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1978-02-15 第84回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十五日(水曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————    委員異動  二月十日     辞任         補欠選任      坂倉 藤吾君     案納  勝君  二月十四日     辞任         補欠選任      宮之原貞光君     矢田部 理君  二月十五日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     井上  計君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 斎藤 十朗君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 世耕 政隆君                 藤川 一秋君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 案納  勝君                 寺田 熊雄君                 丸谷 金保君                 矢田部 理君                 和泉 照雄君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 井上  計君                 野末 陳平君                 江田 五月君         —————        会計検査院長   佐藤 三郎君         —————    政府委員        宮内庁次長    富田 朝彦君        皇室経済主管   福留  守君        防衛施設庁長官  亘理  彰君        防衛施設庁総務        部長       奥山 正也君        大蔵政務次官   井上 吉夫君        運輸大臣官房長  山上 孝史君        建設大臣官房会        計課長      加瀬 正蔵君        建設省都市局長  小林 幸雄君    事務局側        事 務 次 長  前川  清君        常任委員会専門        員        道正  友君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  西村 健一君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  山崎 宏八君    国立国会図書館側        館     長  岸田  實君    説明員        宮内庁書陵部長  野本 松彦君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  川崎 幸雄君        厚生省保険局保        険課長      小島 弘仲君        中小企業庁計画        部振興課長    深沢  亘君        建設大臣官房人        事課長      豊蔵  一君        建設省住宅局住        環境整備室長   片山 正夫君        会計検査院事務        総局次長     柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君        会計検査院事務        総局第四局長   阿部 一夫君    参考人        中小企業振興事        業団理事長   斎藤 太一君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月十日、坂倉藤吾君が委員辞任され、その補欠として案納勝君が選任されました。  また、昨十四日、宮之原貞光君が委員辞任され、その補欠として矢田部理君が選任されました。  また本日、木島則夫君が委員辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費国会及び会計検費院について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質疑通告のない岸田国立国会図書館長前川参議院事務次長西村裁判官弾劾裁判所事務局長山崎裁判官訴追委員会事務局長は退席して結構です。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 矢田部理

    矢田部理君 冒頭、会計検査院にお尋ねをしたいと思います。  かねて問題になっておりました接待問題について、会計検査院としてその後検査をされたようでありますが、検査の詳細は結構でありますが、時間の関係検査結果の概要をかいつまんで御報告をいただきたいと思います。
  7. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 昨年来、本院出張官接待問題で御指摘を受けました、建設省運輸省防衛施設庁下部機関に対する事実確認のための検査の結果でございますが、まず第一に、検査個所出張官、及び日程につきましては、今回の検査は、御指摘を受けました……
  8. 矢田部理

    矢田部理君 検査結果の概要だけ聞いているんです。
  9. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 建設省の十二の工事事務所、一技術事務所運輸省の一港湾建設局、二工事事務所防衛施設庁の一防衛施設局、計十七カ所につきまして、官房課長総括副長級職員、計十一名を動員いたしまして、現地にこれらを派遣して実施いたしました。  その検査の方法でございますけれども検査対象工事事務所等につきまして、関係書類等によってその全貌を把握しまして、さらにその中から本院会計実地検査の際の分について、各調査官の行動記録などと照合いたした上で点検をしてこれを確認したわけでございます。  その結果といたしましては、本院実地検査の際の接待問題として御指摘のありました件につきましては、検査の結果、遺憾ながら御指摘のような事態があったことが確認されました。しかし、これらの支払いの名目のもとに他の目的の支払いをしたり、不正な支払いをしたりしているようなものは認められませんでした。  また、本院出張官が先方に赴いた際に接待を強要したというようなことはなかったということも確認されました。なお、出張先における宿泊料につきましては、施設によって多い少ないはございますけれども、各出張官がそれぞれ支払ってはおりましたものの、昼飯あるいは夕飯の際の会食について御指摘のような事態となりましたことはまことに遺憾なことでございます。  次に、御指摘のように、事業の調査費を使用して接待経費を支弁しているものが見受けられました点につきましては、当局からは、道路河川等検査経験の豊富な出張官から工事実施に有益な種種の情報を得るため有効であったといったような御説明もございましたけれども、本来、本院職員実地検査に際して接待を受けることは妥当ではない、こういう見地から見まして、このような調査費の使用が適切であるとは言えないと考えております。  さらに、接待経費のうちには、新聞等で報道されましたように、受検省庁職員だけによる食事代が含まれておりましたけれども、これらは、現場検査の際説明に当たったり、連絡事務に当たったりしました受検側職員の方々や、これらの要務のために配置転換先から特に応援を求めた元の所属職員に対する昼食給食費、または出張官指示を処理するため残業を余儀なくされたこれらの職員に対する夕食給食費でありまして、検査に無関係のものはございませんでした。  なお、会計手続について見ますと、建設省東京国道工事事務所では、請求書に納入の日付数量等記入がないものについて事務所側でこれを記入しているものが御指摘のように見受けられましたが、調査の結果、事務所側記入した数量単価等が誤ってはいたものの、支払い金額自体には誤りがなかったということが確認されました。また、請求書請求日付あて名等記入当局側で行っているものが各工事事務所等で見受けられましたが、これによる不正な事例は発見されませんでしたものの、決して適切な扱いではなく、不正事態発生防止意味からも、請求者自身による記載を要請すべきものと考えられます。  最後に、総括的にこの検査の結果についての所見を申し上げますと、接待経費のうちには、現場検査の立ち会い、検査機械器具の操作などのために現地に張りつけられた当局職員、あるいは本院出張官要求資料作成のため夜間残業を命じられた当局職員に対する給食代も含まれておりまして、これは必要最小限のものであるならば当局における必要経費として許容できるものと考えられますが、本院出張官昼食代夕食時の会食代がこれらとあわせて国費で支弁されておりましたことにつきましては、先般来申し述べておりますように、本院の立場から見まして遺憾にたえない次第でございます。  以上でございます。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 いまの問題は後ほどまた関連して質問いたしますが、その次にお聞きをしたいのは、会計検査院として接待問題について一連措置をとられました、綱紀粛正通達処分配置転換等を含めて。これで接待問題についての措置は全部終了したという考え方でしょうか。
  11. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 現状において打てるだけの手は打ちましたけれども、なおまだ新しい体制で御批判のありましたような事態が起きないように抜本的に対策を講じたために、従来にないいろんな問題が今後付随して起こってくるだろうと思います。そういう細かい点を今後きめ細かにまたやっていかなければいけないと、こういうふうに考えております。
  12. 矢田部理

    矢田部理君 先ほどの検査結果の概要で、十七カ所について検査をいたしましたと、その概要報告されたわけでありますが、その他の個所については調査をしているのでしょうか。あるいはまた、すでに私ども指摘した十七カ所以外のところでは接待問題はなかったのでしょうか。
  13. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) その他の個所につきましては、今後、この一月から本格的に実地検査職員を出しております。その検査の際に並行してこれをよく見るというつもりでおります。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 私どもは、先ほど報告された十七カ所以外にも具体的な事実を挙げて指摘している点がさらに幾つかございました。たとえば十七カ所はすべて五十二年の検査にかかわる接待状況でありますが、五十年には木曾川下流で二十八万強、名古屋国道で五十七万、さらに五十一年には荒川下流工事事務所で二十二万、木曾川上流で八十万、木曾川下流で四十四万、名古屋国道で四十八万と、少なくともこういう事実を指摘しているんですが、これらの点についてはどうして調査をされなかったのでしょうか。
  15. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) この問題が起こりました当時、私どもではたまたま昭和五十一年度の決算検査報告の取りまとめ時期でございました。それと全く重複いたしましてそちらの方も急がなくてはならないと、こういう事情にあったわけでございます。そこで、当初新聞紙上で報道されました十七カ所につきまして、取り急ぎ十二月に入って、しかもこれに充てました派遣要員官房課長総括副長ということにいたしましたのは、従来の課の体制のままでこの見直し検査に当たらしたのでは必ずしも適切ではないと、このような配慮があったわけでございます。しかしながら、官房課長総括副長にも数に限りがございました。そういったような事情から、やむを得ず限定的に十七カ所に限らざるを得なかったわけでございます。  で、ただいまも院長から御説明申し上げましたように、その他につきましても私どもはやはり見直し検査をする必要は重々承知いたしております。そこで、これについては新しい陣容、たまたま機構改革もあり、大幅な人事異動も見込まれておりましたので、その新しい陣容によってあわせて見直し検査を徹底してやっていくと、このような方針を立てたわけでございます。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 建設省も御出席をいただいておりまして、関連して伺っておきますが、建設省としては、従前指摘をしました問題以外の個所等についてはどういう調査をされましたか。
  17. 加瀬正蔵

    政府委員加瀬正蔵君) 御指摘をいただきました十二事務所以外につきましては、昨年十一月二十二日に、私ども綱紀粛正通達事務次官名で出したわけでございますが、その通達の趣旨を徹底するために、総務部長から工事事務所長等に対しまして指示をいたしました際に聞き取り調査はいたしております。聞き取り調査の結果では、検査終了時等に講評を聞く等のための会食は行われているということでございます。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 問題になった十二カ所以外にも全体的にその種接待が行われていると、それから、当該年度といいますか、昨年、五十二年だけではなしに、過去にさかのぼって行われていると、こういうことでしょうか。
  19. 加瀬正蔵

    政府委員加瀬正蔵君) 私どもでは、従来、儀礼の範囲で過度にわたらない程度の講評を聞く等のための会食を行うことは差し支えないという指導を従来はしておったものでございますから、そういう事実があったようでございます。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 先ほど私が読み上げました荒川下流木曾川上流木曾川下流名古屋国道等については調べられましたか。
  21. 加瀬正蔵

    政府委員加瀬正蔵君) 私どもの調べました範囲では、会食が行われた事実はございますが、会議稟議書については一年の保存でございますので、それから詳細の調査というものをまだいたしておりませんから、会食が行われた事実はございますが、金額その他の詳細については十分把握しておりません。
  22. 矢田部理

    矢田部理君 これは私が建設委員会でもまた決算委員会でも両者に申し上げたわけですが、私ども指摘をしたのは氷山の一角であると、この種接待問題は各省庁に及んでいる、あるいは昨年度だけではなくて以前から引き続き行われていると、こういう実態幾つかの事例に即して指摘をし、会計検査院建設省もできるだけ速やかに調査をしますと、自己点検をしますと言っておりながら、私ども指摘をした事例、しかもその五十二年度分に限ってのみやられて、あとはどうも本格的に調査をしよう、再検査をしようと、こういう姿勢がうかがえないところに一つやっぱり問題点を感じるわけであります。それは私は各省庁だけではありません。この種接待問題は公団公社等にも相当数あるわけであります。  いまここで、たとえば阪神高速道路公団、この問題を一つ取り上げてみたいと思うわけでありますが、阪神高速道路公団については、五十一年も五十二年も実地検査をやっております。五十一年は七月の十二日から二十日まで、五十二年は七月の十一日から十六日まで。このときの接待状況建設省把握をしておると思いますが、どんなふうになってるんでしょうか。
  23. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) お答え申し上げます。  昼食につきましては、両回ともそれぞれ事件の現場におきまして弁当を使ってやっております。これは出席者検査官及び公団関係部課長等であります。また、夕食につきましては、宿泊場所である阪神公団の千里の研修所でとっていただいております。出席者担当検査官及び公団関係部課長でございます。  以上でございます。
  24. 矢田部理

    矢田部理君 私どもがいただいた資料の中にもその記載はあるわけでありますが、昼食弁当だけではないでしょう。あるいはまた夕食にはもちろんお酒等も出したろうと思いますが、その費用負担はどうなっていますか。
  25. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 阪神公団におきましてただいま調査をさしておりますが、昼食につきましても夕食につきましても、これは調査中でございまして、ただいまのところまだ判明しておりません。
  26. 矢田部理

    矢田部理君 そんなむずかしいことじゃないわけですがね。これはいずれも公団側負担したんじゃありませんか。費用です。
  27. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) 阪神公団の千里研修所におきまして、宿泊料はこれは検査官負担していただいておるようでございますが、昼食夕食経費負担関係につきましては、ただいまのところまだ公団において調査中でございまして判明しておりません。
  28. 矢田部理

    矢田部理君 いや、ゆうべ私のところに連絡があったのは、費用公団側が持ちましたと、こう言っているのです。事実そういう資料もありますけれども、そうじゃありませんか。
  29. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) あるいは従前の例に従いましてそういう事実があったかもしれませんが、詳細につきましてまだ承知いたしておりません。
  30. 矢田部理

    矢田部理君 この接待には、毎晩各担当部長が交代で夜詰めて行っているのじゃありませんか。
  31. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) あるいはそういうふうな状態であったかもしれませんが、まだその辺の詳細につきましては公団をして調査をせしめておる段階でございまして、詳細ただいまのところ承知いたしておりません。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 先ほど、五十一年、五十二年の実地検査の日にちを申しましたが、七月の中旬というのは京都で祇園祭が行われております。この実地検査期間中に、あるいはその前後に、祇園祭招待をされたことがあったのではありませんか。
  33. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) ただいままでの公団報告によりますと、検査前あるいは検査終了後、特別の変わった御案内あるいは行動をされたという事実は判明しておりません。期間中においてもまた同様でございます。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 検査期間中もしくは終了後の土曜、日曜、有馬温泉招待したことございましたか。あるいはまたゴルフに招待をしたことはありませんか。
  35. 小林幸雄

    政府委員小林幸雄君) ただいままでの調査によりますと、そういう事実は報告は入っておりません。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 報告が入っていないという答弁もまた困ったもんですが、これはひとつ厳重にチェックして調査をしてほしいと思う。  会計検査院として、いま私が指摘した幾つかの問題についてどのように承知をしておりますか。
  37. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) そういうお話はいま初めてお聞きするので、そういう事実があったとすればまことにけしからぬ話になりますけれども、なお公団建設省ともよく連絡をとって調査してみたいと思います。
  38. 矢田部理

    矢田部理君 私は一つ事例を挙げたわけでありますが、私ども調査でも、これはここだけではなくて、公団公社等も含めて全体的にやっぱり接待問題というのは広がっていると。たまたま先般、建設省を中心に指摘をしましたけれども、そういう実態なり全体像の把握が基本的にやっぱり不十分なんじゃないかと。十七カ所だけ再検査をして、一連処分をしかつ配置転換などをやって、これで終わったという理解に私はひとつ問題を感ずるわけでありますので、いま私が指摘した問題等も含めて、今後ともやっぱり調査継続をし、全体像をつかむということが、責任所在を明らかにする意味でも、原因を究明する意味でも、あるいはまた今後の改善策を考える意味でも大事なんでありますから、ひとつ心して調査方をやっぱり強く希望しておきたいと思います。  そこで、会計検査院等がとった処分等の問題について伺いたいと思いますが、会計検査院は十七ヵ所の接待について検査をし、たしか六十名だったと思いますが——について処分をしたように聞いております。しかし、ケースとしてはそれだけでない。もっともっとたくさんある。いま幾つ指摘をしましたが、そういうケースを含め、今後調査等によって明らかにされた問題点についてはどのように対応されるおつもりなのか、まず会計検査院にお聞きをしたいと思います。
  39. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 今後、一般検査と並行して、接待の問題といいますか、   〔委員長退席理事野口忠夫君着席〕 会議費と申しますか、食料費と申しますか、そういった面につきましてもよく注意をして検査をしていきたいと思っておりますが、その結果によって、それ相応のやっぱり処置を講じなけりゃならんと、これはもう当然のことだと考えております。
  40. 矢田部理

    矢田部理君 問題は、処分の性格あるいは責任所在をどこに求めるかということは、問題の受けとめ方の深浅、浅い深いにかかわる問題だと思いますが、建設省運輸省防衛施設庁、それぞれ処分をされているようでありますが、どういう観点、どういう基準で処分をされたのか、いまの三つの省庁にお伺いをしたいと思います。
  41. 豊蔵一

    説明員豊蔵一君) 建設省からお答え申し上げます。  今回の事案につきましての処分に当たりましては、接遇企画指導あるいは実施上の責任者といたしまして、地方建設局総務部長事務所長に対しまして、建設省職員訓告規程に基づきます訓告処分を行いました。また一方、本省官房会計課長地建会計課長、これにつきましてはその指導責任、なお地建局長本省官房長につきましては、監督責任というものを考えまして、それぞれ文書または口頭による厳重注意処分任命権者名で行ったものでございます。
  42. 山上孝史

    政府委員山上孝史君) 運輸省といたしましては、会計実地検査に際しましての接遇に関しまして、第一港湾建設局、第三港湾建設局、第四港湾建設局におきまして遺憾の点が見受けられましたので、本省官房長口頭による厳重注意本省港湾局長口頭による厳重注意、第一港湾建設局長文書による厳重注意、第三港湾建設局長文書による厳重注意、それから第四港湾建設局長文書による厳重注意、さらに第三港湾建設局次長、当時は第一港湾建設局次長でありましたが、これに対しまして訓告をいたしました。これを一月十八日付運輸大臣より行いました。  この第一、第三、第四の港湾建設局長処分対象といたしましたのは、現地における受検総括責任者として問責をいたしたものであります。本省官房長港湾局長処分対象にいたしましたのは、それぞれ港湾建設局受検につきまして総括的な指導立場にあるということで問責をいたしたものであります。第三港湾建設局次長につきましては、先ほども触れましたように、当時第一港湾建設局次長の際の現地受検企画・立案、それから実施責任者として問責したものでございます。
  43. 亘理彰

    政府委員亘理彰君) 防衛施設庁におきましても、検査院受検に対する接遇に関して遺憾の点がございましたので、一月十九日付をもちまして、本庁総務部長会計課長、その他の処分をいたしておりますが、本庁総務部長につきましては口頭による厳重注意、それから本庁会計課長横浜防衛施設局長、同次長並びに横浜防衛施設局施設部企画課長につきましては文書による厳重注意を行い、それから横浜防衛施設局総務部長施設部長並びに会計課長につきましては訓戒の処分を行っております。  この処分の理由は、防衛施設庁総務部長、同会計課長横浜防衛施設局長及び同局次長につきましては、管理、監督の責任を問うたものでございます。その他の者につきましては、実施企画、立案等に当たりました実行責任を問うた次第でございます。
  44. 矢田部理

    矢田部理君 いま三つの関係省庁から、処分の性格についてお聞きをしましたが、各省庁とも中心的には管理、監督の責任を問うという形で処分をなされている。それはまた私は当然のことだと思うのであります。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕  それに対して会計検査院処分状況を見てみますと、管理、監督者は責任をとっていない。現場接待を受けた者、ここだけに処分を行っている。ここにやっぱり会計検査院の問題の認識のずれが私はあると思うのです。どうも会計検査院は、この種接待問題を個人的、局地的な問題としてとらえているんではないか。しかし実態は、先ほども幾つ指摘をしましたように、この種接待問題は全体に蔓延をしているわけであります。なぜその監督者としての責任、幹部としての責任を問題にしなかったのか、まずその点からお尋ねをしたいと思います。
  45. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 本院は、接待は受けてはいけないという原則のもとに指導してまいっております。したがって、直接実行した者はこれは第一に責任の対象になろうかと思います。  それから第二番目でございますが、かと言って、監督者に全然責任がないかということではそうは思っておりません。今回の事件が出張体制の不備にもあるということを念頭に置きまして、検査官会議において検討いたしました結果、去る一月の十九日に、会計検査院としては開闢以来異例でございますが、会計検査院長の私が、事務総長以下幹部、及び出張する場合には全責任を負わされている主任官となる副長以上の者全員を講堂に集めまして、直接二十数分にわたって厳重なる注意を行った次第であります。その際、新体制を整備した今後の出張検査において万一同種の事態を引き起こした場合には、出張官はもとより、管理、監督の責任についても、公務員法上の処分を含めて厳重な処分を免れない旨の厳重注意を申し渡しておる次第であります。そしてその際、一同を代表いたしまして事務総長から、今回の事件について幹部職員としてまことに申しわけない次第である、今後は絶対にこのような事態が再度起きないように最善の努力を払うという誓いの言葉を受け取っておるのであります。なおこのほかに、事務総長、次長関係局長、審議官、課長と、それぞれ始末書の提出を受けております。
  46. 矢田部理

