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1978-04-24 第84回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十四日(月曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      三治 重信君     田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 斎藤 十朗君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 岩上 二郎君                 岩崎 純三君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 案納  勝君                 寺田 熊雄君                 丸谷 金保君                 沓脱タケ子君                 田渕 哲也君                 野末 陳平君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君    政府委員        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        内閣総理大臣官        房管理室長    小野佐千夫君        内閣総理大臣官        房同和対策室長  黒川  弘君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁長官官房        会計課長     大高 時男君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        警察庁警備局長  三井  脩君        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治大臣官房会        計課長      中野  晟君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        行政管理庁行政        管理局審議官   關  言行君        運輸省航空局飛        行場部東京国        際空港課長    松尾 道彦君        自治省財政局財        政課長      関根 則之君        会計検査院事務        総局第一局長   前田 泰男君    参考人        北海道東北開発        公庫総裁     谷川  宏君        公営企業金融公        庫理事      内山 鉄男君        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     千葉  博君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十二日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、自治省及び総理府のうち、警察庁北海道開発庁と、それに関係する公営企業金融公庫並びに北海道東北開発公庫決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質疑通告のない内山公営企業金融公庫理事及び谷川北海道東北開発公庫総裁は退席をされて結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に交付税の問題について御質問申し上げますが、十年ほど前から消防の一部事務組合というのが自治省指導によって各地にできたわけでございますが、このとき、一部事務組合をつくると交付税相当めんどうを見ていただけるので大変有利になるというふうなことで、特に北海道ではほとんど全部できたんではないかと思います。これらのことで全国的には、そういう点で一部事務組合等をつくって消防自体をとりまとめたというのは、大体どのくらいの割合になっておりましょうか。
  7. 山本悟

    政府委員山本悟君) 広域行政の一環といたしまして、消防等事務につきまして、なるベく組合で広域的に行ったらどうだというような指導は全体といたしまして行っていると存ずるのでございますが、全国でどれだけのものが消防に関しまして一部事務組合をいたしましたか、ちょっとただいま手元に私ども資料を持ち合わしていないところでございます。  なお、交付税との関連におきましてただいま御質疑があったわけでございますので、交付税との関連を申し上げますと、御案内のとおり、消防費は、普通交付税において基準財政需要額消防費によって算定をいたしているわけでございますが、いずれも個々団体消防を持つものと仮定をいたしまして、その上での算定でございまして、組合で一括して算定をするという手法をとっておりませんので、交付税との関係で直ちにどうこうという問題は起こらないのじゃないかと、かように存じます。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、交付税基準財政需要額の中で、一応常設消防を持ったものとして算定する、それは常設消防を持っていないところとは別に基準算定をしておるというふうに解釈をしてよろしゅうございますか。常設でなくて常備ですね。
  9. 山本悟

    政府委員山本悟君) 単位費用は、人口十万でございますから、当然のことながら常備消防計算をいたしているわけでございますが、常備消防を置いていない団体につきましては、補正係数におきまして、消防費密度補正でございますか、これによりまして常備消防を置かない——失礼しました。態容補正のうちの権能差補正というので、常備消防を置かないところはそれだけの経費はかかりませんから、割り落としをするというような方向によりまして区別をいたしております。したがいまして、組合その他におきましても、常備消防を置くということになればこれは常備消防を置いたものとしての補正係数を適用し、置かない場合には置かないものとしての態容補正権能差補正を適用する、こういうことによりまして、常備消防を置いたか置かないかということにつきましての実態と合ったような需要計算をいたしております。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 交付税性質上、三税のパーセントによって先に頭金額が決まってまいります。それを配分するわけでございますから、片方に寄ると片方はそれだけ減るという性質配分が行われることになろうと思います。それだけに、厳正公平を期していただかなければならない性質のものだというふうに存じますが、消防の場合には、そういうことで、何か、要するに常設消防を置くということが小さな町村ですとできないので、一部事務組合をつる。ところが実態は、一部事務組合をつくって、交付税需要額算定では非常にどこも足りなくなってきておるというのが実態でなかろうかと思いますが、そこら辺の実態をどのように受けとめておるか、御説明願いたいと思います。
  11. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおりに、交付税制度から申せば、より的確に各団体財政需要計算をしなければならないわけでございます。消防費に関します限りは、私ども、マクロでございますから、個々団体すべてというわけではございませんが、マクロとして見ます場合には、実績決算額との対比からいたしましても、基準財政需要額相当によく計算されていると。これは決算基準財政需要額との対比ということをやってみますと、そういう数字が出ているわけでございます。ただ、これも個々団体あるいは地域によってといろいろな事情があるわけでございますので、すべてがすべてというわけではございませんけれども、総体としては、基準財政需要額性格からいきまして、消防費に関しては非常によく算定されているんじゃないか、かように思っているわけでございます。  なお、先ほど御指摘がございましたように、交付税国税三税に対する一定の率で決まっているということでございまして、他の方に持っていけば他の方が減るじゃないかと、こういうことでございますが、御案内のとおり、毎年度地方財政計画の策定を通じまして、地方団体といたしましての、地方財政全体といたしましての財源不足額というものは、交付税増額なりあるいは地方債増額なりということによって措置を完全にいたしてまいっているわけでありまして、総体として見ていきます場合には、常備消防化することによりまして経費がふえると、その分は財政計画上の歳出の方に必要なものは立てていく、こういうような措置もされるわけでございますので、財政措置といたしましては、総体としてはできていっているんじゃないかと思うわけでございます。  ただ、個々団体配分となりますと、御指摘のように、実態がいろいろございますので、それについての的確な算定努力をしなければならないと思っております。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 ここで特別交付税の、ひとつ、性格と言いますか、制度上の趣旨、これを簡単に御説明いただきたいんですが。
  13. 山本悟

    政府委員山本悟君) 特別交付税は、交付税法の第十五条に、「特別交付税の額の算定」という規定があるわけでございまして、その趣旨といたしますところは、普通交付税計算によりますところの基準財政需要額算定によっては補足されなかった特別の財政需要があること、あるいは普通交付税計算に使われます基準財政収入額算定のうちに、著しく過大に算定された財政収入があると、こういったこと。あるいは交付税——普通交付税は御案内のとおり、八月に決定するわけでございますが、その後に生じた災害等のための特別の財政需要がある、あるいは財政収入の減少があること、そういったような特別の事情があることによりまして、やはり普通交付税というものではどうも過少であるというような団体に対しまして、そういった団体財政状況を総合鑑定いたしまして配分をいたす、こういうような性格を持っているところでございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 大体予測されないような事態、災害、そういったものを中心に、予備費的な意味で特別交付税というものはあるんだと思いますが、実態は、たとえば消防費を例にとってみましても、当然これは予測される経費でございます。予測される経費でございますから、普通交付税の中で計算をしていかなければならないはずのものでございますが、全国的に見て、特別交付税配分の中で、六都道府県、九州から東北までをとってみましたところ、その中の北海道を除いた本州府県において、ほとんど、財政規模余り大きくない町村において、例年同じような形で消防費配分されております。北海道が非常に少ないというのは、常備消防を持って、計算基準がそれにウエートを置くというふうなことからだろうと思いますが、恐らく、本州の、私の方で調査いたしました町村においては常備消防を持っていないのではなかろうかというふうに推測いたします。したがって、それらのところでは、ほとんど同じように、毎年、消防特別交付税算定の中に大きく組み込まれているというのは、一体予測をどうしてされないのか。どうして、そういうものが特別交付税の中にこんなに大きく、相当大きな金額で入っておりますが、どういうわけなのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  15. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおりに、先生お調べの各団体におきます特交配分の中に消防負担金というのが相当に入っていること、御指摘のとおりでございますが、やはり組合といったようなものでやっていきます場合に、御案内のとおり、個々団体町村におきますところの態容補正趣旨というようなところで都市化程度計算いたしておるわけでありますが、それと、やはり中心になります都市と申しますか、まあ町の場合もございますけれども、中心のところとの差というようなのが、やはり普通交付税では画一的でございますので出てこないといったようなことがあるものでございますから、ある程度のものは特別交付税でも見ざるを得ない。これは結局、普通交付税算定というのが、何と申しますか、画一的であるというところから、その差というものをある程度特別交付税において補てんするといいますか、補充するといいますか、というようなことも必要になってくるということの一つの例であろうかと思いますが、そういうようなこともございまして算定をいたしているというふうなことでございます。  それからもう一つ申し上げますが、この消防負担金というかっこうで書いてあります部分につきましては、御案内消防団員等公務災害補償等基金がございますが、これの掛金があるわけでございます。この掛金が、普通交付税の方で個々団体ごとに入れにくいものでございますので、それの実績を見てやる必要があるというようなところからいたしまして各団体計算している、こういうような事情があるようでございます。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもちょっとそこのところがよくわからないんですが、たとえば、宮城県の二つ町村の場合でも、四十九年度に八百五十万、五十年度に九百四十万、別な町村は四十九年に五百三十万、次の五十年度には六百万というふうに、やや似通った平均的なものであって、予測を当然されるじゃないだろうか。こういうところにも年々特別交付税というものが入っていきますと、まだほかにも例がございますけれども、とりあえずいま宮城県をとってみましたが、これらは当然税の性格上、普通交付税基準財政需要額の中に見込んでいかなければならないようなものでないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  17. 山本悟

    政府委員山本悟君) まあ消防は、御案内のとおり、普通交付税基準財政需要額算定人口でいたしているわけでございます。人口と、それから消防団員の数というのも、実を申し上げますと、なかなか正比例もしがたい点もございますし、まして、その負担金というようなものになりますと、どれだけ加入しているかというようなことも入ってまいりますので、そこまで普通交付税補正というようなかっこうでの算定というのは、非常に手が込み過ぎるんじゃないかというようなことで、現在では特別交付税の方でやらしていただいているというようなかっこうになっているわけでございます。  さらに、しかし細かくやればできるじゃないかという御議論でございますれば、それはやって不可能なことはないかもしれませんが、そこまで普通交付税でやることがいいのかどうか。余りにも、御案内のとおり、普通交付税、現在でも補正その他細かいと言われているわけでありますが、その辺のところを勘案いたしまして、現在のようなかっこうをとらしていただいているということでございます。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから病院の問題でございますが、前回予算委員会でも、病院赤字を申し上げておきましたが、赤字対策の問題について。あのとき、私は大体北海道の一町村の例をとりまして、基本税収の五〇%くらいを繰り入れしている町村があると、こういうふうに申し上げました。ところが、その後、その議論に対して、丸谷議員は少し認識不足だと、基本税収まるまるつぎ込んでも足りないくらいの町村があるんだぞという反論を実は北海道へ帰って受けました。で、調べてみましたら、実際に、ほとんど税を病院につぎ込んでしまっているというような町村実態も実はわかって、私自身、事の深刻さにびっくりしたんです。これらについて、一体自治省側は、決算の、たとえば五十一年の決算、これは五十三年版地方財政白書の中で、五十一年度地方公共団体決算状況ピンチを抜けたというふうに自治省は報告しております。実際にこういう内情を抱えながらピンチを本当に抜けたんでしょうか。そうお思いになっておりますか。
  19. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおりに、公立病院につきましては、非常に赤字経営をおやりになっているところが多いということはもちろん存じているわけでございますが、ただ、いろいろと経営努力というようなことが行われました面もございまして、この白書で申し上げましたのは、総体として経営努力等の結果、病院経営主体数からいけば相当程度のものは、何と申しますか、赤字が減少するといいますか、あるいは不良債務というものをなくしていくような方向に向かっている。ただ、そうじゃない、残ったところにつきまして、大きな赤字を抱えている経営体のあることは、この白書でも申しているはずでございまして、そういうように、何といいますか、全体としてよくなる方向に向かっているものと、それからよくなる方向が見出せないでいる病院というのがそれぞれ分化しているといいますか、こう二つ方向に分かれてきているというような感じがいたしているわけでございます。  まあ、この白書の中でも触れておりますように、純損失というのは、五十年に比べて五十一年は、比較としては相当減ってきているというような傾向も見れますので、そういうことを申しているわけでございますが、なかなかうまくいかない病院はやはりうまくいかないと。毎年東京都もそうでございますが、あるいは北海道等に伺いましてもそういうものがあると思いますけれども、うまくいかないところについては、やはり何といいますか、いい方向にまだ向くだけの体制になっていない。したがって、ますます赤字額が多くなっているというところが相当数あることはよく存じております。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは四十九、五十年の数字ですから、現況とやや異なる点があると思いますけれども、大勢として私は変わってないと思うのは、病院赤字というのは依然として市町村を大きく苦しめている特殊な状態でなかろうか。公立病院を持っている市町村と持っていない市町村と、これは持っていないところはそれだけ住民サービスが悪いんだから、したがって持っているところがそれに大きく住民税を投入しなければならないのはやむを得ないという理論は一方であると思います。しかし、実際には、ほとんどが過疎地というふうなところが多いわけです。病院を持たざるを得ない。この実情というのはおわかりいただけると思います。そうしてこれはもういま持っているものをとても町村でやめるわけにいかないんです。まあ持っていなかったところは不便をしているんだからというふうな議論だけでは、これはもう解決できない私はデッドロックに乗り上げているんじゃなかろうか。まあ医療行政全体厚生省の所管ですし、そちらの方にかかわる問題が非常に多いと思います。しかし、それらについて、いわゆるもう非常に基準財政需要額の中で普通交付税で見込めない計算に、いま消防の問題を御説明いただきましたが、同じように、持っているところ、持っていないところがあるんですから、普通交付税の中で見込めない、どうしてもそれらの赤字の要因というものは特別交付税というふうな形で処理していただかなければならない。その限りにおいては、ある程度確かにこの病院を持っているところ、これについては相当程度配慮は見る限りされているようでございますけれども、私は実際にはまだまだ少ないんじゃないかという気がいたします。この程度ではとても焼け石に水の処置しかとられていないというふうに考えます。  たとえば、九州の小国町、ああいうところはもう病院をどうしたって持たなければ、ほかへ出るなんということは不可能なところです。大変不便な、私もずっとあそこへ行ってみたことございますけれども、行政視察に参りましたけれども、まずどこへ行くにしても大変な、こういうところは、どんなに少ない人口であろうと、患者数が少なくても、病院は持たなきゃならない宿命をしょっています。それに対して病院の手当て、私はこの程度でもってとてもなかなか賄い切れないんじゃないか。全国的に、そういうことは北海道だけでなく、各地ともにそういうことが言えると思いますんで、それらについてひとつ特別交付税の配付では十分今後御配慮をいただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  21. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 全国地方団体で、病院を持っておりますがゆえに財政的に非常に苦労していることを私もよく承知をいたしております。  そこで、財政局長が答弁をいたしましたように、マクロ的には好転をいたしておりますけれども、しかし、個々病院につきましては、いまなお大変な苦労をいたしておるのでありまして、そこで、御承知のように不良債務のたな上げを行いまして、再建を進めておるのでありますけれども、再建努力を今後ますますしてもらわなければならぬことは当然でございますが、しかし、補助金をさらにふやします方策を厚生省へよく依頼をいたしてまいりますとか、あるいは自治省でなし得まする交付税計算等につきましては今後特別の配慮をいたしてまいると、かような考え方でございます。
  22. 山本悟

    政府委員山本悟君) 基本的な方向考え方は、ただいま自治大臣からお述べになりましたとおりでございまして、私どももさように存じておるところでございますが、過去の実績を御参考までに申し上げますと、たとえば五十一年では百六十四億六千万、そのときの全体の交付税伸びというのは一六%でございますが、この関係につきましては約二三・八%を病院関係には伸ばしていると。また、先般配分いたしました五十二年度措置額は百九十七億七千万でございまして、交付税伸びは全体で一〇%でございますが、病院関係は二〇・一%伸ばすというようなことで、実際に大変に困っているところもあるわけでございますので、そういったことをよく頭に置きました上でウエートをかけて特交といたしましても配分をしてまいりたい。過去においてもしてきたわけでございますが、さらにその努力を続けたい、こう思っております。
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、この交付税制度の問題なんですが、非常にそういう点で、病院赤字などで困っている町村、これはせっせと交付税増額要求——要求というよりも陳情を続けております。町村長の大会などあるたびに出てきて実は陳情もいたしておりますが、なかなか見てもらえないというふうな状況で、実態とは相当離れております。  そして、それらを通じて、実は特別交付税、私は見せていただいた限りではわりあいと公平にできているなと。それぞれそれなりの理由があって積算されて、特別交付税といえどもきちんと省令に基づいた、その年その年の交付税の、特別交付税配分基準市町村からの出させる基礎数字、そういうものの基準がきちんとできておって、それに基づいて計算ができ、わりとそういう点では公平にできているなというふうに実は拝見して安心したんですが、しかし、巷間伝わるところはそういうふうに伝わっていないんです。何か交付税というのはもう都道府県の地方課が鉛筆のなめ方一つでどうにでもなるんだというような実は伝わり方が非常にしております。そのために、赤字病院を抱えたようなそういう町村長になりますと、せっせと地方課へ通って、地方課のごきげん取りをしなければこれはふえないんだと、こういう空気が非常に強うございます。  しかし、これを見る限りにおいては、病院赤字対策交付税にしても、少ないは少ないなりの均衡のとれたものが行われているというふうに考えますと、一体どうしてそういうずれができるのか、特別交付税という制度そのものに何か欠陥があるのかどうか、この点につきまして財政局長、どう思いますか。
  24. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御案内のとおり、特別交付税といえども、具体の計算方法の大部分というのは、省令等に規定をいたしまして、その線に従いまして各団体配分をいたす。町村分につきましては、都道府県知事に権限委任をいたしまして、その都道府県の枠総体というものは各項目に従いまして自治省から配分をしていく。したがって、その中に各団体ごとの分を都道府県知事に計算してもらう、こういうようなことでございますが、御案内のとおり、最終的には当該団体財政需要総体を考慮いたしまして配分をするということになるわけでございますので、財政状況の比較的いいところについては、特殊な財政需要があっても余りそれを計算しない、非常に財政状況の悪いところについては特殊な事情計算して交付税特交の額をふやす、こういうような配分の方法というのが最終的にはとられるわけでございますけれども、それはそれなりにやはり財政状況がいいか悪いかと。需要計算が、普通交付税上の計算が合っているのか合っていないのか、収入が過大なのか過少なのかという客観的事実があるわけでありまして、そういうものに従って各知事もやっていただいているというぐあいに私ども確信をいたしているところでございます。  したがいまして、そういう点から言いますと、地方課が鉛筆をなめる云々というようなことはあり得べからざることであり、またあってはならないことであり、さようなことは全く私どもとしてはそういうようなやり方では困る。やはり客観点に、合理的に、どなたから見てもやはりそれはそれなりの理由があるということで御理解をいただけるような配分でなければ困ると思っておるところでございます。
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 私も、七都道府県十四町村の資料をちょうだいいたしました。そして、岡山県を除いて、ほとんど私自身が何らかの形で足を踏み入れた町村を選びました。そして、その中から財政事情の大体似たようなところを特に選んだんです。それの出てくる限りでは、似たようなところは似たような配分が行われているので、実はその限りにおいては安心したんです、わりと公平にいっているなと。  ただしかし、巷間伝わっているのは、たとえば最近各地の首長の選挙、何度か応援に行っておりますが、必ずと言っていいくらい特定の側から——これは大臣、よく聞いておいてください、特定の側から、反対側の首長が出たら国からの補助金交付税特交はいろんな点で損をするんだよというような、住民に対するあからさまな宣伝が行われております。これは、私一人でなくてたくさんの人が聞いていると思います。しかし、私が調べた範囲では、わりあいと公平にできていて、そんなふうになっていない。こういう点について、大臣、一体どうお考えになりますか、ひとつ明確に、これは非常に大事なことなんでお答え願いたいと思います。
  26. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 交付税の交付につきましては、御承知のように都道府県並びに市の分につきましては、直接自治省算定をいたしまして交付いたすのでございますけれども、町村分につきましては都道府県知事にその交付の配分の権限を移譲いたしておるのでございますが、しかし、都道府県、市町村を通じまして、いま財政局長が説明いたしましたように、基本的なことは法律に書き込んでございますし、また政令におきまして詳細な規定を設けておるのでございますから、したがって、首長がどのような立場にあられましょうとも、その団体財政状況によって配分せらるべき性格のものでございます。ですから、首長がかわるとか、かわらないとか、だれが首長であるとか、またその首長の政党的立場等によって左右さるべき性格のものではないのでございますから、自治省といたしましても、みずから算定する都道府県並びに市の分におきましてはもとよりでございますけれども、各都道府県知事に移譲いたしております町村分につきましても、厳正を期してまいっておるのでございますから、特定の立場によってそのことが交付税を左右いたす、かようなことは断じてないと御理解いただきたいと思います。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 選挙関係、選挙部長ですか、いまの大臣の御答弁で私は理解できるんです。ところが、いまの大臣の答弁と違うような形で——ちょっとよく聞いてくださいよ、違うような形で、公の場で、特定の候補の応援者が、あたかもそれは差がつけられるべきかのごとき言辞を弄した場合には、何らかの形で選挙の違反に該当しますか。該当するとすれば、そういうひとつ法文をお願いいたしたいと思います。
  28. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  29. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 速記を起こして。
  30. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 公職選挙法には利害誘導に関する罪というような規定がございまして、当選を得若しくは得しめまたは得しめない目的をもって選挙人または選挙運動者に対しその者またはその者と関係のある市町村等に対する特殊の直接利害関係を利用して誘導したときという規定があるわけでございます。そこで、ただいまお話しのことでございますが、一体これが事実関係におきましてこのような規定の構成要件等に該当することになるかどうか。これは非常に事実関係いかんによるものでございますので、御質問によりまして直ちに申し上げることができないわけでありますけれども、そのようなことにつきましてはこのような規定があるということでございます。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ具体的に質問申し上げますので、具体的にお答えください。  Aという候補が当選すれば、国は交付税その他では思い切ってめんどうを見る。Bという候補が当選したら、国や都道府県は交付税を減らすでしょうと、こういう演説をしたら、これはどうなります。これはどうですか、かかりますか、かかりませんか。
  32. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) ただいま申し上げました選挙人または選挙運動者に対しその者またはその者と関係のある市町村等に対する特殊の直接利害関係ということでございますけれども、これにつきましては、選挙人または選挙運動者にまさに直接的に利害関係のあるということがこの規定の構成要件であるわけでございまして、何と申しますか、その市町村一帯と申しますか、その地方全体ということに関連するものにつきましては、直ちにこれに該当するかどうか断定いたしがたいと申し上げる次第でございます。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一回言いますよ。いいですか。Aという候補が当選したら、国は交付税特交をふやしてくれるだろう。Bという候補が当選したら、国や都道府県——この場合は国や都道府県と言っているんですが、国や都道府県は交付税特交余りよけいつけてよこさぬぞと。これ具体例ですよ。この場合は違反になるかならないかと聞いているんですから、なるとかならないとか、最終的に中央選管なり、あなたのところでは結論出さなければならぬでしょう。私はいま具体的に言っているんです。この場合なるかならないかなんで、一般論を聞いてないんですから、なるとかならぬとか言ってください。設問しているんです、設問を出しているんですから。
  34. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 設問を挙げての御質問ではございますけれども、まだこれにはいろいろと他に事情もありますと考えられますので、直ちに御質問の事柄だけで断定をすることはできないわけでございます。  ただ、いま申し上げましたいろいろと利害誘導等の場合には規定があるわけでございますけれども、選挙人または選挙運動者に対する直接利害関係、これについてしばしば引かれます例を申し上げますと、たとえば都道府県道とか市町村道とかいいますような場合におきましても、最もこの場合に当てはまりますことは、あなたの前のこの道とか、あなた方のこの前の道というような具体性を持った場合に該当するということは言われておりますけれども、ただいま御指摘の例が当たるかどうかにつきましては断定はいたしがたいと申し上げる次第でございます。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあいいでしょう。それはわからないということですね。いつわかります。中央選管あるいはあなたのところでは、該当するとかしないとかという答えを出さなきゃならないんでしょう、質問があった場合に。どうなんですか、最終的に。それはないんですか。
  36. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 私どもの自治省におきましては、ただいまのような事例につきまして直ちに、何と申しますか、この違反を取り締まるという立場でないことはこれは御承知のとおりであるわけでございまして、一般的な解釈について申し上げる次第でございます。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、一般解釈についてはその程度のことでは答えは出せないということに解釈してよろしゅうございますね。
  38. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) むしろ私がいま断定いたしがたいと申し上げておりますのは、ただいま申し上げました選挙人または選挙運動者に対しその者またはその者と関係の特殊の直接利害関係を利用してという言葉の面におきましては、当該地方団体の全体の利害関係について見解を述べるということは原則として利害誘導には該当しないと、こういう考え方があります。したがいまして、あとはお話しの実際の問題がもっと別の要素があるかどうかということでございまして、一般論といたしますと、市町村に対する交付税といったような、そういう市町村全体に利害関係のあるもの、これは原則として当たらないというふうに解せられているわけでございます。そこで、このように断定できないということを申し上げる次第でございます。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 次に、共済組合関係の問題。  実は病院赤字というふうなものが非常に多くなってきておりますが、それと同じように、全国市町村共済組合等においても短期給付の関係赤字が目立ってきております。この関係につきまして、それぞれ組合では負担金を増徴しなければならないんじゃないかと。そうしますと、職員の負担というのは非常にふえるわけですが、これについて、現在の被用者側、被使用者側、その他の割合を何とか考慮してくれというような声が非常に強うございますが、この点についてのひとつ御見解をお願いいたしたいと思います。
  40. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま市町村共済の短期の負担率の問題についてお尋ねでございましたが、現在私ども五十三年度の予算は一応終わったわけでございますが、各組合と話し合いをいたしまして、ごく一部まだ残っておりますけれども、大体五十三年度の負担につきましては話し合いがついております。御承知のように、組合員と当局とはフィフティー・フィフティーの折半負担でございますが、その負担率を御指摘のように若干上げていかないとできないという状況がございまして、毎年組合側と私どもの間でよく話し合いをしまして、そうして予算編成をやっていただいておるわけでありますが、ことしの予算編成につきましてはおおむねでき上がったという状況でございます。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 市町村組合だけでなくて、各健康保険の制度赤字がふえておりますが、特にわりあいと掛金も多い、個人の掛金も多い市町村の共済組合赤字がふえてきているという大きな原因、これは病気が非常に多いんだと思います。それだけまた市町村の職員というのは、災害があるとか、伝染病が起きるとか、いろんなことで選挙のときなどはもう本当に何日も夜業をやらなければならぬというような、大変時期的に過労な職務を進めていかなきゃならないと、こういうのが実態だと思います。それからまた、非常に忙しいところもございます。また一面、先ほど質問申し上げましたように、消防職員のように、暇なことが大変住民の福祉になる。これが忙しけりゃ大変だというふうな職種もございます。しかし、総体として大変忙しい。こういう中で、一体交付税基準財政需要額の中における職員の厚生費、これは大体どの程度見積もっておるのでございましょうか。
  42. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 福利厚生費といたしましては、五十三年度に一人当たり三千七百円でございます。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 御承知のように、職員の給与の方は、各種の民間団体のいろんなその年の昇給が五%を超えた場合にベースアップというふうなことで、基準計算が人事院の勧告で出ております。しかし、そういう給与関係だけでなくて、こういう厚生費についても、そういうことを実は考えなければならないんではないかと思いますが、これは、ここにありますのは五十一年度でございますけれども、民間の大手企業、一人当たりの法定外福利費の平均が一万六千二百二十八円です。こういうのに比べて、しかもそのうちの大半は、もう週休二日制を採用しておるというふうな状況になってきておりますが、特に商社関係にそういうことが多いんですけれど、これらに比べて自治体職員の厚生費というのは余りにも少ないんじゃないでしょうか。それと、また、それが実際に市町村の予算の中では、そんなものでない、それぞれ皆さん見ておると思います。しかし、過疎地に行きますと、なかなか三千七百円パーの計算を福利厚生費として見ていないような町村も多いわけでございますが、これらの見解並びに指導、特に民間との格差については、大臣いかがお考えになりましょうか。ひとつ見解をお伺いしたい。
  44. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私からまず民間との実情を申し上げますと、法定外福利費につきましては、五十一年度の調査で、いま先生の御指摘ございましたように、民間が一万六千二百二十八円でございます。ただ、それに対しまして、公務員の場合が、五十一年度は三千四百八十二円でございますから、かなり差があることは御指摘のとおりでございます。ただ、福利厚生費は、いま御指摘の法定外福利費だけでなくて、法定福利費もあわせて考えるべきものであろうと私ども思いますが、あわせて見た場合には、五十一年度で申し上げますと、民間が三万四千八十二円であるのに対しまして、公務員の方は三万一千四百七十一円ということで、両方、全体を見た場合には必ずしも大きな差はございません。ただ、御指摘のように、法定外で見た場合には確かに大きな差がございます。  ただ、法定外福利費、いま五十三年度交付税上三千七百円と申し上げましたが、実際にはそのほかにもいろいろ、たとえば互助会というような活動を通じて行われることもございますし、あるいは共済組合の活動を通じて行われることもございまして、これだけではないとは思いますけれども、法定外につきましては格差のあることは事実でございまして、これは私ども逐次改善していかなければならないと思っております。
  45. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御承知のように、公務員の福祉関係につきましては、厚生制度、共済制度災害補償制度、この三つの制度が福利厚生の三本柱になっておるのでございまして、そこで私は、地方公務員の皆さん方にもこの制度が十分に利用され、そして福利厚生も逐次向上いたしておると、かように判断をいたしておるところでありますけれども、いまの御質問の御趣旨は、民間との対比のことについてでございました。法定福利厚生費と法定外とを対比いたしますと、さほど大きな開きはないのでありますけれども、しかし、それにいたしましても、若干ではありましても民間との開きがございます。そこで、国家公務員の給与につきましては、御承知のとおり、民間給与を基準に勧告がなされ、それが実施されておる。地方公務員につきましては、国家公務員と権衡を保っていかなければならぬ、かようなことでございますから、結果といたしましては、地方団体におきましても、また民間の給与、福利厚生等と権衡のとれたものでありますことが理想でございますから、今後もそういう方向努力をいたしてまいるべきだと、かように考えております。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま権衡の問題が出てきたんですが、実は公立学校の事務職員の給与についての文部省からの通達が各都道府県の教育委員会あてに出ております。それによりますと、高等学校以下の公立学校における事務職員の給与等については、かねてより御配慮のことと思いますが、これが処遇のいかんは、学校運営、事務能率等にきわめて大きな影響を及ぼすものと考えられますので、下記の点に御留意の上、これが処遇の向上について、格段の御配慮を願いますということで、事務職員が一般職員に比して非常に不均衡な取り扱いを受けないように配慮願いたいと、これは文部省の通達ですが、文部省がそういうことをやっておっても、これは自治省の方が、今度は一般の地方公務員との均衡ということになると、ここでこれらがぶつかり合います。文部省はそんなことを言ってもそんなふうにならないというお考えか。やはり文部省の通達というのは、自治省も事前に相談を受けて、文部省は給与関係ですから、通達を流しているんだろうと思いますが、この点はいかがなんですか。
  47. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いまのお話のございました通達は、恐らく三十二年の文部省の通達だろうと思いますが、お話しのとおりのような内容でございます。私ども現在の給与制度におきまして、職務給の原則が基本とされております。したがいまして、異なる職種には異なる給料表を適用するということでその職務給の原則が生かされておるわけでございますが、学校の事務職員の場合、教員との間にはおのずから職務上の違いがございます。したがいまして、その差が職務給の原則によりまして違った給料表で出てくることは、これはもうやむを得ない問題であろうと思います。特に最近のように、人確法によりまして教員の給与改善が行われてきておりますが、相当改善されてきておりますが、これはあくまでも義務教育の諸学校の教職員に人材を確保するという政策的な意図に基づくものでございまして、このことと私どもは事務職員との問題、あるいは事務職員以外の私どもの、私どもといいますか、一般行政職の職員との間の権衡問題とは、これは別個の問題であるというふうに考えざるを得ないというふうに思っております。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、昭和三十二年の文部省の通達などというものは、もうすでに空文だと、こういうことでございますか。
  49. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そういう気持ちではございませんで、いま申し上げました三十二年の通達の後、引き続きまして五十年の三月に、文部省は人確法の実施に伴いまして新たな通達を出しております。その中で文部省は、「なお、公立学校における事務職員の給与等については、かねてより御配慮のことと思いますが、この際、特に、適正な格付けの実施、時間外勤務手当の適正な支給、任用・配置の改善等その処遇の改善について格段の御努力をお願いします」ということを申しておるわけでございますが、私ども、この文部省のこういったお考え、御指導について、私ども決して異議があるわけではございませんで、そういう意味で文部省の先ほどの通達がもう空文だとか、そんな気持ちで申し上げておるわけではございません。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういたしますと、事務職員の給与についても調整給的なものは必要だと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。  たとえば昇格運用とか、そういう面で現在の格づけを一つ上げるとか、そういうふうな程度のことは考えられるということですか。
  51. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いまのお尋ねは、事務職員につきまして、調整額等を例に挙げられましてそういうようなことについての考えがあるかというお尋ねでございますけれども、私ども、これはやはり他の一般行政部局の職員との均衡という問題も当然これはあるわけでございまして、地方公務員の給与体系全体の中でこれをどう位置づけるかということをやっぱり考えざるを得ないし、当然考えるべきだろうと思います。そういったことも含めまして、他部局との人事交流といったような問題まで含めまして検討すべき問題であって、いまここで調整額等についてもちろん案を持っているわけでもございませんし、その方向でいま考えるというふうなお答えのできる段階ではございません。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、いま自治省が金科玉条のごとく国家公務員との給与の権衡ということを地公法に基づいて強く主張しておりますけれども、実態相当あっちこっちで崩れてきておりますね。そういうそれぞれの市町村の長の権限、これを侵すことのないように私はしなければ、地方自治体というふうなものは何かという問題まで出てくると、こう思うんです。  先月、予算委員会で、給与のバランスが崩れたといえども特別交付税の減額要因にはならないという明確な御答弁をいただいておるので、そのことは強く主張いたしません。しかし、崩れている。たとえばそれぞれ基準町村に保健婦の設置を決めております。しかし、実際に保健婦、これは北海道だけかもしれませんが、いまの国家公務員なり地方公務員のベースではなかなかどこでも集まらないのです。したがって、いろんな形でこれは上積みしております。それを基準の中で採用しようとすると、三年かかってもなかなかと、そういう実例があります。もう崩れてきているのです。権衡、権衡と言っても、要は給与の体系などというものは、ある意味において相互の需要、供給があります。安くてもいいという場合もあるし、もっと高くなければだめだという場合もございます。権衡を言うならば、それが崩れている、そういう問題は指摘するのですか、おかしいじゃないかと自治省は。
  53. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 国家公務員との権衡を失しないようにということは、申し上げるまでもなく公務員法に書かれた基本的な考え方でございます。一方、私どもが指導いたします場合に、お話のございましたような各自治体の自主性といいますか、それも当然尊重しながらやっていかなければいかぬということもこれまた私どもの基本的な立場でございます。いまたとえば保健婦のお話がございましたが、最も典型的なのは僻地のお医者さんなんかでございますけれども、そういうような個々の自治体の個々事情、特殊事情によって特別な配慮をしなければいけないと言われるケースはそれはあり得ると思うのです。一概には私どもそれは否定できないと思います。しかし、そのことと、私どもが国家公務員との権衡を失しないようにという指導とは、これは私ども当然指導はしていかなきゃなりませんので、個々にいろいろなケースがあるからもう権衡なんか考えなくてもいいんだ、こうふうにはなかなか申し上げるわけにはいきません。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、原則としては法の精神を生かして権衡の原則というものは守らなきゃならないけれども、それぞれの市町村実態によって個々のケースとしてやむを得ない場合はあり得るだろうと、それを判断するのは自治省でなくて、それぞれ市町村長だと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  55. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 基本的には全くそのとおりでございます。先ほど特別交付税議論がございましたけれども、そういう特殊な事情があって、特殊な財政需要があるということのためにまさに特別交付税などというようなものが使われるべきものだと思うのですけれども、これは私の所管ではございませんけれども、そういう特殊性が認められて対策を立てていかなきゃならぬということはこれはあり得ると思います。そのことと、給与体系が要するに国家公務員と権衡を維持しなきゃいかぬということとは、やはり別の問題として考えざるを得ないだろうというふうに思います。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変実際に悩んだ問題なんですが、私の町の問題を出してまことに恐縮でございますけれども、御承知のように、池田町というのは何にも観光地でないところから非常な観光地になりまして、年間七、八十万から百万というような観光客が入るようになりました。そうしますと、地方自治体の職員というのは動かないんです。十年、二十年、三十年と。親戚がたくさん地方にあちこちにおります。これらが池田町へ訪れてうちの職員のところへ泊まる数だってばかにならないのです。そうすると、これは経費の見てやりようがないんです。そういう特殊な事情があって特殊な経費がかかるときに、権衡の原則が破れてもやむを得ませんね、そうすると。
  57. 塩田章

