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1978-07-27 第84回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年七月二十七日(木曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員異動  七月八日     辞任         補欠選任      寺下 岩蔵君     森下  泰君  七月二十七日     辞任         補欠選任      藤井 丙午君     高平 公友君      菅野 儀作君     山崎 竜男君      中野  明君     矢原 秀男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                久次米健太郎君                 原 文兵衛君                 坂倉 藤吾君                 小平 芳平君     委 員                 高平 公友君                 林  寛子君                 山内 一郎君                 山崎 竜男君                 広田 幸一君                 矢田部 理君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        環境庁企画調整        局環境保健部長  山本 宜正君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        環境庁水質保全        局長       二瓶  博君        水産庁研究部長  山内 静夫君        通商産業大臣官        房審議官     原田  稔君        建設省都市局下        水道部公共下水        道課長      遠山  啓君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告公害対策及び環境保全対策樹立に関する調査  (二酸化窒素に係る環境基準に関する件)  (赤潮問題に関する件)     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、寺下岩蔵君が委員辞任され、その補欠として森下泰君が選任されました。  また、本日、中野明君が委員辞任され、その補欠として矢原秀男君が選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、先般当委員会が行いました自然保護現状及び水質汚濁対策実情調査のための委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。原君。
  4. 原文兵衛

    原文兵衛君 委員派遣報告を申し上げます。  田中委員長久次米理事坂倉理事小平理事馬場委員、沓脱委員及び私、原は、去る七月十日から十三日までの四日間の予定で、北海道において、自然保護現状水質汚濁対策等実情調査を行いました。  第一日は、江別市の王子製紙江別工場石狩川を視察した後、札幌市に赴き、道庁道当局から公害環境問題について説明を聴取しました。  第二日は、札幌市で自然保護団体代表懇談した後、大雪山国立公園内の上川層雲峡地区を視察しました。  第三日は、小清水町の原生花園知床国立公園内の斜里岩宇別地区を視察しました。  第四日は、阿寒国立公園の硫黄山を視察、次いで釧路市の水産加工場を視察しました。  以下、主要な点について報告いたします。  まず第一は、石狩川水質汚濁についてであります。  北海道の大河、石狩川は、新川、創成川等都市内河川と比べて汚れはひどくはないが、それでも一部に環境基準が維持されていない個所があります。すなわち、中流部旭川市の出口付近ではB類型BOD環境基準値三ppmに対して昭和四十八年度で九・〇、五十一年度で四・四、五十二年度では三・六と、逐年改善の傾向にあるものの、なお基準値は達成されていません。これより下流の、今回視察した石狩大橋付近では、諸支流の流入による希釈の効果が発揮されて汚れは緩和され、同じくB類型基準値三ppmを下回り、二前後に推移しています。  石狩川流域人口は二百三十一万二千人で、全道人口の四二%を占めますが、このうち下水道処理人口は八十三万九千人で、下水道人口普及率は三六・三%であります。一方、水質汚濁防止法に定める特定事業場の数は二千百九十三で、全道の特定事業場数の二二%に相当します。このうち、一日の排水量が五十トン以上の事業場は四百十二あります。  BOD汚濁負荷量流域全体で百四十三・二トン・パーデーで、その内訳は、人口負荷が五十九・四トン・パーデーで四一・五%に対して、工場等負荷が八十三・八トン・パーデーで五八・五%となっています。BOD汚濁負荷量地域分布を見ると、旭川中心とする上川中部の六十一・二トン・パーデー札幌の六十六・九トン・パーデーの、二つ地域に集中しています。これを人口負荷工場等負荷割合で見ると、比較的人口の少ない割りに、パルプ、でん粉、製糖等負荷量の大きい工場のある上川中部では二〇・三%対七九・七%であるのに対し、札幌では五一%対四九%と逆転しています。  パルプ、製紙の工程から一日十万五千トンの廃水を石狩川に排出している王子製紙江別工場では、四十八年七月、江別市との間に公害防止協定を結び、白水回収率向上等発生源対策強化を初め、凝集沈でん処理及び活性汚泥処理等排水処理装置拡充等対策をとってきましたが、五十二年四月、この協定強化改定しました。改定後の排水基準は、SSは法規制値(道の上乗せ基準)一一〇ppmに対して九〇、BODは同じく一一〇に対して一〇〇となっていますが、同工場では五十二年四月から着手した生産設備近代化工事にあわせて一日の処理能力三万立方メートルの活性汚泥処理装置一基と六万立方メートルの凝集沈でん装置一基を新設するなどして、協定値を遵守しているとの説明がありました。  第二は、水産加工場排水対策についてであります。  去る五十一年六月、水産加工場等排水基準が、暫定基準から、より厳しい一般基準へ移行しましたが、北海道、青森、岩手の三道県に限って、冷凍水産物冷凍すり身、生すり身製造場については、この種の排水は高濃度で処理しにくい、特に冬季の操業が主となるので、寒冷のために微生物分解が円滑に行われないとの理由によって、さらに三年間、暫定基準適用を続けることになりました。その延長期限が明年六月に到来するのに備え、道ではこの間、中小企業への融資水産加工団地への移転の促進のほか、道内の三つの加工場排水処理施設を貸し付けて実用化試験を行うなどして、一般基準移行への対応を急いできました。  釧路市にある新屋釧路工場は、すり身などを製造する中小工場で、排水量は一日千トンでありますが、五十一年に一次処理施設を設置したのに続いて、本年六月には公害防止事業団と道の公害防止基金からの融資を受けて、新鋭の二次処理施設を導入し、現在試験運転を行っています。  この装置は、北日本各地下水処理で実績のある加圧浮上分離型活性汚泥処理装置で、冬季凍結等によって機能を失わないように、曝気槽は地下に埋設されています。  すり身工場BOD暫定基準は七八〇ppm、一般基準は一六〇ppmでありますが、同工場では一万ppmの排水原水を、一次処理装置を経て、この装置によって一二〇ppmに落とすことが可能とのことであります。道の説明によれば、五十三年三月末現在、道内暫定基準適用を受ける百十六の工場のうち、二次処理施設を設置したもの十七工場、今後設置するもの六十三、一次処理施設を改善するもの三十、水産加工団地移転したもの二で、計百十二工場が何らかの形で一般基準への対応が可能な状況にあり、残り四工場のみが転業するか、または対策未定となっています。  第三は、層雲峡地区環境保全対策についてであります。  上川町の層雲峡地区は五十二年度に二百五十二万人の利用者を迎え、大雪山国立公園北部観光の拠点となっているところですが、土砂崩れ対策旅館排水対策二つの問題を抱えております。  この地区は、軟弱な地盤が複雑に絡み合った地形の上に市街地が形成されているために、過去何度か土砂崩れなどの災害に見舞われています。去る五十年八月の台風六号で大きな土砂崩れの起こった通称ホテルの沢については、林野庁と環境庁予算で谷どめ工事等復旧工事が行われました。また、国道、町道沿いの斜面でも崩壊が相次ぎ、その都度北海道開発庁、環境庁上川町などの手で復旧工事が施行されています。このほかにも小規模な崩壊が例年のごとく発生するところなど、危険な個所層雲峡全体に散在しています。  上川当局から、層雲峡土地の所管が主として環境、林野の二庁に区分されている関係で、復旧工事が両庁別個に施行されるが、町はこの間の調整に苦慮するので環境庁で一元的にやってほしい、また、大幅な予算措置を講じてほしいとの要望がありました。  民宿を含めて三十二軒ある層雲峡旅館排水のために、この付近の景勝の核をなす石狩川上流部の流れが汚染され、大腸菌数環境基準を超える割合が多くなっています。当面、旅館等屎尿浄化槽滅菌装置維持管理体制強化する必要がありますが、抜本的な解決のために、上川町では十四億円の予算特定環境保全公共下水道建設を進めています。ただ、計画では供用開始が六十年度と、かなり先になるので、町としては工期を短縮して早期に完成させたい、そのためには、現行補助率十分の四の引き上げと、起債枠拡大がぜひとも必要であるとの説明要望がありました。  第四は、知床国立公園内の民有地買い上げについてであります。  北海道北東端に位置する知床国立公園は、日本に残された最後の秘境というにふさわしく、豪壮な海岸、険しい山岳、深い原生林の魅力に加えて、生息する各種の貴重な動物や高山植物群が独特の彩りを添える野生味豊かな国立公園であります。この知床地元斜里町では、最近、国立公園区域乱開発から守るため「百平方メートル運動」というユニークな、そしてまた苦肉の自然保護運動を展開しています。  斜里岩宇別地区には、戦後、国の施策で約六十戸の開拓者が入植しましたが、厳しい気象条件土地条件、電気もない劣悪な生活環境のために雄図むなしく離農する者が相次ぎ、この地域国立公園に指定された三十九年には二十六戸が残っているにすぎない状態となり、町としてはこれを放置できないので、四十年に、残っていた入植者全員斜里市街地へ集団移転させました。  四十六年ごろから土地ブームの波はこの地にも押し寄せ、離農跡地に目をつけた不動産業者観光業者がこのあたり土地を買いあさりました。岩手別乱開発の危機にさらされることを憂慮した町は、土地所有者を指導したり、乏しい財政の許す限り買収するなど、保全に努めてきましたが、自治体の力にも限度があります。  その後、土地ブームの去った五十年に至り、八戸の離農者から町に対して離農跡地約百二十ヘクタールを一括買収してほしいとの要請がありました。しかし、町の財政状態では一括買い上げは困難であり、国立公園内でもあるので、国や道に対して一括買い上げを求めたのでありますが、現行制度下では国立公園内の民有地公有化対象となるところは原則として第一種特別地域以上となっており、この地区はすでに開墾された土地であることから第三種特別地域になっているため、買い上げはできないとの返答がありました。  そこで、町ではやむなく、英国で八十年の歴史を持つナショナル・トラストの運動にヒントを得て、全国自然保護理解のある人々や、知床を愛する人々の協力を求め、広く善意の拠金を募って土地買収を図ることとし、ここに「しれとこ国立公園内百平方メートル運動」が開始されました。その方式は、  一、一口百平方メートル単位、価格は百平方メトル当たり八千円、一人十口までとして分譲の形式をとるが、土地の分筆や所有権移転登記は行わず、町が一括管理する。  二、町は登録台帳を整備し、参加者氏名面積などを記載し、その証明書を発行するとともに、登録者氏名を現地に標示する。  三、町はこの土地に植樹して緑を回復させる。また、登録者がみずからの手で記念植樹できるよう準備する。  四、原始の自然を再生することを目的とし、植えた木は将来にわたって伐採しない。 こととなっております。  五十二年三月から募集が始まり、今年の六月現在、参加人員全国都道府県とベルギーから二千八十七人、拠出金額は二千三百六十九万八千円に上り、消化面積は二十九ヘクタール強で、予定の百二十ヘクタールに対する消化率は二四・七%となっております。町では、寄せられた拠金の一部と道からの融資によって、前述の百二十ヘクタールの土地を取得しました。しかし、道からの借入金の返済を行っていく必要のあること、不動産業者などによって買い占められた土地など、民有地がなお約二百八十八ヘクタール残っていること、植林をし、自然の修復を進めなければならないこと、などのために、この百平方メートル運動はさらに強力に展開していかなければならない状況にあります。  町からは、国立公園内の民有地については地区の種別を限定することなく、買い上げの希望があれば国が全面的に買い上げ制度を確立すること、なお、当面は、自然環境保全を図るため地方公共団体土地を取得する場合は地方債対象とし、元利償還金については国で補てんするなどの措置を講ずること、について強い要望がありました。  第五は、北海道環境影響評価条例についてであります。  北海道環境影響評価条例案は、去る七月四日の道議会公害対策特別委員会で可決され、その後十八日の道議会会議で可決成立しました。全国では川崎市に次いで二番目、都道府県レベルでは初の環境アセスメント制度化であり、他の自治体や国のアセスメント法案の動向に刺激を与えるものとして注目されます。  条例は四章四十一条から成り、国、道、民間の行う開発事業のほか、複数の事業が総合的に行われる大規模工業基地建設などの特定地域開発を加えた四つの形態の開発事業に区分し、それぞれ環境影響評価手続中心に規定しています。  事前評価が必要な開発事業は、当面、道路、ダム、新幹線、飛行場、電源開発、工業団地、住宅団地総合レクリエーション施設の八種類とし、その対象規模適用地域を規則で限定します。公害対策基本法に掲げられている大気汚染など典型七公害のほか、自然環境保全について事前影響評価することが定められています。  手続を進める主体は知事で、事業者環境影響評価書作成、提出させた後、その内容を三十日間縦覧に供します。関係地域住民意見書を提出することができ、必要に応じて住民への説明会公聴会が開催されます。  知事付属機関環境影響評価審議会に諮った上、最終的に審査意見書作成事業者はこの審査意見書に照らしてすでに行った影響評価を検討し、必要があれば内容を修正することとなっております。  道当局から、この条例案の特色などについて、  一、規制条例でなく手続条例であり、影響評価に対する知事審査意見開発事業許認可権者に反映させていくことにねらいがある。  二、手続完了までの着工禁止、罰則などの規定は設けず、悪質な者には公表するなどの運用上の措置社会的制裁を加える。  三、国の環境アセスメント法案との整合性確保に苦慮したが、法案が流産したため、できることから手がけることとし、国に先行した。 などの説明がありました。  また、この条例案については道議会審議などを通じて、  一、評価すべき項目評価の手法など未解明の点が多い現状では条例化は時期尚早である。  二、住民意見環境保全上の意見よりも開発そのものに向けられることが予想され、開発事業を不当に遅延させる結果を招くおそれがある。  三、実施体制現状では不十分である。  四、評価項目対象事業住民手続などがきわめて不十分である。 などの問題が指摘されたとのことであります。  これに対して道当局から、  一について、知見向上には当然努力を払うが、現在の知見でもあとう限り手を打っていく必要がある。  二については、その間の区別は困難だが、対住民のPRに努めるとともに、開発事業そのものに対する理解を得る作業を前の段階で行う必要がある。  三について、環境審査課を拡充する。道庁内に散在する環境情報を一元的に集中し、事業者等に提供する体制をつくる。技術者の養成に努める。民間試験研究機関の助成を図る。  四について、理想的な内容とは言えないが、まず一歩を踏み出し、歩きながら逐次強化を図っていく。 などの見解が示されました。  最後に、自然保護団体との懇談について申し上げます。  当派遣団は、七月十一日朝、北海道自然保護団体連合北海道自然保護協会二つ自然保護団体代表と約一時間会見懇談しました。  自然保護団体連合からは、  一、一九七二年札幌冬季オリンピックに使用された国立公園特別区域内にある恵庭岳滑降コース跡地復元状況を追跡調査している。付属施設を一時再使用したのは遺憾である。寒冷な気候などのために復元植樹の生育は悪く、周辺の自然植生と一体となるには百年以上かかる。したがって今後は山岳地域の安易な自然破壊は避けるべきである。  二、一九八四年の冬季オリンピック札幌に再誘致する問題については、恵庭岳の轍を踏んでさらに自然破壊を重ねるべきでない、市財政市民生活を圧迫することになる、との理由から反対運動を組織し、陳情、署名などの活動を展開してきたが、結果的には本年五月のIOCアテネ総会札幌は落選となった。  三、このほか、北海道環境影響評価条例案北海道発展計画案、大規模林業圏開発計画についてそれぞれ批判的な見解を持っている。 などの発言がありました。  自然保護協会からは、  一、協会は、自然保護自然研究目的とし、会員分布北海道内のみならず全国に広がっている点で特徴的である。  二、協会は、現在、開発計画によって侵蝕されつつある釧路湿原ラムサール条約——ラムサール条約国際湿原保護条約であります——の批准によって国際湿原化し、保全する、「しれとこ百平方メートル運動」には会員が出資参加してサポートしているが、国による買い上げを実現させる、などの運動を展開しているほか、大雪山保護徹底化大沼国定公園内の開発による自然景観の改変の防止日高山地国立公園化計画のための基礎調査などの問題に取り組んでいる。 などの発言がありました。  この後派遣委員との間で若干の意見交換を行った後、自然保護団体連合から、「会見懇談を行ったことは評価するが、時間が短かすぎる」、自然保護協会からは、「自然科学界意見をもっと行政に反映させるべきだ」との意見が追加的に述べられ、会見を終えました。  概要は以上のとおりでありますが、そのほか、地元から出されました要望書等を別途報告書として会議録末尾に掲載したいと存じますので、委員長がよろしくお取り計らいくださるようお願いいたします。  なお、先刻報告しました層雲峡地区土砂崩れ対策旅館排水対策及び国立公園内の民有地買い上げについての要望のほか、道当局から、休廃止鉱山鉱害防止対策は国の責任において推進することについて要望のあったこと及び環境アセスメント条例と国の準備している法案との整合性確保について懸念している旨の説明があったことも、ここにあわせて報告し、これらの問題についての政府善処要望いたします。  以上であります。
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいま原君から発言がありました要望書等の取り扱いについてお諮りいたします。  北海道及び関係各市長から提出されております要望書等は、本日の会議録末尾に掲載いたしやいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、ただいまの報告に関し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山田環境庁長官
  7. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 御報告中の政府に対する要望事項につきましては、多岐にわたるものでございまするけれども、私といたしましては、検討の上、御報告の趣旨を体しましてその善処方に努力してまいりたいと存じております。
  8. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、派遣委員報告は、これをもって終了いたします。     —————————————
  9. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 委員異動について御報告いたします。  本日、藤井丙午君が委員辞任され、その補欠として高平公友君が選任されました。     —————————————
  10. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 私は、きょうは赤潮につきましてお尋ねをいたしたいのであります。  去年は、瀬戸内海中心といたしまして非常な赤潮のひどい年でございました。これによりまして、養殖業者中心に甚大の被害を受けたわけでありますが、ことしもまた六月中旬以降ぼつぼつ赤潮発生ということが新聞あたりから報じられておりましたが、七月の二十日ごろから連日にわたりましてその猛威をたくましくいたしております。非常に関係者は心配をいたしておるような次第でございますが、このことにつきまして環境庁の方から現状につきましての御報告を承っておきたいと思います。
  12. 二瓶博

    説明員二瓶博君) ただいま先生からもお話しございましたように、昨年に引き続きまして残念ながらことしも赤潮発生をいたしております。六月二十日ごろから播磨灘南部中心に、赤潮発生が見られておったわけでございますが、その後、この赤潮が相当猛威をふるってまいっております。七月二十六日、昨日現在で見ますというと、播磨灘全域それから一部は淡路島の沿岸、それから紀伊水道の方にも広がってまいっております。  関係府県からの報告によりまするというと、やはり、原因の赤潮生物ホルネリアということで、ホルネリアが検出されております。関係府県であります徳島それから香川兵庫、この三県におきまして、養殖ハマチ約百六十万尾が斃死するというような被害が出ておるわけでございます。で、赤潮の勢力は依然として強うございます。被害は、徳島県の北灘、橘町、香川県の引田、相生、それから兵庫県は福良、家島等中心拡大の様相を呈しておる模様でございます。したがいまして、今後の事態の推移というものにつきまして深く憂慮をしておると、こういう次第でございます。
  13. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 ただいまのお話によりますと、瀬戸内海中心播磨灘それから香川県の東讃徳島県の鳴門市ということになっていますが、私が近ごろ承知したところによりますと、徳島県の南方地区にも赤潮発生を見て、これに対する被害発生しておるということを聞いておりますが、あなたの方にはそういうような報告はございませんか。
  14. 二瓶博

    説明員二瓶博君) 昨年も出ました、いわゆる北灘といいますか、鳴門の近辺、これも出ておりますが、ただいま先生、からお話しございましたように、本年はさらに南の方に下がりまして、橘町の方も赤潮が出て現実に漁業被害が出ておるという報告を受けております。
  15. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 これ、ことし初めてのことではございませんので、たしか昭和四十七年でしたか、赤潮の大発生を見まして水産業者が非常な被害を受けた。昨年もああいうことでございましたが、今度またあったということでございますが、いままでこの赤潮発生するたびに当委員会中心にいたしまして、当局に対し、何がために赤潮発生するのか、その原因はどこにあるか、赤潮の原因は何かということについて質問をするし、御答弁もあったわけでございますが、その都度、残念ながら、これに対する原因としては、天候の関係とかあるいはまた工場排水あるいはまた市街化地区における家庭用排水による汚染とか、あるいは漁場の養殖のためによって生ずる沈でん物による海水の汚濁とか、いろいろあるということは申されておりますが、しかしながら、これを専門的に、学理的に、こういうことによって赤潮発生するのだというような御答弁はまだちょうだいしておらない、かように考えておりますが、環境庁の方におかれましては、もうことし初めてのことじゃないんですから、またあるということはもうすでに予見されておったことでございますから、国会の要望あるいは現地被害者の切なる願いを体しまして、これに対し、その原因究明がどこまで進んでおられるのか、問題は私はそこにあると思いますので、これについての御答弁をいただきたいのであります。
  16. 二瓶博

    説明員二瓶博君) 赤潮の原因究明の問題につきましては、四十一年でございますか、農林省の農林水産技術会議というのがございますが、ここが中心になりまして特別研究を大々的に展開をしたわけでございます。その後、科学技術庁がさらに研究を広範囲にやりました。その後、環境庁が四十六年発足以来、今度は環境庁が相当中心になりまして、水産庁それから文部省の科学研究費等をもちまして研究を進めてまいっておるわけでございます。  そこで、そういうような研究で一体どこまでこの赤潮の問題については解明されてきておるのかというお尋ねでございますが、いままでの研究の結果からいたしますと、赤潮発生のメカニズムという問題につきましては、一つは、きわめて大づかみな話でございますけれども、燐とか窒素というような物質によりまして相当水質が官栄養化してまいると、その富栄養化したところに、気象なり、海象なり、あるいは水温なり、さらに塩分濃度というような、いろんな要因が赤潮生物に好適な条件になりました際に赤潮発生をするというようなことはわかったわけでございます。  ただ問題は、いつの時点に、どのような規模で赤潮生物の中のある特殊の生物が大量発生をして、そして、それがどのぐらい長く持続するかというような問題、こういうものにつきましては、はなはだ残念でございますが、まだ解明は十分ではないということでございます。部分的には、どういうような赤潮は、純粋培養等よりまして、燐、窒素のほかに、どういう増殖要因物、質がある。たとえば鉄とかあるいは酵母とか、いろんなそういうことも、赤潮生物の物によりましては大分実験室段階ではこれも解明されてきておるというわけでございますが、現実の海域の場において、なぜそれがあのような大量発生をするかというそこのメカニズムがまだ十分でないというようなことでございます。
  17. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 播磨灘中心にしまして発生をいたしておりますが、地元のわれわれから考えてどうも不思議に思いますのが、同じ瀬戸内海、まあいわばこれは大きな湖みたいなものでございますから、海流が瀬戸内海の中でわずかに流動しておるというような同一の条件下にあるこの瀬戸内海で、発生するといえばいつも香川県の東、つまり東讃、それから兵庫県の明石沖から西、それから徳島県の北灘瀬戸、それから淡路の西岸、こういうような方面に大発生する。ところが、伊予灘とか松山に近い方面の瀬戸内海、広島沖とかいうところでは余り多く発生したやに聞いておりませんが、これはどういうわけでしょうか。これはおわかりになっておりますでしょうか。
  18. 二瓶博

    説明員二瓶博君) まあ瀬戸内海というのは一つの概念としてとらえておるわけでございますが、ただわれわれもいろいろ瀬戸内海調査いたします際に、十八の灘などにそれぞれ分解をいたしまして、その辺の水質等もさらに詳細に調査などいたしておるわけでございますが、たとえば燐なり窒素というような問題につきましても、これの濃度は各灘ごと必ずしも同じではございません。確かに、先生おっしゃるように、播磨灘関係、あるいは大阪湾、それから広島湾、その辺につきまして、相当濃度が高いというような姿が現にあるわけでございます。したがいまして、やはり瀬戸内海の中でも、相当人口なり、工場等が沿岸海域に立地をいたしておりまして、そこからの生活系なり工場系の排水というものが相当入り込む海域と、相当そういうものの流入の少ない部分というようなものもあるわけでございまして、まあ潮の流れという問題も一方ございましょうが、そういうものが総合されて、ただいま先生からお話しがございましたように、比較的大阪湾なり播磨灘の方に多く発生をする。しかも、ハマチの養殖という話になりますと、特にこの辺での養殖が多うございますので、ハマチの斃死というものが具体的な漁業被害金額として表面に出てまいる。広島湾なども相当ひどい場合がございますけれども、ハマチの養殖それ自体をやっておりませんので、底魚等が死ぬ場合がございますが、これはなかなか数学的に把握できないというようなことで、被害額としては余り表面的にクローズアップされないというようなこともあるようでございます。
  19. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 時間の関係もございますので、いまハマチのことで一言お話がありましたが、水産庁の方には後でちょっとお聞きしたいと思いますが、この赤潮発生の原因ですね、これは、いま二瓶局長のお話によると、まだ十分にこれが解明されていないと。それに対する研究の場所は、水産庁あるいはまた科学技術庁あたりもあるということを聞くんですが、ことしの二月でしたか、われわれ委員会の一行が瀬戸内海の視察に行きました。たまたま香川県の引田で町村長とかあるいは漁連の会長あたり懇談しましたときに、香川県におきましても、香川大学においてこれに対する研究は鋭意しておるのだと、しかし、何さま各県にまたがることで、香川県だけの固有の赤潮ではない関係で、どうも香川県だけの力によって研究するということは非常に困難だと、早く政府の方においてこの赤潮の原因究明のための研究機関を設置してほしいということの要望が強くあったことは、当日御出張の委員各位ももう御承知のとおりなんです。その報告を当委員会からしてあるはずなんですが、これはやっぱり長官にお聞きしたいんですがね、このことは。まあ個々のこれに対する研究機関はあるようでございますよ。しかし、毎年こういうような大発生を見るということになれば、やはり環境庁が責任を持ってこれに対する原因の究明というものの責任の庁じゃなかろうかと、私はこういうふうに思うわけなんですが、いかがでしょうか。  ことに、矢田部理事さんが、ことしの四月の十四日の委員会ですか、瀬戸内海の「赤潮発生防止に対する決議(案)」というものを提案されまして、当日各党がこれに対して賛成をした。それに対して長官はまことに心強い御答弁をされている。朗読しませんけれども。これはあなたも覚えていらっしゃるでしょう。そういう点から言うならば、これ毎年出ておるんです。初めてじゃないんです。百年発生している。来年もありますよ。これまだひどくなるというふうに考えなきゃなりませんが、この際いかがでしょう、長官。早く赤潮に対する原因究明——原因がわかれば対策が立つんです。対策を立てようにも原因がわからなければ対策の立てようがないでしょう。だから、そういう点において、これ個々の自治体ではちょっと無理と私は考えますので、早急にこれに対する機関の設置のお考えをお持ちになるかどうか。これ、ちょっと長官から御答弁願いたい。
  20. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま久次米委員から御指摘がございました、決議その他もございまして、問題は、これを早急に総合的に考えなきゃいけない。そういう事情のことについては、私もこれに対して考えなきゃいけないと思っております。ただ、御承知のように、研究機関——研究会というもので、これまで各方面動員いたしましてやっているわけでございまするけれども、なかなか何といいますか、行政機構の簡素化その他のことで、実際問題としてなかなか抵抗が強い問題で、非常に困難な点もあろうかと思います。また、どこにどういうような形の総合機関をつくったらいいかということもそう簡単な問題じゃないと、こう考えております。これは、当面は全力を尽くして対処するほかないけれども、将来の問題として、この問題についてはひとつ考えて取っ組んでいくというところがいまの現状じゃないかと思っておりまするけれども、私としてはできるだけいろいろ検討してまいるつもりでおります。
  21. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 私、長官にこれ理屈言いたくないんですが、いまの御答弁まことに事態の認識が甘過ぎると私は思うんですよ。いま内閣で行政機構の簡素化と、これやっていますが、これできっこないでしょう、行政の簡素化って。できていないじゃないですか、これは。声を大きくして、何か福田内閣の一枚看板みたいにやっていましたが、何にも実績上がっていない。そんなことをここで答弁に持ち出されることは、これはまことに老練な長官の御発言としては、ちょっと私は受け取りにくいわけなんです。  問題は、現実を直視してください、現実を。これだけ発生して、しかも委員会においては赤潮発生に対してはこうしてほしいという矢田部委員の決議が満場一致——これ村会党、野党だけの決議じゃありませんよ。われわれもこれに賛成して、ぜひともと。長官はどうお答えになっていますか。読んでみましょうか。まあそんなぎょうさんなことはしませんが、それから見たら、行政機構が云々の問題じゃない。これ、ちっぽけな機関じゃないですか。瀬戸内海赤潮の究明に対する一つの研究機関というのが、これあんた行政機構の拡張になるでしょうか。私は、これもう一遍はっきり答弁願いますよ。事態の重大性を十分認識し、速やかに私の責任において期待に沿うようなふうに前向きに取り組みましょうと、こう答弁してくれませんか。そうせぬとおさまりません。もう一回答弁してください。——いや、これ大臣にだ。長良にこれはやってもらわないと……。
  22. 山田久就

    国務大臣山田久就君) もう決議もあることでございます。なかなか簡単な問題じゃないと思いまするけれども、皆さんの非常な重大な関心もございます。私として、どうしたら一番の最善の効果があるか、そのことについて、決議の趣旨を体しまして、いろいろと真剣にひとつこの問題は検討さしていただきたいと思っております。
  23. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 長官の御答弁、不十分でございますが、もうこれ以上——私も自民党ですから、これ以上はやりません。(笑声)  そこで、もう時間がありませんから、私は水産庁の方にお聞きしたいのですが、現状におけるハマチ養殖の被害の実態についての数的な御報告を願いたいんです。
  24. 山内静夫