    矢田部理君 どうもいまの院長の説明では納得しかねるんですね。たまたま現場で偶発的に起きた接待だ、あるいは出先にゆるみ、たるみがあったというだけの問題じゃないんじゃありませんか。全体的にそういう接待を受けている状況が広がっている。ある出先あるいは出張先で不心得者があって接待を受けたというようなケースではないというふうに私は思うわけです。しかも、関係省庁のその種接待にかかわる領収書は全部会計検査院にも上がってきているわけであります。それだけ問題が広がっており、手元にすべての資料が集まってきているのに、私ども指摘されるまでなぜチェックできなかったのか。接待を受けてはならないと言っているから幹部には責任がありませんと。始末書は処分じゃないでしょう。問題はそういう出先や現場接待を受けたかどうかということではなくて、そういうことを許した体制、チェックできなかった状況について、幹部としての責任、管理者としての責任が基本的に問われなければならないのではないでしょうか。なぜチェックできなかったのですか、どうしてその会計検査院接待を受けてはならぬという指導が行き届かなかったのですか。
  47. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 領収書はなるほど会計検査院に出てきておりますけれども、再度御説明申し上げましたように、領収書だけではだれがそこで泊まったなり飲食したなりということは一切わからないようなかっこうになっております。それで、監督者の責任につきましては、全然ないということを私申し上げているわけじゃございませんで、そういうことを考えて、踏まえた上で、先ほど申し上げましたように、事務総長以下を集めて厳重なる注意を申し渡した次第でありまして、それが一番いい方法だと。新生検査院とまあうちの職員はいまそう申しております。それで非常に、何といいますか、涙ぐましい努力で新しい実地検査に旅立っております。それで、われわれのとった結果がどういうことになってあらわれているか、ひとつ今後の——いまも相当出ておりますが、どうぞ実地検査先の実地検査のありようをひとつつぶさにごらんいただきたいと切に願う次第であります。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 今後の問題については、後ほど私も幾つかの議論を、あるいは提言を含めて申し上げたいと思っているわけですが、各省庁がとった態度は、現場接待をしたかしないかということよりも、幹部の責任、管理監督の責任を問うと。ところが一番肝心の会計検査院は、現場接待を受けた者だけ処分している。きわめて対照的なんですね、問題の受け取り方が。いまの説明でも納得はできません。問題は、なぜこういう事態が起こったかということについて深刻な原因の究明がないんじゃありませんか。  先ほど私は、接待問題に関する検査結果の概要について報告をいただきました。重要なところを読み落としているんです。なぜこういう問題が起こったかということについて、この検査結果の概要では次のように書いてあります。   昼食或は夕食の際の会食についてこのような事態となりましたのは、短期間の出張において、一年或はそれ以上の期間実施した多数の事業の現場及び証拠書類等を出来るだけ多く能率的に検査するよう職員が常々心掛け、毎日の検査の結果及び翌日の検査に関する打合せについて受検庁側も誠意をもつて協力するという態勢が検査をする側と受ける側との接触時間をどうしても長くして食事を共にする機会を生じ、また、昼食についても、現場検査関係調査官があらかじめその手配をすることができず受検側の手配に依存することになってしまう状況で、その際受検側でお心遣い頂いたものと考えております。 と。どうでしょうか、こういう原因の、あるいは問題意識は。接触時間がずっと長かったから食事しちゃったんだと、こういう理解、こういう受けとめ方にやっぱり問題があるんじゃないでしょうか。たまたま接触時間が長かったから食事をする機会が生じたと、こういう受けとめ方にあるいは認識に、やっぱり私は会計検査院事態を深刻に受けとめていない、その結果が処分にもあらわれていると、こういうふうに私は考えるわけですが、こういう理解でいいんですか。
  49. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 比較的、建設省あたりの検査でございますと、まあ旅費の関係で寮を利用さしてもらっていることが多うございまして、それで、したがいまして寮ですものですから、まあ建設省の方も気安に恐らくいらしたんじゃなかろうかと思います。今度いろいろと調べてみました結果、そういう事態が一番、何といいますか、こういう問題を起こしやすい原因であると、こういうふうに考えまして、現在では宿は一切相手方に世話をしてもらわない、宿の手配も全部会計検査院で自分で——自分でと申しますか、いま出張センターというのを新しく設けましたけれども、院内の交通公社みたいなのもですが、出張センターというのを設けて、そこで本院みずから宿をとる、実地検査先の宿をとるということにして、そういうような問題が起きないというふうにいま努力している次第でございます。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 同宿がいかぬということはずうっと前の検査院の時代にも指摘をされておったことであります。しかし、この接触している期間が長いとか、同じところに泊まっていたからいかぬのだというのは、少しく、何といいますかね、子供的な議論でもあるんですよね。基本の姿勢の問題が問われているわけでしょう。何か悪友と一緒に長い時間いたとか、一緒に泊まったから悪いことしてしまったんだという式の理解では、やっぱり問題の本質はつかみ切れぬのじゃないでしょうか。まあ、そういう措置をとったことを私はあれこれ言うつもりはありませんが、やっぱり全体に広がった体質、長期間行われていたにもかかわらずそれをチェックできなかった欠陥、それを正確に理解をするならば、処分の問題も、現場処分ではなくて、まさに幹部責任、管理、監督の責任が基本的に問題にされてしかるべきだと、そのことを改めて申し上げておきたいし、今後他のケース等についても引き続き調査をするということでありますから、問題はこれで終わっていないということを十分踏まえて対処をしてほしいということを強く要望しておきたいと思います。  そこで次の問題に入ります。ほかの省庁の方は結構です。  この種一連接待問題が次から次へと出てきた状況というのは、まさに会計検査院のあり方そのものが基本的には問われていると思うわけです。そこで、接待を受けないあるいは接待をしないという体制会計検査院も各受検者側もとることは、一つ当面の対症療法としては重要なことでありますし、その点では、会計検査院一連措置をとられたことはそれなりに結構だと思うわけでありますが、同時に、やっぱり会計検査院のあり方そのものをこの機会にもう一回問い直してみる重要な契機に私はしてほしいというふうに思っているわけです。  そこで、幾つかの提言も含めた、あるいは今後の改革案も含めた、これは私はたたき台的な問題提起でありますが、問題点指摘をし、見解を伺っておきたいと思うわけです。  一つは、会計検査院というと、戦後民主化されたというふうにも言われておりますが、どうしても受検者側にとっては、非常に恐れるといいますか、神経を使い過ぎるといいますか、もうある警察などでも予行演習まで事前にやっている事例もあります。そういう点で、非常に現場は神経をとがらしている、受検者側の方で。同時に今度は裏返しで、一方では神経をとがらして大変に敏感に、あるいは落度のないようにという大変な準備をするわけでありますが、その裏返しで、今度は他方では、いま出てきたような接待、こういう何といいますか、複雑な絡みの中で実は検査が行われていっている。この問題点は一体どこにあるんだろうかということになりますと、やっぱり国民から少しく離れてしまっている。まあ、最近はやはりの言葉で言うならば、もっともっと検査院を開かれたものにしなきゃいかぬ、そのためにどうしたらいいのかということを考える必要があるだろうというふうに私は思うわけです。  その点で、第一には検査のあり方を問題にしたいと思いますが、会計検査院法の三十五条で、戦後の会計検査院は国民のために窓口を開くという制度を新設をいたしました。会計検査院の審査を要求する権利を国民の側に創設をしたわけでありますが、実際これはどの程度利用されているのか、どの程度国民に知られているのか。その運用状況といいますか、申し立て件数等についてまずお伺いをしたいと思います。
  51. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) ただいまの審査でございますが、昭和二十二年、新しい院法に基づきまして審査制度が発足いたしまして以来今日まで取り扱いました総計は五十五件でございます。そのうち三十四件については、正式にこれを受理いたしまして、残りの二十一件につきましては、審査要件に該当しないということで不受理の扱いをいたしております。  概略以上でございます。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 三十年以上、あるいは三十年前後経過しているわけですね。その間にわずか五十数件しか審査要求がなかったということは、問題がなかったのではなくて、国民のやっぱり権利意識の問題もありますが、全体的に国民が審査要求をする権利があることが十分にやっぱり知らされていない、あるいは国民に向かってやっぱり窓口が開かれていない。たとえば実務的な運用としましては、この種の不服審査についてはあるいは申し立てについては、関係省庁を通してやってくるというような扱いもされていると聞いておりますが、そのために、せっかく国民が申し立て、審査要求をしようと思っても事前に消されてしまう、事実上つぶされてしまうというようなことも指摘をされておるわけでありますが、その辺はどういうふうに受けとめていますか。
  53. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) いま審査の受理の方法について、関係官庁を通してという手続のお話がございました。確かに審査規則で以前はそういった取り扱いがあったわけでありますが、私どもの方も、これでは審査要求人が審査を出しにくいというようなことにもなりかねないというところを反省いたしまして、その後本院に直接審査要求できる、こういう取り扱いに改めまして、現在ではそういうことでやっております。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 これは両方できるという指示だろうと思いますが、いずれにいたしましても、関係省庁があるために、いろいろ問題意識を持っていても、直接ストレートにやっぱり会計検査院に——窓口を開いたのは結構でありますが、来ていないという状況があります。  それからもう一つは、これは法制度上の問題でありますが、利害関係人しか審査申し立ての権利がない。利害関係人をどういうふうに見るかということは、多少の広さ、狭さの問題はありますけれども、これをやっぱり国民全体に窓口を開くべきではないかというのが私の提案の一つなんであります。これは例は違いますが、たとえば刑事事件などですと、被害者つまり直接の利害関係を持つ人は告訴をできます。直接的な利害関係がなくても、すべての国民に告発という制度が保障されています。だから、ここの法律に言う利害関係人だけではなくて、行政や税金の使い方等について関心を持つすべての国民、これにやっぱり窓口を開くような審査申し立て権が保障されるような制度の改善を考える余地はないのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  55. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 一応ごもっともな御意見と承っておりますが、審査要求の点につきましては、まあ会計検査院という役所がいままでは余り知られていなかったというようなせいもありまして、出る数が少なかったように思います。しかし、いまは非常にまあわりあい有名になりましたので、わりあいに、こういうのは審査で出してどうかというような問い合わせがちょくちょくあるんですね。それで、まあこれは利害関係人でないからちょっとそれはお受けできませんというような、窓口で話がついてしまうのもかなりあるわけです。しかしそれにしても、審査請求という国民の権利を守る制度がある以上、このPRは何とか努力していきたいというふうに考えております。  それから告発の提案でございますが、まあ告発に似たような問題といたしまして、本院には相当たくさん投書が参っております。この投書の中には、相当有力なる検査資料になるものもございます。中には非常に中傷的、あるいは他を陥れんために、あるいは他の業者を圧殺せんがためにするような投書もございまして、これは投書をどう見るかということについては、選択について非常に警戒を要するのでございますけれども、まあ検査の非常に貴重な手がかりになることも事実でございまして、これがかなり告発的な面を持っておるんじゃなかろうかといま考えております。なお、御提案に対しましては検討さしていただきたいと思います。
  56. 矢田部理

    矢田部理君 ぜひこの国民の告発権といいますか、審査申し立て権についての検討をしてほしいと思うわけでありますが、二番目の問題といたしまして、会計検査院は常時または臨時に検査をすることができるという規定になっておりますが、臨時検査といっても、実際は事前に通告をし、あるいはいろんな打ち合わせをし、段取りを組んで出かけていくというのが実情だと思います。とりわけ実地検査を数多くしているわけでありますが、基本は、やっぱり書面審査といいますか、書類審査といいますか、それがやっぱり中心だというふうにされてきております。しかし、実際にこの不当支出や違法支出等が問題にされるのは、やっぱり実地検査から上がってくる場合が圧倒的に多い。状況にかんがみて問題を提起をしますと、数多く実地検査をやっておりますが、この実地検査も事前に通告をし、あらかじめ段取りを組んで行くということだけではなくて、受検者側を不断に監督をし、それによる行政の緊張を高めるという意味でも、無通告の検査実地検査などを年間何件かをやっぱりやってしかるべきではなかろうかと。とりわけ、あれこれの問題があるところでは証拠書類等が改ざんされる、消されてしまう危険性もなしとしないわけでありますから、証拠保全なども含めて、抜き打ち検査といいますか、無通告の検査といいますか、その種のものを検討してみる余地がありはしまいかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  57. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 本院の検査は犯罪捜査的なもののみを目的としておりませんで、国費の全般的な効率的使用ということを重点に置いてやっておりますので、たとえばあるプロジェクトが本当に効率的になされているかどうかということになりますと、これは無通告で行きますと、相手が、説明者がだれもいないんですね。そういうような事態ではこれは検査に全然ならないんです。したがって、ことに大きなプロジェクトになるほど多くの人に説明を受けないと話がわからないんです。そういうことで、大体は事前に通告して説明できる者、責任持って説明できる者がいてくれよと。そして転勤しておれば今度はこっちへ呼び戻してそうして説明するぐらいにさしておるわけです。そういう関係で、実地検査の場合に通告を前提としておりますが、そればかりではなく、いまおっしゃられたように、犯罪のおそれがあるとき、たとえば郵便局なんかで横領の疑いがあるとか、これは投書なんかで来ることもございます。あるいはある役所で架空払いをやっておる、そして何かの資金の捻出をやっているというような投書があったりいたしまして、そういう情報がありました場合には、これは無通告検査で行っております。それから郵便局につきましては、郵便局と法務省の登記関係でございますが、これはよく往々にして犯罪がございますので、また過去においても相当大きな事件がございましたりいたしましたので、数が多いんで非常に率は少のうございますが、無通告検査実施いたしております。
  58. 矢田部理

    矢田部理君 私は何も無通告検査を原則にせいとかという趣旨ではなくて、やっぱり行政ないし予算の効率的な運用が、あるいは適正な執行が行われているかどうかという全体を見るわけでありますから、書面による審査もあるでしょう、実地検査もあるでしょう、事前に段取りを組んでいくのもあるでしょうが、やはりこの目的の一つは、受検者をして不断の監督を受けること、いつ何どき監督を受けても適正に行われていることを示す、そのことを通してやっぱり緊張感を高めるということが会計検査院制度の一つのねらいでもあるわけでありますから、犯罪的要因のケースだけでなく、年に何件かはやっぱりその種のものも試みてみる必要があるんではないかという提言であります。  それから三番目の検査のあり方としまして、やっぱり国民に開かれた検査院制度を目指す場合、事前に地域の住民等にもわかるように、検査対象なり検査日程なりを公示をする制度を考える余地はないかどうか。これは検査を公明正大に行うということも一つでありますが、同時に、そのことを通して情報の収集とか関係住民の意見を徴するとかいう、やっぱり民主的な基盤をつくる、あるいはその検査をより広い視野から住民の関心も含めてやっていくという意味でも重要だと思われるわけです。また、こういうことをやれば接待なんていう問題はとうてい起こり得ないわけでありますから、そういうことを検討する余地はないか。
  59. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 非常に貴重な御意見だと思いますので、なお検討さしていただきたいと思います。
  60. 矢田部理

    矢田部理君 まだ体系的ではありませんから、今後の当委員会なり、会計検査院がいろいろ問題を考えるについてのたたき台的な問題提起でありますから、不十分さも当然伴っていると思いますが、次の大きな項目といたしまして、検査対象をもっと拡大をする、広げるというようなことを少しく議論に供していきたいと思うわけでありますが、たとえば私は公団等について、計算書類、証拠書類等が会計検査院に上がってきているはずだからその資料を出してほしいという要求をしましたところ、実は公団等については他の省庁と違って証拠書類等を上げておりませんと、こういう話もあったわけですが、その点はどうなっていますか。
  61. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 一般の官庁等と違いまして、公団、公庫等につきましての証拠書類、これは各官庁は支出なり収入なりについての詳細な証拠書類の提出、これを義務づけておりますけれども公団等の検査につきましては、また私ども検査の角度が公団の事業運営というような面での角度から検査をいたすということもありまして、必ずしも証拠書類を一般官庁のような形で徴しておりませんので、そこでいま先生のお話しのようなお答えがあったものと思います。
  62. 矢田部理

    矢田部理君 そこで私はこれは提案をしておきたいんですがね。実際に工事をやったりするのはむしろいま公社、公団が非常に多いわけです。建設省がかってやっておったような仕事をほとんどが公社、公団がやっておるような状況にも立ち至っているわけでありますから、そういうところにおけるお金の使い方なり仕事のあり方を問う場合に、これは他の諸官庁と同じように、やっぱりこういう証拠書類等は全部上げさせるということをひとつ考える必要があると思う。  それから二番目には、これは欠陥住宅等の問題を指摘をした際に、書類審査をやっているが、なかなか現場の工事の是非等については見ていないということが明るみに出されました。そういう点では、公社、公団等についてももう少し実地検査の数をふやす必要がある。その点はいかがでしょう。
  63. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 御趣旨はよくわかります。ただ、公庫、公団、そういういわゆる私どもの方で出資団体と呼んでおるグループですが、これらの検査対象につきましても、最近では実地検査の比重を大きくいたしまして、出張の回数からいきますと、一般官庁等の検査と同じくらいのレベルまで現在では上がっているのではないかと考えております。今後もそういうことでやってまいりたいと思っております。
  64. 矢田部理

    矢田部理君 それにしても、これだけ欠陥住宅問題などが指摘をされているわけですが、私も何カ所か調査をしてみましたけれども、いわば実地検査的なものは全然やられていないという状況があるわけでありますから、心してほしいというふうに思います。  それからさらには、工事に伴う環境破壊あるいは住民被害、労働災害等も含めて、これは本格的な実地検査の対象としてやっぱり拡大をしていくべきだというふうに思いますが、この辺の実情と考え方はどうなっているか。
  65. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 工事に伴う災害と申しますとすぐには国の会計に結びつかないものですから、会計検査院がそういうことをやることがどうかと思うんですが、先生の質問の意味を私が違えているのかどうかわかりませんけれども、ちょっとそういう感じがするんですが。
  66. 矢田部理

    矢田部理君 いや、私は民間の工事を言っているんじゃないですよ。国の事業、あるいは公社、公団のあれこれの工事がございますね、道路をつくったり橋をかけたりという。そういうことの場合にいろんな問題が住民から出されております。現に環境破壊が進んでいるような状況もあるわけだし、住民の被害について適正な対応策なり補償等がなされているのかどうか等々を含めて、やっぱり検査対象を拡大をしてみたらどうかというふうに思うわけですが。
  67. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 補償の問題でございますと、これは一応民事の問題になりますね。それで、当事者間で一応解決すべき問題で、検査院がその前にこれを、あいつを補償してやれとかこれは補償しなくていいと検査院がその場に出るのは、決算検査をたてまえとしている検査院としていかがかと、こういう気はいたしますが。
  68. 矢田部理

    矢田部理君 いや、その場に出るべしということまで私は言っているつもりはないんで、そういうこともやっぱり検査の対象にして、住民の意見なり被害なり苦情なり、それが適正に処理をされているかどうか、補償も含めて。ということを申し上げているわけですから、ひとつ検討してほしいと思います。  それから、最近海外援助と言いますか、借款等も含めて、海外に対する投資、融資等が非常に多くなっておりますし、現にそれをめぐってたとえばソウルの地下鉄問題等も起こっているわけでありますが、この問題等について会計検査院はどういうふうに考えておられますか。
  69. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) いま非常に国会で問題になっておるところでございますが、借款の問題につきましては一つ非常にネックがございます。それは政府借款が多いんですね。そうしますと、政府間取り決めでやられておりますので、それの間の取引について片方の主権が——検査院がそれを見るということになりますとこちらの主権が割り込んでいくことになるんですね。そういうことが国際協力を前提とするそういう借款という問題の場合に適当であるかどうか、むしろマイナス効果があるというおそれも多分にあるんじゃないかというふうな感じがして、そういう面では私は消極的に考えております。
  70. 矢田部理

    矢田部理君 ただ、その海外に対する投融資等等については全く手を触れられない——それは相手国の主権の問題がありますから、私もその点は心得てはおりますが、同時に、やっぱりわが国の国民の税金なりが大きく海外に流れていくわけでありますから、それが適正に執行されているかどうか、むだ遣いがないかどうか、十分に監視をしていく役目は会計検査院がやっぱり負っていると思うのでありますが、ただ対外関係でありますから、幾つかの事情なりネックがあることもそれは踏まえないわけではありませんが、ただ、そういう方向でもやっぱり検査の面を拡大をしていくということを検討する余地はありませんか。
  71. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 海外投資がかなり増大しているのは事実でございますし、会計検査院としてもこれに対応しなければならないことは当然だと心得ております。それで、外国旅費を獲得いたしまして、そうして海外投資の現地に赴いて、先方の了解を得ながら現地を見せてもらってそして指導しておるということが実情でございます。やっておるのでございます。今後ともやりたいと思っております。
  72. 矢田部理

    矢田部理君 それを少しく強化してほしいという趣旨であります。  次に、業者の指名あるいは入札、とりわけ建設業者などには談合が常態化しているというような指摘も各方面からなされているわけでありますが、こういう実情についてはどういうふうに把握をし、検査はどのように行われていますか。
  73. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 巷間、間々そういうお話も聞いておりますし、検査の場合にはそういうこともあるいはあるかもしらぬということで検査をするように指導しておるのでございますが、何分にも立ち入り捜査の権限、いわゆる捜査権もございませんし、その面は実際申しますとお手上げに近いかっこうだということを申し上げるほかはないんじゃなかろうかと。ただ一つ、談合の弊害を抑えるためには、予定価格をうんと厳しく締めるということですね。そうすれば談合が、たとえですよ、あったにしても、国損を招かないで済むということになろうかと思いますので、予定価格の算定については相当厳しいチェックをさしておるのでございます。しかし、おっしゃるその談合防止ということになりますと、これはなかなかむずかしい問題で、むしろ検察庁の問題になるんじゃなかろうかと思うくらいむずかしい問題に考えております。
  74. 矢田部理

    矢田部理君 私は幾つかの点を羅列列挙的に申し上げましたが、要は、やはり国民の信頼にこたえるためにも、会計検査院が、いままでやってきた仕事の状況を踏まえなきゃなりませんけれども、さらに新しい事態に対応する意味でも、国民の信頼にこたえる意味でも、検査対象をもっとやっぱり拡大をして、全体の予算の執行なり税金の使い方について監視の体制あるいはチェックの体制をやっぱり強めていくということをひとつ心してもらいたいというふうに思います。  それから次の問題点でありますが、そのようにして検査をした経過と結果について、特に検査の結果については国会報告をすることになっていますが、報告された事項というのは、全体の調査状況から見ますと、ごく一部、とりわけ不当事項であるとか、問題があった部分についてのみあの報告がなされているわけであります。これを一回考え直してみる必要がありはしまいか。率直に言わせてもらえば、検査案件のすべてについて、少なくともその概要ぐらいは国会報告をしてしかるべきではないか。たとえは悪いかもしれませんが、黒だけは報告するが白と灰色については報告がないと、こういう点で、適正になされているならなされているということもひとつ大事なことでありますから、そのことも含めて検査の経過と結果についての全容を明らかにするというようなことをひとつ考えてみる必要がありはしまいか。その点はいかがでしょうか。
  75. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 黒いのを報告するのは本院の義務でございまして当然でございますが、それからもう一つ、白いのはこれは何もないんだから報告のしようがございません。問題は、そのおっしゃる灰色という部分だろうと思うんです。しかし、この灰色にもいろいろございますんで、何と申しますか、年間三千数百件ですか、照会を出しておりまして、いろいろと相手と意見を交換しながら問題を選別していっておるのでございます。その間において、相手の答弁がもっともだということで、不当ではないということで落ちていくという問題もかなりあるわけです。それからまた、中には、会計経理的にはどうもちょっとおかしいんだけれども、おかしいというか、不経済使用になっているんだけれども、それに今度は政策判断が加わっている場合ですね、行政当局の政策判断の結果こういうことになったという場合に、これを不当と批難するのは非常にむずかしいわけなんですね、行政の分野に介入するということになりますし、検査院は行政の責任は持っておりませんので。そういう問題について、あるいはまあ昨年、おととしあたりから、特記事項ということで、それに近いような問題を勇敢に書こうじゃないかということで書いてきておりますが、あるいはそういう場を活用して書くというような方法もあろうかというふうに、まあこれは検討さしていただきたいと思いますが、ただ、灰色を何もかも出せとおっしゃられても困るのもあると思うんです。それはそういうような問題じゃなくて、相手がたとえば六分の理屈があると、こちらが四分しか理がないというような場合、これを出すということは、今度は検査を受ける方から見ますと、これだけこちらは言い分がちゃんとあるのにどうしてそんなものを表へ出すんだという、検査の秘密と申しますか、それを通ずる信頼性と申しますか、会計検査院と行政官庁とは信頼性に基づいてお互いに経理をよくしていこうじゃないかということで検査が行われておりますので、そういう信頼関係をも考慮しながらやらなくちゃならないと。これは御理解いただきたいと思うんですが、そういうことで、御提案の趣旨もお気持ちもよくわかりますので、特記事項等を活用いたしましてできるだけ努力したいと、こう考えます。
  76. 矢田部理

