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1978-03-27 第84回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十七日(月曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      柿沢 弘治君     野末 陳平君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 寺下 岩蔵君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君     委 員                 石本  茂君                 岩上 二郎君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 永野 嚴雄君                 藤川 一秋君                 増岡 康治君                 案納  勝君                 丸谷 金保君                 和泉 照雄君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 野末 陳平君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君    政府委員        内閣官房内閣調        査室長      下稻葉耕吉君        内閣法制局長官  真田 秀夫君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        任用局長     今村 久明君        内閣総理大臣官        房会計課長兼内        閣参事官     京須  実君        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       三島  孟君        内閣総理大臣官        房同和対策室長  黒川  弘君        内閣総理大臣官        房総務審議官   大濱 忠志君        総理府人事局長  秋富 公正君        総理府恩給局長  菅野 弘夫君        青少年対策本部        次長       松浦泰次郎君        公正取引委員会        事務局長     戸田 嘉徳君        公正取引委員会        事務局取引部長  長谷川 古君        宮内庁次長    富田 朝彦君        皇室経済主管   福留  守君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        沖繩開発庁振興        局長       美野輪俊三君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     赤松 良子君        北方対策本部審        議官       永山 貞則君        警察庁警備局参        事官       近藤 恭二君        防衛施設庁総務        部施設調査官   三條 俊郎君        外務大臣官房儀        典官       松村慶次郎君        文部省社会教育        局審議官     別府  哲君        厚生省児童家庭        局障害福祉課長  佐藤 良正君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  川崎 幸雄君        運輸省航空局管        制保安部長    飯塚 良政君        会計検査院事務        総局第四局長   阿部 一夫君        日本国有鉄道施        設局長      村山  熙君    参考人        沖繩振興開発金        融公庫理事長   岩尾  一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、柿沢弘治君が委員を辞任され、その補欠として野末陳平君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、内閣総理府のうち、総理府本府、行政管理庁及び沖繩開発庁と、それに関係する沖繩振興開発金融公庫決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質疑の通告がありません内閣法制局長官国防会議事務局長人事院総裁日本学術会議事務局長公正取引委員会事務局長公害等調整委員会事務局長岩尾沖繩振興開発金融公庫理事長は退席していただいて結構でございます。  なお、安倍内閣官房長官荒舩行政管理庁長官は後刻再び出席していただくことにして、一時退席して結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 本日御提案されております総理府所管決算、それに関連しまして、先日も御質問申し上げました皇室経費の問題について御質問を申し上げたいと思います。  実はその前に、質問の趣意をよく御理解をしていただいて、それに沿った御答弁をお願いいたしたいと思う次第でございますが、いま農村では、米の減反政策をめぐりまして非常に農民が先行きの不安におののいております。それからつい先日のNHKのテレビ等でも、もしも食糧パニックが来た場合にはどうなるかという、大変ショッキングな放送が行われております。そのように日本を取り巻く食糧問題というのは、いまのような減反政策を続けることは、長い日本民族の生命、財産すべてを守っていくという立場で、大変悲しむべき政策だというふうに私は存じております。そして、そのためにはどうしても米の消費を拡大するということに国を挙げて全力を尽くしておかないと、いつの時代かにほぞをかむ、そういう思いをするのではなかろうかと深く憂慮をいたしております。政府もその点について、ライスワインであるとか、あるいはうどんに米を入れるとか、玄米パンであるとかと、ずいぶんいろんなことで米消費に努力をしております。しかし、それらを見ておりまして、私はやはり皇室におきましてもこれらにできるだけ御協力をいただいて、国民皇室とが非常にはだのぬくもりの感じ合えるようなそういう施策を進めていただきたい、かように考えておる次第でございます。  そういう立場で考えますと、たとえば日本酒、清酒のアルコール添加、これは御承知のように戦争中に米が非常に足りなくなったときにやむを得ず認めた法律であります。こういうものがまだ現存しております。これをやめただけで現在四十万トンからの米の消費が伸びるということは、もう識者のことごとくが認めておるところでありながら、いろいろな客観的な情勢を踏まえて政府も踏み切れないでおると、こういう状況であります。  そこで、もしもそれらの隘路を切り開いていくために、少なくても宮中晩さん会等において日本料理日本酒というふうなものが的確に使われていくならば、私どもはいまの米のアルコール添加の問題に大きな転期をもたらすことができると思います。そのためにはどうしても公式の場でないと困るということがございます。なぜならば、恐らく宮廷で使われる日本酒の場合に、古来からの醸造の方法というふうなものを踏まえた、アルコールなどを添加しない純粋の日本酒が使われるであろうことは明らかだからでございます。そしてそのことが、いま申し上げました日本じゅう農民が、あるいはまたもっと深い意味食糧の危機に対応する時代を想定する識者が心配しております減反政策への一つの突破口にもなり得るんではないかと、こう考えておりますので、実はそういう角度で私は日本料理日本酒というものを宮中晩さん会等ではぜひ使ってほしい、こう念じている次第でございますので、そういう質問の前提としての考え方を一応御理解いただいた上で御答弁をお願いいたしたい、かように存ずる次第でございます。  まず、最初に米のことをお伺いいたしますが、天皇陛下は毎年田植え稲刈り等宮中行事として行っておるというふうに漏れ承っておりますが、そのようなことになっておりましょうか、御答弁願います。
  7. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいま、皇室におかれて田植えとかあるいは稲刈りというようなことを行事としてずっと行ってきたかどうかというお尋ねでございます。これはお尋ねのとおりでございまして、天皇陛下は大体五月から六月の間、田植えに最も適した日を選びまして、生物学御研究所に所属しております苗圃とその水田におりられまして、御みずから田植えをされる。また、その植えた稲が成熟します大体九月から十月の間、適当な日を選ばれまして同じく稲刈りをされておる、こういう事実でございます。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 これはいつころから行われている行事でございましょうか。
  9. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいま正確な開始のされた記録を手元に持っておりませんが、これは少なくとも現陛下になられましてからはこの行事を継続されておりますし、それ以前におかれてもこうしたことがあったと推定はいたしますが、現陛下以前のことにつきましては、ただいま手元に資料がございませんので、不正確なことを申し上げてはいかがかと存じますので、現陛下についてだけ申し上げました。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 陛下がわざわざ田植えをされたり稲刈りをされるというのは、そういうことが行事として、制度としてずっと行われておるというのは、どういう意味を持っておるとお考えですか、次長は。
  11. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) こうした田植えあるいは稲刈りを御みずから水田に立たれておやりになるということは、もう委員の御指摘もございましたように、農業関係というものに対して非常に深い御関心と御理解を持っておられるわけでございまして、その一つのあらわれとして、農民の方々の苦労と喜びというようなものをともにしたいということから行われておると推察をいたしております。  こうした農業関係のことにつきましては、すでに御承知のとおり、全国植樹祭というようなことで、山林ではございますが、植樹関係というものについて毎年お出ましになり、その植樹をされるということも公式の行事と化しております。  また、皇后陛下は御養蚕というようなことで、五月、七月ごろにいろいろ蚕を飼われて、そして糸を紡ぐまでの作業を御みずからされると、こういうような関係から、いま申し上げたように、農業に対する非常な御関心、こういうものであろうと考えております。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 次に、宮廷酒の問題についてお伺いいたします。  実は先般御質問を申し上げました、フォード大統領日本に参られたときの晩さん会のことがその後各新聞で取り上げられまして、中には大きく写真入りでニュースが発表されました。ところがそれはフォード大統領写真でなくて、おおむね、ここに東京新聞の切り抜きを持っておりますが、エリザベス女王陛下天皇陛下乾杯をなさっておる写真が載っております。実はこの種の問題について、私はその後、天着連と言いまして天皇陛下に着物をお着せしたいという、そういう運動を行っております永六輔さんとも話し合ったんですが、そのときには、いわゆるお召しになるもの等については内廷費で、これは国会の場でお手元金中身についてまで論議することは少なくとも決算委員会の場としてはなじまない、われわれが取り上げるべき問題では私はないと思うと、しかし民間でいろいろおやりになるということについては大変結構なことなので、どうぞひとつがんばっていただきたい、ただ、国賓を招いての宮中晩さん会というふうなものは、皇室経済法によりまして明らかに宮廷費に属し、その所掌は宮内庁で行っているのであるから、内廷費と違って私ども決算の場でこのことについての論議をすることはむしろ当然のことだと思うので、その方はさらに研究を深めて私は進めたいと思っておると、こういうことを申し上げたのでございますが、その中で、たまたまこの間の新聞写真をちょっと見ると、どうもグラスが違っているじゃないか、こういうお話が永さんの方から出されまして、私も注意をして見て、なるほど違うということに気がつきました。  しかし、さらに正確に調査するために、新聞社の方にお願いして、この新聞のもとになった写真をひとつ貸していただけないか、こういうふうに申し上げますと、これは宮内庁の方からの一々許可の要るもので、大変めんどうなことだというふうなことも実はそのとき初めて知りました。なかなか皇室関係のことというのは厳しいものだなとそのとき思いましたが、それでも御了解をいただいて写真を拝見する機会を得ました。見ますと、明らかにやはり新聞にあると同じようにグラスが違います。これはもう明確に違うことが確認できました。  そしてグラスが違うということは、中身の酒も違うんではないか、色合いは新聞写真ではちょっと判定しにくいので、国会図書館からグラフを拝借してきまして、この中で拝見いたしますと、これも明らかに中のお酒も違っております。そして不思議なことに、ほかの人は全部天皇陛下と同じシャンペングラスを持って乾杯をしておる。アサヒグラフ毎日グラフというふうなグラフを実はここに持ってまいっておりますが、これらを見ると、明らかに違うということがわかりました。それで、これはもうおかしな話でないかなというふうに感じたわけでございますが、このとき、エリザベス女王陛下に差し上げたお酒は、天皇陛下が手にしておられたシャンペンではないと思いますが、いかがでございましょうか。
  13. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいまお尋ねのことでございますが、おっしゃられますように、私どももそばで拝見したわけでございませんが、いろいろな当時の参会者等のあれを聞きますと、いまお話しのような、陛下シャンパングラスを持っておられますし、英国女王陛下ブドウ酒コップを手にしておられる、こういうことはそのとおりでございます。  ただ、これはもう御案内のことと存じますが、乾杯の折に特にお一方お一方にコップを差し上げるということではなくて、卓上にすでにシャンパングラスとかワイングラスとか置いてございまして、それぞれお酒がついでございます。でございますから、それをおとりになって乾杯をされる、こういうことでございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 それぞれおとりになってというふうなことは、実は酒をつぐマナーの中ではないんでないかと思います。グラスは全部置いておいたところにつぐはずです。そうでございますね。
  15. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) はい。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 答弁の方も間違いないようにひとつお願いいたしませんと。おとりにはなっていないはずなんで、どうなんですか、それは。
  17. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) 私がいま申し上げましたのは、そうした折にコップをさらに追加して差し出すとか、ワインをサービスします場合にワインコップを出してさらにつぐという意味でなくて、卓上に置いてあるコップに白いワインをつぐときは全部白いワインをついで回る、あるいはシャンパンをつぐときには、そのコップについでいく。ただ、お持ちになるのは、そこにつがれたものを、天皇陛下にしましても、あるいは参会している方にしましても、その場のものを取り上げられる、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこのところ、小さいことですが大変重要なことなので、お取り上げになってついだか、置いてあったのについだかということの違いは、あらかじめどの酒をつぐということを決めてあったかないかということです。おとりになってついだのなら、英国女王陛下はこのグラスを取り上げたからこの酒という判断がそのとき行われます。しかし、置いてあったところにつぐということになりますと、事前に女王陛下にはこの酒をつぎなさいという指示が行われてなければ、そういうことはあり得ないはずですね。大変細かいことですが、重要な問題だと思いますので、再度ひとつ御答弁を。
  19. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) この卓上には、普通、国によって違いますけれども日本の場合はシャンパングラス、それからワイン用コップが二つ、それから水のコップ一つ、こういう四個すでに出ております。それに、これはもう御案内のとおり、料理の進行に従いまして、最初に白いワインをついで回る、それからさらに、肉のようなものが出ました場合には赤いワインがつがれる。それをついで回る。また、一応それが一段落しまして、いわばデザート式のもののコースに入ってきますとシャンパンがつがれると、こういうことでございまして、女王陛下にはこれというようなあれは特にございませんで、皆さんにサーブする順番に従って白いワイン、赤いワイン、さらにシャンパンと。中にはワインを相当召し上がる方もございます。そうしますと、その白いワインがなくなった場合には、白いワインを補充すると申しますか、つぎ足す、こういうことを何回も繰り返すわけでございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 明らかに乾杯というのは一番先にやっておるようですが、この場合は。女王陛下は赤い系統の酒を持っております。最初に何らかの指示がなくてサーブをしている者が赤いワインからつぐということは、常識としてあり得ないんです。特にこのとき使いました赤ワインは、一九六四年のシャトーロシュフィールドですね。その酒を、肉の料理も出てこないさきから乾杯用につぐということは、これはもう世界の常識としてもちょっとあり得ないことだと思うんですよ、そういうことは。ですから私は、このときに女王陛下乾杯でお持ちになったお酒はシャトーロシュフィールドでないんでないかというふうに考えます。  それで、先ほど次長は、直接そこに担当していなかったんではっきりしたことはわからないと言いますが、先日御答弁いただいたときにも、明らかに宮中晩さん会の費用は宮廷費と御答弁いただきました。そうしますと、これは宮内庁予算費目から支出されているものでなかろうかと思います。そうすると、それがわからないということは、ちょっと私ども行政機関の長をしていた者としてはどうも納得しかねる御答弁なんです。必ず調べればわかっているはずでございますが、御答弁いかがでしょう。
  21. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) 私がわからないというふうに申し上げたのは、あるいは言葉が足りなかったかもしれませんが、私もその席の末席には連なっております。ただ、乾杯のときは、大分席が離れておりますから、私のこの目ではっきりとその状況を見てこうだったなというふうにはまだいま記憶をいたしておりませんということを申し上げただけでございまして、決してわからないというようなことは申し上げるべきことでもございませんし、また調べればわかることでございますし、調べた結果ただいま申し上げたようなことでございます。   〔委員長退席理事野口忠夫君着席〕  ただ、乾杯のあれの順序でございますけれども、これはいろいろしきたりもございますと思います。結婚式の場合などは、もう申し上げるまでもなく、主賓あいさつ等が終わりますと、何をまずおいて乾杯が行われるというような例もございますし、いろいろやり方ございますと思いますが、いわゆる宮中晩さんのいわば順序でございますけれども、これは乾杯は一番最後の順番になるのでございます。と申しますのは、これは国賓を迎えましていわゆる歓迎言葉、これは陛下が申し述べられます。その後に乾杯が行われ、それからさらに、今度はいわば感謝のと申しますか、お礼言葉を、英国女王陛下を迎えての晩さん時には女王陛下がいわばお礼言葉を申し述べられる、そしてまた乾杯をされる、こういうことでございまして、順番は、白ワインが出るような料理も済み、それから赤ワインが出るような料理も一応一段落いたしまして、そして、大体デザートに入る直前に陛下歓迎のごあいさつ、それから女王陛下のため、あるいは英国のための乾杯、それから女王陛下お礼言葉、それから日本国民あるいは日本陛下に対する乾杯、こういう順番になってまいりますので、いま御指摘のような最初に行うということではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の記憶に誤りがなければ、当日の模様はテレビ中継を通じて全国に流されております。そのことを御承知でございましょうね。
  23. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) カメラ取材あるいは記者の取材というものがあったことは事実でございますし、全国にそのまま生中継であったかどうか、私はちょっと存じておりませんが、そういう取材があったことは事実でございます。  ただ、カメラなんかが取材をされるのは、ちょうどいわゆる主賓、それからこちら側の接待側陛下その他が席に着かれるときに第一回の取材がございます。それから後、食事の間はカメラの方も遠慮していただいておりまして、その食事がある程度終わって、いま申し上げたデザートに入る、そして歓迎言葉あるいはお礼言葉乾杯と、こういうときにもう一度カメラが放列をそこへしく、こういうような取材のやり方をやっております。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、あのときの乾杯というのは食事が終わってからということでございますか。
  25. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) そのとおりでございます。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 テレビを見ている限りでは、一番最初にごあいさつの後、乾杯が行われておりますが、そのときにも、普通乾杯というのは同じ酒でやるのがこれはもうマナーでございます。これはまあ私の意見でございますけれど、乾杯でこうカチンとやりますわね、これはもともとはお互いの酒をつぎ合ったものであります、ヨーロッパの非常に毒殺の歴史の長い中で。そして、お互いが同じ酒でそういうことがないんだという確認し合うことが形式としてこのカチャンと。あのときのテレビを見ていてもこう明らかにやっておりました。そういうあれから言うと、わざわざ女王陛下マナーを外してそういうことを、一人だけですよ、おやりになるということはちょっと私たちは合点がいかないんですが、いかがなものでしょうか。
  27. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) いま乾杯のいろいろ歴史的な意味等についてお教えを賜ったわけでございますが、いま先ほど来申し上げております乾杯宮中晩さんのときにおきます乾杯は、これは賓客の方と両陛下とばかりではございませんで、全員がそれに唱和をして起立をいたしまして杯を挙げておるわけでございます。ただ、ほかの者はちょっと隣の人に杯を合わせる人もありますけれども、これは随意にやっておるように見受けております。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 外務省の儀典官の方お見えになっていますね。これは大変相互の皇室にも関係あることでございますので、私ども質問そのものも慎重にいたさなければならないと思っております。しかし、私の趣旨は冒頭申し上げたような趣旨でございますので、その点も踏まえてひとつ御答弁を願いたいと思います。  エリザベス女王陛下がおいでになったときに、乾杯用の酒について英国側と外務省との間で何回か公式、非公式に話し合いが持たれたと承っておりますが、いかがでございますか。
  29. 松村慶次郎

    説明員松村慶次郎君) お尋ねの点につきましては、私ども記録をいろいろ調べてみたわけでございますが、英国側と乾杯用の酒につきましていろいろ打ち合わしたという少なくとも文書の上での記録はないわけでございます。したがいまして、口頭でいろいろやりとりがあったかもしれません。この点につきましては当時の関係者にいろいろ聞いてみたわけでございますけれども記憶に残っている点がないと、そういうことでございまして、そのやりとりにつきましてはつまびらかにしないわけでございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 ということは、そういう非公式にも話し合いがなかったという確認ではございませんね。
  31. 松村慶次郎

    説明員松村慶次郎君) 宮中晩さんに限らず、こういった公式の食事の場の乾杯につきましては、事前に必ず先方と打ち合わせをいたします。それはどういうことを乾杯言葉にするか、これは一番のポイントでございまして、詳細に打ち合わせをいたします。それから乾杯言葉に続きまして国歌の演奏がある、そういった細かい点まで詳細に打ち合わせをするわけでございます。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 その詳細の打ち合わせの中で、女王陛下は各地で乾杯するときに乾杯用のお酒をお持ちだというふうなことが話の中には出てまいりませんでしたか。
  33. 松村慶次郎

    説明員松村慶次郎君) 先ほど申し上げましたように、乾杯の際に使うお酒につきましては、少なくとも記録の上ではどういう打ち合わせが行われたか、明らかでないわけでございます。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 次長さんにお伺いしますが、宮中晩さん会のときに使ったお酒のリストその他は、記録の上では明確になっておりますか、おりませんか。
  35. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) 宮中晩さんで使用をいたしましたお酒の記録は明確でございます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 じゃ、その中にロイヤルサルーツというウイスキーは入ってございませんか。スコッチウイスキーでございます。
  37. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ウイスキーは宮中晩さんの正式の一連のコースのときには私ども皇室は使用されておりません。ただ、前後にちょっと控え室等で参会される方がお待ちになっている、あるいは一連の儀式たる宮中晩さんが終わりました後、ちょっとあと別室でくつろいで、立ったままでありますけれども、そういう際にウイスキーを供するということはやっておりますが、その際に供しましたウイスキーの名称を、私ただいま手元に持っておりませんので、銘柄の明確なお答えはちょっとできかねる次第でございます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、前後にはスコッチウイスキーを使った可能性もあるというように理解してよろしゅうございますか。
  39. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) スコッチウイスキーはかりでなくて、あるいは国産のウイスキーもまぜて使う場合が多いわけでございますが、ウイスキーを水割りのような形にして供したことは事実でございます。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 次長、スコッチウイスキーをベースにしたロブロイというカクテル、御存じでございますか。
  41. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) はなはだ無趣味、不学にして、そのロブロイというのをまだ承知いたしておりません。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは英国女王陛下が大変お好みのカクテルというふうに仄聞をしておるのでございますけれど、この晩さん会乾杯用にそういうカクテルが使われたということはございませんですね。
  43. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) 晩さん時の乾杯にそういうカクテルが使われたことは一切ございません。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 実はこの問題についてはもう少しいろいろあるんでございますけれど、要は日本料理の問題でございます。こういうことが、新聞その他の報道をとってみると明らかに違う酒を使っておられる。しかもシャンペンにしろ、シャトーロシュフィールドにしろ、これはフランスの酒でございます。これらに対して、巷間伝わっている話として、英国の王室は、何でフランスの酒で日本乾杯をするのかということについて、外務省との間の話の中でそういう点についての主張があったと聞いておりますが、儀典官の方ではいかがでございますか。それらについての申し入れはございませんでしたか。
  45. 松村慶次郎

