと申し上げましたように、五十一年度以降その基準の見直しをいたしておりますので、現在の基準そのものがなお問題があるかどうかは、これは事故原因調査等を専門的に検討することになっておりますから、その結果によりまして必要があれば改正をすることにやぶさかでないということを申し上げておきたいと思います。
  257. 下田京子

    下田京子君 それでは次に移りますけれども、違うところをまとめて聞きますが、よろしくお願いします。  一つは、公立学校の被害問題なんですが、東北大学を初めとしていろんな教育研究機関の被害が大変大きいわけです。私どもお聞きしましたところによりますと、宮城県下だけでも公立の文教施設被害状況、小学校で四百五十七校中三百三十五校、中学校で百九十九校中百六十九校、高等学校で九十六校中七十四校、特殊十二校中九校というわけで、合計しましても七百六十四校中五百八十七校、八割近い学校が被害に遭っているというふうな大変な状況でございます。  それから宮城県だけでなくてこれは隣の岩手県におきましても、これはちょっと特殊かもしれませんが一関の弥栄中学校というところがございます。御存じのとおりここはかっても二月地震で講堂がやられておりまして、こうした学校の災害ということについて速やかにやはり現況を調査して対応をいただかなければならないだろう、事子供の問題ですし、教育問題ですから対応をどのように考えているか、それをお尋ねしたいと思います。  それからもう一点なんですが、これまた他の委員から質問ありましたが、農業、漁業の問題で、具体的に申しますと、宮城県の場合ですと迫町の農業用水の用排水路ですか、これが大変な状況になっている。農地がひつくり返ったと現地の皆さん方は表現されておりますが、大変な状況です。それから地盤沈下も起きておりますし、塩釜の場合ですと漁港が大変被害を受けております。それからこれはお隣の福島県になるんですが、漁港ではなくて工業港になるかと思うんですが、相馬港も大変被害を受けております。こういったことについてまだ調査中かとは思うんですけれども、速やかに調査を進め、同時にそれなりの対応を急いでいただかなければ、特に農家の場合ですと田植え問題とか、もう済んであれですよね。これ一体どうするのかという問題がかかってくると思うんです。  あと違うもう一点。これもまとめて大変失礼ですけれどもお尋ねしますが、観測体制の問題なんです。大臣の宮城県を中心として特定観測地域指定するというふうなお話をちょっと聞いたんですけれども、これは一体どうなのか。特に具体的なことでお尋ねしますと、仙台の管区気象台にテレメーターでつながっている地域というのは、現在のところは大船渡、盛岡、秋田、本荘、山形の五ヵ所です。具体的にいま青森県の青森気象台と八戸測候所から、これつないでほしいというふうな要請も聞いておりますし、それから弘前大学から東北大学にテレメーターを早急につないでもらいたいというふうな御要望も出ているわけなんですが、この点いかがでしょうか。  以上です。それぞれ対応するところでお願いします。
  258. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  259. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記起こして。
  260. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 公立学校の災害復旧につきましては、私ども公立学校施設災害復旧費国庫負担法に基づいてその一部を国庫負担しているわけでございますが、この法律に基づきます負担の手続といたしまして、災害後一ヵ月以内に設置者におかれまして復旧の事業計画をおつくりいただきまして、それに基づきまして私ども大蔵省の担当者と一緒に現地を見せていただきましてその事業費を策定する次第でございます。そういう手続をとりますので、若干日は要しますけれども、私ども姿勢といたしましては、早急に復旧すべきような事柄につきましては、その破壊の状況などを十分保存しておいていただければ速やかに工事には着手していただくように指導しておりますので、いまお話しのような事案につきましてはそうしたことがなかなかできないほど大きな破壊状況ではないかと思う次第でございますが、その辺は弾力的に対処してまいりたいと考えております。
  261. 長野孝夫

    説明員(長野孝夫君) いま先生御指摘のありました迫町に相当の被害が出ましたことは承知いたしております。営農等の問題もございますので、早急に対応したい。特に必要のあるものにつきましては応急工事を実施するように指導しておるところでございます。
  262. 藤田尚美

