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政府委員(
二瓶博君) 今回の
法案で、確かに「
政府」、それから「
内閣総理大臣」、「
環境庁長官」というような用語といいますか、が使われているのが多々ございます。その辺の使い分けといいますか、
関係でございますけれども、まず、「
環境庁長官」ということでございますが、これにつきましては、
環境庁が総理府の外局ということになっております。で、当然
環境庁設置法というのがございまして、
環境保全については第一義的に責任を負うと、こういう
行政機関に
環境庁はなっておるわけでございます。したがいまして、
環境保全関係法等におきましては、
環境保全のための
行政機関の権限、義務を規定をいたします際に、一般的には「
環境庁長官」というふうにいたしております。
もう
一つ、「
内閣総理大臣」というのが、これはいろんな
環境保全関係法にも出てまいります。「
内閣総理大臣」につきましては、
一つは、これは冒頭に申し上げましたように、
環境庁が総理府の外局でございますので、
法律なりあるいは政令制定等のために閣議でいろいろ決めてもらわなくちゃならない、その際の閣議請議が、これは
環境庁ではできないわけでございます。閣議請議ができないというのが
一つございます。それから総理府令、よその省であれば省令というのがございますが、そういう府省令といいますものを
環境庁が発することができないということになっております。したがいまして、たとえば
環境基準を決めるというのは総理府令で現在やっておりますが、こういうような府令を決めるんだというような場合には、総理府の長でございます
内閣総理大臣においてこの総理府令を発するということに相なります。それから閣議請議をやります際も、
内閣総理大臣の名前で閣議請議をやるというふうになるわけでございます。このことは何も
環境庁に限らず、総理府の外局でございます経済企画庁、国土庁も同様でございます。そういうことで、政令の制定なり改廃の立案をするとかあるいは府令の制定、改廃に当たりまして、地方公共団体なり
知事さんなり審議会の
意見を聞くというような場合なりあるいは各省と協議するというときは、「
内閣総理大臣が」といって出てまいるわけでございます。それから、閣議に付すべき案件についての立案、これも当然
内閣総理大臣と、こういうことになるわけでございます。しかし、そういうことで「
内閣総理大臣」というのが出てまいりますが、先ほど申し上げましたように、
環境庁が第一義的に
環境保全というものの責任ある
行政機関でございますので、「
内閣総理大臣」と規定されております場合におきましても、実質的な事務処理はすべて
環境庁がやる、こういうことで、実質的には
環境庁がやるということでございます。
それから、
公害対策会議の付議というのがちょいちょいこれもございますけれども、これも、
公害対策会議そのものが総理府の付属機関ということで置かれてございます。しかも、この会議の会長さんは、実は総理府の長である
内閣総理大臣が
公害対策会議の会長ということに相なっております。したがいまして、手続上の問題といたしまして、
総量削減基本方針等の策定等はこれはやはり
内閣総理大臣の名において行わなければならないということになるわけでございます。「
公害対策会議の議を経」てということになりますので
内閣総理大臣がやる。しかし、これも実質的に
環境庁がその事務を行うということにおいては何ら変わりがないわけでございます。
それからあともう
一つ、「
政府」というのがやはりこれまたちょいちょい出てまいります。「
政府」と規定されております場合には、これは内閣及びその統轄下にある
行政機関といいますものを総括してくくりまして、総ぐくりして呼んでおりますものが「
政府」でございます。言うなれば、国家機関といたしまして立法・司法・
行政というふうに言われておりますけれども、その場合の国家機関の立法・司法、それに対する
行政というものを指す場合がこの「
政府」という用語を使っておるわけでございます。
政府の中のどこの行
政府がどういうことをやるかというのは、これは各省設置法というのがございまして、その分担
関係におきまして処理するということになるわけでございますが、いずれにいたしましても行
政府がやるということで、
政府は何とかの
措置を講ずるものというような規定をよくいたしておるわけでございます。
そういうようなことで、今回のこの
法案におきましても、以上のような用語の使い方といいますか、概念に基づきまして、法制面でも、今回の
法案の中でもそういう使い方をいたしておるわけでございます。
それからもう一問、後段に、
総量削減基本方針は
内閣総理大臣がつくって、
総量削減計画は
知事がつくるのですが、総理大臣の承認が要ると、さらに
公害対策会議の議を経るというのはどういうわけかということでございますが、実は、この
総量規制というものを仕組みました際に、
瀬戸内海を初めといたしまして、
東京湾なり
伊勢湾、いずれも広域的な
閉鎖性水域ということでございます。したがいまして、必ず複数の県、これが
関係してまいるわけでございます。そういう複数の県がそれぞれ足並みをそろえてこの
負荷量の
削減というものに
努力していくということにおいて、結果として
東京湾なり
伊勢湾の全体の
CODなら
CODの量を一定量以下に抑えるということができるわけでございますし、またこの
方途にいたしましても、
下水道の
整備なり
屎尿処理施設の
整備ということで、いろんな各般の非常に幅の広い
施策が必要だというふうになるわけでございます。したがいまして、そういうことで、
法律に仕組む際に、各県におきます
総量削減の
対策、こういうものが総合的に調整されていく、足並みをそろえてやってもらうということと、また各省でいろんないま言った
下水道の
関係等もあるわけですけれども、こういうようなものが、また各県においても土木部等いろいろあるわけでございますが、それが統一的にやはり推進されていくというような必要があろうということで、この
総量規制におきましては
総量削減基本方針といいますものを
内閣総理大臣が決める、それから県の
知事さんの決めます
総量削減計画も
内閣総理大臣が承認をするということにしたのとともに、
公害対策会議の議を経る。この
公害対策会議といいますのは、これは単なる審議機関でございませんし、単なる決定機関でございませんで、審議推進機関ということに相なっております。これには相当多数の
関係閣僚が入っておりますので、そういう
ところで議を経ていただいた方が、むしろ今後の
総量削減といいますものの
達成なり何なりといいますものを
考えた際にはその方が適当であろうということで、
公害対策会議の議を経るというふうな仕組み方をしたわけでございます。
ただ、こういうことで
内閣総理大臣が前面に出ておりまして、
環境庁長官という名前が出てまいってないわけなんで、何か
環境庁が後ろに引っ込んじゃって後退したんじゃないかというお話でございますが、これは先ほども「
政府」、「
内閣総理大臣」、「
環境庁長官」の概念の御
説明を申し上げましたが、そういうような
考え方で整理をいたしておりますので、「
内閣総理大臣」というふうに書いてございましても、実質的には
環境庁長官が責任を負って
行政を遂行するということでございますのでこういうことの規定の仕方をしたと、表現の仕方をしたということから、
環境庁が後退したんではないかということは当たらないのではないかと、かように
考える次第でございます。