    説明員松村慶次郎君) 冒頭にお答えいたしましたとおり、そういった記録はございません。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 こういった問題が問題になるのは、結局は、日本が戦後三十年たっても、あるいはもう明治以来、日本が何でもかんでもヨーロッパのまねをするということに走った象徴的なものが私はこの宮中晩さん会にあらわれているフランス料理、フランスの酒、こういうことになってくるんじゃないかと思います。一体、フランス料理やフランスの酒で宮中晩さん会をするというふうな規則はどこにあるんですか。
  47. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) 特にそういう規則はございません。規則という形においてはございません。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、どういう根拠でこれを使っておられるか。根拠はないということですか。
  49. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいまお尋ねがございましたその根拠という意味をあるいは私取り違えておるのかもしれませんが、特に法制的に、こういう宴会、宮中晩さん、あるいは政府の方におかれても総理の主催の晩さんもございますが、そういうものにこうであるべきだという中身を規定したものはないわけでございますが、ずっとこれは長い間日本との間の外国交際が続き、こうした機会があります際には、一応ただいまのような洋式のいわば晩さんの内容を継続してまいっておるわけでございます。  これは、宮中晩さん、あるいは政府の方で総理が主催される晩さんも同じことと存じますが、一つの儀式でございまして、ただ、儀式ではございますが、この前お尋ねのありました際、前回の委員会におきましてもお答えをしたかと存じますが、やはりそういう儀式の中にも、相互友好を深めるというような意味の会話など、そういう総合的な効果をこういう際に期待をいたして、いわば宮中晩さんにいたしましても、総理晩さんにいたしましても行われてまいっておるわけでございますので、お酒のことをまあちょっと別にいたしますると、まあわりあいになれた料理というようなことで、緊張感も少ないというようなものの中で、会話も一応わりあいに緊張感なく出るような事柄と、こんなようなことがずっと配慮されて今日に来たのではないかと考えております。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 別に根拠がないということになれば、宮内庁の方で、これらについて、それじゃ日本料理を使おうというふうなことが議題になり協議されれば、やれないことはないわけですね。恐らく、陛下が御自身でとやかく指図をされるというふうなことがあろうとは考えられませんので。
  51. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) そういう意味の検討が全く論外であるというような事柄の性質のものではないと存じますけれども、ただいま申し上げましたように、宮中晩さん等の中身、成り立ちから、やはり万国にいわば共通項の多い料理を提供していくということはこれはやむを得ないのじゃないかというふうにも考えております。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 先般も申し上げたんですが、どうして日本だけが、長い伝統のある日本料理を持ち、日本酒という伝統のある酒を持ちしながら、フランスの料理、フランスの酒を使わなければならないんでしょうか。これはもうテレビを見ておりましても、中国へ行けばやっぱり中国の料理と中国の酒、イギリスへ行けばイギリスの料理、イギリスの酒、あるいはソ連に行けばソ連の料理、ソ連の酒、こういうものが当然出てきます。新しい国で独特のものを持っていないところはそれはいろいろ外国のものを使用することもあるかと思いますが、日本のように古い伝統を持つ、歴史を持つ国が、どうして外国のものを使ってだけしか正式の宮中晩さん会を行うことができないのか。私はやっぱりその根底にあるのは鹿鳴館以来のコンプレックスだと思う。それよりほかに考えようがないんです、あと正確な理由が。その点について次長のひとつ御見解をお願いいたしたいと思います。
  53. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) それぞれの特別なもの、特色のある民族文化のお料理というものも、これは確かに評価されるものと存じますし、また日本食が日本文化の粋であるということも私個人としては同じ意見を持っておりますが、まあリターンバンケットなんかの際、お返し晩さんをそれぞれの賓客の方でおやりになりますけれども、この場合もやはりフランス式と申しますか、こうした形式のお料理が非常に多いこともまたこれは事実でございます。ただ、いま日本酒の問題をお出しになられたわけでございますが、これは私どもの方でもずっと相当前からいろいろ研究はいたしております。陛下が先年ヨーロッパに御訪問になりました際にも、その何カ国かにおきましてお返し晩さんを行われましたが、それ全部というわけではございませんけれども、一、二の場所におきましては日本酒をちょっと、初めてのケースでありますけれども、お出ししたという例はございます。したがいまして、そういうこともございますので、どういう形でどういうふうにしたら一番ああいう雰囲気に合うのかというようなことも含めまして、あるいは容器の問題等も含めまして、今後さらに検討しよう、こういうことでただいま検討しておるような状況でございます。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと公取の方にお尋ねいたしますが、これはちょっと見えたらうまくないんだろうからラベルは隠しますが、これはアルコールを添加した酒なんです。こうやって見ないと、私は余り目がいい方でもないんですが、それにしても、たいていよく見れば見えるんですが、醸造用のアルコールが入っているというのはちょっと書いてあるんですが、こういうので見ないと見えない程度の小さい字なんですよ。これは表示の関係から言ってこんな程度のことでどうしていいんですか。虫めがねか天眼鏡かなんかのでっかいやつじゃないとよく見えないですよ、これ。御存じだと思いますが、本当に小さな字で、書いてはあるんです。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕
  55. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) お答えいたします。  日本酒につきましては、現在業界が自主基準というものをつくって規制しております。それによりますと、いま先生の御指摘になりました添加アルコールの含有量の表示は、一升びんの場合は八ポイント、それからそれより小さい一合びん等の場合は六ポイントというふうになっているかと思いますが、確かに御指摘のようにやや見にくいかと存じます。しかしながら、表示につきまして、これはほかの商品もいろいろあるわけでございますけれども、たとえば乳飲料とかその他いろいろございますけれども、大体一般に使っておりますのが八ポイントというのが共通する大きさになっております。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 皇室でお使いになっている日本酒アルコール添加したお酒でございますか。どうでしょうか。
  57. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) 皇室で使います日本酒は、市場、いわゆる市場を通じまして購入をいたしておりますので、全く無添加ということはないと考えております。普通のいわゆる特級酒等を購入して、ただ銘柄だけは昔からのあれがございますので大体決まっておりますけれども、普通のいわば市場から買っておるという状況でございます。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま普通に市場に出回っている日本酒の中で、アルコール添加をしていない酒というのは公取でおわかりになりませんか、どの程度か。
  59. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 正確にはわかりかねますけれども、この自主基準によりますと、純米醸造と名をつけてあるものはアルコールが入ってないということになっております。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのあれです、それが実際にはどれくらい……。
  61. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 全然わかりません。われわれ統計的な数字は一切とっておりませんので。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 私も克明に調べておりませんし、いまここに数字を持ち合わせておりませんが、少なくても一〇%はないと思いますね。あるいはもっとそのもう一つ零を取るくらいかもしれません。次長、普通に出回っている酒というのはアルコールを添加しておる酒なんです。次長がいまお答えになったのは、普通に出回っている酒を買っているんだからアルコール添加してないんだろうということはちょっとあり得ない。
  63. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) してないだろうと申し上げたんではなくて、普通の市場から購入いたしておりますので、添加がないというようなことはないんじゃなかろうかと、ちょっと回りくどい表現で申し上げまして誤解をあれしたと思います。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 その点ひとつ次回までにお調べをいただきたいと思います。  一つは、宮中晩さん会のときに使われたお酒の中でスコッチウイスキーが実際に使われたかどうか。それからその品目、それから外務省の儀典官の方にお願いしたいのは、非常にあいまいな答弁なので、ちょっともう少しその間の経緯を詳しくお調べをしておいていただきたいと。いずれまた何らかの機会に再質問したいと思います。
  65. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいまお尋ねのございましたウイスキーでございますが、いまわかってまいりましたのでお答えをしておきたいと思います。  先ほど御指摘のロイヤルサルーツウイスキーというのは使用いたしておりません。その事前、事後のまあパーティーめいたときに使いましたウイスキーは、これはやはりスコッチだと私存じますが、バランタインとサムシングスペシャルというこの二種類でございます。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 ロイヤルサルーツというのは、女王陛下が即位なされたときに礼砲二十一発、それを記念して二一年ものの古酒をある会社が販売した、いわゆる女王の即位記念のときの酒なので、使われるとすればそういう配慮をしたのかなと、こう思った次第です。それらのいま申し上げました点、ひとつ十分お考えをいただきたい。  それから重ねて日本料理日本酒の問題でございますけれど、いまの御答弁を聞いておりましても、さしたるフランス料理に対する根拠もないようです。ただ、外国から来た方々に対する接待のひとつのこちら側の配慮としてそういうことが行われているというお話でございますが、どうも逆でないかというふうな気がいたします。本当に人をもてなす場合、陛下田植えをし、稲刈りをしていると、これはそういうお米でございますよと、そういうことがなぜ言えないんでしょう。なぜそういう方向に、いま日本中が困っている、米の問題を抱えている、こういう段階に率先してそういう姿勢をとるという配慮ができないんでしょうか。
  67. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいま、先ほどもちょっと申し上げましたけれども宮中晩さんというような際に日本酒を提供をしてはどうかということでずうっと検討も続けておりますし、まだそれは結論は出ておりませんけれども、今後も検討していきたいと思っております。これはいま先生がおっしゃられましたような意味も私どもとしては含めて、そういうことも考えていくというようなものでございます。まあそういうふうに御理解を願いたいと思いますが、まだ結論には達しておりませんけれども、検討を続けておるというところでございます。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 天皇陛下が有史以来初めて外遊なされましたが、行く先々ではしをお使いになったということはございませんか。
  69. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) お使いになったということは、まず公式の場合には聞いておりません。ただ、御休養ということで、ほとんどいわゆる相手国との間の公的な行事のない何日間かがございました。たとえばスイスでありますとか、そういうところではそういうことがございましたが、あるいはその際に、大使公邸でごく内輪の食事をされるということが何回かございましたので、そういう際には、大使の方の計らいで和食というものも召し上がったことは十分考えられます。そういう際にはまあお使いになったと当然思いますけれども……。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 問題はその非公式の場所の問題ではないんです。私は、公式な場所で使われたことは恐らくないだろうと。そうすると、外国から来る国家元首、日本に来たら日本のしきたりで、できてもできなくても、そういうことを公式の場でするのは当然でないんですか。日本天皇陛下が行かれたときでも、みんなそれぞれの国の方式でなさるわけですわね。それが相手国へ行った、いわゆる日本の古いことわざである郷に入れば郷に従えと。これは非公式なときの手いっぱいの配慮、これらについては、これはもうできるだけのことをいたすのが当然だと思います。エリザベス女王陛下が来られたときのスケジュールも拝見いたしましたが、この中で京都から伊勢の皇大神宮への車中で食事をとっておられます。このときの食事はサンドイッチでございますね。そして、それに使ったハム、これはまあ日本の一流のあるハムメーカーから入っておりますがね。大変な苦労をしているんですよ、わずかのこれだけのハムをつくるのに。それはもう本当に努力しております。豚を選ぶところから、特製のハムをつくるのに。そういう配慮は非公式のところでできるだけされるのは、これはもう結構だと思うんです。お口に合ったようなものをということでですね。それと、公式の、少なくともテレビで映ったり写真に出るところで日本料理日本の酒、そういうことがなぜできないのかと。これは私一人でないと思います。  実は先日質問した後からも、それはもう本当だというふうなことで、もう物の本に書いてもございまして、ある方から、私は去年こういう本にこういうことを書きましたというふうなのを、全く知らない人からも本も送っていただきましたし、手紙もあちこちからもらっております。さらにまた、先日焼き物の話がちょっと御答弁の中に出ておりましたが、これについても、各地の焼き物をやる方から、日本にも伝統的なすばらしい焼き物がたくさんあるんだと、日本料理日本の器に入れて――それはもうそういうのに経費がかかるんなら、もう本当に、皇室が寄付を受けられないとしても、これはもう宮内庁で買えないそんなものではないと、三百人や五百人のものをそろえるとなったら、われわれも本当に喜んでそれらに協力してもらえるんだけれど、そういう道がないのかというふうな、実はそういう訴えも私のところへたくさん来ております。そういう気持ちを持っている人というのは、これは多いと思うんです。で、私が非常に残念に思うことは、そういう何といいますか、つながり、気持ちが伝わるような――壁で伝わらないようにする、そういうものがいまの宮内庁の行政の中にあるんじゃないかと、むしろそのことが、料理の問題一つ変えるにしてもなかなか適応できない、前例、前例前例ということの問題につながっているんじゃないかという気がしてならないんです。  それから、公式のときにお酒を使っていただくようになったとした場合には、アルコール添加の酒など使う、そういうことに私はならぬと思います。これは元来がお米の足りないときにやむを得ずとった措置であって、本来の清酒というものじゃないんです。そういう点について、ひとつ十分御配慮を願いたいと思います。  それから、公取にお願いいたしますが、自主規制ということをいま言っております。これは、公取からそういう勧告の出ないうちに自分たちだけでさっとやって、自主規制しておりますと、そうして小さい字を書く、こういうことの隠れみのになっている可能性というものをお考えになりませんか。
  71. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) お答えいたします。  自主規制と申しまして、ちょっと言葉が足りなかったと思いますけれど、私どもの表示関係の事項を取り締まっております法律は、不当景品類及び不当表示防止法というものでございますが、その中に、表示に関する規制につきまして、まず、一つは四条で不当な表示を規制すると、これは公取が直接やります。  いま一つの方法としまして、公正競争規約というものをつくっていただきまして、これは業界が自主的につくるわけでございますが、これは公取が正式に認定いたします。これが表示を適正にするために適当かどうかということを、消費者あるいは学識経験者の意見を聞いた上で、適当と思えば認定いたします。これも自主規制でございますが、酒につきましての自主規制はその前の段階の自主規制でございまして、私どもが認定しておるものではございません。酒類全般につきまして公正競争規約をつくるようにかなり前からいろいろ指導をしておりますけれど、現在のところ、酒につきまして公正競争規約のさらに前段階の自主規制として一応基準ができておると。ところが、まだ残念ながらウイスキー、ビールその他につきましては、まだこの自主基準さえできておらない段階でございまして、まあ酒の表示につきましてまだ自主基準の内容がいろいろ御不満の点があるかと思いますけれど、私どもとしましては、ほかの酒類につきましても早急に自主規制を、さらにできますならば私どもがはっきり認定した形の公正競争規約をつくっていただきたいというふうに思っております。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 不勉強で申しわけないんですが、そうすると、公取というのは業界の自主規制を促進させるという程度の権限しかないということですか、表示に関しては。
  73. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 不当な表示がございましたら、私どもは直ちに取り締まります。しかしながら、こういう表示をしろということは私どもの法律で命じることはできませんので、まあ極力指導をいたしまして、公正競争規約という形で表示の基準をつくっていただくということでございます。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあいま酒のそういう自主規制の中で非常に不合理なのは、たとえば特級、一級、二級というふうな、これは値段と、それから検査に出したか出さないかということで、中身の内容には余り関係ないんです。御存じでございますね。どうでしょうか。
  75. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) お答えいたします。  常識的なことしか存じておりませんけれども、内容とは関係ないんじゃないかと。税法上の配慮からできたグレードだろうというふうに思っております。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 東駒酒造という会社、御存じでございますか。
  77. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 何年か前に新聞等で一、二拝見したことがございます。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 あれが今度は表示義務違反ということで刑が確定したんですが、それは公取関係にはかかわりのないことでございますか、そうすると。
  79. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 不正競争防止法違反ということで訴えられたということでございまして、私どもとは直接関係ございません。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 公取は表示の関係については、そうすると勧告をするということがあるわけですか。
  81. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 私どもが権限としてなし得ることは、排除命令という形で不当な表示を排除することでございます。勧告というのは、規約をつくったらどうかというような、事実上の勧告はいろいろいたしておりますけれど、仕事としてやる場合には、権限としてやる場合には、不当な表示はやめろという排除命令でございます。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 大蔵の方へ行くと税法上の問題での表示だと。それから厚生省の方へ行きますと、食品取り締まり法上の表示以外のことはないと、こういうふうなことで、実はどこへ行ってもこれらの問題の解決をする場がないんです。  それで、私は今回やむなく公取に質問をいたしておるんですが、たとえば、先年イタリーで、日本新聞にも出ておりましたが、ワインの中にアルコールをまぜたということで刑罰にかかったのは御存じですか、そういう例があったのを。
  83. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 存じません。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは、イタリーだけでなくて、ドイツでもフランスでもそれぞれ非常に厳しい規制がありまして、アルコール添加をしたときにはよくわかるような表示をしなさいと。アルコールを入れたということが悪いというのでなくて、アルコールを入れたということを隠して販売したことが刑法に触れているんです、この場合。そういうことから考えますと、日本の表示規制というのはきわめて何かあいまいで、まじめないいものを、特にそれからいま米の消費というふうなこととに関連して考えました場合には、農民の側に立つと、どうも不合理な、農民が不利になるような法律のがんじがらめの中にある。  この表示の問題なんかもそうなんです。表示に関する所管の役所として、公取の皆さん方がもう少しこれらについて権限を持ってやれるような、私どもも研究いたしますが、ひとつ御努力をお願いいたしたいと、かように存ずる次第でございます。
  85. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) 先生の御指摘になりましたことはもっともと存じますので、検討いたしたいと思いますが、ただ、一応お断りしておかなくちゃいけないかと思いますのは、表示に関して各国ともいろいろ規制がございますけれど、大きく分けまして、一つは、私どものやっておりますような、競争秩序を維持するという観点からの規制がございます。それから、さらにと申しますか、食品衛生とか、そういうふうな保健衛生的な観点からの表示を定めているものもございます。それからいま一つは、恐らく欧州のワインなんかそうじゃないかと思いますけれど、特定な商品の品質を保持するという観点からの規制があるかと思います。  その第二、第三番目の点になりますと、少し私どもの仕事とはやや視点が違ってくるのじゃないかと思いますので、私どもは極力努力いたしますけれど、そういう意味の限界はあるかと存じます。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 日本料理と酒との問題につきましては、まだ問題もありますし、いまの御答弁の中での、どうもはっきりしない、わからないというふうな問題も踏まえて、ざらにまた別な機会に再度御質問申し上げたいと思いますが、なお、あとは北方領土の方の問題にあれしますので、公取、宮内庁関係、よろしゅうございます。  北方領土関係の問題について御質問申し上げますが、総理府で所管するこの種問題については、国民のいろんな世論を喚起し、意識を高めるというふうなことを中心にして取り組んでおられるということでございますが、そうでございましょうか。
  87. 永山貞則

    説明員(永山貞則君) お答えいたします。  ただいまお話しのとおり、北方領土問題の国民理解を深めるということに関し、その啓発を図るというのが一番大きな任務でございますが、同時に旧島民――北方四島の元居住者の方々の援護、これを特殊法人の北方領土問題対策協会等を通じまして援護を図るということももう一つの仕事となっております。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま、お手元に一枚の写真をお届けいたしましたが、その写真を見て、何かお考えになるところがございましたら、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  89. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) いま御指摘の北方四島は、当然日本の固有の領土である。この前も、外務大臣が日ソ交渉に参りましたときに、強くこれを要請をされまして、そのときには、壁は厚かったとは思わないと、こういうふうに羽田で記者会見をされました。そういう意味で、この北方領土四島はやはり日本の固有の島であると、こういった観点から、いま審議官から話がありましたように、総理府としては、やはり国民の世論を盛り上げていくという、こういうことが大変大事ではなかろうか。  そこで、過去のいろいろな経過もございますが、今年度からひとつ積極的に各市町村長にもお願いをする、あるいはまた各種団体にもお願いをする、あらゆる機関を網羅をして、北方四島返還というこういう国民世論を盛り上げていかなきゃならない、こういうふうに考えているわけでございます。
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまそちらにお上げした写真を見て何かお考えになることはございませんかということです。
  91. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) この写真を見ますと、写真の撮り方がどうだったのか知りませんが、四島が離されておるというふうに思うわけです。これはどういうときのあれか知りませんが、これは私は遺憾に思っております。
  92. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはつい一週間ほど前に、地図そのものは私が会館に入ってから購入したものです。ですから、まだこの半年くらいまでの間に、北方領土の載ってない地図が国内で販売されておるんですよ。いま盛んに町村長やなんかも啓蒙してと言いますが、こういう地図が市町村長のいすの後ろにあるようなことの中で啓蒙できますか、これ。どういうんですか、こういうことに対する手配は。
  93. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 先ほど申し上げましたように、こういうような形で、やはり固有の島でありながら、固有の島ではあるけれども、こういう形の中でこういうものがなされておるということは、厳重にひとつ注意を申し上げたいと、こういうふうに思っています。
  94. 丸谷金保

    丸谷金保君 地図を持ち込もうかと思ったんですが、余り大きくなるんで写真にして実は持ってきましたんで、くれぐれも――それでいて小笠原諸島あるいは沖繩その他はきちっと入っているんです。北方だけが、それはこの中に入らなきゃ、小笠原や南方諸島を入れたように、これだけの中に別枠でもって入れる方法だってあるじゃないですかね。こういうところからきちんとしていかないから、北方問題については、日本の国内でわいわい言っているのはごく一部の政府機関とか、北海道の者だけなんだというふうに相手から言われる原因をつくっているんじゃないんですか。どうなんです。
  95. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 私も、御指摘のとおりと申しませんが、やや御指摘の点が当たるような気がしてなりません。たとえば北方領土四島の返還問題については、ただ根室、国後であるとか、あるいは北海道だけのものであるのではないかという、こういうようなことはないにしても、世論の盛り上がりがややその傾向に過去あったのではないか。こういう意味から、やはり領土に対する、国土に対するこういった問題をもっとやはり国民の見識において盛り上げていく必要があるというかたい決意を、実は私はこの前北方の視察に行きまして、そういう感に強く打たれてまいったわけであります。
  96. 丸谷金保

    丸谷金保君 隗より始めよという言葉もありますので、ひとつ日本の地図くらい、固有の領土としての北方がいつでも入るような、これは具体的にそういうことを全国的に、いまの地図のメーカーなり何なりに対して、あるいはそれを入れろというふうな規制はできないんですか。あるいはまた予算的な措置は幾らのものでもないと思いますよ、お金にしてみても。これはさらに言いますと、これは参議院会館の下の図書部を通して購入したんですよ。それにすら載ってないんですから、他は推して知るべしだと思うんです。
  97. 永山貞則

    説明員(永山貞則君) この地図の問題につきましては、御指摘の点がございまして、かつて昭和四十四年に文部省及び外務省等と協議をいたしまして、学校で用います地図について、表示につきましては全部統一をいたしておりますが、地図をつくります会社がいろいろございまして、地球儀であるとか、いろんなパンフレットであるとか、それを全部規制するわけにはまいりませんが、気のついたものはすべて注意して直していただくように努力しておりますが、今後もそれを続けてまいります。
  98. 丸谷金保

    丸谷金保君 努力もされているし、かつて学校その他公的なところで使うものについての指示のあったことも私は存じておるんです。ですから、役所だけやっているんだと言われるんですよ。ところが、内閣の北方関係の対策室というのは、もっと幅広く国民に入っていくために文部省とか、外務省とか、そういうものとは別に世論喚起をし、国民の中に北方問題を深く認識させていくための機関だというふうに先ほど申しましたわね。それから言うと、学校やなんかで使っているのはこれは文部省に任しておけばいいことなんです。そうでしょう。それらは文部省を通じて学校教育やなんかの地図の関係というのはやるんですから。おたくの方の仕事の範囲というのは、むしろそういうところから外れたところをやるのが趣意でないんですか。ですから、文部省とか役所だとか、そういうところで使うものは四十何年にやったと、さらに努力すると言っても、ちっとも努力していない結果がそこへあらわれているんじゃないかと思うんですが、そういう点についての反省をひとつ込めて御答弁願いたいと思います。
  99. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 私も御指摘のとおりだと思っております。私も長官になって日が浅いわけでございますが、いろいろ過去の北方対策室のあり方、確かに、一生懸命に努力をされ、国民の悲願であるこの四島の返還運動に全力を注いでおるというその姿はないとは申し上げません。大変努力の足跡は残っておると思いますが、しかしその運動体系においては必ずしも一元化をされていないと、こういったところは私は十分に反省をいたしておりまして、今後やはり返還運動というこの国民の悲願を何としても実現をするためのささやかなその枠組みの中でも、できるところは一元化をしながらその方向に近づける努力をしてまいりたいと、こういうふうにかたい決意を持っておるわけであります。
  100. 丸谷金保

    丸谷金保君 こういうことについての民間の機運を盛り上げるために、各都道府県とは十分連絡をとりながらやっているんだろうと思いますが、いかがでございますか。
  101. 永山貞則

    説明員(永山貞則君) 各県に一応北方問題を主管する課を設置していただきまして、大体県の広報課等がそれを担当しておりますが、昨年各県のその担当課長に現地の根室で集まっていただきまして、そこで研修をするあるいは説明をするというようなことをいたして、その後、各県とは逐次連絡をとってやっておりますが、まだ今後さらに強化しなければいけないというふうに考えております。
  102. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま七十一歳になる嶋さんというおじいさんが全国一周のマラソンで、北方領土返還を訴えながら走り続けているという現況、御存じでございますか。
  103. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 二十二日、嶋さんが総理府に、鹿児島から振り出されて、北方領土返還ということで、ちょうどこれは石本先生と同じ石川県出身の小松の人でありまして、その人が長年この問題について大変体を犠牲にしてこの前もそういう運動を展開をされたと。また、今度もやはり北方返還ということで総理府にお見えになりまして、総理府を挙げて大歓迎を申し上げました。私はそのときに嶋さんに、大変なこの北方領土返還を身をもって実践をされるあなたに対して感激をいたします、私はこの姿が、この近い海を乗り越えて必ず相手国に届くでありましょうと、このあなたの熱情を必ずわれわれ担当する者としてこれにこたえるべく努力をいたしますと、こういうふうに激励を申し上げておきました。私は、これは大きな一つの返還運動の起爆剤になっていくだろうと、こういうふうに受けとめておるわけであります。
  104. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあ大変力強いお言葉をいただいて恐縮でございますが、恐らくこの人が二月の一日に鹿児島を出発するということで向こうから走ってまいりますときに、道の方からは連絡があったと思うんですが、ずっと後援する団体を見ておりますと、長官が大変力強いことを言っているんですが、総理府は入ってないんです。リップサービスだけなんですか。こういうのに後援する団体こうたくさんあるんですけれども、入ってないんです、総理府は。これはどういうわけなんでしょう。
  105. 永山貞則

    説明員(永山貞則君) その企画の前には私たちに連絡ございませんでしたが、出発されるときから連絡ございました。で、政府としましては、この返還運動は必ずしもすべてが政府主導でやるわけではございませんで、国民のそういう自発的な盛り上がりというのは大変ありがたい。そこで、今回は主としてある実業団体の方が大変熱心に後援をされているということで、必要ならば私たちももちろんいたしますが、今回は特にそういう団体が十分世話をするということでございますので、あえてしてございませんが、その団体と私たちとではいろんな点で常に連絡をとってやっております。
  106. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、北方問題では実はいろんな法律の関係がばらばらになっているという点についての、総理府ですから総合調整、これやってもらわなきゃならぬじゃないかと思うことがしばしばあるんです。たとえば、外国為替管理法では、北方四島は当分の間外国とみなすという、それから関税法でも同じような規定があります。しかし、根室地域の漁民にいたしますと、関税法や外為法以前に、固有の領土だと政府が言っているんだからやはり固有の領土なんだということで、漁業法などでは日本の固有の領土という主張をし、ただ、その年その年の外交交渉の中で漁業協定というふうなものを結んでいると。これは法律の中では明らかに日本の領土として処置していると。こういうようにいろんな法律が一貫していない点が現地に行きますと大変実は問題になってくるんです。たとえば漁民が罰金を払います。これも海上で拿捕されて、そこで実力的に罰金を支払うというのであればこれはやむを得ないとしても、一たん根室の漁港まで帰ってきて、組合から日本の円を借りて北方四島に出かけていって支払いをするわけです。領土関係から言いますと、これは日本の国内で日本の円を支払うのですから問題はないわけだと漁民も思っております。しかし、外国為替管理法から言いますと外国なんですから、外国というみなし規定があるのですから、明らかに外為法違反だと思います。ここいら辺に対する総理府としてのひとつ見解をお聞きしておきたいと思います。
  107. 永山貞則

    説明員(永山貞則君) この法律の問題につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりいろいろな法律で例外規定がございます。で、基本的には法律上本邦の中には入る。ただし、御承知のように、実際に行政権、司法権等の行使が妨げられておりますので、法律どおりにその施策ができないというときにはその法律の中で便宜例外規定を設けておるというのが現状だろうと思います。  ただいまの関税法等につきましても、一応本邦の地域のうち別に定めるものについては当分外国とみなすとか、そういうような例外規定になっておりまして、基本的には本邦ではございますけれども、取り扱い上外国とみなすというような規定になっております。  それからもう一つ、税法上いろいろな相続とかそういう税法上の方は、これは本邦のうち特に命令等で定めるものについては除くというような、大体大きく分けてその二つだろうと思います。  で、ただいまの漁民の方の罰金等の問題でございますが、これは総合調整よりもまず農林水産庁の一番苦心されているところでございますので、私の方から余りかわって責任ある答弁ができないかと思いますが、実情は、いままではすぐ罰金をその場で払わないと漁ができないというようなために払ってきたと。これにつきましては、大蔵省と農林省との間で、いま御指摘の外為法違反云々についてはできるだけ弾力的な運用ということを協議をしておりますが、それ以前に、現金を払わないで別の方法で、単に保証書みたいな形でできないかというようなことをソ連との間で交渉しているというふうに聞いておりますが、いずれにしましても、この問題は直接にはやはり責任ある官庁からの答弁の方がいいかと思いますので、それ以上は差し控えさしていただきたいと思います。
  108. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは責任ある官庁はみんなそれぞれ自分のところのことしか言わないんです。自分のところはこの法律で間違ってないと。そうしますと、法律間にぶつかりがあるのですから、それらの調整をとるのは最終的にはどこになりますか。内閣じゃないんですか。
  109. 永山貞則

    説明員(永山貞則君) 事務的な問題の調整につきまして、総理府の北方対策本部には、外務省の所掌を除く事務につきましては総合調整を図るという規定がございます。したがいまして、もしいま御指摘のような点で、食い違っているために非常な不都合が出ている、それを話し合いがつかないというようなことがあれば、それは一応私たちも調査をしてまいりますし、さらにそれ以上の調整となりますと、これは閣議ということになるかと思います。
  110. 丸谷金保