    説明員(藤田尚美君) 六月二十一日の地震予知連絡会の統一見解によりますと、この地域「今後、特定観測地域に準じた観測及び測量を行い、監視を強める必要がある。」というふうになっております。ここで特定観測地域に準ずるということにつきましては、現在地震予知連絡会では全国の特定観測地域の見直しを行っております。で、できましたら次の地震予知連絡会が開催されます八月までにはその見直しを終了したい、その際に宮城周辺特定観測地域の一つに指定される見通しでございます。
  263. 末広重二

    説明員(末広重二君) 先生御指摘のテレメーターの件につき、お答え申し上げます。  これは私ども現時点において三陸沖の地震について業務的な責任を負っております津波警報発令のためでございまして、確かに御指摘の青森、八戸、宮古は現在仙台へテレメーターされておりませんが、むしろ私どもは遠い北海道の方のデータが必要なんでございまして、根室それから積丹半島の寿都は現在仙台にテレメーターされております。これは三陸地方を北の方から見るためでございます。この体制で現在課されております責任は十分遂行させていただいておるわけでございまして、今回の地震も発震後七分で津波警報を発令できたわけでございます。
  264. 佐藤稔夫

    説明員佐藤稔夫君) お答えいたします。  今回の地震によりまして漁港関係被害がありましたのは岩手県、宮城県、福島県の三県に及んでおりますが、岩手県におきましては八港、約五千五百万円、宮城県は四十八港で二十四億四千六百万円、福島県におきましては一港で約一億円ということでございまして、ほとんどの被害宮城県に集中しております。  御指摘のように、一番被害が大きかったのは、閖上漁港、それからその次、塩釜漁港でございますが、漁港関係被害につきましては、発生後直ちに係官を現地に派遣いたしまして、復旧工法等の指導を行っております。県の方で準備のつき次第、早急に査定を行います。
  265. 小池力

    説明員(小池力君) 福島県の相馬港の港湾施設被害でございますが、現在までのところ、約一億円程度の被害があるというふうに見込んでおります。  なお、復旧でございますが、早期の復旧を図りますため、来週早々に港湾技術研究所等の専門家によります調査団を現地に派遣いたしまして、これは相馬以外に宮城県の港湾施設につきましても同様でございますけれども、現地調査及び復旧工法の技術的な指導を行いますとともに、災害復旧につきましては、地方公共団体の準備が整い次第、速やかに災害査定を行うというふうに考えておるところでございます。
  266. 植木浩

    説明員(植木浩君) お答え申し上げます。  ただいま先生から弘前大学の地震観測のデータを東北大学へテレメーターで送るということについてのお話がございました。私どもまだその辺の詳細は大学から承っておりませんけれども、大学から将来そういう要求などが出た場合には、私ども、地震関係の専門家の審議会がございますので、そういうところの御意見なども十分承りまして、将来これを整備する方向で検討をしてまいりたいと思っております。
  267. 下田京子

    下田京子君 ありがとうございました。
  268. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵省にお伺いいたします。  大規模地震対策法の審議の際に、その総括質問の中で、総理は今後地震対策の予算については格段の配慮をしなければならぬという趣旨の答弁をされました。本日午前中の私の質問に対して国土庁長官も同様趣旨の答弁をされたわけでございます。  昭和五十年に開かれております日本土地法学会が、そのシンポジウムの中で早稲田大学の篠塚昭次教授は、都市住民には環境権とともに安全権があるという問題提起をされております。その安全権とは、国、地方自治体及び住民が連帯して防災の責任を果たし合おう、そのためには応分の支出をしなければならぬという趣旨がこの内容でございます。総理及び国土庁長官がこの安全権の発想に立っておられるのかどうかは別として、今後来年度予算編成をめぐって関係省庁からの防災のための施策に必要な予算が提出されてくると思うんでありますけれども、問題はそれを査定する大蔵省当局に安全の重要性というものに対する認識がなければ、これは実を結ばないわけでございます。いわゆる安全権というものに対する大蔵省としての認識をお伺いいたしたい。
  269. 佐藤浩

