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1978-02-09 第84回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月九日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  十二月二十二日     辞任         補欠選任      片山 甚市君     藤田  進君  一月二十日     辞任         補欠選任      松本 英一君     安永 英雄君  一月二十一日     辞任         補欠選任      小谷  守君     松本 英一君     —————————————    委員長異動  一月二十一日小谷守委員長辞任につき、その  補欠として安永英雄君を議院において委員長に  選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安永 英雄君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 土屋 義彦君                 赤桐  操君     委 員                 遠藤  要君                 寺下 岩蔵君                 中村 太郎君                 降矢 敬義君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 藤田  進君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君    政府委員        北海道開発政務        次官       阿部 文男君        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        国土政務次官   丹羽 久章君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁長官官房        会計課長     佐藤 毅三君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁大都市圏        整備局長     国塚 武平君        国土庁地方振興        局長       土屋 佳照君        建設政務次官   塚田  徹君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設大臣官房会        計課長      加瀬 正蔵君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君        建設省住宅局参        事官       丸山 良仁君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    参考人        日本経済新聞社        名古屋支社長   尾関 通允君        全国公団住宅自        治会協議会代表        幹事       工藤 芳郎君        経済評論家    飯田久一郎君        全国公団住宅自        治会協議会事務        局長       岡田 隆郎君        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        日本住宅公団理        事        星野 孝俊君        日本住宅公団理        事        澤田 光英君        日本住宅公団理        事        有賀虎之進君        日本住宅公団理        事       江里口富久也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (日本住宅公団家賃値上げに関する件)  (建設行政国土行政及び北海道総合開発の基  本施策に関する件)     —————————————
  2. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  片山甚市君及び小谷守君が委員辞任され、その補欠として藤田進君及び私がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 安永英雄

    委員長安永英雄君) この際、一言あいさつを申し上げます。  去る一月二十一日の本会議におきまして建設委員長に選任されました安永英雄でございます。皆様方の御協力を得ましてこの職責を全うしたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)  なお、小谷委員長には、退任のごあいさつをすべきところ、所用のため出席できませんので、私から皆様にくれぐれもよろしくお伝えいただきたい旨連絡がありましたので、御報告申し上げます。     —————————————
  4. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、日本経済新聞社名古屋支社長尾関通允君、全国公団住宅自治会協議会代表幹事工藤芳郎君、同協議会事務局長岡田隆郎君、経済評論家飯田久一郎君、及び日本住宅公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  日本住宅公団家賃値上げに関する件について調査を行います。  この際、参考人の方々にごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  参考人皆様には、日本住宅公団家賃値上げ問題について忌憚のない御意見を述べていただき、本件の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  なお、会議の進め方としましては、尾関参考人工藤参考人飯田参考人及び岡田参考人の順序で、お一人十分程度意見をお述べいただき、その後委員の質問にお答え願いたいと存じます。  それでは、尾関参考人お願いをいたします。
  7. 尾関通允

    参考人尾関通允君) 尾関でございます。  要点だけ簡単に申し上げたいと思います。  まず、一般論として、わかり切ったことでありますけれども、価格政策が非常に大事であるということ、それから値上げはいやなことであり、だれしもがやりたくないことである、これを実行するのは非常に勇気が要ることである。一般値上げに対して需要者消費者の拒否の傾向が強いだけに、それに関係する需要者消費者の数が多ければ多いほど値上げ反対に同調し、反対を支持することは容易でありますが、それだけに逆に値上げに賛成する、あるいは値上げを実行するということは勇気のある仕事であるということをまず強調しておきたいと思います。もちろん値上げ反対論の中にも時に耳を傾けるべきものがありますので、したがって、反対へ同調するということを一概に迎合だとかあるいは安易だとか言うべきではありません。しかし、値上げ勇気のある仕事であり、当事者でない者が値上げに賛成するのも同様に勇気の要る仕事であるということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、公団住宅家賃の問題につきまして意見を申し上げます。公団住宅家賃の問題につきましても同じことでありまして、値上げに賛成することは勇気の要る苦しいことであります。しかし、次のような理由から私は公団家賃の引き上げに基本的に賛成いたします。  第一番は、不均衡是正という問題であります。これを放置いたしますと大変なことになるんではないかと思います。不均衡現状でも深刻でありますが、将来はもっとひどいことになる見通しであります。それから、その不均衡は単に公団住宅の間だけでなくて、公営住宅家賃との間の不均衡民間賃貸住宅家賃との問の不均衡という問題があろうかと思います。それからさらに、不均衡という問題と関連して、こういうことに御注意いただきたいと思います。それは、公団住宅居住者が他へ転出しながら名義をそのまま残し、公団の正規の家賃以上の家賃で他に転貸する事例が、必ずしも珍しくない程度にあると聞いておるということであります。すなわち、公団家賃相互間にも不均衡がありますけれども、公団民間家賃の間にも相当な格差がある。その格差を利用してこういうことが行われているという事実があるということであります。  それから次に、修繕費の不足が問題かと思います。これはもう皆様方調べになっていると思いますので、どうなっているかは省略いたしますが、現状では公団という公的資産のいわば食いつぶしが進む状況になろうとしているのではないかと私は判断しております。  それから次に、将来への配慮が重要かと思います。いまのような状況で進みますと、公団活力減殺になる、その公団活力減殺が何をもたらすだろうかは、これは今日の国鉄住宅公団比較することには無理がありますけれども、やはり事業体活力減殺された場合にどういうことになるかは、国鉄一つ事例であろうかと思います。その中でも特に重要なことは、今日の国鉄の最大の問題が、長期にわたる膨大な赤字を抱えて、企業としての活力がとみに衰え、そのために国鉄が保有している輸送能力は貨物を中心に明らかに低下していきつつある、こういうことだろうと思います。今後住宅公団は、これは全く私見でありますけれども、都市開発機能を発揮していくべき段階にあると思います。ところが、その活力が弱くなっていくということですと、都市開発機能を発揮できなくなるおそれがあります。さらに、現在住宅公団が持っております古い団地スラム化をも防ぐことができなくなるおそれもあろうかと思います。  第四に、さらにそれ以外に、ゆがんだ家賃体系のもとで住宅流動性が著しく低い状況を改善しにくいという問題があろうかと考えます。家族の状況に応じて住みかえを円滑に進めるということは住宅政策の非常に重要な一環だろうと思います。ところが、現在は一つ住宅に長くおればおるほど所得に占める家賃負担率は小さくなっていく、そのために長く住んでいる人ほど動きたくないという形になっております。それは住宅、特に住宅公団の持っている住宅流動性をとみに阻害することになっておる。そのことは同時に、住宅利用効率を低い状態に据え置くということになっているんではないかと思います。  それから五番目に、民間賃貸住宅家賃への影響力という問題があろうかと思います。現在は、私は住宅公団家賃民間賃貸住宅家賃に対して影響力を余り持っていないと思います。理想を言えば公団住宅家賃市場家賃より政策的にやや低目の水準に設定してあるということでありまして、そういう状況ですと、公団住宅の数の増加につれて民間住宅家賃形成をリードし、その一方的な上昇を牽制する力として働くと思います。しかし、今日のようにかなり多くの公団住宅家賃市場家賃から遊離しておる、しかもその家賃の間に非常に大きな格差があるという状況をそのままにしておいたのでは、民間賃貸住宅家賃形成影響を与え、民間賃貸住宅家賃が上がるのを牽制する、そういう役割りはなかなか果たせないんではないか、こう思います。しかし、住宅公団民間賃貸住宅家賃形成影響力を持ち、それからさらに一方的な値上がりを牽制する力として働くならば、それはそのことを通じて間接的に民間賃貸住宅居住者に対してもいい効果をもたらす、そういうことが期待できますので、私はそういう面からもやはり住宅公団家賃体系はもっといい状態に持っていく必要がある。そういう観点からしますと、今日住宅公団家賃のうち、かなり多くの部分が余りに経済客観情勢と遊離して低い状態にあるというふうに判断いたします。それが私の考え方の基本であります。  以上、申し上げました。
  8. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ありがとうございました。  続きまして、工藤参考人お願いをいたします。
  9. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 御紹介いただきました全国公団住宅自治会協議会代表幹事工藤芳郎でございます。  委員長さん初め、諸先生方の御尽力によりまして発言機会が与えられましたことを冒頭に感謝申し上げるわけであります。  私は、今回の公団住宅家賃値上げに対しては、不当な値上げ反対をするという立場をとっております。不当と申しますのは、値上げ原因背景の問題、また理由の問題、内容の問題、手続の問題、また及ぼす効果の問題、五つの問題に分けて考えることができると思います。時間がありませんので、主として値上げ理由の問題について最初に申し上げまして、時間の許す限りその他の問題についても言及いたしたいと思います。  値上げ理由でございますが、大まかに言いまして、新旧家賃の不均衡是正をするということが値上げ理由になっておるように思います。この点について申し上げますが、不均衡是正するということでありますと、この不均衡を生み出した原因がどこにあるのか、その原因があるところに責任を求めるというのが私は筋であろうと思います。その意味では、居住者には不均衡を生み出した原因はないのであります。したがいまして、責任を求められるといいますか、負担の増を求められるという筋はなかなか納得ができにくいわけであります。  二番目は、この不均衡を生み出した原因をさらに見てみますと、高い家賃が最近ふえたということが主要な理由であります。そしてこの点につきましては、昨年の十一月に各政党にも私たち公式にアンケートをとらしていただきましたけれども、不均衡是正理由にして値上げをしてよろしいという政党はどの政党にもございません。政府・与党の先生方も保留という態度をとっておりまして、むしろ高い家賃こそ引き下げるべきである、こういう御見解を示しておられるわけでございます。そういう意味で、私たちは不均衡是正そのもの——均衡そのものがいいというわけではございませんけれども、やはり高い方を下げるということが、今日の主要な課題ではないかというふうに主張してまいっているわけでございます。  次に、不均衡を論ぜられるというのでありますと、当然住宅の質の問題を抜きにしては議論ができないだろうと思います。つまり建設年度老朽度進行ぐあい、傷み、広さ、立地条件といったような質的な相違を抜きにして、単なる家賃比較をされますと、これはまさにそれこそ公正を欠くものだというふうに考えております。後で事務局長の方から陳述の中で具体的な写真などが示されると思いますが、三十年代の初頭に建った住宅は大変ひどい傷みを示しております。これは先生方がもし御機会があれば御視察等をしていただきますと非常によく御理解をいただけるものだと思っております。公団側はこうした諸条件抜きにして、昭和三十一年度と五十一年度の家賃比較して、八・八倍の格差があるといったような趣旨のことを言われておりますが、もし単位面積だけで比べてみましても一平米当たりで比べますと、これは五・八倍というのが正しいように思っております。公団側はそういった諸条件抜きにした比較論をされておること、非常に遺憾に思うわけでございます。  次に、この不均衡是正するというお考え方は、本当に不均衡がどの程度になったら直るというふうにお考えになっておるのか。つまり、大変その辺の基準が、特に客観的な基準が明らかでございませんので非常に不安でございます。そして不均衡そのものが果たして直るんだろうかというふうに思いますし、私たちはどうも古い家賃値上げをなさんがためにそういう理由がくっつけられて、そしてその結果、際限のない値上げが繰り返されるのではないだろうかと思っておるわけであります。また、比較論の問題といたしまして、公団住宅公営住宅家賃とが比較されたり、あるいはまた民営住宅との比較論等もされておるわけであります。御存じのように公営住宅家賃公団住宅家賃というのは、同じ家賃という名前がつきますけれども、性格を異にするものであるという理解をしております。先般の二十四日の衆議院建設委員会でも住宅局長がそれにお答えになっておられましたが、建設省は、公営住宅家賃について営造物使用料であるというふうに規定をされておるようでございますから、したがいまして、かなり性格は違う、このように思っております。また、民間家賃との比較論でありますと、民間家賃原価主義をとっておりませんので、これは比較することがかえって不合理である、このように思っておるわけであります。  次にまた、居住者所得に対する家賃負担率の問題が御議論がされておりますけれども、これは住宅公団がどういう根拠でお調べになったのか一向に私たちはわかりません。所得が幾らあるかということを調べることほどむずかしいことはないわけでありまして、大変これは私たち理解に苦しむところであります。私たちの会員の中に、東京の東伏見団地というのがございますけれども、そこなど調べておりますと、五百五十七世帯の中で現実に六十歳以上の方が六十世帯もいる、こういうふうなデータが出ておりますし、高齢化が進む、不況が長引くといったような中で、この負担率の問題は簡単に議論をすることのできないむずかしい社会政策的な要素を持っている問題だと思いますので、この辺は具体的に実態調査をされるというなら私たち協力の意向がありますから、よくお調べになってから御議論をされた方が確かではないかと思っておるわけでございます。  このようにして見ますと、今回の値上げ理由とする新旧家賃の不均衡是正という理由づけのもとでの値上げというのは現状では非常に困難ではないか、客観性を欠くのではないかと思うわけでございます。かつて都営住宅値上げのときに、公営住宅相互間の家賃の額の不均衡是正するというようなことが議論されましたけれども、当時建設省昭和三十四年七月十一日の通達で、この具体的な基準は追って通知をするというようにされておるわけでございまして、なかなかこの不均衡是正論を持ち出しますと、基準がむずかしいのではないかと思うわけであります。つまり、私たち値上げ理由について、以上のように不均衡是正理由とするものについては相当性を欠く、したがって不当であるというふうに考えておりまして、ぜひこの理由づけは御変更を願えないかと思っております。だからといって、私たち家賃値上げ理由のいかんにかかわらず絶対に認めないというふうには考えておりません。  御存じのように、公団法施行規則の十条の二号には——九条に原価主義がうたわれておりして、この原価主義の上に立った上で、なお、物価、経済事情変動等により云々という条項もあるわけでございまして、こういった点はさらに分析をしてみますと、原価構成要素のうちでたとえば可変費固定費というふうに分類をいたしますと、可変費に当たる部分修繕費維持管理費公租公課といったようなものが相当するわけでありますが、こういったようなものにもし変動があるとすれば、その範囲と限度内において、かつその収支と計画の積算が公団当局によって明らかにされるということであるならば、これは値上げ可能性があるのではないかというふうに考えているわけでございます。このように、値上げ理由について、私たちは大変現在の値上げ理由相当性を欠くというふうに考えております。  また、若干の時間がまだあるようでありますから発言をさせていただきますが、値上げ原因背景ということはやはりこの際ぜひ御議論をいただかなければならないだろうと思います。この値上げ原因背景について、私は、一つは、公団財政構造上の問題があるだろうと思っております。一つは、借入金依存体質というものは一刻も早く直していただきたいわけでございます。五十一事業年度において借入金依存度は七六・八、五十二事業年度においては七九・一五%、公団当局のお話によりますと、借金をする仕組みになっているんだと言われますけれども、今日御存じのように一日に十億もの借入金の支払う利息を払わなければならないというような体質一般社会的には決して通用するものではないと思います。こういったような借金的な体質が基盤となって今日ずさんな経営ということが行われているのだと思います。あぶく銭身につかずと言いますけれども、どんどん借りられるというようなことになりますと、使い道も非常に野方図になるのではないかと考えております。  したがいまして、住宅資産関係を見ますと、住宅資産建設勘定は、昭和四十七事業年度と五十一事業年度を比べますと、資産は一・八五倍にしかふえてないのに、仮勘定は実に四倍にふえておるわけであります。宅地の場合でも、四十七事業年度と五十一事業年度を比べますと、資産は一・七倍、仮勘定は二・四四倍にふえているということでございます。そうして長期借入金も四兆以上もございますから非常にこの経営実態を圧迫していく、つまり、公団側は、今日の不均衡是正という値上げ経営問題とは関係がないのだというふうに強く重ねて主張されておりますけれども、私どもはこの借金構造借金依存構造が大変な利息を生んでいる。しかも借入金で購入した土地が使えない、また建てた家が利潤を生み出さないという関係になりますと、この遊休資産と申しますか、不良資産と申しますか、これは年々金利を生んでいく、金利のために借入金依存をさらに強めていかなければならないという構造が見られるわけでございます。したがいまして、こういったことが今後住宅をつくる場合に、この金利負担分が新しい団地家賃原価に加算をされてくるという構造になります。したがいまして、ずさんな経営が高家賃を生み、高家賃家賃格差を生み、格差はその名による値上げを生むという因果関係が、悪循環が生まれるわけでございますから、この経営問題と今回の値上げ問題とがかかわり合いがないというふうに断ずることは私は至当ではない。したがいまして、この財政構造なりずさんな経営実態などをぜひとも改める、このことなくして不均衡是正を論ずることはいたずらに値上げを呼び起こす、喚起するということ以外の何物でもないというふうに私は指摘を申し上げたいと思うわけでございます。  時間がありませんので、その他値上げ手続の問題、もう一言だけ申し上げさせていただきますが、家賃というのは、御存じのように双務契約に基づく双方の合意によって成り立ったものでございますから、これが変更につきましてはどうしても当事者間の意見を聞かなければなりません。もし意見が調わないということになりますと、借家法七条における協議相調わざるときはというような形で、値上げを進める側は裁判でも起こさなければならないというのが現行法令のたてまえでございます。こういった事態になることを私たちは決して好むものではありません。したがいまして、家賃変更をなさるということにつきましては、先ほど申し上げましたように値上げ理由をきちんとした筋道の通ったものにしていただく。そうしてずさんな経営にかかわる部分についてはきちんとした方策を具体的にお示しをいただく。その上に立って当事者の一方である居住者に対して十分な対話、話し合いをぜひとも進めるのが至当ではないだろうかと思っております。埼玉県の県営住宅が六月から値上げされるそうでございますけれども、最近の新聞が伝えるところによりますと、公営住宅というものは場合によれば一方的に値上げもできるのであるけれども、団地ごとの説明会を開くというふうに埼玉県当局は発表をされております。私はもっともなことだと思います。ましてや公団住宅家賃は契約によって成り立っておるものでございますから、当然のこととして十分な話し合いをしていくということが必要だと思います。今日まで住宅公団経営姿勢が閉鎖的である、密室的であるということは、具体的な事例を示すまでもなく枚挙にいとまのないほどこういう事例はあります。大変私たちは苦労をしております。どうか住宅公団が開かれた公団として、民主的な国民本位、住民本位のものとして健全に発展をされますよう私たちはそういうことを期待しておるわけであります。今日、私たちが申し上げておる課題は、ひとり団地居住者の利益擁護ということにとどまるものでは決してございません。広範な国民の共通の課題と追求ということでございまして、百二十五万に及ぶ署名、東京、大阪府議会など大都市圏の大半の主要な地方議会の御賛同、そして先ほど申し上げましたように今日不均衡是正による値上げをお認めになっている政党はない、こういったようなことで私たちは確信を持って今日までこの運動を進めてまいったわけでございます。  どうか貴委員会におかれまして、私どもの主張を十分御参考にしていただきまして慎重審議されまして、今日の事態を本当に国民本位に乗り切っていただきますことを御要望申し上げまして、私の陳述を終わらせていただきたいと思います。
  10. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ありがとうございました。  続きまして、飯田参考人お願いをいたします。
  11. 飯田久一郎

    参考人飯田久一郎君) 飯田でございます。  私は、日本住宅公団が今回実行しようとしている家賃の引き上げについて、管理費、修繕費などの経常費の上昇によるものについては妥当でありますが、古い入居者の家賃で新しい入居者の家賃に比べて安過ぎるから不公平是正意味値上げをする、あるいはいわゆるプール制家賃の導入という意味家賃を引き上げるということには十分慎重な態度をとるべきであり、少なくとも五十三年度の場合はその分は実行すべきではないと考えるものであります。  経常的費用の上昇に伴う家賃の引き上げにつきましては、そういう上昇が不合理な管理体制や経営のミスに基づくものではなく、必要やむを得ない性格のものである限り当然のことと思われるので、この点については説明を省略いたしまして、ここでは、まず家賃引き上げの理由一つでありますプール制家賃の導入という考え方の妥当性について考えてみたいと思うのであります。  新しい住宅家賃の上昇を抑えるためには、賃貸住宅家賃を個別の原価によらないで賃貸住宅全体の建設原価をもとにして算定するというプール制家賃方式を導入すべきであるという考え方は、近年公団だけではなく各方面で主張されているのであります。そういう声が強くなった理由は次のような点にあると思われるのであります。近年、公団の新築住宅家賃が毎年急激に上昇しておる。そしてその結果、公団の公的性格にそぐわないようなものになってきている。そこで、家賃の上昇を防ぐために、交通の便は悪いけれども地価の安い場所に住宅を建ててみた。ところが、これがまたきわめて不人気であって、三万五千戸もの新築住宅が空き家のままになっておる。結局、新設住宅家賃を安く、しかも魅力のあるものにするためには、古くからの入居者の安過ぎる家賃を引き上げて、それによる収入の増加分を新築住宅家賃の引き上げに回すほかはない。これが、プール制家賃導入をすべきだという声が高くなり、公団もこれを実行しようとしている理由だと思われるのであります。もっとも今回の家賃引き上げにおいては、この考え方に基づく分は少ないのでありますが、一たんこの考え方が認められますと、今後それが次第に比重を増してくる。そして古い入居者の家賃の大幅引き上げがたびたび行われるようになるというおそれがないわけではありません。公団入居者の方々が心配しておられるのもその点にあるように思われるのであります。  ところで、こういうプール制家賃の導入には幾つかの点で疑問があるのであります。  第一は、実際問題としてその導入が不必要ではないかということであります。周知のとおり、最近になって物価は著しく鎮静しております。特に卸売物価は前年に比べて下がっております。もちろんこういう現象は不況に基づくところも少なくはなく、景気が回復すればある程度の上昇は当然起こると思われます。しかし、こういう状況を考えますと、もし政府が無理な需要の増大を図るようなことをしなければ、建設資材については価格の急上昇を防ぐことは十分可能であると思われます。また、人件費についても、消費者物価の著しい鎮静を考えますと、大幅な上昇というものは考えられないのであります。したがって、建物の建設費の上昇は設計、施工の合理化などを行うことによって、これを最小限度にとどめることは十分できると思われるのであります。問題は用地費でありますが、地価の抑制と土地供給の増大ということにつきましては十分に効果的な対策がないわけではありません。それを実行しさえすれば、適当な用地をこれまでよりもむしろ安い地価で入手するということも決して困難ではないのであります。とすれば、政府が適切な政策を実行していく限り、今後建設する住宅公団建設コストというものは大幅に上昇するおそれはないと言ってもよいと思われるのであります。にもかかわらず、これから先も建設コストが大幅に上昇するということを考えて、それをプール制家賃によってカバーしようとするということは、実はインフレや地価の抑制に対する自信のなさをみずから認めるいわゆる敗北主義だと思われるのであります。こういう敗北主義を前提とするような考え方には私は賛成できないのであります。  プール制家賃に対する第二の疑問は、公団の新築住宅家賃をこれ以上引き上げないで済むようにする方法としては、いま述べた地価や物価の鎮静という以外にも、公団に対する融資について利子補給の額を大きくするという方法があって、その点でもプール制家賃の導入は不必要だということであります。公団住宅家賃コストのきわめて大きな部分借入金に対する利子であります。その利子を一般会計からの利子補給を相当ふやすことによって減らすことにすれば、それだけで家賃のコストはかなり大幅に下がることになります。しかもそのための一般会計の負担はそれほど大きなものではありません。たとえば五十三年度に新設される住宅家賃を二〇%引き下げるためには、それに必要な利子補給の額というものは恐らく百五十億円程度だと思われるのであります。もっとも、この額は利子補給を続けていく限り次第にふえていくわけでありますが、それでも五十三年度から始まる第八次道路整備五カ年計画において、一般会計だけでも十兆円以上の資金を投入しようとしていることを考えますと、ごくわずかなものにすぎません。東京都だけでも現在百万世帯もの人たちが、設備が悪く家賃の割り高ないわゆる木造アパートに住んでいることを考えますと、道路整備などの公共事業費の一部を削って利子補給の増額に充てることはきわめて適切な政策であって、それによってプール制家賃の導入は不必要になるのではないかと思われるのであります。  次に、今回の家賃引き上げの有力な理由となっている不公平是正という考え方、すなわち同じ住宅でも以前からの入居者の家賃が新しい入居者の家賃に比べて著しく安いのは不公平であると、以前から入っているというだけの理由で得をしているのはおかしいという、そういう理由で安過ぎる方の家賃を引き上げるという考え方に対する疑問を述べてみたいと思うのであります。  よく世間で言われ、また公団の入居者の中の一部でも聞かれるこういう考え方というものは、古い時期に入居したという事実に基づく入居者の権利を否定する、言いかえれば入居者の持つ借家権を否定する考え方であります。広く言えば既得権を否定する考え方であります。既得権というものは、これを過度に保護することは問題があることは言うまでもありませんが、今日の社会体制、経済体制というものはその上に成り立っている面も大きいのであります。したがって、これを一概に否定するわけにはいかないと思われるのであります。たとえば借地権というものを考えてみましょう。借地権というものは、同じ値打ちの土地でも以前から借りている人の地代は安く、新しく借りる人の地代は高いという事実の上に成り立っている権利であります。地価が激しく上昇した結果、古い地代と新しい地代の差は今日ではきわめて大きく、その差額を資本還元した借地権の価格は、場所によっては地価の九割にもなっているのであります。  もし、いま公団家賃に対してとろうとしているのと同じ考え方によって、同じ土地の地代の間に大きな差があるのは不公平であるという理由でそれを平均化するような政策をとることになりますと、借地権というものは消滅し、大混乱が起こると思われるのであります。また、既得権の否定という考え方を徹底させますと、土地の所有権についても同じようなことが言えるのであります。同じ値打ちの土地を、二十年前に買った人は三・三平方メートル当たり千円で手に入れた、ところが新しく買う人は十万円出さなければならない、それは早く買った人の既得権を保護し過ぎるものである、したがって既得権に基づく値上がり益というものは、土地の増価税や譲渡所得税の大幅な強化によって半分ぐらいは徴収して、これを新しく土地を買う人への補助に回すというのが当然であるというようなことにもなるのであります。しかし、これを実行すれば大混乱が起こることは必至であります。したがって、所有権や借地権を不公平是正という理由で否定すべきであるという主張は今日でも聞かれないのでありますが、それにもかかわらず借地権だけを不公平是正という理由で否定しようとすることは筋が通らないように思われるのであります。地主、借地人、借家人の中で経済的に最も弱い階層は言うまでもなく借家人であります。経済的に強い人々の既得権には全く手を触れず、最も弱い人々の既得権だけを否定しようとするのは、それこそ不公平な政策ではないかと思われるのであります。  最後に、公団住宅家賃引き上げと景気や物価との関係について述べてみたいと思います。  言うまでもなく、公団住宅家賃は公共料金の性格を持っており、その引き上げは消費需要を減退させ、消費者物価の上昇を招くおそれがあります。三十六万世帯家賃の引き上げは、その分だけ増税と同じように内需を減らすと同時に、民間住宅家賃などへの波及を通じて消費者物価への悪影響を及ぼすことを軽視するわけにはいかないのであります。近年の世界経済の動きを見ますと、消費者物価の安定は経済にとって最も重要な意義を持っております。幸い最近消費者物価は急速に鎮静する傾向を見せておりますが、これは暖冬による野菜価格の暴落など、幸運による面が大きいのであります。完全に物価を鎮静させるためにはなお大きな努力が必要であります。特に政府が直接左右できる公団家賃のような公共料金の引き上げについては慎重な態度をとるべきだと思われるのであります。もしそういう慎重な態度によって物価が完全に鎮静する見込みが立てば、国民の将来に対する不安も著しく縮小し、消費に対する意欲も回復し、景気の上昇に寄与するということをこの際忘れるわけにはいかないと思うのであります。  以上のような理由によりまして、私は住宅公団家賃引き上げについては、経常費の上昇に見合う分はともかく、それ以外の理由に基づくものについては大きな疑問を持つものであり、特に五十三年度中にそれを実行することは見合わせるべきだと考えるものでございます。  以上でございます。
  12. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ありがとうございました。  続きまして、岡田参考人お願いいたします。
  13. 岡田隆郎

