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1978-03-17 第84回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月十七日(金曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  二月二十八日     辞任         補欠選任      降矢 敬雄君     岩崎 純三君  三月六日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     青島 幸男君  三月十一日     辞任         補欠選任      藤井 丙午君     岩上 二郎君  三月十四日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     相沢 武彦君  三月十六日     辞任         補欠選任      宮之原貞光君     小山 一平君      相沢 武彦君     黒柳  明君      青島 幸男君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 斎藤 十朗君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 岩上 二郎君                 岩崎 純三君                 増岡 康治君                 寺田 熊雄君                 丸谷 金保君                 小山 一平君                 和泉 照雄君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 野末 陳平君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君    政府委員        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君        運輸省港湾局長  大久保喜市君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        建設大臣官房会        計課長      加瀬 正蔵君        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        環境庁自然保護        局保護管理課長  中島 良吾君        法務省民事局第        三課長      清水  湛君        林野庁林政部管        理課長      渡辺 信作君        建設省河川局水        政課長      安仁屋政彦君        建設省道路局路        政課長      山本 重三君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道理        事        田口 通夫君        日本国有鉄道理        事        高橋 浩二君        日本国有鉄道理        事        尾関 雅則君    参考人        日本道路公団理        事        吉田 喜市君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る二月二十八日、降矢敬雄君が委員辞任され、その補欠として岩崎純三君が選任されました。  また、三月十一日、藤井丙午君が委員辞任され、その補欠として岩上二郎君が選任されました。  また、三月十六日、宮之原貞光君が委員辞任され、その補欠として小山一平君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) この際、委員長より御報告いたします。  去る二月二十七日の委員会において、委員長から環境庁当局に対し、環境影響評価法案に関する二月二十五日付の新聞報道内容及びその経緯等について、早急に調査の上、当委員会報告するよう求めましたところ、過日、環境庁金子官房長よりこれに対する報告がございましたので、その内容について、便宜、委員長から委員会に御報告いたします。    環境影響評価法案に関する新聞報道につい   て   一、環境影響評価法案、いわゆるアセスメント法案については、当庁が原案を作成し、現在政府部内において、十をこえる省庁間で鋭意調整に努めているところであり、このような作業段階において当庁として内容を公表した事実はない。   二、二月二十四日時事通信ファックス・ニュースによって「法案内容」なるものが報道され、その翌朝各紙が一斉にこれと同様の報道を行ったが、当庁としては、その情報源が那辺にあったのか承知していない。   三、このような事態は、きわめて遺憾であり、今後このようなことがないよう万全の注意を払ってまいりたい。   (注) 報道された「法案内容」なるものは、政府部内調整の一局面においてあったものであり、当庁の最終案ではない。  以上でございます。     —————————————
  4. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省と、それに関係する日本国有鉄道決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 小山一平

    小山一平君 私は、関西電力黒部川第四発電所通称黒発電所建設に伴うさまざまな問題がございます。これらに対する関係省庁許認可事務、また行政指導等について質問をさしていただきます。  まず最初に、林野庁お尋ねいたしたいと思いますが、それは国有林野管理運営にかかわる認識と基本的な方針についてでありますが、私は、国有林野はもとより国民の財産でございまして、国有林野管理運営は、その国有林野が存在する地域住民福祉にできるだけ貢献するということが当然の姿勢であろうと思うわけでありますが、憲法あるいは民法は、それぞれ、私権は公共福祉に従うと規定しておりますし、財産権内容は、公共福祉に適合するよう法律で定めるとも規定をいたしております。したがって、公益優先財産権全般を通ずる基本的原則であろう。したがって、国有林野貸し付けもこの原則に基づくべきだと思いますが、この基本的な考え方はいかがですか。
  8. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) お答えいたします。  国有林管理につきましては、ただいま先生おっしゃいましたとおり、国有林野法に基づきまして、公共、公用、それから公益事業優先になっております。そのほかに、土地収用法収用対象事業、それから放牧とか採草の用、それから地元の振興、福祉というものに役立つように利用しております。
  9. 小山一平

    小山一平君 もっともな方針であろうと思います。  次に、国有林野貸し付けは、おおむね貸付期間を三年とか二年とか短い期間を定めて、期限が満了したときには改めて貸付申請をさせ、契約更新させておりますね。その理由はどういうことですか。
  10. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 貸付契約につきましては、先生指摘のように、二年ないし三年ということで契約しておりますが、一般私法で言いますと非常に短い期間をやっておりますが、その理由といたしましては、社会情勢が変化いたしますので、たとえば貸付料等につきまして事情が変更した場合に、余り長い契約でございますと変更しにくいというような理由でやっております。
  11. 小山一平

    小山一平君 それも理由の一つであろうと思いますが、私はこのような取り扱いは、その期限内において借り受け人が許可条件を遵守したかどうか、また、引き続いて許可を与えることが適当であるのかどうか、また、期限満了のときに他にも出願者があった場合に、いずれに許可を与えることが適当であるかどうか、そういうことを検討し、貸し付けに遺憾なきを期する。これが期間を二年、三年と短く規定している重要な条件じゃないですか。
  12. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 貸付期間を区切っていることにつきましては、ただいま申し上げましたように、一般の民間の賃貸借事例でございますともっと長いわけでございますが、私どもの方は賃貸借契約というものを期間を区切ってやっております。ただ、これが一般的な私法体系と比べましてどうかということは問題があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、いま先生がおっしゃいました事項も入っておりますが、事情が変更いたしますので、その期間、様子を見るという意味で二、三年の期間を決めております。
  13. 小山一平

    小山一平君 もう少しそのところをはっきりしていただきたいと思うんですがね。私の指摘したのは、貸付期間中に借り受け人が借り受けた条件を正しく守っているかどうなのか、こういうことも検討されなければならないでしょう。そしてまた、いろんな条件の変化によって引き続き許可を与えることが適当であるかどうかと、それも検討することも重要な要素じゃないですか。そうして、当然期限満了時点において他にも申請者があった場合には、さてどちらに許可を与えるかということを検討することも、この期限を短く切って慎重を期するという重要な要件である。このことをはっきり言いなさいよ。
  14. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 許可条件を遵守するかどうかという問題につきましては、許可条件を遵守しない場合には契約期間中であっても契約解除という手段がございます。  それから、契約更新に当たりまして、当該貸し付け用途に供されておる事業が満了したり、そうした場合には当然次期の更新はいたしません。  それから、新しい申請者が出てまいりましたときには、すでに供されておる用途、それとの調整を図っていただきまして、こちらの方で更新について判断しております。
  15. 小山一平

    小山一平君 私の指摘した三点について確認をいただきました。  それから、県道市町村道、これは広く公衆の通行の用に供するものであることは当然でございますが、国有林野道路用地として貸し付ける場合には、最も公共性の高いこれら道路使用が優先的に取り扱われるべきものと思いますが、いかがですか。
  16. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 道路用地として国有林野使用する場合は公共性が非常に高いことは先生のおっしゃるとおりでございます。
  17. 小山一平

    小山一平君 世紀の大事業と言われました関西電力による有名な黒四ダムを含む黒四電源開発事業はすでに完成をいたしました。発電事業は円滑に運営されているのでありますが、関西電力がこの電源開発事業のために資材輸送用道路として国有地を借りてあけたいわゆる大町トンネル、このトンネルをめぐって、いま富山県、長野県、そしてさらには両県にかかわる多くの市町村関西電力の間で、対立抗争と言えばちょっとオーバーかもしれませんが、対立関係をますます深めております。これは運輸大臣も御承知のことと思いますが、そもそも立山黒部アルペンルート、これは大変複雑でございますので、わかりやすくそこに図面をつくって参考にお配りをしてございますが、これは富山市と長野大町市を結ぶ山岳観光ルートとして脚光を浴びて、登山、スキー、観光等々年々利用者が増加をいたしました。いま年百二十万を超えると言われておりますが、このルート管理経営が非常に複雑なのであります。富山市から立山中腹室堂までは富山県の県道及び県の道路公社による有料道路でございます。また、長野側大町から扇沢までは長野県の県道及び企業局による有料道路であります。さらに室堂から扇沢の間のうち、室堂から黒部ダムまでの間が富山県、長野県両県を初め関係市町村の出資を含む立山黒部貫光株式会社公共的企業体、いわゆる第三セクターによって、トンネルバス、ロープウエー、ケーブルが運行され残りの部分、扇沢からダムサイトまでが関西電力資材輸送用道路としてあけた大町トンネルとなっているのであります。  こういう大変複雑な状況になっておりまして、長野県、富山県、両県並びにその関係市町村は、これらの複雑な交通体系公共的に一元化をいたしたい、こういうことで、かねがね熱心な運動と努力が払われております。長野県議会は、「長野富山基幹ルート公共性の確保に関する意見書」、こういうものを議決をいたしておりますし、富山県議会も、「立山黒部アルペンルート一元化に関する決議」というのもいたしております。さらに、富山県、長野県、両県議会が相協力いたしまして、アルペンルート一元化推進議員協議会をつくっております。さらに、国会におきましても、富山県並びに長野県の関係地域の衆参両議員が、与党、野党一体となって、アルペンルート一元化推進議員連盟なるものをつくって、何とか地域要望、要請にこたえたいといたしております。この会長は長野県選出の増田代議士でございます。  このように、それぞれこのルート公共的一元化ということを熱心に進めている、これは私は最も望ましい交通体系を求めるということだと思いますが、こういう考え方というものは建設省はどう評価いたしますか。
  18. 山本重三

    説明員山本重三君) ただいま先生指摘要望等については、私どもも十分承知いたしておりますが、現在地方鉄道の施設として運用されておりますものにつきまして……
  19. 小山一平

    小山一平君 そんなことを聞いていないんだよ。一元化がいいか悪いかということを聞いているんだよ。
  20. 山本重三

    説明員山本重三君) 地元公共団体としてこういった道路の路線を設定するという要望がございますれば、これに対してわれわれも対処いたしたいと思いますが、現実の問題として……
  21. 小山一平

    小山一平君 そんなこと聞いてないよ、よけいなことを言わぬでもいい。
  22. 山本重三

    説明員山本重三君) 現実の問題としていろいろ具体的な問題があるようでございますので、私どもといたしましては、地元における調整を十分踏まえた上で検討したいと、かように考えております。
  23. 小山一平

    小山一平君 次には、林野庁国有林野貸し付けが完全に行われているのでありますが、この契約大町営林署並びに富山営林署、この二つになっております。それはこのトンネルがちょうど真ん中で片方長野県、片方富山県となっているからであります。  そこで、この貸付条件昭和三十一年八月八日の承認した貸付条件によれば、「借受人が設置した道路は」、工事が完了したときですよ、「その現況のまま返地し、権利の主張をしない」、こう書いてありますが、間違いありませんか。
  24. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) ただいま先生がおっしゃいました、富山営林署大町営林署が、大町関西電力使用しておりますトンネルの敷地について使用しているわけでございます。で、条件につきましては、先生がいま申されました条件について私どもの方では完全に把握しておりませんが、契約の当時、当時の契約では厚生大臣自然公園法の方の規制がございましたので、それを受けて条件がついておるというのは承知いたしております。
  25. 小山一平

    小山一平君 無責任なことを言っちゃいけませんよ。きょうは私がこのことについての質問をするので責任ある答弁ができる人を出してもらいたい、強く要請してきたにもかかわらず、最も重要な貸付承認条件をよく承知をしていない、そんなばかなことはないじゃありませんか。ちゃんとここに、私の手元にあるんですよ。間違いないでしょう。
  26. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 答弁できないの。いまから電話して呼びなさい、答弁できる人。
  27. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) ちょっといま手元に資料がございますので、ちょっと……。
  28. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質問通告してあるんだろう。それをちゃんと調べてこなければだめじゃないか、そんなこと。
  29. 小山一平

    小山一平君 書いてあるんだよ、ここにちゃんと。
  30. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 先生のおっしゃいましたとおりでございます。
  31. 小山一平

    小山一平君 さらに、富山営林署貸付契約の中に、「この契約が終了するとき、林野に附属された工作物を撤去し、跡地整理を行い、甲(富山営林署)の指示ならびに行政庁許認可条件に従って原状回復を行うこと」、同じく第二十六項には、「この工事用貸付または使用の認可は、将来において、乙(関西電力)が新規工事その他のため借受使用せんとする場合の前提となるものではない」、こう規定しているが、間違いありませんか。
  32. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 間違いございません。
  33. 小山一平

    小山一平君 いま重要な二、三の貸付条件について確認をしていただきました。  林野庁、また運輸省その他少しお尋ねをしたところでさらに続けてお聞きをしてまいりたいと思いますが、運輸省は、この問題の関電大町トンネル内を通行するトロリーバス事業許可いたしていま営業が行われておりますが、これはどのような法規に基づいたものでございますか。
  34. 住田正二

    政府委員住田正二君) このトロリーバス事業免許地方鉄道法に基づいて行われたものでございます。
  35. 小山一平

    小山一平君 大町トンネルは黒四発電所建設のための工事用道路としてつくられたはずでありますし、いまもなおそう規定しているはずですね。これを一般道路とは規定していないはずですが、観光客を乗せて料金をとっている根拠はどこによるものでありますか。
  36. 住田正二

    政府委員住田正二君) ただいま申し上げましたように、地方鉄道法に基づいて免許いたしているわけでございます。その地方鉄道法免許するということは、一般公衆一般旅客を輸送するという前提免許をいたしておるわけでございますので、免許を受ければそういうような事業適法にやり得るということでございます。
  37. 小山一平

    小山一平君 それから、関西電力がこの事業兼業をしていきたい、こういうことの理由として、自然公園法による許可条件として、当時の厚生省、いまは環境庁にかわっておりますが、「工事用として建設される道路工事竣工後は公衆利用に供する」こと、こういう条件が付されておりますが、これだけの理由によってトロリーバス免許を与えたんですか。
  38. 住田正二

    政府委員住田正二君) 地方鉄道法免許というのは、別にいまお話がございました厚生省あるいは環境庁条件によるものではなくて、このトンネル利用して観光客——まあ観光客が大半だと思いますけれども、そういう方々の利便考え免許をいたしたものでございます。
  39. 小山一平

    小山一平君 また運輸省にもお尋ねしますが、次には通産省お尋ねいたしたいと思います。  この大きな電源開発というものは、まあ電源開発に限りませんが、巨大開発を行う場合には、少なくとも地域社会あるいは地方自治体との間で、その開発事業お互い共存といいますか、お互い利益利便が分かち合えるような、その開発開発した企業利益にとどまらずに地域社会にとっても自治体にとってもそのことが大変有益に機能すると、こういうことが私は望ましい開発のあり方だと考えます。通産省はどうお考えですか。
  40. 服部典徳

    政府委員服部典徳君) ただいま先生お話しのございました、電源開発に当たりまして地元社会に溶け込むと申しますか、共存共栄と申しますか、そういった線で電源開発考えるべきであるという御説はそのとおりだと思います。
  41. 小山一平

    小山一平君 そこで、このトロリーバス事業関電通産省兼業承認を得て兼業によって経営をいたしているわけです。これは大変私は不自然なことだと思うんですね。電力会社というのは電力事業に専念をし、それ以外の事業利益を獲得するなどということは考える必要がないし、考えることは邪道である、こういうために私はこの兼業というものが規制をされているんだと思いますが、そうじゃありませんか。
  42. 服部典徳

    政府委員服部典徳君) 電気事業兼業お尋ねでございますが、現在では電気事業法の十二条で兼業許可規定がございます。当時は三十八年五月、トロリーバス兼業許可でございます。当時は、旧公益事業令三十四条とほぼ同じ趣旨の条文があるわけでございますが、許可に当たって考慮すべき事項といたしましては、やはり電気事業適確な遂行に支障がない、支障を及ぼすおそれがないことということが条件になって許可が行われておるということでございます。
  43. 小山一平

    小山一平君 これは当然のことでございますが、ですから、電力会社は、たとえばこうした運輸事業などで利益を上げて、その利益によって電力料金を安くしようなどということを考える必要はないわけですね。
  44. 服部典徳

    政府委員服部典徳君) 御説のとおりでございます。
  45. 小山一平

    小山一平君 次には環境庁にお聞きしますが、いらっしゃいますか。——環境庁、当時の厚生省が、国立公園内に発電所建設をして、その工事のために道路がつくられる、これを公共利用に供するようにと、こういう条件を付しております。恐らくこれは景観風致大衆に公開するようにという配慮だと思いますが、関西電力という大きな電力会社が、いま問題になっているようなトロリーバス事業などというものを兼業で行って、そして環境庁指摘をしているようなすばらしい景観風致大衆に公開する、これが関西電力という大きな電力資本によってそのことを行わせるということに、環境庁は何の不審も、あるいはおかしいとかという考えは持ちませんでしたか。
  46. 中島良吾

    説明員中島良吾君) お答えいたします。  条件で示されております公衆の用に供すること、この意味合いは、不特定多数の者に利用、開放しなさいという意味合いでございまして、その手段方法等については特段に定めていない条件でございます。そうしまして、環境庁といたしましては、このトロリーバス適法に、他の法律、たとえば地方鉄道法等免許を受けて、そして、ここにおいてそれ相応のチェックがなされた時点で実はこの関連の工作物設置許可をいたしているわけでございます。したがいまして、自然公園法趣旨から申しますと、この営業内容もしくは経営者等については特段に物が言えないといいますか、特定でき得ない性格の許可でございますので、他の法律によりまして適正な事業が行えるよう期待しているわけでございます。
  47. 小山一平

    小山一平君 そういたしますと、地方公共団体の意向に全く相反する形で、どの会社がどのような方法をもってしても、その目的が達成できればよろしい、環境保全が十分に行われ、しかもなお、大衆に公開できるという——まあ皆さんの方で権限をもってどうするということのできないことは私も十分承知いたしておりますが、しかし、望ましい形としては、同じ国立公園大衆公開にいたしましても、その手段というものが望ましい形で実施さるべきだという見解はあってしかるべきじゃないですか。
  48. 中島良吾

    説明員中島良吾君) お答えいたします。  当該大町トンネルは、排気ガス等の、何といいますか、排除の設備がございませんので、したがいまして、トロリーバスという形式の運輸機関が一番適当だというふうに考えていた次第でございます。  で、これを経営する者についての問題につきましては、一応ここで経営をする場合は当然に有料施設が入り込むことが一般的でございますので、まあだれが経営しようとも有料施設になるであろうということは当然に想定していたわけでございます。したがいまして、これの経営者を右するか左するかにつきましては、どちらが妥当であり、どちらが適当であろうかということにつきましては特定しない考え方を持っていた次第でございます。
  49. 小山一平

    小山一平君 それは当然環境庁がそんな権限外のことにまでいろいろ介入することのできないことは私もよく承知をしております。しかし、行政官庁として皆さんの望ましい事業が行われるに当たって、それは望ましい手段に基づくということがより必要だと、これぐらいの認識は基本的にはおありなんでしょう。
  50. 中島良吾

    説明員中島良吾君) 自然公園法では特段にそういうことを決めなければならない性格のものではございませんが、行政の中身と、いたしましては、当然に先生の御指摘の問題も考えていかなきゃならないわけでございます。で、最も望ましい輸送機関といたしましては、だれしもが歩いて通れ、なお、車が利用できるのであれば、どんな車も入り得るという方向が望ましいかと思いますが、先ほど申し上げましたように、車につきましては排気ガス問題が当然に出てまいりまして、これの除去問題がなかなかうまくいかないということで、バスの大量輸送になったということでございますし、そのバス自体も電気自動車ということでございますので、排気ガス問題にかかわりまして、一般の車が入り得る可能性というのはないという見きわめをいたしていたわけでございます。  で、歩く問題につきましては、一応これはトンネルの中に何といいますか、車が、もちろん電気自動車が走るわけでございまして、その危険等ございますので、ある程度のセーブはこれはやむを得ないというふうに考えていたわけでございます。
  51. 小山一平

    小山一平君 また林野庁お尋ねしますが、先ほど貸付条件確認をいただきました。関西電力はすでに事業は完了した、こうみずから確認をいたしているわけでありますが、どうして工事完了後においても貸付条件に基づいてその返還を求めるという措置をとっていないんですか。
  52. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 関西電力に対するトロリーバスの用に供されている土地につきましては、昭和三十九年に用途変更いたしまして、継続して現在に至っております。
  53. 小山一平

    小山一平君 しかし、先ほど私が確認した貸付条件は現在の契約の中にも明らかに規定されています。それから、そもそも——大臣もこれ認識をしておいていただきたいんですが、この黒四ダムが計画をされたとき、関係県といえば長野県と富山県でございますが、この電源開発の大事業によって工事用資材運搬道路として大町トンネルがあけられる。工事が終わればこうした使用許可条件によって当然国に返還される。そうしたらそれを地域で活用さしていただいて、電源開発事業関係自治体の地域開発とを両立させたい。そしてそういうことがもう暗黙のうちにお互いに認識されていたようであります。  しかし、いまとなってはその契約書がないではないかということになれば、そういう話はこれは道義的な、あるいは良識的な問題としてしかとらえられないのでありますが、ですから昭和三十三年、まだ工事が始まったばかりの時期において、長野県知事は林野庁に対して、この工事が完了して、やがて資材運搬用道路が国に返還されるであろうから、そのときにはぜひとも私ども地元にこれを払い下げてほしい、利用させてほしい、こういう要請書がすでに昭和三十三年の一月に出されているんです。そして両県が、昔長野県と富山県を結ぶ通路とすれば交通手段は何にもない。この自然のあの峻厳な山岳を縫って、あるいは自然の通路とか、あるいは魚塩の道とかと言われるように、魚だとか塩だとか、そういうものが長野県と富山県の間を行き来をしていたわけです。ところがこういう時代になりましたから、これをもっと近代的な交通手段をもって長野県と富山県をつなぎたい、これがもう地域にとっても自治体にとっても年来の悲願であったわけですね。そこで、この関電開発事業というものに賛意を表し、協力をし、そして長年の懸案である富山長野を通ずる一貫的な交通手段をつくり上げたい、こういう想定のもとに実は黒四ダムの建設が進められてきたわけです。  ところが、最初に申し上げたように、この間が大変複雑な交通手段によって経営をされている。特に両県並びに両県のかかわる第三セクターは別といたしましても、大町トンネル関電という独占企業にこれが占有されて、しかもこれが永久化されるのではないか、こういう、実は心配があるわけですね。そういたしますと、公共的に一元化を図ろうということが、そこに企業が間に介在をして、公共的一元化を永久に不可能にするおそれがある、これが地域にとって大変な問題なのであります。ですから、両県の知事はもとより、関係市町村長、議会、関係国会議員に至るまで、何とか地域の長年の希望を実現をさせたいといっていま取り組んでいるわけです。にもかかわらず、林野庁関電使用許可を出した。工事が終わったら返しなさい、将来にわたって権利は主張することは許しませんとしておきながら、これが既得権利のように認めて、今日まで大町市あるいは立山町等々から幾たびも、このトンネル部分の国有林野については関電ではもう御用済みなんだからわれわれの方へ使用をさしてほしい、こういう申請書を出しておりますが、全く木で鼻をくくったような回答文書でそれが認められない。こういうのが現状なのであります。  そこで、林野庁お尋ねしますが、さっきも申し上げたように、二年で期限を切っている。その貸し付け許可を受けている期限内はこれは当然です。これはもうその人の貸した期間は尊重されなくちゃなりませんけれども期限が満了になった時点においては、この両自治体の申請について木で鼻をくくったような形で却下をして、関電の既得権益を擁護するようなことは許されない、私はそう思うんです、どうですか。さっき三つのことを確認をしていただきました。それは、期限が切れたときには関電に継続して使用を認めることがいいのか、あるいはまたそれを熱望する地方自治体に使用を認めることがいいのか、謙虚に検討する機会としてこれをとらえる、当然のことだと思います。そういうふうに扱いますか。
  54. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) お答えいたします。  無軌条電車事業の用に供されております敷地につきましては、運輸大臣免許を受けて関西電力事業を行っておられるわけでございますが、契約期限が参りますと、その関西電力事業を完全に他の事業主体に使用させるということにつきましては、かなり高額の投資もされております事案でございますし、運輸大臣免許を現に受けておられるということを勘案いたしまして、当事者間で調整がつきましたら、私どもの方はそのつきました線で対処したいと、こういうふうに思っております。
  55. 小山一平