    丸谷金保君 いずれにしても、この問題につきましては、現地は非常に混乱しております。何で外為法違反になるのか、固有の領土でないか、円で払ってどうして悪いんだ、これは説明がつきかねている問題でございますので、いろいろ現地でそういうことで細かく問題もありますので、ひとつそれらについては内閣としても十分関心を持って、なかなか話が早く進んでいないので督励をお願いいたしたいと思います。  それでは、あと青年の船の関係についてお伺いいたしたいと思います。青年の船の関係は、内閣総理府の青少年問題――何というんですか、ここで扱っているというふうに承っておりますが、そうでございましょうか。
  111. 松浦泰次郎

    政府委員松浦泰次郎君) いま先生のお話しございましたように、総理府青少年対策本部におきまして、政府派遣のものを取り扱っておる次第でございます。
  112. 丸谷金保

    丸谷金保君 政府派遣の青年の船の関係につきまして、実は一昨日代々木のスポーツセンターですか、オリンピック記念青少年総合センターですか、正式に言いますと。ここでこの種の会合が開かれております。で、あそこは文部省の所管というふうに聞いておったんですが、やはり内閣の方も関係があるんでございますか。
  113. 松浦泰次郎

    政府委員松浦泰次郎君) あそこは現在文部省所管の特殊法人でございまして、青少年育成、健全育成の一端を担っておるという面におきましては総理府関係ないことはございませんのですが、非常に間接的なものでございます。
  114. 丸谷金保

    丸谷金保君 青年の船の指導者を選ぶ場合の総理府としての基準なりあるいは推薦団体がありましたら、そういうものをひとつ。
  115. 松浦泰次郎

    政府委員松浦泰次郎君) いわゆる青年の船の中に、ASEAN五カ国と日本とで行っております東南アジア青年の船と、もう一つ、明治百年を記念して行っております青年の船、これは年度によりまして行き先を決めておるのでございますが、その二種類ございますが、いま東南アジア青年の船の関係につきまして御説明申し上げます。  この中に一般団員と、それから青年のリーダーというようなものとあるんでございますが、一般団員につきましては、都道府県及び全国的な組織を持つ青少年団体が中間選考を行って推薦してまいりました者を、総理府において選考、決定するというようなことを行っております。ただ、各国から出ておりますそのリーダーにつきましては、青少年団体等から候補者を推薦といいますか、検討して出していただきましたものを総理府において選考、決定をしておる次第でございます。
  116. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一回、そのリーダーの方の選考の手配りといいますか、手順というようなものを詳しくひとつ。
  117. 松浦泰次郎

    政府委員松浦泰次郎君) これにつきましては、ただいま申し上げましたように、青少年団体から適任者を推薦していただき、総理府で決定して委嘱しておるということでございまして、もちろん私どももいろいろ候補者につきまして検討いたすのでございますが、青少年健全育成のための法人でございます青少年育成国民会議というものがございます。そこが百数十団体の青少年団体あるいは健全育成団体が加盟している総合的な団体でございます。そういうところと緊密に連絡をとりまして、そういうところで各団体との連絡をとりながら候補者を選定していく。そこが大体取りまとめまして総理府の方へ持ち込んでいただきまして、その中から決定をしておるというのが従来のやり方でございます。
  118. 丸谷金保

    丸谷金保君 文部省からおいでになっておりますね。  長い名前なので、略して代々木のセンターというふうに、オリンピック記念青少年総合センターを略して申し上げますが、代々木のセンター、これをいま文部省は直轄にするというふうなことで、それらの関連の法案を国会の方に提案するということでございますが、そうなりますと、あの中に入っている各種団体がございますね。これらの措置はどうなりますか。
  119. 別府哲

    説明員(別府哲君) 先生御指摘のように、現在あのセンターの中には、青少年教育に関係する団体が事務所を構え、そこを活動の拠点にしておる実態がございます。現在はまあ特殊法人でございますが、いま国会にお願いしてございます法律が通りますと、国の直轄の施設になる。そうしますと、あの建物が国有財産となりまして、これを外部の者に使わせるためにはそれぞれの制度上の問題が出てくるわけでございます。ただ、従来あそこにおります団体は、青少年の健全な育成ということに大変深いかかわりを持つということで、その活動を振興することが青少年教育行政のためにも大変大切なことであるという点で事務所をあそこに置かせておるという経緯もございますので、私どもといたしましては、関係方面と十分相談をしながら、国の直轄となった後におきましても余り大きな変化は来さないようにということを目標に、目下種々相談を重ねている最中でございます。
  120. 丸谷金保

    丸谷金保君 特殊法人である現況の中で、あそこに入っている各種の団体、これらを入居させるときの基準等については、文部省は相談受けておりますか。
  121. 別府哲

    説明員(別府哲君) 特に入居を認めるときの基準ということにつきましては、いま十分な知識を持ち合わせておりませんので、十分な御説明ができかねます。
  122. 丸谷金保

    丸谷金保君 これはひとつよく検討していただきたいと思うのです。余り入居基準もはっきりしないままに入居しておるんじゃなかろうかと思われる節もあります。  それと、一体これ文部省に移して果たしていいんだろうかと、非常に私疑問を持つのです。実は私どもは、御殿場の国立青年の家ができた当時から青年を連れて私も十回くらいは泊っております。あそこへ行きますと、必ず朝国旗掲揚と君が代があるんです。文部省の言う健全な青年の育成というのはそういう形のものなんですね。ところが、代々木のあそこにも子供たちを連れて泊ったことがあります。そのときの子供は、青年でなくて、母子家庭の子供に東京見物をさせようということで、何年か、これも隔年やってまいりました、毎年ではございませんが。あそこは料金は幾らか取られるんです。御殿場の方へ行くと、料金取られないんです。大雪もそうです、本当の食事代、実費だけということで。そのかわり、大変いろいろな制限がむずかしくて、自由に青年たちが入れないような基準というのが非常に多いんです。恐らくそういう母子家庭の子供なんかは、今度はあそこに泊めてもらえなくなるでしょう。そうして、文部省の枠にはめるようなそういう形に代々木もまたしてしまったんなら、私はこれは本当の意味における国の財産を有効に使うということとはほど遠いところに、鋳型にはめた青年の育成にのみ使われるということになっていくんじゃないかと、かように思いますが、いかがですか。
  123. 別府哲

    説明員(別府哲君) 確かに、青年の家あるいは少年自然の家は主として団体宿泊訓練ということを目的としてつくられた施設でございますので、それなりの運営をしているわけでございますが、あのオリンピックセンターは、全国のそれぞれ自然の中につくられております宿泊を中心とした研修を目的とする施設とは違いまして、都会の真ん中にございまして、宿泊だけでなくて日帰りの利用も大変多うございます。また利用者の方も、もちろん青少年の方が大変たくさん利用されるわけでございますけれども、それ以外の一般の方々も大変たくさん御利用をいただいているわけでございます。そういう意味におきまして、その運営等につきましては、国の直轄の施設となりました後におきましても、青年の家あるいは少年自然の家と同じような運営をするわけにはいかない、その施設の立地条件、利用の形態にふさわしい運営をしていかなければならないと、このように考えている次第でございます。  ちなみに、昨年事業を始めました国立婦人教育会館におきましても、ここも宿泊施設を持った婦人のための研修施設でございますけれども、ここにおきましては大変青年の家あるいは少年自然の家とは違った、たとえば朝の集い、夕べの集いといったようなものは実施をしないというような、その施設にふさわしい運営の仕方を取り入れてございますので、このオリンピックセンターにつきましても、関係者の御意見を十分伺いながら検討をしてまいりたいと考えております。
  124. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまお聞きすれば、そういうその枠にはめたようなそういうことには運営上していかないということだし、関係者の意見も聞くと。ところが、大体関係者の意見というのはもうあれでしょう、それぞれ文部省から補助金をもらっているようないろんな各種団体、これらの中から出てくる人たちで関係者、それで意見を聞いたと、こういうことが往々にして多いんですが、そういうことになるんじゃないんですか、関係者というのは。どうなんです。
  125. 別府哲

    説明員(別府哲君) 現在、特殊法人として運営しておりますオリンピックセンターにつきましても、青少年団体の代表あるいは一般の有識者を中心とした評議委員会あるいは運営委員会というものを設けて、この施設の運営に当たって広く一般の意見を求めるということをやっているわけでございます。また、国立の施設につきましても、それぞれの、たとえば婦人教育会館あるいは青年の家、少年自然の家等に地元の青少年教育に関係するような団体の方々あるいは一般の有識者等、必ずしも文部省から補助金を受けて活動をする団体の代表者だけではなく、広い有識者の参加をいただいた運営委員会をそれぞれ設けてございますので、先生御指摘のようなことにならないように十分留意しなければならないと思っております次第でございます。
  126. 丸谷金保

    丸谷金保君 同じようなメンバーでやったとしても、いいですか、特殊法人のいまのセンターが招集をして諮問をしてつくっていく運営、この場合にはセンターから直接的には補助金はいろいろもらっていませんから、各種団体というのはわりと自由なことが言えるんですよ。ところが、同じことを諮問しても文部省がやると、私、けさ文部省が出している補助金例をずっと五十二年の調べてみました。まあよく出していると思うくらい、体育連盟を初めずっと出しています。そして、そういうところの人たちが、大体青少年団体の指導者だということで団体の代表として集まってきて何回かやってます。ですから、文部省が招集した場合といまの特殊法人がやる場合とは答えは違ってくるんです。そうじゃないんですか。文部省が補助金を出しているところの者は一切入れないで、本当に純粋に意見の言える者だけで機関をこしらえてそこに諮問をするということになりますか。
  127. 別府哲

    説明員(別府哲君) どういう御出身の方であれ、運営委員会の委員という形でお願いをしました以上は、まさにその道の専門家あるいは広い有識者という立場に立ってその施設の運営に御意見をいただくということでなければこの運営委員会の真の目的は達成されない、このように思うわけでございまして、私どももそのようにこの運営委員会を運営していかなければならない、自由な御意見がいただけるような、そういうものとして運営をしていかなければならないと日ごろ思っておりますし、また今後さらに一層そういう点については留意をしてまいりたいと思っております。
  128. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあここでこの問題議論しても結論は出ないでしょうから、時間も参りましたのでやめますが、私が心配しているのは、私も実際に利用さしていただいて、いろいろいい点、悪い点、それなりに理解をしておるつもりです。そういうところが、たとえば国立青年の家と代々木のセンターを比べてみて、特殊法人である代々木のセンターの方が非常にラフに使えるんです。気軽に使えるんです。申し込みは一カ月以上先にして、スケジュールを全部出して、その中に生活する間の行事日程もぴちっと細かくチェックされるというふうなことが代々木じゃいまないんです。国立青年の家では、文部省所管ですからありますわね、そういう点がいろいろ。そういう方にいく可能性が、民間のいろんな人を集めて相談するから万々ないと言っても、それらの人が文部省から補助金をもらっている団体の長なんか集めたんであれば、そうはならないんですよ。あなたたちの言うとおりになっちゃうんです。そうでしょう。片方でもって予算の権限持って、補助金ぶら下げながら、文部省にそう盾突くというふうなことの自由な発言のできるという人は少なくなってくるんですよ、そういう人というのは、人間ですから。それは中にはありますよ。そういうことに代々木もしてしまったんでは、オリンピックといういわゆる純粋に、国を抜きにしてそれぞれのアマが集まってやるスポーツの精神、そういうものから外れて国家統制の方に、文部省の考えるような健全育成ということに走る、そういう危険性が非常に大きいと。ですから、少なくてもそういう問題につきましては、なぜいまのままでやっていけないのか。行政管理庁の長官がお見えにならないので非常に残念なんですが、そういう点も踏まえて慎重にひとつこの問題は対処をしていただきたいし、中に入っておる団体が今度は文部省の基準に合わないからというふうなことでぼんぼんはじき出される、そういうことのないような配慮も踏まえて、ひとつさらに検討していただきたいと思います。
  129. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  130. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、内閣総理府のうち、総理府本府、行政管理庁及び沖繩開発庁と、それに関係する沖繩振興開発金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  131. 石本茂

    ○石本茂君 まず初めに、戦時衛生勤務に服しましたもと日赤救護員に対する国家的措置方のことについてお尋ねをいたします。  このことにつきましては、総理府長官並びに関係各位におかれましてはすでに御承知いただいているところでございますが、この問題が国会などに提起されましてもう十数年の日が経たわけでございます。昭和四十一年、恩給法の一部改正がございまして、その時点では救護看護婦長以上の者についてはこの法の適用が実現したのでございますが、救護看護婦等につきましては、国または公立機関に勤務する者についてのみ勤務年数の加算等のことに関する規定がなったのでございます。しかし、それ以外の者につきましては、全く顧みられますこともなく今日に至ったわけでございますが、もちろんこの間従軍看護婦の有志集まりまして、国の援護法になじむのか、恩給法等になじむものかということについては寄り寄り検討してまいりましたし、私自身も救護看護婦の一人でございますが、社会労働委員会におきまして時の厚生大臣にこの件についてお尋ねしたこともございました。  が、諸般の情勢の推移などもございまして、さらにはまたさかのぼりまして日本赤十字社の戦時救護事業の国家的関連やまた日赤救護看護婦の立場、あるいは性格等とも十分に勘案いたしまして、赤紙一枚で当時召集令状を受けて、そして軍隊では全く軍人と変わることのない戦傷病兵士の救護に従事いたしましたことなどを踏まえまして、私ども軍人同様の処遇措置が適当であるのではないかと考えるに至ったのでございます。で、目下総理府におかれましては、この問題についていろいろ御審議を進めていただいていることにつきましても承知している者の一人でございますが、この措置の具体的政策あるいはまた実現方につきまして、長官並びに関係各位の御所見を承りたいと存じます。
  132. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) いま石本さんから、日赤救護班看護婦の方についての処遇の問題についての御意見がありました。結論から申し上げますならば、過去においてやるかやらないかという、こういう議論があったわけでございますが、今回はやるという結論で話を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。  ただ私は、石本さんは御承知のように看護婦でおられたわけでございますからよくその点は御理解されておると思いますが、私もこの問題が各党からいろいろな意見が出てまいりまして、またこれに参画された日赤の看護婦の方々からもその当時の意見等々承りました。長い間戦争の中に、女性の兵士として本当に日本のために尽くされてきた、言葉で言いあらわすことのできない問題がたくさん私のところにもこう寄せられております。私はどういう形でこれを処理をしていくかと、三十年間もこの問題については触れておりながらも解決をされていなかったと。私は男性であるがゆえに解決をされたとか、女性であるがゆえに解決をされなかったとかという、そういう問題よりか、むしろもっとひもといて、原点に立ち返ってやはりこの問題を行政の心として、政治の心として、やはり今国会中にはいかなることがあっても解決をしなきゃならぬというかたい決意でおることをまず最初に申し上げておきたいと、こういうように思います。
  133. 石本茂

    ○石本茂君 長官のただいまの本当に深い御理解のお言葉を承りまして、私自身何となしに胸がじんとしているところでございますけれども、当時私ども召集を受けました者は、救護看護婦のほとんどは二十歳台の若さでございました。その中で本当にわれを忘れ、寝食を忘れて国家を思い、傷病兵士の皆様の幸せのために必死でわが道、わが仕事と思い込んでがんばってきた私どもでございますが、今日もう六十の年を数えまして、老境に入ってしまったわけでございます。で、身命を賭して一生懸命に働いてきたことにつきまして何ら悔いるところはございません。  しかし、戦闘員ではないとかあるいは軍人ではないとかというたてまえ論が先行いたしまして、そのためにいま長官申されましたように事が思うように運んでこなかった。これは私やはりどう考えましても何かこう気分的にも一種の憤りに似たようなものをいま感ずるわけでございます。そうしたことを含めまして、是が非でも、当時従軍いたしました者の数も、もう御承知いただいておりますように、日赤本社等におかれましても十分調査を進められていただきました結果、約二万六千五百人以上を数える者が従軍をしたわけでございますので、これらの人々にかわりまして、本日この場をおかりして、是が非でも、何が何でも稻村長官の御在任中に事の次第の解決に向かってのあかしを立てていただきたい。そのことをもう一度――私の心の底からの叫びでございますが、私の口から言わせていただきます。  要は、お伺いしたいのは、今日までの経過についてはともあれ、今後一体どういうふうにしていっていただけるのか、その具体的なことについてお伺いしたいということと、一番聞きたいのは、これを実際に実現してくださるのか、くださらないのか、これをどうしても本日この場をかりまして私は聞かしていただきたいのでございます。
  134. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 本当に石本さん、敬服をいたしたいと思います。どうか女性の議員の先生方にも働きかけていただいて、ぜひひとつ皆さんの力で実現をするような御努力を、私はむしろきょうはぜひお願いを申し上げたいと思っております。  そこで、実現をするかしないかという問題でございますが、ちょっと時間を拝借させていただいて、数多く私どものところへ寄せられておる、もちろん石本さんのところへはもっと寄せられておる、またその他の先生方にも寄せられていると思いますが、香川県の森松子さん――恐らく石本さんも御存じかもしれませんが、私のところへ届いた手紙だけを、これをちょっと御報告をさせていただきます。  謹啓   突然のおたよりで失礼致します。私事旧救護看護婦恩給問題を請願している者の一人でございます。   お蔭様でまだこの運動に参加されていない方々の関心を呼びさまし、又一般の方々にも認識をあらたにし御厚意をよせて頂けるものと存じ喜んで居ります。   私事で恐縮致しますが、昭和十二年八月より三度の赤紙を頂き、お国のためと渡満致し、二年後敗戦、同時に捕虜として八年、昭和二十八年四月帰国致しました。事変開始より十六年間の私たちの青春はズタズタにされ、帰国後は敗戦とは云え私たちは御用済み。   親元であると信じ頼っていた日赤本社からは幣履の如く捨てさられ、かえり見る事もして頂けず、婚期は失し、さりとて年とった者には就職の口はむつかしく苦労致しました。   今までは旧友集る毎に抑留時代の苦労話しに花を咲かせたり、当時の苦労をグチッたりして居りましたが、各自の年齢を考えた時老後の不安が身にせまり、兵隊と同様赤紙まで頂き、その末は長い異国での抑留生活等考えた時、私たちもお国から何んとかして頂けねばと目ざめ、十人余の者がたちあがりこの運動を始めた次第でございます。   現在では全国に少し宛ではございますが同志も増し、又政治のしくみも少し宛知り、議員先生、又各お役所にも出掛け直接交渉をする様になりましたが、始めは十人余りの者が議員会館に各先生方をおたづねしても鼻の先であしらわれたものでした。   只今では各党の先生方の御理解のもとで御厚意を頂き、厚生省、総理府恩給局、日赤本社等交渉して頂き、国会の場でも質問して頂く様表面化致しました。なにとぞ運動の趣旨をおくみとりいただき、よろしくお願いいたします。  という、これは一通の問題だけを御披露をいたしたわけでありますが、具体的にはどういう方法がいいかという問題は、現在厚生省とも連絡をいたしておりますし、また恩給局といたしましても、全力を挙げて、たとえば今国会中に、いろんな問題が仮に無理な場面が生じたとしても、たとえば今国会中の一つの方向を決定づける、方向を決定づけるということよりか、もう一歩進んで、長期的にも、やはり私はこの日赤の戦前のあり方、あるいは日赤から招集令状を受けたこの姿、あるいは任務、行動等において何ら兵士と変わらないその姿、私たちもよくこの目で存じておるわけであります。ただ、数が少ないがために、あるいはまた女性がそういう大きな声を出せないがためにと、こういうような形で三十年間もしこれがそのままに置かれたとするならば、これは大変なゆゆしき問題であると、こういうことに私は受けとめて、石本先生のきょうのこの質問に対しまして本当に心から敬意を表し、できるならば各婦人の議員の方々らに呼びかけていただいて、大きくこの輪を広げていただくことを心から切に私はむしろお願いを申し上げたいと。お願いを申し上げるということよりか、むしろこれは責任をもって解決をするということだけを申し上げておきたいと、こういうふうに思います。
  135. 石本茂

    ○石本茂君 大変深い意味のあるお言葉でございますけれども、何か承っておりまして、もっともっとこのことに対する実現につきましては多くの国民の声を動員せよと、そうしろというふうに聞くわけでございますが、このことを進めてまいりました者一同にとりましては、もうこれ以上どうしたらよいのでしょうかという気持ちでございます。と申しますのは、いま総理府を挙げてこの対処方について御検討願っているということを承知しているわけでございますけれども、三日前でございましたか、例の読売新聞などを見ておりますと、第一、第二、第三の道としてというようなことで、例の一時金方式なんというようなものが出てきておりますものですから、もう受けとめる側にいたしますと、いよいよ事は決定したというぐらいの感覚さえも呼び起こされております現状でございますので、長官のお言葉ではございますけれども、さらに大きな輪を広げる国民運動をしろとおっしゃいましても、根も運も尽き果てたような気持ちでいるわけでございますし、また日本赤十字社自身、社長さん初め、長官の方にもお願いの文書等が行ったかと思うのでございますが、関係当局方面ではいま全力を挙げて事に当たっている状況でございますので、どうかこれ以上運動を進めろとおっしゃるんじゃなくて、よしわかったと、しからばこういうふうに考えていくというようなお言葉を私はむしろ期待したいわけでございますが、それではいけないのでございましょうか。もう一度長官のお言葉を聞きたいと思います。
  136. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) この問題は各党とも一致して大変熱心に推進をされており、大変私も心強く受けとめております。特に今年度は、戦場に博愛をということで国際赤十字社を創立したアンリー・デュナンさんの百五十年に当たる大変意義のある年であります。こういったことも踏まえて、先ほど来からも申し上げたところの口にあらわすことのできない努力をされた方々に対して、いまそこでどの方法でどう結論をつけていくかという問題には、先ほど申し上げたように、各党も大変熱心に、特にこの問題に限っては各党とも大変熱心でございますので、いま新聞紙上でいろいろ言われておるということもありまして、その問題等についていろいろ意見というか、不満の意をあらわされる陳情もございますから、そういったことを一つ一つ、どの方から先に出ていくかと、まず先に出てそれで終わりというのではなくて、先ほど申し上げたところの、任務、行動においてもあるいは女性兵士として何ら変わりはなかった、これは全体の認めるところでございますので、初めの出発の点においては多少御不満な点がございましょうが、私は私の在任中に責任をもってその方向づけをするということだけを石本さんにお約束をしておきたいと、こういうふうに思います。
  137. 石本茂

    ○石本茂君 本当にありがとうございます。ぜひいま長官申されましたように、実際実現いたしますのは、仮にもし予算等を伴う措置でございますならば、いますぐなんということは常識的にも考えられないことでございますけれども、こういう方向で進んでいくんだと、そして最終的にはこういうものを見詰めてこうするんだというところぐらいまでの、三段構えの最終的なこととは申しませんけれども、先ほど申しましたように、くどいようでございますが、長官の御在任中に、私はいますぐと申しているのではございませんが、何としてでも御在任中に方向のあかしだけはきちっとお決めくださいますことをもう一度お願いいたします。いろいろ申されますことの意味もよくわかりますので、またその枠の中におります者一同老骨にむちを打ちながら、特に長い間戦地に残された人々、いまだ今日なお、個人の意思ではあったかもわかりませんが、日本に帰ってきておらない同僚もおるわけでございまして、十二分におわかりいただいておることでございますので、これ以上くどいことを申しておりますとおしかりを受けるかわかりませんが、お願いでございますから、どうか実現のあかしだけは御在任中にお示しを願いたい。このことをもう一度くどくお願いをいたしまして、一応私はこの件に関する質問を次に移りたいと思うのでございます。もう一度長官に、何遍でも同じことを聞きますけれども、もう一つ最後の詰めのお言葉だけをちょうだいしたいと思います。
  138. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) やはり何回でも、私は石本さんのこれにかけられるすべての執念、よく承知しております。そういう意味から、何回聞かれても決して私はいら立つようなことはございません。ただ、いま申し上げたように、必ず私の在任期間中には、皆さんの御意見等々も承り、あるいはまた各党からのいろいろな御声援もちょうだいをしながら、必ず私の在任中にその方向だけを決定づけると、これだけを責任をもって申し上げておきたいと思います。
  139. 石本茂

    ○石本茂君 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いをいたします。  続いてお尋ねしたいのは、婦人問題企画推進本部が所管されておりますところの「国連婦人の十年」に関係いたしまして、一、二お尋ねをしたいと思います。  この国際婦人年を境目にいたしまして十年間、「国連婦人の十年」という宣言がされまして、今日全世界の加盟いたします国々におきましては、この目標達成のための運動が展開されておるところでございます。もちろん、わが国におきましても国内行動計画の十年間の一応の方策が策定されました。そしてまたさらに前期五年間に取り組む重要事項等についても十一項目が明示されたわけでございますし、また、各省庁にこれらの実現方につきましても示達があったわけでございますが、特にこの国内行動計画の第一項目に挙げられましたのが、婦人の政策決定参加を促進するという特別な活動の推進方ということで、昨年の六月十四日付で本部の決議がなされておりまして、本部長であります内閣総理大臣からのメッセージ等を載せました示達書が出たわけでございます。一体、まだ一年はたっておりませんが、こういうものが各省庁に示達されまして、その後この示達の実効と申しますか、実際の効果といいますか、あるいは効力と申しますか、そのものがどの程度上がりつつありますのか、上がったというところへはいっていないと思うのですが、どの辺まで動きつつありますのかということを一点お聞きしたいと思います。
  140. 赤松良子

    説明員(赤松良子君) ただいま先生御指摘のとおり、婦人問題企画推進本部で決定いたしました婦人の政策決定参加を促進する特別活動に基づきまして、関係各省庁に婦人の委員をふやすようにという協力を御依頼いたしました。その結果、漸次この委員の数がかなり増加をしておるというふうに私ども承知いたしております。御参考までに申し上げますと、一年前と比較いたしまして、一年前は審議会等に属されます婦人の委員の数は百五十一名でございました。これは全体の数の二・八%でございましたが、最近の五十三年三月十日の現在でございますが、調査いたしましたところ、百七十七名にふえております。これは全体の三・二%でございます。先生御承知のように、一応の目標といたしましては一〇%程度ということを一応の目標にいたしております。まだなおその間に開きがございます。これは今後目標の期間中にできるだけ一〇%という目標を達成いたしたく存じておりまして、なお今後とも各省庁にお願いを続けていくつもりでございます。
  141. 石本茂