    矢田部理君 黒という断定はできなかった、相手側にも幾つかの言い分があるということは、両者を併記して全体の国会審議の対象にするとか、国民の批判を受けるということでいいわけでありますから、少しく大胆に、何といいますか、黒、白、灰色という区分けがいいかどうかは別として、検査をこれだけたくさんやっているわけですから、いろんな問題点があるわけでありますが、できるだけ国会に対する報告書のような結論的部分、あるいはその不当事項その他の黒い部分だけでなくて、適正に行われている部分も含めて、これだけの件数を調べました、こういう現場を当たりました、実地調査をこうやりましたということを含めて、全体にやっぱり資料を明らかにする、公表をしていくと、こういうことを少しく前向きで取り組んでほしいと思います。  それから、もう一つはやっぱり国民に向かってでありますが、部内の取り扱いがどうなっておるか知りませんが、実地検査などをやりますれば、必ずチームから検査報告書みたいなものが上がってくると思うんでありますが、それを国民に縦覧をさせるといいますか、こういう制度を新設する考え方はないかどうか、検討の余地がないかどうか。つまり国民が、どういう検査をし、どういう報告が出されているのか——その縦覧する基準とか内容とかはもっともっと詰めなきゃなりませんけれども、やっぱり国民にもその会計検査院検査状況等については知らせていく、こういう立場からも、この縦覧制度の新設みたいなものを少しく検討できないかどうか。  時間がありませんから引き続き言ってしまいますが、それから会計検査院は、毎年度検査の結果について不当事項等の指摘をしております。あるいは改善の勧告等もやっておりますが、それを受けた当該機関がどのような措置をとったか、そのとった措置が適正であるかどうか等について会計検査院としてどう見解を持つかというようなことについては、今日まで報告はされているんでしょうか。あるいは内外に明らかにしているんでしょうか。
  77. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 最初のその縦覧の問題でございますが、出張官はこれ申報書というものを帰ってきますと出すことになっております。おっしゃるようにそういうものはございます。しかしながら、これは相手の経理について、いろいろとこうざっくばらんに書いてあるものでございまして、まあそこに先ほど申し上げました検査の信頼性という問題がございますので、うちにあるそういったものを何でもかんでも見せるということについては私は消極的でございます。それはよりよい検査をするために必要だからでございます。  それからもう一つ、相手方の事後措置でございますが、これはお手元に検査報告に対する弁明書がたしか行っていると思うんですが、政府側の。検査報告に載っかった事項について後どうしたかということをそれに書いてございます。それから、改善意見を出しましたものにつきましては、これはその年に直っておりますればそのときの検査報告に書いてございますが、その年に直ってなければ翌年度の検査報告で、こういう処置要求をしたけれどもどういうふうに直したかということを報告いたしております。これは検査報告をごらんになっていただけばわかると思うんです。  なお、そういう報告、そういう是正状況が本当にそのとおり行われているかどうかの確認は、これは翌年度検査に行ったときに見て追跡調査をするということもやっております。
  78. 矢田部理

    矢田部理君 私はまあ幾つかの試案的なものを申し上げましたが、要するに検査の経過と結果について、もっと全体的に国会に対しても国民に対しても知らせるべき努力、これをやっぱりすべきだということが基本の趣旨であります。特にこれは前に会計検査院長をやった方が書かれた本などを見ましても、一部の者の圧力によって途中でつぶされているというか弱められてしまうというようなこともあるという反省の弁まで実は書かれておりますし、あるいはまた、実地検査等が非常に少なく時々の政策によってなってしまうというようなことも指摘をされておるわけでありますから、やっぱりもっともっと大胆に自分たちの検査結果、結果だけではなしに、経過状況等を含めて国民の前に明らかにしていくという努力をぜひする中で、会計検査院の何か民主的な基盤といいますか、開かれた会計検査院といいますか、そういう対応をしていくことが非常に大事なんじゃないかと。  それから、最後になりますが、そういう仕事を拡大をしたり、国民全体に向かって会計検査院の開かれた体制をつくっていくためには、たとえば職務職権のやっぱり独立性の問題も大事でありましょう。あるいはまた、スタッフといいますか、人的体制も、もっともっと整備をしなきゃならぬのかもしれません。それに対する財政的な裏打ち。一つだけ接待検査に即して例を申し上げますれば、今度の予算では多少予算がついた案が出されているようでありますが、宿泊費、旅費だけではなくて、調査に必要な費用というのはこれは当然かかるわけであります、雑費も含めて。そういうものをやっぱり財政的に裏打ちをしていくと。そして、すべて受検者側におんぶをして検査をするようなことではなしに、そういうことも含めた財政的な裏打ちも、いま私が幾つか提案をしましたが、これを実行していくためにはやっぱりより予算上の問題もあるだろうと思います。そういうことを含めて、根本的な改善策、これをやっぱりこの機会にぜひ会計検査院としても追求をしてほしい、新しい会計検査院として生き返ってほしいし、そういうことを具体的に構想してほしい。  私の指摘はまだまだ十分ではないかもしらぬし、提言は幾つかの問題点は含まれていると思いますが、ぜひ今後会計検査院としてもやっぱり慎重に検討をしてほしい、われわれも考えていきたいと思うわけでありますが、その点について、最後に院長の見解を求めて質問を終わりたいと思います。
  79. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) いろいろと貴重なる御意見をありがとうございました。  私どもといたしましては、国民の期待を裏切らないように、よりその国民の期待にこたえるように、いまおっしゃったような点を考えながら今後手を打っていきたいと存じます。
  80. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 会計検査院の天下りの問題について御質問申し上げます。  実は前回の委員会で牛肉の問題等を中心に御質問申し上げましたが、特に畜産振興事業団から特定業者に枠の割り当てをする輸入牛肉が横流れをされておるということが現在問題になっております。しかし、その畜産振興事業団検査対象であるのにかかわらず、そこに会計検査院の前第一局長の田代さんが監事として就任しております。ベテランの局長が行っておるんですから、畜産振興事業団が特定輸入取り扱いの牛肉の業者に対する十分な監査をするならこのような問題も起こらなかったんでないかなということにぶつかりまして、それで、さらに一体どういうふうにして会計検査院から天下りが行われておるのかなと思って調べてみましたところ、公社、公団等の被検団体、たとえば日本住宅公団、あるいは日本鉄道建設公団、新東京国際空港公団、雇用促進事業団等、局長、参事官クラスの人だけでも現在十二名、各省庁にわたって天下りが行われております。  天下りといいますのは、そのうちの大半が指定席で、前任者がやめるとまたその後に新しい会計検査官からの局長クラスの人がそこへ就職しているというふうな事実からも、私はこれはやはり各官庁にあるような天下りが行われておる。ある意味で私は、ブルータス、おまえもか、というような思いに駆られたのであります。授検官庁である会計検査官が被検団体にストレートに再就職すると、こういうふうなことで厳正な会計検査が行われましょうか。院長の御所見を承りたいと思います。
  81. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 御指摘のとおり、公庫、公団の監事に迎えられているのがある程度おります。まあしかし、これはおっしゃる御趣旨の意味もよくわかるのでございますが、局長をやめてもまだ若いし、それだけで生活していけるわけではありませんので、何とかやっぱり職につかなければなりません。そういう公務員の退職後の生活保障の一般的な問題がこれには絡んでいると思います。  それともう一つは、会計検査院の幹部がそうやって行きますのは、要するに会計監査のエキスパートとして向こうから招かれて行っておるわけで、そして会計検査院で培った実力をそこで発揮していただけますれば、公団、公庫もそれで非常に結構でしょうし、会計検査院もまた検査の手間が省けるわけです。そういうような面もあって行われているわけでございまして、御趣旨の点よくわかりますが、そういうような事情でございますので御理解願いたいと、こう存ずる次第でございます。
  82. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ベテランが行っているはずなのに畜産事業団など何にもやってないんです。ですから、ちょっといまの御答弁では納得しかねる面がございます。しかし、これはもっと検査官自体の身分の問題、そういういわゆる憲法で保障され、憲法で与えられた、そして国会で任命され、さらにまた本来国民に与えられた検査だということに対する認識のもとに、制度的にもこれは考えなきゃならない検査官の身分の問題だと思いますが、もう一つ、お茶も飲まないというふうなことに最近なっておるそうでございますが、非常にまじめな検査官が、お茶も、昼食のどんぶりも食わないというふうな態度で検査をしたとき、県の出納長から、それなら自動車も自分で雇っていきなさいと言われたという事実がございます。そして、いまも同じように矢田部委員から御指摘がありましたように、いまの予算の中で自動車も全部自分持ちでそういう場合にやれる自信ございますか。この点ひとつ簡単にお願いいたします。
  83. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 私ども実地検査の際のいろいろな経費の問題でございますけれども現場をいろいろと歩く、そういう場合には、従前から相手方から官用車を提供してもらっていると、こういうことでやってきております。今後も、現在の私どもが得ている予算の範囲内では、やはりそういう形の検査への協力、これは相手方にしばらくはお願いしなくてはならないのではないかと、このように考えております。
  84. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 身分の問題あるいは財政上の問題等についても、非常にいろいろな指摘されたような会計検査院接待問題等が起こる要素をたくさんいまの制度の中で含んでおりますので、これらをひとつ前向きにこの機会に大きく改めていくということについて、院長の御所見を承って終わりたいと思います。
  85. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) いろいろ貴重なる御意見を拝聴いたしまして、私どもことしの新しい実地検査から本当にすがすがしい気持ちで検査職員を派遣したいと、こういう気持ちでおりまして、そういう線で全面的な最善の努力を尽くすつもりでございますので、何分ともよろしくお願いいたします。
  86. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後、零時三十分休憩      ——————————    午後一時四十三分開会
  87. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、皇室費国会及び会計検査院決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  88. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 宮内庁次長にお尋ねをしますが、いまの憲法によりますと、戦前と違いまして、皇室の財産、これすべて国有財産になっておりますね、これは憲法八十八条で。それから国有財産法を見ましてもこれが行政財産ということになっておるようですが、これが一体どのぐらいの額になるのか、これは公の問題ですので、私どもとしてやはり承知しておかなけりゃなりません。そこで、できるだけ詳細にその財産の総額とか内訳、これは政府委員に一覧表として提出を求めておるのですが、その表はできておりますか。
  89. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) お答え申し上げます。  ただいまのお尋ねのございました国有財産でございます皇室財産の総額等について申し上げますと、国有財産でございます皇室用財産、これは昭和五十二年三月三十一日現在で、土地が約二千四百六十八ヘクタールでございまして、その主なものは、東京にございます皇居地域が、ちょっと端数を省略いたしますが、百十五ヘクタール、赤坂御用地が五十ヘクタール余、それから常磐松御用邸が一・九ヘクタール余、それから高輪皇族邸が一・一ヘクタール余、ほかは、地方にございます京都御所あるいは那須、須崎等の御用邸、あるいは修学院離宮、桂離宮、その他陵墓の地域、こうしたものを総計いたしますと、先ほど申し上げました約二千四百六十八ヘクタールでございます。建物でございますが、これは延べ面積で申し上げますが、約十八万平米でございます。これはもちろん皇居内にございます宮殿、あるいは赤坂御用地内にございます東宮御所、あるいは同御用地内にございます皇族の殿邸、さらには、一例で申しますと、小そうございますが桂離宮にございますいわゆる桂離宮等の面積も計上してございます。  これの評価額もお尋ねかと存じますが、評価額は、大蔵省の理財局の示しております評価要領によって行っておりまして、その評価額は、土地が約二千九百七十五億円、それから建物が約百九十八億円でございます。
  90. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 戦前、御承知のように、鐘紡の創始者である武藤山治さんという方がいらっしゃったですね。これはいまの社会党の武藤山治さんとは違いますがね。この人が戦前おもしろいことをおっしゃった。それは、まあ皇室を自分がなぜ尊崇しているかと、尊崇している理由として、天皇は日本の最大のお金持ちでいらっしゃるというような言葉を述べられたことがあります。当時、私どもまだ小さいときのことですから、その是非とかなんとかいうようなことを余り考えずに、なかなかおもしろいことを言うなという程度に聞いておったのですが、そのときに武藤山治さんが言った額が幾らぐらいであったかということを私ちょっと忘れてしまったが、ただ、有価証券などもかなり持っておるというようなことがあったと思うんですが、その点いかがでしょう。
  91. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) ただいまのお尋ねの中に例が出てまいりました武藤さん、恐らくこれは戦前にそういうお話をされたんだろうと承知いたしますが、これは、戦前は御案内のように帝室林野局を所管をいたしておりまして、また、若干の証券類もお持ちであったことは事実でございます。しかしながら、これはいわゆる敗戦とともにいろいろな諸法令の改変その他——その一環といたしましては新憲法の制定がございますけれども、その当時、財産税のいわゆる納入問題という問題も厳しい問題として起こってまいりまして、その当時いろいろ評価委員会その他ができまして、皇室の当時いわば所有された財産は幾らかと、こういうことを評価し、それに伴いまして、それに相応する財産税——大半は物納でございますが、財産税を納めておられます。で、残りました若干のものにつきましては、いま先ほど委員がお示しになりました憲法八十八条によりまして、ごくわずかな身の回りその他の私有物品を除きまして、公の性質を有するものはすべて国庫に属するということで、すべて国有に帰したわけでございます。  で、当時の記録をいろいろ調べてみますると、評価額は当時の金の価値にいたしまして三十七億余円というのが当時の財産——これは土地、建物、立木、船舶、鉄道、これは帝室林野局を持っておるものでございますから鉄道その他全部入りますが、そういうものを含めまして三十七億円。で、いわゆる財産税として納付いたしましたのが三十三億円余と、こういうふうでございまして、その納付の中あるいは財産として評価した中に、日本銀行券でありますとか、そうしたいわゆる証券類も財産としてあったわけでございますが、そういうものをいわゆる物納として全部国に税金の形で差し出した、こういう形でございます。
  92. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま次長のおっしゃった昔の皇室財産の評価ですね、三十七億円。それから財産税が三十三億円納められた。その評価の時点と、その財産税を納められた時点、その日にちをちょっとおっしゃっていただきたい。
  93. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) 評価をいたしましたのは二十一年三月に評価をいたしております。  財産税の納付の時期につきましては、ちょっとここに明確な日にちを持っておりません。しかし、そう多くの、数年も離れた時期に納めたということではないと考えます。
  94. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうしますと、先ほど次長がお答えになった国有財産たる皇室財産というのは、もっぱら不動産だけで評価なさったわけですね。二千九百七十五億、それから建物が百九十八億とおっしゃったが、土地、建物以外のものは何にも入っていない価格ですね。
  95. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) ただいま御指摘のございました、先ほどお答え申し上げた昭和五十二年三月三十一日現在の国有財産たる皇室用財産の現状とその評価は土地と建物でございます。  で、天皇を初めとしました内廷皇族は、不動産は一切現在所有されないのがたてまえ、原則でございます。したがいまして、その点は全部いわゆる国からその用に供するために国有財産として提供を受け、使用をしておると、かような状況でございます。
  96. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いま次長は、私有財産というのはわずか身の回りのもの、つまり、主として動産類ということになるかと思うんですが、その中には果実を生ずるような有価証券みたいなものは一切なくて、純粋に消費的な物資というか、というふうに伺ってよろしいのですか。それとも、やはりイギリスの皇室などでもしばしば問題になるけれども、果実を生ずるようなものというようなものも私有財産としてはもちろんあるんだろうか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  97. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) ただいまのお尋ねは、現状、現時点と申しますか、現状のことについてのお尋ねだと存じますが、いわば不動産はお持ちにならないのが原則であると。じゃ、それ以外の動産的なものはどうか、こういうことにつきましては、この昭和二十二年当時国会でも御議論をいただいて、当時いわば連合軍の占領下にありましたので、その連合軍のいわば了解も取りつけたものといたしまして、当時の金額で千五百万円のお金をいわば陛下にお持ちを願うと、こういう措置がとられたわけでございます。したがいまして、それはその後いろいろ減ったり、それを何とか減ったのをまあ少しでも元へ戻したいというような努力がされたり、いろいろしまして、それが現在若干ふえた形でお持ちでございます。それは不時の用に立てるということで、当時もそういう趣旨からお認め願ったようなふうに承知をいたしておりますが、そういう関係から生じます若干のいわば預金利子という式のもの、こういうものはいわゆる不動産以外のものとして、あるいはお身の回り以外のものとしてございます。  それから、それ以外に何種類かのいわば研究を続けておられた結果、まあ新聞社のいわば出版部から出されたのもございますし、あるいはそういう専門書を出すようなところから出されたのもございますが、そういうものにはいわゆる印税というものも若干あるわけでございます。物がいわば非常に学問的なものでございますんで、再版ということは余りないように聞いておりますけれども、しかしながら、その初版に対する印税というようなものがあるわけでございまして、そういうものについての若干のいわば所得、いま委員の御指摘になった意味での所得というものはあるわけでございます。
  98. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは君主の免税特権というのは、かなりイギリスなどでも問題になったようですね。わが国でも現在は所得税法、これはたしか第九条でしたかね、第九条の十七号で、内廷費及び皇族費は免税ということになっておりますね。ただ、内廷費についても、これは陛下のいわば国事行為という公のお仕事をなさることに対するわれわれのいただく俸給と同じような性質ではないだろうか、そういう部分もあるんじゃないだろうかという考え方もできるわけで、そうすると、それは国民一般と同じように課税の対象にした方が適当ではないかというような考え方もできるわけですね。  それから、それは一つの学問的な議論としてひとつおいて、いま次長のおっしゃった純粋にプライベートな収入、その中には若干の預金利子もおありになるということだけれども、この預金利子については、やっぱり通常の国民の預金利子と同じような税はお納めになるんでしょうね。それから印税というようなものも、これは個人の所得だけれども、これは課税所得に達しないんだろうか、その辺ちょっと伺えれば……。
  99. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) ただいまお尋ねがございました印税なりあるいはそういうものについての税金の関係でございますが、印税につきましては、おっしゃるように非常にごく限られた部数で出して、そういう対象にならないというようなものも大分あるんでございますが、しかし、中には若干部数が出ましてというようなものも、初めから出版社がたくさん刷ったというような関係で、そういうものにつきましては、いまお尋ねの双方のものにつきましては、一般の方と同じく、所得税並びに地方税につきましては適正に納税をいたしておるのでございます。
  100. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次長政府委員の方にもお願いしておいたんですけれども、いまの国有財産ですね、これはやはり詳細な一覧表をつくってこの決算委員会に御提出願えませんか。
  101. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) いま御要求の資料というのは、先ほど申し上げました国有財産たる不動産のところと存じますが、それは後刻調製しましてできるだけ早くお届けをいたすようにいたしたいと思います。
  102. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまの皇室費が、内廷費、宮廷費、皇族費とこう三つに分かれているわけですが、これは皇室経済法の第三条に規定があるようですね。それから内廷費については、同法第四条の第二項で、「御手元金となるものとし、宮内庁の経理に属する公金としない。」という規定があるわけです。これが、国事行為を御担当になる天皇のいわば俸給としての性格を持つ部分がその内廷費にはあるんじゃないか。そうすると、それはやはり納税の対象にした方がいいんじゃないか。もちろんその税で引かれてお困りになると、その分だけはまたふやして差し上げなければいけないわけですけれども、ただ、やはり余り君主の免税特権というものを強調しない方が、かえって皇室と国民との間を親しみを持たせるゆえんではないかというふうな考え方もありますがね。次長、どんなふうにお考えになりますか。
  103. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) いまお尋ねの委員の御意見、またそういう御意見も私ども間々耳にいたすこともございます。ただ、これは御承知のように、また法律にも書いてございますように、内廷費というのは、天皇及び内廷にある皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるものであると、こう規定をいたしておりまして、その他内廷諸費というものの意味しているのは、一例を挙げますと、これはちょっと普通の個人と違いまして、まあいろいろな内廷の事柄について私的な雇用関係を結ばれていわば職員をお持ちになっておられます。これは外国の王室等においてもそういうのはずいぶん日本より大変多いところもあるようでございますが、そういうようなものも抱えておるような性格のものでございます。したがいまして、私どもとしては、やはり所得税法が内廷費については——皇族費も含めておりますが、第九条によって非課税といたしておるその趣旨は私は変えるべきものではないんではないか、かように考えております。
  104. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 イギリスの王室費といいますか、これは一時非常な窮乏を来したというので、国会に対して増額を強く求められた歴史があるようです。これは一九七一年ですかね、女王の夫君でいらっしゃるフィリップ殿下がアメリカのテレビ放送とのインタビューで非常に王室家計の窮状を明らかにされ、女王が一九七一年の五月に議会に親書を送って王室費の引き上げを求められた。それでもなおかつ足らないようで、女王の場合はそのほか個人的な多額な収入がおありになるようで、それでまあ足らないところを補っていらっしゃるというようなことがあるようですけれども、わが国の場合は大体そういう個人的なもので補わなくとも、国会を通過する予算の範囲内ですべて十分賄っていける、そういう財政状態のようですか。
  105. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) ただいまのお尋ねにお答えします前に、先ほど財産税のことで、納付した時期はいつか、こういうお尋ねがございまして、ちょっと手元に資料がないということでございましたが、いまはっきりいたしましたので、ちょっと先にお答えをいたします。  納付通知のありました時期は、昭和二十二年三月三十一日でございます。で、収納の通知がございましたのは二十二年の四月一日と二十二年の五月二日、二回に分けて収納したという通知を受け取っております。  ただいまお尋ねの、イギリス王室、英王室の経済に関連してこちら側はどうなのかというお尋ねでございました。あるいは蛇足であるかもしれませんが、御存じのように、英王室の場合はいわゆるシビルリストという王室費、これ以外にプリビーパースとかたくさんいろいろな種類のものがございますけれども、政府が王室に国会の審議を得て一応交付します一番大きなものはシビルリストでございます。これは大体その女王なり王なりが在位される限り変更なし、こういう原則で慣習法的にまいったものだと思います。したがいまして、英王室はこのフィリップ殿下の発言等があります前後までは、たしか一九五三年法というエリザベス女王が即位をされた年に改定をいたしまして、それでずっといわば二十年ぐらいきたんでございますが、どうしてもいまお話のあったようなことから、七〇年代に入りましてはしばしばやはり改定が今度は行われるようになりました。
  106. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次長、それは存じておりますので、時間の関係がありますので、ちょっと質問の……。
  107. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) はい。それでは、そういう状況でございますが、日本の皇室につきましては、お尋ねのように国会の審議を得ましたいわば内廷費が国庫から支出されておりますが、いろいろやはりこれは入るをはかって出るを制することをやらざるを得ませんので、まあ時に若干不自由なことをお忍び願うこともありますが、まあまあ、いわばとんとんという非常にあいまいな漠然とした表現でございますけれども、そういうふうに一応行われております。  ただ、しかし、何回か直接のいわばお子様、皇女が御降嫁になったようなことがあります。そういう際は、皇室経済法によりましてしかるべく規定されておりますような一時金が渡されるわけでございますけれども、それ以外に若干親心としてのものをお渡しになるということはそのときにあったわけでありまして、そういうものは、予測されないような急な所要のためにと、先ほどちょっと申し上げましたああいうものを若干お使いになってそういう措置をとっておりますが、毎年のあれというのは、いま申し上げたような状態で行われて収支がついているような状態でございます。  ただ、私どもも内廷費等についてそうむやみに多きを望んではおりません。陛下も非常に質素に質素にということを常に、長い間の御慣習もあってそういうあれでございますので、そう世の中の物価がちょっと上がったからといってそれに連動するということではなくやっておりますが、どうしても耐え切れない場合には改定をお願いする、こういうような状態でございます。
  108. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 最後に一つお尋ねしたいのは、行幸の際の警備の問題なんですがね。私自身も東京駅で見たことなんですが、列車にお乗りになるときに、列車の辺から何十メートルもプラットホームにいる乗客を追い立てて離れさせるというような状況を見たわけです。ちょっと行き過ぎじゃないだろうかというふうにそのとき考えたんですけれども、ああいうようないわば過剰の警備が、どうも陛下の御意思のようには思えない。おつきの人が余り神経質になり過ぎてああいう過剰警備が生まれるんではないかというような気がします。この間ノルウェーの皇太子夫妻が来られて、いみじくも日本の皇太子と同じように妃殿下は民間の御出身だということですが、そのときの新聞、これは朝日新聞だったけれども、会見記に、「ノルウェーの王室は大衆と絶えず接しているものですから」という、これは妃殿下のお言葉のようですけれども、やはりもう少し国民大衆に接触して溶け込むというような行き方の方が望ましい。何か全く別個の存在のように国民との間を離してしまう、しかも警備、警察力で離してしまうというのは適当なように思えないんですが、この点いかがでしょう。
  109. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) いま委員のお述べになりました御意見、十分私ども参考にさしていただきたいと思いますが、行幸啓の際の警備の問題につきまして私どもの一応の基本的な考えを申し述べておきたいと存じますが、やはりそういう警備と申しますか、それは、両陛下の御身辺なりあるいは殿下方の身辺の御安泰を念ずる、これはもとよりのことで御了解いただけると思うのでありますが、さらに、一般国民との間にはできるだけ親しく接していただく、したがってそれに無用なかきねはつくらないようにすべきだと、私どもは常常、及ばないかもしれませんが思っております。私どもが思っていて、またそういう警衛と申しますか、警備を担当する警備当局も十分承知をしてくれていると私どもは信じておるわけでございます。  ただ、最近の情勢からしますと、一昨年あたりも、極左グループと称する者がお召し列車にひとつ危害を加えようというようなことで、お召し列車ばかりでなくて、一般の交通の根幹である鉄橋を爆破しようということで、それは未遂に当然終わったわけでございますけれども、そういうようなことから引き続いていろいろな事件を彼らが起こしているのは御承知のとおりでございます。そういう最近の情勢もあって、やむを得ないで警備を強化しているのだろうと私どもは存じます。  しかし、そういう意味では、私どもも、警備当局の判断と、それから長い間の警備当局として持っておる一つの何といいますか、常識、こういうものを信頼をいたしておりますが、さらに私どもとしては、情勢に応じて、余りに神経過敏といいますか、過剰に走ることのないように、いわばきめの細かい配意をもって、むずかしくてもこういうことをやっていただくというような方向で、今後ともひとつ警備当局と緊密に協議、連絡をとり続けてまいりたい、かように存じております。
  110. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 終わります。
  111. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 最近マスコミでちらほらと出ております、永六輔さんが会長をしております天着連——天皇陛下に着物をお着せしよう、こういう運動を起こしておりますが、それに関連して、その問題よりも、そういうことについてのちょっと心配する点もありますので、そういう角度から御質問いたしたいと思います。  四十九年の決算説明の中で、二十億四千三百九十四万円という皇室費報告されております。四十九年はたしかアメリカの前大統領が日本に来られた年だと思いますが、それらが来られたときの皇室としての歓迎のレセプションその他、これは宮廷費から出ておるのですか、内廷費から出ておるのですか。さらに、それの金額及び大体一人当たりどれくらいかかったのかということについて御説明願いたいと思います。
  112. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) 四十九年のフォード米国大統領来日の際の宮中での接伴その他のことについてお尋ねでございますが、御案内のように、フォード大統領は四十九年の十一月の十八日に来日をいたしまして、二十二日に離日をいたしております。で、その来日しました翌日の十一月十九日にフォード大統領と両陛下の御会見が宮中でございましたが、その夜、宮中で陛下主催の晩さんを催しておるわけでございます。その際にお招きした方々の総数は百五十人でございます、これはフォード大統領並びにその随員を含めまして。ただ、あのときはフォード大統領夫人がいろいろな事情からお見えになっておりませんでしたので、大統領だけでございますが。その際に所要した経費はこれは宮廷費から支出をされております。その額は、晩さんに際しましてその事前事後に若干の自由に話すような時間もございますが、そういうときに出す酒類を含めまして百九十万円でございます。したがいまして、これを単純に頭で割りますると、お酒を含んだあれで約一万二千円余、こういう額でございます。
  113. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そのときの料理の種類ですが、日本式でございましたか、それともフランス料理でございますか。
  114. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) 洋式と申しますか、洋式のフランス料理であったわけでございます。
  115. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、この前のクイーン・エリザベスのときもそうですが、宮廷費で行うその種の催しというのは必ず洋式、フランス式ということに日本では決まっておるようでございます。しかし、たとえば田中元総理が中国へ行きましたときに、必ず中国の料理、中国の酒、陛下がヨーロッパへ行かれたときもそれぞれその国の料理というふうなことが大体大筋ではなかろうか。もっとも自国の料理を持ってない、特にこれはというふうなものを持ってない国もございますから、全部とは言えないでしょうが、恐らく食べ物と文明、文化というふうなものの中から、それぞれ少なくともある程度の歴史を持つ国では、その国の料理があると思います。どうして日本で日本の料理で御接待するということをしないのか、この点について伺いたいと思います。
  116. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) いま委員の御意見の、日本料理というものに対しての御意見、私個人もそういう日本料理のよさというものについては考えるんでございますけれども、外国の賓客をお招きをしまして、いわば非常に型にはまったと言っては悪いんでございますけれども、いわゆるフォーマルな午さん、晩さんというような際には、やはり、私どものこれは考え方でございますけれども、相手の方がある程度、何といいますか、緊張されずに、心から楽しんでゆとりを持って、なれたものでしかも精選されたもの、こういうものをお食べいただくことが一つのもてなしでもなかろうかというふうにも存じておるわけでございますし、また、それは国によりましてはいろいろその国の料理をお出しになるところもありますけれども、非常に多くの国はやはりまだ、いわば洋式料理と申しますか、フランス式のものと申しますか、こういうのが共通的なテーマであるような国も多いのでございます。  そういうことで、勢い洋食ということでおもてなしをいたしておるわけでございますが、これはじゃそればかりかというと、そういう賓客の方が東京を離れられまして、京都、奈良、こういうところに御旅行なさいます。やはり京都、奈良あたりでは、御希望も承りますけれども、やはり古都でひとつすぐれた日本料理というものをいただいてみようと、いただいていただきたいということで、そういう接伴もいたして、日本の味というものはできるだけ賞味していただくようにはいたしております。
  117. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 何といいますか、非公式なところで日本の料理を出して接待しているということはよく存じておるんですが、私の申し上げたいのは、やはり日本に来るお客さんに対して、日本料理というりっぱなものがなきゃ別です、少なくとも何百年、何千年という伝統を持つ誇り得るものがあるとしたなら、それはやはり堂々とそういうものが当然国の費用を使ってやる公式の催しで試みられてもいいんじゃないかと思いますが、全然行われていない。私は、これは一つには、戦前の、明治からのいわゆるヨーロッパの文明を大急ぎで取り入れた鹿鳴館時代の物の考え方が依然として皇室を取り巻く中にまだ根強くあるんじゃないか。赤坂の迎賓館にしてもその感を強くいたしますし、そのことが一つの反動として天皇陛下に着物を着せようというふうな形にあらわれてきているんです。  ただ、私はそこで心配するのは、つい最近も会長の永六輔さんと話し合いました。彼も心配しておりました。皇室というのは非常に影響力がありますから、これがいわゆるそうした日本のよいものを残していこうというようなことの運動で始めたとしても、コマーシャルベースに乗せられて繊維企業というふうなものに利用される危険性もないわけではないのでございます。これらはそういういわゆる外国から来た場合に日本料理も使わない——もちろん日本料理を使えば日本の酒が出るということになります。私は、十勝ワインをやっておりましたんで、その点では逆でございます。しかし、ワインが多少売れなくても、やはり日本というものの自己主張をもっとすきっとした形で皇室にはしてもらわなきゃ困るし、日本酒がよく出ることになるといま問題の米の需要にもつながりますんで、ひとつそこら辺はいままでのいろんな問題もあろうかと思いますけれども、宮廷費の中における外国要人の接待について十分これから考慮をしていただきたい。そのことが、天着連というふうなものがいわゆるコマーシャルベースに巻き込まれないことへの大きな足がかりにもなろうかと思います。そういう点についてひとつ御所見を伺いたいと思います。
  118. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) ただいまの日本料理の問題並びに和服の問題につきましての委員の御意見、これは御意見として十分承って参考にさしていただきたい、かように存じます。
  119. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういうお話でございますから、ひとつ十分検討をいただいて、日本の、何でも古いものがいいということじゃございませんが、少なくともよいものを主張していけるようなそういう国柄にするために努力をいただきたいと思います。
  120. 田代富士男