    参考人岡田隆郎君) 私は全国の公団住宅自治会協議会の事務局長をやっております。  先ほど代表幹事工藤さんが申し上げましたが、これを若干補足するような形で私たちの主張を述べさしていただきたいと思います。  私たちは不当な公団家賃値上げ反対する。一番大事なのは、高い家賃こそ引き下げて不均衡をなくすべきだ、そして公団のずさん経営を改めて住みよい団地づくり、あるいは国民に開かれた公団住宅をたくさんつくってほしい、こういう主張をやってきているわけですが、すでに住民自身の署名は、今回値上げ対象が六百九十五団地というふうに言われておりますが、すでに大きな団地を中心に五百五十団地、九十六万七千人のいま申し上げたような総合的な要望の署名を建設大臣、公団総裁に提出しております。また、この主張を支持するというような国民一般の方々の支持署名も三十二万人に及んでおり、またさっき工藤代表幹事が申しましたが、この主張を支持し、住民の利益を守るということで意見書決議等をしてくだすった団体は、地方公共団体は東京都議会、大阪府議会、千葉県議会、神奈川県議会を初め、福岡市、京都市、横浜市議会以下全国で五十五の公共団体の地方議会が意見書決議をすでに政府公団等へ発送してくだすっております。また、さっきこれも工藤代表幹事が申し上げましたが、自民党さんを含めて、不均衡是正ということで、必ずしも高い方が下がらないまま上に合わせる値上げには反対というのが五野党の御見解であり、自民党さんも賛成せず保留という公式文書を私たちにくだすっていることは、さっき工藤代表幹事が申し上げたとおりです。  私たちの最も言いたいところは、今回の問題が、高い家賃が下がらないじゃないかという問題です。不均衡を望んでいる者は住民にとっても国民もいないと思いますが、もともとが住宅宅地審議会の方針を受けたという言い方で、建設省公団値上げのきっかけの口実にしておりますが、住宅宅地審議会が言っているのは、高い家賃がたくさん出てきて、これを引き下げることを考えよう、そのためには若干の不均衡是正値上げも考えよう。このことについて、この答申そのものについて私たち異論がありますが、そういう趣旨が昭和五十年に出ました。  さらに、去年建設省自身が、がらあき団地の対策として七項目のみずからの方針を出されましたが、その中の一項目にがらあき団地、すなわち高い家賃を埋めるにどうするか、この高い家賃を抑制するというところから公団家賃値上げというのが直接のきっかけとして提案されたのが去年の八月二十四日の建設省の文書であります。それがいわゆるプール方式という形で提案されました。ところが、そういう形で不均衡是正、高い家賃との関係が問題になり、値上げしなければならないというそのことだけが今度ひとり歩きして、高い方を下げるという話は、住宅宅地審議会の方針並びに建設省みずから去年提起されたこの方針がどこかに消えてしまっている。そして値上げの方向だけがひとり歩きしている。がらあき団地対策を含め七項目の中の値上げ部分だけが食い逃げされ、ほかのものは放置されている。こういうことが一体政治あるいは行政のあり方としていいのかどうか、こういう点を考えるわけであります。  また、高い家賃を下げるには、いろいろな新聞社の社説等にもありますように、どうやるかという点では、もともとの土地価格、あるいは建設資材の価格の原価を引き下げること、あるいは公共負担金を下げること、あるいはさらに家賃——ここにパネルをちょっと持ってまいりましたが、これは去年公団建設委員会、衆議院で発表された数字をグラフにしたものですが、家賃の中の六五・七%が借金利息だというこういう家賃構成、こういう財源構成、これを改めない限り、逆に言いますと、国の住宅であるならば、そう借金ばっかりじゃなく、財源の九八%ないし九九%が借金財政になっておりますが、こういうものを改めるならば、もともとかかったいわゆる原価、あるいは修繕費、管理費、こういうふうなものを実費を払いましょうということでも家賃は半分ないし三分の一にすることができるんだ。つくられた高い家賃である、私たちはこう考えております。そういう点で高い家賃を下げる方法はあるではないか。その施策も講ぜずに高い家賃との格差を口実に値上げだけをするということについて私たちは納得できない。このことが大きな主張であります。  さらに、これも工藤代表幹事が申し上げましたが、不均衡是正と言いながら不均衡がなくなるのか、あるいは不均衡基準は何なのか。この点で先ほども質の違い等の指摘をしたわけですが、たとえば不均衡という口実でいろいろなことを言いますが、分譲住宅というのを公団がやっています。これを値上げする話は私たち聞きません。もちろん分譲住宅を上げろということを私たち考えていませんけれども、何を基準に不均衡というかということで言えば、分譲住宅の支払い割賦金よりも家賃の方が古い団地の人は高くなる。こういう逆現象も起こりかねないわけであります。だから、どこを不均衡基準にするのかという問題があります。あるいは不均衡是正ということを盛んに言うわけですが、住宅公団はみずから人為的に同じ団地の中に途中から入る人に対して空き家の割り増し家賃というものを取っております。昭和四十年代には五割増しを取っておりました。昭和五十年代に入ると二・七倍の割り増し家賃を取っております。同じ団地の中で同じ家型で、そして若干の修理はするかもしれませんが、それも前に入っていた人が大半修理費を取られるわけで、ほぼ同じ状態の同じ団地の同じ家型の中で、これで二・七倍の格差住宅公団はわざわざつくってきているわけあります。そういう点で不均衡という言葉だけをひとり歩きさせてはいますけれども、別の不均衡を、つくる必要のない不均衡までつくってきている。こういう事実をもってすれば、不均衡是正あるいは高い家賃も下がらない、こういう言い方、そして空き家割り増し家賃を堂々と取っていく、こういうふうなことについて私たちはどうしても納得できないという主張をしたいわけであります。  それから不均衡という点では、さっき工藤代表幹事が詳しく申し上げましたので結論だけ言いますが、たとえば古い団地、これもちょっと写真を持ってまいりましたが、これは特別ひどいところを撮ってきたというより、団地の中を歩けば、先生方お歩きになりたければいつでも御案内しますが、どの団地でも昭和三十年代のところを御案内します。こういうふうな壁が落ちたとか、こういう状態。非常にその質の違いがある。さっき工藤代表幹事、広さの違いで公団は八・八倍の不均衡があると言いましたが、これは単位面積に戻せば五・八倍に戻る。これはさきの国会でも指摘されたわけですが、相変わらず公団は住民にまくチラシ、あるいは記者団にまくもの、あるいは最近私たちもたまたま入手した資料では、建設大臣への申請書でも八・八倍、単位面積に戻したっておかしいじゃないか、五・八倍に戻るじゃないか。私たちは傷みぐあいとか質の点から言えばもっと格差が縮まると考えておりますが、こういう指摘を無視して八・八倍だと言い続ける、こういう点についても非常に疑問を持つわけであります。  それからさらに、私たちが主張しますのは、これも工藤代表幹事が主に申し上げましたが、ずさんな経営をほったらかして、これの高い方がどんどん高くなるということでこれからの歯どめもないまま新たな団地がつくられていくとすれば、不均衡是正という口実の値上げは際限なく繰り返される。現に住宅宅地審議会ないしは去年の建設省の文書を見ましても、定期的な見直しをせよ、繰り返し値上げをせよということを言っております。今回の住民にまいたビラや何かには、それはさすがに言い切れないで隠しておりますけれども、今回この制度が、高い方の後追いをするということを前提とした制度がつくられるならば、一たび制度ができれば後はひとり歩きする、このことを住民は非常に恐れているわけです。今度は金額について最高七千円で頭打ちしましたということで、そう御迷惑はかけませんという宣伝をしております。七千円も大変な値上げではありますが、その先に隠された、一回ルールをつくればもうおれのものだというふうな格好で、二度目、三度目の値上げは万の単位で来ることは明らかであります。つまり、高い方にそろえる不均衡といえば、まだまだ今回七千円上げた程度では額面の不均衡はなくならないわけであります。そういうことで、本当にこの公団あるいは政府が言う不均衡是正という形だけの言葉をとってするならば、裏返して言えば、際限ない値上げをしますよという中身でしかない。こういう理解をせざるを得ません。  そういう点で、まず高い方の家賃を下げること。すなわち、高過ぎて、がらあき団地ができるとか、あるいは遊休土地がたくたんある。これは会計検査院が去年もことしも指摘したことでありますが、がらあき団地家賃の未収分だとか、あるいはそのがらあきの空き家を保守管理するための費用だとか、あるいは遊休土地金利だとか、これをいろいろ会計検査院が指摘した金額だけを合わせてみましても、偶然かどうかわかりませんが、今回公団が百七十億円家賃値上げで増収を図りたいという金額に相近い金額になってきております。こういうことから言いますと、逆から言えば、もっとずさんな経営をきちっと改めるならば、この値上げはしなくてもよろしいんではないか。こういうふうなこともわれわれ住民は主張したいわけであります。  また公団は、このずさんな経営ということは、大きな経営上の問題もいろいろありますが、細かく住民の立場から言えば、たとえば立川市でこういう例があります。払う必要のない固定資産税を公団が事務手続を怠っているために毎年五百万円余分に払っている。これはみんな家賃に入るわけですね。これは私たちいま調査を始めたばかりですが、国立市、小平市、以下あちこちでもあるという疑問が出ております。あるいはこの古い団地住宅の空き家に対する希望者は非常に多いわけですが、古い団地のテラス住宅についてというのがあります。これが空き家になると、いま一切入居者を受け付けておりません。将来増築したいから、高い家賃を取る人を入れたいからというようなことを言っておりますが、古い団地の空き家募集については全国で合計四万七千戸募集したのに対して百十八万人が応募しております。これぐらい、がらあきは高過ぎるから、新設団地の空き家は高過ぎるから空き家がある一方、古い団地の需要は二十五・一倍に達しております。これは昭和五十一年の公団の統計です。  そういうふうな需要がある中で古い団地のテラス住宅をいま三百戸ほったらかしております。これは数字からいえば小さいようなものですが、この未収は全部入居者の家賃、あるいはそこから取れない共益費は入っている人の共益費でカバーする、こういうふうなことですね。だから、上は全体の遊休土地、がらあき団地から個々の固定資産税の問題、あるいは一軒一軒の住まわせ方の問題。ずさんな経営は上から下まで徹底しているんではないか。こういうふうなことを改善されなければ住民は住民感情として、隣が一年も二年も空き家になって、そこに入りたい人はその中で待機している、団地の中でも空き家待機の人はたくさんいるわけです。あすこどうして埋めないんですか。こういうことがほったらかされて、一体公団を信頼して不均衡是正とかなんとか道徳論を言われて値上げに応ずるということが感情的にもできない。これが住民感情であります。  さらに言えば、公団はいろいろ税金を一軒当たり二万四千円使っているとか、いろんなことも言っておりますが、税金といっても、さっき言いましたように金利の補充ですからみんなそれは銀行や何かの方に行っちゃう。あるいは家賃が高い原因一つに公共負担、多摩ニュータウンなんかは鉄道の建設費まで一部家賃で持たされております。公団のある役人の方が書かれた論文に、一戸当たりの公共負担が四百二十七万円、月当たりの家賃に二万六千円かぶっている、こういうことが言われております。二万四千円税金を見てやっているんだと言いながら、税の二重払いに類する公共負担で二万六千円家賃で払う、こういうふうなことで税金が使われているということでも、その出発点としての高い家賃構造を改めなければいけないんではないか、こういうふうに思います。あるいは、古い住民は所得が上がっているということを言いますが、これも工藤代表幹事が申し上げましたが、もう二十年たつと世代の交代があります。そのころ働き盛りで入った人が年金生活になっている人もたくさんおります。そういう中で、ただその二十年間働き盛りがそのまま収入が上昇したらどうだという机上の空論で収入論を言うのは誤りであります。公団実態調査もないままそういう空論を言うことは非常に疑問がある、こういうふうに思います。  それから民間家賃との比較が盛んにされておりますが、政府のことしの予算を見ましても、公営住宅は八万五千戸から七万五千戸ですか、一万戸削減、住宅公団は六万戸から四万戸へ、特に賃貸住宅は一挙に去年の予定が二万七千戸であったものをことしは一万戸に減らすと、三分の一に低下さしているわけです。こういうふうな中で、そして古い住宅に対する空き家の応募が二十五・一倍とさっき申し上げましたが、こういう中で民間に追い込まれている人たち、これに対する公共住宅の大量建設、こういう本当の住宅政策がないまま、民間のなすがままの高い家賃比較する、これは逆ではないだろうか、こういうふうに思うわけです。政策的なそういう人たちに十分な公共住宅を提供する、あるいはそういう人たち所得控除、家賃補助等をとりあえずやる、こういうふうな中でそういう人たちの高い家賃こそ下げる、安心して住める住宅を提供する、このことをしないでおいて、そっちに悪い状態をわざわざ政治的につくっておいて、それと比較して悪いと思わないかということでは、民間を含めてこれは家賃値上げの方針ではないかと、こう考えざるを得ないわけであります。  いろいろ不当な点、私たちの住民感情等を申し上げたわけですが、最後に法律的な問題としましても、住宅公団法は、御承知のとおり公団住宅建設によって国民生活の向上と社会福祉の増進を図るということが、今回の値上げ——たちに言わせれば民間にまで波及する日本の住宅家賃の総値上げに通じるこういう制度をつくるのか、つくらないのかという点では、住宅公団法の基本精神、出発点に反するんではないかと、こういうことを考えますし、また家賃の計算の方法については、よく言われるとおり原価主義ということで、かかったものは全部払うんだからもともと高くてもしようがないんだということで、三十年代の人は三十年代なりに、四十年代の人は四十年代なりに、入った時点では収入に対する大変な高い負担を強いられて、ただかかったものは全部払うんだからというような意味で、だからその固定部分については値上げはないというそのことだけが唯一の政府公団への、公共住宅への信頼感と期待からこれに入ってきたんだと、こういうふうに思います。それがやっと払える状態になったときに格差があるというふうなことでは、なかなかこれも住民感情として納得しがたい。原価主義ということがやはりそういう点でもともと高い家賃なんだという問題を改める方向と裏表の関係がない限り、高いときには原価主義だと、相対的な差が出たら今度は原価主義はいけないんだと、不均衡だと、こういう点はずいぶん御都合主義ではないかというふうに思います。  現に、今回の値上げについても、去年のプール家賃の発表があったときに建設省へ行きまして、当時の住宅局長と参事官の方の間で、これは法律改正を、あるいは施行規則の改正をする必要があるのかないのか、その最高責任者の間でも意見が食い違っておりました。もっとこれは法律面からも国会のこの最高の場で十分御審議をいただかなければ、非常に都合に合わせた、原価主義だと言ったり、不均衡是正だと言ったり、こういうことが法律的にどこで私たちは守られるんだろうかと、その都度行政府の解釈で適当に行われることは、国民は安心して選挙をし、そこに国政を任せることについて不安を持つ、こういうふうに考えざるを得ません。さらに、申し上げますと、今回の値上げ公営住宅法の値上げルールだけを援用しております。公営住宅法というのは、言うまでもなく補助金があったり、いろんなそれ自身が一つ家賃体系を構成されております。その中で変更する場合はこうですよというルールがあるんであって、公団住宅原価主義公営住宅変更ルールをやるというのは全く異質のものを継ぎ木するようなものであります。また、公団法の中に公営住宅法を援用せよというようなことはもちろんありません。私たちが、もし公営住宅法を援用すると言うならば、もっと社会福祉政策としての公営住宅で目指しているそういう精神を援用するとか、あるいはそういうふうなことを期待はしますけれども、公営住宅法の値上げのところだけ持ってくる、こういうやり方も私たちはどうしても納得できないのであります。  そういう点で、私たちは不当なものは認めないということで主張してきているわけですが、これは本当に最後になりますが、住民に対する住宅公団当局の態度がどうかという点で、もう一つ最後にどうしても納得できないということを申し上げておきたいと思います。つまり、私たちは契約に基づいて入居しております。そして原価主義で払ってきたという中で、これをもし変更したいと言うならば、公団はもっと胸を開いて現地に出てきて十分事情を話し、その理由と積算を明らかにし、どうだろうかと、また私たちももっと修繕をしてほしいという要求をたくさん持っております。いま公団はほとんどやってくれませんから、自前の修繕費の持ち出しというのは大変なものです。ですから、これがもっとルール化して住民の要望に沿って、修繕はこうしたいけれどもどうだろうかという話を聞いてくれ、また住民自治会の意見を聞こうじゃないかということで、金額の問題を相談に来るのがしかるべき。まして値上げしたいと言うならば、お願いしたいという話があってしかるべきであります。ところが、私たちが話を聞かしてくれと、こっちがわざわざ言う必要もないことを言っても、行く必要はない、あるいは説明の必要はないと、公営住宅のさっきの公営限度額方式云々というようなことでは公聴会の必要はないと、こんなことを言うわけですね。一方、公共料金はしょっちゅう上がってどうのこうのと言いますが、公共料金になぞらえるならば、公共料金は常に公聴会があります。それから話が戻りますが、公営住宅の場合でも公社住宅の場合でも、それぞれの自治体のレベルで住宅審議会があります。こういうところで決裁をとっているのであります。公団住宅の場合は、そういう手続——住民の声を聞いたり、国民の声を聞く、そういうルールをせずに、しかも住宅宅地審議会というところを金科玉条に言っておりますが、これもゆがめたかっこうで、高い家賃を下げるというところはほおかぶりして値上げだけを食い逃げする。こういう二重三重に公的機関に対してもあるいは住民に対してもふん反り返るような態度は私たちは納得できないのであります。  私たち公団との関係では共益費というのがありまして、まあ時間がありませんので細かいことは言いませんが、共益費というのが実際に団地内の維持管理費でかかるものを私たち家賃以外に払っております。これについては、実費がかかるんだったらどうだろうかということで、公団は二晩でも三晩でも金額を変更する場合は現地に出向いて詳しい積算を明らかにして話し合う。これも十年間の長い私たちの要求で大体そうなってき、またそれはいい意味で大家、たな子の信頼関係をつくったと確信しております。ところが、家賃に関してはその五倍も十倍も値上げになるものに対して、支社へよかったら来なさいよ、電話しなさいよというような、こういうふん反り返った態度で、本当に公団は住民の納得を得てこれをやる勇気と自信があるのか。私たちは中身を知りたいということを言っているのに、それを知らさなければ払いたい家賃だって払えないということについては、公団に再三もう決意表明をせざるを得ない段階に来ているわけです。それにもかかわらず、今後とも話し合いを拒否し、一方的なビラ一枚、三枚、五枚、あるいはわれわれが話し合いをしようじゃないかという申し入れをしたことをもってして、中身に入る前にそういう要求をしたそのことをもってして、皆さんの代表とは何十何回会ってますというような話をしているようですけれども、中身に入らずにわれわれの要求すらける、こういう態度について私たちはどうしても納得できないのであります。  そういう点で、私たち団体としては大きく言って次の五つの点をこの委員会の皆さんにも御審議願い、またこれが日本の住宅政策のために進むことを要望申し上げたいと思いますが、一つは、とりあえず日本の住宅家賃体系、前回の一月二十四日の衆議院の建設委員会で、この秋に住宅宅地審議会の家賃体系の答申を得るという住宅局長の御答弁もあったようです。すなわち、民間がほったらかし、高い家賃はほったらかしというようなことじゃなくて、日本の民間住宅を含む家賃体系全体の議論が始まり、その中で大いに公団家賃の問題の議論に私たちも参加したいし、またそれを待ってこの議論は再検討願いたい。つまり、とりあえずのところは不当な公団家賃値上げ制度はつくらないでいただきたい、実行しないでいただきたい、これが第一点であります。それから第二点は、緊急措置として、とにかく高い家賃の引き下げあるいは傾斜家賃の凍結、こういうふうなことを直ちに実行していただきたい。第三の点は、公団のずさんな経営借金依存財政構造、あるいは、大半の方が、まあ言っては失礼ですが、住宅問題に関係ない天下り役員が采配を振るい、こういう構造、こういう住民感情、国民感情、あるいは住宅実態を十分おわかりいただけない方々に支配される公団経営、こういうものを改めていただきたい。第四は、住宅の狭さだとか修繕の要求あるいは環境改善、こういうふうなものについて十分住民の声を聞き、これに必要な話し合いをして、必要な手だてを講じていただきたい。第五は、さっきの民間との関係を含めて、やはり言葉で言えば、安くて住みよい公共賃貸住宅をたくさん住民のため国民のために建てていただきたい。  こういう角度で、こういう総合的な政策の御審議をいただく中で、私たち公団の既得権を狭く守る——工藤代表幹事が申し上げたとおり、そういう立場ではなく、本当に開かれた公団、開かれた住宅家賃のあり方、これについては今後とも機会をいただけるならば積極的に参加し、また国民の合意に基づく方向の中では私たち住民も前向きに対処しなければいけない、話し合いの機会は必要ではないか、こういうふうに考えております。  大変長くなりましたが、よろしくお願いいたします。
  14. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の開陳を終わります。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 赤桐操

    赤桐操君 きょうは参考人の皆さん方においでをいただきまして、大変貴重なお話を承りましてありがたく拝聴をいたしました。  私はまず、公団の入居者を代表されておいでをいただいておりまする代表の方が二人見えておられますが、代表いたしまして工藤参考人に若干お尋ねを申し上げたいと思います。  基本的な問題になりますが、大多数の参考人の方々もお述べになっておられますが、今回の値上げについては非常に不当であるということを言われておりますが、私も実はそう思っております。しかし、実際問題としてこの値上げをするということについては、値上げ問題をめぐる動きは、いろいろと、本来国会が開かれている場合でありまするし、あるいはまた住宅宅地審議会等の機関等もあるわけでございまするし、こうしたやはり広く意見の開陳をなされるべき場所があるわけでありますが、今回の場合、そうしたところを避けようという基本的な姿勢があったように思います。そうした中で大変実はいろいろと皆さん方も御不満をお持ちになったと思います。それで、私どももそうした全国的な動きに基づきまして、特に今回のこの問題については、これはこのまま一月三十一日の大臣決裁に至らしむるべきではないと判断をいたしまして、衆参両院それぞれこの問題をめぐりまして調査の審議を始めたわけでございますが、きょうは参議院の方でいろいろとこうした参考人の皆さんにおいでをいただきまして、さらに午後は集中審議を行うということに相なったわけでございますが、この間の経緯について非常に皆さん方にいろいろと御心配をおかけしたわけでございますが、先ほどの時間の中で若干御不足のようでございましたので、工藤参考人の立場から、住民を代表されていろいろ御意見がおありであろうと思いますので、この点ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  16. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 今回の値上げに際しまして、本来、法案事項でないというような点がありまして、大変われわれ不安に思っていた中で、国会でこうして取り上げていただいたこと、大変感謝申し上げるわけであります。  いろんな参考人の方からの御発言がありましたが、やはりこの値上げ問題に関しては、きちんとしたルールなりあるいは基準なりというものがありませんと、今後団地にお入りになる方は大変なことになるわけであります。労働組合の代表の方などとも私よく懇談の機会がありますけれども、この問題はやっぱり広く勤労市民にかかわる問題でありまして、団地居住者の利害に関する問題だけではないというようなことで非常に大きな関心を持っておられます。その意味では広範な国民に影響を与える問題なんだということを私は先ほども申し上げましたが、重ねて問題として提起したいと思います。何らかの歯どめが欲しい、それから値上げをするについては筋を通してほしいということになるわけでありますが、一つは、先ほど申し上げましたこの公団財政構造の問題、あるいはそこが原因一つとなっていわゆるこのずさんな経営といったような問題があるわけでありますが、この点はぜひ具体策を講ずべきではないか。これは住民と公団とが話をしておりましてもなかなか解決しない、まさに住宅政策そのものにかかわる問題でありまして、公団のあり方を左右する問題であります。  先般の二十四日の衆議院の建設委員会では、公団総裁は、この問題はこの問題で別途解決する、しかし、並行して家賃値上げだけはというふうな御発言があったように私は記憶しておりますけれども、そこが大変問題なんでありまして、値上げ背景といいますか原因となっているそこの問題、長期未利用土地の問題、あるいはがらあき団地の問題、こういったことの解決というものをきちんとしなければ、いわば病気にたとえますと、熱が出た場合に、肺炎なのか、かぜが原因なのか、きちんとした原因をはっきりさせるということがなければ、いわば高家賃の発生源を押さえるということがいますぐできなければ、めどをつける、可能性を追求するということなくして不均衡是正論はあったものではないと思っておるわけであります。ざっと試算をいたしましても、会計検査院の指摘による現在のがらあき団地、これにむだ金が使われている。得べかりし収入、維持管理費あるいは金利、足しますと百二十一億であります。土地にかかる金利が七十七億であります。合わせますと大体二百億。考えてみますと、これがちょうどいま予定されている値上げ増収額とぴったり合うわけであります。建設省公団住宅対策委員会が発足されたいきさつから見ましても、まさに昨年の今日、予算委員会等で公団の未入居住宅対策が御議論をされた。  つまり、がらあき団地不良資産遊休資産は全く利潤を生みません。事態が進めば進むほど金利こそふえ全くプラスの要素がない。したがって、ここに解決策を出さなきゃならぬということの御議論があった。そして五月十一日に建設省内にその対策委員会が発足をされ、そして八月二十四日にその対策が発表された。ところが、家賃問題だけが議論されて肝心かなめのところの具体策が進まない。やぶを突ついてヘビを出すという言葉がありますけれども、何かしらそういう事態になっている。そうして古い団地比較的、相対的に安い家賃住宅に住んでいる者が何か悪者にされている。そこが値上げを承認せぬ限り高い家賃は下げられないんだと、これは大変本末転倒といいますか、おかしなことなんです。ですから、この高い家賃を生み出した原因背景というのは、困難はありますけれども、ぜひともこれにメスを入れていただいて、そうして解決策を出していただきたいんです。衆議院の建設委員会などでは、こういったものと関連して住宅基本法の制定といったようなことも提案があったようでございますけれども、こういった点も含めて御議論をしていただかなければならないと思います。また、仮に値上げをするというふうな場合でも、先ほど申し上げましたような筋の通った形でなければこれは恐らく大混乱が起きるだけだと思います。  それから衆議院での六項目の御提案があったわけでありますが、建設委員会でお決めになったことでございますから各項目ごとに評論をするということは私どもは差し控えさしていただきますけれども、隠し値上げと言われた敷金の問題などについては今回は見合わせるべきである、こういうふうな御提案でありますし、ごもっともなことだというふうに考えております。実施時期の問題とか激変緩和の問題というのは非常に各論になりますので、こういったことが検討されることは当然だというふうに考えておるわけであります。  第一項の長期未利用土地の問題とか、公団経営上重要な課題だからこれを速やかに解決すべきだと、これはもう各党御一致のことと思いますから、ぜひそれはひとつ御審議をいただかなければならぬと思います。
  17. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 工藤参考人、また質問いたしますので……。
  18. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) わかりました。  大体、先生の御質問についてはそういうふうに考えております。
  19. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、重ねてお伺いいたしたいと思います。先ほどいろいろお話の中で、二十年を超える団地が三十年代の建設の中で出てきているわけですね。そうした中で、団地自体も老齢化しているけれども、古くなってきておるけれども、中におられる方々もかなりの年齢に達してきているという老齢化の問題が述べられておりますが、この問題について、これをめぐりまして、団地に住んでいらっしゃるこういう方々の団地生活といいますか、こういうものについてのいろんな考え方があると思うんですけれども、これらをめぐりましてお気づきの点があったらもう少し述べていただきたいと思います。
  20. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) いま全国公団自治協として団地ごとのアンケートなどを実施しつつございますが、具体的な例として一つだけ挙げておきたいと思います。  これは東京の東伏見団地の例でございます。昭和三十三年度に建設されました住宅で、賃貸戸数五百五十八戸、現在入居戸数が五百三十九戸でございますが、ここで東京都の高齢者事業振興財団が高齢者の調査をされたデータがございます。それによりますと、六十歳以上の世帯数が六十一世帯ございます。六十歳に近くなろうとしている方も相当数いるわけで、これは後で委員長の方に名簿を差し上げておきますけれども、こういうデータが出ているわけでございます。四十七、八年といいますか、あの物価狂乱の時期にですね、かなりの住宅変更された方もあるわけですけれども、最近では団地を変わろうとしましても、現実には、金融公庫の枠をふやすというようなお考えも政府の方にありますけれども、土地がなければ、あるいはまた借地権がなければ金融公庫のお金は借りられないわけでありますから、また借りたといたしましても月額五万八千四百円、これは金融公庫の発表でありますが、こういったような支払いをしていかなきゃならぬ。そういたしますと、四十代の後半を越えた人たちはこういうところに行く可能性はほとんどありません。したがいまして、団地生活を続けていかなきゃならぬ。今後収入が伸びないということがほぼわかり切っているわけですから、これは団地生活というものを考えてみますと大変な事態であろうと思っておるわけであります。また、子供が大きくなりますと、今日の教育費が高いというようなこともございまして、はたから見るように、何か団地住まいというのがきれいに見えるというようなことは全くないわけであります。これは、建設委員会等でぜひお時間がありましたら、私ども御案内申し上げますので、諸先生方に御視察などをいただいて、入居者と対話などをしていただけばありがたいと、このように考えております。
  21. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 参考人の方にいろいろ御意見をお述べいただきまして、大変ありがとうございました。  私は、余り時間がありませんので、簡潔にお答え願いたいと思うんでございますが、一つ尾関さんにお伺いしたいんですけれども、先ほどの陳述の中で、家賃格差民間、公営、公団住宅の間にあって、その結果、そういうことが原因して転貸の事例があるんだというお話がありましたが、実情はどんななんでございましょうか。
  22. 尾関通允

    参考人尾関通允君) 実情は、私には調査能力がありませんから、詳しくは存じませんけれども、そういう問題があるということを住宅宅地審議会で指摘いたしまして、その結果、公団の方でかなり綿密に調査をされて、そういう事実があれば随時是正していくという方向を打ち出しているというふうに聞いておりますので、これは私は単なるうわさ話だけでなくて、実態が、幾つかそういう例があるという状況になっているだろうと、こういうふうに推定しておるというのが私の考え方であります。
  23. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 それから、尾関さんのお考えで……
  24. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ちょっと、発言を求めて言ってください。
  25. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 重ねて尾関さんにお尋ねいたしますが、所得に対する家賃負担の割合をどのくらいが適正だというふうにお考えでございますか。
  26. 尾関通允

    参考人尾関通允君) これは非常にむずかしいんですけれども、この前NHKの放送を聞いておりましたら、シンガポールあたりでは二〇%ぐらいだから高くないというようなことを言っておりますし、西ドイツあたりでは、私は特派員で三年ばかりおりましたけれども、かなり低いという実情であります。国によっても違いますし、それからまた地域によっても違う、あるいは世帯構造等によっても違うと思いますけれども、上限が一七、八%からせいぜいいって二〇%ということだろうと思います。ただ、低ければ低いということ、その方がいいとも言い切れない一面があろうかと思います。
  27. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 次は、飯田さんにお伺いしたいんですが、先ほどのお話の中で、家賃の問題、古い家賃の既得権のお話がございまして、それはわからぬではありませんけれども、御案内のとおり三十一年から今日まで家賃の改定が行われていないわけであります。そうして同時に、公的資金というものも相当導入されている、そういう状況の中で、一体いまお話しになっている既得権の問題はどうお考えなんですか。もう一回ちょっと御説明願いたいんですが。
  28. 飯田久一郎

    参考人飯田久一郎君) お答えいたします。  これは既得権を完全に守るべきだというわけではございません。たとえば先ほど借地権のことについて申し上げましたが、地代についても状況によって若干値上げが行われておるということがございますが、借家人の家賃についてもこれはある程度状況に応じて上がっていくということはまあ現実にも行われておりますし、ある程度やむを得ないことではないかと思っております。ただ、私が申し上げたいのは、そういういわゆる一種の既得権というものは単に借家権ということだけでなく、まあ借地権あるいは所有権というものについても同じようにあって、その中で一番弱い層である借家人だけ問題にする、借家人の借家権だけを問題にするということに問題があるのではないか。むしろそういうことを考えるんであれば、所有権あるいは借地権という問題についてもっとメスを入れるべきであって、またそれをやれば、いまのような極端に高い地価というようなものも生まれてこないし、したがって、それに基づく家賃というものもおのずから上昇は防げる、あるいは下がってくるんじゃないかというようなことを申し上げたいと思っております。
  29. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 その点に関連して、先ほど経常費というか、管理費とか修繕費とかという、あるいは公租公課的なものの引き上げというものはやむを得ぬということと、私がちょっと考えますのは、三十一年から上げてないということ、そのことと、この管理費、修繕費というようなものの考え方を既得権というところで説明されているんで、ちょっと理解しがたかったんですが、その辺をちょっともう少し御説明願いたいんですが。
  30. 飯田久一郎

    参考人飯田久一郎君) いわゆる経常費というものの上昇というものは、残念ながらかなりインフレが進行いたしまして上がっておるわけであります。それによる値上げというものが今日まで行われていないということは確かに問題でありまして、そういう経常費の上昇に見合う分についてこれを引き上げる、今度の家賃引き上げの中で、実はそれがどれぐらいの割合を占めておるかということは、まあいろいろ微妙な問題がありましてはっきり申し上げられない点もあるんでありますが、そういうそのものに基づくものがいままで全く行われていなかった、それをカバーする意味で引き上げるということであれば、これは私はむしろ当然ではないかと、あるいはある意味では遅きに失したんじゃないかというようなことも考えるわけであります。  問題は、私は原則論を言っておるんでありまして、原則論として、いわゆる借家権というようなものを完全に否定してしまう、あるいはそれを不公平是正という形でもって強調するということになりますと、これから先もまたまたそういう問題が起こってくるんじゃないかというような点を懸念いたしまして、原則的な意味での値上げ理由にすることについて非常に疑問を持っておるということであります。ただし、これも先ほど申し上げましたとおり、そういう既得権をあくまでも絶対に守らなきゃならぬというようなことを言っておるわけではなく、これについてももちろんある程度の考慮をする必要がある。しかし、そういうことを考える場合に、実際はもっとほかの、たとえば土地の所有権についての非常な大きな既得権といいますか、土地の価格が何千倍になって非常に大きな不労所得を得ている人がいっぱいいるというようなことをやっぱり考慮して、そういうことについてもメスを入れていくという姿勢がどうしても必要なんじゃないかということを申し上げたいわけであります。
  31. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 工藤さんにお伺いしたいんですが、公団住宅自治会協議会の代表幹事ということでございますが、どのくらいの団体加入率といいますか、その状況をちょっと御説明願いたいんですが。
  32. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 全体で、まあ今回の家賃値上げ反対の行動に参加しているのが大体五百五十団地でございます。これは会という組織は、自治会協議会というのは、それぞれの自治会がございまして、それの協議会でございますので、恒常的な組織になりましたのが四十八年からでございますので、問題によっては一緒にやっていこうと。それから、まあこういう家賃問題でありますと共通の課題でございますから、五百五十団地の方が共同行動をしている。当時は会費に相当するような形でわれわれはカンパというものをいただいておるわけですが、こういったものが事実上この運動については会費の性格を持っておりますので、団地が幾ら加盟されておるかという御質問でありますと、家賃運動に関しては五百五十団地が実質的な会費を払って共同した運動をしておる、このようにお答えしたいと思います。
  33. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 最近、私たちの聞いているところでは、六割と言い、三割と言い、いろいろな話が加入率としてはあるようですが、それはともかくとして、新聞の最近の投書欄、ずいぶんこの公団問題、家賃問題出ましてから、まあ出ておることは御案内のとおりでありまして、いろいろな考え方公団の中に入っている人の中にもあるようでありまして、先ほど空き家家賃の改定がかなり進んでいることもお話ありまして、最初入っている人と、同じ団地の中で空き家——第一次空き家とか第二次空き家で入った人は高い家賃を払っているわけですね。その辺の考え方が、いろいろまあ私は新聞の投書を大分見ておりますけれども、甘え過ぎだとか、あるいは上げてしかるべきじゃないかという意見もあることは、工藤さんも御案内のとおりだと思うのですが、それにしてもまあ相当われわれの税金も一部利子補給というかっこうで出しているんでありますけれども、一体どのくらいのものが補助というか、そういうかっこうで家賃の抑制に出すべきであるとお考えなのかどうか、その辺の感触を少しお聞かせ願いたいのでございますが。
  34. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 政府からの御援助ということについての御質問でございますが、政府からの出資というものは、そのときの経済状況によっても変わってまいりましょうが、御存じのように昭和三十一年にこの公団が発足したときは、発足の趣旨が、公団資金の相当部分民間資金の導入に仰ぐ必要がありというのが、議事録を読ましていただきましたが、出ておるわけでありまして、政府からの出資というのは御存じのように八百億そこそこだと理解しておりますが、利子補給という形と出資金というのと二つあるわけですが、いまでは遅過ぎるという感じもなきにしもあらずですけれども、利子補給という形での持ち出しというのは、民間資金の導入を相当部分仰いでおりますから、実質的には公団をパイプにして生命保険会社なり信託銀行の方へ結局は利払いが入ってしまうと、補給が入ってしまうという感じで、住民感情からいたしますと、その部分で住民が国から補助を受けたというふうな理解が実は弱いのであります。出資金という形でありますと十分理解できるのでありますけれども、その辺のずれがございますと思います。たとえば生保からなんかの場合ですと、七五年までで一兆一千億ぐらい住宅公団借入金をしておるようであります。それに対する金利支払い額だけで二千六百億相当がありますから、何かしら民間資金の導入を仰ぐ必要があるという趣旨はわからないでもないんですけれども、そこにウエートが行き過ぎて、結局払っても払っても何か利息で取られてしまっておるのじゃないかという感じもございますので、実を言うと政府の幾ら幾らという金額までは検討しておりませんけれども、財投資金のおかげもありますけれども、何かその辺民間資金におんぶし過ぎておるのではないかという感じを実は受けております。
  35. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 工藤さんと岡田さんにちょっとお伺いしたいのですが、現にお入りになっている公団住宅で、規模と、それから家賃はどのくらいお払いになっているのか、ちょっと参考までに教えていただきたいのですが、現在お二人の方がお入りになってますね、公団住宅に。それの住宅の規模ですね、三DKなのか三LDKなのか知りませんが、それと家賃、月額どのくらいなのか、ちょっと御参考までに教えていただきたいんですが。
  36. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 私は、昭和四十三年度に建設された団地でございまして、都心から一時間半ぐらいのところでありまして、三Kでございます。家族は四人でございまして、家賃は一万五千八百円、これは共益費込みでございます。
  37. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 岡田さんはいかがですか。
  38. 岡田隆郎

    参考人岡田隆郎君) 私は、東京都下日野市の多摩平団地昭和三十三年建設団地ですが、その中で団地住宅変更等をいたしまして、現在三Kで家族が四人、家賃約一万円でございます。
  39. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 いま一万五千八百円ないし一万円というお話を伺ったのですが、同じような規模との比較で、先ほどより住宅の質とかいろいろな問題がありましたが、その辺はどういうふうにお考えなのか、ちょっと感想を教えていただきたいのですが、家賃比較の問題ですね。
  40. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) ちょっと確認いたしますけれども、同じような規模と言いますと、住宅公団の……
  41. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 いや、民間住宅とかあるいは公営住宅とか。公営住宅は御案内のとおり、もう時間がありませんから、最近東京都でも値上げしておることは御案内のとおりでありまして、その辺の感覚ですね。
  42. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) これは個人的な差もありますが、私の場合は昭和四十三年の十二月に入居いたしましたが、当時私の給料で数百円不足いたしまして、入居基準で不足いたしまして、補欠で入ったのですけれども、私の女房が手続に行きましたら足りないと。何か証明書をきちんとしてもうちょっと上積みして書きかえてきたらどうかと、こういうサゼスチョンがあったのですが、私はそういう書きかえをすることはいやでございますから、私が家賃を払うんだ、払い切れなければ私が出ていけばいいんだからひとつ、ということで入らせていただきました。大変当時といたしましては高い負担率でございまして、きゅうきゅうとしておったわけでございます。ですから、今日でも私は十分な収入がありませんから、自分の主観でございますと、まあまあということで感じております。民間家賃については、友人なんかもおりますが、これは本当に高いというように思っております。何かひとつ民間家賃のあり方については土地問題等も含めて施策を講じなきゃならないのじゃないか。私自身は実感といたしまして、安いというよりも、まあまあ大方最近は家賃だけに限ってみれば入れるようになったというふうに考えております。
  43. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 お二人とも、いろいろ工藤さんも岡田さんも言われましたが、家賃改定の契約に関する問題ですが、私も調べてみましたけれども、あの中に、公団が賃貸する住宅家賃の間の均衡上必要があるときには改定できるということが書いてありますですね。あの辺はどういうふうに受けとめて、どう理解をされておるのか。もちろん契約の内容ですから、十分代表幹事事務局長さん知らないわけじゃないと思いますけれども、この辺はどういうふうに受けとめておられるのですか。
  44. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 御指摘の点は、公団法施行規則の十条と、それからそれに基づく賃貸借契約書であるというように理解いたしますけれども、賃貸住宅相互間の不均衡ということについては、九条で個別原価主義をとっておりますので、異なる年度に建設されたものについては家賃の相違が出てくるのは原価主義のたてまえからいって当然のことではないかと思っております。したがいまして、同一事業年度で同じ場所に建てられた住宅の場合に、家賃の不均衡があればこれは支社長の権限において是正できるというふうに業務管理規則などにも書いてございますので、それはごもっともな点だと思いますが、異なる年度、場所を異にするというところに建設された住宅というものは、不均衡というのはなかなか論じにくいというふうに大学の先生、法律専門家等の御意見も十分承っておるのですが、そういうふうにわれわれは見ているわけでございまして、一定のこれは政府の施策によってそういった家賃原価そのものの格差を縮めるように御尽力をいただくのが本来の筋ではないか。また、十条の一項による物価、経済事情変動等によって、先ほどの飯田参考人もおっしゃられたように、ランニングコストのような面については、やはりこれはたとえば修繕費をとってみますと、民法上は本来は賃貸人、住宅公団の主要な義務になっておりますけれども、これは契約書に特約事項がありまして責任が私どもに転嫁されておるわけですね。それ自体不平等な双務契約ではない片務契約的な性格を持った賃貸借契約というふうに考えておりますが、この点は別に論ずるといたしまして、そういったような部分については、実費が上がったという点についてであれば、これは十分考えられるのではないか、このように考えております。
  45. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 その点は私も見解がちょっと違うのでして、これは意見ですからお聞きください。十条の規定は、九条の規定をはねておいて「かかわらず」と書いてありまして、だからその辺はもう少し詰めなければならぬなという気持ちを持っております。終わります。
  46. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は最初に飯田参考人にお聞きをしたいと思います。  先ほどの公述の中で、今回の値上げ問題についてプール制の導入ということでるるお話があったわけでございます。過日の委員会で私も公団家賃について個別原価主義からプール制に変わったのかと、こういう質問をしたわけでございますが、建設省あるいは公団側としては、プール制に変わったわけではないと、こういうふうな大まかに言いますと答弁があったわけでございます。そこで、飯田参考人にお聞きしたいのは、今回のこの値上げの問題について、原則的にこの家賃の問題については、原価主義をそのまま保っておられると、こういうふうにお考えになるのか。それともこれは完全なプール制ではないかというふうにお考えになるのか。その点が一点。  それから先ほどプール制の家賃改定についての不当性をるるお述べになったわけでございますが、大変に短い時間でございましたので、何か補足する事項がございましたらその補足をしていただきたいと、こういうふうに思います。よろしくお願いします。
  47. 飯田久一郎

    参考人飯田久一郎君) お答えいたします。  これはいまの御質問の中で、当局としてはプール制の導入をやったわけではないというようなお答えがあったということでありましたが、私は新聞記事でだけしか存じないのですが、今度の値上げによる増収分のうち、それほど大きくない三十何億円ですかというものは、新しい家賃の抑制に充てるというふうに聞いております。これはプール制の考え方なんでありますが、先ほども申し上げましたとおり、全体の家賃増収分から言えばごく一部にすぎないわけでありますが、観念としてはやはりプール制導入の第一歩である。私が心配いたしますのは、こういう考え方を一たん導入いたしますと、後はそれをますます拡大していくというようなことになるのではないか。そこに私の十分慎重な態度をとるようにということを申し上げた理由があるわけであります。  それから第二の御質問でありますが、プール制導入というものは必要でないんではないかということを申し上げたわけであります。これはまあこれまで残念ながらわが国では、特にこの近年非常にインフレーションが進行いたしまして、年率二四%という消費者物価の上昇という時期もありましたし、また地価もこれも世界の先進国に例のないほどの速さで上がってきたというようなことがありまして、その結果として、近年非常な急速な公団家賃の上昇というものが見られる。そこで、プール制家賃でも採用するほかないんじゃないかというようなことが考えられてきておるわけでありますが、私はこのような地価の上昇なりインフレの進行というものは、もう今後絶対に起こすべきではないと、そういうことをやれば、これは単に住宅問題だけでなく、わが国の将来の発展についても、極端に言えば致命的な影響を与えるんじゃないか。また一方、幸いに物価の鎮静というものも現実にも相当出てきておる。また、地価というものについても、これは最近大分心配すべき現象も出ているようでありますが、しかし、適当な施策をとれば地価の上昇というものはこれは完全に抑えられるんではないか。そうなりますと、ひとつ公団当局にも十分に努力していただいて合理的な経営を続けていただけば、今後の新設住宅建設コストというものはこれは大して上がらないんじゃないか、ほぼ抑えていけるんじゃないか。そうなれば何もプール制家賃というようなものを採用していかなくても済むんじゃないかというようなことを考えまして、プール制家賃の導入は不必要なんじゃないか、そういう考え方を導入すること自身が一種の敗北主義じゃないか。政治というものは、そういうような敗北主義の上に立って物を考えるんではなく、これはもう今後の建設費というものは抑えていくんだという決心の上に立って考えていかれることが至当なんじゃないかと、こういう意味で申し上げた次第でございます。
  48. 桑名義治

    ○桑名義治君 飯田参考人はかねがねから、今回のもちろん家賃値上げ問題に発したからの考え方ではございますが、いろいろな雑誌に参考人の御意見が述べられておるわけでございますが、その中でこの今回の値上げ問題について、公団のあり方、いわゆる経営内容の方針転換をなすべきではないかと、こういう御提言があるように思うわけでございますが、いわゆるこの公団の方針転換についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  49. 飯田久一郎

