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1978-03-02 第84回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安永 英雄君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 土屋 義彦君                 赤桐  操君                 遠藤  要君                 中村 太郎君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 藤田  進君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        北海道開発庁予        算課長      岩瀬多喜造君        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        経済企画庁物価        局審議官     水田 治雄君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁長官官房        会計課長     佐藤 毅三君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁水資源局        長        飯塚 敏夫君        国土庁大都市圏        整備局長     国塚 武平君        国土庁地方振興        局長       土屋 佳照君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設大臣官房会        計課長      加瀬 正蔵君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        環境庁企画調整        局環境管理課長  望月 美之君        通商産業省生活        産業局窯業建材        課長       大高 英男君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      津沢 健一君        労働省職業訓練        局技能検定課長  佐藤 仁彦君        建設大臣官房技        術参事官     北野  章君        建設大臣官房官        庁営繕部長    狭間  勇君        自治省行政局振        興課長      矢野  始君        自治省財政局財        政課長      関根 則之君        自治省税務局固        定資産税課長   吉住 俊彦君    参考人        全国建設業協会        専務理事     村田 義男君        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        日本住宅公団理        事        有賀虎之進君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (今期国会における建設省関係提出予定法律案  に関する件)  (昭和五十三年度建設省国土庁及び北海道開  発庁予算に関する件)  (建設行政及び国土行政基本施策並びに建設  省及び国土庁関係予算に関する件)  (日本住宅公団家賃値上げ問題に関する件)     —————————————
  2. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会参考人として、全国建設業協会専務理事村田義男君及び日本住宅公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  まず、今期国会における建設省関係提出予定法律案概要について政府から説明を聴取いたします。粟屋建設大臣官房長
  5. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 第八十四回国会提出予定法案につきまして御説明を申し上げます。  建設省提出予定法案は三件でございまして、うち二件が予算関係法案でございます。  予算関係法案は、まず第一に、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案でございまして、これは昭和五十三年度初年度といたします第八次道路整備五カ年計画策定する必要がございますので、これに関連して所要関係規定整備、改正を行うものでございます。  予算関係法案の第二は、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案でございまして、住宅建設に係る貸付金償還期間延長等を行うものでございます。この二件につきましては、すでに提出済みでございまして、衆議院建設委員会に付託されております。  残る一件は、既存建築物避難施設整備促進に関する法律案でございまして、百貨店、デパート等既存の特殊な建築物に対しまして、一定避難施設整備させるとともに、これに必要な資金あっせん等措置を講ずることを内容といたしております。なお、この法案につきましては、いままでいろいろ御審議を煩わしておるわけでございますが、建設省といたしましては、昨年の八月以来、学識経験者関係行政機関関係業界の代表を集めまして懇談会を設けまして、自来八回程度にわたりまして会合を開き、現在技術的な基準を詰めるべく鋭意会合を重ねておるところでございます。その検討の結果を待ちまして提出をいたしたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  6. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 次に、建設省関係予算概要について説明を聴取いたします。粟屋官房長
  7. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 私から総括的に、「建設省関係予算の大綱」というのがお手元にございますが、それに沿いまして御説明をいたしました後、各局長から御説明を申し上げたいと存じます。  建設省関係昭和五十三年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百五十五億一千四百余万円、歳出三兆三千七百十五億八百余万円、国庫債務負担行為四千二十八億九千九百余万円でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出三兆八千二百二十四億余万円、国庫債務負担行為四千二百四十二億六千四百余万円を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計について、まず道路整備特別会計では、歳入歳出とも一兆八千六百四十七億五千七百余万円、国庫債務負担行為一千四百九十三億四千九百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも八千六百九十億一千五百余万円、国庫債務負担行為一千三百六十五億八千六百余円、都市開発資金融通特別会計では歳入歳出とも四百四十七億四千五百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出九百十四億二千百余万円、国庫債務負担行為五百九十七億一千四百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策都市対策国土保全水資源対策道路整備等、各般にわたる国土建設施策推進してまいる所存であります。  以上でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  8. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 次に、建設省各局別予算について順次説明を聴取いたします。大富計画局長
  9. 大富宏

    政府委員大富宏君) お手元の「計画局関係予算説明資料」で説明させていただきたいと思います。  まず、二ページをお開きいただきたいと思いますが、計画局関係四つ柱がございまして、第一は宅地供給推進でございます。1、2、3、4と書いてございますが、宅地開発公団関連施設整備事業助成基金造成交付金、それから宅地開発等関連公共施設等整備事業助成金住宅宅地関連公共施設整備促進費、それから宅地供給関係調査等でございます。第二番目の柱が、建設業等に関する施策推進ということで、建設業等振興建設労働資材対策推進等、いわゆる行政部費でございます。その次は、国際協力推進。第四、その他といたしまして、地方開発整備建設経済分析充実等、いわゆるこれも行政部費等でございます。総額国費が三百十七億五千三百余万円ということになっております。  それから三ページは、宅地開発公団宅地開発事業住宅公団宅地開発事業住宅金融公庫宅地開発融資総額で六千六百十五億三千九百万円、大体前年度——横ばいでございます。  それから四ページをお開きいただきたいと思いますが、四ページに宅地供給推進ということで、五十三年度予算で盛り込んでいる施策を五本ほど挙げております。省略いたしまして、六ページの各論に入ります。  六ページは、宅地開発公団宅地開発事業でございまして、宅地開発公団は四年目の事業年度に入るわけでございますが、事業費五百二十億八千四百万円、国費が十億でございます。施行面積三千三百ヘクタールについて事業推進することになっておりますが、二つほど目新しいものを書いてございますが、関連施設整備事業助成基金を増額するため基金造成交付金十億を交付する。いままでに八十五億積み立てておりましたので、九十五億になるわけでございます。それから造成単価を引き上げました。いよいよ新聞等にも出ておりますけれども、現在、宅地開発公団は茨城県の竜ケ崎でやっておりますが、この一月二十日に千葉県が四十年ごろから始めました北千葉ニュータウンを一緒にやることになっております。  それから八ページの住宅公団でございますが、住宅公団につきましては、総事業費三千九百四十九億円をもって事業を実施することになりまして、新たに七百ヘクタールの開発に着手することになります。細かいことについては省略をいたします。  それから十ページが住宅金融公庫宅地開発融資でございます。これも総事業費二千百四十六億をもちまして、取得千四百ヘクタール、造成二千ヘクタールにつきまして融資を実施することになっております。造成単価を上げるとともに、ここで特記事項といたしまして、(2)に書いてございますが、民間宅地造成融資対象地域を三大都市圏、百万人以上ということがいままでの融資対象でございましたが、五十三年度はおおむね五十万人以上の地方中核都市通勤圏にまで融資対象地域を広げたということでございます。これは日本開発銀行につきましても、十三ページに書いてございますが、開発銀行融資対象地域金融公庫と同様に広げております。  それから十四ページでございますが、十四ページは関連公共公益施設整備についてまとめてございますが、ここで特記事項といたしまして(1)に書いてございますが、「三大都市圏等における公的及び民間事業主体による住宅団地建設及び宅地開発促進するため、これらに関連して必要となる道路河川下水道及び公園整備に要する事業費について、通常の公共施設整備事業に加えて別枠で補助を行う。」ということで、国費三百億円と書いてございます。これは住宅局の方にも同時計上になっております。  主なものを御説明いたしました。あとは行政部費等でございますので省略させていただきます。
  10. 安永英雄

  11. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 「都市局関係予算説明資料」によりまして御説明を申し上げます。  まず、二ページ、三ページをお開きいただきますと、都市局関係予算総括表がございます。都市局予算一般会計道路整備特別会計に大別されますが、下水道公園などの一般会計小計が中ほどの欄にございますように、事業費一兆六百三十七億四千五百万円、国費五千八百七十六億五千五百万円、街路区画整理、再開発都市高速道路などの道路整備特別会計小計が下から四行目にございますように、事業費七千三百四十三億四千四百万円、国費三千八百七億七千五百万円、この二つ合計事業費一兆七千九百八十億八千九百万円、国費九千六百八十四億三千万円で、これに国土庁に計上しております地域振興整備公団地方都市開発整備等業務予算を加えた都市局関係予算合計が一番下の欄にございますように、事業費一兆八千二百四十四億八千九百万円、国費九千六百八十五億八千万円でございまして、伸び率は三ページの左の一番下の欄にございますように、事業費で三五%、国費で四三%となっております。  次に、各事業ごとの主要な事項について御説明申し上げます。  まず、四ページ、下水道事業でございますが、昭和五十一年度から発足いたしました第四次下水道整備五カ年計画が来年度は第三年度目に当りますが、累計進捗率が四五・三%になる予定でございます。  次に、八ページ、公園事業でございますが、公園事業につきましても、来年度は第二次都市公園等整備五カ年計画の第三年度目に当たるわけでございまして、その累計進捗率は四八%になる予定でございます。また、天皇陛下御在位五十年記念事業一環として設置する国営昭和記念公園建設に着手することといたしておりますが、建設省といたしましては、立川基地跡地を有力な候補地として検討を進めているところでございます。また、九ページでございますが、防災的役割りを持つ都市公園整備促進するため、三大都市圏等における一定規模以上の都市公園用地費につきまして、補助対象拡大を図ることといたしております。  次に、十三ページ、都市開発資金でございますが、都市施設用地買い取り資金貸付対象都市を六都市追加して三十都市とすることといたしております。  次に、街路事業についてでございますが、昭和五十三年度から第八次道路整備五カ年計画策定することといたしておりまして、昭和五十三年度はその初年度としての事業促進することといたしております。なお、かねてから望要の多かった自転車駐車場整備につきまして、十五ページにございますように、三大都市圏またはおおむね人口五十万以上の都市圏の鉄道駅周辺等で行われる一定規模以上の自転車駐車場整備に対し、新たに補助を行うことといたしております。また、土地区画整理事業、市街地再開発事業につきましても、所要予算を計上し、事業促進を図ることといたしております。  次に、二十六ページに飛びますが、桜島火山の噴火による宅地下水道施設等への連続的な降灰を除去する事業を新たに都市災害復旧事業として実施することといたしております。  最後に、三十一ページでございますが、大都市地域における震災対策推進するため、避難地避難路周辺不燃化促進するための防災建築事業に関する計画を作成する地方公共団体に対し、新たに補助を行うことといたしております。  以上でございます。
  12. 安永英雄

  13. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 河川局関係予算を御説明いたします。  まず、二ページ、三ページをお開きいただきたいと思います。一番左をごらんになってわかりますように、河川局としましては、治水事業海岸事業、急傾斜地崩壊対策事業、以上の国土保全の改良的な事業と、その下に書いてございますように、災害復旧関係事業を所管しております。この治水事業の中は河川ダム砂防、機械に分かれております。  以上、治水事業海岸事業、急傾斜地崩壊対策事業合計でございますけれども、来年度事業費は一兆八百三十三億一千八百万ということでございまして、前年度と比べてみますと、事業費で一・三五——三五%の伸びになっております。災害復旧関係事業は二千六百八十七億二千六百万ということで、前年比〇・六六というふうでございます。前年に比べて下がっておりますけれども、これは昨年度災害が非常に少なかったということで、事業費的には下がっておりますけれども、事業量的には十分災害復旧をやっていけるということでございます。  次に、四ページでございますが、第五次治水事業五カ年計画との関連でございます。五十三年度は第二年度に当たるわけでございまして、その累計進捗率は三三・四%という次第でございます。  治水事業推進でございますが、五ページの真ん中から少し上に書いてございますけれども、激特事業を強力に推進すると同時に、総合的な治水対策推進するということでございます。五十一年の大災害にかんがみまして、河川改修というものが、施設整備が第一義でございますけれども、あわせまして流域におきます保水あるいは遊水機能の確保など総合的に水害を軽減していこうということが新年度におきまして軌道に乗りつつある年でございます。その一環としまして、ここに書いてございますように、雨水貯留事業新規着手、それから土石流災害防止のための土石流危険区域設定基準等策定などが新規に認められておるわけでございます。  次に、河川事業でございますが、六ページに入りまして、真ん中から下の方に多目的遊水地事業対象河川拡大を図るということと、雨水貯留事業新規着手がうたわれておるわけでございます。当然、激特事業による災害対策あるいは中小河川改修促進をもちろんやっていくわけでございます。新規直轄河川としましては、七ページの一番上に書いてございますように、高瀬川——東北でございます、これが新規になるわけでございます。  次に、河川総合開発事業でございます。八ページでございます。河川総合開発事業におきましては、多目的ダム、河口ぜき、流況調整河川及び治水ダム建設あるいは湖沼の開発を強力に推進していきたい。と同時に、五十二年度から新規に発足いたしました緊急水利用高度化事業、いわゆる下水処理水も活用した水資源開発というものもやっていきたいというふうに考えてございます。次に、十ページでございますけれども、十ページの一番右でございますけれども、五十三年度は二百八十ダムを施工するという次第でございます。  次に、砂防事業でございます。これも災害対策とあわせまして土石流危険区域設定基準等のための調査策定というものを新しくやっていくということでございます。  次に、十三ページの海岸事業に入りたいと思います。海岸事業におきましては、新しい問題としましては、特定海岸としまして、十九市町村につきまして特定海岸を新しく拡大指定していきたいという次第でございます。  次に、十四ページの急傾斜地崩壊対策事業でございます。これは新年度におきましては前年比八〇%、一・八倍というふうに大幅に伸ばして促進を図りたいということでございます。  災害復旧関係事業でございますが、下から六行目に書いてございますように、桜島連続降灰除去特別対策事業というものを新年度から行っていきたいという次第でございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わりたいと思います。
  14. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 次に、浅井道路局長
  15. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お手元資料道路関係予算の御説明を申し上げます。  一ページをお開きいただきたいと思います。五十三年度道路関係予算は、第八次の道路整備五カ年計画初年度といたしまして、計画に基づく事業推進することといたしております。総額が、一般、有料合わせまして、合計事業費で三兆三千十九億ということになっております。前年対比一・二八倍、これに要する国費が一兆六千五百八十六億でございます。  二ページから五ページにわたって総括表がございますが、これを御一覧願いたいと思いますが、一般道路伸びは一・三二倍、対当初で一・三二倍ということになっております。中身といたしまして、比較的伸びで目立っておりますのが、中ほどにございます市町村道関係が一・四三倍、それ以外は大体一・三倍前後の伸びになっております。四ページの有料道路ごらんいただきますと、前年対比一・二一倍でございます。これに要する国費が一・一〇倍ということでございます。各公団別にはごらんのような姿の伸びになっております。総計で事業費が一・二八倍でございます。  六ページ、七ページに財投関係総括表がございますが、道路関係公団合計財投総額が一兆三百六十五億でございます。これに自己資金等を加えまして、事業規模総額は一兆八千百五十九億二千八百万ということになります。前年対比で一・二一倍でございます。  八ページ以下に重点事項が書いてございますが、まず八ページの第八次道路整備五カ年計画策定につきましては、この表のようなことで、二十八兆五千億の内訳は予備費七千億で、予備費を除きますと二十七兆八千億ということになります。一般有料道路を合わせまして二十兆三千億、一般道路が十三兆五千億、有料道路が六兆八千億、地方単独が七兆五千億ということになります。第七次の計画と比べますと、総額では一.四六倍ということになります。五十三年度事業は、このうち二八・四%の進捗を図るという内容になっております。  九ページ以下は、第八次の五カ年計画重点事項を中心に事業を積み上げたものでございまして、そこにございますように、まず沿道環境保全対策推進といたしましては、緑化対策事業ほかで一・二六倍という姿になっております。  交通安全対策推進は、交通安全対策事業の五カ年計画の三年度になりますので、十ページの表にございますように、全体の伸びが一・三三倍ということで進捗を図ることにいたしております。  十一ページは、地方における道路整備推進ということで、一般国道の一次改築、それからバイパス等を合わせまして一・二八倍。それから十二ページにございますように、地方道整備といたしましては、都道府県道市町村道を合わせまして地方道整備が一・三四倍ということになっております。下にございますように、バス路線関係整備を五カ年計画では重点を置いておるわけでございますが、この関係事業伸びが一・三三倍ということになっております。それから十三ページに橋梁関係が一・三五倍。  都市交通対策推進といたしましては、先ほど御説明もありましたが、十四ページ以降、幹線、街路バイパス等整備ごらんの表のような姿で進めてまいりたいということを考えております。  十七ページに、高速自動車国道等整備推進でございますが、五十七年度まで、五カ年計画最終年度までに縦貫道概成を含みまして三千五百キロの区間供用を目途に整備を進めたいということで、五十三年度建設費、この表にございますように五千五百億をもちまして全体の整備を進めてまいります。十九ページの表にございますような新たに七区間供用を図る、合計延長が二百三十キロになります。この結果、五十三年度末の供用延長は二千四百三十二キロになる予定でございます。供用区間等は巻末の方に図面がついておりますので、ごらんいただきたいと思います。本四架橋関係は丁三九倍、建設費が三百八十二億ということでございます。これは道路分でございます。  二十ページに、有料道路関係事業でございますが、日本道路公団一般有料道路ほか地方自治体及び地方道路公社が行います有料道路融資事業等を進めることにいたしておりまして、有料道路関係全体で一・一九倍という伸びになっております。  二十一ページにございます多様化する道路整備需要への対応ということで、住宅下水道ダム、学校、圃場、その他公共事業関連する道路事業の充実強化を図るということで、この関係事業を一・三九倍に伸ばしております。二十二ページにございますように、モノレール、新交通システムの整備促進するということでございます。それから踏切道の交通安全に関する事業、連続立体交差事業等含めまして、合わせて一・二七倍。それから共同溝の整備を一・一九倍。  二十四ページに、防災・震災対策関係事業といたしましては一・三七倍。施工個所が防災対策事業四千三百カ所、震災対策関係が八百二十カ所ということで考えております。それからその下に、避難路整備ということで三百五十五億を計上いたしております。  それから、維持修繕関係事業は一・二四倍ということでございます。  以下、四公団等の内訳が書いてございますが、詳細の説明は省きまして、以上で簡単でございますが説明を終わらしていただきます。
  16. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 救仁郷住宅局長。
  17. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 住宅局関係予算概要を御説明申し上げます。  まず、一ページから二ページに予算総括表がございます。一ページの方が事業費で、二ページが国費になっておりますが、住宅対策費の計が下から五、六行目のところに出ておりますが、事業費で四兆三千億余りということになっております。対前年度伸び率が二五%ということでございます。それに対応しまして、国費が五千八百六十億余円ということで、対前年度比三四%増ということになっておるわけでございます。その他、住宅局所管といたしましては、市街地再開発事業等が別途ございます。それから三ページには財政投融資計画でございまして、住宅金融公庫日本住宅公団を合わせまして、財投の計のところをごらんいただきますと、三兆二千億程度ということになりまして、二三%増ということになっております。特に住宅金融公庫につきましては、財投の伸び率が対前年度比四五%というような伸びをいたしておるわけでございます。  それから四ページに、建設省所管住宅建設計画戸数でございます。まず、一番下の総計をごらんいただきますと、五十三年度計画戸数が七十一万八千三百二十戸ということで、対前年度当初比十三万六千五百二十戸増ということに相なっております。内訳につきましては、まず公営住宅でございますが、これは残念ながら事業執行上を勘案いたしまして一万戸減、それから改良住宅が一千戸増、トータルいたしまして国庫補助住宅では九千戸減ということになっております。次の公庫住宅につきましては、個人住宅の四十五万戸、十五万六千戸増を中心といたしまして、トータルといたしまして五十五万戸、十六万三千戸増ということになっております。日本住宅公団公団住宅につきましては、これも事業執行上を勘案いたしまして四万戸ということで、二万戸減ということにいたしております。その結果、トータルとして七十一万八千三百二十戸、十三万六千五百二十戸増ということになっているわけでございます。  五ページに第三期住宅建設五カ年計画進捗率が出ておりますが、これは建設省所管だけでなくて、各省それから地方公共団体、そういった公的な援助のある住宅の五カ年計画進捗表でございますが、これは五十三年度計画まで入れますと、六二・七%というような形に相なるわけでございます。  そこで、六ページ以降、個々の事業につきまして細かい説明がございますが、これは省略いたしまして、住宅予算の来年度重点事項というふうなことをかいつまんで申し上げたいと思いますが、第一は、ただいまも御説明いたしました建設計画戸数の大幅な拡大を図ったということでございます。それと同時に、五カ年計画にあわせまして質の向上、特に規模増を図ったということでございます。  それから第二番目は、住宅建設促進のために負担軽減措置をいろんな面から図ったということでございます。第一番目は住宅金融公庫融資限度額の引き上げ、それから公庫の土地つき融資拡大、それから三番目は償還期間の延長、それから五十三年度措置として、一年の据え置きというような措置をとったわけでございます。  それから民間住宅ローンに対しまして、税制上住宅取得控除制度を拡充いたしまして、最高三万円プラスいたしまして、六万円、三年間の最高の税額控除ができるような措置を考えているわけでございます。  それから第三番目は、先ほど申し上げました公営住宅公団住宅を中心としました計画的な住宅建設、これの阻害要因が非常にたくさんございまして、そのために建設がおくれ、建設計画を削減せざるを得ない状況になっております。  したがいまして、そういった計画的ないわゆる住宅建設宅地開発促進のための隘路打開に重点を置いたわけでございまして、第一は、先ほど計画局長からお話し申し上げました住宅宅地関連公共施設整備促進事業というものの創設を図りまして、住宅対策費の中に従来の公共事業費と別枠に三百億を計上して、そうして執行といたしましては、従来の通常の公共事業に加えてこれを執行していくということにいたしたわけでございます。それから第二番目は、公営住宅につきまして、事業がなかなか円滑に進んでいかないその一つの原因としまして、用地の先行取得の制度がございませんでしたが、それを公営住宅の敷地整備事業というものを創設いたしまして、二万戸分用地の先行取得整備ができるような補助制度を新たに設けたわけでございます。と同時に、大都市におきまして公営住宅建設というのが建てかえ事業が中心になってまいりますので、そういった建てかえ事業がスムーズにいくような各種の制度の創設も図っているところでございます。  以上、簡単でございますが、住宅局関係の御説明を終わらしていただきます。
  18. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 狭間官庁営繕部長
  19. 狭間勇

    説明員(狭間勇君) 官庁営繕関係でございます。  お手元の二ページ、三ページに総括表がございますので……。一般会計の官庁営繕費におきまして二百五十八億でございます。これは対前年度当初比一・一八となっております。次に特別会計でございますが、特定国有財産整備特別会計で九百十四億二千万、これは対前年度当初比一・三〇でございます。合わせまして、一番下の欄にございますように、一千百七十三億でございまして、対前年度当初比一・二七となっております。  以下、重点的なことをかいつまんで二、三申し上げますと、まず五ページでございますが、中央官庁でございます。諸般の事情で着工がここ数年見合わせられておりました中央官庁につきまして、ここにございますように、中央合同庁舎第五号館と通商産業本省第三期、これの着工が認められたわけでございます。まず、中央合同五号館でございますが、一応入居を予定されておりますものは、労働省、厚生省、国土庁、環境庁でございまして、これにつきまして一億八千九百万の工事費が認められたということでございます。それから通産本省の第三期でございますが、これは特許庁を中心として新たに入居する予定でございます。これにつきまして一億九百万でございます。以下、これをベースにしまして、五十六年度あたりで竣工いたしたいと思っておるわけでございます。  次に、地方合同庁舎につきまして、七ページでございますが、継続、新規、それから調査工事でございます。継続が最初の四件でございまして、新規が江差以下の五件でございます。調査工事につきましては、留萌、穴水、岡山と三件でございます。  次に、十ページにございます港湾合同庁舎でございます。継続は四件でございまして、新規着工が一番下の宮古一件でございます。さらに新しく調査工事が平生、千葉、銚子と三カ所認められております。  次に、十一ページでございますが、ここで一番下にございます項目でございますが、それが最近社会的に問題になっております身障者対策の施設整備ということで、細目ではございますが、一応認められたわけでございます。  以下ずっと省略さしていただきまして、現在官庁営繕といたしまして一番大きなプロジェクトとなっております筑波につきまして、二十二ページと二十三ページに各会計分をまとめてございます。いろんな会計でやっておるわけでございますが、ここにございますように、一般会計の官庁営繕費といたしまして来年度は三十億、それから特定国有財産整備費で八百四十九億、合わせまして八百八十億でございます。  なお、このほか各省の予算もございますが、これらを合わせますと、筑波研究学園都市につきましては、全体計画額四千二百十億に対しまして契約ベースで八七%、歳出ベースで七八%の予算化を見ることになるわけでございます。したがいまして、五十四年度概成は十分達成できると思っておるわけでございます。  以上でございます。
  20. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 次に、国土庁関係予算概要について説明を聴取いたします。河野国土庁長官官房長。
  21. 河野正三