    田代富士男君 最初に会計検査院にお尋ねいたしますが、会計検査実施されるについて、どのような決意で臨んでいらっしゃるのか。また、その結果検査報告書を提出されるわけなんですが、その提出に対するお考え方について最初に簡単に御説明願いたいと思います。
  121. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 会計検査院は、会計検査院法の規定するところによりまして動くことになっておりますので、国の会計経理の適正を期す、そして不当、違法事項があれば検査報告に挙げる、あるいは会計検査の結果、改善を要する事項があれば、改善意見として各主務大臣に要求する、あるいは行政制度、法律というふうな点について、改善と申しますか、不合理な点があればこれを直すように意見を開陳するというような使命を課せられておりますので、そういう目的を達成すべく検査しているところであります。
  122. 田代富士男

    田代富士男君 それでちょっと具体的なことでお尋ねいたしますが、検査一つの手段として、昭和四十四年から租税関係不当件数の表示方法を変更されたと思いますが、その変更された理由について簡単に御説明願います。
  123. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) ただいま先生から御指摘のございましたとおり、四十三年度の決算検査報告、この時期までは、租税の検査報告の掲記方法といたしまして、税務署ごとに一件として表示をする、こういう掲載の方法をとっておりました。それを四十四年度から、徴収過不足の全体を一つ事態としてとらまえまして、これを一件ということで掲記することに改めたわけでございますが、これにつきましては、その前から実は各種保険料の徴収不足、こういったようなものにつきましては、従来から各社会保険事務所等における徴収不足の事態を個々に指摘はいたしますが、これを厚生省なりあるいは労働省といったような項に一括して一件として掲記しておると、こういう取り扱いを実は保険関係についてはやっておりまして、そういったようなところを実は考え合わせまして、租税の徴収過不足というものにつきましても保険とほぼ同じような性質を持っているということに着目いたしまして、租税だけを特に税務署別に一件として掲記するのは、均衡上の問題もあり、検査報告を読む人に、片方保険の方はこういう取り扱い、一方租税の方はまた違う取り扱い、これもまた誤解を招くもとになるのではなかろうかと、そういったような考えから、四十四年度から保険の場合と同じように一括してこれを一件として取り上げる、そうしてまあ大勢を表示するというようなことで、言ってみますれば租税の徴収過不足というものについてこれを傾向的にひとつ把握をして見てもらうと、こういう形をとることに改めたわけで、それ以来今日に及んでいるわけでございますが、これは決して検査報告検査の結果の内容を単に簡略にするといったような趣旨のものでは決してございませんで、そういったような、ただいま申し述べましたような経緯から改めたわけでございます。
  124. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話しありましたけれども、そういう事務上の立場から、他との比較からもそういうふうに変更したとおっしゃいますけれども、やはり一という数字の中にすべてが含まれると同じケースであるということはわかりますけれども、どれだけの問題が起きているかということを知るには、やはり従来のそういう数字の表示というものがよいのじゃないかと私思うわけです。そういう意味で、四十三年度以前の表示方法で示した場合に、最近は一という数字で示されておりますけれども、従来の方式でしたならば過去十年間の数字はどのようになりますか、御説明願いたいと思います。
  125. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) ちょっといま手元に資料がございませんので、後ほどお答えさしていただきます。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、私の方でいただきました資料で、ちょっとそれを加えましてまとめて質問をしたいと思うんです。  実は、私の後ろに表を用意しております。そちらからはちょっと、見えるだろうと思ってつくりましたけれども、数字が見えにくいですから、私がこの表をもとにして数字を示しながら最初御説明をしたいと思うんです。  この表は、不当事項として検査院から指摘されました件数それから批難金額、まずそれの過去十年間にわたっての累計でございます。昭和四十二年は不当事項の件数が二百六十件、金額にいたしまして十二億五千三万三千四百二十一円。四十三年が件数百八十二件、批難金額十二億六千二百五十六万八百三十一円。四十四年が——不当件数の表示の変更のことを私はただいま質問をいたしました。従来のやり方と最近のやり方は違っております。新しいやり方でいきますと百五十三件ということになっておりますが、四十三年度までの表示方法でいきますと、これに四十三件プラスしまして百九十六件になります。金額が十九億九千二百九十九万八千六十二円。四十五年が、同じように四十三年までの数字と新しい数字で申し上げますと、新しい数字では百四十六件、四十三年までの同じ様式でしたら二百七件、金額が十二億六千六百五十万四千九百七十四円。四十六年が件数百九十九件と二百七十三件になります。金額が十五億四千七百二十四万一千八十五円。四十七年が新しい件数では百七十六件、旧来の四十三年度までの方式では二百四十件、金額十四億四千五百七十万五千三百五十円。四十八年、新しい件数百五十二件、いままでのやり方では二百十一件、金額十三億九千五百五十九万五千七百十八円。四十九年、これは八十六件、百五十五件、十六億五千九百四十五万五千四百四十五円。五十年度、八十二件、百六十四件、十八億七千二百七万九千五百七十一円。五十一年、七十四件、百五十三件、金額四十三億一千九百七十七万九千二百十円。このようにいたしまして、この四十二年から五十一年までの件数と批難金額を累計いたしますと、新しい体制での件数は千五百十件、四十三年までの計算でいきますと二千四十一件、金額にいたしまして実に百八十億一千百九十五万三千六百六十七円と、こういうような不当事項に係る件数と批難金額が出ております。  これをじっとこの数字を見ていきますと、この不当事項の件数というものは減りつつあります。しかし、一件に対するこの批難金額というものは逆に高くなってきております。これが毎年同じことが繰り返されている。会計検査院としては、執行機関ではありませんけれども、やはりこういうことは何らかの形を見出さなくてはならないと思いますけれども、こういう事態検査院の院長としてどのように受けとめ、対処する決意であるのか。また大蔵省の立場として、このような予算を執行する最高の責任官庁としてどのように受けとめていらっしゃるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  127. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 金額が上がってきておりますのは、物価が上がってきているということも一つだろうと思いますし、それからもう一つは、財政規模の増大に伴いまして、検査の着眼点もわりあい大きなものに向いてきておるというようなことがこういうような結果を来しているんじゃなかろうかと思っております。
  128. 井上吉夫

    政府委員井上吉夫君) ただいま御指摘のとおり、この十年間の経過等を十分御調査の上御指摘でございましたが、御承知のとおり、補助金等は、社会保障であるとかあるいは文教、公共事業あるいは農業関係等、きわめて多岐にわたる行政施策を実現するために、予算のおおむね三分の一にも当たる補助金を地方公共団体を通じて交付して事務事業の実施をやっていただいているわけでございますけれども、その適正な運用のために絶えず指導もし、あるいは会計検査院とも連絡をとりまして、補助金等適正化連絡会議等を通じて可能な限り適正な運用を指導をし、あるいは従来の補助事業の経過を踏まえましてその整理合理化等に努めているところでございますけれども、遺憾ながら根絶するに至らず、先生御指摘のとおり、若干件数減少しているとはいえ、なお一件当たりの金額もかなりな金額になっているという状況にあります。今後とも予算の編成を通しまして、会計検査院ともできるだけ事前に従来の実績についての十分な検討を実施すると同時に、さらに各省庁につきましても十分その適正な運営を図るように指導も申し上げ、あるいは補助金の整理合理化等の施策等についても、そういう実績を踏まえてさらに検討を進めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 いま政務次官が、補助金の問題は、国策上からそういう施策がとられているけれども、そういう面のために多いのではないかという御答弁でございましたが、そこでこの不当事項を指摘された中にいろいろなものがありますが、その中で、この補助金の問題はどのくらいの問題を占めているのか、まあ数字の上における、この不当事項の中における補助金の占めた数字でございますが、これを十年間に累計してみますと、ちょうど昭和四十二年には件数は百三件、批難金額が九千二百七十二万九千五百二十九円。四十三年は百十八件、一億四千八百四十二万三千四百四十三円。四十四年は百四十三件、金額は二億九百六十三万七千百七十五円。四十五年は百三十一件、一億六千六百五十一万三千百八十五円。四十六年百八十三件、二億九千六百四十二万五千二百十六円。四十七年百五十七件、二億三千八百九十七万一千百三十一円。四十八年百三十五件、二億七千三百八十六万五百六十八円。四十九年七十件、二億四百七十六万五千五百四十七円。五十年六十四件、四億三千七百三十一万五千百八十円。五十一年五十件、二億七千三百五十万三百九十二円。これが補助金の件数と批難金額の合計でございます。  この合計は、会計検査院にお願いいたしましたいろいろな数字を私の方で拾い上げまして合計した数でございますから、ほぼ間違いはないと思います。最初私はお聞きしたいと思いましたけれども、この数字で間違いはないと思います。  そうしますと、不当事項件数と批難金額全体に占める補助金の件数と批難金額のパーセントを出してみましたら、実に大変な金額が出ております。件数からいきますと、四十二年は三九・六%全体。四十三年は六四・八%。四十四年からこれは件数の出し方が違いますが、新しい件数の出し方でいきますと実に九三・五%。不当事項を受けました九三・五%が補助金に関係のある不当事項に対する件数です。四十三年までのそういう件数でいきますとそれでも七二・九%。これは四十五年を見ますと八九・七%と六三・二%。四十六年は九二%と六七%。四十七年は八九・二%と六五・四%。四十八年は八八・八%、六三・九%。四十九年は八一%、四五・一%。五十年は七八%、三九%。五十一年は六七・六%、三二・四%。このような数が出ております。特に五十一年度の三二・四%というのは、これは特殊な事情がございまして、会計検査院では御承知のとおり、五十一年度の不当事項の批難金額のただいま申し上げました四十三億一千九百七十七万九千二百十円の中では、この中に阪神高速道路公団の不用土地購入分、これは例年にない異例中の異例の分が指摘されているのが約十九億八千万円ほどのあれがありますから、これが含まれておるわけなんですが、そういうふうに見てみました場合に、件数にしまして少なくとも八〇%、九〇%という、そういう割合を占めております。これは大変な数字ではないでしょうか。  金額においても、金額を申し上げますと、御承知かと思いますが、これは四十二年が九千二百七十二万九千五百二十九円。四十三年が一億四千八百四十二万三千四百四十三円。四十四年が二億九百六十三万七千百七十五円。四十五年が一億六千六百五十一万三千百八十五円。四十六年が二億九千六百四十二万五千二百十六円。四十七年が二億三千八百九十七万一千百三十一円。四十八年が二億七千三再八十六万五百六十八円。四十九年が二億四百七十六万五千五百四十七円。五十年が四億三千七百三十一万五千百八十円。五十一年二億七千三百五十万三百九十二円。これを不当事項全体の批難金額に見てみた場合に、四十二年は七・四%、そして四十三年は一一・七%、四十四年が一〇・五%、四十五年が一三・一%、四十六年一九・一%、四十七年一六・五%、四十八年一九・六%、四十九年一二・三%、五十年二三・三%、五十一年、これは一一・七%、六・三%。これはいまさっき申し上げました阪神道路公団等のあれがありますから、この六・三%という数字は比較にならないと思うんです。一一・七%ぐらい。これで見ますと、全体の約二割弱のそういう金額になっておりまして、この補助金だけの件数が十年間に千百五十四件、批難金額にして二十三億四千二百十四万一千三百六十六円という、このような数字が出ております。  だから、いまさっき検査院長は——私は金額の問題が一件について高くなっていると。確かに物価も上がってきておりますけれども、物価の上がる率よりも、これも簡単に計算しましたけれども、この指摘されました金額の上がり率が高いんです。だから、検査院長は物価が上がりましたからとおっしゃるけれども、一度計算されたら——私は計算しました。それ以上に上がっております。毎年同じことが繰り返されてきてるというんです。まあこれだけの、こういうような不当事項として指摘された、その中の補助金の問題を取り上げましても、これだけの予算を効率的に使うならばもっとどういうことでもできるんじゃないかと思うわけなんです。  そういう意味から、後ほど御質問もしたいと思いますけれども検査院といたしまして今度新ししい機構改革をされました。その機構改革からするならば、補助金がこういう不当事項としてのあれは少しずつ減ってきていると。ともすればこれを軽視しがちな一面を見受けられるように感じます。私は、これは看過できないというんです。まして、いま政務次官が、補助金は国策としてこのようにやっているところに問題があるとおしっゃいますけれども、件数にしましてですよ、政務次官、このように九三%、八九%、九二%と、八〇%以上の不当事項として指摘をされている。それを、同じことを繰り返しているんです。これじゃ大蔵省の立場として、前車の轍を踏んではなりませんけれども、これは謙虚に受けとめて、これは対策を講じて改善する必要があると思うんです。だから、最初に検査院長の方から、それから大蔵省の方からお答え願いたいと思います。
  130. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 御説のとおり、補助金は年々膨大になっておりまして、検査院検査対象としてはこれは非常に一番重要なものになっているわけです。したがって、補助金の検査の率を別に下げようという意図はございません。ただ、おっしゃる意味は、恐らく今度の機構改革で、補助専門の課がございました。それを分けまして、というか、ほかと統合いたしまして、縦割りに徹するというような検査方式をとったために、そこら辺を誤解してお伝えしたんじゃないかと思うんですが、私の方は補助金は重要な項目でございまして、今後とも重点方向として検査をしていくことには変わりはございません。
  131. 井上吉夫