    説明員佐藤浩君) お答え申し上げます。  いま安全権ということで先生から御質問あったんでございますが、実は権と言いますと権利ということで安全権ということかと思うんでありますが、抽象的な意味での考え方は十分わかるんでございますが、まだ学問的にもあるいはまた行政的にも安全権について統一的な考え方を打ち出すというふうには至っておりませんので、私この場で大蔵省の見解というものを申し上げるわけにはいかないのでございますが、ただ予算面におきましては、安全権の保護云々ということ、むずかしい議論は抜きにいたしましても、防災事業はますます重要になってくるということは十分認識しておりまして、観測体綱あるいは研究体制等の進展に応じまして関係各省非常に多くの各省庁にわたっておるわけでございますが、御相談しながら万全の体制で予算措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  270. 柄谷道一

    柄谷道一君 その点は先ほど長官に対する質問の中でも明らかにしたんでございますけれども、国も地方自治体も、また翻ってわれわれ家庭の場合を振り返ってみましても、環境整備に対する投資は比較的出しやすいわけでございますが、やはり安全をいかにして守るか、そのための防災の体制をいかにして整備するか、これについては国、地方自治体及び個人ともまだその認識が十分でない。私は国みずからが率先してこの防災の重要性というものを具体的に予算の中において反映する、そして国民に対してもその重要性をPRする、これなくして地震災害から国民の生命を守ることはできない、こう思うわけでございます。その点につきましては大蔵省でも十分の発想の転換といいますか、配慮をこれからなすべきであろうということを指摘いたしておきます。  そこで長官にもお伺いしましたが、白髪の防災拠点の問題国土庁はそのほかにもミニ防災拠点の建設ということを、ことしはまだ調査の段階でございますが、これから本格化していこうと。ところが、この補助は一般の都市開発事業の補助並みということで、多額の経費を要するこれらの防災拠点づくりに国としての特段の配慮がない。長官はこれに対して全般的に洗い直しをして一応前向きに検討したいという趣旨の答弁があったわけでございますが、大蔵省もそのような趣旨と理解してよろしゅうございますか。
  271. 佐藤浩

    説明員佐藤浩君) お答え申し上げます。  国土庁その他先ほども申し上げましたように、防災体制につきましてはいろいろな省庁にまたがって対策事業が行われておるわけでございますが、それぞれ予算要求等拝見いたしまして十分相談して遺憾なきを期してまいりたい、こう考えております。
  272. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は地震対策という視点から問題をとらえますと、国よりも地方自治体対策の方がむしろ先行しているのではないかとすら思えるわけでございます。これは新聞の発表でございますから真偽のほどはつまびらかではございませんけれども、静岡県では防災対策事業費約三千三百億円を要する、国の財政措置を待っておったのでは、地震はいつ来るかもわからぬということで、山本県知事は来年度から地震超過課税を地方税として実施するという構想を明らかにしたとも聞いているわけでございます。しかしもちろん地方自治体も経費は分担していかなければなりませんけれども、むしろ防災というものは国が主体になってこの事業を推進していきませんと、地方自治体ごとの負担が過重になるという問題があるわけです。好んで静岡におるわけでもなし、好んで鹿児島県にいるわけでもない。たまたま住んでいる地域災害の危険地域である、そのために住民が多額の負担を負わなければならないとすれば、これは税の公正という立場からも配慮していかなければならない問題ではないか、こう思うのであります。  これに対する御所見と、現在低成長下の緊縮された予算状態でございます。こういう状態を考えたならば、私は防災国債の発行というようないわゆる何らかの財源措置の方法というものがこの際検討されてしかるべきではないか。そういう着眼がなければこの防災事業というものが後へ後へ繰り越されていく、その未整備のまま災害が襲ってくる、そのために復旧なり救済のための多額の国費がまた使用される。こういう悪循環を続けるわけですね。こういう面に対する大蔵当局の見解をお伺いいたしたい。
  273. 佐藤浩