    政府委員(河野正三君) お手元にお配りいたしております資料のうち、活版刷りの「昭和五十三年度 国土庁予算概要」というものにつきまして重点を御説明申し上げます。  まず、四ページをお開き願いたいと思います。これは予算の総括でございますが、一番下の欄をごらんいただきますと、五十三年度国土庁予算総額は二千四十一億四千万でございます。倍率は、一番右の端に書いてございますが、二八%の増でございます。中身が公共事業関係費と行政部費とに分かれております。一番上の行に書いてございますが、公共事業関係費は一千七百九十八億二千万、倍率が一・三二でございます。企画調整官庁としての国土庁にとりまして重要な行政部費は二百四十三億二千万でございまして、対前年度伸び率は、公共事業費と違いますので、大変少ないことになっておりまして一・〇六。しかしながら、この行政部費の中の(6)に「地域振興整備公団事業推進」という欄がございますが、これは地域振興整備公団事業に対する利子補給金でございますが、これを除きますと、対前年度一・一〇というふうに行政部費もどうやら伸ばしていただきました。  五ページへまいりまして、財投の関係でございます。一番右の欄の合計欄で、事業規模につきまして御説明を申し上げたいと思います。地域振興整備公団は、五十三年度事業規模一千六億円でございまして、前年度に比べますと二百四十七億の減になっております。これは景気が最近大変悪いということを反映いたしまして、工場の地方進出がなかなか行われない等の理由から、事業量といたしましては、前年度からの繰越金が相当残るということで、来年度の財投そのものの事業規模は一千億程度に抑えられたのでございます。しかし、前年度からの繰り越し事業量を加えますと、前年度以上の仕事がほぼできることになっております。下から三行目に水資源開発公団という欄がございます。来年度事業規模は一千五百六十七億円でございまして、二二%の伸びに該当いたします。北海道東北開発公庫、東北開発株式会社、それぞれ多少の伸びを見たのでございます。  以下、個別の問題につきまして、主だったもののみにつきまして御説明申し上げたいと思います。  六ページをお開き願いたいと思います。第一の新しい国土計画推進ということにつきましては、御承知のように三全総ができましたので、これを推進するということが重要な仕事になってまいります。そこで、この一の「第三次全国総合開発計画の実施の推進」というところの3をごらんいただきたいと思います。計画の基本的目標である総合的居住環境等の整備推進する観点から、国土総合開発事業調整費を積極的に活用するということで、この国土総合開発事業調整費につきまして運用面の幅を少し広げるということにいたしました。七ページの表をごらんいただきますと、この関係の2というところでございますが、国土総合開発事業調整費、金額といたしましても一・一八倍というふうに伸ばしております。  それから八ページへまいりまして、総合土地対一策の推進でございます。この第一は、国土利用計画法という法律、これは四党で議員提案の結果できました法律でございますが、これの的確な運用を図るということでございます。中身といたしましては、土地利用基本計画の見直しを進める、それから土地取引の的確な規制措置を行っていきまして、土地の投機的取引の抑制と地価の安定を図るというところにございます。金額といたしましては、前年に対しまして五%のアップでございます。  九ページへまいりまして、3の遊休土地の利用促進につきまして御説明申し上げます。これは国土利用計画法に基づきます遊休土地制度の運用でございます。遊休土地を都道府県知事が指定をいたしまして、指定した土地の土地所有者が処分計画、利用計画を出して、そしてそれに即した活用を図ることを促進する。なお、その促進が十分に行えない場合には都道府県みずからがその土地を買い上げる、その際国から利子補給をする。こういう制度でございます。来年度はこの利子補給金が二億八千八百万ということで、前年度に比べまして、一・五一倍にふえております。来年度、この計画によりますというと、小中学校規模で申しますと、約二十校分ぐらいの遊休地を強制的に買い上げるというか、指定をいたしまして、協議によって買い上げていくということになろうかと思うのでございます。  十ページへまいりまして、地価対策の中心でございます地価公示、都道府県の地価調査、これも推進いたします。十ページの下の方の枠組みの備考欄にございますが、地価公示地点数も一万六千四百八十地点、都道府県がやります二等基準点とも言うべき基準点が二万六千六百九十地点、合計いたしまして約四万三千地点ぐらいの基準地につきまして、国の予算によりまして国及び都道府県が一等、二等の基準地の地価を調査をするということになるのでございます。この結果出ました適正な地価が、各道府県知事が行っております国土利用計画法に基づく価格の審査の中心的な基準になるということでございます。  十一ページへまいりまして、国土調査でございます。下の表の備考欄にございますが、地籍調査調査面積は四千二百平方キロ、前年度よりも伸ばしております。単価は、ここに書いてございませんが、九%アップということで是正をいたしております。  十二ページへまいりまして、水資源対策でございます。この十二ページの下の方の枠組みの中に、水資源開発事業費四百六十九億七千六百万というのが書いてございますが、これは主といたしまして水資源開発公団が行いますダム開発、水路の設置等に対します国費分を掲げたものでございます。つまり、治水利水からいたします国の補助金交付金でございます。前年度に比べまして一・二一倍でございます。  次に、十三ページへまいりまして、水源地域対策の推進でございますが、これにつきましては説明を省略さしていただきます。  十五ページへ飛びまして、第四の大都市圏整備でございます。この大都市圏整備計画の作成をいたさなければならないことになります。三全総に基づきまして、それと調整をとりながら、中部圏計画、近畿圏計画を本年度中につくるつもりでおります。首都圏計画は五十二年度中につくったわけでございます。  次に、十六ページへ飛びまして、十六ページの上の方の表の中に、一番最後でございますが、「7、大学等高等教育機関移転促進及び学園都市」云々という調査費がございます。これは三千万でございますが、この部費によりまして、八王子その他の、大学が大都市地域から外周部に出てまいります場合のそれそれの地域につきまして調査をいたしまして、その地域の整備を図っていこうということの基本的な調査費でございます。ちなみに申し上げますと、八王子市のごときは十八大学が出ていくというようなことでございまして、大変都市の様相も一変するというようなことでございまして、事柄としては過密対策として重要なことでございますので、こういう基本調査をやろうとするものでございます。  4の筑波研究学園都市建設につきましては説明を省略いたします。五十四年概成は間違いなくできそうである。来年度は最盛年を迎えるということでございます。  十九ページへ飛びまして、地方振興推進でございます。三全総ができましたので、これとの整合を図りながら、東北、北陸、中国、四国、九州のブロック計画を本年度策定しなければならなくなります。  さらに、二十ページへまいりまして、地方定住構想推進のための地方都市整備地方の農村の整備ということにある程度予算が増額になっております。二十ページの下の枠組みをごらんいただきますと、地方都市整備促進関係が、倍率が四・二三となっております。この備考欄に書いてございますように、この一億一千万をもちまして高次都市機能整備計画策定調査、つまり地方の定住圏の中心都市の医療、高等教育機関等の再配置等を考える基本計画策定していく。これは十圏域でございます。また、地方都市整備パイロット事業といたしまして、伝統的文化環境保存地区の整備が三地区。これは福岡県の柳川その他を考えております。さらに積雪都市のモデル街区の整備、これを二地区ほど選んでやっていきたいということでございます。  二十一ページの農村総合整備につきましては、この下の表の一にございます農村総合整備計画調査費、これは第二期の農村総合整備計画の五カ年計画の二年度分に当たるものでございますが、三億二千九百万。この計画ができますと一地区十億円単位の事業費が農林省の方から出てまいるというような仕組みになっております。さらに、この表の一番下の農村定住条件整備検討調査費、これが新たに五地区やることとされたのでございます。  二十二ページへまいりまして、地域振興対策といたしまして従前からいろいろやっておりますトピックものがございますが、この二十二ページの下の表の過疎地域総合センター、二十三ページの表のちょうど真ん中辺にございます高齢者生産活動センター、さらに下から二行目ぐらいにございます基礎集落圏防雪体制整備事業等がそれぞれ前年度以上に伸びを見ております。  二十四ページへまいりまして、離島の関係でございますが、この表にございますように、離島振興事業費は初めて一千億の大台に乗ったのでございます。対前年度伸び率は一・三八でございます。その事業重点は港湾、漁港、空港というところに金額が一番重点が置かれております。なお、伸び率といたしましては下水道が一番高いわけでございます。  二十八ページの最後の災害対策へ飛びたいと思います。本年度はこの災害対策の充実に相当力を注ぎました。その結果、この二十八ページの表にございますように、災害対策総合推進調整費という新しい項が新設されることになりました。前年度予算額という欄に六千三百万という数字が書いてありますが、これは予算経理上の便宜ここに置いたものでございまして、全く新しい事柄でございます。この二億二千五百万という総合推進調整費によりまして、臨時応急的な調査であるとか、あるいは各省の災害対策の穴を埋める仕事であるとかいうようなことをやることができることとなりました。  二十九ページへまいりまして、大地震等に備えまして中央防災行政無線網の整備も行うこととなりました。以上、災害対策につきましては相当の充実を図ったつもりであります。  なお、このほかに大規模地震対策特別措置法という法案を現在用意をいたしておりますが、近い将来国会に提案をさしていただこうということになろうかと思います。  最後に、三十ページに三全総関連の経費の総括表を掲げておりますが、御参考までにごらんいただきたいと思います。  以上でございます。
  22. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 次に、北海道開発庁予算の概要について説明を聴取いたします。吉岡総務監理官
  23. 吉岡孝行

    政府委員(吉岡孝行君) お手元に「昭和五十三年度 北海道開予算説明資料」という白いパンフレットがお配りしてございます。これに基づいて御説明いたします。  まず、一ページ、二ページに総括表が載せてあります。この二ページの一番最後の合計欄を見ていただきますと、ここに北海道開予算総額が載っているわけでございます。五十三年度予算額の合計は五千八百三十四億でございまして、対前年度三三%の増でございます。  一ページに戻っていただきまして、一ページの一番上の北海道開発事業費、これが公共事業費に当たるわけでございます。この総額は五千七百四十億で対前年度三三・四%の増でございます。このうち建設省関係事業は一の治山治水の中の治水事業、それから海岸事業の一部、それから2の道路整備事業、それから飛びまして4の住宅対策事業、それからその次の5の下水道環境衛生等の事業でございます。これらの合計はここには書いてございませんが、全体で三千二百七十五億円になりまして、対前年度比三一・五%の増、開発事業費全体の中の五七・一%に当たります。  御承知のように、北海道開発事業費につきましては北海道開発庁に一括計上されますが、その執行に当たりましては、工事諸費を除きましては各省に移しかえ、またはそれそれの特別会計に繰り入れて実施することになっております。建設省関連分として移しかえ、また繰り入れをする額はこのうち二千九百九十八億円でございまして、対前年度比三四%の増、開発事業費全体の中に占めるシェア五二・二%に当たります。  それでは、順次各事業概要について説明さしていただきます。  最初に三ページ、治水事業でございます。その総括表が五ページに載っているわけでございます。五十三年度国費総額は全体で七百九十五億九千万円、対前年度比三六・六%の増でございます。うち、河川が六百十七億、ダムが百十七億、それから砂防が五十九億、機械が一億八千三百万ということでございます。  三ページに戻っていただきまして、まず河川事業につきましては、いわゆる重要水系の改修を進めるとともに、五十年の六号台風等による災害の発生した河川、それから河川改修のおくれている中小河川等の改修を重点的に促進することとしております。それからまた、いわゆる激特事業促進することとしております。それから三ページの一番下にあります河川環境の保全及び整備につきましては、新たに札幌郊外の茨戸川の浄化対策事業に着工することとしております。それから河道整備につきましては、新たに天塩上流及び厚別川の河道整備に着手することとしております。それからダム事業でございますが、直轄の多目的ダムとしまして継続事業なり調査推進するほか、新たに小樽内ダム建設に着工することとしております。それから補助多目的ダムにつきましては、新たに高見ダム建設に着工することとしております。それから四ページの(4)のところにありますように、ダム周辺環境整備事業として、新たに岩尾内ダム事業に着手することとしております。それから(5)の砂防事業につきましては、新たに新規の直轄事業として忠別川の事業に着手することとなっております。以上が治水事業概要でございます。  それから七ページに海岸事業の内訳があります。海岸事業の全体は国費で三十七億四千九百万円で、対前年度比二九・三%の増でありますが、このうち建設省関連一般海岸事業は十六億一千九百万円で、対前年度比二六・三%の増であります。  次に、八ページ以下に道路整備事業が載せております。十ページがその予算額の概要でございます。五十三年度予算国費総額は千九百五十億で、対前年度比二八・三%の増であります。ごらんいただきますとわかりますように、この中で一般国道については二次改築が三九・九%の増、それから地方道につきましては市町村道が三六・九%の増、それから交通安全対策が三九・三%の増、街路が三二・七%の増、こういうような点に重点が置かれているわけでございます。  八ページ、九ページをちょっとごらんいただきますと、一般国道につきましては、いわゆるバス路線なり交通不能区間等の道路整備を進めるほか、札幌、室蘭、旭川、函館等のバイパス等事業促進することとしております。それから、いわゆる直轄地方道開発道路と申しておりますが、これにつきましては、新たに中川・幌加内線の整備に着手することとしております。それから先ほど申し上げましたように、日常生活の基盤となる市町村道整備重点を置いているわけでございます。それから交通安全対策事業については、歩道及び道路標識等の整備重点的に促進することとしております。  次に、十五ページに飛んでいただきまして、住宅対策事業でございます。公営住宅につきましては、五十二年度六千六百戸、うち第一種が四千百戸、第二種が二千五百戸を予定しております。それから、これは先ほど建設省の方からも御説明がありましたが、新たに敷地の先行的整備に対し補助を行う制度を設けることとしているほか、いわゆる関連公共施設の備整について、一般事業に加えまして別枠で補助する制度を創設することとして、北海道分として、その下の表にありますように十億を計上しております。  次に十六ページ、下水道環境衛生等でございます。十七ページにその予算額の概要を載せておりますが、下水道事業国費として全体で二百五十二億三千百万円でございます。それで、対前年度比五三・四%の増になります。下の注の欄に書いてありますように、いわゆる特別地方債を含めました国費相当額では三百三十二億三千百万円で、対前年度比四五・五%の増になります。それから公園等は三十五億五千八百万円で、対前年度比三六・八%の増でございます。十六ページに書いてありますように、下水道整備につきましては、各都市の公共下水道事業推進するとともに、石狩川、十勝川における流域下水道並びに石狩湾特定公共下水道の各事業促進することとしております。さらに特定環境保全公共下水道事業につきましては、阿寒湖、大沼、支笏湖などの事業を大幅に促進するほか、新たに三カ所で事業に着手することとしております。  次に、公園でございますが、いわゆる広域利用を目的としました国営公園を新たに北海道においてその整備に着手することとしておるわけでございます。これは札幌の郊外の滝野地区に整備予定しております。次に、公園等の補助事業については、住区基幹公園なり都市基幹公園整備重点的に進めるとともに、大規模公園等についても計画的に整備を進めることとしております。  以上、北海道開予算のうち、建設省関連事業概要について御説明申し上げました。どうかよろしくお願いします。
  24. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 以上で説明は終わりました。  これより建設行政及び国土行政基本施策並びに建設省及び国土庁関係予算について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  25. 赤桐操

    赤桐操君 まず、大臣の所信表明並びに趣旨説明等についての質問に入りまする前に、去る二月の九日に建設委員会において論議をされました日本住宅公団の家賃の引き上げをめぐりまして一応お伺いをしておきたいと思います。  二月二十七日に、大臣は公団の家賃引き上げの認可をされました。しかし、これで今回の家賃問題が解決したわけではなくて、問題はこれからであろうと思います。  そこで、ひとつお伺いいたしたいと思いますることは、二月九日の建設委員会で、委員長から最終的に申し入れ事項をいたしておりますが、これをめぐるその後の取り扱い等につきまして詳細に御説明を願いたいと思います。
  26. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 委員長からお示しのありました要望事項につきましては、承認に当たって一部内容を変更するとともに、実施に当たって配意すべき事項を具体的に指示をしたところでございます。  その内容を申し上げますと、申請の内容を変更した事項は、実施期日は、二カ月延期して、昭和五十三年九月一日としたことでございます。次は、敷金の追加徴収は行わないことといたしました。  配意するよう指示いたしました事項は、まず第一に、老人世帯、母子世帯、心身障害者世帯のうち、生活に困窮する世帯について、生活保護世帯に対する特別措置に準じた措置を講ずるように指示いたしました。  次に、今回の増収分は、昭和五十四年度以降に管理開始する住宅の家賃の抑制に要する費用には充てないことといたしました。充てないよう指示いたしたのであります。  それから三番目に、入居者に対し引き続き家賃の変更の趣旨の周知に努めるように指示いたしました。  四番目に、未入居住宅等及び長期未利用地についても、別途その解決に全力を挙げて当たるよう指示をいたした次第でございます。  概略、以上でございます。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 いまの御答弁の中で、五十四年度以降については、その増収分を新しい家賃の抑制には使わないと、こういう答弁でございますが、それならば、五十四年度以降の家賃抑制は依然としてしなきゃならぬはずでありますし、その対策はどのような対策をとられるのか、伺いたいと思います。
  28. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 五十四年度以降につきましても、先生御指摘のようにある程度の当然家賃抑制が必要になろうかと思います。その対策といたしまして、まず第一番目は、やはり公団建設コストの引き下げということに努力すべきことが第一番でございます。それから第二番目は、そういった建設原価の引き下げのために、関連公共公益施設の負担軽減を図るために政府といたしましては最大限の援助をいたすということが第二番目でございます。それから第三番目は、そういった配慮のもとに相当程度の家賃の抑制ができると考えておりますが、そのほか今回の家賃の値上げ以外のたとえば空き家の増収分とか、あるいは五十四年度に一部家賃の変更をいたしますが、そういう分とかを回して、そして五十四年度以降の家賃の抑制に充てたいというように考えております。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 その場合、国による予算措置等は考慮されておりませんか。
  30. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいまのところ私どもが考えておりますのは、関連公共公益施設の負担の軽減を大幅に図っていきたいというように考えている次第でございます。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 次に、公団側と入居者側との関係から家賃というものは構成されていると思うのでありますが、いわゆる契約事項として成り立っている両者の関係から見まして、やはりこの実施というものは、入居者の理解と納得というものが大前提になると思います。これを周知するというように答弁されておりますが、周知した程度でそういう結果が得られるかどうか、この点について、ひとつもう一遍御答弁を願いたいと思います。
  32. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) これは、御理解を願うためにいろいろ御説明するというようなことでございます。単に周知ということでなくて、私どもは理解を得られるような周知をしてほしいというように考えている次第でございます。
  33. 赤桐操

    赤桐操君 次に、今回の家賃の引き上げをめぐりましては、これは建設省だけで行ったのではなくて、経済企画庁との間にかなりの協議が行われているように思います。経済企画庁に伺いたいと思うのでありますが、そうした経過を経て一応家賃の値上げということになったわけでありますが、今日の状態は不況下でありながらも物価は依然として上がっておる、こういう状況にございます。こうした中で公団家賃の値上げというものは当然これは民間住宅の家賃問題に波及するし、さらに地代などへの影響等も当然出てくるわけでありますが、こうしたものに対する波及の問題、さらに物価への影響予測、こうしたものについての説明を願いたいと思います。
  34. 水田治雄

    政府委員(水田治雄君) 企画庁からお答えいたしますが、本年の一月十五日に建設省から協議がございまして、この委員会でも御審議されたようでございますが、四十二万五千戸弱につきまして新旧住宅相互間の不均衡が著しい。維持管理費等の面から、その他相当の理由をもちまして協議がございまして、それ以来企画庁内部におきましては慎重に審議をいたしたわけでございますが、企画庁の立場と申しますのは、いま先生御質問ございました物価等に与える影響という観点が中心になるわけでございますが、今回の家賃変更の必要性なり理由は、これはやむを得ないものとして認めるとともに、物価に対する影響ということにつきまして試算をいたしますと、消費者物価につきましては、今回の引き上げによりまして〇・〇二%の影響ということが一応試算されるわけでございますが、さらに先生いま御質問になりました民間住宅との関係ということでございますが、これも十分御承知のように、三十一年以来これまでに改定が行われなかったということで、かなり低い水準に住宅公団の四十七年までの家賃水準があるわけでございますが、その間に民間住宅家賃というのは逐次改定が行われてきておりまして、したがって、今回この改定が行われることによりまして、民間住宅家賃は、もうかなりそのときどきに合わせまして改定が行われてきておりますので、ほとんど影響がないと思われるわけですが、一つのまあ御参考になる数字を申し上げますと、公団住宅家賃、御承知かと思いますが、平米当たり三十一年では百十二円ということでございます。その当時の民間住宅家賃が、これは建設省の地代家賃実態調査でございますが、三十一年で百三十四円ということでございます。これが四十七年には、公団住宅の家賃が平米当たり二百八十九円で、三十一年を一〇〇にしますと二五八になっておるわけでございます。それに対して民間住宅家賃は百三十四円が六百六円七十銭ということで四・五三倍になっておる。これは建設省の地代家賃実態調査の数字でございますが、こういう調査の数字も参考にいたしまして、先ほど申しましたように民間住宅家賃は四倍半ぐらいになっておる。公団住宅の家賃は二・五倍。これは三十一年だけじゃなくて、その後四十七年までに公団建設してきましたものが、逐次そのときどきの家賃を取っておりますので、これ相当の格差でございます。二百八十九円と六百六円を比較しますと二倍強の格差になります。  こんな数字も参考にいたしまして、民間住宅家賃との間にはほとんど影響は与えないんじゃないかということで、先ほど来建設大臣からお答えになっております両院の建設委員会における要望もつけまして、要望についての建設省措置というものもつけた上で協議がありましたものでございますから、企画庁の方では内部で慎重審議をいたしました結果、これを了承するということにいたしたわけでございます。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 未利用地、あるいはまた空き家住宅についても建設大臣から指示がなされているようでありますが、特にいま建てておりまする十万戸の中からも空き家が出るであろうということは九日の委員会の中でも明らかにされております。現段階で約四万戸に達しておると言われておるわけでありますが、これはなお増大する可能性を見ておかなければならないであろう、こういうように思います。そうなってまいりますると、そこには建設費に伴う諸費用の金利が一層増大をしてくるわけでありますし、一方、収入はない、こういうことになるわけでありまして、これは大変公団財政全体が危機的な状態に追い込められるだろうと思います。この状態を非常に私ども考えなければならぬと思うのでありますが、なおこれを克服していくための具体的な方法等、建設省でもいろいろ検討されているようでありますが、そうしたものを中心としてもう少し長期の展望に立った対策をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  36. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) まず、未利用地の対策でございますが、これはやはり一番の最大のネックになっておりますのは、市街化調整区域等に多くあるということと、地方公共団体のいわゆる開発の方針との調整がなかなかつかないということでございます。したがいまして、この点につきましては、公団みずからの努力もさることながら、建設省といたしましても地方公共団体との調整等については積極的に乗り出す。できるだけ早くそういったものの解決を図るとともに、重点的に先ほど申し上げました関連公共施設等の補助金についても優先的に採択いたしまして、できるだけ早く開発に着手できるようにいたしたいというように考えている次第でございます。  それから、いわゆる未入居住宅及び保守管理等の住宅、合わせまして御指摘のとおり四万戸弱現在抱えております。しかし、そのために住宅公団といたしまして現在仕掛かり中の約十万戸の住宅につきまして総点検を行いまして、昨年ほとんど一年間かかりまして仕掛かり中の住宅計画の直せるものはできる限り現在の社会経済情勢に合うような形での計画変更、設計変更等の努力を行ってきているわけでございます。しかし、よく未入居住宅の問題は遠、高、狭と言われておりますが、私どもはその中でやはり一番大きな原因となっておりますのは家賃の高の問題ではないかというように考えております。したがいまして、私ども今回こういった家賃の引き上げと同時に、五十年以降のいわゆる高の家賃の引き下げということも同時に承認いたしたわけでございまして、私どもはこの効果というものが未入居住宅あるいは保守管理中の住宅の解消に大きな役割りを果たしてくれるのではないかというように考えております。もちろんこのことだけで一〇〇%直ちに解決するとは思っておりませんが、私どもとしては現在の未入居住宅あるいは保守管理中の住宅の戸数が、今度の家賃の引き下げによりましてこれ以上増大することなく、次第に減少の方向で解消できるのではないかというように考えておる次第でございます。
  37. 赤桐操

    赤桐操君 最近の新聞の報道によりまするというと、空き家住宅を公営化しよう、地方自治体に一括で払い下げる、こういうことも出ておりますけれども、これらをめぐる動きはどんなふうになっておりますか。
  38. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 衆議院の予算委員会で大臣からお答えしておりますが、現在、日本住宅公団の賃貸住宅の空き家について、公営住宅として地方公共団体に利用してもらったらどうかというような御意見がございまして、建設大臣、大蔵大臣とも前向きに検討したいというような御答弁をされております。私ども事務的にはそれを受けまして現在大蔵省といろいろ検討しておりますが、ただ、事務的に一体どうするかというような事務的な問題の詰めがございます。しかし、私どもはそういった方向ということは基本的には正しい方向だというように考えておりますので、前向きに取り組みたいというように考えております。ただ公営住宅は、いわゆる御承知の低所得の方々にお入り願うという形で非常に地域性が強うございます。したがいまして、たとえば埼玉県営住宅あるいは千葉県営住宅というような、利用いたします場合でも、ある地域に、一つの地域に何千戸というようなそういうような需要じゃなくて、やはり低所得者の方々でございますから、地域的に非常にばらばらに小さい戸数をばらまくという必要がございますので、現在抱えております未入居住宅全部がそういった公営住宅に必ずしも直ちに利用できるということではございませんが、私どもは現在そういう地方公共団体の要望との調整もヒヤリングしておりますが、そういう形でできるものからやっていきたいというような考えでおります。
  39. 赤桐操

    赤桐操君 ここでひとつ最終的に公団総裁のこれらに対するお考えを明示してもらいたいと思います。
  40. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 過般の当委員会におきまする委員長の御要望の件についてまず申し上げますが、先ほど大臣から申し上げましたように、今回の家賃改定の承認申請に対しまする建設大臣の承認は、あの御要望を踏まえてのものと私理解いたしておりまして、先ほど大臣から詳しくお話がありましたように、敷金の追加徴収を見合わせる、あるいは二カ月実施期間を延長して九月一日からとするという条件がついております。その他、家賃改定の実施に当たって留意すべき事項が示されておるわけでございます。公団といたしましては、この条件に沿って実施いたしますことはもちろんであります。配意すべき事項につきましても、空き家や長期未利用地の解消に全力を挙げるべきことはもちろんであります。その他の条件、配意事項についても今度十分留意して努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  それからもう一つは、先ほど来のお話は、家賃改定に伴っての増収額、これは五十四年度以降に新たに管理開始するものには使わないことという趣旨が付されておるわけでございまして、五十四年度以降の供給住宅の状況、戸数とか原価とか、あるいは入居者の所得の問題とかいろいろまだ予測困難な条件が多いのでございますが、いずれにいたしましても、そういうものに今回の増収分を充てるということは極力抑制いたしまして、したがいまして、そういうものに対して対策をどうするかという重大な問題が残るわけでございます。これは先ほども局長からお話し申し上げましたように、公団といたしましても現在工事中の住宅について見直しを行っておりまして、需要に見合う供給をするということに全力を挙げておるわけであります。その他、土地の利用効率を高めるというような措置も必要であります。それから建設原価の低減にいろいろ努力をすることも当然であります。さらに関連公共施設の負担が非常に家賃等にかぶさってきておりますので、これの低減をお図り願うように今度も極力政府にお願いするということと、各種の努力をできる限り努めまして、家賃の適正水準の維持ということに努力をしてまいる所存でございます。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 家賃問題については以上で一応終わりたいと思います。  続いて、先般来の大臣の所信並びにただいまの趣旨説明等を中心といたしまして、若干の質問をいたしたいと思います。  まず、今回のいろいろの諸計画等の基本をなしている昨年十一月の閣議で決定をされましたところの第三次全国総合開発計画、三全総をめぐる問題から若干伺ってまいりたいと思います。  この三全総は、三十七年に策定された全国総合開発計画、さらに四十四年の新全国総合開発計画、これらに次ぐ、まあ言うなれば第三番目の計画であろうと思います。しかし、これには第一次、第二次のこうした計画の変遷があるわけでありまして、今回の第三次のいわゆる三全総の策定に当たっての基本的な問題、それからその策定の背景、こうしたものについてまず原則的にひとつ伺っておきたいと思います。
  42. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 第一次全国総合開発計画が国民所得倍増計画との関連策定されたことは事実でございます。それで、国土の有効利用を大いに図ろうとして経済規模を十年間で計画の想定では約二倍としたのでありまするが、それが三倍近くに伸びたのであります。その結果が遺憾ながら国土利用の面で過密過疎が進むという結果が出たと思います。そういうことでありましたので、第二次の全国総合開発計画におきましては幹線交通体系の整備、いわゆるネットワークの整備、そして大規模のプロジェクトの実施によりまして人口、産業の分散を進め、地域の特性を生かした生活圏の整備充実を図ることを目的といたしたのでありまするが、この第二次の場合におきましては、大規模プロジェクトにつきまして社会経済情勢の変化や環境問題の深刻化等によりまして、計画規模の縮小や目標達成時期の延長など、あるいは開発計画の凍結などの必要を生じたわけであります。また、非常に経済成長が強かったために生活関連社会資本の整備がそれに十分応じ切れなかったという事実があると思います。そういうようなことが新しい生活圏の整備がおくれる要因になりまして計画の意図を十分に達成ができなかった。そういう経過から今回の三全総ということになったと思うのでありますが、経済の高度成長から安定成長への移行ということをまずねらいにしております。それから国土資源の有限性というものが非常に顕在化してきた、あるいは食糧やエネルギー資源についての国際環境の不安定性というものがこれがクローズアップしてまいりましたし、また国民意識の変化等がございまして、経済的、社会的変化を勘案しての定住構想をこれから推進しなきゃならない。総合的な居住環境の整備を図ることによりまして人口と産業の地方分散を定着させて国土の均衡ある発展を期そうと、まあこういうことになってまいったと思うのであります。  言葉が十分でございませんが、概略申し上げますると、そういうような経緯であると思います。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 経過については一応わかりましたが、問題は、その新全総から三全総に移行するに当たって、これはやはり大変この新全総自体の中にも問題があった、そうした経過の中で三全総に移ってきているわけでありますが、高度経済成長という中で進められてきた第一次、第二次のこの計画と、それから三次のこの場合とはやはり根本的に違いが出てきていると思いますが、それにしてもやはり新全総のやってきた経過というもの、その実績の評価というものがきちんと明らかにされていないというと、これは三全総に取り組むに当たりましても不十分なものになってくるだろうと思うんですが、この実績評価というものは今日まで明らかにされていないと思いますが、こういう問題についてはどうですか。
  44. 福島量一

