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1978-04-19 第84回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十九日(水曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      小林 国司君     藤井 丙午君      北  修二君     森下  泰君  四月十八日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     木島 則夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                久次米健太郎君                 原 文兵衛君                 矢田部 理君                 小平 芳平君     委 員                 佐々木 満君                 菅野 儀作君                 林  寛子君                 三善 信二君                 粕谷 照美君                 坂倉 藤吾君                 広田 幸一君                 中野  明君                 馬場  富君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君    政府委員        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁企画調整        局長       信澤  清君        環境庁自然保護        局長       出原 孝夫君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        文部省初等中等        教育局小学校教        育課長      澤田 道也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○鳥獣保護及狩猟二関スル法律の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、小林国司君及び北修二君が委員辞任され、その補欠として藤井丙午君及び森下泰君がそれぞれ選任されました。  また昨十八日、柳澤錬造君が委員辞任され、その補欠として木島則夫君が選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 粕谷照美

    粕谷照美君 長官にお尋ねをいたしますけれども、先月の末、約百五十人余りで自然保護議員連盟が再発足をしております。この自然保護議員連盟の再発足にこんなに大ぜい集まったことは大変びっくりしているということを、わが党の岩垂寿喜男さんも言っておられますけれども、一体なぜこんなふうに大ぜいの議員が集まったのか、そして、この議員連盟の再発足環境庁長官としてはどんな気持ちで受けとめていらっしゃるのか、最初にお伺いをいたします。
  5. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 自然保護という問題、これは非常に重要な問題でございますが、これは単に法律制度であるとか予算措置などという行政上の努力というようなことだけでは所期の十分な成果を上げるということはできないので、やっぱり広く国民一般の深い理解とそして協力ということがこれはぜひとも必要であるというふうに考えております。そういうような意味におきまして、国民を代表されている国会議員の諸先生方が超党派的に多数参加されて、そして、この自然保護議員連盟というものが再発足を見たということは、私といたしましては、一つはやっぱり国民の自然というものに対する気持ちというもの、これを反映するものであり、私としても大変心強く思っているような次第でございます。今後いろいろな面で、そういうような意味からひとつ御鞭撻、御支援をいただくことができればと、こう考えているような次第でございまして、私といたしましても、その御鞭撻にこたえられるよう精いっぱいで、ひとつ皆様方の御意見等を拝聴して努力してまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
  6. 粕谷照美

    粕谷照美君 ここにお集まりの方々は、地元のいろいろな問題を控えまして、それぞれ相対する考え方をお持ちの方もいらっしゃろうかと思います。けれども、私などもそうですけれども、やっぱり公共事業優先というこのかけ声の中で、非常に環境破壊が進んでおります。その進んでいる中で、やっぱり鳥やけだものの居場所もなくなっていくと、こういう状況も出てきているわけですし、さらに、環境庁の今回の目玉とも言われている環境アセスメント法案ども出てこない、そういう中では、何としても私たちが前面に立ってがんばらなくちゃいけない。もう本当にいま長官がおっしゃるように、法律制度だけに任しておかれないという気持ちで集まったんだというふうに考えているわけです。  しかし、それにしましても、この朝日の夕刊、長官ごらんになったと思いますけれども会長大石武一さんがいろんなことを言っていらっしゃるわけですね。私、これ非常に拍手をもって読まれた方もいらっしゃると思いますし、ここまで言わなくてもいいだろうというふうにお考えになった方々もいらっしゃると思うんですが、このインタビューの記事をどう思いますかと言えば、長官としても非常にお答えづらいだろうというふうに思いますけれども、この辺のところはどういうふうにお考えになっていましょうか。たとえば、大石さんがおっしゃるには、  カモシカ被害の問題が起きてますよね。環境庁  のほかに林野庁文化庁が集まって対策を話し  合うんだが、いまでは環境庁林野庁と一緒に  カモシカをつかまえてしまおうという側に回っ  て、反対する文化庁と対立していると聞いてい  る。大変な時代になったな、 というふうに言いまして、昔の環境庁姿勢といまの環境庁姿勢はぐんと変わっているということも言っていらっしゃるわけです。さらに、  ——今の環境庁に一番欠けているものは。   失礼だが、やはり熱意でしょうね。と、こういうふうに言っております。  経済情勢が難しくなって産業界なんかの巻き返  しも強くなってきたことも確かだが、基本的に  環境庁というのは日本環境を守るんだ、とい  う理想に徹しないとだめですよ。と、こうおっしゃっております。この辺のところは、環境庁長官としてはどのようにお考えですか。そんなことはないと、こうお考えでございましょうか。
  7. 山田久就

    国務大臣山田久就君) まあ、前に環境庁長官をやられた政治家大石先生としての一つ見識として——細部意見は差し控えたいと思いまするけれども、受けとめさしていただきたいと、こう思っております。
  8. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、そういう簡単なお言葉で、私は満足できないわけですけどね。さらに——まあ聞き手は窪田悦郎さんとおっしゃるんですか、記者が実名で書いていらっしゃるわけですから、そういいかげんな、おっしゃらなかったことを響いているというふうにも受けとれないわけですけれども、  ——長官姿勢も大切なのでは。と、こう聞いているわけです。そうしますと、それに対して大石会長は、  はっきりいって、環境問題への信念もなければ  情熱もないような人がなるからだめなんです。と、こうおっしゃっているわけですね。そして、「首相自身が」、というのは福田総理のことだろうと思いますけれども、  首相自身環境庁長官というポストを重視して  いないことも確かですね。と、こうおっしゃっている。  やはり環境庁自体が意気消沈してるのは大臣の  情熱にも関係あるんだ。というんですから、もう環境庁の職員もいまは情熱がなくてやる気がないような考え方をしていらっしゃるんじゃないんだろうか。こういうことで、私は非常に環境庁としては怒ってもいいんじゃないかというふうに思いますけれどもいかがですか。
  9. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 私がこの環境庁長官を引き受けた以上、自分としての見識責任感、任務に対する奉仕の気持ち、そういうものを持って当たっていくつもりでこれをお引き受けしているのでございます。したがって、そういう姿勢に対しての、それは世の中にはいろんな批判や何やございましょうけれども、私はその考えで貫いて自分責任を全うしたい。このことだけをはっきり申し上げてお答えといたしたいと思います。
  10. 粕谷照美

    粕谷照美君 長官のお気持ちは非常によくわかりました。私はぜひその御決意でがんばっていただきたいと思いますけれども環境庁士気はどういう状況になっておりますでしょうか。ということは、先国会の中でも、アセスメント法案担当宮が左遷をされたんじゃないかというようなことがずいぶん公害委員会の中でも問題になりました。そういうことがあれば私は本当に士気に影響すると思いますけれども、いかがでしょう。
  11. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 私は、非常に環境庁士気は上がって、みんな熱心に、決意責任感で仕事を大いにやっていると確信しております。
  12. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは具体的にお伺いいたしますけれども環境アセスメント法案ですけれども、いま各省庁に対して根回し中だと言われておりますが、これが提出をされるという見込みは、日時的に言いましていつごろになりますでしょうか。さらに、それが衆議院を回り参議院を回り、今国会中にきちんと成立をするという見通しについてはどのようにお考えでしょうか。
  13. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 日時の問題、これはいまとにかくできるだけ早くこれを出したいという決意で、熱心に私ども環境庁局長その他に当たらしてがんばっております。いま日時という点をあれでございまするけれども、いま申し上げたような決意調整全力を尽くしてやっている最中でございます。
  14. 粕谷照美