    政府委員(塩田章君) なかなか具体の事情がよくわかりませんのでお答えしにくいんですけれども、いまお話しのケースでございますと、要するに町の観光政策の問題ではないかと思いまして、そのことが町の給与体系を別に考えていいということにはならないんじゃないかというふうに私は思いますけれども。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはおかしいですよ。非常に経費がかかるんですよ、よそよりも。そして、これは国家公務員の池田に来ている人たちもみなこぼすんですよ、池田に来たら減給になったようなものだと。何か知らぬけれどもお客さんがよけい来ると。しかし、これは何年かで交代していきます。自治体の職員は動かないんですよ。そうすると、権衡の原則だけでははかれない。そうかと言って、そういうのは一切断われと言って町長として命令を出すわけにもいきません。できるだけ親切にしてやれ。そうすると、その分よけいかかるんですからね。長の権限で余分に出してもやむを得ないんじゃないですか。それすらも権衡の原則で抑えるのですか。一体そうしたら自治体というのは何なんです。大臣、どう思います。
  59. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 池田町が観光地として脚光を浴びまして、他の地域から親戚があるからということで大ぜいのお客さんが来られることは想像にかたくないところでございます。だからと申しまして、直ちに池田町の職員の給与が高くてもいいという結論には結びつかないように思えるのでありますけれども、しかし、私どもは都道府県や各地方団体に対しまして指導助言はいたしておりますが、介入はいたしておらないのでございますから、市町村長が判断されまして、池田町の役場の職員には国家公務員と全く同様では困るなあという配意がありましても、そのことが直ちに権衡を失しておるからということで私ども介入いたそうとは思わないのでありますけれども、しかし、たてまえといたしましては、やはり地方公務員は国家公務員と権衡を保っておらなければならぬ、この原則だけは崩すわけにはまいらぬ、かような感じがいたしますし、また親戚の方が大ぜい来られましても、それは身内のことでございますから、お互いに助け合う、あるいは援助し合う、かような精神もまたあろうかと、かようにもいま話を伺いながら感じたようなところでございます。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は池田の例を出したのはわかりやすいから申し上げたんで、その件については地方公務員と国家公務員との違い——転勤して歩いて家族を東京に残しておる高級官僚の方はそれなりにかかるでしょう。かかると思いますよ。ですけど、そういうのではなくて、一般的に考えますと、地方公務員というのはみんなその場所から動かないんです。私は一つの例を挙げましたけれども、冠婚葬祭、それはかかるんですよ。国家公務員と同じでは——恐らくそういうのは調べてごらんなさい。それを権衡の原則、まあそれもいいですよ。しかし、権衡というのは一体何なんです。二倍とか三倍出すというならこれはけしからぬということになりますけれども、一〇%や二〇%は権衡の幅の中へ入るんじゃないですか。国家公務員より安くなかったら絶対だめだということにならぬでしょう。二倍も三倍も違うという場合にこそ権衡の原則に反するということはあるけれど、市町村長の自由裁量権の中で一〇%や二〇%のものまで、権衡を害する、権衡を害するというふうなことになりますか。権衡というのは一体どういうことです。同じだということじゃないんですよ。一体どこまで言うんです。
  61. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 具体的に何%で権衡を失するか失しないかという議論になりますとなかなかむずかしゅうございまして、そういう意味の基準があるわけでございませんけれども、私率直に申し上げまして、特定な事情がよほどない限り、一〇%も二〇%もといまおっしゃいましたが、一〇%や二〇%違えばやはり権衡は失していると言わざるを得ないんじゃないか、一般論としましては。そのように考えます。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 先ほど保健婦の問題のときにお医者さんの問題もちょっと御答弁で触れておりましたが、保健婦にしろお医者さんにしろ、あるいは保母さん、いろいろな特殊な業務がたくさんあります。そうしてそれらは、特にお医者さんの問題をいま提起されましたのでそれにしぼって言いますと、明らかに国家公務員医療職給与表、これに比べると格段の違いがあります。これがなぜ許されているかということは、やはりそれぞれの地域としてはどうしても必要だからということでしょう。その必要だということを最終的に決めるのは自治省じゃないんですよね。いいですか。市町村長なんです。そうしてそれを容認する住民の問題です。ですから、給与の権衡の問題というのは、要は市町村長と住民との間の関係で決まることであって、たてまえ、大臣の言われたたてまえとして出されるのは結構ですけれど、具体的な問題に入っていくといろんな矛盾があるので、私は余り一〇%や二〇%のことで目くじら立てるということは自治権に対する侵害になるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  63. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほども申しましたように、自治省といたしましては地方団体に対しまして指導助言はいたしておりますけれども、しかし、個々の問題につきましての介入はいたさない、かようなたてまえをとっておるのでありまして、各地方団体の自主的な御判断に任せる。ただし、地方団体におきましてもやはり首長の独断専行ではございませんで、議会もあることでありますし、またその地域の住民の皆さん方の納得のいきます行政がなされること、このことを期待をいたしておるところであります。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変大臣から明確な御答弁をいただいて本当にありがとうございました。私も全くそのとおりだと思うんです。これらの問題については、何といっても地方自治体ですから、首長と住民、特に議会、この間で必要だと、あるいは理解があればできるだけそれらの自主性に任せていただいて、これはそのために財政が全くひっくり返ってしまうというふうなことになれば、都道府県なりあるいは自治省なりがどうしても介入せざるを得ないことも起きようかと思いますけれど、そうでない限り、こういう問題についてはただいまの大臣御答弁のようにひとつ事務当局御指導をいただきたいと思います。この問題はそれで一応、大変大臣の明快な御答弁をいただいたので終わりといたしたいと思います。  次に、昭和五十三年の三月二十七日に、各都道府県知事に対して自治省から出た通達の中で雇用問題があります、「当面の経済対策について」という自治大臣官房長からの。この二項で、「地域の雇用創出にも十分配意することとし、」とございます。「この場合、失業多発地域における失業者の吸収は原則として公共事業によることが望ましいが、地域によって道路等の生活関連の地方単独事業を補完的に実施する場合で地元地方公共団体から要請のあるものについては」云々というふうなことがございます。これは大変時宜を得た通知だと思って私は受けとめておるんでございます。  というのは、五十三年まで失業保険が短縮になりまして、特に積雪寒冷地のように大変冬季間の雇用の創出ができないようなところで公共事業を行うということになると、建設業界がこれを請け負うことになります。しかし、実際はなかなかそれができない。また多少あっても、建設業界では本当にちょろちょろと職安と相談してやるというふうなことで、実際にはせっかくの制度がありながら、昨年、五十二年度においては、北海道あるいは東北等について余り実際の効用がなかったんです。当時から私たちは労働省に対して、もう少し地方自治体が単独でできる仕事、これらに思い切って補助金をつけて、そしてそういう雇用の創出をしなければとてもこれは公共事業ではできませんと去年の秋から言ってきたんですが、結局五十二年に関する限りそのように終わりました。いずれ数字に出てくると思いますけれども、全くそのように終わっているんです。で、こういうせっかくいい通知を出してくれたんですから、できるだけ思い切って市町村の自主性を発揮できるように、仕事の内容を余り細かいことを言わないで、それぞれみんな違うと思うんです。これらをひとつ十分活用していただきたい、かように思います。  北海道の例で恐縮でございますが、羽幌町などは去年枝打ちということでやむなく町が自体で雇用創出をやっておりますが、これは補助金の対象にも何にもならないんです、昨年の場合。この点について、ことしはそういう冬季問の仕事、この通達のように起債、それこそ特交あたりで見てくれるのに最もいい仕事でなかったかと思うんですが、そういうものについてどの程度自治省としてお考えいただけるのか、どなたか御答弁願いたいと思います。
  65. 山本悟

    政府委員山本悟君) この通達の二項でも書いておりますように、地域の雇用創出に関しましては、やはり公共事業に中心になってもらわなければなかなかできないと思ってはいるわけでございますが、やはり道路等の地方単独事業で補完的にやる場合、その場合には起債を考慮いたしましょうと、こう申しているわけでございます。御案内のとおり、臨時地方道整備事業債といったようなものもいろいろあるわけでございまして、こういうのも相当程度は画一的に配分をし、それぞれの団体でやっていただきますが、やはり特にこういうものについて重点を置いて雇用のためにやる必要がある、こういったような場合というようなことも頭の中にあるわけでありまして、そういった個々団体事情なり、事業の執行のやり方というようなものをよく拝見いたしまして御希望に応じてまいりたいと、こういうような気持ちを持っているところでございます。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、事務的に言うと、もう大体春のうちから準備は始める予定でございますか、冬にどういう仕事を起債対象、補助対象にしていくというふうなことは。
  67. 山本悟