    政府委員井上吉夫君) 補助金が非常に多岐にわたりまして、いろいろな行政目的のために、地方公共団体を通じ、あるいは対象の補助団体等も非常に多いから、指摘を受けることも多いというようなふうのことを先ほどの御質問にお答えする際に申し上げましたけれども、だからといって、決してその件数においてあるいは金額において補助事業に対する指摘がきわめて大きいということを軽視するような気持ちは毛頭ございません。従来からも大蔵省といたしましては、毎年開かれております補助金等の適正化連絡協議会を通じまして、いろいろとこの面の検討を進めてまいっておるところでございますけれども、特に五十二年度につきましては、予算編成に先立ちまして、実は特に七月に会計検査院との連絡会を開きまして、そして既往の会計検査院の補助金等に対しますいろんな意見を聞きまして、そして新年度の補助事業の整理合理化なり、あるいは問題点所在なりについての検討をいたしたところでございますけれども、今後におきましては、ますますこういうことを十分の連絡をとり合いながら、そして会計検査院を初め、各方面の補助事業の内容についてあるいは種類について、その適正化とともに、もっと効率的に補助団体が有効に使える補助の仕組みというものなどの面もあわせて検討する必要があろうかと存ずるわけでございまして、御指摘の趣旨を十分尊重いたしまして、今後とも、先ほど申し上げましたように、会計検査院ばかりでなくて、各方面の御意見、御指摘を尊重いたしまして、一層補助金の適正な運用が図られますように努力をしてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  132. 田代富士男

    田代富士男君 いま、大蔵省の立場としてそのように改善策を講じていくという政務次官の御答弁でございますから、改善してもらうようにお願いをしたいと思います。また、きょうは主体が会計検査院決算でございますからそこまで言及しませんでしたが、私は次回にはこれを各省に当てはめまして、今度は会計検査院が縦割り機構に対応できるような検査体制をとるとおっしゃっておりますから、それに沿ったそういう立場で、この問題をもうちょっと深く突き込みましてお尋ねしたいと思いますが、きょうは大蔵省の方のはこの程度にとどめておきたいと思いますから、政務次官、退席していただいて結構でございます。  会計検査院に引き続いてお尋ねをいたしますけれども、御承知のとおりに、処置要求、意見表示の事件件数を調べてみました。この事件件数を昭和二十二年以来ずっと調べてみますと、昭和三十六年ごろまではゼロないし四件でございます。ところが、昭和三十七年から処置要求、意見表示の適用が急激にふえ始めております。ところが、この処置要求等が急激にふえている中にありまして、また急激に四十一年から四十三年の三カ年ではゼロというような、そういう数字が出ております。また、意見表示では、ふえている中にありまして、四十四年からはゼロないし一というような、年度によりまして非常にこういうあらわれ方が乱れている。特に三十六年から今日までというものは急激なそういう変化を来している。これは、会計検査院は執行機関でありませんから、どうこうやれと言ってもこれは無理かわかりませんけれども、しかし、こういうような一つの動きから見まして、あえて執行するそういう各省庁に対しまして、あらゆる方法でこれは何らかの形で改善を示唆するようなことはできると思いますけれども、こういうような動きに対していかように受けとめ、それに対してどのように改善を図ろうと努力しておいでになったのか、また今後努力しようとされているのか、そこらあたり御答弁いただけないでしょうか。
  133. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 確かに、先生御指摘のとおり、昭和二十年代それから三十年の半ばぐらいまでは、意見表示あるいは処置要求、これらの件数がきわめて微々たるものになっております。これは戦後会計経理が紊乱した時期が非常に続きまして、私どもも当時第一線で検査に携わった者ですが、言ってみますれば、検査すれば必ず不当事項などにぶち当たるといったようなきわめて経理の紊乱した時代、これがしばらくの間続いたわけでございます。そういうことで、不当事項の指摘検査というものに当時は非常な重点がかけられていたということが、このような三十四条なり三十六条の件数というものがその当時比較的少なかったということにあらわれているのではなかろうかと思います。しかしその後、戦後もようやく終わりまして、三十七年半ば過ぎぐらいから経理もおいおいによくなってきたというようなところから、不当事項の検査はもちろん私ども検査の中で最も重要な検査項目ではありますが、少しく目をやはり改善とかそういったことに向けていこうというあらわれが三十年の半ばごろからあらわれ、これが件数という形でもって、ただいま先生御指摘のような形であらわれたものと思います。  なお、その間に多少件数が落ち込んだというような何年かの年次もございますが、これは全く私どもといたしましては検査上も同じような態度で検査を続けてきたわけでございますが、たまたまそれらの年次においては改善意見として取り上げるような事態検査の結果少なかったということになろうかと思います。意識的にそういったような検査の面をその段階で落としたというようなことではございません。  なお、こういうことで、不当事項の検査というのはもちろん私ども検査の第一の眼目でございますが、それとあわせて私どもといたしましては、この意見表示なり処置の要求という、私どもに与えられましたこの権限を最大限に生かしまして、今後も検査の結果をそういうことで各省庁のお役に立つように意を注いでいきたい、このように考えております。
  134. 田代富士男

    田代富士男君 いま、非常にむずかしい仕事だと思いますけれども、今後もそういう面に取り組んでいただけるということでございますが、いま会計検査院職員の定員が千二百二十名中実数が千二百十二名と、このように聞いております。   〔委員長退席理事野口忠夫君着席〕 その千二百十二名の中で、技術系の職員の人が百二十七名いらっしゃいますけれども、私は、このように会計検査院の仕事というものは非常に多岐にわたる、そういう専門的な知識がなければ会計検査院としての仕事の任につけない面もあるのではないかと思うときに、こういう技術職員の数が余りにも少ないのではないかと、これは私は会計検査院の中で直接仕事をしておりませんから詳しいことはわかりませんけれども、この数字の上から考え、また会計検査院の性格から考えてこのように思うんですけれども会計検査院としてはどのようにこの技術系の職員の数に対して思っていらっしゃるのか。このくらいの約一割程度の職員で十二分に発揮できると考えていらっしゃるのか、そこらあたりお聞かせ願いたいと思います。
  135. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 私ども千二百二十名の定員を持っておりますが、先生いま御披露されましたとおり、百二十七名というのが技術系の職員でございます。私ども検査の対象は、近年とみに技術系の分野というもの、これが非常に広まってまいっております。そういう意味合いにおきまして、現状の技術系職員の数が果たして満足できるものであるかどうかということについては、私どもとしましても当然非常な疑問を持ち、これでいいのかという考えを持っておるわけでございまして、毎年の職員の採用に当たりまして、技術系職員の採用ということも常に意を注いで努力はしているわけでございますが、なかなか専門的なしかも高度な知識を持っている人材について見ますと、こういう人たちは他の分野においても非常に需要が多いというようなことで、なかなかこのれ確保が困難だというのが実情でございます。しかし、ことしの新規職員の採用におきましても、五名程度の技術系の職員といいますか、学科を出た新卒業生を新たに四月から迎えるというような手はずにもなっておりまして、努力はいたしておるわけでございます。  なおそのほかに、私どもでは、御存じと思いますけれども、技術専門官という、これは課長相当職でございますが、技術の専門官を現在四名置いております。これは土木、建築あるいは電気、機械といったような分野のそれぞれの専門の人たちでありまして、そういった人たちが検査の面でいろいろな相談にあずかると、こういう形でそういう職員も置いており、またこの職員については、新年度からはさらに一名増員をすると、こういう手はずにもなっておりまして、現在、そういう面で技術系職員の充実ということには非常に努力をしているわけでございます。  ただ、ちょっと補足させていただきますと、私どもの仕事は単に技術的な目で見るということだけではございませんで、そこにやはり会計経理という面をかぶせたそういった判断、総合的な判断というものがやはり検査の面で必要でございますので、技術系の職員といいましても、本院に採用いたしましてからは、単に技術系の分野だけで活動してもらうわけではありませんで、そこに法律なり会計経理の面、そういった面の勉強もしてもらうわけでございますので、そういったような面で、果たして技術系の職員をそれでは何名まで充足したらいいかということについてはなかなか一概には言い切れない面があるということをちょっと補足させていただきたいと思います。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 いま御答弁の中に、非常にこれはむずかしいことだと思いますが、電気あるいは土木関係の専門官の課長クラスの人四名をそういう立場でいま置いていると、新規採用で技術系の職員一名を入れた、これはただ単なる技術だけでなくして、総合的な判断が必要とされるんだということでございます。しかし、行政の需要というものはふえております、御承知のとおりです。まして今度は原子力の問題あるいは宇宙開発の問題、航空機、船舶というものはどんどん技術が進んでおります。こういうものに対しての特殊専門技術分野というものは十分の検査が必要でありますけれども、電気、土木だけでなくして、いま申し上げたような分野に対しての充足ということは考えていかなくちゃならないし、いま言ったような部門が一番現在の会計検査院の弱い点ではないかと私は思うんですけれども、その点いかがでございますか。
  137. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) いま先生がお挙げになりましたような分野というのは、確かに私どもの方では一番弱い分野であろうと思います。そういったような分野の職員、これの充足ということも必要なことでございますけれども、そういったような分野の高度の専門知識の職員というものにつきましては国内でも限られているというようなことで、なかなか私どもの方に来てくれないというのが実は私どもの泣きどころでありまして、まあそういった点につきましては今後さらに努力は重ねていきたいと考えております。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 次に、会計検査院実地検査をこれは主体としてなさいますけれども実地検査率を今後とも高めていく必要があるのではないかと思いますが、従来の実地検査の率は大体八%あるいは七%、そのくらいの率になっていたんではないかと思うわけなんですが、少なくとも、これは今後効果をさらに上げていくということになりますと一〇%ぐらいまではやるべきではないかと、これも実際私は会計検査院の中で仕事をしていないですけれども、そのくらいはやるべきではなかろうか。しかし、いま申し上げますとおりに、人員との関係があります。また、人員を倍にふやしたといたしましても、果たしてそれだけの効果があるかと言えば、これは私は、倍にふやしたんだからすべての事項というものが現在の二倍の効果が出てくるというようなことはあり得ないと思うんです。人数はふやしましても、これは単価増というものは、かえって増加率というのは減少するんではないかと思うわけなんですが、こういう会計検査院の仕事というものは、会計検査院から検査を受けるぞという、それだけでも牽制的な効果というものがあるわけなんです。そういうわけで、そういう牽制的な効果というものはどの程度であるのか。また、一〇%ぐらいにまでこれを持っていくとするならば、人員はどのくらいまで持っていったらよいかという、そこらあたりの見込みはいかがでございましょう。
  139. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 確かに現在の実地検査の施行率は八・八%、決して私ども満足している数値ではございません。これをまあせいぜいいま先生お示しの一〇%程度に引き上げたいというのは私どもの念願でございまして、予算の要求等の場合にも、施行率をまず第一に一〇%まで引き上げるということを一つの前提としまして、あるいは人員の要求等の算定の基礎にして要求をしているわけでございますが、国全般の財政事情等もありまして、なかなか私どもの望むところまでまだ人員の確保もできかねているというのが実情でございます。  なお、いまの八・八%と申しますのは、全検査対象をひっくるめての率でございまして、その中には、たとえば郵便局、全国にちらばっている特定郵便局とか、あるいは国鉄のすべての駅とか、そういうものも検査対象としての数に入っての施行率でございますので、私どもとしましては、大きいところ、重要なところは漏らさず検査をする、こういう工夫で検査に抜かりのないように努力はしているわけでございます。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 いま一〇%くらいまで何とかしょうと思えばどのくらいの人員増になりますか。いまわかりませんか。
  141. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) これは三、四年前に試算をした数値でございますが、百五名の増員という線で一〇%にいくのではなかろうかと、このような試算をいたしたことがございます。
  142. 田代富士男

    田代富士男君 いきなり百五名人員をふやすということは、これはいまの段階では大変なことでありますが、より検査院の効果をあらしめるために組織の再編成を実施されました。これは四十六年に大幅な組織改正を行われまして六年ぶりのことでございますけれども、今回の組織の再編成に臨むに当たりましてどういう基本方針で臨まれたのか、お答え願いたいと思います。
  143. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 今回の機構改革でございますが、まず、近年財政規模が大変拡大をしてきた、そういったような情勢の変化に対応しまして、私ども検査というものを、従来のような個別の不当事項ということで個別に当たっていくという検査だけでは国民の要望にこたえられないのではないか。そういうところから、総体的、あるいは先ほども院長が御披露いたしました体系的に、そういったような観点から行政を把握して、予算の執行の効率性等についても検査の目を向けていく。こういうためには、従来のように、たとえば補助金は補助金だけ、直轄工事は直轄工事だけといったような形での検査体制ではそういった点が必ずしも有効にできないのではなかろうか。そういうところから、たとえば、道路事業について申しますれば、直轄工事から補助工事に至るまで、これを一貫して一つの課で同じ目で見ていく、そこで道路行政の全般というものを把握してそれに対する私どもの判断というものをそこに加えていく。こういう検査というものが必要ではないかということで、検査課の所掌事項というものを従来と変えまして、それぞれの分野におけるところの行政を一貫して把握し得るようにする。こういうところから、検査対象である各省庁検査事務を省庁の行政機構等に応じた形で、ただいま例に挙げました道路事業について申しますれば、建設省の道路局、これを今回たとえば私どもの第三局の建設三課でこれを所掌するといったような形で機構の再編成を行ったわけでございます。  そのほかに、従来の機構においては、検査対象の予算規模とかあるいは事業内容とかによって、多少やはり仕事の重過ぎる課あるいは比較的軽くなってしまった課、といったような現状も、実情も見受けられましたので、そういったところでは、検査事務の適正な再配分ということも頭に置きながら機構改革を行ったわけでございます。ただし、課の数、これにつきましてはこれをふやすということはできませんでしたので、従来の課の数の中で編成がえを行った、これが基本的な方針でございます。
  144. 田代富士男

    田代富士男君 いま御答弁いただいたとおりに、現在の会計検査院の組織というものが、どちらかと言えば行政機構の縦割り組織に対して対応できるような組織でなかった、それを、総体的にあるいは体系的に行政を把握していき、検査の目を向けていきたい、そういうふうに変えたということでございますが、いまおっしゃるとおりに、たとえば、建設省の所管する道路の問題をいま申されましたが、住宅の行政で今回の編成がえを見てみますと、住宅行政にかかわる機構とすれば、本省の住宅局、それから日本住宅公団、住宅金融公庫、宅地開発公団などがございますけれども、改正前の会計検査院検査体制では、本省は第三局の建設検査第一課、他の課の所掌に属する住宅金融公庫は第五局上席調査官第一部門担当、また、日本住宅公団及び宅地開発公団は第五局の上席調査官の第二部門担当と、こういうふうに担当がされておりましたが、今回の組織の再編成において、本省はもちろん住宅行政関係の公庫、公団もすべて第三局の建設検査第一課が一括して検査担当するというふうに改められたわけなんですが、これで、いまも御答弁がございましたとおりに、住宅行政を一貫して検査することができる。行政全体を見渡すことによって財政支出というものがどのように効果を発揮しているかという検査の実を上げるために取り組まれたわけでございます。これは、そういう目的を達成するためにはよいかと思いますが、ここで考えられることは、たとえば住宅金融公庫というものはどうであるかと言えば、現在までは、その他の公庫と同じように、第五局の上席調査官第一部門担当担当して、従来の担当から今度は移るわけでございますが、従来の場合は、同じそういう公庫関係という同列で検査をすることによりまして、公庫特有のいろいろな問題というものが検査をされることができた。そういう面ではその特徴というものもあったと思うわけなんですが、今度はそれを縦割りでまとめて、総体的にというこれはわかりますけれども、従来の検査体制の持つよさというもの、そういうものが今度の基本方針の結果失われるようであったならば、これはまたいままでになかった新しい問題が出てくるのではないかと思いますけれども、こういう点に対する配慮はどのようになさったのか、お願いいたします。
  145. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) おっしゃいますとおり、新しい機構の改革、この新機構といえども全くデメリットがないというわけではございません。メリットも大きいけれども、その反面、従来のあり方に対してまたデメリットになる面もそれはあるわけでございまして、そこら辺のところは今後の運用で補っていかなくてはなりません。  いま先生が例に挙げられました住宅金融公庫、これは確かに住宅の分野ということで住宅公団なりあるいは住宅局、そういうものと一緒の建設一課に集めまして、従来ありました金融機関を公庫のグループということで五局の上席一部門に集めておりましたところから離したわけでございます。そうして公庫は公庫なりに、金融機関は金融機関としてのグループで同じ目で見ていくというメリットは確かに従来あったわけでございますから、そこら辺のところが今後全く失われてしまうのではこれまた困るわけで、そういう意味合いにおきましては、これははなはだ私どもの部内のきわめて事務的な話で恐縮でございますけれども、私どもの方では、まず幹部の局長以上の会合というものはしょっちゅう持っておりますし、また各課が検査に出張いたしまして、その結果問題点として取り上げてまいりましたことにつきましては、一週間ごとにこれを取りまとめまして、これを週報と内部では呼んでおりますが、検査結果についての週報を、これを院内全般の各局の幹部に配っております。そういった週報の面で、たとえばいまの住宅金融公庫の問題でありますれば、今度の建設一課で何か新しい問題を取り上げてきたと、これは週報に載りますので、それを従来の他の金融機関のグループを所管しておる五局の担当課の課長なりはそれによってその問題の提起というものを承知すると、こういったようなことでその点は鋭意補ってまいりたいと、このように考えております。
  146. 田代富士男

    田代富士男君 基本方針をお聞きいたしまして、そのように実施していくように徹底を図っていると。いま建設省関係会計検査院の方も例を出されましたし、私も建設省の問題でいま質問いたしましたが、そのように新しい機構改革実施されておりますけれども、当然この問題は解決した方がよいと。私も日ごろ運輸委員でありますし、運輸委員立場から、国鉄とかそういう運輸関係は一回整理すべきである、どこの省よりも。そのように日ごろから私自身考えておりましたけれども運輸省関係——日本国有鉄道あるいは鉄建公団というものは、現在第五局の鉄道検査第一課、同じく第二課に置かれたままになっておりますが、運輸省の鉄監局というものは第三局の運輸検査課にあるわけなんですが、ここは運輸省の場合は余り手をつけられていない。これは建設省の方はそのように手をつけられて、運輸省の方は、このような趣旨の徹底ということは賛成でありますけれども、これは手をつけていない。何か理由があってこれはこのままの体制でしているのか、また近々それも手をつけるような方針になっているのか、そこらあたりはいかがでございましょう。そうしなければ、基本方針を徹底するといっても片手落ちの一面があるし、また徹底されたところにも危惧する面を私いま質問をしたわけなんです。そういうところで、何となくこれで一歩前進する面もあるかわからないけれども、これはどうかなという、そういう本当に一歩前進だというところまでいきませんから、そこらあたりを明確にできるように御答弁願いたいと思います。
  147. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) いま運輸省関係検査の問題を先生御指摘なさいました。この点は全く同感でございます。ただ、従来運輸検査課というのが三局にございました。この運輸検査課につきましても、実は今度の方針に従いまして二つの課に分けました。その一つは、航空行政、近ごろ非常に問題にされております航空行政を一貫して見られる課ということで、これを専管する課というのを、従来の運輸省全体を見ておりました運輸検査課から分けまして一つの課をつくりました。  こういうことで、運輸省についても全く手つかずというわけではございませんが、いま御指摘のありました国鉄なりあるいは鉄道建設公団、これらはまさに運輸省の監督下にある公社であり、公団であると、こういうのになぜ従来どおりにしておくかという御疑問でございまして、この点はごもっともと思います。しかし、これもやはり限られた、課の増設ということはできませんし、そういった一つの枠の中でやったことでございますので、私どもとしましても必ずしも今度の新しい機構が全く万全のものであると、このようには考えておりませんので、一定の枠の中で最大限の工夫をこらしたわけでございますが、比較的国鉄なりあるいは鉄建公団というものは、運輸省との間のつながりようで考えた場合に、国鉄の独立制といいますか、そういった点は強いのではないかといったようなこととか、そういったようなことをあれこれ勘案いたしますとともに、そういう事務の再配分ということのむずかしさ、そういうこともありまして、この両者については第五局に従来どおり残したわけでございます。  そう言いますと、運輸省との縦割り、あるいは運輸行政というものを一貫性の視野で検査をしていくというところに支障はないかということでございますが、この点についても確かに必ずしも万全とは申せませんので、先ほども申し上げましたような内部の連絡といいますか、そういった点で、局は分かれておりますけれども、相互に連絡を従来より密にしてその点を補って検査を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  148. 田代富士男

    田代富士男君 時間がそろそろ参ったようでございますから、最後に、検査旅費のことでお尋ねをしたいと思いますが、いただきました資料によりますと、検査旅費の決算額の対前年度比が、五十年度の伸び率が一七%、五十一年度が一九%、五十二年度が二五%、五十三年度が一一%、このように、五十三年度の一一%の伸びというのはここ数年で最低でございます。私はこれを考えてみましたら、今度から、国家公務員等の旅費に関する法律に定められる定額を超える場合は、同法四十六条第二項の「旅費の調整」規定を適用することができるという、今度の出張から宿泊費がこういうふうに従来よりもちょっと緩和されるということが、大蔵省との話し合いでできたということを聞いておりますけれども、そういたしますと、一件当たりの実地検査の旅費ということが今度かなりふえていくということを見込まなくちゃなりません。それと同時に、国鉄、私鉄、バスとか、そういういろんな運賃というものが値上がりをしております。こういうことから考えた場合に、一一%ということで果たして維持できるかどうかということが危惧されますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  149. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 五十三年度、新しい年度の予算、これから御審議いただく予算でございますが、これにつきまして一一%の伸び、この内訳を見ますと、この一一%の伸びの中には、実は運賃の値上げ分が入っております。入っての一一%の伸びでございまして、この運賃値上げ分を除きますと、実質的には八・五%ほどの伸びになろうかと思います。これが金額にして、私どもの年間の旅費予算から見ますと、金額に直しますと約四千万ほどに当たるわけでございますが、ただいま先生がお挙げになりました旅費法の四十六条二項の関係の調整額、この精算の段階でどのくらい出てくるか。要するに、特例を適用して差額を支給しなくてはならない出張というのはどのくらい出てくるかということですが、これについてはにわかに見込むことがむずかしゅうございますけれども、まあ四千万円仮に全部を使用いたしたといたしましても、この八・五%の伸び、これに四千万ということで当てるとしますと、残りは前年どおりの——運賃値上げ分は別といたしまして——旅費額ということになりますので、前年度程度の出張検査、これは可能ではなかろうか、このようにいまのところ考えております。ただ、ただいま今後の出張体制を変えたことによりますところの旅費の調整、これがどのくらい見込まれるかというところの実はまだ正確な見当がつきかねておりますので、余り確実なことは申し上げられませんけれども、見込みとしてはまあまあやっていけるのではなかろうかと、このように考えているところでございます。
  150. 田代富士男