    小山一平君 何言っているんですか。使用許可を与える権限はあなたのところにあるんですよ。どちらを選択をするか、そんなことを何で当事者同士で話がつきますか。当然こうした契約条項などを検討をし、地域の実情を検討をし、最も適切妥当な方法がどこにあるか、みずから選ぶべきことでしょう。みずからの責任でやるべきことじゃないですか。そうじゃないですか。何で関電と地方自治体の容易に話のつくはずもないものに、話をつけて持ってきなさい。そんな主体性のない行政がどこにありますか。だめですよ、そんなことは。
  56. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) トロリーバスにつきましては、これは公益事業でございまして、私どもの方では関西電力が公益事業を行われるのと、地方公共団体が行われるということにつきましての優劣については、なかなかこちらの方は森林を所管しておる関係でございますので、公益事業という形が同じ公益事業として継続されるものでございますと、やはり当事者の話し合いがついてからでないと、一方的にこちらの方で関西電力の方に対する貸付をやめるというのはなかなか困難かと思います。
  57. 小山一平

    小山一平君 それは聞き捨てならないことを言いますね。最初に私が三つの基本方針確認したでしょう。何て答えましたか。地方自治体はもちろんこれは公益優先の最も重要な対象であることが間違いありません。発電事業ももちろん公益事業には違いないが、株式会社ですよ。その株式会社と地方自治体を同列にするとは何ですか。そんな認識で国有林野管理運営をやっているのか、答えなさい。
  58. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 無軌条電車の事業は公益事業でございまして、公益事業として現在運輸大臣免許を得られまして関西電力が実施されておりますので、これをこちらの方で一方的に廃棄するということは非常に困難であるということでございます。
  59. 小山一平

    小山一平君 それじゃ、何のために貸付契約を行っているのですか。そうして、私の方の指示があったら返しなさい、私の指示に従って原状回復をしなさい、何でそんな条件をつけているんですか。そういう条件をつけておきながら、しかもこの借用契約は、将来にわたっていろんなことにわたっての既得の権利としないと明記をしているじゃありませんか。にもかかわらず——もちろんトロリーバスが公益的事業であるぐらいのことは私も承知をしております。そういう行政官庁とすれば、国民の財産である重要な国有林野貸し付けに遺憾のないような厳しい諸条件を付与しているということは当然だと思う。当然であるけれども、それは書いてあるだけで何の意味もない。そんな無責任な行政がありますか。
  60. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 無軌条電車事業につきましては、先ほどから申し上げましたとおり公益事業でやっておりまして、国有林野の方といたしましては、地方公共団体の方を関西電力と同列に論ずるというようなことを考えておるわけじゃございませんで、それは関係各行政機関が指導されまして方向が出されました場合には、私どもの方はその線に従って貸し付けをやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  61. 小山一平

    小山一平君 そんなね——どうもこの課長を相手にして質問しても全く実りのない議論になりますから、もう少し質問してらちが明かなければ、農林大臣でも林野庁の長官でも、後日の機会に質問を留保して、きょうの質問を進めさしていただきたいと思いますのでお願いします。  そこで、運輸省お尋ねしたいのですが、このトロリーバス免許があるということは、大町トンネル県道なり、市道なり、町道なりに今後することができない条件でありますか。
  62. 住田正二

    政府委員住田正二君) お尋ね趣旨は、いまトロリーバスが走っているトンネル内を市道あるいは県道にする場合に、トロリーバスが走っているという理由で市道あるいは県道にしてもらっては困るという理由になるかどうかということであれば、それは別に関係のない話ではないかと思います。
  63. 小山一平

    小山一平君 林野庁、いま運輸省は、トロリーバスの認可があっても、いろいろな事情であのトンネル県道なり、市道なり、町道なり、公道にするということが適当であるという場合には、それの障害になるものではない、こういうお答えですよ。ですから、その場合にはまたそれなりに対応すればいいことであって、林野庁としては、関電貸付期限が満了になった機会には、再三再四申請をしている地方自治体の申請をもう少し親切に、もう少し真剣に検討する、こういう姿勢は当然あってしかるべきじゃないですか、その考えありませんか。
  64. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) その点につきましては、関係各省と十分連絡をとりまして、検討さしていただきます。
  65. 小山一平

    小山一平君 私は何としても長年の地域のこれ紛争ですから、やはり地域の声を聞いて、さまざまな経過、前提があるのですから、これを土台に踏まえて対処をし、問題の解決を図る、こういうことを林野庁に強く求めておきます。いずれまた徹底的な議論は後にいたします。  それから運輸省お尋ねしますが、トロリーバスの認可をしている、これは事実関係でございますけれども、これを関電が出資一〇〇%の「くろよん交通株式会社」ですか、これにトロリーバスの権利を委譲したい、こういう申請が出ておりますね。
  66. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) だんだん小山さんのお話を伺いつつ、本件に関する認識も私深めつつあるのでありますが、いまお尋ねの、関電が子会社というか、何ていうか、「くろよん交通」に対して権利を譲渡する認可を求めてきているのは事実でございますが、まあ御質問のないうちにお答えするのもいかがかと思いますが、いまも聞いておりますような次第にかんがみまして、私どもとしては、その認可が出てから相当日月を経ているわけでございますから、これに対して処分はまさに慎重であるべきだという観点から、なお認可をする等のことはいたしておらない、こういう次第でございます。
  67. 小山一平

    小山一平君 まあそういう慎重な対処の仕方で私は大変結構だと思いますが、しかし考えてみると、関電とすれば、自分がいままで兼業で直営をしていたものを、それは適当でないから第三者にその事業の権限を委譲したいということであるとすれば、私は何もこれは「くろよん」でなかろうと、特定のところでなかろうといいはずだと思うんですよね。もっと、たとえばこれは私のいまの思いつきですけれども、たとえば、両県の企業局なり、道路局、道路公社なりの有料道路の一環としてこれをやってもらうということだっても決して関電にとってはどうってことはない。しかし、最初申し上げたように、これを一〇〇%出資の会社にやらせてそのもうけが欲しいというのならこれは話は別ですけれども、そうでないとしたら、どこにこれをやってもよろしいということになるんじゃないでしょうかね。
  68. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) この点につきましては、よく実情をきわめることが必要であろうと私は考えます。と申しますことは、「くろよん交通」に対してどうするかという点においては、どういう腹の底でそういう権利の譲渡をするかということ等については、行政当局としても必ずしも無関心でいていいとは、今日までの事の経過にかんがみてそれで簡単でいいとも言えないと思います。  同時にまた、いま一つの仮の例として、関係の両県等に対して譲る、ないしは両県の関係の交通機関、名称は何であるにしろそういうようなところにいかがであろう、これも一つの考えであろうと思います。ただしかし、これも私どもといたしますと物の言い方がむずかしいんで、そういうところにぜひ譲渡すべきものであるということを示唆したかのごとくということになりますと、これまたちょっと別の問題が生じますので、その辺、なるほどという措置をとる必要があろうと私は考えております。
  69. 小山一平

    小山一平君 先ほどの質疑の中で、立山町それから大町市があの大町トンネルにかかわる国有林野使用申請をして、そしてこれを公道にしたいと、それにはこのトロリーバスの運行権というものは障害にならないと、こういうことを確認をいたし、林野庁は、課長では責任ある最終的なあれにはならないにしても、この両自治体の申請というものはいままでのように木で鼻をくくったような形で却下をするという扱いはしない、こういうことで相談をし、検討をすると、こういうことでございました。  これは実は地元にとっては大変なことなんですよ。これがまた聞くところによれば、いままでのように、この申請はあなた方が関電と円満に話をつけてこなきゃだめですよと、ぱっと却下をされる、そんなことが繰り返されたならば、こういうことが実際問題として私はできるのかどうか知らぬけれども、一方では市道として認定してしまう、一方では町道として認定してしまう。そして土地収用委員会に収用の申請をしていくなどということが考えられている。これはなかなか大変な問題です。そのことの成否がどうなるのか私にはわからぬけれども、それほどに地域考えている。建設省、もしそんな手段を地方自治体がとろうとされるようなときは、これは法的にはどうなんでしょうか。
  70. 山本重三

    説明員山本重三君) いま先生指摘になりましたように、あくまでも道路法の道路として認定して供用を開始するということになりますれば、当然供用を開始するためには権限を取得しなきゃなりませんから、権限を取得する手段として先生のような法的手続をとらざるを得ないと思います。私どもとしては、こういったような形ではなくて、できるだけ地元の中で十分調整がとれて、円満に権限を取得して市道なり町道として管理運営するということであればそれは非常に望ましいことではないか。この件につきましては、どうしてもやはり権限の取得、あるいはさらに申しますと、現在トロリーバスが通るためにトンネルがつくられておりますけれども、こういったものを一般の交通の用に供するような道路とするためには、やはり道路構造令に従った道路でなければなりません。そういった面で構造をどうやって改築するのか、あるいはできた後にどういう維持管理をするのか、そういったものも含めて検討されることが望ましいと思っています。
  71. 小山一平

    小山一平君 私もその形がぜひ望ましいし、そういう円満な解決の方法というものを目指していただきたいと思いますが、なかなかそうはいかずに、いま申し上げたような非常手段をとるというようなことも道路行政上あり得ることだと、こう解していいわけですか。
  72. 山本重三

    説明員山本重三君) 地元がそういう意向でそういう手段に出れば、そういうことも起こり得るだろうということは考えられます。
  73. 小山一平

    小山一平君 そこで大臣ね、きょうは大臣は一人しかおりません。本来ならばこの電力会社などの行政指導というのは通産省が所管であろうと思いますけれども、こんなことを繰り返し、対立紛争を深めるというようなことは、これは関電にとっても地元の自治体にとっても、私は不幸なことだと思うんですよ。最初に確認したように、こうした大きな巨大開発というものは、地域における開発やあるいは地域産業や、そういうようなものと共存共栄できるようなそういう調和が必要である。これはみんな意見が一致しております。  そこで、これずいぶん長いことでもあるし、いま申し上げたようなことも現にあり得る。となれば、大臣の立場で、通産大臣とも協議をして強力な行政指導によって解決を図る。両県の知事などもこの解決の提案なども具体的にしているんですよ。私はその内容を聞いて、関電のいままでのこの既得権利というようなものを全く度外視をしない、そうかといって地域の自治体の公益的な要求、こういうようなものも尊重をする、こういうことでこの問題の解決を図ってはどうかというようなことを具体的にやっているわけですよ。こういうときにこそ適切な強力な行政指導というものが私は必要だと思うのです。そこで、大臣協議の上、両県の知事でも呼んで意向を聞く。いろいろ問題もいま激化する寸前にある市町村や町長さんにも来てもらう。そして十分意のあるところを聞き、また関電の意向も聞くことも必要でしょう。そこで適切妥当な解決ができるような行政指導を行うというようなことがそろそろ考えられてもいいと思いますが、どうですか。
  74. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) その強力なる行政指導という表現でおっしゃったんですが、どの種のことをどういう方法でということについてはこれからまだまだ問題もあろうかと思いますが、ほうっておいていいものだとも私は必ずしも考えません。行政の責任に当たる者はおのずからこの種のことにいかに対処するかということは考えていかなければならぬと思います。  実は私、黒四ダムのこのトンネルは十数年前、工事中に、たまたま衆議院の議院運営委員長をやっておりますころだと思いますが、各党の何人かの方々とともに視察したことがございます。当時はまだ観光用の話などというのは全然出ていなかったときでありますが、そのときに私ども議員は言っておりました。これは恐らく何年か後にいい観光ルートになるのではないか。そうすると、この種のものは、できた経過やそれからその性質等にかんがみて、おのずから適当な方途がとられなきゃならないということは国会議員たる者当然に考えるところでありますが、私はたまたまいま運輸大臣をしておりまして、あのトンネルの中はやたら自動車に走られて排気ガスが充満する等のことは絶対避けなければならぬ。そこで小山さん先ほどから言われるように、りっぱな景色のところを大衆に見せてと、大変結構なことだし、そうあるべきだと思いますが、同時に、そういうことを履き違えてあのトンネルの中を汚濁せしめるというようなことは断じて避けなければならぬ。現在運輸省許可しておりますトロリーバスなるものは、電気自動車を走らせるとかということにしておりますが、いま小山さんがいろいろお話がございました。御提言等もございました。こういうことを考えますときに、どういう人にどういうふうにやってもらう方がいいかということとともに、だれがやるにしても、私がいま申し上げました排気ガス等で後に害を残すようなことが断じてないように、せっかく話が出ましたんで、これちょっと余分のようなことでございますが、関連して私としては申し上げておきたいところでございます。  いずれにいたしましても、他の関係閣僚等にも、またよく小山さんとも相談いたしまして適切にいまのお話等をお伝えいたしたい、さように存ずる次第でございます。
  75. 小山一平

    小山一平君 私も大臣と全く同感です。あそこを公道にして、どんどんどんどん自家用車が突っ走ったりして汚染をするようなことは、これは断じて許すことのできない、厳しい規制が必要だ。そこで、いま大臣の御意見のように、どういう主体によって運営されるにもせよ、そうした配慮というものは万全でなきゃいかぬ、これは当然のことだと思います。大臣も相談をされてこういうことに対処をしようと、こういうことですから、ぜひひとつお願いしたいと思います。  それで、これを大方調べてみると、たとえば只見川の電源開発にしても、長野県あたりの奈川渡ダムにしても、梓川の電源開発にしても、これは電力会社地域の自治体は非常にうまくやって、そして建設のための道路地域に開放して、そして地域と非常にうまくやっている。電力会社というのは電力事業が円滑に経営できりゃそれがいいのであって、それと地域とが相反することになっちゃこれいけませんけれども、その両立ができる範囲においてお互いにうまくやっていくと、こういうことが実例としてもうほとんどそうですよ。こんな問題を起こしているのは関電ぐらいなものですよ、本当に。あれはどういうんですかね、なかなか商魂たくましいのか、がめついのか知りませんけれども、どうも私どもの方へ参りましても、東京電力にしても、中部電力にしても、ずいぶんたくさんの電源開発をやっておりますけれども、どうも関電というのは、地域から非常な不満と批判を浴びているのは、その他のところというものが、先ほど来言われてきたように、こういう巨大開発地域開発とが共存共栄条件お互いに認め合っていく、こういう関係ができているから、そういうところは非常にうまくいっているわけですね。だからひとつぜひ、他の電源開発などの事例、時間ありませんから私がここでいろいろ御説明をしたりいたしませんけれども、ほとんどそうなんです。ぜひひとつ大臣にそういう積極的な御努力をお願いをしておきます。  それでは、引き続きましてお尋ねいたしますが、建設省、河川敷の管理というのはどこですか、建設省だと私は思うんですが。
  76. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 河川敷の管理は河川管理者が行っているところでございます。
  77. 小山一平

    小山一平君 実は黒四ダムの河川敷は林野庁によって売却をされております。法務省、来ていただいておりますか。
  78. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 来てます。
  79. 小山一平

    小山一平君 立山町黒部奥山の弐番、参番、あるいは芦峅寺立山の壱番、弐番、浄土山の壱番、弐番、そのほか中ノ谷壱番、弐番、何かこれ五、六筆が、林野庁国有林野のダム敷と合わせて、関西電力の名古屋の宅地と等価交換が行われている。法務省、これ間違いありませんか。事実関係確認します。
  80. 清水湛

    説明員(清水湛君) お答えいたします。  お尋ねの土地につきましては、富山方法務局のこれはたしか立山出張所だと思いますが、登記所で登記を所管しているところでございまして、先生の方からお知らせがございましたので、急遽御指摘のありました土地について登記簿を現在取り寄せ中でございますけれども、さしあたり電話で、富山県中新川郡立山町芦峅寺字浄土山壱番、同じく字中ノ谷壱番及び弐番、字黒部奥山参番とこの四筆、その他の土地、字黒部谷割五の弐、参、八の弐、八の五というような土地につきまして、電話で所轄の登記所に問い合わせいたしましたところ、これは関西電力株式会社名義で現在登記がされておるということでございます。  なお、先生がおっしゃった地番の中に、私どもの方で聞き間違いがあったせいかどうか知りませんけれども、まだ未確認の土地もございますので、必要でございますれば、後ほど登記簿を取り寄せまして再確認いたしたいと、かように考えております。
  81. 小山一平

    小山一平君 いや、登記の写しは私の手元にありますから、結構です。  そこで建設省お尋ねしたいんですが、建設省の所管であるべき河川敷が林野庁の手によって関電に売却をされているというようなことが、これいいですか。
  82. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 私どもといたしましては、本来国有河川敷と申しますのは、国有財産法上の行政財産、そのうちの公共財産でございますが、公共財産として取り扱われるものでございまして、その公用を廃止した後に種類変更といった手続を経ない限りは、企業財産として管理することはできないのではないか、このように考えております。
  83. 小山一平

    小山一平君 じゃ、建設省はそのことを承認をして、この河川敷は建設省の所管からお外しになっているんですか。
  84. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 当該河川敷につきまして、まあ私どもがちょっと聞いたところでは、内務省時代に農林省との間に何かあったという話を聞いておりますが、私どもは直接そういう事実については承知しておりません。
  85. 小山一平

    小山一平君 これはきわめて重大なことなんです。実は、この河川関係法令例規集というのがありまして、ここにこういう事例があるんですよ。これは、北海道の石狩川、ここで道庁で問題になったんですが、上川営林局管轄の国有林内を流下しておるんですね、石狩川が。この石狩川の河川敷が農林省所管地として営林局の台帳に記載されていた、これでいいのかという問題提起。対しまして、こういう回答があるんですよ。「国有河川敷は、国有財産公共財産として取り扱われるもので、その種類変更の手続を経なければ企業財産として管理することはできない」、したがって、この河川敷が林野庁にあったというのは、これは内務省時代に内務大臣が管理した国有財産を他省に所管替えするときに間違ったんだと、こういうことは直ちに正常な姿に戻さなければならぬ、直ちに営林局の台帳を抹消をもって処理いたしますと、こうあるんです。だから私は、河川敷というものは、これは当然建設省の責任で管理しているはずなのに、林野庁建設省の河川敷を勝手に企業に売ってしまったなどという、こんなとんでもないことが——一体これは建設省としてはどうお考えですか。
  86. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) ただいま先生が引用されました照会回答、その方針は私ども現在でも引き継いでおるわけでございます。したがいまして、そういった方針でこちらとしては運用したいということで、機会あるごとに林野庁とも話し合ってまいりましたが、残念ながら見解の一致を見るに現在段階では至ってないということは認めざるを得ないわけでございます。しかし、今後とも林野庁と十分協議してまいりまして、この種の問題の処理に遺憾なきを期したい、このように考えております。
  87. 小山一平

    小山一平君 これはきわめて重大なことなんですが、建設省は河川敷は当然建設省管理下にあるべきもの、これは天下だれに聞いたってこれを疑う者はないはずです。それが林野庁と見解が違うというのは、これは大変重大なことを承るんですが、林野庁はどういう見解を持っているんですか。
  88. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) お答えいたします。  農林省では、国の所有に属する森林原野を所管しておりますが、この森林原野の中には林地と一体をなします河川の敷地も含まれるというふうに解して従来行政をやってきております。
  89. 小山一平

    小山一平君 建設省はそれでいいですか。
  90. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 私どもの立場としては、先ほどの御質問に対してお答えしたとおりでございます。
  91. 小山一平

    小山一平君 これは大臣、大臣のこれ管轄でないが、国務大臣として聞いてくださいよ。これ、大変ないま問題が出てきたんですがね。いま私がお聞きしたのは、関西電力の黒四ダムの河川敷を林野庁が勝手に関西電力に売却したわけです、河川敷をですよ。そこでいま建設省に、河川敷の管理建設省にあるべきはずなのにどうしたのだと言ったら、全くそのとおりだ、こう言うんです。ここに、いまさっき言ったように、河川関係法令例規集というところにも、河川敷というものは当然建設省管理すべきものだと、ちゃんとここにあります。それを今度は林野庁は、国有林野の中にある河川敷は建設省の所管でなくて林野庁が所管すべきものだと、恐るべき発言をいまされたわけですよ。これはいま建設省林野庁は全く相反する見解をこの国会の場で明らかにしたわけですね。こういうことは一体大臣、どういうものですかね、これ。
  92. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) よく調べてみると、案外それが相対立したごとくに見えて、よくわかって、ああそうかと両方が言うようなことであるかもしらぬと思うのです、正直申しまして。私もいまそのむずかしい話を伺ったばかりで、どっちがどうということは申し上げるわけにまいりませんが、一見食い違っているがごとくであるが、両方がよくわかり合うような結論にいくように、何か縁は異なものというので、ここにちょうど私居合わせましたので、両方の大臣ともよく話してみることにいたします。
  93. 小山一平

    小山一平君 大臣、そんなしらばくれたこと言っちゃいけませんよ。そんなあんたなまやさしい問題じゃないじゃないですか。これは委員長、これはわれわれ国会議員にとっても大変な問題だと思うんですよ。そこでこれは、少なくとも河川敷が林野庁管理下にあって、勝手に企業に売っちゃってもかまわないなんということがこれはあろうはずがない。これは大変越権不法行為だと、私はこういうふうに考えます。まあしかし建設省林野庁の見解が違うんだ、おれのものだと思っているやつを、他人が来て食べちゃった、けしからぬと言ったら、何言ってんだ、それはおれのものだ、おれが食べて何が悪い、こういう乱暴な話ですから、これは建設大臣と農林大臣で、一体これはどうあるのが妥当なのか、林野庁の行った河川敷の売却という行為は一体どういうものなのか、こういうことを明確にしていただきたい。そのことを委員長の方で協議をしていただいて、これを意見が食い違っていて何となくうまくいくかもしれないなんて、そんないいかげんなことでこれを処理されては大変でありますから、これは委員長、その取り扱いについてひとつ……。
  94. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  95. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 速記起こして。  ただいま小山委員の、質問に対して、御承知のように河川敷をめぐって、建設省、農林省の意見が全く相反したものが出てまいりました。まあ、具体的にその現場等を調査することも必要でありましょうし、何かの問題もあるかもしれませんが、とにかくいまの時点では、これは一つの問題に対して相反した意見が出ました。これはいま質問者もおっしゃるように、大変大事なことでありますから、ひとつきょうは課長諸君しか出ていませんので、農林大臣、建設大臣が相議をして、ひとつ統一見解を出すように措置していただきます。この点を委員長から両大臣に申し出をして、なるべく早い機会に当委員会に統一見解の提示を求めます。  以上です。じゃひとつ。
  96. 小山一平