    政府委員山本悟君) 補助対象というのは、ちょっとこの場合には、自治省としても補助金を持っているわけじゃございませんので、私の方でお答えなり考え方を申すわけにはまいらないわけでございますが、どういうような事業をお選びになるのか、選んで個々におやりになるのか。ただ、これも自治省としてできますことは、やはりここにございますように、地方債というものの活用ということでございますから、適債事業であるということはもちろん必要なわけでございますし、そういったようなものでうまいものがあって、いろいろ御希望があれば御相談には応じていきたい。それは何もそのときでせっぱ詰まってからじゃなくて、こういうものをやっていきたいのだということは御希望をいただいておけば、やはりそういうものに対応できるかどうかということも検討もさしていただかなきゃならぬと思いますので、早い時期にそういったような考え方があれば伺っていくということは非常にいいことじゃないかというような気持ちがいたします。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 実はこの失業対策事業ですが、いまの制度で言いますと、職安に登録しまして、そして雇用協議会とか雇用相談室というふうな形で職安はそれを今度は会社等に流します。しかし、実態は、昨年、失業保険が九十日から五十日で打ち切りになりました。そのかわり、新たに雇用創出ということでそれぞれ仕事についた場合に、会社を通じてそこで働く雇用者に対する補助金を出していく、こういう制度が労働省の方ではできたんです。しかし、少なくとも北海道に関する限り、この求人求職業務を通じて吸収できたのは失業者全体の二割。しかも実態は、会社がどうしても冬の間でも建設会社等が要員として置いておかなきゃならぬ人を一たん失業させてその制度に乗っけて要員として置くと、こういう事例が各地にございます。これは自治省の責任ではないわけなんですが、結局いまの労働行政の中で、職安を通じてやるとそういうことになるんです。なぜなら、きめ細かくわかりません、町村の失業の実態が。出てこなければわからないんです。そのために、制度としてはできましたけれども、実際の運用はこういうことに終わっていますから、多くの不用額が五十二年度で私はこの費目にはできていると思います、労働省で。  そういう金をもらってきて、市町村にこれでやれといって補助金でやるようなそういう仕組みはできないんですか。余っているんです、必ず、使い切れないんですから。何としてもこなせなかったんです。町村がやればできるんですよ、町村がやれば。雪の中でやる仕事があるんです。ここにちょっと写真も持ってきましたけれども、こういうふうな雪の中でやれる仕事がたくさんあるんです、町村にやらせれば。こういう枝打ちですが、これは冬でもできるんです。やる気になれば何ぼでもやれるし、これはまた幾らでも、何といいますか、北海道の場合なんぞはあるんです、どの町村にも。こういうものは補助対象にも何にもならないんです。  ですから、町村に任せれば、その町村町村によって必ずあるはずなんですから、何かそういう点について起債だけでない補助の柱を立てて、自治体が失業対策の中心になってやれるような、そういうことを御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  69. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) いま丸谷議員がおっしゃいました労働省の交付金制度は、五十二年度におきまして十分消化し尽くし得なかったと仮定いたしますならば、私はいまおっしゃいましたような理由もあったでございましょうけれども、やはり金額が少なくて雇用者が積極的な雇用をいたさなかった、かようなことにも原因があろうかと思うのでありますから、そこで私は北海道開発庁長官の立場におきましては、労働省へ申し入れをいたしまして、五十三年度の予算はこの交付金を大幅に引き上げてほしい、かような願望をいたしまして、たしか七万円台に引き上げられた、かように考えておるのでありますから、私は五十三年度におきましては、冬季間にこのことが大いに活用されるのではないであろうか、かような期待を持っておるところでございます。  ただ労働省が交付金を出すような方法ではなくて、自治省みずからが、かようなことでございました。他の省庁と異なりまして、自治省はいわゆる補助金的なものはほとんど扱っておらないのでありますから、やはり失業問題を所掌いたします労働省が今後も大幅に交付金を計上いたしまして、そして冬季問等の作業に役に立つように、かような運びをいたしますのが筋であろうと思うのでありますし、また事業官庁等の各省庁が積極的にそういう処置をとることによりまして、雇用不安の解消にも役立っていくべきだ、これが本筋であろうと思うのでありますから、毎年自治省といたしましては、関係省庁へいろいろ注文をつけ、また希望も申し述べておるのでありますから、その考え方を今後も広めてまいりたい、かように考えておるところであります。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、いまのお話、一々ごもっともなことなんでございますけれども、実態はそうならないということを私申し上げているのです。というのは、失業問題で一番当面悩まされるのは市町村長です。職安でないのです。職安が悩まされると言いますけれど、これはやっぱり何といったって市町村で頭抱えております。それから公共事業で七万円に上げていただいたとしても、仕事がないのですよ、公共事業でやるような仕事は冬になると。ないところにどんなにつけていただいたってこなせるはずがないのです。実際に困っている人のところにいかないで、そうでないところで何となく何割かこなさなければならぬからこうやろうやというふうなことに、事業主はそういうことになってしまいます。ただ、それを市町村に落としますと、それぞれ実態がその町村によってみんな違うと思います。あの七万円を死に金にしないように、特にこの機会にお願いを申し上げまして、時間もございませんので私の質問を終わらしていただきます。
  71. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 ただいま丸谷委員の質問の中にありました公職選挙法にかかわる問題について若干お答えになられましたものがどうも不明瞭であって、当委員会においてそのようなことではどうもあれであろうと思いますので、お尋ねしたいと思うのですがね。  丸谷委員はまことに具体的な問題を提示されたわけですね。Aという候補者が当選すれば、交付税並びに特交等において有利であろうと、Bという候補者が当選すればそうした有利な点がなくなるのではないかということを選挙運動中にそういうことがあった、こういう具体的な事実があったんだが、これに対して御答弁は何か他にも事情があってというようなお話で、明解なお答えがどうも承れなかったと思うんですが、お答えになった趣旨は、そういう事実については公選法の利害誘導ですか、買収及び利害誘導罪、第二百二十一条、このことには触れると。触れるけれども、取り締まりというようなこともあって、具体的な事実がわからないとすべてについて直ちにこれを言うことはできない、こういうお答えであったのかどうか確認したいと思うんですけれども。
  72. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。  私が申し上げました趣旨は、一つには具体的な事実を挙げてのお尋ねということではございますけれども、実はしばしばこの委員会等でそのような御質問があるわけでございますけれども、お言葉にあります事情だけがすべての事情かということになりますと、まだこのほかにいろいろと事情があるということがございますので、お言葉だけについては具体的なお答えができないということをまず申し上げたわけでございます。  もう一点は、公職選挙法に利害誘導に関する規定がございますけれども、一般論といたしまして、地方交付税を話題にすること、市町村の選挙におきまして当該市町村全体の利害に関係することを話題にすることはむしろ原則は利害誘導に当たらない。ここにあります選挙人または選挙運動者に対し特殊直接の利害関係を利用してという言葉があります関係上、これには原則として当たらない。しかし、お話というものの中にその他いろいろとまた事情がございましょう。事情によって、あるいはまたここに舞い戻ってくることがあるかもしらぬ、という意味において断定的にお答えいたしがたい、こういうことを申し上げたわけでございます。一般論といたしまして、地方交付税を話題にすること、このこと自体はここにいう特殊直接な利害関係の誘導ということには該当しないと解釈されております。そこで、一例を申し上げてみますと、いままでの判例などにおきまして、たとえば減税を論ずるというようなことは特殊直接な利害関係には当たらないというような判例もある次第でございます。
  73. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 どうも御説明が理解できないですね。具体的な事実があった場合、そのことには該当しないと。だから、地方交付税特別交付税についていろいろ言うことは減税を論ずると同じような意味での一般的な討論になっているんだと、こういうお答えですが、丸谷さんのおっしゃっているのは、Aという候補者が当選すればこの地域にはこういうものが来るよと、Bという候補者が当選すればそれは来ないよと、こう言っている具体的な事実、選挙というものの運動を通じながらそういうものが行われている場合、これは一般的な地方交付税並びに減税等の議論と同じだという解釈ですか。
  74. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 私が申し上げました趣旨は、先ほど来財政局長の御説明にもありましたとおり、交付税算定というものはあのように客観的に行われているものでございますので、Aの方の場合にはあり、Bの方のときにゼロということがあり得ないことはこれはもう御承知のとおりだと思います。したがいまして、いま設例ではございますけれども、実際あります具体例というものがお言葉のとおりであるかどうかということあたりはなかなか問題のあるところではないかと思います。しばしば委員会等でそういうふうに非常にある問題について特定した形でお尋ねございますけれども、そのことだけの事実ではないのではないかということがございますので、私どもは具体的なケースについてはお答えをいたしがたいということでございます。それに対しまして私どもは、法律を所管するところといたしまして、一般に地方交付税を論ずることは特殊直接に利害関係とはならないということを申し上げたわけでございます。
  75. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 こればかりで時間とるわけにはいきませんが、これは自治六法の解説ですがね、これを見ると、昭和三年四月十日刑ということで実例の一つのあれがあるわけですね。この中には、「荷も選挙人をして事実上特殊の直接利害を感ぜしむべき事実存在し、其の事情は克く選挙人の意思を動かす力ありと認められる以上之を以て足れりと為さざるべからず」、誘導罪は成立すると。ですから、選挙というものを通じて、Aの候補者にはこうだ、Bの候補者にはこうだ、その具体的な結果がこちらも来るであろうし、こっちも来るであろうという一般論で言っているけれども、選挙という事態の中でそれが選挙人の意思を動かすことに足れりということがあれば、これはやっぱり利害誘導罪になるんだという実例があるという、こういうこともあるわけだ。結果としては来ないであろうということがあっても、そのときの選挙に対して選挙人の心を動かすに足れるものの事実がありとすればこれは誘導罪として認めると、こういうような実例もあるわけです。ですから、選挙管理委員会としてこれに対する解釈がどうも私は理解できないんですね。選挙というところに立って、それを動かす力があればこれは利益誘導なんだと、こういう解釈が、実例があるとすれば、これはどういうことですか。
  76. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) ただいま例に挙げられました判例でございますけれども、これにつきましてはやはりその影響という言葉をお使いになりましたが、その一つ前に、直接の関係ということがあるわけでございまして、私が先ほど丸谷委員のお尋ねに対しまして例を挙げて御説明申し上げましたように、特殊直接の利害関係というものの端的な例として申し上げますと、あなたのお家の前のこの道路といったような特殊直接の利害関係というものを言うのであって、都道府県の選挙における都道府県の利害関係市町村の選挙におきます市町村の全体の利害に関係するようなものにつきましては、ここで言う特殊直接の利害関係に当たらない、こういうことを先ほど申し上げた次第でございまして、本件の場合にもそのような考え方でございます。
  77. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 どうも理解できないですね。直接の事実というものをこの前の道路と、こう言うたらば事実だと、そういう事実があればそうだと。しかし、全体的に、ある市町村の一地域を丸めにして、交付税が来ない、特交が来る、これは具体的な事実にはならないんですな、これは。それを感じている者があった場合利益誘導罪になると、こうなってるんですね。あなたのおっしゃることから言えば、それが具体化してこなかった場合はうまくないということですか。そうすると、これはもう特交の場合などは、そこには要求どおりやらないといけませんな、これは。もしやらなければ、それは選挙違反になるんだよ。おのずからそこでは特別交付金並びに交付税の一般公平的な配分方式を超えて——もし選挙民からそういう声があった場合ですね。ですから、全体としての一般的な問題として交付税はかくあるべしとか——それを選挙運動に利用してるんですよ。そしてそういう感じを与えているわけでしょう。これが利益誘導罪にどうしてもならない、幾ら話をしてもよろしいという、そういう選挙法の解釈でこれから進んでいいんですね。これはいろんな点に利用できると思うんですよ、この選挙運動は。そういう選挙を進めることは、公職選挙法の番人である選挙管理委員会としてどうも納得できないですな。  まあこればかりで私も言われませんから、改めてまたこれをお聞きすることになると思います。あなたはいまそれ以上のことは言うつもりはないでしょうからね。ただしかし、何でもできるということにあなたは認めたということなら結構ですよ、それでも。しかし、具体的な事実、ある道路というようなことがなければだめだ、一般論的に、あなたは、この人が当選すると交付税はどんどん来ます、特別交付税どんどんよこします、こっちが当選したんではこれはやれませんと、こういうことを選挙のときにやってもいいということをあなたは言ってるんですよ、いま。いいですか。決算委員会で、あなたそういう答弁をなさることですよ。何か選挙運動を通じての一般論の解釈として、どうもあなたもいまそういうことで進もうということですから、無理に申し上げませんが、もう一度考えてみる必要ありませんか。改めて何かひとつ、これに対する対策等をおまとめになる気持ちはございませんかね。  ぼくは委員長に、やっぱりこれは何かもっとはっきりした……。まあいずれにしろ結構ですわ、そういうことを言ってもいいっていうことになればね。そういうことになってしまうんじゃないかと思うんですよ、これは。これは県の全体の問題というようなことで言えば差し支えないし、市町村の場合の全体の地域の場合で言えばいいし、これが後で来れば何にも問題は残さないんだから、そのとき言うのは何言ってもいいと。しかし、そのことを警戒してやっぱり感じ取るようなことはいけないという解釈をしてこれは実例が述べられているんじゃないかと思うんですがね。どうですか、ひとつ、もう少し検討してお答え申し上げたいくらいの返事できませんか。
  78. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 野口委員にちょっと誤解がおありのように思いますので、まず申し上げますが、私はいまの丸谷委員の挙げられました具体例にはお答えをいたしておりません。何となれば、御質問ではございますけれども、この種具体的な事件につきましては、いろいろとその事実関係というものがございまして、お尋ねの中に挙げられました事柄だけで申し上げるということはできませんし、また具体的な事実に即しまして、これは常に取り締まり当局は厳正にこれに対処しておられると理解しておりますので、その意味におきまして、私どもは挙げられましたお言葉だけではお答えできないということを申し上げたのが第一点。  第二点は、地方交付税を話題にすることそれ自体は、ここで申します特殊直接の利害関係には当たらない。それじゃどういう場合に当たるのかと申しますと、いまのお尋ねのこと以外にもいろいろと諸事情があろうと思いますので、それまで含めませんと判定ができないことではなかろうか、こういうことを申し上げた次第でございます。
  79. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大分時間をとってしまうわけですがね、まああとはお聞きしませんで、ぼく自身の考えを言いますけどね。丸谷委員の提示した問題が具体的でないというお考えがおありになるようですがね、まことに私は具体的じゃないかと思うんですよ。片一方の候補者にはこういう利益があるんだよ、片方はないであろうと、こういうことで、選挙民に対して選挙についての効果は万全にこれ、やったわけですからね。ただ、それを取り締まるとか、それをどうかしていくという具体的な問題になってくれば、いろいろ事情があろう——それは取り締まりの立場ですね。あなたは取り締まるんじゃない。そういうことを選挙の中で一般的に言うてこれは差し支えないんだという。いまのところではまあ差し支えないというお答えのようにきり聞こえないわけなんですよ。基本的には、そういうこともこの法律のどうも該当になるおそれがあると思われるから、あえて選挙のときに特定候補者を指さしてこっちへやったりというような、選挙運動の中に利用してこれをやるような、そういう利益誘導的やり方は基本的にはうまくないと、が、しかし、それを取り締まっていくのには、具体的事情もあるからまあいろいろなケースになってくるかもしれませんと、こういうお答えなら私、わかるんです。ところが、基本的なところがあいまいになってくるんですね。で、やっても差し支えないと、私はそう解釈せざるを得ないんです、具体性がないからという理由で。私らとしては判断できませんと。選挙管理委員会はやっぱりそういうことについて、基本的にこういうことはあっていいとかないとか、それはいろいろなことがあるだろうけれども、どうだというようなことは私は述べる立場にあるんじゃないかと思うんですがね、それは。どうもあなたの話を聞いてると、そういうことをやっても構わないというふうにきり聞こえないんですよね。まあ管理委員会がそういうふうに言うんでは、これからみんなそうやることになると思うんですけれども、選挙を受けている方の選挙民の立場から言いますと、非常にやっぱり明朗さを欠くんですよね、これは。だって、こう指名してやってますから。私も何度か行ってみましたけれども、そういうことがあります。これがあなた方の解釈では利益誘導罪にはならないというようなことになる御返答きり私は承っていないわけですがね。いいですか、それで。
  80. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) たまたま利益誘導罪に該当するかどうかということにつきまして話題になりましたけれども、先ほど来すでに財政局長の御答弁、それから自治大臣の御答弁にもありましたように、交付税というものが客観点に算定され、ないしは配分をされているということからいたしまして、いま設例に挙げられましたようなことというのは本来起こるはずがないことでございますからそのようなことにつきましては、法に該当するしないは別として、私どもは法に該当しないでも妥当でないものにつきましては差し控えられるようにということは、仮にお尋ねがあればやはりそのように常に、法律に該当するものの以前の問題につきましても御注意は申し上げるようにいたしておる次第でございます。
  81. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大臣、どうですかね。私の言ってるのは少し厳しいですか、これは。どうですかね。これまあ、いまのようなお答えの中でこういうことがある限り、きれいな選挙とか、公明な選挙などということは望み得べくもなくなってくるというまあ一般的な選挙の情勢じゃないかというふうに私は思いますがね。少なくとも、やっぱり利益誘導というものが、相手の人にそういう感じを与えるような行動の中でもうすでに罪を形成するというような実例もある中で、それはちゃんと算定してやった交付金なんだから、それは必ず行くことになるんだからという、それだけでそういうことはやってもいいみたいな解釈になっていいのかどうかですが、大臣、そこで何かちょっとお考えになったことございませんか。なければ結構です、同じであれば。少し反省加えてもらいたいんですがな、これは。
  82. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 公職選挙法二百二十一条の利害誘導罪につきましては非常に微妙でございますし、個々のケースについて果たして利害誘導罪になるかどうか、この判断をいたしますことは、もとより警察、検察、そして裁判によらなければならぬのでありますけれども、先ほど来選挙部長が答弁をいたしておりますことは、一般的な解釈を申しておる、かように私は理解をいたしておるのであります。果たして利害誘導になるかどうかの場合、たとえば、私が当選をいたしましたらあなたの家の前のこの道路は舗装いたしますよとか、あるいはこの道路の改修はぜひやるようにいたしますよとか、かような言い方をいたしますと、常識的にはなるほど利害誘導になるなと、かような感じを持ちますけれども、しかし、そのことは直接的な利害であり、また特殊なケースの事犯としての扱いがなされる、かような先ほど来の選挙部長の説明でございますけれども、たとえば、私が当選いたしましたら、この町の道路をがらっとよくしますよとか、あるいは河川の改修を十分にやりまして災害等の起こらないように努力をいたしますよとか、かようなことは、私は特殊かつ直接的なものではないという、そういう感じをいま聞きながら持ちます。  そこで、具体的な交付税の場合でございますが、私が当選いたしましたら、自治省や都道府県とよく相談をいたしまして最大の努力をいたしますと、かような言い方をいたしたといたしますならば、これは特殊あるいは直接のことではなく、村全体をあるいは町全体をよくいたしますことの表現でございまして、このことが利害誘導にはなりがたいのではないかと、かような感じを私はいま質疑応答を聞きながら持ったようなことでございます。  ですから、利害誘導になるかどうか、このことはもっともっと個々のケースにつきまして詳細に調べ等をいたさなければ結論の出ない問題でございますから、ただいまの野口委員や、また丸谷委員の申されました、きわめて短い表現で、どんぴしゃりそれは利害誘導になりますとかなりませんとか、このことはなかなか言いがたいのでありまして、一般的、包括的な利益のことを説きました場合には、やはり二百二十一条の諸要件は具備しておらないのではないだろうか、かような感じをいま持っておるところであります。
  83. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 まことにこればかりで時間がなくなりますが、丸谷委員指摘したのは、候補者自身がそういうことを言っているという話ではないわけです。たとえば、自治大臣は言わないだろうと思うんだけれども、たまたま選挙に自治大臣が行ったと、そして自治大臣がその二人の候補者に対して、こちらの方には交付税が来るであろう、こちらの方には来ないであろうと、こういう演説をしたと仮定しますと、まあ具体性というよりも一般論として言うているんだろうと思うんですけれども、選挙には大臣もおいでになることがたびたびございますが、これはどうですかね。こういう——自治大臣は言ったことありますか。まあ、これ自治大臣などが行って言ったりしては大変だと私は思わざるを得ないんですがね。利益誘導にこれはひっかかるなあと思わざるを得ないんだけれどね。やっぱりそのことが、選挙というのはお互いエスカレートしていますから、そういうエスカレートしているときに、そういう第三者が行って、あっちがこうだ、こっちはこうだと言っているのが丸谷さんの提示している具体的な問題なんだよ、選挙運動から言えば。その内容はとにかく利益誘導ということの中でまことに具体的なことをおっしゃっているわけです。聞いている選挙民の方では何ということだろうなあというようなことになるわけでございますね。そういう問題なんですがね。  まあ、いまのところそういうことでございましょうから、大臣にはそういうことのないように、ひとつ御忠告申し上げておきますがね。これで利益誘導にならぬという解釈で押し通そうとするのは、何としても当決算委員会の権威に関してもこれはどうも納得できないんだな。あえてそれを論破する力もございませんけどね。  しかし、余りにも具体的でないですかね。私は明快に、それは基本的にはうまくないとこう言うんだろうと思っておったところが、それがなかなか渋い。それから憶測すれば、やっぱりそういうことを言えるのは与党の方が言いやすい。やっぱりそうすると与党側の役職かというような形にもならざるを得なくなる。ですから、選挙というものは公正だ、中立だ、こういう立場で公職選挙法を守ってよい選挙をしようというならば、やはりこの辺は明快な御返答があってしかるべきではなかろうかと私は思うんです。そうでもしなければ選挙に勝てないなんということではないとも思うんですね、私は。ところが、何となくやっぱりこっちにはやるけれどもこっちにやらぬと言って、ぼくも見ておって、こう胸張っておっしゃった方の姿を思い出すんですが、そこには約五千人くらいの聴衆が集まってやるわけですね。後光が差すようなものですね、お金がなくて苦しんでいる地方住民から言うと。ああ、これはそうかなあと思っちゃったら、書くときになってから書くだろうと思うんだな、その方に。これが利益誘導にはならない、余り具体的でない、こういうお考えですね。  まあ以上でございます。十分また改めてそういう具体的な事実の中でひとつ申し上げてみたいと思うんです。  ちょっと丸谷さんから何かあったら。いいですか。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 しっかりした文書でなければだめだと言う。実は、これは内容証明だとか、いろいろ私の方で取ったのがあるので、いずれ改めてと思ったからあの程度で下がったんで、いま御指摘ありましたように、私も納得して下がったわけでないことを一つつけ加えておきたいと思います。たくさん持っているんです、証拠を。そのことだけ一言つけ加えておきます。
  85. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 それでは、あと三十分きりございませんが、本日は昭和四十九年度決算自治省所管の関係についてお伺いするわけでございますので、まず昭和四十八年度、それから昭和四十九年度地方財政計画の策定方針についてお聞きしたいと思うわけであります。
  86. 山本悟

    政府委員山本悟君) 昭和四十八年度地方財政計画は、この当時の文書によりますと、地方財源の確保に配慮を加えつつ長期的視野のもとに積極的に住民福祉の充実を図るという観点から策定をいたしまして、住民負担の軽減、合理化の推進、計画的に社会福祉を充実する、社会資本の整備等地方行政水準の着実な向上を図る、あわせて地方公営企業の経営の健全化を積極的に促進する、こういうことを目途として策定されております。この昭和四十八年という年は、四十七年度が非常に地方財政がきわめて厳しい環境下にあったわけでございますが、四十八年度の見込みでは、そのような事情がある程度緩和をされまして、福祉志向型の策定方針が端的に宣明されている、こういうように存じております。  それから四十九年度になってまいりますと、御案内のとおり、物価の問題というようなことが社会的に非常に起こったわけでございまして、それらを反映をいたしまして、物価の鎮静を図るための総需要の抑制の見地から、歳出を極力圧縮すること、それから住民負担の軽減、合理化と、地方税源の充実強化を進めること、そうして経済情勢の推移に応じまして地方財政の機動的、弾力的な運用を図り得るように措置すること、あるいは財源の重点的配分経費支出の効率化に努めて、地域住民の生活の安定と福祉の充実を図ること、こういったようなことを根本の基本方針にいたしているわけでございます。  この両年度を比べてみますと、昭和四十八年度は財政経済政策の基調を成長優先、民間投資主導型から福祉優先財政主導型への転換ということが図られておりまして、福祉社会の実現を図って社会福祉の充実、社会資本の整備というようなことを積極的に推進したいということが特色でございますが、四十九年度になりますと、異常な物価の高騰が続いておりまして、物価の早急な鎮静化を図り、経済の正常化を達成することが再優先の政策課題になりましたために、地方財政におきましてもまたその規模を圧縮して、極力抑制的なものとした、こういうことが特色であろうと存じます。
  87. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 昭和四十八年度は積極的な福祉志向型の地方財政計画、福祉というもので特に地方財政計画を組んだのが昭和四十八年の一つの特色であったろうと思うわけでありますね、そういうことでございましょう。四十九年になりましたら、今度は総需要抑制で公共投資は極力抑えなさいと、そういう中での地方財政計画を立てられた。四十九年の決算ということになりますと、今日的実現から考えますと、まことにどうも逆の方向でありましたのでございますが、やはり今日的問題を検討するのにはこうしたような事実を明らかにしていく必要があろうと思うので、昭和四十八年の地方財政計画では投資的経費はどのように組まれたか、特にその中で土地の取得についてはどのような方針をとられたか。昭和四十八年度の投資的経費、土地取得の方針等についてお伺いしたいと思うわけであります。
  88. 山本悟

    政府委員山本悟君) 四十八年度地方財政計画におきます投資的経費でございますが、この年度におきましては国の公共事業も非常に大幅に増加をさせる、対前年度比が三六・六%の公共事業の増というようなことでございまして、これと同一の基調のもとにおきまして、社会資本の一層の整備を促進するというかっこうで公共事業関係経費は積極的に計上をいたしているわけでございます。地方財政計画におきましても、対前年度二九・六%というのが投資的経費総体伸び率になっているというようなことになっております。この金額は五兆九千六百三十六億というようなことで、やはり国の基調に合わせまして、投資的経費というのが非常に大幅に伸び地方財政計画になっているということでございます。その際には、やはり公共事業と国の補助負担のあります普通建設事業も同様、それから単独事業につきましても同様に大幅に増加をさしているというようなことになっております。  また、その際におきますところの土地の関係でございますが、公共用地の先行取得の拡充と公有地の拡大というようなことをやはり図っているわけでございまして、地方債計画におきますところの公共用地先行取得債の増加というようなことも図っているわけでございます。また、この年度の途中におきまして、国の予算とあわせまして行われました地方財政補正措置におきましては、補正によります地方交付税の増加額約二千二百四十億ばかりでございますが、そのうち九百億円は土地開発基金に充てる、こういうような措置もいたしたわけでございまして、四十八年といたしましては、公有地の拡大といったようなことを積極的に取り組んだというように存じております。
  89. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 そういう計画のもとに進んだわけでございますけれども、昭和四十八年度の現実の地方財政の状況は、そういう計画で進んだがどのようになったか、お聞きしたいと思うのですが、投資的経費がどうなったか、土地の問題ではどうであったか、計画が立てられて計画どおり進んでくればよかったのでしょうけれども、それがどのような結果に現実はなったかをお聞きしたいと思うのです。
  90. 山本悟

    政府委員山本悟君) 四十八年度の投資的経費、先ほど申し上げましたように、対前年度非常に伸びを大きく組んだわけでございますが、物価の高騰の一環といたしましての土地の高騰というのがこの年度あたりからずっと起こってきているわけでございまして、相当に事業等は繰り延べられたというような事実がございます。四十八年度の普通建設業の繰越額というのが約九千百三十億ばかりでございまして、前年の四十七年度から四十八年度へ繰り越された額というものに比べますと、非常にその繰越額が大幅になっているということが申せると思います。ただ、四十八年の半ば以降は物価の関係等から総需要抑制という方針が打ち出されているわけでございまして、そういった点も当然これには関連をいたしているというように存じているところでございます。  また、四十八年度におきましてとりました土地に対する先行取得の制度といったようなことでの実績でございますが、御案内のとおり、土地開発基金によります財政措置というのは、古くは四十四年から四十六年までというようなときにも行ったわけでございますが、四十八年それから四十九年というようなところにも行っているわけでございまして、五十一年度末では地方団体が土地開発基金として積み立てました額は約五千億強というような額になっているわけでございまして、それぞれ財政措置がとられましたものにある程度見合いましてそれぞれの土地対策というものが進められたと、かように存じているところでございます。
  91. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 昭和四十八年の地方財政計画は、投資的経費も福祉増進というようなことで大幅に取り、土地などの取得についても考えていく計画を立てたが、現実にはこれは一向計画どおり進行しないでしまった。その原因はいろいろあるだろうと思うのですけれども、今日のような状態への出発がそのときに生れてきた。一つの国の政策の方針の失敗みたいなものが、見通しの誤りというようなものの中でこうした結果が生まれて、土地はめっぽう高くなってしまったし、また投資的経費もそう大幅にはできないということで、いまちょっと繰越金について述べられましたが、私ども四十八年度決算の検討の中で繰越金の問題が非常に大きく残っておるようですが、改めてお聞きしますが、四十八年度決算における事業費の繰越額は前年度の四十七年と比べてどのぐらいあったか、ひとつお知らせいただきたいと思います。都道府県、市町村、別々にお願いします。
  92. 山本悟

    政府委員山本悟君) 都道府県、市町村別はちょっと分析はいたしていないわけでございまして、地方団体全体で御容赦賜りたいと存じますが、四十七年から四十八年へ繰り越されました普通建設事業費は四千四百三十七億でございます。それに対しまして四十八年から四十九年に繰り越されました額は九千百三十二億でございます。繰越率で申し上げますと、四十七から四十八へは八・四%、四十八から四十九へは一五・三ということでございまして、御指摘のとおり四十八年度から四十九年度へ繰り越されました額というのは非常に大きなものになっております。
  93. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 いまお話のありましたように、結果的には、地方財政計画というものが立てられてそれに従って地方団体は動いていくわけですけれども、この地方財政計画の中で、昭和四十七年と四十八年の間の繰越額の幅はこれは物すごい幅ができたわけで、約二倍近いの繰越額が四十八年度には出てしまったと。そういう大幅な繰越額が出た四十八年度地方財政状況というもの、あるいは計画に従って進もうとする地方自治体の実情は、これはとんだことであったろうと思うわけですが、実はこの繰越金が非常に多いということ——いま九千百三十二億ですか、約一兆円に近い繰り越しがあったわけですね、前年度に比べると約二倍。都道府県、市町村合わせてそういう状態になってきた。  今度は四十九年度地方財政計画にきますと、これは総需要抑制という方針に変わってきたのですけれども、残念ながら見通しの誤りの中から出た前年度の繰越金というのが一兆円も入ってくるわけで、総需要抑制という名ではございましたが、四十九年度は投資的経費は非常に大きく伸びたという現状になっているんではないかというように思うのですが、その辺の計数はいかがでございましょうか。
  94. 山本悟

    政府委員山本悟君) 四十八年度から四十九年度へ繰り越された投資的事業というのは、御指摘のとおり非常に大きくなったわけでございますが、物価の上昇その他の関連から、経済政策といたしまして、国も含め各地方団体に対しましても、事業の執行の繰り延べと、総需要抑制という方針がとられたのは四十八年の秋からでございまして、四十八年の十一月には地方団体に対しまして事業執行の繰り延べの要請ということがすでに行われているわけでございます。そういった事情もございまして、四十八年度の事業というのは相当程度四十九年度へ繰り越されたと、かようなことになっているというように存ずる次第でございます。  したがいまして、四十九年度地方財政計画では、御案内のとおり、総需要の抑制ということで投資的経費伸び率というのは非常に抑えられておりまして、対前年度わずかに六・七というような数字しか伸びない、伸ばさなかったと、公共事業というものもほとんど横ばいであったと、こういうような政策がとられたわけでございますが、その反面、すでに四十八年度の秋から行われております総需要抑制政策によりまして、四十八年度の事業が相当程度四十九年度へ繰り越されたということは御指摘のとおりでございます。
  95. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 四十九年度の総需要抑制下におけるところの投資的経費の内訳ですが、あなた方のお出しになった本にもあるわけですけれども、昭和四十八年の普通建設事業の補助事業費は前年度四十七年にはどのくらい伸びたんですか、これは。
  96. 山本悟

    政府委員山本悟君) 四十七年度決算におきます対前年投資的普通建設事業の伸びでございますが、そのうち補助事業費の分は、対前年度増加率が四十七年で二九・四、四十八年で七・一、四十九年で二六・二、それから単独事業をあわせ申し上げますと、四十七年が一一・三、四十八年が二二・八、四十九年が二一・五と、これが対前年度伸び率でございます。
  97. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 どうもいまの数字はおかしいんだな。これは五十一年の「地方財政の状況」の中で見ると、投資的経費の中の普通建設事業費について、「補助事業費は二六・二%と前年度の増加率(六・八%)を大幅に上回っている。」とあるんですがね、これは。「このように、補助事業費、単独事業費とも、総需要抑制策にもかかわらずかなりの伸びを示したのは、総需要抑制策により昭和四十八年度から四十九年度への繰越額が、四十七年度から四十八年度への繰越額より大幅に増加した反面、四十九年度から五十年度への繰越額は」景気浮揚のために少なくなったと、こういうことがあるんですけれども、いまおっしゃるところでは七%くらいですか。
  98. 関根則之

    説明員(関根則之君) ただいま白書で多分お読みいただいたんだと思いますが、その数字は細かく分析をいたしておるわけでございまして、受託事業であるとか、あるいは直轄事業負担金であるとか、こういうものは外した形で数字が組まれておりますので、先ほど局長が申し上げましたのは、普通建設事業を単に補助事業系統のものと単独事業系統のものとに分けまして分類をした大づかみの分け方でございます。その数字でいきますと、先ほどの、いま問題になっている数字でございますが、四十八年度の投資的経費につきましては七・一%の増ということになるわけでございます。多少六%台と七%台と少し違います。
  99. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 私は補助事業費の伸びはどうだったって聞いたんですよ。
  100. 関根則之

    説明員(関根則之君) ただいま申し上げましたように、完全に国の例の公共事業等の補助金を受けまして行っております補助事業という細かく分けた数字で申し上げますと、先ほど局長が答弁申し上げましたように、四十七年度は二九・四%の伸び、四十八年度は七・一%の伸びと、こういうことに相なるわけでございます。白書の方の数字は多少ほかの数字も入れて計算をいたしておるわけでございます。
  101. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 いまの補助事業費というものについての二六・何%かの増というのは、これはどうなんですか。白書にあるんですがね、これは。何でそのことはおっしゃらないのかな、これは。
  102. 関根則之

    説明員(関根則之君) 同年度白書をちょっといま手元に持っておりませんので、ちょっと数字がかみ合っておりません。申しわけございません。
  103. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 じゃ、結構です。  とにかくいままでるるお聞きしてまいりましたけれども、こういう国の施策と一緒になる地方財政計画というものが非常に動揺するわけですね、これは。決算上からながめた地方行財政を見た場合は非常な動揺が激しい。この地方財政計画というのは、少なくとも四十七都道府県、三千を超す市町村が、各地方自治体の年度間の財政運営の指針として、市町村並びに府県民の幸せのためにこれは準拠していく指針だ。それに対してこの地方財政計画は、全く内容的には、この決算上から見ていく限り無責任なものだと指摘せざるを得ないような状態ではなかろうか。ことしの地方財政計画は福祉の問題でこうやっていく、これはおしまいでだめになった。だめになって総需要抑制と思ったら、そこには繰越金が多くて補助事業費はまたついてくるというような状態、こうした過ちの出てくる根本的なものはやっぱり国が負わねばならない責任があるんじゃなかろうかと、こう思うわけですね。ひたすらに地域住民の幸せを願いながら、地方財政計画を指針として一生懸命やっていこうとすることに対して、この多くの地域住民や自治体に対して責任を持つべき指針が、四十八年、四十九年、この間の経過を見ても、まことにどうも都合が悪くなれば勝手に直していく、それに従えということになっていく。やっぱりこうであったという見通しで来たけれども、この辺でこうなってしまったがどうか許してくださいみたいな——許してはおかしいけれども、済まなかったぐらいの言葉があってしかるべきではなかろうか。いままでそういう言葉をお出しになったことはございますか。
  104. 山本悟