    説明員山内静夫君) 今回の赤潮による被害につきましては、概況につきましては環境庁の方からお答えになりましたが、きのう現在におきまして、県報告によりますと兵庫県、香川県、徳島県と、この三県のハマチがやられているわけでございます。  で、尾数につきましては、兵庫県につきましては四十五万尾、香川県につきましては約六十万尾、徳島県につきましては約五十七万尾、合計百六十二万尾と、こういうものが現在斃死している。現在、赤潮がまだ発生しておりますから、今後の推移はどうなるかということにつきまして、まだ多少ふえるんではないかと、こう想像しております。
  25. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 この三県を中心にしまして、発生地帯のハマチ養殖のおおよその総数はどれぐらいでしょうか。で、いまあなたがおっしゃったこの数字が、そのうちの何%に該当するんでしょうか。
  26. 山内静夫

    説明員山内静夫君) 兵庫県につきましては、養殖尾数が百五十万尾でございます。そのうちの斃死の尾数が四十五万尾と、こういうことでございます。三分の一弱でございます。香川県につきましては、養殖階数が約五百万尾、斃死の尾数が六十万尾でございますから約一割ちょっと、一割二分でございます。それから、徳島県につきましては、養殖尾数が約二百五十万尾、これに対しまして斃死が五十七万尾でございます。約二割と、こういう数字が出ております。
  27. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 ただいまお話しの、まだまだこの状態が続くであろうということでございますから、ことしの被害も甚大なものになることが心配されるわけですが、水産庁といたしましては、いままで斃死しましたハマチが、金に換算するとどれぐらいの金額になるかということをおつかみになっておるか。これはハマチの相場が日に日に違いますから詳しいことはわかりませんが、おおよそどれぐらいであろうかということが一つ。  それと、昨年の被害に比べて、先行きどういうふうにこれは御心配になっておるかということ。  それともう一つは、テレビ、新聞あたりで拝見いたしますと、この非常に膨大な、死亡しましたハマチを土地を掘って埋めておるというのが出ておりましたが、これはことしの審引田の方へ視察に行ったときにも、委員の方から、それの処置について公害発生が出るのじゃないかというようなことの御質問があったようでございますが、これに対してはどういうふうに指導をされているのかということ。  それと、時間の関係でもう一つ申し上げますが、赤潮発生が、先ほど申し上げたとおり、初めてでございませんので、こういうことが再びあるということは関係筋ではすでに御心配もされておったはずでございます。業者も心配しなきゃならないでございましょう。しかしながら、まずその最も責任のある、しかも最もこういう方面に対して研究を積んでおる環境庁とかあるいは水産庁の方が御心配になっておったはずですから、これに対して、昭和四十七年とかあるいは昨年の大被害にこりて、今後の赤潮対策に対して、原因の究明が十分はできていないが、県とか、自治体とかあるいはまた関係業者は今後どういうふうにこの問題に取り組むべきだというようなことに対しての指導をされておりますか。私の聞くところでは余りできていないように聞いておるんですが、その点はいかがですか。  もう全部これ質問しますから、お答え願います。
  28. 山内静夫

    説明員山内静夫君) ことしのハマチの被害の概算の被害金額でございますが、現在二十億から三十億円ぐらいになるだろうと想定されているわけでございます。ちなみに、去年の斃死尾数は三百三十万尾、被害の金額といたしては三十一億円と、こういう数字が出ております。  それから、斃死しましたハマチにつきまして、この処分の方法でございますが、海浜を掘って埋めると、こういう方法、これもやっているわけでございますが、とうていそれでは十分ではないと、こういうことから、保安部、各県と連絡をとりまして、去年と同じように海上投棄と、こういう方向で現在対応するように、報告を受けているわけでございます。  それから、最後の問題でございます。毎年毎年赤潮が出ておりまして、わが方としても非常に残念でございますが、従来から赤潮の情報の予察の問題につきましてはいろいろやっているわけでございますが、一方、漁業者につきましても、関係県を通しまして養殖施設の適正の配置であるとかあるいは適正にえさをやる適正投餌の問題であるとか、それから放養の数量の自粛等、こういうことを指導してきたところでございます。しかし、先生のおっしゃいますように、十分これが行われなかったと、こういう背景もございますので、今後さらに近日中にこれを強化したようなかっこうで、関係県を通しまして関係漁業者に指導してまいりたいと、こう考えているわけでございます。
  29. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 指導に対しまして、十分にできていなかったということを正直におっしゃいましたから、私はそれについては深く申しませんが、そこで問題になるのは、これは毎年のことですから、来年もまた赤潮発生するということは考えにゃいけません。そういうことでございますから、瀬戸内一帯にいま盛んにやっています養殖漁業、ハマチを中心にしました養殖漁業が、果たしてこの瀬戸内でいいのかどうか、瀬戸内で重ねてああいうような事業をやっていいのかどうかというのは、私は非常に大きな問題だと思います。これはもう赤潮発生し、しかもその原因の究明が十分にできていない。勢い、それに対する根本的な対策もできていないということでありますならば、災いを重ねて招くということになりますから、私は思い切って、この際水産庁としては自治体、県と御相談の上、これらの業者に対して自後の漁業に対しての抜本的な改革をお考えになる時期が来ておるんじゃないか。ただやめろというんじゃいけませんよ、これね。それに何かかわるものがなければいけませんから、きょう言うてあすというのじゃございませんが、それについては災いをもう何回も重ねるというようなことのないように、何か他の道において生きるというような方法があるかないか。こういうような方法についての御研究が進んでおられますかどうか。また将来に対してそういう指導をされるかどうか。こういう点についてひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  30. 山内静夫

    説明員山内静夫君) 瀬戸内海におきまして、ハマチ養殖業並びにノリであるとかカキとかいろいろ養殖漁業が行われておるわけでございます。で、赤潮の常襲地帯としての三県につきまして、これらにつきましてはノリの養殖等が行われておりますが、残念ながらカキと、こういう分担まではできていないわけでございます。赤潮発生するようになりまして、赤潮に強いタイの養殖と、こういうことも行政庁としてはいろいろ指導してきているわけでございますが、何分タイの養殖につきましては、養殖を始めてから換金されるまで三カ年と、こういう長い年月がかかると、こういうことから、指導の徹底が十分できなかったと、こういうきらいがあることは否定できないわけでございます。こういう認識を踏まえまして、今後は県ともよく相談しながら、赤潮に強い養殖の魚と、こういうものを徐々に漁民の皆さん方と相談しながら育成強化するような方向で対応していきたいと、こう考えております。
  31. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 お話しのとおり、これは一朝一夕にハマチにかわるべきものということは無理でしょう。しかし、業者も多少これは無知な点があるんですね。二年物を八月、九月に出荷するために六月ぐらいから急速にぱっとえさをやる、食べもできないのに。というようなことになりますから、この堆積物も多くなるということも私は原因しておるんじゃないかと思うんですね。そういう点は、やはり直接には県の責任でしょうな、これは。しかし、県だけじゃいけません。やはり水産庁の方もそういう点に対して業者に勉強をささにゃいかぬ。業者にハマチの飼育に対する勉強も十分させませんと、えさのやり過ぎによるところの弊害ということもこれは私は無視できない現実じゃなかろうかと、こう思います。急にそれにかわるべき何らのものが見当たらぬと、これごもっともです。しかし、前向きで検討してくださいよ。それとハマチ業者に対して、自己流で養殖をしないように、自己流で。これは自治体だけじゃ無理なんですから、やっぱりおたくの方がスタッフも大ぜいそろっておるし、この中身も大分上であるはずですわ、これは中央がね。それはひとつ大いに前向きにやっていただきたい。  そこで、長官にひとつお尋ねしたいんですが、お聞きのとおり、ことしはいま三十数億の被害ですが、この天候の状態からいきますならば昨年以上の大被害にあるんですが、この被害は業者の手落ちでしょうか。それともこれやむを得ぬと、自然現象と、原因がわからないのですから自然現象と言うべきかもしれません。ということになったらこれ天災ですな。天災によるところの被害。これをどうお考えになりますか。これ大事なところですからひとつ。
  32. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いまいろいろ御指摘の点がありましたが、これ天災という面もあるかもしれませんけれども、またこのやり方上の欠陥というような問題もそれはあるかもわからぬ。こういう点はいろいろ検討してみなきゃわからない点だろうと思います。結局そういう総合的な研究ということは、これはまあ委員会でも決議として非常に要望されている点でございまするが、ひとつぜひそういうものの解明のために系統的、組織的な研究を行いたいと、こう考えます。
  33. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 昨年の被害に対しましては、いま長官がわかったようなわからぬような御答弁をなさいましたが、およそ国の方でも、これは気の毒な現象だと、天災みたようなものじゃないかというようなことで、応分のこれに対する援助対策をおとりいただいたわけでございますが、水産庁いかがでしょうか、いままだ被害発生途中ですから、どうのこうのというようなことはちょっと無理かもしれませんが、これはもう自治体だけではしょい切れないような問題でございますので、ひとつ業者の再生産に対応するような——昨年おとりいただいたんじゃないですか天災融資法の適用、まあこれは天災融資法の枠から言えばそれは入らないかもしれませんね。それから経営資金の融資とかというような方法もあるでございましょう。これは漁業者が不注意とか怠慢とかいうようなことで発生したのならそう心配する必要もございませんが、幾ら聞いても環境庁の原因糾明が十分につかめない。水産庁にしましても処置なしのようないまの現状なんでしょう。そういうことでございますから、私、これは気の毒の一語に尽きると思います。だから昨年以上のこれに対する援助措置を早急に自治体と御相談の上おとりいただく腹があるかないか、それを承りたい。
  34. 山内静夫

    説明員山内静夫君) 先生のおっしゃるような方向で対応したいと、こう考えております。
  35. 久次米健太郎

    久次米健太郎君 これでやめます。ありがとうございました。
  36. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、NOx問題を中心に、前回に引き続き質疑をしていきたいと思うわけであります。  非常に遺憾だと思いますのは、国会でNOxの環境基準問題について審議中である。特に前回の委員会ではさらに多くの疑問点や解明すべき問題点が出てまいりました。そういうさなかに、きわめて一方的に、あるいは独断的に、環境基準の大幅な緩和をやってのけた。こういう環境行政の態度について私は強い憤りを持っています。私ども以上に、全国には数百万がこの問題で悩んでいる、苦しんでいる患者がいるわけであります。事態はもっと深刻だというふうに思っています。とりわけ今度の大幅緩和については、幾つかの重大な問題点を提起しています。たとえば、多くの人たちが、指針値と環境基準は違うと、当然のことながらそこは安全係数をかけるべきであるという指摘もございました。あるいは、少なくとも環境基準、重大な環境基準の見直しをやるとするなら、改めて中公審に問い直すべきだと、こういう強い声もありました。ところがどうでしょう。七月十一日の大幅緩和の内容を見てみますると、もう大気汚染、NOx規制については野放し状態にしてしまったと言ってもいいぐらい、基準の役割りを果たさないほど実は緩和をしてしまった。年度も四年延長をして六十年までとした。自動車の排ガス規制が順調に進めばほかの対策は要らないほど、実は緩ふんなんであります。  しかも、内容そのものもどうですか。普通環境基準というのは何ppm以下という設定の仕方がこれは当然だと思うし、今日までそうやってきた。ところが、この内容を見てみますと、たとえば「達成期間等」という項目の2というところに、「一日平均値が〇・〇四ppmから〇・〇六ppmまでのゾーン内にある地域にあっては、原則として、このゾーン内において、現状程度の水準を維持し、又はこれを大きく上回ることとならないよう努めるものとする。」という表現。それ以下に抑える目標値を設定したのではなく、〇・〇六を大きく上回ることのないように努めると、ここでもまた緩めてしまった。大変な問題を実はこの環境基準は出してきているわけであります。その一つ一つについて、きょうだけでは恐らく問題点が詰め切れないと思いますから、逐次やっていきたいと考えているわけであります。ひどい話です。  ここまで環境庁が後退をしてしまった。いま自民党の久次米理事からも御指摘がありました。長官、自民党からさえもという言い方は余りよくないかもしれません。あなたの態度が厳しく糾弾されている。大変な不信をあなたの環境行政に持っているわけであります。長官として、長い話は要りません、一言、私のいまの幾つかの指摘に対して、答えたい点があったら見解をいただきたいと思います。
  37. 山田久就

    国務大臣山田久就君) まず、国会の審議が継続中という点についての御指摘がございました。私は、これまでの経緯をごらんになっていただけばわかると思う。二酸化窒素環境基準の改定は、これは衆参両院を通じて十数回にわたって国会審議が行われて、環境庁としても十分時間をかけて検討してまいっておると考えております。判定条件についても、中公審の答申を三月にいただいておることは御承知のとおりでございますが、これを踏まえて、政府の判断をいつまでもおくらせるということは、これは基本法の規定という、法の要請しているところにももとることになる、こう考えております。御承知のように、旧基準の達成期限が五月八日に到来いたしまして、以来、すでに二カ月余りを経過しておりますし、基準に係る判断の時期を延ばしてこれ以上空白のままでおくということは、これ行政の実際上の見地からも私はいろんな混乱を招くおそれがある、こういうことから環境基準についての決断を行うことといたしたわけでございまして、御案内のような改定告示に踏み切ったということでございます。  われわれとしては、もう繰り返して言うようでございまするけれども、常に国民の健康保持ということは、これは第一義について考えてきておる。いろんな御指摘もございましたけれども、その点について私は懸念、不安を生ずる余地のない、そういう観点に立って行ったということについては、私は改めてよく理解していただきたい、こう考えております。
  38. 矢田部理

    ○矢田部理君 各論は後で詰めますが、どうですか長官、大気汚染の患者がふえたらあなた責任持てますか。
  39. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 絶対に増悪をもたらさないという見地に立ち、その信念に立って私は判断を下しておるつもりでございます。
  40. 矢田部理

    ○矢田部理君 現に数百万の患者がいるわけです。その患者を治すことができますか。
  41. 山田久就

    国務大臣山田久就君) すでに私がお答えいたしました。われわれは、そういう基本的な信念と立場に立ってこの判断を下したわけでございます。  細部については、局長から答弁させます。
  42. 矢田部理

    ○矢田部理君 まあいいです。その問題中心じゃない。  今後、環境基準が大幅に緩められたことによって、せっかく積み上げてきた自治体の努力が根本的に破壊されたと言ってもいいと思うんです。なぜこんな事態になってしまったのかを私はもう一回実は問い直したいんであります。率直に言えば、汚染を排除すべき環境庁が、最近非常に汚染度が強まっているんじゃないか。  その一つの重要な実例として、環境庁が選定をした中公審の委員あるいは専門委員会委員が業界や産業と癒着をしている。このことは従前からも幾つか指摘がございました。単に癒着をしているだけではなくて、その代理人とさえなっている。ここにことしの三月七日、これは専門委員会報告書をまとめる作業をする最終の段階であったろうかと思うわけでありますが、専門委員会委員である柳沢三郎教授から、「大気中二酸化窒素の提案指針値に対する意見」なるものが専門委員会に出されました。その同じ日に——これは衆議院で取り上げられたところでありますが、香川教授から、報告書の原案に対する修正案が出されました。大気局長、そういうものが出されたことはお認めになりますか。
  43. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) まず、第一点の、慶応の柳沢教授の御意見でございますが、この御意見をお出しになりました。それに対しまして、専門委員長の方から、その問題は専門委員会審議事項ではないということで、この問題は、提出をされて説明をされただけに終わって、一切審議に対しては影響を及ぼしておりません。  それから、香川教授の件でございますが、香川教授は、この専門委員会の前に分科会をいたしておりまして−お配りいたしました資料に基づいて御説明した方がより正確であろうかと思いますが……
  44. 矢田部理

    ○矢田部理君 出したか出さないかだけでいいです。
  45. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは改定というよりも、討論として、最終のまとめをどうするかということについて御意見を出されたということでございまして、こういうぐあいに、いまおっしゃった、曲げるとか改定するとかということではございません。全く学問的な討論の御意見をお出しになったことは事実でございます。
  46. 矢田部理

    ○矢田部理君 学問的であったかどうかは、改めて具体的に指摘をいたします。  私は、きょう問題にしたいのは、この柳沢三郎教授、ここに「NOx基金ニュース」というのがあります。これは前から出ておりますように、鉄鋼連盟がお金を出し合ってつくった、鉄鋼設備窒素酸化物防除技術開発基金と言われる組織であります。この鉄鋼のNOx基金の中できわめて重要な役割りを担わされてきたのが実は柳沢教授であります。ニュースのナンバー六を見ましても、一方では専門委員会調査や議論が行われるその最中に、彼は鉄鋼のNOx基金の助成研究発表講演会の座長を務めて、この講演会を仕切っています。もともと、この肩書きによりますれば、NOx基金の技術委員だということにもなっております。どうしてこういう人があなたの言う純粋に学問的、科学的にやるなどという立場をとれるでしょうか。  意見書を見ますと、科学的どころではない、もう鉄鋼連盟の代理人と言っていいぐらい、政治的、政策的発言を随所に重ねているのであります。幾つかの問題点を指摘したいと思いますが、当委員会でも問題になりました、専門委員会は純粋に科学的な知見を出すための委員会である、判定条件と指針値を出す委員会であるという位置づけが専門委員会でなされたと聞いておるにもかかわらず、この柳沢意見書の中ではこう言っているんです。当委員会は「環境基準の見直し委員会といわれている」、あるいは実態はそうだったのかもしれません。環境庁環境基準の見直し委員会ではないと説明し、責任者であった鈴木委員長も、そこについては厳重に歯どめをかけたということで、たしか専門委員会の冒頭にその点を確認した記録を見た記憶があるわけでありますが、ところが、その中心メンバーである柳沢教授は、これは「環境基準の見直し委員会といわれている」と、実態はそういう実態だったんです。公然とそれをこの意見書で言っている。どうですか。
  47. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) まず最初に、どうしてそういう人を任命したのかということでございますが、この柳沢先生のおっしゃった問題は、これは柳沢先生としておっしゃったんですが、柳沢先生御自身は、これは測定と分析と化学反応の大家でございます。これはもう全く国内的にも国際的にも通用する大家でございまして、日本のいままでの窒素酸化物の自動測定機は柳沢先生の研究開発によってでき上がった機械が、昭和四十年以降ずっと改良されて入ってきております。そういうことで、JISの委員もしておられますし、あるいは国際標準化機構の中においてもやはり窒素酸化物の測定等の委員に参加しておられます。そういうことで、測定・分析、化学反応という角度から、柳沢先生環境庁はお願いをいたしておるということでございます。  ここにございますようなことは、これは測定・分析からいささか離れておるではないかという御意見がございますが、これは専門委員会の鈴木委員長が、このような問題は専門委員会の問題ではないということで、これは全く採択されてないということでございまして、影響を及ぼしておらない、こういうことでございます。
  48. 矢田部理

    ○矢田部理君 局長から説明を聞くまでもなく、私は大変なその道の権威者だということをこの意見書には、学者にしては珍しいんですが、書いているわけです、一ページにわたって。あなたとの関係も触れています。厚生省の橋本課長からお金をもらって、研究費をもらって大分研究したという話もるる述べている。あなたとの関係も深かったように思われるわけでありますが、その柳沢教授が、いいですか、あなた大変科学的だとか公正だとか言いますけれども、こういうことまで意見書に書くんですよ。「関連して」という書き出しで、「関連して付言したいことは、SO2の環境基準値の審議の結果である。現行の日平均値〇・〇四ppmを決定するときも無理があった。昨日のことのようによく記憶しているが、三重大医学部吉田教授の四日市磯津地区における年間SO2が〇・二ppmを超える時間数の頻度と新患者発生率から、〇・〇五ppmで十分という数値を出したにも拘らず、」、これから先が問題なのでありますが、「委員長は」−当時も鈴木委員長のようでした一「委員長は顔をこわばらせ、〇・〇四を全委員に強要し、一人一人に対しにらみつけて答をせまり、数人の委員をしぶしぶ承知させた。このとき強く迫られたのは吉田委員、渡辺委員、大平委員ほか小生も含まれ、決して科学的納得でなかった。」、だれが見ても委員長の個人誹謗的なことまで含めた意見書は、最終的に取り上げられたか取り上げられなかったかを私はいま問題にしませんけれども、私は学者の世界というのは余りよく知りませんがね、もっとひどい文書、メモが最後の大気部会には出されているという状況も聞いています。一体この専門委員会とか大気部会というのはどうなっちゃっているんですか。
  49. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) そういうわけで、専門委員長さんは、その問題は専門委員会の討議事項ではないということで、全く採用されなかったわけです。
  50. 矢田部理

    ○矢田部理君 採用されなかったことは知っている。まさか委員長が顔をこわばらせた話まで採用するわけにはいかぬでしょうから。  そして、全文十ページ近い詳細な意見書を出すわけであります。この意見書内容は、二つの特徴を持っています。一つは、五十二年の十二月に出した産構審の考え方、それがそのまま引き算しにされ、かつ、この意見書の資料もデータも、専門委員会で集めたデータの客観的な分析よりも、産構審のデータを使って反論をする、きわめて特徴的な内容を持っています。それだけではありません。やがてその後に鉄鋼連盟が「NO2指針の問題点」という冊子を出しました。これと同じ内容なんです、基本的に。公正な審議ができますか。科学的な態度と言えますか。きわめて幾つかの点で疑問を持っているわけでありますが、さらにこの幾つかの指摘をしておきたいと思います。  たとえば、六ページに、六ページの一番最後の方でありますが、「国際的には〇・一ppm(日平均値)が動物実験や疫学調査から十分安全を見込んで導かれたNO2の健康影響保護レベルである。WHOのNO2の健康影響の閾値は〇・五ppmでこの濃度以下では十分な科学的知見は得られないとされている。」云々というところがあるわけでありますが、データそのものの使い方も間違っております。日平均値〇・一ppmというのは、これは一時間値のことであります。日平均値だという前提でこの議論を展開しているんです。WHOでも〇・一ppmは一時間値であり、十分安全ではなく最低の安全であるという指摘をなされているにもかかわらず、データの扱いが間違っているだけではなくて、その後の展開もきわめてゆがめてこの問題を指摘している。きわめて非科学的な態度だと私は指摘をせざるを得ないわけであります。  そして問題なのは、最後の結論であります。採用されたかされないかにかかわらず、専門委員会は当然のことながらクライテリア委員会であったわけでありますが、基準緩和を前提にする主張を繰り返しここで述べるわけであります。「科学的根拠に立脚した適正なNO2基準値の設定が強く求められている。」——あなたと同じこと言うんです。「過去の経緯にとらわれず、公害対策基本法第九条の改定条項の趣旨に則とり、」——もう専門委員会の分をはるかに越えているじゃありませんか。しかも、次の文章などがいろいろ問題がありますので、ずっと読んでみますと、「厳しい内外経済情勢の下で費用・効果の関係を考えた上で、十分合理的なものでなければならない。もしNO2基準値が提案の日平均〇・〇四ppmになったとしたら次のような事態が生じる懸念が強い。多くの地域で依然として実現不可能なため、従来同様、不可能な目標追求のための規制強化、無駄な投資のくり返しとなり、従来以上に行政、産業活動面で混乱が増大し、政治的社会的大問題となる。これはこの委員会の認識、理解、洞察能力の責任である。ぼう大な費用やエネルギー消費は産業や国民経済の負担を著しく増大し、国民の総合的な福祉にとって大きなマイナスとなる。医学的根拠の非科学性、石油やエネルギーの浪費、情緒的環境政策に対して従来からある国際的な批判が一層高まり、日本の国際信用は異端者並になる。」、公害規制をやると国際的には異端者になる。そして、そういうことを前提にして、今後「住民訴訟、公害健康被害補償制度のNOxへの拡大など政治的、社会的闘争に一層利用され易くなる。今後費用・効果を考えた合理的でバランスのとれた環境政策を発展させていくことに対しても悪い影響を与える。以上より、N02の基準値は科学性、合理性、実現可能性、国際性等の観点から次のように見直されることが望ましい」として、大きくこの環境基準そのものの緩和を意見書で提案をしている。これがどうして科学的と言えるのですか。われわれ政治家よりも政治的な立場をとっている、きわめて特徴的な意見書なんだ。  しかも、これは柳沢意見書だけではない。先ほど指摘をしました香川教授の修正案も、基本的には同じ立場をとっているわけであります。これは、これまた非常に詳細なものでありますから、一点だけ指摘をしておきますと、指針値についての提案については、大幅緩和の提案をした上、「なお環境基準は、指針値を参考に政府機関が」「決定されるものと本委員会理解している。」というようなことも含めて、基準緩和の方向で政府が動くことを慫慂するかのように、提案を含めて、軌を一にした行動を、実は言動をとっているのが、この人たち数名の特徴的な態度なんです。どうしてこれが中立的であると、科学的であると、客観的なデータをもとにしたんだという説明になるんでしょう。  私だけの話が長くてもなんでありますから、この辺で意見があれば……。
  51. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いろいろ御意見ございましたが、確かにこの文書はそういうところがございます。そういうことで委員長さんは、これは専門委員会の事項ではないとして落とされたわけであります。  それからもう一つは、これは非常に言いにくいことでございますが、影響に関しては影響分科会が扱うわけであります。柳沢先生は理工学系統から測定・分析という角度からの専門家でございます。ですから、その測定・分析の方が影響のことをおっしゃっても、これは測定・分析の方の個人の意見としておっしゃっただけで、全くそれが影響を及ぼすことはございません。そういう意味で、影響分科会は影響分科会として独自に行われます。  それから、香川先生の御意見に関して非常にけしからぬという御意見でございますが、日本の専門委員会の中で、WHOやアメリカの国際文献にきっちりのっとった形の議論をすると、日本の中では政治的な圧力を受けるということがもしもあるとするならば、これはやはり学研の議論を、万国に共通する議論をする面においてはきわめて問題があるのではないか。香川先生の展開しておられます議論は、全く学者的に、このWHOのレポートやあるいはアメリカのナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスのレポートを忠実に引きながら議論をしておられるわけでございまして、後の指針と基準と違うということは、この専門委員会は指針だけであるという認識でございまして、全くそのような政府に対して基準をどうこうというような下心があったとは毛頭思いません。香川先生はりっぱな学者でございます。
  52. 矢田部理

    ○矢田部理君 柳沢先生についてはいかがですか。
  53. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 測定・分析につきましては国際級の学者でございます。
  54. 矢田部理

    ○矢田部理君 この意見書はどうでしょうか。
  55. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 採用をされておりません。専門委員会として採用されるものではないと、そのような判断でございます。
  56. 矢田部理

    ○矢田部理君 したがってりっぱでなかったと言いたいんでしょうが、もう一つりっぱでない証拠をお見せしましょう。  ここに「大気中の汚染酸化物に対するアンモニアの効果」という小さな論文というのでしょうか、文章があります。ここでこういうことを言うんですね。「ロンドンスモッグで五千人もの死者が出た事件の折、ブタ小屋のブタが無事であったという記録がある。その理由はブタ小屋空気中のNH3」——アンモニアですね。「NH3の存在によると推定されている。高濃度のS02が存在しても、NH3が共存すればその毒性が減少すると考えることができよう。」、そして後の方には、アンモニアを飛行機でばらまけば、NOxもSOも中和されて大丈夫になるんだという趣旨のような文章が次に出てくるんですよ。学問的なんでしょうかね。公害対策の基本そのものをやっぱり根底から崩すような主張。ある専門の学者に私聞いたら、学問的にも暴論であり、珍説で、批判の対象にすらすることがばかばかしいという指摘をしています。こんな人が堂々と一あなたは、別に専門があるんだということを強調したいようでありますが、専門委員会でやはりこれについてきわめて政治的な発言をしている。これで専門委員はいいんですか。
  57. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) このアンモニアの問題は、確かに奇想天外なアイデアでございまして、反応化学の専門家でございます、反応化学の専門家の角度からこういうことをおっしゃったものと思います。  ただ、これもまた専門委員会の検討事項ではないということでございまして、いま柳沢先生のそういうお話だけお話しになりましたが、測定・分析の面で、本当にNO2の測定・分析の機械の詳細なメカニズムから評価から、実際の実績を積み上げた方は、柳沢先生はやはり第一人者であるということは、これはもう間違いのない事実でございまして、これはISOに対するあれもございます。そういう点で、いまおっしゃった、反応の面からおっしゃいましたが、これは専門委員会の事項ではないということで、これもやはり採用されておりません。
  58. 矢田部理

    ○矢田部理君 測定等の分野で専門家であるかどうかを問題にしているんじゃなくて、その専門分野についての発言ではないかもしれません。しかし、専門委員会の専門委員として、専門委員会をミスリードするために大変な役割りを果たしている。一体その背景は何だったのかを私は問題にしたいんです。  さっき鉄鋼のNOx基金との関係を指摘をしました。その功績が認められたのかどうか知りませんが、ここに五十三年度六月交付助成研究という鉄鋼連盟のNOx基金の助成金の一覧表がある。柳沢教授がトップに掲げられておりまして、さっき私が問題にしました、「アンモニアによる大気質改善に関する研究」ということで、七百二十万円の助成をことしの六月には受けることになっております。奇想天外な研究をさらに続けるのかどうかは、その中身は私は正確には知りません。鉄鋼連盟のNOx対策と全くと言っていいほど一体になって動いている。そういう背後関係や事実関係状況については環境庁は知らなかったんですか。  前回の委員会でも研究費を受けていることが問題にされました。しかし、客観的、公正にやったので研究費を受けたからといって審議には影響をされませんでしたと言っている。これだけの意見書を鉄鋼連盟と軌を一にして出すということに、それ自体に私は非常に問題を感じます。単に研究費をもらっただけではない。  そのことをあらわすもう一つの問題点を指摘をせざるを得ません。和田教授です。私たちは前回の委員会環境庁に、専門委員会なり大気部会にかかわる議事録を含む資料の要求をしました。非公開だから、秘密だから出せないと言うのです。ところがどうでしょうか。和田教授、鉄鋼業界の集まりに出かけていって、逐一専門委員会内容を詳細に報告しておる。また激励を受けて専門委員会に戻ってきて発言をするという事実を私たちは調査の結果つかんでいます。これで専門委員いいんでしょうか。橋本局長どうですか。
  59. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 専門委員会の最初に、専門委員会の活動、あるいは議事の内容については一切非公開で、これかたく秘密を守っていただくということで、前回自動車のときに非常に問題になったこともございますので、その点は強く強く要請をいたしたところでございます。そういうことで、いまおっしゃった和田教授が、その専門委員会報告が出てからお話しになることはこれはあるかと思いますが、やっている最中にそのようなことをやられるとは全く私どもは考えておりません。
  60. 矢田部理