    小山一平君 そろそろ最後にいたしますが、二つのことを確認をして私の質問を終わらしていただきますが、先ほどのように、これからどういうふうに出てくるかによって、さっき留保をした問題は後日にまた御相談さしていただきます。  それから、林野庁は、関電に対する国有林野貸付期限満了時点で、競願となっている大町市、立山町の使用許可願いについて、これはどちらを選択するかという立場で慎重な検討をしていただく。決して既得権としてこれをすげなく却下をするなどということは断じてやらない。これをひとつ確認いたします。  それから大臣には、長い紛争でございますから、通産大臣とも相談をして、そしてしかるべき解決についての行政の立場での措置をとるように計らっていただく。この二つのことを確認をいたしまして私の質問を終わります。よろしゅうございますね。
  97. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 先生ただいまおっしゃいました事項につきまして、既得権としないということでございますが、関西電力運輸大臣免許を得てやっておられるという事実ということは、これは非常に重い事実でございますので、これについて慎重に配慮させていただきます。
  98. 小山一平

    小山一平君 やめようと思ったら、またやめられない。  それでは、この契約書、貸付許可書に、いろいろな施設は将来にわたっての既得権利とはしないと、ちゃんとここにうたっているじゃないか。何でそれをそういうことを関電も了承し、そしてこの契約書に調印をしているにもかかわらず、林野庁が一方的に既得権を尊重せざるを得ないような発言は何だそれは。さっきからの話と違うじゃないか。この国会を何と心得ているんだ。取り消しなさい。
  99. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) トロリーバスの件につきましては……
  100. 小山一平

    小山一平君 トロリーバスのことなんか聞いてないよ。
  101. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) 国有林野貸付にあたりまして国有林野法の施行規則第十四条第三項に規定がございまして、第三者の権利というものがある場合には書面でその者の同意を得るということになっておりますので、これについてただいま申し上げたわけでございます。
  102. 小山一平

    小山一平君 それはね、林野庁の責任で両者の合意がいくように話をし、行政指導をするのが任務でしょう。そういうことを言っているんだよ。君たち勝手に両者で話をつけてきなさい、そんな無責任なことがありますか。いいですか。もちろん、円満に話し合いで合意に基づいて問題処理が望ましい。それは私もわかります。そうであったら、それはあなた任せにしないで、林野庁がみずから国有林野管理運営の責任の立場で取り扱う、当然でしょう。
  103. 渡辺信作

    説明員渡辺信作君) その点につきましては先生おっしゃるとおりでございますので、関係各省と十分連絡をとりながら対処してまいりたいと思います。
  104. 小山一平

    小山一平君 いいです。
  105. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  106. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 速記起こして。
  107. 長谷川信

    ○長谷川信君 運輸関係につきまして二、三お尋ねを申し上げたいと思いますが、まずその第一に、東京−北京間の航空路の増設についてお伺いいたしたいと思うわけであります。  福田総理は日中友好条約がまさに機が熟したという表現をされておるわけでありますが、自来両国の国交の、国民の往来が非常に激しくなっておるわけであります。ちなみに若干数字を申し上げますと、五十三年、七八年度で、いま予想されておるあるいは予約をされておるものが一応五万四千六百六十名。日中旅行者、日中のいろんな旅行者、それから国貿促、中国人あるいは第三国人等等含めまして、申し上げましたように五万四千六百六十名が一応予約をされ、予約というか内定をされておる数字であります。これはどちらかというと、ごく内輪に見た数字でありまして、これよりもむしろ上回るだろうということが一応予想されておるわけであります。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕  ところが、いまの許容量がどのくらいあるか、いろいろ私ども手元にある資料から申しますと、現在の飛行機で運べる許容量、日本航空、JALが週二回、それから中国民航が週二回、エール・フランスが一回、イラン航空が二回、それからパキスタン航究が二回、これらを合わせましても三万八千人の輸送能力しかないわけであります。この間、私ども参議院の自由民主党が訪中をいたしたわけでございますが、やっぱり一ヵ月、二ヵ月前に申し込んでもなかなか切符が取れなかった。あるいは、ある商社がテレビのブラウン管のプラントの技術者を七、八十名、いろいろ向こうとの協定によりまして送ろうと思っても、思うような日に思うような時間に着けない。やはりなかなか入手が困難であった。きょう、何か聞いた話でありますと、社会党の飛鳥田委員長がおいでになるのに、切符がなかなか簡単に手に入らないというふうなことくらい、いま非常にふくそう、混雑をしておる状況であります。  したがいまして、これはもう当然増発をしなければならないわけでございますが、さっき申し上げました五万四千のことしの数字は、これは国交回復ができた時点、あるいは経済のいろいろ交流ができた時点、中国の経済開発あるいはその他いろんな、何と言いますか、将来の展望に立った場合、恐らく七万から十万くらいまで二、三年のうちにいくだろうということが予想されておりますので、これはどうしても増発をしていただかなければならない。これは両国のそれこそいろんな面から言っても、この状態では困るということはよく御理解をいただけると思うわけであります。いまハワイあるいはロサンゼルス、アメリカ線がダンピングをして各路線とも非常に競争になっておる。ところが、中国便についてはダンピングどころか、まさに申し込んでもなかなか乗れないというふうなことは、これはやはりいろいろ均衡を失しておるというふうな感じがするわけでございますが、先般、二月の十四日から二月の十六日にかけまして、北京で運輸省航空局の山田課長が北京側といろいろ相談をいたしまして、増便の話をされたようでありますが、これらの内容について、ある程度差し支えない範囲に私どもに御説明をいただきたいと思うわけであります。
  108. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) いまお話しのように、日本と中国の間ではできるだけ多くの人々が行ったり来たりすることは大変望ましいと私も考えております。そこで、いま率直に申しまして、その種の交渉をいたしておりますので、それと別途にここでどのくらい増してということを余り細かに申し上げることはいかがかと思います。思いますが、先生のお話でもございますし、国会というところは多少ほかとは違いますから——多少じゃない、大いに違いますから、したがって、私は率直に一部を申し上げまするならば、二便ふやしてはどうかという話等も出ておりますけれども、先ほどのお話のなにと違いまして、私ども調査しているところではわりあいにほかより混んでいるということは事実でございますが、お話があったほど急に躍進するというような情勢でもなさそうでございます。しかし、相当に待つという数字は出ております。そこで、私どもいま考えておりますことは、とりあえず週一便ずつ増して、そのほかに両方で話し合って臨時便等も認め合うというようなことをしたりしていけば、当面そのくらいなところがちょうどいいんじゃないかというような気もいたします。しかし、お話しのように、現実に需要が激増するということになりますれば、これはまたこれで考えていかなきゃならぬと思います。  それと、私さらに思いますことは、中国と日本の間でございますから、   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 必ずしも東京、大阪とばかり限らずに、これはもう少し日本からも、まあ向こうの事情は向こうの事情でございましょうが、向こうからも発着する空港等もいままでのままとばかり考えなくてもいいんじゃないか。しかし、このことにつきましては、向こうさんの御意見もございますから、ここいらをよく踏まえて、率直に申しまして、成田にいたしましても開港してすぐにそう余りふやすというわけにはなかなかいきませんけれども、その中においても中国との関係は特に考えていくことが必要であろうと、こういうように存ずるわけでございます。
  109. 長谷川信

    ○長谷川信君 理解できるのでありますが、先ほど御説明申し上げました許容量、三万八千と申し上げましたが、これは日本航空、中国民航とも八〇%満杯な形で計算をいたしております。で、やや満杯に近い形で計算をしましてもなお三万八千しか乗れない。ところが、さっき申し上げましたように、ことしのいわば申し込み、仮申し込み等を含めましても五万四千。大臣は、いやそんなにいないんじゃないかというお話でございますが、これはここ二、三年のずっとデータを見ますと、まさにウナギ登りの形で上がっているんです。ことし三万だから来年三万五千だというふうなことではなく、まあこれは国交回復をして向こうの自由往来に近いような形で観光客も乗り入れするようになれば、恐らくこれはもう十万突破するのは一、二年うちだろう。観光客はさることながら、いまいろんな形でプラント技術や、それからそれに関連するいろんな諸君が盛んに行っているわけでありますが、これらの皆さんがなかなか切符が手に入らないで行けないということになると、これはやっぱりお互いの、何といいますか、向こうの経済開発にも若干響くでしょうし、日本のいわばいまの景気浮揚にも響くわけてありますから、これは増発をしてもお客さえあれば何もそんな、どんどん出せば航空会社だってちっとも悪いことはないんでありますので、いま大臣がおっしゃいましたように、一便増ということで仮に話が出ましても、なおかなり急上昇するようなことであったら直ちに二便の交渉をやっていただくか、いま大臣のお話しのように臨時便をどんどん出して、臨時便ということになればいろいろまた話の仕方もあるでしょうが、どんどん出して、それらの仕事に支障がないようにひとつお願いをいたしたいということであります。  この間私ども行くときも、もう一ヵ月半くらい前に行って、帰りは今度は北京から上海に来て、上海から大阪へ来れば近いのでありますが、全部満員でとても一枚の切符も手に入らなかったというふうな状況でございまして、いま地方自治体、いろんな参観団等々も出ておりますが、みんなその切符の関係で計画がいろいろ動いて、動いておるというか、なかなか実現できない面も出ております。これは極端な話だから正確なあれではございませんが、これから新しく申し込む者等については五〇%ぐらいしか行けないだろうというふうなことがいろんな資料からも出ておるわけでありますが、できたら二便——いま大臣がおっしゃるそういう交渉で一便であっても、そういうデータがわっと上り調子であったらこれ二便にしていただいて、なお臨時便の増発をしていただきたいというようなことをひとつお願いを申し上げておきたいと思うわけであります。
  110. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) ただいまのお話につきましては、実際の需要がいまお話しのようなことになりまするとするならば、それなりの考えが必要であると思うのです。二便増すということは現在の倍にするということでございますから、実を申しますと、ここを飛んでいるのが日本と中国ばかりでなくて、ほかの何カ国かがございまして、一遍に倍というのがそこのところちょっとなにで、とりあえず五割増しにして、そしてそのうちに、おっしゃるように余り遠くなく、さらに次の手を打つということも必要であるかもしれません。その辺よく中国とも話し合いまして、いずれにしても需要のあるところへ飛ばさなんでいるというようなことじゃいけませんので、対処してまいりたいと存じます。
  111. 長谷川信

    ○長谷川信君 次に、これは私も専門的な知識がないので、いろいろ教えていただきたいと思うのでありますが、東京から北京に行くときに、沖繩上空から上海に向かって、上海上空から北京に入る。ちょうど三角形の二辺あるいは三辺くらいの迂回をしながら行くわけであります。したがって、時間が四時間半くらい東京から、羽田から出ると約四時間半くらい。帰りはいろんな関係で四時間くらいなんでありますが、もしこれが直線で真っすぐ行くということになりますと、半分まではいきませんが、約半分近い時間が短縮になるわけであります。これはまあ韓国の関係、あるいはその他国際的ないろいろの問題があるとは思いますが、そういう問題も何かいろいろ御専門の立場で検討されて、何かあれですか、東京−北京間、ある程度、真っすぐこう線を引っ張ったような直線というわけにはいかないかもわかりませんが、いまのように三角形の全く二辺を行くようなことでなく、もっと簡便に行くというふうなことを日本、中国、あるいは関係国の上空——と言えば韓国ということになるんでしょうが、それら等含めて、国際的ないろんな協定の中で可能性があるものなのですか、あるいは将来ともかなりこれはむずかしいよというお話でありますか、御専門の見解を承っておきたいと思います。
  112. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 東京から北京に真っすぐ行かれますと一番いいわけでございますが、ちょうど真っすぐ行こうと思いますと、通る空域が韓国の管理しております大邱航空管制区というところを通るわけでございまして、この問題につきましては、やはり中国と韓国との外交関係ということがございますので、なかなか私どもいままで思うような成果は上がっておりません。しかしながら、これから航空利用者がふえるに従いまして、できるだけ短いルートをとることがいいことは当然でございますので、外交関係の問題を詰めまして、できるだけ早く実現したいと努力いたしたいと思っていますが、何分にもそういう関係でございますので、いつから可能かというようなことについては、まだここで明言する自信がございませんが、そういう方向に向かって努力をいたしたいと思っております。
  113. 長谷川信

    ○長谷川信君 ちょっと大臣、もう一言だけ。  大臣、ちょっとこれ通告いたしておかないのでまことに恐縮でございますが、私どもは北京に行きまして、紀登奎という副総理が長時間にわたって会ってくれまして、そして、中国のいろいろ開発をこれから両国でいろいろの形で助け合ってやらなければならないということでございますが、そのときに日本のいまの新幹線、もうまさに世界に冠たるものでありますと、したがって、この新幹線の技術あるいはいろいろのものをぜひ中国側は取り入れたいということを明確に副総理がおっしゃった。しかも第二次五カ年計画のトップに必ず入れます、それから、近々わが国——というのは向こうの国でありますが、中国の交通技術団を派遣をいたしまして、日本のしかるべき国鉄あるいはその他といろいろまた御指導も賜りたいという非常に丁寧なごあいさつがあったわけでございますが、これは非常にわが国、日本側としても興味のある、しかも意義のある向こうの副総理の申し入れだと思いますが、国会の場で運輸大臣から、その種のものの話が向こう側からありましたか、どうですか。もし仮にないとしても、そういうものがあった場合、日本は全面的な技術指導あるいは協力をするというようなことを大臣は私どもにお話がしていただけるかどうか、あるいはいただきたいと思いますが、その辺の見解を承っておきたい。
  114. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) まあいろんなことでいろんなことを外国からも言われるのでございますが、事、鉄道に関しましてはわりあいに評判がいいのでございます。率直に申しまして、三十何カ国から五十数件にわたって日本に協力してくれとか教えてくれとかという話もあるんであります。これは単に開発途上国等ばかりではございませんで、まあ先進国の中でも幾つか頼んできておるというような状況でございます。  そこで、われわれとしては世界の中の日本といたしまして、その種のことは大変有益だろうと思います。わけて中国なんかからそういう話がありますということにつきましては、大いに日本としては協力をすべきものである。まだ私その中国の話については具体的なことを聞いておりませんが、いまお話がございましたようなことがありそうであるやにも実は聞いておるわけでございます。でございますから、進んでそういう話等が進行するような状況になりまするならば大いに協力することにいたしたい、そういうように存ずるわけでございます。
  115. 長谷川信

    ○長谷川信君 国鉄関係でちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、いま国土庁でいろいろ、国土庁というか、政府で発表されております三全総計画がございますが、これは国土の均衡のあるしかも各それぞれの地域の特性とエネルギーを結集をして、地方中核都市をつくるということが三全総の骨子であることは御案内のとおりであります。この三全総の何といいますか、いろいろ数字の統計の中を見て私どもびっくりするのでありますが、いま日本の人口が一億一千九百万、そのうち六千百万が東京圏と関東圏に住んでいるんです。これは御案内のように、パーセントにしまして一〇%足らず、一〇%足らずのところに六〇%の人間が住んでおるということで、御案内のような大変な過密と過疎を起こしていることも御案内のとおりであります。この三全総計画を実施をするには、どうしてもこれは運輸交通の関係の整備がなければこれは幾ら考えたってできるわけはないんです。これは本当に国鉄——国鉄が赤字だとかいろんなことを言われておりますが、私はその赤字の反面、そういった過疎地域に対する貢献度というものがこれは大変なものがあると思うんです。北海道にしても東北にしても上信越にしても、これはそういうことが一面言えるわけでありますが、ただ、残念ながらこれから東北新幹線ができる、上越新幹線ができる、そうして三全総をやろうという計画で、本当に私ども夢を感ずるような、本当に何といいますか、明るい感じがするわけでありますが、ただ、雪でなかなかこれいまのところうまくいっておらない。ことしの雪は、それほど異常豪雪と言っていいか悪いかわからないくらいのいわば平年雪に近いものだと思うのでありますが、飯山線という、新潟県から、ここから新幹線にもし乗れば一時間くらい、そこからちょっと枝へ入ったところ、十日町から長野の飯山までの飯山線は何と九日間全く不通であったんです。これは私も現場へ行ってみて驚いたんですが、九日間汽車が通らないということがいかにつらいかということは、これは現場へ行ってみないとわからない。東京のところで考えても考え切れないような惨めと悲惨さと暗さと、しみじみこれはもう鉄道というのは大変なものだと思って私も感じたのでありますが、この飯山線が九日目に通ったときは、みんな両側から住民が集まって汽車が通るとき万歳やっておったんですよ。汽車が通って万歳やるようじゃ、これは三全総などはほど遠い話だと思ってしみじみ考えておったのでありますが、国鉄も大変やっていただいているのでありますが、この冬季に対するいろいろ対策を——いまの新幹線が関ケ原で八センチ降ったらもうずたずたになる、二十センチ降ったらもう二日もとまってしまうというふうなことでは、東北新幹線も上越新幹線もこれはもうどうにもならないことになりますので、この辺、新しいいわば豪雪、耐雪、耐寒の車両列車のあるいは技術の開発というものをやっていただかないと、せっかく新幹線をつくっても、十二、一、二、三の三カ月もしくは四カ月効果が半減をされるということになりますと、何兆円の金を使った予算の効果というものがなかなか望めないということにも相なりますので、その辺ひとつお願いをしなければならぬと思うんです。  ことし国鉄でおやりになりました運転規制、これは雪の降らないうちから規制をやろうということで、たとえば「とき」十三両のうち八両までを間引きをやるとか、あるいは列車を縮めるとか、あるいは「鳥海」、「とがくし」は一両減らすとか、「北陸」は三本なのを一本にするとか二本にするとか、大変な規制をやられた。で、これは私どもいろいろ聞かせていただくところによりますと、北海道でやる——北海道はまあああいうところでありますので一、二そういうことがあったようでありますが、北海道を除いては、戦時中を除いては今回が初めてだそうであります。この運転規制で、まあ雪が降るから間引きをやって、豪雪に対してもそれほど抵抗もなくてやれるだろうということでやってみたと思うのでありますが、実際やってみたら、がしゃっと降ったらもうそれこそ三日、四日の間ずたずたになってほとんど運転ができなくなった。若干の汽車は通りましたが、とても一般——一般の人というか、簡単に乗れるようなかっこうではなかった。  こういう状態だと、せっかくのさっき申し上げましたような三全総計画、夢に描いた三全総計画もなかなかむずかしいというふうな感じがいたすわけであります。いまの関ケ原の八センチ、十センチ降ってもと、こういうことはあれですか、東北、上越新幹線ができるまでの間どの程度解決ができるのでありますか、あるいはそれまでに何とか考えてひとつ雪に強い新幹線をつくるんだ、国鉄をつくるんだというふうなことで御検討をいただかなければならぬと思うのでありますが、若干専門的な御説明を賜りたいと思います。
  116. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 先生ただいま御指摘をいただきました米原付近の雪に対する新幹線の運行でございますけれども、ただいまのところ、米原地区で雪が降ります延長が約七十キロ区間ぐらいございます。で、それに対しまして建設当時、いわゆる十二、三年前でございますが、建設当時、非常に列車本数が少ないときには、雪を完全に解かさなくても次の列車に影響する度合いがなかったので、非常にスムーズな運行をいたしておりましたけれども、最近のように非常に列車本数が多くなってまいりますと、雪のために一つの車両に雪が車輪のところヘへばりついて、着雪と申しておりますけれども、雪が台車のところにつきまして、それでどうしても運行速度を落とさなくちゃならないという問題と、もう一つは、ついた雪を落とさなくちゃならないという問題が出てまいりました。  そこで、いまこの米原地区につきましては、まず雪が舞い上がらないように雪をぬらしまして、雪を湿らしておきまして、そうすれば車両につく雪も非常に少なくなるということで、いまスプリンクラー等を用いまして雪をぬらす設備を逐次やっております。で、この冬までに約半分の三十キロメートルができ上がりました。それまでは十数キロございましたけれども、七十キロのうちのほんの一割か二割の程度しかございませんので、これを逐次広げてまいりまして、雪の降る区間の雪はまず全部ぬらしておこうといういま設備をやる予定にしております。そういたしますと、非常につく雪が少なくなりますので——まあ若干のおくれは、雪の降っているときはどうしても除行をかけなくちゃなりませんけれども、それ以外については、それほど他の列車に影響しないような運行方式ということをただいま考えております。  なお、雪を落とすためにいまのところたとえば上り列車で申しますと、名古屋の駅に着いた列車は車輪についているところの雪を全部名古屋の駅構内で落としております。で、そこで落とすために五分ほど時間がかかるために、次の列車にも実は影響いたしまして全体の列車がおくれるということで、この雪落としのための設備も、いま岐阜羽島の駅でもう一カ所落とせるようにということで、これもいま設備を大急ぎで工事中でございます。  これがいま東海道新幹線の雪対策でございますけれども、いま先生が申されました東北、上越等についてはこの程度の雪ではございません。東北については米原とさほど違いませんけれども、上越については、雪の量から申しましても、恐らく積雪の深さから言っても、約七、八倍から十倍くらいの雪を想定をいたしておりますので、上越新幹線についてはいろんないま実験をやっておりますけれども、基本的な考え方としては、降った雪を水を流しまして全部解かして流してしまうということを基本に考えております。したがって、高架橋の上に雪が降りますと、高架橋の下で水をある一定の、十五度くらいの温度まで水を温めておきまして、その水を循環させまして高架橋の雪を全部消してしまうという方式のいま研究をやっておりまして、ほぼ上越の雪に対して、どのくらいの温度の水をどれだけの量出せば雪が消えるかという、これは実験的にはすでに求められておりますので、その設備をやって降った雪を解かしてしまうということを基本に考えております。  なお、それは降った雪の解かし方でありますけれども、雪が降っているときに一体どうなるかという問題が一つございます。それがためには、まず車両の方を、なるべく車体に雪がつかないように腹の下まで全部覆ってしまう、いわゆるボデーマウント形式と申しておりますが、車体の下まで覆ってしまうという、そういう車両をただいま開発しておりまして、上越新幹線、東北新幹線では、そういう車体を飛行機の胴体のように覆った姿の車体にする予定でおります。ただ、それにいたしましても、車輪のところだけはどうしても覆うわけにはまいりませんので、その車輪のところについた雪をどうやって解かすかという、これが実は一番弱点になりますけれども、いまの予定では、まず降った雪を解かしておいて、そして降っている最中には若干除行をかけて次の駅で車輪のところだけは雪を落とすということにせざるを得ないかなということを考えております。総じまして、ただいま米原で行っているような醜態にならないようにあらゆる技術力を動員して、上越新幹線がスムーズに冬でも運行できるようにということを念頭に置きまして、実際の施工は鉄道建設公団で行っておりますけれども、雪に対する対策の方針については、国鉄と鉄道建設公団で広く委員会を持って協議をいたしまして実施を図る予定でおります。
  117. 長谷川信