    ○石本茂君 ただいまのお答えによりますと、やや効果が上がりつつあるように思うというふうにお伺いしたわけでございますが、そこで、中央官庁等におきましては各省庁ごとに受け皿を持っているわけでございますが、地方自治体、都道府県といっていいのかあるいは民間団体といっていいかわかりませんが、その辺のこれが受け入れ体制というものはどの程度に一体できているのかどうか。「国連婦人の十年」という宣言された、しかもさっき申しました挙げられた項目等のことにつきましてお伺いしたいと思います。
  142. 赤松良子

    説明員(赤松良子君) 地方自治体に対しましても、推進本部といたしましては、国内行動計画の策定をいたしましたとき、また政策決定参加を促進する特別活動の決定に際しまして、通達を出しましてその趣旨の徹底を図っているところでございます。で、単に文書で通達を出すということでは十分ではございませんので、昨年の十二月には、国内行動計画の普及の一環といたしまして、地方公共団体において婦人関係行政施策の総合的な推進を促すために、関係者の連絡会議を開催いたしました。これは今後とも続けて、五十三年度もより充実した形でいたしたいというふうに考えている次第でございます。  そういう文書あるいは会議等の結果、各地方公共団体では行動計画を地方公共団体レベルで実行するという考えが次第に浸透いたしておりまして、総合的な窓口を設置をする県あるいは行動計画の都道府県版を作成をする県というようなところが次第にふえてまいっておりまして、この問題に関しましても、地方公共団体の姿勢が次第に積極的になりつつあると、このように考えている次第でございます。
  143. 石本茂

    ○石本茂君 重ねてお尋ねしたいのは、いま地方公共団体における窓口あるいは関係者という言葉が出ましたけれども、この窓口は、四十七都道府県全部、受け入れる窓口が設定されているのでございましょうか。それともまだそうではないところもあるのでしょうか、お伺いします。
  144. 赤松良子

    説明員(赤松良子君) ただいまの点でございますが、次第にふえてまいっているわけでございまして、現在まだ四十七すべてに窓口ができたとかあるいは行動計画がつくられたということではございません。
  145. 石本茂

    ○石本茂君 これはやはり都道府県の実情もあろうと思いますけれども、五年と言っていましてもあとすぐでございますし、ぜひ全都道府県の中に受け入れ窓口だけは確立していただきたいことをこの機会に私なりにお願いしておきたいと思います。  続きまして、この示されました、先ほど来申している十一項目、この中をじっと見ておりますと、非常に現下の経済情勢その他で厳しくなってきた実態の中で、どうしても十一項目、どれこれとってみても重要なことばかりでございますが、特に私はこの五番目に挙げてあります「雇用における男女平等」とか、それからまた九番に挙がっております「寡婦等の自立促進」でございますとか、それからまた十番目に挙げてあります「老後における生活の安定」策について、さらに一層強力な体制づくりというようなこと、私は、もうどれも大事でございますけれども、特に今日のような厳しい社会の情勢の中におりますと、いま挙げました三つが、ややもいたしますと、女性だからというわけではございませんが、やはり女性の能力というものは男性との比較においてどうしても限界がございますために、ややもすれば疎外されていくと。これは労働問題にも波及していくわけでございますが、むしろそれが増加してきているのじゃないかと、非常に増強したんじゃないかというものを目の当たりにしますものですから、この点を非常に心配しているわけでございます。この辺について、このことだけではないと思うんですが、どのような対策、具体策を労働省あるいは厚生省あるいは文部省等との関連もあるわけでございますが、進めようとされておりますのか、お考えをもしお示しいただければと思うのでございます。
  146. 赤松良子

    説明員(赤松良子君) 先生ただいま御指摘の点につきましては、企画推進本部といたしましても、十分に重点事項の中のさらに重点として考えているわけでございまして、関係省庁とよく連絡をとりまして、施策の実効が上がるように努力をいたしたいと思っております。特に雇用問題につきましては、労働省におきまして特別活動として推進要綱も出されているところでございまして、「寡婦等の自立促進」につきましても、新しい五十三年度の予算等でいろいろと新規のものも入っているというふうに承っております。また、厚生省とも十分に連絡をとりまして促進をお願いいたしてまいりましたが、今後もさらに密接な連携を深めて促進を進めたいと思っております。
  147. 石本茂

    ○石本茂君 せっかく、副本部長さんでいらっしゃる長官もお見えでございますので、長官、問題はやはり女性にまつわっておりますので、決して大きな、振り上げるような大きな問題のように見えませんけれども、長官は細かいところにも、特に女性であります弱い者のためにもいつも味方でいてくださいますので、現下の情勢の中で、この「国連婦人の十年」というものの進め方につきまして、どのようにお考えになっておられますのか、この機会にお尋ねをしておきたいと思います。
  148. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) だれですか、石本さん。長官ですか。
  149. 石本茂

    ○石本茂君 長官に一言、ほんの一言で結構ですから。
  150. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) まあ、できるだけ赤松室長にと思っておりましたが、いま私にございまして、企画推進本部を軸として、行政機関相互の密接な連携を図りつつ総合的な対策を進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  151. 石本茂

    ○石本茂君 婦人の問題、特に労働問題は厳しゅうございまして、若年退職が依然としてのさばっておりますし、雇用につきましてもなかなか厳しい狭い道がますます増大していく現下でございますので、大変恐縮でございますけれども、その辺に心をくださいまして、当局とも十分にまた意見などをお示し願って、事が上手に運ばれてまいりますことをお願いしてやみません。これはお願いでございます。  それから次に、第三番目にお伺いしたいと思いましたのは、先ほど来報道関係でもしばしば取り上げております例の祝祭日の中に婦人の日を設けたらどうかということでございますが、そのことにつきまして、どうしていまごろこういうことが出てきたのか、なぜ婦人というものを別に、特別に祝祭日の中に織り込んでいこうとなさっているのか、その辺の真意をお伺いしたいと思います。
  152. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘の点でございますが、まあ各党の中にもいろいろな話題が出てまいりましたし、またこう世論の中にも、いろいろなこれについての賛否両論と申しますか、いろいろございまして、政府としてはこれに対応するという、たとえば政党からいろいろな御意見が来た場合に、いろんな参考的な資料が必要である、こういうような関係から、一応これについての調査方を指示をいたしたわけです。しかしながら、婦人の日をつくるとか、三月三日がどうであるとか、四月十日はどうであろうとか、あるいはまたこれを、祝日をつくらねばならぬとかいう、そういう考え方で調査を指示したものではありません。
  153. 石本茂

    ○石本茂君 でございますと、巷間伝わっておりますように、もうつくるんだと、そして日にちをいつにするんだということの調査というふうにじゃなく、そういうことを抜きにした広い意味での調査を進めているというふうに受けとめてよいわけでございますね。――そうでございますか。それじゃもう決まったというふうには考えてはいけないということを、この際確認をさせていただきとうございますが、よろしゅうございましょうか。
  154. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) いま申し上げたように、実際はつくった方がいいのではないかという意見も実はあるわけです。それからまた、まあなぜそういう婦人の日というものをこの時期に改めてつくらねばならぬのかという、こういう意見もあるわけです。そういう意味から、諸外国等々の兼ね合いはどうであろうかとか、あるいはまた世論の動向はどういう状態であろうかと、こういうことでございまして、いまここでつくらないというための調査ではないんだと、またつくるというための調査ではないんだ。必要とあればつくらねばならぬということにもなるかもしれませんし、また石本さんのように、なぜこのたび婦人の日をつくる必要があるんだという、こういうことでつくらない場合もあり得るんだと。この調査はつくらないことを前提としての調査ではないんだと。世論の動向を踏まえ、あらゆる社会環境、社会情勢、あらゆることを踏まえて、つくる方がいいという結論が出たときにはつくらせていただく、つくってはいかぬぞというときの世論の背景があるとするならばこれはつくるべきではない、こういうことでございますから、つくらないための調査でないと、こういうことだけをひとつ申し上げておかなきゃならぬと思います。
  155. 石本茂

    ○石本茂君 よくお言葉の内容を理解したわけでございますが、私は女性、特に婦人の日を設ける、設けないということにつきまして、どこから出てきたのかということが大変不思議なわけですが、男女平等という言葉がはやり言葉一つになってしまいました。しかし、私は男女平等といいましても、それそれ得手、不得手を持っておりますし、持てる能力、識見等々におきましても、男子と女性は全く同じというふうには考えておりませんけれども、女性――婦人という言葉は抜きにしまして、女性と男性の比較において、特別に保護されなきゃならないものがあると私は思います。これは母性の面だと思うんです。ですから、母性の尊重という意味から出てきた婦人の日であればまたこれは一考を要するかもわかりませんけれども、ただ、おひな様の日が来たから、長い古い過去の伝統があったから、これは女の日にしたらいいんじゃないかということになりますと、まあすでに五月の五日は子供の日に決まっておりますし、成人の日もございますし、年寄りの日もございますので、いっそのこと、じゃ婦人の日もつくって、男の人の日もつくるということであればまたこれは話は別でございますけれども、そうじゃなく、いま私申しました深い意味の母性を尊重しようというような意味づけがあって納得することができますならば、私は別にこの問題にこだわりたいと思っておりませんけれども、長官申されますように、諸外国の情勢等をもつかみ上げて、そしてさらにはいろんな意味づけ等も御勘案の上するかもしれないということの調査だというふうに私は一応受けとめておきたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。  重ねて申しますけれども、女性と一口に言われましても、婦人と一口に言われましても、生涯結婚もしないで、子供も産まないで育てないできた人間にとりましては言う資格はないかもわかりませんけれども、やはり母性というもの、そして母性を含めた女性というものの深い意味づけを私はきょう実はお示しいただきたかったわけでございますが、その辺いかがでございましょうか。
  156. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) まだその確実なそういうことの掌握は、もちろん調査中でありますが、私はやはり母性からくる母性愛と申しますか、育てられていくやはり人間社会においてのその母性愛というか、そういうものが大きく、私はこの中にすべてが含まれておる。というのは、男性の方々から婦人の日をつくってはどうかという意見が圧倒的に多いんです。その反面、また女性の方からもそういう意見も多い。まだ調査の結果が出てきておりませんが、私が仄聞するところですが、そういう意味で、男性の方々の意見は何とかしてやはり女性の祝日をというのがきわめて多いんです。また女性の中からもいろいろな形でそういう声は聞くわけでございますけれども、そういう意味で、これあれこれも含めてこの調査の結果を御報告を申し上げて、そしてやはり国会の場で御論議を願うというときが来るのではないかと、こういうように思っております。
  157. 石本茂

    ○石本茂君 どうもその辺の御意見一応承りました。ありがとうございます。  次に、私、このこととの関連でございますが、大変おかしなことを言うかわかりませんけれども、こういう祝祭日も考えによってはあっていいかもわかりません。しかし、私ども日本国民が永久に、永遠に真の平和を守り続けていくんだというようなことになりますと、私は大昔の人間でございますし、戦争を経験してきた人間でありますので、ちょっと考えがいびつかもわかりませんけれども、むしろ、祝祭日にはなじまないかもわかりませんけれども、八月十五日という本当に悲しみと苦しみと生きる希望のすべてを失っていったあの日のことを、やはりいつまでも永遠にわれわれは知っておくべきじゃなかろうか。そして子々孫々に至るまで、平和を守るということは決して安易な安気な気楽なものではないんだぞということのあかしをお示しいただく意味にも、むしろこの日をこそ何らかの形で記念日にしておくべきではないかと思う一人でございますが、こんな考えは間違っているかもわかりません。  なぜそういうことを言うかといいますと、現在ただいま、私どもこの自由な、しかも全世界に比較いたしまして比較的――最高とは言いませんが、平和な社会の中に生き続けております。その中におりますと、ついこの平和に慣れてしまいまして、そして日々の言動、言葉なり行動の中に、この平和をぶち壊してしまうようなものが今日幾つも形になり姿になってあらわれてきているわけでございます。これを考えますと、本当にこの辺で、それこそいまごろ何だという気持ちもいたしますけれども、もう一度私どもはあの戦争放棄いたしましたあの時点に立ち返って、そして私の住む、私どもの生きていくこの国、そして私自身を含めたみんなが、どうしたら一体本当の真の平和を持ち続けていけるのかという意味合いにおいて、まあけちな考えでございますが、こういう日をいっそのこと記念日にできませんかと私は提言するわけでございますが、長官、こんな考えはいけないでございましょうか、お伺いいたします。
  158. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 八月十五日といえば日本国民にとって忘れることのできない日であろうかと私は思います。しかしながら、この日を祝日にするかどうかという問題については、いろいろな議論があろうかと思いますが、慎重にひとつ検討してみたいと、こういうふうにお答えをしておきます。
  159. 石本茂