    粕谷照美君 ちっとも具体的でないんですよ。全力を尽くしてだとか、がんばってますとかでは私の質問に答えてないのでありまして、たとえば、四月いっぱいには出せるとか、連休明けには出せるとか、こういう見通しについてはいかがでしょうか。
  15. 信澤清

    政府委員信澤清君) ただいま大臣から御答弁申し上げたような状況にあるわけでございますが、私どもとしては、ぜひ今国会に御提案をし、御審議をいただきたいと、こういう心組みでございます。  私の、事務を預かる立場として申し上げますれば、いま先生お話しのように、今月中に御提案をすべきであろうと、国会でのお扱いはこれは国会でお決めいただくことでございますから、そのことについて私どもとやかく申すわけでございませんが、いずれにしましても、出す以上今月中に御提案するという必要があろう、こういう判断をし、そういう前提のもとに作業を進めているところでございます。
  16. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、環境庁としては今月うちに態勢が整って、そして出せると、こういう自信があるわけですね。
  17. 信澤清

    政府委員信澤清君) 先ほども申し上げたように、調整中でございますから、必ず出すということをこの場で申し上げるのは御勘弁いただきたいと思いますが、そういう心組み、覚悟で事に当たっているという点は御理解いただきたいと思うわけでございます。
  18. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、きょうもう十九日ですね。あと、今月いっぱいというと何日もないわけです。それでまだ見通しがついていないのではないだろうか、いまの御返事ではね。その辺はいかがなんですか。私もちょっと変なところから環境庁の原案なるものが手に入りましてね。私どもの手に入らないで別のところから回ってきているわけなんですけれどもね。具体的に全部こう回っているわけでしょう、省庁に。それで、もう環境庁に返事が来てもいいころなんじゃないですか。いかがでしょう。
  19. 信澤清

    政府委員信澤清君) どういう案が先生のお手元にまいったかわかりませんが、私ども政府部内の調整のために、いろいろな案をその段階段階に応じて御提示し、それについての御意見を聞きながら作業を進めているわけで、通常法案の作成をする場合のルールに従った取り扱いをしてまいっているつもりでございます。したがって、一般に公表いたしまして、そしてそれについての御批判を仰ぐというのは、あくまで法案として国会に御提案した後のことだというふうに考えておるわけでございます。ただ、ニュースソース等これは私十分存じませんが、間々そういうものが新聞に抜かれるということはあるわけでございまして、たまたま幾つかある案の中の一つ、それもある時点におけるその段階での考え方というものが新聞に過去二回ほど出たことはこれは事実でございますが、私どもは、その案が最終案ということではございません。その後調整の結果を踏まえながら、反面これは最終的には内閣法制局の御審査もいただくわけでございますので、そういう作業も並行させながらただいま作業を続けていると、こういう段階でございます。
  20. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、まあ今月うちに出せると、こういうことを目標にしてがんばっている、大体見通しがついているというふうに理解をいたしまして、次に移ります。——首を振っているだけで声が出ませんですけれども。  じゃ、一般的な、鳥獣保護法に関する問題について質問いたします。  まず最初に、先日もずっと新聞あるいはテレビなどで問題になってきておりましたけれどもイリオモテヤマネコのことですけれども、これは鳥獣保護区に指定をするということで住民人たちが大変騒いでおるというようなお話がありましたけれども、たとえばNHKのあの報道を見てみましても、このイリオモテヤマネコを研究するために一人の男性があすこに住み込みまして、そしてヤマネコのふんを探しながらヤマネコ生態を探っているんだということの報告が出ておりました。そして、その奥さん先生をして御主人を養って——養っているというのもおかしいですけれども、そういうことだと思います。奥さん扶養者になって、そしてがんばっていらっしゃるんだというふうに思いますけれども。こういう人がいるからあのヤマネコ生態がわかったり保護が十分に地域に行き渡ったりするわけなんですが、環境庁として一体こういう問題について、住民理解を求める問題だとかあるいはヤマネコ保護の問題だとか、この辺についての実態を御報告ください。
  21. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 西表島につきましては、イリオモテヤマネコを初めといたしまして鳥類ではカンムリワシとかカラスバトといったような貴重な鳥獣が生息をしておる場所でございます。したがいまして、私どもといたしましては、鳥獣保護のために保護区を設定する必要性はきわめて高いものがあるというように考えております。  経過を申し上げますと、この地域の一部分は、すでに琉球政府時代鳥獣保護区の設定がなされておりましたが、復帰後環境庁といたしましても鳥獣保護区の設定をいたしたいということで、昨年来県とも打ち合わせを進めてまいりまして、この一月十八日には地元における公聴会、これは石垣市で行ったわけでございますが、公聴会を行うなどして、鳥獣保護区の設定についての準備を進めてまいったわけでございます。  この点につきまして、私ども事務的には円滑に進んでおるというように承知をしておったのでございますが、その後地元方々の間で、国設鳥獣保護区を設定することについて反対意向があるということを承知をいたしましたので、二月の中旬に自然保護局の係官を現地派遣をいたしまして、この鳥獣保護区の計画につきまして、さらに公聴会を補足する意味におきまして、現地方々にも御説明を申し上げるようにしたところでございます。しかしながら、現地におきましては、住民生活よりもヤマネコの方を優先するということを政府考えておるというような、私ども誤解があったと承知をいたしております。したがいまして、そういった誤解がある限りにおいては、鳥獣保護区を設定することはかえって鳥獣保護の面においてもマイナスになるという問題もございますので、地元方々の御理解を得るまでは鳥獣保護区の設定をむしろ見送った方がいいということで、予定をしておりました鳥獣保護区の設定につきましては一応見送ったわけでございます。  なお、その後三月の下旬に、環境庁の参事官を現地の方に派遣をいたしまして、現地方々の御理解を得るように努力中でございます。ただ、現地におきましては、去る二月にイリオモテヤマネコ中心にいたしましての鳥獣保護区の設定反対決議をなさっておるという経緯もございますので、私どもしんぼう強く御理解を求めるための努力を続けてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  22. 粕谷照美

    粕谷照美君 議会が反対決議をするということは非常に大変なことだというふうに思うわけです。その反対をする理由現地住民を大事にしないというその理由は一体どこにあるのでしょうか。
  23. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 現地方々にはやはり現地としての、生活水準を高めるための開発に対する御希望が非常に強いようでございます。それで、開発鳥獣保護とは、私どもも相当程度両立することは可能であるというように考えておりますが、鳥獣保護区の設定がどうも開発に非常に大きな妨げになるようにお受け取りのようでございますので、そういった面での、人間とそれから鳥獣とが両立できるような形でお互いに納得ができるように持っていく必要があるというように考えております。
  24. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、その住民方々にぜひ納得をしていただいて、環境庁としてはやはりそこのところを保護区にしていきたいと、このようにお考えになっていらっしゃるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。  そして、その見通しについては確信がありますでしょうか。
  25. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣保護区の設定につきましては、私どもといたしましては、現在計画しておりますものが西表の方々に、地元鳥獣を、特に貴重な鳥獣でございますので、大事にしていただくという象徴的な意味を込めまして、これはぜひ実現をいたしたいというように考えております。しかし、先ほど申し上げましたような地元の御意向がある限り、私どもしんぼう強くお話し合いをいたした上で、御理解を得た上での設定が必要であるというように考えておりますので、今後とも努力をいたしてまいりたい。  で、先行きの見通しはどうかということでございますが、一度閉ざされた心を開くことは非常にむずかしいと思います。しかし、これはぜひとも私ども努力を続けてまいりたいというように考えております。
  26. 粕谷照美