    政府委員(福島量一君) 三全総の策定に当たりましては、新全総の総点検という作業を昭和四十八年以来続けてまいっておるわけでございまして、その結果は逐次公表して実はまいったわけでございます。  どんな内容のものかと申し上げますと、一つは巨大都市問題とその対策、これは四十八年八月に公表しております、二番目が土地問題とその対策、これが同じく十月。それから三番目としまして地方都市問題、これが五十年八月。それから四番目として自然環境の保全にかかわる問題、これが同じく八月でございます。それから五番目として、計画全体の枠組みと申しますか、フレームについて検討が同じく十月。六番目に農林水産業にかかわる諸問題とその対策、これが同じく十一月。それから五十二年に入りまして工業基地の問題とその対策、これが五十二年六月でございます。さらに先ほど冒頭に申し述べました巨大都市問題とその対策のいわば補論といたしまして、幹線交通施設整備につきましての諸問題、これが五十二年の七月でございます。それからさらに、一番最後に、地域開発制度につきまして同じく五十二年の八月に点検を終えて、その点を公表しているところでございますが、こういったそれぞれの各項目を通じまして、新全総に対する反省と申しますのは先ほど大臣から概括的に申し上げたとおりでございますが、こういった過去を振り返ると同時に、一方で二十一世紀における人と国土という課題のもとに超長期展望も行っておりまして、これらの過去に対する反省と将来に対する見通しと、この両方を踏まえて三全総の計画策定したという経緯がございます。
  45. 赤桐操

    赤桐操君 三全総のキャッチフレーズとしては、水系流域ごとに全国に二百ないし三百の定住圏を設定をする、これを軸として教育、文化、医療、工業基地、こうしたものの再配置を行って、人口分散、定着化を図りたいということだと思います。しかし、三全総の定住圏構想というものは、まず漠然とそういう形では打ち出されておるんですが、具体的にこれはどんなふうに今後施策化されていくのか、あるいはまた、どういう青写真をつくられていくのか、こうしたものをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  46. 福島量一

    政府委員(福島量一君) 定住圏の整備につきましては、三全総の中でもうたわれておりますように、基本的には地方公共団体あるいは地域住民の自主的な活動にまつ、それぞれの地域の特性に応じつつ、既存の広域生活圏といった施策を基礎として推進していただくということを期待するとなっておるわけでございますが、一方、国といたしましても、この定住圏整備につきましての各般の施策を充実強化する必要があるというふうに実は考えておるわけでございます。国土庁といたしましては、庁内に事務次官を長といたします定住圏整備検討委員会を設けまして、昨年の暮れから基本的な諸問題につきまして掘り下げた検討を行いつつあるわけでございますが、一方、来年度予算等に絡みまして、自治省、それから建設省、農林省等の省庁におきまして、定住圏整備についての検討に着手したというふうにも実は聞いておるわけでございまして、これら、特に関連度の高い省庁を中心に十分意見の交換を行う、それからさらに必要があれば地方公共団体の意見も承るし、場合によっては学識経験者の判断も仰ぐというようなことを積み重ねまして、その定住圏整備の方向固めをしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  47. 赤桐操

    赤桐操君 国土庁によりますると、これは定住圏というのは、いまもう大体明らかにされてきておりますが、一つのちゃんと働きがいのある職場があり、また自然環境にも恵まれる、道路、病院等の生活環境も確立される、こういう魅力ある地域社会をつくろうというものでありまして、一応一つの考え方は出ておるわけでありますが、これと並行しまして、建設省の場合においては従来から地方生活圏づくりを展開してきております。この地方生活圏の推進との問題が私はこれから当然出てくると思うんでありますが、これらの問題についてひとつ御説明願いたいと思います。
  48. 大富宏

    政府委員大富宏君) 建設省地方生活圏は、四十四年度から大都市地域を除きまして百六十八の圏域を設定したわけでございますが、この趣旨は、都市と周辺農山漁村地域を一体とした圏域におきまして、地域住民の生活環境条件を整備することを目的といたしまして、道路とか公園下水道中小河川等の施設整備推進を図ってまいるということでございますので、全くただいま御説明がございました三全総の定住圏構想と考え方は同様でございます。  建設省におきましては、地方生活圏を設定いたしましてから、四十八年度から圏域のうち特に整備の必要性の高い圏域を選定いたしまして、事業費重点配分をいたしておるわけでございます。五十二年度におきましても四十圏域を対象といたしまして約百四十二億の事業費重点配分したわけでございます。四十八年からちょうど五年たつわけでございますので、今後やはり一つの新しい構想、三全総が出てきたわけでございますので、国土庁とも十分調整を図ってまいりたいと思っております。
  49. 赤桐操

    赤桐操君 四十年代の半ばから、一方、自治省の方でも広域市町村圏の事業に取り組んできております。そこで、広域市町村圏を推進する中でメリットあるいはデメリット、いろいろと論議が出ておりますが、こうしたものについて自治省側のひとつ考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  50. 矢野始

    説明員(矢野始君) 広域市町村圏と申しますのは、新全総の広域生活圏の構想を具体化したものであるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。そこで、発足としては昭和四十四年度から実施されておりまして、この間におきまして道路でありますとか、消防でありますとか、あるいはまた環境衛生施設、教育文化体育施設等の整備を中心といたしまして、この五十一年度までの間に累計といたしましては二兆九千九百二十億円余りの事業を実施しているものでございまして、着実に、まだ十分とは申しませんけれども、その成果は上げていると、こういうふうに考えているわけでございます。
  51. 赤桐操

    赤桐操君 いわゆる自治省側がやってきておりまする広域市町村圏の事業推進の問題、それから建設省側がやってまいりましたいわゆる地方生活圏の確立の問題、こうしたものと定住圏構想との関係が出てきていると思いますけれども、これらについてまあわれわれの方でいろいろと見ているんでありますが、自治省側の見方とか、こうしたものとの間には若干の差があるように感じておりましたけれども、こうした調整その他についていろいろと必要になってくるのではないかと実は考えるわけでありますが、そうした問題についてのお考え方はいかがですか。
  52. 福島量一

    政府委員(福島量一君) 先ほどもちょっと触れましたのでございますが、現存の広域市町村圏、それから建設省地方生活圏、こういった圏域の問題と、それから私どもが三全総におきまして提唱しました定住圏の問題、当然調整が必要になるわけでございます。基本的な立場は、こういった現存の圏域をベースにしまして、相互に意見調整をしてよりよきものに発展させる方向をとりたいということで、先ほど申し上げましたように関係省庁と話し合いに入っておるということでございます。
  53. 赤桐操

    赤桐操君 大体お話を伺っているというと、調整をしながら、どっかで線引きをしながらそれぞれの分野を決めるんだろうと思うんですけれども、問題は、やはりこれを一体どこが中心で推進していくんだということに最後はなると思うんですね。それで、どうも定住圏構想というのははっきりしない点があるんですが、構想の段階としてはわかるんでありますけれども、結局はやはり自治体が主導で地域の発展というものはつくり上げていかなきゃならぬのではないかと、こういうように私たちには考えられる。この場合に、まあその予算の面からいってもこれは国にありまするし、地方には予算もない、また権限等から見ていってもそれは国にあるし、地方にはない。こうした中で、権限もないし、予算も十分でないそういう自治体が、結果的にはこの責任だけが転嫁される、実施の荷物だけが請け負わされる、こういう形になってくるのではないだろうかと、こういうように実は考えられるのであります。こうなってくると、私どもにはどうもその定住圏というもののプログラムといいますか、実施に当たってのいろんな調整関係、こうしたものがきちんと描かれていないというと自治体側の協力も得ることができないのではないか、結果的にはこれは期待されるようなものにならないであろうと、こういう実は感じがするんですが、この点はいかがですか。
  54. 福島量一

    政府委員(福島量一君) ただいま先生のお話にもございましたように、定住圏という考え方は、確かに一部理念あるいは構想といった性格のものもあるわけでございます。御案内のように、ただいまお話にもございましたように、地方自治体が中心になってこの圏域の整備を進めてもらうということは三全総にも明記しておるわけでございますが、一方、国としてもこの圏域整備についての各般の努力はする必要があるのは言うまでもございません。そういった意味で、地方自治体がこの圏域というものを考えて整備を進める経過におきまして、どのような方向をとるべきかとか、とったらよろしいかとか、そういった点についてのたとえばガイドラインと申しますか、そういったもの、それから当然国としては政府全体として対処すべきことなんでございますが、各省各庁の事務事業というのが分担されておるわけでございますから、先ほど来申し上げておりますように、そういった事務事業というものがこの定住圏構想の具体化の過程において粗漏なくバランスのとれた形で効率的に執行されるような体制をつくるということが重要な課題だと思っておりまして、そういった意味において私どもは関係省庁にもお願いし、いろいろ意見を交換しながら協力体制をつくり上げていくということを現在進めておるわけでございます。
  55. 赤桐操

    赤桐操君 三全総は、大臣の説明にもありましたけれども、結局、新全総の中で発生した地域格差というものが非常にこれはもう問題になってきている、このいろいろの対策をとらなきゃならぬ、こういう状態の中で三全総の構想ができ上がってきておると言われておるわけであります。同時にまた、そうした形の中で一方とられておる方法としては、経済成長率の実質六%、これを前提として各種の工業基地の配置等を考えているようであります。この中で一つとられておるのが、やはり新全総の時代からの引き継ぎとして大規模プロジェクト構想がとられておるわけでありますが、このことは結果的にまた地域格差、地域福祉の非常に大きなアンバランスをつくり上げる結果になりはしないか、こういうように思うんですが、結果的に三全総が地域格差拡大への歯どめにならないのではないか、こういう実は危惧を感ずるわけでありますが、この点についてはいかがですか。
  56. 福島量一

    政府委員(福島量一君) 新全総は、先ほど大臣からも申し上げましたように、全国的なネットワークと、それを各地で支える大規模プロジェクトという方式でその全体が仕組まれておるわけでございますが、三全総の場合におきましては、先ほど来申し上げております定住構想推進というのがその骨格になっておるわけでございます。その際に、ただいま先生の方から、大規模プロジェクトは依然として新全総の思想で残る形で残っておるではないかという御指摘があったんですけれども、この三全総におきまする大規模プロジェクトの考え方につきましては新全総の場合といささか異なる局面があるわけでございます。その最たるものが、御承知のようにわが国の巨大工業基地と申しますのが東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内海といったところに集中立地しておりまして、いまや限界に近づきつつある。  一方、これからの、先ほどお話に出ました六%程度の成長を前提にいたしますと、たとえば資源の面でもエネルギーの面でも現状のままで対応し切れないという計算結果もあるわけでございまして、かたがた地域的な需給バランスの問題も考えなければならぬというようなこともございまして、いわゆる工業基地の巨大基地としましては、北海道で苫小牧東部、東北地区でむつ小川原地区、それから秋田湾それから西日本におきまして志布志湾を初めとする数カ所の工業基地の立地が必要であろうということをうたっているわけでございます。もちろんこれらの工業基地の立地に当たりましては、当然のことながら環境アセスメントその他十分の調査をして、その実現可能性を踏まえた上での計画でなければならぬわけでございますが、そういったことを図ることによって、俗に言われます太平洋沿岸ベルト地帯に集中立地しておりますところの産業の分散を図る、かたがた、これら地域におきまする脆弱な経済基盤を強化する、そうしてそこに定住条件をつくり出す、こういうことで考えておるわけでございまして、いわば太平洋沿岸地帯における立地制約、限界という、資源その他の限界を踏まえての産業立地の再編成という考え方が強く出てきておるということでございまして、いわゆる全国の均衡ある利用ということ、ネットワークを整備し、それから随所に大規模プロジェクトを配置してという、その新全総の考え方と全く違っておるかと申せば、その考え方はもちろん残っておるわけでございますけれども、同時に十年近くになんなんとする経済社会情勢の局面の転換というものも考慮に入れまして、先ほど来申し上げておるような考え方でこの大規模プロジェクトの問題を取り扱っておるということを御理解願いたいと思うわけでございます。
  57. 赤桐操

    赤桐操君 次に、三全総については、これは当然一つの構想、計画であり、個別事業計画の具体化については住民の意向等を反映しながら進めていかなければなりませんし、そのためには環境影響評価の結果を踏まえるとして、計画の一応のひとり歩きといいますか、そういうものについては歯どめがなされているように思います。そこで問題は、環境影響事前評価、環境アセスメントの問題でありますが、三全総の中ではそうした一応の考え方を明らかにしながらも結果的にはこれは検討課題にとどめてある。本来なればもう一歩進めた形でこれが打ち出されなければならないだろうと思うのでありますが、もうすでに諸外国ではこれは実施の階段に入っておりますし、歴史的には必然だと私たちも考えておりますが、三全総策定の階段で当然これは法制化の必要性についても議論されていると思うのでありますが、しかし、これは単なる検討課題にとどまっている。この経過をひとつ御説明願いたいと思うんですがね。
  58. 福島量一

    政府委員(福島量一君) 三全総におきましては環境問題を大変重視しておりまして、公害の防止なり自然環境の保全につきまして適切な考慮を払う必要があること、それから各種の施策の実施は、地域の環境保全の観点から受け入れ可能な範囲内において行われる必要があるということを力説しているわけでございます。いまお尋ねの環境アセスメントにつきましては、さらにその技術手法等の開発あるいは効果的な環境影響評価を実施するための制度等の整備を図って、適切な環境影響評価を実施する必要があるということを述べておるわけでございまして、制度を設ける必要があるということは三全総でも明記しておるわけでございます。
  59. 赤桐操

    赤桐操君 環境アセスメント法案については、大分いろいろの経過が今日まであったと思います。それで、私どもの記憶では大体一、二回にわたって流産の経過を経たように思います。五十一年の六月以降、通産省、建設省、運輸省、農林、自治、国土、環境、七省によるところの協議会が発足をしたわでありますけれども、この法案の作成の動きについては残念ながら軌道に乗らなかった。今日まで実は未成立のままになっていたわけであります。この環境アセスメントの問題については、これはもう本来的には単なる規制的な法律というよりは事業計画過程そのものを律していく性格のものだろうと思いまして、大変これは重要なものであろうと思います。しかし、いろいろの各種の計画、構想等は出されてくるし、この環境アセスメントの関係についてはその都度論議はされてきているんですけれども、残念ながらこれは流産に終わってきている。この間の経過をもう少しつまびらかに説明をしてもらいたいと思います。
  60. 望月美之

    説明員(望月美之君) お答え申し上げます。  お尋ねにもございましたように、昭和五十年の十二月に中央公害対策審議会の防止計画部会の専門委員会検討した結果のまとめということがされまして、それを受けて案文化の努力をしたわけでございます。しかし、五十一年の際には、いまだやはりさらに制度のあり方自身を十分煮詰める必要があるということで、その後関係七省庁の御理解、御尽力をいただきまして協議を続けたわけでございます。  そういうことから、率直に申し上げてみますと、昨年の際にはやはりその仕組み自身をどうしようかというところの域におかげさまで至ったように思うのでございます。当然にその際の認識として、環境汚染の未然防止を図るために、環境に及ぼす影響が著しい開発行為等については、開発に当たって事前に十分な環境影響評価を行うという認識でございまして、こういうことで、しかしなお幾つかの大きな問題もまたさらに詰めていく必要があったところでございます。そういう調整の経緯ということもまた十分に踏まえて、昨年来、庁内部で検討をし、各省庁さんからの貴重な御提言等もできるだけ取り組む気持ちで、昨年当庁としても一応のまとめをしてみたものを踏み台にしまして、現在それぞれの関係省庁さんとこの法案をつくるということで御相談をいたしておるという状況が現況でございます。
  61. 赤桐操

    赤桐操君 どうも巷間伝えられるところでは、これら二回にわたった流産の経過というものは、事業官庁相互間の大変な確執があったと、その突き上げが非常に厳しいものだったために、その都度葬られてきているというように実は私たちは報道を聞いております。果たしてそういうものであったのかどうなのか、ひとつ大臣の御答弁を願いたいと思います。
  62. 望月美之

    説明員(望月美之君) この案文、法案につきましては、各種の開発事業に共通して行われてほしいその手続を定めたいと、こういう内容でございますものですから、しかし、それらの事業というものはそれぞれ各省庁で分担をして行っておるわけでございます。そういうことで関係省庁もまた多岐にわたるし、それぞれ御所管の事業というものとの深いかかわりがあるわけでございます。それからまたそういう事務事業というものが、またすでにそれを支える法制度というものがあるわけでございます。したがいまして、新しい法制度というものが、やはりそのすり合わせといいますか、それが十分に図られていきませんと、結局は実効のある制度というふうにはなかなかまいらないおそれもあるわけでございまして、そういう点で、現在あります事務事業の進め方と、そしてそれを支える制度というふうなもののすり合わせに非常に努力が要るというところなわけでございます。
  63. 赤桐操

    赤桐操君 この環境アセスメント法案については、いま建設省側の答弁がなされておりますが、そういうことで進められておるわけでありまするけれども、どうもかつて私たちが期待していたようなものとは大分後退をしているように思う。言ってみれば、建設省サイドの関係になると思いますが、都市計画関係事業はすべて対象外、あるいは評価の手続、権限等については大幅に所管大臣に移譲されてしまって、環境庁長官の立場というものについては主導的なものではなくなってきているように私たちにはどうも思えるのでありますが、この点についてはどうですか。
  64. 望月美之

    説明員(望月美之君) お答え申し上げます。  お尋ねの中で触れられました、巷間、都市計画事業につきましてはこの仕組みから外すというふうなたぐいの報道もあったかと思うのでございますけれども、環境庁といたしましても、これが対象外であってよいとは毛頭考えておるところではございません。ただ、先ほどもお答え申し上げましたように、この法案が各種の事業に共通して行われる、こういうことで見ますときに、良好な都市環境を形成するということ自身が都市計画の目的であると承知いたしておりますし、そしてまた、その仕組みの中には住民参加の手続もすでに定められているところなわけでございます。ですから、そういう法体系というものとこの法案というものが一体どのようにあるのが、手続として盛り込まれるのが妥当か、そしてそれによって十分なアセスメントをしていく、こういう考え方も当然にあり得るわけでございまして、それはそれでやはり環境影響評価の手続を行うというその実効はまた上がるわけでございます。そういうことからこの仕組みを、環境影響評価法というものを前提とした場合に一体どうしたら調整のとれた手続になるかということで、都市計画法を変えることはどうかというふうな御相談も、これも調整の過程であるわけでございます。  また、私どもは、この仕組みができるということを私どもの考え方で各省庁と御相談を申し上げておる、それが任務であると受けとめて努力しているつもりでございまして、それが実効が上がるためには、やはり既存の事務事業を所管している主務大臣のお考えということで、はずを合わせて取り込まれていって動くということが実効が上がるのではないか、このように思っておる次第でございます。
  65. 赤桐操

    赤桐操君 この環境アセスメント法案というものは、どうもいろいろの御答弁を聞いておりましても、いろいろな動きを見ておりましても、結果的には開発行為者側に非常に受け入れられやすいようなものに軌道修正がなされつつある。そうなってくると、これはせっかくの三全総という新しい構想の中でいわゆる開発重視から地域福祉政策への転換、定住圏構想、こうしたものの一つの構想が明らかにされてきておりまするけれども、これとは逆な形がそこには出てくるのではないか、歯どめにはならないのではないか。開発重視から地域福祉への大きな転換が今日の大きな命題であるにもかかわらず、そうしてこそ、そういう状態であればこそ環境アセスメント法案がいま求められなければならぬ段階に来ておるにもかかわらず、どうもそういう形で軌道修正がなされ、安易な妥協で終わっていくような形が出てくるということになるというと、これは時代への逆行ではないだろうか、こういうふうに私は感ずるのですが、この点はいかがですか。
  66. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 赤桐委員の御指摘は非常に大切な点だと思います。建設省で公共事業を実施する場合に、環境との調和なくしては現在は事業促進は私はできないと思うんですね。したがいまして、いま法案があるとかないとかということはもう別として、御承知であろうと思いますが、昭和四十七年の閣議了解事項がございまするから、事業を進める上におきましては必ず環境影響調査を行い、地域住民の理解を求める、そのためには説明会なども十分行うと、こういうことでございます。  したがって、この環境アセスメント法案につきましても、先ほど環境庁の方からの経過説明等でおわかりのごとくに素案が出ておりまして、その素案につきましては建設省としても十分それにこたえる検討をしでいきたいと、こういうことで臨んでおるわけでございまするから、いま御指摘になったように、地域住民の福祉などについては、この三全総で言われていることはどうも環境アセスメントからいうと後退したんじゃないかということにつきましては、私は、そうでない、私としては、国土庁長官としてそういうことのないように推進いたしたいし、また建設省の責任の衝にある者としては、もう環境との調和なくしては事業はやれないんだと、そういうことに徹底しておるわけでございまするので、私としての所見を述べてお答えを申し上げる次第でございます。
  67. 赤桐操

    赤桐操君 大臣のそうしたお考え等が事実基底に据えられていくとするならば、この法案はやはり私はもっと速やかに登場すべきだと思うんですよ。それが今日までぐずぐずしてなかなか出てこないというのは、環境庁の本来主導的な立場に立って行われるべきこの種のものが、それぞれ所管大臣の主導型に移行しつつあるというところに私は最大の原因があると思う。これが実は今日までおくれをなしてきた最大の原因だとするならば、これはやはりいま大臣から表明された考え方に基づいて、速やかに本来のあり方に戻さるべきだと私は思うんです。総合性のある、整合性に富んだ一体的なそうした開発が行われていく、発展が行われていくという形でなければ、これはもうこれから成り立たぬと思うんでありますが、大臣、この点本当にそうお考えになられますか。
  68. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどからお話が出ておりますように、何分にも七省庁にまたがっておる問題でございまするから、その間にはいろいろ意見の出ることも現実にやむを得ないことだと思うのであります。  そこで、私は建設省の場合を申し上げたんでありますが、いまの社会経済的情勢の中にあって、環境との調和を図らずにはもうやれない。現実にもうそういうことに常に直面しておるわけでございまして、したがって、法案の作成ということについてはいろいろむずかしい点がございますが、私どもとしては、それはそれとして、おっしゃるように成案を得たい。しかし、それがなくとも、閣議了解事項もあって、われわれは努力しているということを申し上げておるわけでございまして、ただいまの御意見も十分踏まえまして、私としてはこの成案を得ることにせいぜい努力をしてまいりたいと思います。
  69. 赤桐操

    赤桐操君 以上をもって一応環境問題については終わりにいたしたいと思います。  最後にひとつ、公共投資問題と住宅問題をめぐりまして、大臣の所信並びに趣旨説明についての質問をいたしたいと思います。  大臣の所信表明並びに趣旨説明等によりまするというと、今回の公共投資は景気の回復と国民生活充実のための基盤整備だ、こういうことであるわけであります。しかし、大体その説明を受けてみるというと、内容的にはこれはいろいろの対前年比の関係はあるようでありますが、絶対額それぞれを比較対照してみるというと、依然として道路予算が非常に大きなものでありまして、その他のいわゆる下水道であるとか住宅関係であるとか、こうした生活関連の各種の施策に対する基盤整備、これらについては依然として額そのものでは大きな差があるように思います。この点についてはどのように説明をされるんですか。
  70. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) やはりこれは、たとえば下水道をもっとやりたいといっても、なかなかそれに対応するだけの準備ができておらないと思うんですね。今回他の公共事業に比較して思い切って伸ばしておりまするが、それでも下水道事業費の消化ができるかというような御批判も一部にあるようなことでございます。あるいは住宅についても、ここ五十一年、五十二年の傾向を見ながら、それから各種の施策、それは住宅金融公庫などの条件緩和あるいは税制などを考えながらも百六十万戸程度五十三年はやろうといっても、それは消化できるかと言われるぐらいでございまするので、全体の額が少ないことは認めまするけれども、この生活環境関係については現在やり得る見通しの上に立って目いっぱいその予算をお願いしたと、こういう次第でございます。
  71. 赤桐操

    赤桐操君 公共投資の問題では、いろいろ五十二年度でもかなり執行上努力をしたことは事実だと思うんです。しかし、結果的には景気への波及というものは残念ながら期待するようなものでなかった。今回こうした思い切った公共投資だと、こう打ち出されておるわけでありますが、果たしていまの情勢の中でこれが期待されるような波及効果を持つものであるかどうか、この点についてひとつ伺っておきたいと思います。
  72. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これはすでに衆議院側においても、また参議院の補正予算審議でもずいぶん論議をされたところでございまするが、現在の設備投資の状況あるいは個人消費の状況というものが非常に冷え切っておる中におきまして、公共投資による、財政による景気浮揚というものがこれが有効な手段であるということについては、私は大体の意見としては方向は出ておると思うんですね。ただそれに対して、もっと個人消費をふやすことがいいんじゃないか、それには減税も考えるべきではないかと、こういうようなふうに大体の議論はいっておると思うんです。したがって、恐らく御質問の御趣旨も公共投資を否定しておるものではないと思うんです。私の所管では公共事業が非常に多うございます。それで、国民の貯蓄心も非常に強い、したがって、税金とそれから国債による借金と国民の貯蓄を、かわって財政の面でこれを使っていく。そのうちにそのことによる影響が自立的な回復をもたらすものではないかというようなねらいで、私どもとしてはまず公共事業重点を置こうと、こういう主張をしてまいったつもりでございます。
  73. 赤桐操

    赤桐操君 私は、これはいろいろ考え方の相違があると思いますが、公共投資に建設関係では特に一番大きな比重を持つわけでありますが、今回のこの中で結果的に、私は総体的に見て、これはまあ予算委員会でも論争されておりまするし、参議院側の今度の予算委員会の中でも論議する予定でおりますので深く触れませんが、こうした形の公共投資、内容によると思いまするけれども、こういうあり方の公共投資というものが、期待されるような景気への波及をもたらすようには私は考えていません。同時にまた、各県のそれぞれの自治体等の様子を見ましても、果たしてこれだけのものが消化し切れるかどうか、これは過去の例でも消化し切れない事実がたくさんございます。また、私どもの周辺で動いておりまする業界の状態を見ましても、欲をかいていろいろと発注を受けてみても対策がとり切れないということも現実に言われておる。こういう状況の中で、公共投資に大変な期待を持って打ち出されたこの考え方、政策が、年間を通じてどれだけの成果を上げることができるかということについては、これはだれしも世上みんな心配をすると思うのです。この点ひとつ大臣のお考えをもう一度明らかにしてもらいたいと思います。
  74. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 赤桐委員の御質問の中にも、五十二年度も相当公共投資をやったじゃないかと、こういう御指摘もございました。そして、その公共投資の消化の状況というものは、私は率直に申し上げて順調に進んでおると思うのであります。したがって、今回建設省関係でいうと、三四、五%の伸びになっております。災害を入れるか入れないかでちょっとそのパーセントが変わりまするが、それが果たして消化できるかどうか。これは私としては目いっぱいの予算であって、消化するにつきましては相当努力をしなけりゃならぬということは認めるにやぶさかではございません。したがって、政府におきましては大蔵大臣を長とする推進本部、また建設省においても対策本部、さらには建設省の出先である地方建設局におきましては、ただ単に建設省のみならず関係各省あるいは資材関係、工事関係者も総合した連絡会なども設けて推進に努めておるところでございまして、私は、消化はこれだけの努力をしてまずできるものと、こう思っておるのでございまするから、過去の経緯あるいはわれわれの努力によって、この公共事業を軸としての景気対策は十分効果が出るものと信じておるわけでございます。
  75. 赤桐操