    説明員佐藤浩君) お答え申し上げます。  第一番目は、自治体が積極的に特に危険のある地域において事業を重点的にやる関係で負担のアンバランスが出てくるんではないかという御見解かと思うんでありますが、確かに最初に先生御指摘ございましたように、国土の安全あるいは自己の安全を守るといった、それぞれ国、地方及び住民、それぞれが応分に、私有財産については自分で、あるいは国土という面から国があるいは住民が、住民の安全を守る見地ば地方自治体がそれぞれの分野で防災体制を整えていく必要があるわけでございますが、自治体が何といいますかナショナルミニマム以上に特に危険地域において若干の負担になろうかとは思いますけれど、重点的に事業を取り上げていくということは、これは地方自治の本旨に従いましても特に国からやらせるというようなことじゃなくて、地方自治体独自の見地からおやりになる場合においては、これはある程度は高く評価されるべきものと、あるいは住民の方で県議会におけるそういうような決定についても相当な理解が示されるのではないかと考えるわけでございます。その点はしたがいまして結局は国と地方の負担割合、分担というようなことにも帰するかと思うんでございますが、これについては現行の制度で不十分な点があればさらに検討させていただきたいと、こう考えております。  それから、後者の防災国債の問題でございますが、これは先生も御質問の中に御指摘ありましたように、現在の財政状況の上におきまして、本年度も五兆円に上る特例債をお認めいただいてようやく財政のつじつまを合わせておるという現状でございますので、現段階におきましてたとえ非常な重点事業がございましても、なかなかそのための目的国債といったようなものを発行することは今後一層の国債の増発につながるというようなおそれもございますので、現在のところ大蔵省としては目的国債というものを、防災に限らず、たとえばエネルギー国債とか新幹線国債、いろいろよく財源難の折からアイデアが出るのでございますが、実際原則として財政法四条で認められております公共事業等に対する建設国債でカバーできるものはそれでカバーして、その上にさらに目的国債というようなものを発行するということは、やや国債の一層の増発につながるというおそれもあるという見地から、現在のところは消極的に考えております。
  274. 柄谷道一

    柄谷道一君 防災のための国の支出というものはいわゆる先行投資なんですね。たとえば白髪の防災拠点を見ましても、当初は昭和五十三年に第三地区まで完成する、こういう予定が組まれておった。しかし予算がない。そこで五十八年まで延びている。これからまだあと五つの防災拠点をつくっていかなければならない。いつつくれるかこれわからないわけですね、完成するか。しかし地震はいつ来るかもしれない。もし来た場合に、仮に五十八年過ぎて来たというときに八万人の人は白髪防災拠点で命は救えますけれども、あと残る六十二万人はただ死を待つだけ、これが運命なんですね。  こうして考えますと、確かに現在の財政法のたてまえというのは私もよく知っておりますけれども、事防災という問題についてはいかにその事業を早く完成するかということが国民の生命を助け、しかも将来の国の災害による出費を最小限に抑えていくかということにもこれは関連していくわけでございます。主計官のお立場としてここで直ちに取り組むという答弁はむずかしいと思うのですけれども、これ次官ですね、ひとつ財政問題をやっぱり国土庁として真剣に取り組んでもらいたいと思うんですよ。現在の国の予算の状態から見て要求は幾らでもできます。しかし金がないんだということで事業がおくれおくれになっている。しかし災害は待ってくれない。この現実を考えればここで政府としても、特に災害の責任省庁である国土庁としても、大蔵省と本当にひざ談判でこの問題をどうすべきか、これもっと真剣な討議が行われて私はしかるべきだ、こう思うんです。  それに対する次官のひとつお考えと、それから非常に大臣も意欲的、総理も意欲的、いまの答弁を聞きますと大蔵省にも十分差の受けざらのいわゆる精神的な構えばある、こう受けとめられるわけでございますから、あとは国土庁の実力に、熱意熱情に私はかかってくる、こう思うんです。この二点について次官の答弁を求めます。
  275. 丹羽久章