    政府委員山本悟君) 地方財政計画は、御案内のとおり地方団体の標準的な歳入及び歳出につきまして掲上いたしまして、その性格上、いま御指摘のとおりに、地方団体がある程度の予算編成その他につきましての指針にいたしているものでございますけれども、標準的なものであるということと、当初に組まれるものであるというような結果からいたしまして、年度途中の経済情勢の変化あるいは政策の変化というようなものからいたしまして、決算との間にある程度の乖離が生じているというのが現実でございます。この四十八年度を取り出してみましても、先ほども申し上げましたように、すでに十一月という秋の時点におきましては、当初に組みました地方財政計画が組まれました時点におきますところの政策と変わりまして、総需要抑制というようなことがもうすでに始まっていたわけでございまして、そういうような点から申し上げますと、やはり経済事情というものが年度の途中において変遷をしていたということは申せるわけでございます。  国の補正予算が組まれました際等におきましては、地方財政計画等につきましてもなるべく新しい時点において、何と申しますか、修正計画とまでは申しませんけれども、組み直しをいたしまして、こういうものであるというようなお示し方をこのごろはいたしているわけでございまして、そういう意味の努力も必要であろうと思いますし、また決算が出ました際には、決算と計画との乖離というようなことが問題になるわけでございまして、この点につきましても、形式的な単純な年度当初の計画というものでなく、年度の途中におきます変化というものを織り込みました実質的な比較というものをいたしまして、地方団体側にもお示しをし、地方財政の姿としての議論をいたしているというようなことでございまして、確かに決算と計画というものとの乖離というのが相当あるのは御指摘のとおりでございますけれども、そういった点がなるべく少なくなるような努力をしてまいり、また今後ともしていきたいと思っておるところでございます。
  105. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 決算と計画との乖離という言葉で簡単におっしゃってますけれども、しかし、あなた方の計画に従って一生懸命やっているものに対してやっぱり一つの責任というものは存在するであろうと私は思うんです。そしてやっぱり前進していかなければいかぬじゃないだろうか。何かそれはそれ、国がこうなったからこうなったから、おまえらもこれに従えだけの話では、少なくとも責任ある立場での計画を樹立する立場にはならぬと。やっぱり計画をやったがこうであった、これはこういうことだった、こういう自治省の自主的な立場で地方自治体の計画というものを、地方財政計画というものは国の計画ではないわけですから、国の計画の間違いによって地方財政全般がこれ影響をこうむるといったようなことをやってはいけないのではないかと思うんです。  もう時間があと三分きりなくなりました。これからが本題なんですがね。全くこれどうも困りましたが、以上の決算の結果から言って、今度は昭和五十三年度のあなた方のやり方について私は疑問を感じざるを得ないんです。五十三年度——四十八年、四十九年、これは前年度、それから今度は景気浮揚と、こうなってくる国の施策、大臣にもこれは申し上げたいんですけれども、景気浮揚というような課題は経済政策であろうと私は思うんです。そういう経済政策中心でやってきた日本の政治の過ちを今日後始末をやっているのだ、われわれは一生懸命。過密でございますの、過疎でございますの、だから政治は切りかえましょうと。そして経済政策ではなくて、本当に国民一人一人に密着するようなそういう政治をやっていこうではないかという、こういう立場をとっているわけだと私は思います。だとすると、景気浮揚のために地方行財政が動かされていくんではないと。景気浮揚は国の政策課題であろう。もちろんそのことを念頭に置きながら、地方自治体は地域住民の幸せのために景気浮揚へのあり方として公共投資というようなものが膨大に多くなってきた。それが社会資本の充実であり、福祉の充実であって、住民生活の豊かさを保障するためのものだという立場で自治省はあるべきではなかろうか。  今度の地方財政計画をまとめるときに当たって、全国の総務部長や財政課長をお集めになって、ここで大分自治省の皆さん方は大だんびら切ってまたこれおやりになられた。これは自治省設置法、まだこれ申し上げることになりますが、時間がありませんけれども、あなた方のやり得る範囲というのは指導、助言、調整。しかし、景気回復のために公共事業をやりなさいといって、総務部長やその他の課長会議の中で申された言葉が新聞に出てますね。国は臨時異例の予算を組んだが、これに対応して地方も、事、投資的経費については相当無理してでも予算計上してほしい、手がたい予算を組むのが財政運営の原則だが、これにこだわらず積極的に予算を計上してほしい、金はとっておく必要はない、どんどん使っちまえ、その結果は三月末か四月初めに公表せざるを得ない、投資的経費について、各県が公共事業と単独事業の予算をどのくらい計上したか、一覧表をつくる、その際に知事さんが恥をかかないようにしろと。  こんなことで景気浮揚に自治体を駆り立てて、それほど地方財政計画というのは完全なものですか。ひたすらに国の運用部等に動かされながら、三千と四十七の地方自治体を導いていく指針の地方財政計画というものは、先ほど財政局長答弁のように、いろいろな事情によってそれがどんどん変わっちまうのだと、景気浮揚の問題もやがてはどうなるかわらぬだろう。その見通しは一体どういうことなんだ。私は大臣の答弁——時間がなくなりましたが、この間の本会議で、総理大臣も車の両輪と言う、大蔵大臣も車の両輪と言う、残念ながら自治大臣も車の両輪と言うんだな。車の両輪て何ですか。二つの車が動く動力を言うんでしょう、これは。車の両輪で走ることだけ言っておったんじゃ——いまの地域住民は求めていないんですよ。車が走ってどっちへ動くかということです。エンジンをかけてアクセル踏んで車を回すということだけに車の両輪論があるんであって、走る力のことだけを言っておって、一生懸命やりましょう、走りましょうと。一体この車どっちへ向いて行くんだ。ところが、残念ながらガソリンがちょっと足りなくなった。ガソリンがなくては車が動かないから国も地方もガソリンを取りましょう、ということの考え方は私は正しいと思うんです。しかし、たとえばガソリンが少なくても、少ないなら少ないらしく、この車は一体どっちの方向に走っていくんだかということをやっぱり持っていなくちゃならないんじゃないかというふうに思うわけであります。だから、大臣から、車の両輪であります、というお答えだけではどうも私は納得できない。  今回のやられている方法を決算上からながめますと、結局は不況とインフレとの同時進行という、資本主義体制の中で初めて受けたこの経済の問題に対して、四十九年は物価を鎮圧させようとした。そのために、総需要抑制、深刻な不況の中にこれを閉じ込めていった。今度はこっち側に来た。今度は一転景気浮揚だ、景気浮揚だと言って莫大なる公共投資を進めて、それをやらなければ公表しておまえたちのところをいじめるぞみたいなことを言う。一体、この不況とインフレとの同時存在というものの、こっち側とあっち側を、こっちへ行ったりあっちへ行ったりして、右し左しするような経済政策で、本当の意味の日本の国民の安定した経済成長というものが出てくるのかどうか。単なるそれは経済の二つの現象に対してそのときそのとき動いていくにすぎないんではなかろうか。もっと新たな観点の中でこの問題に対処するという姿勢がない限り、今度景気浮揚でやっていったらそろそろ砂利の値段が上がってきた、そろそろ土地の値段も上がるであろうと。当然上がりますよ、これは。これは抑制しようとしても抑制できないというのは過去の経験でわれわれ知っているわけでございましょう。またここで物価かインフレ、そう懸念されるわけです。だからここで一体何だということを考えた場合は、ぼくは車の両輪というものを言わない。方向性を、やっぱり地方自治は住民の幸せと福祉の方向に向かって自治省は強く述べるべきではなかろうかというふうに思うわけであります。  残念ながら時間がないので、以上最後のところになってしまいましたが、一体こういうような地方財政計画は神のものではない、それは財政局長も言いました。にもかかわらずこの問題に対して、やがては公表するからしっかりしろ、知事は恥をかかないようにしろなんというような、こういうやり方が地方自治に対しての自治省の権限侵害になっているのではないかと私は思うのですけれども、錦の御旗は景気回復ということです。そういう国策というふうな方向に従って自治体が引きずり回されている経験は、四十八年、四十九年の決算の中にあらわれております。だとすると、ぼくはこういう自治省のあり方というものを、こういう無我夢中になってこの方に頭を突っ込んでいくようなあり方、国と一緒になって経済政策の中にすべての人間を忘れて埋没してしまうようなあり方を自治省が基本的にとられることについて、非常に私は懸念をせざるを得ないわけであります。  時間がないので、以上、五分超過しまして、そちらの方にも迷惑をしましたが、大臣の御所見を承って終わります。
  106. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私どもの基本の考え方は、各地方団体は自主性を持って、自主的な判断で財政運営等もやっていただきたい、これが基本であることは間違いがございませんです。ですけれども、地方団体あっての国であり、また国があっての地方団体でありますことは、これまた申すまでもないことでございます。  先ほど来御指摘がございましたように、昭和四十八年、四十九年の地方財政計画の基本の考え方につきましては説明をいたしたとおりでございますけれども、ただ昭和四十八年度の場合を考えてみまして、年度中途において、昭和四十八年の秋にいわゆる第四次中東紛争なるものが起こりまして、わが国の経済にも非常な影響がありましたことは御承知のとおりでございます。その影響を受けての四十九年度であったことも、これまた御理解をいただけようと思うのでありますから、いわばわが国経済が高度成長を遂げておりました段階と、そうではない、非常な変動の生じてまいりましたその継ぎ目が四十八年度、四十九年度と、かように御理解をいただきたいのでありますから、それにふさわしい地方財政計画を策定いたし取り進めてまいっておる、かようなことでございます。  そこで、五十三年度地方財政計画についての御指摘がございました。数年間景気の沈滞が継続いたしまして、どうにか不況から脱却できて安定した経済体制が築き得るのではないか、かような、これまた四十八年、九年とは異なった意味の継ぎ目の五十三年度だと、かようなとらえ方をいたしておるのでございまして、そして景気がよくならなければ雇用不安も解消しないことは申すまでもないことでございます。もとより雇用政策は国の政策ではございますけれども、地方といたしましても失業者の多発には本当に頭を悩ましておるのでございますから、ですから公共事業を大幅に計上いたしまして消化することによりまして、そのことが社会資本の充実にも役立つことでございますし、同時にまた雇用不安を解消し、できるだけ失業者を吸収いたす、かような政策にもつながってくるのでございますから、私どもは地方財政計画を策定するに当たりましては国の基調と同じ考え方に立たざるを得なかったのでありまして、そのことがまた地方といたしましても願望いたしていることと、かような理解をいたしておりますようなことでございますから、さような点をどうぞ御理解いただきまして、五十三年度におきます地方財政の大幅な公共事業が消化できますように御協力をお願いいたしたいのであります。
  107. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会   〔理事野口忠夫君委員長席に着く〕
  108. 野口忠夫

    ○理事(野口忠夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、自治省及び総理府のうち、警察庁北海道開発庁と、それに関係する公営企業金融公庫並びに北海道東北開発公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 私は、地方自治体にずっと携わってまいりましたが、今回幾つかの問題を提起をいたしますので、それぞれ時間に限りがございますので、答弁は簡潔にお願いいたしたいと思います。  まず第一に、四十九年度決算の中に、児童生徒急増市町村公立小中学校の施設整備事業助成金についての経理の不当性について会計検査院から指摘がありまして、これに対してそれぞれ自治省においてはその処理をされておりますが、ただ、「埼玉県新座市ほか十市、一特別区の十二事業主体に係る超過交付相当額については、昭和五十年十二月二十五日までに返還させる予定」となっておりますが、その後返還は確認されているかどうか、会計検査院の方からお答えを願いたいと思います。
  110. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) お答え申し上げます。  返還は確認されております。
  111. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 次に、決算の促進についてでございますが、私はかつて地方団体の運営に当たりまして、決算委員会を開いた際には、必ず、翌々年度の事業の認定を決算委員会にお願いをしてきた経験から、しかもこれは地方自治法の二百三十三条に厳格に規定をされておりまして、これを遵守してまいりましたが、国会に出てまいりまして、財政法四十条を見てまいりますと、「内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする」、このようになっております。で、一体この「常例とする」というのはどういう意味なんだろうかということを考えてみたところが、やはり地方議会と違いまして、国会審議においてはそれぞれの期間相当かかるし、予算委員会との関係あるいは特別会や解散等の問題等もあって「常例とする」ということではなかろうかと思いますが、しかし、だからといって、その常例は長く延ばしていいということではない、予算年度と間隔を長くしてもよいということではないと、このように思うんです。で、会計検査院及び内閣においては規定どおり実施しているであろうと、このように思いますが、そう理解してよいかどうか、質問します。
  112. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) お答え申し上げます。  憲法の規定によりますと、決算並びに検査報告は次の会計年度中に出すということに相なっておるわけでございます。それから、先ほど先生がお話しなさいました財政法の第四十条では、翌年度開会の常会において提出すればいいと、こう相なっておるわけでございますが、会計検査院といたしましては、検査の結果を次の会計年度において開かれます予算の審議に役立てていただきたいという願いがございまして、毎年、遅くとも十二月の中ごろまで提出いたすようにしておりますし、また内閣の方は、十二月の末ころには国会に御提出申し上げている、こういうことでございます。
  113. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 だとすれば、今後決算委員会において審議の促進を特に配慮されるようお願い申し上げたいと思います。  次に、地方自治問題につきまして、私はこのごろ、地方自治体というものは本当に民主主義の母体なんであろうかどうか、このまま推移すれば、憲法上にうたわれたあのすばらしい地方自治の条章は形骸化されてしまいはせぬかと、危惧の念を抱くものでございます。いまさら申し上げるまでもございませんが、日本国憲法において地方自治を保障した趣旨というものは、地方に自治行政権、さらには自治財政権を付与し、また人事権についても旧制度とは全く異なって発足したはずであります。さらに議会を設け、首長は公選による、また地方の実情に応じて条例や規則をつくる、そして地方の自主財源、ことに第一義的には市町村優先の原則を樹立したはずであります。ところが時代の変化とともに、その原則は四十年ごろよりいずれも大きく崩れ始めて、歳入中に占める地方税、都道府県の場合、漸次低落してまいりまして、五十一年度は三一・一%ということになり、大都市を除いた町村は何と一六・七%と低下しております。交付税地方債によって辛うじてその財源不足をカバーするといった実態であります。その上、六法全書にもございますが、七百を超える国の委任事務、さらに国庫補助事業が年々多くなってまいりまして、各省の縦割り行政の中で二分の一ないし三分の一の補助事業に支配されている。さらに地方の経常経費の構成比の内訳を見ましても、人件費、扶助費、公債費等、歳出総額はすでに四〇%を超えてしまっている。ことに最近の地域社会、一方においては人口流出の過疎化現象に悩み、すでにその対象町村は二千六百十一の団体のうち千九十三町村にもなっております。その反面、人口都市集中傾向も著しく、環境の破壊なり、あるいは汚染、住宅難、通勤難、人間性の疎外といった問題を抱えて、自治体の態様も運命共同体から利益共同体へと変貌してきております。憲法上保障された名誉あるこの地方自治体の主体性は、もう一度この際吟味し直してみる、いまこそその本質を取り戻さなければ、堅実な民主主義の発展は望めないんじゃなかろうか、政府も国民もまた地方自治体側も、地方自治の原点を見失い、ただ一年、一年つじつまを合わせ、その易しのぎに追われている現状ではないだろうか。そういう意味で、この地方自治ということが民主主義の母体だなどという言葉は、全くうつろに聞こえてくるのであります。遠い地域から旅費をかけて陳情集団を組んで、補助金をあるいは起債をと、それぞれ頭を下げて陳情これ努めるといった実態であります。そのためか、自治の概念も逐次不明確となってまいりまして、敗戦後、国と地方自治団体ともに二本足で進める体制が、いつの間にか国の力が強くなり、一本足とこのような状態になり、超過負担に悩み、そして傷ついている現状でございます。この際思い切ってこの弱い足に力を入れ、足腰を強くする努力をすべきだと思うんです。この際この現実を直視して、かつて同憂の士である地方自治経験豊かな加藤大臣が主宰者となって、総理出席のもとに全国市町村代表者会議を開いてはどうかと、このようなことを考えるのでありますが、大臣のこの地方自治の現実と、ただいま申し上げた私の意見に対して所見を述べていただければ幸いと思います。
  114. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方自治法が施行されまして三十余年を経過いたしました。御指摘がございましたように、新しい憲法の中には地方自治につきまして特別の章を設けまして、そしてその条章の中におきましては地方団体が自主性を持って発展いたしますことを期待をいたしておるのでございますが、現実の今日の姿といたしましては、着実に定着をしてまいりました面もございますけれども、しかしそうでない面もございますし、特に行政面や財政面にわたりましては、当初期待しておりました方向よりも大分方向が違ってしまっておると、かようなことはいま御指摘があったとおりであろうと思うのでございます。そこで、絶えず原点に返りまして見直しをいたしてまいらなければならぬのでありまして、地域の発展や地方自治の進展をこいねがう立場からいたしますと、その地域の住民皆さん方の自主的な判断のもとに福祉を増進していかなければならぬことは申すまでもございませんで、そのためには国と地方を通じます仕事の見直しも絶えずやっていく必要がございますのと、また身近な仕事をこなしてまいりますには、みずからの財政力でやってまいりますことがたてまえでございます。  そこで、戦後問もないころは、ことに第一線の市町村につきましては、税法上の措置相当厚くなされたと考えられておったのでありますけれども、現在は、いま御指摘がございましたように、一般財源のうちその市町村が税収として確保しておりますもののパーセンテージが次第次第に少なくなっておるのが実情でございますから、税制の見直しも行政の見直しと同時に絶えずやってまいりまして、自主性を高めてまいります方向努力をいたしてまいらなければならぬ、この感を強ういたしておるのでございます。  そこで、総理大臣が主宰をいたします都道府県知事会議はしばしば持たれ、また持たれた会にも出席をいたしておるのでございますけれども、市町村の数が余りにも多いので、一堂に会しましての会合等がなされておらぬことは御指摘のとおりでございます。そこで先般、地方団体の代表者にお集まりいただきまして、総理みずからが主宰をいたしましていろいろ意見を聞きますような会も持ったのでありますけれども、しかし、その会で市町村の実情のすべてが政治の最高責任者の総理の耳に入り得たとは思えない節もあるのでありますから、ですから、機会を得ましてできるだけ地方団体の皆さん方、ごとに市町村の皆さん方と胸襟を開きますような、そういう機会を持ちますことに努力をいたしてまいりたいと、かように考えます。
  115. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 大変ありがたいごあいさつをいただきまして、特に私が全国の知事会等をたびたび政府招集ということで会議を開かれ出席をした経験の中でやはり一番大事な問題は、県よりも市町村、ここに力点を置くべきではないか。自治法のたてまえから見ても、県よりむしろ市町村優先というそういう原則が貫かれていると考えますので、ぜひただいまの御意見どおり、この内政問題について真剣に総理は考え、そういう姿勢に立っていただくために、市町村全体といってもなかなか大変でございましょうから、市町村の代表者にお集まりいただいて、篤と地方の実態に触れるという機会を持たれることがきわめて大事なことではなかろうか、このように考えるのであります。  次に、具体の問題につきまして二、三質問をさしていただきたいと思います。  本年度は異常な財源不足というようなことから、国税三税による交付税の引き上げの処置についてはきわめて困難であるというようなことでございますが、国の場合は、国債あるいは公債がその財源不足をカバーし、景気浮揚政策等実施できる力を持っておりますが、今回講じようとした三兆円を超す地方の財源不足に対し、半分は交付税の特別会計の借入金と臨時特例交付金の増額で賄い、残りの半分は建設公債の増発で賄おうということになっておりますが、この起債は当然将来返済しなければならないということになり、問題を将来に残すことになると思うのであります。したがって、これの元利償還については地方の立場に立ってすべて国において補てんすべきではないかと、このように思いますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  116. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 五十三年度の財源不足が三兆円を超えますような結果になりましたことはまことに残念でございます。しかしこれを完全に補てんすることはできたのでありますけれども、しかし、そのすべてがパーフェクトな形で補てんなされたのではございませんで、御指摘がございましたように、公債を発行せざるを得ないし、また一兆五千五百億円という大量の借入金をいたしました。その半ばは国が見ることにはいたしましたものの、十全な解決方法であろうとは考えられないのでございます。そこで、大量の起債を発行いたしますために、地方の元利償還がやがては相当の金額になりますことは予想されることでございますから、私どもは元利償還のいわゆる公債費はこれを地方財政計画にのせまして、これを完全に補てんをいたしてまいりまして、地方の負担が重くならないようにと、かような方向努力をいたしてまいりたいと、かように考えているところであります。
  117. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 残された半分の公債については、もう来年度から利子等返還しなければなりませんので、財政計画に織り込んで、特に交付税の中に織り込むというような形になるだろうと思いますが、いずれにいたしましても地方の財源圧迫にならないように、この点特にお願いをいたしたいと思います。  それから、やはり何といっても地方公共団体の主体は地方税ではないだろうか。地方税あり、さらにまたこの国税三税に基づいた交付税とによって、その日本全体の地方自治団体の健全なる運営が図られるというようなことでないかと思うんですが、先ほど大臣がお答えになりましたように、地方税は年々力が弱くなり、一方交付税に頼らざるを得ないというような現実になってきているわけであります。この交付税についてでございますが、これは景気の上昇によって左右されるために、今回とられた処置につきましてもいろいろと大臣は苦労されて、この地方自治団体のために御努力をされたわけでありますが、この交付税の原本であります国税三税、これに何かもう一つ、たとえば石油新税が設けられた際にその何%かをここに算入できるような方法を講ずるとか、もう少し、国税三税という従来から決められたものを基準として交付税を三二%、この三二%にも問題はございますけれども、そういう財源の問題も考慮する必要がありはしないであろうかということが一点。  さらに、先進諸国から見ましてまだ課税率の低いところの軽油引取税、さらには法人税、交際費課税、公営企業の課税とか、あるいはいまここ四、五年問題になっております外形標準課税等含めて地方税をもっともっと強化する必要があるだろうと、このように思う。  さらにもう一つは、地方公共団体の円滑な資金調達のために、現行の公営企業の金融公庫を改組して、新たに地方団体の金融公庫を創設すると、このようなことで自主的に地方自治団体が歩めるようなそういう配慮も必要ではないだろうか。  さらに私は、従来知事会におきましてここ十年ほど前から提起をし、知事会においても重点事項として政府に訴えてまいりました社会福祉譲与税創設等についても十分に配慮する必要がありはしないであろうかと、このように思うんです。  私は、地方自治団体というものをもっともっと力をつける、そして住民自治という意識を育て上げていくという、こういう角度がきわめて大事なことを思うがゆえに、いま申し上げた何点かについて、何とかひとつこういう問題について、交付税もさることながら、地方税の増強の問題等について考え、地方を中央の依存型から脱却し、地方志向型へ漸次移行するような体制をいまこそとっていかないと、ただ単に国の財政の配慮いかんによって、地方団体が頭を下げ、陳情これ努め、どうするかうろうろするようなそういう政治のあり方に私は非常に義憤を感ずるわけでございまして、この際そういう面について私なりの考え方を申し上げたわけでございますが、これにつきまして自治省の方から御答弁をいただきたいと思います。どなたでも結構でございます。
  118. 山本悟

    政府委員山本悟君) 数点御質問のありましたうち、財政関係事項につきましてまずお答えを申し上げたいと思います。  一つは、交付税が現在の所得税と国税三税に対象を限定することはむしろだんだんおかしくなってくるんじゃないか、たとえば本年度の石油新税というようなものが起こったときにどうしたんだと、こういうようなことでございますが、石油新税のいろいろ論議が起こりました際にも、自治省といたしましては、これが国の一般財源として完全に使用されるものであるというような限りにおきましては、やはり交付税の対象税目にすべきであるという立場から予算要求もし、議論もいたしたわけでございますが、御案内のとおり、でき上がりました石油新税はその使途がエネルギー関係というようなことに限定されるというようなこともございましたので、交付税対象ということにはならなかった次第でございます。しかしながら、御指摘のとおり、将来の問題といたしまして、これから国税におきましてもその増強が図られるあるいは増税が図られるといいます場合には、既定の従来あります税目だけに限られるわけではございませんで、新しい税目といったようなものにつきましてもいろいろと税調その他でも御議論がこれからも続けられるだろうと存じますが、さような場合には、やはり国税のうちの一定割合というものは交付税として地方の財源として配分さるべきであるという立場から、新しい税目につきましてもやはり交付税の対象にすべきであるという方向での主張を自治省としてはこれからも続けてまいりたい、そういうようなことがなければやはり地方の一般財源の確保ということがきわめて困難になる、こういう認識でございまして、ぜひとも、国の方におきまして国税におきましての増税というようなかっこうでの財源の増強が行われます際には、新しい税目につきまして交付税対象にすべきであると、こういう立場で主張を続けてまいりたいと思っている次第でございます。  それから第二番目に、公営企業金融公庫の改組の問題、これは御案内のとおり、地方六団体非常に長年の主張であったわけでございまして、実を申し上げますと、本年の交付税法等の一部改正法律案におきましてこの公庫法の法律の改正もお願いを申し上げているところでございまして、従来は公営企業に限られておりました融資対象範囲を、今回の改正案におきましては、臨時地方道整備事業等三事業、これは完全に普通会計債に属する分野でございますが、それを法律改正をいたしまして公庫の融資対象に加えるという改正をお願いを申し上げているところでございます。この意味におきましては、従来非常に限定されておりました、公営企業に限定されておりました公庫の性格というものが、まさに実質的には改組になって一般の普通会計債に及んできたということで、大きな前進を見せたのではないかと思っている次第でございます。  ただし、名称が変わっていないとか、あるいはまだ根本的にすべての普通会計債に及んでいないとか、いろいろの点におきまして問題点はあるわけでありまして、やはり地方公共団体におきましてこれだけ大きくなってまいりました地方債というものを、良質な安定した資金というものを獲得する方法といたしましてはこの公庫というものの活用ということは非常に重要なことでございますので、さらに将来の問題といたしましてなお前進を図れるようなことで対処してまいりたいと思っております。さしずめのところは従来の枠を本年度五十三年度から乗り越えたというような感じでおりますが、さらにこれからの問題として努力を重ねる必要があろうと、かように存じているところでございます。
  119. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 地方団体の自主性を高め、地方自治を名実ともに伸展させていきますためには、地方自治財源の大宗をなします地方税の充実強化を図らなければならない、これは御指摘のとおりだと思っております。ことに地方財政、巨額な財源不足に陥っておる状態でございますので、国、地方通じて一般的な租税負担の増加を国民にお願いしていかなきゃならないということになってまいると思うのでございます。その際に、格別地方税の充実強化について努力をしてまいりたいと思いますが、その際に、基礎的自治団体であります市町村の税源の拡充という課題を第一義に考えてまいりたいと思います。  具体に御指摘のありました数項目について申し上げたいと思いますが、まず軽油引取税につきましては、確かにお話しのように、小売価格中に占めます軽油引取税の負担率は、諸外国に比べて、アメリカ以外は全部わが国より高うございます。ただ一面、軽油引取税は御承知のように公共料金——トラックやバスに使われるものが多いわけでございますので、公共料金にはね返るではないかと、こういう一面の御指摘もかなりあるわけでございます。しかし、道路整備のための目的財源でありますし、地方団体の道路財源が不足いたしておりますので、現在暫定税率によりまして五十三年度、五十四年度引き上げを行っておりますが、今後の道路計画などとも関連させながらその充実を図ってまいりたいと思います。  法人関係税につきましては、法人税、法人税割、法人事業税合わせましたいわゆる実効租税負担率はわが国の場合四九・四七%になっておりまして、諸外国に比べますと、大きな差はございませんがなお若干低いということが言えるかと思います。したがいまして、これにつきましても、今後租税負担の増加をお願いする際には一つの課題であろうと思いますが、ただ、景気の状況が非常にへこんでおりますときに法人関係税の増税ということになりますといろいろ問題も多うございますので、その辺を見定めながら考えていく必要があろうと思います。  交際費の損金不算入制度につきましては、逐年国税当局におきまして強化が行われてまいりました。今後もその方向で税制調査会等でも御審議を願いたいものだと思っております。  公営競技のいわゆるギャンブル税の問題でございますが、まあ公営競技の収入自身はすでに公共支出に充てるために使われておるわけでございますので、問題はむしろ市町村問、地方団体間の均てん化の問題、財源、財政収入の均てん化をいかに図るかということに中心があろうかと考えております。課税問題が直ちにそういうことにつながるかどうかという問題もございますので、基本は均てん化を進めるという観点から努力してまいりたいと思います。  事業税の外形標準課税導入問題につきましては、昨年十月の税制調査会のいわゆる中期答申におきまして、いわゆる一般消費税というものを創設することが一つの今後のわが国の税体系を考える場合のかなり大きな検討課題になってきておるということから、一般消費税と事業税の外形標準課税の税としての共通性を考えて、一般消費税の導入問題とあわせて結論を出すことが望ましいと、こういう指摘がされております。私どももそういう方向で検討を加えていただき、適切な結論を早く出したいと思っております。  最後の社会福祉譲与税でございますが、福祉財源の拡充の必要性から考えますと、何らかの新たな財源が必要だということは、私も岩上委員の御指摘のとおりだと思います。ただその場合に、いかなる税目なり税負担という形でこの社会福祉のための財源を新たに確保するのかということをまず決めていただかなければならない。それを国、地方双方に財政支出に見合って財源配分をしていく。その場合に社会福祉譲与税というふうな形も一つの検討課題だろうと思います。それらをあわせまして、今後速やかに検討を進め結論を出してまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
  120. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 所得税減税が年々行われておりますが、この所得税減税の際にやはり地方税も減税すべきではないか、これが国民の一つの要望ではないかというような意見も出るわけですけれども、やはり地方税は、この際やっぱりこういうふうに落ち込んでいるときには、それにリンクするようなことでないような姿勢が私は必要じゃないだろうかというふうに考えるんですがね。いわゆる自分の町は、自分の村は自分で守るというか、そういうことのためにやはり地方税というものをもっともっと大事に育てていくというか、そういう姿勢が私は必要じゃないだろうかと、このように思うんです。  で、いま一般消費税の問題を政府が検討されておりますが、余り人気はよくないようなんですね。私はまあこれも検討されているわけですから、とやかくいまここで批判は差し控えますけれども、むしろ私はいま一番おくれている福祉対策というものを、佐藤総理がもう先進諸国と余り変わりがないと、こういうふうなことで大分大みえを切られましたけれども、しかし、現実問題としてはこの福祉問題というのはまだまだ先進諸国から見てきわめて落ち込んでいる実態であろうと思うんです。国保関係等においてはある程度先進諸国並みと言ってもいいかもしれませんけれども、それ以外の福祉関係等においては非常に落ち込んでいる。で、特に身近な福祉問題を処理するのは市町村である。したがって、国民全体の立場から、愛情を持ってこういうものに対してはできるだけ国民が共通の負担をする。上厚下薄の体制でも結構でございますが、所得税の減税の際でも結構でございますし、やはり二百万以下はこれは無税とするという方法でも結構だろうと思いますけれども、やはりできるだけ所得の高い方から何%かをかけて、この福祉譲与税をつくってみてはどうだろうか。あるいはもっともっと私はこういう法人交際費等について考えていいんではなかろうか。あるいは相続税問題とか、いろいろと私は財源の見つけ方いかんによっては十分に確保できるものがありはしないだろうかと、このように思いますので、社会福祉譲与税というこの考え方は一般の国民からはむしろ私は歓迎されるんじゃなかろうか、こういうふうに思いますので、十分に御検討おきいただきたいと思います。  時間がありませんので、さらに先に進みますが、補助金と超過負担問題について二、三質問さしていただきますが、地方団体では五十二年度において法律補助が何と八四・七%、予算補助についてはわずかに一五・三%、圧倒的に国の委任事務等による補助政策で地方はがんじがらめになっているのが実情であります。この際、この補助金政策の及ぼす弊害を改め、ことに政令補助金はできる限り交付税に算入をする、そしてやむを得ない補助金については補助金の統一化あるいはメニュー化、さらには補助金交付の事務事業の簡素化を初め、従来からの知事会等の主張であります直轄事業負担金、これも段階的に廃止の方向で進めていただきたいと、このように思うんです。この補助金という問題が、やはり国の中央、地方を通ずる一貫体系の一つの親骨になっている。ここでその補助金に頼らざるを得ないという地方、ここに私は地方自治発展を阻害する大きな原因がありはしないであろうかと思われますので、交付税ということになれば、これは地方税プラス、いわゆるこの税に対して地方自治を尊重するという意味で補完的にこの地方交付税が地方のものとして与えられるわけでございますので、むしろ私は交付税の方に補助金を切りかえていくと、こういうふうな方向が私は望ましいんじゃなかろうか、こういうふうに思いますが、私の意見に対して自治省考え方を伺いたいと思います。
  121. 山本悟