    赤桐操君 次に、住宅対策の問題に移りたいと思いますが、今回、住宅対策を公共投資と並行して一つの大きな柱として打ち出しておるようでありますが、住宅問題をめぐるこの情勢というのを私は大変厳しいと思うんですね。大臣の先ほどの話もありましたが、五十二年度も目標を達成することができなかったわけであります。その原因は何だということになりますというと、これは率直に言えば市町村が全部反対しておる。これはもうみんな御免だと、こう言っておるわけです。さらににまた、入居者の側から見ると、一戸建て住宅にしてもこれは高過ぎて手に入らない。たまたま公団住宅等に入ろうと思っても家賃が高過ぎる、こういう状況であります。さらにまた、民間業者の立場からすれば、今日のような採算ベースに合わないようなこういう住宅建設開発というものについては、これはとてもじゃないが民間には手に負えない、こういうことになってきておるわけであります。これらの条件が解決されないで私は住宅政策が大きな柱として推進されるということはあり得ないと思うんですね。さらにもう一つ大きな問題になるのは、宅地供給は一体可能であるのか、どうなのか。特に三大都市圏等において私はこれは重大な問題だろうと思うんです。上物を建てるということはこれは簡単にできますけれども、宅地の供給ということはそう簡単にできない。これはもう一つの住宅問題を論ずる場合のいつも出てくる大きな課題になってきておると思います。これらの状態を見て、いま考えて、政府が打ち出そうといたしておりまするこれらの政策が、向こう一年間で果たしてどういう成果をおさめ得るであろうか、どう考えてみても大変危惧されると思うんですが、大臣いかがですか。
  76. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 大変広範囲の御質問で十分お答えできるかどうかと思うのでありますが、住宅対策を実績の上から見まして、これは五カ年計画でいくと八百六十万戸、年にすると百七十二万戸になりますね。その場合、五十一年、五十二年の状況というもの、これはその計画を下回ると思うのでありますが、それには民間建設が進められるかどうかということが非常に問題になってくると思うのであります。現在、五十三年度におきまして、おおよそ百六十万戸見当、こういうことを申し上げておるわけでございまするが、これについてなかなかそうはいかないであろうという御見地に立たれたと思うのでありまするが、しかし、本日御説明を申し上げました各般の施策ごらんいただきまするならば、たとえば住宅金融公庫融資に伴う個人住宅、これは四十万戸を考えておるわけでございまするがこれにつきましては貸出限度額を引き上げるとか、あるいは償還期間を非常に有利にする、あるいは据え置き期間を設けるとか、さらには住宅ローン減税などを加える等、非常に大きく積極的な施策をしたことはお認めいただけると思うのであります。しかも十五カ月予算のこの一月における前倒しによる七万四千戸は、これはもう予定の期日よりもはるかに早く、大体もう一週間ぐらいで満杯になって締め切ったという状況もございます。  それから土地問題についての御心配をされたわけでありまするが、一つには民間デベロッパーに対する意欲が出るか出ないかという問題ですね。市町村は、団地などつくられて負担が重くなる、これじゃ困ると。こういうことで、開発条件に土地も学校も保育所も皆やれ、そうすると民間デベロッパーはそれはもう御免だ、あるいは、やったとしても非常に高くなるというようなことから、きょう御説明を申し上げました住宅関係につきましては、公共施設促進に三百億の新しい予算を別枠で計上して、そしてやるべきことにはこれは国としても大いに助成をしようという新しい姿勢をとっておるわけであります。また、民間の土地造成につきまして、従来の開発銀行住宅金融公庫からの融資につきまして、その条件緩和に努めるというような施策、それに加えてこの土地に対する重課税を緩和するというような、まあでき得る限りの工夫をいたしておるのでございまするから、もちろん心配はいたしておりますけれども、これらの施策の浸透によって所期の目的を果たしてまいりたいと思う次第でございます。
  77. 赤桐操

    赤桐操君 大臣の弁明としてはわかるんですけれども、政治の場ですから、具体的に推進されなければこれは私は問題にならないと思うんですね。それで、率直に私は申し上げるのですけれども、いま大臣の御答弁の中にもありましたが、日本の住宅政策というのは、これは民間自力建設重点に置き、いわゆる政府施策というものはその後からついている、こういう状況にあると思うんですね。公共投資の場合と比較すると私は一つ大きな問題点があると思うんです。公共投資は確かにこれは政府主導で行うことができるでしょう。景気がよい悪いには関係なしにやれる。しかし、わが国におけるこの住宅政策については、景気が悪くてふところから国民の皆さんが住宅予算を出すことができない状態にあるときは、これはいかに政府が笛を吹けども太鼓をたたいてもできないのです。これがヨーロッパにおける諸外国の例に見られるように、常態としていわゆる社会住宅なり政府施策住宅が大きく比重を占めている場合には、これは私は思い切った公共投資と同じような性格で景気の浮揚のためのプッシュになると思うんです。しかし、残念ながら日本の場合におきましては公団住宅も後退をしてきている、そして頼みの綱として考えるのは民間自力建設だと。こうなってくると、これはなかなか私はそう思うようにいかないんじゃないかと思うんですね。どだい根本的にここに大きな問題の履き違えがあるんじゃないだろうか。そういう中で住宅建設促進し、住宅政策を大きく成果あらしめるのには、これは私はいま大臣から御答弁あった程度のものでこの問題の根本的な解決にはならないように思うんですけれども、この点はどのようにお考えになりますか。
  78. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、ただいまの御質問の御趣旨はよくわかるんでありますが、ところが、現在とられておる公営、公団施策、それと民間の要望というものは、これはうまく歯車が合っておらないと思いますね。その証拠には、きょうも御批判をいただいたように、住宅公団の未利用家屋も相当あるというような現実ですね。これは通俗的には高い、狭い、遠いという御批判を受けておるわけでございまするが、しかし、一方におきまして持ち家に対する民間の意向というものは非常に強くなってきておるという事実も認めなきゃならないわけであります。それが住宅金融公庫の応募に相当強い意欲があると。したがって、民間自力についてのいま御懸念を持たれたわけでございまするけれども、住宅ローン減税であるとかあるいは土地施策が円滑にいきますれば、まだまだ持ち家に対する意向というものは非常に強いものである。また同時に、皆さん方から御批判を受けるように、個人消費の増大ということですね。この個人消費の増大で最も好ましい方向は何なんだと、こういうことになりますると、持ち家政策などが一番その個人消費を拡大するゆえんのものであると、こう思うんです。したがって、まあ先ほど私が言った程度の施策で果たしてうまくいくのかと。それはいろいろと詳しくもっと御理解を得るようにいろんな角度から申し上げなきゃなりませんけれども、限られた予算の中で政府としてやるべきこととしては相当にやっておると。また、例を挙げて申し上げたように、住宅金融公庫へのこの一月の状況を見ても相当なやはり持ち家に対する意向が強い。まあそういうことで今回の住宅政策をとっておるわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  79. 赤桐操

    赤桐操君 最後に、私は庶民の生活実態について少し申し上げたいと思うんですよ。これは私の周辺の実情でありますが、最近における半年間、さらにまたその前からの一年間、こうした状態をずうっと、ショッピング等におけるところのいわゆる奥さん方のショッピングの状態を見ますると、まあぜいたく品とかそういう物はこれは皆買わないといたしましても、最近の状態は生鮮三品の食費まで詰めてきております。これは私は庶民大衆のふところが相当厳しいということを実証していると思うんです。衣食住と言いますが、各生活共同組合等が明らかにしている実態を見ますると、生鮮三品という基本的な食い物の根本をなすものまで節約をしなけりゃならぬという状態に来ている。各店のいわゆる客数の状態を見るというと、これはほとんど変わりがない、ないしは増大をしている。しかし、実態は売り上げが特に生鮮三品を中心にしてダウンしている。こういう状況の中で、いまの庶民の生活感の中から果たして政府が現在打ち出しているようなこういう住宅政策が受け入れられるかどうか、こういうことについては大変実は隔たりがあるように私には感ぜられます。こういうことを最後にひとつ申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 午前の質疑はこの程度として、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時四十三分開会
  81. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  82. 坂野重信

    ○坂野重信君 建設省は、建設大臣以下、大変厳しい情勢のもとで公共事業の大宗を占める役割りを負われて、大臣以下日夜苦労されているわけでございますが、大臣の所信表明等につきまして、若干の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。  まず、公共事業とその経済効果というような問題につきまして、一、二お尋ねいたしたいと思います。  公共事業は、私が申し上げるまでもなく、本来は景気の動向によってどうこうするということではなくて、社会資本の充実、国民の生活関連施設整備という観点から本来推進すべきものであることは私が申し上げるまでもないことでございます。大臣の地元の問題を考えましても、斐伊川の、あるいは宍道湖の治水問題、あれは全然まだ、今度の問題点残されておりますし、中国の横断高速道路にいたしましても、もうすでにでき上がっていなければならぬものがおくれている。私、昨年ヨーロッパ、アメリカ、各国を回ってまいりましたが、長い歴史の過程の中で、公共事業というものが相当でき上がっている。社会施設というものができ上がっているにもかかわらず、わが国は、主として戦後にそういった公共事業というものが推進されたために、まだまだいろんな面で立ちおくれを示しているということから、公共事業というものはどうしても長期的な視野のもとで推進しなければならない。大変一部で心配しておりますのは、五十三年度は非常に調子がいいけれども、五十四年度以降が線香花火的にまた先細りするのではないかというような心配をしている向きが大変多いわけでございますので、その辺の問題につきまして、まず大臣のお考えをお尋ねいたしたい。
  83. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御指摘のような、公共事業を行う上に景気動向に左右されるべきでない、もうそのとおりだと思います。国民の需要に対応しての中長期の整備計画を立てまして、これに基づいての計画整備を進めるのが本来だと思います。ただ、五十三年度におきましては飛躍的な拡大を図りまして、速やかな景気回復をねらっておるわけでございまして、公共事業が景気浮揚の上に非常な効果のあることは、これまた論をまたないものだと思うのであります。そういうことで、五十三年度の非常な公共投資拡大ということが五十四年度以降どうなるのかという御心配のあることも承知しておりますが、これは坂野委員御承知のように、昭和五十年代前期経済計画がございまして、またそれを若干手直しをいたした試算もあるわけでございまして、これに基づいて御検討いただきますならば、なお相当な指数で今後の公共事業が行われる見込みでございます。わが国の経済を安定成長路線に定着させるという上におきましては、政府固定資本形成についても毎年安定的に増加せしめる必要があるのでございまするから、そういう政府の考え方に立っておりまするので、五十四年度以降、公共事業が今度は逆に大幅に抑制される、そういうことはないと申し上げておきたいと思います。
  84. 坂野重信

    ○坂野重信君 御指摘おっしゃるとおりで、公共事業というものは、いわば一定のベースフローに沿って、景気の動向によって余りプラスマイナスするということは事の性格上大変好ましくないと思いますが、五十三年度はそうも言っておれない。景気浮揚という至上命令ございまして、一定のベースフローにプラスアルファということが実情ではないかと思うわけでございます。  そこで、経済企画庁にお尋ねしたいのは、景気浮揚効果については、すでに予算委員会、各委員会で出ておりますが、改めて貿易の問題であるとか、減税、個人消費等、他の要因と比較して、どの程度の景気浮揚効果があるのか。また、その効果の判定についての考え方、われわれは素人だからなかなかわかりませんが、経済企画庁は丹念にこれらの問題を数年間勉強されておりますから、その辺のところを的確にひとつ御説明願いたい。また、時間的にどういうぐあいに効果というものが波及していくのか、その辺の考え方を御説明願いたい。
  85. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) 政府の経済見通しと申しますのは短期的な見通しでございまして、したがいまして従来から、最近の経済動向とか、いま先生おっしゃいました税制とか財政とかといったような政策、そういうものを織り込みまして、いわゆる個人消費支出とか、民間設備投資とか、民間住宅建設とかいったような需要項目ごとに積み上げ計算を行っておりまして、したがいまして、これは日本のみならず各国ともそうなんでございますけれども、推計の方法といたしましては段階的接近法というのを使っておるわけでございます。したがいまして、いまおっしゃいますように、この公共投資だけを取り上げて、それがどのような乗数効果を生み出すかというようなことを形容的に申し上げることは実はむずかしいわけでございます。しかしながら、一応推計計算を行う上におきまして各種のモデルというのがございまして、このモデルというものを参考にいたしまして一応その乗数効果というものを計算いたしてみますと、まあモデルにはいろいろございますし、企画庁の方もSP17とかSP18というようなモデルも持っておるわけでございますので、どれが一番よくてどの数字が一番正確であるかということは一概に申し上げられませんのでございますけれども、その数字を見てみますと、公共投資の場合は大体初年度で一・三ないし一・九という幅にほぼおさまっておるわけでございます。これに対しまして減税の効果は、これは例の減税論争でよく予算委員会でお話が出ておりますけれども、初年度大体〇・八くらい、そういうことでやはり景気浮揚効果といたしましては公共投資の方が減税よりはるかに大きいというのが一般的な概念であるというようにお話ししておるわけでございます。ただこの場合にいま先生ちょっと輸出の問題とおっしゃいましたんでございますけれども、輸出というのは、これは政府だけが政策的に動かしていくというようなアイテムじゃございませんので、これについて乗数効果はどうであるかということは、ちょっと乗数というものとのなじみが薄いんではなかろうか、われわれの方といたしましてはそういう乗数効果は計算しておらないわけでございます。  また、公共投資というものの効果をどのように今後見ていっておるのかというお話でございますけれども、五十二年度、また五十三年度もそうでございますけれども、いわゆる公共事業の前倒しというようなことが行われてきておりまして、事実、五十二年度におきましては、最近かなり効果が出てきておると思っておるわけでございます。たとえば建設材の生産とか出荷というようなものは、この十月、十一月、十二月、かなりいい数字が出ておりまして、だんだんとこの公共投資の前倒し、いわゆる執行の促進ということが経済面によい影響を及ぼしてきつつあるのではないかと思っておりますし、また第二次補正予算がこれから執行になりますが、これをなるべく速やかに執行し、また現在御審議をいただいております五十三年度予算というものが成立した暁にはいわゆる十五カ月予算ということで、公共投資が今後とも高水準に、しかも切れ目なく行われていくということが非常に期待されるわけでございまして、ちょうど建設材を中心とする在庫調整が徐々に進んでおりますので、こういった面をもあわせまして非常に景気浮揚という面では明るい見通しが将来持てるんではないか、かように期待しておりまして、これを時間的にいつごろどうかということを的確に申し上げるということはなかなかむずかしいことであるということを申し添えます。
  86. 坂野重信

    ○坂野重信君 まあ時間的にどういうぐあいに景気の効果が波及していくかということが、やっぱり非常に大きな経済界にとっても国民にとっても関心の的だと思うんです。経済企画庁はよく月例経済報告を出されるんですけれども、いつも平均的な数字が出るものだから、マクロ的にはいいんだけれども、やっぱりミクロ的にはいろいろ問題が出ている。これは従来からも私も指摘している。また、そういう問題についても経済企画庁は今後勉強していきたい、経済効果のそういったフォローというような問題についても勉強したいというようなことをよく歴代の企画庁長官はおっしゃっているんですが、その辺はどういうぐあいになっていますか。
  87. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) 今回の例の十五カ月予算、しかもそれをなるべく前倒しに執行していくという構想がこれから実現してまいりました場合には、われわれといたしまして、これがどのように効果をあらわすかということを申しますと、やはり前半、五十三年度の前半というものは財政主導型でまいるのではなかろうか。財政と申しますのは公共投資中心の財政でございますけれども、それの主導型で、それが年度半ばごろから民間の設備投資、民間の投資意欲というものに結びついて、後半は民間がかなり出てきて、五十三年度におきましては七%の実質経済成長を遂げるというふうにわれわれは見ておるわけでございまして、そういう意味におきましては、時間的に、前半にこの公共投資の前倒し効果というものの効果があらわれてくるんではなかろうかと思っておるわけでございます。
  88. 坂野重信

    ○坂野重信君 まあお互いに七%という大きな目標を立てているわけでございますから、この目標に向かって努力しなければならぬと思いますし、ひとつ企画庁も大いにがんばっていただきたいと思います。  そこで、公共事業の執行問題につきまして、昭和五十二年度の二次補正はすでに実行階段に移っていると思いますが、それの発注状況なり年度内の消化見込みにつきまして端的にひとつ御答弁願います。
  89. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 第二次補正予算につきましては、補正予算の計上の趣旨が、五十三年度予算と合わせまして景気の速やかな回復を図るために切れ目のない執行を図るという趣旨でございましたので、建設省といたしましては、補正予算の成立と同時に地方建設局、各都道府県に内定通知を行ったわけでございます。現在、地方建設局の直轄工事につきましてはすでに発注あるいは一部は施工の段階でございます。なお、都道府県におきましても、先ほど申し上げましたように早目に内定通知を行いましたので、現在発注の準備が進められ、間もなく施工に入ることと考えておるわけでございます。執行の見通しでございますが、第二次補正予算の計上に当たりましては、年度内に消化可能な事業を選択をいたしまして、地方建設局、都道府県と相談をして計上いたしておりますので、よほどの異常気象等の事故がない限り年度内の完全消化が可能であると考えております。
  90. 坂野重信

    ○坂野重信君 五十二年度はまあ状況はわかりましたから、ひとつがんばって悔い残しのないようにぜひお願いしたいと思います。  そこで、五十三年度予算が成立した場合の年間の進捗計画といいますか、どうせ早期発注の問題が出てくるかと思いますが、まあ早期発注といっても、余り一時期に集中しても、平準化発注というような問題もまた兼ね合わせて考えにゃいかぬのが建設省としての私は責務じゃないかと思いますが、いずれにしても早期発注というものが必然的な問題だと思いますけれども、それに対して事務簡素化であるとか、あるいは執行体制の合理化というような問題について、出先の機関なり県の末端等につきましても、まあ東京に行ったり来たり、あるいは本庁と現場の事務所と行ったり来たりするのはとても繁雑でかなわないという非常に強い要望が出ておりますから、その辺のところを踏まえて、それの体制はどういうぐあいにお考えになっているのか御答弁願いたいと思います。
  91. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 早期発注の問題につきましては、先生御指摘のように、五十三年度におきましても五十二年度に準ずるような上半期の契約率の達成目標を定めるということが現在政府の施工促進対策本部におきまして検討されておる段階でございます。いずれにいたしましても、この早期発注を図り完全な執行を図るという意味におきましては事務の簡素化、施行体制の合理化ということが必要であることは御指摘のとおりでございまして、まず事務の簡素化でございますが、建設省は過去四十四年、四十九年、五十一年と補助金交付事務の簡素化を図ってまいったところでございますが、今般建設省に設けられております公共事業施行対策本部におきまして、従来年二回行っていたヒヤリングを一回にするとか、さらに申請書類等の簡素化を図ったわけでございます。  なお、施行対策本部におきまして先般代表の土木部長会議を開きまして、土木部長の意見を聞きましたところ、さらに設計変更の際の大臣の承認を要しない範囲の拡大をしてくれという要望がございました。そこで、建設省としては現在検討中でございますが、大体設計変更は一年間に一万二千件ぐらいございますけれども、およそその半減を図るべくいま検討を進めておるところでございます。  それから施行体制の合理化の問題でございますが、これは国、地方を通じまして技術職員との問題もございますので、なるべく施行体制の合理化を図ってまいりたいと思います。これはまた建設省の施行対策本部におきまして、建設省が決めております標準設計、特定の構造物につきましては標準的な設計を小冊子にまとめておりますが一なるべくそれを使って発注事務の簡素化を図る、さらに受注業者の自主施工の促進を図る、さらに施工監督の合理化を図るためにコンサルタントの活用を図るというような方針を決めまして、管下の地方建設局長、さらには都道府県に対してもそういう方向で業務を遂行してもらうように指導をしておるところでございます。
  92. 坂野重信

    ○坂野重信君 ひとつぜひがんばっていただきまして、なるべく業界に責任を負わすといいますか、発注者側と施工者側との協力一致体制というものを、ひとつそういうもとで推進していただくようにぜひお願いいたしたい。  そこで自治省にお願いいたしたいのは、どちらかというと、いままでの統計的に見ましても、直轄工事、県の補助工事、市町村工事、県工事、だんだん下部に行くに従って早期発注というものがおくれてくるのがいままでの通例でございます。今度はそういうことがないようにということで大変関係各省がんばっておられますけれども、特に市町村工事、単独工事、補助工事を含めて、自治省としては地方財政の手当であるとか補助金の交付というような問題についていろいろ心配されているようでございますが、その辺の運び方をどういうぐあいにお考えになっているのか、御説明願いたいと思います。
  93. 関根則之

    説明員(関根則之君) 市町村の工事につきましては、御指摘がありましたように、昨年の実績をとりましても、九月末の契約状況におきまして都道府県よりも十ポイントほどおくれておると、こういうのが実情でございます。私どもといたしましては、昨年もそうでございましたが、今年度におきましても市町村を含めて地方公共団体における投資的経費の早期実施ということをお願い申し上げているわけでございます。また、財源手当てにつきましては、全く都道府県と市町村、差異はございませんで、公共事業地方負担額については原則として九五%の起債を充当する、こういうことで、ほぼ満額に近い財源手当てを起債でやってまいります。残り五%につきましては、ほとんどのものが交付税の基準財政需要額に入っておるこういうことでございますので、市町村を含めて地方団体が財源的に苦しいために公共事業の執行がおくれる、こういったことはないと考えておる次第でございます。なお、いろいろ技術者不足の問題等あるいは事務簡素化の問題等につきましては、所管関係官庁にお願いをいたしまして、その改善方を図っていただいておるところでございます。
  94. 坂野重信

    ○坂野重信君 ひとつがんばっていただきたいと思います。  そこで、業界の代表として全国建設業協会村田専務に来ていただいておりますが、業界におけるこの公共事業の執行体制、これはどうなっておるのか、消化は果たして業界として大丈夫のようなお考えかどうか、その辺の実情につきましてひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  95. 村田義男

    参考人村田義男君) 平素いろいろと建設業界の諸問題に対しまして深い御理解をいただきましたる点につきまして、あらかじめ御礼を申し上げます。  ただいま坂野先生から御質問がありました件につきましては、御承知のように総建設需要のほとんど大部分を占めまする民間建設需要が昭和四十八年石油ショック以来激減しておりまするので、今回の公共投資の大幅拡大の施行に関しましては、業界といたしましては十分消化できると、かような自信を持っております。  なお、本会といたしましても、特に中央、地方あわせまして、各都道府県協会を督励するのみならず、内部にも特に委員会等を設けましてきめ細かい体制を整えておりまするので、十分消化に関しては自信を持っておる次第でございます。ただし、ここで一言お願いの点がございますが、先ほど坂野先生からもお話がございましたが、主要建設資材及び労働力の確保並びに価格、労賃の安定対策を期する上におきましても、ぜひこの計画的な適期発注をお願いしたいという点でございます。地域的、時期的にも発注が偏りますると、資材、労働力の需要が集中いたします結果、やはり資材価格、労賃の高騰を招くようなことになりますと建設業の経営からも非常に困りまするので、かような点についてひとつ御配慮をお願いしたい。  それから当面の問題といたしましては、主要建設資材の中で販売原価や製造原価を下回っており値上げ要求が出ているもので若干の修正はやむを得ないと、かような面もわれわれも折衝過程で見受けられまするので、新年度の設計単価の決定に当たりましては、そういう実情を御勘案の上、ひとつ実勢価格の反映について御配慮願いたい、かように存じております。  それから第三点といたしましては、全国でいろいろ工事が行われまするので、主要建設資材につき地域ごとの的確な需要予測に基づく生産量の確保並びに流通面に対しましても強力な指導をひとつぜひ関係省庁からもお願いいたしまして、年度途中におきまする値上がりがぜひ生じないようにいろいろ御措置願いたい。業界といたしましても、関係業界団体とは密接な定期協議を持って自主的にも解決を図るつもりでおりますけれども、この方面に関しましてもよろしく関係省庁の御援助、御協力をお願いしたい。  以上でございます。
  96. 坂野重信

    ○坂野重信君 どうもありがとうございました。業界の実情につきまして、時間がないからはしょって御説明なさったと思いますが、問題点がそこで指摘されましたので、われわれ党の立場におきましても最善を尽くしたいと思いますし、また大臣以下関係省庁におきましても、ぜひともこれらの問題につきまして御配慮願いたいと思います。  そこで、通産省が見えておると思いますが、いまお話のありました建設資材等につきまして、若干お尋ねいたしたいと思います。  われわれが全国を回っておりますと、建設業協会、関連産業等から、セメントの問題、生コンの問題あるいは骨材の問題等についての価格の動向でございます、これが一体どうなっているかというような問題をいろいろ聞かされるわけでございますが、そういった今後の価格の見通しといいますか、動向というものがどうなっているか、セメント業界にしても大変厳しい時代を経てきたわけでございます。生コンにいたしましても、低迷の状態からようやくこの公共事業の華やかな時代を迎えようとして、ともすれば値上げをしたいというような欲望が恐らく出てくると思いますし、欲望というよりもそういう願望があって、非常に厳しい時代を経てきたので、ひとつ立ち上がりたいという気持ちじゃないかと思っております。骨材にいたしましても、非常に稼働率というものがいままで低かった。しかし、何といってもこれは通産省が中心になって、通産省がそういう建材業種をやっておるわけでございますから、稼働状況というものをよく踏まえて、値上げの問題よりもやっぱり稼働率の向上というものにひとつ通産行政としては重点を振り向けるべきである。さっき話がありましたように、年度の当初の設計積算段階に間に合うように、ある程度のやむを得ない値上げはやむを得ないと思いますけれども、年度の途中において不適正な値上げというようなことになってまいりますというと、一方において独禁法違反ということにもなりかねないような状況も出てくるわけでございますから、その辺のところは通産省としてはユーザーに対して、そういう値上げのやむを得ないような場合には、できるだけ納得の上で、よく説明をして、そして円滑な形でひとつ値上げをするならばするように、しかし、その間においても年度途中において値上げするということは、これはどこかにしわ寄せが来るわけでございます。発注者側に来るか、中間の建設業者に来るか、末端のそういった資材の生産メーカー、その辺に来るか、これはいずれにしても好ましいことではないわけでございますから、その辺の問題を踏まえて通産省としてどういうぐあいな考え方で今後指導されていくのか、その辺をひとつ端的に総括的に御答弁願いたいと思います。
  97. 大高英男

    説明員(大高英男君) お答え申し上げます。  セメントの市況につきましては、五十年以降低迷を続けておりましたけれども、昨年実施いたしました不況カルテルの効果、また最近におきます公共事業の活発化によります需要の増大等によりまして、昨年秋以降徐々に改善されておりまして、現時点ではコスト割れの状況は解消したものと考えております。今後につきましては、供給余力が十分あることもございまして、需給逼迫によります価格が大幅に上昇するというふうなことは考えておりません。また、生コンにつきましても、最近の需要増とともに、各地におきます協同組合によります共販事業の浸透によりまして、新規契約分の価格につきましては、同様昨年秋以来改善をされてきているわけでございます。しかしながら、生コンの場合には販売契約は長期にわたるものが多いためメーカーは安価な旧契約を大量に抱えておりますので、実際の販売価格は新契約価格を大幅に下回っておりまして、企業収益は依然として水面下にございます。また、これに加えまして、原材料の約半分を占めます骨材につきましても採算割れの状態にございまして、こういったことから市況の上昇が予想されることもございまして、生コンにつきましては今後市況は強含みで推移するものと考えられております。しかし、生コンにつきましても、供給余力は十分あることもございまして、需給逼迫等から来る価格の高騰といった事態はないものと思っております。  また、骨材につきましては、先ほど申し上げましたように価格が四十九年当初の水準を下回っておりまして、その後、人件費、輸送費等の諸コストが上昇していることもございまして、今後適正な価格までの値上げというふうなことが起こるかと存じます。しかしながら、これらのいずれの建設資材も基礎資材としての重要性にかんがみまして、万一にも価格の高騰というふうな事態が起こりますと、今後の公共工事その他に支障を来しますので、私どもといたしましては、その需給動向等につきまして引き続き十分な注視をしてまいりますとともに、必要に応じまして業界の指導をしていきたいと存じております。  また、先ほどのお話の中で、稼働率を向上させることによってはどうかというふうなお話がございましたけれども、私どもはまさに先生の御指摘のとおりというふうに考えておりまして、各企業とも合理化努力を行っているところでございますけれども、たとえば私ども生コンにつきましては協同組合によります構造改善事業を指導いたしておりまして、過剰設備の廃棄というふうなことを通じまして稼働率の向上に努めていきたいと存じております。  それから、年度の途中での値上げは絶対行わないようにというふうなお話がございましたけれども、最近特に生コンの価格が上昇していることに対しまして、そのようなお話が起こるかと存じます。これは一遍に採算ラインへ向けての値上げを行うといたしますと摩擦がかなり生じます。したがいまして、段階的に行わざるを得ないというふうなことからそのような事態が起こっておるのではないかと思うわけでございます。しかしながら、価格が年度当初にと申しますか、年度の途中で上がることにつきましてはいろいろと支障があると思われますので、私どもといたしましては、そのようなことでなく、新年度の価格決定に当たりましては、ある程度途中での資材値上げ等のことも見込みまして、少なくとも年度の途中では値上げをする必要がないような価格で決めることが基本的には必要なことだと考えております。
  98. 坂野重信