    参考人飯田久一郎君) お答えいたします。  私は、実は公団というものは、現在のところ、先ほど工藤参考人のお話にあったんでありますが、所得の下限の方に制限があって、たとえばこれこれ以上の所得がなければ入れないということはあっても、上限についての制限がない。いかほど高額所得者であっても入って構わないというようなことになっているわけでありますが、そういう体制をこのまま維持していきますと、たとえば住宅公団に対して政府が融資をし、十分な利子補給をやる、あるいは公的援助を別の形でやるというようなことについてやはり相当疑問が出てくると思うんです。しかし一方、いわゆる公営住宅というものがいろいろ各地方の事情によりましてなかなか思うようにいかない。たとえば東京都の場合にしましても、近年では予定どおり公営住宅建設が行われたことはない、しかもその予定というものが、東京の住宅事情からいいますときわめて小さい。その小さな予定でさえ十分に実行できないというようなことを考えますと、やはり全国的な組織を持つ住宅公団というものが公団住宅の足りないところを補っていく。現実に東京都の場合、いまでも百万世帯ほどの人たちが非常に狭くて設備も悪く、しかも非常に家賃の割り高な住宅に入ることを余儀なくされているというような点を考えますと、私はもっともっと公共住宅というものの建設をふやして、こういう住宅困窮者の生活を救うということが必要だと思うんでありますが、遺憾ながら公営住宅だけではその任務を達成できない。そこで、公団住宅というものも、公営住宅の入居者よりも所得は多いけれども、しかし、そうかといって持ち家を楽に持てるほどの所得資産も何もないというような方たち、これは非常にたくさんおられると思うんでありますが、そういう人たちのために公共住宅をつくっていくという任務に徹するべきでないか。  そのためには、これはまあ私の一つ考え方でありますが、所得についても、余り高額の所得を持っておられる方は入居を遠慮していただく。所得制限をある程度つくるというような形で、一番資力のある人はひとつ持ち家を持っていただく、それから非常に困っている方には公営住宅に入っていただく、その中間層という方には公団住宅のいわゆる賃貸住宅に入っていただいて、いまなおわが国の住宅事情で苦しんでおられる方がそこから脱却するというようなことをしていただくというような形にすべきだと。その一つの方法として、公団というもののあり方についてこの際もう少し考え直してみるべきではないか。公団というものを住宅政策の中でどういう位置づけをしていくかということについて抜本的に考え直してみるという時期ではないかと考えます。
  50. 桑名義治

    ○桑名義治君 工藤参考人にお聞きをしたいわけですが、今回の家賃値上げに対しまして公団側の主張として、同規則の第十条、まあこれが大きな根拠になっているようでございます。この中身を大きく分けますと三つになると思うわけでございますが、その一つに、物価その他経済事情変動に伴い必要があると認めたときと、それからもう一つは、賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めたときと、それから第三番目に、賃貸住宅について改良を施したときと、まあこういうふうに分けられるわけでございますが、この点について工藤参考人としてはどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  51. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 最初に、「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」ということにつきましては、先ほど六点ばかり問題点を出しまして、やはり不均衡是正ということの概念が非常に客観性に乏しいという点、つまり、その基準なり上限をどこに置き、下限をどこに置くといったようなことがなかなか明確でありません、今日の段階では。将来、家賃体系がほかの形でとられれば別でありますけれども、現在ではそういう点がございます。したがいまして、この二号の点につきましては、やはり第九条の個別原価主義という問題と矛盾しないようにこれを理解しなければならないんじゃないかと。つまり、個別原価主義というのが原則でありますから、ただし云々というふうにありますけれども、この原則をやはり尊重しつつこの二号を読むということが大事なのではないかと思っているんです。民間住宅の場合でも、継続家賃というのは新規家賃より安いのが当然でございますし、新旧家賃に差異があるのは社会的な一種の慣行であります。決してよいことではありませんけれども、特に個別原価主義をとっている以上そういった事態が生ずるのは現実として認めなければならぬのではないだろうかと思っているわけであります。  一号の「物価その他経済事情変動に伴い必要があると認めるとき。」ということがございます。この点については、先ほども申し上げましたように、固定費部分可変費部分というふうに分けられますし、したがいまして、可変費については公団の側でその内容、積算根拠といったようなものが具体的に示されるならば、これは契約でありますからもちろん個別的に了解が必要でありますが、その範囲と限度内において一定の値上げといいますか、実費徴収といいますか、そういったような考え方可能性があるのではないかと思っております。  三の「賃貸住宅について改良を施したとき。」というのは、これは改良というのは使用価、ないしは経済価値を高める行為でありますから、この点については現にテラス住宅の増築などによってこういったことが行われております。もちろんこれは増額の内容についてはいろいろ問題がありますけれども、基本的な考え方としては、改良については十分可能性があると、このように考えております。
  52. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、この問題を正しく解決して、しかも住民の方々も納得できるそういうコンセンサスを国会としてもなるべく追求する義務と責任があるんじゃないかとも考えます。そういう立場で幾つか御質問したいと思いますが、尾関参考人にお伺いいたしますけれども、工藤参考人岡田参考人が、高家賃の発生した理由背景原因、このことについて意見を述べて、そのためにいま不均衡になったんだと。その高家賃発生の不均衡が拡大した原因については入居者に責任はないと思うと。私もこれは例の日本列島改造論初め、あの四十八年ごろの物すごい物価の値上がりですね、建築資材の値上がり等々地価の値上がり、これが大きな原因であったと思うんですけれども、そういう意見をお二人の参考人述べられましたが、その問題について尾関参考人はどうお考えになるか。  不均衡の拡大、それから高家賃の発生について入居者には責任がない。ところが、入居者にいま責任が負わされそうになっているわけで、今度の家賃の申請によりますと、初年度百七十億、このうち三十億が家賃抑制分に充てられているわけですね。それから平年度分が二百三十億、このうち六十億が高家賃抑制分に充てられている。初年度三十億、平年度六十億円を入居者が負担するということになっているわけですけれども、その点についてそれが妥当か、どうお考えになるでしょうか。
  53. 尾関通允

    参考人尾関通允君) 大変むずかしい御質問なんですけれども、私は、それじゃ住宅公団責任があるのかということになりますと、この家賃の改定の問題について、家賃改定をせざるを得なくなったことについてそれじゃ住宅公団にも責任はないんじゃないかと、こういうふうに思います。責任論からは望ましい住宅政策というのは出てこないのではないか。やっぱり今日の政治、経済的な客観情勢の中で住宅政策の非常に重要な一環を担う公団がどういう役割りを果たすべきか、そういう状況の中で今日望ましい家賃体系というのはいかにあるべきか、そういう観点から議論すべきだろうと思います。  御質問に対するお答えにはなりませんけれども、私には率直に申しましていまの責任論についてはお答え申し上げる能力がありませんので……。
  54. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いま望ましい家賃体系のことを御発言になりました。先ほどもお述べになりましたが、工藤参考人などは、この個別原価方式について、その中の可変部分修繕費だとか、あるいは公租公課だとか、維持管理費だとか、そういうものについては、その後の物価の変動に応じてこれはある程度話し合いの余地もあるという意見を示されました。私どもも個別原価方式の改善というのはやはり必要だと思っておりまして、あるコンセンサス、いまできつつある、いろんなそういう意見が出てきているのは固定部分ですね、建設費。これは七十年償却ですから、これは動かさない。しかし、可変部分については、インフレの結果動いてくるとこれは修繕費も赤字になるわけで、これはやっぱり二つ分けて考えて、この可変部分変動についてはやっぱりある弾力性を当然持たなきゃならぬだろうということが考えられるわけですが、そういう家賃改善方式についてはどうお考えになるか。また、参考人御自身は、たとえばどういう方向に公団家賃の方式はなるべきだとお考えになっているのか、この点をお伺いします。
  55. 尾関通允

    参考人尾関通允君) 可変部分については御指摘のとおりだろうと思います。しかし、固定部分につきましても、非常に大幅な状況変動があったということを前提にして考えますと、これを動かすべからざるものと考えるのは私はどうかなと疑問を持ちます。  それから望ましい家賃体系ですけれども、公的住宅民間住宅も含めまして全体の立場から見ますと、これは土地価格と、それから駅からの距離、それから標準建築費ということで計算いたしますと、その地域地域における標準家賃というものが私ははじき出せると思います。それより、たとえば五%とか、これは国の政策のとり方によって違ってくると思いますけれども、五%とかあるいは一〇%とか低い水準に公団家賃を設定する。で、そういう住宅を特に大都市圏において大量に建てることにより、これは先ほども申し上げたことですが、民間の賃貸住宅家賃形成に強力な影響を与える、それから民間賃貸住宅家賃が上がるのを抑える、そういうような役割りをねらわす。それから、民間に、あるいは標準家賃に比べて非常に低い水準に公団家賃を設定いたしますと、今度は民間の方が競争力を失ってしまって、民間住宅産業の方で住宅を建てることができなくなってしまいますから、これはその間のバランスをどうとるかというのは非常にむずかしい問題で、私は五%ないし一〇%程度標準家賃よりも安いところに公団家賃を設定するというのが非常に望ましいのではないか、現状ではそう思います。
  56. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四人の参考人の皆さん方にそれぞれ御意見をお伺いしたいんですが、私は、今度の家賃値上申請ですね、非常に具体的に考えてみますと、先ほど申しましたが、家賃抑制部分に初年度三十億でしょう、それから平年度六十億円ですね。それから公団側の言い分によると、修繕を主にした維持管理費部分が初年度百四十億、それから平年度百七十億、こういうことになっているわけです。尾関参考人も先ほど、今度の問題では不均衡是正とそれから修繕費の不足と、この二つの理由をお述べになりましたけれども、この先ほど挙げた数字を一体だれが負担するかということがやっぱり私は非常に具体的で根本的な問題だと思うんですね。  私はこういう考え方もあると思うんです。高家賃発生というのは、先ほど公団責任も言われましたが、やはりこれは根本的、決定的には政府責任にあるわけで、あのときの経済情勢、地価の値上がり、物価の値上がりですね、そういう点で政府責任があるんだから、家賃抑制部分の初年度三十億、それから平年度六十億については国がこれは持つという考え方ですね。それから初年度百四十億、それから平年度百七十億ですね。これは修繕費ということで、この額が正しいかどうか、必要かどうかは、これはどうも積算もあいまいなので、今後いろいろ住民とそれから公団側と協議することが必要でしょうけれども、少なくとも不足分の必要な修繕費については住民がやっぱり民主的な協議を通じて持つということにすれば、この問題は大きなコンセンサスが生まれるのではないかと思いますけれども、そういう方向について四人の参考人の方々にそれぞれ御意見をお伺いしたいと思います。
  57. 安永英雄

    委員長安永英雄君) それでは、岡田参考人の方から順次お述べ願います。
  58. 岡田隆郎

    参考人岡田隆郎君) 私は、結論から申し上げて上田先生の言われたことに賛成です。特に後半の修繕費については、さっき私申し上げましたが、住民からここを直してほしい、あそこを直してほしいという要求が山ほどあります。それについてなかなか公団がやってくれないから自己負担というかっこうで古い団地ほどすでにもう家賃負担が非常に大きくなっております。そういうことを含めて、住民の要求をまず十分集約する、それについてオープンな積算をして住民の納得のいく金額を取る。具体的に言えば、ある団地は窓枠を直してほしい、それには幾らかかるから、住民なり自治会がそうだということになった場合に、個別に、いままでどれだけ修繕費——家賃の中で一割ほど修繕費に当たっているわけですが、どれだけ使われたかという過去の経過を団地ごとに明らかにしてもらった上で、またその団地ごとに住民の要求をまとめて、それにふさわしい金額を住民と公団が合意を得たところから実施する。同じことをほかの団地で、うちはまだ来年までそれは待ちますということが住民の希望であれば、そこはことしは改定しない。こういうふうなことで、これまでの経過と実績、それから、これからについては住民の要求と合意という前提で、実費については話し合って決める、こういうことを望みたいと思います。
  59. 飯田久一郎

    参考人飯田久一郎君) お答えいたします。  私も御質問の趣旨には大体賛成であります。可変部分については、これはもし必要なものであれば当然上げていくべきだと。ただ、いわゆる建設費の上昇に当たる分、これについてはいまもお話があったとおり、国に責任があるという面が非常に強いと思うのであります。したがって、公団というものは非常に公共性が強い、国の監督下にあるものでありますから、国がその部分負担をしていく。これが、先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえば利子補給というような形をとることがいいか、あるいは別な形で補助をするというようなことがいいかどうかということは、これはまあいろいろ研究すべき問題あると思うんでありますが、原則として国の援助によって新しい建設費などの上昇を防ぐということには賛成であります。  以上でございます。
  60. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 結論から申し上げますと、基本的に賛成であります。  なお、高家賃原因背景にかかる部分、つまり不良資産と言われている部分がありますので、これは国鉄などの経営のあり方などもよく参考にしていただいて、この部分建設勘定というところでどんどん金利がかさんでおりますので、これは別途会計にして、高家賃を生み出す原因と切り離す、高家賃を生み出さないようにするという措置をとっていただかないと歯どめがききません。新しい団地がどんどん高いものになっていきますから、このいわば遊休資産不良資産部分は特別勘定科目を設けてとりあえず切り離す。というのは、土地の問題、がらあき団地の問題は急に解決できないんではないか。がらあき団地の問題は、一挙に家賃の値下げを断行するというようなことをすれば別でありますけれども、これもまあされておりませんから、とにかくそういう勇断をしなければこれがはね返ってきますから、いま上田先生から御指摘があった部分については私は基本的に賛成でありますが、重ねてそういうところを具体的な措置をとられるように要望しておきます。
  61. 尾関通允

    参考人尾関通允君) お答えします。  問題を、住宅公団団地居住者住宅公団の間の問題というふうに、こういうふうに局限して考えますと御指摘のとおりだろうと思います。しかし私は、住宅公団は国の住宅政策の重要な担い手であるというように考えておりますので、その時点における国全体の住宅事情、家賃事情等を考えて、総合的な観点から住宅公団の望ましい家賃体系はいかにあるべきかと、こういうふうに考えるのが適切ではないかと思います。そういう観点からいたしますと、御指摘のような考え方にはかなり疑問があると、こういうふうに思います。
  62. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その次の問題ですが、先ほどから今度の家賃値上げについての話し合い問題、これが何回か工藤参考人、それから岡田参考人からの意見の陳述がありました。私、去年の十月二十五日に建設委員会でこの話し合い問題を取り上げまして、「民主的に協議して決めるということを大臣、いいんですね」と言ったら、当時の大臣の長谷川国務大臣は、「お話し合いをするのは当然のことだと、大家ですから。大家がまた家賃を上げる、ただ上げるぞだけではもう通らない。昔の八つあんや熊さんの時代とは違うんでございますから、ですから十分にお話を申し上げて御理解を賜るようにいたしたい」、こう言われたわけです。昔の熊さん、八つあんのころも、落語に、たな子と言えば子も同然という話もあるぐらいで、この熊さん、八つあんよりも、もっといま話し合いをするというふうになっているんですけれども、どうもこのところが先ほど自治協のお二人の参考人の述べたように非常にやっぱり問題があると思うんです。これまでの本当に話し合いの実態借家法にも七条の二項に「協議調ハザルトキハ」と書いてあるわけだから、協議というのは前提なんですけれども、どう話し合いがあったのかということですね。  それから、私、非常に大きな問題だと思うのは、今度の建設省に対する公団側の申請の内容ですね。この申請の内容を居住者の代表である自治協は知ることができたかどうか。この申請内容には、これまでもいろいろ明らかになりましたように、どうも隠されていた部分がかなりありまして、非常に重大な問題を含んでいると思うんですが、敷金その他、高島平団地など一万二千七百戸の問題などあるわけですけれども、そこら辺の経過を工藤さんからお伺いしたいと思います。
  63. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 一月六日に申請が出されたわけでございます。その直後に値上げ申請書を見せてほしいということで公団にもお話をいたしましたし、建設省にもお話ししたのでありますが、公団側のある担当者は、その申請書というものは国政調査権でも発動してもらわなければ見せられるものではない、こういうふうに言いました。また、建設省のある高官は、自分としてもまだ申請書を見ていないんだと、これはかなりたってからでございます。恐らく大臣にもまだ見せていないんだと、この申請書は金庫の中に入れてある、で、公団担当監理官が預かっておるのだというようなことで、実は唖然としたわけでございます。申請書というものは、私は全国消費者団体連絡会の代表幹事もしておりまして、電力、ガス、私鉄、こういったような申請にかかわる問題にも深く関係しておりますが、ある時期まではたとえば電力会社も申請書を見せない。公聴会の前日、私が借用書を書いて通産省の担当官からお借りしたというような事態も四十八、九年ごろまではございました。しかし、申請書を見せないということになりますと、値上げ理由や内容を全く承知できないわけであります。大変実は苦慮したわけでございます。で、説明をしてほしいということを再三申し上げますけれども、それについてもわからないということをある時期まで言われましたし、もちろんこのいままでのいきさつから見ますと、昨年までは建設省主導型のといいますか、プール方式による値上げということでございましたし、団地住民もその点について問題はないかということで実は勉強もしてまいったわけでありますが、一月六日に出た書類にはプール方式ということは全然なくて、今度は不均衡是正ということでございました。したがいまして、一月六日から今日までおよそ一カ月間少々でございますから、この間に値上げ理由や内容というものは、まあマスコミの報道などがありますけれども、住民としては十分承知できない状況にあるわけでございますし、まして内容的に見まして不均衡是正ということの値上げ理由でありますと、恐らく公団側も納得できる説明ができないのではないか。  この一月十日に建設省の政務次官と私あるテレビに出る機会がありまして、後で雑談をしたのでありますが、次官が、どうも工藤さん、公団側で満足に説明できるのは三人ぐらいしかいないよということを冗談紛れに言われたのであります。私もなるほどと思いました。といいますのは、能力の問題ではなくて、一つは秘密主義の問題がもちろんあります。姿勢の問題であります。もう一つは、値上げ理由そのものが不均衡是正ということでありますと、基準がない。客観的な説明の資料が恐らくつくりにくいんじゃないかという点で、説明できないのも、むべなるかなというふうに私は実は感じたわけでございまして、実は大変値上げ理由、内容、不均衡是正基準、今後どうなっていくのかといったような問題をめぐって非常に不安な状態に置かれておることを申し上げておきたいと思います。
  64. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、申請書類は公団側あるいは建設省側から自治協としては正式には受け取っていないわけですか、いまだに。
  65. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 岡田参考人から一言よろしゅうございますか……。
  66. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの問題と、それから衆議院の建設委員会の六項目ですね。これはいろいろ積極面もありますけれども、具体的なことになりますと、激変緩和措置の問題、それから実施期日の延期の問題、こういうところにしぼられてくるように思いますけれども、敷金その他ありますが、激変緩和措置で、たとえば上限七千円というのが五千円とか六千円ぐらいに下がるとか、あるいは実施期日は二、三カ月延期するというようなことが、もしこの建設委員会委員長発言で、建設大臣がこれを尊重するということで行われていった場合、居住者の方々は大体これで納得すると思われるかどうか。この問題点と、それから岡田参考人、何かさらに述べたいことがありましたら言っていただきたいと思います。
  67. 岡田隆郎

    参考人岡田隆郎君) いまの、居住者が納得するかという点では、これは正式にもしそういうことになれば住民の皆さんと相談しなければならないのですが、私の代表してきている立場から言いますと、不当な値上げ、その背景、根拠、使い道、こういうことが明らかにならないまま、ただ何となく住民が騒ぐからというような形でそれが行くとしたら、住民は恐らくやはり納得できない、話し合いを要求し続けることにならざるを得ないんではないか、こういうふうに現時点では考えます。ただ、衆議院の先生方がそういう形でいろいろ御努力いただいていることについては、ゼロ回答よりはいいともちろん思いますが、根本的な問題を、せっかくそこまでやっていただけるならば、さらにメスを入れていただきたいと思います。その間、値上げ承認の判こを押すのを待てと、こういうかっこうで衆参両院とも歯どめをかけていただくことを望みたい、こう思います。  それから、さっき工藤代表幹事が申し上げたことに補足して、先生の質問に若干言わしていただきますと、公団と住民がどう対話があるのかという問題は、簡単に言いますと、大臣の承認が出る前は決まらないものなんだからあれこれ言えないんだ、つまりどの団地の、うちの家賃は幾らの計画をしているのですかと聞いても、大臣の承認が出る前だから言えません、今度仮に、公団の論理は、大臣が承認してからじゃどうするのだ、今度承認したものだから決まったことについて徹底はします、こういうことで住民と、この使い方どうだろう、この幅どうだろうというのは事前にも承認前だから言えない、決まったら決まった額について質問があれば、その質問には答えるけれども、額は変わらない、時期は変わらない。こういうことだったら住民との内容的な対話はいつやるのかと、この問題を私たちは終始疑問に考えざるを得ません。また同時に、私たち団体として、あるときは、契約は個々人とやっているのだから君らは代表権ないと、こうあるときには言い、じゃ個々人の契約者に一人一人、あるいはせめて団地に説明に来るのがしかるべきじゃないかと言うと、代表の皆さんとは二十回、三十回、話し合っています、こういう使い分けをする。こういう公団の御都合主義、こういうことについて私たちは非常に大きな憤りを持っています。  それから最後に、先生御指摘の住民と十分話し合えということで、国会——衆参両院いろいろ御努力いただいていることについての大臣や総裁の答弁はごもっともという趣旨ではありますが、それのあらわれ方としては、話し合うということは当然対等な立場で意見も聞き入れ、直すところは直すということが前提でありますが、民主主義の中で。話し合うということを一方的に説明する、それがあらわれている問題としては、ビラを三回まきました、四回まきました、周知徹底に努めている、これは話し合いと質が違うと思うのです。この点でやはり話し合いというのは、現地で、あるいは代表なら代表権を認めた代表と対等な立場で話し合う、変更の内容も含めて話し合う、これを前提にしていただかなければ話し合いの意味はない、こういうふうに思います。
  68. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 他に御発言もなければ、これにて参考人に対する質疑を終わります。  参考人皆様方には、本日は御多忙中にもかかわりませず、長時間にわたる貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして謹んでお礼を申し上げます。ありがとうございました。  本件に関する午前の質疑はこの程度にとどめ、十三時三十分まで休憩をいたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  69. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、日本住宅公団家賃値上げに関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  70. 赤桐操

    赤桐操君 まず最初に、私は、今回の日本住宅公団から家賃改定について建設大臣に承認申請が出されておりますが、この間の経緯について大臣から明確に御説明を願いたいと思います。
  71. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 値上げ申請の経緯と内容について申し上げます。  昭和五十三年一月六日付で、日本住宅公団から賃貸住宅家賃の改定について承認の申請が提出されましたが、その概要は次のとおりであります。  一、申請の理由として、公団では、賃貸住宅家賃は、空き家家賃として変更されたものを除き、入居時の家賃を一切変更することなく本日に至っており、その結果、新旧住宅相互間における家賃に著しい不均衡が生じているほか、建設年度の古い住宅に必要な維持管理経費の確保が困難となってきており、このような状況をこのまま放置することは、公団住宅居住者間における家賃負担の不均衡をますます拡大させるばかりでなく、その他の賃貸住宅居住者との間の不均衡をも拡大させ、社会的不公正を増大させることとなり、また、良好な居住環境の維持も困難となるおそれがあるとしています。  二、次に家賃値上げが行われる住宅は、昭和三十一年度から昭和四十七年度までに管理開始された賃貸住宅であり、変更家賃の算定に当たっては、公営限度額方式に準じて算定した額と基準家賃との差額の二分の一を基準家賃に加えた額を基準とし、最高引き上げ額は七千円としております。この結果、平均約四千五百円の引き上げ額となります。  また、実施期日は、本年七月一日であり、その増収額は、必要な維持管理経費と家賃の抑制に要する費用に充てることとしております。  三、次に、昭和五十年度から昭和五十二年度に管理開始された住宅は、最近の建築費及び用地費の高騰の影響を受け著しく家賃が高額となっておりますので、本年七月一日を目途に傾斜期間の短縮、家賃の引き上げ据え置き等を行うこととしております。  なお、申請においては、家賃の増減に応じて敷金も変更するようにされております。  以上が今回の申請の概要であります。建設省としては、現在慎重に検討を重ねておりますが、本日の建設委員会においても、この件について十分御意見を拝聴させていただきたいと考えております。  以上でございます。
  72. 赤桐操

    赤桐操君 いま大臣が明らかにされた内容によりますると、本年一月六日に日本住宅公団建設大臣に値上げの申請をいたしておりますが、その理由について、新旧団地家賃の不均衡是正するということに理由づけをしているようであります。しかし、ここに見られるところの不均衡是正論という点からするならば、これはどうもいささかその理由としては不十分なものである。不均衡の生じた理由も明らかにされていない。そういうことを感ずるわけでありますが、この家賃値上げの実質的な理由づけについてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  73. 澤田悌

    参考人澤田悌君) ただいま大臣から申し上げました申請の中にポイントが書いてあるわけでありますが、公団住宅家賃は、空き家家賃といたしまして是正されたものを除き、入居時の家賃を一切改定することなく、古いものは二十年間そのまま今日に至っておるわけでございます。この結果、新旧住宅相互間における家賃に著しい不均衡が生じておるのでありまして、たとえば五十一年度に供給されました住宅につきましては、国からも毎月二月当たり二万四千百円の援助をいたしておりますけれども、入居者の方々の家賃負担の軽減をこういう方法で図っておるのでありますが、昭和三十一年度供給住宅平均家賃比較いたしますと、五十一年度供給住宅の平均初年度家賃は八・八倍になっております。いわゆる平均原価家賃比較いたしますと十四・二倍になっておるのでございます。こういうことのほかに、建設年度をさかのぼるに従って必要な維持管理経費の確保にも困難を来しておるという状況でございます。  また、建設年度の古い住宅の入居者の方々の家賃負担率を見てみますと、公団家賃負担率というのを重要視いたしておりますが、この仕組みは、御存じのように七十年という異例の償却期間を根拠にして原価家賃を出しておりまして、その他いま申しましたようないろんな配慮によって、高いところでも一六、七%、所得に対する負担率ということを考えておるのでありますが、それが、入居者の方々の負担率を年度をさかのぼってずっと調べてみますと、所得が増加されて負担率が下がることは結構なんでありますが、一般的にそれが著しく低下いたしまして、もう二%を割っておるというような状況が多く出てきておるのでございます。一方、近年におきまする公営住宅家賃改定の結果、本来は、所得階層として考えまするというと、公団住宅入居階層の方々よりも、低所得階層の方々が入居するたてまえとなっております公営住宅家賃よりも公団住宅家賃が安いといった不合理な事例にもに出てまいっておるのであります。このような実態に対しまして、建設大臣の諮問機関でありまする住宅宅地審議会等からも、新旧住宅相互間の家賃の不均衡是正を図って社会的不公正を改めることに努めるべきであるという御指摘を受けておるわけであります。  以上のようなことから、公団といたしましては、公的援助を受けておる住宅でもありますので、新旧住宅相互間の家賃の不均衡是正いたしまして、その増収額を必要な維持管理経費の確保と家賃の高騰を抑制することに充てる必要があると考えておる次第でございます。なお、賃貸住宅相互間の家賃に不均衡が生じましたときは、家賃改定ができるということは、日本住宅公団法施行規則の定めるところでございまして、公団と入居者の方々との間に取り交わされている契約書にもその旨が明記されておる次第でございます。
  74. 赤桐操

    赤桐操君 いまの総裁のお話を伺っておりますと、公的援助を受けている団地だと、家賃だと、こう言われるんですけれども、公的援助をしていかなければこれは政府施策の住宅ではないんですよ。諸外国の例から見ていっても、当然それはもうどこの国でも社会住宅と称するものの中にはこの種の援助なりもっと大幅な援助がなされているのは御承知のとおりです。これはひとつ明確に私から申し上げておきたいと思うのです。国から出すことがいかにも恩着せがましい、そういう前提の上に立った話し合いは私としてはこれはちょっといただけない。  それから二つ目の問題としては、いまのお話を聞いておりますと、古いものはもう二十年を超えておるわけであります。そうした古いものと新しいものを比較すると余りにも差ができてきておる。新しいものを中心にして、どうもそのお話のぐあいは内容をひとつ訂正しておく必要がある。家賃是正というものは、現状を中心とした是正がどうも基本に据えられているように思うんですけれども、どちらなんですか、これは。
  75. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 説明を簡単にいたしましたので、誤解があってはいけませんから明確に申し上げますが、公団住宅の供給はまさに政策的な住宅の供給でございまして、中堅勤労者層に優秀な安い住宅を提供しようというのがわれわれの任務でございます。したがいまして、国のいろんな施策、援助によりまして一般よりはるかに安い家賃であること、これはまあ当然であります。しかし、そういう援助があるだけに、国民の負担における援助があるだけにその格差が開き過ぎてはどうか、安過ぎてはどうか、こういう意味合いにおいて申し上げたのでありまして、御理解を願いたいと存じます。  それから、いまの第二番目の点は担当の理事から御説明いたします。
  76. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) ただいま総裁から三十一年のものと五十一年のものとの比較で御説明を申し上げたのでございますけれども、その際も申し上げましたように、その新しい住宅家賃、これはいろいろそのままでは相当家賃が高くなるわけでございまして、これは申すまでもなく、公共住宅は何と申しますか所得住宅費とのアンバランスのところに援助が入るわけでございまして、私どもとしましてはこのところへ適正な援助を入れて、すなわち公団では当初発足以来第三分位中位の所得に対しまして大体二八%前後というふうなところでもって家賃を設定しているわけでございますけれども、このいわば適正負担といいますか、応分負担といいますか、そういうものを考慮した家賃との間の不均衡を申し上げたわけでございます。ただ、実際に不均衡の何といいますか算定とか、不均衡を直す場合の方法と、こういったものをやる場合には当然のことながら古さとか設備の悪さとか、そういったものを考慮いたしまして、その内容を、実質的なものを比較してやることはもちろんのことでございます。そういうものでございます。
  77. 赤桐操

    赤桐操君 今回のこの値上げ状態を見まするというと、中には倍を超える値上げになる人もありますね。これはまことに大きな入居者にとっては大変な戦々恐々とした内容だろうと思うんであります。それで日本住宅公団法の第一条には「住宅に困窮する勤労者のために」ということがまず大前提になっておるし、公団法可決の際の衆議院における決議におきましても、政府公団家賃をなるべく低廉ならしめるように考慮するということを附帯決議としてなされておるわけであります。今回の家賃値上げについては、こういう面からするというと、余りにも激変とも言うべき家賃値上げだと思いますが、この精神に実は私どもは照らしてみて一体どうかと思うんですが、お考えはいかがですか。
  78. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 御指摘のように、昭和三十年六月十五日、衆議院の建設委員会の附帯決議には、「政府公団住宅家賃をなるべく低廉ならしめるよう考慮すること。」という附帯決議がございましたことは存じておるわけでございます。私どもも今回の値上げ案を検討する際に、激変の緩和、これは先ほど申しました住宅宅地審議会の答申にもあるところでございますが、激変の緩和ということには十分配慮した案と考えておるのであります。中堅勤労者の平均月収に対して、おおむね常に一六%前後、新しいものということでありますから、今度値上げいたしまして負担率を見てみますと、大体値上げの結果三%ないし一番高いところで一一%ぐらい、昭和四十七年以前でということで、一六、七%というようなことにはなっておりません。一〇%未満のものが九十数%に上っておるのであります。十分この御趣旨は尊重して検討いたした案と考えておる次第でございます。
  79. 赤桐操

    赤桐操君 さらに、家賃のプール制への移行が始まるように思うんでありますが、現行の公団法のどの法律ないしは規則等を見ましても、これは該当しないように思うのであります。そして新旧家賃をプールして、新しい形の計算をしていこうという考え方の根拠でありますが、これはどこに基づいてお考えになっているのか。全体を見るというと、結果的には高家賃への基盤づくりをしているようにどう見てもこれは受け取れるのであります。これは入居されている方々はもちろんそう受け取っておるでしょうけれども、われわれが見てもやっぱりそういうように見える。これはひとつ公団法に基づくところの公団運営上から見ていって一体どういうことになるのか伺いたいと思います。
  80. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) プール制という制度的な御質問が出ましたので建設省から答えさせていただきますが、プール制というのは、これはイギリスの公営住宅等で行われております方式でございまして、古いものも新しいものも全体の原価をはじきまして、その全体の総原価の中で、古い、新しい、設備が悪い、立地の問題、そういったいろんな点を考慮しまして、公正な形で原価を配分するというやり方でございます。まあこういったことも私ども検討の段階ではあったわけでございますが、ただ、それをいたしますと、非常に激変な措置をとることになりますと同時に、先生いま御指摘の公団法の施行規則の九条、十条、これは当然そういったことをやるとすれば改正が必要でございます。  今回の措置は、そういった激変緩和措置をとったこと等によりまして、私どもはむしろ十条の範囲内での措置であるというように考えているわけでございます。ただ、十条で、公団住宅相互間に不均衡が生じた場合には家賃変更するというように書いてございます。したがいまして、当然住宅公団は古い住宅と新しい住宅に不均衡が生じれば家賃変更建設大臣に申請することができるわけでございますが、その場合に古い住宅家賃を不均衡だからといって上げて、そしてその結果、公団が、利益を生むという言葉はちょっと語弊がございますが、それをそうする必要はございません。当然それは必要な維持管理費に充てると同時に、新しい方の住宅家賃の引き下げに使うべきだという形でこういった申請がなされたものと理解しております。
  81. 赤桐操

    赤桐操君 この基本法規の考え方の論争は後に譲りたいと思いますが、公団家賃値上げについて、一応四十七年度の供用開始分までのものを対象とするということで、さらに今後三年ないし五年ぐらいの周期で見直しをしていこうという動きがいままであったようでありますが、この点についてはどうなんですか。
  82. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) この点に関しましては、昨年、公団住宅対策の委員会、これは建設省内に事務次官を長として設けられた委員会でございますが、そこにおきましても、当然ある期間ごとにはそういった家賃の全体の見直しが必要だろうというようなことを結論づけております。したがいまして、今後こういった物価の変動の将来の状況等からして、定期というのがいつかということは申し上げられませんが、そういった将来にわたって、いずれにしてもある程度の物価の上昇というものが避けられないとすれば、いずれかの時期にはやはり改定する時期も来るんではないかというように考えております。
  83. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、重ねて伺いますが、今回のような形でこれからもしばしば上げていくと、こういうように受け取ってよろしいんですね。
  84. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 今回のような形という意味でございますが、今回はいわゆる二十年間ほうってある、したがって非常に格差が大きくなっておりまして、したがって激変緩和措置をとっておりましてもまだ七千円というような形になっておりますが、今後はそういった大きな不均衡というものは、こういった低成長時代になりますとそう生ずるとは考えられませんので、内容そのものは別といたしまして、ある程度家賃変更というものは時期が来れば必要ではないかというように考えております。
  85. 赤桐操

    赤桐操君 要するに、いまの御答弁は、今回のこの値上げについては、これからこういう形で常態として行われていかなきゃならないが、そのまあいわば一里塚といいますか第一歩だと、こういうようにひとつ受け取っておきたいと思います。  私は、一番大きな問題になるのは、一体いままでの中で、公団自体がみずからの事業主体としての企業の努力の中で解決すべきものも相当あったと思うんです。それからまた同時に国が、公団の努力だけでは不可能であるということで、国自体が入居者に対する、あるいは住宅政策上の基本的な立場から努力すべきものがあったと思うんですね。こうしたものが実は残念ながらお互いのそれぞれの立場に立って尽くすべきものが尽くされていなかった、その結果が結局入居者に対するところのしわ寄せになって出てきている、こういうように私はどうも思えるんですが、公団側建設省側、どのように受け取っておられますか。
  86. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 最近、住宅公団経営上の問題をいろいろと指摘されておることは事実でございます。しかし、それが公団全体の経理上、今後非常に注意しなければならぬことはもちろんでありますが、家賃にすぐ大幅にかぶさるというような状態ではございません。私どもは二十年間そのままになっておりました家賃というものをこの際ある程度、そんなに大幅にはとても無理ですが、ある程度値上げをする必要がある、これ以上放置することは妥当でないという考え方家賃値上げの基本的考え方でありまして、公団がいろいろと抱えております問題はそれなりに現在全力を挙げて解決に努力をいたしておる段階でございます。分けて考えておるような次第でございます。
  87. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 日本住宅公団が、経営体といたしましてその内部で企業努力いたしますことは、これは当然のことでございます。また、建設省といたしましては、そうやっていただきたいというような指導をしているわけでございますが、御指摘のように公団の企業努力だけでは、いわゆる公団が考えております中堅勤労者に対して適正な負担家賃で良好な住宅を供給することが困難な面もございます。したがいまして、政府といたしましても、これまで出資金あるいは利子補給金といったような形で、まあそのほか関連公共施設の立てかえ制度とかそういった形で公団に対していろいろな援助を重ねてきたところでございますが、私どももいままで以上にやはりそういった援助を厚くする必要があるということで、たとえば五十三年度の予算案の中では、住宅宅地関連の公共施設の整備のための国庫補助金三百億、これは住宅公団だけが使うわけではございませんが、そういったものを計上いたしまして公団のいわゆる宅地住宅原価の引き下げというようなことを図りたいというように考えているわけでございます。
  88. 赤桐操

