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国務大臣(
村山達雄君) 急激なる円高の問題は、内外ともに大きな問題をはらんでいることは御指摘のとおりでございます。国内
経済に対しましては、円高によるメリットもございますけれども、やはりその反面デメリットをこうむっております中小輸出関連
企業、こういったものの苦痛は大変なものでございます。ですから、そういったものに対して先般緊急的な
金融措置あるいは税制
措置その他を講じたことは御
案内のとおりでございまして、国内的にメリット、デメリットはありますけれども、いずれにしろ急激なる変動ということはいかなる
意味におきましても困ったことでございまして、対応のしてみようがない、こういう問題でございます。国際的に
考えますと、やはり一番大きな問題は、今日経常収支の黒字あるいは赤字問題を大きく言われているということは、やはり
世界的なオイルショックの
不況の中で
失業が非常に多発しているという事実でございます。したがいまして、経常収支の黒字ということは、言いかえますと、相手国にとりましては
失業を輸出しているという受け取り方さえするわけでございますので、国際収支の中でも経常収支の黒字、赤字問題が大きく論ぜられていることは当然なことなのでございます。
しかし、この問題は、原因を
考えますとやはり一国だけで決まる問題ではございませんで、すでに
日本におきましてばこの黒字、いわば過剰なる黒字減らしのためには種々なる方策を講じておりまして、好ましいことではございませんけれども、輸出についてある程度の行政
指導をやっているわけでございます。四月、五月の輸出の実績を見ておりますと、数量では確かに減っているのでございます、若干でございますが。しかし、国際競争力があり、アメリカにおける
卸売物価が上がっているために、どんどんドル建て建て値を改定しております。為替レートが上がっただけ全部オフセットしているとは言えませんけれども、ほとんどそれに近いだけやっているわけでございますから、ドルの輸出金額としてはそう変わりない。
一方、輸入の方を
考えますと、数量は前年同期に比べまして四・五月はふえておりますけれども、市況の
関係からいたしまして、ドル建ての価格はごく微細にしか上がっていない。したがって、ドル建てでの収支差額を出しますと、去年に比べて非常に大きな黒字幅になっているということなのでございます。そのことは、やはりアメリカ側も
インフレの
抑制ということをやはりやってもらわにゃならない。特にエネルギー問題について、やはり国内的に努力をしてほしいということをわれわれしばしば言っているわけでございます。われわれの方でも、好ましいことではありませんけれども、輸出のある程度の
抑制をやる、緊急輸入までやっているというようなことでございます。
しかし、いま三治
委員がおっしゃいましたように、本来為替相場というのは総合収支で決まるべき性質の問題でございますから、レートだけの問題で言いますとそのほかに資本収支があるわけでございます。とりわけLDCに対する対策といたしましては、単なるそういう国際収支の問題だけではなくて、今日のような発展途上国と先進国というような二極構造があるわけでございますので、今後長らく国際的にともに共栄共存を図っていくという
立場を
考えますと、やはり発展途上国に対して先進国、特に
日本のような国が援助をしていくということはこれは長い目で見て
世界の
経済の繁栄のために、また
政治的不安を解消するためにぜひとも必要なことであろうと思います。
日本はいまLDCに対しましての援助については格段の努力をいたしているところでございます。
しかしながら、御
案内のように、この努力の
方向と申しましても、
予算はかなりふえているのでございますけれども、国際的に
評価されますのは実際幾ら金を支払ったかというところで
評価されるわけでございます。まあ援助のやり方はプロジェクト援助もありますし、商品援助もございます。どうも見ておりますと、やはり相手国のプロジェクトに対してこちらが約束をする、交換公文を結ぶ。その後事務的に詰めてまいりまして、そして
協力基金等を通じてディスバースを行うわけでございますが、どうしてもプロジェクト援助というものは、そのプロジェクトそのものの内容が余り固まっていない、相手国自身が余り固まっていない、だから実行段階でそれを詰めていかにやならぬというようなことで、まあ大ざっぱに申しますと、
予算のうちの三割ぐらいは未執行に立っているわけでございます。その未執行の分を差し引いた残りが出ているわけでございますので、今後われわれは、いかにして、
予算の方もできるだけよけいつけるという配慮はもちろんでございますけれども、何より急ぐべきはやはり使い残りがないようにするというところに最大の問題があるのではなかろうか。そういった問題については、たとえばプロジェクト援助から商品援助に少しやっていくとか、あるいは国際機関がいろんな調査をいたしまして援助をしておる、その調査事績を借りましてバイでもって、相対で援助をやっていく、そうすればそのプロジェクトの吟味その他というような時間は省けますから、そういう道も今後
考えていくべきではなかろうか、このようなことをいま
考えているわけでございます。