    ○坂野重信君 大変通産省の前向きな、また見通しのいわば明るいといいますか、お話を聞いたわけでございますが、従来とかく年度の途中で値上げをしてみたり、またせっかくの設計段階に間に合わない、いまもうぎりぎりのところじゃないかと思っておりますが、その辺の設計段階に間に合うような方向で、さらに通産省のひとつ強力な御指導をお願いしたいと思うわけでございます。  セメント業界にいたしましても大変厳しいことはよくわかりますけれども、そのセメントに伴って生コン業界というのがまたこれ余り強い業界じゃないわけですから、とかく何といいますか、ストライキをやって値上げを認めてくれなければわれわれは供出しないというようなことがいままでに幾たびか行われたわけですから、もうこうなってくると、本当にこの業界自体の秩序というものが乱れるわけでございまして、また公共事業の執行にも重大な支障を来すということがあるわけですから、そういうことがないように、通産省としては今後ともひとつ十分強力な指導行政を展開していただきたいということをお願い申し上げまして、次に移りたいと思います。  労務の中で一番いま云々されておりますのは鉄筋工の問題でございますが、鉄筋工がとかく不足がちでということを聞いておりますが、その辺の実情はどうか。そうなってきますというと、鉄筋工が少ないためにこの鉄筋工の一人当たりの単価というものは上がってくるかと思いますが、その辺の実情を踏まえて、積算等についても適正にひとつその辺を見るような指導が必要じゃないかと思いますけれども、その辺についてのひとつ建設省の御見解をお願いいたしたいと思います。
  99. 大富宏

    政府委員大富宏君) 先ほど建設業界からもお話がありましたように、十分業界はこれだけの事業量の消化能力があるというお話でございますが、いま御指摘になりましたように、建設業全体の就業者、労務者は推進本部では約十七万人増とはじいておりますけれども、これは心配はないといたしましても、問題は技能工でございます。ことに鉄筋工、型枠工なんかが四十八年の石油ショック以降絶対数が減少してまいりましてなかなか回復しない、ことに技能工の老齢化が目立つ、こういう状況でございます。今後健全なやはり建設業を推進するためには良質な若年労働力を確保するとともに、こういった一番重要な技能工養成に力を入れなければならないだろうと思っているわけでございます。現在、この問題につきましても業界が大変配慮をいたしまして、業界団体もこの鉄筋工、型枠工を初めとする技能工の確保に大変な努力をいたしております。職業安定所と連携を強化して技能実習等を活用しながら短期養成を考えていくというふうなこともやっているわけでございますが、その他労働省の施策といたしましても、公共職業訓練施設等における工場訓練とか再訓練とか、あるいは離職者、転退職者の能力の再開発ということで、まあ一遍にそう熟練工は養成できませんけれども、やはり三カ月とか六カ月という短期研修をやりまして賄っていくということも計画的にやっておられるようでございます。建設省といたしましても、業界あるいは労働省とも十分連絡をとりながら、技能工が不足なために事業が確保されないということがないように配慮いたしたいと思います。
  100. 坂野重信

    ○坂野重信君 昨年の七月でしたか、建設省建設振興対策基本方針というものを策定して発表されたわけでございますが、その中で二、三それに関連いたしましてお尋ねいたしたい。  特に、このうち設計積算の問題が、これは長年の懸案でございますけれども、具体的な問題として、歩掛かりであるとか、安全管理費の見込み方であるとか、あるいは諸経費率であるとか、生コンロスとか、そういうような問題が毎回毎回業界の中でも、またその他の関係筋の中でも出てくるわけでございます。これらについてひとつ見直しをぜひお願いしたいという強い要望があるわけでございますが、その辺の進め方、またどの程度進んでいるのか、ひとつ簡単で結構ですから御説明願いたい。
  101. 北野章

    説明員(北野章君) 設計積算の問題につきましては、もうかねがね業界から非常に強い御要望がございまして、これにつきましては逐次御要望の趣旨に沿いまして改定を進めておるところでございます。特にその中で大きな問題は、先ほども出ておりましたが、直接工事費に関係ございます材料費と労力費の問題でございます。これにつきましては適時適切に時価で積算するというふうなことで統一されたルールによっておりますので特に問題ございませんが、工事原価の中で特に共通仮設費とそれから現場管理費等につきましてかねがね問題になっておるところでございます。共通仮設費の中には準備費、それから仮設費、事業損失防止施設費、安全費、運搬費役務費、技術管理費、営繕費という大きく分けまして八項目で構成されておりまして、それぞれの費目につきまして実態調査をわれわれ実施いたしまして、また業界の意見を反映しながら逐次改定してまいっております。特に最近、安全費の問題が議論になっておりまして、これにつきましては五十三年度中に改定する方向で検討をしております。それから現場管理費等の問題につきましては、五十年度に大幅な改正をやりましたが、その後発注の減によりまして固定費の増加が大きいというふうな御指摘もございますが、これにつきましては、今後の事業量の増大によります影響等を勘案しながら、今後とも実態調査を進めまして、逐次必要なものから改定してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
  102. 坂野重信

    ○坂野重信君 大臣のお考えをひとつお聞きいたしたいと思いますが、五十三年度は大変公共事業伸びがあるわけでございますが、これもなかなか未来永劫に建設業界に対するいわゆる公共事業のブームというものは、そうなかなか低成長時代を迎えて、五十三年度の状態というようなものがそう持続するとは考えられない問題があろうかと思うわけでございます。しかも建設業者の数は年々ふえてまいりまして、大中小、四十万近い、なんなんとする状態で、しかも新しくまた新規の登録業者というものも、そういった零細業者もふえてくる。これらをどういうぐあいにして今後運営していくかという問題は、大変これはもう建設省にとっても一つの大きな行政の問題、課題であろうと思うわけでございますが、その辺を踏まえて、大手、中小の建設業者に対する事業配分といいますか、まあ民間の工事はなかなかその辺の統制力といいますか、調整ということもむずかしいと思いますけれども、少なくとも公共事業を発注する際の事業配分というものについて、そのバランスというようなものをどういうぐあいな考えで今後進めていかれるのか、大臣の基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
  103. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 坂野委員よく御承知であろうと思うんですが、現在、相応の工事を相応の業者に発注するというたてまえで、これ、五十二年四月一日に直轄工事に対して工事種別の等級及び契約予定金額というのがあって、たとえばA等級であれば三億円以上、B等級であれば一億二千万円以上三億円未満というようなことでやっておるわけですが、この落札の模様を見ますると、やはりAクラスにはAクラスにふさわしい大手が、BクラスにはBにふさわしいような業者が、大体ずっとA、B、C、D、Eというふうに発注を受けております。ですから、これをその角度を変えて考えてみまするに、分野調整がこのやり方でうまくいっておるように私は受けとめておるわけでございます。ただ、たとえばEクラスは一千万円未満というふうなことになっておる、これは現在の賃金、物価の状況から見ていかがかというふうにも思いまするから、この辺の見直しということはこれは必要ではないか、まあこの五等級の問題についてはそんなふうに見ております。なお、中小建設業について、どうやって振興をしていくかと。いまの発注標準の遵守であるとか、あるいは共同請負の活用であるとか、あるいは分割発注の推進であるとかというようなことによりまして中小建設業者の受注の機会を確保する。こういうようなふうにやっていきますれば、多少ですね、来年度以降先ほど御説明申し上げたように公共事業が減る、直轄工事が減るということがありまして、こういうような自然に分野調整がうまくいっておりまするので、まずそう業界で御不満を持たれるということはないんではないか、かように思う次第でございます。
  104. 坂野重信

    ○坂野重信君 わかりました。大臣の御方針は大変結構でございますけれども、事業がたくさんあるときは余りトラブルはございませんけれども、将来、事業が縮小されるようなことがあった場合に、やはりその辺のトラブルの起きる要素をはらんでおるわけでございます。いま大臣のおっしゃいましたランクの基準の見直し等につきましても、ひとつ事務当局も大臣の意向を体して真剣に、できれば施工能力というような問題をそういった採点の中に大きく取り上げて、そういう問題を、大臣の趣旨に沿ったこの採点方式といいますか、指名ランクづけの見直しというような点につきましては、ひとつ今後とも大いに勉強をしていただきたと思います。  そこで、建設省は公共事業の約七割を分担されておりますし、公共事業のシェアというものはまさにかかって建設省にあるわけでございます。ところが、とかくいまの発注の問題にいたしましても、いろんな基準の問題等にいたしましても、やはり各省ばらばらの執行状況というものが見られるわけでございまして、これは大蔵省にやれと言いましても、予算の調整はできるかもしらぬけれども、なかなか大蔵省でもってそこまで期待するのは無理であろうかと私は思うわけでございます。また、民間建設業についてもやはり建設省というものが中心になって、そして指導性というものをひとつ強力にぜひ発揮すべきじゃないか、それがまた国の私は今後の発展につながる非常に大きな重要な問題じゃないかと思うわけございます。そういうことを考えますときに、やはり建設大臣の指導性、特に優秀な大建設大臣を迎えているわけでございますから、この際、建設省の発言権といいますか、そういうものを強化されると同時に、そのためには建設の本省なり地方建設局、あるいは県の土木部等に建設業担当の部局の組織強化といいますか、そういうものが私はぜひともこれは望まれるわけでございます。また、非常にそういった広い、強い要望がかねてあるわけでございますので、その辺につきましてひとつ大臣、ぜひともがんばっていただきまして、組織の強化等を含めてひとつ建設行政の強い展開をお願いしたいと思うわけでございますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  105. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 建設省の行う直轄工事のみならず、建設業全般についても配慮するようにというお言葉でございましたが、まあ私も、建設投資が国民総生産の約二割見当を占め、社会資本の整備など国民生活に密着した重要な産業分野でありまするから、公共事業民間事業を通じて、その効率的な執行がきわめて重要なものだと思います。そこで、建設省としては、まあ建設業法の施行を通じて、建設業者の大半を占める——四十三、四万業者がおると思いますが、基盤の脆弱な中小建設業者の企業体質の改善を図るということが非常に大事だと思います。特に国会で問題になっておるのは、元請、下請の関係、下請がいろんな点で不利をこうむっているんではないかという御批判がありまするが、これらについては合理的な体制の確立に努める。また、各種事業につきましては元請、下請の間に標準契約のようなものでその元請、下請の間がしっかりしたものであってほしいということで、こういう点については極力建設業界に対して協力を要請しておるわけでございます。  そこで、この監督官庁といいますか、建設業に対するところの行政機能をもっと強化をするようにというお話があったわけでございまするが、現在行管の方からその簡素化ということ、人員の縮小というようなことが強く言われておりまするし、またこの能率を上げる上におきまして、きょうも御説明を申し上げておるように、できるだけ合理的にやるような方法をとっておるという折からでございまするので、御趣旨は、ただ人員をふやせとかいうようなことではないと思うんであります。建設省におけるしっかりした行政能力を発揮せよということだと思いまするので、ただいま御説明を申し上げましたような見地に立ちまして、これからの適正な建設業界に対する行政を行ってまいりたいと思います。
  106. 坂野重信

    ○坂野重信君 組織の問題は、むずかしいこと、よくわかっております。その中でひとつ工夫をしていただいて、建設行政がさらに強化、拡大できるように、特に業界対策、これも非常に重要でございますから、その辺をよくお含み願って善処をお願いいたしたいと思います。  そこで、土地問題、特に宅地問題に移りたいと思いますが、もう時間が大分経過しておりますが、まず国土庁の三全総における宅地供給計画というもの、これは端的に、簡単で結構ですから、どういうぐあいに見ているのか説明願いたい。
  107. 福島量一

    政府委員(福島量一君) 第三次全国総合開発計画におきましては、世帯数の増加とそれから住宅の建てかえ需要等を考えまして、全国で昭和五十一年から六十年までの十年間に約千七百万戸の住宅建設が必要になるというふうに見込んでおりまして、これに関連しまして、新市街地におきまして約十三万ヘクタールの新規宅地が必要であるというふうに見込んでおります。
  108. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、国土庁の方も土地計画の中で宅地の供給をいまのように見ておるわけでございますが、この辺は建設省宅地計画といいますか、供給計画と合っているかどうか、また建設省の中で第三次の住宅五カ年計画に対する宅地の取得の見通しは一体どうなっているのか、お答え願いたい。
  109. 大富宏

    政府委員大富宏君) 第三期住宅五カ年計画八百六十万戸に必要な新規宅地所要量は六万六千ヘクタールと見ているわけでございます。いま国土庁からお述べになりましたように、昭和六十年とかあるいは六十五年といった長期の計画も私どもと十分相談した上、一応人口増に見合った適当な数字だと思いますけれども、ただ現在、非常に宅地供給についていろいろな制約条件がございまして、石油ショック以来、年間大体一万二、三千ヘクタールずつ出ておったものが最近は一万ヘクタール程度になっているわけでございます。当面やはり住宅建設に必要な宅地というのは、従来持っておりましたところのストックで私は大体間に合うだろうと思うわけでございますが、やはり土地造成というのは非常に長期を要するものでございますので、いま非常に民間事業意欲減退をしておるさなかでもございますので、やはり宅地供給については民間が大変な役割りを持っているわけでございますから、この辺が事業意欲を出すようないろいろな施策をやはり相当積み重ねていく必要があるだろう。午前中も御説明いたしましたように、五十三年度は新たに関連公共公益施設についての別枠の補助金を出したり、あるいは開発銀行あるいは金融公庫の政策金融を拡大したりという施策を行っているわけでございますが、今後ともひとつ住宅対策に必要な宅地というものは間に合うような施策を講じていきたいと思っております。
  110. 坂野重信

    ○坂野重信君 午前中も質疑応答がありましたように、住宅政策の中でも、何といっても宅地政策といいますか、宅地の供給の成否というものに一にかかっているわけです。ことに民間住宅の場合は宅地の取得というものができなければ上物ができないわけですから、そういう意味でひとつ宅地問題につきましても重大な関心があるわけでございますが、市街化区域内で不動産業者が所有している宅地と現存している農地の面積の比率はどうなっているのか、御説明願いたいと思います。比率だけで結構です。
  111. 大富宏

    政府委員大富宏君) 私どもが五十一年三月現在で調べました不動産業者の保有土地は十三万二千ヘクタールでございますが、そのうちに、市街化区域の中に持っているのは一八・四%、二万四千ヘクタールでございます。
  112. 坂野重信

    ○坂野重信君 比率でいい、比率で。不動産業者と農地との比率。A、B、C農地があるでしょう。それと不動産業者の持っている宅地との割合がどのくらいの比率になっているのか。
  113. 大富宏

    政府委員大富宏君) 自治省の調べによりますと、市街化区域の中の農地の面積が約二十四万三千ヘクタールでございます。いまお尋ねの不動産業者が持っている面積のこの二万四千ヘクタールの中の持っている農地の地目別の数字はございません。
  114. 坂野重信

    ○坂野重信君 いや、そういう意味じゃない。私がちょっと申してもあれだけれども、私の調べでは、大体不動産業者の持っている、あいている宅地というものは農地の約十分の一しかないということ、十倍ぐらいのA、B、C農地があるということ、それを言いたかったわけです。それでいいですか、大体数字は。
  115. 大富宏

    政府委員大富宏君) そのとおりでございます。
  116. 坂野重信

    ○坂野重信君 それで問題は、この宅地の取得ということになってくると、やっぱり市街化区域内における農地の動向というものが非常に支配的な影響を持ってくる。これに着目しなければ私は宅地問題というものは解決できない。  そこで、自治省、おいでになっていると思いますが、A、B、C農地のこの保有課税の問題、その後どういうような経過になっているのか。また、C農地がいよいよ五十四年度からこの課税の適正化の措置をとらなけりゃならぬ時期に来ているわけですけれども、その辺のひとつ考え方、対処方針、どうなっているのか。端的にひとつ、もう時間がだんだん切迫してきましたので、お答え願いたいと思います。
  117. 吉住俊彦

    説明員(吉住俊彦君) 結論的に申し上げますと、先生御承知のように、昭和五十四年度の税制改正に至るまでに現在宅地並み課税が行われております三大都市圏内のA、B農地以外の市街化区域農地の課税の適正化については検討すべきものとされておりまして、私どもまだ公式の態度を決定いたしておりませんが、他方におきましては農地は農地としての課税をするべきだという御意見もあり、他方には宅地並み課税をもっと徹底すべきだという御意見もございますので、各方面の御意見を慎重に承りながら期日までに検討さしていただきたい、かように存じております。
  118. 坂野重信

    ○坂野重信君 大変問題のむずかしいことは私もよく認識しております。ただ、宅地供給という立場から言いますと、できるだけこのA、B、C農地というものを吐き出せるだけ吐き出していただきたいというのがわれわれの宅地の方の立場から言うと強い願望であるわけでございます。C農地というと、大体市街地の中にあっても一般の調整区域内の農地と余り形態の変わらないものがあるかと思いますが、いろいろ建設省で線引きの見直しをされているわけでございますが、その中で場合によっては、これいろんな議論がありますが、C農地を市街化調整区域に一部返して、また市街化調整区域の中でも相当宅地にしやすいような立地条件のものがある、そういうものを入れかえて、そうしてこの際、余りA農地、B農地、C農地といって、ざる法的な存在のままで残すということは、まことにこれは国の行政として怠慢であり、まことに不都合なことと思うわけですから、その辺の整理の問題等も含めて、ひとつこの辺で見直しなり検討というものを慎重に早急に行うべきではないかと思いますけれども、その辺ひとつ御見解をお尋ねしたい。
  119. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 現在、線引きの見直しを行っておるところでございますが、御意見のとおり市街化区域内農地のうちの約九割がC農地でございます。そこで私どもとしましては、原則的にはこの農地の宅地化を図るということがたてまえでございますけれども、しかし、集団的な農地等で、状況の変化等によりましてこれは将来ともにもう市街化区域から外して調整区域に入れた方がいいじゃないかと思われるようなところにつきましては、これを調整区域に編入するというふうな指導を行う一方、これまた御指摘のように、現在の調整区域におきまして良好な宅地供給計画的に行われると思われるような区域につきましては、極力これを市街化区域に編入するというふうな方針で指導をしておるところでございます。
  120. 坂野重信

    ○坂野重信君 この問題を議論をいたしますと、それだけでもずいぶん時間がかかるわけですから、この辺で打ち切りまして、今後の方向といいますか、都市の再開発、立体化の問題、いろいろ住宅公団等でも批判を受けておりますが、やはり何といっても住んでいるところと職場とが遠いという、通勤にもう二時間近くもかかるということでは、やはり住宅政策としてまことに不都合だと思うわけでございます。そういうことも考え、また土地対策の立場からいっても、やはり今後の方向としては都市の再開発都市の立体化というような方向に向かって、いろいろ問題や隘路のあることをよく承知しておりますが、そういう強い方向でもってにしきの御旗を立てて、ひとつ五十四年度以降、建設省はそういう方向に私は踏み切るべきだと思うわけでございます。  都市開発にしても、単に融資をやったり行政部費でやっているようなことではとてもこれは進むわけありません。諸外国の例を見ても、一長一短はありまするけれども、ロンドンにしてもパリにしてもアメリカにしても、相当近い地域に職住接近という実を上げているわけでございますから、その辺のいいところを取り入れて、やっぱりそういう政策というものに進むべきだと思いますけれども、その辺の考え方をお述べ願って、最後にまた大臣の全般的な所見をお尋ねいたしたいと思います。
  121. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 御指摘のとおり、新市街地における計画的な市街地整備推進する一方、既成市街地における再開発促進するということはきわめて重要な都市政策の一環であるというふうに考えております。  再開発事業につきましても、一般会計融資等のみならず道路整備特別会計からも事業費を出しまして年来推進をしておるところでございます。職住近接という点から再開発事業におきまして住宅供給を図るということはなかなか価格等の面でむずかしい点もございますけれども、今後ともに努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  122. 坂野重信

    ○坂野重信君 最後に、もう時間がございませんので締めくくりで大臣に御所見をお伺いしたいわけでございます、土地問題、宅地問題はいま非常に重要な問題でございまして、しかし、その中においても、むつかしいながら五十三年度においてはかなり住宅宅地問題につきましては建設省としては前向きな政策というものをとられました。税制におきましても相当前進していると思っております。あれが実現いたしますと、私はかなり住宅宅地政策というものは前進すると思っております。しかし、たとえば土地の譲渡所得につきましても、法人の課税軽減というものは実現しましたけれども、個人についてはまだ残されている。法人についても私はやっぱりまだ譲渡所得に対する課税というようなものをさらに大幅に促進すべきだと。はやりそういうあめを与えなければ宅地というものは出てこない、そういう観点がございます。いろいろむつかしい条件がございます。ことしは、五十三年度は三百億というような特別枠もつくられて、かなり私は、民間の宅造業者に対しても非常なプラスの面を与えて、そういう面でも宅地の取得というものは、あるいは造成というものはやりやすくなったということを考えるわけでございますが、A、B、C農地の問題もあるわけでございまして、この保有税を一体強化すべきかどうか。強化するにしても、一体税のバランスからいってどの程度まで強化できるかどうかというような問題もあろうかと思うわけでございますが、こういった土地対策についての大臣の強力な指導力というものをわれわれ大いに期待しているわけでございます。こういった宅地土地問題に対する大臣の所信なり決意というものをあわせてお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 公共事業全般に思い切った施策をとったわけでございまするが、同時に土地政策、住宅政策、いずれも各種の施策を講ずることにいたしましたのは、先ほど来の御説明で御承知のところだと思います。私は幾ら国が予算を使いましても、民間の協力が得られるような方策が講ぜられておらなければなかなか目的を果たし得られない。いい例が、過去におきまして、自治体が負担がかさばると、こういうので、それじゃ民間業者に任せようと、許可条件にしたということが宅地造成に非常に障害になったわけでございまするから、今回はただいま御質問のあったような特別枠を設けて、国もあるいは地方自治体においても責任をとる、相協力してやろうと、こういうことで、その辺にいわば発想の転換があるわけでございます。それで、住宅金融公庫を通じての住宅に対し、あるいは土地に対しての施策の拡充などについても、このことによって民間個人投資、個人消費というものを拡大させようと、ある程度の国の施策がそういう民間の刺激になるようにということでございまして、ただいま御質問の税制上のさらに緩和をしたらどうかという問題につきましては、現在の税制に至る経緯もございまするが、社会経済情勢の大きく変転しておる中でございまするので、建設省としての要望として、税制問題に対して、御意見を踏まえて、五十四年度にはひとつ大いに主張してまいりたいと思う次第でございます。
  124. 安永英雄

    委員長安永英雄君) この際、村田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
  125. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、今回の大臣の所信表明の中心課題、あるいは現在日本の置かれている、景気浮揚という重大な任務が課せられておるわけでございますが、その中心になっているのが公共事業である、こういうふうに認識をしておるわけでございますが、この公共事業を中心にきょうは質疑を進めてまいりたいと思います。  近年来、日本の経済というものは大変な長期不況のもとにいわゆる総需要抑制政策というものがとられてまいったわけでございますが、これに伴いまして公共事業も実質的には縮小させられてきた、こういうふうに思うわけでございます。ところが、五十二年度から突如として景気浮揚のためにいわゆる公共事業促進が叫ばれ、関係省庁はその予算の消化にきゅうきゅうとしてきたわけでございます。五十三年度もこの傾向はさらに増大をされまして、一般公共事業費五兆一千八百三十五億円は前年度比で三四%の増ということでございます。  私は、先ほどの論議にもありましたように、この公共事業というものがこういう景気の安全弁としてだけに位置づけられるということにつきましては、これは本来の公共事業の趣旨から外れている、こういうふうに思うわけでございます。しかしながら、このような大きな予算化を目指しているというそういう立場から、果たしてこの公共事業の消化が完全にできるであろうかどうであろうか、こういったところからまた論点も進め、また検討をしていかなければならないと思います。それと同時に、公共事業というものは総合性、計画性と同時に継続性がなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、現在大臣は、今回のようなこういった大型公共事業費が組まれているわけでございますけれども、これが単年度で終わるようなことになれば、これは重大なロスもまた生まれてくるのではないかと思うわけでございますし、大きなまたひずみも生まれてくるわけでございます。そういった意味で、今回のこの公共事業の膨大な予算化が景気にどのように反映をしてくるのか、あるいはまた消化についてはどのようなお考えを持っておられるのか、それと同時に、来年度の対応をどのように考えられておられるのか、この三点についてまず伺っておきたいと思います。
  126. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) お尋ねの第一点である、公共事業を五十三年度大幅に拡大して、それで五十四年度以降の継続性があるかないかと、この点につきましては、昭和五十年代前期経済計画というものを一つの尺度に持っておりまして、それで最近の情勢から暫定試算をしておりまするが、それらの数字をごらんいただきますると、五十五年度から五十七年度ずっと見てみまするに、政府固定資本形成が著しく今後抑制される、こういう傾向にはないわけでございます。持続性は十分持っておるものと思います。  それから、公共事業が景気浮揚の上に非常に波及効果があるという見地で推し進めておるわけでございまするが、この点につきましては、午前中に、公共投資のやり方がいまのようなやり方でいいかどうかというような御批判もちょうだいいたしたわけでございまするが、生活環境、福祉に重点を置くという点についてはわれわれの考え方には違いがないのであります。今度の予算の割り振りを見ていただきますると、その面におきましては相当な増加幅を持っておるわけでございまするが、そういう面と一般的な社会資本の関係とを総合しながら景気浮揚の効果を期待しておるということを申し上げておきたいと思うんであります。  それから消化の問題につきましては、これは先ほどからるる申し上げましたように、なかなかこれは大変な問題である。しかし、政府は、大蔵大臣を中心とするところの推進本部を設けて、公共事業関係各省一致して消化のために努力をしておりまするし、また建設省におきましては建設省の対策本部を、またそれぞれの出先におきましては連絡協議会などを持っておるわけでございます。五十二年度の実績を見ていただきまして、まず予定の消化をいたしておるものと思うのでございまして、それらの経緯にかんがみまして、いま全力を挙げてただいま申し上げたような対策本部や機関で努力をしておりまするので、必ず消化をし得るものと、このように予測しておるわけでございます。
  127. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣のただいまの御答弁の中で、消化は必ずし得るというふうに確信をしているというお話でございますが、この点についていまからいろいろとお尋ねをしていきたいと思います。  また、景気浮揚の問題につきましては、これは何%ぐらいの比重を占めているんだと、また大きくこれが景気浮揚に寄与するんだというような御答弁はなくて、ただ、福祉との関連を述べられただけでございました。しかしながら、福祉というこの関連を論議しますと、これまた幅が広くなってまいりますので、ここでとどめておきたいと思いますが、いずれにしましても、この公共事業伸びに伴いまして自治体のいわゆる裏負担分はこれは当然大きくなってくるわけでございますが、現在の地方財政というものは大変に逼迫しているということは大臣ももうよく御存じのはずでございます。こういった場合に、さらにこのような大型な公共事業推進する上において、当然地方自治体がこれを達成するためには起債等を起こしながらいわゆる借金財政をさらに拡大をしていくおそれがあるんではないか。それと同時に、いわゆる裕福な地方自治体と、それから大変財政的に逼迫している自治体との間に大きな格差が生まれるんではないかというようなことを私はひとつ憂慮をするわけです。  私も地方自治体に行っていろいろお尋ねしてみたわけでございますが、異口同音に言われることは、お金をもらうことは大変にありがたい、そしてこの際公共事業を大いに推進をしなければならない、しかし、達成のめどに自信はありませんと、しかし、ここで予算を拒否すれば、これは市民からあるいは町民から大変なおしかりを受けるわけでございまして——こういう非常に自信のない言葉が返ってくるんです、実際に市長や町長や村長から。あるいは町によっては十六億ぐらいの予算の規模の町もあるわけです。そういった立場を考えたときに、借金財政で苦しんでいるこの地方財政の赤字を拡大することになるおそれがあるわけでございますし、そういった立場から考えると、この公共事業推進に大きな赤ランプがつくんではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点をどういうふうに考えておられますか。
  128. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 自治省の方から担当が見えてないようでございますから、一応の所見を申し上げますが、今回の公共事業遂行の上に必要とする地方負担につきましては、起債を十分認めておるのであります。また、必要によっては利子補給の施策もとっておるわけでございまするから、当面の地方自治体の財政圧迫というものは避けられるのではないか。また、後年度における返済につきましては、これはその際所要措置をするということが国会答弁で言われておると思います。そういうことで、いま直ちに膨大な公共事業をやるからそれが大きな圧迫になるんじゃないかということについては所見を異にするわけでありまするが、また同時に、これらの施策遂行の上に、建設省の立場からいたしますると、地方自治体における手配の十分されておるところを優先してやっていこうと、したがって、中央から何か押しつけてやると、こういうような行き方をとっておりませんので、いまあちこちされてみて、どうも市町村など地方自治体が公共事業推進に余り芳しい立場をとっておらないということについては、ちょっと解せぬところがございました。
  129. 桑名義治