    ○長谷川信君 ぼくら全く技術的に門外漢なんでありますが、たとえば水上から長岡まで、この間は八〇%トンネルです。七五だか八〇だかわかりませんが、大半はトンネルでありますね。で、あいておるところが雪害の問題が出るということなんですが、雪のことよく御存じだと思いますが、あの間で物すごく吹きだまりがあるわけなんですよ。その吹きだまりのところが、いま道路で消雪パイプ、御存じかどうかわかりませんが、地下水をやりまして消しておりますが、あれはやっぱり温度が零度前後のところに効果があるので、マイナス五度から十度くらいになったらほとんど効果がないんです。したがって、秋田、北海道のごときは消雪パイプをやっても効果がないわけでありますが、いまおっしゃったようなことがある面では効果があるかわからないが、一〇〇%効果あるかどうか、私どもの素人考えだと若干、何といいますか、疑問にも感ずるわけでございますが、どうせもう八〇%トンネルなんだから、その吹きだまりのところを、スノーシェッドをやって何とか温水もしくはお湯でもってカバーできるような部門はこれはそれで結構ですが、物すごい吹きだまりがあるんですから、わずか十分、二十分の間に一メートルくらいばっとたまる。これは降る雪でなくて風で飛ばしてくる雪で、そういうので汽車がとまる。大半のものはそれが理由ですよ。平らに降っておればあれですが、入るところは一メートルも二メートルも風でわあっと入っちゃって、それでいろいろやっているわけでありますから、そのスノーシェッド、どのくらい金がかかるのかわかりませんが、なるべく金のかからない簡単なもので何かそういうところをカバーしていくようなことは考えられませんかな。
  118. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 先生の御指摘のように、高架橋の上に全部スノーシェッドをかけますのが一番雪に対しましては完璧な方法になろうかと思います。ただ、非常にお金がかかりますのと、トンネルの中ですと中の温度が一定で、というよりも、むしろ夏は涼しく冬は暖かいということでございますけれども、高架橋全体を覆いますと、中の温度が夏には非常に上昇いたします。したがって、スノーシェッドを完全にやってしまうということは非常にむずかしいので、やるならばやはり穴をあけた空気が流通できるようなスノーシェッドにならないかなということは研究をいたしております。  ただ、いま最初に申し上げたように、非常に予算がかかるということもございまして、私の方はこの三冬の間、塩沢で実際の高架橋に実際に雪を降らせて、そうして吹きだまりがどういうふうになるか、その吹きだまりに対してどういう温度の水を、水というか、お湯をかければよろしいかということを、実はこの三冬間実験をいたしております。その成果を踏まえて温度並びに水量を決めて施工するのが、そちらの方がどうも経済的かなと。ただ、完璧の度においてはいま先生のおっしゃるように、全部スノーシェッドをかける方が完璧の度合いは強いと思います。  ただ、長岡までについてはそういうことでございますが、長岡から新潟にかけましては、これはほとんどトンネルはございません。したがって、その付近で車両に対する乱れの問題と、それから長岡から水上に至る問題、両方をにらんで、まあある面では経済性も考えまして車両の対策といまの除雪並びに消雪と申しますが、そういう設備とのかね合いでいろんな研究をいたしております。もう少し最終結論までにはあれですが、まだ時間かかりますけれども、いろんな点を研究してまいりたいというふうに考えております。
  119. 長谷川信

    ○長谷川信君 本当に雪に強い車両をつくっていただきたいとお願いをいたしたいわけであります。  それから、さっき申し上げました飯山線ですね、これはあすこはもうバスもだめだ、汽車はもう飯山線よりほかありませし、自家用車だってあの中はなかなかそう簡単に冬はだめでありますし、これはあすこの十四、五万の人口が全く飯山線に依存をしているんです。これがとまったんじゃもう本当にお手上げになるので、汽車が通ったら万歳したというくらいでありますから、これはまあ私ども若干ひがみかどうかわかりませんが、飯山線が新潟鉄道局の管轄でなくって、あれは長野の管轄になっておる。したがって、長野県の国鉄の皆さんが雪に対するいろいろ対策が、まあこんなことを言うとどうかわかりませんが、若干なれておらないとか、あるいはうまくないとか、そういう陰の声が新潟県内の中でいろいろ出ているんですよ。あれ新潟管内に移したらあのくらいのものは簡単にやるよと言って、陰の声でいろいろ新潟県人会の中でもその種の応答がなされておったようでありますが、これはあれですか、あの程度の雪で十日もとまったということになりますと、本当にこれは三全総だの、いや過疎対策だの、いや何だかんだ言ったって、それは絵にかいたもちですね。みんなもう三年あんなことが続いたら、あの辺十五万の連中は全部出ますなあ。もう空っぽになってしまいますよ。だから、これはあれですか、来年はもうかなりやってそういうことはないよと言って、はっきり——雪の降り方もあるでしょうけれども、何か色よいひとつ御答弁できませんかな。
  120. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 全国的に在来線の雪対策については昨年から総裁も非常に力を入れまして、いろいろ設備的な問題、あるいは除雪機械の問題及び列車冬のダイヤの問題、この三つの方面から、実は全国的に昨年からいろいろ対策を、急遽というとあれですが、特に力を入れて雪の対策をしようということで努力をいたしておるところでございますが、ただいま先生の御指摘になりました飯山線は、これに類似した線区はまだほかにも二、三線区実はございます。非常に急傾斜の斜面で、しかも雪が非常に多い。設備的には、たとえば除雪機械等は飯山線についてもこの冬ふやしたのでございますが、しかも雪の量につきましては、ことしの冬は、三カ月間の長い期間で見ますと、昨年度に比べてうんとことしは半分以下の雪でございます、その三カ月間全体の量としては。しかし、ことしの二月には、二月の一日から六日の間、一週間の間に四メートル以上の豪雪が降りました。非常に短期間に実は四メートル以上の雪が降ったということは、昨年は一週間の最大が約二メートルでございました、全体の量としてはことしは少なかったんですが、その一週間の量が非常に多かったために、私の方の除雪機械等だけの能力では急に除雪ができないということで、十日間余りの実は列車運休日を出しまして、まことに申しわけないと思っておりますけれども、そういう事情でございましたので、逐次力を入れてまいりますけれども、どかっと降った雪に対してはどうもただいまのところは名案がないというのが実情でございます。できるだけ、ことしからといいますか、来年度からそういうのり面対策について、いろいろ国からの補助金、助成金もいただくようなかっこうになってまいりましたので、ぜひ雪の問題についてもそういう助成金の問題等も国からごめんどうを見ていただいて、できるだけ冬不通にならないような設備的な補強を考えていきたいというふうに思っております。
  121. 長谷川信

    ○長谷川信君 時間がないので簡単にお願いいたしたいと思いますが、本当にいまの三全総計画あるいは私ども僻地、その隔離されたところは、国鉄の力でなければ——これは国鉄をおだてるわけじゃありませんが、本当にそうなんですよ。これはもう間違いないんで、たとえば新潟県は水は日本一でしょう、発電量も日本一。それから発生するところの地下ガスもこれまた日本一ですよ。三万人も出かせぎが出ている、労働力も日本一。これだけあっても県民所得は全国三十番目なんです。これはやっぱり東京圏内あるいは表日本との輸送がうまくいかないので、これほど資源があっても、なかなか幾ら働いても金がたまらないというのが北陸新潟県の実態だと思うんです。  そういう意味で、国鉄の使命というものは大変重大だと思うのでありますが、これは大臣がいらっしゃればもっと端的に申し上げるのでありますが、本当に予算なんか言わないで、金に糸目をかけないでやっていただければ、その何十倍も効果があると思うんです。そういう面でひとつお願いいたしたいと思います。  最後に、間引き運転、これは来年また継続されますか。これは非常に評判が悪い。いろいろ私も調べてみますと、ことしは何かブレーキの故障を直すために間引きをやったんだというふうな説明を聞いておりますが、来年は、故障が直ったとすれば、あるいは直すなら夏のうちに直していただいて、あの冬季間どうにもならないとき、汽車に乗ろうと思ったら追い出されて寒いところに三時間も立たせられたんじゃ、これは本当にふるえ上がってしまうので、間引きは来年はやめていただきたいと思うのでありますが、これが一点。  それから、いまスキー客——きょうも金曜日で帰ろうと思うけれども、スキー客で大変だと思うんですよ。まあ飛んでいきますと、スキー客がみんな腰かけていて、こっちは端っこに立っているみたいなことが金曜日の午後からはかなりありますね。遊んでいる連中が楽々腰かけて、働いている連中が立っているんだから、これまあやっぱりその辺、スキー客だけはそれこそ臨時列車で運ぶというふうなことを考えられませんか。その二点だけ、時間がないので簡単にひとつ。
  122. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 昨年の冬に、車輪の摩耗いわゆる偏摩耗と言っておりますが、たくさん発生をいたしまして大変御迷惑をかけたわけでございますが、その反省によりまして、ことしは冬の間にそういうのを修復するための予備車をたくさん生み出すということで、計画的に列車の車両を減らしましたり、間引きをいたしまして御迷惑をかけたわけでございますが、直す方の、削る方の能力をだんだんつけていきまして、ことしの冬一遍に全部もとへ戻せるかどうかはまだこれから詳細に検討いたしますけれども、方向としてはなるたけ御迷惑をかけないようにというように考えております。  それからスキーのことでございますが、これも基本的には輸送力の問題だと考えておりますけれども、できるだけスキーのお客様と一般のお客様の御都合を考えまして、一般のお客様に御迷惑にならないようにスキーのお客様にもお願いをし、また輸送の方もできるだけそのようなかっこうで輸送ができるようにしたいというふうに考えております。もう少しごしんぼういただきたいというふうに考えております。
  123. 長谷川信

    ○長谷川信君 間引き運転——私も、最初国鉄から御提示がありまして、そのときに国鉄の御説明をお聞きしたときは、これは、国鉄はバスと違って、あす雪が降るから急に台数を減らすとか回数を減らすとかというわけにはいかないので、やっぱり小回りがきかないので、大体十二月か一月ころから降るだろうということを前提にして間引き運転をやるのでありますと、なお解除はできるだけ早くやりますという話であったんです。ところが、いろいろ話を聞いているうちに、それもあるかどうかわからないが、いま御説明がありましたように、本来は何とか摩滅のあれが原因なんでというお話、その修理をする時間と場所といろんな関係で縮めざるを得ないというお話を後で聞いたわけであります。ところが、その間引きをやってみたら、雪が降ったらまた同じことだということで、必ずしもいま雪国の評判は余りよくないんです、間引き運転は。それで、いま御答弁が余り明確に聞こえなかったのでありますが、これから十一月ころまでにそれをどんどん直して、もうことしの冬からは間引きはやらないと。それから、雪が降ってどうにもならなくなればこれはまたなんでありますが、ことしの雪というのは、二月下旬までほとんど雪は何にもなかったでしょう。何にもないときに間引きやって車両を減らして走っておると、雪国の連中はやっぱり、国鉄さん本当に何とかお願いできないのかなという声がわあっと起きたんですよ。それで、幾らお願いしてもそれはやっぱりだめだった。だめだったが、摩滅が理由であれば、夏のうちに直せば来年からはやらないでいいということになると思いますが、この点ひとつ明確にお聞かせをいただきたい。
  124. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) はっきりした御答弁を申し上げなくて申しわけございませんでしたが、夏の間に全部きちっと削って走らせるわけでございますが、摩滅の起きる原因でございますけれども、これは、雪がちらちら降っておりますときでもブレーキと車輪の間に雪の粉が入りましてブレーキ力が減るものですから、常時、若干軽いブレーキをかけた状態で走らせる、これを耐雪ブレーキと申しております。冬の間はどうしても耐雪ブレーキを使うチャンスがふえますので、整備しておいても予定よりも早く摩滅するということが重なりまして、それでどうしても削る時間が欲しいということから、予備をたくさん持ってないとうまく回らないということが原因でございますので、夏の間に全部整備しておけばいいではないかということちょっと様子が違うわけでございます。ことしは、短期間に、ある時間の中でたくさん削れるという能力をつけていくということが基本だと考えております。そういうことを夏ごろまでに検討いたしまして、来年の計画を定めてまいりたいというふうに考えております。
  125. 長谷川信

    ○長谷川信君 それから、東北、上越新幹線ですね。これは通告はしておらなかったと思いますが、まさに新幹線の完成をみんな首を長くして待っているわけであります。ことしはかなり予算をたくさんつけていただいたのでありますが、最初は五十二年度完成だということで国鉄からお話があった、それから、五十四年になりますというお話があった、それから最近は五十六年になるかもわからぬ、ことしはうんと予算がついたので、事によったら一年アップになるかもわからぬというふうなことを地元でいろいろ聞かされておるわけであります。いま大体七〇%工事が完了に近いと思うのでありますが、五十五年度完成ということを皆さんの方からはっきり言明していただくことができますかどうですか。
  126. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 上越新幹線は国鉄がじかに工事をいたしておりませんので、私も明確にお答えはいたしかねますけれども、ただいま、東北も上越もともに、予算的に見まして約五〇%の工事がこの五十二年度末で進行をいたします。ただいまのところ、五十五年度に工事を完成させるということで全力を挙げておりますけれども、東京から大宮の間にはまだ用地的にいろいろ問題がございますので、鋭意その用地問題の解決にただいま努力をいたしまして、その点が一番心配でございますが、それ以外については予算的にもあるいは用地買収的にも五十五年度いっぱいに完成するということはほぼ目算が立っておりますので、あらゆる努力をいたしまして五十五年度に完成をさせたいというふうに考えております。
  127. 長谷川信

    ○長谷川信君 時間でありますが、大臣おいでになりましたので一言ちょっとお願いしたいと思います。  大臣お留守中にいろいろ御質問申し上げたわけでございますが、いま政府で三全総計画をやっておられまして、いわば地方のエネルギーと活力を糾合して中核都市をつくるという大変りっぱな構想であり発想であると思うのです。ところが、この計画を実施するにはどうしても運輸交通関係の整備が必要であります。御案内のように、上越新幹線、東北新幹線その他の計画でそれらのものが一歩、二歩、三歩、十歩前進をしていることはまことにありがたい話でありますが、ただ問題は、豪雪期における新幹線がたとえば関ケ原で十センチ降ったらもうずたずたになったとか、ことしはもう雪の降る前から三割も間引きして上越の「とき」の運行が減殺をされたとか、この調子でいったら新幹線計画も十二、一、二、三、三カ月は恐らくその機能を発揮することができないかもわからない。関ケ原では二十センチでありますが、新潟は三メーター、四メーターの雪が降るんです。したがって、そういうことで、雪に強いところの車両の開発あるいは技術の開発をやっていただかなければ、三全総はまさに絵にかいたもちで、これらはなかなか本当に実現が困難になると私ども思うわけであります。  御案内のとおり、私は新潟でございますが、新潟は水も資源も日本一でありますし、水力電気も日本一でありますし、いま出かせぎが三万も四万も出ておる。しかも砂丘地はある、米はとれるということで、大変資源のあるくにでございますが、残念ながら県民所得は全国でビリなんです。これは、失礼でございますが埼玉県に水がないかもわからぬ、神奈川県に水がないかもわからない。ところが、神奈川県、埼玉県は所得は全国で、まさに東京に次ぐところの農商の所得を示しているわけであります。したがいまして、三全総をどうしてもやってもらわなければならない。これをやるには、いまの雪に弱い車両では実現がむずかしいのです。だから、運輸大臣から、もうそれはおまえ心配しなくたっていいんだと、今度の新幹線は三十センチや五十センチ降ったってすいすいと通る新幹線をつくるんだということをそれぞれ国鉄に御命令をいただき、また実現をしていただければ、三全総計画というものは私ども本当にありがたい計画が実施ができるというふうに首を長くして待っているわけでございますが、大臣の御見解となお御意思のほどを承っておきたいと思います。
  128. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) お話しのようなことであることは私も大変望ましいと思います。突然御質問を伺って、具体的に科学的根拠をもって、こういうことをするから何とかなりますとか、あるいは財政的に何百億かけてどうしますとかという意味の御回答ができないことは残念でございますが、おっしゃることはしみじみとそうあるべきだと思うわけでございまして、早速研究をいたしまして、新たなる予算措置等を必要とするものについてはなお若干時間が必要かもしれませんが、いま御審議をいただいておる予算の中からもその種の対策ができないものかどうか、その辺私すぐ検討もいたしますし、関係の各責任者に強くその点を力説をいたしまして、なるたけ御期待に沿うようにいたしたいと存ずる次第でございます。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 最初に、私はジェット特別着陸料金の問題についてお尋ねをしたいと思います。  すでに、五十年の九月から、ジェット機を利用される乗客に対して一人六百円の特別料金が取られております。当時五十年の時点では、飛行機の利用客は約一千万人と見込まれ、実績がございます。現在は約二千八百万人ほどの利用客になっているのではないかと思いますが、そういう経過を経まして、今日までこれが実行されておりますが、国内の航空会社三社のジェット特別料金の収支の状況、また航空会社の損益決算状況につきまして御説明を願いたいと思います。
  130. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) まず定期航空、これは大きいところだけ三社とりまして、日本航空、全日空、東亜国内航空、三社につきまして、ジェット特別料金が設定されまして以来の数字の御説明を申し上げます。  三社合計で、五十年度のこれは九月から以降でございますが、ジェット特別料金の収入が五十九億七千四百万であります。これに対しまして、特別着陸料といたしまして、これらの会社が国へ納めました金額の合計が六十三億一千九百万、航空会社側から見れば差し引き三億四千五百万の赤字ということでございます。それから、五十一年度は同じく三社のジェット料金の合計が百十七億二千八百万、一方、特別着陸料といたしまして国に納めた金額が百六億六千万、差し引き航空会社側に十億六千八百万のお金が余剰として残った形になっております。五十二年度、五十三年度はまだ正確な数字がなく、推計でございますが、五十二年度ではジェット料金の合計が百三十八億円、これに対して特別着陸料としての支払いが百九億円、合計二十九億円余剰が出るということでございます。それから五十三年度につきましては、ことしの九月一日から特別着陸料を倍に値上げする計画がございますので、この計画を入れ込んで推測いたしますと、ジェット特別料金の収入が百五十二億円、これに対して国側へ払う着陸料が百八十二億円、差し引き逆転いたしまして航空会社側が三十億円の赤字というふうなことになります。  それから、定期航空三社の収益でございますけれども、日本航空につきましては、五十一年度、これは経常で申し上げますが、営業収入三千九百五十億円、営業費用三千八百十六億円、その他営業外収支で調整いたしまして、最終的に経常損益六十一億円のこれは利益であります。これは国際線、国内線を全部込みにしておりますけれども、ほぼ国際線三に対して国内線一という割合でございます。ちなみに、経常損益の六十一億円というものの中身は、国際線で八十七億円のプラス、国内線で二十六億円のマイナスということで六十一億円の利益になりました。しかしながら、なお前年度からの繰越損益が消えておりません。  それから全日空につきましては、五十一年度収入が二千五億円、費用が千八百九十六億円、営業外収支等全体での経常損益が七十八億円のプラスであります。  それから東亜国内航空は五十一年度四百七十四億円の収入に対して四百十九億円の費用、営業外収支等を含めました経常損益で三十一億円のプラスでございますが、これはなお繰越損益として六十五億円を次期へ繰り越しております。  五十二年度の上期につきましては、上期の仮決算でございますが、日本航空、全日空、東亜国内航空、それぞれ、日本航空では百三十七億円の経常利益、全日空では六十七億円の経常利益、東亜国内航空は二十六億円の経常利益ということになっております。なお、この三社のうち、全日空のみが八%の配当をいたしております。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 いま具体的な数字を示していただきましたが、このジェット特別料金の設定の経過の折にいろいろ説明されている文面を私も承知しておりますが、これは昭和五十年当時航空会社の収支というものが大幅な赤字であった、そのときにこの特別着陸料金というものが設定されまして、その支払い相当額を会社経営努力でカバーすることは不可能である、そこで、これを吸収するためにジェット特別料金を設定することにされまして、五十年の九月からこれが実行されましたが、いま御説明がありましたとおりに、五十年度は赤字であった。しかし、このジェット特別料金は赤字であったけれども、五十一年度は、いま説明がありましたとおりに、十億以上の黒字であります。また、今年度におきましては二十九億というように見込まれておりますけれども、こういうような状態になってきたということは、このように乗客にこれを負担さすという、この特別料金設定のときの経緯の趣旨から見るならば、これはもう改める時期が来ているのではなかろうか。少なくともこれだけの十億以上の黒字が出た段階においてこれは検討すべき問題ではないかと私は思うんです。こういうことを思えば、私は運輸省当局が、運輸行政といたしましてこういうような航空会社寄りの姿勢であって、利用者、国民側のそういう利益というものを忘れた行政であったと言われても仕方がないと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。
  132. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) この特別料金が課せられた意味にかんがみましてこれを合理的に使い、目的の達成を図るということ、当然必要でございまして、今後もそうではありますが、同時に、いまお話しのごとく、そういうような数字が出るような状態でずっといっていいかということは、これは考えなければならぬことであろうと思います。大いに検討をさしていただくことにいたします。
  133. 田代富士男