    政府委員山本悟君) 国庫補助、負担金がいろいろな各事業につきまして非常に多額に支出されていること御指摘のとおりでございまして、また場合によりましては、それらの交付のやり方によりましてはいろいろと地方自治あるいは自主的な処理という考え方を阻害するんじゃないかという御意見のありますこと、私どももよく存じ上げているところでございます。考えてみますと、やはり国庫補助、負担金、それぞれの必要とする事業につきまして、国の立場から見ましてもそういう金を支出することによって事業の執行を図る、全国的な統一をとって事業の執行をしていきたいと、こういうような希望を持ったものであると、そういう事業であると。その意味におきましては、やはり一つの意図もあり、かつ効果もあると思うわけでございますが、やはりその中には、非常に細かなもの、あるいは非常にもう効果の済んでしまったもの、いろいろな見直しをしなければならない要素も多分に含んでいるものであろうと思います。いわゆるマンネリ化というようなこともよく指摘をされるわけでありまして、そういったような意味から、補助、負担金というものにつきまして常にまあ見直しをしなきゃならないと、この立場は私ども全くさように存ずる次第でございます。そうしてまた、そういうことをやります際には、やはり必要とする事業については一般財源化する。一般財源化の方途といたしましては、やはり交付税というものを増強することによりまして、必要な事業費というものを地方に財源として確保すると、これも一つの有力な手段、やり方であろうと存じます。  まあ、いろいろあわせ考えてまいりますと、より地方自治の立場から言って自主的な財政運営が可能になり、事業の選択が可能になると、方法といたしましては、やはりひもつきの補助金というものよりは一般財源である交付税というようなものが、そちらの地方自治の自主性という立場から見ましてより適合する制度であろうと、こう思うわけでございまして、これらの点は地方制度調査会等におきましても、やはり自主的な、地方団体の自主性の尊重と、あるいは行政の効率化の観点から言っても、補助金については整理合理化を図れ、そしてその整理合理化された財源は地方の一般財源化せよと、こういうような考え方も示されておるところでございまして、私どもといたしましても、基本的な方向というものはまさにその方向に持っていくべきではないかと、こう思うわけでございます。  なお、途中御指摘もございました直轄事業の負担金というような問題、これも従来からいろいろ論議のあるところでございます。やはり国と地方との事業費についての負担区分の基本に触れるというようなことでございまして、直ちにこれを廃止すべきかどうかにはなお議論のいろいろあるところでございます。ただ、管理費なんかにつきましても相当程度直轄負担金としてかけているというような点は、やはり現在でもおかしいじゃないかというような御指摘も調査会等からもいただいているわけでありまして、そういったことを踏まえながら、その段階的な解消というような方向努力してまいりたいと存じます。
  122. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 時間もありませんので先に進みますが、超過負担についてでございますが、五十年の十二月地方六団体の調査しましたデータを見ますと、四十九年度の超過負担額は何と六千三百五十九億円余に上っております。もちろんこれにつきまして、単価差なり数量差、さらには対象差の取り方について、それぞれ団体側と政府側とに相違がございますが、この単価差だけを自治省算定をして大分超過負担は解消したというように言われておりますが、それでもなおかつ自治省算定によります内容を見てまいりますと、大体半分といったところでございましょう。四十九年、五十年、五十一年、五十二年、いずれも五三%、五九%、ときには八二・五%といったところもございますが、そんな程度でございます。特に保育所あるいは保健所、農業委員会の負担率はきわめて高い。  具体的に、これは私の茨城県だけを取り上げて申し上げるのははなはだ恐縮でございますが、私が知事在職中につくりましたコロニー、この建設についてでございますが、総事業費が三十七億余かかっておりますが、国補の基本額はわずかに八億円程度、まあ二割ちょっと程度でございます。  こういうふうな現実を考えてまいりますと、やはり超過負担という問題は、本当に地方自治団体の側に立って、真剣に地方自治団体の要望されている、特に単価差の問題のほかに数量差なり対象差等も十分に勘案をしてもらおうというようなことも考える必要がありますが、十分にこれらの点については共通理解を持った上で、さらに超過負担解消に全力を挙げていただきたい、このようにお願いをいたしたいと思いますが、御意見いただきたいと思います。
  123. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおり、いわゆる超過負担の問題、これは国、地方を通じます財政秩序を乱す基本的な、重大な問題であるという認識を持っているわけでございまして、毎年度のように具体の問題を取り上げまして、関係各省庁に対しまして、自治省といたしましてはその解消方、改善方の要請を続けてきているところでございます。ただいま御質問の中でもお触れになりましたように、いろいろ金額の取り方というものについては論議がございます。きわめて大きく言う方から申せば実績補助金との差というような話になってまいりますが、それだけではやはり物事は解決しないわけで、やはり必要とされる基準というものをはっきりと設定した上で、その基準に達するまでの事業を行いますについてはこれだけは常識的に見ても要ると、その地域では要ると。こういうようなことと実際に配分される補助金との違い、こういうものをとっていかなければならない問題であろうと思います。  しかし、御指摘のとおりに、単純な単価差だけの問題じゃなく、やはり数量なり対象なりというものが通常の常識では考えられないようにしぼられているというようなことであれば、やはりその実態はおかしいということでございますので、そういった意味での数量差なり対象差というものも常に合理的な線というものを確保する必要があろうと、こう私どもは思っているわけでございまして、各年度それぞれに、非常にはなはだしいと思われます幾つかのものを拾い上げまして、関係各省庁と共同調査もいたしましてその改善方をお願いしていく、こういう努力を重ねております。たとえば保育所につきましてはいままで標準仕様がなかった、そういったような問題も、そういった調査との積み重ねによりまして本年度からそういうものができてくるというようなことで、次第次第に改善はされておると思いますけれども、なお一層最大の努力を傾ける必要があることというように思っております。
  124. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 次に、行政機構改革問題についてでございますが、今回政府は行政機構改革に踏み切ったということになっておりますが、何しろ一世紀を超える中央集権の一つの体制にメスを入れようということでございますから、なかなか大変なことであろうと、このように思いますが、それでもなおかつ、昨年の十二月二十三日閣議決定をして、どうしてもやっていきたいというようなことで非常に熱意を注いでいるようでございますが、特にこの中央の行政機構と関連しまして、地方事務制度についても二年以内に廃止の方向で進めようとしております。これもきわめて結構なことであろうと賛意を表するものでありますが、どうか再びこの地方事務制度が復活するということのないように、さらに従来地方として非常に困っております二重行政あるいは二重監査の弊害といったものが起きることのないように、特段の努力をしていただきたいと思うんです。特に地方自治団体という団体の中に中央の官庁が出先として入ってくる、あるいは逆にそれが廃止をされ地方自治団体の中に入り込むという場合に、どうしても地方自治団体の持っている地縁、人縁関係を含めて、市町村なりあるいは知事なり、抱えている地方自治団体を大きく育てていこうという責任を持ち、しかもまたそれに対して住民の批判なりあるいは住民からの監査、こういうようなものを受けながらもこの地方自治団体を守っていこうという、そういう姿勢の中にぽっかり上の方から流れ込んでくる。こういうことについて、やはり十分に気をつける必要がある、このように思うんです。  したがいまして、行政改革は、各省問それぞれ統廃合含めまして合理的あるいは効率的に処理をされるということもきわめて大事なことではございますが、国民の側から見て、行政はいかにより民主的な運営がなされているかどうかということを一つのポイントとして行政機構改革を進めなければならない、このように思うんです。この際、やはり地方側、特に市町村側からも十分に意見を聞いて実行していただきたいと思うんです。よく天下り人事問題等について批判を受けるのは、そういう自治体の持っている特性を何か上の方からぽんぽんとやられはしないであろうかというおそれというか、そういうようなものがやはり根底の中にあるだろうと思うんです。私は、政府から地方に出てくる、これもいい人材がどんどんと来て、そして地方の実態を知ってもらうということも意味があると、このように考えますけれども、えてして、何となく地方の実態を知らないでぽんぽんと中央に目を向けて、そして地方自治団体に背を向けるようなそういうふうな姿勢がときどきうかがわれるというふうなところから、この天下り人事反対といったようなものが出てくるんじゃなかろうかと思いますので、これは職員の資質の問題もさることながら、行政機構改革の本質的な意味というのは、ただ単に合理化なり効率化を図るということではなくて、より民主的に十分に国民の納得できるような行政機構が生まれるということを期待するという意味で、私は今回の行政機構改革というものは非常に大変なことである、しかもこれは一年や二年でそう簡単に解決できるものではないと思いますが、精力的にこの行政機構改革を進めていただきたい、このように考えるのでございますが、行政管理庁の御意見を一言だけお伺いしておきたいと思います。
  125. 關言行

    説明員(關言行君) ただいま先生御指摘のように、行政改革を進めますに当たりましては、ただ単にその合理的なあるいは効率的な運営の体制を整備するというようなことだけではなくて、より民主的に行政運営がなされるように配慮すべきことは当然であろう、私どもも全くそのように思うわけでございます。  行政改革を政府の中で推進をいたす体制の一つといたしまして、行政改革本部というのが設けられておるわけでございますけれども、その一員には自治省からも御参加をいただいておりまして、間接的ながら、私どもは地方公共団体の御意向も十分反映されるように極力配慮をいたしておるところでございます。  最近の卑近な例で申し上げますというと、また別途の例で申し上げますと、先ほど話題に上りました補助金——これは補助金そのもののあり方の調査ではございませんで、補助金事務手続のあり方につきましては、まあ私どもの方の行政監察局の方で調査をいたしまして、行政管理庁の機関でございます行政監理委員会からもその補助金事務手続の簡素化についての御意見をいただいて、早々に政府部内で改善を図っていきたいと考えておる段階でございますけれども、この調査の発端にいたしましたのも、実は都道府県なり市町村なりの御意見を、私どもの方で自治省の御了解を得てアンケート調査をいたしまして、その御意見を極力取り入れる形で進めたような次第でございます。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 私どもそのように努力をいたしておるつもりでございますけれども、なお先生からの御指摘にもございましたので、今後ともその点は十分留意をいたして検討をさせていただきたいと思います。
  126. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 どうぞ、その指針に沿うて積極的に取り組んでいただきたいと思います。  最後でございますが、警察庁に伺いたいと思います。  日本は自由、民主、そして平和という一つの新しい思潮を持ってこの日本の復活を図ろうと、このように考えているわけですが、当然、そこには平和な社会をつくり上げるために社会秩序を守っていかなければならない。その立場に立って第一線で働いておる警察官、一体どういうふうになっているだろうかということを調べてみますと、まことに日本の警察官は過重な負担を背負っているようでございまして、警察官一人当たり日本は五百六十七人、フランスは二百八十三人、イギリスは三百九十三人、西ドイツ三百九十九人、アメリカが三百八十五人、イタリアにおいては三百四十人となっているわけでございまして、警察官なかなか大変であろうと思いますが、聞くところによりますと、日本の警察官は他の国に対して優秀だからまあまあというようなことをよく言いますけれども、しかし、これは優秀だからそれでいいんだということにはならないし、特に日本のように開放自由主義国家というか、何でも情報はとりやすいし、またとられやすいという、そういうふうな実態にもありますし、日本の秩序を維持していくということは本当に大変なことではなかろうかと思います。  そこで、警察官の定員増、年々要求されて不本意ながら若干の増員が認められているようでございますが、この増員された定員の配置について、どうも歴史的な経過もあってでこぼこではなかろうか、こんな感じがするわけでございますが、実態に応じて処理していただきたいと、このように考えます。  それから一国会周辺を見ると、何かやたらに制服を着た警察官が多いし、盾を持ったり何か物々しい構えを持っている方を見受けるわけでございますが、こういうものは本当に必要なんだろうかどうか。初めて国会に出てまいりましたために、いささかこうちょっと危惧の念を、何かこういうふうでなければ国会は守られないようなことになってしまっているんだろうかどうかというような、そんな感じを実は持つわけでございますが、もっと社会の実態に応じて重点的に配置するような、そういう姿勢が必要ではなかろうかというようなことを考えたことも手伝いましていま申し上げたわけでございます。  それから、社会が非常に複雑多岐に変わってまいりまして、この前、著作権の問題等において海賊版というものがどんどんどんどん日本に入り込んできている。これが警察の取り締まりというようなことになっておりますけれども、ほとんど検挙された例から見て微々たるものであります。しかし、こういうものについての知識、こういうようなものもやはり十分でないし、いろいろと警察職員の資質の向上等については、警察大学校もあるわけでございましょうが、もう少し教養の問題、資質向上の問題等について十分に配慮する必要がありはしないであろうか、このように考えるものでございます。  それからもう一つ、もうあと一分ぐらいしかございませんが、警察職員の財政的な配慮についてこれはほとんどなされていないんで、県の段階においてこれが処理されている、こういうことでございますが、この際やはり警察職員というものも警察の裏側にあって常に一生懸命努力をしているわけでございますので、こういう面についても十分に自治省と相談をして財政的な配慮もされておく必要があるんじゃなかろうか。これは案外に少ないものじゃなくて、わりと人数としては多いんですね。こういう面についてもやはり十分に考えてあげる必要があるんじゃなかろうか。こういうようなことを意見として申し上げるわけでございますが、警察庁としてひとつ御答弁いただければ幸いでございます。
  127. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいま御質問のありました警察官の定員配置に関連する問題でございますが、御質問にもありましたように、諸外国では一人当たり平均三百五十人程度の負担でございますが、わが国では五百六十七人、特に首都圏では、茨城七百六十三、埼玉七百七十九、千葉七百三十四人という八百人近い負担を、諸外国の二倍以上の負担をしておるわけでございます。毎年人口増ということで百十万ないし百二十万わが国の人口がふえておるわけでございまして、特に都市化現象、大都市周辺における警察事象が大変ふえてきております。そういう意味で、警察庁としましては人口の自然増に対処するためのいわば団地対策要員とか、そういうものを中心にして最小必要限度の増員は今後とも要ると考えております。  適正な配置という御質問に関連して申し上げますと、昭和五十三年度は三千四百人の増員をいただきまして、全部の県に増員することができまして、各県の要望にもこたえ得たわけでございますが、昭和五十一年は二千人、昭和五十二年は二千五百人でございましたために、各県の第一線の要望にこたえることができなかったわけでございます。したがいまして、十県はこの二年間全く増員がなかったという状況もございまして、われわれとしましては、適正配置を行うためにはやはり相当数の警察官の増員が要るのではないか、かように考えておるわけで、今後とも努力してまいりたいと思います。  それから極左対策の警察官の配置、装備の点についてお尋ねもございましたが、もちろん情報で勝負ということで、いろいろな予測を行った上で適正な配置を行い、まあ警察官の負担を軽減すべきだろうと思いますが、警察の仕事といいますものは予測に対応した仕事だけをして済むわけではございませんで、やはり全く情報がない突発事案を現場で適切に防がなければ、対処しなければ通らないという警察職務に内在する特殊性がございます。したがいまして、外観上はちょっとむだな配置ではないかというようにごらんになる点があるかもしれませんが、これは万全を期するためにはやむを得ない配置ということで御理解いただきたいと思います。  それから資質の向上を図るための教養につきましては、御指摘のとおりでございまして、最近の科学技術の発達に伴って、警察官の教養も修得すべき知識も大変多岐にわたってまいりました。これに対しましては、大学校を初めいろいろな警察学校での教育もコンピューターの問題あるいは公害関係の技術の問題、交通工学に係る事柄等、科学の進展におくれないようにそれに必要な教育も行っておるわけでございます。そういうことを含めまして、いかなる事案にも対処できる資質を備えた警察官の教育に努めてまいりたいと思います。  それから、最後にお尋ねございました警察職員についての配慮、増員関係配慮でございますが、これは御指摘のとおり、ここ二年間は各都道府県警察における警察職員は削減になっておるわけでございます。しかしながら、警察官が、十分ではございませんが増員されつつあるわけでございまして、それに見合う一般事務職員の事務というものもふえてきております。警察官にそういった事務を行わせていくということにもなりかねない状況でございますので、今後関係省庁に一般職員の増員についても警察庁としてお願いしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、最初に成田の空港襲撃事件に関する問題を質問いたします。第二番目には動物保護の問題、最近特に猛獣ぺットの問題が社会問題になっております、この問題。第三番目に地方債の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  最初に、成田空港管制塔襲撃事件が起きまして空港再開が延びたわけでございますが、私は運輸委員会におきましても二回にわたりまして成田問題を取り上げてまいりました。特に私が指摘してまいりましたことは、第一回目の委員会の折にも申し上げましたが、どう考えても、私たち自身が成田へ視察に参りました折に、管制塔まで行くにも初めての人であるならばなかなか行くことはできない。にもかかわらず、いとも簡単にそのように管制塔まで行くことができた。それに非常出口がどこにあるかわからないのもちゃんとわかり、非常出口もあいていた、またマンホールの問題等、管制塔のあの窓ガラスについてはなかなか外から割れないということも聞いております。簡単に割れる窓ガラスはあの角々になった中の一枚だけは簡単に割れる窓ガラスであるということも聞いております。そのどの窓ガラスがそういう簡単に割れる窓ガラスであるのかということを、すでにそういう襲撃した過激派が知っていたということは、どう考えても初めてあの管制塔へ上った人ではない、これは内部に誘導した者か、あるいは通報者がおるはずであるということを私は指摘をしてまいったのでございます。いま逮捕されましたそういう取り調べの中から、新聞報道によりますれば、空港管理ビル建設の際にもぐり込んでそういう複雑な管理ビルの構造等を知り尽くし、あるいは資料を盗み出したということも言われておりますけれども、内部から誘導された者もおると、そういうことが言われております。こういう意味から私はずっと一貫して指摘してまいりましたが、内部誘導説の捜査の経過というものは現在どのようになっているのか、最初にお聞かせいただきたいと思います。
  129. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いまお尋ねのような点につきましては、私たちも可能性としては十分考えられるというような観点も含めまして、捜査の中ではいろいろの角度から取り調べ、捜査をいたしました。先日起訴になったわけでございますが、現在までの捜査の段階では、彼らがその内部の事情に精通していたと思われるその理由、原因というような点については、これといったようなところは現在までの捜査段階で出てまいっておりません。私たちは今後の警備のこともあり、また成田開港後の恒久的な警備体制のこともございますので、引き続きこれらの点につきましては調査を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
  130. 田代富士男

    田代富士男君 いま警備局長は、多分にそういうことは考えられると、それを基本にして取り調べをしたけれども、これという決め手はまだつかんでいないということでございますが、私たちは捜査の専門官ではございませんが、いま申し上げました私たち自身が視察に行った折に、これはなかなか管制塔に上りにくいですねということも何回も念を押しながら、にもかかわらず、そういう空港の地図なんか、マンホールが記載された地図がそういうふうな犯人の過激派のもとに流れると、そういうことを考えてみた場合に、決め手になるものがないと言われますけれども、私はこれは反対論の立場から言うならば、じゃ、そういうものがなくてただ単に初めて上がったものであるかという、そこらあたりはどうなんでしょうか。初めて何も知らずに白紙の状態で管制塔へ上がっていったものであるのか、その一貫した動きが白紙のもとに行われたというお立場でしょうか。どうでしょうか。
  131. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いま御指摘のような点も十分考えられるわけでございまして、私たちもいろんな角度から犯人の取り調べ等に当たりました。いままでのところわかっております点は、ただいま申しましたようなことで、これという決め手といったようなところまでわかっておらないところでございますけれども、前日農家の納屋に集合いたしましたときに、あの中に入ったリーダーの一人が図面等を広げて指示をしたというところまではわかっておるわけでございますけれども、したがいまして、そのリーダーは、そのときの状況から少なくとも地下の排水溝は前に知っておるというような様子はうかがわれましたけれども、その図面の種類であるとか、中身とか、またどの程度具体的に知っておったのかというような詳細については、ただいままでのところ明確なものが出ておらないというのが捜査の現状でございます。
  132. 田代富士男

    田代富士男君 多分に捜査の段階であるために局長はそれをおもんぱかっての御答弁ではないかと、私はそういう立場も理解いたしますけれども、これだけいろいろな具体例も言われておりますし、新聞報道にもいろいろ内部誘導説ということが有力に報道されております。これを、もし、いまの警察の段階で究明することができなかったとするならば、私は今度開港されたときにどうなるのかという心配があるんです。  これは御承知のとおりにダッカのハイジャック事件がございました。そのとき、私は運輸委員会でこの問題も取り上げまして、その武器をどういう経路で渡されたのかという究明をいたしました折に、この航空機のそれぞれ整備、そういうような従業員が、正式な航空会社の職員でなくして下請の会社の職員が参加している空港がございまして、そういうところから入手したのではないかという疑いが持たれたことが論議されました。  私は今回いまだに、そういうことは十分に考えられるけれども決め手になるものはない、そういう状態であったならば、たとえばそこのテナントあるいは食堂の従業員、いろいろ大ぜいの人が、あの空港自身にまつわるいろいろな人が入っております。ちょうどそれはダッカのハイジャック事件の折の、正式社員でなくして、そういう下請の従業員が持ち込んだということが可能性が大ということが言われておりましたけれども、いま、その本質をわきまえなかったならば、私はダッカの空港、ダッカのハイジャック事件の二の舞を起こす心配がありますし、恐らく警察当局とするならば、そういうことは最終的にはまだつかんでないということでございますが、新聞にはそういう記事がどんどんどんどん出ております。そうすると、テナントの雇用側といたしますならば、そういう心配はないものか。私はまた運輸省の当事者あるいは公団の当事者としてそういう心配は皆無であるのかどうか、これをまず運輸省、公団側からお尋ねしたいと思いますが、どうでしょう。
  133. 松尾道彦

    説明員(松尾道彦君) いま先生の御指摘の点でございますが、私どもも管理棟の中に公団の方と一緒に空港事務所が同居いたしております。私どもの関係が管制塔関係を所管いたしておりますが、空港事務所につきましては十分に公団の方とも内密な連絡をとりながら、非公衆の建物でございますので、十分なチェックが可能でございます。内部の事務職員についても十分な話をしておりますので、いまのようなことは万々一にもないように確信いたしております。
  134. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) テナントの従業員の問題でございますが、これにつきましては、各テナントから従業員のリストとそれから公団であらかじめ決めましたフォームに従った身分証明書といいますか、カードでございますが、これは写真を張ったものでございます。これを提出をさせまして、それを照合した上で公団が承認の判を押して、それを必ずテナントの従業員は左の胸につけて働くというふうに指導いたしております。それから工事会社の作業員等につきましても、必ず毎日作業員のリストを出させまして、これを警察方面にも御連絡をしておるというようなやり方で、御心配のようなことのないように十全の注意を払ってやっておるわけでございます。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 いま、当然空港の責任者であります御両人のお立場から御説明をいただいたわけなんですが、こういう胸にネームプレートをつけているから大丈夫だということでございますが、そのネームプレートをつけている、その盲点で、ダッカのハイジャックのときにも武器が授受されているという可能性があるということが論じられたわけなんです。だから私はその心配がないのかということは、今回過激派があれだけの管制塔へ上っていったことを私はただごとではないとして、だから警察庁といたしまして、これがそのまま、そういうことはあり得るという前提のもとに調べている、決め手になるものがないということでありますけれども、これは徹底的に、今度再開港されて事故を未然に防ぐためにも——病気の場合もお医者さんが診断をするときに、これは何のために熱があるのか、何のために下痢をしているのか、その原因がわからないままで治療してもよくなるものではありません。現実にそういうわれわれ一般市民から考えましても、どう考えてもこれは初めての者が行ったとは考えられないと、ここままでの判断を持っているわけなんです。  だから、そういう疑いを国民が持ち、再開港を危惧しているそのときに、警察自身が、そういうことは可能性はあるかわからぬけれども決め手がないということは、原因がわからないままに再開港するということは、病気の原因がわからないままにそのまま処置をするということは、完璧に病気をよくすることができないのと同時に、これは人間の場合は病気でよろしいんですが、開港となりましたら、これは国内だけじゃなくして全世界に災いを起こすことになるわけなんですが、私は警察庁としまして、この原因を究明するその姿勢があるのか。ないから仕方がないというそのままで済まされるのか。ないものであるならばないということを明確に国民に、こういうような内部通達者はなかったという明確なる警察の立場として、全国民に対して、また全世界の航空関係の皆さんに対しても一遍明確にすべきではないかと思いますが、いまのところはうやむやのままですけれども、この点は警察庁としていかがですか。
  136. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 御指摘のように大変重要な問題でございますので、私たちといたしましては、現在逮捕した者については一応起訴という処分は決まって済んだわけでございますけれども、引き続き未逮捕の被疑者、あるいは逃走した被疑者、こういう者を追跡捜査をするという立場から捜査を続けてまいりまして、その中で、いまおっしゃるような上部の人間とか、あるいは横につながる人間で共犯的な人間とか、こういう者をさらに追跡捜査をいまいたしておりますので、そういう中で原因あるいはいまおっしゃったような点の究明というものを続けてまいりたいと考えます。ただ、そういう中で、それが明確にならないからあとはもうあきらめるというのではありませんで、明確にならない現状におきましても、そういう可能性を考慮に入れて対策を講じていく、こういう立場で次の開港及びその後の警備に備えてまいりたいと考えておるわけでございます。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは最高責任者の加藤大臣もいらっしゃいますが、私は、この質問をするのは何もいままでに起きたことを責めているものではありません。警察の皆さんや空港公団の皆さんの御苦労ということはいかばかりかと思います。それで私は、二度とこういうことを起こしてはならないという、そういうことがあればこそ、いま私は原因究明に対して私なりに運輸委員会でも一つ一つこれを積み上げてまいりました、運輸委員会においても。そういうところからいま申し上げておりまして、警備局長は、ただいまこれは縦のつながりあるいは横のつながりのそういう未逮捕者に対してもそういう究明をやっていくし、いま私が指摘しましたことを考慮に入れて究明をしていくということでございますが、やはり最高責任者の加藤大臣としてこの決意をお聞かせいただきたいと思います。
  138. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 三月二十六日にあのような事件を起こしましてまことに残念至極のことでございます。  そこで、いま警備局長が捜査の概要について報告をいたしたのでありますけれども、私は捜査を徹底いたしまして、とことんよって来る原因を追及していかなければならぬと、かような基本の考えで公安委員会といたしましては警察庁に指示をいたしておるところでございますのと、いま一つは、残念な事件ではございましたが、残念なことを残念に終わらしめてはならぬのでありまして、このことをとうとい教訓といたしまして、今後の万全の体制をとってまいると、かような決意でございます。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 もし、これはこういうことがあってはなりませんが、私がただいま指摘をいたしましたようなことがそういう関係者から起きたとする場合、そのときに被害者も出るでしょう。その場合の責任と損害の補償というものはだれが責任を持つんでしょうか。
  140. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいま、テナントの中におったとかあるいは空港関係の従業員の中におったと、こういうことでございますれば、それぞれの雇用関係の雇用主というのが当面の責任者かと思いますけれども、ただ、本人のやっておる行為は本人の雇われておる仕事と関係のないところで行うというのが普通でございましょうから、そういう意味におきましては、その本人にみずからが責任を負わなきゃならぬということであろうかと思います。
  141. 田代富士男