    ○桑名義治君 解せぬとおっしゃいますけれども、私たち現実にずうっとこの前から一週間にわたって回ってきてみたんです。そのときのいわゆる町長、市長あるいは村長さんの意見なんです。大きな声では言われませんがねという前提があるんです。それで、いま大臣がいみじくも言われましたけれども、ある程度対応できるところに重点的にということになれば、先ほど私が申し上げたような、各地方自治体に大きなこの際格差が出ていくおそれがあるんではないかということは、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  130. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは行政の上で不公平なやり方をするわけではないんでありまするが、しかし、仮に市町村側において、おっしゃるようにどうもやれないと、こういうのを、それは恐らく市町村財政の上からのやむを得ないことで言われることだと思うんであります。それは私としては全く仮定で、そういうおそれがあるような御質問でありまするから、そういうときはやれるところからやるより仕方がないと。だから、そういう前提でずっといけば、あるいはおっしゃるように格差が出るということがございましょうが、われわれの基本姿勢としては、そういうへんぱな姿勢はもちろんとりたくはないわけであります。
  131. 桑名義治

    ○桑名義治君 そういうへんぱな施策はとりたくないけれども、現実にそういう生まれることを憂慮して私はこの質問をしているわけでありまして、だから、いずれにしましてもこの問題は、おたくの方と自治省との関連の中でこれは当然論議をしていかなきゃならぬ問題だろうと思いますから、この面についてはこの程度にとどめておきたいと思いますが、重々そういうことを念頭に置きながら自治省との話し合いを詰めていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、これまた地方公共団体になるんですが、国の人員削減計画に合わせて、まあ人員の削減を自治省から求められているわけでございますが、そういった中でこういう大量の公共事業が出てきた場合に、これは大変な重要な課題、執行体制の整備というのが重要な課題になってくるわけでございます。この点については自治労からもこれは申し入れが自治省にあっているはずでございますが、この事態を建設省としてはどういうふうに把握し対処されようと考えておられますか。
  132. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 建設省といたしましては、都道府県それから市町村の土木部、建築部関係の職員数の実態について自治省と御相談をしながら把握に努めておるわけでございます。その把握する方法といたしましては、自治省で地方公務員給与実態調査というものをおやりになっておりますので、それをもとにして、現在五十一年度まで出ておりますが、五十二、五十三年度の推計をいたしております。  問題は、先生の御指摘のように、地方公共団体の仕事量が急激にふえて対応できないのではないかという御意見であろうかと思います。私どももいま一つの試算をいたしておりますが、過去からずっと事業費を実質値に置きかえましてみました場合には、これは当初予算の比較でございますが、四十八年、いわゆる列島改造政策というものが推進をされた時代、当初予算としては異例の予算がつきましたわけでございますが、それを一〇〇といたしました場合に、五十三年度の実質一人当たりの事業費は一二一・八というふうに考えております。さらに五十二年度の当初と比較いたしました場合には、一人当たりの実質事業費は一七・二%の伸びというふうに一応の試算をいたしております。したがいまして、こういうふうに伸びました事業をどういうふうに消化をしていくかということが一番問題になるわけでございまして、これにつきましては、やはり国の方の補助金の事務を思い切って簡素化をする必要があるということが第一点だろうと思います。  その点につきましては、建設省としては、四十四年、四十九年、五十一年と三回にわたりまして大幅な簡素化措置をとったわけでございますが、今般も一月二十三日に建設省の公共事業対策本部を開きまして、ヒヤリングの回数を減らす、さらに申請書類について思い切った簡素化を図るということを決めたわけでございます。さらに先日、代表の土木部長の参集を求めまして、対策本部で都道府県の要望を聞いたわけでございますけれども、それの御要望のうちで一番大きいのは設計変更をする際の事務の簡素化でございます。そこで、現在建設省といたしましては、河川道路等の事業で大体年間いままで一万二千件の設計変更の承認をいたしておるわけでございますが、思い切ってこの半減を図るべく現在検討をしておるわけでございます。さらに現在国会の御審議の状況を見ながら、地方公共団体と設計の事前協議をいたしておりますが、設計の事前協議で提示をした書類、図面等につきましては、交付申請の際にはこれを省略をするという措置もとりたいというふうに考えております。  国の側からそういう措置をとるわけでございますが、同時に、限られた人員で事業をこなすためにはやはり施工の合理化を図る必要があるということでございまして、設計に当たりましては、建設省で決めました構造物の標準設計を思い切って採用していただく。さらに自主施工体制を推進をしていただく。さらに設計とか施工監理の合理化を図るという意味で、コンサルタントを活用をしていただくというような方策についても地方公共団体と御相談を進めておりまして、私どもといたしましては、現在の地方公共団体の人員で事業量の消化はできるものと確信をいたしておる次第でございます。
  133. 桑名義治

    ○桑名義治君 主にいまのお話の中では、ヒヤリングをやって補助金等の書類の簡素化を図るとか、いろいろなことを言われました。そこで、ここで問題になるのはいわゆる人の問題でございます。技術者の問題でございます。地方自治体には設計監督等の能力不足が非常に大きな問題になっておるわけでございますが、たとえば、これは五十一年の七月建設省調べの分でございますが、下水道関係に限ってみますと、島根県、大分県では計画設計のできる有資格者はたった一人である。岩手、山梨、佐賀でも二人しかいない。あるいは監督管理の有資格者を見てみますと、高知、山梨、徳島、宮崎県では十名にも満たない、こういうふうな事柄がおたくの方から発表されているわけでございます。そういうふうに考えますと、今回の下水道工事も大きく伸ばしたと、こういうふうにかけ声は非常にいいわけでございますが、うらはらに要員の確保あるいは技術者の確保はどういうふうになさろうと考えられておられるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  134. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 最近の調査によりますと全都道府県の下水道関係の技術者総数は約一万五千名でございます。そのうち有資格者が八千六百名ほどございます。  そこで、一人当たりの消化量という点からまず申し上げますと、これは名目値で申し上げまして五十二年度が一億一千四百万円を消化しております。五十三年度は、従来の例から見まして約一二%技術者がふえるという推定で、これも同じく一億一千四百万ということでございます。また、これを実質値でながめてみますと、四十五年を基準にして考えますと、一人当たりの消化量が一番ピークでありましたのが、五十二年度の一人当たり五千九百万円、その次が四十七年度の五千八百万円、こういうふうな数字になっております。このほかに下水道事業団には約三百六十名の技術者がおります。  マクロといたしまして、このような数字でございますので、私どもは十分消化可能であるというふうに考えております。ただしかし、御指摘のように府県によりましてばらつきがございます。そこで、この辺につきましては下水道事業団に積極的に建設を委託する。また、建設を委託しない場合におきましても、設計を委託する、またその他の技術援助を事業団が行うというふうな方途、またコンサルタントの活用、こういうふうなことによりまして、全体としまして十分消化可能である。ただいま御指摘ありましたような幾つかの府県につきましても、そのようなさまざまな方法を活用しまして十分に消化していけるというふうに考えております。  なお、いま御指摘ありました一、二の府県につきまして全体の技術者数その他をちょっと御参考までに申し上げますと、たとえば大分でございますが、大分は技術者が全体で九十四名おります。その中で有資格者が二十五名でございます。それから岩手でございますが、岩手は全体で五十九名、そのうち有資格者数二十九名というふうな状況になっております。なお、もちろん、計画設計、あるいは監督管理、あるいは維持管理というふうに、有資格の技術者は内容によりまして数がやはりばらつきがございますので、事業団におきますところの研修を行っておりますが、この辺を積極的に活用しまして早期に養成もしてまいりたい。また、極力、人事の交流、出向等の便宜も図りたいというふうなことで、それぞれきめ細かい対応をしまして、府県によりまして執行能力に差が出ないように配慮をしてまいりたいと、かように考えております。
  135. 桑名義治

    ○桑名義治君 マクロでは大体計算が合うということでございますが、実際にミクロで見た場合にはこれはやっぱり大きな問題があると思います。いま説明がありましたような研修等をやる、あるいはコンサルタントに出す、こういった事柄で急いで工事をやれば必ずそこに大きなまた問題が起こってくる心配があるわけです。たとえば、前々からよく指摘をされている問題でございますが、公団の手抜き工事の問題等が国会で問題になったわけでございますが、いわゆる監督不行き届きという面が出てくる。あるいは、余りにも技術者が少ないのに急いで設計をしたために粗悪な工事ができ上がったというような事柄を惹起するおそれも十二分に含んでおるわけでございます。そういった事柄もあわせ考えながらこの執行については対応をしていかなければいけないと、こういうふうに思うわけでございます。  さらに、ここで問題になるのは、これは労働省の方にお聞きをしておきたいと思いますが、いわゆる技能者不足の問題が先ほどちょっと出てまいりました。たとえばその中で一番技能者が不足しているのは、鉄筋工あるいはブロック建築工という技能者の不足が非常に目立っているということでございますが、五十一年の六月度現在で労働省の調べではどういう数字が挙がっておりますか。
  136. 佐藤仁彦

    説明員佐藤仁彦君) 昭和五十一年六月で技能労働者の不足状況を調査いたしましたが、その際、建築関係の主な職種について申し上げますと、建築大工で二一・二%の不足率です。ブロック建築工が同じく二〇%、鉄筋工が三五.四%、タイル工が二一・七%、そのような状況でございます。
  137. 桑名義治

    ○桑名義治君 その後の五十二年あるいは現在に一番近い数値というものがわかりましたらお知らせ願いたいのですが。
  138. 佐藤仁彦

    説明員佐藤仁彦君) 五十二年におきましても同様な調査を実施いたしました。それで、昨年の暮れ、こういう公共事業の大幅発注というふうなことが話題になりましたので、建築関係だけ取り急ぎ抽出的に集計いたしました結果を申し上げますと、建築大工が一八・二%、ブロック建築工が一六・六%、鉄筋工が二九・八%、タイル工が一八・九%、そのような状況になっております。
  139. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまお聞きになったと思いますが、実際に昨年の暮れでさえも鉄筋工が二九・八%、建築大工が一八・二%、ブロック建築工が一六・六%、タイル張り工が一八・九%の不足を来しているというのが労働省の調べで明快になっているわけでございます。こういったいわゆる不足の数字が出ておるにもかかわらず、このように膨大な公共事業拡大化がその反面に図られるということになれば、実際に施工するこういう特殊技能の方々の不足というものは公共事業推進にストップをかける事柄につながっていくんじゃないか。単純労務者は即座に集めることができるかもしれません。だけども、こういう特殊技能者についてはなかなか困難な状況にあるのではないかと思うわけですが、こういった事態を踏まえて建設省としてはどのようにお考えでございますか。
  140. 大富宏

    政府委員大富宏君) いま労働省から技能労働者の需給状況調査の結果をお示しになったわけでございますが、確かにこの需給状況調査というのは、採用を計画し、または計画しながら採用できなかったものが六月一日現在の欠員となって出てきている数字でございます。それにいたしましても、五十一年でも建設業全体で一九万六千人、一二・九%という不足率になってございます。これはやはり四十八年石油ショック以降建設投資がずっと冷えてきた、そのためにとび、土工、大工、配管工、鉄筋工、軒並みに四十八年ぐらいに至りますと絶対数そのものが減っている、しかも労働者の高齢化が進んでいる、こういう状況でございます。したがって、良質な建設工事を続けるためには、やはりこういった技能労働者の養成は非常に重要な問題になっていることは言うまでもないわけでございます。  先ほども坂野先生の御指摘にもお答えいたしたわけでございますけれども、現在こういった専門工事業団体もやはり自分みずからこういった技能労働者の確保体制の強化を図っておりますが、そのほかにも建設雇用改善助成金、労働省ではやはり五十一年、五十二年通算で一億六千三百万ぐらい、こういった技能実習等を実施しておられますが、こういった建設雇用改善助成金なんかを活用いたしましてこういう養成に充てる、あるいは職業訓練所を活用いたしまして、短期に、すぐ熟練工は養成できないとは思いますけれども、短期訓練でやはり離職者とか転職者等の能力開発に充てるとか、そういう努力をやはり積み重ねていく必要があるだろうと思います。いままでのところ、こういった技能工が絶対不足のために工事が延びたとか、できなかったとかということは当面私どもは聞いてはいないわけでございますが、長期的な建設技能労働者の養成というのはいまからやはり対策を立てるべきだと思っております。
  141. 桑名義治

    ○桑名義治君 熟練工なり技術工というのは右から左にできるものじゃないと思います。そういった立場で考えた場合、それは昭和四十八年からずっと冷え切ったために転職をした、あるいは高齢化が進んできた、いろいろの問題があるかもしれません。その反面に今回は公共事業が急速に伸びた。こういう片っ方では減る、片っ方では伸びていくという、その間に大きなギャップができていることは事実ですね。そういった立場から考えてまいりますと、今回のこの公共事業の全体のいわゆる予算の消化というものが非常に困難になってきているとしかわれわれには考えられないわけでございますし、労働省としてはこういった技能者の養成の問題についてはどのような対策を立てておられますか。
  142. 佐藤仁彦

    説明員佐藤仁彦君) これらの技能労働者につきまして、非常に不足率の高いときで五〇%に近いというような状況もございましたが、最近のような情勢も公共事業の円滑な実施という観点から考えまして非常に重大な問題だと考えております。一方、労働市場には多くの求職者がおるわけですから、そういう中で従来そういう職業についたことのある、技能を持っている者を掘り起こして紹介するとか、そういった職業紹介面での活動にあわせまして職業訓練の機能的な実施を図っていきたいと思っております。  具体的に申し上げますと、建設関係職種の職業訓練につきましてはいろいろな科目に分かれておりますが、その中でも短期でできるもの、短期でそれ相応の効果を上げることができるもの、そういうものももちろん行いますが、不足率の非常に高いものにつきまして、関係業界との協力のもとに事業内訓練施設等をお借りして速成訓練を行いますとか委託訓練を実施することにいたしております。それらの具体的な実施は都道府県にお願いしてやっておりますので、都道府県でどのような計画を立て、どのように実施しようかという点につきまして、ことしの一月に全国の主管課長に集まっていただきましてその旨を指示するとともに、三月までに都道府県の実情に応じた計画を立てていただいて、四月からは実効ある計画のもとにその対策が打てるように配慮しているところです。
  143. 桑名義治

    ○桑名義治君 対策は立てておられることはよくわかるわけでございます。ところで、この具体的な問題についてはちょっと御答弁がむずかしいかもしれませんが、たとえば鉄筋工あたりですね、これは大体どのくらいの日数があればその有資格者になれるのですか。
  144. 佐藤仁彦

    説明員佐藤仁彦君) 鉄筋工についての具体的なお尋ねですが、鉄筋工が行います作業を見ますと、熟練工だけで行われるんじゃなくて、やはり指導することができるような技能水準の高い労働者を中心に、熟練度の中程度、あるいは単純な運搬作業を行う者、そういうグループによって行われるのが普通だろうと思います。私どもが速成と申し上げますときには、従来そういう職種についていたけれども、なおそういう訓練を受ける機会がないとか、あるいは経験が短いために技能がそこまで到達していない者に、その人に即応して不足した技能を訓練する、そういうことによってかなりの効果を上げることができるんではないかと思います。それから技能労働者の不足状況の調査は、熟練度の高い者から未熟練工まで含めて調査しております。そういう意味において、短期の訓練によってもかなり不足している労働者の補充には役立つんではないかと思っております。
  145. 桑名義治

    ○桑名義治君 ぼくは逆に考えるんですよ。技能程度の高い人から低いところまで合わせて、たとえば鉄筋工が二九・八%不足しているというわけですから、全くのずぶの素人を連れていって、そしてそれを訓練しなけりゃならぬわけですから、そういう鉄筋工ならば高いところに上がらにゃいかぬと思うんですよね。そういう即席でやった方々をこういう建築の仕事に従事をさせるというところにもいわゆる災害が起こる大きな問題点なんじゃないのかということを憂慮するわけです。  そういった立場からお聞きをしておきたいと思うんですが、公共事業で現場事故が非常に多いと、こういうふうに言われているわけですが、五十一年、五十二年の事故の状況についてお述べ願いたいと思います。
  146. 津沢健一

    説明員(津沢健一君) ただいまお尋ねの公共事業における労働災害の状況でございますが、まず労働災害によって死亡なさいました方のことから申し上げますと、五十一年は建設業全体で千四百五十一名の方が亡くなっておられます。この中で私どもが明確にこれは公共事業関係であるというふうに把握いたしました者が七百四十七名、パーセンテージにいたしまして五二・六%でございます。これは死亡事故についての話でございますが、私ども把握いたしております休業四日以上の死傷全体につきましても、これは明確に公共事業というふうにはなりませんが、一般的に公共事業が大部分を占めておりますところの土木工事では、建設業の労働災害は約三〇%が発生しておるという現状でございます。  なお、順序は相前後いたしましたが、先ほどの建設業における死亡災害の中では全体として公共事業は五二・六%と申し上げましたが、土木工事だけについて見ますと、土木工事で死亡なさいました方の八四%が公共工事ということになっております。五十二年につきましてもほぼ同様の傾向にございます。
  147. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣、お聞きになりましたように、非常に公共事業の工事に携わって亡くなられる方の比率が高うございました。そして先ほどから申し上げておりますように技能者不足が今回は顕著になってきた。そういった中で、急速にそういった技能者を養成して、こういった事業に従事をさせますと、労働災害がより以上大きくなってくるおそれがあると私は思うんですよ。その点についてはどのようにお考えになりますか。
  148. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 御指摘のとおり、これは非常に重要な問題でありまするし、この対策に万全を尽くさなければ災害を一層助長すると、こういうことであってはならないと思います。私は公共事業の大幅拡大という施策が昨年の一次補正当時、したがって十月ごろから景気浮揚のために公共事業重点でやられなけりゃならないということで進んでまいりまして、それで一次補正の成立を見、それから続いて十五カ月予算の編成に取り組んで、それで二次補正が成立をしてと、こういう経過の中で、いまいろいろ御注意のありました問題点は、かれこれここ半年ぐらいの間ずっと大きな関心の寄せられた問題であります。また、私どもが建設土木業界に対しまして繰り返し注意を喚起しておったところでございまして、一応の先ほど来の御答弁で対策のあることは御理解いただけたと思うんでありまするが、私は私なりに、たとえば最近における造船業界の不況に際して、この事業に携わっておる技能者がきょう御指摘の鉄筋工や型枠工にどの程度使用ができるものかどうか積極的に検討してもらいたいということを申してもきておるわけでございます。  それから業界の実情を聞いてみますると、これ、御明説申し上げたように、相当年齢的に老齢化しつつございまするけれども、在野という表現が当たるかどうかわかりませんが、在野の技術労働者はある程度あります、それからまた、こういう私が申し上げたような情勢に対応して準備をしております、こういう業界からのお答えもございます。ですから、それこれを勘案して技術労務者不足に対応するとともに、また労災事故につきましては、これはもう十分御承知でありましょうが、下請、孫請、その中小の業者の方に事故率は高いと思うのであります。これは一方におきまして労務管理上の問題もあるんではないか、こういうことからそういう中小の土木建設業界に対して労務管理を十分するようにというようなことで対応しておるわけでございまするが、しかし、御意見のとおりに非常に重要な問題で、細心の注意を払っていかなければならない問題だと思います。
  149. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほども御説明がありましたように、公共事業の土木だけをとってみると、その死亡は八四%に及ぶということでございます。これは、この事実を考え、一つを取り上げてみましても、これはゆゆしき問題だと思うのですよ。大臣はいろいろな事柄を申されましたけれども、実際にこういった膨大ないわゆる公共事業を消化しようとすれば、今後恐らく突貫工事等がどんどん続出してくるんではないかと思います。そうしないと、とうていこれだけの消化は無理だと思います。そうなってくれば、これに上回る比率の犠牲者が出ないということは私は断言し切れないのではないか、こういうふうに非常に憂慮をしているわけです。まあ一、二の例を挙げました。技能者の問題、あるいは死亡の問題災害事故の問題、こういった二つの問題を取り上げてみましても、今回の公共事業予算化というものが少し過大過ぎたのではないかという考えがするわけです。本来ならばこういった適正ないわゆる規模で予算化をし、さらにそれを景気浮揚のためのほかの意味のいわゆる減税とかいろいろな問題があったんですが、これは予算委員会じゃありませんからそっちの方まで論議を進めませんけれども、いずれにしても少し過大過ぎたのではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、こういった事故の対策について労働省としてはどのような方策を考えられておられますか。
  150. 津沢健一

    説明員(津沢健一君) 労働省におきましては、建設工事現場におきまする災害というのは、従前からも非常に注目をしてまいったところでございますけれども、御指摘のようなこともございまして、私ども五十三年度からの行政におきましては、現場に対する監督指導というものを一層強化をしてまいりたいと思います。ただ、そうは申しましても私どもの主体的な能力にもいろいろ限界がございますし、各方面の御協力も賜らなければならないということでございますので、先般来、建設省と私どもとの間でいろいろお話し合いを進めてまいりまして、労働災害の防止に関しまして、建設、労働、各地方の出先機関が連絡会議を持ちましょう。そこで、建設省が発注をなさいます建設工事におきまする災害防止の活動の促進を図りまして、工事の施工中の労働災害を防ごうと、こういうお話し合いがまとまりまして、私どもも地方の出先機関に対しまして、そうした見地からする連絡会議を各都道府県労働基準局と建設省におかれましては各工事事務所との間に持つように通達をいたしたところでございます。なお、こうした公共工事に建設省だけではございませんでいろいろあるわけでございますが、都道府県のレベルにおきまして、こういった例にならって各省の出先機関あるいは都道府県の間にもこうした労働災害防止のための連絡会議を設置するよう指示をしたところでございます。
  151. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣、先ほどこの労働災害については注意をするように促しているというお話でございますが、ただ単に注意をして問題が解決するわけではないわけですが、あるいはまた通達をしたことによって、果たしてどこまでその通達が流れているかという問題は非常に疑問の問題があるわけです。昨年まで私、予算の理事をやっておりましたが、そのときに福岡に行きまして、予算委員会として福岡に行って、いろいろな業界の代表の方々から意見を聞いたわけですが、そのときも建設省のいわゆるある事項について、これは官公需の拡大の問題でございましたが、確かに通達は出しましたという現地の役所のお話ではございましたが、実際に聞いてみますと、下の方は余り知らないわけですね。そういうように、そういう通達等で徹底をしてもなかなか徹底しがたい面が一面あるわけですね。だから、ただ単に徹底をするとか、注意を促すとかいう問題だけで片づく問題じゃない。具体的にやっぱり建設省としてはこういった災害が起こらないような十分な処置をとることが私は重要だろうと思いますが、その点についてはどのようにお考えですか。
  152. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 建設省がとっております労働災害の防止に関します措置について御説明を申し上げたいと思いますが、先ほど労働省から御報告がございましたように、建設省と労働省との間に、建設省におきましては工事事務所単位に連絡会議を設けまして、労働災害の情報の交換とか監督指導体制の問題でございますとか、もろもろの労働災害防止対策について常時連絡し合う機関を設けたわけでございます。なお、建設省におきましては、労働災害の防止、労働安全の問題についてはかねがね注意を払っているところでございまして、たとえば業者を登録をいたします際には、労働安全に関する状況ということに非常にウエートを置いておりまして、その点数によって格づけをいたしております。さらに積算に当たりましても、労働安全経費につきましてはこれを十分計上するように努めております。さらに労働災害が起こりました場合におきましては、その状況を直ちに把握をいたしまして、その災害が下請の原因によって発生した災害でございましても、元請に対しましても指名停止、指名回避等の処分をとるということで、労働災害の防止につきましては万全の対策を講じておるつもりでございますが、なお御指摘もございますし、公共事業がふえました場合に、さらに労働災害がふえないように指導監督を徹底をしていきたいと考えております。
  153. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題点は、これは事務のいわゆる手続の繁雑化でございます。この問題については先ほどから御答弁がありましたので、これは一応了として次の問題に進みますが、先ほどこれも質疑に出ておったわけですが、いわゆる資材不足と価格の上昇という問題でございます。  通産省の答弁を聞いておりますと、いわゆるセメント、生コンあるいは骨材、こういった問題はいまのところは非常に地場は強気含みではあるけれども上昇はないと思うと、いわゆるこういった問題は稼働率の向上で対応すると。大まかに申し上げますと、こういう御答弁であったと思うのです。しかしながら、実際にいろいろな報道機関等で報道をされておる内容を見てみますと、「今年の資材値上がりは、これまでのパターンと違い、どん底まで下がった各品目がいっせいに上がり出すというものだけに苦しい」と、これは清水建設の方が言われておる言葉でございますし、大手総合建設会社の資材購入担当者、これは「「公共事業の発注増で建設資材の需要も増えるのだから、ある程度の値上がりはやむを得ない」と覚悟していたが、セメントをはじめ値上げが相次いで現実化した今、不安を隠せなくなっている」、こういう報道がされているわけでございます。セメントにしましても、昨年の十月以降急速に増大して、一トン一万円が現在は一万一千五百円前後に回復、これは史上最高値をいまつけておる生コンも東京地区の生コン協同組合が、いわゆる一月から三月の共販価格を昨年の十月から十二月の一立方メートル一万一千円から一万一千五百円に引き上げる、さらに四月からは一万二千三百円に引き上げる構えとか、あるいは骨材の場合でも、トン当たり砕石業は販売価格を四百円、これは二〇%の値上げになるわけですが、そういう値上げをする方針を固めているとか、あるいはヒューム管の場合だって非常な値上げの方向に進んでいると、こういう報道があるわけでございます。  確かに通産省としては、そういうふうな値上げの問題についてはある程度強含みではあるけれども、一応値上げをせずにおさまるのではなかろうかというような意味の先ほど御答弁があったわけでございますが、まあいずれにしましても、この公共事業の発注増加で需要が急速に向上してまいりますと、こういう建設材の値上げというものが非常に心配をされるわけでございますし、そういったところから、予算の消化は一応できたとしても、実際に進捗状況というものが非常に落ちてしまったというふうな状態が起こり得る可能性もあるわけでございますし、また先ほどの質疑の中でも、途中で値上がりをするようなことがあれば、これまた大変に工事に差し支えが起こるというような質疑があったわけでございますが、この点について建設省としてはどのように対応を考えられておられますか。
  154. 大富宏

    政府委員大富宏君) 公共事業の円滑な執行のためには、建設資材の安定的な供給を確保することが大事なことでございまして、建設省関係では、セメントにいたしましても鋼材にいたしましても、木材、骨材、若干前年度よりも上回るわけでございますが、先ほど来も通産省からお述べになりましたように、供給能力につきましては私どもも心配していないわけでございます。ただ、地域的に時期的に非常に資材がショートする。昨年の暮れアスファルト、一部東北、北海道で流通問題にネックがあってちょっと問題が起きたわけでございますが、まあ今後こういうことがないように、建設省の方では地方建設局を中心とする地方ブロック会議をつくりまして、その辺の情報の交換をしながら遺憾ないような措置をとっているわけでございます。価格につきましても、やはり非常に安定的に建設資材を確保することは非常に重要なことでございますので、関係各省とも緊密な連絡をとりながら、価格増高の監視を進めながら問題がないように対処したいと思っております。
  155. 桑名義治