    ○石本茂君 大変失礼なことを申し上げましたけれども、私の後、わが党の方で引き続き質問に入っていただく岩崎先生がいらっしゃいますけれども、私は自由というものの本当の幸せ、喜びというものにはけじめがあると思うのでございます。もちろん事の意味は違いますけれども、現在ただいま起きております成田空港等の問題を含めましても、何か何とも耐えられない、どう言っていいかわからないぐらいの私はいま一つの気持ちを持っておりますので、こういうことを申し上げたわけでございます。  以上、私が一応お聞きしたいと思っておったことの総論的なことだけは終わりましたので、あと岩崎先生にお送りいたします。大変ありがとうございました。どうぞ今後とも、いままでお伺いいたしました一つ一つにつきましてよろしく御吟味くださいまして、特に日赤救護看護婦等の問題につきましては、是が非でも実現できるんだと、実現したというおあかしだけはお立ていただきますことを再度お願いいたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  160. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 私は、不吉な予感が的中をしてしまいました成田の開港四日前の衝撃、すなわち成田空港三月二十六日の事件について、その内容と政府の今後の対策についてお尋ねをいたします。  成田空港は昭和四十一年に当初昭和四十六年開港をめどに計画をされ、反対派との激しい攻防の中で、ようやく三十日開港、四月二日の運用開始までこぎつけたところであります。その間の政府並びに関係機関あるいは地元の方々の努力と協力に対しまして敬意を表することにやぶさかでないのでございますが、十年を超える成田問題には、地権者対策へのきめ細かな配慮を初め、対応の仕方に多くの反省と教訓を残しているところでもございます。この反省の甘さ、あるいは教訓を軽んじていなかったならば、あるいはきのうの事件は免れていたかもしれないのでございます。すでに反対派の開港阻止八日間闘争の焦点が三月二十六日にあったことは承知されていたはずであります。ですから、警察当局は機動隊一万四千人を動員いたしまして、それこそアリのはい出るすき間もない史上最大の警備体制をしいたところであります。それにもかかわらずきのうのショッキングな事件でありました。予定どおりの開港ができなければ、世界各国の航空会社への迷惑はもちろん、わが国の国際信用にかかわる重大な事件であると言わなければなりません。いや、今後の万全の対策なしには、成田は危険な空港であると、世界のすべての空港の中で鬼門としてレッテルを張られ、不信と不安が交錯する空港となり、日本の国際的玄関を訪れる利用の度合いにも大きく影響するところでもあります。  そこで、まず警察当局にお尋ねをいたしますが、その第一は、過激派は常に陽動作戦を手段としておりましたことは御承知のとおりでございます。ですから、事件の発端となりましたマンホール警備について、チェックあるいはマークをしておったかどうか。次に、過激派の装備は、戦争の装備とまではいかないにいたしましても、それに近い火炎びんやら、やりその他の武装をいたしておりますけれども、警察は平和時の装備でございまするから、主としてその防除、排除のためには盾とこん棒、それにときによっては催涙弾程度でございますが、きのうは拳銃の発射があったということでございますけれども、こういうような警察の装備では、過激派対策としては警察ももっと装備の強化を図っていかなければ、警官それ自身がその排除、法と秩序を守るに当たりまして萎縮をしてしまうんじゃないだろうか。警官の萎縮は国家のためにも国民のためにも困るところでございますので、警官の装備強化について、特に過激派に対して、刑法におきましても弁護士なしの裁判をしようというような法改正が考えられておる時期でもございますので、対象によっては警官の装備強化について考えるべきではなかろうか、そう思うところでございますので、その件についての御見解を承るものであります。  また、成田の場合には、反対のためのいま新たな鉄塔が建ちました。また過激派はそれぞれ拠点を設けようといたしております。こうした拠点の撤去について、事前に何らかの対応策が必要ではないだろうか。そのための方法、手段というものをこれから考えるべきではなかろうかと思うわけでございますが、その点についてのお考え方をお尋ねするものであります。要するに、過激派に対する対策の強化、さらには開港までとその後の警備の強化策についてお尋ねをするものであります。  第二は、本日午前九時より福田総理も出席をいたしまして関係閣僚会議を開き、今後の対策につきまして検討されましたが、その内容と開港の時期、見通しについて総務長官からお答えを願うものであります。
  161. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 警備、その他破損の状態あるいはその他については、各省庁参っておりますので、そこから、その省から報告をしていただくことにいたしまして、きょうの成田空港関係閣僚協議会の内容について御報告をいたします。  きょうの会合は、運輸省、警察庁当局からきのうの事件についての報告があり、開港のスケジュールに関しては検討したが、開港時期については、空港施設の破壊の状況、復旧の見込み、調査を至急に行い、明日八時半から再度関係閣僚会議を開くことになっております。  ただ、総理から御指示がありましたことは、今回のこの事件は、単なる成田空港の問題にとどまるものではない、社会秩序、治安に対する挑戦と受けとめるべきであり、政府としては抜本的な対策を検討するようにという指示がありました。
  162. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 警察といたしましては、違法行為は看過しないという基本方針のもとに、新しい空港の安全開港を目指しまして一万四千の警備体制をもって警備に当たったわけでありますが、まことに残念ながら、集団による空港侵入を許したわけでございます。ただいま御指摘の過激派対策、御質問の点につきましては、マンホールのチェックにつきましては、そのものに着目しての警戒というのは不十分であったかと思いますけれども、その周辺におきまして、警戒員を配置して起こり得る事態に対する警戒をいたしておったわけでございます。  さらに過激派に対する装備の強化について御指摘をいただきましたわけでございますが、今後、御指摘の点も含めまして、法と秩序を維持する立場から、警察官の士気が萎縮しないように十分な装備を前向きに検討いたしてまいりたいというふうに思っております。  また、反対派あるいは極左の拠点の撤去を考えるべきであるというのはまことに当然でございまして、私ども、これは空港公団の方と十分に協議をいたしながら、できるだけの警備の側面からの御協力をし、警備の目的が達せられるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  163. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 運輸省の方からひとつ。
  164. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 運輸省はいま来ましたので、ちょっともう一回運輸省に対する質問をひとつお願いします。
  165. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 きのうの事件で、開港を目前に大変な成田空港の被害があったわけでございますので、この開港についての時期等について運輸省の明快なお答えを期待したいと思います。
  166. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 昨日の事件は、管制塔等の管制機器については多大の損害を受けております。それで航空局といたしましては、航空交通の安全の確保ということが航空行政上非常に重要なことでございますので、昨日の管制塔の被害について、現在技術的に精査をしているところでございます。また、成田空港の開港予定というふうなことも念頭に置きまして、現在のところ早急にその対応策を検討しておるところでございまして、明日の関係閣僚会議で結論を得たいというふうに運輸省としては考えているところでございます。
  167. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 あすの閣僚会議、さらには運輸省航空局内においてあすじゅうにおおむね開港の時期についての見通しがつくと、こういうお答えでございますが、あすじゅうに結論が出るということに承知をするということで問題ございませんか。
  168. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 実は現時点でも、現在、専門家が現地管制塔に赴きまして、実際の被害の状況等について詳しく調べております。それで、実は昨日も深夜から本日の早朝までに参りまして精査をしたわけでございますけれども、きのうは非常に、夜で明かりも消えておりまして精査することができなかったものですから、きょう改めて行っておるところでございます。したがって、本日午後、恐らく夕方近くになるかと思いますが、その技術的検討の結果が明確になると思います。それを運輸省の内部において十分検討をした上、方針を運輸省としては決めるということになろうかと思います。
  169. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 はい、終わります。
  170. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は恩給法について質問をいたしたいと思います。  旧軍人に対する恩給が復活をしてから二十五年を経過をして、その間恩給法の改正がしばしば行われて、政府としては御努力をなさっていることは承知しているところでございますが、しかし、現在の恩給法をもってしては救うことのできない落ちこぼれがまだ多く存在をして、また金額的にも不十分な面が少なくないので、政府におかれてはさらに一層この種恩給の充実に力を注いでいただきたいと思うのであります。  まず初めに、一時恩給についてお尋ねをいたします。  旧軍人に対する一時恩給については、去る五十年の恩給法の一部改正によって支給範囲の拡大がなされました。すなわち引き続く実在職年が三年以上七年未満の旧軍人に対する一時恩給は、下士官以上として六カ月以上在職することが支給要件とされていたものを、この支給要件を廃止をしてその対象を兵まで拡大する改正がなされたのでありまして、このことは非常に喜ばしいことでありますが、さらにもう一歩進めていただきたいと思うのでございます。  まず支給要件である在職年についてでございますが、これは現在引き続き実在職年三年以上とありますが、断続している者の取り扱いについては、政府は五十三年度において措置を講じておられるようでございますが、軍人の服務というものが、一般の官吏などと異なり常時生命をかけていたことを考えますと、その服務期間というものは短い期間といえども決しておろそかにできぬ貴重な期間と言えます。このような観点から、旧軍人に対しては服務期間の長短を問わず、三年未満の在職者でも一時恩給あるいは一時金が支給されてしかるべきだと思うのでございますが、一時恩給の沿革を見ましても、初めは一年以上の期間のある者に支給されていたのは事実でございます。一時恩給が昭和八年に財政的理由から三年に延ばされた経緯もあることでございますので、この際三年という期間をもっと短くするかあるいは廃止するお考えはないかどうか、お尋ねをいたします。
  171. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) お答えを申し上げます。  先生種々御指摘のとおりの経過をたどっているわけでございますが、非常に短い方でございましても従来の場合には引き続かないといかぬという要件がございましたのを、ただいまも御指摘がございましたように、来年度は、そういう短い期間も合わせれば三年以上あるという方々に対しても処置をいたしたいというふうに考えまして、今国会に予算並びに法案の御審議を賜っているところでございます。ところで、そういうふうに切れ切れのものを集めてもなおかつ非常に短い方がいま問題になったわけでございますけれども、やはりこれは非常に長い方には年金、相当年限の方には一時金、ごく短い方については処置できないといういきさつと申しますか、そういう制度のもとに長い間のいきさつがございますので、ごく短い方々につきましては、何らかの処置をするということは必ずしも適当ではないんではないかというふうに思っております。  それから先生がいま御指摘になりました昭和八年以前の問題でございますけれども、確かに昭和八年以前につきましては一年ということで出たわけでございますが、これも先生十分御承知のとおり、それは下士官以上で一年ということでございますので、軍人さんとしての在職といたしましては、やはり三年なりそれ以上の方々が対象になったものだと思われます。そういう意味におきまして、その時代に比べて実質的に悪くなったわけではなく、むしろ兵の方々に対してもその御苦労をしのんで範囲を拡大をし、さらにその切れ切れのものも集めていくということに踏み切った現在でございますので、そういうものに合わないごく短い方々についてはいまのところ措置をするという考え方はございません。
  172. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほども一申し上げたとおり、軍務に服するというのは、当時の強制的な力によって自分の青春を犠牲にして、長短はあっても、そしてまたそういう該当する方々がもう老齢化をされまして、そういうことがございますので、この際温情ある計らいを、昭和八年以前は一年だったんですから、そこらあたりをぜひこれは考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  173. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 昭和八年の問題、先ほどお答え申しましたように、下士官以上として一年ということでございますので、恐らく先生がいま言われておられますのは、下士官とか何とかいうことじゃなくて、軍籍のあった者は一年でも二年でもというお考えだったと思いますが、昭和八年以前にはそういう条件がございましたので、決して悪くなっているというふうにも考えられませんので、先生のお話でございますが、ただいまのところはすぐそれを恩給なり一時金なり、そういうものに反映するということはちょっと考えられないところでございます。
  174. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ次に、一時恩給の支給額の基礎となっております金額についてお伺いをいたしますが、軍人恩給が復活をされたのは昭和二十八年で、当時の仮定俸給が基礎になっておりまして、当時の公務員の給与ベースが一万円であったところから、この一万円が一時恩給の支給の基準となっているようでございます。また、このたび新しく支給しようとしている断続した在職期限が三年以上となっている者に対する一時金も、この基準によって一律一万五千円になる予定のようでございますが、この一万五千円という金額は余りにも低いのではないかと思うのでございますが、政府はこの一万五千円という金額をどのように考えていらっしゃいますか。
  175. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 確かに先生御指摘のとおり、必ずしも高い額だとは考えておりませんけれども、先ほども一部お答え申し上げましたように、戦前もそうでございますし、最近までは、恩給のその考え方から、兵の階級の方には実は一銭も出ていなかったわけでございます。それを昭和五十年に国会のいろいろな御審議もございまして、昭和五十年に兵の階級の方にもお出しをしようじゃないかということに踏み切り、今度の法案の中身では断続まで含めているわけでございますが、それらはるる申しますように、かつては全くそういう措置がなかったものを特別にとったわけでございますし、それから中身の一万五千円何がしの問題につきましては、これも先生十分御存じでございますが、昭和四十六年に下士官以上に一時恩給を出すようなことをいたしましたときに、これは軍人再出発当時の俸給を基礎とするということでやっておりまして、そういう下士官以上の者との均衡もありまして今日のような額を定めたわけでございます。そういうことでございますので、戦前にはなかったものを特別に給することとしたこと及び下士官以上の一時恩給の額との均衡を考慮しているわけでございます。
  176. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ちょうど、昭和五十年に在職期間が三年以上七年未満の旧軍人に対して一時恩給が支給されるようになったときにも、この金額は低いということで問題になったことは御承知と思いますが、やはりこの一万五千円という、いまの物価の状況から考えましても、この一時恩給をまた受けるいろんな申請の繁雑さからこういうことを考えるときに、非常にこのありがたさを失わしておるのは、これはもう事実だと思います。そして長い間本当に苦労して政府の温情ある計らいで一時恩給ということが支給になりましても、金額の低さということで、何といいますか、苦労された方々のプライドを傷つけておるのも事実のようでございます。断続する三年間の在職期限である者に一時金を支給しようという計画が今度実行されるわけでございますけれども、ぜひこの金額の問題は考え直していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  177. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 先ほども申し上げましたとおり、戦前にはなかったものを特別に出すんだということと、下士官以上に出した額との均衡ということでございますので、なかなか困難であると思います。  ただ、先生が、この金額はこれではありがたみが半減するではないかと言われるその額の問題につきましては、確かに私たちも胸の痛むところがないわけではありませんけれども、いま言いましたように、恩給制度はいろいろ複雑に入り組んでおりまして、その下士官以上の者もそれじゃなぜそのときにそういうことだったかというふうに申しますと、これも同じ審議会の答申を受けた他の関係の者との関連もございましてそういう額になりましたわけでございますので、そういう制度全体の中身を、入り組んでおりますものを考えますときには、先生のお言葉でございますが、直ちにこれを直すということはなかなかむずかしいであろうというふうに目下考えております。
  178. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 申請の繁雑さとか金額の問題で、政府のいまおやりになる温情が実際受給の資格のある方々に本当に反映をしていない、こういうことは事実のようでございます。あっさり言いますと、金額が低い、一万五千円もらうために、繁雑なそういうような手続を暇をつぶしてやるという、そういうようなことに対してやはりとかくぶつぶつ言う、そういうようなことも私たちは聞いておりますので、やはり長年のそういうような苦労、今度政府が新しくやるについても、金額面で報いるということを考え直した方がいいんではないか。あなたの方は新しく戦前にないことをやってあげたんだと、こういうようなことをおっしゃいますけれども、おっしゃる以上は、それが、本当にありがたみが受給する人たちに反映するような、そういうような金額の方がいいんじゃないかと、こういうふうに思うのですが、その辺は長官、いかがお考えでしょうか。
  179. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘の点について、いろいろなこぼれが私はあるのではないか、特に上に厚く下に薄くという、こういう点があってはいけないし、あろうはずがないと思いますが、今後御指摘の点についてはよく慎重に検討を加えながら、その線に沿うよう努力をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  180. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ぜひひとつ前向きでこの問題は考えていただきたい。政府の温情あることが反映できるような、その金額に対しては今後も前向きで検討していただきたいと要望を申し上げておきます。  次に、普通恩給における受給資格でございます在職年数についてお尋ねをいたします。  現行の恩給法によれば、十二年以上軍人としての在職年のある者が受給資格を持っているわけでございますが、この十二年というのは、昭和二十一年に軍人恩給が停止された時点において法定化されたものであって、二十八年に軍人恩給が復活されたとき、この十二年がそのまま適用されることになったわけでございます。この十二年という在職年数が長過ぎるか短かいかはいろいろ論議もあろうかと思います。特に、文官などとの比較の上でも種々論議があるところでありましょう。しかし、旧軍人が一般の文官などと異なり、きわめて厳しい服務規律のもとに、転職の自由もなく、かつ在職中の給与はきわめて粗末なものであったことは事実でございます。しかも、戦時中は絶えず生命の危険に身を置きながら国家のために活躍してきたことを考えれば、こうした人々にでき得る限り国家がめんどうを見てやることは当然と考えるものでございますが、こうした考え方から、恩給受給のための在職年数の十二年が決して短かいなどということはないと思うのでございまして、これをもっと縮めることによって、旧軍人が国家に対して支払った犠牲により一層報いることができ、そうすることが国家としての義務であると考えるわけでございますが、この十二年ということについて短縮する問題をどのようにお考えでしょうか。
  181. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) これは年金制度全体あるいは制度全体かもしれませんが、やはり一つの制度というものは非常に歴史があるわけでございまして、まあ四十数年間十二年というもので普通恩給の年限を切っているわけでございます。いろいろ御議論があるところではあるかもしれませんけれども、この在職年というのは、恩給制度にとりましては、たとえばどういう人に恩給をやるのかという範囲の問題とともに、あるいは基礎俸給をどこにとるのかという問題とともに、在職年というのは一番基本的な問題でございます。また、軍人恩給だけではございませんで、恩給内部を考えましても、文官の恩給にも共通する問題でもございますし、先ほど申しました恩給制度の基本に関する問題でございますので、これを、十二年を動かすというのは、これはきわめて困難であるというふうに考えております。
  182. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この十二年もやはり昭和八年に、それまではたしか十一年だったと思うのですよ。私が実は相談を受けた方は、いろいろこう、加算等を含めましてやりましたところが三カ月足らない。下士官でございまして、十一年九カ月、こういうような本当の昭和八年当時の年限でいきますと当然救済がされる人が救済されないでそのままになっておるという人たちが相当多いのじゃないかと思うのですが、そういうようなことから、根拠があるわけですから、昭和八年当時は十一年であったと、そういうことを想定をされたときには、これを短縮する方向に前向きで私は検討をされることが当然じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) そういういきさつがありましたことは私もお認めするのにやぶさかでないわけでございますが、その際の改正におきましても、一般の文官の者は十五年というものを十七年というふうに二年延ばしております。しかしながら、軍人さんの特殊事情ということでございましょう、兵、下士官については十一年のものを十二年というふうに一年だけしか延ばさなかったわけでございます。それ以来ずっとそういう制度できておるわけでございますし、まあ考えてみますと、一般的な年金というのは、軍人さんの特殊性はございますけれども、一般的の年金と申しますのは二十年あるいは二十五年という長きを条件とするものがほとんどでございますので、現在この十二年というものを一年短縮をするというのはきわめて困難であると思います。
  184. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 やっぱり同じような、今度は考え方を変えまして、非常に困難であるとするならば、昨年のたしか七月だと思いますが、朝日新聞の神奈川版に載った例でございますが、この方も、越田という方で、加算を入れて十一年九カ月であると。戦後復員をしてから公務員等におなりになった方々は通算という制度がとられておりますけれども、民間でお働きになっておる方々、こういう方々は、この十一年九カ月という非常な犠牲を払った期間というのが結局宙に浮いたかっこうになっておるのは、これはもう御承知と思いますが、こういうような期間を何とか年金という制度に通算をするということを考えてもらえないかと、そういうような要望が取り上げられて新聞に載っておるわけでございますが、稻村長官、ひとつ厚生省と交渉をしてでも、この年金と通算をすると、それが十一年という年限に短縮することがむずかしいとすれば、そういう方向にも協議をするような前向きのお考えはございませんでしょうか。
  185. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘の点につきましては、厚生省の所管ということでもありますが、しかしながら、御意見は御意見といたしまして、厚生大臣とよく連絡をとり合ってこれに対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  186. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、「恩給改善の内容について」という恩給局の資料に関連をして質問をいたしてまいりたいと思います。  いま先ほどもいろいろ問題になりましたが、日赤の従軍看護婦さんなんかの問題も含めまして、恩給受給者の対象範囲の拡大問題ということをここで取り上げてみたいと思います。  恩給局は、五十二年度に引き続いて五十三年度についても調査研究費を予算に計上して、恩給問題の調査研究をしようとしていらっしゃるのはこの資料のとおりでございますが、そこで、予算の規模、調査研究の対象は何であり、どのような目的で調査研究をしており、またしようとされるのか、具体的に説明をお願いいたします。
  187. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 先ほども種々いろいろな問題を御指摘いただきましたけれども、恩給というのはもう百年の歴史を持っておりますし、制度がなかなか複雑でございます。そういう広範かつ複雑な恩給制度を改善をしていくということでございますが、しかもその恩給というのは、受給者にとりましては直ちに生活に直結をするという切実な問題でございますので、私たち恩給行政に携わっておる者は、客観的な立場と申しますか、あるいは総合的な調査と申しますか、そういうものを研究をしていく当然の義務があると思います。  そこで、少し前から大蔵省の方にも予算を要求いたしまして、恩給問題の調査研究費というものを毎年計上してもらっているところでございます。で、来年度は約四百万調査費の要求をいたしておりまして、予算で御審議を賜っているところでございますが、私たちといたしましてはいろいろな問題を調査をし、あるいは研究をするということでございますので、どれどれというふうにこだわっているわけではございませんけれども、たとえば恩給公務員の範囲や通算に関する問題、あるいは傷病恩給のいろいろな受給者の問題、あるいは仮定俸給というのがいろいろ問題がありますので、その仮定俸給の問題等々について調査をし、あるいは研究をするということで、この調査研究費を使いまして有効に活用をさしていきたいというふうに思っているところでございます。
  188. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 恩給局のお出しになったこの「恩給改善の内容について」という資料によりますと、恩給問題の調査研究は、恩給問題というのは広範かつ複雑多岐にわたっており、しかも受給者にとっては生活に直結するきわめて切実な問題であるので、今後の恩給行政を適切に進めていくために、仮定俸給、目症者、公務員の範囲、通算等恩給に関する諸問題について調査研究を行う、このように述べておられます。  先ほど最後に私が長官にお尋ねをした通算の問題、こういうものもこの研究対象になろうかと思いますが、そこで、恩給問題で重要だという認識はこの文面ではうかがえるわけでございますが、先ほどお話がありましたとおり、予算が、五十二年度が五百十万、五十三年度が四百万と、少なくなっておるわけでありますが、この程度の予算で一体充実した調査研究が可能なのかどうか、私はすこぶる疑問に思うのでございますが、この調査研究の問題について具体的に   〔委員長退席理事野口忠夫君着席〕 ひとつ説明をしていただきたいんです、どういうことをどのようにという。
  189. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 昨年度が五百三十七万もあって、ことしは四百万に減っているではないかというのも御指摘一つかと存じますけれども、実は昨年は一般的な調査のほかに、先ほど先生問題として取り上げられました、在職期間が切れ切れになっておる方々の断続一恩と申しますか、そういう問題について特別に調査をいたしたわけでございます。それはその五百三十七万のうちの二百一万がその一時恩給の特別の調査でございまして、全国の都道府県等にお願いをいたしまして、どういう実態になっているかということを調査をいたしまして、その調査の結果を反映したのが今度の予算であり法案であるわけでございます。そういう意味で、その二百一万というのは昨年の特別の調査でございましたので、減りましたけれども、ということは、昨年の一般的な調査費は三百三十六万七千円でございました。それをことしは大分ふやしまして、四百万六千円という額を計上しているわけでございますので、決して減ったわけでもなく、相当ふえているというふうに自負をいたしております。  そこで、そういう四百万のお金を有効に活用いたしまして、先ほど申し上げましたような受給者の実態なり、あるいは研究項目といたしましては、公務員の範囲、通算の問題あるいは仮定俸給の問題というものを広く勉強してまいりたいというふうに思っております。
  190. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 恩給が、非常に受給者の方々が感謝されるぐらいいろいろ努力をされておることは、これは私もよく知っておることでございますが、あと残された問題は恩給内容の改善という、そういうようなお仕事かと思います。そうなりますと、この内容の改善の仕事というのは非常に大事な、私が先ほどいろいろと申し上げました年限の短縮の問題とか、あるいは受給者の範囲の拡大の問題とか、こういう問題が改善の大きな内容になろうかと思います。  そこで、恩給受給者の対象範囲の拡大につながる公務員の範囲ということ、これについてお尋ねをいたしますが、公務員の範囲の調査研究については具体的にどのようなことをしていらっしゃるか。戦前は外地に、満州とかあるいは朝鮮とか、そういうところに公務員の資格を持っていらっしゃる方々がおられたわけでございますが、そういうような方々の恩給の拡大につながる内容の、公務員の範囲の拡大ということについてどのような調査研究をしていらっしゃるか。また同時に、恩給受給者の範囲を拡大する方向で今後も調査研究をしていくのかどうか、その点を明確にひとつお答え願いたいと思います。
  191. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 公務員の範囲というのは非常に重要な基本的な問題でございます。それだけきわめてむずかしい問題をはらみ、慎重に処さなければならないと思うのでございますけれども、敗戦に伴ういろいろな問題等もございまして、たとえば戦後の恩給問題についてはそれも一つの重要な課題であったわけでございます。外国政府の期間の通算の問題を中心にしていろいろな問題があるわけでございますが、その問題や、先ほど問題になりました看護婦さんの問題もあるいは一つの範囲問題かもしれません。そこで、そういう基本的な問題でございますので、恩給で処理できる場合と、そうでない場合もございますけれども、そういうものを一切含めまして、私たちとしては勉強を続けていかなければいけないということでいろいろ勉強しているところでございます。そういうわけでございますので、いま先生が御指摘になりましたようなこともすべて含めまして、これからも勉強してまいりたいと思っております。
  192. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、私は具体的な事例を申し上げまして、対象範囲の拡大の問題についてさらに姿勢を明確にしていただきたいということで質問をしてまいりたいと思います。  具体的な事例は、この人は現在宮崎県の日南市に住んでいる三上たつさんという方でございますが、御主人は昭和十五年一月まで朝鮮総督府咸鏡南道の役所に勤めておられたわけでございますが、公務で御主人は死亡したので、「吏員退隠料退職給與金死亡給與金遺族扶助料規則」、非常に長い題名でございますが、これによって終戦近くまで、昭和十九年の十二月まで扶助料年額百七十六円を受給をされておったわけです。しかしながら、日本の敗戦によって朝鮮総督府そのものがなくなり、したがって、扶助料の支給は今日まで受けていらっしゃらないわけでございますが、そこで三上さんは日南市の福祉事務所を通して、政府、これは外務省のアジア局地域政策課外地整理室というところだそうでございますが、ここに受給のストップの合理的な根拠をただしたところ、終戦に伴い該当地方公共団体は消滅したので、支給する経済がなくなったままになっているというので支給できないと、そういうつれない返事だったそうでございますが、そこでお尋ねをしますが、この種の切実な問題は全国各地に多く存在していると思われるのでございますが、さきに指摘をした対象範囲の拡大の調査研究の対象にすべきだと思うのでございますが、対象になっているかどうか、お答え願いたいと思います。
  193. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 具体的な問題はただいま拝聴したわけでございますので、十分調べてみなければわからないと思いますけれども、いまお聞きをいたしますと、吏員の退隠条例でございますか、そういう問題だと思います。そういたしますと、これはいわゆる恩給法に言う恩給ではございませんで、たとえば各市町村なり何なり、そういう団体が退隠条例というのをつくりまして、恩給という名前をつけているものもありますし、あるいは退職金とかいう名前のものもあると思いますけれども、そういうものをその条例に基づいてそれぞれの団体がつくっていたわけでございます。したがいまして、私、恩給法あるいは恩給局という立場から申しますと、その方々は、遺憾ながらいわゆる私たちが所管をしております恩給という範囲には入ってこないというふうに考えております。
  194. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 もう朝鮮総督府にしても台湾総督府にしても、外国政府の職員が終戦によって帰国をして再び公務員となって一年以上在職した場合は、その在職期間を通算をされて救済をされるわけでございますが、この三上さんの場合は、現行制度のもとでは全く救済をされないで放置されているのは、私は本当に納得できないわけでございます。このような不幸な人たちが全国では相当な数おると思うのですが、その実態をどのような程度に把握をしておられるのか。この調査内容の、こういうような研究等で把握をするそういう作業をやっておられるのかどうか、やっておられたらやっておると、そして幾らぐらいおるか、その数をお知らせ願いたいと思います。
  195. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 恩給という名前がついているかどうかちょっとつまびらかでございませんけれども、いずれにしましても、それぞれの団体が条例をつくりましてそれで年金を出しているということでございまして、私たちが所管をしております恩給法なりあるいは恩給制度の中の問題ではないので、現在までそういうものを調査をいたしておりませんけれども。  それから、この種の問題につきましては、もう先生も十分御存じだと思いますが、恩給審議会というのが昭和四十一年に総理府の中に設けられまして、この問題も議論の一つにはなりました。そのときに、これらについては、そういういま私が申し上げましたような性格のものでございますので、とても恩給を支給するというようなことはできないという一応の結論が出ているわけでございます。そこで、ちょっとつれないお答えで申しわけありませんでしたけれども、私たちの恩給ではなかなかむずかしいというふうに思っております。  ただ、実情はいま先生が御指摘になりましたように、そういう団体がなくなってしまって、従来もらっていたものが何ももらえないということにつきましては、大変お気の毒だというふうに思います。そこで、私たちの直接の所管ではございませんけれども、いま先生が言われたような問題につきましては、外地のそういう団体としての外務省なり、あるいは地方公共団体といういまの目で見ればあるいは自治省が関係があるのかもしれませんけれども、そういう関係機関に、先生が御指摘になりましたものを私たちとしても伝えまして、私たちは技術的な立場では応援できるかと思いますので、そういう役所の検討方もお願いをしてみたらというふうに思う次第でございます。
  196. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 昭和四十三年の三月に先ほどお話しされた恩給審議会、これで答申がたしか出ておるのは事実でございますが、恩給制度が社会保障の一環であるという考え方からしますと、やはりここらあたりでいまの社会事情からして発想の転換をされて、こういうような方々の救済も含めて考えていくような、そういう拡大をすべきではないかと思うのですが、そこらあたりのお考えはどうでしょう。
  197. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 社会保障的な考え方というのは確かに戦後においてはいろいろな面で必要でございまして、恩給はもともと社会保障ではございませんけれども、そういう思想を必要な部分については入れた前向きの解決をいろいろやっているところでございます。  ただ、いまの問題につきましては社会保障と申しますか、まあ戦後のそういう問題の一つとして、そういう支給団体自体がなくなってしまった方の処遇でございますので、恩給の中でやれるという範囲はきわめて少ない、審議会の答申が言っているとおりでございますので、恩給ではなかなかむずかしいというお答えを繰り返さざるを得ませんけれども、その同情すべき立場にあられるということは私も十分理解をいたしますので、先ほど申し上げましたようなことをお答えにさしていただきたいと思います。
  198. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほどからいろいろ問題を提起しながら申し上げておるわけでございますが、恩給審議会というのは一応廃止になっているわけですね。そういうようなことで、適用範囲の拡大等を含めて、先ほど日赤の看護婦の方々の問題もございましたが、三十年間放置されておったと、こういうようなこと等も含め、あるいはまた年限の問題とかそういうことも含めまして、ここらあたりで恩給制度を抜本的に考え直すという、そういうようなために恩給審議会を再度発足をさせる考えは長官いかがでしょうか。
  199. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) まあ、先ほど来から局長がお答えをいたしておりますように、恩給制度の中ではむずかしいと、しかしながら大変同情をするに値すると、こういうことを答えていました。そういう意味から、関係各省庁にいろいろ働きかけてみて、できるだけその方向にひとついけるような努力をしてみたいと。そこで、恩給審議会をこの辺で抜本的に見直す必要があるのじゃないか、そのために審議会をつくってはどうかという御意見でございますが、いまのところはそういう考え方は持っておりませんが、しかしながら、御意見は御意見としていろいろ研究をしてみたいと、こういうふうに思っております。
  200. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後にもう一つ問題を提起しておきますが、最近新聞の投書欄を見ますと、こういうふうな不況を反映して、老後のいろいろなことを考えて、恩給に関するいろいろな投書が多いようでございますが、その中で、先ほどもいろいろ問題になったわけでございますが、軍属の方々が同じように、ある新聞の投書を見ますと、ノモンハン事変のときに行かれた方の投書でございましたが、兵隊さんと同じように弾の下をくぐりながら苦労をしたわれわれは全然見捨てられておるというような意味のことが投書されておりましたが、こういうような軍属の方々がなぜ対象にならないのか、こういうようなことも含めて、拡大をする考え方を持ってやはり恩給審議会あたりを再発足させることが必要じゃないかと、こういうふうに思うんですが、そこらあたりの御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  201. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 軍属の問題はますますむずかしい問題なわけでございます。確かに恩給制度というのが古いと言えば古いのかもしれませんけれども、百年の歴史を持ちながら官吏あるいは軍人というものを対象にしてきて今日に至っているわけでございますので、それをいま振り返って、過去のものを何でもかんでもこの恩給の中に入れていくということはとても恩給制度そのものがもたないわけでございまして、非常にむずかしいと思います。軍属の問題につきましては、しかしながら先生が御指摘のように投書があることも事実でございますし、あるいは私たちの耳に入ってくることもございますので、私たちもいろいろな意味からさらに勉強を続けてまいりたいというふうには思います。
  202. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ恩給の方はそれぐらいにしまして、次は総理府関係の踏切交通事故対策室に関連して、踏切事故の防止対策についてお尋ねをしたいと思います。  踏切事故は、昭和五十一年度は国鉄の在来線で千百五十二件、民鉄の地方鉄道、軌道合わせて五百八十七件となって依然として踏切事故が多発しております。この踏切事故の防止対策については従来から計画的に推進をされているようで、昭和五十一年度から五カ年計画として第二次踏切事故防止総合対策が総理府交通対策本部で策定をされ、これに基づいて国鉄では具体的な実施計画を策定をして推進を図っているようでございますが、総理府の総合対策と国鉄の実施計画はどのようになっているか、お伺いしたいと思います。
  203. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 踏切道における交通安全対策、五十一年に対策本部を決定いたしました。この踏切事故防止について運輸省、建設省、警察庁各省庁連絡のもとに事故対策防止ということで強力に推進を進めているところであります。
  204. 村山熙

    説明員(村山熙君) 国鉄の関係をちょっと申し上げたいと思います。  昭和五十一年度から、先生御指摘のとおり、第二次踏切事故防止総合対策というものが始められております。これは昭和五十一年度から五カ年の計画で実施をいたしますことになっておりますが、交通対策本部とかあるいは各都道府県の協議会で決定されました事業計画に国鉄独自の安全施策も加味をいたしまして実施をしております。  若干細かくなりますが、数字で従来の実績を申し上げたいと思いますが、この第二次五カ年計画でいろいろ進められております中身は、高架化、踏切のあります線路を高架にしまして踏切をなくすというようなこと。あるいは一つの踏切を立体交差します、単独立体交差と申しておりますが、そういうもの。そのほかに遮断機をつけましたり、あるいは警報機をつけましたり、いろいろ細々としたことをやっております。五十一年度と五十二年度、今年度まだ終わっておりませんが、大体今月末までの見込みで申し上げますと、計画に対しまして高架化につきましては百五十キロ高架化いたします計画が約六〇%進んでおります。それから、単独立体化の踏切は九百カ所に対しましてこれも約五〇%の進捗をしております。その他遮断機をつけましたりいろいろ細々した改良工事が大体三〇%ないし四〇%ぐらい進んでおるところでございます。
  205. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いろいろ説明を聞いたり調べてみますと、この交通事故対策というのはほとんど対自動車が主なようでございますが、しかし人が主に通るそういう小さい踏切の事故というのもあながち軽視するわけにいかないような状態のようであります。昭和五十一年度の統計からしますと、踏切事故は一千一百六十六件のうち、四種踏切という警報機も遮断機もないそういう踏切が四百七十一件、一種踏切が四百十件、三種踏切が二百八十七件と、このようになっております。  そこで、特にお尋ねをしたいことは、スクールゾーンの中に含まれておるこういう歩行者専用みたいな踏切が相当全国的には多いと思いますけれども、こういう踏切の安全対策はどのようにしていらっしゃるのか。また、学童に対する踏切の安全対策等についてはどのような措置をとっておられるか、お伺いいたします。
  206. 村山熙