    田代富士男君 五十三年度の会計検査の活動費というものが新たに新設をされておりますが、これに含まれるものはどういうものが今後含まれるのか。また、現在活動費に含まれない活動というものはどういうものがあるのか、簡単に御説明願いたいと思います。
  151. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 五十三年度予算に新しく会計検査活動費ということで千七百五十六万ほどを計上されております。これをどういうことに使うかということでございますが、これは私どもの方としましても、初めてのことでもありますし、どういうことに使おうかということを目下鋭意検討中でございますが、さしあたってこれを使わなくてはならないものといたしましては、今度、ことし当初から私どもの出張体制を変えまして、たとえば出張の場合の宿泊所の確保、宿舎の確保につきましてはすべて会計検査院側で行う。従来は相手の受検官署側のお世話になっていたわけですが、自前でもって宿舎を確保する。こういうために出張センターというものを役所の中につくりまして、この出張センターから、職員の申し出によりまして、それぞれの旅館なり、あるいはホテルなりへ電話を入れまして旅館の確保を図るわけでございますが、全国津々浦々に私ども検査出張が及びますものですから、そういうことで地方への長距離電話という回数も非常に多くなるということで、さしあたってはこの電話料、これにそのうちの相当額を割かなくてはならないのではなかろうか、このようにも考えております。  さらには、出張に出向きました出張官が、先ほどもお話に出ましたが、相手官庁の官用車を提供してもらって検査をやるというような形は、今後もしばらくは続けなくちゃならぬかと思いますけれども、それにしましても、検査上どうしても相手方の提供がないような場合、御協力を得られないような場合とか、あるいは相手方の官用車ではぐあいの悪いような検査、そういうものも想定されますので、そういう場合にはやはりタクシーなりハイヤーなりを雇い上げてそれによって検査を進めるという必要もあろうかと思いますので、そういった場合の自動車の代金とか、あるいは検査資料等、検査の結果要求する資料等、これをコピーをするというような必要の場合のそのコピー代とか、そういったようなことなどにこれをとりあえずは充てるということになろうかと考えております。
  152. 田代富士男

    田代富士男君 いま私がこの問題を質問したのは、最近会計検査院の皆さん方の接待の問題でいろいろ問題が起きております。そういう面で、こういう検査活動費というものをある程度予算化をして、独立の立場から公平に検査をするには、思い切ってそういうものも主張すべきことは主張して、そういう受検立場の方からのそういうものの提供を一切断わることのできるぐらいの体制を持つならば、こういう問題も解決することができるのではないかと私思うわけなんです。  いま検査活動費をこういうものに使いたいということをおっしゃいましたが、それにまだ検査活動費の中に適用されることのできないいろいろな問題が残っております。時間がありませんから、私そこまで申し上げようと思いましたけれども、そういう面で、私はもっとこういうような問題は、言うべきことは、こういうような大蔵省に対しても言うべきことは言っていくという強い姿勢をもって、そしてやるべきことはやる、そしていただくものはいただくという立場で明確にしていってこそ、国民からの信頼を回復することができるのではないかと思うわけなんです。そういう意味で、私はいまさっきからの、新しい組織の改革をやって、基本方針にのっとって国民の信頼を回復するために立ち上がっていらっしゃいます会計検査院のお立場を見守っていきたいと思いますが、やはりこれは責任者であります院長並びに事務総長の立場というものが非常に大事になってまいりますから、どうかそういう点を含みまして今後の決意をお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  153. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) いろいろと貴重な御意見をありがとうございました。  私といたしましては、まあ、全力を尽くしまして国民の期待にこたえていきたいと思います。それにつきましては、いま出ました検査活動費その他、待遇改善の問題いろいろございますが、そういった面で要求すべきものは要求し、検査すべきものは徹底的に検査すると、そういう態度で臨みたいと思っておりますので、今後ともひとつよろしくお願いいたします。
  154. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、きょうは私会計検査院に対しまして御質問をしたいと思っているわけですが、会計検査院は、特に昨今非常に論議の俎上に上りまして、会計検査院としても、これは新しい機構等をつくられて、検査の進め方等についても鋭意御検討中でございますが、進めておられますが、きょうは私お伺いをしたいと思っておりますのは、こういった会計検査の分野の問題についてひとつ御見解をお伺いしていきたいと思っております。  といいますのは、御承知のように、昭和四十四年以来、いわゆる同特法と言われております同和対策事業特別措置法の実施が四十四年からやられまして、五十二年度、ことしでまる九年になります。五十三年度になりますと、時限立法でございますから期限切れになって、すでに国会でも跡継ぎ法の論議というのがなされているという段階でございます。  昭和四十四年以来今日まで、国や地方自治体で、との特別措置法に基づく財政支出というのは一兆とも言われ、また二兆とも言われるというふうな非常に広範な事業でございます。しかも、こういった特別措置法がつくられているにもかかわらず、国のこれに対する財政支出の姿勢というのはきわめて弱いために、これは地方自治体にずいぶん大きくしわ寄せが行っておるという問題がございます。しかも、そういう中で地方自治体の政治姿勢あるいは財政事情、そういったものとの絡みでは、全国的な課題でありながら地方別の格差なども非常に大きく広がっているという問題も昨今は出てまいっております。さらに、それに加えての行政上の諸問題というのもずいぶん出てまいっておるという段階でございます。  そこで、私はこの同特法という特別立法をつくって対処する国全体の事業が、八年、九年すでにやられてきてこの行政効果がどのように上げられてきているかという点が、やはり今後の跡継ぎ法の問題をどのように扱っていくかという点につきましてもきわめて重大な課題を持っているというふうに思うわけでございます。  そういう立場できょうはお伺いをしたいと思っておりますが、会計検査院は、検査の項目が各省別であったりいたします関係もあると思いますけれども、同和対策事業の関係での特記事項とかあるいは不当事項とかというふうな指摘というのは私さっぱり拝見をいたしておりません。  そこで、まず最初にお伺いをいたしたいのですけれども、こういった特別立法までやって、そうして大がかりに一兆と言い、二兆と言われるような莫大な財政支出をやっておるこういう大事業に対して、意識的にまたは集中的に検査の項目をお立てになってお取り組みになったことがあるのかどうか。これを最初にお伺いをしたいと思います。
  155. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) お尋ねの同和対策事業でございますが、これは総体の補助事業に要する予算額、これは先生いまおっしゃいましたように非常に大きなものになっておりますが、個々の事業規模そのものを見ますと必ずしも大きくないもの、これが比較的多いというようなことなどから、これを重点的、集中的に取り上げて検査を行うという方法は現在のところ実はとっておりません。かつては、これは私の記憶ですが、もう十年ぐらい前になりましょうか、厚生省関係のこの事業につきましてある担当の課で重点的に取り上げた例もございますけれども、その際にも問題は多少は出たんですけれども、何せ一件ごとの金額が小さい、事業規模が小さいというようなところから検査報告に載せるまでの問題にならなかったと、こういったようなこともございまして、そんなようなことで、現在のところでは重点的、集中的に取り上げるということには至っておりません。
  156. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そこで、一般論はともかくといたしまして、これは行政との絡みが非常に問題がございますので一般論だけではいけないと思いますので、具体的にちょっとお伺いをしていきたいと思うのです。  たとえば大阪の例を取り上げますと、大阪は、これは八年間の決算を見ましても約五千億余りを投じております。そのうち国庫支出金というのが、これは大阪府と他の市町村とでは率が違いますが、両方合わせましても一〇%内外という状況になっております。  そういうことになっておるのですが、具体的にそれではどうなっているかということの一、二の例を申し上げたいと思いますが、最初に厚生省にちょっとお伺いをしたいと思うのです。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 できるだけ問題をしぼって鮮明にしたいと思いますが、大阪市だけを取ってみますと、大阪市では厚生省関係のいわゆる同和保育所というのが現在二十九カ所ございます。その二十九カ所のうちの国庫支出金の出ているいわゆる補助対象というのは十五カ所でございます。こういう状況ですが、これがどういうふうにいわゆる同和地区に配置されてきているかという問題でございますが、これをもっともうひとつ細かく見てまいりますと、たとえば大阪市浪速区——これは人口六万程度の小さな行政区でございますが、そこの浪速区というところに、さらに小学校区別にもっと小さくいたしますと、栄小学校校区というのがございます。この栄小学校区というのはどの程度の町かと言いますと、これは一番最近の官庁統計の人口ですが、栄校区では人口が六千六百八十二人ですね。ですから、この栄小学校の生徒数と言いますのは、現在一年から六年まで合わせまして五百三十六人です。ことしの四月一日の新入生が九十九人と、そういうような規模でございますから、おおむねアウトラインを御理解いただけるかと思うのです。  厚生省にお伺いをいたしますが、五十二年度の予算でこの栄小学校区ですね、ここに新しく第六保育所というのが建設をされる予定になっておりますが、これは補助対象に御決定になりましたでしょうか。
  157. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) 五十二年度の保育所の整備費国庫補助につきまして、ただいま御指摘の大阪浪速区の大阪第六保育所を国庫補助の対象にいたすことに決めております。
  158. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 で、この第六の保育所を国庫補助の対象にしたというふうに厚生省からお伺いをいたしました。  ところが、この、いま申し上げた浪速の栄小学校区という申し上げた地域で、いわゆる同和保育所というのが何カ所あるかと言いますと、六千六百人ほどの小学校区に何と保育所が、今度の第六を含めますと、保育所と名のつくのは七つあるんですね。浪速第一、浪速第二、浪速第三、浪速第四、浪速第五、それで今度の浪速第六と、それから浪速乳児と七つある。しかもそれがどういうふうになっているかといいますと、浪速第一というのは八十人定員ですけれども、これは閉鎖されている。これは八十人定員ですが、浪速第一は四十三年の三月から開所されているんですが、五十一年度から閉鎖されている。しかも、それだけの保育所がありまして、浪速第六がまだいまでき上がっていない今日ただいまの五十二年度の市調査では、これは大阪市の調査でございますが、浪速区で空き定数がどれだけあるかというと、百八十七人分が現在あいております。こういうことでございますので、ちょっと浪速第一というのは閉鎖されたんですが、これは御承知ですね、厚生省は。承知をしておられたら、何で廃止したか、閉鎖したか、そのことも含めて御報告をいただきたい。
  159. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) ただいまの浪速第一保育所につきまして廃止といったような状態ということにつきましては、最近そういうお話を聞きました。ただ、その理由につきましては、私もつまびらかには承知していないわけでございますけれども、多少構造とか、あるいは面積等が適当でないのでこれを使わないことにしたんだと、こういうふうなお話を聞いております。
  160. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはいまそういう御意見ですがね。きのう、私、厚生省の担当官からお伺いをすると、これは高層建築住宅のげたばきの一階の保育所だから、上から物が落ちてけがをしたりなんかすると危ないので閉鎖をしたと、こういうふうに言っております。これは構造が狭い言うたって、たくさんあるんだから定数を減らしてもいいわけですからね、それはちょっと理由にならぬですよね。その、いわゆるげたばき住宅の一階の保育所だから危ないからといって閉鎖したんだけれども、それじゃ大阪市全体でどのくらいそのげたばきの保育所があるかというと、それ以外に三十二カ所あるんです。いまだって、土地の関係がございますから、大阪市のような密集した市街地域ではげたばきの保育所をどんどんつくっております。こういう実態があるわけです。  で、先ほど申し上げたように、同和関係保育所が大阪市内だけで二十九カ所あると申し上げましたが、その中で空き定数——これは大阪市の資料でございますよ、私、申し上げる数字は。大阪市の調査によりますと、千百三十七人分の空き定数がございます。こういうことですので、こういう中で、厚生省は五十二年度第六保育所の補助金をお認めになったとおっしゃるんですけれども、これは言いますと、十五カ所分が、すでに二十九カ所のうちの十五カ所分が国庫補助が出ているわけでしょう。それが十分行政効果を上げているというふうには言えないと思うんですよ、実際はね。しかし、第六はお認めになったというんですが、こういうふうに浪速区内、しかも浪速区内どころではないですね。一つの校区の中で七つ目の保育所を認可するというふうなことが、これは、私はたくさんできるのは大変結構だと思うんですけれども、適切とお考えになっているかどうか。これ、先に厚生省に聞いておきたいですね。
  161. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) 本年度国庫補助の対象にいたすことにいたしましたその第六保育所につきましては、大阪市から最優先に国庫補助の要請がございまして、そういったことを勘案いたしまして決定いたしたものでございます。
  162. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一つの行政区に七つある言うてるのと違うんですよ。一つの小学校区に七つ目です。それを補助金を認可している。全国では九千あるいは一万近くの保育所が足りないでしょう。申請したってなかなか補助金、きちっとつけてないでしょう。大阪市だけ見たって、大阪市の統計でも、保育所の入所希望者で待機児童は八千何ぼと言っておりますよ。八千人を超していますよ。ところが、片方では、いまだって百八十何人かの空き定数があって、さらに百三十人分でしょう、第六は。それを加えたら何ぼになります、オーバー分は。三百を超すんですよ。最優先に認めてくれ言うたからお認めになったというふうにおっしゃっておられるんですが、これは、私は保育所というふうな児童福祉施設はまさにポストの数ほどつくってもらいたいというのがわれわれのかねがねの要求ですから、どこもこうなら結構。  それで、いま申し上げたのは一つの校区なんですよ。小学校がここにありまして——ちょっと御遠方で見えにくいかと思いますが——第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七と、どこにあるかというのを申し上げますと、これが第一です。この住宅の下にあるのが第一。これが第五。それからこれが第二。これが第三。その隣が乳児。それから第四。今度のはこの第六ですわ。ですから、この間の距離というのは二百メートル。端から端へ、一番端から小学校へ行きましても五百メートルあるなしです。ですから、お隣の保育所を一つ飛び越えて行っても二百メートル、三百メートルで、三百メートル内外で行ける範囲の地域です。こういうことになっておるんです。  しかも、大阪市の政治姿勢というんですか、行政姿勢がずっと続いておりますことは、それじゃその六千六百人のその校区の住民全部にこの保育所七カ所が使われるかというと、使うことができるかというと、そうではなくて、特定の団体が認める人たちしか入れないというかっこうになっているわけですね。こういうことでは、私は、せっかくの同特法に基づく特別措置が、特別的な行政がやられていても、本当に行政効果が上がるのかどうかというのはきわめて疑問を持ちます。  そこで、その点で会計検査院にお伺いをしたいんですけれども、こういう八年、九年をかけてずっとやってきている仕事、これが行政効果が本当に上がっていると言えるんだろうかというふうにに思いますが、これは御調査をなさる必要あるとお考えになりませんか。
  163. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 先生ただいま御指摘の具体的な事例は、初めて伺いましたので、この事実について直ちにどうこうという御意見は差し控えたいと思いますが、私ども従来補助事業の検査に当たりましては、その採択がいいかどうか、それから計画がいいかどうか、施設をつくる場合にはその工事の設計がいいかどうか、積算がいいかどうか、設計どおりちゃんとできているかどうかというような、すべての点にわたって注意して見るように心がけてはおったわけでございますが、まあ従来ややもすると、この施設工事の検査などの場合には、設計どおりのものがきちんとできているかという点にとかく力が行き過ぎたきらいがなかったとは申せませんので、御指摘のような、この補助事業の採択がいいかどうかという点にも十分注意してこれから検査をやってまいりたいと、このように考えております。
  164. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 で、検査をなさっていただく必要があろうと思うんですね。建物が金額どおり設計されて、きちんと設計どおりやられているかどうか、その点に不正も不当もなかったということの検査と同時に、やはり国家財政の運営が本当に行政効果の上がるようにやられて使われているかどうかということもあわせてやっぱりお考えをいただきませんと、何しろまともなものだから、どんなに集中して建てておろうが、過剰であろうが構わないんだというようなことだったら、これは会計検査の非常に大きな部分の意義が失われる、そういう点で非常に大事だと思うんです。  そこで、あわせて申し上げておきたいのは、それじゃ、ここはどんどん人口がふえている地域かといいますと、国勢調査によりますと、この四年間に一五%人口が減っております。それはまあ減るのも無理はないんで、いわゆるこれは同和対策事業全体をやはり検査をする必要があるんではないかということを申し上げている一つの要因にもなろうと思うんですが、この一つの校区、いま申し上げた栄校区なんですがね、これは全体の地区にしたらもっと大きいんですが、この一つの校区の中で赤く塗っておりますのは、全部いわゆる同和対策事業の先行取得という形で買収済みで空き地なんです。こういう地域なんです。そこに七カ所目の保育所を厚生省は無条件に認可をされると、こういうことになっておるんです。これはぜひ御調査をいただきたいと思います。  時間が余りありませんので詳しくは申し上げられませんけれども、そういうことでございます。運営費その他についても実はいろいろお聞きをしたい点がございますが、きょうは時間もないことですから別の機会にしたいと思うんです。  次にちょっとお伺いをいたしたいと思いますのは、建設省関係でございます。建設省関係もずいぶんいろいろあるのですけれども、最近現地で問題になっております点についてちょっと建設省にお伺いをしたいと思います。  これも大阪市の日の出地区というやはり同和対策地域です。この日の出地区の住宅地区改良事業、それから山口町小集落改良事業というのがございますが、これについてお聞きをしたいんです。  まず最初に、山口町の小集落改良事業というのが進められましたね。その目的と内容の概要をちょっと簡潔にお伺いをしたいと思います。
  165. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 山口町の小集落地区改良事業と申しますのは、五十一年度に事業計画を認可いたしまして、五十年から五十二年度にかけまして事業を実施いたしたものであります。  地区の概況と申しますのは、地区の土地の面積が四百五十平米、住宅の戸数は十九戸でございまして、不良住宅の戸数は、一〇〇%の不良率で十九。これを十九戸を全部除却いたしまして、跡地を整備し、除却されたことによりまして住宅を失った方々は、それぞれ改良、公営等、ほかの方の住宅に移っていくと、こういう目的のものであります。  この趣旨と申しますのは、住環境を整備いたします手法といたしまして、住宅地区改良事業と小集落地区改良事業と二本ございまして、小集落地区改良事業と申しますのは、住宅地区改良事業の地区指定の基準にかけられないごく小さな小規模の住宅群を対象にいたしたものでありますので、そういうただいまお話し申し上げました事業概要でもって進めたものでございます。
  166. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 小集落改良事業といいますのは、いわゆる同和対策事業の固有の事業でございますから、これは全国的にたくさんやられているんじゃないかと思います。まあ私は、大阪市の場合はわりあいに小集落じゃなく、言うたら十メートルほど隔てたら日の出地区の改良地区があるわけだから、どうしてそれならそこだけ十メートルほど隔ててぽかんと一つのアパートだけを小集落にかけたんかなあという、ちょっと現地を知っている者にとっては不可解ですけれども、まあそれはそれといたしまして、そうしますと、いまのケースというのは十九世帯でございましたね。その建物は二階建てのアパートですね。これについての買収費、除却費ですか、そういうものの総額は、いただいた資料によりますと、四千九百八十六万円でございますね、国庫補助は。この中で、建物の買収費と、居住者の立ち退き、いわゆる占有者の立ち退き補償ですね、これが出ていると思うんですが、それぞれ幾らになりますか。
  167. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) ただいま御指摘のその四千九百八十六万のうち、建物の買収費等の補償費等関連が一千六百三十三万二千円でございます。
  168. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何ぼ……。
  169. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 一千六百三十三万二千円が住宅のその買収費等、一連の補償費関係費用でございます。残余のものは、子供の遊び場等の土地の取得から整備費等でございます。
  170. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一千六百万余りの中に立ち退き補償も含まれているんですか。
  171. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 体系的には不良住宅除却費と称してございますけれども、住宅の買収費、それから除却費その他移転補償費等も入っている場合もございます。
  172. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま私、このケースについてお聞きしますが、一般論で言いましても、建物、不良住宅ですからね、当然占有者はおるに決まっているわけですね。それは持ち家の場合には占有者と言わないだけで、人が住んでいるわけでしょう。住んでいるいうのが原則ですね。そうでなかったらつぶす必要もないわけでしょう。小集落にかける必要ないわけでしょう。だから、建物を買収するというのは、当然占有者の立ち退き補償というものはついて回るべき運命にあるこれは固有の事業だと思うのですがね、どうです。その場合もありますというようなことを言われたらちょっとおかしいんだな。
  173. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 小住宅に入っている居住者を、住宅を壊すことによりまして改良住宅に収容いたしましたり、あるいはその他の住宅に自力で移転される等のケースがたくさんございます。その場合、場合によりましてその措置の仕方がこれは変わってくるわけでありまして、一概に、たてまえとしては全部買収費の中に入っておりますけれども、その処理の仕方は、各地方公共団体でもって、施行者の側で御判断されて、具体のケースに応じて処理されることになっております。
  174. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 厳密に言えばそうですね。  それじゃ、たとえばその除却するべき住宅に住んでいる借家人ですね、いわゆる占有者、その人たちが移転する場合の補償は、これは別に支払うんですか、一人一人に。それはどのようになってますか。余りよく御存じないですか。
  175. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 借家人に対するたとえば移転実費、そういうものは当然施行者である地方公共団体が各個人に支払うたてまえになっております。
  176. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 このいま私申し上げている具体例は、先ほど御報告がありました十九室の二階建てのアパートですね、物件は。静光苑という名前のアパートだったんですが、その持ち主は中田善政という方です。この十九室の中には、北大阪興業株式会社という名の占有室が七室ある、いわゆる会社の寮ですか。こういう場合には、立ち退き補償あるいは移転補償、それはどこへ渡すんですか。
  177. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 七室に入っておられる方方の移転補償費でありますか。——もしそういう方々が入っておられまして、各個人の移転実費がかかるといたしましたらば、各個人にお支払いすることになろうかと思います。
  178. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ところがこのケースは、北大阪興業株式会社に千二百三十万八千六百円というのが払われているんですよ。そうすると、おかしいんじゃないんですか。
  179. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) ただいまの御指摘の数字、初めてお伺いした数字でございますけれども、先ほど御説明いたしました不良住宅の買収、除却費が、全体で、補助金ベースで千六百三十三万二千円でございますので、事業費ベースといたしましても約二千万前後のお金かと思いますけれども、それはまずちょっと中身を詳しく見ませんとはっきりしたことは申し上げられませんけれども、ほとんどが不良住宅の買収費ではなかろうかと推測されますけれども
  180. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあこれは移転費用だから、本来占有者に渡すのが原則ですよね、中に入っておったら。会社に渡してもいいんですか。
  181. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 先ほどの、個人にお渡しする移転補償費と申しますのは引っ越し実費でございまして、不良住宅の買収、除却費というのは、本体の住宅の買収費がまず主体でございまして、その住宅の買収費は当然住宅の、寮の場合でしたら寮の所有者、建築物のオーナーに行きまして、個人にお渡しするのは引っ越しの移転実費でございます。ですから、金額的に一般的な傾向として申し上げますと、引っ越し実費ですから、不良住宅本体のお金に比べれば非常に少ない額になろうかと思います。
  182. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その辺のことは私も知った上で聞いているんですよ。ややこしいことを言わんで、十九室あるんだけど、十二室は個々の人たちが入っていた、それを借りてね。だから、その引っ越し代はその個人個人に渡しているんですが、何でこれが問題になってきたかというと、七室は空だったというんですよ、近所の人は。だれもおらんかったと。ところが、実際にはそれは会社の寮だということで、北大阪興業という会社に、しかもこれは建物の買収費じゃないんですよ、私いま申し上げたのは。占有者立ち退き契約書という形で大阪市から支払われた総額は千二百三十万八千六百円、こういうことになっているんですよ。これは、この中には国の補助金も含まれているに違いないんですね。それで、しかもそこにはどうも人がいなかったというのが御近所の御意見です。  しかも、この北大阪興業株式会社という会社の商業登記調べてみたんですが、ようわからへんのですけれども、この会社は設立が昭和四十七年七月十七日で、その後ずっと休眠会社ですわ。それで、五十一年の一月二十三日に登記をして、五十一年一月二十三日に閉鎖している。これの契約は一月末に全部立ち退くという、最終期限が一月末なんです。契約をしたのは十二月十九日です。  だから、住民が問題にしてきているのは、おかしいじゃないかと、公金を使うのにこんなずさんなやり方が平気でまかり通るのかということで問題になってきているんですよ。そこで、これはそのことが問題になって、現地大阪の市議会では、去年の十一月に決算市会で大問題になったというケースなんですね。私は、せっかくの小集落事業を成功させていかなければならないのに、これは周りの住民の協力と理解のもとに進められてこそこういう事業というのは円滑に進むのであって非難を浴びるようなことがあってはならないというふうに心配をしているんです。  そこでお聞きをしたいんですが、会計検査院、住民からこういうふうにとかくの批判の出るようなやり方、やられ方、疑惑が出ているんです。しかも、それが現地の議会でも問題になっておるというふうなことについては、これはぜひ御調査なさる必要があろうと思うんですが、これについての御見解を伺いたい。
  183. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) ただいま初めてお話をお伺いしまして、内容につきましては当方は十分把握しておりませんけれども、お話をお伺いしますと、内容につきまして若干問題があろうかと考えております。  従来、住宅地区改良事業につきましては、完成時を主としまして設計とか積算、施工に着目して検査したところでありますけれども、今後は、先生御指摘の点につきましても十分気をつけて検査したいと思います。この件につきましても、できる限りやってみたいと考えております。
  184. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんので、もう一つ通産省に聞きたいと思います。  同和対策事業の中で、中小企業振興事業団の高度化事業というのがございますね。時間がありませんからはしょって申し上げますが、これは予算書を拝見いたしますと、昭和五十二年度の予算額は百三十四億、五十三年度は二百億というふうになっております。いただいたこの予算書の資料によりますと。この融資条件は、工場共同利用事業、いわゆる工場アパート制度ですね、それから店舗共同利用事業、商業アパート制度、この二つについては、利息は無利息で、融資率は九〇%というふうに書かれておりますが、これは間違いありませんか。それで、据え置き期間があるそうですが、何年ですか。
  185. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) お答え申し上げます。  いま先生御指摘のいろいろな数字、五十二年度百三十四億円、それから五十三年度を現在国会の方へ提出しておりますけれども、二百億円という数字がございましたが、これは要求ベースのときのでございまして、百八十六億弱でございます。  数字はさておきまして、先生が御指摘になりました工場アパート、それから商業アパート——商業アパートにつきましては、これは五十二年度からスタートしている事業でございます。御指摘のように、無利子で、それで融資比率九〇%という制度でございます。
  186. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 据え置き期間
  187. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) 据え置き期間は、建設期間が大体一年ぐらいございます。そして二年間の据え置き期間、そして十三年以内で償還して、大体十六年以内というところでございます。  以上です。
  188. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 特別措置法に基づいて、これは社会的、経済的な向上を期すという立場で非常に手厚い内容になっておるわけですが、こういうものの運用というのが正常にやられるということが非常に望ましいと思うんですね。  そこで、私はちょっと具体的にお伺いをしたいんですが、これも大阪市の浪速区浪速町西二丁目に予定をされております買物センター、ショッピングセンターですね、この計画の概要というのはどないなっていますか。
  189. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) お答え申し上げます。  先生御指摘の、買物センターというふうにおっしゃられましたですが、現在仮称でございますけれども浪速地区購売施設事業協同組合ということで、現在、府、市等におきましてその検討が進んでおる状況でございます。  これは私ども承知しております概要だけ申し上げますと、現在の計画では、これは公営住宅法に基づきます住宅建設と併設事業で、小売商業を営む中小企業の方々が三十名、そういうアパート関係に入るという事業でございまして、大体総額十二億九千万円程度ということで処しております。
  190. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この融資制度というのは、そういう商業アパートへ入るという人たちが協同組合などをおつくりになって融資をなさるんでしょうね、事業団としては。その辺はどうなんですか。これは、私もう時間がないから簡単に言いますが、これは大阪市がやっていますよ。そういうやり方もお認めになるんですね。その点だけちょっと言うてください。
  191. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) 先生御指摘のように、高度化資金は、確かに一般的に申し上げますと中小企業者の方々に貸し付けるということで、市町村というのは対象になっていないわけでございます。しかしながら、中小企業者の方々が高度化事業を実施をします場合に、計画を作成したり、それから用地の取得をしたり、それから建物の建設をしたり、それからいろいろ細かい融資の関係の事務手続を進めたりというような複雑な諸手続というのがこれに必要になってまいります。それで、特に未組織の零細な小企業者の方々にとりましては、こういう計画をつくる等々の事業というのは非常に困難が伴うわけでございます。それで、特にアパート関係、工場アパート、商業アパートでございますけれども、このために小企業者の方々が実施いたしますそういう事業につきまして、小企業者の方々の依頼によりまして、そして政令指定市等が代行して行うということもできるようにした制度でございます。
  192. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、だからそういうふうにできるように運用したというわけですね。それで、これ三十店舗、これは企業診断をいつやるとか言うて、最近やる言うたのはいつやるんですか。ちょっとそっ具体的なことを聞かしてください。三十店舗がそろったんで企業診断やる言うてましたね。ちょっとそのいきさつを簡単に。
  193. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) 先般、一月末にこれは診断が行われたというふうに私ども報告受けております。
  194. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 診断が行われるいうのは、その三十業者というのが出そろったということで診断をされるんですね。
  195. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) そのとおりでございます。
  196. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、実はこんなしょうもないこと聞く必要ないようにと思ってきのう来てもらって話を聞いたんです。さっぱりわからぬ。中小企業庁の計画部振興課の寺田課長補佐と中小企業振興事業団の総務部総務課谷課長、それから中小企業振興事業団の業務部の北川課長、通産省の事務官牧島さん、四人も来てくれて聞いたんですけれども、さっぱり話がわからぬのですわ、その辺が。三十人の人がもう決まったんですかと言うたら、決まったと。企業診断いつやったんですかと。私ども聞いていたのは十六日にやるいうのをちょっと耳にしていたから、あしたやるんですか言うたら、いやもう済んだいう意見。来ている人みんな意見違う。三十店舗そろうたんだったら名簿を見せてくれ言うたら、いやその名簿はまだ出てきておりませんとか、何かさっぱりわからへんのですよ。わからへんという、関係者の担当者においでいただいてわからないというので、いよいよおかしいというふうな気がしたわけです。委託を受けてやっておる現地大阪市では、いま「部落解放浪速買物センター出店申し込み書」という、この簡単な、これで大阪市は出店者の募集をしています。私が聞いたのは二月の十三日に大阪市の当局者から聞いた。どない書いてあるかいうたら、出店業種、氏名、企業連何班と書いてある。企業連何班というのはこれは何か知りませんが、特定団体に企業連というのはありますよ。あとは現住所、営業種目、営業場所、営業開始日、資本金、目的、営業所所在地地図、電話番号と、これですよ、紙っぺらの。これ、いま募集しているんです。だからあなたの方のお話もあいまいなんですね。そこで、もうあと答弁結構ですけれども、ちょっと調べようと思ってもよくわからないような実態なんですよ。  そこで、会計検査院にお伺いをしたいんですが、冒頭にも申し上げたように、この十年、一兆ともあるいは二兆とも言われるような膨大な財政支出をして、本当に円滑に行政効果を上げて特別措置法の目的を推進できるというふうにしなければならないわけですが、ちょっと調べてもこれいろいろと出てくるわけです。私は各省関係の諸事業にこれは実は触れたかったんですが、時間がありませんので、きょうは具体例はこれ以上触れる条件がございませんけれども、こういういろんな諸問題がついてまとっておるというふうなことと同時に、大阪市ではいわゆる行政姿勢というふうなことで、窓口一本化と俗に言われているやり方で、ある特定団体の認める人たちでなければ、同じ部落住民といえどもこの特別措置法の恩恵に浴されないという状況もいまなお続いている。こういう行政上の諸問題があるわけです。これは直接会計検査院とは御関係はありませんので、この行政の問題については別の機会に私譲りたいと思いますけれども、特に検査院に御指摘を申し上げたいと思いますのは、こうして九年間非常に膨大な財政支出をやって行政を進めてきて、さらに跡継ぎ法の論議がすでに国会でも日程に上がっているという状況でございますから、この九年間の過去の特別措置の効果を総点検して、本当にさらに跡継ぎ法をどのようなものに整備をしていくかという点では、これはいま非常にきわめて重要な段階へ来ているというふうに思うわけです。したがって、検査院といたしましては、冒頭におっしゃられましたように、事業量等の問題を見て、余り重視もして——重点項目とは考えていなかったというふうにおっしゃっておられますけれども、この際、跡継ぎ法を含めての関係で見直しの非常に大事な時点に差しかかっておる今日、重点項目として再点検をする必要があるのではないかというふうに思いますが、私ども指摘をいたしました若干の問題も含めまして、どういうふうにお考えいただけるのか。これは会計検査院の御見解を承りたいと思います。
  197. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) お話をいろいろ承っておりますと、非常にもう問題も多いようでございますので、私ども、各省にわたっておりますけれども、その検査の際にひとつよく見さしていただきたいと存じます。
  198. 井上計