    ○桑名義治君 この建設材の値上げがありますと、せっかく先ほどの論議にも出ておりましたが、いわゆる住宅金融公庫からの無抽せんの分ですね、これはもう猛烈な勢いでとにかく申し込みがあったというような方々も、せっかく申し込んだけれども、自分たちの思惑外のいわゆる値上がりがあったために中止をするというようなことだって当然出てくる可能性があり得るわけです。そういったことを考えますと、何のための大型予算を組んだのか。これは単に景気がよくなる、たとえば、たとえ多少の景気が上がったとしても全体のいわゆる物価の値上がりからすれば国民生活はまだまだ苦しくなってしまいます。そういった立場になりますと、何のための公共事業かと、こういう怨嗟の声さえも逆に起こってくる可能性だってあり得るわけでございます。そういった立場を考えながら、今回のこの公共事業推進については考えていかなきゃならぬと、こういうふうに考えるわけです。  いま御答弁の中に出てきました、いわゆる資材の輸送手段の問題でございます。いまお話がございましたように、道路舗装材料の主要材料であるアスファルトの輸送、これは四十八年に四十五隻あった船が五十二年末には三十七隻に減少している。昨年の東北地方でアスファルト不足が問題になった事実があったわけですが、この輸送船の減少が原因となっているというふうに聞いているわけでございますが、この建設不況でダンプの登録台数も減少していると、こういうふうに言われているわけでございますが、この資材の輸送難という事柄がすぐまた価格にはね返ってくることもこれは予想されるわけでございまして、その輸送状況あるいは輸送能力の増強についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  156. 大富宏

    政府委員大富宏君) 先ほど私申し上げたんですが、アスファルトの問題専用運搬船の保有状況なりあるいは陸上輸送用のローリー車の、ずっと見ますと、四十七、八年をピークにしてずっと下がっておるわけでございます。御指摘にもありましたように、アスファルトなんかはそういう流通問題にネックがありましてショートを来したわけでございます。そのときも通産省と御相談いたしまして、緊急輸送で対処をしたわけでございまして、やはり全般的に建設資材の安定供給というものはマクロで見れば心配はないと思うわけでございますけれども、やはり一時的なあるいは地域的にはいろんな問題が私は出ると思うわけでございますから、まあ地方ブロック会議なんかを使いまして、やはりきめ細かい詰めをやっていかなければならないだろうと思います。
  157. 桑名義治

    ○桑名義治君 私がなぜこういうふうに、特にこの問題についての心配をしているかと言いますと、いろいろと報道によりますと、大体前倒しで前期で七〇%を受注する、こういうふうな事柄がいろいろと載っているわけでございます。そうなってきますと、前期にぐっと工事が寄ってくるというおそれが出るんじゃないかというふうに思うわけです。そういったときに、それに対応するだけのいわゆる輸送能力があるのか、あるいはまた資材が、実際それに対応できるだけの資材の確保が現在できているのか、こういった問題を含めて心配をしているわけでございますが、その点はどうですか。
  158. 大富宏

    政府委員大富宏君) 確かにそういうような輸送手段の問題もさることでございますが、やはり一時にばっと仕事が出ると、そのために起こるというような問題でございますと、やはり私が先ほど申し上げました地方ブロック会議を活用してと申し上げますのは、そういった発注状況のコントロールも含めまして、やはり全般的に調整を図っていかなければならないと思っております。
  159. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうなってきますと、やっぱり今回のこの公共事業の大型予算というものは大変にいろいろなネックがあるわけですね。このネックをどういうふうに克服していくかというところにこの成功、不成功の大きな原因も出てくると思うのです。それと同時に、先ほどから問題にしております労働災害という問題も含めて、これは人の命の問題でございますから、これはもう十二分に検討をしていかなければならないと思っております。それと同時に、道路やあるいは住宅を建てる場合には、用地の確保という問題がこれは当然起こってくるわけですね。いままでのたとえば道路公団の九州縦貫道路にしましても、これも工事が大変におくれているわけでございますけれども、しかし、その最大の問題は何かというと、用地買収がうまくいかないということに始まっているわけですね。一切のそういう道路行政がおくれる大きな一つの原因は、恐らく土地の買収がうまくいかないというところから起こっているんじゃないかと思うのです。それと同時に、この土地という問題が、用地買収という問題は、これはまた環境の問題と密着をしているわけでございまして、そういった問題から、私は今回のこの公共事業というものはなるべくならば用地買収をせずに済むような、そういうところから早急に手をつけていくべきではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、その点はどのようにお考えですか。
  160. 大富宏

    政府委員大富宏君) 五十三年度事業費にいたしまして七兆八千億でございますが、そのうちの用地補償費は一兆九千六百億見込んでおるわけでございます。この用地補償の率は二五・一%でございまして、五十二年、五十一年とほぼ同率でございます。ただ、これだけの事業量を、当該工事に見合う用地買収を当該年度にやるという問題にはやはり相当の無理がある。勢い高く買い込まねばいけない、あるいは地元との問題、非常に現在大事でございますから、用地買収に手間取りますと工事執行もできない、こういう問題になろうかと思いますので、建設省といたしましては、なるべく用地買収は前年度に一応済ましておくという方針で来ているわけでございます。いままでの統計的なデータによりますと、大体年間の公共用地必要量というのは一万四千ヘクタール見込んでいるわけでございますが、現在持っておる用地の保有量は、直轄事業補助事業公団事業を含めまして約三万ヘクタール持っておるわけでございます。この三万ヘクタールが直ちに全部使えるということではございませんけれども、一応いま御指摘になりましたような、あわてて当該事業年度に用地を買うというような急ぎ買いというようなことがなくて、ある程度現在のストックで相当のものが賄えるというぐあいに見ておるわけでございます。
  161. 桑名義治

    ○桑名義治君 現在取得している用地で当該年度事業は間に合うというような意味のお話でございますが、いずれにしましても、やっぱり間に合う一それはその全体の枠から見た場合にはそうかもしれませんけれども、予算というものはそれぞれに配分をしているわけですから、ミクロに見た場合にはこれはやっぱり買収をしていかなきゃならない問題も十二分に起こり得る可能性があるわけですね。そういったことから、いわゆる土地の上昇の動きがあるというふうに言われているわけでございますが、国土庁はこの問題についてはどのように認識をなさっておられますか。
  162. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) まず、最近の地価の状況でございますけれども、国土庁で地価公示の間をつなぐという意味で、三カ月ごとに中間地価調査を発表いたしております。ごく最近も発表いたしたわけでございますが、それによりますと、五十二年、一年間の地価変動につきまして全国で二・六%の上昇でございます。ただ、地域、地目による若干の相違がございますけれども、ここ数年の動きを見ますと、おおむね安定的に推移をしておるんではないかと考えております。一応その値上がりも物価等に比較しても低位にあるというのが現状でございます。しかしながら、今後の見通しにつきまして、いま先生がおっしゃいましたように、いわゆる十五カ月予算ということで、公共事業住宅関係事業等が大幅に伸びるわけでございます。その場合にも、いま計画局長からもお話ございましたように、公共事業等の実情を見ますと相当用地の手当てがしてございます。それから住宅関係におきましても、用地の不足がありますと同時に、今度ふえると思われます金融公庫の個人融資のための宅地等につきましても、範囲は日本じゅうに及びますし、過去の例から見ますと、過去において土地の手当てをした人がたくさん申し込まれておるというのが現状でございますので、私どもといたしましては、当面地価に対して相当な影響があるというようなことは、さらさらないだろうというふうに考えております。ただ、土地取引が局所におきまして活発化されるということは、先生もいまおっしゃいましたとおり当然予想されることでございます。  したがいまして、地価の安定対策といたしましては、まず何をおきましても、国土利用計画法に基づきます現在届け出制度を励行いたしておりますが、それの適正な執行ということが基本であります。それからもう一点は、やはり公共事業で土地を買い進められます場合に、これは地価公示法によりまして、地価公示から比準をいたしました価格でお買いをいただくということになっておりまして、従来も励行されておりますけれども、一層その励行を図っていただくということでございまして、その趣旨は関係公共事業各省に対しまして私の方からも通達でお願いしたというところでございます。  さらに、昭和五十三年度等におきまして、地価安定対策の一環といたしまして、先ほども申し上げました地価公示地点、これにつきましても大都市等を中心に九百地点ふやす、それからさらに都道府県の行います地価調査につきましても、五百七十地点をふやすということにいたしまして、現在四万三千点ばかりのものでございますけれども、それをさらにそういう地価公示のネットワークの網を細かくするというふうなことをひとつ考えております。それからさらに、そういう地価公示価格を皆さんがよくわかっていただくように、閲覧個所も相当ふやすというようなことを考えております。それから先ほど申し上げました中間調査につきましても、地点数をふやしてさらに精密を図りたいというふうなことを考えております。  それからもう一点は、そういうふうな場合、地価の高騰もしくは仮需要の発生等がございます場合には、規制区域の指定というのが国土利用計画法にございます。しかし、これについてはまだ一件も発動いたしておりませんけれども、絶えずそのための事前調査を励行いたしておるわけでございます。したがいまして、五十三年度におきましても引き続きそういうふうな事前調査をきめ細かくやりまして、地価の監視に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  163. 桑名義治

    ○桑名義治君 もうそろそろ時間が来たようでございますが、土地の値上がりが五十二年度は二・六%というお話でございまして、大体安定をしてきたという御理論でございます。ところが、実際には列島改造ブーム、いわゆる過剰流動性が引き金となった四十八年、四十九年を頂点にしまして、五十年度は前年比九・二%下落したと、その後五十一年が〇・五%、五十二年が一・五%、こういうふうに一応微騰にとどまっている。そういった立場から考えますと、今回の場合はやっぱり二・六%というのはちょっと高値じゃないか。それと同時に、住宅地であるならば平均三・三%というふうに言われているわけですが、まあこういった数字の上から一般の国民の方々はこれで大型の予算を組んだために地価の高騰がそろそろ始まったなと、こういう認識を持たれているのではないか、また持っていることに私は無理はないと、こういうふうに思うわけです。そうやって今回のいわゆるこの大型予算が執行される段階でまた土地の値上がりが大きく顕著にあらわれてまいりますと、この公共事業も、また景気回復とは言いながらも、土地に大きなお金がかかってしまえば、土地の買収にお金がかかってしまえばこの景気回復にはまた一つの大きなストップがかかると、こういうふうに思うわけでございます。  その他、住宅の問題、あるいは住宅関連事業の問題、それに伴う土地供給、宅地供給の問題いろいろと準備をしておったわけですが、時間がなくなりましたので、ここでやめたいと思いますが、いずれにしましても、先ほどからるる申し上げましたように、今回のこの大型予算を執行する上においていろいろなネックがあるわけでございます。そういったネックの一つ一つを克服しながら達成をしていかなけりゃならないわけでございますが、それには十二分な配慮とそれから努力が私は必要であろうと、こういうふうに思っているわけでございますが、そういった立場を踏まえながら建設大臣に最後に所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  164. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) もう桑名委員のおっしゃるとおりです。われわれがいかにこの土地問題に対応していくか、資材問題に対応していくか、ローン問題に対応していくか、本当にその努力が必要であると思います。決して気楽に考えておるわけではございません。御発言の御趣旨を体して最善の努力を払いたいと思います。
  165. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、公団家賃の値上げ問題と、それから建設業界の問題、それから下水道問題、この三つの問題について質問したいと思います。  参議院建設委員会の七項目の要求について、櫻内大臣は国会の趣旨を尊重すると答弁されました。今回の大臣承認につけたいろんな条件は七項目要求を一定の尊重を示したと思いますが、なお問題が残っておりますので幾つかお聞きしたいと思います。  まず一つは、この三項目にあります「家賃値上げに際しては、激変緩和の措置を講ずる」ということが要望としてありました。公団の申請段階では公営限度額の二分の一として上限を七千円に抑える、これが激変緩和ということになっておりましたけれども、国会の趣旨はそれを踏まえてもう少し考えろということなのであって、このままでは最高二・四三倍になるということになるわけですが、この激変緩和措置をもっととれという要望に対してはどのような措置をとったんでしょうか。
  166. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 私どもは、公団の申請にございます、公営住宅に示しております公営住宅方式の二分の一、それからさらに七千円の限度で頭打ちをしたということで、激変緩和措置としてはこれで十分であるという判断をしたわけでございます。確かに参議院の当委員会での御議論の中に、倍率が問題ではないかという御議論もあったわけでございますが、ただ、倍率に目を向けますと、今回のいわゆる家賃の是正というものが不均衡の解消ということになりますために、倍率に目を向けますと逆に不均衡の拡大ということにもつながりかねないということで、今回の公団の申請の激変緩和措置で十分であるというような判断をしたわけでございます。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、当委員会委員長の要望のもう少し激変緩和措置をとれというのに対しては、申請のとおりで十分だというので措置はとらなかったということでしかないと思います。で、いままで最高二・四三倍になると言いますけれども、いただいた資料を見ますと、大阪の枚方の中宮第二団地、二K、これは二・七八倍で、二・四三倍よりももっと高いものも出ているということもあるということも指摘しておきたい。私今度、全団地の家賃値上げの一覧ですね、これを見てちょっと奇妙というか、非常に驚いたことがあります。それは、当委員会に配付されました参考資料では変更差額どうなるかと、全部平均で五千三百円でしょう。古いところはうんと安過ぎるというので上がる額が多い、新しいところはそう上がらないという数字が出ています。これはそういう説明でもありましたが、昭和三十一年度の分は変更差額は六千六百円上がる。昭和四十七年度、これは一番新しいところですね、対象の。これ三千九百円上がるということになっていたわけですね。ところが、たとえば東京のこの家賃等一覧を見ますと、ほとんど圧倒的多数と言いたいんですけれども、全部七千円、最高額打ちどめというところが非常に多いんですね。そうすると、この中でたとえば新しいところを見ますと、大島六丁目、これ昭和四十五年三月から四十六年八月まで、八月からの管理開始ですね、非常に新しいところです。これはもう二DK、三DK、全部これ七千円上がっているわけですね。これはいただいた資料の当初の説明の、新しいところは五千三百円より低くて三千九百円だというのと全く違っていると思いますけれども、これはどういうことでしょうか。
  168. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先生がいま御指摘になりましたそれぞれの表は、これは各年度の平均でございまして、それぞれの年度にはいろんな各種の住宅団地が場所によりいろいろ違うわけでございまして、したがって、私どものこういう方式で計算した場合に、個々の団地について見れば、年度が新しくても七千円の頭切りと、こういうものが該当する団地が出てくる。これはまあ何といいますか、当然の結果であると、こういうように考えているわけでございます。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、個々の団地と言いましても、いただいた東京の資料、ほとんど七千円ですよ。どうしてこういうことになるんですか。これではやっぱり団地住民の方々が怒るのも無理はないと思うんですよ。最初に申請段階では、平均五千三百円で、新しいところは三千九百円と、とにかく全部で八・八倍になるというので、これは不均衡是正するというんだから、安いところは少し高くして、高いところはそれほど上げないんだろうというふうにみんな思うですよね。それで、大島六丁目なんかは、これまで何と三DKの場合三万四千八百円でしょう。これは相当高いですよね、三万四千八百円。今度七千円上げられまして四万円超えちゃうんですね、四万一千八百円。公団の申請資料でも家賃の安いところと高いところとあると、昭和三十一年度は平均家賃四千六百円だと、五十一年度は四万七百円だと、これで八・八倍だという数字を出していたわけですね。ところが、今度の大島六丁目なんかは四十六年度管理開始なのに、公団が五十一年度四万七百円と言った平均額よりもさらに高い四万一千八百円になってしまう、これは不均衡是正どころか拡大することになりませんか。どうしてこういうことになるんですか。
  170. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、これはそれぞれその年度の平均の数字を申し上げておるわけでございまして、私どもそういった不均衡の是正に着目する場合に、年度の比較をしてみたことでございます。なお、そのやり方といたしましては、いままでも御説明申し上げているとおり、不均衡是正のやり方、この基準等につきましては、現行用いられているところの公営限度額方式、すなわちその住宅につきまして、工事費については建設大臣の定める率によって再算定し、土地等につきましては現在の固定資産税評価額をもとにして再算定いたしまして、それの比較によって、何といいますか、新しい家賃の変更をする場合の限度額を出すわけでございます。そういたしましておりますけれども、なおその場合が高いので、それを二分の一にしたり、あるいは七千円にしたりということでございますので、平均のものよりも高いものが出る、といって必ずしもこれが不均衡是正という趣旨に反するものである、こういうふうには考えないわけでございます。
  171. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 非常にこれはまずいことで、こういう数字発表されますと、たとえば昭和四十七年度管理開始の公団の住民は、私のところはじゃ大体三千九百円、四千円程度だなと思うのは当然ですよね。ところが、発表されてみますと、東京はほとんど七千円が多いですよ。ぼくは公団になぜ東京は七千円が多いんだと聞いてみましたら、首都圏はとにかく土地が高いからそうなるんだと、全国平均をしてみるとこの三千九百円になるんだという、大体そういう御説明なんですね、そういうことなんでしょう。しかし、これはもう本当に、まことにそういうことは出てみて初めてわかるんですね。だから団地の住民は、まあおれのところは四千円ぐらいかなと思っていたところが、承認されて発表されてみますと七千円という数字が出てくるわけですよ。いままで個別の説明をしない、しないといった理由がここで明らかになってくる。大臣が承認して、いざ発表されてみると、何だほとんど東京は七千円だということになるんですね。いただいた資料、型式別の現行家賃・変更後家賃等一覧というのがあります。この二DKを見ますと、当初家賃が一番安いのが三千九百三十円、一番高いのが二万九千六百円、これ差額は二万五千六百七十円なんですよね、上げる前は。今度は上げてどうなるかというと、一番安いのが九千三百円、一番高いのが三万六千六百円、この絶対額の差額は二万七千三百円になって、絶対額は広がるんですね。だから、不均衡是正なんと言って全然不均衡是正になっていないじゃないですか、不均衡拡大じゃないですか、どうですか。
  172. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 個々のものにつきまして見ますと、そういう現象もあるかと思いますけれども、不均衡是正の基本の精神は、やはり先ほど来申し上げておりますように、公営住宅でとっておる方式によりまして、それで今日ここに住宅をつくる場合にどの程度のものになるかということ。もちろんその場合、古さとか設備の悪さ、こういったものを十分考慮して再算定するわけでございますけれども、そういうことの比較において現行の家賃が不均衡である、こういうことを不均衡是正の場合の基準にいたしておるわけでございます。
  173. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 個々の場合じゃないんですよ、二DKというのは一番多いんですよ。全部で十七万一千六百五戸あるじゃないですか。一番多いです。この二DKについて一番安い家賃と一番高い家賃の差額が、今度上げると差額は広がっちゃうんですよ。だから、不均衡是正ということを言われていたのは全く口実だと、全体をやっぱりずうっと上げるというのがあなた方の実はねらいであったと。公営住宅の限度額方式の二分の一と、あの数式で計算すると、こういうことになるんでしょうけれども。数式はこうなるんでこうなってんだろうけれども、全体を何とか世論にのませるために不均衡是正ということを盛んに打ち出して宣伝してこられたけれども、実際に承認になってこう実態が発表されてきますと、不均衡是正というのは全く名目だと、実際には不均衡そのものも広がってしまうし、昭和四十六年、四十七年管理開始住宅もほとんど最高額七千円というものが上げられている、これは明白です、あなた方からいただいた資料で。全国平均で安くなると言いますけれども、これは農村地帯などでは安くなるでしょう。しかし、この家賃問題が一番問題になっているのは首都圏や関西ですよ、そういうところが一番家賃が高いんですから、地価も高くて。そういうところのもう三万円以上の家賃を払って非常に困っている方々が、今度ほとんど全部と言っていいほど七千円上げられるというのが現実だということですね。そういう実態が明らかになっていて、しかもそれについて激変緩和措置ということを当委員会が要望したにもかかわらず、もうこれで十分だということでとっていないんです。これはまことに不誠実なやり方だと思いますが、大臣いかがですか。あなた、尊重すると言われましたけれども、激変緩和措置、尊重されていないんじゃないですか。大臣お答えください。あなたの答え。
  174. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いろいろ実例をお挙げになっての御指摘でございまするが、先ほど局長の方から御答弁申し上げましたとおりに、そもそも値上げ申請に際しまして激変緩和の措置がとられておる次第でございまして、この第三におきましては、私は公団の方に重点を置いて考えさしていただいた次第であります。
  175. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 結局、この問題では、激変緩和措置については誠実な措置をとらなかったということでしかありません。  次に、高島平など一万二千戸その他、昭和四十六、七年度で承認対象から除かれている分。それからそのほかの四十八年度、四十九年度、これらの値上げ分ですね。これは公団との間で、来年四月から高島平など一万二千戸については値上げすると、新たに申請するという方針なのか、それとも白紙に戻したのか、この点お伺いします。
  176. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 昨年の夏に、建設省内に設けられました公団住宅問題の対策委員会を持ちまして、基本方針を決めまして、そして当委員会等にも御報告したと思いますが、その中で、私どもは、昭和四十九年と五十年を境にして、四十九年までの分はある程度家賃の引き上げを行い、五十年以降のものについては家賃の引き下げを行うのだというようなことを申し上げたと思います。そういった基本方針に沿いまして、私どもとしては、これは公団が申請することではございますが、今回、高島平等の一万二千戸、及び四十八、四十九年度に管理開始した分についても、逐次全体の中で申請があれば今回の措置に準じて承認をいたしたいというように考えております。
  177. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 値上げ時期が二カ月おくれたわけですが、これで三十八億円減収になりますね。初年度増収額百七十億円が約百三十二億円になるわけですが、これは補修費と家賃抑制にはどういうふうに振り分ける予定ですか。
  178. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 家賃の値上げの実施時期が七月から九月に二カ月延びたわけでございまして、私どものいまのあれでいきますと、おおよそ三十八億円ぐらい減収になるわけでございます。  家賃改定による増収分は、一つといたしまして、家賃の抑制額とそれから修繕費等の維持管理経費、こういうようなものに充てることになっておりますが、いまそのうちの家賃抑制額についてみますと、従来も初年度三十億円程度と申し上げてまいりましたが、その点につきましては、これからそれぞれの団地を調査いたしまして、具体的に承認になった範囲内でどの程度まで、どの団地をということをこれから詰める段階でございます。したがいまして、この三十八億円、この数字がそっくり全額そのとおり、何といいますか、修繕費の減になるというふうには必ずしもならないとは思いますけれども、しかし、大筋として見ますれば、昭和五十三年度、来年度に限って申しますと、この総額の増収分の変更によって大方、大部分といいますか、そういうものが修繕等の維持管理経費の方の減少の方につながる、減少、縮小せざるを得ないというふうなことじゃなかろうかと思っております。  ただ、ここで申し上げたいのは、これによって、私どもが考えておりました増収分によって、こういう新たにいろんな種類のものの修繕計画を立てておるわけでございますけれども、そのうちのどの項目とか、そういったようなものをやめてしまうとか、そういった性質のものでございませんで、このことは、何といいますか、平年度の増収額になれば、二カ月おくれというものは必ずしもすべてに影響するわけではございませんので、こういった点からいきますと、何といいますか、実際には昭和五十三年度に新たに計画的に着手していこうというものの着手の時期がある程度おくれていくと。その結果、修繕等の維持管理経費が幾らか減少になる、そういうようなことに御理解願えればよろしいかと思います。
  179. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 修繕の着手時期がおくれるだけだと言われます。この前の委員会で私は修繕費の内容について資料を要求しました。当委員会提出されましたが、中身はほとんどないと言っていいぐらいで、今後計画的に着手することを検討中だと。屋根防水修繕、手すり修繕、給水管修繕、雑排水管修繕、屋内配線修繕、道路修繕、こういうことが列挙されているだけです。それをどのぐらいの額、どのぐらいの期間でやるつもりなのかという積算根拠は全く出されておりません。こう書かれている。「団地の経年別に修繕個所、損耗度合、修繕の範囲等やその修繕方法などについて、現在、具体的に積上げ作業をしているところであり、まだ確定していない。」ということなんですね。だから、もう着手するどころか、作業をやって、いま確定作業中だということです。平年度の増収額のうち、修繕費百七十億どう使うか、これは「五十四年度以降分であり、現段階では項目別所要額は一層算定し難い」、現在どのぐらい修繕しなければならぬかということについてもデータがないんで、五十四年度については全く一層算定しがたいというお返事なんですね。これはやはり団地住民がそれぞれの団地で、ここを直してほしい、あそこをどうしてほしいという要求があれほど出ているのに、公団側としては、どの団地にどのぐらい修繕が必要なのかというデータがなくて、いま策定中だということを意味するのですね。これも非常に私は何回も指摘してきましたけれども、やっぱり無責任な話だと思うんです。あなた方は、あれだけの戸数の住民に対して責任を持っている管理者で、大家さんなんですから、そこをどれだけ、何を直さなければならぬかというぐらいの数字は、もうすでに積算をしていなきゃならぬ。それを今度ようやく家賃を値上げすると、そうすると、国会の要望で、なるべく全部修繕に使えということがありますと、あわてて修繕費などの計算をいま始めているということでは話にならぬと思うんですね。  この点、監督官庁である建設省も、公団の経営のずさんさだけじゃなくて、事業についても、もっときちんと住民に対して責任を負える仕事がやれるようにぜひ監督を強化していただきたいし、公団側にも一層努力をしていただきたい、要望して先に行かせていただきたいと思います。  それから、やはり私この間の委員会でこれもお伺いして、明確な答弁をいただかなかったわけですけれども、傾斜期間が短縮される対象戸数が六万五千戸ある。この十年の傾斜期間を五年ないし七年、六年——八年、七年——九年と傾斜期間短縮するわけですね。一戸当たり大体平均最終家賃で一万円下げるわけですね。この下げる分の財源を一体どこから出すのか。これは五十八年度になると、その財源を出さなければならなくなる。私どもの計算では、六万五千戸掛ける一万円掛ける十二カ月で、やっぱり年間恐らく必要な財源は七十億円から百億円、五十八年度あたりから必要になると思いますけれども、その金額はそのぐらいになりますか。
  180. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) その時期になりますれば、いま先生御指摘のとおりの、おおよそ七十、八十億円から九十億円ぐらい、そういうふうになると思います。
  181. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この前は、この約百億円近い財源を値上げ分からは出さないということだったんですが、しかし、どこから出るのか必ずしも明確でありませんでした。五十八年度も平年度増収分、二百三十億になるわけですけれども、もし家賃値上げの増収分からこの百億円近い金を出さないとすれば、一体どこから出すおつもり、どういう計画なんですか。
  182. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先日も、何といいますか、値上げ分から全く出さないというふうに御答弁申し上げたわけではなくて、今回の措置によりまして、五十年度以降管理を開始するそういったものにつきましては、今回の値上げ分からは回さないという配意事項がついておりまして、そうなると思います。しかし、五十九年、五十八年というと相当先のことでございますので、今回の値上げ分の中から修繕費及び抑制額に回す分のうちで、そのころの修繕の状況がいかんによって修繕費と抑制に回せる分の割合が必ずしも一定しておりません。したがって、その分から多少の回るものもあると思いますし、それからまた、私どもの方では現在別途、現在空き家家賃の改定といいますか、空き家になったときには家賃の改定をいたしております。こういったものも順次、何といいますか、最初のうちは空き家修繕ということに該当資金から借りまして、それでもって修繕をいたしておりますので、これの返還分に実際の値上がり分の中の相当部分を回さなければいけませんけれども、それらの部分の返還が済みますれば抑制額の方に回す分も順次増大して出てくると、そういうふうに考えておりますので、それらのものも総合的に勘案しまして、その時点で解決できると、こういうふうにいま考えておる次第でございます。
  183. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 また答弁が変わってきました。以前いただいた資料では、平年度分二百三十億のうち、補修に百七十億、家賃抑制に六十億円使うと。この六十億円のうち、五十三年度新規供給住宅の家賃抑制に五十億円、五十年度から五十二年度に管理開始した住宅の家賃引き下げに十億円、この五十億、十億円という数字をわれわれはもらっているのですよ。ところが、いまの答弁では、これがまたもう少し動くと。五十八年度から必要になってくる百億円近いあれですね、それにも少し回すかもしらぬということになるんですね。そうすると、この平年度二百三十億のうち補修百七十億という数字も、百七十億がもっと減ってくるということもあるということですか。
  184. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) いま私申し上げておりますのは、五年、六年というようなそういう先のときの段階における修繕費と抑制額とがこのままきちんと、二百三十億の内訳が一定のままきちっと続くというふうなことでないということを申し上げているわけでございまして、幾たびか申し上げておりますように、修繕は毎年積み上げておりますし、それから何といいますか、修繕の周期、時期等によりましても変動がございますので、その年度年度を具体的にとりますと、必ずしもこの一定の割合が毎年同じであるというふうでないということを申し上げただけでございます。それから、幾ら回すとか、そういうものも今日、何といいますか、その時点の修繕の所要額が出てきておりませんので申し上げられませんけれども、大筋といたしましては、私どもは、現在私どもでとっております空き家家賃改定額というものがございますので、これをもって賄えるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  185. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど申しましたように、五十八年度から必要になるのは七十億円から百億円という膨大な額なんですね。総裁にお伺いしなければならぬですね。これを百億円近い金額がどうしても必要になってくる。そうしますと、この平年度二百三十億円からはそう膨大な額が出るわけがありません、修繕費を猛烈に減らさなければですね。空き家家賃の増収額というのもそれほど大きなものではないと思いますけれども、五十八年度にその七十億から百億円近い金額を生み出すために家賃の再値上げはしないと、そういうことははっきりお答えになりますか。
  186. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 今回のような一斉値上げ、二十年来初めてなことになるわけでありますが、これがそうやすやすと行われるものとは私考えておりません。しかし、今後は一切やらないというものでもない。これは社会情勢なり経済情勢なり広く勘案して今後決定さるべき問題であると存じます。したがって、そういう一斉値上げを予定して現在これを論ずるわけにはまいらないわけであります。私どもは御指摘のような時期に新たに供給する家賃抑制のために金が要るということは重々存じております。このためにはあらゆる努力をしなければなりません。ただいま有賀理事からお答えしたようなこともその一つであります。それから今後の企業努力、土地の利用効率の向上、あるいは公共公益負担に対する政府の援助、あるいは利子補給の増額、政府公団住宅の対象でありまする中堅勤労者のためにどういう程度のコストの住宅を提供するかという、そういう政策のフィロソフィーと合わせて、われわれはあるべき姿についてあらゆる努力をしてまいりたい、かように考えております。
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 午前中の赤桐委員の質問に救仁郷住宅局長は、今度の委員会のあれで、五十四年度以降の新規供給住宅の家賃抑制財源に使えないことになっていますね。その財源に、五十四年度分の家賃増収分の一部と言われたかどうか、ぼくもはっきり聞こえなかったんですが、それも使うということを言われましたが、そうすると、五十四年度分というと、先ほど答弁のありました高島平など五団地、これが四十六年、四十七年で一万二千七百戸、もし四十八年度やると、これが二万六千五百十五戸、四十九年度は三万七百七戸で、合わせて約七万戸あるのですね。これをもし五千円取りますと、やっぱり四十億円くらいの金が出てくる。五十四年度の二万六千戸に、引き下げにどのくらい金がかかるかというと、もしこれまでのレベルでやると約五十億円くらいの金がかかると思うんですけれども、そうすると、五十四年度新規に取る、つまり高島平以下の五年傾斜家賃が終わる分ですね、これは大体そっくり五十四年度引き下げ予想分に入れるという計画もあるんですか。
  188. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 私が申し上げましたのは、当然そういった五十四年度に値上げさしていただく団地がございます。しかし、先生御指摘のように、それをそっくり五十四年度新規供給住宅の家賃抑制の方に回すこともあり得るのかという御質問でございますが、私どもはやはり今回の値上げ措置といったものが、まず第一に現在の維持修繕費、管理事務費といったものの不足分に充てたいということが第一義でございます。したがいまして、その一部は当然使わしていただくとしても、比率がいま具体的にどうかということではございませんが、今回大部分についてそういう維持修繕費に回したように、当然それぐらいの比率では回すべきだと、一部については抑制に回さしていただきたいというように考えております。
  189. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 第七項目で「日本住宅公団は入居者の意向を聞くなど、民主的な配慮をすべきである」、こういう要望を行いました。大臣のけさの説明でも、ここの部分については値上げの趣旨について周知するのだというような御答弁で、意向を聞くなど民主的な配慮をするというのと、値上げの趣旨を周知するというのはまるで違うんです。本当に民主的に自治協その他、入居者の人々の意向を聞くというのが民主主義であって、一方的に幾ら詳しく周知徹底してビラを何回まきましても意見を——本当に話し合いにはならぬと思うんです。この点これまでもわれわれも強く要望してまいりました。全国自治協の側も、私きょうその一端をも指摘しましたが、こういう値上げ問題についてやっぱりまだまだ納得がいかない。ある場合には供託など、裁判を起こすこともあり得ると思うんですね。もし入居者が不当な値上げに反対して家賃を供託してきた場合、公団としてはどういう措置をとるつもりですか。
  190. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) こういった家賃の改定等にはいろんなやり方があると存じますが、私どもは今回いわゆる公営限度額方式にのっとりまして、個々の地域、団地というようなことでなく、一斉に改定をする方式をとったわけでございます。したがいまして、ただいまお話しのような御趣旨、わからないわけではないのでありますけれども、団地ごとに自治協といったような団体と話し合いをして事を進めるというのはどうもなじみにくい、むずかしい点がある。私もいろいろ考えてみましたが、どうもそういう感じを免れないのでありまして、ただいままでいろいろ書面等によりまして何回も周知方、いろいろ御理解を得られるような努力もいたしたのでありますが、今後もそういったやり方をもって御理解を得るよう、それから委員会の御要望と同様の効果を上げ得るよう努力をしてまいるのが私はいいのではないかと思っておりますが、そういうことで、ただいま支払い拒否とか、あるいは訴訟とかいうふうなことが起こったらどうかという御質問ではございますが、私どもはそういうことはぜひないようなことにしてまいりたい、そのために全力を尽くして理解を深めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  191. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、やっぱり住民は納得いかないですよ。私、冒頭に言いましたように、あなた方から出た資料で、これは全国平均だと言うんだけれども、四十七年は三千九百円と書いてあるでしょう、数字のマジックですよね、三千九百円。大体この程度と思うですよね、一番新しいところの人は。ところが、もらってみたら七千円でしょう、最高額、ほとんど東京なんかそうですよね。こういうことでは、これまで申請書類に隠してあったと、それから三カ月の敷金の追加徴収も隠してあった等々、次から次へ出てくるんですけれども、また家賃の金額でこういうのが出てくるんです。どうしても、なぜじゃおれのところは七千円なんだということを説明会で聞きたいですね。ところが、一切そういうことはやらぬと、一方的にお知らせするだけだということでしょう。これでは私はもう政治的、社会的問題になっているこの団地の家賃値上げ問題、本当に民主主義的に正しい解決に到達することはなかなかむずかしいと思うんですね。その点でぜひ公団側には、やっぱり民主的に団地の住民の意向を聞きながら進めるという当委員会委員長要望の第七項目、これをぜひ誠実に実行していただくことを要望したいと思います。  それで、私、この問題、いままでのずっと経過を考えてみますと、とにかく高い、遠い、狭いということで行き詰まってきたいまの公団の問題、その赤字分をいま住んでいる人たちに負担させようというやり方は結局失敗だという結論がもう出てしまったと思うんですね。最初プール制ということを言われた、プール制じゃまずいのでプール方式というふうに変えた、ところがプール方式も引っ込んで今度は不均衡是正ということにされた。ところが、不均衡是正というのも、中身は不均衡是正じゃなくてむしろ拡大の面もある。それで、家賃抑制に少し回すそうですけれども、結局今後の高家賃抑制分の財源はどこからも出ないわけですよ。しかも公団の経営は、きょうはもう申しませんけれども、非常に大きな破綻を示している。長期の借入資金もふえるばっかりですわね。未利用地もある、空き家もどんどんふえていくという状況なわけでしょう。そうしますと、一方、二十年分の一斉家賃値上げで、これだけ大きな闘いを、住民の抵抗て運動を呼び起こしているわけですから、こういう方式ではいまの公団が抱えている問題点は解決できないということが、もうこの数年の経験、今度の家賃値上げでほぼ結論が出たんだと思うんですね。そうすると、やっぱり全国民の財産としての住宅公団の抱えている問題点はどう解決していくか。これは先ほど救仁郷さんも言われたし、公団総裁も言われましたけれども、結局この家賃の方式そのものの根本的な再検討とか、あるいは国の援助だとか、公共関連施設費の負担をもっとふやしていくことだとか、金利を、利子補給をもっとやるとか、本当に国が明確な住宅政策を立てるということ以外に、いま公団がぶつかっている大問題を解決する道は絶対ないと思うのですね。それがもう党派の違いを超えて今度の家賃値上げ問題から引き出される共通の結論だと思うんですが、ひとつ大臣、今後この問題のこの経験を踏まえて公団が抱えている問題を解決し、公団公団法第一条に書かれているような目的に沿った全国民的な事業を進めていくような方向をどのようにして求めていかれようとするか、この点をお伺いして、第一の問題は終わりたいと思います。
  192. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 承認に当たりまして、けさほど御説明申し上げたように、委員会の御決議を踏まえていろいろ指示をいたしたところでありまするが、ただいまの御質問を承っておりまして、私どものこの指示をしたいわば住宅公団の経営に密接な関係のございます未入居住宅及び長期未利用地についても別途その解決に全力を挙げて当たることというようなところに表現されておりますように、今回の値上げを機会に住宅公団自体もこういう御論議を踏まえてのいろいろ御考慮されるべき点があると思います。また、私どもも監督官庁といたしまして、これからの住宅公団が健全な推移をたどってもらいたいと、こういう見地で必要に応じて意見を述べたいと思っておる次第でございます。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 非常に大きな問題ですけれども、また別の機会を期待いたしまして、次の問題へ移りたいと思います。  先ほど桑野委員も公共事業がこれだけ拡大した中で生まれてくるさまざまな問題を取り上げられました。私はその中で公共事業に直接携わる建設業界に起きているひとつ重要な問題をお伺いしたいと思います。建設業界というのは下請が非常に広がっておりまして、下請から孫請、さらにひ孫請というように二次、三次、四次、さらには五次まで行くような下請関係が非常に多いわけですね。ところが、この下請関係の中で商慣習と申しますか、近代化されていない面もかなり残っている部面が多いために、たとえば正式な契約も行われないで口約束で進んでいく、お互いの人間的な信頼関係ですね、こういうところで仕事が進んでいくという面もかなり広がっているわけです。これはいい面もありますけれども、同時にまずい面もあるわけで、そのまずい面の重要な一つとして、こういう建設業界における孫請、ひ孫請などの中にあるすき間につけ込んで、かなり暴力的なグループがいろんな事件を引き起こしているということが昨年来問題になっております。  これは、いま表に出ておりますのは左官業です。町場じゃなくて野丁場と言われる少し大きな建設事業ですね。こういうところであるんですけれども、これは新聞などに取り上げられましたが、去年の十月十八日に読売新聞が大きく取り上げたんですが、このケースなどはこういう例。これは文京区の渡博幸さんという方が被害者になったわけですけれども、ある民間会社から三百五十万円で左官工事引き受けた。これは茨城です。それを三百万円でSさんという人に契約して頼んだ。そしたら、そのSさんという人が日野森富雄、加藤和之などの業者の仲間にこれを頼んだ。そしたら、ほぼ工事が九割済んだところで、何と三百万で引き受けた仕事に対して五倍の千四百四十万円という請求を出してきた。それで、その請求に対して断わると、これは赤旗を立てた労働争議まがいのことをやったり、そういう問題になりまして、この渡さんは泣き寝入りせずに水戸地裁に工事妨害禁止の仮処分を要請した。それに対して非常に暴力的な騒ぎが起きましたので告訴もする。十月六日にこの日野森と加藤というのは恐喝、それから器物損壊の容疑で逮捕されるということになったわけですけれども、これでこういう問題が表ざたになった。ところが、何とこういう事件がかなり数多く関東で起きているということであります。  渡さんなどが中心になりまして、建設産業暴力事件被害者の会、三十数件の方が集まって、去年の十月十五日、建設省に対して「暴力事件に関する行政指導の強化を求める要望」というのを申し入れました。その要望内容は「関係官庁と連絡をとり、至急事件の実情をつかむこと。」「二、公共工事はもちろんのこと民間工事においてもこれらの事件がくりかえされないよう行政指導を強められること。」「三、悪質な者に対しては建設業法を厳格に運用し取り締まること。」というのを建設大臣長谷川四郎殿あてに申し入れたわけですけれども、この問題に対して調査を行いましたか。調査結果を報告してほしいと思います。
  194. 大富宏