    粕谷照美君 私も、開発保護というのは非常にめんどうな問題があるというふうに考えております。先回も関連質問をいたしましたけれども、たとえば佐渡トキですけれども、やっぱり問題があるわけなんですね。しかし、やっぱりトキを愛するというその精神からいまの佐渡におけるトキ保護の状態が出てきたというふうに考えています。ぜひ、住民方々がなぜわれわれがイリオモテヤマネコを大事にしなければいけないのかという、そういう気持ちを培うまで十分現地方々話し合いをされて、進めていただきたいと考えます。  ついでに、トキの話になりましたが、卵が大体来月ふ化をすると思うんですが、あれ、ふ化をしましたら上野動物園にそのまま置いておくんでしょうか、地元に返すんでしょうか。どっちがトキ保護になるというふうにお考えでしょうか。
  27. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 実は、今回のトキの採卵とふ化試みにつきましては、環境庁におきまして、トキ生態及び人工増殖技術に関する学識経験者七名から成るトキ保護対策委員会で御検討を願った上で、上野動物園ふ化試みをしていただくというようにしたわけでございます。現在までのところ作業は順調に進んでおりまして、御案内のように、卵は三個上野動物園にすでに到着をしたわけでございます。で、ふ化が順調に進むといたしましたら、来月の十日前後にかえるのではなかろうか。ただ、これも現在上野動物園でせっかくの御努力をいただいておるものでございますので、私どもはその成功を祈っておるわけでございます。  その後のことにつきましては、この七名の委員方々、これはそれぞれの専門家の方であり、また佐渡トキ保護会会長さんもその中のお一人に加わっていただいておるわけでございますが、佐渡——地元へまた連れて帰って育てるか、あるいは動物園である程度育てるかという二説がございます。で、この点につきましても、これらの諸先生方の御意見を整理をしていただきまして方針を決めたいというように考えておりますので、現段階では未定でございます。
  28. 粕谷照美

    粕谷照美君 私も実はそこのところがよくわからないんですけれども、たとえば、一羽ゲージの中に入っておりますあのキンちゃんという鳥ですが、もう友達がいないわけですね。そして、春になりますと発情してくるわけです。先日も行きましたら、やっぱりくちばしから液が出ていて、その液を羽に塗りつけて黒くなるんですね、その時期というのは。それを見ていますと、石辻さんとおっしゃるセンターの主事の方は、もう胸が痛くて悲しくてしようがないということを言っておられるわけです。じゃ、そのゲージから出したら、本当に飛んでいって野生の鳥になるのかどうなのか、この辺もわかりませんし、あの中に入っているえさは、生えじゃなくて人工えなんですね。最近上野動物園では、動物に対して人工えじゃなくて本物えさを与えるというようなことも——まあお金もないし時間もないからというんで、一カ月に一回とか一週間に一回とかやられるけれども、やっぱりその本物えさの方に飛んでいくという、こういうニュースなんかも見ますと、一体保護というのは何だろうかという基本的なものについて私はやっぱり疑問を持たざるを得ないわけです。地元に帰って、そして本当に飛んでいくという姿が見られて、そしてふえていくというような条件をつくるためにも、ぜひ御努力をいただきたいという気持ちで私はいっぱいでございます。  さて、そのようなことを考えてみますと、子供のときから野生鳥獣に対する教育というのは非常に大事なんだと思うのでございますが、いかがなものでしょうか。文部省来ておりますでしょうか。——私、実はこのトキのところへ行きまして、新穂の会長の後藤さんという方のところに一晩泊めていただいて話をしたんですが、朝から晩まで、もうトキの話と電話でいっぱいなんですね。で、その中で——退職をされた方なんですけれども非常に忙しいんだと、こうおっしゃるんです。なぜ忙しいかといいますと、教科書にトキのことが載っていたんでしょう、静岡県だとかあるいは東京だとか四国のあたりから、子供たちお金手紙をくれる。その手紙お金をもらうたんびに、一通ずつ自筆でもって丁寧にあいさつ状を書いて、どこへ出したかというのも全部記録がとってあるんですね。けれども、それは非常にかたまった地域でしかないわけです。こういう野生の鳥を愛しましょうというこのキャンペーン、たとえば今回の愛鳥週間に向けて、日本鳥類保護連盟サントリー株式会社が、もう連続してキャンペーンを出しておりますけれども、こういう教育というものは文部省の中にあるのかなと、一体どの程度されているのかという実態についてお伺いいたします。
  29. 澤田道也

    説明員澤田道也君) 若干抽象的になるかと思いますが、国のレベルで、小・中学校における動物愛護教育ということにつきましては、児童、生徒の発達段階に応じて、学習指導要領上ではっきりしているのは、理科や道徳を中心に、学校の教育活動全体を通じて指導することにしているわけでございます。たとえば理科では、自然を愛する豊かな心情を養うという観点に立って、生物についての内容を取り扱う際あるいは動物を飼育することなどを通じて、動物を愛護する態度を育てるようにしている。また、道徳でも、学習指導要領の内容として、やさしい心を持って動物や植物を愛護するということを強調し、動物をかわいがり、世話することが大切であることの指導を通して、生命尊重の精神を養うようにしておる。今回の学習指導要領の改定におきましても、理科の「目標」に、「自然を愛する豊かな心情を培う。」ということを明示するとともに、各学年の目標に応じて、生物に親しんだり先物を愛護する態度を育てたりすることを強調するなど、動物愛護についての指導が一層充実するようにしているわけでございます。  具体的には、たとえば、教科帯というものは一つでございませんで、地域ごとにいろいろな教科書がございますので、いま先生の御指摘のように、ある天然記念物のことが載っておる地域、載ってない教科書を採択している地域というものはあると思います。しかし、いずれの教科書におきましても、こういうことを通じて、たとえばいまの理科、道徳を除きましても、国語の教材などでも、たとえばいまお話の出ました、鳥類保護連盟の方の御苦心のことを国語の教材に載せている教科書も、私、気がついている次第でございます。
  30. 粕谷照美

    粕谷照美君 小・中業校の点についてはわかりましたけれども、私は、それを教える先生自体がそういう教育を受けていないのではないだろうか、こういうふうに考えておりますが、特に大学にも自然、野生鳥獣保護の講座などを開設して、一般指導者層の保護に対する知識を啓発して、専門家を養成すればいいのではないかということが、日本鳥類保護連盟のあたりからは主張されておりますけれども、大学における実情はどんなになっておりますか。
  31. 澤田道也

    説明員澤田道也君) 小学校課長しか出ておりませんので、私から、知っている限りお答えをいたしますけれども、いわゆる小・中学校の教員養成につきまして、特にいわゆる動物愛護についての教育課程が教員養成課程に義務づけられていないことは確かでございます。これはまあ現在こういう状況でございまして、学生の方々がいろいろなクラブ活動、学生の活動を通じて、教員養成課程においても、そのようなことに取り組んでおられる学生さん、また、それを指導しておられる先生方はおられるわけでございますが、教職の養成課程で必修しなければならない科目もずいぶんあるものでございますから、動物のいろいろなことについて、そのことを必ず義務づけて課程の中に置くという構造にはなっていないわけでございます。
  32. 粕谷照美