    田代富士男君 いま警備局長から、逮捕した者は起訴をしたと。私のお聞きしているのは、逮捕者のうち九五%余りが起訴されたと、このように聞いております。過激派は逮捕されまして、重立ったそういう主力のメンバーは逮捕したんだからというようなそういう気持ちはないと思いますけれども、この逮捕によりまして過激派の動きというものは、新聞やそういう報道によりますれば、最近千葉、成田の中心でビールびんが数千本盗まれたというような報道もされておりますし、自動車の盗難が頻繁であると、こういうことも報道されております。そうすれば、われわれ一般人としてそういうものが盗難されるということは、次に起きてくることは何であるかということはおおむね想像がつくわけなんです。  で、今回の襲撃事件の主役となったのは、第三セクト、第四インターの日本支部、こういうところが一番大きなセクトではなかったかと思いますが、これらのグループが、成田闘争という一つの目標に向かいながらお互いにセクト同士がしのぎを削っているというような、そういう戦いをやっているわけなんです。それぞれセクトによりまして主義、主張は変わっておりますけれども、いま考えても次に何がくるかという、そういうような予想される危機を感ずるような、まだ表面には起きてないけれども、目に見えないところにおいては数段進んだことが起きているのではなかろうかと思いますし、その場合に破防法の団体規制の可能性というようなことも考えられるのかどうか。これは非常にむずかしい問題であるかと思いますけれども、大きな問題を未然に防ぐという、事故が起きて対応するのが警察ではないと思うんですが、そういう未然にこういう災いを防ぐということを考えると、こういう問題は可能性があるのかどうか、いかがでございましょうか。
  142. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 御指摘のように、今回の事件で検挙、逮捕いたしました者は百六十六名でございまして、そのうちの百四十七名、八九%に当たる者が起訴をされました。起訴されない者も、少年であるため家庭裁判所送りとか、それぞれ措置をされておりまして、純粋不起訴といいますか、起訴猶予というのはごくわずかと、こういうことになるわけでございます。相当多数の者が起訴をされておりますけれども、しかし、これがある程度の沈静効果は持つ面もございますけれども、御指摘のように、幾つかのセクトが現地での闘争をやるということでありますので、前回は第四インターが中心になりましたから、今度は第四インター以外の者がぜひこれに負けないようにということで一層過激な闘争を考えるということも予想されるところでありますので、私たちとしては、過去の経験並びに彼らが考えるであろういろいろのケースというものを想定いたしましてこれに対処していくというのが基本の姿勢でございまして、このためにいろいろと想定並びに対応の仕方というものを練っておるところでございます。その際、ぜひ事前にやれることはどんどん現行法を活用いたしまして措置をしていくということによって、彼らが違法行為を行う以前にできるだけこれを措置をしていくということはもとより理想でございます。  ただいまおっしゃいましたような空きびんの盗難であるとか自動車の盗難といったようなものは、どんどん一般の方から申告なり通報があるということを私たちとしては大変歓迎をいたすわけでございます。こういうものを手がかりにいたしまして、盗難事件の捜査を通じまして検挙していくということにも力を入れていきたいと思って現にやっておるところでございます。  最後に、いま御質問の破防法による解散の問題だと思いますけれども、破防法によって、破防法には罰則もございますけれども、この罰則に当たる者については、もとよりわれわれの捜査の中でこの罰則の構成要件に当たる者、これを充足する場合には捜査、検挙をしていくという姿勢で、そういう着眼も十分に持っておるところでございます。  なお、たとえば大変過激な行動をやった第四インターを破防法による団体規制処分としてこれに解散を命ずるかどうかと、こういうような問題につきましては、所管の官庁といたしましては公安調査庁がこれを所管をいたしておりますので、ここと十分緊密な連絡をとりまして、私たちが捜査の中で得た資料は公安調査庁にも提供する、公安調査庁はまたこれを活用し、また自分で独自の情報活動といいますか、資料収集活動をいたしまして、その上で判断されるものと考えております。いずれにいたしましても、公安調査庁もわれわれも、事前にそういうことで規制をしていくことができれば、これは大変有効な方法であるということについては同じ考え方でございます。
  143. 田代富士男

    田代富士男君 これは事前に災いを防ぐという立場ではなかなか踏み切れない面もあるかと思いますけれども、いま局長が申されたとおりに、破防法に触れる点があるならばどしどしそれをやっていくし、着眼をやっていくし、これは公安調査庁との関係もあるからということでございますけれども、再び事故を起こさないという立場からの私の意見でございますから、その精神でひとつやっていただきたいと思います。  そこで、いまさきも局長が申していらっしゃいましたけれども、現実に逮捕された者は起訴したけれども、逮捕されていないいろいろな横の関係あるいは縦の関係者、そういう者に対してはどんどん究明を図っていくということでございますが、今回の管制塔襲撃事件で一つ考えられることは、いまも申したとおりに、セクト同士がしのぎを削り、反目し合いながら活動しているそのメンバーが、今回の襲撃事件では、御承知のとおりに、共産同戦旗派、革共同第四インターの日本支部、それからプロ青同、こういうような主力の三セクトが共闘を組んで一つのことを成し遂げている。あれだけ反目をし合っている仲間がお互い同士で話はできないはずだと。ところが、そういうようなセクト、三つのセクトが共闘を組みながらそういうふうにやったと。これは新聞報道によりますと、そういう組まさした黒幕というものがおるはずだと。それはいま局長が、農家の納屋において地図を広げて作戦を立てたと、その作戦を立てた男がおる、指示をした男があると、いま局長がそういう話をされましたけれども、その三つのしのぎを削っているそのセクトを合流さしてやらしめたこの黒幕の男なる者、この捜査につきましてはどの程度捜査が進んでおりますか。
  144. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいま私が申しました地図等を示してマンホール作戦の実施方を指示したのは、今回現実に現場へ行って逮捕され起訴になっておるという、まああの犯人グループの中のリーダー格の人物ということでございますけれども、さらにそれ以外に、いまおっしゃるように幾つかのセクトにまたがる共同作戦といいますか、共同行動でございますので、これを横につなげるようなそういう黒幕の存在ということについても、私たちはそういう着眼で捜査を続けておるところでございますけれども、ただいままでのところ申し上げるような段階にまで至っておらない、ただし、鋭意そういう観点を掘り下げていくということでございます。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ局長、端的に言いますと、そういう黒幕が存在することは事実であると、このように受けとめてよろしいでしょうか。
  146. 三井脩

    政府委員(三井脩君) どの程度の者かということはちょっとわかりかねますけれども、現につかまっておる十五名以外に、そういう立場で彼らに指示を与えるとか、やった者があるに違いないと、こう思いますけれども、具体的にどういう状態であったのかというのはこれからの捜査でございます。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 次に、これはいま西ドイツのフランクフルトにおいて国際定期操縦士協会、これは終わったかと思いますけれども、この会議がフランクフルトで行われた折に、世界各国の代表が集まった中で、一部の国から、成田への乗り入れをやめるという趣旨を盛った緊急提案が出されたということを聞いております。その結果、この国際定期操縦士協会の代表から、成田空港の安全に不安があると、ついては日本政府の責任者から直接保証をもらいたいという電報が日本の運輸省に入ったと、このように聞いております。  どうしてこういうことがなされたか。成田はもうこういう危険だから乗り入れをやめると。これは一つの動きが、御承知のとおりに反対同盟の戸村委員長が外国の航空会社に文書等をもって、成田は危険な空港である、またわれわれは実力で開港を阻止すると、そういう呼びかけをやっている運動ということがあるということもわれわれは知っております。その戸村委員長の呼びかけによりまして、今度は五月の初めごろと聞いておりますけれども、外国の航空会社のパイロットが現地へ招待されて、日本の運輸省じゃなくして反対同盟の立場から招待されまして、危険な空港であるというアピールをされるような動きがあるやに聞いております。  こういうような動きを見ますれば、五月二十日の開港ということになっているけれども、このような動きに対して、もちろん成田空港の一番責任を持ってやっていらっしゃいます空港並びに運輸省の立場としてどのような対策を講じようとされるのか、ここらあたりを運輸省並びに公団からお聞きしたいと思うんです。
  148. 松尾道彦

    説明員(松尾道彦君) いま先生の方から御指摘のございました、フランクフルトでのIFALPA——国際定期操縦士協会の総会でございますが、先週の前半に開かれましてすでに閉会いたしておりますが、その席上から私ども運輸大臣あてに電報が届きまして、いまのような御指摘の点がちょっと出たようでございます。で、IFALPAといたしましては成田の安全対策に重大な関心を寄せまして、日本政府としてはどのような措置をされるかというふうな問題でございました。私どもとしましては、三月の二十八日に政府声明が出され、四月の四日に新空港の閣僚協議会におきます保安対策要綱の決定、さらには当国会における決議書、こういうものにつきまして言及いたしまして、特にIFALPAの方で具体的に話し合うということであれば、いつでも政府としても話し合いしたいということを電報で返電いたしました。その結果、IFALPAの方でも政府の措置を了とされまして、この問題について十分了解すると。で、近く話し合う機会を持ちたいと考えております。なお、五月六日に、戸村一作氏からの招待状につきましては、IFALPAの総会におきましてはこれを無視するというふうなかっこうで日本の代表から状況を聞いております。
  149. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) ただいま新空港課長からお話があったような状況でございますが、公団といたしましては、四月の十四日と四月の二十一日、東京と成田とそれぞれ在京の各航空会社に対しまして、四月四日政府で決定をした安全確保対策要綱に基づくいろいろの施策につきまして十分説明をいたしまして御了承をいただいておるところでございますが、なお、反対同盟のそうした宣伝活動等については必要に応じて一つ一つ反論をいたしまして、成田空港の安全性について御信頼をいただけるように努力をいたしてまいるつもりでございます。
  150. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、私もこの成田問題も運輸委員会で取り上げまして、私なりにいろいろ心配をし、またどうすればよいかということを考えてまいりましたが、その心配される点を一、二挙げてみますれば、航究機の誘導の離着陸用の無線施設ですね、航空の無線施設が成田空港の周囲に二十カ所ぐらいあると、このように私は聞いておりますが、そういう無線施設の一つに千葉県の山田の航空機監視レーダー初め、同県の横芝町のアウターマーカーなどが過激派によって火炎びんを投げ込まれたという、こういう事件がございます。これは本格的な攻撃を受けなかったために機能を停止するというところまでいっておりませんけれども、この施設がへんぴなところ、その周囲余り何も建ってないという、そういうところが多いために、攻撃を受ける可能性というものが多分にあると心配される面があるわけなんです。  またもう一つは、人間で言えば一つの血液に通ずる燃料の輸送問題でございますが、これも動労千葉地本の戦術転換によりまして動労組合員の乗務ということになりましたけれども、これが今後果たしてできるであろうか、パイプラインができるまでこれが確保されるであろうかと。あれだけの、一万数千名の警官隊が毎日これを警備するというわけにもまいりませんし、これも果たしてどうであろうかと心配されるゆえんのものでございます。  外国のパイロットにとりましては、この成田空港の管制空域というものは——われわれも視察に参りました折に説明を受けました。百里基地とそれから羽田管制空域との間にはさまったところで非常に危険じゃないかと私たちも質問をしたくらいのことでございますが、まあ慣熟した日航のパイロットであるならばさほど苦にならないけれども、外国の航空会社のパイロットにそういう心配が心のすみにあるならば、安心して着陸するの離着陸するのと、そういう心配を持ちながら離着陸していくということは、第一次、第二次のそういうような事故を起こす要因にもつながるのではないかと私は思うわけなんです。こういうような問題が果たしてスムーズにいくものであるか、こういう点も心配でなりませんし、また、この前、第二要塞のあの攻防戦が行われた直後でございますが、もしか第一要塞がありましたところへ鉄柱をまた突如として立てられた場合にはどうなるものであるかと、これも決定的にだめだということは言えないと思うわけなんですし、またもう一つ心配されるのは、再開港されたときに——前回の開港日にも付近に山火事等が——小さな火事で終わりましたけれども、そういうようなものも計画された。空港周辺のそういうような混乱ということがあったならば大変な問題になると思うのですけれども、こういう問題に対してはもう当局として間違いなくこれは防げるというお立場にあるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  151. 松尾道彦

    説明員(松尾道彦君) いまの先生の御指摘の中で、航空保安施設の周辺の問題でございますが、私どもとしてできる範囲の防護対策を物理的に講ずるとともに、ガードマンの配備等をやっておりますが、さらに警備御当局の御援助もいただきまして、現在万全を期しておる段階でございます。  空域問題につきましては、いま御指摘のとおり、成田、羽田、百里という三空域の問題がございますが、空域設定につきましては、十分パイロット側との話し合いも詰めて安全なものとし、かつ飛行コースにつきましても、すでに昨年の十二月に各国にも通告済みでございまして、十分な安全が講じられておる、こういうように考えております。  それから、第一要塞関係に鉄柱が立てられるような問題につきましては、私どもも非常に危惧いたしておりますが、十分な監視体制をやりまして、進入表面上に出た場合については、これの撤去等も御協力を受けたいというふうに考えております。こういう問題につきましては、今後IATAを通じて連休明けにも十分の話し合いをやっていきたいというふうに考えております。
  152. 千葉博

    参考人(千葉博君) いま先生いろいろと御指摘の中で、公団関係の面につきまして、公団といたしましては空港本体のこれの警備はもちろんのこと、いま先生御指摘のアウターマーカーなぞ、非常に重要な設備がこの場外にございます。そういった設備につきましては、一段と自主警備の強化という点で防護設備をいま強化いたしておりまして、これにつきましては開港までにはもう十分間に合うといういま計画に相なっております。  そのほか監視関係の設備でございますが、暴力集団が近寄ってまいりましたり、あるいは破壊活動を行うという場合には、すぐに本部に通報がされる、そういったようなシステムも今度新しくいま考えまして、これも十分取り入れまして、これも開港までに間に合わせまして、そういうことによりまして、警察の方にいろいろお願いいたしましてすぐに出動していただいて、それで排除するというようなソフトウエアの面におきましても、これも新たにまた強化いたしております。  それから、国鉄の方の点、例の油の輸送の面、それからそれが成田の土屋という地点に来るわけでございますが、それから場内への輸送、こういったものにつきましても、いま申し上げましたように、監視の設備あるいはこれの防護の設備、これを抜本的にいま考えておりまして、これも開港までに問に合わせるようにいま努力しておる、かような状況になっております。
  153. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いまお話がございましたように、警備の立場で申しますと、前回の経験にかんがみまして、物的な施設、これを強化する、それからまたそれの運用その他、人的な面の一層の洗練、強化充実というようなことと相まちまして、警備体制、警備のやり方というものをいろいろ工夫をしておるわけでありまして、とりわけ極左暴力集団の攻撃行動といいますか、出方、これに注目をいたしまして、これにはいろいろなものが想定されるわけでありますが、いま御指摘のような点も一々含めまして、それぞれの対応の仕方を検討いたしております。その内容等につきましては、いろいろまた相手方の出方もございますので詳細はあれでございますけれども、公団並びに運輸省当局と緊密な連絡をとりまして、万遺漏ないようにやってまいりたいと努めておるところでございます。
  154. 田代富士男

    田代富士男君 いま、物的施設は整備をすると、また人的体制の強化を図って万全を期していきたいということでございますが、反対同盟の戸村委員長がニューズウイークのインタビューに答えまして語ったことが記事として報道されている中に、もし空港が再開された場合は、現在われわれはゲートでもう機動隊のために中に入ることができないけれども、再開されれば、今度は自由に空港内に出入りすることができるんだと、スーツケースも持っていくことができるし、われわれのゲリラ活動にとっては、再開港されるならばゲリラ活動として一番やりやすい状態になるんだと、だから、開港されてもそれは少しの時間だけであって、必ず運航は不可能になるであろう、こういうようなうがった話でありますけれども、少なくともその辺の一過激派の青年が発言したのと違いまして、反対同盟の責任者であるべき立場の委員長が外国のそういう通信社のインタビューに答えております。  まして、また聞き捨てならないことは、同じくUSニューズ・アンド・ワールド・レポートという、この記事を見ますれば、いまそういういろいろな銃器類を持つようになって、あの一万四千人の警官隊と闘って、警官隊も抑えることができずに管制塔を襲撃することができたじゃないかと、こういうことを、暗にわれわれの力というものは今後も機動隊の力では抑えることができないんだというような意味のことを言っておりますし、また赤軍派のメンバーが成田空港の闘争に加わるおそれがあると。これは東京に住むあるアメリカの企業の経営者がそういうことを言っていたと。そんなことになれば大変なことになる。テロリストは滑走路や飛行中の旅客機に向かってもそういうような障害を与えかねない。  こういうことになったならばこれは大変なことになるし、また成田空港のこういうことが一つのパターン化するおそれがあるというようなことも指摘されておりますが、少なくともこれはただ単なる誇張という、そういう意味に受け取っていいものか。これが本当の意図する真実を吐露したものであるのか。それであるならば、開港をされても、そういうような乗客と、そういうようなゲリラ活動をするそういう人との見分けをどのようにして——人的体制の強化を図るといま警備局長は申されましたけれども、これは大変なことではないかと思いますが、こういうようなことに対する対策というものは万全にできるものであるかどうか、お答え願いたいと思います。
  155. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いま御指摘のありました外国の雑誌での談話、対談その他も承知をいたしておりますが、また、彼らが、同委員長が言っておるようなことにつきましては、私たちはこれをあり得る事態の想定という中には入れまして、軽視することなく、これに対する対策を講じてまいるということで種々研究、工夫をこらしておるところでございます。  ただ、その場合に、私が思いますには、その外国雑誌のインタビューでも戸村委員長は言っておりましたけれども、何でそういうことをやるのかという質問に対して、私は議会制民主主義を認めない。言葉としては、望んでいないんだというようなことを言っております。つまり、空港を開かせないと、開いても後はすぐいろいろトラブルが起こるようにしていくんだという、ねらいはいわゆる議会制民主主義の破壊といいますか、それをねらっておるという意味では極左暴力集団と選ぶところがないと、こういうふうに思うわけでございます。  そういう意味で、私たち考えるわけでありますが、当面空港開港後の諸警備を実施するにつきまして、たとえば検問を行うとかというようなのもその一つでございますけれども、いろいろ警備方法を講じますと、一般の空港利用者の方々にある程度の御迷惑をおかけするわけでございますが、私たちはその方法等についてはいろいろと工夫をこらしていきたいと思います。しかし、それについての御協力はぜひお願いいたしたいということが一つ。  それからまた戸村委員長が言っておるように、空港を開かせない、不能にすると言っておるような意味が議会制民主主義の否定を目標にしておるんだと、こういうようなことでありましたら、これはもう空港問題についてのいろいろな立場からの反対というものを超えた、一種の革命運動の一端を担っておるんだということにほかならないのではないかというように思うわけでございまして、目的は何であれ、そういうような暴力的手段によって現在の憲法秩序を破壊しようと、こういうようなことに対しましては厳しく批判をするという世論をバックにいたしまして、私たちは警備の万全を期してまいりたいと考えておるわけでございます。
  156. 田代富士男

    田代富士男君 いま戸村委員長のことに対しまして、そういうことはあり得る事態として想定をされているということで検討なさっていただいておるわけなんですが、それで、この前も警察庁から運輸省、公団へ対しまして、物的施設の整備のために三十一項目の問題につきまして申し入れをされております。この問題につきましては、私運輸委員会でも取り上げてやりましたけれども、内容に対しては三十一項目をすべて言ったならば、さらにゲリラに対するまた攻撃目標を与えることになるから明確にできない面もあるということでありますし、いまさきも警備局長は、そういうことはわれわれが警察の立場としてやりますからと、そういうあえてゲリラに知らす必要はないというお立場で機密を守っていらっしゃるということ、これは私は多とするものでございますが、一つだけ私はそういうような警察の機密を守るというそういう姿勢はわかりますけれども、意外に思うことがあるんです。  それは前回の運輸委員会においても私取り上げましたけれども、あの空港管理ビルに入った正面に一号機、二号機、三号機と三つエレベーターが並んでいる。一号機は一階から十三階まで行く。これは二号機、三号機は八階まで行く。それで乗りかえて行く。一号機は一階、二階は動かないと、手動では。こういうふうなエレベーターになっているのが、二十五日、二十六日は動いていたということで、私はこの問題を取り上げましたけれども、あの管制塔が襲撃された折に、国民の皆さんに対して、あの管制塔の被害というものはさほどひどいものでありませんでしたということを含んでの意味かわかりません、余りに与えるショックが大きかったら大変だというわけで。あの管制塔は、空港全体で見るならば、これはちょうど手足のような状態のところでありましたと、空港の心臓部というのは実は七階にありますと、こういうようなことで、襲撃を受けたところは手足の部分でございますと、こう新聞に全部出されました。私はこれを見ましたときに、空港の心臓部は七階にあるということを明確にすべての者に公開してしまった。これは慎重にこのところを取り扱うべきではなかったかと思うんです。であるならば、七階が心臓部であるならば、そういう過激派が管制塔に上がることができないために、エレベーターは乗りかえて、一号機は一階、二階は機械室の作動でなければ動かないというくらいにしているならば、私は心臓部であるべき七階のエレベーターの昇降は取りやめるべきであると。七階を守る。いま第二号機、第三号機から七階は自由に行けるじゃありませんか。七階が心臓部であるということは公表してしまいました。もう隠すわけにはいきません。だから私から言うならば、三十一項目の内容よりも、これは枝葉の問題であって、心臓部を公表しておいて枝葉だけ機密だ、機密だと言っている。これはどういうお考えであるだろうかと私は思わざるを得ない。  だから本当にそういう意味で、こういうようないま申されたとおりに、物的施設の整備、あるいは人的体制の強化ということを図りたいというものであるならば、この七階が心臓部であるならば、七階の警備体制はどうするのか。いま八階まで自由に上がっているエレベーターも動いております、現在も八階までは。本当に守ろうという姿勢があるならば、その時点で気がつき、七階のエレベーターは動かさない、あるいはもう六階まででとめてしまうと、こういうような規制をやってこそ真剣に守ろうという姿勢というものは見受けられますけれども、頭隠してしり隠さずよりも、一番肝心かなめを公表して枝葉を隠していると、こういうふうに受け取られて仕方がないんですけれども、私は七階の心臓部の公表をした以上はもうやむを得ませんですけれども、私はどういうふうに警察としてこの対策を講じられたのか。また公団として、公団がそういう施設の管理でございますから、七階が心臓部であるならば、私は五階ぐらいにとめて、七階、八階へは上げるべきではないと思うんですが、公団としても検討されたのかどうか。もしこれがされてないとするならば、何を検討しているのかと私はあえて言いたいんですが、最初警察庁、それから公団からお尋ねをしたいと思います。
  157. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 御指摘のような問題がございますので、私たちといたしましては、いまおっしゃいましたエレベーターの問題もありますし、あるいは物的な防護施設の強化という問題もありますし、そういうことを含めまして公団と連絡をとりながら対策を進めておるということでございまして、その対策の内容というのはまたこれは一般にさらすことになりますので、この点はまた控えさせていただきたいと思いますけれども、いまおっしゃったような点を踏まえまして対策を講じておると……
  158. 田代富士男

    田代富士男君 いや、それは検討されましたか、いま言ったことは。
  159. 三井脩

    政府委員(三井脩君) そういう点を含めて検討をいたしました。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 しましたか。
  161. 三井脩

    政府委員(三井脩君) はい。
  162. 千葉博

    参考人(千葉博君) 先生いま御指摘のエレベーター中心にこの七階の心臓部と、こういったような点の防護については、これについてはもう十二分に検討いたしました。それでこれは具体的なことを申し上げますといろいろまた差し支えがございますので、またエレベーターにつきましてもいろんな仕掛けをするとか、それから心臓部には容易に近づけないように仕組むとか、それを運用するやり方も新しいやり方でシステムを考えて、これの警報装置それからそれの通報装置、そういったものも新たに考えまして警察ともいま十分に打ち合わせしまして、この三十一項目ここへ出ておりますけれども、この範囲内でいまいろいろ実際もう具体的にその問題進めております。
  163. 田代富士男

    田代富士男君 まあこれ以上私は追及するというようなことはいたしません。問題を起こさないために申し上げていることでございますが、意図するところをくみ取っていただきたいと思います。努力していらっしゃることはもう私もわかっておりますから、意図するところをくみ取って前車の轍を踏まないようにやっていただきたいと思います。  次に、今度そういうような物的施設の整備、人的体制の強化のために千葉県警の空港警備隊というものが新設されるようにお聞きをしておりますが、約千五百人の人がこの体制に当たられるそうでございますけれども、現在その千葉県警空港警備隊の準備状況というものはどのようになっているのか、御説明願いたいと思います。
  164. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) 開港後の成田国際空港の恒久的な警備を専門に当たる部隊として空港警備隊、千五百人の規模でいま編成を計画してございます。開港後できるだけ速やかに発足させるために、新規の募集によりますほか、現在の各県の警察官で、極左のゲリラ行為に対する鎮圧等の技術経験を有する者、機動隊経験者等をもって、当初一部でも速やかに発足させたいと準備しております。その余の者は、千葉警察におきまして新規募集しまして必要な教育訓練を行い、それを卒業、配置させて、千葉県内で適任者を逐次充てていきたい。年度内には発足させたいと思っております。その間経過的には従来どおり管区機動隊その他の応援部隊で空港警備に専従する部隊を編成して警備に当たってまいりたいと思っております。  なお、装備とか隊舎、そういうものにつきましても、ただいま具体的に予算その他を検討しております。  それで、この空港警備隊の設置に要する経費の点でございますが、これはその任務の特殊性から、千葉県に財政負担をかけることのないよう国においてその財源措置を講ずる、そういう観点に立ちまして関係省庁と折衡中でございます。
  165. 田代富士男

    田代富士男君 いきなり千五百名ふやすということは大変だと思うのですね。私も警察行政のことは詳しくは存じませんが、採用された人は大体一年ぐらい警察学校において訓練を受けられる、これは一般の常識になっておりますが、だからそういうことを考えると、いま千葉県警では年間四百五十名程度の採用、そういう人たちの施設は完備しておりますけれども、それの約二倍半、三倍近くの人が一度に訓練を受けるということになりますと、そういう施設あるいはそれを教育するスタッフのメンバー。また、一人の警官がふえるということになりますと、私が聞き及ぶところによれば平均四百五十万ぐらいの費用がかかる。千五百人ということになりますと約七十億円、これにそういう隊員の宿舎、宿舎を建てる土地の購入、そういう機動隊舎を建てたとかあるいは警備車、そういうようないろんな車両、そういう付帯事項を考えますと莫大な金額になると思うのですが、おおむねどのくらいの費用になるものか。また、そういういま申しました四百五十人の収容施設はありますけれども、それを上回る千五百人の施設だとか、そういうものの完璧はできるかどうか、そこらあたりはどうでしょうか。
  166. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) この空港警備隊設置の経緯、ただいま申し上げましたように、臨時異例の措置であると思います。したがいまして、ただいま御指摘のように、隊舎一つにしましても、あるいは教育訓練にいたしましても、臨時異例のやり方でやってまいらなければならないとわれわれ思っておるわけでございます。  それで、費用の点のお尋ねでございますが、確かに人件費につきましては千五百人分、約七十億程度かかるわけでございますが、ただいま折衝中でございまして細かい数字は出ておりませんが、隊舎その他一切の費用を含めまして今年度に要する経費、これから本会計年度中に要する設置のために、設置活動に要する経費は九十億前後と考えております。
  167. 田代富士男

    田代富士男君 時間の関係、後の質問が残っておりまして、ついこの問題で時間をとってしまいましたが、最後に、最高責任者の加藤大臣といたしまして、いま私危惧するところをるるお尋ねをいたしまして、すべては万全を期しているということでございますが、やはり再開港でございますから、これが万全にできるように大臣の御決意があるかと思いますけれども、間違いないのか、ひとつ締めくくりとして大臣の御答弁願いたいと思います。
  168. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいまはきめの細かい御配意の上に示唆に富んだ御質問をいただきましてありがとうございました。  五月二十日の開港日、もう一カ月足らずのことに相なってしまいました。先ほど公団からも御答弁がございましたように、公団側といたしましても自主防護の万全の措置をとってきていらっしゃるのでありますし、警察におきましては再び三月二十六日のような事件を断じて起こしてはならぬ、かような強い決意のもとに、公団側とも十分な連携を保ちながら、きめの細かい、それも徹底した配意のもとに万全の措置をとる、かような決意で臨んでおりまして、五月二十日は断じて開港阻止をなし遂げせしめない、かような決意で臨む決意でございます。
  169. 田代富士男

    田代富士男君 公団関係の方は結構でございます。参考人の方どうもありがとうございました。  じゃ次に、動物保護及び管理に関する問題に移りたいと思います。時間が成田問題でこんなに長くかかると思っておりませんでしたが、過ぎてしまいましたから要領よくお尋ねしていきたいと思いますが、最初に、動物の保護及び管理に関する法律の運用の実績、これを要領よくお答えいただきたい。  それと、警察庁の方に、猛獣等の飼養実態の調査を最近おやりになったということを聞いておりますけれども、この実態調査の内容を要領よく御説明願いたいと思います。
  170. 小野佐千夫