    説明員(丹羽久章君) 参議院の委員会へ参りますと、先生からこの問題は前回のときも指摘せられました。先生、この中に震災対策関係予算として五十二年に四千三百八十二億円、五十三年度は五千九百十億円という計上をせられております。しかし狭い領土といえども、世界で一番地震あるいは風水害の多い日本でありますので、果たしてこの予算だけで本当に万全を期することができるかどうかという問題は、私はまだ数字的に言って予算的にも少ないと感じております。これは上司であります櫻内長官もこれはそのようなお考え方であります。大蔵の主計官は、大蔵はきょう責任を持って出席していただいたわけではありませんが、答弁としていまお聞きをしておりますと、意欲的でもありますから、きっと私どもがその話し合いを進めていくときには必ず私どもに好意的に、そして私どもに対して援助をしてくれると思っております。  なぜならばと申しますと、交渉に行きましてもなかなか大蔵省の役人が予算がありませんとか何とか言って途中で消えてしまうようなことになりますので、国土庁も予算前回取るときには大臣を初め私どもみんな国土庁の係官が真剣になって大蔵へ行った、そして話し合ってやっとこさ予算をあれだけ取ったわけであります。これば内輪的な話で、はなはだ醜い話でありますけれども、実態がそうなっておりますから、国の基本的考え方からいっても、こんなにたくさんいろいろと地震があり台風があるところでありますので、先生御指摘のように私どもは今度の予算規模に対しては努めてたくさんもらって、一つ一つの問題点を解決していきたいと考えております。  どうかひとつ、いつもお願いして申しわけございませんが、御出席の先生方にもどうぞお力をかしていただきますことを心からお願いいたし、先生の趣旨を十分意に体しまして一生懸命やることをお約束申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
  276. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵省結構でございます。  次に、伊豆大島近海地震を山村型地震とすれば、今回の宮城沖地震はいわば都市型地震ともいえるべきものだと思うのであります。ところがその宮城地震の起こる三日前、九日の日に東京都防災会議地震部会がいわゆる被害の予測をいたしております。どうもさきに発表しました日本都市センターの被害と比べますと非常に過小に見ているという感を受けるわけでございますけれども、どうして同じ建設省、国土庁が参加しているところでこれだけの被害の格差が出てくるのか、素人の私にはてんでわからないわけでございますが、しかしそれはさておきまして、その過小に見ております災害でも、東京二十三区でマグニチュード7・9の地震が起きた場合に、高層ビル、地下街、交通機関の災害は予測手法が未確立であるのでこれは除外するという前提を置いて、しかもなお二十三区内で死者三万六千、負傷者六万三千、被災者世帯百二十万世帯になると、いわばショッキングな被害予測を立てているわけでございます。多くの先生から指摘されましたように、あの宮城地震がもし東京に起こったならばまさに傑然たるこれは思いでございます。  その仙台において救急要請二百十二件消防庁にあった、ところが収容できたのは二十四件にしかすぎなかったということであります。この予測によりますと、六万三千人の負傷者東京に出るというんですね。救急体制果たしてどうなるのか、まさにこれ問題でございます。さきの答弁によりますと、経験を生かしたい、今日までは抽象的であった、今後なるべく具体的な体制をとっていきたい、こういう趣旨の答弁でございます。しかし私はこの救急体制の整備問題に対して、もう数年前から何回も何回もこの被害予測をひもときながら、この対策の確立を求めてきたわけでございます。  そこで、一体いつまでをめどにそういう救急体制の整備計画というものを完成しようとしておるのか、この点についてお伺いします。
  277. 福島深