    粕谷照美君 今度教育課程の中に自然保護、こういう問題が入ったということを私は心から喜びまして、ぜひ教科書の中のさし絵なんかにも、全然出てないではないかなどとよそから指摘をされるというふうなことがないように、十分皆さんとお話し合いを進めていただきたいと、こう思っております。  で、環境庁に、何か感応度をテストするような形で悪いんですけれども、つい先日、ブリジッド・バルドーさんから、日本の国は、アザラシの子供の皮でつくったいろいろなものを輸入しないでもらいたいということが、福田総理大臣手紙できたということが載っておりました。私は、実は一年ぐらい前から北海道に行って、飛行場でおみやげ店を歩いておりますと、まっ白いきれいなハンドバックだとかお財布があるわけですね。何の皮だろうと思ったら、アザラシの子供の皮だと言うんですね。そして、その後でテレビを見ておりましたら、生まれたばかりの、動くこともできない、本当に目がようやくあいたぐらいのかわいらしい白いアザラシの子供を、大の男が、氷の上に大きな船を持ってきて、こん棒を持ってきて、もうどんどんたたいて殺して、そして持っていくわけですね。あんな残酷なことはないと思うわけです。鯨をとるということで日本はやられっぱなしなんですけれども、ああいうことに対して抗議もすることができない日本だったら本当に残念だなあという気持ちがするわけですが、正式に総理に対して手紙が来ているわけですか。そういうものに対して——輸入をするなというんですから、これ通産省だと思いますが、環境庁は、うちの管轄範囲外だなんていうようなことではなくて、何かお話しでもなさいましたでしょうか。どうでしょう。
  33. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 基本的には、絶滅に瀕している動物の取引に関するいわゆるワシントン条約に関連した問題でございますけれども環境行政の面から申し上げますと、御指摘のように、私どもの所管からは外れております。しかしながら、野生動物全般についての行政を預かる環境庁といたしましては、こういった外国における野生動物も大事にされるということは、きわめて深い関心を持っておる問題でございます。で、所管の関係各省庁ともいろいろ話し合いはいたしておりますが、事が商取引に関する問題まで含まれておりますので、まだ結論を得ておる問題ではございません。
  34. 粕谷照美

    粕谷照美君 反応は大変、行動は敏速であったというふうに理解をいたします。まあ商取引に関する問題だからと、こうおっしゃいますけれども、しかし、そういうことを許しておいたんでは保護というものは成り立っていかないわけですから、ぜひ十分なお話し合いを進めていただきたい。そういうことを禁じている国だってあるわけですから、環境庁としても積極的な姿勢を示していただきたいと思います。これ、ちょっと筋道が離れましたけれども。  では、法律の中身に入っていきます。  まず最初に、狩猟の場についての問題ですが、先回坂倉委員質問に対して長官がお答えになっておられたことは、私は、ちょっと声が小さかったように思いまして、よく聞き取れなかったんですけれども、もう一度、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 狩猟の場につきましては、従来からの経緯もございまして、にわかに現行制度というものを変えるということは、いろんな点から困難な状況にあるというふうに思われるのでございまするけれども、秩序ある狩猟を確保するということが主要な課題であると考えておりまして、今後におきましても、特に猟区の制度、これを拡充強化するとともに、可能な限りこれを全国に普及するような方向で努力してまいりたいと、このように考えております。
  36. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、いまの長官のお答えは、ちょっと違ったんではないんだろうか、先回と。こういうふうに思っているんです。私はよそにおりましたのでと、こうおっしゃいましたから、よそというのは日本の国ではなくて外国にいらっしゃったと。ああ外国にいらっしゃったから外国の狩猟の状況をよく御存じなんだなと、こう思っていまして、よそでは大体猟区内の猟だということなので、そこに持っていきたいと思っているけれども、いま急に制度を変えることはできないのでこれから努力をしていく。つまり、努力をしていくということは、猟区内の猟にしていきたいというふうに長官がお考えになっていらっしゃったのではないかと思ったものですから、それでいま確認をしたいと思ったわけです。
  37. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いま粕谷委員のおっしゃったようなこと、それが私の気持ちでございます。
  38. 粕谷照美

    粕谷照美君 私、大変意を強くしました。  で、法律は三十八年に改正されましたけれども、その法改正のための三十七年の鳥獣審の答申はどういうふうに言っているかといえば、農林大臣の指定する猟場のみで狩猟を行えることとし、指定猟場以外での狩猟は禁止されるべきである。こう言っているわけです。ところが、これが無視をされまして現在の法律になっていった。だから、前回の答申を無視したことから事故が続発し、乱獲による減少となっているのではないかと、こう日本鳥類保護連盟は指摘をしているわけですが、環境庁としてはいかがお考えですか。
  39. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 昭和三十七年に答申がございました際に、そのような答申があったことは御指摘のとおりでございます。その際に、三十八年に改正の法律案提出いたしますときに、当時、林野庁が結局その御答申の趣旨を取り上げなかったというように承知をいたしております。詳細のことは私も十分には承知をいたしておりませんが、その際に問題が二つあったようでございます。  一つは、答申ではああいう形で出したんだけれども、関係団体の中で、その後やはり内部的にいろいろな意見が出てきておったということ。それから、もう一つは、政府側がその準備に具体的に入ろうとする場合に、わが国の山林原野等は、従来の例からいって土地が細分化されておる。したがって、まとまった猟区を設定する場合に、いろいろ土地所有者との間にむずかしい問題がある。しかも、先般も申し上げましたように、狩猟に対する権利義務関係が明確でない慣習があるというようなことで、行政の措置として非常に取り上げにくい面があったということのために見送らざるを得なかった。しかし、それに対応いたしまして、鳥獣保護のためには鳥獣保護区の設定でございますとか、休猟区を充実するという形で進めてまいるということで、その後、最近十年間には非常にそれが進んできております。  そういう意味で対処してきておりますので、保護団体の方々の御指摘のようなこともございますが、要するに鳥獣の減少は、そういった措置によって相当程度対処ができてきておるというように考えておるわけでございます。
  40. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、保護連盟の指摘に対して、前進をしてきているというふうに環境庁としては考えておられるようですが、今回の答申は三木併記になっていますね。これ、支払い側と医療行為をする人なんということになりますと、激論がありまして両論併記などということも出てくると思いますが、この猟場の問題について三本併記になるなんという答申は、非常に異様ではないかというふうに思います。この三本のうちのどの部分を環境庁はとったというふうに私ども理解していいのでしょうか。それから、この答申が一致していないわけですから、大変判断に困るわけなんですよね。それはいかがでしょう。
  41. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、答申が三つに分かれますと、環境の行政を所管する側としては身動きが非常になりにくいわけでございます。しかし、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、秩序ある狩猟を確保することがきわめて大事であり、鳥獣保護のためにもあるいは危害の防止のためにも必要でございますので、今回お願いをいたしましたところで猟区の制度を拡充していくということで、公営の猟区以外に私営猟区も認め、そしてまた、放鳥獣のみを撃つような猟区をつくるというのならそれも制度的に設けておこうというようにいたしましたのはそういう意味でございます。その中におきましても、狩猟の秩序と鳥獣保護についてはできるだけ前へ進めたいという意図のあらわれとおくみ取りいただければ幸いでございます。
  42. 粕谷照美