    ○矢田部理君 考えていたかどうかじゃないんですよ。事実として私は指摘をしている。業界と専門委員会の伝令役だと言う人もいます。その和田教授、鉄鋼連盟との関係については前回も指摘しましたけれども。  もう一つ問題にしておきたいと思いますのは、「産業環境科学研究会」というのがあるようですが、これはどういう会か御存じですか。
  61. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 「産業環境科学研究会」というのは、産業界が任意的な団体としてつくったものでして、五十年の十月に発足した団体であるというぐあいに私ども承っております。これは大きな企業の環境の責任者がこれに加わっていてやっているというぐあいに存じておるわけでございまして、環境庁の主管する団体ではございません。
  62. 矢田部理

    ○矢田部理君 大きな企業の環境問題の責任者が参加をしているということのようでありますが、主だった企業、それから、参加している人の名前もわかれば。——全部じゃなくて結構ですから。
  63. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 私ども承知しております範囲内では、新日鉄、日本鋼管、住友金属、川崎製鉄、神戸製鋼、それから北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、電源開発、それから住友化学工業、日本石油化学。ほか、たくさんございますが、そのような会社の環境の責任者が、産業界の環境問題に関する調査研究をやるということで組んだ組織であるというぐあいに理解をしております。
  64. 矢田部理

    ○矢田部理君 その団体が、実は先般にも問題にした和田教授らの「窒素酸化物の生体影響に関する疫学調査についての一考察」、これまた専門委員会が行われている最中に出している。その中身も、実は一つ一つ指摘したいくらいですが、ひどいものです。それだけではなくて、国会で問題になってから和田教授の勤める群馬大学でもこの問題が取り上げられている。その際、和田教授は、この「産業環境科学研究会」から五十年以来毎年六百万円ずつもらっているという話を和田教授自身がしたそうであります。お金をもらう、その団体のために都合のいい本を出す、あるいはきわめて政治的な発言をする、非公開、秘密の専門委員会内容を業界に報告をする。さきの柳沢教授の発言も幾つか指摘をしましたが、どうもこの中公審の中におけるそういう一連のグループの動き、まともに議論をした、科学的に問題を詰めたということよりも、きわめて政治的に動いている、動かされている。言うならば、専門委員会ないしは大気部会そのものが汚染をされていたんじゃないかという疑惑、疑いを非常に強く持たざるを得ないわけです。  その一連の事実関係について、環境庁長官、どう思われますか。
  65. 山田久就

    国務大臣山田久就君) この点については、過去においても繰り返し申し上げた点だと思いまするけれども、この専門委員会の判定条件と指針は、現在利用し得る最新の科学的知見に基づいて、専門分野や意見を異にする多くの専門家が純粋に科学的立場で議論した後で全員一致で合意されたものである、これは御承知のとおりであります。この科学的知見については、それが国内あるいは国外のものであるとを問わず、学会や学術専門誌に公表されたもの、あるいは政府地方公共団体が責任を持って公表した、そういうデータ。また、学術専門誌の掲載が確実に、それにこのデータを限定しているものであります。委員会の議論は、すべてこれらの収集された科学的知見に基づいたものでございまして、結論は全会一致で合意されたものでございます。したがって、いまいろんな御議論、指摘がございましたけれども、しかしながら、かくしてつくられた結論というものは、これは私は良識的に考えて純粋な学問的結論である、こう申し上げて差し支えないと考える次第でございます。
  66. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうも長官ね、私が指摘をしたことについての所感なり答えではなくて、私の話を聞かないうちから書いてあるものを用意してさておいて、それを読み上げるような答弁はだめですよ。
  67. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いまいろんな御指摘の点、採用されないデータについて議論してもしようがない、また、事実それは採用されなかったと、こう雷っているわけです。どういうものについて採用しどういうものについてそれをやったかということは、いま申し上げたようなそういうデータに基づいて議論したんだというこの事実は、これは繰り返し申し上げるほかないわけでございまして、したがって、個人的な意見がどうあろうとも、そのほかの人が全部それで影響されるとは、私は、そのようなことを考えること自身が、いま申し上げたような手続、実情に照らして妥当なものと考え得ない、このことを申し上げたわけでございます。
  68. 矢田部理

    ○矢田部理君 長官ね、こういう人が専門委員会なり中公審の委員でいいんですかと言っているんです。
  69. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 先ほど申し上げましたように、専門委員には、その道でこのことを議論すれば当然選定されなければならない、そういう国内的あるいは国際的に評価された、その専門の分野を集め、しかも、その議論が行われたのはそれぞれの専門の分野についての意見というものに基づいて、しかも、このデータはぜひ見るべきであるというデータをみんなで選択したものについてそうして純学術的に検討が行われて、その結果この結論になったんだということを繰り返し申し上げていることで私は答弁になると考えております。
  70. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうも問題をすりかえているんですが、政治家だって大企業から金もらっちゃいかぬという議論がありましょう。金はもらってもいいと、おれは大企業のためにやらないんだからいいんだという説明ではいまは通らないんですよ。たとえて言えばですよ。まして学者が、一般的な研究資金じゃないですよ。NOx問題に限定をして、少なくともこれに関連する研究をするために多額の金をもらう。産業界は、御承知のように、非常に大がかりな基準緩和をねらって大々的な準備やキャンペーンを張ってきた。自分の専門分野についての発言ではなく専門外のことについて、専門委員会で政治的な発言を繰り返す、意見書まで出す、部外秘になっている内容報告に出向いていく、また激励を受けて発言をする。これでいいんですか。
  71. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いろんな面についての適不適、またいろんな判断や見方があろうかと思います。しかしながら、結論が導き出された、この間において採用されたデータというものの国際性、純学問性、そういうことを考えるならば、それは個人についてのいろんな見方、批判、私はいろいろあろうかと思います。しかしながら、過程について言うならばこれの科学的な結論ということを左右されるものではないと、こうわれわれ考えるということを申し上げておるわけでございまして、この点はひとつ御理解いただきたいものと考えております。
  72. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう時間も昼ですからあれですけれども、結論が左右されたかされないかの前に、こういう疑惑の人たちを、メンバーの数から言えば、二十名のうち、私は率直に言って八名ぐらい——いま一つ一つの事実を指摘する時間的余裕がありませんが——抱えて、専門委員会は運営されてきた。大気部会になるともう生の業界代表が出てくるわけであります。やっぱり本当に国民の健康を守る、長官の言う科学的な立場で本格的に議論をさせるということであるならば、やっぱり——労使なり賃団体との三者構成とかという議論じゃないんですよ。学問的にいろんな意見があることは私もそれ自体を否定するつもりはありません。学問的意見を越えて、企業とくっついている、その立場で政治的発言をするような人たちは、少なくとも排除してしかるべきだと思うし、そういう人たちを選任をした環境庁の責任、きわめてこれは重大だと私は思うんです。  ここまで事実を指摘されても何ら感ずるところありませんか。
  73. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま企業と直接結びついてという御意見でございましたが、これは研究財団から研究資金を得ているということでございますし、また御自身が出版された本を業界の人が買ったということでございまして、そのことをもってすべて、企業と密接に連絡しているということだけで、これだけの業績のある方をすべてまずいんだという御判断に対しては、私どもはそのような立場はとり得ないということでございます。産業界がその社会的責任を果たす上で研究財団を組んでその研究費が使われるということは、これは学問の進展のためにも非常に必要なことだと思いますし、特に理工系の学問ではそういう運命がもうほとんど不可避であろうというように思います。  で、たまたまいまの御指摘は、健康影響の観点でこれは何だという御指摘が非常に一つのポイントになっておるんだと思いますが、それは国の研究費をもっとやはり充実しなければならないという気持ちをもう非常に強く持つわけでございますが、財団から研究費をもらっているから、あの人はいい業績を持っていても専門委員にしないということは、環境庁としてはやはりそういう立場はとれないということでございます。すべてその方の学問的な業績ということを中心にしてわれわれは専門委員を選んでおるという立場を貫いておるわけでございまして、その後、一人の方がどのように行動されるかは、これは役所の関与することではなしに、一人一人の人の学者的良心と、もう一つは専門職業人としての社会倫理の問題であるということに思っております。
  74. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう一般論についても私は率直に言って問題だと思います。あなた方は知らなかったのかもしらぬが、これだけ具体的な事実を私どもは指摘したんですから、調べてしかるべきじゃありませんか。NOx基金は鉄鋼の同社かが集まってやっておるけれども、それは企業そのものではないなんというのは詭弁ですよ。何の目的でこれが設立をされ、どう動いたのか、学者をどう動員したのか。その実態を探れば探るほど、非常にやっぱり深いものがあると私は見ているわけです。  環境庁の態度は、本来、環境行政というのは、産業と絶縁をし、調和論の立場に立たないというのが公害問題の基本であったはずです。そうだとするなら、その基本を貫徹するためには、中公審の委員等についても産業界の代表は入れない、あるいは産業界と密接に癒着をした学者は排除するというぐらいの見識を持ってもしかるべきだと私は思うんです。どうしても意見を聞きたければ、委員としてではなくて参考人として事情を聞けばいいのであります。公正であるべき中公審が、産業界の代表やその意を体した学者たちによって運営されることは、非常に私は多くの問題を残す。かつての排ガス規制論のときもそうでした。この内情を、大気部会や専門委員会の経過の状況調査すればするほど、次から次と疑惑と問題点が出てくるわけであります。私は、まず中公審のメンバー等の中には、直接の業界代表あるいは業界の意を受けた人たちは排除をすべきだ。公害についての、率直に言えば被疑者なんであります。場合によっては被告なんであります。被告と公正な科学的客観的に検討すべき裁判官とを同一の場において議論をさせる、こういう中公審のあり方そのものが、環境庁の責任そのものが私は問われていると思うんです。  二番目には、中公審が、これだけ大気部会等を中心に疑惑と問題点を持っている以上、もう非公開、秘、密ということは許されなくなってきている、ガラス張りにすべきだと私は思います。議事録その他、関係資料の公開判度も含めて本格的にこの改組に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょう。
  75. 山田久就

    国務大臣山田久就君) まあ一つのお説としては承りますけども、しかしながら、いろいろな政治的な判断で入れたり入れなかったりと、これはかつて日本の軍国時代にも、違った角度で非常にそういう行政的に介入がありました。私は、やはりこの際、その個人としての行き方はそれぞれの科学者、そういう人の良心に訴えるべきで、まず選定する専門家は、その専門の業績というものによって素直に選定が行われるべきで、他の政治的な配慮、いろんなものは加えられない方が望ましいと、私はこういう見地に立って環境庁が人選を行ったと、私は今日においてもその行き方を支持したいと、こう考えております。  第二に、委員会の公開の問題でございまするけれども、これはもういままでにこの委員会そのものというものの、自由自在にみんなが、これを述べる以上、そのインテグリティーということから言うならば、これは非公開を原則とするということは長い経験から委員会について認められた原則でございまして、それは過去の経験から言って、私は非常に正しい原則じゃないかと考えておりますし、いまそれを変える理由というものも見出し得ないんじゃないかと、こう考えております。
  76. 矢田部理

    ○矢田部理君 一方で非公開を破らない、他方ではどんどん業界に情報が流れる、これでいいんですか。  たとえば今度のわれわれが環境庁に要求した資料の問題もそうですよ。専門委員会の議事録については、鈴木委員長の了解が得られないので出せませんという答えでした。私、鈴木委員長に確かめました。こういう言葉で言っています。速記録はないから出せないなあと、こう言っている。しかし、議事録があるということならば別に私は、出すと。議事録があると知らなかった。それは何も隠すべき性質のものではありませんから出しても異存はございませんと。資料提出についてだって、まともに誠実に協力をしようとしない。問題をすりかえたり、鈴木委員長の責任にしたり、ここまで来たって資料を出してないという環境庁の態度が、やっぱり私は糾弾しなければならないと思います。根本は、資料の公開も含めて中公審全体をガラス張りにしていく。幾つも苦い経験を中公審は持っているわけでありますから、いままた同じような疑惑と問題点を抱えてきたわけでありますから、本格的に、人の問題も含め、運営の問題も含めて改善改革をすべきだというのは当然の議論じゃありませんか。環境庁長官、せめて少しはね、頭を使って考えてみるぐらいの答弁はできないんですか。
  77. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いろいろ中公審というものがインテグリティーということを非常に考えられていくという御心配の立場はよく了解されまするけれども、にもかかわらず、中公審が本当の忌憚のない意見というものをお互いに言い得るということのためには、やはり非公開を原則にして、ガラス張りじゃない、自由にそれが言えると、その保証というものが必要だということは、これはいままでも一般的に世界の委員会について言い得る原則でございまして、それには十分過去の経験に踏まえての私は基礎があるというふうに考えておりまして、いまこれを特に変えるということの必要性、いろんな御心配の点はこれは多といたしまするけれども、私はそうは考えない立場をとりたいとこう思っております。
  78. 矢田部理

    ○矢田部理君 それも不正確なんですよ。たとえば審議会はすでにこの件で言えば終わっているわけでしょう。審議中には直ちに公開はできないが、自由な討論の保証ということが一つ言われました。そういう意味合いも、私も全く理解できないわけではありません。ただ、少なくとも審議が終わったら、すべての資料、意見を公開する。このぐらいのことはあったってしかるべきだと思うし、少なくとも橋本局長が言うように、天下の学者であるならば、自分の意見については責任を持って発言すべきですよ。批判があればそれを受けるべきだ、学者として。と私は思うんです。だから、審議中だから公開できないという議論にも、少なくとも審議が終わればそれを公開をする、国民の全体の批判にさらす、そのことが最もやっぱり公害行政を進める上で大事な部分だと私は実は思っているんです。  きょうは時間の関係もあって、幾つかの疑惑と問題点を提起をしました。しかし、これは単にある特定の個人、特定の委員だけの問題ではないんです。もっともっと環境庁の責任、これだけ問題を抱える人たちを選任した責任もあるでしょう。あるいはまた、結論的には採用されなかったんだからいいんだという説明を繰り返し行ってきましたが、そうでしょうか。一つの見方では、指針値なりをゾーンで提示をしたということも、さっき述べたような人たちの一連の言動が一つは足場になってそこに発展をしたという見方をしている人もいます。あるいはさらに、クライテリア委員会の数値には原則的に影響は出なかったかもしれません。最終的に、あなた方が出した環境基準の見直しに対して、きわめてやっぱり政治的なバックアップになった。最終的には彼らの意見が長官の手元で十二分過ぎるほど生かされた。鉄鋼等々にとっては万々歳であったということも指摘をされているわけであります。もう一回、環境行政のあり方の基本です。あわせて中公審の仕組みなり運営の仕方についても、この際重大な反省をする必要があるのではないでしょうか。  以上申し上げて私、終わります。
  79. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 意見意見として、いろんなものは、私ども発表いたしましたように、それは一応参考としては検討しました。しかしながら、決断において何ら影響をされておらない。われわれはわれわれの方針に従って、これに立脚して純粋に客観的に決めたものであると、このことを繰り返して申し上げたいと思います。
  80. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時二十七分開会
  81. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  82. 矢田部理

    ○矢田部理君 若干、質疑予定の時間が残っているようでありますので、二、三補足的な質問をしておきたいと思います。  一つは、先ほど和田教授の点について問題の指摘をしました。つまり、専門委員会が開かれている期間中に、鉄鋼等業界の代表と会って専門委員会内容を逐一報告しているという事実でありますが、そういう事実が具体的にあるとすれば、環境庁としてどう考えますか。
  83. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) そういう事実は全くないと信じております。
  84. 矢田部理

    ○矢田部理君 だれからそれ……。
  85. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま具体的にあるとすればどうするかということでございますが、これは具体的にあったという場合に、それはやはり最初に、そういうことは一切してはならないということを強く要請しておるところに反することだ、そういうふうに思っております。
  86. 矢田部理

    ○矢田部理君 反するから……反することはわかりましたが、どうしますか。
  87. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 今後、そのようなことがあれば、この方は委員には委嘱することはできないと思います。
  88. 矢田部理

    ○矢田部理君 当然のことだと思います。  もう一つ、先ほど私は柳沢教授に関連して、柳沢教授の意見書は鉄鋼連盟の小冊子、「NO2長期の指針に影響を与えた疫学的研究の問題点」、それから産構審の報告と同趣旨である。事実、産構審の資料によればという引用個所が何カ所もあるわけでありますが、もっと具体的に指摘したい。この表を見ていただきたい。(資料提示)単なる趣旨が同じじゃないんです。文章が全く同じなんです。最初に産構審の報告が出まして、その後に柳沢意見書が出ました。さらに、この鉄鋼の、先ほどの「問題点」という小冊子が出ました。柳沢さんはさすがに気がひけてか、ちょっぴりつなぎの部分と、「てにをは」だけ直している。全く同文のものが出されている。しかも、引用して出したというならまだわかります。自分の主張として出しているんです、それぞれが。これは癒着じゃなくて同一です。一つなんです。ここまで事態が深まっている。癒着じゃなくて一体化している。長官、どう思いますか。
  89. 山田久就

    国務大臣山田久就君) これ、ちょっとまだ検討の余裕がございませんけれども、影響問題については、繰り返しお話し申し上げておりまするように、この意見は、全く専門委員会の資料としては採用されておらない。そういうことを御指摘申し上げているわけでございまして、そのことでわれわれの立場は御理解いただきたいと、こう思うわけです。
  90. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは検討しなくてもわかるんです。それぞれの内容を全部一つの紙に比較しやすいようにおさめましたから。コピーで、いま昼休みに。もともと産構審は鉄鋼連盟を初めとする業界の意向を強く受けた通産省ベースのものであることはもう改めて指摘するまでもありません。三位一体になってきますと、そんな委員が参加して公正な審議ができるか。そんな委員を選任した環境庁の責任がまた問題にされる。単に結論に影響を受けませんなどという説明説明にならぬですよ。ここまで、「てにをは」までほぼ同じような文章がそのまま自分の意見として書かれる。——もう一回長官の見解をお伺いしたい。
  91. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 個人としてはいろんな意見や何かがあるんでしょうけれども、繰り返し申し上げておるとおり、これは柳沢さんは測定の面では欠くことのできない重要な専門家ということでこれは選任になっておりますし、そしてまた、こういうような議論の適不適はともかくといたしまして、この議論というものは全く専門外のこととして、委員長もそれを採用していない、こういうことでありますし、また、こういうようなことによって私はほかの委員の大多数が影響を受けるというようなことは、それは全く考えられないことであると、こういうのが現状の分析じゃないかと、こう思いまするけれども、いかがでございましょうか。
  92. 矢田部理