    政府委員小野佐千夫君) 動物の保護及び管理に関する法律の目的でございますが、これは動物の所有者等が動物を適正に飼養しまたは保管することによりまして動物の健康と安全の保持、並びに動物が人の生命財産等に危害を加え、または迷惑を及ぼすことのないようにすることにございます。そのため、動物の適正な飼養及び保管につきまして内閣総理大臣が基準を定めること、それから地方公共団体が条例を定めまして住民に対する指導及び助言並びに動物の飼養制限を行うことができることとなっているほか、動物愛護週間の実施、不要となりました犬、ネコの都道府県等による引き取りの措置等が定められておりまして、これらの規定に従って対策が進められているところでございます。
  171. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  最近、警察の方で猛獣等の実態を調査したのでございますが、猛獣の定義についてこれは法的に明確なものがございませんで、一応通常猛獣と言われているものに、爬虫類等で非常に危険性の高いもの、こういうものを含めて猛獣等ということで調査をしたわけでございます。その中には、動物園とかサファリ等における動物などは対象に入っておりません。  その結果によりますと、総数で二百八十三カ所、千百三十八頭匹になっております。このうち、一般家庭で愛玩用の目的で飼養されている数は百五十四カ所で、二百三十二ということになっております。その猛獣等の種類別でございますが、クマが最も多くて百八十四カ所で八百七十四頭、ニシキヘビが十二カ所で九十一匹、ワニが三十五カ所で六十二匹、ライオンが二十五カ所で五十頭、ヒョウが十二カ所で二十九頭、トラ五カ所で十四頭等となっております。この調査は特別調査をしたのではございませんで、現段階で外勤警察官等が把握をしておる数字ということでございますので、実際はもっと相当数多いのではないか、こういうように考えております。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろ御説明をしていただきましたが、最近ペットの流行が小さな動物からこういう野獣、野性といいますか、野性化、大型化したという傾向がなされております。またサファリパーク等が全国あちらこちらにつくられておりまして、その傾向というものは、いままでのようなペットが単なる生活のアクセサリー的なそういう意識でなくして、変わった風潮になりつつあることは認めざるを得ないと思うわけでございます。しかし、その流れの中にありまして、これはいま人身事故のことについては御報告の中に触れられておりませんが、私がお聞きしたのでは、過去六年間にもう百三件の人身事故が、猛獣による事故が起きまして、十三人が死亡していると。先ごろは御承知のとおりに埼玉県の児玉町におきまして、ライオンを飼っていた飼い主がえさを与えに行ったところが、二人の人がえさを与えに行って、飼い主がえさを与えたときに一喝のもとに首をかみ切られてしまったと。これは刀で首を切ろうと思っても切れるもんじゃないんです。それが一喝のもとにライオンにやられた。それを目の前で見た人というのは大変な恐怖を感じたという。これは人ごとではないと思うんです。そういう事件が多々起きてきております。だから、いまお話がありましたとおりに、猛獣という定義すらもこれはない。これはいま総理府で所管されておりますけれども、これは第四条等の精神におきましても、地方団体で条例をつくって動物が人身に危害を与えないようにという指導をなされておりますが、これで地方団体で、自治体でやっているのは、京都府、横浜市、新潟県の三県にすぎない。そうすると、この三県はその条例に応じまして、中身は時間がありませんから省きますけれども、何とかよその県に比べれば一応規制されておりますけれども、それ以外の県ではやりっぱなしというような傾向が出ておりまして、いまも説明がありましたとおりに、そういうサファリパークや動物園以外の、警察庁として交番所の帳簿上に載っている、掌握されている分を考えても、猛獣といわれる——定義はありませんけれども、そういうものが千頭以上われわれの市民生活に危険性を持つものが放置されていると、これは何らかの形で対策を講じていかなくてはならない。  そういうわけで、動物の愛護という立場から猟銃あるいは人身、人命を守るという立場から刀剣という、そういうものに対しましては厳重に許可制がしかれておりますけれども、そういう意味から、こういう人身を守る——動物保護法は動物を守る精神で打ち立てられたあれでございますが、いまでは人身を守るその法律というものが抜けております。こういうところを私は改善すべきではないかと思うんです。もちろんこれは議員立法によってなされたものでございますから、なかなかこれはむずかしい面もあるかと思いますけれども、これは改善すべきであると思いますが、大臣いかがでございましょうか。
  173. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) いまお話がございましたように、もともと議員立法で制定されたものでございますが、今日の実情を見ますと、ただいま警察庁から報告をいたしましたように大変な頭匹数がおりますし、かつまたペット等で飼育をしておりまして、そのために大変な事故が起きたこともこれまた御承知のとおりでございます。  そこで、この法律の改正を行って、猛獣等の飼育について厳重な規制を設けるべきかどうか、かような御指摘でございますが、さていま話を伺いながら、自治省としてどのようなことがなすべきことがあるかと、むしろ総理府として御研究なさるのが適当ではないかと、かような感じも持ちつつ御質問を伺ったようなことでございますけれども、しかし、これ以上は放置できないという感じを強く持ちます。そこで、自治省といたしましてもこのことについて関心を持ち研究をいたしてまいりたいと、かように考えます。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 それで、大臣お尋ねいたしますけれども、いま総理府で御検討いただいたらということでございますが、これはこのあいまいさがいま猛獣を野放しにしているというところの一つの原因になっております。だから、この法律が制定されてもどこの省庁が所管をするのかということが明確ではない、ここに野放しになって事故が起きている、これを改めなくてはなりません。そういう意味から考えますと、加藤大臣は一方では国家公安委員長という立場でございまして、警察庁の立場からするならば、こういう猛獣に対しては規制立法化を図るべきであるという立場が警察庁の立場ではないかと私は理解をしているわけでございますが、また一方、加藤大臣は自治大臣というお立場で地方行政の現状から考えていくならば、こういう動物というものは、人間と動物の関係性というのは地域によってこれは始まっているために地方行政の部門になってくると。そうした場合に、地方自治体の行政事務の一つに加えられるようになった場合に受け入れるということは大変ではなかろうかと。大臣は二つの立場でありますけれども、こういうようにあいまいにしているところに事故が起きてきているから、これをあいまいにせずに明確にすべきではないでしょうか。  そういう意味から、動物保護審議会の幹事会においても所管問題についていろいろ議論が出ておりますけれども、これは総理府でというようなお考えでなくして、結論を出して、これは明確に全面禁止がだめというならば、原則的な禁止、だからたとえばペットとしてそういうものを飼いたいという人には、飼い主に対して一種のライセンスをとらすべきであるとか、あるいは原則として禁止するけれども、それを飼養する場合には厳重な条件を付した許可制にするとか、いろいろ原則禁止の許可制とか、そういういろいろな形はとられると思いますが、いずれにしてもこれは改善をして人身事故というものを防いでいかなくちゃならないし、最近のそういう風潮に対しましても何らかの指導をすべきであると思いますけれども、大臣いかがでございましょうか。私の質問時間が四時までということでございますから、まとめた質問になってしまいましたけれども、よろしくお願いいたします。
  175. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 政府内部におきまして官庁相互間の積極的な争いがあってもいけませんし、まして消極的な争いがあってもいけないのでございまして、審議会の御意見もいろいろ拝聴いたしているところでございますけれども、私も個人といたしましてはやはり飼育規制の立法が必要だと、かような考え方には立っておりますけれども、ただいま議員立法の動きがあるようでございますから、さようの動き等を見きわめながら対処してまいりたい、かように考えております。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 この後、地方債のことについて質問をしようと思いましたが、時間がありませんですから、これはわざわざおいでいただいていると思いますけれども、時間がありませんですからやめさせていただきますので御了解いただきたい。  以上で終わります。
  177. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、私は地方税における同和減免についての質問を行いたいと思います。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕  わが党はかねがね国税につきましても問題にしてまいりましたが、ちょうど昭和五十年三月十二日の衆議院の大蔵委員会でも、わが党の東中議員が、国税における同和地区の税務行政についての質疑を行っております。そのときには、大阪国税局が部落解放同盟の指揮下にあります大阪府同和地区企業連合会、略して大企連と言っておりますが、ここを窓口にした確定申告書につきましては、所轄の税務署ではなくて、直接国税局が一括して受けつけをする。それから二番目には、法律で定められている提出日の三月十五日を過ぎても受け付けを行う。それから三番目には、申告書に金ラベルを張り、一般税務職員はさわらないという特別の取り扱いをしていることを御指摘をしております。これに対して当時の森大蔵政務次官また当時の磯辺国税庁次長は、これらの事実をお認めになって、いまやっていることはいいとは思っていない、努力をして是正をしていきたいなどと御答弁をされております。その後もこの国税におきましての金ラベルの問題というのは問題になっているところでございます。  きょうは、市町村や都道府県の一部が実施をしております地方税における同和減免についてお聞きをしたいと思っています。  去る五十年の二月二十六日の衆議院地方行政委員会で、わが党の三谷議員がこの問題につきまして取り上げまして、そして自治省にお伺いをしておりましたが、自治省は同和減免の実情についてはそのときにはよく御存じなかったようでございます。その後御調査をされたように伺っておりますが、初めに、この実情について自治省としてはどのように把握されておられるか、その点についての内容をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  178. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いまお話の中にありました昭和五十年二月二十六日の衆議院地方行政委員会におきます質疑を機会に、その際に御質問の中に出ておりました兵庫県、特に尼崎市の実態及び大阪府の実態を調査いたしております。  以上でございます。
  179. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 調査の結果はどうなっているんですか。
  180. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 尼崎市についてまず申し上げたいと思いますが、五十一年度決算額で市民税の減免が七百七十七件、金額が約三千二百万円でございます。次に固定資産税が六百七十五件、金額は約六千万円でございます。軽自動車税が百四十件、金額は約十九万円。合計いたしまして約九千三百万円でございます。  なお、兵庫県下の市町村につきまして同様に報告を求めましたところ、これは五十二年度分でございますけれども、固定資産税が六十六団体が減免をしておりまして、その金額が約三億円。それから住民税が六十二団体でございまして、その金額が約二億円。軽自動車税が二十九団体でございまして、その金額は約八百万円でございます。  それから次に、大阪府下の市町村でございますが、これは五十二年度分の数字でございますが、固定資産税は二十三団体で約二億九千万円。軽自動車税が二団体で約四十六万円。  以上のような数字でございます。
  181. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 全国的な減免実績はどうなっています。いまおっしゃったのは尼崎、兵庫県、大阪というふうにおっしゃっていただいたんですが、全国的にはどうですか。
  182. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 全国的にはいわゆる悉皆調査というのは実はやっておりません。特に問題が提起されました尼崎市及び兵庫県及び大阪府につきまして報告を求めた次第でございます。
  183. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、私の方が自治省へお願いをして資料としていただきました数字というのはこれはどこの数字ですか、全国で五十二年度十一億二千五百万円ということは。  そしておたくの方ね、これは間違っているかわからへんですよ、電話で聞いたんだから。資料をくださいというのに、資料を書いてよこさぬのですね。自治省というのはみんないつもそんなことをしてるんですか。数字というのはね、言葉で聞くとやっぱり間違いますよね。一と七とだって、「ナナ」と言えばいいけれども、「シチ」と言うと間違うおそれがあるんだから、資料を表にしてくださればいいのに電話でしか連絡をしてこない。自治省というのはずいぶんずぼらですね。  いま私が申し上げたのは、これは電話でおたくから聞いたのでは十一億二千五百万円とおっしゃったんですが、これは一体何の数字ですか。
  184. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 先ほどお答え申し上げましたのは、住民税、固定資産税あるいは軽自動車税という各税目につきまして悉皆調査をやっておるわけではございませんというふうに申し上げたわけでございます。いまお示しのありました数字は十一億二千五百万円、これは間違いございませんが、固定資産税につきまして、減免額の一定部分について特別交付税でいわば財源措置をしておるものですから、固定資産税につきましてはそういう調査をいたしております。  以上でございます。
  185. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、これは、私の方はこれ固定資産税と言って聞いたんじゃなかったものでね。実はいま局長の御説明で、兵庫県だけでも五億円以上あるのにおかしいなと思ったんで、この数字は何ですかってお聞きをしたんです。数字の点で時間をとりたくありませんので、これはひとつ後ほど、お電話でなく、御調査になっておられるところ、私の方は全国の同和減免実態実績ということでお願いを申し上げましたので、地方税の費目別に、全国幾ら、そして府県別幾らということでお示しをいただきたいと思います。そのことはお願いをしておきたい。  それで、いま御報告がありました数字ですね、固定資産税の十一億二千五百万。その他を含めたら大分もっと多いようですが、これはあれですか、減免措置と、いわゆる同和対策として理解をさせていただいたらよろしいですか。
  186. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 尼崎市の条例及びいわゆる要綱を見ますと、同和対策としてこの減免措置を行うという表現をされておりますから、市町村といたしましてはそういう観点でこの減免措置が講ぜられておる、かように私どもも考えております。
  187. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃちょっとお聞きをしたいんですが、総理府の方、来ておられますか。——同対審答申や同特法その他ですね、同和対策の中に税の減免がうたわれておりますか。ちょっとそのことをお聞きいたしたいと思います。
  188. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) いまお話しの地方税の減免措置等の優遇措置を講じるというような趣旨につきましては、同和対策審議会答申あるいは同和対策事業特別措置法の中にこれに該当する部分はないというように理解しております。
  189. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ、この地方自治体が行っております同和減免というのは、地方税法及び各自治体のそれじゃどこに根拠を持ってやっているんでしょうか。ちょっとそれ簡単にお聞かせをいただきたい。同和対策としてということで先ほど御答弁いただいたわけですね。ところが、同特法にもそれから審議会の答申にもそういうものはございませんということを総理府がおっしゃったので、それじゃ地方税法と各自治体のどこに根拠を置いてやっているというふうに理解をしたらよろしいですか。
  190. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 地方税の減免につきましては、各税日ごとにいわゆる減免規定が設けられております。市町村民税についてこれを申し上げますと、第三百二十三条におきまして、「天災その他特別の事情がある場合において市町村民税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者」につきまして市町村が減免をできるという規定があるわけでございます。問題は、「その他特別の事情」というものに何が考えられるかということであろうかと思いますが、減免でございますから、たとえば納税者の担税力、これは確かに一つ。それから、公益上の理由がある場合にも減免はできるという解釈でございます。また、その他個々地方団体の実情に応じまして減免をすることが認められておりますので、この規定に該当するものとして減免が行われておるものと、かように考えております。
  191. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いまの局長の御説明、私もそうだと思うんですよ。地方税法上の減免の規定というのは、いまおっしゃられたようにきわめて限定をされた規定になっていると思います。たとえば、その固定資産税の場合ですけれども、地方税法の三百六十七条ですか、これでも、いまおっしゃられたように、「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合」云々と、市町村長が減免できる場合のケースを天災、災害等の特異なケースに限定していますし、またあくまでも臨時的な事象による市町村長の取り扱いも定めていると思います。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 同和問題を、この「その他特別の事情」の範囲に含めて取り扱うというのが妥当なのかどうか、私は非常に無理があるというふうに理解をするわけです。  税における減免の取り扱いというのは、このような身分差別に起因する社会上の諸問題について税制面で取り扱うというのは、やはり非常に不適当ではないかと思うわけです。もしもこれを百歩譲って、同和地区の人々に対して地方自治体が特別な減免を行う必要がある場合でも、これは「貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者」というこの三百六十七条後段の規定によって、同和地区であるかいなかを問わず、これはすべての住民に対して減免の道というのは開かれている規定なんですね。だから、この規定によってなされるのが適当ではないかと思うんです。なぜなら、「社会的、経済的、文化的に同和地区の生活水準の向上をはかり、一般地区との格差をなくすことが必要である」、同対審はこう言われている。その同対審答申にうたわれている同和対策事業を仮に税制度の面で実施するなら、やっぱり後段の規定で該当させて十分ではないかと考えるわけです。  そこで、総理府にちょっとお聞きしたいんです。この同対審答申の中に私が問題にしている税制面における対策はうたわれてない、税制面における対策というのはどこにうたわれているかということですね。先ほどもお答えをいただいておりますのではっきりしているんですけれども、これはどうですか。うたわれていると思わないんですね。
  192. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、地方税等の減免措置を講じよというような趣旨につきましては、同和対策審議会答申それから同和対策事業特別措置法の中におきまして、そういう趣旨の部分はないというふうに理解しているところでございます。
  193. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 法律、それから答申等の立場というのは非常に明確だと思うんですね。差別をなくしていくというのは、やはり答申には非常に細かく規定がなされておるのは御承知のとおりです。同和地区の環境改善、それから社会福祉対策の強化、それから産業・職業に関する対策、教育問題の充実強化、それから人権問題に関する対策、それぞれもう非常に具体的な施策の内容を展開されているのは御承知のとおりです。しかも、これらのこういうふうに細かく決められている中で、税制面における対策というのは含まれてないんですね。ですから、やっぱりはっきりしなきゃならぬと思いますのは、税は本来応能原則によって、負担力のある者が負担するんだとさっき局長も言われた。そういう一応民主的な形態になっておるのは事実です。もちろんそれは大企業とか大資本家に対する特別優遇措置などという問題点はありますけれどもね。だから逆に言いますと、負担能力のない者はさまざまな税法上の規定によって多様な形で免税規定というのは設けられているんですね、税の負担は応能、負担力に応じて負担するという立場から言いまして。だから逆に言えば、負担能力のない者はいろいろな形で免税規定というのが設けられている。こういうことというのは、当然すべての負担能力のない国民や住民に対して適用されるというのは当然のことですよね。ことさらそれじゃ同和地区の住民に限定して税負担の軽減を図る必要というのはあるんだろうか。これはないと思うんですね、その立場から見れば。このことは同時に、経済的な差別をなくしていくという答申の目的は、税制面において何ら特別な措置をとる必要を認めていないという点も含めますと、これは非常に両面から見てはっきりすると思う。  その面では、幾つかの例でもはっきりすると思いますのは、一つは運動面から考えましても、いわゆる部落差別をなくするという立場で運動している幾つかの団体がありますが、これは運動面で、いわゆる部落解放同盟朝田・松井派と言われている団体ではこういう要求をしておりますよ。他の団体ではこういうことがやられていない。もう一方、現状から見てみますと、政府の調査をなさっておられる一九七一年六月一日及び七五年六月一日に行った全国同和地区調査、この同和地区調査によって見ますと、同和地区の地方税所得割課税世帯七一年は四四・三%、七五年は五三・九%ということで、九・六%の上昇率を示すということが御調査の結果明らかです。これは全国平均の上昇率というのは四・五%ですから、これをはるかに超えておる、つまり経済的にはよくなってきているという指標を非常にはっきり示してきていると思うわけです。こういう現状に立って自治省は、税法上の減免規定を拡大解釈して、自治体が実施している同和減免を合法化するというのですか。そういう態度をとって、これは先ほどお述べになった金額というのは同和対策として理解をしてよろしいということだから、こういう中で税法上の減免規定を、特別の事情という後段の解釈に立って、そして同和減免というものを合理化するというんですか、適法だというふうに御理解をされているわけですけれども、客観的に見たらこれは改めるべきではないかと思うんですが、どうでしょう。
  194. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 地方税でございますから、国税のように一〇〇%細部に至るまで税法で事柄を決めてしまうということはこれはできませんし、また望ましくもないということが基本にあると思います。したがって、いまお話しのありました、税法上たとえば非課税でありますとか、軽減とかというのが設けられておりますが、これは各地方団体に共通するいわば画一的な税の負担の免除とか、あるいは軽減ということを決めておるわけで、そのほかにやはり条例とか議会の議決によりまして、地域の実態に応じた税負担の軽減という措置があってそれがしかるべきだと思うんでございます。  そこで問題は、その設けられております減免規定から言って、一体いま御指摘の問題をどう理解するかということだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、確かに納税者の担税力というのはこれは一つの指標でございますし、また、減免規定の中にもそのことは書いておりますが、しかし、そのほかにその地域の実態に応じた公益上の理由というものも、これはやっぱり否定することはできないと思うのでございます。やはりその地域の実態に応じた公益上の理由によって減免することがあることは、法律は当然予想しておると思うんでございます。その具体的な公益上の理由に何が当たるかということは、これは地方税でありますから、各地方団体が具体の実情に応じて判断していただくというのがまず第一義的に考えなければならないことだろうと思います。  そういう意味合いで、各市町村の、先ほども申し上げました減免の要綱とか、そういうものを見てみますと、同和対策に関する行政措置の一環としてこういう措置をするんだというふうに書いておられるわけでございまして、これはやはりこの規定に基づいてこういう減免が行われておるというふうに私どもも理解をいたしておるわけでございます。
  195. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その一環としてというふうな表現が地方税法の拡大解釈になるではないか。特に私先ほどから申し上げた点は、同対審答申にも、同特法にもないことを行うというのは、やっぱり非常にこれは審議会でも十分な御検討になった答申ですよね。そういう点では、真の同和対策を推進する点から言っても問題があるんじゃないかと思うんです。だから、関係自治体に対して、税法上に規定している以外の措置というものを拡大してやるという立場をこれは是正するように行政措置を行うべきではないかと思うんですけれど、非常にその辺があいまいなんで、その辺をもう一度伺っておきたいと思う。
  196. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま申し上げましたように、担税力あるいは公益上の理由というものに応ずる減免規定があるわけでございます。その理由をどういうふうに解釈をし、具体に当てはめて個別の条例措置なり、あるいは減免措置、議会の議決に基づきます減免措置を行うかどうかということは、やっぱりまさしく各地方団体の千差万別の具体的な実情に即して判断されるべき問題でありますので、第一義的にどうこうというわけには私どもとしてはまいらないのではないかと、かように考えておる次第でございます。
  197. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは私はもう余り時間がないので、突いたり、押したりしたくないんですが、この先ほどちょっと申し上げた、昭和五十年二月の二十六日に衆議院の地方行政委員会で三谷議員がこの問題について質問をされたときに、当時の首藤さんがこう言っておられるのですね。同和控除とか、そういったことがあるようには考えておりませんと。それからさらに、「個々の納税者の担税力等について特別の事情がある場合に限りまして減免をすることができる旨の規定がございますので、それに基づいて、個々の具体の実情に即して減免措置がとられておる、こういうように私ども理解をしておるわけでございます。したがいまして、同和控除といったようなもので減税措置をやっておるというようには私ども存じてはおりません。」と、こういうふうにそのときにはお答えになっておるんですが、いま局長の御答弁ではちょっと違うんですね。このとおりですか。ちょっと違うんでしょう。その個々の具体の実情に即しての減免措置という内容を、個々の自治体がいろいろな形で条例等をおつくりになっておるんだからというお話ですね。そうすると、この五十年のときの御答弁の状況から見たら後退するのですね。その点はどうですか。だから同和控除というのは、そんな減税措置をやっているというふうには私どもは存じてないって、そのときには明確におっしゃっておられるのですね。
  198. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 前税務局長が申し上げましたのは、いま申し上げましたような尼崎市とかあるいは兵庫県とか具体の例を引いて、こういうことがあるのでどうかと、こういう御質問に対して、事実の調査が行き届いておりませんでしたからそういうふうに申し上げたものと私は考えております。いまお読み上げになりました中でも、担税力その他特別の事情ということを申し上げておるわけでございますので、その他特別の事情というものにこれが該当するかどうかという判断の問題ではないかと、かように思うのであります。
  199. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういう話をしていると、なかなか具体的でないもので、言葉のあやになってくるわけですが、いまの御答弁を聞いておりますと、ちょっと後退をしたんじゃないかという感じがするのです。  次に、いわゆるいま言われておる同和減免の運用についていろいろ意見がちょっと対立しますけれども、仮に百歩譲って、自治体が行っておる同和減免の制度というのは、税法上あるいは税の条例上適法だというふうに仮定をしましょうや。それで仮定の上に立って話を進めるのですけれども、このいわゆる同和減免が、他の同和対策の施策と同じように、多くの自治体では特定団体を経由して、そして特定団体の承認を得た者だけに限定されて税の減免がされておる。つまり窓口一本化と言われている典型なんですがね。この窓口一本化というのは、私ども、自治体が行う場合でも国の施策であっても非常にいま問題だということで、繰り返し是正を要求してきた点はもう御承知のとおりです。これに対して政府も、これは四十八年でしたかね、関係各省の次官通達というのをお出しになって、そしてこの事態の是正の御指導をなさった。  ところが、その後も大きな変化は余り見られない。むしろ、ある場合には地域が拡大されている。内容もさらに拡大をされているというところがございます。ですから、この同和減免が同和対策として実施されているという場合に、これの適用が特定団体、これを通じる者にしか適用されないというのは、やっぱり行政の公正性あるいは均てん性、この観点から見て問題だという点は、もう従来から一貫して申し上げているとおりであります。  それがどんなかっこうになって出ているかというのは、これは論議だけではわかりにくいので具体例を出しますが、これ一つは大阪府の実例と大阪市の実例を、非常にはっきり書いてありますので、実例を出していきたいと思いますけれども、大阪府の同和減免要綱というのがあるんですがね、同和関係納税者に対する税務事務特別処理要綱、これ昭和四十三年からずっとやられているわけです。これによりますと、同和減免を適用するものは、課税事務において特別処理を行う納税義務者は、大阪府同和事業促進協議会を通じて申告書または申請書を提出した納税義務者とするというふうに規定しておりますね。これは第二章にそういうふうに規定されています。それから大阪市の方も、「昭和五十二年度にかかる固定資産税における同和対策について」という、これは大阪市財政局長通達、これが各区長に出ている。これによりますと、これは「固定資産税における同和対策について」という文ですが、これによりますと、「対象と対策の内容」というところに、同和地区住民で「社団法人大阪市同和事業促進協議会を通じて申請のあったものについて、固定資産税(都市計画税を含む。)の減免を行う」、それから減免率は、(一)は、「地区内に所在する固定資産年税額の三分の二の額とする。ただし、七十平方メートル以下の土地および家屋については免除する」。(二)は、「地区外に所在する固定資産」「イに掲げるもの以外のもの」、ですから地区内を除くんですね。「当該資産にかかる年税額の区分に応じ、次の表に掲げる率とする」。年税額十万円以下の場合は減免率十分の六、それから十万円を超え三十万以下の場合十分の五、三十万を超え五十万以下の場合は十分の三ということで、手続は、「減免申請書は、市同促を経て、財政局主税部固定資産税課において受け付けるものとする」というふうに言われているわけですけれども、これを見てみますと、三十万を超え五十万以下の固定資産税といったらかなり大きい住宅、住宅にすればかなり大きなりっぱな住宅になりますね。そんな貧しいという、あるいは税の負担能力がないというふうな方だというふうには理解しにくいですね。普通の私ども勤労者が使っているようなマイホームだったら、とてもじゃないけれども年額固定資産税三十万、五十万というのはかかるはずないですからね。それでも固定資産税として都市計画税はちゃんと払っているんで、だから先ほど局長がおっしゃった特別の理由、事情という点で税の負担能力がないという人たちに適用するのを各市町村事情によって条例をおつくりになってと言われた点は、ちょっと事情が違うと思うんですね。だって固定資産税年間三十万、五十万というのを納めるというような方が本当に担税力がないかどうかわからぬでしょう。私はそんなことないと思いますよ。相当りっぱな資産だと思います。  大体年間固定資産税五十万の資産というのはどの程度のものですか、ちょっと教えてください。
  200. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 先ほども申し上げたことでございますが、地方税法の減免規定は、担税力をあらわす指標に応じてその担税力を勘案して減免ができるという規定だけではございませんで、特別の事情というものを認めておるわけでございますから、その特別の事情というのは、公益上の事情とかその他の特別の事情が考えられるわけでございます。したがって、担税力だけでこの減免規定を動かさなきゃならないと、こういうことではないということを申し上げたわけでございます。  で、五十万円の固定資産税ということになりますと、大体資産の価額にいたしまして三千五百万円ぐらいということになろうかと思います。
  201. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、いま私ちょっと同和減免の要綱の二つの事例を示しましたが、この中で出ておりますように、特定団体同和事業促進協議会は同和地区住民のすべての人たちを組織しているものではないというのは、これは御承知だと思うんですね。この事情について総理府はよく御承知だと思いますが、そうですね。全部いわゆる同和地区住民全体を組織しているという団体ではありませんね。
  202. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) いまお示しの団体につきましては、大阪府あるいは大阪市が行政の助けにする意味で組織した団体だというふうに理解しておりますが、その団体の構成がどうなっているかについては詳しく存じません。
  203. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 詳しく御存じないんですか。それではやむを得ませんので、私はたまたま大阪だからよく知っておりますけれども、これはすべての住民を組織したものではありません。このいわゆる市同促あるいは府同促と言われておるのは、これは社団法人という形になっておりますが、それのもとの団体というのは部落解放同盟ですね。その団体というのは、大阪における部落住民全体のこれは半分以下ですね。私ども承知しておりますのはもっと少ないですが、皆さんの方では数字をきちんと握っておられるでしょう。地域住民、いわゆる同和地区住民の総計というのは何万で、そのうちでいわゆる部落解放同盟に組織されている人はそれじゃ何万ですか。
  204. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 政府が行いました調査によりまして、各府県に存在する同和地区の数、それから同和地区の住民につきましては数を把握をしておりますが、それらの住民の方々がどういう運動の団体に属しているかについては承知しておりません。
  205. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは現在正確に私いま数字を持っておりませんけれども、私どもがかねがね存じておりました数字では、大阪では約二〇%内外が組織をされているというふうに承知をしております。これは一遍御調査、いまおわかりにならないようでしたら御調査の結果を教えてください。  で、その団体だけが入っているのが大阪市の市同促あるいは大阪府の府同促という形になっているわけですね。だから、そういう特定の団体を通じてだけ税の減免を実施するということになれば、当然、先ほど申し上げた、四十八年度にいわゆる各省の次官通達としてお出しになったあの通達から言うといまだに逸脱しているということになるわけですね。これはどうですか。そういう税の減免の対象をそういういわゆる地域住民全体を組織していない団体、そういう団体を通してだけ扱うというふうなことは行政の公平性、均てん性から言って問題ではありませんか。これは税務局長どうです。
  206. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 行政が公平に行われなければならないということは、これはもう御指摘のとおりでございます。そのようなことから、御指摘の中にございましたように、四十八年五月十七日に関係事務次官通達においてその点明らかにして指導しておるわけでございます。ただ、その個々地方団体におきまして、行政がいろんな種類の行政がありますけれども、それが公平に行われているかどうかはやはり当該地方団体自身がまず判断すべき問題ではなかろうかと私どもとしては考えるわけでございます。いまお話しの、大阪府同和促進事業協議会を通じてこの減免をする場合の事務が行われておるということが公平かどうかということにつきましては、大阪府としてその実態に応じて、適切妥当であるという判断に立って行われておられるんだろうと、私どもとしては思うわけでございますので、その限りにおいて、当方といたしまして恐らくその判断にゆだねるべき問題だというふうに考えておる次第でございます。
  207. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 行政局長の御見解どうですか。
  208. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま税務局長がお答え申し上げましたとおり、同和行政につきましては、特にその公正な執行ということが期待されておるところでございまして、そのために先ほど来お話しになっておるところの六省事務次官の共同通達というようなことになったわけでございます。各地方団体はこの趣旨を受けまして、それぞれの同和行政を推進しておるわけでございますが、全国実態は千差万別でございますので、それぞれの地域において最も適当なやり方でその同和行政を推進するということだろうと思います。大阪府市のいま実例がございましたが、その団体の構成その他私どもよく存じませんけれども、それと連携をとってやることが大阪府市にとっては最も公正な行政だということで大阪府市がやっておるのであろうと推測するわけでございます。
  209. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その問題、もうちょっと具体的な問題を出さないとまた論争にだけなりますので、具体的にちょっと聞いていきますが、最初にちょっと財政局にお聞きしたいんですが、こういういわゆる窓口一本化というのが税の減免にまでやられているんですが、こういう減免によって起こってくる市町村の財政負担について、自治省として特別措置を行っておられますね。それをちょっとお聞きしたい。
  210. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいまもお話しになっておられます事項についての減免に関しましては、固定資産税の減免を行っております市町村に対しまして、減収分にかかります基準税額の二分の一相当額につきまして特別交付税の積算の基本にしております。先ほどおっしゃいました十一億何がしという金額そのところを基礎にいたしまして、その七五%の二分の一というと約四億二千万ぐらいになりますか、これを五十二年度特別交付税の積算基礎に算入いたしております。
  211. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、特別交付税市町村のいわゆる欠損分ですか、これを補てんしておられますね。いま先ほど言われた固定資産税の減免の十一億二千万に対しては四億二千万を補てんされた、こういうことですね。自治省としては、そうすると市町村がこれは同和減免というのは独自に実施している措置だと、地方税法のその他のという後段の規定に基づいて独自に実施している措置だとおっしゃりながら、片方では財政負担については特別交付税措置という形でお認めになっていると、こういうふうに理解をすればいいんですね。
  212. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御案内のとおり、固定資産税というのは当該市町村の税目といたしましては基幹的な税目でございますし、個々団体がいろいろな事情によりまして減免せざるを得ないというような場合におきましても、一定の額を、率によって計算した額なりを特別交付税で、やはり収入減になることは事実でございますから、それを見ざるを得ない、やはり財政的な影響があるという意味で見ざるを得ないという観点から算入いたしているわけでございます。
  213. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その運用は、先ほど私申し上げたように、特定の団体を通さないとやってくれない、やってもらえない。実例をちょっと申し上げますと、特定団体を通じないと減免申請というのは受けられないということになっていますからね。どういうことが起こるかというと、これは五十年八月の池田市の古江というところで、谷畑いちよさんという方と神谷平次郎さんという方が不動産取得税を大阪府の総務部に減免申請をしたのです。これは受理をされなくて申請は却下されています。これは調査をしておいてください言うたけれども、確認しておられますか。
  214. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) お話しのように、大阪府同和事業促進協議会を通じて申請してほしいということで返却をいたしております。
  215. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは、その団体提出をしたけれども受け取ってもらえなかったので、直接大阪府に減免申請を持っていったのです。だから、その団体に所属をしていない人の場合にはその団体には受け取ってもらえないわけです。ところが、先ほどの要綱には、その団体を経由したものだけを処理すると、処置するというふうに書いてあったでしょう、私先ほど申し上げたように。だから、同じ地域住民いわゆる同和地域の住民であっても、その団体が受け取らない人については、せっかくの恩典があっても、この恩典がいい悪いはちょっと話別ですが、同じ行政の効果というのは期待できない、こういうことになっているわけです。これが先ほどの次官通達から言ったらぐあい悪いじゃないか。  私、もう時間がありませんから端的に言ますが、片方ではこういういわゆる地方税法の拡大解釈というかっこうになり、総理府でもおっしゃっておられるように、同対審答申にも同特法にも税の減免等についての措置を行えというのが一言半句もない、そういう中で、地方税法のいわゆる拡大解釈という形で、市町村がそれぞれの事情でやっておられますからということでお認めになり、しかもそのやり方が、所属団体のいかんによって同じように行政の効果を受けられない、こういう不公正なやり方がやられている。そういう好き勝手なやり方をやっているところへ、さらに自治省は、いわゆる市町村が負担をこうむるということで特別交付税を交付されている、こういうことになるわけですね。非常に理解をしにくいわけですが、かっこうはそうなっている。つまり形から言ったら、地方自治体の同和減免を自治省特別交付税で補償するということになるわけですから、地方自治体は政府の公認の同和施設ということで受け取ります、損害ができたら穴埋めしてくれるのだから。これでは自治体としてはまともに見直しをし、是正をするというふうなことにはなかなかならぬです。しかも、いわゆる窓口一本化ということで所属団体によってその要綱の恩典も受けられない、こういう不公正なやり方をしているわけですが、こういう不明確な、不明朗なところへ、五十二年度は四億二千万という特交の支出をやっておられるわけですが、非常に理解に苦しみます。  そこで、最初にちょっとこういう状態というのは——会計検査院来ておられますか、どんなふうに考えられますか。
  216. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) ただいま先生のお話承っておったわけでございまするけれども、会計検査院といたしましては、市町村民税あるいは固定資産税、都道府県民税といったような、こういったものの徴収のやり方、あるいはその結果、そういったものにつきましていままで検査は一遍もやったことがございません。したがいまして、これが、交付税でもって後で埋めるという話を聞きますときに、一応われわれといたしましては、この税の減免なり何かは法律の規定に適正に従って行われたものであろうという類推のもとに、そういうものに対して交付税を出さなければならないという必要性があるのであればやむを得なかろうと、このように考えておったわけでございます。
  217. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それ、会計検査院おかしいじゃないですか。必要があろうと理解をしておりましてというような話じゃないでしょう。さっき言ったように、まず第一に根拠法である同対審答申、同特法には税の減免をやれということはないといって総理府は明確に言っておられる。そういう中で地方税法の中の減免規定の後段の特別の事由というところの拡大解釈をやって、地方自治体がそれぞれに条例や要綱をつくって実施をしている。しかも、そのやり方はいわゆる窓口一本化で、所属団体等によって差別が起こっている。そういうかっこうでやられて、穴のあいたところを特別交付税という形で穴埋めをするという、こういう税の使い方というのは疑問ではありませんか。そんなことに疑問も感じないんだったら、それはあなた会計検査院一体何検査します。おかしいじゃないですか。
  218. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) 私、ただいま先生のおっしゃいましたことがそのとおりであるかどうか、われわれとしては検査いたしました結果をもって判断するわけでございまするけれども、それについて、そういう検査はわれわれは一回もやったことがないわけでございます。むろん、こういうことを検査するのが適切であるということであればいたしますけれども、現在までのところは、こういったような地方自治体そのものの行政運営というものにつきまして、国の会計監査をやりますところの会計検査院がこれに入っていくということは、地方自治の本質上どうであろうかという御意見がかなり強い。それから、別に地方自治法上、監査委員という特別の監査制度を持っておられるわけでございます。したがいまして、われわれとしてはそういう検査をしたことがないわけでございまして、実情がどうであるかということが全然われわれにはわからないと、こう申し上げたわけでございます。
  219. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は地方税を調査しなさいと言っているんじゃない。特別交付税をこういうかっこうで五十二年度は四億二千万支出したと言っているんでしょう。その間に疑問があるから、調査をしたことがないんなら調査をしてみなさいよ。そのことを言っているんです。調査をしたことないんだったら、調査をしていただいたら結構だと思う。そのことのお答えと、最後に加藤大臣の御見解を伺っておきたい。
  220. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) 自治省が何億でございましたか、ちょっと計数はつまびらかにいたしませんが、それだけお出しになったということは調べるわけでございます。これは普通交付税の場合でもずっとわれわれは調べております。ただ、たとえば道路の面積に従いまして普通交付税で道路費を払う。その場合に道路台帳というものがございまして、その台帳に従いまして、少なくとも申請の際に意識的に申請をごまかしたのではないかと、ここまでわれわれは調査いたします。しかし、道路台帳の内容が絶対正しいかどうか、ここまではいままでは検査すべきでないと考えて検査いたしておらない。したがいまして、自治省の方で何億お出しになったという場合に、自治省の方の書類をずっと見せていただきまして、それで妥当と認めればそれ以上の検査はしない。これ以上の検査をするということは、われわれにとっても物理的に全く不可能でございます。
  221. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいまの質疑応答を伺っておりまして、自治省といたしましては地方団体の自主性を尊重する。そこで一般的な指導助言等はいたしますけれども、個々市町村行政につきましては介入はいたさないと、かようなたてまえを持っておりますがゆえに、答弁も隔靴掻痒の感がいたしますような、さような受け取り方をなすった点があるといたしますならば、理由はさようなことだと、かように御理解をいただきたいと思うのでございます。  そこで、地方団体におきましては、減免規定が法制上ありまする場合には、その規定に基づきまして処置をとってまいっておるのでございますけれども、しかし、それにはそれなりの理由がなければならぬことは申すまでもないことでございまして、したがって、同和減税なるものもそれなりの理由はありとして地方団体がいたしておるのでございますから、そのことのよしあしにつきましては、自治省といたしましては個別の介入になり、極力避けなければならぬと、かような感じを基本に持っておりますがゆえに先ほど来の答弁がなされたと、かように私は聞いてまいっておりましたようなところでございます。  が、しかし、行政は公平でなければならぬことは申すまでもないことでございまして、こういう観点から、昭和四十八年に六省が協議をいたしまして事務次官通達がなされておるのでありますから、この線に沿いまして公平な行政、そうして均てんした行政、このことを私ども強く期待をいたしておるところであります。
  222. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は地方公務員の夏季休暇の問題について二、三質問をしたいと思います。  現在各地方自治体において、地方公務員の夏季休暇というものがそれぞれとられておるわけでありますれども、その実情についてまずお伺いをしたいと思います。
  223. 塩田章