    粕谷照美君 先ほどの大臣の御決意の方向に向けて今回は法律が改正をされたと。私たちはどうも足して二で割ったような感じではないかと思っているのですが、それでも前進部分はあると、こういうふうに理解をしていきたいと思います。  けれども大臣、どうなんでしょうね、この答申の中には、引き続き検討を要するという言葉が入っておりますけれども、この問題についてやっぱり早急に検討をしていかなければならないのではないでしょうか。いかがでしょう。
  43. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 先ほど委員からも指摘されましたが、長い目では鳥獣保護という基本的なねらい、それを考えながら、その目的を達成するためにはどうあるべきかということで、先ほど御指摘のような点を私は長い経験からもそういうことを考えてやっておりますが、これが併記されていくというのは、いろいろ所有権の問題なんかが非常に複雑であるためになかなかそういうことがやりにくいという実際の状況があるからそういうことにもなったのだろうと思います。ここでとりあえず鳥獣保護ということについては非常に重点を置いて、いまの状況のもとにおいてもできるだけのことはやると、そしてまた狩猟そのものの規制、秩序ということについても十分の力でやる。また、長い目でいわゆる猟区制度の前進というものを、実際上そういう形を植えつけていくことのねらいをさらに一歩進めるということで、究極の目的の達成へ向かっていくというようなことをひとつ御理解いただければと考えておるような次第でございます。
  44. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣の意気込みはよくわかりますけれども、余り長くかかりますと、そのうちにもう鳥がいなくなった、けものがいなくなったということになるわけですから、このことについては早急に手を打っていただきたい、こう考えます。  次に、狩猟免許制度の改善のことについてお伺いいたします。  これは先回の委員会のときにも十分いろいろな御指摘があったわけですが、私は気になってしようがないわけです。免許交付の条件が厳しくなるのはもう当然のことだ、これだけの事故があるわけですから。その事故は、幾ら減少したとはいえ現実にあるわけですから。それで、現在の四十万人の免許所有者の資格の再登録について、厳しく行われるのでしょうかどうなんでしょうかという心配があるわけですが、どうでしょうか。
  45. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 今回御審議をお願いいたしております法案の中におきましては、昭和五十四年の四月十五日現在で現行法による狩猟免許を受けている者は、昭和五十七年の九月十四日までに、その者の住所地を管轄する都道府県知事の行う講習を受けかつ審査に合格した場合は、新法による狩猟者試験に合格したものとするというようにいたしてございます。その際の講習につきましては、法令でございますとか猟具の取り扱い等について行いまして、さらに審査におきまして聴力、視力、運動能力等狩猟を行うのに必要な適性を検査するというようにいたしたいということで適正を期したいと考えておりますので、こういったすでに免許を持っておる者の経過的な再教育についても十分遺憾なきを期したいと考えております。
  46. 粕谷照美

    粕谷照美君 運転免許なんかも視力だとか聴力だとかいろいろなことはありますけれども、一番問題になっているのが精神障害ではないだろうか。外から見てはわからぬけれども現実に持っている部分というものがあるわけですし、これは憲法規定からはどうかという御意見もあるわけですが、非常に暴力的なことを引き起こす人たちがこのような猟銃を持つなどということも現にあるわけですね、一家殺傷だとか。そのようなことについての心配というものはないわけでしょうか。
  47. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 新法の第六条で、二十歳未満、あるいは精神に異常のある者、あるいは麻薬患者等については、これに免許を交付しないということを言っておりますが、この点につきましては、それに該当する者は審査を受けることができないというように解釈をされます。
  48. 粕谷照美

    粕谷照美君 答えていないんですよね。現にはっきりしている麻薬だとか病院に入らなければならないとか通院をしなければならないというような精神障害ではなくて、もっと別の意味の、心の障害を持っている人たちがいるわけですから、その辺のところはどうですかと質問しているわけです。
  49. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) そういった潜在的な者を把握するというのは非常にむずかしい問題でございます。そういう者は、疑いを持たれれば調べていただくということができますが、これは先生御案内のように自動車の免許においてもなかなかむずかしい問題でございまして、実行上は、できるだけそういった精神異常、障害のある者に免許を差し上げないということに制度上の規定ができましても、実際に把握するということの困難さは御指摘のとおりでございます。できるだけこれは努力をいたしたいと考えます。
  50. 粕谷照美

    粕谷照美君 関係者の方々が非常に努力をされていて事故がどんどん減っているということは私たち喜ばしいことだというふうに思いますけれども、それでも現実に起きている去年の事故、おととしの事故というのは、この四十万の方々が起こしている事故だと理解してよろしいのではないかと思いますよ。そうしますとね、やっぱりこの免許の切りかえ、今度の再講習、再登録というものは、もう本当に厳重にやっていただかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
  51. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) その点につきましては、準備期間も相当程度置いていただくようにお願いをいたしておりますし、都道府県との打ち合わせを十分にいたしまして粗漏のないように努力をいたしたいと考えております。
  52. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、事故の問題についてお伺いをしたいと思いますが、実は私の友人にも、カモ撃ちに行きまして、友達が足を滑らせて暴発した散弾が腰から下に二十六発入ったというので、それを取るのに大変長い問入院をしたというような事故がありました。殺されて泣き寝入りをしているなんという事故はあるものでしょうか、どうでしょうか。
  53. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 現行の制度のもとでは、ハンターが自発的に、あるいはハンターの属する団体で補償ができるという場合は補償が行われておるようでございますが、制度的にそれが確保されておりませんので、ハンター自身に経済的な力がない場合に、被害者が御指摘のようなことのために十分な補償を受けられないという事実は、私ども正確につかまえておりませんが、御指摘のようにあるようでございます。
  54. 粕谷照美

    粕谷照美君 あるようですなんて言わないで、あるんですよね。  それから、この補償につきましても、大して高い補償ではないんではないかと思いますがどうでしょう。猟友会の共済とハンター保険などどんな状況になっていますでしょうか。
  55. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 大日本猟友会の共済の制度におきましては、最も大きな損害、死亡事故でございますとかあるいは両眼を失明するといったような大きな事故の場合には、共済から二千万円までの金額が出るというようになっております。なお、民間の保険会社の行うハンター保険に入っておられる人の保険の金額はまちまちでございますが、平均して二千万円程度になっておるというように承知をいたしております。
  56. 粕谷照美

    粕谷照美君 これは制度的に、全員必ず入らなければならないということをつくられるお気持ちはありませんでしょうか。
  57. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 今回御審議をお願いしております法律案の中で、登録に際しまして、十分な補償能力を有することを都道府県知事が確認をするということを規定上設けてございますが、その趣旨は、いまの保険の制度でございますとかあるいは共済に入っておりまして補償能力があるということを確認した上で登録を認めるという形にいたしたいと考えておりますので、その点は登録の際に確保されるというように考えております。
  58. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま、十分なとこうおっしゃいましたけれども、十分とは一体幾らなのか、どの程度を用意しておけば十分になっていくのか、その辺のところがよくわからないわけです。大日本猟友会の収支決算書を私見せていただきましたが、この保険必ず登録で入るようになっているんですね。そして、その予算よりは支出の方が少なかった、事故が少なかったということは非常に喜ぶべきことだと思いますけれども、しかし、これだってもしものときには大赤字になるかもしれないわけです。この辺のところの補償能力というのは一体どのようになっているのか。  それから、猟友会に入らないようにしましょうなどという呼びかけも、私、見てみますとあるんですね。そうすると、猟友会に入らないで登録免許をもらう人たちはハンター保険だと思いますけれども、そのハンター保険は一体幾らまで入らなければ登録の許可を出しませんよということになるんでしょうか、その辺はどうでしょうか。
  59. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) この点につきましては、私どもまだ事務的に意見を完全に整理をいたしておりませんけれども、自動車損害賠償の場合の一千五百万円というのがあるようでございますので、それが決められた後の物価の変動その他を考えまして、現在の猟友会が行っております二千万円というのが一応のめどであるかとは考えておりますが、なお慎重に検討をいたしました上でその基準を明確にいたしたいというように考えておるわけでございます。
  60. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、こう考えていいですか。登録をする場合には、必ず補償ができる条件を備えなければ許可証は与えない。それから、その金額につきましてはこれから検討するといたしましても、物価の上昇だとかその他のいろいろな補償の条件があるわけですね、自動車にしてもそうですし、いろいろな健康被害補償だとかあるいは学校災害補償だとか、予防接種補償だとか、いろいろなあれがあるわけですから、その辺のところと見合わせながら、ある程度スライドをしていくというんですか、そういうことも考える余地というものはあるんでしょうか、どうでしょうか。
  61. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のとおり、私どもといたしましては、それぞれの社会的な情勢の変動に応じて弾力的に取り扱う必要があると考えております。
  62. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、時間が来ましたから、私はこれで質問を終わりますけれども長官にぜひお願いをしたいと思いますのは、時間がありませんでしたから質問しなかったんですけれども、東南アジアの国々から、世界の保護鳥といわれるような鳥が日本にまだ入っているわけですね。そういうことについて、先回もいろいろな御答弁はありましたけれども日本の国としてはもうそういう鳥は入れないんだと、こういう毅然たる姿勢というものが大事なんではないでしょうか、いかがでしょう。
  63. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 実際、外国からのそういう輸入の鳥についての輸出証明とか、いろいろなことを今度の法律考えているわけですけれども、外国では、われわれの経験で言いますというと、かごの中に鳥を飼うというような習慣はほとんどないんで、全部オープンの、自分の庭に自然の鳥が来て、そこで遊んでいくのをみんなが楽しむと、本来から言えば、そうあることが本当の意味の人間の生活と自然の鳥獣というものの共存の姿だろうと、こう思うのです。ただ、日本ではまた違った意味の習慣というか、愛情というか、ペットのように、本人は一生懸命に愛してかわいがっているんですけれども、そういうような長い長い習慣というようなものがある、これは事実でございまして、そのためにまた乱用やいろんなことが起こってくるという点、われわれも心配しておりますので、いま御指摘のような点、これは十分そういう現状と鳥獣保護の基本的な立場を踏まえて、ひとつ至急こういうものに対する対策を検討させていただきたいと思います。
  64. 粕谷照美