    田代富士男君 大臣、検討をさしていただきますとおっしゃるけれども、いま申すとおりに、この特別料金の設定のときには、航空会社が赤字のために経営努力でカバーすることは不可能である、そのためにこの措置がとられておりますが、私がただいま航空会社の損益決算状況をお聞きしたのはそのためです。いまお聞きのとおりに黒字であります。それであるならば、このような乗客に対して六百円。私は昨日も東京−大阪を往復いたしました。二時十分の飛行機で行きまして、八時三十分の伊丹発で帰ってきましたけれども、そのときにも私は一緒に乗った乗客の人に話しかけてみましたら、これはけしからぬことであると。こういうような乗らなくちゃならないからとはいいながら、こういう不満がいっぱいあります。検討いたしますと言うけれども、検討の時期は過ぎている。あとはもう実行の段階だと私は思うんです。まして成田新空港開港を間近に迎えたこういうような一つのけじめをつける運輸行政としても大事なときに来ておりますから、私は早急にこれは対処すべきであると思いますが、そういうような検討するという姿勢でなくして、これはいつから実施を——こういうようなジェット特別料金というものに対しては、乗客に対する負担はやめますと言うことが私は当然の措置ではないかと思いますが、時期がまだわからないと、そういうようなことではだめだと思うんです。どうですか。
  134. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) だんだんごもっともなことを拝聴いたして、まあ拝聴しながらも考えているところでございますが、できるだけ速やかに検討をし、検討だけではいかぬとおっしゃるように、実行を目指して諸般の措置をと、こう考えるわけでございますが、速やかだけでも時期がわからぬとおっしゃると思いますので、年内に運賃改定等の問題についても考慮を必要とするような事情も生じてくるかと思いますが、その時期までにあわせて対処するようにいたしたいと考えます。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 いま運賃値上げの問題とからんでとおっしゃるけれども、このジェット特別料金の設定の経緯のときに、経営状態が赤字であるためにこれは乗客の皆さんにということで、こういうことで負担をされているんです。じゃ、もう航空会社は運賃値上げよりも黒字じゃないですか。その時点でという、毎月ですね——じゃ私はあえて聞きますが、当初からこれだけの黒字が出るということはそうしたら予測さていたんですか。どうですか、大臣。これだけの黒字が出るということを予測していたんですか。
  136. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答えいたします。  先生の御指摘のように、この料金を設定した当時はもっと航空会社の方の収益が非常に厳しいということで設定したことは事実でございます。その後、先ほど御説明申し上げましたような結果になってまいりまして、私どももこの制度につきましては再検討の必要を痛感いたしております。ところが、これは言いわけをするつもりで申し上げるわけじゃ全然ございませんけれども、たとえば昨年ですね、航空会社は運賃改定をしたいという要望を持っておったわけでありますが、これは着陸料あるいは航行援助施設利用料の値上げ等がございましたものですから、運賃改定の要求を出しましたけれども、しかしながら、その理由としては着陸料等の値上げ、あるいは一般の人件費、物件費等の値上げの理由もあったんでありますが、私どもは昨年は運賃改定の必要なしということで統一してまいりました。そのときに会社としては、一般の各費用の値上げの増加分を、費用の増加分をこのジェット特別料金の余剰分といいますか、それで相殺したと申しますか、そういった経緯もあったと思います。  しかしながら、こういう状況が今後ずっと続きますことは、やはり非常に利用者から見てわかりにくいことでございますので、私たちとしては、方向といたしましてジェット料金というのは廃止いたしまして、一般の運賃の原価の中に特別着陸料というものを全部入れて計算をいたしたいと、こう思っております。  ことし運賃値上げをするかしないかということについては全く運輸省白紙でございまして、まだこの三月期の決算を見てから判断するわけでございますが、一方において、ことしの九月一日から特別着陸料及び航行援助施設利用料というものの値上げをすることになっておりまして、予算案でそういうふうに計上されておりますが、それによりますと約百五十億円ほど取り上げるということになっておりますので、その計算の結果、あるいは運賃改定等の必要が仮に出てくるとすれば、そのときにこの制度廃止をしたいと思っておりますが、仮に五十二年度につきましても運賃改定を必要とするような決算の結果にならずにこのままいくというふうな場合には、もうそういつまでもジェット料金を据え置くことができませんので、ジェット料金だけを廃止するということも一つの方法として考えてみたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、その辺の結論につきましては五十二年度三月期の決算状況を見まして速やかに対処したいと思っております。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 いまのお話でしたら、聞きようによればいろいろな取り方にとれますが、一つは、秋になるかならないかわからないけれども運賃の改定の時期に合わせてやるというようなことがありますし、もし運賃の改定の時期がない場合には三月期の決算を見てやるということでございますが、そうすると、これはもし運賃改定がない場合、三月の決算期を見た場合に、いまの数字からいきましたならば当然私はジェット特別料金はこれは廃止すべきであると思う。それならば、三月の決算でしたらば、四月ないし五月にでもこれは実行できると私は思うんです。大臣いかがでございますか。
  138. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 一回の決算だけであとはそのとおりいくんだというように決めてかかるのも多少いかがかと思う節もございますが、しかし、大体将来の動向を察知できるものであると思いますので、まあいま直ちに申し上げることはいかがかと思いますが、いまお話しのような御趣旨に合うように大いに私は考えてみたいと思います。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 それと同時に私ちょっとお尋ねしたいんですが、いま具体的な数字を、黒字の数字を挙げていただきました。これは単純計算をしましても、トライスターに六百円で乗客が乗り込む場合に、航空会社が国へ払われる料金を単純計算しますと、多分百四十一、二名の料金があれば航空会社は国へ納める料金は徴収するわけなんです。あれは三百数十名の乗客ですか、満杯になったならばもうそれだけで利益を上げている。満席で行った場合には、そのジェット特別料金だけで約二十万円近くの差益を得ることになっている。それが累積していま発表されたような利益になっておりますが、これは航空会社利益として受け取るべき性格のものではないし、私はそういう改正をするに当たっては、この黒字というものは本来の趣旨のあるべき性格のものでありますから、これはただ単に航空会社利益として処理することはできないと思うんですが、大臣、その点のお考えどうですか。
  140. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) ただいまのところではお客さんはどんどんふえそうだというところが続いておりますが、そうばっかりで考えるわけにもいかぬ事情も若干あろうと思います。あろうと思いますが、大体そうであろうということも言えないことではございませんので、よくお話しのところを踏まえた措置をとるようにいたしたいと思います。
  141. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、この問題はこのくらいにいたしまして、次に特別着陸料の収納状況につきまして御説明を願いたいと思いますし、それにつきまして、国の歳入の債権残高というものはどのくらいになっているか、お知らせ願いたいと思います。
  142. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 特別着陸料全体の収支につきましては、いま数字を調べまして御報告申し上げますが、問題になっておりまする未納債権分でございますが、いわゆる外国の航空会社が五十年の九月以来納めてない特別着陸料の金額を合計いたしますと、昨年の十一月分までの合計で四十九億五千万という数字でございます。
  143. 田代富士男

    田代富士男君 私の、ここに資料をいただいておりますけれども、もらった資料がもらうたびごとに数字が違うんです。私はこれは基準が違うかと思いますが、いまお聞きした数字も私のいただきました航空局からの資料と非常に違いがありますけれども、ほぼこれに近いそういう債権残高があることは間違いないと私は思うわけなんです。そこで、こういう特別着陸料というようなものがいま国内線においては徴収されておりますけれども、外国の航空会社はこのような特別料金に対しまして反対の態度をとっておりますが、こういうような制度をとっている世界の空港がどこかにあるでしょうか、御説明願いたいと思います。
  144. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) こういう制度をとっているところはやはり非常に少のうございまして、私どもの調査ではパリのドゴール空港でとっておるというふうに聞いておりますが、その金額もたしか三ないし四フランということと聞いております。わが国の航空機騒音問題というものの発生がきわめて急激で、かつその規模が大きかったために、わが国としてはどうしてもこういった制度をとらざるを得なかったという状況があったわけでございます。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま申し上げましたとおりに、この国際航空運送協会IATAにおいては、このような特別料金の新設につきまして五十年度の予算編成の当時に反対の意向を示しております。また、特にIATAのハマーショルド事務総長も、運輸省に対しまして口頭で反対の意見を述べたり、このように合議というものがなされないまま、物別れのままにこれが実行をされております。いま羽田空港あるいは大阪空港等を利用します世界の航空会社のほとんどが一致して反対をするという、こういうような特別着陸料に対しまして反対を押し切って実行しなくてはならないという、そういう裏づけというべきものは何でしょうか。いま言うとおりに、世界の各空港にはほとんどないと、そのためにこういう反対が起きている、それを押し切ったという、それは裏づけは何でしょうか、御説明願いたいと思います。
  146. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私どもは交通機関すべてにつきましてやはり利用者負担というのが大原則であると考えております。航空につきましても、航空の利用者が航空の利用のためのコストを負担するというのが原則であると考えておりますが、空港の利用につきましては、これは空港に着陸するための着陸料あるいは航行援助施設利用料というふうなものが在来からの費用でございましたけれども、ここ四、五年来急激に高まってまいりました航空機騒音問題に対処するためには、どうしても空港周辺の民家の防音工事等に大変な金が要るようになりまして、それを完全に実施いたしませんと、航空機の発着すらも受け入れられがたいという社会的情勢になってまいったものでございますから、私どもは飛行場の滑走路をつくったり整備したりする費用と同じような意味で、これは航空機がその飛行場に離着陸するために発生する航空公害を防止する費用でございますので、いわゆるPPPの原則によりまして、これは航空会社が第一義的には空港管理者に支払うべきコストであると考えまして特別着陸料を制定したわけでございます。もちろん特別のものを別に設けずに、一般の着陸料というものの値上げをする方法もございましたけれども、まだわが国ではジェット機以外の航空機も就航いたしておりまして、たとえばYS11のようなさほど騒音の大きくないものしか着陸していない、そういう空港全部にまで特別着陸料というものを押し及ぼすことはその当初においていかがかということもございまして、いわゆるジェット機の着陸する特定の飛行場につきましてこういった特別の料金を取るというふうにしたわけでございまして、要するに公害発生源をなくなすためのあるいは公害を防除するための費用は、その公害の発生をさせている企業が負担すべきであるという原則にのっとってつくった制度であると考えているわけであります。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 この問題はいろいろ焦点がありますが、この特別着陸料に対しまして外国の航空会社が主張している意見というものは、私も日本人でありますからやはり国の立場をとらねばなりませんけれども、やはり相手の言い分というものはこれは謙虚に耳を傾けるべきではないかと思いますし、私は外国の航空会社の言わんとしているそれは理解できる面があります。  たとえば、この特別着陸料の設定というものは、国際民間航空条約やあるいは航空行政に関する日本と外国との協定に違反して無効であると向こうでは言っておるわけなんですが、日本の法律ではこれを、日本においては運輸大臣の権限においてこれを決めたんだからと言っておりますが、運輸大臣の権限にこれは属しないものであると、こういうふうに主張しておりますが、そのお互いの主張というものを公平に考えた場合に、実質的には着陸料というものの趣旨というものがありますけれども、こういう航空機の離着陸の際に生ずる騒音を基準として、しかも各地の飛行場周辺で生じている航空機の騒音問題の対策費のために財源として各航空会社に課せられるという特別の負担だと、したがって、国有財産である公共用の飛行場の使用の対価としての性格はこれは持っていないんだというこの主張というものは私は正しいのではないかと理解をしております。したがって、その設定というものは、当然政府において航空機騒音の被害の実態及びその解決方法を明らかにした上に、そのための財源を、空港設置者である国あるいは地方自治体、空港施設の直接の利用者としての航空会社並びに航空機を利用する乗客の間で、いかに分担するかにおいて慎重に討議を求めて、かかる討議を経た上にこれは決定すべきものであるんじゃないかと思うんです。そういうことで、原則というならば法律という形式でのみ許されるべきこういうものであって、これが大臣の権限で、これが告示という形でされるということは承服できないという、こういう主張というものは、なるほどその主張が正しいのではないかと私は思います。  また国際協定にも違反しているということ、国際民間航空条約の第十五条の精神、これには空港その他の施設の使用料金規定がされてありますけれども、この特別着陸料というのは、空港その他の施設の使用の対価としての性格を有しないと、これに違反するんだという、この主張も私は理解できます。また、国際民間航空条約第三十七条の中にもありますけれども、こういうような、ICAOでも慎重に討議をやれと言ったにもかかわらず、そういうことをやらずに実施しているというようなこともこういうような精神に違反するという、こういうことから考えていきますならば、私はいかなる理由があったにしてもこれは考えなくてはならないのではないかと思います。まして成田の新空港を開こうというそのときに、こういう問題を未解決のままにして新空港を開くというのはよくないと思いますが、大臣は、在籍中にこれが決まったわけじゃありませんけれども運輸大臣は現時点におきます責任者でありますから、これを解決しないままに新しく成田新空港の時代を迎えようという、第二期の日本の航空界に対してこのままいくのか、これを解決して新しい第二期のこういう成田新空港の時代を迎えるのか、そこらあたりの大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  148. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) IATAの責任者のハマーショルド氏等も私どものところにも参りまして、若干の話もございました。しかし、それはまあおおむね儀礼的な訪問で、私自身が中身に入っていろいろ取り決め等を行った次第ではございませんが、まあ日本の航空ということも、非常に世界の中でもかなりの脚光を浴びるようになってきているだけに、いまお話しのような点を大いに考えなければならぬと思います。  もう十数日の後に控えました成田開港と関連しての御質問でございますが、この問題が解決しないから成田は開港しないというわけにもこれはもちろんまいりませんし、この問題については一応まあいままでやってきている方針がございますが、ただいまお話しの点等もございますので、まあ両者がかかわり合って開港に支障が起こるというようなことではございませんし、そういうことがありませんように対処していきたいと思うわけでございまして、細部にわたりまして局長からも答えさせますことを御了承いただきたいと思います。
  149. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 既存の空港につきまして特別着陸料の支払いに関する争いが起こっている最中、また成田空港の使用料がうまくまとまるのかという御指摘につきましては、私もその問題について先生と同じ意見を持ち得るわけでございますけれども、私どもはまあ既存の特着料につきまして、やはり法的根拠ありということでやっておりますことと、それから、成田空港の問題につきましていろいろ外国エアライン側が主張しておりますことにつきましても、私たち事務的にはいろいろ反論の材料もございますけれども、大臣がお話し申し上げましたように、やはりわが国としては世紀の大事業でございますし、これを料金の面でもやはり円滑に処理いたしますということはわれわれの事務当局の義務でもございますので、開港前に何とか片をつけたいということで、目下鋭意努力をしているところでございます。ぜひ解決をさしたいと思って、これからも努力を続けるつもりでございます。
  150. 田代富士男

    田代富士男君 会計検査院にお尋ねいたしますが、この特別着陸料金の未入の金額が約四十九億五千万円、これは数字が、私いま申しましたとおりに、私が手元にもらっている数字と幾分違いがありますけれども、ほぼこれに近いそういうような特別着陸料金というものが徴収されていないわけなんですけれども、会計検査院として、これは五十年、五十一年、五十二年とかかわっている問題ですけれども、これに対してはどのようにお考えでしょうか。
  151. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) ただいま御指摘のとおり、四十九億五千万円と非常に多額な金額が未入になっておりますが、この件に関しましては、先生承知のとおり、外国エアラインが、二十六社ですか、現在国を相手に訴訟中でございますし、国もこれに対して反訴しているという状況でございますので、検査院としましては現在この状況を見守っているという段階でございます。  したがいまして、現在におきましては意見を述べる点はちょっと差し控えさしていただきたいと考えております。
  152. 田代富士男

    田代富士男君 会計検査院の立場としては非常に微妙な立場だと思いますけれども、いま局長は、これは合法的であると、このように主張されておるわけなんです。合法的であるならば、それだけの予算というものは組まれておりまして、それだけ入ってきてないと。その外国の航空会社も、当初納金をされていた航空会社もあります。ところが、途中からすべてがそういう形に変わりつつあると。だから、航空局では合法であると認められている以上は、会計検査院として、裁判中であると言われるけれども、まあ見守っているという、これは非常に言いにくい立場だとは思いますけれども、これはちゃんとやるべきだと思うんです。どうでしょうか、会計検査院。見守っているだけじゃなくして、合法的てあるという主張をされるんですから。
  153. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) まだ裁判中でございますのではっきりしたことは言えませんけれども、この件に関しましては、検査院の態度としましては、今後研究をさしていただきたいと思います。いま現在のところ、まだはっきりしたことは決めておりません。
  154. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、いま裁判中ということでございますからそれを差し控えまして、大臣にお尋ねいたしますが、成田新空港の空港使用料の問題で、これはいまの特別着陸料金も国際的な問題になっておりますが、成田空港の空港使用料の問題がこれまた非常に高い。この空港使用料が、聞くところによりますれば、ジャンボB747の空港使用料一つを取り上げましても、オーストラリアのシドニー空港に次いで世界で第二番目の高い料金を取ろうとしていると。そういうところから、いま大臣もお話しになりましたIATAのハマーショルド事務総長が参りまして、これ何とかならないのかという話し合いがされたと。これに対して、アメリカ等においては報復も辞さないという、こういうような強い姿勢を向けております。こういう特別着陸料金で国際的な問題を起こしているところに、なおかつ成田新空港が空港使用料そのもの時点においても、こういう世界の航空会社から反発を食うようなこういう状態に対しまして、新しい新空港を祝わなくてはならないけれども、祝う以前に心配を伴った開港にならざるを得ないと。この点の心配を大臣はどのように改善されようとされるんでしょうか。大臣からお願いします。
  155. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) まあ成田がいろいろの苦しい経験を経てこれまで来たわけでありますが、財政的にも非常に当初考えましたよりは大きな出費を見つつ、今日までに来ております。私の立場といたしますと、まさにいまお話しもございましたように、世界各国がにこにこしてくれるような安い使用料金等が決まるような、そういうことでいいような状況であることは一面において望ましいわけでございますが、同時に、まあ独立採算的な考慮よりいたしまして、成田はつくったがうんと赤字になるというようなことじゃこれまた各方面から大いにしかられるわけで、そこで私といたしますと、まああんまり高く取れないが、さりといってあんまりおまけして、喜んでもらえるということは結構だが、赤字がうんと出るようじゃこれも困りますので、そういうことも頭に置きつつ、日本の代表もすでに三回の会議をやり、四回目をいまやっているわけでございますが、まさに終わりに近づくほど難航ということではございます。  しかし、まあそういうことでございますので、幾らぐらいまでに話がいったところでは手を打てと言ったとか、そういうことは申し上げるわけにいきませんけれども、まあぎりぎりそういうようなことにも考慮を及ぼしての折衝をしなければならぬわけでございます。私といたしましては、確かにいろいろのことで金はかかったのであるからということはまあ考慮しなければなりませんが、同時に、先ほどから伺っておりますように、世界の中の日本がいかにも高いじゃないかと言われるようなことでもいかがかと思います。これはあんまり言いますと、またその相手にもっとまけろというような話になりますんで、ここのところむつかしいんでございます。まあもうしばらく非常に苦労だと思いますが、何かある意味では剣が峰に立っているような心境でございます。その一見大変矛盾して、片っ方を立てりゃ片っ方が立たない、そんなうまくいくかというような事情ではございますが、あえて私は矛盾したかのごときこの一点において、何とかしてなるほどという調和点を見出していきたいということでございます。  本当は、数字を申し上げるとそうかと言うていただけるところがあるかもしれませんが、いま言いますと、一方ジュネーブでいろいろやらしておりますので、この程度でひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  156. 田代富士男