    政府委員(塩田章君) お答えいたします。  都道府県、指定都市におきますいわゆる夏季休暇は、年次有給休暇によっているもののほかに、特別休暇として条例で定めておりますものが都道府県で七団体、指定都市で四団体ございます。また、職務専念義務の特例の運用によっておりますものが都道府県で十八団体、指定都市で四団体、以上のような形になっております。
  224. 田渕哲也

    田渕哲也君 ただいまの御答弁のとおりでありますけれども、私も私なりに実態を調べてみました。各都道府県の状況につきましては、富山県が調べたものも出ております。これは自治省の方からいただいた資料と若干数字の食い違いがありますけれども、傾向とすればほぼ同じということで、大部分が職務専念義務の免除に関する条例、これを適用しておるわけであります。  それから市町村の場合も、これ全国的なデータはありませんけれども、埼玉県が調べた埼玉県下の各市のデータが出ております。これは三十九市を調べまして三十一市が職務専念義務の免除、それから八市が特別休暇の条例と大体同じような傾向になっておるわけであります。  しかも、この日数がどうなっておるかといいますと、都道府県の場合は大体五日ないし七日の辺が多いのではないかと思いますし、それから市町村の場合は、大体十日前後というのが埼玉県の場合の実例であります。  ただ、私はこの状態に若干疑義を持つわけです。というのは、この職務専念義務の免除に関する条例というのは、ほとんどの都道府県並びに市町村におきましてその条例を調べてみますと、自治省でつくられた準則に基づいてこの条例の条文ができておるわけです。これはほとんど大同小異で差はありません。この職務専念義務の条例の中のどの項を適用しておるかといいますと、大体これには「研修を受ける場合」というのがあります。それからもう一つは、「厚生に関する計画の実施に参加する場合」、それから「前二号に規定する場合を除く外、人事委員会が定める場合」、大体この三つの項目、この場合には職務に専念する義務を免除されることができると、「任命権者又はその委任を受けた者の承認を得て」「免除されることができる」という規定になっておるわけです。その中のほとんどが、第二番目の「厚生に関する計画の実施に参加する場合」、この項目を適用して夏季休暇をとっておるわけですね。私はこの辺がちょっとこれ解釈の問題がおかしいように思うわけです。準則として自治省がつくられたときの「厚生に関する計画の実施に参加する場合」というのは、大体どのようなケースを想定して決められたのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  225. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 準則の中で、いま御指摘の「厚生に関する計画の実施」といいます場合、どういうことを考えておったかということでございますが、地方公務員法の第四十二条に、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項についての計画を地方公共団体が立てて、その実施をしなければならないという規定がございますが、これを受けたものでございますけれども、一般的には、地方公共団体等により行われます保健事業あるいはレクリエーション行事 そういったようなものがこれに当たるというふうにいま考えております。
  226. 田渕哲也

    田渕哲也君 その場合に、その夏季休暇というようなものはこれに含まれるという想定のもとにつくられたわけですか。
  227. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 現在行われております夏季休暇をその当時この条例準則の中で想定しておったかどうか、これはちょっといまつまびらかにいたしませんけれども、いろいろな態様がございまして、たとえば夏休みに——夏休みといいますか、夏の時期に、県なら県あるいは指定都市等が、事業として県のたとえば山の家でありますとか、海の家でありますとかといったような形で計画を立てまして、これに参加させるというようなこともあり得るわけでございます。そういうようなことが現に行われている団体もございますので、一概には言えないと思いますけれども、いわゆる休む、休暇をとるという形をこれに想定しておったとは考えられないというふうにいま思っております。
  228. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、この職務専念義務の免除に関する条例を適用して、大体五日ないし十日の夏季休暇をとるというのは、私はこの条例の拡大解釈だと思うんですね。本来やはり厚生に関する計画の実施に参加するということですから、やはり何らかの厚生行事に参加するということを想定してつくった条例だと思うんです。そういう一つの問題点がある。  それから、その他で特別休暇というものを、特別休暇の条例を適用して夏季休暇をとっておる場合があるわけですけれども、この特別休暇というのも大体大同小異でありまして、どういうことを言っておるかというと、年次休暇とはこれ別に特別休暇というものを設けておりまして、これはたとえば出産の場合あるいは育児のための休暇の場合、忌引、結婚あるいは法定伝染病にかかった場合、あるいは天災地変、災害等で出勤できない場合、こういうものを列挙して、最後に「その他市長が認めた場合」という項目があるわけです。これを適用して夏季休暇をとっておる。これも大体条文の定め方として考えた場合は、こういう問題を列挙して「その他市長が認めた場合」というのは、上記に列挙したものに準ずるものでなければならないと思うんです。その他の項で何でもこれに休暇が盛り込めるんだというようなことでは私はおかしいと思うんですね。この点はいかがですか。
  229. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 特別休暇にいま御指摘のような忌引、結婚、伝染病、災害、いろいろございまして、そういうものを列挙しておるその最後に、その他市長が定める場合とか知事が定める場合とかいうような場合には、これらに準じたものを想定しておるんであるから、これらに準じたものでなければおかしいということは必ずしも一概には言えない。といいますのは、これは特別休暇として必要なものであろうと考えられております出産、育児、その他の規定にしましても、職員の特別休暇の必要から考えましていろんなことが想定されて書いておりますけれども、なかなか一定のパターンというようなものではなくて、いろんなことが考えられて書いておる、しかもそれ以外になおかつ一般的に定めがたい場合もあるであろうということでいまの「その他市長が定める場合」というのが入っておるというふうに考えられますので、いま先生のおっしゃいましたように、一般的に一定のパターンのようなものがありまして、その他それらに準ずるものというふうなそういう規定の形にはなかなかなりにくいんではないかというふうに考えられますので、この特別休暇の場合に列記したものに準じているものというものが一義的に出てくるような形ではないというので、想定されない——想定されないといいますか、いま例示してないようなことを「その他市長が必要と定めた場合」ということで救っているということでございますから、そのことをもって直ちにここに夏季休暇の規定を入れるということが私ども適当であるとは思いませんけれども、そのことをもって違法とかというふうにはなかなか言いにくい面があるんではないか、こういうふうに考えております。
  230. 田渕哲也

    田渕哲也君 地方公務員法の第二十四条の第六項ですね、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」というのがあるわけです。これは地方自治の精神から言いまして、地方公務員の勤務条件については、やはり地方議会の承認を得て、労働時間、賃金、労働諸条件、休暇、そういうものを定める、こういう原則をこれに規定しておるわけです。ところが、片一方で条例の中で特別休暇という条例をつくっておいて、「その他市長が認めるもの」ということで何でもここに入れられるならば、私はこの条例主義の精神は死んでしまうと思うんですね。この点はいかがですか。
  231. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 当然いまおっしゃいましたような御議論があり得ると思います。思いますので、私どもとして、この特別休暇の条例のその一番最後の、「その他市長が定める場合」ということを使って特別休暇を規定すること自体は決して適当なことではないというふうに考えております。おりますが、直ちに違法であるかどうかということはおのずから別な問題でございまして、私どもとしてはそういうことはしないように、なるべく条例にずばり書くようにという指導はいたしたいというふうに考えております。
  232. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほど申し上げましたように、まず職務専念義務の免除に関する条例の適用あるいはいま申し上げました特別休暇のその他云々の条項の適用、こういうものは私は本来好ましくない。やはり夏季休暇をとるならとるでちゃんと議会に諮って、そして夏季休暇何日、期間は幾らというふうなことを条例に明記をして、そしてとるのが私は地方公務員法二十四条の趣旨だと思うんです。この点について法制局の見解をお伺いしたいと思います。
  233. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。  地方公務員法二十四条六項につきましては、先ほど先生がお読み上げになりましたとおりの規定がございまして、いわゆる勤務条件条例主義をうたっておるわけでございますが、地方公務員の休暇に関する制度が勤務条件の一つであることはこれはもう明らかでございまして、したがいまして、仮に地方公共団体の当局が、条例あるいは条例に基づきますところの規則等に何らの根拠もないのに職員に対しまして年次有給休暇以外のいわゆる夏季休暇を付与するといたしますれば、それは勤務条件条例主義を定めたこの二十四条六項の規定に明らかに違反するということが言えようかと思います。一般的な解釈論はそうでございますし、また、ただいま先生が御指摘になりましたように、まさに勤務条件そのものは条例で決めるということが本来の趣旨でございますだけに、いわゆる夏季休暇につきましても、条例の規定あるいは明らかに条例から委任を受けたような規則の規定によってこれを定めるというのが適当であろうかと思います。その点は先生のおっしゃるとおりであろうと思います。
  234. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからもう一つ、地方公務員法の二十四条から見てやはり問題な点はやはり二十四条の第五項です。「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当っては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない」、このようにあります。現在、国家公務員は夏季休暇はありますか、どうですか。
  235. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 国家公務員の場合、夏季休暇に関しまして法律はございません。人事院規則でいわゆる有給年次休暇を使ってやることは行われておりますが、いわゆる法律による夏季休暇はございません。
  236. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、この二十四条五項の精神から言っても、地方公務員の場合は年次有給休暇と別に五日ないし十日の夏季休暇、多いところは十二日、もっとあるところもあります、十二日間あるところもあります。ところが、国家公務員の場合は年次休暇以外に夏季休暇はない。これは明らかに権衡を失しておると思いますけれども、いかがですか。
  237. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私どもは国家公務員との権衡の規定からいきまして、国家公務員と同様に年次有給休暇を使って夏季休暇に当てるべきであるというのが基本的な考え方でございまして、四十三年に国家公務員の方で年次有給休暇を使うというふうに改正をされました際に、地方公共団体につきましても、四十三年、同時に私どもの方から通達を出しまして、その点は年次有給休暇によって夏季休暇を処理するように指導してまいっております。
  238. 田渕哲也

    田渕哲也君 ところが、実態はそうはなっていないわけです。いまの二十四条第五項の件について、法制局の見解をお伺いしたいと思います。
  239. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 地方公務員法二十四条五項は、先ほど先生お読み上げになりましたとおりの規定内容でございまして、地方公共団体におきまして、年次有給休暇とは別個に、国の職員に認められていないいわゆる夏季休暇の制度を設けますことは、そのことが直ちにこの規定に違反するというものとは考えられませんけれども、この規定の趣旨に照らして考えますと、一般的には適当ではないのではないかと思われますし、また夏季休暇の与え方いかんによりましては、この規定に反することとなる場合もあろうかというふうに考えられます。
  240. 田渕哲也

    田渕哲也君 いまの与え方いかんによってはというのは、たとえばどういう意味でしょうか。
  241. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 地方公務員法二十四条五項は、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われるべきであるということになっておりますので、具体的には、やはりそれぞれの勤務条件全体を総合勘案いたしました上で、果たして権衡を失していることになるかならないかという点を実質的に判断すべきであると思うのでございます。したがいまして、個別的に八日ならば直ちに違反するとか、五日ならばまあどうやらいいとかいうところはなかなか決しかねる、判断しかねることでございまして、要するに全体的に総合勘案して判断をすべきであるということであろうかと思います。
  242. 田渕哲也

    田渕哲也君 国の場合はゼロなんですよ。片方の場合は多いところは十二日もとっておる。これはそんな持って回った言い方をしなくても、明らかに権衡を失しておる、だからこの五項から見ればおかしいということは間違いがないと思うんですが、いかがですか。
  243. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) ただいま申し上げましたことの繰り返しになって恐縮でございますが、この権衡を失するというのは、いわば国の職員あるいは他の地方公共団体の職員との間における勤務条件全体を総合勘案した上での権衡というふうに考えられますので、具体的に個別的に、この場合には権衡を失するとか、失しないとかということまではこの席でちょっと私も申し上げかねるのでございまして、その点は御容赦を願いたいと思うのでございます。
  244. 田渕哲也

    田渕哲也君 つまり、夏季休暇の件以外のことでもし権衡がとれておる、それほど大きな差がないとすると、これは夏季休暇でゼロと十二日では権衡を失していると、そういう意味ですね、ということが言えると。総合的に見なきゃわからないから、ほかの条件がどうかわからないけれども、ほかの条件が大体均衡とれておるなら夏季休暇だけでゼロと五日ないし十日というのは権衡を失しておると、そう解釈していいわけですね。
  245. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) おおむねそのとおりであろうかと思いますが、ただ規定の仕方としまして、権衡を失してはならないということではなくて、権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならないというような規定のしぶりでございますので、その辺に若干のアローアンスがあるのではないかというふうに考えられます。
  246. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、夏季休暇そのものに反対しておるわけではありません。欧米の例を見ましても、夏季休暇をかなり長期とるというのは一つの慣行となっております。私は日本の場合もそういう慣行を早くつくるべきである、このように思うわけでありますけれども、しかし、あくまでこれは民間も国も地方公務員もやはり権衡がとれたかっこうで前進するのが好ましい。民間の実態というのは、大体平均すれば、年次休暇以外に約三日程度、夏季休暇を別に年次休暇の余分にとっておるというのがいまの実態であります。だから、国家公務員の場合もそれに準じて夏季休暇を設けることは私は非常にいいことではないか。  ただ、年次休暇のとり方はちょっと民間と公務員とでは私は差があると思いますね。公務員の方は入ってからすぐ二十日間とれる。民間の場合はなかなかそうはいきません。かなり勤務年数の長い人で二十日ぐらいとれるわけでありますから、そういう面も勘案しながら、夏季休暇そのものが日本の社会の中で慣行化していくことは好ましいと思いますけれども、現在の地方公務員のとり方というのはやはりかなり問題がある。一つはやはり国家公務員との権衡ということに配慮すべきであると思いますし、もう一つはやはり条例主義の精神を生かして堂々と地方議会の承認を得てとればいいんです。それを市長と労働組合との間の交渉だけで、その他市長が認めるものとか、職務専念義務の免除の条例などを適用してとっておるというのはきわめて不明朗である。また一般の市民、そこの地方自治体に住んでいる市民もそういうことを知らずにおる。これは非常に問題だと思うんですね。したがって、私は自治省としてこの問題に適切な指導をしていただきたいと思いますけれども、どのように今後対処されますか、お伺いをしたいと思います。
  247. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘の二点、そのとおりでございまして、まず第一点の権衡を失しているかどうかという点、これは先ほど申し上げましたように、私どもも国家公務員の例にならいまして有給休暇の中でやるようにということを基本的な姿勢として指導いたしておるわけでございます。現状のような状態が必ずしも適当であるとは思っておりません。  それにしましても、規定をする場合に不明瞭なといいますか、明確な条例で規定すべきではないかという点も同感でございまして、そういうふうに指導してまいりたいと思いますが、まず基本的に私ども年次有給休暇でやるべきであるという気持ちでおりますので、条例につきましていままでこういう形で規定しなさいという指導をしたことはございませんございませんが、年次有給休暇の形でやるべきであるという指導をしてきて、今後も基本的にその姿勢でいきたいと思っております。
  248. 田渕哲也

    田渕哲也君 自治省務員部長から出された通達というのは四十三年でしたね。その後特に何もやっておられないわけでしょう。だから、今後具体的にどのようにされるのかということをお答えいただきたいのと、それからこの問題に対する大臣の御見解をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  249. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 今後どういうふうに指導するのかということでございますが、基本的な通達としては出ておりますので、改めて通達等を出す必要はないと思いますけれども、私どもいろんな機会に会議、講習会等を持っております。そういう機会を通じまして今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  250. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私も田渕議員が御指摘になられましたように、夏季休暇をとりますことが適当だと思いますし、ことに休暇制度は、勤務に疲れてその元気回復をと、これが精神でございますから、夏は疲れやすいのが日本の気候でもございますから、ですから夏休みをとりますことは基本的に私も賛成だと思うのでありますが、ただ、いま部長からも答弁いたしましたように、地公法二十四条の精神からいたしましても、条例主義に準拠いたしまして、条例を制定いたしまして堂々と休暇が取り得ますような体制をとりますことが基本でありますことと、いま一つは、二十四条第五項によりまして国家公務員と均衡を保っていかなければならぬといたしますと、年次有給休暇をもちまして夏休暇に充当いたす、これが正しい筋であろうかと思うのでありますから、今後も地方団体指導するに当たりましてはさような精神で対処してまいりたい、かように考えます。
  251. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようですから、自治省及び総理府のうち、警察庁北海道開発庁と、それに関係する公営企業金融公庫並びに北海道東北開発公庫決算につきましては、この程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      —————・—————