    赤桐操君 要するに、今回こういう値上げ問題が騒然として起きてきたということは、突然出てきたということは、要するにこれからつくっていくもの、あるいはいまつくっているものが、いわゆる新設団地が非常に高家賃になってきたということだと思うんですよ。それとどう取り組んでいくかという基本的な問題が実はいま問われていると思うんですね。そのことについてひとつ私はこれからいろいろただしてみたいと思うんです。  従来、公団住宅建設については賃貸と分譲、二種類ありますが、その比率は大体賃貸が主であったと思います。その割合は大体三対二ぐらいであったように思います。ところが、これが四十九年度以降五〇対五〇になってきている。賃貸住宅の割合と分譲住宅の割合が大体同じくらいになってきている。その四十九年を越えまするというとこれが逆転いたしまして今日の状態になってきているわけですね。で、この四十八年以降、賃貸住宅の達成率等を見ましても、事実上分譲の方が上回っておる。また、年度当初計画を途中から削減して、住宅金融公庫融資分が増加をしているような状態等もございまして、要するに公団の運営自体が、言ってみれば賃貸に重点を置いてスタートを切った運営のあり方が実は大きく変わってきているのではないか。それで、昨年、一昨年あたりの大体政府筋から言われている言葉は、やはり何といっても二月建て住宅を国民は求めている、こういう公団のような住宅は求めていないんだと、こういう実はいろいろキャンペーンを張り出してきている。ですから、要するに政府全体の物の考え方住宅政策の指向する方向というものは、これはどうも住宅公団発足当時における大衆を相手にした住宅政策から、そういう政府負担やいろいろ負担の割合のかかるものをなるべく避けて、民間自力建設に重点を置こうという形に一層実は転換をしてきているように思うんです。こういうように私は実は感ずるんですが、これは一体どういうように考えておられますか。
  89. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 最近のいろいろな国民の動向、住宅に対する希望の動向が過去数年の間非常に変化を遂げているということは、これは先日発表いたしました総理府のいわゆる世論調査でも明らかになっております。そういった面と同時に、やはり最近の公団住宅の階層が持ち家の需要が、志向が非常に強いということもこれは事実でございます。しかしながら、私どもは決して公的な賃貸住宅の必要性をそれでもってよしとしているわけではございません。もっとやらなければならないというように考えております。ただ、現在の状況は、たとえば公営住宅公団住宅の賃貸にしましても、特に必要な大都市地域で建設がストップしている、あるいは建設をやりましても空き家が発生しているという状況でございまして、これはもちろん私どもの住宅政策当局の責任もございます。  したがいまして、そういったことを一切見直す必要があるということから、たとえば公団住宅につきましては立地の改善の問題あるいは家賃対策の問題、そういったものを見直す必要があるという形で、現在住宅公団においては本年度におきましても鋭意そういった団地ごとの見直し作業を行っております。その結果、残念ながら来年度は公団の賃貸住宅を一万戸に減らさざるを得なかったということでございます。また、実際に住宅公団団地をつくります場合に、地元の公共団体の方で賃貸住宅よりも分譲住宅を建ててくれというような要請があることもこれは事実でございます。そういったことは、私どもはやはり公共賃貸住宅というものの必要性からどうしてももっとふやす必要があるということは痛感しておりますが、残念ながら現在のところ、来年度においては公団住宅一万戸程度建設しかできないという実態を踏まえて予算を計上しているわけでございます。
  90. 赤桐操

    赤桐操君 既存団地の空き家募集なんかを見ますと、大変な競争率なんですね。私は、こういう集合住宅と称する公団方式による住宅というものを皆さんが余り好まないで、この形式のものを好まないで一戸建て住宅を好んでいるということにはならないと思うんです、必ずしも。それで、大体いま地方自治体がなるべく一戸建て住宅を建ててくれ、こういうことを言っておるようでありますけれども、地域によっては一戸建て住宅を建ててくれと言ってみたって、これはとてもじゃないが消化し切れない地域もあるわけです。庶民大衆の手に届かないような実情ですよ、三大都市圏の地域になりましては。勢いもうこれは新しい方向としてこうした集合住宅方式を考えていかなきゃならない時代に来ているんですね。しかも全国でこれだけの方々がいま入居をして生活しておられる。今日まで二十年を超えて生活しておる。しっかり自分の生活に大きく実は根を張っている、そういうことがあるわけですね。  こういうところから見ると、私は何か全体のニーズがそういう形で動いているにもかかわらず、政府なり既設の機関、こういう立場にある人たちの頭がそうではないんだという形で問題の進め方をしているように思うんです。それじゃ一戸建て住宅を建てるならばそれに皆さんが飛びついて住むことができるのかと言えば、今日の状態ではそれはできないでしょう、実際問題。そのために二分位、三分位などの方々を中心としてという、そういう対策をとってきていると思うんですね。これは私はどうも考えてみても、公団住宅の賃貸住宅を切り捨てて、そうして一戸建て住宅へ動かなきゃならないということにはならぬように思うんですがね。こういう点では実態とどうもかけ離れた状態に動いているように私は感ずる。
  91. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 私どもも決して公的な賃貸住宅の需要が先生の御指摘のようにないということを申し上げているんではございません。ただ、実際に現在の状態を申し上げますと、三大都市圏への人口の流入、いわゆる社会増でございますが、これが五十一年にはほとんどとまっております。したがって、三大都市圏においても自然増だけというような形になっております。そういった事態を踏まえまして、いままでのようにたとえば都心から通勤一時間半もかかるようなところに集合住宅を建てたのでは全く国民の需要がついてこない。だから、むしろ先生の御指摘のように都心に近いところに職住接近の形で集合住宅を建てていくべきではないかというような考えを持っているわけでございます。
  92. 赤桐操

    赤桐操君 これは昨年十二月の十四日、会計検査院が公表されたところでありまするけれども、昭和五十一年度末現在で住宅公団が抱えている新築空き家の戸数は三万二千戸に上っています。現在ではもっと上がっているようでありますが、そして会計検査院は、このような事態を生じたのは、土地取得費が大都市周辺部では特に高騰したことなどにより、建設される住宅がいわゆる高遠狭となって、立地、規模等の質的充足を求めるようになった近年の住宅需要に合致しないものとなってきている、そういうことに原因があるんだと、そしてこのような状況のまま推移すると、建設のために投入された財政資金が効果を発現し得ない事態を継続することとなる。こういうことを指摘いたしております。ここでも出ておりまするけれども、要するに国民の皆さんの求めているものに大胆に四つに取り組んで、どうしたならその要求が解決できるかという基本姿勢に欠けているということがこれは実は指摘されていると思うんです。この点について建設省公団、それぞれひとつお考えを示していただきたいと思います。
  93. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 確かに、先ほど私申し上げましたとおり、こういった低成長時代に入り国民の需要の動向といったものが変化した。そういった需要動向を的確につかみ得なかったということは、これはもう紛れもない事実でございます。そういった需要の変化を的確につかみ得なかったことが今日の空き家問題を生じているんではないかというように考えているわけでございます。  先ほども申し上げましたが、一時間半もかかるようなところに高層住宅を建てて、そして空き家を生じているというような事態になっているわけでございますが、これは言いわけがましくなりますが、着工した当時の現況としては土地がこれはもう今後手に入らない、ですからできるだけ高層化して、遠いところであっても一戸でも多く住宅を建てたいということからそういった事態になったわけでございます。まあ見通しが甘かったという点はこれは反省せざるを得ないというように考えております。今後は当然のことながらこういった国民の住宅需要というものをマクロにもあるいはミクロにも的確に把握しまして、そして需要に合った住宅供給を行っていくべきだというように反省している次第でございます。
  94. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 公団といたしましても、ただいま住宅局長から申し上げました、基本的に全く同じ考えを持っているわけであります。ここ数年間の経済の激動、それからそれに伴う住宅需要者のニーズ、そういうものに的確に適応できなかったという点については、これはもう率直に反省を要するところであると思います。したがいまして、未入居住宅を多数抱えるというような状態になったわけでありますが、これにつきましては各種の応急対策と同時に今後の恒久的対策、両面にわたりまして全力を挙げてただいま努力中であります。御指摘のような高遠狭というようなことが厳しく批判されているわけであります。現状におきましてはなかなかこの三つを一挙に解決するということも非常に困難な事情が伴います。しかしながら、私がよく申しておるんですが、この三拍子をそろえちゃいかぬ、二拍子改善できれば非常に望ましいのである。少なくとも一・五ぐらいは解決する。少し遠いけれども環境がいいし子供を育てるのにもいい、それで御主人はちょっと通勤に時間がかかるが一つだけがまんする。そういうところをまず改善し、それからだんだん三つとも改善していく、こういう方向に一歩一歩進みたいということで努力をいたしているような次第でございます。
  95. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、いま大分空き家がたくさんまた出てきているようですね。さらにまた長期の未利用地が相当ある。一番最近のひとつ数字で実情を明らかにしてもらいたいと思います。
  96. 澤田光英

    参考人澤田光英君) 空き家と大きく称せられますものに、いわゆる募集をいたしましたものが空き家になっているというものと、それから保守管理中のもの、まだ募集はしておりませんけれどもいろんな障害で人が入っていない、こういう二種類がございますが、これが五十二年の十二月末でございますが、その時点において未入居住宅は一万五千六百一でございまして、保守管理住宅の方が二万三千四百八でございます。  それから、続いて未利用地の御説明をいたします。長期保有地の手持ちは、いわゆる公団におきまして住宅建設部門と、宅地を供給いたします宅地開発部門がございますけれども、会計検査院に御指摘を受けましたこれらのものにつきましては、いわゆる住宅建設部門におきまして十四地区、五百六十六ヘクタールでございます。それから宅地開発部門におきましては八地区で千二十三ヘクタール、合計で二十二地区、千五百八十九ヘクタールでございます。
  97. 赤桐操

    赤桐操君 その千五百八十九ヘクタール、これらの保有期間ですな、保有期間はどんなぐあいになっておりますか。それから利子はどのくらいに上っておりますか。
  98. 澤田光英

    参考人澤田光英君) この指摘されました未利用地は、大体会計検査院で条件といたしまして、住宅建設部門におきましては三カ年利用ができないもの、宅地開発部門におきましては五年間、こういうようなことで御指摘を受けております。しかし、これの相当部分は四十八年に入手をいたしましたものが大部分でございます。したがって年度はいろいろばらついておりますけれども、これの、元利でございません、利子。概算利子でございますけれども、五十二年十二月末の利子が合計で三百三十一億、そのうち住宅建設部門が百七十九億、宅地開発部門が百五十一億、合計で三百三十一億、かようなかっこうになっています。
  99. 赤桐操

    赤桐操君 この大変膨大な、さらに三万九千戸に上ってきておるこの状態でありますが、今後このいわゆる空き家というのはもっとふえる可能性があるんですか。
  100. 澤田光英

    参考人澤田光英君) 先ほど申し上げました戸数、これはまだ今後多少変動するかと思います。ただし、その変動いたします原因はどこにあるかと申しますと、会計検査院からも申されておりますように、現在十万戸を超す工事中の住宅を持っております。これの中から出るか出ないか、こういう話でございまして、先ほど来総裁から御答弁申し上げましたように、この十万戸を超す工事中の中から空き家が出ないように、この一年間鋭意設計変更あるいは大型化あるいは足の便を極力推進するとか、あるいは賃貸、分譲の切りかえ、たとえば分譲住宅でございますと、すでに三DKはなかなか狭ということで需要に入ってまいりません。そこで、こういうものを賃貸住宅に切りかえる、そういうことを十万戸全面的に見直しておりまして、可能な限りの空き家発生を抑える、かような見通しから先ほど申し上げたように多少の増減はございますけれども、おおむねこのような状態が続くということだと思います。
  101. 赤桐操

    赤桐操君 私はこれはやはり今度の新設の中からだってこの問題は出てくると思うんです、実情を見ておりますというと。非常にそういうことも危惧される状況にあるのではないか。問題は、一体これだけのものがどうして出たのだということになるんですけれども、同時にまた、これからの対策はどうするかということについて、これは年次を追ってこれから諸対策が講ぜられなければならぬと思います。  それからもう一つ問題になるのは土地の問題ですけれども、三年ないし五年だと言っておられますが、一番長いのは相当な年数になっておると思うんですね。一番最高は何年になっておりますか。
  102. 澤田光英

    参考人澤田光英君) これは手持ちの資料でございますけれども、大阪に阿武山というところがございます。ここがいろいろな事情がございまして三十九年に一部買収を始めております。
  103. 赤桐操

    赤桐操君 私は、土地の買収ということは非常に大きな問題を将来に残すと思うんですね。こういうぐあいに買収してもその土地建設されていかないで保有土地として残されていくということになれば、これがいま示された金利だけでも大変なものです。この金利は当然原価の中に算入されていく。この金利を別扱いにして家賃の算定が行われるならこれは話が別です。そうではなくて、この金利はそのまま入居者の負担として出てくるわけです。これは高家賃になるのは当然だと思うのです。  それから、さらにまた、先ほどの三万九千戸の問題でありますけれども、これについても非常にやはり私はこれを解決していくのは大変なものであろう。これらを含めていわゆる不良資産としてこれはもう発生しておるわけですけれども、これは率直に言って事業全体の中でどのくらいの比率を占めているのですか。
  104. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 恐れ入りますが、いまの御趣旨を……、ちょっと恐縮でございます。
  105. 赤桐操

    赤桐操君 これは、事業運営全体の中で、年度の運営全体の中でもって金額にしてどのくらいの比率を占めるか。要するに、全体の中におけるところのどのくらい圧迫しているかということを明らかにしてもらいたいと思います、事業全体を。もしいまそこで手持ちが、わからなければ後で結構ですけれども、御答弁願いたいと思います。
  106. 澤田光英

    参考人澤田光英君) 一部資料がございますから、土地関係でございますが、公団がいままで取得いたしました面積は、約五千四百ヘクタールでございます。そのうち先ほど言いました未利用地合計がおおむね二二%に当たっております。
  107. 赤桐操

    赤桐操君 その点はさらに詳細に調べて後でひとつお知らせを願いたいと思います。こうした不良資産がある。  それから次に、私は、先ほど参考人の方が大分言っておられましたけれども、三十一年以来建設されてきて、古いものはもう二十年を超えている。こうした中でかなり建設年月等から見て設備その他等が粗悪あるいはまた老朽化してきているものが相当多いということが訴えられております。これはやっぱり私は大変大きな問題だと思うんであります。いままでこれらに対するところの対策は一体どんなものであったんだろうか、当然これも考えられるわけであります。  それからまた、年齢構成なども大分変わってきている。当時は四十代、五十代の方が、今日では大体六十代、七十代になってきている。そうして第一線を退いて余生を送るという年齢になってくる。これは、たとえば千葉県あたりでも、光ケ丘とか常盤台あたりではそういう状態が出てきているわけでありまして、今回の値上げ問題等についても、お年寄りの方々はお子さん方にお世話をいただいているなり、あるいはいろいろ仕送りをいただいている。こういう関係からして、これが大幅な値上げになるということについてはかなりの実はショックを受けるようであります。こういう状況等も事実現実にあるわけでありますが、この古い住宅団地、こうしたものについては建物とか、中に入っていらっしゃる入居者の方々の状態等も大きく変わってきていると思いますが、こういうものに対する対策、どのようにお考えになっていますか。
  108. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先生おっしゃられるとおり、古い住宅団地は、何といいますか、傷むといいますか、老朽化しているものが相当あるわけでございまして、私どもといたしましては従来から日常の生活上の支障にはならないようにと、こういうような観点から修繕に努めてきておるわけでございまして、ただ、修繕費にも相当な限度がございますので、その切り詰めた予算の範囲内で、いま申し上げましたような生活上、機能上支障を来さないと、こういう観点に着目いたしましてやってきたところでございますが、なお今回家賃値上げが行われますと修繕費も相当増大しますし、その大部分につきましては維持管理といいますか、そういうものに使いますので、従来からやってなかった修繕等につきましても計画的にやっていくことができると、こういうふうに考えております。  それからもう一点の、古い住宅団地には相当老齢になった方々もいらっしゃると、こういうようなお話もございました。私どもも家賃の今回の値上げに当たりましては、家賃というのは生活する上にとりまして大変重要な要素であるということは十分認識いたしておりまして、今回の家賃値上げに当たりましても、まあその方式もかねて御説明申し上げておりますように、公営住宅の計算方式によりまするところの二分の一といたしまして、またさらにそれを、七千円を超えるものは七千円で頭切りをすると、こういうふうな激変緩和措置をとっているところでございます。さらに何といいますか、生活保護の世帯、こういった方々には生活保護で認められておりますところの住宅扶助、こういった扶助額をオーバーするような場合には、それを、上がった家賃の場合にはそこで打ち切りにするというふうな、そういった何といいますか配慮を十分に払っていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  109. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろと運営全体にずさんであるという批判があるし、さらにまたこうした古い住宅や、そうしたものに対する管理等についても不親切だという批判が住民の皆さんからは相当強く起きておるわけであります。  次に、私は、そういう状況の中で、社会党は去る十二月の二十一日に、わが党の小柳議員が欠陥住宅問題について指摘をいたしております。この問題に対しまして、公団側は十二月二十七日の記者会見、建設省は一月三十一日に七団地の報告書を出しまして、それによると、いずれも欠陥はなかったと、こういうことを言っておるようであります。  そこで、社会党は一月中に三回にわたりまして調査団を編成いたしまして、いろいろの現地調査を行いました。そこで出てきた事実をここでもう一遍ひとつ明らかにしておきたいと思うのでありますが、住宅公団関係については、これは京都の男山団地でありますが、ここではPC板が欠けて鉄筋が露出し、さびが出ている。あるいはその基礎と床板のPC板のジョイント部分のコンクリートのあたりに、非常に不十分で、紙がそのかわりに詰められているとか、あるいはまた基礎の立ち上がりの角の部分に角材が埋め込んであるとか、さらにまた構造クラックが発生しており、住民からも雨漏り、建具のゆがみなどの苦情が大分出ていると、こういう事実が明らかになっております。それからまたさらに、東京の高幡台団地でありますが、これにつきましてもかなりのいろいろな問題が出ていることが明らかになっています。亀裂が網の目のように走っておる、上から水が流れるというと下の階はたちどころに器がいっぱいになる。あるいはまた、床のコンクリートの厚さは十一センチであることが基準であるにもかかわらず、八センチないし九センチしかない、こういうものもあったそうであります。あるいはまた、建設されて五年余りしかたっていないにもかかわらず、コンクリートがもうすでに中性化を始まってきている。あるいはまた、床板が階段部分に比べて六センチないし七センチ沈下をしている。基礎と床板のジョイント部分にコンクリートが入っておらないで、かわりにトタンが詰められているとか、こういったような事態が明らかになっております。これらについては私の手元にも写真がございますが、こういう事実がその後明らかになっておるわけであります。要するに、これらは公団の設計図、仕様書、こういうものがあるわけでありまして、その規格から外れているわけでありまして、明らかにこれは欠陥の住宅であると、こういうように私どもは考えております。  それから公団建設省は、欠陥ではないと、欠陥はあり得ないとして今日まで来ておりまするけれども、建設省調査というものは一体だれがこれ行ったものであるのか、一般業者がやっておるのではないだろうか。あるいは構造力学上少々の欠陥があっても問題はないとしているけれども、これは実はそうした技術論で逃げようとしているものであって、事実、欠陥は欠陥としてこれは存在しているわけであります。あるいはまた、千葉県あたりでもこれは発生しておりまするけれども、ベランダが落ちたとか、断熱材が使われていなかったとかということは現実にあった問題でありまして、今日まで公団が行った団地の中でも、こうした欠陥が存在していることは事実でありまして、そういうような状況等を見まして、私どもはこれは建設業界自体の重層化の問題、こうした構造上の問題あるいは公団関係職員の不足の問題とかいろいろあると思いますが、そうしたやはり大きな原因が存在するのではないだろうかと考えております。  そこで、要約してひとつお伺いしたいと思うんでありますが、公団建設省はわが党が指摘をいたした事実については否定をなさるのか、それとも肯定をなさるのか。それから、指摘いたしました公団団地について、公団の設計図なり仕様書に相違しているのかいないのか。欠陥があるのか、なかったのか。これらについてひとつ明確に御答弁を願っておきたいと思います。
  110. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 建設省からまず御答弁申し上げます。  昨年、小柳委員から御指摘いただきましたいわゆる七団地、これはまあ公団住宅団地だけではございません。公営住宅団地もございますので、七団地につきまして私ども建設省といたしまして至急調査を命じております。  調査はどこが行ったかということでございますが、私どもはそれを、住宅を建てる事業主体、たとえば公団、市、あるいは民間の分譲業者、そういったいわゆる建物発注者にも調べさしております。と同時に、それを施工したいわゆる建設業者にも調査を命じております。そして両方の報告を受けて取りまとめているところでございます。  そこで、概括的に申し上げますと、いろんな指摘がなされておりますが、その中で確かに私ども、明らかにこれは誤解に基づくものもございます。しかし、確かに御指摘のとおり、PC板が欠けたのをそのまま補修せずに使っていたり、鉄筋が出ていたといいますか、PC板を施工のために外して、そのために鉄筋が露出していたのをそのまま放置していたり、そういった手直し不十分なところがあるということは、これは事実でございます。そういったものは、これは住宅公団でございますと、住宅公団の仕様書なり設計図と違っておりますので、当然その点は手直しをさせる必要があるというように考えているわけでございます。そして早急に補修をするように命じてございます。しかしながら、私ども現在調査いたした時点では、先ほど技術的な問題として逃げるんじゃないかというようなお話がございましたが、建物全体にわたって構造的に不安だというような個所は発見できておりません。しかし、これは現在までの調査が目視調査、あるいはハンマーでたたいて調べるというようなそういった調査でございますので、さらにコンクリートの一部をボーリングして、そして試験体を抜き出して、そして強度試験を行う、そういったことを必要に応じて調査を続けさしたいということで調査を命じてございます。また、そういった御指摘を受けるように、特に床下等の部分についてそういった手直し不十分のところがあるということは、これは公団のみならず、そういった建設の事業主体全体の監督体制、そういったものの不十分な点もこれは当然あるわけでございまして、そういった監督体制等につきましても改善するように指導してまいりたいというように考えている次第でございます。
  111. 赤桐操

    赤桐操君 私は重ねて伺いたいと思うんですけれども、少なくとも公団が発注をして建物をつくるときには、当然これは設計図もあるし仕様書もあるわけですね。これに基づいて建てられておる、建築が完了しているということを確認しなきゃならぬはずだと思うんです。しかし、そのときに恐らく気がつかなかったんでしょう。しかし、後になってみるというと、こういうものが現実に出てきているということは、設計図なり仕様書とは異なった結果であったということは、これは認めなきゃならぬと思うんですよね。要するに、これは欠陥があったかなかったかという判断の基準は設計図であり仕様書でなきゃならぬと思うんですね。実験台に何かモデルを使いながら私たちは論争しているんじゃないわけなんで、現実に入居者がいらっしゃるわけですから、その建物が欠陥があるのかないのかということを論争しているわけですから、これは判断の基準は契約当時に示した設計図なり仕様書がその基準でなけりゃならないであろう、こういうふうに考えますが、この考え方は間違っていますか。
  112. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先生御指摘のとおりでございます。これは契約書に基づきまして、契約書どおり、設計図あるいは仕様書どおりできていないものは、当然これは手直しさせるべきであるというように考えております。
  113. 赤桐操

    赤桐操君 あなた方は、わが党の調査に対しては問題なかったという記者会見なり発表をしているから、私どもの方は、再度調査をした結果はこういう事実があったんだと、設計図なり仕様書なりというこういう基準がある、この基準から見て、こういう欠陥を有する建物がございましたということを私はいま述べているわけですよ。それを手直ししろとか、しないとかという問題じゃなくて、その大前提としてこれはお認めになりますかと、こう言っているわけなんです。
  114. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) そのとおりでございます。
  115. 赤桐操

    赤桐操君 建設省なり公団なり、こうした事実が欠陥住宅として明らかになってきている以上は、気がつかないでまだあるものも相当あるんではないかと思うんですね。いまよく言われております地震の問題がありますけれども、そうした不慮のいろいろの天変地異等があった場合におきましては、まずこの辺のところから大きな問題が発生するだろうと思います。したがって、ほかにもまだ相当あると思うので、これらに対する入念なひとつ調査をみずからの立場でやるべきだと思いますが、この点についておやりになりますか。
  116. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) これは公団のみならず公営住宅の事業主体、いろんなところがあるわけでございますが、そういったところに対しては、これは先生御指摘のように私ほかにないということは断言できません。したがいまして、できるだけ調査をさせたいというように考えております。
  117. 藤田進

    藤田進君 私、大きく二つお伺いしたいのですが、いま赤桐委員から指摘しております設計、仕様書に基づいた施工というものについて、そのとおりでなければ手直しを命ずるとか言われますが、これはもう当然のことですけれども、現場では仕様書、設計書に基づいて果たして施工されているかどうかがその都度進行していく工程の中で管理する以外にないのです。私も長年現場はやってきましたがね、なかなか油断ができないのが、昔もいまも現場の実態です。ですから、仮にボーリングの結果、摩擦ぐいにしようということで二十メーターを考えてみたが、実際打ってみると、そう入らなかったり、あるいはそれ以上にどんどん入っていくパイルもある。いい加減なことで仕様書どおりだということで打ち切ってはなりません。これが新潟の先般の地震で、二月ならず御承知のように四階建てがひっくり返ってしまうのですからね。橋が落ちている。きのうもたまたまNHKのテレビを見ていたら、今度の地震で、仕様書どおりできてない。ピックアップして溶接部分を映していましたね。仕様書、設計どおりできてないのです。これが一つ。  それから仕様書、設計そのものが最近私は不安があるのです。私は建設当時指摘したわけですが、たとえば首都圏の高速道路で幾らコンピューターをはじいたって、あんな薄いスラブでもつわけがない。年々振動を与えていく、老化現象。まあ鉄線、針金で言えば何回もやったら折れてしまう。こういう老化、退化現象というものが明らかに首都圏は諸所に穴があいて交通どめしているということでしょう。これは局地的なものではないです。全面的な私は欠陥だと思うのですがね。ですから、設計あるいは仕様そのものにも私はコンピューターなりそういったものに頼り過ぎてはいけないように思うのです。ことに最近問題になっているのは、砂がなかなかない、骨材に。だから、海の砂を揚げてくる。しかし、海から持ってきましたとは必ずしも言わない。これは非常に塩分が強くて鉄筋を腐食させていくという状態ですね。  それから、最近、大学でも大型の振動試験機を据えるようになってきた。ストラクチュアに対する大型振動機で、どれだけの退化の、減耗があって、安全性にどういう異同があるかというようなことをごく最近やり始めた。そこで、私は現場で管理という、非常にこれはとってほしいなあというように思うのですよ。ですから、設計、仕様書どおりに果たしてできているかどうか。柱の大きさはなるほど設計どおりだ、それぞれコンクリートの厚さ、寸法はそのとおりだということであって、当初コンクリートなりセメントのテストピースをとって、試験場でテンションだのコンプレッションの試験をする、ああ合格していると言ったって、現場はそれとは違ったものが行われている。ここに指摘されたような問題が私は出てくるように思うのです。これはやっぱりいまの調査も大切ですが、それが目的じゃないので、過去のもの、これからのものについてよほどやはり注意してもらいたい、これが一つであります。今後具体的に調査だけではなくて、どうおやりになるのか。これから調査しただけではどうにもなりません。私はいたずらに民心が動揺するような、どの団地も地震があったら天井落ちるぞという無責任なことは申し上げたくないですけれども、かなり問題があるように私は思います。  それから先ほど赤桐委員も触れましたが、私も、建設大臣だけでもない、自治その他に関連しますから予算委員会で総理にも伺いたいといま用意しておりますが、公団の運営なり、特に自治体等の関連において私は大変な問題が出ていると思うんです。櫻内建設大臣は政務調査会長をやり、いろんな大臣もやられて釈迦に説法かもしらぬが、お釈迦さんでもやっぱり問題があれば実行してもらわなきゃこれは仕方ないことで、一、二点指摘いたしますが、いまどの場所でどうということは申し上げませんが、現実にいま問題があるのは、余りにも地方自治体との関連で負担が大きくなる。かつては古い団地では誘致運動が出てきて、各市町村あるいは県とも、人口増というか、工場誘致その他含めてそういう時代には用地その他上下水道を含めてサービスをするという姿勢にあったから、相当取得価格というものは公団は安くできたと思うのです。安くできたから家賃も安かった。ところが最近は大変な負担になる。これは公団だけに言ってもどうしようもないですね、大臣。たとえば坪数で言いますと、十五、六万坪の土地で二千戸今度つくろうというのが現実にある。ところが、当該市の方が、都市計画法に言ういまの市街化区域ではない調整区域だ、だから周辺の河川改修から道路改修、相当長距離にわたる駅から駅前広場をつくって、その道路は公団負担しろ、下水道はひとつこうしろ、河川改修をしろ、上水道は自分たちで全部やれと。これがいまの坪数でやってみると約六十億になる。二千戸ですから一戸当たりが三百万になっちゃう、これだけで。いま住む者が三百万を負担しなきゃならぬ。しかし在来の人たちも恩恵を受けるものがあるでしょう。これは自治省なり建設省あるいは大蔵省ですか、三者協定というものがあるそうですが、なかなか採用してない。  実は、都計法は五十年ぶりに改正した。ちょうど本人の建設委員長のときで、懸念を持った改正でしたが、市街化区域、調整区域なるものを線引きして、そしていまや人口増には非常に都市は困っているから、当該自治体では何もかも表現は悪いが火事どろ的に公団に持てと言う、公団はそれを入居者に負担させる、こういうことであってはならない。地方自治体が困っているのはよくわかるので、これはこれなりに道路改修は、あるいは河川改修は、下水道は、上水道は公団と連携させて、連動させていく必要がある。新しい入居者は都市計画税なりあるいは水道料金で償却分を払っていく。二重の負担になってしまう、これは。こういう点は都市計画法そのものも見直す時期に来ているんじゃないだろうか。いやいや、そんなにいやなら公団来てもらわなくてもよろしいと、こうなるんです、当該自治体では。というようなことで、これは公団だって困っているのは私見ていますよ、これは。そこで不況対策だ、住宅政策だというと相当なことを政府として押しつけてくる。何とか消化しなきゃならぬというところに結局は非常に地域住民というものが大きな負担をしなきゃならぬ。だから、三重苦と言うんですか、いま遠いとか高いとか狭いとか、まさにこれに直結した状態が政治の中にあると私は思うんです。ですから、地方自治体それから公団、ひいては入居者ですね、これらのバランスをどうとっていくかというやはり政治だと私は思います。既成のものに大臣余りこだわっているよりも、ひとつこの辺からこれはやはり再検討することが必要じゃないだろうか、私はつくづく感じております。いかがでしょう。
  118. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 最初に、工事の実態について、社会党の皆さんで特別委員会を設けて御調査を願っていろいろと御指摘をちょうだいした。これは私どもが今後行政をやる上に大変貴重な御意見をちょうだいしたと思っております。先ほどから局長がお答えしたとおりに、仕様書に対しまして現実施工されたものが違っておる、そういうことがあってはならないのでありまするから、今後十分調査もいたしまするし、もし御指摘のようなことが他にもございますれば、それは工事設計者に対して手直しをさせる、警告もするということで、居住者の皆さんに御心配のかからぬように努めることがこれが私どもの任務だと思います。また、言うまでもなく法律上、そういう問題についてはこれはまあすぐわからぬことでございますから、ある期間工事実施者に対しての責任を追及できるようにもなっておることでございまするから、皆様の御趣旨を体しまして欠陥住宅などの批判の出ないように努めてまいりたいと思います。  それから次の、自治体あるいは公団等が公共公益施設を非常な負担を負ってやらされておるんではないか、そういうことによって公営住宅を建てるということもちゅうちょする、そういう点についての御批判をちょうだいしたわけでございます。まあこれもう少し平たく言うと、自治体などが民間デベロッパーに、必要な街路でもあるいは保育所でもあるいは小公園なども全部おっかぶせてそれでつくらせる、そういうことによってでき上がった宅地は高い値段でなければ売れないというような実情は相当従来あったと思うんであります。また、そのことが宅地の開発や公営住宅をつくるということの障害にもなっておる。そういうことでありまするから、これらの点を早く解消しなきゃならぬということで、ただいま御審議を願っておる予算の中でも、最近よく言われる公共施設整備促進に新しい制度を設けて三百億円計上しましたとか、あるいは敷地整備促進に予算を計上しましたとか、まあこう言っておるんでありまするが、われわれとしてはもともと道路、公園、下水道などをこれを補助事業としてやる、根幹的なものは当然やるべきである。さらに加えて別枠で今度のような措置もとって、そして最近負担がかかるからやめようというような、そういう状況を何とか解決しようと鋭意努めておるわけでございまして、藤田委員の御指摘のとおりのことを現にわれわれも痛感しておりまするので、御発言の御趣旨を体しまして、より一層改善に努めてまいりたいと思います。
  119. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 最初の御質問で、大臣からお答えいたしましたが、先生御指摘の、こういった工事を着実に安全に行うためにはいわゆる施工管理の問題、それにあわせて設計上の問題、いろいろ御指摘いただいたわけでございます。私も同感でございます。特に施工管理というものが現在非常に不備な点がある。これはいわゆる公団とかあるいは民間の事業主体も含めてでございますが、そういった監督体制を強化する。これも、現在監督体制の強化も必要でございますが、ただ監督者の人数だけをふやせばいいのか、ものだけが解決するのかということだけでもございません。当然それを工事している建設業者あるいは工事を直接やっておられる技能者の方々、こういった方々全体を含めまして、そういった安全に対する、あるいは工事をきちっとするというようなそういった認識がなければ、これは一〇〇%完全なものができるというものではございません。したがいまして、私どもとしてもそういったあらゆる総合的な手を通じまして改善に努力を続けてまいりたいというように考えております。
  120. 赤桐操

    赤桐操君 要するに、いまいろいろと申し上げてきましたけれども、先ほど来の空き家住宅にしても、また未利用地を膨大に抱えている状況、さらにはまたいろいろ指摘を申し上げた各種の欠陥の問題等々ありまして、これらはいずれも住民の皆さんから見れば、あるいはまた国民の皆さんから見ても、一体どういう経営をしてるんだと、こういうことにやはり批判されると思うんですね。そうした状態、信頼感のない状況の中では、私はやはりこれからの運営というものは皆さんが考えているような簡単なわけにはいかなくなってくるんじゃないか、そういうことを痛切に感ずるものがあります。特に信頼関係のないところでいかにいろいろなことを決めていって話を持ち出してみても、これはなかなか通ずるものでないことになるんでありまして、結果的には今回の家賃値上げ問題等についても、恐らくこれを聞いてる人たちは、そういう皆さんの一面も見ながら、この状態を見ているというと、残念ながら納得できないものがあるんじゃないかと、こういうように私は感ずるんです。そこで、次にひとつ、四つに取り組んで、やはり私は高値になってきているこの新しい住宅家賃というものはどうしたならば解決できるんだということについて、これはやはり論議すべきだと思うんですね。  まず、私は一つの身近な例でお伺いいたしたいと思うのでありますが、千葉県に村上団地という最近できつつある団地がございます。これは千葉県八千代市にあるわけでありますが、公団の方からいただいた資料によりまするというと、この村上団地家賃構成の内容を見まするというと、償却費が三万八千三百七十一円、地代相当額が一万一千百五十八円、こういうことになっております。その他修繕費、管理事務費、損害保険、公租公課、引当金、こういうものを合計いたしますと七万六千八百円の家賃であります。  そこで、私はひとつ伺いたいと思うんでありますが、償却費三万八千三百七十一円のこの割合は全体の五〇%を占めておりますけれども、これは建設費と利息分に分かれていると思います。この中の利息分は幾らになるのか、パーセンテージにしてどのくらいの割合になるのか、おわかりですか。
  121. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 償却費の中に占める利子は、当初は非常に元金の返す分が少ないので利子の分が多く、それからだんだん年限がたつに従いまして元金の方が多くなるわけでございます。いまここに村上団地の五〇%の中の利子の分というのが出ている資料がございませんが、平均的に申し上げますと、大体まあ償却費の中では四割ぐらいが利子相当分ではなかろうかというふうに思います。——三五%だそうでございます、五〇%のうち。
  122. 赤桐操

    赤桐操君 利息分が三五%……。
  123. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 平均で申し上げますと。いま申し上げておりますのは、五〇%の中の三五%が利子相当額ということでございます、全体の一〇〇に対しましてですね。三五%でございます。
  124. 赤桐操

    赤桐操君 どうもよくわかりませんが、いずれにしても、大体この中の、全体の中で利子が占めている割合というものは非常に多いようであります。  それから地代相当額というのも、これまた利子であると思いますね。これが一四・五%になってくる。仮に利息分を四〇%と仮定いたしまするというと、地代相当額を合わせるというと大体半分を超えるんですね。三五%と見ても五〇%になるんですよ。だから、七万六千八百円のうちの半分は大体利息なんですね、これは。金利で占めているわけです。こういうことにこれは確認できると思いますね。
  125. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) ただいまの説明がちょっと混乱したようでございますが、五〇%の中の元金相当分が一五%で、利子相当分が三五%。それから地代相当額というのは、これは一四・五%、これは全部利子相当分でございますから、先ほど申し上げましたように三五と一四・五でございますから約五〇%、こういうことでございます。
  126. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、この利子の問題というのが大体やはり家賃の半分になっているわけですね、利子が。これはやはり一つ大きな私は問題だと思うんです。  それからもう一つ公団の方からいただいた資料によってこれは申し上げるわけですけれども、村上団地の項目別負担金というのがございます。この中で、いわゆる関連公共施設費でございますが、内容は、給水、電気、ガス、排水、道路、ごみ処理、学校、移管道路、その他と、こうなっておりますね。で、この移管道路というのが実は一八・六%になってます。それから排水関係が一五・三、給水が二六・三でありますね、上下排水。それから移管道路というのはこれは認定道路かと思うんでありますが、これは要するに市町村に採納をする道路であろうと思いますが、この点はひとつ確認したいと思いますが、この割合がやはりこの中で群を抜いておる。その他二四%というのはちょっとわからないんですが、この点についてもちょっと説明願いたいと思います。
  127. 澤田光英