    説明員(村山熙君) 御指摘のとおり、踏切の問題は私ども非常に大事な問題と考えておりまして、いろいろ努力をしております。ただいま国鉄にございます踏切の数は全国で約三万カ所でございます。昭和三十五年ごろに四万数千カ所でございましたものをかなり減らしまして、立体交差その他でずいぶん減らしてまいったわけでございますが、その約三万カ所のうち、いわゆる一種踏切、三種踏切といいまして設備をしております踏切が約六〇%、残りの四〇%が遮断機もない警報機もないというところでございますが、その中でも自動車が通らないような狭い踏切がございまして、そういうもの、人だけが通るというところがそのうちの約四〇%になっております。  それで、三十六年に踏切道改良促進法というものが制定をされまして、この踏切の立体交差とかあるいは構造の改良、保安設備の整備をそれ以来ずっと進めてきております。四十二年には通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法というものが制定されまして、国鉄も関係省庁の御指導をいただきながらその対策を進めてきております。さらに、四十六年には、交通対策本部におきまして第一次の踏切事故防止総合対策が決定をされまして、以後これにのっとって各種の施策を進めておりますが、先ほども申し上げましたように、五十一年度以降は第二次の総合対策に基づきまして推進をしておるところでございます。また、学童とか幼稚園の園児の通ります踏切に対しましては、先ほど申し上げました踏切道改良促進法の中の保安設備の整備に関する条項、これは省令でございますが、この省令の第二条四項に規定をされておりまして、そういう規定に基づきまして国で改良を指定をされております、そういうものについても逐次整備を進めてまいっております。また、現地におきましても、鉄道管理局あるいはその関係の行政機関がお互いに協議をいたしまして、また地域住民の意向もお聞きをしながら、実情に応じましていろいろと施策を実施しておるところであります。さらに、春とか秋の交通安全運動、あるいは年末年始の非常に人の動きの多い時期等、機会のあるごとに、学校とか幼稚園とかと接触を持ちまして指導をしていただく、あるいは街頭において鉄道公安官が呼びかけをするとか、そういったようなことを通じまして学童、幼稚園の園児の交通安全に努めておるところでございます。今後も努力をしてまいりたいと思います。
  207. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 よくわかりましたが、最近、私は鹿児島の出身でございますが、そこで現地で陳情を受けた問題でございます。鹿児島本線の終着駅は西鹿児島駅でございますが、その近くのやはり人が通るような、自動車は通らない、人と自転車が通るような踏切で、警報機はついておりますので第三種の踏切だと思いますが、その近くには相当大きなマンモスの小学校がございます。ですから、その踏切はちょうど通学路に当たっておりまして、両方からは市道がつながっておるわけで、そこに下りの、鹿児島本線でございますから、下りの列車が西鹿児島駅の進入ができないで、機外停車というのですか、その踏切の前で待機をすることが非常に多いそうであります。ところが、学校に行く児童はおくれてはならないので、なかなか動かない列車に、もういらいらしながら連結部の下をくぐって通っていくと。そこではそういうようなくぐっておるときに動いたということで事故が起こったことはないようでございますが、人身事故は確かに二件ほど起こっておる踏切でございますが、それで付近の父兄は非常に心配しまして、何とかならないかという陳情を受けて、少しそこの踏切が高いものですから、この下に人が通れるような、自転車ぐらい押して通れるぐらいな人道、歩道のトンネル、そういうやつをつけてもらいたいという、こういう陳情を受けて、管理局にも参りました。なかなか実現がむずかしいようなことでございますけれども、事やっぱり人命に関することでございますので、こういう踏切の問題とか、あるいはまたもう一件は、指宿線という線の中で、鹿児島の市街地でございますが、その指宿線に並行して、鹿児島の市電が並行して敷設されておる二線路があるわけでございます。二軒茶屋という近くでございますが、その二軒茶屋という市電の停留所に行くためには、団地の市道から踏切のない鉄道を踏み切るほかはないので、買い物に行く主婦とか、あるいは通学児童、園児は頻繁にそこを横断をして利用しているわけで、これはまだ踏切じゃないわけでございますが、昭和五十二年の、昨年の六月に町内会の方々が実態調査をしたところが、一日二千二十人がそこを利用しておるというのです。ですから、第一種踏切の設置を陳情をしているけれども、陳情してからもう半年以上になっているけれども、なかなか進まないという、このような事例の陳情を二件ほど受けておりますが、これはもう踏切事故防止のために、どうしても一つはトンネルをつくってくださいと、一つは一種の踏切の新設をどうしても早くしてくださいと、こういうような陳情でございますけれども、これは全国的にもこういう問題は相当あるんじゃなかろうかと思います。一つの縮図として、国鉄当局はこれに対してどのような対処をされるお考えか、お答えを願いたいと思います。
  208. 村山熙

    説明員(村山熙君) ただいまお話しのございました踏切は、一つは西鹿児島の駅のちょっと手前に、国鉄で言っております名前は第一乾燥場踏切、それからもう一つ第二乾燥場踏切、この二カ所ございまして、恐らくこの踏切であろうと思います。これにつきましては、鹿児島の市長さんから国鉄の方にいろいろ相談がございまして、昨年の秋以来現地で相談をしておるところでございます。いまお話がございましたように、列車のとまる回数がちょうどこの付近は多うございまして、いま列車の下をくぐり抜けるというようなお話ございましたのですけれども、実は国鉄当局あるいは地元の学校の方にいろいろと調査をさせておりますが、くぐり抜けた実態はちょっと学校の方も確認はしておらないようでございますが、しかし、仮にこういう事態があるといたしますと大変に危険なことでございますので、早く何とか安全策をとりたいと考えております。  ちょうどこの第二乾燥場踏切に隣合わせまして、二十メーターか三十メーター離れたところに現在地下道を掘っております。これは新しく道路が線路の下を抜ける、いわゆる立体交差の場所でございますので、こういうものが、もう一年ぐらいいたしますと完成をいたしますので、これができますと、そちらの方を通っていただけるような、いわゆる立体交差の方を通っていただけるような手が打てるんじゃないかということもあわせて検討しておりますし、また、もう一つの学校のすぐ裏門のところにあります第一乾燥場踏切、これはその場所から二百メーターばかり離れておるわけでございますけれども、これにつきましても、市とかあるいは安全委員会とか、学校当局とよく相談をいたしまして、あるいは簡単な人道橋のようなもので解決できないかといったようなことで話を進めておりますし、さらに検討を今後も進めて早く解決をしたいと思っております。  それからもう一つの場所でございますが、これは指宿線の南鹿児島と谷山の駅の間の場所であろうと思っております。ちょうどそこは国鉄と市電が並行しておりまして、市電の二軒茶屋という停留所があるわけでございます。ところがその場所には国鉄の踏切がございません。最近その線路の反対側の方に団地ができましたようで、市電に乗る方が線路を、踏切でないところを横断をするということが多いように伺っております。これも大変に危険な場所でございますし、そうかといって踏切が現在この近くにあるものですから、何とかそちらの方を通っていただくような手配がとれないかというようなことも含めて相談をいたしております。これが踏切を通ってもらうことができますと非常にありがたいわけでございますけれども、それも若干距離がありますので、この場所に何か設備ができるかどうか。こういうこともいま鹿児島市の方と打ち合わせをしておるところでございます。  いずれにいたしましても、新しく踏切をつくるとか、あるいは人道橋をつくるというようなことは、国鉄独自で計画していくものでございませんで、都市側と、道路の計画とか道路の整備というような面、相談をしながら進めていく必要がございますので、今後も都市側とよく協議をして進めて、早く何とか解決するようにいたしたいと思っております。
  209. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 第二乾燥場の第二踏切の問題が最初申し上げた問題でございますが、いまおっしゃったとおり、その近くにたしか街路事業でできるようになっておりますけれども、そうなりますと、そっちの方を通ってもらうということになると、そこを閉鎖をされるということになるんでしょうか。
  210. 村山熙

    説明員(村山熙君) 閉鎖をしますということは、やはりいずれにしましても国鉄独自でなくて、地元の方と、特に鹿児島市の方とよく打ち合わせをしまして同意を得た上で廃止をするということになると思いますが、基本的には、もう三十メーターか二十メーターのすぐ横にあります立体交差の地下道でございますし、しかもその地下道には二メートルぐらいの幅の歩道がつくわけでございますので、その歩道を歩いていただくのが一番安全な方策でございますから、できることならば第二乾燥場踏切を廃止をいたしまして、その地下道の方を通っていただけるようにしてもらえると大変結構ではないかと思っております。
  211. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 その廃止の方は地域住民が大変反対なわけで、直距離にするとちょっと三十メータぐらいありますけれども、やはり買い物に行く真っすぐな市道が通っておるわけでございますので、そこらあたりもひとつ現地にいろいろ御指示をしていただいて、事故の起こらない最良な方法を、ひとつ住民の要求もかなえてあげながら、所要の経費も要ることであろうかと思いますけれども、事故が起こらないということを主眼にしてひとつ前向きで善処していただきたいと要望を申し上げておきます。  最後に申し上げたいのは、行政管理庁の業務のうちで、行政監察業務についてお伺いをいたしたいと思います。  従来、行政管理庁の行っておられる行政監察については、政府の一機関である行政管理庁が、同じく政府の機関である各省庁などの業務運営について、いわば第三者的な立場から批判をして、是正改善の措置を求めるものでございまして、部外からの指摘にまつことなく、政府みずから行政運営の適正を図るための自己反省機能でございまして、監査結果に基づく勧告は、関係行政機関の業務運営の改善を求めるものではありますけれども、強制的な改善命令ではないと、このように説明をされておるようであります。いわば身内の中での問題処理機関であり、直接国民を相手としていないことから、とかくその業務について一般にはなじみが薄く、役割りについての評価も定着していないように思われるのでございますが、この点について行政管理庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  212. 荒舩清十郎

    ○国務大臣(荒舩清十郎君) いまお尋ねのありましたことでございますが、あながち国民関係の少ないというものでもないと思うんですが、たとえば従来やりました医薬品でございますが、広告だけはうまいこと書いてありまして、実際効くか効かないかというような問題等がかなりありまして、そういうものをやってみたこともございます。これは厚生大臣にその結果をよく話してありますが、かなり国民に対しては私は忠実にやったつもりでございます。  なお、続いて最近取り上げております自動販売機、これは非常に便利ではありますが、金を入れても物が出てこなかったというような非難もありますし、それからこれはたとえばうどんが出てくる、それに熱いおつゆがかかっている、こういうものは便利なようですが、もしそれが腐っておるとか、あるいは悪くなっているとかというような問題がないわけではございません。そういうようなものを、もし腐敗していたとかなんとかというような問題が起こったときに、一体国民はだれにその苦情を言っていくかというような問題。  それから最近は、私はまだよく見ておりませんが、いかがわしい、それこそ若い人に見てもらっちゃ困るような写真の入った雑誌とか、いろいろそういうようなものが出てくる。これは各商店でありますとなかなか恥ずかしくて買えないようなもの、だれも見てないんですから、金を入れれば出てくる。こういうような問題も取り上げてみたんですが、これはかなり効果があったと私は思っております。  それからなお、最近は欠陥のマンションです。これは広告はりっぱでありますけれども、欠陥の部分が非常に多い。雨が漏ってくるようなものもあればいろいろ中が傷んでいたというようなものもあります。そういうものを一つ取り上げてみたわけですが、順次これからいろいろなことをやってみたいと思います。  そんなふうで、あながち国民になじみがないというわけではございませんし、国民のために忠実に尽くしてみたいというようなことを考えております。
  213. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 よくがんばってやっていらっしゃることは月報なんかを見て承知はしておるわけでございますが、そこで監察をどのように実施するかということで、年度の監察業務運営方針を決めて、具体的な監察の計画を監察局の方でお決めになると思うんですが、そのときに、国民の声をどのように吸い上げてその監察計画をお立てになるのか。確かに行管の一つとして行政相談員制度というのがございますけれども、具体的な国民の声を吸い上げて監察計画にどのように反映をしているかということを、具体的な事例でひとつお答え願いたいと思います。
  214. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 行政監察はただいまの御意見のとおり、国民一般の福祉に即したことを公正な立場から監察していくということが非常に重要なことでございます。このために、計画立案に際して国政に対する国民の意見、要望等を十分配慮して検討すべきものと考えておりますが、テーマの選定をいたしますときに、総理府の方でやっております世論調査あるいは新聞の論調あるいはただいま先生御指摘のありました行政相談にあらわれた国民の声、こういったものを配慮しましてテーマを選定していくわけでございます。もちろん、その間各種の民間団体等の行政に対する諸指摘等、これらも参考にさせていただくわけでございます。たとえば来年度の監察業務運営方針並びに監察年度計画等を立てる際には、ただいまの話に上がっております国民生活に密着したものをやろうというので、一つの重要な柱にしております。以上のようなことで、監察計画立案のテーマ選定に特に留意しているつもりでございます。
  215. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この監察の結果の勧告をおやりになりますでしょう。改善命令という強制力がないというのは最初申し上げたとおりだと思いますが、そうなりますと、守ってくれるそういうような事実を指摘をして改善のそういう勧告をしても、命令でないからなかなか守ってくれないという隔靴掻痒の感を抱かれる、そういうこともままあろうかと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょう。
  216. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) われわれの勧告、もちろん強制力がないわけでございますが、各省に対する勧告につきましてはかなり細かな点も指摘しているわけでございます。  それで、かなり細かな点につきましては、各省庁かなり協力的だろうというふうに考えておりますが、以前の数字でございますけれども、四十七年ごろの数字を見ますと、大体勧告事項に対して約八〇%近い事項が改善されているというふうにわれわれの調査では出ております。その後、最近のことにつきましてははっきり数字的には把握しておりませんけれども、ただ、かなり基本的な点につきましては、諸種の事情が各省庁ともございまして、やはりなかなかこちらの勧告どおりにいかない面も諸種の事情であることもまた事実でございます。いま言ったようなことで、大体数字としましては八〇%近く改善されているというふうにわれわれは考えております。
  217. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 長官にお伺いをいたしますが、大体、監察の結果改善を要すると認められる点については相手機関の長に対して勧告を行って、勧告に基づいてとられた改善措置についての回答を求めることになっておるようでございますが、これらの勧告のうち重要なもののみ行政管理庁長官が閣議で報告されるという、こういうようなふうになっておるようでございますが、過去三年間、各年度ごとに閣議で報告をされるような重要な案件があったもんですか。
  218. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいまのお話しのここ三年間をとってみますと、閣議に直接報告したということはございません。ただ、われわれのやりました監察ないし調査につきましては、たとえば行政監理委員会の答申の中に盛られるとか、そういった形で報告されていることがございます。直接やっていることは過去三年間にはございません。それ以前には若干ございますけれども、過去三年間にはございません。
  219. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほど局長のお話を聞いておりますと、八〇%はよく従っていただいておるけれども、あと二〇%がなかなかというようなお話を聞きましたが、この二〇%も、あなた方が改善を勧告をされるということは確かに改善をする個所があるから勧告をされることでありまして、当然それに従うのが私は反省かと思うんですが、閣議に報告をされる、そういうような重要な案件もなかったというようなことでございますけれども、これを完璧を期するためには閣議だけではなくて、国会あたりにもそういう改善の内容等について報告をした方がいいんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  220. 荒舩清十郎

    ○国務大臣(荒舩清十郎君) ごもっともな御意見でございますが、まあこれは制度上は政府部内でやることでございますから、これを義務づけというわけにはいかないのですけれども内閣委員会あるいは決算委員会及び相手の省庁の所管の委員会等には書類で全部報告しておるわけでございます。
  221. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後でございますが、会計検査院との連携ということでお聞きしておきたいんですが、行政監察の方は身内の監査、会計検査院の方は憲法で定められた部外の検査というふうになっておりますが、おのおの別個であるというふうに月報等には言われておりますけれども、ここでそういうせっかくおやりになる監察がよりいい結果を及ぼすためには会計検査院との連携が私は大事じゃないかと思うんですが、そこらあたりいかがでしょうか。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕
  222. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいま御指摘のとおり、行政監察は政府部内の監察機構で、会計検査院は憲法上の規定に基づいて内閣から独立して行っているということで、その機能、目的等が若干違うわけでございます。しかしながら、行政の実施状況というものを見るわれわれの監察の立場からいきましても、会計経理上の調査も必要になる場合も多いわけでございます。そういうことにつきましては、そういう場合には監察の実施に当たって会計検査院の意見を聞き、またその会計検査院の資料を使わせていただき、またわれわれの調査結果というものを会計検査院の方に連絡するというようなことは従来もやっております。こういうやり方は非常に重要なことだと、私どもは考えております。
  223. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、私は同和対策事業に関連をいたしましてお尋ねをしたいと思います。  今国会では、政府は同特法の延長について、三月六日の衆議院の予算委員会では、総理の答弁で、「地方公共団体、関係者等の強い要望、同和対策協議会特別委員会の中間経過報告にかんがみまして、政府といたしましては、今後も、同和対策事業特別措置法の延長も含め、積極的に努力してまいる所存でございます。」ということで総理はお述べになっておられます。三月八日の参議院の予算委員会におきましては、稻村総務長官は、「政府としましては延長すべきものと考えておりますが、ただし、過去の経過もございますので、各政党間の意見を聞きまして、最終的な判断をいたしたい」とお述べになっておられます。  こういうことでございますから、今国会での総理並びに総務長官の御答弁から伺いまして、原則的には延長すべき態度であるというふうに理解を申し上げてよろしうございますか。
  224. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 衆議院の予算委員会で総理もお答えになられました。また、私もそれと同様の趣旨でお答えをいたしております。また、参議院の予算委員会におきましても、同和対策、同和対策事業、大変たくさん事業も取り残されておりますし、当然これは延長すべきである、ただし、この経緯からかんがみまして各政党間の意見を参考にしながら、むしろ尊重しながらまいりたい。この考え方にはいまも変わりはありません。
  225. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 またわが党もすでに昨年の十一月に、同和対策事業特別措置法の民主的改正と延長に関する日本共産党の提案というのをすでに発表いたしまして、その延長についての要求を申し上げております。これにつきましては、実は昨年の十一月に衆議院の内閣委員会におきましてわが党の柴田議員が質問をいたしまして、前藤田総務長官がわが党の提案に対しても、指摘された三つの不備な点と、それから第四点の延長を含む点の中でも、御意見がございましたので、これも十分検討いたしますと答弁をされておるのでございます。  まあ私はこういう今国会をずっと見ておりましても、また政府の御答弁等を伺っておりましても、また一方では全解連などを初めとする関係団体あるいは地方公共団体等がその延長について非常に強く要求をしてきているというふうなあたりを勘案いたしますと、延長すべきであるというふうな点についてはほぼコンセンサスが得られつつあるのではないかというふうに思いますが、その点の御見解はどうでしょう。
  226. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 同和対策事業特別措置法の延長についての問題でございますが、この問題については、それぞれの政党におかれましていろいろ検討が進められているわけでございますし、さらに今後におきましては政党の間での協議が行われるというように考えておるわけでございます。  先ほど総務長官も申し上げましたとおり、その進捗に期待しているわけでございますが、政府といたしましてはその政党の間の協議の結果を十分に尊重いたし、その合意についてもこれも十分に尊重いたしたいと考えているわけでございますが、まだこの段階におきまして合意に達しているという認識にはないわけでございます。
  227. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことになってきますと、延長すべきという問題の方向ではほぼコンセンサスは得られつつあるということだけれども、延長のあり方をどうするべきかということが問われているというふうにも思うわけですね。いまわが党は民主的改正をし延長という主張をしておらますし、また、強化延長というふうな論もありますし、改正延長という論もありますし、延長という論もあり、さまざまな主張の内容になっていると思います。政府はそれじゃこういう中でどういう延長のあり方をやろうとしているかと、考えているかというふうな点の御見解はいかがですか。これは長官にお伺いしたいと思います。
  228. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 長官の指名ですから、先に御答弁願って、後に、やってください。
  229. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘のとおりであります。  いろいろな強化をすべきである、あるいは強化すべきでないと、いろんな意見が各党の中にあるように承っております。そういう意味から、最初に申し上げましたように、各党の意見が合意に達するように、達せられるようにと大きな期待をかけておるわけであります。
  230. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 同和対策事業というのは、すでに同特法が制定をされましてことしでまる九年になるわけですが、国並びに地方公共団体から、合わせて約一兆円とも言われておりますがもっと多いのかもしれません、一兆円と言われておる同和対策費か投ぜられており、そしていわゆる目標とされていました生活環境の改善あるいは経済的地位の向上、それから教育条件の整備、そういった点で一定の成果を上げてきたというのも現実だと思うんです。また、一方、わが党が従来からたびたび指摘をしてきておりましたように、同特法を理由にして、いわゆる窓口一本化というふうなことに見られますような、同和事業が特定団体によって独占管理をされるとか、あるいは利権あさりをやられるというふうな実態、あるいは住民の中での行政上の不公正、こういうものが存在しているということも事実でございます。政府におかれましては、昭和四十八年の五月、関係各省の次官通達をお出しになって、公正な行政の執行を求めるという意味の次官通達をお出しになり、御指導になられました。私は、今日の時点で四十八年にそういう通達をお出しになられて、その後政府が期待をしておられるような公正な行政というのが確保されたとお考えになっておられるのかどうかその点をお伺いしたい。
  231. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 同和対策行政は、おっしゃるとおりそれぞれの地区の実情に即して行われるべきものでございますが、同時にまた、地区の住民をひとしく対象にして公平に実施されるべきであるということも当然でございます。この趣旨に基づきまして、これもお示しの昭和四十八年当時、関係各省の次官通知をもって各地方公共団体あてに示しているところでございますし、さらにこの通達の趣旨につきましては、その後も機会をとらえましてその趣旨の徹底を図っているところでございますし、その効果といたしましてはいわゆる不公平な行政の是正は図られているというふうに考えているところでございますが、なお最近の時点におきましても、たとえば個々の団体の御要請の場におきまして具体的な不公平が残っているという実例も示されていることも承知しておりますが、なお申し上げました趣旨にのっとりまして今後公平な行政の確保に一層努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  232. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まだ残っているということをお認めになっておられるようなんですが、若干具体的な事例を申し上げて、いまの時点での実態というものを少し御理解をいただきたいと思うんです。といいますのは、将来この同特法についての延長について、各方面での延長すべきという点でのいわゆるコンセンサスが進みつつあるというふうな段階でございますので、過去の八年ないし九年の実績をやはり十分に踏まえて将来の対策に資すべきだと思いますので、そういう点で実例を具体的に見ていきたいと思うんです。  私は大阪出身でございますので、大阪のことが非常に詳しくわかるわけですが、大阪におきますいわゆる同和対策事業の中での一つの重要な柱になっております同和地区住民の個人給付というところを見てみます。見てみますと、これは私が持っております資料というのは、大阪府下の市町村の個人給付一覧表なんですよ。これを見ますと、これはずいぶんたくさんの項目があります。  若干申し上げてみますと、生活保護対策としては、夏期手当に、大阪市の例を言いますと、世帯夏期手当一万一千円、年末手当一万二千円。それから身体障害者対策、一級、二級に対しては夏には一万七千円、冬には二万二千円。老人対策には、夏期手当として一万一千円、年末手当として一万四千円。それから結婚祝い金として七万五千円。妊産婦対策として分娩補助二十一万五千円、栄養補助として牛乳五十五円分――五十五円だそうですね。それから保育対策、入所支度金等が新入生が一万一千円、継続が九千円。就労対策は、就職支度金、国、府、市合わせて九万円、職業転換には、三十歳以上不安定就業者には実費。それから技能習得対策、普通一種、二種、これも実費、これは車の免許取得だと思います。大型一、二、特は、一、二は実費。小学校の入学進級支度金は世帯に対しては二万三千五百円、子供一人に対して九千五百円、就学奨励費は学用品一万八千円。中学生も、入学進級支度金が世帯に対して二万八千円、児童一人に対して一万八千円、就学奨励費は学用品二万四千円。高等学校の公私立入学支度金、これは公立八万五千円、私立二十二万五千円、修学金が公立十四万四千円、私立が二十九万四千円。大学は、公私立入学支度金が公立十六万円、私立三十三万円、修学金が公立二十一万六千円、私立三十九万六千円。  これ全部じゃありませんが、主なものを読み上げてみましても、こういうふうな細かい配慮がなされて、この費目の中には、国の補助のあるなしにかかわらず、これは地方団体が大変な努力をして細かく個人給付というのがやられて、手厚く住民に対して対処してきているわけです。私は、ここに問題があるんではなくて、こういう行政上の配慮というのが、これらの個人給付というのが、いわゆる窓口一本化と言われるやり方のために、地区住民、いわゆる同和地区住民全体に対してそれが行き渡っていないという点に非常に問題があると思うわけでございます。  これはもうすでに何回か各委員会等で取り上げられておりますので、詳しく私申し上げるつもりはないんですけれども、そういった窓口一本化と言われている実例というのは一体どんなことになっているかということを知っていただくために、ほんの一、二例を出してみたいと思いますけれども、たとえば大阪市の同和地区妊産婦対策費というのがあるんです。これは大阪市と府の補助金でやっている事業ですが、これを見てみますと、大阪市のいわゆる支給要綱を見てみますと、受給資格というのは大阪市同促協会長及び地区協議会長が適当と認めて推薦した者だけがもらえるということになっているわけです。で、その決定がなされたら、今度は逆に大阪市から大阪市同促協を通してさらに地区協議会長のところへ通して、それから本人に金が渡されると、こういうふうになっているわけです。  ところが、これがそういうルートであってもみんなに行き渡っているんならよろしいんですけれども、これは非常にはっきりしている実例なんで、実例を申し上げてみますと、藤原暁代さんという方がおるんですが、この方は、せっかくこういういい制度がつくられているのにその制度の恩恵を受けられなかった。で、どういうことになっておるかといいますと、この藤原さんというのが昭和四十七年の二月に、妊産婦対策の個人給付を受けたいと思って申請書を福祉事務所へもらいに行ったわけですね。ところが、福祉事務所へ行ったら、申請書はこんなところに置いてないと、その書類というのは――これは大阪市浪速区ですからね、浪速の地区協を通じてやることになっているので、浪速の地区協へ行ってもらってくれというふうに言われた。当時――当時というのは昭和四十七年ごろですね。当時は浪速のいわゆる地区協議会は、部落解放同盟の浪速支部と同じ事務所であったのでそこへ行った。それで、妊産婦個人給付を受けるというためには、実は部落解放同盟浪速支部の下部組織である妊産婦の会に入ってその方針に従うようにしてほしい、そして解放同盟の動員には産前産後十一回以上参加しないとこれはやらないんだと、こういうふうに言われたので、こんなことをやられたら大変だと思ってその日は帰った。しかし、そういうせっかくの制度を何とか利用したいと思って、大阪市から、申請書を市会議員の方に頼んでもらって書いて提出をした。提出をしたけれども受け取ってもらえなかった、大阪市当局から。そこで、何回か交渉に大阪市の民生局へ行った。本庁の交渉も何回もやった。ところが受け取ってもらえない。それはその同促協と同促協の下部組織である地区協議会を通してやっているんだということで大阪市は受け取ってくれなかった。非常におかしいんですね。地方団体だのに、そういう特定団体というんですか、任意団体にそういうものを――特殊法人になっているんですかね、同促協というのは。そういうところへ任しておるんだということで一切受け付けもしないということで、大分本庁では粘って交渉をしたらしいんですが、ずいぶんおなかも大きくなっていて、藤原さんは本庁交渉をした晩に早産の徴候が出てきて、帝王切開をした結果双子の未熟児が生まれた。  ところが、どうしても子供が生まれる前に折衝していたけれども受け取ってもらえない。生まれてから以後も折衝しても受け取ってもらえない。それで、しようがないので、藤原さんはやむなく四十七年の十一月に、こんなおかしいことはないじゃないかと、いわゆる分娩費の経費全額の二十一万五千円、それから栄養費、養生費などを含めて、双子の場合には一万五千円加算するので四万五千円、それから牛乳代、牛乳として一日二本ずつ半年間というふうな行政的な措置があるのにこれが受けられないということではおかしいじゃないかということで、幾ら折衝してもだめなので、四十七年の十一月に訴訟を起こしておられるわけです。いまだに解決をしていない。ですから、四十八年に事務次官通達をお出しになって改善方を要請をされているけれども、いまだに解決してないから裁判がいまだに続いている。近く判決の予定になっておるようでございます。こういう事態があるということを御承知いただきたい。こういう事例というのはどの個人給付にもそういうふうになっているわけです。  さらにもう一つ、四十八年にせっかく政府が事務次官通達をお出しになって、この分については公正を期すようにと言われているのだけれども、なかなか言うことを聞かないんですね。  これは国の補助金が出ておる、補助対象になっているもので、高等学校生徒奨学費支給要綱というのを見てみますと、これも同じなんで詳しく申し上げませんが、ただ問題は、この支給要綱を見ますと、制定は昭和四十六年三月二十九日になっているんですよ。それで総理府からは事務次官通達を四十八年五月十七日にお出しになっている、そういうことはやめなさいと言って。ところが、これ改正をしているんですね。昭和五十二年四月一日付で若干の改正をしているんですが、やっぱり中身は一緒なんです、中身は。だから奨学金を受けるのも、これ奨学金は先ほど申し上げた例の中にあるんですが、五十二年度では国公立が一万二千円ですね。そのうちの国の補助金が七千円。私立は二万四千五百円のうち国の補助金は一万円というふうになっているんですが、これもやっぱりそのいわゆる地区協の会長の判を押してもらう人だけしかもらえないということになって、同じ部落住民の皆さん方がせっかくの行政の恩恵に浴せないわけでございます。こういうやり方がやられておりますために、次から次とやはり新しい事態が出てくるし、腐敗を生んでぐるわけです。  もう一つの事例をやっぱり申し上げたいと思いますけれども、これは国庫補助金が交付されている事例で同和対策特別事業費があるんですね。これがおもしろいことに、同和対策特別保育事業として、保育所に新規に入所する児童に被服を貸与する措置がとられている。国からは一人三千円、五十三年度は予算案では三千五百円、地方団体に補助をしているようになっておりますが、これは間違いありませんか、厚生省。
  233. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) そのとおりでございます。
  234. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この措置というのは、被服の貸与を目的とすべきであると思うんですけれども、これ親に現金を支給するというものではないと思うんですけれどもね、この制度。これは親に現金を支給してもよろしいんですか、どっちですか。
  235. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) ただいま御指摘ございましたように、この制度はたてまえが児童に対しまして被服等を貸与することをたてまえとしている制度でございます。ただ、被服等は御承知のように消粍品などでございますので、実質的にはその支給に近いような実態もあろうかとは思いますが、この補助事業のたてまえは貸与という形をとっております。
  236. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ところが大阪市の場合は、この服装整備費という名目で現金が支給されている。  ちょっと資料がありますからその資料によって事実を申し上げますと、大阪市立加島第一、加島第二保育所から保護者にあてて、服装整備費の連絡文書というのが出ている。どう書いてあるかというと、これは部落解放同盟加島支部教育対策部長南田啓一、同和保育を守る会会長橋本信子の名前で会員各位に、「遊び着の購入について(お知らせ)」「昨年より大阪府連の方針で」――大阪府連というのは部落解放同盟大阪府連ですね、「大阪府連の方針で、仕事保障の一環として、日之出作業場の遊び着二枚を服装整備費の中より買いましたが、今年度は一枚になりました。」「二枚注文したい方は、一枚は強制ですので、申し込用紙には一枚と記入してください。」というふうに書いてある。これを見ますと、いわゆる部落解放同盟加島支部と同和保育を守る会というのは、「遊び着の購入について」というお知らせを見ますと、大体その服装費というものをこの団体が自由にしているということですね。去年は二枚買いましたけれども、ことしは一枚になりましたというて書いてある。  それから、これちょっとおかしいと思うんですね。こういう公金を、一つはこういう団体が勝手に運営管理をするというふうな自由裁量のやり方というのは、こんなことがまかり通っていいんだろうかという問題が一つあります。  時間の関係がありますので急ぎますが、もう一つは、しかもよく見てみますと、受領明細書というのがあるんですね、これ。大阪市の場合は、先ほど申し上げたように、五十二年度は国費が三千円、府、市の負担金の上乗せで一人一万一千円支給している。ところが、服装整備費ということでの受領明細書を見ますと、その一万一千円から、解同支部が支部カンパとして支給額の五%の五百五十円、同和保育を守る会の支部が一〇%の千百円、これをピンはねをし、残りの九千三百五十円になりますと、こういう書いてあって、非常に細かくきれいに書いてある、あとでごらんに入れますが。そうしてその残りの九千三百五十円から、ショートパンツ代や遊び着代、これを差っ引きまして、残りの五千三百七十円を児童の保護者に支給、渡している、こういうやり方になっていますね。  委員長、ちょっとこれ現物見てもらうと非常にようわかりますので、長官に差し上げてくださいますか。ちょっとごらんいただくといいと思うんです。  それで、こういうことになっているんですね。これは実に明確になっているんですが、こんなことになっているということは厚生省御存じですか。
  237. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) この制度の地域におきます具体的な実施の方法等につきましてはいろいろあろうかとも存じますが、ただいまの御指摘のような状況につきましては私ども承知いたしておりません。
  238. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 知らない。  それで、こういう一万一千円からカンパを引いて、その後遊び着などを差し引いて五千三百七十円、これを親に渡すというふうなやり方というのはこれは行政上妥当でしょうか。私は補助金の他目的使用の問題に触れるんではないかというふうに思いますが、これはどうです。先に会計検査院の御見解を聞きましょうか。
  239. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 先生ただいまの御指摘の事実につきましては、事実関係を私どもまだ掌握しておりませんけれども、この補助金が、物品を購入してこれを貸すんだと、その物品を購入するための購入代金に対する補助金であると承知しておりますので、その補助金の趣旨から申しますと、事業主体である、この場合市当局になろうかと思いますが、市当局が直接自分で物を購入して貸与するという形でない使い方というのは、結果的には保護者の段階でそれに相当する物を購入するということに恐らくなりましょうから、実質的には大差ないかもしれませんけれども、形としては、やはり補助金交付の趣旨から言って好ましくない姿ではないかと、このように考えます。
  240. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 行政管理庁の御意見をお伺いしたいんですけれども、私、後でまとめて長官には御見解伺いたいと思いますので、もう一、二点申し上げたいと思っているんです。  まあいずれにしてもそういう特定の民間団体あるいは特定団体がその補助金の運用を勝手にやっている、去年は二枚買うてことしは一枚になりましたというようなことを公然と言っているんだから。そういうやり方。それから五千三百七十円という現金を父母に渡しているということ。それから支給額の一五%を他団体のカンパとして頭からちゃんと削っておるというやり方。こういうのはやっぱり補助金の他目的使用の項目に触れると思うんですよ。この点はぜひ会計検査院としても調査をしてもらいたい、どうですか。
  241. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) ただいま先生御指摘のような点につきましても、私ども厚生省関係の検査をする課が一つございますが、人間も余りおりませんし、たとえば大阪なら大阪というところに行きました場合に、検査する項目が多種多様にございますので、どの程度の勢力を投入できるかという点についてはある程度の制約、これはやむを得ないと思いますが、その制約の範囲内におきまして御趣旨のような点につきましても検査をしてみたいと、このように考えております。
  242. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 話が小さいからですか。私は話が小さくても、やっぱり法に反することについてはきちんと、やっぱり疑問が出れば、疑いが出れば調査をして、公正に正していくという態度を会計検査院はとっていただかないと困ると思うのですね。これは先月の十五日にもお願いを申し上げておりますので、その調査事項と一緒にやっていただけませんか。
  243. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 大阪の方に実地検査に参りましたときに、先生御指摘の点につきまして検査をいたします。
  244. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、最後に行管庁の長官にお聞きをしたいので、もう一つ、具体的な事例で長官に御理解をいただきたいと思いますので、かいつまんで申し上げます。  それは、実は先月の十五日に当委員会で私やはり質問をさせていただいたのですが、これも保育所関係の問題なんです。ごくわかりやすいように申し上げたいと思うんですけれども、大阪市では同和保育所というのはいま二十九カ所ございます。その二十九カ所の保育所というのが、十五カ所が国の補助金が出ているわけです。そこでは、二十九カ所の定数を合わせて千百三十七人分空き定数になっておる、これは大阪市の調査でございます。そういう状況になって、一方では、一般市民の方は約九千人の待機児童がおられます。  そういうふうに大ざっぱに大阪市全体を申し上げるとわかりにくいので、一番端的にわかりやすい例として、大阪市浪速区――これは人口約六万人の行政区です。その浪速区の中の栄小学校という小学校区、ここが一つの集約的な姿になりますので、この例をとってみますと、ここは、その小学校区というのは六千六百八十二人がその校区に住む人口です。ですから、この栄小学校というのは一年から六年まで合わせまして生徒は五百三十六人、この小学校区にいま保育所が六カ所あります。で、五十二年度、新たに七カ所目の保育所を建設をするというわけで、厚生省はすでにこれは補助金を決定されましたか、ちょっと。
  245. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) 決定いたしました。
  246. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だから、七つできるということになるわけですね。現実はどうかといいますと、その浪速区の栄小学校区という六カ所の保育所の数でいま空き定数が百八十七人分あいている。さらに、今度認めましたとおっしゃった七つ目が百三十人分、百三十人分つくるんです。ですから、三百以上がまず余ってくるわけですね。だから、どないなことになるかというたら、ちょっとこれ長官に御理解いただくために地図をお見せしますが、これが一つの小学校区ですよ。丸をつけているのが全部保育所のある場所なんです。これが浪速第一、これが浪速第五、これは浪速第二、これは浪速第三、浪速第四、今度七つ目をつくるというのが第六で、ここに浪速乳児保育所というのがあるんです。ですから、これも一つずつの距離というたら二百メートル内外です。だって一つの小学校区ですからね。ここからここの小学校へ行くんだって六百メートルないですからね。百五十メートルか二百メートルぐらいずつに保育所ができているわけですね。  こういうふうなやり方というのは、私はいわゆる同特法の精神から言うてもそれはおかしいんじゃないか。同特法の精神から言えば、部落差別をなくし、一般地域との格差をなくしていくということが目標でしょう。それが片方、一般の住民は九千人も待機児童があって、保育所が足らぬと言うておるわけでしょう。ところが、ここの栄小学校区では、百八十七も空き定数があるのにまだ百三十の保育所をつくる、しかも、それを厚生省がお認めになったというのですから、こういうやり方というのが果たして公正な行政のあり方かどうかという点についてはきわめて重大な疑問がありますので、これは去る二月十五日の決算委員会で会計検査院にもこの問題を提起をいたしまして、本当に補助金を出して国が金を使っていった上で行政効果が上がっているのかどうかという点では非常に疑問があるのだから、調査をするべきだということで、これは会計検査院は御調査をいただくということになったわけでございます。  そこで、最後に行政管理庁長官にお伺いをしたいと思うんですけれども、私はごく限られた時間内で、わずかな例を用いまして、窓口一本化というやり方のいわゆる不公正な行政、あるいはその地区住民全体に均てんしないというふうな非常に不公正な、法のもとの平等という点で欠けるようなやられ方というふうなこと、あるいは保育所のつくり方一つを見ましても、行政機関がみずからの責任と判断で本当に行政を管理するという立場に立たないとこないなことになってくるのだという典型的な実例を私お示しをしたわけですが、こういうやり方というのは、いま私がごくわずかに例示をいたしました例をもちましても、いわゆる憲法十四条の、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」。ましていわんや、所属団体の違いなどにおいて差別をされるというようなことがあってはならないわけです。こういう点で、憲法十四条、あるいは地方自治法の十条の二項、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し」というのがこれが阻害をされている。もう一つは、地方自治体の行政の行為については、地方自治体が「自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務」、この地方自治法百三十八条の二ですか、こういう定めに違反するのではないかというふうに思うんです。行政管理庁は、行政の公平性、公共性、これを確保するために御調査をいただく考えがないかどうか、ひとつ長官の御見解を承りたいと思います。長官で結構ですわ。
  247. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 長官、ちょっと指示してください、あなたから指示してください。
  248. 荒舩清十郎