    粕谷照美君 先日文教委員会で視察に行ったその途中で、自民党の後藤理事が、あそこに書いてあるのは一体どういうことなんだろうと、こう言われたわけですね。何だろうと思ってみんなで見ましたら、「猛禽注意」と、こう門口に張ってあるわけですね。猛禽というのは一体何を飼っているんだろうという話になったわけなんですけれどもね。猛犬じゃないんですよ、猛禽なんです。そういう鳥をかごの中に入れて飼っていて、郵便屋さんが戸を開けたらくちばしでガツンなんてやられた日にはかなわぬわけですし、先日もライオンのペットを飼いまして、みずから飼っているライオンに食い殺されたという飼い主の話もあるわけですが、いま長官がおっしゃったように、私はやっぱり原則として自然のままで保護をするという、こういう理念というものを出していただければ、ライオンを飼って自分がそれで食い殺されるというような状況はなくなってくるのじゃないんだろうかと、こう思いますので、今後の御検討をお願いいたしまして、時間が参りましたから、質問を終わります。
  65. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、鳥獣保護法の一部改正に関連いたしましてお伺いをしたいと思います。前回から非常に多面的に質疑がなされておりますので、私はごく二、三点についてお伺いをしたいと思っております。  先ほども質疑の中で出ておりましたように、元環境庁長官から大変厳しい御批判や御意見が出ておるという問題、あるいはそのためにわざわざ議員連盟などができているというふうな問題も含めまして考えてみなければならないと思うのです。で、本法の改正の必要性というのは、これは鳥獣の生息環境が国土開発などで急速な変化をして、また、猟銃などによる事故等も起こっておるというふうな事情から、狩猟制度の適正を期すという立場での改正であるというふうに理解をいたしております。しかし、そういった点で私ども思いますのは、やはりこの狩猟をやっていくという問題で、問題をどのように適正化していくかという立場の法案でございますけれども、そのことを考える場合に、それでは自然保護との関係でどのような調和を確立していくかというのが、やはり行政として非常に重要な観点であろうと思うわけです。そういう点では、すべての生物というのは自然の中で環境に従って生きているというのが実情でございます。その中で人間だけが自分環境をつくり変える能力を持っている、こういうことだと思うんです。で、人間だけが環境をつくり変える能力を持っておるがゆえに、今日の文明社会というのが成立をしてきたと思うのでございます。そういう中で、人間が経済的な条件というか、経済的評価から利潤の追求だけに走るという場合には、自然環境を破壊し、その中で生きてきております生物、野生動物を絶滅に導くというおそれさえ出てきているというのが今日の状態であろうと思うわけでございます。  で、こういう観点から見ますならば、もっと原点に返って考えてみなければならないと思うわけですが、生物学的に見れば人間も一つの生物の一種だということでありますし、その限りにおきましては他の生物と共存共栄をしていくということが何よりも不可欠な問題。したがって、原則的には現存の種族はすべて自然の中で保護されるということが望ましいわけですが、そういう点で、とりわけ野生鳥獣というのは人間には最も近い存在であり、生物としては多様な価値を持ってきていると思います。そういった立場から、世界各国では、世界各国の特に文明国では、積極的に鳥獣保護の政策を打ち出してきておりますし、極の保存を図るというふうなことに積極化しておる。そういった生存を保障する自然環境を守るということが非常に大事なわけですが、戦後特にわが国の社会経済の発展の目覚ましい中で、一方では自然環境の破壊が目立ってきている。そういう中では野生鳥獣の生息というのも困難になり、一部の鳥獣は絶滅の危機に瀕していると、自然保護状況から見ますならばそういった関係があるわけですね。今回私はそういった点で自然保護の立場とそうして狩猟制度の適正化という点での問題、これをどのように調和するかという点がやはり一番大事な問題だなというふうに理解をするわけです。  そういう立場に立って、まず最初にこれは長官にもお伺いをしたいと思いますことは、そういった点での自然保護の立場を貫くという点では、環境庁の基本姿勢の問題というのはいろんな側面から質疑がなされておるわけですけれども、その基本姿勢というものを貫いていく上での抱負経綸とも申しましょうか、そういった点の基本的な観点を最初にお伺いしておきたいと思うんです。
  66. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いまいろいろ御指摘いただいたことでございまするが、この自然環境というものはまことに微妙なバランスというものででき上がっておりまして、その間における鳥獣、すべての生物というものとのリサイクルの関係、その他、なかなかこれは人知ではにわかにはかり得ないような微妙なものが存しておると思います。いま御指摘のように、鳥獣はこの自然環境を構成する重要な要素であるということは御指摘のとおりでございまして、したがって、わが人間生活国民生活というものを豊かにする上でやっぱりこれは非常に不可欠なものだという立場に立って物を考えていかなければならないと思います。  そういうような意味において、こういう鳥獣保護というようなことについて諸外国との比較ということでとかくのわれわれに批判があるわけでございまするけれども、他方わが国は領土が非常に狭い、かつ可住地域と申しますか、そのパーセンテージが非常に低いところへもってまいりまして、先進工業国という、非常な経済発展を遂げておりまして、人口の移動状況なんというものも御承知のような状況で、したがって、いわゆる人工的につくる環境というようなものをどう考えて、どう調和していくかということが、実はこの土地利用計画とも関連して非常にむずかしいわれわれの大きな課題じゃないかと思います。事実、年々この開発の中で数を減じて、そうして生存が危機に瀕しているというものもあることは御指摘のとおりでございまして、われわれとしてはこういうような状況については特に国として積極的に計画的な保護に当たっていく必要があるんだという観点に立って対処していかなければならないとこう思います。  と同時に、確かに先ほど御指摘がありましたように、鳥獣の中には農林業なんかに対して害を与えているというようなものもございまして、いろいろの問題を提起されていることは御承知のとおりでございまするけれども、にもかかわらず、鳥獣保護、それはやっぱり大きな自然のバランスというような見地で、広い立場からどうしていくかというような形でこれもめんどうを見ていって、そんな高い観点から人間との共存共栄ということを考えるようなこと、そういう立場でひとつ適正な保護の道を講じていくことが必要じゃないか。われわれの努力が非常に足りない点も多いと思いまするけれども、そのような立場に立って対処していくことが肝要であると、こういうふうに考えておりまするので、ひとつどうぞいろいろな意味での御指摘、御支援をお願いいたしたいと思います。
  67. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、そういう立場から言いますと、具体的な問題はいろいろとすでにもう論議がされておりますし、問題点はただされておりますので、多くを申し上げようと思っていないんですけれども、たとえば、非常に心配をしますのは、長官の抱負経綸あるいは基本姿勢というものを貫いていく上で、やはり行政が非常に大事なんですよね、行政が。その点で、私どもがもうよく耳にして何回も問題になっておるたとえばカモシカの問題でも、片や保護をするということが決められている、片方では山林に被害を与えるから捕獲をしてほしいということで捕獲をやると、こうなるわけですね。そういう場合に、どこでその行政の調和を図っていくかという問題になるわけですね。いずれにしても、有害なものについては一定の対処をしなければならないと、その場合の対処の仕方だって、これは自然保護、しかもニホンカモシカのように保護をするということが決定されておるものについては、前のように五頭を捕獲するということを決めましたわね。その場合の五頭の捕獲については、非常に細心の注意が要るであろうと思うんですね。で、これはまあハンターに任せればよろしいと、委託をすればよろしいという簡単なものではないんではないかと思うんですよね。これは私ども全く狩猟については素人ですからよくわかりませんが、あの五頭の場合でも、問題点はいろいろ御指摘があったようですから私繰り返しませんが、そういう場合に、やはり専門官が行政の責任でやっていくと、こういう大事な観点というのはきちんと押さえていくということが非常に大事ではないかと思うんですね。  ところが、そういう立場で責任を持たねばならない専門官というのは、これはいま環境庁ではお一人だそうですが、たった一人で霞が関の本庁の庁舎の中におるというのでは、これは広い日本全体の野生鳥獣保護を実際にやっていくということはできないであろうし、少なくとも行政上の整合性というんですかね、この現状の中で、片や保護、片や一方の害を与える部分についての対処という場合の整合性を誤りなく与えていくという場合にも、これは専門官がたった一人で本庁におっただけで、これやれと言う方が無理ですよね、少なくとも。だから、そういった点で、少なくとも専門官をきちんと必要な程度にはせめて置くということが大事じゃないかというふうに思うんですよ。その場合にも、有害な、害を与える鳥獣の駆除対策に当たる駆除の専門官、それから保護に当たるべき専門官と、少なくとも両方は要るんじゃないか。こういう点については余りにもお粗末過ぎはしないかというふうに思うんですが、その点どうでしょう。
  68. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、環境庁の私どもの方の職員の数は十名ちょっとでございまして、その中の専門官は一人でございます。これは基本的には、昭和三十八年の法改正以来の方針といたしまして、鳥獣保護並びに狩猟に関する行政の現場における指導なりあるいは対処の事務は都道府県にお願いするということで、財源措置もそういう意味において行われておるということが基本でございました。そういう意味で、中央官庁の方は小人数で全体の都道府県を御指導申し上げるという方針できておったわけでございますが、最近の情勢から申し上げまして、国際的に保護を図る必要のある鳥でございますとか、絶滅に瀕しておる鳥獣でございますとかといったようなものにつきましては、国が相当以上の力を注がなければならないということがございます。したがいまして、国と地方とが総合された形で力を発揮できるように、私ども今後努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  69. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、長官、この点やはりさしあたりせめて最小限そこは強化しなければならない点ではないかと思うんですが、これはひとつ具体的に進めていただきたいと思うんですが、どうです。
  70. 山田久就