    ○矢田部理君 全然話が違うじゃありませんか。客観的に影響受けたかどうかというようなことはまた別の議論にしましょう。余りにもこの内容がひど過ぎやしませんか、だれが見たって。そういうことまでもかばう、その環境庁の姿勢が問題だと私は言うのですよ。和田教授のケースにちなんで言えば、そういう事実がはっきりすればもちろんこれから委員に入れない、それは一つ言いました。同時に、柳沢教授だって同じじゃありませんか。学者としての見識、まあ盗作論にかかわるのはどうかと思いますが、資質そのものがやっぱり問題にされる。品性そのものが問題にされなければならない。こういう者はやっぱり入れるべきじゃないですよ。  いずれにしましても、私はきょう時間の制約の関係から、それぞれの人についてもう少し突っ込みたいと思っておるわけでありますが、指摘をする時間がありません。したがって、環境庁の責任ももちろん問わなければなりませんが、同時に、先般申し上げた四名の学者については再度国会で、参考人としてやはり喚問をしていただきたい。出頭しない理由が、多少は違いますが、私には納得ができません。どうしても来れないということであるならば、私は証人としてでも呼んで、この問題点をやっぱり明らかにしていくべきだと思う。その上に環境庁の責任をたださなければならぬというふうにも考えています。  もう一つは資料の点であります。橋本さん、鈴木委員長に私が確かめたのと、あなたの答えと言っていいのか、環境庁の態度と言っていいのか、大分食い違いがある。議事録があるなら出してもらっても私には異存はないという趣旨のことを述べられました。私は直接確かめているのです。一方では業界には筒抜け。審議が終わったのに国会には出せない、こんなばかな話はないですよ。鈴木さんどう言ったのですか、正確なところ。
  93. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いまおっしゃって、非常に私は驚いたわけでございますが、審議会の議事録は原則として非公開とするということにこれは中公審で決まっておるわけであります。そういうことで鈴木委員長にもお話しをいたしまして、議事録はまあ先生——もしそういたしますと、専門委員会の議事録から資料から、何から何まで全部出してきて、だれが何を言ったをやられるなら、もうこれから環境庁の専門委員する人はなくなるよということは、これはおっしゃったわけであります。そういうことで、その点について、私ども専門委員先生にできるだけ御迷惑をかけたくない。そこにつきましては、いままでの議事録や要旨を全部整理をして、そして出すことにいたしますということで、きょう提出いたしました資料には、そこの経緯は細かく整理をして出してあるわけであります。  鈴木先生のおっしゃった、速記録がないというのは、これは速記録をとっておりません。速記録はとっておりませんで、問題の骨子をずっと書いて、専門委員会の議事要旨というのはこれはとってございます。それは確かにございますが、録というのはございません。ですから、専門委員会の記録を出さないというのは、鈴木先生も全くそのようにおっしゃっておられるのでして、それが、もしおっしゃっているのが違うのなら、鈴木先生先生におっしゃるのと、私におっしゃるのと、話が違った、こういうぐあいに思います。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 鈴木先生を責める立場にはないわけですが、要するに、速記録というものはとっていないので、ないから出せないという趣旨のことはありました。議事録みたいなもののあるということは、実は自分は知らなかった。したがって、そういうものがあるとすれば、それを出すこと自体に異存はない。速記録はないから出せないなあと言っただけであり、あなたの話とは全然違うわけです。いずれにしても、できるだけ資料を出さない。要求された議員には配るけれども、委員会には出せないというのがその態度でしょう。こんな論理矛盾もはなはだしい、自家撞着もはなはだしい話はありません。ここまで疑惑と問題を提起したNOxにかかわる問題でありますから、全部私は出すべきだ。私どもが調査の結果でも、きょう柳沢意見書が出ました。まだいろいろあるはずです。柳沢氏が大気部会で出したメモ、これはちょっと私も言えないような、誹謗、中傷を含んだメモだと言われております。等々を含めて、一切をやっぱり当委員会に出して、疑問点の解明なり、問題点を全部やっぱり国民の批判にさらすべきだというのが私の意見でありますが、重ねて、いまの問題を含めて、委員長の方に、資料の提出、議事録だけではなくて、一切の資料の提出をひとつぜひお願いしたいと思っております。  それから、三点目でありますが、後で坂倉理事の方からも同時に指摘があろうかと思いますが、こういう緩い、言ってみればもう目標もなくなったような基準では、自治体はどうしようもない、きわめて深刻な悩みを持っています。被害者はもっとひどいわけです。せっかく今日まで公害協定を結んだ、企業といろんな交渉をして脱硝装置をつけさしたりしたものが、今後はそういう装置すら稼働を停止する危険すらあるということまで言われているわけであります。そこで、もう少しこの問題は実態に即した議論をしなければなりませんけれども、そういう非常に多くの悩み、今後どうしていいかわからぬという迷いを持って自治体がいま苦慮しているわけでありますが、関係自治体の人何人かを、先ほどの学者だけではなくて、あわせて当委員会に呼んでいただいて、さらに審議を続行していただくように、委員長、理事にお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  95. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、ただいま四人の学者を参考人として喚問してほしいということの再度の申し出が矢田部委員からありました。それから、さらに、資料を全部提出してほしいという要求がありました。それから、また第三点として、自治体関係者を何人かこの委員会に呼んでほしいという要求がありましたが、そのうちの資料の提出の問題は、環境庁お答えになれますでしょうか。
  96. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) まず一言申し上げておきたいのは、議事要旨は次の専門委員会で全部朗読いたしております。ですから、鈴木先生がそういうものがあるのを知らなかったということは、私は絶対ないと思います。議事要旨は、それを読んで、委員の方は、自分の言ったことを直すところがあれば直すという形になっております。ですから、議事要旨がないということを専門委員長が御承知でないということは、これは何かの、失念をされたか、取り違えをされたのではなかろうか。速記録がないということをそういうぐあいに言われたのではないかと思います。  それから、資料につきましては、そのような御要求があったことということをもう一度お話しをしてみます。
  97. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、これはまた後ほど理事会で御相談をしたいと思います。     —————————————
  98. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、萱野儀作君が委員辞任され、その補欠として山崎竜男君が選任されました。     —————————————
  99. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 質問の前に、いま矢田部委員の方から提起をされました参考人の関係を、私からも要請をしておきたいんですが、調査をすればするほど、今回の基準改定にかかわって疑惑がさらに増すばかりであります。いま再度要請になりました、さきの要請を受けた四人の先生方ですが、私は、金をもらったことが問題ではなくって、研究費を出されておることが問題ではなくって、その資金を受け取ったことによって、出しておる側のいわゆる意思に基づいて共同の行動をお互いに展開をしていった、そのこと自体が私はきわめて問題である。ただ、それに影響されたかどうか、その結論の問題は、まだ私は結論を出すのは早いと思う、むしろ。したがって、その行動の影響の問題ではなくって、具体的に資金源の意図に基づいて共同のキャンペーンを張り、具体的な要請が行われたということが一つの問題であります。  さらにまた、矢田部委員質疑の中で局長が答弁をされておりますのは、専門分野以外の問題は採用しなかったからいいじゃないかと、こういう論理であります。しかし、少なくとも専門分野を見てそうして要請をされたということなら、その専門分野以外にはくちばしを入れないということがたてまえであろうと思います。私はそのことがわからない先生方ではなかろうと思う。あえて自分の専門分野でない分野に対してなぜ意見を書かなければならないか。この辺の考え方なり何なりというものは私は明らかにしてもらわないと疑惑が晴れない。こういうことでありますから、再度私は四名の、さきの協議のあった参考人の招請について、要請を申し上げておきたい。  さらに、第十六回の中公審の大気部会でありますが、この大気部会の中で橋本局長が、地方自治体がこれまで現行基準達成のために努力してきたことにかんがみ、環境基準の改定に伴う施策の転換については環境庁として誠実に地方自治体と十分協議するという趣旨合いの説明を行われ、このことを逆に大気部会は環境庁に対する要望という立場も含めて決議をされておったわけですね。ところが、このことに関して現実に各地方自治体の中では大変戸惑いを起こしている。そして、将来の展望について、これでやることはなくなった、一体どうするんだという現実的な悩みを担当者が抱えて、私どもにも連絡がある。こういうような状況のままで放置をするということには相なりませんし、どこのだれをという形については協議の中で申し上げていきたいというふうに思いますが、これまた矢田部委員から要求のありました地方自治体の担当者の本委員会に対する参考人としての招請をひとつお取り計らいをいただきたいというふうに考えるところであります。  それからさらに、資料の関係でありますが、私は、前の委員会の中で私自身としては資料要求はいたしませんでした。しかし、少なくともこの委員会の中で問題になっております大気部会の議事録、専門委員会の議事録、現実にこれが印刷をされてそれぞれの方面のところへ行っているわけですね。手書きの原稿があるというんじゃなくて、そのことが複製をされて必要なところに配られているわけです。そういう形のものがあるとするならば、私は当委員会に出すべきである。それをなぜ、要求した者にしか出さないのかということについて、委員会の運営の立場からもきわめて問題があるというふうに思います。もちろんこれは大気部会の一つの議事運営の確認として部外には出さないという立場のものがあったにしても、先ほどの論議の中でも明確になっておりますように、私は、当該委員長が、ないものは出せないけれどもあるものは出したらいいじゃないかという、しかもこれは審議経過の問題ではなくって、途中の提示ではなくって、もうすでに環境庁も新しい基準を告示をし、しかもこの諮問をされた内容の結論はすでに導き出されておる事後の問題です。事後の問題に対してまでなおかつ隠さなければならぬ理由というものが私はわかりません。したがって、そのことから言ってもこの議事録、大気部会の議事録、専門委員会の議事録については、私は要求をした委員だけの問題だけではなくって、少なくともこの審議にかかわっておる本委員会の所属委員には当然配付をして差し支えがないんじゃないか。したがって、全委員にこれは配付をすべきであろう、こういう立場で再度この議事録の提出についても要請をしたい。  後で理事会で御協議をいただくことになろうと思いますので、質問に入っていきたいと思います。
  100. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまの御発言は矢田部委員と同趣旨ですね。それでは、この委員会の後、短時間に理事会を開きたいと思います。
  101. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこで、本論に入りますが、これは山田長官にお伺いをしたいんですが、前の本委員会が七月の六日であります。七月の六日は、いまも参考人、資料要求の中でも触れておりますように、新しい問題というのが提起をされました。そして、参考人要請、資料要求が行われて、それを本委員会としてどう取り扱うか、このことが宿題になりまして、理事会が開かれて協議をすることになったわけであります。この経過は長官も御承知のとおりであります。その理事会が翌日の七月七日に午前開催をされたんですね。ところが、その日長官は、閣議に出席をされ、そういう形の中で、閣議が始まるまでに、総理に対して環境基準の改定について了解を取りつけたというふうにお聞きをしているわけです、七日。このお聞きをしました、七日の口の総理の了解を取りつけたというのが事実であるとするならば、どういう形で総理の了解をとられたか、そしてとられたその内容の中に、環境基準の新しい形について数値をもって示されておるのかどうか、これをまず第一にお聞きをしたい。
  102. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 総理には、公表された、考えられておる環境基準、答申によって、こうこうこういうような内容のものについて、ひとつ公示としてこれを行いたいという意向でいま最終的な検討に入っておると、そういう点について総理のあらかじめの御了承を得ておきたいということで了承を取りつけたと、こういうことでございます。  内容の趣旨をもう少し詳しく申し上げれば、二酸化窒素の人の健康影響に係る環境基準の改定ですね、これの公示を考えていると。ただ、この改定の趣旨は、「基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」という公害基本法第九条三項の規定、この趣旨にのっとって行うということを考えているものだと。それから、新しい環境基準を、一年前に公害対策審議会にかけて三月の、二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件についての審議会の答申で提案された指針に即してこれはいきたいと。したがって、指針にもあるとおりに、国民の健康は十分保護されることができると、こういう見地に立脚したもので考えられておるということと、それから環境基準の改定はこれまでの規制を緩和するものじゃない、新しい環境基準の維持達成には今後とも一層の努力を要するものである。したがって、政府としては既定方針に基づいて固定発生源や移動発生源に対する規制を初め各種の施策を総合的かつ有効適切にやる必要がある。こういう考えのもとで関係各省との間もいろんな話を続けてまいっておりまするので、そういう趣旨で最終的な結論にいくということについて、あらかじめ総理の御了承を得ておきたいという趣旨で総理に御報告申し上げたわけであります。
  103. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いま長官が答弁をされました趣旨合いというのは、実際には話をしているのじゃなくて、あなたが具体的にやっているのは十一日なんですよ。七日の日はそこまでの話はなかったという。まあそれは趣旨合いがそうだというなら、もうすでにそのときに方針が決まっておったということになる。先ほど申し上げたように、少なくともこの委員会委員会経過としまして、新しい問題が提起をされて、そうして今後どう取り扱うか、きわめて重要な、そのことの相談をしている公式の理事会が開かれている。そのことを知りながら、その当日に総理の了解を得るというその態度自体は一体どういうことなんですか。私は前の委員会でも、新聞の予測記事に基づいて、腹は決まっているのかどうか、そのとおり進むのかどうか、こういう立場の質問をしておるわけであります。そういうことからいきまして、新しい問題が提起をされたと。それにこだわりなしに、かかわらないで、あくまでも既定方針どおり進めるという態度自体、私はどうしても納得できないのです。その辺の釈明をきちっと求めたいんです。
  104. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 先ほどもお答え申し上げましたような、この環境基準の改定に関しましては、すでに国会、衆参両院十数回ずっと行われてきたということは御案内のとおりであります。われわれとしては、この判断条件について、指針について、先ほどもお話し申し上げましたように、中公審から三月にいただいている。したがって、いつまでも政府の判断をおくらせるということは、これは法律の趣旨にも反するという点があったにもかかわらず、国会での審議というものを尊歯する立場に立ってずっと審議をいただいてきたわけでございます。まあ改めてこの二十七日ということを言われておりましたけれども、われわれとしては、十分、いつまでも待ち縛る立場にはないということはすでにお話しも申し上げておりました。また、無論この委員会ではこのNOxの審議はやるということは承っておりましたけれども、そうかといって、新しい、この変えるということについての重要な問題については、もうすでに政府の立場としては繰り返しお答え済みの点でございまして、私は大変申しわけないけれども、いつまでもこれで延ばすという関係にはないという判断に立って、とにかく実質的な了承を総理に縛るということで、またその後で、理事会の結果はどうなったかということを伺いまして、証人喚問等そういうことは決まらないということで、二十七日に理事会をやって、いろいろ今後の問題についてやるということであったということでございまして、その情報等に基づいてわれわれ最後の判断に踏み切った事情でございまして、この点ひとつよくおわかりいただきたいと思います。十分国会に対しては、重んじてやる立場では、われわれとしては努力してまいったつもりでございます。
  105. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まあそれは水かけ論になりそうですから、具体的に質問をしていきたいと思いますが、あなたが七月の十一日の閣議で、「新しい環境基準は、本年三月、二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件等についての中央公害対策審議会の答申で提案された指針に即して決定されたものであり、」——次が大事なんです、「国民の健康を十分に保護することができるものである。」こう述べられていますね。長官の好きな科学的知見なんですが、具体的な人の問題で調査をなさったデータの中に、六十歳以上の方のデータありますか。
  106. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 一部に六十歳以上のデータがございます。
  107. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 どれだけの比率を占めますか。——頭のいい局長がそんなの覚えてないことはないだろう。五十九歳までだ……。
  108. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 岡山県南部ので、六十歳までの人口でございました。
  109. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私の質問は、六十歳以上の方が対象になったのかどうか。あなたはなったと言うから、なったんなら何%かと、こう聞いているんです。——いいです。ないんです。それが今日日本の中で、特に老人の数がふえてくるということで、老人対策にきわめて重要なウエートを占めなきゃならぬ、こういう今日の国内情勢の中で——いいですか、聞いてください——そういうような重要な段階の中で、仮にあったにしてもごく少ない。数字になりません。それで果たして人の影響に係るる科学的な知見というものが完全に集められて、絶対大丈夫という保障はできますか。特に老人の場合に、この大気汚染にかかわる被害の率というのは、現実問題として多いんじゃありませんか。現在の認定患者の中で、年齢構成を考えた場合一体どうなりますか。その辺の立場が踏まえられないで、そうして科学的今日の知見が集められたから、基準を緩和をしても国民の健康を十分に保護することができると言い切れますか、長官。——長官です、長官です。
  110. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 公害対策審議会の答申によるその指針、これは老人、病人を含んでの集団に対して、高い確率でその健康を保持できるということでございます。したがって、われわれとしては、この専門的な答申というものが最善という判断に立っておるわけであります。
  111. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 先ほど私、ちょっと言い落としました。六十歳以上の人の調査は六百七十三名についてございます。
  112. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 比率はどれだけかというんです。
  113. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 二千六百二十五名のうちの六百七十三名でございます。
  114. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それ、年齢別にきちっとしてください。
  115. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは、六都市五年の四十五年度における調査の分でございますが、三十歳から三十九歳が六百七十四名、四十歳から四十九歳が六百六十七名、五十歳から五十九歳が六百十一名、六十歳以上が六百七十三名、計二千六百二十五名の調査でございます。
  116. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 六十歳以上の場合に、それはひとつ五歳単位できざんでくれませんか。  私が問題にしているのは、大気が汚れてきたときに一番影響を受けやすいのは一体どのグループか、一番影響を受けやすいグループに焦点を当てて、大丈夫という保障をするということが、これが環境庁の役目じゃないでしょうか。そこに焦点を当てないで科学的知見というのは私は生まれてこない。少なくともこれは公害対策基本法の一条から産業の義務のところまで含めて、いわゆる人への影響を中心にしてこの法律というものはきちっと確認をされているはずであります。この段階では、いわゆる産業技術、公害防除技術です、その技術との調和の問題は少しもありません。人の命と健康をどういうふうに守っていくかという立場からこの法律というものは制定をされておるはずであります。いつの間にいわゆる産業と、あるいは技術との調和の問題が生まれてきたんでしょうか。その辺の見解がよくわからぬのです。
  117. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いまも御指摘ございましたが、専門委員会の答申の中にも、地域人口集団の健康を保護するという角度で書かれてありまして、また答申の中には、地域人口集団というのは、老人もあるいは子供も弱い人もいるということをはっきり答申に表現をされておるということは、前回にたしか答申の原文をお読みして御説明いたしたところでございます。そういう意味で、専門委員会として、このデータをいろいろごらんになった上での判断として出しておられるわけでございますから、私どもは、現在の時点においてこれは完全かと言われますと、完全なものでございません。しかし、いまあるベストのものであるということは事実でございまして、いまあるベストのもので判断をするということが現在の科学のやり方であり、それが基準設定の基礎になるということでございます。
  118. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 だから、完全でないから、その不完全な部分を補完をするために安全係数の問題が論議をされ、今回環境庁は安全係数をとらなかった。しかし、国際的には、来年この安全係数の問題が論議をされる形になっているんじゃありませんか、WHOで。そういう流れの中で、あえて日本が、重大で、しかもこの基準の問題をめぐって方々から意見が出されているときに、あえて安全係数を掛けない、こういう態度をとられたこと自体について、私は国際的にも問題点があるだろう。しかし、そのことについては、私、時間がありませんから、きょうここで論議し合うつもりはありません、安全係数は。ただ、先ほどの本論に戻りますけれども、国民の健康を十分に保護すると、こういう立場を言い切っておる長官の態度ですね、くどいようですけれども、実際にこれ守れますか。  ちょっと角度を変えますが、部長が来てますから部長にもお聞きしますが、公害の認定患者は、いま全国でどれだけおりますか。同時に、特徴的な地域を特定をしてもらいたいと思うんですけれどもね、全国的な数字は数字として。それが一つ。  それから、特定をした地域の中で、たとえば大阪なら大阪でいいです、大阪で認定患者がどれだけあって、過去の認定患者の中で、療養をしてどれだけ治癒をされておるのか、いわゆる治癒数。その割合。ひとまずそれだけお聞きをします。
  119. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 全国数で申し上げますと、いわゆる大気汚染による第一種地域の現在までの指定地域の中で、五十二年度末の認定患者数が六万三千六百五十三でございます。年次をさかのぼりまして申し上げますが、一年前の五十一年度末が五万三千四百十四、もう一年さかのぼりまして五十年度末が三万四千百八十四、それからもう一年さかのぼりまして四十九年度末が一万九千二百八十一となっております。  しかしながら、この間にふえましたのには幾つかの理由があるわけでございますが、御承知のように、昭和四十九年に現在の公害健康被害補償法ができる以前にすでに地域指定になっておりました、旧法に基づく部分もございます。その後、新法になりましてからも、先生御承知のように、昭和四十九年の十一月、それから五十年の十二月、五十二年の一月、そして先般五十三年の六月にも地域指定をそれぞれ拡大しております。地域指定を拡大しますと当然包括人口もふえますので、その関係による増というのが一つ見られます。  それから、私ども現在までの指定地域につきまして、旧法時代に指定をいたしました、たとえば四日市であるとか東海市であるとか横浜市あるいは大牟田市、北九州市というような、旧法時代に指定いたしましてその後地域拡大しなかったところ、それから四十九年十一月に指定をいたしましてその後地域拡大しなかったところ、それから五十年の同様のもの、五十二年の一月の同様のものというように、まあ地域によりましてはその後地域指定を拡大しているところありますが、地域指定を拡大していないところであって、地域指定から何年かたった年限のたち方によりまして、いわゆる一年間における地域包括人口に対する新規の認定患者数の割合というものを算出してみますと、これは四日市、東海市、横浜市等六地域を合算してございますけれども、ちなみに申し上げますと、この六地域が、四十九年十月から五十年九月の間に新規に認定された人が九百七名おります。これは、この六地域地域人口に対しまして一・三一%でございます。翌年の五十年の十月から五十一年の九月になりますと、この間の六地域の新規認定患者数が八百一名でございます。これの人口に対する年間の割合が一・一六%、それから五十一年の十月から五十二年の九月を見ますと六百二十五名となっておりまして、割合にいたしまして〇・九一と、いわゆる指定をいたしまして、ある年限がたちますと次第に新規発生率が減っているというような状況が見受けられます。——申しわけございません、いま私の申し上げました中で、パーセントと申し上げましたが、人口千人に対する割合でございます。プロミリでございます。  こういったような状況から見まして、地域の指定が行われまして数年の間というのは、どうしても患者数がふえていくわけでございますが、ある一定状態になりますと、その後新規認定患者数が減ってくるという状況が見られますので、全国的な数字で拝見いたしますと現在ふえつつありますが、それにはここ数年間、たとえば五十年には十四地域、あるいは乱十二年には二地域、先般も三地域の指定拡大というようなことがございますので、そういったことの響きが全国増に響いていると、こういうぐあいに私どもは見ておるわけでございます。  それから、お尋ねの、治癒等の状況がどうかということでございますが、これは昭和五十二年の二月のデータでございますけれども、いわゆる新法によりますと、ぜんそく性気管支炎の認定患者につきましては、二年を経過いたしますと再申請をする、再認定をするという制度になっておりますので、その様子を見てまいりますと、御承知のように四疾病ございますが、そのうちのぜんそく性気管支炎をとって見ますと、この五十二年二月に五千百六十八名という人がいわゆる期間満了という、二年を経過いたしましたので再申請をするわけでございます。その結果認定された人が六二・七%、それから認定を更新されなかった者が一〇〇から引きまして三六・六%ございます。この内容を見てまいりますと、審査会が認定されなかった、要するに提出された資料あるいは検査等から見て、この人はすでにその疾病が治ってるという形で認定から外れた、それから、この期間が満了する前に治癒した人が……失礼いたしました。いまの認定更新をされなかった人が六・八%、それから再更新の申請をせずという人が一九・九%、それから有効期間満了前で治癒ということですでに治った方が九・九%ございます。同様にいたしまして、そのほかの三疾病、すなわち慢性気管支炎、気管支ぜんそく等のそのほかの三指定疾病について同様な見方をいたしますと、五十三年二月末現在で、期間満了時に更新されるべき人八千七百五十七名のうち認定更新をされた者が八二・三%、認定を更新されなかった者が一七・六%でございまして、その内訳は、認定されなかった者が四・五%、申請しなかった者が八・八%、期間満了前に治癒をした者が五・三%、こういったような数値が見受けられますので、私ども、現在の地域内でも、医療に専念すること等によりまして治癒をする方もある数あるという形が見受けられるわけでございます。
  120. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 数字の問題は大体わかりました。ただ治癒をした人ですね、どういう形で治癒に持っていったのかということがこの認定患者の場合にはきわめて重要な問題です。私どもの調査では、その九〇%までが転地療養へ行くんですね。転地療養へ行けない人は依然として残っているんです。これは長官、ぜひひとつ考えてもらいたい。今日、旧基準の中で各地方自治体が上乗せまでしながら努力をしてきている、この面のね。それに対するお互い努力をしてきている。そうした中でも、大気の関係については依然として問題が残っている。しかも全国的にながめてみたときに、新たな地域指定に加えていかなければならぬような状態が出ている。しかも、そういう状況の中で、現実問題として、認定患者というのは全国的な形から言えばふえておるんです。で、新規の認定患者数というものが一定地域の中で減ってきているのはこれは事実です。私どもの四日市でもそうです。新規は減っています。しかし、新規が減ったということと総体数として減ったということでは違うわけです。同時にまた、認定された患者が、そこの地域におって一般医療を受けながら治癒をしていったというケースとは違うわけであります。そういう状況でありながら今日基準の緩和をする。ちなみに、これまた後で述べますけれども、六十年をめどにして緩めたいわゆる基準達成が全国的に仮にできたにしても、認定された患者は、その地域に住んでいる限り、今日まで努力してきた形とほとんど変わらない。言うならば、あなたは今回の基準緩和に基づいて、一たん病気になった人は悪くならなければいいじゃないか、そのままで通院しなさいよという立場をお認めになって、それを対外的に公表して、それでよろしいという、こういう状況をあなたは引かれたんです。それでもって憲法に保障され、しかも公害基本法の中で人の健康と命の問題を中心にして、幾ら人間の世の中であっても、開発その他で健康が汚染をされては困るじゃゃないか、まず何よりも大事なのは人の命じゃないか、健康じゃないかという立場の中で合意をして決められた法律が、せっかくのやつが、今回違った意味の要素を加えてやろうとしている——やろうとしているんじゃない、あなたはもうおやりになった。これは私は改めるべきではないのか。あなたの言っているように、国民の健康を十分に保護することができるなんという大みえは、私はそのことから言ってもこれはちょっと切れないんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  121. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 繰り返して申し上げて大変恐縮ですけれども、私自身が大みえを切っているというわけじゃないので、結局……
  122. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 あなたは切っている……
  123. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ちょっとお待ちください。——これは、われわれが公害対策審議会のその答申というものを、事健康に関する部分においてはそのままこれを受け入れて、それでそれに立脚してやろうということを考えているわけでございまして、これがたとえ緩和ということがあっても、固定発生源あるいは移動発生源に対する規制というものが緩められるんではちっともない。事実、東京の例を言ってみましても、二十三区というものの中で、〇・〇六というものを超えている、地域というのは二十もあると、こういうわけでありますし、〇・〇四−〇・〇六というゾーンにあるのが三つと、つまりそれ以下のところはないという状況で、大阪になりますというとちょっと数は東京よりは少なくなっておりまするけれども、この目標を達成するのにも三年や五年ということではなかなかできないので、引き続き規制や対応策はこれとっていかなきゃいかぬと、こういうたてまえであって、現に〇・〇二という目標を達成しておっても、それじゃあこれを達成しているからといって、いまの、たとえば東京の二十三区の中で、これで三年あるいは五年ですぐやろうということを考えれば、一体その対応策はどんなことになるかということに相なるわけでして、私は素直に答申を受け入れて、その基準というものを目標にして、そうして現実的な、実効的な対応をしていくと、私はこれが一番良識的な、合理的なそういう手段であるとの見地に立ってこれに対応しようとしているのでございまして、坂倉委員のごときは、われわれよりも数倍いろんなことをよく御存じの方でございまするけれども、にもかかわらず、何かすぐ規制の緩和に通じてしまうような錯覚をほかの人に与えないようにどうかその点はまたひとつ御協力をいただきたいと思います。
  124. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私が何か取り方を間違っているようなことを言われますけれどもね。私、間違ってないと思うんです。日本的気候風土、人の考え方ありますからね、御承知のように。たとえば、今回幅を持って出されたわけでしょう。幅を持って出したときに、これは先ほどの和田メモの中にも出てくるんですが、幅を持って出したときに、日本的な形からいきますとね、上限が、これが一つの境になってしまうんです、現実問題として。そうしますと、旧基準の形から今回上が〇・〇六まで伸びたわけでしょう。伸びたということになりますと、伸びて緩まった上限が、これが一つの基準値になってしまう、慣行として。環境庁の一般的指導として出されている内容は私はよくわかるんです。現に旧基準に向かって何とか達成をしようということで努力してきた、固定発生源の場合、たとえば結果が〇・〇三のところまで技術その他の努力によって出てきたとしますね。それが今度、何かの都合で〇・〇五まで上がったときに、それは環境庁の方針からいったらおかしい。下げられるところまで下がったのなら、それが維持ができるように努力してくださいよと、これが理想ですよね。そうして、あなた方がそういうふうに指導をしていく。指導するけれども、その指導とは逆の結果が仮に出たときに、〇・〇六以内であったら文句が言えますか、現に。これは文句言えないでしょう。あなたのところの能力なら、そこまで下げたんだから、それを維持してくださいよと言うのが精いっぱいであって、どこでもって、〇・〇六以下の場合に文句が言えるんですか。それが今度の幅の問題でしょう。現実問題として、各企業がそういうことになっていったときに一体どうなるんですか。これが一つなんです。  それからさらに、今日までいわゆる基準をもとにして健康被害の救済の地域指定をするときに、対象にする一つの目安があるんですね。暴露期間と置かれた条件によって地域を指定する。その中で、いわゆるぜんそくその他が発生をしたときに、公害地域のいわゆる認定患者になる。ところが、今度の基準緩和によって、新たに地域指定は一体どうなるんですか。これから公害の認定患者というのは、長官、あなたはまだ増加すると思いますか、ずっと減っていくと思いますか。その観点についてきちっと答弁してください。——長官。私は長官の、あなたの言われたことを質問しているんですよ。
  125. 山田久就

    国務大臣山田久就君) この指定地域、ここにおいては、これは心理的な面が多分にあると思いますけれども、そのことは無理からぬことだと思うんですけれども、個々の患者等に不安を与えないようにということについては、特に、今回の告示に関連しては、通牒を出して、十二分にこの点については慎重にやるようにということを通達してございます。  御指摘になりました〇・〇四から〇・〇六のゾーンの地域は、これはわれわれとしては、いま坂倉委員の御指摘のようなことがございますので、非悪化の原則というものを適用いたしまして、現在の状態を悪化しないように、十分これに対しては努力をするようにということで示しているわけでございまするけれども、その地域に、新しい事業とかあるいは道路とかいろんなことがございましょう。そこら辺のところの対応は、いみじくも坂倉委員がおっしゃられたように、われわれの基準はすぐこれ罰則を伴うというようなものじゃございませんが、委員も御指摘の、いわば日本的なアプローチと申しますか、そういうことで、できるだけ努力を、現実的な立場で対応していこうということが加味されているのが現在のわれわれの希望している装置でございまして、そこら辺のところはひとつおわかりいただきたい点だとわれわれは考えているわけでございます。  なお、ちょっと補足して局長から言わせます。
  126. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私の質問に答えてもらいたいのですよ。長官、何を言っているのかよくわからぬのです、現実問題ね。  具体的に幅が持たれて、そして新しい告示が出された。そのことの影響について、私は環境庁の皆さんが、いわゆる答申を踏まえて——これは指針ですね、いわゆる指標ですね、その答申を踏まえて、皆さんが今度は基準を決定をされる。これは環境庁の責任だからやる、こうなる。ところが、環境庁が責任を持って決定をするに当たって、政治的な要素というものは一体何をお考えになりますか。たとえば現在、認定の問題をめぐったり、救済の問題をめぐったり、いろんなところでいわゆる法廷闘争が展開をされていますね。これは御承知のとおりです。この法廷闘争等について、皆さんどういうふうな影響があるというふうにお考えになりますか。あるいはまた、先ほども触れましたように、現に認定患者が、認定された条件から新しい基準によって今度再認定をしていく場合に、この問題が一体どうなるのか。いろんな意味での今日まで一つの基準として設けられてまいりましたから、そのことに対する非常に大きな各方面にわたっての影響があるわけです。その一つ一つを具体的に、今日の社会的な立場の中で予測をされるものを検討されましたか。私は、少なくとも今日までの段階で、環境庁がそうした分野まで含めて総合的に判断をしたというふうには、あなた方の答弁を聞いている限りではこれはもうどうにも思えないんです。何回か繰り返して言うようでありますけれども、少なくとも人の命、健康の問題というのは、毎日毎日の生きた政治なんです。生きているのです。そういう立場の中で、言うならこの世の中にあるすべてのものが全部関連をしてくるのです。そういうきわめて重要なものを、まだ国会の中でも新しい問題が提起をされておるにもかかわらず、踏み切ってあなたはやられたのでしょう。そうして何回か、十数回か論議をしてきたからもう論議はし尽くしているのだと。そうして、今日の集められるだけの科学的知見を集めているのだ、科学的であるから人の健康は保障ができる。こう雷っている。そんな論議ありますか。現に今日まで大変な患者の人々の具体的な声というものが出ているわけですから、そういう人たちの健康を取り戻していくというのが環境庁の行政の主体でもあるわけです。これは、私は、健康を取り戻していかなければならぬという立場に立った環境行政から言って、もう一遍考え直すべきではないのかというのが一つの提起であります。  同時に、現に、最近幾つか問題になっています光化学スモッグがあります。東京都からも、光化学スモッグについて、旧基準を上回ると光化学スモッグは防げない、こういう意見表明がありますね。私の地域の四日市にしても、近くの名古屋にしても、毎年暑い期間になると光化学スモッグは問題が提起をされる。私の所属をしておりました、全逓ですが、郵便屋さんはいつもえらい目に遭っているのです。光化学スモッグが明確に名前をつけられるようになるまでの間、被害を受けて泣いておったのが私らの同僚なんです。そういう立場から言って、今回の基準緩和で光化学スモッグが絶対に起こらない、こういう形の保障というものは、長官、あなたこれまた約束がしていただけますか。
  127. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 少し細かな具体的な問題もございますので、御説明を申し上げたいと思います。  まず、最後の方が簡単でございますから、それから御説明します。  光化学スモッグのために設けた環境基準ではございません。そういう意味で、光化学スモッグ対策を打つ場合に、この環境基準が拘束的に働くとは全然考えておりません。NOx対策は進めてまいりますし、また、ハイドロカーボン対策を進めてまいりまして、両方で抑えていくという対策をやってまいるつもりでございます。そういうことで、光化学スモッグ対策のためのNOxは幾らでよいかということはまだ確定的に出されておらないというぐあいに御理解願いたいと思います。対策はもちろん打ってまいります。それから、いままで打ってきました対策は、この両方を抑えてきて、その発生源からかなり遠いところに対する対策としては日本のやり方は正しいということは国際的に認知されているということを申し上げておきます。ただ、発生源に近いところの場所にある光化学スモッグ問題については、全く相反する二つデータがございまして、NOxを下げれば非常にいいというのと、もう一つは、下げるとまた出てくるというのと、両方ございまして、これはまだ確定的にまいりませんが、少なくとも両方減らしていくことがキーであるということでやっております。  それから、先ほど大臣がお答えいたしたことに若干補足させていただきたいと思いますが、答申の中にございましたように、答申はやっぱり地域人口集団ということを頭に置いておりますし、健康からの偏りを防ぐという、いままでにない、どこの国でもこういう言い方をしているところはございません。日本でもこういう言い方をしたことは初めてでございます。そういうことで、その地域人口集団の健康の保護を適切にできるということで出された答申がこの間の条件でございます。そういうことで、その前に、いろいろある判定条件を見てみますと、NO2の濃度が高くなったがために患者が非常にふえたりするのはどれぐらいの濃度かということですと、どう見ても年平均〇・〇八前後から〇・一ぐらいじゃないか。そうしますと、どうしても日平均値にしまして〇・一五からそれ以上ぐらいのところになってくるということでございます。そういうことでございまして、NO2だけで公害健康被害補償法の指定地域を指定したり、あるいはNO2だけで患者がふえてくるというような議論をするとするならば、日本のこの今回決めた環境基準条件の二倍よりももう少し高いところでないとこれは出てこないというのが、どこからデータを探してもそういうことでございます。  そういうことで、現在指定地域で患者さんがふえております。これは環境基準が完全に充足されても患者さんはふえます。そのために非特異的疾患ということになっているわけでございます。ですから、その暴露の条件から出てくる制度的な増加ということでございまして、そういうことで、これはいま言った対策としては確かに私たちはどんどん進めていきます。決してこのままでいいなんて思っていません。対策としては進めていきますが、いまの濃度で患者さんが悪くなる、あるいは患者さんがふえるということは今回の判定条件からはどう見ても出てこないということでございます。これは東京都が、この答申を出しましてから約一月ぐらいたって出した学童の健康影響調査の五年間のやつがあります。それはやっぱり全体として改善していきます。そういう状態でございます。そういうことで、私どもは年平均〇・〇三というのは守れるという立場で申し上げております。  それから、幅をとってやったということでいろんなことが起こると、一体どう思ったかという御質問でございました。これは健康は先ほどの幅で守れると言いますと、法律ではそれじゃ上の方をとってしまえばいいじゃないかという議論にすぐなってしまうわけでございます。けれども、それでは今度は、調べてみますと、日本全国で〇・〇三を超えているところは比較的少ない。ところが、年平均〇・〇二以下のところは約七割弱ある。その七割弱のところをそのまま〇・〇三まで汚していいというようなことはこれはとうてい言えないじゃないかということでございまして、これは、健康が大事だけれども、周りの環境が悪くなることはこれは事実でございます。そういうことで、この幅で健康は守れると、しかしながら、それ以下のところを手放しで汚染させるということは決してさせないということで、今回告示に、非悪化原則と言われております、「このゾーン内において、現状程度の水準を維持し、又はこれを」「上回ることとならないように努める」ということを出したわけでございます。これは告示でございまして、この問題を通じて今後いろいろアセスメントの関連等もあって非常に私は具体的には厳しくなってくるだろうというぐあいに思っております。特に〇・〇六以上のところはこれはもうもっぱら下げる一方でなければならぬわけであります。そういうことで、このアセスのときに非常にこれは厳しくなることは当然でございますし、〇・〇四と〇・〇六の間では現状を維持するか、いかに発展をするにしても大きく伸びないという議論をしますと、これは六十年度までに抑えるには相当な対策をしなければならないということはこれは間違いございません。そういうことで、いままでの〇・〇二の基準といいますのは、残念ながらほとんどあってなきがごとき姿になっておりましたが、今回の〇・〇四と〇・〇六の幅のゾーンを持ち出すことによりましてアセスメントの作用度は非常に厳しくなってくる。ですからまず汚染をふやさない、それから、今度は対策を進めていくということで、自治体がやっている対策は何もこれは緩めよというようなことは全然ございません。全く総量規制は進めてまいりますし、あるいは現在までの規制はみんな大体〇・〇四を目標にして実際やっておるわけです。これを緩めるなんということは全然ございません。自動車も全然緩めません。ですから、そういう意味で幅を持ち出してきたわけでございます。  そういうことで、いろいろ法廷やそういうことについてどう思うかということでございますが、これは裁判などは全く意識しておりません。裁判は意識しておらない。これは行政の方の問題でございます。ですから、前の〇・〇二が絶対に正しいんだという立場で御議論をしておられるわけでございますが、科学的にこれだけのものが出てきて、そうしてこれで健康を守れる、十分いけるということになった場合に、やはり新しい条件でやるというのが九条三項の基本の趣旨だということで、今度は新しい、より確かなことでやるということで、私どもはもう毫も悪くしたというような気持ちはございません。そういうことで対策は進めてまいります。それでは、法廷で使うときに前の〇・〇二の条件より悪くなるじゃないかという御指摘があるかもしれませんが、これは別に裁判防ぎにやったわけでも何でもございません。科学的に九条三項の条件で見たらこうだということでございまして、そういうことの条件として出したわけでございまして、裁判は全く裁判として自由にやるわけでございます。そのような立場で環境基準の問題を整理をいたしたということであります。  再度申し上げますが、環境基準が幾ら達成されても非特異的な患者というのは、もう完全な環境基準ということでもふえるということは事実でございまして、その辺はこれから補償法の方でいろいろまた研究を進めなければならないと思いますが、環境基準の方ではそこまでは現在は踏み込んだ議論はいたしておりません。
  128. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 あのね橋本さん、まああなたの場合はもう心はるかに飛んでいるわけでして、早いところけりをつけてということなんでしょうが、これは大変なことでしてね。いままでの委員会経過の中でも判定条件それから指針値、幅をもってこれを示したいきさつの中で、これはもう参考人の鈴木さんも言われておりますように、どこをとるだろうという場合に、いわゆる基準値として見る場合、望ましいのはやはり最低をとるだろう、こういう趣旨のことを言われておるわけですよね。私どもも当初この問題についての論議を始めておったときには、環境庁も幅で答申をされたから困っているけれども、指針値というのはどこかに決めていこう、こういう考え方が私はあったと思うんです。しかし、どこにするかについてまだ結論を出していない。ところが、だんだん審議経過が過ぎてくるにしたがって、結果的に幅に幅にというふうに変化をしている。まあこれは事実かどうか、私も確かな証拠を直接に聞いているわけではありませんけれども、橋本さんが総理に呼ばれた——こういう話を私は聞いているわけですからね。事実でなければそれは——総理に呼ばれたときに、〇・一がいいと、それに対しては橋本さんが大いに抵抗をした。抵抗をしたのは今日までの一つの良心であったと私は評価しております、もし事実であるとすれば。しかし、抵抗はしたけれども、それ以降が大変、いわゆる幅の問題が意識的に答弁の中に出されている。私はそこに一つの大きな問題点があるわけであります。光化学スモッグの問題についても、これも局長の方から、ハイドロカーボンを規制をするという問題、NO2の問題も決して緩めやしませんよ、こういう問題、あわせてお聞きをしています。承知をしています。承知をしていますけれどもね、これは専門委員会報告の中にもありますように、いわゆるSOxとそれからNOxとの関係について、前にいわゆるSOxの方がいろいろ問題があるということで、このSO2の問題についての規制値がちょっと上がってきておりますね。そしてこれの規制効果が出ています。しかし、それは対処をしてきたけれども、依然として大気あるいは患者、こういう立場からながめていくと、決してそれだけではだめじゃないのか。むしろSOよりもNOの方が問題じゃないのかという指摘に変わっている。したがって、この二つを今回きちっとそろえていくということが、またこのほかにも幾つかの、これから判明をして整理をしていかなきゃならぬいわゆる複合汚染的な一つの要素があるだろうけれども、当面する問題については現行基準があるんだからそれを守っていけば、そこを目標値にしていけばもっと努力経過というものが端的にあらわれるようになってくるのじゃないだろうか、これは一般的な物の考え方として、国民的な立場に立った考え方で、私は常識だろうと思うんです。私はやっぱりその関係を踏まえて運用をしていくべきだ。今回は幅をもって、しかも最低は現行基準より、それに幅は上へ上がっちゃって緩んでしまった。同時に、年限は四年間延長されて六十年になった。達成をする期間についてもこれまた延びた。こうなりますと、量も質も何もかもこれ緩めっ放しという形になってくる。しかも、その形を望んでおったのが、これは産構審答申からいわゆる鉄、自動車、電気、それと通産省、これが以前から主張しておった形の希望どおりになっているじゃありませんか。私は、判定条件が示された、指針値が示された、そうして後どこに決めるかは環境庁だと、その政治責任からいけば、それこそ環境庁がきちっと責任を持って決めたのだから、決めたことに対しても、これから発生をする今日までと違った矛盾点についての一切の責任をとってもらわなければならぬ。果たしてそれだけの腹構えをして長官が閣議にかけ、そして国民にPRをしなければならぬということで、国民の健康は絶対に保障します、こう言い切った。私はこれはもう大変危険なことだと思います。  再度聞きますけれども、長官、にあなたは絶対保障してくれますか。あなたはその場合にどういう責任をとってくれますか。具体的に発生をした場合に。私は、そういう意味合いで、前回も、これは幾つかの要素はあるにしても、最終的に決めるのは、日本の国の憲法のたてまえからいって国民じゃないのかと、だから国民が納得するような立場でこれらの課題については審議を尽くして決めるべきではないのか、こういうふうに主張したはずであります。きょうの論議を聞いておりましても、指針値を導き出すいわゆる科学的知見を集めて論議をされた場でも、非科学的な幾つかの問題点が指摘をされている。仮にそれを取り除いて科学的知見だけ純粋に集められて出されたにしても、それを今度は環境庁が政治的に判断をし、政治的に決めるというわけです。その政治とは一体何かといったら、国民の立場に目が向かなければならぬ。にもかかわらず、環境庁の基本である国民の立場に目が向かなければならぬのに、これが産業の方へ、あるいは技術の方にすりかわってしまって、そちらに妥協に走っているんじゃないか。これは否定できますか。私はこれはちょっとその辺の変化について——ここで私三遍目物を言います、わからぬから。なぜそういうふうにすりかわっていったのかよくわからぬ。これは長官、あなたの言われた内容に基づいてもう一遍聞かしてくれませんか、くどいようですが。絶対にあなたのとった態度には責任が持てるし、間違いがないと保障してくれますか。
  129. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いろいろ御批判がございまして、まことにこれは私の不徳のいたすところであると思いまするけれども、しかしながら、もう繰り返して申し上げますように、われわれとしては国民の健康を十分に保護すると、そういう立場に立って考えて善処いたしておるわけでございまして、無論国会のいろいろな御審議も、虚心坦懐、そのことには耳を傾けてまいったつもりでございます。しかしながら、要するに、われわれがなさねばならぬことは、法の命ずるところに従いましてこれを素直に受け入れ、素直にそれに従って行動していくということがわれわれの立場でございます。法に従ってまいること、それ自身が、法を決められた国会の意思を尊重し、それはとりも直さず国民の立場を十分考えての、その趣旨にわれわれが従って行動するということにほかならない、こう考えているわけでございまして、その点についてのわれわれの決意と努力をひとつ少しでもおくみ取りいただければ大変幸せだと思っております。
  130. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 最後ですが、絶対に、今回の基準の緩和に基づいて、いわゆる国民の方々の認定に当たって、いわゆる被害者の認定に当たって、基準が盾になって幾つかの問題が発生をしないように、これが一つです。  それから、基準緩和に基づいて、今日まで認定をされてきた方々がこれが再度審査をされるときに、そのことによって打ち消しが、認定ができないというような立場が発生をしないように、これは絶対にひとつ長官、あなた、責任を持って、それこそきちっと指導してくださいよ、これだけ頼んでおきます。
  131. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 基準が変わりましても、認定の基準が変わるわけではございません。特にこの指定地域については、十分慎重に処置するようにという注意も喚起いたしております。いまの御趣旨の点よく承りまして、十二分にひとつ間違いのないよう努力いたしてまいりたいと思います。
  132. 小平芳平