    参考人澤田光英君) その他の中の大部分は公園用地でございます。
  128. 赤桐操

    赤桐操君 そうだと思っておりました。そうすると、公園とか道路、こうしたものを合わせますというと大体これまた四〇%を超えるわけでありますね、半分近いものになってくる。そこへ下水とか上下排水の各種施設が入るわけでありますが、利子の面から見るというと、いま申し上げたとおり半分ぐらいが利子になっている。それから関連公共施設費を見ていくというと、その約半分が大体これ純然たる市やそういうものに採納すべき本来的に性格を持ったものであるわけであります。これはやはり私は、最近ミニ開発というのがありまして、こうした一定の規制によって行われている大団地の開発と比較いたしまするというと、関連公共施設費の負担の割合が違いまするので、一方はほとんど持ちませんが、一方はこうした規定どおりのものを持たされますので、これは大体相当の実は高値になるわけですね、地代そのものが。これが実はいま公団の場合においては型どおりのきちっとした開発が行われておりますから、実は規制に基づく正直なものがつくられていると思うんですよ。しかし、その大体がこういう形で入居者に負担としてこれがかぶさっている。このことについてはやはり非常に大きな問題じゃないだろうか、こう思うのです。  家賃と四つに取り組んでいま検討してみるというと、家賃を低くしていくということを真剣に考えなければ、私はこれからの公団運営の基本的なものは成り立たぬと思うのですが、いま申し上げた金利の問題と関連公共施設費についての問題について、私は本格的にひとつ公団の立場で取り組んでもらわなければならない。これは公団だけの企業努力ではできないと思うんです。やはりこれは国の財政措置というものができなければできない。公団の企業努力でできるものはこれはやってもらわなけりゃならぬが、いま申し上げてきたようなもっと基本的な根本的なものについては思い切って国が財政措置をするという形で取り組んでいかなければ、これは私は問題にならないのではないだろうかと思う。こういうふうにこの村上団地という実際のひな形、いま行われているもので実は明らかにされたと思うのです。  そこで、いままでの公団の使ってまいりました資金の運用の状態、事業資金の内容といいますか、こうしたものについてひとつ伺ってみたいと思うんでありますが、時間がありませんので、私の方で前にいただいた資料で大体私が判断しながら申し上げるわけでありますが、公団の発足以来二十二年間で政府から出資されている金は七百億円、利子補給が八百億となっているようでありますね。そこで、私は端的に伺いたいと思うのでありますが、この五十一年度末の状態を見まするというと、長期借入金残高が四兆三千二百十六億円になっている。支払い利息が二千九百三十二億円になっておるわけであります。そこで、いろいろとその内容を見てみまするというと、その資金の内訳は財投の金、いわゆる資金運用部資金の金がそのうちの約三分の二、それから三分の一ないしは二五%くらいが民間からの融資によるものであると、こういうように大体判断をしております。で、財投の方の金は五%ということで、二・五%ないしは一・五%ぐらいの政府の保証があると思います。それで五%で切る。民間の方はそのまま生で使うと、こういうたてまえと理解をしております。  そこで、大体西ドイツあたりの例を見ますると、社会住宅に対しては三ないし四%の金利ですよ。これは私が昨年の九月から十月にかけて西ドイツ政府建設次官に会って確認をしたことだし、社会住宅の実施部隊として行っておりまするノイエハイマートの本部の理事長から聞いたことですから間違いないと思いますが、三ないし四%であります。利子補給という形をとるんですかと聞いたら、その方法もあると思うけれども、わが国の場合には連邦政府と州政府の金を生で出しておりますと、これは無利子で六十三年償還でございますということを言っております。そういう状況でありまして、それが民間金融機関からの融資と合わせてプールにすると三ないし四%になってくる、こういう勘定であります。  わが国の場合においても、住宅公団がこれだけの重大な使命を背負って、いま日本の勤労者の少なくとも住宅問題を解決しようとして立ち上がっておる。その本来の目的を達成するためにいろいろ考えているが、現状状態の中ではどうにも、こちらを向いてみればぶつかる、あちらを向いてみればぶつかるという状態、なかなか解決のめどがついてこない。これを思い切って入居者のふところぐあいに合わした、いわゆる本当のニーズに合ったそういうものにしていこうとするならば、まず低廉でなきゃならぬと思うんですね、ふところに合ったものでなければならない。七万円も八万円も十万円もするような、そういう将来展望を持たなきゃならぬ家賃にだれが入りますか、実際問題として。これは賃貸住宅としての本来の目的を失っていると思うんです。また、それだけの金を払ってやっていける人といったらどれだけの収入のある人ですか。そういうことを考えてみるときに、どうしてもこれは私は金利政策を踏み切らなきゃならぬ時期に来ているんじゃないかと思います。このことをひとつ私は提起をしたいと思うんです。そして金融公庫の融資つき住宅が五・五%なんですから、いわゆる社会的に保障をしていこうというそういう立場に立って行われている公団の場合には、少なくともこれは一%以上ダウンさせるべきではないか、こういうように私は考える。これはしかも今日の日本の財政状態から見で可能な数字だと思う。  それからさらに、関連公共施設の問題ですが、いま有効宅地面積は恐らく五〇%を割っているか、ないしは六〇%ぐらいでしょう、公団の場合は。それほど実はいわゆる関連公共の部分に宅地そのものも取られているわけであります、土地も取られているわけであります。それがもろにかぶってくるということではならないわけなんで、こうした関連公共施設費に対するところの補助政策というものを国は考えるべき時期に来ているのではないか。これは建設省側の考え方になってくると思いますけれども、これはどうか。たとえば私どもが地方自治体の中でいろいろな実は仕事をしていく場合において、全部受益者負担でやるということは恐らくないと思うのですね。そして三分の一、市が負担するとか、あるいはまた補助金は大体二分の一が最高であるようでありまするから、そのくらい自治体なりそういうところから見てくれるということがあって道路をつくられたり下水がつくられたりしていると思いますね。それが大体一般の通例ですよ。だとするならば、こうした住宅に対してもこの原則は適用されないのかどうなのか。  そういうように端的に考えてみるときに、私は金利の問題と関連公共施設の対策を国がとるならば、公団のいま隘路はまず大きく打開されるのではないか。そして入居される方々には、少なくとも金利を一%下げれば、恐らく一万円以上のダウンをすることになるでしょう。その財源はたとえば二五%ないし三〇%のものが民間の導入された金であるとするならば、これは大体八%台ないし九%前後。そうだとするならば、これに四%前後の金でもって利子補給をする、そういう財政の金が投入されるとするならば、そして全部一斉に四%台に切られるとするならば、たちどころに私はその面だけでも一万円以上の家賃の解消ができるのではないか。関連公共施設を仮に半分政府負担とするならば、この面から見ても相当のダウンができるのではないか、こういうように私は考える。そういう面と、あとは公団による企業努力をするならば、こういう村上団地の七万六千円、やがて十一万円になるような、こんなべらぼうな住宅なんかつくる必要ないんじゃないですか、実際問題として。つくってみたって空き家になって何もならないでしょう、こんなもの。こういう実は私は実例をもっていま資金運用の問題をひとつ提起をしておるわけであって、このことについて建設省並びに公団責任ある立場で、大臣並びに公団総裁の答弁を願いたいと思います。
  129. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいま先生からお話ございました公団のいわゆる建設原価と申しますか、それを引き下げるために金利の問題と、それから関連公共の問題がございました。  最初に、関連公共の問題からお話し申し上げますと、確かに先生のおっしゃいますように、現在住宅公団が関連公共施設の負担を私どもが考えるより以上に負担させられているという事態がございます。それと同時に、いわゆる市町村の指導要綱というもので、たとえば公園等につきましては多ければ多いほどいいわけでございますが、その団地に必要な以上の公園を取らされる、そういった問題もございます。これらにつきましては、私ども建設省として、公団だけでなくてやはり地方自治体にそういった過分な負担を与えないようにという指導をすると同時に、先ほど大臣から申し上げましたいわゆる関連公共施設にとっては、従来の補助事業、公共施設の補助事業に加えまして、新たに住宅対策費の枠の中に住宅宅地対策のための三百億の補助金を計上したということで、私ども決してこれで十分だとは申しませんが、今後解決してまいりたいというように考えております。  それから金利の点でございますが、ちょっと先生の御指摘の点で、確かに公団の現在のいわゆる借入金額の中には民間資金が大分ございます。しかし、これは先ほども御質問の中で出てまいりましたが、公団発足当時は、民間資金の導入を図って住宅建設をやるんだという形で、当初は民間資金の比率が非常に多うございました。ところが、そういった家賃抑制、原価抑制という立場から、最近では、民間資金も若干入っておりますが、住宅公団が行います賃貸住宅、分譲住宅、そういったものに関しましては全部政府の財投資金でやっております。で、宅地開発、あるいは施設と申しまして、たとえばお店屋さんをつくるとか、そういったものは最終金利が高うございますので、そういうものに民間資金を投入しているというのが最近の現状でございます。したがいまして、賃貸住宅につきましては全部四・五%から五%といういわゆる政府資金を使って、それに、現在でございますと一・五%あるいは二%の利子補給をした金を使っていくということでございます。  そこで、もっとこれを下げたらどうかというような、西独の例もお引きいただいたわけでございますが、現在私どもは公団住宅だけでなくて公営住宅という制度を持っております。これは御承知のように二分の一ないし三分の二の建設費の補助金を出しまして、総合金利で、非常に簡単に申しますと、第二種公営住宅では総合金利が二%、第一種公営住宅では総合金利が三%というような形で、所得比較的低い方々にはそういった住宅を供給するというたてまえになっております。したがいまして、私ども現行の公団金利を下げる、これは下げれば確実に家賃は下がりますが、そういった公営住宅金利水準、これは所得の低い方々に対する金利水準でございますが、そういった制度も全体を重ね合わせて、そして果たしてこういった中堅勤労者の方々に入っていただく公団住宅のあり方として、もっとそういった国民の税金を投入すべきかどうかというような立場から判断せざるを得ないんじゃないかというように考えている次第でございます。
  130. 澤田悌

    参考人澤田悌君) ただいま御指摘の点は、住宅公団の今後の運営の基本に関する重要な問題であると存じます。賃貸住宅といたしまして、今後いわゆる中堅勤労者層に対する公団の供給する住宅の政策家賃というのはどのぐらいであるべきか、そのためには企業がどういう可能性を持っておるのか。企業だけの、公団の企業努力、これはもう最善を尽くすべきは当然でありますが、それだけで解決できない部面に対して、御指摘のような金利なり公共公益負担の面でどういう施策が必要か。そうしたら国の施策としてどれだけの家賃住宅供給ができるか、非常に基本にかかわる問題でございます。国の政策として十分御検討願いたいということを私ども絶えず要請しておるところでございます。それを期待しながら私どもは企業努力、最善の努力を現在続けておるような次第でございます。
  131. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回の公団家賃値上げの問題につきましては、これはただ単に家賃値上げという一面だけをとらえて論ずるべきではないと思います。もちろんこの家賃値上げの技術的な問題やいろいろ諸般の事情というものも考えなければなりませんが、それと同時に現在公団が抱えております未入居住宅、あるいはまた先ほどから論議になっております長期保有土地あるいは長期借入金あるいは利子補給の問題、こういったさまざまな問題を見詰めて、その中で論議をしなければならない、こういうふうに私たち理解をしているわけであります。  まず最初に、私は直接的にこの家賃値上げの問題について質疑を交わしていきたいと思います。今回のこの値上げ理由一つといたしまして、昭和三十一年度に供給した住宅のいわゆる平均家賃というものが四千六百円である、ところが昭和五十一年度の平均家賃が四万七百円、この比率が八・八倍の格差を持っているということが値上げの大きな理由一つになっているわけであります。問題は、何倍になれば実際にこういう格差ということが言えるのか、八・八倍にならなければ格差と言えないのか、こういった論議も交わされるわけでございまして、この八・八倍というものが実際に大きな格差を生じているというその根拠というものはどこにあるか、また基準をどこに設けて格差ができたというふうに論ずべきであるか、その点を公団としてはどのように考えているか、まずこの点について伺っておきたいと思います。
  132. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 公団住宅家賃の引き上げを必要とする理由は、先ほども申し上げましたが、私どもが見るところによりますと、格差がどこまでいったらたとえば住宅公団法施行規則に言う不均衡になるのか、この絶対的標準というものを数字で示すということはこれはなかなかむずかしい問題だと存じます。しかしながら、先ほども申し上げましたように昭和五十一年度の家賃について考えますと、国の補助が二万四千百円ほど一戸について投じながらなお八・八倍、原価家賃で申せば十四倍を超える、そういう状況はこれはいろんな角度から見て不均衡であるということの一つの証左ではなかろうか。また、先ほども申しましたが、所得に対する負担率、これが勤労者の皆さんに過大な負担をかけるような率であってはいけないことは申すまでもないのであります。私どもも公団発足当時から一六、七%という基準を目安にしておるのであります。現在新たに供給する住宅につきましても、いろんな方法を講じてその率を超えないように努力を重ねておるわけであります。それがどうなっておるかと申しますと、年度をさかのぼるに従って負担率はきわめて低くなっておるわけでありまして、これは当然結構なことでございます、所得もふえるのでありますから。しかしながら、それじゃどのぐらいまでがいいのかという、これも先ほどの倍率と同じで、明確な基準を示すということはむずかしいと存じますが、低いのはもうすでに所得に対して二%を切っておる。今度値上げをいたします対象の住宅につきましても、九十数%は値上げ後も一〇%未満であるという状況でございまして、これもどこからが不均衡、どこからが不均衡でないということを明確に示すことはむずかしいのでありますが、このような状況はやはり不均衡一つの明らかな指標ではなかろうか。  それから公営住宅との比較におきまして先ほど来お話が出ましたが、公団住宅にお入りになっている方々よりも所得の低い階層の方々を対象にしておる公営住宅が、すでにここ何年来九十万戸に及ぶ家賃改定をいたしております。その結果、公団住宅よりも高くなっておる、同じような面積の住宅についてそういう逆転現象が起こった。これも一つのやはり不均衡から生ずる現象ではなかろうかというようないろんなことを総合的に考えまして、ここでやはりこの不均衡原因を幾分なりとも是正する必要がある、かように考えております次第でございます。
  133. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま家賃改定についての格差の問題について、公営住宅との問題点比較、あるいはまた公団法施行規則の第十条の問題でいろいろ説明があったわけですが、いわゆる公団法施行規則第十条の問題ですが、これはこの問題を取り上げますと、実際には先ほど午前中に参考人の方々のいろいろな意見をお聞きしたわけでございますが、この中にもいわゆる事業年度を異にしている、場所を異にしている、条件を異にしている、こういった問題を抱えて、それでもって同一に比較するということはどだい無理があるんではないか、この点が一つ指摘されたわけです。それと同時に、参考人のまた意見の中に、こういった問題を考えますときに、今回の値上げの問題を考えると、ややプール制に踏み切ったという感がある、そうなってしまった場合には、いわゆる借家権やあるいは借地権、こういった問題にも大きな混乱を来すのではないか、こういうような事柄が指摘されたわけであります。  それと同時に、公営住宅との比較でございますが、これは公営住宅公団住宅家賃比較論というそのものは、私は公営住宅家賃というものが造営物の使用料として存在しているわけでありますし、いわゆる公団家賃というものは個別原価主義家賃が決められている、こういうふうにそれぞれの性格が異なるものを比較することそのものに大きな無理があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、その点はどのようにお考えですか。
  134. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) まず、プールに踏み切ったのではないかというお話でございますが、先ほど赤桐先生の御質問にお答えいたしましたように、あくまで公団法の九条の原価家賃に基づきまして、十条によって不均衡を修正するという立場に立っておりますので、完全なプールというような立場に立っているわけではございません。  また、公営住宅では使用料という形、それに公団に賃貸借契約という形ではないかというようなお話でございますが、公営住宅につきまして、確かにそういった公営住宅法に基づきます使用料というような観念もございますが、これとても借家法の網はかぶっているというのが現在の学界の通説のようでございます。したがいまして、基本的にそういった問題もございますが、むしろ私どもは住宅政策という立場から公営住宅公団住宅、そういった全体の家賃体系という中でやはりこの不均衡の問題を判断すべきであるというように考えている次第でございます。
  135. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 先ほど参考人の方からも御指摘があった、不均衡比較という点でどうかという御質問でございますが、私どもこの施行規則九条、十条を一体として考えておりまして、十条は、九条にかかわらず、経済情勢に変化があり、あるいは家賃その他に不均衡があるときには建設大臣の承認を得て値上げをすることができる、こういうふうに九条と十条を一体として考えておるわけでございまして、したがいまして、プール、原価家賃の問題についてはいま住宅局長からお答え申し上げましたが、不均衡比較ということにつきましても同じ年度というふうに限っては考えていないわけでございまして、年度が違い、場所が違っても不均衡は十条の問題に含まれておるわけである、こういうように考えております。その場合にいろいろ考慮すべき事項があるであろうということは御指摘のとおりと存じますけれども、不均衡の範囲といたしましては、同じ年度の住宅相互間というふうには考えていない次第でございます。
  136. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこでまた、午前中の参考人の公述の中に、公団は不均衡、不均衡と言っているけれども、しかし、この格差原因はどこにあるか、これはいわゆる列島改造に起因する建築費あるいは土地の値上がり、そういった国の責任においてこういうふうな状況が惹起したんではないかと、こういう指摘があったわけです。そういった立場から考えた場合には、入居者にはこれは絶対に責任がないんだ、にもかかわらず、この格差是正のために入居者に全面的な責任を転嫁することはおかしいと、こういう公述もあったわけですが、こういった公述に対してはどのようにお考えですか。
  137. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 非常に先ほど素朴な御意見を伺ったわけでありますが、基本的な問題にも関係するので私の考えを申し上げたいと思いますけれども、われわれがこうして経済社会に共同生活を営んでおります場合に、負担その他についてどういうバランスが保たれれば公平である、そういう関係がないと一国の国民生活、経済生活というものが成り立たないわけでありまして、たとえば運賃の値上げ、物価一般もそうかもしれません。そういうものは責任あるから上げられる、利用者なり消費者責任があるから物価が上がったり下がったりするというものではないと私は考えるわけでありまして、たとえば民間住宅が二、三年ごとに家賃を上げておる、しかし、その入居者の方々が責任があるから上げられるというものでは私はないと思うわけでございます。そこで、問題は、結局どういう負担の仕方が無理のない公平なものであるかという問題に帰着するのではないか。先ほど一人の参考人の方からは責任論で論ずることはむずかしいという御指摘もございました。結局はどの程度負担、それによって経済生活全体がバランスとれるか、こういうふうな観点から問題を考えていくべきものではなかろうか、こういうふうに思う次第でございます。
  138. 桑名義治

    ○桑名義治君 責任云々、責任の問題でいわゆるこの家賃の問題は考えるべきではないと、こういうふうなお話でございますが、あの参考人の話は、いわゆる入居者と公団と、この両方の関係家賃が決まるから公団に一切の責任を負わせるのはおかしいと、それで全体のいわゆる国の住宅の政策の上から論ずべきだと、こういう論点だったと思うのですよ。とするならば、そのいわゆる責任論で一切合財を私は律せよとは言いません。だけども、その一端は国にあるということはこれはどうしようもない事実なんです。したがって、これは公団の問題、総裁が答えるよりもむしろこれは建設大臣が、全体のそういった国の施策の欠陥を補うために一切家賃の高騰については入居者にかぶせるという、そういう姿勢ではなくて、その一部をやはり何らかの形で国が補てんをしていくと、こういう姿勢が私はむしろ望ましい姿勢ではなかろうかと、こういうふうに思うわけですが、一大臣どうですか。
  139. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 社会経済情勢の変化に伴っていろいろ問題が起きてくるんでありまするから、いま御論拠のようなことを私どもはもちろん頭に置いて対応しておるわけですね。今度の予算でお願いしておる利子補給等五百二十八億円を予算に計上しておる、そのほかに出資を百億円計上しておるというのもいまおっしゃった御趣旨に基づくのであって、何もかも居住者におっかぶせるというようなことではない。それからただいま公団総裁も言われた、全般的な経済情勢がどうなってきておるかと、三十一年と現在との所得水準がどうなっておるかということも、これはあわせて考えなきゃなりませんね。そういうことは無視して一切合財は国が見なきゃならぬというふうになれば、それは国の財政上の負担は非常に大きくなるんでありますから、まあそういうことを勘案する。また、その所得の中には御承知のとおりに多くの方は住宅手当もおもらいになっておる、それが昔のまんまというわけではないんですから、だからそういうことになってくると、いまの公団状況、また新規に入居される方の家賃等などを考えてみて、まあこれは不均衡ある程度是正はやむを得ないと、こういうことに筋道がなってきておるんだと私は思います。
  140. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回の場合は、百億円云々というお言葉がございましたが、これはまあ公団値上げをするんだからこのくらいの金は予算づけをしておかないとならないだろうというような涙金のように思えてしようがない。今後いわゆるこの公団の運営について、そのような問題が起こったときに国がどう対処していくかという永続的な措置でなければ私はならないと思うんですよ。値上げをするときだけはいわゆる入居者の感情をやわらげるために一応ここで百億円つけておけと、こういうものであっては私はならないと思うんですよ。  そこで、あなたたちがそうおっしゃるならば、要するに、いままでもそうですが、二十年間この家賃変更を行っていないわけですね。突如としてここでもって持ち出してきたと、いわゆる原価方式に固執できなくなるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどうですか。
  141. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 御指摘のように、これは二十年間改定なしに、空き家家賃は別でございますが、まいったのでありまして、しかし私ども、先ほどもちょっと申し上げましたように、今度の家賃値上げは、公団法の施行規則にのっとって申し上げますと、九条、十条のその一体となった規定の範囲内において今度の案のような引き上げをしようと、こういうわけでございまして、原価家賃主義の基本を変えるというようなものでは毛頭ないわけです。とてもそんな、それに重大影響を与えるような上げ方でもないわけでございます。ただ逆に、これはよけいなことかもしれませんが、原価家賃と申しましても非常に政策が入っておるわけでございます。これはまあ否定するわけにもいかないのであります。それだからどうこう言うわけじゃありませんが、現在のいわゆる原価主義と言われているものの根幹には今度は触れない範囲の値上げ案と、かように考えております。
  142. 桑名義治

    ○桑名義治君 原価主義に基づいているという、あるいは十条、九条に基づいて今回の値上げはあったんだというお説でございますけれども、たとえば今回は百七十億の増収枠になるというふうにおたくの方で発表されているわけでございますが、その三十億を家賃の軽減あるいは抑制に充てることになっていると、こういう説明を伺っておるわけです。これは、いわゆるこの問題は個別原価主義方式を捨てたことになるというふうに見られても、これやむを得ないんじゃないですか。そういった立場から考えますと、総合原価方式、いわゆるプール方式ですね、あるいはまたそれがさらに応能家賃制度に移行する序奏になっているのではないか、こういうふうに考えるのが妥当な考え方ではないか、また妥当な見方ではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、その点どうですか。
  143. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 先ほども申しましたことの繰り返しになりますが、原価家賃方式を崩したものではないと考えておるわけでございまして、しかし、これは一つの企業として考えますと、これは前にも申し上げたことがありますが、増収を図って、それを企業として最も緊要な用途にその増収分を使うということは、実は一企業としてはこれは原価主義というようなことを離れますれば当然の運営なのでございます。したがいまして、そういう原価主義というような問題を離れますというと、ここで百七十億円の増収をいたしました場合、最も大事なのは、また緊急を要するのは修理費である、補修である、これに大部分を使う。それから公団は継続的に新たな家屋を勤労者に提供する義務がございます。それにも若干使おうか、こういう考え方でございますから、現在はむしろこれは私聞き流していただきたいんですが、新たに供給する住宅の補修費でございますね。これはすぐには要らないわけです。これは本当は積み立てておいて後に備えるべきでありまして、古い住宅の補修に差し支えるというような時代ですと、それを逆に食っておると。いわば逆プール的なとも言えるのかもしれませんが、これは私もっと突き詰めてみなければわかりませんけれども、お聞き流し願いたいんですけれども、そういうような状態があるんですけれども、決して原価主義をこの際崩したというようなものではない、一つの企業の中におきまする運営とお考えいただければと存ずる次第でございます。
  144. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの総裁のお話は私はおかしいと思うんですよ、実際。それで、一応聞き流せと言いますから今回は聞き流しておきますけれども、どこまで流れるかわかりません。どこかでプールするかもしれませんけれども、いずれにしましても、午前中の公述の中にもございました、いわゆるランニングコストの値上げについては一応理解できる、だから全く上げちゃいかぬという論理じゃないわけですね。ランニングコストの値上げについては理解できる。ということは、原価主義のたてまえをどこまでも堅持するならばこれはこの論理は通ると思うんです。ところが、百七十億の増収があって、これが今後の傾斜家賃の頭を切るために使うとかいろいろな事柄が言われているわけですよ。そうなってくれば、これは総合原価主義だと言われてもやむを得ないんじゃないですか。少しあなたたちの答弁の中に無理があるんじゃないかと、こういうふうに思うんですがね。
  145. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先ほど来御説明申し上げているところでございますけれども、公団法の施行規則はやはり九条で確かに原価をもとにいたしまして七十年で償却するとか、どういう費用の取り方をするとか、こういうことを決められておるわけでございます。しかし、やはり十条でもって、この九条の原則によりがたいときは別に定めることができると、そういうような規定もございまして、したがって私は、先ほど総裁がるる御説明申し上げましたように九条と十条と一体に考えるならば、これは、これをもって何といいますか、増収額の一部をもってこの新しい家賃の抑制に回したと、こういう程度の回し方でもってこの九条、十条の基本的体系を崩すというふうなものではないだろうと、こういうふうに考えるわけであります。そこのところを総裁が先ほど来るる御説明申し上げていると、こういうふうに思っております。
  146. 桑名義治

    ○桑名義治君 了解できませんが、この問題だけを詰めていると時間がなくなってしまいますから、次に進みたいと思います。  今回の値上げに当たりまして、公団は入居者が要望している説明会、こういった問題が開かれておりません。いわゆる資料の配付について私の手元にもそのビラが確かにあります。しかし、このビラによって一切の理解を得ようというのは、これはどだい私は無理な話ではないかと思うんです。入居契約は公団と入居者個人が結んでいるわけでございますから、本来ならば個人といわゆる公団との話し合いによってこの値段の改定は行われるべきが至当とは思いますけれども、莫大な戸数でございますし、それは当然常識的に考えて無理な話だと思います。とするならば、少なくともこの家賃の改定の問題のときには団地別ぐらいの話し合いは当然なされるべきではなかったか、こういうふうに思うわけでございますが、その問題はどういうふうにお考えですか。
  147. 澤田悌

    参考人澤田悌君) ごもっともな御趣旨でもあると思うのでありますが、公団といたしましてこれまで努力をいたさなかったわけではないのでございます。二十年に一遍やることでございますから、必ずしも手際がいいとは申せない点もございます。ございますが、私どもとしては現在も最善を尽くして御理解を深めてまいりたいということで努力をいたしておりますが、最初ですね、よけいなことですが、パンフレットをお配りしたらまとめて返しておいでになった。これは実は大変びっくりすると同時に悲しくなったのであります。お手元に置いて、どうぞこれこういうことで考えておりますが、よくお読みになって、お手元に置いてごらん願います、次々にいろいろ差し上げますから。こういう気持ちでございましたところが、大変だったと思いますが、たくさんお返しになったというようなこともありまして、何となく違和感がある。これは私ども非常に残念でもあり、不行き届きの点は反省をいたしておるのでありますが、先ほどもお話が出ましたように、いろいろな案をつくって申請をしておる段階でございます。従来でもそういう資料を四回お配りしましたし、これからもどんどんお配りしようと思うんです。それからまた、各支社別に、皆さんがおいでになりますればもう喜んでお会いしてお話を伺う、こちらからもいろいろ申し上げる。いままで、数を申し上げるとなんですが、二月の初めまでにそういう機会が五十一回ございます。それから各支社に窓口を増設いたしまして、おいでになった方がいつでもこちらの責任者にお会いできるような手配を各支社ごとにいたしております。今後この目標の実施時期までにはなお半ヵ年あるわけでございまして、いろいろそういう意思疎通についての御指摘が再々ございますので、それを踏まえて今後の意思疎通の方法については私もいろいろと工夫をこらしてまいりたいと考えておる次第でございますので、御理解を願いたいと思います。
  148. 桑名義治

    ○桑名義治君 大量のビラが返されたということは、意思が疎通してなかったということにつながるわけですし、それと同時に、これあなた、配ったって、だれでも値上げはいやですよ、これ。少なくともいわゆる責任者の方、役員の方と懇談をし、そしてせめてビラは配らしてくれぬかと、そのくらいの話は詰めないと、ビラをぽんぽんと配ったって、そういういやなビラはみんなこうしまいますよ。街頭で配っているビラでも、会ってもらうけれども、こうやってぽんと捨てる率が多いんですから。しかも値上げの問題について、わけのわからぬ、理由のはっきりしない値上げの問題については、拒否態勢をとるのは、これは人間としてあたりまえの話だと思うです。そういった意味で、いまから先、五十何回ビラを配ったなんておっしゃっておられますけれども、何回配ろうとも意思の疎通しないビラというのはこれは何にもならないと思うんです。配るなら意思が疎通するように配ればいいわけです。何度配っても、意思の疎通しないものは、やった手段にはならないと思うんですよ、私は。空回りですから。そこら辺は再度意思の疎通をしながら、相談をしながらというお話でございますから、一応この問題はおいて次に進みたいと思いますけれども、その説明会なりあるいは資料の配付の問題については再考をしていただきたいと思います。  今回の値上げの対象から外されましたいわゆる四十八年度、四十九年度、この管理開始分については、衆議院の段階で有賀理事は、供給して五年以上経過すればその都度値上を申請することになると思う旨の答弁があっております。また、澤田総裁は、今後の家賃値上げのあり方について、民間でも三年ごとぐらいに値上げしているようだ、何年かたって大方の理解を得られればそのとき考える、このような旨の御答弁をしていらっしゃいます。この二方の答弁を考えあわせますと、今後少なくとも公団家賃というものは五年単位ごとに見直しを考えていると、こう理解をせざるを得ないわけですが、そのようにお考えになっていらっしゃるんですか。
  149. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 以前の答弁等について、御指摘のとおりであると存じます。それで、その意味でございますが、まあ今度は二十年来初めてやるわけでございましてなかなか大変でございます。それで、今後これを一体どうするのか。住宅宅地審議会は一定期間ごとに見直せといったような趣旨の御意見でありますけれども、これはしかし、もう経済情勢なり諸般の情勢を考えてどうするかということを決め、建設大臣にもしその必要があれば申請をするということでありまして、いまから五年ごととか何年ごととか予想の立つ問題ではないと思います。ただ、たてまえとしては、二十年ぐらいやらなかったころ一遍やって、今後は全然やらぬというたてまえではあり得ないというふうに考えるわけで、この点は先ほど住宅局長がお話しになりましたことと同じでございます。
  150. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、これも午前中の公述の中にあったわけですが、いわゆる不均衡の問題が、いわゆる高家賃化の原因を放置したままで古い家賃を上げるということになれば、これは際限なくこう上がっていくわけですね。したがって、問題は、どうやって高家賃を抑えるか、ここに着眼がなければならないと思うんですね。そうしないと、本日のこの審議にしても空論になってしまうと思うんですよ。だから、その高家賃をどういうふうに抑えていくかというその方策を考えた上で、こういうふうに格差是正したいというふうに提示されるならば、これはある程度の納得はいくと思うんです。これは参考人の公述の中にもずいぶんありました。この件について公団側としてはどのように対処されようと考えておられるのか、明快にお答え願いたい。
  151. 澤田悌

    参考人澤田悌君) これは非常に国の施策との関連の深い問題でございますから、私から全面的にお答えできる性格のものでもないのでありますけれども、今度の五十三年度の予算要求に関しましては、いわば応急的な施策が幾つか織り込まれてございます。十年の傾斜を五年で打ち切る、初年度家賃を前年度の家賃と同じにとにかく据え置く、あるいは先ほどの関連公共公益施設に三百億円の金をどういうふうに使わしてもらうか、いろいろ手だては講じておるわけでございます。ただ基本的に、これは先ほどの御質問の、先生からも御指摘があったけれども、金利問題をどうするかとか公共公益施設に対する基本的なやり方をどうするという問題が伴いませんと、いま申したような応急政策なりあるいは公団の企業努力のみで今後満足すべき家賃抑制ができるかどうかということになりますると、これはそういう政策につきまして私どもも強力に要請はいたしますけれども、政府の御考慮を切に望む次第でございます。
  152. 桑名義治

    ○桑名義治君 高家賃の解消の問題については、確かにいま総裁が言われましたように、いわゆる公団の企業努力のみでは達成できないことはよくわかります。そういった立場でいま最終的に結ばれた言葉は、これは国がどういうふうな対策をとってくれるか、ここにかかっているという意味の結びであったわけですが、確かに関連公共事業費の負担が非常に大きな家賃のはね返りになっている、あるいは利子補給をどうするかという重大問題も残っているわけです。この問題は、いま総裁が言われましたけれども、建設省としてはどういうふうな方向で取り組もうとなさっておるのか、明快にしていただきたいと思います。
  153. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいま、先ほど来の御審議の中で高家賃に取り組む姿勢ということでございます。一つは、これは当然のことながら公団自身としてコストの引き下げ、コストという意味は建築費の引き下げの合理化とか土地利用の合理化とか、そういったいわゆる公団自身としての企業努力をしていただくことはこれはもう当然のことでございますが、それ以外に確かに国がやはり責任の一端を負うべきものがございます。私どもは基本的には、従来もそうでございましたが、いわゆる中堅勤労者の所得の二八、七%という家賃、これを新しく供給する家賃の水準に置いていきたい。そのためにどういう手段をとるかということでございますが、それには先ほど来も申しておりますが、まず最初にやらなきゃならないのは、当然地方公共団体あるいは国が責任を持つべき関連公共公益施設の負担が従来家賃の方に相当部分かかっていることは事実でございまして、まずそれを解消することが私どもは一番先決問題ではないかというように考えております。その上にさらにいわゆる金利の問題というものが出てまいります。したがって、私どもはそういった努力をしていきながら、ここまでしたけれども家賃が適正な水準にならない、そうなったときに、現在利子補給五百二十八億、来年度公団に対する要求をしているわけでございますが、そういったものをもっとふやしてくれということを、これはタックスペイヤーである国民の前に訴えなければならないんじゃないかというような感じをしているわけでございます。
  154. 桑名義治

    ○桑名義治君 感じでは困る。この問題は感じの問題じゃなくて具体的な問題なんです。そしてすでにもうせっぱ詰まっている問題なんです。いまから緊急に解決をしていかなければならない問題なんです。したがって、どういう方策で、たとえばこれを検討するならばどういう検討の機関を設けるというそういう具体性がないままに、こういうふうにまた値上げの問題を出してきたところにも私は一つの指摘されなければならない重大な問題があるんじゃないかと思うんです。この件については大臣はどのようにお考えですか。
  155. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) きわめて重要な課題でありまするので、恒久的な公団家賃のあり方については現に住宅宅地審議会の方に御検討をお願いしておって、私の記憶では秋ぐらいには答申があるんではないか、それを最も重要な参考にして、そして政府の取り組み方としては、ただいま局長が申し上げたように関連公共をどうするか、それが一番問題であるということで、これについては現に本年度、五十三年度は五十三年度の措置を講じつつあるわけでございまするが、それはそれとしていたしますが、いまお尋ねのこれからどうするんだと、はっきりしなけりゃ困るじゃないかと。それはやはり住宅宅地審議会の答申をもって、それを最も大事な参考にして最終的な結論を得たいと、こういうふうに私は思っておるところでございます。
  156. 桑名義治

    ○桑名義治君 政府は何かいうとすぐ審議会の答申とか何とか言うわけです。答申の中でもいいところだけつまみ食いして、悪いところは全部流してしまうというくせがあるようでございますから……。やっぱり建設省そのものが、この問題はせっぱ詰まった問題ですから、真剣に取り組む必要があるんじゃないかと、こういうふうに思うんです。それと同時に、私はこれは全体の論議を交わした後に一つの問題を提起したいと思ったんですが、いわゆる公営住宅公団住宅性格づけ、ここら辺が本当に、公営住宅はもう性格づけははっきりしているわけですが、公団住宅がいわゆる半官半民的な性格を持っている、ここら辺にも実際にはいわゆる利子補給の問題や、あるいはいろいろな補助金の問題や、そういった問題がやっぱり引っかかるところがあるんじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけです。そういった意味からも、いますでに公団性格づけをもう一歩突っ込んで明確にする必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございますが、その点はどのようにお考えになりますか。
  157. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 従来、公営住宅、公社住宅公団住宅というような一つの階層別対策と申しますか、そういった住宅政策を行っているわけでございます。公営住宅は、勤労者所帯の大体所得の下から三三、四%以下の方々に対して国が直接建設費の補助をして、家賃を低廉化して供給するという仕組みでございまして、その上の方々に対しまして住宅公団が賃貸住宅を供給するというようなたてまえになっているわけでございます。ただ現在、確かに先生が御指摘のように、公団住宅に新たにお入りになる方の所得階層というものが昭和三十年代、四十年代、だんだんだんだん公営住宅の階層に近づいていることは事実でございます。これは公営住宅建設が非常におくれているせいも一つ原因ではございますが、近づいているせいもございます。そういった意味から、けさほどの飯田参考人からお話が出ましたように、公団住宅所得制限をして、そしてもっと国の援助をふやすべきじゃないかというような御意見がございましたが、これも私どもも一つの御意見だと考えております。ただ、現在の仕組みとして、公営住宅という福祉住宅的な性格を持つ公的住宅があるわけでございまして、その上にさらにそういった所得制限を設けたようなものの積み重ねという仕組みが本当にいいのかどうか、この辺は私どももこれからも真剣に考えてみたいと考えております。
  158. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの御答弁は、いわゆる公団そのものの性格づけではなくて、公団のいわゆる運営の仕方にむしろ属するのではないかと思うんです。問題は、私が提起しているのは、いわゆる公団そのものの性格づけ、これをどういうふうにするかというこの問題をもう少し明確にした方がいわゆる国からの補助金なりあるいは利子補給なりのお金がつぎ込みやすいということなんです。そのルートを明快にしない限りは、なかなかこの問題は常にぎくしゃくぎくしゃくしたままで非常に混乱を起こす原因になるんではないか。いまから先、なお一層そういった面が表にあらわれてくるのじゃないかと思うのです。なぜかと言いますと、今回の値上げの問題でおたくの方から提起されている問題は、先ほど申し上げましたように、一部は修繕、一部は頭切り、いわゆる傾斜家賃の頭切り。そうした場合に五十四年度からの新築の分については、これは頭を抑える方策は何も立っていないわけですよ。  しかし、最近の話では、こういった公共投資が盛んになっているために土地代が急激に上がっている、いわゆる不動産屋がいままでは坪六十万ぐらいのをもう八十万と吹っかけている、こういう話もあちらこちらで聞いているわけです。そうなってきますと、当然また、いまから建つ公団住宅家賃というものがまた値上がりしてくるというふうなおそれは十分出てくるわけです。土地が一時鎮静化した、土地の値上がりが鎮静化したという話がありますが、これは政策上のいわゆる成功ではなくて不景気による鎮静化ですから、したがって、これは少しそういうふうな公共投資が盛んになってまいりますと、そこを見てまた土地の値上がりが始まってくる、急激な値上がりが始まってくると、そうすると公団のまた家賃が上がる。こういう悪循環か繰り返して、ますます今後いわゆる入居者と公団側との間の摩擦というものが必ず起こってくる、こういうふうに思うわけです。そういった意味からも、公団のいわゆる性格づけをどのようにするかという検討を私は急ぐ必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに伺っているわけです。この点について伺っておきたいと思います。
  159. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 御質問の趣旨に合っているのかどうかちょっと私自信がございませんが、いわゆる住宅公団は、これは法律の目的にもございますように、都市の勤労者の方々に適正な家賃住宅を供給するというのが目的でございます。したがいまして、私どもは、住宅公団性格というのは、しばしば先ほどからも申し上げておりますが、やはり将来とも公団家賃の水準というものが平均的な勤労者の収入に対して二八、七%という線は確保すべきであるというように考えている次第でございます。
  160. 桑名義治

