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丸谷金保君 あと牛肉に一時間と思っておりましたので、ちょっとこの問題、途中で非常に残念ですが、どうも
大臣の話を聞いておりますと、どっちかで聞いたような言葉だなと思っていまふっと気がつきました。終戦の直後に、一億総ざんげとありましたね、
戦争責任をぼかす。あのときに同じようなことを言われたんですよ。それじゃ困ります。やっぱり
責任の一番あるのは一体どこだということを、そして、このことについては、さらに将来のことでございますので、一応
質問はこれで打ち切らしていただきまして、会計学の問題、その他植林、もっともっと苗圃なんかもふやさなければだめだと。苗圃なんかでも、これ
数字も持っておりますけれども、できるだけ山の近くの苗圃でつくった苗がずっと活着率がいいとか、それを苗圃も減らそうとしている、けしからぬ話だと、そういう問題はいずれまた別な機会に申し上げたいと思います。そして、牛肉の問題にひとつ入らせていただきたいと思います。
昨年以来、牛肉問題が非常に生産者、
消費者含めて重要な問題になってまいりました。それで、このことについては
中川大臣からいろいろな面について所信の表明が行われております。私はこれ、
中川言行録というのでひとつまとめてみたんです。で、
大臣のお話を聞きながら、まずもって御理解をいただきたいと思う。
私はいままで町営で二百頭の肥育牛を飼っております。それから既存の牧場五百町歩のほかに、さらに大規模で、これは
大臣に御協力いただいて、大きな牧場をつくりつつあります。そうして、町営で屠場を持っております。肥育をするためには牛の買い付けもやっております。遠くは九州からまでも、私は飛んでいって市場で牛を買ってまいります。そして、屠場にかけて、今度は町営の冷凍庫を持っております。それから御承知のように、牛肉専門のレストランを町営でやっておりますし、さらにまた、町出資の東京においてもレストランをやっております。それからまたパッカーとして、要するに肉の業者という形で町が直接小売屋に卸して安い肉を町内でも売っております。ですから、本当に牛肉のことは、生まれたときから
消費の末端までの全部を手がけております。なぜいまこういうことを申し上げたかというと、ですから、余りくどくどした
説明をいただかないでも大抵わかりますので、これからの問題については
質問に要領よく答えるというふうなことにしていただきたいと、こう思うわけでございます。
大臣は就任の直後に、
消費者の牛肉を安くすると、輸入枠をふやすということを申しております。そして、このことは各新聞その他に取り上げられて非常に大きくマスコミに載りました。ところが、その直後にいろいろな問題が出てまいりまして、週刊誌の報道によりますと、きばを抜かれた
中川一郎と、週刊新潮の十二月二十二日号、大変おもしろく読ませていただきました。そしてさらにまた、この種の問題については、正月にN日Kで中央会の山口さんその他の討論をしております。その中で、私はこれは大変いいことを言ってくださったと思います。農民は国の宝だと、こういう表現をしていらっしゃいます。まことにりっぱな、言葉としてはりっぱだというふうに実は思います。それからまた、同じ中で、
事業団の利益というのは全部生産者に何らかの
対策費の形で戻っているんだと、こういうことを申しておりました。流通改善その他の
関係にも出ているけれど、これは生産者に戻っているんだと、こう言っております。
しかし、これは何ぼ戻したって結果が悪けりゃだめなんです。結果が。結果は、正月に農村を歩いてみました。肉牛を飼っている農村はいま非常に困っております。
北海道だけかと思ったら、九州でも困っているんです。小さな利別農協というところで二十人ほど牛を飼っていて、ここのところで三億ほど、この二十軒で借金がふえたという話も聞いてまいりました。肉牛飼っていてもうからないんです。にもかかわらず、農民の生産者保護のためにいまの
事業団があって
調整機能を果たしているんだと、こういうふうに世間はみんな思っております。しかし、実際そうなんでしょうか。牛を飼っている農民が、特に肉牛を飼っている農民が、全国的に、
事業団があるのでああよかったというふうな形にはどこを見てもなっていないんじゃないか、こういうふうに私
たちは実態を歩いてみて感じる次第です。非常に困ったことだなと。生産者保護のために
消費者が高い牛肉を食うのはやむを得ないというふうに思われております。都会の人には。けしからぬ話だとも言われております。そんなに生産者が実際に保護されているのかということになると、ちっともされていない。困っているんですから、借金で。生産費の調査もやってみました。一頭飼って、乳離れから五百キロくらいに育てて生産費の
計算をすると、二千三百円くらいしか利潤が出てこないというふうな場合もあります。
一体これはどういうところにあるんだろう。そういう点で私
たちはこの問題と取り組んでみました。そうすると、どうも、これらの問題の結果としては畜産
事業団の問題を避けて通れないんです。流通過程の中でどうもわからなくなってしまうと言いますけれども、それで、この間における牛肉問題についていろいろな新聞の書いていること、あるいは雑誌の書いていることを、ずっと、これも言行録と同じように収録してみたんです。
昭和五十二年の六月二十三日の週刊現代、五十二年十二月二十二日の週刊新潮、その他文芸春秋以下ずっと読んでみますと、結局流通過程の中で政治と
業界の
癒着ということがどの雑誌にも出てまいります。こんなにたくさんいろんな人がそういうふうに思っていると。これは私は少なくても政治の
責任において正していかなければならない問題だし、また根も非常に深いというふうなことをどう解きほぐしていくべきかということで実は悩みながら、なおかつこういう方法もあるじゃないかということもあわせて提言したく御
質問申し上げる次第でございます。
最初に
事業団の
理事長にお願いしたいと思いますが、
事業団
理事長は雑誌の中で、われわれは法律に基づいて運営しているんだと、こう言っております。まさにそのとおりだと思います。畜安法という法律に基づいて
事業団ができ、法に従って運営をしているんだと。そして、いささか、その言動の中では開き直りとも思えるような感じさえいたします。法律どおりにわれわれ運営しているんだから何が悪いんだと。肉の
値段が下がらなくてもそれはわれわれの
責任でないと言わんばかりの言葉が実は端に出てきます。しかし、一体そうでしょうか。この法律は、生産者を守り
消費者にさらに安い牛肉を食わせるための
調整機能を果たすべき目的を持ってつくられている法律です。
理事長は、この法律が牛肉に関して目的どおり作動しているというふうにお
考えですか、ひとつ御所見を伺いたいと思います。