    国務大臣山田久就君) これはひとつ努力してまいりたいと思っております。端的に申しますというと、私は日本は、気候といい春秋といい、いろんな面で自然に大変恵まれ過ぎている。結局これが逆に自然というものに対して、これはただだというような感じに非常になって、案外外国なんかと比べてみるというと、身近なものに自然を持ってきて、そういうものに非常に注意を払うということを生きがいにしていくような習慣が少ないんじゃないかと。したがって、いま専門官といいましても、そういう意味での、自然を愛しながらということを自分の職業にしていこうということを志望するような方がどうも……
  71. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなことないですよ。
  72. 山田久就

    国務大臣山田久就君) まあどういうふうになるのか私もそれはわかりませんけれども、その議論はともかくといたしまして、充実しなきゃいかぬことについてはひとつせいぜい私も努力してやっていきたいと思います。
  73. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 どうも頼りないなあ。一人しかおらぬというのは余りにもやっぱりお粗末ですよ。大きなこと言うてるけどやることは、ということになりますからね。その点はやっぱりぜひ最小限度を——私申し上げた駆除の専門官、それから保護の専門官と、せめて二人は要るんじゃないかということを申し上げてるんだから、そのくらいのことはぜひ早速おやりなさいよ。そんな、簡単なことじゃないですか。まあ人をふやすのは簡単じゃないということは知ってますよ。しかしね、経済大国で、工業生産では世界一位や二位や言うて誇ってて、しかし自然環境保護するというのに、専門官が環境庁に一人だけちょこんとおるというのはね、それはお粗末過ぎますわ。その辺、もう簡単でよろしいから。余分のこと要りません。
  74. 山田久就