    ○国務大臣(荒舩清十郎君) 政府委員答弁させます。
  249. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) ただいまいろいろお話しのございました具体的な事実、ただいまお聞きしたばかりでございますけれども、本来、同和対策行政はそれぞれの地域の実情に応じて執行されるべきものだというふうに考えておるわけでございます。  御指摘のございました保育所の設置等につきましても、地方自治体における具体的な事業の執行そのものにつきましては、当該の地方自治体がそれぞれ地方自治のたてまえにのっとって行っているものと考えておるわけでございます。したがって、私どもの行政監察なり何なりは国の行政の改善を目的としております。あくまで国の機関が第一義的な関係を持つ対象でございますので、こういう行政につきましては、現在のところ対象として取り上げることは考えていないわけでございます。
  250. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはおかしいんでね。すでに四十八年の五月十七日に事務次官通達まで出して公正なやり方をしなさいという指導をしているじゃないですか。それがいまなお残っていて、具体的にこういうことが起こっていますよと具体例をそのためにお示しを申し上げて、それで当然監察するべきことではないかと。地方自治体が独自にやっているその裁量の範囲をやりなさいとは申し上げておりません。だから、国の補助金の対象になっておる分野、あるいは保育所の建設については、厚生省がちゃんと補助金をつけるというふうなやり方をしているという具体例、そういうものをお示し申し上げて、だから、当然行政管理庁としてはこれは監察をするべき条件があるではないか、対象になるではないかということを申し上げているのですよ。そんな話は通りませんで。それはあなた、長官のもとにおける局長、そんなのかっこうつかぬですわ、そんな話は。
  251. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 先生の御指摘意味はよく理解できますけれども、各省庁それぞれの行政に従って、その地方自治体の実情に即して、地方自治体と相談していろいろな事業を行っているわけでございまして、直ちに行政監察を行うべきものかどうかということは考えておらないわけでございます。
  252. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは長官ひとつお伺いしたいと思うのですが、いまの答弁、そんな話通りませんがな。私の質問に合う返事――なっとらぬですわ。私はくどくど申し上げたくはありませんけれども、そういう事態が起こっているということ、これは私が申し上げたんだから、まだあなたの方は御調査にならないと、事実あるのかどうかおわかりにならぬでしょうがな。わかりもせぬといて、地方自治体の独自性が云々では、こんなもの通りませんで。決算委員会ですよ。何を言うてるのですか。だから長官ね、いま私がお示しをした事実についてはおわかりにならないんだから、御調査をいただくということは当然でしょう。どうですか。――もう局長はよろしい。長官だけで結構です、時間がないですから。
  253. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 委員は長官とおっしゃっているのですよ。
  254. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大荒舩長官やってくださらないと困りますがな。
  255. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 沓脱委員、いいですか。
  256. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いやいや、ぐあい悪いですよ、時間がないんだから、長官にしてもらわないと。
  257. 荒舩清十郎

    ○国務大臣(荒舩清十郎君) お話しの件はよくわかりましたが、大体地方でそれぞれやっていることでございまして、行政管理庁といたしますと、いまお話を承っておると、保育所が六つできて、そうして百八十七人余っている、そこへもってきてまた一つつくるんだと、すると三百何人余るんだと、こういうようなお話を承ると、これはちょっとおかしいように思うのですが、いずれにいたしましても、御趣旨の点はよくわかりましたから、ひとつよく研究してみることにいたします。
  258. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 荒舩長官はもっとばっちりと御意見が出るかと思って御期待をしていたのですが、ひとつ検討して、監察の対象になるということであればやっていただきたいと思います。どうですか。
  259. 荒舩清十郎

    ○国務大臣(荒舩清十郎君) よく調査をいたしまして、私の方の役所の対象になるべき事柄でありますれば御趣旨のとおり調査をいたします。その前によく調べてみます。
  260. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう終わりますから――そこがもたもたするから要らぬ時間とられましてね。  最後に総理府長官に申し上げたいと思うのですけれども、いま冒頭にも申し上げましたけれども、同特法成立後九年を経過した今日、政府がその法の執行に当たって、法に決められた期限内に十分所期の目的を達成できなかったというふうな事態がやっぱり起こっておるのは、きわめて重大な責任問題、責任があると思うのですよ。  そういう点で、わが党はどうしてもこれは部落差別をなくし、基本的人権とそれから民主主義の確立を願うという国民の多くの要望にこたえて、実は昨年の十一月に、民主的改正、そして延長の提案というのをやったわけです。で、こういう具体的な事例を踏まえてやってきたわけですけれども、その具体的な内容というのは、長いものですからごく簡単に申し上げますが、一つは、法の目的が部落差別の解消にあることと、行政目標としては一般地区との格差を是正することなんだということをきちんと規定して、特別措置法の範囲というのをはっきりするべきだ。それが一つですよ。  二つ目は、国の行政的な責務を明確にして、大体、今度の一兆円と言われているのでも、国はろくに――三分の二補助すると言うておりながら、実際上二割あるなし。大阪あたりでは一〇%余りというふうな状況になっているのですから、国の責務を明確にして、国の主体的な義務をきちんと規定するということが大事です。  三つ目は、同和対策事業の管理、執行というのは行政機関の判断と責任に属することだ。また同和対策はすべての住民に均てんすることだ。  四つ目は国民の協力義務については行政の公平性、公共性、これを前提とするものだ。  五つ目は、少なくとも内閣には同和対策推進協議会を設置して、国の補助事業の指定だとか、その他法の執行に関して内閣に勧告する権限を持たせるようなものを考えるべきだ。  六つ目は、法の延長期間は有限にするべきだ。こんなものは無限に続じたらならぬです。できるだけ早くこういう部落差別というふうなものはなくさなければならないのですから、これは法の延長期限というものは有限にするというふうなことが大事だというのがわが党の見解です。  長官にお聞きしたいのは、こういうわが党の提案を勘案して、延長すべきということについての対策を立てておられるようですが、お考えになられるかどうかというのをお聞きして終わりたいと思います。
  261. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 先ほども申し上げましたように、政府といたしましては延長すべきである。そこで、大変いろいろ具体的な実例が挙げられまして、そういったことをも含めて取り組んでまいりたいと、こういうふうに考えております。
  262. 三治重信

    ○三治重信君 私は調査、情報の関係をちょっとお伺いしたいと思っております。  四十六年のニクソン・ショックや、それから四十八年のオイルショック以後、日本のそれまでの高度成長時代のように国際環境が非常に恵まれておらず、大変な問題が起きている。それをいわゆる一部の人は外圧と言う。私は国際情勢の変化、これに対して日本が、いままで国際情勢の変化というものについて全然、ほとんど考慮しなくても、国内の政策よろしきを得れば高度成長ができたと、こういうことであったとながめているわけなんですが、それで、やはり国際情勢の急激な変化ということになり、また今後も、いま現にそのことで苦しんでいるとなると、政府として国際情勢の動きに対して、政策決定に常に前もってこの世界の情勢の変化を政策の前提としてやっていかないと、いままでのように、国内情勢の変化や内閣の予算、各省の法案だけで国の政策をやっていっても、外国の変化によって国内政策というものが非常に曲げられる、また目的を達し得ない、こういう情勢になってきている。こういう基本的な認識のもとに、国際関係の動きについての情報収集というものが、こういう四十六、七年以降変わった姿勢で行われているかどうか。  また、内閣官房長官として、内閣は、いわゆる内閣としていろいろ政策決定する場合に、国際情勢というものの変化というものを変数関係に入れて政策の審議をするようになってきているのかどうか。そういう基本的な動きについて御報告をお願いしたいと思います。
  263. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 内閣としては、重要な政策等を決定をいたしますその責任があるわけでございますが、政策決定に至るに当たりましては、やはり国際的な情報をしっかり把握しなければならない。もちろん、外務省を初めとして、各省の情報収集力もあるわけでありますが、内閣としては、御案内のように内閣調査室というものを置きまして、そしてそうした国際情勢その他の情報を収集をして、この収集に基づいて決定の重要な参考に資しておると、こういうことでありまして、これまで内閣としていろいろと政策問題を討議しあるいは決定するに当たりましては、そうした各省、あるいはまた内閣調査室等の情報収集がそれにあずかって大きな力をなしてきたことは事実でありますし、今後ともそういう方向で、情報収集は特に大事でございますから、われわれとしても、情報収集に当たっては機能を強化するために力を尽くしてまいりたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  264. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、この情報の収集という問題は、やはりまず第一に、各省が行われていると思いますし、それからそれを内閣調査室としては各省からお聞きするとともに独自の調査もあるいは行われているし、一番重要なのは、私は、そういういろいろの情報に対して、政策決定の前段として、その情報についてのいわゆる分析、情報の価値を一通り整理するといいますか、政策決定の参考になるように情報の価値を整理することにあると思うんです。それが内閣調査室の非常に大きな任務ではないかと思うんですが、現在いわゆる情報の整理、価値判断、一つの国策を決定する前に、国際情勢なり、国内情勢というものについて総合的にこういう情勢が一つ前提として考えられなければならぬという、そういう情報の整理、分析というものは内閣調査室として私は重要な機能だと思うんですが、そういうことのいわゆるゼネラルスタッフですね、そういうことに携わっている方は何人ぐらいでやっておられますか。
  265. 下稻葉耕吉

    政府委員(下稻葉耕吉君) お尋ねの点でございまするが、現在、内閣調査室の体制は、室長以下総務部門、国内部門、それから国際部門、経済部門は国内外の経済問題になるわけでございますが、経済部門、資料部門、五部門でございまして、内閣調査官その他の職員を含めまして百十名の体制でやっておるわけでございます。
  266. 三治重信

    ○三治重信君 いや、その全体ではなくて、いまぼくの申し上げたのは、そういう政策決定の最終段階の情報の価値を数項目に決めるというのですか、情勢判断の資料としてまとめるようなゼネラルスタッフ的なことをやっておられる人、いろいろ各省からの情報を最終的に官房長官に上げられる、官房長官、副長官と直結といいますか、調査室長が直接その下に持ついわゆるゼネラルスタッフというものが何人ぐらいおられるか。
  267. 下稻葉耕吉

    政府委員(下稻葉耕吉君) それぞれの部門を担当いたしておるわけでございまするが、通じまして約二十名でございます。
  268. 三治重信

    ○三治重信君 百十名の中で二十名ということでございますが、私は、やはり、この各部門について、相当の多数のスタッフと言いますか、情勢判断と言いますか、価値判断についてできる人たちがいないと、情報というものは幾ら集まってもそれが利用すべきときに利用できない体制になろうかと思います。  そこで、そういう問題について、もう一つは、私は最近、日本のドルショック以降、またオイルショックにおいても、また今度の円高攻勢においても、私は、日本がこういう政策をする、いわゆるドルの売り込みをすると日本がどういうふうに対応するだろうかとか、石油の値上げに対して日本の経済はどういうふうに変化するだろうかというふうな分析を結構相手方は相当した上で、いろいろなことを、いわゆる一部の人が言われる外圧的な行動がとられるだろうと思う。そういうことに対して、私は、むしろ諸外国が、主要な国が、日本の経済情勢なり、政治情勢なり、社会情勢というものを、相当情報収集なり、その結果によって日本に対する価値判断を情報として持っていると思う。これを、やはり内閣調査室は、日本の情勢をアメリカなり、ソ連なり、ECなりというものが日本に対してどう思っているか、こういうものについてのいわゆる情報というものがやはり非常に重要だと思う。これは軍事情報の分析からいくと非常にはっきりするわけなんですね。こちらは外国のいわゆる予想敵国なり、日本を取り巻く軍事情勢というものの分析ばかり幾らやっていても、相手がどう出るかということがわからなければ戦争にならぬわけなんですね。これは、やはりこれからは日本も、いろいろ先ほどの情報収集の体制、また世界の情勢の動きを見るのに非常に重要だからそれに対して意を用いると同時に、それもそれだけで済む、またその中に入ると言えばそれまでかもしれませんけれども、やはり日本に対してどういうふうな価値評価をそれぞれしているか、日本をどういうふうに相手側が見て、それで日本に対する対策なりいろいろな政策をやってくるか、こういうことを十分知らなければいけない。こういうことについてのいわゆる調査項目と言いますか、日本がいろいろな国策をやる場合に、こういうことについてアメリカはどう考えているか、ソ連はどう考えているか、ECはどう考えているか、国際機関はそういうものに対してどう評価するであろうか、こういう情報を事前に収集をし、それに対する評価というものが整理されている、またそちらの方にも意を用いられているかどうか。
  269. 下稻葉耕吉

    政府委員(下稻葉耕吉君) 御指摘の点でございまするが、先ほど官房長官からもこの点答弁がございましたように、関係省庁からそういうふうな事項につきましていろいろ情報をいただくのもございます。それから私どもも、できるだけ御指摘のございましたような点につきまして独自に努力もいたしております。それからまた、そういうふうな専門の方々あるいは国際情勢に詳しい方々等につきましていろいろ話を伺いまして判断の資料とすることもございます。あるいはまた、国際的にいろいろな資料等がたくさん出ております。そういうふうなものを総合的に判断いたしまして、それぞれの事項につきまして間違いのない情報収集と、それに基づく判断をいたすように努力いたしているところでございます。
  270. 三治重信