    小平芳平君 ただいまの坂倉理事の御質問の引き続きのような形になりますが、環境庁では今回の基準改定に当たりまして、二酸化窒素環境基準の大幅緩和というこの課題ですが、実際問題、国会では十何回も審議してきているって長官けさ来言っておりますけれども、これは法律改正と違って、政府からさあ国会で審議してほしいという提案があって国会で審議したことはないわけですからね。したがって、私の質問はきわめて初歩的なことが多いかと思って恐縮でございますが、御答弁をいただきたい。  まず第一に、いま坂倉理事から盛んにおっしゃったこの安全性についてですが、この環境庁の資料を見ますと、「十分な安全性を有するものと解すべきである。」とか、あるいは「国民の健康保護に問題の生ずるおそれはまったくない。」と、こういうふうになっております。したがって、環境庁としては、今回の基準大幅緩和によっても一〇〇%健康を守るということで何らの問題の起きる可能性とか危険の生ずる可能性はない、こういうことですか。
  133. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま先生の御指摘のあったとおり、私どもは、行政や実際の実務の面からも絶対大丈夫ということを申し上げたいというように思っております。また、これは判定条件に出されておりますいろいろの数字の条件、また判定条件にも出された、健康からの偏りを来さないという条件から見て、われわれは自信を持ってこれは大丈夫だと言えるということでございまして、安全率としても、年平均値の〇・〇六とか〇・〇八に対しては十分安全率がある、あるいは灰色と思われるような年平均値の〇・〇五に対しても安全率はあるというぐあいに踏んでおるわけでございます。
  134. 小平芳平

    小平芳平君 これは七月十五日の毎日新聞の記事ですが、「NO2発ガン助長の疑い 改定直前、米から実験報告 「緩和は尚早」の声」という、これに対しまして橋本局長は、「発ガン物質との相乗効果については、現状の研究レベルでは否定も肯定もできない。」と言っておりますね。これはこのとおりですか。
  135. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) あれは動物実験で一九七五年に二例、刺激剤としてNO2と発がん性物質を併用した場合に出たケースがあるというレポートでございまして、純粋に科学的次元の報告であるというふうに思っております。
  136. 小平芳平

    小平芳平君 もちろん純粋に科学的ですが、この基準緩和も純粋に科学的な結果に基づいてやっているんでしょう。純粋に科学的な検討の結果一〇〇%安全だと言っているわけでしょう。そうすると、一方では、純粋に科学的には、現状のレベルでは否定も肯定もできないと。不安定の要素があるじゃないですか。
  137. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) それは、科学にはどうしてもある程度不確定要素がつきまとうわけでございます。それで、そこにありますNO2の濃度は、われわれが暴露されている濃度の千倍オーダーの濃度でございます。で、専門委員会がいろいろ点検いたしておりますのは、この中の資料を全部ごらんになりましても、百倍オーダーまでの濃度に限って影響として注目すべしということで見ておられるわけでございまして、ですから、むしろその問題がこれは重要であるということでいくとすれば、まずたばこはやめる、その次は労働衛生で大いに検討するという次元の問題であって、公害で問題になるという次元ではないというふうに思っております。
  138. 小平芳平

    小平芳平君 橋本さん、そのあなたの主張も、再三そういうことを言われますけれどね、非常に納得できませんよ。労働衛生でやるべきことだって、それは労働省に言ってください。いまは国民の環境問題として、二酸化窒素の汚染がどう影響するかということを問題にしているのであって、労働衛生でやれということはこれは労働省に言うべきでしょう。  そこで、発がん性の問題はまたもう一遍後で触れることとしまして、それじゃ、一〇〇%心配ないってさっき言い切ったですね。かと思うと科学で一〇〇%はあり得ないと言っているんですね。それは科学に一〇〇%があり得ると思っておりません、ぼくもね。素人ですが思ってはおりませんが、そこで、一体その一〇〇%保障できる水準は、〇・〇四なんですか、〇・〇六なんですか、どっちですか。
  139. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 〇・〇四と〇・〇六の間には有意の差が生じてこないということがございまして、汚染のレベルとしては差がありますが、その間の健康保護の水準においては何ら変わりがないということでございます。
  140. 小平芳平

    小平芳平君 私が尋ねているのは、〇・〇四が一〇〇%保障できる水準なのか、〇・〇六が一〇〇%保障できる水準なのか、どちらですかと質問をしておるんです。
  141. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 一〇〇%というところの言葉を非常にいま御指摘ございまして……
  142. 小平芳平

    小平芳平君 そういうふうに答えたから言っているんです。
  143. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 行政と実際の問題として、これは一〇〇%大丈夫ですという意味で申し上げているわけでございます。そういうことでいきますと、〇・〇三でも私は大丈夫だということでこれを考えているわけでございます。
  144. 小平芳平

    小平芳平君 〇・〇三で一〇〇%保障できるんですか。
  145. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 十分健康の保護をできるということで、一〇〇%ということに非常にこだわられるんでしたら、私の表現が科学的に非常に正しくないということでしたら、一〇〇%を取り消さしていただきます。しかし、一〇〇%に近いということで、実際の実務上は私はそういうぐあいに心得ております。
  146. 小平芳平

    小平芳平君 それじゃ〇・〇三でいいところを、何か安全率でも見たということですか。
  147. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは、〇・〇三でもよいということは確かに健康だけでは言えますが、〇・〇三では〇・〇二よりも少し汚れておるということはこれは間違いないわけでございます。そういうことでございまして、たとえば〇・〇六というところに危ないゾーンがあるとしますと、〇・〇六に対するセーフティーマージンは、〇.〇三の場合と〇・〇二の場合では違う。そのかわり健康的には、その間では科学的に有意の差があるとは言えないと、こういう議論でございますので、健康上はもちろん大丈夫だと。しかしながら、いま言った、幅で言われておりますので、その幅をとった理由は、幾ら大丈夫でも〇・〇三までもう手放しで汚していいというような考え方はこれはとりたくない、しかも日本の約六割八分ぐらいが〇・〇二以下である——年平均でございますね。それをやはりもうできるだけキープしてくれと、〇・〇六のところも、できれば〇・〇四にくれば、それはもうきれいになるに越したことがないということでございまして、そういうことで、あのゾーンの中の現状を維持するかあるいは大きく上回らない、また通牒の中にも言っておりますけれども、〇・〇四をねらうということを決して否定しているものではないということで、非悪化原則という立場であの幅の問題を決めたわけでございます。
  148. 小平芳平

    小平芳平君 私はそう専門家ではないので、やさしく、また簡単にお答えいただきたいんです。しかも新聞は読んでおりますから、せめて新聞記事でわかる程度の御説明をいただければそれでもう結構ですから。  まず、先ほど読み上げましたね、「十分な安全性を有する」——「十分な安全性」ですよ。それからまた、「国民の健康保護に問題の生ずるおそれはまったくない」ですからね。「まったくない」ということは一〇〇%ということでしょうね。それは〇・〇三でもいいし〇・〇六でもいいというのは、これはどう理解したらいいんですか、そこは。〇・〇三でもおそれは全くない、〇・〇六でもおそれは全くないんでしょう。〇・〇三なら全くないけれども〇・〇六だと少し不安があるんですか。それが全く不安がないならば全部〇・〇六になりますね、基準は。恐らく企業に対しても、ここの環境を守るためにこの環境は〇・〇四にしてください、〇・〇五を限度にしてくださいと、そう言う根拠がないじゃないですか。なぜか。〇・〇六で心配が全くないんですから。全く心配がないところへ何で金かけて企業に対してこうしてくださいなんて言えますか。
  149. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 公害対策基本法大気汚染防止法も、国民の健康を保護し、生活環境保全する上でということでございまして、生活環境はわりあい汚れているけれども国民の健康は大丈夫であるという状態はあり得るわけです。でもなるべくこれはきれいな方がいいということはこれは当然事実でございまして、もしもあの基準の場合に〇・〇四を外したとします。外したとしますと、〇・〇四は環境基準として認知されなくなるという形になります。そういうことで、私どもは〇・〇四が残らないような環境基準ならもう絶対つくるいわれはないということで、どうしてもこれは守ると。できればだんだんいい方にしていくということで、〇・〇四と〇・〇六というこの二つの幅を出したわけです。健康の上では、これはどっちでも、心配ないということについては全く心配を持っておりません。
  150. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ、通産省はそこはどういうふうに理解しておられますか。
  151. 原田稔

    説明員(原田稔君) 環境基準につきましては、これは主として、主としてというか、もっぱら健康に対する影響という観点から、環境庁におきまして今回改定されたわけでございますから、ただいまの大気保全局長の御答弁と全く同様でございます。
  152. 小平芳平

    小平芳平君 全く同様ということは、〇・〇六を基準にして指導をするんですか。それとも〇・〇四を基準にするんですか。国民の健康といま審議官はおっしゃるのですが、国民の健康だけなら〇・〇三でいいと言うんですね。かといって、〇・〇六でも全く健康なら大丈夫だと言っているんです。通産省はどの辺を目標にするんですか。とにかくきれいな方がいいんだから、何でも環境をもとにして考えた場合はそれはきれいな方がいいですから、たとえ健康に被害がないからといって、これはきれいな方がいいですから、ということで、きれいな方を指導するんですか、どうなんですか。
  153. 原田稔

    説明員(原田稔君) 〇・〇四ないし〇・〇六、これは日平均値でございますが、そういう幅の中では、健康に対する影響ということでまあ大体同様であると、こういう趣旨で私どもは解しております。だからといいまして、現状の時点におきまして〇・〇四程度の地域におきましてこれが自由に、自由にというか、無制限に〇・〇六まではよろしいんだと、こういうようなことには私はならないと思います。やはり先ほど大気保全局長から御答弁がありましたように、一定のレベルの中でなるべくきれいな環境を保持していくというのは、これは産業サイドの方からいきましても責務でございますから、地域の実態等に応じましてその辺は適切に対処をしていくということになると思います。
  154. 小平芳平

    小平芳平君 もうこれは環境基準が告示されて動いているわけですから、いま答弁なさっていることが行政の方針として全国を動いていくわけですから、そういう立場で私はお尋ねしているんですが、そうしますと通産省の考えは、野放しに〇・〇六まで汚していいということは言いませんと、そんな考えは持っておりませんと、なるべくきれいな方がいいのはこれはもう当然なことでありますと。そこで、じゃあ通産省としまして、この地域の汚染が〇・〇六になっているけれども、住民から、企業の方でもうちょっと対策をすれば〇・〇五に下げられるじゃないかという住民の要求に対しては、通産省は企業に対して〇・〇五に下げるようにやりなさいと、こういうふうに言うわけですね。
  155. 原田稔

    説明員(原田稔君) その辺はなかなか地域状況に応じまして私は率直に申し上げて一概には言えないと思います。現状〇・〇六のところで、御案内のとおり非常に限界値で数値を下げるというのはなかなか技術的に困難を伴うようでございますから、一概には私は言えない。その地域における全体的な状況あるいは産業の実態、そういうものに応じましてケース・バイ・ケースの対応があり得るというぐあいに思っております。ただし、〇・〇四ないし〇・〇六でございますから、〇・〇六を超えるということはこれはまずいわけでございますから、それはひとつしっかり守っていかなくちゃいけない、かように思っております。
  156. 小平芳平

    小平芳平君 確かにケース・バイ・ケースの問題でありますが、もう少し状況を限定しますと、仮に住民の方から、健康を守りたいために、健康を守るためには汚染は減った方がいいんだと、〇・〇六よりも〇・〇五の方がいいんだということで住民要望をするとします。企業は、いやそんなこと言ったって〇・〇五も〇・〇六も健康に及ぼす影響は同じことじゃないかと、そう言って企業は断るとしますね。よく聞く言葉は、健康に被害があったら大変だと言うんですよ。しかし、健康に被害がないくらいなら、これは生産とか工場というもの、これだって無視されちゃ困るんだと、いつもこういうことを言われるわけです、われわれはよくね。したがいまして、少なくとも工場側が、あるいは企業側が、健康の上から言えば〇・〇六が十分安全だという環境庁見解なんだから、健康に関する限り〇・〇六を下げる必要はないのでそういう要求はお断りしますと、こういうことは言わせないということですね。
  157. 原田稔

    説明員(原田稔君) 御質問のその想定の事態は、現状が〇・〇六であって、それを〇・〇五に下げるということについて、住民の方々と企業との間でいろいろな話があると、こういうことだろうと思いますが、単純明快に申し上げれば、健康上の問題はないわけでございますから、したがいまして、そういった場合に、私ども役所がそういうことの紛争の中に入ってどっちサイドにどうこうしろと言うことは、私は実際上なかなかむずかしいと思います。一般的に申し上げて。したがいまして、その辺は、私は第一義的には当該地域における企業と、それからあるいは自治体あるいは当該住民の方々との間の実際上の折衝の問題だろうと思います。で、そういった実際上の折衝の問題をいろいろと規定する要因の一つとして、産業サイドから言えば、これは何と申しますか、技術的な可能性と申しますか、いろんな意味も含めてそういった技術的な可能性というのは一つの大きなポイントになってくると、こういうぐあいに考えているわけでございます。
  158. 小平芳平

    小平芳平君 では環境庁も同じ意見ですか。要するに、健康の問題は、〇・〇六でも〇・〇五でも〇・〇四でも同じことなんだから、健康には影響はないんだからということですか。もっときれいにしたいんだったら、君たち、企業と住民と話し合えと、これだけですか。
  159. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは先ほど申し上げましたように、幅の間では科学的に差が出ないということでございます。それで、危ないところは、たとえば〇・一五だったといたします。そういたしますと、〇・一五とそれから〇・〇六の幅、〇・一五と〇・〇四の幅にはこの相違があるということはこれは間違いないことでございます。ですから、どう言いますか、いわゆるセーフティーマージンだと厚い狭いがあるということはこれは間違いのないことでございまして、WHOでも五分の一と三分の一と、ああいう割り切り方をしておるわけであります。そういうことで、安全ですということはこれはもうはっきり申します。申しますが、やはりきれいな方がいいではないかということについては、環境庁としましては、これはできるだけきれいにするということで、技術的、経済的に可能な限りできるだけきれいにする。しかし、技術的に経済的にできないようなむちゃなことだけはしないでほしいということを地方自治体に申しておるわけであります。  そういうことで、〇・〇四は環境基準として認知されたということは明白になったということ、これは環境庁としては強調いたしますが、しかし、幾ら何でも六十年に〇・〇六は達成してほしいということで、あそこの〇・〇六のところには「達成」と書いてありまして、維持という言葉は書いてございません。これは一番高いところを間違いなく六十年に〇・〇六を達成していこうというわけでございます。これは実は相当なことでございます。そういう気持ちでございます。
  160. 小平芳平

    小平芳平君 環境庁としましては、〇・〇六以下ならば十分な安全を見ている、十分な安全を見ているんだ。したがって国民の健康ということを理由として、ある地域は〇・〇五を目標にしなさい、ある地域は〇・〇四を目標にしなさい、そういうことは言えないじゃないですか。どうですか。
  161. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは達成のやり方、やれる程度とか、あるいはその後その地域をどういうぐあいに持っていくかというようなところでは、地域差がどうしてもあるわけでございます。そういう意味で、目標水準として結果的に、一年ぐらいいろいろ検討して見ると、うちはここを水準としようということに、地域的な差は生ずるかもしれませんが、これは環境基準としては、例のゾーン内あるいはそれ以下ということを言っているわけでございまして、どこかをねらうといった場合には、それは環境基準のゾーンの中で、自分のところは十分に考えてみてもうここのところに腹を決めたと、だからここから先は絶対汚さないということにするのか、それともここまで下げてそれから先は絶対悪くしないと決めるか、そこは地方自治体の選択議論があるわけでございます。そういうことで、約一年間はひとつ慎重にいろいろ議論をして、各自治体もよく将来も考えながら、また先ほど申し上げましたような健康と生活環境保全と、両方をよく考えながら、より積極的な方向で努力をしてもらうというのが環境庁の方針であります。
  162. 小平芳平

    小平芳平君 通産省としては、いま私が言っていることを、そのとおりです、でいいじゃないですか。——通産省じゃない、環境庁としては。環境庁としても通産省としても、私がいま言っているように、少なくとも国民の健康を理由として〇・〇五を維持してくださいとか〇・〇四を維持してくださいと言うことは理由が立たないんだよ、同じなんだもの、理由にならないじゃないですか。そうでしょう。したがいまして、これから考えられる公害防止協定ですね、公害防止協定の改定、あるいは苫小牧市の東部あるいはむつ小川原の大規模開発計画、こういうようなものが、その大規模開発をもっと巨大化しようというようなプランが出た場合でも、これは通産省、環境庁ともに国民の健康保護理由として、〇・〇三や〇・〇四や〇・〇五にとどめてくださいと言う理由はないわけだ、全然。国民の健康を理由にした場合には、公害防止協定にしても何にしても、全部〇・〇六が目標になるんだよ。基準になるんだよ。そうでないという理由があったら言ってください。簡単に言ってください。
  163. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 新しい地域では、生活環境保全をちゃんとする用意が十分あるわけですから、〇・〇六などを目標にするなと、〇・〇四をねらえということを私ども申します。そのときに、健康は〇・〇六だから、大丈夫だから、初めから〇・〇六にしてよいというような考え、毛頭ございません。
  164. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ企業が、健康は〇・〇六ですよと、企業は生産をしなくちゃならないんだから、健康が安全だというのに、生産を下げてまで〇・〇六を下げる理由はありませんと企業が言ったらどうするんですか。
  165. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) それはやはり環境基準がこれからどのような社会的、政治的ポテンシャルを持ち得るかという議論であろうと思います。できるだけよくするということが環境基準の本旨でございまして、それほど縛るような基準の議論をしようと思いますと、公害対策基本法環境基準そのものの性格を変えなけりゃならないような議論に発展していくのではないか。ですから、よりよい環境を求めるということは、これは環境行政としては鉄則であるということでございまして、新開発地帯〇・〇四ということを動かす気は全くございません。
  166. 小平芳平

    小平芳平君 動かせなんて言っているんじゃないですよ。〇・〇六が基準となるでしょうと。いや、〇・〇六から下げなさいと、政府がそう言う理由がありますか。これは、よりよい環境を求めたい、なるべく、汚さない方がいいんだ、空気はきれいな方がいいんだと、もちろん企業も住民もそれから従業員も皆思っています、それは。できるだけきれいな方がいいんだと。だけども、環境庁がこれだけ十分な安全をとって、もう間違いなく安全をとって〇・〇六というものを告示したんだから、そんなら〇・〇六で安全なんだなって、そういうふうに主張するじゃないですか。そうなれば、〇・〇六まで汚染されても健康が大丈夫だというんだから、わざわざ下げますなんていうところなくなっても、環境庁でとやかく注文つけることできないんじゃないですか。どうですか。
  167. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 先生のお話を聞いていると、〇・〇六だけに一本にしたらいいじゃないかというような御議論のように感じますが、これは〇・〇四というのは明らかに告示で出した環境基準そのものでございます。ですから、〇・〇四は法律に基づいた環境基準という地位があることに聞違いございません。
  168. 小平芳平

    小平芳平君 いや、私は何も〇・〇六にしろなんて言ってるんじゃない。その理由はいろいろこれからまだずっとたくさんあるわけですけれどもね。とりあえずこの〇・〇四と〇・〇六の幅をとったという意味を理解しかねるわけなんだ、これは。長年大気汚染水質汚濁、いろんな環境基準はやってきたでしょうが、橋本さんも。いままではいろいろ一本にして環境基準を決めて説明をしてきたのに、ここへ来て突然このゾーンの中でいいんだということは、これは初めてのことだから念を押して尋ねているわけです。ですから、国民の健康を理由にしてそういうことはできないと思うし、またそのとおりなんだ。ね、そうでしょう。
  169. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま先生のおっしゃいました趣旨、よく私わからしていただきました。
  170. 小平芳平

    小平芳平君 初めからそう言ってくださればいい。  そこで、専門委員会は、指針の定義としてどう言っているかといいますと、人の健康に対する有害作用を高い確率で避けることができる限界濃度と、こういう表現をしておりますね。これはどういうことですか。高い確率で避けることができる限界というのはどういうことですか。これも一〇〇%ですか。それとも九十何%ですか。
  171. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは、科学ではやっぱり一〇〇%というのは、なかなか、いかなる学者であっても一〇〇%ということは言えませんので、これは、高い確率で人の健康に対する好ましくないことを防げる水準がこれだと、こういうことを専門委員会はおっしゃっているわけです。ですから、専門委員会に私どもお願いしましたのは、確かさ、不確かさを科学者として良心的に何にもこだわらずおっしゃってくださいということでお願いしてあります。それで出てきたのが、本当は科学でいえばやはり幅なんだろうと思うのです。それを今度はその幅としておっしゃったということがこの答申の一つの特性だと思っております。
  172. 小平芳平

    小平芳平君 それは何%ですかと言っている。たとえば九十何%なのか。  それから、「高い確率で避けることができる」というんだから、じゃあ低い確率では避けられないのかということになるでしょう。
  173. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 何%ということまでは私は申し上げる能力がございません。専門家がこれは高い確率で避けられるとおっしゃったことだというぐあいに解しております。
  174. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、この年平均値〇・〇二から〇・〇三ppmの範囲内、これはどういう確率になるんですか。
  175. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) その確率の数字では私申し上げられませんが、〇・〇二から〇・〇三を日本がとったということは、国際的に見ると非常に健康サイドの安全性を見込みながらとった数字でございます。これは今回お出ししました資料の中にもございますが、大体国際的に確認されている数字というのは、年平均〇・〇五ぐらいのところを、みんなこの点で十分な安全性がある、しかも、疾病の発生するには二分の一のセーフティーを持っているということを、これは欧米すべて大体そういう言い方をしておるわけでございます。それに対して、今回のは〇・〇三ないし〇・〇二という低いところで押さえているということでございまして、WHOはそこまでもよう決定をしませんでした。資料だけ抜いてそこまで決定をしませんでしたが、日本の方は、疫学データや人の志願者のデータ等を読み、しかもアメリカが不確かさをもってより上の方の、どう言いますか、日本から言えばより悪い条件で大丈夫だと言い切ったのを、日本は不確かさを見ながら、もう少し下の方の安全なところで、〇・〇二から〇・〇三というぐあいに踏んだというぐあいに解しております。
  176. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ、その〇・〇二−〇・〇三はまた後ほどお尋ねするとしまして……。  ここで六段階にしてありますね。このどこが今度の環境基準になるんですか。とともに、また、指針値はその六段階のうちどこに当てはまるんですか。
  177. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 環境庁の決めた環境基準は、(i)、(ii)のレベルで(ii)のレベルを確保するということでございます。(ii)のレベルで、(ii)から(iii)に移る、(iii)には移ってないが(ii)のこの辺がこう境目かなということは、鈴木先生が参考人証言のと美におっしゃいました、年平均〇・〇四をちょっと超えたあたりがどうもそうではないか。専門委員会の議論でも〇・〇四から〇・〇五の辺ではないかというのが、これがまだ(iii)にはいかないが(iii)に移るところかなという議論をされております。そういうことで、それに対して余裕を持ちながら、(ii)の「医学・生物学的な影響は観察されるが、それは可逆的であって、生体の恒常性の範囲内にある段階」ということでございます。ですから、全く影響がないという範囲内ではございません。無影響レベルではございません。その(ii)のレベルを確保するということでございます。
  178. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、まさしくいま局長が答弁されるように、医学的に全く問題のないレベルを指してはいないんでしょう。それで十分安全だというのはどこから出るんですか。
  179. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 医学的に安全なレベルといいますと、医学では、それは反応があっても安全だと、せきをゴホンとしても、粘液をこうせきでカッと出しても、別にそれで危険だということではございませんで、一つの刺激に対する反応ということであるわけでございます。そういうことで、医学的に反応があればすべていけないということになりますとこれまた非常に大変なことになるんではないかということで、問題になるのは、少しあれどうだろうかというのが(iii)で、はっきり病気だというのは(iv)から。(5)ではもう「診断される」。(vi)で「死」というところにあるわけでございます。ですから、医学的に何か認められれば悪いというような考えは医学では全く、医学では健康も対象とするわけでございます。医学で健康の範囲内というのはあるわけでございます。そういう範囲内のこととして考えております。
  180. 小平芳平