    井上計君 検査院長に質問通告をいたしておりましたが、私が検査院長に質問いたしたいと思っておりましたことは、現在、大変不況の中で離職者、失業者が激増しております。それらの人たちの声をよく聞いてみますと、われわれは大変生活に困り、また会社が画期的な合理化をやってもなおかつうまくいかない、そこで、失業した、ところが、どうも役所にはむだ使いが多過ぎるのではなかろうか、こういうふうなことについての不信といいますか、それらのものが非常に激増しております。したがいまして、会計検査院はさらにひとつ機能を充実をしていただいて、今後ともひとつ的確な検査等によって国民のそのような不信を除去するよう大いに御努力をいただきたい。こういうお願いを、また質問をするつもりでおりましたが、先ほど田代委員からの御質問に対して院長、大変決意をお述べいただきましたので、私も了といたしましたので、会計検査院に対する質問はございません。ひとつ御了承いただきます。  そこで、若干関連をいたしますけれども、厚生省にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  国民皆保険の実現、老人医療の無料化等が非常に拡大をされてまいりました。そういう中で医療問題、医療の諸制度の整備は非常に立ちおくれておるというふうに思います。健保財政の大幅赤字ということも非常に大きな問題になっておりますし、また、そのような中で診療体系の見直しであるとか、あるいはすでに大きな問題となっておりますが、開業医の人たちに対する優遇税制の撤廃等という大問題がありますけれども、その諸制度の整備がおくれておるその中の一つに、案外実は問題になっていない点として、社会保険診療報酬支払基金の運営の問題があると、このように実は考えております。そこで、それらの問題等につきまして、数点お伺いをしてお答えを願いたいというふうに思います。  まず第一点でありますけれども、支払基金の、最近、一番近い年度でよろしいわけでありますが、取り扱い件数及び金額、その内容として政府管掌の健保、組合健保、あるいは共済組合別等の件数、金額、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  199. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) 支払基金におきます最近の取り扱い件数、満年度でわかっておりますが、五十一年度でございます。これは国保を除きます社会保険関係及び公費負担合わせまして明細書の総件数で四億五千百万件、取り扱い支払い金額で四兆二百四十八億円という金額に全体で上っておりまして、うちお尋ねの政府管掌健康保険分につきましては一億八千六百万件、金額では一兆五千九百八十二億円という形でございます。また、健保組合分につきましては一億五千二百万件、取り扱い金額にいたしまして一兆八百二十二億円という数字になっております。
  200. 井上計

    井上計君 いま承りましてちょっと感じることなんですが、政管の被保険者二千三百万人、組合の被保険者二千三百万人、大体同数だと私は伺っております。そこで、金額的に見ますと、同数の被保険者でありますのに、政管が件数が一億八千六百万件、組合関係が一億五千二百万、三千万の件数の開きがあるわけですね。金額的に見ますと、率からいきましても、計算をしても、実は政管の支払基金からの支払いが五千億円、純粋に五千億円多いと、こういう数字が出てくると思うのです。これはお答え結構でありますけれども、私どもが巷間耳にいたしておりますのは、政府管掌の保険の請求、お医者さんの請求は、どうもやはりいわば過誤といいますか、あるいはそのような請求が多い、請求金額が多いというふうなことも聞いておりますが、この辺にも私は、特に政管健保の大幅な赤字の一つの要因があるんではなかろうか、このように考えますので、これらの面等につきましても、ひとつ今後十分御配慮いただきたいと、こう思います。これはお答え結構です、いや、特にお答えいただければよろしいですけれども
  201. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) いまお示しの数字について、多少異なっておるところもございますので訂正させていただきますと、被保険者数で、政管は千三百五十万、それから組合は千百万程度でございます。それで家族数を入れますと、政管で、全体で約三千万、それから組合健保の方で二千五百万程度になろうかと思います。これはおよその数字でございますが、母体数もちょっと違うわけでございますが、医療費が高いという、政管について医療費が非常にかかっている問題については、人数のほかに平均年齢が少し組合よりも一、二歳高くなっている。医療費は年齢が高年齢化するほどかかりますので、その辺の要素もあろうかと思います。また、お尋ねのような経営努力と申しますか、保険者としての努力が、世帯が大きくなり過ぎて不徹底ではないかという御批判も繰り返し受けているところでございますので、この辺の改善については鋭意努力しているところでございます。
  202. 井上計

    井上計君 そこで、いま伺いました膨大な審査件数でありますけれども、そこで、支払基金の審査委員の構成あるいは人数、その審査委員の選任方法といいますか、委嘱方法といいますか、それらについて、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  203. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) 審査委員会は、法律の定めによりまして、診療担当者代表、それから保険者代表、公益代表という、この三者構成で組織するように定められておりまして、各側それぞれ同数の委員を任命しなければならないという法律上の定めになっております。現在の審査員数は、これは年々増加してまいっておりますが、五十二年度で各側それぞれ千七名、合計三千二十一名という委員数になっております。公益代表の委員については知事の推薦、これは各都道府県ごとに審査委員会が置かれておりますので、知事の推薦、それから診療担当者代表についてはそれぞれ関係団体の推薦、具体的には日本医師会、日本歯科医師会の推薦、保険者代表につきましては政管健保、組合、共済、それぞれ保険者の推薦によって任命しなければならないということになっております。
  204. 井上計

    井上計君 そこで、いまそれぞれの推薦によって都道府県知事が委嘱をするということでありますが、そこで、これは事実かどうかわかりませんけれども、私が数年前から耳にしたことでありますけれども、医師会の推薦の委員、これはどういう方法で医師会で推薦されるのかどうか知りませんが、就任の暁には私は審査をいたしませんということを堂々と公言して立候補されておる実は医師会推薦の委員があると、そういう府県が幾つかあるということを聞いておるのですが、事実だとすると、これは大変な問題だと思うのです。厳重に適正に審査をやるべき委員に就任をする、それを、推薦を受けるための会合で立候補——どういうような方法での立候補か知りませんけれども、私は委員に就任した暁は審査をいたしませんということを仮に公言をされたとすると、あるいはそういう事実があるとすると、私はこれ全く保険行政といいますか、これは大変な問題だというふうに思いますが、事実かどうかわかりませんので特に指摘をいたしませんが、こういうことにつきましては、何かお聞きの点いままでございましたかどうか。
  205. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) 現在のように社会保険医療が現物給付方式という方式をとっておるもとでは、やはりその保険医療の適正化を担保するためには、審査委員会の役割りというのは非常に大きかろうと思います。したがいまして、お尋ねのような点があってはならないことは言うまでもないことでございますので、われわれとしても多少そのようなうわさは聞かないでもございませんでした。ただ、われわれが調査した限りでは、そのような極端な事実は明確には把握しておりません。もし今後につきましても、そのようなことを公言して立候補するような委員につきましては関係団体が推薦をしないようにということをきつく申し入れをしますとともに、注意を喚起をいたしまして、そのような委員がこの重要な審査委員会に委員として参加するということがないような措置は十分講じてまいりたいと考えております。
  206. 井上計

    井上計君 そういう事実のないことを実は私も大変希望するわけでありますけれども、そういうふうな事実がもしあるとすると、これについてはひとつ監督官庁としての厚生省、ひとつ毅然たる態度をおとりいただきたいと思います。  そこで、ちょっとこれは御参考に申し上げておきますが、ある府県の、ある県とだけ言いますが、医師会のニュースでありますが、これは昨年載った記事でありますけれども、こういうことが載っておるんですね。これは長いですから省略して、重要な点だけ読みます。  要するに、毎月の「診療分−社会保険−一件当り日数、点数及び一日当たり点数がこのたび発表された。一覧表全体を眺めてみると、」というふうなことで、「その府県での保険診療実体が大体如何なるものかが伺えるものであると同時に、医師会−保険課−審査委員会の力の配分も大方わかる」と。そこで次に、「府県により治療上の差別はない筈であるにもかかわらず、弱体医師会?での府県に於ては尚、旧態依然として、保険課のにらみがきついのであろうか?」あといろいろと書いてあります。  したがって、保険課の非常な厳しい指導監督がある県については、実は請求点数が非常に少ないと、こういうふうなことが堂々と実はある県の医師会のニュースに載っておるわけでありますから、先ほどお尋ねをした、またお答えをいただきましたような、そういうふうなとんでもないことを公言をされるという事実はないことを期待をしますけれども、どこかにそういうふうな、火のないところに煙は立たずというふうなこともあろうかというふうに思いますので、十分ひとつ今後とも監督指導等について万全を期していただきたい。これは希望しておきます。  そこで、先ほども伺った大変膨大な件数でありますけれども、これらの件数を支払基金として審査をしておるわけでありますけれども、実際に一件当たりの所要時間はきわめて短いと聞いておりますけれども、大体どれくらいですか、一件当たりの審査の所要時間といいますか、現在どれぐらいかかっておりますか。
  207. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) 年間の取り扱い件数を審査委員一人当たりで割り戻してみますと、一人当たり一カ月の取り扱い件数に置き直しますと、一万二千件を超える状態になります。したがって、大体一週間前後の審査日でございますので、一日当たりは二千五、六百件になろうかと思います。それで、たとえば審査の時間が仮に一日五時間程度ということで平均的に割り戻してみますと、一枚当たり八秒程度というきわめて少ない数字になろうかと思います。ですが、これは県によりまして、業務量とかあるいは審査の中身等によりまして、日数は区々でございます。したがって、多いところは詰めた審査をしていただいております。と同時に、問題のあるものについては、十分審査をしていただくようにという指導をしておりますので、一件当たりに割り戻してみますと短時間でございますが、これによって審査に手抜きがあるというようなことはなかろうと考えておりますし、ないように努力を願っておるところでございます。
  208. 井上計