    説明員福島深君) 御指摘がございましたけれども、いつまでをめどにということではなくて、これはもう早ければ早いほどいいわけでございますので、めどなどということを私どもは考えておりません。たとえば救急車の整備にいたしましても一定の基準を設げまして、少なくともその基準に早く到達をしていただくようにいろいろ指導をいたしておるわけでございます。  ただ全国的に見ますと、東京都の場合にはかなり整備をされておると思うんでございますけれども、仙台を含めまして中都市の場合を見ますと、消防当局の救急体制から見ましてもどうも十分なところまでまだいっていないというようなことでございまして、そういう面でとにかく早急に消防当局の救急自動車につきましては整備を図るように指導をいたしておるところでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、大震災によります被害想定をいたします場合には、これは大変な数の罹災者が出るわけでございまして、その搬送を救急隊に期待をするということは、これは実際問題として不可能でございますので、そこで先ほども申し上げましたように、これはやはり地域住民あるいは職場、警察、自衛隊、病院、そういうものが挙げて負傷者の搬送に当たる、あるいは搬送しないまでも負傷者の救急処置がとれるような体制をとるということが必要だと思いますので、そういう面での具体的な指導を今後していかなければならない、かように存じております。
  278. 柄谷道一

    柄谷道一君 東京は整備しておるというものの、三菱重工ビル爆破事件ですね。これで二百人前後の負傷者が出た。あの事態だけでもうすでにどこへ収容するのか、まさに混乱状態になったわけです。今度は六万三千人ですよね。私は、早急にと言うのですけれども、こういう有事の場合を想定した救急体制というものについては、本当に関係省庁がプロジェクトを組んで文字どおり早急に確立していかないと、住民の不安は仙台でも、まして東京をや、川崎をやと、こういう不安はぬぐい切れない。また大地震のおそれの濃い東海、南関東地域の住民は、この仙台地震の新聞報道を見るたびにわが身にこれをかえて非常にいま不安を抱いているというのが率直な実態であろうと、こう思うのであります。よくこの点は早急に配慮して計画の確立をお願いをいたしたい。  そこで、これ東京の場合ですが、その際東京震度四だったわけですが、滝野川警察がそのときにどう対応したかという調べをしますと、スーパーマーケットの場合は十店を対象にした中でうち八店は放送や口頭で客を避難すべく誘導した、中には数人の従業員が腕を組んでビールびんなどが並んでいる陳列だなのところにいわゆるピケを張って、お客様を危害から守るべく対処した、こういうふうに非常に進んでいるところもあるんですね。  ところが私これを見て非常に驚きましたのは、地震と言えば火事でございます。その火気を扱っているいわゆるガソリンスタンドですね。防災計画どおり従業員が配置についたところは調査十ヵ所のうち三ヵ所、スタンドの電源を切ったところは二店という状態ですね。いわゆる危険物を取り扱っているというその意識がきわめてまだまだ低いのではないかということがこの消防庁の調査の結果ではあらわれているわけでございます。仙台の場合は幸いに火災は最小限に抑えられましたけれども、大都市になればこういう実態を考えるともっともっと住民に対する防火の意識の徹底、訓練というものが必要ではなかろうかと、こう思うんですが、いかがでございますか。
  279. 福島深

    説明員福島深君) 全く同意見でございまして、それにつけ加えて申し上げる何ものもございません。特に御指摘のように、危険物の取扱者の意識というものが余り高くないような数字で出ておりますことば大変遺憾でございまして、この点は私ども、東京消防庁を通じまして十分指導をしてまいりたいと存じます。
  280. 柄谷道一