    ○桑名義治君 大分外れているようでございますけれども、早急にここでは結論が出ない問題だろうと思いますから、これ以上この問題については追及をしませんが、なぜこういうふうに言っているかというと、諸外国の先進国を見ましても、持ち家住宅と、それから公営住宅と、この二面に大きく分類されるわけですね。そういうところにいわゆる住宅政策の前進が私はむしろあるのじゃなかろうか、こういった立場からこの質問をしたわけでございます。  そこで、今回の値上げを画策していらっしゃるわけですが、申請をしていらっしゃるわけですが、公団住宅家賃値上げによって公営住宅家賃あるいはまた民間住宅の借家の家賃にどのような影響を及ぼすというふうに考えておられますか。
  161. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 実は昭和五十年の八月に住宅宅地審議会の答申をいただきまして、その中で今回の家賃改定の基礎となります公的住宅に関しまして、これは公営、公団住宅全部含めての話でございますが、早急にこういった社会的な不公正である不均衡是正すべきであるという御答申をいただいているわけでございまして、それに基づきまして、公共住宅全般にわたって家賃の不均衡是正の指導をむしろしてきたところでございます。したがいまして、それ以来ここ二年間の間に、公営住宅、現在全国で百六十万戸を管理しておりますが、その中の九十万戸につきましては家賃の改定がすでに行われております。したがいまして、私どもは今回の公団住宅家賃改定が公営住宅家賃改定に影響を及ぼすというようなことはないというように考えております。もっともその公営住宅の百六十万戸のうち九十万戸、いわゆる住宅不足の著しい大都市地域ではほとんどこれはもう改定が行われております。あとの七十万戸は、どちらかというと、地方のいわゆる市町村の住宅でございまして、これはそう家賃改定をする必要もないようなものでございますので、公営住宅に関しては私は影響はないというように考えております。  それから民間住宅家賃に対する影響でございますが、私ども実際の民間住宅家賃の動きを見ておりまして、たとえば四千六百円という公団住宅があるから、民間のたとえば家賃がそれに引きずられてといいますか、抑えられているのだということではなくて、むしろ公団住宅がしばしば指摘されておりますように四万円とか五万円とかいう家賃が出る、それでは民間だから六万か七万でもいいのだというような形で、むしろ公団の上の方の家賃に引きずられている傾向が強いというように考えております。したがいまして、今回の措置は当然下の方の家賃も引き上げますが、あわせて上の方の家賃も引き下げます。したがいまして、決して私どもは、こういった公団住宅家賃値上げというものが心理的に民間住宅家賃に対して影響がないとまでは申しませんが、少なくともそういった高い家賃の方の公団住宅家賃を引き下げるということによりまして、むしろ私どもは民間住宅に対する影響はほとんどないというように考えております。
  162. 桑名義治

    ○桑名義治君 往々にして世間の動きというものは数字的なもので動く場合とそれから心理的で動く場合と二面性があると思うのです。大体一般的な方は一こんなことを言っては失礼かもしれませんが、心理的で動く場合が非常に多いのですね。そういった意味から考えますと、今回のこの値上がりの部分については、公団も上げたじゃないか、おれのところも上げてくれと、この値段言いませんね、大抵。いよいよ問題がこうなったときに値段が初めて問題点に上がって、爼上に上がってくるわけですね、論議の爼上に上がってくる。そういった意味からも私は心理的影響は非常に大きなものがあるんじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけです。そういった立場からも今回のこの公団値上げについては十二分に配慮が必要であろうと、こういうふうに考えるわけであります。  この値上げの問題と同時に敷金のいわゆる追加徴収の問題、これは新聞の中でもよく言われておったわけでございますが、先ほどから総裁は何回も何回もビラはまいたと、説明のビラはまいたと、配付したと、こういうふうに言われておられるわけでございますけれども、じゃあその五十何回のビラの配付の中にいわゆる敷金の追加徴収について記載されておりましたか。
  163. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 二十年に一遍のことなので不手際がございましたと、先ほど遺憾の意を表しました。まさにこの敷金について、新聞に対する説明にも落ちておったというようなことを含めて申し上げたわけでございまして、これもなれっこになっておりまして、家賃には敷金というのはたてまえ上もう当然であるということで二十年間やってきておったものですから、いろんな説明のときに肝心の値上げのところはいろいろとくどいように御説明を各方面にしたわけでありますが、敷金が落ちておったと、こういうことで、決して隠したの何だのというものではないのであります。後で出てきてひどい目に遭う方がよっぽどあほうでありますから、決してそういう悪意や何かあったわけではない。まあ不手際と申して謝りましたのはそういう意味でございます。よろしく御理解を願いたいと思います。
  164. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどビラを五十何回というのは訂正します。ビラは四回ですね。後は話し合いを入れてですね。訂正させていただきます。  そこで、いまの総裁のお話では、これはうかつに忘れておったというお話でございますが、忘れたにしてはちょっと無責任ではないかと思うんです。いまもちょっとそこからお話がありましたが、徴収額は五十七万円、平均で一万五千九百円ということになれば、これは忘れておったというこの発言があるところに問題が私はあると思う。要するに、安易にいわゆる値上げの問題を考えておったと。少なくともこれね、一般民間住宅の方だったらこれは敷金の問題も含めて必死になって交渉しますよ、これ。ところが、忘れておって、その五十七万円をひょっと忘れておったということは、これはよっぽどのんきというか、ずさんと言われてもこれはやむを得ないんじゃないかと思う。私たちは政治家ですから、恐らく後からぽんと出して、そしてこの敷金、いままでの徴収の分の五十七万円については、じゃあこれは今回は取りやめにしますと、したがって、この家賃値上げの問題については何とぞ許可をしてもらいたいと、あるいはまた居住者の住民の方にはそういうことだからひとつのんでもらいたいと、このように出されたんじゃないかというような勘ぐりさえもしたくなるわけであります。どうですか、この五十七万円の追徴金はどうしても取りますか、どうでしょうか。
  165. 澤田悌

    参考人澤田悌君) この問題は、家賃値上げの要点を新聞の方面に説明する場合に実は抜けておりました。私、呼び出されて平謝りに謝った件でございます。決して先ほども重ねて申しましたように悪意や何かじゃなくて、抜けておったとおっしゃられればそのとおりでございますけれども、家賃には敷金はも当然伴うものというような考えで、その点について安易であったと言われてしまえばそのとおりだと思いますが、この家賃値上げを、決してそのものを安易に考えておったわけでは全然ございません。こちらの本体の方はきわめて重大な問題としてもう真剣に考えておったわけでございます。それで、その家賃値上げの申請書には当然のこととして敷金のことも書いてあるわけでございます。それも当然伴うもの、いままでの規則によりますと当然伴うものとして申請したわけでございます。この取り扱いはただいま建設省で検討中でございます。承認待ちということにいたしておるわけでございます。
  166. 桑名義治

    ○桑名義治君 この敷金というのは、本来滞納家賃の担保を目的にしたものが大体多いわけでございますが、そういった立場から考えますと、忘れるような敷金の追徴金でございますので、この際やっぱり引っ込めるべきじゃないか、こういうように思うんです。また、値上げの問題にあわせて、十一条に載っているから当然なんだという考え方よりも以前に、この問題についても了解を得たいというそういう姿勢が強烈にあるならば忘れるようなことはなかったんじゃなかろうか、こういうように思うわけですが、建設省としてはこの問題をどういうように考えられますか。
  167. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 総裁からおわび申し上げましたように、手違いがあったことは事実でございます。また、私どもいろんなそういった敷金の問題についても、ほかの例等も調べておりますが、公営住宅、公社住宅等についても一部は徴収したところもございます。しかし、実態調べてみますと、徴収していないところも相当あるというような感じを持っております。したがいまして、これは大臣に最終判断をお願いすることになろうかと思いますが、その際に関しましては、そういった他の公的住宅の例等も参考にしながら最終的に判断を仰ぎたいというように考えております。
  168. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、この敷金の追徴金の問題については、一応申請はしているけれども、他の公営住宅の場合も徴収していないところもあるので、今回の分は徴収しない場合もあり得ると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  169. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) そのように考えていただいて結構だと思います。
  170. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、未入居住宅についてちょっと御質問をしておきたいと思います。  未入居住宅の発生に伴う減収額が年間六十六億円と、こういうふうになっているわけでございますが、いままでのこの減収分は公団経営の中でどのように処理をされたわけですか。
  171. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) いま先生の御指摘のように、昭和五十一年度における未入居住宅に絡む家賃及び割賦金の収入減相当額は、分譲住宅の一時金も合わせますと、御指摘のとおり六十六億円でございます。この公団住宅家賃及び分譲代金は、建設に要する費用を回収するための償還金とそれから管理に要する経費と、こういったものから成っているわけでございますけれども、この未入居住宅の発生していることによりましてこれが一時的に回収できなくなっていると、こういう状態ではなかろうかと思っております。このため必要な資金、これにつきましては公団全体の資金ぐりの中でもって賄っております。また、この当該住宅の減価償却は、この未入居期間中は繰り延べを行い、入居になってから七十年間で償却をしていくと、こういうふうな処理をいたしております。なお、これに管理経費がかかるわけでございますけれども、この管理経費につきましては、公団全体の経費の極力節減を行いましてこれに対処していく、こういうような方向で処理しております。
  172. 桑名義治

    ○桑名義治君 問題は、こういうように未入居住宅がたくさんあるわけですね。その収入減が六十六億円というのはこれはやっぱり大きなお金ですよ。大切な大きなお金です。そうやって考えますとね、このようないわゆる未入居住宅あるいは保守管理中の未完成住宅、この問題について公団側がいままでどういう処置をとってきたか、あるいは今後どういう処置をとろうとお考えなのか。これまた、いつをめどにということで、めどもあわせて御回答願いたい。
  173. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 御指摘のように未入居住宅、先ほど申し上げました未入居住宅及び保守管理住宅、こういったものでございますが、この未入居住宅につきましては、公団といたしましては、昨年来建設省の方の対策委員会でも取り上げられまして、その早期解決を検討したわけでございますけれども、たとえば私どもとしてとっておりますのは、住宅需要に即応した魅力ある住宅に改造する、いわゆる大型分譲住宅への改造とか、あるいはその専用庭を設置するとか、そのほかソフト面では入居基準の緩和をいたします。たとえば事業者賃貸とか、あるいは小規模の住宅につきましては単身者にも開放するとか、こういったような措置をとるほか、何回かにわたりましてハウジングキャンペーンをやって、その周知徹底を図っております。こういうことでやりまして、私どもの従来持っておりました未入居住宅につきましてもそれなりの効果があったと一応考えております。  今後は、この未入居住宅につきましても幾つか種類がございまして、毎月毎月大量に相当の数が新しく新規管理開始になりますので、出ている表面上の未入居の戸数はある程度の何といいますか、数で推移しておりますけれども、中には日とともに順次解消しつつある団地と、なかなか解消がうまくいかない団地とございますが、そういった解消のうまくいかないような団地につきましては、特に今後は組織体制も新たにつくりまして徹底的にその対処策に努めていきたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  174. 澤田光英

    参考人澤田光英君) すでに発生をいたしました空き家につきましては、ただいま有賀理事からお答えをいたしましたけれども、逐次工事が完成してまいります。大体十万戸以上の工事中の仕掛かり品をただいま持っております。これは三年とか二年前に発注したものでございまして、会計検査院の御指摘の中にも、こういうものから空き家発生のおそれありという指摘がされております。私どもはこの問題が発生をいたしましたときに、この膨大なストックを見直して、これから極力空き家の発生を防ぐ、こういうことが根本問題。それからもう一つは、新たにこれから土地を買って計画をいたしますものからは絶対に空き家は出さぬと、そういうふうな計画を立てた上で土地を買っていく。  こういうふうなことでやっておりますけれども、前者のストックを見直す話が大変なことでございまして、完成に近いものから、いまかかったもの、あるいは未着工のもの、こういうものが十万戸を超すものでございます。その未着工のものにつきましては、これは工事を年明け早々とめまして見直しをいたしました。動いておるものもそれに応じまして全部見直しをいたしまして、たとえば大型化、いま言われましたように二戸を一戸にするとか、あるいは工事中のやつを広げるとか、あるいは高層にふさわしくない土地に高層が建っておるものは低層、庭つきにするとか、そのほかいろいろな設計変更を行い、あるいは工事費を節減する、そのほか分譲住宅で三DKは売れませんので、これは賃貸住宅に切りかえる、そういうふうないろいろな見直しをいたしまして、そのほかにも物置とか駐車場を設置する等細かい設計変更まで行いまして、大体この見直しがこの年度内には終わろうかというふうなかっこうで、これによりまして私どもは今後発生する空き家はこれ以上大幅にふえない、次第に時とともに募集されるものは空き家が出ないような体質のものになってくる、かように思っておる次第でございます。
  175. 桑名義治

    ○桑名義治君 この未入居住宅の中心課題はやっぱり高遠の二つだろうと思うんですよ。その問題について、たとえば遠の場合ですね、足の便が悪い、これはどういうふうに対策を立てているか。これはおたくだけではなかなかできない問題だと思いますよ。この問題がやっぱり解決しない以上は、中身を二DKを三DKにしたとかなんとかいう問題だけでは解決できない問題だろう。それからこの問題と同時に、これだけのいわゆる保守管理中の未完成住宅、この問題についても会計検査院の五十一年度の決算報告書には、いわゆる公的資金による住宅建設及び管理としてすでに発注済みで未竣工の住宅は十二万五千百九十九戸あると、こういうような指摘がなされているわけでございます。発注後相当期間経過した後に着工したことが原因というふうに指摘をされているわけでございますが、こういった発注の仕方にも私は大きな問題があるというふうに考えるわけです。そういうように公団のいわゆる部屋が非常に狭いということ、遠いということ、それから同時に高いということ。それと同時に、もう一つ、こういういわゆるずさんな契約、発注。こういったところにもこの問題をさらに大きくした原因があるのではないか、こういうふうに思うわけです。そういった立場に立ってひとつこの問題は早急に解決をしていただかないと、六十六億円毎年毎年出るようではこれは大変な損害です。そういった立場でこの問題には取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  次に、長期借入金と利子補給の問題については、先ほどから論議がるる尽くされましたので、今回もう時間もありませんから、この問題は割愛させていただきます。  次に、長期保有土地について伺っておきたいと思います。  おたくの方からいただいた資料で計算をしてみますと、すでに取得した金額が九百七十二億円、それに二百七十五億円の累計金利が加算されております。今後もこれが累増するわけではございますが、このままの状態では将来の高家賃化は必至だと、こういうふうに思うわけです。こういった問題に対してどのように対処されようとお考えになっておられますか。
  176. 澤田光英

    参考人澤田光英君) 先生おっしゃいましたような数字のものを抱えております。一般的に申しますと、いままでいろいろ議論されておりますけれども、いわゆるその土地を開発することがなかなかできない、それの理由は、一つはやはり市街化調整区域の問題が一番大きいかと思います。これを早期にその地元所在市町村と協議の上、市街化区域に入れなければならない。それからもう一つは、やはり関連公共公益施設が整わなければいけません。そういうふうなものが基本でございますけれども、いずれにいたしましても、開発困難なものにつきましては、個々にそれぞれいまの基本問題のほかに派生をいたしまして事情がございます。こういうものを逐次つぶすというふうなことが最大の努力目標ではないか、かようなかっこうでございまして、しかもつぶれやすいものからこれは精力を集中してやっていくというふうなことで、この一年間鋭意努力をしてまいりまして、数地区につきましてはある程度めどが立っておるということでございますので、残りについても、やはり公団土地として買いましたので、これをできるだけわが社の建設に生かすような最善の努力をするというのが、まずの方途かというふうに感じております。
  177. 桑名義治

    ○桑名義治君 このいわゆる長期保有土地につきましては、もう皆さん方も御存じと思いますが、いろいろな政治的な忌まわしい問題がかかわり合っておったというような事柄もあるわけです。そしてこの問題がまた家賃値上げの問題、いろいろな問題に付随をしてくるわけでございますが、この金利ですが、この金利に対して利子補給するという考えは建設省にはございませんか。
  178. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 現在こういった千六百ヘクタールに及ぶ長期未利用の土地を抱えております。ただ現在、こういった土地を四十八年ごろあわてて買ったという背景には、当時早く買わなければ将来土地が値上がりするという焦燥感にかられた点があったことも事実でございます。ただ、そういったことでございますので、現在のところそういったいままでの金利負担を計算しまして、そして取得原価に上乗せしましても、少なくとも現在の公示価格よりはまだ下回っております。したがいまして、現在のところではこういった未利用土地公団の赤字の原因になっているという状態にはなっておりません。ただ、これがまだ数年このまま未利用のまま残るとしますと、当然金利を計算いたしますと現在の公示価格を上回るという状態になってまいりますと、これは公団経営上ゆゆしい問題になる可能性がございます。したがいまして、まずはそういった現在の公示価格よりまだ安い状態で早く開発をできるように最大の努力をすることが先決問題だと考えております。その後の問題につきましてはいろんなやはり対策を講じなければならないということは、これは事実だろうと思います。
  179. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、十一地区については公団住宅問題対策委員会でも全く開発見通しが立たないままになっているわけです。そこで、そのうちの北神戸団地を除いた十地区は市街化調整区域であわるわけです。そうなってしまいますと、そういう実態であればなかなかこの開発というものはむずかしい。住宅をつくるということは思うままになりません、実際には一手の打ちようがないわけです、要するに。そこで、この十地区については、いわゆる自然環境を保全するという名目のもとで国が買い上げるとか、あるいは国有財産として管理をするとかして、公団のいわゆる負担の軽減を図るようにしてはどうかというふうに私は思うのです。要するに、普通の公園にすることもいいでしょう。森林公園にすることもいいでしょう。そしてそのまま国で保管をして、そして開発が急激に進んでどうしても公団住宅が必要だと、そういう環境になったというときには再び国から公団が払い下げを受けるというような方策を立てることの方がむしろベターではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますが、その点について大臣はどのようにお考えになりますか。
  180. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御質問のとおり、北神戸団地以外の十地区が市街化調整区域である。いまこの十地区に対してお考えをお示しいただいたわけですが、実は私、就任前に公団住宅問題対策委員会で地区ごとに検討をしております。それらの資料を今回のこの問題を機会にずっと拝見をしておるわけでございまするが、物によっては地方公共団体の方へ譲渡してもいいというものもございまするが、また場所によりましては近く市街化区域に編入される予定のところもございまして地区地区の情勢が違います。しかし、おおむね公団として今後開発をし、そして住宅地として使用する上に事を欠かさないような立地状況にあると思うんです。一部そうでないものについては、いま御意見もございました。これはその自治体などで譲渡を求める向きがあれば、それは考えてもいいと思うんですが、要するに十地区一つ一つについて十分検討をして対処してまいりたいと思う次第です。
  181. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの大臣の御答弁では、一つ一つの地区についてそれぞれ考えていきたいと。要するに、市街化調整区域から外されて市街化区域になる面もある、市町村が欲しがっている部分もある、その他の分についてはこれは国が買い上げるという、あるいは保管するというそういう考え方も含めてあるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  182. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) まあ国がどうするかということについては、この検討の中にはないんであります……
  183. 桑名義治

    ○桑名義治君 いや、大臣のいま意見言ってください、私見として。
  184. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いや、私のところにある資料から言えば、これは自治体等などで活用ができるものもあると、こうなっておりまして、ストレートに国が買ったらどうかということにはなっておりませんので、その点はいまここで、大臣、国が買うかと言われても、それは簡単にお答えができない、せっかく委員会も設けて検討したことでございますので、その委員会の検討の方針に従ってまいりたいと、こう思います。
  185. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、今度ちょっと方向を変えて考えたいと思うんですが、一応対策が打ち出されている、検討されているというお話でございますが、高塚第二、名瀬の二地区を除く九地区、これは関連公共事業の整備にいわゆる地方自治体の負担が余りにも大き過ぎるという事柄からなかなかこの利用が進まないということになっているわけでございますが、これはある程度助成面で改善ができる問題でもございますし、したがって、この面について国としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、具体的な方策がいま示されるならばそれを示していただきたいと思うんです。
  186. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) こういった公団の未利用地につきまして、先ほどから申し上げておりますように、やはり地方自治体がいわゆる開発抑制という問題、それから人口急増を非常に財政負担の面からきらうという傾向、こういう面がございます。それに加えて、いわゆる御指摘の関連公共公益施設の負担問題、これが非常に大きな障害になっているわけでございます。したがいまして、私どもはこういった公団の未利用土地の早期使用というために、建設省として総力を挙げて、従来の公共事業の枠で当然のことながら重点的に配分を行う、そしてまた、その調整費的なものとして先ほど申し上げております住宅宅地関連の公共施設整備促進事業というものを新たに三百億の国費で設けておりまして、そういう従来からの公共事業費とあわせまして、こういったところに重点的に配分しまして促進を図ってまいりたいというように考えている次第でございます。
  187. 二宮文造

    ○二宮文造君 関連。  関連して二点だけ端的にお伺いしたいんですが、桑名委員の質問を通じて私、二点率直に疑問を持ったんです。  一つは、冒頭にいわゆる九条、十条の関係で個別原価主義というものを放棄したんじゃないと。しかしまた、不均衡是正ということも、これはもういまの情勢の中からはどうしても捨てておくわけにいかぬと。こういうようなことで今回の値上げ案というものが申請されたわけですが、しかし、この考え方をずっと進めると、先ほどの議論のように、今後も値上げ理由としてこういう不均衡是正という問題が出て、いわば今回の値上げというものが将来の、いままでは二十年間なかった、しかし、これからたびたびの値上げ理由になるんじゃないかという心配ですね。したがって、高い家賃を引き下げる、家賃の増収によってプールするんじゃなくて、別途高い家賃を抑える具体的な方策がなければ、今後の値上げという問題が引き続いて起こってくる、こういう質問に対しては具体的な答弁がありませんでした。利子補給の関係とか云々の問題について政府側の明確な答弁がなかった。したがって、もしそういう論点に立つならば、やはり入居者にこれから先の不安感を与えぬためにも、不均衡是正というものに名をかりての値上げというものができないように高い家賃を抑える具体的な方策が示さるべきだ、これが第一点。  それから、これは私の聞き違いかどうかわかりませんけれども、住宅局長の説明の中に、公団家賃というものは所得の二八、七%というものが妥当ではないだろうかということを再三にわたっておっしゃった。その点について私お伺いしたんですが、たとえば新規の募集されました青戸第四、三DKで六万八千四百円ですね、家賃が。そうしますと、これ計算しますと、共益費なんか抜きにしまして、ただ単純に家賃プロパーで八十二万円ですね、年額。八十二万円、家賃が。そうすると、これが二八%に相当するとしますと、所得が五百万円でなければいわゆる住宅局長の説明と合致しないわけです。そういうふうに将来努力したいとおっしゃることでしょう。しかし、現実に青戸第四の入居資格は家賃の四倍か、ないしは月収十五万以上の方は入居できますと、こういうことで入居者が募集されましたね。すると、家賃の四倍ということになると、家賃所得の二五%になります。月収十五万円の人がもし入居したとしますと、これは大変なパーセンテージになります。  そこで、いまの値上げを説明するのに、一六、七%というのは、これは非常に耳ざわりのいい——所得が現在入居時から比べて上がってますから、いまの値上げを説明するには、二八、七%というのは耳ざわりがいい言葉かもしれぬけれども、現実にこういう青戸第四のような二割五分とか、それ以上の負担をしている人、その方々にとっては、住宅局長の一六、七%という声ははるか頭の上を通り過ぎてしまっているわけです。この委員会住宅局長がそのようなパーセンテージを示されるとするならば、この一六、七%の目標は、一体いつ、どの年次にこういうことに抑えていこうと、こういう計画をお持ちなのか。これは住宅局長の判断を超えるならば私は大臣の答弁をいただきたい。また、そういうものが公団とあるいは建設省の間に意思の疎通が図られているならば、公団は現行のこういうような二割五分だとか、それ以上の負担率になっているものに対してどういう具体策をもってその線に近づけようとなさるのか。ですから、将来の問題と現実の問題と、この二点を私どうもお伺いしていて納得のいかない面がありますので、順次答弁をいただきたいと思う。私は関連ですから、これ一問ですから、的確に答弁いただきたい。
  188. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先ほど来私も、公団は発足以来、中堅階層に対しまして一六%前後と、住宅局長も一六%前後と、こういうようなことを申してまいったわけでございますけれども、これは住宅公団のような大量供給の場合は平均論でございまして、特に住宅公団の対象階層というのは二分位の中位ぐらいから、たとえば賃貸で申し上げまして四分位の中位までと相当階層に幅がございます。したがいまして、私どもが申しましたのは、一六%前後というのは、三分位中位の所得に対しまして公団が供給する住宅の平均の家賃が大体一六%前後ということでございまして、その所得の階層の幅の範囲内で、それぞれ個人のいろんな事情もございまして、選択で高いところを選ぶ方もありますし、安いところを選ぶ方もあると、こういうふうなことでありまして、先ほど来何といいますか、五十一年度の家賃の四万七百円と、それから三十一年の四千六百円と比較しても四倍であるというのも、これもそういった相当な幅の広い対象階層を相手にいたしております私どもといたしましては、その平均の三分位中位の方の所得から見て一六%のところにいくように私どもの供給している住宅の平均の家賃を持っていっておりますと、こういう趣旨でございます。
  189. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 所得の一六、七%の問題は、いま有賀理事の申したとおりでございます。
  190. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかってます。だから、それは舌足らずなんですよ。非常に耳ざわりのいい言い方しているんですよ。だから私、指摘したんですよ。
  191. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) そこで、まず、けさほどの参考人の方の御意見にもございましたが、結局不均衡という名をかりて、際限もなく新しい家賃をどんどん上げていって、そして歯どめなしに不均衡、不均衡と言って家賃値上げが繰り返されるんじゃないかという御指摘、先生の御指摘もそれに近いあれじゃないかと理解していますが、私どもは先ほど来申し上げておりますように、やはり不均衡を論ずるときに、いまの青戸の例にもございましたが、青戸の例を引いて不均衡だと申し上げているのじゃなくて、やはり五十一年度の管理開始、五十二年度の管理開始の平均の家賃でございます。それとの不均衡で考えております。したがいまして、私どもは先ほど来申し上げておりますように、平均値として第三分位の中位の所得に対して二八、七%の家賃で抑えるということは、いこれは今後とも必ずそうしたいというように考えているわけでございます。
  192. 二宮文造

    ○二宮文造君 関連ですから、もうやめておきます。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 公団住宅家賃値上げは、住宅公団法並びに施行規則に基づいているようですけれども、私法上はどういう規制を受けているか、これを公団にお伺いしたいと思います。
  194. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 私どもが入居者と契約している契約書、これは当然のことながら公団法の施行規則の九条、十条を受けて、それを具体化した契約になっておるわけでございますけれども、しかし、契約した契約関係につきましては、当然のことながら私法関係が基調になるわけでございまして、一般法である借家法が適用になることは当然のことでございます。
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、家賃の増額については、借家法の七条だと思いますけれども、この七条の二項、これは昭和四十一年に借家人の権利を守るために追加された二項目ですけれども、「借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハザルトキハ」「裁判」云々と書いてあるわけですね。だから、借家法七条に基づくということになれば、「協議調ハザルトキハ」と法律にちゃんと入っているんだから、協議ということは前提になると思いますけれども、これまで居住者とどういう協議を行ってきたか、また今後どういう協議を、法律に定められた協議を行うつもりか、この点、明確に総裁にお答え願いたいと思います。
  196. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 法律問題のところだけ私から御説明申し上げますが、借家法の七条二項に申しますところの協議云々と、これは判例等を見ましてもおわかりになりますように、家主が増額請求をしてこれに対して借り主がその増額請求の家賃を払わないで、たとえば以前の家賃を払ってくるというふうなことがございましたら、これは「協議調ハザルトキ」ということでございまして、その意味は必ずしも話し合ってとか、そういう意味じゃないというのが私どもの考えでございます。
  197. 澤田悌

    参考人澤田悌君) ただいま有賀理事から申し上げたと同様に考えております。
  198. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、法律上の協議というのは今後行うことになるんでしょうけれども、今後そういう事態が起きた場合には協議を誠実に行う用意がありますか。
  199. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) いまちょっと質問の御趣旨がつかみかねておりますけれども、法律の七条二項で言うところの「協議調ハザルトキ」というのは、たとえば法律的に言えば、私どもが増額請求を行った場合に、借家人がその増額請求の家賃を払わないという場合には「協議調ハザルトキ」と、こういうことになるわけでございまして、特別にそこで話し合うとか、そういう問題ではないと思います。
  200. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今度の公団家賃問題については、たとえば一月十日に澤田総裁が福田首相を訪ねた、新聞記事によりますと、首相はスムーズにやってくれと、そう指示した、澤田総裁は全力を挙げて努力すると答えたと書いてありますけれども、法律上の協議は今後の事態の発展のもとで行われるにしても、居住者と合意に基づく契約を結んでいてその上で今度の家賃値上げがあるわけですから、やっぱり誠意を尽くした話し合いをしてくるのが当然のことだと思うんです。ところが、午前中、工藤代表幹事岡田事務局長の公述にもありましたけれども、内容上の本当の話し合いというのはやったことがないと言うのですね。で、申請を出してまだその申請が承認がおりていないからということで、内容上の話し合いにどうも応じていないというんですけれども、そういう態度を一方ではとりながらビラの方は四回もおまきになるわけですね。この矛盾は一体どういうことですか。
  201. 澤田悌

    参考人澤田悌君) ビラをまくというと、はなはだなんでございますが、あれは公団といたしましては家賃改定の内容をお知らせするための手段でございます。よく予告なしにビラを配ったというような御批判もあるようでありますが、いわば各戸にビラをお届けするのが予告のようなものでございます。皆さんにこういうことで値上げを考えておりますということをお知らせし、御理解を願うという手段を重ねてとっておりますので、先ほども申しましたように、あれが実はまとめて返されてくるというふうなことは大変私ども残念に思った次第でございます。それと、その具体的な値上げの内容についての話し合い、あるいは団体交渉的な話し合い、こういうものはどうもこの公団家賃値上げについては方法としてなかなかなじみにくいということで、そういう団交的なやり方は現在とっておりませんけれども、いろんな方法で御理解を得、お願いしながら、各支社ごとに、たとえば自治協の方々などは本社にもよくおいでになります。お話し合いをし、支社ごとには何百人もおいでになったこともございます。お会いして極力趣旨を御説明申し上げ、御理解を願うということを現在までやってまいったわけでございます。先ほども申しましたように、これからまだ時日もあるわけでございます。いろいろ工夫を加えて御理解を深める方法を続けてまいりたいと存じておる次第でございます。
  202. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 支社ごとにやっていると言われますけれども、自治協の話を聞いてみましても、支社ごとの中身のある話し合いというのはほとんど行われておりません。たとえば私どもの場合にも、共産党の岩佐政策委員が一月二十五日に、公団の南多摩営業所で家賃値上げ問題などで話し合いをやったんですけれども、営業所長は、本社、支社から何も知らされていないから答えられない、関東支社の営業所長会議家賃問題は本社、支社で対応するからと言われて、ほとんど話し合いに応じてくれてないという実情があります。ですから、話し合い五十何回やったと言われるけれども、やっぱり一方的な通知だけだと思うんですね。それで、先ほどビラをせっかくまいたけれども、まとめて返されたと言われるけれども、私はあなた方の公団側の姿勢に実は対決的なものがあると思う。これは京都の小栗栖北団地の場合ですけれども、京都営業所長の名前で十二月二十八日に、「ビラ、立看板、たれ幕等の撤去について」というのが自治会に文書で渡されているんです。「さて 貴自治会が団地内の共用部分に設置しているビラ、立看板、たれ幕等を貴自治会において早急に、全て撤去されるよう厳に通知いたします。」、これは家賃値上げ反対のビラ、たれ幕などですね。これはいままで共用部分にこういうものを使っていることはずっとあったわけで、ところが、今度の家賃問題でこの団地でたれ幕などやっていると、厳に通知する、すべて撤去しろと、こういうふうなことを営業所長が少なくともこの団地では通知している、こういうことをやらしているんですか。
  203. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) いま御指摘の京都小栗栖団地でございますが、そこの状態がどういうようになっているか、私どもは特に報告受けておりませんので、つまびらかでございませんけれども、恐らく一般的に公団のそういった何といいますか、管理すべきところにそういった障害をもたらすような立て看板とかいろんなものがある場合には、これは家賃値上げに限ったことじゃなくて、やはり何といいますか、団地の管理上必要なものにつきましては撤去その他の通知を出すことはあり得ることだと思います。
  204. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設大臣、大臣は一月二十四日の衆議院建設委員会で、自治協との関係で、やっぱり話し合いするのがいいんだということで、それぞれの団地の管理者もおられることでありますからと、公団に対してはそういう点は批判の出ないように一生懸命やってもらいたいという指導でまいっていると、そうはっきり大臣は答弁されておられるんですね。ところが、実際には話し合いが行われるどころか、こういうような通達まで出して対決姿勢をとっている。ビラを配る配ると言われますけれども、ビラの内容はまことに一方的です。十二月に配ったナンバーワンの最初のビラですね、この中には公営住宅家賃算定方式を引いて、公営住宅の場合には「公聴会を開いて利害関係人などから意見を聞くことを要しないものとされております」と、こんなことまで書いてあるね。そうすると、公営住宅の場合も公聴会要らないんだから、公団住宅の場合も公聴会を開いて利害関係者から意見を聞く必要はないんだというようなビラで、これはまことに典型的な一方的な通知のビラだと思うんですね。こういうやり方が建設大臣、あなたが指導しているやり方に反していることは明らかだと思うんですけれども、改善の決意をお伺いしたいと思うんですが。
  205. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) どういう文書か私つまびらかにいたしませんが、私が報告を受けておる範囲では、また本委員会で総裁みずからが話し合いを何回した、文書は何回出したということでございまして、それなりのことはされておるという認識がございます。  また、私の手元にずいぶん多くの書面をちょうだいしております。それは就任直後何にも知らないときに、近く上げるということを聞くがどうかというような文書に始まりまして、申請後には非常に詳細なもの、さらには——これは正直に申し上げた方がいいと思うんですが、建設省にトラックいっぱいいろんな書類が参っておる。しかし、その書類を拝見しますると、これは相当徹底しておるなあと、こう思う内容になっておるんですね。それで、私など何もよくわかりませんから、ちょうだいした値上げがいけないという方のいろいろな文書を、これも公団がチラシまいたから、またチラシを反対の方もおまきになったのかもしれませんが、そういうものを見ると、その中の内容というものは非常に詳細なもので、私は一つ一つここにおる局長やなんかに、これはどういうことだろうと聞かなければならないようなものもございまするから、したがって、いま部分的にこう取り上げたことは、それなりに事実をもとにお尋ねでございましょうから、私はそれは否定はいたしません。そういうことであれば、それは余り感心した文書でなかったなあと思いまするが、しかし、全般的に申し上げると、まあまあ私がよく理解を求めるようにと言っておることが相当徹底してきておるなという、そういういま私は認識に立っておることを申し上げておきます。
  206. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、実態はやはり話し合い無用で、家賃値上げをのむんならひとつ説明しましょうと、どうも反対は困るというので、団体交渉的なものも——団体交渉的なものというと、労働組合のあれと違いますからね、本当に話し合いで納得のいくままやろうという話し合いだと思うんだけれども、それさえやらないという問答無用の姿勢が公団側の姿勢にやっぱりある、それがこの問題を非常にむずかしくしていると思うんです。  その最たるものは申請書ですよ。この細かな申請書を一月六日に提出されたわけですね。ところが、午前中工藤代表幹事が言いましたように、この申請書は建設省に聞いても、公団側に聞いても、見せてくれないというわけです。値上げの中身をみんなに周知徹底させたいと、まだ建設省の承認もおりていないのに四回もビラをまいて、これは越権行為に近いんですけれども、そういうことは一生懸命やっているけれども、肝心の現物は居住者の代表団体である自治協に一切渡さないと、承認がおりるまで。なぜそういう態度を公団側はとるんですか。
  207. 澤田悌