    小平芳平君 それじゃ局長、「十分な安全性を有する」とか、それから「国民の健康保護に問題の生ずるおそれはまったくない。」という表現も少し直しておいてくれないと困るですね。ただしそれは医学的な問題じゃないぞと。このとおり言われると、なるほどこれは全く影響のない健康が保てるのかと思うじゃないですか。にもかかわらず、医学的に言えば問題があるんだとか、決して一〇〇%は科学にはあり得ないんだとか……。そうじゃないですか。
  181. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 医学的ということが、何か医学で発見されることがあればすべてもうすでに影響があって悪いとおっしゃるように受け取れますんですが、医学では別にそういう意味で物を申しておるわけではございませんで、健康も何も相手にしておりますから、健康の範囲内ということで、正常の健康の範囲内にとどめるということですから、十分大丈夫ですと。これは学者の言葉ではございませんで行政や何かで、実際実社会で物を言うわけでございまして、そういうことで十分大丈夫ですと、こういう言い方をさしていただきたいと思います。
  182. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、十分な安全性、全く問題がないという、そこの辺の言い方をもっと考えなくちゃ不親切きわまるじゃないですか。どうですか。それは私の意見です。どうせ不親切だということを認めないでしょうけれどもね。  それで次に、WHOの一九七六年東京で開催したクライテリアのための委員会、ここで出したこれと、今回とを比較したちどうですか。
  183. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) まず数字だけの条件ということで申しますと、短時間暴露につきましては、WHOの方は〇・一と〇・一七という数字を出しております。今度の専門委員会の方は、一七のすそを丸めて、オーレックの実験もございましたから、〇・一と〇・一七では余り差がないということで、〇・一と〇・二の間をとっております。しかし、WHOは長期暴露の数字を入れておりません。それでいきますと、今回の条件は長期暴露を年平均〇・〇二とO・〇三で言っておりますので、〇・〇三というのは実は一時間値が〇・二がそのある確率で出る条件よりも少し厳しい条件になっております。ですから、WHOと同じような物の言い方をしますと、年平均〇・〇二と〇・〇三というのは一時間値が大体月に一回ぐらいしか超えないという条件で考えれば、〇・一から〇・一五の間というぐあいな数字に大体はまるように考えられておるということでございます。
  184. 小平芳平

    小平芳平君 局長、十分御承知でしょうが、ある学者の方が、このWHOの基準からすると、環境基準は〇・〇三以下にならなければならないという計算になるんだという主張がありますね、一方においては。にもかかわらず、十分に安全だというのはどういうわけですか。
  185. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 日平均値の九八%値で〇・〇三といいますのは、システムエンジニアの方が六都市五年の数字を、システムエンジニアの知識をフルに活用されまして計算するとこう出てきたという一つの報告でございます。それはそれとして値打ちのある御努力だと思いますが、専門委員会は、やはり統計というのは一体どういう程度に使えるものか、一つずつのレポートそのものの吟味も要る、また動物実験や臨床や、そういうものと全部総合的に判断しなきゃならない。しかも、医学といいますのは、いろんな、これだけの濃度でもどうもなかったという数字も幾つもあるわけでございます。そういうものと全部合わせて判断をするということで専門委員会としてこの数字をお出しになったわけでありまして、そういうことで、この専門委員会の数字の、お出しになった中で、その両方の条件を高い確率でちゃんと守れるということでいきますと、日平均値、年間九八%値で〇・〇四と〇・〇六の間ということになるというぐあいにこの基準は決めてあるわけでございます。
  186. 小平芳平

    小平芳平君 またそれは次に関連しますので、次へ参りますが、これも新聞では再三報道されていることですが、この環境基準で−旧環境基準ですね、従来の環境基準で不合格だった地域の率、それから新しい環境基準で不合格になる率ですね、これを答えていただきたい。
  187. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 旧環境基準で、一般地域ステーションにつきまして満足する率は九%強でございます。日平均値九八%値の〇・〇二でございます。これを今度の環境基準でいきますと、〇.〇六でいきますと九四%。これは例のザルツマン係数を変えております。それから〇・〇四以下でございますと六八%でございます。それから、いま申し上げましたのは一般地域ステーションでございます。これを沿道ステーションで直してみますと、沿道ステーションで〇・〇四ppm・パーデー——一日平均〇・〇四以下というのは一六%でございます。非常に少のうございます。それから日平均値〇・〇六PPmといいますのは五三%、これもぐっと少なくなる。沿道ステーションで〇・〇二を満足するところは一カ所もございません。
  188. 小平芳平

    小平芳平君 従来環境基準が決められているSO2、CO、浮遊粉じん、光化学オキシダント、こういうものの発生率を同じように述べてください。
  189. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) ばいじんはたしか二八%程度ではなかったかと思います、地域ステーションで。ばいじんは非常にまだ悪うございます。それから一酸化炭素はたしかもうほとんどすべて満足しております。それからSO2はちょっといま新しい数字を持っておりませんが、八七かもう少し上がったかと思いますが、九〇に近かったと思います。
  190. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、いま見るように、SO2、それから一酸化炭素、これはもうほとんど九〇%、一〇〇%選成し終わったと。そこで今度は二酸化窒素ですね。二酸化窒素が今回九四%すでに達成し終わったということになると、先ほどの質問のように患者が出るわけなくなるんだね。にもかかわらず患者が出るとなったら、一体何のために患者が出る、健康に被害を受けるんだということになるわけですが。
  191. 矢原秀男

    矢原秀男君 ちょっと関連。  先ほど、沿道ステーションが〇・〇六をオーバーするのは五三%ですか……。
  192. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 〇六以下でございます。
  193. 矢原秀男

    矢原秀男君 以下が五三%ですか。じゃ、以上が四七ですね。  そこで、二、三ちょっと質問したいんですけれども、通産省は〇・〇六を超えること、これは生ずいと。いま小平委員は国民の健康の立場から非常に心配をされて御質問をされている。それに対してそういうように答えていらっしゃる。恐らく環境庁もそういう考えであろうかと思うんですけれども、〇・〇六を超えた場合にはどういうふうに責任をとられるのか、その点まず答えてください。
  194. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 公害対策基本法では、総合的な施策を講じて達成に努めなければならぬと、政策責任でございます。ですから、環境基準を維持されることが望ましいということで、法的に拘束されるというものではございません。
  195. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま通産省も言われておりますのは、〇・〇六を超えれば健康に対して心配であるという懸念性を持っていらっしゃるわけでしょう、通産省。
  196. 原田稔

    説明員(原田稔君) 今回の環境基準の意味が〇・〇四から〇・〇六までの間について私どもの理解では相当の安全率を見て健康上支障がないと、こういうことだと思います。ただし、〇・〇六を超えた場合に、即に健康に影響があるかどうかというのはちょっと私どもの判断では御答弁できない……。
  197. 矢原秀男

    矢原秀男君 あるんです。だから私は心配しているんです。いいですか長官、よくこれ考えてくださいよ。私は兵庫県の尼崎に住んでいるんです。その大気汚染のそういう中と四十三号線の間に私住んでいるんです。歴代の大臣以下、工業都市、産業開発、そういうふうな中で、公害は一切ありませんとみんな言ってきたんです。みんな泣いていますよ。尼崎でも全国でも一緒です。いまお話を聞いていると、ございません、ございません言いますけれども、学者の方の疫学研究、現地へ行かれて何年ぐらいやられたのかという問題が出るんです。小平委員はイタイイタイ病の問題でも兵庫県へ来ていただきました。十年以上も疫学の問題で学者が意見が違う、結論が出ない。そういう問題で地元の人は病人皆泣いていたんです。ですからこの問題見てみなさい。新しい環境基準、四十三号線は一日十九万台も走っているんですよ。あそこで尼崎西高校の生徒が一日陸橋の上から分析をしただけで気分が悪くなってみんな倒れていった。どのくらいのデータが出ているのかといえば、新しい基準でも、沿線の地域の尼崎で年の平均値は〇・〇三四なんですよ。西宮市が〇・〇四六、芦屋が〇・〇四九、神戸市は〇・〇四一なんです。これを一日の平均値に直したら神戸が〇・〇八、それで芦屋も〇・〇九ですか、西宮市が〇・〇八から九になる。尼崎は〇・〇七になるんです。みんなこれで泣いているんです。皆さん、学者の方でもあなた方でも、どれだけ行って疫学的に研究をしたんですか。しないからいま小平委員が指摘しているような文章が出てるんです。そうでしょう。だったら私は、いま通産省と環境庁が〇・〇六を超えれば危険だというようなニュアンスでおっしゃっていらっしゃる。あたりまえです、現地へ住んだら。だから、〇・〇六以上超えた場合には、本当にどんなに健康のために責任を持つのか。生徒や幼稚園の子供はみんなもう大変な状態で苦しんでいる。ですから、この一つだけを抜き取って緩和をするというふうな状態というのは初めから間違っているんです。  朝から質疑を聞いておりますと、医学のあの「白い巨塔」と同じ状態じゃないですか。そうして、歴代の行政の責任者が、大丈夫です大丈夫ですと、皆地元民をきちっと納得さしている。結果はみんな病人が出て、大気汚染大変じゃないですか。われわれはそういうふうな、地方議会で、私自体でも十六年以上も苦労をしてきているんです。何もしてくれないじゃないですか。だから、こういうふうに新しい環境基準ができたならできたでよろしい。しかし、これをオーバーした場合に、環境庁長官、あなたは国民の健康のために、ケース・バイ・ケースで結構ですが、その地域のためにどんな責任をあなたはとるのか、それをはっきりしていただきたいんです。医学の方だったら、疫学の研究が出ています。何日地元へ来て、東京でも大阪でもいいです、本当に住民の立場の中で、これだけの幅を緩めていくんだと。しかし、国民の皆さんの複合的な汚染の問題があるけれども、この問題についてはどうだろうかと、疫学に問題があれば現地に来て、本当であれば、いま光化学の問題が出ましたけれども、年に一回ということになると、五年間は検討せにゃいかぬですよ。これはいつからやられているんですか、日にちを見ると。医学者であるからという美名のもとに、国民の健康というものが簡単に机上で論議されては私はいけないと思うんです。現地へどれだけ行ったんですか。私は困ってるんです、それで、これだけの数字で、あなた方がここで机上で答弁をしたって、私は現地に住んでるんです。データがこれだけ出ているんです。だったらどうするんですか。いま県とも話したんです。車の総量規制はどうするんですか。これは皆通過道路なんです。いま聞くと、地方自治体がやってもらわなくちゃいけないというふうに言われておるんですよ。地方自治体ではないでしょう、通過道路ですから。自動車の総量規制どうするんですか。メーカーに対しても、生産はどうするんですか。アイドリングの調整の問題もあるでしょう。どんなにあなた方がやっているんですか。私はいま国民の、その地域に住んでいる人の立場から信頼できないんです、こんなの。だから私は、この基準を超えた場合には、長官あんたは環境庁の総責任者として国民の皆さんにどういう責任があるのか。具体的に三点か四点でも、あなたは環境庁長官になられて、そういう地域で苦しんでいらっしゃる実態はわかっていらっしゃるはずです。具体的に三点で結構ですから、私がいま示しましたこの四十三号線の沿線地域、尼崎から神戸まで、すでにデータが、新しい基準でも皆超えているんです。県はどうしますか。七年間でもできませんと言うてるじゃないですか。努力は一生懸命しますと。あたりまえですよ。兵庫だけストップして、さあこれだけの車通りなさい。これはストップします。そういうことはできないでしょう。その点を具体的に、抽象的に努力をするとかそういうことではなしに具体的に答えていただきたいと思います。
  198. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いろいろ御心配になっているいまのお話、われわれも十分にわかっておるつもりですし、また事実専門委員の方の中には、お住まいのような地域で非常に多くの経験を持っておられる方、そういう方の御意見も十分に反映されていると思っております。問題は、つまりいま起こっている点は、目標を〇・〇二と、そこにいままでの環境基準においても起こっていることでございまして、したがって、これは新しい環境基準であるかどうかという問題ではなくて、これの対応についての私は具体的な努力ということであろうかと思います。今日までの努力またこれに対応する地方庁との今後の協力関係等について局長から答弁さしたいと思いますので、お聞き取りたいただきたいと思います。
  199. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) まず、具体問題を申しますと、五十四年規制が、もう告示しておりますので、ことしの暮れから五十四年規制のいよいよトラックが出てまいります。五十三年規制はもうすでに全部完全にいたしました。その次の段階は、第二段目の五十年代末までの規制をできるだけ早くやるということでございまして、そのうちの大型トラック、バス等はかなりこれは年限がかかると思いますが、少なくともディーゼルの乗用車あるいはライトバン等につきまして何とか早くできないかということで、五十四年規制車のでき上がりを見てから早い見当をつけたいと思っております。  それから、その規制につきましては、まだこれは後でいろいろ議論があるかと思うんですが、尼崎と西淀が一帯になっておりまして、あそこはやはり総量規制をしなければならない地域であるというぐあいに考えております。  それから、交通公害対策が非常に大きな問題でございまして、交通公害対策として環境庁の中に交通公害対策室というのを設けまして、それに必死になって取り組もうということになっております。  それから、その調査を何年したかということでございますが、阪神間では大阪は三十八年からずっと続けた調査をいたしております。そういう長い積み重ねのものであります。それから、環境庁のNO2関係調査は、四十五年から四十九年までの連続の調査でございます。これはその当時としては世界最初のものでございます。各地域先生方は非常な努力をしております。それから自動車沿道調査ということもいたしました。そういうことで、おっしゃるような問題にまだ十分こたえ切れてないという点は確かにいろいろあるかと思いますが、行政としては先ほど申し上げた具体的なことで手を打っていきたいというところにあるわけでございます。
  200. 矢原秀男

    矢原秀男君 最後に一点だけ、済みません。  自動車道路沿線の改正されての測定点二十五カ所ですね。十八カ所基準オーバーです。七二%オーバーしているんです。神戸、尼崎、西宮、伊丹、川西、宝塚、芦屋、明石、姫路、相生、小野、十一市、〇・〇六みんな超えているんですよ、一日に。超えているんですよ。こういう過密都市。だから、いまWHOの問題言われておりますけれども、過密の都市の中に走ってくる車の量というのは日本が世界で一番なんです。外国の、アメリカの広い土地の中に走っている台数−台数だけで比較するんじゃなしに、ですから、私は兵庫県のこの例をとりましても、いまあなたはいろんなことをこういうふうにやっていると言うけれども、結論としては好結果は一つも出ていない。車はどんどんどんどんふえるばっかし。病人はそういうふうな形で出ている。  そういうふうなことですから、長官、本当にこのことはあなた真剣に、現地へも来て、この前石原さん来ていましたけれども、あれから全然変わっていないですよ。長官、あなた来て、本当にこういうふうな大幅の緩和をするのであれば、そこまであんた乗り込んでこなければ、みんな市町村に任している、県に任している、これじゃいかぬと思います。だから、私はいまこういうふうにやられていらっしゃることは、国民の健康の立場からさらに害が増すという懸念は、私は身をもって経験している立場から、さらにふえるであろうと思っております。そういう意味で、非常に激しい言葉になりましたが、これは私の声ではなしに国民の地域の本当に怒りの声であると受けていただきたいと思います。
  201. 小平芳平

    小平芳平君 いまの矢原委員の質問と同じことの質問ですが、これは新聞でごらんになったことでしょうが、杉並区公害課の調査ですね、環七の汚染調査をやった。その結果、旧基準だと適合したのはわずか一日だった。ところが、新基準だとオーバーしたのはわずか一日だけになるという。事ほどさように、ごまかしというかマジックというか手品というか、これはもう環境基準変えただけでがらり変わっちゃったんですね。  そういう点について、環境庁に一つ質問したいことは、地域指定の要件にNO2を入れよというこの運動、これに対してどう考えているか、これが一点です。  時間の関係で、もう一つ。そのように達成して、九四%も達成をしたならば、すでに脱硝装置をつけようとして準備していたところ、そういうところは、企業の方が先ほどの問題提起と同じように自発的に脱硝装置をつけますと言うなら結構ですが、もう達成し終わったんだから、わざわざお金かけて脱硝装置つけませんと言われたらそれまでですね。にもかかわらず、健康は〇・〇六以下は全く同じことだが、町をきれいにするために脱硝装置はっけなさいというふうに環境庁、通産省ともにそういう動きをなさるかどうか。  以上二点についてお尋ねしたい。
  202. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 被害補償法の関係の指定要件のお話でございますが、現在、先生御承知のように、地域を指定いたしますにはその地域におきます硫黄酸化物を代表にとりましてその地域大気汚染状況を判断いたしまして、さらにいわゆるBMRC方式による、長期にわたるせき・たんの有症率というこの二つの条件で現在指定しているわけでございまして、今後窒素酸化物による要件をどう考えるかということにつきましては、今後の問題として私ども専門の先生方の御意見を聞きながら検討してまいらなきゃならない、かように考えているわけでございます。
  203. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 脱硝装置の問題ございましたが、年々着装がふえてまいりまして、いま八十六基ぐらいついております。  今後の動向としまして、まず新設の問題でございますが、この日平均値九八%値が〇・〇六を超えるところだと、もうちょっとでも大きいと脱硝装置使わなければまず入れないだろうというぐあいに私は思っております。特に公害健康被害補償法の指定地域があって、そこに影響を及ぼすところでは、非常な厳しいアセスメントの議論になり、もう大きい施設は片っ端から脱硝をしないと新設は入れない。脱硝しても入れるかどうかという議論すらも起こるだろうと思います。  それから、〇・〇四と〇・〇六の間のところでも、これは非悪化原則ということをかっちりやっていきますともう容易に大きいものがなかなか入れるものではないというぐあいに存じておりまして、アセスメントはきわめて厳しくなってくると思います。特にそこの中で公害健康被害補償法の指定地域があって、そこに影響を及ぼすような場合に、少しでも大きなものが入ってくるときにはこれはもう脱硝装置の議論はまず避けられない、新設においてはまず避けられないというぐあいに解しております。ですから、一般に言われているように、脱硝装置が大幅に今度は需要減になるというぐあいにはちょっとなかなか思えない。  それから、問題は旧施設でございます。既存施設はこれはなかなか簡単ではございません。土地のスペースもどれだけあるかということもございます。そういうことで既存施設に対してどうなるかということにつきましては、まず〇・〇六を超えているところで総量規制をやっていく場合に、慎重に点検をいたしまして、ばいじん規制とも整合性を持ちながら、同じタイミングをもって、これ以上のものはどうしても脱硝しなければならないというものは、この三年ぐらいの間にはっきり計画を組んで、そして五十年代後半に、技術熟成も待ちながら脱硝施設を、大型のものには、この〇・〇六を超えて総量規制をやるところについては、要るようなことになるだろうというぐあいに思っております。
  204. 原田稔

    説明員(原田稔君) 大体の現状認識等につきましては、大気保全局長からの御答弁と同様でございます。  既存設備で脱硝装置をつけんとしている、あるいはつけているというところの問題につきましては、私は自治体なりあるいは関係住民の方々と当該企業との間の公害防止協定ですとか、そういうものをベースにして行われていると思いますから、第一義的にはそういった地域協定とかそういったような問題に対する対応の問題だろうと思っております。
  205. 小平芳平

    小平芳平君 先ほどの、NO2を公害健康被害補償の指標に入れるかどうかということについて質問したときに部長さんからお答えがあったんですが、したがいまして、環境庁としては現段階では新しい地域指定はしないということになっておりますね、この二酸化硫黄について。けれども、それはNO2を指標に入れるかどうか、これ、入れようということになれば、当然新しい地域指定をしていく、そういう見直しが行われていくと、これは当然だと思いますが、よろしゅうございますか。
  206. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 先生のお尋ねのとおりでございまして、現在の大気汚染状況と現在の指定要件というのは、御承知のように硫黄酸化物を指標にとっているわけでございまして、この状況から見ますと、今後現時点で指定をされると考えられる地域はないということになりますが、先生のお尋ねのように、窒素酸化物につきましては、これをひとつ検討してみなければならないと思っておりますが、御承知のように、現在までの汚染の状況と現在までの得られたデータからいたしますと、それによっていわゆる健康被害が起こっているというような状況は私どもつかんでないわけでございます。
  207. 小平芳平

    小平芳平君 次に、これもしばしばこの委員会で問題になったことですが、十分な安全率を見るべきだという考えですね。これに対して局長からはいろいろ答弁があったんですが、したがいまして、時間を考慮に入れて、次の点について御説明いただきたい。  NO2の旧基準を決めたときは安全係数を見たかどうか。  それから、先ほど説明のあった、二酸化硫黄等の大気汚染物質の環境基準を決めた場合に安全率を見たかどうか。  以上二点。
  208. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) NO2の旧基準を決めるときに、安全係数は何分の一に掛けるという意識的な掛け方はございませんでしたが、大体年平均〇・〇二の辺だろう。それに対して、日平均値も〇・〇二に直せば、結果的には二分の一になる。年平均を日平均に直すというところで安金性を見込んだ。その一番キーの問題は、肺の中のこの腺腫様の異常増殖ということを非常に注目されておったということがございます。  それから、SO2のときには、これは死亡とかあるいは新患者発生増とか患者増悪とかあるいは機能低下が明白ということから得られた数字には全部安全率は掛かっております。けれども、有症率から導き出してきた数字には安全率は、SO2は掛かっておりません。そういうことで、四十四年から四十八年に変わったのは一体何かと申しますと、四十四年のときの基準は、指針として専門委員会が〇・一ppm一時間と日平均値〇・〇五をできるだけ満足せよと言って出されたわけです。そういうことで、いろいろそのときやっても、どうしてもいろんな技術的、経済的な非常なむずかしさがあるということで、あのときの時点では、一般のきれいなところに対して有症率が二倍になるが、これは中等程度ぐらい汚れているがいたし方ないという判断のもとに、安全係数どころか、有症率が二倍になるポイントで環境基準を四十四年のとき決めたわけです。それを四十八年では、二倍になるポイントを取っ払って同じようにしたということでございまして、そういう意味では、有症率議論に対してSO2は安全率は掛かっておりません。死亡率、症状増悪それから患者の発生増それから機能低下ということに合わせた数字からはSO2の場合には安全率は掛かっております。
  209. 小平芳平

    小平芳平君 そうしますと、この安全率の問題から、SO2等の見直しをいま行うということはあり得ないということですね。
  210. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 全くございません。
  211. 小平芳平

    小平芳平君 それから、前回の当委員会で、鈴木武夫先生二酸化窒素の毒性についての講演を私が引いて、その質問に対して答弁がありましたが、この二酸化窒素の毒性は報告書でも指摘しているんですね、御承知のようにね。ですから、この二酸化窒素の毒性は、科学的科学的と盛んに言われる報告書でも指摘しているんですから、これは間違いないんでしょう。
  212. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 複雑であることは間違いございませんが、はっきりつかまえられる免疫の問題でいきますと、非常に高いところの濃度であるということは事実でございます。しかし、有症率やいろいろな方でいきますと、どうもわれわれが思ったほどのところには出てこない。肺機能検査でもはっきり出てこないということは事実でございます。それから、生化学的な問題なんかでは、非常にNO2の方は複雑だが、これは全く医学的にいまその意味づけというものは、性格的にこうなるかということ以上の解釈は、WHO等でも一切これは扱っておらない、こういうことでございます。
  213. 小平芳平

    小平芳平君 そういうことで、NO2の毒性は医学的にもはっきりしない面があると、局長はっきりそう言っているわけですよ、あなたが。その上に、最初に申し上げた発がん性の問題、この発がん性の問題などはそう短い期間では結論が出ないわけでしょう、当然ながら。何年くらいやればこれは安全だということが言えるんですか。そういう点を考えた場合に、最初から申し上げているように、「十分な安全性」とか、その「おそれがまったくない」とか、これは言い過ぎもはなはだしいじゃないですか。これは長官どうですか。——まあ局長でもいいし、長官も意見を言ってください。
  214. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 不確かということは、科学的に良心的に物を言うときに、どうしても不確かということが出てきまして、それで一方の人はもっと緩くしたらいい、一方の人はもっと厳しくしたらいいという間にわれわれははさまれるわけでございますが、その不確かさと言いましても、NO2はもう労働衛生でも長く経験してきて、しかもどう言うか、たばこなんかでもずいぶん高い濃度を吸っておられる方がたくさんおられる。たばこの害もはっきりしておりますし、屋内濃度は高いということで、何も暴露経験のない不確かさとはもう全然意味が違うというぐあいにわれわれは考えておりまして、そういう点では、実際社会問題として行政の言う場合に、これは大丈夫ですということは言える。十分大丈夫ですということは、私は決して良心にうずきを感じながら言っているわけではございません。
  215. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 先ほど局長が答えております意味は、つまり科学である以上、そこに将来の問題を考えて、いま安全だということは言い切れないという意味において、まだ不確かさがあるという表現を用いておるものでございます。しかしながら、現在の時点において知り得る科学的知見からは最善なものである、最善なものと考える範囲においての非常に高い確率によって健康に対して支障を及ぼさぬというこの答申に対して、健康というものは十分に守り得るという立場に立って、その部分は科学的答申を尊重してわれわれが立っておるので、それを信頼するという立場に立たざるを得ないし、それに立った場合のわれわれの見解を述べている次第でございまして、この点はひとつおくみ取りいただきたいと思います。
  216. 小平芳平

    小平芳平君 長官、したがって、科学的には不確実なものがあるんだと。とにかく窒素酸化物の有毒性については不確かなものがあるって科学者の局長が言っているんですから、科学的には不確かなものがあるんだと。ましてや発がん性については、ニューヨーク大学のそれもある。しかしそれは研究室の上の問題だって局長が言うけれども、研究たって、これは人間に対する健康影響を考えて研究していることであって、まるっきり人間に関係のない研究をして発がん性と言っているんじゃないわけですから、そういうように科学的、医学的には不確かなものがあるんだが、政府の行政は、さっきから言っているように、十分な安全、全く心配ないと、政府の行政はそう言うんだと、こういうふうに山田長官も割り切っているんですか。
  217. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 割り切っているという言葉はあんまり使う方がいいかどうかと思いまするけれども、つまり、科学というものの性格から言って、したがって科学的な答申があるにかかわらず、それは多少のまだ科学というものには不確かさがあるんじゃないか、完全じゃないじゃないか。したがって、あの答申以上にもっとひとつ緩めるべきだという議論も非常にあることは御承知のとおりでございまして、動かしちゃいかぬ、もっと緩めるべきだ、こうありまするけれども、健康に対する専門委員会の答申、審議会の答申というものにやはり立脚してやるということが一番合理的な、客観的な立場であると、これに立脚してわれわれが判断を下したわけでございまして、今日なし得ることは、法律の命ずるところに照らしましてもこれが一番妥当な数字じゃないかと、この点については十分おくみ取りいただきたいと考える次第でございます。
  218. 小平芳平

    小平芳平君 長官に対する私の意見は、そう安全だ、十分だということに割り切る、そういう政治じゃいけないと言いたいわけなんですよ。  それで、時間が来ましたので、最後に、きょう配付していただいた資料ですね。この資料の六ページの上から九行目くらいのところに、「二酸化窒素の濃度と有症率に正の相関がおきはじめる二酸化窒素濃度を年平均値〇・〇二ppm程度と判断した。」という点。それから今度は下から五行目くらいから、「二酸化窒素の年平均値〇・〇二ppm以下の地域の有症率は二%以下であり、それを超すと四−六%になると判断することができる。」というような点ですね。この点は、局長、この年平均〇・〇二ppmを超しますと病人がふえると、有症率がふえるということでしょう、簡単に言うと。そういうふうに言っていいんですか。その点が一つ。  もう一つは、その中間、ちょうど真ん中辺ですが、「更に、同様の考え方で、各地域の有痛率に対する、二酸化硫黄と二酸化窒素濃度の重回帰式に、」云々という、これはどういうことを意味しているんですか、「年平均値〇・〇一−〇・〇五三ppmであった。」ということは。簡単に、要するに、〇・〇二辺から有症率がふえていくということを意味しているのかどうか。それが一つです。  それから、第三番目に言ったことは、複合汚染のことを言っているのかどうか。それを伺いたい。
  219. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 有症率といいますのは、病人のあれではございません。病人の場合有病率でございます。日本のBMRCの調査の仕方は、アメリカ、イギリスのスタンダードメソッドに比べれば少し楽であるという批判を実は受ける場合があります。あなたありますかと言ってさっさとこう書き込む、あるいは札だけ配ってこう書き込むということで、どこまでその信憑性があるかという議論も、純学問的には議論されるところではございますが、アメリカの非常に軽いステージのものということでございます。そういうことで、鋭敏に物がひっかかるというぐあいにこれは考えております。そういう意味で、せき・たんというような生理的な反応次元でそれが続くということは、慢性気管支炎の有症率ではないか、有症率として物を考えて一回突っ込んでみようということでございまして、病人がいるということではございません。  それから、関連性があるということは、濃度が上がれば患者が増加するという表現にはなりません。これは濃度が上がれば患者が増加するというのは、上がったがために因果関係で患者がふえるということになりまして、濃度の上昇と患者の増加には関連性があるということでございまして、これは二酸化窒素だけではなしに、SO2やばいじん、いろいろあるわけでございます。そういう意味で、日本のこのようなやり方に対しては、外国ではばいじんやSOxを全然見てないという批判もあるわけでございますが、ここではこの初めの単相関の方で〇・〇二から上で関連性があると見られる。  それからその次の、第二段目に指摘されました複合汚染の方は、そのデータだけで見ると〇・〇二以下では二%以下であると。それから三ないし四%という、そのちょっと上のところに書いてございます、大気汚染のほとんどない都市の有症率ということで合わしてみると、これは鈴木先生が参考人証言でもおっしゃいましたが、複合大気汚染では年平均〇・〇二から〇・〇三の間にはまるということでございます。  それから、三番目に先生の御指摘のありました重回帰分析は、SO2とNO2と両方の変数に対して有症率がどう動いているかということをこれは解析したものでございまして、これはSO2の濃度を〇・〇一にした場合、年平均が〇・〇一、〇・〇一五、あるいは年平均O・〇二といろいろしてみまして、こう数字を動かしてみます。そうすると、そのときのNO2のどの辺のところから一体この関連性が出てくるかということをやってみますと、ここにございます〇・〇一から〇・〇五三というところにこの数字が非常にいろいろ散らばってくるということでございます。ですから、そこで総合判断を専門家がやられるときに、いろいろな議論を生じて最終の結論に至っている、こういうことです。
  220. 小平芳平