    政府委員大富宏君) 御指摘の暴力事件につきましては、いま御指摘のように、十月十八日の読売新聞及び建設産業暴力事件被害者の会の要望から知り得たわけでございます。その内容は、るる御説明になりましたように、簡単に申し上げますと、下請業者——被害者、左官でございますが、工期、下請金額を明確にしないままに下請業者を使用し、その後工事の途中で下請代金の増額を強要する、こういうパターンでございます。建設省といたしましては、被害者の会の要望を受けまして、直ちに関係業界団体、日本左官業組合連合会、全国中小建築工事業団体連合会に連絡いたしまして、そのような暴力事件の防止を指導するとともに、同様の事案の状況につきまして報告を求め、調査中でございますけれども、いまのところ具体的な報告は受けておりません。今後とも実態の把握に努めてまいりたいと思います。
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまのところ具体的な報告を受けておりませんというのは、結局何の措置もとってないということだと思うのですね。しかし、この被害者の会は明確な事実を建設省に述べて対策を要望しているんです。事件はやっぱり続いて発生しています。被害者の会の集めたものによりますと、私もここに、被害を受けた人たちの供述だとか、彼らが持ち出してきた数倍に上る請求書、こういうものを何種類も持っておりますけれども、総括いたしますと、いままでのところ被害者の会、東京土建などに集まった限りですけれども、被害数は三十八社四十一件に上っています。それから発生した場所は東京、埼玉、千葉、茨城、栃木、愛知、一都五県に広がっています。被害金額の総額は、すでにわかった範囲内だけで、この四十一件で三億百万円に上っております。民間、公共の区別がありません。公共事業がそのうち四割を占めている。官公庁の発注はわりにねらわれるようです。暴力グループに参加した人数は約四十名以上で、七つ以上のグループがあるのではないかと思われています。すでに逮捕されたのが、先ほどの日野森を初め四人逮捕されておりますけれども、まだ完全に解決されていない。問題が起きて、警察に持っていきますと、警察は民事問題だから介入しないと言って、よほど暴力事件その他、いわゆる刑事事件が起きないと警察も出てきません。その手口はやっぱりきわめて悪質で、水増し請求をする。調べてみると、一人の人間があっちこちの現場に、一人が二つの会社に同時にあらわれているという事態も出てきています。納期が迫ったところで大騒ぎをするわけですね。しかも労働基準監督署にまで偽りの報告を出すというようなことで、どうも暴力団とのつながりもあるのではないか、暴力団の資金かせぎともつながりがあるのではないかとさえ思われています。  私の部屋できのう、公共事業ですけれども、秋川市の小学校の左官工事を受けた方、そこにも電話をしましたが、奥さんが出て涙声で訴えているのですね。この方は七百六十万円で請け負って、結局七百六十万円以上、千八百万円金を払わされちゃった。物すごくおどかされて、元請の方からは、小学校工事だから早く完成しないと困る、おまえの責任で全部始末しろということで、どんどんどんどんやられまして、とうとう借金して千八百万円——七百六十万円もらった以外にですよ、千八百万円の損害まで受けた。解決するのに、あっせんに立った人が、これもまた暴力団的なところで、そこでも四百三十万円の金をあっせん料として取られるという状況で、大学へ行くはずの娘さんも大学に行けなくなった、本当にこわい目に遭いました、こういうことはもう再び私以外に起きてもらいたくないということを涙声で訴えておりましたが、実際にこういう被害を受けた三十数人の人というのはそれぞれ——一々申しませんけれども、そういうことが起きているわけですね。  こういうことを去年の十月十五日に訴えられていて、業者団体にこういうことがあったら報告しろという通達をしただけで、そのまま済ましておられたのでは——公共事業これだけ大きくやらなければならなくなって、まじめにやろうとしている建設業者の方々が、孫請、ひ孫請でこういう損害を受けるというのでは、やっぱり放置できない問題だと思うのですね、個々の問題ではないと思う。その点、明確な調査措置をお伺いしたいと思います。要望したいと思います。
  196. 大富宏

    政府委員大富宏君) 先ほど簡単に申し上げたわけでございますが、被害者の会から陳情がありまして、即座に私ども建設課長が会ったわけでございますが、陳情当日に日本左官業組合連合会、これは専務理事でございますが、直接電話いたしまして、暴力事件があっていることと、それからその防止のためには相手方をよく選んで契約を明確にしなさい、傘下会員に徹底しなさい、被害の実情は直ちに報告しなさいということも指示いたしておるわけです。それから全国中小建築工事業団体連合会、これも事務局長に連絡いたしまして同様な指示をいたしました。それから全国建設労働組合総連合、これにも本部で電話いたしましたところが、当該事案というのは全建総連傘下の東京土建一般労組の担当でございますということで、この当該労組というのは陳情団に入っておられた方でございますので、あえてやっておりません。  こういう建設省の連絡を受けて一体業界団体はどう対応をしたかということでございますけれども、日本左官業組合連合会におきましては、役員会を三回開いております。新聞報道等の文書も流しまして会員に注意を喚起いたしております。それから全国中小建築工事業団体連合会におきましても、傘下会員に対しまして、こういう新聞報道等を付しまして、十二月と一月の二回にそういう情報を流しまして報告をしなさいということもやっております。しかし、ただいま申し上げましたように、いま私どもの方に現在のところ正式には報告を受けていない状況でございます。いま上田委員の御指摘もございましたように、詳細な事情がわかりましたら、私どももお聞かせいただきまして今後の対策を練りたいと思います。
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さらに調査をし、適切な対応を関係官庁とも連絡をとってやっていただきたいと思います。  それで、こういう下請関係の紛争に当たるというのに建設工事紛争審査会というのがあるのですね、中央とそれから都道府県にある。ところが、この審査会というのは、実際上あっせんとか調停をやるのですけれども、調べてみますと、裁判みたいなもので一年数カ月かかるというのですね。これだと、もう工事最中に起きている事件ですから、一年数カ月かかって解決したのでは、元請さんにもこれはどうにもならぬということになるわけなんで、私はひとつ要望したいのですが、こういういろいろな事件、特に暴力までふるわれるようなこういう事件、それからこの建設業の中で特に公共事業にも関係する大事な仕事なんですので、こういう紛争が起きたときに被害者が一体どこに相談したらいいかわからなくて困ることも多いわけですね。ですから、建設省の中でたとえば一一〇番的な窓口も設けて、こういう問題が起きた際、被害者の相談に応じられるようにしたらどうかと思うんですが、こういう点、検討していただきたいと思います。
  198. 大富宏

    政府委員大富宏君) いまお述べになりました中央紛争審査会、これは調停、和解のみならず、あっせんもやっておりますし、正式に手続をとり得ないものでも私どもの方においでいただければ相談に乗ることになっております。それからさらに、建設省に設けられている中央紛争審査会のほかに、各都道府県段階にもこの事務局がございますので、遠慮なくひとつお使いいただきたいと思っております。
  199. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 都道府県の審査会だけでなくて、建設省もひとつこういう問題が起きたとき、すぐ相談に応じられるようなそういう窓口を設けていただきたい。これが私の要望です。
  200. 大富宏

    政府委員大富宏君) 建設業課におきましてそういう窓口の役割りを果たしたいと思います。
  201. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、ぜひこういう問題を根絶するように努力を再度望みまして、次に下水道問題ひとつお伺いしたいと思います。  今度、下水道事業費も非常にふえて、この点はよいことなんですけれども、エアポケットみたいに残されているところもまだまだあるわけです。たとえば東京の場合、三多摩地区ですね。これは下水道まだまだこれからというところが非常に多くて、各自治体も東京都並びに三多摩の市も町村も努力しているわけですが、町田だとか日野だとか多摩市などは本当にこれからということです。私、訴えがありまして、この二月の六日に町田市の金森、西田地域というところの排水問題の調査をしてまいりました。行ってみて本当に驚いた。ほとんど吸い込みというやつをやってますね。深さ三メートル、五メートル、十メートルぐらいの井戸を掘ってそこに家庭排水をやっているんですけれども、これがあそこの土質の関係もあってすぐ吸い込まなくなってしまう。吸い込まなくなってしまうのでもう一つ掘る。そうすると、もう二、三年しかもたぬというので、小さな庭に吸い込みの井戸が二つも掘ってある。それで、それももうだめになるので、結局おふろも沸かせなくなる。それから家庭の雑排水も余りやれなくなるということで、毎日毎日が本当につらいという主婦たちの非常な訴えです。三、四十名の方から訴えられている。悪臭もある、蚊もふえる、まことに不衛生で、雨が降ると大喜びで、吸い込み井戸にポンプつけている家なんかありまして、雨が降ると道路に流すわけです、ポンプでやって。雨のとき雨水と一緒にだあっと流れていくというわけですね。こういう状態が東京都にあるというので驚きました。あるアパートではホースを備えつけてあって、一杯になってくるとホースをみんなで持っていって、遠くにあるU字溝にまで流すというような状況で、これは恐らく町田市だけではなくて、多摩地域から神奈川にかけてかなり一般的に見られる状況だと思うんですが、こういう実態を建設省は御存じでしょうか。また、調査したことがあるでしょうか。
  202. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 下水道は相当ピッチを上げて努力をしておりますが、御指摘のように、まだまだ十分に整備進捗していないために、地域住民の方にいろいろと御迷惑をかけておる状況があることをまことに申しわけないと思っております。  全体の状況から申しますと、現在、全国三千三百足らずの市町村のうちで下水道事業を実施しておる市町村が五百四十ほどございます。その中ですでに処理を開始しておるというのが二百四十市町村という状況でございます。それから、この全体の人口に対する下水道の処理人口、いわゆる普及率でございますが、これが現在二六%、今次の五カ年計画は五十五年で終わるわけでございますが、このマクロの目標としましてはこれを四〇%に持っていくというふうに考えております。  そこで、東京都の場合でございますが、東京都の場合、現在普及率五六%でございまして、全国レベルから見ますと東京は非常に高い方でございます。ただ、これは御指摘のように既成市街地の方に集中しておりまして、周辺の新市街地、これは著しくおくれておるわけでございます。いまお話しの町田市でございますが、私どもの試算によりますと、ただいまのところ八・八%程度というふうな状況でまことにお寒い状況でございます。  そこで、お話のございました地区でございますが、これは私どもの方の計画で申しますと、町田市の下水道計画の中の町田処理区、この中の計画の区域に入るべき地域でございます。この町田処理区と申しますのは、計画としましては二千六百ヘクタール、処理人口二十万人、こういう全体計画でございますが、現在の状態では、本年度末でございますが、処理面積二百十ヘクタール、処理人口五千人というふうな程度でございます。そこで、これを市の方の計画を確かめてみましたところ、市としてはこれを今次の四次五カ年末、五十五年度末におきましてこの処理面積を千百四十四ヘクタールまで拡大したい、その結果の処理人口を七万八千人までに拡大したいというふうな計画を持っておるようでございます。そこで、当該地区につきましては、これはこの町田処理区の中の鶴間分区という区域でございます。これ、処理面積約二百一ヘクタールでございますが、これにつきましては現在都市計画事業の認可の範囲——ここはまだ認可の範囲に入っておりません。そこで、確かめましたところ、目下、町田市等が東京都となるべく早い機会に私どもの方に事業認可の申請をすべく協議中であるという状態でございます。
  203. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この事業認可、なるべく早くやっていただきたいと思うのです。  それで、もう時間がありませんので、あと一問だけです、いまの問題に関係してですね。町田市に行ってみましたところ、町田市としては非常に強い要望が一つありました。それは、あそこは単独で公共下水道をつくらなければならぬ地域になっておりますね、これは地理的な状況ですけれども。お隣の相模原市と一緒になって流域下水道計画する案が一時あったそうです。ところが、これは下流の都市の反対、その他もあって相模原市などと流域下水道をやるのはやはりだめだということになって、そうすると地勢の関係でどうしても単独でやらなければならぬ。終末処理場もだから自分でつくらなければならぬというわけなんですね。で、言われましたのは、御存じのように、もう流域下水道と公共下水道補助率、補助対象率が違いますね。確かに流域下水道ができて、それに幾つかの市が公共下水道くっつけるという場合に、市の公共下水道補助率、補助対象率は若干流域下水道より低いというのは当面やむを得ない、仮にやむを得ないとしても、町田のようにもう地勢的に自分で単独で終末処理場までつくって公共下水道をやらなければならぬ。その際、補助率が、たとえば管渠については流域下水道三分の二に対して十分の六だと。それから終末処理場も流域下水道なら四分の三で、三分の二だというのはどうにもかなわぬというのだね。これは私もそれはそうだと思うのですね。全部単独でやる場合に終末処理場まで三分の二しか補助が出ないわけでしょう。それで、だから全部流域下水道並みにしろというのじゃなくて、恐らく町田だけじゃなくて全国にこういうところはあると思うのですよ。そういう際、この不公平を埋めるために単独でやむを得ず公共下水道を終末処理場まで含めて行わなければならぬ自治体に対しては、流域下水道に接続する場合と同じようなやはり負担になるような、そういうことを当然考えて補助率または対象範囲の拡大をやるのが当然ではないだろうかというように思うんですけれども、その点いかがでしょう。
  204. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 確かに御指摘のとおり、公共と流域では国の援助の程度が違うわけでございます。現在圧倒的に大多数の下水道事業というのは公共下水道でございます。流域下水道は、これは御承知のとおりでございますが、これは公共下水道と共通の目的はもちろんございますが、もう一つ加えまして、公共水域の水質保全というパブリックの目的を持っている、しかも二カ市町村以上にわたる、こういうふうな場合、しかも公共水域の水質を早急にこれを改善しなくちゃならぬということのために非常に急いで行わなきゃならぬ、こういうふうな点で公共下水道とおのずから性格を異にしておる。そういう点でちょっと比較は余り妥当じゃないかもしれませんが、県道の補助工事と直轄の国道工事、これが県道の場合、三分の二の補助率です、通常。直轄の国土工事は四分の三の負担でございますから、これは比較は必ずしも妥当じゃございませんが、……。
  205. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、全部一緒にしろと言っているんじゃないですよ。町田のような特殊なケースですね、こういうケースが全国にあるかどうか。その際、特例を考えたらどうでしょうか。
  206. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) やはり、流域下水道なかなかつながらない、公共下水道で単独で処理しなきゃいかぬというふうなところはやはりちょいちょいあるわけでございます。ただ、これにつきましては、これも御承知と思いますけれども、補助対象率はもとより、それからあとの起債充当率につきましても、公共下水道地方負担分の八五%を起債の対象にしております。それからさらに、その最末端の毛細血管に比すべき単独事業分がございますが、これにつきましても九〇%の起債を充当しております。この両方につきまして、後年度におきまして元利の償還金について二分の一を交付税の算定基準に入れていくというふうなことにしておりまして、したがって、結論的に大ざっぱに申しますと、直接の自治体の当面の負担というものは、これはケースによって違いますが、五ないし一〇%程度というふうな状況でございまして、大部分の市町村はそういうことで直接市民の環境を改善するための公共下水道というものをほとんど単独で非常に圧倒的多数がやっておるわけでありまして、ほかの公共事業に比べましても、この補助率あるいは起債の充当率等々、これは多少まさっている点はあっても劣るとは思っておりませんので、これは当面こういうふうな体制でむしろ事業量を拡大する、そこでいま御指摘のような地域をなるべく早く対象地域に取り入れていくというところにアクセントを置いて推進していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  207. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間が延びましたので、まだお聞きしたいことはありますが、やめますけれども、公共事業が大きく伸びますと地方財政の負担が非常に大きくなる。起債するにしても、借金で切り抜けようとしても、将来この負担がさらに大変な重荷になることは明らかなので、この補助対象拡大補助率の拡大、こういう点、さらに下水道工事を拡大するためにも必要だという点を指摘し、要望して、質問を終わりたいと思います。
  208. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会      —————・—————