    田代富士男君 時間も参ったようでございますが、最後にお尋ねいたします。  大臣の苦心、苦衷の胸の内はわからないわけではありませんが、こういう特別着陸料金では国際問題が起きている、空港使用料でも問題が起きている、こういうときに、わざわざ相手の気分をそぐようなことをあえて言う必要はないわけなんですが、たとえば大臣御承知のとおりに、回数割引料金とも言うべき、まあ一ヵ月に三百回の離着陸をするところは割引をいたしましょうと、こういうようなことを言っているわけなんでしょう。そうしますと、その恩恵を受けるべき航空会社は日本航空だけなんです、その恩恵を受けるのは。そうすると、外国の航空会社は、高い料金じゃないか、恩恵を受けるのは日本航空じゃないか、差別料金制度ではないかと、このように、経済問題にあえて触れませんけれども、経済問題でも世界から袋だたきに遭っている中であえてこういうことも言う必要はないじゃないでしょうか。だから、いま数字等も言えばとおっしゃるけれども、いまのままいけば、経済界においてもそう袋だたきに遭っているのに、航空界においてもそういうことがある。これは世界各国が言っている日本航空に対する報復というものを考えるならば、大臣としてこれは英断を下していくべきじゃないかと思うんですけれども、その点大臣いかがでございますか。
  157. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) その割引の点につきましても、確かに現実は日本航空がというように受け取られるような結果になっておりますが、そもそもああいうことを決めたゆえんのものは、別に日本航空にだけ得をさせようと思って決めたんじゃ全然ないんで、その趣旨はよく御理解いただいておるとおりでございますが、しかし、現実にあああいうことになると、割引を受けない方は、受けたのは日本航空だけ、どうしてだというようなことが起こるのもわからぬではございません。そこで、こういう点についてはよく考慮して対処もしなけりゃならぬし、理論的に申しまするならば、多く発着する日本航空がそういうことになるというのはこれはこれでまた筋の通った話でございますけれども、世の中、筋は通っておってもなかなか了承されにくいということもございますので、お話もございましたし、この辺あたりも、そこから先はむずかしいのでございますけれども、よく伺っておいて今後に対処したいと存じます。
  158. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、会計検査院と国鉄に、積算不当による高価契約の減額処理についてお伺いをしたいと思います。  検査報告を見ますと、毎年のように工事契約における予定価格の積算に関する不当事項指摘されておりますけれども、国鉄の場合、昭和五十一年度で積算の不適切によって契約額の割り高になったものが二件、合計六千百八十万円の高価契約になったと、このように掲記されていることは御承知のとおりでございます。私はこのうちで、第六二号の不当事項、つまり、防音壁等の新設工事の施行に当たって側方遮音壁の腕材ガセットの取りつけ工事費の積算が適切でなかったために、契約額が約四千四百四十万円割り高になっているとの指摘についてお尋ねをしたいと思います。  この場合、二億五千万円の契約額に対して、その一七%に当たる金額が割り高ということで減額されているわでございますが、国鉄側はこの不当事項について、請負人と協議の上、昭和五十二年六月二十七日請負代金の減額措置をしたと説明をされておりますが、契約規定のどこを根拠にして行われたのか、責任の所在というのは請負人なのかあるいは国鉄なのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  159. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ただいま指摘を受けました工事は、東海道新幹線の名古屋と岐阜羽島の間で、新幹線と名神国道とが交差しているところに鉄橋がございます。この鉄橋は、新幹線が完成したときでございますから昭和三十九年に完成したものでございますけれども、非常に音が大きく発生いたしますので、この橋梁の音を小さくする目的で防音工事をするということで、昨年の三月三十一日に入札をしたものであります。  いま御指摘になりました点は、入札後間もなくいたしまして会計検査院の方が検査に来られましたときに積算のミステークを発見されまして直ちに御注意を受けました。  内容は、私の方の積算の計算書の中で、数量の計算間違いによりまして——非常に単純なミスでございますが、数量の計算間違いによりまして割り高の契約をいたしたものであります。したがいまして、これは本当に国鉄側の——その意味では積算をいたした者及び契約を担当いたした者の責任でございました。私の方の責任でございますけれども、まだ工事着工後間もないところで竣工いたしておりませんでしたものですから、請負業者とよく協議をいたしまして、計算内容のミステークについてお打ち合わせをいたしまして、御指摘を受けた約四千四百万円の金額の減額処置を、請負者の方と協議が成り立ったので、契約の約二ヵ月後の六月でございますけれども、減額をいたした次第でございます。  いかなる法的根拠かという御質問でございますけれども、特に私の方は請負金額の増減については、従来数量の変更あるいは工事内容の変更あるいは著しい物価の変動というものについては契約書の中で明確になっておりますけれども、本件のような私の方のミステークという問題については特約条項はございません。ただ、一番最後の五十四条に、「この契約書に定めのない事項については、必要に応じて」発注者側である国鉄と請負者との間にいろいろ疑義を生じたものについては、両者で「協議して定めるものとする」という条文がございますので、この条文に従って御相談御協議申し上げたところ、今回この件については御了承を得られたので減額処置をした次第でございます。
  160. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いま、責任は国鉄側にあって請負人にはないということを確認をしたわけでございますが、やはり契約規定の中に、そういうような積算の過大に見積もった場合あるいはまた過小に見積もった場合のそういう請負人との契約規定というのは当然あってしかるべきと思うんですが、規定の中にそういう明文はないわけですか。
  161. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 国鉄の工事契約の基本は、国鉄以外にもほとんどのところが同じだと思いますけれども、入札のときには総価で入札をいたします。したがいまして、個々の内容についての入札でなくて、総価で入札して最低のものと契約するということになっておりまして、契約後に各工事種類別に——その中に幾つかの工事種類がございます。その工事種類別に単価契約をするというルールになっておるわけです。したがいまして、総価で入札いたしましたときに個々には何が間違っていたかというものについてはわかりません。ある工事種類については非常に私らの考えよりも入札者の方が高いものもあれば、ある工事種類については私の方の考えより安いものがあるという両方の総合された総価で入札いたしますので、いま先生の御指摘のような条文については契約書の中では定めていないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、疑義の生じたような場合には五十四条を適用いたしまして御協議をするということにいたしております。
  162. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 責任のない業者に契約上も法令上も減額する根拠のないということで、ただ会計検査院の方から指摘を受けたということで減額をするということは私は当を得ない措置ではないかと。まして契約規定にもないということになると規定違反のおそれがあると、こういうふうに思われてならないわけです。また、いま御答弁になりましたいろんな条項でございますが、この入札は、予定価格より入札者の入札金額は若干上回っておるぐらいで、ほかの四業者の方々も大体予定価格に近い金額で入札をしておられるわけでございますので、この割り高ということに対して業者が大変迷惑をしておることは私は事実だと思います。それで、説明書の中にあります協議をしたということで、工事の設計変更通知書、こういうような資料を見てみましたら、別紙調書のとおり設計変更をして請負金額四千六百五十四万三百六十円を減額すると、このようにありますけれども、別紙調書を見れば、設計変更のないただ単価の改定だけでございますが、この点はどうでしょうか。
  163. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 先ほども申し上げましたように、入札いたしますときには総価で入札いたしまして、本件の場合には入札後契約時点において四つの工事種類に分割して、おのおのの単価が記載されて契約に付されているという次第でございます。したがいまして、そういう意味では単価の減額ということになるかもしれませんけれども、請負業者の方と協議をいたしまして、総額においていま先生のおっしゃいます四千六百五十四万三百六十円というものを、六月の時点で減額をいたして協議を成立させたということでございます。
  164. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ですから、別紙調書を見ますと、設計変更とありますけれども、設計変更ではなくて単なる単価の改定だというところで、私はこの文書は不実を記載されておるような気がしてならないわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
  165. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま先生のおっしゃいますのは私の方の内部書類のことだと思いますけれども、総額を変更するかというのは、結局単価が変更するから総額が変わるということで、内部処理としては、その単価の変更を、設計変更という実は言葉を使いまして単価の変更を従来長年にわたってすべてやっておりますので、言葉はちょっと先生の御指摘のように確かに適当じゃないと思います。設計変更という名称を使いまして単価の変更をしたという点については誤解を受けやすいかと思いますが、長年そういうことで設計変更という名称で単価の変更をいたしておりますので、本件もそのように処置されたものと考えております。
  166. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、会計検査院にお尋ねをいたしますが、このような不当事項の単なる指摘ではなくて、やはりその不当事項がどのように処理をされたかという、そういう追跡調査をされることが大事ではないかと思いますが、このことに関しまして、やはり国費の適正な使用ということで、早く減額をせよということが会計検査院の方から国鉄の方に強い慫慂があったような疑いを持たざるを得ないわけでございますけれども、こういうような契約規定にない措置をして、そして説明書の中に、このようにしましたということで了承されてあのような文書に記載をされるということについて私は大変疑問を感ずるわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
  167. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 私どもの検査におきまして、たとえば過大支払いとか出来高不足というものにつきましては、その分の返還とか減額措置ということを当局に指示しておりますが、予定価格の過大積算につきましては、先ほど当局の方からも御説明ございましたように、入札という行為を経ておりますので、当局のミスというものは、直接受注者の責任ということにはなっておりません。したがいまして、私どももその過大積算分について返還とかあるいは減額措置をしなさいというような指示はしたことはございません。ただ、予定価格の積算過程におきまして、当局の方で重大な錯誤に基づく計算をやりました場合に、これが請負業者の不当利得につながるという場合には、いままでも当局の方で請負業者の方といろいろ協議されて、合意の上、返還なり減額措置をしておられるということを聞いております。先生指摘の本件の六二号につきましても、そのような協議が、五十四条によって協議が調って適法な減額をやったという報告を後で受けております。  ただ、ここで考えなくちゃいけないのは、その合意の際に、あるいは後でめんどうを見るからとか、あるいは別途工事を発注するからというような約束でもございますとこれは非常にゆゆしき問題でございますので、その工事につきましては、事後の検査におきまして、この辺のことを十分留意して厳重に検査しているところでございます。
  168. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ、会計検査院にお尋ねしますが、いまのやつは積算を間違って割り高になったと。積算を間違って割り安になって増額をしなければならないという指摘をされたことがおありになりますか。
  169. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) いままで、積算過小であるから増額しなさいという不当事項はございませんが、ただ、予定価格の不当金額を出す場合に、もしそういう過小分がございますと、その分を考慮してもこれだけ高くなっているという、そういう国損額を計算いたします場合には、過小計算を私どもの方でその要素として計算しております。
  170. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私はやはり公平であれば、そういうような措置も含めて会計検査院の方では、やはりいまおっしゃった、水増しをして、今度この次の工事は少し有利なそういうような契約をしてあげるよとか、そういうようなことがあるおそれが出てくるんじゃないか。特に全工事費の一七%も減額をされるということになりますと、この場合は大手でございますから、私はそういうようなことの含みがあったんじゃないか。中小零細企業の方々でありますと、これはもう大変な国の行財政に対する不信感を持つわけでございます。そういうことで、やはり契約規定あたりにはっきりそういうことをうたうことが大事ではないかと思いますが、今後の国鉄当局と会計検査院のこういうような問題に対する取り組みについての決意をお聞かせ願って、このことを終わりたいと思います。
  171. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 先生指摘のように、確かに考え方によっては不明朗な措置でございますので、こういうのをすっきりした形でできるような条項その他ができるように、私どもとしても、今後の検査の際、当局の方といろいろ御相談してみたいと、このように思っております。
  172. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま積算の内訳については、契約する時点契約書類の一部にはし得ないものでございます。したがいまして、契約するときに私の方が請負業者の方にお示しできるのは、図面といわゆる示方書、契約書、そういうものは請負業者の方にはっきり明示いたしまして入札をしていただくということでございまして、どうも積算の内訳書のミステークを契約書の中でといっても、何がミステークであったかということがむしろ後で論争になりますので、いま先生のおっしゃいますようなことには直接ならないのではないかというふうに考えておりますが、こういうミステークによっていろいろトラブルが起きるということはまことに残念なことでございますので、なるべく契約書は総価で入札するとともに、後で工事種類をもう少し細かに、いま本件ではたった四つの種類にしか分類してございませんけれども、もっと細かに工事種類を分けてそうして契約をしておけば、少なくとも本件のような問題は生じないんじゃないかというようなことも考えて、御趣旨に沿うようにいろんな点で工夫、努力をしていきたいというふうに考えております。
  173. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後に、国鉄の方にお願いをしておきたいことは、やはりこういうようなことは、先ほど申し上げたとおり、非常に暗い面を想像せざるを得ないという、そういう面とか、あるいは中小企業あたりには非常な不信感を与えるということになりますので、厳にこういうようなことが起こらないように御注意をしていただきたいと思います。  次は、運輸省の航空局に、航空路の増設の問題についてお尋ねをいたします。  御承知のとおり、鹿児島空港は昭和五十二年度という単年度で約三百万人の乗降客がある非常な繁忙な空港でございまして、将来も飛躍的に乗降客の増加が見込まれると、こういうような状態でございますが、その中で、主要な国内乗客の五二%を占めます東京、大阪便というのはほとんど満席でございます。きょうも私はいろいろ調べてみましたら、空席待ちがほとんど二百名を超えるんじゃないかと、こういうような状態でございます。特に、正月、あるいは就職、入学、お盆、また連休、そういうような時期には、年間で百三十日ぐらい、約三分の一が切符が手に入らないで県民が本当に不自由な思いをしていることは御承知のとおりでございます。また、いま一航空会社が独占をしておるということで、乗客に対するサービスも非常に悪いという、そういう批判も起こっておるようでございます。そういうようなことで、利用客の方々は、ひとしく東亜国内航空の東京、大阪直行便、あるいはまた日本航空の香港便の国内線の利用を強く要望して、数年前からこれは陳情しておるわけでございますが、いまに至るも実現をしていないのが実情でございます。かえって昨年の暮れは、全日空で二便百席、東亜国内航空で二便二百五十六席を減便するなど、本当に逆行的な措置がとられているのは御承知かと思いますが、奄美大島からの通し運賃の制度の活用も含めて、鹿児島空港のダブルトラックの実現について航空局の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  174. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) いまお話がございましたような点は、大いに考慮すべきものであると私考えております。したがって、便数とかあるいはダブルトラッキングというようなことにもお触れになりましたが、今後実情に沿うような措置をとっていくのが——いままでもとっておりましたけれども事情がますます御指摘になりましたようなことになっているだけに、その措置をとっていくべきであると私は考えております。具体的なことは局長から答えさせます。
  175. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 大臣がお答え申し上げたことがすべてでございますけれども、私ども航空行政の基本といたしまして、利用者のために航空サービスを提供するということは基本でございます。そして非常に需要の多いところを一社で供給いたしますと、どうしてもいわゆる独占の弊というものが起こりやすいということは世上言われるところでございますが、航空につきましても、やはり非常に需要の多い路線については、複数の企業によって公正競争を期待するということがいいと思うのであります。そういった方向で従来とも行政をしておりますが、成田空港ができるまでは、羽田が非常に逼迫しておりますのでそういうこともできませんでしたが、成田空港が開港いたしまして羽田に余力ができました暁におきましては、いまのような公正競争という原則に立ちまして、これは全国路線につきましてそういう方向でやっていくつもりでございます。具体的に鹿児島をどうするかというようなことにつきましては、その一般原則のもとで検討いたしたいと思います。
  176. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 和泉先生、大分時間が超過しております。じゃもう一点だけ。
  177. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほど申し上げたとおり、この鹿児島空港というのは非常に利用率が高いところでございますが、この空港がどうして国内幹線空港に指定がないのか。そしてまた、国際空港でございますけれども、たとえて言いますと、福岡経由香港、鹿児島経由香港の場合、鹿児島の場合はストップオーバーという制度がとられてないわけでございます。こういうような差別をされておるのが現状の鹿児島空港でございますが、これらに対する対処はどのようにされるおつもりか、最後にお聞かせ願いたいと思います。
  178. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 幹線とは何ぞやというところが大変むずかしい問題でございまして、いろいろな解釈がございますけれども、私ども実務上の割り切り方といたしましては、昭和四十七年七月一日に運輸大臣が、四十五年の閣議決定に基づく国内の航空企業の運営体制につきまして通達を出しました。この中に、日本航空の担務すべき路線といたしまして幹線をやると書きまして、そこにカッコいたしまして、幹線とはということで、札幌、東京、大阪、福岡、那覇というふうに明示をしてございますので、実務的にはそれで従事っております。もちろん、東京から大変たくさんのお客が行く鹿児島なんかも幹線にしたらどうかという意見はあることは知っておりますけれども、従来の解釈に従いまして、当面は鹿児島を結ぶ路線は幹線でないということでやっておりますので、日本航空が鹿児島に入れないということでございます。  そこで、鹿児島の利用者の方につきましてはいろいろ御要望があって、たとえば日本航空の飛行機が、東京−福岡−鹿児島−香港、週一便、あるいは福岡−鹿児島−香港、週二便と、こういうのを何とか国際線と国内旅客と混乗させて乗せることができればエネルギー節約にもなるじゃないかという点については、国会でもかねて御指摘があったところであるわけでございますが、国内線と国際線のお客の同じ飛行機の中への混乗という問題は、これまた別の点で大変むずかしいことがございまして、端的には、やはり出入国管理あるいは特に関税対策といたしまして、同じ飛行機の中で国際線、国内線のお客が混乗いたしますと、まあ密輸品なんかを飛行機の中で受け渡しをするというふうなことがあっては大変だというようなことがあるし、さりとて、香港から帰ったお客さんを全部鹿児島でおろしまして、通関をしてから改めて乗っけるということについてもお客の理解を得られるだろうかどうだろうかという点もございますので、この点につきましてはなお研究問題でございますので、なお検討いたしますが、先ほど申し上げましたような成田空港の開港によりまして、羽田の能力が余裕ができてまいりまして増便等が可能になりまするならば、輸送力の面での御迷惑につきましてはかなり解消できると思いますが、いまの点につきましてもあわせて検討いたします。
  179. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は運輸省建設省の二省の間で協定なさっていらっしゃいます、連続立体交差について私鉄の負担割合の問題をお伺いしたいと思うんです。  昭和四十四年九月に運建協定が結ばれて、この協定が実情に大変合わないというふうなことで、現場ではいろんな問題が起こっているわけなんです。国会の中でも、わが党の衆議院の東中議員あるいは参議院の河田議員がこの問題を取り上げておりますけれども、私はまず具体的な事例でお聞きをしたいと思います。  二省間の協定に基づいたものではございませんけれども、私ここに、「阪神杭瀬ショッピングセンター(仮称)入店御案内」という、阪神電鉄株式会社が発行しているこういうパンフレットを持ってきております。これを見てみますと、阪神杭瀬駅といいますのは、高潮対策事業費、これは総工費九十二億九千万円です。そして、うち阪神の負担というのは十七億六千五百万円です。この事業によって、高架下にショッピングセンターの店舗面積が六百九十五坪、すなわち二千二百九十八平米生まれるわけです。これに対して四十店の募集をしているわけなんです。これによりますと、保証金というのが坪当たり平均計算をいたしますと約九十万円です。九十万円として計算をいたしますと、保証金の合計といいますのはこの約四十店の店舗で六億二千五百五十万円と、こういうことになります。そして家賃収入も計算をいたしてみますと、月九千円としまして全体で七千百十七万二千円、十年間では七億千百七十二万円と、こういうことになりまして、十年間の保証金——保証金は十年間これは積み立てておくということになっておりますから、これと家賃収入合計いたしますと十三億三千七百二十二万円と、こういうものが安定的に入手できることになっているわけなんです。保証金は十年間投資や預金などにも運用できますし、それから家賃は、これを見ますと三年ごとに値上げをして、そして敷金はまた、家賃が値上げされたときに、当該年次の家賃の一カ年分に満たない場合は差額を預託さすようにしているわけなんです。ですから、九十二億の工事中に十七億余、これを出すだけで、少なくとも私がいま申し上げたような受益があるというふうな計算ができるんです。  そこで、一般的な問題でお伺いいたしますけれども、この二省間の協定ができて私鉄は七%しか負担をしないと、こういうことになっているわけです。しかし、利用しております市民とか、こういう人たちは、鉄道側が、輸送力が増強すると、まあ踏切がなくなるし、踏切の設備が要らない、警手もいらない、あるいは事故が減少する、スピードアップもできる、そして施設も更新されると、こういうふうなことで非常に輸送力が増強するということだから、鉄道側は非常にたくさん負担しているだろうと、ほとんど鉄道側が負担しているんじゃないかと、こういうふうに思っているわけなんです。ところが、ふたをあけてみると七%しか負担をしていないというふうなことで非常に驚いているというふうな実情があるわけです。  そこで、私大臣にお伺いいたしとうございますけれども、こういう高潮対策事業で、私がいま挙げました総工費約九十三億円、阪神の負担というのが十七億円、高架下から十年間で約十三億、これが安定的に入手をできると、概算しますとこういうことになるんです。こういうことの事態について一体どういうふうなお考えを持たれましょうか、これをお伺いいたします。
  180. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) その数字を伺いましただけでは何か私鉄が余り出さないでうまいことやっているような感じも受けるのでございますが、当時の事情を調べてみますと、それなりの理由があって両省間でそういう取り決めをしているようでございます。やや詳細にわたって鉄道監督局長から答えることをお許しいただきたいと思います。
  181. 住田正二

    政府委員住田正二君) いま大臣からも申し上げましたように、この連続立体あるいは単独立体、まあいまお話しの高潮対策というのは例外的なケースではないかと思いますが、こういうものは本来都市計画事業で行われているわけでございます。で、まず鉄道が引かれておって、その周辺の地帯が開発され、あるいは発展したということで、都市計画事業として高架化という問題が起きてくるわけでございます。したがいまして、やはり事業の主体はあくまで都市側にあるわけでございます。  まあこういう言い方をいたしますと、若干問題あるかと思いますけれども、まあ鉄道の方としては特に上げなくても事業の継続は可能であると。もちろん先ほど先生からお話がありましたように、高架化されれば踏切がなくなるとか、そういうような問題は、そういうプラスの面は確かにございます。しかし、本来は都市側の要求に基づいて行われるものであるという前提に立って御説明申し上げたいと思いますが、そういう点から言いますと、やはり私鉄側、あるいは国鉄も含めまして鉄道事業者側というのは、受益をする限度で負担するというのがたてまえになってくると思います。で、受益の限度というのは、これはケース・バイ・ケースでいろいろ違うと思いますけれども、まあ従来のいろいろな実績から、昭和四十四年に運輸省建設省の間で協定ができたわけでございます。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕  いまお話しの高潮につきましては、これは運輸省建設省の間に、この問題についての費用負担をどうすべきかということについての話し合いはこれまで一遍も持ったことはございませんで、むしろ都市側と事業者の間で話し合いをいたしているわけでございます。運輸省が介入する余地の少ない問題ではないかと思います。  いまお話しの九十二億というお話でございますが、私ども承知いたしておりますのは八十億のようでございますが、これについて事業者側が十七億を負担すると。さらにまた事業者の方でいろいろ店舗の施設をつくると、これも七億円ぐらいかかるようでございますが、まあそういうようなものを含めていまお話しのような入居募集をやっているということで、こういうものは全体として考えてみて、果たして採算に乗るか乗らないか、やっぱり相当の期間を見てみないとわからない問題ではないかと思います。  いずれにいたしましても、都市側と事業者の間で話し合いがされていることでございまして、私どもの方がそれがいいとか悪いとか言うべき筋合いのものではないというように考えております。
  182. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま受益者の受益の限度ということをおっしゃいましたけれども、じゃ二省間の協定ができてから、市とか私鉄では実際にこの受益者相当額というものをどういうふうにして計算をなさっていらっしゃるのか。総工事費ですね、この中から増強、それから増加分、これを明確に引いてそして計算をなさるのかどうか、その点をまずお聞かせいただきたいです。
  183. 住田正二

    政府委員住田正二君) 四十四年に決めましたときには、一律に鉄道の——国鉄の場合には一〇%、私鉄の場合には七%というように決めたわけでございます。これはいろんなケースがあるわけでございまして、そこまでいかない場合もあるし、それより多い場合もあろうかと思います。工事費の額も違いますし、駅の置かれている状態あるいは踏切の状態、まあいろんなケースがあると思うわけでございますけれども、個々のケースによって議論をしておったんではなかなか片づかないと。先ほど申し上げましたように、まあまず鉄道があって後から都市計画事業が起きてくると、したがって、鉄道の方でがんばっているとなかなか話が進まないということで、やはり何か基準を決めた方が促進されるということで四十四年の協定ができたわけでございます。
  184. 安武洋子

    ○安武洋子君 協定を結ばれておられますけれども、実際にこの受益額、こういうものを計算するのはこれは非常に私はむずかしいと思うんです。しかし、こういう受益額というものは、だれが見てもなるほどそのとおりだという納得が必要だと思うんです。複雑であればあるほど、やはり市民が七%なら七%が当然だと思うように、こういう計算は私は公開された計算でなければいけないと思うんです。  たとえば私はいま杭瀬を挙げましたけれども、これは二省間協定の問題ではありませんけれども、私がいま計算しましたら十三億円と、こういうのが出てくるわけなんです。これは一般的に計算すれば出てくるわけなんですよ。常識なんです。しかし、阪神側はわずか四千五百二十万としか計算をなさっていらっしゃらない。こんな違いが出てくると、これじゃ市民が納得しないわけなんです。やはり計算というものは国民が納得するようなものでなければいけない。私は、計算をまず公開なさるべきだと、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  185. 住田正二

    政府委員住田正二君) これはいまおっしゃったような資料を公開するかしないかということは、片一方の当事者は県とか市であるわけです、片一方はもちろん私鉄でございますけれども。したがって、県、市でそういうことをはっきりさせればいい問題ではないかと思います。何遍も申し上げますけれども運輸省といたしまして、県、市と事業者との間の交渉が妥当であるかどうかということについて運輸省が判断するのはおかしいんで、やはり当事者である県、市が判断すべき問題ではないかと思います。
  186. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま杭瀬は一つの例として出しているわけなんです。二省間協定で結ばれた七%そのものがふさわしいかどうかという一つの例として私は出しておりますので、この問題に戻ります。  これは私は計算を公開するだけではなくて、いま広く地域住民に知らせるべきだと、そして、市の意見もそれから通産ベースの意見も聞かなければならない、二省間の協定だけでは済まない問題がいっぱい起こっているというふうに思うわけです。  というのは、この杭瀬の店舗というのは、店舗の内装、それから店舗内の配管、配線、これは一切入居者の負担であると、面積は柱面積も含むと、それから販売促進費も負担せよと、オープン時にはオープン販売促進費を出せと。さらには、売上金は毎日売上日報とレシートと一緒に会社に預かる、月二回家賃その他の諸経費を差し引いて精算して返すと。だから、半月間会社が預かってしまうわけなんですよ。こういうことをやるんですね。私これでは天下の阪神電鉄があくどい商売をやっているというふうに言われても仕方がないと思うんです。  そして、この四十店の二千二百九十八平米の店舗というのは、これは地域の経済に大きな影響を与える。いま御存じのようにスーパーが進出する、あちらこちらで大問題になっているんです。そのスーパーですら千平米、二千平米、こんなんですよ。ここのところにこういう店が出ていくということは、地域経済に与える影響も大きいんです。ですから、ただ二省間の七%協定では律し切れない問題がいまたくさん出ていると。だから、広く意見も聞いて、こういう協定については考え直す時期に来ているのではないかと、こういうふうに思うんですけれども、私は大臣の御意見をお伺いいたしとうございますが、大臣はいかがお考えでございますか。
  187. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 多少そのいまお話しの点と監督局長が言っておりますこととが、私も伺っていて食い違っているような気もいたしますんでございますが、もとより私はあなたのお話を尊重しつつお答えしなきゃならないのでございますが、もう一度ひとつ局長の答弁を聞いてやっていただきたいと思います。
  188. 安武洋子

    ○安武洋子君 そうしたらいいです。  では七%の話を出します。阪急の園田駅の例なんです。これは確実に立体交差事業で工率費は五十八億五千五百万円、阪急は七%の三億三千七百万円なんです。このほかに増加、増強工事、これは御自分のところでなさるわけですから十億三千七百万円、これはありますけれども、しかし、わずかな負担で八千平米。私神戸に住んでおりますけれども、神戸の三越といいますのは九千八百三十四平米なんですよ。この神戸三越に匹敵するような、百貨店に匹敵するようなこういう巨大な建物、これが阪急は七%の三億三千七再万円、これでできるわけです。そしてこういう巨大な建物をつくって、しかもそこには乗客が出入りをするわけです。ですから、お客さんが来るというふうなことが保証されるんですよ。こういうところで商売をするということは地域にどれだけの影響を与えるかわからないし、こういうことも含めて受益額が七%であるということを計算をなさっているのかどうかということを考えますと、だれが考えたっておかしいんです。  こちらの、私が杭瀬をなぜ挙げたかといいますと、これは具体的に一つずつの例が出ておりましょう。ここのところで保証金を幾ら取るとか、家賃をどう取るとか、そして内装までこれは入る人にさせるわけなんですよ。そして配管とか、そういうものも一部負担させるとか、あるいは——大臣ちょっと聞いておってください。レシートで毎日毎日売上金持っていくんですよ。半月間も会社がそれを保管していて、そして家賃とかそういうものを精算して返すと、こういう商売をやるということははっきり御自分のところの案内書に書いていらっしゃる。これなら、ばかでも、どういう受益率があるかということは簡単に計算できるんです。それがなぜ七%になるんでしょうということを私は言っているわけで、こういうことがありますよと。  しかもこちらの方には、園田にはさらにこういう大きな店舗ができるわけなんです。そしてこの尼崎市というのは、西武百貨店、これは東洋一だと言われる二万六千四百平米という大百貨店が進出してこようとしている。しかも西友スーパーまで進出してこようとしているということでいま大問題になっている。そこにさらにこういう大きなものができるということは、地域経済に大きな影響を与えるということを考えざるを得ないわけなんですよ。それを単に二省間の協定、七%でよろしいと、こういう点だけではもう済まない問題じゃないかということを私は強く主張しているんです。大臣、いかがお考えでしょう。
  189. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) いま先生のお話を伺っていると、だんだん私もそうかなあと、こう思いかけておったんでございますが、まあそういうことだとすると、そういう結果になるのを承知して尼崎市がそういうことに同意をしてなにしているということも、ちょっと私も解しかねているところでございますが、まだ私が本問題に対する認識が、主としてあなたのお話を伺っておりましたので、十分というところまでいっていないのかと思いますが、先にひとつ局長の答弁を聞いてやっていただきたいと思います。
  190. 住田正二