    参考人澤田悌君) これは申請をいたしたものでございまして、その段階においていきなり公表をすべきものとは考えなかったことに基づくものでございます。建設省に申請をいたした文書でございます。
  208. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはまことに奇怪な話で、居住者側だけに対してなどというのではなくて、われわれ国会に対してでも同じなんですね。私のところは、この一月六日に申請が出されてから、何回も申請書の写しの資料要求を政府委員室を通じて建設省に行いました。ところが、行政ペースのものだから出せないということで記者会見用の資料しかくれませんでした。最後に、衆議院の一月二十四日の質問の近くなりましたので、どうしてもこれを欲しいと、それで、どうしても資料を出せないんなら委員会で追及せざるを得ないということを言いましたら、やっと出てきたんですよ。一月二十四日の衆議院の建設委員会の直前ですよ。それで、われわれは初めてこの申請書の写しを手に入れることができた。国会にさえ何でそうやって隠さなきゃならぬのか。これはきわめて奇怪な話なんですけれども、中身を見てみて、何で隠したのかということがわれわれにも明らかになってきた、そう思います。  その前に、先ほどから住宅宅地審議会のことを盛んに言われるけども、たとえば住宅宅地審議会にこの申請書を出しましたか。
  209. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 住宅宅地審議会には、御意見をお伺いするときには申請書は出しておりません。それをわかりやすく説明した方で説明を申し上げております。
  210. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、だからますますおかしいんですよ。住宅宅地審議会にあなた方が出したのは、「公団住宅家賃改定について」ということの資料と、「公団住宅家賃の改定について」という付属資料ですね、こういうものをお出しになった。国会にもこういうものをくれました。しかし、申請書はわれわれにもあれほど要求してようやく出てくる。しかし、住宅宅地審議会にも見せてない。それでは、この申請書の中身と、記者会見で発表したものや住宅宅地審議会やわれわれに渡したこの文書と、全く同一のものなんですか、内容は。
  211. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先ほど公団総裁からも申し上げましたが、説明資料の中には、敷金の問題、それから昭和四十七年度管理開始の一万二千戸の説明の問題、この辺が脱落していたことは事実でございます。
  212. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、いよいよ話がやっぱりおかしくなるんですよ。先ほどつい忘れたと言われますけれども、敷金の総額は何と五十七億円に達するんですよ。それから、もう二項目の昭和四十六年、四十七年度の一部ですね、その問題も、高島平団地を初め、対象となる団地にとっては大問題です、自分のところが当たるか当たらないか。それも忘れたと言うんですか。この二つの中身がまるっきり落ちているということになれば、住宅宅地審議会にあなた方が出したこの今度の値上げ問題についての説明は不備なものであったということにならざるを得ないと思いますが、その不備を認めますか。
  213. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先ほどちょっと局長が御説明したことに補足をさせていただきますが、私ども一月六日に申請をいたしまして、その際発表するときにも、その先ほど総裁が申し上げました敷金の件につきましては仰せのとおり落ちておりましたけれども、いま申されました高島平とかその一万二千数戸の件ですね、これにつきましては私ども、私自身が説明しております。そしてその六日の承認申請と同時に、同時といいますか、二、三日たってからでございますけれども、全居住者に、今回の値上げでこの五十三年に値上げの対象になる団地は、裏面に、ビラに書きまして、裏面のとおりでございますというふうに出したときには高島平等々の団地は載せてありません。大体そういうふうにあのときの説明はしております。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 高島平団地その他は載せておりません、ということで済みますか。あなた方は居住者に対しては親切に説明する、通知するということで、まだ認可もおりていないのに四回もビラをおまきになった。ところが、そのビラには——あのビラ、裏見てごらんなさい。今年度値上げされる団地と書いてないですよ。値上げの対象団地とはっきり書いてありますよ、そのビラの裏には。その中には高島平その他は入ってないじゃないですか。これは全く虚偽のビラだと私は思わざるを得ないんですけれども、なぜそういう状況になっているのかどうかですね。私は住宅宅地審議会にこの今回の全部入っている申請書をもう一度あなた方出し直しをしなければならないんじゃないかと思いますが、総裁いかがですか。
  215. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 実はこの点に、高島平団地等の問題につきましては、ちょっと御説明申し上げますと、まあ私どもは当初から来年の四月以降値上げするものは今回の申請から外した方がいいんじゃないかというようなことを公団に申し上げていたわけでございますが、たまたまそういったことで、公団の方でもうすでに決裁等済んでおりまして、それでは、申請としてはそう受け付けるけれども、実際にはこれは来年の四月以降の分は改めて出し直していただくようにしたいというような、そういうようなもう話になっていたわけでございます。したがいまして、公団あるいは住宅宅地審議会に御説明した中ではこれは外してあったわけでございます。したがいまして、私どもは決してそれを隠していたとかなんとかということじゃなくて、今回の大臣の認可に当たっては、当然それは来年また出し直せというような形でやるつもりでいたわけでございますので、隠したわけではないということを申し上げておきたいと思います。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さて、まあそこで、いまの高島平その他の一万二千七百戸の問題で、申請書の中身について質問が入ってくるわけですけれども、いまのお答えですと、四十六年十月一日以降の分ですね、四十六年、四十七年度の分、あの傾斜家賃五年の分というのは四十五年から始まって四十九年までですから、ここであなた言われたのは四十六年十月一日以降四十七年度までの分ですね。高島平その他、東京では豊島五丁目、横浜・磯子三丁目、大阪・千鳥橋、大阪・千島、一万二千七百戸あるわけですね。この来年度四月一日からの値上げは今回の申請の中身に入っているんですか、どうですか。
  217. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 中身に入っておりますが、大臣の認可の際には、これは再度出し直せという形で処理したいというように考えております。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 中身に入っていてこれが認可されて、もう一度来年認可書類を出すんですか。認可されたのかされないのか、どういうふうになるんですか。
  219. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) これから認可するわけでございますので、認可のときには、その分だけは外した形で認可いたしたいと考えております。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それならなぜこの申請書の第2項目の(2)の二ですね、「昭和四十六年十月一日以降」云々のこの項目を削らないんですか。何のために入れたんですか。
  221. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先ほど申し上げましたように、公団としては建設省といろいろ協議して、われわれはこれはむしろ来年度に出し直すべきだということでございましたが、その一月六日という日でございました、御用始めからがたがたしておりまして、そしてすでにこういった書類を訂正し直すという時間もございませんでしたので、われわれはそれを認可に当たって、それではその分だけ外して認可するという形で処理するという方針でいたわけでございます。
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きわめてこの認可のための申請書類が、非常にあわててつくられた不備の多いものだということが出てきたわけですけれども、澤田総裁は、一月二十四日の衆議院建設委員会で、「四十八年度をどうするかということとの関連の御質問」「これは今度の値上げ申請には入っておりません。」、そうはっきり答えました。有賀理事も同じような答弁を、四十八年、四十九年は入っておりませんということを言われておりますが、この2項(2)の二ですね、「昭和四十六年十月一日以降に管理開始された住宅で、傾斜期間が五年であるもの 傾斜期間終了後の家賃となった年度の翌々年度の四月一日から実施する。」という言葉は、これは日本語を使おうとする限り、四十八年、四十九年まで入らざるを得ない文章になっていますけれども、これはどういう意味ですか。
  223. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) ただいま先生の御指摘の申請書でございますけれども、これはあくまで三十一年度から四十七年度までに管理開始された住宅について五十三年七月一日にやりたいと、こういう申請をしておったわけでございます。そしてその中で、「前項の規定にかかわらず、」「市街地住宅で」云々というのが、これは永久に除かれますので除かれますと、こう書いてあるわけでございます。二は、四十六年十月一日以降、先ほど来問題になっておる高島平等の一万二千七百戸につきましては、これは永久に除かれるものではなくて、この五十三年七月一日の家賃値上げの対象にはならない。こういう意味で、この「除外する」というふうな表現とは違った、「翌々年度の四月一日から実施する。」という表現になっておりますけれども、これは当然この(1)号に書いてございますように、三十一年度から四十七年度までに管理開始された住宅について、五十三年七月一日にやるというものからは除かれると、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、先ほど私申し上げましたように、五十三年の申請と同時に居住者皆様方に配りましたこのパンフレットにつきましても、「昭和五十三年度の家賃改定の対象となる住宅は、」裏面の云々というところには、高島平団地等主な団地については載せていないわけでございます。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だとしますと、四十八年度、四十九年度、五年傾斜住宅など三十九団地二万四千余戸あるのですけれども、これは今度のには入ってないと。そうすると、これをやるときには、たとえば五十四年度、五十五年度にもう一度申請するわけですか、値上げ申請を。
  225. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、今回の申請は三十一年から四十七年度まででございますから、当然のことながら、四十八年度、四十九年度と、こういったものをやる場合には、改めて申請することは当然のことでございます。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ、やるということですね。  しかし、この文章は、有賀理事は先ほど、五十三年七月一日とするというところの規定にもかかわらずということなんで、四十八年、四十九年度は入らないと言われたけれども、「家賃変更の対象は、昭和三十一年度から昭和四十七年度までに管理開始された住宅とし、その実施期日は、」「七月一日とする。」というのが(1)の項目でしょう。で、「(2)前項の規定にかかわらず、」となっているのですから、「前項の規定にかかわらず、」と言うのですからね、この三十一年度から昭和四十七年度までの管理開始でなくても、四十八年、四十九年の開始されたものでも、五年の傾斜家賃のものは入るというふうにこれはとれますよ。
  227. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) これは私どもは、三十一年度から四十七年度までの管理開始された住宅で、そして五十三年七月一日に実施すると、こういうものと(1)号はとっておりまして、これは申請者である公団がそう解釈しておりますし、それを受けた建設省の方におきましてもそう解釈しておりまして、私どもの双方の解釈に狂いはないと思う次第でございます。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 こういう点で、記者会見のときにも、国会に出したものでも、住宅宅地審議会に出した書類でも、いまのような問題きわめてあいまいなまま、われわれの国会での追及や私どもの「赤旗」の報道その他、そういう追及によってだんだんいろんなことがわかってくるというような内容で、非常に粗雑きわまる申請書類だと思います。  先ほど問題になりました敷金についても同じことですけれども、大体激変緩和、激変緩和ということを言っておきながら、公営住宅でもほとんどの場合敷金の分は取っていないのに、こういうものを平然と書き込んでいるというようなことはおかしいと思うのですね。それで、この敷金というのは預けたもので、退去するときには返してもらうといっても、このインフレの中で目減りしてしまうでしょう。そういう目減りの非常に多いものですよ。入居者は、退去するときには修理、補修というのでかなりの金もまた取られてしまうんですね。先ほどいただいた自治協の資料では、高根台団地の方、十五年住んで退居のときに修理費負担算定書、十七万六千七百十三円、十七万円も払って出なきゃならぬ。敷金の方は目減りしてしまうんですね。そういう点を考えますと、敷金のことを述べた今度の申請書類の最後の6の項目ですね。これは私は建設大臣としては当然認可すべきでない、そう考える。ところが大臣は、新聞の報道によりますと、この敷金問題については総裁の裁量の範囲内だと、そういうことを一月二十七日の閣議後の記者会見で述べられた。そうすると、大臣としては、これ全体を承認する、しかし、敷金を取るか取らぬかは総裁の裁量の範囲内にすると、これはまことに無責任だと思うんですね。先ほど住宅局長の答弁もありましたが、櫻内大臣どうでしょう、敷金問題については取らぬ方向に努力するという御答弁をいただきたいと思いますが。
  229. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 上田委員御承知のように、この敷金の問題については、いまここちょっとすぐ条文が出ませんが、条文の中に三カ月以内云々というふうに書かれておることであります。本契約に載っておることでございますから、だから当時記者会見で言われたときには、私は、いろいろ考えたいという心持ちから、そもそもの本文に三カ月以内ということだから、まあそれは総裁がよく考えるでしょうと、こう言ったもので、それが記事に出ておるわけでございまするが、いよいよこの申請に対してどう認可するというときには、先ほど来の御議論を踏まえての一応の条件といいますか、ただし書きといいましょうか、あるいは口頭で言いましょうか、皆さんの御趣旨に沿って認可をいたしたいと、こういうことであります。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣は、衆議院の建設委員会での答弁でも、衆議院建設委員会など国会の意向、決議その他、そういうものは非常に尊重したいと、そう言われたそうで、けさも衆議院の建設委員会では委員長発言であったわけですね。参議院の建設委員会でもその方向で各党努力中ですけれども、こういう国会の意思表示に対して本当に誠実に尊重し、その方向に向けていろいろ条件つけるなり実施をしていくということを努力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  231. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 御意見を尊重し、御指摘のように努力申し上げたいと思います。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、次に修理費の問題並びに家賃抑制の問題に移りたいと思います。  申請書によりますと、増収額は維持管理費家賃の抑制に要する費用にすると、そう述べてありますが、維持管理費家賃抑制以外には絶対使わないということを言明できますか。
  233. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 維持管理費家賃抑制以外に使える余裕などは毛頭ないわけであります、この程度値上げでは。ですから、この両者に全部使うと申し上げたいと思います。
  234. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 余裕がないほど悪い経営状態なのでそういう質問しているわけで、いろんな先ほどから不良保有地その他の問題が大分出ましたね。だから、そういう公団のいまの財政の危機、大変な不良状態なので、そういうほかのところへは一切回さないという意味でお伺いしているわけで、回さないというように受け取っておきます。  さて、これまでの御説明によりますと、初年度は全部で百七十億円、そのうち修理費には百四十億円。平年度は増収総額二百三十億円、そのうち百七十億円を修理に使うということですね。このいま対象になっている団地の場合には、修理費として毎年大体八十八億円入るという資料を去年私いただきましたが、この八十八億円に百七十億円足しますと約二百五十八億円になるわけですね。かなりこれは修繕に使えると思うんですね。昭和五十一年度はたしか百五十億の修理費支出ですから、それに比べて百億円以上多い修理費になるわけで、かなり団地住民の要求がこの額がいきますと満足できるかと思いますけれども、ちょっと多過ぎる気もするんですけれども、一体どういう修理を、もしこの値上げ案が通った場合に、二百三十億平年度入った場合に行うつもりなのか、お答え願います。
  235. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 修繕につきましては、先国会でも上田先生にお答え申し上げましたように、それぞれの団地につきましていろいろな周期も異なるし、それぞれ具体的に全体を見て積み上げていかなければ正確にはどの程度どういう段階でやるかということはなかなか確定的には申し上げられませんけれども、御指摘のように、従来の修繕費収入に比べれば、今回、いずれにいたしましても、この家賃値上げによる増収分が相当程度増加するわけでございます。その意味におきまして、従来私どもは必要な維持管理修繕を進めてきた、その上にさらにこのたびの家賃改定の増収によりまして、たとえば屋根防水の修繕とか、あるいは手すりの修繕、あるいは給水管の修繕、あるいは雑排水管の修繕、あるいは屋内排水の修繕とか、あるいは道路の修繕とか、そういったものの、それぞれ物によっては五カ年計画、物によっては八カ年計画とか、そういったように計画を立てまして、そうして修繕に着手していきたい、こういうふうに考えております。
  236. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 前に有賀理事は、修繕というのはいろいろ周期的に起きるもんだ、なかなか額というものは出せないということを私の質問に対してお答えになりましたが、毎年二百五十八億円、これだけの修理をやらなければならない積算根拠、その他準備は整っているんですか。
  237. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) いま先生御指摘のとおりでございまして、五十三年度につきましても、これから家賃値上げの承認をいただきまして、実際の値上げは七月を目途にやるわけでございますけれども、私ども修繕につきましても、五十三年度につきましてはこれから年度内にそれぞれの団地ごとに積み上げていくということでございまして、細かな点につきましてはこれからということでございます。
  238. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 実はここに今度の問題のやっぱりかなり大きな問題がありまして、前に私質問したときに、一体修理費がどのぐらい要るのかと言ったら先ほどの答弁があって、今度の値上げというのは、修理費にどのぐらい要るということで積み上げていって、これだけだから値上げ額が必要だということでなったものではないのだ、不均衡是正だと。それで、公営住宅の限度額方式の二分の一ということでやったので増収額が決まって、それをどう使おうというのもこれから計算するんだというようなお話だったんですね。しかし、その後、家賃抑制の方の金額が三十億、六十億と出てきて、結局、限度額方式で公営の半分という値上げ額二百三十億から六十億を引けば百七十億出るということで、これを全部修理に回すという計算に結局なったんだと思うんですね。そうしますと、本当は住民の方々の個々の団地ごとの要求を満足させる修繕をするのにはこのぐらい要る、そこで話し合いをして修理費にどのくらい要るからひとつ家賃値上げをこのくらいにしようということとは全く別のやり方で決まっているんですね。だから、本来はこの修理にどのくらい要るかということは、この百七十億でないかもしれないですよ。もっと少なくて済むかもしれない。そうなれば今度の家賃の必要な値上げ額というものも全体本当は今度のことよりももっと少なくて済むのかもしれないですね。そのことを一つ指摘しておきたい。有賀理事、大体そういうことだと思いますけれども、いかがですか。
  239. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 当時私が申し上げましたのは、非常に正確な数字をというような話もございましたのでそういう答弁をしたわけでございますが、私ども今回の件につきましては、増収分につきましてはいま御指摘のとおりで、これが修繕費が幾ら要るからということの方から計算したものではございませんで、お話のとおり、不均衡是正あるいは不公平是正ということで公営限度額方式の計算数値を二分の一いたしまして、さらに七千円切って増収額を得るということでございますが、その後、秋からこの申請までの間に、それにしても現在の状況からすれば大体修繕周期がそろそろ来るものとか、そういったものをいろいろ積み上げまして、ほぼこの辺のところのものをやろうとすれば、いま申し上げましたような多少の変動はあるとしましても、ほぼ百四十億程度、このくらいでもって大体考えている修繕はできるであろう、こういうような見通しでやっております。
  240. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、私が修繕費その他について資料要求しましたら、数字が一切出てこないじゃないですか。いまお話しの雨漏りをどう直すとかいう直す種類を五、六行書いたものだけが私のところへ参りました。資料をどうして出せないんですか。今後この対象団地の修繕に大体何年度どのぐらいかかる、この雨漏りを直すのにどのぐらいかかる等々、大体の数字ぐらいは出すことができないんですか。
  241. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) これは私、保全関係の専門家でございませんので詳しく御説明できませんが、専門家が集まりまして、そうして大体の、こういったほぼ何といいますか、周期に来ているもの、現段階で着手しなければいかぬものというものを項目を拾いまして、そして推計して出したものがこの大体のあれとしまして百四十億程度に出したわけでございます。非常に細かに団地ごとに、ここの団地が幾らとかこういったようには、修繕につきましてはそういうつまびらかにはできない現状でございます。
  242. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は何も各団地ごとの細かい数字を要求しているんじゃないんですよ。何年度にどういう種類の修繕をやって、それにはそれぞれ大体大まかにどのぐらいかかるかということを要求しているんで、このぐらいの資料も何も出てこないというのではとんでもないと思うんですね。われわれいまこの国会で国政調査権を発動して調べているのは、一体平年度二百三十億増収になる家賃値上げが適正なものかどうかというのをわれわれ責任を持って審議しているんですから。ところが、その審議に一番必要な修繕費、二百三十億のうち百七十億円使うんでしょう。その百七十億円の中身の数字も全く出てきてないんですよ。  委員長、私はこの修繕費問題についての質問は保留して、その数字をひとつ出していただきたい。そのことを求めたいと思います。
  243. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 理事会で協議いたします。
  244. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) ちょっと補足して説明させていただきますが、金額はいま申し上げましたように修繕費の方から集計して出したものではございませんで、計算は家賃値上げの方式によりまして出したものでございますので、その積み上げた数字が出ないというのはその意味でございます。
  245. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、そういう方式にしろ毎年二百五十八億円今後お使いになるというんだから、一体どういうふうに使うつもりなのか、それが本当に必要なのかどうか、それが適正なものであるかどうかをわれわれ判断しなければなりませんから、ぜひ数字を出していただきたいと思います。
  246. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 年々の、それは公団は毎年予算を組みまして、事業計画をつくりまして建設大臣の認可を受けて事業を執行するわけでございまして、そういう意味では毎年毎年適正にそういったものを積み上げまして認可を受ける、そういう仕組みになっております。
  247. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 認可の仕組みはそれで結構ですから、これからのあなた方の責任のある計画ですね、修繕についての、できるものを、われわれの審議にたえるものを出してください。そうしますと、百七十億円の修理費についてもごらんのように大体の非常に大ざっぱな話しかないわけであります。  さて、その次に、もう一つ家賃抑制問題ですね。これの方も私はきわめて奇怪な状況になっていると思います。衆議院のこの間の審議でも問題になったわけですが、五十三年度の新規供給分までは初年度三十億円、それから平年度六十億円——五十三年度については初年度二十五億円ですね、それからその次の年からは五十億円ですね。それで賄うという御説明があったわけで、それではじゃ五十四年度以降の供給分の家賃抑制についてはどうかと。ところが、この財源はいまのところ全く明らかになっていないんです。この財源はどうするおつもりですか。
  248. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 五十四年度に家賃を幾らにするかというためにどのぐらい財源が要るかということにつきましては、まさに五十四年度につきましてはまだ供給戸数が何戸になるか未定でございます。それから出てくるものにつきまして原価——これは先ほど他の先生のときにも御説明しましたように、いろんな見直し作業をしたりしまして原価の低減化を図っております。それからまた家賃を決める際には、所得の伸びがどのぐらいで——先ほど来第三分位中位の平均で一六%前後と申し上げましたように、そういった所得の伸びの状況所得水準というものが非常に重要な要素になってまいります。それから、なおさらに今後五十三年度から関連公共の負担の軽減のための措置が相当大幅にとられるわけでございますが、これにつきましても、先ほど来申し上げましたように、五十四年度以降もなおさらに拡大して政府の方にお願いするというふうなお願いを考えているわけでございまして、その意味におきまして不確定要素が余りにも多く、この五十四年度の家賃を定めるに当たっての抑制財源が幾らかということについては、現在の段階では数字が出ないのは御理解願いたいと存じます。
  249. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これもまたわからないと言うんですね。しかし、五十四年といったらもうすぐですよ、大体建物はできているでしょう。だから、五十四年に管理を開始する住宅が大体どのくらいかというのは、もちろん当然あなた方おわかりになっているはずだと思うんですね。それで、細かに何億円まで出なくても大体このぐらい要ると、その数字を私出せと言っているんじゃないんですから。しかし、五十三年度については平年度で五十億円ずつ要るわけでしょう、今度の家賃抑制をやりますと。すると、五十四年度についても恐らく四十億、五十億、そのぐらいのレベルの、同じ方式の家賃抑制やろうとすると金がかかることは明らかですよ。数を細かく言えというんじゃないんです。その五十四年度以降の新規供給分について家賃抑制するのかしないのか、抑制する場合には財源をどこに求めようとしているのか、また入居者に対する新しい家賃値上げでかぶせようとしているのかどうか、その点明確にお答え願いたい。
  250. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 五十四年度もうすぐではないかという御指摘、そのとおりでございますが、ただいま不確定要因についていろいろありますことは有賀理事から申し上げたとおりでございます。しかし、先ほども申しましたように、五十四年度につきましても傾斜家賃の抑制でありますとか、いろんな新規供給住宅家賃高騰を抑制する措置をいろいろこれから講じていかなければなりませんので、それが幾らになるかということを現在はじきますことは非常にむずかしゅうございますが、先ほど来申しましたように、大ざっぱな考えで申しますと、これは私の私見でございますが、どうも足りないんじゃないか、もっとよけいあればもっと家賃抑制に使えるというような感を免れないのでございます。時間の経過に従っていろんな要素を結めて明確にしたいと存じますけれど、現在のところは、もっと財源があればもっと家賃の高騰を防げる、それをしかし家賃値上げの方からたくさん持ってくることはむずかしいのでいろいろ政府に御考慮を願いたい、こんな気持ちでおる次第でございます。
  251. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 五十四年度の分についてはどうも非常にあやふやだということが一つ出てきた。恐らくこれは額としては四十億、五十億に達する額だろうと思うんですね。  もう一つ、今度の発表の家賃引き下げの概要の中で、傾斜期間の短縮という対象戸数六万五千戸があります。この六万五千戸、現行傾斜期間十年、これを七年何がし、七年ぐらいに短縮しようというんですけれども、これ、引き下げ額が最終家賃で約一万円というんですね。すると、一戸について十二万円かかるわけです。六万五千戸ありますから、計算しますと毎年七十八億円が必要になる。これはほぼ五十八年度から必要になってくるわけですね。今度のこの財源、一体どこから出すんですか。この家賃の引き下げ対象に入っていますよ、六万五千戸。約七十八億円が五十八年から必要になる。この財源どこから出そうと考えているんですか。
  252. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) おっしゃられますように、五十八年なり五十九年なり以後相当先のことでございますので、いまからいろいろとどういう——きちっとしたこの財源というほどではございませんけれども、私どもの考えでは、現在この値上げのほかに従来からやっております空き家増収分というのがございます。空き家値上げによる財源をもちまして、将来この七、八年先には私どもはこれを大部分の財源といたしましていまの傾斜の赤字分の財源措置をやりたいと、こういうふうに考えております。
  253. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 空き家増収分というのは大体どのくらいですか、毎年。
  254. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 現在のころは、現在昭和五十一年で申しますと大体五十八億円でございます。しかし、空き家による、何といいますか、特別改良とか特別修繕とか、こういうことをやっておりますので、それを現在は五年とか十年とか、物によりまして新たな資金を入れましてまず修繕をやりますものですから、それを改修しておるわけですね、いまの段階では。しかし、これが改修が終わる段階になれば抑制の方にといいますか、そういう財源が相当程度出てくる、こういうふうに思っております。
  255. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう私そろそろ時間がなくなりましたけれども、もうちょっと、ここ大事なところなのでさしていただきたいんですが、いまお聞きのように、五十四年度以降の新規供給分を今度のような家賃抑制方式を続けていこうとすると毎年四、五十億円かかるんですけれども、五十五年度はまたその上にかかるわけですね、それについての財源の見通しが全くない。ただ、今度家賃抑制対象として発表されております六万五千戸についても、五十八年度、五十九年度ごろから、これ全額になりますと大体毎年七十八億円要るんだけれども、これもどうも怪しい。空き家の増収分が幾らあるけれども、それが何とかかんとかいうお話ですね。そうしますと、これは今度の家賃抑制という点についても、今度の方式だと私は破綻することはもう明白だと思うんですね。総裁はいみじくもちょっと財源が足りない感じがいたしますと言われたけれども、やっぱり財源足りないんだと、居住者の方々に三年ないし五年でもう一度見直しをしたいかもしれないようですけれども、それもどうもむずかしいと、結局政府お願いせざるを得ないというふうに言われましたけれども、私はここにやっぱり問題の本質があると思うんですよ。  きょう午前中私も申し上げましたけれども、今度の家賃値上げの中で二つあると、一つ家賃抑制だと、もう一つ修繕費だと。修繕費についてはきょうの工藤代表幹事もはっきり述べられましたし、私たちのところへ来ている要望書にも書いてありますが、公団自治協側もこれについては一切反対という態度をとってないんですよ。本当に修繕のための要求が山のようにあると、その点については団地ごとにこういうことを直してほしいというので、ひとつ話し合いに応じようじゃないかという態度をとられているわけですね。そうすると、あと高家賃の抑制部分、高家賃の抑制部分というのは初年度わずか三十億円でしょう。平年度六十億円でしょう。もし初年度三十億円、平年度六十億円を今度皆さんにおっかぶせて全部解決するかというと、いま私質問したように解決しないんですよ。このやり方、このレールを敷くと次々と破綻が起きてくる。どうにもしようがなくなる。結局、政府におんぶしなきゃならなくなるというふうに総裁自身が言われたじゃないですか。そうなれば、本来今度の、五十三年度分からの高家賃抑制についても今年から、今度からやっぱり国が援助すべきなんです。初年度三十億円、これを国が見たらどうですか。平年度六十億円、これ見たらどうですか。あるいは少なくともその中の五十三年新規供給分、これだけ見たらどうですか。初年度二十五億円で、平年度三十億円、こういう方向を確立すれば、いまこれ大きな問題になっている今度の家賃値上げ問題というのは解決すると思うんです。  私は、午前中の参考人の公述に対して、この三十億、六十億をひとつ国が持つ、そして百七十億の修繕問題については話し合いでひとつやったらどうだということについて全部の参考人意見をお伺いした。三人の参考人は全部基本的に賛成と言われました。もう一人の方は公団公団住宅者の間の関係なら基本的に賛成だと、国との関係では疑念があると言われました。しかし、全面反対じゃないんですね。どうです、櫻内建設大臣、もし国が本当にこの問題を解決しようと、これこじていきますと、私は供託して裁判闘争になって大きな社会問題になると思うんです。そういう大きな社会問題になったあげくの果てにまた三年、五年で見直しをしなきゃならぬ、またもう一度そういう混乱を引き起こすということは私はすべきでないと思うんですね。本当に筋道が立っていて解決の方法がわかっているとすれば、ひとつ国が、今度の公共事業にはあれだけの予算がついていて、大臣先ほど言われましたように、六百三十億住宅関係の予算を出したと言われたけれども、どうでしょう、三十億、あるいは少なくとも昭和五十三年度の新規供給分の二十五億についてひとつ政府はこれをめんどう見よう、平年度については六十億、少なくとも五十億ですね、昭和五十三年度以降の分については。それだけを見ようという政治的決定ですね、その方向に踏み出せば私はこの問題は世論も支持し、居住者の方々も満足できる方向に進むのではないかと思うんですね。それだけのことがいま求められていると思いますけれども、櫻内建設大臣と総裁のお考えをお伺いしたい。公団の方はどっから金が入ろうと同じでしょう。政府から出ようと、どこから出ようといいのだと思うのですね。結局、政府の腹ですよ。特に与党自民党の腹、これが大事になっていると私は思います。
  256. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 確かに家賃の抑制を国の財源、一般税収に求めるというのも一つの方法だと思います。しかし、五十三年度五百二十八億のいわゆる利子補給金を出しております。これはほとんど大部分が賃貸住宅家賃の引き下げに使われているわけでございます。五百億と申しますと、国民一人当り、赤ちゃんまで入れて一人当たり五百円、四人家族でございますと二千円の負担をしていることになります。一方、公団の賃貸住宅は現在五十数万戸ございますから、ほとんど一年間に十万円のいわゆる利子補給をしている。国民全体から二月四人家族で二千円の利子補給、税金でもって公団の賃貸住宅二月の家賃を下げるために十万円の支出をしているという状態でございます。また、これをもっとふやせという議論もあろうかと思います。しかし、私どもはやはりそれを無制限にどんどんどんどんふやせということが果たして国民のコンセンサスが得られるのかどうか、まあこの辺については私は非常に疑問を持っているところでございます。
  257. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 基本的考え方、いまの住宅局長と同じでございますが、公団という一つの企業体の経済観から申しますと、安過ぎる家賃によって住宅を供給し続け、二十年たってもこれを放置するということはきわめて妥当ではないと思うのであります。ただいま国のいろんな補完措置のお話がありました。それによって安い家賃による住宅が供給される、これは国の政策でありますから一般家賃よりは安くて結構だと思います。しかし、安過ぎてはいけないという感じをどうしても持つのであります。ほどほどに居住者の方々にも負担をしていただく、これがやはり一国の経済のあり方としては妥当ではないか。それを放置しておきますと、公団内部における家賃の不均衡やらいろんな問題が出てくる。したがって、そのやり方といたしましては、激変してはいけないことは申すまでもないのであります。各般の考慮を払って今回の案を作成いたしましたので、何とぞ御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
  258. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間が過ぎましたので終わりますけれども、私のきょうの質問で一部出ましたように、この申請書類自体もきわめて不備のものですよね。住宅局長がお認めになったように、非常に急いであわててつくったので、あちこち忘れているというようなもので中身にも矛盾がある。これ、ちゃんと法律的にこの文書読みますとね、一体高島平を初め、それだけでなくて、二万四千戸の住宅まで入ってしまうようなそういうものなんですね。私はこういうものはやっぱり一度引っ込めて出し直す必要がある。そして再検討するほどのものだと思うんですね。  私は最後に櫻内大臣にお伺いしますが、先ほど申し上げた問題ですね、この問題、本当に解決していくということのためにはやっぱり国がもう少し考える、国の施策の失敗の結果、あの日本列島改造論のときの物すごい地価の値上がりその他によって急速にはね上がってきたわけですから、そういう結果生まれた高家賃抑制のために国がもうひとつやっぱり大胆に歩を進める。そしていま問題になっております五十三年度分の新規供給分初年度二十五億円、それから平年度五十億円になりますけれども、そういうものはひとつ今度の家賃値上げから外すということですね。そのかわりにやっぱり国が思い切ってその方向に向かって積極的な住宅政策の歩を進めるということ、この決断を大臣に求めて、答弁をいただきたい。
  259. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 上田委員の御意見は御意見として私も参考とするにやぶさかでありません。ただ、私のいま与えられておる責任というのは、一月六日の申請に対してこれを認可するかどうか、認可するについては建設省なりの条件と申しましょうか、意見を付するかどうかということが当面の問題であると思います。上田委員のお話の中で、仮に参考にするといたしますれば、すでに政府は五十二年度予算については現に御審議をちょうだいしておるわけでございまして、これについてはそれぞれ皆様方の御意見が最後には集積されるものと思うんです。で、私がこの国会での審議を通じまして政策面にあるいは予算面にいろいろ考慮をするということになりますると、五十四年度以降の予算にどうそれを反映するかといういま現在立場にあると思いまするので、きょうの御意見は御意見として承っておきたいと思います。
  260. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  261. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 きょう最後の質問になりますので、整理をしながら若干お尋ねをしたいと思います。  私、いま問題になっていることの核心はこうではないかと思うので、総裁にお尋ねをしたいんですけども、住宅公団に居住をしている者からしますと、平たくこう理解していると思うんです。われわれはたな子である、公団は大家さんだと。したがって、仮に家賃改定という問題が起きるとしても、大家とたな子という関係の中でそれは議論されるんだろうと。こう理解していたところで、実は公団全体を見渡してみると、あっちのたな子の方は大変高い家賃で困っておるんだ、よってもって何とかという議論をされると、これは私は面食らわざるを得ないと思います。なぜかと言いますと、私どもたな子にとってみて、見も知らぬほかのたな子なんです。何人ぐらいふえてくるかという御相談があったわけじゃない。高い家賃だって、そんなにつくりますかって御相談が事前にあったわけじゃない。いわばたな子とすると、あずかり知れない原因によって、おまえの家賃は安いと、こう言われる。そうなってくると、じゃ私の家賃、これからどうなるんだろうか、とめどもない不安に駆られてくる。私はこれは普通の受け取り方だと思うんです。公団としますと、住宅は供給するんだ、よってもってたな子をふやして云々と言われるかもしれませんが、それは住んでいる私というたな子にとっては直接手の届く範囲ではない。したがって、あっちのたな子のことを例にとって家賃をと言われますと、今後私の家賃は一体どうなるんだろうか、そういう不安を持つのが私は普通だと思います。したがって、今回の家賃改定の御提案というのはたな子に大変不安を与える、そうまず素直に理解すべきだと思いますが、いかがですか。
  262. 澤田悌

    参考人澤田悌君) これは私はたな子という言葉を使いたくないんですが、まあお客さんでありまして、お客さんあっての公団住宅でございますから、ありがたいお客さんなんです。とにかくお客さんに負担を増加させるという行為でございます。まことに楽しくない仕事なのでございます。したがいまして、いろいろ文句もございましょう、不安も御指摘のようにあるかと思います。いまのお話は非常に含蓄のあるお話で、かみしめて伺ったのであります。しかし、これをあえてお願いしなければならないというところに非常につらいところがあるわけであります。その理由等につきましては、先ほど来るる申し上げておったようなところでございます。いまの御質問の御趣旨はよくわかっておるつもりでございます。
  263. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 不安を与えたという点はよくわかりますというお話なんですが、なぜ不安が出るかと言いますと、一つは、たな子にとってはあずかり知れないところから話が出てきてしまうというたな子にとっての無力感、まずこれがあるわけです。もう一つは何かというと、仮にその公団の立場をとるとしても、では一体家賃を幾ら上げるのかという基準がない。今回はこう計算した半分なんだと、それでも七千円でとめたとおっしゃるけど、聞く方は大変恣意的に聞こえる。決める方はずいぶん配慮したとおっしゃるかもしれないけど、こっちの方はそんなこと言われたって結局は恣意的に決めてきたんで見通しが立たない。インフレは何が一番いけないかというと、家計の見通しが立たない、この不安感であります。その意味では今回の御提案は本当は再考すべきだ、そういう不安感を多数の国民に与えてはいかぬ、重ねて伺います。
  264. 澤田悌