    柄谷道一君 これは東京消防庁もやってもらわなければなりませんけれども、全国の消防署がそういう指導をこれ強化していただかないと、地震東京だけに起きるものではありませんので、ここらひとつ次官、十分に関係省庁と連絡をとられてその徹底方をお願いをいたしておきたい。  それから次に、ブロックべいの問題は何人もの委員から御質問があったわけですけれども、新聞社説に、さきの委員も取り上げられましたけれども、七年前のロサンゼルス大地震の際に政府調査団がブロックべい対策強化を答申しているにかかわらず、その後一向に具体化されていない、そういう答申の無視と対策の放置が死者を出したことに結びついているのではないか――これ新聞社説ですよ。で、先ほどの質問に対しては担当官の方で、私はそういう答申をまだ見ておりませんがという答弁なんですね。で、ぼくはその答申が出されたかどうかの事実は知りません。しかし新聞でこの社説を見ました国民は、ロサンゼルス七年前の経験がどうしていま生かされなかったのか、これは率直な私は国民の持つ疑問であろうと、こう思うのであります。ブロックべい対策はいろいろ答弁に出ておりますので、詳しい答弁は私必要ございません。答申があったのかどうか、それに対して手を打ったのかどうか、また新聞のいう無視と放置という事実があるのかどうか、この点だけをお伺いしたい。
  281. 上田康二

    説明員(上田康二君) お答えいたします。  先ほども私お答えしたんでございますが、そういう調査団の答申といいますか、報告については私自身見ておりません。それで、それに対してどういう対策がとられたかということでございますが、具体的には昭和四十五年の建築基準法施行令改正におきましてブロックべいについての構造基準改正がございまして、現行規定のような形で改正されております。この点につきましては今回建築研究所でいろいろ調査しておりまして、まだ最終段階に至っておりませんけれども、いままでのそういう研究者の所見によりますと、基準どおり施工されていればこんなことはまずなかったというふうな所見を聞いておりますが、そういう意味でともかく基準をいかにすれば守らせ得るかということが一番重要でございまして、その点につきましては、たとえばブロックべいの補修工事についてのマニュアルを作成してこれを全国的にPRし、住宅金融公庫の改良資金を活用する等の方法によりまして全国的にブロックべいの改善対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  282. 柄谷道一

    柄谷道一君 まことにその答弁不本意でございます。一遍、次官、答申があったのかどうか、これを確かめて、その結果を後ほどで結構ですから私に御連絡ください。これはお願いいたしておきます。担当官がそんなあったかどうかわかりませんということでは、もし答申があったとすればその答申がいかに軽視されているかということの私は左証ではないか、こう思います。これは後ほどでいいです、きょう時間ありませんので。  そこで、文部省、電電公社等来ていただいておりますが、時間がなくなりましたのでまた次の機会に譲ります。申しわけないと思います。一点だけにしほります。  これは間屋等は商品被害が相当多く出ているということはわれわれも見てまいったわけでございますが、あの卸団地のすぐ横に印刷団地がございます。われわれの党の視察調査をいたしましたところ、印刷工場の場合でも活字は全部倒壊してしまっている。この場合はもう活字というのは地金同様になってしまう。しかも機械も精密部が狂ってしまっているので修理不可能な部分も出てきている。私は、今回の地震によって受けた住民被害はもちろんでございますけれども、中小企業の受けた被害というものは実に大であると思うのであります。現行制度でもいろいろ融資その他の方法がとられることにはなっておりますけれども、その救済の方法についてはもちろん当面は現行制度を十分に活用して救済に当たるのがたてまえでございますけれども、こういう面に対するやはり洗い直しとさらに改善という問題が必要なのではなかろうか、こう思うのでございますが、これに対する答弁を求めまして、時間の関係で他の質問は本日は割愛さしていただきます。
  283. 山口務

    説明員(山口務君) ただいま先生御指摘ありましたように、ともがく緊急を要しますので、当面は現行の災害特別貸付制度、これを利用いたしまして復旧の早期化を図ってまいりたい、かように考えております。それから金利だとかあるいは償還期間の問題につきまして強い御要望があることは十分承知いたしておるわけでございます。この点につきましては激甚災害貸付制度、まあこれは激甚災害になるかどうかという問題にかかっておるわけでございます。したがいまして御要望の趣旨を踏まえながらできるだけ迅速に対処してまいりたいと思っております。
  284. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  285. 川村清一

    委員長川村清一君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時三十九分散会