    小平芳平君 山田長官、先ほど来申し上げるように、とてもこうした専門的なことで私はよく理解できませんし、また、いきなり専門的な言葉を使われてもわからない人が多いわけです、国民大衆の中には。ただ実感として言えることは、いまここで環境基準を緩める、何倍にも緩めるなんてことが果たして妥当なのかどうか、許されることなのかどうか、それが率直な意見なんです。感じなんです。にもかかわらず、環境庁説明では、先ほど来何回も繰り返すように、十分安全だ、全く問題はないというふうに言っている。しかし、専門的に局長説明すると、いや科学や医学に一〇〇%はあり得ないということも言う。したがいまして、まあ環境庁始まって以来、緩める、しかも何倍も緩めるというのは始めてじゃないかと思いますが、よほどの慎重な対処が必要だというふうに思いますね。いかがですか。
  221. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 私、こういう非常にむずかしい問題、しかも健康に関する問題、こういう問題について簡単に割り切るというような態度でこの問題に対処するつもりは全くございません。  私は、繰り返して申してまことに恐縮でございまするけれども、最近の科学的な資料の判断によって環境基準は見直さなければいけないという法律の規定に従って、その命ずるところ、審議会の答申というものを得ました以上、これを尊重し、あるいはもっと緩めろという議論もある。動かしちゃいけないと、こういう議論もありまするけれども、しかしながら、この法律の意味というものを素直に謙虚に考え、そしてまた皆さん方の御意見にも耳を傾けて、法の命ずるところに従って行動したつもりでございます。無論、健康を守るということについては、緩和しても規制というものを緩める考えはございませんし、すでに起こっている問題も、現在の基準のもとでいろいろ起こっていることで、要はこれに対する適切な対策ということにわれわれの努力を傾けねばならぬ、そこがむしろ問題であろうかと考えております。せいぜいこの法の趣旨に従って善処したいと考えておりまするので、ひとつまた御鞭撻をいただければ幸せと考えております。
  222. 矢原秀男

    矢原秀男君 では、午前中も質疑がございましたが、瀬戸内海赤潮対策について質問したいと思います。  六月の二十二日に、ホルネリア赤潮という名前をつけながら、家島方面に養殖の異状、こういうようなことがハマチ関係で出てきまして、もう一月以上たっわけでございます。午前中も報告がございましたように、ハマチ被害の総額が、徳島香川兵庫の三県で九百万匹の養殖が行われながら、現在では百六十二万匹の被害を受けて、二十億から三十億と御当局報告が出されております。  ここで問題になりますのは、六月の二十二日に発生をした赤潮のその分析をいろいろと関係筋でされておりますと、最初は円形の、二十から五十ミクロンのものが、六月の二十二日から七月の二十日、世代の交代を四、五日でしながら繁殖をしていった。そして、その次に、これはもちろん鞭毛藻類の種類でございますが、今度はホルネリアの七十から百三十ミクロンのものがどんどんふえてきまして、これは非常に拡大性があって、去年まで見られないような、非常にこれは大変な事態が今後も続くんではないかと、こういうふうに現地では取りざたをされているわけです。  そこで、長官にまずお伺いをしたいのは、私自体ももうこの三年間関係がございますので、その当時の環境庁の方々や長官や他の関係大臣に、総理大臣にもそうですが、もう国の対策、そうして漁業救済の緊急対策、二十項目にわたって常に毎年申し入れを、公明党としてもやりましたけれども、年々非常に被害が根強くなってきている。一体国の責任者として、本当に被害を受けていらっしゃる、そういうふうな漁業の人たち、そうして環境面から見ても瀬戸内海沿岸に住する人々人口、そういう人たちの立場に立って——まあ伺いますと、歴代の長官の中で山田さんは一番国民や住民の立場に立った環境行政であると私は伺っておりますが、今度は長期に拡大をすると自治体は言われている。それについて、現地に赴かれて、いや、おれが行かぬでも、もう地方でやっているじゃないかと、そういうふうなことではなしに、長官が乗り出して、本当に長期拡大——それはそうでしょう、国や県が指導した、あれは香川県ですか、移動性のハマチ引っ張って逃げたら、逃げたところ全部赤潮に襲われて全滅というような状態でしょう。そういうような状態が起きておりますけれども、まず長官、あなたはこの事態に対して、もう皆さん方が情報つかんでいただくのと同時に、現地主義ということを私は実践しておりますけれども、長官はこの事態に対して現地に赴いて視察をされるのかどうか、それとも府県に任せるのか、どちらかだと思うんですけれども、その点はっきり姿勢を伺わしていただきたいと思います。
  223. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 赤潮問題については、漁業等に関する影響、いろんな問題がございまして、われわれとして、何とか原因を追求して適切な措置を講じたいということで、いま御指摘のようにいろいろ努力を傾けてまいりました。残念ながら有効な措置が行われていないというのは非常に残念でありますし、また申しわけのないことであると思っております。  まあ事は、ことに家庭用排水ということに非常に大きく関係いたしておりますし、下水道の普及率ということについてはずいぶんこれを努力すると申しましても、しかしながら、非常に大きな仕事でありますし、急にいかない仕事でもございまして、その影響力というようなことで十二分にいかない点、何かほかにいろんな対策ができないかと、いま研究会等も設けて努力いたしておる次第でございまして、瀬戸内海のみならず琵琶湖等にもそういう問題がもう起こっておるのでございまして、私もまだ地元へは、今回広島へ行く途中で、これは飛行機の中からということで、非常に申しわけありませんでしたけれども、何かそういう点で少し縛るところがないかということも心がけて見てまいりました。これは委員会からも瀬戸内海の法律のときに附帯決議としていろいろ要求されているところも十分ひとつ勘案いたしまして、早い機会にでき得れば現地の視察ということも含めまして、できるだけ措置を考えたい、こう思っております。  なお、補足的に局長から答弁さしたいと思いますっ
  224. 矢原秀男

    矢原秀男君 もう時間の都合ありますから……。  被害実態というものは、そういう非常に明確になっているんですけれども、時間の都合ございますので要約しますけれども、一つは、緊急に救済をすべき問題ですね。漁業被害の方々に対して救済の対策をどうするか。こういう緊急のものと、そうして長期的な国の抜本的な問題と分かれるわけですが、まず緊急にすべきものの問題については、県とかそういうようなところでは、一つは漁業共済掛金の助成を県や国で全額補助していますね。これは当然続けていただきたい。  二番目には、各県で公害対策基金というものがございます。これに対して国はどれだけ力を入れているのか。  そうして三番目には、国としてその他の救済対策というものを緊急的に漁業被害の方々に対してどういう手を打つか。まず、この緊急なものについて、具体的に、簡単で結構ですが述べていただきたいと思います。
  225. 山内静夫

    説明員山内静夫君) 被害漁業者の救済対策につきましては、先生御指摘のように、養殖共済事業による共済金の中期支払い、こういう方向で現在対応しておるわけでございます。何分現在被害が進行中でございますから、いま額が幾らと固定的に申し上げることはできませんが、恐らく共済金の支払いは十数億円に現状において及ぶであろうと、こう考えておるわけでございます。この支払いにつきましては、できるだけ早く支払うような方向で対応してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。  その他のもの等につきましては、県当局と相談しながら、融資等につきまして、漁業者の要望にマッチするような方向で対応してまいりたい。具体的に、現地に担当課長が行っていろいろ打ち合わせしておりますから、そういう報告等を待ちながら前向きに対応してまいりたいと、こう考えております。
  226. 矢原秀男

    矢原秀男君 ぜひ緊急的な救済対策をよろしくお願いしたいと思います。  それから、国の抜本的な対策でございますが、四、五点まとめて質問いたしますので、関係の方々はそれぞれ答弁していただきたいと思います。  一つは、下水道整備の促進です。これは外国と比べて非常におくれておるわけですが、それと補助率の引き上げということについてはどうするのか、これが一点です。  二番目には、生活排水に係る赤潮要因物質の削減対策の推進、これについては二次処理が何%なのか、三次処理は全然いっていないと思いますけれども、それの見通しはどうなのか。  それからもう一つは、窒素、燐の処理技術の開発促進、まずこの点についてお伺いしたいと思います。
  227. 遠山啓

    説明員(遠山啓君) まず第一点の、下水道補助率の引き上げという点でございますが、下水道につきましては、四十九年度でございますが、財政研究委員会の結論を符まして、ほかの公共事業と遜色のない程度までに補助率を上げました。先生御承知のように、わが国の下水道は非常におくれておりますので、目下のところ普及率を急速に伸ばしたいということで、補助率のかさ上げよりはむしろ事業量の拡大に重点を置いてまいっております。  それから第二点目の、下水道による負荷の削減といいますか、除去率の問題でございますが、下水道におきましては、従来活性汚泥法という微生物を利用しました下水の処理方法で実施いたしておりまして、窒素、燐といったものにつきましては、その効率がおよそ二〇%から四〇%になっております。したがいまして、目下の議論の対象でございます富栄養化または赤潮という問題に対しましての窒素、燐の除去に対しましては、三次処理というものが将来必要であろうかと存じております。目下第四次の五カ年計画を進めておりますが、第四次五カ年計画では新たに公共下水道の三次処理が認められたということで、大阪並びに東京ですでに三次処理の実施をしております。  それから、三点目としまして、そういった三次処理の、窒素、燐の技術の開発の問題でございますが、窒素につきましては非常にむずかしい点がございます。金が非常にかかるとかあるいは維持管理費が高くつくという問題がございまして、目下まだ実用化の段階までは至っておりませんが、燐の除去につきましては、おおむね実用化の域に達したというふうに考えております。
  228. 矢原秀男

    矢原秀男君 では、時間の関係ございますので、最後の一点伺いますけれども、これ環境庁長官とそれから農水省に聞いていただきたいんですが、やはり瀬戸内海のあの地形を考えておりまして、赤潮発生のこのメカニズムというものが皆さんの中ではわかっておられるわけですね、大体。で、考えておりますと、基礎的な要因としては、河川水や工場排水、屎尿や都市下水というものの流入、そうしてそれがN、Pという栄養塩ということで、赤潮になってくる。降雨というものが塩素量の低下というものを、もちろんこれは誘発要因になりますけれども、その他に日照の中から基礎要因というものが出てくる。そうして水流の停滞、そうしてヘドロ等による海底の無酸素化、そうしてまた流入してくるでしょう刺激物質のビタミンB12であるとか鉄分等ですね。  そういうふうになりますと、私はいま小平委員と休憩のときに話をしていたんですけれども、瀬戸内でもう手が打てないのであれば、人工的に同じようなものをコンピューターか何かの巨大な装置の中で分析をしながらやってみる。何かないんですかと言ったら、広島はやっておられる。私はきのう兵庫県と話をしたら、農水省の方から補助金の千二百万ぐらいもらって室内の中に人工的な再現装置を持っておる。しかしながら、手いっぱいでできない、なかなか大変だ、   〔委員長退席、理事坂倉藤吾君着席〕 こういうことこそ国が何億とかけて真剣にやるべきであると、こういう意見関係自治体から出ているわけです。一千二百万や一億や、そういうふうな金で、赤潮のこのメカニズムを解決しようとしているかしてないのかという問題を考えたらね、長官、もうやる気がないんです、国は。もう最後になったら、ハマチの業者というものを締めつけて、場所をどこかに移動して少なくしてしまえと、そういうところに落ちつくんではないかと私は思うんです。そうではなしに、二百海里の問題から考えて、瀬戸内のつくる養殖漁業というものは、日本の皆さん方が提唱して、みんな一生懸命やっているんでしょう。それが、赤潮発生が、皆さん方のすばらしい知能と財力でもってもいままで解決ができない、おかしいんです。いや、一〇〇%解決しろと言うんじゃないですよ。より解決に近づいて、それで、きのうも兵庫県とお話ししていると、一千二百万でこういうふうなことと、県でそのぐらいの金額でできるはずがございません。長官、これは農水省も長官も総理大臣も、瀬戸内の赤潮問題について、私はこういうふうな将来の漁業対策から見て、真剣に考えて、ここまで皆さんの知恵でわかっているのに、いろんな複合的な問題というものの研究ができないはずがない、皆さん方の優秀なそういうふうなメンバーで。やる気がないんです、やる気が。こういう問題について、人工的な再現装置発生のメカニズム、こういう問題について対処する姿勢が日本の国にあるのか。  長官、時間ございませんので、それだけを答えていただきたいと思います。
  229. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 御承知のように、瀬戸内海については、特に特別法を制定いたしました。のみならず、これに総量規制という、これはなかなかむずかしい点でございますけれども、その観念も入れて、とにかくあそこの水をきれいにしようということについては、われわれも根本的に考えている。まあやる気がないだろうというようなおしかりでございましたけれども、やる気があればこそこういう制度も入れてやっているわけでございまして、この赤潮問題については、督励いたしまして、ぜひこの問題について、本当にもっと前進した方法をつくるということで対処しようと思っております。まあ繰り返して申し上げておるところでございまするけれども、附帯決議もちょうだいいたしまして、その趣旨に沿ってできるだけやろうと、こう思っておりますので、どうか引き続きひとつなお御鞭撻をいただきたい、こう考えておる次第でございます。
  230. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃあ長官、あなたの御答弁を信頼しまして期待をいたしておりますので、ぜひ、よろしくお願いをしたいと思います。
  231. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、初めに、去る七月の十一日にNO2の環境基準の告示を強行されましたことについて、私は本当に憤りを感じますと同時に、心から長官に抗議をしたいと思います。   〔理事坂倉藤吾君退席、委員長着席〕 あの七月十一日以来、全国から集まられた公害患者被害者の皆さん方の夜を徹しての悲痛な叫びも顧みない。それだけではありません、中公審答申の指針値の科学性、これが問われている。そういう疑問が提起をされている。  もう一つは、午前中からの審議の中でも問題になっておりますように、専門委員の中の四人の委員の方々が、鉄鋼連盟のNOx基金だとか、あるいはトヨタ財団からの研究費あるいは経団連のいわゆる産業環境科学研究会、そういうところから金を受けておって、受けておるだけではなくて、非常にこの人たちの委員会での言動というものが重大な疑惑を呼び起こしておるというとき、さらにこれはちょうどことしの三月指針値が中公審から発表される前後です。鉄鋼連盟、自工会から五億二千万円の政治献金が自民党やあるいは民社党の政治団体に献金をされるというふうな問題。さらに七月十日には、わが党の不破書記局長が記者会見でも発表いたしましたし、長官の申し入れでもはっきりいたしましたように、自動車工業会の常任委員会、そこの企画部会ですね。この企画部会の最近二年間にわたる議事メモ、克明に実はNO2の環境基準を緩和するための大作戦をやってきておるという、しかもそれが通産省の指導のもとに、まさに通産省と共謀して大作戦を演じているという実態をこれは明らかにした。それだけではありません。そういう疑問があるからこそ、本委員会では引き続き国民の前に疑惑を明らかにしようということで本日の委員会が決定をされておるのに、長官は、この国会の審議の経過をも無視され告示を強行された。しかも、一方では疑惑は何一つとして解明されていない。国民の中には、こういう国民の前で続出している疑問だとか疑惑、これを何一つ解明をすることなしに、しかも国会審議をも踏みにじって、まさに目隠しをして突っ走るような形で告示を強行したということについては、これは大変な問題があるんだなということで、多くの詳しいことを知らない国民の皆さん方の中にも重大な疑惑が広がっているんです。こういう暴挙をあえてした長官、きわめて責任重大です。私は朝からずっと答弁を拝聴しておりましたけれども、とにかくきょうだけ何とか通り過ぎたら事は終われりみたいな答弁ばかりじゃないですか。ただの一言半句も責任を感じているような発言は聞いておりません。この点について長官の責任ある態度を表明してもらいたい。
  232. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 国会無視の点についてのおしかりでございまするけれども、国会というものについてはわれわれとしては十分その審議というものは尊重してまいったという点については繰り返しお話し申し上げてまいったとおりでございます。三月以来、この問題についての国会論議、謙虚にいろんな御意見も承ってまいりました。五月八日、この期限を越しましたけれども、この点についてもその他のいろんな意見また謙虚に慎重に検討してまいったつもりでございます。いま申し上げたように、五月八日をすでに二カ月余りも経過しておって、法の命ずるところによりましてもこれ以上時間を延ばして空白のままにしておくことは、これはわれわれの責任上、行政上の混乱を招くおそれがある、こういうふうに判断せざるを得なかったわけでございまして、いま、疑惑の点につきましては、申し上げましたように、この専門委員会においての判断あるいは議論というものが、その資料というものが、これは全く専門的な資料として、これだけはひとつ十分考えなきゃいかぬという資料、これを三百余りについて、これも委員会のメンバーの選択によりまして、その範囲の中において専門的な議論を繰り返してまいっておった事情はこれも御説明申し上げたとおりでございます。  二、三その中の専門委員ということについての御指摘がございました。発言について、全く専門以外のことについて何らこれが採用もされていなければ、影響も与えていない。そういうような事情については、われわれはありのままにそのことを申し上げてきたとおりでございます。したがって、国会無視といい、あるいはこの専門委員についての影響、そんなものを無視しているという点については、残念ながら私は見解を異にしておりまして、われわれとしては十分に誠実にやってまいったと考えております。
  233. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは限られた時間ですからね。長官、三月二十二日に中公審の答申をいただいたんだから、いつまでも告示をしなかったら行政上混乱を起こしたら困るなどというようなことをぬけぬけおっしゃっている。告示を強行して、混乱が起こっているのは、自治体に起こっているじゃないですか。何言ってるんですか。現状を直視して物を言いなさいよ、ちょっと。いいかげんなことを言うもんじゃない。大体、あれでしょうが、朝からずっと答弁を聞いておりますけれども、わが国の環境基準というのは目標値なんですよ。先ほど小平委員からもいろいろ御質疑があったでしょう。目標値は一体〇・〇六なのか、〇・〇四なのか、お困りになっているのは地方自治体が困っているんですよ。何言ってるんですか。もっと冷厳に事実を見て責任ある答弁をしてください。了承できませんよ、そんな言い方は。  しかも、こういう暴挙とも言うべきやり方をしたという背景には、やっぱり背景があるんです。これは、午前中からいろいろと御審議の中で出てきております。ですから、私余り詳しくは触れようとは思っておりませんけれども、たとえば中公審専門委員会の問題について、資本、特に加害企業ですね、加害企業の影響下にある学者を専門委員会に選任をしている問題というのが、いまや国民の中で大きな疑惑になっております。これは事実ですから。すでに公表されておりますから、私簡単にもう一遍言いますけれども、鉄鋼連盟のNOx基金というのは、これは一九七四年以降五年間に十三億六千二百十八万円、ここからは、午前中もお話しがありました柳沢三郎慶応大学工学部教授、これは専門委員ですね、七百二十万円もらっている。これはもう御承知のとおりです。トヨタ財団が一九七五年から三年間に七億六千七十八万円、この金は外山敏夫慶応大学医学部教授、香川順東海大学医学部助教授、この方々がもらっておられる。  さらに、経団連の産業環境科学研究会の問題なんです。これはちょっと和田攻専門委員関係がありますので申し上げておきますが、産業環境科学研究会というのはどうしてできたものかというと、自民党の政調会環境部会NOx環境基準検討小委員会の林義郎委員長——これは衆議院議員——の要請によって、カドミウム、NOx、PCB等の生体影響に関する疫学調査目的にして設立された。その構成メンバーはどこやといったら、日本鉄鋼連盟、自動車工業会、電気事業連合会、ここが中心で、日本石油化学工業会、石油連盟、日本鉱業協会、ソーダ工業会が参加している。そうして、産業環境科学研究会の事業は、第一期事業、第二期事業に分かれているんです。この私が問題にしておる内容というのは、先日不破書記局長が公表いたしました自動車工業会常任委員会企画部会の議事メモによる具体的な中身です。第一期事業というのが、五十一年八月二十五日の議事メモによりますと、和田攻——当時東大医学部の助教授です。和田攻助教授、この委員に総経費五千百万円、そして自工会の負担分はそのうち千二百万円、そうして、NOxの生体影響資料集を作成する事業、こういうことで仕事をさせて金を与えた。しかし、これがふるっているんですよ。橋本局長よく聞いておいてください。資本と財界から金をもらっている。しかし、その人たちの仕事というのはりっぱなものでございますと、盛んに何遍も言っておられる。しかし、この議事メモにはこう書いてある。これですよね、御承知のとおり。これを「自工会関係の国会議員、学識経験者に献本する際に、自工会がこの報告書作成に参加したことが判明するとまずいので、自工会から発送するのは差し控えること」、出版元から発送すること、そんなことを言っているんです。だから、資本から独立した業績であるかのように装うために、財界までが苦労しているということですよ。それを、ぬけぬけと局長は、そんなことは研究費をもらっておっても何の関係もございませんなんというような一般論をおっしゃっておっても、こんなものは天下に通用しないということを申し上げておきますよ。  さらに、第二期事業というのは、昭和五十二年一月二十五日の議事メモによりますと、資金が三千七百三十万円、そのうち自工会の負担分が一千万、だから鉄鋼連盟も同じように負担しているんですよ。自工会負担分一千万、ただし運営費、運営経費が二百万で、ことしも同じく千二百万負担だ。これが「窒素酸化物の生体影響に関する疫学調査についての一考察」、これですな。ところが、この中身というのは非常に問題だと言われている。非売品ですわな、これは。問題になっておる非売品。非常に中身も問題なんですが、こういうものをつくらせていて、業界は何を期待しておるかということもちゃんとこの議事メモに書いてある。「環境庁のNOx環境基準の見直しが行なわれるので、そのときの業界サイドのバックデータとして活用出来るような成果を期待している」とちゃんと書いてある。だから、午前中に矢田部委員から鋭い追及を受けた事実というのはこれなんですよ。ちゃんと、業界が金を出して仕事をさして、環境基準見直しのバックデータとして業界サイドに活用できるものをつくらせているのだと。これは業界が書いておるのだから間違いないですな。そのとおりやっているのですよ。そのことを示している。ですから、和田委員あるいは柳沢委員あるいは外山委員などが専門委員会の中で果たしてきた役割りというのは、午前中矢田部委員からも触れられておりますから、私、時間の関係がありましてたくさん触れる余裕がありませんから、後でまた触れる機会があったら触れるとしましょう。  さらに、これは矢田部委員もお触れになりました、産構審の論議がそっくりそのまま中公審に持ち込まれているという問題、これはきわめて重要です。  ここで、産構審に入る前に、長官、はっきりしておかないかぬと思う。これほど企業から研究費その他を受け取り、企業の影響下にあり、企業サイドのために専門委員会——専門委員会というのは私的機関じゃないのです。環境庁長官の諮問機関でしょう。公的機関です。こういう中で企業サイドに立って言動をこれ行うというふうな者、こういう者を、知っておって入れたのか、知らなくて入れたのか、その点はっきりしてください。
  234. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 企業サイドに立って物を言うというようなことは毛頭考えておりませんでした。これは、文献として集めたことはもう確かによく集めてあります。御自身の名前の専門の地位を書いてないというのはおかしいと思いましたが、そういうことでございます。そういうことで、出しておられるのは存じております。ただ、企業サイドでこれをもって云々ということですが、やっぱり学問のデータは学問のデータということでございまして、御本人はれっきとした学者でございます。そういうことで、私どもは決してそれをそういう意味で忌避するということはございませんでした。
  235. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなの、国民が理解しにくいですよ。こういう、明らかに企業サイドに立って研究データもつくり上げる、そうして政府機関の下部機構にも入る。これは国民は許せませんよ。少なくとも私は、学者というのは、それは大変ないまの日本の大学の状況ですから、研究費を衣らって企業サイドの仕事をする場合があるかもわからぬと思いますよ。しかし、企業から金をもらったからということで、真理をゆがめたり、企業サイドの、企業の望むようにデータをねじ曲げたりするというふうなことは絶対に学者としては許されないと思う。同時に、そういう企業の影響申受けている者を公的機関であるいわゆる専門委員等に任命するということは、これはきわめて不適格です。少なくとも専門委員というのは、加害企業との関係では、資本とは明確に独立した立場にお立ちになっている方々を選ぶべきだと思います。その点、どうですか。
  236. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま先生の御指摘で、業績でデータをねじ曲げたというお話でございますが、そんなことはもう全然、外山先生香川先生もりっぱな研究をしている方であります。そういうことで、外山先生香川先生は研究費として、公募をして財団の研究費をもらわれてやっておられるわけでございまして、また、中公審で使うデータはちゃんと公式の研究、学会誌としてやったものでございまして、データをねじ曲げたなんということはもう全くないというように思っております。
  237. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そのことについて論議をしたいのですが、前回の委員会で私、各専門委員会、分科会等の資料を御要望申し上げましたけれども出していただけませんから、これまた、私が言うと、いやそのときはこうだったと言ってまたすれ違う。だから、委員長、これはぜひ、こういうところまで来た以上は、全部関係資料あるいは会議要旨を出していただきたいということを重ねてお願い申し上げたい。  そして、私重ねてこの点で言うておきますが、これは七月の十一日に橋本局上長が患者会との中で覚書を書いておられる。「中公審大気部会に全国公害患者連絡会のすいせんする科学者・専門家を推選し、それが実現されるように努力する」ということの一項がございますが、少なくとも、これだけ専門委員の中で企業サイドに癒着した人たちの言動というのが国会で何回も何回も問題になってくるという以上は、この人たちに対する態度を明確にすると同時に、被害者で苦しんでいる人たちが信頼のできる人たちをせめて入れるということぐらいは考えた方がいいと思うが、この点についてはどうですか。
  238. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 患者さんたちが非常に信頼される学者の方もおいでになるわけでございます。それから、審議会の部会の中にも、これはやはり公害被害者の方々が信頼される方も入っておられます。
  239. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 入っているということだったら、別に覚書を書かぬでもええでしょう。それは委員先生方が全部不信頼じゃないですからね。いま指摘されている人たちが特に国民的批判が広がっているいうので指摘してるんですからね。それは非常にはっきりとしておられる先生方もおられるんですからね。これは私、鈴木先生も参考人でおいでいただいてよく存じましたけれども、非常に良心的な立場をおとりになられたということで敬意を表しております。  そんなことを言ったら時間が足りませんから、もう一つは、これは矢田部委員も御指摘になった産構審の論議がそっくりそのまま文章を、「てにをは」をちょっと変えて全部中公審に、自分の意見やいうて柳沢委員が持ち込んだという問題、これはさもありなんと思うんですよ。というのは、産構審のNOxの議論、これも全部持ち込むのがあたりまえで、産構審と中公審の両方に籍を置いておる委員というのが四人おるんですわ、御承知のとおり。その一人は指摘されておる柳沢三郎委員です。これは中公審では専門委員会委員、測定分科会委員。産構審では測定技術分科会委員。そのほかには外山敏夫委員です。これは中公審では専門委員会委員長、影響分科会会長。産構審ではNOx汚染防止対策委員会委員、企画分科会委員。それから、そのほかに兼任をしているのは八巻直臣委員ですわ。これは中公審では専門委員会委員長、測定分科会会長。産構審では測定技術分科会委員、移動源対策分科会委員。それから、もう一人ダブっているのが山手昇委員。これは中公審では専門委員会委員、測定分科会委員。産構審では測定技術分科会委員。この人たちが産構審の論議を中公審の中へ持ち込んだと言って、まあ一番どんずばりと指摘をされたとおり柳沢委員がおやりになったようですが、これはりっぱな学者、りっぱな学者と言うて盛んに言われるんだけれども、けさも珍説や言うて局長も言うておったようなアンモニア中和説やとか、そういうことをぬけぬけと、しかも公的機関でぬけぬけと言うて、それでNO2の基準を緩める方向に道を開いていくような珍説まで掲げてやるというのは、私あんまりりっぱな学者やと思わぬですけれどね。盛んにりっぱな学者学者とおっしゃるから、まあ聞いてはおきますけれども。  で、外山敏夫委員も非常に重要な役割りを演じていますよね。だって、専門委員会の副委員長で、影響分科会の委員長でしょう。ちょうど両方を兼ねているもんだから、去年の十一月、十二月、いわゆる産構審の答申が決定をされてできたころからちょうど中公審が山場に差しかかった、そういう中で、去年の十一月ごろから年平均値〇・〇五、アメリカ並みに〇・〇五というように繰り返し巻き返し主張してきたというのは、これは私どもさっぱり資料はいただけないので、どういうふうに主張しているか文言はわかりませんけれども、やはりそれなりにそういう言動をなさったということは漏れ伝わってきております。  柳沢三郎委員の果たした役割りについては、すでに指摘をされたとおりでございます。  そこで私は、そうなると、産構審の論議をそのまま中公審に持ち込んで、そして環境基準緩和のために大働きをしたという問題が問題になってくると、産構審の中のNOx対策委員会というのは一体何者やと、こうなってくるんですよね。よっぽどそこは変てこなことをやっているから、そこでの論議を中公審の専門委員会へ持ち込んで、それで何とか緩めよう緩めようと、こうやったと、こうなっているわけですからね。で、産構審のいわゆるNOx汚染防止対策委員会、ちょっとここの問題について通産省にひとつ聞きたい。  これも私ども詳細に実は知らなんだんですが、たまたま自工会の先ほど申し上げた議事メモを克明に拝見をいたしますと、実にはっきりしているんですね。五十一年七月の二十一日の自工会の第二十七回企画部会議事メモ、これによりますと、「NOx汚染源産業界の強い要求に基づき、一九七六年八月、通産省は環境庁に対しNO2環境基準の見直しを提言すべく産業構造審議会産業公害部会NOx汚染防止対策委員会の下部組織として五つの分科会を設置して活動を開始した。通産省立地公害局は、五分科会の設地にあたり、鉄鋼、自動車、電力、石油、石油化学の五業界に対してそれぞれ二名ずつ分科会委員を派遣するよう要請した。」——これはまあ、れっきとした業界代表を配置したわけです。これも後で必要なら資料を差し上げますけれども、鉄鋼連盟、自動車工業会、電気事業連合会、石油連盟、石油化学工業協会、板硝子協会、それぞれ環境対策委員長あるいは環境対策本部長クラスのれっきとした人たちがそれぞれの五つの小委員会、移動源のところは移動源、固定源のところは画定源、企画委員会にはそれぞれ必要な方というふうに配置をしました。それで、産業構造審議会のこのNOx汚染防止対策委員会の構成メンバーの中の業界代表というのは、これもれっきとした人たちですね。鉄鋼連盟は徳永久次立地公害委員長、自工会は豊田英二会長ですよ。電事連——電気事業連合会は正親見一副会長、石油連盟古沢環境委員長、石油化学工業協会今井善衛副会長。大体産構審というのは財界の代表がちゃんと皆おさまってやるところらしいですね、中身は。  さらにもっとふるっているのは、立地公害局の意向でNOx汚染防止対策委員会のワーキングスタッフ、後に名前を環境研究会としたらしいですが、環境研究会を設置させたいという問題で、通産省からそういう意向を受けて、そしてこれも議事メモによりますと、ワーキングスタッフの組織としてNOx対策研究会を設置したいので、研究会の会長には山木自工会常任委員長の就任を依頼したと。で、この環境研究会、いわゆるワーキングスタッフというものの性格は、構成メンバーは、鉄鋼二人、自動車二人、電力、ガス、石油一人ずつ、五つの業界から七人のスタッフで構成する。活動資金は、この研究会は経団連、公害対策協力財団から千五百万円の寄付金を受けてNOx汚染防止対策委員会のスタッフとして活動するが、表面的には産構審とは何の関係もないということになっている、と言っているんですよね。むずかしいこと書いてあります。それで、一九七六年の八月から七七年十一月まで、産構審のまとめができるまで、ひとつ手弁当で常勤で仕事をしてもらいたいと、こういうことらしいですね。で、このワーキングスタッフは——まあここは細かく言うている時間がないから……。そういうものをつくったと。  それで、その一つずつちょっと聞きたいんですけれども、時間がないからまとめて後で聞きますがね。このワーキングスタッフやらこの分科会派遣の委員の手で、私、議事メモを拝見して一番驚いたのは、こういうワーキンググループで送った人あるいは五つの分科会へ要請されて出ていった人たちが、産構審の小委員会及び分科会の審議内容、配付資料、報告書素案、答申素案あるいはNOx対策委員会議事次第、議事録、こんなものが全部筒抜けになっているんですね。そうして、その筒抜けになった資料に基づいていろいろと業界では検討いたしまして修正をして、そして修正加筆したものが持ち寄られて最終報告書に結実をしていくということになっているようです。  そこで、ちょっと聞きたいんですけれども、通産省の産構審NOx小委員会というのは、これは公開されていますか。公開ですか。
  240. 原田稔