    参考人澤田悌君) その値上げの必要な理由につきましてはいまも申し上げたように数々あるというわけでございます。したがいまして、やむを得ないとしても今後どうなるのか、先ほど来いろいろ皆さんから御質問がございました。次々と追いかけて値上げが行われるのではないかというようなことにつきましてもいろいろ御心配があるかとも思います。しかし、二十年間できなかったものをこの際公営住宅方式でその半分程度値上げお願いせざるを得ないということでこれだけむずかしい手続を踏んでおるのであります。そう申してははなはだなんでございますが、こういうことがそうたびたびできるとは私実は思わないのであります。容易なことではない。またこの次必要なときにはよくよく情勢を見、検討して、そして申請をし、大方の御理解の上でやらなければならないことであります。たてまえとして今後は絶対にないということは先ほど申しましたように言える問題ではありません。本当に情勢が許し、必要ならやむを得ないかもしれない。しかし、次々とこういうことがあるというような不安はお持ちになる必要はないのでございます。しかもその値上げ額にいたしましても二十年間で初めてでございます。その御負担になる方々には申しわけないのでありまするけれども、世間一般家賃に比べますと、それはまだまだ内輪のものという感じを持っておるのであります。その辺も御理解を願えればと存ずるわけでございます。
  265. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大臣にお尋ねしますけれども、まあ二十年間家賃据え置いたので大変不公平になったというお話なんですけども、家賃をずっと見てまいりますと、やっぱり一番大きく高くなってきたのが過剰流動性とかオイルショックという狂乱物価のころを境にして大変高くなってきたわけです。不公平ということで考えますと、公団家賃議論する前にこれはひとつ大臣にお尋ねをしておかなければいけないと思うんですけども、大体いま勤労者の持ち家の人が半分、借家住まいが公団を含めて半分、まあ半々だと言われております。  そこで、四十九年、狂乱物価のころを振り返りながら国民生活白書が何と言ったかというと、物価の変動というのは配分の不公正を大変広げて仕方がない。試みに試算をしてみると、中堅的な勤労者を例にとると、自分で家を持っているとその家は評価が上がるわけです。どれくらい上がるかというと百九十二万円、借家住まいの人は家がないんだからゼロであります。半々の勤労者のうち、片方は平均すると百九十二万円もうかった勘定になる、借家住まいの方は家がないんでありますからそれはもうかるはずがない、ゼロであります。この不均衡の方が私はよほど基本的な問題だと思んですが、この点については大臣はどうお考えになりますか。
  266. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) それは物の見方でございまして、御指摘のような見方もできるかと思います。
  267. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで問題なのは、公団に住まっている人たちは自分の家じゃないから百九十二万円が来るわけじゃない。いや、その実物資産の評価益は一体どこへ行ったんだろうか、当然のこととして公団である。こう理解して間違いないと思いますが、いかがですか。
  268. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いまのお尋ねで、せっかく率直な御意見でございまするから、私もしばしば申し上げておるんでありまするが、この二十年間家賃がずっと据え置かれておる、そうすると、その間に所得はおおよそ十倍ぐらいになっておると思うんです。そしてその所得の構成の中に、包括的に所得の中へ入れていいと思うんですが、住宅手当というものを逐次改定してもらっておるわけですね。それはこの公団家賃の方は据え置きなんですから、それはそれなりに何かに有効に使われておるわけでございまするから、だから持ち家の方はインフレによって値が上がったと、それだけ有利だと言えますけれども、しかし、また一方において、居住の方々も二十年間の据え置きの間にそれなりのことが一方においてあるというようなこともあわせ考えていただきまして、おっしゃることは私にはわかるんですよ。しかしまた、私どもから言えば、そういうようなことも勘案しつつ、同時にいまの住宅公団経営状況についていろいろ批判がある、したがって、それにどうこたえていくか。それは政府の方は何ら手つかずでやるわけじゃないですね。だから、この辺はやはりこういう場でこうやって御協議を願うことを通じまして私もまた居住の皆さん方にも御理解をちょうだいしたいと、こういう気持ちがいっぱいなんです。
  269. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまのせっかくの大臣の御答弁ですけれども、住宅手当というのは、これはまだ全体を見渡しまして市民権を持っている制度ではございませんで、むしろ少ないんじゃないかと思います。ただ、これについては深くは触れません。ただ、いまの評価益が公団に行っちゃったからそっちがもうかったはずだなどということは申し上げておりません。ただ、これがどういったかっこうで実現をしていくんだろうかと考えてみますと、空き家家賃というやつがありますね、空き家家賃というのは従来の九条、十条からはそっくり出てこない。ただ、公募するとなると従来の古い家賃ではこれはどうしようもない、常識を欠くから周りを見ながらというかっこうで高くつく。従来の横並びのたとえば四千六百円のところが空き家家賃でまあ一万五千円となったとしますと、その差は何かというと、その差は実はその空き家家賃という形で評価益を吸い上げてきた、そういう仕組みだと当然のことながらと思いますが、いかがですか。
  270. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 私どものやっております空き家家賃、これもやはり原価で計算した、九条で計算した家賃を十条で変更したものでございまして、やはり均衡変更をする必要があると、こういうことでやっているわけでございまして、空き家になった場合には、これは新しい住宅に入る場合でも、それからあるいは古い住宅に入る場合でも、これは新たに募集して住宅に入居された方にとっては全く同じ条件でございまして、ただ空き家の方が古いわけでございますから、その古さとかいろんな設備の悪さとか、そういったものは当然考慮してあれしなきゃいけないけれども、これは一つの不均衡是正として空き家家賃の改定を行って新しい家賃で入居者を募集していると、こういうように御理解願いたいと思います。
  271. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 不均衡のことを申し上げているんじゃなくて、経済的な効果からいうと、その差額を取るという形で未実現の評価益が実現をしているんだと、そういう性格でございましょうと聞いているわけです。間違いないですね。
  272. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 物価の上昇、いろんな経済変動に応じまして、旧家賃のまま再募集することが妥当ではない、人件費その他の関係で。そういうことで、世間一般家賃ももちろん意識に置いて空き家の入居者を再募集するわけです。まあ近いところにあるのが多く、しかも仮に空き家家賃として三倍ぐらいに上げたとしても、世間の家賃に比べると非常に安いわけでありますから、入居者も非常に高い倍率で希望があるという結果になっております。それの経済的性質がそういう全体の経済の変化、物価の上昇等を見て、先生のおっしゃるような性質のもの、再評価をそこに具現しておくものというふうな見方も成り立ち得るかと存じます。
  273. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 別にそのこと自体が間違っていると申し上げているのではないのです。いろんなかっこうでそれは評価益が実現していって構わないのが世の中の姿ですから。仮にそうしまして、そのときにたとえば今回の住宅家賃の改定というのは、市街地住宅のうちで土地所有者に住宅の譲渡契約を締結している住宅は外れるんだと、なぜなんでしょう。この譲渡条件の中にも評価益の回収という問題が入ってこなければ不公平ではないんですか。
  274. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) この市街地住宅で譲渡が決まっているもの、これはもう何といいますか、地主の方に譲渡するということで、今回の家賃の値を改正したのではありませんが、譲渡する場合はもちろん先生おっしゃられる評価をいたしまして譲渡するようにいたしております。
  275. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、今回の家賃改定も二十年間手つかずであったかどうかは別として、これだけ物価が上がってきたことであるから、よってもって評価益を皆さんからいただきたいということだと思うのです。  そこで、伺いたいのは、そういったことをいま急いでやらなければいけない理由というのは、個々の家賃との関係で本当にあるんだろうか。たとえばその建物がずっと長くなっていって、あとどう処分しようかというときに評価益が出たって構わぬわけです。なぜいまのときに個々のたな子に対して家賃を改定して、おまえさんの住んでいるところは周りに比べたらもう高くなっておるのだから、よってもってこの際ということをしなければいけないんだろうか。しかもそのことによって住んでいる人に不安を与える、何か大変無理なことをなさっているように思うのですが、なぜいまそれをしなければいけないのか。それはやはり高額家賃の方を抑えたい原資として再評価益を実現したい、こういうことなんでしょう。
  276. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) そういうことの補てんのためだけではございません。そういう意味ではございませんで、やはり先ほど来何遍も申し上げておりますように、長い間における不均衡が生じてまいりまして、住宅宅地審議会の答申にもございますように、不公正を是正しなさい、こういう御指摘もあるとおり、やはりそういった安過ぎる家賃につきましての不公正の是正、これが基本的な考え方でございます。
  277. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 たびたび安過ぎるというお話が出るものですからお尋ねするんですけれども、中堅勤労者の平均月収の大体一六%前後というお話がございました。一六%前後がいいかどうかはここでは論じません。ただ、常識で考えまして、この一六%前後が持っている意味は、それより上は困るという意味なんじゃないだろうか、上限を決めているのであって下を決めているわけではないと思います。下を決めていると言われますと、一六に全部そろえようという発相にしか聞こえないから、じゃあ応能家賃制度に進むんですかとすぐ思った方があたりまえでありまして、したがって一六%前後というのは上限を決めている、下を決めているわけじゃない、そう思ってよろしいかということと、家賃改定についてという資料を見ますと、「建設年度の古い住宅居住者家賃負担率も」云々で、所得に対して「二パーセントに満たないものもでてきている状況にある。」と大変不満げにお書きになっているのですが、二%でなぜ悪いんだろうか、一緒にお答え願いたい。
  278. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 所得に対する家賃負担率の問題というのは、これはなかなか議論の多いところで、日本だけではございません。海外におきましてもいろいろ問題になっておるようであります。日本の住宅公団建設省考え方、まあ中堅勤労者で一六、七%という考え方は、いま御指摘のように、それでとどめようと、それより上は妥当ではなかろうと、もちろん平均ですからいろいろございましょうということは御指摘のとおりと思います。といって、下の方は、私先ほどのどなたかの御質問にもお答えしましたが、こういう政策家賃でございますから所得がふえて負担率がだんだん下がることはもう結構なことだと思います。思いますが、それにも限界があろうじゃないか。新規のものが一六、七%、古い年度をさかのぼりますと二%を割ると、今度の値上げの結果でおおよそはじいてみても一〇%未満というのが九五、六%ですという状況が果たして均衡を得たものであるかどうか。ほかにも不均衡という例はいろいろありますが、この負担率から見ましても、ほどほどのところの負担率ということがやはり妥当なのではないか。しかし、あの程度値上げでございますからそんなに上がりません。下の方はせいぜい三%、二%台から三%ぐらい。四十七年度で一番高いところでも一一%ぐらいでございます。まあその程度のことは均衡上考えるべきではなかろうか、このように思うわけでございます。
  279. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私がいま伺ったのは均衡ではなくて、二%でなぜいけないんだろうかと聞いたんです。なぜかと言いますと、家を持っているか持っていないかだけで、あのオイルショックのどさくさで百九十二万円も差がついちゃった。そっちの方がよっぽど差が大きい。そこの中でたまたま三十一年につくった公団に入ったら家賃が安くて二%だった、あなた運がよかったねってなぜ言えないんだろうか。あなたどこに住んでいるかと東京で聞きますと、大体あなた何年ごろ東京に来たってわかるそうですね。だんだんスプロールで外に出ていっちゃっているんです。ですから、田園調布に住んでいる人は大正年間に入ったんでしょうと大体わかっちゃう。みんなそんな運、不運を持ちながら土地住宅とかかわり合ってきたんです。したがって、三十一年につくったのに入った人は安くてよかったね、あなた運がよかったねとなぜ言っていけないんだろうか。なぜここだけで均衡住宅公団という狭いテーブルの中で議論をしなければいけないんだろうかという意味で、二%でなぜいけないんだろうか、重ねて伺います。
  280. 澤田悌

    参考人澤田悌君) たてまえといいますか、なぜいけないのかという御質問に、お答えとしては、いけないということは少しもございませんと、これは所得がふえまして、所得がふえて負担率が下がることは居住者の方にとって幸せでございますし、おっしゃるようにあの当時大変な競争のもとで抽せんに当たってそしてお入りになったんですから、幸せだったねと申し上げることもできると思います。しかし、それはいけないと言うんじゃないけれども、ほかのいろんなバランスの面からいってどうかという政策問題、経済問題に相なりますると、ということをただいま申し上げた次第でございます。
  281. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 一六%がお気になるようですから、これは大臣にお尋ねをしたいんですけれども、一六%前後が上限なんだと、その二八%の是非はここでは問いません。一応上限だとして、そこに入るような公団住宅がつくれなくなってきた、よってもっていま公団は困っていると、こういうお話なんですけれども、大臣に伺いたいのは、公団でできないのが民間でできるんだろうか、個人で建設できるんだろうか。一六%という上限を突破しちゃったというのは、問題はもう公団を超えているんじゃないか、それを公団の問題にしては私いけないと思います。一六がいいかどうかは別にして、そこの中で民間であれ住宅公団であれ住宅が供用できるような条件をどうやってつくるか、私はこれが基本だと思います。しかも昔をさかのぼりますと、三十年、四十年のころは自分のお金と銀行から借金したら大体土地の上に家が建った。四十八年からもう建たない。こちらの方が問題なんであって、いわばこの面で私は住宅公団は被害者だと言わざるを得ない、の問題の解決を家賃の中の見比べというのは、私はいかにもスケールが狭い取り組みだと言わざるを得ないんですが、大臣いかがでしょう。
  282. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 公団の提供する住宅で中堅勤労者のために従来役立ってきておる。ところが最近では、いま一六%程度家賃という問題でございますが、それでは公団が家がつくられないと、それはどうかと、こういうことなんですが、そこはきょう何遍も申し上げておるように、一体公団の新しくつくるものが何で高くなるかということから検討しまして、政府政府として、それは公共施設整備に金がかかるんだろうと、それじゃそれについてはこれからそういうことがないようにしよう、これは言うまでもないことですが、従来比較的その辺の施策が十分でなかったのは、自治体でも、恐らく公団でも、宅地造成なんかにつきまして、そういうものを造成者におっかぶせても、その後の土地の値上がりなどでカバーできるというようなことから安易に流れておったと思うんですね。それらの点を見直しながら、できるだけ中堅勤労者のためになるようにと努力しつつあるが、しかし、それにしても一方、どうも二十年もこのままにしておったというのはどうかなというところが今度の問題点ではないかと思うんです。
  283. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 なかなか建たなくなってきたという問題が実は今回の予算審議のいわば焦点の一つだと思いますので、これはそこに譲りながらまたお尋ねをしていきたいと思います。  ただ、今回の値上げ、よく考えますと、家賃改定でどう使うかということから逆に見ると、実は修繕費の問題のようですから、その角度で若干お尋ねしておきますけれども、五十二年度の家賃収入を一遍推計してみました。違っているかもしれません。千百五十億円前後のようです。間違っていたら是正をしてください。これに対して五十二年度の修繕費のかかったのが三百三十億と伺っておりましたが、間違いございませんか。そしてまた、これは千百五十億円の家賃収入が正しいとすると、家賃収入に対して実に二九%であります。こういう事態は九条で家賃を決めるときに想定をしていたんだろうか、伺いたいと思います。
  284. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) いま手元に詳しい数字がございませんが、大体のところそのくらいの線だと思っております。
  285. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 後の質問、繰り返して言います。具体的に言いますと、千百五十億円が家賃収入推定だとして、そこのうちの修繕費見合い分は幾らなんでしょうか。それと、かかった三百三十億との差額はおおむね幾らになりますか。そのような開きを九条で家賃を計算するときに想定しておりましたかということです。
  286. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 申しわけありません。ちょっとお待ちください。
  287. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) どうも大変失礼いたしました。  千百五十億円の中で、いわゆる先生のおっしゃられるような修繕費は約二百十五億ぐらいでございます。その分は、五十二年度の場合空き家による増収分の特別修繕とかそういったものも入っておりますし、それから一部積立金をおろすといいますか、それも入ってそれで三百三十億の支出をしようと、こういうことになっております。
  288. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 正確に伺いますけれども、数字はラフで結構なんですが、三百三十億だけ五十二年度にかかったけど、家賃のうちの修繕費分として入ってくるのは二百十五億、おおむね百億だけ足らない、百十五億ですか足らない勘定になる。これは本来どうやって調達をするのが筋道なんでしょうか。
  289. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) やはり、先ほど来御議論になっているように、適時適切といいますか、家賃値上げ等も適当な時期にはあって、そしてうまくバランスがとれていくのではなかろうかと思います。
  290. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私が伺ったのは、最初から修繕代かかるわけじゃないからだんだん積んでおくんでしょう。積んでた積立金があって、取り崩しをしてこの百億を埋めますというこういうお答えだろうと私は思うのです。そこで、五十二年度ですと、また百十五億食い込んじゃった。積立金の残というのはいまどうなってるんですか、まだ賄えるんですか。
  291. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) ちょうど五十二年度でもって積立金が全部おろされます。そういう大体計画でございます。
  292. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 総裁、じゃ五十三年度、どこからお金を持ってきて直すんですか。この三百三十億という五十二年度にかかったものが、来年も同じようにあるかどうかは知りません。波を打つんでしょう、恐らく。打つにしてももう足らなくなっちゃう。じゃその分どこから回してくるかといったって、そういう器用なことは公団会計から私はできないはずだと思う。修繕費は来年から資金繰りがつかないんじゃないですか。という事態だと私は理解しますけど、どうですか。
  293. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 年々修理費は要るわけでございます。五十一年、五十二年度で前からの積立金をいま申し上げたように全部吐き出すという形になっております。五十三年度は御指摘のように非常に苦しいわけでございます。これはあらゆる企業努力によりまして修繕費を調達するということになると思うのであります。値上げの申請の理由等にもありますように、修繕費にも事欠く状態になりつつある。したがって、新しい住宅家賃から入る修繕費は本当は積み立てておいて、その住宅が修理を要するようなときに備えておくべきなのですが、そういうものも全部吐き出してなお五十三年度は非常に苦しいことになるという状態をわれわれは深刻に受けとめておるわけでございます。
  294. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 だと思うのです。だから、本当は今回の家賃改定も先ほど来の御議論のように、公平どうこうという大変扱いにくい、しかも不安を持たせるお話ではなくて、やあ皆さんことしでもう資金が底ついちゃった、いよいよがまんし切れませんとおっしゃっていただいた方が私はわかりが早いと思うのです。ただひとつ、じゃ修繕費をどうやってこれ考えたらいいかということで伺いたいんですけど、仮に私が三十一年、四千六百円に住んでいるとしまして、そこの中に入っている修繕費ですから大したことはない。最近の四万、五万の方は当然のこととして多い。全部ひっくるめて積んだ中で消化をしていきますというと、高額の家賃負担している人、新築だったら大して修繕費かからない、そこの修繕費で実は四千六百円の方の公団住宅も直している。不均衡をおっしゃるんならここの不均衡の方が大きい。それを恐らく総裁は逆プールだとおっしゃった。このあり方というのは修繕費の管理として正しいのだ。本来私は各戸別の問題だと思います、できるかという話は別にしまして。修繕費はプールで管理していいんだろうか、いかがお考えですか。
  295. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 修繕費につきましては、先生御指摘のように新しいものも古いものも一緒にしまして、いわばプールといいますか、それで扱っていることは確かにそのとおりでございます。そこで、先生御指摘のように、修繕費につきましていわば一つの極端に言えば団地別といいますか、そういうふうにしてきちんと経理して、どれだけ入ってどれだけ出ていくというふうにしたらどうかというようなお話でございますけれども、これは私ども公団賃貸住宅八百五十団地、五十五万戸ございまして、このような大量な管理に当たりましてはなかなか困難な問題だと私は考えておるわけですけれども、またその理由といたしましては、修繕費は当初から一定の乗率をもちまして家賃に含めまして徴収いたしまして、全体の収入の中でもっていま先ほど申し上げたようにプールして、個別団地の修繕の緊要度といいますか、重要度といいますか、そういうものに応じながら具体の判断に基づきまして使っているわけでございます。また、当初から予想していない修繕項目、こういったようなものもその後出てまいりますし、その意味では何といいますか、個別団地の支出は必ずしも同じ、同率でないものですから、また年度別に見ても非常にバランスがとれていない、こういうようなこともございます。  また、もう一方、個別団地の立地の事情あるいは規模とか建設手法その他の事情によってもその修繕内容は間々異なってくるわけでございます。これに応じた形でもって特定の団地について修繕費の収入と支出をやっていきますと、非常に格差が出てくる実態、そういうこともございます。また、一つ団地でも数年度にまたがって建てておりますので、年度別の修繕費支出が把握自体また困難でもある。こういったようないろいろなことがございまして、まあ私ども実際にもまた事務処理上も団地別には困難でございますが、なおこの団地別に修繕費を経理して、これに応じてその居住者負担を求めていくべきかどうかと、こういう点につきましては、公団のような大量の住宅を管理する場合には、先ほども申し上げましたように修繕の時期とか頻度とか、あるいは内容、程度などがいろいろと異なるわけでございまして、その意味団地の立地や設備など具体の事情の違いによって修繕の実際の額が格差が生じてくる、年度ごとのまた支出も異なる。こういったために居住者に対しましてはこれに応じて負担額にこう変動といいますか格差が来る。こういうことから見まして、私どもは必らずしもこれが何といいますか、公平といいますか、これが一番いいかどうかというふうなことについては、いまにわかにこれがいいというふうなぐあいに賛成しかねる考えでございます。
  296. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私が申し上げますのは、家賃は安いけど古いから修繕費が高い、家賃が高いけど新しいから修繕費が安い、こうやって考え方のバランスはとれていくんじゃないか。したがいまして、各戸別というのは無理としても、せめて団地別ぐらいに修繕費は分別経理をしなかったらそれは怠慢のそしりを私は免れないと思います。御意見は後で聞きます。ただ、いま団地によってでこぼこがあってというお話ですけれども、三百三十億かかったとして、その住んでいる人が当然負担をしなければいけないと認定される修繕費と、つくったときに瑕疵があってそれは居住者には求めていけない修繕費と私は二つあると思いますが、どういう基準でこれは分けているんですか、いま。
  297. 澤田悌

    参考人澤田悌君) お尋ねの御趣旨はよくわかるのでございますが、御承知のように公団の賃貸住宅は七十年償却で家賃を低くするためにと原価をはじいておるわけでございます。十年、二十年たちますと、ある時期にその団地の方々の負担する家賃だけではできないような相当の修理も必要かもしれない、長期間もたせなけりゃいけませんから。そういうようなことや、先ほど有賀理事が申しましたようないろんな理由から、団地ごとにその計画を立てて団地ごとの負担をするということが必ずしも妥当ではない。全体をまとめて必要なところに重点的にやっていくという必要が起こるのでありまして、定期的な小修理のようなものは、これはもうそれだけでありますればいろんな考え方がございますか、やはり総合的に考えないとむずかしい面があろうというふうに思うわけでございます。
  298. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 何か八百五十五万戸あるものですから大変だというお話なんだけれども、これくらいでびっくりしていたら民間会社はつぶれちゃいますんでね。本当はこれは簡単に——簡単ではないにしても、やってできないことではありません。ただ百歩譲って、団地ごとは無理としても、供用開始年度別にグループをして管理するぐらいのことはすべきではないんですか。
  299. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 今後の問題としてあるいは工夫を要する点かもしれないと思います。これは検討を要する問題でございます。
  300. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これも検討していただきたいということで申し上げるんですけれども、かかった修繕費はこれは持たざるを得ないと皆さんおっしゃるんです。これで事が済むかというと済まない。なぜなら、いつどこをどう直すか、みんな意見が違う。したがいまして、これから修繕費もかかってくるでしょう、それを主たる理由にしながらまた家賃の改定という議論が出るかもしれない。それを考えながら、何をしなければいけないかというと、修繕の基準をつくらなきゃいけない。現在残念ながらございません。きちんと決めて、たとえば屋根だったら何年に一遍、壁は何年に一遍というぐあいに基準をきちんと決めて、そこまでは定型的に見ますと。それから建築そのものに瑕疵があってそれは居住者に求めるのは不適当だというものは、これも厳格な基準を引きながらそれはもう公団がしょう。しょってどうするか、それは建築業者に持っていけばよろしい。という整理をこれきちっとしていかないとなかなかにむずかしい。しかもいまの全体ひっくるめてと言いましても、三十一年と五十二年の建物を一緒にとはいかないですよ、それは。当然それは何らかのかっこうで区別をしながら、どこでどれぐらい管理費がかかっているのか、修繕費がかかっているのか、それを分析検討しなきゃいけない。しかも、これをしないとどうなるかというと、ここはどうしてもかかって仕方がないから建て直した方がよっぽど住んでる人が楽になる、その政策判断が全然できない。その意味では、私は、今回まあ五十二年度だけで足を出しちゃったという状況ですから、いずれにしても修繕費については額は別として是正はしなければいけないんでしょうけれども、是正したらよかったではこれは済みません。どうやって管理をするのか、修繕費を。この点については私は鋭意御研究をいただきたい。
  301. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 大変重要な問題の御指摘でございました。私、公団に入りましていろいろ問題を考えてみまして、一つの非常に大きい問題は、先ほども申しましたが、公団住宅は耐火構造、鉄筋鉄骨でやってあるわけでありまして、これは七十年もたせなければいけない。税法の償却年限というものよりもはるかに長いわけでありまして、これは非常に重大問題なわけです。二十年たって、かつて上田さんの方から御指摘があった、二十年たったら非常にくたびれたじゃないかと御指摘になられたようなことでは実はいけないわけでありまして、ですから、どういう計画でどういう補修をしてと、これは今後の公団の管理部門における重大問題だと、こう思います。御指摘の御趣旨は非常によくわかりますので、真剣に検討したいと思う次第であります。
  302. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 最後に一言意見を申し上げて質問を終わりたいんですけれども、今回の家賃の不均衡是正ということは、私は何としても時期でもないし別な方法があると本当に思います。ただ、中心が修繕費だというかっこうでいままでの議論になったんですけれども、つけ加えて申し上げますと、いまの七十年償却ですけれども、私、エネルギー問題を考えると、公団住宅全部つくり直さなきゃいけないんじゃないか。断熱構造を含めて省エネルギーにどう対応していくのか。これは七十年なんてのんびりしたことは言っていられない。では、その財源どこから持ってくるのか、だれが負担するか。その意味では、今回の御提案も計算したものの半分で、上限が七千円ですと、いかにも温情家に見えるんですが、私はこういう結果として恣意的にしか見えないやり方はだめである。では、今後の全部建てかえを含めて、一体だれがどうやっていくのかということは真剣な検討を始めないと私は間に合わないと思います。そちらの方がよっぽど重大問題でして、その前に四千六百円、安いよというのは、残念ながら私は余りにもスケールが小さい、余りにも住宅公団という重箱の中の議論ではないんだろうか。反省を求めて、私の質問を終わります。
  303. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 速記をとめて。   〔午後六時三十五分速記中止〕   〔午後六時四十五分速記開始〕
  304. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 速記を起こして。  この際、委員長から建設大臣に対し、日本住宅公団家賃値上げ問題について次のとおり要望をいたします。  右要望をいたします。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  305. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 公団住宅家賃の改定につきましては、本年一月六日公団から申請が提出されて以来、各方面の御意見を伺いつつ慎重に検討を重ねているところでございます。ただいま建設委員長からこの件に関し御要望がありましたが、私といたしましては御要望の趣旨を十分尊重しつつ最終的な判断を行いたいと考えております。     —————————————
  306. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 次に、建設大臣から建設行政の基本施策について所信を聴取いたします。櫻内建設大臣。
  307. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 建設行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べたいと存じます。  昨今のわが国経済は、民間需要の盛り上がりに乏しく、また、急激な円高傾向等もあり、内外ともに多事多難な情勢にあります。  このような厳しい経済情勢の中で、内需振興による景気回復を最大の目標として昭和五十三年度予算が編成され、特に景気波及力が大きく、かつ、国民生活充実のための基盤整備に資するものとして、公共事業費に重点が置かれることになりました。  この予算の相当部分を預かる建設省責任はきわめて重く、昭和五十二年度補正予算と合わせたいわゆる十五カ月予算の考え方のもとに、公共事業の円滑かつ効果的な執行を図るための体制整備を行い、所期の目標を達成するよう努める所存であります。  申すまでもなく、建設行政の基本的課題は、国民生活の充実を図るため、豊かで住みよい国土を建設することにあります。このため、住宅宅地対策、都市対策を初めとし、道路整備、国土保全、水資源開発等、国民生活に密接に関連する諸施策を総合的に推進してまいる所存であります。  以下、当面の諸施策について申し述べます。  第一に、住宅宅地対策についてであります。  住宅対策につきましては、住宅に関する国民の要望にこたえて、公的住宅の規模の拡大、居住環境の改善等、住宅の質の向上に重点を置くとともに、住宅金融公庫融資の拡大改善及び住宅ローンに関する減税措置の強化により、国民の住宅取得を促進してまいりたいと存じます。  宅地対策につきましては、良好な宅地の供給を促進するため、公的宅地開発の推進、民間優良宅地開発に対する融資措置の拡充等を図ることとしております。  また、良好な住宅宅地の円滑な供給を図るため、国庫補助制度の拡充等により、関連公共施設の整備を促進してまいりたいと存じます。  第二に、都市対策についてであります。  安全で快適な都市生活と機能的な都市活動を確保し、魅力ある都市づくりを進めるため、下水道、公園、街路等の整備を推進するとともに、土地区画整理事業、市街地再開発事業等による良好な市街地の計画的整備を図ってまいりたいと存じます。  さらに、大震火災に対処して都市の防災性の向上を図るため、都市防災対策を総合的に推進してまいる所存であります。また、特殊建築物につきましては、避難施設の整備等によりその防災対策を推進するため、所要の制度の整備を図ってまいりたいと存じます。  第三に、道路の整備についてであります。  現行の第七次道路整備五カ年計画は、昭和五十二年度をもって終了することとなりますが、わが国の道路整備水準はなお著しく立ちおくれた状態にあり、道路整備に対する社会的要請はますます増大し、多様化しているところであります。  このため、昭和五十三年度より総投資規模二十八兆五千億円をもって第八次道路整備五カ年計画を発足させることとし、道路交通の安全の確保と生活環境の改善に十分配意しつつ、幹線道路から日常生活の基盤となる市町村道に至るまでの道路網を体系的に整備するとともに、道路管理体制の強化を図ってまいりたいと存じます。  第四に、国土の保全と水資源の開発についてであります。  わが国の国土は、近年の災害に見られますように、洪水等の自然の脅威に対してきわめて弱い体質を有しており、他方、国民生活を支える水需給の状況は逼迫の度を強めつつあります。  このため、重要水系に係る河川の整備及び中小河川、都市河川等の改修を初めとし、砂防事業、海岸事業、急傾斜地崩壊対策事業等を推進するとともに、多目的ダム、河口ぜき等の建設を推進して水資源の開発を進めてまいることといたしております。  最後に、建設業の振興等についてであります。  建設業につきましては、建設工事施工体制の合理化、経営基盤の強化等の建設業振興施策を総合的に推進するとともに、中小建設業者の受注機会の確保にも十分配慮してまいりたいと存じます。  なお、不動産業につきましては、不動産流通の円滑化を推進し、消費者利益の保護と業の振興を図ってまいりたいと存じます。  また、開発途上国における経済社会開発に対して積極的に協力していくとともに、建設業の海外活動を促進してまいりたいと存じます。  以上、諸般の施策について所信を申し述べましたが、いずれも国民生活を支える重要な施策でありますので、その積極的な推進に努め、国民の期待にこたえる所存であります。  何とぞよろしくお願い申し上げます。
  308. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 次に、国土庁長官から国土行政の基本施策について所信を聴取いたします。櫻内国土庁長官
  309. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 国土行政の当面する課題とそれに対する基本的な考え方について、私の所信を申し述べたいと存じます。  わが国におきましては、国土の利用がますます高密度になるとともに、土地、水などの国土資源の有限性が次第に顕在化しつつあります。このような状況の中で、国土行政に課せされた基本的な課題は、国民生活の共通の基盤である国土を計画的に整備し、一億を超える国民が長期にわたって安全で安定した生活を確保できるようにすることにあります。  このため、政府は、昨年十一月第三次全国総合開発計画を決定し、今後の国土総合開発の基本方向を明らかにしたところであり、この計画の柱である定住構想に沿って人間居住の総合的環境の形成を図ることとしております。  私は、このような見地から、次に述べるような施策を強力に推進してまいる所存であります。  第一に、第三次全国総合開発計画の実施推進を図るため、計画の基本的構想の具体化のための検討、調査を行うとともに、公共事業関係長期計画についての関係行政機関の事務の調整及び国土総合開発事業調整費の積極的な活用による公共事業の調整を推進してまいる所存であります。  また、国土利用の総合調整を図る見地から、国土利用計画については、全国計画及び都道府県計画を基本として市町村計画の策定を推進してまいりたいと考えております。  第二は、総合的土地対策の推進であります。  土地対策のかなめは地価の安定であります。最近の地価はおおむね安定的に推移しておりますが、今後、公共事業の大幅拡大等も見込まれるので国土利用計画法の的確な運用並びに地価公示及び都道府県地価調査の充実を図る等により土地の投機的取引の抑制と地価の安定の確保を図っていく所存であります。  また、土地利用の適正化を進め、あわせて宅地供給の促進を図ることが必要でありますので、土地利用基本計画の見直し、土地利用の転換の適切な誘導、遊休土地利用促進及び国土調査の推進を図るとともに、土地税制については、その基本的枠組みを堅持しつつ、優良住宅地の供給促進の見地から最少限の見直しを行うこととしております。  第三は、水資源対策であります。  経済活動、社会活動の発展、生活様式の変化等に伴い、引き続き増大する水需要に対応して安定的な水需給を確保するため、早急に長期的な水需給計画を策定し、その円滑な推進を図ってまいる所存であります。  また、水資源開発公団の事業の促進、水源地域対策の推進を図るとともに、地下水利用についても、その適正化を図ってまいりたいと考えております。  第四は、大都市圏整備の推進であります。  大都市地域における過密の弊害を除去し、圏域全体の均衡ある発展を図るためには、人口、産業の集中を抑制するとともに、過度に集積した諸機能の適正な分散配置、都市環境の改善整備を進めることが重要な課題であります。  このため、首都圏、近畿圏及び中部圏の整備計画の実施を積極的に推進するとともに、大都市地域における工場、大学等の周辺地域への計画的な分散立地、大都市防災対策の推進等を図ってまいる所存であります。  また、筑波研究学園都市建設につきましては、昭和五十四年度概成の方針のもとに、引き続き研究教育機関等の施設の建設及び公共公益的施設の整備等の事業を鋭意進めてまいりたいと存じます。  第五は、地方振興の推進であります。  人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の維持形成を図るため、第三次全国総合開発計画との整合を図りつつ、東北、北陸、中国、四国及び九州の各地方開発促進計画を策定し、その実施の推進に努めるとともに、地方都市、農村及び豪雪地帯における定住条件の整備のための施策を積極的に推進する所存であります。  また、過疎地域、山村、豪雪地帯、離島、特殊土壌地帯等についても、引き続きそれぞれの地域の特性に対応する諸施策を充実してまいる所存であります。  最後に、災害対策についてであります。  わが国は、豊かな自然条件に恵まれている一方、災害に見舞われることも多く、これに対処することがきわめて重要であります。国土庁は、風水害対策を初めとし、各般にわたる施策を積極的に推進していくほか、特に、地震対策については、防災体制の強化のための制度の確立を図り、また、活火山対策につきましても施策の充実を図ってまいりたいと考えております。  以上、国土行政に関する所信を申し述べましたが、これらの施策の強力な推進のために全力を挙げて取り組んでまいる所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。
  310. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 北海道開発庁長官から北海道総合開発の基本施策について所信を聴取いたします。加藤北海道開発庁長官
  311. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 第八十四回国会における委員会審議に当たりまして、昭和五十三年度の北海道開発行政の推進に関する私の所信を述べたいと存じます。  政府は、北海道の総合開発につきまして、昭和四十六年度以降、第三期計画に基づき各般の施策を積極的に推進してきたところであります。  今日、国土資源・エネルギー等資源制約が顕在化し、安定性を指向する国民意識が変化する中で、わが国が二十一世紀へ向けて経済社会の長期的発展を期するため、それにふさわしい国土環境を創出し、わが国の人口と産業の望ましい配置の実現を図ることが基本的に重要な課題であると考えるのであります。  この中にあって、北海道は国土の五分の一を有し、今日までの開発を通してすぐれた発展基盤を形成しつつあり、今後におけるわが国経済社会の長期的発展のために積極的に寄与することが強く期待されているのであります。  このような情勢のもとで、今後北海道総合開発を適切に進めていくには、さきに策定された第三次全国総合開発計画、国土利用全国計画などの国土政策との調整を図り、新しい北海道総合開発の基本方向を明らかにする必要があると考え、昭和五十三年度発足を目途に新北海道総合開発計画の策定を進めているところであります。  昭和五十三年度は、新北海道総合開発計画の初年度に当たりますので、新計画の方向に即し、国民生活安定のための総合環境の創出、北海道の長期的発展基盤の培養などの長期課題に対応しつつ、施策の総合的推進に努めてまいる所存でございます。  明年度北海道開発予算につきましては、このような考え方に立ちまして、対前年度比約三三%増の約五千八百億円の予算を計上いたし、現下の急務であります景気の早期回復に資するとともに、地域住民の生活に関連する事業、北海道の特性に応じた事業等を積極的に推進するなど、その内容の充実に特段の考慮を払っているところであります。  昭和五十三年度の北海道総合開発に関する施策のうち、建設関係分の主要施策について申し上げます。  まず、生活環境の整備につきましては、北方風土に適応した魅力ある環境の創出を目途に、下水道、都市公園等の事業を大幅に促進するとともに、新たに国営公園の整備事業に着手することとしております。  また、公営住宅の住戸規模の拡大、既存住宅の改善など住宅の質の向上に努め、さらに大都市における住宅建設、宅地開発の円滑な推進を図るため、関連公共施設の整備について新たに制度を設けるなど事業の促進に努めることとしております。  次に、道路整備につきましては、新たに策定される第八次道路整備五カ年計画に即して事業を強力に推進することとし、明年度は、地域住民の生活に密着する市町村道、交通安全施設の整備を重点的に進めるとともに、都市機能の向上と環境改善を図るため都市周辺のバイパス等の事業を促進する所存であります。  また、治水事業につきましては、昭和五十年の六号台風などによって被害を受けた石狩川水系、災害多発地域の中小河川等を重点的に整備するほか、河川環境整備事業を促進することといたしております。  さらに、今後の水需要の増大や洪水調節に対処するため多目的ダム等の建設を促進することといたしております。  以上、北海道総合開発行政に関し所信の一端を申し述べましたが、今後とも北海道総合開発の推進に全力を傾注して取り組んでまいる所存でございますので、各位の一層の御支援をお願い申し上げる次第でございます。
  312. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 以上で所信聴取は終わりました。  所信に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時五分散会      —————・—————