    国務大臣山田久就君) その一人の専門官という以上に、まだ実際知識を持っている者はもっといるようでございますけれども、そういう点、大いにそういういる人も活用しながら、また充実ということをひとつ心がけたいと思います。
  75. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 やるって言わぬですな。(笑声)局長は何とかやりますと言うても、そんなことは答弁だけですか。もうこれは危なくてしようがないですね。というのはね、これは最小限度と言っているんですよ、私ね。これは自然保護関係の専門家に言わせれば、せめてその両方が要るし、それから府県にもそれぞれその専門担当が要ると、せめて要るということを言っているんですよね。で、そこまで一遍になかなかいかぬであろうと思って、せめて一人を二人にするぐらいのことはやったらどうだと言ってるんだけど、なかなか明快な御答弁が得られないのが非常に残念で、初めに聞いた抱負経綸が怪しくなってきてるんでね。
  76. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いや、私はそれはやろうと思って、いまわれわれの方の、実際上そういう知識を持った人がいて、やっているということだったものですから、まあそういう事実も踏まえて、必要な人員だけはとにかく確保するようにやりたいと思っています。
  77. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、私、ちょっと簡単に済ましてしまおうと思っていたんだけど、御答弁が御丁寧だから時間がかかっているんですけど、そういう立場で見ますとね、まあ自然の野生鳥獣を見ていきますと、非常にいろんなところで矛盾が出てるんですね。たとえば狩猟というものを考えてみる場合も、一つは第一次産業として狩猟を業とするということもあるわけでしょう。いまだってあるわけですからね。それからもう一つは、いわゆるハンターですよね。まあスポーツ的要素も持っているかもわかりませんが、ハンターと、しかも一方では第一次産業としての要素と両方あるわけですね。この間の兼ね合いも非常に大事なことになってくるんじゃないかと思うんです。  たとえばイタチですね、イタチは毛皮用に年間一万五千匹とられているんですね。殺されている。ところが、たくさんとり過ぎて野ネズミがどんどん繁殖するということで、農林省は野ネズミの駆除用ということでイタチの飼育をやっているんですね。ところが、イタチというのは物すごく飼育しにくいものらしいですわ。だから、一年に五、六十匹供給しかねてるというんです。片方で年間一万五千匹毛皮用にとられているんです。それは産業なんですよ。生業なんですね。こういう問題というのは、行政上この時点だけで見たら矛盾なんですね、確かに。片方ではとっていると、片方では、農林省では飼育して、野ネズミ駆除用に使うているというから、おかしな話ですわ。そういう問題というのは、これはタヌキだとかキツネだとかテンだとかアナグマだとかも同様なことになるらしいですね。それから、もっと言えば、自然保護団体の関係者から言わしめれば、ヤマドリだって非常に個体数が減ってきているから、これはもうとるのをやめさせたらどうかというふうな意見もあるわけですね。そういうことになるわけです。ところが、ハンターから言わしたら、ヤマドリやキジが撃てなかったらもう楽しみ半減ですね。そういう非常にむずかしい問題をはらんでると思うわけですね。  で、そういう点で見ますと、これは自然保護の限界と、しかも人間の自然環境を変化させていくという、産業としてあるいは狩猟として、ハンターとしてやっていくというふうなこととの兼ね合いというか、調整というのが非常に大事になってきている。これをどこの辺で線を引くかというのが法律であり、行政の仕事だと思うんですね。そうだと思うんですが、そういう点で、その線引きをしていく場合に、現状がどうかということがわからぬとどこで線を引いていいかわからぬ。あっちでもえらいことになった、こっちでも絶滅に瀕した、それえらいことやということの繰り返しになろうと思うんですが、そのための現状把握という点で、基礎調査というのは環境庁としてはどういうふうにやっておられますか。
  78. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 一番大きな調査から申し上げますと、実は今年度やりたいということで用意をしておるものでございます、いわゆる緑の国勢調査と言われる環境保全基礎調査でございますが、今年度は動物につきまして大きな力をさいて調査をいたしたいということでやっております。  で、問題になっておりますカモシカ等につきましては、それぞれ個々の動物についての生息状況等の調査はいたしておりますけれども、総合的には今年の調査が最初のものになります。一億数千万の金をかけての調査になるわけでございますが、御指摘もございましたように、動物の数を把握し、生態を把握するのは非常にむずかしいことでございます。その調査でも、どこに何がすんでおるかという程度の調査で、日本全国に網をかけて見るということで、数まではなかなかむずかしいかと思いますが、これは継続的に行いたいというように考えておりますので、将来に向かって充実していきたいと考えております。
  79. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ基礎調査に着手をされておるということですから、特に私は大事だと思うのは、行政がどこで線を引いていくかという点の判断の基準になるためには、全国的な野生動物の生息分布の個体数の基礎調査というものをこれは環境庁が握っていなければ、法律をつくって線引きをしていくという判断の基準がなかろうと思うんですね。そういう点で、ぜひ全国的な野生動物の生息分布、個体数も含めてですね。これはきちんとした基礎調査をつくり上げていただきたいと思いますが、できるだけ早くこれはつくる必要があると思うので、これは長官ぜひやり上げていただきたいと思いますから、御決意だけ伺いたい。
  80. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 基礎調査というものは、これはあらゆる対策の出発点でございます。ひとつ大いに努力してやってまいりたいと思います。
  81. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと一つ、具体的な問題で御意見をお聞きしておきたいと思います。  これは神奈川県の猿島のことですね。この猿島というのは、私も知らなかったですけれども、いま東京湾内に残されている唯一の自然島だそうですね。自然島ではただ一つしか残ってないそうです。で、猿島というのは、戦前は海軍の要塞として、一般人の上陸が禁止をされて、自然状態が実によく保存をされていたところ。戦後は大蔵省の所管になったのであるが、横須賀市がいま京浜急行と提携をして、観光船で渡船をしているんですね。観光地として使われている。ところが、その限りではよかったんですが、この島を横須賀市は国から払い下げを受けて、水深五メートルまで埋め立てて、レジャーランドにしていく。それから横須賀新港の防波堤にする計画であるということなんですね。こういうことは何とかやめてほしいというのが県民の非常に強い要求になっておる。  で、猿島というのは、私も全然知りませんでしたけれども、海蝕洞の大きなものがあったり、それから地史的な、成因を物語る大切な証拠になるような海蝕洞になっておるそうですが、ここには弥生人の遺跡がある。それから、明治以降は軍の要塞堡が設置をされていて、その関連する地下壕も現存している。で、ペリー来航のときにはこれをペリー島と名づけた局だそうです。そういういろんな文化、史跡があるのと同時に、モスソガイとかカラスバトなどというのも生息をしている。こういう学術的、文化的な価値ある島が、しかも東京湾に自然島はたった一個と、そういうことで、何とかして保存したいという御意見が強いわけですけれども、これは現地の議会等でも問題になっておるようでございます。  で、こういうものについてはひとつ御調査をいただいて何とか守っていく。自然保護という大きな話もありますけれども、いろいろよく問題になりますけれども、そういうところというのは——具体的に申し上げてないから御存じなくていいんですよ——調査をして、これは何とかして守っていくという立場をとっていただきたい。そういうことでなければ、これは鳥獣を含めての自然環境を保全していくという点でなかなか踏み切れない。一たん開発をされてしまいますともとには戻らないわけですからね。そういう点でひとつ御見解を承っておきたいと思います。
  82. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のお話につきましては、私、きょう初めて伺うことでございますので、十分実情を調査をいたしました上、環境庁として何ができるかについても検討いたしたいと思います。お話の様子では文化財的な要素が非常に濃厚だと思いますので、あるいは私どもの手から離れる問題かもしれませんけれども、一応調査をいたしてみたいと思います。
  83. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ最後に。  私はきょう質問を保留をしたんですけれども、最後に環境庁の御見解だけ一言伺っておきたいと思いますのは、三月の二十二日に中公審からNO2の指針値が出ました。これにつきましては、私、三月の二十九日に、私どもの見解についての一定の質問を申し上げた。たまたま昨日、四月の十八日ですが、公害弁連と全国公害患者の会連絡会からも実はこの問題について要請を受けたというふうなことで、これは環境庁へも申し入れをされたようです。ただ、いままでの審議の過程で私ども承知をしておりますのは、そういう過程の中で、もうあと残っているのは環境基準の見直しということで、行政的な措置だけが残されているという段階に来ているということを承知していたわけですね。で、一方では、実は一昨日は千葉では川鉄第二次訴訟がやられましたし、あしたは大阪では西淀川の提訴がやられるという予定になっております。一方、財界の方からはこれはずっと一連の動きがありますが、四月の十一日には経団連からはNO2の環境基準見直しに関する要望というのが出ておるということで、私ども見ておる限りでも、確かに財界が言っておられたように、環境庁をめぐる陸海空の総力戦だと言われていた空軍戦たけなわのような状況だと思うんですね。  そういう中で、連休明け、五月の上旬に環境基準の告示をなさるという動き、あるいはそういう御意見というものを伺っておったんですが、そういうことがあるのかないのか、簡潔にこれはお答えを伺っておきたいと思うんです。お答えによっては私質問を留保したいと思っておりますから。
  84. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) いま御質問のございました件につきましては、前回の告示が五月の八日ということになっておりますので、できるだけその時点に間に合わす努力をしたいということをやっておりますが、いろいろな御議論がございます。厳しいという議論やら緩めてはいかぬという、いろいろな議論がありまして、やはりできるだけ広い議論をよく聞いた上で慎重に判断したいということを考えておりますので、上旬という努力はいたしますが、実際といたしましては、恐らく五月いっぱいぐらいかかる公算は否定はできないだろうというように思っておりますので、連休明けにずばりやるということはいたしません。
  85. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですので、これより直ちに採決に入ります。  鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  87. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十一分散会