    ○三治重信君 時間が余りないので、官房長官、意見の方を先に申し上げますが、私は、いま内閣が一番苦しんでいるのは、世界情勢が、今度の円高攻勢においても、それから貿易関係においても、どうなっていくのか、先がなかなか見えないで、対策のおくれが相当あるんじゃないかと思うんです。それに加えて、私は先日の、何と申しますか、原子炉衛星や、国民の非常にはっとするような世界情勢の動きの変化を存外国民が一般的に知らないのは――人工衛星の原子炉がどうのこうのというのは知らぬでもそれはまあ大したことはないということでいいわけなんですけれども、やはり政治の中枢にあり、国の将来を考える内閣の中枢としては、そういう一般に知られないものも、主要な国際間の情報は知る体制をとってほしいと思うんです。  そしてから、何といっても日本が――これはどなたでも同じことだと思うんですけれども、今後日本が孤立化されないための、いわゆる生き延びる対策をどうして常に考えていくか、こういうことが私は国家政策として必要じゃないかと。積極政策ばかりもさることながら、世界がこう動いたならば日本はどういう対応をしていかないと生き延びられないかと。  先日も――これは農林大臣に質問すべきことかもわかりませんが、一つの例をとると、NHKという半公的な機関でやったが、食糧が一切輸入がとだえたと。その前提は、何にもやらぬで日本食糧がとだえたらば日本はどう対応すべきか、果たしてどういう努力をした結果どうなるか、こういうぐあいになると三千万人は餓死せざるを得ないとか、一つの単純な前提条件を置くと単純な結論が出るわけですね。そういうふうなことを各部面で、内閣は、地震の場合においては――地震の場合は国内的なんですけれども食糧難というものはそういうことであるし、日本が戦争せぬでも、世界の激変が起こるならば日本はどう対応すべきか、こういうような一つ日本の将来生き延びる条件に対して、基本的にそういういろいろの仮定を設けて、条件が急変をした場合の対応策というものを私は持つべきだと思うんです。  戦後、私が一番感じているのは、やはり日米戦争が始まると同時にもうアメリカは、戦後の記録を見ると、日米戦争終了後の対策委員会をもうやり始めていたというのが記録に残っている。まず先進国のほとんどが、一つの事件が起きると、もうそれと同時にその終末、それが終結するのがどういう条件で終結するか、その終結した後の対策をもう企画する体制をとっている。こういうのは、やはり情報を、いろいろな前提を設けて情報や資料を集めて整理していくため政策の参考資料というものが行われていることだと思うんです。日本も、その場その場で、起きてからいろいろ情報を収集したり対策を立てるということでなくして、内閣調査室というものは、何も、いろいろの何と申しますかハプニングを予想して、それに対してどうのこうのという小説じみたことをやる余裕はないことは承知していますけれども、基本的な国民の生存条件というものの激変に対して、またそういう変化に対しての対策というものも、いろいろのそういうことに対してどういう情報なり対策を準備をしていくか、こういうことについて、私は情報関係調査というものに対して非常に重要な機能を今後内閣として持たなければいけないと。もちろんアメリカのCIAやソ連のKGBのようなことまでやれというわけではないけれども日本の国力、軍備を持たない日本としては、こういうものと、またやはり世界に先がけた新しい、少し変わった立場と申しますか、新しい立場で十分この情報関係やいろいろの日本の将来を、政策以前の問題として対策をとっていただきたいと思うんですが、御意見を伺いたいと思います。
  271. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) これからの内閣の施策を進める上におきまして、やはり情報の収集、それからこれが正確な分析というものは、私は最も必要なことではないかと思うわけであります。そういう中にあって、先ほどからお話がありましたように、内閣には調査室があるわけでございますが、調査室長が申し上げましたように、現在百十人という非常に少ない人数のもとに限られた予算の中で、政治、経済、外交、社会、あらゆる問題についての分析、調査を行っておるわけでございます。私はそうした限られた予算と人員ではありますけれども、非常に熱心に、有能なスタッフを集めて勉強をいたしておると。そして、これは官房長官がその情報等の報告を受けまして、総理大臣に報告をし、そして内閣の重要政策の決定に当たっては大きな重要な参考資料といたしておるわけで、私はそれなりの役割りは果たしておると思うわけでありますが、さらに、これから国際社会、非常に複雑になってくるわけでありますから、そうした情報収集、調査、分析というものについて、もっと積極的に取り組むような、この機構といいますか、姿勢というものを強化する必要があるんじゃないかということも感じておるわけであります。  同時にまた外国との関係でありますが、私は原子炉宇宙衛星の際に、アメリカの協力を得て、アメリカから通知を受けて初めて日本が知ったわけでありますが、こうしたやはり友好諸国から世界の問題についての正確な情報をいち早くキャッチする、これは日本のためにも必要であるわけでありますから、そういう面における外国との、友好諸国との協力関係、情報の協力関係というものは、これは積極的に進めていく必要があるということを痛感をいたしておるわけであります。  ただ、外国の情報機関との間に内閣調査室が関係があるわけではないわけでありまして、国内においては外国の調査機関等、情報機関等非常に活躍していることは事実のようでございますが、しかし、わが国内調という組織から見まして、そういう面については文献だとかあるいはその他の間接的な情報によって分析をしているというのが実態でありますけれども、しかし、全体的に見まして、もっと情報収集というものについて、政府として力を入れる、これはもう内調というだけの問題じゃなくて、各省を挙げて情報の収集には力を入れるということは、これからの正確な行政あるいは施策を進める上においては、欠くことのできない問題であろうということを痛感をし、これがためには、ひとつこれからもできるだけの力は尽くしていくべきであると思うわけであります。
  272. 三治重信

    ○三治重信君 どうもありがとうございました。  じゃ、次に、私は定年制の問題、公務員の定年制の問題をちょっとお伺いしたいと思います。  先日も地方財政計画の本会議のところで質問をしたんですけれども、私は雇用問題が非常にいま民間では大変な問題になろうとしております。それから、民間の方はいわゆる失業問題。ところが政府の方は、そういう特別の人員の削減とかいうようなことを計画しておられぬわけですから、そういう方面からではなくして、日本の人口の老齢化とともに、雇用の場においてもいわゆる高齢化社会を構成していくわけですから、それに対してやはり公務員の勤務またはこういう定年制の問題、共済組合、退職金、こういうもののあらゆる意味においてやはり民間との対比の問題それから勤務の外形、中身の問題というものが官民比較でいろいろ問題にされることだと思うわけなんです。  そして日本の雇用問題、それから働く人たちの労働条件というものは、明治政府の初めには非常に画期的な進歩的な対策をとったわけなんですが、いまはそういうふうな民間に、公務員の勤務条件や雇用条件、労働時間の、何といいますか、模範を示すと、おれたち国家の公務員の労働条件を見てそれに見習ったらどうかと、こういうような姿勢は示すべきではなくして、むしろやはり民間の雇用、労働条件、労働基準の状態を見て、それに劣らないと申しますか、均衡をとった対応策をとっていく必要があろうかと思うんです。  そういうことで、特にその問題に、雇用問題から見ると、ひとつ定年制の問題をぜひ検討すべきではないかというふうに思うわけです。これは、一つは天下りの問題早くから天下りをするという問題、それから、やはり公務員に生涯雇用を保障するにしても、やはりこの定年に対して、いまのところ各省並びに地方各自治体とも非常にアンバランスな対応策がとられて、しかもそこにいろいろな対策をとると物すごく金を要して、金で解決をしている。だんだん金で解決している。それが退職金の非常な加算、加算という対策に一部なりつつあるように思われるわけですが、それとともに、これはひとつ共済年金の方で非常に大きな問題にされておりますが、したがって、民間の方では五十五年定年で六十年厚生年金の支給、公務員の方は五十五歳支給で勤務定年は無放任、こういうのに対する調整をやはりぜひ――内閣総理府並びに人事局をつくったときには、公務員のいろいろな制度を積極的に検討し、内閣が人事院だけでなくして、内閣がやはりそういう人事管理、人事制度というものについて、積極的にいわゆる雇用者としてその立場をやっていくと、こういう思想で内閣人事局というのは発足したと思うのですが、そういうものに対する姿勢をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  273. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 国家公務員の定年制につきましては、昨年の十一月二十三日、これを導入することに閣議の決定をいたしました。そこで、大変御指摘の民間事情との問題、社会情勢の問題、経済情勢の問題等もございますが、それもございますが、やはり職員の身分の保障に関係するところの重大な問題でもございますので、人事院というこのたてまえを尊重するという、こういう意味から、私は今年度の二月の三日、書簡をもって人事院に対して見解を求めたところであります。
  274. 今村久明

    政府委員(今村久明君) お答えいたします。  定年制の問題につきましては、人事院といたしましても、かねてから高齢職員が非常にふえておるものですから、重要な問題であるという認識をもちまして調査、研究してきたわけでございます。先般、総理府の方から検討依頼がまいりましたので、私どもといたしましては、この問題が職員身分保障にかかわる重要な問題でございますし、また各省庁の退職官吏の実情というものの中にいろいろな問題点がございます。端的に申し上げますと、四十八歳層をピークとした非常に職員層の多い、つまり戦後採用の大量採用がいまだんだん高齢化に差しかかっておるという状況がございまして、これが大変頭の痛い人事管理上の問題でございますけれども、そうしたものとの関連の問題もございますし、それから先ほど先生から御指摘がございましたが、民間との関係、官民のバランスの問題というような指摘もございますし、それからまた、最近急速に高齢化しつつある日本の社会のこれからの高齢者雇用のあり方、あるいはその福祉のあり方、こういうものともかかわり合ってまいりますので、かなり長期的な展望を持ちながら、きめの細かい検討をしたいというふうに考えております。
  275. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は初めに、沖繩県の交通方法変更に関連して質問いたします。  対策要綱が示されてあと、大分、県民の不安、不満が鎮静しかけたようなこのごろでありますが、そこで、稻村長官は、この前、閣議決定後に記者会見をなすって、その席上で、国会の日時を見た上で現地の準備状況を視察し、陣頭指揮をとる、こういうお気持ちを語っておられますが、それはいつごろお行きになる御予定ですか。
  276. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 先生も御承知のように、いろんな問題が、解決をされなければならない問題がたくさん積み重なっておる、こういうように私は受けとめております。そういう意味から就任直後すぐ参ったわけでありますが、その後いろんな国会の事情で行っておりませんが、できるならばこの次、その次の二週ですね、八、九、十ということになりますかな、これもやはり国会関係がありますから、いまここでそういうふうに御質問をちょうだいいたしましたので申し上げたわけでございますが、これもやはり国会関係がございまして、国会のお許しがいただけるならば八、九、十と現地に参りたい、こういうふうに考えております。
  277. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひその御計画は万難を排してと申し上げたいんですが、おいでいただきたい。といいますのは、やっぱり対策要綱によってある程度路線はわかりましたが、不明確な、不明朗な点が多々ございまして、その問題に対する解明をどうしても現地ではっきりさしてもらいたいという強い要望がございますので、それを要望いたしたい。  そこで、この前予算委員会において、建設大臣が七・三〇に向けての道路面の進捗状況についてとうとうと述べておられましたが、直轄事業は九一・六%、それから県の分が七四・一%、市町村分が二七%、この市町村分が大変おくれておる、こう述べておられましたが、市町村分がおくれておる理由はどのように理解しておられますか、開発庁。
  278. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) お答えいたします。  先生ただいま御指摘のように、国分につきましては本年の三月二十日現在で約九割の進捗率、それから県分で約八割、それに対しまして市町村分が約三割五分の進捗状況になってございます。これは道路の施設の整備状況でございます。これにつきましては、主として那覇、浦添等大都市におきまして、主として現在用地の取得に精力を傾けておる、こういうような段階でございまして、そのために用地の取得が終わらないというところから契約に持ち込めないというような形になってございます。ただ、那覇市、浦添市等におきまして、それぞれプロジェクトチーム等をつくりましていま用地の折衝に全力を挙げておる、こういうふうに私どもは聞いてございますので、それによりまして今後急速に進展を見るというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  279. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま用地買収が難渋しておる、こういうお話であります。そのとおりでありまして、いま市町村段階で一番問題を多く抱えて困っておるのは那覇市であります。その那覇市が土地買収にもどうにもならないでおる。だから、ほかは九九%解決してもあとの一%がひっかかるために、結局七・三〇は予定どおり移行することができない、こういうその一%が問題になるということを、ただ一般論でパーセントがここまでいったから大丈夫という物の考え方では必ず行き詰まりが来ます。  それじゃなぜ那覇で地主が非常に困っておるかというと、いままでの道路計画、つぶれ地ですね、つぶれ地で敷地が大分取られておる、これがまだ補償されておらない。今度は交通変更によってさらに敷地が侵食されてくる。そのもとのつぶれ地と新しいつぶれ地の買い上げは国は責任を持ってやるのか、この保証がなされない限り絶対に土地は譲らぬというのが行き詰まりの理由なんですがね。これはいわゆるもとのつぶれ地と変更による新しいつぶれ地、この地代は国に一切補償してもらうという、この取り決めがなければ絶対に譲らぬ、こういうことが那覇市における地主の土地を譲らぬという行き詰まり問題。買収がひっかかっておるというのはそれなんですが、それをどのように考えておられますか。
  280. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) お答えいたします。  市町村道のつぶれ地の問題につきましては、現在その実態を調査をいたしておるところでございまして、政府としましてはその調査の結果を待って慎重かつ早急に処理方針を決めてまいりたい、このように考えておるところでございます。したがいまして、御指摘のようなつぶれ地の買収をいま直ちに行うとかあるいは約束をするというようなことはただいまのところできない状況にあるわけでございますけれども、交通方法の変更に伴います交差点改良等の用地買収に当たりましては実際問題として支障となる部分もございますが、そういった部分につきましては、個別の事情に応じて事業の実施に支障のないように関係機関ともその取り扱いについて十分協議をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  281. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 要するにつぶれ地問題、ずっといままでも要請、要望の強い全体のつぶれ地の問題については、いわゆる一級、二級ありますね、市町村道の。その全体を十分の十というのが県民要求ですが、その全体の問題は別にして、いまのところ、交通変更に伴う土地については十分の十国が補償する、いまの段階ではそういうことなんですね。どうですか、これ。
  282. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 再度のお尋ねでございますが、先ほども申しましたように、交通方法の変更に伴いましてそのための交差点改良等に係る用地の買収には支障とならないように関係省庁と十分に協議をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  283. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 だから、それずばりおっしゃってくださいよ。結局それに関する限りにおいては十分の十国が責任を持つということなんでしょう。どうですか。
  284. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) これ長い間なじまれたその交通変更、国の施策で行うわけでありますから、交通変更に伴うその場所については、県民の負担をも、また各市町村、県に対しましても負担をさせない、国がすべてをこれを実施をする、こういうふうにお答えをしておきます。
  285. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまはっきりいたしました。そうおっしゃればいいんですよ。  そこで、落ちこぼれの、まだ要綱では不明確な問題点について詰めていきたいと思いますが、まずこの要綱から言いまして、営業上著しく影響を受ける者への損失補償ですね、この損失補償がどうなるかということに対して非常に重大な関心を持っております。それに対して長官が、この前の予算委員会では、まあケース・バイ・ケースで検討する、こうおっしゃっておられましたが、そのケース・バイ・ケースというのをもう少し具体的にひとつ述べていただきたいんですが、どういうことなんですか。
  286. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) まあ右から左に変更するわけでありますから、これは利害得失――こういう表現が果たしていいのかどうかわかりませんが、まあ得をする人も必ずないとは言えないと思います。しかしながら変わるわけでございますから、損をする人も必ずこれは数多くあるわけです。そういう意味から、これはいろいろなケースが生まれてくると思いますので、私はこの前の予算委員会でも御質問に答えたわけでございますが、きょうもやはり利害得失という、こういう観点から、やはりケース・バイ・ケースで、これはやはりまじめに真剣に対処してまいりたいと、こういうふうにお答えをいたします。
  287. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの御意図もよくわかりましたが、私が念を押しておきたいことは、結局損得もいろいろあるでしょう。ところが問題は、そのような事態がなぜ起こったかということは、結局それを変更しなければ、まあ現状のまま――県民要求は、もう三十三年も定着しておりますから、そのままでいきたいというのが本当の気持ちなんです。改めるなら本土を改めてもらいたいと、沖繩に。それを、法律上そうはいかぬから、一本化するということで結局沖繩を変更しなければいけなくなった。だからこれは、県民のいささかの意思もこれには加わっておらない。結局、国の施策によってそれをまた変更させられるわけだ。そこから起こったところの損失でありますから、これは一文たりとも県民に経済的な不利益を与えてはいけないと、こう思うわけなんです。それは十分お認めになるでしょうな、長官。
  288. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 先ほども申し上げましたように、このことによって起きる利害得失と、こういったものは必ずあるわけでございますから、いまここで、もう全体を含めてその補償という、こういう問題にはお答えをしかねる。ただし、先ほど来、冒頭で申し上げましたように、国の施策で長い間なじまれたそれを変更するわけでございますから、温かい気持ちで、もうできるだけケース・バイ・ケースで対処してまいりたいと、こういうふうにお答えをしておきます。
  289. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでよかったんだと、県民が、変更してよかったんだと。変更して損した、困った、そうするんじゃなかったと、いささかもそういう答えが出ないように、ひとつ温かいお気持ちで最善の配慮をお願いしたいと、これ当然のことだと思いますが。  そこで次に、特別事業の実施について。何十年にわたるその定着した、それも国のまた施策によって変わるんだから、ぜひひとつ、のしをつけて、プラスアルファをしてというお気持ちも添えて、特別事業というのをぜひひとつ全面的に受け入れてやろうと、こういうことで、三つの特別事業の要求がございますがね、もう具体的には御存じと思いますので。それもぜひ、根強い県民要求でありますので、これにもこたえていただきたい、十分にこたえていただきたい。いかがですか。
  290. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 三項目でありますが、これは道路問題については、可能なところからどんどん進めてまいりたい。その他、交通安全教育センター、それから医療救急センター等々の問題も県から提案をされております。まあそういう意味から、これ各省にまたがる点もございますので、各省と連絡の上に、県からまとめ上がってまいった要望でございますから、先ほどの御指摘のとおり、この大事業にふさわしい記念事業としてこれは当然実行すべきである、これはなし遂げるべきである、こういうかたい決意でおることを申し上げておきたいと思います。
  291. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それもひとつ最善の御配慮をお願いいたします。  次に、スクールゾーンの標識。まあ問題は小さいと言えば小さいですけれども、スクールゾーンの標識は従来関係市町村でやっておりますが、それを移設しなければいけない。この移設の費用、これは全額、国で当然持ってもらわなければいけないと、こういうことなんですが、これどうでしょうか。
  292. 三島孟

    政府委員(三島孟君) お答え申し上げます。  御質問のスクールゾーン標識の移設の問題につきましては、交通方法変更に伴う安全対策の一環といたしまして、実質上支障を生ずることのないように、関係省庁で対策を講ずることにしております。
  293. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これもひとつよろしくお願いします。  次に、厚生省。精神薄弱児、肢体不自由児の通園バスですね。これについて、実情は単価八百万円、八百万円を一応基礎単価にしてもらわなければいけないのに、この案によりますと三百万円が基礎単価になっておると。その三百万円の二分の一補助ということになれば百五十万円、これでは大変だということなんですが、この基礎単価の三百万円は依然としてこの三百万円で押し切られるつもりなんですか、どうですか。
  294. 佐藤良正

    説明員(佐藤良正君) 御指摘の精神薄弱者通園施設のバスが交通方法の変更に伴いまして特に改造しなきゃいかぬということで、三台ほどの御要望がございます。で、いま御指摘のとおり、現行、通園施設でございますと大体三十人から四十人の対象児童を通学させるということで、金額三百万円というような運用をいたしておりますが、御指摘の施設につきましては、それぞれ百人から九十人というようなことでございまして、また、いまのその基準というのは特別承認ということでございますので、耐用年数の経過あるいはその交通変更に伴うということで必要な額につきまして十分配慮してまいりたいと、こう思っております。
  295. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 長官、いまの問題ですね、どうせ窓口は長官のところになりますから、最終的には。いまのこの通園バスの基礎単価の問題ですね。いま、十分まあ配慮される用意はあられるようですから、ぜひこれもひとつ県民要求にこたえていただきたいと、強く要望いたしておきます。  次に、私立保育園と幼稚園のスクールバスですね、この代替と改造補償。これも、そのままであれば――変更がなければそのままでいいわけですが、変更したために、これも現に使っておるわけなんですから、新しく自分で買えというわけには、そんな無慈悲なことはおっしゃらぬと思いますが、これに対するひとつまた補償もぜひ考えてほしいという強い要望が、あの後、この前要綱が示された後また参っておりまして、きょう改めて申し上げるわけでありますが、いかがですかな。
  296. 三島孟

    政府委員(三島孟君) ただいまの問題、実はいろいろむずかしい点があるわけでございますが、私どもといたしましても、関係省庁と協議いたしまして、その対策について検討してまいりたいというふうに考えております。
  297. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは、この問題につきましては、まあ念には念を押すつもりでこの前から申し上げておりますが、あと、落ちこぼれやまた心配することは、先ほど述べられましたように、長官みずから現地に乗り込んでいって陣頭指揮をなさると、こういうことを確約しておられるから、現地でひとつまた率直に要望を申し上げて問題を解決をするようにと、まあこういうふうに私も連絡をいたしておきますから、ひとつそのおつもりで、円満に解決をしていただくことを強く要望申し上げておきます。  次に、防衛施設庁。時間もありませんので、まずお尋ねしたい第一点は、本土の基地における米軍の演習あるいは施設の構築、その場合に、本土におきまして米軍演習による自然の破壊による損失あるいは農作物への被害あるいは民間施設への破壊、こういった損失があるのかないのか、まず第一点。あるとすれば、それはどのように対策を講じておられるか、補償しておられるか。そのことをまずお聞きしたい。
  298. 三條俊郎

    説明員(三條俊郎君) 本土におきましても、米軍の施設建設に伴うもの、または演習等に伴いまして周辺に損害を生ずるということはございます。そういう場合につきましては、防衛施設庁におきます各補償要綱、補償基準がございますが、それに伴いまして適正な補償を講じております。
  299. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃその適当の補償をしておると、こういういまお答えですから、そういう抽象的なことでは私は問題になりませんので、ひとつ戦後、今日まで本土において基地から受けるところの自然破壊あるいは補償、その県名、年月日、その一覧の資料をぜひいただきたいと思いますが、いかがですか。
  300. 三條俊郎

    説明員(三條俊郎君) その問題につきましては、後刻先生のところへ御説明に上がりたいと思います。
  301. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ちょっと、いま、何ですか。
  302. 三條俊郎

    説明員(三條俊郎君) 調査いたしまして、作成の上、先生のところへ御説明に上がりたいと思います。
  303. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ、私としては一日も早くという気持ちはありますが、あるいは調査の関係で時日がかかるということであればまた連絡してください。  それで、次にもう一つお聞きしたいことは、米軍基地内における自然をアメリカの自由の意思によってどんなにでも変形、形を改めて、いわゆる軍事基地のためにその基地内は彼らがどんなことをしても、勝手な意思で、自由な意思でそこを変形さしても、つくり変えても、あるいは改めてもいいんですか、よくないんですか。
  304. 三條俊郎

    説明員(三條俊郎君) 米軍が施設区域におきまして、その管理権によりまして、その必要とする施設もしくは物を建設するということにつきましては管理権に基づいてできることであろうかと思います。しかしながら、地位協定によりまして、周辺に迷惑のかからないようにという制約は当然あろうかと思います。
  305. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大事な、いかに安保地位協定といえども歯どめがございますね。その面についても、きょうは触れません、私は具体的に。いまおっしゃったことを前提にして、沖繩では歯どめどころか、それこそ自由自在、わがまま勝手、やりたいほうだい、こういう形で沖繩の自然も破壊し尽くされている。この破壊した自然がこれですよ。見てください。こんなことが許されていいものかと言っているわけです。  そこで、結論。これは戦車道工事による環境破壊の一面でありますが、被害状況を県が調査した。立ち木、基地内における何十年と大事に育てた立木三万五千百三十六本、金額にして九十三万七千円。それから、植えかえ復元のための造林四・二四ヘクタール。どうしても造林、植えかえ、植生復元しなければいけない。これが九十五万四千円。それから、切り取り面の崩壊防止のために、この山の面を勝手気ままに切り取ったために、その跡を防止するために植物の種子吹きつけ、これが一万五千六百平米、二百九十八万円。それから、土砂流出防止のための土どめ工事二百五十三メーター、十七万八千円。それから、二次災害防止のための堤防六基四千八百万円……
  306. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 簡潔にお願いします。
  307. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その他百九十三万七千円。こういう補償要求がなされておりますが、これは十分に補償される意思があるかどうか、また調査されたかどうか。  それだけではありません。宜野座村の潟原ダム、川田ダム、松田第一ダム、松田第二ダム、宜野座ダムと名護市の許田ダムが赤土流入による水源汚染六カ所、そしてこの水源汚染のために学校の給食をストップしておりますよ、水が使えないということで。それから、プールに導入する水が一週間……
  308. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 喜屋武先生、時間ですから簡単にしてください。
  309. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一週間ストップしておる。学校生活にも市民生活にもこういう被害が及んでおる。この事実をどのように処理しようとしておられるか、そのことを具体的に、もし取り組んでおられるならそれをお聞きして、時間が来ましたのでまた後日に譲りたいと思います。  どうも失礼しました。
  310. 三條俊郎

    説明員(三條俊郎君) 先生のお尋ねの、まず県有林の立木の補償でございますが、これにつきましては、昨年の六月、沖繩県より補償の要求がございまして、現在現地の那覇防衛施設局におきまして現地調査を終わりまして、現在県と具体的の補償金額等について折衝中でございます。  それから、次の土どめ工事、その他水が濁ったとかといったふうな問題につきましては、戦車道のこれによる被害が判明いたしましてからは、直ちに当庁といたしましては、被害防止軽減措置につきまして、地元に御迷惑のかからないように県並びに地元と協議いたしまして、米側に対しまして適切な措置をとるように申し入れ、米軍もこれに応じまして、直ちに土どめ、土砂の除却でございますとか、被害防止等の工事に着手し、現在実施中でございます。なお、米側の措置とは別に、防衛施設庁におきましても急速ろ過装置の設置、その他障害防止工事につきまして、関係者と協議いたしまして現在鋭意実施中でございます。一部完成したものも幾つかございます。
  311. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようですから、内閣総理府のうち、総理府本府、行政管理庁及び沖繩開発庁と、それに関係する沖繩振興開発金融公庫決算につきましてはこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会      ―――――・―――――