    説明員(原田稔君) 産業構造審議会の中にはいろいろな部会、小委員会等ございますが、いずれも非公開でございます。
  241. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 非公開。そうすると、会議要旨はありますか。多くの委員会たくさん聞いたらややこしいからね。NOx対策委員会、それから五つの分科会、それは議事要旨ありますか。
  242. 原田稔

    説明員(原田稔君) 各分科会についてはちょっとつまびらかではありませんが、小委員会につきましては、これは議事録を運営上つくることになっておりますから、私はあると思います。
  243. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その議事録あるんですな。で、それは非公開ということになると、各業界へ全部出ていっているということになると、おかしいのと違いますか。ただ、その業界から委員を皆選んどるんやからね。皆持って帰って業界へ持ち込んだらもうそれなりのことになるんですが、中公審では非常に厳重や厳重や言うて、一つも出てきやへんのですけれどもね。産構審の小委員会会議議事録というのはありますよね。あんた、あるかつてきのう聞いたら、ないと言ったけれども、ほんまにないかと言ったら、調査しますと言うたら出てきた。いや、これね。自工会で報告をされておる議事録あるいは分科会の討議検討報告、ちゃんと書いてありまっせ。「五十二年五月十六日 産業構造審議会産業公害部会 NOx汚染防止対策委員会」と書いてある。これなんかは「取扱注意」と書いてあります。通商産業省コピー用紙ですわ、これ。そんなもの非公開言うて、全部、自工会は自工会で自分のところで一生懸命検討していまっせ。これ、報告きっちりね、企画委員会へ出しているのを呼んできて、きっちり報告さして、それでわが業界ではどこが大事や言うて、ちゃんと検討している。議事録あるんですからね。鉄鋼連盟も同じようになっている。鉄鋼連盟は非常にワーキングスタッフに対するバックアップが熱烈だ、うちはちょっと弱いからひとつねじを巻かにゃいかぬということまでやっておるんですよ。筒抜けぶりいうたら、もっとひどい。驚いたんやけどね。NOx小委員会準備中の産構審答申素案というの、これ出ているんです。「取扱注意」と書いてある。その意見交換の中で、最近環境庁現行のNO2環境基準について反省しているらしいと、答申の表現についてはもっときつい方がよいという意見が交換された——表現にまで直接介入しているんでっせ。通産省御存じですか。あなた前の前任者やから知らぬ言うたって通りまへんで。
  244. 原田稔

    説明員(原田稔君) 私ども、産構審のNOx汚染防止対策委員会というものを一昨年の六月につくりまして、当時からNOx問題というのが産業界にとっても重要な問題でございまして、通産大臣からNOx対策の合理的な対策いかんということで諮問されたわけでございます。それに基づきまして、小委員会のもとにたしか五つの分科会を設けまして、主としていろいろな技術的な問題、測定に関する、NOxの測定技術の問題ですとか、NOx防止技術の問題ですとか、あるいはNOx防止対策の国民経済なりあるいはエネルギー問題需給に与える問題ですとか、そういうものを重点に置いて議論してきたわけでございます。先生の御指摘のとおり、このNOx小委員会のメンバーは約二十名で構成されておりますが、その中には、学者、自治体代表——自治体代表者は入っていませんでしたかな、あるいは新聞の方々等のほかに業界の方々も加わっております。また、各分科会の委員の中に業界の方々も入っているわけでございます。こういった問題につきましていろいろ議論する際に、何と申しましてもNOx問題というのはまだいろいろな意味で技術的にも未解明な部分も多いわけでございまして、業界から出ておられる委員の方々が、何と申しますか、いろいろな技術的な問題その他の問題につきましてこのNOx小委員会における議論というものを踏まえまして関係者の方々と相談をされるということは私どもはあり得るのではないかと思っております。こういう審議会並びにこういうテーマの性格からして、私はそういうことがあり得るのではないかと思っております。
  245. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、あなたのところは非公開やいうて言わぬ方がよろしいな。だって、ちゃんとそれぞれ業界代表が入っておるんやし、それで実動部隊であるワーキンググループはちゃんと鉄鋼、電力、自動車いうてちゃんと寄せて、それで業界に有利に働くように一生懸命データづくりさして、それでNOx小委員会データでございますいうてつくり上げていっている。それで金は経団連です。人は手弁当で業界から出してもろうています、資料からデータづくりから全部業界につくってもらいます、それで、通産省の産構審の答申でございますいうて、環境庁に圧力がかかってきておる。それで、ダブってる委員が、そこでやってきたやつをぱあっと中公審の専門委員でやるもんだから大混乱を起こして、一遍は決まったやつがひっくり返されて、科学的科学的というのがもう聞くにたえぬほど非科学的な、わけのわからぬ数値がひっついて、先ほど小平先生から追及されておりましたように、目標値である環境基準がどこやらわからへんと、どこを目標にしたらええのやらわからへんというようなものをつくってきたんですよ。長官、あんた素人やさかいね、専門家がりっぱな科学的知見でございます言うてつくってきてもろうたんでそれを根拠にいたしまして、いうて、ずっとこれも何十遍か聞きました。その根拠たるやこんなもんやったということです。やり直さなあきまへんで。国民こんなん聞きませんよ。科学的という名にふさわしくないんですから、これははっきりさせないかぬと思ってるんですよ。  それで、ひどいんですよ。環境庁、あんじょう聞いときなさい。通産省、しっかり……。むっちゃくちゃですよ。これね、何でもかんでも相談したやつ全部持ってくるんやな、業界へ。だから、こんなんもあるんですよ。五十二年三月十五日のメモによりますと、「数日前通産省から第三次規制環境庁案が内示されたと報告された」と、で、通産省は、これはだから政府部内の調整段階でだあっと出しておるわけです。それ論議しておる。なんと言うてるかというたらね、「内示案は当会の要望がほぼ受け入れられていることから意見書提出は見送ることにした」、——書いてあるんでっせ、こないに。ええかげんにせいって言いたいですわ。いつか毎日新聞でしたか、環境庁は要らないのと違うかいうて書いてましたけどね、邪魔になりますがな、もう。環境庁頼りにしてたら、全部底が抜けて、通産省で好きなように財界とぴったりひっついてやってくれてて、それで環境庁どんどん好きなようにやらしとる。  もう一つ言いましょか。最後の〇・〇四でまとまりそうやったのが、〇・〇六がひっついた。そのためにどういう努力を通産省と一緒にやったかというの、ちゃんと書いてあるんですよ。それで、そのワーキンググループというのは、去年の十一月、もう一応仕事終わっとったんやけども、〇・〇四というのにどうやらなりそうや。これはちょっと厳し過ぎるから、もっと緩めさせようということで、ことしの二月から作業を再開してますわ。そうしてね、何とかしてこの環境基準決めるときには環境庁が勝手に決められぬように、政府部内全体の合意を前提にして決めさせるように、法的に何とかせなあかんと、こういうことで一つは研究しておる。それから産構審の答申が日平均値〇・〇五ppmだったけれども、これはちっと厳し過ぎるからもう一遍計算をやり直そうと。特に大都市の対策の限界値というのは問題やということで、これは巻き返そうということでやり直しておる。そうして中公審答申に対する反論書というのをまとめた。それはまあひどいもんですわ。そうして、その反論書を持って、ことしの四月の二十日に稲山経団連副会長並びに関連業界の代表が全部がん首そろえて山田長官に陳情に行ったと、そないいうて書いてあるんですよ。四月二十一日の会議メモにはそう書いてある。その際に、〇・〇四は達成不可能でございます、再び混乱が繰り返される可能性が大きい、少なくとも〇・〇六ないし〇・〇六五が限界であると主張したと書いてある。今度の緩めた環境基準幾らですか、正確に。〇・〇二から見たら、測定の変更含めて幾らになりますか。
  246. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 日平均値として〇・〇四と〇・〇六でございます。
  247. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは、ザルツマン係数の変更をすればですね、そないならぬでしょう。〇・〇六五か七でしょう。
  248. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) ザルツマン係数をいたしますと、大体それに一・二近くかかる、一・二ぐらいかかりますから、ですから、もとの数字で言えば〇・〇四八、それから〇・〇七二ぐらいになるかもしれません。
  249. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大体まあどんぴしゃり、財界の御要望どおりに決まった。そのおかげで、これはまあ国民が大問題、自治体は大騒動と、こうなってるわけですよね。でね、これはひどいんだな、まあ一つ一つ見たら。局長、来年から総量規制をやりますと言ったでしょう。総量規制の準備ちゃんとやってますよ。書いてあります。もう時間がないから言いませんけれども。  それでね、こういうことが一方では全くぴったりひっついてやられておる。一方では、業界から政治献金がやられてる。五十二年度を調べましたら、鉄鋼業界からは自民党の政治団体に七億一千三百七十四万円、自動車業界から三億二千四百二十三万円、関係業界合わせて十四億余りです。まあこの細かいところは飛ばしますが、特に問題なのは、指針値が発表される前後、ことしの三月、これもこの議事メモによりますと——これは企画部会の議事メモと違いまっせ。常任委員会の議事メモ。これによると、自民党の大平幹事長の要請に応じて急遽自工会は常任委員会を開いた。総額五億二千二百万円だと、このうち九千万円は自工会の経常費から出すので、残り四億三千二百万円を会員の十一社で分担すると。大平幹事長から献金の一部を三月二十日までに欲しいと申し入れがあったので、総額の七割近いところまでは、つまり三億五千万円——その内訳は、国民政治協会三億円、政和協会五千万——については、三月二十日までに拠出を要する金額として計上された。三月二十日いうたら専門委員会が指針値を決定した日ですね。そういうことなんです。  さらに、ちょっとこれは長官に聞かないかぬ。長官もなかなかあれですね、御関係がおありのようで、私の調査によりますと、長官の政治団体、政治資金団体の就山会というのがあるんですね。久就さんの就、就山会。この就山会の収支報告書を拝見いたしますと、五十二年の十二月二十二日に自工会から百万円、ちょっと少ないですな。で、同じく政治資金団体の新政策研究会、これは五十二年十二月二十七日にやっぱり自工会から百万円と、こういうふうに出ておりますが、これは事実でございますか。
  250. 山田久就

    国務大臣山田久就君) そのとおりです。
  251. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 こんな重大なときに、最大の加害企業の一つである自工会からぬけぬけ、金、政治資金もろうて、ちょっとわからぬのですけどね、あたりまえや思うてますか。どうですか。
  252. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 最初のは、わが後援会のですね、四千人余りの後援会の激励会のときに恐らくあったことかと思います。世話人がみんなやってますからよくわかりませんけれども、調べてみるというと、そういうことであるから、それでその届け出が行われているというわけでございいます。  後者についても、これは直接その政治資金私がやっておりませんのでわかりませんけれども、届け出を調べてみまするというと、そういうことになっております。
  253. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 去年の十二月いうたらどういう時期か御存じですか。産構審の答申が出て、それが中公審の専門委員会に対する重大な圧力になって、専門委員会の論議が山場に差しかかってきておると、国民それぞれ注目をしていた時期です。それを、加害企業の一つの大手から、金額百万円やさかいええと思ってたら当て違いますよ。もし長官が御存じなかったんだったら、少なくとも大企業から金をもらって国民の命や健康を売り渡したと言われないために、はっきりしたらどうですか。
  254. 山田久就

    国務大臣山田久就君) はっきりとはどういう意味でございますか。
  255. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ええ、わからぬですか。
  256. 山田久就

    国務大臣山田久就君) はっきりというのはどういう意味ですか。はっきりしておるものを、政治資金は政治資金として届け出が行われておるわけですから。
  257. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だから、もらうのはあたりまえやと思っていらっしゃるんですか。これはぐあいが悪いと思ったら返したってよろしいねんで。はっきりしなさいというのは、国民の前に、あれですがな、明白に態度を鮮明にするためにも去就をはっきりしなさい言うてるんですよ。もろたんやから、届けてあるからはっきりしてるやないか——ほんならね、長官が財界から金もらって国民の命や健康を売り渡すような環境基準の緩和をしたんだと言われてもよろしいか。よかったらそのままでいいですよ。
  258. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 全くそのこととは関係ございません。私は私の良心に従って決定をし、判断をし、行動しております。この点だけはっきりしておきたいと思います。
  259. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは関係ございませんと言って、同じことや。学者は研究費もろて関係ございません言うとったけど、中身見たら、ぱっちり関係があるんですよ。同じことです。長官やから別やというようなことはないんです。それは身辺をきれいになさるという必要があると言うんです。環境庁長官をやっていらっしゃる、特に環境基準をどうするかという最大の山場のときに、自工会から政治資金もらうなんて、ふらちですよ、国民に言わせれば。こんなひどいことをやってね。二倍、三倍違うんですよ。二倍から三倍半緩めておる、実際。こんな、国民に対して本当に何ともないんですか、長官。良心を持っておられたら、こんなことはっきりすると言うべきですよ。財界から金もらうのはあたりまえですか。
  260. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 私は、答申を踏まえて、それに従って判断を行っておるものであります。いまいろいろなことの御指摘があるようでございまするけれども、私は、繰り返して申しまするけれども、お話を伺っておりまするというと、答申そのものが非常に影響されておる——何人かの点についての御指摘がございました。ほかの学者の方がみんなそれで引きずられて一つの判断を出しておられるということは、これはほかの良心的な学者に対して私はいかがかと、その発言はいかがかと思います。私自身は、私の政治的に必要な活動については、私に協力していただける方、そういうものから広く政治資金を受けております。私は、これに従って所要の政治的な活動、そういうものを行っているわけでございまして、これによって何らの影響、そういうものを受けてやっておるようなことは全くありません。
  261. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 金をもらうのはあたりまえというみたいな話ですから、もうこれはこれ以上言いません。  それでね、ちょっと通産省の方、非公開ですると言うたけれども、業界は全部筒抜けやいうことは具体的に言いましたですよね。これはその関係資料は業界に全部筒抜けになっているんだから、国会へは当然出していただけると思うんですが、NOx小委員会の議事録、分科会の議事要旨、配付した資料全体、これはぜひ提出を願いたいと思います。どうですか。これは委員長、お願いします。
  262. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 原田審議官、いかがですか。
  263. 原田稔

    説明員(原田稔君) 産構審の審議は私が先ほど申し上げましたとおり非公開でございますから、したがいまして、まことに申しわけございませんが、いまの御要求につきましては、私どもとしてはちょっと応じるわけにいかないと、こういうことでございます。
  264. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、国民に非公開で関係企業に公開制というようなあほな話は国会の論議では通りません。これはぜひ委員長善処願いたい。  それで、時間がありませんので先へ急ぎますが、もう一つちょっと聞いておきたいんですが、先ほども小平委員からいろいろとお聞きになっておられましたが、地方自治体ですね、大問題だというんですよ。地方自治体は何も相談を受けてないわけでしょう。四月には公害防止計画を決定して鋭意環境庁の御指導に基づいて仕事を進めてきたと。ところが、すぽっと二倍から三倍半緩められた。大体どこを目標にしていいやらわからへんと、〇・〇四を目標値にしていいのやら、〇・〇六にしていいのやらわからぬということになっていますわな。それで、こういう大混乱を、長官、片方で起こしているんですよね。これは新聞にも書いていましたやろ。十八日に局長関係自治体関係者を寄せて説明したけれども、なかなか大変やったらしいですね、新聞報道によりますと。それで、とにかく具体的には訪問をして具体的に個々に指導しますというような話だったようですね。それでね、地方自治体は、環境庁が日平均値〇・〇二ppmという目標値を環境基準として設定をし、これに向かって鋭意努力をしてきたわけですね。金も使い、努力もしてきた。今度これ、ぼっと緩められたら、みんな改定させますんか、基準は。目標値変わったんやからいうて。たとえば、〇・〇二にいくまでに、〇・〇四を中間目標値としてやっておるのが、あれは川崎でしたか、神奈川でしたかね。あの辺はそういうふうに中間目標値を立ててやっていますわな。あれはまたやり返させるんですか。あるいは地方自治体の自主的な上乗せ基準で従来どおりの規制を強化していきますというて新聞では報道されておりますが、これは尊重して行政指導、援助していくんですか。どっちですか。
  265. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いままでやっておったり、あるいはもう具体的に計画してきている既成計画が後退するなんということはもう全くございません。これだけはもう断言いたします。そういうことで、地方自治体が〇・〇四をねらって計画しているということは、これは法律の線に乗せてわれわれ努力していこうと。あるいはそれまでに地方自治体ができればそれはもう進めることも別に結構だと。  ただ、〇・〇四が本当にできるかということでございます。みんな〇・〇四と言っておられますが、実はもう非常に頭を抱えて困り切っておるのが事実でございます。〇・〇四ですら困り切っております。〇・〇六も本当にいけるかどうか、これもまたかなり頭を抱えている向きがあるわけでございます。これは、今度の環境基準を決めました一つのいままでと違うポイントは、アセスメントを本当にレールに乗せて、これからの増悪は一切抑えて、そして進めていくと。アセスメントをリンクした——公害対策基本法はいままで余りアセスメントをきれいにリンクしておりません。正直申しまして、アセスメント法の立法が通らなかった約三割方はNOxの環境基準に問題があるわけです。そういうことで、これはアセスメントを徹底的にレールに乗せると。そしてこれからもう悪くは絶対にしないということを今回出した要件でぎりぎりぎりぎりやっていきますと、これはもう、いままで、どう言いますか、お宮さんの奥に入ってたお守りさんみたいになっていた〇・〇二がぱっと出てきまして、今度は具体的な尺度に響くという条件はもう事実でございます。そういうことで、地方自治体にこれは非常に御苦労をかけます。しかし、一年ぐらいひとつお互いにきっちりやってみようと。論争は論争としてあるだろう、しかし、やることは一緒にやってみようということで、私もかなりの地方自治体を回りました。一緒にこの話をしております。ですから、政治的には皆さん苦しいお立場を持っておられることはよくわかります。で、府議会、県議会、市議会のある議員さん方から突き上げられて、あるいは記者クラブでいろいろ言われて、もうこういうのならやるなという議論はあります。けれども、実際の対策はもう徹底的に乗せていくということで、〇・〇四を、別にねらいはそれはやってもよろしいと、ただ、自治体は〇・〇四できないところはみんな目を伏せて人に語らなかった。語らないところを環境庁は全部引き出した、こういうことをしております。上乗せ条例は、現在のところ、例の大気汚染防止法による上乗せ条例一件もございません。ですから、上乗せ条例をするんでしたら、まず〇・〇六以上の超えているところは、本当にやろうと思ったら相当のことできます。でも、〇・〇六から〇・〇四の間は上乗せ条例があの法律に基づくものはどうなるかということは、相当法律的に検討が要ります。
  266. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 局長の話を聞いていると、えらいうまいこといっているような話なんです。ところが、自治体で混乱が起こるというのは、たとえば〇・〇四の中間目標値を従来どおりばあっと一生懸命やろうとしますね。企業の方は〇・〇六でもええやないかと、環境基準値は変わったんやということで、自治体の行政指導ができなくて、逆に自治体が企業から責任を問われるというふうなことになって、もう自治体の権威が失墜するというふうな混乱が起こる、これはあり得ますよ。そういうことだってあり得ますよ。そういうことになってくるおそれは十分ありますよ。そういう点で、これは私どもちょっと局長の話だけでは納得しにくい点があるんですがね。現地のいろんなお話も聞いている関係で。  そこで、先ほども御提案がありましたけれども、いろいろ高濃度汚染地域で御苦労なさっておられる自治体関係者の御見解をお伺いしてみたいと思うんですね、参考人ででも出てきていただいて。ぜひそういう機会をつくっていただきたい。そして、せっかく積み上げてきたのが企業から責任追及をされるというふうな形で、がらがらと逆戻りにならない歯どめを、やっぱり環境庁としては責任を持たざるを得ないんですから、そういう点をはっきりしたいと思うので、その点をひとつお願いしたいと思います。
  267. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 沓脱委員の御要求、先ほどの資料要求と、それから自治体関係者の方々を呼ぶ、これ、後で理事懇でちょっと御相談したいと思います。
  268. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま先生の御指摘のございました、がらがらと崩れてくるというような〜とがあっては、これは非常にまずいわけでございます。特に〇・〇二は適切ではないというぐあいにこれは私どもも申しております。いま実際にねらっているのは、みんなもうほとんどすべてが〇・〇四でございます。ですから、〇・〇四は、できるだけそれはやれれば、やったらいいと。しかしながら、既設に対しては非常に慎重にしてくれと、これはもう中小企業の問題がずいぶんございます。それから大企業でもスペースが本当にないものがございます。それだけは慎重にしてくれということをはっきり言っております。しかし、〇・〇六を超えているところは、新設に対して厳しく臨もうと思えば、これはもう本当に一生懸命やろうというならば相当の条例ができるということは間違いないと思います。  そういうことで、どう言いますか、いままでのいろんなこの条件が、ある意味で日本は非常に採れの多い活動をしておりましたが、今度はこれを基礎にして、アセスメント、それから基本法と、あるいは条例とが、いかにかっちり組んで、それに対して大気汚染法がどう組むかということの問題を実は今回の告示で打ち出してきておるということでございます。ですから、これをやはりレールにきっちり乗せるのは一年以上かかると思います。けれども、これは自治体とは論争は論争でやるが、しかし、対策対策で進めようということの線においては余り食い違いがないというぐあいに感じております。
  269. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がもういよいよあれですので、最後にしたいと思うんですけれども、先ほど小平委員も御指摘になりましたけれども、安全率の問題と、それから先日発表されたNO2の発がん助長の疑いという点ですね。ベンツピレンとNO2の混在のときのニューヨーク大学の医学部の、これは動物実験報告ですからね、これはまあ動物実験報告でそういう疑いが出たというわけですからね、軽視するわけにいかぬと思うんですね。追跡調査は必要だと思いますけれどもね。裏でも表でもないというふうなしろものじゃないと思うんですね、やっぱり。その点では、やはり安全率を見なかったという点については、非常に大きな問題を残していると思うんです。というのは、たまたまこの大気部会の会議録をいただきまして拝見をしていたら、これに書いておるんですな、三十一ページに。安全率を見たかといって質問が出ているんですね。そうすると、鈴木委員が「WHOの場合は安全率を見ているが、私たちがここに出したのは安全率を考えなくてもよい判定条件だからストレートに」持ってきていると、これは参考人として来ていただいたときにおっしゃったと同様だと思うんですね。だから、当然行政としては、幅のある数値が出た場合には下限をとってそれに安全係数を掛けるというのが、これは疫学上というんですか、公衆衛生上の常識だということは明確に言っておられるんですが、いや安全率を掛けなくても大丈夫大丈夫と言われるのは、これは発がん助長の疑いなどというものが出てきた以上、やっぱり一層国民の中に不安を巻き起こすと思うんですよ、この点では。もう答弁は余り欲しくないんですがね。  そこで、最後に長官に聞きたいと思いますが、さっき私ちょっと申し上げた産構審の財界、関係業界と通産省とがどんぴしゃり、癒着どころじゃなくて一体になってやっているというやり方。それで情報は全部筒抜けで、それの対策をやって、論議をやって、修正加筆して持ち寄っているというようなことを、こういう事実を長官は知っていましたか。御存じだったですか。
  270. 山田久就

    国務大臣山田久就君) そういうような事実はわれわれは承知しておりません。
  271. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 知らなかった。——御存じなかったんであれば、これは私、具体的な事実で御指摘申し上げているので、国民の前にこのことが明らかにされて以来、今度の数値の科学性というものが改めて問われるという新しい段階へ来ておりますから、これは何としてもいろんな疑惑を政府の責任によって晴らすといって、晴らすことというのが大気部会の申し合わせの第一項目でもやられておるんだから、そういう点での疑惑を晴らすためにも、これは環境基準の白紙撤回をやって、少なくとも再検討をするべきだと思いますが、どうですか。
  272. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いろんな問題について、この専門委員会においてそれがどの程度の影響力を与えたかと、結論についてですね。これは繰り返し申し上げているとおりでございます。まあ二、三いろんな点についての御指摘もございました。しかしながら、その結論に他の大多数の人が引きずられてそして結論に到達したんだと、そういうことは、私は、神聖な専門家のためにも他の皆さんのためにも、そういうことを考えたくもないし、また、そういうようなことは全くないと私どもは確信しております。したがって、そういう立場においてこの問題はきわめて客観的、良心的に受け入れていくべきものではないかと、こういう判断を私はここで変えることも一また、新たな御指摘と受け取ってはおらないということを申し上げておきたいと思います。
  273. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 初めは知らなんだと言うて、今度は全くないとは何事ですか。いいかげんな答弁しなさんなよ。知らなんだということと、全くないということとは全然違うことですよ。知らなかったことをいまどうして全くないと否定するんですか。事実に基づいて追及しているんじゃないですか。知らなんだんだったら、ちゃんと調査をしなさいよ。事実、ちゃんと資料をあげますから調査してごらんなさい。そんな無責任な答弁で済むと思っているんですか。
  274. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 私は、その点についての調査のことを申し上げているんじゃありません。審議会における、これが影響して結論を変えるだけのものになっているかどうかということについて、繰り返し申し上げておるように、そういうものというふうにわれわれは受け取っておらないということを申し上げている次第でございます。
  275. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 答弁をすりかえちゃ困る。
  276. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 一言だけ補足申し上げます。  きょう提出しました資料の御説明をさしていただく機会が全然ございませんでしたが、これはやはり審議会の中の専門委員会が議論されたのは全部学問的な根拠があるものでございます。そういうことでございまして、何にもおかしなことはおっしゃっておらないということは事実でございます。最後の判定条件を出すところまでは、全然議論がずっと何も問題なく整理されております。最後の判断を下すときの議論がいろんな角度からの議論が行われたということでございまして、その行われた議論は、全部WHOとかあるいはナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスとか、みんな根底のある議論でした。その議論をもしも抜きにして審議会が、専門委員会として結論を出していたら、日本の中では通るかもしれませんが、国際的には、日本というのは何とラフな科学的な検討するだろうという議論が起こることも、これまた必然でございます。  そういうことで、きょうは御説明できませんでしたが、この中に、その根拠やそういうものはすべて明らかにしておるということだけ申し添えさしていただきます。
  277. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後に、私、長官の御答弁納得できないということを申し上げて、時間がありませんので、終わります。
  278. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五十分散会      —————・—————