    井上計君 一件当たり大体八秒といういま課長のお答えがございましたけれども、私が実は聞いておるところでは、極端なところは一件当たり二秒だというふうなことも聞いております。どう考えても物理的に審査不可能だというふうな実態も実は聞いたことがあります。特にそういうようなことのないように、今後とも十分指導をひとつお願いをいたしたいと思います。  そこで、いまの問題に関連をいたしますけれども、前月分のレセプトは毎月十日に締め切るということに大体規定上なっておるようでありますが、ところが実際にはいろいろと医師会の方——お医者さんならお医者さんの方のいろいろな御都合もありましょうが、実態はもう審査をする日にちが正味三日ぐらいしかないというふうな都道府県の支払基金も実はあるように聞いております、厚生省の方でのいま課長のお答えとは若干違いますけれども。  そこで、これらのことをいろいろと聞いてみますと、そのために審査委員でない支払基金の職員の大変な実は苦労といいますか、非常に多いようでありますが、ぜひこの点についてはひとつ医師会の方に厚生省から協力要請をして、できるだけ多くの審査日数が取れるように、このような締め切り等については締め切り日の厳守といいますか、こういう協力をぜひ要請をしていただく。これをまたひとつ第一点お願いをいたしたいと思います。  それから次に、この問題さらに審査をもっと適正に行うためにはいろいろな面を改善をしていかなくちゃいかぬと思いますが、専任審査委員というのが非常に少のうございますね。大体審査委員のほとんどというか、もう全部に近いような方が、委嘱されたいわば片手間といいますか、そういう人で、事実上の審査はなかなかやはり困難である。これはやむを得ぬと思います。そこで専任審査委員を増強して、もっと適正な審査が行われるようにしていく。そのためには専任審査委員に対する待遇を改善をしなければまたいけないというふうに思いますが、これらの問題等についてどうお考えか。  それから次に、この問題についての第三点でありますが、これはできました二十何年前から見ますと、ずいぶん診療の内容もあるいはその他いろいろな審査の内容等ずいぶん複雑になっておると思います。これからますますふえていくそういう中で、いわば人に頼った審査というものにはやはり限界があるのではなかろうか。そこで、診療傾向を統計的にひとつ観察、審査をするように改善をしていかなくちゃいかぬと思いますが、どうでしょう、機械化の導入等についてはお考えになっているのかどうか。  以上、三点について、この問題についてひとつお伺いいたします。
  209. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) 最初の診療担当者側からの請求の時期等の問題でございますが、先生お示しのように、その月分の診療報酬については翌月の十日までに基金に提出するようにということの取り扱いになっておりますが、これではなかなか審査日が十分取れない。早く支払いを期するためには十分な審査日が取れないということで、各関係医師会、歯科医師会等にも御要望申し上げまして、できるだけ期日前に提出願うということで十分な審査日を取るように努力しているところでございますし、大方は順調に御協力願っておるものと理解しております。  お尋ねの基金の専任審査委員は、現在三千二十一名の審査委員の中で二百五名程度が専任という形になっております。もちろんその専任に適当な人を委嘱できればこれにこしたことはないというふうに考えておりまして、これらの待遇改善等については逐年努力しているところでございますが、一方、医学は実は日進月歩でございますので、できるだけ診療に実際に携わっている方を委嘱すべきじゃないか。むしろ専任という形でやるのはおかしいじゃないかという御議論もあります。したがって、われわれとしては、いずれにいたしましてもより信頼の得れる審査委員の方々をより多く確保したいということで今後とも努力してまいりたいと考えております。  それから、お尋ねの審査についての機械化、これにつきましては、事務審査——いわゆる事務職員がやっておりますいろいろの仕事につきましては、逐次何とか機械化したいということで機械化をしております。ただ、審査委員会審査における機械化ということについては、これはなかなか審査がそのとき、時代、時代のいわば医学の水準を反映した医学の常識によって御担当願っているということもありまして、なかなかこれは機械的になじまない問題ではなかろうかと考えておりますが、何とか適正な審査が十分実施できますような審査の仕組みというものは考えてまいりたいと思っております。
  210. 井上計

    井上計君 ぜひ適正な審査が行われるように、早くそのような改善努力、指導をしていただきませんと、また大変な問題が起きるということを実は懸念をしております。といいますのは、もう長年にわたってといいますか、あるいは特にこの数年といいますか、健保組合が、基金のあり方等について特に審査の現状等について非常に不満が強くなっているわけですね。健保組合が大変経営努力をしておる、ところが、それにもかかわらずどうも支払基金の審査のあり方が適切でないので、何かざるに水を入れるような感じがするという不満が非常に強いんです。したがって、支払基金に対する不信感が非常に強くなっておりまして、そのために——まあ本格的なまだ論議ではないようでありますけれども、基金との間で審査委託契約を解除したい、こういうふうな声も最近実はちらほらではありますけれども起きつつあるということです。そこで、そのような解除というふうな問題が起きた場合、あるいはその委託解除が法的に可能なのかどうか、あるいは法的に可能だとしても、解除という問題が起きた場合に、医療行政として今後どういう問題が起きるのか、それをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  211. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) 法律的な問題といたしましては、これは基金の業務を委託することができるという仕組みになっておりますので、委託を現にしないことも解除することも一応法律上は可能だと言わざるを得ないと思います。しかし、現在のようにわが国では現物給付方式というものがなじんでおります。いわば本人なら十割、家族なら七割はお金を持たないでもそのまま医療を受けられる、家族なら三割の負担で医療を受けられる、これは一つの長所でもあり、いろいろ問題点もあるところだと思いますが、このような現物給付方式を堅持して制度の円滑な運営を図っていきますためには、やはり組合によっては基金に委託しないところが出てくるということになりますと、制度の円滑な運営を阻害することになろうかと思いますので、これは望ましいことではない。われわれとしても、そういうことのないように、十分基金の審査が保険者あるいは診療担当者、関係者の十分な御信頼の得れるような形でもう一度見直して、努力いたしまして、そのような動きが出ないように対処してまいりたいと考えております。
  212. 井上計

    井上計君 いまお答えいただきましたけれども、そのような問題が起きますと、法的には解除が可能である、しかし、万一そういうふうな事態が起きるとこれは大変な問題が起きるということもよくわかります。そこで、そういうふうな事態が絶対に起きないようにぜひともひとつ一層の改善努力、また指導等をお願いをいたしたいと思います。  そこで、今後の改善の方策について一、二、これは希望でありますが、また申し上げてひとつお答えをいただきたいと思いますが、一つは再審査機構ですね、これをぜひ確立をするといいますか、機構的に制度化するといいますか。そうでないと、現在保険組合が再審査要求をすると事実上原審どおりでもうほとんど戻ってきておる、こういうふうなことで、これについての不満も非常に強いんですね。だから、ここに新しい上部機関としての再審査機関があればまだ納得できるんではなかろうか、こういうふうなことを思いますけれども、そのような再審査機構をひとつ制度化するといいますか、これは法律改正が必要かどうか知りませんけれども、それらの点についてどうお考えか、これが第一点。  それからその次は、審査が各都道府県で非常に大きなばらつきがあるんですね。いろんな資料を見ましても、文字どおり西高東低といいますか、極端なことを言いますと、東京と関西地区——どの県とは言いませんけれども、同じものでも三〇%ぐらい違うというのはもうざらで、もう当然だというふうに言われておるようですが、各都道府県によって非常に審査のばらつきがあるということも、これもまた大きな不信感の原因だと思うんです。そこで、それらのものを考えて審査の統一基準をひとつお示しになる、そこで都道府県によってばらつきのないように適切な指導というものが行われる必要があると思うんですが、以上二点について、改善方法についてひとつお尋ねをいたします。
  213. 小島弘仲

    説明員(小島弘仲君) 審査のあり方等については本院の関係委員会においても毎々御議論をいただいておりますし、その充実の必要性について御指摘をいただいておるところでございます。お尋ねの再審査機構につきましても、実は現在医療保険制度の全般的な見直しをいたしまして、関係法案を本通常国会に提案したいと考えて検討を進めておるところでございますが、その一つの柱といたしまして、審査の今後のあり方ということも現在検討中でございます。その中で、お尋ねの再審査機構、たとえば現在は事実上の異議申し立てと申しますか、都道府県の審査委員会段階で再度の考案をお願いするということは診療担当者側からも保険者側からも受けておるわけでございますが、お尋ねの第二の問題とも兼ね合うわけですが、これらの審査の水準と申しますか、を全国的に統一する上からも、中央に再審査機構を設けてはどうかという御意見も実はあります。われわれはこれらについて現在十分検討中でございまして、できるだけ全国的に一元的な審査が行われるように考えてまいりたいと思っております。  都道府県のばらつきにつきましても現に数字にあらわれている限りにおいては御指摘のとおりだと思います。これらにつきましては非常にその地域の年齢構成とかあるいは医療機関の整備の程度と申しますか、それは数だけでございませんで、中身の問題等いろいろむずかしい問題はあろうかと思います。しかし、できるだけこのような医療供給体制の全国的な統一を図ると同時に、審査そのものにつきましても、できるだけ審査委員の全国的な会議を持つとか検討の機会を持つとかいうような形で、その全国的なばらつきがないような方策をぜひ講じてまいりたいと思っております。  ただ、お尋ねのように、一元的な審査基準をこれ文字で書くことにつきましては、千差万別の疾病につきまして非常にむずかしい問題があろうかと思いますので、ケーススタディー的なものをぜひ取り入れることによって、実質上そういう水準の統一を図るという方向で努力してはどうかという面で、いま現在支払基金にも検討願っております。厚生省としても法律改正事項との兼ね合いで検討いたしておるところでございます。
  214. 井上計

    井上計君 終わります。
  215. 野末陳平

    ○野末陳平君 聞くところによりますと、大阪の堺市が仁徳天皇の御陵をめぐっていろいろ計画を持っているような、そこで堺市から宮内庁の方に何か要望が出たということを聞いたんですが、どんな要望がそちらに出たんでしょうか。
  216. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) 御陵の問題に関しまして、堺市から当庁に対しまして、市制九十周年でございましたかを記念してその市地域内にある御陵について三点の要望がある、こういうことが報道されたわけでございます。これは実は市当局からはまだ私どもの方にこういうあれがあるがということは直接はまだないようでございます。ただ、堺市に駐在しておられるある新聞の方が、そういう市の御要望がある、それに対してどうかということを当庁の書陵部長の方に問い合わしてまいったわけでございます。それに書陵部長が専門の立場からお答えをしたということでございますので、中身についてちょっと書陵部長の方からお答えをいたします。
  217. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、正式の要望というものはなくて、それから市当局からの非公式の打診とかいう形でもなくて、単なるマスコミの問い合わせということになりますか。
  218. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) いまおっしゃったとおりで、堺市からは公式にも非公式にも何らこの件について私の方に話はありません。新聞報道関係の人から、堺市でこういうようなことを考えているがという話を聞いただけであります。
  219. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは重複になるかもしれませんけれども、古代史に興味が私もありますし、それから私自身も大学で中国史を教えておりますので、中国のこのような発掘状況その他を見るにつけても、この仁徳天皇の御陵のような歴史的、文化的な遺産というものを何らかの形でもう少し国民に身近なものにしていく方向づけというのが望ましいんではないか、そう日ごろから思っておりますので、以下具体的な点について二、三お答えいただきたいと思うんですよ。  で、堺市の要望というよりも、私も現地で聞いたところによると、何か近くに展望台をつくりまして、そして観光客と言うと語弊がありますが、この展望台のタワーから御陵を上からながめるという形をとりたいというようなことも言っておりますが、これについては宮内庁としては問題はないようにも思いますが、いかがでしょうかね。
  220. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 陵墓の近くに展望台を設けてそこから御陵をながめるということにつきましては、新聞の記事もはっきりしていない書き方でありますけれども、すでに塔はできておるのです。六、七年前に塔はできておりまして、そこにエレベーターをつけて、その一番上から展望したいということでございます。この塔の位置は御陵の地域内ではありませんし、堺市の大仙公園の地域内に建っておるものでございますから、その上から、エレベーターをつけて上の方からながめるということについては、宮内庁としてはとやかく言うべき筋ではないというふうに考えております。
  221. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこをもう少し進めまして、たとえば年に一日ある日を決めまして、陵の尊厳をもちろん妨げない範囲ということになりますから非常にむずかしいかもしれませんが、一般市民に御陵の一部を開放ということになるかどうか、まあちょっとでも公開するというような計画についてはいかがでしょうかね。
  222. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 御陵を公開、開放という意味——新聞にも公開というような言葉が使ってありましたけれども、その意味がはっきりいたしませんけれども、まあなるべく市民を自由に中の方まで入れてほしいというようなことを堺市でも言っているようでございますけれども、これはもちろん陵墓の尊厳と性質あるいは陵墓管理上に支障があることについては認めることはできないと思いますけれども、ただ管理上の問題で、中の方にまで入れるということにいろいろ支障が生じてまいりますので、いまのところ自由に中の方まで入れるということは考えておりません。
  223. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうなりますと、前面の方に拝所がありまして、それを現在の位置をもっと奥の方に移すということによって拝みに来る人たちがもう少し中まで入れて、その聖域の雰囲気に浸れるというようなそういう計画について、何か宮内庁の方がそういう計画を検討中であるようなこともちらっと聞いたり、あるいは堺市はそれを要望しているようなことも聞きましたが、どちらでもそれはいいんですが、この拝所を奥まで移してもう少し市民を中の方までと、これについてはいかがなものですか。本当に検討をなさっているわけですか。
  224. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 陵墓の参拝場所を拝所と申しておりますけれども、拝所については陵墓の形態によりましていろいろ異なっておりまして、相当奥まで行って一般の方も参拝できるという場所もありますが、この仁徳陵については地形上の関係で相当手前になっております、一般の参拝所が。しかし、われわれ、今度の堺市の話とは関連なしに、前々から一般の参拝者の方々が少し参拝所が手前で隔たり過ぎている、せっかく参拝に来ても陵墓が全然わからぬ、見えないというような御不満があることは承知しておりましたので、もう少し前の方に、前というか、奥の方に参拝所を設けるということについてはかねがね検討はしておりまして、現在も検討を急速に進めておる状態でございます。
  225. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、それは宮内庁独自で検討なさっておって、どうなんでしょう、可能なんでしょうか。ただ検討と言われてもちょっと見当がつかないんですがね、こちらも。
  226. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 拝所をもう少し奥まで移すということは不可能なことではありませんし、前向きの態度でいま検討を進めております。
  227. 野末陳平

    ○野末陳平君 それが実現しますと、非常に御陵がわれわれに身近なものになるということは確かだと思うので、ひとつ実現を目指して検討していただきたいと思うのです。  さて、これからがひとつ考古学というか歴史学という立場からの質問なんですけれども、陵墓研究に取り組みたいと思っても、現在は非常に制約が多いですし、それから一部にタブー視されているような面も事実あるので、研究そのものというのは思うように進まないことは事実なんですね。そこで、まず御陵の外形調査というようなことを、学者たちはそんな言葉も使っているようですけれども、私は何と言っても立ち入りが全く許されないということになりますと、非常に不便が多いといいますか、研究にもなりませんので、立ち入り調査というものがどこまで可能であるか、あるいはどこまでそれを宮内庁が許してくれるかということをお聞きしたいのですね。いままでも本当に数回はそういう立ち入り調査に似たようなことがあったようにも聞きますが、原則としてこの立ち入り調査というものについてはどういうふうに解釈したらよろしいのでしょうか。
  228. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 陵墓の立ち入り調査については、従来も二、三回お認めしたことはございます。したがって、将来も申請がありますれば、十分よく検討して認めるということもあり得るわけでございます。
  229. 野末陳平

    ○野末陳平君 問題はそこのところなんですがね。申請があれば個々にいろいろ検討してということなんですが、そういうあいまいなことでなくして、もう少し、たとえばだれが申請してもできるとか、そういうようなことを考えているわけではありませんけれども、やはりある程度基準のようなものをそちらで設けていただいて、しかるべきこういう条件に合えば、やはり当然立ち入り調査をさせてもいいという何かめどのようなものをそちらで出すべきではないかと思うのですよ。要するに学者の方にもいろんな誤解があったりあるいは偏見があったりすることは私も承知しておりますから、何しろ申請した個々に検討して、結果はイエスというケースの方がもちろんないわけですから、いままでも戦後三十年以上で数回でしょう。ですから、これはやはり立ち入り調査を許したということにはならぬと思うのです。ですから、どうでしょう、何か宮内庁で一定の基準のようなものをおつくりになる、その検討を始めることが先ではないかというふうに考えますが、そんなお考えはありますか。
  230. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 立ち入り調査について基準をつくるべきであるという御質問に対しまして、すでに現在宮内庁において立入検査についての基準の検討は具体的にいたしております。
  231. 野末陳平

    ○野末陳平君 もういま具体的に……。
  232. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) いま現在いたしております。まだ完結には至っておりませんけれども、現在進行中でございます。
  233. 野末陳平

    ○野末陳平君 それは人物あるいは団体についてもいろいろ含めた基準なんですか。それとも、調査の内容、やり方、そういうものについての基準、どちらなんでしょうか。
  234. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) それがやはり申し入れ団体、調査団体でございますか、そういうものと、それから調査の目的その他一切ひっくるめたものについて検討しております。
  235. 野末陳平

    ○野末陳平君 検討であればこの際はこれ以上はお聞きしませんけれども、やはりひがみかもしれませんがね、私どもは私学の方で何かどうもひがみがあるのかもしれませんが、やはり宮内庁とのコネの強い、弱いとかあるいはいろいろ関係がありまして、個人的事情がしんしゃくされてどうも最終的にいろんな判断をされるのではないかと思ったり、非常に門戸が狭いという感じがしているわけですよ。ですからこれはいまの基準ももちろん結構だと思いますが、もう一歩進めまして、ひとつ宮内庁が中心になりまして、学者のしかるべき、数の制限その他あるでしょうが、宮内庁が中心になって立ち入り調査を許す、一緒になってやるといいますか、そこまでおやりになってもいいんじゃないかと思うのですがね。たとえば監視道といいますか、何かいろいろ道が中にありますね、監視に歩く道が。たとえばああいうものを学者たちとともに一度行くと。まあ何百人もなんてわけにいきませんけれども、しかし数十人そういう立ち入り調査団のようなものを宮内庁が中心でまとめて一度やってみるとか、そういうふうにしないと、どうもこの問題はすべてタブー視されたままで誤解と何か先入観のようなもので、ぼくはどうも前進がないような気がするんですが、いかがですか、それについて。
  236. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) 立ち入り調査を認めるものについて、特に宮内庁とコネがあるというような方だけに認めるということは決して考えてもおりません。  それから、宮内庁が主導となってやったらどうかというお話でございますけれども、宮内庁においては、陵墓の整備工事について、古代高塚式陵墓等においては、工事をいたします前に事前にいろいろ調査をした上で工事を実施しておりますけれども、そのときには専門の学者方に御依頼しまして、一緒に調査に当たっていただいております。
  237. 野末陳平

    ○野末陳平君 でも、どうしてもそこで限られた、本当に限られた学者が参加できるんで、学問的にそれが非常に前進をもたらすというようなことになかなかいかないと思うんですが、そんな意味でもう少しその立ち入り調査についても積極的に宮内庁が前向きの姿勢を示していただきたいと思うわけなんです。それが許されれば、認めてもらえればかなり研究がしやすくなると、そういうふうに思いますが、どうしてもこれ御陵の研究を学問的に言えば、行き着くところは発掘調査までいってしまいますから、これは非常にまた問題があるとは思うんですけれども、しかしやはり発掘調査までさせろという要望も一部にはあるようです。これについて宮内庁、この時点でどういうお考えなのか、これをひとつ次長から説明をしていただきたい。
  238. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) 陵墓の性質につきましては、もう委員とっくに御承知のことと思っております。これは天皇及び皇族を葬っておるところでございまして、一般の方々のお墓のように、やはり静安を保つ、あるいはそのお墓に葬られている方並びにそれを通して御先祖というようなものを追慕したりあるいは尊崇するというような、この性格に非常に相相当しているものと考えております。と同時に、これは一面、陵墓の全部とはこれは言えないかもしれませんが、非常に文化的な価値と言いますか、そういうものを持っておるわけでございまして、そういう意味で管理にも非常な気を使っているわけでございます。そういうような性格のものでございますので、先ほど来の立ち入り調査のお考えとは別といたしまして、さらに進んで発掘してということについては私どもはちょっとこれは賛成いたしかねるし、またそういう発掘調査の対象とすべきものではないと、かように考えておるのでございます。
  239. 野末陳平

    ○野末陳平君 もう前々から宮内庁はそういうお考えのようですが、ただそうなりますと、いまもお答えにありましたけれども、皇室の個人的な財産というか、何かそういう個人的な色彩が非常に強い面に重点が置かれているように、同時にいまお答えありましたもう一つの面、国有財産というか、文化的な遺産、歴史的なわれわれの遺産というその面と両面ありながら、結局は、最終的にこの発掘調査に関しては、そちらは、宮内庁は何か皇室の個人的な面にのみウエートを置いているように思われるんですがね。いつまでもそういうお考えですと、これはやはり皇室の民主化という面から見ても果たしてプラスなのかマイナスなのかいろいろ考えたりするんです。そのお考えは、これからもずっと、変更なさるとかあるいはさっきの立ち入り調査ほどに前向きに検討なさるというようなことは全然期待できないということになりますか。
  240. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、これはいわば皇室だけのものかというようなお尋ねもございましたけれども、まあこれはその管理の所有の形態その他から申しますと、皇室用財産であるということで管理をいたしておりますが、それは一面先ほども申し上げましたような性格も持っておるわけでございます。しかし、そうだといたしましても、やはりこれには一般のお墓と同じように、お墓を守っていくというような立場から出てくる考え方と同じように、それはやっぱり発掘をしてということではない別な方法で、たとえば外形調査でありますとか、あるいはこれをどうしても長年たっているものでもございますから、保存工事をいたさなければならない、あるいは台風が来襲した場合に崩れるということも当然あるわけでございますから、そういうものの保存工事をする。その保存工事をするようなときに、事前に若干のその保存の工事のための調査もしなければならぬ。そうした場合には当然ひとつの資料等も出ますので、そういうようなものはいままでもこれは発表いたしておりますし、また、幾らでもごらんにも供しておりますし、また、御必要な方にはそのコピーをとって差し上げるというようなこともいたしておりますが、そういうものを総合いたしましてそういう学問的な御関心に協力してまいりたいと、かように考えております。
  241. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあそうなると、やはり当分といいますか、あるいは永久に発掘調査をさせてもらうということは無理なように受け取りましたけれども、それならば、何もいますぐそれを言うわけではありませんが、せめて、立ち入りによる外形調査をいままで少しはおやりになっていると、あるいは資料なぞも、公開ですね、見ようと思えばある程度見れるかもしれませんが、やはりもう少し大がかりな立ち入り調査というものを宮内庁の方で検討をして、要望があればそれに応じるという態度をもうそろそろ発表なさって、決められてもいいんではないかと、そう思うわけなんです。  時間がなくなりましたけれども、やはり以前から比べると宮内庁の態度もさばけてきているようには思うんですけれども、まだやはり時代がずいぶん変わっているのにかたくななところもあるように思います。ですから、ひとつこの御陵の問題というのは、学者側にもいろんな誤解、偏見がありますが、それもやはり宮内庁の方にも責任の一半はあると私は思っているわけで、どうかこの問題をもう少し前向きに検討してほしい。特に立ち入り調査について具体的な検討をお願いしたいと、そういうふうに思うんですが、次長からひとつ最後に。
  242. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) いま、この立ち入り調査を中心にしまして検討しておるようだが、その検討の中身に、十分いまのような御意見に代表されるような学術的な規模、要望というようなものを反映してはどうかという御意見と承ったわけでございますが、ただいま検討中でございますので、十分そういう御意見も参考にさしていただき、さらに先ほどもちょっと書陵部長から申しましたけれども、保存工事をいかにすべきかというようなときは、いままでは当庁限りでやっておったわけでございます。それが、これも数年前から、文化財に関係するような、これは文化庁の方も入っておられますけれども関係しておる学者の方々等にも、専門家の方々等にもお集まりいただいて意見を伺うというようなこともやっておりますので、まあそういう方々の御意見もまたあろうかと存じますし、まあそういうこと、あれこれ判断をさしていただきたいと、かように考えております。
  243. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようですから、皇室費国会及び会計検査院決算につきましてはこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      ——————————