    政府委員住田正二君) いま安武委員のお話の中で、園田の立体交差が建運協定、まあ運輸省建設省の協定の適用を受けるという前提でお話しがあったようでございますけれども運輸省建設省の協定は連続立体交差に関するものでございまして、これは単独立体交差でございますので、協定の適用はないわけでございます。単独立体交差につきましては建設省と国鉄との間で建国協定というのが結ばれておりますが、これは私鉄には適用ございません。  この園田駅の立体交差でございますけれども、これもやはり先ほど来申し上げておりますように、この園田の周辺に園田競馬場、公営の競馬場がございまして、そのために大変混雑する。そのために県、市が早く立体化をしたいということで、県、市の方でこういう事業を計画されたと。で、阪急の方は受け身といいますか、そういう立体交差事業に協力するということで、七%というのは連続立体交差の運建協定の率を参考といいますか、基準として取り入れたということでございまして、あくまでこれは阪急と都市側との話し合いに基づいてできたことでございます。したがって、まあ先ほども申し上げましたわけでございますけれども、問題は県、市と阪急の問題であるというようにお考えいただきたいと思います。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは将来計画としても、連続立体交差でやられると、そういう御計画は全然ございませんか。
  192. 住田正二

    政府委員住田正二君) 私が承知いたしておる範囲では、単独立体交差としてやりたい。といいますのは、単独立体交差の場合には都市側の負担が低いわけでございますけれど、この件については、県、市が三分の一ずつ出してやる。そのほかの七%差額も県、市の方で負担するということで、先ほど申し上げました競馬場の問題があって、急いでやらなきゃいけないということで単独立体交差としてやっているというように承知いたしております。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、こういう連続立体交差で建運協定で七%というふうな適用をなさっていく、一般的にやられるという場合、私が先ほどから挙げているように、こういう地域に大きな影響を与えていくというふうなスーパーとスーパーまがい、百貨店まがいのものができてくるというふうなことについては、大臣どうなんでしょう、二省間協定でいいんでしょうか。私がいまいろいろ挙げたような例、これは私は地域経済、そしてその都市そのものの都市づくり、こういうものとも大きな関係があると思うんです。七%負担というなら私は高架下を九三%、これは公共用地にすべきだと思うんですよ。そして十年間なら十年間たってまた見直しをすると、こうあってしかるべきだと思うんです。ところが、七%負担だとこういうことを簡単に二省間でお決めになる。ところがそこのところで大きな百貨店まがいのものがどんどんどんどんできていく。これからできようとしているじゃありませんか。阪神だって阪急だって、連続立体交差、こういう計画があるということを私のところへ資料でいただいておりますけれども
  194. 住田正二

    政府委員住田正二君) 立体交差をやる場合に、二つのやり方があるわけでございまして、私鉄が自分の必要性に基づいて立体化をするという場合と、先ほど来申し上げておりますような都市側の要求によってやる、二つの場合があるわけでございます。前者の場合にはもちろん私鉄側の費用でやるわけでございますけれども、後者の場合には、これはあくまで都市計画事業でやるわけでございます。したがって、都市計画事業の方の判断によって行われる事業について私鉄側は協力するということでございます。したがって、両者の間で話し合いがつかなければこの事業は行われないということでございますので、先ほど来申し上げております七%という数字が妥当であるかどうかについては、確かにいろいろ議論の余地はあると思います。しかし、従来の経緯から言いますと、そういう率を決めないとなかなか事業が進まないと、都市計画事業が私鉄側がいろいろごねて進まないというようなこともあって、七%ということで事業の促進を図るということにしているわけでございます。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 私鉄側がごねて進まないという、そういうことを容認なさる運輸省の姿勢に私は問題があろうかと思うんです。七%というのはもういかにも実情に合わないということはいま私がお出しした例だけでも、別にこれが建運協定にかからなくたって実際にこういうことが行われていくわけですから、連続の立体交差になっていきますと。こういうことがあちらこちらの都市で起こってそこの経済圏を撹乱するようなことになってもいいんでしょうか。都市づくりがうまく進まないというふうなことが続々起こってくるという危険性があるからこそ私はいまこれを問題にしているわけなんです。  ですから、二省間の七%を、この協定というそういう狭い枠で考えるんではなくて、いまここでお考えにならなくてはいけないのは、通産ベースの問題だって要りますよと、あのスーパー一つ進出してくるについてもいま大問題になっている。そこにどかんどかんとこういうふうな駅の中のショッピングというのがあちらこちらにできていくわけなんですよ。こういうことで、しかも私鉄が、いま私が挙げたようなこの阪神の商法のようなことがやられていくと。そして阪神なんかはこれをちゃんと、入居しましたら別会社をつくってそういう収入は別会社にしてしまう。そして運賃値上げのときにそういう収益が差しさわらないようにしてやはり運賃値上げに持っていくと、こういうのがあるのですよ。こういうことを許しておいていいかどうかということで、私は地域の商店の振興を考え、都市のやはり振興を考えるということで、いまこそ七%がどうこうだという以前に、もっと地域の住民が納得するように、通産も入れ、それから運輸省も、もちろん建設省もですけれども、都市側も広くもっと意見を聞く、そして見直しをされる時期ではないかと、こういうことを強調しておりますが、大臣、いかがお考えでございましょうか。
  196. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 大型店舗の進出等については別途法的規制もあり、合理的に対処していかなければならないことは私は当然別問題としてもあると、こういうふうに思うわけでございますが、先ほどから伺いつつ思いますことは、やはり国民が納得する政治が行われなければならぬと思います。私、もう少しよく研究さしていただきたいと思っております。いままではその七%云々のことはそれなりに合理的なものと認められて、そういうように今日まで推移しているのかもしれませんが、よく調べてみたいと思います。いまお話しのようなことでございますと、これそのままで全然いいんでございますと、私言いたくないんです、実は。ですけれども、まあお話がうまいからだまされたというんじゃありませんけれども、決してそういう意味で申し上げるんじゃないけれども、私もお話伺いながらいろいろ考えなきゃならないなあとさっきから実は思っておりまして、しかし、局長はまあいままで決まっていることはごもっともと言わざるを得ないと思うんです。これはこれでいいと思うんです、これはこれでいいと思いますが、私は私の立場で考えてみたいと、こう思っております。私はそんなこと言っておっていつまででも日を過ごすことは好きじゃないんで、できるだけ早くこれ実情をよく調査してみたいと思いますし、調査した上はいかに対処するかということも考えてみたいと思います。まず調べさしていただきたいと思います。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 ぜひ私は広くもう一度検討していただきたいということをつけ加えます。  そしてこれ一つ、五十年の八月の大手民鉄の旅客運賃の改定申請書、これを見てみますと、申請理由というのは、これは、民鉄各社はますます企業努力に徹して安全の確保を中心に利用者利便の向上に努めてまいりますと、こういうことになっているんです。ところが、いただいた資料を見てみますと、そういうことは全然やられていないと言っても言い過ぎじゃないと思うのです。大手十四社の千七百七の駅のうちに、盲人用の誘導ブロックのある駅というのは、これは五十二年三月三十一日現在で七十三の駅と、わずか四・二%、転落防止施設があるのが二・三%、点字販売機のあるのが、一二・四%、身障者の車いすが通れるというのは、これはわずかに一五・五%ですね。それからトイレというのは、わずかあるのはたった一つだけと、こういう状態なんです。こういう状態を——やっぱり値上げの申請の理由と違うわけなんですよね。運輸省はどういうふうな指導をなさっていらっしゃるか。  一例として申し上げたいのは、この阪急に門戸厄神という駅がありますけれども、ここに、構内に踏切があるのです。ですから駅の中の踏切を渡らなければならないということで事故も起こっているわけなんです。住民から地下道にしてほしいと。こういうこと一つできない。もちろん身障者の通るような改札もありませんし、それどころか、一番住民がたくさん住んでいる、三対七で住んでいる東側のこの改札口というのは、一定時間の定期のときだけあける。ここにやはり私は従業員の負担にならないように増員をして、こういう改札口をあけないといけないと思うんです。そして、学童が通学をしていくんですけれども、通学に使う踏切というのはもう警手がいないから、危ないからPTAが交代に出てやはり番をする。こういうところにもやはり増員をして警手をつけていくというぐらいなことはやはりされないといけないというふうに思うわけなんですけれども、こういう申請理由と違うというふうなこと。  一方ではたくさんもうける、しかし、こういうふうに住民には、利用者にはサービスをしないということについて、運輸省としてはこれらのことをどう考えて、どう指導されようとしているのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  198. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 多少これは私も調べておいたのでございますが、平面線路横断通路につきましては、これを廃止して構内地下道を新設するということを私どもの方へ認可を求めてきておりましたので、五十三年二月一日付で認可しておりまして、したがって、いまも御指摘のような事情でございますので、その着工時期はできるだけ早いことが望ましいと私も思います。会社もできるだけ急ぎますというように言ってきているようでございます。  また、東側改札口の常設につきましては、将来の問題として会社において前向きに検討していると、こんなようなことを伺っておるのでございますが、いずれにいたしましても、だんだん話を伺っておりまして、この種の問題、国土の狭い日本ではこれからもいろいろ起こってくる問題であろうと思います。したがって、これらに対してなるほどという対策が講ぜられていかなければならない。せいぜいそのように努めたいと考えておるところでございます。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 つけ加えさせていただきたいのは、現場ではやりますやりますと、こういう約束をされながら、実際にやられないのが実情なんです。ですから、こういう点についてはやはり十分監督をして、こういう施設がどんどん進むようにというふうなこと、資料もとっていらっしゃるわけですから、私は指導していただきたいということを強く御要望いたします。  次に、公営交通の問題についてお伺いいたしますけれども、公営交通事業、特にバス事業の現状というのはとっても厳しいわけなんです。昭和四十一年の第一次の財政再建に続いて、昭和四十八年度から、地方公営交通事業経営の健全化の促進に関する法律、これに基づいて第二次の財政再建が実施されておりますけれども、それ以降も、欠損額というのは昭和四十八年には二百三十四億円、そして五十年に飛びますけれども、これで四百四十七億円、それから五十一年には三百三十四億円、こういう赤字が続いて深刻です。これは不良債務ですね、この不良債務を見てみましても、昭和四十八年の六百六十億円から昭和五十一年の千二百六十三億円と非常に深刻なわけなんです。特に不良債務の問題ですけれども、第二次財政再建が措置された昭和四十七年度、この不良債務額の九百三十四億円、これをはるかにもう大幅に上回っているというふうな状況です。  不良債務は五十年に比して五十一年が若干減少していますけれども、これは実際は長期の借り入れをしたというふうなことで一応不良債務を軽減させているだけで、たとえば神戸市の場合は、不良債務の推移を見てみますと、四十八年は十億四千万円、しかし五十一年には三十五億五千万円、こういうふうになっているわけです。五十一年の場合は五十年に比べて八億五千万円不良債務が減っておりますけれども、これは五十一年度は、財政再建計画に沿わせると、こういうことで自治省からの指導もあって、一応返済計画を立てて長期借り入れ、これを十六億円行ったと、こういうことで減っているように見えるだけ。しかし、年々歳々赤字が続いて欠損が続いているんです。ですから、この十六億円の返済計画というのは実際上は不可能と、こういうことで絵にかいたもちに等しいわけなんです。神戸市の場合、五十一年のこの不良債務、これは五十一億五千万円ということになりまして、五十年度より七億五千万円もふえていることになるわけです。  それで、全国的にこういう不良債務というのが、五十一年度末には千二百六十三億円というふうなことになるわけなんです。そして私は、こういう公営バス事業というのが年々赤字を積み重ねて膨大な不良債務を抱えている、こういう原因については、やはりこれは都市交通整備調査会が二月三日に「公営バス事業経営の安定化方策について」、こういう提案をされている中にも触れておられますけれども、特に六大都市においては問題が深刻です。  神戸市の場合といいますのは、経営内容の深刻な原因としては、ドーナツ化になっていく。たださえ神戸は片側輸送が多いわけですけれども、市がドーナツ化して、ラッシュどきにはどんどん人を運んできますけれども、片道輸送で行政路線を新設しなければならないというふうなことで、民間の経営と違いまして、不採算路線でも当然運行しなければならない。自動車の台数もどんどんふえております。ですから、昭和三十五年に比べますと昭和五十二年には五・九倍にも車全体がふえたということで、バスのスピードというのは一時間当たり昭和三十五年には十七キロです。しかし、昭和五十一年には十三・五キロ、のろのろ運転をせざるを得なくなっている、こういうふうな状態です。ですから、利用者はバス離れをしていく。しかし、料金は値上げせざるを得ないから料金を上げる、またバスの乗客は減少する。こういう悪循環がいつまでもいつまでも続いているわけです。だから、短期間に大幅な欠損と不良債務が生じているわけなんです。こういうふうな債務をいまのまま放置するということは、バス事業を圧迫して、もう一定の措置を講じない限り市民の足を守っていくことはできない。公営バス事業は続けていくことができない。抜本的に考える時期に来ているのではないかというふうに思いますけれども、一体自治省としてはこの点どういうふうにお考えでございましょう。
  200. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ただいま公営バスに関します御質問がございましたが、お話しのように、四十一年と四十八年の二回にわたりまして公営交通の再建をいたしてきたわけであります。  お話しの数字、いろいろございましたが、確かに昭和五十年度、バスにおきましては再建団体でさえも六百九十億の不良債務を出しておりまして、これが五十一年度に七百五十億にふくれ上がっていることは事実であります。ただ、このまま放置しておくというのは大変問題でもありますし、しかも法律をつくったときのたてまえから申し上げますと、少なくとも国と地方とが協力をしながらこの赤字を解消していくということが一つの約束事でもあったわけでありますから、ある程度国も財源を見ましょう、だから地方としてもある程度の財源を出してもらわなきゃ困りますよという中でお互いに協議を進めて、いま健全化計画をつくっているわけであります。その健全化計画の中におきまして長期借り入れの制度を実はつくりまして、その長期借り入れによりまして——この長期借り入れと申しますのは、地方公営企業が効率的に運用するならばある程度地方債と同様に返還していくことが可能であろうということで実は援用しているわけでありますが、この制度を取り入れながら、全体的に各公共団体が立てております再建計画の中では、少なくともいま持っている不良債務というのは解消できるということの計画をつくらざるを得ない。それは先ほども申し上げましたように、国自身におきましても、この再建債に関します利子補給をやっておりましたり、あるいはバスの補助金を出しておりましたり、あるいは公共団体一般会計から再建債の元金を持ちます場合に交付税でその半額を持ちましたり、いろいろな制度を国自身もとっているわけです。そういう形から申し上げますと、やはり国と地方とが協力をし合いながらこの額を解消していくことがやはり最善の道だと思っております。  ただ、神戸のように確かに都市においてはいろいろな問題がございまして、しかも、いまこの不良債務が出ている大部分の問題というのは、おおむね都市、大都市なわけです。特に悪いのは東京でありますとか、大阪でありますとか、名古屋でありますとか、そういうところが悪いんでして、最近神戸は、お話にもありましたが、大変よく実は計画を立て直してくれまして、神戸市自身でも、自分の公営バスに関する審議会をつくりながら解決に当たっているわけです。その中でも、重複路線の整理でありますとか、あるいは鉄道の並行路線の駅との短絡の問題でありますとか、あるいは長距離の路線の整理でありますとか、あるいはターミナルの分散でありますとか、いろんなことを市自身も考えていまやっておるわけであります。そういうことが着実にできます場合には、少なくとも計画の期間の中にこの制度が、この制度がと申しますより、この再建計画が完了するという形でやっておりますし、すでに御案内のとおり、神戸市では風見鶏バスみたいなものまでつくりまして、住民のためにいろんなことを考えておられるわけであります。ですから、そういうことを一つずつなし遂げることによって、この公営バスが少なくとも公営バスとしての存在価値がありますようにお互い努力しているわけでありますので、もうしばらく見ておいていただきたいというふうに考えております。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまおっしゃいましたけれども、地方自治体だけの努力あるいは企業内だけの企業努力、こういうものはもう限界にきているんです。いままでいろいろ手だてをやられましたけれども、それでもなおどうにもだめだと、いまおっしゃったようにはいかないんです。だからこそ、神戸の方では再三再四陳情もし、こういう大都市公営バス事業の財政再建に関する要望書というのも市会からそちらの方にも出ているはずなんです。だから私は、いま大臣にもお伺いしますので、大臣も聞いておいていただきたいんですけれども、バス料金というのは運輸審議会で百十円ということを名古屋市と徳島の小松島市ですか、この運賃の値上げを承認しておりますけれども、こういうふうになりますと、ますますバスには乗らなくなる。それで、昭和四十九年から昭和五十一年のわずか三年間に五十五のバス事業者が行った料金値上げ、これは計八十五回なんです。すなわち、一事業者が一・五回以上の値上げを三年間に行っている。隣の駅までいくのに百十円と、こういうふうなことになってしまったんでは、ますます乗客が離れてしまう。したがって、安易に料金を上げてこういうふうなことをしていたんではバス事業は再建できるわけないんです。そして、いろいろの、先ほど自治省の方お答えになっていらっしゃいますけれども、いろいろやってきてもいままでどうしてもだめだということで、地方自治体の努力にも限界がある、企業努力にも限界があるというふうなことで、ここで抜本的に考えるべきだというのが出ているわけです。  欧州なんかの、欧米なんかの例を申し上げますと、公営バス事業の場合、ニューヨークとかシカゴ、ロンドン、ストックホルム、ミラノ、こういうところはすべて人件費が料金収入をオーバーする、赤字状態になっている。しかし、資本費に対しては公共負担が行われて、運営費にも公的補助が行われ、そのほかに強力な公共助成が行われていると、こういうふうな状態なんです。やはり市民の足を守るという第一義的なこういう公共事業の本来の姿を考えるならば、市民の足を確保するというふうなことで、やはり私は公共負担の拡大、これを真剣に考えるべき時期ではなかろうか。いまのような路線上のお答えではなくて、この際運輸大臣、あるいは運輸大臣だけでなしに自治省に働きかけていただいて、自治大臣とも十分話をしていただいて、やはり市民の足を守り、そして、公営バス、公営交通、これを守っていく、こういう方策をお立てになるべきだというふうに思いますけれども運輸大臣、そういう役割りを果たしていただけますでしょうか。
  202. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 足を守るということから、足らぬところは出してやれというようなことにつながっていくわけでございます。私もそういうことになりゃありがたいんでございますけれども、なかなかそういうふうにいかず、やっぱり利用者が負担することが原則だということ、この意見はこの意見で強いわけなんでございます。国鉄等にしましても、一方においてうんと安くして国民の足を守ろうという立場がございますが、同時に、赤字出しちゃいかないと言って、その方でまたうんとしかられなければならないんで、どっち向いてもしかられるわけでございますが、そこで、まあ各都市等においてもバス等では非常に苦労しております。そういう観点からいまのようなお話で、いずれにしても私どもこれに対処することは考えていかなければなりませんが、同時に、これは料金も、だからといっていつまでもそのままというわけにはなかなかいかないのでございます。最低限のことをやっておるわけでございまして、そこで、いまのようなお話を伺いますと、なかなか一方的に一面的なお答えがしにくいのでございます。まあせいぜい努力をさせていただくことにいたします。
  203. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 安武君、最後です。
  204. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまのお答えをいただきましたけれども、いままでやってきた、こういうことではもうどうにもならなくなって、いろいろと地方自治体も努力を重ねているわけなんです。ですから、私が大臣に望みたいのは、受益者負担と言って受益者が負担しても、だんだんバス離れしていって、公営企業離れしていって、これでは再建できないということがもう過去の実例ではっきりしているわけなんです。ですから、抜本的に考え直していただきたい。  さらに、私は都市の交通環境の整備、これも大事だと思うのです。大量輸送機関を効率よく運行するような総合的な交通対策、このあり方もやはり抜本的に考えてもらわなければならないと思うんです。公営に限らずに、民営バスの場合だって、一つの例を挙げると、阪神バスの場合、阪神国道では、神戸の西灘から向こうは、大阪までは優先レーンがない。ここは五分間隔で走っているわけです。特に、甲子園線なんかは二、三分間隔で走るわけです、阪神バス。こういうところでも優先レーンもない。バスがスムーズに走らないから乗客は離れていく、値上げするから離れていくと、こういうふうなことになっているんです。ですから、バスの運行がスムーズにいくようにと、こういうふうなことを考えることも私は非常に大切だと思うのです。  全体的な交通政策、これを考えて、そして、こいう地方自治体任せにするんではなくって、国民の足を守るという観点で、自治省とも協議を十分していただいて、一体公営交通のあり方をどうすればいいかということをこの際抜本的にお考え願いたい、そういうお役目を果たしていただきたいということを重ねて要望いたします。
  205. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は航空運賃の値上げについて尋ねる予定もあったわけですが、これは質問趣意書で答弁求めてありますので、それにまちたいと思います。で、ほかの問題をお聞きします。  ただ、その質問趣意書の答弁についてお聞きしたいことは、予定が余りにもずれたために、私はきのうの予算委員会の総括質問もそれを踏まえてやる予定でありましたが、答弁がずっと延ばされた、その理由は何なのか、確認しておきたいと思います。
  206. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この点につきましては、別に他意があるわけではないのでありますが、いろいろ答弁の仕方につきまして慎重にやっておりましたために時間が予想以上にかかりまして、大変申しわけございませんでした。なるべく早くお出しするようにいたしたいと思います。申しわけございませんでした。
  207. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ延びただけひとつ満足のいくきちっとした答弁をお願いします。  次に、那覇空港の整備計画についてどのような計画を持っておられるか。
  208. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 現在の那覇空港につきましては、沖繩におきまする代表的な国際空港でございますから、第三次五カ年計画の中でも特に重点的にこれを考えまして、将来の那覇を中心とする国内、国際の航空需要に見合うよう、滑走路の整備等を鋭意進めているところでございます。
  209. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 那覇空港は、御案内のように民間空港であると同時に航空自衛隊と共用しておりますが、このような形での空港が日本にどこどこありますか。
  210. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 自衛隊と共用しております空港は、北からまいりますと千歳、それから米子の近所にある美保空港でございます。それから徳島空港、こういったところが自衛隊と共用している空港でございます。
  211. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま挙げられた空港と沖繩の那覇空港と、同じ自衛隊との共用でありますが、違う点はどこだと感じておられますか。
  212. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私大変申しわけないんですけれども、他の自衛隊の共用空港と那覇空港との違いという点についてはいま承知をいたしておらないわけでございます。
  213. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 違うところはわからぬと局長は申しましたが、私は多少観点を違えて申し上げますと、ほかの空港と違って、沖繩の那覇空港の周辺の人々は長い間大変苦労をなすっておられて、現在もまた違った意味の苦労をしておられるんでございますが、その点は内地の空港とは同じではないと、これをあえて申し上げさせていただきたいと思います。
  214. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それは最初の御答弁で、非常にあいまいな、その一言に尽きると思うんですが、情けなく感じたわけです。那覇空港と他の他県にある同じ民間空港の共用でありますけれども、ずばりここが違うということを常日ごろから感じ取っておらぬところに認識の相違があるわけなんです。非常に情けなく思います。遺憾に思います。それは申し上げるまでもなく、ほかの空港はいわゆる住民地域との距離があるはずです。遠いところにあるはずです。沖繩の場合には、那覇空港の周辺に地域住民が接近しておる。基地の中の沖繩と言われるのはそれじゃありませんか。そういうところから、爆音の問題とか、あるいは航空自衛隊の、訓練でありますから、訓練であるからにはこれは事故ということは当然予想されることである。その事故のあった場合にどうするかという不安感、危険感ですね、このことがぴんとこないような運輸省ではまことに情けないと思いますね。まことに遺憾だと重ねて言います。  それでは、その那覇空港がさらに他の空港と違いますのは、その質においても違うはずであります。量においても違うはずであります。その点、どのように受けとめておられるか。
  215. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 他の防衛庁との共用空港につきましては、これはいずれも主として国内線の発着する空港でございますから、国内線だけの需要に応じて物を考えていけばいいわけでありますけれども、那覇空港は、その地理的位置から申しましても、国際線のやはり拠点として今後整備すべき空港であると考えます。そういった意味の違いは質の面で非常に違う点じゃないかと思います。
  216. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それだけでは足りません。まだ違うところを指摘いたしましょう。  それは、那覇空港は復帰の時点で、五・一五の復帰の時点での完全返還の目玉でありましたよ、完全民間空港として開放するという。それまでは米軍との共用でありましたね。ところが、復帰の時点で完全開放という、特にその開放の中でも目玉商品だと言われておった。これ御存じですか。
  217. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 承知いたしております。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 さらに指摘しましょう。  そういう日米合同会議で合意をされたのにもかかわらず、それを取り消してそして開放しなかったと、ここにも問題がある。御存じだと思います。それだけではありません。そして、それを取り戻して、よりを戻して、そこで航空自衛隊が共用するようになった。いま航空自衛隊機が何機駐留しておりますか。
  219. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 航空自衛隊の発着回数については、私、いまここで数字を把握いたしておりません。
  220. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 約六十機です。そして六十機が入れかわり立ちかわり離着陸をしておる。で、民間飛行機も離着陸しておると。しかも、全く軍事優先の様相を呈しておるということなんです。自衛隊機やあるいは米軍機がそこを離着陸する場合には、民間飛行機は離陸を待たなければいけない、また着陸も空で迂回をして待たなければいけない、これが那覇空港の実態でありますが、それを御存じですか。
  221. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 大変申しわけございません、私はその詳細については必ずしも承知いたしておりません。
  222. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その六十機の航空自衛隊機、そして民間航空の円滑な利用を阻んでおるだけではありませんよ。その双方の率を私はあなたにお聞きしたいんだが、いまの状態では恐らくおわかりじゃないと、こう判断いたしまして、五十二年の一月から十二月までの約一カ年間に二万二千五百三十回離着陸しておるわけなんです。その中で航空自衛隊機の離着陸は三二%を占めておるんですよ。三二%、三分の一以上が航空自衛隊の飛行機の那覇空港利用、占有。その間、民間航空は待ったをかけられている、こういう状態。この飛行場を県の開発計画、すなわち、どこが違うと先ほど申し上げましたのは、地理的位置からも、日本の南の門戸として、東南アジアにつながる民間航空の拠点になっておる。そうして、将来性を期待して国際空港に持っていきたい、いわゆる一種空港ですね、国際空港に持っていきたいと、こういうことで県を初め経済団体、あらゆる団体がこぞって、そろってたびたび国際空港にこれを持っていきたいという要望があることは、このことは大臣御存じでしょう。
  223. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) その点については、しばしば、また多くの方々から伺っており、私どもも念頭に置いておるところでございます。
  224. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ところが、先ほど計画の一部を示してもらったんですがね。非常に危険に思われますことは、不安に思われますことは、そこに、いままででさえも、現状でさえもこういう不安な、危険な状態なんですよ。さらに質的にマイナスの面で、民間空港の立場からは危険な状態に置かれようとしていることを御存じですか。
  225. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 思い当たりません。
  226. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、ずばり申し上げましょう。去る五十二年の十二月の二十八日の国防会議、そして翌日二十九日の閣議決定で、自衛隊の次期主力戦闘機F15イーグル、これが次期主力戦闘機、それからP3Cオライオン、これが決定されて、そうしてそれが那覇空港に配置されるかもしれないという不安、心配がいっぱいあるわけなんです。そのこと御存じでしょうか、大臣。
  227. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 承知いたしておりません。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このことを重視してもらいたいんです。これを認識せずして、あなた方の計画というのはこれはぺ−パープランにしかすぎない、絵にかいたもちにしかすぎませんよ。このことを重視してもらって、完全な民間航空安全の——しかも那覇空港のその滑走路の近くには自衛隊の弾薬庫がありますよ。弾薬庫が接近しておる。こういう危険な、まことに危険きわまりない那覇空港なんですよ。それを国際空港に一級にしていこうという、こういうことなんだから、これは並み大抵のことではいけませんよ。そこをひとつ運輸省の立場から、運輸大臣の立場から、これをどう解決していって、平和で明るい豊かな沖繩づくりの、そこを第一種国際空港としてのその使命を達成するかという、これが至上の課題なんです。大臣いかがですか。
  229. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) お話しの点等を念頭に置いてわれわれはわれわれなりの努力をいたしたいと考えます。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一点、この那覇空港を中心とする、那覇空港への乗り入れのパンアメリカンですね。これが三月二日の期限で沖繩路線の期限が切れる。ところが、米民間航空委員会に運航継続を要請してある。それが非常に難渋をしておるという情報を受けておるんですが、それが現時点で従来どおりの継続が実現しているのであるか、またあるいはいま検討中であるのか、さらに前進した形でそれが解決されたのであるか。そのことをお聞きしたい。
  231. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 昨年の五月がちょうど沖繩復帰後五年の時点でございますけれども、沖繩復帰後五年の時点におきまして、復帰のときに日本側がアメリカに与えました沖繩に関する航空の運輸権、これに見合うものを日本側として何をとるかということをきっかけといたしまして、一昨年の秋から日米航空交渉をやっているわけでございまして、目下鋭意これを詰めているところでございますけれども、ただいまワシントンで盛んにやっているわけでありますけれども、私どもはこの交渉の継続中は、従前どおり、アメリカの航空会社が那覇を中心とした航空路線を使用するという点について変動を与えることは考えておりません。今回の交渉がどういう形で結論づきますか、まだ今日の段階では予断を許しませんけれども、私どもといたしましては、かねがね国会におきましても御要望がございますように、沖繩を、といいますと那覇空港を中心とするアメリカの航空会社の路線は、日米の航空権益というふうな問題と別に、やはり沖繩県の振興あるいは那覇空港の国際空港としての育成ということから非常に大事な問題であるので、そういう沖繩振興開発という点からの見地を十分認識して交渉に当たれというお話をたびたび伺っておりますので、現在ワシントンで交渉しております日本の代表にもそのことを十分旨を含めて話してもらっているわけでありますので、沖繩の皆様方が御心配になるような結論になることは万々ないということを期待し、かつまたそういうことにしないということで努力をいたしたいと思っております。
  232. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このことも、沖繩の旅行業者を初め、その関係団体、経済界に大きな影響を及ぼす重大な問題でありますので、ぜひひとつ従来どおり継続ができますように万々の御努力を要求したいと、こう思います。  時間でございますので、最後に先島の宮古、八重山の航空機のジェット化の問題ですね、これはどういう計画になっておりますか。これをお伺いします。
  233. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いまちょっと資料を持ってきておりませんので、明確な数字等は申し上げられませんけれども、私どもは宮古を先に、石垣を次にという順番でジェット化する計画を立てております。石垣を後にいたしましたのは、石垣空港の拡張のためには、病院か何かがありまして騒音問題その他で問題があったものですから、宮古を先にいたしましたけれども、両空港ともジェット化をする計画をいま進めております。予定どおりやりたいと思っております。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ちょっと舌足らずになりますのでもう一言言わしていただきたいのですが、いまの問題ですね。私のお聞きするところは、本年度は宮古、そして五十四年度に八重山という話も航空会社ではあるということも聞いておりますが、沖繩のこの開発計画からしますと、また国とのタイアップからも、八重山の開発が非常に重視されなければいけない。そういう考え方に立って、国も県も一緒になって、むしろ八重山のジェット化を先にして、強いて後先をつけるならば——私は同時にと要望したいのですが、同時に八重山のジェット化と宮古のジェット化を考えてもらわなければいけないと。特に沖繩の離島圏、離島圏の中で全国一の多島圏である。この離島振興、離島僻地を救う唯一の道も、この宮古、八重山をつなぐのはジェット化の促進である。それから、最近非常に沖繩に対するところの認識が高まりまして、観光旅行者の方がもうわんさ、わんさ沖繩に来てくださると。これは非常にいいことだ、ありがたいことだ、歓迎すべきことだと喜んでおるわけなんです。ところが、なかなかそれが宮古、八重山にも行けない、こういう実情からも、非常に強い要望が八重山からも宮古からもあるわけなんですが、ぜひひとつ、二者択一、同時、いろいろありますけれども、八重山は、特に沖繩を象徴するいろんな文化は八重山にあると言われておる、こういう立場からも、八重山の開発実現をあわせて要望したい。それに対するひとつ大臣の御決意をお願いしたい、御所見をお願いしたい。
  235. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 沖繩の振興という観点からも、またいまいろいろお話を伺いましたそういう趣旨からも、大いに努力をいたしたいと存じます。
  236. 野末陳平

