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野口忠夫君
全治の内容ですが、病気は治らぬ、けれ
ども息だけはまあついていると、だからそのうちまた何とかなるんじゃないかというような
全治の仕方であったというようなお答えにきり受け取れないわけなんですけれ
ども、これから少し質問したいと思います。ただいまのお話でありましたように、やはり
経済運営ということについての反省が少し足りないんではなかろうかという
感じがするわけであります。
今回、
福田内閣は、保革伯仲と言われる
国会の中で五十三年度予算に関する野党の修正要求を突っぱねて、
国会審議がストップするというようなことになったのには大きな責任があると思います。こうした
状態をつくるその原因として見過ごすことのできないことは、
公共事業の
実施を
不況脱出の決め手としてあくまでもこれに執着していく
政府の強硬姿勢の根底に、実は
政府の
経済運営の従来までやってきた実績に関してどうも反省不足が存在するというふうに推定されるわけであります。
昭和四十八年度の末期から五十年度に至る引き締め
政策の過程で、
企業がこれに対応していわゆる減量経営という行動様式をとるようになったことについて、企画庁の
認識は必ずしも十分でないように私は見受けられるわけであります。
昭和五十二年度の
経済白書によりますと、企画庁は、
昭和五十一年度の
日本経済の特色の
一つとして、
企業の行動様式が変化して減量経営という形態のものになった経過を述べられておりますけれ
ども、こういうことを述べた根拠が、やはり利益があるからとかないからとかという従来の資本の論理に基づいてとらえているようにこの白書の問題を私は
考えるわけであります。しかし、ここではそういうとらえ方をしておりますけれ
ども、総
需要抑制や
財政繰り延べ措置との関連が、そういう
政策的推進のやり方がこの減量経営
方式に導いていったという姿との関連がどうも十分解明されていないように思われるわけであります。減量経営というものが
政府の
政策に対応して生まれてきた側面をとらえることなしに、減量経営の各種の弊害について、どうも
政府は責任を
感じないという
経済システムが生まれてくるんではなかろうかと思われるわけであります。
公共事業の促進との関連でこれを
考えていきますと、減量経営でありまするがゆえに、
公共事業の促進が直接雇用の拡大につながらないし、
景気回復も余り望めないと言えるようになっているのでありましょう。五十三年度の大型予算は
景気回復の呼び水
効果に乏しいということは、
日本経済新聞が約三十社ばかりの主要
企業を相手にして聞き取り
調査をやったそのときの新聞報道によってでも、これが主要
企業経営者の見解であるようであります。
ですから、減量経営というこの
あり方の中に
企業を追い込んでしまった
政策の
誤り——私は、今度の円高ということによって
中小企業が数多く倒産していることは
長官の御存じのとおりだと思います。総理は国際機関の中で黒字減らしの約束をいたしました。しかし、その黒字は増大の一途をたどってきている。国際機関の中で公約をした問題ですから、これは国策だと思うんですよ。この国策に従っていけばドルは減るであろうと思われるのに、ドルは減るどころではなくどんどんどんどんふえていく。どこかの
企業の中にふえているんだろうと思うんですよ。そのことが、報復的な措置というような姿の中で円高になってあらわれ、
中小企業が見るも無残に倒産している。同じ日経新聞に出ておりますけれ
ども、このドルを持っている
日本の自動車産業などというところで、先行き不安であるがゆえにやはり合理化、引き締めをやっていかねばならぬと言うて、減量経営の上に乗った非常な利益を上げながら、国策に反してドルをどんどん取りながら、まさに
日本の成長産業とも言われるような今日的
状態の中で、同じような合理化引き締めの
状態の中でこれが行こうとするようなそういう
方向に持っていったもの、それは間違いなく総
需要抑制政策という
政策の進行の中で生まれた新しい経営の行動様式、それに乗る
日本の経営
企業、もうかっていても引き締め、減量、合理化等をやらねばならぬみたいな話にある。こういうことに導いていってしまった
政策的な側面というものを見ないでやっていく
経済政策の中に、
公共事業をどんなに起こしていっても、
企業の皆さんはこれに食いついてこないという
政策の
失敗による袋小路がここにあるんではなかろうかというふうに思われるわけでありますけれ
ども、この袋小路を導き出してしまった
政府の責任、これを果たして持っているのかどうか。
ですから、一応物格は鎮静した、だから成功であった、そういう言い方ではとても言い切れないと思うんですよ。どうしてもここでその責任を
考える中で
一つの
考え方を転回するようなことでなければ、本当の
意味での
経済政策になっていかないんじゃないかというふうに思うわけでありますけれ
ども、
長官はどうお
考えでございましょうか。