    ○野末陳平君 国鉄が発行しております無料パスとかあるいは割引証などといいますいわゆる優待乗車券といいますか、この配付の実態というのが非常によくわからない。世間では誤解をしているかもしれない。そこで、きょうはひとつその実態を公開していただきたい、そう思うわけですね。  一体どこへどれだけの枚数が配付されているのか、ひとつ先にそれをお答えいただきたい。
  237. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 国鉄が発行しております乗車証につきまして、種類は四つあると思います。  一つは、職員に対する定期乗車証でございます。これにはいろいろ種類がございますが、勤続年数によって区間が違ったりいたします。そのほかに、職員に対して臨時的に、たとえば公務出張のときのパス、あるいは精勤をした職員に対するパスというような形で職員に対しては職員乗車証を発行しております。これが一番でございます。  二番は、家族に対する優待制度がございまして、これは運賃と料金に対しましては割引証を発行いたしておりまして、これも交付枚数につきましては在職年数によりましてそれぞれ異なっております。なお、家族に対する優待制度といたしまして、その子弟につきまして通学定期運賃割引証を発行いたしております。  それから第三番目には、永年勤続をいたしました退職者に対しまして発行をいたしておりまして、これも在職の年限に応じまして、たとえば退職後十年は一カ月分を年六回に分けて発行いたします。あるいはそれ以後は、五年間は年三回発行いたしまして、それ以降はもう発行いたしませんというような形で、永年勤続しました退職された方々に退職者の乗車証を発行いたしております。  最後に、部外乗車証でございますが、これは種類といたしまして三つございまして、まず法律上、国会法三十七条と国会議員日本国有鉄道無賃乗車令と、その法律に基づく命令で発行いたしておりますのと、それから儀礼上、日本学士院会員あるいは日本芸術院会員、こういう方々に儀礼上発行いたしておりますのと、そのほかたとえば国鉄の業務上必要な、たとえば駅の委託をしたりあるいは鉄道警備のために移動される警察官、その他業務上必要として発行しておる三種類がございます。
  238. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっと補足してほしいんですが、枚数が言っていただけなかったんですがね。その枚数も含めて補足のお答えで、儀礼上と言いましたけれども、その中に皇族は入っているかどうかということが一点。それから、業務遂行上という中に報道関係が含まれているんじゃないかと思うんですが、報道関係については返上しているところもあると聞いておりますし、また返上してないところもあると、その辺のことを、大ざっぱで結構ですからちょっと補足してください。
  239. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 職員乗車証につきましては四十三万職員に発行いたしております。  それから、家族に対する優待制度、割引証はどれぐらい発行しているかということでございますが、これは非常に把握が困難でございまして、どれぐらい使われたかということについては困難でございまして、各職員には発行いたしておりますけれども、どれぐらい使用されたかということについては把握いたしておりません、残念でございますが。それから、通学定期運賃割引証につきましても把握をいたしておりません。  なお、退職者に対する乗車証につきましては、現在年金を受けておりますのが国鉄職員の半分でございます。その年金者はおおむねこの恩恵を受けておると考えてよろしゅうございますけれども、十五年で、年金は残っておりますけれども乗車証は切れるという場合もございますので、それよりかなり下回るものと、半分といたしまして約二十万、それよりもさらに下回るもの、大体十五、六万程度ではないかというふうな推定をいたしておりまして、明確に握把はいたしておりません。  部外乗車証につきましては、私の説明が悪うございましたが、儀礼上のものといたしまして皇族には発行いたしております。  それから、報道関係につきましては、御指摘のとおりかなりの会社において返上をされております。現在残っておりますのはむしろ地方関係で、これは御理解いただきたいと思いますが、具体的に運転事故等刻々としていろいろの問題がございますので、そのたび一々発行いたしますのも大変でございますので、本社で発行するよりも、むしろ地方の管理局で発行しているものが残っておるというふうに御認識をいただきたいと思います。
  240. 野末陳平

    ○野末陳平君 それは何枚ぐらいですか。
  241. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 現在約二百枚程度というふうに考えております。
  242. 野末陳平

    ○野末陳平君 大体ほぼ実態はお答えでわかりましたけれども、一、二気になる点をさらに質問しますが、この子弟の通学定期の割引というんですが、これはどういう理由からなんでしょうか。というのは、家族には割引証なぞが発行されているんで、これで十分でないかと思うんですね。また、この子弟の通学定期の割引の枚数などの実態もわかってないとなると、なぜここまでしなきゃいけないのかなと思ったりしますので、どうしてもこれが必要であると判断される理由を説明してください。
  243. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) まず、この子弟の通学定期割引証につきましては……
  244. 野末陳平

    ○野末陳平君 簡単にお願いします。
  245. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 歴史的背景がございまして、悪い言葉かいい言葉かわかりませんが、国鉄一家という一つの伝統を持って、職員の家族もろとも国鉄に奉仕するという精神が明治五年以来国鉄にございますので、それの歴史的背景のほかに、私どもとしては、やはり職員の福利厚生施策の一環として学校の通学証明書に基づいたものについて発行いたしております。割引額は五割引きでございますが、そこで簡単に申し上げますと、小学校、中学校、高等学校、大学校というようなところで、学校教育法第一条に基づく学校の通学証明書に基づいて発行いたしておりますが、ほとんど公立学校ということでありますならば、私立を除く場合はほとんどこの発行はないんじゃないか、むしろ高校、大学の方にはあるいはあるかもわかりませんが、そういう予想はいたしておりますが、正直申し上げまして正確には枚数はつかんでおりません。
  246. 野末陳平

    ○野末陳平君 大臣、どうもいまのを聞いてますとね。歴史的背景ももちろんそちらではやむを得ないというお考えでしょうし、それから福利厚生の一環で家族もともにこの公共の仕事に参加しているというような意識、そういうものもわかりますが、しかし、通学費は一種の教育費ですから、これを、どうなんでしょうね、福利厚生とか国鉄の慣例の中でいまだに続けるというのは、ちょっと世間的には一種の不公平感につながるようなもので、ぼくは通学定期は平等に買ってちっとも差し支えないんじゃないかというふうに考えますが、大臣はどうお考えですか。
  247. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 正直なところ野末さんと同じように——野末さんはもっとも前から知っておられたかどうか知りませんが、私はきょう初めてここで聞いたのでございますが、まあ少し研究しないと、とっさにそれは要らぬとか要るとかと言うのも私の立場上軽率ということになると思いますが、なおもう少し検討さしてみていただきたい。
  248. 野末陳平

    ○野末陳平君 さらに、先ほどの国鉄職員関係の中でお答えがなかったんで、これを確かめたいんですが、国鉄には嘱託医という制度があるようで、これは町の開業医に医療業務を嘱託するわけでしょう。どういう手当でもって契約しているかわかりませんが、そういう職員でないお医者さん、これがやはり無料パスをもらっているということなんで、その理由、それから枚数、それからどのように使われているか、その辺が知りたいわけですね。時間もないので、ひとつ簡単にお願いします。
  249. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いま御指摘の国鉄の嘱託医にパスを出しておりますまず理由から申し上げますと、現在、嘱託医でなくてもいいわけでございますけれども、特にこの嘱託医と国鉄が契約をいたしておりますのは、非常に危険な仕事をしております職員が多うございまして、その職員が業務上けがをしたあるいは疾病にかかったというようなときに、いつでもその現場機関に来てもらうという一つの大きな約束事と、二番目は、やはりこの前も出ておりましたように、突然列車内でお産があったあるいは病気をしたと、お客様の病気のために嘱託医と契約をいたしておりまして、そういうときに非常に敏捷に移動していただくために、期間とそれから区域を限りまして、嘱託医に対して約一千枚のパスを発行いたしておりますほかに、やはり管理局との連絡がございまして、健康診断あるいは健康指導、そういうこともございますので、主としてどういう区間をやっておりますかといいますと、たとえば真鶴の嘱託医に対しては、東京南鉄道管理局、東京にございますので、真鶴−東京間約六カ月というようなパスの発行をいたしておるわけでございます。
  250. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、どうでしょう。どのくらいそういう緊急の事故があって嘱託医が動員をされたのか、その辺の実態がいまひとつわかりませんとね、果たして無料パスというようなものが必然性があるかどうか。ぼくは何か、そのたびに恐らく案内されて行くわけですから、フリーパスと言っちゃ変ですが、そのたびごとに乗れるはずだと思うんですね。何でこのパスまでという気もしないでもないので、どのくらい事故があって、どのくらい動員されておるんですか、お医者さんが。
  251. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 五十年度と五十一年度で申し上げますが、要するに職員が業務上の負傷をしたり病気にかかったりいたしました例は、五十年度で一万二千三百名、ラウンドナンバーで申し上げます。五十一年度は一万三千四百名でございます。それからお客さんの病気あるいはけがというのは、五十年度で千三百件、五十一年度で千二百件でございます。
  252. 野末陳平

    ○野末陳平君 やはり嘱託医という制度は必要だと思いますね。しかし、やはりどうもこだわるわけじゃないですけれども、無料パスを発行しなければならないのか。本来のペイの中で処理すべきことではないか、要するにそちらで緊急事故があったときに乗せてあげればいいわけですから。何かその辺が、大臣ちょっと、お医者さんに対するサービス過剰といいますかね。つまり、ふだんそれで乗っているわけですから、私の知っているところもみんなそれで乗っているわけですね。そうすると、乗っているのがいけないと言うのじゃないですけれども、そういう千枚の枚数が開業医の数に比べて、やはりちょっと多いようだし、嘱託医の制度と、それに無料パスを配付することとは、ちょっと線を引いて考えるべきときにいま来ているんじゃないかと、いままでの慣例はともかくとして、そう思うんですよ。大臣どうですか。
  253. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) これまたやや慎重を要するものでございますが、まあ一生懸命に治療に当たってもらうには幾らかごきげん取りも必要じゃないかというような気もいたしますが……。
  254. 野末陳平

    ○野末陳平君 ごきげん取りと割り切ればいいけれども、それだったら逆に嘱託料をどうするかという問題が本来だと思いますし、ちょっと筋が違うところでサービスしていると。いままでの慣例はともかく、ここまで国鉄が赤字になる、その赤字のしわ寄せは運賃値上げとか、そういうような発想のこういう時代において、やはり洗い直しが当然だと思うんですよ。  で、また問題の国会議員の乗車証が出まして、これはもう内輪ですから、大臣にざっくばらんにお話ししますけれども、やはりぼくの個人的考えですよ。ちょっと全線グリーン車で通年パスというのは特権の行き過ぎだという気がするんですよ。ただ、公務に支障があっちゃいけないわけですから、そこでどうしたらいいか。先ほどの説明では国会法に基づいているということなんですが、当然そうなると法改正ということも考えなければいかぬでしょうが、ぼくはこう考えるのです、大臣。やはり区間を、全線とかそういうのをやめて区間を指定したっていいじゃないか。選挙区と東京都ですか、それを往復する区間指定しても一向差し支えないというふうにも考えますし、あるいは、会期中はそれはいまのままでも結構だと、こう思うんですよ。しかし会期外には、やはり公私混合のおそれもあるわけだし、それからつい最近はまたずいぶんおかしなことが新幹線の車内であったらしくて話題をにぎわしている。あれとこれは関係ないけれども、ああいうときに必ず世の非難を浴びるのが、国会議員は無料パスで乗っている、こうなる。どうもそういうときに変な気持ちになって複雑な気持ちになりますよ。ですから、大臣にお願いしたいのは、会期外はそのつど申請して乗車券の交付を受けてもいいわけで、政務に支障がなければいいわけですから、いまのようなパスはちょっと特権ではないかというふうな気がします、正直言って。ですから、これを法改正も含めて検討すべきときに来たんではないかと。もちろんこれはわれわれ全員が、国会議員全員が発意すべきことですが、大臣の見解はいかがでしょうか。
  255. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 運輸大臣たる私といたしますと、なるべくパスなんかが出ない方がいいということになるわけではございますが、世界のいろんな例を私もある程度承知いたしておりますが、この種のものについていろんな扱いがあるようでございます。どの国がよくてどの国がまずいとは申しませんが、世間相場で言うというわけじゃございませんけれども、広くこういうことは考えなければならぬのでございましょうし、何としてもこれは各党間で御相談をいただいて御命令をいただくということでないと、よくしても悪くしてもしかられなければならないことでございます。でございますから、まあせっかくの御質問ではございますが、私の発意において法改正をここで政府から申し出るとか、あるいはいま御説のように乗車区間あるいは乗車期間等を限定するとかということは、これはちょっと、これまた慎重に対処したいと存じます。御了承いただきます。
  256. 野末陳平

    ○野末陳平君 どうも困りますよね。大臣の立場もあるんですけれども、ぼくが言いたいのは、何も国会議員だけというのじゃないんですけれども、いまややはり行政に携わる者が姿勢を正すということが絶対に必要なときに来ているわけです。いままでの慣例化した特権などを、やはりここで思い切って切るべきものは切るということが絶対必要なわけですね。そこで国鉄についても、まあさっきもちょっと言いましたが、赤字のしわ寄せというものをただ運賃の値上げという形で及ぼすように、世論はそうとりますから、もちろん国鉄そのものもいろんな御努力をされていることもわかりますけれども、やはりいままでこう慣例化した優待乗車券の制度も、ここらでひとつ思い切って整理縮小をできるだけするという方向で大臣が率先して提案すべきではないかと、そう思うんですよ。いままでのお答えだと、どうもどっちに転んでも怒られるからというんで、何かあきらめのムードで頼りないんですがね。やはりどうでしょう、このままでいいとお考えですか。それともこの辺でメスを入れるべきであると、どちらですか。それだけきょうはお聞きして、また後日と思います。
  257. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 国権の最高機関たる国会を構成する方々、たまたま私もそうでございますけれども、その方々に総合的にどういうような敬意を表すべきであるか、特に国家としてどうすべきであるかということは、これは広く高い観点から観察をしていただいて、先ほども申し上げましたように、国会の御意思も十分伺ってと、こういうように存じますので、いまの御質問でございますが、私は国権の最高機関の御意思を尊重いたしたいと考えるわけでございます。
  258. 野末陳平

    ○野末陳平君 大臣、国会だけじゃなくて、全体について。
  259. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) まあパスの話は実は私きょう初めて聞きました。どれについてどうということは御遠慮申し上げますが、ああそうかなと思うことも若干あるわけでございます。なおもう少し研究をさしていただきたいと思います。
  260. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようですから、運輸省及び日本国有鉄道決算の審査についてはこの程度といたします。  次回の委員会は三月二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会      —————・—————